2014 4 8,462 2015 3 1,397 1,016 ! 525F50 公益社団法人日本獣医師会 獣医師福祉共済事業 獣医師の皆さまとご家族に 大きな安心を!! 獣医師の皆さまを取り巻く様々なリスクの備えに 「獣医師会のほけん」 獣医療業務や動物診療施設の事故に対する損害賠償請求に備える 獣医師賠償責任保険 病気やケガに備える 所得補償保険 団体長期障害 所得補償保険 * 新・団体医療保険 傷害総合保険 動物病院従業員補償 傷害総合保険 *医療保険基本特約、疾病保険特約、傷害保険特約、 がん保険特約セット団体総合保険 動物病院の「什器・備品・医療機器」 「現金・有価証券等」の損害に備える 動物病院「什器・備品・医療機器」総合補償 (ショップオーナーズ保険) 動物病院「現金・有価証券等」総合補償 (コーポレートマネーガード保険) 保険契約者 公益社団法人 日本獣医師会 詳しい内容につきましてはパンフレットをご請求いただき、取扱代理店または損保ジャパン日本興亜営業店までお問い合わせください。 問い合わせ先 幹事代理店 株式会社安田システムサービス 〒163-1529 東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー29F TEL :03(3340)6497 FAX:03(3340)5700 受付時間 9:00∼17:30(土・日・祝休) 引受保険会社 日本獣医師会福祉共済事業各保険の資料は 下記幹事代理店までご請求ください。 なお、携帯電話からもご請求いただけます。 下のQRコードからアクセスしてください。 損害保険ジャパン日本興亜株式会社 団体・公務開発部第二課 〒100-8965 東京都千代田区霞が関3-7-3 TEL.03-3593-6453 FAX.03-3593-6751 受付時間 9:00∼17:00(土・日・祝休) 「損害保険ジャパン日本興亜株式会社」は、損保ジャパンと日本興亜損保が2014年9月1日に合併して誕生した会社です。 SJNK14-13867(2014.12.29) 目 次 近畿地区学会タイムテーブル………………………………………………………………………… 2 近畿地区学会会場交通案内…………………………………………………………………………… 3 近畿地区学会会場案内………………………………………………………………………………… 5 近畿地区学会役員……………………………………………………………………………………… 7 近畿地区学会幹事・運営委員………………………………………………………………………… 8 発表演題数…………………………………………………………………………………………… 10 学会運営上のお願い………………………………………………………………………………… 11 一般講演の発表スライドの作成と発表要領……………………………………………………… 13 学会会長講演挨拶プログラム……………………………………………………………………… 15 日本産業動物獣医学会(近畿)プログラム……………………………………………………… 17 日本小動物獣医学会(近畿)プログラム………………………………………………………… 37 日本獣医公衆衛生学会(近畿)プログラム……………………………………………………… 69 第 6 回動物看護に関する学術集会プログラム…………………………………………………… 83 出展・広告・協賛企業名簿………………………………………………………………………… 89 *近畿地区獣医師会会員の学会参加者は、各獣医師会受付(中百舌鳥キャンパス学術交流会館) で受付を行って下さい。その他の参加者は、総合受付(同会場)で参加登録を行ってください。 ―1― 平成27年度近畿地区連合獣医師大会・獣医学術近畿地区学会タイムテーブル 9:00 会場 学術交流会館 多目的ホール O 学術交流会館 サロン P 学術交流会館 特別会議室 Q 学術交流会館 小ホール R 10:00 接待室 開 会 産業動物一般講演 118 号室 C (1F 大講義室) 開 会 小動物一般講演 106 号室 (会議室) 展 示 107 号室 (小会議室) M 108 号室 (小講義室) PC 受 付 会長 / 産業動物 副会長 一般講演 挨拶 小動物 ランチョン セミナー 会長 / 小動物 副会長 一般講演 挨拶 小動物 一般講演 公衆衛生 一般講演 看護 一般講演 看護一般講演 産業 審査 委員会 小動物 審査 委員会 公衛 審査 委員会 会長 / 副会長 挨拶 閉会 開会 K 接待室 産業・公衛 ランチョン セミナー 開 公衆衛生 会 一般講演 202 号室 E (2F 中講義室) 210 号室 (小講義室) 15:00 16:00 産業 合同 動物 幹事 幹事会 会 産業動物 審査委員会 小動物 幹事会 小動物 審査委員会 公衆 衛生 幹事会 公衆衛生 審査委員会 展 示 学会本部 試 写 ―2― 17:00 18:00 19:00 褒賞 発表 談話会 会長会議 小動物一般講演 119 号室 D (1F 中講義室) J 14:00 各獣医師会事務局控室 開 会 209 号室 (小講義室) 13:00 総合受付・獣医師会受付 117 号室 B (1F 大講義室) I 12:00 大 会 116 号室 A (1F 中講義室) 205 号室 (中講義室) 11:00 中百舌鳥キャンパス交通案内 ―3― 中百舌鳥駅 なかもず駅 ―4― B3棟 C1棟 (学術交流会館) 白鷺駅 中百舌鳥キャンパス図 喫 茶 室 012 厨房 100 玄関ホール 事務室 001 中庭(1) 倉庫 ―5― ロビー 002 O 会場 男子トイレ 多目的ホール 多目的ホール 002 会議室 101 サロン サロン 100 斐文会室 校友会室 006 011 サービス ヤード クローク 010 収納庫 P 会場・受付 応接室 005 身障者 トイレ 女子トイレ 中庭(2) パントリー 007 地階:R 会場 湯沸室 同時通訳室 009 特別会議室 特別会議室 003 003 Q 会場 調整室 008 会場案内 学術交流会館 会場案内 B3 棟 1F&2F 1F D 会場 C 会場 119 中講義室 118 大講義室 B 会場 A 会場 117 大講義室 116 中講義室 展示 106 会議室 M 会場 107 小講義室 PC受付 108 小講義室 2F 208 中講義室 207 中講義室 J 会場 209 小講義室 201 中講義室 206 中講義室 I 会場 205 中講義室 K 会場 210 小講義室 , 211 実習室 1 E 会場 203 中講義室 202 中講義室 ―6― 204 中講義室 学会役員 獣医学術近畿地区学会 学会会長 佐 伯 潤(近畿連合獣医師会会長、大阪府獣医師会会長) 日本産業動物獣医学会 学会長 佐 藤 繁(岩手大学) 副学会長 白 井 淳 資(東京農工大学) 佐 藤 淳 澄(動物衛生研究所) 近畿地区学会長 玉 田 尋 通(大阪府立大学) 近畿地区副学会長 久 米 正 彦(神戸市獣医師会) 澤 田 勉(大阪府獣医師会) 川 手 憲 俊(大阪府立大学) 近畿地区学会運営主任 日本小動物獣医学会 学会長 佐藤れえ子(岩手大学) 副学会長 岡野 昇三(北里大学) 亘 敏 広(日本大学) 近畿地区学会長 大 橋 文 人(大阪府立大学) 近畿地区副学会長 安 田 和 雄(兵庫県獣医師会) 尾 芝 仁(大阪府獣医師会) 藤本 由香(大阪府立大学) 近畿地区学会運営主任 日本獣医公衆衛生学会 学会長 丸 山 総 一(日本大学) 副学会長 山 田 章 雄(東京大学) 植田富貴子(日本獣医生命科学大学) 近畿地区学会長 三 宅 眞 実(大阪府立大学) 近畿地区副学会長 木 村 明 生(大阪府獣医師会) 安 藤 明 典(京都府獣医師会) 星 英 之(大阪府立大学) 近畿地区学会運営主任 ―7― 平成27年度獣医学術近畿地区学会幹事 所 属 産業動物 小動物 公衆衛生 大阪府獣医師会※ ○澤田 勉 ○尾芝 仁 ○木村 明生 京都府獣医師会 中西 剛 松原 利行 ○安藤 明典 兵庫県獣医師会※ 鈴木 忠 ○安田 和雄 福永 真治 三重県獣医師会※ 小畑 晴美 須藤 和信 水野 正宏 滋賀県獣医師会 福井 英彦 近棟 稔哉 佐谷 泰親 奈良県獣医師会 大西 桂史 吉田 恭治 川上 憲俊 和歌山県獣医師会 松井 望 蓬台 仁志 村上 毅 大阪市獣医師会 本田 義久 吉内 龍策 宮前 俊一 神戸市獣医師会 ○久米 正彦 河口祐一郎 貫名 正文 京都市獣医師会 男成 良之 山田 昭彦 田邊 輝雄 大阪府 (大学) ◎玉田 尋通 ◎大橋 文人 ◎三宅 眞実 大阪府 (大学) 川手 憲俊 秋吉 秀保 星 英之 ◎学会長 ○副学会長 ―8― 平成27年度獣医学術近畿地区学会運営委員 所 属 産業動物 小動物 公衆衛生 大阪府獣医師会※ 澤田 勉 尾芝 仁 木村 明生 大阪府獣医師会 出雲 章久 佐藤 昭司 樋渡 清美 大阪府獣医師会 京都府獣医師会※ 小松 克 中西 剛 松原 利行 京都府獣医師会 安藤 明典 眞下 忠久 兵庫県獣医師会※ 鈴木 忠 安田 和雄 福永 真治 副学会長 久米 正彦 安田 和雄 安藤 明典 副学会長(担当獣医師会) 澤田 勉 尾芝 仁 木村 明生 大阪府大幹事 玉田 尋通 大橋 文人 三宅 眞実 大阪府大幹事 川手 憲俊 秋吉 秀保 星 英之 大阪府大 桑村 充 谷 浩行 勢戸 祥介 大阪府大 岩崎 忠 藤本 由香 安木 真世 動物看護関連 富永 良子 ※幹事、運営委員を兼任 ―9― 平成27年度獣医学術近畿地区学会 発表演題数 産業動物 小動物 公衆衛生 動物看護 計 兵庫県 7 8 2 0 17 大阪府 1 7 0 0 8 三重県 3 2 3 0 8 京都府 7 2 3 0 12 滋賀県 1 3 0 0 4 奈良県 0 2 1 0 3 和歌山県 3 1 2 0 6 大阪市 0 4 0 0 4 神戸市 0 2 0 0 2 京都市 0 5 0 0 5 動物看護 0 0 0 8 8 その他 0 1 0 0 1 計 22 37 11 8 78 ― 10 ― 学会運営上のお願い (参加者の方へ) ①当日、学術交流会館の所属獣医師会の受付にて名札を受け取り、必ず左胸につけて下さい。参加章 をつけていない方は会場への入場をお断りする事があります。 ②近畿地区の獣医師会に所属していない参加希望者は、学術交流会館の総合受付にて参加登録を行っ てください。 ③質疑、討論される方は、所属と氏名を述べてから発言して下さい。 ④討論は発表内容に関連あるものとし、私語等関係のない発言はご遠慮下さい。 ⑤追加討論は、座長に一任させていただきます。 ⑥会場内では、携帯電話等の電源を切っておいて下さい。 ⑦講演内容の撮影(写真、ビデオなど)ならびに録音は禁止します。 (一般講演の演者の方へ) ①一般講演の演者はご自身のノートパソコン(PC)を持込んで発表していただくことになりましたの で、ご注意ください。詳細については、 HP または講演要旨集の「一般講演の発表方法」をよく読んで、 ご準備ください。発表時間 7 分、質疑応答 3 分です。 ②学会当日は、学術交流会館の所属獣医師会の受付にて参加登録を行ってください。名札を必ず左胸 につけて下さい。 ③発表の 60 分前までに PC 受付(B3 棟 108 号室)にお越しください。 ④持参した PC を試写用液晶プロジェクターに接続し、試写を行ってください。プロジェクターとの 接続用ケーブル;ミニ D-Sub15 ピン(VGA 端子;外形 16mm×7mm)対応ケーブルのみ)は試写 受付に用意しております。ただし、 Macintosh 用の出力端子用アダプターは用意しておりませんので、 演者がご持参ください。 ⑤液晶プロジェクターの解像度は、XGA(1024×768)とさせていただきます。 ⑥試写終了後に、配布されたシールに演者の名前を記入して、PC に貼ってください。また、PC のス リープ設定を解除していることを確認してください。 ⑦発表の 2 演題前に、会場内の演台横の PC 係に演者の PC を、電源コード(AC アダプター)を接 続した状態で預けてください。その際、スライドをすみやかに開始できるように、ファイルを開い た状態にしてから、預けてください。 ⑧発表まで、次々演者席、引き続いて次演者席に着席し、待機して下さい。演者は原則として正面ス クリーンに向かって左側、座長は右側の位置になります。 ⑨発表時の PC 操作は、演者ご本人により行っていただきます。講演時間は 7 分の発表と 3 分の討論 時間を設けてあります。 ⑩発表終了後に会場内 PC 係席にて PC を返却いたします。 (座長の方へ) ①当日、 所属獣医師会の受付にて参加登録を行ってから、 各会場の PC 係に、 座長であることを告げてください。 ②名札を必ず左胸につけて下さい。 ― 11 ― ③講演時間を厳守するようにご配慮下さい。講演時間は 7 分の発表と 3 分の討論時間を設けています。 ④次座長の方は前座長の開始とともに次座長席に着席し待機して下さい。 ⑤時間延長は認めませんので、中途であっても演者に終了してもらうよう指示して下さい。 ⑥進行形式はお任せしますが、発表時間が短いので質疑応答なども時間内に収まるよう簡潔にお願い致します。 ⑦質問者については所属、氏名を述べてから発言するように座長が指示して下さい。 (審査委員ならびに幹事の方へ) ①当日、学術交流会館の所属獣医師会受付にて会議開始時間までに登録処理をして下さい。 ②名札を必ず左胸につけて下さい。 ③産業動物獣医学会は 8:00 から 8:30 まで、小動物獣医学会は 8:50 から 9:10 まで、獣医公衆衛 生学会は 9:40 から 10:00 まで、「審査委員会」を各学会の審査委員兼幹事会議室(産業動物:B3 棟 205 号室(I 会場) 、小動物:B3 棟 209 号室(k 会場) 、公衆衛生:B3 棟 210 号室(J 会場)、会 場平面図参照)にて行いますのでご参集下さい。 ④各学会とも会場での審査委員席は特に設けておりません。審査委員は、客席の一ヵ所に集中しない よう着席して、対象講演について審査にあたって下さい。 ⑤最終審査委員会は、各学会の一般講演終了後、直ちに前記の審査委員兼幹事会議室にて行います。 ⑥幹事会議は、昼 12 時 00 分から各学会の上記審査委員兼幹事会議室にて行います(弁当を準備しており ます) 。なお、三学会合同幹事会議は、各学会の幹事会議終了後、B3 棟 205 号室(I 会場)にて行います。 (交通機関の運行停止・暴風警報等発令時について) *南海高野線が全面的に運行を停止したとき、JR 阪和線と南海本線が同時に運行を全面的に停止したとき、 または JR 大阪環状線と大阪市営地下鉄が同時に運行を全面的に停止したときは、本学会・大会を行いません。 *当日の午前 7 時の時点で、大阪府に特別警報、または堺市に暴風警報が発令されている時には、本 学会・大会を行いません。 (近畿地区で大規模災害発生時は中止します。 ) (学会・大会開催時の地震発生について) *大きな揺れが発生したら、揺れがおさまるまで机の下などに避難してください。 *周りに身を守るものがない場合、棚や照明など転落・落下・移動してくるものから遠ざかり、身を 低くしてバックや衣類で頭部を守ってください。 *ドアの近くの人は、ドアを開けて出口を確保してください。 *窓の近くの人は、ガラスが飛び散る恐れがあるため、窓から遠ざかってください。 *揺れがおさまったら、すぐに飛び出さず、周囲の安全を確認してください。 *会場の責任者の指示・誘導に従って、落下物やガラスに注意して、近くの階段を使用して屋外に避 難してください。 *火災の発生に気付いたときには、大声で周囲に知らせて、近くの非常ベルを押してください。 *会場の責任者の速やかな避難誘導に従い、整然と屋外に避難してください。 *避難する時はハンカチ等で鼻と口を押さえ、煙を吸わないように姿勢を低くして避難してください。 *学会・大会の再開については、地区学会会長の判断により決定してお知らせします。 ― 12 ― 発表スライドの作成と発表の要領 1.スライド作成方法 ①発表 PC スライド作成に使用する PC の OS は Windows7、アプリケーションソフトは Microsoft Power Point 2007 もしくは 2010 を推奨いたします。 ②発表 PC スライドは横スライドで作成してください。 ③文字フォントは Windows 7 の OS 標準フォントをご使用下さい。標準フォント以外では正しく表示 されない場合があります。 ④ Microsoft Power Point 2007 または 2010 で作成した PC スライドはプレゼンテーション形式(拡張 子 .pptx)で保存して下さい。Microsoft Power Point 2007 より古いバージョンで作成したスライド は Microsoft Power Point 2007 Viewer をダウンロード(無料)して画面を確認して下さい。 ⑤動画によるトラブルは対処いたしません。 ⑥音声出力は対応いたしません。 ⑦液晶プロジェクターの解像度は 1024×768(XGA)とさせていただきます。それ以外の解像度に設 定された PC でスライドを作成された場合、見え方が少々異なることがありますのでご了承下さい。 2.発表方法 ①発表方法はデジタルプレゼンテーション (パソコン発表) のみです。各会場にはプロジェクター 1 台、 D-Sub15 端子(外形 16mm×7mm)および切替器を用意いたします。 ②発表される方は、ご自身の PC(Windows, Macintosh)を持参してください。PC のメモリーは最 低 2GB 以上を推奨いたします。Macintosh の一部機種など、変換コネクタが必要な機種をお持ちの 方は、必ず、変換コネクタをご自身でお持ち下さい。 ③パソコンとともに、必ず電源ケーブルをご持参下さい。 ④発表の 60 分以上前に受付および試写(HP 又は要旨集を参照)を行って下さい。 ⑤発表データはすみやかに開始できるようデスクトップ画面上に保存してください。 ⑥発表時間は 7 分、質疑応答時間は 3 分です。 ⑦パソコンは、発表ファイルを開いた状態にし、発表の 2 題前に各会場内演台横の PC 係席へご自身 でお持込みいただきます。それ以前のお預かりはいたしかねます。発表後 PC 係席にてパソコンを 返却いたします。 ⑧トラブル時のバックアップのため、 PC ご持参の場合も同一 PC スライドファイルを USB フラッシュ メモリに保存のうえ、バックアップ用として会場までご持参下さい。尚、会場に準備するバックアッ プ用の PC の OS は Windows ですので Macintosh のプレゼンテーションファイルは正しく表示さ れない場合があります。 ⑨発表の際は、講演者ご本人によるパソコンの操作をお願いいたします。 ⑩ PC の持込が困難な場合は、あらかじめ下記の担当者にご相談下さい。 ⑪その他、不明な点は、下記の学会運営会社にご相談ください。 会場設営運営担当:株式会社タスプ(tel:03-5970-3990, mail:[email protected]) ― 13 ― 平成 27 年度獣医学術近畿地区学会 日本獣医師会 3 学会 会長・副会長講演挨拶 日本産業動物獣医学会 14:00 ~ 14:30 A 会場 「日本産業動物獣医学会の現状と課題」 佐藤 繁 学会長 日本小動物獣医学会 14:00 ~ 14:30 B 会場 「日本小動物獣医学会の現状と課題」 岡野昇三 副学会長 日本獣医公衆衛生学会 14:00 ~ 14:30 D 会場 「日本獣医師会学会の今後のあり方と獣医学術地区学会との連携について(仮題) 」 植田富貴子 副学会長 平成 27 年度 日本産業動物獣医学会(近畿)プログラム A 会場(B3 棟 116 号室) ①開 会 の 辞(近畿地区学会長挨拶) (8:50 〜 9:00) 玉田 尋通 ②一 般 講 演(午前の部) ③ 合同ランチョンセミナー(A 会場 B3 棟 116 号室) ④一 般 講 演(午後の部) (9:00 〜 11:40) (12:00 〜 12:40) (13:00 〜 14:00) A1 〜 A16 ⑤学 (14:00 〜 14:30) 会 長 挨 拶(A 会場 B3 棟 116 号室) A17 〜 A22 O 会場(学術交流会館 多目的ホール) ⑥閉 会 の 辞(褒賞演題公表) (17:00 〜 17:20) 玉田 尋通 談話会会場(P 会場・学術交流会館 サロン) ⑦談 話 会 (17:30 〜 19:00) …………………………………………………………………………………………………… 審 査 委 員 A 会 場 鈴 木 義 久(三重県) 福 井 英 彦(滋賀県) 安 藤 嘉 章(京都府) 澤 田 勉(大阪府) 大 西 桂 史(奈良県) 佐 伯 和 弘(和歌山県) 道 場 正 和(神戸市) 池 田 幸 司(京都市) 岡 章 生(兵庫県) …………………………………………………………………………………………………… 1.産業動物獣医学会(近畿)審査委員会 8:00 〜8:30 会場:B3 棟 2 階 205 号室(審査委員兼幹事会議室) 2.産業動物獣医学会(近畿)幹事会会議 12:00 〜 12:30 会場:B3 棟 2 階 205 号室(審査委員兼幹事会議室) 昼食を用意しております。 3.獣医学術近畿地区学会合同幹事会会議 12:30 〜 12:50 会場:B3 棟 2 階 205 号室 4.審査委員会 各学会の一般講演終了後、直ちに各学会審査委員兼幹事会議室にて実施。 日本産業動物獣医学会(近畿)一般講演プログラム A 会場 (B3 棟 116 号室) —午前の部— (演題番号 A1 ~ A16) 8:50 ~ 9:00 開会の辞 9:00 ~ 9:20 A1 豚増殖性腸炎(PPE)の発生と疫学調査 A2 管内採卵養鶏場で継続発生した鶏大腸菌症由来株の分子疫学的性状解析 加藤あかね(京都府) 近畿地区学会長挨拶 座長 吉良 卓宏(京都府) 岡本 正和(大阪府) 座長 深田 恒夫(大阪府) 9:20 ~ 9:40 A3 サルモネラ検査の効率化にむけての取り組み 西内 紘子(三重県) A4 県内で発生した Mycoplasma bovis による脳炎の病態解析 瀧 麻香(兵庫県) 9:40 ~ 10:00 A5 一牧場におけるジェット噴霧器による哺育育成子牛の呼吸器病の低減効果 丸尾 修平(滋賀県) A6 防疫バッグを応用した高病原性鳥インフルエンザ発生時における防疫作業方法の検討 西田 寿代(京都府) 10:00 ~ 10:20 A7 京都府における牛白血病の発生状況と病理学的検索 万所 幸喜(京都府) A8 エンテロウイルス性脳脊髄炎の発生事例 名部 美琴(兵庫県) 10:20 ~ 10:50 A9 黒毛和種子牛に認められた脊髄髄鞘内水腫の一例 座長 小倉 裕司(兵庫県) 座長 野口 浩和(和歌山県) 座長 久米 正彦(神戸市) 亀位 徹(和歌山県) A10 黒毛和種肥育牛における創傷性肝膿瘍の1症例 玉井 登(兵庫県) A11 発育不良のホルスタイン種育成牛にみられた腎芽細胞腫 黒田洋二郎(京都府) 座長 渡辺 直人(滋賀県) 10:50 ~ 11:20 A12 ホルスタイン種育成牛の傍正中切開による尿膜管摘出手術の 1 症例 廣瀬 春菜(兵庫県) A13 黒毛和種雌肥育農家における生産性向上のための取り組み 種村 幸徳(三重県) A14 コルク栓抜き蹄の削蹄とその効果 嵐 泰弘(兵庫県) 座長 榊原 秀夫(三重県) 11:20 ~ 11:40 A15 管内 A 地域の生産性向上を目的とした Ovsynch-CIDR 法の推進とその効果 藤本 修司(兵庫県) A16 近赤外線分光法を用いた乳牛の発情発見の試み ― 19 ― 石川 翔(兵庫県) 座長 安木 真世(大阪府大) 12:00 ~ 12:40 合同ランチョンセミナー(A 会場 B3 棟 116 号室) 「牛呼吸器病予防ワクチネーションプログラムを策定する際に考慮すべき事項」 岩隈 昭裕(ゾエティス・ジャパン株式会社) 協賛:ゾエティス・ジャパン株式会社 —午後の部— (演題番号 A17 ~ A22) 座長 濃添 照雄(京都市) 13:00 ~ 13:30 A17 FSH の皮下単回投与が黒毛和種雌牛の OPU-IVF に及ぼす影響 谷口 俊仁(和歌山県) A18 黒毛和種における産次間採胚技術 田中 究(京都府) A19 間欠的高栄養処置を施した黒毛和種雌牛における血液性状の変化と採胚成績 富田 健介(三重県) 座長 石田 充亮(奈良県) 13:30 ~ 14:00 A20 和歌山県におけるイノブタ飼養の現状と課題 楠川 翔悟(和歌山県) A21 家畜保健衛生所における検査業務に係る作業管理等要領 (GLP) 導入の取り組み 八谷 純一(京都府) A22 画像解析システム応用によるワクモの測定 14:00 ~ 14:30 日本産業動物獣医学会 学会長挨拶(A 会場 B3 棟 116 号室) 「日本産業動物獣医学会の現状と課題」 15:00 ~ 17:00 近畿地区連合獣医師大会(学術交流会館 多目的ホール) 17:00 ~ 17:20 褒章発表および閉会の辞(学術交流会館 多目的ホール) ― 20 ― 上羽智恵美(京都府) 佐藤 繁 学会長 各学会長 演題番号:A1 豚増殖性腸炎 (PPE) の発生と疫学調査 ○岡本正和 大阪府家保 1.はじめに:約 3,000 頭規模の府内肥育養豚場で、平成 26 年 3 月、約 60 日齢の豚群に下痢、削痩、呼吸器症状が見ら れ死亡数が増加した。病性鑑定により、小腸粘膜の肥厚が認 められ、Lawsonia intracellularis(Li)の遺伝子が検出され PPE と診断した。これを受けて、同農場の Li 抗体推移と糞 便からの遺伝子検査による疫学状況を調査した。 2.材料および方法:63 日齢の豚 2 頭を鑑定殺し、細菌学的 検査、ウイルス学的検査、病理組織学的検査を実施した。 また、 農場の Li 浸潤度を把握するため、導入以降の各群の Li の血 清 ELISA 抗体価および糞便の PCR による遺伝子検出によ る遡り調査と清浄性検査を行った。 3. 結 果:PCR に よ り 空 腸、 回 腸、 結 腸 の 粘 膜 よ り Li と豚赤痢遺伝子が検出され、糞便と腸間膜リンパ節より Salmonella Stanley を分離した。病理組織学的に回腸陰窩 上皮細胞の過形成が認められ、Warthin-Starry 染色で上皮 細胞質内に小桿菌を確認し、Li による PPE と診断した。肺 より Mycoplasma hyorhinis 遺伝子を検出したものの、病理 組織学的所見は認められなかった。Li 浸潤度調査において、 12 月から 4 月の導入群では 60 〜 70 日齢で抗体の陽転が認 められた。5 月導入群では 76 日齢で抗体が陽性であったが、 6 月以降の導入群では移行抗体以外の抗体は検出されなかっ た。また、糞便からの遺伝子検出についても、1 月から 3 月 導入群では 40 〜 70 日齢で、4 月導入群については肥育後期 において陽性となった。しかし、6 月以降の導入群では全て の検体で陰性となった。農場における対策として、豚舎の清 掃消毒の徹底、育成舎における 1 室 1 群飼育の実施、検病群 および続発群への連続投薬を実施したところ、発症群におけ る死亡頭数は減少し、5 月以降の導入群では死亡頭数増加は 認められなかった。 4.考察および結語:本事例における PPE については慢性型 であると考えられるが、他病原体の混合感染もあり死亡頭数 が多くなったものと考えられた。また、遡り調査により 12 月導入群により Li が農場内へ侵入、豚舎を汚染して他群に 感染したと考えられたが、発症豚群への投薬と洗浄消毒の徹 底、群管理方法の変更により早期に新規導入群への感染を抑 えることができた。今後も農場飼養衛生管理の徹底を指導し ていく。 演題番号:A2 管内採卵養鶏場で継続発生した鶏大腸菌症由来株の分子疫学的性状解析 ○加藤あかね、種子田 功 京都府中丹家保 1.はじめに:16 万羽飼養の管内採卵養鶏場において、平成 25 年 9 月 3 日(症例 1)、12 月 18 日(症例 2)、12 月 26 日(症 例 3)に鶏大腸菌症が継続発生した。鶏に対し病原性を示す 大腸菌には、血清抵抗性、鉄補足因子、付着因子などの病原 因子の関与が知られている。今回、3 症例から分離した大腸 菌(Ec)が保有する病原因子等について調査した。 2.材料および方法:3 症例から分離した Ec10 株(症例 1: 2 株、症例 2:4 株、症例 3:4 株)、対照株として過去の鶏 大腸菌症由来 Ec 株及び健康鶏由来 Ec 株を用い、一般性状 検査として、O 群血清型別、生化学性状検査、薬剤感受性試 験(ディスク法:10 薬剤)を行った。分子疫学的性状解析 として、プラスミドプロファイル(PP)法、多座位配列タ イピング(MLST)法、さらに PCR 法による病原因子関連 遺 伝 子(astA、iss、irp2、papC、iucD、tsh、vat、cvi/cva の 8 種類)の検索を実施した。 3.結 果:分離した Ec10 株の O 群血清型は全て 78、生化 学性状検査も全株同じであった。薬剤感受性試験では、10 株とも ABPC、AMPC、CEZ、SM、OTC、OFLX に感受性 はなく、多剤耐性大腸菌であった。また、分子疫学的性状解 析では、10 株ともに PP パターン、病原因子関連遺伝子保有 状況及び MLST パターンは同じであった。また、分離 Ec10 株と過去の鶏大腸菌症由来 Ec 株(O78 血清型、2 株)を比 較したところ、MLST 解析では同一または近縁のクローン の集団に属していたが、PP パターン及び病原因子保有状況 は異なっていた。健康採卵鶏由来 Ec 株(O8 血清型、1 株) の MLST 解析では、先述 12 株の O78 とは異なるクローン 集団に属し、病原因子保有状況も異なっていた。 4.考察および結語:以上の結果より、継続発生した鶏大腸 菌症 3 症例は同一由来の Ec によるものと考えられた。今回の 結果より Ec の分子疫学的性状解析には、PFGE 法、MLST 法、 PP 法の他、病原因子の検索も有用であると考えられ、今後、 更に多くの症例について Ec 病原因子の保有状況等を調査し、 鶏大腸菌症の病態への関わり等についても調査し、農場の衛 生対策の指導に役立てていきたいと考えている。 ― 21 ― 演題番号:A3 サルモネラ検査の効率化にむけての取り組み ○西内紘子 1)、辻まりこ 2)、種村幸徳 3) 1) 三重県中央家保伊賀支所、2)三重県中央家保、3)三重県北勢家保 1.はじめに:三重県内には採卵鶏農家の密集地域があり、 この地域では農家の防疫・衛生意識が高く、環境拭き取りサ ルモネラ検査を定期的に地域ぐるみで実施している。特に、 1 ヶ月に 200 検体以上の検査を実施する場合、作業に時間を 要するため、連続 2 週に検体を分割している。鶏病研究会の 方法(従来法)では、土日を休日とすると判定に 1 週間以上 要し 2 週目に作業が重複するため、操作が煩雑であった。こ のため、作業時間の短縮および 1 週間以内で判定が可能とな るように検査方法を検討した。 2.材料および方法:従来法では、1 日目に前増菌培養、2 日目に増菌培養、3 日目に選択培地で培養し確認、4 日目に サルモネラを疑うコロニーを TSI 寒天培地(TSI)等確認培 地に接種、5 日目に生化学的性状を確認した後に、TSI 斜面 上から釣菌し O 抗原を決定した。さらに、H-1 相の検索およ び相誘導を実施、6 日目には H-2 相を検索してサルモネラを 血清型別していた。このため、検査時間の短縮を図る目的で、 以下の 3 項目について検討した。(1)日程の短縮 選択培地 から直接、O 抗原、H 抗原 1 相を検索した。 (2)画線法の 簡略化 増菌培養培地から選択平板培地へ滅菌綿棒で塗抹後、 白金耳で 1 度だけ画線とした。 (3)振盪培養時の増菌可能検 体数増 振盪機に試験管ラックを取り付けることにより、一 度に培養する試験管数を増加させた。 3.結 果:(1)従来法で 5 日目に行う O 抗原・H-1 相の検 索を 4 日目に行うことにより、検査日程が 6 日から 5 日に短 縮された。 (2)100 検体の画線時間を約 3 時間から約 40 分 に短縮した 。(3)増菌可能検体数が 12 検体から 32 検体に 増加した。 4.考察および結語:選択培地からの直接検索で検査日程を 1 日短縮、画線培養法の簡略化により作業時間は約 1/6 に、 振盪培養時の増菌可能検体数は従来の 2.5 倍にできた。上記 の方法により、最短 5 日で迅速なサルモネラの血清型別が可 能になり、農家への速やかなサルモネラ対策指導が可能に なった。 演題番号:A4 県内で発生した Mycoplasma bovis による脳炎の病態解析 ○瀧 麻香、寺谷知恵 兵庫県和田山家保 1.はじめに:Mycoplasma bovis (Mb)は、肺炎、中耳炎、 関節炎、乳房炎など様々な疾病の原因となり、県内では肺炎 を伴う中耳炎、脳炎が増加している。Mb による脳炎は、乾 酪壊死病変が髄膜に首座し、中耳炎に続発することが多いと 報告されているが、感染経路が特定できない例もある。そこ で、県内で発生した Mb による脳炎 9 例について、脳脊髄、 中耳、及び肺を中心に検査を実施し、病態の比較・解析を試 みた。 2.材料および方法:材料:H24 年 9 月〜 H27 年 7 月に病理 解剖を実施し、Mb による脳炎と診断した症例 9 例(4 ヶ月 齢〜 18 ヶ月齢)を用いた。方法:定法によりパラフィン切 片を作製、HE 染色を施し、脳脊髄における病変の首座する 部位により、Ⅰ型:小脳髄膜型(6 例)、Ⅱ型:頸髄髄膜型(2 例) 、 Ⅲ型:脳実質型(1 例)の 3 つに分類した。各症例について 臨床症状、肉眼病変、組織病変を調査し、HE 染色で病変を 認めた部位には、抗 Mb 家兎血清を用いた免疫組織化学染色 (免染)を行うと共に、定法により細菌検査を実施した。 3.