国試対策 社会システムと社会理論 レジュメ 国試対策講座 20160904

受験対策講座(平成 28 年度) 『社会理論と社会システム』
一般社団法人
兵庫県社会福祉士会
【要チェック人物と項目】p.3
【要チェック人物と項目】p.3~p
.3~p.12
~p.12
37
ラウントリー
1
コント
38
マードック
2
パーソンズ
39
イリイチ
3
マートン(アメリカの社会学者)
40
デュバル
4
デュルケム(フランスの社会学者)
41
ホックシールド
5
フロム(社会学者)
42
パットナム(社会学者)
6
ベネディクト(アメリカの人類学者)
43
ブルデュー(フランスの社会学者)
7
リースマン(アメリカの社会学者)
44
キッセとスペクター
8
ホワイト(アメリカの評論家)
45
スメルサー
9
ミルズ(アメリカの社会学者)
46
ハーディン
社会福祉士
10
ノネとセルズニック
47
オルソン
11
ヤング(イギリスの社会学者)
48
ケリングとコールス
12
ベルとトゥレーヌ
49
ライアン(カナダの社会学者)
13
ターナー(アメリカの社会学者)
50
シャー
14
ローゼンボーム(アメリカの教育社会学者)
51
サザーランド
15
スペンサー(イギリスの社会学者)
52
ハーシー
16
タウンゼント
53
ベッカー(社会学者)
17
ジンメル
54
クロワードとオーリン
18
オグバーン
19
マルクス
【その他 要チェック項目】p
要チェック項目】p.13~p
.13~p.20
~p.20
20
テンニース
社会システム 概念・社会指標
概念・社会指標
21
クーリー(アメリカの社会学者)
1
創発特性
22
アルヴィン・トフラー
2
客観指標
23
奥田道大
3
主観指標
24
マッキーバー
4
ジニ係数
25
ヒラリー
5
アトキンソン指数
26
有賀喜左衛門
社会システム 文化論
27
鈴木栄太郎
6
文化帝国主義
28
倉沢進
7
対抗文化(カウンター・カルチャー)
29
磯村英一
8
文化伝播
30
ワース
9
ヘゲモニー
31
バージェス
10
32
大野晃(社会学者 )
社会階級と社会階層
33
ミヘルス
11
強制移動
34
リプスキー
12
産業循環
35
ヴェーバー
13
純粋移動
36
ラルフ・ダーレンドルフ(社会学者)
14
世代間移動
伊東圭一
文化的ヘゲモニー
社会移動の基本概念
1
受験対策講座(平成 28 年度) 『社会理論と社会システム』
一般社団法人
社会変動
産業化・都市化
兵庫県社会福祉士会
社会福祉士
社会的ジレンマ
社会的ジレンマ
15
第一次的関係
47
囚人のジレンマ
16
第二次的関係
48
非ゼロサムゲーム
17
近代以前の伝統社会
家族
18
産業化
49
扶養義務
19
高度産業化(サービス産業化)
50
世帯
20
大衆消費社会
51
定位家族
21
高度消費社会
52
生殖家族
22
国民国家
53
直系家族制
23
管理社会
54
夫婦家族制
24
世俗化
55
複合家族制
地域社会
56
修正拡大家族
25
行政村
57
ステップファミリー
26
町内会の特徴
58
家族のライフサイクル
27
エスニック・コミュニティ
59
ライフコース
28
ニューカマー
共生社会と権利
29
コンパクトシティ
60
共生社会
30
アーバンビレッジ
61
多文化主義(マルチ・カルチュラリズム)
31
ニューアーバニズム
62
文化多元主義
社会的役割
社会化
社会問題の捉え方
32
社会化
63
サンクション
33
一次的社会化
64
文化学習理論
34
二次的社会化
65
非行下位文化
35
予期的社会化
66
資源動員論
36
ジェンダー規範の内面化
社会的役割
伊東圭一
地位と役割
37
獲得的地位(業績主義的地位)
38
帰属的地位(属性主義的地位)
39
役割距離
40
役割演技
41
役割葛藤
42
役割期待
43
役割猶予
44
役割交換
45
役割分化
46
ダブルスタンード(二重の基準)
2
受験対策講座(平成 28 年度) 『社会理論と社会システム』
一般社団法人
兵庫県社会福祉士会
伊東圭一
【要チェック人物
【要チェック人物と項目】
人物と項目】
1 コント
2
実証哲学(人間精神の知的活動として実証的であることを尊重する主張)の中で「社会学」と命名した。
三段階説(3段階の法則) ➠ 社会は,『軍事的段階 ⇒ 法学的段階 ⇒ 産業的段階』の三段階に進歩する
パーソンズ
「手段的役割」 ➠ 父親が職業に従事し,家族を社会につなぐ
「表出的役割」 ➠ 母親が家事を行い家族の調整を図る
AGIL4機能 ➠ 社会システムが均衡し存続するためには,必ず満たされなければならない ➠ 四つの機能的命令
がある
①
適応(Adaptation):経済サブシステム
②
目標達成(Goal attainment):政治サブシステム
③
統合(Integration):統合サブシステム
④
潜在的パターンの維持と緊張処理(Latent pattern maintenance and tension management):動機づけサブシ
ステム
ホッブズ問題 ➠ 合理性の規範に基づいて,利己的に自己の目的を追求するかぎり,社会秩序は論理的に成立不可
能である.それゆえパーソンズは,いかにして社会秩序は可能かという問題(秩序問題)をホッブズ問題と名づけた.
