空き家等のリノベーションを通じた地域振興方策調査

空 き 家 等 のリ ノ ベ ー ショ ン を 通 じた
地 域 振 興 方策 調 査
報
告
書
平 成 28 年 3 月
公益財団法人ちゅうごく産業創造センター
巻
頭
言
近 年 、空 き 家 に 関 す る ニ ュ ー ス が マ ス コ ミ を 賑 わ し て い る 。2 0 1 4 年 に 公 表 さ れ た 総
務 省 の デ ー タ(「 平 成 2 5 年 住 宅 ・ 土 地 統 計 調 査 」)に よ る と 、全 国 で 8 2 0 万 戸 の 空 き 家
が あ り 、総 住 宅 数 に 占 め る 割 合 は 1 3 . 5 % 、ほ ぼ 7 軒 に 1 軒 が 空 き 家 と い う 状 況 で あ る 。
しかも、空き家の中には維持管理が不十分で、地域によっては住環境の悪化やエリア
価値の低下という外部不経済の問題としてその解消が大きな課題となっている。
と こ ろ で 、こ う し た 空 き 家 問 題 へ の 対 応 と し て は 大 き く 二 つ の 方 向 が と ら れ て い る 。
一つは撤去する方法、もう一つは活用する方法である。撤去についてはすでに地方自
治 体 の 条 例 制 定 に よ っ て 行 政 代 執 行 が 可 能 と な り 、そ し て 2 0 15 年 5 月「 空 家 等 対 策 の
推進に関する特別措置法」いわゆる空き家特措法の施行によって、撤去に向けたイン
センティブが強まった。しかし、所有者ならびに自治体の費用面での問題からあまり
進んでいない。今や空き家は地域における負の資産の様相を呈している。
ところが、他方でこうした空き家を地域が生まれ変わるきっかけと見ている人たち
が少なからず存在することも事実である。それが全国で広がりをみせているリノベー
ションによる空き家の利活用である。様々なアイデアで既存の空間に新たな価値を付
加する取り組みが評価され、エリアの活性化と価値の向上に一定の効果を上げている
のである。こうした視点からみれば、空き家は地域にとっての可能性を秘めた資産と
映るのである。ただし、利活用は決して一様ではない。立地条件をはじめ、所有者の
意識、地域コミュニティや行政の取り組み姿勢など、きわめて個別性が高い。
そこで、本調査では、リノベーションという手法によってどのような地域振興が可
能であるか、可能な限りの文献調査と現地ヒアリングをもとに、個別事例から見えて
くる課題解決の方法を探ることとした。その意味で本報告書は、今まさに空き家問題
に直面している多くの方々に課題解決のヒントと道しるべを提供するものと期待して
いる。
最後に、本調査では中国地域の産官学の関係者・有識者で構成される委員会におい
て熱心な討議を行い、先進地域へのヒアリング調査等にも精力的に参加いただいた。
委員の皆さまの情熱に感謝するとともに、視察を受け入れてくださった関係各位に対
し 心 よ り お 礼 申 し あ げ た い 。ま た 、調 査 機 関 と し て 一 般 財 団 法 人 ひ ろ ぎ ん 経 済 研 究 所 、
事務局として公益財団法人ちゅうごく産業創造センターの協力を得た。あわせて深く
感謝したい。本報告書が地域の活性化に取り組む方々の一助になれば幸いである。
平 成 28 年 3 月
「空き家等のリノベーションを通じた地域振興方策調査」委員会
委員長
飯野
公央
空き家等のリノベーションを通じた地域振興方策調査
委 員 会 名 簿
(委員:所属名の50音順、敬称略)
区
分
委員長
氏
飯野
名
公央
所
島根大学
法文学部
副委員長 久保田 典男 島根県立大学
属
・
役
職
准教授
総合政策学部
准教授
委
員
新井
秀信
株式会社ウッドワン
委
員
井上
光悦
株式会社山陰合同銀行
委
員
菅田
裕喜
中国経済連合会
委
員
豊島
浩
一般社団法人中国地域ニュービジネス協議会
委
員
岩舩
真哉
中国地方整備局
委
員
森岡
隆司
中国電力株式会社エネルギア総合研究所担当課長
委
員
熊谷 千代志 中電工業株式会社
委
員
福田
憲一
鳥取県
委
員
今田
正志
公益社団法人
委
員
山根
健治
広島市
委
員
山下
英之
広島宅建株式会社
委
員
立石
一朗
広島電鉄株式会社不動産事業本部不動産営業部分譲営業課長
委
員
溝垣
啓司
株式会社もみじ銀行
委
員
安岡
和政
一般財団法人山口経済研究所
委
員
東村
美穂
山口県
オブザーバー 小 森 田
貴
戦略統括本部事業開発室室長
地域振興部
副調査役
部長
建政部
商工労働部
計画・建設産業課長
取締役社長
商工政策課
参事
広島県宅地建物取引業協会
都市整備局
土木建築部
常務理事
住宅部
副会長
住宅政策課長
課長
地域振興部
住宅課
副調査役
調査研究係長兼主任研究員
民間住宅支援班
主任
中国経済産業局産業部流通・サービス産業課流通係長
事務局
佐原
一弘
公益財団法人ちゅうごく産業創造センター
〃
楫野
肇
〃
常務理事
〃
木村
宜克
〃
調査部長
〃
石橋
正浩
〃
調査部部長
〃
岸本
真明
〃
調査部部長
シンクタンク
谷口
康雄
〃
松岡
克己
〃
経済調査部
主任研究員
〃
吉川
満
〃
経済調査部
主任研究員
一般財団法人ひろぎん経済研究所
理事
専務理事
経済調査部長
調査の目的
報告書p1 参照
総 務 省「 平 成 25 年 住 宅 ・ 土 地 統 計 調 査 」に よ る と 、平 成 25 年 に お け る 全 国 の
空 き 家 数 は 820 万 戸 で 、平 成 20 年 に 比 べ て 63 万 戸 増 加 し た 。ま た 、中 国 地 域 の
空 き 家 数 は 55.7 万 戸 で 同 4.4 万 戸 増 加 し た 。
こ の よ う 空 き 家 ・ 空 き 店 舗 ・ 空 き 工 場 等( 以 下 、未 利 用 不 動 産 と い う )を「 リ
ノベーション」することにより、その価値やコストパフォーマンスを向上させ、
流 通 を 促 し 、地 域 活 性 化 や 企 業 誘 致 を 推 進 す る と と も に 、よ り 住 み や す い 中 古 住
宅を提供することで、定住促進にも繋がる可能性がある。
こ う し た な か 、中 国 地 域 内 外 の リ ノ ベ ー シ ョ ン の 事 例 を 把 握 し 、そ の 整 理( 類
型 化 、 見 え る 化 )・ 分 析 等 に よ り 、 空 き 家 率 や 空 き 店 舗 率 の 高 い 中 国 地 域 に お け
る 地 域 振 興 の た め の リ ノ ベ ー シ ョ ン の あ り 方 を 検 討・提 示 す る こ と を 目 的 と し て
本調査を実施する。
調査の流れ
未利用不動産のリノベーションの調査・分析
中国地域内外の事例調査
リノベーションの方策、実施
体制のあり方、効果等の検討
リノベーションの類型化・見える化・分析
地域振興のためのリノベーションのあり方の検討
地 域 振 興 方 策 の検 討
・産 業 振 興 (賑 わいの創 出 、企 業 誘 致 等 )
・定 住 ・雇 用 促 進
未利用不動産の付加価値の向上
地域活性化、エリア価値の創造
1.未利用不動産のリノベーション
報告書p2 参照
本調査においては「未利用不動産」を、以下のように定義する。
・空き家
:概 ね 年 間 を 通 し て 居 住 世 帯 の な い 建 物 で 、別 荘 、賃 貸 用 の 住 宅 、売 却 用 の 住 宅
等を除く。
・空き店舗:従前は店舗であったものが、現状空きスペース(空き地、空きビル、空き倉庫
等)になっているもの。
・空き工場:従前は工場が操業し、現在は、工場は操業せず、工場建屋が残っているもの。
・その他
:その他の空きビル、未利用地
等。
ま た 、「 リ ノ ベ ー シ ョ ン 」 を 「 不 動 産 の 改 修 等 に よ り 、 新 た な 機 能 や 付 加 価 値 を
増 大 さ せ 、不 動 産 の 再 生 を 図 る 取 組 」と 定 義 す る 。具 体 的 に は 、空 き 家・空 き 店 舗 、
空 き 工 場 等 の 未 利 用 不 動 産 を 改 修 等 に よ り 再 生 し 、そ の 中 心 と な る コ ン テ ン ツ の 創
造・更新を行う取組をいう。
-ⅰ-
2.未利用不動産の現状
報告書p4 参照
(1)全国・中国地域の空き家の現状
総 務 省「 平 成 25 年 住 宅 ・ 土 地 統 計 調 査 」に よ る と 、平 成 25 年 に お け る 全 国 の
空 き 家 数 は 8 20 万 戸 で 、 平 成 2 0 年 に 比 べ て 63 万 戸 増 加 し 、 空 き 家 率 は 13.5 %
に 達 し た 。 ま た 、 中 国 地 域 の 空 き 家 数 は 55.7 万 戸 で 同 4.4 万 戸 増 加 し 、 空 き 家
率 は 15.7% と 全 国 平 均 を 上 回 る 深 刻 な 状 況 と な っ て い る 。
図 表 2.1 中 国 地 域 の 総 住 宅 数 、 空 家 数 、 空 き 家 率 の 推 移
総住宅数
空き家数
(千戸)
3,500
3,000
3,082
2,847
2,664
3,246
10.0
(%)
18
3,540
15.7
14.8
16
12.9
12.3
2,500
空き家率(右軸)
3,458
14
12
9.9
2,000
10
8
1,500
6
1,000
500
266
513
420
379
282
557
4
2
0
0
1988
昭 和 63
93
平成 5
98
10
03
13 (年)
08
15
20
( 資 料 ) 総 務 省 「 平 成 25 年 住 宅 ・ 土 地 統 計 調 査 」
(2)空き家バンク制度と空き家関連条例
空 き 家 の 急 速 な 増 加 に 対 し て 、そ の 市 場 へ の 流 動 化 を 図 る た め に 全 国 の 市 町 村
の約 6 割が空き家バンク制度を実施している。また、空き家関連条例を制定し
て、空き家の所有者に適正な維持管理を義務付けるために、自治体が空き家の
所有者に必要な措置を勧告できること等を規定している。
国 土 交 通 省 に よ れ ば 、 平 成 26 年 10 月 現 在 、 全 国 の 1,718 自 治 体 の う ち 401
自 治 体 ( 構 成 比 23. 5 % ) で 空 き 家 関 連 条 例 が 制 定 さ れ 、 中 国 地 域 で は 107 自 治
体 の う ち 33 自 治 体 ( 同 30.8% ) が 同 条 例 を 制 定 し て い る 。
図 表 2.2
全国の市町村での空き家バンク制度の実施状況
(%)
0
20
40
80
54.4
現在、実施している
62.9
現在、実施していないが、今後は実施する
計画がある
13.8
13.4
現在、実施しておらず、今後も実施の予定
はない
回答なし
60
30.9
23.4
0.9
0.3
平成21年度(n=450)
平成25年度(n=595)
(資 料 )一 般 社 団 法 人 移 住 ・交 流 推 進 機 構 「「空 き家 バンク」を活 用 した移 住 ・交 流 促 進 事 業
自 治 体 調 査 報 告 書 」(平 成 26年 3月 )より作 成
―ⅱ―
(3)リノベーションによる街づくりの取組
地域の潜在資源をフルに活用して、複合的に都市や地域の課題を解決するこ
とを目指すのがリノベーションによるまちづくりであり、全国各地でリノベー
ションプロジェクトが推進され、人材育成を目的とするリノベーションスクー
ルも展開されている。
3 .利 用 者 ニ ー ズ と 対 応
報 告 書 p 47 参 照
- 4- ⅱ -
移 住 ・ 定 住 希 望 者 を 引 き 付 け る た め に は 、移 住 ・ 定 住 者 の ニ ー ズ に 対 応 で き る
多 様 な 支 援 メ ニ ュ ー( 教 育 環 境 や 居 住 環 境 等 を 含 む )を 提 示 し て 、地 域 の 魅 力 を
幅 広 く 情 報 発 信 し て い く こ と が 極 め て 重 要 で あ る 。そ の 情 報 発 信 の メ ニ ュ ー の 一
つ と し て 、リ ノ ベ ー シ ョ ン に よ る 空 き 店 舗 や 空 き 家 の 提 供 等 が あ る と 考 え ら れ る 。
図 表 3.1
移住・定住者のニーズとリノベーション
移住・定住希望者のニーズ
・就 業 環 境 (収 入 の確 保 等 )
・良 好 な居 住 環 境 (賃 料 が安 い、物 価 が安 い等 )
・良 好 な教 育 環 境 (学 校 への距 離 、教 育 レベル等 )
・子 育 て環 境 (保 育 園 ・幼 稚 園 )
・カフェ・パン屋 、ゲストハウス等 の起 業
・就 農 (農 地 付 住 宅 )
・豊 かな自 然 環 境
・出 身 地 ・居 住 したことがある(Uターン、地 縁 等 )等
地 域 イメージの向 上
エリア価 値 の向 上
未利用不動産所有者
リノベーション推 進 事 業 者
リノベーション
ニーズに対応した空き
家・空き店舗等の提供
情報発信
地 域 の魅 力
先 輩 移 住 者 に関 する情 報 提 供
リノベーションへの取 組 等
行 政 機 関・支 援 機 関
多 様 な支 援 メニューの提 示
4 .事 例 調 査
報 告 書 p 51 参 照
(1)場所・対象別
事 例 調 査 と し て 、 38 カ 所 を 訪 問 し 、 42 組 織 に ヒ ア リ ン グ を 行 っ た 。
図 表 4.1 事 例 調 査 の 訪 問 先 (訪 問 数 )
・大 都 市 圏・大 都 市 周 辺 部 で の 空 き 家 対 策( 1 2 )
・地方都市の中心市街地での空き店舗対
策 (11)
・大都市圏・大都市周辺での空き店舗・空き
・ 地 方 都 市 の 工 場 跡 地 対 策 (1)
ビ ル 対 策 (7)
・ 中 山 間 地 の 空 き 家 、 空 き 施 設 対 策 (6)
・ 地 方 都 市 の 空 き 家 対 策 (7)
※重複しているものがあり、合計は一致しない。
―ⅲ―
(2)事例調査のとりまとめ
事 例 調 査 対 象 先 の 取 組 内 容 を 、 目 的 別 に 類 型 化 す る と 、「 定 住 ・ 雇 用 促 進 に 繋
が る リ ノ ベ ー シ ョ ン 」と「 産 業 振 興 に 繋 が る リ ノ ベ ー シ ョ ン 」に 区 分 す る こ と が
できる。
定 住 や 雇 用 促 進 に 繋 が る リ ノ ベ ー シ ョ ン と し て 、 居 住 環 境 ( 景 観 、治 安 等 ) の 改
善 と 移 住 ・定 住 促 進 等 の た め の 未 利 用 不 動 産 の 利 活 用 に 関 す る も の が あ る 。
産 業 振 興 に 繋 が る リ ノ ベ ー シ ョ ン と し て 、商 店 街 活 性 化 や 観 光 振 興 を 目 的 と す
る未利用不動産の利活用に関するものがある。
両 者 は 、 重 複 す る 部 分 も あ り 、「 産 業 振 興 」 が 「 定 住 ・ 雇 用 の 促 進 」 に も 繋 が
っている。
図 表 4.2
定住・雇用促進に繋がるリノベーション
リ ノ ベ ー シ ョ ン (付
空き家
(一 般 住 宅 )
・ 居 住 者 の 生 活 環 境 の 改 善( 水 回 り 、間 仕 切 り 等 )
加価値向上)
・移住者・定住者への住宅としての供給
・カフェ・ゲストハウスでの雇用
リ ノ ベ ー シ ョ ン (用 途
空き施設、
空き工場
変更、付加価値向上)
図 表 4.3
・企業誘致による雇用創出
産業振興に繋がるリノベーション
リノベーション
空きビル、
空き店舗
(付 加 価 値 向 上 )
・商業機能・集客機能の充実により中心市
街地を活性化
リ ノ ベ ー シ ョ ン (用 途 変 更 、
空 き 家 (古
民 家・町 家 )
付加価値向上)
・観光施設・宿泊施設としての活用によ
り地域産業を活性化
起業に活用
空き店舗
・商業機能・集客機能の充実・賑わい
リ ノ ベ ー シ ョ ン (付 加 価 値 向 上 )
の創出により中心市街地を活性化
新規出店に活用
空き施設、
空き工場
リ ノ ベ ー シ ョ ン (用 途 変 更 、 付 加 価
・集客機能・生産機能の
値向上)
充実による産業振興
-ⅳ-
事 例 調 査 の 対 象 事 例 で は 、リ ノ ベ ー シ ョ ン に よ る 様 々 な 取 組 に よ り 、 (a)定 住 促
進 、(b )雇 用 創 出 、 (c )地 域 環 境 ・ 居 住 環 境 の 改 善 等 、 (d )賑 わ い の 創 出 、 (e )産 業
振興といった面で、成果が生み出されている。
図 表 4.5
リノベーションによる成果
(a)定 住 促 進 (社 会 減 の抑 制 、住 民 の受 け入 れ意 識 醸 成 、居 住 満 足 度 向 上 等 )
<特 徴 的 な事 業 内 容 >
<特 徴 的 な方 策 >
●改 修 可 能 物 件 の廉 価 での提 供
●若 年 層 のリフォームニーズへの対 応 ・情 報 発 信
●民 間 企 業 との連 携 等 による集 合 住 宅 の ★地 権 者 ・施 工 業 者 等 との連 携 ・折 衝
改修
●居 住 者 ニーズの把 握
●空 き家 ・町 家 バンクでのマッチングへの関 与 ●リフォーム住 替 えのシステム化 、顧 客 の囲 い込 み
★若 者 移 住 ・定 住 のための各 種 支 援
●空 き家 活 用 推 進 員 ・地 域 の空 き家 相 談 員
●古 民 家 借 受 ・改 修 ・貸 付 事 業
を配 置
●不 動 産 業 者 を活 用 した空 き家 ・空 き地
●古 民 家 借 受 のための支 援
情 報 バンクの展 開 等
★所 有 者 、地 元 住 民 との連 携 ・折 衝
●移 住 希 望 者 への改 修 業 者 の紹 介
●住 民 と行 政 職 員 が参 加 したワークショップの継
続 的 な開 催 等
(b)雇 用 創 出
<特 徴 的 な事 業 内 容 >
<特 徴 的 な方 策 >
〇民 間 主 導 (リノベーションスクール)の空 きビル 〇地 域 資 源 を活 用 した店 舗 誘 致
等活用
●空 き家 管 理 等 の企 業 組 合 の設 立
△大 手 デベロッパーを活 用 した店 舗 誘 致 等
等
(c)地 域 環 境 ・居 住 環 境 の改 善 等
<特 徴 的 な事 業 内 容 >
<特 徴 的 な方 策 >
●解 体 助 成 金 制 度 による解 体 支 援
●学 会 の研 修 会 を活 用
●多 世 代 型 シェアハウス
★著 名 人 の活 用
●大 学 と自 治 会 との連 携
(d)賑 わいの創 出 (集 客 数 の増 加 、ボランティア等 の支 援 者 増 加 、メディア等 からの注 目 )
<特 徴 的 な事 業 内 容 >
<特 徴 的 な方 策 >
★空 きスペースのイベント向 け スポット貸 し ★メディア・ フェイスブック等 の活 用
★町 屋 バンクの官 民 連 携 による運 営
★特 定 の入 居 者 (アート関 係 )の募 集
〇リノベーションスクールによる空 き店 舗 活 用
〇●特 定 目 的 会 社 による空 き店 舗 ・古 民 家
〇起 業 支 援 を通 じた空 き店 舗 等 の活 用
活用
〇地 域 コンセプトに基 づく空 き店 舗 の改 修 ★ボランティアの活 用
等
★地 権 者 ・施 工 業 者 等 との連 携 ・折 衝
★地 元 住 民 との連 携 ・折 衝
★著 名 人 の活 用 等
(e)産 業 振 興 (来 街 者 数 の増 加 、起 業 ・出 店 者 数 の増 加 、6 次 産 業 創 出 等 )
<特 徴 的 な事 業 内 容 >
<特 徴 的 な方 策 >
〇民 間 主 導 (リノベーション スクール)の空 きビル・ ★メディア・ フェイスブック等 の活 用
空 き店 舗 活 用
〇実 践 家 、行 政 機 関 のアピールがうまい人 ・
〇起 業 支 援 を通 じた空 き店 舗 活 用
面 白 い人 の活 用
〇地 場 産 業 を活 かした空 き店 舗 活 用
★クラウドファンディングの活 用
△大 手 デベロッパーを活 用 した店 舗 誘 致
〇△6次 産 業 の振 興
〇地 域 資 源 を活 用 した店 舗 誘 致
〇空 き家 管 理 等 の企 業 組 合 の設 立
●ブックカフェによる空 き家 活 用 等
★著 名 人 の活 用
〇●古 民 家 等 の宿 泊 施 設 としての活 用
〇一 つだけでも成 功 事 例 を作 る等
(注 )★ 共 通 事 項 、 ● 空 き 家 (古 民 家 ・ 町 家 を 含 む )関 連 、 〇 空 き 店 舗 関 連 、 △ 空 き 工 場 ・ 跡 地 等
-ⅴ-
ま た 、事 例 調 査 に よ り 聴 取 し た リ ノ ベ ー シ ョ ン の 課 題 を 、目 的 別( 定 住 ・ 雇 用
促 進 関 連 、産 業 振 興 に 関 連 す る も の )に 分 け 、課 題 別 に 項 目 を 細 分 化 す る と 以 下
のとおりとなる。
図 表 4.6
リノベーションの課題(目的別、事例調査)
(a) 政 策 的 な 対 応
●自 治 体 の空 き家 撤 去 や利 活 用 の取 組 は限 定 される
★自 治 体 の関 連 部 局 間 の連 携
●住 民 との合 意 に基 づく取 組
●郊 外 部 での住 環 境 ・子 育 て環 境 の維 持
△空 き公 共 施 設 をまとめて活 用
●補 助 金 の終 了 により事 業 縮 小
(b) 不 動 産 事 業 者 の 意 識
● 不 動 産 事 業 者 は新 築 販 売 を優 先 し改 修 に 消 極 的
●利 益 優 先 の対 応
● 総 合 的 なコ ン サ ルティン グ 能 力 が 求 め られ る
定住・雇用促進
に繋がるリノベ
ーション
(c) 流 通 ・ 活 用 に む け た 不 動 産 所 有 者 の 意 識
★ 不 動 産 所 有 者 は未 利 用 不 動 産 の 利 用 方 法 を 知 らない 人 が 多 い
● 住 替 え に スト レスが かかる
● 空 き 家 の 流 通 の 課 題 は仏 壇 の 取 扱 で ある
● 高 齢 者 の 中 に は不 動 産 事 業 者 へ の 不 信 感 を抱 い てい る 人 がい る
〇 未 利 用 不 動 産 の 活 用 に 積 極 的 で ない 人 が多 い
〇 不 動 産 所 有 者 が ま ちづ く り の 意 識 を持 っていない
〇 店 舗 付 住 宅 の 場 合 、住 宅 部 分 に 住 む 所 有 者 が 空 き 店 舗 の 利 用 を好 ま ない
〇 よ そ も のに 貸 す ことへの 抵 抗 感 があ る
(d) 推 進 体 制
〇商 店 街 の活 性 化 は地 域 がまとまっていないと難 しい
★リノベーションや古 民 家 の再 生 には専 門 家 や職 人 が必 要
〇全 体 の方 向 性 等 について、意 見 が合 わない施 設 も出 ている
(e) 土 地 ・建 物 の立 地 、権 利 関 係
★相 続 登 記 がされていない
〇道 路 が狭 い
●間 口 が狭 い、傾 斜 地 に立 地
〇駐 車 場 が不 足
定住・雇用促進や産
(f) 規 制 への対 応
業振興双方に繋がる
〇建 築 基 準 法 、消 防 法 等 の規 制 への対 応
リノベーション
●農 地 の貸 し借 りへの対 応 (農 地 法 )
●空 き家 所 有 者 の特 定 (個 人 情 報 保 護 法 )
(g) 金 融 機 関 の意 識
〇新 業 態 への反 応 が鈍 い
●移 住 者 への融 資
〇融 資 の手 続 きに時 間 がかかる
★イニシャルコストへの支 援
〇リノベーション物 件 の評 価
(h) 情 報 発 信
●起 業 したい人 への情 報 発 信
●近 隣 住 民 への対 応 ・情 報 発 信
(i) 事 業 者 (店 舗 入 居 者 等 )の意 識
〇収 益 向 上 等 に向 けた持 続 的 な取 組
〇起 業 を目 指 す人 が集 まりにくい
(j) 地 域 の生 活 環 境
〇高 齢 者 だけで活 気 がない
〇飲 食 店 の出 店 等 による火 災 の懸 念
産業振興に繋がる
リノベーション
(注 )★ 共 通 事 項 、 ● 空 き 家 ( 古 民 家 ・ 町 家 を 含 む ) 関 連 、 〇 空 き 店 舗 関 連 、 △ 空 き 工 場 ・ 跡 地 等
-ⅵ-
5 . 未 利 用 不 動 産 の リ ノ ベ ー シ ョ ン に よ る 地 域 振 興 に 向 け て ( 対 策 ) 報 告 書 p 82 参 照
(p1 ) エ リ ア 価 値 向 上 に 向 け た 組 織 連 携 の 推 進
エ報
リ告
ア書
価p
値82
の参
向照
上 の た め に は 、行 政 機 関 と リ ノ ベ ー シ ョ ン 関 係 事 業 者 と の 組 織
連携が重要であり、その強化・充実を図り、未利用不動産の利活用を促進する。
定 住 ・ 雇 用 促 進 に つ な げ る た め に は 、自 治 体 、不 動 産 事 業 者 、住 民 組 織( 自 治
会 、N P O 等 )と の 連 携 に よ る「 空 き 家 等 の リ ノ ベ ー シ ョ ン 」等 を 通 じ て 、空 き
家等の流通を促し、定住促進や居住者の居住環境充実を図る。
産 業 振 興 に つ な げ る た め に は 、自 治 体 、支 援 組 織 、リ ノ ベ ー シ ョ ン 推 進 事 業 者 、
空 き 家 ・空 き 店 舗 の 所 有 者 が 連 携 し て 、 そ の 立 地 条 件 や 近 隣 の 地 域 資 源 等 を 考 慮
し た リ ノ ベ ー シ ョ ン 、 入 居 希 望 者 へ の 起 業 支 援 等 を 通 じ て 、 産 業 振 興 ・賑 わ い の
創出、コミュニティ拠点の形成、さらにはエリア価値の向上を目指す。
図 表 5.1 組 織 別 の 対 応
支 援 機 関 (商 工 会 議 所 、商 工 会 等 )
金融機関
起 業 支 援 、マッチング等
資 本 ストックの 活 用 支 援
未利用不動産の利活用
所有者
未利用不動産
所有者
リノベーション
・付 加 価 値 向 上
・機 能 の追 加 ・変 更
賃 料 ・購 入 代
金 の支 払 い
就業・創業の場、
居住の場の提供
事業者・起業家
リノベーション推 進 事 業 者
移 住・定 住 者
利活用支援
ビジネスモデル構 築 、 事 業 リスク低 減 等
行政機関
・良 好 な 居 住 環 境 ・ 教 育 環 境 の 提 供
・起 業 支 援 ・ 就 業 支 援
・エ リ ア 価 値 の 向 上
・産業振興
・定住・雇用促進
エリアマネジメント支 援
支援機関
(ま ち づ く り 組 織 )
<リノベーションの事 例 >
・空 き家 (古 民 家 等 を含 む)…住 居 (利 用 者 ニーズに対 応 )、カフェ、ゲストハウス、交 流 スペース、
シェアハウス 等
・空 き店 舗 …………………料 飲 店 、パン屋 、カフェ、交 流 スペース 等
・空 きビル
…………………レンタルスペース、SOHO、料 飲 店 、チャレンジショップ 等
・工 場 跡 地 …………………商 業 施 設 、公 共 施 設 等
・空 き公 共 施 設 ……………宿 泊 施 設 、料 飲 店 等
-ⅶ-
(2)リノベーション推進事業者とそれを支える専門家集団の育成
行政機関や支援組織(商工会議所、商工会等の経済団体、まちづくり協議会、
大 学 等 )が 中 心 と な っ て 、ま ち づ く り や リ ノ ベ ー シ ョ ン に 関 心 の 高 い 民 間 事 業 者
( 不 動 産 事 業 者 、建 築 業 者 、貸 ビ ル 業 者 、商 店 街 事 業 主 等 ) を 対 象 に 、リ ノ ベ ー
シ ョ ン に 関 す る ワ ー ク シ ョ ッ プ 等 を 開 催 し て 、リ ノ ベ ー シ ョ ン 推 進 事 業 者 の 育 成
を図る。
図 表 5.2 リ ノ ベ ー シ ョ ン 推 進 事 業 者 と そ れ を 支 え る 専 門 家 集 団 の 育 成
連携
支援組織
行政機関
リノベーション
推進事業者育成
まちづくり人材育成
ワークショップや リノベーション
スクール等 の 開 催
住民主体のセミナー等の開催
まちづくりやリノベーションに
関心の高い事業者
地域住民
支援
専門家集団
( 3 )未 利 用 不 動 産 の リ ノ ベ ー シ ョ ン に 関 す る 情 報 の 集 約 ・ 共 有 、情 報 発 信 を 担 う
プラットフォームの形成
行 政 機 関 や リ ノ ベ ー シ ョ ン 推 進 事 業 者 等 が 中 心 と な っ て 、リ ノ ベ ー シ ョ ン に 関
す る 幅 広 い 情 報 を 提 供 す る プ ラ ッ ト フ ォ ー ム を 形 成 し 、リ ノ ベ ー シ ョ ン に 関 す る
情 報 の 集 約 や 発 信 を 行 い 、不 動 産 利 用 希 望 者 (入 居 希 望 者 ) の み な ら ず 、一 般 の 不
動産所有者等の問合せや不安感解消等に対応し、未利用不動産の利活用を図る。
図 表 5.3 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム の 形 成
未利用不動産所有者
未利用不動産利用希望者
(入居希望者)
広域的なプラットフォーム
リノベーション
関係事業者
リノベーション関連情報
(利活用方法、法規制等)
空き家関連情報
( 空 き 家 バンクに よ る 物 件 紹 介 等 )
行政区域を超えた地域情報
行政機関
-ⅷ-
民 間 の リノベーション
推進事業者
目
次
調査の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
1.未利用不動産のリノベーション
1.1.定義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.1.1.未利用不動産とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.1.2.リノベーションとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.2.対象領域・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
2
2
3
2.未利用不動産の現状
2.1.空き家・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
2.1.1.全国と中国地域の概況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
2.1.2.政策的な対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
2.1.3.市場の動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
2.1.4.古民家等の再生・活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・19
2.1.5.農地付住宅の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
2.1.6.市街化調整区域の空き地等の活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
2.1.7.住宅団地の空き家対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・28
2.2.空き店舗・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
2.2.1.全国と中国地域の概況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
2.2.2.政策的な対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
2.2.3.中心市街地の空き店舗の活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
2.2.4.大型空き店舗の活用の課題と対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35
2.2.5.リノベーションの取組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36
2.3.空き工場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41
2.4.空き公共施設・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44
2.5.コンパクトシティとリノベーション・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46
3.利用者ニーズと対応
3.1.全般・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47
3.2.中国地域・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48
3.3.移住者ニーズとリノベーション・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50
4.事例調査
4.1.場所・対象別・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51
4.2.事例調査とりまとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53
4.2.1.リノベーションの類型化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53
4.2.2.空き家・空き店舗等の活用が進んでいる事例・・・・・・・・・・・・・・・・59
4.2.3.事例調査の対象事例において生み出された成果・・・・・・・・・・・・・・・65
4.2.4.事例調査における主要な課題と対応策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・68
5.未利用不動産のリノベーションによる地域振興に向けて
5.1.エリア価値向上に向けた組織連携の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82
5.2.リノベーション推進事業者とそれを支える専門家集団の育成・・・・・・・・・・・87
5.3.未利用不動産のリノベーションに関する情報の集約・共有、情報発信を担うプラット
フォームの形成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・88
補論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90
あとがき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92
事例集 概要版
詳細版
はじめに(本調査報告書の使い方)
本調査は、
「空き家等(注)のリノベーションを通じた地域振興方策調査」という表題にも示す
ように地域振興(主として産業振興、地域活性化等)に向けて、空き家等の未利用不動産のリノ
ベーション(機能の追加・変更、付加価値向上 等)のあり方について検討したものである。
(注)本調査では、
「空き家等」は、地域振興という視点で、未利用不動産として幅広く捉え、空き家、空き
店舗、空き工場等を示すものとする。
全国的に課題となっている空き家・空き店舗・空き工場等の実態は各地域で異なり、地方自治
体の対応施策も多様であるため、本調査では、文献調査と中国地域内外のヒアリング調査を通じ
て、様々な取組事例を把握し、その整理・分析を行った。
特に、全国で取り組まれている「地域振興に役立つリノベーション」の見える化を図り、取組
事例を類型化して、その課題や対応策を整理している。
本調査報告書は、中国地域の地方自治体や支援機関等をはじめとするリノベーション関係先に
加え、起業を目指す方、不動産事業者、住民組織等、幅広い関係者に活用していただくことを目
的に作成され、その内容は本編、事例集(概要版、詳細版)で構成されている。
本編では、現状や課題、全般的な対応策等を記載しており、リノベーションによる地域振興に
ご関心のある方にご覧いただき、個別の事例にご関心のある方は、事例集をご覧いただきたい。
各主体における調査結果の活用ポイント
全般
○空き家
参照図表
現状と政策対応、民間の動きは?
・・・・・・
古民家や町家の利活用の事例は?
・・・・・・ 19~25
2.22~28
・・・・・・・・ 25~27
2.29~32
農地付住宅に関する規制は?
4~18 ページ 図表 2.1~21
住宅団地の空き家対策は?
・・・・・・・・・ 28~29
-
空き家利用者のニーズは?
・・・・・・・・・ 47~50
3.1~4
○空き店舗
現状と政策対応は?
・・・・・・・・・・・ 29~33
空き店舗対策の取組事例は?
・・・・・・・・ 33~34
大型空き店舗等の課題と対応策は?
○空き工場
現状と活用事例は?
○公共施設
活用事例は?
・・・・・ 35
2.33~38
2.39
2.40~41
・・・・・・・・・・・ 41~43
2.48~53
・・・・・・・・・・・・・ 44~45
2.55~56
○未利用不動産 リノベーションの事例は?
・・・・・・・・ 36~40
空き家等のリノベーションの課題と具体的な対応策は?
空き家等のリノベーションの今後の方向性は?
・・・・ 68~81
・・・・・・・・ 82~89
2.42~47
4.11~23
5.1~3
行政機関に向けて
○課題と具体的な対応策は?
・・・ 76~77
4.18
○今後の方向性は?
・・・ 83
5.1
○その他の関連事項(推進体制、規制緩和)は?
・・・ 71~75
4.13~16
○推進体制等の課題と具体的な対応策は?
・・・ 71~72
4.13
○今後の方向性は?
・・・ 83
5.1
○課題と具体的な対応策は?
・・・ 70~71
4.12
○今後の方向性は?
・・・ 85~86
5.1
○課題と具体的な対応策は?
・・・ 77~78
4.19~20
○今後の方向性は?
・・・ 85~86
5.1
○課題と具体的な対応策は?
・・・ 75~76
4.17
○今後の方向性は?
・・・ 85~86
5.1
○取組事例は?
・・・ 17~18
2.19~21
支援機関に向けて
未利用不動産の所有者に向けて
不動産業者に向けて
金融機関に向けて
その他のリノベーション関係事業者に向けて
○事業者(店舗入居者等)
課題と対応策等は?
・・・ 80、86
4.22
○リノベーション推進事業者
課題と対応策等は?
・・・ 84
5.2
○住民組織
課題と対応策等は?
・・・ 81、86
4.23、5.1
調査の目的
「 平 成 25 年 住 宅 ・ 土 地 統 計 調 査 」 に よ る と 、 全 国 の 空 き 家 率 ( 総 住 宅 数 に 占 め る
空 き 家 の 割 合 ) は 、 13.5 % と 過 去 最 高 と な り 、 特 に 、 中 国 地 域 各 県 の 空 き 家 率 は 、
山 口 県 ( 16.2 % )、 広 島 県 ( 15.9 % )、 岡 山 県 ( 15.8 % ) 等 と 全 国 と 比 べ て も 高 く な
っている。
ま た 、「 平 成 24 年 度 商 店 街 実 態 調 査 報 告 書 」 に よ る と 、 全 国 の 商 店 街 の 空 き 店 舗
率 は 14.6% で 、 中 国 地 域 で は 19.1% と 全 国 平 均 を 4.5 ポ イ ン ト 上 回 っ て い る 。
さらに、
「 平 成 21 年 度 工 場 跡 地 等 の 実 態 及 び 利 活 用 方 策 に 係 る 調 査 報 告 書 」で は 、
全 国 の 工 場 跡 地 等 の 件 数 は 989 件 、 敷 地 面 積 1,843 万 ㎡ で 、 中 国 地 域 は 128 件 、 160
万㎡となっている。
こ の よ う な 未 利 用 不 動 産 を「 リ ノ ベ ー シ ョ ン 」( 注 ) す る こ と に よ り 、空 き 家 ・空 き
店舗・空き工場等(以下、未利用不動産という)の価値やコストパフォーマンスを
向上させ、流通を促し、地域活性化や企業誘致を推進するとともに、より住みやす
い中古住宅を提供することで、定住促進にも繋がる可能性がある。また、都市部の
集合住宅についても、リノベーションに共通のコンセプトを導入することにより、
共通の趣味や価値観を持った住民同士の新たなコミュニティが形成される可能性も
ある。
こうしたなか、中国地域内外のリノベーションの事例を把握し、その整理(類型
化 、 見 え る 化 )・ 分 析 等 に よ り 、 空 き 家 率 や 空 き 店 舗 率 の 高 い 当 地 域 に お け る 地 域 振
興のためのリノベーションのあり方を検討・提示することを目的として本調査を実
施する。
(注)リノベーション…不動産の改修等により、新たな機能や付加価値を増大させ、不動
産の再生を図る取組。
調査の目的
未利用不動産のリノベーションの調査・分析
中国地域内外の事例調査
リ ノ ベ ー シ ョ ン の 方 策 、実 施
体 制 の あ り 方 、効 果 等 の 検 討
リノベーションの類型化・見える化
地域振興のためのリノベーションのあり方の検討
地 域 振 興 方 策 の検 討
・産 業 振 興 (賑 わいの創 出 、企 業 誘 致 等 )
・定 住 ・雇 用 促 進 等
未利用不動産の付加価値の向上 地域活性化、エリア価値の創造
- 1 -
1.未利用不動産のリノベーション
1.1.定義
1.1.1.未利用不動産とは
本調査においては「未利用不動産」を、以下のように定義する。
・空き家
:概ね年間を通して居住世帯のない建物で、別荘、賃貸用の住宅、売
却用の住宅等を除く。
・ 空 き 店 舗 : 従 前 は 店 舗 で あ っ た も の が 、現 状 空 き ス ペ ー ス( 空 き 地 、空 き ビ ル 、空
き倉庫等)になっているもの。
・空き工場:従前は工場が操業し、現在は、工場は操業せず、工場建屋が残って
いるもの。
・その他
:その他の空きビル、未利用地
等。
1.1.2.リノベーションとは
本調査においては、リノベーションを「不動産の改修等により、新たな機能や付加
価値を増大させ、不動産の再生を図る取組」と定義する。
具 体 的 に は 、空 き 家・空 き 店 舗 、空 き 工 場 等 の 未 利 用 不 動 産 を 改 修 等 に よ り 再 生 し 、
その中心となるコンテンツの創造・更新を行う取組をいう。
なお、リノベーションの付加価値やその効果を、以下のように位置づける。
機能の追加
: 従 前 の 用 途 に 新 し い コ ン テ ン ツ を 追 加 し 、主 と し て 同 じ よ う な 用
途で利用すること。
機能の変更
: 新 し い コ ン テ ン ツ に 基 づ い て 従 前 の 用 途 を 見 直 し 、別 の 用 途 で 利
用すること。
付加価値の向上:上記の機能の追加・変更によって、生み出されるもの。
な お 、 図 表 1.2 に 示 す よ う に 、 様 々 な 形 態 が あ る と 考 え ら れ る 。
図 表 1 .1
未利用不動産のリノベーション
リノベーシ ョン
未利用不動産
機 能 の追 加 ・変 更
・産 業 振 興
空 き家 、空 き店 舗 、
空 き工 場 等
付 加 価 値 の向 上
(賑 わいの創 出 、企 業 誘 致 等 )
・定 住 ・雇 用 促 進 等
- 2 -
図 表 1 .2
未利用不動産における機能の追加・変更と付加価値の向上
機 能 の追 加 ・変 更 (例 )
・住 居 →住 居 (環 境 対 応 、IT 化 等 )
付 加 価 値 向 上 (例 )
・資 産 価 値 の向 上
・流 通 の促 進
・居 住 環 境 の改 善
・移 住 ・定 住 促 進
・住 居 ・古 民 家
・にぎわいの創 出
・地 域 の活 性 化
→料 飲 施 設 (カフェ等 )、ゲストハウス 等 ・集 客 ・宿 泊 機 能 の充 実 ・移 住 ・定 住 促 進
・住 居 →交 流 施 設 (コミュニティ施 設 等 )、
・住 民 活 動 の活 発 化
・防 災 ・防 犯 ・美 化 への対 応
シェアハウス、防 災 拠 点 等
・住 民 の満 足 度 ・安 心 感 の向 上 等
空 き家
移 住 者 の増 加 、空 き家 の減 少
空 き店 舗 ・空 きビ ・小 売 店 →特 産 品 販 売 施 設 ・料 飲 施
ル等
設 ( カ フ ェ 、 パン 屋 等 )
・社 宅 ビル→商 業 施 設
・ 事 務 所 → イ ン キ ュ ヘ ゙ ーシ ョ ン 施 設
レ ン タ ル ス ヘ ゚ ース 、 S O H O 等
・事 務 所 等 →交 流 ・福 祉 施 設
・ 事 務 所 等 → 大 学 の サ テ ラ イ ト キ ャ ン ハ ゚ス 等
・に ぎ わ い の 創 出
・集 客 機 能 の充 実
・事 業 者 の収 益 増 加
・既 存 店 の活 性 化
・起 業 家 等 の人 材 育
成 と ネッ ト ワ ー ク 化
・住 民 の交 流 活 動 の活
発化
・若 者 による賑 わい創 出
・起 業 の促 進
・起 業 支 援 活 動 の活 発 化 等
・防 災 ・防 犯 ・美 化 への対 応
・高 齢 者 福 祉 の推 進 等
地 域 経 済 の活 性 化 、商 店 街 等 の活 性 化
空 き 工 場 ・ 工 場 跡 ・工 場 →商 業 施 設 ・物 流 施 設
地
・工 場 →福 祉 施 設 ・公 共 施 設
・ 工 場 → イ ン キ ュ ヘ ゙ ー シ ョン 施 設
・再 開 発 ・複 合 開 発 に
・に ぎ わ い の 創 出
よる都 市 機 能 の充 実
・集 客 機 能 の充 実
・高 齢 者 福 祉 の推 進
・行 政 サービスの充 実 等
・起 業 家 等 の人 材 育 成 ・起 業 の促 進
と ネッ ト ワ ーク 化
・起 業 支 援 活 動 の活 発 化 等
・建 屋 活 用 による進 出 企 業 のコスト負 担 軽 減
・遊 休 施 設 活 用 による
・雇 用 機 会 の創 出
進 出 企 業 のコスト負 担 減
・環 境 関 連 企 業 の立 地 ・事 業 者 の収 益 増 加
・に ぎ わ い の 創 出
・事 業 者 の収 益 増 加
・集 客 機 能 の充 実
・既 存 店 の活 性 化
・工 場 →植 物 工 場
・工 場 →新 たな製 造 施 設 等
・遊 休 地 →太 陽 光 発 電 施 設
・ 社 宅 ・ク ゙ ラ ン ト ゙ → 商 業 施 設
地 域 産 業 ・地 域 経 済 の活 性 化
1.2.対象領域
本 調 査 で は 、① リ ノ ベ ー シ ョ ン を 活 用 し た 未 利 用 不 動 産 の 対 策 、② 未 利 用 不 動 産 に
関する情報発信 の在 り方や新たな手 法に よる対策等に焦 点を 絞り込んだうえ で、これ
ら の 調 査 結 果 か ら 抽 出 さ れ る 現 状 や 課 題 に つ い て 整 理 し 、今 後 の 地 域 振 興 方 策 の 在 り
方について検討していくこととする。
なお、都市部や都市周辺部の空き家の課題(団地住民の高齢化、空洞化等)につい
て は 、平 成 20 年 度 プ ロ ジ ェ ク ト 調 査「 都 市 郊 外 団 地 の 再 生 に 向 け た 方 策 検 討 調 査 」に
おいて検討されているが、リノベーションという視点から、地域活性化にむけた方策
を検討する。
また、農山漁村集落における空き家の再生・利活用については、主として地域づく
りを担う自治体を中心に関係主体の連携を通じた解決の方向性が想定される。
図 表 1 .3
本調査の調査対象領域
空き家
空き工場・空き店舗
・古民家(都市部、中山間・過疎地域)
・中古住宅(都市周辺部 住宅団地)
・中古マンション(都市部)等
・空き工場(都市部、中山間・過疎地域)
・空き店舗(商店街等)
・空きビル(都市部)等
空き公共施設
・廃校舎(中山間地域)
・公営住宅(都市部)
・公営施設(都市部、中山間地域)等
- 3 -
本調査の調査対象領域
(対象施設別、対象地域別)
2.未利用不動産の現状
2.1.空き家
2.1.1.全国と中国地域の概況
a.全国
総 務 省 「 平 成 25 年 住 宅 ・ 土 地 統 計 調 査 」 に よ る と 、 平 成 25 年 に お け る 全 国 の
総 住 宅 数 は 6,063 万 戸 で 、 平 成 20 年 に 比 べ て 304 万 戸 増 加 し た 。 ま た 、 空 き 家 数
は 820 万 戸 で 同 63 万 戸 増 加 し た 。
こ の 結 果 、全 国 の 空 き 家 率( = 空 き 家 数 ÷総 住 宅 数 × 100)は 平 成 20 年 か ら 0.4%
ポ イ ン ト 上 昇 し 、 13.5% と な っ た 。
種 類 別 内 訳 を み る と 、「 賃 貸 用 の 住 宅 」 (52.4% )が 最 も 多 く 、 次 い で 「 一 戸 建 て
( 木 造 )」( 26.8% ) 等 が 多 く な っ て い る 。
図 表 2 .1
総住宅数、空き家数、空き家率の推移(全国)
総住宅数
(万戸)
7,000
空き家数
空き家率(右軸)
6,000
5,759
5,389
5,000
5,025
4,588
4,000
12.2
11.5
4,201
13.1
9.8
9.4
3,000
2,000
1,000
448
394
757
659
576
0
昭 和 88
63
平 93
成 5
198
0
1 503
2 008
(%)
16
15
6,063
14
13
13.5
12
11
10
9
8
7
6
5
4
3
820
2
1
0
(年)
13
25 年
( 資 料 ) 総 務 省 「 平 成 25 年 住 宅 ・ 土 地 統 計 調 査 」
図 表 2 .2
空 き 家 の 種 類 別 内 訳 ( 平 成 25 年 )
(%)
0
二次的住宅
10
20
30
40
52.4
3.8
一戸建て(木造)
共同住宅(非木造)
その他
60
5.0
賃貸用の住宅
売却用の住宅
50
26.8
その他 の住 宅
318 万 戸
7.3
4.7
n= 820万戸
(注 )二 次 的 住 宅 は、別 荘 等
(資 料 )平 成 25 年 住 宅 ・土 地 統 計 調 査 より作 成
- 4 -
分 譲 マ ン シ ョ ン に つ い て は 、 全 国 の 分 譲 マ ン シ ョ ン 約 600 万 戸 の う ち 、 空 き 家
の 割 合 は 約 38 万 戸 ( 6.3% ) で 、 建 築 時 期 が 古 い も の ほ ど 、 空 き 家 率 が 高 く な っ
ている。
図 表 2 .3 分 譲 マ ン シ ョ ン の 空 き 家 率 ( 建 築 時 期 別 )
(%)
0
5
10
全国平均
6.3
~昭和45年
11.1
昭和46~55年
9.2
昭和56~平成2年
7.7
平成3~12年
5.5
平成13~22年
3.9
平成23年~
6.9
n= 38万戸
(注 )平 成 25 年 住 宅 ・土 地 統 計 調 査 に基 づく推 計
(資 料 )国 土 交 通 省 「住 宅 団 地 の実 態 調 査 」より作 成
平 成 25 年 に お け る 空 き 家 率 の 状 況 を 都 道 府 県 別 に み る と 、 山 梨 県 ( 22.0% ) が
最も高く、長野県がこれに続いている。
な お 、 中 国 地 域 で は 、 山 口 県 ( 16.2 % )、 広 島 県 ( 15.9 % )、 岡 山 県 ( 15.8 % )、
島 根 県 ( 14.7% )、 鳥 取 県 ( 14.4% ) と な っ て お り 、 い ず れ の 県 も 全 国 の 空 き 家 率
( 13.5% ) を 上 回 っ て い る 。
図 表 2 .4
都 道 府 県 別 の 空 き 家 率 の 状 況 ( 平 成 25 年 )
(%)
25
22.0
20
16.2 15.9
15.8
15
14.7 14.4
13.5
10
5
山梨県
長野県
和歌山県
高知県
徳島県
愛媛県
香川県
鹿児島県
群馬県
静岡県
栃木県
山口県
広島県
岡山県
大分県
三重県
長崎県
岐阜県
大阪府
石川県
島根県
茨城県
鳥取県
熊本県
北海道
宮崎県
福井県
青森県
岩手県
奈良県
新潟県
全国
京都府
兵庫県
滋賀県
佐賀県
富山県
福岡県
千葉県
秋田県
愛知県
福島県
神奈川県
東京都
埼玉県
山形県
沖縄県
宮城県
0
( 資 料 ) 総 務 省 「 平 成 25 年 住 宅 ・ 土 地 統 計 調 査 」
- 5 -
全 国 の 市 町 村 で の 空 き 家 バ ン ク 制 度 の 実 施 状 況( 平 成 25 年 度 )を み る と 、現 在 、
空き家バンク制度を実施している市町村は全体の6割を占める。
ま た 、 国 土 交 通 省 に よ れ ば 、 全 国 の 市 町 村 で 、 空 き 家 対 策 条 例 ( 平 成 26 年 10
月 現 在 ) は 401 自 治 体 で 制 定 さ れ て お り 、 中 国 地 域 で は 33 自 治 体 (8.2% )で 制 定
されている。
図 表 2.5
全国の市町村での空き家バンク制度の実施状況
(%)
0
20
40
60
80
54.4
現在、実施している
62.9
現在、実施していないが、今後は実施する
計画がある
13.8
13.4
現在、実施しておらず、今後も実施の予定
はない
30.9
23.4
平成21年度(n=450)
0.9
0.3
回答なし
平成25年度(n=595)
( 資 料 ) 一 般 社 団 法 人 移 住 ・ 交 流 推 進 機 構 「 「 空 き 家 バン ク 」 を 活 用 し た 移 住 ・ 交 流 促 進 事 業
自 治 体 調 査 報 告 書 」(平 成 26年 3月 )より作 成
b.中国地域
平 成 25 年 に お け る 中 国 地 域 の 総 住 宅 数 は 354 万 戸 で , 平 成 20 年 に 比 べ て 8.2
万 戸 増 加 し た 。 ま た 、 空 き 家 数 は 55.7 万 戸 で 同 4.4 万 戸 増 加 し た 。
こ の 結 果 、中 国 地 域 の 空 き 家 率( = 空 き 家 数 ÷総 住 宅 数 × 100)は 平 成 20 年 か ら
0.9% ポ イ ン ト 上 昇 し 、 15.7% と な っ た 。
図 表 2 .6
総住宅数、空き家数、空き家率の推移(中国地域)
総住宅数
空き家数
(千戸)
3,500
3,000
2,847
2,664
10.0
3,246
3,458
14.8
3,540
15.7
(%)
18
16
12.9
12.3
2,500
2,000
3,082
空き家率(右軸)
14
12
9.9
10
8
1,500
6
1,000
500
266
282
420
379
513
557
4
2
0
0
昭1988
和 63
93平 成 5 98
1 0 03
108
5
( 資 料 ) 総 務 省 「 平 成 25 年 住 宅 ・ 土 地 統 計 調 査 」
- 6 -
132(年)
0
2.1.2.政策的な対応
a.空き家対策の推進に関する特別措置法
「 空 家 等 対 策 の 推 進 に 関 す る 特 別 措 置 法 ( 以 下 、 空 き 家 特 措 法 と い う )」 が 平 成
27 年 5 月 26 日 全 面 施 行 さ れ た 。本 法 律 は 、適 切 な 管 理 が 行 わ れ て い な い 空 き 家 等
が 増 加 す る 中 で 、地 域 住 民 の 生 命 、身 体 又 は 財 産 を 保 護 し 、そ の 生 活 環 境 の 保 全 を
図り、あわせて空き家等の活用を促進するために制定された。
こ れ に よ り 、市 町 村 は 、固 定 資 産 税 台 帳 等 を 活 用 し て 、空 き 家 等 の 所 有 者 等 を 把
握し 、特定 空家等( 注) に対 して 、除 却 、修 繕等の 措置の 助 言 又 は 指 導 、勧 告 、命
令、強制執行が可能となった。
ま た 、 平 成 28 年 以 降 、 空 き 家 特 措 法 に 基 づ く 必 要 な 措 置 の 勧 告 を 受 け た 場 合 、
特 定 空 家 等 に 係 る 土 地 は 、住 宅 用 地 に 係 る 固 定 資 産 税 及 び 都 市 計 画 税 の 課 税 標 準 の
特例措置の対象から除外される。
(注)特定空家等とは、①倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、②著し
く衛生上有害となるおそれのある状態、③適切な管理が行われないことにより
著しく景観を損なっている状態、④その他周辺の生活環境の保全を図るために
放置することが不適切である状態にある空家等をいう。
b.社会資本整備総合交付金等の基幹事業(空き家再生等推進事業)
平 成 25年 度 か ら 、老 朽 化 の 著 し い 住 宅 が 存 在 す る 地 区 に お い て 、居 住 環 境 の 整 備
改 善 を 図 る た め 、空 き 家 住 宅・空 き 建 築 物 の 活 用 、不 良 住 宅 ・空 き 家 住 宅 又 は 空 き
建 築 物 の 除 却 を 行 う 事 業 ( 国 費 負 担 割 合 1/2) が 推 進 さ れ 、 社 会 資 本 整 備 総 合 交 付
金等の基幹事業として位置づけられている。
本 事 業 に は 、活 用 事 業 タ イ プ と 除 却 事 業 タ イ プ が あ り 、そ の 概 要 は 以 下 の と お り
となっている。
- 7 -
図 表 2. 7
空き家再生等推進事業
活用事業タイプ
・ 空 き 家 等 対 策 計 画 に 定 め られ た 空 き 家 等
に関 する対 策 の対 象 地 区
・ 空 き家 住 宅 等 の 集 積 が 居 住 環 境 を 阻 害
し 、 又 は 地 域 活 性 化 を 阻 害 し て いる一 因
とな っ て いる産 炭 等 地 域 又 は 過 疎 地 域
・ 空 き家 住 宅 等 の 集 積 が 居 住 環 境 を 阻 害
し 、 又 は 地 域 活 性 化 を 阻 害 し て いるた
め、 空 き 家 住 宅 等 の 計 画 的 な 活 用 を 推
進 す べ き区 域 と し て 地 域 住 宅 計 画 又 は
都 市 再 生 整 備 計 画 に 定 め られ た 区 域
・本 事 業 を 実 施 し よ う と す る 際 に 使 用
されておらずかつ、今後も従来の用
途に供される見込みのない空き家住
宅又は空き建築物
対象地域
補助対象
事業内容
助成対象経費
国費負担補助
除却事業タイプ
・空 家 等 対 策 計 画 に定 められた空 家 等 に関 する
対 策 の対 象 地 区
・ 空 き家 住 宅 等 の 集 積 が 居 住 環 境 を 阻 害 し 、
又 は 地 域 活 性 化 を 阻 害 し て いるた め、 空 き家
住 宅 等 の計 画 的 な除 却 を推 進 すべき区 域 とし
て地 域 住 宅 計 画 又 は都 市 再 生 整 備 計 画 に定
められ た 区 域
・ 居 住 誘 導 区 域 を 定 めた 場 合 は そ の 区 域 外 で
空 き家 住 宅 等 の集 積 が居 住 環 境 を阻 害 し、又
は 地 域 活 性 化 を 阻 害 し て いる区 域
・不 良 住 宅 (住 宅 地 区 改 良 法 第 2条 第 4項 に規
定 す るも の 、 空 き 家 か ど う か に か か わらず 対 象 )
・ 空 き家 住 宅 ( 跡 地 が 地 域 活 性 化 の た めに 供 さ れ
るも の)
・ 空 き建 築 物 ( 跡 地 が 地 域 活 性 化 の た めに 供 さ れ
るも の)
・ 居 住 環 境 の 整 備 改 善 を 図 るた め、 空 き
・ 居 住 環 境 の 整 備 改 善 を 図 るた め、 不 良 住 宅 、
家 住 宅 又 は空 き建 築 物 の活 用 を行 う。
空 き家 住 宅 又 は空 き建 築 物 の除 却 を行 う。
・ 空 き家 住 宅 ・ 空 き 建 築 物 の 改 修 等 に 要 す ・ 空 き家 住 宅 ・ 空 き 建 築 物 の 改 修 等 に 要 す る 費 用
る費 用
・ 不 良 住 宅 、 空 き 家 住 宅 又 は 空 き建 築 物 の 所 有
・空 き 家 住 宅 ・ 空 き 建 築 物 の 所 有 者 の
者 の特 定 に要 する費 用
特定に要する費用
・ 空 き 家 等 対 策 計 画 の 策 定 等 に 必 要 な 空 き家 住
・空 き家 等 対 策 計 画 の策 定 等 に必 要 な空
宅 等 の実 態 把 握 に要 する費 用
き家 住 宅 等 の 実 態 把 握 に 要 す る 費 用
国 費 は 地 方 公 共 団 体 補 助 の 1 /2
国 費 は 地 方 公 共 団 体 補 助 の 1 /2
(資料)国土交通省ホームページより作成
c.空き家発生抑制への対応
国土交通省等では、空き家等の発生や増加を抑制するための施策(高齢者等の
住 み 替 え 支 援 事 業 、多 世 代 交 流 型 住 宅 ス ト ッ ク 活 用 推 進 事 業 等 )や 、空 き 家 等 の 利
活用・除却等に対する支援(空き家管理等基盤強化推進事業等)を行っている。
図 表 2. 8
所管
国土交通
省
総務省
空き家等対策に係る施策等
施 策 等 の名 称
高 齢 者 等 の住 み替 え支
援事業
概 要
高 齢 者 等 の 所 有 す る 戸 建 て 住 宅 等 を 広 い住 宅 を 必 要 と す る子 育 て
世 帯 等 へ 賃 貸 す るこ と を 円 滑 化 す る制 度 に よ り 、 子 育 て 世 帯 等 に 広
い住 生 活 空 間 を 提 供 す ると とも に 、 高 齢 者 の 高 齢 期 の 生 活 に 適 し
た住 宅 への住 み替 え等 を促 進 。
多 世 代 交 流 型 住 宅 ス ト ッ 地 域 に お け る 重 要 な 資 産 で あ る個 人 住 宅 が 多 世 代 に わ た って 持 続
ク活 用 推 進 事 業
的 に 居 住 ・ 利 用 さ れ るよ う 、 既 存 住 宅 ス ト ッ ク の 活 用 や 流 通 ・ リ フ ォ ー
ム 等 の 円 滑 化 を 図 り 、 空 き 家 の 発 生 を 未 然 防 止 す ると とも に 、 地 域
活 性 化 を 支 援 す る。
空 き家 再 生 等 推 進 事 業
居 住 環 境 の 整 備 改 善 を 図 るた め、 空 き 家 等 の 活 用 ・ 除 却 等 に 係 る
経 費 を支 援 (社 会 資 本 整 備 総 合 交 付 金 の基 幹 事 業 )。
空 き家 管 理 等 基 盤 強 化
空 き 家 等 の 管 理 、 売 買 、 賃 貸 、 解 体 に つ いて 、 所 有 者 に 対 す る 相
推進事業
談 体 制 の 整 備 や 関 連 す るビ ジ ネス の 育 成 ・ 普 及 を 支 援 。
地 方 公 共 団 体 の空 き家
地 方 公 共 団 体 に よ る 空 き 家 に 関 す るデ ー タ ベ ース の 整 備 、 空 き 家
対 策 に対 する地 方 財 政
相 談 窓 口 の 設 置 、 空 家 等 対 策 計 画 に 基 づ き取 り 組 む 空 家 の 活 用 ・
措置
除 却 等 の 空 き 家 対 策 に つ い て、 特 別 交 付 税 措 置 に よ り 支 援 。
定 住 促 進 空 き家 活 用 事
過 疎 地 域 の 空 き 家 を 活 用 し 、 地 域 に お け る定 住 を 促 進 す るた めの 、
業 (過 疎 地 域 集 落 再 編 整 空 き家 の改 修 に必 要 な経 費 に対 して補 助 を行 う。
備事業)
( 資 料 ) 国 土 交 通 省 ・ 総 務 省 「 空 家 等 対 策 に 係 る 関 連 施 策 等 」( 平 成 2 7 年 2 月 ) よ り 作 成
- 8 -
ま た 、 平 成 25 年 度 か ら 、 空 き 家 管 理 等 基 盤 強 化 推 進 事 業 で 、 空 き 家 の 適 正 管 理
等 に 関 す る 相 談 体 制 を 整 備 し た り 、空 き 家 の 適 正 な 管 理 を 支 援 す る 空 き 家 管 理 ビ ジ
ネ ス を 育 成・普 及 す る 事 業 に 対 し て 支 援 を 行 っ て お り 、中 国 地 域 で は 以 下 の 3 組 織
に対して事業費の一部補助が行われている。
加 え て 、 国 土 交 通 省 は 、 平 成 28 年 度 か ら 、 空 き 家 の 発 生 を 抑 制 す る た め 、 特 例
措 置 の 創 設 を 予 定 し て い る 。具 体 的 に は 、旧 耐 震 基 準 で 建 築 さ れ た 居 住 用 家 屋 を 相
続 し た 場 合 、相 続 後 一 定 期 間 内 に 、耐 震 リ フ ォ ー ム 又 は 除 却 を 行 っ た 場 合 、標 準 工
事費の一部を所得税額から控除する制度を創設する予定である。
図 表 2. 9
空き家等対策に係る施策等
事業主体
事 業 概 要
島 根 県 空 き 家 管 ・ 島 根 県 全 域 を 対 象 と し た 空 き 家 管 理 等 の 相 談 体 制 を 、県 、市 町 、宅 地 建 物 取 引 業
理等基盤強化推
協会、建築住宅センターと連携して整備
進協議会
・ 総 合 相 談 窓 口 1 ヵ 所 、 地 域 相 談 窓 口 6 ヵ 所 、地 域 の 宅 建 セ ンター 5 ヵ 所 を 設 置 し 、全 県
の相談に対応
広 島 県 空 き 家 対 ・ 広 島 県 全 域 を 対 象 と し た 空 き 家 管 理 等 の 相 談 体 制 を 、県 ・ 市 町 ・ 宅 地 建 物 取 引 業
策推進協議会
協会・全日本不動産協会等と連携して整備
・ 広 域 相 談 窓 口 2 ヵ 所( 宅 地 建 物 取 引 業 協 会 、全 日 本 不 動 産 協 会 )を 設 置 し 、全 県
の相談に対応
山 口 県 ゆ と り あ ・ 山 口 県 全 域 を 対 象 と し た 空 き 家 管 理 等 の 相 談 及 び 診 断 体 制 を 、県 ・ 市 町 ・ 建 築 住
る住生活推進協
宅センター・地域の宅地建物取引業協会、建築士会等と連携して整備
議会
・相談窓口 1 ヵ所(県のきらめき住まいづくりセンター)で、全県の相談に対応
(資 料 )平 成 25、26年 度 空 き家 管 理 等 基 盤 強 化 推 進 事 業 報 告 書 よ り作 成
d.中古住宅流通促進への対応
政 府 は 、 経 済 成 長 の 指 針 「『 日 本 再 興 戦 略 』 改 訂 2015」 の 中 で 、「 中 古 住 宅 ・ リ
フ ォ ー ム 市 場 の 拡 大 」や「 国 家 戦 略 特 区 の 加 速 的 推 進 」な ど 都 市 の 競 争 力 強 化 に 関
する項目を掲げている。
特 に 、「 立 地 競 争 力 の 更 な る 強 化 」 の 中 で 、 中 古 住 宅 ・ リ フ ォ ー ム 市 場 の 拡 大 に
向 け て 、「 不 動 産 総 合 情 報 シ ス テ ム の 整 備 」 や 、 取 引 時 の イ ン ス ペ ク シ ョ ン の 活 用
促進をめざす宅地建物取引業法の改正による「流通環境の整備」を進めることで、
「 2020 年 の 市 場 規 模 を 20 兆 円 に す る 」 と い う 目 標 を 明 記 し て い る 。
ま た 、 平 成 28 年 1 月 に 開 催 さ れ た 社 会 資 本 整 備 審 議 会 住 宅 宅 地 分 科 会 に 提 示 さ
れ た 住 生 活 基 本 計 画 案( 計 画 期 間:平 成 28~ 37 年 度 )に よ れ ば 、平 成 37 年 時 点 で
の 空 き 家 数 ( 賃 貸 ・ 売 却 用 等 以 外 ) を 400 万 戸 程 度 に 抑 制 ( 注 ) す る と い う 目 標 が
示 さ れ 、空 き 家 を 活 用 し た 地 方 移 住 、古 民 家 の 再 生 、介 護・ 福 祉 施 設 等 へ の 用 途 転
換等を推進することとしている。
( 注 )住 宅・土 地 統 計 調 査 に よ れ ば 、平 成 25 年 の 空 き 家 数 は 82 0 万 戸 の う ち 、
「 そ の 他 の 住 宅( 別
荘 や 賃 貸 用 ま た は 売 却 用 の 住 宅 を 除 く )」 は 3 18 万 戸 ( 図 表 2 .2 、 4 ペ ー ジ 参 照 ) で あ り 、
新 し い 住 生 活 基 本 計 画 案 で は 、平 成 37 年 に 、賃 貸・売 却 用 等 以 外 の「 そ の 他 空 き 家 (「 そ
の 他 の 住 宅 」 の 空 き 家 ) 」 数 を 4 00 万 戸 程 度 に 抑 え る と い う 目 標 が 提 示 さ れ て い る 。
- 9 -
e.地方自治体の対応
都 道 府 県 は 、 空 き 家 特 措 法 第 8条 に お い て 「 空 家 等 に 関 し こ の 法 律 に 基 づ き 市 町
村 が 講 ず る 措 置 に つ い て 、当 該 市 町 村 に 対 す る 情 報 の 提 供 及 び 技 術 的 な 助 言 、市 町
村 相 互 間 の 連 絡 調 整 そ の 他 必 要 な 援 助 を 行 う よ う 努 め な け れ ば な ら な い 。」こ と と
されている。
ま た 、「 都 道 府 県 は 国 と と も に 、市 町 村 が 行 う 空 家 等 対 策 計 画 に 基 づ く 空 家 等 に
関 す る 対 策 の 適 切 か つ 円 滑 な 実 施 に 資 す る た め 、空 家 等 に 関 す る 対 策 の 実 施 に 要 す
る 費 用 に 対 す る 補 助 な ど 必 要 な 財 政 上 の 措 置 等 を 講 ず る も の 」と さ れ て い る( 同 法
第 15条 ) 。
市 町 村 は 、 同 法 第 4条 に お い て は 、 市 町 村 の 責 務 と し て 「 市 町 村 は 、 第 6 条 第 1
項に規定する空家等対策計画の作成及びこれに基づく空家等に関する対策の実施
そ の 他 の 空 家 等 に 関 す る 必 要 な 措 置 を 適 切 に 講 ず る よ う 努 め る も の と す る 。」と 規
定されている。
こ う し た な か 、以 下 の と お り 、空 き 家 所 有 者 に 危 険 な 老 朽 空 き 家 の 除 却 等 を 促 す
ための様々な取組が行われている。
- 10 -
図 表 2. 10
施策の種類
撤去費補助
自治体名
呉 市 (広 島 県 )
足 立 区 (東 京 都 )
荒 川 区 (東 京 都 )
北 区 (東 京 都 )
福 生 市 (東 京 都 )
公 費 撤 去
(寄 付 )
長 崎 市 (長 崎 県 )
山 形 市 (山 形 県 )
滑 川 市 (富 山 県 )
撤去費補
+固定資
税 免 除 (
地の公共
用)
助
産
跡
利
越 前 町 (福 井 県 )
固定資
の住宅
特例解
税額引
げ猶予
産
用
除
き
税
地
+
上
見 附 市 (新 潟 県 )
空
ク
る
ン
ブ
バ
録
の
テ
き
に
場
セ
家
登
合
ン
文 京 区 (東 京 都 )
立 山 市 (富 山 県 )
豊 前 市 (福 岡 県 )
ン
す
イ
ィ
竹 田 市 (大 分 県 )
大 鹿 村 (長 野 県 )
(資料)㈱富士通総研
空き家所有者へのインセンティブ
施策の内容
危 険 な 老 朽 空 き 家 が 対 象 。 補 助 は 撤 去 費 用 の 3 割 ま で で 上 限 30
万円。
危 険 な 老 朽 空 き 家 が 対 象 。補 助 は 撤 去 費 用 の 9 割 ま で で 上 限 100
万円。
危 険 な 老 朽 空 き 家 が 対 象 。補 助 は 撤 去 費 用 の 2 /3 ま で で 上 限 100
万円。
危 険 な 老 朽 空 き 家 が 対 象 。 補 助 は 撤 去 費 用 の 1 /2 ま で で 上 限 80
万円。
1971 年 5 月 末 以 前 に 着 工 さ れ た 住 宅 で 、 空 き 家 に な っ て 約 1 年
以上経過したものが対象。所有者が建物を撤去し、ファミリー
向け住宅に建て替える場合、撤去費を補助。補助は撤去費用の
1 / 2 ま で で 上 限 5 0 万 円 ( 戸 建 て の 場 合 )。
危 険 な 老 朽 空 き 家 が 対 象 (対 象 区 域 内 ) 。 土 地 建 物 を 市 に 寄 付 し 、
跡地を地域で管理することを条件に公費撤去。
危 険 な 老 朽 空 き 家 が 対 象 (対 象 区 域 内 ) 。 土 地 建 物 を 市 に 寄 付 し 、
跡地を地域で管理することを条件に公費撤去。
危 険 な 老 朽 空 き 家 が 対 象 (対 象 区 域 内 ) 。 土 地 建 物 を 市 に 寄 付 し 、
跡地を地域で管理することを条件に公費撤去。
危 険 な 老 朽 空 き 家 が 対 象 (対 象 区 域 内 )。 跡 地 を 町 が 無 償 で 借 り
受 け 、 公 共 利 用 (10 年 間 ) す る こ と を 条 件 に 撤 去 費 補 助 (上 限 2 00
万 円 )、 公 共 利 用 の 間 の 固 定 資 産 税 免 除 。
危 険 な 老 朽 空 き 家 が 対 象 (対 象 区 域 内 )。 跡 地 を 区 が 無 償 で 借 り
受 け 、 公 共 利 用 ( 小 規 模 な 公 園 、 10 年 間 ) す る こ と を 条 件 に 撤 去
費 補 助 ( 上 限 200 万 円 ) 、 公 共 利 用 の 間 の 固 定 資 産 税 免 除 。
危険な老朽空き家が対象。固定資産税の住宅用地特例を解除。
ただし、直ちに税額は引き上げず、2 年間猶予。
危険な老朽空き家が対象。固定資産税の住宅用地特例を解除。
ただし、直ちに税額は引き上げず、2 年間猶予。
危険な老朽空き家が対象。固定資産税の住宅用地特例を解除。
た だ し 、直 ち に 税 額 は 引 き 上 げ ず 、10 年 間 猶 予 ( 当 初 5 年 間 は 据
え 置 き 、 6 年 目 以 降 は 段 階 的 に 引 き 上 げ )。
空き家バンクに登録して売却または賃貸化する場合、成約時に
10 万 円 。
空 き 家 バ ン ク に 登 録 し て 売 却 ま た は 賃 貸 化 (5 年 以 上 ) で き る 物
件について、家財道具の運搬・処分、清掃費用の 8 割を補助、
上 限 10 万 円 。
米 山 秀 隆 「 空 き 家 の 現 状 と 課 題 」 (平 成 27年 7月 29日 )資 料 よ り 作 成
日 経 グ ロ ー カ ル に よ れ ば 、 各 自 治 体 の 空 き 家 特 措 法 へ の 対 応 は 、 ま だ 、「 い え な
い ・ わ か ら な い 」が 最 も 多 く 、次 い で「 助 言 ・ 指 導 ま で に と ど め る 」が 多 く 、 自 治
体の多くは検討段階にあると判断される。
- 11 -
図 表 2. 11
0
10
今年度中に行う
0.0
既に行った
0.0
来年度以降に行う
命令までにとどめる
勧告までにとどめる
空き家特措法への対応
20
30
(%)
40
50
4.1
5.1
n=98
3.1
助言・指導までにとどめる
11.2
いえない・わからない
36.7
その他
39.8
( 資 料 ) 日 経 グ ロ ー カ ル 273号 ( 平 成 27年 8月 3日 )
国 土 交 通 省 に よ れ ば 、平 成 26 年 10 月 現 在 、全 国 の 1,718 自 治 体 の う ち 401 自 治
体 ( 構 成 比 23.5% ) で 空 き 家 関 連 条 例 が 制 定 さ れ 、 中 国 地 域 で は 107 自 治 体 の う
ち 33 自 治 体 ( 同 30.8% ) (注 )が 同 条 例 を 制 定 し て い る 。
( 注 ) 平 成 2 7 年 1 0 月 現 在 、 中 国 地 域 で は 39 自 治 体 が 同 条 例 を 制 定 し て い る 。
空 き 家 関 連 条 例 で は 、空 き 家 の 所 有 者 に 適 正 な 管 理 維 持 を 義 務 付 け る た め に 、自
治体が空き家の所有者に必要な措置を勧告できること等を規定している。
図 表 2.12
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
自治体
鳥取県鳥取市
鳥取県米子市
鳥取県倉吉市
鳥取県境港市
鳥取県八頭町
鳥取県三朝町
鳥取県湯梨浜町
鳥取県琴浦町
鳥取県北栄町
鳥取県南部町
鳥取県日南町
島根県松江市
島根県浜田市
島根県邑南町
島根県海士町
島根県隠岐の島町
岡山県倉敷市
岡山県津山市
岡山県笠岡市
岡山県総社市
岡山県美作市
岡山県美咲町
広島県呉市
広島県三次市
広島県大崎上島町
山口県下関市
山口県宇部市
山口県山口市
山口県萩市
山口県防府市
山口県岩国市
山口県光市
山口県長門市
山口県周南市
山口県山陽小野田市
山口県周防大島町
山口県田布施町
山口県平生町
山口県阿武町
中 国 地 域 の 空 き 家 関 連 条 例( 平 成 27年 10月 現 在 )
条例名
鳥取市空き家等の適正管理に関する条例
米子市空き家等の適正管理に関する条例
倉吉市空き家等の適正管理に関する条例
境港市空家の適正管理に関する条例
八頭町放置家屋等の適正管理に関する条例
三朝町空き家等の適正管理に関する条例
湯梨浜町空き家等の適正管理に関する条例
琴浦町空き家等の適正管理に関する条例
北栄町空き家等の適正管理及び有効活用に関する条例
南部町空き家等の適正管理に関する条例
日南町空き家等の適正管理に関する条例
松江市空き家を生かした魅力あるまちづくり及びまちなか居住促進の推進に関する条例
浜田市空き家等の適正管理に関する条例
邑南町空き家等の適正管理に関する条例
海士町空き家等の適正管理に関する条例
隠岐の島町空き家等の適正管理に関する条例
倉敷市空き家等の適正管理に関する条例
津山市環境保全条例
笠岡市空き家等の適正管理に関する条例
総社市空家等の適正な管理に関する条例
美作市空き家等の適正管理に関する条例
美咲町空き家等の適正管理に関する条例
呉市空き家等の適正管理に関する条例
三次市空き家等の適正管理に関する条例
大崎上島町空き家等の適正管理に関する条例
下関市空き家の適正管理に関する条例
宇部市空き家等の適正管理に関する条例
山口市空き家等の適正管理に関する条例
萩市空き家等の適正管理に関する条例
防府市空き家等の適正管理に関する条例
岩国市空き家等の適正管理に関する条例
光市空き家等の適正管理に関する条例
長門市空き家等の適正管理に関する条例
周南市空き家等の適正管理に関する条例
山陽小野田市空き家等の適正管理に関する条例
周防大島町空き家等の適正管理に関する条例
田布施町空家等対策の推進に関する条例
快適な環境づくり推進条例
阿武町空き家等の適正管理に関する条例
(資 料 )中 国 地 方 整 備 局 資 料 より作 成
- 12 -
施行年月
平成 26 年 4
平成 25 年 4
平成 26 年 4
平成 26 年 7
平成 25 年 10
平成 26 年 7
平成 26 年 10
平成 26 年 4
平成 26 年 7
平成 27 年 1
平成 25 年 4
平成 23 年 10
平成 24 年 10
平成 25 年 7
平成 25 年 10
平成 26 年 12
平成 25 年 4
平成 19 年 4
平成 27 年 7
平成 27 年 4
平成 26 年 10
平成 24 年 6
平成 26 年 1
平成 25 年 6
平成 26 年 4
平成 25 年 4
平成 24 年 10
平成 25 年 7
平成 24 年 10
平成 24 年 7
平成 26 年 4
平成 26 年 7
平成 25 年 10
平成 25 年 10
平成 25 年 1
平成 25 年 4
平成 27 年 10
平成 15 年 4
平成 25 年 4
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
f.空き家実態調査と所有者の意識
空き家特措法の施行や空き家関連条例の制定等に伴い、全国の自治体では空き
家 の 実 態 調 査 を 行 っ て い る 。中 国 地 域 に お い て も 、以 下 の 自 治 体 で 、実 態 調 査 が 行
われている。
図 表 2.13
岡山県
~平 成 25 年 度
鳥 取 市 (中 心 部 )、米 子
市
江 津 市 、浜 田 市 、隠 岐
の島 町
笠岡市
広島県
-
山口県
柳 井 市 ・光 市・山 陽 小
野 田 市 の一 部
鳥取県
島根県
中国地域での空き家実態調査
平 成 26 年 度
北栄町
平 成 27 年 度
日野町
平 成 28 年 度
-
-
出雲市
-
真 庭 市 (蒜 山 高 原 )
岡 山 市 、浅 口 市 、井 原 市 、
高 梁 市 、津 山 市 、総 社 市
安 芸 高 田 市 、 北 広 島 福 山 市 、呉 市 、尾 道 市 、江
町 、竹 原 市
田 島 市 、三 原 市
下 関 市 、萩 市
東広島市
-
(資 料 )新 聞 記 事 、各 自 治 体 ホームページ等 よ り作 成
空 き 家 実 態 調 査 は 平 成 27 年 度 に 実 施 さ れ て い る も の が 多 く 、 未 公 表 で あ る が 、
公表されている広島県安芸高田市と島根県江津市の実態調査では、今後の活用に
つ き 、「 そ の ま ま 保 有 」 が 4 割 弱 で 最 も 多 い も の の 、「 売 却 し た い 」 と 「 貸 借 し て
もよい」を合わせると 3 割強の人が空き家の利活用を望んでいる。
図 表 2. 14
空き家の今後の活用(広島県安芸高田市)
0
10
20
30
今後も自分または家族が管理する
(%)
40
36.5
34.0
予定なし
売却したいまたは売却してもよい
20.5
セカンドハウスとして時々住むために維持する
14.6
13.3
12.4
11.6
10.4
10.1
貸借しやすいまたは賃貸してもよい
子や孫に任せる(相続する)
住宅を解体したい
将来自分または家族が住む
市に貸し付けて、子育て世帯等に貸し出してもらいたい
地域やNPO等に活用してもらいたい
5.5
n=1,029
1.1
その他
2.8
(資 料 )安 芸 高 田 市 「空 き家 実 態 調 査 報 告 書 」(平 成 26年 )より作 成
他の用途に自分または家族が使用したい
図 表 2. 15
空き家の今後の活用(島根県江津市)
(%)
0
10
20
30
40
そのまま空き家として所有し続ける
50
39.5
いつかは取り壊したい
20.9
できれば他人に貸し出して利用してもらいたい
18.6
できれば他人に売却したい
16.3
いつかは帰還して移住する
11.6
n=45
その他
9.3
(資 料 )平 成 25年 度 空 き家 管 理 等 基 盤 強 化 推 進 事 業 報 告 書 (島 根 県 空 き家 管 理 等 基 盤 強 化 推 進 協
議 会 設 立 準 備 会 議 )より作 成
- 13 -
ま た 、 広 島 県 安 芸 高 田 市 の 実 態 調 査 で は 、 今 後 の 活 用 に 向 け た 課 題 と し て 、「 今
後 利 用 予 定 が な い の で 、 ど う し た ら よ い か わ か ら な い 」 (30.7 % ) 、 荷 物 が 置 い た
ま ま で あ り 、 そ の 処 分 に 困 っ て い る 」 (29.9% )、「 リ フ ォ ー ム を し な い と 使 用 で き
る 状 態 で な い 」 (26.5% )等 が 多 く な っ て い る 。
図 表 2. 16
空き家の今後の活用の課題(広島県安芸高田市)
0
10
20
30
今後利用予定はないので、どうしたらよいのかわからない
リフォームをしないと使用できる状態でない
26.5
仏壇が置いたままであり、どのようにしたらよいかわからない
23.8
解体したいが解体費用の支出が困難で解体できない
20.7
18.6
18.3
17.7
16.6
16.6
田畑や山林があり、賃貸、売却は困難である
先祖代々の家であり、自分だけでは判断できない
庭の手入れ等ができないので、管理に困っている
解体して更地になることで固定資産税が上がる
愛着があり他人には賃貸、売却できない
賃貸、売却したいが相手が見つからない
12.2
敷地内に先祖の墓があり、賃貸、売却が困難である
権利関係でもめている(相続問題)
その他
40
30.7
29.9
荷物が置いたままであり、その処分に困っている
賃貸、売却することで知らない住民が入居し近所に迷惑をかける
(%)
8.4
n=1,029
3.7
2.5
6.7
(資 料 )安 芸 高 田 市 「空 き家 実 態 調 査 報 告 書 」(平 成 26年 )より作 成
2.1.3.市場の動向
a.全国
国 土 交 通 省「 中 古 住 宅 市 場 活 性 化・空 き 家 活 用 促 進・住 み 替 え 円 滑 化 に 向 け た 取
組について」
( 平 成 27 年 8 月 )に よ れ ば 、空 き 家 の 有 効 活 用 促 進 に 向 け て 、以 下 の
よ う な 民 間 事 業 者 等 の 取 組 事 例 を 示 し 、中 古 住 宅 市 場 の 課 題 と し て 、売 主 、買 い 主 、
建 物 評 価 実 務 、流 通 市 場 に 分 け て 整 理 し 、空 き 家 や リ フ ォ ー ム に よ る 建 物 評 価 に 関
する市場全体での意識向上等を挙げている。
● 地 元 の 宅 建 業 者 団 体 が 自 治 体 と 協 定 を 締 結 し 、多 く の 消 費 者 等 が 閲 覧 す る 質 ・ 量
と も に 充 実 し た 宅 建 業 者 の 情 報 ネ ッ ワ ー ク を 活 用 す る こ と で 、空 き 家 バ ン ク 登 録
物件の流通を促進
事 例:業 界 団 体 サ イ ト( 全 宅 連:ハ ト マ ー ク サ イ ト 、全 日 本 不 動 産 協 会:ZeNNET)
●空き家の管理代行サービスを提供し、相談体制を整備
事例:東急リバブル㈱(空き家スマイルサービス)、大和ハウス工業㈱(空
家巡回サービス)、大東建物管理㈱(空き家管理サービス)
●事業者間連携協議会との連携による空き家の流通促進
事例:富山県中古住宅流通促進協議会、不動産コンシェルジュ中国地区協議
会 、 建 築 ・ 住 宅 支 援 セ ン タ ー (奈 良 県 )、 四 国 中 古 住 宅 流 通 促 進 事 業 協
議会
- 14 -
図 表 2. 17
中古住宅市場の課題
○ 売 り 主 ( 所 有 者 ( 特 に 注 文 戸 建 て 住 宅 の オ ー ナ ー ))
① 手 入 れ (リ フ ォ ー ム )し て も 値 が つ か な い か ら き ち ん と 手 入 れ し な い (履 歴 も 残 さ な い )
② 逆 に 質 や 管 理 に 関 す る 情 報 を 隠 す 傾 向 ( 瑕 疵 責 任 は 回 避 し た い が 、情 報 開 示 の メ リ ッ ト が 乏 し い )
③建物はほとんど評価の対象とならず売れない→住み替えができない
○建物評価実務
○流通市場
① 木 造 戸 建 て 住 宅 の 評 価 = 20年 で 概 ね ゼ ロ と す る 慣 行
の 存 在 (賃 貸 市 場 で 利 用 価 値 が あ っ て も 評 価 さ れ
ない)
② 担 保 評 価 も 同 様 (返 済 能 力 重 視 の リ コ ー ス ロ ー ン )
①仲介業者に建物検査や瑕疵保険の知識
不足
②物件調査に限界もあり、リスクを避け
て「現況有姿」の取引を志向
○買い主
①住宅の質が判別できず、質に対する不安が大きいが、建物検査の習慣がない
②権利関係等にも不安がある
③銀行は返済能力に基づき融資判断するリコースローン。同じ価値ならリスクの少ない新築を志向
①
( 資 料 ) 国 土 交 通 省 「 中 古 住 宅 市 場 活 性 化 ・空 き 家 活 用 促 進 ・住 み 替 え 円 滑 化 に 向 け た 取 組 に つ い て 」
( 平 成 27年 8月 ) よ り 作 成
大 都 市 圏 で は 、賃 貸 住 宅 の 空 き 家 が 増 え 、そ の 活 用 が 課 題 と な り 、中 古 の 分 譲 マ
ンションを買い取って、それを改修して再販売するビジネスが成長している。
一 方 、地 方 都 市 で は 、戸 建 て の 空 き 家 を 買 い 取 っ て リ ノ ベ ー シ ョ ン を 行 い 再 販 す
る と い う ビ ジ ネ ス が 拡 大 し て い る 。例 え ば 、㈱ カ チ タ ス( 群 馬 県 桐 生 市 )は 、競 売
物 件 の 買 い 取 り 再 生 事 業 を 中 心 に 、空 き 家 を 安 く 買 い 取 り 、少 し 改 修 し て 売 る と い
う 事 業 を 行 っ て い る 。確 実 に 売 れ る も の を 安 く 仕 入 れ て 売 る と い う 考 え 方 で 、地 方
都市を中心に全国で事業展開を行っている。
ま た 、若 い 年 齢 層 を 中 心 に 、中 古 物 件 を 買 っ て 、自 分 で リ フ ォ ー ム す る( D I Y )