結 果:Ⅰ、Ⅱ型では、中耳炎を疑う臨床症状と、中耳 の肉眼病変が認められ、Ⅰ型で重度であった。組織病変は、 Ⅰ型では小脳髄膜に、Ⅱ型では頸髄髄膜に乾酪壊死が多発性 に形成され、一部実質にも及んでいた。Ⅲ型は、中耳に肉眼 病変は認められず、組織学的には中脳、間脳の脳室周囲に化 膿巣を形成しており、さらに左脳の後頭葉髄質の血管周囲に 多発性の巣状融解壊死がみられたが、髄膜に病変は認められ なかった。また、Ⅰ〜Ⅲ型全症例の病変部に、免染陽性反応 が認められ、細菌検査で Mb が検出された。全症例で肺炎が 認められ、うち 8 例から Mb が検出された。 4.考察および結語:Ⅰ、Ⅱ型で認められた Mb の脳炎は、 中耳炎に続発すると考えられ、 既報のものと類似していたが、 Ⅲ型は中耳炎を認めず、脳実質の血管周囲に病変が首座して おり、既報とは異なる新たな病型を示した。感染経路につい ては、Ⅰ、Ⅱ型では、それぞれの病変部位が内耳からの神経 の連絡部位に近接しており、神経を介在した可能性が、Ⅲ型 では、 肺炎から血行性に感染した可能性が考えられた。但し、 今回の調査では侵襲性感染の可能性も否定できないため、感 染経路について明らかにはできなかったが、Mb の脳への感 染経路として、神経介在性、血行性の可能性が示唆された。 ― 22 ― 演題番号:A5 一牧場におけるジェット噴霧器による哺育育成子牛の呼吸器病の低減効果 ○丸尾修平 NOSAI 滋賀 1.はじめに:当牧場では牛呼吸器病症候群(BRDC)によ る呼吸器病の集団発生が毎年確認されている。そこで呼吸器 病の発症を減少させる効果を期待してジェット噴霧器(以下 噴霧器)を使用したところ、一定の効果が得られた。 2.材料および方法:調査対象は平成 24 年 1 月から平成 25 年 12 月までに当牧場で生まれた子牛 579 頭、品種はホルス タイン種、交雑種、黒毛和種で、調査期間は平成 24 年 1 月 から平成 26 年 6 月まで、150 日齢までとした。当牧場は強 化哺育を実施し、3 〜 4 ヶ月齡で離乳していた。子牛の呼吸 器病のデータは病傷事故記録簿から、生年月日は個体整理簿 から得た。聞き取り調査により噴霧器の使用、呼吸器 5 種混 合生ワクチン(京都微研)の接種、マンヘミアワクチン(ファ イザー)の接種を把握した。噴霧器はアルデヒド系消毒薬と 専用拡散剤の混合液を噴霧する様式で、1 週間に複数回、1 回約 10 分間噴霧で約 30 分間持続した。噴霧器の使用場所は、 出生子牛の移動場所で、概ね生後日齡別に、0 〜 30 日齢(哺 育場)、31 〜 90 日齢(自動哺育場)、91 〜 150 日齢(離乳育 成場)であった。使用期間は平成 24 年 12 月から平成 25 年 6 月までと、平成 25 年 12 月から平成 26 年 6 月まで実施した。 調査期間中の栄養管理と飼育密度の変更はなし。 3.結 果:調査期間中の呼吸器病発症のべ頭数は 935 頭、 発症頭数は 480 頭であった。全頭数の調査から噴霧器の使 用時の非発症率 44%(196/443 頭) 、使用時の発症率 56% (247/443 頭) 、非使用時の非発症率 36%(183/508 頭)、非 使用時の発症率 63%(325/508 頭)であった(独立性の検定 P<0.01、オッズ比 1.7)。非使用時と使用時の両方で発症して いるものはそれぞれ 1 頭とした。日齡別において、61 〜 90 日齡の自動哺育場にいる子牛では、平均気温 10℃を境に効 果の違いが有意にみられた。 4.考 察:噴霧器の使用は呼吸器病の発症を減少させる効 果が期待できると考えられた。平均気温 0 〜 10℃と 10 〜 20℃で分析をしたところ、自動哺育牛舎において平均気温 10℃以上で、効果が現れると思われた。当牧場では冬季から 春季の終業時の午後 8 時頃に行われていたが、今後、使用時 期の延長、使用時間帯を夜間から昼間にする等、再検討する 必要性があると思われた。今回の調査から噴霧器の使用を続 けていく有用性が確認された。 演題番号:A6 防疫バッグを応用した高病原性鳥インフルエンザ発生時における防疫作業方法の検討 ○西田寿代 1)、宮城信司 2)、大谷健太 1)、寺石武史 3) 1) 京都府中丹家保、2)京都府畜産課、3)京都府山城家保 1.はじめに:口蹄疫などの家畜伝染病発生時に殺処分した 牛や豚などの大型家畜を収容し、ウイルスを飛散させずに安 全に輸送するために産学公で開発した防疫バッグの実地研修 会等で、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)発生時対応で の検証要望が多数寄せられた。また、これまでの HPAI 実 地訓練において、鶏体の密閉容器への詰替時に作業が停滞 する等の課題があった。そこで防疫バッグを応用した HPAI 防疫作業及び焼却について検証した。 2.材料および方法:採卵鶏 15 万羽を飼養する 2 階建て直 立 8 段ケージの農場で廃鶏 622 羽を用い、捕鳥、運搬、 ガス殺、 運搬、鶏舎外へ搬出、防疫バックへ収容、積込、場外搬出を 実施し、①安全性、②作業人数・効率、③鶏舎外へ搬出する ホイルローダーのバケット及び防疫バッグへの収容羽数、④ 鶏の爪、くちばしから防疫バッグの損傷を防ぐための保護袋 の有効性について調査し、密閉容器を用いた防疫作業と比較 した。また、鶏体を収容した防疫バッグを常温で 4 日間保管 し、①搬出、積込、保管後の防疫バッグの損傷の有無、②保 管後のガス発生について調査し、当所焼却炉で焼却状況の確 認を行った。 3.結 果:防疫バッグの活用で密閉容器利用時に比べ労力 や作業人数が削減され、詰替作業もホイルローダーの活用で 停滞が解消し作業効率が向上した。また、防疫バッグ 1 個あ たりの収容量は約 300 羽(約 600kg)が適当であり、4 日間 の保管で防疫バッグ内には高濃度の硫化水素の発生が認めら れたが、 損傷などの異常はなかった。焼却試験では、 防疫バッ グ 2 個に収容した 622 羽の鶏体は約 9 時間 30 分で完全燃焼 した。 4.考察および結語:防疫バッグは HPAI 防疫作業にも有効 であり、特に 5,000 羽規模までの農場での発生であれば、当 所と同等の焼却炉で対応可能であることが確認できた。今後、 現場での活用を踏まえ、防疫バッグの改良や大規模焼却施設 での処理に向けた広域的な連携など様々な活用方法について 検討したい。 ― 23 ― 演題番号:A7 京都府における牛白血病の発生状況と病理学的検索 ○万所幸喜、種子田 功 京都府中丹家保 1.はじめに:牛白血病の発生増加に伴い、当所での本病の 病理診断例数も増えている。そこで今回、過去の症例につい て発生状況を調査するとともに、主要病変部位や腫瘍細胞の 形態学的分類による病理学的検索を試みた。 2.材料および方法:対象は平成 15 年 4 月から平成 26 年 7 月までに病理診断した 79 症例について(1)飼養用途ごとの 年度別発症月齢の分布、 (2)部位別肉眼病変の発生頻度、 (3) 年度別、月齢別肉眼病変形成部位、(4)年度別、病変形成部 位別腫瘍細胞の形態学的分類を調査。腫瘍細胞の形態学的分 類は細胞の大きさや核の形態、染色性により、リンパ球様 (Lc)、前リンパ球様(Pl)、リンパ芽球様(Lb)、組織球様(Hc) の 4 種類に分類し、形態的に異なる 2 種類以上の腫瘍細胞を 認めたものを多形性とした。 3.結 果: (1)平成 21 年度以降に診断例数は増加し、19 年度以降は肥育牛のような若齢牛の症例も散見された。(2) 肉眼病変を多く認めた部位は心臓 75.9%、腎臓 62.0%、第 四胃 55.7%、脾臓 45.6% であり、少なかった部位は骨格筋 11.4%、横隔膜 7.6%、膀胱 3.8% などであった。(3)肉眼病 変形成を多く認めた心臓、腎臓、脾臓等については、年度に 関係なく病変を認めた。一方、病変形成例数が少なかった骨 格筋、横隔膜、膀胱等は、症例数が増加した平成 21 年度以 降に認められるようになった。また、月齢による肉眼病変形 成部位に特徴的な傾向は見られなかった。 (4)腫瘍細胞の形 態学的分類については、Lb が最も多く 71 症例(89.9%) 、次 いで Hc:13 症例(16.5%) 、Pl:11 症例(13.9%) 、Lc:5 症 例(6.3%)の順で、 うち多形性は 20 症例(25.3%)で認めた。 病変部位に首座する腫瘍細胞形態は、いずれの組織において も Lb が最も多く、約 80% 以上を占めていた。腫瘍細胞の多 形性は病変部位別で骨格筋の 55.6%、横隔膜の 66.7% の症例 に見られ、筋肉組織内に多い傾向が認められた。 4.考察および結語:診断例数の増加に伴い、肥育牛のよう な若齢牛の発症や腫瘍細胞の多形性を認める症例が散見され るようになり、本病の病態が多様化してきた可能性がうかが われた。現在、腫瘍細胞の由来等についてデータを集積する ため、リンパ球マーカーを用いた分類を実施している。今後 も調査を継続して本病発生の動向について分析し、さらにウ イルス学的な知見も踏まえて、まん延防止等の防疫対策を進 めていきたい。 演題番号:A8 エンテロウイルス性脳脊髄炎の発生事例 ○名部美琴 1)、瀧 麻香 2) 1) 兵庫県姫路家保、2)兵庫県和田山家保 1.はじめに:エンテロウイルス性脳脊髄炎は、豚テシオウ イルス(PTV) 、豚サペロウイルス(PSV)、豚エンテロウ イルス B(PEV)を原因とする豚の伝染性神経疾患である が、確定診断が困難なため国内での本病の報告は少ない。平 成 26 年 2 月、一貫経営農場において 45 日齢前後の子豚で神 経症状と死亡が増加したため、本病を疑い発症豚 3 頭(No.1 〜 3)、死亡豚 3 頭(No.4 〜 6)の病性鑑定を実施した。 2.材料および方法:剖検では神経系及び主要臓器に著変 は 無 か っ た。 神 経 系 に つ い て PTV、PSV、PEV、PCV2、 PRRS、豚コレラ、オーエスキー病の PCR を行い、併せて CPK 細胞に接種しウイルス分離を実施した。CPE が確認さ れ た 培 養 上 清 に つ い て PTV、PSV、PEV の PCR を 行 い、 PCR 産物を用いたシークエンスで塩基配列を決定後、各血 清型の標準株との相同性を確認した。さらに分離株の VP1 遺伝子領域の PCR とシークエンスにより遺伝学的に血清型 を分類した。また、各臓器について定法により細菌検査・病 理組織検査を実施した。 3.結 果:発症豚 3 頭、死亡豚 2 頭(No.4, 5)の神経系か ら PTV、PEV の遺伝子を検出し、うち 4 頭(発症豚 No.1, 2、 死亡豚 No.4, 5)から PTV を分離した。シークエンスの結果、 分離株は PTV 標準株との相同性が 95.7 〜 99.3% であり、遺 伝学的に血清型 4(PTV-4)に相当した。他のウイルスは陰 性であった。細菌検査では死亡豚 2 頭(No.4, 5)の脳、心臓、 肺から豚レンサ球菌を少数分離した。病理組織検査では発症 豚・死亡豚に非化膿性脳脊髄炎、死亡豚の小脳に軽度な化膿 性炎像を認めた。 4.考察および結語:神経症状を示し、脳脊髄に非化膿性炎 を認め、PTV が分離されたことから、発症豚 2 頭について、 エンテロウイルス性脳脊髄炎と診断した。PTV には複数の 血清型が存在し、PTV-4 は緩やかな病態を示す豚からの分 離報告があり、今回の非化膿性炎像も軽度であった。PTV 以外の要因として、菌分離成績から豚レンサ球菌の関与も示 唆されたが、神経系の化膿性炎像はごく軽度であったことか ら二次感染と思われた。本農場は 12 月から排水設備に問題 があり、水洗が不十分であったことから、空豚房ごとの水洗、 消毒を徹底したところ、起立不能、死亡などはみられなくな り 3 月下旬に終息した。 ― 24 ― 演題番号:A9 黒毛和種子牛に認められた脊髄髄鞘内水腫の一例 ○亀位 徹、山田陽子、鳩谷珠希、豊吉久美 和歌山県紀北家保 1.はじめに:平成 25 年 11 月 1 日生まれの黒毛和種雄子牛 が出生直後から全身(特に後躯)振戦する神経症状を呈し起 立不能であった。当牛は哺乳・保温・起立のリハビリ等によ り、少し後躯を浮かせて起立意欲を示すようになったが依然 起立不能であった。同年 12 月 10 日(40 日齢)に当牛が斃 死したため病性鑑定を実施した。 2.材料および方法:定法により解剖、主要臓器などを採材 し、病理組織学的検査を実施した。また、ウイルス学的検査・ 細菌学的検査等を実施した。 3.結 果:剖検で著変は認められなかった。また、ウイル ス学的検査・細菌学的検査で有意な病原体は検出されなかっ た。病理組織学的検査では、脊髄白質の腹索・背索・側索に 左右対称性に小空胞形成が認められ、頸髄よりも腰髄が、ま た腹索がより重度であった。小空胞に対してマクロファージ 浸潤やグリア細胞増生等の明瞭な反応性変化は認められな かった。髄鞘染色で脊髄白質の小空胞形成部位や頸髄腹根の 一部の軸索周囲でルクソール・ファスト青の染色性が低下し ていた。免疫染色で一部の小空胞内にニューロフィラメント 蛋白質抗原陽性の軸索が認められ、小空胞形成部位の多くの 軸索周囲で髄鞘塩基性蛋白質抗原の染色性が低下していた。 電子顕微鏡検査で頸髄腹索の小空胞形成部位で髄鞘の層板構 造が消失・断裂し、髄鞘内水腫が認められた。一方、軸索・ グリア細胞・毛細血管には明瞭な変化は認められなかった。 4.考察および結語:病理組織学的検査で当牛は脊髄白質に 左右対称性に小空胞が形成され、同部位で髄鞘内水腫が認め られた。一方、神経細胞に著変がなく、小空胞に対する明瞭 な反応性変化が認められなかったことから、脊髄の髄鞘形成 過程に異常があったと考えられた。当牛は髄鞘内水腫により 軸索周囲に小空胞が形成され、脊髄で神経伝達が不良となり 振戦症状を呈したと推察した。また、出生直後より症状が認 められたことから先天性が疑われた。同様の振戦症状が軽度 ではあるが、当牛の母牛とその母牛の娘牛、さらにその娘牛 の子牛の内の一頭にも認められていることから遺伝性の可能 性も否定できなかった。その後、当牛の母牛から平成 26 年 10 月に子牛が生まれたが、現在のところ同様の症状は認め られていない。今後も、 母牛やその子牛を注視していきたい。 演題番号:A10 黒毛和種肥育牛における創傷性肝膿瘍の 1 症例 ○玉井 登 1)、宇﨑敬与 2)、菅 保礼 1)、森本啓介 1)、小田修一 3)、柳澤義人 4) 1) 兵庫県農共連西播基幹家畜診、2)兵庫県農共連淡路基幹家畜診、3)兵庫県農共連、4)茨城県県央南農業共済組合 1.はじめに:肝炎にて加療したが回復しない症例に対し、 病理解剖検査を実施し原因を究明した。 2.材料および方法:(1)農場の概要:440 頭飼養の県内 黒毛和種牛肥育農場。(2)症例:2012 年 9 月 27 日生まれ の黒毛和種去勢牛。2013 年 7 月 18 日に導入。(3)臨床経 過:2014 年 5 月 23 日に食欲不振にて求診。削痩著明、体温 39.1℃、食欲不振、肺音粗励、黄色水様便を呈し、血液検査 にて AST の顕著な増加(1412U/L)と T-Bil の増加(1.5mg/ dL)を認めた。補液剤、抗生物質、デキサメタゾンおよび 強肝剤にて加療したが、体温および食欲不定、下痢便と硬固 便を繰り返した。6 月 13 日より左側下腹部にて有響性金属 音を聴取、背弯姿勢を示した。活力、食欲ともに回復せず、 削痩進行するため、7 月 3 日に姫路家畜保健衛生所にて病理 解剖検査を実施した。 3.結 果: (1)血液検査:解剖時、WBC 221 × 102/μL、 RBC 1088 × 104/μL、TP 7.4g/dL、A/G 0.32(Alb 1.8g/ dL、Glb 5.6g/dL)、AST 498U/L、GGT 32U/L、T-Bil 0.8mg/ dL。(2)電気泳動:α2-Glb、γ-Glb の顕著な増加およびβ- γブリッジ形成。(3)病理解剖検査:第四胃壁に約 6cm の 金属性異物が貫通し、粘膜面に多数の穿孔痕を認めた。肝 臓は腹膜や横隔膜と著しく癒着、右葉は線維素の塊で覆わ れ、漿膜面に穿孔痕を認めた。白色膿瘍を多数形成し、右 葉実質は複数の直径 3 〜 5cm の巨大膿瘍により破壊されて いた。肺は右中葉、後葉に白色膿瘍を多数形成、胸膜や横 隔膜と癒着していた。(4)細菌検査:肝臓、肺の膿瘍から Arcanobacterium pyogenes を分離。(5)病理組織検査:肝 臓と肺は重度線維化、膿瘍内に細胞退廃物充満、周囲にマク ロファージがみられた。 4.考察および結語:金属性異物が第四胃壁を貫通し、肝臓 漿膜面に穿孔したことから、刺入に伴う細菌感染により肝膿 瘍が形成され、体温と食欲の不定や不整便等の症状がみられ たと考えた。肺病変は分離された細菌が肝臓と同一であるこ とから、血行性あるいは肝臓と癒着した横隔膜から波及した 可能性が示唆された。今回の症例から、肥育牛に対しても金 属性異物による疾患予防にパーネット投与の必要があると思 われた。 ― 25 ― 演題番号:A11 発育不良のホルスタイン種育成牛にみられた腎芽細胞腫 ○黒田洋二郎 1)、田中 究 2) 1) 京都府丹後家保、2)京都府農技セ畜産セ碇牧場 1.はじめに:腎芽細胞腫は腎原発性の腫瘍で、牛での発生 はまれとされている。更に本症は臨床症状を示さないことが 多く、その殆どがと畜場で発見されていることから若齢牛で の報告は極めて少ない。今回、下痢と呼吸器症状を繰り返し 発育不良を呈するホルスタイン種育成牛を腎芽細胞腫と診断 したので、その病態について検討した。 2.材料および方法:9.5 か月齢のホルスタイン種育成牛につ いて、糞便虫卵検査(ショ糖浮遊法)、BVD ウイルス抗原検 査(ELISA 法)、牛白血病抗体検査(受身赤血球凝集反応) 、 血液生化学検査を実施し、病理解剖及び病理組織学的検査を 行った。 3. 結 果: 糞 便 虫 卵 検 査、BVD ウ イ ル ス 抗 原 検 査 及 び 牛白血病ウイルス抗体検査は陰性で、血液生化学検査でも TCHO が 低 値(15mg/dl) の 他 は 腎 機 能(BUN(10.8mg/ dl)、CRE(0.5mg/dl))を含めほぼ正常値範囲内であった。 病理解剖では、左腎部に結腸と癒着した割面乳白色充実性で 辺縁に残存腎組織を認める人頭大の腫瘤及び全身リンパ節の 軽度腫大を確認したが、右腎を含めその他の主要臓器に著変 は認められなかった。病理組織学的検査では、左腎部の腫瘤 に大小様々の管状〜乳頭状に増殖する腺管構造とその周囲に 多形性の核を有する類円形細胞の集簇が確認され、両腎臓の 皮質間質にも腫瘤と同様の類円形細胞を認めた。なお、リン パ節を含めその他の臓器に著変は認められなかった。 4.考察および結語:牛の腎芽細胞腫は片側の腎臓に限局し て発生することが多いとされているが、本症例では肉眼的に 異常が認められなかった右腎にも多形成の核を有する類円形 細胞が認められたことから、更に生存すれば両側性に腫瘤が 発生した可能性があったと考えられた。また、本症例で確認 された消化器症状は、結腸の腫瘤との癒着及び腫瘤による消 化管の圧迫により生じたものと推察された。 演題番号:A12 ホルスタイン種育成牛の傍正中切開による尿膜管摘出手術の 1 症例 ○廣瀬春菜 1)、齋藤隆文 2)、中村善彦 1)、三谷 睦 1)、是枝明博 1)、山崎 肇 1) 1) 兵庫県農共連 東播家畜診、2)兵庫県農共連 但馬家畜診 1.はじめに:牛の尿膜管遺残では,臍部異常の他に頻尿な ど排尿障害も本疾患を示す重要な臨床症状である。本疾患 は,処置の遅延により上行性の感染が進行する危険性がある ため,早期摘出が必要とされる。今回,尿膜管の遺残と,膀 胱の大網や腹壁への重度な癒着を認めた 1 症例に対し,傍正 中切開による尿膜管摘出術を実施し,術後の経過および膀胱 機能への影響について検討した。 2.材料および方法:6 ヵ月齢,雌,体重 200Kg(推定)の ホルスタイン種育成牛。臍部からの排膿の他,頻尿 , 背弯姿 勢などの症状を伴ったため,エコー検査を実施した。摘出手 術は 2%キシラジン鎮静下にて仰臥位にし,乳頭前方の傍正 中を切開し,尿膜管と臍部膿瘍を癒着した周辺組織と分離し た。臍部側は膿の漏出を防止するため臍開口部皮膚を閉鎖縫 合し,周囲皮膚を楕円形に切開し,臍部膿瘍を腹壁と分離し た。膀胱の一部と尿膜管の連絡部位を膀胱側で切除し,尿膜 管と遺残臍帯を一括して摘出した。切開した膀胱断端は内翻 縫合にて閉鎖し,常法に従って閉腹した。その後,7 日間抗 生物質の全身投与を行い,術後 12 日目で抜糸した。排尿行 動を確認し,10 ヵ月齢で再度エコー検査を実施し膀胱の形 態を観察した。 3.結 果:術前エコー検査の結果,尿膜管に牽引され変形 した膀胱を描出した。尿膜管は拡張し内部に膿汁様所見を認 めた。また,正中付近で尿膜管と腹壁との癒着を疑う像を描 出した。開腹手術の結果, 尿膜管は正中付近で腹壁に癒着し, 膀胱を臍部側に牽引していた。膀胱は骨盤腔内で大網や周辺 組織と重度に癒着していた。尿膜管内には多量の膿汁が貯留 していた。術後経過は良好で,翌日から自然排尿を認め,頻 尿などの排尿障害は徐々に消失し現在育成中である。エコー 検査の結果,膀胱内に膀胱憩室等の異常は認められず,排尿 時正常な膀胱の収縮を確認した。 4.考察および結語:本症例では,尿膜管と腹壁など周辺組 織との癒着部が膀胱を強く臍側に牽引していたことが排尿障 害を引き起こしたものと考えられた。また,癒着部を鈍性剥 離し,切開・縫合した膀胱壁が正常に機能していることをエ コー検査において確認できた点から,本術式における膀胱機 能への影響は極めて少ないと考えられた。牛の尿膜管遺残で は,本症例のように遺残した尿膜管の多くが正中付近で癒着 することからも,傍正中切開による早期摘出が第一選択であ ると考えられた。 ― 26 ― 演題番号:A13 黒毛和種雌肥育農家における生産性向上のための取り組み ○種村幸徳、吉戸あすか、駒谷充彦 三重県北勢家保 1.はじめに:和牛の肥育においては、基本的な技術として ビタミン A(VA)制御による脂肪交雑(BMS)の向上が推 進されてきたが、最近、赤肉指向やうまみ成分などに重点が 置かれている傾向である。しかし、販売単価は依然として BMS から算定される傾向が強く、生産者の収益に直結大き く影響するため関心も高い。今回、黒毛和種肥育農家 1 戸に おいて VA 制御を中心とした指導を行ったところ、枝肉成 績および経済性に効果がみられた。 2.材料および方法:対象は和牛雌牛約 100 頭を飼養する黒 毛和種肥育農家 1 戸で、2005 年度から指導を実施した。調 査は、血液中 VA 濃度を中心に測定し、飼料給与等の飼養 管理項目について指導した。出荷牛について、枝肉の肉質お よび価格等の調査を行った。 3.結 果:2005 年度から 2009 年度は県畜産研究所(畜研) が主体となり、血液中 VA 濃度の測定結果に基づく飼養管 理の指導を行い、肉質と枝肉重量(枝重)の向上が図られた。 しかし、2010 年度に改善項目で成績低下が確認され畜主か らの相談を受け、当所と畜研が連携し、飼養管理状況等の見 直しを行い、環境改善等の管理指導をしたところ改善が認め られた。2013 年度からは、生産性の確認指標として VA 濃 度等の血液検査と出荷牛の枝肉観察を選定し、当所にて定期 的な取り組みを開始した。血液検査の結果から、血液中 VA 濃度が飼料設計予想値を下回る時期が確認されたが、同時期 に畜主の観察によると飼料摂取量の低下時期と一致し、枝 重の成績低下の一要因と指摘し改善を行った。また、枝肉 の販売価格や単価についても、BMS 等肉質の動向と一致し、 2010 年度から 2012 年度に一時期低下したが、2012 年度以降 改善傾向であった。また、枝肉価格等は主要地域の市場平均 価格より高い上昇率を示した。 4.考察および結語:農家の通常の飼養管理の中では、肉牛 農家における VA 制御は基本的技術にもかかわらず、定期 的に修正しないと成績が低下する傾向がみられることが分 かった。今回の取り組みにより、継続的な指導を行うことで 成績の向上がみられたことから、VA 制御の継続的な指導の 重要性が再認識された。 演題番号:A14 コルク栓抜き蹄の削蹄とその効果 ○嵐 泰弘 1)、上田茂樹 1)、鎌田 立 1)、濱﨑健太 1)、泉 弘樹 1)、笹倉春美 1)、井上雅介 2) 1) 兵庫県農共連阪神家畜診、2)兵庫県農共連東播家畜診 1.はじめに:コルク栓抜き蹄(Corkscrew Claw : CSC)は, 3.5 歳以上の乳牛の後肢外蹄に多く発生し,その有病率は牛 群の 3%から 18%と報告されている。第 3 趾骨の反軸側への 回転により反軸側蹄壁が蹄底へ湾曲し蹄の負重面の一部にな る。蹄尖蹄底と蹄尖白帯部の負重面が垂直に近くなり,コル ク栓抜き蹄と称される。四肢に CSC を認めた乳牛の歩様を 削蹄前後にビデオカメラ及び 3 軸加速度センサを用いて観察 し , CSC への削蹄の効果を検討した。 2.材料および方法:四肢に CSC を認めたホルスタイン成 乳牛(4.2 歳,分娩後 10 日)を用いた。削蹄前後に一定の速 度で直線的に約 10m 歩行させ,歩様を動画撮影し,さらに 体幹の加速度を測定した。映像の解析は,TMPGEnc Video Mastering Works 5(株式会社ペガシス 東京)を用いた。 体幹の加速度測定は,3 軸加速度センサ(LegLog : バイセン 株式会社 神戸)とモーションレコーダ(Ver.2.5.1B バイ セン株式会社 神戸)を用いた。削蹄は Van Amstel ら (2001) に準じた。処置後 10 日で廃用となったため,両後肢をレン トゲンで観察した。 3.結 果:削蹄前,背湾姿勢を示し,四肢の挙上は低く, 内蹄着地あるいは内外蹄が同時に着地し踏み切った。削蹄後 は,外蹄で着地し,内蹄で踏み切った。削蹄前より円滑な 歩行が観察されたが,背湾姿勢は残った。加速度変量総和 (Mean(SE) )は,前後,左右,上下で,削蹄前,2588.2m/ ,1129.0(37.6) ,1051.6(34.8) ,削蹄後,1471.2(56.4), s2(65.7) 725.9(77.3) ,988.5(35.8)であった。X 線像では,後肢外蹄 の反軸側蹄壁が蹄底に巻き込み,蹄底は軸側に大きく傾いて いた。第 3 趾骨は骨吸収,破壊が高度に進行し,先端部でよ り細い骨像が得られた。 4.考察および結語:削蹄後は外蹄着地でより円滑な歩様と なった。加速度は前方向のベクトルが小さくなり,左右方 向も大きく減少した。削蹄後も背湾が残っていること , 外蹄 第 3 趾骨の骨吸収,破壊の進行していることから削蹄後も四 肢蹄に疼痛が残り,外蹄の負重を軽減した歩行になり,左右 方向の加速度が小さくなったと考えられた。適切な削蹄が CSC の改善に効を奏すると思われた。 ― 27 ― 演題番号:A15 管内 A 地域の生産性向上を目的とした Ovsynch-CIDR 法の推進とその効果 ○藤本修司 1)、石川貴將 2)、宮本孝明 2)、小西健治 2)、久野尚之 2)、西崎 悟 2)、曽賀久征 2) 1) 兵庫県農共連 淡路基幹診 三原診、2)兵庫県農共連 淡路基幹診 1.はじめに: 管内 A 地域において生産性の向上を目的と して Ovsynch-CIDR 法(Pro)を普及・推進しその効果を検 証した。 2.材料および方法:調査期間は 2010 年から 2014 年とし、 管内 A 地域の黒毛和種繁殖牛に Pro を実施した。Pro は膣 内留置型プロジェステロン製剤(CIDR)挿入時に酢酸フェ ルチレリン(GnRH)100g を投与し、CIDR を 7 日間留置し た後、除去時にクロプロステノール 0.50mg、その 2 日後に GnRH100g を投与し、翌日に人工授精(AI)を実施した。 (1) 普及状況として A 地域の繁殖和牛農場数、Pro 実施農場数, 全頭実施農場数,延べ実施頭数を調査した。(2)繁殖成績の 調査項目は 5 年間の平均受胎率(分娩後開始日数別,開始年 齢別) ,Pro 全頭実施農場の実施前後および全頭継続実施農 場の AI 回数および分娩間隔,2012 年から 2014 年の全農場, 未実施農場,一部実施農場,全頭実施農場の AI 回数および 分娩間隔とした。 3.結 果:(1)A 地域の繁殖和牛農場数は 205 農場で,当 診 療 所 シ ェ ア は 51.2 %(105 農 場 ) だ っ た。2010 年 か ら 2014 年 の Pro 実 施 農 場 数 は 2,7,19,28,70 農 場, 全 頭 実施農場数は 1,1,2,10,38 農場で,実施頭数は 8,30, 74,136,435 頭と増加した。 (2)分娩後開始日数別平均受 胎率は 41 〜 80 日が 77.1%で最も高く,開始年齢別では 2 〜 4 歳が 80.9%で 5 歳以上より高かった。全頭実施前後の AI 回数は 2.3 から 1.2 回に減少,分娩間隔は 432.7 から 362.2 日 に短縮した。全頭継続実施農場は 10 農場で AI 回数は 1.3 と 1.2 回,分娩間隔は 364.8 と 368.1 日で維持していた。2012 年か ら 2014 年の全農場の AI 回数は 1.8,2.0,1.7 回,分娩間隔 は 437.2,435.4,403.8 日,Pro 未実施農場は 1.7,1.7,1.5 回 および 416,429.9,407.2 日,一部実施農場は 1.9,2.0,1.9 回および 439.5,429.7,420.9 日,全頭実施農場は 2.0,2.2,1.6 回および 457.3,443,383.6 日であった。 4.考察および結語:関係機関と連携し,Pro の推進により 実施農場数および頭数は増加した。それに伴い A 地域の分 娩間隔は大幅に短縮した。特に全頭実施農場では顕著であり 大きな経済効果が期待できた。また Pro は継続による弊害 も認められず, 農場の経営安定化に寄与できると考えられた。 演題番号:A16 近赤外線分光法を用いた乳牛の発情発見の試み ○石川 翔 1)、ルミアナツェンコヴァ 2)、生田健太郎 1) 1) 兵庫県淡路技セ、2)神大 1.はじめに:乳牛の分娩間隔は、牛群の高秘乳化が周産期 のエネルギーバランスに与える影響等により年々延長してい る。要因のひとつとして発情の微弱化による見逃しや発情持 続時間の短縮による適期外授精の増加があげられ、これらを 解決する技術が求められている。そこで本研究では、酪農現 場において毎日入手可能なサンプルである乳汁を用いた簡易 な発情診断技術の開発を目的として、近赤外線分光法により 乳汁の近赤外線スペクトルを分析し性周期との関連性を解析 した。 2.材料および方法:本試験は 2013 年夏〜 2014 年秋の期間 に 6 回実施し、ホルモン製剤で発情を同期化(Ovsynch + CIDRorPRID 法による)したホルスタイン経産牛延べ 17 頭 (発情同期化牛)と、発情同期をせずかつ、試験期間中に発 情のこなかった牛延べ 6 頭(コントロール牛)を用いた。発 情同期化牛の発情予定日を中心として前後 1 週間毎日、供試 牛の生乳および前搾り乳を午前と午後に採材し、血清サンプ ルを試験期間中 4 〜 10 日間採材した。乳汁は近赤外分光器 によりスペクトルを測定し、血清は酵素抗体法によりプロ ジェステロン(P4)濃度を測定した。P4 の濃度変化に従っ て同期化牛の乳汁サンプルを高 P4 期と低 P4 期に分類し、 コントロール牛も発情同期化牛と同じ期間で分類した。サン プル種別(生乳(午前 / 午後) 、前搾り乳(午前 / 午後))に 計算した差スペクトル (高 P4 期の平均値−低 P4 期の平均値) に二次微分を適用し、発情同期化牛に現れるがコントロール 牛では現れないピークを示す波長(指標波長)を抽出した。 抽出された指標波長について Aquaphotomics の手法を用い、 サンプル種別に各波長における高 P4 期と低 P4 期のアクア グラム値の違いを観察した。 3.結 果:サンプル種毎に得られた各指標波長について、 全発情同期化牛の低 P4 期と高 P4 期の平均アクアグラム値 をレーダーチャート化し、両期の大小の組み合わせを当該サ ンプルにおける P4 診断パターンとして感度と特異度を計算 したところ、前搾り乳(午前)が感度と特異度ともに最も高 くなり(感度 : 78.6%、特異度 : 83.3%) 、P4 濃度変化の診断 に適していると考えられた。 4.考察および結語:本試験の結果から、乳汁の近赤外線ス ペクトルを測定する事で、発情周期後半から発情日前後にか けての P4 濃度の急激な低下を捉えられる可能が示された。 ― 28 ― 演題番号:A17 FSH の皮下単回投与が黒毛和種雌牛の OPU-IVF に及ぼす影響 ○谷口俊仁 1)、高田広達 1)、樽本英幸 1)、加藤暢宏 2)、佐伯和弘 2) 1) 和歌山県畜試、2)近大生物理工 1.はじめに:牛の生体内卵子吸引(OPU)- 体外受精(IVF) は、効率的な子牛の増産が可能な技術であるが、OPU では 回収卵子の数にばらつきがあり、品質も安定しない。OPU 実施前の卵胞刺激ホルモン(FSH)投与により良質な卵子を 得ることが可能である(Goodhand et al., 1999)が、この方 法は数日間にわたって複数回の FSH 注射が必要である。一 方、Bo et al.(1994)はウシの過剰排卵処理において、FSH の皮下単回投与で良好な採卵成績が得られることを示してい る。そこで、(1)OPU における FSH の皮下単回投与が回収 卵子の品質および体外受精後の胚発生へ及ぼす影響、さらに (2)発生胚の個体発生能について調べた。 2.材料および方法:(1)黒毛和種雌牛に性腺刺激ホルモン 放出ホルモン(GnRH)25μg 筋肉内投与し、その 60 時間後 に FSH 20AU の皮下投与をおこない、FSH 投与後 3 日目に OPU を実施した。