3 マートン(アメリカの社会学者)
潜在的機能 ➠ 社会現象では, 行為者が意図しなかったような結果を招くことがあること
準拠集団(リファレンス・グループ) ➠ 個人の態度形成や行動の基準となる集団のことである ➠ 実際に
個人が所属している集団だけではなく,所属していない集団も含まれる
官僚制の逆機能 ➠ (1)官僚制が奏功するために,反応の信頼性と規則の厳守が求められ ➠ (2)そうした規則が
絶対化し,次第に組織目標と無縁なものになっていく
➠
➠(3)不測の事態が生じた際,臨機応変な措置がとられなくなり
(4)非能率的な結果が生み出されるのに,成員の多くはそれに気づかない
アノミー論 ➠ 社会的金銭的成功という文化的目標を誰もが夢見るが,それを合法的に実現できるのは一握りの人
しかいないという文化的目標と制度的手段の不一致が緊張状態(アミノー)をもたらし,それが逸脱の生成要因と考える
4
デュルケム(フランスの社会学者)
経済的アノミー ➠ 資本主義の発達によって市場は無規制に拡大し,利潤を追求するために資本家や企業は人々の
購買意欲を絶えず刺激.人々の欲望は異常なまでに肥大していくが,個人の消費には限界があり,欲望と現実との間で
人々は焦燥感や挫折感,幻滅などを味わうとされる
『社会分業論』(1893) ➠ 同質な個人の連帯である機械的連帯から異質な個人の分業による有機的連帯に変化し
ていくと考えた
『自殺論』(1897)
➠
近代社会は資本主義の発達によって人々の欲望が無制限に肥大化したアノミー状態にあ
り,それが人々にいらだちや焦燥感をもたらすと考えた
3
受験対策講座(平成 28 年度) 『社会理論と社会システム』
5 フロム(社会学者)
権威主義的パーソナリティ ➠ ナチズムを支持したドイツ下層中産階級の社会的性格 ➠ もともとはアドルノ
らの概念で,権威ある者には服従するが,弱い者に対しては力を誇示し,服従を強いるのが特徴
6 ベネディクト(アメリカの人類学者)
『菊と刀』(1946) ➠ 日本の文化を「恥の文化」
7 リースマン(アメリカの社会学者)
『孤独な群衆』(1950) ➠ 20世紀アメリカ社会において,中産階級の社会的性格が「内部指向型」から,「他
人指向型」へ変化したと論じた
8
ホワイト(アメリカの評論家)
『オーガニゼーション・マン』(1956) ➠ 宗教的信者のように全人格的に組織にコミットし,集団への同一化
や帰属意識を強く望む人々を「オーガニゼーション・マン(組織人)」として描き出した
9
➠
ミルズ(アメリカの社会学者)
『パワー・エリート』(1956) ➠ 1950年代のアメリカの最高支配層は「大会社の経営者」,
「軍の上層部」
,
「政
府の上層部」の「ビッグスリー」のみが意思決定権を持っており,この3者は相互に地位を交換し合うまでに癒着してお
り,これをパワー・エリートと呼んだ
10 ノネとセルズニック
法のあり方を,前近代的社会における抑圧的法,近代社会における自律的法,そして現代社会において必要とされて
いる応答的法に分類している
11 ヤング(イギリスの社会学者)
メリトクラシー(有能者による支配)
➠
近代社会における社会的地位の配分は,身分や家柄といった属性では
なく,試験や学歴や能力によって決定されること
12 ベルとトゥレーヌ
テクノクラシー ➠ 科学的知識や専門的技術が社会のなかで重用されると,そうした知識や技術をもつ入(テクノク
ラート)が社会を支配するようになること
13 ターナー(アメリカの社会学者)
競争移動 ➠ 公正なルールの下での競争によって上昇移動が達成される ➠ エリートの基準は競争過程で大衆的
に決定される
➠
アメリカ社会が典型的
➠
庇護移動 ➠ エリート候補者が早い時期に選抜されて,既成エリートの庇護の下でエリート教育を受けることで上昇
移動が達成される
➠
イギリスが典型例
4
受験対策講座(平成 28 年度) 『社会理論と社会システム』
14 ローゼンボーム(アメリカの教育社会学者)
トーナメント移動 ➠ 選抜・競争の各段階で勝者にのみ次の競争の参加資格を与え,敗者をその都度競争から排除
していく選抜の方式
15 スペンサー(イギリスの社会学者)
社会淘汰 ➠ 自然界の進化では自然洵汰が働くように社会の進化(発展)においても適者生存の法則が働くとされる
(社会進化論の考え方)
16 タウンゼント
相対的剥奪 ➠ 人々が他者と比較して自分の置かれた状態を主観的に評価することから相対的剥奪の概念を提示し
た
17 ジンメル
「形式社会学」 ➠ 社会を個人間の心的相互作用 としてとらえ、その過程で生じる社会化の諸形式を考察
『社会分化論』(1892)
➠
近代社会では,伝統社会の村落や家が比較的小さな空間で産業と職業の単純なしく
みの下に生活していたのと異なり,工業生産を中心とする経済的な生活領域だけではなく,政治,宗教,教育などの専
門領域に分かれて仕事を分担し,それぞれが一つの「社会圏」を形成していることを指摘した.