と い う 需 要 も 増 え 、全 国 的 に 空 き 家 が 増 加 す る 中 で 、空 き 家 管 理 の ニ ー ズ も 増 え て
いる。
NPO法人とやまホーム管理サービス(富山県富山市)は、富山市を中心に空
き家管理サービス事業を行っているが、昔から住んできた家を残したいという所
有 者 が 100 円 で も 買 っ て も ら え る 人 が い れ ば 売 り た い と い う 物 件 の 販 売( 100 円 不
動産プロジェクト)も取り扱っている。
- 15 -
b.中国地域
中 国 地 域 に お い て は 、以 下 の よ う な 、住 宅 の リ ノ ベ ー シ ョ ン や 空 き 家 関 連 サ ー ビ
ス等に積極的に取り組んでいる事業者がある。
図 表 2. 18
事業者
み つ わビル 管 理 ㈱
空き家関連事業に取り組む民間事業者等(中国地域)
所在地
取組概要
鳥取県
留 守 宅 や空 き家 の点 検 ・保 守 ・管 理 ・修 繕 ・リフォーム等 の事 業
米子市
(み つ わホ ー ム サー ビス ) を 実 施 。
益 田 シルバー人 材 セ
島根県
平 成 27 年 度 から 3 年 間 、厚 生 労 働 省 の「地 域 ニーズ対 応 事 業 」
ンタ ー
益田市
で、空 き家 マネジメントサービス事 業 (空 き家 の持 ち主 を探 し、敷
地 内 の刈 込 ・除 草 等 )を実 施 。
NPO 法 人 おっちラボ
㈱山 陽 セフティ
㈱ ナカ タ ホ ー ム 岡 山
島根県
空 き家 を改 修 し、UIターン向 けお試 し滞 在 を体 験 できる場 を提
雲南市
供 。雲 南 市 の起 業 塾 「幸 雲 南 塾 」を運 営 。
岡山県
警 備 業 で 、 空 き 家 管 理 サー ビ ス ( 月 1 回 通 風 と 庭 木 の 確 認 、 外
岡山市
観 点 検 等 )に対 応 。
岡山県
中 古 住 宅 の 大 規 模 改 修 を 行 う リ ノベ ー シ ョン 事 業 を 展 開 。
岡山市
山 村 エンタープライズ
㈱テ ク シ ード
岡山県
空 き家 を使 って若 者 等 が共 同 生 活 する「山 村 シェアハウス」、古
美作市
民 家 を改 修 した交 流 拠 点 「ます屋 」を運 営 。
広島県
改 修 総 合 建 設 業 で、コンクリート改 修 メーカーとして、建 築 物 ・土
広島市
木 構 造 物 の調 査 ・診 断 と施 工 実 績 を生 かして、ビル等 の経 年 変
化 を 踏 ま え た リ ノベ ー シ ョ ン 事 業 を 展 開 。
広島宅建㈱
広島県
(社 )広 島 県 宅 地 建 物 取 引 業 協 会 会 員 の業 務 支 援 を目 的 として
広島市
平 成 1 9 年 4 月 設 立 。 平 成 26 年 、 広 島 県 空 き 家 対 策 推 進 協 議
会 事 業 で 空 き家 相 談 窓 口 を 設 置 。
一般社団法人実家
広島県
行 政 、自 治 体 、各 種 事 業 者 等 と連 携 し、空 き家 問 題 の解 決 を
空 き 家 サポ ー ト 協 会
広島市
図 り、良 好 な住 環 境 の形 成 、町 並 みの景 観 保 全 への寄 与 等 に
(M A R UY A M A ㈱ )
よ り 、 空 き 家 発 生 の 予 防 に 寄 与 す るこ と を 目 的 に 活 動 。 実 家 が 空
き家 に な っ た 人 を 対 象 に 、 空 き 家 相 談 窓 口 を 開 設 。
㈱マ エ ダ ハ ウ ジン グ
広島県
府 中 町 や広 島 市 等 で幅 広 くリフォーム事 業 を展 開 。 若 い顧 客 の
府中町
ニーズに対 応 したリフォーム施 工 を実 施 。中 古 リノベーションセミ
ナーも定 期 的 に開 催 し、リノベーション事 例 を紹 介 する冊 子 を定
期 的 に発 行 。
牧自治振興会
広島県
牧 地 区 ( 人 口 2 70 人 ) の 出 身 者 の 依 頼 を 受 け て、 そ の 地 域 の 空 き
神石高原町
家 を、住 民 や地 域 おこし協 力 隊 が、有 料 で月 1 回 、点 検 、清 掃
等 を 行 っ て い る。
企 業 組 合 アグリアート
山口県
地 元 の 4 農 家 が 参 加 し 、 平 成 27 年 5 月 に 設 立 。 地 元 の ブ ラン ド
ジ ャ パン
山口市
米 (田 楽 米 )の生 産 ・加 工 ・販 売 に加 え、定 住 促 進 (空 き家 管 理
等 ) を 行 っ て いる。 移 住 者 1 名 を 雇 用 し 、 定 住 コン シ ェル ジ ュ も 所
属。
㈱アライブ
山口県
不 動 産 事 業 者 で 、 空 き 家 ・ 空 地 の 管 理 サー ビ ス を 実 施 。
山口市
㈱東武住販
山口県
年 収 2 00 ~4 00 万 円 の 一 次 住 宅 取 得 者 を タ ー ゲ ッ ト に 住 宅 の 買
下関市
い取 り再 販 型 のリノベーションビジネスを展 開 。東 証 ジャスダック
にも上 場 。
(注)古民家・町家関係は除く
(資料)各社のホームページ、事例調査、新聞記事等により作成
- 16 -
公益社団法人広島県宅地建物取引業協会では、空き家問題解決のため無料相談
窓口を設置し、相談員によるアドバイス等を行い、行政や住宅関連事業者と連携
し、中古住宅・リフォーム市場の活性化に向けた取組を行っている。
平 成 27 年 5 月 に は 、 当 協 会 、 広 島 県 事 業 引 継 支 援 セ ン タ ー 、 ひ ろ し ま N P O セ
ンター、日本政策金融公庫が連携して地域課題解決ネットワークを構築し、各種
支援制度等を通じて、空き家対策や事業承継等の地域課題の解決を図り、地域経
済の活性化を目指している。
な お 、 平 成 19 年 4 月 に は 、 同 協 会 会 員 の 業 務 支 援 を 目 的 と し て 広 島 宅 建 株 式 会
社 が 設 立 さ れ た 。 同 社 は 、 広 島 県 の 不 動 産 情 報 シ ス テ ム の 運 営 等 を 行 い 、 平 成 21
年 6 月以降、中四国の公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会に所属する会
員への業務支援も行っている。
c.金融機関
空き家特措法の全面施行以降、全国的に空き家解体ローンを取り扱う金融機
関 が 増 え 、中 国 地 域 で も 5 つ の 金 融 機 関 が 空 き 家 対 策 関 連 商 品 を 提 供 し て い る 。
なお、秋田銀行(秋田県秋田市)や福岡銀行(福岡県福岡市)では、自治体
と連携した取組を行い、自治体の補助金支給に際し、当該金融機関の商品の紹
介等が行われている。
ま た 、全 国 的 に ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ の 取 組 が 広 が っ て お り 、鳥 取 銀 行 は 、鳥
取市と㈱サーチフィールド(東京都渋谷区)(注)との地域クラウドファンディン
グ サ イ ト「 FAAVO 鳥 取 」の 開 設( 平 成 27 年 7 月 )に あ た り 、鳥 取 市 よ り「 FAAVO 鳥
取 」地 域 パ ー ト ナ ー と し て 認 定 さ れ 、ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ に よ る 八 頭 町 の 古 民
家 ( 築 118年 ) 再 生 を 支 援 し て い る 。
な お 、 ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ と は 、 群 衆 ( crowd) と 資 金 調 達 ( funding) を
組み合わせた造語で、インターネットを通じて、不特定多数の人が他の人々や組
織に財源の提供や協力などを行うことをいう。
ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ は 資 金 提 供 者 に 対 す る リ タ ー ン( 見 返 り )の 形 態 に よ っ
て 大 別 さ れ 、金 銭 的 リ タ ー ン の な い「 寄 付 型 」、金 銭 リ タ ー ン が 伴 う「 投 資 型 」、プ
ロジェクトが提供する何らかの権利や物品を購入することで支援を行う「購入型」
がある。
(注 )㈱サ ー チ フ ィ ー ル ド は 、 平 成 25 年 か ら 、 全 国 各 地 で 地 域 特 化 型 ク ラ ウ ド フ ァ ン デ
ィ ン グ サ イ ト「 F AA VO( フ ァ ー ボ )」を 地 元 の 法 人 や 地 方 自 治 体 等 と 共 同 で 立 ち 上 げ 、
運 営 し て い る 。 中 国 地 域 で は 、 FA AV O 鳥 取 に 加 え 、 FA AVO 島 根 で も 具 体 的 な プ ロ ジ
ェクトが進行している。
- 17 -
図 表 2. 19
種類
解体ローン
型
活用ローン
型
既存ローン
組み込み型
空き家対策ローン(全国、中国地域を除く)
金融機関とローン名
… 北 洋 ラ イ フ プ ラ ス ロ ー ン 、リ ビ ン グ ロ ー ン( 空
き家解体優遇)
秋田銀行(秋田県秋田市)
…あきぎん空き家解体ローン
東京ベイ信用金庫(千葉県市川市)…空き家解体ローン
福岡銀行(福岡県福岡市)
…空き家解体ローン
日高信用金庫(北海道浦河町)…空き家リノベーションローン
常陽銀行(茨城県水戸市)
… 空 き 家 解 決 プラン、土 浦 市 ま ち な か 定 住 促 進 ロ ー
ン (空 き 家 活 用 プラン)
大分県信用組合(大分県大分市)…豊後大野市定住促進ローン
北 洋 銀 行( 北 海 道 札 幌 市 )
みずほ銀行(東京都千代田区) …多目的ローン
三菱東京UFJ銀行(東京都千代田区)…多目的ローン
三井住友銀行(東京都千代田区)…フリーローン(無担保型)
愛媛信用金庫(愛媛県松山市) …リフォームローン
(資料)各金融機関のホームページにより作成
図 表 2. 20
金 融 機 関 (本 店 所 在 地 )
山 陰 合 同 銀 行 (島 根 県 )
トマト銀 行 (岡 山 県 )
広 島 銀 行 (広 島 県 )
呉 信 用 金 庫 (広 島 県 )
中 国 労 働 金 庫 (広 島 県 )
山 口 フ ィ ナ ン シ ャ ル グ ル ーフ ゚
山 口 銀 行 (山 口 県 )
もみじ銀 行 (広 島 県 )
空き家対策ローン(中国地域)
対象
解 体 ( リ フ ォ ーム ロ ー ン)
解 体 、 賃 貸 の た めの 改 築 ・ 改 装 、 解 体
後 の駐 車 場 造 成 等
解 体 ・整 地 、リフォーム・修 繕 (ファミリ
ー ロー ン)
解 体 (くれしん空 き家 解 体 支 援 ロー
ン)
解 体 (無 担 保 住 宅 ローン)
解 体 、購 入 または改 装 (空 き家 対 策 ロ
ーン )
金利
変動
変動
融資金額
1,0 00 万 円 ま で
10 万 ~5 00 万 円
変 動 、固 定
10 万 ~5 00 万 円
固定
10 万 ~2 00 万 円
変 動 、固 定
解 体 …固 定
購 入 、改 装 …固 定
2,0 00 万 円 ま で
10 万 ~5 00 万 円
( 資 料 ) 平 成 27年 8月 27日 付 中 国 新 聞 記 事 、 各 金 融 機 関 ホ ー ム ペ ー ジ に よ り 作 成
例 え ば 、常 陽 銀 行( 茨 城 県 水 戸 市 )で は 、一 般 社 団 法 人 移 住 ・ 住 み か え 支 援 機 構
( J T I ) と 提 携 し 、 平 成 25 年 9 月 よ り 、 家 賃 返 済 型 リ バ ー ス モ ー ゲ ー ジ ロ ー ン
「住活スタイル」の取り扱いを開始している。
本 商 品 で は 、住 み 替 え を 希 望 す る 人 に 対 し て 、持 ち 家 を 借 家 に し て 、そ の 賃 料 を
担 保 に 融 資 を 行 い 、賃 料 収 入 で 返 済 す る 商 品 を 提 供 し 、高 齢 者 等 が 、そ の 持 ち 家 を
利用して融資を受け、生活費やゆとり資金に活用できるというメリットがある。
図 表 2. 21
リバースモーゲージローン「住活スタイル」
顧
客
②お金を借りる
①JTIに家を貸す
③JTIから家賃
を受け取る
④家賃収入から
ローンを 返 済
入居者の募
集・賃貸へ
JTI
移住・住みかえ
支援機構
提携
(資料)常陽銀行ホームページより作成
- 18 -
常陽銀行
2.1.4.古民家等の再生・活用
a.古民家等の再生・活用への取組
㈱日本政策投資銀行の報告書等より、代表的な古民家再生の事例を整理すると、
以下のとおりとなる。
図 表 2 .2 2
対象地域
リノベーション等による古民家再生の取組事例(全国、最近の取組)
実 施 主 体 (所 在 地 )
実施概要
岐阜県飛騨市
飛騨市役所
●木 造 の古
京都府京都市
株式会社八清
●京
民 家 を体 験 型 宿 泊 施 設 として活 用 。
町 家 の再 生 ・活 用 を事 業 として行 っている不 動 産 会 社 で、京 町
屋 を リ ノベ ー シ ョ ン に よ り 、 居 住 用 、 セ カ ン ド ハ ウ ス 、シ ェ ア ハ ウ ス 、マ ン
スリー賃 貸 等 、収 益 性 という付 加 価 値 を向 上 させた建 物 にして販
売 ・賃 貸 している。利 便 性 の高 い場 所 にある小 型 の町 家 を「京 宿
屋 」というセカンドハウス兼 宿 泊 施 設 やシェアハウスにする等 の取 組
を 行 っ て いる。
DI Y P 京 都
●自
NPO 法 人 京 町 家
●平
分 好 み に 改 装 で きる 賃 貸 物 件 を タ ー ゲ ッ ト に し た 不 動 産 仲 介 を 実
施 。 サイ ト の 掲 載 物 件 の 半 分 以 上 が 京 町 家 で 、 そ の 人 気 も 高 い。
再生研究会
成 4 年 設 立 。 所 有 者 の 相 談 に 対 応 す るだ け で な く 、 京 町 家 作 事
組 (伝 統 技 術 職 人 組 織 )、京 町 家 友 の会 (一 般 市 民 )、京 町 家 情
報 センターと連 携 して京 町 家 ネットを組 織 し、京 町 家 の再 生 に関 す
る提 言 か ら改 修 ま で を 実 施 。
京都市綾部市
綾部市
●市
や NPO を中 心 に住 民 が協 力 して、都 市 と農 村 の交 流 事 業 を通 じ
NPO 法 人 里 山
た綾 部 のファン作 りによる交 流 人 口 増 加 、及 び定 住 促 進 策 から導
ね っと ・ あ や べ
かれる人 口 増 加 に力 を入 れている。これにより、綾 部 市 は移 住 者 増
加 の先 進 地 となり、観 光 促 進 や地 域 産 業 活 性 化 、古 民 家 の活 用
等 の 地 域 の 活 性 化 を も た ら し て いる。
●移
住 者 はそれまで続 けていた仕 事 を辞 めて綾 部 へ来 るケースが多
く、移 住 後 の職 業 や生 活 資 金 確 保 手 段 として 、古 民 家 を活 用 した農
家 民 泊 やレストラン等 を経 営 している。これらが地 域 の魅 力 の発 信
媒 体 と な り 、 誘 客 に 貢 献 し 、 好 循 環 が 生 ま れ て いる 。
兵庫県篠山市
一般社団法人
●平
成 21 年 設 立 。 篠 山 市 、 豊 岡 市 、 朝 来 市 等 で 、 宿 泊 施 設 、 レス ト
等
ノオト
ラン、カフェへの古 民 家 再 生 や食 文 化 の創 造 、ワークショップやツア
(兵 庫 県 篠 山 市 )
ー の 企 画 運 営 等 を 通 じ て 、 観 光 促 進 や 地 域 活 性 化 、 コミ ュ ニ テ ィ 再
生 に 向 け た 取 組 を 行 っ て い る。
愛媛県
四国電力㈱
宇和島市等
(香 川 県 高 松 市 )
●宇
和 島 支 店 を中 心 に、地 元 の工 務 店 と連 携 して、古 民 家 再 生 プロ
ジェクトを推 進 し、古 民 家 新 聞 の発 行 、古 民 家 への電 化 設 備 導 入
の モデ ル ハ ウス で の 情 報 発 信 等 の 取 組 で 、 古 民 家 リ フ ォー ム の 8 割
で、 電 化 機 器 の 導 入 が 行 わ れ た。
福岡市八女市
NPO 法 人
●空
き家 の情 報 収 集 と所 有 者 に空 き家 解 消 への積 極 的 な働 きかけに
八女町家再生応
よ り 、 八 女 福 島 地 区 の 重 要 伝 統 的 建 造 物 群 保 存 地 区 に お いて 20
援団
軒 の 空 き家 が 解 消 さ れ た 。
NPO 法 人
八 女 街 並 みデザイ
ン研 究 会
●地
元 の建 築 士 や工 務 店 、大 工 等 による伝 統 的 な建 築 様 式 の継 承
や 町 家 の 価 値 を 損 な わな い よ うな 修 理 事 業 等 も 行 っ て いる。
●移
住 希 望 者 への面 接 も行 い、コミュニティ再 生 に向 けた取 組 を行 っ
て いる。
佐賀県佐賀市
O p en A
(東 京 都 中 央 区 )
●コンサルティングと設
計 を担 う事 業 主 体 として、佐 賀 市 と連 携 して、
古 民 家 の再 生 と観 光 まちづくりを実 施 。蔵 付 きの古 民 家 をアトリエ、
店 舗 、 飲 食 店 等 へ と 再 生 し た。
( 資 料 ) ㈱ 日 本 政 策 投 資 銀 行 「 古 民 家 を 活 か し た 地 域 再 生 」( 平 成 2 6 年 1 0 月 )、「 古 民 家 の 活 用 に 伴 う
経 済 的 価 値 が も た ら す 地 域 活 性 化 」( 平 成 2 7 年 4 月 ) 等 よ り 作 成
- 19 -
ま た 、日 本 政 策 投 資 銀 行 の 報 告 書 で は 、古 民 家 の 活 用 に よ り 移 住・定 住 政 策 へ の
好循環が生まれた事例を見ると、
・古民家の再生・活用により、観光客が増加し、地域のファンが生まれる。
・観光産業を中心とした地域経済の活性化等により定住人口の増加が期待できる。
・古民家の再生・活用を通じてコミュニティを再生し交流空間が創出される。
等 の 効 果 が 生 ま れ 、「 空 き 家 と な っ た 古 民 家 を 活 用 し 建 物 を 守 る こ と 」 と 「 移 住 ・
定 住 を 推 進 す る こ と 」を 同 時 並 行 的 に 取 り 組 む こ と が 、地 域 の 魅 力 ア ッ プ や 活 性 化
のために重要だと指摘している。
さらに、各地の事例から、少子高齢化に伴う人口減少や過疎化に直面する地域
が 古 民 家 を 活 か し て 移 住 ・ 定 住 を 推 進 す る 過 程 で 、「 ボ ラ ン テ ィ ア を 活 用 し 、 建 物
修繕の自己負担額を減らし、自治体・NPO法人等が、移住希望者と地域住民・
組織との丁寧なマッチングや移住後の充実したサポートを実施し、移住・定住の
実現に繋げている」ことが窺われるとしている。
兵 庫 県 篠 山 市 丸 山 地 区 で は 、 全 12 戸 の う ち 7 戸 が 空 き 家 で あ っ た が 、 平 成 21
年 に 、3 戸 の 空 き 家 を リ ノ ベ ー シ ョ ン し た 宿 泊 施 設 が 整 備 さ れ て い る 。そ の 運 営 は 、
有 限 責 任 事 業 組 合 ( L L P )丸 山 プ ロ ジ ェ ク ト ( 専 門 家 集 団 ・ ま ち づ く り 会 社 「 一
般社団法人ノオト」と集落の住民が設立した「NPO法人集落丸山」が中心とな
って設立)が担っている。
一 般 社 団 法 人 ノ オ ト は 、篠 山 市 か ら の 委 託 等 を 通 じ て 、空 き 家 調 査 、空 き 家 バ ン
ク の 設 置 、定 住 移 住 支 援 窓 口 の 運 営 等 に 関 わ っ て お り 、空 き 家 改 修 、事 業 者 マ ッ チ
ン グ 等 を 行 っ て い る 。( 事 例 集 概 要 版 16 ページ、 詳 細 版 39 ページ参 照 )
図 表 2- 23
一般社団法人ノオトの事業フレーム
10年 間 無 償 貸 与
・資金調達
・建物改修
サブリース
一般社団法人
ノオト
所有者
事業者
家賃
10年 後 返 却
LLP
無償貸与
所有者
改修・活用
配当等
・日常管理
・店舗経営
・日常管理
・店舗経営
NPO 法 人
集落丸山
配当等
一般社団法人
ノオト
寄付・出資
役務提供
集落住民
市民等
( 資 料 ) 一 般 社 団 法 人 ノ オ ト 代 表 理 事 金 野 幸 雄 「 空 き 家 活 用 と 地 域 再 生 」( 2 0 1 3 年 4 月 )、 J C 総 研 レ ポ
ー ト (2014 冬 )よ り 作 成
- 20 -
さ ら に 、 同 法 人 は 、 平 成 26 年 5 月 の 国 家 戦 略 特 区 で の 兵 庫 県 ・ 養 父 市 ( 兵 庫
県 ) の 区 域 指 定 を 受 け て 、 REVIC( 地 域 経 済 再 生 支 援 機 構 ) の 地 域 活 性 化 マ ザ ー
フ ァ ン ド を 中 心 と し た 民 間 資 本 の 投 資 に よ り 、篠 山 城 跡 を 取 り 巻 く よ う に 点 在 す
る 古 民 家 を 宿 泊 施 設 に 再 生 し て 、篠 山 城 下 町 ホ テ ル NIPPONIA を 整 備 し 、平 成 27
年 10 月 に オ ー プ ン し て い る 。
再生方法
図 表 2- 24
再生事業
活用提案型指定管理
方式
地域運営方式
サブ リ ース 方 式
転売方式
ファンド方 式
その他
一般社団法人ノオトの空き家
名前
◎ 竹 田 城 下 町 の 宿 「 旧 木 村 酒 造 場 E N」 平 成 2 5 .11 ~
◎オ ー ベル ジ ュ「 豊 岡 19 25 」 平 成 2 6 .4 ~
◎ 古 民 家 の 宿 「 集 落 丸 山 」 平 成 27 . 4 ~
◎ 養 蚕 農 家 の 宿 「 大 屋 大 杉 」 平 成 2 7 . 9~
里 山 旬 菜 料 理 「 ささ らい」
イ タリ ア 家 庭 料 理 「 Tr a ttor i a a l R a gu 」
暮 ら し の ツ ー リ ズム 「ささ や ま な 家 」
アン テ ィ ーク 「 ハ ク ト ヤ」
彫 金 ・ ジ ュエ リー 「 応 需 細 工 所 」
チ ャ レ ン ジシ ョ ッ プ「 よか ちょ ろ」
就 農 シェアハウス「小 多 田 の家 」
木 工 「 N A T UR A L B A CK YA R D 」
里 山 セ ミ ナ ー ハ ウ ス「 天 空 農 園 」
篠 山 ギ ャ ラ リ ー K I T A’ S
◎ 篠 山 城 下 町 ホ テ ル 「 N I P P ONI A 」 平 成 2 7 .10 ~
職 員 住 宅 「旧 畑 中 鍼 灸 院 」
昭 和 レトロ「西 町 ブリキ玩 具 製 作 所 」
イ タリ ア 料 理 「 CAS A DE L A MI CI 」
(注)◎は宿泊施設
(資料)一般社団法人ノオト事業概要資料より作成
- 21 -
所在地
(兵 庫 県 )
朝来市
豊岡市
篠山市
養父市
篠山市
篠山市
篠山市
篠山市
図 表 2 .2 5 リ ノ ベ ー シ ョ ン に よ る 古 民 家 等 の 再 生 の 取 組 事 例 ( 中 国 地 域 、 最 近 の 取 組 )
場所
実施主体
鳥取県
NPO ま ち な か こ も
米子市
んず
島根県
島根大学
松江市
概 要
 築 90 年 の町 屋 を改 修 し、学 生 のシェアハウスとして活 用 。
 「ま ちな か 居 住 デ ザ イ ン の 提 案 と 地 域 活 性 化 プ ロ ジ ェ ク ト 」で、 築 53 年 の
空 き家 を改 修 し、展 示 会 等 を開 催 。
島根県
石見銀山生活研
大田市
究所
 10 軒 の 古 民 家 を 再 生 し、 再 生 した 古 民 家 を、国 産 の 衣 料 品 企 画 ・販
売 施 設 や伝 統 的 な生 活 文 化 を体 験 できる宿 泊 施 設 「他 郷 阿 部 家 」に
す る等 の 取 組 を 行 っ て いる。
㈱中 村 ブレイス
 201 4 年 ま で に 、 4 5 棟 の 古 民 家 を 改 修 、 貸 店 舗 や 社 員 寮 と し て 活 用 。
旧 郵 便 局 舎 の 古 民 家 を 利 用 し て 文 化 施 設 「 大 森 座 」 を 再 ス タ ー ト。
岡山県
倉敷市等★
倉敷市
町 屋 や古 民 家 の調 査 を実 施 し、活 用 策 を検 討 。
倉敷芸術科学大
学
岡山県
個 人 (江 田 厚 )
津山市
岡山県
 国 の連 携 中 枢 拠 点 都 市 モデル事 業 の一 環 で、笠 岡 市 や井 原 市 等 の
 芸 術 学 部 生 (芸 科 大 デジタル工 房 )が、築 100 年 の木 造 建 物 を芸 術 や
モ ノ づ く り の 場 と し て 再 生 ( 倉 敷 ア ー ト サポ ー ト プ ロ ジ ェ ク ト )。
 津 山 市 の 空 き 店 舗 対 策 補 助 金 を 利 用 。 地 区 100 年 以 上 と さ れ る木 造
2 階 の 料 亭 を 改 装 し て 、「 か ふぇ 花 音 」 と して 営 業 。
個 人 (末 沢 雅 彦 )
 築 2 5 0 年 の か や ぶ き屋 根 の 木 造 平 屋 を 改 修 し 、 交 流 拠 点 と し て 整 備 。
山 村 シェアオフィス
 古 民 家 を改 修 した交 流 拠 点 「ます屋 」を運 営 。 山 村 バー等 のイベントを
美作市
開 催 。元 美 作 市 の地 域 おこし協 力 隊 員 等 により構 成 。
岡山県
備 中 矢 掛 宿 の街
矢掛町
並 み を よ く す る会
広島県
古民家再生協会
広島市
広島
広島県
NPO 法 人 ぬまくま
福山市
民 家 を大 切 にする
 矢 掛 町 の明 治 ・大 正 期 の古 民 家 の構 造 や傷 み具 合 等 を調 査 し、その
修 復 や再 生 に向 けた活 動 を展 開 。
 古 材 や 古 民 家 の 鑑 定 ・ 保 存 ・ 再 生 ・ 活 用 等 の 活 動 を 行 っ て いる。
 古 民 家 の調 査 ・再 生 を行 い、補 修 に利 用 する伝 統 産 業 (柿 渋 製 造 )復
活 に向 けた取 組 を推 進 。
会★
ポエ ッ ク 里 海 財 団
 小 佐 木 島 の古 民 家 を宿 泊 施 設 等 として改 装 、アート展 を開 催 。
広島県
NPO 法 人 尾 道 空
 平 成 1 9 年 設 立 。 尾 道 市 と 協 働 で 空 き 家 バ ン ク を 運 営 。 平 成 2 1 ~2 4
尾道市
き家 再 生 プロジェ
年 で 7 0 軒 近 い 空 き家 の 新 規 入 居 が あ っ た 。 タ ー ゲ ッ ト は 若 者 で 、 空 き
クト★
家 再 生 の コン セ プ トは 、 建 築 、 コミ ュニ テ ィ、 環 境 、 観 光 、 ア ー トと し 、 そ れ
広島県
三原市
ぞ れ の コンセ プ ト に 基 づ いた 活 動 が 展 開 さ れて いる。
入 居 予 定 の 建 物 を 直 し た い と いう 希 望 者 に 向 け て 尾 道 空 き 家 再 生 サポ
ートメニューがあり、サポートメンバーや専 門 家 の派 遣 を依 頼 できる制 度
が あ る。
広島県
NPO 法 人 ネ ッ ト ワ
竹原市
ーク竹 原
 平 成 15 年 設 立 。古 民 家 の再 生 に取 り組 み、そこを事 務 所 とし、可 能 性
があれば新 しいことをやってみるという考 え方 で、雛 めぐり(雛 人 形 の展
示 ) 、 チ ャ レン ジ ショ ッ プ 事 業 ( 空 き家 を 活 用 し た 出 店 ) 、 空 き 家 移 住 ツ ア
ー 等 の イ ベ ン ト を 実 施 。 こ れ らの イ ベ ン ト 等 に よ り 、 町 屋 へ の 出 店 希 望 者
も増 え、町 屋 の活 用 等 の取 組 は、行 政 や観 光 協 会 、商 工 会 議 所 等 に
引 き 継 が れ て いる。
山口県
(一 社 )おんなたち
山口市
の古 民 家 ★
 山 口 市 阿 東 町 の古 民 家 を再 生 、モデルハウスとして宿 泊 への対 応 や拠 点
施 設 として活 用 。農 業 生 産 と空 き家 管 理 等 を行 う企 業 組 合 も設 立 する
等 、 山 口 県 内 外 の 古 民 家 再 生 に よ る地 域 振 興 と 定 住 促 進 も 支 援 。
(注)★は訪問済み(事例集に記載)
( 資 料 ) ㈱ 日 本 政 策 投 資 銀 行 「 古 民 家 を 活 か し た 地 域 再 生 」( 2 0 1 4 年 1 0 月 )、 新 聞 記 事 等 よ り 作 成
- 22 -
古 民 家 等 を ゲ ス ト ハ ウ ス( 簡 易 宿 所 )に 活 用 す る 場 合 、旅 館 業 許 可( 旅 館 業 法 )、
用 途 変 更 の 許 可 ( 建 築 基 準 法 、 100 ㎡ を 超 え る 場 合 )、 消 防 法 令 適 合 通 知 書 ( 消 防
法 )、 飲 食 店 営 業 許 可 ( 食 品 衛 生 法 、 飲 食 を 提 供 す る 場 合 ) が 必 要 と な る 。
なお、シェアハウスへの用途変更は、建築基準法の適用はうけるものの、旅館
業には該当せず、賃貸借契約として位置付けられる。なお、国土交通省より、平
成 25 年 9 月 に シ ェ ア ハ ウ ス が 寄 宿 舎 に 該 当 す る と し て 、 建 築 基 準 法 の 防 火 ・ 耐 火
性 能 、彩 光 ・ 換 気 、防 湿 性 能 が 求 め ら れ る と の 見 解( 技 術 的 助 言 )が 示 さ れ た が 、
その後、規制緩和の方向性を検討することとなっている。
b.歴史的風致維持向上計画
歴 史 的 風 致 維 持 向 上 計 画 は 、 歴 史 ま ち づ く り 法 ( 平 成 20 年 11 月 施 行 ) に 基 づ
く国の財政支援制度で、重点区域を定め、その区域内にある文化財周辺の環境整
備等のまちづくり計画が認定されれば、国が事業費の一部を補助する制度である。
同計画の対象地域は、重要文化財等に供される土地や重要伝統的建造物群保存
地区とその周辺区域となっており、中国地域では、島根県松江市・津和野町、岡
山県津山市・高梁市、広島県尾道市・竹原市、山口県萩市が認定されており、当
該地域では、景観形成(空き家等の改装・改修等を含む)の費用の一部が助成さ
れている。
特 に 、 尾 道 市 で は 、 空 き 家 ( お お む ね 1 年 以 上 継 続 し て 使 用 さ れ ず 、 建 築 後 30
年以上の建築物)の所有者又は賃借者等が、台所や内装、外装等を改修して居住
す る 場 合 、 経 費 の 3 分 の 2( 最 大 30 万 円 ) を 助 成 し て い る 。 さ ら に 、 老 朽 危 険 建
物(周辺の景観及び住環境を悪化させ放置されており、不良度判定基準により認
定された建築物)の所有者又は所有者の相続人等が、解体業者による除去を行う
場 合 、 経 費 の 3 分 の 2( 最 大 60 万 円 ) を 助 成 し て い る 。
図 表 2- 26
中国地域の歴史的風致維持向上計画の認定とリノベーション
所在地
島根県
松江市
津和野町
認定
平 成 23 年 2 月
平 成 25 年 4 月
岡山県
津山市
高梁市
平 成 21 年 7 月
平 成 22 年 11 月
広島県
尾道市
平 成 24 年 6 月
山口県
竹原市
萩市
平 成 24 年 6 月
平 成 21 年 1 月
リ ノベ ーシ ョン 関 連 事 業 の 概 要
歴 史 的 建 造 物 の周 辺 環 境 の整 備 、道 すじ修 景 整 備 等
旧 城 下 町 内 にある空 き家 の再 生 に関 わる修 繕 、老 朽 化 建 造 物 の
除去 等
出 雲 街 道 沿 いの 町 家 の 修 理 ・ 修 景 等
吹 屋 伝 統 的 建 造 物 群 保 存 地 区 の景 観 に影 響 を与 える建 造 物 の
撤去 等
住 環 境 の改 善 と良 好 な景 観 形 成 の促 進 のための老 朽 危 険 建 物 の
除 却 、 空 き 家 の 有 効 利 用 ・ 地 域 活 性 化 の た めの 空 き 家 の 再 生 に 必
要 な費 用 の一 部 補 助 等
伝 統 的 建 造 物 の 保 存 修 理 、 景 観 を 阻 害 す る空 き店 舗 撤 去 等
個 人 所 有 の町 家 や土 塀 等 の修 理 ・修 景 等
(資料)各市町ホームページより作成
- 23 -
c.規制緩和の動き(歴史的建造物関連)
内 閣 府 は 「 国 家 戦 略 特 区 に お い て 検 討 す べ き 規 制 改 革 事 項 等 に つ い て ( 平 成 25
年 10 月 18 日 )」に お い て 、以 下 の と お り 、
「 歴 史 的 建 築 物 の 活 用 」を 掲 げ 、そ の 後
の 検 討 を 踏 ま え 、 平 成 26 年 3 月 よ り 、 戦 略 特 区 内 で の 歴 史 的 建 造 物 に 関 す る 旅 館
業 法 の 特 例( 東 京 圏 、関 西 圏 、兵 庫 県 養 父 市 、福 岡 市 等 の 戦 略 特 区 内 の み 適 用 )へ
の 規 制 改 革 を 進 め る こ と と な っ た 。さ ら に 、同 年 4 月 か ら は 、戦 略 特 区 内 に 限 ら ず 、
古 民 家 等 の 歴 史 的 建 築 物 の 活 用 の た め の 建 築 基 準 法 の 適 用 除 外 が 可 能 と な り 、消 防
法に関連する相談窓口の構築も進められている。
す な わ ち 、従 来 か ら「 古 民 家 等 の 歴 史 的 建 築 物 の 活 用 の た め の 建 築 基 準 法 の 適 用
除 外 」( 京 都 市 や 神 戸 市 の 3 条 適 用 除 外 条 例 )の 事 例 は あ っ た も の の 、 平 成 26 年 4
月 よ り 、 そ の 3 条 適 用 除 外 条 例 モ デ ル を さ ら に 促 進 さ せ 、「 よ り 多 く の 歴 史 的 建 築
物 の 活 用 の 円 滑 化 」 を 図 る た め 、「 建 築 審 査 会 に お け る 個 別 の 審 査 を 経 ず に 、 地 方
公 共 団 体 に 設 け る 専 門 の 委 員 会 等 」に よ る「 建 築 基 準 法 の 適 用 除 外 」を 認 め る 枠 組
みが新たに示されている。
旅 館 業 法 に つ い て は 、国 家 戦 略 特 区 内 で は 、マ ン シ ョ ン の 空 き 室 等 を 宿 泊 施 設 と
し て 利 用 で き る 旅 館 業 法 の 特 例 を 設 け る こ と が 盛 り 込 ま れ 、 従 来 30 日 以 上 で あ っ
た も の が 10 日 以 上 の 滞 在 は 旅 館 業 法 の 適 用 外 と な り 、 部 屋 を 自 由 に 貸 し 出 す こ と
ができるようになっている。
ま た 、地 方 自 治 体 の 条 例 に 基 づ き 選 定 さ れ る 歴 史 的 建 築 物 に つ い て 、一 定 の 要 件
を 満 た す 場 合 は 、旅 館 業 法 上 の 施 設 基 準 の 一 部( フ ロ ン ト( 玄 関 帳 場 )の 設 置 義 務 )
の適用を除外することとなっている。
図 表 2. 27
古民家等の活用に向けた法規制緩和への対応
<古民家等の歴史的建築物の活用のための建築基準法の適用除外等>
・ 重 要 文 化 財 ま で に は 至 ら な い 各 地 の 古 民 家 等 の 、い わ ゆ る「 歴 史 的 建 築 物 」( 町 家 、武 家 屋 敷 、
庄屋等)については、現在、空き家化や解体等が進展しているが、他方で、宿泊施設、レスト
ラン、サテライトオフィス等として積極的に有効活用し、地域活性化や国際観光等に貢献させ
たいとのニーズが飛躍的に高まっている。
・東京オリンピックの開催も追い風に、今後、我が国に居住・滞在する外国人が急増することが
見込まれる。
・こうした中で、より多くの歴史的建築物の活用等が円滑に行われるよう、建築審査会における
個別の審査を経ずに、地方自治体に新たに設ける専門の委員会等(歴史的建築物の活用等や構
造安全性に係る専門家などから構成)により、建築基準法の適用除外を認める仕組みを推進す
る。
・ ま た 、 よ り 多 く の 歴 史 的 建 築 物 に つ い て 、 消 防 長 又 は 消 防 署 長 が 消 防 法 施 行 令 第 32 条 に 定 め る
消 防 用 設 備 等 の 基 準 の 適 用 除 外 に 該 当 す る か ど う か の 判 断 を よ り 円 滑 に 行 え る よ う 、積 極 的 に 、
関連する事例を情報共有するとともに、各地域からの相談を受け付ける仕組みを構築する 。
・さ ら に 、歴 史 的 建 築 物 の 活 用 を 全 国 規 模 で 推 進 し 、地 域 の 活 性 化 や 国 際 観 光 の 振 興 を 図 る た め 、
内閣官房において、府省横断的な検討体制を整備する。
<歴史的建築物に関する旅館業法の特例 (特区内)>
・ 地 方 自 治 体 の 条 例 に 基 づ き 選 定 さ れ る 歴 史 的 建 築 物 に つ い て 、 一 定 の 要 件 を 満 た す 場 合 は 、旅
館業法上の施設基準の適用を一部除外する。(例えば、ビデオカメラや24時間の連絡窓口が
設置される場合などはフロントなしでも認めることなど)
( 資 料 )「 国 家 戦 略 特 区 に お い て 検 討 す べ き 規 制 改 革 事 項 等 に つ い て 」 国 家 戦 略 特 区 ワ ー キ ン グ グ ル ー プ
( 平 成 25 年 10 月 18 日 )
- 24 -
図 表 2 .2 8
建 築 基 準 法 の自 動 的 な適 用
除外
建築基準法の適用除外
<国 宝 、重 要 文 化 財 等 >
国宝、重要文化財、重要有形民俗文化財、
特 別 史 跡 名 勝 天 然 記 念 物 、史 跡 名 勝 天 然 記
念物、
重要美術品等として認定された建築物
建 築 基 準 法 の適 用 除 外 が
<登 録 文 化 財 、指 定 文 化 財 等 >
可能
有形登録文化財、
①現 状 変 更 の規 制 及 び保 存
地方公共団体が指定する文化財、
の た めの 措 置 を 講 じ る 条 例
地方公共団体が登録する文化財
②建 築 審 査 会 の同 意
地域において歴史的価値がある建築物として位置付けられ
を踏 まえ、建 築 基 準 法 の適 用
たもの
除 外 が可 能
(例:古民家、武家屋敷、酒蔵等)
平 成 26年 4月 1日 付 技 術 的 助 言
地 方 公 共 団 体 において歴 史 的 建 築 物 の保 存 と活 用 が円 滑 に進 むよう、 あらかじめ一 定 のルールを定
める こ とで 、 建 築 審 査 会 で の 個 別 の 審 査 を 経 ず に 、 地 方 公 共 団 体 に 設 け る 歴 史 的 建 築 物 の 保 存 活
用 、 構 造 安 全 性 に 詳 し い 者 か ら なる 委 員 会 等 に お け る 審 査 に よ っ て 、 建 築 基 準 法 を 適 用 除 外 と す る
ことを認 めることができる。
( 資 料 ) 内 閣 府 第 11 回 地 域 活 性 化 WG(国 土 交 通 省 作 成 資 料 )よ り 作 成
2.1.5.農地付住宅の課題
中山間地域の空き家は、農地付住宅である場合が大半であり、その売買や改修
には農地法や都市計画法の規制が関係する。例えば、農地を農地として売買する
場合、農業委員会等の許可(農地法第 3 条)が必要で、相手が農家または農業生
産法人である必要があるため、その購入者(移住者)は農業に従事し、以下の要
件がすべて満たされることが求められる。そのため、購入者(移住者)は、一定
の 面 積 以 上( 例 え ば 広 島 県 三 次 市 や 廿 日 市 市 等 で は 、10a(1,000 ㎡ )以 上 )を 経 営 し 、
年 間 150 日 以 上 就 業 す る こ と が 求 め ら れ る 。
図 表 2 .2 9
個人の農業参入の場合の要件
1. 農 地 の す べ て を 効 率 的 に 利 用 す るこ と : 機 械 や 労 働 力 等 を 適 切 に 利 用 す るた めの 営 農 計 画 を 持 っ て いる
こと
2. 必 要 な 農 作 業 に 常 時 従 事 す るこ と: 農 地 の 取 得 者 が 、 必 要 な 農 作 業 に 常 時 従 事 ( 原 則 、 年 間 15 0 日 以
上 ) す ること
3. 一 定 の 面 積 を 経 営 す るこ と : 農 地 取 得 後 の 農 地 面 積 の 合 計 が 、 原 則 50 a ※ 以 上 で あ るこ と が 必 要
※こ の 面 積 は 、 地 域 の 実 情 に 応 じ て 、 各 市 町 村 の 農 業 委 員 会 が 引 き 下 げ るこ と が 可 能 と な っ て い る 。
( 例 え ば 、 広 島 県 三 次 市 ・ 廿 日 市 市 等 では 下 限 面 積 1 0a とな っ て いる)
4. 周 辺 の 農 地 利 用 に 支 障 が な いこ と : 水 利 調 整 に 参 加 し な い無 農 薬 栽 培 の 取 組 が 行 われ て いる地 域 で 農
薬 を 使 用 す るな ど の 行 為 を し な いこ と
(資料)農林水産省「農地の売買・賃借・相続に関する制度について」より作成
ま た 、 農 地 を 農 地 以 外 に 転 用 す る 場 合 、 農 地 法 第 4、 5 条 に よ り 、 4ha を 超 え る
場合は農林水産大臣、それ以下は都道府県知事の許可が必要で、市街化区域内の
農地の転用には届出が必要になる。
- 25 -
図 表 2 -3 0 農 地 の 権 利 を 取 得 す る た め の 手 続 き
農 地 法 第 3条 許 可 の 流 れ
農業委員
会
②通知
市町村長
③意見
①申請書提出
④許可通知
申請者
(注)市町村長への通知等(②、③)は一般法人の賃借を許可しようとする場合のみ
(資料)農林水産省「農地の売買・賃借・相続に関する制度について」より作成
なお、建築物を建築する目的で行う開発行為を行う場合、都市計画法による開
発許可が必要な区域があり、一定の面積以上の売買については国土利用計画法に
基づく土地売買等の契約に関する届出も必要になる。
図 表 2 .3 1
都 市 計 画 法 と 農 地 法 に よ る 開 発 許 可・転 用 許 可 等 の 事 例
農地の所在
線 引 き
区域
都市計画区域
市街化区域
市街化調整
区域
非線引き区域
都市計画区域外
準都市計画区域
その他の区域
許可・届出手続(法)
農地法
都市計画法
転用届出
(
第
5
条
1
項
3
号
)
1, 000 ㎡ 以 上
開発許可
面積に関係な
( 第 29 号 1 項 本 文 )
し
3, 000 ㎡ 未 満
開
発
許可
転用許可
3, 000 ㎡ 以 上
(第 5 条 1 項 本 文 ) ( 第 29 号 1 項 本 文 )
3, 000 ㎡ 未 満
農林水産大臣又は
開発許可
3, 000 ㎡ 以 上
都 道 府 県 知 事 の 許 可 ( 第 29 号 1 項 本 文 )
1ha 未 満
転用農地の面
積
1, 000 ㎡ 未 満
1ha 以 上
開発許可
( 第 29 号 2 項 本 文 )
(注)都市計画法の対象となる第二種特定工作物は除く
(資料)広島県三次市、廿日市市等のヒアリングにより作成
ま た 、 平 成 26 年 5 月 に 、 兵 庫 県 や 養 父 市 ( 兵 庫 県 ) が 国 家 戦 略 特 区 の 区 域 指 定
を受け、耕作放棄地等の再生、農作物・食品の高付加価値化の推進、交流者滞在
型施設の整備にかかる規制緩和が行われている。
農地法関連の規制緩和では、農地の流動化を促進するために、当該区域では、
市町村長と農業委員会との合意の範囲内で、農業委員会の農地の権利移動の許可
関係事務を市町村が行うことが可能となっている。あわせて、農家レストランの
農用地区域内(注)設置も可能となっている。
な お 、特 区 以 外 で は 農 用 区 域 内 で 自 己 の 生 産 す る 農 畜 産 物 の 加 工・販 売 が 可 能 と
されている。
( 注 ) 農 用 地 区 域 と は 、 農 業 振 興 地 域 内 ( 今 後 、 相 当 期 間 ( 概 ね 10 年 以 上 ) に わ た り 、 総 合 的 に 農 業
振 興 を 図 る べ き 地 域 )に お け る 集 団 的 に 存 在 す る 農 用 地 や 、土 地 改 良 事 業 の 施 行 に か か る 区 域 内
の土地などの生産性の高い農地等、農業上の利用を確保すべき土地として指定された土地
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図 表 2 .3 2
農地法による転用許可・転用届の手続き
<農地法第 3 条許可>
個 人 、農 業 生 産 法 人 等 が農 地 の売 買 ・貸 借 等 を行 う場 合 に
は、農 地 が所 在 する市 町 農 業 委 員 会 等 の許 可 が必 要 。
農 地 を相 続 した場 合 等 、許 可 不 要 の場 合 でも該 当 農 地 の所 在
する 市 町 農 業 委 員 会 等 へ の 届 出 が 必 要 。
<農地法第 4 条許可>
自 分 が所 有 している農 地 を農 地 以 外 のものにす
る場 合 には、許 可 が必 要 。
<農地法第 5 条許可>
農 地 を農 地 以 外 にする目 的 で、売 買 ・賃 貸 借 等
を する 場 合 に は 、 許 可 が 必 要 。
(資料)広島県「農業法の手続き」により作成
2.1.6.市街化調整区域の空き地等の活用
都 市 計 画 法 ( 昭 和 43 年 策 定 ) が 平 成 12 年 に 大 幅 改 正 さ れ 、 線 引 き 制 度 ( 市 街
化区域と市街化調整区域との区分分け)が都道府県の選択制となり、線引き廃止
の選択が可能になった。
綾 部 市 ( 京 都 府 ) で は 、 平 成 28 年 4 月 か ら 都 市 計 画 法 の 都 市 計 画 区 域 の 線 引 き
を廃止する予定で、店舗・事務所・工場の建築等による地域の活性化を期待して
いる。線引きの廃止にあたり、新たな特定用途制限地域を定め、建物の用途に一
定 の 制 限 を 加 え て い る 。( 事 例 集 概 要 版 1 09 ページ、 詳 細 版 173 ページ参 照 )
中 国 地 域 で は 、 平 成 21 年 、 笠 岡 市 ( 岡 山 県 ) が 線 引 き 廃 止 を 行 な い 、 旧 市 街 化
調整区域の土地利用の活発化、転出者抑制に繋がっている。
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2.1.7.住宅団地の空き家対策
千 葉 県 佐 倉 市 の ユ ー カ リ が 丘 団 地 ( 7,200世 帯 、 居 住 者 18千 人 ) で は 、 住 宅 団 地
を 開 発 し た 山 万 ㈱ が リ フ ォ ー ム 住 み 替 え 支 援 を 行 っ て お り 、 査 定 額 の 100% で 買 い
取 り 、終 身 借 り 上 げ で 自 宅 を 年 金 化 し た り 、買 い 取 っ た 物 件 は リ ノ ベ ー シ ョ ン し て
若 い 世 代 に 渡 す と い う サ イ ク ル( ハ ッ ピ ー サ ー ク ル シ ス テ ム )が 推 進 さ れ 、団 地 全
体での空き家の発生が抑えられている。
同 社 が 買 い 取 っ た 物 件 は リ フ ォ ー ム し て 新 築 の 70% で 再 販 さ れ 、若 い 人 に 割 安 で
住 み や す い よ う な 形 で 提 供 さ れ る と と も に 、団 地 の 分 譲 に あ た っ て は 、人 口 構 成 を
考 え 、分 譲 時 期 を 分 け て 、エ リ ア を 分 散 さ せ た 分 譲 が 行 わ れ て い る 。
(事例集 概要
版 97ページ、 詳 細 版 143ページ参 照 )
大 分 県 大 分 市 の 富 士 見 が 丘 団 地 ( 3,100 世 帯 、 居 住 者 7.5 千 人 ) で は 、 平 成 22
年 6 月 に 、内 閣 府 の「 ふ る さ と 団 地 創 造 推 進 事 業 」の モ デ ル 団 地 と し て 、団 地 の 活
性 化 に 向 け た 実 証 実 験 と 住 民 等 に よ る 自 主 事 業 が 行 わ れ 、官 民 合 同 の ワ ー ク シ ョ ッ
プ の 結 果 を 踏 ま え 、「 若 者 が 魅 力 を 感 じ や す い ま ち 」 と 「 現 在 の 住 民 に と っ て 住 み
や す い ま ち 」を 共 通 テ ー マ と し て 、住 替 え 対 策 、空 地 ・ 空 き 家 ・ 空 き 店 舗 の 活 用 等
に 取 り 組 み 、同 じ 課 題 を 持 つ 全 国 の 自 治 体 7 市( 札 幌 市 、盛 岡 市 、長 岡 市 、富 山 市 、
堺 市 、久 留 米 市 、大 分 市 )で 構 成 さ れ る「 ふ る さ と 団 地 の 元 気 創 造 推 進 協 議 会 」で
具体的な対策をとりまとめ、
・空き家・空き地の活用による住み替え支援対策
・地域コミュニティづくり対策
・地域リーダー育成対策
等
に 関 す る 国 へ の 提 案 を 行 っ て い る 。( 事 例 集 概 要 版 110 ページ、 詳 細 版 176 ページ
参照)
ま た 、全 国 的 に 、大 学 が 地 域 貢 献 活 動 の 一 環 と し て 、住 宅 団 地 の 活 性 化 に 向 け た
研 究 や 活 動 を 行 っ て お り 、例 え ば 、大 東 文 化 大 学( 東 京 都 板 橋 区 )で は 、文 部 科 学
省 の「 現 代 的 教 育 ニ ー ズ 取 組 支 援 プ ロ グ ラ ム 」で 、平 成 19~ 21年 度 に 、高 齢 化 が 進
む 大 規 模 団 地「 高 島 平 団 地 」を 中 心 と し た 高 島 平 地 域 で 、空 き 家 や 空 き 店 舗 を 使 っ
た団地の活性化に取り組んできた。
具 体 的 に は 、団 地 に 隣 接 す る 大 東 文 化 大 学 の 学 生 と 教 職 員 、高 島 平 地 域 住 民 が 協
力 し 、団 地 の 空 き 室 を 学 生 寮 と し て 活 用 す る と と も に 、団 地 内 の 空 き 店 舗 に コ ミ ュ
ニ テ ィ カ フ ェ を 設 置 し 、高 齢 者 を 中 心 と し た 地 域 住 民 と 留 学 生 を 含 む 学 生 ボ ラ ン テ
ィ ア が 連 携 し な が ら 、多 文 化 共 生 と 多 世 代 交 流 に よ る 団 地 活 性 化 に 取 り 組 ん で き た 。
当該事業終了後も、コミュニティカフェの運営は続けられている。
( 事 例 集 概 要 版 101 ページ、 詳 細 版 155 ページ参 照 )
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中 国 地 域 で は 、 広 島 市 が 平 成 25~ 26 年 度 に 、 有 識 者 か ら 構 成 さ れ る 住 宅 団 地 活
性化研究会を設置し、住民意識調査等を実施し、住宅団地の活性化に向けた検討
を行った。
広 島 市 に は 5ha 以 上 の 住 宅 団 地 が 169 ヵ 所 あ り 、当 研 究 会 で は 、団 地 を 4 つ( 商
業施設や学校がそろう大規模団地、大規模団地隣接型、商業施設等が団地内にな
い周辺地域依存型、生活に必要なサービスが近くにない単独型)に分類し、市が
タ イ プ ご と に 活 性 化 策 を 検 討 し 、 平 成 27 年 度 か ら 、 空 き 家 の 改 修 費 や 家 賃 補 助 、
空き家を交流拠点にする改築費用、空き地を使った花壇づくり経費等の補助制度
を新設している。
2.2.空き店舗
2.2.1.全国と中国地域の概況
中 小 企 業 庁 の 「 平 成 24 年 度 商 店 街 実 態 調 査 報 告 書 」 に よ る と 、 全 国 の 2,647 商
店 街 ( 平 均 店 舗 数 52.9 店 ) の 空 き 店 舗 数 は 6.1 店 、 空 き 店 舗 率 は 14.6% と な り 、
空 き 店 舗 率 を み る と 、平 成 18 年 度 の 9.0% と 比 較 し て 、5.6 ポ イ ン ト の 増 加 と な っ
ている。
ま た 、平 成 24 年 度 の 中 国 地 域 の 空 き 店 舗 率 は 19.1% と 全 国 平 均( 14.6% )を 4.5
ポ イ ン ト 上 回 り 、四 国 地 方 に 次 い で 高 く な っ て い る 。最 近 3 年 間 で の 空 き 店 舗 数 の
変化では、
「 増 え た 」(37.8% )が 最 も 多 く 、
「 変 わ ら な い 」(37.0% )、
「 減 っ た 」(21.8% )
となっている。
図 表 2 .3 3
(%)
0
図 表 2 .3 4
商店街の空き店舗率の推移
5
10
15
20
空き店舗率(地域別)
(%)
23.5
25
平成18年度
9.0
15
平成21年度
19.1
20
16.9
17.0
16.9
14.6
16.9
16.1
11.6
10.8
10
平成24年度
14.6
5
0
全国
北海道
東北
関東
中部
近畿
中国
四国
九州・沖縄
n=2,606 (無回答を除く)
( 資 料 ) 中 小 企 業 庁 「 商 店 街 実 態 調 査 報 告 書 」 平 成 25 年 3 月
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図 表 2 .3 5
空き店舗の最近 3 年間での増減
(%)
0
20
40
60
80
100
増えた
全国
35.3
47.7
11.6
5.4
変わらない
減った
無回答
中国地域
37.8
37.0
21.8
3.4
( 資 料 ) 中 小 企 業 庁 「 商 店 街 実 態 調 査 報 告 書 」 平 成 25 年 3 月
2.2.2.政策的な対応
経 済 産 業 省 は 中 心 市 街 地 の 活 性 化 に 関 す る 法 律( 通 称 、中 心 市 街 地 活 性 化 法 )に
基 づ き 、地 域 の 資 源 や 知 恵 を 活 用 し 、中 心 市 街 地 に お け る 都 市 機 能 や 経 済 活 力 を い
っそう向上させる取組を支援している。
同 法 で は 、中 心 市 街 地 活 性 化 協 議 会 の 提 案・意 見 等 を 踏 ま え た 中 心 市 街 地 活 性 化
基本計画を国が認定し、認定された基本計画への重点的な支援が行われている。
図 表 2- 36
事業名
市街地の整備改善
都市福利施設の整備
まちなか居住の推進
経済活力の向上
認定された中心市街地活性化基本計画への支援対象事例
事業例
・商業、業務、居住等の都市機能の集積
・土地区画整理事業、市街地再開発事業
・道路、公園、駐車場等の公共の用に供する施設の整備
・教育文化施設(学校、図書館等)、医療施設、社会福祉施設(高齢
者介護施設、保育施設)等の整備
・公的賃貸住宅等の整備を行う事業
・民間の優良な住宅整備を行う事業
・上記と一体で行う居住環境の向上のための事業
・「特 定 民間 中 心市 街 地 経済 活 力 向上 事 業」のよ うな 中 核 的な 商 業施
設等の整備
・空き店舗の活用、既存店舗・商店街のリニューアル
・テナントミックス事業
・中心市街地のにぎわい創出に寄与するイベント
(資料)経済産業省「中心市街地活性化基本計画の認定スキーム」より作成
平 成 27年 6月 末 現 在 、全 国 で 180件 の 中 心 市 街 地 活 性 化 基 本 計 画 が 認 定 さ れ 、中 国
地 域 で は 以 下 の 13市 が 認 定 さ れ 、中 心 市 街 地 活 性 化 に 向 け て 空 き 店 舗 の 活 用 等 に 取
り組んでいる。
平 成 26~ 27年 度 に お い て は 、市 町 村 が 策 定 し た 中 心 市 街 地 活 性 化 基 本 計 画 に 基 づ
き 、中 心 市 街 地 再 生 事 業 費 補 助 金( 商 業 施 設 改 修 等 事 業 )で 、民 間 事 業 者 が 実 施 す
る 地 域 の 中 心 市 街 地 活 性 化 に 必 要 な 改 修・リ ノ ベ ー シ ョ ン 等 、雇 用 や 地 域 の 消 費 活
性化に対して即効性が期待できる事業の支援が行われている。
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図 表 2. 37
対象
認定
鳥 取 市 中 心 市 平 成 19年
街 地 (鳥 取 県 ) 11月 30日
(1 期 )
(2 期 )
平 成 25年
3月 29日
倉 吉 市 中 心 市 平 成 27年
街 地 (鳥 取 県 ) 6月 30日
松 江 市 中 心 市 平 成 20年
街 地 (島 根 県 ) 7月 9日
(1 期 )
(2 期 )
平 成 25年
3月 29日
江 津 市 中 心 市 平 成 27年
街 地 (島 根 県 ) 3月 27日
倉 敷 市 中 心 市 平 成 22年
街 地 (岡 山 県 ) 3月 23日
(1 期 )
(2 期 )
中心市街地活計化基本計画認定事例(中国地域)
取組期間
平 成 19年 11月
~2 5 年 3 月
平 成 25年 4月
~3 0 年 3 月
平 成 27年 7月
~3 2 年 3 月
平 成 20年 7月
~2 5 年 3 月
平 成 25年 4月
~3 0 年 3 月
平 成 27年 4月
~3 2 年 3 月
平 成 22年 3月
~2 7 年 3 月
平 成 27年
3月 27日
玉 野 市 中 心 市 平 成 24年
街 地 (岡 山 県 ) 3月 29日
平 成 27年 4月
~3 2 年 3 月
平 成 24年 4月
~2 9 年 3 月
津山市中心市
街 地 (岡 山 県 )
府中市中心市
街 地 (広 島 県 )
(1 期 )
(2 期 )
平 成 25年 4月
~3 0 年 3 月
平 成 19年 5月
~2 5 年 3 月
平 成 25年
3月 29日
平 成 19年
5月 28日
平 成 25年
3月 29日
三 原 市 中 心 市 平 成 27年
街 地 ( 広 島 県 ) 1 1 月 27 日
平 成 25年 4月
~3 0 年 3 月
平 成 27年 12月
~3 3 年 3 月
山 口 市 中 心 市 平 成 19年
街 地 (山 口 県 ) 5月 28日
(1 期 )
(2 期 )
平 成 26年
3月 28日
下 関 市 中 心 市 平 成 21年
街 地 (山 口 県 ) 12月 7日
平 成 19年 5月
~2 5 年 3 月
周南市中心市
街 地 (山 口 県 )
岩国市中心市
街 地 (山 口 県 )
平 成 25年 4月
~3 0 年 3 月
平 成 26年 11月
~3 2 年 3 月
平 成 25年
3月 29日
平 成 26年
10月 17日
平 成 26年 4月
~3 1 年 3 月
平 成 21年 12月
~2 7 年 3 月
目 指 す中 心 市 街 地 像
・ 唱 歌 「 ふ るさと 」 発 祥 の ま ち と して 、 まち の 良 さ を 大 事 に 思 う 意 識
を も っ た 大 学 生 等 の 若 者 が 中 心 と な っ て 一 体 感 を 持 っ たま ち づ
く り を 進 めるこ と に よ り 、 地 域 コミ ュニ テ ィ の 再 生 を 目 指 し 、ま ち の
魅 力 を 高 め る。
・ 「 住 み た い 行 きた い ふ る さと 鳥 取 因 幡 国 の 都 市 核 づ く り」
・ み んな で つ く る活 気 と に ぎ わいの 場 、 暮 らし よ い 元 気 な 中 心 市 街
地
・ 小 泉 八 雲 が 住 み 戦 後 国 際 文 化 観 光 都 市 と し て 認 定 され 賑 わ
っ た 松 江 城 下 の 街 並 み や 宍 道 湖 畔 の 景 観 を 活 か し つ つ 、ま ち
なか 居 住 の 促 進 や 近 隣 か ら の 集 客 を 図 ること に よ り 、 か つて の
賑 わいを 取 り 戻 す 。
・ま ちな か に 集 ま り 始 めた 観 光 客 や 来 街 者 、 市 民 等 に よ る活 発 な
交 流 や 経 済 活 動 が 繰 り 広 げ られ るま ち
・ 人 が つな が る、 ま ち が つな が る、さ ん か く タ ウン
・ 倉 敷 美 観 地 区 の 再 生 整 備 、 活 用 に よ り 倉 敷 が ま も り 育 て て きた
伝 統 文 化 を 活 か し 、 まち の 魅 力 を 向 上 さ せ る。
・ チ ボリ 公 園 跡 地 の 再 生 や 駅 周 辺 の 居 住 環 境 の 整 備 に よ り、 ま ち
なか に 人 を 誘 導 し 、 交 流 を 促 進 す ると 共 に 歩 いて 楽 し い、 暮 らし
や す いまち を 形 成 す る。
・ 世 界 に 誇 る 伝 統 文 化 居 心 地 の よ いま ち く らし き
・中 心 市 街 地 の回 遊 性 の向 上 ~まちの魅 力 が連 携 し、人 が集 い
行 き交 うまちづくり~
・ 街 なか 居 住 の 推 進 ~ 生 活 と 福 祉 が 充 実 し 、 ふ れ あ いが あ る住 み
よ いまち づ く り ~
・ 歴 史 ・ 文 化 を 感 じ る魅 力 あ ふ れ る街 並 み を 形 成 し 、 高 齢 者 に 優
し い、 住 み つ づ け た い「 ま ち」 を 創 る。
・先 駆 的 な取 組 である小 中 一 貫 教 育 校 の整 備 、府 中 家 具 に代
表 さ れ るも の づ く り 産 業 の 集 積 や 歴 史 的 な 建 築 物 の 再 生 等 の
地 域 資 源 の 活 用 に よ り 、 働 き手 に と っ て 住 み た く な るま ちづ く り
を 推 進 す る。
・ 生 活 支 援 機 能 が 集 約 的 に 立 地 し 、 に ぎ わいと 回 遊 性 を 兼 ね 備
え た 都 市 全 体 の 生 活 拠 点 と な るまち( 生 活 中 心 街 ) 。
・ 平 成 29 年 の 三 原 城 築 城 4 50 年 を 一 つ の 節 目 と し て 、 安 定 的 で
継 続 し た 、 新 し い 三 原 市 の 「 街 の 顔 」 と な る中 心 市 街 地 を 創 造
す る。 城 下 町 の 歴 史 ・ 文 化 と 調 和 し 、 集 客 ・ 賑 わい・ 交 流 な ど を
創 出 し 、 集 客 力 向 上 を 図 る とと も に 、 人 の 回 遊 性 向 上 を 目 指 す 。
・歴 史 文 化 、芸 術 文 化 、自 然 、都 市 景 観 などの豊 富 な地 域 資 源
を 活 か し な が ら、 中 心 部 に お いて 商 業 ・ サー ビ ス 機 能 の 拡 充 を 図
り 、 親 し み の あ る暮 らし や す いま ちづ く り に 取 り 組 む 。
・ 都 市 機 能 の 集 積 を 促 進 し つ つ、 既 成 市 街 地 の 再 編 ・ 再 生 を
図 る。
・ 駅 前 の 交 通 結 節 機 能 の 改 善 や 商 店 街 の 魅 力 ア ッ プ 等 に よ り、
歩 きた く な る、 回 遊 し た く な る 街 を 実 現 す る。
・ 臨 海 部 の に ぎ わい・ 交 流 拠 点 を 創 出 し 、 多 彩 な 魅 力 が 備 わり 、
ゆ っ く り 訪 れ た い街 を 実 現 す る。
・ 市 民 の いき が いや 誇 り を 育 む 施 設 の 整 備 運 営 等 に よ り 、 愛 着 を
も って いきい きと 暮 らせ る 街 を 実 現 す る。
・ま ち のス ト ッ ク を 活 か し た 、 豊 か な 心 を 育 む 公 園 都 市 ( パ ー ク タウ
ン) 周 南 。
・ 県 東 部 の 中 核 都 市 に ふ さ わし い『 多 く の 人 が 集 ま り 、 楽 し く 暮 ら
せ る に ぎ わいの あ るま ち づ く り 』
(資料)内閣府地方創生室「認定された中心市街地活性化基本計画」より作成
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図 表 2 .3 8
団体名
鳥取県
鳥取市
島根県
松江市
島根県
津和野町
岡山県
倉敷市
岡山県
津山市
岡山県
笠岡市
広島県呉市
広島県
三原市
広島県
庄原市
広島県
竹原市
広島県
東広島市
山口県
下関市
市街地活性化等に向けた自治体等の取組事例(中国地域)
概 要
中心市街地の市場に出ていない空き物件について、所有者と市と専門家等で有効
な活用を検討し、既存住宅等を有効に活用することで、中心市街地の人口増加や
にぎわいの創出につなげる。
未利用不動産を魅力的に改造するリノベーションの手法を取り入れた空き店舗対
策を推進。所有者と利用したい事業者とのネットワークや人材づくりを推進。
空き家に対する勧告、命令、代執行の規定のほか、まちなか居住促進を目的とし
て空き家を有効活用する取り組みに対し支援できることを規定。
 具 体 的 に は 、 若 年 者 ( 新 婚 世 帯 、 UI タ ー ン 者 ) が ま ち な か 住 宅 に 住 む 場 合 の 家 賃
補助(上限 1 万円、3 年以内)や、住宅を取得する場合の改修費等の補助(改修
費 最 大 40 万 円 、 固 定 資 産 相 当 額 最 大 5 万 円 ×5 年 間 、 ま ち な か 住 宅 の 場 合 は 補 助
率 上 乗 せ )、一 戸 建 て の 空 き 家 を 賃 貸 住 宅 と し て 貸 し 出 す た め に 行 っ た 改 修 費 等 の
補 助 ( 改 修 費 最 大 40 万 円 、 ま ち な か 住 宅 の 場 合 補 助 率 上 乗 せ ) 等 の 支 援 。
 町 の 景 観 を 構 成 す る 建 物 を 空 き 家 の ま ま に せ ず 、町 の 活 性 化 の た め に 有 効 活 用 し 、
町の魅力アップ・産業の活性化・新たな雇用の創出を図る取組。
暮らし・にぎわい再生事業、空きビル再生支援。
 中 心 市 街 地 の 空 き 店 舗 へ の 出 店 者 支 援 補 助 金 制 度 で 、 100 万 円 を 上 限 に 補 助 。
 笠 岡 諸 島 の 7 島 全 体 を 一 つ の 会 社 組 織 の よ う に 捉 え 、 島 民 全 体 で 助 け 合 う 「 NPO
法人かさおか島づくり海社」が笠岡市、住民と協働し、空き家を移住定住促進の
ため活用。
 空 き 店 舗 へ の 新 規 出 店 者 へ の 奨 励 金 を 2 店 舗 に 交 付 。 1 店 舗 あ た り 100 万 円 。
 2010 年 度 か ら 中 心 市 街 地 の 空 き 店 舗 へ の 出 店 に 改 装 費 ・ 賃 借 料 の 半 分 を 助 成 。こ
れ ま で に 34 件 が 活 用 。
中心市街地の住環境の改善及びまちなかの賑わい創出を目指して、老朽化して空
き家となっていた長屋住宅を改修し、コミュニティレストランや特産物販売を行
う店舗や展示・交流のスペース(貸し会場)として活用。
長屋住宅を交流・展示施設として活用。
 2 0 0 3 年 に 地 域 活 性 化 を 目 的 と し て 「 NPO 法 人 ネ ッ ト ワ ー ク 竹 原 」 を 設 立 。 当 時 、
重要伝統的建造物群保存地区において空き家が発生していたことを契機に国や自
治体、地域住民等の協力により空き家を活用したイベントを開催した結果、観光
地としての知名度が向上し、移住希望者や地区内での新規出店希望者の増加に繋
がった。
中心市街地の酒蔵通り周辺における空き店舗の解消を図り、まちの魅力及びにぎ
わいを創出するため、空き店舗等を酒蔵通り周辺の景観に配慮した外観に改装し
て新規出店する事業者に対して一部補助を行う。
 15 年 度 、 JR 西 条 駅 南 東 地 区 で 空 き 店 舗 を 活 用 し て 、 ア ン テ ナ シ ョ ッ プ を 運 営 。
下関駅にぎわいプロジェクトで、シネマコンプレックス、立体駐車場、小規模場
外舟券発売所を設置。近隣の空き店舗に岡山市の大型ペット店が出店。
(資料)各自治体のホームページ、新聞記事等より作成
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ま た 、 中 心 市 街 地 再 興 戦 略 事 業 ( 平 成 26~ 30年 度 ま で の 5年 間 の 事 業 ) で は 、 地
元 住 民 や 自 治 体 等 に よ る 強 い 要 請 に 基 づ き 、当 該 中 心 市 街 地 だ け で は な く 、周 辺 地
域の経済活力を向上させる波及効果の高い民間プロジェクト(商業施設等の整備)
を支援している。
さ ら に 、地 域 商 業 自 立 促 進 事 業 で は 、商 店 街 等 を 基 盤 と し て 、地 域 経 済 の 持 続 的
発展を図るため、地方公共団体と密接な連携を図り、地域資源活用、外国人対応、
少 子 ・ 高 齢 化 対 応 、 創 業 支 援 、 地 域 交 流 の 5つ の 分 野 に 係 る 公 共 性 の 高 い 商 店 街 の
取組を支援している。
2.2.3.中心市街地の空き店舗の活用
全国的に、中心市街地の空き店舗が増加傾向にある中で、国や地方自治体の補
助金等を活用して商店街やNPO法人等が、空き店舗を、物販施設・料飲店・イ
ンキュベーション施設・交流施設・イベント開催場所等として利用している事例
が多いものの、多くの場合、一過性の事業となり、持続的な事業となっている事
例は少ない。
こ う し た な か で 、 中 国 地 域 で は 、 N P O 法 人 て ご ね っ と 石 見 ( 島 根 県 江 津 市 )、
児島ジーンズストリート協同組合(岡山県倉敷市)等、行政機関や商工会議所等
の密接な連携の下で、リスク分担をしながら取り組まれている事例では、空き店
舗を利用した出店店舗数が増加する等の成果があがっている。
また、大学による空き店舗等の地域課題の解決を目的とした取組の一環として、
大 学 が 商 店 街 と 連 携 し て 、空 き 店 舗 で 様 々 な イ ベ ン ト を 開 催 し た り 、空 き 店 舗 を サ
テ ラ イ ト キ ャ ン パ ス と し て 利 用 し た り 、学 生 が 空 き 店 舗 を 交 流 拠 点 に す る 等 が 行 わ
れている。
例 え ば 、大 東 文 化 大 学 で は 、東 京 都 板 橋 区 と「 板 橋 区 に 賑 わ い の あ る ま ち づ く り
事 業 」を 提 唱 し 、そ の 一 環 と し て 、中 板 橋 商 店 街 と 協 力 し 、中 板 橋 商 店 街 の 活 性 化
を 行 う プ ロ ジ ェ ク ト を 平 成 17 年 か ら 推 進 し 、 空 き 店 舗 を 活 用 し て 設 置 し た 「 な か
い た 環 創 堂 」を 拠 点 と し て 、環 境 創 造 学 部 の 学 生 ボ ラ ン テ ィ ア が 様 々 な イ ベ ン ト を
開催している。
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図 表 2 .3 9
実施主体
鳥取家守舎★
最近の空き店舗・空きビル等の活用事例(中国地域)
所在地
取組概要
鳥取県
若 手 の 内 装 業 者 や 設 計 士 が 、空 き 店 舗 や 空 き ビ ル 等 を 改 修 し て 機 能 ・
鳥取市
用途を変更するリノベーション手法を駆使し、にぎわい創出を目指
す取組を開始。
スカイ
鳥取県
空きビルを地元の経営者達が事業会社を設立して買い取り、複合
米子市
商 業 ビ ル 「 四 日 市 町 S KY ビ ル 」 と し て 再 生 。
鳥取県
JR 松 崎 駅 近 く の ス ー パ ー 閉 店 を 機 に 、 地 元 の 商 店 主 等 が 中 心 と な
湯梨浜町
って、空き店舗を活用した直売施設・住民くつろぎの場を設置。
倉吉まちづくりネ
鳥取県
1 4 年 、貸 店 舗 と 地 域 ス ペ ー ス 機 能 を 併 せ 持 っ た テ ラ ハ ウ ス ( 2 階 建 )
ットワーク
倉吉市
を 開 設 。2 階 は 地 域 の 人 た ち が 介 護 セ ミ ナ ー 等 の 学 習 会 、子 供 会 等
よどや
に使用できる。
新大橋商店街
島根県
飲食店有志が、国や県の事業で、空き店舗を改修し、いせみや・
松江市
ま ち や 再 生 事 業 ( 店 舗 開 業 促 進 ) に 取 り 組 み 、 13 年 に 新 し く 4 店
舗が出店。
NPO 法 人 て ご ね っ と
島根県
空 き 店 舗 を 活 用 し て 、手 つ な ぎ 市 を 年 2 回 開 催 。 地 域 住 民 と 市 外 客
石見★
江津市
との交流を促進。市のビジネスプランコンテスト等を通じて 4 年
で 21 事 業 者 が 入 居 。
バルトソフトウェ
島根県
大阪市のソフトウェア開発会社が、空き店舗を活用して、開発拠
ア
津和野町
点を開設。
児島ジーンズスト
岡山県
味野商店街で、空き店舗の所有者と出店希望者とのマッチング等
リート協同組合
倉敷市
に よ り 、当 初 、出 店 店 舗 が 3 店 舗 で あ っ た も の が 29 店 舗 に 増 加 、案
内施設もオープン。
通町 1 丁目商店街
中之町商店街
岡山県
空き店舗に昭和の面影を活かした展示館を開設。近隣の商店も参
倉敷市
加。
岡山県
街づくり会社が中心になってリノベーションによる店舗再生と空
岡山市
き店舗への出店希望者に対する体験的な販売機会の提供を実施。
NPO 法 人 プ ラ チ ナ 創 広 島 県
空 き 店 舗( 3 階 建 て の 家 具 店 )を 利 用 し て 、交 流 拠 点「 プ ラ チ ナ サ
業塾
ロン」を開設し、地域の課題解決につながる活動を展開。
府中市
NPO 法 人 ア ル バ ト ロ 広 島 県
古 い 空 き 店 舗 を 改 修 。店 舗 の 通 り に 面 し た 外 観 を 白 壁 に 改 装 し 、 格
ス
府中市
子窓をつけてイベントスペースや貸し出し用の区画として整備。
広島県社会福祉協
広島県
広島県社会福祉協議会が空き家や空き店舗を利用して、交流スペ
議会
ー ス 「 お 茶 の 間 サ ロ ン 」 を 提 供 。 15 年 4 月 現 在 、 14 市 町 40 ヵ 所 。
(協 )庄 原 シ ョ ッ ピ
広島県
国の地域商業自立促進事業費補助金を活用して、医療法人と連携
ングセンター
庄原市
して商業施設ジョイフルの空き店舗に通所介護施設を設置。
三原駅前商店街振
広島県
全国商店街振興組合連合会の助成金を活用して、空きビルをリス
興組合
三原市
トアップし、2 ビルを活用してチャレンジショップを展開。
帝人通商店街
広島県
全国商店街振興組合連合会の助成金を活用して、空き店舗をスイ
三原市
ーツカフェとして運営。
NPO タ ウ ン マ ネ ジ メ
広島県
呉 中 通 商 店 街 の「 く れ 丸 ご と 物 産 館 」を 13 年 6 月 ~ 15 年 2 月 ま で 、
ントくれ
呉市
補助金等を活用して運営。
広島修道大学
広島県
北 広 島 町 で NPO 法 人 I NE OASA と 連 携 し て 、 空 き 家 再 生 プ ロ ジ ェ ク
広島市
ト(わさまち通り商店街の寿司光リノベプロジェクト)を実施。
山口県
11 年 度 か ら 、 ま ち づ く り 会 社 と し て 空 き 店 舗 へ の 出 店 サ ポ ー ト 事
周南市
業 を 展 開 。 市 の 補 助 事 業 で 、 飲 食 や 洋 服 等 の 25 店 が 開 店 。
まちあい徳山★
(注 )★ は 訪 問 済 み ( 事 例 集 に 記 載 )
(資料)各実施主体のホームページ、新聞記事等より作成
- 34 -
2.2.4.大型空き店舗の活用の課題と対応
経済産業省の「中心市街地における大型空き店舗等未利用不動産の活用に係る
調 査・研 究 事 業 」(平 成 24 年 3 月 )に よ れ ば 、大 型 空 き 店 舗 が 活 用 さ れ な い 理 由 は 、
「 民 間 の 開 発 ニ ー ズ が な い 」 、「 中 心 市 街 地 の 地 盤 沈 下 」 、「 建 物 が 古 く 、リ ニ ュ ー
ア ル に 多 く の 資 金 が か か る 」 、「 再 生 や 活 用 を 進 め る ノ ウ ハ ウ や ス キ ル が 乏 し い 」
等が多い。
ま た 、大 型 空 き 店 舗 の 活 用 方 法 と し て は 、「 商 業 施 設 」が 6割 弱 を 占 め 、次 い で 、
「 住 宅 」 、「 駐 車 場 」 等 が 多 い 。
図 表 2.40
大型空き店舗が利用されない理由
(%)
0
5
10
15
民間の開発ニーズがない
20
25
30
17.1
中心市街地全体の地盤沈下
12.0
建物が古く、リニューアルに多くの資金がかかる
11.4
再生や活用を進めるノウハウやスキルが乏しい
9.5
市町村の財政難
8.9
土地の権利関係が複雑
8.2
再生や活用の内容が決まらない
7.0
地域の魅力の低下
6.3
建物の権利関係が複雑
3.2
倒産後の処理が進まない
1.9
駐車場の台数不足
1.9
n=158
複数回答
その他
23.6
(資 料 )経 済 産 業 省 「「中 心 市 街 地 における大 型 空 き店 舗 等 未 利 用 不 動 産 の活 用 に
係 る 調 査 ・ 研 究 事 業 」 ( 平 成 2 4 年 3 月 )よ り 作 成
図 表 2.41
大型空き店舗の利用目的
(%)
0
20
40
60
商業施設
住宅
22.6
駐車場
22.6
ホール
12.9
オフィス等の業務施設
12.9
子育て支援施設
12.9
図書館
9.7
医療福祉施設
n=31
複数回答
6.5
市役所機能
健康施設
58.1
6.5
3.2
その他
25.8
(資 料 )経 済 産 業 省 「「中 心 市 街 地 における大 型 空 き店 舗 等 未 利 用 不 動 産 の活 用 に
係 る 調 査 ・ 研 究 事 業 」 ( 平 成 2 4 年 3 月 )よ り 作 成
- 35 -
2.2.5.リノベーションの取組
a.リノベーションによるまちづくり
リ ノ ベ ー シ ョ ン に よ る ま ち づ く り と は 、地 域 の 潜 在 資 源 を フ ル に 活 用 し て 、複 合
的 に 都 市 や 地 域 の 課 題 を 解 決 す る こ と を 目 指 す も の で 、清 水 義 次 氏( ㈱ ア フ タ ヌ ー
ン ソ サ エ テ ィ 代 表 取 締 役 )等 に よ り 、全 国 各 地 で 、リ ノ ベ ー シ ョ ン プ ロ ジ ェ ク ト( 現
代 版 家 守 )( 注 ) が 推 進 さ れ 、人 材 育 成 を 目 的 と す る リ ノ ベ ー シ ョ ン ス ク ー ル も 展 開
されている。
( 注 )家 守 … 江 戸 時 代 の 長 屋 の 大 家 の 呼 称 で 、家 守 は 長 屋 の 面 倒 事 の 相 談 役 で あ っ た 。
現代 版 家 守は 、地域 の 課 題と な っ てい る 都市 再 生・未 利 用不 動 産 活用 の
推進役として定義づけられている。
図 表 2 .4 2
リノベーションプロジェクトの実行プロセスと具体的事例
民 間 主 導 型 (小 さ な リ ノ ベ ー シ ョ ン )
<実行プロセス>
①志のある不動産オーナーを見つける
②家守チームをつくる
③リノベーション事業プランをつくる
④事業オーナー(テナント)を見つける
⑤リノベーション工事に着手する
⑥運営管理を継続する
<事例>
・北九州小倉家守プロジェクト
都市政策にリノベーションが導入さ
れ 、家 守 塾 か ら リ ノ ベ ー シ ョ ン ス ク ー
ルが創設
・ 千 代 田 SO HO ま ち づ く り
未 利 用 不 動 産 活 用 と SOHO 事 業 者 集 積
を同時に実現
・ 神 田 RE N プ ロ ジ ェ ク ト と Cen tra l Eas t
Tok yo
都市を再生する起業家精神を持つ人
た ち の ネ ッ ト ワ ー ク 形 成 に よ り 、民 間
主導での小さなリノベーションが集
積
・家守塾
民間主導型のまちづくりを学ぶワー
クショップでの家守を養成
公 民 連 携 型 (大 規 模 な リ ノ ベ ー シ ョ ン )
<実行プロセス>
①都市政策を検討し策定する(行政)
② 民 間 主 導 の 小 さ な リノベーションプロジェクトを 起 こ す
(民間)
③ ス ペ ー ス の 運 営 管 理 を 開 始 す る( 家 守 チ ー ム )
④ リノ ベー ショ ンスク ール を 立 ち 上 げ る ( 行 政 )
⑤家守会社を複数立ち上げる(民間)
⑥ リノベーションま ち づ く り 推 進 協 議 会 を 組 織 す る
(半官半民)
<事例>
・歌 舞 伎 町 喜 兵 衛 プ ロジ ェク トと 吉 本 興 業 東 京 本 部 に
よる廃校活用
新宿区歌舞伎町の空き店舗、空きビルを活
用 す る 取 組 の 中 で 、 10 年 間 の 定 期 借 地 ・ 定
期 借 家 に よ り 廃 校 (小 学 校 )を リ ノ ベ ー シ ョ
ンして吉本興業を誘致
・ 33 31 ア ー ツ 千 代 田
千 代 田 区 の 廃 校 (中 学 校 )を 活 用 し て 、 民 間
自立型のアートセンターを運営
食堂をメインギャラリーにして、芸術・文
化・デザインに関連する団体がテナントと
して入居
・岩手県紫波町オガールプロジェクト
行政が所有する未利用不動産を活用して、
岩手県フットボールセンターや農業を支援
す る 図 書 館( 農 産 物 加 工 販 売 施 設 )、お し ゃ
れなカフェ、大型産直施設、地産地消居酒
屋等を設置
(資料)清水義次「リノベーションまちづくり」より作成
- 36 -
図 表 2 .4 3
継続的収益力
リノベーションプロジェクトの事例
雇用創出力
周辺波及力
にぎ わ い 型
イン キ ュ ベ ー シ ョ ン 型
居住型
屋 台 村 ・ファッション屋 台
S O HO オ フ ィ ス
シ ェ ア ハウ ス
産 直 市 場 、道 の駅
ク リ エ イ ター 事 務 所
ク リ エ イ ター 居 住
製 造 販 売 型 の店 、名 物
サ ーヒ ゙ス 業 イン キ ュ ヘ ゙ ー シ ョ ン
ホ ステ ル
エ リ ア FM 型
機能誘致型
サ ポー ト 型
エ リ ア FM 事 業
本 社 オフィス
ママ カ フェ
駐 車 場 管 理 事 業 (大 規 模 )
大 学 ・カレッジ
託児所
駐車場活用事業
病院
託老所
(資料)清水義次「リノベーションまちづくり」より作成
b.リノベーションスクール
リ ノ ベ ー シ ョ ン ス ク ー ル は 、特 定 の 地 域 の 未 利 用 不 動 産 を 対 象 に 、全 国 か ら 集 ま
っ た 受 講 生 が チ ー ム を 組 ん で 数 日 間 に わ た る レ ク チ ャ ー と ワ ー ク を 行 い 、そ の 事 業
化 プ ラ ン を 練 っ て 不 動 産 オ ー ナ ー へ 提 案 を 行 う も の で 、北 九 州 小 倉 家 守 プ ロ ジ ェ ク
トで生み出され、全国に広がっている。
具体的には、計画対象となる物件を募集し、所有者から提供された実際の空き
物 件 を 対 象 に 、国 内 の 先 駆 的 な リ ノ ベ ー シ ョ ン 事 業 者 で あ る ユ ニ ッ ト マ ス タ ー( 講
師 )と 、全 国 か ら 集 ま る 受 講 生 が 一 丸 と な っ て 、リ ノ ベ ー シ ョ ン の 事 業 プ ラ ン を 3
日間程度かけて作成する。
ス ク ー ル 開 催 期 間 中 、パ フ ォ ー マ ン ス 溢 れ る リ ノ ベ ー シ ョ ン ま ち づ く り 関 連 の レ
ク チ ャ ー 、エ リ ア 内 の 複 数 の 会 場 で 開 催 さ れ る ト ー ク ラ イ ブ イ ベ ン ト 等 が 同 時 開 催
さ れ 、最 終 日 に 未 利 用 不 動 産 の オ ー ナ ー 等 に 事 業 プ ラ ン を 提 案( 公 開 プ レ ゼ ン テ ー
ション)する。
- 37 -
図 表 2 .4 4
主催地
北 九 州 福岡県
市
リノベーションスクールの開催状況
開催日
1 回 (平 成 23 年 8 月 )、2 回 (平 成 24 年 2
月 ) 、 3 回 ( 平 成 2 4 年 8 月 )、4 回 ( 平 成 2 5
年 3 月 )、5 回 (平 成 25 年 8 月 )、6 回 (平 成
2 6 年 3 月 )、 7 回 ( 平 成 2 6 年 8 月 ) 、8 回 ( 平
成 2 7 年 2 月 ) 、9 回 ( 平 成 27 年 8 月 20 日
~8 月 2 3 日 )
1 回 (平 成 25 年 11 月 27 日 ~11 月 29 日 )
2 回 ( 平 成 2 6 年 6 月 20 日 ~6 月 22 日 )
熱海市
静岡県
鳥取市
鳥取県
田辺市
和 歌 山
市
和 歌 山
県
和 歌 山
県
札幌市
山形市
北海道
山形県
1 回 ( 平 成 2 6 年 4 月 29 日 )
1 回 ( 平 成 2 6 年 9 月 26 日 ~9 月 28 日 )
浜松市
静岡県
1 回 ( 平 成 2 7 年 1 月 9 日 ~1 月 11 日 )
鹿屋市
豊島区
鹿 児 島
県
東京都
福井市
鶴岡市
福井県
山形県
3 回 (平 成 26 年 11 月 28 日 ~11 月 30 日 )
1 回 ( 平 成 2 6 年 1 月 30 日 ~2 月 1 日 )
2 回 ( 平 成 2 7 年 7 月 24 日 ~7 月 26 日 )
1 回 ( 平 成 2 6 年 1 月 30 日 ~2 月 1 日 )
1 回 ( 平 成 2 6 年 2 月 20 日 ~2 月 23 日 )
2 回 ( 平 成 2 6 年 1 0 月 31 日 ~ 11 月 2 日 )
2 回 ( 平 成 2 7 年 7 月 3 日 ~7 月 5 日 )
1 回 ( 平 成 2 7 年 1 月 30 日 ~2 月 1 日 )
1 回 ( 平 成 2 7 年 3 月 6 日 ~3 月 8 日 )
2 回 ( 平 成 2 7 年 9 月 4 日 ~9 月 6 日 )
1 回 ( 平 成 2 7 年 6 月 19 日 ~6 月 21 日 )
トー ク カ フ ェ ( 平 成 2 7 年 7 月 3 日 )
( 資 料 ) 各 地 域 の リ ノ ベ ー シ ョ ン ス ク ー ル HP よ り 作 成
図 表 2 .4 5
開催状況等
北 九 州 市 の企 画 で開 始
北 九 州 家 守 舎 が平 成 24 年 に発 足
セルフリノベーションコース、公 共 空 間 活 用 コース事
業 計 画 コー ス 等 を 開 催
N P O 法 人 a ta m i s ta が 企 画 ・ 主 催
対 象 物 件 は佐 藤 油 店 、吉 野 屋 商 会 渚 町
事 務 所 、県 営 教 職 員 住 宅
セル フ リ ノヘ ゙ ー ショ ン ス クー ル を 開 催
鳥 取 市 等 が 主 催 、 受 講 者 30 名 、 事 前 に リ
ノ ヘ ゙ ー シ ョ ン シ ン ホ ゚ ジ ウ ム を 開 催 、 鳥 取 家 守 舎 が
平 成 27 年 に 発 足
受 講 者 24 名
南 紀 み らい㈱ が 主 催 、 受 講 者 16 名
リ ノ ベ ー ショ ン わか や ま が 主 催 、 受 講 生 30 名
受 講 者 35 名 、 ㈱ 紀 州 ま ち づ く り 舎 が 平 成
26 年 に 発 足
リ ノ ベ ー ショ ン ス クー ル 札 幌 実 行 委 員 会 が 主 催
山 形 市 主 催 、受 講 者 33 名 、人 材 育 成 プロ
グラムも含 む、事 前 にトークカフェ、ワークショップを
開催
浜 松 まちなかマネジメント㈱主 催 、事 前 にリノ
ベ ー ショ ン シ ン ホ ゚シ ゙ ウ ム を 2 回 開 催
受 講 生 24 名
鹿 屋 市 等 が主 催 、受 講 者 27 名
豊 島 区 役 所 が 主 催 、 受 講 者 36 名 、 事 業
計 画 コー ス、 セ ルフ リ ノ ヘ ゙ー シ ョ ン コース を 開 催
25 名 程 度 を 募 集
第 三 セクターまちづくり福 井 ㈱が主 導
鶴 岡 市 役 所 が企 画
( 平 成 27 年 8 月 現 在 、 予 定 を 含 む )
北九州リノベーションスクールの参加人数(地域別)
160
148人 (48.1%)
140
120
92人(29.9%)
100
80
60
N=308
40
20
26人 (8.4%)
22人 (7.1%)
12人 (3.9%)
4人 (1.3%)
3人 (1.0%)
1人 (0.3%)
0
東北
関東
中部
近畿
中国
四国
九州・沖縄
( 注 ) 第 1~ 6 回 ま で の 受 講 者 数
( 資 料 ) 2013 年 度 リ ノ ベ ー シ ョ ン ス ク ー ル 年 次 報 告 書 よ り 作 成
- 38 -
不明