得られた卵子については品質ごと(A 〜 D ランク)の数を計測した。さらに、常法により体外受精胚 生産をおこない、初期発生などを調べた。ホルモン処理せず に OPU を実施したものを対照とした。(2)高齢の黒毛和種 雌牛(13 才)を用い、上記と同様の方法で体外受精胚を作 製し、発生胚を受卵牛に 1 胚移植、胎齢 50 日前後に妊娠鑑 定をおこなった。 3.結 果: (1)OPU により得られた卵子数は対照区 6.7 個、 試験区 8.0 個で差がみられなかった(p > 0.05) 。得られた卵 子の品質については、A ランク卵子の割合が対照区 10.0% (4/40) 、試験区 31.3%(15/48)と FSH 投与で品質の良い 卵子が多くなった(p < 0.05) 。さらに体外受精胚の発生率 は、対照区 38.5%(15/39) 、試験区 59.1%(26/44)となり、 FSH 投与により高くなる傾向であった(p < 0.1) 。 (2)高齢 の黒毛和種雌牛由来体外受精胚を 28 頭の受卵牛に移植した 結果、11 頭で妊娠を確認し(受胎率 39%) 、現在までに 5 頭 の子牛が誕生した。 4.考察および結語:OPU 前に FSH の皮下単回投与をおこ なうことにより、良質な卵子が得られ、その結果体外受精胚 の生産が効率化できることがわかった。また、この手法を用 いて高齢の雌牛から個体発生能を有する体外受精胚が作製で きることがわかった。 演題番号:A18 黒毛和種における産次間採胚技術 ○田中 究 1)、金久敏男 1)、櫻田孝之 2) 1) 京都府農技セ畜セ碇牧場、2)京都府畜産課 1.はじめに:一般的に牛における採胚は、1 頭の供胚牛に ついて年間 3、4 回採胚を実施し、複数年連続して供用され る。しかし長期間の連続供用により、繁殖障害を起こす個体 が増加し、採胚成績の低下やその後の受胎成績の悪化が課題 となっている。この課題に対して当場では、分娩後リフレッ シュした牛から 2 回採胚した後受胎させ 1 年 1 産させる産次 間採胚技術の確立に取り組み、平成 14 年度から本技術につ いて検討し、「碇牧場方式産次間採胚技術」として平成 24 年 度から本格実施している。この方式の生産性に与える効果に ついて検証した。 2.材料および方法:当場にて飼養する黒毛和種経産牛にお いて、平成 14 年度から平成 18 年度にかけて採胚技術(採胚 間隔、回数、CIDR の活用)について検討し、平成 24 年度か ら分娩後早期に膣内留置型持続性黄体ホルモン製剤(CIDR) を利用した 28 日間隔の 2 連続採胚を行い、採胚後に CIDR 併用の定時授精を行う「碇牧場方式産次間採胚技術」につい て平成 24 年度〜平成 26 年度に行った採胚成績を調査した。 3.結 果: (1)平成 14 及び 15 年度:産次間に行う採胚間 隔及び採胚回数について検討し、28 日間隔での 2 回の採胚 が有効であった。(2)平成 16 年度:CIDR を活用し、性周 期に関係なく採胚の開始が可能となった。(3)平成 17 及び 18 年度:連続採胚終了後の 6 日目から CIDR 併用の定時授 精を行うことで、より早期の受胎が可能となった。 (4)直近 3 年間の産次間採胚成績:平成 24 〜 26 年度に 46 頭の産次 間採胚を実施し、1 回目の採胚成績が不良であった 16 頭を 除いた 30 頭で 2 回目の採胚を実施した。平均回収胚数は 1 回目が 13.9 ± 12.3 個、2 回目が 15.3 ± 11.9 個であった。平 均正常胚数は 1 回目が 6.6 ± 7.5 個、2 回目が 7.7 ± 6.8 個で あり、産次間に一頭当たり平均 11.7 ± 12.2 個の正常胚を回 収し、全国平均と比較して高い数値を示した。分娩後受胎に 要した平均日数は 106.9 ± 25.8 日で、採胚後の初回人工授精 の受胎率(73.9%)は、当場の採胚に供用しなかった経産牛 の初回受胎率(61.1%)より良好な成績であった。 4.考察および結語:碇牧場方式産次間採胚技術では、採胚 の子宮洗浄効果と分娩のリフレッシュ効果により、採胚の成 績を向上させ、また同時に採胚後の人工授精の受胎率も向上 させた。その結果、1.1 年に 1 産しながら平均 11.7 個の正常 胚を得ることができた。 ― 29 ― 演題番号:A19 間欠的高栄養処置を施した黒毛和種雌牛における血液性状の変化と採胚成績 ○富田健介、石井利通、榊原秀夫 三重県畜研 1.はじめに:黒毛和種雌牛の過剰排卵処置(SOV)に対す る反応は個体差が大きく、供胚牛の栄養状態が採胚成績に影 響していると考えられている。近年、 ヤギにおいて卵胞ウェー ブに合わせた間欠的高栄養処置が、排卵数を増加させること が報告された。本研究では黒毛和種雌牛について、SOV 前後 で間欠的高栄養処置を施し、血液性状と採胚成績を調査した。 2.材料および方法:黒毛和種雌牛 8 頭を供試し、試験群と 対照群で各 4 回の試験を行った。膣内留置型プロジェステ ロン製剤挿入日を Day0 とし、Day4 に SOV を開始、Day9 に授精、Day16 に胚を回収した。試験群では、Day2 から Day4 までと Day7 から Day9 までの 2 回、各 3 日間、TDN 充足率 200%を目安に午後(15 時)給餌時に増飼した。血糖 値(Glu)および血中尿素窒素(BUN)は、Day0、2、4、6、 7、9 の計 6 日、3 時間毎 5 回(9 時〜 21 時)採血し、経時 的変化を測定した。総コレステロール(T-cho)とβヒドロ キシ酪酸(BHBA)は、Day0 と Day9(各 12 時)に測定した。 また、供試牛の卵巣動態は超音波画像診断装置で記録し、回 収胚は、国際胚移植学会の形態学的評価基準に従い A 〜 D ランクに分類し調査した。 3. 結 果: 試 験 群 は、BUN が Day4(18 時 以 外 ) お よ び Day9(全ての時間)において有意に(p < 0.05)低値であっ た。また、試験群は、Glu が Day4(21 時)で有意に(p < 0.05) 低く、Day9(18 時、21 時)で低い傾向(p < 0.1)を示した。 T-cho と BHBA は、両群で有意差が認められなかった。採胚 成績は、A ランク胚数、A 〜 C ランク胚数、回収胚数、採胚 時黄体数について両群で有意差が認められなかった。 4.考察および結語:Day4、Day9 における BUN の低下は、 飼料中の非線維性炭水化物量が増加し、ルーメン微生物によ るアンモニア消費が促進された結果と考えられた。また、増 飼 3 日目(増飼後 3 〜 6 時間)で試験群の Glu が低下する傾 向であった。ウシでは、ルーメン内 VFA 産生がインスリン 分泌を刺激するとされており、本試験においても、高栄養処 置によりインスリン分泌が促進された可能性が考えられた。 しかし、試験群におけるこれらの変化は採胚成績に影響を及 ぼさなかった。 演題番号:A20 和歌山県におけるイノブタ飼養の現状と課題 ○楠川翔悟、前田恵助、松田基宏 和歌山県畜試 1.はじめに:和歌山県においてイノブタ肉は特産品のひと つとして確立されつつある。近年は、インターネット販売や 6 次産業化の進展により一部商品が品薄状態にあり、安定的 なイノブタ肉の供給が望まれている。現在、県内の 5 戸のイ ノブタ生産農家のうち、繁殖と肥育を行う一貫経営は 2 戸で、 年間約 50 頭の子イノブタを生産している。肉豚として出荷 されるイノブタの約 70% は、和歌山県畜産試験場が配付し た子イノブタを肥育したものであり、繁殖農家が生産した子 イノブタは、県内の肥育農家が必要とする頭数を満たしてい ない。繁殖農家において子イノブタの生産頭数が増加しない 一因として繁殖技術の不足が考えられる。そこで、繁殖農家 の技術向上を目的として、イノブタ農家への技術指導を継続 して行った。 2.材料および方法:イノブタの一貫経営を行う農家 A にお いて、繁殖管理を主とした飼養管理技術の向上を目的とし、 関係各機関と連携し、重点的に技術指導を実施した。農家 A は、分娩豚舎と肥育豚舎を 2013 年度に新築し、2014 年 3 月と同年 9 月にイノブタの分娩を 2 回経験した。指導事項は 分娩後の母豚のボディコンディション管理や、子イノブタの 管理を中心とした。 3.結 果:2014 年 9 月の分娩に際しては、母豚の栄養状態 を含め同年 3 月分娩時より適切な管理、対応ができた。離乳 後、母豚は正常な発情回帰を迎え、イノシシと交配した。こ の母豚は、翌年 3 月に 3 産を迎え 14 頭を分娩した。この子 イノブタは 10 日齢で去勢を実施、 33 日齢で 10 頭を離乳した。 各作業は A 農家自身が行った。 4.考察および結語:指導当初 A 農家は、母豚の栄養管理や 新生子イノブタに対する処置が出来なかった。これは、養豚 の経験が浅く知識と経験の不足に起因する可能性が考えられ た。今回、継続した技術指導により、A 農家は基本的手技 を習得し実践できるようになった。今後も引き続き、関係各 機関と連携し技術指導を行う必要がある。また、イノブタ肉 の高い需要に応じ、生産を維持、拡大していくためには、消 費者に認められる「肉質」を保持したイノブタ肉の供給も重 要であると考えられる。 ― 30 ― 演題番号:A21 家畜保健衛生所における検査業務に係る作業管理等要領(GLP)導入の取り組み ○八谷純一 1)、藤永 翼 2) 1) 京都府南丹家保、2)京都府中丹西保 1.はじめに:BSE や口蹄疫、鳥インフルエンザなどの家畜 伝染病の発生もあり、食の安心、安全への消費者の関心がま すます高まるとともに、家保内で行う検査も年々高度化して いる。そういった中、職員の検査水準の高位平準化と検査結 果を常に検証できる仕組み作りが必要であるとの方針をた て、公衆衛生部局が食品衛生法に基づき実施する食品検査等 で取り入れられている GLP に取り組んだので、概要を報告 する。 2.材料および方法:GLP とは、検査の信頼性を確保するた めのシステムであり、検査機関が適正な検査を実施し、信頼 できるデータを提供することを目的として、検査の品質管理 を担う組織、および機器や試薬、検査法を適正に管理するた めの具体的な項目を定めるとともに、個々の検査等について 作業内容や手順、作業内容の記録や保存方法について定めた 標準作業書(SOP)を規定するものである。 3.結 果:当所で作成する GLP の対象は、法定受託事務 である家伝法第 5 条に係る検査を中心とし、まず、所内検査 の品質管理を行う組織体制を規定し、続いて検査に関する SOP を 17 項目作成した。SOP では、①電子天秤や冷蔵庫等 機器 4 台の保守管理、②検査試薬の管理、③検体の管理、④ ブルセラ病や鳥インフルエンザ等 11 項目の検査を規定した。 さらに、検査結果の精査を行う内部点検及び、職員の検査水 準をより高く維持するための精度管理についても規定した。 これらの GLP、SOP は「分かりやすさ」に重きを置いて整 備し、これまで担当ごとに整備していたプロトコルや、精度 管理について家保として統一することができた。さらに、機 器は点検により常に管理可能となり、精度管理を定期的に行 うことで、検査技術の高位平準化および検査結果がより詳細 に検証可能となった。 4.考察および結語:食品の安全性確保するうえで、家保が 行う生産農場での検査についても信頼性を向上することは、 非常に有意義であると考える。また、 食品を輸出するうえで、 相手国から検査機関の GLP を求められる事例もあることか ら、京都府産和牛肉の輸出対策など畜産農家を支援するうえ でも、家保における GLP の整備は重要と考えられる。引き 続き SOP に基づく機器の点検整備や検査を実施し、高精度 な検査環境を実現するとともに、検査手技の点検を行う内部 精度管理や対象機器および検査の拡充等、検査の信頼性向上 に取り組みたい。 演題番号:A22 画像解析システム応用によるワクモの測定 ○上羽智恵美 京都府農技セ畜セ 1.はじめに:鶏に寄生するワクモの被害低減に繋げる研究 の一環として、大型鶏舎にモニタートラップを設置しワクモ の分布を調査している。トラップで捕獲したワクモ数の実測 には時間と労力を要するため、画像解析システムの応用によ る測定を検討した。 2.材料および方法:調査は多段式セミウィンドウレス鶏舎 1 棟で、10cm × 10cm のベニヤ板 2 枚を重ねたモニタートラッ プを直立 6 段ケージの 1、3、6 段目に 20m 間隔で計 60 か所 設置し、捕獲したワクモ数を測定した。測定方法は、ベニヤ 板上のワクモ集塊をデジタルカメラで撮影。画像解析ソフ ト(WinROOF ver.6.5(三谷商事))で、色彩変換させた吸 血後のワクモを自動計測プログラムで抽出させ面積を測定。 Excel でワクモ数を算出し、実測値との比較を行った。また、 フリー画像解析ソフト(ImageJ:Wayne Rasband(NIH) )で も同様に測定した。 3. 結 果: 画 像 解 析 に よ る 測 定 値 は、 実 測 値 に 対 し WinROOF が 0.81、ImageJ は 0.88 と高い相関を認めた。また、 画像解析にはバックグラウンドの色調が大きく影響すること から、トラップに用いる素材の色調の統一が重要であると考 えられた。 4.考察および結語:大型鶏舎を対象としたワクモ分布調査 には、迅速で大量のデータを処理する手法が必要であり、画 像解析は有効活用できると考える。 ― 31 ― 平成 27 年度日本産業動物獣医学会(近畿)・ 日本獣医公衆衛生学会(近畿)合同 ランチョンセミナー A 会場(B3 棟 116 号室) 時 間(12:00 〜 12:40) 講 演 牛呼吸器病予防ワクチネーションプログラムを 策定する際に考慮すべき事項 ゾエティス・ジャパン株式会社 岩隈 昭裕 座 長 大阪府立大学大学院 獣医公衆衛生学教室 安木 真世 協賛:ゾエティス・ジャパン株式会社 当セミナーには、弁当がつきます(先着 70 名) 牛呼吸器病予防ワクチネーションプログラムを策定する際に考慮すべき事項 ゾエティス・ジャパン株式会社 岩隈 昭裕 我が国ではこれまで牛呼吸器病の予防法として一般的に注射によるワクチン投与が行われてきた。 しかしながら、注射型ワクチンは、本来 IgG 産生による全身免疫を目的としたものであり、即効性や 幼若な動物の場合における防御効果については限界があった。さらに、現場において注射型ワクチン を使用する場合において、使用目的や使用に際しての注意点、あるいは抗原や疾病の特徴等について 充分に考慮されて使用されてきたとは言えない。 我々はこれまでの注射型ワクチンの投与目的である全身免疫のみならず、粘膜免疫機構を刺激する ことにより、局所および全身免疫双方を刺激し、感染初期から速やかに防御にはたらく粘膜ワクチン 「TSV-2」を昨年より国内発売している。 今回は牛呼吸器病のためのワクチネーションプログラムを策定するに際し、現代のワクチン学ある いは免疫学に基づき、臨床的に考慮すべき重要な点を示し、さらには今までに集積された「TSV-2」 に関する知見を含め、より効果的な牛呼吸器病の防御プログラムの策定に役立つ情報を提供すること とする。 ― 35 ― 平成 27 年度 日本小動物獣医学会(近畿)プログラム B 会場(B3 棟 117 号室) ①開 会 の 辞(近畿地区副学会長挨拶) ②一 般 講 演(午前の部) ③ ランチョンセミナー (9:20 〜 9:30) (9:30 〜 11:30) (12:00 〜 12:40) 尾芝 仁 B1 〜 B12 (13:00 〜 14:00) (14:00 〜 14:30) B13 〜 B18 C 会場(B3 棟 118 号室) ①開 会 の 辞(近畿地区学会長挨拶) ②一 般 講 演(午前の部) ③ ランチョンセミナー(B 会場 B3 棟 117 号室) (9:20 〜 9:30) (9:30 〜 11:40) (12:00 〜 12:40) 大橋 文人 C1 〜 C13 (13:00 〜 14:00) (14:00 〜 14:30) C14 〜 C19 O 会場(学術交流会館 多目的ホール) ⑥閉 会 の 辞(褒賞演題公表) (17:00 〜 17:20) 大橋 文人 談話会会場(P 会場・学術交流会館 サロン) ⑦談 話 会 (17:30 〜 19:00) ④一 般 講 演(午後の部) ⑤ 日本小動物獣医学会副学会長挨拶 ④一 般 講 演(午後の部) ⑤ 日本小動物獣医学会副学会長挨拶(B 会場 B3 棟 117 号室) …………………………………………………………………………………………………………… 審 査 委 員 ○:会場審査員代表 B 会 場 C 会 場 宮 豊(兵庫県) 助 川 剛(京都府) 矢 倉 守巳男(和歌山県) ○吉 内 龍 策(大阪市) 田 中 宏(奈良県) 岩 田 法 親(京都市) ○長谷川 哲 也(兵庫県) 是 枝 哲 彰(大阪府) 川 合 朗(三重県) 近 棟 稔 哉(滋賀県) 宇 根 智(大阪市) 福 田 茂 幸(神戸市) …………………………………………………………………………………………………………… 1.小動物獣医学会(近畿)審査委員会会議 8:50 〜 9:10 会場:B3 棟 209 号室(審査委員兼幹事会議室) 2.小動物獣医学会(近畿)幹事会 12:00 〜 12:30 各学会の会場は上記の会場です。なお、昼食を用意しております。 3.獣医学術近畿地区学会合同幹事会 12:30 〜 12:50 会場:B3 棟 205 号室 4.審査委員会 14:10(一般講演終了直後)〜 B3 棟 209 号室(審査委員兼幹事会議室) 日本小動物獣医学会(近畿)一般講演プログラム B 会場 (B3 棟 117 号室) ―午前の部― (演題番号 B1 〜 B12) 9:20 〜 9:30 開会の辞 近畿地区副学会長挨拶 9:30 〜 10:00 座長 嶋田 照雅(大阪府大) B1 腎性二次性上皮小体機能亢進症による高 Ca 血症に対し ビスホスホネート製剤を用いた猫の 2 例 築澤 寿栄(兵庫県) B2 チンチラの歯牙疾患10症例における考察 瀬戸絵衣子(神戸市) B3 免疫介在性血小板減少症の診断における網状血小板比率の有用性 宮 豊(兵庫県) 10:00 〜 10:30 B4 肝機能障害を伴う右心不全を呈したツシマヤマネコの一症例 塩田 幸弘(京都市) B5 環軸椎不安定症の病態に対する軸椎歯突起の影響 王寺 隆(大阪市) B6 猫の尿管ステント設置後の再閉塞例に Subcutaneous Ureteral Bypass System を行った 1 例 井上 理人(大阪府) 10:30 〜 11:00 B7 PGR/Patella Groove Replacement で膝蓋骨高位および内方脱臼の 治療をおこなった前十字靭帯断裂をともなう症例 野尻 紋美(大阪府) B8 猫の宮崎肺吸虫症の 1 例 鍋谷 知代(大阪府大) B9 フレンチブルドックの退形成性希突起膠細胞腫に対して 経前頭洞開頭術後、放射線治療を行った 1 例 杉山 慶樹(滋賀県) 11:00 〜 11:30 座長 井尻 篤木(滋賀県) 座長 吉内 龍策(大阪市) 座長 織 順一(大阪府) B10 腸石形成を伴った猫回腸腺癌の 1 例 上田 剛郎(京都市) B11 好酸球増多を伴った T 細胞性リンパ腫の犬の 1 例 梅下 雄介(兵庫県) B12 ベントラルスロット術実施後に気管虚脱の増悪を認めたため、 気管ステント設置術を実施した犬の1症例 竹村 崇宏(滋賀県) 座長 田島 朋子(大阪府大) 12:00 〜 12:40 ランチョンセミナー(B 会場 B3 棟 117 号室) 「犬のレプトスピラ症について」 矢口 和彦(株式会社微生物化学研究所) 協賛:株式会社微生物化学研究所 ― 39 ― ―午後の部― (演題番号 B13 〜 B18) 座長 白井 茂雄(三重県) 13:00 〜 13:30 B13 広範囲の尿道切除に対し包皮と反転陰茎粘膜を用いて再建を行った犬の2例 田戸 雅樹(大阪市) B14 PRA 関連遺伝子と臨床症状との関連性についての長期観察データ 今本 成樹(奈良県) B15 フィプロニルを 1% の濃度で含有する噴霧剤の院内調製とその臨床応用 中村有加里(京都府) 座長 牛尾 昌子(和歌山県) 13:30 〜 14:00 B16 外科手術を行った犬の膝蓋骨脱臼の 62 例。膝蓋骨動揺症の占める 割合とその治療法の検討 水谷 到(三重県) B17 短毛猫に見られた皮膚糸状菌性偽菌腫の1例 濱崎さやか(兵庫県) B18 犬のリンパ管肉腫(Lymphangiosarcoma)において外科的切除と化学 三村 貴大(京都市) 療法により長期生存が得られた 1 例 14:00 〜 14:30 日本小動物獣医学会 副学会長挨拶 「日本小動物獣医学会の現状と課題」 15:00 ~ 17:00 近畿地区連合獣医師大会(学術交流会館 多目的ホール) 17:00 ~ 17:20 褒章発表および閉会の辞(学術交流会館 多目的ホール) ― 40 ― 岡野昇三 副学会長 各学会長 C 会場 (B3 棟 118 号室) ―午前の部― (演題番号 C1 〜 C13) 9:20 〜 9:30 開会の辞 9:30 〜 10:00 近畿地区学会長挨拶 座長 井本 昌司(神戸市) C1 直腸破裂をおこしていた会陰ヘルニアの犬の1例 山本 泰司(和歌山県) C2 肝外胆管閉塞を起こした胆石の猫の 2 例 山田 昭彦(京都市) C3 前縦隔に発生した異所性甲状腺癌に外科治療を行った犬 3 例 村上 善彦(三重県) 座長 江原 郁也(大阪府) 10:00 〜 10:30 C4 非再生性免疫介在性貧血(NRIMA) の犬の 1 例 北中 千昭(京都市) C5 猫の虹彩黒色腫 2 例の画像所見 北村 憲彦(大阪府) C6 腹腔鏡下胆嚢摘出を行った犬の 44 例 金井 浩雄(兵庫県) 座長 人見 誠(京都市) 10:30 〜 11:00 C7 ヒト免疫グロブリン製剤により臨床症状の改善が認められた 難治性多形紅斑の犬の1例 中田 美央(兵庫県) C8 若齢で発症した退形成性希突起膠細胞腫に対して放射線治療 および抗癌剤治療を実施したフレンチ・ブルドッグの 1 例 中本 裕也(京都府) C9 成長期の犬の軸椎骨折に単独椎体プレート固定を行った1例 木村 太一(兵庫県) 座長 島村 俊介(大阪府大) 11:00 〜 11:40 C10 不整脈源性右室心筋症に類似する症状を呈した猫の1例 長谷川 寛(奈良県) C11 橈骨神経断裂を併発した上腕骨遠位粉砕骨折の猫の 1 例 戸次 辰郎(大阪市) C12 斜頸を示したウサギにおける耳構造の CT 画像診断による検討 瀬戸絵衣子(神戸市) C13 臨床現場における犬の TAT 測定の有効性の検討 福岡 玲(兵庫県) 座長 田島 朋子(大阪府大) 12:00 〜 12:40 ランチョンセミナー(B 会場 B3 棟 117 号室) 「犬のレプトスピラ症について」 矢口 和彦(株式会社微生物化学研究所) 協賛:株式会社微生物化学研究所 ― 41 ― ―午後の部― (演題番号 C14 〜 C19) 座長 安藤 武樹(兵庫県) 13:00 〜 13:30 C14 犬の原発性緑内障に対して隅角インプラント術を実施した 11 例の回顧的検討 萩 清美(大阪府) C15 猫の非ノミ性非食物性アレルギー性皮膚炎にアレルミューン HDM を用いた 1 例 中嶋 美記(その他) C16 健康な家庭犬におけるトキソプラズマとネオスポラに対する抗体保有状況 相馬 武久(大阪府) 座長 作野 幸孝(奈良県) 13:30 〜 14:00 C17 頸髄領域に発生した脊髄腫瘍の犬 5 例 坪居 穏佳(滋賀県) C18 広範な腹筋欠損を呈した猫の 1 例 園山 順子(大阪府大) C19 環軸椎関節腹側固定術後に発生した脊髄空洞症に対して 空洞・くも膜下腔交通術を実施した超小型犬の 1 例 澤木 和貴(大阪市) 14:00 〜 14:30 日本小動物獣医学会 副学会長挨拶 「日本小動物獣医学会の現状と課題」 15:00 ~ 17:00 近畿地区連合獣医師大会(学術交流会館 多目的ホール) 17:00 ~ 17:20 褒章発表および閉会の辞(学術交流会館 多目的ホール) ― 42 ― 岡野昇三 副学会長 各学会長 演題番号:B1 腎性二次性上皮小体機能亢進症による高 Ca 血症に対しビスホスホネート製剤を用いた猫の2 例 ○築澤寿栄、福岡 玲、中田美央、梅下雄介、舛方祐子、安田和雄 安田動物病院 1.はじめに:腎性二次性上皮小体機能亢進症(RSHP)は、 慢性腎臓病(CKD)に伴い初期には血中 Ca 濃度低下により 上皮小体ホルモン(PTH)分泌が促進されるが、長期化す ると血中 Ca 濃度に関係なく PTH が過剰に分泌され高 Ca 血 症を呈する病態である。人医療では進行した RSHP に対し 主に上皮小体の摘出手術が行われるが、獣医療では実施され ることは少なく内科的治療が行われる。今回、RSHP による 高 Ca 血症を呈した猫 2 頭に対しビスホスホネート(BP)製 剤を用い、その治療について検討した。 2.材料および方法:症例 1 は 15 歳、去勢雄、体重 4.1kg、 症例 2 は 15 歳、避妊雌、体重 3.6kg で、それぞれ 4 年前と 3 年前に CKD と診断し、いずれも療法食、リン吸着剤、ACE 阻害薬、皮下輸液による治療中であった。検診時の血液検査 で、症例 1 は Cre 3.1mg/dL、Ca 13.5mg/dL、P 4.2mg/dL、 症例 2 は Cre 2.9mg/dL、Ca 14.8mg/dL、P 4.6mg/dL と高 Ca 血症を認めたため精査したところ、イオン化 Ca の高値 (症 例 1:1.56mmol/L、 症 例 2:1.51mmol/L) と intactPTH の 高値(症例 1:35.1pg/mL、症例 2:43.3pg/mL)を認めた。 超音波検査で上皮小体の腫瘤は認めず、その他腫瘍性疾患も 疑われなかったため RSHP と診断した。 3.結 果:高 Ca 血症に対し生理食塩水の皮下輸液とプレ ドニゾロンの投薬を行ったが 2 症例とも効果がなく BP 製剤 の投与を開始した。症例 1 はアレンドロン酸 9mg を 3 週に 1 回の内服で Ca 値は正常に維持された。症例 2 はアレンド ロン酸 35mg まで漸増したが効果がみられず、パミドロン酸 の点滴静注に変更したところ Ca 値の低下が認められ、4 週 に 1 回の投与で良好に維持されている。 4.考察および結語:2 症例とも P 値を管理目標値内で維持 していたにも関わらず RSHP を発症した。CKD による P と Ca の代謝異常は一般に IRIS ステージ 3 から起こることから、 P 値に関わらず少なくともステージ 3 の段階で RSHP の存在 を確認する必要があると考えられた。すでに進行した RSHP に対しては BP 製剤が有効であったが効果の程度と持続期間 に個体差が認められ、Ca 値をモニターしながら個体に合わ せた投薬を決定していく必要があると考えられた。 演題番号:B2 チンチラの歯牙疾患 10 症例における考察 ○瀬戸絵衣子、建内裕貴、今井勇太郎、岡本佳菜子、清水茉莉香、山森幸恵、岡本菜穂子、 上田憲吾、川口太平、藤田大介、佐々井浩志 北須磨動物病院 1.はじめに:チンチラはアンデス原産の高山地帯に棲息し 草や樹皮などを主食とする小型齧歯類で、伴侶動物として広 く飼育されている。歯牙疾患はしばしば遭遇し飼育下での食 餌の偏りなど飼養管理の失宜が主要因とされるが、その発生 病態について十分解明されていない。今回、疾患解明を目的 に精査を実施したところ興味ある知見を得たので報告する。 2.材料および方法:症例は食欲不振・削痩・流涎などを主 訴として上診し身体検査、硬性内視鏡による口腔内検査、X 線検査、CT 検査から歯牙疾患と診断した 10 例。CT はリガ ク社製 R_mCT2 を使用し、管電圧 70kV、電流 80μA、FOV φ30x24H 〜φ73x60H にて撮影した。イソフルラン酸素麻酔 あるいはブトルファノール、ミダゾラム、メデトミジン注射麻 酔を実施し、画像再構成は標準装備ソフトウエアで実施した。 3.結 果:初発年齢は 1 歳 1 ヵ月齢〜 11 歳齢。臨床症状 は食欲低下 10 例、元気低下 8 例、排便異常 7 例、削痩 5 例、 流涎 5 例、腹囲膨満 5 例、呼吸障害 5 例、口腔違和感・疼痛 4 例、嚥下障害 3 例、鼻腔閉塞音 3 例、眼脂 3 例、脱毛 3 例、 痙攣 3 例であった。歯牙病変は上臼歯頬側過長 10 例、下臼 歯前頬側過長 1 例、切歯過長はみられなかった。歯槽骨融 解・歯根過長は 10 例で認め、6 例で歯牙齲蝕、1 例で切歯破 折、2 例で鼻汁貯留を合併した。再発は 6 例で認め、処置後 1 ヵ月以上生存個体 8 例中の再発率は 75%であった。治療後 の再発期間は無麻酔治療で 1.5 ヵ月に対して麻酔治療で 6.2 ヵ 月であった。7 例が死亡し、生存期間は 1 日〜 3 年 7 ヵ月、 生存期間の中央値は 1 歳 2.5 ヵ月であった。 4.考察および結語:チンチラの歯牙疾患は(1)臼歯過長に 随伴して歯周炎、頬粘膜損傷、潰瘍形成により疼痛を発生(2) 歯牙疾患は臼歯に主座する(3)上臼歯の過長は頬側方向に 著しい(4)上臼歯の弯曲は埋伏歯のレベルで生じる(5)上 臼歯の歯根病変は鼻汁排泄、鼻塞など呼吸器障害の誘因とな る(6)下臼歯の弯曲は少なく舌損傷は生じにくい(7)臼歯 の変化は、歯根部(歯槽骨融解・歯根過長)、歯牙弯曲、歯 冠過長の順で発現する、などの特徴が見出され、その正確な 病態把握に CT 検査が有用であった。過長歯の切削などの治 療は生存期間延長に有効であるが、重篤な状態に陥った症例 の予後は不良で、無麻酔での歯科検診は初期病変の見落とし や短期間での再発要因となっていたことから、早期の麻酔下 精査と歯牙治療の重要性が示唆された。 ― 43 ― 演題番号:B3 免疫介在性血小板減少症の診断における網状血小板比率の有用性 ○宮 豊 1)4)、合田麻衣 1)、野戸 薫 2)、豊福祥生 3)、三重慧一郎 4)、秋吉秀保 4)、大橋文人 4) 1) みや動物病院・兵庫県、2)シスメックス TMC(株)、3)兵庫みなと動物病院・神戸市、4)大阪府大 1.はじめに:血小板減少症は、骨髄での血小板の産生の低 下によるものと、破壊・消費の亢進によるものに分類される。 破壊の亢進により発生する免疫介在性血小板減少症(IMTP) では、骨髄での血小板の再生を証明するために骨髄検査が必 要とされている。網状血小板とは、末梢血中に放出された直 後の RNA の残存する幼若な血小板で、IMTP のような骨髄 での血小板再生を示す疾患では、血小板に占める網状血小板 比率(RP%)が増加することが知られている。今回我々は、 4 頭の犬の IMTP の RP% を測定し、その診断における有用 性を検討した。 2.材料および方法:基準値の設定するために、正常血小板 数の犬 47 頭から採血し、全血を K2-EDTA で常温保存し、 自動血球計算機の Sysmex XT2000iV を用いて RP% を測定 した。4 頭の IMTP 症例においても同様の方法で RP% を測 定し、血小板が減少していた初診時と、治療後に血小板が増 加した寛解時に比較した。 3. 結 果: 血 小 板 数 316.66×103 ± 86.70×103/μL( 範 囲 207×103 〜 498×103/μL)の健常犬 47 頭より算出した RP% は 1.27 ± 0.84% であることから、RP% の基準値を 2.95% 以 下とした。IMTP 群の初診時の血小板数は 20.00 × 103 ± 6.93 ×103/μL(範囲 16×103 〜 32×103/μL)に減少し、その時 の RP% は 18.17 ± 7.49%( 範 囲 11.93 〜 28.39%) と 著 明 に 増加していた。DIC や血球寄生原虫などの除外診断を行い、 免疫抑制治療を開始したところ、全例で血小板は速やかに増 加した。寛解時の血小板数は 382.25 × 103 ± 76.56×103/μL (範囲 310×103 〜 486×103/μL)と正常範囲に増加しており、 RP% は 1.36 ± 0.90%(範囲 0.62 〜 2.58%)に減少し、全例 で基準値に回復した。 4.考察および結語:IMTP の犬 4 例において RP% を測定 したところ、全例において血小板減少時には明らかな高値を 示し、寛解後は基準値に回復した。このことから、IMTP に おいて血小板減少時に RP% が増加している場合には、骨髄 検査を実施することなく、非侵襲的に血小板再生を評価する ことが可能であると考えられた。 演題番号:B4 肝機能障害を伴う右心不全を呈したツシマヤマネコの一症例 ○塩田幸弘 1)、羽原達也 2)、髙木直子 1)、釜鳴宏枝 1)、太田能之 3) 1) 京都市動物園、2)ダクタリ動物病院 京都医療センター、3)日獣大 1. は じ め に: ツ シ マ ヤ マ ネ コ(Prionailurus bengalensis euptilurus )は,日本では長崎県対馬だけに生息する野生ネコ 科動物で,昭和 46 年には国の天然記念物に,平成 6 年には種 の保存法に基づく国内希少野生動植物種に指定された。(公社) 日本動物園水族館協会では,平成 8 年から環境省の「ツシマヤ マネコ保護増殖事業」に協力している。京都市動物園では,平 成 24 年 4 月から展示個体 1 頭の飼育を開始し,平成 27 年 1 月 から繁殖候補個体 2 頭を導入した。今回,繁殖候補個体 1 頭が 肝機能障害を伴う右心不全を呈した症例について報告する。 2.材料および方法:症例は 1 歳齢のオスで,既往症はなかっ た。初診時に,削痩,食欲不振及び嗜眠が認められた。第 3 病 日の血液検査で,肝機能障害を疑う値(T-Bil 2.9mg/dL,GOT 163U/I, GPT 225U/I, GGT 32U/I,NH3 185mg/dL),低 K 血 症(2.7mEq/L)が認められた。