18 オグバーン
「社会変動論」(1922年
文化遅滞(カルチュラル・ラッグ)理論 ➠ 文化を技術や施設などを含み累積的に進歩する「物質的文化」
と制度や価値体系を含み累積的には進歩しない「適応的文化」とに区別し、この二つの文化の間にある変化率の違
いによる遅滞が生ずる
➠
適応文化の遅れが社会問題を多発させている
家族の機能は産業化以前 と比べ産業化以後では縮小するとした
➠
産業化以前 — 経済・地位付与・教育・保護・ 宗教・娯楽・愛情の機能
➠
産業化以後 — 縮小し、愛情以外の6つの機能が失われる
19 マルクス
階級闘争が歴史を動かしていると考え,『近代ブルジョワ社会では資本家と労働者の階級闘争になる』 と指
摘した
➠
労働者は,最初は個別的な利害をめぐって地方レベルで経済闘争を行うが,やがて全国的な組織や政党を
結成し,階級利害をめぐって政治的闘争を展開していくとされる
20 テンニース
ゲマインシャフト(共同社会)
ゲゼルシャフト(利益社会)
➠
➠
近代以前の伝統社会は,本質意志に基づく
近代社会は,選択意志に基づく打算的な結びつきを特徴とする
近代社会は,ゲマインシャフトからゲゼルシャフトへと変化すると指摘した
5
受験対策講座(平成 28 年度) 『社会理論と社会システム』
21 クーリー(アメリカの社会学者)
プライマリー・グループ(第一次集団) ➠ 親密で対面的な結びつきと協同を特徴とする比較的少人数の集団
を指す
➠
具体例としては,家族や仲間集団があげられる
近代化の進展により第二次集団が台頭し,第一次集団的な結びつきは失われ,人々が孤立してしまう危険性があると指摘
した
※第二次集団:特定の利害や目的のため,人為的・意図的に組織された集団。学校・組合・企業・政党・国家など。
構成員の間接的な接触,機能的な視点からの構成などを特色とする。(クーリーの第一次集団に対する概念)
鏡に映った自己 ➠ 個人の得る自己の感覚は,他者による認知,すなわち鏡としての他者に映った自己に依ってい
る,とするのである
22 アルヴィン・トフラー
「第三の波」
多品種・少量生産が特徴
専門家が自分の関心だけを追求し,狭いビジョンしかもっていないと批判が強まり,病院などの組織では,決定機
関に非専門家を参入させて専門家の力を制限しようとしている状況
政治体系においても変化をもたらした
個人の多様な働き方
➠
➠
➠
専門家による支配は難しくなると主張
地方分権の進展と国家機能の低下などが指摘されている
技術体系と情報体系が合体して生産のあり方も大きく変わる
➠
フレックスタイム
制の導入,工場から家庭へと仕事場が変わる
生産と消費者が再統一される
➠
生産=消費者であるプロシューマーが復活する
生産=消費者(プロシユーマー)の復活
➠
具体的には自助運動の広がり,ガソリンスタンドやATMのようなセル
フ・サービス方式の普及,DIY(ドゥ・イット・ユアセルフ)産業の成長や,商品の企画開発への消費者の参入など
23 奥田道大
地域社会を4類型に整理 ➠ 行動体系(主体的・客体的)の軸と価値意識(普遍的・特殊的)の軸からなる地域社会の
分析枠組み
①
地域共同体モデル ➠ ムラの共同社会のように,伝統やしきたり,人々の和を大切にする.
②
伝統的アノミーモデル ➠ 地域への関心や愛着はあまりなく,地域に熱心な人たちが地域をよくしてくれることを
期待する.
③
個我モデル ➠ 自分の生活上の不満や要求を市政その他に反映していくのが市民の権利だと考える.
④
コミュニティモデル ➠ 地域は自分の生活のよりどころであるから,住民がお互いにすすんで協力し,住みやすく
しようとする.
24 マッキーバー
コミュニティ = 自然発生的な集団
アソシエーション = 特定の関心や目的をもつ人々がその達成のために形成した人為的な集団
➠
近代社会では,コミュニティから人々の関心に基づいた機能的なアソシエーションが派生し,社会分化が一層進む
6
受験対策講座(平成 28 年度) 『社会理論と社会システム』
25 ヒラリー
コミュニティについて規定した94の定義を調べた ➠ 共通するものは「地域性」と「共同性」
26 有賀喜左衛門
「家連合」 ➠ 日本の村落社会を,本家一分家からなる「同族」という垂直的な結合(上下関係)と「組」という水平
的な結合から捉えようとした
27 鈴木栄太郎
自然村 ➠ 農民の生活のなかから自然発生的に出てきた集落のまとまりを指す
結節機関
➠
駅や学校,郵便局など人間が生活を営むうえで必要であり,人々が集まり関係を結び合うところであ
り,都市はこうした結節機関の集積であると説明された
➠
「結節機関」の存在を都市と農村とを区別する標識とし,その集中を都市性の増大,すなわち都市化と規定した
28 倉沢進
都市的生活様式 ➠ 専門処理の高度依存を特色とする共同生活様式として規定されている ➠ 都市は専門家・専
門機関が集積し,専門分化が進んだ地域であるため,そこから派生する多様な専門分化サービスに依存する共同処理の
様式が生み出される
村落的生活様式 ➠ 非専門家である住民の相互扶助システムによる共同問題の共同処理によって特徴づけられる
生活の社会化 ➠ 各種の生活問題や課題が家族だけでは解決・達成できなくなり,外部の専門的サービスによって
共同的に解決・処理される
29 磯村英一
第三の空間 ➠ 近代社会の都市生活について,「生活の場と職場の分離」を前提とし,そのどちらでもない匿名的で
非拘束的な場として盛り場などの「第三の空間」概念を提示した.
