報告集 - General Union

レイバーフェスタ2008OSAKA
報 告 集
12月14日(日)、エルおおさか南ホール
この報告集は、呼びかけ・賛同人(団体)と、アンケートで住所を記載の方
に送らせていただきます。また、メーリングリストとアンケートにアドレス記
載のあった方には、PDFファイルで流します。これからも企画があり次第、
メーリングリストに流していきますので、メールアドレスのある方はメーリン
グリストにご参加ください。希望者は下記アドレスにアクセスを↓
[email protected]
INFORMATION!
今年のレイバーフェスタOSAKAは、12月13日(日)、エルおおさか南
ホールにて開催します。また、3分間ビデオの合評会を、2月17日(火)18
時半、エルおおさか503号室にて行います。興味のある方はご参加ください。
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楽しく、勇気づけられるレイバーフェスタ(大阪)
恒例の「レイバーフェスタ OSAKA」が12月14日、「エルおおさか南館」
で開かれ、映画「蟹工船」や「落語」それに「3分ビデオ」など、労働と社会
をテーマにした文化表現の場に140人が集まった。
「フェスタ」も今回で5回目、「働く女性の人権センター・いこ☆る」の津
村明子さんが司会を務め、初めに小林多喜二原作・山村聰監督の映画「蟹工船」
が上映された。一躍ベストセラーになり、ブームとなった蟹工船は、現代の酷
い労働状況の原点ともいうべき昭和初期の、会社と労働者、そして権力を象徴
する軍との関係を描いている。救いのない暗い映画だが、朝鮮戦争下の50年
代初期に撮影された時代性を色濃く反映した作品でもある。資本の利益をあげ
るために労働者を虫けらのように扱う「蟹工船」状況は、残念ながら今の日本
社会にも続いている。
このあと、昼休み休憩に入り、軽食(餃子スープが人気)をとったあと、東
京の3分ビデオ12本を一挙上映。緊張する団体交渉や闘争の画面が多かった
せいか、アニメーションの「サンタ民営化」が一番好評だった。
午後はアメリカの港湾労働者のストライキを描いたドキュメンタリー「NO
PEACE NO WORK(平和なくして労働なし)」に続いて、在日英国人ダイア
ン吉日さんによる創作落語「ワンダフル・ジャパン」が上演された。来日18
年のダイアンさんは達者な日本語で「まくら」を語ったが、本編は英語。異文
化衝突の面白さと、日本人の外国人に対する発想のワンパターンぶりを風刺し、
会場は笑いに包まれた。
締めくくりは関西勢の制作による3分ビデオ。初回の6本から、8本、10
本、13本と順調に増え続け、今年は14本が集まった。特に今年は、6回に
わたって実施されたビデオ制作講座の講座生の作品が目立った。なかでも、親
子3人の生活を題材にした福西美穂さんの「家族の肖像2008」や、4年に
わたる自分の免職処分反対闘争をまとめた伊澤絵梨子さんの「私が教室に戻る
まで」は、いずれも処女作ながら、人生と労働を、凝縮して表現した佳品だっ
た。
集まったアンケートは去年の2倍にあたる58通、書き込みも多く、「関西
の3分ビデオくらいなら(!)自分にも作れそうだ」「来年はビデオ制作講座
を受けたい」という声もあり、楽しく、考えさせられ、勇気づけられるレイバ
ーフェスタであった。
(小山帥人記)
※レイバーネット日本への報告文
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参加者アンケートより
▼受付風景
ア)このイベントを何で知ったか
1.以前に参加
17
2.知人からの誘い
27
3.新聞・機関紙など
1
4.チラシ(集会など)
15
5.チラシ(会館など)
3
6.インターネットやML
12
7.その他(組合など)
4
イ)公募3分間ビデオ人気投票(○を1票、◎を2票で計算)
●関西作品↓
*「私が教室に戻るまで」
23
*「障がい者が就職できることがあたり前の社会にしたい!」
10
*「偽装請け負い許さない!吉岡争議を国会へ」
11
*「逃げるな松下」
18
*「爽やかな平和の風に乗って」
3
*「武力で平和はつくれない!」
2
*「92歳ひとり生きる」
44
*「ここで大きくさせて!」
32
*「次世代を考える―ニューカマーの高校進学」
27
*「自立に向かう子どもたち−カンボジャ・プノンペン」