c.その他のリノベーションの取組
国 土 交 通 省 は 、 平 成 24 年 度 か ら 、 地 方 都 市 の 再 構 築 を 目 的 と す る 地 方 都 市 リ ノ
ベ ー シ ョ ン 事 業 (交 付 期 間 3~ 5 年 )を 実 施 し 、 地 方 都 市 リ ノ ベ ー シ ョ ン 推 進 施 設 の
整 備 事 業 を 推 進 し て い る 。 全 国 の 実 施 地 区 は 49 ヵ 所 で 、 う ち 中 国 地 域 で は 、 広 島
県府中市、山口県周南市が選定されている。
ま た 、「 リ ノ ベ ー シ ョ ン ・ エ リ ア マ ネ ジ メ ン ト 」 を 建 物 の 再 生 だ け で な く エ リ ア
の価値まで高める手法として位置付け、地方公共団体が地域のコンセプトを策定
した上で、民間が主体となって未利用不動産や公共施設のリノベーションや地域
の賑わいを創出する取組を行い、エリア全体の活性化を目指すことが重要だとし
ている。
( 注 ) リ ノ ベ ー シ ョ ン ・ エ リ ア マ ネ ジ メ ン ト と は 、 特 定 の エ リ ア に お いて 公 的 及 び 民 間 の 未 利 用 不 動 産
を再 生 することにより、エリアにおける良 好 な環 境 やエリアの価 値 を維 持 ・向 上 させる ことを目
的 と し て 、 住 民 ・ 事 業 者 ・ 地 権 者 等 が 主 体 的 に 取 り 組 む こと を いう 。
図 表 2 .4 6
小倉家守構想
(福岡県北九州市)
錦二丁目長者町地区
(愛知県名古屋市)
民
間
事
例
長浜町家再生バンク
(滋賀県長浜市)
おかげ横丁
(三重県伊勢市)
石見銀山地区
(島根県大田市)
善光寺地区
(長野県長野市)
ア ー ツ 千 代 田 3 331
(東京都千代田区)
公
共
事
例
ちよだプラットフ
ォームスクエア
(東京都千代田区)
(資料)国土交通省
リノベーション・エリアマネジメントの事例
概 要
 「 小 倉 家 守 構 想 」の 下 、地 価 が 大 き く 下 落 し て い た 地 区 で 、メ ル カ
ー ト 三 番 街 を 皮 切 り に リ ノ ベ ー シ ョ ン を 集 中 的 に 展 開 。リ ノ ベ ー シ
ョ ン 物 件 で の 新 規 雇 用 者 数 が 合 計 300 人 を 超 え る 等 、賑 わ い を 生 み
出すだけでなく、エリア内での雇用促進効果もみられる。
 空 き ビ ル を 所 有 者 に 交 渉 し て 1 棟 借 上 げ 、改 修 、テ ナ ン ト 集 め の 後 、
賃 貸 経 営 を 実 施 。そ の す べ て を ㈲ 長 者 町 街 づ く り カ ン パ ニ ー が 行 っ
て い る 。こ れ ま で に 、ゑ び す ビ ル Pa rt1 ~ 3 、Na go yaID Lab 1 ~ 3 等 の
未 利 用 不 動 産 を 再 生 し 、新 規 事 業 者 数 や エ リ ア 内 通 行 量 の 増 加 に 寄
与している。
 長 浜 ま ち づ く り ㈱ が 空 き 町 家 の 維 持 管 理 を す る「 風 通 し 」や 、空 き
町 家 を 借 り 上 げ た 上 で 、改 修 、居 住 者 誘 致 を 行 う 等 の「 橋 渡 し 」を
実施。まちなかの空き町家解消と居住人口の増加に寄与している。
㈱赤福がテナント構成等を考慮しながら集客施設の整備を面的に
展 開 。歴 史 的 な 外 観 に こ だ わ り 、市 が 景 観 規 制 を か け る こ と で 一 体
的な街並みを形成している。
 石 見 銀 山 地 区 に お い て 、廃 屋 と な っ た 数 多 く の 空 き 家 を 改 修 し 、住
宅 、物 販 店 、オ ペ ラ ハ ウ ス 、ゲ ス ト ハ ウ ス 等 に す る こ と で 若 者 の 定
住人口の増加に寄与し、街並みの保全を行っている。
 善 光 寺 地 区 に お い て 、門 前 町 の 古 い 街 並 み に 惹 か れ た 若 者 達 が 、門
前 町 の 空 き 家 、空 き 店 舗 等 を 改 修 し て 、住 宅 や オ フ ィ ス 、ゲ ス ト ハ
ウス等として活用する取組を進めている。
 「 ち よ だ ア ー ト ス ク エ ア 構 想 」の も と 、廃 校 と な っ た 旧 練 成 中 学 校
を ア ー ト セ ン タ ー と し て 運 営 す る 団 体 を 公 募 。選 定 さ れ た 合 同 会 社
コ マ ン ド A は 、区 と 定 期 借 家 契 約 を 結 び 、独 立 採 算 で 管 理 運 営 を 実
施 。常 時 イ ベ ン ト を 開 催 す る こ と で 地 域 に 人 を 呼 び 込 み 、周 囲 に は
ギャラリーや飲食店が出店している。
 「 S OHO ま ち づ く り 構 想 」 の も と 、 区 の 所 有 す る 建 物 を 再 生 す る た
め 事 業 者 を 公 募 。 選 定 さ れ た プ ラ ッ ト フ ォ ー ム サ ー ビ ス ㈱ は S OHO
オ フ ィ ス の 拠 点 と し て 同 施 設 を 利 活 用 し 、さ ら に サ テ ラ イ ト 施 設 を
周囲に展開している。
「 リ ノ ベ ー シ ョ ン ・ エ リ ア マ ネ ジ メ ン ト に よ る ま ち 育 て 」( 平 成 2 7 年 3 月 ) よ り 作 成
- 39 -
な お 、民 間 企 業 で は 、首 都 圏 を 中 心 と し た W e b サ イ ト 等 を 活 用 し た 未 利 用 不 動
産の活用に向けた様々な取組が行われ、その取組が地方にもひろがりつつある。
㈱スペースマーケット(東京都)では、シェアリングエコノミー(ゆるやかな
信頼をベースに、今余っているモノや人、リソースを今必要としている人に提供
す る 事 業 の 総 称 ) と い う 概 念 に 基 づ き 、 B to B で 、 こ れ ま で 普 通 に 借 り る こ と が
出来なかった全国のユニークスペース(明治座、飛行場の格納庫、増上寺等)や
大手企業が自分たちだけで利用していたスペースを他の人にも提供することがで
き る よ う に し て い る 。 (事 例 集 概 要 版 93 ページ、 詳 細 版 133 ページ参 照 )
ま た 、CITYLIGHTS( 東 京 都 )は 、不 動 産 事 業 者 と 連 携 し て 、D I Y の 物 件 を サ イ
ト に 掲 載 し て 、 マ ッ チ ン グ 事 業 を 行 っ て お り 、 平 成 28 年 2 月 現 在 、 583 件 を ネ ッ
ト 上 に 掲 載 し 、そ の 管 理 を 行 っ て い る 。こ れ ま で 流 通 し な か っ た 物 件 を 、ネ ッ ト を
使 っ て D I Y と い う 形 で 流 通 さ せ る 事 業 を 行 い 、今 後 の 事 業 展 開 が 期 待 さ れ る 。(事
例 集 概 要 版 94 ページ、 詳 細 版 135 ページ参 照 )
㈱ 紫 式 部( 東 京 都 )は 、空 き 家 や 空 き 店 舗 等 を 活 用 し た ブ ッ ク カ フ ェ の 開 業・ 経
営 支 援 を 行 い 、 そ の ネ ッ ト ワ ー ク 化 を 目 指 し て い る (事 例 集 概 要 版 100 ページ、 詳
細 版 152 ページ参 照 )
図 表 2 .4 7
Webサイト等を活用したリノベーションの取組
実施主体
東京 R 不動産
( ㈱ スピ ーク 東 京 都 渋 谷 区 )
スペースマーケット
( ㈱ ス ペ ース マー ケ ット 東 京 都 新
宿区)
DIYP
( C IT YLI GHT S
区)
東京都渋谷
㈱リノベリング
(東京都豊島区)
Airb nb( エ ア ー ビ ー ア ン ド
ビー)
( Ai rbn b Ja pan 東 京 都 品
川区)
㈱紫式部
(東京都文京区)
概 要
 リ ノ ベ ー シ ョ ン の 仕 様 や 物 件 の 紹 介 方 法 を 工 夫 し な が ら 、 Web サ
イ ト 上 で 中 古 物 件 を 仲 介 す る メ デ ィ ア で 、首 都 圏 や 地 方 中 枢 都
市 を 中 心 に 、家 族 形 態 や 生 活 ス タ イ ル に 合 わ せ た 物 件 の 使 い 方
の 提 案 を 通 し て 、タ ー ゲ ッ ト 層 に 確 実 に 情 報 発 信 を 行 っ て い る 。
 平 成 2 6 年 設 立 。企 業 や 個 人 の 持 つ 未 利 用 の ス ペ ー ス を 企 業 の オ
フ サ イ ト ミ ー テ ィ ン グ や 研 修 、イ ベ ン ト 等 の た め に 貸 し 出 す Web
上のプラットフォームを提供する。企業や自治体等が所有する
建 物 を 貸 出 し ス ペ ー ス と し て 提 供 し 、野 球 場 、映 画 館 、お 寺 等 、
その種類は多種多様である。
 平 成 2 3 年 か ら D I Y P( 改 装 可 能 な 賃 貸 物 件 だ け を 集 め た 不 動
産紹介サイト)を運営し、マンションの一室から、一軒家、建
物 一 棟 な ど の 企 画 、デ ザ イ ン 及 び 、施 工 の 手 配 を 実 施 し て い る 。
フルリノベーションの提案から、予算に応じて、簡易な工事の
提案まで、柔軟に対応している。
 リノベーションスクールの開 催 を核 とした都 市 ・エリア再 生 事 業 を全 国 で
展 開 し、行 政 ・まちづくり関 係 者 ・エリアの不 動 産 管 理 会 社 にまちの再
生 の た めの 複 合 プ ロ グ ラム を 提 供 し て いる。 Y ou Tub e を 利 用 し て リ ノベ ー
ショ ンス ク ール で の 取 組 状 況 を 動 画 で 紹 介 し て い る。
 アメリカ発 の有 料 で部 屋 を貸 すシステムで、個 人 宅 の空 き部 屋 を貸 した
い 人 と 宿 泊 先 を 探 す 旅 行 者 を 結 ぶ C t o C の マ ッ チ ン グ サイ ト 。 世 界 1 9 0
か国 以 上 で広 がっており、平 成 27 年 7 月 現 在 、日 本 国 内 でも 13 千 件
以 上 の 登 録 が あ る。
 平 成 26 年 5 月 、日 本 法 人 設 立 。
 スーパー源 氏 という古 本 のポータルサイトを運 営 し、空 き家 等 を活 用 した
ブックカフェの開 業 ・経 営 支 援 を実 施 。古 本 のネット通 販 とリアル(実 際
の店 舗 )との組 合 せで、棚 から商 品 を買 えるようなシステム(特 許 申 請
中 、 「 棚 ! 見 れ る ジ ャ ン ! 買 え る ジ ャ ン ! 」 ) を 開 発 し 、 全 国 展 開 を 進 めて
いる。 空 き 家 等 の リ ノベ ー シ ョン に よ るブ ッ ク カ フ ェ の 情 報 も 収 集 し て いる 。
(資料)各社ホームページ、事例調査等より作成
- 40 -
2.3.空き工場
我 が 国 の 産 業 構 造 の 変 化 、産 業 の 空 洞 化 、一 部 機 能 移 転・集 約 等 に よ り 、工 場 の
移 転 ・ 統 廃 合 ・ 廃 業 に よ る 工 場 跡 地 、空 き 工 場 ・ 建 屋 、未 利 用 地 ・ 遊 休 施 設 が 発 生
している。
こ れ ら 工 場 跡 地 等 の 発 生 は 、雇 用 の 喪 失 、地 方 税 収 の 減 少 等 、地 域 経 済 に 大 き な
影響を及ぼし、早期に利活用していくことが強く求められる。
平 成 21 年 度 工 場 跡 地 等 の 実 態 及 び 利 活 用 方 策 に 係 る 調 査 報 告 書 ( 地 方 自 治 体 を
対象とするアンケート調査)では、自治体が把握している全国の工場跡地等の件
数 は 989 件 、 敷 地 面 積 1,843 万 ㎡ と な っ て い る 。
中 国 地 域 は 工 場 跡 地 等 の 件 数 128 件 、敷 地 面 積 160 万 ㎡ で 、1 万 ㎡ 未 満 の 件 数 は
6 割 程 度 を 占 め て い る 。 県 別 で は 、 鳥 取 県 (67 件 、 57 万 ㎡ )、 岡 山 県 (29 件 、 25 万
㎡ )、 広 島 県 (19 件 、 17 万 ㎡ )、 山 口 県 (13 件 、 61 万 ㎡ )と な っ て い る 。
利活用の用途では、工場、商業施設等が多い。
図 表 2 .4 8
工場跡地
件数
敷地面積
283
8,748
58
1,182
31
250
15
240
3
123
9
569
全国
中国地域
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
工場跡地等の件数・敷地面積(中国地域)
空き工場建屋
件数
建築面積 敷地面積
614
1,492
6,474
65
323
373
36
55
321
14
245
6
12
18
33
3
5
13
(単位:件、千㎡)
遊休施設
件数合計 敷地面積
件数
建築面積
12
217
989
18,432
1
52
128
1,596
0
0
67
571
0
0
29
246
1
52
19
167
0
0
13
612
未利用地
件数
敷地面積
80
3,210
4
41
0
0
0
0
3
11
1
30
( 資 料 ) 三 菱 総 合 研 究 所 「 工 場 跡 地 等 の 実 態 及 び 利 活 用 方 策 に 係 る 調 査 」 (平 成 22 年 3 月 )
図 表 2 .4 9
図 表 2 .5 0
工場跡地等の面積別構成比
工場跡地等の利活用の用途
(%)
(%)
0
10
20
30
40
5千㎡未満
34.0
18.0
1万㎡未満
10万㎡未満
2.8
50万㎡未満
2.9
2.8
0.3
0.0
20
25.5
全国
全国
n=1,136
中国地域 n= 141
21.3
9.7
住宅
9.7
0.0
研究施設
0.0
業務施設
0.0
0.0
80
64.3
28.6
14.3
全国
中国地域
7.7
7.1
7.1
7.1
公共施設
道路・公園
60
53.5
物流施設
中国地域
6.1
40
工場
商業施設
7.4
7.8
5万㎡未満
0
40.0
25.4
27.0
3万㎡未満
50万㎡以上
50
4.5
全国
n=155
中国地域 n=14
( 資 料 ) 三 菱 総 合 研 究 所 「 工 場 跡 地 等 の 実 態 及 び 利 活 用 方 策 に 係 る 調 査 」 (平 成 22 年 3 月 )
- 41 -
経 済 産 業 省 で は 、工 場 跡 地 等 の 利 活 用 の 事 例 を 以 下 の と お り 整 理 し 、跡 地 等 の 情
報の適切な把握、地権者の意見確認、行政や地権者の協力等の重要性を指摘して
いる。
図 表 2 .5 1
工 場 跡 地 等 の 利 活 用 の 事 例( 全 国 )
所在地
埼玉県
秩父市
東京都
港区
特 徴
空 き 工 場 建 屋 を 活 用 す るこ と によ り 初 期 投 資 を 抑
えて植 物 工 場 を操 業
新 聞 印 刷 工 場 の 廃 建 屋 を 再 生 し て クリ エ イ タ ー の
活 動 の場 に転 換
長野県
伊那市
空 き工 場 を活 用 して新 規 創 業 事 業 者 に最 適 な創
業 支 援 施 設 を整 備
三重県
四日市市
民 間 工 場 敷 地 内 の事 務 所 棟 を研 究 開 発 ・中 小
企 業 支 援 施 設 として活 用
和歌山県
海南市
事 業 者 公 募 により工 場 跡 地 に市 民 から要 望 の強
い商 業 施 設 を 誘 致
利活用方法
賃貸
用途
植 物 工
場
オ フ ィス
所 有 者 が改 修
し、複 数 テナントに
賃貸
土 地 ・建 物 を市 工 場
が購 入 ・改 修 し
賃貸
賃貸
研究開
発 ・中 小
企業支援
施設
土 地 は定 期 借
商業施設
地 方 式 、建 物 は
自前
敷地面積等
建物延床面積
約 430 ㎡
建物延床面積
約 4. 4h a
建物延床面積
約 1h a
建物延床面積
約 2. 4h a
約 20 ha
( 資 料 ) 経 済 産 業 省 「 工 場 跡 地 等 利 活 用 事 例 集 」、 三 菱 総 合 研 究 所 「 工 場 跡 地 等 の 実 態 及 び 利 活 用 方 策 に 係
る 調 査 」 (平 成 22 年 3 月 )よ り 作 成
な お 、平 成 24 年 12 月 よ り 、太 陽 光 等 の 再 生 可 能 エ ネ ル ギ ー の 固 定 価 格 買 取 制 度
が導入され、工場跡地等を活用した大規模な太陽光発電事業への参入が急増した。
中 国 地 域 で は 、以 下 の よ う な 工 場 跡 地 等 を 利 用 し た 再 生 可 能 エ ネ ル ギ ー へ の 取 組
事例がある。
図 表 2 .5 2
工 場 跡 地 等 の 再 生 可 能 エ ネ ル ギ ー 分 野 で の 活 用 事 例( 中 国 地 域 )
工場跡地
チッソ水島工場
跡地
塩田跡地
所在地
岡山県倉敷市
カネボウ防府工
場跡地
山口県防府市
岡山県玉野市
事業者
JNC㈱ ( チ ッ ソ の 子 会 社 )
(東 京 都 )
㈱ エネルギア・ソリューション・アンド・サ
ー ヒ ゙ ス (広 島 県 広 島 市 )
中 国 電 力 ㈱ (広 島 県 広 島 市 )
事業概要
メガソ ーラー を 建 設 、 平 成 27 年 2 月 稼 働
メガソ ーラー を 建 設 、 平 成 27 年 5 月 稼 働
石 炭 と 木 質 バイオマスの 混 焼 発 電 所 を 建
設 。平 成 30 年 度 稼 働 予 定
(資料)新聞記事より作成
ま た 、 そ の 他 の 工 場 跡 地 の 活 用 事 例 と し て 、 J T 防 府 工 場 の 跡 地 (14.2ha、 平 成
24 年 3 月 閉 鎖 )の 事 例 で は 、平 成 26 年 9 月 に 、大 和 ハ ウ ス 工 業 ㈱ が 約 10 億 円 で 購
入 し 、 工 業 団 地 ( 防 府 テ ク ノ タ ウ ン ) と し て 10 区 画 に 分 け 、 建 物 の 建 設 を 同 社 が
行うことを条件に開発・分譲している。
同 社 と し て は 国 内 5 番 目 の 工 業 団 地 で 、 総 事 業 費 は 約 60 億 円 で 、 防 府 市 内 に は
大 手 メ ー カ ー の 工 場 が あ り 、山 陽 自 動 車 道 や 三 田 尻 中 関 港 へ の ア ク セ ス の 良 さ な ど
立 地 面 も 優 れ て い る こ と か ら 、関 連 企 業 の 製 造 施 設 や 他 業 種 の 物 流 施 設 の 進 出 を 想
定している。
ま た 、カ ネ ボ ウ 綿 糸 西 大 寺 工 場 の 跡 地 (12.4ha)で は 、8.2ha を 岡 山 市 開 発 公 社 が
- 42 -
取 得 し 、 残 り を 民 間 企 業 が 取 得 し た 。 岡 山 市 開 発 公 社 が 取 得 し た 8.2ha は 3 つ の
エリア(都市公園エリア、民間活用エリア、公共施設エリア)に分けて整備され
た 。 (事 例 集 概 要 版 123 ページ、 詳 細 版 216 ページ 参 照 )
民 間 エ リ ア 2.6ha に つ い て は 、健 康 な 暮 ら し と い う コ ン セ プ ト で 公 募 を 行 い 、三
菱 地 所 ㈱ が 事 業 者 代 表 と な り 、定 期 借 地 権 で 民 間 の 複 合 施 設( 西 大 寺 グ リ ー ン テ ラ
ス )を 整 備 し 、ホ ー ム セ ン タ ー ・ 家 電 量 販 店 ・ ス ポ ー ツ 用 品 店 ・ フ ッ ト サ ル 場 等 が
出店している。
いずれも大手ディベロッパーの参加による活用事例であり、比較的広い面積の
工場跡地については、行政と大手企業による跡地活用に向けた取組が主要な成功
要因となっている。
図 表 2 .5 3 工 場 閉 鎖 と 活 用 事 例 ( 中 国 地 域 、 最 近 5 年 間 の 動 き )
名称
エプソ ンイメ ーシ ゙ンク ゙デ バイ ス本
社工場
三洋電機鳥取工場
所在地
敷 地 面 積 ha
鳥取県鳥取市
-
現 状 と取 組 概 要
平 成 23 年 、 一 部 閉 鎖 。
鳥取県鳥取市
6.9
JT 米 子 工 場
島 根 県 内 の 空 き 工 場 (島
根県庁)
パナソ ニック エレ クトロ ニック デハ ゙イス
ジャハ ゚ン 江 津 工 場
キーレッ クス 津 和 野 工 場
鳥取県米子市
島根県松江市
7.4
-
島根県江津市
2.4
平 成 24 年 、 閉 鎖 。 電 気 暖 房 器 具 メ ー カ ー 、
高級和菓子メーカー、薬品会社等が進出。
平 成 22 年 、 閉 鎖 。 2 社 が 進 出 。
平 成 22 年 、 空 き 工 場 情 報 を デー タヘ ゙ース 化 。 尾 道
松 江 線 の 全 通 を 機 に 沿 線 の 空 き 工 場 を PR。
平 成 22 年 、 閉 鎖 。 化 粧 品 販 売 会 社 が 進 出 。
島根県津和野
町
島根県浜田市
島根県浜田市
岡山県岡山市
-
今井産業住宅部材工場
平和金属工業島根工場
カネボウ綿糸西大寺工
場 ★
JT 岡 山 印 刷 工 場
パナソニック岡山工場
1.2
8.2
岡山県岡山市
岡山県備前
市
岡山県備前市
岡山県総社市
5.3
岡山県勝央町
9.7
ヤクルト本社福山工場
シャープ福山工場
サンエーマイクロセミコンダクター東 城
工場
向島紡績
内海造船田熊工場
シルトロ ニック ・シ ゙ャハ ゚ン 光 工 場
イクヨ光工場
マル二木工美和工場
JT 防 府 工 場
広島県福山市
広島県福山市
広島県庄原市
1.8
0.8
広島県尾道市
広島県尾道市
山口県光市
山口県光市
山口県岩国市
山口県防府市
4.4
14.2
ルネサス柳井工場
YKK AP 山 口 工 場
山口県柳井市
山口県田布施
町
山口県平生町
1.9
ライティ ング 岡 山 工 場
曙ブレーキ山陽製造総
社工場
トステム勝央工場
ビッグジョン平生工場
-
-
( 注 1) ★ は 訪 問 先
( 注 2) 網 掛 け 部 は 活 用 さ れ て い る 施 設
(資料)新聞記事等より作成
- 43 -
円 高 や 不 況 の 長 期 化 の た め 、 平 成 25 年 、 閉
鎖。
住 宅 需 要 の 低 迷 の た め 、 平 成 22 年 、 閉 鎖 。
平 成 22 年 、 閉 鎖 。
平 成 6 年 閉 鎖 。市 土 地 開 発 公 社 が 取 得 後 、 市 が
購 入 。都 市 公 園 エリ ア、 民 間 エ リア、 公 共 エリ ア を 整 備 。
国 内 市 場 規 模 の 縮 小 の た め 、平 成 27 年 閉 鎖 。
事 業 の 集 約 の た め 、 平 成 26 年 、 閉 鎖 。 売 却
先を検討中。
需 要 低 迷 の た め 、 平 成 22 年 、 閉 鎖 。
生 産 体 制 の 見 直 し の た め 、 平 成 22 年 、 閉 鎖 。
タ イ や 中 国 で の 生 産 強 化 の た め 、平 成 21 年 、
閉鎖。
老 朽 化 の た め 、 平 成 24 年 、 閉 鎖 。
縮小を検討。
平 成 23 年 、 閉 鎖 。 フ レック ス ・ディ ーが 工 場 を 取 得 。
経 営 悪 化 の た め 、 平 成 23 年 、 閉 鎖 。
平 成 24 年 、 閉 鎖 。 商 業 施 設 が 立 地 。
平 成 24 年 、 閉 鎖 。
取 引 先 の 減 産 の た め 、 平 成 21 年 、 閉 鎖 。
平 成 21 年 、 閉 鎖 。
平 成 24 年 閉 鎖 。 大 和 ハ ウ ス 工 業 が 工 業 団 地
を整備。
平 成 27 年 、 閉 鎖 予 定 。
建 材 需 要 の 落 ち 込 み の た め 、 平 成 22 年 、 閉
鎖。
効 率 化 の た め 、 平 成 23 年 、 閉 鎖 。
2.4.空き公共施設
全国の自治体で、学校や公民館、図書館といった公共施設の老朽化が、大きな
課 題 と な っ て お り 、 総 務 省 の 調 査 に よ る と 、 施 設 の 耐 用 年 数 を 超 え て い る ( 築 30
年以上経過した)公共施設は、全国で 4 割以上にのぼっている。
図 表 2 .5 4
公共施設の老朽化と耐震改修の状況
(単位:%)
全国平均
政令指定都市
人口25万人以上
10~25万人未満
5~10万人未満
3~5万人未満
1~3万人未満
1万人未満
公共施設の 耐震改修
老朽化(注)
の状況
43.1
79.6
46.4
82.3
50.6
70.8
42.2
75.6
32.6
83.9
32.4
81.4
35.9
78.3
34.6
82.4
(注)築30年以上経過した公共施設の割合(延床面積)
( 資 料 )総 務 省「 公 共 施 設 及 び イ ン フ ラ 資 産 の 将 来 の 更 新 費 用 比 較
分 析 に 関 す る 調 査 結 果 」 (平 成 24 年 3 月 )よ り 作 成
総 務 省 で は 、空 き 公 共 施 設 の 活 用 に 向 け て 、平 成 27 年 度 か ら 公 共 施 設 オ ー プ ン・
リ ノ ベ ー シ ョ ン 推 進 事 業 で 、「 活 用 可 能 ス ペ ー ス へ の リ ノ ベ ー シ ョ ン モ デ ル 提 案 実
現 事 業 」、「 公 共 オ ー プ ン サ ー ビ ス ・ サ イ ト の 構 築 ・ 運 用 事 業 」 に 取 り 組 ん で い る 。
「 活 用 可 能 ス ペ ー ス へ の リ ノ ベ ー シ ョ ン モ デ ル 提 案 実 現 事 業 」で は 、全 国 の 図 書
館 、美 術 館 、公 民 館 、合 併 前 の 旧 役 場 等 の 公 共 施 設 に お い て 、有 効 活 用 が 可 能 な ス
ペース等に係るデータベースを構築する。
「 公 共 オ ー プ ン サ ー ビ ス・サ イ ト の 構 築 ・運 用 事 業 」で は 、既 に 美 術 館 の 空 間 等
に お い て 、カ フ ェ 等 の オ ー プ ン サ ー ビ ス に 活 用 さ れ て い る 事 例 等 に つ い て 、自 治 体
の 同 意 を 得 て 、写 真 等 の 含 め た デ ー タ ベ ー ス を 構 築 し 、ポ ー タ ル サ イ ト で 広 く 国 内
外に情報提供している。
総務省によれば、公共施設のオープン・リノベーションを核とした地域再生の
ためには、
・公共施設の管理業務ではなく、公共施設の場を活用したサービス業務として
捉えること
・利用者である住民を受け身の客体としてではなく、サービスを向上させる作
業をともに担う存在として捉えること
・オープンに専門性等の外部知識を活用すること
・既 成 概 念 に 捉 わ れ ず 、サ ー ビ ス・イ ノ ベ ー シ ョ ン に よ り 公 共 施 設 の ビ ジ ネ ス モ デ
ルを変えること
が重要としている。
ま た 、 平 成 27 年 6 月 か ら 、 再 生 し た い 施 設 を 自 治 体 が 紹 介 し 、 民 間 の 事 業 者 を
募 る W e b サ イ ト 「 公 共 施 設 再 生 ナ ビ 」 を 公 開 し て お り 、 平 成 27 年 9 月 現 在 、 81
件の再生したい公共施設がリストアップされている。
- 44 -
図 表 2 .5 5
公共施設のオープン・リノベーションを核とした地域再生事業
公 園 → 施 設 使 用 料 、ネーミンググライツ等 で収 益 化
・ネーミングライツを利 用 し、 公 園 施 設 (フットサル場 、エレベーター等 )を整 備 ・管 理 (東 京 都 渋 谷 区 ・宮
下公園)
・園 内 のカフェから徴 収 した施 設 使 用 料 を利 用 して、公 園 施 設 の整 備 ・管 理 (東 京 都 台 東 区 ・上 野 公 園 )
図 書 館 → 書 籍 販 売 やカフェ等 への利 用 、イベントの開 催 による収 益 化
・ C D レ ンタ ル や 書 籍 販 売 等 の サー ビ ス 、 開 館 時 間 の 延 長 ( 佐 賀 県 武 雄 市 ・ 武 雄 市 図 書 館 )
・街 情 報 等 の発 信 ・案 内 、子 供 向 け課 外 授 業 の開 催 や子 育 てセミナー等 のイベント開 催 (東 京 都 千 代 田
区 ・千 代 田 図 書 館 )
市 役 所 → 1 階 や 地 下 を 開 放 し て 住 民 が 行 き 交 う 街 と 連 結 し、 ま ち の 一 部 に
・ 庁 舎 の 1 階 を 開 放 し 、 街 とつ なげ て 一 体 と な っ た に ぎ わい空 間 の 創 出 ( 新 潟 県 長 岡 市 ・ ア オ ー レ長 岡 )
・ 街 な か の 空 きス ペ ー ス に 行 政 組 織 を 移 す
学 校 → 役 割 を 終 え た 学 校 を 地 域 の 拠 点 等 と して 再 活 用
・廃 校 を市 民 団 体 等 が賃 借 し、アート・文 化 活 動 により利 潤 を生 みだす(東 京 都 千 代 田 区 ・アーツ千 代 田
3331)
・余 裕 教 室 を地 域 活 動 に開 放 し、大 人 も通 う学 校 をつくる
・各 教 室 等 に全 国 からデザイナーを募 集 し、地 域 の中 小 企 業 と連 携 (東 京 都 台 東 区 ・台 東 デザイナーズビ
レ ッ ジ)
団 地 → 空 き部 屋 、空 き店 舗 、共 有 スペース等 の有 効 活 用
・ 芸 術 集 団 等 と 連 携 し 、 ア ー ト と 空 室 を 活 用 し た 住 民 に よ る住 民 の た めの 場 所 を つ く る ( 茨 城 県 取 手 市 )
美 術 館 ・ コ ン サ ー ト ホ ー ル → 空 き ス ペ ー ス 、 通 路 等 を 本 施 設 の ブ ラ ン ド 化 に つな げ る
・ホワイエ等 の空 きスペースや通 路 等 を活 用 して、セレクトショップやデザインショップ等 の開 設 を支 援 し、20
~3 0 代 の 女 性 が 地 域 に 居 住 し な が ら 、 東 京 や 世 界 の セン ス に 触 れ る空 間 ( 素 敵 な 場 所 ) を 創 造
( 資 料 ) 総 務 省 猿 渡 知 之 「 公 共 施 設 の オ ー プ ン ・ リ ノ ベ ー シ ョ ン を 核 と し た 地 域 再 生 事 業 に つ い て 」 (地 域 づ
く り 2014 年 11 月 号 )等 よ り 作 成
上 記 の よ う に 、空 き 公 共 施 設 は 様 々 な 形 で 利 用 さ れ る 一 方 で 、利 用 さ れ て い な い
空き公共施設も数多く存在し、その管理が大きな課題となっている。
京都府綾部市では、NPO法人が廃校を活用した交流施設の管理委託を行い、
都市との交流人口の拡大や定住促進に貢献している。特に、綾部市は空き家の賃
貸・売買数が全国 3 位で、その主要因は、綾部市が定住促進を政策の 1 丁目 1 番
地 と 位 置 付 け 、「 交 流 」 か ら 「 定 住 」 と い う 流 れ を 施 策 の 中 心 に 据 え 、 N P O 法 人
が「 定 住 」を 意 識 し た「 交 流 」の 役 割 を 積 極 的 に 担 っ て い る こ と が あ げ ら れ る 。(事
例 集 概 要 版 109 ページ、 詳 細 版 173 ページ参 照 )
鳥取県智頭町では、旧体育館の空きスペースをチョコレート工場のストックヤ
ードとアセンブリ・パッケージングに活用したり、閉園した保育園をカフェにす
る等、民間事業者が空き公共施設を有効に活用している。さらに、廃校の校長室
や職員室が、キッチン・レストランやお菓子工房に変えられて活用されている。
当 該 事 例 で は 、「 森 林 」と い う 地 域 資 源 が 、地 域 コ ン セ プ ト と し て 情 報 発 信 さ れ 、
そ の イ メ ー ジ が 定 着 し て 人 や 企 業 を 誘 引 し て い る 好 事 例 と 考 え ら れ る 。 (事 例 集
概 要 版 117 ページ、 詳 細 版 201 ページ参 照 )
ま た 、 岡 山 県 吉 備 中 央 町 の 旧 大 和 中 学 校 の 跡 地 を 利 用 し て 、 ㈱ ア ム リ ッ ト .D C
( 岡 山 市 :動 物 病 院 用 に 犬 や 猫 の 餌 を 提 供 し て い る 企 業 ) が 、 犬 猫 介 護 施 設 を 開 設
予定で、人だけでなく、ペットという視点で空き施設の活用を検討するというビ
ジネスモデルは、新しいコミュニティ形成にも役立つと考えられる。
- 45 -
2.5.コンパクトシティとリノベーション
大都市圏や大都市周辺部では、一般的に、空き家等の利活用ニーズが中山間地域よ
り 高 く 、空 き 家 等 を リ ノ ベ ー シ ョ ン し て 居 住 用 や 店 舗 用 に 利 活 用 で き る 可 能 性 が 高 い 。
一方、地方都市では、人口減少が進行する中で、その中心となる市街地の都市機能
を充実させ、商業機能の充実を図り、高齢者等が徒歩で買い物等ができる集約型都市
構造のコンパクトシティを形成させたり、中心市街地を活性化するという施策が展開
されている。
そのようなコンパクトシティの形成や中心市街地の活性化の諸施策の中で、特定の
地域において空き家や空き店舗等の遊休不動産をリノベーションする事例が数多く見
られる。
ま た 、 中 山 間 地 域 (過 疎 地 )の 集 落 で は 、 空 き 家 ・ 空 き 公 共 施 設 等 の 地 域 資 源 を 活 用
し た 産 業 振 興( 6次 産 業 化 、観 光 振 興 等 )が 図 ら れ 、当 該 地 域 で は 、大 規 模 な 産 業 振 興
というよりコミュニティビジネスでの産業振興への取組事例が多い。
特 に 、中 山 間 地 域 の 産 業 振 興 は 、他 地 域 か ら 移 住 し た「 地 域 お こ し 協 力 隊 」や「 U ・
I ・J タ ー ン 者 」等 と 地 域 住 民 が 連 携 し て 担 う こ と が 期 待 さ れ て お り 、移 住 者 の 住 居 や
活動拠点として、空き家・空き店舗等が利用されているが、その活動を支える居住・
就業環境への支援の一環として、空き家・空き店舗等のリノベーションの推進が位置
づけられている。
- 46 -
3.利用者ニーズと対応
3.1.全般
㈱価値総合研究所の空き家利用意向者アンケート調査によれば、住み替えニー
ズ と し て 「 今 の 住 ま い が 古 く な っ て き た か ら 」 (21.7 % ) が 最 も 多 く 、 次 い で 「 通
勤 通 学 や 買 物 等 に 、 よ り 便 利 な 場 所 に 住 み た い か ら 」 (13.5 % ) 等 が 多 く な っ て い
る。
な お 、「 自 然 環 境 や 景 色 の 良 い と こ ろ に 住 み た い か ら 」、「 賃 料 の 安 い と こ ろ に 住
替 え た い か ら 」、「 趣 味 を 満 喫 で き る 環 境 の と こ ろ に 住 み た い か ら 」 等 、 地 方 都 市
や中山間地域での生活環境に関連する項目が上位にある。
図 表 3 .1
住み替えをしたい理由(空き家利用意向者)
(%)
0
10
20
今の住まいが古くなってきたから
通勤通学や買物等に、より便利な場所に住みたいから
自然環境や景色の良いところに住みたいから
同居家族が増える等で、広い住まいが必要だから
賃料の安いところに住替えたいから
趣味を満喫できる環境のところに住みたいから
環境や省エネに配慮した住まいに住みたいから
防災や防犯に強い住宅に住みたいから
世帯の人数が減り、今の住まいでは広すぎるから
子育てによい環境のところに住みたいから
進学・転勤・転職があるから
親の住まい(実家等)から独立するから
ペットと住みたいから
治療や介護に便利な所に住みたいから
現在の賃貸契約が終了・更新となるから
親族と同居する(近くに住む)予定だから
実家に戻る、あるいは実家の近くに住むから
退職し、通勤を気にする必要がなくなったから
近隣とのトラブルがあるから
30
21.7
13.5
12.5
11.9
11.2
9.7
8.4
8.1
7.5
7.1
6.7
6.2
5.7
5.2
5.1
5.0
4.9
3.4
2.9
その他
n=14,320
17.1
(資 料 )㈱価 値 総 合 研 究 所 「消 費 者 (空 き家 所 有 者 、空 き家 利 用 意 向 者 )アンケート結 果 概 要 」( 平 成 25 年 11
月 実 施 )より作 成
- 47 -
3.2.中国地域
中国地域への移住者は増加傾向にあり、空き家等を改修・活用している移住者を
みると、比較的若い年齢層が多く、移住後、移住前の職業と同じ職業に就いている
人が約 4 割を占める。業種はパン屋やカフェ等が多く、起業した人が 6 割弱、Uタ
ーン 2 割弱(身内の出身地が近い場合を含めると 3 割)で、移住理由は、東日本大
震 災 を 機 に 、田 舎 暮 ら し や 自 然 等 に 憧 れ て 、関 東 地 域 か ら 移 住 し た 人 が 比 較 的 多 い 。
なお、Uターンや親族が住んでいた等の地縁のある人も多い。
図 表 3. 2 移 住 者 数
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
全国
平 成 21
年度
319
344
43
46
2 ,86 4
平 成 25 年 度
9 62
5 75
7 14
95
85
8,18 1
伸び
率
3.0 倍
1. 7 倍
2 .2 倍
1 .8 倍
2 .9 倍
(単 位 : 人 )
備考
県が集計
県が集計
県が集計
23 /23 自 治 体 が 回 答 ( 平 成 25 年 度 )
18 /19 自 治 体 が 回 答 ( 平 成 25 年 度 )
1,03 6/1 ,1 23 自 治 体 が 回 答 ( 平 成 2 5 年 度 )
(注)自治体へのアンケートにより集計した件数
( 資 料 )「 地 方 移 住 の 現 状 毎 日 新 聞 ・ 明 治 大 学 合 同 調 査 よ り 」( ガ バ ナ ン ス 平 成 2 7 年 4 月
号)より作成
「 地 方 移 住 の 現 状 ( 毎 日 新 聞 ・ 明 治 大 学 合 同 調 査 : 平 成 26 年 12 月 実 施 )」 に よ
れ ば 、平 成 25 年 度 の 移 住 者 数 が 、 全 国 で 最 も 多 か っ た の は 鳥 取 県( 962 人 )、 次 い
で 岡 山 県 (714 人 )、 岐 阜 県 (596 人 )、 島 根 県 (575 人 )と 、 中 国 地 域 の 3 県 が 上 位 を
占めている。
こ う し た な か 、中 国 地 域 で は 、特 に 、島 根 県 海 士 町 、山 口 県 周 防 大 島 町 が 、全 国
的に移住の先進地として注目されている。
島 根 県 海 士 町 で は 、「 自 立 ・ 挑 戦 ・ 交 流 」 と 「 ま ち づ く り 」「 ひ と づ く り 」「 し ご
と づ く り 」を 町 の 経 営 指 針 と し て 、産 業 振 興 、就 職 支 援 等 に 積 極 的 に 取 り 組 み 、平
成 27年 3月 現 在 、 人 口 2,304人 の う ち Iタ ー ン 移 住 者 245人 と 、 人 口 の 1割 を 占 め る ま
で に な っ て い る 。島 に は 民 間 の 不 動 産 市 場 が な く 、町 営 住 宅 に 需 要 が 集 中 す る な か
で、今後、町営住宅の払い下げの拡充や不動産市場の創生等を目指している。
山 口 県 周 防 大 島 町 で は 、 平 成 24 年 4 月 か ら 移 住 者 の 支 援 を 総 合 的 に 行 う 周 防 大
島 町 定 住 促 進 協 議 会 を 設 立 し 、1 泊 2 日 の お 試 し 暮 ら し ツ ア ー「 島 時 々 半 島 ツ ア ー 」
や地元住民紹介、ファイナルシャルプランナーによる家計相談等に対応している。
また、空き家バンクや空き家のリフォーム助成制度があり、就業支援のため、周
防大島町無料職業紹介所も開設されている。
- 48 -
図 表 3 .3
男 性 (24)
中国地域への移住者(空き家等を活用)の移住理由等
前住所
現住所
(前 勤 務 先 ) (現 勤 務 先 )
広島県
鳥取県鳥取市
前職
現職
大学院生
ブックカフェ運 営
移住理由等
下 着 メ ーカ ー
勤務
NPO(イベント企 画 ・
空 き家 改 修 )代 表
下 着 ブランド店 経
営 、塾 講 師
ま ちづ く り に 関 心 、 リ ノ ベ ー ショ ン ス ク ー ル 参
加 、空 き店 舗 活 用 、Uターン
智 頭 町 の NP O の 子 供 教 育 に 賛 同
閉 鎖 された保 育 園 を活 用
日 本 の 田 舎 暮 ら し に 関 心 、 奥 さ んは 鳥
取 市 出 身 、空 き家 に定 住
智 頭 町 の NP O の 子 供 教 育 に 賛 同
空 き家 と農 地 を借 りて定 住
故 郷 への愛 着 、Uターン
NPOの訪 問 看 護 事 業 の立 ち上 げに参
加 、島 根 出 身 看 護 師 とIターン
農 業 に興 味 、Iターンで高 齢 農 家 から農
地 と梨 の木 を継 承
人 を繋 げる場 所 の創 出
Uタ ー ン
I ターンで、地 域 の受 け皿 の重 要 性 を認
識
近 くの 縫 製 工 場 の 協 力 を 得 て 創 業
元 同 僚 の 奥 さ んが ヨ ガ 教 室 運 営
島根県海士町
IT 企 業
IT 会 社 、 新 聞 発 行
夫 が漁 師 を目 指 して移 住
茨城県
島根県海士町
大学院生
漁協
女 性 (32)
長野県
島根県海士町
-
女 性 (34)
家族
男 性 (30)
家族
女 性 (25)
千葉県
岡山県岡山市
-
埼玉県
岡山県
瀬戸内市
広島県庄原市
パン 屋
広島県尾道市
漫画家
広島県尾道市
百島
広島県尾道市
因島
広島県世羅町
画廊勤務
男 性 (43)
家族
外国人男性
(5 0 ) 家 族
男 性 (35)
岡山県
鳥取県智頭町
パン 屋
パン 屋
UA E
鳥取県智頭町
英会話講師
英会話講師
群馬県
鳥取県智頭町
農業
農業
女 性 (31)
女 性 (28)
兵庫県
東京都
島根県出雲市
島根県雲南市
会社員
看護師
ゲ ス ト ハウ ス 運 営
看護師
男 性 (38)
兵庫県
島根県浜田市
会社員
農 業 (梨 の生 産 )
女 性 (35)
東京都
島根県浜田市
シ ェ ア ハウ ス 運 営
男 性 (36)
埼玉県
島根県浜田市
建物改修会
社勤務
-
男 性 (39)
家族
京都府
島根県益田市
女 性 (43)
夫
男 性 (25)
兵庫県
男 性 (37)
広島県
尾道市
東京都
女 性 (33)
東京都
男 性 (38)
東京都
外国人男性
(3 4 ) 家 族
男 性 (44)
スペイン
→イタリア
東京都
男 性 (30)
東京都
女 性 (37)
東京都
男 性 (47)
家族
女 性 (42)
家族
男 性 (38)
家族
男 性 (35)
妻
男 性 (36)
家族
男 性 (55)
妻
東京都
山口県山口市
国家公務員
山口県
岩国市
沖縄県
山口県山口市
-
山口県山口市
東京都
山口県周防大
島町
山口県周防大
島町
山口県周防大
島町
雑貨屋
革靴作り
-
東京都
大阪府
大学生
ア ー ティ ス ト
デザイナー
広島県北広島
貿易業
町 (母 親 の実 家 )
広島県北広島
J AX A
町
広島県大崎上
警視庁
島町
音楽家
鉄工所
自 然 の中 で、働 きたいと考 え、 3 年 間 の
研 修 後 、独 立 を目 指 す
町臨時職員
ケ ー ブル テ レ ビ の 立 ち 上 げ に 参 加
移 住 後 、結 婚 、町 営 団 地 に居 住
パン 屋
東 日 本 大 震 災 を機 に移 住
空 き店 舗 を活 用
パン 屋
東 日 本 大 震 災 後 、温 暖 で果 実 農 家 が多
い場 所 で開 業 、空 き家 を活 用
自治振興区職員
地 域 おこしへの関 心
広報誌発行
移 住 後 、庄 原 市 職 員 と結 婚
漫 画 家 、 ゲ ス ト ハウ ス
無 償 での空 き家 の入 手
店 長 、まちづくり
NPOの空 き家 改 修 への協 力
芸 術 拠 点 チーフマネー
ア ー ト に よ る 島 お こ し 「 A RT B AS E 百 島 」
ジャー、定 住 支 援
への関 心
ア ー ティ ス ト
アトリエの開 設 、両 親 の実 家 がある因 島
の民 家 を改 修
カフェ運 営
有 機 農 業 への関 心 、築 150 年 の古 民 家
を改 修 、奥 さんはUターン
カフェ経 営 、農 業 、スリラ 東 日 本 大 震 災 後 、自 然 を利 用 して生 活
ンカの再 生 紙 の事 業
する田 舎 暮 らしに魅 力
イベント企 画 、宇 宙
美 しい星 空 に感 動
食開発
宇 宙 を テ ー マに ま ちお こ し
カ フ ェ 経 営 、 農 産 加 工 古 民 家 を 購 入 し 、 D I Y で リ ノ ベ ー ショ ン
品 、輸 入 雑 貨 販 売 →
ク ラシ ッ ク ハ ゙ レ エ 教 室
定 住 コ ン シェ ル ジュ
田 舎 暮 らしへの憧 れ
ブ ラン ド 米 販 売
Iターン
手 作 りパンと菓 子 店
自 家 製 パン屋 の創 業
経営
土 間 のある空 き家 を賃 借
革 靴 づくり
自 然 豊 かな田 舎 でモノづくり、豊 かな水
に魅 力 、空 き家 バンク活 用
英 語 教 材 制 作 、翻
海 や山 に囲 まれた環 境
訳
自 治 会 紹 介 の空 き家 に居 住
農業
原 発 事 故 を機 に子 育 て環 境 を従 事 して
移 住 、妻 の祖 母 が居 住
農業等
鉄 工 所 の経 営 環 境 悪 化
両 親 の故 郷 に移 住
(資 料 )新 聞 記 事 (平 成 26 年 9 月 ~27 年 8 月 )等 より作 成
- 49 -
上記のような先進事例では、移住者は、自治体や地元住民に歓迎され、その支
援を得られている場合が多いものの、いかに移住者の定住化に繋げるかが課題で
あり、移住時の空き家等の改修費支援、起業者への支援等が行われている。
中 国 地 域 の 中 山 間 地 域 で は 、自 然 環 境 に 恵 ま れ 、安 価 な 住 居 に 住 む こ と が で き る
一 方 で 、交 通 や 医 療 機 関 等 へ の ア ク セ ス が 不 便 等 の 長 短 が あ る 中 で 、地 域 の 魅 力 を
情 報 発 信 す る こ と に よ っ て 、そ れ に 関 心 を 持 っ た 移 住・定 住 希 望 者 の 多 様 な 移 住 ニ
ー ズ( 子 育 て 、カ フ ェ ・ パ ン 屋 等 の 創 業 、就 農 等 )に 、き め 細 か く 対 応 し て い く こ
とが求められる。
3.3.利用者ニーズとリノベーション
移住・定住希望者を引き付けるためには、移住・定住者のニーズに対応できる
多様な支援メニュー(教育環境や居住環境等を含む)を提示して、地域の魅力を
幅広く情報発信していくことが極めて重要である。その情報発信のメニューの一
つとして、リノベーションによる空き店舗や空き家の提供等があると考えられる。
図 表 3. 4
移住・定住者のニーズとリノベーション
移住・定住者のニーズ
・就 業 環 境 (収 入 の確 保 等 )
・ 良 好 な 居 住 環 境 ( 賃 料 が安 い 、 物 価 が 安 い 等 )
・ 良 好 な 教 育 環 境 ( 学 校 への 距 離 、 教 育 レベル 等 )
・子 育 て環 境 (保 育 園 ・幼 稚 園 )
・ カフェ・ パン 屋 、 ゲスト ハ ウス 等 の 起 業
・就 農 (農 地 付 住 宅 )
・ 豊 かな 自 然 環 境
・ 出 身 地 ・ 居 住 し たこ とが ある( Uターン 、 地 縁 等 ) 等
多 様 な 支 援 メニ ュー の 提 示
行政機関・支援機関
定住促進
- 50 -
地 域 イメージ の向 上
エリア 価 値 の 向 上
未利用不動産所有者
リノ ベ ーシ ョン 推 進 事 業 者
リノベ ーシ ョン
ニ ーズに 対 応 し た 空 き 家 ・ 空 き
店 舗 等 の提 供
情報発信
地 域 の魅 力
先 輩 移 住 者 に 関 する 情 報 提 供
リ ノベーション への取 組 等
4.事例調査
4.1.場所・対象別
事 例 調 査 と し て 、 38 カ 所 を 訪 問 し 、 42 組 織 の ヒ ア リ ン グ を 行 っ た 。 場 所 別 に 、
対象先を分類すると以下のとおりとなる。
< 大 都 市 圏・大 都 市 周 辺 部 >
リノベーション関連事業
↓
(所 在 地 、 組 織 区 分 )
↓
事例集
概要版 詳細版
大 都 市 圏 ・ 大 都 市 周 辺 部 で の 空 き 家( 町 家 ・ 古 民 家 )対 策
ページ
㈱ ス ペ ー ス マ ー ケ ッ ト : 空 き ス ペ ー ス の 紹 介 ・ 活 用 ( 東 京 都 、 事 業 者 ) … … … … 93
C I T Y L IG HT S
: D I Y 住 宅 の 紹 介 ( 東 京 都 、 事 業 者 ) … … … … … … … … 94
㈱富士通総研
: 空 き 家 関 連 施 策 等 の 分 析 ( 東 京 都 、 調 査 機 関 ) … … … … 95
㈱住宅新報社
: 不 動 産 、 空 き 家 情 報 等 の 収 集 ( 東 京 都 、 支 援 機 関 ) … … … 99
㈱紫式部
: ブ ッ ク カ フ ェ 開 業 支 援 ( 東 京 都 、 事 業 者 ) … … … … … … 100
大東文化大学
: 集 合 住 宅 団 地 の 空 き ス ペ ー ス 活 用( 東 京 都 、 支 援 機 関 ) … 101
独 立 行 政 法 人 都 市 再 生 機 構 : 集 合 住 宅 の 改 善( 神 奈 川 県 、事 業 者 )… … … … … … … 9 6
山万㈱
: 循 環 型 団 地 の 形 成 ( 千 葉 県 、 事 業 者 ) … … … … … … … … … 97
奈良市役所
: 町 家 の 再 生 活 用 ( 奈 良 県 、 行 政 機 関 ) … … … … … … … … … 102
京都市役所
: 空 き 家 改 修 ・ 活 用 ( 京 都 府 、 行 政 機 関 ) … … … … … … … … 103
京 都 府 住 宅 供 給 公 社 : 府 営 住 宅 の 改 修 ( 京 都 府 、 事 業 者 ) … … … … … … … … … … 104
日本住宅流通㈱
: 住 宅 リ フ ォ ー ム 、 空 き 家 管 理 ( 大 阪 府 、 事 業 者 ) … … … … 106
ヘ ゚ー ジ
1 33
135
1 37
149
152
15 5
1 40
1 43
15 7
15 9
161
167
大都市圏・大都市周辺部での空き店舗・空きビル対策
㈱ ス ペ ー ス マ ー ケ ッ ト : 空 き ス ペ ー ス の 紹 介 ・ 活 用 ( 東 京 都 、 事 業 者 ) … … … … … 93
C I T YL IGH TS
: D I Y 住 宅 の 紹 介 ( 東 京 都 、 事 業 者 ) … … … … … … … … 94
㈱紫式部
: ブ ッ ク カ フ ェ 開 業 支 援 ( 東 京 都 、 事 業 者 ) … … … … … … … 100
京 都 府 住 宅 供 給 公 社 : 府 営 住 宅 の 改 修 ( 京 都 府 、 事 業 者 ) … … … … … … … … … … 104
豊島区役所
: リ ノ ベ ー シ ョ ン ス ク ー ル 支 援 ( 東 京 都 、 行 政 機 関 ) … … … 98
枚方市役所
: 町 家 改 修 支 援 ( 大 阪 府 、 行 政 機 関 ) … … … … … … … … … … 107
枚 方 宿 地 区 ま ち づ く り 協 議 会 : く ら わ ん か 五 六 市 の 運 営 ( 大 阪 府 、 支 援 機 関 ) … … 107
九州工業大学
: リ ノ ベ ー シ ョ ン ス ク ー ル 企 画 ・ 運 営 ( 福 岡 県 、 支 援 機 関 ) 114
㈱北九州家守舎
: 空 き ビ ル 再 生 等 ( 福 岡 県 、 事 業 者 ) … … … … … … … … … … 115
1 33
13 5
152
1 61
145
16 9
16 9
19 1
19 3
<地方都市>
地方都市の空き家(古民家・町家)対策
岡山県庁
: 空 き 家 バ ン ク の 運 営 支 援 ( 岡 山 県 、 行 政 機 関 ) … … … … … 120
倉敷市役所
: 町 家 ・ 古 民 家 の 再 生 ・ 活 用 ( 岡 山 県 、 行 政 機 関 ) … … … … 121
呉市役所
: 空 き 家 バ ン ク の 運 営 等 ( 広 島 県 、 行 政 機 関 ) … … … … … … 124
廿日市市役所
: 空 き 家 バ ン ク の 運 営 等 ( 広 島 県 、 行 政 機 関 ) … … … … … … 125
㈱ マ エ ダ ハ ウ ジ ン グ : 住 宅 リ フ ォ ー ム ( 広 島 県 、 事 業 者 ) … … … … … … … … … … 126
特 定 非 営 利 活 動 法 人 尾 道 空 き 家 再 生 プ ロ ジ ェ ク ト :古 民 家 再 生 (広 島 県 、 事 業 者 )… 128
富 士 見 が 丘 団 地 連 合 会 : 郊 外 型 団 地 の 空 き 家 等 の 活 用 ( 大 分 県 、 住 民 組 織 ) … … 110
大分市役所
: 空 き 家 ・ 空 き 地 バ ン ク の 運 営 等 ( 大 分 県 、 行 政 機 関 ) … … 112
- 51 -
2 09
2 11
2 17
2 19
2 21
225
176
1 84
<地方都市>
リノベーション関連事業
↓
(所 在 地 、 組 織 区 分 )
↓
事例集
概要版 詳細版
ページ
ヘ ゚ー シ ゙
地方都市の中心市街地での空き店舗対策
一 般 社 団 法 人 ノ オ ト : 古 民 家 再 生 等 ( 兵 庫 県 、 事 業 者 ) … … … … … … … … … … … 108
鳥取市役所
: リ ノ ベ ー シ ョ ン ス ク ー ル 支 援 ( 鳥 取 県 、 行 政 機 関 ) … … … 116
鳥取家守舎
: 空 き 店 舗 の 改 修 、 活 用 ( 鳥 取 県 、 事 業 者 ) … … … … … … … 116
ホンバコ
: 空 き 店 舗 の 活 用 ( 鳥 取 県 、 事 業 者 ) … … … … … … … … … … 116
特 定 非 営 利 活 動 法 人 て ご ね っ と 石 見 :( ビシ ゙ネス プラ ン コンテス ト で の 支 援 ( 島 根 県 、 事 業 者 ) 1 1 8
江津商工会議所
: 創 業 計 画 、 融 資 、 労 務 支 援 ( 島 根 県 、 支 援 組 織 ) … … … … … 119
児島商工会議所
: ジ ー ン ズ 業 者 の 空 き 店 舗 活 用 支 援 ( 岡 山 県 、 支 援 組 織 ) … … 122
㈱まちあい徳山
: サ ポ ー ト セ ン タ ー に よ る 支 援 ( 山 口 県 、 事 業 者 ) … … … … … 129
新大分土地㈱
: 空 き ビ ル の 再 生 ・ 活 用 ( 大 分 県 、 事 業 者 ) … … … … … … … … 111
豊 後 高 田 市 観 光 ま ち づ く り ㈱ : 古 い 商 店 街 再 生 ・ 活 用 ( 大 分 県 、 事 業 者 ) … … … 113
171
198
198
198
203
207
213
228
18 1
188
地方都市の工場跡地対策
岡山市東区役所
:工場跡地の活用(岡山県、行政機関)
216
… … … … … … … … … 123
<中山間地域>
中山間地域の空き家、空き施設対策
綾部市役所
: 空 き 家 改 修 支 援 ( 京 都 府 、 行 政 機 関 ) … … … … … … … … … … 109
特 定 非 営 利 活 動 法 人 里 山 ね っ と ・ あ や べ :交 流 促 進 、 廃 校 活 用 (京 都 府 、 事 業 者 ) … 1 0 9
町 屋 ゲ ス ト ハ ウ ス 三 輪 : 町 家 の 活 用 ( 奈 良 県 、 事 業 者 ) … … … … … … … … … … … … 105
智頭町役場
: 空 き 施 設 ・ 空 き 家 の 改 修 ・ 活 用 支 援 等 ( 鳥 取 県 、 行 政 機 関 ) … … 117
特定非営利活動法人ぬまくま民家を大切にする会:
居 住 用 古 民 家 の 再 生 ( 広 島 県 、事 業 者 ) … … … … … … … … … … … … 1 2 7
一 般 社 団 法 人 お ん な た ち の 古 民 家 :古 民 家 再 生 ・ 活 用 ( 山 口 県 、 事 業 者 ) … … … … 130
- 52 -
1 73
173
1 64
2 01
223
230
4.2.事例調査とりまとめ
4.2.1.リノベーションの類型化
事 例 調 査 対 象 先 の 取 組 内 容 を 、 目 的 別 に 類 型 化 す る と 、「 定 住 ・ 雇 用 促 進 に 繋 が
る リ ノ ベ ー シ ョ ン 」と「 産 業 振 興 に 繋 が る リ ノ ベ ー シ ョ ン 」に 区 分 す る こ と が で き
る 。 両 者 は 、 重 複 す る 部 分 も あ り 、「 産 業 振 興 」 が 「 定 住 ・ 雇 用 の 促 進 」 に 繋 が っ
ている。その内容を細分化すると、以下のとおりとなる。
図 表 4 .1 リ ノ ベ ー シ ョ ン の 対 象 ・ 対 象 者 、 方 法 と 目 的
不動産事業者
者
施工業者等
定 住 ・ 雇 用 促 進 に 繋 が る リノ ベ ーシ ョン
居 住 者 の生 活 環 境 の改 善 (水 回 り等 )
空き家
(一般住宅)
リノベーション推 進 事 業 者
リノベーション
(付 加 価 値 の向 上 )
所有者
移 住 者 ・ 定 住 者 向 け の 住 宅 としての 利 用
移住者・定住者
(購入・賃貸による居住)
空 き家 バンク、改 修 支 援 等
教 育 環 境 、雇 用 環 境 の充 実
行政機関
産業支援機関
リノベーション推 進 事 業 者
リノベーション
空 き 店 舗・空 き ビ ル ( 用 途 変 更 、 付 加 価 値 の 向 上 )
・集 客 機 能 ・生 産 機 能 の充 実
・商 業 機 能 の充 実
等の未利用不動産
所有者
中 心 市 街 地 の活 性 化
未 利 用 不 動 産 の活 用 に
よる マ ッ チン グ ・ 起 業 支 援
商工会等
空き家
(古民家・町屋)
所有者
インキュベーション 機 能 の 充 実
事業者・起業者
( 購 入・賃 貸 に よ る 移 転・入 居 )
行政機関
広 域 的 な観 光 連 携 ・
広 報 活 動 への協 力
観 光 機 能 ・宿 泊
機 能 の充 実
リノベーション推 進 事 業 者
リノベーション
(用 途 変 更 )
↑
↑
リノベーショ
ンに
繋
がる 主 要 方 策
対象・対象者
- 53 -
地 域 産 業 の活 性 化
産 業 振 興 に 繋 が る リノベ ー ション
↑
地 域 振 興 に 向 けた リノベー ションの目 的
図 表 4 .2 ヒ ア リ ン グ 対 象 先 と 事 業 概 要 ( リ ノ ベ ー シ ョ ン 関 連 )
定住・雇用促進に繋がるリノベーション
居住環境の改善
(4) 独立行政法人都市再生機構(神奈川県、事業者)……集合住宅の改修
(5) 山万㈱(千葉県、事業者) ……………………循環型団地の形成
(8) 京都府住宅供給公社(京都府、事業者) ……府営住宅の改修
(14) ㈱マエダハウジング(広島県、事業者)………住宅リフォーム
(24) 智頭町役場(鳥取県、行政機関) ……………空き家改修支援
(25) 特定非営利活動法人ぬまくま民家を大切にする会(広島県、事業者)
…………居住用古民家の再生
(27) 日本住宅流通㈱(大阪府、事業者) …………住宅リフォーム、空き家管理
(31) 綾部市役所(京都府、行政機関) ……………空き家改修支援
(32) 特定非営利活動法人里山ねっと・あやべ(京都府、事業者)…交流促進、廃校活用
(33) ㈱住宅新報社(東京都、支援機関) …………不動産、空き家情報等の収集
(35) 大東文化大学(東京都、支援機関) …………集合住宅団地の活用
① 富士見が丘団地連合会(大分県、住民組織)…郊外型団地の空き家等の活用
移住・定住促進のための空き家の利活用・再生
(3) 富士通総研(東京都、調査機関) ……………空き家関連政策等の分析
(7) 京都市役所(京都府、行政機関) ……………空き家改修・活用支援
(10) 岡山県庁(岡山県、行政機関) ……………空き家バンクの運営支援等
(12) 呉市役所(広島県、行政機関) ……………空き家バンクの運営等
(13) 廿日市市役所(広島県、行政機関) ………空き家バンクの運営等
(24) 智頭町役場(鳥取県、行政機関)……………空き家の改修・活用
③ 大分市役所(大分県、行政機関) ……………空き家・空き地バンクの運営等
有休不動産の流通・マッチング支援
(1) ㈱スペースマーケット(東京都、事業者) ……空きスペースの紹介・活用
(2) CITYLIGHTS(東京都、事業者)………………DIY住宅の紹介
(22) 岡山市東区役所(岡山県、行政機関)………工場跡地の活用
(24) 智頭町役場(鳥取県、行政機関) ……………空き施設への企業誘致
産業振興に繋がるリノベーション
リノベーションまちづくり
(9) 豊島区役所(東京都、行政機関) ……………リノベーションスクール支援
(15) 鳥取市役所(鳥取県、行政機関)……………リノベーションスクール支援
(16) 鳥取家守舎(鳥取県、事業者)………………空き店舗の改修、活用
(17) ホンバコ(鳥取県、事業者) …………………空き店舗の活用
② 新大分土地㈱(大分県、事業者)……………空きビルの再生・活用
⑤ 九州工業大学(福岡県、支援機関)…………リノベーションスクール企画・運営
⑥ ㈱北九州家守舎(福岡県、事業者)…………空きビル再生 等
地域資源の活用
(6) 奈良市役所(奈良県、行政機関) ……………町家の再生・活用支援
(11) 倉敷市役所(岡山県、行政機関) …………町家・古民家の再生・活用支援
(23) 町屋ゲストハウス三輪(奈良県、事業者)……町家の活用
(24) 智頭町役場(鳥取県、行政機関) …………空き施設等の活用支援
(25) 特定非営利活動法人ぬまくま民家を大切にする会(広島県、事業者)
…………古民家・空き工場活用
(26) 一般社団法人おんなたちの古民家(山口県、事業者)…古民家再生・活用
(28) 枚方市役所(大阪府、行政機関) …………町家改修支援
(30) 一般社団法人ノオト(兵庫県、事業者)………古民家再生等
(36) 特定非営利活動法人尾道空き家再生プロジェクト(広島県、事業者)…古民家再生
④ 豊後高田市観光まちづくり㈱(大分県、事業者)…古い商店街再生・活用
起業支援
(18) 特定非営利活動法人てごねっと石見(島根県、事業者)
…………ビジネスプランコンテストでの支援
(19) 江津商工会議所(島根県、支援組織) ………創業計画、融資、労務支援
(21) ㈱まちあい徳山(山口県、事業者) …………サポートセンターによる支援
(29) 枚方宿地区まちづくり協議会(大阪府、支援組織)…くらわんか五六市の運営
(34) ㈱紫式部(東京都、支援機関) ………………ブックカフェ開業支援
② 新大分土地㈱(大分県、事業者) ……………入居費用負担軽減
地域産業の活用
(8) 京都府住宅供給公社(京都府、事業者)………アート関連店舗の集積
(20) 児島商工会議所(岡山県、支援組織) ………ジーンズ業者の空き店舗活用支援
↑
訪問先番号
↑
組 織 名 (所 在 地 、 区 分 )
↑
事業概要
(1 ) ~ (3 6 ) は 事 例 調 査 訪 問 先 、 ① ~ ⑥ は 他 地 域 事 例 視 察 訪 問 先
- 54 -
a.定住・雇用促進に繋がるリノベーション
定 住 や 雇 用 促 進 に 繋 が る リ ノ ベ ー シ ョ ン と し て 、 居 住 環 境 (景 観 、治 安 等 )の 改 善
と 移 住 ・定 住 促 進 等 の た め の 未 利 用 不 動 産 の 利 活 用 に 関 す る も の が あ げ ら れ る 。
具体的には、①空き家を改修して間取り・水回り等を改善して、その流通促進
を図る、②中古住宅をリフォームして環境対応に変える、③団地の空き家や空き
地を交流拠点や公園として活用する等により、居住環境等を改善するとともに、
④移住・定住者向けに空き家を整備する、⑤工場空き地を介護・福祉施設、商業
施設や分譲住宅等に変える等を通じて、定住促進・都市機能の充実・就業機会の
拡大を図り、エリア価値の向上と雇用促進に繫がることが期待される。
定住や雇用促進に繋がるリノベーションの課題としては、政策的な対応(自治
体 の 部 局 間 の 連 携 等 )、不 動 産 事 業 者 の 意 識( 改 装 等 へ の 積 極 的 な 関 与 等 )、流 通 ・
活 用 に む け た 不 動 産 所 有 者 の 意 識 ( 未 利 用 不 動 産 の 利 活 用 へ の 積 極 的 な 対 応 )、 推
進 体 制 ( 専 門 家 と の 連 携 等 )、 土 地 ・ 建 物 の 立 地 ・ 権 利 関 係 ( 相 続 登 記 等 ) 等 が あ
げられる。
ヒ ア リ ン グ 事 例 で は 、 空 き 家 ・町 家 バ ン ク で の マ ッ チ ン グ へ の 自 治 体 の 積 極 的 な
関 与 、所 有 者 ・地 元 住 民 と の 連 携 ・折 衝 等 を 通 じ て 、定 住 促 進 が 図 ら れ る と と も に 、
空き家の流通にも繋がっている。
定住や雇用促進に繋がるリノベーションの具体的な事例は以下のとおり。
●居住環境の改善のためのリノベーション
大都市圏
集合住宅の改修(都市再生機構、京都府住宅供給公社)
循環型団地の形成(山万㈱)
住宅リフォーム(日本住宅流通㈱)
地方都市
住宅リフォーム(㈱マエダハウジング)
郊外型団地の空き家活用(富士見が丘団地連合会)
空 き 家 改 修 支 援 (N P O 法 人 尾 道 空 き 家 再 生 プ ロ ジ ェ ク ト )
中山間地域
空き家改修支援(綾部市役所、智頭町役場)
居住用古民家の再生(NPO法人ぬまくま民家を大切にする会)
●移住・定住促進のための空き家の利活用・再生
大都市圏
空き家の改修・活用(京都市役所)
地方都市
空き家バンクの運営(呉市役所、大分市役所、廿日市市役所、岡
山県庁)
中山間地域
古民家改修による流通促進(綾部市役所、智頭町役場)
- 55 -
●その他(流通支援等)
大都市圏等
空き家対策等の動向(㈱富士通総研)
空きスペースの紹介・活用(㈱スペースマーケット)
D I Y 住 宅 の 紹 介 ( CITYLIGHTS)
大都市圏
空き家の流通支援(京都市役所)
中山間地域
交流促進・廃校利用(NPO法人里山ねっと・あやべ)
また、高齢者の居住環境向上に向けた事例として、以下のようなものがある。
静 岡 県 南 伊 豆 町 で は 、大 都 会 の 自 治 体 (東 京 都 杉 並 区 )と 連 携 し て 高 齢 者 対 策 に 取
り 組 ん で お り 、 杉 並 区 の 特 別 養 護 老 人 ホ ー ム が 平 成 29 年 度 に 南 伊 豆 町 に 開 設 さ れ
る 予 定 で あ る 。ま た 、南 伊 豆 町 と 杉 並 区 は ワ ー プ ス テ イ と い う 5 年 間 の お 試 し 移 住
を 推 進 し 、杉 並 区 に 家 を 持 つ 人 が 自 分 の 家 を 5 年 間 の 定 期 借 地 権 で 貸 し て 南 伊 豆 町
に 5 年間住むという運動を始めている。
東 京 都 世 田 谷 区 の 笑 恵 館 で は 、高 齢 者 が 住 む 自 宅 を シ ェ ア ハ ウ ス 風 に 改 造 す る 取
組 が 行 わ れ て い る 。100 坪 程 あ る 敷 地 を 活 用 し た も の で 、オ ー ナ ー は い つ ま で も 地
域 の 人 た ち と 楽 し く 暮 ら し た い と 考 え 、子 育 て 相 談 セ ミ ナ ー や 子 供 が 自 由 に 遊 べ る
ようにしている。
高 齢 者 は 1 ヵ 所 に ま と ま っ て も ら っ た 方 が よ い と い う 考 え 方 は あ る が 、こ こ で は
居 住 者 が 住 み や す く す る た め に 、空 き 家 を ど う 活 用 す る か を 考 え 、世 代 交 流 で 最 後
ま で 自 宅 で 暮 ら す こ と を 目 指 し て い る 。今 後 、こ の よ う な 多 世 代 型 シ ェ ア ハ ウ ス が
普及していくと考えられる。
図 4. 3
空き家
(一般住宅)
定住・雇用促進に繋がるリノベーション
リ ノベ ー シ ョ ン
居 住 者 の 生 活 環 境 の 改 善 ( 水 回 り、 間 仕 切 り 等 )
(付 加 価 値 の向 上 )
移 住 者 ・ 定 住 者 への 住 宅 としての 提 供
なお、㈱日本介護福祉グループ(東京都)では、空き家をオーナーから借りて、
リ ノ ベ ー シ ョ ン し て デ イ サ ー ビ ス を 行 う ビ ジ ネ ス モ デ ル を 構 築 し 、フ ラ ン チ ャ イ ズ
化 し て い る 。空 き 家 を デ イ サ ー ビ ス 施 設 と し て 利 用 す る こ と で 、認 知 症 患 者 等 に 自
宅に近い居住環境が提供されている。
b.産業振興に繋がるリノベーション
産 業 振 興 に 繋 が る リ ノ ベ ー シ ョ ン と し て 、商 店 街 活 性 化 や 観 光 振 興 を 目 的 と す る
未利用不動産の利活用に関するものがあげられる。
- 56 -
具 体 的 に は 、① リ ノ ベ ー シ ョ ン に よ る ま ち づ く り( 36 ペ ー ジ 参 照 )、② 地 域 資 源
の活用、③地域産業の活用、④起業支援等との組合せによる未利用不動産の利活
用が進められている。
産 業 振 興 に 繋 が る リ ノ ベ ー シ ョ ン の 課 題 と し て 、流 通・活 用 に む け た 不 動 産 所 有
者 の 意 識 ( 未 利 用 不 動 産 の 利 活 用 へ の 積 極 的 な 対 応 )、 推 進 体 制 ( 専 門 家 と の 連 携
等 )、土 地 ・ 建 物 の 立 地 ・ 権 利 関 係( 相 続 登 記 等 )、規 制 へ の 対 応( 建 築 基 準 法 等 へ
の 対 応 等 )、情 報 発 信( 起 業 家 へ の 情 報 発 信 等 )、事 業 者 の 意 識( 収 益 向 上 に 向 け た
継続的な取組等)等があげられる。
事 例 調 査 の 対 象 事 例 で は 、リ ノ ベ ー シ ョ ン 推 進 事 業 者 等 に よ る 起 業 支 援 を 通 じ た
空 き 店 舗 活 用 、メ デ ィ ア・フ ェ イ ス ブ ッ ク 等 の 活 用 、ボ ラ ン テ ィ ア の 活 動 等 を 通 じ
て、賑わいの創出が図られている。
産業振興に繋がるリノベーションの具体的な事例は以下のとおり。
●まちづくりのための空き店舗・空きビル等の再生・付加価値向上
<大都市圏>
リノベーションスクール支援 (豊島区役所、九州工業大学)
町家の活用と空きビルのリノベーション(枚方宿地区まちづくり協議会)
空きビル等のリノベーション(㈱北九州家守舎、新大分土地㈱)
<地方都市>
空き店舗の改修・活用(鳥取市、鳥取家守舎)
● 地 域 資 源 と し て 活 用 、あ る い は 地 域 資 源 活 用 の た め の 拠 点 と し て 利 用 す る た め
の古民家・町家の再生
<大都市圏>
京町家等を活用したまちづくり活動拠点整備等への支援(京都市役所)
町家の再生・商業施設等への活用に向けた支援(奈良市役所、枚方市役所)
<地方都市>
古民家の再生・宿泊施設としての活用(一般社団法人ノオト)
町家・古民家の再生・商業施設等への活用に向けた支援(倉敷市役所)
昭和のまちづくり再生・活用に向けた事業(豊後高田市観光まちづくり㈱)
古民家の再生・宿泊施設等での活用(尾道空き家再生プロジェクト)
<中山間地域>
町家の再生・ゲストハウスとしての活用(町家ゲストハウス三輪)
古 民 家 の 再 生 ・ 6次 産 業 化 拠 点 等 と し て の 活 用 ( お ん な た ち の 古 民 家 )
- 57 -
●起業支援を通じた産業振興等のための空き店舗等の再生
<大都市圏>
くらわんか五六市による起業支援(枚方宿地区まちづくり協議会)
空 き 家 等 を 活 用 し た ブ ッ ク カ フ ェ の 開 業 等 の 支 援 ( 注 ) (㈱ 紫 式 部 )
(注 )地 方 都 市 でも実 施
<地方都市>
ビジネスプランコンテスト支援(NPO法人てごねっと石見)
創業計画・融資・労務支援(江津商工会議所)
サポートセンターによる支援(㈱まちあい徳山)
●地域産業の活用による商店街活性化のための空き店舗等のリノベーション
<大都市圏>
西陣織に因んだアート関連店舗の集積(京都府住宅供給公社)
<地方都市>
ジーンズ業者の空き店舗活用支援(児島商工会議所)
●その他
<地方都市>
空き店舗の活用による起業(ホンバコ)
<中山間地域>
空き施設を活用したカフェ等の運営支援(智頭町役場)
空 き 工 場 を 活 用 し た 6次 産 業 化 事 業 ( N P O 法 人 ぬ ま く ま 民 家 を 大 切 に す る 会 )
図 4. 4
産業振興に繋がるリノベーション
リ ノベ ー シ ョ ン
(付 加 価 値 の向 上 )
空きビル・空き店舗
商 業 機 能 ・ 集 客 機 能 の 充 実 により 中 心 市 街 地 を 活 性 化
リ ノベ ー シ ョ ン
(用 途 変 更 、付 加 価 値 の向 上 )
空き家
(古民家・町屋)
起業支援
空き店舗
地 域 産 業 の集 積
観 光 施 設 ・ 宿 泊 施 設 としての 活 用 により地 域 産 業 を活 性 化
起 業 に空 き店 舗 を活 用
リ ノベ ー シ ョ ン ( 付 加 価 値 の 向 上 )
新 規 出 店 に空 き店 舗 を活 用
- 58 -
商 業 機 能 ・集 客 機 能 の充 実 ・
賑 わ いの 創 出 により 中 心 市 街
地 を活 性 化
c.定住・雇用促進や産業振興に繋がるリノベーション
●未利用不動産の流通促進のためのリノベーション
<大都市圏等>
空きスペースの紹介・活用(㈱スペースマーケット)
D I Y 住 宅 の 紹 介 ( CITYLIGHTS)
<地方都市>
工場跡地の公共施設等での活用(岡山市東区役所)
<中山間地域>
空き施設への企業誘致(智頭町役場)
図 4. 5
定住・雇用促進や産業振興に繋がるリノベーション
リ ノベ ー シ ョ ン
(用 途 変 更 、付 加 価 値 の向 上 )
空き工場・空き施設
集 客 機 能 ・ 生 産 機 能 の 充 実 により 産 業 振 興 と 定 住 ・ 雇 用 促 進
4.2.2.空き家・空き店舗等の活用が進んでいる事例
a.定住促進に繋がる事例
空き家の活用・再生が定住に繋がっている事例をみると、
・住民のライフスタイルに合わせた居住環境提供
・古民家の特徴を活かした居住環境改善
等
の取組が定住促進に繋がり、その手段の一つとして、空き家のリノベーション
が活用されている。
<住民のライフスタイルに合わせた居住環境提供>
㈱ 山 万 の ユ ー カ リ が 丘 団 地( 千 葉 県 佐 倉 市 : 7200世 帯 、18千 人 )で は 、古 い 住
居 は リ ノ ベ ー シ ョ ン し て 、若 い 人 向 け に 低 価 格 で 販 売 す る 一 方 で 、高 齢 者 向 け の
施 設 整 備 を 行 う 等 、団 地 全 体 で の 住 民 ニ ー ズ に 対 応 し た 循 環 サ ー ク ル を 構 築 し て
い る ( 28ペ ー ジ 参 照 ) 。
㈱ マ エ ダ ハ ウ ジ ン グ ( 広 島 県 府 中 町 : 従 業 員 60人 ) は 、 広 島 市 や 府 中 町 等 で 、
リフォームを前提とした不動産事業と中古物件をリノベーションする事業を展
開 し 、30代 を 中 心 と す る 中 古 物 件 の リ フ ォ ー ム ニ ー ズ に 対 応 し て 業 績 を 拡 大 し て
い る 。 ま た 、 協 力 業 者 会 ( 職 人 等 50人 が 参 加 ) の 協 力 を 得 て 、 1,680軒 の 顧 客 の
リ ピ ー ト に 対 応 す る と と も に 、定 期 的 な 中 古 リ ノ ベ ー シ ョ ン セ ミ ナ ー 開 催 や リ ノ
ベーション冊子を発行し、新規顧客開拓に取り組んでいる。
- 59 -
<古民家の特徴を活かした居住環境改善>
N P O 法 人 ぬ ま く ま 民 家 を 大 切 に す る 会( 広 島 県 福 山 市:会 員 役 100人 )で は 、
沼 隈 町 横 倉 地 区( 通 称 、平 家 谷 )の 築 300~ 400年 の 古 民 家 集 落( 40軒 以 上 )を 改
修し、その居住環境を改善するとともに、歴史的集落の保存にも貢献している。
古 民 家 の 改 修 に は 、古 材 を 使 い 、古 い 建 物 の 建 築 技 術 を 有 す る 地 元 の 工 務 店 の 協
力を得て、その伝統技術の保存にも役立っている。
ま た 、 古 民 家 で の イ ベ ン ト 開 催 等 の 地 域 お こ し や 柿 渋 を 使 っ た 6次 産 業 化 に も
取り組んでいる。
図 4. 6
定 住 促 進 に 係 る 未 利 用 不 動 産 の 活 用 事 例 ( 1 )( 事 例 調 査 よ り )
住 民 の ラ イフ スタイ ルに 合 わ せ た 居 住 環 境 提 供
(大 都 市 周 辺 部 )
↓
空 き 家 の 活 用 、定 住 促 進
事例:㈱山万 ユーカリが丘団地
【 ハ ッ ヒ ゚ー サ ーク ルシ ス テム 】
㈱マエダハウジング
【 リ フ ォ ーム ニ ース ゙ へ の 対 応 】
古民家の特徴を活かした居住環境改善
(中 山 間 地 域 )
↓
空 き 家 の 活 用 、賑 わ い の 創 出 、 定 住 促 進
事 例 : NPO法 人 ぬ ま く ま 民 家 を 大 切 に す る 会
【 築 3 0 0 ~ 40 0 年 の 古 民 家 集 落 の 改 修 】
<取 組 体 制 >
<取 組 体 制 >
事 業 者 グループ
連携
地 場 の施 工
業者
事業者
支援
支援
支援
地域住民
連携
地域住民
NPO
支援
( 注 )【 】 は 特 徴 的 な 取 組 や キ ー ワ ー ド
上 記 の 事 例 で は 、住 宅 の 居 住 環 境 の 改 善 等 に よ り 、定 住・移 住 に 繋 が っ た 成 功
事例として位置付けられ、いずれの事例でも、専門家や関係先等の協力を得て、
きめ細かいユーザーニーズに対応している。
<交流拠点や各種支援策を活用した定住促進>
綾 部 市 ( 京 都 府 、 人 口 35 千 人 ) で は 、 空 き 家 バ ン ク 、 定 住 希 望 者 相 談 活 動 、
空 き 家 管 理 者 登 録 制 度 、定 住 支 援 住 宅 、定 住 者 へ の 融 資 制 度 等 の 様 々 な 定 住 促 進
メ ニ ュ ー を 提 示 し て 、 関 西 方 面 を 中 心 と す る 定 住 者 を 受 け 入 れ て い る ( 45 ペ ー
ジ参照)。
N P O 法 人 里 山 ね っ と・あ や べ が 廃 校 を 利 用 し て 、貸 し 部 屋 、宿 泊 等 の 施 設 管
理 を 行 い 、交 流 機 能 を 担 っ て い る 。当 該 施 設 は 、地 元 住 民 の サ ー ク ル や 大 学 生 の
合 宿 等 に 定 期 的 に 利 用 さ れ 、 そ の 施 設 利 用 者 ( 平 成 25 年 度 ) は 約 9 千 人 で 、 増
加傾向が続いている。
- 60 -
図 4. 7
定 住 促 進 に 係 る 未 利 用 不 動 産 の 活 用 事 例 ( 2 )( 事 例 調 査 よ り )
交流拠点や各種支援策を活用した定住促進
(中 山 間 地 域 )
↓
空 き 家 の 活 用 、定 住 促 進
事 例 : 綾 部 市 、 NPO法 人 里 山 ね っ と ・ あ や べ
【定住促進条例と定住交流部の創設】
<取 組 体 制 >
市役所
連携
支援
NPO
支援
定住希望者
( 注 )【 】 は 特 徴 的 な 取 組 や キ ー ワ ー ド
b.産業振興に繋がる事例
空 き 家・空 き 店 舗 等 の 活 用 が 産 業 振 興 に 繋 が っ て い る 事 例 で は 、そ れ ぞ れ の 地
域で
・リノベーションまちづくりの推進
・起業支援を通じた人材誘致・店舗誘致
・地域産業を活かした店舗誘致
・地域資源を活かした企業誘致・地域振興
等
に 関 す る 継 続 的 な 取 組 が 行 わ れ て お り 、そ の な か で 空 き 家・空 き 店 舗 が 利 活 用 さ
れ、中心市街地活性化や定住促進に向けた一定の成果に繋がっている。
こ れ ら の 取 組 の 中 で 、「 起 業 支 援 を 通 じ た 人 材 誘 致 ・ 店 舗 誘 致 」、「 地 域 産 業
を 活 か し た 店 舗 誘 致 」に つ い て は 、そ の 取 組 が 行 わ れ る こ と に よ っ て 、空 き 店 舗
等の活用やリノベーションが生まれている。
一 方 、「 リ ノ ベ ー シ ョ ン ま ち づ く り の 推 進 」、「 地 域 資 源 を 活 か し た 企 業 誘 致 ・
地 域 振 興 」で は 、未 利 用 不 動 産( 空 き 店 舗 、空 き ビ ル 、古 民 家 )を 重 要 な 手 段 と
し て 活 用 し て 、観 光 等 の 産 業 が 振 興 さ れ 、そ れ に よ り 、未 利 用 不 動 産 の 活 用 が 進
むという好循環が果たされている。
<リノベーションまちづくりの推進>
鳥 取 市 役 所・鳥 取 家 守 舎 は 、鳥 取 県 の 協 力 も 得 て 、全 国 的 に 展 開 さ れ て い る リ
ノ ベ ー シ ョ ン ス ク ー ル の 開 催 等 に よ る 空 き ビ ル・空 き 店 舗 の 活 用 を 通 じ て 、リ ノ
ベ ー シ ョ ン ま ち づ く り に 取 り 組 ん で い る 。ま た 、東 京 都 豊 島 区 役 所 で は 、区 役 所
- 61 -
が 先 導 す る 形 で 、リ ノ ベ ー シ ョ ン ス ク ー ル と リ ノ ベ ー シ ョ ン ま ち づ く り に 取 り 組
んでいる。
いずれも、それぞれの地域の中心市街地等の空きビル・空き店舗を選定して、
全 国 か ら リ ノ ベ ー シ ョ ン に 関 心 の あ る 人 が 集 ま り 、そ の 活 用 方 策 を グ ル ー プ で 検
討 し 、所 有 者 に 公 開 で 提 言 す る も の で 、具 体 的 な 事 業 へ の 取 組 事 例 が 生 み 出 さ れ
て い る 。従 来 型 の 補 助 金 に 頼 る 中 心 市 街 地 活 性 化 へ の 取 組 と 異 な り 、自 主 的 な 事
業 展 開 を 目 指 し て お り 、全 国 で リ ノ ベ ー シ ョ ン ま ち づ く り の 取 組 が 広 が っ て い る 。
<起業支援を通じた人材誘致・店舗誘致>
N P O 法 人 て ご ね っ と 石 見( 島 根 県 江 津 市 )、㈱ ま ち あ い 徳 山( 山 口 県 周 南 市 )、
枚 方 宿 地 区 ま ち づ く り 協 議 会( 大 阪 府 枚 方 市 )で は 、起 業 支 援 を 通 じ た 人 材 育 成・
店舗誘致を行っている。
N P O 法 人 て ご ね っ と 石 見 で は 、中 心 市 街 地 の 空 き 店 舗 等 を 使 っ た ビ ジ ネ ス プ
ラ ン コ ン テ ス ト を 行 い 、優 勝 者 に は 、賞 金 を 渡 す と と も に 、江 津 市 や 江 津 商 工 会
議 所 等 の 支 援 の 下 で 、 最 低 1年 間 は 市 内 で 活 動 し て も ら う こ と に し て い る 。 さ ら
に起業塾等も開催し、起業を目指す若者たちが全国から集まっている。
㈱ ま ち あ い 徳 山 で は 、出 店 サ ポ ー ト セ ン タ ー と い う 組 織 で 、ハ ー ド ル の 低 い 創
業 の 前 処 理 ( フ ロ ン ト エ ン ド ) の 支 援 等 を 行 な い 、 4年 間 で 40店 舗 の 出 店 に 繋 が
っ て い る 。さ ら に 、中 心 市 街 地 の 空 き ビ ル の リ ノ ベ ー シ ョ ン に も 取 り 組 ん で い る 。
枚 方 宿 地 区 ま ち づ く り 協 議 会 で は 、昔 の 宿 場 町 の 町 屋 を 活 用 し て 起 業 す る 人 や
そ の 事 業 性 を 見 極 め る 場 と し て 「 く ら わ ん か 五 六 市 ( ご ろ く い ち )」 を 平 成 19年
か ら 月 1回 開 催 し 、 現 在 、 200店 舗 以 上 が 出 店 し 、 毎 回 5千 人 程 度 の 集 客 が あ る ま
で に 拡 大 し 、出 店 者 の 一 部 が 、リ ノ ベ ー シ ョ ン さ れ た 町 家 や 貸 ビ ル 等 に 入 居 し て
いる。
㈱ 紫 式 部 は 、ブ ッ ク カ フ ェ を 地 方 の 自 治 体 が 抱 え る 、様 々 な 社 会 問 題 を 解 決 す
る ソ ー シ ャ ル ビ ジ ネ ス と し て 位 置 づ け 、日 本 ブ ッ ク カ フ ェ 協 会 を 主 催 し 、ブ ッ ク
カフェを開業したい人の支援を行っている。支援内容としては、立地条件分析、
カ タ ロ グ 等 の デ ザ イ ン ・ 印 刷 、W E B 構 築 、助 成 金 、ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ 支
援等があり、コミュニティビジネスを始めたい人達の不安解消に役立っている。
- 62 -
図 4. 8
産 業 振 興 に 係 る 未 利 用 不 動 産 の 活 用 事 例 と 推 進 体 制 ( 1 )( 事 例 調 査 よ り )
リノベーションまちづくりの推進
(大都市圏、地方都市の中心部)
↑↓
空 き 店 舗 ・ 空 き ビ ル の 活 用 → 中 心 市 街 地 活 性 化
事 例 : 鳥 取 市 役 所 ・ 鳥 取 家 守 舎 、豊 島 区 役 所
【 リ ノヘ ゙ ーシ ョ ンス ク ール 】
起業支援を通じた人材誘致・店舗誘致
(地 方 都 市 の 中 心 部 )
↓
空き店舗・空き家の活用 →定住促進
事 例 : NPO法 人 て ご ね っ と 石 見
【 ヒ ゙シ ゙ ネス フ ゚ラ ン コン テ スト 】
㈱ ま ち あ い 徳 山 【 出 店 サ ポ ー トセ ン ター 】
枚方宿地区まちづくり協議会
【くらわんか五六市】
<取 組 体 制 >
<取 組 体 制 >
支援
行政
支援
家守会社
不 動 産 オーナー
ナー
リノ ベ ーシ ョン スク ール
運営会社
行政
支援
支援
連携
商工会議所
まち づ く り
会社等
連携
( 注 )【 】 は 特 徴 的 な 取 組 や キ ー ワ ー ド
<地域産業を活かした店舗誘致>
児 島 商 工 会 議 所( 岡 山 県 倉 敷 市 )で は 縫 製 業( ジ ー ン ズ )、京 都 府 住 宅 供 給 公
社( 京 都 府 京 都 市 )で は 西 陣 織 と い う 伝 統 産 業 を 活 か し た 店 舗 誘 致 を 行 い 、コ ン
セプトに基づいた商業集積を実現している。
児 島 地 区 は 、ジ ー ン ズ の 国 内 シ ェ ア の 3~ 4割 を 占 め る が 、児 島 商 工 会 議 所 で は 、
平 成 21年 に ジ ー ン ズ ス ト リ ー ト 推 進 協 議 会 を 発 足 さ せ 、ア パ レ ル 関 係 の 企 業 誘 致
を 通 じ て 、 当 初 3店 舗 し か な か っ た ジ ー ン ズ シ ョ ッ プ が 30店 舗 に 拡 大 し 、 年 間 10
万人の集客を達成している。
京 都 府 住 宅 公 社 は 、西 陣 織 の 産 地 に 近 い 古 い 店 舗 付 集 合 住 宅 を 改 装 し 、ア ー ト
と 交 流 を テ ー マ に し た 店 舗 の 誘 致 や 、京 都 国 際 現 代 芸 術 祭 の 会 場 の 一 つ と し て 利
用 す る 等 の 取 組 を 行 な い 、ア ー ト を 理 解 す る 住 民( ア ー テ ィ ス ト や 職 人 等 )を 入
居させている。
<地域資源を活かした企業誘致・地域振興>
智 頭 町 役 場 ( 鳥 取 県 智 頭 町 ) は 、「 杉 の ま ち 」と し て 知 ら れ て お り 、「 木 や 森
林 」と い う 地 域 イ メ ー ジ を 活 か し て 、鳥 取 県 と 鳥 取 市 と 連 携 し 、企 業 誘 致 や 店 舗