30 ワース
アーバニズム論 ➠ シカゴ学派を代表する都市理論 ➠ 都市(人口量・人口密度・人口の異質性)は新しい生活
様式を生みだす
➠
都市では第二次的関係,アノミー,非個性化などの特徴がある
➠
地域における隣人同士のつ
ながりや,親族同士のつながりは減少する
31 バージェス
同心円地帯理論 ➠ 都市は異なる特徴をもった人々が互いに競争・淘汰し合うなかで,ビジネス街等の中心地区か
らスラム等もある遷移地帯(いわゆるインナーシティ),労働者の住居,中流階級の住居,高所得者の住居と,特徴の異な
る地域が放射状に形成されるという
7
受験対策講座(平成 28 年度) 『社会理論と社会システム』
32 大野晃(社会学者 )
「限界集落」 ➠ 65歳以上の高齢者が集落人口の50%を超え,独居老人世帯が増加し,このため集落の共同活動
の機能が低下し,社会的共同生活の維持が困難な状態にある集落をいう
「限界集落」で指摘される共同体機能の困難(限界) ➠
冠婚葬祭や農業用水,生活道の維持など社会的共同生活の困難
を指し,必ずしも財政的な困難を指すわけではない
33 ミヘルス
寡頭制の鉄則 ➠ どんな組織もその規模が拡大していくにつれ,組織の存続と目的達成のために少数者に権力を集
中させるが,そうした少数者の支配はやがて寡頭制の支配へと変わっていく
34 リプスキー
ストリート・レベルの官僚 ➠ 直接市民とかかわる行政サービス従事者(具体的にはソーシヤルワーカーや役所の
窓口で対応する職員,警察官など)
35 ヴェーバー
「官僚制」の特色
①
すべての組織活動が規則によって規定されており,権限も規則によって秩序づけられている
②
上下関係がはっきりした職階制をとる
③
業務が専門的に細かく分化し,専門的な知識や技術により人材が配置される
④
すべてが文書形式によって伝達が行われる
全面的官僚制化 ➠ 近代社会においては,あらゆる組織の官僚制化が進むと指摘 ➠ カリスマ的支配は,官僚制
のような制度的な永続的組織が発展をとげるにしたがって,後退していくと考えられている
社会的行為
➠
「単数あるいは複数の行為者の考えている意味がほかの人々の行動と関係をもち,その過程がこれ
に左右される」とき社会的行為と呼ぶ
①
目的合理的行為
➠
➠
社会的行為を四つの種類に分類している
外界の事物の行動およびほかの人間の行動についてある予想をもち,この予想を,結果とし
て合理的に追求され考慮される自分の目的のために条件や手段として利用するような行為.
②
価値合理的行為
➠
ある行動の独自の絶対的価値そのものへの,結果を度外視した,意識的な信仰による行為.
③
感情的行為
➠
直接の感情や気分による行為.
④
伝統的行為
➠
身についた習慣による行為.
36 ラルフ・ダーレンドルフ(社会学者)
ホモ・ソシオロジクス ➠ 自発的に役割形成を行ったり,役割距離をとったりという自由をもたず,あらかじめ定
められた1つの役割を100%遂行するだけの人間のこと
➠
役割と個人が完全に同一化された状態のモデル
37 ラウントリー
19世紀末イギリスのヨーク市の労働者の生活状態を調査
期的に繰り返す
➠
➠
労働者の生活が「第一次貧困線」を境に経済的浮沈を周
経済的浮沈が結婚,子どもの出生・成長といった出来事と関係することを明らかにした
8
受験対策講座(平成 28 年度) 『社会理論と社会システム』
38 マードック
親族の関係網から,家族範囲がどのように確定されるかを理解するために基礎的なユニットを提示
み合わせによって
➠
➠
ユニットの組
核家族,拡大家族,複婚家族という三つの主要な家族類型を描きだした.
核家族 ➠ 家族の最も基礎的なユニット ➠ 夫婦と未婚の子どもたちで構成される関係
拡大家族 ➠ 結婚した子どもが親たちの家族と同居や隣居している場合で,親子関係によって二つ以上の核家族が
複合している類型
複婚家族 ➠ 一夫多妻,一妻多夫のように一人の配偶者を共有することで核家族が結びついたものをいう
39 イリイチ
シャドゥ・ワーク ➠ 産業社会における財とサービスの生産を支え,賃金が支払われない労働 ➠ 家事や育児、サ
ラリーマンの通勤などがその典型
40 デュバル
家族のライフサイクル研究
教育学者のハヴィガーストの発達課題を取り入れた発達アプローチを展開
「横断分析」➠ 一定時点における家族の断面をつなぎあわせてライフサイクルを合成する
「縦断分析」➠ 対象となった家族を継続的に観察する.
