数値流体解析による住宅用調理レンジ上の気流分布

新潟大学工学部建設学科建築学コース
卒業論文梗概 平成19年度
数値流体解析による住宅用調理レンジ上の気流分布に関する研究
T04K733D 山田奈津子
指導教員 赤林伸一教授
1 研究目的
2.2 解析方法:表1に解析 case を示す。解析には汎用
近年、全電化住宅の普及が進みIHレンジが一般家庭
流体解析ソフト(STREAM)を用いる。フードの排気風量を
で広く用いられるようになってきた。IHレンジとガス
変化させた場合の流れ場を標準k - εモデルにより解析
レンジでは炎による高温部の有無などの違いにより、レ
する。コンロ稼動時のレンジ上の流れ場、温度場をCF
ンジ上の流速、温度分布が異なると考えられる。従って
D解析により求め、トレーサーガス拡散解析により鍋で
厨房の快適な空気環境を実現するためには、これらの特
発生する汚染質濃度を明らかにする。更に、実験により
性の違いによるレンジ周辺の空気環境を明らかにし、適
得られた廃気捕集率と比較検討を行なう。解析による廃
切な厨房設計が行われる必要がある。また、多様な住宅
気捕集率は式(1)で算出する。
用調理レンジの配置パターンにおいて、ガスレンジ、I
Hレンジが室内空気環境へ及ぼす影響を検討する際、実
廃気捕集率
= ダクト吸込口の平均濃度[g/㎥]
[%]
全捕集時の濃度[g/㎥]
×100
(1)
験に比べ比較的容易に空気環境の予測ができる数値流体
3 解析結果
解析を用いることは有効である。
3.1 温度・気流分布:図4にフードなしの時の鍋中央断
本研究では、数値流体解析によりフードの排気風量を
面の温度分布を示す。IHレンジに比較してガスレンジ
変化させた場合のレンジ上の熱上昇流の解析及び廃気捕
は上昇気流の温度が相対的に高い。これはガスレンジに
集率を算出し、昨年までの実験による結果との比較を行
は炎による高温部が存在するためである。図5に代表的
ない、数値解析の精度の検証を行い、更にIHレンジと
な case のIHレンジ上の流速ベクトルを示す。case1-1
ガスレンジの相違を明らかにすることを目的とする。
(排気風量 100[m3/h])ではフードの両側面及び前面でフー
2 研究概要
ドから外に漏れる気流が見られる。c a s e 1 - 2 ( 排気風量
2.1 解析対象:
:図1に解析対象の概要を示す。排気は排
150[m 3/h])ではフードから外に漏れる気流はほとんど見
気フードから行なう。図2にレンジ上面を、図3に鍋と
られない。図6に代表的な c a s e のガスレンジ上の流速
レンジの概要を示す。レンジ上には鍋を2つ配置し、ガ
ベクトルを示す。case2-1(排気風量 100[m3/h])、case2-
スレンジでは炎の温度をレンジ上から鍋底まで 5 0 0 、 2(排気風量 150[m3/h])では共にフードから外に漏れる気
流がある。IHレンジ、ガスレンジ共に 100[m3/h]では十
700、1500[℃]として与える。
排気フード
600
270
④⑤
断面②(ダクト中央)
200
排気ダクト
200
断面①
(鍋中央)
210
200
左鍋
右鍋
130
180
180
600
排気ダクト
600
排気フード
50 200
110
200 50
レンジ台
図2.レンジ上面
4510
左鍋
100
分な排気風量とならない。またガスレンジで排気風量
150[m3/h]の場合にもフード下から漏れる気流が見られる
のは、ガスレンジの上昇気流速度がIHレンジよりも速
いためであり、ガスレンジでIHレンジと同程度の捕集
率を実現するためには、IHレンジよりも多くの排気風
量が必要である。
右鍋
200
700
600
600
2250
表1 解析 case
200
鍋
(1)IHレンジ
800
レンジ台
②
左鍋
①③
900
2700
(1)前面
右鍋
200
600
1440
100
1500℃
700℃ 27
500℃
炎の詳細
200
(2)側面
※ 図 中 の①∼③は 流 入 面 、 ④ ⑤は 流 出 面 を 示 す 。 (2)ガスレンジ
図1 . 解析対象の概要
(単位:mm)
図3.鍋とレンジの概要
IH
case1-1
case1-2
case1-3
case1-4
case1-5
case1-6
case1-7
case1-8
case1-9
case1-10
解析種類
気流解析
気流解析
気流解析
気流解析
気流解析
濃度解析
濃度解析
濃度解析
濃度解析
濃度解析
フード排気風量
ガス
100[㎥/h]
case2-1
150[㎥/h]
case2-2
200[㎥/h]
case2-3
300[㎥/h]
case2-4
フードなし
case2-5
100[㎥/h]
case2-6
150[㎥/h]
case2-7
200[㎥/h]
case2-8
300[㎥/h]
case2-9
フードなし
case2-10
解析種類
気流解析
気流解析
気流解析
気流解析
気流解析
濃度解析
濃度解析
濃度解析
濃度解析
濃度解析
フード排気風量
100[㎥/h]
150[㎥/h]
200[㎥/h]
300[㎥/h]
フードなし
100[㎥/h]
150[㎥/h]
200[㎥/h]
300[㎥/h]
フードなし
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