誘 致 を 行 う と と も に 、空 き 家 等 の 改 修 費 負 担 等 の 定 住・移 住 施 策 を 積 極 的 に 展 開
し 、平 成 21年 度 か ら 22世 帯 の 移 住 を 実 現 さ せ て い る 。そ の 移 住 者 の 多 く が 、智 頭
町 の N P O が 運 営 す る「 森 の よ う ち え ん 」( デ ン マ ー ク 発 祥 の 教 育 ス タ イ ル )に
関係しており、フリースクールが設置される等、その規模も拡大している。
- 63 -
一 般 社 団 法 人 お ん な た ち の 古 民 家 ( 山 口 県 山 口 市 ) は 、 山 口 市 阿 東 町 の 築 200
年 の 古 民 家 を 取 得 し て 、古 民 家 再 生 の モ デ ル ハ ウ ス と し て 改 修 す る と と も に 、宿
泊 施 設 や 拠 点 施 設 と し て 活 用 し 、山 口 県 を 中 心 に 古 民 家 再 生 の プ ロ デ ュ ー ス を 行
っ て い る 。 あ わ せ て 、 地 元 の 4農 家 と 企 業 組 合 を 作 り 、 米 の 生 産 や 空 き 家 管 理 等
を 行 っ て い る 。さ ら に 、米 粉 ス イ ー ツ 2種 類 に つ い て 6次 産 業 化 の 事 業 認 定 を 受 け
る等、地域資源を活用した幅広い取組を行っている。
倉 敷 市 役 所( 岡 山 県 倉 敷 市 )で は 、中 心 市 街 地 活 性 化 基 本 計 画 等 に 基 づ き 、高
梁 流 域 や 美 観 地 区 を 町 屋・古 民 家 の 再 生 拠 点 に す る 取 組 を 行 っ て い る 。美 観 地 区
で は 、所 有 者 に 特 別 目 的 会 社 の 代 表 に な っ て も ら い 、外 部 か ら 入 っ て く る 人 に は
街 中 の ル ー ル を 守 っ て も ら う 等 の 取 組 を 通 じ て 、民 間 活 力 に よ る 賑 わ い 創 出 等 に
繋げている。
一 般 社 団 法 人 ノ オ ト( 兵 庫 県 篠 山 市 )で は 、古 民 家 や 歴 史 的 建 造 物 の 再 生 に 取
り 組 ん で お り 、平 成 21年 の 設 立 以 降 、歴 史 的 建 造 物 50棟 の 再 生 を 行 っ て い る 。さ
ら に 、国 家 戦 略 特 区 で の 規 制 緩 和 等 に 対 応 し た 古 民 家 や 土 蔵 を 使 っ た 宿 泊 施 設 整
備 を 行 い 、 人 の 誘 客 ・ 創 客 を 図 る た め に 、 丹 波 ・ 但 馬 4市 の 宿 泊 施 設 等 が 連 携 し
て NIPPONIAブ ラ ン ド の 旅 館 ・ ホ テ ル グ ル ー プ の 事 業 展 開 を 進 め て い る 。
特 定 非 営 利 活 動 法 人 尾 道 空 き 家 再 生 プ ロ ジ ェ ク ト ( 広 島 県 尾 道 市 ) で は 、 8年
前 か ら 古 民 家 再 生 に 取 り 組 み 、尾 道 市 中 心 部 の 古 民 家 20軒 の 再 生 を 行 い 、尾 道 市
の 空 き 家 バ ン ク の 管 理 委 託 等 の 取 組 を 行 っ て い る 。 当 法 人 の 会 員 は 207人 で 、 空
き 家 の 再 生 に ボ ラ ン テ ィ ア と し て 参 加 し 、残 っ た 荷 物 の 処 理 は 、所 有 者 の 許 可 を
得て、蚤の市を開催して、参加者に持ち帰ってもらい、投げ銭をしてもらう等、
効率的な取組を行っている。
図 4. 9
産 業 振 興 に 係 る 未 利 用 不 動 産 の 活 用 事 例 と 推 進 体 制 ( 2 )( 事 例 調 査 よ り )
地域産業を活かした店舗誘致
(大 都 市 圏 、 地 方 都 市 の 中 心 部 )
↓
空き店舗の活用 →中心市街地活性化
事 例 : 児 島 商 工 会 議 所 【 ジーンズストリート】
京 都 府 住 宅 供 給 公 社 【 西 陣 織 と アート】
<取 組 体 制 >
支援
行政
支援
商店街
活性化協議会
地域資源を活かした企業誘致・地域振興
(地方都市・中山間地域の中心部)
↑↓
空 き 店 舗 ・古 民 家 の 活 用 → 定 住 促 進
事例:鳥取県智頭町役場【森のようちえん】
(一 社 )お ん な た ち の 古 民 家
【古民家を拠点とする地域振興】
倉敷市【古民家を活用した観光振興】
( 一 社 )ノ オ ト 【 古 民 家 を 宿 泊 施 設 に 再 生 】
N PO 法 人 尾 道 空 き 家 再 生 プ ロ ジ ェ ク ト
【 ボ ラ ンテ ィ ア を 活 用 し た 古 民 家 再 生 】
連携
<取 組 体 制 >
商工会議所
行政
支援
民間事業者
支援
連携
地域住民
( 注 )【 】 は 特 徴 的 な 取 組 や キ ー ワ ー ド
- 64 -
以 上 の よ う な 取 組 事 例 は 、い ず れ も 地 方 都 市 や 中 山 間 地 域 の 中 心 部 等 で 、行 政
機 関 や 民 間 事 業 者 等 の 連 携 と 粘 り 強 い 取 組 に よ り 、一 定 の 成 果 が も た ら さ れ た 成
功事例と考えられる。
し か し 、中 心 市 街 地 活 性 化 基 本 計 画 の 認 定 等 に よ る 行 政 支 援 に 依 存 し て い る 地
域も多く、まだ民間事業者による自立した取組になっている事例は少ない。
4.2.3.事例調査の対象事例において生み出された成果
事例調査の対象事例では、リノベーションの取組により、以下のような成果
が生み出されている。
a.定住促進での成果
●社会減の抑制
・ 大 分 県 豊 後 高 田 市 ( 人 口 23 千 人 : 平 成 27 年 3 月 ) で は 、 社 会 増 ( 平 成 20
年 度 ▲ 167 人 → 26 年 度 +83 人 ) を 達 成 。
●認知→交流→定住に繋がる取組
・ 京 都 府 綾 部 市 ( 人 口 36 千 人 : 平 成 22 年 10 月 )で は 、 平 成 20~ 26 年 度 の
定 住 者 数 が 324 人 に 達 し て い る 。
●住民の受入意識醸成
・ 大 分 県 大 分 市 の 富 士 見 が 丘 団 地 で は 、「 若 者 が 魅 力 を 感 じ や す い ま ち 」 を
目指した取組が行われ、その情報の共有と情報発信が行われている。
●居住満足度向上
・ 広 島 県 福 山 市 沼 隈 町 横 倉 地 域 周 辺 で は 、 N P O に よ る 古 民 家 再 生 (実 績 40
軒 以 上 )が 行 わ れ 、再 生 後 の 古 民 家 に 対 す る 住 民 満 足 度 が 極 め て 高 く 、例 外
なく「直して良かった」と評価されている。
b.雇用創出での成果
・ 鳥 取 県 智 頭 町 ( 人 口 8 千 人 : 平 成 22 年 10 月 ) で は 、 チ ョ コ レ ー ト 工 場 の
誘 致 に よ り 22 人 の 雇 用 創 出 が 図 ら れ た 。
c.地域環境・居住環境の改善
・千 葉 県 佐 倉 市 の ユ ー カ リ が 丘 団 地( 人 口 18 千 人:平 成 27 年 11 月 )で は 、
過 去 5 年 間 で 子 供 が 640 人 増 加 し た 。
d.賑わいの創出
●集客数の増加
・ 兵 庫 県 篠 山 市 の 丸 山 集 落 ( 12 軒 の う ち 7 軒 が 空 き 家 で あ っ た 集 落 ) で は 、
古 民 家 の リ ノ ベ ー シ ョ ン に よ り 、 年 間 800 人 が 宿 泊 す る よ う に な っ た 。
- 65 -
・大 分 県 豊 後 高 田 市 の 昭 和 の ま ち で は 、観 光 客 数 が 平 成 13 年 に は 2.5 万 人 だ
っ た が 、 平 成 26 年 に は 36 万 人 に 達 し た 。
●ボランティア等の支援者増加
・島根県江津市松平地区での民家をカフェにするワークショップイベントに
は 150 人 が 参 加 し た 。
・ 広 島 県 尾 道 市 の 古 民 家 再 生 を 目 的 と す る N P O の 会 員 ( 207 人 ) が ボ ラ ン
ティアで空き家の改修作業に関わっている。
●メディア等からの注目
・東京都新宿区の空きスペースを提供する企業では、メディアを有効に活用
している。
・東京都豊島区では、マスコミに取り上げてもらいやすい環境を、まちづく
りに活かそうとしている。
e.産業振興
●来街者数の増加
・岡山県倉敷市児島地区のジーンズストリートでは、5 年前の集客数は年間
7 千 人 で あ っ た が 、 現 在 は 年 間 10 万 人 が 訪 れ て い る 。
●起業・出店数の増加
・福岡県北九州市では、北九州家守舎による開業支援等が行われ、島根県江
津市では、ビジネスコンテストを活用した起業促進等が行われ、空き店舗
等の活用が進んでいる。
・山口県周南市の商店街では、まちづくり会社による出店サポート等を通じ
て 、 平 成 23 度 ~ 27 年 7 月 ま で に 40 店 舗 の 出 店 が あ っ た 。
●新しいビジネスモデル創出
・福岡県北九州市で始まったリノベーションスクール事業が全国で展開され
ている。
・東 京 都 板 橋 区 等 で は 、空 き 家 等 を 活 用 し た ブ ッ ク カ フ ェ が 運 営 さ れ て お り 、
コミュニティスペースとしても活用されている。
●6
次産業創出
・広島県福山市沼隈町で空き家再生を行うNPOが、近隣の空き工場施設等
を使った柿渋製造を行っている。
・山口県山口市阿東地区の企業組合では、空き家管理の他に、米粉スイーツ
の製造を行い、6 次産業の事業認定を受けている。
- 66 -
図 4.10
(a)定 住 促 進
・社 会 減 の抑 制
・認 知 →交 流 →定 住
・住 民 の受 入 意 識 醸 成
・居 住 満 足 度 向 上 等
リノベーションによる成果
<特 徴 的 な事 業 内 容 >
●改 修 可 能 物 件 の廉 価 での提 供
●民 間 企 業 との連 携 等 による集 合 住 宅 の改 修
●空 き家 ・町 家 バンクでのマッチングへの関 与
★若 者 移 住 ・定 住 のための各 種 支 援
●古 民 家 借 受 ・改 修 ・貸 付 事 業
●不 動 産 業 者 を活 用 した空 き家 ・空 き地 情 報 バンクの展 開 等
<特 徴 的 な方 策 >
●若 年 層 のリフォームニーズへの対 応 ・情 報 発 信
★地 権 者 ・施 工 業 者 等 との連 携 ・折 衝
●居 住 者 ニーズの把 握
●リフォーム住 替 えのシステム化 、顧 客 の囲 い込 み
●空 き家 活 用 推 進 員 ・地 域 の空 き家 相 談 員 を配 置
●古 民 家 借 受 のための支 援
★所 有 者 、地 元 住 民 との連 携 ・折 衝
●移 住 希 望 者 への改 修 業 者 の紹 介
●住 民 と行 政 職 員 が参 加 したワークショップの継 続 的 な開 催 等
<特 徴 的 な事 業 内 容 >
〇民 間 主 導 (リノベーションスクール)の空
(b)雇 用 創 出
きビル等 活 用
△大 手 デベロッパーを活 用 した店 舗
誘致 等
<特 徴 的 な方 策 >
〇地 域 資 源 を活 用 した店 舗 誘 致
●空 き家 管 理 等 の企 業 組 合 の設 立
等
(d)賑 わ い の 創 出
・集客数の増加
・ ボランティア等 の 支 援 者 増 加
・ メディア等 か ら の 注 目 等
(e)産 業 振 興
・来 街 者 数 の増 加
・起 業 ・出 店 者 数 の増 加
・新 しいビジネスモデル創 出
・6次 産 業 創 出 等
(e)地 域 環 境 ・居 住
環境の改善等
<特 徴 的 な事 業 内 容 >
●解 体 助 成 金 制 度 による解 体
支援
●多 世 代 型 シェアハウス
<特 徴 的 な方 策 >
●学 会 の研 修 会 を活 用
★著 名 人 の活 用
●大 学 と自 治 会 との連 携
<特 徴 的 な事 業 内 容 >
★空 きスペースのイベント向 けスポット貸 し
★町 屋 バンクの官 民 連 携 による運 営
〇リノベーションスクールによる空 き店 舗 活 用
〇起 業 支 援 を通 じた空 き店 舗 等 の活 用
〇地 域 コンセプトに基 づく空 き店 舗 の改 修 等
<特 徴 的 な方 策 >
★メディア・フェイスブック等 の活 用
★特 定 の入 居 者 (アート関 係 )の募 集
〇●特 定 目 的 会 社 による空 き店 舗 ・古 民 家 活 用
★ボランティアの活 用
★地 権 者 ・施 工 業 者 等 との連 携 ・折 衝
★地 元 住 民 との連 携 ・折 衝
★著 名 人 の活 用 等
<特 徴 的 な事 業 内 容 >
〇民 間 主 導 (リノベーションスクール)の空 きビル・空 き店 舗 活 用
〇起 業 支 援 を通 じた空 き店 舗 活 用
〇地 場 産 業 を活 かした空 き店 舗 活 用
△大 手 デベロッパーを活 用 した店 舗 誘 致
〇地 域 資 源 を活 用 した店 舗 誘 致
●ブックカフェによる空 き家 活 用 等
<特 徴 的 な方 策 >
★メディア・フェイスブック等 の活 用
〇実 践 家 、行 政 機 関 のアピールがうまい人 ・面 白 い人 の活 用
★クラウドファンディングの活 用
〇△6次 産 業 の振 興
〇空 き家 管 理 等 の企 業 組 合 の設 立
★著 名 人 の活 用
〇●古 民 家 等 の宿 泊 施 設 としての活 用
〇一 つだけでも成 功 事 例 を作 る等
(注 )★ 共 通 事 項 、 ● 空 き 家 (古 民 家 ・ 町 家 を 含 む )関 連 、 〇 空 き 店 舗 関 連 、 △ 空 き 工 場 ・ 跡 地 等
- 67 -
4.2.4.事例調査における主要な課題と対応策
事 例 調 査 に よ り 聴 取 し た リ ノ ベ ー シ ョ ン の 課 題 を 、目 的 別( 定 住 ・ 雇 用 促 進 関
連 、産 業 振 興 に 関 連 す る も の )に 分 け る と 、定 住 ・ 雇 用 促 進 と 産 業 振 興 に 繋 が る
リ ノ ベ ー シ ョ ン に 共 通 す る 課 題 が 重 要 と 考 え ら れ 、課 題 別 に 項 目 を 細 分 化 す る と
以下のとおりとなる。
●共通する課題
a.不 動 産 所 有 者 の 意 識 … ○ 未 利 用 不 動 産 の 活 用 に 積 極 的 で な い 所 有 者 が 多 い
( 70 ペ ー ジ 参 照 )
○よそものに貸すことへの抵抗感
○仏壇の取扱い
b.推 進 体 制
等
……………○商店街や町内会等の連携
( 71 ペ ー ジ 参 照 )
○専門家や職人の協力が必要
等
c.土 地 ・ 建 物 の 立 地 、 権 利 関 係 … ○ 相 続 登 記 が さ れ て い な い
( 73 ペ ー ジ 参 照 )
d.規 制 へ の 対 応
○駐車場が不足
等
………○建築基準法・消防法等の規制への対応
( 74 ペ ー ジ 参 照 )
e.金 融 機 関 の 意 識
( 75 ペ ー ジ 参 照 )
○農地の貸し借りへの対応
等
……○移住者、リノベーション推進事業者等への融資
○空き家等の資産価値の評価
○新業態への対応
等
●定住・雇用促進に繋がるリノベーションの課題
f.政 策 的 な 対 応
( 76 ペ ー ジ 参 照 )
… … … ○ 自 治 体 の 関 連 部 局 (定 住 担 当 、住 宅 担 当 等 )の 連 携
○自治体の空き家利活用への取組は限定的
○住民との合意に基づく取組
等
g.不 動 産 事 業 者 の 意 識 … ○ 販 売 を 優 先 し 、 改 修 に 消 極 的
( 77 ペ ー ジ 参 照 )
○利益優先の対応
○建築の知識等を持った人材が不足
○まちづくりの意欲
等
●産業振興に繋がるリノベーションの課題
h.情 報 発 信
……………○起業したい人への情報発信
( 79 ペ ー ジ 参 照 )
i.事 業 者 の 意 識
( 80 ペ ー ジ 参 照 )
j.地 域 の 生 活 環 境
○ 近 隣 住 民 へ の 対 応 ・情 報 発 信 (費 用 等 の 見 え る 化 )
………○収益向上等に向けた持続的な取組
○起業支援・収益性の見立ての力量
……○飲食店の出店による火災の懸念
等
等
( 81 ペ ー ジ 参 照 )
事 例 調 査 で 指 摘 さ れ た 課 題 の 件 数 を 整 理 す る と 、「 流 通 ・ 活 用 に む け た 不 動 産
所 有 者 の 意 識 」、
「 推 進 体 制 」、
「 規 制 へ の 対 応 」等 を あ げ る 企 業 や 自 治 体 等 が 多 い 。
- 68 -
図 4.11
リノベーションの課題(目的別、事例調査)
定住・雇用促進に繋がるリノベーション
(a) 政 策 的 な 対 応
●自 治 体 の空 き家 撤 去 や利 活 用 の取 組 は限 定 される
★自 治 体 の関 連 部 局 間 の連 携
●住 民 との合 意 に基 づく取 組
●郊 外 部 での住 環 境 ・子 育 て環 境 の維 持
△空 き公 共 施 設 をまとめて活 用
●補 助 金 の終 了 により事 業 縮 小
(b) 不 動 産 事 業 者 の 意 識
●不 動 産 事 業 者 は販 売 を優 先 し改 修 に消 極 的
●利 益 優 先 の対 応
●総 合 的 なコンサルティング能 力 が求 められる
(c) 流 通 ・ 活 用 に む け た 不 動 産 所 有 者 の 意 識
★不 動 産 所 有 者 は未 利 用 不 動 産 の利 用 方 法 を知 らない人 が多 い
●住 替 えにストレスがかかる
●空 き家 の流 通 の課 題 は仏 壇 の取 扱 である
●高 齢 者 の中 には不 動 産 事 業 者 への不 信 感 がある人 がいる
〇未 利 用 不 動 産 の活 用 に積 極 的 でない人 が多 い
〇不 動 産 所 有 者 がまちづくりの意 識 を持 っていない
〇店 舗 付 住 宅 の場 合 、住 宅 に住 む所 有 者 が空 き店 舗 の利 用 を好 まない
〇よそものに貸 すことへの抵 抗 感 がある
(d) 推 進 体 制
〇商 店 街 の活 性 化 は地 域 がまとまっていないと難 しい
★リノベーションや古 民 家 の再 生 には専 門 家 や職 人 が必 要
〇全 体 の方 向 性 等 について、意 見 が合 わない施 設 も出 ている
(e) 土 地 ・ 建 物 の 立 地 、 権 利 関 係
★相 続 登 記 がされていない
●間 口 が狭 い、傾 斜 地 に立 地
〇道 路 が狭 い
〇駐 車 場 が不 足
(f) 規 制 へ の 対 応
〇建 築 基 準 法 、消 防 法 等 の規 制 への対 応
●農 地 の貸 し借 りへの対 応 (農 地 法 )
●空 き家 所 有 者 の特 定 (個 人 情 報 保 護 法 )
(g) 金 融 機 関 の 意 識
〇新 業 態 への反 応 が鈍 い
〇融 資 の手 続 きに時 間 がかかる
〇リノベーション物 件 の評 価
●移 住 者 への融 資
★イニシャルコストへの支 援
(h) 情 報 発 信
●起 業 したい人 への情 報 発 信
●近 隣 住 民 への対 応 ・情 報 発 信
(i) 事 業 者 ( 店 舗 入 居 者 等 ) の 意 識
〇収 益 向 上 等 に向 けた持 続 的 な取 組
〇起 業 を目 指 す人 が集 まりにくい
(j) 地 域 の 生 活 環 境
〇高 齢 者 だけで活 気 がない
〇飲 食 店 の出 店 等 による火 災 の懸 念
産業振興に繋がるリノベーション
(注 )★ 共 通 事 項 、 ● 空 き 家 ( 古 民 家 ・ 町 家 を 含 む ) 関 連 、 〇 空 き 店 舗 関 連 、 △ 空 き 工 場 ・ 跡 地 等
- 69 -
a.流通・利活用にむけた不動産所有者の意識
定住・雇用促進や産業振興に繋がるリノベーションの課題として、不動産所
有者には、未利用不動産の流通・活用に前向きな意識を持つ人が少ないことが
あげられる。
その理由を居住用空き家と空き店舗等に分けてみると、居住用空き家では、
「 住 替 え に ス ト レ ス が か か る 」、「 仏 壇 の 取 扱 い 」 等 が あ る 。
ま た 、 空 き 店 舗 等 で は 、「 不 動 産 所 有 者 は 未 利 用 不 動 産 の 利 用 方 法 ( 用 途 変 更
の 可 能 性 ) を 知 ら な い 人 が 多 い 」、「 未 利 用 不 動 産 の 活 用 に 積 極 的 で な い 人 が 多
い 」、
「 不 動 産 所 有 者 が ま ち づ く り の 意 識 を 持 っ て い な い 」、
「店舗付住宅の場合、
住 宅 に 住 む 所 有 者 が 空 き 店 舗 の 利 用 を 好 ま な い 」、「 よ そ も の に 貸 す こ と へ の 抵
抗感がある」等が課題としてあげられている。
不 動 産 所 有 者 に 、未 利 用 不 動 産 の 流 通・活 用 に 向 け て 積 極 的 に 動 い て も ら う た
め に は 、「 空 き 家 ・ 空 き 店 舗 を ど う し た ら よ い か わ か ら な い 、 ど こ に 相 談 し た ら
よ い か わ か ら な い 、い く ら か か る か わ か ら な い 」等 の 不 動 産 所 有 者 の 様 々 な 不 安
を 解 消 す る こ と と 、空 き 家 等 の 流 通・活 用 に よ り 不 動 産 所 有 者 に 経 済 的 な メ リ ッ
トが生まれるかどうかが重要である。
不 動 産 所 有 者 の 不 安 解 消 に は 、公 的 な 機 関 か ら の 情 報 提 供 や 相 談 窓 口 の 開 設 等
に よ り 、空 き 家 等 の 流 通 支 援( マ ッ チ ン グ 等 )や 利 活 用 の 必 要 性 ・ メ リ ッ ト 等 を
粘り強く説明していく必要がある。
さ ら に 、行 政 機 関 や 民 間 の リ ノ ベ ー シ ョ ン 推 進 事 業 者( 流 通 ・ 活 用 を コ ー デ ィ
ネ ー ト す る 組 織 : 例 え ば 、リ ノ ベ ー シ ョ ン ま ち づ く り の 家 守 業 者 、ま ち づ く り 会
社 、不 動 産 事 業 者 等 )が 連 携 し て 、そ の 流 通 ・ 活 用 に イ ン セ ン テ ィ ブ を 持 た せ る
よ う な ス キ ー ム( リ ノ ベ ー シ ョ ン の 内 容 、ビ ジ ネ ス プ ラ ン 、助 成 金 の 活 用 、節 税
へ の 対 応 等 )を 提 示 し 、入 居 希 望 者 と の マ ッ チ ン グ 、不 動 産 活 用 の モ デ ル ケ ー ス
の明示等を通じて、不動産所有者の意識を変えていくことが求められる。
- 70 -
図 表 4.12
課 題 へ の 対 応 (1)( 所 有 者 の 意 識 へ の 対 応 )
<方 向 性 >
空 き 家・空 き 店 舗 等 の 活 用 に 前 向 き な 所 有 者 の 抽 出・支 援
<方 策 >
インセンティブを持 たせるスキーム
(リノベーション等 )の提 示 等
行政機関
連携
未利用不動産の所有者
民 間 の リノベーション
推進事業者
不 安 感 の解 消
入居希望者
複 数 の 活 用 ・成 功 事 例 の 創 出
所有者の意識改革
情報の共有・発信
エリア全体での未利用不動産の活用
<課 題 >
<具 体 的 な対 応 策 >
★流 通 ・活 用 に伴 うリスク(経 費 等 の発 生 )への対 応 等 …公 的 金 融 支 援 、空 き店 舗 の入 居 者 への敷 金 ゼロ対 応
★賃 料 ・売 却 益 の確 保
…………………入 居 希 望 者 をある程 度 確 保 した段 階 でリノベーション費 用 を拠 出
●空 き家 の流 通 の課 題 は仏 壇 の取 扱 である ……………供 養 代 の補 助
〇未 利 用 不 動 産 の活 用 に積 極 的 でない人 が多 い
インセンティブを持 たせるスキームの提 示
〇店 舗 付 住 宅 の場 合 、住 宅 に住 む所 有 者 が空 き店 舗 の利 用 を好 まない
〇よそものに貸 すことへの抵 抗 感 がある
●高 齢 者 の中 には不 動 産 事 業 者 への不 信 感 がある人 がいる
…不 動 産 活 用 モデルケースの明 示
★不 動 産 所 有 者 は未 利 用 不 動 産 の利 用 方 法 を知 らない人 が多 い
公 的 支 援 による不 安 感
●住 替 え手 続 きや準 備 等 が大 変
解消
〇不 動 産 所 有 者 がまちづくりの意 識 を持 っていない………リノベーションスクールでの啓 発
(注 )★ 共 通 事 項 、 ● 空 き 家 ( 古 民 家 ・ 町 家 を 含 む ) 関 連 、 〇 空 き 店 舗 関 連 、 △ 空 き 工 場 等 ( 以 下 同 様 )
b.推進体制
未 利 用 不 動 産 の リ ノ ベ ー シ ョ ン ・ 流 通 ・ 活 用 を 円 滑 に 推 進 す る た め に は 、所 有
者 や 専 門 家 ( 建 築 家 、 デ ザ イ ナ ー 、 職 人 等 )、 行 政 機 関 、 住 民 組 織 等 と の 連 携 が
重 要 で あ り 、特 定 の 地 域 で 、同 一 の コ ン セ プ ト に 基 づ い て 、可 能 な 限 り 連 携 し て
取り組むことが求められる。
産 業 振 興 に 繋 が る リ ノ ベ ー シ ョ ン の 推 進 体 制 に 関 す る 課 題 と し て は 、「 商 店 街
の 活 性 化 は 地 域 が ま と ま っ て い な い と 難 し い 」、
「リノベーションや古民家の再生
には専門家や職人が必要」等があげられている。
特 に 、商 店 街 内 部 で の 商 店 街 活 性 化 の 方 向 性 の 共 有 化 、行 政 機 関 と 住 民 組 織 と
の 連 携 が 重 要 で あ り 、そ の 連 携 等 の 中 核 と な る 組 織 と し て 民 間 の リ ノ ベ ー シ ョ ン
推 進 事 業 者 、行 政 機 関 、商 工 会 議 所 等 が 考 え ら れ る 。そ の よ う な 組 織 が 、単 な る
商 店 街 活 性 化 に と ど ま ら ず 、住 民 組 織 を 巻 き 込 ん だ「 空 き 家 を 活 用 し た ま ち づ く
り」等のエリア価値の向上等に取り組むことが望ましい。
- 71 -
図 表 4.13
課 題 へ の 対 応 (2)( 推 進 体 制 )
行政機関
住民組織
空 き家 を活 用 した
まちづくり
商工会議所・商工会
<方 策 >
特 定 地 域 で同 一 コン
セプトに基 づく連 携
未利用不動産(空き家、空き店舗等)
の利活用
<方 向 性 >
未利用不動産の所有者
建築家
連携
民 間 の リノベーション
推進事業者
デザイナー
リノベーション
職人
先導的な取組を中心と
する推進体制の構築
商店街
金融機関
商 店 街 の活 性 化 の方 向 性
の共 有 化
移住・定住促進と雇用促進
住 民 組 織 ・所 有 者 ・支 援 機 関
等が連携した継続的な取組
<課 題 >
持 続 可 能 な (自 立
し た )事 業 展 開
エリア価値の向上
<具 体 的 な対 応 策 >
★リノベーションや古 民 家 の再 生 には専 門 家 や職 人 が必 要 ……専 門 家 集 団 を形 成
〇商 店 街 の活 性 化 は地 域 がまとまっていないと難 しい………行 政 やNPO等 による粘 り強 い折 衝
〇全 体 の方 向 性 について、意 見 が合 わない施 設 も出 ている
………先 進 事 例 等 の徹 底 的 な見 える化 による
成 功 事 例 の創 出 と類 似 事 例 の誘 発
同 一 コンセプト
での連 携
組織的な連携による課題解決がなされた事例は、以下のとおり。
・行政機関と自治会の連携による空き家の流通促進(大分市、綾部市)
・商 工 会 議 所 と N P O・商 店 街 等 と の 連 携 に よ る 空 き 店 舗 を 活 用 し た 中 心 市
街地活性化への取組(倉敷市児島地区、江津市)
・行 政 機 関 と ま ち づ く り 会 社・S P C 等 と の 連 携 に よ る 空 き 店 舗・古 民 家 等
を活用した商店街の活性化(豊後高田市、倉敷市)
・ 大 学 、自 治 会 と の 連 携 に よ る 空 き 店 舗 を 活 用 し た 地 域 活 性 化( 東 京 都 板 橋
区の高島平)
ただし、以下のような組織的な連携の課題として残されている。
・行政機関による補助金で支援された取組を民間主導の持続的なものに繋
げること
・粘り強い規制緩和への連携した取組により規制緩和を実現すること
- 72 -
c.土地・建物の立地、権利関係
定 住 ・ 雇 用 促 進 や 産 業 振 興 に 繋 が る リ ノ ベ ー シ ョ ン の 課 題 と し て 、「 相 続 登
記 が さ れ て い な い 」、
「 間 口 が 狭 い 、傾 斜 地 に 立 地 」、
「 道 路 が 狭 い 」、
「駐車場が
不足」等が挙げられている。
未利用不動産の土地・建物は、恵まれていない立地条件にある場合が多く、
その改善は難しいものの、未利用不動産の所有者は、公的な利用(一定期間、
公 園 や 福 祉 ・ 防 災 に 利 用 す る 等 )も 含 め て 検 討 し 、行 政 機 関 や 産 業 団 体 等 と 連
携 し て 、賑 わ い 創 出・居 住 環 境 改 善 等 の エ リ ア 価 値 の 向 上 に 向 け た 取 組 に 積 極
的に関与していくことが望ましい。
未 利 用 不 動 産 の 権 利 関 係 で は 、相 続 登 記 等 が 行 わ れ て い な い 場 合 や 境 界 が 明
確 で な い 場 合 、そ の 流 通 が 難 し く な る た め 、未 利 用 不 動 産 の 所 有 者 は 、権 利 関
係 の 変 更 が あ る 場 合 、そ の 変 更 登 記 を 行 う 等 の 対 応 が 必 要 と な る 。未 利 用 不 動
産 の 利 活 用 を 推 進 す る 行 政 機 関 や 事 業 者 等 は 、そ の 所 有 者 に 対 し て 、権 利 関 係
の変更手続きに漏れがないように、周知・徹底していくことが必要である。
広 島 県 で は 、広 島 司 法 書 士 会 が 広 島 法 務 局 と 連 携 し て 、空 き 家 の 相 続 登 記 等
の 啓 発 活 動 を 展 開 し て お り 、他 地 域 で も 、そ の よ う な 取 組 を 推 進 す る こ と が 求
められる。
啓 発 活 動 の 推 進 に 当 た っ て は 、未 利 用 不 動 産 の 所 有 者 へ の 直 接 的 な ア プ ロ ー
チだけでなく、自治会や商工会等と連携した取組が効果的と考えられる。
立 地 条 件 に つ い て は 、変 更 が 難 し い た め 、寄 付・用 途 変 更 に よ る 公 共 用 地( 公
園、道路等)等としての活用が考えられる。
図 表 4.14
間 接 的 な周 知 活 動
自治会・商工会等
課 題 へ の 対 応 (3)( 権 利 関 係 )
未 利 用 不 動 産( 空 き 家 、空 き 店 舗 等 )
の利活用
未利用不動産の所有者
相続登記等の実施
<方 策 >
不 動 産 の変 更 登 記 等 の周 知 活 動
行政機関
<方 向 性 >
民 間 の リノベーション
推進事業者
幅広い啓発活動の展開
各地域の法務局・
司法書士会
権利関係手続きの推進
<課 題 >
<具 体 的 な対 応 策 >
★相 続 登 記 がされていない
……自 治 会 ・商 工 会 等 を活 用 した空 き家 所 有 者 等
★境 界 がはっきりしない
への変 更 登 記 等 の周 知 、徹 底
●間 口 が狭 い、傾 斜 地 に立 地
……・寄 付 ・用 途 変 更 による公 共 用 地 等 としての活 用
〇道 路 が狭 い
・共 同 での開 発
〇駐 車 場 が不 足
- 73 -
d.規制への対応
産 業 振 興 に 繋 が る リ ノ ベ ー シ ョ ン に 係 る 規 制 緩 和 に 関 連 し て 、 「建 築 基 準 法 、
消 防 法 等 の規 制 へ の 対 応 」、「農 地 の貸 し 借 りへの対 応 」等 が課 題 とし てあげられ てい る。
国 が 地 方 と 一 体 と な っ て 取 り 組 む 地 域 活 性 化 策 と し て 、規 制 緩 和 を 対 象 と す る
「 特 区 (国 家 戦 略 特 区 、総 合 特 区 、構 造 改 革 特 区 )」制 度 が あ り 、こ の 制 度 に よ る 特
例 措 置 が 全 国 に 展 開 さ れ る 事 例 も 少 な く な い こ と か ら 、自 治 体 と 民 間 事 業 者 と の
連 携 に よ る 提 案 募 集 へ の 対 応 ・ 区 域 指 定 、条 例 制 定 等 を 通 じ て 、未 利 用 不 動 産 の
流通やリノベーションに関連する規制緩和に向けた継続的な取組が期待される。
な お 、国 家 戦 略 特 区 の 枠 組 み の 中 で 、地 方 創 生 特 区 と し て 位 置 づ け ら れ た 仙 台
市では、エリアマネジメントへの取組を検討している。
ま た 、 岡 山 県 総 社 市 で は 、 平 成 26 年 7 月 に 「 英 語 教 育 と 自 然 環 境 に 恵 ま れ た
子 育 て ・ 福 祉 定 住 特 区 」を 構 造 改 革 特 区 に 提 案 し 、そ の 中 で「 空 き 家 の 管 理 制 度
の 新 設 」を テ ー マ と し て 取 り 上 げ て い る 。同 提 案 で は 、
「危険な空き家は処分し、
活 用 で き る 空 き 家 は 移 住 者 が 有 効 に 活 用 で き る よ う 、市 が 整 理( 管 理 ・ 処 分 )で
き る よ う に 制 度 構 築 す る と と も に 、民 法 第 162 条 の 取 得 時 効 に 倣 い 、適 正 に 管 理
さ れ て お ら ず 10 年 以 上 空 き 家 に な っ て い る も の は 市 に 所 有 権 を 移 す こ と を 可 能
に す る 」と い う 特 例 を 認 め る よ う に 要 請 し て い る 。あ わ せ て 、農 地 転 用 許 可 制 度
の権限移譲や見直しについても提案している。
そ の 他 、都 市 計 画 法 の 市 街 化 区 域 ・ 市 街 化 調 整 区 域 の 線 引 き 廃 止 に よ り 、農 地
付空き家等の流通や利活用を促進することが考えられる。
図 表 4.15
特区制度
国 家 戦 略
特 区 (地 方
創生特区)
総合特区
構 造 改 革
特区
特区制度の概要と区域指定事例
目的
国 家 戦 略 特 別 区 域 法 (平 成 26 年 4 月 施
行 )に基 づき、経 済 社 会 の構 造 改 革 を重
点 的 に推 進 することにより、産 業 の国 際 競
争 力 を強 化 するとともに、国 際 的 な経 済
活 動 の拠 点 の形 成 を促 進 する観 点 から、
国 が定 めた国 家 戦 略 特 別 区 域 において、
規 制 改 革 等 の施 策 を総 合 的 かつ集 中 的
に推 進 することを目 的 に創 設 。
総 合 特 別 区 域 法 (平 成 23 年 12 月 施 行 )
に基 づき、産 業 構 造 及 び国 際 的 な競 争
条 件 の変 化 、急 速 な少 子 高 齢 化 の進 展
等 の経 済 社 会 情 勢 の変 化 に対 応 して、
産 業 の国 際 競 争 力 の強 化 及 び地 域 の活
性 化 に関 する施 策 を総 合 的 かつ集 中 的
に推 進 することにより、我 が国 の経 済 社 会
の活 力 の向 上 及 び持 続 的 発 展 を図 ること
を目 的 に創 設 。
構 造 改 革 特 別 区 域 法 (平 成 15 年 4 月 施
行 )に基 づき、実 情 に合 わなくなった国 の
規 制 が、民 間 企 業 の経 済 活 動 や地 方 公
共 団 体 の事 業 を妨 げていることから、構 造
改 革 特 区 制 度 は、こうした実 情 に合 わなく
なった国 の規 制 について、地 域 を限 定 して
改 革 することにより、構 造 改 革 を進 め、地
域 を活 性 化 させることを目 的 に創 設 。
区 域 指 定 事 例 (リノベーション関 連 等 )
・区 域 計 画 9 件 が指 定 (平 成 27 年 9 月 現 在 、
うち地 方 創 生 特 区 は 3 件 )
・当 該 特 区 では、一 定 の要 件 を満 たす部 屋 は旅
館 業 法 の適 用 除 外 になる。
・あわせて、建 築 基 準 法 の都 市 計 画 に定 めた容
積 率 が緩 和 され、条 例 による用 途 制 限 の緩 和
を行 う際 に必 要 とされる大 臣 承 認 の手 続 きが不
要 となる。
・認 定 計 画 48 件 (平 成 27 年 9 月 現 在 )
・島 根 県 益 田 地 区 「森 里 海 連 環 高 津 川 流 域 ふ
るさと構 想 特 区 」(平 成 23~27 年 度 )…空 き家
を活 用 した二 地 域 居 住 ・定 住 の推 進 等
・ 雲 南 市 「 たた らの里 山 再 生 特 区 」 ( 平 成 23 ~
27 年 度 )…UI ターン推 進 等 に向 けて空 き家 の
提 供 ・小 規 模 農 地 の斡 旋 等
・認 定 計 画 累 計 1,245件 (平 成 27年 9月 現 在 )
・兵 庫 県 豊 岡 市 「城 下 町 いずし”うなぎの寝 床 ”町
家 特 区 」…伝 統 的 建 造 物 群 保 存 地 区 内 の空 き
家 を活 用 した宿 泊 場 所 を確 保
(全 国 展 開 により取 消 )
・岡 山 県 美 作 市 「東 粟 倉 村 農 地 活 用 推 進 特 区 」、
岡 山 県 高 梁 市 「就 農 支 援 特 区 」…農 地 取 得 に
係 る下 限 面 積 要 件 を緩 和 (50a→10a)
(全 国 展 開 により取 消 ) 等
(資 料 )内 閣 府 地 方 創 生 推 進 室 及 び各 県 のホームページ等 より作 成
- 74 -
図 表 4.16
課 題 へ の 対 応 (4)( 規 制 へ の 対 応 )
<方 向 性 >
国
<方 策 >
・規 制 緩 和 (建 築 基 準 法 ・旅 館 業 法 ・
農 地 法 ・都 市 計 画 法 等 )の要 望
・特 区 への申 請 等
地方自治体
対象区域と対象分野の選定
特 区 認 定・線 引 き 廃 止 等 に よ る
規制緩和
民 間 の リノベーション
推進事業者
未 利 用 不 動 産 (空 き 家 、 空 き 店 舗
等 )の リ ノ ベ ー シ ョ ン
・ 用 途 変 更 ( 住 居 → ゲストハウス等 )
・農地の売買
等
未利用不動産の利活用
未利用不動産の
所有者
入居希望者
<課 題 >
<具 体 的 な対 応 策 >
〇建 築 基 準 法 、旅 館 業 法 、消 防 法 等 の規 制 への対 応 …官 民 連 携 による国 家 戦 略 特 区 (地 方 創 生 特
区 )等 への申 請
●農 地 の貸 し借 りへの対 応 (農 地 法 )………………………都 市 計 画 の線 引 き廃 止 、構 造 改 革 特 区 等
への申 請
●空 き家 所 有 者 の特 定 (個 人 情 報 保 護 法 ) …………………自 治 会 等 との連 携
e.金融機関の意識
産 業 振 興 に 繋 が る リ ノ ベ ー シ ョ ン の 課 題 と し て 、「 新 業 態 へ の 反 応 が 鈍 い 」 、「融
資 の 手 続 きに 時 間 が かかる 」 、「 高 齢 の 家 主 への 融 資 」 等 があ げられ る。
多くの金融機関は、リフォームローンという形で、住宅等のリノベーションを
支援しているが、まちづくりという視点で、空きビル等のリノベーションにも積
極的に関わる金融機関も増えてきている。
特に、民間企業が主体となったリノベーションまちづくり事業(空きビルを改
修し、新規入居者を確保し、賃料をとる事業をある一定のエリアで展開する)と
いうビジネスモデルへの取組は、新しい業態であるため、一般の金融機関が慎重
な対応をとっているのが実情と考えられる。
しかし、空き家特措法の施行に伴い、多くの金融機関が、空き家の解体ローン
等の取扱いを開始するとともに、行政機関との連携によるエリアマネジメントへ
の参画(例えば、常陽銀行が土浦市と連携して、中心市街地活性化のために、空
き家対策と定住促進策を組み合わせた賃料返済型リバースモーゲージを提供等)
が求められている。
- 75 -
図 表 4.17
課 題 へ の 対 応 (5)( 金 融 機 関 の 対 応 )
未利用不動産(空き家、空き店
舗等)のリノベーション
民 間 の リノベーション
推進事業者
未利用不動産の利活用
未利用不動産の所有者
事業者
(店舗入居者等)
<方 策 >
行 政 機 関 や政 府 系 金 融 機 関 等 との連 携 によるリノベーション
支援
新業態等への支援
金融機関
行政機関
<方 向 性 >
空き家ローン等の商品提供
エ リ連
ア携マ ネ ジ メ ン ト へ の 参 画
<課 題 >
<具 体 的 な対 応 策 >
〇新 業 態 への反 応 が鈍 い
・民 間 都 市 開 発 推 進 機 構 等 の活 用 と連 携
〇融 資 の手 続 きに時 間 がかかる
・プロジェクトファイナンス、クラウドファンディングへの参 加
〇リノベーション物 件 の評 価
●移 住 者 への融 資 …………………… 行 政 機 関 との協 定 による対 応
f.政策的な対応(行政機関の対応)
自治体のリノベーションに関する取組には温度差があり、空き家対策に先
導的に取り組んでいる自治体や、空きビル対策等に県と綿密に連携して取り
組んでいる自治体があるが、行政機関は財政負担を抑えることが求められて
おり、いずれの自治体も一定期間の支援の後、将来的には民間事業者や地域
住民等による自立的な取組に移行することを目標としている。
定 住 ・ 雇 用 促 進 に 繋 が る リ ノ ベ ー シ ョ ン に 係 る 政 策 的 な 課 題 と し て 、「 自 治
体 の 空 き 家 撤 去 や 利 活 用 の 取 組 は 限 定 さ れ る 」、「 自 治 体 の 関 連 部 局 間 の 連 携 」、
「 住 民 と の 合 意 に 基 づ く 取 組 」、「 郊 外 部 で の 住 環 境 ・ 子 育 て 環 境 の 維 持 」 が
挙げられている。
産 業 振 興 と い う 視 点 で は 、あ る 特 定 の 地 域 で 、交 付 金 や 補 助 事 業 等 で 複 数 の
リ ノ ベ ー シ ョ ン の 取 組 を 行 い 、成 功 事 例 を 創 出 し て 、そ れ を 効 果 的 に 情 報 発 信
し て 、適 正 な 競 争 の 下 で 民 間 の 自 立 的 な 類 似 事 例 の 創 出 を 図 る こ と が 望 ま し い 。
自 治 体 の 関 連 部 局 間 の 連 携 に つ い て は 、京 都 府 綾 部 市 で 、観 光 交 流 課 、定 住
促 進 課 、地 域 振 興 課 に よ り 構 成 さ れ る 定 住 交 流 部 が 設 置 さ れ 、観 光 ・ 定 住 ・ 地
域振興施策の連携が行われている。
- 76 -
図 表 4.18
課 題 へ の 対 応 (6)( 政 策 的 な 対 応 )
<方 向 性 >
行政支援による未利用不
動産の利活用
未利用不動産の所有者
行政機関
・成 功 事 例 の創 出
・効 果 的 な情 報 発 信 等
↓
類 似 事 例 の誘 発
入居希望者
<方策>
横 断 的 組 織 による持 続 的 な取 組
民 間 の リノベーション
推進事業者
民間事業者や地域住民等による
自立的な未利用不動産の利活用
<課 題 >
<具 体 的 な対 応 策 >
●自 治 体 の空 き家 撤 去 や利 活 用 の取 組 は 限 定 される……空 き家 バンクでの不 動 産 事 業 者 の活 用 、自 治
会 等 の活 用
★自 治 体 の関 連 部 局 間 の連 携 ………………………………定 住 部 局 ・建 築 部 局 ・産 業 振 興 等 との連 携
●住 民 との合 意 に基 づく取 組 ………………………………… 情 報 提 示 とワークショップの定 期 的 な開 催
●郊 外 部 での住 環 境 ・子 育 て環 境 の維 持 …………………主 要 施 設 (主 要 機 能 )の維 持
g.不動産事業者の意識
定 住・雇 用 促 進 に 繋 が る リ ノ ベ ー シ ョ ン の 課 題 と し て 、不 動 産 事 業 者 の 意 識
があり、
「 不 動 産 事 業 者 は 改 修 に 消 極 的 」、
「 利 益 優 先 の 対 応 」等 が 挙 げ ら れ る 。
不 動 産 事 業 者 は 、私 企 業 で 利 益 を 求 め る こ と は 当 然 と 考 え ら れ る が 、新 築 住
宅 の 販 売 を 優 先 し 、中 古 住 宅 で は 販 売 価 格 を 抑 え る た め リ フ ォ ー ム( 改 修 ・ 改
装 等 )を 最 小 限 に と ど め て 販 売 を 優 先 す る 傾 向 が あ る 。全 国 的 に 不 動 産 事 業 者
が 空 き 家 管 理 サ ー ビ ス に 関 わ る 事 例 等 が 増 え て お り 、空 き 家 や 空 き 店 舗 の 流 通
や 顧 客 ニ ー ズ に 対 応 す る リ ノ ベ ー シ ョ ン や 地 域 活 動( エ リ ア 価 値 の 向 上 等 )へ
の取組にも積極的に参加することが企業イメージの向上等に繋がると考えら
れる。
綾 部 市 で は 、公 募 に よ り 選 ば れ た 8 つ の 宅 建 業 者 が 綾 部 市 の 主 導 す る 空 き 家
管 理 サ ー ビ ス 事 業 に 参 加 す る と と も に 、積 極 的 に 空 き 家 の 売 買 や 賃 貸 に 取 り 組
んでいる不動産事業者の事例がある。
また、大分市では、空き家バンクの登録に不動産事業者が協力している。
そ の 他 、以 下 の と お り 、空 き 家・空 き 地 等 の 管 理 事 業 を 行 っ て い る 事 例 が あ る 。
- 77 -
図 表 4.19
不動産事業者の取組(京都府綾部市)
㈱ 平 田 不 動 産( 福 井 県 小 浜 市 )は 、地 方 都 市 で 空 き 家 が 増 加 す る 中 で 、地 域 の
景 観 を 守 る の は 不 動 産 事 業 者 し か い な い と 考 え 、 10 年 前 か ら 空 き 家 管 理 ビ ジ ネ
ス を 始 め た 。そ れ に よ り 、周 辺 住 民 か ら 感 謝 さ れ 会 社 の 評 価 が 上 が り 、空 き 家 を
管 理 す る こ と で 、管 理 さ れ た 物 件 は 売 り や す い 物 件 と し て 評 価 さ れ 、物 件 の 販 売
に も 繋 が っ て い る 。当 社 は 、常 時 10 数 戸 を 管 理 し て お り 、
「 い え ぱ と ! 」と い う
商標登録をとり、フランチャイズを始めており、和歌山県の業者が加盟する等、
その事業は拡大している。
大 里 綜 合 管 理 ㈱ ( 千 葉 県 大 網 白 里 市 ) は 40 年 前 か ら 空 き 地 の 草 刈 等 を 行 い 、
現 在 、空 き 地 等 の 物 件 8,500 件 を 預 か っ て 管 理 し て い る 。オ ー ナ ー の 了 解 を 得 て 、
果 樹 や 花 を 植 え る な ど 、景 観 を 良 く す る た め に 空 き 地 管 理 を し て 、地 元 に 評 価 さ
れ て い る 。イ ベ ン ト を 企 画 し た り 、お 祭 り を サ ポ ー ト し た り 、子 育 て ス ク ー ル 等
の活動をして、業績拡大に繋がっている。
図 表 4.20
課 題 へ の 対 応 (7)( 不 動 産 事 業 者 の 意 識 )
未 利 用 不 動 産 ( 空 き 家 、空 き 店 舗 等 ) の 利
活用と流通
民 間 の リノベーション
推進事業者
未利用不動産の所有者
<方 策 >
不動産事業者
マッチング支 援
リフォームや空 き家 流 通 への積 極 的 な対 応
入居希望者
<方 向 性 >
行政機関
リノベーションへの積極的な対応
企業イメージ向上
収益の拡大
エリア価値向上への取組
<課 題 >
<具 体 的 な対 応 策 >
●不 動 産 事 業 者 は改 装 に消 極 的 ………行 政 機 関 との連 携 による空 き家 流 通 の促 進
●利 益 優 先 の対 応
……………………貸 ビル業 者 のリノベーションへの関 与
●総 合 的 なコンサティンク能 力 が求 められる …建 築 士 等 との連 携
- 78 -
h.情報発信
産 業 振 興 に 繋 が る リ ノ ベ ー シ ョ ン の 課 題 と し て 、「 起 業 し た い 人 へ の 情 報 発
信 」、「 近 隣 住 民 へ の 対 応 ・ 情 報 発 信 」 等 が 挙 げ ら れ て い る 。
情 報 発 信 に つ い て は 、行 政 機 関 、産 業 団 体 と 民 間 の リ ノ ベ ー シ ョ ン 事 業 推 進
者 等 が 連 携 し て 、空 き 店 舗 入 居 希 望 者 、起 業 を 目 指 す 人 、移 住 ・ 定 住 希 望 者 等
の 幅 広 い 対 象 者 に 対 し て 、特 定 の 地 域 コ ン セ プ ト に 基 づ き 、エ リ ア 関 連 の 他 地
域 に は な い 情 報( リ ノ ベ ー シ ョ ン に 限 定 し な い )を 積 極 的 に 発 信 す る こ と が 必
要 で あ る 。そ の 情 報 は 、イ ン タ ー ネ ッ ト や S N S( フ ェ イ ス ブ ッ ク 等 )等 を 通
じ て 、国 内 外 に ひ ろ が り 、一 次 情 報 、二 次 情 報( 口 コ ミ 等 )と し て 、対 象 者 に
も伝わるものと考えられる。
例 え ば 、 ア ー ト ( 京 都 府 住 宅 供 給 公 社 )、 ジ ー ン ズ ( 児 島 商 工 会 議 所 ) 等 で
の 取 組 で 見 ら れ る よ う に 、特 定 の コ ン セ プ ト や キ ー ワ ー ド に 関 心 を 持 つ 移 住 ・
定住希望者等に対して、きめ細かな情報発信と問合せ対応を行うとともに、
様 々 な メ ニ ュ ー を 提 示 し て 受 入 体 制 を 整 備 す る こ と が 、移 住・定 住 者 等 の 増 加
に繋がると考えられる。
な お 、受 入 体 制 を 整 備 す る た め に は 、地 域 住 民 の 協 力 が 欠 か せ な い こ と か ら 、
地 域 住 民 へ の 情 報 発 信 を 積 極 的 に 行 い 、地 域 住 民 の 理 解 を 得 ら れ る よ う な 取 組
を行っていくことが重要である。
図 表 4.21
課 題 へ の 対 応 (8)( 情 報 発 信 )
未 利 用 不 動 産( 空 き家、空 き 店 舗
等)のリノベーション
地域住民
行政機関
民 間 の リノベーション
推進事業者
<方 策 >
二次情報
一次情報
地 域 コンセプトに基 づく情 報 発 信
不 動 産 情 報 の徹 底 的 な見 える化
未利用不動産の利活用
商工会議所・商工会
移 住・創 業 希 望 者
一次情報
二次情報
中国地域での
在住経験者等
未利用不動産の所有者
<方 向 性 >
きめ細かな情報発信と問合せ対応
受入体制の整備
移住・定住促進
空き店舗等への入居者の増加
<課 題 >
<具 体 的 な対 応 策 >
●起 業 したい人 への情 報 発 信 …………インターネット、SNS(フェイスブック等 )等 の活 用
二 次 情 報 の活 用
不 動 産 関 連 情 報 の提 供
●近 隣 住 民 への対 応 ・情 報 発 信 ………継 続 的 な情 報 発 信
不 動 産 関 連 情 報 の提 供
- 79 -
ま た 、不 動 産 の 活 用 に は 様 々 な 知 識 が 必 要 と な る こ と か ら 、リ ノ ベ ー シ ョ ン
の 方 法 、価 格 、取 扱 事 業 者 等 、き め 細 か な 情 報 を 提 供 す る こ と で 、徹 底 的 な 見
える化を図ることが重要である。
i.事業者(店舗入居者等)の意識
産業振興に繋がるリノベーションの課題として、
「 収 益 向 上 等 に向 けた持 続 的
な取 組 」、「起 業 を 目 指 す人 が集 まりにくい」等 が挙 げられ ている。
事 業 者( 店 舗 入 居 者 等 )が 事 業 を 継 続 す る た め に は 、一 定 の 利 益 を 持 続 的 に
確 保 す る 必 要 が あ り 、起 業 家 や 経 験 の 浅 い 事 業 者 等 に 対 し て は 、行 政 機 関 ・ 産
業 団 体・民 間 の リ ノ ベ ー シ ョ ン 推 進 事 業 者 等 が 経 営 的 な 支 援 を す る こ と が 望 ま
しい。
ま た 、未 利 用 不 動 産 の 所 有 者 は 、空 き 店 舗 等 の リ ノ ベ ー シ ョ ン に よ る 投 資 額
を 抑 え 、入 居 料 、賃 料 等 に つ い て も 可 能 な 限 り 抑 え て 、事 業 者( 入 居 希 望 者 等 )
を支援することが望まれる。
図 表 4.22
課 題 へ の 対 応 (9)( 事 業 者 の 意 識 )
行政機関
未 利 用 不 動 産( 空 き 家 、空 き 店 舗 等 )
の利活用
事業者
未利用不動産の所有者
(店舗入居者等)
<方 策 >
創 業 支 援 ・経 営 相 談 等 への対 応
商工会議所・商工会
賃 料 等 の支 援
リノベーションに際 しコストを抑 え
る等 、経 営 リスクを軽 減
<方 向 性 >
空き店舗等への入居希望者
に対する支援
民 間 の リノベーション
推進事業者
産業振興
空き店舗等への入
居者の増加
賑わいの創出
<課 題 >
<具 体 的 な対 応 策 >
〇収 益 向 上 等 に向 けた持 続 的 な取 組 ……行 政 主 導 による特 定 目 的 会 社 の設 立
〇起 業 を目 指 す人 が集 まりにくい…………インターネット、SNS(フェイスブック等 )等 の活 用
ターゲットを意 識 した二 次 情 報 の活 用
- 80 -
j.地域の生活環境
産業振興に繋がるリノベーションの課題として、
「( 店 主 が )高 齢 者 だ け で 活
気 が な い 」、「 飲 食 店 の 出 店 等 に よ る 火 災 の 懸 念 」 等 が あ げ ら れ て い る 。
地 域 の 生 活 環 境 で は 、未 利 用 不 動 産 の リ ノ ベ ー シ ョ ン 等 を 通 じ て 、賑 わ い が
創 出 さ れ 、民 間 の リ ノ ベ ー シ ョ ン 推 進 事 業 者 、未 利 用 不 動 産 の 所 有 者 、事 業 者
等が積極的に地域活動等に参加し、地域住民に積極的に情報発信することで、
新しいコミュニティの形成や地域の活性化が期待される。
図 表 4.23
課 題 へ の 対 応 (10)( 地 域 の 生 活 環 境 の 改 善 )
未利用不動産(空き家、空き店
舗等)のリノベーション
未利用不動産の利活用
民 間 の リノベーション
推進事業者
未利用不動産の所有者
事業者
(店舗入居者等)
<方 策 >
情 報 発 信 、地 域 活 動 への参 加 、賑 わいの創 出
地域住民
<方 向 性 >
リノベーション関連事業者の地域活
動等への積極的な参画と情報発信
新しいコミュニティの形成
地域の活性化
<課 題 >
<具 体 的 な対 応 策 >
〇高 齢 者 だけで活 気 がない ……………事 業 者 の地 域 活 動 への参 加
地 域 住 民 と事 業 者 との定 期 的 な交 流 会 の開 催
〇飲 食 店 の出 店 等 による火 災 の懸 念 …事 業 者 への定 期 的 な働 きかけ
- 81 -
5.未利用不動産のリノベーションによる地域振興に向けて
こ れ ま で 、文 献 調 査 や 事 例 調 査 を 踏 ま え 、空 き 家 等 の リ ノ ベ ー シ ョ ン に よ る 地
域振興に向けての課題と対応策を整理した。
以 下 で は 、そ の 結 果 を 踏 ま え 、中 小 規 模 の 自 治 体 が 多 い 中 国 地 域 に お い て 、未
利用不動産のリノベーションを通じた地域振興によるエリア価値の向上を促進
す る た め に 、誰 が 、何 を 、ど の よ う に 取 り 組 む べ き か を 考 察 し 、以 下 の と お り 提
言する。
<目指すべき対応策>
未利用不動産のリノベーションを通じたエリア価値の向上に向けた主要課題
は、推進体制と人材育成と考えられ、今後、取り組むべき対応策として、
○エリア価値向上に向けた組織連携を推進する
○リノベーション推進事業者とそれを支える専門家集団を育成する
○未利用不動産のリノベーションに関する情報の集約・共有、情報発信を担
うプラットホームを形成する
ことが重要と考えられる。
5.1.エリア価値向上に向けた組織連携の推進
エ リ ア 価 値 の 向 上 の た め に は 、行 政 機 関 と リ ノ ベ ー シ ョ ン 関 係 事 業 者 と の 組 織
連携が重要であり、その強化・充実を図り、未利用不動産の利活用を促進する。
リノベーションを定住・雇用促進につなげるために、自治体、不動産事業者、
住 民 組 織( 自 治 会 、N P O 等 )と の 連 携 に よ る「 空 き 家 の リ ノ ベ ー シ ョ ン 」等 を
通じて、空き家の流通を促し、定住促進や居住者の居住環境充実を目指す。
特に、居住環境の充実のためには、住民組織との連携が重要と考えられる。
リ ノ ベ ー シ ョ ン を 産 業 振 興 に つ な げ る た め に 、自 治 体 、支 援 組 織 、リ ノ ベ ー シ
ョ ン 推 進 事 業 者 、空 き 家 ・ 空 き 店 舗 の 所 有 者 が 連 携 し て 、そ の 立 地 条 件 や 近 隣 の
地 域 資 源 等 を 考 慮 し た リ ノ ベ ー シ ョ ン を 行 い 、入 居 希 望 者( 店 舗 等 の 利 用 者 )へ
の 起 業 支 援 ・ 経 営 支 援 等 を 通 じ て 、産 業 振 興 ・ 賑 わ い の 創 出 、コ ミ ュ ニ テ ィ 拠 点
(コミュニティビジネス等)の形成、さらにはエリア価値の向上を目指す。
特 に 、支 援 組 織 に よ る 入 居 希 望 者( 店 舗 等 の 利 用 希 望 者 )へ の 支 援 が 重 要 と 考
えられる。
- 82 -
な お 、空 き 工 場 ・ 空 き 公 共 施 設 は 、敷 地 面 積 が 比 較 的 大 き い 場 合 が 多 く 、企 業
等 の 誘 致 対 象 が 国 内 外 に 及 ぶ こ と か ら 、行 政 機 関 が 中 心 と な っ て 、地 域 コ ン セ プ
ト ・ 地 域 イ メ ー ジ や 優 位 性 の 高 い 立 地 条 件 を 明 確 に し 、二 次 ・ 三 次 情 報 も 考 慮 し
た幅広い地域情報も含めた情報発信を行うことが効果的と考えられる。
さ ら に 、上 記 の よ う な 組 織 連 携 に 加 え 、個 々 の リ ノ ベ ー シ ョ ン 関 係 組 織 が エ リ ア
価 値 の 向 上 に 向 け て 、そ れ ぞ れ の 組 織 が 、以 下 の よ う な 取 組 を 行 う こ と が 必 要 と 考
えられる。
<行政機関>
行 政 機 関 は 、公 募 に よ り 公 平 性 を 担 保 し な が ら 、将 来 的 な 人 口 減 に 危 機 感 を 持
っ て 、空 き 家 等 の 活 用 に よ る 定 住 促 進 に 向 け て 、民 間 の エ リ ア マ ネ ジ メ ン ト 支 援 ・
起業支援と情報発信を行い、空き家等の利活用によるエリア価値の向上に努め、
民間ニーズに即した規制緩和に向けた取組を推進する。
あ わ せ て 、定 住 支 援 、 就 業 支 援 に 繋 が る 居 住 環 境 充 実 の 重 要 な 方 策 の 一 つ と し て
地 域 住 民 の 協 力 を 得 て 、空 き 家 の リ ノ ベ ー シ ョ ン を 推 進 す る こ と も 求 め ら れ る 。
事 例 集 概 要 版 ページ 詳 細 版 ページ
↓
<事 例 >
・行 政 主 導 による特 定 目 的 会 社 での町 家 ・古 民 家 の再 生 (岡 山 県 倉 敷 市 )
概 P121 詳 P211
・民 間 ニーズに則 した規 制 緩 和 に向 けた取 組 を支 援 (京 都 府 綾 部 市 )
概 P109 詳 P173
〃
(兵 庫 県 養 父 市 )
概 P108 詳 P171
・定 住 支 援 、就 業 支 援 に加 えて、居 住 環 境 充 実 のため、空 き家 のリノベーションを推 進 (京 都 府 綾 部 市 )
概 P109 詳 P173
〃
(鳥 取 県 智 頭 町 )
概 P117 詳 P201
・「やれるものはやっていこう」という考 え方 で空 き家 の流 通 を促 進 (大 分 県 大 分 市 )
概 P112 詳 P184
・自 治 会 や地 域 住 民 の活 用 (京 都 府 綾 部 市 )
概 P109 詳 P173
〃
(大 分 県 大 分 市 )
概 P112 詳 P184
・「小 さくてもよいから始 める」という考 え方 でリノベーションまちづくりを推 進 (福 岡 県 北 九 州 市 )
概 P114 詳 P191
<支援機関>
支援機関(商工会議所・商工会等の経済団体、まちづくり協議会、大学等)
は 、行 政 機 関 や N P O 等 と 連 携 し 、起 業 支 援 ・ 経 営 支 援 等 に 積 極 的 に 取 り 組 む
と と も に 、支 援 対 象 と な る 地 域 で の リ ノ ベ ー シ ョ ン 等 に よ る エ リ ア コ ン セ プ ト
の確立とエリア価値の向上に努め、情報発信を積極的に行う。
な お 、大 学 に つ い て は 、直 接 的 に 施 設 整 備 等 の リ ノ ベ ー シ ョ ン に 関 わ る 場 合
以外に、空き店舗の利用、学生のシェアハウスとしての利用、空き家調査等、
地 域 貢 献 に 関 わ る 分 野 で 様 々 な 取 組 事 例 が あ り 、地 域 の 重 要 な 課 題 で あ る 空 き
家等の利活用に向けた研究や人材育成への取組が拡大することが期待される。
- 83 -
<事 例 >
●商 工 会 議 所
・ビジネスプランコンテスト による起 業 家 育 成 (島 根 県 江 津 市 の江 津 商 工 会 議 所 )
概 P119 詳
・ジーンズストリート整 備 による中 心 市 街 地 活 性 化 (岡 山 県 倉 敷 市 の児 島 商 工 会 議 所 )
概 P122 詳
・昭 和 のまちづくりによる中 心 市 街 地 活 性 化 (大 分 県 豊 後 高 田 市 の豊 後 高 田 商 工 会 議 所 )
概 P113 詳
●まちづくり協 議 会
・起 業 支 援 を目 的 とする「くらわんか五 六 市 」の運 営 (大 阪 府 枚 方 市 の枚 方 宿 地 区 まちづくり協 議 会 )
概 P107 詳
●大 学
・リノベーションまちづくり、リノベーションスクールの企 画 運 営 (福 岡 県 北 九 州 市 の九 州 工 業 大 学 ) 概 P114 詳
・空 き家 (学 生 寮 としての利 用 )や空 き店 舗 (コミュニティカフェとしての利 用 )を活 用 した団 地 活 性 化
事 業 (東 京 都 板 橋 区 の大 東 文 化 大 学 )
概 P101 詳
P207
P213
P188
P169
P191
P155
<未利用不動産の所有者>
未利用不動産の所有者は、まず、空き家等が地域に与える影響(プラス面、
マ イ ナ ス 面 )を 理 解 し 、自 己 所 有 不 動 産 の 特 定 空 家 等 へ の 指 定 に よ る 金 銭 的 な
負 担 発 生 の 可 能 性 等 を 踏 ま え 、行 政 機 関 等 に よ る 空 き 家 等 の 利 活 用 に 向 け た 支
援内容を積極的に活用する。
そ れ に よ り 、空 き 家 等 の 取 扱 に 関 す る 不 安 や 疑 問 等 が 解 消 さ れ 、そ の 利 活 用
に向けた一歩を踏み出すことができると考えられる。
さ ら に 、エ リ ア 価 値 の 向 上 が 自 己 の 所 有 不 動 産 の 価 値 の 向 上 に 繋 が る こ と を
認 識 し 、エ リ ア コ ン セ プ ト に 基 づ く 所 有 不 動 産 の 付 加 価 値 向 上 に 努 め る こ と が
求められる。
<事 例 >
概 P113 詳 P188
・「昭 和 のまち」形 成 に向 けた商 店 街 店 主 の対 応 (大 分 県 豊 後 高 田 市 )
・リノベーションスクールに積 極 的 に所 有 物 件 を提 供 した未 利 用 不 動 産 所 有 者 の対 応 (東 京 都 豊 島 区 )
概 P98 詳 P145
概 P114 詳 P191
〃
(福 岡 県 北 九 州 市 )
<リノベーション推進事業者>
リ ノ ベ ー シ ョ ン 推 進 事 業 者 は 、あ る ビ ジ ネ ス モ デ ル で 先 進 事 例 を 作 り 、持 続
的に事業を展開するとともに、事業リスク低減に努め、その情報発信により、
そのビジネスモデルを一定のエリアで拡大する。
<事 例 >
・ リ ノ ベ ー シ ョ ン ス ク ー ル で の リ ノ ベ ー シ ョ ン ま ち づ く り ( 福 岡 県 北 九 州 市 の ㈱ 北 九 州 家 守 舎 )概 P 1 1 5
〃
(鳥 取 県 鳥 取 市 の鳥 取 家 守 舎 )
概 P116
・ 国 家 戦 略 特 区 に お け る 古 民 家 再 生 ( 兵 庫 県 篠 山 市 ・ 養 父 市 ・ 朝 来 市 等 の ( 一 社 ) ノ オ ト )概 P 1 0 8
・古 民 家 の再 生 と 6 次 産 業 化 の推 進 (山 口 県 山 口 市 の(一 社 )おんなたちの古 民 家 )
概 P130
・「小 さい事 業 の積 み重 ねで、大 きく育 てていく」 という考 え方 でリノベーションまちづくりを推 進
(福 岡 県 北 九 州 市 の九 州 工 業 大 学 )
概 P114
- 84 -
詳
詳
詳
詳
P193
P198
P171
P230
詳 P191
<その他のリノベーション関係事業者>
さ ら に 、以 下 の よ う な リ ノ ベ ー シ ョ ン に 関 連 す る 各 組 織 体 で の 取 組 が 必 要 と
考 え ら れ 、上 記 の 行 政 機 関 や 支 援 機 関 等 が 中 心 と な っ て 、一 定 の エ リ ア で の 組
織間、組織横断的な連携による取組が求められる。
○ 不 動 産 事 業 者 は 、自 社 の 営 業 エ リ ア 価 値 の 向 上 が 不 動 産 の 流 通 促 進 に 繋 が る
こ と を 認 識 し 、リ ノ ベ ー シ ョ ン や 空 き 家 管 理 サ ー ビ ス に 積 極 的 に 取 り 組 む と
と も に 、空 き 家 等 の 増 加 を ビ ジ ネ ス チ ャ ン ス と 捉 え 、そ の 仲 介 業 務 以 外 の 事
業分野を開拓することが望ましい。
<事 例 >
・行 政 主 導 の空 き家 管 理 サービス事 業 への協 力 (京 都 府 綾 部 市 の不 動 産 事 業 者 )
・空 き家 バンクへの物 件 登 録 への協 力 (大 分 県 大 分 市 の不 動 産 事 業 者 )
・古 民 家 の仲 介 業 と地 域 活 性 化 事 業 の展 開 (京 都 府 綾 部 市 の不 動 産 事 業 者 )
・空 き家 管 理 サービス事 業 への戦 略 的 な取 組 (福 井 県 や千 葉 県 の不 動 産 事 業 者 )
概
概
概
概
P109
P112
P109
P99
詳
詳
詳
詳
P173
P184
P173
P149
○ 金 融 機 関 は 、自 治 体 や リ ノ ベ ー シ ョ ン 推 進 事 業 者 の 取 組 を 支 援 し 、リ ノ ベ ー
シ ョ ン 物 件 の 再 評 価 を 行 い 、長 期 的 な 視 点 か ら 、マ ッ チ ン グ 、金 融 商 品 の 充
実 、金 融 支 援( フ ァ ン ド 等 )等 を 通 じ た 資 本 ス ト ッ ク の 活 用 を 支 援 す る こ と
が望ましい。
<事 例 >
・中 心 市 街 地 活 性 化 を目 的 とするリバースモゲージローンの創 設 (茨 城 県 水 戸 市 の常 陽 銀 行 )
本 文 P18
概 P109 詳 P173
・移 住 者 の空 き家 購 入 ・改 修 への融 資 制 度 (京 都 府 綾 部 市 の金 融 機 関 )
概 P129 詳 P228
・空 きビルのリノベーション 等 への支 援 (山 口 県 の山 口 銀 行 等 )
○ 事 業 者( 店 舗 入 居 者 等 )は 、収 益 向 上 に む け た 持 続 的 な 取 組 を す す め 、事 業
立 ち 上 げ に あ た り 、行 政 機 関 や 支 援 機 関 の 支 援 を 得 る こ と が 有 益 で あ る 。た
だ し 、リ ノ ベ ー シ ョ ン 推 進 事 業 者 ・ ボ ラ ン テ ィ ア 等 の 協 力 を 得 て 、経 営 リ ス
ク低減を図り、早期に事業を自立化させる努力を続ける必要がある。
<事 例 >
・リノベーション推 進 事 業 者 からの支 援 (大 分 県 大 分 市 の新 大 分 第 6 ビル入 居 者 )
〃
(山 口 県 周 南 市 の中 心 市 街 地 への出 店 事 業 者 )
・ボランティアからの支 援 (鳥 取 県 鳥 取 市 のホンバコ)
〃
(島 根 県 江 津 市 松 平 地 区 のカフェプロジェクト)
- 85 -
概
概
概
概
P111
P129
P116
P118
詳
詳
詳
詳
P181
P228
P198
P203
○ 住 民 組 織 は 、居 住 地 域 の 環 境 改 善 が 、エ リ ア 価 値 の 向 上 や 地 域 活 性 化 に 繋 が
る こ と を 再 認 識 し 、空 き 家 の 解 消・流 通 に 向 け た 行 政 機 関 の 取 組 に 積 極 的 に
協力することが望まれる。
<事 例 >
・空 き家 所 有 者 への空 き家 利 活 用 に向 けた働 きかけ(京 都 府 綾 部 市 の自 治 会 ) 概 P109 詳 P173
・空 き地 活 用 に向 けた自 治 会 の活 動 (大 分 県 大 分 市 の富 士 見 が丘 団 地 連 合 会 ) 概 P110 詳 P176
図 表 5.1 組 織 別 の 対 応
支 援 機 関 (商 工 会 議 所 、商 工 会 等 )
金融機関
起 業 支 援 、マッチング等
未利用不動産の利活用
資 本 ストックの 活 用 支 援
所有者
未利用不動産
所有者
リノベーション
・付 加 価 値 向 上
・機 能 の追 加 ・変 更
賃 料 ・購 入 代
金 の支 払 い
就業・創業の場、
居住の場の提供
事業者・起業家
リノベーション推 進 事 業 者
移 住・定 住 者
利活用支援
ビジネスモデル構 築 、 事 業 リスク低 減 等
行政機関
・良 好 な 居 住 環 境 ・ 教 育 環 境 の 提 供
・起 業 支 援 ・ 就 業 支 援
・エリア価値の向上
・産業振興
・定住・雇用促進
エリアマネジメント支 援
支援機関
(ま ち づ く り 組 織 )
<リノベーションの事 例 >
・空 き家 (古 民 家 等 を含 む)…住 居 (利 用 者 ニーズに対 応 )、カフェ、ゲストハウス、交 流 スペース、シェアハウス 等
・空 き店 舗 …………………料 飲 店 、パン屋 、カフェ、交 流 スペース 等
・空 きビル
…………………レンタルスペース、SOHO、料 飲 店 、チャレンジショップ 等
・工 場 跡 地 …………………商 業 施 設 、公 共 施 設 等
・空 き公 共 施 設 ……………宿 泊 施 設 、料 飲 店 等
- 86 -
5.2.リノベーション推進事業者とそれを支える専門家集団の育成
行政機関や支援組織(商工会議所、商工会等の経済団体、まちづくり協議会、
大 学 等 )が 中 心 と な っ て 、ま ち づ く り や リ ノ ベ ー シ ョ ン に 関 心 の 高 い 民 間 事 業 者
( 不 動 産 事 業 者 、建 築 業 者 、貸 ビ ル 業 者 、商 店 街 事 業 主 等 ) を 対 象 に 、リ ノ ベ ー
シ ョ ン に 関 す る ワ ー ク シ ョ ッ プ 等 を 開 催 し て 、リ ノ ベ ー シ ョ ン 推 進 事 業 者 の 育 成
に役立てる。
具 体 的 に は 、行 政 機 関 と 支 援 組 織 が 、あ る 特 定 の エ リ ア で 、エ リ ア コ ン セ プ ト
に 基 づ く 公 募 に よ り 、「 ま ち づ く り や リ ノ ベ ー シ ョ ン に 関 心 の 高 い 民 間 事 業 者 」
と「 未 利 用 不 動 産 の 所 有 者 」と の マ ッ チ ン グ を 行 い 、リ ノ ベ ー シ ョ ン に 関 す る ワ
ー ク シ ョ ッ プ や ビ ジ ネ ス プ ラ ン コ ン テ ス ト 等 を 開 催 し 、具 体 的 な 事 例 を 対 象 に 事
業化支援と実証的な人材育成支援を行うことが考えられる。
例 え ば 、リ ノ ベ ー シ ョ ン 推 進 事 業 者 の 育 成 手 法 の 一 つ と し て 、リ ノ ベ ー シ ョ ン
ス ク ー ル が 有 効 と 考 え ら れ る 。北 九 州 市 で は 、市 と ま ち づ く り 会 社 等 が 中 心 と な
っ た リ ノ ベ ー シ ョ ン ま ち づ く り の 取 組 (3 6 ペ ー ジ 参 照 )を 通 じ て 、 全 国 か ら 集 ま
っ た 民 間 事 業 者 や 行 政 職 員 等 が 、具 体 的 な リ ノ ベ ー シ ョ ン 事 業 を 実 践 す る こ と に
より、リノベーションを推進する人材が育成されている。
ま た 、行 政 機 関 と 支 援 組 織 が 中 心 と な っ た 人 材 育 成 等 の 支 援 は 、初 期 段 階 に と
ど め 、将 来 的 に は 、自 助 努 力 に よ る 人 材 育 成 を 目 指 す よ う な 取 組 と す る こ と が 望
ましい。
な お 、リ ノ ベ ー シ ョ ン の 推 進 に は 、地 域 住 民 の 協 力 も 不 可 欠 で 、リ ノ ベ ー シ ョ
ン 等 を 支 援 す る「 ま ち づ く り 人 材 」を 育 成 す る た め に 、行 政 機 関 等 が 中 心 と な っ
て 、長 期 的 な 視 点 で 、地 域 住 民 が 主 体 と な っ た ま ち づ く り( 地 域 課 題 へ の 対 応 等 )
に 関 す る セ ミ ナ ー 等 を 継 続 的 に 開 催 す る 等 を 通 じ て 、地 域 住 民 の 中 か ら「 ま ち づ
くり人材」を育成していくことが求められる。
<事 例 >
●リノベーション推 進 事 業 者 の育 成
・リノベーションスクールによる人 材 育 成 (北 九 州 家 守 舎 )
概 P115 詳 P193
〃
(鳥 取 家 守 舎 )
概 P116 詳 P198
・江 津 方 式 のプレイヤー作 り(島 根 県 江 津 市 )
概 P118 詳 P203
●専 門 家 集 団 の形 成 と人 材 育 成
・職 人 と NPO との「すみわけ」による事 業 遂 行 を通 じた人 材 育 成 (広 島 県 尾 道 市 の NPO 法 人 尾 道
空 き家 再 生 プロジェクト)
概 P128 詳 P225
・協 力 業 者 会 での研 修 による人 材 育 成 (広 島 県 府 中 町 の㈱マエダハウジング)
概 P126 詳 P221
●まちづくり人 材 の自 立 的 な育 成
・自 治 会 と市 職 員 とのワークショップ等 による人 材 発 掘 と人 材 育 成 (大 分 県 大 分 市 の 概 P110 詳 P176
富 士 見 が丘 連 合 会 自 治 会 と大 分 市 役 所 )
概 P112 詳 P184
・合 力 (こうろく)精 神 による「古 いものを大 切 にする」生 き方 に共 感 する人 が参 加 (広 島 県 福 山 市
概 P127 詳 P223
の NPO 法 人 ぬまくま民 家 を大 切 にする会 )
- 87 -
図 表 5.2 リ ノ ベ ー シ ョ ン 推 進 事 業 者 と そ れ を 支 え る 専 門 家 集 団 の 育 成
連携
支援組織
行政機関
リノベーション
推進事業者育成
まちづくり人材育成
ワークショップや リノベーション
スクール等 の 開 催
住民主体のセミナー等の開催
まちづくりやリノベーションに
関心の高い事業者
地域住民
支援
専門家集団
5 .3 .未 利 用 不 動 産 の リ ノ ベ ー シ ョ ン に 関 す る 情 報 の 集 約 ・ 共 有 、情 報 発 信 を 担
うプラットフォームの形成
行 政 機 関 や リ ノ ベ ー シ ョ ン 推 進 事 業 者 等 が 中 心 と な っ て 、リ ノ ベ ー シ ョ ン に 関
す る 幅 広 い 情 報 を 提 供 す る プ ラ ッ ト フ ォ ー ム を 形 成 し 、リ ノ ベ ー シ ョ ン に 関 す る
情 報 の 集 約 ・ 共 有 や 発 信 を 行 い 、不 動 産 利 用 希 望 者 (入 居 希 望 者 )の み な ら ず 、一
般 の 不 動 産 所 有 者 等 の 問 合 せ や 不 安 感 解 消 等 に 対 応 し 、未 利 用 不 動 産 の 利 活 用 に
役立てる。
未 利 用 不 動 産 の リ ノ ベ ー シ ョ ン 事 業 を 推 進 す る た め に は 、実 務 的 な 情 報( 建 築 、
不 動 産 取 引 、資 金 計 画 、事 業 経 営 等 )に 加 え 、 国 の 施 策 や 規 制 緩 和( 特 区 の 動 向
等)等の情報を入手し、それらを有効に活用することが必要となる。
特 に 、空 き 家 バ ン ク 等 を 通 じ て 、不 動 産 利 用 希 望 者( 入 居 希 望 者 )に 対 す る 空
き 家 物 件 等 の 情 報 発 信 は 積 極 的 に 行 わ れ て い る も の の 、一 般 の 不 動 産 所 有 者 に 対
す る 利 活 用 等 の 情 報 発 信 が 不 十 分 で 、所 有 者 が 不 安 感 を 持 ち 、そ の 関 連 知 識 不 足
のため、流通やリノベーションが阻害されていると考えられる。
ま た 、建 物 の 用 途 変 更 に 当 た っ て は 、規 制 緩 和 に 関 連 す る 情 報 の 収 集 ・ 活 用 が
重要となる。
空 き 家 等 へ の 対 応 が 喫 緊 の 課 題 と な る な か 、 平 成 27 年 度 に お い て 、 全 国 的 に
は 、空 き 家 特 措 法 の 施 行 、宅 地 建 物 取 引 士 の 創 設 、全 国 空 き 家 相 談 士 協 会 の 発 足
に 加 え 、リ ノ ベ ー シ ョ ン ま ち づ く り 学 会 の 設 立 等 の 様 々 な 動 き が あ り 、そ れ ら の
動 向 や 背 景 、今 後 の 方 向 性 等 の 情 報 を 、不 動 産 利 用 希 望 者( 入 居 希 望 者 )だ け で
なく、一般の不動産所有者に向けた情報提供が求められている。
- 88 -
ま た 、地 方 で は 、空 き 家 条 例 の 制 定 、空 き 家 バ ン ク の 運 営 、空 き 家 実 態 調 査 等
の 取 組 が 行 わ れ て い る が 、ほ と ん ど の 場 合 、市 町 村 単 位 で 行 わ れ て お り 、そ の 対
応 に は 限 界 が あ る と 考 え ら れ る こ と か ら 、行 政 単 位 を 越 え た 取 組 が 必 要 と 考 え ら
れる。
以 上 の よ う な 課 題 へ の 具 体 的 な 対 応 策 と し て 、「 未 利 用 不 動 産 の 利 活 用 に 関 す
る 情 報 を 集 約 す る 広 域 的 な プ ラ ッ ト フ ォ ー ム 形 成 」と「 エ リ ア コ ン セ プ ト に 基 づ
く広域的な情報発信」が重要と考えられる。
<事 例 >
●情 報 発 信
・リノベーション研 修 会 や定 期 的 な冊 子 発 行 によるリノベーション情 報 提 供 (広 島 県 府 中 町 の㈱マエダハウジング)
概 P126 詳 P221
●行 政 区 域 を超 えたリノベーション
概 P121 詳 P211
・7 市 3 町 で、町 家 や古 民 家 を賑 わい拠 点 等 とする取 組 を推 進 (岡 山 県 倉 敷 市 )
・古 民 家 再 生 等 を担 う行 政 単 位 を越 えた地 域 資 産 活 用 協 議 会 の事 務 局 として活 動 (兵 庫 県 篠 山 市
概 P108 詳 P171
の(一 社 )ノオト)
・
図 表 5.3 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム の 形 成
未利用不動産所有者
未利用不動産利用希望者
(入居希望者)
広域的なプラットフォーム
リノベーション
関係事業者
リノベーション関連情報
(利活用方法、法規制等)
空き家関連情報
( 空 き 家 バンクに よ る 物 件 紹 介 等 )
行政区域を越えた地域情報
行政機関
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民 間 の リノベーション
推進事業者
(補論)今こそ住宅政策の転換を
島根大学法文学部
飯野公央
(1)住 宅 不 足 か ら 供 給 過 剰 へ
戦 後 日 本 の 住 宅 政 策 は 、絶 対 的 な 住 宅 不 足 か ら 出 発 し た 。終 戦 直 後 の 住 宅 不 足 数
は お よ そ 420 万 戸 と 推 定 さ れ 、政 府 は 住 宅 の 質 よ り も ま ず 供 給 量 を 拡 大 す る こ と に
住 宅 政 策 の 力 点 を お い た 。そ の 後 、高 度 経 済 成 長 期 を 迎 え 人 口 の 都 市 部 へ の 流 入 が
加 速 す る と ま す ま す 住 宅 需 要 は 増 え 続 け た 。 政 府 は 1966 年 に 成 立 し た 住 宅 建 設 計
画 法 (200 6 年 廃 止 ) に 基 づ く 住 宅 建 設 五 箇 年 計 画 に 従 い 、 建 設 戸 数 を 着 実 に 増 や し
て い っ た 。 そ の 結 果 ‘ 60 年 代 末 に は 総 住 宅 数 が 総 世 帯 数 を 上 回 り 、 供 給 過 剰 の 時
代に入った。
本 来 で あ れ ば 、こ の 段 階 で 日 本 の 住 宅 政 策 は 量 的 拡 大 を 抑 え 、住 宅 の 質 的 充 実 に
舵 を 切 る べ き で あ っ た 。 し か し ‘ 70 年 代 の オ イ ル シ ョ ッ ク に と も な う 不 況 対 策 と
し て 、政 府 は 高 い 経 済 効 果 を 持 つ と 考 え ら れ た 新 規 住 宅 建 設 を 推 し 進 め た 。政 府 系
金 融 機 関 に よ る 融 資 の 拡 大 や 税 制 上 の 優 遇 措 置 な ど を 動 員 し 、不 況 に な る と 新 規 住
宅 建 設 を 促 進 し 景 気 を 下 支 え す る と い う パ タ ー ン が で き あ が っ た の で あ る 。そ の 後 、
プ ラ ザ 合 意 後 の 円 高 不 況 、バ ブ ル 崩 壊 後 や リ ー マ ン シ ョ ッ ク 後 の 不 況 期 に も ほ ぼ 同
様の政策が繰り返しとられている。
このようにして住宅の需給関係を無視した住宅政策によって、
‘ 80 年 代 末 に は 住
宅 の 供 給 過 剰 が 問 題 視 さ れ る よ う に な り 、量 的 拡 大 に 合 理 性 を 欠 い た 住 宅 政 策 は 住
宅の質を高める「ストック重視」の方向へ徐々に転換することとなる。
(2)ス ト ッ ク 市 場 の 成 長 の 遅 れ
‘ 90 年 代 半 ば 以 降 、 政 府 は 住 宅 政 策 を 「 ス ト ッ ク 重 視 」 と し た も の の 、 重 要 な
中 古 住 宅 市 場 や リ フ ォ ー ム 市 場 は 必 ず し も 十 分 な 成 長 を 遂 げ る こ と は な っ た 。な ぜ
な ら 日 本 の 場 合 、住 宅 の 供 給 主 体 の 中 心 が 民 間 で あ っ た こ と 、そ し て 住 宅 建 設 五 箇
年計画の中で考慮されていた住宅の質のコントロールが極めて緩やかな目標水準
に す ぎ な か っ た た め 、住 宅 ス ト ッ ク の 質 に ば ら つ き が 生 ま れ て い た 。さ ら に 税 法 上
の 耐 用 年 数 の 規 定 に よ り 、建 物 の 資 産 価 値 が 25 年 を 超 え る と ほ ぼ ゼ ロ に な る な ど 、
金融機関からの融資条件ならびに税制上の優遇措置においても新築住宅に及ばな
か っ た 。こ の よ う に 、中 古 住 宅 が 流 通 す る た め に 最 低 限 保 証 さ れ て い な け れ ば な ら
な い 質 保 証 や 金 融 税 制 面 で の 施 策 が 不 十 分 で あ っ た こ と な ど か ら 、中 古 住 宅 市 場 が
拡 大 し に く か っ た と 考 え ら れ る 。そ れ が 今 日 の よ う な 異 常 な ま で の 過 剰 供 給 = 空 き
家 の 発 生 の 一 因 と な っ た の で あ る 。で は 中 古 住 宅 の 質 を 保 証 し 、流 通 市 場 を 形 成 す
るにはどうしたらよいだろうか。
- 90 -
(3)ス ト ッ ク 市 場 形 成 の た め に
住 宅 ス ト ッ ク の 質 を 示 す も の と し て は 、住 宅 の 床 面 積 や 居 室 数 、設 備 の 機 能 、耐
久 性 や 安 全 性 、耐 震 性 、省 エ ネ 効 率 、バ リ ア フ リ ー 対 応 な ど 、様 々 な も の が 考 え ら
れ る 。日 本 で は 、こ う し た 良 質 な 住 宅 ス ト ッ ク を 増 や す べ く 、現 在 、住 宅 品 質 確 保
促進法に基づく日本住宅性能表示基準や住生活基本法に基づく長期優良住宅認定
制 度 な ど が 導 入 さ れ て い る 。そ の 結 果 、住 宅 の 資 産 価 値 を 守 り つ つ 、住 宅 ロ ー ン 減
税 、不 動 産 取 得 税 や 固 定 資 産 税 の 減 免 な ど が 受 け ら れ 、質 の 高 い 住 宅 供 給 へ の イ ン
セ ン テ ィ ブ が 高 ま っ て い る 。し か し 、こ う し た 制 度 は そ の ほ と ん ど が 新 築 で し か も
購 入 者 の 判 断 に 任 さ れ て い る た め 、ど こ ま で 普 及 す る か 、必 ず し も 楽 観 は で き な い 。
そ れ に 対 し 、中 古 住 宅 に 関 し て は 、新 耐 震 基 準 を 満 た す 中 古 住 宅 の 購 入 が 住 宅 ロ ー
ン 減 税 の 対 象 に な っ た ほ か 、住 宅 支 援 機 構 の 融 資 が 中 古 住 宅 に も 適 用 さ れ る な ど の
進 展 は あ っ た も の の 、リ フ ォ ー ム 工 事 を 伴 う 中 古 住 宅 に 関 す る 制 度 の 拡 充 は こ れ か
ら の 課 題 と な っ て い る 。し か し 、も し 今 後 中 古 住 宅 の リ フ ォ ー ム に 伴 う 住 宅 価 値 の
上 昇 が 、日 本 住 宅 性 能 表 示 基 準 な ど に 照 ら し て 正 確 に 資 産 評 価 さ れ る よ う に な れ ば 、
中 古 住 宅 の 流 通 と リ フ ォ ー ム 市 場 の 成 長 が 期 待 で き よ う 。そ う す れ ば 新 築 に 偏 り が
ち な 住 宅 市 場 が 是 正 さ れ 、将 来 の 空 き 家 増 加 の 一 因 を 取 り 除 く こ と が で き る の で あ
る 。特 に 、所 得 水 準 が 伸 び 悩 み 、新 築 需 要 が 低 下 傾 向 に あ る 今 日 、そ の 期 待 は 大 き
い 。そ の 意 味 で 早 急 に リ フ ォ ー ム 工 事 ( リ ノ ベ ー シ ョ ン ) の 標 準 化 や ガ イ ド ラ イ ン 作
りが求められる。
(4)ス ト ッ ク の 有 効 活 用 で 地 域 の 空 洞 化 を 防 ぐ
中 古 住 宅 や リ フ ォ ー ム 市 場 の 形 成 は 、そ れ 自 体 空 き 家 問 題 の 解 決 策 の 一 つ と し て