41 ホックシールド
感情規則 ➠ 行為者の抱く感情は『個人の主観的なものではなく,社会的に共有された感情経験や規則によっている』
と考えられている
怒るべきか)
➠
(1)感情の種類(どの感情がどの状況で期待されるか)
(2)強度(どのぐらい激しく悲しんだり
(3)持続性(その場だけかそれとも状況を越えて感じるべきか)など感情のあり方を指示する
感情労働 ➠ 業務を遂行するうえで感情をコントロールすることが要求されるような職業での労働
42 パットナム(社会学者)
※『社会関係資本』は公共財ではあるが,あくまでも人との関係性や組織を示すものである。社会関係資本に恵まれた人
は,さらに多くの社会関係資本を蓄積することが指摘されている
社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)が蓄積され豊かになると,子どもの教育成果の向上,近隣の治安の向上,経
済発展,健康と幸福感の向上,民主主義の機能化・よりよい政府の実現など,各方面での成果が期待できるとしており,
市民参加の促進にも寄与する
社会関係資本を分類
結束型 ➠ 同一集団内の効用を高める
橋渡し型 ➠ 異なる集団内での効用を高める ➠ 社会のより多くの人が社会関係資本にアクセスできるよう
にするには「橋渡し型」の社会関係資本の構築が重要だとされる
43 ブルデュー(フランスの社会学者)
文化資本 ➠ 身体的な振る舞いや家財道具,獲得した制度,資格など文化的要素を帯びるもの
社会関係資本が経済資本や文化資本を強化し,その一方で経済資本や文化資本に転換されることで社会関係資本が形
成・維持されるとした
➠
最終的には支配階級にとって優位な階級のメカニズムに組み込まれるという
9
受験対策講座(平成 28 年度) 『社会理論と社会システム』
44 キッセとスペクター
社会問題や社会病理は,人々がある状態を「問題」とみなし,それに対し人々が行う「クレイム申立て活動」を通
して構築されると考えた
45 スメルサー
集合行動5つの分類
※
「一般化された信念」とは,問題を解決するにはこれしかないと信じている方法のこと
信念」の成長と普及がなければ集合行動は成立しない
➠
「一般化された
➠ 「一般化された信念」が生成されたからといって
社会運動が成功するとは限らない
※
構造的ストレーン(緊張)
➠
社会構造のかかえる矛盾とそれが引き起こす社会生活上の問題によってつくり
だされる緊張状態を指す
①
ヒステリー的信念に基づく集合的逃走(パニック) ➠
特定的な要素である「恐怖」が含まれる
➠
この信念には一般的な要素である「不安」と
突然発生した予期しない恐怖で,抵抗不可能なものであり,多く
の人々が同時にそれに影響される状態の事である
➠
パニックが生じるには危機からの脱出路の限定,あるいは,
閉ざされつつあるという状況下にある.完全に隔離された状況,あるいは開放的な状況においてパニックは生じず,
「構造的誘発性」が条件となる
②
積極的な願望充足の信念に基づく行為への動員(クレーズ) ➠ この定義に当てはまる行動は様々で
ある.経済的な領域での投機ブームや政治敵領域におけるバンドワゴン現象,さらには,表現的な領域における流
行や宗教領域での信仰復興運動などが含まれる
③
敵対信念のもとでの行為への動員(敵意噴出行動) ➠ 敵意噴出は,金融パニックが発生した後や災害
の後などの混乱した状態に連続して起こりやすい.この行動の参加者は,特定の個人あるいは集団を問題の唯一の
有責主体にして,それらに敵意を表出する.
④
規範志向運動 ➠ 社会運動は集団行動に分類しないことが多いが,スメルサーは二種類の社会運動を含めてい
る.その一つが「規範志向運動」であり,一般化された信念の名において,規範を復興し,防衛し,変革し,創造
しようとする試みである. ➠
次に挙げる「価値志向運動」が社会の包括的な変革を求めるものに対し,ここで
は,システム内での所与の変革を求め,多岐的な構造的ストレーンから生じる
⑤
価値志向運動 ➠ これは「一般化された信念の名において,価値を復興,防衛,変容,創造しようとする集団
的な企て」と定義される.