X 線検査で,心陰影の拡大を 認めた。第 27 病日の X 線検査で,腹水による腹囲膨満を認めた。 第 38 病日の超音波検査で,右心房,右心室の顕著な拡張及び 三尖弁逆流,左室の扁平化及び腹水の貯留を認めた。腹水検査 では,乳びを伴う変性漏出液が認められた。CT 検査では,血 管輪の異常や短絡血管,腫瘤病変などは認められなかった。以 上から,肝機能障害を伴う右心不全と診断し治療を実施した。 3.結 果:餌での投薬が困難だったため,第 17 病日より,当 該個体を捕獲し,グリチルリチン酸(4mg/kg PO q24h),ウル ソデオキシコール酸(2mg/kg PO q24h),グルタチオン(25mg/ cat PO q24h),メトクロプラミド(0.4mg/kg IM q24h),耐性 乳酸菌製剤,皮下補液にて電解質液及びマルチビタミン剤を投 薬した。第 27 病日より,フロセミド(4mg/kg IM q24h)を投 薬した。第 33 病日より,経鼻食道チューブを留置し,強制給 餌を開始した。第 36 病日より,塩化カリウム徐放剤を投薬し た。右心不全の緩和のため,第 37 病日より,ベナゼプリル塩 酸塩(2.5mg/cat PO q24h)を,第 40 病日より,ピモベンダン (0.63mg/cat PO bid)を投薬した。これらの治療により第 45 病 日には,必要量の自力摂食が可能となった。第 58 病日の血液 検査結果から,肝機能障害は改善傾向を示した(T-Bil 0.5mg/ dL,GOT 34U/I, GPT 32U/I, GGT 4U/I,NH3 83mg/dL)。 4.考察および結語:当該個体が 1 歳齢であることから,本 症例は先天性心疾患が示唆された。ツシマヤマネコにおいて, これまで先天性心疾患が疑われた例は無い。今後,心機能及 び構造の評価,その他の個体を含めた家族性素因等の調査及 びタウリン等栄養学的要因の検索を行うことで病態を解明し, 飼育下繁殖のため,疾病の早期発見と血統管理に寄与したい。 ― 44 ― 演題番号:B5 環軸椎不安定症の病態に対する軸椎歯突起の影響 ○王寺 隆、宇根 智、川田 睦 ネオベッツ VR センター 1.はじめに:環軸椎不安定症(AAI)の病因として先天的 に観察される歯突起形態異常が報告されている。今回、我々 は AAI と診断し腹側環軸関節固定を行ったイヌ 32 例ついて 回顧的調査を行い、歯突起の有無が本疾患の病態に与える影 響について検討した。 2.材料および方法:対象は 2011 年 1 月から 2014 年 12 月 までに頚部痛や神経学的異常を主訴に受診し、AAI と診断 後、外科治療を実施した体重 10kg 以下の小型犬 32 例である。 全例で、X 線、CT、MR による画像診断を実施した。歯突 起形成不全群(DH 群)と歯突起形成群(DA 群)に分類し、 診断時年齢、臨床グレード、MRI スコア、伸展位での環椎 軸椎間距離(AAD)について調査し、両群の比較および両 群での各診断事象の相関性について検討を行った。 3.結 果:32 症例のうち DH 群が 14 例 DA 群は 18 症例 で あ っ た。 診 断 時 年 齢 は DH 群 で 中 央 値 11.5 カ月 齢 で あ り、DA 群(中央値 37.5 カ月齢)と比較して有意に若齢での 発症が観察された(P<0.05)。また、AAD は DH 群(平均 4.2mm)で DA 群(平均 3.3mm)と比較し有意な差が認め られた(P<0.05)。臨床グレード、MRI スコアについて DH 群と DA 群間に有意な差は認められなかった。各事象の相 関性では、MRI スコアと臨床グレードにおいて相関が認め られ、特に DA 群では有意な相関(R=0.78)が観察された。 4.考察および結語:DH 群では DA 群と比較し有意に若齢 での発症と AAD の拡大が認められた。歯突起は軸椎を環 椎に係留する靭帯の付着部であり、その形成不全は早期の AAI 発症と重度の亜脱臼に関与していると考えられる。し かし、臨床グレード、MRI スコアでは両群間で差は認めら れないことから、DH 群では AAD の拡大が認められるもの の、歯突起の欠損が脊髄障害の軽減となっている可能性が示 唆された。今回のデータでは AAD は MRI スコアや臨床グ レードとの相関は少なく MRI スコアと臨床グレードの相関 を認めたことから、骨変位のみでなく、歯突起形成状態や脊 髄障害状態を画像診断にて把握することが重要であると考え られる。 演題番号:B6 猫の尿管ステント設置後の再閉塞例にSubcutaneous Ureteral Bypass Systemを行った1 例 ○井上理人 1)、小山田和央 1)、中川正徳 1)、萩 清美 1)、佐藤 遼 1)、高智正輝 1)、齋藤 遥 1)、 疋田哲也 1)、高田佳苗 2)、下茂悠作 1)、西峯健介 1) 1) 松原動物病院、2)Hemodialysis/Renal Medicine UC Davis 1.はじめに:猫の尿管閉塞は、一般的に見られ早期に閉塞 を解除しないと、急速にネフロンは死滅し、腎不全に至る泌 尿器系の緊急疾患である。犬における実験データーでは、7 日以内に閉塞が解除されると、GFR は 65% 回復し、14 日以 内に閉塞が解除させると、GFR は 46%回復することがわかっ ている。40 日経過すると 100%の症例で永久的な腎機能の欠 損が起こる。尿管閉塞の猫に、2.5Fr ダブルピッグテールス テントを設置後 8 ヶ月で、ステントの変位と閉塞を起こし たので、Subcutaneous Ureteral Bypass System(以下 SUB システム)に交換し、良好に経過しているので報告する。 2.材料および方法:症例は 2 歳 1 か月齢(初診時)の去 勢済みスコティッシュホールド、体重 3.3kg で初診時 Cre 4.2mg/dl、左尿管が 4mm に拡張していたので、第 2 病日に 左尿管の結石摘出開通後に 2.5Fr ステントを設置した。尿管 結石の成分分析の結果は、シュウ酸カルシウム 98% であっ た。その後良好に経過していたが、第 231 病日に再度左尿管 の拡張(6mm)が認められたので、閉塞解除のため SUB シ ステムを設置した。除去した尿管ステントの周囲に沈着した 結晶も、成分分析の結果、シュウ酸カルシウムであった。 3.結 果:SUB システム設置後は、再閉塞予防のため 3 ヶ 月に 1 度、ポートからの洗浄を行い(2015 年 7 月 31 現在) 第 502 病日良好に経過している。開通の確認は、超音波ガイ ド下で、膀胱腎盂の流入/流出をチェックしている。 4.考察および結語:猫の尿管ステント術の合併症は、周術 期死亡率(7-15%) 、MST419-1277 日、ステント交換の必要 性(15-27%)(再閉塞やステントの変位などによる)passive ureteral dilation observed migration(50%)と報告されて いる。当院では、2010 年 3 月より、尿管ステント術を行っ ているが、同様の結果である。SUB システムについての合 併症は、リーク(5%)、腎瘻設置時の出血(1%)、システム の閉塞(血餅、デブリ、結石) (13.6%)などであるが、定期 的なポートのフラッシュで再閉塞を予防できる。またステン トの除去については、腎盂内のループに結晶で固着が起きて 困難になる可能性も、人医領域で報告されている。 ― 45 ― 演題番号:B7 PGR/Patella Groove Replacementで膝蓋骨高位および内方脱臼の治療をおこなった前十字靭帯断裂をともなう症例 ○野尻紋美 1)3)、西戸達郎1)、堀中 修1)、秋吉秀保2)、大橋文人2)、山口 力 1)2) 1) ファーブル動物医療センター 2)大阪府大 3)宇治動物病院 1.はじめに:Patella Alta(膝蓋骨高位)をともなう MPL (膝蓋骨内方脱臼)の治療は難しく、MPL 単独の場合と比較 してより複雑となる。本発表の目的は PGR/Patella Groove Replacement(滑車溝置換術)をもちいた膝蓋骨高位および 膝蓋骨内方脱臼を併発した前十字靭帯部分断裂症例への治療 方法とその予後に関する報告である。 2.材料および方法:症例は 4 歳 3 ヶ月齢、メス、32kg、ゴー ルデンレトリバー。内科的管理が奏功しない右後肢跛行を 主訴に来院した。跛行の原因は右後肢の Patella Alta をと もなう MPL Grade Ⅲおよび前十字靭帯部分断裂であった。 TTA(脛骨粗面前進化術)、ブロック状造溝術および TTT (脛骨粗面転移術)をおこなった。術後 21 日目に膝蓋骨の再 脱臼を認めたため、Patella Sling Suture による再手術をお こなった。再手術後 14 日目で再び膝蓋骨脱臼を認めたため PGR(Kyon 社)を実施した。PGR は大腿骨遠位滑車部分だ けを人工滑車に置換する部分的膝関節置換術である。人工滑 車は 2 つのインプラントからなり、1 つはチタン合金からで きており、その滑車表面は摩擦係数が低くなるようにダイヤ モンド様コーティング(DLC)されている。もう1つは滑 車切除部に設置し滑車溝インプラントをはめ込むためのベー スプレートである。症例の滑車切除後にこれらのインプラン トを設置し、MPL の整復をおこなった。 3.結 果:術後1日目より着地が可能であり、術後 2 週目 で跛行 Grade1 〜 2、術後 3 週目で Grade1、最終的に跛行は 消失した。再脱臼や不安定性等の合併症は認めず、経過は良 好である。 4.考察および結語:Patella Alta に対しては TTA 時に脛骨 粗面を遠位に転移させることが対策であるが、術後の再脱臼 が生じた原因として、遠位への移動が不十分であったと考え られる。PGR では滑車切除後に幅広いインプラント床が確 保されるために、インプラント設置位置を内外および遠近方 向に調整することが可能となり、TTT をおこなわずして四 頭筋から膝蓋靭帯のアライメントを正すことができる。過去 には関節包の肥厚やインピンジメント等の合併症が報告され ており、感染のリスクも考えられる。本症例のように TTT を行う事が困難な状況の MPL や Patella Alta を伴う MPL の最終手段として PGR が有効となる可能性が示唆された。 また過去の報告と同様、慢性的な MPL による中〜重度 OA の疼痛緩和も可能であると考えられる。 演題番号:B8 猫の宮崎肺吸虫症の 1 例 ○鍋谷知代 1)、古家 優 1)、馬緤智之 1)、大西義博 1)、小川泰伸 2)、谷 浩行 1)、笹井和美 1) 1) 大阪府大、2)小川動物病院 1.はじめに:肺吸虫は、終宿主が第 2 中間宿主であるサワ ガニやザリガニを捕食することにより寄生虫体が取り込ま れ、発咳を誘発する原因となる。我々は慢性の発咳を呈した 宮崎肺吸虫症の猫に遭遇したため、その診断方法と感染経路 について検討した。 2.材料および方法:屋外飼育の猫、9 歳齢、避妊雌、体重 3.9kg。3 ヵ月前より持続する発咳を主訴に近医を受診した。 レントゲン検査にて肺に結節病変を認めたため、精査を求め て本学獣医臨床センターを受診した。 3.結 果:血液検査では異常値は認められなかった。糞便 検査では多数の猫鉤虫卵と少数の壺型吸虫卵、宮崎肺吸虫卵 が検出された。レントゲン検査および CT 検査では右肺後葉 に結節病変と空洞病変が確認された。結節は辺縁のみ造影増 強効果を有し、内部に液体貯留像が認められた。さらに、粘 稠性の高い茶褐色の気管内貯留液が採取され、液中より多数 の宮崎肺吸虫卵が検出されたことから、本症例を宮崎肺吸虫 症と診断した。プラジカンテルの投与により、1 ヵ月後に発 咳は消失し、6 ヵ月後には胸部の結節病変は消失、糞便中の 寄生虫卵は検出されなかった。本症例の飼育地域近くでサワ ガニを採取し調査したところ、肺吸虫メタセルカリアが検出 され、PCR により宮崎肺吸虫と同定された。 4.考察および結語:猫の肺吸虫症に共通する臨床症状は発 咳である。虫卵は糞便中、唾液中や気管支内分泌液中に検出 される。本症例において、糞便中に認められた虫卵はごく少 数であったが、気管内貯留液に多数の虫卵が検出され、診断 の一助となった。慢性の発咳を呈する屋外飼育の猫に対し、 糞便や喀痰を顕微鏡下で検査することは診断に有用であるこ とが示唆された。また、本症例は近辺の川で自由に捕食して いるとの稟告より、飼育地域のサワガニを調査したところ、 宮崎肺吸虫メタセルカリアが検出された。したがって、感染 経路の 1 つとして、 猫がサワガニなどを捕食することにより、 寄生虫体を体内に摂取した可能性が考えられた。さらに、本 症例ではプラジカンテルによる駆虫が奏功し、症状が改善し たと考えられる。宮崎肺吸虫症は人獣共通感染症であり、飼 育者への注意喚起とともに、定期的に駆虫剤を投与し、生活 環を断つことが重要である。 ― 46 ― 演題番号:B9 フレンチブルドックの退形成性希突起膠細胞腫に対して経前頭洞開頭術後、放射線治療を行った1 例 ○杉山慶樹、井尻篤木、坪居穏佳、柴橋彩美、寺田康平 アツキ動物医療センター 1.はじめに:WHO の脳腫瘍のグレードで、人の希突起膠 細胞腫はグレードⅡ、退形成性になるとグレードⅢに分類さ れる。動物では技術的に困難であるということもあり外科治 療の報告がほとんどなく、明確なエビデンスが確立されてい ない。これに対し当院では、フレンチブルドックによる希突 起膠細胞腫の症例数件を経験している。今回、フレンチブル ドック退形成性希突起膠細胞腫 1 例に対して外科的アプロー チに加え放射線治療を行ったので、これを供覧する。 2.材料および方法:フレンチブルドック 5 歳齢、雌。て んかん発作、四肢不全麻痺で来院。CT・MRI 検査より前 頭葉に不整形の腫瘤が認められ、摘出手術を実施。その 後 2014 年 1 月 16 日、放射線治療を希望され再来院。再度 CT・MRI 検査を実施したところ、頭蓋内腫瘍の再発を確 認。2014 年 1 月 17 日より 2014 年 2 月 4 日にかけ、3Gy × 15 回、総線量 45Gy の放射線治療を開始。再来院時、ゾニサ ミドを服用していたが、放射線治療中にも発作がみられ、臭 化カリウムの投薬を開始。2014 年 3 月 3 日、MRI 検査にお いて頭蓋内腫瘍に異常はなかった。この時点で、放射線治療 後も発作が継続していたため、ゾニサミドと臭化カリウム の用量の調節し、内科療法を継続。2014 年 5 月 20 日、2014 年 11 月 1 日と MRI 検査を行ったが、両日とも異常はなかっ た。2015 年 5 月 8 日、症状が悪化し、MRI 検査を実施。腫 瘍の再増殖が確認され、2 回目の放射線治療を行った。当初 は 2Gy × 15 回、総線量 30Gy の治療を行う予定であったが、 5 回目の照射終了翌日に発作が頻発し、残りの放射線治療の プロトコールを 4Gy × 3 回に変更、総照射線量を 22Gy とし 終了。 3.結 果:病理組織学的に今回のフレンチブルドックは退 形成性希突起膠細胞腫と診断された。外科治療を施すことで 脳腫瘍による脳実質への圧迫を解除し、その後放射線治療を 行うことにより術後長い生存期間を得られている。 4.考察および結語:今回脳腫瘍のフレンチブルドックに対 して、外科手術と放射線治療を併用することで、症状に対す る長期のコントロールが可能となった。これより、退形成性 希突起膠細胞腫に対しては外科治療・放射線治療を単体で行 うより、それぞれを組み合わせて行うことがうまく症状の悪 化を抑え、術後の経過を改善できる有効な手順の一つである と考えられる。 演題番号:B10 腸石形成を伴った猫回腸腺癌の 1 例 ○上田剛郎 アップフィールド動物病院 1.はじめに:猫の小腸腺癌は小腸腫瘍で 2 番目に多い一方、 腸石は馬の糞石以外は人で稀とされ、犬猫では文献的報告を 認めない。今回、回腸腺癌罹患猫に腸石を認めたので、腸石 形成に関して検討した。 2.材料および方法:症例は 14 歳去勢雄の雑種猫で、削痩、 食欲低下及び下痢が主訴であった。血液、X 線、超音波等の 各種検査及び FNA を実施した。治療は回腸遠位部の切除吻 合を行った。術後に補助的化学療法を用いた。 3.結 果:身体検査で中腹部に軟性マスが触知され、血液 検査でリンパ球減少と GGT、BUN 及び血糖の増加を認めた。 X 線検査では、小腸拡張部内に小型で辺縁が X 線不透過性 の楕円形物を約 10 個認めた。超音波検査では小腸一部に筋 層肥厚と 5 層構造消失が検出された。肥厚部の FNA で細胞 は採取できなかった。糞便検査では細菌叢増加を認めた。初 期治療は駆虫薬と抗生物質を投与し、第 4 病日に下痢は良化 したが、X 線検査で楕円形物の移動はなかった。第 6 病日に 探査開腹手術を行い、回腸遠位部に 1.5cm の拘束性病変と吻 側部の拡張を認め、それらを含む回腸を切除吻合した。拡張 部には緑色腸内容が充満し、緑黒色で 0.5 〜 1.5cm の結石が 14 個認められた。病理組織診断は腸腺癌であった。術後に補 助的化学療法を行い、 8 か月後も良好な状態を維持している。 4.考察および結語:腸石は仮性腸石と真性腸石に大別され る。仮性腸石は、糞石や薬物結石など他器官で形成されて腸 に移動した物や腸内不溶性物の塊である。一方、正常腸液か ら腸内で形成される真性腸石は、胆汁酸腸石とカルシウム塩 腸石に分けられ、 犬猫での報告はない。真性腸石の形成には、 憩室や狭窄等による慢性腸内容停滞の機械的因子と、腸内容 pH や沈殿物溶解度などの化学的因子が必要とされる。胆汁 酸腸石は酸性条件が必要なため形成部位は空腸より上部で、 胆道からの抱合型 1 次胆汁酸が遊離型 2 次胆汁酸、更に遊離 胆汁酸の沈殿へと変化して、 胆汁酸腸石が形成される。一方、 カルシウム塩腸石は、アルカリ性環境下の回腸で形成され、 種々の形態を呈するが周辺ほど石灰化が顕著で、X 線検査で 検出可能なことが特徴である。本症例の腸石は、腸内で形成 されたこと、停滞部が回腸であったこと、及び辺縁が X 線 不透過性であったことから、 カルシウム塩腸石と考えられた。 本症例から、 猫に真性腸石の形成を認めることが示唆された。 ― 47 ― 演題番号:B11 好酸球増多を伴った T 細胞性リンパ腫の犬の 1 例 ○梅下雄介、福岡 玲、中田美央、築澤寿栄、舛方祐子、安田和雄 安田動物病院 1.はじめに:好酸球増多を示す疾患には寄生虫感染、炎症 性疾患、腫瘍などがあげられる。今回我々は消化器症状を伴 い好酸球増多を示す症例に遭遇し、さまざまな除外診断を行 い、T 細胞性リンパ腫と診断し治療を行った結果、臨床兆候 の消失と好酸球数の正常化が得られた犬の 1 例を経験した。 その診断過程と治療内容について検討を加えた。 2.材料および方法:症例は 8 歳齢、雌のチワワで、元気食 欲の低下、血便と嘔吐が認められた。対症療法では改善がみ られず、血液検査で好酸球数の著増(3,024/μL)が観察さ れたため、内視鏡検査および骨髄検査を実施した。病理組織 検査で十二指腸ならびに結腸におけるリンパ球形質細胞と軽 度の好酸球の浸潤が認められた。同じ組織で行ったリンパ球 クローナリティ—検査は陰性であった。骨髄像は好酸球造血 の著しい亢進が観察された。腹部超音波検査で脾腫と肝臓内 の腫瘤を認め、細胞診を行ったが好酸球の増加以外の異常は 認められなかった。除外診断で好酸球増多の原因が特定でき ず好酸球増多症候群と診断していたが、第 268 病日に行った 腹部超音波検査で腫大した腹腔内リンパ節を認め、細胞診で 幼若リンパ球の腫瘍性増殖が観察された。腫瘤を認める腫大 した肝臓の tru-cut 生検で変性壊死した肝細胞を背景に好酸 球の浸潤と独立円形細胞に由来する腫瘍が観察された。肝臓 の生検組織を用いた免疫染色では CD3、CD20 のどちらも陰 性だったものの、クローナリティ—検査から T 細胞性リン パ腫と診断された。以上の結果から好酸球の増加、臓器浸潤 を伴う低分化型の T 細胞性リンパ腫と診断し治療した。 3.結 果:UW25 プロトコールに従い治療したところ、好 酸球数は正常化したものの、肝腫は進行し、消化器症状に寛 解が得られなかった。治療をロムスチンに変更したところ好 酸球数は正常で維持、肝腫と臨床症状が消失し良好な経過を たどっている。 4.考察および結語:本症例がどの時点からリンパ腫を発症 していたかは不明であるが、リンパ腫の治療に伴い好酸球数 が正常化したことから、好酸球増多の原因は T 細胞性リン パ腫に随伴したものと推察された。腫瘍に随伴した好酸球増 多の臨床的意義はないとするものがあるが、好酸球の臓器浸 潤により予後不良となった報告もあり、好酸球の臓器浸潤を 伴うリンパ腫における病態、治療について今後も検討が必要 であると思われる。 演題番号:B12 ベントラルスロット術実施後に気管虚脱の増悪を認めたため、気管ステント設置術を実施した犬の1症例 ○竹村崇宏 1)、南 信子 1)、中野友子 1)、中川恭子 2)、村上善彦 2)、杉本夕佳 1)、南 毅生 2) 1) 甲南動物病院、2)南動物病院 1.はじめに:椎間板ヘルニアは、発症部位により様々な神経 障害に起因する呼吸障害を引き起こす。横隔膜は第 5 − 7 頸 椎領域の横隔神経により支配されており、この領域の脊髄が 障害されると呼吸障害が発生することがある。今回気管虚脱 を併発する頸部椎間板ヘルニア症例に対しベントラルスロッ トを実施し、術後に呼吸障害を認めた症例について検討した。 2.材料および方法:症例は 11 歳齢、未去勢雄の雑種犬で、 近医にて頸部疾患を疑い内科治療を実施したが改善がみられ ず、当院に来院した。 3.結 果:来院時(第 0 病日)、四肢不全麻痺、浅速呼吸 が見られ、神経学的検査にて四肢の固有受容感覚が消失して いた。また胸部レントゲン検査所見では、中程度の胸部気管 虚脱が認められた。第 2 病日に無麻酔下で CT 検査を、第 4 病日に全身麻酔下で MRI 検査を実施し、第 2 − 3、3 − 4 頸 椎間の椎間板ヘルニアと診断し、第 4 病日に第 2 − 3、3 − 4 頸椎のベントラルスロット術を実施した。術後、麻酔から 覚醒したものの吸気時の努力性呼吸がみられたため、人工呼 吸器を用いて呼吸管理を行なった。第 6 病日に人工呼吸器か ら離脱したが呼吸状態が改善せず、胸部レントゲン検査によ り頚胸部の気管虚脱の悪化がみられたため、気管虚脱に起因 する呼吸状態の悪化を疑い、第 7 病日に気管ステント術を実 施した。設置後 , 呼吸状態は改善し、第 10 病日には歩行可 能となり一般状態も良好で退院した。第 23 病日に突然の嘔 吐、呼吸状態の悪化が見られ来院したが、来院時には死亡し ていた。死亡後の胸部レントゲン検査では、気管ステントの 異常は認められず気管径は正常に維持されていた。 4.考察および結語:本症例では、術後の呼吸不全の増悪は 頸部椎間板ヘルニアによる脊髄損傷が原因と考えたが、2 日 間内科治療を実施したものの奏功せず、気管ステントを設置 する事で呼吸状態の改善が見られた。この事より呼吸不全 は、気管虚脱が原因であったと考えられる。本症例では第 2 − 4 頸椎領域における脊髄損傷であり、神経的な呼吸筋抑制 の可能性は低かったことや気管虚脱を呈する症例に全身麻酔 を行ったことから、もっと早期に気管虚脱に起因する呼吸不 全を考慮するべきであった。第 2 − 4 頸椎領域の脊髄が損傷 すると交感神経が障害され、気管内分泌液が増加することや 全身麻酔の影響の可能性も考えられるが、気管虚脱の悪化と の関連性は不明である。 ― 48 ― 演題番号:B13 広範囲の尿道切除に対し包皮と反転陰茎粘膜を用いて再建を行った犬の 2 例 ○田戸雅樹、宇根 智、川田 睦 ネオベッツ VR センター 1.はじめに:雄犬の尿道腫瘍切除時には、切除後の再建に おいて様々な術式が適応されている。陰茎尿道を切除した症 例で反転陰茎粘膜を介して温存尿道の包皮への尿路再建を実 施したので、その概要を報告する。 2.材料および方法:症例 1 は 11 歳 10 ヵ月齢のミニチュア ダックスフント、去勢雄で、20 ヶ月前に当センターにて肛 門嚢腺癌の摘出を行ったが再発し、再来院した。CT 検査に て、膜性尿道を圧排している腫瘤形成が確認された。骨盤切 開による一部膜性および陰茎尿道摘出を実施後、恥骨前で近 位温存尿道を反転して管状形成した陰茎粘膜と縫合して包皮 に導尿した。症例 2 は 13 歳 9 ヵ月齢のミニチュアダックス フント、未去勢雄で、排便障害を主訴に来院し、前立腺の腫 瘤形成による直腸圧排を確認した。生検にて上皮系腫瘍と診 断したことから、前立腺および前立腺尿道から陰茎尿道を切 除し、恥骨前で近位温存尿道を反転して管状形成した陰茎粘 膜と縫合して包皮に導尿した。摘出前立腺の病理検査結果は 血管肉腫であった。 3.結 果:症例 1 は陰茎粘膜を反転することにより 2.7cm 尿路延長が可能であった。術後は皮膚炎などの合併症も認め ることなく自力排尿も可能であった。尿道再建 13 ヵ月後に 肛門嚢腺癌の腰下リンパ節転移により排便困難症状を呈した が、排尿に関して問題は認められていない。現在、尿道再建 より 14 ヵ月経過しているが経過観察中である。症例 2 は陰 茎粘膜を反転することにより 3.3cm 尿路延長が可能であっ た。術後は自力排尿が可能であったが、手術 3 週間後に縫合 部位での尿漏出が認められたため、膀胱と包皮を吻合した。 その後、2 ヶ月で肺野の転移が急速に進行して死の転帰を とった。 4.考察および結語:症例 1 は一部膜性尿道と陰茎尿道を切 除、症例 2 は前立腺尿道から陰茎尿道を切除し,恥骨前への 尿路変更を実施したが, その際に温存尿道と包皮との縫合は、 縫合部に張力が加わることが予想された。その緩和のために 陰茎粘膜を反転させ管状構造を形成することにより、尿道と の縫合部をより尾背側に移動することが可能であり、結果的 に張力の緩和が可能となる。包皮へ開口させることにより皮 膚炎などの合併症も無く自力排尿も可能で QOL は維持され た。本術式は、尿路再建時に尿路をより長く形成可能である ため、その有用性は高いものと考えられる。 演題番号:B14 PRA 関連遺伝子と臨床症状との関連性についての長期観察データ ○今本成樹 1)、今本三香子 1)、矢作聡志 2) 1) 新庄動物病院、2)ワラビー動物病院グループ はとがや動物病 1. は じ め に: 進 行 性 網 膜 萎 縮(progressive retinal atrophy;PRA)は多くの犬種において遺伝性が指摘されて いる眼疾患である。ロングヘアーミニチュアダックスフン ドの PRA に関して retinitis pigmentosa GTPase reguratorinteracting protein 1(RPGRIP1)の exon 2 における 44 ベー スの挿入変異が原因遺伝子であると報告された。しかし、実 際の臨床症例の表現型と遺伝子型との間には矛盾が生じてい る。我々は 2007 年に大規模調査を実施以来、遺伝子型検査 と症状との関連性を長期にわたって観察し、表現型と遺伝子 型の関連性を検討した。 2.材料および方法:2007 年に健康上問題のないロングヘ アーミニチュアダックスフンドと PRA と診断されたロング ヘアーミニチュアダックスフンドにおいて、遺伝子型検査を 実施した。その後 8 年間にわたり経過を観察し、遺伝子検査 の結果と、眼科疾患の有無を調査し、表現型と遺伝子型の関 連性を考察した。 3.結 果:8 年間の追跡調査のできたのは、38 頭であっ た。その遺伝子型検査の結果は、ノーマル 12 頭、ヘテロ 16 頭、変異ホモ 10 頭であった。検査当時の年齢は 3 ヶ月から 9 歳であった。その後 8 年間無症状であったのは、30 頭であ り、ノーマル 10 頭、ヘテロ 13 頭、変異ホモ 7 頭であった。 PRA と診断した個体は 2 頭で診断時の年齢は 11 歳と 10 歳 で遺伝子型検査の結果はともに変異ホモであった。すでに、 PRA と診断された個体は 6 頭で、遺伝子型検査の結果は、 ヘテロが 2 頭、変異ホモが 4 頭であった。PRA と診断され た年齢は、1 歳が 2 頭、3 歳が 2 頭、7 歳が 1 頭、12 歳が 1 頭であった。 4.考察および結語:PRA と診断された個体は今回の調査で は 8 頭おり、ヘテロが 2 頭、変異ホモが 6 頭であった。発症 年齢は、1 歳から 12 歳と広い範囲で存在していた。一方で、 遺伝子型検査では、変異ホモであったものの無症状のまま生 涯を終えた個体も存在しており、単一の遺伝子型検査で将来 の発症の予見にいたるということはないと結論付けられる。 しかし、すでに我々は、これらの遺伝子変異が眼底血管へ影 響を与えることを報告している。したがって、この遺伝子変 異が網膜への影響を与え、視力に影響を与えるためには、何 らかの要因が関与する必要があると考えられた。 ― 49 ― 演題番号:B15 フィプロニルを 1% の濃度で含有する噴霧剤の院内調製とその臨床応用 ○中村有加里 1)2)、深瀬 徹 2) 1) イオン動物病院イオンモール KYOTO、2)林屋生命研 1.はじめに:フェニルピラゾール系の薬物であるフィプロ ニルは,獣医学領域においては,犬と猫に寄生するノミとマ ダニ等の駆除薬として用いられている。動物用医薬品として のフィプロニル製剤には噴霧剤と滴下投与用液剤があるが, それぞれの製剤の有効成分含有量は 0.25% と 10% となって おり,噴霧剤に関しては,さらに高濃度であるほうが利便性 が高いと思われる。そこで今回,滴下投与用液剤をもととし て,フィプロニルを 1% の濃度で含有する液剤を院内にて調 製し,噴霧剤としての利用を検討した。 2.材料および方法:フィプロニルを 10% の濃度で含有する 滴下投与用液剤を日本薬局方消毒用エタノールで 10 倍に希 釈して 1% の液剤を調製し,この液剤をスプレー容器に入れ, 噴霧用の製剤とした。また,本製剤を室温で 1 か月間にわたっ て保存した後,高速液体クロマトグラフィーにてフィプロニ ル濃度を測定し,安定性を検討した。臨床的な効果について は,ノミの自然感染を受けていた犬と猫各 6 頭とマダニの自 然感染を受けていた犬 6 頭に対して有効成分として 7.5 mg/ kg の用量となるように噴霧を行い,駆除効果を確認した。 さらに,犬および猫の飼育環境の様々な場所から採取した塵 挨中に存在する小型のダニ類と家屋内に発生したゴキブリ類 に対しても噴霧し,それらに対する殺滅効果を観察した。 3.結 果:滴下投与用液剤を消毒用エタノールで 10 倍希釈 した結果,白濁や沈殿等が生じることはなく,1% 液剤を簡 便に調製することができた。また,1 か月間の室温保存の後, フィプロニル濃度に有意な低下は認められなかった。臨床試 験では,供試した犬と猫の全例において噴霧後ただちにノミ とマダニを駆除することが可能であり,動物の飼育環境に生 息する小型のダニ類に対する良好な殺滅効果も確認した。加 えて,ゴキブリ類に噴霧した場合には,その運動を著しく阻 害することができ,駆除に有用であった。 4.考察および結語:本試験にて調製した噴霧剤は有効成分 含有量を 1% としており,市販製剤の 4 倍の高濃度である。 そのため,犬と猫に噴霧する際の投与薬剤量を 1/4 に減ずる ことができ,利便性を高めることが可能であるとともに,幼 齢の動物に多量の液剤を投与しないですむことから,体温の 低下を引き起こす可能性を低減できると推察した。また,外 部寄生虫の駆除以外にも,動物の飼育環境の様々な場面にお ける応用が可能であると考えた。 演題番号:B16 外科手術を行った犬の膝蓋骨脱臼の62 例。膝蓋骨動揺症の占める割合とその治療法の検討 ○水谷 到、海津直美、洞田知嗣 森動物病院 1.はじめに:犬の膝蓋骨内方脱臼(MPL)は一般開業医で も治療機会が多く、様々な手術手技をテーラーメイド的に組 み合わせて対応しているが、近年小型犬の MPL の中でも、 「膝 蓋骨動揺症」または「膝蓋骨内—外方脱臼 :MLPL」とよば れる病態が増えており、従来の術式では術後の再脱臼を起こ すことも多い。今回、我々は犬の MPL に占める膝蓋骨動揺 症の割合を調査したので報告する。 2.材料および方法:2012 年から 2015 年までの間に、MPL と診断した犬で同じ執刀医が手術を行った 62 例を対象とし、 年齢、犬種、グレード、治療成績についてカルテから回顧的 に調査した。 3.結 果:症例の年齢 / 体重の中央値はそれぞれ 1 歳齢 (6 ヵ 月 -9 歳)と 3.5Kg(2.1-12.5kg)。上位犬種はチワワが 21 例 と最も多く、次にトイプードルであった。手術前の診断は、 全例が MPL で、グレードは 2 が 11 例、3 が 46 例、その内 の 12 例が手術中に膝蓋骨動揺症と診断された。手術方法は、 ほぼ全例で滑車溝形成術、脛骨粗面転移術、筋 / 支帯の矯正、 脛骨内旋制御術の 4 手技中 3 手技以上を実施し、膝蓋骨動揺 症の症例では内側および外側で余剰支帯の切除ならびに縫縮 術を加えて実施した。全体的な手術成績は、良好な経過を示 したのが 59 例で 95%、膝蓋骨動揺症の 12 例では 11 例が良 好な経過であった。 4.考察および結語:MPL 全体での手術成績は、過去に報 告されている奏効率とほぼ同様であった。膝蓋骨動揺症と診 断した 12 例中 8 例がトイプードルであり、顕著に多かった。 今回、一般的な MPL と膝蓋骨動揺症の症例での成績に有意 な差は生じなかった。一概には断定できないが、選択した手 術方法が奏功した可能性が考えられる。 動揺症の病態と診断、 手術方法に関してはガイドラインが存在せず、困惑するケー スも多い。膝蓋骨高位(Pattela alta)が両側性脱臼に関与 していることが報告されており、診断に関しては、レントゲ ン画像で膝蓋骨膝蓋靭帯比(PLL/PL)を計測することで術 前に予見できる場合もある。