重 要 な 意 味 を も つ が 、さ ら に 地 域 へ の 経 済 波 及 効 果 を も た ら す こ と で 地 域 の 空 洞 化
を 防 ぐ 役 割 も 期 待 さ れ て い る 。つ ま り 、リ フ ォ ー ム 工 事 を 地 元 工 務 店 が 受 注 す る こ
と で 、地 域 経 済 を 潤 す 可 能 性 が 高 ま る の で あ る 。特 に 住 宅 の 省 エ ネ リ フ ォ ー ム 工 事
は 断 熱 性 を 高 め る 工 事 か ら 空 調 に 至 る ま で か な り の 手 間 の か か る も の で 、大 手 か ら
は 倦 厭 さ れ る と い わ れ る 。そ れ ゆ え 中 古 住 宅 の リ フ ォ ー ム に 対 す る 補 助 制 度 は 、新
築 に 比 べ 地 域 波 及 効 果 が 高 い と も 考 え ら れ る 。地 方 創 生 が 叫 ば れ る 現 在 、新 築 に 傾
き が ち は 予 算 配 分 を 見 直 し 、中 古 住 宅 市 場 や リ フ ォ ー ム 市 場 の 活 性 化 に 資 金 を 振 り
向 け る こ と は 、空 き 家 対 策 だ け で な く 地 域 経 済 の 下 支 え と し て も 早 急 に 取 り 組 む べ
き課題の一つである。今こそ住宅政策の転換が必要なのである。
- 91 -
あ
と
が
き
わ が 国 が 人 口 減 少 社 会 を 迎 え る 中 、空 き 家 等 の 遊 休 不 動 産 を い か に 活 用 す る か が
喫 緊 の 課 題 と な っ て い る 。 総 務 省 「 住 宅 ・ 土 地 統 計 調 査 」 に よ る と 、 平 成 25 年 に
お け る 全 国 の 空 き 家 数 は 820 万 戸 、 空 き 家 率 は 13.5% と な っ て お り 、 空 き 家 数 、
空き家率ともにそれぞれ増加・上昇の傾向を示している。
本 調 査 に お い て は 、空 き 家 等 の 遊 休 不 動 産 の 活 用 の 方 法 を 検 討 す る に あ た り 、報
告書のタイトルにもあるとおり、2つのキーワードに着目した。
一 つ 目 は「 リ ノ ベ ー シ ョ ン 」で あ る 。本 調 査 で は 、リ ノ ベ ー シ ョ ン を「 不 動 産 の
改 修 等 に よ り 、新 た な 機 能 や 付 加 価 値 を 増 大 さ せ 、不 動 産 の 再 生 を 図 る 取 組 」と 定
義 し て い る 。現 在 、全 国 で さ ま ざ ま な リ ノ ベ ー シ ョ ン に 向 け た 取 組 が 行 わ れ て い る
が 、本 調 査 で は 中 国 地 域 内 外 の リ ノ ベ ー シ ョ ン の 事 例 研 究 に 基 づ き 、リ ノ ベ ー シ ョ
ンの類型化・見える化を図った。
二 つ 目 は「 地 域 振 興 」で あ る 。本 調 査 で は リ ノ ベ ー シ ョ ン の 取 組 を 地 域 振 興( 地
域 活 性 化 や エ リ ア 価 値 の 創 造 )に つ な げ て い く た め に は ど の よ う に す れ ば よ い の か
という問題意識の下で、全国のリノベーション事例の研究を行っている。
本 調 査 に お い て 、 ヒ ア リ ン グ 調 査 を 実 施 し た リ ノ ベ ー シ ョ ン 事 例 は 、 全 国 38 カ
所 、 42 組 織 に 上 っ て い る 。 こ の リ ノ ベ ー シ ョ ン 事 例 が 本 調 査 の 中 核 を な す も の で
あり、ヒアリングにご協力いただいた関係者の皆様に改めて御礼申し上げたい。
ま た 、リ ノ ベ ー シ ョ ン 事 例 の 取 組 内 容 に つ い て は 、地 域 振 興 の 観 点 か ら「 定 住 ・
雇 用 促 進 に 繋 が る リ ノ ベ ー シ ョ ン 」と「 産 業 振 興 に 繋 が る リ ノ ベ ー シ ョ ン 」に 大 別
され、リノベーションによる成果及び課題を各事例の取組に基づき整理した。
さ ら に 、未 利 用 不 動 産 の リ ノ ベ ー シ ョ ン を 地 域 振 興 に つ な げ る た め の 方 策 と し て 、
エ リ ア 価 値 向 上 に 向 け た 組 織 連 携 、リ ノ ベ ー シ ョ ン 推 進 事 業 者 と そ れ を 支 え る 専 門
家 集 団 の 育 成 、リ ノ ベ ー シ ョ ン に 関 す る 情 報 の 集 約・情 報 発 信 を 担 う プ ラ ッ ト フ ォ
ームの形成の3点にまとめた。
空 き 家 等 の リ ノ ベ ー シ ョ ン に 携 わ る 主 体 と し て は 、行 政 ・ 支 援 機 関 、未 利 用 不 動
産 の 所 有 者 、リ ノ ベ ー シ ョ ン 推 進 事 業 者 等 多 岐 に 亘 る が 、重 要 な こ と は 各 主 体 が そ
れ ぞ れ で で き る 取 組 を 行 い つ つ 、そ れ ら の 取 組 に 関 す る 情 報 や ノ ウ ハ ウ を 共 有 す る
ことではないだろうか。
本報告書が全国の空き家等のリノベーションの推進及びそれを起点とした地域
振興への一助となれば幸いである。
副委員長
- 92 -
久保田典男
空き家等のリノベーションを通じた地域振興方策調査
事例集(概要版)
平成 28 年 3 月
ヒアリング概要 目次
1. 関東地方
1.1. 株式会社スペースマーケット(東京都、事業者)(1) ……………………………………
1.2. CITYLIGHTS(東京都、事業者)(2) ………………………………………………………
1.3. 株式会社富士通総研(東京都、調査機関)(3) …………………………………………
1.4. 独立行政法人都市再生機構(神奈川県、事業者)(4) ……………………………………
1.5. 山万株式会社(千葉県、事業者)(5) ……………………………………………………
1.6. 豊島区役所(東京都、行政機関)(9) ………………………………………………………
1.7. 株式会社住宅新報社(東京都、支援機関)(33) …………………………………………
1.8. 株式会社紫式部(東京都、事業者)(34)
…………………………………………
1.9. 大東文化大学(東京都、支援機関)(35)
…………………………………………
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2. 近畿地方
2.1. 奈良市役所(奈良県、行政機関)(6) ……………………………………………………
2.2. 京都市役所(京都府、行政機関)(7) ……………………………………………………
2.3. 京都府住宅供給公社(京都府、事業者)(8) ……………………………………………
2.4. 町屋ゲストハウス三輪(奈良県、事業者)(23) ……………………………………………
2.5. 日本住宅流通株式会社(大阪府、事業者)(27)
………………………………………
2.6. 枚方市役所(大阪府、行政機関)(28)
…………………………………………………
枚方宿地区まちづくり協議会(大阪府、支援組織)(29)
……………………………
2.7. 一般社団法人ノオト(兵庫県、事業者)(30) ……………………………………………
2.8. 綾部市役所(京都府、行政機関)(31) ……………………………………………………
特定非営利活動法人里山ねっと・あやべ(京都府、事業者)(32) ……………………
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3. 九州地方
3.1. 富士見が丘連合自治会(大分県、住民組織)①
………………………………………
3.2. 新大分土地株式会社(大分県、事業者)②
……………………………………………
3.3. 大分市役所(大分県、行政機関)③
……………………………………………………
3.4. 豊後高田市観光まちづくり株式会社(大分県、事業者)④
…………………………
3.5. 九州工業大学(福岡県、支援組織)⑤ ……………………………………………………
3.6. 株式会社北九州家守舎(福岡県、事業者)⑥
…………………………………………
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4. 中国地域
4.1. 鳥取県
4.1.1. 鳥取市役所(鳥取県、行政機関)(15)、鳥取家守舎(鳥取県、事業者)(16) ……
ホンバコ(鳥取県、事業者)(17) ……………………………………………………
4.1.2. 智頭町役場(鳥取県、行政機関)(24) ………………………………………………
4.2. 島根県
4.2.1. 特定非営利活動法人てごねっと石見(島根県、事業者)(18) ………………………
4.2.2. 江津商工会議所(島根県、支援組織)(19) …………………………………………
4.3. 岡山県
4.3.1. 岡山県庁(岡山県、行政機関) (10) …………………………………………………
4.3.2. 倉敷市役所(岡山県、行政機関)(11) ………………………………………………
4.3.3. 児島商工会議所(岡山県、支援組織)(20) …………………………………………
4.3.4. 岡山市東区役所(岡山県、行政機関)(22) …………………………………………
4.4. 広島県
4.4.1. 呉市役所(広島県、行政機関)(12) ……………………………………………………
4.4.2. 廿日市市役所(広島県、行政機関)(13) ……………………………………………
4.4.3. ㈱マエダハウジング(広島県、事業者)(14) ………………………………………
4.4.4. 特定非営利活動法人ぬまくま民家を大切にする会(広島県、事業者) (25) …………
4.4.4. 特定非営利活動法人尾道空き家再生プロジェクト(広島県、事業者) (36) …………
4.5. 山口県
4.5.1. ㈱まちあい徳山(山口県、事業者)(21) ………………………………………………
4.5.2. 一般社団法人おんなたちの古民家(山口県、事業者)(26) ………………………
(注)(1)~(36)はヒアリング番号、①~⑥は他地域事例視察
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1.関東地方
1.1.株式会社スペースマーケット(東京都新宿区)
訪問日:平成 27 年 7 月 31 日
組織形態
事業者
ヒアリング先
㈱スペースマーケット(東京都新宿区西新宿 6-15-1 ラ・トゥール新宿 502)
リノベーション概要
スペース貸し事業(時間単位、日単位等)の展開
地域の概要
首都圏を中心に全国的な事業展開
経緯
・平成 26 年 4 月に、シェアリングエコノミー(ゆるやかな信頼をベースに、今
余っているモノや人、リソースを今必要としている人に提供する事業の総称)
という概念に基づき、当該事業を立ち上げた。
事業概要・特徴
・事業コンセプトは、空間貸出とシェアリングエコノミーであり、空きスペース
のポータルサイトを立ち上げ、首都圏を中心に 3,500 件の空きスペースを会議
やイベント等に提供。不動産オーナーは、その不動産を、どういうふうに利用
したらいいかというノウハウがないので、当社からアイデアを提供。
・空きスペースを探している人がサイトに入り、Webで予約し、それをオーナ
ーに知らせ、ユーザーとメールのやり取りで内容を確認し、前払い制でカード
等での振り込みで予約が成立する。
・大型イベント(法人で 20 万円以上)の場合、コンシェルジュサービスも行う。
・スペース登録の掲載料は無料で、確定したときに手数料(20~35%)をもらう仕
組みで、料金はスペースごと、プランごとにオーナーが設定する。時間単位や
日単位もあり、集客力のある施設は、当社のポータルサイトに載せる必要がな
いが、有名なところを掲載すると当社のブランドになる。
・利用が多いところは安く、あまり使われていない遊休スペースは高めに設定す
る。3.5 万円/日程度の料金が多い。
・メディアや講演等でPRには力を入れている。
波及効果
・オフサイトミーティングは歴史的な場所で出来たり、徳島県の神山町のような
場所でも出来るわけであり、移住を考えるとき、まず、実際に何回か訪問した
後に、そこが気に入って移住を考えるので、オフサイトミーティングをすれば、
将来的な移住にも繋がると考えることができる。
課題
・どれだけ品ぞろえができるかが重要で、現在の掲載件数は 3,500 スペースだが、
1 万スペースまで持っていきたい。
・金額的に大きい企業のプロモーションと、どのように絡めるかが重要である。
スペース
所有者
利用
希望者
スペースマーケット
提供サービス
スペースの稼働
率を上げたい
空いているスペー
スを収益化したい
イベント企画
運営コンサル
予約受付
・スペースを掲載
写真・地図・詳細情
報をアップロード
・スペースを利用
掲載された情報を
見て利用する
経営会議を
やりたい
初期サポート
売上管理
課金代行
利用審査
収益
収益
弊社手数料、決済手数料
を除いて貴社にお支払い。
運動したい
会場撮影
利用料金
ページ作成サポート
(月末締め・翌々月末払い)
(資料)㈱スペースマーケットのホームページより作成
-93-
パーティしたい
1.2.CITYLIGHTS (東京都渋谷区)
訪問日:平成 27 年 7 月 31 日
組織形態
事業者
ヒアリング先
CITYLIGHTS(東京都渋谷区桜丘町 9-17 TOC 第 3 ビル 402)
リノベーション概要
DIY住宅の情報提供とマッチング
地域の概要
首都圏を中心に全国で事業展開
経緯
-
事業概要・特徴
<不動産サイトの運営>
・不動産プロデュースチーム CITYLIGHTS は、東京都、神奈川県、京都府、大阪
府等の改装可能な賃貸物件だけを集めた不動産紹介サイト(DIYP)を運営し、
平成 28 年 2 月現在、583 件の物件が掲載されている。
・DIYP では、入居者が壁にペンキを塗ったり、床を張り替えたり、自分らしい空
間を作り込む事ができる自由度の高い物件を集めている。また、欲しい空間の
イメージはあるが、自分で全部作るのは無理かも、という人には求めているテ
イストをヒアリングした上で、建築士や工事業者の紹介も行っている。
<リノベーション>
マンションの一室から、一軒家、建物一棟などの企画、デザイン及び、施工の
手配を行い、フルリノベーションの提案から、予算に応じて、ここまでの工事
を行えば入居者がつきますよといった簡易な工事の提案まで、柔軟な対応をし
ている。
<不動産企画>
古いビルを改修可能なオフィスとして貸し出し、クリエイターを多く集め、ビ
ル全体の空室率減少のみならず、雑誌等の取材を多く受ける事で建物のイメー
ジアップなどを行っている。
<ショップの企画・プロデュース>
レストランや飲食店の企画及びプロデュースなどを行っている。
波及効果
-
課題
・改装の範囲については、「部屋の壁紙を変更できる」、「壁にペイントできる」、
「棚を新設できる」といったものから、「畳を板張りに変更できる」、「間取り
を変更できる」、「躯体や構造に支障のない範囲で内装を変更できる」といっ
たものまで、幅広く扱っており、掲載の基準としては、入居者が内装を変更で
きる箇所があれば可としている。
・退去時の原状回復については、入居者が全く行わなくても良い物件から、元に
戻す箇所と戻さない箇所がある物件まで、貸主の意向により様々であるが、当
サイトでは、改装前に入居者より内装変更を行いたい内容を書面や図面にて貸
主に提出して頂き、それをもって、貸主に改装内容の把握と、工事の可否、原
状回復についての判断を行ってもらう様にしている。「この壁紙の変更はその
ままにして退去しても構わない」や、「ここに付けた棚は退去時に取り外す」
といった事を契約前に貸主と借主で取り決めてもらい、その上で、双方合意し
た旨を契約書もしくは覚書にて取り交わし、トラブルのないようにしている。
-94-
1.3.株式会社富士通総研(東京都港区)
訪問日:平成 27 年 7 月 31 日
組織形態
調査機関
ヒアリング先
㈱富士通総研(東京都港区海岸 1-16-1 ニューピア竹芝サウスタワー)
リノベーション概要
空き家対策に関連する施策等を整理・分析
地域の概要
全国を対象に空き家対策等を調査
経緯
数年以上前から空き家対策等の調査を行っている。
事業概要・特徴
・空家対策特別措置法の基づく指導、勧告、命令、代執行といった措置に加え、
住宅用地特例の適用除外が可能になったことは、所有者行動に与える影響が大
きい。
・所有者はそうした事態を避けるため、空き家を継続的に管理するか、早期に売
却、賃貸化するなどのインセンティブを与えられる。不動産事業者やハウスメ
ーカーなどは、所有者に代わって管理を行ったり、空き家の流動化を促すビジ
ネスを活発化させている。
・所有者は、空き家を継続的に管理するにしてもコストがかかるため、今後は早
期に手放したいとの意向を持つ人が増える可能性がある。従来に比べ、空き家
を抱え込まずに、市場に放出される可能性が高まることになる。
・空き家バンクは 10 数年前から地方を中心に取り組まれてきたが、成果が上が
っているところとそうでないところに分かれている。
波及効果
・不動産業界にとっては、空家対策特別措置法によって、今後、市場性の高い物
件も多数放出されることでビジネスチャンスが広がると考えられる。
課題
・空家対策特別措置法に基づく処置で自治体にとって悩ましいのは、勧告して住
宅用地特例の適用除外を行ったとしても、現に固定資産税を払っていない場
合、支払ってくれる見通しは立たない上、解体費用も出せず、自主的な対応が
進まないケースが出てくることである。そうした事態に至る前に、解体費用を
少しでも補助して、自主的な対応をしてくれるのなら、その方がはるかに望ま
しいと考える自治体は、今後増えていくだろう。
・空き家バンクを成功させるためには、物件発掘のほか、サポート(受入体制)、
インセンティブ、地域の情報発信に取り組む必要がある。地域にとっては、移
住者はもちろん誰でも来て欲しいが、地域にとって特に欲しい人材を優遇する
という方法もある。
・空き家問題がここまで悪化したのは、根本的には、住宅不足の時代に新築の供
給を急ぐ余り質が追いつかず中古としての活用可能性が低くなったこと、同時
に、数を確保するために市街地を広げ過ぎたということがある。現在では一転
して人口減少時代に入り、条件の悪い物件、立地から空き家になっている。今
後は、空き家対策を講じるに当たっては、同時に、市街地の縮減(コンパクト
シティ化)を考えていく必要がある。
-95-
1.4.独立行政法人都市再生機構(神奈川県横浜市)
組織形態
ヒアリング先
リノベーション概要
地域の概要
経緯
事業概要・特徴
訪問日:平成 27 年 7 月 23 日
事業者(支援組織)
独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)
(神奈川県横浜市中区本町 6-50-1 横浜アイランドタワー)
・間取りの変更、水まわり設備改修、内装カラーコーディネート、DIY、カス
タマイズ。
・MUJI HOUSE、イケア、東急ハンズと連携して、リノベーションプロジェクト
実施。
・全国の旧住宅公団等の集合住宅で、中国地域のUR賃貸住宅は、広島市に 11
ヵ所、岡山市に 1 ヵ所ある。
・(独)都市再生機構(UR都市機構)は、平成 16 年に都市基盤整備公団(日本
住宅公団、宅地開発公団、住宅・都市整備公団等が前身)と地域振興整備公団
(地方都市開発整備部門)が統合されて設立。
・賃貸住宅ストック再生・再編方針(平成 19 年 12 月策定)では、団地ごとに整備
方針を策定し、その時点の約 77 万戸について、居住者の居住の安定を十分確
保しつつ、平成 30 年度までに約 10 万戸の再編に着手し、約 5 万戸のストック
を減らす、としている。
・現在、昭和 40~50 年代前半に建設した中層5階建での標準設計形式の住戸を、
「リニューアル」という改修として、全室和室だったものを1室以上洋室化、
一定のバリアフリー化、水回り設備改修等を行っている。
・㈱MUJI HOUSE、イケアジャパン、㈱東急ハンズとの連携で、リノベーションプ
ロジェクトを実施し、新たな客層に発信していく取組も行っている。
・約 7 万件/年の空家補修を行っているが、原状回復が主流で、一部ニーズに合
わない住戸については資産の良質化を図るという目的で、リノベーションに取
り組んでいる。
波及効果
課題と対応策
・UR都市機構は、エリアごとに団地を管理している。各エリアで地域における
政策課題や住宅需要の動向等ニーズを調べながら、その都度、最適化に努めて
いる。
・西日本や九州では、コストを抑えたリノベーションとして、コーディネートに
重点を置いた「暮粋(くら・しっく)」と呼ぶ改修を行い住戸の魅力アップに
取り組んでいる。暮粋(くら・しっく)では、残す部分と変えていく部分を両
立させ、和室や建具をそのまま生かす等レトロな感じを残し、襖や床のカラー
コーディネートや洗濯機置き場の改修等を行っている。建設当時は洗濯機置き
場を想定していなかったため、最近の若い人のニーズに合わせ、キッチンのそ
ばに設置したりしている。
・建物の構造部分(躯体)以外の部分は原則として DIY 可能で退去時に原状回復
を行わなくても良い「DIY 住宅」を一部の団地で展開している。また、DIY 初
心者に向けて、部分的な DIY が可能な「Petit DIY 住宅」の供給も行っている。
UR賃貸住宅の通常の住戸についても「模様替え基準」に沿った改修は可能で、
原状回復免除の項目もある。長く住んでいる人は、クロスの交換や畳の取替え
など、自ら手を入れながら住み続けている場合が多い。
・UR全体で、多様な世代が助け合いながら生き生きと暮らし続けることができ
るミクストコミュニティとしてのまちづくりを目指している。
・従来は同じ間取り、画一的な改修であったが、最近の傾向で、ニーズの多様化
があり、若い人にはこだわりがあるので、いろいろな商品をいろいろな形で提
供するようにしている。
-96-
1.5.山万株式会社(千葉県佐倉市)
訪問日:平成 27 年 7 月 24 日
組織形態
事業者
ヒアリング先
山万㈱ ユーカリが丘団地(千葉県佐倉市ユーカリが丘 1 番地1ステーションタワー 3 階)
リノベーション概要
住宅団地内での住み替えシステム(ハッピーサークルシステム)の構築
地域の概要
・全体の開発面積は 245ha、計画人口は 3 万人(8,400 戸)で、平成 27 年 11 月末
現在、7,257 世帯、18,053 人が居住。
・ユーカリが丘団地には、32 の公園、駅前には商業施設、映画館があり、タウン
セキュリティにも配慮し、高齢者福祉施設や新交通システム(山万ユーカリが
丘線)も整備され、コミュニティバスの実用実験も行っている。
経緯
・昭和 46(1971)年からユーカリが丘団地の整備を開始。
事業概要・特徴
・ハッピーサークルシステムで、リフォームや住み替えの手伝いをしている。査
定額の 100%で買い取ったり、終身借り上げで自宅を年金化したりして、買い
取ったものはリノベーションして若い世代に渡すというサイクルを作ってい
る。
・住み替え対象は高齢者施設にも拡大している。また、移住・住みかえ支援機構
のシステムを使って自宅を賃貸に出して住替えできるようにしている。
・買い取ったものはリフォームして新築の 70%で再販して、若い人には割安で住
みやすいようにしている。70 代の人が住んでいた建物の骨組を残して、リノベ
ーション住宅として 30 代の人に売っていくことで、30 代の人が住む町になる。
・山万では、平成 21(2009)年からエリアマネジメントグループをつくり、これか
らの需要を先取りし、住民の声をきくために、住民に何が必要かを住民アンケ
ート等で把握し、タウン誌も発行している。1軒1軒を回り、50 軒/日、3~4
回/年、回ることで街のコンシェルジュとして重用されるようになった。
・中学校駅周辺のビューガーデン街区には、エコ機能を備えた環境配慮型の住ま
いを整備している。
・2 つの認可保育園、1 つの無認可保育園があり、子育て支援で、女性の働きや
すい環境を作り、安心して働くことができるようにしている。
波及効果
・ユーカリが丘団地は、資産価値が高く、資産価値が落ちない街として、佐倉市
では地価上昇率は 1 位となっており、今後も利益性の向上を目指している。
課題と対応
・36 年前から分譲を開始し、その当時の入居者は、現在 70~80 歳で、家族構成
も変わり、駅前のマンションに住み替えたいという人が出て来ており、今の住
まいが売れないと引っ越せない等、住み替えのためのストレスがかかるが、そ
ういう人に、ユーカリが丘の新築に引っ越してもらうために、山万で査定額の
100%で買い取るというシステムを作っている。
-97-
1.6.豊島区役所(東京都豊島区)
訪問日:平成 27 年 7 月 24 日
組織形態
行政機関
ヒアリング先
東京都豊島区役所(東京都豊島区南池袋 2-45-1)
リノベーション概要
官民連携でのリノベーションまちづくり事業、リノベーションスクール等の開催
地域の概要
・豊島区の人口は増加傾向にあるが、平成 26 年 5 月に、消滅可能性都市の 1 つ
としてリストアップされた。
・豊島区には、大学が多く、JR・地下鉄にアクセスが容易で、単身世帯が多い。
しかし、家賃が高く、若い人がファミリー世帯になると区外に出ていく傾向が
ある。住みたい街のランキングで 3 位に池袋が入る等、いいイメージがあった
が、この指摘をうけて、緊急対策本部が作られ、女性に優しいまちづくり、地
方との共生等をコンセプトに、空き家の活用等の取組が考えられた。
・平成 20 年の総務省の調査では、豊島区の空き家は 21,680 戸で、ほとんどはア
パート、マンションの空き室で、狭小な住宅が多い。
経緯
・豊島区が消滅可能性都市に指定された時期(平成 26 年 5 月)に、北九州市で
のリノベーションスクール事業者から区に働きかけがあり、平成 26 年 10 月の
補正予算で取組を開始(予算は 26 年度 1,700 万円、27 年度 2,900 万円)
・平成 26 年度は、
「リノベーションまちづくり」手法として、まちのトレジャー
ハンティング、リノベーションまちづくり検討委員会、リノベーションスクー
ルを実施。
事業概要・特徴
・平成 27 年 3 月に、官民連携によるリノベーションスクール(セルフリノベーシ
ョン・事業計画コース)を開催、事業計画コースでは 36 名が 4 ユニットに分か
れ、豊島区の 4 件の空き家等の活用策を検討し、所有者に提案。
・リノベーションスクールは、事業計画 4 案件、セルフリノベーション 1 案件を
対象に、3 日間、行われた。参加費用は、親睦会費用も含めて 36 千円で、区は
運営側には委託料を支払っている。会場は大学の施設を借りている。会場使用
料は大学側の行為により無料。
・事業計画コースでは、申込み者 90 人の中から選ばれた 36 人が 4 ユニットに分
かれ、各ユニットマスターの指導のもとで、まちの価値を高めるために必要な
ものを検討。
・セルフリノベーションコースではマンションの 1 つを対象に、申込者 32 名の
うち 10 人が取り組んだ。最終日には、公開の場でプレゼンテーションを行い、
不動産オーナー、区民等 300 人が参加。
・平成 27 年度は、構想づくりと育成支援、リノベーションまちづくりのエンジ
ンとして第 2 回リノベーションスクールを開催する予定。
波及効果
・リノベーションまちづくりを通じて、区内で増加する空き家、低未利用な公共
施設等、遊休不動産を活用することで、都市・地域経営課題を解決し、住んで
子育てして、働きながら暮らし続けられるまちを実現する。
課題
・遊休不動産の活用に積極的な人が少なく、なかなかオーナーの協力を得られな
い。オーナーに接触できない場合もある。
-98-
1.7.株式会社住宅新報社(東京都港区)
訪問日:平成 27 年 12 月 14 日
組織形態
支援機関(情報サービス)
ヒアリング先
㈱住宅新報社(東京都港区虎ノ門 3-11-15)
リノベーション概要
住宅・不動産、空き家等に関連する情報を収集し、専門紙を発行
地域の概要
全国を対象に住宅や空き家等の情報を収集し、その最新の動向を把握している。
経緯
・昭和 24 年から住宅・不動産の専門紙を発行。関連セミナー等も開催している。
・平成 27 年 4 月から宅建業者が宅地建物取引士になり、平成 27 年 7 月には全
国空き家相談士協会が発足する等の動きがある。全国空き家相談士協会には、
解体業者・不動産屋・建築士等が参加し、その対象とする分野は広い。
事業概要・特徴
・不動産業者の中で、住民にとって、あの会社がいなくなったら困るというよ
うに種をまくような戦略をとっている事例がある。大手ハウスメーカーが賃
貸業に進出しているので、地元の不動産業者は、生き残ろうとすると長期的
な視点での経営が必要である。
・1階を店舗にして、上の階をシェアハウスやシェアオフィスにして、最上階
を共有にする等、古いビルをオフィス以外にする取組はどんどん増えている。
・工務店から不動産業に参入する業者も増えており、これからは、リフォーム
するにしても建物の知識が重要である。また、総合コンサルが必要で、不動
産業者と工務店が一緒になると有利である。建築業者が不動産業に進出する
事例は多い。
波及効果や今後
の動向
・空き家を多世代型シェアハウスにした事例があり、このような取組は始まっ
たばかりであるが、これから普及していくと考えられる。また、ホームステ
イ型シェアハウスが増え、ホテルを兼ねたシェアハウスができるようになる
だろう。
・中古物件をリフォームすれば、若い人が安く住まいを手に入るということに
なり、若い人の資産形成を手助けすることができる。所有者も 2 階を賃貸に
して、賃貸スペースが半分以下であれば、住宅ローンが適用されるため、自
分は 1 階に住んで、2 階を若い人に貸すというような賃貸併用付住宅も増えて
いる。
・空き家管理することで、最初は儲からなくても、管理された物件は売りやす
い物件として評価されるようになったという事例がある。
課題
・シェアハウスは寄宿舎という形で建築確認をとる必要がある。
・東京都大田区は国家戦略特区で、マンションの一室を民泊にすることができ
るようになるが、住んでいる人から見ると、反対ということになるだろう。
・既存の不動産会社には人材が少ない。平成 27 年 4 月から宅建業者が宅地建物
取引士になったが、まずはコンサルが出来て、本音で接する人、顧客に向き
合うコンサルをやっていかないと信頼されない。仲介のスキルしかない人だ
と、売上を上げるために数を増やすということになり、仕事の仕方が荒っぽ
くなる。
・成田エクスプレスの沿線では、駅周辺にコンパクトシティが出来ているが、
そこにどれくらいの雇用を作れるかが課題である。サラリーマンで自転車や
歩いていけるところに職場がある環境であれば、家族との距離が近くなり、
それが魅力となる。
-99-
1.8.株式会社紫式部(東京都文京区)
訪問日:平成 27 年 12 月 14 日
組織形態
事業者
ヒアリング先
㈱紫式部(東京都文京区本郷 3 丁目 6-4 IVIS BLDG.1F)
リノベーション概要
空き家等を活用したブックカフェ事業経営への支援
地域の概要
・全国の出版市場が縮小するなかで、空き家等を活用したブックカフェやネット
古本屋が増えている。
経緯
・平成 27 年 8 月には、日本ブックカフェ協会を立ち上げ、開業支援、経営支援
等を行っている。
事業概要・特徴
・古本の事業を始めて 20 年近くになり、スーパー源氏という古本のポータルサ
イトを運営し、登録者が 300 店舗ある。三省堂書店と提携して、新刊書店内に
古本屋を入れたリアル販売も行っている。
・当社では、リアル(実際の店舗)とネットをどう組み合わせるかを志向してい
る。ネット上で、棚から見て買えるようなシステムを 3 月から展開している。
・ブックカフェ事業が成り立つかどうかは、本のジャンルと立地にもよるが、リ
ピーターが来るような魅力的なサービスや特徴があって、行ってみたいと思う
ようなところがうまくいっている。
・ブックカフェでは、カフェ:本の売上が7~9:1~3で、本がカフェを越え
ることはない。売る機会を増やすことで5:5までは持っていける。一般には
1/3 が本で、2/3 がカフェということになろう。
・オール 100 円で、実店舗は 10~15 万円/月の売上を計上し、仕入れた商品をネ
ットに登録して 50~100 万円/月の利益計上が可能になっている事例がある。
波及効果
・ブックカフェやネット古本屋の事業を通じて、結果として主婦や障がい者の雇
用を生み出しており、ソーシャルビジネスとして、社会貢献を行っている。
・ネットで古本屋を開く人は 14~15 年前から増えてきて、現在、14~15 万人に
なっており、リアルの店を出す人も増えてきた。一方、個性的な本をネットに
掲載し、ブックカフェを開くという人が出てきており、100 円ブックを事業展
開している人もいる。空き家をリノベーションして、古本を置いてコミュニケ
ーション施設としての活用する事例も増えている。
課題と対応策
・従来型の古本屋を営む人が減っている。経営者は 9 割以上が男性で、年齢も 50
代以上で、後継者がいない場合が多い。
・商店街に出店する場合、単に古本とカフェを併設しただけでは集客は難しい。
・年間 7~8 万点の新刊が出され、出版の洪水という状態で、どこに行っても似
たような店舗になり、個性的なものがない新刊書店が多い。一方で、ミステリ
ーだけ、時代ものだけ、自然のもの、食に関するもの等、テーマ性を持ったも
のを扱うところもあり、お客の嗜好に合わせたニーズに対応している。
・仕入れて売る場合、売り場を店以外に持っていない場合、小売りだけだと厳し
い。本だけでは売れないので、本をきっかけに人を集めるということを目的に
している店が多い。
-100-
1.9.大東文化大学(東京都板橋区)
訪問日:平成 27 年 12 月 15 日
組織形態
支援機関(大学)
ヒアリング先
大東文化大学(東京都板橋区高島平 1-9-1)
リノベーション概要
高齢化が進行する団地の空室に学生が入居し、学生が地域活動に参加するプロジ
ェクトを実施(2008-2013 年)。現在はテナントにおける「学び合い教室」等を運
営している。
地域の概要
東京都の大型団地(高島平)の集合住宅に隣接して大学が立地。
経緯
・活動の下地として地域住民が大学の公開講座に足を運び、教職員と交流を持つ
関係が長らくあったが、やがて高島平の課題を考える勉強会に発展していっ
た。地域からは団地における治安の向上や高齢者の孤立などへの対策要望があ
り、大学側では留学生の居住スペースの確保などのニーズがあった。
・2007 年度に申請した文部科学省の現代 GP(現代的教育ニーズ取組支援プログ
ラム)に採択され、その補助金を資金として学生の入居プログラムは 2008 年
から始まった。
事業概要・特徴
・学生による入居プログラムは 2013 年に終了したが、大学としては各方面から
実績として評価され、取材や視察の希望等の反響も大きいことから、担当教員、
スタッフを置き、
「みらいネット」としての活動を継続している。
・現在は、テナントにおける学び合い教室を運営し、韓国語教室、中国語教室、
ハーモニカ教室等、およそ年間に延べ 3,000 人近くが利用している。
・コミュニティFMでは住民がディレクターとなり学生が番組を制作していた
が、現在はFM放送の代わりにユーチューブにおけるインターネット番組の配
信を行っている。
・
「みらいネット」は学生・大学・住民の三者協議会で毎月、提案企画を協議し、
運営されている。
波及効果
・現在、高島平団地周辺にはコミュニティカフェが 6 ヵ所程度できているが、こ
のコミュニティカフェがきっかけとなったものが多い。
・従来は大学の長期休暇期間はイベント等の活動はしていなかったが、住民から
の要望もあり、活動期間は拡大されている。
課題
・
「学び合い教室」は学生のプレゼンテーション能力向上にも寄与しているが、
「学
び合い教室」の講師は住民有志が多いため、学生の講師参加を増やしたい。
・利用者が固定している傾向もあるため、住民および学生の参加を呼び掛け、自
由な発想による活動の幅を拡げたい。
高島平団地
三者協議会
(資料)大東文化大学ホームページ
-101-
2.近畿地方
2.1.奈良市役所(奈良県奈良市)
訪問日:平成 27 年 6 月 16 日
組織形態
行政機関
ヒアリング先
奈良市役所 観光経済部 奈良町にぎわい課(奈良県奈良市鳴川町 37-4)
リノベーション概要
・空き家(町家)の保存・流通を支援
・町家を購入・改修の後、観光交流施設として活用
地域の概要
・奈良市奈良町(奈良市の旧市街)の人口は微減。午後 7 時ごろには店が閉まる。
観光客相手に、昼間だけでやっていけるが、夜の飲食街では、全国のチェーン
店だけが開いているような状況である。
・奈良まほろば景観まちづくり条例に基づき、奈良町 49ha は改修等の補助制度
が適用されている。
経緯
・20~30 年前から奈良町の保存と活性化に取り組んでいる。
・平成 23 年 4 月から、ならまち町家バンク
を開始。
・町家(延床面積 400 ㎡、大正 9 年築)を
奈良市が購入して、1 年半かけて、簡単な
改修をして、観光交流施設として平成 27
年 4 月に奈良町にぎわいの家をオープン。
事業概要・特徴
・ならまち町家バンクは、6 団体(奈良市、NPO 等)で構成されている。
・町家の登録が 12 件、うち成約 5 件。空き家を使いたいという人が 116 件(平
成 27 年 5 月現在)で、飲食店開業を目指す人が多く、ゲストハウスを目指す
人も増えている。
・登録者には、面接を兼ねた説明会に参加してもらい、見学会を開催し、空き家
の活用申請書を書いてもらう。それを、所有者に見せて、その人に貸してもよ
いという話になれば、顔合わせをして話をしてもらう。素人同士でうまくいか
なかった場合、宅建業協会にも打合せに参加してもらう。
・町家の内部改修工事経費を 50%補助(上限 500 万円)。外部改修も 70~80%補
助(上限 1,000 万円)。
・町家を購入・改修の後、観光交流施設として活用。
波及効果
・町家関連支援に加えて、起業化支援も行っており、全体として空き店舗は少な
くなっている。
課題
・貸し物件がなかなか出てこないことが課題。自治会にも空き家の活用をすすめ
ている。自治会に空き家調査をしてもらい、法務局で持ち主を特定し、問いか
けをして反響を待っている。
・この区域は、間口が狭く、防火対策が厳しく、消防法の規制がある。
・良い物件は不動産業に流れ、流通に載らないものが町家バンクに流れている。
-102-
2.2.京都市役所(京都府京都市)
組織形態
ヒアリング先
リノベーション概要
地域の概要
経緯
事業概要・特徴
波及効果
課題や対応策
訪問日:平成 27 年 6 月 17 日
行政機関
京都市役所 (京都府京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町 488)
空き家対策の総合的推進
-
「空家等対策の推進に関する特別措置法」
(以下「空家特措法」という。)及び「京
都市空き家等の活用、適正管理等に関する条例」
(以下「空き家条例」という。)
に基づき、総合的な空き家対策を推進している。
<空き家の発生の予防>
(1) 各種リーフレット・冊子の作成、配布
・空き家条例に関するリーフレットの作成、配布(平成 26 年 4 月~)
・空き家に関する知識や情報をわかりやすく示した冊子等の作成、配布
(2) 説明会・相談会の開催
地域や高齢者の集まり等に専門家を派遣し、空き家化の予防をテーマとし
た説明会や相談会を開催(平成 26 年 6 月~)
(3) ポスター・市民しんぶん等による普及啓発
・市営地下鉄車内への広告掲載、市民しんぶんへの特集記事掲載
<空き家の活用・流通の促進>
(1) 総合的なコンサルティング体制の整備
・市民や地域の皆様からの相談に応じるため、地域に身近な不動産事業者を
「京都市地域の空き家相談員」として登録(平成 26 年 4 月~)
・現地に赴き、空き家の活用方法などのアドバイスを行う専門家の派遣(平
成 26 年 7 月~)
(2) 地域連携型空き家流通促進事業の継続・拡充
・地域の自治組織等が主体となって行う空き家の発生の予防や活用等に関す
る取組に対して、専門家の派遣や必要経費の助成などの支援を行っている
(平成 22 年度~)。
・活動助成金の上限を年間 15 万円から 50 万円に引上げ(平成 26 年度~)
(3) 空き家活用促進制度の創設
・空き家活用・流通支援等補助金(平成 26 年 6 月~)
●活用・流通促進タイプ:空き家を活用・流通させるために必要な修繕・
模様替え、家財の撤去に要する費用の一部について最大 30 万円を補助
(京町家の場合は、最大 60 万円)
●特定目的活用支援タイプ:空き家を本市の政策目的に沿った特定の用途
で活用する場合に必要な改修に要する費用の一部について最大 60 万円
を補助(京町家の場合は、最大 90 万円)
・
「空き家活用×まちづくり」モデル・プロジェクト
まちの再生や地域の活性化に資する新しい空き家の活用方法の公募を行
い、優れた提案に対して必要な改修費用等の一部を補助(最大 500 万円)
<その他>
・空き家の適正管理(通報受理、調査、指導等を行う体制の構築(平成 26 年 4
月~)等)
、跡地の活用(細街路での建替え等を可能とする新たな道路指定制
度の創設(平成 26 年 4 月~)等)
-
・空き家問題は所有者個人の問題にとどまらず、地域課題であるという市民意識
の向上のための取組を重視している。
-103-
2.3.京都府住宅供給公社(京都府京都市)
訪問日:平成 27 年 6 月 17 日
組織形態
事業者
ヒアリング先
京都府住宅供給公社(京都府京都市上京区出水通油小路東入丁子風呂町 104 番地の 2)
リノベーション概要
府営住宅(堀川団地:上長者町団地、出水団地 3 棟、下立売団地、椹木町団地の
6 棟)のリノベーション
地域の概要
・堀川団地 6 棟は、西陣地区に近い京都市上京区堀川通りの西側に立地し、昭和
25~28 年に建設された全国初の店舗付きアパートである。
・平成 27 年 3 月時点で、住宅区画数 94、入居区画 55 で、39 区画が空き室とな
っている。店舗・店舗付住宅は 58 区画で、39 区画が入居している。
経緯
・平成 2 年に、老朽化により堀川団地の空き家への補充募集が停止された。
・平成 21 年以降、2 棟建替 4 棟改修や 4 棟建替 2 棟改修が検討されるなか、出水
団地第 1、2 棟を国の高齢者居住安定化事業で改修(平成 26 年夏に完成)。
・平成 24 年度に、アートと交流を基本テーマに、京都の伝統を生かす西陣クラ
フト&アートセンター等を中核施設として整備することとなった。
・先行改修された出水団地第 1、2 棟では、まちカフェ、交流施設がコミュニテ
ィを支える施設として確保されている。
事業概要・特徴
・堀川団地 6 棟のうち 2 棟を大規模改修し、「アートと交流」を基本コンセプト
に、アートに関心の高い入居者・店舗を募集。住居部分には、職人やアーティ
スト等、アートを理解する人に住んでもらうようにしている。
・DIYセルフビルド住宅 4 戸も一部提供。既に 4 戸とも入居が確定している。
・まちカフェでは、飲食、講演会、ミーティングもできるようにしている。
・今後、セレクト系ショップを西陣地区と組んで展開することを考えている。
波及効果
・京都国際現代芸術祭で、スイス出身の芸術家による展示を上長者町団地で行い
多くの集客があった。
課題
・堀川団地の店舗募集に関するインターネットのヒット率は高いが、実際に手を
あげる人は少ない。
・1 階には商店街協同組合があるが、マネジメント能力は低下している。
-104-
2.4.町家ゲストハウス三輪(奈良県桜井市)
組織形態
事業者
ヒアリング先
町家ゲストハウス三輪(奈良県桜井市三輪 400)
訪問日:平成 27 年 6 月 16 日
なごみ建築工房(奈良県桜井市安部 544-2)
リノベーション概要
町家(築 90 年)をゲストハウスにリノベーション
地域の概要
・桜井市の人口は 6 万人弱。
・日本最古の神社の一つと言われる大神(おおみわ)神社の門前商店街だが、空
き家率 50%程度で、平日は閑散としており、土日のみ営業する店が多い。
・三輪地区には、コンビニ・風呂屋・宿泊施設もない。
経緯
・定年後の夫婦が 14~15 年間の空き家であった町家(築 90 年、50 坪 5LDK)
を不動産屋から借り、古民家再生の経験のある地元の業者(なごみ建築工房)に
施工を依頼して、ゲストハウスに改修。
・奈良県の宿泊施設の創業・開業のための「奈良の宿創業資金」を活用して、6
畳 3 間、4 畳 1 間に整備。
・平成 24 年 11 月オープン。
事業概要・特徴
・宿泊者は 1,000 人/年。関東からが 8 割で、女性が 8 割、一人旅の人や年配の
人も多い。早朝参拝、山登り(ご神体の三輪山に登る)、山辺の道がよいとい
うことで、三輪地区に宿泊したいという人が多い。
・個々の部屋にカギをつけたことで、女性一人で安心して泊まれるゲストハウス
という口コミが広がった。
・居酒屋が数軒あり、そこで夕食をしてもらっており、地元の人と宿泊者が密着
した付き合いができるようになるという効果が生まれた。
・お客様にフェイスブックを作ってもらい、写真も取り込んでもらって、広報に
協力してもらっている。
波及効果
・当ゲストハウスの開店効果により、近くに焼鳥屋、パン屋が開業。
・3 年を経て、地域住民が当ゲストハウスのイベントに参加するようになった。
課題
・ゲストハウスにする場合、簡易宿所となり、建築基準法と消防法の適用が課題。
・当地域の地権者には、自分の生活ができれば、空き家に他の人に入ってもらわ
なくて良いと考える人が多く、空き家を貸すといつ出て行ってもらえるかわか
らないので、放っておくという状況にある。
・地元の人にとっては、他人に家を貸すことに抵抗感がある。
-105-
2.5.日本住宅流通株式会社(大阪府大阪市)
訪問日:平成 27 年 10 月 15 日
組織形態
事業者
ヒアリング先
日本住宅流通㈱(大阪府大阪市北区梅田 1 丁目 1 番 3-800 号)
リノベーション概要
空き家管理サービスと空き家等のリフォーム
地域の概要
近畿地方を中心に、大和ハウス工業㈱の支店エリアが対象
経緯
・大和ハウス工業のグループ会社で、昭和 53 年設立
・平成 27 年 5 月から空き家管理サービス事業を開始
事業概要・特徴
・空き家の戸数が増加する中で、平成 27 年 5 月から、商売に繋げること、お客
の囲い込みを目的に空き家管理サービスに取り組んでいる。
・空き家の管理については、相続問題と空き家管理の問題をミックスした形で、
賃貸にするか、売却にするかについての相談がある。
・空き家管理サービスは、将来の売却や賃貸の依頼を前提に考えており、月 1 回
巡回をして通水・水漏れ確認、雨漏り確認、換気、庭木・雑草の状況把握、郵
便ポストの整理等を行い、その巡回報告をして、要請があれば専門業者に頼ん
で作業を行う。
・対象は、一戸建て(90 ㎡以上)やマンション(全体ではなく、分譲された 1
戸で 40 ㎡以上)で、どこの業者が施工したかに関わらず対応する。料金は、
一戸建て 9,000 円/月、マンション 5,000 円/月。
・リノベーションでは、オーナーは見栄えを良くして、しかも安くという要望が
多い。水回りはコストがかかるので、あまり対応していない。
・賃貸アパートにするにしてもコストをかけないようにしている。最近は、クロ
スの張替だけでなく、間仕切りを変えることが多い。小さい部屋の間仕切りを
取り払って大広間にする等を行っている。
・一部賃貸管理を行っている。借り上げて、転貸する事業で、建築事業と絡めて
対応している。コストをかけて、サブリースし、ワンストップで対応している。
リフォームと賃貸を一緒に行っている会社は少ない。
波及効果
・空き家管理に関する問合せも多く、空き家対応で不動産市場は活性化している。
課題と対応策
・分譲用地や建築コストが高騰し、新築マンションの価格も高くなり、新築が供
給できないので、古い物件を買ってリノベーションして仲介する場合が多い。
・空き家管理事業は、セキュリティー会社や賃貸業者も同様のサービスを始めて
おり、競合が激しい。
・空き家の売買に関する相談が多いが、売りにくい物件が多い。
・田舎にある市街化区域の物件で、建て替え相談があっても、営業所があれば対
応できるが、現実にはなかなか対応することが難しい。
・オーナーからは、リノベーションする提案だけでなく、入居率を高める提案も
してほしいという要望がある。
・長屋住宅とか接道していないものは売りたくても売れない。それを更地にする
と固定資産税が上がるので、八方ふさがりになっている。そういう物件は、市
に提供して、公園にして、住宅用地以外にするのがいいと考える。
・建築基準法で建て替えができないものについては、救援策が必要と考える。
-106-
2.6.枚方市役所、枚方宿地区まちづくり協議会(大阪府枚方市)
訪問日:平成 27 年 10 月 15 日
組織形態
行政機関、支援機関
ヒアリング先
枚方市役所(大阪府枚方市大垣内町 2 丁目 1 番 20 号)
、枚方宿地区まちづくり協議
会町家情報バンク部会
リノベーション概要
・町家情報バンクの運営
・くらわんか五六市による起業支援と空きビルの活用
地域の概要
・枚方市は、京都市と大阪市の中間に位置し、人口は 406 千人(平成 27 年 9 月
末現在)
。古くから交通の要衝で、江戸時代初期に幕府が東海道の延長部とし
て京街道を整備し枚方宿を含む4宿を設置した。枚方宿は品川宿から数えると
56 番目にあたることから名付けられた「くらわんか五六市(ごろくいち)
」が
毎月1回開催され、5 千人程度の集客がある。
経緯
・宿場町であったが、町家が少なくなって、マンションに建て変わっていくなか
で、岡本町、新町、三矢町を中心に歴史的景観を残して、賑わいを取り戻した
いという思いから、行政と住民が連携して、歴史的景観の保全や賑わいの創出
に取り組んできた。
事業概要・特徴
・市は、所有者の同意を得て、枚方宿歴史的景観建造物を指定している。また、
枚方宿地区を景観重点区域に指定し、家の建て替えや増改築の際の指針として
建物の形態や工作物、色彩等を配慮してもらっている。
・まちづくり協定は枚方宿地区まちづくり協議会のメンバーが中心となり作成し
ている。まちづくり協定区域内において、修景に対して市より補助金を交付し
ており最大 500 万円までの助成を行っている。
・町家情報バンクは、町家等を貸したい人と借りたい人を結ぶことが目的で創設
され、かつては見学会を開催する等の取組をしていたが、現在は空き家がない。
町家情報バンクでのマッチングの事例は、この 4 年間はない。
・鍵屋別館は、不動産業者が所有する空きビルであったが、まちづくり協議会の
メンバーが所有者に働き掛け、起業家がチャレンジする場、30 代を中心とした
女性層をターゲットにできる場としての施設として改修が行われた。
・鍵屋別館には、現在、1~3 階に、こだわり雑貨、カフェ等の 12 店舗が入居し
ており、㈱サルトコラボレイティヴ(大阪市)が運営している。
波及効果
・五六市の定着、鍵屋別館の再生に伴い、周辺の遊休不動産でも新規開業がみら
れ、平成 26 年までの 6 年間で、アジアンカフェ、ギャラリー等、26 店舗が新
規出店している。
-107-
2.7.一般社団法人ノオト(兵庫県篠山市)
訪問日:平成 27 年 10 月 16 日
組織概要
事業者
ヒアリング先
一般社団法人ノオト(兵庫県篠山市立町 190-6)
リノベーション概要
・古民家や歴史的建造物の再生
・国家戦略特区での規制緩和等に対応した古民家や土蔵を使った宿泊施設整備
地域の概要
・篠山市(人口 43 千人、平成 27 年 9 月)は昔から赤米の産地で穀倉地帯であり、
江戸時代から 4 万人の人口が維持され、茅葺屋根が約 1 千棟残っている。篠山
城跡は国の史跡で、周辺には武家屋敷が残り、日本遺産にも登録されている。
経緯
・当法人は平成 21 年の設立以降、歴史的建造物 70 棟の再生を行っている。
・当法人を立ち上げた金野代表は元の兵庫県職員で、阪神淡路大震災後、古い家
の再生に取り組んできたが、地域に根差した文化を活用した古民家再生の研究
を進め、姫路城の世界遺産登録に関わり、篠山市の副市長を経て、歴史的建造
物の再生に取り組んでいる。
・平成 26 年から地域資産活用協議会(豊岡市・養父市・朝来市・篠山市や金融
機関等で構成)の事務局を担い、歴史地区再生による広域観光圏の形成を目指
している。
・平成 26 年 5 月、内閣府の国家戦略特区に兵庫県や養父市が指定され、当該地
域が旅館業法、都市計画法、農地法等の規制緩和の対象地域となった。
事業概要・特徴
・活用されていない歴史施設の利用(レストランやホテル等)等を通じて、歴史
地区の再生、クリエイティブ人材の地方回帰、歴史地区のネットワーク化によ
る広域観光圏の形成等に取り組んでいる。
・空き家活用事業としては、活用提案型指定管理方式(竹田城下町の宿「旧木村
酒造場EN」
(朝来市))、地域運営方式(古民家の宿「集落丸山」(篠山市)、
養蚕農家の宿「大家大杉」(養父市))、サブリース方式、転売方式、ファンド
方式等の実績がある。
・ファンド方式では REVIC(地域経済再生支援機構)の地域活性化マザーファン
ドを中心とした民間資本の投資と、国家戦略特区の規制緩和を受けて、篠山城
跡を取り巻くように点在する古民家を宿泊施設に再生して、篠山城下町ホテル
NIPPONIA を整備し、平成 27 年 10 月にオープンしている。
波及効果
・人の誘客・創客を図るために、丹波・但馬 4 市の宿泊施設等が連携して NIPPONIA
ブランドの旅館・ホテルグループの事業展開を進めており、高級ホテルサイト
の一休ドットコムの協力を得て、専用サイトが作られている。
課題と対応策
・過疎化・シャッター街の課題は、それぞれの地域で異なり、都市型モデルを持
ち込むことはできない。地域にあわせた地域経営が必要で、地域のソーシャル
性を活かしたIT戦略・情報戦略が必要である。
・都市部には日本固有の文化がないが、少し田舎に行くと伝統産業があり、日本
の文化の結晶になっているのが古民家であり、古民家について様々に語り、宝
物を磨くと価値が高まる。住んでいる人が運営し、昔の息遣いが残っているの
で、それを活用してなんらかの事業にするのがよい。
-108-
2.8.綾部市役所・特定非営利活動法人里山ねっと・あやべ(京都府綾部市) 訪問日:平成 27 年 10 月 16 日
組織形態
ヒアリング先
行政機関、事業者
綾部市役所(京都府綾部市若竹町 8 番地の 1)
特定非営利活動法人里山ねっと・あやべ(京都府綾部市鍛治屋町茅倉 9 番地)
リノベーション概要
・空き家登録制度(空き家バンク)の運営と定住促進、廃校の活用
地域の概要
・綾部市の人口は 35 千人(平成 27 年 3 月)だが、全国の空き家バンクによる定住実
績は長野県佐久市、石川県金沢市に次いで、全国第 3 位となっている。
(一般社団
法人移住交流推進機構調べ)
経緯
・平成 20 年度、定住サポート総合窓口を設置し、空き家登録制度(空き家バンク)
や定住希望者の相談活動を開始。平成 23 年には、綾部市の第五次総合計画を策定
し、定住促進を 1 丁目 1 番地の施策と位置付け、定住交流部を設置。
・平成 26 年には、全国でも珍しい定住促進条例を制定し、地域住民、市内事業者と
の協働による定住促進を掲げ機運を高めてきた。
事業概要・特徴 ・定住サポート総合窓口を通しての定住目標を 15 世帯/年と設定し、平成 20~26 年
度の間に 136 世帯 324 人の定住実績を挙げた。うち、近畿地方からの定住は 114
世帯 271 人。人口が減少する中で、子育て世代の定住促進に力を入れており、定
住者の平均年齢は 35 歳。
・定住促進を、「交流」→「定住」→「地域振興」という流れで捉え、「交流」部門
の一翼を「里山ねっと・あやべ」が担う。
・平成 26 年度、市内 191 自治会との協働により空き家調査を実施。使用できる空き
家が 569 戸あることが判明。連絡先が確認できた 142 戸の空き家所有者に対し空
き家登録制度(空き家バンク)への登録を呼びかけなどにより、約 30 件の登録を
確保している。
・定住サポート総合窓口は、空き家を紹介するだけでなく、就農・就職相談、地域
コミュニティの説明、空き家売買(賃貸借)契約書の作成から不動産登記、近所
へのあいさつ回りへの同行など、定住までのあらゆるサポートを行う。
・空き家登録制度に登録されない空き家についても、市内の空き家管理事業者を登
録・紹介し空き家の廃屋化防止に努めている。
・賃貸物件を希望する若い子育て世代向けに、平成 23 年度から市内 10 地区に 1 棟
ずつ「定住支援住宅」を整備。空き家を市が無償で借り受け、300 万円の予算で改
修した後、月額 3 万円で若い定住希望者に貸し出す。
・さらに、若い子育て世代の定住支援として、300 万円の低利融資制度や上限 100 万
円の空き家改修補助金制度を設けている。
・里山ねっと・あやべは、45 年前に建てられた旧豊里西小学校の校舎を使った綾部
市里山交流研修センターに事務所を置き、常勤 4 人で指定管理者として施設の管
理・運営を行っている。平成 25 年度の利用者は 9,228 人と増加傾向が続いており、
「綾部ファン」の獲得に成果を挙げている。
課題と対応策
・空き家登録制度(空き家バンク)の課題である空き家の確保については、空き家
提供者への報奨金制度や空き家調査、地域住民による掘り起しなど、地域と行政
の協働により対応。
・若い子育て世代の定住を促進するため、空き家の購入や改修に対する融資制度や
補助金制度を準備。
・農地付住宅の売買における農地の所有権移転登記については、農地法の許可が必
要であるため一旦仮登記で対応。1 年以上の農業経験を経て農家認定を受けたのち
農地法の許可を受け本登記を行う。農業に従事しない場合は仮登記により権利を
保存した上で地域の担い手農家へ小作地として貸し出している。
・市街化調整区域での住宅の新増築や農家民泊、古民家カフェといった起業等によ
る活性化を図るため、京都府に対し平成 28 年度からの線引き廃止を要請中。
-109-
3.九州地方
3.1.富士見が丘連合自治会(大分県大分市)
訪問日:平成 27 年 9 月 7 日
事業者
住民組織
ヒアリング先
富士見が丘連合自治会(大分県大分市富士見が丘西 2 丁目 1 番 1 号)
リノベーション概要
郊外型団地の空き家・空き地の活用
地域の概要
・富士見が丘団地は、昭和 45 年から開発が始まり、大分駅から南西に 12kmの
位置にあり、3,100 世帯、約 7,500 人から構成される。
経緯
・開発が始まった時期は、都市部から郊外へという時代であったが、現在は少子
高齢化で団地の魅力が低下してきた。
・団塊の世代が移り住んで、30~40 年が経過し、住民が高齢化し、子供が離れ、
第一世代が残り、年齢構成も偏って、住宅環境が悪化する中で、郊外型団地の
特性に応じて、きめ細かく対応することが求められるようになってきた。
事業概要・特徴
・平成 22 年度から、内閣府等の郊外型団地の活性化事業に取り組み、大分市を
含む全国の自治体 7 市が、それぞれモデル団地を選定し、情報を共有して、地
方だけで制度改革の提案をして、2 回、政策提言を行った。
・当団地が大分市のモデル団地として選定され、ワークショップ等を通じて、社
会実験や自主的な取組を実施した。
・ワークショップでは、役割分担を明確にして、その内容やメニューを参加して
いない人に配布し、団地全体で情報を共有してもらうようにした。こうした取
組が、その後のコミュニティの強化や内外の情報発信にも繋がった。
・「社会実験」では、公園の芝生化、子育て世帯に限定した家賃補助制度、空き
家・空地情報バンク制度の創設、空き家等購入支援事業等に取り組み、「自主
的な取組」では、自宅開放ギャラリー、第二公民館の設置、G 級グルメ、団地
再発見森林探検ウォーキング、合唱・オーケストラ等演奏会を行った。
波及効果
・本事業の実施により、空き家が平成 22 年 12 月に 43 戸であったが、平成 25 年
12 月には 12 戸になり、空き地は 102 ヵ所から 82 ヵ所に減少した。さらに、人
口も平成 11 年をピークに毎年 50 名程度の減少が続いていたが、46 戸の住居が
整備され、人口減少に一定の歯止めがかかった。
・子育て世帯に限定した家賃補助制度は、子育て世帯には一戸建てに入居した場
合、家賃の 2/3 を補助するもので、114 世帯の応募があり、6 世帯 24 名が入居
し、好評であった。
・地域コミュニティが評価され、市と自治会との連携もあって、子育て環境に優
れた団地の魅力が見直されたと考えている。
課題と対応策
・当初、消極的な意見を出していた人が、ワークショップを継続するうちに、積
極的にワークショップに参加し、建設的な意見を出すようになった。
・自治会としては、平成 22 年に行政から団地の活性化事業の話があったとき、
皆が賛成したわけではないが、「行政を使って、やれることをやってみよう」
ということで自治会長が説得して、
「お受けしましょう」ということになった。
-110-
3.2.新大分土地株式会社(大分県大分市)
訪問日:平成 27 年 9 月 7 日
組織概要
事業者
ヒアリング先
新大分土地株式会社(大分県大分市中央町 1 丁目 5 番 25 号)
リノベーション概要
空きビルのリノベーション
地域の概要
・大分市は、バブル崩壊後、福岡市と高速道路が繋がり、アクセスが容易になり、
大分市の出先事業者が福岡に帰り、テナント需要が減り、現在、ピーク時の半
分が空き家の状態となっている。
経緯
・同社は、昭和 13 年創業の貸ビル業で、阿南社長は、20 年前、大分に帰郷して、
事業を継承した。
・近年、若い人がスモールオフィスを利用する現象が見られるようになり、その
需要に答えられると考え、平成 15 年より、空きビル等のリノベーションに取
り組んでいる。
事業概要・特徴
・新大分第 6 ビル(wazawaza)は、家具屋やパチンコ店に利用された後、約 10 年
間、空き店舗であった。当社が購入し、リノベーションにより、ガレリア竹町
商店街と裏の生活道路を繋げる通路を作り、その一部を植栽して、1 階には飲
食店舗、2 階・3 階には、物販と事務所を置き、アーティストを入居させたり、
エステ等の異業種が入居している。
・屋上には事務所があったが、屋上は商店街と違う環境があり、それを活用する
ということで、テラスと店舗空間にして、会議を実施したり、楽しんでもらえ
る場所を提供している。
・当社は、設計事務所、デザイン会社、個人店舗オーナーとプロジェクトチーム
を作って、リノベーションに対応している。
波及効果
・新大分第 6 ビルをリノベーションしたことで、最近、周辺に新しいビルが出て
きている。
課題と対応策
・空き家の大家が「入居者が主役」という意識を持つことが重要で、店舗が繁盛
しないといけないし、いかにアパートを大切に使ってくれる入居者に出会うか
が大切で、すべてはテナント入居者であり、入居者と、その場所の価値をとも
に作っていくことが必要である。
・当社では、古いビルでも新しいビルに負けない価値を提供することを目指して
いる。リノベーションにかけられる費用は決まっており、エレベーター等、無
いものだらけだが、そのまま無いものを補充しても新しいものには勝てないの
で、古いものの価値を活かしていくことが重要である。
・お金をかけても、資金が回収できるかというとそう簡単ではない。所有者だけ
がリスクを背負っていくのが難しいので、業者が借り上げてサブリースしてい
くという取組が出てくることが必要と考えている。
・時代とともに目抜き通りの店も変わり、使い方、使う人も変わっており、シャ
ッターを閉めていると寂しいので、いろいろな人に来てもらい、その場所をい
ろいろな人に使ってもらうことが大切である。
-111-
3.3.大分市役所(大分県大分市)
訪問日:平成 27 年 9 月 8 日
組織概要
行政機関
ヒアリング先
大分市役所(大分県大分市荷揚町二番 31 号)
リノベーション概要
空き家・空き地情報バンクの運営、空き家改修費補助等を実施
地域の概要
・大分市は、昭和 39 年に新産業都市に指定され、新日鉄や住友化学等の大手企
業もあり、雇用は安定している。人口は 47 万人(平成 22 年国勢調査)だが、国
立社会保障・人口問題研究所の推計で、30 年後に 4 万数千人が減少する見込み。
経緯
・大分市の「ふるさと団地の元気創造推進事業」のモデル団地として、富士見が
丘団地を対象にして、住み替え支援対策で、子育て世代への家賃補助、空き家・
空き地情報バンク(住み替え情報バンク)等に取り組んでいる。
事業概要・特徴
・平成 27 年 6 月から、県外から大分市への移住者の住宅確保を支援する「大分
市移住者居住支援事業」を実施。大分市に長期間(5 年以上)定住することな
どを条件に、移住者が市内に住宅を新築した場合や建売・空き家を購入した場
合、空き家を購入後改修した場合の費用のほか、引っ越し費用などの一部を予
算の範囲内で補助するとともに奨励金(移住者に 10 万円)を交付している。
・富士見が丘団地では、大分市は平成 23 年度に団地内の賃貸住宅に移り住んだ
子育て世代に家賃の 3 分の 2(上限 4 万円)を補助する事業を実施した。
・平成 25 年 5 月から、高齢化が進む富士見が丘団地の空き家や空き地の購入者
に、固定資産税相当額を 3 年間補助する社会実験を行っている。空き地を購入
した場合、1年以内に家屋を建てることが条件で、中学校入学前の子供がいる
世帯や空き家に転居して 3 年以内に子供が生まれた場合は、補助が 2 年延長さ
れる。
引っ越して 5 年間で第 3 子以降が生まれた場合はさらに 2 年延長される。
波及効果
・
「住み替え情報バンク」には、平成 27 年 6 月現在、12 件の物件情報を掲載され、
これまでに掲載された 40 件のうち 32 件の契約が成立している。
・富士見が丘団地で行われた空き家・空き地情報バンクを大分市全域に拡大して
おり、当該バンクでは、不動産業者に協力を求め、不動産業者と情報を共有し
て、その流通促進に取り組んでいる。
・モデル団地がマスコミで取り上げられて、他の団地でも同じような取組が始ま
り、モデルがデモンストレーションになり、理想的な展開になっている。
今後の方向性
・
「ふるさと団地の元気創造推進事業」では、5 年間をかけて、できることから始
めようということで、家賃補助を始めて、失敗しても良いので、思い切ったこ
とをやっていこうとしている。
・住民の合意を得るために、粘り強くワークショップを行っていくことが重要で
行政主導ではできないし、行政と地元との合意形成が肝と考えている。
・コンパクトシティが注目されているが、拠点を繋げるようにして、郊外部にも
拠点や住環境を残していくことが重要だろう。
-112-
3.4.豊後高田市観光まちづくり株式会社(大分県豊後高田市)
訪問日:平成 27 年 9 月 8 日
組織概要
事業者
ヒアリング先
豊後高田市観光まちづくり株式会社(大分県豊後高田市新町 989-1)
リノベーション概要
空き店舗の活用
地域の概要
・豊後高田市は、江戸時代~昭和 30 年代にかけて、商業都市で栄え、昭和 40 年
までは宇佐神宮から豊後高田まで宇佐参宮鉄道も繋がっていた。中心市街地
は、全盛期には 300 店舗があったものの、郊外型店舗の進出で、現在は 4 割減
になっている。
・現在は 8 つの商店街 130 店舗があり、2 つの商店街は「高齢者にやさしいまち」
として、6 つの商店街は「昭和の町」として再生を目指している。
・豊後高田市観光まちづくり㈱は、豊後高田市、豊後高田商工会議所、日本政策
投資銀行の出資で、平成 17 年に地域観光の振興を目的に設立され、広域観光
振興、昭和の町振興、昭和ロマン蔵運営を行っている。
経緯
・平成 4 年に商店街をなんとかしようという気運が高まり、
「あるものでなんと
かしよう」
、
「何かできることはないか」と考え、中心市街地の歴史や店舗を調
査し、
「昭和の町」というコンセプトで、一番元気だった昭和 30 年代の再生を
目指すことにした。
・当時、昭和に関する取組が全国で 300 件あり、そのすべてに連絡して、その概
要を把握するとともに、そのうち 100 件を視察して、昭和の町づくりの可能性
を探り、平成 13 年に「昭和の町」としてスタートした。
事業概要・特徴
・再生にあたり、4 つのコンセプト「昭和の建築再生」、
「昭和の歴史再生」
、「昭
和の商品再生」
、
「昭和の商人再生」に取り組み、そのコンセプトの核として、
観光客に「1 店 1 宝」を眺めてもらい、
「1 店 1 品」を食べて、昭和の話をして
もらうこととした。
・「昭和の建築再生」では、外観工事に取り組み、アルミサッシ等を木製に変え
た。平成 13 年には県の支援で、県、市、商業主が 1/3 ずつ負担して、11 店舗
で修景し、さらに 42 店舗の修景を行い、そのうち 5 店舗には国の空き店舗事
業で起業支援を行った。
・
「昭和の歴史再生」では、「1 店 1 宝」という形で、その店に代々伝わる珍しい
道具等を展示してもらい、
「昭和の商品再生」では、
「1 店 1 品」という形で、
その店の看板商品を提供してもらい、「昭和の商人」では、対面販売で、商売
以外の話をしてもらっている。
波及効果
・昭和の町の再生は、7軒で始まったが、その後、旅行会社や観光バスが来るよ
うになり、賛同者が増えて、現在、約 50 軒が町づくりに参加している。
・豊後高田市の人口は 23 千人(平成 27 年 7 月末)で、高齢化率は 35%だが、昭和
の町の再生等の取組で、社会増となっている。
課題と対応策
・近年、観光業を巡る急速な変化の中で、市、商工会議所、当社がそれぞれ違う
動きをするようになったため、市が民間から空き店舗等を借り上げて利用した
り、着地型観光のメニューを考える等により、今後の取組を進めていきたい。
-113-
3.5.九州工業大学(福岡県北九州市)
訪問日:平成 27 年 9 月 9 日
組織概要
支援組織(大学)
ヒアリング先
九州工業大学(福岡県北九州市戸畑区仙水町1-1)
リノベーション概要
リノベーションまちづくりの推進、リノベーションスクールの活動支援
地域の概要
・北九州市の人口は 110 万人だが、これまで製鉄業で雇用が生まれていたが、製
鉄関連で 67 千人の雇用減が発生する等、産業構造が変わってきた。。
経緯
・平成 22 年に北九州市主導で、小倉家守構想検討委員会が立ち上がり、提唱者
の清水義次氏(㈱アフタヌーンソサイエティ)が不動産オーナーや若手大学研
究者等、動ける人を組織に入れていこうと考え、徳田准教授にも協力要請があ
り、梯オーナー(㈱北九州家守舎の監査役)の所有物件(中屋ビル)をリーデ
ィングプロジェクトにして取り組んだ。
・北九州市から中心街をなんとかしてくれという話があり、産業構造の転換をし
ないと雇用は生まれないということで、軟文化(夜の飲食等)に注目し、現象
として空き家・空きビルが増えているので、産業構造の見直しが必要と考えて、
リノベーションまちづくりの取組が始まった。
・小倉家守構想の中で、平成 23 年 8 月にリノベーションスクールが始まり、そ
の後、半年に 1 回のペースでリノベーションスクールが開催され、平成 27 年 8
月には第 9 回目が行われた。
・リノベーションまちづくり事業を行うにあたり、リスクをとれる団体が必要と
いうことで、㈱北九州家守舎が平成 24 年に設立され、リノベーションスクー
ルで提示された素案をブラッシュアップして実事業化する支援を行っている。
事業概要・特徴
・リノベーションまちづくりでは、オーナーから安く借りて、高く貸して、利益
を得て、まちに再投資し、差益で回し、「三方よし」で取り組んでいくことを
考えている。
・お金を切り詰めて、転貸差益で投資回収を 2 年と見積もり、限定されたお金で、
メッセージ性を込めて、それで共感できる人と仕事をしている。
波及効果
・リノベーションスクールの 4 年間の取組の中で、
900 人(関係者を含めると 1,000
人以上)が参加し、新規事業者が 400 人出てきており、参加者は、終了後、全
国の各地域で、リノベーションまちづくりに取り組んでいる。
・リノベーションスクールは、現在、30 以上の自治体で取り組んでおり、今年度
20 自治体が手を上げている。
課題と対応策
・現在、不動産が動いていないのは、オーナーが金融機関からお金を借りている
からである。リノベーションスクールで物件募集をするのに、金融機関に頼ん
でも、なかなか該当先が見つからないし、地銀の反応は鈍い。
・マスで考えがちだが、この人という人をつかまえ、「小さくてもいいから、始
める」
、
「始めない人は入れない」、
「口ばかりの人は入れない」という考え方の
下で、1 人だけでもいいので成功事例を作れば、隣もやろうとするので、それ
が広がっていくと考える。
・課題は、お金と人材であり、自立型で実践できる人を育てないといけない。
-114-
3.6.株式会社北九州家守舎(福岡県北九州市)
訪問日:平成 27 年 9 月 9 日
組織概要
事業者
ヒアリング先
株式会社北九州家守舎(福岡県北九州市小倉北区魚町三丁目 3-20 中屋ビル四階)
リノベーション概要
空きビル再生・リノベーションスクール等の取組
地域の概要
・JR 小倉駅前の魚町銀天街(日本初のアーケード商店街)で、志のある不動産オ
ーナーや若いビジネスオーナー等が魚町エリアの価値向上に取り組んでいる。
経緯
・北九州市小倉都心地区で、都市型ビジネス振興のために、小倉家守構想が展開
されるなか、㈱北九州家守舎は、北九州市小倉北区魚町周辺エリアを対象にし
たエリアマネジメントの家守型まちづくり会社として平成 22 年に設立された。
・当社が中心となって、平成 23 年から官民連携によるリノベーションスクール
を 8 回開催、平成 27 年 8 月に 9 回目も実施。
事業概要・特徴
・リノベーションスクールは、4つのコース(セルフリノベーション・エリアビ
ジネスコース・事業計画コース・公務員コース)で構成され、北九州市小倉区
小倉魚町の空き店舗の活用策を検討、所有者に提案するという取組で、北九州
市で始まり、全国にひろがっている。「稼いだお金は街に再投資」ということ
が、家守の事業展開の法則となっている。
・中屋ビルは、32 年営業し平成 22 年に撤退した婦人服屋で、4F はバックヤー
ドとして使われていたが、商業施設として再生された。メルカート三番街(平成
23 年 6 月オープン)、ポポラート三番街(平成 24 年 6 月オープン)は、小倉家守構想リーディ
ングプロジェクトで、ビッコロ三番街は、第 3 回リノベーションスクールの対象案件で、
平成 26 年 6 月にオープンした。また、フォルム三番街は小倉家守構想リーディン
グプロジェクトで、平成 23 年 7 月にオープンし、第 5 回セルフリノベーションス
クールの対象案件ともなっている。
・サンリオ小倉ビルは、第 1 回リノベーションスクールの案件で、平成 24 年 9
月にオープン。4年間空き家であったが、カルディコーヒー(全国的に人気の
輸入食材店)が出店した。
・MIKAGE1881 は、第 2 回リノベーションスクールの対象案件で平成 24 年 10 月に
オープンした。スモールオフィス・コワーキングスペースを備えた新しいワー
クスペースで、7つのブースとシェアデスクがあり、フォトグラファーやクリ
エーター、子育て情報誌、ウェブ系の人等が入居している。
・タンガテーブルは第 6 回リノベーションスクールで構想が生まれた「北九州を
あじわう、旅のはじまり」をコンセプトとしたゲストハウスで、平成 27 年 9
月にオープンした。ダイニングとホステル機能を持ち、人が集まる場所にする
ことを考えている。
波及効果
・リノベーションスクールの取組は全国にひろがっており、北九州市の門司港エ
リアでも、リノベーションまちづくりに向けて、地元の人が動き始めている。
今後の方向性
・北九州市の家守事業もドーナツ化傾向が見られ、20 分圏内の空き住宅をどうし
ようかというステージに広がっている。
・サンロード商店街の市道で、アーケード撤去に合わせて市が道路の配管工事を
する計画があり、歩いて楽しい商店街にしようということで道路にアスファル
トではなく、カラフルなインターロッキングを敷き、一部を緑地化する予定。
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4.中国地域
4.1.鳥取県
4.1.1.鳥取市役所・鳥取家守舎・ホンバコ(鳥取県鳥取市)
訪問日:平成 27 年 7 月 3 日
組織概要
行政機関・事業者
ヒアリング先
鳥取市役所・鳥取家守舎・ホンバコ(鳥取県鳥取市尚徳町 116 番地 他)
取り組みの概要
リノベーションスクールを通じたまちづくり・事業運営
地域の概要
第 2 期鳥取市中心市街地活性化基本計画(平成 25 年 3 月認定)を推進中
経緯
・平成 26 年 3 月に鳥取市と鳥取県等の共催によるリノベーションシンポジウムが開
催された。シンポジウムの成功をうけ、平成 26 年 11 月に中国四国地方で初とな
るリノベーションスクール@鳥取が開催され、平成 27 年 7 月には第 2 回リノベー
ションスクール@鳥取が開催された。
事業概要・特徴
・リノベーションまちづくりとは、空き家、空き店舗などの遊休不動産を用途や機
能を変更し、付加価値をつけるリノベーション手法により再生し、産業と雇用を
生み出し、まち(エリア)の価値を高める、民間主体の公民連携の取り組み。
・民間まちづくり会社などのリノベーションまちづくりの担い手育成の場となるの
が、平成 23 年に北九州市で始まった「リノベーションスクール」
。
・所有者から提供された空き家や空き店舗などの遊休不動産を対象に、全国から集
まった受講生と国内で先駆的な取り組みを行っている講師が 10 名程度のチームを
組み、リノベーション事業計画を 3 日間かけて作成し、最終日に所有者に向け公
開プレゼンテーションを行う。スクール後は、民間まちづくり会社が中心となり、
各提案の実事業化に取り組む。
・リノベーションスクールの主催は鳥取市、共催は鳥取県、鳥取県建築士会、鳥取
市中心市街地活性化協議会、住もう鳥取ネット。企画・運営は㈱リノベリングに
委託している。
波及効果
・リノベーションスクールの開催を契機に、民間まちづくり会社『鳥取家守舎』が
設立された。
・スクールの対象物件事業化第1号となるブックカフェ『ホンバコ』が平成 27 年 5
月にオープン。経営者はスクールの受講生。
課題と対応策
・鳥取市のリノベーションまちづくりは始まったばかりであり、継続していくこと
が重要。また、事業を動かす民間まちづくり会社が複数出来ることが望ましい。
市や関係機関が協力して、遊休不動産の所有者や新たに事業を始めたい方への周
知と理解を図っていくとともに、民間の取り組みを支援していく。
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4.1.2.智頭町役場(鳥取県八頭郡智頭町)
訪問日:平成 27 年 7 月 3 日
組織概要
行政機関
ヒアリング先
智頭町役場(鳥取県八頭郡智頭町智頭 2072 番地 1)
リノベーション概要
定住促進に向けた空き家・空き施設等の活用
地域の概要
・多くの移住者があるが、人口は 7,700 人で、100 人/年のペースで減少している。
経緯
・平成 21 年度から移住者に空き家を提供する等、積極的な定住促進関連施策を
展開。
・平成 26 年に㈱タケモトフーズ(大阪市)と系列の㈲ポントが進出。
事業概要・特徴
<空き店舗等の活用>
・平成 26 年に㈱タケモトフーズ(大阪市)と系列会社の㈲ポントが、鳥取市と
智頭町に進出し、3 ヵ所でチョコレートの製造等を行っている。
・当社は、チョコレートがメイン商品で、「森の中でお菓子を作りたい」との意
向があり、県と鳥取市と智頭町が連携して誘致活動を行い、3 ヵ所(智頭町 2
ヵ所、鳥取市 1 ヵ所)への企業誘致が実現した。
・智頭町では、旧智頭町体育館(山形地区)の空きスペースをチョコレートのス
トックヤードとアセンブリ・パッケージングに活用している。
・また、当社は廃業した洋菓子店の跡地にカフェ(フォレ・ド・クレージュ)を平
成 26 年 7 月にオープンし、ケーキを提供し、食事もできるようにしている。
<空き家の活用>
・智頭町では、移住者には空き家を提供している。平成 21 年度から始まり、現
在、17~18 軒が登録されている。これまで 22 世帯が移住し、平成 27 年も 10
世帯の移住があった。移住者は「森のようちえん」(デンマーク発祥の教育ス
タイル)関係者が多い。車で 30 分の位置にある鳥取市で働く人も多い。
・若者の移住促進のために、住宅家賃助成事業では、家賃補助(1 万円/月)があり、
町有地無償提供事業では、3 年以内に新築し、町産材を半分以上使用すること
を条件に町有地の無償提供も行っている。
・町が古民家を無償で借り受けて、改修して、第三者に貸す制度がある。需要が
多く、移住希望者は多い。地域別にみると、京阪神の人が多い。
<空き施設の活用>
・10 年前に閉園した那岐保育園を活用したカフェ(タルマーリー)が平成 27 年
6 月にオープン。外観はそのままで、内装を変更。
・平成 23 年度末で、6 小学校が 1 つに統合されたが、国の補助金を使って、廃校
を地区の住民に活用してもらうような取組を行っている。旧山郷小学校は、校
長室や職員室をキッチン・レストランやお菓子工房に変えて活用されている。
波及効果
・工場進出による雇用創出は 10 月~3 月までパート 22 人(日単位でのシフトで
10~15 人/日)で、今後、3 年間で常用雇用を実現したいとの意向がある。
課題と対応策
・今後、起業支援にも力を入れていきたい。
-117-
4.2.島根県
4.2.1.特定非営利活動法人てごねっと石見(島根県江津市)
訪問日:平成 27 年 7 月 10 日
組織概要
事業者(NPO法人)
ヒアリング先
特定非営利活動法人てごねっと石見(島根県江津市江津町 1517-2)
リノベーション概要
起業支援による人材誘致と空き店舗の活用
地域の概要
・江津市の人口は平成 22 年の国勢調査で、人口が 26 千人(5 年前比 7.5%減)
で、現在は 25 千人を下回っている。若年層(15~24 歳)は7%減少し、10 年
後には 2 万人以下になると推計され、危機的状態にある。
経緯
・駅前には、若者が集まる場所がなく、商店街の活性化に関わる若者が全くいな
かったことから、平成 24 年に、仲間集めをして若手の人が集まるスペースを
ごーつばー
作ることを目的に、空き店舗(旧喫茶店)を使って52barが開業した。
ごーつばー
・52barは、自分たちで壁を塗って、最低限の費用で人を呼び込もうと、ボラン
ティアで、毎週金・土に 6 時から 9 時に営業した。今は、若い人が集まる場所
が 3~4 つでき、その役割が終わったということで、活動を休止しているが、
今後の活用方法を検討し、貸館業をすることを考えている。
事業概要・特徴
・江津市のJR江津駅周辺の中心市街地で、平成 22 年から Go-con(ごーこん)と
いう江津市主催のビジネスプランコンテストが始まった。大賞は 100 万円/件
で、大賞受賞者には、最低 1 年間は江津市で活動してもらうという条件がある。
大賞者には、江津商工会議所、桜江町商工会、日本海信金がチームを組んで創
業の手伝いをしている。あわせて、最終審査に残った人にも支援を行っている。
・平成 26 年から、
「ごうつ道場」という経営塾形式で、やりたいが何をしたら良
いのかわからない人を盛り上げて、考えてもらう会を年 6 回開催している。ア
イデアを集めて発表してもらう会で、ビジネスプランコンテストより縛りが緩
いものを開催し、参加者には年間受講料を払ってもらっている。
・異業種交流会「う・まいんど」を開催している。てごねっと石見の理事が行政
で面白い人がいるので、その人を知ってもらいたいということから始まった
が、この交流会により、新しい事業に早く取り組むことができるようになった。
波及効果
・松平地区では、2 年間空き家だった大きな民家を借りてカフェをやりたいとい
う人とパン屋が連携して、カフェを平成 27 年 7 月にオープン。本プロジェク
トを実施するにあたり、ポリテクカレッジや県立大学、地元のデザインオフィ
スも巻き込んで、改装ワークショップイベントを行い、約 150 人が参加した。
どうすれば費用を少なくすることができるかを考え、みんなで何かをやってみ
ようということで、みんなが楽しみながら活動した。
課題と対応策
・課題はビジネスプランコンテストのエントリー数を増やすことである。県内の
他地域でも同様の取組を行っているが、市町村単位でやると、継続しない傾向
がある。1 年目は予算がついて参加者が多くても 2 年目からは減ってしまう。
・起業したい人を、どうやって人を集めるかが重要である。応募を増やすために
山陰中央新報や行政の広報誌、店舗の張り出し等でPRしたり、直接、声をか
けたりしている。直接話して勧誘するほうが効果的だと考えている。
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4.2.2.江津商工会議所(島根県江津市)
訪問日:平成 27 年 7 月 10 日
組織概要
支援組織
ヒアリング先
江津商工会議所(島根県江津市嘉久志町 2306-4)
リノベーション概要
中心市街地活性化の推進と起業支援
地域の概要
・駅前地区には、多くの空き家があり、高齢化率も 40%を超えており、建物は大
きな改修ができず、中心市街地活性化基本計画で、時間をかけて専門家を入れ
て検討していく予定である。
経緯
・平成 23 年に江津駅前活性化推進協議会が立ち上がり、平成 26 年に江津市中心
市街地活性化協議会が出来て、平成 27 年 3 月の基本計画の認定を受けた。
・駅前では、旧ショッピングモールが 17~18 年前に廃業し、崩落部分やアスベ
ストの問題もあって、平成 23 年には、市に寄付してもらった建物を解体し、
平成 28 年 8 月のオープンを目指して、市民交流センター、総合福祉センター、
子育てサポートセンター等を建設中である。
・また、6~7 年前に廃業したスーパー跡地には、ホテルが建設されている。
事業概要・特徴
・中心市街地活性化基本計画(平成 27 年 3 月認定)では、シビックセンターゾー
ン(まちづくり交付金を活用)と駅前地区ゾーン、商業集積ゾーン(グリーン
モール周辺)に分けた整備計画が立てられている。
・中心市街地活性化の 2 期計画では、駅舎を含む駅周辺の整備を予定し、テナン
トミックスも考えている。
・中心市街地整備推進機構が組織され、当機構に指定されたNPOてごねっと石
見がまちづくり会社としての役割を担い、ソフト事業を推進している。
・ポリテクカレッジの建築系の人の協力を得て、中心市街地の魅力的な店舗つく
りや模擬的な施設整備を通じて、若い人の店舗づくりの支援を行ってきた。
・江津市は、てごねっと石見のビジネスコンテストを支援し、商工会議所は創業
計画、融資、労務の支援をして、てごねっと石見と行政が連携して活動を行っ
ている。中心市街地活性化では、てごねっと石見と当商工会議所とが両輪で動
いている。
・てごねっと石見は、理事長が地元の人で、理事長と江津万葉の里商店街の会長
の主導のもとで、いろいろキャリアを持った人が協力して成り立っている。地
元の人は、若い人の受入に寛容である。
・江津商工会議所は、空き店舗活用補助(家賃補助、事業計画作成支援等)に 10
年前から取り組んでいる。有福温泉では、県や市の助成を得て、当商工会議所
が空き店舗(旧寿司店舗)を活用してソバ屋の開業を支援した。
波及効果
・小さい町なので連携が容易で、危機感がある中で、てごねっと石見がリーダー
となった活動により、若い人が増え、予算面では行政が支援している。
課題と対応策
・駅前の空き店舗は、大きな補修が必要な物件は残っているが、それ以外は概ね
埋まってしまい、創業やUIターンで簡単に使える物件はなくなっている。空
き店舗であっても 2 階に所有者が居住していたり、細々と営業している店舗は
残っているが、奥に入ると 4m道路になっておらず、2m程度の道路幅となって
いる。
-119-
4.3.岡山県
4.3.1.岡山県庁(岡山県岡山市)
訪問日:平成 27 年 8 月 4 日
事業者
行政機関
ヒアリング先
岡山県庁(岡山県岡山市北区内山下二丁目 4 番 6 号)
リノベーション概要
・空き家対策の市町村の連絡調整
・空き家情報流通システムを設置・運営
地域の概要
岡山県全域
経緯
・県は、市町村への情報提供や相互間の連絡調整を行うため、岡山県空家等対策
推進協議会を作る予定で、平成 27 年 5 月に準備会を開催し、8 月末に協議会設
置のための会合を開催している。
事業概要・特徴
・岡山県空家等対策推進協議会には、市町村、関係団体(建築士協会、宅建業協
会)が参加し、関係者が集まって、意見交換、勉強会等を行う予定である。
・県内の空き家バンクを設置している 23 市町村のうち 14 市町が、県と住宅関連
団体が共同で構築し、運営する空き家情報流通システムに加入している。
・
「明活家(あきや)ストック有効活用推進事業」で、建築士による診断事業(自
己資金 2 千円、市町村 30 千円、県 30 千円)も行っている。国の 100%補助で、
市町村サポートのため相談窓口も作り、管理代行等の情報提供、研修、専門相
談に対応している。