➠
中世ヨーロッパにおける十字軍や諸革命,日本においては明治維新などの革命・
改革などに当てはまり,根本的な価値を前提に「社会全体を包括的に変革」する運動である
社会統制 ➠ 社会やその内部の集団が,構成メンバーの同調ないし服従を確保するためにとるあらゆる手段および作
用過程の全体
➠
命令,報賞,表彰など「正の制裁」を用いた奨励策(積極的社会統制)も含めて社会統制とよぶ
➠
スメルサーによれば運動を抑制する力は「社会統制」である
46 ハーディン
共有地の悲劇 ➠ 各主体が自由にその財・サービスを使用したり採ったりすると,その資源が社会的に最適な水準
よりも過剰に使用されることとなる
10
受験対策講座(平成 28 年度) 『社会理論と社会システム』
47 オルソン
選択的誘因 ➠ 非協力的行動を行うことに対し罰を与える,あるいは協力的行動を行うことに対して報酬を与えるこ
とによって,協力的行動を選択するほうが合理的であるようにする方法
フリーライダー ➠ 費用を負担せず受益だけを享受する行為者
オルソン問題 ➠ 集団成員すべてがあるいは大半がフリーライダーになると、集合財は供給できなくなる。個人が
合理的に行動しようとすると、集合財は供給できなくなる。つまり集団目標が達成されなくなる。すなわち個人合理性
と集団目的の衝突という事態である。ということを問題提起した
48 ケリングとコールス
割れ窓理論 ➠ 放置された割れ窓は,建物管理や町の秩序維持に地域の人々が無関心であることを示すもので,こ
うした地域は,ここでは何をやっても大文夫であるとみなされるために逸脱が横行し,治安が次第に悪化する
49 ライアン(カナダの社会学者)
監視社会 ➠ 統治や管理のプロセスにおいて、情報テクノロジーにより、データを収集、処理する情報社会 ➠ 日
常生活がモニタリングされているような情報社会
50 シャー
被害者なき犯罪
➠が提起した概念
➠
堕胎や同性愛,麻薬常習など,他者に対して明白な害悪を与えない犯罪
51 サザーランド
『ホワイトカラーの犯罪』(1949)
➠組織で働く名望ある社会的地位の高い者が,業務のなかで不正な手段を
用い,違法な活動を行うことを指摘
分化的接触理論 ➠ 「朱に交われば赤くなる」ということわざのように逸脱集団への接触や相互作用により逸脱文
化が学習されると考える
52 ハーシー
統制理論 ➠ 逸脱を統制する要因の作用が弱まったときに逸脱行動が生じるとする➠ 統制要因として想定されて
いるのは社会規範や集団との絆であり,権力ではない
53 ベッカー(社会学者)
ラベリング理論 ➠ 特定の行為を逸脱と定義し,そうした行為を行った者を逸脱者と認定することが,逸脱の生成
要因であると考える
54 クロワードとオーリン
機会構造論 ➠ 有利な生活機会が不足している状況で,非合法的なものに容易に接触できることが逸脱の生成要因
と考える
11
受験対策講座(平成 28 年度) 『社会理論と社会システム』
【その他 要チェック項目】
社会システム 概念・
概念・社会指標
1 創発特性
要素が集合して一つの全体をなす場合,要素が相互に関係しあうために,要素の特性の単純な総和に還元できない新し
い特性が出現すること
ること
➠
➠
ある現象の複雑性が低次なものから高次なものへと移行したときに,新たな特性が出現す
これらの新しい特性をいう
➠
例えば分業は,個人の能力の総和を遙かに越える高度な生産性を可能に
するなどの理由から,集団に生ずる創発特性である
2
客観指標
文字どおり,社会システムの活動の水準を客観的に測定したものである
➠
道路舗装率,住民1万人あたりの学校や
病院の数など経済的・文化的・生活機会などの側面を表示
3 主観指標
社会システムの活動の状態に対する人々の意識を測定しようとするものである
➠
人々が社会システムの活動の状態
に満足しているかどうか,人々のニーズがどこにあるのかを測定するもの
4 ジニ係数
所得格差をあらわす指標
5 アトキンソン指数
所得分配の問題を社会的厚生の立場から評価
➠
所得がもし平等に分配されていれば得られたであろう社会的厚生と,
現状の所得分配から得られる社会的厚生の差をもとに算出される
社会システム 文化論
6 文化帝国主義
文化をとおして現代国家における諸国間の支配と従属の関係をみた場合,ある国のメデイア情報や商品・ライフスタイ
ルが他国で浸透していく状況は,他国の慣習や価値観が支配されているとみなされる
7 対抗文化(カウンター・カルチャー)
ある社会の中心的な位置を占める支配文化に対して,異議を申し立てて批判や抵抗をし,それらとは新たな価値を創造・
提唱していこうとする文化的な動き
8 文化伝播
ある民族から別の民族へ文化的要素が伝わっていくこと
9 ヘゲモニー
支配秩序が暴力行使やイデオロギーに依存することなく諸力の均衡のうえに維持されている状態
12
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10 文化的ヘゲモニー
文化的支配は,教会や法律,学校,選挙制,労働組合,マスメディアを介して多様な形で達成され,人々の日常的な生
活文化の枠に照らして支配の正当化が行われること
社会階級と社会階層
➠
文化的マルクス主義の用語
社会移動の基本概念
11 強制移動
産業構造の変化によって引き起こされる社会移動
12 産業循環
資本主義が活況,繁忙,恐慌,不況の各時期を周期的に繰り返しながら発展していくこと
13 純粋移動
経済的要因や人口動態などの要因によるものではない,階層間の移動がみられる場合をいう
➠
社会の成員が社会階
層を構成するそれぞれの社会的地位に就く機会が平等であることを示すものである
14
世代間移動
親子間の社会的地位の変化
社会変動
社会変動
産業化・都市化
15 第一次的関係
比較的少人数の直接的な相互作用を特徴とする親密な結びつきの関係
16 第二次的関係
規模が大きく,間接的な相互作用を特徴とする
➠
目的達成のための一時的な関係
17 近代以前の伝統社会
農作業や生活上の諸問題を処理するのに近隣の助け合いが必要であった
➠
社会保障制度や金融制度が十分に発達し
ていない状況では,一つの家で解決できない問題は他の親族に頼らざるを得ず,そのため親族が集まって住むという状
況が生まれてきた