12
*「基地ではなく、ジュゴンの保護区を」
22
*「家族の肖像 2008」
37
*「特掃は命綱だ−高齢者特別清掃事業」
28
*「悪いのは天満や−添乗員に社会保険を」
22
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●東京作品↓
*「麻生邸ツアー弾圧事件」
23
*「そこにある、ベルク」
30
*「死ねと言うのか!−国労組合員・辻井さんの闘い」
9
*「なぜ?なくならない!過労死」
5
*「UBIN WATCH VIDEO」
8
*「サンタ民営化」
44
*「ピースウォーク∼札幌2008.7.5」
22
*「韓国民主労総労働者大会前夜祭」
9
*「パシフィックビーチホテルで労使紛争が発生!」
10
*「ヨコスカストーリー」
13
*「イラク帰還兵の証言−冬の兵士/予告編」
14
*「フツーの仕事がしたい/予告編」
19
ウ)企画コーナー人気投票
1.『蟹工船』
26
2.海外ドキュメンタリー
20
3.創作落語
37
4.3分間ビデオ関西編
28
5.3分間ビデオ東京編
27
エ)その他、全般的なことを含めて、ご意見があればお書きください
*たいへんおもしろかったが、映像を見るだけではつながれないので、制作者のディスカ
ッションを要望したい。どこかの放送媒体でも放映してほしい
*闘いの映像が多すぎる気がする。個人と組織を分けたらどうか
*外国人を含めると一気に盛り上がるかなと思った
*休憩のときでも、全員で声を出すとか身体を動かすとか、そういう機会があればよかっ
た。映像の訴える強さを実感した
*英語の落語はわからんかった
*意外に(!?)3分間ビデオがおもしろかった。カメラを貸し出すなどして、周りの小さな
問題どんどん記録するといいかも。制作者のコメントがあったのがよかった
*ダイアン吉日さんの落語がとても愉快でした
*シンドかったが来てよかった。3分間ビデオで、「東京に比べて大阪はシロート」とい
う司会コメントがあったが、労働者やシロートをもっと絶賛してほしかった
*『蟹工船』は現実感覚としては実感をもてなかった。映像は常に、市民と社会がつなが
っているということを市民に伝える、そこに視点をおく必要があると思った
*この企画は前日にネットではじめて知った。この手の企画は東京中心だから…
*3分間ビデオがとてもおもしろく、ふだん見ている主流メディアとの視点のあまりの違
いをあらためて思った
-4-
*3分間ビデオを通じていろいろな問題を訴えられた。話よりも視覚に訴えられるのがよ
く、闘いのなかで生きる人たちの表情の力強さを感じた
*『蟹工船』の色調の調節が悪く、テロップも見にくかった
*3分間ビデオが男性からの応募が多いようなので、企画コーナーではよりジェンダーに
焦点を当てた企画をしてほしい
*内容が素晴らしく、おもしろいのだから、もっと宣伝をしてほしい
*3分間ビデオにまとめるのは素人には難しいから、3∼5分と幅があってもいいのでは
*人権問題が多く、とても参考になった
*上映前に司会者が感想を述べていたのが少し気になった
*盛り沢山な内容だったが、組み合わせを工夫されていたので楽しめた
*『蟹工船』の言葉が聞き取りにくく、内容がわからないところもあり、少し残念だった。
ダイアンさんはよかった。レイバーフェスタの説明を当日リーフレットにもほしかった
*3分間ビデオは、テーマがそれぞれに大きく深いので、欲求不満が残る。主題を端的に
提起するほうがよい。戦前と現在の労働環境の差違と共通性を提示する企画がほしい
*3分間ビデオかすべてよかった。買春や軍暴力問題など海外作品もたくさん見てみたい
*新聞等で広報されては如何
*3分間ビデオは参加したくなった
*『蟹工船』の向こう側の新しい価値観を自分も含めて世間に提示すべきかと思う
*全般に少し長いのではないか
▲ダイアン吉日さんの熱演に会場が湧いた
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会 計 報 告
収
入
前期残金
14,880
賛同金
107,000
チケット売上
199,600
計
321,480
支
出
「蟹工船」(リース)
ダイアン吉日(謝礼)
63,000
50,000
チラシ・チケット印刷
109,000
会場費(エル南ホール)
38,040
会議代(エルおおさか5回
15,660
郵送費
10,960
雑費
15,560
計