・空き家活用促進事業では、空き家調査助成事業、空き家活用推進員設置助成事
業、空き家改修助成事業があり、空き家改修助成事業では、県外からの移住者
が空き家バンク登録物件に 3 年間以上居住の条件で、市町村に対して改修助成
(1/2、上限 50 万円)を行っている。
・平成 21 年度から、6 市町で、県の補助でお試し住宅の整備を行っている。移住
に先立ち、その地域での暮らしを体験してもらうほか、受入側も移住者がどう
いう人かわかる。改修経費は上限 175 万円、県 1/2、市町村 1/2 の補助となっ
ている。
波及効果
・空き家情報流通システムの登録件数は 266 件で、平成 27 年 11 月末までに 116
件の成約があり、その半分程度が県外からの入居者である。
課題
・国の法律については、関連法の緩和等、県や市町村で対応するのは、難しいも
のもある。
-120-
4.3.2.倉敷市役所(岡山県倉敷市)
訪問日:平成 27 年 7 月 30 日
組織概要
行政機関
ヒアリング先
倉敷市役所(岡山県倉敷市西中新田 640)
リノベーション概要
町家や古民家の再生支援
地域の概要
・地方中枢拠点都市モデル事業で、倉敷市を中心に 7 市 3 町で、町屋や古民家を、
賑わい拠点、居住地、第一次産業体験施設にしようという取組を推進
経緯
・平成 22 年 3 月、中心市街地活性化基本計画の認定を受ける。
・平成 26 年に倉敷市まちづくり基金を創設。
事業概要・特徴
・倉敷市では、中心市街地活性化基本計画、まちなみ保全、まちづくり基金で町
家や古民家の再生や活用に取り組んでおり、中心市街地活性化基本計画では、
美観地区を町屋・古民家の再生拠点にする取組を行っている。
・民間活力による取組が重要ということで、市の支援の下で、特定目的会社(林
源十郎商店、奈良萬の小路、くらしき宵待ち GARDEN 等)を設立して、市や国
の補助金を使った事業を行ってきた。
・古民家再生の補助は、伝統的建造物群保存地区で 8/10 補助(上限 800 万円)、
伝統美観保存地区で 6/10 補助(上限 400 万円)、倉敷市まちづくり基金で 1/2
補助(上限 300 万円、借主 4/5 補助)等、細かいメニューがある。
・連携中枢拠点都市モデル事業では、7 市 3 町で、町屋や古民家を地域再生や魅
力のある拠点にするとともに、ロットを集めることで伝統建築の技術伝承に繋
げることも考えている。また、7 市 3 町のヘリテージマネージャー(岡山県地
域文化財建造物専門家)に保存価値がある古民家等を選んでもらっている。
波及効果
・当地域の地域資源が新しい支持を受けて観光客が増えており、平成 10 年来の
活況を呈している。
課題と対応策
・美観地区から駅に人が流れてきており、駅前の商店街にその効果を広げること
が必要。
・建築基準法や消防法の規制緩和では、国の指針によれば、自治体が決めるとな
っているが、どこまでできるのか、先行事例(京都市等)の様子見の状況であ
る。
・永続的に残していくのであれば、事業者が収益をあげる必要があり、民間活力
が必要と考える。そのためには、特定目的会社にして、テナントや持ち主が長
期的に事業に取り組む仕組みも必要である。
-121-
4.3.3.児島商工会議所(岡山県倉敷市)
訪問日:平成 27 年 8 月 4 日
組織概要
支援組織
ヒアリング先
児島商工会議所(岡山県倉敷市児島駅前 1-37)
リノベーション概要
ジーンズを活用した中心市街地活性化と店舗誘致
地域の概要
・1000 年にも及ぶ干拓地で、江戸時代には塩田で栄え、その後、塩害に強い綿を
植えて、繊維縫製業が盛んになり、真田紐→足袋→学生服→ジーンズと変遷。
現在、ジーンズの国内シェアは 3 割強~4 割を占め、京都の帆布、畳口の大半
は児島で生産される。
・児島地区の人口は 7.2 万人で 700 人/年の減少傾向にある。
経緯
・平成 17 年に児島まちづくり委員会を設置し、味野商店街・児島駅前商店街(中
心市街地)の活性化について協議を開始した。
・平成 20 年 9 月には児島駅前商店街活性化に向けて、朝市事業を開始した。平
成 21 年 11 月には味野商店街活性化に向けて、会議所内に児島ジーンズストリ
ート協議会を発足させ、商店街の富士銀行跡や中国銀行跡の建物を使って、ジ
ーンズショップや雑貨店の誘致を始め、現在では 32 店舗のショップが児島ジ
ーンズストリート協同組合として加入し、名物商店街として定着してきた。
事業概要・特徴
・平成 22 年以降、約 30 店舗が新規加盟。ただし、400mの範囲に 30 店が連なっ
ているわけでなく、店舗間の間隔が広く、まだシャッター街も沢山ある。
・集客数は増加し、購入者数も増加し、購入目的の来街者が多いので、一般的に
は購入者の割合は 3 割程度だが、ここではそれを上回る購入率となっている。
・新しい入居者は、ほとんど 9 割が地元の人で、縫製業の人が自分の店をもちた
いということで出店している。この地域はOEM生産メーカーが多く、これま
では、買いたいという人には、例えば、天満屋の販売コーナーまで行ってくだ
さいという話になっていた。
・出店者の企業規模は 5 人未満~100 人を超える企業まである。
・30 店舗のうち、20 店舗は自社生産しており、これまでブランドで出していた
ものを自分で作って売るという形で、量販店のような価格設定でなく、付加価
値を付けて職人が作ったプレミアムジーンズで勝負している。
・空き店舗の借り手希望は多く、11 社待ちとなっている。協同組合や商工会議所
で空き店舗の借り上げ折衝をして、現在、6 つの空き店舗が見つかっている。
・生業で売ろうという人がほとんどで、歴史ある事業者が在籍する。賃貸の契約
期間は 2~3 年。改装費は倉敷市の空き店舗対策事業で 1/3、上限 100 万円まで
補助がある。
波及効果
・各店舗の購入者数の統計によれば、従来、来街者は地元の生活者を中心に 7 千
人/年であったが、平成 25 年には 5 万人/年、今年は 10 万人/年となっている。
課題と対応策
・当初、住居が隣接している店舗では、アパレル関係の奇抜な格好の人には貸せ
ないという雰囲気があったが、地道に懇親会等で説得し、年間 3~5 店舗ずつ
増やしていった。既存店も小物を売らしてほしいという話も出て来て、徐々に
中心市街地の復活への動きがみられるようになった。
-122-
4.3.4.岡山市東区役所(岡山県岡山市)
訪問日:平成 27 年 7 月 30 日
組織概要
行政機関
ヒアリング先
岡山市東区役所(岡山県岡山市東区西大寺南一丁目 2 番 4 号)
リノベーション概要
工場跡地を活用し、スポーツ、カルチャー、ショッピングが楽しめる複合型集客
施設等の整備を実現
地域の概要
・岡山市の東部、旧西大寺市、旧上道町、旧瀬戸町から構成。人口 95 千人。カ
ネボウ綿糸西大寺工場の跡地に西大寺グリーンテラスのほか、西大寺緑花公
園・体験学習施設百花プラザ、東区役所等庁舎などが立地。
経緯
・平成 7 年に岡山市土地開発公社が工場跡地のうち約 8.2ha を取得。平成 10 年
には広場の一般開放を行い、平成 12 年からは毎月フリーマーケットを開催し、
平成 19 年 3 月まで開放した。
・平成 21 年には「第 26 回全国都市緑化おかやまフェア」が開催され、その施設
等を有効活用するということで、西大寺緑花公園・体験学習施設百花プラザが
整備された。
・平成 23 年 11 月には、事業用定期借地として民間事業者が運営する西大寺グリ
ーンテラスがオープンした。施設運営期間は 20 年。
・平成 26 年 11 月から岡山市東区役所・東消防署・東水道センターが業務を開始。
事業概要・特徴
・カネボウ綿糸西大寺工場跡地のうち約 8.2ha を岡山市土地開発公社が取得し、
残りを民間企業が取得した。この約 8.2ha は西大寺「元気な新拠点」と位置づ
けられ、3 つのエリアに分けて整備された。
・跡地活用に向けた有識者による協議会で、地域住民へのヒアリング結果などを
もとにして5項目の提言がまとめられた。そのうち4項目(公共施設の充実等)
が実現した。
・都市公園エリアについては、都市緑化フェアの跡地の一部を活用して、西大寺
緑花公園百花プラザ等が整備され、現在、岡山市公園協会が指定管理者になっ
て管理している。
・民間活用エリアについては、エンターテインメント性のある事業を核とした複
合施設の公募を行い、三菱地所がスポーツエンターテインメントを核として提
案したものが採用された。
・現在、西大寺グリーンテラスは、フットサル場をはじめ、コーナン(ホームセ
ンター)
、ケーズデンキ(家電量販店)、MOMIJIYA F.C(スポーツ用品店)など
の店舗を併設している。
・平成 27 年 4 月の第2回おかやま西大寺マラソン大会(3 千人規模)では、スター
ト・ゴール地点として西大寺緑花公園を活用した。
波及効果
・行事・イベントを盛んに行っている西大寺地域の各種団体との連携や既存の近
隣施設との相乗効果により、にぎわいを創出できていると考える。
課題と対応策
・西大寺グリーンテラス周辺や古い町並みが残っている西大寺観音院周辺など西
大寺地域中心市街地の回遊性をさらに高めることが必要である。
-123-
4.4.広島県
4.4.1.呉市役所(広島県呉市)
訪問日:平成 27 年 7 月 1 日
組織概要
行政機関
ヒアリング先
呉市役所(広島県呉市中央 4 丁目 1-6)
リノベーション概要
空き家の流通に向けた取組
地域の概要
・呉市は、戦前は旧海軍関係者も含め 40 万人の人が旧呉市内に住んでいたが、
現在は 23 万人に減り、当時の建物が空き家になり、空き家率は高く、昔から
の家は、傾斜地であったり、道が狭く車が入れないような状況にある。
経緯
・空き家バンクは、平成 17 年 10 月から開始。
・空き家バンクの登録は、不動産業者の民業圧迫への配慮から、平成 27 年 3 月ま
では島しょ部だけを対象としていたが、4 月以降、対象地域を呉市全域に拡大。
事業概要・特徴
・空き家バンクは、現在 43 件登録され、過去の成約件数は 58 件(うち定住サポ
ートセンターが紹介した物件 18 件)
。
・市役所は、空き家バンクへの問合せがあれば、所有者に連絡するだけで、仲介
業務や契約業務は行っていない。
・解体補助金制度では、解体費用の 30%(上限 30 万円)を補助する。解体には
150~200 万円程度の費用がかかる。危険な家屋については、住民から 300 件程
度の情報が入っており、建築指導課が現地を確認する等の対応をしている。
・平成 27 年度、水道閉栓データ、資産税データ等により抽出した空き家候補の
実態調査を行っている。来年度は、所有者の意向を把握し、貸してもいい、売
ってもいいという物件を流通に繋げることで定住促進に繋げていきたい。
・空き家の利用事例としては、別荘としての利用が多く、釣りが好きな人(東広
島市の人)が借りるとか、田舎暮らしがしたい人(大阪市の人)が借りるとい
う事例がある。蒲刈の物件は、別荘として売れている。
波及効果
・呉市空き家等の適正管理に関する条例の施行(平成 26 年 1 月 1 日)により、
空き家に関する広報活動を行ったことで、呉市の中央地区の空き家バンク登録
物件が出てきたと考える。
課題と対応
・空き家を利用するには、リフォームが必要で、そのままだと住めない。高く売
れそうな物件は、不動産業者に相談したほうが良いのではないかとアドバイス
する。
・呉市では、車が入れないようなところが多く、買物が不便である。焼山地区の
団地でも建物が古くなったり、坂道が多いので、平地のマンションに移る人も
増えている。特に、空き家バンクの登録物件は、いずれも不便なところが多く、
ほとんどが傾斜地にあり、売りにくい。
・大崎下島の豊町御手洗地区の空き家は 4 割で、所有者が人に貸そうとしないた
め、登録物件がない。古民家を宿泊施設にすることは、消防法に対応するため
に設備投資がかかる。重要伝統的建造物群保存地区であり、外観の修理には国
から 8 割の補助が出るが、内装の修理には補助制度はない。
・市役所に対して、御手洗地区の古民家を利用してほしいとの話はあるが、当地
区の空き家は地域活性化に繋がるような場所にはなく、維持費がかかるため、
断ることが多い。
-124-
4.4.2.廿日市市役所(広島県廿日市市)
訪問日:平成 27 年 7 月 7 日
組織概要
行政機関
ヒアリング先
廿日市市役所(広島県廿日市市下平良一丁目 11 番 11 号)
リノベーション概要
空き家バンクの設置・運営
地域の概要
・広島市に隣接、旧廿日市市、大野町、佐伯町、宮島町、吉和村が合併。大野町
では人口が増加。旧廿日市市の団地の人口は減っているが、現時点では、空き
家問題はそれほど深刻ではない。
経緯
・平成 18 年度から空き家バンクを開始。当初、民間業者が扱わない吉和・佐伯・
宮島地域を対象としていたが、平成 24 年度からは対象を全市に拡大した。
事業概要・特徴
・空き家バンクの成約件数は平成 24 年度 4 件、25 年度 2 件、26 年度 4 件で、空
き家の登録件数は佐伯・吉和が多く、宮島はない。物件登録は賃貸での登録が
多い。現在、3 件の物件を公開しており、1 件はほぼ契約ができる段階にある。
・移住希望の登録は 55 件程度あり、県外が 1/3 程度を占める。宮島は商売をし
たい人が登録している。登録者は「家庭菜園をしたい」、
「芸術系をしたい」と
いう内容が多く、年齢は 50 代以降で、定年後の人が多い。こうしたことから、
田舎暮らしのニーズはあると考えている。
・沿岸部では民間で取引されており、行政が介入する必要はないと考えている。
行政としては、中山間地域を対象に地域の人と協力して物件の掘り起しを行
い、コミュニティ組織と連携して活動していこうとしている。
・転入してもらう場合、顔合わせまでは行政が支援して、物件案内まで対応する。
契約手続きは宅建協会の会員派遣制度を活用することができる。契約後の受入
の際には、行政も立ち会う。
波及効果
・空き家バンクに登録されれば、契約に結び付く場合が多い。
課題
・空き家バンクの登録物件が少ないことが課題である。登録物件が少ない理由は
「定期的に利用している」
、
「盆に帰る」
、
「家財処分していない」等で、貸すこ
とへのハードルがある。
・条件のいい、水道が繋がっている空き家は流通しやすいが、電気が繋がってい
ないところもあり、どこで線を引き、どこまで取り扱うかははっきりしていな
い。空き家を貸したいといわれると、行政は、どのような物件でも受けないと
いけない。
・改修補助金制度(1 割、上限 10 万円)があるが、補助率が低く、利用者がない。
・宮島では、カフェを開くなど、民間ベースでのリノベーションの動きはある。
宮島は市場価値が高く、重伝建地区の指定をうけようとしているが、現状では
国立公園内でもあり、文化庁の手続きが必要になる等、規制が多い。
・古民家には農地付の場合も多いが、農地の貸し借りは 1ha の制限があり、その
広さで、農業をできる人は少ない。農業、商業、建築関連の部署が連携する必
要がある。社会情勢に合わせて規制緩和していく必要がある。
・空き家バンクは定住促進のためにあると位置付けており、関係する部内間で協
議をして、魅力発信に繋げることが必要と考えている。
-125-
4.4.3.株式会社マエダハウジング(広島県安芸郡府中町)
訪問日:平成 27 年 7 月 9 日
組織概要
事業者
ヒアリング先
㈱マエダハウジング(広島県安芸郡府中町鶴江 1-22-6)
リノベーション概要
若年層等のニーズに対応した住宅のリノベーション
地域の概要
広島市とその近隣地域で事業展開
経緯
・前田社長は、岡山県出身で、マツダ、大手リフォーム会社勤務後、27 歳のとき
独立して、広島市安佐南区で、リフォーム会社を立ち上げた経歴を持つ。大手
リフォーム会社で勤務しているとき、売ったら終わりの世界で、継続的な顧客
へのサービスがないことに疑問を持つ一方で、リフォームは面白いと考えた。
独立後、個別訪問等を続けるなかで、エリアを絞り、地域密着で、10~30 年に
わたって顧客と付き合っていくことが重要と考えた。
・リフォーム事業がメインで、リフォームを前提とした不動産事業も 9 年前にス
タートし、中古物件をリノベーションする事業を行っている。
事業概要・特徴
・府中町や広島市等で幅広くリフォーム事業を展開。職人等(約 50 社)で構成さ
れる協力業者会があり、若い顧客層のニーズに対応したリフォーム施工を実施
している。中古住宅の評価を行うホームインスペクターズ協会に属し、中古住
宅評価も行っており、中古リノベーションセミナーも定期的に開催し、リノベ
ーション事例を紹介する冊子を定期的に発行している。
・中古物件は、顧客にとっては費用が安くできるが、
「一生住むことを考えると、
1 軒をみるだけでは不安で、10 軒くらい見ると、どうしたらいいかわからなく
なる」という人が多く、そのような顧客に対応するために、中古リノベーショ
ンセミナーを毎月開催している。
・これまで、リフォームした人、リフォームしたい人の話を1万数千人から聞い
てきた。リフォームしてよかった、あるいは失敗したという人の話を整理する
と、法則がわかってきたので、それをブラッシュアップして、中古リノベーシ
ョンセミナー等に活かしている。
・昔は、陽のあたる南側に応接室を作っていたが、今は、たまに来る人のために
応接室を作るより、リビングを広くして、普段使うところをよくするようにな
っている。価値観が変わり、中古への抵抗もなくなっている。
波及効果
・30 代を中心に中古物件への関心が高まっている。また、高齢化で、病院や買い
物が便利な平地に移る高齢者も増え、中古マンション等をリフォームして住む
人が増え、施主施工も増えている。
課題
・中古物件の場合、物件探し、リフォーム、資金計画を同時進行で行わないとい
けない。顧客には、リフォームの費用がわからないし、不動産業者は早く売る
ことを考え、リフォームの提案はあまりしない。
・不動産業者は、中古物件を買い、表面だけ改修して売ろうとする。売主が改修
費用は負担するので、売り主はできるだけリフォームにお金をかけないように
する。売ろうとしても、売り主は、新築で買った物件の価値が下がり、ローン
の残高が売却価格を下回り、差額の負担が発生するので売れない状況にある。
-126-
4.4.4.特定非営利活動法人ぬまくま民家を大切にする会(広島県福山市)
訪問日:平成 27 年 8 月 4 日、平成 27 年 12 月 18 日
組織概要
事業者(NPO法人)
ヒアリング先
特定非営利活動法人ぬまくま民家を大切にする会
(広島県福山市沼隈町大字草深 1267-2)
リノベーション概要
・居住用古民家を再生。
・備後渋最後の製造工場を譲り受け、移設して郷土の伝統産業を継承。
地域の概要
・福山市沼隈町横倉地区(地元では平家谷と呼ばれている)には、居住用の古民
家(築 300 年以上)が現存し、日本民俗建築学会から、当時の生活が残ってい
る建築物として高い評価を受け、地元住民を中心に、その保存活動が継続され、
建築関係者の研修やイベント等に使われている。
経緯
・平成 7 年から日本民俗建築学会が沼隈町横倉地区の築 300~400 年以上の建物
を 3 年間かけて調査した結果を踏まえ、元沼隈町長(倉田氏)をはじめ地元の
有志 7 人が中心となって、それらの古民家再生に取り組んできた。
事業概要・特徴
・当NPO法人には、現在、約 100 人の会員がおり、古民家に関心のある人達か
ら構成される。合力(こうろく)の精神で、元沼隈町長をはじめ 11 人の理事
を中心に活動している。
・古民家の再生には、空き家となって放置されたり、新築するために撤去される
古民家の古材や家具を譲り受けて再利用している。これまでに 40 軒以上の再
生に関わっている。再生に当たって補助金は利用していない。
・施工は、伝統的な木造建築の技術に習熟している大工の集団である地元の工務
店に依頼している。
・空き家になって放置されている古民家の所有者は、譲渡したり他人に貸借する
ことに踏み切れない。父祖伝来の住処を放棄することに抵抗感がある。そのた
めに古民家の再生運動がすすめ難い。
・他地域の古民家再生事業は営業を目的に行っているところが多く見受けられる
が、当法人では、住まいの再生を考えて、既に再生された古民家に案内して「急
がないで、あわてないで直しなさい」という対応をしている。
・かつて、柿渋の日本三大産地の一つであった備後渋の最後の工場(尾道市高須
町)から機械と設備一切を譲り受け、尾道市浦崎町に移設し、郷土の伝統産業
として継承し、製造・販売している。
波及効果
・古民家を再生して、現在快適な現代の暮らしを享受している方々は例外なく、
「直して良かった」と言ってくれている。また、「民家再生リサイクル協会」
の全国大会を当地で開催し、当会の取組が評価された。また、「古いものを大
切にする」生き方に共感する仲間が次第に増えている。
課題と対応策
・飛び込みで、古木を利用して改修しませんかという話をもちかけても信用され
ないので、NPO法人を設立して、古民家再生に取り組むこととした。
・築何百年もの古民家を改築して快適に住んでもらうためには、台所、風呂、ト
イレ等の水回りを近代化しなければならない。日本間等は現状を生かして補強
し、出来るだけ古民家の味わいを残しながら、再生の経費を節減できるように
していきたい。
-127-
4.4.5.特定非営利活動法人尾道空き家再生プロジェクト(広島県尾道市) 訪問日:平成 27 年 12 月 18 日
組織概要
事業者
ヒアリング先
特定非営利活動法人尾道空き家再生プロジェクト(広島県尾道市三軒家町 3-23)
リノベーション概要
尾道市の空き家の再生に関連する事業を展開
地域の概要
・尾道はチャレンジできる場所で、多様な文化を受け入れる風土があり、手助け
する人がいる。空き家を手放したいと考える人も多い。
事業概要・特徴
・当法人は、専属 6 人、パート 10 人で構成されている。事務所は、元の洋品店
で、2 階は NPO の事務所兼子連れサロンにしている。
・当法人は、再生した小さな物件を貸したり、尾道市から空き家バンクの管理委
託を受ける等の事業活動を行いながら、空き家再生に取り組んでいる。これま
で、20 軒の古民家再生を行い、再生後は、事務所、サロン、住宅、貸しスペー
ス等に使われている。
・NPOには 207 人の会員がおり、ボランティアで、空き家の改修作業(内装作
業や土嚢の運搬等)等に関わってもらっている。
・古民家は、傷んでいなければ、基本的には残し、それぞれの傷み具合で、付け
加えるものは付け加えて、家の価値を下げないようにしている。
・地方創生では、
「1 次産業」と「小商い」が成り立つような街にすることが必要
で、尾道は「小商い」ができるところであると考えている。
波及効果
・本プロジェクトでは、運搬や解体はNPOで担当し、ここは大工、ここはボラ
ンティアやワークショップというようにすみ分けをするような体制づくりの
実証試験を行い、宮大工や数寄屋大工の技術者の育成にも役立っている。
課題
・都市部での簡易宿泊所の火災の影響を受けて、規制が厳しくなり、自動火災報
知機(100 万円)を設置しなければいけないが、商売をギリギリでやっている
ところでは大変である。
・特区の動きはあるが、特区指定で観光地になって、収益目的により質の悪いも
のが提供される可能性がある。
・NPOの活動は、ボランティアという意識が強く、特にアート系やまちづくり
系NPOは業として成り立っていないので、イニシャルコストだけでも借り入
れができたらと考える。
・アート系の人は、収益が上がると、アートの質が落ちるといわれ、パトロンが
いないと難しい面がある。町の文化度を上げる活動と経済発展に向けた企業活
動の両輪がないと、街全体の質を上げることは難しい。
・移住候補者のターゲットは 20~30 代で、移住してもらうためには、ソフト面
でカバーする必要があるし、定住していける環境づくりが求められている。
-128-
4.5.山口県
4.5.1.株式会社まちあい徳山(山口県周南市)
訪問日:平成 27 年 7 月 21 日
組織概要
事業者(第三セクター)
ヒアリング先
㈱まちあい徳山(山口県周南市銀南街 17 銀南街ビル 2 階)
リノベーション概要
起業支援による店舗誘致と空き店舗活用
地域の概要
・JR徳山駅前中心市街地はかつて 30 万人の商圏と言われていたが、大型商業
施設が撤退後、減少傾向が続いていた。
経緯
・平成 10 年度から、テナントミックス事業として徳山商工会議所経由で空き店
舗を活用した出店者への補助事業を行ってきたが、利活用が十分でないため、
平成 23 年度から周南市中心商店街テナントミックス推進事業が開始された。
・平成 25 年 3 月に中心市街地活性化基本計画の認定を受け、その後、JR徳山
駅前商店街の整備が進められている。
・平成 30 年 3 月に駅ビルが供用開始され、平成 30 年 7 月には近鉄松下百貨店の
跡地に市の仮庁舎が入居する予定である。
事業概要・特徴
・当社は平成 22 年設立、資本金は 130 万円で、周南市が 10 万円、商工会議所が
60 万円、5 つの商店街と 1 つの協同組合が 60 万円を出資している。
・周南市中心商店街テナントミックス推進事業で、当社がハードルの低い出店サ
ポートセンターを立ち上げて、フロントエンド(前処理)を行うことになった。
・本事業は、駅前の 9 万㎡(300m×300m)の店舗改装費のうち上限 100 万円(対
象経費の半分)を補助するもので、これまでの対象先は飲食店の活用が 8 割を
占め、飲食店だけだと回遊性が出てこない傾向があるため、平成 27 年度限定
で、物販店に対して上限 200 万円(対象経費の半分)の補助を予定している。
・当社では、出店者の味方になるということで、地主との情報交換、市場ニーズ
のバックデータ等の提供を通じて、敷居が高いといわれる商工会議所より軟ら
かい事業計画に対応している。
・これまでの出店店舗としては飲食店が多く、圧倒的に県内事業者が多い。Uタ
ーンの事例もある。若宮町の空き店舗を活用して、飲食店「漁師めし酒場 灘
や」をオープンした鬼武氏(漁師)が地域活性化の牽引役となっている。
・広島や福岡にないようなコンテンツで、飲食や製造小売りで、他の地域で売っ
ていないものを出していくことが必要で、商業ソフトが根幹だと考えている。
波及効果
・周南市中心商店街テナントミックス推進事業で、平成 23 年度から現在までに
40 店舗の出店があり、40 店舗のうち、30 店舗が当該事業を活用し、その平均
は 100 万円で、250~300 万円(内外装費のみ)の投資が行われている。
課題と対応策
・駅ビルに 100 台程度の無料駐車場が計画されているがそれでも不足だと考えて
いる。ただし、有料駐車場が 1000 台分はあり、その連携が必要だが、まとまっ
ていくだけのシーズがないのが課題である。
・住んでいる街が自慢できる街になってほしいが、新規出店者は余裕がないので、
7~8 年後に、出店者のうち何人かが街づくりを支えるようになってもらえるよ
うにすることが重要で、そこまでが当社の大きな仕事だと考えている。
-129-
4.5.2.一般社団法人おんなたちの古民家(山口県山口市)
訪問日:平成 27 年 7 月 21 日
組織概要
事業者
ヒアリング先
一般社団法人おんなたちの古民家(山口県山口市泉都 10 番 4)
リノベーション概要
古民家の改修による宿泊施設・拠点施設としての活用
地域の概要
・山口市阿東(旧阿武郡阿東町)を中心に活動。平成 28 年 3 月までに宇部市、
下関市、岩国市にも拠点設置。
経緯
・松浦代表は平成 22 年古民家鑑定士の資格取得。平成 23 年 3 月、おんなたちの
古民家を設立。同年山口市の定住サポーター就任。
事業概要・特徴
・おんなたちの古民家は、理事 2 名、従業員 2 名、イベント女子部・職人のサー
クル等の 50 名に支えられて活動している。これまで、10 軒の古民家を再生し、
利用者に提供した。地域別では、山口市(6 軒)
、宇部市、岩国市、広島県廿日
市市等で取り組んでいる。当法人が古民家再生をプロデュースし、デザインや
建築士、耐震構造の専門家等に補修等の施工をしてもらっている。
・移住希望者の拠点や古民家再生のモデルハウスとして、空き家バンクに登録さ
れていた山口市阿東の築 200 年以上の古民家を再生した。
・枠組みは残し、瓦の色を変え、風呂はなかったので、露天風呂を作り、農家民
宿として、宿泊や飲食ができるようにした。改修には約 2,000 万円かかった。
・阿東が米どころで田園風景が広がっていることから、
「田楽庵」という名前で、
宿泊施設や拠点施設として平成 25 年の秋にオープンした。宿泊は、1 組/日限
定で、利用は夏休みが多い。その他、法事等の調理も行っている。
・阿東の減農薬の米は 1 等級で、平成 27 年 2 月から日本橋高島屋で販売しても
らうなど、ブランド化にも力を入れてきた。
・地元の 4 農家にも参加してもらい、企業組合「アグリアートジャパン」を平成
27 年 5 月に設立し、田楽米の生産・加工・販売に加え、定住促進(空き家管理
等)を行っている。
波及効果
・米粉とパイ生地で米粉スイーツ「モチペッコ」を作り、また、米粉に焼酎を加
えて「和酒彩菓田楽庵」というお菓子を作り、ともに 6 次産業の事業認定を受
けた。このお菓子はドイツのサミットで、各国首脳に配られた。
課題と対応策
・空き家は、そのままでは住めないところが多く、再生が必要である。ただし、
伝統工法で建築されており、一旦、壊すと、現在の建築基準法では建替えるこ
とはできない。今の大工が直すのは難しく、昔ながらの職人が必要である。
・移住に関心のある人は、「だれに古民家の改修を頼んでいいのか」がわからな
いので、建物の状態等を踏まえて、地元の棟梁や大工グループ等を紹介する。
大手業者の改修費は高いが、地元業者は安いし、良い仕事をしてくれている。
・古民家には、室内にゴミ等が残っており、そのゴミ処分をしたら成約しやすい。
・山口市には空き家バンクがあるが、市内には不動産業者もあり、不動産業者が
取り扱わない阿東町や徳地町を中心に活動している。賃貸の場合、瑕疵管理責
任があり、いろいろな取り決めが必要になる。火災保険や雨漏り等の対応も必
要になり、維持するのにお金がかかる。もらってくれという話もある。
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空き家等のリノベーションを通じた地域振興方策調査
事例集(詳細版)
平成 28 年 3 月
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ヒアリング概要 目次
1. 関東地方
1.1. 株式会社スペースマーケット(東京都、事業者)(1) ……………………………………
1.2. CITYLIGHTS(東京都、事業者)(2) ………………………………………………………
1.3. 株式会社富士通総研(東京都、調査機関)(3) …………………………………………
1.4. 独立行政法人都市再生機構(神奈川県、事業者)(4) ……………………………………
1.5. 山万株式会社(千葉県、事業者)(5) ……………………………………………………
1.6. 豊島区役所(東京都、行政機関)(9) ………………………………………………………
1.7. 株式会社住宅新報社(東京都、支援機関)(33) …………………………………………
1.8. 株式会社紫式部(東京都、支援機関)(34) …………………………………………………
1.9. 大東文化大学(東京都、支援機関)(35) …………………………………………………
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2. 近畿地方
2.1. 奈良市役所(奈良県、行政機関)(6) ……………………………………………………
2.2. 京都市役所(京都府、行政機関)(7) ……………………………………………………
2.3. 京都府住宅供給公社(京都府、事業者)(8) ……………………………………………
2.4. 町屋ゲストハウス三輪(奈良県、事業者)(23) ……………………………………………
2.5. 日本住宅流通株式会社(大阪府、事業者)(27)
………………………………………
2.6. 枚方市役所(大阪府、行政機関)(28)
…………………………………………………
枚方宿地区まちづくり協議会(大阪府、支援組織)(29)
……………………………
2.7. 一般社団法人ノオト(兵庫県、事業者)(30) ……………………………………………
2.8. 綾部市役所(京都府、行政機関)(31) ……………………………………………………
特定非営利活動法人里山ねっと・あやべ(京都府、事業者)(32) ……………………
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3. 九州地方
3.1. 富士見が丘団地連合会(大分県、住民組織)①
………………………………………
3.2. 新大分土地株式会社(大分県、事業者)②
……………………………………………
3.3. 大分市役所(大分県、行政機関)③
……………………………………………………
3.4. 豊後高田市観光まちづくり株式会社(大分県、事業者)④
…………………………
3.5. 九州工業大学(福岡県、支援組織)⑤ ……………………………………………………
3.6. 株式会社北九州家守舎(福岡県、事業者)⑥
…………………………………………
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4. 中国地域
4.1. 鳥取県
4.1.1. 鳥取市役所(鳥取県、行政機関)(15)、鳥取家守舎(鳥取県、事業者)(16) ……
ホンバコ(鳥取県、事業者)(17) ……………………………………………………
4.1.2. 智頭町役場(鳥取県、行政機関)(24) ………………………………………………
4.2. 島根県
4.2.1. 特定非営利活動法人てごねっと石見(島根県、事業者)(18) ………………………
4.2.2. 江津商工会議所(島根県、支援組織)(19) …………………………………………
4.3. 岡山県
4.3.1. 岡山県庁(岡山県、行政機関) (10) …………………………………………………
4.3.2. 倉敷市役所(岡山県、行政機関)(11) ………………………………………………
4.3.3. 児島商工会議所(岡山県、支援組織)(20) …………………………………………
4.3.4. 岡山市東区役所(岡山県、行政機関)(22) …………………………………………
4.4. 広島県
4.4.1. 呉市役所(広島県、行政機関)(12) ……………………………………………………
4.4.2. 廿日市市役所(広島県、行政機関)(13) ……………………………………………
4.4.3. ㈱マエダハウジング(広島県、事業者)(14) ………………………………………
4.4.4. 特定非営利活動法人ぬまくま民家を大切にする会(広島県、事業者) (25) …………
4.4.5. 特定非営利活動法人尾道空き家再生プロジェクト(広島県、事業者)(36) …………
4.5. 山口県
4.5.1. ㈱まちあい徳山(山口県、事業者)(21) ………………………………………………
4.5.2. 一般社団法人おんなたちの古民家(山口県、事業者)(26) ………………………
(注)(1)~(36)はヒアリング番号、①~⑥は他地域事例視察
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1.関東地方
1.1.㈱スペースマーケット
(所在地:東京都新宿区西新宿 6-15-1 ラ・トゥール新宿 502
訪問日:平成 27 年 7 月 31 日)
(1)事業概要
・平成 26 年 4 月に空きスペースのポータルサイトを立ち上げ、首都圏を中心に 3,500 件の空きスペース
を会議やイベント等に提供している。
・従業員は 15 人で、サイト管理の業務が中心となっている。
・空きスペースを探している人がサイトにやってきて、Webで予約し、それをオーナーに知らせ、ユ
ーザーとメールのやり取りで内容を確認し、前払い制でカード等での振り込みにより予約が成立する。
・大型イベント(法人で 20 万円以上)の場合、コンシェルジュサービスも行う。
・スペース登録の掲載料は無料で、確定したときに手数料(20~35%)をもらう仕組みになっている。料
金はスペースごと、プランごとにオーナーが設定する。時間単位や日単位もあり、集客力のある施設
は、当社のポータルサイトに載せる必要がないが、有名な場所を掲載すると当社のブランドにつなが
る。
・利用が多いところは安く、あまり使われていない遊休スペースは高めに設定する。3.5 万円/日程度の
料金が多い。
・ホスピタリティのあるオーナーがいるところ(鎌倉の築 90 年の古民家等)の物件を提供しているが、
そういうところではリピーターが多い。例えば、町田の古民家は撮影に使われることも多い。
・案件発掘については、最初の 100 件は、友人、知り合いからの紹介で確保し、メディアに積極的に出
ることでPRし、みずほグループの紹介で、有名な物件等を集めてきた。
・従業員のモチベーションを上げるために、オフィスにお金をかける起業も出てきており、クリエイテ
ィブスペースのニーズが増えている。
・世界のトレンドを見ると、シェアリングエコノミー(今余っているモノや人、リソースを今必要とし
ている人に提供する事業の総称)という概念があり、それに関するビジネスをしたいと考え、それま
でBtoBの仕事をしていたが、ヤフーのスーパーエンジニアとこの事業を立ち上げたという経緯もあ
り、当社の事業コンセプトは、空間貸出とシェアリングエコノミーとなっている。
・カンファレンスや打合せの会場としてユニークな場所を提供しているが、グーグルの社員は古民家へ
の関心が高い。
・新しい会社なので、BtoBから開拓することを考え、プライベート(C)に使ってもらうような流れ
で事業展開を行っている。最初にCから入ると当社の信用の問題もあり、大変だと考えている。
・地方自治体では、桐生市のロケの引き合いに対応した実績があり、今後、企業が地方のホールを使う
といった法人の需要にも対応していきたい。桐生市にはアピールのうまい人がおり、紹介の仕方が重
要と考えている。
・海外では、美術館がパーティー等で収入を得て自分たちで稼いでおり、日本もようやくそういう時代
になってきたと感じている。
・お寺の活用事例もあり、住職とコミュニケーションを十分にとることが必要であるが、お寺はスペー
スを持っており、人に来てもらうことを求めている場所でもある。
・メディア(最近ではワールドビジネスサテライト)や講演等でPRには力を入れている。
・不動産オーナーは、その不動産を、どういうふうに利用したらよいかというノウハウがないので、ど
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ういうふうにすると収益があがるか等について、当社からアイデアを提供している。金額的に大きい
企業のプロモーションと、どうからめるかが重要である。
・物件登録に際し、複数の写真を送ってもらうので、怪しいものは見ればわかるし、オーナーが法人の
場合、書類上のチェックをして、個人の場合、運転免許の提示やカード審査等も行っている。
・人とスペースの組合せで、成功事例をつくれば、そこからPRができると考えている。
(2)今後の方向性
・中国地方では、岡山からの案件があるが、東京の人にとっては土地勘がないので、まず東京で足場を
固めて、地方に展開したいと考えている。
・オフサイトミーティングは歴史的な場所で出来たり、徳島県の神山町のような場所でも出来るわけで、
移住を考えるとき、まず、実際に何回か訪問した後に、そこが気に入って移住を考えるため、オフサ
イトミーティングをすれば、将来的な移住にも繋がると考えることができる。
・マーケットプレイスでは、どれだけ品ぞろえができるかが重要で、現在の掲載スペースは 3,500 スペ
ースであるが、1 万スペースまで持っていきたい。
・BtoBで、これまで普通に借りることが出来なかったユニークスペース(明治座、飛行場の格納庫、
増上寺等)とか、大手企業が自分たちだけで利用していたスペースを他の人にも提供することができ
るようにしている。私鉄の車両も貸し出しできるし、地方では日南市(市長室)
、白川村(古民家)等
もあり、自治体にはこれからアプローチしていきたい。
・スペースと演出を考え、
「・・限定」というキーワードで特別感を持たせるようなことも考えている。
-134-
1.2.CITYLIGHTS
(所在地:東京都渋谷区桜丘町 9-17 TOC 第 3 ビル 402
訪問日:平成 27 年 7 月 31 日)
(1)事業概要
<不動産サイトの運営>
・東京都、神奈川県、京都府、大阪府等の改装可能な賃貸物件だけを集めた不動産紹介サイト(DIYP)
を運営し、平成 28 年 2 月現在、583 件の物件が掲載されている。
・DIYP は、不動産プロデュースチーム CityLights が運営している。
・DIYP では、入居者が壁にペンキを塗ったり、床を張り替えたり、自分らしい空間を作り込む事ができ
る自由度の高い物件を集めている。また、欲しい空間のイメージはあるが、自分で全部作るのは無理
かも、という人には求めているテイストをヒアリングした上で、建築士や工事業者の方の紹介も行っ
ている。
・原状回復に関しては、全く気にしなくてよい物件や、改装前にオーナーにやりたい内容の承諾を得る
ことが条件になっている物件等が掲載され、また改装できる範囲も建物全部から一部屋の躯体の内側
だけのものまで、物件によってそれぞれ異なっている。
(資料)DIYP ホームページ(http://diyp.jp/)より抜粋
<リノベーション>
・マンションの一室から、一軒家、建物一棟などの企画、デザイン及び施工の手配を行い、 フルリノベ
ーションの提案から、予算に応じて、ここまでの工事を行えば入居者がつきますよといった簡易な工
事の提案まで、柔軟な対応をしている。収益物件の場合、リノベーションの先にある、リーシングま
でを見据えて、単純に空間を設えるのみならず、入居者の求めているものを踏まえた上でのリノベー
ションを心掛けている。
<不動産企画>
・古いビルを改装可能なオフィスとして貸し出し、クリエイターを多く集め、ビル全体の空室率減少の
みならず、雑誌等の取材を多く受ける事で建物のイメージアップなどを行っている。 過去には約 50
室ある建物を全て改装可能として貸し出し、早期の満室、また入居待ちの状況が長く続くようなもの
もある。
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<ショップの企画・プロデュース>
・レストランや飲食店の企画及びプロデュースなどを行っている。
・ON THE CORNER (東京都渋谷区):カフェの企画を立案し、その後ショップオーナーとなる事業者を探
し、全体のプロデュースを行った。ショップインショップの形で、コーヒーショップの誘致も行う。
iri 入(東京都渋谷区):レストランの企画を立案し、その後オーナーとなる事業者を探し、全体のプ
ロデュースを行った。また、庭園のデザイン、施工も行う。
(2)改装可能物件
・改装可能物件として、以下のようなものがあげられる。
○貸し出しに際して、修繕費やリフォーム代をかけることなく、入居者を募りたいもの。(通常、貸主
側で壁紙を張り替えたりペンキを塗って綺麗にするが、改装可能であれば、出費を抑え、そのままの
状態で貸出すこともできる。修繕費用の回収が難しいと想定される物件等を想定)
○今まで貸し出しをしていなかった物件(オーナーが自ら住んでいた等で貸出すことを前提としていな
かった物件や、長らく貸出す事をしていなかった物件。そのままの状態で貸出すことも可能)
○募集をしているのだが、他の物件との差別化が図れず、なかなか借り手が付かないもの
○入居者が変わるたびに壁紙を張り替えている物件(どうぜ張り替えるならば、剥がした状態にしてお
いて、入居者が選べるようにする)
○入居者が改装することにより、愛着を持って、大事に長く住んで欲しいもの
○入居者と一緒に空間を作りたいもの(物選びや改装内容を入居者と決め、費用は貸主が負担する等)
○数年後に建て壊しを予定しているので、好きにいじってもらって構わないもの
(3)課題と対応
・改装の範囲については、「部屋の壁紙を変更できる」、「壁にペイントできる」、「棚を新設できる」と
いったものから、「畳を板張りに変更できる」、「間取りを変更できる」、「躯体や構造に支障のない範
囲で内装を変更できる」といったものまで、幅広く扱っており、掲載の基準としては、入居者が内装
を変更できる箇所があれば可としている。ただし、掲載の反響としては、改装できる範囲が広く、自
由度の高い物の方が人気がある。
・退去時の原状回復については、入居者が全く行わなくてもいい物件から、元に戻す箇所と戻さない箇
所がある物件まで、貸主の意向により様々で、当サイトでは、改装前に入居者より内装変更を行いた
い内容を書面や図面にて貸主に提出して頂くようにしており、それをもって、貸主に改装内容の把握
と、工事の可否、原状回復についての判断を行ってもらうようにしている。(工事の内容によっては、
工事業者に入って頂き、確認をとることもある。)「この壁紙の変更はそのままにして退去しても構
わない」や、「ここに付けた棚は退去時に取り外す」といったことを契約前に貸主と借主で取り決め
てもらい、その上で、双方合意した旨を契約書もしくは覚書にて取り交わし、トラブルのないように
している。
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1.3.㈱富士通総研 経済研究所
(所在地:東京都港区海岸 1-16-1 ニューピア竹芝サウスタワー 訪問日:平成 27 年 7 月 31 日)
(1)最近の動向
・空家対策特別措置法を受けて、既に空き家管理条例を制定していた自治体では、条例を改正する動き
が出ている。平成 26 年 10 月現在、全国で 401 の自治体が空き家条例を制定している。
・これまで空き家対策をあまり進めてこなかった自治体では、まずは、実態調査を行うというところか
ら始めている。
・大都市では空き家の実態について悉皆調査を行うことは難しく、例えば京都市では、住民からの通報
に基づき特定空家のリストを作っている。
・年内に特定空き家の勧告ができれば、平成 28 年 1 月 1 日から固定資産税の住宅用地特例の適用除外措
置ができる。
・空家対策特別措置法に基づく指導、勧告、命令、代執行といった措置に加え、住宅用地特例の適用除
外が可能になったことは、所有者行動に与える影響が大きい。所有者はそうした事態を避けるため、
空き家を継続的に管理するか、早期に売却、賃貸化するなどのインセンティブを与えられる。不動産
事業者やハウスメーカーなどは、所有者に代わって管理を行ったり、空き家の流動化を促すビジネス
を活発化させている。
・所有者は、空き家を継続的に管理するにしてもコストがかかるため、今後は早期に手放したいとの意
向を持つ人が増える可能性がある。従来に比べ、空き家を抱え込まずに、市場に放出される可能性が
高まることになる。
・空家対策特別措置法に基づく処置で自治体にとって悩ましいのは、勧告して住宅用地特例の適用除外
を行ったとしても、現に固定資産税を払っていない場合、支払ってくれる見通しは立たない上、解体
費用も出せず、自主的な対応が進まないケースが出てくることである。この場合、最終的には代執行
せざるを得ないが、売るに売れない場合が多く、差し押さえても抵当権がついている場合、自治体に
回ってくるのは後順位で、回収できない可能性が高い。そうした事態に至る前に、解体費用を少しで
も補助して、自主的な対応をしてくれるのなら、その方がはるかに望ましいと考える自治体は、今後
増えていくだろう。例えば呉市は、除却費用を積極的に補助している事例である。
・不動産業界にとっては、空家対策特別措置法によって、今後、市場性の高い物件も多数放出されるこ
とでビジネスチャンスが広がると考えられる。
(2)空き家バンク
・空き家バンクは 10 数年前から地方を中心に取り組まれてきたが、成果が上がっているところとそうで
ないところに分かれている。
・全国で成約実績が一番多いのは佐久市(長野県)で、これまでに 300 件超の実績がある。成功してい
る空き家バンクは、物件発掘を、広報などで呼びかけるだけではなく、地元の不動産業者やNPOと
協力して行っている。登録を増やす方法としては、このほか年 1 回の固定資産税の課税通知書に、空
き家バンクへの登録を促す文書を同封することがある。所有者は、税金は納めているものの、空き家
をどうしていいかわからないケースも多く、そうした時に空き家バンクの情報があると登録を考える
場合がある。
・空き家バンクに登録する場合のインセンティブを設けている例もある。大鹿村(長野県)では、登録
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すれば上限 10 万円で清掃費用などを補助しており、竹田市(大分県)では成約した場合に 10 万円の
インセンティブを出している。
・空き家バンクを成功させるためには、物件発掘のほか、サポート(受入体制)
、インセンティブ、地域
の情報発信に取り組む必要がある。サポートについては、問合せがあれば、仕事や生活の相談も含め、
懇切丁寧に対応する必要がある。家賃補助や改修費補助などのインセンティブは、もちろんあった方
が良い。さらに情報発信については、移住先をまずはネットで探す人が多いので、ネット上で地域の
魅力を十分発信して、興味を引くことが重要である。
・地域にとっては、移住者はもちろん誰でも来て欲しいが、地域にとって欲しい人材を特に優遇すると
いう方法もある。例えば、江津市(島根県)では、ビジネスプランコンテストを行うことで、起業し
得る人を呼び込もうとしている。また、竹田市(大分県)では、地域の伝統産業の技能を持ち、空き
家を活用して事業を行い得る人を特に優遇している。地域が人を選ぶという発想である。ターゲット
を絞った場合、来てもらえる人の範囲は狭まるが、条件を満たした人により強く訴える効果がある。
(3)空き家の利活用
・利活用では、改修資金を広く一般から集める方法がある。鎌倉の㈱ステイケーションの空き家を活用
した貸別荘では、クラウドファンディングの手法で資金を集め、改修費用としている。京都の八清(は
ちせ)は、京町屋のリユースを手がけている。ネットで海外にも情報発信しており、海外の投資家が
興味を持つケースもある。
・NPOとやまホーム管理サービスでは、ボランティアで地元の建築士や不動産鑑定士など専門家が参
加し、空き家の利活用を進めている。
「100 円不動産プロジェクト」というものも推進している。市場
価値がない空き家でも、使いたい人に 100 円で買い取ってもらって利活用を進めるものである。所有
者にとってみれば、壊すよりは、ただに近い金額でも引きとってもらえれば物件が残るというメリッ
トがある。こうした活動で儲けは出ないが、中には本業との関わりが出てくるケースもあり、参加し
ている専門家はそこでビジネスにつながればという考えである。
・桐生市(群馬県)のカチタスは、もともと競売物件を買い取る事業から出発したが、近年は空き家を
安く買い取り、改修して再販売する事業に注力し、全国展開している。土地付きの空き家を数百万円
で買い取り、水周りなどの改修を行い、新築の半値以下で売るというビジネスである。こうした事業
者は各地で増えている。
・空き家所有者は保有していても管理コストがかかるだけなので、たとえ売却価格が低価格でも値段が
付くだけましという考え方で、売却に応じるケースが増えている。ただし、こうした事業者はどんな
物件でも仕入れるわけではなく、この立地でこの値段ならば確実に売れるというものしか仕入れてい
ない。こうした事業では地方では十分成り立つが、大都市では地価が高く、仕入れ値がそれだけで高
くなるため、事業としては成り立ちにくい。
(4)課題と今後の方向性
・空き家問題がここまで悪化したのは、根本的には、住宅不足の時代に新築の供給を急ぐあまり質が追
いつかず中古としての活用可能性が低くなったこと、同時に、数を確保するために市街地を広げ過ぎ
たということがある。現在では一転して人口減少時代に入り、条件の悪い物件や立地から空き家にな
っている。今後は、空き家対策を講じるに当たっては、同時に、市街地の縮減(コンパクトシティ化)
-138-
を考えていく必要がある。改正都市再生特別措置法で「居住誘導区域」の設定が可能になったが、こ
れはそのツールになる。
・特に人口減少が著しい中小の地方都市では、コンパクトシティ化と空き家対策を連動して行っていく
必要性が高い。現に、財政破綻した夕張市では、現在、否応なくコンパクトシティ化を進めざるを得
ない状況に陥っている。
・今後は、市街地を絞り込んだ上で、そのエリア内で活用可能な空き家があれば活用を進めていく必要
がある。除却もすべては対応できないため、エリア内で危険な状態になっているにも関わらず、自主
的な対応が望めないものを優先せざるを得ない。つまりは、今後、人が残らないような地域には、お
金は投入できないことになる。
・利活用を進める仕組みのうち、国土交通省が関与している移住・住みかえ支援機構は、現状ではあま
り活用が行われていない。シニア層の住宅を子育て層などに転貸する仕組みがあるが、登録する前提
として、耐震性能を満たしていない場合、耐震改修する必要があることがネックになっている。住宅
金融支援機構が、この仕組みを利用する場合の耐震改修ローンの商品を出しているが、人に貸すため
にわざわざ改修する人は少ない。ただし、今後、新耐震基準の空き家が増えると、活用が増える可能
性がある。
・地域活性化で空き家の活用がうまくいったケースでも、きっかけは偶然というケースも多い。例えば、
神山町(徳島県)ではIT企業の集積に成功したが、難視聴地域のため全戸にケーブルテレビが敷設
され、通信速度が速いことにIT企業が目をつけたのが最初のきっかけであった。その後、NPOな
ど地域の受け入れ体制が整ったことでうまくいった。地元の人が気に留めない地域の優位性を、外部
の人が発見した事例である。
・空き家を貸す場合に所有者が改修費用を負担しなければならない点がネックになるが、借りる方が好
きなように改修し、原状回復の義務がないDIY型賃貸を活用する方法がある。空き家で数が一番多
いのは賃貸物件であるが、競争力がなくなった通常の賃貸物件でも、最近活用が進んでいる。
・商店街の空き店舗の活用では、丸亀町商店街(香川県高松市)が有名である。空き店舗の活用では、
所有者が手放したがらない点が一つのネックになるが、所有と利用を分離して、開発を進めたケース
である。
・そこまでいかなくとも、空き店舗を、若い起業家などが安く借りられるようにする手もある。所有者
は当面は手放さず、物件を有効活用できる。その後、事業がうまくいき、所有者も手放す気に変われ
ば、買い取ってもらう可能性が出てくる。新潟市の古い商店街では、こうした取り組みが行われてい
る。
・空き家の管理代行サービスは、最近多くの事業者が参入しているが、管理代行だけで採算をとるのは
かなり難しい。本業に結びつけられるかが重要で、不動産事業者の場合は、仲介や買い取り再販にま
で持ち込めればそこでようやく儲けが出ることになる。自治体にとっては、信頼できる管理代行業者
を紹介するなどして、所有者のニーズに応える取り組みを行っているところもある。
-139-
1.4.独立行政法人都市再生機構 住宅経営部 ストック活性化チーム
(所在地:神奈川県横浜市中区本町 6-50-1
訪問日:平成 27 年 7 月 23 日)
(1)事業全般(賃貸住宅部門)
・(独)都市再生機構(UR都市機構)は、平成 16 年に都市基盤整備公団(日本住宅公団、宅地開発公団、
住宅・都市整備公団等が前身)と地域振興整備公団(地方都市開発整備部門)が統合されて設立され、
中国地域のUR賃貸住宅は、広島市に 11 ヵ所、岡山市に 1 ヵ所ある(平成 27 年 8 月末現在)。
・全国で約 75 万戸を管理(平成 26 年度末時点)しているが、世帯減少の中で、物件をどう管理してい
くかについて、賃貸物件ストック再生・再編方針を平成 19 年 12 月に策定している。
・賃貸住宅ストック再生・再編方針では、団地ごとに整備方針を策定し、その時点の約 77 万戸について、
居住者の居住の安定を十分確保しつつ、平成 30 年度までに約 10 万戸の再編に着手し、約 5 万戸のス
トックを減らす、としている。
・約 7 万件/年の空家補修を行っているが、原状回復が主流で、一部ニーズに合わない住戸については資
産の良質化を図るという目的で、リノベーションに取り組んでいる。
・UR都市機構は、エリアごとに団地を管理している。各エリアで地域における政策課題や住宅需要の
動向等ニーズを調べながら、その都度、最適化に努めている。
・建物の償却年数は 70 年で、建物の耐震化への対応は順次行っている。建て替えも行ない、オーナーチ
ェンジする物件もある。
・家賃は間取りやリノベーションの内容によって変えている。
(2)リノベーション
・昭和 30 年代から供給を始めたが、現在、昭和 40~50 年代前半に建築した約 43 万戸が改修のベースと
なっており、これらをメインストックと呼んでいる。標準設計は中層5階の同じ形式の住戸が多く、
間取は主に 2DK、3DK、2K、3K、それらに「リニューアル」と呼ぶ改修を実施している。仕様はグレー
ド別にⅠ、Ⅱ、Ⅲを設定し画一的に改修しており、全室和室だったものを1室以上洋室化、一定のバ
リアフリー化、水回り改修等を行っている。
・平成 21 年以降は、ニーズの多様化に伴い、リニューアル i という形で、団地ごとに特色を出したリニ
ューアルも実施している。
・大島 6 丁目団地(東京都江東区)では、若手向けに、ホワイト系カラーで押入れをクローゼットに変
えたリニューアル i を供給している。
・みさと団地(埼玉県三郷市)は昭和 48 年に管理開始した 6,723 戸の団地で、その一部の住宅(1K)はホ
ワイトカラーをベースに、ブルーのクロスを貼ったアクセントウォールを設置。アクセントウォール
部分についてはお客様がカスタマイズできる仕様にしている。
・西日本や九州では、コストを抑えたリノベーションとして、コーディネートに重点を置いた「暮粋(く
ら・しっく)
」と呼ぶ改修を行い住戸の魅力アップに取り組んでいる。
・暮粋(くら・しっく)では、残す部分と変えていく部分を両立させ、和室や建具をそのまま生かす等
レトロな感じを残し、襖や床のカラーコーディネートや洗濯機置き場の改修等を行っている。建設当
時は洗濯機置き場を想定していなかったため、最近の若い人のニーズに合わせ、キッチンのそばに設
置したりしている。
・香里団地(大阪府枚方市)では、間取りを大きく変えずに洗濯機置き場を作り、面材の塗装や CF シー
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トの増し張り等を実施している。4~5 階は白を基調に藍色の襖をアクセントとした「藍白」、下層階は
白と小豆色でコーディネートした「小豆」の 2 パターンの色彩にしている。
・建物の構造部分(躯体)以外の部分は原則として DIY 可能で退去時に原状回復を行わなくても良い「DIY
住宅」を一部の団地で展開している。また、DIY 初心者に向けて、部分的な DIY が可能な「Petit DIY
住宅」の供給も行っている。UR賃貸住宅の通常の住戸についても「模様替え基準」に沿った改修は
可能で、原状回復免除の項目もある。長く住んでいる人は、クロスの交換や畳の取替えなど、自ら手
を入れながら住み続けている場合が多い。
(3)トータルバリューアップ等の取組
・朝霞浜崎団地(埼玉県朝霞市)は昭和 51 年に管理開始した 975 戸の団地で、URとデザイナー、アー
ティストが協働したデザインによる団地再生として、修繕だけではない住棟全体の価値を上げる改修
を行っている。外壁、エントランス、共用部の改修を行ない、外観と住棟内吹抜にグラデーショナル
なカラーリングやグラフィックを施すなど、意匠性と利便性を高めた。また、工事中の意匠的な仮囲
いをしたり、ワークショップでサイン塗装も行っている。
・夕陽丘市街地住宅(大阪府大阪市天王寺区)では、外壁修繕に少し力を入れてデザインを取り入れる
とともに、夕陽をイメージした照明計画やオートロック化の改修を行い、団地の価値の向上を目指し
た。
・トータルバリューアップにはマンパワーが必要であり、全ての団地での実施は難しい。
(4)民間連携
・株式会社 MUJI HOUSE(無印良品の住空間事業部門を担う)
、イケア・ジャパン株式会社、株式会社東急
ハンズ等、民間事業者との連携により、新たな客層に発信していく取組も行っている。
・MUJI HOUSE との連携では、古い団地の良さを活かしつつ、無印良品が実施するアンケートによる「住
まいのかたち」を取り入れた「MUJI×UR団地リノベーションプロジェクト」を実施している。
「こ
わしすぎず、つくりすぎない」をコンセプトに、柱や鴨居等をできるだけ残す一方、新しいパーツを
共同開発するなど楽しいアイデアを取り入れている。西日本からはじめ、中部、東京、千葉、埼玉で
も展開している。
・イケアとの連携では、壁紙や床材をカラーコーディネートしデザイン・機能に優れたイケアキッチン
を備え付けた住戸を供給する等住宅改修及び生活提案を行う「イケアとURに住もう。」プロジェクト
を実施している。イケアは世界的なホームファニッシングカンパニーであるとともに世界的なキッチ
ンメーカーでもある。イケア、UR 互いの活動に共通する「サステナビリティ」に注目し、
「サステナブ
ル・リビング 気軽に変化を楽しむ暮らし」をコンセプトとしている。
・例えば、虹ヶ丘団地(神奈川県川崎市麻生区)では、居住者のプロフィールイメージを設定し、それ
に合わせた改修や内装コーディネートを行っている。
・東急ハンズとの連携では、
「3636+(ニジョープラス)」(押し入れが約 2 畳で、DIY 等でよく使用される
サブロク板(6 尺×3 尺のベニヤ板)1 枚が約 1 畳であることから、ニジョープラスと命名)として 2LDK
で、押入れに 3 パターンのキットを選んでもらう取組を行っている。
・大学との連携では、福祉、栄養相談、芸大の学生に絵をかいてもらう等、得意分野を生かした連携を
行っている。
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・例えば、若い人向けに発信していくということで、京都女子大との連携では、女子大学生が住戸の改
修プランをデザインし、コンペで選んだプランを実際に商品化する取組等を行っている。
(5)その他
・UR全体で、高齢化に対応して福祉拠点化団地の整備を進めており、多様な世代が助け合いながら生
き生きと暮らし続けることができるミクストコミュニティとしてのまちづくりを目指している。
・URからURに転居する場合、手続きが簡単で、住み替えが容易なようにしている。
・従来は同じ間取り、画一的な改修であったが、最近の傾向で、ニーズの多様化があり、若い人にはこ
だわりがあるので、いろいろな商品をいろいろな形で提供するようにしている。
-142-
1.5.山万株式会社 街づくり推進室
(所在地:千葉県佐倉市ユーカリが丘 1 番地1ステーションタワー 3 階
訪問日:平成 27 年 7 月 24 日)
(1)全般
・昭和 46(1971)年からユーカリが丘団地の整備を開始し、全体の開発面積は 245ha、計画人口は 3 万人
(8400 戸)であるが、平成 27 年 11 月末現在、7,257 世帯、18,053 人が居住している。もともとは農地
や原野であった地域を整備している。
・ユーカリが丘団地には、32 の公園、駅前には商業施設、映画館があり、タウンセキュリティにも配慮
し、高齢者福祉施設や新交通システム(山万ユーカリが丘線)も整備され、コミュニティバスの実用
実験も行っている。
・山万ユーカリが丘線は、戦後初の民間による鉄道事業で、昭和 57(1982)年に開通し、高架で 6 つの駅
を設置している。電気動力でゴムタイヤを使用し、騒音も発生しないようにしている。6 つの駅から歩
いて 10 分圏内に住宅を整備している。
・また、初期の入居者が高齢化し、徒歩 10 分が大変という人に対して、歩いて 3 分で、自宅のそばでバ
スに乗れるという公共交通の社会実験(無料)を実施している。
・中学校駅周辺のビューガーデン街区では、環境配慮型の住まいを整備している。
・現在、ミライア街区 20ha を整備しており、ミライアガーデンヒルズを建設し、平成 28 年にはイオン
モール(延床面積 126 千㎡)がオープンする予定で、イオンの進出により、道路の渋滞が懸念されるが、
都市計画道路が整備される予定である。
・ユーカリが丘団地は、資産価値が高く、資産価値が落ちない街として、佐倉市では地価上昇率は 1 位
となっており、今後も利益性の向上を目指している。
・在宅介護で、介護付き老人ホームも整備している。市街地のそばに、15ha の福祉の街エリアも整備し、
グループホーム、幼老統合施設、五感を刺激するセラピーケアガーデン(3000 坪)を設置している。
・当団地開発地域には、もともと農地があり、田んぼ体験等が出来るようになっているが、平成 25 年に
山万ユーカリファームという農業生産法人を設立し、農家と協力してビニールハウスでトマトを生産
し、6 次産業化に取り組んでいる。貸農園(クラインガルテン)も、10 ㎡以上/区画で約 500 区画を整
備している。
・2 つの認可保育園、1 つの無認可保育園があり、子育て支援で、女性の働きやすい環境を作り、安心し
て働くことができるようにしている(子育てハッピーシステム)
。ユーカリハローキッズでは 18 時以
降の延長保育を行っている。2007 年には子育て支援センターが開設されている。学童保育所では小学
生の 19 時までの預かりを行っている。こうした取組で、過去 5 年間で小学生以下の子供が 640 人、34%
増加している。
・次の 10 年を見据えたユーカリが丘 NEXT10 で、子育てハッピーシステムで働く女性支援も行っており
18 時以降の子供預かりを予定している。また、シニアハッピーシステムではアメリカで行われている
CCRC(高齢者コミュニティ)を整備し、ユーカリメンバーズカード、エネルギーマネジメント(エネ
ルギーの一元管理を計画)
、ユーカリファーム等、理想の暮らしを目指した計画を進めている。
・駅前カレッジ構想があり、順天堂大学等の誘致で、都市機能の充実を目指している。現在、和洋女子
大学やNHK文化センター等も立地している。
・住民の 6 割は都内に勤めており、周辺より年収が高い人が住んでいると考えられる。
・平成 26 年にはNPOタウンネットワークが立ち上がっている。
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(2)ハッピーサークルシステム
・ハッピーサークルシステムでは、リフォームや住み替えの手伝いをしている。査定額の 100%で買い取
ったり、終身借り上げで自宅を年金化したりしている。買い取ったものはリノベーションして若い世
代に渡すというサイクルを作っている。
・36 年前から分譲を開始し、その当時の入居者は、現在 70~80 歳になり、その住居はリフォーム、建替
え需要が出ており、家族構成も変わり、子供が独立し、夫婦二人になり、駅前のマンションに住み替
えたいという人が出て来ている。今の住まいが売れないと引っ越せないが、住み替えのためのストレ
スがかかる。そういう人にユーカリが丘の新築に引っ越してもらうために、当社で査定額の 100%で買
い取るというシステムを作っている。
・住み替え対象は高齢者施設にも拡大している。また、移住・住みかえ支援機構のシステムを使って自
宅を賃貸に出して住替えできるようにしている。
・買い取ったものはリフォームして新築の 70%で再販して、若い人には割安で住みやすいようにしてい
る。70 代の人が住んでいた建物の骨組を残して、リノベーション住宅として 30 代の人に売っていくこ
とで、30 代の人が住む町になっていく。
・新築物件は 4~6 千万円で、30 件/年の販売戸数、築 30 年くらいでは建物の評価はゼロで、1 千万円く
らいで改修して、2 千万円後半くらいからで売る。耐震基準等に適応していないものは、建て直してい
る。
・マンションの若い家族に子供が出来て、戸建てのリノベーション住宅に移る場合、逆に、高齢者が便
利な駅前のマンションに移る場合等もあり、一緒にどういう間取りがよいかを考えたりしている。
・200 戸/年を供給しているが、人口構成を考え、分譲時期を分けており、将来的なことも考えてエリア
を分散させて分譲を行っている。
(3)山万グループの活動
・山万の従業員は 120 人(1 割が東京の茅場町の本社に勤務)
、その多くがユーカリが丘団地に住んでいる。
・山万グループが、清掃、外構工事、ユーカリファーム、社会福祉法人、温浴施設の運営等に関わって
いる。リタイヤした人を雇用して作業をしてもらっている。
・山万では、平成 21(2009)年からエリアマネジメントグループをつくり、これからの需要を先取りし、
住民の声をきくために、住民に何が必要かを住民アンケート等で把握し、タウン誌も発行している。
1軒1軒を回り、50 軒/日、3~4 回/年、回ることで街のコンシェルジュとして重用されるようになっ
た。その取組を通じて、家族構成の変化、空き家等を把握し、苦情や相談ごとを聞き、困っているこ
とを解決していく取組を行っている。その情報は、山万グループ各社で共有している。
・エリアマネジメントグループでは、営業活動はせず、リフォームの相談に対応するなどの取組をして
いる。震災後には、独居を回りながら、水を配る等の取組を行った。売ったら終わりではなく、住民
に近い目線で、売ってからがスタートだと考えている。
・ライフサポートセンターを運営し、困りごと相談も引き受けている。
・平成 21(2009)年に、NTTと連携してタブレットを各戸に配布し、イベント情報の発信を行っている。
-144-
1.6.東京都豊島区役所
都市整備部 住宅課
(所在地:東京都豊島区南池袋 2-45-1
訪問日:平成 27 年 7 月 24 日)
(1)全般
・豊島区役所の施設は、小学校の跡地を含む民間の権利者との市街地再開発事業により整備されている。
・豊島区の人口は増加傾向にあるが、平成 26 年 5 月 8 日に、増田レポートで豊島区は消滅可能性都市の
1 つとしてリストアップされた。豊島区には、大学が多く、JR・地下鉄にアクセスが容易で、単身世
帯が多い。しかし、家賃が高く、若い人がファミリー世帯になると出ていく傾向がある。住みたい街
のランキングで 3 位に池袋が入るなど、いいイメージがあったが、この指摘をうけて、緊急対策本部
が作られ、①女性に優しいまちづくり、②地方との共生、③高齢者への対応、④日本の推進力の方針
が掲げられた。それらを進めていくうえで、空き家の活用を検討することになった。
・平成 20 年の総務省の調査では、豊島区の空き家は 21,680 戸で、ほとんどはアパート、マンションの
空き室で、狭小な住宅が多い。
・リノベーションの事例として、築 16 年のマンション(ロイヤルアネックス)で空き家率 28%であった
ものを、マンションの壁紙、内装、水回りを入居希望者にあわせて、カスタマイズするようになり、
構造上も「2 戸 1」にして住み直しや、シェア居住、シェアードリノベーションに取り組み、内装を公
開して、原状回復する必要がないようにした事例が既にあった。ここでは、200 人入居待ちと、大好評
で、住みたい人に合せて改修する手法がとられている。
・居住支援協議会が空き家バンクを設けているが、耐震性等、安全性に難がある物件は登録をお断りし
ている。平成 27 年 7 月現在、バンクへの登録はゼロ、事業実績は 1 件である。
(2)リノベーションまちづくり
①全般
・リノベーションスクールは北九州市が発祥。事業者が豊島区に在住しており、豊島区が消滅可能性都
市に指定されたことをきっかけに、リノベーションの手法を用いたまちづくりの提案が行われ、これ
が、本事業への取組の直接的なきっかけとなった。
・民間主導の公民連携型まちづくりである「リノベーションまちづくり」は、構想の策定、トレジャー
ハンティング、リノベーションスクールを通じて、志のある家守・不動産オーナーを増やし、まちづ
くりを推進しようという取組である。
・平成 26 年 10 月の補正予算を使って、11 月から取り組んだ。予算は 26 年度 1,700 万円、27 年度 2,900
万円。
・平成 26 年度は、専門家、学識経験者、区民、区職員で構成されたリノベーションまちづくり検討委員
会(勉強会)を設置し、構想の策定を検討した。平成 27 年度より、附属機関となった「豊島区リノベ
ーションまちづくり検討委員会」において構想を策定している。
・平成 26 年度は、
「リノベーションまちづくり」手法として、まちのトレジャーハンティング、リノベ
ーションまちづくり塾、リノベーションスクールが実施された。
・トレジャーハンティング(平成 26 年 11 月 15~16 日)は、リノベーションまちづくり事業のキックオフ
イベントとして行われた。参加者が7つのユニットに分かれて、街をまわって、建物、人、歴史等の
魅力を発見し、発表をするというものである。発表会では、ユーモアあふれた提案が出され、200 名の
参加者もあり、大いに盛り上がった。
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・リノベーションまちづくり塾は 3 回開催し、遊休不動産のリノベーションに向けたオーナーの意識改
革が目的で、80 人の定員に対して、初回は 100 名が集まった。初回は学生が多かったが、3 回目は遊
休不動産のオーナーが 5 割くらいであった。
・リノベーションスクールは、実際の物件を対象に受講生が 3 日間で具体的なリノベーション事業プラ
ンを作成し、物件オーナーに公開の場でプレゼンテーションを行うもので、リノベーションまちづく
りのエンジンとして位置づけ、民間主導の公民連携で、その役割は明確に分かれている。
・平成 27 年度は、構想づくりと育成支援、リノベーションまちづくりのエンジンとしてのリノベーショ
ンスクールを開催していく予定で、不動産オーナー向けの啓発も進めていきたい。
・豊島区には 92 の商店街があるが、5 商店街が参加し、今後は、スクールの地域限定版を開催し、関心
を持った商店街を中心に広げていきたいと考えている。
②リノベーションスクール
・第一回リノベーションスクール@豊島区では、提供してもらった事業計画 4 案件、セルフリノベーシ
ョン 1 案件を対象に、3 日で行われた。参加費用は、親睦会費用も含めて 36 千円で、お祭り的な部分
もあり、オープニングパーティ・クロージングパーティ代が 6 千円、テキスト代が 3 万円となってい
る。区は運営側には委託料を払っている。大学を使ったため、会場費はかかっていない。
・事業計画コースでは、申込み者 90 人の中から選ばれた 36 人が 4 ユニットに分かれ、各ユニットマス
ターの指導のもとで、価値を高めるために必要なものを検討した。セルフリノベーションコースでは
マンションの 1 つを対象に、申込者 32 名のうち 10 人が取り組んだ。
・最終日の公開プレゼンテーションでは、不動産オーナー、区民等が 300 人参加した。
・参加者は関東の人が多く、学生は少なく、社会人がほとんどで、不動産業、建設業、まちづくり会社、
メディア、商店主、主婦等で、男女比は半々で、平均年齢は 31 歳であった。
・当日まで、対象となる物件がどこか、参加者にはわからないようにして、まず、物件を尋ねて、街歩
きをして、対象物件を見たのち、2 日・3 日にひたすら検討を重ねて、その結果をとりまとめて、その
内容をブラッシュアップする。2 日目は徹夜状態であった。
・最後に、オーナーを呼んで、プレゼンテーションを行い、提案をして、オーナーの感想を聞く。その
あとは民間で事業化を進めるという流れで実施された。
③対象物件
・対象となった物件は、①廃業となった風呂屋、②10 年前に廃業した「とんかつ屋」
、③マンションの一
階で倉庫になっているところ、④築 16 年のマンション(ロイヤルアネックス)の大きな部屋の4つで、
その概要は以下のとおり。
・廃業となった風呂屋については、カフェとして検討された。オーナーが上の階に居住し、空き部屋に
子育てに関連した職業の人を集め、子育て相談に乗れるようにして、建物全体で子育て世帯を受け入
れるようにしてカフェサロンにして賑わいを作ろうというものであった。オーナーより子育てに特化
するのは事業的に難しいのではないかという話になり、事業化は進んでいない。
・廃業したとんかつ屋(椎名町)については、一階はカフェにして、上をゲストハウスにして、バック
パッカーに日本に密着したサービスを提供しようというものであった。昔ながらの商店街があるとこ
ろで、池袋は、浅草寺を始めとした都内の主要な観光地へのアクセスが良いため、外国人観光客の関
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心が高い。椎名町駅は西武池袋線で池袋駅から 1 駅であり、日本の生活を知りたいという外国人のニ
ーズに対応できる環境にある。また、外国人が利用するホテルランキングの 4 番目に、一般にはあま
り知られていない「ファミリーイン西向(Family Inn Saiko)
」(豊島区)という名前があげられており、
その理由が、今回のリノベーションスクールでの検討の中で洗い出され、そのニーズに対応するゲス
トハウスが提案された。この提案は区役所の上層部に評判がよかった。
・マンションの一階の倉庫については、あまり使われていない区立公園の前にあり、公園と一体化して
子育てカフェにしようというもので、オーナーが関心を持っている。
・ロイヤルアネックスの空き室については、屋台の拠点にしようというもので、飲食に限らず、店舗を
活用した屋台を展開するというものであった。
④課題と次回への対応
・第二回は平成 27 年 9 月 4 日から 6 日までで、会費は 5 万円としている。前回は初回でもあり低く見積
もったとのことで、最終的に 5 万円で募集することになったが、順調に人が集まった。
・区役所の検討委員会では、居住支援だけでなく、子育て、空き店舗、高齢者、建設等の分野が関係す
るため、組織横断的な対応を検討することを考えている。
・対象物件は募集をかけるが、前回はたまたま案件が集まったが、オーナーの説得には事業者だけでな
く、行政も参加しないと難しい面がある。
・次回の対象物件を探すために、街歩きをしているが、遊休不動産の活用に積極的な人が少なく、なか
なかオーナーの協力を得られない。オーナーが住んでいない物件やオーナーに接触できない場合もあ
り、豊島区の物件を数多く扱う不動産業者をピンポイントで回って協力を要請している。
・豊島区の空き店舗は増加しており、オーナーの高齢化で、店を閉めて年金さえもらえればよいという
人も多く、1 階が店舗で上が居宅の場合、下でゴタゴタしてもらっても困るとか、住居と店舗が別の場
合、話がなかなか進まないことが多い。
・リノベーションスクールの主導者の一人である㈱リノベリングの嶋田さんが豊島区に拠点を持ってお
り、しっかりした判断ができる人が中心となって㈱都電家守舎を立ち上げている。
・北九州では、空き物件を活用して、新しい価値を高める提案により、街の裏通りに新たな人の流れが
生まれ、ものが売れるようになり、雇用を作ったり、子育て対策に繋がっているが、豊島区では池袋
の一人勝ちで、東長崎とか椎名町等、離れたところは衰退傾向にある。
・当面、椎名町や東長崎が対象となりうるが、豊島区には NHK 営業センターも近く、民法のキー局も近
いことから、マスコミに取り上げてもらいやすい環境にあり、リノベーションの取組がマスコミに取
り上げられることで、街が変わったように見せて、不動産オーナーの意識が変わってもらえればいい。
不動産オーナーは、椎名町等が人気の土地なので、まちづくりに生かすという意識をもっておらず、
家賃を高めに設定し、それで入居がないので、結局、事業をやめていくという流れになりやすい。
・商店街では、高齢化により閉店する店舗も出ているが、ローン等が完済しており、年金収入で生活が
できることから、地域の活性化への意欲も低い。
・地方のシャッター街で、積極的な青年部があれば対応しやすいと考える。しかし、豊島区では、そう
いう民間主導のプレーヤーがまだまだ育っていないため、新しい志のあるプレーヤーと行政、学生が
タッグを組んでやっていこうという形になっておらず、時間がかかると考えている。
・5~10 年たって、2 代目が後を継がず、空き家になって、2 代目がもてあまし、リノベーションで活性
-147-
化したいというプレーヤーがいて、若いオーナーが出てきて、人があつまるという循環がでてくると
よい。
・リノベーションまちづくり構想では、リノベーションスクールを事業推進のエンジンと位置付けてい
るが、今後、リノベーションスクールを年 2 回するとして、4 件/回で、8 件/年の検討しかできないの
で、スクールという学びの場以外にも、広がりをもたせないと、うまくいかないと考える。
・北九州では、リノベーションまちづくり事業に対する融資制度が動いており、相談窓口もできている。
豊島区のリノベーションスクールから発生する事業に関して、融資制度等について都市銀行が関心を
示している。
(5)その他
・国交省も「リノベーション・エリアマネジメント」への取組を整理しており、リノベーション・エリ
アマネジメントでは、地方公共団体が地域のコンセプトを策定した上で、民間が主体となって遊休不
動産や公共施設のリノベーションを行い、地域の賑わいを創出する取組を行い、エリア全体の活性化
を支援することが重要としている。
・区の担当者は、北九州のリノベーションスクールに、事務局の手伝いとして参加している。
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1.7.株式会社住宅新報社
(所在地:東京都港区虎ノ門 3-11-15
訪問日:平成 27 年 12 月 14 日)
(1)不動産業者等の取組事例
・10 年前から空き家管理ビジネスを始めた㈱平田不動産(福井県小浜市)という不動産会社がある。地
方で、空き家を売りに出しても、昔は隣の人が買ってくれたが、隣も高齢者で、空き家が売れないと
いう中で、平田社長は、これから空き家が増えて、地域が衰退するので、それは避けたいと考えた。
地域の景観を守るとしたら、不動産業者しかないので、自社が管理するということで空き家管理を始
め、それにより周辺住民から感謝され、会社の評価が上がった。さらに地元の信頼された不動産屋が
管理しているところなら売買を任せたいということで、物件の販売にも繋がった。
・平田社長は、空き家管理することで、最初は儲からなくても、管理された物件は売りやすい物件とし
て評価されることに気付いたそうである。
・当社は常時 10 数戸を管理しており、
「いえぱと!」という商標登録をとり、フランチャイズを始めてお
り、和歌山県の業者が加盟する等、その事業は拡大しているが、料金設定が難しいという話であった。
・特措法で、空き家は空き地になる可能性が高まり、大里綜合管理㈱(千葉県大網白里市)では約 40 年
前から空き地を見つけて、草刈等を行い、現在 8,500 件を預かって管理している。オーナーの了解を
得て、果樹や花を植えるなど、周辺の景観を良くするために空き地管理をして、地元に評価されてい
る。イベントを企画したり、お祭りをサポートしたり、子育てスクール等の活動をしている。
・当社は、空き家の管理を、近くに住むアルバイトに頼んでいる。
・上記の 2 つの事例は、戦略的に、あの会社がいなくなったら困るというように種をまくような戦略を
とっていると言える。
・㈱ラクテンポ(東京都新宿区)は、空き家や空き店舗をレストランや居酒屋に改装する事業を専業で
行っている。
・中古物件をリフォームすれば、若い人が安く住まいを手に入るということになる。所有者も 2 階を賃
貸にして、賃貸スペースが半分以下であれば、住宅ローンが適用されるので、自分は 1 階に住んで、
若い人に上を貸すというような賃貸併用付住宅も増えており、若い人の資産形成を手助けすることが
できる。減築する場合も増えている。
・既存の不動産会社には人材がいない。平成 27 年 4 月から宅建業者が宅地建物取引士になったが、まず
はコンサルが出来て、本音で接する人、顧客に向き合うコンサルをやっていかないと信頼されない。
仲介のスキルしかない人だと、売上を上げるために数を増やすということになり、仕事の仕方が荒っ
ぽくなる。
・工務店から不動産業に入る人も増えており、これからは、リフォームするにしても建物の知識が重要
である。また、総合コンサルが必要で、不動産業者と工務店が一緒になると有利である。建築業者が
不動産業に進出する事例は多い。
・地元の不動産業者は、大手ハウスメーカーが賃貸業に進出しているので、生き残ろうとすると長期的
な視点での経営が必要である。
(2)高齢者対応施設
・笑恵館という高齢者が住む自宅をシェアハウス風に改造した事例が世田谷区祖師谷大蔵にある。100 坪
程ある敷地を活用したもので、オーナーはいつまでも地域の人たちと楽しく暮らしたいと考え、子育
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て相談セミナーや子供が自由に遊べるようにしている。
・高齢者は 1 ヵ所にまとまってもらったほうがよいという考え方はあるが、ここでは居住者が住みやす
くするために、空き家をどう活用するかを考え、世代交流で最後まで自宅で暮らすことを目指してい
る。このような多世代型シェアハウスは始まったばかりで、これから普及していくと考える。
・所有者は普通の人で、広い敷地に住んで、アパートも持っており、笑恵館を始めた理由は、超高齢化
社会に貢献できる新しい施設を提供したいと考えたことである。
・世田谷は高級住宅地で、農家をやめてアパート経営をしている人が多い。近くのアパートに入ること
もできるし、シェアオフィスにも入居できるため、空き家等を地域をよくするための拠点にするとい
う思いを持った人が増えている。
・静岡県南伊豆町では、東京都杉並区の高齢者施設を作っている。このように、大都会の自治体と地方
の自治体が一緒に高齢者対策に取り組むという方法もある。東京一極集中で、高齢者が自ら地方に行
きたくなるような形にするには、地方のブランドが必要で、リバースモーゲージを使いやすくすると
良いと考える。
・また、南伊豆町と杉並区は、ワープステイという 5 年間のお試し移住を推進し、杉並区に家を持つ人
が自分の家を 5 年間の定期借地権で貸して、南伊豆町に 5 年間住むという運動を始めている。南伊豆
町では、若い人向けの夏季合宿も行っている。
(3)最近の住宅関連業界の動向
・平成 27 年 7 月には全国空き家相談士協会が発足した。同協会には、解体業者、不動産屋、建築士等が
参加し、その対象とする分野は広い。解体業者も参加しており、解体の際に、仏壇が残っている場合
も少なくないそうで、その場合、オーナーに確認を取ることにしているとのことである。
・古いビルをオフィス以外に変えようという事例はどんどん増えている。例えば、1階を店舗にして、
上の階をシェアハウスやシェアオフィスにして、最上階を共有にするという事例等があり、最近では
シャワー・トイレ付のシェアハウスもある。
・新築のシェアハウスも作られている。国交省は、シェアハウスは寄宿舎という用途でなければ認めら
れないといっており、寄宿舎という形で建築確認をとる必要がある。千歳市の事例では、空いた部屋
を民宿にしようとしたが、既に寄宿舎として建築確認をとっていたので、シェアハウスにする際に旅
館業法の許可が取りやすかったということだ。今後、ホームステイ型シェアハウスが増え、民泊対応
のホテルを兼ねたシェアハウスができるようになるだろう。
・東京都大田区は国家戦略特区で、マンションの一室を民泊にすることができるようになるが、住んで
いる人から見ると、反対ということになるだろう。
(4)その他
・新耐震以前のものをリノベーションする場合、普通のリフォームでは対応できないが、旧耐震で作ら
れた物件でも新耐震を満たしているものもある。
・空き地をまとめるという作業ができるのは役所で、それをすれば地域の価値を高めることができる。
子供を遊ばせる公園がなくなっている。元々あった公共施設を中心に、まとめて活用すると良い。
・国が推進しているコンパクトシティに異論はない。成田エクスプレスの沿線では、駅周辺にコンパク
トシティが出来ている。しかし、そこにどれくらいの雇用を作れるかが課題である。サラリーマンで
-150-
自転車や歩いていけるところに職場がある環境であれば、家族との距離が近くなり、それが魅力とな
る。家族と一緒に過ごす時間がとれることは重要である。
・コンパクトシティの対象外にある空き家でも、例えば、千葉県いすみ市は、千葉県で最も移住者が多
いところだが、海に近い、眺めがよい等の魅力があれば利用者が見つかる。ただし、下水道が整備さ
れていないので、簡易浄化槽が必要になり、その整備に 70 万円くらいかかる。
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1.8.株式会社紫式部
(所在地:東京都文京区本郷 3 丁目 6 番-4 IVIS BLDG.1F
訪問日:平成 27 年 12 月 14 日)
(1)事業概要
・古本の事業を始めて 20 年近くになり、スーパー源氏という古本のポータルサイトを運営し、登録者が
300 店舗ある。三省堂書店と提携して、新刊書店内に古本屋を入れて、リアル販売も行っている。
・出版市場は 97 年をピークに縮小し、現在、約 1.5 兆円になっており、店舗数が 300~400 店/年の割合