18 産業化
農業(第一次産業)中心の社会から工業(第二次産業)中心の社会へ産業構造の変化
➠
欧米の社会では18世紀半ばの産
業革命により産業化
産業化が進むと多くの人が農業をやめて第二次産業に従事
➠
農村部から都市部へと人口が流出していった
➠
三
世代同居の家族は減少し,核家族が増加した
産業化が進むと,相互扶助の必要性はなくなり,仕事の都合で居住地を移動
➠
親族ネットワークは縮小し,選択的
になり,居住地も拡散した
13
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19 高度産業化(サービス産業化)
20世紀後半の1960年代頃からさらなる産業構造の変化が指摘される
➠
工業(第二次産業)中心からサービス業(第
三次産業)中心へと産業構造が変化
20 大衆消費社会
大衆の商品選好が画一化
➠
生産者によって操作される点が指摘
21 高度消費社会
生産よりも消費に重点
➠
消費者の影響を無視できない
22 国民国家
国民主権,民族自決権を特徴とする国家
➠
イギリスの名誉革命,フランス革命などの市民革命によって欧米では国
家権力は人民とその代表の議会に主権が移行し,人民は参政権を獲得
23 管理社会
管理—被管理関係が新しい支配と抑圧の形式として全般化されている社会
➠
現代社会では情報技術や知的技術が高
度に発達し,さまざまな領域で個人の私生活や情報が管理されている
24 世俗化
宗教や超自然的観念から科学的見方に代わる過程
➠
近代社会では科学的思考が広く受け入れられ,宗教の影響や象
徴の支配から離脱する傾向がみられる
地域社会
25 行政村
人為的に策定された集落の範囲を指す
26 町内会の特徴
27
加入単位が(個人ではなく)世帯であること,入会は自動的であること,行政の補完的な役割を果たすこと,などである
エスニック・コミュニティ
特定の地域からの移民やその子孫が集まって形成された地域
➠
原住地の文化や伝統が保存・継承されるとともに,
同一地域からの新たな移民の受入れの窓口となることが多い
28 ニューカマー
強制連行などによって日本に来た在日韓国人・朝鮮人などの「オールドタイマー」あるいは「オールドカマー」に対し
て,1980年代以降,韓国,中 国,フィリピン,タイ,ブラジル (ブラジルの場合は日系移民が多い)などからやって来
た外国人居住者のこと
14
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29 コンパクトシティ
都市的土地利用の郊外への拡大を抑制すると同時に中心市街地の活性化が図られた
➠
生活に必要な諸機能が近接し
た効率的で持続可能な都市,もしくはそれを目指した都市政策のことである
30 アーバンビレッジ
1992年にイギリスで示された方策で,さまざまな階層の人々と,さまざまな用途の施主が混在する接続可能なコミュ
ニティ形成を目指す動きのこと
➠
住民参加が前提となり,公共交通を率先して利用する職住近接の生活を想定した
都市構造を目標とする
31 ニューアーバニズム
1980年代後半から1990年代にかけて,主に北米で発生した都市設計の動き
➠
ヨーロッパではコンパクトシティ,
イギリスではアーバンビレッジが同様の概念である
社会的役割
社会化
32 社会化
子どもが誕生したときから開始される
➠
家族は社会化の重要な担い手となる
社会化の過程は幼少期だけではなく人間の一生を通して行われる過程である
33 一次的社会化
個人が生まれて成長する過程で,その社会全体に共通の基本的なことがらを身につけることをいう
➠
家族の中で、
言語、基本的な生活様式、ジェンダー規範を身につける
34 二次的社会化
学校や職場の中で、分化様式や社会規範などを身につける
35 予期的社会化
将来所属することが確実視される集団の価値や行動様式をあらかじめ学習すること
36 ジェンダー規範の内面化
始まるのは,乳幼児期から
➠
男の子であるか女の子であるかによって接し方を変え,子どもに自分の性別と,性別
に適切なふるまいを理解させようとする.こうした過程のなかで子どもはジェンダー規範を内面化させていくことにな
る
社会的役割
地位と役割
37 獲得的地位(業績主義的地位)
自分の能力や努力によって文字どおり獲得する地位のこと
近代社会で原則として重視される
➠
不変のものではない
15
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38 帰属的地位(属性主義的地位)
世代から世代へと継承されるような地位
➠
生まれたときから与えられるもので,途中で獲得するものではない
39 役割距離
他者の期待と少しずらしたかたちで行動すること(ゴッフマン)
40 役割演技
場面と登場人物が設定された中でその人物の役割を演じる
41 役割葛藤
役割を構成する要素に矛盾・対立がある場合に心理的緊張を生ずる
42 役割期待
役割に対する取るべき行為・内容についての予測や期待
43 役割猶予
社会秩序の一部に結び付けられる前の,試行錯誤を試みる青年期の期間
44 役割交換
夫婦や親子など相互で役割を交換することにより、相手の立場や考え方を理解すること
45 役割分化
家族における夫と妻、親と子のように、社会・集団の課題に対し役割がわけられること
46 ダブルスタンード(二重の基準)
対象によって適用する基準を変えることである➠
例えば,男女に期待される性別役割は異なるため,性別役割はダブ
ルスタンダードであると指摘される
パーソンズが指摘した「手段的役割」と「表出的役割」もダブルスタンダードであるといえる
社会的ジレンマ
47 囚人のジレンマ
隔離された 2 人の共犯者において,黙秘か自白により量刑に差が出るために,行動オプションの選択を悩むこと
➠
2
人とも黙秘すれば微罪で済むが,2 人とも自白すれば懲役 5 年,一方が自白して一方が黙秘すれば懲役 10 年という場
合,相手の裏切り不安に晒されて常に自白するという行動を取る.
48 非ゼロサムゲーム
ゲームに参加する行為者の利得の総和がゼロとならないゲームで,参加する行為者すべてが勝者となったり,あるいは
その逆に敗者となったりする場合がありうる
➠
代表的な例が「囚人のジレンマ」である.