手術方法に関しても、明確な指 針はないが、今回実施した内外両側の支帯縫縮術や、TTT 実施時に脛骨粗面を遠位へ移動させる方法などが提案されて いる。本報告では、比較的高い成功率を得られたが、今後も 長期的にフォローアップし再発率を調査する必要がある。 ― 50 ― 演題番号:B17 短毛猫に見られた皮膚糸状菌性偽菌腫の 1 例 ○濱崎さやか 風の動物病院 1.はじめに:糸状菌性偽菌腫は、皮膚好性の糸状菌が真皮 及び皮下組織に菌糸を伸展し肉芽腫を形成する稀な疾患であ る。過去の報告はほぼペルシャ猫に限られており、明らかな 品種好発性がある事から遺伝的な免疫不全が背景に存在する 可能性が示唆されている。今回、皮膚糸状菌症の治療中に口 唇有毛部に偽菌腫を形成し、その後歯肉へと波及、口腔内巨 大腫瘤を形成した短毛種の猫の症例を経験したので、その治 療と経過について検討を加えた。 2.材料および方法:材料および方法:推定 1 歳齢の外見上 アビシニアンと思われる短毛猫が外耳炎と体幹の脱毛を主訴 に来院した。真菌培養で Microsporum Canis を検出しフル コナゾールによる治療を開始したが、効果は限定的であった。 3.結 果:M.Canis が検出されてから 1 年半後に口唇の小 腫瘤を主訴に再来院した。切除生検で肉芽組織内に真菌塊が 認められ、皮膚糸状菌性偽菌腫と診断された。切除生検か ら 30 日後、切歯歯肉に直径 2 〜 3mm の小結節がカリフラ ワー状に集簇した腫瘤を認めた。圧迫により膿汁が採取され たため培養したところ M.Canis が検出され、糸状菌性偽菌 腫の口腔内への拡大と判断した。薬剤をイトラコナゾール 5mg/kg 週 2 日連続投与に変更して 3 ヵ月で歯肉腫瘤は消失 し、皮膚病変も改善したが、約 1 年で来院が途絶えた。最終 来院から 1 年 4 ヵ月後、3 ヵ月前に発現した右下顎の腫瘤性 病変を主訴に来院した。腫瘤を触診すると硬く、大きさは約 50mm × 45mm で、 X 線にて骨吸収と骨膜反応が認められた。 Tru-cut 生検により糸状菌性偽菌腫と診断された。顎骨切除 が検討されたものの経過観察となり、再びイトラコナゾール 投与を開始した。しかし 2 ヵ月半後、著しい削痩と低体温を 呈して来院し、対症療法を施したが翌日自宅で斃死した。剖 検は実施出来なかった。 4.考察および結語:同居の個体や飼い主には糸状菌による 病変は認められず、これまでの報告同様に、本症例の免疫不 全状態が病理発生上重要な因子となっている可能性が窺われ た。偽菌腫が直接的な死因になったかは不明であった。一般 に糸状菌性偽菌腫は外科的切除が第一選択とされるが、皮膚 以外や切除不能部位に偽菌腫を形成する症例では、本疾患を 全身性疾患と捉え、より積極的な抗菌治療を長期にわたり継 続する必要があると考えられた。 演題番号:B18 犬のリンパ管肉腫(Lymphangiosarcoma)において外科的切除と化学療法により長期生存が得られた1例 ○三村貴大 1) 福留幸一 1) 二瓶和美 2) 1) オリーブ動物病院、2)株式会社サンリツセルコバ検査センター 1.はじめに:リンパ管肉腫(LAS)はリンパ管内皮細胞の 悪性腫瘍である。LAS は増大傾向を伴った広汎性の境界不 明瞭な波動性腫脹を示すことが多く潰瘍や漿液の排液が認め られることもある。現在医学および獣医学領域において詳し い病因は解明されていない。獣医学領域における最初の報告 は 1981 年だが、それ以降も報告の数は極めて少なく、有効 な治療法を議論できる報告はいまだないのが現状である。今 回、LAS に対し外科的切除とカルボプラチンを用いた化学 療法により長期生存に至った症例を報告し今後の治療戦略に ついても検討した。 2.材料および方法:症例はミニチュアダックスフント、避 妊雌、10 歳 10 ヵ月齢、体重 7.2kg。左側胸部皮下組織に約 1.5cm 大の腫瘤を認めた。 3.成 績:身体検査所見として今回の腫瘤を含め 4 箇所の 皮下腫瘤を認めた。4 箇所のうち左側胸部皮下腫瘤のみが増 大傾向を示したため細胞診を実施した。この細胞診の所見か ら第 23 病日に全ての腫瘤の外科的切除を実施した。病理組 織学的検査において 3 箇所は良性であったが、増大傾向を示 した左側胸部皮下腫瘤は LAS と診断された。そのため第 42 病日に同部位の広背筋の一部を含む根治的局所切除を実施し た。第 56 病日よりカルボプラチン単剤による化学療法を 4 週間毎に 1 回の頻度で実施した。6 回目の化学療法を行った あと、化学療法を 2 ヶ月に1回の頻度に変更し 8 回目の化学 療法を終え、現在第 403 病日において一般状態は良好かつ局 所再発や明らかな転移もなく良好に経過している。 4.結 論:LAS の治療については他の悪性腫瘍と同様、外 科的切除の他に化学療法や放射線療法が選択される。犬にお いて多くの種類の化学療法薬が使われたがどれも症例数が少 なく有効性を議論できる程の報告はない。今後、局所再発や 転移を認めた場合は外科的に切除できるものは切除し、ドキ ソルビシンやトセラニブをレスキュー療法として単独あるい は他の薬剤との併用にて使用するのが良いと考えられる。今 回の化学療法が局所再発や転移を有意に抑制している確たる 論拠はないが、本症例がさらに長期生存すれば LAS に対す るカルボプラチンの一定効果について議論できる可能性はあ ると考えられる。放射線療法も含め化学療法の薬剤選択やそ の有効性などについては今後の症例報告の蓄積が待たれるも のである。 ― 51 ― 演題番号:C1 直腸破裂をおこしていた会陰ヘルニアの犬の 1 例 ○山本泰司 うぐい動物病院 1.はじめに:会陰ヘルニアとは、日常小動物診療において 比較的多く見られる疾病の一つである。今回、会陰ヘルニア において直腸破裂した症例に遭遇し、直腸縫合などを行い良 好な結果がえられたので、それを報告しその手術方法などを 検討した。 2.材料および方法:ミニチュアダックス 8 歳 未去勢 体重 6.0kg 6 ヶ月前に右側の会陰ヘルニアを確認し手術を勧 めたが飼い主の同意が得られず経過観察していた。しかし、 突然ぐったりしているとの事で来院。レントゲン逆行性の膀 胱造影、血液検査などを行い、骨盤に膀胱を確認し、救急手 術を行った。 3.結 果:まず、下方正中切開により開腹し、膀胱を正常 な位置に戻し、結腸固定を行った。次に、去勢手術を行い、 右側の会陰ヘルニアの整復を試みたところ、ヘルニア嚢より 便が排出された。手術部位を観察したところ、直腸の破裂が 確認でき、整復できる限り近位から遠位へ縫合し、ヘルニア は尾骨筋、外肛門括約筋、骨盤骨膜に非吸収糸をかけ、洗浄・ 感受性サンプルを採取し、ドレーンを設置して終了した。第 2 病日より、食欲、元気は少しずつ回復したが、第 3、4 病 日にドレーンの排液の中に便が排出された。そこで、第 5 病 日に全身麻酔下において、肛門より膣鏡を入れ直腸の観察を 行った。すると、肛門より約 2cm の直腸 6 時から 7 時のと ころに 5mm 位の穴が確認できた。また、そこからフルオレ 液を流したところドレーンより排出が確認できた。そこで、 直腸を近位から遠位へ重ねるように 5 糸縫合し終了した。第 6 病日以降ドレーンからの便、 排液がなくなり、 第 9 病日には、 ドレーン除去し、退院、その後順調に回復した。 4.考察および結語:今回の症例では、半年前に手術を勧め ていたが、同意が得られず、直腸破裂という最悪のケースに なってしまった。しかし、直腸は破裂していたが、ヘルニア 嚢内で収まって腹腔内に及んでいなっかたこと、直腸の破裂 部位が黙示下で確認できかこと、また、第 5 病日での直腸検 査において、破裂部位が近位から遠位へカバーできるだけの 大きさだったことが、幸運であったと思われます。反省すべ き事は、術前に直腸破裂を認識していれば、もっと違った方 法があったかもしれないこと、なにより、半年前にもっと飼 い主を説得し手術を行っていたらと考え、早期に手術するこ とが重要であると思われた。 演題番号:C2 肝外胆管閉塞を起こした胆石の猫の 2 例 ○山田昭彦、辻 英里子、中嶋 光 西京極どうぶつ病院 1.はじめに:猫の胆石の発生は少なく、肝外胆管閉塞は比 較的稀な疾患とされている。胆嚢内に限局して胆石が存在す る場合は無症状の事が多いが、胆嚢炎や胆管閉塞を起こした 場合は発熱、嘔吐、食欲不振、腹痛、黄疸などの症状がみら れる。今回、胆石による肝外胆管閉塞を起こした閉塞部位の 異なる猫 2 例の術式について検討した。 2.材料および方法:症例 1:雑種猫、11 歳齢、避妊雌、体 重 2.7kg。3 日前から断続的な嘔吐と元気・食欲低下を主訴 に来院。血液検査で肝酵素上昇と黄疸を認めたが、それ以上 の検査や入院治療は希望されなかった。対症療法を行なった が第 19 病日に病態が悪化したので精査を行なったところ、 肝酵素がさらに上昇し黄疸も悪化、X 線検査・超音波検査に て総胆管遠位部で胆石による肝外胆管閉塞を認めた。症例 2: 雑種猫、13 歳齢、避妊雌、体重 4.0kg。以前より食欲にムラ があり、最近よく吐くとの主訴で来院。身体検査や血液検査 で異常はなかったが、X 線検査・超音波検査で胆嚢から総胆 管にかけて大量の胆石による肝外胆管閉塞を認めた。 3.結 果:いずれの症例も外科的処置を行なった。症例 1: 大十二指腸乳頭口まであと 1cm 程の総胆管に胆石が完全閉 塞していたため、十二指腸切開して開口部からモスキート鉗 子を挿入して胆石を砕きながら摘出。胆石摘出後、カテーテ ルにて貯留した胆汁を吸引。胆管疎通を確認後、全身状態を 考慮して肝生検のみで胆嚢切除は行なわずに閉腹した。症例 2:胆嚢を肝臓から剥離し、胆嚢切開して結石を摘出しよう と試みるが、すべてを摘出するのが困難であったため総胆管 も切開してすべての胆石を摘出。肝生検と食道チューブを設 置して手術終了。いずれも術後経過は比較的良好だった。胆 石の成分はいずれも炭酸カルシウムで、胆汁の細菌培養で細 菌が認められた。病理組織検査結果は、症例 1 は慢性胆管炎 および肝細胞の空胞変性、軽度のリンパ球形質細胞性十二指 腸炎、症例 2 は慢性胆嚢炎と慢性肝内胆汁うっ滞と診断され た。 4.考察および結語:肝外胆管閉塞を起こした胆石に対して、 病態を考慮して異なる術式の手術を行なった。肝外胆管閉 塞の治療は閉塞原因や閉塞部位・胆石の大きさなどを考慮 し、胆道系の解剖を熟知して様々な術式を選択しなければな らず、胆嚢十二指腸吻合や胆管ステントなどの対応もできる しっかりした知識や準備が必要と考えた。 ― 52 ― 演題番号:C3 前縦隔に発生した異所性甲状腺癌に外科治療を行った犬 3 例 ○村上善彦、中野康弘、加藤太司、浦野充夫、中川恭子、武藤陽信、南 毅生 南動物病院 1.はじめに:甲状腺癌は、すべての腫瘍の 1.2 から 3.5% を 占め、中でも異所性に発生するものは稀である。異所性甲状 腺癌は犬において前縦隔、心臓、舌根部で報告されているが、 治療の転帰に関する報告は少ない。今回、前縦隔に発生した 異所性甲状腺癌を摘出した犬の 3 例に遭遇したため検討した。 2.材料および方法:症例 1 ミニチュアダックスフンド、 11 才齢、雄、主訴は元気がない。症例 2 ヨークシャーテリア、 8 才齢、避妊雌、主訴は呼吸困難。症例 3 チワワ、8 才齢、 雌、健康診断。3 症例はそれぞれレントゲン検査にて前縦隔 に腫瘤が認められ、南動物病院グループに紹介受診、CT 検 査、外科治療を行い、病理組織検査にて濾胞細胞由来の異所 性甲状腺癌と診断された。 3.結 果:症例 1 CT 検査では、4.7×3.4×5cm(41.83cm3) の腫瘤が認められ、気管の圧迫による左側前葉の無気肺が認 められた。胸水、転移の所見は認められなかった。胸骨縦切 開術により前胸部にアプローチ後、周囲の血管に癒着してい た腫瘤を摘出し、現在術後 136 日間経過したが転移、再発の 所見は認められない。症例 2 CT 検査では、3.7×2.8×3.8cm (25.13cm3)の腫瘤が認められた。胸水、転移の所見は認め られなかった。肋間開胸術により前胸部にアプローチし、周 囲の血管に癒着していた腫瘤を摘出、術後カルボプラチン 150mg/m2 を計 5 回投与し、術後 2511 日目まで転移、再発 は認められず、腫瘍とは関連なく他の原因で死亡した。症例 3 CT 検査では、2.1×2.1×1.9cm(5cm3)の腫瘤が認めら れた。胸水、転移の所見は認められなかった。肋間開胸術に より前胸部にアプローチし、腫瘤を摘出、現在術後 1226 日 間経過したが転移、再発の所見は認められない。 4.考察および結語:2014 年の M.Campos らによる甲状腺癌 の研究によると、無病生存期間に影響を与えるのは肉眼的、 組織的な血管浸潤であったと報告しており、また 2008 年の Liptak らの前縦隔の腫瘍の研究では、濾胞細胞由来の甲状 腺癌症例の 1 例は心基底部に浸潤しており、生存期間は 511 日であったと報告している。今回の症例では、摘出時または 組織学的に血管浸潤がなく、3 例中 2 例は再発、転移なく 3 年以上の生存が得られており、浸潤のあった過去の論文より も長期間生存した。このことから前縦隔の甲状腺癌は、肉眼 的な血管浸潤なく摘出できた場合には、頚部のものと同様に 良好な予後が得られると考えられた。 演題番号:C4 非再生性免疫介在性貧血 (NRIMA)の犬の 1 例 ○北中千昭 1)、亀山佳奈 1)、山本雄大 1)、三橋憲人 1)、大谷 豪 1)、日浅真美 1)、坂口 豪 2)、 小笠原聖悟 3) 1) セナ動物病院、2)そよかぜ動物病院、3)アイデックス ラボラトリーズ株式会社 1.はじめに:非再生性免疫介在性貧血(以下 NRIMA)は 多染性赤血球以前の赤芽球系細胞成熟ステージにおける免疫 学的破壊に関する疾患で末梢血では非再生性貧血を呈する血 液疾患である。今回我々は元気・食欲の低下と外陰部からの 悪露を主訴に来院した犬を NRIMA と診断し各種免疫抑制 剤による治療の効果を検討した。 2.材料および方法:3 歳 8 ヵ月齢、未避妊雌の L・レトリバー 3.結 果:一般身体検査:体温 38.2℃、可視粘膜蒼白、意 識レベルは正常。血液検査:PCV 8.1%で末梢血再生像をほ とんど認めず。クームス試験:37℃、4℃共に陽性。腹部超 音波検査:妊娠胎子とその心拍動を認めた。これらの検査結 果より第 1 病日に全血輸血を含む各種治療を実施。輸血後一 般状態は改善するも徐々に貧血悪化のため第 8 病日全身麻酔 下にて帝王切開、子宮卵巣摘出および骨髄検査を実施。帝王 切開では 9 頭胎子を摘出うち 5 頭生存 4 頭死亡であった。骨 髄検査:赤芽球系造血細胞をやや多く認め線維化や感染性病 原体や腫瘍性変化は認めなかった。各種臨床検査所見より 本症例を NRIMA と診断。治療は術後よりプレドニゾロン を 1 mg/kg/ 日で開始、副作用をかなり強く認めため徐々に 減薬、第 200 病日からは完全休薬した。アザチオプリンは第 43 病日より 0.95mg/kg/ 日で投与開始、途中増量するも第 136 病日からは休薬した。シクロスポリンは第 130 病日より 10.2mg/kg/ 日で投与開始、副作用が強く出たため徐々に減 薬、第 304 病日より 2.7 mg/kg/ 日とした。患犬は術後より 食欲が戻り元気も徐々に回復した。PCV 値は術後一時的減 少を認めたものの徐々に改善、第 49 病日には 33.4%まで回 復、その後も非再生性ではあるものの現在(第 436 病日)シ クロスポリンのみによる治療で 37%となっている。 4.考察および結語:NRIMA の治療は免疫抑制療法が適応 となるが獣医領域におけるエビデンスは乏しいのが現状であ る。今回の症例はプレドニゾロン、アザチオプリン、シクロ スポリンで治療し、ある程度の効果が得られた。また今回の 症例は妊娠末期という特殊な状況の下、使用する薬剤には細 心の注意を払う必要があった。帝王切開後、子宮卵巣の全摘 出を実施し術後より開始した免疫抑制療法により貧血の改善 が認められたことは大変興味深いところである。 ― 53 ― 演題番号:C5 猫の虹彩黒色腫 2 例の画像所見 ○北村憲彦 1)、長谷川貴史 1)、西村 紳 1)、嶋崎 等 1)、嶋田照雅 1)、藤井裕介 2) 1) 大阪府大、2)アセンズ動物病院 1.はじめに:猫の虹彩黒色腫(Feline iridal melanoma:FIM) では、当初小さく平坦であった虹彩の色素沈着部位が数ヶ月 〜数年にわたって大きくなるとともに同部の虹彩肥厚が認め られるようになる。診断はこの特徴的臨床所見から下される ことが多く、FIM の画像診断所見に関する情報は限られて いる。今回、我々は臨床的に FIM と診断した猫 2 例に対し て超音波生体顕微鏡(UBM)検査もしくは MRI 検査を実施 したのでその概要を報告する。 2.材料および方法:症例 1 は、雑種、避妊雌、2 歳で、2 ヶ 月前から左眼虹彩に認められていた黒色点状物が拡大してき たため、本学獣医臨床センターを受診した。初診時(第 1 病日) の眼科検査で、左眼(OS)の虹彩腹側部に径 2.5mm のやや 隆起する黒色斑を認めた。その他の眼科学的検査に異常は認 めなかった。FIM を疑い、第 20 病日に全身麻酔下で UBM 検査を実施した。症例 2 は、雑種、去勢雄、13 歳で、半年 前の鼻炎症状に対して行われた CT 検査時に右眼の FIM を 指摘され、眼球摘出を提示されていた。サードオピニオンを 希望して本学獣医臨床センターを受診した。初診時(第 1 病 日)の眼科検査では、右眼(OD)虹彩の外側部にび漫性の 黒色色素沈着部位を認めた。その他の眼科学的検査に異常 はみられなかった。第 2 病日と第 65 病日に全身麻酔下にて UBM 検査と MRI 検査を実施した。 3.結 果:症例 1 の UBM 検査で OS の虹彩色素沈着部位 が明らかに隆起していたことより FIM と仮診断し、同日に 眼球摘出術を実施した。摘出眼球の病理組織学的検査では、 虹彩における成熟色素細胞の増殖を認め、腫瘍の初期増殖の 可能性が示唆された。症例 2 の UBM 検査では、症例 1 と同 様 OD の虹彩が肥厚し、かつ MRI 検査の造影 T1 強調画像 においても OD の虹彩肥厚と造影増強効果が認められた。な お、この時の MRI 検査で脳腫瘍の存在も明らかとなった。2 回目の UBM/MRI 検査で明らかな病変の進行は確認できず、 眼球摘出の同意も得られなかった。 4.考察および結語:FIM の特徴的画像所見は、UBM 検査 での虹彩肥厚、MRI 造影 T1 強調画像での造影増強効果を 伴った虹彩肥厚であった。これら所見は FIM の早期確定診 断の一助になることが示唆されたが、病理組織学的所見との 整合性を確認するため症例を蓄積していく必要があろう。 演題番号:C6 腹腔鏡下胆嚢摘出を行った犬の 44 例 ○金井浩雄、角谷悠介、藤居彩子、後藤 充 かない動物病院 1.はじめに:人医領域では胆嚢摘出や総胆管の洗浄など胆 嚢疾患の外科処置を行う際、ほとんどの例が腹腔鏡下で行 われているが、動物医療ではまだ一般的ではない。当院では 2008 年から腹腔鏡下胆嚢摘出術に取り組んでおり、開腹手 術と比較していくつかの利点があることを報告してきた。当 院における手術成績や、現状における問題点をまとめたので 報告する。 2.材料および方法:当院で 2008 年〜 2015 年に行った犬の 腹腔鏡下胆嚢摘出術 44 例は、平均年齢 10.2 歳(1 〜 15 歳)、 平均体重 7.4kg(1.2 〜 39.4kg)、原疾患は胆嚢粘液嚢腫 19 例、 胆嚢炎 16 例、胆石症 9 例であった。手術前に黄疸を認めた ものが 11 例、すでに胆嚢が破裂していたものが 1 例存在した。 3.結 果:44 例中開腹移行が 2 例、手術中から手術後 1 週 間までの死亡(周術期死亡)は 3 例(6.8%)であった。周 術期死亡 3 例の内訳は、腹腔鏡操作に関するもの 2 例(気腹 の失宜、電気メスによる横隔膜損傷)、原因不明が 1 例であっ た。胆汁漏が認められた症例が 4 例あり、これらのうち 3 例 は腹腔内のドレナージで治療し、1 例は腹腔鏡下にて胆汁漏 出部を修復し良好に経過した。持続する黄疸や肝不全のため 術後 1 週間以降で死亡した症例が 3 例あった。 4. 考 察 お よ び 結 語: 胆 嚢 摘 出 術 は、 周 術 期 死 亡 率 20 〜 40%といわれている。その理由は、手術侵襲が高いこと、癒 着が重度な症例では胆嚢管周囲の解剖が可視化しにくいた め、総胆管や肝管を損傷するリスクがあることなどが考えら れる。我々の症例でも、治療開始時期が遅くなるほど、手術 の難易度が高くなり、合併症の発現が増加し、死亡率が上昇 すると推察された。しかし、開腹手術による胆嚢摘出は侵襲 が強いこと、死亡率が高いことなどの理由により、クライア ントに早期に手術を勧めることが難しく、漫然と長期にわた る内科治療行い重症化してしまい適切な手術時期を逃してい る現状もある。腹腔鏡で胆嚢摘出を行うことで、局所を可視 化できる利点は大きく、的確に処置を行うことで合併症が軽 減すると思われた。また、回復までの期間が短く、腹部の傷 が小さいため、クライアントにも受け入れやすいと考えられ る。その結果、早期治療が可能になるため、周術期の死亡率 低下に貢献できると思われた。しかしながら、開腹手術に比 べ技術的に難しく、初期には腹腔鏡独自の合併症も見られた ため、的確な手技と手術法の定型化が不可欠と考えられた。 ― 54 ― 演題番号:C7 ヒト免疫グロブリン製剤により臨床症状の改善が認められた難治性多形紅斑の犬の1 例 ○中田美央、福岡 玲、梅下雄介、築澤寿栄、舛方祐子、安田和雄 安田動物病院 1.はじめに:犬の多形紅斑は主に皮膚に遠心性に広がる環 状ないし標的状の紅斑や、丘疹・局面形成を特徴とする疾患 であり、ときに粘膜皮膚境界部や口腔内にびらんが認められ ることもある。さまざまな抗原に対する細胞介在性過敏反応 と考えられており、これまでに薬物や感染症、食物、腫瘍な どの関与が示唆されてきたが、その病因については不明な点 が少なくない。多くの場合、関与が疑われる物質や疾患の除 去、あるいは免疫抑制剤の投与により良好な反応を示すこと が知られている。今回、寛解維持が困難であった難治性多形 紅斑の犬に対して、ヒト免疫グロブリン製剤の投与(IVIg) を行った結果、臨床症状の改善を認めたのでその治療経過に ついて検討を行った。 2.材料および方法:症例は既往症に、両心不全、化膿性肉 芽腫、前十字靭帯断裂を持つ 14 歳齢、避妊雌の雑種犬である。 前十字靭帯断裂の保存療法のため、NSAIDs を内服中に腹部 に境界明瞭な環状紅斑、足底を含む四肢や耳介部、口腔内に びらんが発現し、元気、食欲も減退した。皮膚病理の組織学 的検査では、細菌の感染は認められず、角化細胞壊死を伴う 境界部皮膚炎が観察されたため、臨床症状と合わせて多形紅 斑と診断した。 3.結 果:関与が疑われた NSAIDs などの薬剤を中止する とともにプレドニゾロン(2-4mg/kg/day po)の投与を実施 したところ、一般状態は改善したが、皮膚症状の改善は認め られなかった。第 78 病日、プレドニゾロンの副反応と考え られる肝数値の著増と肝腫が認められたため、IVIg(0.5mg/ kg)の実施と同時にプレドニゾロンの漸減およびシクロス ポリン(10mg/kg/day po)の投与を開始した。IVIg 実施 1 週間後には皮疹は改善傾向を示し、第 150 病日まで良好に経 過した。 4.考察および結語:IVIg は人医療において感染症や自己免 疫疾患の治療に用いられ、犬においても主に自己免疫疾患の 治療に有用であることが知られている。本症例では、難治性 の多形紅斑に対して IVIg の単回実施によって、臨床症状の 改善が認められ、プレドニゾロンの減量に成功した。多形紅 斑に対する IVIg の有用性も報告されているが、その報告数 は非常に少なく詳細は不明である。今後、その投与量や、投 与回数、また、再発時の再導入についてさらに検討を加える 必要があると考えられた。 演題番号:C8 若齢で発症した退形成性希突起膠細胞腫に対して放射線治療および抗癌剤治療を実施したフレンチ・ブルドッグの1例 ○中本裕也 1)5)、森 崇 2)、内田和幸 3)、福永大督 4)、長谷川裕基 1)、植村隆司 1)、松永 悟 5)、小澤 剛 6) 1) 6) KyotoAR 獣医神経病センター、2)岐阜大、3)東大、4)クレア動物病院、5)日本動物高度医療センター、 おざわ動物病 1.はじめに:希突起膠細胞腫や星状膠細胞腫などの神経膠 腫は、犬で好発する頭蓋内腫瘍である。神経膠腫は、その発 生部位や脳実質への浸潤のために放射線治療(RT)や抗癌 剤治療(Chemo)で治療されることが多い。しかし、その 概要の報告は限られており、いまだ治療に対する反応や経過 などは不明瞭である。これは、MRI 検査の普及によって脳 腫瘍と診断される機会が増加して治療が実施されるものの、 外科的治療を除いてその病理組織学的評価を最終的に実施で きる機会が限られているためと考えられる。今回、安楽死後 に病理組織学的検査で退形成性希突起膠原細胞腫および髄膜 播種と診断された RT および Chemo を実施した若齢のフレ ンチ・ブルドッグ(F・ブルドッグ)に遭遇したため、その 概要に関して検討した。 2.材料および方法:症例は 2 歳 6 ヵ月齢の F・ブルドッ グ、未去勢オス、体重 12kg で、てんかん発作を主訴にか かりつけ医を受診した。その後、頭蓋内疾患の精査のため、 KyotoAR 獣医神経病センターへ来院した(第 1 病日)。頭 部 MRI 検査では左側梨状葉領域に信号強度異常が認めら れ、画像所見から神経膠腫と診断した。その後、RT および Chemo を開始した。RT は第 66 病日に終了した。 3.結 果:第 136 病日に実施した頭部 MRI 検査では、腫瘍 の消退が認められた。Chemo は、同量で 4 週間毎の投与が 継続された。第 273 病日頃よりてんかん発作が認められるよ うになった。第 312 病日に実施した頭部 MRI 検査では、左 側間脳領域・左側梨状葉領域・広範囲の髄膜に信号強度異常 が認められた。第 356 病日に安楽死が実施され、病巣は病理 組織学的に退形成性希突起膠細胞腫・髄膜播種・脳壊死と診 断された。 4.考察および結語:F・ブルドッグは神経膠腫の好発犬種 であり、若齢であっても脳腫瘍を鑑別疾患に加える必要性が 再確認された。退形成性希突起膠細胞腫に対する治療として RT は有効であると考えられたが、Chemo による有効性は 不明確だった。本症例の経過から、退形成性希突起膠細胞腫 では治療への反応が認められた場合であっても当初の腫瘍存 在部における再発のみならず、髄膜播種する可能性を十分に 考慮する必要性があると考えられた。また、病理学的裏付け が取れていない類似症例にも同様の事象の発現が推測される ため、その病態を説明する一助になると考えられた。 ― 55 ― 演題番号:C9 成長期の犬の軸椎骨折に単独椎体プレート固定を行った 1 例 ○木村太一、杉山祐一郎、小山田希充、尾形真佑、中川恵里香、長谷川哲也 加古川動物病院 1.はじめに:軸椎(C2)骨折は交通事故等の大きな外力が 加わった際に認められるまれな疾患である。保存的治療と外 科的固定が用いられるが、多くの場合、複数椎体を外科的に 固定する手術が行われている。我々は、未成熟犬の C2 椎体 骨折に対してチタン製ロッキングプレート(ALPS5;KYON、 スイス)を用いて椎体の単独固定を実施し、良好な結果を得 たためその経過を検討した。 2.材料および方法:雑種犬、4 か月齢、未避妊雌、体重 5. 1kg、脱走・帰宅後に部位不明の疼痛発症を主訴として近医 を受診し、単純 X 線検査で C2 の変位を認めたため当院を紹 介来院された。初診時は起立可能であったが頸部痛と四肢の 固有知覚反応の低下を認め、CT 検査において遠位骨片の背 側変位を伴う C2 椎体骨折であることが判明した。第 3 病日 には進行性に固有知覚反応障害性の運動失調を示したため、 3D 計測値をもとに形状成形した ALPS プレートを 2 枚滅菌 準備し、C2 椎体腹側左右に設置した。 3.結 果:第 6 病日には固有知覚反応が正常化し、第 28 病 日には単純 X 線検査において骨折線が消失して第 39 病日に は外固定を取りはずした。第 41 病日に頭側で椎体腹側面か らプレートの部分的解離が認められたが、症状経過に影響は 認められず、第 66 病日の CT 検査では C2 椎体長軸長、短 軸長はそれぞれ 6.6%、8.1%伸長しており、身体検査では疼 痛や関節可動域の制限等、神経学的な異常は全く認められな かった。 4.考察および結語:未成熟犬の椎体を外科固定する場合、 成熟犬の術式では成長に伴う様々な影響が生じる可能性があ る。本症例では ALPS プレートによって単独椎体を固定す ることで骨伸長能と運動機能を完全回復することができた。 単皮質固定が可能な ALPS プレートは、生体親和性に優れ るが硬性に乏しいチタン製プレートであるため、プレート 2 枚を左右に用いることで捻転に対する抵抗性を強化し、さら に術後外固定と運動制限を併用することで癒合に十分な安定 を得たと考えられる。術後経過中のプレートの部分解離は、 不十分なプレート成形が骨成長に伴って然るべき解剖学的位 置にリモデリングされた、あるいは弱い骨把持力によるスク リュー脱落等の可能性がある。より正確に、短時間、低侵襲 で整復するために、3D プリンターを活用したレディメイド システムの構築等、今後の工夫を重ねたい。 演題番号:C10 不整脈源性右室心筋症に類似する症状を呈した猫の 1 例 ○長谷川寛 1)、吉田恭治 2)、竹本達磨 3)、横内博文 1)、多田裕治 1)、高村淳也 1)、杉田くみこ 1)、 長谷川優子、池 順子 1)2)、作野幸孝 1) 1) 奈良動物医療センター、2)吉田動物病院、3)きづ川動物病院 1.はじめに:不整脈源性右室心筋症(以下 ARVC)では、 右室心筋の線維脂肪組織性置換によって右室の拡張と収縮性 低下をきたし、右心不全や不整脈の発生をみる。今回、治療 経過中に貧血を呈した ARVC の罹患を疑う猫を治療する機 会を得たので、その経過を検討した。 2.材料および方法:症例はアメリカン・ショートヘア、 11 歳、 去勢済み雄。元気消失と呼吸促迫を主訴として来院した。血 液検査にて腎数値の上昇および低 K 血漿がみられた。X 線 検査で心拡大は認められず、心エコーにて右心系の軽度の拡 張を認めた。心電図検査では多源性の心室頻拍(以下 VT) を認めた。各検査所見から ARVC と仮診断した。 3.結 果:第 1 病日は K 添加静脈内輸液およびジルチアゼ ム(2μg/kg/min iv)投与を開始した。第 2 病日には心電 図波形が正常化し、ジルチアゼムを 2.5mg/kg TID PO に変 更した。第 4 病日に心発作と思われる虚脱を呈した。心電図 検査にて心室期外収縮(以下 VPC)の頻発を認めたためジ ルチアゼム(3μg/kg/min iv)を再開した。第 5 病日には 心電図検査で再度波形が正常化した。この時点で心筋炎の可 能性も考慮しプレドニゾロン 1mg/kg BID PO にて投与開始 した。第 6 病日には心電図波形が正常化し、再度ジルチアゼ ムを 2.5mg/kg TID PO に変更したところ、これ以降心電図 検査で不整脈が起きることはなかった。第 28 病日の血液検 査にて HCT:13.2% と貧血が認められた。血液塗抹検査で は非再生性貧血と診断され、ヘモプラズマ感染も陰性であっ た。第 30 病日には HCT が 9.8% まで低下し、輸血とプレド ニゾロンの増量(2mg/kg BID)を実施した。第 41 病日は HCT:14.1% であり、現在、経過観察中である。 4.考察および結語:本症例は心電図検査にて顕著な VT を呈し、心エコーにて右心系がやや拡張していたことから ARVC の罹患を疑い治療することとした。VT に対してはジ ルチアゼムの静脈内投与を実施したところ、不整脈が消失し たが、経口投与にすると再発が認められた。そこで、ARVC 罹患患者では心筋炎併発が多いとの報告もあることから、プ レドニゾロンを併用した。その結果、不整脈のコントロール を経口薬のみで可能となったため、本症例においても心筋炎 があったと推測される。 ― 56 ― 演題番号:C11 橈骨神経断裂を併発した上腕骨遠位粉砕骨折の猫の 1 例 ○戸次辰郎、宇根 智、川田 睦 ネオベッツ VR センター 1.はじめに:上腕骨骨折や不適切な手術アプローチにより、 撓骨神経麻痺は発生することがある。神経線維単独の断裂で は、数週間から数ヶ月で改善することが知られているが、神 経断裂の場合自然回復は困難である。今回、橈骨神経断裂を 併発した上腕骨遠位粉砕骨折を罹患した猫を治療し、良好な 結果が得られたため報告する。 2.材料および方法:日本猫、去勢済み、5 歳 2 カ月齢。自宅 より脱走し、発見時に左前肢跛行を認め、近医で上腕骨骨折 の診断のもと、外科治療を実施した。食欲元気が無く術創の 改善が認められないため、初回手術 15 日後に当施設に紹介来 院した。体重 4.3kg、体温 38.8℃、左前肢はナックリングし、 左側外側上腕骨骨幹中央部から肘頭やや遠位にかけて切開創 を認めた。遠位術創は開放し、ピンが目視可能であった。橈 骨神経損傷を疑う開放骨折と診断し、以下の治療計画を立案 した。初回手術時に、残存インプラントの抜釘、橈骨神経の 確認、洗浄後ドレーン留置、骨折領域を含むように肘関節に 一時的関節固定術を実施し、排液減少が確認された時点で 2 回目手術として関節固定の除去と同時に内固定を計画した。 3.