で減少している。
・当社も、アマゾンが書籍販売に進出する等、ネット通販が拡大する中で、参加店が減少し存続できな
いような時期もあったが、現在は持ち直している。通販では、ゆうメール割引サービスで、5,000 部を
超えると、半額になる送料割引を活用しており、年間約 70 万部の実績がある。
・ブックカフェやネット古本屋の事業を通じて、結果として主婦や障がい者の雇用を生み出しており、
ソーシャルビジネスとして、社会貢献を行っていると考えている。
・平成 27 年 8 月には日本ブックカフェ協会を立ち上げ、開業支援、経営支援等を行っている。会費は 2
千円/月で、情報提供を行っている。
・当社では、リアル(実際の店舗)とネットをどう組み合わせるかを志向している。ネット上で、棚か
ら見て買えるようなシステムを平成 27 年 3 月から展開している。ネットは、目的買いの人にとっては
便利だが、検索できない本や知らない本は探しにくい。そこで、ネットで棚を見て、商品をその棚か
ら買うことができるサービスを提供するとおもしろいと考えた。本の販売だけでなく、お店に入って
ワクワクする感じをネット上で味わえるようにして商品を販売しようとしている。例えば、創業 200
年の茶舗と連携して、ネット上で、棚にあるお茶を買えるようにしている。
・商品棚をデジカメで撮ってもらい、それを画像解析することにより、自動的に棚の商品を販売できる
ようにするシステムを開発した。ものづくり助成金を使い、平成 27 年 4 月に特許も出願した。商店街
からの問合せもある。このようなシステムを使って、店づくりをする楽しさが感じられるようなネッ
ト販売が求められている。
(2)業界動向
・書店は大規模化し、日本最大規模の一つであるコーチャンフォー(札幌市)では本を検索すると、ど
の棚の何番目にあるかわかるようなシステムも導入されている。
・ネットで古本屋を開く人は 14~15 年前から増えてきて、リアルの店を出す人も増えてきた。しかし、
商店街に出店するのでは事業は成立しないので、個性的な本をネットに掲載し、ブックカフェを開く
という人が出てきており、100 円ブックを事業展開している人もいる。空き家をリノベーションして、
古本を置いてコミュニケーション施設としての活用する事例も増えている。
・本の買取は古物商としての資格がいるが、販売には資格は必要ない。ただし、飲食を提供する場合は
許可が必要である。衛生士の資格は半日の講習で取ることもできる。
・従来型の古本屋を営む人が減っている。経営者は 9 割以上が男性で、年齢も 50 代以上で、後継者がい
ない場合が多い。
・大手通販サイトはデータ管理の世界で、5~10 万冊を扱い、場所を借りて営業するタイプとそうでな
いものがあるが、約 7 割は実店舗がない。大手通販サイトは利用者にとっては便利だが、個々の店が
ロボット化して、約 7 割が赤字で、やめる人も多い。
-152-
・近年、年間 7~8 万点の新刊が出され、出版の洪水という状態で、どこに行っても似たような店舗にな
り、個性的なものがない新刊書店が多い。一方で、ミステリーだけ、時代ものだけ、自然のもの、食
に関するもの等、テーマ性を持ったものを扱うところもあり、お客の嗜好に合わせたジャンルの本が
欲しいというニーズもある。
・新刊書店の店員は忙しく動いていて声をかけにくいが、
「どんな本を読んだらよいか、こういう本を子
供に読ませたらいい」というアドバイスが欲しいという人も少なくない。そのような情報サービスを
提供することは、大手書店では難しいが、ジャンルを絞ることで、小さな店舗では情報提供が可能に
なる。
・本は人を引き付ける魅力がある。どこに行っても同じだと面白味がないが、テーマ性があると変わっ
ていて面白いと捉えられる。事業が成り立つかどうかは、本のジャンルと立地にもよるが、リピータ
ーが来るような魅力的なサービスや特徴があって、行ってみたいと思うようなところがうまくいって
いる。
・一般的な傾向として、日本人は「店に入ると買わないといけないような気になるので店に入らない」
人が多いと言われている。店に入る敷居を下げることが必要である。
(3)ブックカフェ
・ブックカフェは、古本屋とカフェを一体化したもので、本が 300~1,000 冊くらいあって、店主は本に
思い入れがある。本の説明ができて、地域の人が集まってコミュニケーションの場になっている。
・本が好きで、自分の店を持ちたいということで、ブックカフェを始めた人が多く、空き家等を使って
コミュニティスペースとして使っている事例も多い。イベント等の仕掛けをして、人を意図的に集め
ることが必要である。
・若い人が経営するブックカフェはネット販売が中心で、5~6 年前から個性的なものが出てきている。
資金的に新刊を扱うのは難しいので、デザイン関係とか自然関係等に絞った専門的な店が増え、業態
が変わっている。
・そのようなブックカフェを運営する人は、男女半々で、年齢も 20~60 代までいる。個性的な人が多く、
関連する分野の発表の場ともなっている。ウェブサイトでも結構問い合わせがある。
・ブックカフェでは、カフェ:本の売上が7~9:1~3で、本がカフェを越えることはない。売る機会
を増やすことで5:5までは持っていける。一般には 1/3 が本で、2/3 がカフェということになろう。
・仕入れて売る場合、売り場を店以外に持っていない場合、小売りだけだと厳しい。本だけでは売れな
いので、本をきっかけに人を集めて、他の商品を売るということを目的にしている店も多い。
・新刊書店を作ろうと思うと資金が最低 3~4 千万円かかるので、資金的に厳しい。ブックカフェを開業
する場合、新刊書店の場合と比較して 1/10 以下で開業できる。
・コミュニティスペースとして活用されているブックカフェでは、店主は地域への思いや愛着を持って
いる人が多い。
(4)リノベーション事例
・空き店舗をリノベーションしてブックカフェやネット古本屋にしている事例として、Azuki 堂(東京都
武蔵野市)
、いちょう企画(東京都八王子市)等がある。
・一ノ坂川の book カフェ Jasmine(山口市)は平成 27 年 2 月の開業で、店主は I ターンで、壊したアパ
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ートをリノベーションして安く借りて、副業をしながら経営している。山口を盛り上げたいという地
元の大工を使い、写真展や地元出身のデザイナーの商品を並べて若い人が集まるようにしている。
・FOLK old book store(大阪市)は使われていないオフィスビルの 1 階と地下 1 階を利用してオープン
して、5 年になる。賃貸でデザイナー等がイベントスペースとして使っている。
・みつけどり(鳥取市)は、絵本専門店で、自宅を改装し、平成 27 年 2 月にオープンした。本屋やカフ
ェが少ないところで、子供連れのお母さんが集まれる場所として利用され、情報発信の場ともなって
いる。絵本と児童書が 3 千冊あり、お子さんを意識して、子供の目線に合せる配置が行われている。
店主は、元図書館司書であり、もともと本が好きで、古本屋をしたいと考えていた。
・カモシカ書店(大分市)は、地域活性化を目的とする店舗で、店主が U ターン者で、もともと実家が
服飾店であり、洋服店の 2 階をブックカフェに改修している。商店街の中にあり、老若男女が集まる
場所にしている。本以外のもの(カフェの食材等)は 100%大分産で賄い、イベントを積極的に開催し
ている。若いデザイナーの展示会等も開催し、だれでも長い時間、いることができるようにして、開
業資金は 300 万円で済ませている。
・ホンバコ(鳥取市)では、クラウドファンディングを利用したいという話をしていた。
・うみべのえほんやツバメ号(横須賀市)は、店主が学生時代からの夢を実現したもので、必ずしも立
地はよくないが、賃貸で絵本専門店を営業し、フェイスブックで開店前から、同好の人達とコミュニ
ケーションをとっており、同好の人が集まってくる。二階でトークショー等も行われている。
・神楽坂ブックス(東京都板橋区)では、100 円ブックスということで、オール 100 円で実店舗の売上は
10~15 万円/月だが、仕入れした書籍やCD、DVD、レコード、雑貨等をネットに登録して 50 万円/
月の利益計上が可能になっている。
・カフェ・キューブリック(福岡市)は、1階が書店、2 階がカフェで、店主が書店にイベントの拠点を
つくりたいという思いで開店した。
・OH LIFE(金沢市)は、店主が地域貢献したいとの想いで開店し、食をテーマにしていて料理教室等も
開催している。
・薬局+ブックカフェもあり、客寄せの手段としてブックカフェをやるところもある。
・ブックカフェには、100 円で喜ばれるようなパターンとお洒落なブックカフェで好まれるようなパター
ンがある。
カモシカ書店
(大分市)
カフェ・キューブリック
(福岡市)
OH LIFE
(金沢市)
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うみべのえほんやツバメ号
(横須賀市)
1.9.大東文化大学 環境創造学部
(所在地:東京都板橋区高島平 1-9-1
訪問日:平成 27 年 12 月 15 日)
(1)立地と取組経緯
・東京都の大型団地(高島平)の集合住宅に隣接して大学が立地。
・活動の下地として地域住民が大学の公開講座に足を運び、教職員と交流を持つ関係が長らくあったが、
やがて高島平の課題を考える勉強会に発展していった。地域からは団地における治安の向上や高齢者
の孤立などへの対策要望があり、大学側では留学生の居住スペースの確保などのニーズがあった。
・2007 年度に申請した文部科学省の現代 GP(現代的教育ニーズ取組支援プログラム)に採択され、その
補助金を資金として学生の入居プログラムは 2008 年から始まった。
(2)事業概要
・高齢化が進行する団地の空室に学生が入居し、学生が地域活動に参加するプロジェクトを実施(20082013 年)
。現在はテナントにおける「学び合い教室」等を運営している。
・学生による入居プログラムは 2013 年に終了したが、大学としては各方面から実績として評価され、取
材や視察の希望等の反響も大きいことから、担当教員、スタッフを置き、
「みらいネット」としての活
動を継続している。
・現在は、テナントにおける学び合い教室を運営し、韓国語教室、中国語教室、ハーモニカ教室等、お
よそ年間に延べ 3,000 人近くが利用している。
・コミュニティFMでは住民がディレクターとなり学生が番組を制作していたが、現在はFM放送の代
わりにユーチューブにおけるインターネット番組の配信を行っている。
・
「みらいネット」は学生・大学・住民の三者協議会で毎月、提案企画を協議し、運営されている。
(3)課題
・「学び合い教室」は学生のプレゼンテーション能力向上にも寄与しているが、「学び合い教室」の講師
は住民有志が多いため、学生の講師参加を増やしたい。
・利用者が固定している傾向もあるため、住民および学生の参加を呼び掛け、自由な発想による活動の
幅を拡げたい。
(4)波及効果
・現在、高島平団地周辺にはコミュニティカフェが 6 ヵ所程度できているが、このコミュニティカフェ
がきっかけとなったものが多い。
・従来は大学の長期休暇期間はイベント等の活動はしていなかったが、住民からの要望もあり、活動期
間は拡大されている。
-155-
みらいネット高島平
高島平団地
-156-
2.近畿地方
2.1.奈良市役所 観光経済部 奈良町にぎわい課
(所在地:奈良県奈良市鳴川町 37-4
訪問日:平成 27 年 6 月 16 日)
(1)ならまち町家バンク
・約 20~30 年前から奈良町の保存と活性化に取り組んでいる。
・昔からの町家が空き家になり、現代風の建物が建って、景観が変わる中で、その保存と活用を目的に、
ならまち町家バンクを平成 23 年 4 月から開始した。
・対象となる町家は、奈良市の旧市街を中心とする地域の昭和 20 年前後の木造建築をいい、奈良町で商
売をしたい人や空き家を活用したい人に呼び掛けて、登録してもらっている。
・ならまち町家バンクは、6 団体(一般財団法人奈良市総合財団、社団法人奈良まちづくりセンター、特
定非営利活動法人さんが俥(くるま)座、なら・町家研究会、特定非営利活動法人古材文化の会、奈
良市)で構成されている。
・なら・町家研究会は建築士のメンバーで構成され、同研究会に調査をしてもらい、簡単な情報をHP
にアップし、登録者であれば、詳しい内容の情報提供をしている。また、登録者には、面接を兼ねた
説明会に参加してもらっている。さらに、見学会を開催し、空き家の活用申請書を書いてもらい、そ
れを、所有者に見せて、その人に貸してもよいという話になれば、顔合わせをして話をしてもらう。
素人同士でうまくいかなかった場合、宅建業協会にも打合せに参加してもらう。
・平成 23 年から、これまでに 12 件の登録があり、空き家を使いたいという人が 116 件(平成 27 年 5 月
現在)
、成約が 5 件(うち 4 件が店舗として利用、1 件は住まいとして利用)で、希望者は飲食店をや
りたいという人が多く、ゲストハウスをやりたいという人も増えている。4 件の店舗は、子供服・雑貨、
奈良筆工房、絵描き教室、女性用エステとして利用されている。
・課題は、貸し物件がなかなか出てこないことであり、自治会にも空き家の活用をすすめている。自治
会に空き家調査をしてもらい、法務局で持ち主を特定し、問いかけをして反響を待っている。
・登記が古く、亡くなっている人がいたり、所有者が地方に住んでいる場合、登記された人数が多い場
合は対象外とする。どうしても登録してもらえない大きな理由として、仏壇があることがあげられる。
・空き家特措法ができて、対象を町家から空き家に広げ、空き家バンクにも対応することになった。奈
良市空き家・ならまち町家バンクとして住みたい人に定住を勧めて、ならまちの町家、自然豊かな里
山の空き家(市の東部地域)を対象として、空き家対策に取り組んでいるが、空き家特措法の施行で、
さらに空き家バンクの利用者が増えると考えている。
・この区域は、防火対策が厳しく、消防法で、間口が狭く、2 方向とれないと用途変更を認めてもらえな
い。道の消火栓は基準の倍はあり、ポンプ庫もあるが、車が入れない。特区申請して、兵庫などは認
められたが、奈良市奈良町は対象とならず、規制は緩和されなかった。150 ㎡を越えると、消火水槽が
必要で、小規模の飲食店なら用途変更ができるが、リノベーションをやるとしたら難しいところであ
るが、対象となるような、規模が大きく、風情のある建物は沢山ある。
・夏・冬は観光客が少ないが、奈良町には商店の協同組合がないので、客数等の数字が把握されておら
ず、どれだけお金が落ちているか不明である。
・地方創生の費用で、引越料を出していくことを考えている。
-157-
(2)奈良町にぎわいの家
・大正 6 年につくられた町家(延床面積 400 ㎡)を奈良市が購入して、1 年半かけて、簡単な改修をして、
奈良町にぎわいの家
平成 27 年 4 月 18 日にオープンした。
・運営は指定管理者制度で「奈良まちづくりセンター」、
「さ
んが俥(くるま)座」
、
「なら・町家研究会」の共同体に頼
んでいる。
(3)補助事業
・ならまち町家の内部改修の補助金交付事業は、平成 25 年度
から始まり、奈良町の伝統的な町並みを保存し、町家の保
全活用を促進することを目的として、町家の内部改修工事
に要する経費について補助するもので、補助率 50%で上限
500 万円。反響が大きく、昨年は 10 件で、今年は 14 件であった。
・外部改修であれば、70~80%補助で、上限 1,000 万円の制度もある。
・町家風に建てる新築には 1/2 補助がある。内側は準防火にして、外側に漆喰を塗る等で町家風にする
ことができる。
・建築基準法の適用も含め空き家を貸そうとする人や、利用を考える場合には、事前に行政まで相談し
てほしいと話している。
(4)その他
・奈良町は人口が減少傾向であるが、駅前マンションが建ったことで微減にとどまっており、一方、起
業化支援も行っており、全体として空き店舗は少なくなっている。
・奈良町は毎日 19 時ごろには店が閉まるが、まだシャッター通りと呼ばれるほどにはなっていない。観
光客相手に、昼間だけでやっていける。夜の飲食街では、全国のチェーン店だけが開いているような
状況である。
・奈良まほろば景観まちづくり条例に基づき、奈良町 49ha については、補助金を出している。
・自治会長は、空き家は防犯上問題があるので、貸してもらったほうがいいと考えている。
・昭和 63 年の調査では、奈良町には 1,500 件の町家があり、平成 6 年には、エリアを決めて都市計画で
整備することになった。これで、北と南が分断されるということで危機感が出てきて、NPO奈良ま
ちづくりセンターが立ち上がった。
・良い物件は不動産業に流れ、流通に乗らないものが町家バンクに流れている。
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2.2.京都市役所 都市計画局 まち再生・創造推進室
(所在地:京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町 488
訪問日:平成 27 年 6 月 17 日)
(1)経緯
「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下「空家特措法」という。)及び「京都市空き家等の
活用、適正管理等に関する条例」
(以下「空き家条例」という。)に基づき、総合的な空き家対策を推
進している。
(2)事業概要・特徴
①空き家の発生の予防
(1) 各種リーフレット・冊子の作成、配布
・空き家条例に関するリーフレットの作成、配布(平成 26 年 4 月~)
・空き家に関する知識や情報をわかりやすく示した冊子等の作成、配布
(2) 説明会・相談会の開催
地域や高齢者の集まり等に専門家を派遣し、空き家化の予防をテーマとした説明会や相談会を開
催(平成 26 年 6 月~)
(3) ポスター・市民しんぶん等による普及啓発
・市営地下鉄車内への広告掲載
・市民しんぶんへの特集記事掲載
②空き家の活用・流通の促進
(1) 総合的なコンサルティング体制の整備
・市民や地域の皆様からの相談に応じるため、地域に身近な不動産事業者を「京都市地域の空き
家相談員」として登録(平成 26 年 4 月~)
・現地に赴き、空き家の活用方法などのアドバイスを行う専門家の派遣(平成 26 年 7 月~)
(2) 地域連携型空き家流通促進事業の継続・拡充
・地域の自治組織等が主体となって行う空き家の発生の予防や活用等に関する取組に対して、専
門家の派遣や必要経費の助成などの支援を行っている(平成 22 年度~)
。
・活動助成金の上限を年間 15 万円から 50 万円に引上げ(平成 26 年度~)
(3) 空き家活用促進制度の創設
・空き家活用・流通支援等補助金(平成 26 年 6 月~)
●活用・流通促進タイプ
空き家を活用・流通させるために必要な修繕・模様替え、家財の撤去に要する費用の一部に
ついて最大 30 万円を補助(京町家の場合は、最大 60 万円)
●特定目的活用支援タイプ
空き家を本市の政策目的に沿った特定の用途で活用する場合に必要な改修に要する費用の一
-159-
部について最大 60 万円を補助(京町家の場合は、最大 90 万円)
・
「空き家活用×まちづくり」モデル・プロジェクト
まちの再生や地域の活性化に資する新しい空き家の活用方法の公募を行い、優れた提案に対し
て、必要な改修費用等の一部を補助(最大 500 万円)
(3)空き家の適正管理
(1) 通報受理、調査、指導等を行う体制の構築(平成 26 年 4 月~)
(2) 空き家条例に係る管理不全状態の判定等に関する基準の策定(平成 26 年 3 月 31 日策定、4 月 1 日
から実施)
(3) 指導等による、適正な管理状態への誘導
・(2)による判定の結果に加え、周辺状況も勘案し、空家特措法及び空き家条例に基づき適切に指
導・勧告・命令等を行う。
・近隣からの相談等により把握している空き家の調査を実施
(4)跡地の活用
(1) 細街路での建替え等を可能とする新たな道路指定制度の創設(平成 26 年 4 月~)
(2) 空き家等の跡地を地域の防災性向上に役立てる場合の支援制度の創設(平成 26 年 6 月~ 原則と
して、密集市街地に限定する。
)
(5)課題
空き家問題は所有者個人の問題にとどまらず、地域課題であるという市民意識の向上のための取組
を重視している。
-160-
2.3.京都府住宅供給公社
(所在地:京都市上京区出水通油小路東入丁子風呂町 104 番地の 2
訪問日:平成 27 年 6 月 17 日)
(1)経緯
・老朽化により、平成 2 年に堀川団地の空き家への補充募集が停止され、その建替再生については平成
21 年まで具体的な進捗がなかったが、平成 21 年に京都府によって堀川団地まちづくり懇話会が設置さ
れ、
「堀川団地再生のための対策」のあり方が提言され、改修を視野に入れた合意形成と段階的整備の
方向性が示された。
・平成 22 年度、懇話会提言に沿って、団地入居者、地域、京都府、京都府住宅供給公社で構成される堀
川まちづくり協議会が発足し、平成 23 年には、福祉の拠点にすることを考えた 2 棟建替 4 棟改修案が
提示された。
・平成 24 年度、京都府は、これまで築き上げてきた全体構想を、より賑わいと活性化をもたらす視点か
ら練り直し、有識者等による事業推進委員会を設置・検討を行い、
「アートと交流」を基本テーマに据
えるとともに、京都の伝統を生かす「西陣クラフト&アートセンター」等を中核施設として整備する
こととなり、4 棟建替 2 棟改修の方向性が打ち出された。
・この方向性に基づき、耐震改修を基礎に当面既存ストックを活用することとされた出水団地第 1、2 棟
については、平成 24、25 年度の国の高齢者居住安定化事業に選定され、再生事業(工事)が行われ、
平成 26 年夏に完成した。
・平成 26 年には、京都府による構想の再見直しが行われ、2 棟建替 4 棟改修構想に戻り、中央の 2 棟は、
アートにこだわらず、まちカフェ、交流施設等は社会福祉法人が運営することとなった。しかし、福
祉だけの事業では、
「アートと交流」という基本テーマにそぐわないということで、例えば、福祉目的
に使わせてほしいという話があっても、断っている。
(2)堀川団地再生まちづくり
・堀川団地(上長者町団地、出水団地 3 棟、下立売団地、椹木町団地の 6 棟)は、京都市上京区堀川通
りの西側に終戦後 1950~1953 年に建設された全国初の店舗付きアパートで、当時は、電気・ガス・下
水付きのモダンなRC住宅として人気を博した。現在の住戸は 30 ㎡で、約 1.5 万円/月、風呂は付い
ていない。かつては、近くに銭湯が沢山あったが、今は 15 分くらいの場所の銭湯に行く人が多く、簡
易シャワーを付けている人もいる。なお、上長者町団地は当公社の管理対象に入っていない。
・平成 27 年 3 月時点で、住宅区画数は 94、入居区画は 55 で、39 区画が空いている。店舗・店舗付住宅
は 58 区画で、39 区画が入居している。
・現在の居住者は平均 67.8 歳。老夫婦や独居老人が住んでおり、デイサービスで配食もできるようにし
ている(ただし、配食を受けている人はいない)
。1 階にデイサービス(堀川こぶしの里デイサービス
センター)を設置している。
・改修の終わった出水団地の第 1、2 棟の住宅は、30 ㎡の標準住戸では 1 戸約 4 万円/月の家賃で、2 戸
を 1 戸にした子育てをする世帯向けでは、約 8 万円/月の家賃となっている。
・新たに改修後に空き家が発生した場合、原則として、DIY住宅にする予定となっている。DIY住
宅はマスコミの評判がよい。平成 27 年度には、新たに、4 戸整備する予定である。
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椹木町団地
地
下立売団地
出水団地1
←南
出水団地2
出水団地3
上長者町団地
堀川通
→北
・上長者団地には、西陣AC(アート&クラフト)センターを作る予定で、アートと交流を通じて、西
陣の再生・活性化に活かそうと考えており、平成 27 年除却、28 年に着工予定であるが、まだ、営業を
行っている店舗が複数ある。今後、1 年かけて構想を作り、再来年度から工事にかかる予定である。
・改修の済んだ出水団地第1・2棟では、空き店舗への出店募集が始まっているが、アートと交流のコ
ンセプトに合った出店が条件となっている。昨年は 3 社が手をあげたが、計画が基準を満たしていな
いということで、不採用となったという経緯がある。
・上階の住居部分には、職人やアーティスト等、アートを理解する人に住んでもらうということで、入
居希望者には、アートや交流に関する提案を書いてもらい、審査の結果、趣旨にふさわしい人を選考
している。
・なお、公社に入っている人からの移設を受け入れるということにしており、5、6 件がその対象者とな
っている。住んでいた人には、改修後、風呂付き住宅に入居してもらっている。
・既に整備されたDIY(セルフビルド)住宅には、外から来た 4 世帯が入っている。
・リノベーションは専門業者に依頼している。公募の結果、㈱オープン・エー(東京R不動産を運営)
が選考された。代表の馬場正尊さんは知名度が高く、そのお蔭で良いプロモーションができた。
・今後は、エリアマネジメント団体を作ろうとしている。1 階には商店街協同組合ができているが、高齢
化でマネジメント能力が低下している。
・堀川まちづくり協議会は福祉系の構成メンバーが中心となっており、その後、京都府の意向が強まり、
建替えも京都府がやることになり、京都府の意向が反映された形で、アートと交流を優先した募集と
なっている。
-162-
・現在、店舗は4つ募集中で、アートと交流に則していないと対象外になり、ギャラリーが来るという
話もあるが、アーティストにとっては、2,500 円/㎡の負担はなかなか難しい。
・出水団地の第 1、2 棟は、耐震改修で 5 億円をかけている。
・堀川団地の店舗募集に関するインターネットのヒット率は高いが、実際に手をあげる人は少ない。
・ACセンターは海外の一流アーティストとの交流を目標にしている。平成 27 年度の京都国際現代芸術
祭では、スイス出身の作家ピピロッティ・リストによる展示が上長者町団地で行われ、人は集まった
が、商店街は何を売っていいかわからない状態であった。今後、セレクト系ショップを西陣と組んで
展開する予定である。
・まちカフェ(京極ダイニング…㈱エクスクラメーション・スタイルが運営)では、飲食、講演会、ミ
ーティング(堀川会議室)もできるようにして、町の活性化に努めるということで、社会福祉協議会
と連携し、障害者雇用による補助金も活用している。堀川会議室は、京都府住宅供給公社が㈱エクス
クラメーション・スタイルに管理を委託している。
・京都市は、町家再生事業や小学校の統廃合による校舎の活用については、漫画やアートと一貫性を持
って取り組んでいる。
・公社によるリノベーションへの取組は、堀川団地だけであり、商店街の再生という目的もあるが、他
の公営住宅では、勤労者に住宅を安く提供することを目的とする事業を行っている。
-163-
2.4.町家ゲストハウス三輪
(所在地:奈良県桜井市三輪 400
訪問日:平成 27 年 6 月 16 日)
(1)経緯と周辺の概要
・当ゲストハウスの代表は、それまで勤めていた福祉施設を定年になるので、自宅のあった宇陀市から
車で 30 分程度の物件で、住居として 50 坪 5LDKを不動産屋から借りた。
・生涯現役と考えていたし、奥さんがホームステイをやりたいと考えていたことから、畳を張り替えて、
ゲストハウスを運営するという話になった。
・この町家は築 90 年で、元の大家さんが、母親の介護のために、一部、改修したが、改修後、使うこと
なく 14~15 年間空き家だった。当初、2 階は老朽化で使えないので、使わないでくださいという話で
あったが、天井板を取り外し、天井を支える梁を残して、個室にして、カギをかけられるようにして、
町家ゲストハウス三輪
6 畳 4 間、4 畳 1 間を整備した。
・通例、ゲストハウスは鍵がなく、ドミトリー
形式が一般的で、シャワーだけにする等、セ
キュリティが甘いが、当ゲストハウスでは、
個々の部屋にカギをつけたことで、女性一人
で安心して泊まれるという口コミが広がった。
・桜井市の人口は 6 万人を切っており、かつて
三輪地区は、日本最古の神社の 1 つ、大神(お
おみわ)神社の門前町として栄えていたが、
離れた場所に近鉄の駅ができて、その周辺が現在の中心部になっている。大神神社には、直接、神社
本庁から宮司が派遣されることになっており、カメラも入れないような格式の高い神社で、昔から大
阪の製薬会社の寄進が多いようである。
・三輪地区には、コンビニもなく、風呂屋もなく、泊るところもない。居酒屋が数軒あり、そこで夕食
をしてもらい、地元の人と宿泊者が密着した付き合いができるようになるというメリットもある。
・このゲストハウスが開業して、近くにパン屋、焼鳥屋ができてきた。参拝客は午後 4 時以降には帰る
ので、客もいなくなる。騒音がないし、それがいいという人もいる。
・奈良は、神社、仏閣が点在し、車で観光してもらうような立地になっている。大阪に勤めている人が
多く、ベッドタウン化している。
(2)町家ゲストハウス三輪
・一階を交流スペース、二階の 4 部屋を宿泊できるようにして、平成 24 年 11 月にゲストハウスをオー
プンした。朝食は提供しているが、夕食は外で食べてもらっている。これまでに 3,500 人(平成 27 年
11 月末現在)が宿泊し、1,000 人/年、7~8 人/日であるが、適正な人数は 5 人/日と考えている。
・当ゲストハウスには清潔感があり、室内を外から見えるようにして、連子格子にして、風通しもよく、
口コミの評判(口コミの点数)もよい。実家に帰ってきたような感じだとかいわれる。奈良のゲスト
ハウスは、ドミトリー形式で、匂いがきついという話も聞いた。
・宿泊客は関東からが 8 割で、女性が 8 割、一人旅の人や年配の人も多い。早朝参拝、山登り(ご神体
である三輪山に登る)
、山辺の道がよいということで、この近くに宿泊したいという人が多い。お客様
に、フェイスブックを作り、写真も取り込んでもらって、広報に協力してもらっている。
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・ゲストハウスをやりたい、ゲストハウスを運営しているという人も見学に来る。
・住民は、他人に家を貸すことに抵抗感がある。たまたま、この物件は大家さん(72 歳)が離れたところ
に住んでいて、進歩的な考え方をしている人であったから借りることができたが、地権者が近くにい
る人であれば、他人には貸さなかっただろう。
・最初、地域の住民はシラっとした感じであったが、宿泊者と皆で写真をとるようにしており、その声
が賑やかで、
「お客が来ているようだ」といわれるようになった。それまでは、近所に声をかけていた
が無視されるような状況であったが、年数回、人を集めるためにセミナーやコンサートを開いたり、
来られたお客さんにコンサート等をしてもらったり、遠方から人を集める等の取組で、3 年たって、や
っと地元の人 2 名が、コンサートに顔を出してくれるようになった。
・奈良県の宿泊施設の創業・開業のための「奈良の宿創業資金」を活用したが、「泊る人がいないのでは
ないか」
、
「宿泊外収入を考えなさい」
、
「自販機を置き、昼間は喫茶をやるといい」等の意見が出された。
・オープン当初、楽天に紹介記事を掲載してもらったが、予約が少ないので、「じゃらん」に載せたら、
毎日のように予約が入るようになった。現在、どのような手段でここを知ったかということを尋ねる
と、
「じゃらん」と他の媒体では、4:1 程度になっている。また、宿泊者には年賀状を送って、PR等
をしている。
・富士箱根ゲストハウスに、以前、見学に訪問したが、客を囲い込まない戦略をとっており、ミシュラ
ンにも掲載され、年間 1 万人が利用するところである。旅館では「夕食が一番儲かる」という話を聞
いたが、ここでは夕食は出していない。
・奈良にはゲストハウスも多いが、法的な手続きが厄介である。ゲストハウスは簡易宿所ということで、
建築基準法と消防法の適用が大きな課題で、昭和 25 年以前の建物で、100 ㎡以内でないと用途変更が
難しい。また、2 年前と現在を比較すると、規制が厳しくなっており、今は非常ベルや誘導灯を付ける
必要があり、それは古民家にそぐわないものだと考える。気軽に部屋が一つ空いたから、ゲストハウ
スに使いたいという話はあるが、手続きがややこしい。
・カフェでも用途変更で 100 ㎡の縛りがあり、申請が必要である。
(3)古民家再生
・ネーミングを「町家ゲストハウス三輪」としたが、ゲストハウスとは何かということから始まった。
例えば、
「民宿三輪」という名前では、宿泊者は来ないだろうと考えた。
・当ゲストハウスは、なごみ建築工房に施工してもらった。当工房は、木造の在来工法で施工しており、
古民家再生の経験もあり、改修前にヒアリングの時間を十分とって、情報交換を密にしている。
・古民家の再生は、木造をやっていた経験のある人でないと難しい。建売専門の人が施工すると建築費
用が高くなる。建築業者にも得手、不得手がある。
・建築関係者の技術は優れており、よい建物は、大工の技術が 8 割を決めて、残りは、設計士の趣味の
世界のようなもので、いい設計士にはいい大工がつくといえる。左官屋はチームプレーで動いており、
当地域には宮大工も多い。
・改修工事をする場合、立て直す方が安い場合もある。三輪地区には空き家がかなりある。行政とタイ
アップして、旧伊勢街道の周辺に宿がないといけないということで、宿を増やそうという行政の意向
の下で、奈良県の宿への助成を受け、助成された事例の第一号事案だと聞いている。
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・当地域の地権者の多くは、自分の生活ができれば、空き家に他の人に入ってもらわなくていいと考え
ていて、空き家を貸すといつ出て行ってもらえるかわからない
ので、放っておくという状況にある。また、大きい家の地権者
は東京にいて、空き家をシルバー人材センターに管理しても
らっている、あるいは放置しているという状態で、空き家の
活用を考える場合、そのような地権者の心をくすぐるような
方策を考えないといけないし、ふるさとへの愛情が出てくる
ようにしないといけないと考えている。
・出雲大社の地元は、よそから来た人で活性化したと聞いてい
る。三輪地区は、人に空き家を貸さないから、よそ者が入っ
てこない。平日は閑散としており、土日以外は閉めていると
ころも多い。年寄り二人で住んでいる人が多く、細々と商売
をして、活気がない。このままだと、大神神社は残っても、
商店街はなくなってしまう恐れがある。
・コンビニ等はないし、国道から離れているし、三輪はこのま
まで良いという人が泊りに来て、ここに来るのは通の人だといえる。
-166-
商店街
2.5.日本住宅流通株式会社
(所在地:大阪府大阪市北区梅田 1 丁目 1 番 3-800 号
訪問日:平成 27 年 10 月 15 日)
(1)事業概要
・大和ハウスグループで、資本金は 7.3 億円。不動産流通事業が中心で、不動産運用・管理事業、建築
請負事業、販売代理・新築マンション分譲事業等を展開している。
・リフォーム・リノベーションは、大和ハウスリフォーム㈱でも行っているが、大和ハウスの建てた物
件を対象にしている。大和ハウスの支店では、大和ハウスの支店長がリフォーム部門も見ており、大
和ハウスリフォーム㈱の本社に全体を統括する部署はない。
・リフォーム・リノベーションは、建築請負事業部門で担当しているが、専任のスタッフをおいて対応
しているわけではない。
(2)空き家管理サービス
・空き家の戸数が増加する中で、平成 27 年 5 月から、商売に繋げること、お客の囲い込みを目的に空き
家管理サービスに取り組んでいる。現在、登録は数軒レベルで、場所は兵庫、奈良等となっている。
・空き家の管理の相談は、親が亡くなった後の相続問題と空き家管理の問題をミックスした形で、相談
がある場合が多い。空き家になった後、すぐ賃貸に出すか売るかについての相談がある場合と親族で
相談してまとまってから話がある場合がある。
・空き家管理サービスは、将来の売却や賃貸の依頼を前提に考えており、月 1 回巡回をして、通水・水
漏れ確認、雨漏り確認、通風・換気、庭木・雑草の状況把握、郵便ポストの整理等を行い、その巡回
報告をして、要請があれば専門業者に頼んで作業を行う。
・対象は、一戸建て(90 ㎡以上)やマンション(全体ではなく、分譲された 1 戸で 40 ㎡以上)で、どこ
の業者が施工したかに関わらず対応する。料金は、一戸建て 9,000 円/月、マンション 5,000 円/月。
・当サービスのPRを積極的に行っているわけでなく、特別な告知は行っていない。家を売るか、貸す
か迷っている人にPRし、家の処分が決まっている人には紹介していない。
・空き家管理の相談は多いが、セキュリティー会社や賃貸業者も始めており、競合が激しい。不動産仲
介業者が提供しているサービスは、ほぼ同額の価格だが、セキュリティー会社や賃貸管理会社ではサ
ービスの内容が違うので、金額は比較的安くなっている。
・空き家管理サービスで、全部対応してもらえると考える人が多いが、雑草の確認、雨漏りの状況等、
現状の状況を把握して報告するだけであり、具体的な作業をするかどうかはオーナーの判断で、顧客
との契約は、日本住宅流通㈱が行う。大和ライフネクスト㈱が作業員を抱えており、施工も行う。
(3)空き家やリフォーム全般
・大和ハウスでは、定期的に新聞広告で参加者を募集して、税理士や弁護士も参加した住宅関係のセミ
ナーを開催し、個別相談を行っている。昨年は相続税が課題になって、将来の課税強化にどう対応す
るかについての関心が高かったが、今年は空き家への関心が高く、親が亡くなって放置される空き家
がどういう状態なら特定空家等になるかといった話が多い。仲介会社としては、空き家の売買に関す
る相談が多いが、売りにくい物件が多い。不動産市場は空き家で活性化したが、その恩恵は受けてい
ない。
・田舎にある市街化区域の物件で、建て替え相談があっても、営業所があれば対応できるが、現実には
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既存の営業所で、なかなか対応することが難しい。
・事業用物件であれば、入居する事業者がいれば販売に繋げることができるので、事業用物件の取扱が
多い。居住用は対応できていない。やはり、企業なので利益を上げていかないといけないので、現在
は、都市部の高層物件や事業用物件に力を入れている。
・古民家は、居住用では査定しにくい。営業ができていない。
・従来は、不動産を買って、リフォームして再販売するか、賃貸アパートにして入居率を上げるかとい
う相談に対応していた。最近は、居住用物件のリフォームが多い。ビルのコンバージョンも実施した
ことはある。
・リノベーションでは、オーナーは見栄えを良くして、しかも安くという要望が多い。水回りはコスト
がかかるので、あまり対応していない。
・賃貸アパートにするにしてもコストをかけないようにしている。最近は、クロスの張替だけでなく、
間仕切りを変えることが多い。小さい部屋の間仕切りを取り払って大広間にする等を行っている。
・分譲用地や建築コストが高騰し、新築マンションの価格が高くなっている。新築が供給できにくくな
っているので、古い物件を買ってリノベーションして仲介する等が多い。当社がリノベーションして
販売する場合、比較的売りやすいが、お客にリノベーションを任せると時間がかかる。
・物件は少ないが、リフォーム渡しをする場合もある。その際に、こういう内装にしてほしいという要
望に対応する。最近の若い人は、マンションで古くても良いと言われる。若い人に選んでもらうと、
様々なものになる。こちらでリノベーションして売る場合、万人受けするものを作っていく。
・郊外住宅はなかなか売れない。物件を加工して売る場合、売れる地域を選別して売っていく。対象と
なる地域の物件を選んで、販売していく。市場性がなくなれば撤退する。市町村単位で対象エリアを
決めているが、同じ市内でも端のほうには行きづらい。対応できるかどうかは、入り口で判断する。
・高齢者が中心部のタワーマンションに移るという傾向は出ている。
・住宅地として人気の高いところは売れるが、そういうところでは、売却の決断をなかなかもらえない。
・条件の良いものは売却できるが、どうしても売れない物件は、山間部のものが多い。山間部の物件を
探している人がいないので仕方ないと考える。
・一方で、長屋住宅とか接道していないものは売りたくても売れない。それを更地にすると固定資産税
が上がるので、八方ふさがりになっている。そういう物件は、市に提供して、公園にして、住宅用地
以外にするのがいいと考える。
・建築基準法で建て替えができないものについては、救援策が必要だと考える。
・買った人がリノベーションしたという事例は把握していない。エンドユーザーのフォローが十分にで
きているとはいえない。オーナーからは、リノベーションする提案だけでなく、入居率を高める提案
もしてほしいという要望がある。
・一部賃貸管理を行っている。借り上げて、転貸する事業で、建築事業と絡めて対応している。コスト
をかけて、サブリースし、ワンストップで対応している。リフォームと賃貸を一緒にやっている会社
は少ない。一括借り上げは、収入が少なくなるが、安定収入にはなる。
・アパートを作って相続対策をするために、一時的に建て替えるという方法もある。
・未登記物件は、登記が必要と説明している。販売のためには、家族間協議をとりまとめてもらわない
といけない。売りたいと考えている場合、そのような登記手続きには対応してもらえている。
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2.6.枚方市役所、枚方宿地区まちづくり協議会
(所在地:大阪府枚方市大垣内町 2 丁目 1 番 20 号
訪問日:平成 27 年 10 月 15 日)
(1)市の概況
・枚方市は、京都市と大阪市の中間に位置し、人口は 406 千人(平成 27 年 9 月末現在)で、古くから交
通の要衝であった。一般に東海道は 53 次で知られるが、東海道の延長部として京街道が整備され、枚
方宿を含む京街道の4宿も組み入れられた。江戸時代の枚方宿には東見附から西見附までの街道約 1.5
kmに、
本陣や旅籠のほか 400 軒近くの町家が建ち並んでいた。
枚方宿が、
品川宿から数えると 56 番目の宿場町にあたることにちなんで命名された、
京街道(鍵屋周辺)
手作り市「くらわんか五六市(ごろくいち)」が月1回開催されている。
・枚方市には、倉敷紡績、コマツ、クボタ等の工場があったが、それらの
工場が縮小する一方で、大学が進出し、現在、関西外国語大学等の 6 大
学がある。
・枚方宿地区まちづくり協議会は、平成 12 年に設立され、以下の4つの部
会がある。
(1)町家情報バンク部会(町家を貸したい人と借りたい人を結ぶ)
(2)くらわんか五六市部会(枚方宿くらわんか五六市の企画運営。当日
は軒先をかりて約 250 店舗が出店)
(3)まちづくり協定運営部会(例えば、新築改築の場合、まちづくり協
定に基づき建築主側と協議を行い歴史的景観の保全整備について協
力を求める)
(4)街道菊花祭部会(10 月末~約 3 週間、小・中学校で育てられた菊やガーデ
ニングの花を街道沿いの家の軒先に飾り、あわせて俳句大会も開催)
(2)町家の保存と賑わいの創出
・かつては宿場町であったが、町家が少なくなって、賑わいを取り戻したいという視点から、行政と住
民が連携して、町家の保存や賑わいの創出に取り組んできた。
・市は、所有者の同意を得て、枚方宿歴史的景観建造物を指定している。また、枚方宿地区を景観重点
区域に指定し家の建て替えや増改築の際の指針として建物の形態や工作物、色彩等を配慮してもらっ
ている。
・旧東海道に沿って、明治・大正時代の建物が残っている。建物の外観は漆喰等であるが、それなりの
改築が行われている家屋もある。
・まちづくり協定は枚方宿地区まちづくり協議会のメンバーが中心となり作成し、まちづくり協定区域
内における、改修に対して市より補助金を交付しており最大 500 万円までの助成を行っている。
・町家情報バンクは、町家等を貸したい人と借りたい人を結ぶことが目的で創設され、かつては見学会
を開催する等の取組をしていたが、現在は空き家がない。町家情報バンクでのマッチングの事例は、
この 4 年間はない。
・かつては三矢町に商店街があり、町の中心であったが、その後、賑いの中心は東へ移り総合商業施設
「ビオルネ」
(岡本町)が開業するなど、現在、町の中心は枚方市駅周辺となっている。
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(3)鍵屋別館のリノベーション
鍵屋別館
・鍵屋は、江戸時代の船待ち宿で、その後、平成 9 年までは料亭・料理旅館と
して営業されていた。その後、枚方市が市指定有形文化財の鍵屋主屋の解体・
復元をし、昭和初期の建築である別棟とともに整備をして、平成 13 年に市立
枚方宿鍵屋資料館として開館した。資料館では、宿場や淀川舟運の歴史を伝
えるとともに様々なイベントを開催しており、入館者数は概ね年間 12~13 千
人で推移している。
・鍵屋別館(昭和 41 年築、10 年程度宿泊施設として活用)は、民間事業者に売
却され、まちづくり協議会のメンバーが大学の先生の協力を得て、所有者の
不動産業者(ライフシステム㈱)に働き掛け、リノベーションを行った。
・鍵屋別館のリノベーションは、起業家がチャレンジする場、30 代を中心とし
た女性層をターゲットにできる場としての施設として改修が行われた。
・現在、1~3 階に、こだわり雑貨、カフェ等の 12 店舗が入居しており、㈱サル
トコラボレイティヴ(大阪市)が運営している。
・五六市(ごろくいち)は、平成 19 年から月 1 回開催され、一般社団法人枚方宿くらわんか五六市が中
心となって運営している。当初、町家で起業したい人や事業性を見極める場として 35~40 店舗から始
まったが、現在は、約 250 店舗の募集に対して、300 店舗程度の応募者が集まるほどに拡大している。
・鍵屋別館には、五六市に出店した人が入居している。近隣に宿泊施設はほとんどない。飲食店や雑貨
店が入っているが、お金がかかり、何千万円もかけてゲストハウスをつくるという話にはなっていな
い。
(4)効果等
・五六市の定着、鍵屋別館の再生に伴い、周辺の遊休不動産でも新規開業がみられ、平成 26 年までの 6
年間で、アジアンカフェ、ギャラリー等、26 店舗が増え、最近、ぶらぶらと歩いている人も増えてき
たと感じている。近くの遊園地「枚方パーク」との関係はあまり感じていない。
・TUTAYA の創業者が枚方市の出身で、駅前の近鉄百貨店跡地に TUTAYA が進出し、生活提案型商業施設
T-SITE を来年 5 月に開店する予定で、町に思い入れのある人をコンシェルジュとして募集している。
・まちづくり協議会としては、活動拠点がないので、常時、見たり、食べたりできるような場所があれ
ばよいと考える。
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2.7.一般社団法人ノオト
(所在地:兵庫県篠山市立町 190-6
訪問日:平成 27 年 10 月 16 日)
(1)概況
・篠山市(人口 43 千人、平成 27 年 9 月末現在)は、昔から丹波栗、丹波黒大豆の産地として知られて
いる。市の中心にある篠山城跡は国の史跡で、周辺には町屋や武家屋敷の町並みが残っているほか、
市内には茅葺屋根が 1,300 棟残っている。日本遺産の登録を受け、ユネスコ創造都市ネットワークに
も認定されている。
・空き家となった古民家等の歴史的建築物の活用(宿泊施設、レストラン等)を通じて、歴史地区の再
生、クリエイティブ人材の地方回帰、内発型の産業創造等に取り組んでいる。
・金野代表は元の兵庫県職員で、平成 15 年頃から古民家の再生に取り組んできた。平成 19 年から4年
間、篠山市副市長を務めている。
・当法人は篠山市の第三セクターを民営化して、平成 21 年にスタートしたものである。これまでに約 50
棟の古民家再生を実施してきた。現在、地域 ICT、ランドスケープ、建築設計等の専門家が社員として
集結し、活動している。
・平成 26 年から地域資産活用協議会(関係自治体、金融機関、民間企業等で構成)の事務局を担い、歴
史地区の再生とネットワーク化による広域観光圏の形成を目指している。
・これまでに、古民家の宿「集落丸山」
(篠山市)
、旧木村酒造場 EN(朝来市)、豊岡 1925(豊岡市)
、古
民家の宿「大屋大杉」
(養父市)、篠山城下町ホテル(篠山市)の5つの宿泊施設の開業をプロデュー
スしており、これを NIPPONIA ブランドのホテルグループとして、高級ホテル予約サイトの「一休ドッ
トコム」と連携して事業展開を行っている。
(2)国家戦略特区と古民家再生
・平成 26 年 5 月、関西圏(大阪府、兵庫県及び京都府)と養父市が国家戦略特区に指定され、建築基準
法、旅館業法の規制緩和の対象地域となった。当法人は、
「歴史的建築物の活用」分野では全国で唯一
の特区事業者として事業を展開している。現在、特区に関連する視察や問合せも多い。
・現在、当法人の古民家再生実績は、兵庫県の丹波地域、但馬地域が中心であるが、鳥取県八頭町、山
形県鶴岡市、岐阜県美濃市ほか全国各地で事業展開の支援を行っている。
・空き家活用事業では、以下のとおり、転売方式、サブリース方式、地域運営方式、活用提案型指定管
理方式、ファンド方式等で取り組んでいる。
①転売方式:空き家を所有者から購入し、改修したうえで希望者に販売する方式
②サブリース方式:所有者から 10 年間使用貸借し、改修したうえで利用者にサブリース(又貸し)す
る方式。10 年間の家賃収入で改修資金等を返済し、10 年後に所有者に物件を返却することになる。
③地域運営方式:サブリース方式で、利用者が「地域コミュニティ」となるケース。10 年間の事業収
入で改修資金等を返済する。古民家の宿「集落丸山」
(篠山市)では、空き家 3 棟を宿泊施設に改修
し、集落住民が設立したNPO集落丸山とノオトがLLPを組成して運営を行っている。古民家の
宿「大家大杉」
(養父市)は、旧養蚕住宅を宿泊施設に改修。平成 27 年 10 月から、地元の若者で構
成する NPO 大屋大杉とノオトが連携して運営を開始している。
※「丸山集落」は 12 軒のうち7軒が空き家だった集落で、築 150 年の古民家をリノベーションし、
「日本の暮らし」を体験できる宿泊施設としている。客単価は 1 泊 3 万円前後で、地元の野菜やジ
-171-
ビエ(猪、鹿など)の料理を提供。年間約 800 人が宿泊している。
④活用提案型指定管理方式:「旧木村酒造場EN」(朝来市)は、竹田城の麓に位置し、朝来市が所有
する旧木村酒造場(登録文化財)を、公民連携で活用したもの。宿泊施設、レストラン、カフェ、
チャレンジショップ、山城情報館等として活用している。オーベルジュ「豊岡 1925」
(豊岡市)は、
昭和 9 年に建築された旧銀行(登録文化財)を、同様に公民連携で活用したもので、ホテル、レス
トラン、スイーツショップ等として活用している。両施設とも、ホテル、レストラン等の運営は「バ
リューマネジメント株式会社」
(大阪市)が行っている。
⑤ファンド方式:REVIC(地域経済再生支援機構)等が組成する地域活性化マザーファンドを中心とし
た投融資により、篠山城下町の4棟の古民家を再生。篠山城下町ホテル NIPPONIA として平成 27 年
10 月にオープンしている。特定目的会社(SPC)である「株式会社 NOTE リノベーション&デザイン」
が事業主体となり、運営は「バリューマネジメント株式会社」(大阪市)が行っている。
篠山城下町ホテルNIPPONIA
(3)古民家再生の課題と対応
・コンサルタント事業では、古民家再生、地域再生に関する業務を行っている。ノオトのような中間組
織を作りたいという相談もある。担い手がいない地域における直接的な事業展開の依頼もある。
・視察には有料で対応している。再生事例の見学、講演会の開催、空き家調査、事業化という流れが一
般的である。
・全国で、NIPPONIA ホテルを展開することを考えている。スペインのパラドール、ポルトガルのポサー
ダ(何れも公設民営)の日本版といえる。
・
「歴史的建築物の活用」の考え方をひろく普及し、日本においても修復産業が創造されることを目指し
ている。また、こうした空間活用により、食文化産業、クラフト産業、観光産業など内発型産業の創
造を目指している。
(4)その他
・中国地域については、現時点で、鳥取県八頭町、福山市、出雲市、尾道市、竹原市等において事業展
開の可能性がある。
・中国地域の自治体においても、国家戦略特区への参入は可能である。
-172-
2.8.綾部市役所、特定非営利活動法人里山ねっと・あやべ
(所在地:京都府綾部市若竹町 8 番地の 1 他
訪問日:平成 27 年 10 月 16 日)
(1)概況と定住促進
・綾部市の人口は、約 35 千人(27 年 3 月)で、430 人/年が減少(280 人/年自然減、150 人/年社会減)
している状況。かつては養蚕で栄え、グンゼ発祥の地(本社:綾部市)である。
・綾部市第五次総合計画(平成 23 年策定)で、
「医」
「職」
「住」
「教育」
「情報発信」による定住促進を 1
丁目 1 番地の施策に位置付ける。
・
「交流から定住、定住から地域振興」を一元的に行う定住交流部を設置し、交流を担当する観光交流課、
定住を担当する定住促進課、地域振興を担当する水源の里・地域振興課の3課で構成。
・定住促進課内に「あやべ定住サポート総合窓口」を開設し、空き家登録制度(空き家バンク)をはじ
め、地域コミュニティや仕事など定住のためのあらゆる相談に対応。当窓口を通して年間 15 世帯を定
住目標に取り組む。
・相談窓口を開設した平成 20 年度から 26 年度までの定住実績は 136 世帯 324 人。全国第 3 位の実績。
(一
般社団法人移住交流推進機構調べ)
・定住サポート総合窓口による相談活動の特徴は、単に空き家と定住希望者をマッチングさせるだけで
なく、現地案内から自治会活動や地域コミュニティの説明、空き家の売買(賃貸)契約書の作成、不
動産登記、自治会やご近所等へのあいさつ回りといった定住までの一貫したサポート体制。
・仕事を辞して定住してくる若い世帯等を対象に就職・就農相談にも乗る。
・都市住民との交流拠点施設「綾部市里山交流研修センター」の設置や、市民・地域、事業者、行政が
一体となって定住促進に取り組むための機運醸成を図る「綾部市住みたくなるまち定住促進条例」
、限
界集落を水源の里と名付け集落の再生に取り組もうとする「綾部市水源の里条例」の制定など、特色
ある施策を展開。
・長年にわたる定住促進の取組により、地域には定住者を受け入れる機運が根付き、宅建事業者や金融
機関等、市内事業者も定住促進への協力体制を整えるなど、オール綾部で定住促進に取り組んでいる。
(2)NPOの活動
綾部市里山交流研修センター
・NPO法人里山ねっと・あやべは、45 年前に建てられた旧
豊里西小学校の校舎を使った綾部市里山交流研修センター
に事務所を置いている。常勤 4 人で、綾部市の管理条例に
従って、指定管理者として、貸し部屋、宿泊等に対応し、
イベント等も行っている。各年の事業規模 25 百万円のうち
15 百万円が綾部市からの指定管理料である。
・当センターでは、陶芸教室等のサークル活動も行われる等、
一般の人が利用しており、平成 25 年度の施設利用者は 9,228 人で、増加傾向が続いている。食事は 5
人以上の団体客に提供しており、地元のパートが調理している。
・他の地域では、このような施設の利用をテナント制にしているところもあるが、ここでは午前、午後、
夜間の時間で施設を貸し出しており、1 年貸すという形にはしていない。
・調理室もあって、パン焼き、ソバ打ちもできる。パン焼き釜も当NPOで設置している。2 階は元の教
室を改修して宿泊施設にしている。5 部屋あり、宿泊者用の風呂もある。一泊 3,000 円プラス消費税と
-173-
なっている。リフォーム費用(7 千万円)は市役所が負
担した。
旧豊里小学校跡地
・地元出身の実業家永井幸喜氏が寄贈した幸喜山荘という多
目的ホールが敷地内に設置されている。
・京都大学農学部のフィールドワーク、スポーツ団体、立命
館大学等が、常連客として利用している。
・京都府が「森の京都(京都府中部地域の林業や森の文化の
発信)」事業を推進しており、綾部市は、市街地以外の東
部地域と西部地域を「森の京都」のテーマのもとで、観光
振興の交流エリアに指定している。今後、森・里山・林業
をテーマに地元の木材を活用した取り組みや、京都丹州もくもくフェスタ等を通じて、里山の入口体
験施設として当センターを活用していきたい。
・市内の他の廃校も、研修センターとして利用されており、旧口上林小学校(綾部市十倉名畑町)は、
「黒
谷和紙工芸の里」として利用されている。
・当センターに隣接した施設「空山の里」は、古い米蔵を改造したもので、JAの売店となっていたが、
JAが撤退して、今は地域の自主組合が野菜等を販売している。
(3)空き家の現状と空き家登録制度(空き家バンク)による対応
・平成 25 年住宅・土地統計調査(総務省)によると、綾部市の空き家数は約 3 千戸。
・平成 26 年度に綾部市が市内自治会との協働により実施した空き家調査では、使用できる状態の空き家
が 569 戸あることが判明。空き家所有者に対し空き家登録制度(空き家バンク)への登録を呼びかけ
ることにより、現在定住希望者に紹介できる空き家登録数は 30 戸。
・空き家を流動化させるため、家財道具等の処分費用に充てる 5 万円の報奨金制度や、固定資産税納税
通知書の封筒に空き家登録制度(空き家バンク)への登録を呼びかける PR シールを貼りつける、地域
が直接空き家所有者へ登録を呼びかける等、地域と行政の協働により空き家の掘り起し活動を展開。
・また、将来的に活用予定がある等の理由から空き家登録制度(空き家バンク)に登録ができない空き
家については、荒廃化を防止するため、市内の空き家管理事業者を登録・紹介する制度も実施してい
る。
(4)空き家を活用した定住者に対する支援施策
・空き家登録制度(空き家バンク)に登録された空き家はほとんどが売買物件であるが、若い定住希望
者の多くは賃貸物件を希望することが多く、需要と供給のミスマッチに対応するため、市が空き家を
所有者から 10 年間無償で借り受け、300 万円の予算をかけて改修を行った後、50 歳未満の若い定住希
望世帯に月額 3 万円で貸し出す「定住支援住宅」を 8 戸整備。今年度さらに 2 棟を整備中。
・定住支援住宅にこれまで入居した 14 世帯のうち、4 世帯は空き家登録制度(空き家バンク)の登録物
件を購入して市内に定住。2 世帯は市外へ転出。
・市内金融機関の協力により、20~55 歳未満の定住希望者を対象に、空き家購入、改修に対する融資制
度を実施。仕事が決まっていないなど本来であれば銀行から融資ができない場合でも、市が債務保証
-174-
を行うことで融資を可能に。さらに金利を 0.5%下げ金融機関が定住促進に協力。
・空き家登録制度(空き家バンク)に登録された空き家を売買・賃貸する上で必要な重要事項説明、契
約書締結、登記等の専門業務を市内宅建事業者との協働により実施。古民家は売買価格が低く宅建事
業者にとって収益が少ないものの、市内有志事業者が定住促進に協力。
・20 歳から 55 歳未満の定住希望者が行う空き家の改修に対し、対象費用の 2/3、上限 100 万円を補助す
る「空き家活用定住支援事業費補助金」制度を実施。
(5)定住サポート総合窓口による定住実績
・平成 20 年度から平成 26 年度末までの定住サポート総合窓口を通しての定住実績は、136 世帯、324 人。
・若い子育て世帯を対象とした各種定住促進施策により、定住者の平均年齢は 35 歳。
・綾部市に定住する前の居住地は、京都府内が最も多く 54 世帯、131 人。近畿圏内が約 84%を占める。
(5)今後の施策展開
・市街化調整区域内での新・増築や起業しやすい環境を整えることで定住促進に結び付けようと、京都
府に対し都市計画区域区分の廃止を要望。これを受け京都府が綾部市での廃止に向け手続きを進める
旨公表。
・
「医」
「職」
「住」
「教育」
「情報発信」の各施策を積極的に展開。中でも「教育」において小・中一貫教
育や英語教育、国際教育を強力に推進する。
・全国的に行財政の効率化によるコンパクトシティ構想が注目される中、綾部市では 12 地区それぞれが
住みやすく個性ある地域づくりを目指すクラスター構想を推進する。
・京都府北部(5 市 2 町)を一つの定住圏と位置付け、お互いが競いつつも協働して全国に情報発信を行
おうと呼びかけを行っている。
-175-
3.九州地方
3.1.富士見が丘連合自治会
(所在地:大分県大分市富士見が丘西 2 丁目 1 番 1 号
訪問日:平成 27 年 9 月 7 日)
富士見が丘団地
(資料)富士見が丘連合自治会ホームページ
(1)概況
・富士見が丘団地は、昭和 45 年から開発が始まり、大分駅から南西に 12kmの位置にあり、3,100 世帯、
約 7,500 人から構成される。
・開発が始まった時期の社会的背景は、都市部から郊外へという時代であったが、現在は少子高齢化で
団地の魅力が低下してきた。
・団塊の世代が移り住んで、30~40 年が経過し、住民が高齢化し、子供が離れ、第一世代が残り、年齢
構成も偏って、住宅環境が悪化し、市の財源にも影響が出てくる中で、郊外型団地では、その特性に
応じて、きめ細かく対応することが求められるようになってきた。
・こうしたなか、平成 22 年 6 月に、内閣府等の事業で、同じ課題を持つ全国の自治体 7 市(札幌市、盛
岡市、長岡市、富山市、堺市、久留米市、大分市)で、ふるさと団地の元気創造推進協議会が作られ、
各市がモデル団地を選定し、7 市で情報を共有して、地方だけで制度改革の提案をして、既に 2 回、政
策提言を行った。
・大分市では富士見が丘団地をモデルとし、まず、合意形成のために、
「知ろう」、
「考えよう」、
「描こう」
という考え方の下で、役割分担を決めて、4つの自治会でそれぞれワークショップを3回開催し、ど
ういうふうに進めたらいいか等を協議した。
・第1回のワークショップは、
「行政は何をするのか」、
「自分たちでできることは自分たちで行おう」と
いうことから始まった。
-176-
・ワークショップ終了後は、その内容やメニューを整理し、参加していない人にはワークショップニュ
ースを配布し、団地全体で情報を共有してもらうようにした。こうした取組が、その後のコミュニテ
ィの強化や内外の情報発信にも繋がった。
・さらに、ワークショップで出された対策ごとのプロジェクトチームが中心となって、住民と作業部会
との合同会議を4回開催した。
・ワークショップの結果を踏まえ、
「若者が魅力を感じやすいまち」と「現在の住民にとって住みやすい
まち」を共通テーマとして、
「若い世代を団地に呼び込む方策」と「高齢者が活躍する場があること」
の両立を目指し、取組メニューとして 11 項目(住み替え対策、交通対策、公園の活用、まちづくりの
人材の育成、空地・空き家・空き店舗を活用したお店の立ち上げ、新規イベントの実施、若い世代の
意識調査、教育環境の向上、子育て環境の向上、その他)を掲げ、その中で、できるものからやってい
くことにした。例えば、住み替え対策では、売家、貸家の情報提供をし、若い世代に補助することと
した。
・それらの内容はワークショップニュースでまとめて情報提供し、11 項目のうち7項目(地域コミュニ
ティづくり、交通対策、買物支援対策等)はコミュニティでないと対応できないものであり、それら
の取組を自治会や商店会が支えるという考え方の下で、具体的な対策をとりまとめ、国への提案を行
った。
・11 項目の対策は、自助、共助、公助の考え方とワークショップの合意形成により、バランスよく検討
されていると考えている。
(2)社会実験と自主的な取組
・
「社会実験」では、公園の芝生化、子育て世帯に限定した家賃補助制度、空き家・空地情報バンク制度
の創設、あずまや設置、ふれあい親子動物園、空き家等購入支援事業の 6 項目に取り組み、
「自主的な
取組」では、自宅開放ギャラリー、第二公民館の設置、G 級グルメ(注)、団地再発見森林探検ウォーキ
ング、合唱・オーケストラ等演奏会を行った。
(注)ご当地、グッド、グルメの頭文字を使って G 級グルメと表現
<社会実験>
・社会実験では、
「中央公園の芝生化」に取り組み、300 人の住民が参加し、地域コミュニティ活性化や
高齢者の生きがい対策に繋がった。
・子育て世帯に限定した家賃補助制度は、平成 23 年 8 月、9 月に実施し、子育て世帯には一戸建てに入
居した場合、家賃の 2/3 を補助し、114 世帯の応募があり、6 世帯 24 名が入居した。社会実験でもあ
り1回だけの実施であったが、家賃補助で少子化対策にも役立ち、のびのびと子育てできるというこ
とで、好評であった。
・空き家・空き地情報バンク制度(以下、空き家等情報バンクという)の創設では、掲載 40 件のうち 32
件が成約し、平成 26 年 12 月までに 37 千件のアクセス(900 件/月)があり、市のホームページに掲載
されていることもあって信用度も高く、関心も高いと考えている。
・平成 25 年には、芝生化した中央公園広場に屋根付きベンチ「あずまや」を 2 基整備し、家族連れに使
われている。
・平成 25 年 3 月には、団地主催で、社会実験で「ふれあい親子動物公園」を開催し、子育て世代にミニ
動物園を開催し、コミュニティ強化を図った。
・空き家購入支援事業では、固定資産税を 3 年間補助し、平成 26 年 12 月までの 20 か月で 16 件の成約
-177-
があり、それ以前の 22 か月で 4 件だったことを考えると、本事業がインセンティブになり、事業成果
があったと考えている。
<自主的な取組>
・自主的な取組の自宅開放ギャラリーでは、富士見が丘文化祭で、芸術に秀でた方の自宅を開放して自
らの作品を提示してもらい、会場となった自宅に徒歩で見学できるようにした。昨年は 4 回目となり、
来場者は、平成 24 年 656 人、平成 25 年 779 人と増加傾向が続いている。
・空き家を借り上げて、第二公民館、第三公民館も整備した。
・G級グルメフェアも開催し、団地内の 4 店舗が参加した。
・森林体験ウォーキングで、ウォーキングコースを設定し、自治会は、参加者にぜんざいをふるまった。
健康相談も実施し、300 名が参加した。
・平成 25 年には、40 周年ということで、子供を育てるというテーマで、イベントを行い、演奏会も開催
した。
(3)取組の成果
・本事業の実施により、空き家が平成 22 年 12 月に 43 戸であったが、平成 25 年 12 月には 12 戸になり、
空き地は 102 ヵ所から 82 ヵ所になった。さらに、46 件の住宅開発が行われ、人口も平成 11 年をピー
クに毎年 50 人程度の減少が続いていたが、平成 26 年度は人口減少に一定の歯止めがかかった。
・地域コミュニティが評価され、市と自治会との連携もあって、子育て環境に優れた団地の魅力が見直
されたと考える。
(4)質疑応答
●空き家の価格は?
・空き家の価格設定は、不動産屋を通して実施し、特に価格制限はしていない。持ち主は不動産業者と
管理契約を結んでいる。空き家等情報バンクには掲載されているが、それ以上の補助制度はない。不
動産業者は自社の不動産案内に加えて、プラスアルファーの形でPRしている。
●登録物件でないと支援対象外か?
・空き家等情報バンクの活性化を目的に、空き家等情報バンク掲載物件として縛りをかけている。
●ワークショップ参加者の募集方法は?
・一般的に、行政と住民の会議では 1 対1の対応になり、両者が受けて答えるという形になるが、本事
業では、コーディネーターに民間委託することで、市の職員も参加し、官民が一緒になったワークシ
ョップが開催され、市への要望という形ではなく、建設的な意見が出てきたと考えている。
・参加者の募集に際しては、それぞれの自治区の班長に呼びかけ、行政 53 人、住民 50 人が参加して、
参加者から様々な意見をもらいながら進めた。当初、行政が何をしてくれるのかという消極的な意見
を出していた人が、積極的にワークショップに参加し、建設的な意見を出してもらえるようになった。
・自治区の区長が本人にお願いして、手をあげてもらった人もいる。
●参加者の偏りはどうか?
・女性が多い。7 割くらいが女性であった。
●家賃補助の絞り込みで
85 世帯を 7 世帯に絞り込んだ方法は?
・抽選で行った。
-178-
●第二、三公民館の設計思想は?
・第二公民館は、所有者が「空き家なので、使っていいですよ」と手を上げてくれた。家賃で折り合い
をつけて、約 40 万円の改修費がかかった。
・第三公民館は、幼稚園で、その理事長がリーダーとして本事業に関わっており、寺小屋として借りて、
家賃を払っている。老人会が近くで使えるところはないかと探していたが、車をおけるスペースが少
なく、空いているときに使うという形になっている。
・自治公民館(第一公民館)の隣接地を約 6,000 万円で購入・整備し、資材置き場を駐車場にして、一
部を芝生化した。自治会費 500 円を 80 円上げて、10 年間で返済する予定である。お蔭で避難訓練もで
きるようになった。
・従来、第一公民館しかなかったが、そこまで歩くと 20 分くらいかかるような場所もあり、第二公民館
を考えようということになった。
・富士見が丘団地には、9 つの自治区(平成 24 年、自治区再編による)があり、1 区に 1 つの公民館が
できるとよいと考えている。
・第一公民館の改修費は補助金(1/2 補助、上限 150 万円)を活用した。第二公民館は家賃補助 2/3 で、
上限 120 万円であった。
●入居者の年齢層や入居理由は?
・平成 22 年から始めて、平成 26 年に調査したが入居者の年齢層は、子育て世代 30~40 代が多い。高齢
者もいる。リフォームが多いが、軽微なものが多い。
・新築は空き家等情報バンクに載せていない。新築の斡旋はせず、新築は早い段階で売れているようだ。
・空き家は減少し、子供が帰ってきたという話も聞く。坪 16~18 万円で 9 割が売れている。
・中古利用者は 30~40 代で、借家として貸すと回転率もよくなる。
●一般的に空き家の登録件数が少ないのが課題と聞いているが、登録はどのようにしたか?
・空き家等情報バンクへの掲載は、団地限定で、職員が不動産屋に足を運んで、登録してくれと頼んだ。
それで、多くの物件を登録してもらった。不動産業者は手間をかけると登録したがらないので、簡易
な形で登録してもらうようにした。
●富士見が丘団地をモデルとして選んだ理由は?
・大分市には団地が 29 ヵ所あるが、そのなかで、当時、高齢化率が最も高かった。自治会の取組が前向
きなところも選定理由となった。
・他の団地でも、市の援助もなく、独自でいろいろやろうというケースもでてきた。市内でもよい取組
として波及効果があった。今後も成果をPRしていく必要がある。
・自治会としては、平成 22 年に行政から話があったとき、「忙しい」等という理由で、皆が賛成したわ
けではない。「行政を使って、やれることをやってみよう」ということで説得して、「お受けしましょ
う」ということになった。
・平成 22 年 5 月、6 月に毎週土日に、ワークショップを行った。行政も、今後の団地の在り方について
悩んでいたところで、是非、なんとかしたいと個人的には考えていた。いろいろな意見の人がいたが、
当時、小学校では1学年 1 クラスできるかどうかという状況にあったこと等から、取り組むことにな
った。
・最初、単発事業として、ふれあい公園の芝生化やウォーキング大会等を開催したが、ウォーキング大
-179-
会は継続され、年々盛大になり、今回は福祉施設まで参加するようになった。
・イベントは単発で終わるものと、継続できるものがあるが、ウォーキング大会が起爆剤となって、活
性化に向けて、継続的にやれるものがあるという認識ができてきた。
・自治公民館(第一公民館)に隣接した空き地を宅地化するという話があり、駐車場が必要ということ
で、平成 25 年に土地 3,000 ㎡を購入し、駐車場と芝生公園を作った。
・第二公民館は、老人クラブから東にも公民館が欲しいという話があり、公民館をサロン活動の拠点に
しようと活動した。
・現在、第二公民館は 10 団体/月、100 人前後/月の利用がある。サロンや健康体操等で、歩こう会、文
化祭を全体で行おうということで、取組が活発化してきた。
●空き家バンクのPRは?
・周知するために広報誌を活用した。
●住民の協力が得られた理由は?
・担当する地区は、高齢化は 47.5%で 300 所帯だが、ボランティアで草刈等を役員だけがやっていると、
皆から声をかけてもらえるようになった。いろいろな取組をやめることは簡単だが、歯をくいしばっ
てやれば、だれかから賛同してもらえると考える。現在は、当初考えていた以上のプラスアルファー
で、ものごとが進んでいる。
・消極的な方向に走ったら、団地の取組は盆踊りだけになるだろう。何かをしようとしたら、団地の中
に何人かはできる人がいるので、その取組に、いずれは参加してもらえるようになると考える。
・サークルが多い。グランドゴルフが 5 団体、老人クラブが 2 つ、卓球や太極拳もある。サークルを利
用した活動の中で、イベントの時にバザーをやってくださいとお願いして、参加してもらった。その
ような取組が自主的にやれるようになると長続きするだろう。
・新しいもの、変わったものを入れる努力をすることが長続きするコツだと思っている。
・公民館は 9 時から 21 時まで、ほぼ 90%使っており、利用率が高い。
-180-
3.2.新大分土地株式会社
(所在地:大分県大分市中央町 1 丁目 5 番 25 号
訪問日:平成 27 年 9 月 7 日)
新大分第 6 ビル(wazawaza)
ガレリア竹町商店街側入り口
(1)会社概要
裏通り側入り口
4 階(テラスと店舗スペース)
・同社は、昭和 13 年創業の貸ビル業で、ビルを所有して賃貸している。阿南社長は、20 年前、大分に帰
郷して、当社を継承した。
・大分市は、バブル崩壊後、福岡市と高速道路が繋がり、アクセスが容易になり、大分市の出先事業者
が福岡に帰り、テナント利用者が減った。現在、ピーク時の半分が空き家の状態で、需要そのものが
無いような状態にあり、所有物件が築 30 年を超えるなか、阿南社長は、若い人がスモールオフィスを
利用する現象が見られ、そういう需要があれば、その要求に答えられると考えた。
・また、新しい需要の新たなベンチャー企業で、街中に店舗を作ろうという人たちが出てきており、改
修によりマッチングができれば役立てると考え、リノベーションに取り組んだ。
(2)リノベーションビル(新大分第 6 ビル)の概要
・新大分第 6 ビル(wazawaza)は、以前は家具屋が入居していたが、その後、パチンコ店が入居・撤退し
て、約 10 年間、空き店舗であった。同社が購入し、リノベーションにより、ガレリア竹町商店街と裏
の生活道路を繋げる通路を作り、その一部を植栽した。改築中から入居者を募集したが、着工後、2 か
月でリーマンショックが起こる等があったが、現在、1 階には飲食店舗、2 階・3 階には、物販と事務
所を置き、アーティストを入居させたり、エステ等の異業種が入居している。
・屋上には事務所があったが、屋上は商店街と違う環境があり、屋上を活用するということで、テラス
-181-
と店舗空間にして、展示会やイベント等を行ったり、楽しんでもらえるようにしている。
・最近、このビルをリノベーションしたことで、周辺に新しいビルが出てきている。
店舗配置
1階
2階
3階
4階
(資料)新大分土地㈱「新大分第 6 ビル リノベーション計画」
(3)リノベーションについて
・リノベーションという言葉は、日本の造語で、新たな価値をつくるということだが、ポイントは大家
の意識に尽きる。ビルを、お金をかけずにリノベーションしても、どんなにお金をかけても、どんな
に力のある人が持っていても、入居者がいないと収入もないし、役立っていないと考える。
・つまり、空き家の大家が「入居者が主役」という意識を持つことが重要で、ビルの価値を創るのは入
居者やそこに集まる人達である。店舗が繁盛しないといけないし、いかにアパートを大切に使ってく
れる入居者に出会うかが大切で、すべてはテナント入居者であり、入居者と、その場所の価値をとも
に作っていくことが必要である。
・当社では、12 年前から敷金はゼロにしている。若い人がこれからやっていこうというときには、敷金・
保証金をもらうより、そのお金を「自分の魅力づくりに使ってください」、
「大家もリスクを負うので、
一緒にやってみましょう」と伝えている。
・当社では、新しいビルが古いビルより優れているとは思っていない。古いビルでも新しいビルに負け
ない価値を提供することを目指している。リノベーションにかけられる費用は決まっており、エレベ
ーター等、無いものだらけだが、そのまま無いものを補充しても新しいものには勝てないので、古い
ものにあるものを活かしていくことが重要である。
・お金をかけても、その回収できるかというとそう簡単ではない。所有者がリスクを背負っていくのが
難しいので、業者が借り上げてサブリースしていくという取組が出てくることが必要だろう。
(4)質疑応答
●耐震構造はどうか?
・耐震については、昭和 45 年前後の建物で 45 年近くたっており、今の耐震基準に見合ったものはない。
それに対応する場合、新築と同じ金額をかけることになる。当社では、耐震工事を行う代わりにスケ
-182-
ルトンにして、補強しないといけないところは補強している。
・耐震基準は満たしていなくても、改修前と同じ用途で建物をリフォームしているので問題はない。用
途変更をすれば、今の耐震基準を受ける。
・住まいを店舗にするのであれば、用途変更による耐震指導の対象になり、事業的には難しくなるが、
このビルは、もともと事務所店舗で、用途変更には当たらない。その中でやれる範囲でしかできない。
●デザイン会社がパートナーになっているが、その意図は?
・古いものには古いものなりの魅力がある。10 年前にリノベーション事業を行う上で、当社、設計事務
所、デザイン会社、個人店舗オーナー(30 代)でプロジェクトチームを作った。
・潜在的なものを見つけ出していくために、昔の職人の技が活かされていたり、手作りのタイル等が残
っていれば、それを残すようにした。そういうものには、若い人は興味を持ってくれる。生まれたと
きから工業製品の中で育った人たちは、タイルや古いものには興味がある。
・デザイン会社を入れているのは、PRのときにパンフレットには徹底的にお金をかけるためで、入っ
てもらう入居希望者にピンポイントで見にいこうという気にさせる仕掛けがいる。
・工事前に、ライブイベント、現代アートの展覧会を行った。街中の廃墟ビルで、1夜限りでコンサー
トがあるということで、そのイベントに来た人に対して、そのビルがスモールオフィスになるという
情報を提供した。つまり、違う目的で人を連れて来て、スケルトンや空きビルの魅力、可能性を感じ
てもらい、改装後、店舗になったイメージを描いてもらって、友達に紹介してもらうことを期待した。
●入居者の要件は?
・成約は、内覧会等を通じて口コミで決まってくる場合が多い。
・基本は、業種は何でもよいが、創りたい価値観や客層の方向性(ベクトル)が同じ人に入居してもら
うことであり、ベクトルが違う場合には入居を断ることにしている。
・シャッター街の空き店舗で、テナント募集していても入居者がいないところを使って、いろいろな人
に無料で貸し出すという取組もしている。
・時代とともに目抜き通りの店も変わり、使い方、使う人も変わっており、シャッターを閉めていると
寂しいので、いろいろな人に来てもらい、若い人にいろいろな使い方をしてもらい、その場所をいろ
いろな人に使ってもらうことが大切である。
●空き店舗を貸したがらないオーナーが多いがどうか?
・大家には、空き家を開放する気持ちをもってもらうことが必要だが、これまでの経験から、そういう
人は数えるほどしかいない。大家に自分で金を出してやってくださいというのは難しい。こちらが借
り上げて、投資して、どうすれば成り立つかを考えて支援していく必要がある。折半で、うちも出す
と言ってあげることが、空きビルが減っていくことに繋がると考える。
●市の補助はどうか?
・当ビルのリノベーションにあたり、市から一部補助をもらっている。入居店舗では、市から1年間の
補助をほとんどのところが受けている。
・公的な補助は、あてにせず、事業を組み立てていくことが必要と考える。
●経営が厳しい店舗への対応は?
・同じベクトルを向いている店舗を選ぶが、厳しい経営環境で、家賃を下げたテナントも多い。飲食業
では、当初の契約のとおりに払えないところが多い。当社も全額借入でやっており、ビジネスとして
儲かってはいるが、ギリギリのところでやっている。
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3.3.大分市役所
(所在地:大分県大分市荷揚町二番 31 号
訪問日:平成 27 年 9 月 8 日)
3.1.大分市移住者居住支援事業
・大分市移住者居住支援事業での支援は、
「県外から大分市内へ、転
入する理由が職務上のものではなく、自己の意思で移住し、5 年以
上居住し、原則として世帯全体が要件をみたすもの」を対象とする。
・要件は、申請時に県外に住所を有し、過去 5 年以内に大分県内に住
所を有したことがない、指定期日までに居住を開始する、購入する
空き家等の所有権が 3 親等以内の親族でない等である。
・新築事業、空き家等の購入事業、空き家の改修事業があり、一戸建
てを新築、購入、改修する人を対象とする。中古物件は大分市住替
え情報バンクに登録された物件に限る。
・補助額は最大で 135 万円で、県外から郵送でも受け付ける。平成 27
年 6 月から事業を開始したが、現在 2 件の実績があり、月 30 件前
後の問合せがある。
大分市移住者居住支援事業
大分県外から大分市内へ、転入する理由が転勤、出向等職務上のものでない自己の意思による移住を希望する方
契約締結
購入
着工
引越
100 万円以内
移
ホームページや
移住イベントで
の情報収集
住
希
望
者
100 万円以内
移
住
購入
決
定
改修
仲
介
手
数
料
支
援
10 万円
新
築
支
援
新築
経費の 3 分の 2
(上限 100 万円)
移
引
購
入
支
援
5 万円以内
実
奨
越
励
完
金
了
支
購
入
及
び
改
修
支
援
住
援
績
補
報
助
告
金
書
交
作
付
成
経費の 3 分の 2
(上限 20 万円)
(資料)大分市役所のホームページより作成
3.2.質疑応答
●移住希望者はどこから?
移住後の仕事は?
・東京、千葉等から問合せはあるが、特に特定の地域から集中してということでもない。
・仕事は、ハローワークで探すということになるが、個人でITの事業をする人とか、弁護士、医者等
が移住しやすいと考える。
-184-
●魅力の発信は?
移住者は、どういう点に魅力を感じるのか?
・大分市の住環境が良いという話は聞いている。気候がよく、温泉があり、海が近い等が魅力だと考え
ている。問い合わせは子供の学校の利便性に関するものが多く、他の市町村と比較して大分市は教育
環境が良かったという話もある。
・身近な子供、仕事について細かく聞いてくる人が多い。教育では、徒歩で通う中学生が多く、通学距
離等の義務教育に関するものが多い。
・子供(小学生)のために移住したいという人が多い。リタイヤーされた方、50 代で仕事をやめて移住
するという人もいる。
・PRはホームページで行っており、大分県の移住コンシェルジュが東京にいる。東京では、月一回イ
ベントを開催しているが、約 30 人/回が集まり、そういう人に説明するために、良いパンフレットを
作ることが必要だろう。そのようなイベントに参加して、魅力を感じたという人もいる。
・大分市は、昭和 39 年に新産業都市に指定され、新日鉄や住友化学等の大手企業もあり、雇用は安定し
ている。5 年前から大分県の人口は減少しているが、大分市の人口減少は、これからであり、国立社会
保障・人口問題研究所によれば 30 年後に4万数千人が減ると言われているが、雇用と人口規模が維持
できるように取り組んでいきたい。
・大分市では、海の幸、山の幸が手に入るし、温泉もあり、日本創生会議で、高齢者の地方移住の話題
が出ているが、移住先のベスト3に別府市が入っており、隣接する大分市には国立大学病院等、医療
施設も整っている。全国的に、ほどよい地方都市、田舎としてちょうど良い市だと考える。課題は今
後のPRだろう。今後、民間と連携してPRを進めたい。
●情報バンクの登録物件だけが、補助の対象か?
・改修補助は、空き家の情報バンク登録物件を対象としているが、不動産業者が情報を持っており、そ
の協力を得ることから、空き家の情報バンク掲載物件では成約率 9 割となっている。不動産業者のP
Rの際には、バンクに掲載された物件はバンク掲載物件と表示されている。
・情報バンク登録物件でないと補助制度が使えないし、個人間売買で既に決まっている物件は排除して
いる。
・改修業者の紹介は行っておらず、どこに頼んでもよい。
・バンクでは、業者が分かるようになっていない。情報は広く公開しているが、市は物件の紹介までし
か行っていない。
●移住者への生き方等についてのアドバイスは行っているか?
・そういうものはないが、大分に転勤する際に、田舎は「いや」と考えていた人が、住んでみて異動に
なって、こんな食べ物がおいしいところはないし、戻るときには「いや」ということになり、二度「い
や」という気持ちになるといわれる。環境が良く、子供たちを育てやすいということで、大分に来ら
れた方は、その後に繋がっていると思う。
●富士見が丘団地の合意形成のノウハウや苦労は?
・自助、共助、公助という考え方で取り組んできたが、成功のポイントは合意形成にあったと考えてい
る。ワークショップ(4 グループ×3 回)を行い、さらに作業部会で議論を続けた結果、住民たちの手
で活動が進んできた。
・他都市の事例で、最初、反対意見ばかりだったが、10 年以上ワークショップを続けてきたと聞いた。
その事例のように、粘り強くワークショップをやっていくことが重要だと考える。
-185-
・行政主導ではできないし、行政と地元との合意形成が肝で、他の行政施策も同じだと考える。
●参加を促すためにデータを住民に示したか?
・児童生徒数では、昭和 63 年を 100 とすると、平成 22 年は 1/4 になったという折れ線グラフを示した。
また、高齢化率が 28%から 48%になることを示した。データを見て、住民は危機感を感じたようで、
行政には、以前のようにお金がないことから、
「自分でできること」、
「行政でできること」、
「みんなで
できること」に分けて考える形になった。
●地域格差は?
・地域格差については、モデル団地がマスコミで取り上げられて、他の団地でも同じような取組が始ま
り、モデルがデモンストレーションになり、理想的な展開になっている。
・大分市には大規模な 29 団地あるが、うち 22 団地が古いため、どうしたらいいかわからないというと
ころには、富士見が丘団地の事例を示して、
「皆さんで取り組みませんか」ということを、啓発してい
きたい。
・コンパクトシティが注目されているが、拠点施設等を繋げるようにして、大規模なものは残していく
ことが大切で、郊外部にも拠点や住環境を残していくことが重要だろう。郊外型団地は、道路も広い
し、小学校、幼稚園もあり、これまで投資してきた民間の資本を無駄にしないためにも子育て環境を
残していきたい。
・郊外団地は高齢化が顕著に進んでおり、モデル団地での取組が、今後同様の状況になる都市全体でも
応用できると考えている。
●政策提言は?
・平成 22 年 12 月と平成 23 年 3 月に、提言しており、それが平成 23 年に創設された特定地域再生制度
や平成 27 年 5 月施行の空家等対策の推進に関する特別措置法の創設に活かされていると考えている。
・交通では、道路運送法 78 条が改正され、交通過疎地域で、福祉交通で自家用車での運行ができるよう
になったが、団地のようなところは交通過疎地域ではないので、
「おでかけ交通」として廃品回収によ
る収入を原資にして「乗合タクシー」を整備し、自治会が経費負担を行っている。
●家賃補助の効果は?
・団地というイメージは、若い人にはウケないのではないかという意見もあったが、実際に現地を見て
もらうことが大事で、家賃は一戸建てで 6 万円/月であっても 4 万円補助して 2 万円/月としたら、114
世帯が応募してきた。
・住宅メーカーの新築は 4,000 万円くらいと高いため、安いところを買って自分で新築を建てようと考
えると、団地には中古の 1,000 万円台の物件があり、団地をもう一度見直そうという話も出てきた。
こうしたなか、副次的な効果で、移住した 7 世帯のうち 3 世帯で子供が生まれている。
●行政の取組は?
・本事業で 5 年間考えて、やれることはやってみようということで、家賃補助を始めて、できることか
らやっていこうとしている。自宅開放ギャラリーを自分たちでやっていこうという話も出てくる等、
団地が活性化し、他の地域から人も集まっている。
●ワークショップの運営や集客は?