16
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家族
49 扶養義務
わが国の民法では,扶養義務の範囲は特別な事情がある場合、3親等内の家族にまで及ぶ
50 世帯
「住居と家計をともにする人々の集まり」と定義される.
➠
本来は,国勢調査を実施するために
工夫され,家計調査や国民生活基礎調査など,国民の生活を把握するさまざまな調査で用いられる行
政上の概念である.
➠
世帯わが国では,住民基本台帳の記載は「世帯」を単位として行われる.
進学や就職のために別居している人は「家族」には含まれるが,住居と生計をともにする「世帯」に
は含まれない.
51 定位家族
子どもの世代からみた家族
➠
子どもが生まれ,社会化される場としての家族である.これを支える関係は親子関係
である
52 生殖家族
親の世代からみた家族は,配偶者を選択し(結婚し),子どもを産み育てる家族
➠
生殖家族を支える関係は夫婦関係で
ある
53 直系家族制
家族の世代的な継承を重視した制度
➠
跡取りを固定して家族の財産や地位が優先的にその人に配分される
わが国の直系家族制度は「
「家制度」
家制度」と呼ばれ,家長の統率のもとに家産に基づいて家業を経営する.非血縁者を跡取り
養子にしても世代を超えて家系が存続することに重点をおく制度である.
54 夫婦家族制
夫婦の結婚とともに家族が誕生し,一方の死でその家族は一代限りで消滅するという家族観に依拠
➠
親の遺産は子
どもに均分に配分される
この制度は,雇用労働者の一般化や,老後の夫婦単位の生活を支える社会保障,個人の独立性の重視などを背景にして
成立する
日本の場合,夫婦家族制の考え方が広く浸透してはいるが,老親の扶養などに「家制度」的な考え方の名残が認められ
る
55 複合家族制
2 人以上の子ども家族と同居することを原則
➠
子どもが結婚しても親と同居し続けるこの類型は,多人数家族にな
りやすく,親の死を機に財産を均分相続して分裂する
17
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56 修正拡大家族
別居する子ども家族と親のあいだで頻繁な交際や相互の援助関係が見出される場合など
➠
こうした親族との関係は,
核家族化の進行とともに産業社会で出現した
57 ステップファミリー
配偶者の少なくとも一方の結婚前の子供と一緒に生活する家族形態
ド・ファミリー)ともいう
➠
➠
継(まま)家族,ブレンド家族(ブレンディッ
離別や死別後,子連れで再婚した結果形成される家族.血縁関係にない親子関係が 1 組
以上含まれるものをいう.
58 家族のライフサイクル
夫婦の結婚と死亡,子どもの出生と成長によって各ステージが設定されている
➠
家族には各ステージで達成しなけ
ればならない課題と求められる役割があり,それらはステージが移行するごとに変化していくと考えられている
59 ライフコース
個人が一生の間にたどる道筋のこと
➠
歴史的社会的な影響を重視し,個人を多様なものとして捉える
長寿化や家族の多様化が進み,家族生活をライフサイクルではなくライフコースの視点から捉えるアプローチ法の有効
性が高まっている
共生社会と権利
60 共生社会
異質で多様な人々が,お互いの多様性を前提にし,また尊重し合いながら,自分たちの暮らしのあり方をより豊かに掘
り下げていける社会のことを意味する
61 多文化主義(マルチ・カルチュラリズム)
さまざまな人種,民族,階層がそれぞれの独自性を保ちながら,他者のそれも積極的に容認し共存していくこと
公的レベルにおいても文化的多様性の承認が求められる
一つの国家ないし社会の中に異なった文化が共存できるように,集団間の政治的,経済的,社会的不平等を是正しようと
する運動および主張
62 文化多元主義
多種多様な文化が共存するあり方。多元的な文化要素が互いに反発しあわず平和的に存続するようなあり方を指す表現。
それぞれの文化のアイデンティティを保証するという点で「多文化主義」とは異なる。
公的な領域では単一の文化による社会秩序の維持を目指しながら,私的領域での文化的多様を受容する
近代社会の法制度と抵触しない限りにおいて,それぞれの文化を許容する
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社会問題の捉え方
63 サンクション
行為者の行為に対する,他者のさまざまな反応のこと
正のサンクション ➠ 行為を是認して奨励しようとすること
負のサンクション ➠ 行為を否認し罰を与えて阻止しようとすること
セレクティブ・サンクション
A地域は犯罪が多いというデータによって多くの警察官が配置され,Bには少ないとすれば,結果としてA でつか
まるような行為がBでは見逃される,ということが生じる
アフリカ系アメリカ人と白人系アメリカ人が同じことをしたときの警察の態度の違いも,指摘されている
64 文化学習理論
逸脱行動は,社会のスタンダードな文化と異なる下位文化の学習を通じて発生するという想定にたつ理論。
65 非行下位文化
窃盗や暴行などの犯罪をおかして,一人前と認められるというような犯罪を促進する動機づけと, 強盗のしかたなど,
犯罪を可能にする手口が,その集団を通じて,つぎの世代に伝えられていくこと。
犯罪率多発地区では,世代から世代にわたってこうした非行文化が伝承されていた。
66 資源動員論
運動の発生から展開にわたる全過程において,人々がどのような資源(物的資源だけではなく,人々のもっている知識,
経験,伝統といった情報資源や人的資源,関係資源)をどのような条件の下で動員するかに焦点をあてて分析していく立
場である
➠
オルソン問題への回答の一つ
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