結 果:当施設初回手術時、橈骨神経断裂を確認したた め、神経断端を約 2.0mm トリミング後 6-0PDS Ⅱにて神経 上膜を縫合した。洗浄後ドレーンを留置し、創外固定で一時 的関節固定を実施した。術後 6 日目に一時的創外固定を除去 と同時に、肘頭骨切術にてアプローチして LCP1.5 を用いて 内固定を実施した。内固定術後 1 週でナックリングが改善し はじめ、術後 12 週で正常歩行となり、骨折治癒も確認した。 4.考察および結語:末梢神経は、1 日におよそ 1.0mm 再生 することが知られている。神経鞘を含む神経線維の完全断裂 時には神経上膜を縫合し、再生環境を維持することができれ ば、機能回復することが知られている。今回、橈骨神経遠位 および近位断裂部を約 2mm 切除し新鮮創としたため、肘関 節可動時に縫合部に張力が加わっていた。しかしながら、結 果的に安定した再生環境が存在したと考えられるが、その要 因として、開放骨折に用いた創外固定による一時的関節固定 が、 初期の縫合部の張力を緩和したためと考えられた。また、 解剖学的整復が不可能な遠位粉砕骨折に対して、強固な内固 定を行い、早期のリハビリテーション環境が作れたことも機 能回復に貢献したと思われた。 演題番号:C12 斜頸を示したウサギにおける耳構造の CT 画像診断による検討 清水茉莉香、○瀬戸絵衣子、藤田大介、佐々井浩志 北須磨動物病院 1.はじめに:ウサギにしばしば認められる斜頚は眼振や平 衡障害などの前庭症状を突発的に呈し、重症例では採食不能 や起立不能、突然死を引き起こす疾患で、要因としては内耳 の細菌感染に伴う末梢性変化や Encephalitozoon cuniculi の 小脳感染による中枢性変化が示唆されている。今回、斜頸を 示したウサギ 10 症例で CT 検査を実施したところ、興味あ る所見を得たので詳細を報告する。 2.材料および方法:斜頚を呈したウサギ 10 症例。年齢は 7 ヵ 月〜 9 歳 3 ヵ月。CT 検査は R_mCT2(リガク社製、東京) を使用し、管電圧 70kV、電流 160μA、FOVφ30x24H 〜φ 73x60H にて撮影した。ブトルファノール、ミダゾラム、メ デトミジン混合注射麻酔を実施し、画像再構成は標準装備ソ フトウエアを用いて実施した。 3.結 果:撮影時の FOV サイズはφ73x60H が両側の同時 評価に、FOVφ30x24H が内耳構造の詳細観察に適していた。 10 症例中 6 症例で外耳道の滲出物による閉塞を認め、うち 4 症例では中耳内の滲出の併発を、2 症例では内耳・前庭にお ける微小構造の崩壊の併発が確認された。内耳構造の変化は 時間の経過と共に進行することが確認された。CT 検査で異 常が認められなかった 4 症例を含めて継続観察中である。 4.考察および結語:斜頚を示したウサギの耳道検査におい て、CT 検査は外耳道から中および内耳に至る構造の詳細な 描出が可能であったことから、本疾患を評価する際の画像診 断情報としての有用性が見出された。CT 検査上で異常を認 めた全 6 例では、ウサギの細い外耳道内に分泌物が充満し、 内視鏡による外耳道内の評価を困難にしていたが、CT 検査 では外耳から内耳の詳細な構造の評価を可能にした。CT 検 査上で構造異常が認められなかった 10 例中 4 例の原因は未 確定で、CT 検査の検出限界を超える内耳や前提の障害、あ るいは小脳病変の関与が推察された。CT 検査で得られた所 見と臨床症状との相関性に関しては明確でないものの、本調 査結果はウサギの斜頸の原因究明をはじめ、小動物の耳鼻科 領域の臨床診断における CT 検査の有用性を示唆しており、 今後さらに症例を重ねて局所構造の変化の評価法の確立と病 態のさらなる解明、治療方針の判断材料に繋げたい。 ― 57 ― 演題番号:C13 臨床現場における犬の TAT 測定の有効性の検討 ○福岡 玲、中田美央、梅下雄介、築澤寿栄、舛方祐子、安田和雄 安田動物病院 1.はじめに:播種性血管内凝固症候群(DIC)は、様々な 原因により全身の細小血管内に汎発性の血栓形成により多臓 器不全をきたし、死に至る可能性の高い非常に危険な病態で あり、早期にその兆候を検出する事が望ましい。獣医学領域 における DIC の診断は、基礎疾患の存在に加え、血小板数 の減少、FDP の上昇や PT または APTT の延長を指標とし ているのが現状である。一方、近年人医学領域においてトロ ンビンアンチトロンビン複合体(TAT)が DIC を含む血栓 塞栓症の早期診断マーカーとして測定されている。今回我々 は、TAT をリアルタイムで測定可能な機器を用いて、犬の TAT 測定の基礎的な検討を行うとともに、血液凝固亢進傾 向を示すと考えられる症例の TAT を測定し、犬の TAT 測 定の有効性の検討を行った。 2.材料および方法:TAT の測定は、CLEIA 法を測定原理 とする LSI メディエンス社製のパスファースト® を用いて 行った。まず抗ヒトトロンビン抗体と抗ヒト AT Ⅲ抗体を 用いた本測定系で犬の TAT が測定可能か検討するために TAT が著しく高値を示した犬の検体を用いた希釈試験を行 い、犬の TAT 測定が可能な濃度範囲を検討した。さらに血 液凝固が亢進すると報告されている基礎疾患を持つ犬 3 例に ついて継時的に TAT を測定し、その他の臨床検査結果との 比較検討を行った。 3.結 果:希釈試験で得られた、TAT 濃度と希釈倍率と を 2 変数とした回帰直線では、TAT 濃度 0.036 〜 15ng/ml の範囲において r2 = 0.9992 という非常に高い決定係数が得 られた。原疾患の治療に良好に反応した 2 症例では TAT の 低下が認められ、FDP および D ダイマーの低下も認められ、 一般状態の改善が認められた。原疾患の治療の反応が乏し かった 1 症例では TAT は高値を示し続け、FDP および D ダイマーは上昇傾向を示し、最終的には DIC による多臓器 不全で死亡した。 4.考察および結語:希釈試験の結果から、本測定系で広範 囲の濃度の犬の TAT が測定可能であることが強く示唆され た。また、TAT を測定した症例の結果から、TAT のリア ルタイム測定により DIC や血小板数の減少が認められない Pre DIC の検出が可能であると考えられた。また、TAT を 継時的に測定することで、TAT を上昇させる基礎疾患に対 する治療の反応を評価することが出来ると考えられた。 演題番号:C14 犬の原発性緑内障に対して隅角インプラント術を実施した 11 例の回顧的検討 ○萩 清美 1)、辻田裕規 2)、西峯健介 1)、下茂悠作 1)、疋田哲也 1)、齋藤 遥 1)、髙智正輝 1)、 佐藤 遼 1)、中川正徳 1)、小山田和央 1)、井上理人 1) 1) 松原動物病院、2)動物眼科専門クリニック 1.はじめに:犬の緑内障は不可逆的な失明を引き起こす疾 患であり、視覚の維持と回復ならびに眼疼痛を抑えるために は早期の診断と治療が必要である。昨今の緑内障の治療には 毛様体凝固術のような房水産生を減少させる方法と線維柱帯 切除術や隅角インプラント術(Gonioimplants:GI)のような 房水流出を促進する方法がある。GI は前房内にインプラン トチューブを挿入し、房水の排出路を設けることで正常眼圧 を保つことを目的とする。近年では米国ならびに本邦でも視 覚の維持の見込める原発性緑内障眼に対する外科的治療にお いて第一選択となりつつある。今回我々は原発性緑内障に対 して GI を実施した 11 症例における成績ならびに合併症な どに関する回顧的検討を行った。 2.材料および方法:症例は 2013 年から 2015 年の約 3 年間 で松原動物病院に来院し、視覚維持もしくは回復の見込みの ある原発性緑内障と診断された 11 症例。使用したインプラ ントは The AhmedTM Glaucoma Valve(CARATM Life, Inc.) である。 3.結 果:11 症例中、視覚維持を認めた症例は 7 症例、術 後に合併症を発症し義眼挿入術に移行した症例は 3 症例、眼 圧のコントロールは可能であったが視覚の回復が認められな かった症例は 1 症例であった。 4.考察および結語:原発性緑内障における GI の有用性が 示されたが、術後の合併症によって眼圧や視覚の維持が困難 であった症例も認められた。GI の術後成績には、手術手技、 手術の適応時期、基礎疾患の有無、犬種および犬の性格など が関与すると考えられる。GI は線維柱帯切除術等の術式と 比較すると手技が容易で、前房内の操作もなく、虹彩切除も 必要としないために、術後の合併症の軽減が期待される術式 である。しかし未だ本邦での犬の GI に関する報告は少なく 手術成績は明らかになっていない。今後本邦におけるデータ を報告することでインプラントチューブの形状や素材の開発 が進み、さらに安全で優れた手術に発展していくことが期待 される。 ― 58 ― 演題番号:C15 猫の非ノミ性非食物性アレルギー性皮膚炎にアレルミューンHDMを用いた1 例 ○中嶋美記 1)、下浦宏美 2)、平岡文信 3)、堀中 修 1)、門屋美知代 4)、池 順子 5)、横井愼一 6)、関口麻衣子 7)、岩﨑利郎 8) 1) 5) ファーブル動物医療センター、2)もみの木動物病院、3)南大阪動物医療センター、4)かどやアニマルホスピタル、 奈良動物医療センター、6)泉南動物病院、7)(株)アイデックスラボラトリーズ、8)VetDerm Osaka 1.はじめに:猫の非ノミ性非食物性アレルギー性皮膚炎は、 犬のアトピー性皮膚炎に相当するとも考えられるが確立した 診断基準がない。治療はステロイドやシクロスポリン、減感 作療法などがあげられ、減感作療法は猫でも根本治療として 期待できる。しかし現時点で明確なプロトコールがないた め、一般臨床医は選択しづらい治療法である。そこで今回は 1 例の猫に犬のアトピー性皮膚炎の治療に使用されるアレル ミューン HDM を用いて治療したところ良好な経過を得られ たので報告したい。 2.材料および方法:症例はソマリで 3 歳齢の避妊雌、完全 室内飼育である。生後 4 カ月齢より頭頂部に瘙痒を伴う皮膚 炎がみられた。ステロイドの投与で改善し、その後はシクロ スポリン 7 mg/kg で維持していたが、2 歳齢より悪化した。 その後はシクロスポリンの内服に加え、抗生剤、外用薬、ノ ミ予防薬を使用したが反応が乏しく、痒みが強いとのことで 来院された。初診時、頭頚部および左右腋窩に掻破による発 赤、脱毛、びらん・潰瘍がみられ、細胞診では球菌の貪食を 伴う変性好中球が多数みられた。皮膚掻爬試験は陰性で、一 般血液検査では好酸球数が増加していた。これらより、非ノ ミ性非食物性アレルギー性皮膚炎と続発性細菌性皮膚炎を疑 い、セフォベシンナトリウム 8 mg/kg の投与とシクロスポ リン 10 mg/kg SID の内服を 4 週間行った。同時に低分子プ ロテインのみを 6 週間与えて反応をみたが、皮膚病変はやや 改善傾向を示すものの瘙痒は変わらなかった。皮内反応試験 でハウスダストマイト抗原に陽性反応を示したため、アレル ミューン HDM による減感作療法を実施することにした。犬 と同様、週に 1 回、6 段階の投与を行い、効果を判定した。 3.結 果:2 回目の投与後に頚部腹側のびらん部分の縮小 がみられ、4 回目の投与後には肩峰部の発赤・脱毛の改善が みられた。さらに 6 回目の投与後には瘙痒の軽減が認められ たため、本治療は有効と判断し、月に 1 回の 10μg 液の投 与を継続している。 4.考 察:本症例の結果から副腎皮質ホルモンおよびシク ロスポリン投与に反応が乏しい猫のアレルギー性皮膚炎に 対してアレルミューンの効果が期待できた。皮内反応試験や IgE 検査でハウスダストマイトに陽性の症例に対しては今後 も使用を考慮し、猫での治療の指針を検討したい。 演題番号:C16 健康な家庭犬におけるトキソプラズマとネオスポラに対する抗体保有状況 ○相馬武久 1)、今本成樹 2)、長谷隆司 3)、加藤 玲 4)、砂川一浩 5)、尾原正和 6)、玄 学南 7) 1) 6) マルピー・ライフテック、2)新庄動物病院、3)姫路エルザ動物病院、4)アイリス動物病院、5)砂川犬と猫の病院、 おはら動物病院、7)帯畜大 1.はじめに:犬におけるトキソプラズマ症とネオスポラ 症 は そ れ ぞ れ Toxoplasma gondii (Tg) 及 び Neospora caninum (Nc)の感染による代表的な神経系疾患で、犬は Tg の中間宿主、Nc の終宿主となりうる。また、トキソプ ラズマ症は人獣共通感染症の一つでもある。本研究では近年 の日本での両原虫感染の疫学を知る一助として、健康犬に対 して両原虫の抗体調査を実施した。 2.材料および方法:2014 年 3 〜 8 月に奈良県、和歌山県、 兵庫県、香川県の一般家庭の臨床上健康な犬 1,979 頭の血 清を供試した。抗体検査は大腸菌組み換え TgSAG2 及び NcSAG1 抗原を用いた ELISA により実施し、大腸菌 GST(陰 性抗原)の OD 値との差を ELISA 値とした。カットオフ値 の設定には SPF 犬 197 頭の血清を用いた。2 群間の陽性率 はχ二乗検定で比較し、p < 0.05 を有意差ありとした。 3.結 果:SPF 犬の ELISA 値の平均 +3 ×標準偏差をカッ トオフ値(Tg、Nc それぞれ 0.153、0.095)とし、この値以 上を抗体陽性とした。全体の陽性率は Tg、Nc それぞれ 7.0%、 4.2% であった。年齢別検討では、両原虫とも加齢に伴う陽 性率の顕著な上昇が観察された。しかし、1 歳未満(n=45) において Tg では全て陰性であったが、Nc では 5 例(11.1%) の陽性例が観察された。飼育環境別と品種別では、Tg は 屋外飼育と雑種で有意に高い陽性率であったが(それぞれ 11.0%,11.3%) 、Nc では両項目とも有意差は示されなかった。 地域別では Tg は和歌山県で有意に高く(18.9%) 、兵庫県で 有意に低い(4.9%)陽性率であったが、Nc については地域 差が見られなかった。 4.考察および結語:見かけ上健康であっても Tg、Nc に感 染している犬が少なからず存在していることが判明した。そ して、Tg の陽性率が屋外飼育と雑種で高い成績は Tg の感 染リスクが屋外で高いことを示している。また、1 歳未満 で 11.1% の Nc 陽性例が確認された成績は Nc では経胎盤感 染の頻度が高いことを示すものと思われる。さらに、Tg の 陽性率で地域性が見られたのに対して Nc では差が見られな かった。本研究で得られた知見は犬における両原虫の疫学に 顕著な違いがあることを示しており、犬での両原虫症の対策 のために更に詳細な調査が必要と考える。 ― 59 ― 演題番号:C17 頸髄領域に発生した脊髄腫瘍の犬 5 例 ○坪居穏佳 1)、寺田康介 1)、杉山慶樹 1)、柴橋彩美 1)、嶋崎 等 2)、井尻篤木 1) 1) アツキ動物医療センター・滋賀県、2)大阪府大 1. はじめに:脊髄腫瘍は臨床的に硬膜外、硬膜内髄外腫瘍、 髄内腫瘍に分類され、犬に発生する硬膜内髄外腫瘍において 最も多いのは髄膜腫と神経鞘腫である。また、犬の原発性脊 髄腫瘍のうち、最も発生率が高いのは髄膜腫であり、頸部に 多いことが報告されている。今回、我々は頸髄領域に発生し た脊髄腫瘍の犬 5 例に対して、MRI、術中および病理組織検 査所見について比較検討した。 2. 材料および方法:症例は 2013 年 4 月~ 2015 年 5 月まで に MRI にて頸髄の硬膜内髄外腫瘍と診断し、摘出手術を行っ た犬 5 例を対象とした。初診時の年齢は 10.2 ± 3.0 歳齢、性 別は雄 3 頭、雌 2 頭、犬種はミニチュア・ダックスフンド 2 例、 柴犬 2 例、雑種犬 1 例だった。手術は鏡視下で行い、マイク ロ器具を用いて、脊柱管内の腫瘍を可能な限り摘出した。 3. 結 果:腫瘍は髄膜腫 3 例、悪性末梢神経鞘腫 2 例であ り、局在は C1-C3 領域が 3 例(すべて髄膜腫)、C4-C6 領域 が 2 例(ともに悪性末梢神経鞘腫)であった。髄膜腫の 3 例 のうち 1 例において術後 1 年 5 か月で MRI において腫瘍の 再発が認められ、残る 2 例は現在も経過観察中である。悪性 末梢神経鞘腫の 2 例のうち、1 例は術後 22 日で死亡し、も う 1 例は術後 118 日で死亡した。MRI において髄膜腫は Gd 造影 T1 強調像で均一に造影増強され、悪性末梢神経鞘腫は 不均一に造影増強された。術中所見として、髄膜腫群は一部 以外、鈍性に剥離することで摘出できたが、神経鞘腫群は正 常組織への浸潤が強いため、ほとんどの部位でマイクロ剪刀 での切開が必要であった。病理組織検査所見として、髄膜腫 は円形~多角形、あるいは紡錘形の細胞が渦巻き状や乳頭状 の増殖を認め、異型度は軽度~中程度であり、核分裂像は稀 であった。一方で、悪性末梢神経鞘腫は紡錘形細胞が束状に 増殖しており、核は楕円形から紡錘形と様々で、大小不同、 核分裂像が散見され、一部は脊髄組織にび漫性に浸潤する像 が観察された。 4. 考察および結語:頸髄領域の髄膜腫と悪性末梢神経鞘腫 は術中所見と病理組織所見が合致し、臨床的挙動が異なる だけでなく、MRI 所見においても異なることが示唆された。 今後はさらに症例数を蓄積し、術前の MRI による髄膜腫と 悪性末梢神経鞘腫の鑑別診断が可能であるかさらなる検討が 必要である。 演題番号:C18 広範な腹筋欠損を呈した猫の 1 例 ○園山順子 1)、島村俊介 1)、西村 紳 1)、桑原 崇 2)、舟橋好子 2)、嶋田照雅 1) 1) 大阪府大・獣医臨床センター、2)和歌山動物医療センター西川動物病院 1. はじめに:腹壁ヘルニアは、先天的あるいは後天的な腹 壁の脆弱部または欠損部から腹腔内臓器が脱出した状態をい う。多くは腹壁の腫脹により発見され無症候であるが、腹壁 欠損部から脱出した臓器に絞扼・嵌頓が生じた場合には症状 を呈する。そのため、症状の有無に関わらず腹壁の修復が行 われる。今回、腹壁を構成する筋群に広範な欠損を呈し脆弱 化した腹腔隔壁に対し、合成メッシュを用いた腹壁修復術を 実施した猫の症例について検討した。 2. 材料および方法:雑種猫、推定 10 歳齢、未避妊雌、体 重 3.3kg、約 1 年前に保護。頻回の発情と頸部腫脹を主訴に 近医を受診し、精査を目的に本学獣医臨床センターに来院し た。初診時、喉頭付近皮下の硬結性腫瘤と下後腹部の軟性膨 隆を触知した。レントゲン検査にて、頸部に X 線不透過性 の腫瘤塊、および下後腹部腹壁ラインの消失、膀胱と小腸の 体腔外への脱出を認めた。Tru-cut 生検による頸部腫瘤の病 理組織診断は悪性リンパ腫であった。下腹部の膨隆は、腹腔 内臓器の脱出によるものであることは確認されたが、腹壁 自体が極めて柔軟で、腹壁の孔を確認するのは困難であっ た。第 20 病日、卵巣・子宮摘出術と同時に、合成メッシュ (PROLENE Soft®)を用いた腹壁修復術、および頸部リンパ 節生検を実施した。 3. 結 果:下腹部を正中切開し、皮下組織と腹壁筋膜に癒 着様の固着が認められた。腹部正中やや左側を中心に外・内 腹斜筋、腹直筋、腹横筋筋組織はほぼ消失し、半透明の膜様 組織が腹壁を構成していた。また、右側鼠径部にはヘルニア 孔が存在し、腹腔内脂肪が脱出していた。常法に従い、卵巣・ 子宮を摘出後、右鼠径輪を縫合閉鎖し、下腹部全域の腹壁に メッシュを縫着した。病理診断は腹壁:筋萎縮および脂肪浸 潤、卵巣:卵巣腺癌、術後 16 日目に化学療法を開始した。 4. 考察および結語:猫と犬において筋萎縮による腹壁欠損 の報告は稀であり、本症例における下腹部腹筋の広範な欠損 の原因として、皮下の癒着が認められたことから炎症の関与 が疑われた。また、腹壁ヘルニアは多くが外傷性に発生する と言われており、本症例においても外傷により腹筋組織や末 梢神経を傷害し筋萎縮が起こった可能性が考えられた。今回、 卵巣・子宮摘出術の必要性から同時に腹壁修復術を実施し、 化学療法による下腹部腹筋の更なる脆弱化、広範な欠損部位 の縫合による腹圧上昇を懸念してメッシュを用いたが問題な く経過している。 ― 60 ― 演題番号:C19 環軸椎関節腹側固定術後に発生した脊髄空洞症に対して空洞・くも膜下腔交通術を実施した超小型犬の1例 ○澤木和貴、田村昌大、王寺 隆、宇根 智、川田 睦 ネオベッツ VR センター 1.はじめに:脊髄空洞症は、先天的あるいは後天的要因に より脊髄内に空洞が生じた状態であり、空洞内には脳脊髄液 と同様の液体が満たされている場合が多い。空洞の進行性拡 張や有症状の場合、脊髄圧迫軽減目的で薬物治療や手術が実 施される。今回、脊髄空洞症と診断した超小型犬に対して空 洞・くも膜下腔交通術(S-S シャント術)を実施し、画像評 価を含めて検討した。 2.材料および方法:症例はトイ・プードル、5 歳 4 ヵ月齢、 体重 1.1kg の去勢雄。1 歳 6 ヵ月齢時に環軸椎不安定症(AAI) 、 脳室拡張、軽度の後頭骨後部形成不全症候群(COMS)と診 断、AAI に対して環軸椎関節腹側固定術(A-A 固定術)実 施の既往歴を持つ。術後 46 ヶ月間は安定状態を維持してい たが、四肢 UMNs を伴う急性四肢不全麻痺の為、MRI・CT を実施した。MRI では、脳室拡張・COMS 共に顕著な経時 的変化に乏しく、原因病変を C1-C4・C7-T2 を中心とする脊 髄空洞症と判断し、S-S シャント術を計画した。 3.結 果:脳神経外科手術用顕微鏡下にて C2-C3 硬膜を露 出、中心管拡張を伴う脊髄を視認した。硬膜およびくも膜に 各々支持糸を作製後、脊髄空洞症用シャントチューブ尾側を C3 尾側くも膜下腔に挿入、次いで C2 軟膜を切開後、チュー ブ吻側を空洞内腔に挿入した。軟膜とチューブは 8-0 ナイロ ン糸にて固定、硬膜縫合後、定法に従い閉創した。術前・術 直後・術後 8 週目の経時的 MRI では、空洞縮小を観察した。 術後 4 週目には起立位維持・自力歩行を認め、6 ヶ月経過現 在では、 四肢不全麻痺以前と同様まで臨床症状回復を認めた。 4.考察および結語:本症例の A-A 固定術後の経時的 CT で は、問題となる骨増生や脊柱管径減少も認めていないが、軽 度 COMS や A-A 固定術により髄液移動に変化を来し、約 4 年経過の結果として重度の脊髄空洞症に進展したと思われ る。その為、本症例の病態発生機序としてスロッシング説や 髄液浸み込み説を推測した。V-P シャント術や大後頭孔減圧 術なども検討したが、推測された発生機序、脳室との交通性 や空洞拡張程度を考慮した結果、S-S シャント術を選択した。 現在は良好な推移を認めるが、今後も経過観察が重要と考え る。A-A 固定術実施症例には、本症例と同様の病態が潜在 的に内在する可能性があり、術後長期観察・経時的画像精査 の必要性が示唆される。 ― 61 ― 平成 27 年度日本小動物獣医学会(近畿) ランチョンセミナー B 会場(B3 棟 117 号室) 時 間(12:00 〜 12:40) 講 演 犬のレプトスピラ症について 株式会社微生物化学研究所 矢口 和彦 座 長 大阪府立大学大学院 獣医微生物学教室 田島 朋子 協賛:株式会社微生物化学研究所 当セミナーには、弁当がつきます(先着 150 名) 犬のレプトスピラ症について 株式会社微生物科学研究所 矢口 和彦 【レプトスピラ及びレプトスピラ症】 、レプトスピラ科(Leptospiraceae ) 、レプト レプトスピラ菌はスピロヘータ目(Spirochaetales ) スピラ属(Leptosrira )に分類されるグラム陰性のらせん状菌であり、免疫学的に 250 以上の血清型 (serotype)および免疫学的に交差性が認められる複数の血清型から成る 30 以上の血清群(serogroup) に分類される。これらのうち獣医臨床上重要と考えられる血清群および血清型を表 .1 に示した。 表 .1 獣医臨床上重要なレプトスピラ血清群と代表的な血清型 望月雅美 : 小動物の感染症ノート 10 犬のレプトスピラ症 , JVM, 64, 845-848 (2011) の表 1 に文献調査成績を加筆、表題を変更 レプトスピラ症は主に齧歯類の間で維持されており、感染齧歯類の尿の直接的、間接的接触感染に よりヒトをはじめ犬、牛、豚等多種類の動物に被害をもたらす人獣共通感染症である。すなわち、レ プトスピラ症対策は動物衛生のみならず公衆衛生上も重要な課題である。 ― 65 ― レプトスピラ症(人、 他の動物を含む)の発生は日本を始め世界の多くの国/地域で認められている(図) 。 図 ヒトレプトスピラ発生事例、動物のレプトスピラ発生事例 およびヒト、動物の血清疫学の陽性事例のあった国(図中 黒色表示) レプトスピラ症とは , IASR, 29 ,5-7 (2008)の図 1 を掲載 症状としては、急性熱性疾患のみから多臓器不全(主に肝臓、腎臓)を伴う重症例まで多彩。重症 例:肝不全による DIC(播種性血管内凝固) 、急性腎不全による欠尿等では生命を脅かす。肝障害型: 黄疸を主徴とする(GOT、GPT、ALP の著明な上昇)腎障害型:尿毒症を主徴とする(尿毒症:乏尿、 無尿あるいは BUN、Cre の著明な上昇)混合型:上記の両型(黄疸、尿毒症、高 Ht 値、WBC 増加) 日本における犬レプトスピラ症(届出対象となる血清型)の発生状況は、2004 年1月~ 2012 年 11 月の間で 295 件(458 頭)が届け出られており、北海道から沖縄まで 36 都道府県と日本に広く浸潤し ている事が明らかにされている。 血清群別では 1960 年代までは Icterohaemorrhagiae 及び Canicola が多く認められていたが、その後 の疫学調査により欧米では Grippotyphosa 、Pomona 、Australis 、Autumnalis 等、また、日本では Hebdomadis 、Australis 、Autumnalis 等に対する抗体陽性例あるいはこれらの分離例が増加している。 【犬レプトスピラ症ワクチンの種類及び組成】 現在国内で製造販売承認されている犬レプトスピラ症ワクチンを表 .2 に示した。 表 .2 日本で製造販売承認されている犬レプトスピラ症ワクチン 過去に承認は得ているが現在流通が確認できない品目は除いた。 ― 66 ― ウイルスを含む混合ワクチンは 5 社で 8 品目が承認されている。これら 8 品目中レプトスピラの 2 血清型(icterohaemorrhagiae 及び canicola )を使用しているものが 5 品目、3 血清型(copenhageni、 canicola 及 び hebdomadis) を 使 用 し て い る も の が 1 品 目、4 血 清 型(icterohaemorrhagiae、 canicola、grippotyphosa 及 び pomona) を 使 用 し て い る も の が 1 品 目、5 血 清 型(copenhageni、 canicola、hebdomadis、autamu nalis 及び australis)を使用しているものが 1 品目である。 また、レプトスピラの単味ワクチンは 3 社で 3 品目が承認されている。これら 3 品目中レプト スピラの 2 血清型(icterohaemorrhagiae 及び canicola )を使用しているものが 1 品目、4 血清型 (icterohaemorrhagiae、canicola 、grippotyphosa 及び pomona)を使用しているものが 1 品目、5 血 清型(copenhageni、canicola 、hebdomadis、autamu nalis 及び australis)を使用しているものが 1 品目である。 これらワクチン中のレプトスピラ抗原には菌体外膜可溶化抗原(共立製薬)あるいは不活化全菌体 (その他の各社)が用いられている。 アジュバントの有無については、 4 品目がアジュバント〔水酸化アルミニウムゲル(ゾエティス・ジャ パン)あるいはエチレン - 無水マレイン酸コポリマー、アクリル酸 - スチレンコポリマー(共立製薬)〕 を含有しており、これ以外のものはアジュバントを含まない。 本セミナーでは日本における犬のレプトスピラ症発症例、診断、治療、流行血清型および予防につ いて具体例を交えて述べる。 ― 67 ― 平成 27 年度 日本獣医公衆衛生学会(近畿)プログラム D 会場(B3 棟 1 階 119 号室) ①開 会 の 辞(近畿地区学会長挨拶) (10:10 ~ 10:20) 三宅 眞実 ②一 般 講 演(午前の部) (10:20 ~ 11:20) D1 ~ D6 ③ 合同ランチョンセミナー(A 会場:B3 棟 116 号室) (12:00 ~ 12:40) ④一 演(午後の部) (13:00 ~ 13:50) ⑤学 拶 (14:00 ~ 14:30) 般 会 講 長 挨 D7 ~ D11 O 会場(学術交流会館 多目的ホール) 近畿地区連合獣医師大会 (15:00 〜 17:00) ⑥褒賞演題公表・講評 (17:00 〜 17:20) 各学会長 談話会会場(P 会場・学術交流会館 サロン) ⑦談 話 会 (17:30 〜 19:00) …………………………………………………………………………………………………………… 審 査 委 員 D 会 場 柴 田 直 樹(三重県) 長 石 貞 保(奈良県) 澤 英 之(滋賀県) 坂 本 広 典(和歌山県) 安 藤 明 典(京都府) 池 隆 雄(京都市) 高 橋 知 子(大阪府) 貫 名 正 文(神戸市) 福 永 真 治(兵庫県) 井 川 久 史(大阪市) …………………………………………………………………………………………………………… 1.公衆衛生学会(近畿)審査委員会会議 9:40 ~ 10:00 会場:B3 棟 2 階 210 号室(審査委員兼幹事会議室) 2.公衆衛生学会(近畿)幹事会 各学会の会場は上記の会場です。なお、昼食を用意しております。 3.獣医学術近畿地区学会 合同幹事会 会場:B3 棟 2 階 205 号室 4.審査委員会 各学会の一般講演終了後、直ちに各学会審査委員兼幹事会議室にて実施。 12:00 ~ 12:30 12:30 ~ 12:50 日本獣医公衆衛生学会(近畿)一般講演プログラム D 会場(B3 棟 119 号室) —午前の部— (演題番号 D1 ~ D6) 10:10 〜 10:20 開会の辞 10:20 〜 10:50 近畿地区学会長挨拶 座長 安木 真世(大阪府大) D1 Multiplex Realtime RT-PCR 法によるインフルエンザウイルス遺伝子検出法の検討 押部 智宏(兵庫県) D2 猫から検出された A 群ロタウイルスの分子生物学的特徴と 異種間伝播の危険性に関する研究 楠原 一(三重県) D3 リアルタイムPCRを用いた地方病性牛白血病の診断 中川 涼子(三重県) 座長 勢戸 祥介(大阪府大) 10:50 〜 11:20 D4 小規模アイスクリーム類製造業者を対象としたリスクコミュニケーション 西川紗矢佳(和歌山県) D5 食品のカビ発生苦情を契機に行ったスーパーにおける陳列食品の 取扱いに係る実態調査について 水谷敢太郎(京都府) D6 飲食店における生食用食肉等の提供実態調査と啓発活動 星野 桃子(京都府) 座長 安木 真世(大阪府大) 12:00 ~ 12:40 合同ランチョンセミナー(A 会場 B3 棟 116 号室) 「牛呼吸器病予防ワクチネーションプログラムを策定する際に考慮すべき事項」 岩隈 昭裕(ゾエティス・ジャパン株式会社) 協賛:ゾエティス・ジャパン株式会社 ― 71 ― ―午後の部― (演題番号 D7 〜 D11) 座長 星 英之(大阪府大) 13:00 〜 13:50 D7 生産現場への情報還元を目的とした、豚増殖性腸炎(PPE)の病理組織学的検討 川波 恵子(三重県) D8 シラス加工品の異物(フグ)混入防止対策について 山本 薫(和歌山県) D9 子供たちに向けた啓発活動のスタートアップ -地域への拡がりを目指して- 中本 雅也(兵庫県) D10 路上死亡猫頭数を活用した猫の適正飼養啓発方法 岡本 裕行(京都府) D11 飼鳥のレスキュ−および保護施設 認定 NPO 法人 TSUBASA の紹介 平井佐紀子(奈良県) 14:00 ~ 14:30 日本獣医公衆衛生学会 学会長挨拶(F 会場 B3 棟 201 号室) 「日本獣医師会学会の今後のあり方と獣医学術地区学会との連携について(仮題)」 植田富貴子 副学会長 15:00 ~ 17:00 近畿地区連合獣医師大会(学術交流会館 多目的ホール) 17:00 ~ 17:20 褒章発表および閉会の辞(学術交流会館 多目的ホール) ― 72 ― 各学会長 演題番号:D1 Multiplex Realtime RT-PCR 法によるインフルエンザウイルス遺伝子検出法の検討 ○押部智宏、荻 美貴、高井伝仕、近平雅嗣、望月利洋 兵庫県健生研 1.はじめに:Multiplex PCR 法は、複数のプライマーを 同時に使用して、複数の遺伝子を同時に増幅する方法であ り、迅速化やコストの低減化等の効果が期待できる。近年の AH3 型インフルエンザウイルス株は赤血球凝集(HA)活 性が低く HI 試験による同定が困難であり、多くの株は PCR 法で同定が必要なことから、検査の煩雑化やコストが問題と なっている。今回、これらの解消を目的として本法を用いて A 型遺伝子、A(H1N1)pdm09 及び AH3 型ウイルス遺伝 子を同時に検出する系を試みたので報告する。 2.材料および方法:A(H1N1)pdm09 及び AH3 型ウイル スの検出は、HA 遺伝子領域にプライマー及びプローブを設 計した。A 型遺伝子の検出は、インフルエンザ診断マニュ アル(国立感染症研究所)の Type A 検出用プライマー及び プローブを用いた。