08年度残金
※毛氈リース、振替手数料ほか
302,420
19,060
会計氏から一言
大盛況だった第1回(会場が小さかったこともあって)を除いて、いつも浮氷を踏む会
計事情だが、今回はやや黒字でホッとひと息。とはいえ、試写に使用した『蟹工船』のD
VDはとりあえず個人負担で購入したので、それを実行委員会で持つとほぼトントンだっ
たといえる。よく考えれば、それなりの費用負担のある企画をひとつ増やした訳で、それ
でも黒字にもっていけたのは奇跡のような話。やや下げ止まり気味だった賛同金や入場者
数も上向いたおかげです。
-6-
後
記
あえて編集後記でもないのだが、ページ数が中途半端になったので、穴埋めとして好き
勝手なことを特権を利用して書きます。(丹羽)
■メイン映像を『蟹工船』にしたのは、ブームに便乗しようとしたのは間違いのないとこ
ろ。古い作品だから著作権も切れているだろうとの甘い目算もあったが、これまたブーム
に乗ってかビデオ・DVDもあらためて作成されていて、それなりのリース料が設定され
ていた。ネット検索すると地域での上映運動もけっこうあるようで、これは「早く名乗り
出ないと遅れを取る」と衆議一決、早い段階で確定した。
■『蟹工船』は事前に試写をした。55年前の映像だから、当然のごとく不安もあったか
らだ。暗すぎないか、という思いもあった。だが、予想に反してそれほど暗い展開ではな
かったと思う。ただ、一部シーンで画面が揺れていたり、音声が聞き取りにくい(方言も
あるにはあったが)シーンも多かったが、これは如何ともしがたかった。ラストが原作と
は随分と違って、あまりにも悲劇的な結末
だったことに違和感を抱いたメンバーも多
かったが、朝鮮戦争−血のメーデーのあっ
た時代状況下であることが影響している、
という年配者の解説に納得するほかなかっ
た。
■小説『蟹工船』は、小林多喜二が蟹工船
の操業や労働実態を実地取材し、さらに実
際に起きた「博愛丸雑夫虐待事件」を素材
に執筆したという。虐待などは日常茶飯事
▲売店コーナーも盛況でした
にあって、それが争議に発展したのは間違い
ないが、そのほかにこの当時にソ連漁船に雇われていた日本人労働者も結構多く(1928 年
で約 5000 人)、彼らとの賃金格差(倍以上)が大きかったことも理由ではないかと、旧知
のソ連史研究者は指摘している。
■実行委員会としては(あるいは、私だけかもしれないが)、極論すると『蟹工船』は客
寄せで、むしろダイアン吉日さんの落語
▼閉会挨拶
を楽しんでもらいたいと思いがあった
が、どうだったろうか。結果的には『蟹
工船』終了後も観客は減らなかった。
■3分間ビデオはレイバーフェスタにと
っての、いわばオリジナルブランド。今
年も常連さんが減ったわりに本数が増え
て、喜ばしいかぎり。「この程度だった
ら自分でもできる」という意見もあった
が、そうであれば、ぜひとも参加された
い。素人の創意で作るフェスタですから。
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レイバーフェスタ2008OSAKA 呼びかけ人・賛同人(団体)
エンドウノリコ(ビデオ工房AKAME)、小山帥人(市民メディアネット)
在間秀和(大阪労働者弁護団)、津村明子(働く女性の人権センター・いこ☆る)、
泰山義雄(研究会「職場の人権」)、山原克二(APWSL関西)
イラク平和テレビ局 in Japan、APWSL日本委員会、
おおさかユニオンネットワーク、岡田理子、おんな労働組合、釜ヶ崎講座、
木下勝康、共立事業センター、均等待遇・京都、ジュゴン保護キャンペーン、
新相互タクシー労働組合、世良砂湖、全港湾大阪支部、全日建近畿地本、
土屋トカチ、中川健一、永島靖久、なかまユニオン、西村寿子、
働く女性の人権センター・いこ☆る、林田英明、原田恵子、
ビデオ工房AKAME、ふぇみん大阪、松浦さと子、マブイ・シネコープ、
望月太郎、山下けいき、湯川恭、横山美樹、吉田道子、李安玉、渡邊充春
▲無事フェスタを終え、交流会ではホッとひと息
最後にもう一度宣伝です!
レイバーフェスタ2009OSAKA2009
12月13日(日)午前・午後、エルおおさか南ホール
3分間ビデオの合評&今年の企画言いたい放題会
2月17日(火)18時半、エルおおさか503号室
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