検体には、2012/13 から 2014/15 シーズ ンに患者から採取された咽頭・鼻腔拭い液の臨床検体とこれ らから分離した株を使用した。ウイルス RNA はキットで抽 出し、逆転写酵素により cDNA に変換し、PCR 法で遺伝子 を増幅した。結果は、Type A 遺伝子を判定した後、Alleric Discrimination 法により A(H1N1)pdm09 及び AH3 型を判 定した。 3.結 果:各遺伝子の陽性対照で Single 法との検出感度を 比較した結果、Type A 遺伝子は感度の変化は見られなかっ たが、その他の遺伝子は、1 〜 2cycle 程度の低下が見られた。 ウイルス株(各亜型 20 株)を用いた結果、Single 法と一致 した。一方、臨床検体(各亜型 45 検体)を用いたところ、5 検体で A(H1N1)pdm09 或いは AH3 型ウイルス検出系で Ct 値 35 以降に直線的な非特異増幅が見られ、このうち遺伝 子数の少ない 1 検体は判定が困難であった。その他は Single 法と一致した。 4.考察および結語:今回検討した Multiplex 法による検出 系のうち、Type A 遺伝子の検出感度に差は見られなかった。 また、 ウイルス株や臨床検体に適用しても問題なく検出され、 その有用性が確認された。ただし、一部の検体で A(H1N1) pdm09 や AH3 型ウイルス検出系で直線的な非特異増幅が見 られ、特に遺伝子数が少ない臨床検体では判定が困難となっ たことから注意を要するものと考えられた。 演題番号:D2 猫から検出されたA 群ロタウイルスの分子生物学的特徴と異種間伝播の危険性に関する研究 ○楠原 一、赤地重宏、西中隆道 三重県保環研 1.はじめに:A 群ロタウイルス(RVA)は乳幼児に合併症 を伴う重篤な下痢症を引き起こす。本ウイルスは犬猫をはじ め,多くの動物種が保有する一方で宿主特異性は強いと考え られてきたが,近年,異種間伝播を示唆する報告がある。そ こで本研究では,愛玩動物としてヒトと濃厚な接触が予想 される犬猫を対象とした RVA 保有調査を行い,検出された RVA の遺伝子解析から犬猫が保有する RVA がヒトに感染 するリスクについて検証した。 2.材料および方法:2012 年および 2013 年に県内の保健所 に収容された犬 56 頭および猫 61 頭から採取した直腸拭い液 を検体とした。RT-PCR 法により RVA 遺伝子の検出を行い, 得られた PCR 産物の塩基配列をダイレクトシークエンス法 により決定し,塩基配列に基づく遺伝子型別と系統樹解析を 実施した。また,一部の検体については全 11 遺伝子分節の 遺伝子型別を行った。 3.結 果:RT-PCR 法の結果,猫 61 頭中 5 頭から RVA 遺 伝子が検出され,その遺伝子型は G3P[9] 型(2 頭)と G6P[9] 型(3 頭 ) で あ る こ と が 明 ら か と な っ た。 一 方, 犬 か ら RVA 遺伝子は検出されなかった。VP7 遺伝子の系統樹解析 を行った結果,今回猫から検出された G3P[9] 型 RVA は猫由 来 Cat2 株と最も近縁であった。一方,G6P[9] 型 RVA はヒ ト由来 RVA のクラスターに分類され,最も近縁であった国 内検出株である KF17 株と 99.0% 以上の一致率を示し,うち 1 例については全 11 遺伝子分節の遺伝子型が全て一致した。 4.考察および結語:偶蹄類に多い G6 型 RVA を猫が保有 していたことが本研究により初めて証明された。G6 型 RVA は稀にヒトからも検出され,これまで偶蹄類からヒトに異種 間伝播を起こしていると考えられていた。しかし,今回検出 された G3P[9] 型 RVA は KF17 株と遺伝的に非常に近縁な 関係にあり,ヒトに感染する危険性は極めて高く,猫も感染 源になることが示唆された。今後はヒトロタウイルスワクチ ンの導入により流行する遺伝子型が変化すれば,検出が稀で あった遺伝子型の検出が増加する可能性がある。異種間伝播 や動物由来 RVA リアソータントの出現を察知し,またワク チンの有効性を評価するためにも分子疫学を重視した監視体 制を整備する必要がある。 ― 73 ― 演題番号:D3 リアルタイム PCR を用いた地方病性牛白血病の診断 ○中川涼子 四日市市食品衛検 1.はじめに:牛白血病ウイルス(以下、BLV)によってお こる地方病性牛白血病(以下、EBL)は、近年増加傾向にあり、 重要視される疾病の一つとなっている。BLV 感染牛の摘発 には、病原体遺伝子の定量を目的としたリアルタイム PCR も補助的診断として用いられるようになり、疾病診断の迅速 化や検査精度の向上が図られるようになってきた。血液中の BLV 遺伝子数から、発症と未発症を区別することは難しい が、リンパ節を検体とした場合、発症を診断するのに有効で あることが報告されている。今回、EBL 発症牛、持続性リ ンパ球増多症(以下、PL)牛、BLV 抗体陽性牛、BLV 抗体 陰性牛に対して、リアルタイム PCR による遺伝子の検出を 試みた。 2.材料および方法:材料は、平成 25 年 12 月から平成 26 年 7 月に当所でと畜検査された牛、EBL 発症牛 9 頭、PL 牛 6 頭、BLV 抗体陽性牛 2 頭、BLV 抗体陰性牛 2 頭の血液、脾臓、 リンパ節、心臓、第四胃および子宮を検体とした。「DNeasy Blood&Tissue Kit(QIAGEN)」 を 用 い て DNA を 抽 出 し、 「ウシ白血病ウイルス検出用 Probe/Primer/Positive control (TaKaRa) 」を使用し、リアルタイム PCR を行った。 3.結 果:EBL 発症牛の全ての検体、PL 牛の子宮 1 検体 を除く検体、抗体陽性牛の全ての検体(低値)で BLV 遺伝 子が検出された。抗体陰性牛の全ての検体、PL 牛の子宮 1 検体で BLV 遺伝子は検出されなかった。EBL 発症牛におい て典型的な病変のみられた検体の遺伝子量は、より高い傾向 がみられた。血液中の BLV 遺伝子量は、EBL 発症牛と PL 牛で有意な差はみられなかったが、リンパ節における BLV 遺伝子量は、EBL 発症牛では PL 牛より有意に高かった。 4.考察および結語:EBL を発症すると、血液、各臓器にお いて高い BLV 遺伝子量がみられ、PL の状態であっても遺 伝子を保有していることがわかった。血液における BLV 遺 伝子量は、EBL 発症牛と PL 牛では差はみられなかった。一 方、リンパ節中の遺伝子量を比較すると、EBL 発症牛では PL 牛より有意に高く、発症の診断の一つとして有効なこと がわかった。今後、症例数を増やし、迅速かつ精度の高い診 断法の検討を行っていきたい。 演題番号:D4 小規模アイスクリーム類製造業者を対象としたリスクコミュニケーション ○西川紗矢佳 1)、稲垣衣美 1)、辻 昌吾 1)、應田 学 2)、坂口勝規 1) 1) 和歌山県御坊保、2)和歌山県田辺保 1.はじめに:アイスクリーム類については「乳及び乳製品 の成分規格等に関する省令」により成分規格が定められてい るが、今般、管内で製造されたアイスクリーム類において成 分規格違反が発見された。当該施設を改善指導するとともに、 管内小規模アイスクリーム類製造施設への調査を実施した結 果、施設により製造者の衛生管理への意識のばらつき及び知 識不足が見受けられた。当該施設の改善事例を参考に、製造 業者を対象にリスクコミュニケーションを実施し、今後の指 導方法について検討した。 2.材料および方法:(1)調査方法:ア.当該施設立入りに よる製造工程の聞き取り イ.作業員の手指、冷蔵庫取っ手 等の ATP ふき取り検査 ウ.管内小規模アイスクリーム類製 造施設 4 施設に対して立入りし、衛生管理について調査(2) リスクコミュニケーション:ア.保健所職員から法令等の説 明 イ.当該施設の製造者から改善事例について講演 ウ.参 加者 4 施設 10 名を 2 グループに分け、保健所職員がそれぞ れのグループに加わり意見交換 エ.アンケート実施 3.結 果:(1)調査結果:ア.営業者が加熱の必要性を理 解していなかったことにより、原材料の煮沸工程が不適切。 イ. 作業員の手指や冷蔵庫の取っ手で洗浄不十分の値が出た。 ウ.成分規格基準及び製造基準について理解しているのは 1 業者のみ。自主検査の実施状況及び機械の点検頻度にばらつ きあり。2 業者はパステライザーなどの機械の点検を行って いない。 (2)リスクコミュニケーション実施後のアンケート 結果:参加者全員が「参考になった」「今後も開催した方が よい」と回答。「危害を意識して作業することの重要性を改 めて感じた」 「他業者と疑問点を互いに質問しあえて楽しかっ た」 「意見交換の時間がもっとほしかった」 等の感想があった。 4.考察および結語:行政からの講習・指導だけでなく、同 業者に実例の講演をしてもらうことでより内容を身近に感じ ることができ、参加者自らの衛生管理について振り返っても らうことができた。アンケートからも参加者同士が楽しみな がら活発な意見交換をし、意欲的に学ぼうとする姿勢がみら れたことから、 今後も引き続き講習や立入り検査だけでなく、 様々な食の安全をテーマにしたリスクコミュニケーションを 実施し、地域の食の安全を広めていきたい。 ― 74 ― 演題番号:D5 食品のカビ発生苦情を契機に行ったスーパーにおける陳列食品の取扱いに係る実態調査について ○水谷敢太郎 京都府丹後保 1.はじめに:平成 25 年 12 月に管内在住の消費者から、購 入したおにぎりを開封したところカビが生えていた、との苦 情通報を受けて、原因究明調査及び販売店舗へ指導を行った。 また、調査により販売店舗における陳列商品の管理状況等へ の課題が判明したことを受け、指定の棚外に置かれた食品 (以 下、放置食品)発見時の対応と値引きラベルの貼付実態の調 査を行った。 2.材料および方法:(1)苦情通報を受けて、店舗における 該当商品の販売状況、原因究明調査及び指導を行った。(2) 管内の小売店舗 14 施設を抽出し、放置食品発見時の対応方 法及び値引きラベルの貼付実態について、予め作成した調査 票に基づき、各店舗を訪問し調査を実施した。 3.結 果: (1)店舗調査では、本来の棚からおにぎりを手 に取った消費者により別商品の棚に移され、約 3 週間後従業 員に発見されるが、特殊な包装形態と不適切なラベルの貼付 状況のため異常が覚知されず、再び本来の陳列棚に戻された ことが推察された。(2)放置食品は月に数件程度の頻度で発 生しており、発見時は店長等へ報告し対応について指示を受 けるとの回答が多かった、だが、手順書等は整備されておら ず、対応記録の保存や計画的な従業員教育を行っている施設 はなかった。値引きラベルの使用は、全ての店舗で行われて いた。ラベルの貼付方法は多くの店舗で一定のルールを定め ており、貼付方法を図示した簡単な手順書を作成し、計画的 な従業員計画を実施しているとの回答もあった。 4.考察および結語:本件は、おにぎり特有の二重包装であ ることによって異常の覚知が不可能であり、また値引きラ ベルによって期限表示が隠されたことによって、結果的に不 適切な販売に至ったものと推察された。その後の調査におい て、放置食品の発生は事前に予想しているよりも少なく、多 くの店舗で発見の都度対応している状況が明らかになり、そ れのみを対象として事前に衛生管理対応を用意することは難 しいと思われた。値引きラベルの貼付については、日常の業 務内容であることから手順や方法がある程度明確化されてい たが、従業員への周知徹底等がさらに必要と思われた。食品 表示法が施行され消費者の表示に関する関心も高くなってい ることから、引き続き店舗に対する適正表示指導を機会を捉 えて実施していきたい。 演題番号:D6 飲食店における生食用食肉等の提供実態調査と啓発活動 ○星野桃子 1)、平松綾香 1)、飯田貴久 1)、小嶋新也 1)、萩原 学 2)、岡本裕行 2) 1) 京都府山城北保、2)京都府生活衛生課 1.はじめに:食品衛生法に基づく生食用食肉等の規格基準 が平成 23 年牛肉に、平成 24 年牛レバーに平成 27 年豚肉及 び豚内臓に設定された。法規制前から管内飲食店での提供実 態の把握に努め、食品事業者等に対する生肉喫食による食中 毒リスク啓発を実施してきたが、平成 25 年に当所管内で牛 生レバーの提供を疑う有症苦情が発生し、結果的に逮捕起訴 される事例となった。平成 26 年にも府下で違反事例が発生 したことから、指導・啓発の実施と併せて生食用食肉等の提 供実態調査を実施し、法規制前後での比較を行った。 2.材料および方法:管内飲食店のうち、焼肉店等提供が推 測される施設について立入を行い、動物種別の生食用食肉等 の提供施設数を調査した。調査は規制前の平成 23 年度と規 制後の平成 26 年度の 2 回実施し、平成 26 年度は提供部位の 調査も行った。 3.結 果:平成 23 年度は 193 施設を調査し、83 施設で生 食用食肉等の提供実態を確認した。83 施設で牛由来、5 施設 で鶏由来、3 施設で馬由来の取扱があった。平成 26 年度は 83 施設を調査し、24 施設で牛由来、8 施設で鶏由来、22 施 設で馬由来の取扱があった。なお、いずれの調査でも豚由来 の取扱はなかった。平成 26 年度の部位別調査では、牛では 枝肉由来は 7 施設、内臓肉(横隔膜、心臓、舌)は 6 施設で 提供があった。レバーの生食提供施設はなかったが加熱用レ バーは 43 施設で取扱があった。また肝臓以外の内臓提供は 15 施設でみられた。鶏及び馬は筋肉部以外の提供施設は確 認されなかった。 4.考察および結語:規制後の調査で提供食肉等が規格基準 に違反している施設は認められなかったが、牛由来の規制対 象外部位の生食提供やそもそも規制がかかっていない馬、鶏 由来の生食用食肉の提供実態が確認され、食肉の生食の人気 は根強く、牛から規制の緩い馬等へのシフトや規制対象外部 位への移行が起こっているものと推察された。牛生レバー提 供施設はみられなかったが、焼肉店は加熱調理を喫食者に任 せる提供形態であり、保健所が実態を掴みにくい裏メニュー としての提供や、提供中止に強制力のない規制対象外食肉等 の生食提供は食中毒予防対策を講じる上で新たな課題と言え る。発症リスクの高い若齢者が食肉を生食する事例や消費者 側から生食提供を求める事例もみられ、食品事業者への指導 だけでなく消費者への啓発にも今後一層取り組んでいきたい。 ― 75 ― 演題番号:D7 生産現場への情報還元を目的とした、豚増殖性腸炎(PPE)の病理組織学的検討 ○川波恵子 1)、庄山剛史 2) 1) 三重県松阪食肉衛検、2)三重県北勢家保 1.はじめに:と畜検査で PPE により小腸廃棄となることが 多い一生産者について、病変部の詳細な病理組織学的検討を 行い生産者に情報還元を行った。 2.材料および方法: (1)材料:2014 年 5 月から 7 月にかけて、 管轄と畜場に本養豚場から健康畜として搬入された豚 9217 頭において、内臓検査にて肉眼的に PPE が疑われた 329 頭 のうち 97 頭の小腸遠位部を材料とした。(2)方法: ア.病 理学検査:定法に従いパラフィン切片を作成し、ヘマトキシ リン・エオジン(HE)染色を施した。確定診断としてワーチン・ スターリー法と Lawsonia intracellularis mouse monoclonal 抗体(Bio-X Diagnostics)を使用した免疫組織化学検査を施 した。イ.情報還元:病理学検査結果を生産者へ情報還元した。 3.結 果: (1)病理学検査:97 頭のうち 62 頭で陰窩上皮 細胞の腺腫様過形成が認められた。この 62 頭のホルマリン 固定後の肉眼所見は、漿膜面が不整に隆起し脳回様を呈すも のが 20 頭、漿膜面の肉眼的水腫が 44 頭、回腸末端部の狭 窄が 18 頭であった。HE 染色の所見は、①杯細胞の過形成 が 31 頭、②粘膜上皮の壊死が 23 頭、③漿膜の水腫が 44 頭、 ④粘膜上皮の瘢痕化が 14 頭であった。ワーチン・スターリー 法では、48 頭で陰窩上皮細胞の細胞質に湾曲した菌体を認 めた。菌体を認めなかった 14 頭の免疫染色では、全て陽性 反応を確認した。 (2)情報還元:病理組織検査結果に基づき、 粘膜上皮の壊死を認めたものを急性経過、粘膜上皮の瘢痕化 や杯細胞の過形成、肉眼的に回腸末端部の狭窄を認めたもの を慢性経過としてその調査結果を生産者に情報還元し、農場 での衛生面の改善について助言を行った。 4.考察および結語:病理学検査で急性期と慢性期ないし修 復期の両方の病変が認められた。この結果から、広い生産ス テージでの感染が疑われ、臨床症状が認められなくても回腸 の狭窄により腸内容物の通過障害が生じ、増体重の悪化や飼 料要求率の上昇を招くことついて生産者に指摘した。このよ うに、生産者自身が症状に気付かない疾病について、と畜検 査データや精密検査の結果を還元することにより、生産者に 有益な情報を与えることができる。今後も検査情報還元によ り、疾病の少ない家畜の生産を促し、安全な食肉の提供に寄 与できると考える。 演題番号:D8 シラス加工品の異物 (フグ) 混入防止対策について 坂田 貫、○山本 薫 和歌山県湯浅保健所 1.はじめに:平成 26 年 8 月から 9 月に全国の量販店におい て、フグ(体長 10cm 程度)が豆アジ等の小魚に混入する事 例が相次いで報告された。さらに、9 月以降、シラス加工品 にもフグの混入事例が報告され始め、当所管内で製造された 商品についても自主回収に至った事例が発生した。そこでシ ラス加工業者と積極的なコミュニケーションを図り、協働し てフグ混入防止対策に取り組んだので、その概要について報 告する。 2.材料および方法:シラス加工業者から「今回の騒動で多 くの事業者が苦慮している一方、楽観視している事業者もい る」との訴えがあり、シラス加工業者が主な構成員である和 歌山県水産加工業協同組合と協働でフグ問題に取り組むこと とした。組合と保健所の共催で研修会を開催したところ、県 内全域からシラス加工業者が集まった。保健所から現状やフ グ稚魚の毒性等について説明した後、参加者で意見交換を行 い、課題を共有し、今後の方針を取りまとめた。 3.結 果:方針に基づく取組 ア)ノウハウの共有:研修 会参加者からフグの選別除去方法(ノウハウ)を発表しても らい、その内容を取りまとめ、組合員で共有することになっ た。選別作業のベテラン従業員のノウハウについても情報収 集し、組合と保健所が協働して 1 週間足らずでマニュアルを 作成できた。 イ)量販店への啓発:作成したマニュアルを 管内量販店へ配布した。配布に併せておこなったアンケート では「役に立った」 「当該マニュアルを用いた社員教育を実 施する」など良好な回答が得られた。 ウ)漁師へ取組:県 水産部局の協力を得て食品衛生監視員がシラス漁を見学し、 現場のふぐ対策を確認した。フグ混入はシラスの価値を下げ るため水揚げする際にフグの除去に努めていた。その時の会 話を通じて現状を漁師に伝える良い機会となり「今まで以上 に頑張って除去する」とのコメントも得られた。その後、漁 業協同組合へマニュアルを配布した。 4.考察および結語:今回は事業者とのコミュニケーション から県全体のシラス加工業者を巻き込んだ取組へと発展し た。フグ混入事例については従来、注意喚起や事例紹介等に 留まっていたが、ツール(マニュアル)を活用した具体的な 取組内容を紹介することにより、関係事業者全体の意識の向 上や対策の徹底を図ることができた。また関係機関との協働 により短期間でマニュアルを作成することができた。 ― 76 ― 演題番号:D9 子供たちに向けた啓発活動のスタートアップ ―地域への拡がりを目指して― ○中本雅也 1)、宮田 静 2) 1) 兵庫県但馬食肉衛検、2)兵庫県和田山家保 1.はじめに:当所では、食肉衛生に関する啓発活動を行っ ているが、その対象は主婦層が中心であった。そこで対象を 幼稚園児、小学生等へ拡げることを目的に、教員へのアンケー ト行い、その後、子供への講習会を行った。それらの結果を 元に子供への啓発活動を地域へ拡げていくにはどのような方 法が有効か考察した。 2.材料および方法:(1)アンケートの実施 平成 25 年度 に A 市教育委員会を通じて市内小学校教員 105 名を対象に アンケートを実施した。(2)講習会開催までのアプローチ アンケート結果に基づき、A 市教育委員会に教員対象の講 習会を提案し、加えて各小学校へ講習会案内リーフレットの 配布を依頼した。また既に小学校での啓発活動実績がある県 機関に同リーフレットの配布を依頼した。また A 市内認定 こども園に出向き、紙芝居と講習会について説明した。 3.結 果:(1)アンケート結果 食肉処理については 8 割 弱が「知らない」と回答し、食肉衛生検査についても 8 割が 「知 らない」と回答した。その一方で、食肉に関することを児童 に教える必要性の有無については 8 割が「必要」と回答した。 以上から「教員は食肉に関することを教えることが必要だと 考えているが、知識をもっていない」という現状が明らかに なった。(2)講習会開催と展開 ア.県機関から紹介を受 け、B 市内小学校において 1、 2 年生向けと、6 年生向け講 習会を行った。さらに 2 年生では牛市見学の要望があり主催 者等への仲介を行った。 イ.A 市内認定こども園において、 紙芝居、食肉に関する講習、手洗い実習を行った。続いて同 園の給食担当調理員の依頼をうけ、A 市内認定こども園の 給食担当職員研修会において食肉衛生講習を行った。 4.考察および結語:アンケート結果から、教員へ啓発活動 を行うことで教員の理解を深め、その後子供へと拡げていく 方法が有効であると考えられた。また講習会開催と展開から 「①子供への啓発活動実績のある県機関と連携して講習会を 行う。②子供と一緒に講習を受けた教員から関連団体の研修 として講習会を利用してもらう。③研修を受けた教員から、 次の子供への講習会につなげていく。」という方法が考えら れた。この 2 つの方法を並列的に行っていくことが子供への 啓発活動のスタートアップとして有用であり、啓発活動を地 域へ拡げていくことが出来るものと考えられた。 演題番号:D10 路上死亡猫頭数を活用した猫の適正飼養啓発方法 ○岡本裕行 1)、清水浩文 1)、上田郁夫 1)、神村 孝 2) 1) 京都府生活衛生課、2)京都府 1.はじめに:京都府域において、猫による苦情は平成 26 年 度、約 400 件寄せられた。猫による苦情の解決には、無責任 な給餌をやめ、室内飼育へ改善させることが必要である。そ こで、室内飼育を啓発するため、外飼いの猫(以下、外猫と いう。 )の遭遇するリスクからアプローチする手法を検討し た。そのため、市町村での路上死亡猫の実態調査結果と猫の 引取数から府域での路上死亡猫数の把握を試み、そのデータ を活用し、猫の適正飼養啓発チラシ(以下、チラシという。 ) を作成した。さらに、動物愛護ボランティア(以下、ボラン ティアという。)を対象に、チラシ内容の説得力を検証した。 2.方法:京都府域市町村に対し、交通事故等による路上死 亡猫の死体処理数の実態調査を行った。路上死亡猫の処理数 の統計を取っていた自治体における、保健所等での飼主から の猫の引取数と路上死亡猫の相関関係を検討し、府域全域に おける路上死亡猫数を推計した。(2)路上死亡猫推計数等を 活用したチラシを作成した。その内容は「外猫の危険性」 「給 餌の悪循環のしくみ」「猫の苦情の実態」等の構成とした。 なお、外猫の危険性として「路上死亡猫数」「猫の感染症」 等のリスクを記載した。(3)ボランティアを対象に、チラシ の内容のうち猫の室内飼育啓発並びに給餌改善について説得 力のある項目の順位付けを行うアンケートをとり、説得力を 数値化し検証した。 3.結 果:(1)府域 25 市町村のうち、路上死亡猫数と飼 主からの猫の引取数の両方の数が判明した自治体は 8 市町で あった。当該市町での飼主からの猫の引取数と路上死亡猫数 とは正の相関関係が見られ、引取数の約 10 倍が路上死数と 考えられた。その結果、府域の路上死亡猫数は 6,800 頭と推 計された。 (2)アンケートの結果、室内飼育啓発に説得力が あった項目の順位は、 「路上死亡猫の多さ」が一番であり、 「猫 の感染症」「猫の繁殖力」と続いた。なお、無責任な給餌の 改善に説得力があった項目は、 「給餌の悪循環のしくみ」「猫 の苦情の実態」等の順と判明した。 4.考 察:今回、引取数と路上死亡数の相関調査から、極 めて多数の猫が路上で死亡している実態が明らかになっ た。また、路上死亡数を活用したリスク啓発は、室内飼育 啓発に効果があることが判明した。今後、チラシを活用し 不適切な猫の飼養者の意識を変え、猫による苦情を減らす 取り組みを続けたい。 ― 77 ― 演題番号:D11 飼鳥のレスキュ−および保護施設 認定 NPO 法人 TSUBASA の紹介 ○平井佐紀子 1)、涌井智美 2)、松本壮志 2) 1) 奈良県景環セ、2)認定 NPO 法人 TSUBASA 1.はじめに:動物愛護法の改正により一般の動物愛護意識 の向上とともに犬、猫の民間の保護施設は日本でも各地に 出来ている現状であるが、飼鳥(インコ、オウム、フイン チ)の保護施設は未だ日本には埼玉県にある認定 NPO 法人 TSUBASA しか存在しない。ペットとしての鳥の飼育は犬、 猫よりもスペースがいらずに飼いやすいなどの理由で増えて いる。しかし高齢化や飼い主の転勤、鳥の問題行動などによ り飼いきれなくなった鳥の問題は犬、猫と同じように起こっ ている。著者も 7 年前にヨウムを飼い始めてからインタ− ネットで見つけた鳥の保護施設 認定 NPO 法人 TSUBASA について紹介する。 2.材料および方法:2013 年 4 月に会員として入会しインコ、 オウムの保護施設でのボランティア活動や教育 ・ 啓発活動と して定期的に開催されるセミナーや愛鳥塾に参加した。施設 内で里子に出せる鳥の里親会に参加して TSUBASA の保護 活動を学んだ。 3.結 果:保護施設には常時 100 羽以上の保護されたイン コ、オウム、フインチ類が飼育されていてボランティア活動 でそれらの鳥の放鳥、ケージの清掃、エサと水やりなどの基 本的な鳥の世話を行ったが、清掃とともに除菌剤によるケー ジの消毒を行うやり方をみて著者の鳥のケージの清掃にも採 用するようになった。基本的なエサはペレットでうちと同じ で朝に小松菜などの青菜とニンジン、 カボチャ、 ブロッコリー などの野菜を刻んで与えるのも同じだった。また、大型イン コ、オウム類と中型インコ類にはリンゴやバナナ、ミカンな どの果物も与えるのも著者が与えているのと同じであった。 また、保護施設では緊急レスキューにより一度に多数の鳥が 入ることが有りそのための検疫室を設けて検疫し、検査して いるが、レスキューにより入る鳥のリスクもあるので施設内 の鳥は半年に一度オウム病の検査を行っている。また施設内 には不適切な飼育により肝臓障害になった高齢の鳥が多く一 週間に一度鳥専門の獣医師の往診で診察、 治療を行っている。 4.考察および結語:清掃、エサやりなど鳥の飼い方につい て参考になる事が多く、鳥とともに幸せに暮らすためのしつ けやトレーニングなどの講習会は大変参考になった。今後も 愛鳥家として会員の一人として NPO 法人 TSUBASA を支 援していきたいと思う。 ― 78 ― 平成 27 年度日本産業動物獣医学会(近畿)・ 日本獣医公衆衛生学会(近畿)合同 ランチョンセミナー A 会場(B3 棟 116 号室) 時 間(12:00 〜 12:40) 講 演 牛呼吸器病予防ワクチネーションプログラムを 策定する際に考慮すべき事項 ゾエティス・ジャパン株式会社 岩隈 昭裕 座 長 大阪府立大学大学院 獣医公衆衛生学教室 安木 真世 協賛:ゾエティス・ジャパン株式会社 当セミナーには、弁当がつきます(先着 70 名) 牛呼吸器病予防ワクチネーションプログラムを策定する際に考慮すべき事項 ゾエティス・ジャパン株式会社 岩隈昭裕 我が国ではこれまで牛呼吸器病の予防法として一般的に注射によるワクチン投与が行われてきた。 しかしながら、注射型ワクチンは、本来 IgG 産生による全身免疫を目的としたものであり、即効性や 幼若な動物の場合における防御効果については限界があった。さらに、現場において注射型ワクチン を使用する場合において、使用目的や使用に際しての注意点、あるいは抗原や疾病の特徴等について 充分に考慮されて使用されてきたとは言えない。 我々はこれまでの注射型ワクチンの投与目的である全身免疫のみならず、粘膜免疫機構を刺激する ことにより、局所および全身免疫双方を刺激し、感染初期から速やかに防御にはたらく粘膜ワクチン 「TSV-2」を昨年より国内発売している。 今回は牛呼吸器病のためのワクチネーションプログラムを策定するに際し、現代のワクチン学ある いは免疫学に基づき、臨床的に考慮すべき重要な点を示し、さらには今までに集積された「TSV-2」 に関する知見を含め、より効果的な牛呼吸器病の防御プログラムの策定に役立つ情報を提供すること とする。 ― 81 ― 平成 27 年度 日本小動物獣医学会(近畿)特別企画 第 6 回動物看護に関する学術集会プログラム E 会場(B3 棟 202 号室) ① 開 会 の 辞 (9:30 〜 9:35) ② 発 表(前半) (9:35 〜 11:45) ③ 発 表(後半) (13:00 〜 13:40) ④ 閉 会 の 辞 (13:40 〜 13:45) 【発表プログラム】 司会進行 石橋 妙子(大阪ペピイ動物看護専門学校)・富永 良子(ネオベッツ VR センター) アドバイザー 細井戸大成(公益社団法人大阪市獣医師会会長) E1 9:35 〜9:55 猫に優しい動物病院を目指して 野村 鈴奈(みゅう動物病院) E2 9:55 〜 10:15 猫塾 笠松 晴香(もみの木動物病院) 10:15 〜 10:35 E3 セキセイインコとオカメインコの雌雄鑑別 三村 純子(クウ動物病院) (10:35 〜 10:45 休憩) 10:45 〜 11:05 E4 多中心型リンパ腫の犬 2 例におけるがんサロン開催の有効性 11:05 〜 11:25 E5 動物介在活動による社会貢献 11:25 〜 11:45 E6 動物看護師の経験を最大限に生かす〜動物介護施設を立ち上げて〜 三輪 教子(カニエ動物クリニック) 鈴木亜由美(獣徳会動物医療センター) 安部 里梅(PET CARE HOME Lyuca) (11:45 〜 13:00 休憩) 13:00 〜 13:20 E7 見て実感する感染予防の授業 13:20 〜 13:40 E8 専門学校における実習授業への取り組み 板垣奈々絵(大阪ペピイ動物看護専門学校) 石橋 妙子(大阪ペピイ動物看護専門学校) 演題番号:E1 猫に優しい動物病院を目指して ○野村鈴奈 みゅう動物病院 1.はじめに:アニコム損害保険株式会社が平成 25 年に実 施したアンケート調査によると「愛猫は動物病院が好きです か」との質問に対し、全体の 84.3% が動物病院が苦手との回 答であった。完全室内飼育であることが多い猫は外出にスト レスを感じやすく、テリトリー意識もあることから知らない 場所や人、犬に恐怖心を抱いたりすることがある。そういっ た習性を理解した上での対応を我々は行うべきである。 2.材料および方法:当院では猫と飼い主にとってストレス の少ない診療を心がけ取り組んだ。飼い主に対しては、猫が 通院時に入るキャリーバッグ(以下キャリー)に日常的に慣 れてもらうこと、理想的なキャリーの推奨、待合室でキャリー に目隠しの布を掛けてもらうことなどを診察以前の準備とし て伝えた。また、気軽に楽しんで病院へ足を運んでもらうた め「猫の理想のトイレ」「猫会議」「猫の腫瘍」といった院内 セミナー、 「作ってあげよう猫ちゃんの首輪」といった手作 り教室を開催した。猫に対しては、院内で大きな声や音を控 えること、嗜好性の高いフードやおやつを与えながらの注射 処置、フェリウェイの使用、入院やホテル時のケージの工夫 を行った。怯える様子の無い猫には積極的に遊びやブラッシ ングを行った。猫と飼い主両方に対しては、診察時キャリー から出す前に問診をしっかり行うこと、犬と猫の診察室を完 全に分けること、キャットアワーの導入、往診での対応、預 かり中の様子を飼い主へ伝える手段として写真や動画を撮影 し、ホームページへアップロードした。 3.結 果:上記の取り組みをスタッフと飼い主が意識的に 行うことで猫のストレスは軽減されたように感じた。また院 内セミナーに参加した飼い主には知識を提供することができ た上、日頃接触の機会の少ない猫の飼い主同士コミュニケー ションをとり合え有意義なものとなった。 4.考察および結語:通院・待合室・診察室・検査・入院等 全ての状況に対し怯え、嫌がる猫を目にした飼い主は猫同様 ストレスを感じているだろう。ストレス軽減の手段には個体 差はあるが、猫と飼い主の気持ちに配慮することで、両者の ストレスは軽減できるものだと考える。上述以外に子猫の社 会化期の対応としてキトンパーティーや飼い主教育も行って いく必要性を感じた。今後も猫と飼い主のためにできること を考え実行し、猫に優しい、さらには全ての動物に優しい動 物病院を目指したい。 演題番号:E2 猫塾 ○笠松晴香 もみの木動物病院 1.はじめに:多くの猫は動物病院に通院することでストレ スを受けやすく、場合によってはさらに体調を悪化すること もあり得る。そもそもキャリーに入ることを極端に嫌がる猫 もいる。猫の飼い主様はこうした猫の行動を見て来院を躊躇 され、通院にはあまりいい印象を持たれていない。そこで当 院では、猫の飼い主様とより良いコミュニケーションをとる ことが、飼い主様の心理的負担を和らげ、ひいては猫の健康 促進につながると考え、飼い主様向けセミナー「猫塾」を開 催した。 2.材料および方法:猫塾の内容は①猫ってなんだ!②知っ 得 猫の行動と困ったちゃんへの対応③摩訶不思議 猫の 身体はどうなってんねん④えっへん!もみの木猫博士検定⑤ 猫ちゃんのデンタル講習会⑥子猫譲渡プロジェクト、CAPP 活動⑦猫の予防獣医学⑧猫ちゃんを写真で撮ってみよう! キャットマッサージ⑨お家でできる身体検査⑩猫検定試験で ある。開催の告知は院内の掲示板、ホームページ、メール配 信、SNS を利用した。セミナー時間は 60 分とし、参加費は 500 円程度とした。講師役は当院の獣医師と動物看護師が行 い、うち 1 回は外部より講師を招いた。またセミナー後は毎 回茶話会を行った。 3.結 果:平成 13 年 10 月から平成 15 年 3 月に 10 回。参 加者は延べ 78 名であった。 4.考察および結語:猫医学の充実とともに、猫にやさしい 動物病院環境(キャット ・ フレンドリー ・ クリニック、以 下 CFC)の普及が注目されている。これは主に病院のハー ド面が主流になっているように思われる。「猫塾」は私たち の猫に対する気持ちを共有する場と考え、猫の健康について だけでなく、猫と人の歴史や文化などについても触れ、飼い 主様と一緒に『猫』を学ぶ機会とした。これによって固苦し さがなくなって良かった。茶話会では寡黙な印象があった飼 い主様からも、活発な意見が聞かれ、今まで以上に良好なコ ミュニケーションがとれるようになったと感じる。また猫を 思う動物看護師の一人として名前を覚えてもらえたことも嬉 しかった。一方、病院内では猫と猫の飼い主様にできること を会議で話し合う機会が増えたことも良かった。今後は開催 告知のタイミングや参加しやすい時間帯、もっと興味の持て る内容と資料作りなどを考えていきたい。8 月から再び猫塾 を開催する。心からの CFC を目指した動物病院づくりをし、 猫の健康維持に役立てていきたい。 ― 85 ― 演題番号:E3 セキセイインコとオカメインコの雌雄鑑別 ○三村純子 クウ動物病院 1.はじめに:昨今では鳥を診察する機会が増えつつあるが、 コンパニオンバード(生涯の伴侶となる鳥)については幼鳥 の頃ペットショップではほとんど性別判定が困難で、飼育し ている飼い主も把握できていないことが多い。このことは正 確な稟告の妨げとなることもあり、動物看護師として鑑別法 を知っておくことは有用である。 2.材料および方法:特に来院機会の多いセキセイインコ (Melopsittacus undulates) と オ カ メ イ ン コ(Nymphicus hollandicus)を対象とした。セキセイインコにおいては、蝋 膜(=鼻孔部の膨らんだ部分)の色の違いや発情における変 化で鑑別するのが一般的である。しかし体色や年齢によって は、色による鑑別が困難な場合もあるため、他の方法も紹介 する。オカメインコの場合、殆どの体色で羽の色による雌雄 鑑別が可能である。 3.結 果:セキセイインコのノーマル(* 1)やオパーリ ン(* 2)などは、成熟すると蝋膜が雄は深い青色、雌は薄 い水色に変化する。一方ハルクイン(* 3)、ルチノー(* 4) 、 アルビノ(* 5)などの体色では、雄も雌も薄いピンク色の 蝋膜をしているため、普段の状態では鑑別しにくいが、雌は 発情すると滑らかだった蝋膜の表面が硬く粗くなり雄との鑑 別が可能になる。オカメインコは、生後半年以降の換羽後に 鑑別が可能となる。ノーマルグレーとシナモンは、頬の色と 尾羽で判別する。ルチノーは顔の色が雌雄同色であり鑑別し にくいが、尾羽は雄が体色と同色なのに対し、雌は黄色の横 縞模様があるため鑑別できる。成長によって羽の色が変色す る品種もあり、具体事例を紹介する。 4.考察および結語:セキセイインコやオカメインコの雌雄 は、正しい知識を得れば、外見の体色により大まかな予想が 可能となる。このことで円滑な診察の一助となったり、飼い 主への飼育上のアドバイスも可能となる。また性別に特有の 疾患や、異常な発情の発見に繋がることもあり、動物看護師 にとって知っておくべき知識と考えられる。 * 1、黄と緑・ 白と青があり頭から背中に黒い縞模様 * 2、ノーマルの頭 から背中の黒い縞模様が無い * 3、白と黄が頭部から胸部 まで同色体部に入る青・緑の割合が少なくまだら黒の縞模様 も控えめ * 4、色素異常により全身が黄色で赤目 * 5、色 素が抜け白単色で赤目 演題番号:E4 多中心型リンパ腫の犬 2 例におけるがんサロン開催の有効性 ○三輪教子 カニエ動物クリニック 1.はじめに:がん治療の成功には、獣医師、動物看護師、 飼主が、がん治療チームとして関係を築くことが必要だと考 えるが、がん治療が長期におよぶと治療を断念する飼主も少 なくなかった。医療界では、がん患者の家族を「第二の患者」 と位置づけ看護対象としている。がん治療の継続には、飼主 を第二の患者と捉えた支援が必要であると考えがんサロンの 開催に至った。今回、犬の多中心型リンパ腫 2 例においてが んサロン開催の有効性を検討した。 2.材料および方法:(症例 1)W. コーギー、6 歳齢、雌、 9.8kg。 頚部浮腫を主訴に来院。下顎リンパ節の腫脹を認めた。下顎 リンパ節の FNA とクロナリティー検査により B 細胞性高悪 性度多中心型リンパ腫と診断した。(症例 2)チワワ、 9 歳齢、 雌、1.8kg。眼内出血を主訴に来院。体表リンパ節の腫脹を 認めた。膝窩リンパ節の FNA とクロナリティー検査により B 細胞性高悪性度多中心型リンパ腫と診断した。 3.結 果: (症例 1)がんサロン参加前の飼主は、問診時に 「治らないのか」「待ちくたびれた」と話し、3 回目のがんサ ロンでは「検査結果や病状が悪化すると自分の体調も悪くな る」と話した。5 回目のがんサロンでは「獣医師に病状を聞 きたいが、不満があると思われたくないので聞けない」と漏 らした。症例は第 552 病日に死亡したが、飼主はその後もが んサロンに参加していた。(症例 2)がんサロン参加前の飼 主からは、問診時に積極的な発言はなかった。1 回目のがん サロン参加後も「先生にお願いする」と話したが、2 回目の がんサロン参加後には「眼が気になる」 「再燃が怖い」と話 した。3 回目のがんサロンでは、自身の病歴や家族への愚痴 を頻繁に話した。第 766 病日以降は飼主の体調不良により参 加していない。症例は第 1523 病日に死亡した。 4.考察および結語:本 2 症例の免疫表現型は B 細胞性高悪 性度であるため、化学療法の継続により長期の寛解期間が望 めると考えられた。しかし、問診時の飼主の言葉からは治療 の継続への負担が感じられた。がんサロンへの継続的な参加 によって不安や希望を伝えてくれるようになり、問診時だけ では把握できなかった治療への恐怖や体調の変化が理解でき た。がんサロンに動物看護師が参加することで飼主と不安や 悩みを共有できた。以上のことから、多中心型リンパ腫にお けるがんサロンの開催は有効であると考える。 ― 86 ― 演題番号:E5 動物介在活動による社会貢献 ○鈴木亜由美 獣徳会動物医療センター 2.CANBE 子 1.はじめに:現代社会は、核家族化、高齢化、虐待などの 多くの問題を抱えている。子供を取り巻く環境は、動物や自 然との繋がりが希薄であり、命の大切さを感じる機会も多く はない。動物介在活動に 2 年ほど参加してきたが、動物との 関わりは、その温かみ、行動や存在が、心の癒しになり、笑 顔を引きだす効果がある。上記問題に大いに寄与するものと 実感している。臨床での対動物とその飼主への貢献に留まら ず、動物を介して様々な人と出会い、話し、共に動物に関わ ることは、社会貢献へと繋がる可能性がある。人と動物との よりよい関係(HAB)を築く活動を経験したので報告する。 2.材料および方法:CANBE:毎月 1 〜 2 回、愛知県内各 教育機関及び、小児科病棟への訪問活動。愛知県獣医師会: 年 10 回程、愛知県内老人保健施設への訪問活動。獣医師、 看護師、しつけインストラクター、犬猫その飼い主と、院内 で飼育している犬猫で構成、ふれあい活動を行う。CANBE では動物との正しい関わり方、命の大切さ、動物や自然を大 切にする心を育む動物介在教育にも力を入れている。 3.結 果:活動を経験して、老人保健施設では普段表情の ないご老人が笑顔になり、教育機関及び小児科病棟でも、笑 顔がたえず、動物を思いやる行動、心待ちにしている様子が 伺えた。訪問先でのスタッフの癒し効果も多分にある。科学 的な解釈も少しずつ明らかにされており、動物介在活動への 需要は高まっている。 4.考察および結語:動物介在活動は、様々なスタッフが関 わり成り立っている。動物看護師が担う内容として現時点で は、動物との正しい関わり方、命の教育についてのスライド 説明、ふれあい時の各方面へのサポートなど実施している。 他スタッフ間の連携は必須であり、特に飼主へのサポートも 重要で、飼主と多くのコミュニケーションを取っている動物 看護師だからこそ良質なサポートをしていきたい。今後どの ように関わり、深めていくのかを動物を良く理解する職種と して、動物の持つ効用を最大限発揮できるよう、模索してい きたい。 演題番号:E6 動物看護師の経験を最大限に生かす〜動物介護施設を立ち上げて〜 ○安部里梅 PET CARE HOME Lyuca 1.はじめに:現在、動物看護師の就職先の多くが動物病院 への勤務となるが、結婚・出産を機に退職する者も多く長期 に渡って勤務できている者も、モチベーションの維持に悩み、 退職後も培った経験を活かせる職場につけることも少ない。 知識と経験を持った動物看護師が、動物病院以外の場で自分 たちの役割を果たせることを実証するため、飼い主とペット に最後まで寄り添える動物介護施設を設立し、どのようにし て動物病院と連携を取り、外部事業として関わり飼い主と ペットの QOL に役立てているかを発表する。 2.材料および方法:動物看護師歴 20 年目と経験と知識を 持って動物介護事業所を立ち上げ、飼い主のかかりつけ動物 病院と連携を持って訪問動物看護・デイサービス・ショート ステイによる動物介護を行った。 3.結 果:動物看護師が動物病院と連携をとる事で、検査 結果・現在の治療方法・獣医師の考える予後の予見等を的確 に伝える事が出来、飼い主への QOL は格段に上がり、かつ 動物病院への信頼度も落ちること無く最期を迎える事が判明 した。 4.考察および結語:着実に増えている高齢動物介護は、獣 医師よりも飼い主に近い動物看護師が行う事で死に直面して いる飼い主への QOL は上がるが、経験年数の浅い動物看護 師の知識不足が補えていない事や通常業務の忙しさのため しっかりと向き合うことが難しい。現在ペットシッター等医 療知識に乏しい者が動物介護を生業として行っているが、数 カ月の通信教育や経験のみに頼った動物介護、エビデンスに 基づかない民間療法を行うなど、動物医療従事者としては危 惧する場面も多々ある。外部の動物看護師を上手く利用する 事で、動物病院と飼い主の良好な関係性を壊さず QOL を向 上させ、また勤務する動物看護師が他の動物看護師と接触す る事によるモチベーションの向上も期待できるのではないか と考える。 ― 87 ― 演題番号:E7 見て実感する感染予防の授業 ○板垣奈々絵、青木理子、栗栖奈津美 大阪ペピイ動物看護専門学校 1.はじめに:動物看護学生が感染予防を考える際、見えない ものが対象では、行動制限や動物病院内での動線を意識し難い のが実際である。また手術時の無菌操作も、実習等で経験と知 識は養っているが、見えないものを意識して行動することに困 惑する様子が見られる。本研究では、模擬感染源を使用し可視 化することで、どのような行動が感染拡大につながるかを、学 生がより明確に意識することができるかを検討した。 2.材料および方法:本校動物看護福祉学科 3 年生 33 名を 対象に、1 チーム 4 〜 5 名とし、以下のシチュエーションで 実習を行った。対象学生は学内で手術実習を経験し、無菌操 作の知識を習得している。(1)隔離室での治療・処置 看護 動物に見立てたぬいぐるみに、コンスターチを付着させそれ を感染源とした。保定者・処置者ともにグローブ、ガウンを 着用し、それぞれへの付着物を確認した。処置内容は頚静脈 留置針設置・採血とし、血液を分注、一般区域へ持ち出す行 程をどのように行うか各チームで検討した。(2)手術時に縫 合糸を助手へ渡す 縫合糸外袋にコンスターチを付着させそ れを環境中の微生物と見立てた。助手はガウンとグローブを 着用し、外回りから縫合糸を受け取り、ガウン、グローブへ の付着物の有無を確認した。また、縫合糸の開封を意図的に 有窓布の上で行なうことで、外袋に付着したコンスターチが どのように飛散するかを確認した。 3.結 果:今まで座学や実習内で教員から教授されてもイ メージしにくかったものが、視覚で捉えることで、より明確 に感染予防を意識することができた。また、血液を隔離室外 へ持ち出す方法を検討する際には、様々なアイデアが飛び交 い活気にあふれていた。 4.考察および結語:座学や文書では伝わり難い内容でも、 可視化したものを取扱うことで、学生の記憶に残る実習とな り、動物病院で勤務する際も、自身の行動と感染源の繋がり を考えるきっかけとなるであろう。また、感染症に罹患した 看護動物に接した際、汚染リスクの高い箇所を知ることで、 感染拡大防止を考え行動する重要性を習得できたと思われ る。今回はコンスターチを模擬感染源としたが、実際のもの との質量差が大きく、飛散の様子を完全には再現できなかっ た。ガウンや有窓布の色に対して、認識しやすい白色のもの を選択したが、同色でより粒子の細かい無害なものも今後検 討していきたい。 演題番号:E8 専門学校における実習授業への取り組み ○石橋妙子、吉田 薫、野村弥生 大阪ペピイ動物看護専門学校 1.はじめに:動物看護師統一認定試験の受験資格となる 「動 物看護師養成モデルコアカリキュラム」を多くの専門学校が 2 年の履修期間で導入しており、本校も 2014 年 4 月入学時 から 2016 年 3 月の卒業時に完成年度を迎えることになった。 中でも実習科目はモデルコアカリキュラムで設定されている 履修時間の 42%にあたる 810 時間が設定されていることか ら、より充実した授業内容にするため「動物看護実習」「動 物臨床検査学実習」について検討した。 2.材料および方法:動物看護実習は、診療補助業務とグルー ミング業務をテーマとしている。そこで、授業テーマに沿っ て事前に動物種の特徴や看護手技の意義などを教授し、教員 が手本を見せてからぬいぐるみを用いて一通り手順を把握し 繰り返し練習できるようにした。その後、学校飼育動物で実 際に手技を行い、動物の動きや心理状態を推測しながら技術 を高めるよう教授した。動物臨床検査学実習は、主に便や尿、 血液などを用いて授業を行うが、最初の数回は顕微鏡や検査 器具の取り扱いを充分に学び検体の大切さを意識づけた。さ らに検査項目ごとに、準備、手順、結果の書き方、汚染に配 慮した片付けまで一連の作業を動画に撮り教材として用いて 映像と照らし合わせながら練習できるように工夫した。 3.結 果:動物医療現場の経験がない学生が技術を学ぶに は、手技の始まりと終わり一連の流れが目に見えることが有 効かと思われる。まずは視覚でイメージを掴み、自分がどの ような動きをすれば良いのか把握することで練習がしやすく なる。また、動物看護実習では動物の扱いに不慣れな学生が 一つ一つの工程をぬいぐるみで練習することで手技のポイン トや自分が苦手な部分を理解できる。また、検査実習のよう に細かい作業を有する手技は教員の手本のみではわかりづら いこともあり、必要カ所を拡大して注目できる動画は学生に とって何が求められているのかわかりやすくなった。 4.考察および結語:実習授業はその性質からグループで行 うことが多いが、学生一人一人が確実な技術を身に付けるこ とと動物福祉の精神を持って手技に臨むことが教育に求めら れる。そのためには正しい手順とポイントを明確にできるた めの教材が重要だと考える。また、授業に協力してくれたり 検体を提供してくれたりする学校飼育動物への感謝や配慮は 動物看護師の卵として備えておきたい精神である。 ― 88 ― 平成27年度 獣医学術近畿地区学会 協賛企業ご芳名一覧 多くの企業様から企業紹介・広告・展示出展などにご協賛いただきました。 厚く御礼申し上げます。 近畿地区連合獣医師会・獣医学術近畿地区学会運営委員会 1. アークレイマーケティング株式会社 2. アニコム損害保険株式会社 3. 学校法人宮﨑学園 大阪ペピイ動物看護専門学校 4. 株式会社学窓社 5. 共立製薬株式会社 CA 大阪営業所 6. 株式会社クレディセゾン 7. シスメックス TMC 株式会社 8. 株式会社サン・メディカ 9. 千寿製薬株式会社 10. DS ファーマアニマルヘルス株式会社 11. 日生研株式会社 12. 一般社団法人 日本小動物獣医師会 13. 株式会社ネオ・ベッツ 14. 株式会社葉月会 15. 有限会社 PKB ジャパン 16. ペットコミュニケーションズ株式会社 17. 松研薬品工業株式会社 18. メリアル・ジャパン株式会社 19. 株式会社安田システムサービス 損害保険ジャパン日本興亜株式会社 20. 裕和薬品株式会社 21. 株式会社ユニックメディカル 22. ゾエティス・ジャパン株式会社 23. 株式会社微生物化学研究所 24. 株式会社インターベット 25. 株式会社メディアート 26. バイエル薬品株式会社 ― 89 ― 1. アークレイマーケティング株式会社 大阪市北区南森町 1-4-19 サウスホレストビル 4F 電話 050-5533-5585 FAX 06-6312-3813 http://www.arkray.co.jp/ アークレイは昨年動物病院様向けブランドを立ち上げ、thinka と名付けました。 「think animal」を意味し、動物の健康を“考え”動物医療を“進化”させたいという思 いを込めました。今後も生化学分析装置、尿分析装置、フィラリアキットを展開し、新た に血球計数機をラインナップに加え、幅広い商品でご提案できるようになりました。 動物医療に挑戦していく当社にご期待下さい。 2. アニコム損害保険株式会社 東京都新宿区西新宿 8-17-1 住友不動産新宿グランドタワー 39 階 電話 03-5348-3777 FAX 03-6863-8257 http://www.anicom-sompo.co.jp/ アニコム損保では、保険金支払いデータの分析を通じて、どうぶつがケガをしない、病 気にならないための情報の提供など、飼い主の皆様の『涙』を減らし、『笑顔』を生みだ す保険会社を目指して、グループをあげてケガや病気の予防促進に取り組んでまいります。 3. 学校法人宮﨑学園 大阪ペピイ動物看護専門学校 大阪市東成区中道 3-8-15 電話 0120-697-125 FAX 06-6971-1593 http://www.peppy.ac.jp 全日本獣医師協同組合と連携し、ATN(アニマル・ナーシング・テクニシャン)、動物 看護師の育成を目的として設立。現場に即した高水準の教育体制と教育環境のもと、質の 高い動物看護師が次々と巣立っています。卒業生は全国の動物病院から高く評価され、本 学の高い就職率へとつながっています。 動物看護師統一認定試験では、充実した試験対策によって 3 年連続の日本トップクラス の合格実績を誇ります。 4. 株式会社学窓社 東京都文京区西片 2-16-28 電話 03-3818-8701 FAX 03-3818-8704 http://www.gakusosha.com 1960 年の創業以来、一貫して獣医学・生命科学、農芸化学領域の専門出版社として獣 医師や動物看護師、獣医学・農芸化学研究者、臨床検査技師の先生方にご利用頂く出版物、 ならびにこれらの専門職を目指す学生が必要とする教科書や参考書等を刊行しています。 5. 共立製薬株式会社 CA 大阪営業所 大阪市中央区瓦町 4-7-8 本町東栄ビル 8 階 電話 06-6203-6991 FAX 06-6222-1249 http://www.kyoritsuseiyaku.co.jp 共立製薬株式会社 ~人と動物と環境の共生をになう~ ■事業内容■ 動物用医薬品(ワクチン・インターフェロン製剤・ビタミン・駆虫剤など)と診断薬の 開発・製造・輸入・販売 ― 90 ― 6. 株式会社クレディセゾン 大阪市中央区南船場 1-12-11 関西ユビキタス 4F 電話 06-7709-7700 FAX 06-6261-1323 http://www.saisoncard.co.jp/ クレディセゾンは常にお客様・お取引様の期待を超えるサービスをご提供するため、常 識の壁を打ち破り、常に新たな商品・サービスを生み出してまいりました。 「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」は日々の生活から ビジネスまで、ライフシーンに豊かさを演出する特典とサービスをお楽しみいただける カードです。 7. シスメックス TMC 株式会社 神戸市西区室谷 1-3-2 電話 078-992-6921 FAX 078-992-6922 http://www.sysmex-tmc.co.jp/ 動物用多項目自動血球計数装置 pocH-100iV Diff pocH-100iV Diff は、pocH-100iV をベースに、独自に開発した専用試薬によるスピーディ な白血球分画を可能にし、動物病院様の日常診療をより強力にサポートします。 コンパクトなボディにさらなる機能を追加して、進化を遂げた新しい“ポチ”は、動物 病院における血液検査の新たなステージをお届けします。 8. 株式会社サン・メディカ 東京都港区高輪 2-16-45 電話 03-5447-5224 FAX 03-5447-5222 http://www.vetsmedica.com 私どもはサプリメントメーカーです。 開業以来、つちかってまいりましたサプリメント製品開発の経験とノウハウを生かし臨 床の場で納得して選んでいただける製品、そして獣医師様からペットオーナーの皆様に自 信をもってご推薦いただける製品を提供してまいります。インターネットの普及により、 商流は大きく変化しておりますが、エビデンスのあるオリジナル素材で、「獣医師専売」 という市場を築いてまいりたいと考えております。 9. 千寿製薬株式会社 大阪市中央区平野町 2-4-9 武田平野町ビル 7F 電話 06-6226-1771 FAX 06-6222-2307 眼科用点眼・渭拭剤「ワンクリーン」、眼科用「ステロップ」、「ティアローズ」、「パピ テイン」 、 「ライトクリーン」 、眼科・耳科「ロメワン」と耳科用「ミミィーナ」を動物用 医薬品として、動物用医薬部外品「ベストフレンズ イヤークリーナー A」「ベストフレ ンズ イヤークリーナー G」 、シャンプー類「シャンプー」「トリートメントミスト」を販 売促進物共々展示ブースでご案内しております。是非、お立ち寄りください。 10. DS ファーマアニマルヘルス株式会社 大阪市中央区本町 2-5-7 大阪丸紅ビル 10F 電話 06-4705-8180 FAX 06-4705-8060 http://animal.ds-pharma.co.jp DS ファーマアニマルヘルスは、会社全体としてお客様と向き合い、お客様の満足を第 一に考え、動物たちと共に暮らす人々の笑顔溢れる社会づくりに貢献してまいります。 ― 91 ― 11. 日生研株式会社 東京都青梅市新町 9-2221-1 電話 0428-33-1001 FAX 0428-31-6166 http://www.jp-nisseiken.co.jp 日生研は国内動物用ワクチンメーカーの草分けとして昭和 34 年に設立され、多くの製 品を世に送り出して参りました。現在、鶏用 21 品目、豚用 14 品目、馬用 8 品目、牛用 3 品目、犬・猫用 1 品目、魚用 1 品目のワクチン、診断液 6 品目といった動物用生物学的製 剤のほか、混合飼料及び配合飼料を販売しております。 12. 一般社団法人 日本小動物獣医師会 東京都港区芝 2-5-7 芝 JI ビル 5F 電話 03-5419-8465 FAX 03-5419-8467 http://www.jsava.org 一般社団法人 日本小動物獣医師会(日小獣 /JSAVA)は、全国の小動物臨床獣医師に よる組織です。 主な事業:獣医事問題対策、卒後教育セミナーの開催、実習セミナーの開催、薬用量マニュ アルの発行、補助犬の助成、学校飼育動物支援、動物看護師支援、動物愛護活動、災害対策、 感染症対策、薬事問題対策、野生動物保護、環境保全対策、他 13. 株式会社ネオ・ベッツ 大阪市東成区中道 3-8-11 電話 06-6977-0760 FAX 06-6977-0761 http://www.neovets.com ネオベッツ VR(VeterinaryReferral)センターは 2005 年 10 月 3 日に大阪市内に開院し、 皆様のお陰様で今年開院 10 周年を迎えることとなりました。 二次診療施設として主治医の先生方や飼い主の皆様方のご支援の賜物と心から感謝して おります。 今後も質の高い医療提供を目指してまいります。 14. 株式会社葉月会 箕面市船場東 2-3-55 北摂ベッツセンタービル 電話 072-730-8200 FAX 072-730-2470 http://www.hadukikai.co.jp/ 事業内容:動物の診療施設経営、獣医学術振興及び獣医師の技術向上のためのセミナー 企画・開催 株式会社葉月会は近畿を中心とした開業獣医師が主体となり、出資・運営している組織 です。 1998 年に大阪府箕面市にて北摂夜間救急動物病院を設立し運営しています。また CT、 MRI、内視鏡などの検査依頼や診断支援、そして手術を含む依頼診療も行っております。 ― 92 ― 15. 有限会社 PKB ジャパン 大阪市城東区東中浜 5 丁目 12 番 7 号 電話 06-6965-2986 FAX 06-6965-0985 http://www.pkb.co.jp お陰様をもちまして PKB ジャパンは 10 周年を迎える事ができました。この度、口腔内 の衛生管理に有用なオーラティーン・デンタルジェルにプラスしてご利用頂く 3 つの製品 を発売し、只今、記念キャンペーンを実施中です。耳の集中ケアにご利用頂くザイマックス・ イヤープロテクターは、抗生物質や抗真菌剤、ステロイドや合剤等を使用することなく外 耳道を清浄に管理し、健やかな耳内環境を実現します。是非お試し下さい。 16. ペットコミュニケーションズ株式会社 大阪府大阪市中央区瓦町 1-6-10 JP ビル 3F 電話 06-6228-0873 FAX 06-6228-0872 http://www.ahmics.com/ ◆顧客管理・電子カルテソフト「Ahmics(アーミックス)V4」 ・約 30 年の販売実績 ・充実の標準機能と豊富なオプションで病院様ごとに最適な使い勝手を実現 ◆獣医療向け お薬データベース ・獣医療に特化した最新のお薬データ搭載(約 4,700 件 2015 年 6 月時点) ・Ahmics と完全連携 ◆獣医療向け高機能 3D ソフト「Ahmics-VAZE」CT、MRI の画像データより 3D 画像 を構築 ・術前検査画像の有用性を最大限活かした手術支援 ・飼い主様へのインフォームドコンセント 17. 松研薬品工業株式会社 東京都小金井市緑町 5-19-21 電話 042-381-0075 FAX 042-381-0344 http://www.matsuken-yakuhin.com 動物用生物学的製剤の開発、製造、輸入並びに販売。 【製造品リスト】 犬猫用狂犬病不活化ワクチン、豚コレラ生ワクチン(輸出のみ)、豚丹毒生ワクチン、 ブリ類連鎖球菌症不活化ワクチン、ヒラメ連鎖球菌症不活化ワクチン、ヒラメ連鎖球菌 症混合ワクチン 【輸入品リスト】 豚オーエスキー病生ワクチン、豚胸膜肺炎不活化ワクチン、豚丹毒不活化ワクチン、豚 ストレプトコッカス・スイス不活化ワクチン、(販売元:株式会社インターベット) 18. メリアル・ジャパン株式会社 東京都新宿区西新宿 3-20-2 東京オペラシティタワー 電話 03-6301-4710 FAX 03-3378-1533 http://merial.jp/ メリアルは研究開発主導型の動物用医薬品における世界のリーダー企業です。 動物の健康増進と生産性向上のために広範囲にわたる製品を提供しています。 ― 93 ― 19.(代表)株式会社安田システムサービス・(共同)損害保険ジャパン日本興亜株式会社 東京都新宿区西新宿 1-6-1 新宿エルタワー 29 階 電話 03-3340-6497 FAX 03-3340-5700 (公社)日本獣医師会 「獣医師福祉共済制度」提供 20. 裕和薬品株式会社 大阪市中央区東高麗橋 2 番 20 号 電話 06-6942-4531 FAX 06-6943-5445 昭和 27 年の創業以来、近畿エリアを中心にメーカー各社のご協力の下、開業獣医師の 皆様のご希望に沿えるよう努めてまいりました。今後も『人とペットの絆の為』『人と動 物の健康の為』、地域社会に貢献できる会社を目指してまいります。 21. 株式会社ユニックメディカル 静岡県駿東群清水町堂庭 245-1 電話 0120-537-275 FAX 0120-811-275 http://www.yunic-vet.jp/ 弊社は医薬品・医療材商品を全国の動物病院様向けにカタログ販売を行っております。 医薬品 3,600 点以上、医療材 7,400 点以上と多種多様に取り揃えております。カタログに 掲載していない商品もお問合わせ頂ければ、迅速に対応いたします。 22. ゾエティス・ジャパン株式会社 東京都渋谷区 3-22-7 電話 03-5309-7184 FAX 03-5309-9914 http://www.zoetis.jp/ 世界 No.1 の動物用医薬品販売メーカー。牛の分野においては、生産医療に重きを置い た様々な新薬を輩出してきました。 2014 年に新発売となった TSV-2 は日本初の鼻腔粘膜ワクチンであり、投与後速やかに 効果を発揮する画期的なワクチンです。 23. 株式会社微生物化学研究所 京都府宇治市槇島町 24.16 番地 電話 0774-22-4519 FAX 0774-22-4568 http://www.kyotobiken.co.jp 京都微研は、日本における動物用ワクチンのパイオニア。抗生剤で治療するのではなく、 体の中に抗体を作り出すことで病気から身を守るワクチンという予防法。それは生き物に 本来宿る、生命の力を引き出すものです。より強いいのちの力を引き出すための技術を集 め、進歩を遂げ、次々に新たな製剤が世に送り出されています。 京都微研は 65 年間まっすぐに、命の力を追求し続けています。 ― 94 ― 24. 株式会社インターベット 大阪府大阪市中央区平野町 2-3-7 アーバンエース北浜ビル 5F 電話 06-4706-7231 FAX 06-4706-6251 http://www.msd-animal-health.jp この度、株式会社インターベットは、3 か月間にわたりノミとマダニの駆除効果が持続 する「ブラベクト錠」を発売いたしました。 有効成分のフルララネルは、日産化学工業株式会社によって創薬された日本生まれで、 節足動物に高い駆除効果と哺乳動物に高い安全性を兼ね備えた有効成分です。 製品特長は「1、2の3ヶ月」 ①1錠のチュアブルで、②ノミとマダニの2つの寄生 虫に対して、③3ヶ月間効果が持続いたします。 25. 株式会社メディアート 東京都豊島区池袋 1-8-7 サン池袋Ⅰ 2F 電話 03-5953-7011 FAX 03-5953-7012 待合室の TV で様々なコンテンツを放映する事で、飼い主様の視線を集め、単に知識向 上に留まらず、健康診断の受診率向上等をはじめ様々なメリットを持った院内広報ツール です。来院している時だからこそ、ペットの病気や予防への関心が最も高まるのです。そ んな時間と場所を最大限有効に活用する事ができるのが、デジタルサイネージを利用した 「ペットライフチャンネル」なのです。全国での導入率は 1,100 院を超えています。 26. バイエル薬品株式会社 東京都千代田区丸の内 1-6-5 電話 03-6266-7345 FAX 03-5219-9723 www.bayer-ah.jp バイエル薬品は "Science For A Better Life" をスローガンに、動物用医薬品の分野では 人と動物の「より良い暮らし」をサポートする様々な製品を開発・提供しています。主要 製品に犬用ノミ・マダニ駆除薬「フォートレオン」、抗菌薬「バイトリル」、猫用消化管内 寄生虫駆除薬「プロフェンダースポット」、犬・猫の関節の健康をサポートするサプリメ ント「コセクイン」等があります。 ― 95 ― こわい狂犬病から ぼくをまもってね り ■松研狂犬病 6% ワクチン 動物用医薬品 要指示医薬品 豚用ワクチン ■ 松研豚丹毒生ワクチン 水産用ワクチン ■ Mバック レンサ 注 ■ ポ-シリス APP0 ■ Mバックイニエ ■ ポ-シリス ERY ■ 松研Mバック +2 レンサ ■ ポ-シリス 564'257+5 ■ ポ-シリス $GIQPKC&(・ 家畜用抗毒素 ■ ポーシリス $GIQPKC&(・ ■ 破傷風血清 ※豚用ワクチンは要指示医薬品です。 研究開発元 一般財団法人 松岡科学研究所 製造販売元 松研薬品工業株式会 社 〒 東京都小金井市緑町 丁目 番 号 6'. (#: 74. JVVRYYYQEPPGLR`OCVUWMGP 'OCKN OCVUWMGP@EHODPQTLR 祝 第93回近畿地区連合獣医師大会 平成27年度獣医学術近畿地区学会 開催を心よりお祝い申し上げます Japan Small Animal Veterinary Association 一般社団法人 日本小動物獣医師会 http://www.jsava.org
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