・ワークショップという場は、提言まで出そうというところではないが、役員になっているので出ない
といけないという意識もあって、役員等が参加し、声の出る人やコアになっている人が引っ張ってい
くという形になり、多くの意見が出された。
-186-
・自治会は、一定の規模があることが必要で、規模が小さくなると、だんだん子供達がいなくなり、運
動会、夏祭りをしなくなる。本事業に取り組む時点では、富士見が丘団地は、中核商店も撤退を視野
に入れるような状況にあった。
・富士見が丘団地は比較的良い事例で、一緒になって活動する人の中から役員も育っていった。大きな
資源は人材であり、アイデアマンがいると、いろいろな取組を引き出してくれる。アイデアマンが次々
に案を出し、人づてに頼んでいくと、参加者も増えるし、コミュニケーション能力の高い人がいるこ
とも重要である。
・ワークショップに来る前は、普通の人であっても、ワークショップに参加して地元の信頼を得た人も
いた。
・市の職員も土日のワークショップに参加し、ワークショップ後も夜地元と話合いを行って取り組んだ
が、そのような市の姿勢が住民にも認めてもらえたと考える。
-187-
3.4.豊後高田市観光まちづくり株式会社
(所在地:大分県豊後高田市新町 989-1
訪問日:平成 27 年 9 月 8 日)
昭和の町
(資料)昭和の町ホームページ
昭和ロマン蔵
(1)見学説明の概要
・昭和の町は、14 年前にオープンし、当初は年間 2.5 万人の観光客が訪れ、ツアーの一環として観光バ
スを利用する人が主体であったが、現在、年間 40 万人に達し、バスは 1/3 になり、自家用車が多く、
昭和の町を訪れるという目的を持ってくる人が多い。旅行形態が変わったと考えている。
・拠点施設として、旧野村財閥(明治時代の納税県下第一位)が明治 10 年前後に米蔵として建てたもの
を、市が購入して昭和ロマン蔵として整備した。野村財閥は、当時の大地主で 360 町歩の土地を所有
していたが、財閥解体後は、農協がその米蔵を倉庫として使っていた。
・昭和の町の商店街は 550mあり、昔は島原藩の飛び地で物流拠点として栄え、その名残が残っている。
豊後高田市は、戦争被害がなく、江戸時代からの店舗が 3 軒、明治時代からの店舗が 6 軒残っており、
「昭和の町」をコンセプトに中心市街地を活性化することとした。
・昭和の町では、昭和 30 年頃の町並みを再生しており、その後、アルミサッシが普及したり、看板が大
-188-
きくなる等の時代変遷があり、その再生にあたり、アルミサッシを木に変えたり、看板を小さくする
等の取組を行った。
・商店街を再生するために、全国の昭和に関する取組事例を調査する等、スタートまでに 9 年かかった。
当初は補助金事業(自己負担 1/3)を使って取り組むことになり、商店主は総論賛成ではあったが、各
論反対となっていた。そうしたなか、当時の商工会議所の職員(金谷俊樹氏)等が説得して、まず7
軒でやるだけやろうということで始まった。その後、旅行会社や観光バスが来るようになり、賛同者
が増えて、現在、約 50 軒が町づくりに参加している。
・大分県は 1 村 1 品の活動を行っていたが、
「1 店 1 宝」で、その店の宝を店頭に展示してもらい、
「1 店
1 品」でその店のオリジナルなものを販売しようと取り組んだ。
・昭和の町では、若い人は楽しむ、歳をとった人は懐かしむという傾向が見られる。
(見学では、案内人(井上氏)が同行し、1 時間程度で、10 軒程度の店舗を回り、その店舗の由来や、1
店 1 宝や 1 店 1 品のわかりやすい説明等を受けた。
)
(2)背景と取組経緯
・豊後高田市は、江戸時代~昭和 30 年代にかけて、商業都市で栄え、昭和 40 年までは宇佐神宮から豊
後高田まで宇佐参宮鉄道も繋がっていた。
・平成 27 年 7 月末で人口 23,406 人、10,576 世帯である。高齢化率は 35%で、自然減は避けられないが、
当市では社会増になっている。
・現在は 8 つの商店街 130 店舗があり、2 つの商店街は「高齢者にやさしいまち」として、6 つの商店街
は「昭和の町」として再生を目指している。合併前は 18 千人の小さな市で、全国の 10 本の指に入る
小規模な市であった。全盛期は 300 店舗があったが、郊外型店舗の進出で、4 割減になった。
・平成 4 年に商店街をなんとかしようという気運が高まり、
「あるものでなんとかしよう」、
「何かできる
ことはないか」という中で、中心市街地の歴史や店舗を調査し、
「昭和の町」というテーマにたどり着
いた。一番元気だった昭和 30 年代の再生を目指すということを考えたが、当時、昭和に関する取組が
全国で 300 件あり、そのすべてに連絡して、その概要を把握するとともに、そのうち 100 件を視察し
て、昭和の町づくりの可能性を探り、平成 13 年に「昭和の町」としてスタートした。
・再生にあたり、4 つのコンセプト「昭和の建築再生」、
「昭和の歴史再生」、
「昭和の商品再生」、
「昭和の
商人再生」に取り組み、そのコンセプトの核として、観光客に「1 店 1 宝」を眺めてもらい、
「1 店 1
品」を食べて、昭和の話をしてもらうこととした。
・
「昭和の建築再生」では、外観工事に取り組み、アルミサッシ等を木製に変えた。平成 13 年には県の
支援で、県、市、商業主が 1/3 ずつ負担して、11 店舗で修景し、さらに 42 店舗の修景を行い、そのう
ち 5 店舗には国の空き店舗事業で起業支援を行った。
・
「昭和の歴史再生」では、
「1 店 1 宝」という形で、その店に代々伝わる珍しい道具等を展示してもらい、
「昭和の商品再生」では、
「1 店 1 品」という形で、その店の看板商品を提供してもらった。また、
「昭
和の商人」では、対面販売で、商売以外の話をしてもらうことにした。
・当初観光客から「どこに昭和のものがあるかわからない」、「歩くだけでは楽しめない」という指摘を
受けて、市と商工会議所の担当者が案内や説明を行ったところ、好評であったが、観光客の急増で対
応できなくなり、専門の案内人を置くこととした。案内人は、雇用創出の役割もあり、ボランティア
-189-
ではなく、費用を払うこととして観光検定の合格者から選定した。
・現在、3 人の案内人がおり、普通では 15 分で回るところを 1 店 1 店、話しながら 1 時間くらいかけて
説明しており、案内人制度の評判は良い。
・
「昭和ロマン蔵」は、旧野村財閥の米蔵であったものを、市が買い上げて平成 14 年に整備したもので、
「駄菓子屋の夢博物館」には小宮裕宣館長が福岡で所有している 40 万点のうち、6~10 万点を展示し
てあり、小宮館長に発起人が粘り強く交渉して誘致に成功した。
・平成 17 年には「昭和の絵本美術館」ができ、黒崎画伯の絵本が展示され、平成 18 年には、
「南蔵」に
食事ができるレストラン「旬彩 南蔵」を作り、そこでは、国東半島の旬の食材を提供している。
・平成 19 年にオープンした「昭和の夢町三丁目館」では、国のまちづくり交付金で、観光客が交流でき
るスペースを提供している。
・ボンネットバスは広島県福山市の福山自動車時計博物館にあったものを全面的に再生し、土・日・祝
日にミニ周遊し、元のバスガイドが昭和の町を紹介している。
・現在の観光客は、団体:個人が2:8で、従来と比べて観光バスの台数が減り、個人客が増えている。
観光客数は、平成 13 年 2.5 万人、平成 15 年 20 万人、平成 19 年 36 万人、平成 23 年 40 万人、平成 26
年 36 万人となっている。ハードの整備が終わり、これからどう集客するかが課題である。
・豊後高田市観光まちづくり㈱は、豊後高田市、豊後高田商工会議所、日本政策投資銀行の出資で平成
17 年に設立され、資本金は 95 百万円で、地域観光の振興を目的に設立され、広域観光振興、昭和の町
振興、昭和ロマン蔵運営を行っている。
・近年、観光業では目まぐるしい動きがあり、市、商工会議所、当社がそれぞれ違う動きをするように
なったので、なんとかしようと市との調整をしながら、視察された方の意見もいただき、今後の第二
期を考えていきたい。
・また、全体の取組の方向性等について、意見の合わない施設も出来てきたので、市が民間から空き店
舗等を借り上げて利用する等を通じて、着地型観光のメニューを考えていきたい。
(3)質疑応答
●平成
22~23 年に観光客数が減少から増加に戻ったが?
・平成 19 年に昭和の夢町三丁目館が出来たこと、マスコミ等への露出等があり、取材に小出しに対応し
て、その効果もあって伸びてきたということだろう。ボンネットバスも 1 日 9 便運行するようにして、
10 時から 30 分おきに予約受付で運航している。
●昭和のまちづくりを推進した金谷氏とは?
・金谷俊樹氏は、元の商工会議所職員で、昭和の町の仕掛け人である。
●売上高の推移は?市の支援は?
・店舗の売上は把握していない。市は人の回遊の刺激を行っている。
・すべてを補助金で支援すると、商店が潰れてしまうので、商店主にも努力してもらいたい。後継ぎは
少なく、今は土・日・祝日だけ開けて賛同してもらっている。
・シャッター店への商工会議所の空き店舗支援制度がある。市の人でない人が起業し、新規に修景する
場合、コンセプトが合えば支援は行っているが、後継者支援までは難しい。
-190-
3.5.九州工業大学 大学院工学研究院 建設社会工学研究系 准教授 徳田光弘
(一般社団法人リノベーションまちづくりセンター代表理事、㈱北九州家守舎 取締役)
(所在地:福岡県北九州市戸畑区仙水町1-1)
(1)取組経緯
・リノベーションまちづくりは、遊休化した不動産という空間資源を活用しつつ、都市や地域の経営課
題を解決しようという取組で、そのエンジン役としてリノベーションスクールを取り入れている。
・北九州市では、平成 23 年 8 月から半年に 1 回、リノベーションスクールを行っており、リノベーショ
ンスクールでは、実在する空間資源で、課題を提示して 4 日間で事業計画を立て、最終日に、オーナ
ーやステークホルダーに来てもらい、公開プレゼンテーションを行う。
・㈱北九州家守舎は、リノベーションスクールで提示された、たたき台をブラッシュアップして実事業
化する支援を行っており、リノベーションまちづくり事業を行うにあたり、リスクをとれる団体が必
要ということで、平成 24 年に、嶋田洋平 共同代表が 20 万円、徳田准教授等 3 人が 10 万円ずつ出資
して設立された。
・平成 27 年 8 月に 9 回目のリノベーションスクールが終わったが、これまでに 900 人(関係者を含める
と 1,000 人以上)が参加した。4 年間の取組の中で、新規事業者が 400 人出てきており、参加者は、終
了後、全国の各地域で、リノベーションまちづくりに取り組んでいる。
・全国から行政職員も参加し、リノベーションまちづくりを行いたいという自治体で、取組が進められ
ている。
・全国で進めるにあたり、㈱リノベリング(東京都豊島区)という会社を作って、各地域の取組を支援
している。現在、30 以上の自治体で取り組んでおり、今年度 20 自治体が手を上げている。
・リノベーションスクールの前段階で、トレジャーハンティング等も開催する場合がある。リノベーシ
ョンスクールには事業計画コースとセルフリノベーションコースなどがあり、リノベリングではプロ
フェッショナルコースも作ろうとしている。
・学の分野では、東京大学の松村教授とともに発起人として、リノベーションまちづくり学会を設立し、
平成 27 年 11 月に学会を開催する。
・いろいろな立場の参加者があり、建設市場や成熟社会を抜本的に変えていこうと考えている。
・当時の北九州市の産業経済局長が家守の取組に関心を持ち、小さくてもよいが、産業構造の転換をし
ないと雇用は生まれないと考えた。また、空き家・空きビルが増えているので、見直しが必要と考え
-191-
ていた。
「小さくてもいいから、始める」
、「始めない人は入れない」、「口ばかりの人は入れない」(偉
い人は口では言うが、やらない)という考え方の下で、取組が始まった。
・平成 22 年に小倉家守構想検討委員会が立ち上がり、提唱者の清水義次氏(㈱アフタヌーンソサイエテ
ィ)が不動産オーナーや若手大学研究者等、動ける人を組織に入れていこうと考え、徳田准教授にも
協力要請があり、梯オーナー(㈱北九州家守舎の監査役)の所有物件(中屋ビル)をリーデイングプ
ロジェクトにして取り組んだ。
(2)リノベーションまちづくり
・リノベーションまちづくりの事業では、転貸事業を中心に、オーナー、事業者、テナントともに「三
方よし」で取り組んでいくことを考えている。テナントリーシングは、地域ならではの人のつながり
によって、できる範囲の小さな投資から展開しており、それを少しずつ拡げている。
・つまり、従来のまちづくり事業は、大きなことから小さいことを見てものごとを進めていたが、小さ
い事業の積み重ねから大きく育てていこうという取組みである。
・例えば MIKAGE1881 は、リノベーションにより現在コーワーキングスペースとして利用しているが、テ
ナント料が 35 万円/月で、10 年以上空き家であった。
・テナントリーシングでは、説明会を開催し、我々の価値観やコーワーキングスペースについて説明し
て、乗ってくれる人に貸すという取組を行った。
(3)質疑応答
●事業展開の役割分担は?
・全体の事業統括と建築設計は、嶋田共同代表(らいおん建築事務所代表取締役)が担い、主に事業企
画運営は遠矢弘毅共同代表が担当している。リノベーションスクールは徳田准教授(取締役)が担当
し、地域内のまちづくりは片岡取締役が担当している。
●大学としての関わりは?
・リノベーションスクール等をはじめ研究室の学生たちとともに取り組んでいる。大学の主な業務は、
教育、研究、社会貢献であるが、本事業で、その全てを一緒にやることができる。リノベーションス
クールには、全国から新進気鋭の実務者が講師等として参加しており、そのつながりで学生の就職先
にもなっている。
●リノベーションスクールには補助金が出ているが?
・当初は北九州市より、現在は国土交通省よりでている。ただし、リノベーションスクールから生まれ
た各事業には一切補助金はでていない。
●リノベーションスクールの参加者は?
・30 代前後の社会人、建築家、行政、研究者等である。
-192-
3.6.株式会社北九州家守舎
(所在地:福岡県北九州市小倉北区魚町三丁目 3-20 中屋ビル四階
訪問日:平成 27 年 9 月 9 日)
(1)事例見学
以下の施設見学を行った。
●中屋興産中屋ビル魚町三番街
1 階 ビッコロ三番街(オンリーワンショップが立ち並ぶ商業空間)
メルカート三番街(クリエイティブ拠点:婦人服飾店・本屋・雑貨屋・カフェ・照明デザイナ
ー・ギャラリー)
2 階 ポポラート三番街(クリエイティブコミュニティ:雑貨屋・アクセサリー・服飾・アートなど、
「自分の手でつくる」作家が集まって、製造、販売、小倉経済新聞・食堂)
3 階 リノベーションスクール会場
4 階 フォルム三番街(インキュベーションスペース:㈱北九州家守舎)
●サンリオ小倉ビル
4 階建
1 階 カルディコーヒーファーム(人気の輸入食材店)
2 階 ママトモ魚町(NPO 法人チャイルドケアサポートセンターが運営する子育て支援施設、時間単位での子供預かり)
北九州家守舎
3 階 多目的ホール
4 階 北九州まちづくり応援団㈱
●MIKAGE1881
㈱北九州家守舎と㈱松永不動産(北九州市小倉北区)が共同で開設
したクリ エイティブ事業者のためのスモールオフィス・コワーキ
ングスペースを備えた新しいワークスペース
●タンガテーブル
レストラン併設のゲストハウス
<中屋ビル>
・メルカート三番街(平成 23 年 6 月オープン)、ポポラート三番街(平成 24
年 6 月オープン)は、小倉家守構想リーディングプロジェクトで、ビッコ
ロ三番街は、第 3 回リノベーションスクール(平成 24 年 8 月)の対象案件
で平成 26 年 6 月にオープンした。フォルム三番街は、小倉家守構想リー
ディングプロジェクトで、平成 23 年 7 月にオープンし、第 5 回リノベー
ションスクール・セルフリノベーションコース(平成 25 年 8 月)の対象案
件ともなっている。
・中屋ビルは、元は 32 年営業して平成 22 年に撤退した婦人服屋で、4階はバックヤードとして使われ
ていた。
・空きビルの活用につき、梯オーナーから嶋田共同代表に改装の相談があった。その際、折り畳みイス
が多数あり、それを使って稼ぐ方法はないかということで、街の人にレンタルすることにした。街の
人たちは、これまでイスをイベントリース会社から借りていたが、その人たちが取りに来るというこ
とで送料もいらなくなった。
・当初はスケルトン状態で、小さく稼いだお金を使って始めに扉をつけた。「稼いだお金は街に再投資」
-193-
ということが、家守の法則となっている。
・エレベーターをギャラリーにするイベントをした後に、アーティストから使用した資材をそのまま置
かしてほしいという話があり、空きスペースを 1.5~2 万円/区画で貸している。
・3 階は、4日間のリノベーションスクールの会場としても使っている。4 階に当社があり、5 階には中
屋興産㈱が入っている。
・3 階はリノベーションスクール時のワーキンググループの場所とかベリーダンスの会場とかに貸し出し
ている。
・不動産に固執しないで、空きスペースを使う商売もある。例えば、第9回リノベーションスクール・
モビリティコースで作製したカーゴバイクを、北九州家守舎が管理し 1,500 円/日で店舗を持たずに軒
先などで小さく商売を始めたい人に貸し出しをするサービスを始めた。
・中屋ビルは RC 造と木造の建物が合築した建物で、木造2F 部分は以前、オーナーの住居として使用さ
れており、露天風呂として使われていた場所は、ディスプレイに活用している。
中屋ビル
サンロード側入り口
メルカート三番街 Mercato3
ビッコロ三番街 vicoro3
メルカート三番街 Mercato3
-194-
ポポラート三番街 Popolato3
・インキュベーション施設として活用し、小倉北区魚町の坪単価は 1 万円で、40~60 坪程度の店舗が多
く、敷金・礼金だけで 200 万円近く必要になり魚町で起業したい人が起業できない状態になっていた
為、入居したい 10 組を先に集め、払える賃料をヒアリングし金額に応じて小さく区分けした。入居者
10 組が決まったら工事を竣工し、オーナーリスクがないようにする(テナント先付方式)
。
・ビッコロ三番街では、貸しスペースでは、収益性のある店舗を前に置き、人が通れるような通路をつ
けている。
・場所が広くて賃料が払えない人は空間をシェアすることもできる。グラフィックデザイナーと建築家
が空間をシェアしつつデザインユニットを組み、現在は新たな場で仕事を生み出すシェアオフィスを
運営している。
・ナツメ書店はリノベーションまちづくりセンターの事務所も兼ねており、同センターはリノベーショ
ンスクールのwebサイトの運営、資料作成、情報収集を行っている。
・サンロード商店街は今年8月、約 35 年前にかけられた古いアーケードを撤去した。アーケードを取っ
てしまうと商店街が衰退してしまうことが多いため、サンロードを歩いて楽しい、人がくつろげる公
園の様な場所にすることをリノベーションスクールで提案してもらった。老朽化した水道管の工事を
行う時に合わせ道路に商店街の人達が選んだインターロッキングを敷き一部の店舗前に芝生を敷く予
定にしている。
<サンリオ小倉ビル>
・第 1 回リノベーションスクール(平成 23 年 8 月)の案件で、平成 24 年 9 月にオープン。元々は、サン
リオの自社ビルとして使用されていたが撤退し、4年間空き家であった。
北九州まちづくり応援団がサンリオよりマスターリースし、それぞれ
サンリオ小倉ビル
の店舗にサブリースしている。
・1F にはカルディコーヒーファームが出店、カルディは地方都
市では大型商業施設等にしか出店していないが都市部では路
面店が多く、今後は西日本でも路面店を増やしていきたいと考
えており、モデルケースとして出店している。
・2F は子供の一時預かりを行っている「ママトモ魚町」で、サ
ンリオが、まちづくり応援団にビルを貸す時の条件としてサン
リオは子供向けの商品を扱っている会社のため、1つは子供を
コンセプトにした店舗を入れて欲しいとの要望があり、魚町には子供を預けられる場所がなかったた
め、NPO 法人に頼んで出店してもらった。
・3F は会議室、4F は北九州まちづくり応援団が入居している。
MIKAGE1881
<MIKAGE1881>
・第 2 回リノベーションスクール(平成 24 年 2 月)の対象案件で
平成 24 年 10 月にオープンし、7つのブースとシェアデスクが
あり、フォトグラファーやクリエーター、子育て情報誌、ウェ
ブ系の人等が入居している。
・今後、男子トイレをレンタル暗室にする計画がある。
-195-
(資料)㈱北九州家守舎ホームページ
・改修費用を 400 万円でなんとかしようとしたが、1,600 万円の見積りが出たため、扉・間仕切りをつけ
るなど最低限の工事を行い床はワークショップ形式で保護塗装のみを行っている。
・自治会があり、毎月入居者みんなで話し合うことにしており、金曜日にはランチミーティングもある。
<TangaTable(タンガテーブル)>
・タンガテーブルは第 6 回リノベーションスクール(平成 26 年 3 月)で構想が生まれた「北九州をあじわ
う、旅のはじまり」をコンセプトとするゲストハウスで、旦過市場の川向いのホラヤビル 4 階をリノ
ベーションして、平成 27 年 9 月にオープンした。ダイニングとホステル機能を持ち、人が集まる場所
にすることを考えている。当ビルの 4 階は、元の店舗が塾に使われ、長年空き家となっていたものを
改修した。
・ゲストハウスのベッド数は 67 で、ドミトリーと、個室が3部屋、家族やチームなどで使える4人部屋
が1部屋あり、ダイニングは、30 席ある。
タンガテーブル
ダイニングスペース
ドミトリー
個室
1 階入り口
<その他>
・サンロード商店街沿いの火事で焼けた跡地にコンテナを設置し、イタリアンバー Cucina di toriyon
(クッチーナ ディ トリヨン)を経営している。本件は第 4 回リノベーションスクール(平成 25 年 3
月)の案件で、平成 25 年 10 月にオープン、オーナーより「鳥町ストリートアライアンス」が賃料 10
万円で借り、
(株)北九州家守舎に転貸し、家守舎は賃料として(15 万円/月)と売上高の 10%のうち、
どちらか、高いほうの金額を「鳥町ストリートアライアンス」に支払っている。鳥町ストリートアラ
イアンスは差額をコンテナの設置費用の回収に充当し、隣接する店から、おでん・焼き鳥を購入し、
-196-
持ち込むことも可能。
・松本清張が通っていた古い書店(旧アタゴ書店)の空きビルのリノベーションは第 4 回リノベーション
スクール(平成 25 年 3 月)の案件で、看板を外したくないというオーナーの意向を踏まえて、その 1~4
階を貸し出し、看板は残したままで構わないという人が入居している。
(2)今後の方向性等
・門司港エリア、黒崎エリアで、人口推計と空き家・空き地・駐車場・校区を地図に入れて、地価も記
載して、それをリノベーションスクールの資料(ポテンシャルマップ)として配布する。人口はコー
ホート法で 5 年後の人口を推計・分析し、空き家・空き地マップは学生が足で調べて作成している。
・門司港エリアでは、少し地元の人がリノベーションへの動きを始めている。
・家守事業もドーナツ化傾向が見られ、20 分圏内の空き住宅をどうしようかというステージに広がって
いる。
-197-
4.中国地域
4.1.鳥取県
4.1.1.鳥取市役所(都市整備部中心市街地整備課)、鳥取家守舎、ホンバコ
(所在地:鳥取県鳥取市尚徳町 116 番地 他)
(1)リノベーションまちづくりの取組
・リノベーションまちづくりとは、空き家、空き店舗などの遊休不動産を用途や機能を変更し、付加価
値をつけるリノベーション手法により再生し、産業と雇用を生み出し、まち(エリア)の価値を高める、
民間主体の公民連携のまちづくりの取り組み。
・民間まちづくり会社などのリノベーションまちづくりの担い手育成の場となるのが、平成 23 年に北九
州市で始まった「リノベーションスクール」
。
・リノベーションスクールでは、所有者から提供された遊休不動産を対象に、全国から集まった受講生
と国内で先駆的な取り組みを行っている講師(ユニットマスター)がチームを組み、リノベーション
事業計画を3日間かけて作成し、最終日に所有者に向け公開プレゼンテーションを行う。スクール後
は、民間まちづくり会社が中心となり、各提案の実事業化に取り組む。
・鳥取市では、鳥取県の職員がリノベーションまちづくりに興味を持ったことがきっかけとなり、平成
26 年 3 月に鳥取市と鳥取県等の共催によるリノベーションシンポジウムが開催された。シンポジウム
の成功をうけ、県の支援事業を活用し、平成 26 年 11 月に中国四国地方で初となるリノベーションス
クール@鳥取が開催され、平成 27 年 7 月には第 2 回リノベーションスクール@鳥取が開催された(県
の支援事業は平成 26 年度のみ)。
・リノベーションスクールの主催は鳥取市、共催は鳥取県、鳥取県建築士会、鳥取市中心市街地活性化
協議会、住もう鳥取ネット。企画・運営は㈱リノベリングに委託している。
・リノベーションスクールの対象物件は、一般参加者を募ったまち歩きイベントによる空き物件調査や
市の公式 Web サイトでの募集等により候補を集め、建物の場所や状態、所有者の意思等をもとにそれ
ぞれ 3 物件が選定された。
・受講生は、職業、年齢等を問わず全国から広く募集している。第1回は定員 30 名に対して全国から 60
名、第 2 回は定員 24 名に対し 34 名の応募があり、志望動機等により選考された。
・第 1 回のスクールでは空き店舗 3 物件、第 2 回は空き店舗、デパートの屋上、タクシー会社の車庫の 2
階部分を対象物件とし、受講生とユニットマスター、地元の講師役(サブユニットマスター)がチー
ムを組み、物件の所有者へのヒアリングやまち歩き、ユニットマスターによる講義、グループワーク
等を基に、リノベーション事業計画を検討し提案を行った。
・スクール最終日の公開プレゼンテーションには、第 1 回、第 2 回とも市内外より約 200 名の参加者が
あり、取り組みへの関心の高さがうかがえた。
・スクール終了後は、民間まちづくり会社やスクールの受講生のグループにより、対象物件の事業化が
進められている。
・鳥取市は、リノベーションまちづくりの取り組みは始まったばかりで、継続していくことが重要であ
り、事業を動かす民間まちづくり会社も複数出来ることが望ましいと考えている。市や関係機関が協
力して、遊休不動産の所有者や新たに事業を始めたい方への周知と理解を図っていくとともに、民間
の取り組みを支援していく。
・鳥取市では、もともと若い人たちが独自のまちづくり活動に取り組んでおり、リノベーションまちづ
-198-
くりを進める土壌があった。また、県、建築士会、市などの関係機関の距離が近い、まちがコンパク
トなので人が繋がりやすいなどプラスの要因がある。
(2)鳥取家守舎とホンバコの取組
・
『鳥取家守舎』は、第 1 回リノベーションスクール@鳥取がきっかけとなり、スクールのサブユニット
マスター3 名に県外からのUターン者を加えた 4 名により立ち上げられた民間まちづくり会社。メンバ
ーはそれぞれ、木工・店舗内装、建築設計・施工、不動産などの専門分野を持つ。団体の理念は「ま
ちの人ひとりひとりの気持ちを少しずつぐっと押し上げる」
。遊休不動産のリノベーションを手段とし
て、お金を稼ぎつつ活気ある楽しいまちを作っていくことを目的としている。
・
『ホンバコ』は、リノベーションスクール@鳥取の事業化第1号である「本を介して人がつながる」を
コンセプトとするブックカフェ。スクールの受講生が経営者となり、平成 27 年 5 月 23 日にオープン
した。
・ホンバコの建物の所有者は、もともと建物を取り壊す予定だったが、リノベーションスクールでホン
バコの提案を受け、以前ここで喫茶店を経営していたことや、地元で本に関する活動に関わっている
こともあり、心を動かされて事業化を了承した。
・ホンバコの改修は、鳥取家守舎が手がけた。経営者と一緒に「みんなで大掃除ワークショップ&空き家
bar」
、
「改修ワークショップ」
、
「本箱づくりワークショップ」などのイベントを開催し、多くの人が参
加した。参加者は片付けや改修を手伝うことで、店舗に対する愛着が生まれ、開店前から多くのファ
ンがいる状況となった。
・ホンバコの改修費用は、物件の所有者と鳥取家守舎、ホンバコの経営者が分担した。鳥取家守舎が建
物を所有者から借り受け、経営者にサブリースしている。建物の所有者は約3年、鳥取家守舎も約3
年で投資した資金を回収予定。
・内装に関して、1 階は床の絨毯は取り除いたが、他はほとんど改修前と同じようなつくりにしている。
2階は天井板を取り除き、カフェの一部として使い、靴を脱いでくつろぐ小上がりスペースを作り、
ハンモックをつけるなどして、子ども連れの人でもくつろげるようにしている。
・営業時間は 12 時から 23 時。日曜定休。
ホンバコ1F
ホンバコ外観
-199-
ホンバコ2F
・ホンバコの経営者(岡田良寛氏)は、大学 4 年次にまちづくりに興味を持ち、広島大学の大学院を休
学して静岡県熱海市のまちづくり会社・NPO 法人 atamista(家守会社のような団体)に 1 年間インタ
ーンシップとして携わり、その後はヒッチハイクで国内を巡り様々な街に滞在してきた。
・熱海では、空き家再生やイベント開催などに取り組んでいたが、そのひとつとしてリノベーションス
クール@熱海の運営に携わり、その中でプレーヤーが少ないと感じていたため、リノベーションスク
ールに参加する中で本事業を行うことを考えた。
・まちづくりにおいて街に愛着を持てるかどうかが大事であると考え、愛着を持つためにはその街に関
わる人をどれだけ知っているかが肝になると感じていた。また、ヒッチハイクで人の家に泊めてもら
ってきた中で、本棚にその人の個性を現れることを知った。そういう経験を踏まえ、持っている本で、
その人を知るきっかけにもなる(本を介して人がつながる)と考え、本を持ち寄ってもらって、オス
スメ本や感想を共有できるブックカフェを運営したいと考えた。
-200-
4.1.2.智頭町役場 企画課
(所在地:鳥取県八頭郡智頭町智頭 2072 番地 1)
(1)空き地の活用
・平成 26 年に㈱タケモトフーズ(大阪市)と系列の㈲ポントが、鳥取市と智頭町に進出し、3 ヵ所でチ
ョコレートの製造等を行っている。
・当社は、チョコレートがメイン商品で、ベルギー(イグ・チェリエスのブランド)から輸入し、アセ
ンブリやパッケージング等を行っている。
・当社から、
「森の中でお菓子を作りたい」との問合せがあり、県と鳥取市と智頭町が連携して誘致活動
を行い、3 ヵ所(智頭町 2 ヵ所、鳥取市 1 ヵ所)への企業誘致が実現した。
・智頭町では、廃業した洋菓子店の跡地にカフェ(フォレ・ド・クレージュ)を平成 26 年 7 月にオープ
ンし、旧智頭町体育館(山形地区)の空きスペースをチョコレートのストックヤードとアセンブリ・
パッケージングに活用している。さらに、鳥取市では、ミネラルウォータ工場跡地で、チョコレート
のアセンブリ・パッケージング等の事業を行っている。
・チョコレートはシーズンものであり、雇用は 10 月~3 月までパート 22 人(日単位でのシフトで 10~
15 人/日)の臨時雇用で、今後、3 年間で常用雇用を実現したいとの意向がある。
・智頭の工場では、1 階のメインフロアーをストックヤードにして、一次ストックして出荷しており、ア
センブリ作業は 10 人が事務所スペースで行っている。
・カフェ(フォレ・ド・クレージュ)ではケーキを提供し、食事もできるようにして、竹久夢二美術館
とのコラボ商品もある。
・智頭町では、企業立地については、投資額 3 千万円以上で補助があり、追加投資で雇用が発生すれば、
半年以上の雇用で、正規雇用一人あたり半年間 50 万円(半年間)、パート1人あたり半年間 25 万円が
補助される。
(2)定住促進への取組
・智頭町では、移住者には空き家を提供している。平成 21 年度から始まり、現在、17~18 軒が登録され
ている。これまで 22 世帯が移住し、うち 11 世帯は「森のようちえん」に関係する人である。今年も
10 世帯の移住があった。鳥取市から車で 30 分の位置にあり、鳥取市で働く人も多い。
・
「森のようちえん まるたんぼう」は子供たちが豊かな森で、とことん遊び、自ら学ぶという見守り保
育で、デンマーク発祥の教育スタイルで、NPOが運営している。定員 30 人だが、評判が高く、2 番
目の施設「すぎぼっくり」も誕生し、フリースクール(新田サドベリースクール)も運営されている。
・若者の移住促進のために、住宅家賃助成事業では、家賃補助(1 万円/月)があり、町有地無償提供事業
では、3 年以内に新築し、町産材を半分以上使用することを条件に町有地の無償提供も行っている。
・地方創生の予算で、田舎暮らしを推進するということで 3 ヵ所、4 棟(うち1棟は古民家)を整備し、
半年か1年住んでもらうという取組を行っており、今後、起業支援にも力を入れていきたい。
・町が古民家(特に、基準は設けていない)を無償で借り受けて、改修して、第三者に貸す制度があり、
10 年間で改修費を回収することを考えている。これまで年間 5 軒を対象としており、今年から年間 4
軒に減らしたが、需要が多く、移住希望者は多い。移住希望者を地域別にみると、高速道路が繋がっ
ている京阪神の人が多い。
・移住者は多いものの、人口は 7,700 人で年間 100 人のペースで減少している。
-201-
(3)空き施設の活用
・公共施設のリノベーションでは、10 年前に閉園した那岐保育園を活用したカフェ(タルマーリー)が
6 月 13 日にオープンした。外観はそのままで、内装は変更している。オーナーは、元々、岡山県の真
庭市のパン屋で、
「森のようちえん
まるたんぼう」に子供たちを入れたいということがきっかけで、
智頭町に住むようになった人である。
・平成 23 年度末で、6 小学校が 1 つに統合されたが、国の補助金を使って、廃校を地区の住民に活用し
てもらうような取組を行っている。旧山郷小学校は、校長室や職員室をキッチン・レストランやお菓
子工房に変えて活用されている。
パンフレット(智頭町、まるたんぼう)
-202-
4.2.島根県
4.2.1.特定非営利活動法人てごねっと石見
(所在地:島根県江津市 1517-2
訪問日:平成 27 年 7 月 10 日)
(1)事業の背景とコンセプト
・江津市は平成 22 年の国勢調査で、人口が 26 千人(5 年前比 7.5%減)で、現在は 25 千人を切ってい
る。若年層(15~24 歳)は7%減少し、10 年後には 2 万人以下になると推計され、危機的状態にある。
人口減の主な要因は、主要産業の石州瓦の低迷、企業の撤退等による雇用の場の喪失と考えられる。
・こうしたなか、将来を見て方針を変えないといけないという議論の中で、てごねっと石見が設立され、
そのコンセプトとして「帰ってこられる島根をつくる」を掲げた。そのためには仕事や生活できる産
業が必要で、
「企業誘致」より「人材誘致」をしようと考えた。
・企業で転勤してくる人は地元に愛着を持つ人が少ないし、企業の撤退で、他の場所に移ってしまう傾
向があるが、江津に来たいと考える人に来てもらい、事業を起こしてくれる人、非営利活動をする人
を呼んで盛り上げてもらおうとしている。
・人に来てもらうためには「必要とされている実感がある」、「自分のやりたいことが出来ている」とい
うことが重要で、生きがいを感じている状態かどうか、安心して暮らせて社会に貢献できるかどうか
という視点や気持ちを刺激していくことが必要と考える。
・何かやろうとする人は、沸々と湧き上がってくるものがあり、それを勧誘して、交流する場を通じて、
「やりたい人やりなよ」という、プレーヤーが増える仕組みを考えてきたが、そのような取組を行っ
ているうちに江津方式のプレーヤー作りが生み出され、生きがいを与えられる人を増やし、上が下を
支援するという循環が生まれてきた。
・プレーヤーが増えることで空間を活用したいという人が増えてくるし、お金がないのなら、空きスペ
ースを使って、どういう空間にしようかという知恵が生まれてくる。
・当法人は、石見という名前がついているが、江津市を中心に活動しており、この地域では、リノベー
ションが活発に行われている。特に、江津市では、てごねっと石見にかかわらず、なにかをやろうと
う動きが始まっており、おもしろい人が自然と増えて、やりたいという人が生まれてくるようになっ
ている。
江津方式のプレーヤー作り
Gocon
ハバタク
特殊な能力を持っていて事業や
プロジェクトを立ち上げている人
トビタツ
ビジネスプランコンテスト
支援
ごうつ道場
これから何かをおこそうと行
動しようとしている人
ココロザス
協働
起業塾
う・まいんど
何かをしたいと心の底
で感じている人
異業種交流会
(資料)てごねっと石見資料より作成
-203-
発信
(2)起業支援
①ビジネスプランコンテスト
・平成 22 年から、Go-con(ごーこん)という江津市主催のビジネスプランコンテストが始まり、今年で
6 回目になる。大賞は 100 万円/件で、大賞受賞者には、最低 1 年間は江津市で活動してもらうという
条件がある。大賞者には、江津商工会議所、桜江町商工会、日本海信金がチームを組んで創業の手伝
いをしている。あわせて、最終審査に残った人にも支援を行っている。
・昨年の受賞者(山口さん)は、浜田市の女性で、地元の農産物とクラフト地ビールをつくるという提
案で、醸造技術を 3 年間で確立し、その技術を市民に提供し、市内各地で地ビールを作る取組を推進
するとともに、オリジナルビールと各地のつまみを持ち寄って年 1 回大会をするというものである。
・その他、魚の雑魚を利用する 6 次産業化、古民家をリノベーションしてパン屋を始めるという提案等
も出された。最近は、ビジネスモデルというより、楽しい状態を作るという取組が多く、江津市の成
長や市民の満足度をあげるような取組が増えている。
・昨年の応募者は 13 件(市内 4 件、県内 3 件、県外 6 件(うち 4 件は東京))で、このようなチャレンジ
する場所があるというだけで人が集まる。
・2回目の大賞受賞者(平下さん)は、ニューヨークで家具のデザインに関わっていた人で、Uターン
で、SUKIMONO というデザインオフィスを立ち上げた。その後、江津市の新しい店舗の多くが、同氏の
デザインで作られている。
52Bar
新しい店舗(SUKIMONO 制作)
・築 100 年以上の古民家の材料を使ったゲストハウスのプランもあり、それは廃材を使ったリノベーシ
ョンと言える。
・テーマは飲食店が多く、西洋の野菜を使った洋食店、レストラン等があるが、江津市を盛り上げるテ
ーマであるかどうか等で評価している。
・課題はエントリー数を増やすことである。県内でも、邑南町、美郷町で同じような取組を行っている
が、市町村単位でやると継続しない傾向がある。1 年目は予算がつくが、2 年目からは、参加者は減る。
・起業したい人を、どうやって集めるかが重要である。応募を増やすために山陰中央新報や行政の広報
誌、店舗の張り出し等でPRしたり、直接、声をかけたりしている。直接話して勧誘する方が効果的
だと考えている。
・応募に際して、
「私なんてそんな大層なことはできない」、
「アイデアがあるが経験がない」、
「事業計画
を書けない」等の理由で、応募はしたいと考えているが踏み出せない人に対して、前向きなアプロー
チをして、てごねっと石見も参加して面白いプランを考えるので、応募してもらうようにお願いして
-204-
いる。また、過去の出場者を紹介したりしている。
・江津市は空き家バンク制度で空き家を提供したり、日本海信金や商工会議所が数字面のフォローを行
う等して、起業のハードルを下げる努力をしている。
②ごうつ道場
・平成 26 年から「ごうつ道場」という経営塾形式で、やりたいが何をしたらいいのかわからない人を盛
り上げ、考えてもらう会を年 6 回開催している。アイデアを集めて発表してもらう会で、ビジネスプ
ランコンテストより縛りが緩いものを開催し、年間受講料を払ってもらっている。
・講師は、島根県内で活動している起業家や Go-con の門下生等で、昨年度は 7 人が受講し、3 人がビジ
ネスプランコンテストに参加した。
・提案者は若い人が多い。外部から応援してくれる人も多く、受講者に仲間意識が芽生えている。
・これは、雲南市の起業塾「幸雲南塾」がスピンオフしたもので、雲南市では 5 年目に入り、毎年 10 人
ほどが参加し、そのつながりが拡大している。もっともっとプレーヤーが欲しいと考えている。
③う・まいんど
・
「う・まいんど」という異業種交流会を行っている。もともとは行政と市民をつながる会というものが
あったが、てごねっと石見の理事(女性)が行政で面白い人がいるので、その人を知ってもらいたい
ということから始まったが、この異業種交流会ができたお蔭で、新しい事業に早く取り組むことがで
きるようになった。
(3)人材育成
・人材育成では、県の委託で、キャリア教育モデル事業を行っている。地域や企業との触れ合いの中で、
中学生に自分のやりたいことを見つけてもらうことを目指している。UIターン者が、なぜ江津に来
たかという価値観が、もしかしたら面白いかもしれないということで、生徒に江津の魅力を話して、
アンケートを行った。実施前は江津が魅力的だと答えた生徒が 1 割だったものが、実施後は 7 割程度
になった。
・企業の人からは働くことは何かということを語ってもらっている。
・10 年~20 年後、江津を作っていく子供たちに、輝いている大人がいることを知ってもらうことが、将
来、外に出ても江津に関わってもらう、戻ってきてもらうことに繋がると考える。
・ロボットサッカーにも取り組んでいる。ITの学習、理工学への関心を高め、学習意欲をあげるため
に、遊びの感覚でロボットがボールをいれるロボカップ・ジュニアの大会にも参加している。ロボッ
トはプログラミングで動き、ボールとロボットにセンサーが付いており、センサーの反応にあわせて
プログラムが実行され、ロボットが動くというものである。
・この大会で、平成 27 年度で閉校になる江津市の跡市小学校(全校生徒 5 人)が全国大会で準優勝した。
熱中すれば、能力が開花する一つの事例として、ロボットだけでなく様々な能力を身に着けるような
活動をしていきたい。例えば、大工がかっこいい建物をつくるというのも能力の 1 つと考える。
・キッズミュージックスクールで、市民団体のオーケストラと一緒に、使われなくなった楽器を集めて
月一回のスクールも開催している。
・起業体験プログラムでは、企業のCSR事業と協力し、小学生を対象に取り組んでいる。プレーヤー
をつくる取組で、生まれた土地で何かをやりたいという人が増えており、高校生になって Go-con に出
すようになってほしいと考えている。
-205-
・江津の高卒の離職率(平成 22 年 3 月卒)が 41.9%で、企業の代表や人事担当を対象に人を大切にする
経営のセミナーも開催している。
(4)地域活性化にむけて
・駅前には江津万葉の里商店街があるが、若者が集まる場所がなく、商店街の活性化に関わる若者が全
くいなかったことから、3 年前に、仲間集めをして若手の人が集まるスペースを作るということで、空
ごーつばー
き店舗(旧喫茶店)を使って52barを作った。
・自分たちで壁を塗って、最低限の費用で、人を呼び込もうとボランティアで、毎週金・土に 6 時から 9
ごーつばー
時に営業した。今は、若い人が集まる場所が 3~4 ヵ所できたので、非営利の活動拠点である52barの
役割が終わったということで、活動を休止しているが、今後の活用方法を検討し、貸館業をすること
を考えている。
・江津駅前銭湯プロジェクトでは、廃業になった銭湯をポリテクカレッジの生徒が改修して、5 年後を目
途に開業を目指している。2013 年の Go-con の特別賞受賞者の提案で、2,000 万円の資金が必要とのこ
とで、ファンづくりをして、クラウドファンディングで 52 万円を集めた。このような銭湯で生まれる
交流を大切にしたいと考えている。
江津駅前銭湯プロジェクト
・跡市地区では、県立大学の生徒にも集まってもらい、小学校の廃校後をどうするかを検討している。
・松平地区では、2 年間空き家だった大きな民家を借りてカフェをやりたいという人とパン屋が連携して、
カフェを 7 月 24 日オープンした。
・本プロジェクトを実施するにあたり、ポリテクカレッジや県立大学、地元のデザインオフィス SUKIMONO
の平下さんも巻き込んで、改装ワークショップイベント(リノベーションキャンプ)を行い、約 150
人が参加した。普通の改装だと費用がかかるので、どうすれば費用を少なくすることができるかを考
え、みんなで何かをやってみようということになり、みんなが楽しみながらボランティアで活動した。
(5)その他
・事務局の渡辺氏は船橋市出身で、平成 26 年 6 月に江津に来て、9 月、てごねっと石見に参加した。東
京で、音楽関係の会社にいたが、都会での生活に疑問を感じ、地方での生活や生き方に関心があり、
それが江津市への移住に繋がった。
・竹内氏は群馬県出身で、地域に密着して成長していける仕事が良いということで、今年 5 月に江津に
移住し、てごねっと石見に参加した。
-206-
4.2.2.江津商工会議所
(所在地:島根県江津市嘉久志町 2306-4
訪問日:平成 27 年 7 月 10 日)
(1)中心市街地活性化
・4 年前に江津駅前活性化推進協議会が立ち上がり、平成 26 年に江津市中心市街地活性化協議会が出来
て、平成 27 年 3 月の基本計画の認定を受けて、中心市街地活性化に取り組んでいる。
・基本計画では、シビックセンターゾーン(まちづくり交付金を活用)と駅前地区ゾーン、商業集積ゾ
ーン(グリーンモール周辺)に分けた整備計画が立てられている。
・中心市街地活性化の 2 期計画では、駅舎を含む駅周辺の整備を予定し、テナントミックスも考えてい
る。
・中心市街地整備推進機構が組織され、当機構に指定された特定非営利活動法人てごねっと石見がまち
づくり会社としての役割を担い、ソフト事業を推進している。
・こうしたなか、ポリテクカレッジの建築系の協力を得て、中心市街地の魅力的な店舗つくりや模擬的
な施設整備を通じて、若い人の店舗づくりの支援を行ってきた。
・駅前では、旧ショッピングモールが 17~18 年前に廃業し、崩落部分やアスベストの問題もあったが、
平成 23 年には、市に寄付してもらった建物を解体し、平成 28 年 8 月のオープンを目指して、市民交
流センター、総合福祉センター、子育てサポートセンター等の複合施設を建設中である。
・また、6~7 年前に廃業したスーパー跡地には、ホテルが建設されている。
・駅前では、商店街の若い人が中心になって 52bar を開設したが、その開設や運営の補助や支援を行っ
てきた。52bar はボランティアでやっていたため、次の段階に入るということで、新しい計画を検討し
ている。
・駅前の空き店舗は、大きな補修が必要な物件は残っているが、それ以外は概ね埋まってしまい、創業
やUIターンで簡単に使える物件はなくなっている。空き店舗であっても 2 階に所有者が居住してい
たり、細々と営業している店舗は残っているが、奥に入ると 4m道路になっておらず、2mくらいの道
路幅となっている。
・駅前地区には、多くの空き家があり、高齢化率も 40%を超えており、建物は大きな改修ができず、中
心市街地活性化基本計画で、時間をかけて専門家を入れて検討していく予定である。
(2)特定非営利活動法人てごねっと石見
・江津市は、特定非営利活動法人てごねっと石見にビジネスコンテストの運営を委託し、商工会議所は
創業計画、融資、労務の支援をしており、てごねっと石見と商工会議所、行政が連携して活動を行っ
ている。中心市街地活性化では、てごねっと石見と当商工会議所とが両輪で動いている。
・てごねっと石見は、理事長が地元の人で、横田理事長と江津万葉の里商店街の会長の主導のもとで、
いろいろキャリアを持った人が協力して成り立っている。地元の人は、若い人の受入に寛容である。
(3)空き家・空き店舗等の活用
・江津商工会議所は、空き店舗活用事業(家賃補助、事業計画作成支援等)に 10 年前から取り組んでい
る。有福温泉では、県や市の助成を得て、当商工会議所が空き店舗(旧寿司店舗)を活用してソバ屋
の開業を支援した。
・飲食店を改良して、進学塾が入った事例もある。
-207-
・江津市には日本製紙の工場があり、社宅があるが、人員削減で縮小となった。昭和 50 年代から平成に
かけて、市が西部地域の造成を行い、現在、西部地区には、住宅地や店舗等が立地し、スーパー、ホ
ームセンターも進出している。
・江津市は定住政策として空き家バンクにも取り組んでおり、空き家の紹介等を行っている。
・小さい町なので連携が容易で、危機感があるなかで、てごねっと石見がリーダーとなった活動により、
若い人が増えている。予算面で行政が支援している。
・本町地区は、街並み環境整備事業で赤瓦を使った歴史的な建物を活用する取組は行っているが、中心
市街地活性に多額のお金をかけているため、後回しになっている。旧役場がイベント等に活用されて
いるが、まだ十分な整備が行われていないので、受入体制も含めて整備が必要と考えている。
・本町地区は中心市街地エリアに隣接する地域で、石州赤瓦と歴史的な街並みを活かした住環境の整備
を図る地区として街並み環境整備事業が実施され、これまで、2 カ所の歴史的建造物の保全や道路美装
化、住宅修景などが実施されている。しかしながら、地域全体としては未整備な個所も多く、中心市
街地との連携活用を進めるためには、情報発信や観光客等の受入体制も含めた整備検討が引き続き必
要と考えている。
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4.3.1.岡山県庁(県民生活部 中山間・地域振興課、土木部都市局建築指導課、住宅課)
(所在地:岡山市北区内山下二丁目 4 番 6 号
訪問日:平成 27 年 8 月 4 日)
(1)空き家関連施策全般
・空き家の総合窓口は建築指導課で担当している。空き家については、県は間接的な関与で、市町村が
行うものを支援している。
・県としては、市町村への情報提供や相互間の連絡調整を行うため、岡山県空家等対策推進協議会を作
る予定である。平成 27 年 5 月に準備会を開催し、8 月末に協議会設置のための会合を予定している。
・協議会には、市町村、関係団体(建築士協会、宅建業協会)が参加し、関係者が集まって、意見交換、
勉強会等を行う予定である。
・国の社会資本整備総合交付金で、矢掛町の山陽道宿場町の古い町並みの保存に取り組んでいる。
一部、倒壊した空き家もあり、谷山邸は一部を撤去し、活用できるところを活用して地域交流施設に
改修するとともに、赤澤・守屋邸、竹内邸は宿泊施設・レストランに改修され、やかげ町屋交流館、
矢掛屋(矢掛屋本館、矢掛屋温浴別館)も整備されている。
・本交付金の空き家再生等推進事業では、1棟1戸でも対象となり、半分は国、半分は市町村が負担し、
空家等対策計画地区等で空き家の除却や活用を支援している。
・矢掛の事業には、過疎債も使われており、元利償還の 7 割は交付税で戻るようになっている。
・矢掛屋は㈱やかげ宿が指定管理者となり、宿泊部門は㈱シャンテが運営している。その設計等は町が
主体になって実施し、規制への対応では、専門家が事務手続き等のコーディネートを行っている。
(2)空き家情報流通システム
・中山間・地域振興課では、移住・定住の促進を担当しており、移住者向けの空き家情報の提供につい
て、平成 22 年 7 月に住宅関連団体と共同で空き家情報流通システムを構築し、運営している。岡山県
内の 23 市町村に空き家バンクがあるが、うち 14 市町が同システムに参加している。参加していない
市町村は、直接、空き家流通に関わりたいという意向がある。
・同システム登録件数は 266 件で、平成 27 年 11 月末までに 116 件の成約があり、その半分程度が県外
からの入居者である。
(3)リノベーション関連等
・平成 21 年度から県の補助で、6 市町村で、お試し住宅の整備を行っている。移住に先立ち、その地域
での暮らしを体験してもらうほか、受入側もどういう人かわかるという利点がある。改修経費は上限
175 万円、県 1/2、市町村 1/2 の補助となっている。
・空き家活用促進事業では、空き家調査助成事業、空き家活用推進員設置助成事業、空き家改修助成事
業があり、空き家改修助成事業では、県外からの移住者が空き家バンク登録物件に 3 年間以上居住の
条件で、市町村に対して改修助成(1/2、上限 50 万円)を行っている。
・農山村サテライトオフィス等誘致事業では、中山間地域等の市町村が空き家や廃校等を活用し、都市
部のICT企業等を誘致する場合、当該市町村に対して改修費(上限 10 百万円)の助成を行っている。
・国の法律については、関連法の緩和等、県や市町村で対応するのは、難しいものもある。
・特定空き家への対応は市町村で行う。県は技術的な助言を行い、勉強会や会合も設定する。
・除却に関する情報サポートも行っており、市町村向けのマニュアルを作っている。相続手続きができ
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ていない物件が問題で、司法書士に相談する等の案内をしている。
・
「明活家(あきや)ストック有効活用推進事業」で、建築士による診断事業(自己資金 2 千円、市町村
30 千円、県 30 千円)も行っている。国の 100%補助で、市町村サポートのため相談窓口も作り、管理
代行等の情報提供、研修、専門相談に対応している。この相談対応は、全国のほとんどの自治体で行
っている。
・他地域の事例として、丹波の篠山市の事例等を聞いたことがある。
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4.3.2.倉敷市役所(建設局 まちづくり部 新市・まちづくり推進課)
(所在地:岡山県倉敷市西中新田 640
訪問日:平成 27 年 7 月 30 日)
(1)全般
・倉敷市では、中心市街地活性化基本計画、まちなみ保全支援制度、まちづくり基金、高梁川流域圏経
済成長戦略事業等で町家や古民家の再生や活用に取り組んでおり、中心市街地活性化基本計画では、
美観地区を町屋・古民家の再生拠点にする取組を行っている。
・民間活力による取組が重要ということで、市の支援の下で、林源十郎商店、奈良萬の小路、くらしき
宵待ち GARDEN 等では、
特定目的会社を設立して、
国や市の補助金等を活用した事業を行ってきている。
・町家・古民家再生の補助は、伝統的建造物群保存地区で 8/10 補助、上限 800 万円、伝統美観保存地区
で 6/10 補助、上限 400 万円、まちづくり基金で 1/2 補助、上限 300 万円(借主 4/5 補助)等、様々な
メニューがある。
・対象となる古民家は、まちづくり基金では、江戸時代から昭和 30 年代、伝建地区では江戸時代だけ等
の基準もある。
・倉敷の中心市街地では、民間活力の活用において、特定目的会社を設立しての取組みを進めている。
・中心市街地活性化のタウンマネジャーは、他の地域では小売業が専門の人が多いが、建築家の人に依
頼している。地元のことを知っている人、歴史・文化やしがらみを知っている人に中心になって動い
てもらっている。
・林源十郎商店は美観地区にあり、平日より土日の方が観光客を中心に来客は多いが、売上は、単価の
高い高級品購入客が多い平日の方が高い。
・くらしき宵待ち GARDEN は敷地の 4/5 を竹林公園に整備し、野外ライブ場なども備え、市民や観光客に
解放している。収益部分は 1/5 だが、中心市街地活性化へ貢献する特定目的会社事業である。
・倉敷市まちづくり基金は、平成 26 年から運用し、一定エリアでまとまって取り組む市民活動や、倉敷
美観地区、下津井(児島地域)及び玉島の町家保存地区等の既存町並み整備支援制度のある地区以外の
貴重な町家や古民家の再生と活用の支援を行っている。
・本基金の交付先は、平成 26 年に 3 件(うち 1 件は児島)
、平成 27 年は 12 件(ゲストハウス 1 件、商
業施設 4 件、貸家 4 件等)
、ソフト事業は 4 件(下津井の美術館再生、玉島の古民家におけるリノベー
ションワークショップ、児島の郷土愛醸成活動、水島マチヅクリ株式会社設立~事業)となっている。
(2)課題
・再生利用の用途変更は、物販、シェアハウス、ゲストハウス、貸家等がある。まちの人は居住者を増
やして、コミュニティを維持したいと考えているし、外資は商業施設整備、いわゆる賑わいを創出し
たいと考えている。
・建築基準法や消防法の規制緩和では、伝建地区、伝美地区で、旧来から住んでいる人は火があぶない
と知っているが、知らない人が来て、火の取扱を間違って火事になっても困る。国の指針によれば、
自治体が決めるとなっているが、どこまでできるのか、先行事例(京都市等)の様子見の状況である。
・永続的に残していくのであれば、事業者が収益をあげる必要があり、民間活力が必要と考える。その
ためには、特定目的会社にして、テナントや持ち主が長期的に事業に取り組む仕組みも必要である。
・美観地区から駅に向けた人の流れがあり、駅前の商店街に美観地区の効果を広げることが必要で、現
在、駅の周りはフードコート化してエリアとしての価値をどう創造するかが課題である。
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・担当者としては、美観地区では町家が望ましいと考えており、収益のターゲットを地域の人にするか、
観光客にするのか、エリアの価値という観点からも考える必要がある。
・倉敷に住みたいという要望はたくさん届くが、物件が追い付かない状況にある。
(3)広域的な取組
・地方中枢拠点都市モデル事業で、倉敷市が中心になって 7 市 3 町で、町屋や古民家を、賑わい拠点、
居住地にしようという取組を行っている。町屋や古民家を地域再生や魅力のある拠点にするとともに、
ロットを集めることで伝統建築の技術伝承に繋げることも考えている。
・倉敷市では、江戸時代から昭和 30 年代までの建物を対象としているが、平成 26 年度には、7 市 3 町で
どういうものが残っているか、外観調査を行った。県の建築士協会に頼んで調査してもらい、高梁川
周辺で 138 件(美観地区を除く)が選ばれた。一方、倉敷市でも中心市街地を調査して、140 件がリス
トアップされたが、実際には 600 件はあると推測される。対象先は居住者がいるところや店舗となっ
ているところも含まれている。
・平成 27 年度は、7 市 3 町から各1件ずつ選んで、家屋詳細調査を行い、どのくらいの補修が必要で、
どのくらいかかるか等を把握する計画である。
・さらに、市の単独予算で、リサーチ会社に委託してマーケティング調査を行い、収益性や採算性を把
握し、商業施設にするのか、貸家にするのか、居住地にするのか等を把握し、それを他の地域にも展
開する予定である。
・今回の調査は、所有者の了承を得て調査しているのではなく、調査者の判断に任せた一方的な調査で
あり、当面、公表は考えていない。
・岡山県には、ヘリテージマネージャー(岡山県地域文化財建造物専門家)という制度があり、7 市 3 町
のヘリテージマネージャーの判断で、古民家が一団で固まっていると考えられるところ、残さないと
いけないと考えるもの、プロの建築家から見て価値のあるもの等を選んでもらっており、どういうも
のを選ぶかは、各々のヘリテージマージャーで判断が異なっている。
・役割分担としては、それぞれの市町で、居住促進を目指すのか、賑わい拠点とするのかを今後考える
ことになる。
(4)今後の方向性
・倉敷に戻ってきてもらい、商売をしてもらう場合、これまで若い人には難しい面もあったが、最近、
25~30 才が中心となるような創業支援スキームができており、勉強会もでき、創業サポート支援も 5
つの商工会議所が連携してサポートセンターを作って指導している。
・マッチングについても、起業したい人を集めて、テナントミックスにも取り組んでいる。
・観光客は増えており、平成 10 年来の活況を呈している。当地域の地域資源が新しい支持を受けている
と考えている。児島のジーンズも欧米の観光客が増えている。
・建築基準法や消防法の規制緩和で町家をどうするか、事業スキームをどうするか、民間活力をどうす
るか(公共はどうするか)
、伝建地区・伝美地区でまちづくりをどうするか、エリアがどうなるか、エ
リアマネジメントをとらえてやっていくのがいいのかどうか等に関心がある。
・資産価値の向上の指標は、飲食・物販で売上・来店目標を掲げて取り組んでもらっており、連携とい
う意味ではイベント件数と人をどれだけ呼び込んだかだろう。売上と来客数が重要と考えている。
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4.3.3 児島商工会議所
(所在地:岡山県倉敷市児島駅前 1-37
訪問日:平成 27 年 8 月 4 日)
(1)取組経緯
・児島地区は 1000 年にも及ぶ干拓地で、江戸時代には塩田で栄え、その後、塩害に強い綿を植えて、繊
維縫製業が盛んになった。
・真田紐→足袋→軍服→学生服→ジーンズと変遷してきた。現在、ジーンズの国内シェアは 3 割強~4 割
を占め、京都の帆布、畳縁の大半は児島で生産される。
・昭和 40(1965)年にマルオ被服(現ビッグジョン)が国産第1号ジーンズ完成(CANTON)同時期に世界
初の洗い加工を開始、昭和 47(1972)年クラボウ(倉敷紡績)と共同で国産デニム染め糸を開発、昭和
48(1973)年に純国産(ALL JAPAN MODEL)の発売を開始した。
・その後、昭和 63(1988)年4月に本州(岡山県)と四国(香川県)を結ぶ瀬戸大橋が開通し、開通前後
は鷲羽山周辺・美観地区は空前の賑わいであったが、直ぐにブームは去り、観光客が激減した。さら
に地場産業の繊維産業では、産業構造の変化により国外へと工場が進出し産業の空洞化が進み生産者
人口が減少、また、商店街(中心市街地)では、車社会による郊外店や大型店の出店により購買人口・
購買力の低下による影響で大きく衰退、シャッター化が進んだ。
・このような中、平成 17 年に児島まちづくり委員会を設置し、味野商店街・児島駅前商店街(中心市街
地)の活性化について協議を開始した。
・平成 18 年には、児島地区の中心市街地活性化基本計画(国の認定)の認定を目指したが、倉敷地区が
認定の動きがでたことにより、1市1ヶ所しか中心市街地エリアが認められないということで、児島
地区は断念した。既に認定に向けて、児島まちづくり委員会では「中心市街地商業活性化策定事業」
の計画書を作成しており、その計画書に基づき味野商店街では空き店舗対策事業、児島駅前商店街で
は朝市事業を中心とした活性化事業の実施に向けて取り組みを検討した。
・平成 20 年 9 月には児島駅前商店街活性化に向けて、朝市事業として「児島駅前三白市(毎月最終日曜
日実施)
」を開始した。平成 21 年 11 月には味野商店街活性化に向けて、空き店舗対策事業として、会
議所内に児島ジーンズストリート協議会を発足させ、商店街の富士銀行跡や中国銀行跡のレトロな建
物を使って、ジーンズショップや雑貨店の誘致を始めた。現在では 32 店舗のショップが児島ジーンズ
ストリート協同組合として加入しており名物商店街として定着してきた。
(2)概況
・児島地区の人口は 7.2 万人で、年間約 700 人の割合で、減少傾向にある。
・当初、住居が隣接している店舗では、アパレル関係の奇抜な格好の人に貸せないという雰囲気があっ
たが、地道に懇親会等で説得し、年間 3~5 店舗ずつ増やしていった。既存店も小物を売らしてほしい
という話も出て来て、徐々に中心市街地の復活への動きがみられるようになった。
・5 年を経て、現在、約 30 店舗が新規加盟し、年間 10 万人の集客がある。ただし、400mの範囲に 30 店
が連なっているわけでなく、店舗間の間隔が広く、まだシャッター街も沢山ある。
・集客数は増加し、購入者数も増加し、購入目的の来街者が多いので、一般的には購入者の割合は 3 割
程度だが、ここではそれを上回る高い購入率となっている。
・各店舗の購入者数の統計があり、従来、来街者は地元の生活者を中心に年間 7 千人であったものが、
平成 25 年には年間 5 万人、今年は年間 10 万人と増加している。
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・空き店舗の家主は、大半が後継者のいない高齢者で、店舗 2 階か、奥に住んでいる場合が多いが、最
近では店舗が営業されることで防犯になるという意見もでてきて、少しずつ調和されて、共に頑張ろ
うという話になっている。
・新しい入居者は、ほとんど 9 割が地元の人で、縫製業の人が自分の店をもちたいということで出店し
ている。企業規模は 5 人未満~100 人を超える企業まである。
・この地域はOEM生産メーカーが多く、また販売ルートの関係で、直営のショップはなく、これまで
は、買いたいという人がいた場合には「岡山市内にある天満屋まで行ってください」という話になっ
ていた。
・30 店舗のうち、20 店舗は自社生産しており、これまで有名ブランドで出していたものを、ここで自分
が製造販売(直営ショップ)するという形になっている。量販店のような値段設定ではなく、付加価
値を付けて職人が作ったプレミアムジーンズで勝負している。デザインはメンバーが作っており、特
別のデザイナーがいるわけではない。
・4 月に「せんいのまち 児島フェスティバル」が開催され、ジーンズストリートエリアでは、ライトニ
ングの稲妻デニムフェス(唯一の地方開催)が開催され、2 日間で 3~4 万人が訪れ、三白市、瀬戸大
橋祭りもあり、全体で 10 万人が訪れ、出店希望のジーンズ業者も多い。
・全国的に有名な企業は少ないが、規模が大きいのは桃太郎ジーンズで、東京に 2 店舗を持っている。
旧郵便局の建物を使っている。
・石畳は、上水の工事に合わせて、平成 20 年に整備し、おしゃれなイメージになった。ジーンズのイメ
ージで舗装しているところもある。ゆるキャラ「Gパンだ」も作っている。
・借り手希望は多く、11 社待ちとなっている。協同組合や商工会議所で空き店舗の借り上げ折衝をして、
提供したいという人も出ており、6 つの空き店舗が見つかっている。
・生業で売ろうという人がほとんどで、歴史ある事業者が在籍する。賃借の契約期間は 2~3 年。改装費
は倉敷市の空き店舗対策事業で 1/3、上限 100 万円まで補助がある。
・外国人の来街者も増えており、国別では、東南アジア系(フィリピン、中国)が多く、最近、欧米系
が増えてきた。
・JRの駅からの距離は、1㎞あり、来街者は大半が車で訪れる。
・観光施設としては、近隣のジーンズビレッジにべティスミスジーンズミュージアムのジーンズ資料館
がある。
・飲食店はもともと地元の人が多い。既存店はシャッター化している。
・近隣に宿泊施設がないが、近くに下津井の古い町並みがあり、昔の旅館をゲストハウスにしたらどう
かという意見はある。
・飲食店については、火を使うので、消防法等の理由から、店舗を借りるネックとなっている。
・推進協議会の事務局は商工会議所で、空き店舗の誘致はホームページ等で発信予定である。最近、プ
レスやメディアへの露出も増え、芸能人が訪れたり、テレビ撮影もある。
・誘致はまだまだだが、よそから見ると成功事例かもしれない。視察も 3~5 件/月ある。
(3)今後の方向性等
・今後、ハードとソフトを充実させ、ジーンズを購入する目的で来街するお父さんと一緒に訪れるお母
さんの休める場所、お子さんの遊べる場所、トイレの整備等が必要と考えている。
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・平日、開いていない店舗もあるので、今後、施設整備等を進めて、日本一の名物商店街になることを
目指している。
・ジーンズストリートを免税店にすることも検討したい。
・JR児島駅はジーンズステーション児島と呼称している。
・ジーンズストリートには、国指定の重要文化財「旧野﨑家住宅」があり、観光の客層が異なるが、コ
ラボができればいいと考えている。
ジーンズストリート
ジーンズビレッジ
(資料)児島商工会議所ホームページ
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4.3.4.岡山市東区役所 総務・地域振興課地域づくり推進室
(所在地:岡山市東区西大寺南一丁目 2 番 4 号
訪問日:平成 27 年 7 月 30 日)
(1)跡地活用の概要
・カネボウ綿糸西大寺工場の跡地のうち、約 8.2ha を岡山市土地開発公社が取得し、残りを民間企業が
取得した(現在、スーパーマーケットなどが営業中)。この約 8.2ha は西大寺「元気な新拠点」と位置
づけられ、3 つのエリア(都市公園エリア、民間活用エリア、公共活用エリア)に分けて整備された。
・都市公園エリアについては、
「第 26 回全国都市緑化おかやまフェア」主会場の一部を活用して西大寺
緑花公園・体験学習施設百花プラザが整備された。現在、岡山市公園協会が指定管理者になって管理
している。
・民間活用エリアについては、エンターテインメント性のある事業を核とした複合型集客事業を公募し、
三菱地所がスポーツエンターテインメントを核として提案したものが採用された。現在、事業用定期
借地により複合施設(西大寺グリーンテラス)が運営されている。施設運営期間は 20 年。
・西大寺グリーンテラスは、フットサル場をはじめ、コーナン(ホームセンター)、ケーズデンキ(家電
量販店)
、MOMIJIYA F.C(スポーツ用品店)などの店舗を併設している。
(2)経緯
・平成7年に岡山市土地開発公社が工場跡地の約 8.2haを取得。平成 10 年には広場の一般開放を行い
平成 12 年からは毎月フリーマーケットを開催し、平成 19 年 3 月まで開放した。平成 21 年には「第 26
回全国都市緑化おかやまフェア」が開催され、フェアの主会場として使用された施設等を有効活用す
るということで、西大寺緑花公園・体験学習施設百花プラザが整備された。さらに平成 23 年 11 月に
は、民間活用エリアに西大寺グリーンテラスがオープンした。また公共活用エリアでは、岡山市東区
役所・東消防署・東水道センターが平成 26 年 11 月に移転し、業務を開始している。
・跡地活用に向けた有識者による協議会で、地域住民へのヒアリングなどを踏まえて5項目の提言がま
とめられた。そのうち、
「公共施設の充実」、「流動人口の集約化(商業施設)」、「交通アクセス」、「空
間づくり(公園、イベント広場)
」の 4 項目は実現したが、
「定住人口の増加策(住宅)
」という項目に
ついては最終的に見送りとなった。
(3)地域振興
・スーパーマーケットなど既存の近隣施設との相乗効果により、他地域からも人を呼ぶことができてい
ると考える。今後、西大寺グリーンテラス周辺や古い街並みが残っている西大寺観音院周辺など西大
寺地域中心市街地の回遊性をさらに高めることが必要である。
・従来、西大寺観音院に隣接した公園で行われていた西大寺朝市(5 月、8 月、12 月、3 月の年4回開催)
は本年度から、西大寺グリーンテラス駐車場前で開催している。当該施設を整備するにあたり、イベ
ント開催時に使用する出店スペースを確保しており、それを有効に活用することができていると考え
ている。
・平成 27 年 4 月の第2回おかやま西大寺マラソン大会(3 千人規模)では、西大寺緑花公園周辺をスター
ト及びゴール地点として開催された。
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4.4.広島県
4.4.1.呉市役所 都市部住宅政策課
(所在地:広島県呉市中央 4 丁目 1-6
訪問日:平成 27 年 7 月 1 日)
(1)空き家全般
・呉市は、戦前は旧海軍関係者も含め 40 万人の人が旧呉市内に住んでいたが、現在は 23 万人に減った
ことから、空き家率が高い。昔からの家は、傾斜地にあったり、道が狭く車が入れないようなところ
が多い。
・空き家バンクは、平成 17 年 10 月から開始し、現在 43 件登録されている。過去の成約件数は 52 件(う
ち不動産業者・サポートセンター11 件)である。
・空き家バンク登録は、平成 27 年 3 月までは島しょ部だけを対象としていたが、4 月以降、対象地域を
呉市全域に拡大した。それ以降 7 件(中央地区)の登録があったが、ほとんど、駐車場がない物件で
ある。無料でもいいから、引き取ってほしいという話もある。なお、空き家の登録は、不動産業者の
民業圧迫への配慮から、これまで島しょ部を中心に進めてきた。
・呉市空き家等の適正管理に関する条例の施行(平成 26 年 1 月 1 日)に伴い、空き家に関する広報活動
を行ったことで、呉市の中央地区の空き家バンク登録物件が出てきたと考える。
・市役所は、空き家バンクへの問合せがあれば、所有者に連絡するだけで、それ以上の仲介業務は行っ
ていない。
・空き家の流通や空き家バンクについては、住宅政策課で担当している。
・解体費用の 30%(上限 30 万円)を補助する解体補助金制度があり、建築指導課が担当している。解体
には 150~200 万円程度の費用がかかる。危険な家屋については、住民から 300 件程度の情報が入って
おり、建築指導課が現地を確認する等の対応をしている。
・本年度、水道閉栓データ、資産税データ等により抽出した空き家候補の実態調査を行っている。
・来年度は、所有者の意向を把握し、
「貸してもいい」、
「売ってもいい」という物件を流通に繋げること
で定住促進に繋げていきたい。改修に伴う補助金は出していないし、これまで、行政として、個人の
財産なので改修費を出すという考えはなかった。
(2)空き家の活用
・空き家を利用するには、リフォームが必要で、そのままだと住めない。高く売れそうな物件は不動産
会社に相談したほうがいいのではないかとアドバイスする。
・空き家の利用事例としては、別荘としての利用が多く、釣りが好きな人(東広島市の人)が借りると
か、田舎暮らしがしたい人(大阪市の人)が借りるという事例がある。今年度も蒲刈の物件は、別荘
として売却された。
・大崎下島の豊町御手洗地区の空き家は 4 割で、所有者が人に貸そうとしないため、登録物件がない。
古民家を宿泊施設にすることは、消防法に対応するために設備投資がかかる。重要伝統的建造物群保
存地区であり、外観の修理には国から 8 割の補助が出るが、内装の修理には補助制度はない。
・御手洗地区で古民家を使って、カフェをしている井上さんは、呉に住んで、土日だけ御手洗でカフェ
を営業している。古民家がギャラリー等に使われている事例もある。現在、観光案内所として利用し
ている古民家は立地が良く、寄付してもらったものを改修して利用している。他にも古民家を利用し
てほしいとの話はあるが、御手洗地区の空き家は痛みが激しく、維持費がかかり、断ることが多い。
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・NPO が運営する空き家を活用した、両城地区の「石段の家」は、観光客誘致に役立てることを目的に整
備されたが、高台にあり、来客が多いという感じではない。2 号館を作るという話は出ている。
・空き家を使った高齢者サロンの事例はある。
(3)課題等
・呉市の物件は、不便なところや傾斜地にあり、安い値段でないと売れにくい。平地の物件は売れるか
どうかは値段次第で、高くすると売れない。
・呉市には、車が入れないようなところが多く、高齢者等には買物が不便である。また、焼山地区の団
地でも建物が古くなったり、坂道が多いので、平地のマンションに移る人も増えている。通勤圏内で
もある東広島市の土地が安く、そこに移り住む若者が増えている。
・移住するには、仕事が必要だが、選択肢が少ない。島しょ部に移住するには、自分で仕事を作る(自
営)か、離れた職場に通勤するしかない。
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4.4.2.廿日市市役所(分権政策部 シティプロモーション室)
(所在地:広島県廿日市市下平良一丁目 11 番 11 号
訪問日:平成 27 年 7 月 7 日)
(1)空き家バンクと定住促進
・平成 18 年度から空き家バンク制度を開始して、当初、民間業者が扱わない吉和・佐伯・宮島地域の物
件を対象としていたが、平成 24 年度からは全市の物件を対象とすることになった。
・成約件数は平成 24 年度 4 件、25 年度 2 件、26 年度 4 件で、空き家の登録件数は佐伯・吉和が多く、
宮島はない。物件登録は賃貸での登録が多い。
・現在、3 件の物件を公開しているが、1 件はほぼ契約ができる段階にある。登録されれば契約に結び付
くが、物件が少ないことが課題である。登録物件への問合せは、廿日市市・広島市からのものが多い。
・登録物件が少ない理由は、
「定期的に利用している」、
「盆に帰る」、
「家財処分していない」等で、貸す
ことへのハードルがある。
・移住希望の登録は 55 件程度あり、県外が 1/3 程度を占める。宮島は商売をしたい人が登録している。
家庭菜園をしたい、芸術系をしたいという内容が多く、年齢は 50 代以降で、定年後の人が多い。こう
したことから判断して、田舎暮らしのニーズはあると考える。
・昔のスーパーの店舗を倉庫代わりに使う事例や山でカフェをやりたいという人もいる。
・改修補助金は、家族構成によって区分し、100 万円の 1 割(10 万円)が上限で、家族構成により最大 40
万円になるが、その活用事例はない。活用されていないのは、補助の割合が低いことが主な理由では
ないかと考えており、本補助金は貸主・借主ともに活用できるが、借りている物件で、100 万円の改修
費が発生した場合、
最大 40 万円の補助があっても 60 万円を自己負担するかというと難しい面もある。
・危険家屋は多くないと考えるが、空き家の調査等はこれから検討する。
・沿岸部では民間で取引されており、行政が介入する必要はないと考えている。行政としては、中山間
地域を対象に地域の人と協力して物件の掘り起しを行い、コミュニティ組織と連携して空き家を活用
していこうとしている。
・転入してもらう場合、顔合わせまでは行政が支援して、物件案内まではする。契約手続きは宅建協会
の会員派遣制度を活用することができる。契約後の受入の際には、行政も立ち会う。
・空き家は条件のいいところ、水道が繋がっているところは流通しやすいが、電気が繋がっていないと
ころもあり、どこで線を引くか(どこまで取り扱うか)がはっきりしていない。空き家を貸したいと
いわれると、行政は、どのような物件でも受けないといけない。
・空き家バンクは定住促進のためにあると位置付けており、関係する部内間で協議をして、魅力発信に
繋げることが必要と考える。
・地元と連携して定住促進につなげていきたいが、定住希望者のニーズは「安さ」である。借りる人に
とっては、中山間地域の物件は安く、3 万円程度/月の家賃で済むというメリットがある。
(2)団地の空洞化対策
・団地については、平成 22 年度に廿日市ニュータウンと八坂サンランドで、空洞化対策を検討して、ワ
ークショップでハザードマップを作成したり、コミュニティ活動を推進したりしている。
・広島市が団地活性化をめざして、廿日市市の団地が佐伯区の団地に似ているということで、声掛けが
あったので合同シンポジウムに参加した。
・大野町の人口は増えているし、旧廿日市市の団地の人口は減っているが、現時点では、それほど深刻
-219-
ではないと考えている。子供が出ていき、団地の高齢化が進んでも親は残っていて、例えば、阿品台
でもまだ団塊の世代が住んでいて、空き家という面では、深刻ではない。
(3)空き家等の活用
・空き家の活用という事例では、大虫地区の楠田さん(栃木県から移住)の記事が中国新聞で月 1 回掲載
されている。
・宮島では、カフェを開くなど、民間ベースでの動きはある。宮島は市場価値が高く、重伝建の指定を
うけようとしているが、現状では国立公園内であるため、文化庁の手続きが必要になる等、制約が多
い。重伝建の指定を受ければ、補助対象となる。
・古民家を歴史資料館等に利用した事例がある。平成 27 年度に小学校の統廃合があり、廃校となった玖
島小学校や浅原小学校の活用方法は検討中である。
・地御前では、イオンの閉店で、建物の 1 階にJAの産直市ができている。
・大野のサントリーの跡地には、太陽光パネルが設置されている。
・宮島の商店街入り口の建物は、広島経済大学が大学の施設にしている。
・宮島の旧役場は耐震構造の問題で使えなくなって、旧広銀の支店を支所にしている。
(4)その他
・起業創業支援では、創業者同士の交流支援・マッチングが重要で、インキュベーション施設は廿日市
商工保健会館にある。
・中心市街地の改修補助は制度見直しで廃止された。
・市街化調整区域は新しい家が建てられないが、今後、転換点を迎えるのではないかと考える。
・古民家には農地付の場合も多いが、農地の貸し借りは 1ha の制限がある。しかし、その広さで、農業
をできる人は少ない。農業、商業、建築関連の部署が連携する必要がある。世相に合わせて規制緩和
していく必要がある。
・吉和の道路沿いでは、圃場整備されており、宅地にできない。宅地として残っているのは条件の悪い
ところになる。
・市、県、国の権限があるが、農地は農業委員会の審議が必要だが、自治体で広さを決めることができ
る。何年か前に、貸し借り制限の面積を 3ha から 1ha に変更している。
・耕作放棄地についても、所有者に連絡をとって対応することまではしていないが、いずれそうなるか
もしれない。
-220-
4.4.3.株式会社マエダハウジング
(所在地:広島県安芸郡府中町鶴江 1-22-6
訪問日:平成 27 年 7 月 9 日)
(1)設立経緯
・前田社長は、岡山県出身で、マツダ、大手リフォーム会社勤務後、27 歳のとき独立して、広島市安佐
南区で、リフォーム会社を立ち上げた経歴を持つ。大手リフォーム会社で勤務しているとき、売った
ら終わりの世界で、継続的な顧客へのサービスがないことに疑問を持つ一方で、リフォームは面白い
と考えた。独立後、個別訪問等を続けるなかで、エリアを絞り、地域密着で、10~30 年にわたって顧
客と付き合っていくことが重要と考えた。
・当社は、リフォーム事業がメインで、リフォームを前提とした不動産事業も 9 年前にスタートし、中
古物件をリノベーションする事業を行っている。
(2)事業概要と経営戦略
・安佐南区や土地勘のある府中町等を中心に営業を展開し、現在、府中町だけで 1,680 軒の顧客があり、
それらの顧客に対して疎かな対応はできないと考えている。
・リフォームはリピートが生命線であり、顧客に喜んでもらい、顧客からリピートや顧客紹介をしても
らっている。かつて、リフォームはもうからないと言われたことがあるが、当社では、売上の大半は
リフォーム事業である。しかし、リフォームの業界に、最近、アマゾンやグリーが参入してきた。
・従来は水回りの補修を行っていたが、エディオンが参入して、価格面で大手には対抗できないと考え、
水回り関連事業はやめた。
・従業員は 60 人で、職人等 50 社が参加した協力業者会「前進会」を作り、研修等も行っている。
・中古物件は、顧客にとっては「費用が安くできるが、一生住むことを考えると、1 軒を見るだけでは不安
で、10 軒くらい見ると、どうしたらいいかわからなくなる」という人が多く、どうすればいいかという
相談がある。そのような顧客に対応するために、中古リノベーションセミナーを毎月開催している。
・これまで、リフォームした人、リフォームしたい人等、1万数千人から話を聞いてきた。リフォーム
してよかった、あるいは失敗したという人の話を整理すると、法則がわかってきたので、それをブラ
ッシュアップして、中古リノベーションセミナー等に活かしている。
(3)市場の動向等
①全般
・国は、平成 18 年に住生活基本法で、フロー(壊して建てる)からストック(いまあるものを活用)に
視点を移すということで政策転換し、中古住宅・リフォームトータルプラン検討会で、質のいい中古
住宅を普及していくことを提言している。
・中古住宅等の評価を行うホームインスペクターズ協会という組織があり、当社も入会しているが、第 3
者が評価するホームインスペクター制度があり、6 万円/軒(小屋裏 1 万円、床下 1 万円追加)で対応
することができる。現在、日本では 4~5%しか普及していないが、今後、増えると考えている。
・広島は山を切り開いて宅地化しているところが多く、顧客から平地がいいと言われるが、価格が高く
なるため、30 代を中心に中古物件への関心が高まっている。また、高齢化で、病院や買い物が便利な
平地に降りてくる高齢者も増え、中古マンション等をリフォームして住む人が増えている。
-221-
②顧客と業者の動向
・中古物件の場合、
「物件探し」
、
「リフォーム」、
「資金計画」を同時進行で行わないといけない。顧客に
は、リフォームの費用がわからないし、不動産業者は早く売ることを考え、リフォームの提案はあま
りしない。リフレッシュリフォームで、内装が 300~900 万円かかり、フルスケルトンをリフォームす
ると 700 万円以上かかり、顧客が買わなくなっては困るので、不動産業者はそれを避けようとする。
こうしたことから、中古物件のリフォームの提案は、あまり行われていない。
・また、不動産業者は、中古物件を買い、表面だけ改修して売ろうとするところも多い。売主が改修費
用は負担するので、売り主はできるだけリフォームにお金をかけないようにする。売ろうとしても、
売り主は新築で買った物件の価値が下がり、ローンの残高が売却価格を下回り差額の負担が発生する
ので、売れないという話になる。
・一般的に、主婦は、リビングを開けて、その好き嫌いで買うか買わないかを決める傾向がある。築 30
~40 年たつと、内装はきれいでも、給排水管までは補修していないものもある。売るための見栄えを
よくするためのリフォームが行われている。
・物件探しは、何のために家を持つかから始まる。建売、マンション、中古、賃貸のどれを選ぶかであ
るが、まず物件探しをするという相談が増えてきた。
・住宅展示場を見に行くと、業者は新築を売ろうとする。高度成長の時代から、新築を売り、ハウスメ
ーカーは規格化し大量生産して提供するということを繰り返してきたが、それは人口が増加すること
を前提としたビジネスモデルである。今の 60 代は、これは売れているといえば、それにしようという
話になるが、若い 30 代の世代は、自分が好きか嫌いかで決める。画一的なものは嫌う傾向があるので、
自分たちの価値観を押し付けてはいけないと考えている。
・昔は、陽のあたる南側に応接間を作っていたが、今はたまに来る人のために応接間を作るより、リビ
ングを広くして、普段使うところをよくするようになっている。価値観が変わり、中古への抵抗もな
くなっている。ビンテージの人気が出て、古いものへの関心が高まっている。
・若い人はローンで生活を切り詰めるより、今の生活を楽しむという人が増え、返済でのボーナス払い
を選ぶ人も減っている。
・最近、施主施工が増えており、前田社長も、中古マンションを全面リノベーションして住んでいる。
広島リノスタイル
④その他
・
「広島リノスタイル」というリノベーションやリフォ
ームを紹介する冊子をシリーズで発行しており、リ
ノベーションの事例では、40 代の独身女性が、中区
の中古マンションを 800 万円で購入して 740 万円で
改修(その後結婚し、購入金額以上で売却)した事
例とか、マンションの狭い玄関を大きくした事例等
を掲載している。
・住宅のコンバージョンで、カフェや人が集まる場所
に変える事例、古民家再生の事例も紹介している。
-222-
4.4.4.特定非営利活動法人ぬまくま民家を大切にする会
(所在地:広島県福山市沼隈町大字草深 1267-2
訪問日:平成 27 年 8 月 4 日、平成 27 年 12 月 18 日)
(1)取組経緯
・平成 7 年に日本民俗建築学会(民俗学と建築学)が平家谷(沼隈町横倉)の築 300~400 年以上の建物
を 3 年間かけて調査した。当時の生活が残っている建築物として高い評価を受けたが、他の地域に出
て行ったり、亡くなったりで空き家になっているということで、元の沼隈町長をはじめ地元の有志が
中心となって、その古民家再生に取り組んできた。
・それらの古民家は、伝統的な木造建築の技術(地元の材木で作られており、曲がりくねった材木が使
われている)
、昔ながらの暮らしぶりがうかがえる(襖で仕切られた住まい)
。
・そのような建築技術と古民家での暮らしを残そうと活動している。
・横倉地区の民家は、昭和 10 年代 70~80 戸あったが、現在 46 戸になっている。
・広島大学の建築の佐藤名誉教授に、このように古民家が集中しているところはないと評価され、当法
人も協力して、古民家の平面図を作成して、その記録を保存している。
(2)法人概要
・当NPO法人には、現在、約 100 人の会員がおり、古民家に関心のある人達から構成される。合力(こ
うろく)の精神で、元沼隈町長をはじめ 11 人の理事を中心に活動している。
(3)取組概要
・古民家の再生には、空き家となって放置されたり、新築するために撤去される古民家の古材や家具を
譲り受けて再利用している。これまでに 40 軒以上の再生に関わっている。再生に当たって補助金は利
用していない。
・施工は、伝統的な木造建築の技術に習熟している大工の集団である地元の工務店に依頼している。
・空き家になって放置されている古民家の所有者は、譲渡したり他人に貸借することに踏み切れない。
父祖伝来の住処を放棄することに抵抗感がある。そのために古民家の再生運動が進め難い。
・他地域の古民家再生事業は営業を目的に行っているところが多く見受けられるが、当法人では、住ま
いの再生を考えて、既に再生された古民家に案内して「急がないで、あわてないで直しなさい」とい
う対応をしている。
・古民家を再生して、現在快適な現代の暮らしを享受している方々は例外なく、
「直して良かった」と言
ってくれている。また、
「民家再生リサイクル協会」の全国大会を当地で開催し、当会の取組が評価さ
れた。また、
「古いものを大切にする」生き方に共感する仲間が次第に増えている。
・飛び込みで、古木を利用して改修しませんかという話をもちかけても信用されないので、NPO法人
を設立して、古民家再生に取り組むこととした。
・築何百年もの古民家を改築して快適に住んでもらうためには、台所、風呂、トイレ等の水回りを近代
化しなければならない。日本間等は現状を生かして補強し、出来るだけ古民家の味わいを残しながら、
再生の経費を節減できるようにしていきたい。
(4)その他
・かつて、柿渋の日本三大産地の一つであった備後渋の最後の工場(尾道市高須町)から機械と設備一
切を譲り受け、尾道市浦崎町に移設し、郷土の伝統産業として継承している。
-223-
・柿渋の材料である渋柿の確保が課題で、柿の植林を計画中である。
・平成 27 年 5 月に、廃校(山南小横倉分校)を利用した「丘の上のつるばらや」がオープンし、Uター
ンした庭師が校舎の 1 階部分を店舗に改修し、バラの苗やガーデン雑貨を販売している。
村川邸(再生事例)
丘の上のつるばらや
農村カフェ WinWin(再生事例)
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4.4.5.特定非営利活動法人尾道空き家再生プロジェクト
(所在地:広島県尾道市三軒家町 3-23
訪問日:平成 27 年 12 月 18 日)
(1)事業概要
・当法人は、専属 6 人(必要に応じて 2~3 人追加)、アルバイトやパート 10 人で構成されている。事務
所は、元の洋品店で、2 階は NPO の事務所兼子連れサロンにしている。
・当法人は、再生した小さな物件を貸したり、尾道市から空き家バンクの管理委託を受ける等の事業活
動を行いながら、空き家再生に取り組んでいる。これまで、20 軒の古民家再生を行い、再生後は、事
務所、サロン、住宅、貸しスペース等に使われている。
新開地区と商店街を結ぶ地域の空き家の活用には関わっているが、新開地区は空き家バンクの対象外
となっている。
・NPOには 207 人の会員がおり、ボランティアで、空き家の改修作業(内装や土嚢の運搬等)に関わ
ってもらっている。会員に「都合の良いときに来てください」と一斉にメール送信し、協力を得てい
る。
・空き家に残った荷物の処理は、
「蚤の市」を活用する。所有者に「蚤の市」をしても良いかどうかを尋
ねて、
「良いものは手元に取って置いてください」と言う。仏壇は自分で処理してもらい、布団は捨て
る。食器や古本、リメイクして使えるものは陳列し直して、
「欲しいひとは取りに来てください」と伝
え、それを持ち帰る人には投げ銭をしてもらっている。希望者に好きなものを持っていってもらうと、
荷物処理の労力を削減できる。
・宮大工や数寄屋大工が構造を直しているが、職人としての技術者の育成にも役立っている。尾道が船
で栄えた時代は、荷揚げ屋がいて、現場の担当は大工であったが、今は大工が荷物も運ばないといけ
ない。本プロジェクトでは、運搬や解体はNPOで担当し、ここは大工、ここはボランティアやワー
クショップというようにすみ分けをするような体制づくりの実証試験を行っている。大きな仕事をす
る場合、フォーメーションができないと対応できないし、文化財級のものを直すことはできない。
・古民家は、傷んでいなければ、基本的には残し、それぞれの傷み具合で、付け加えるものは付け加え
て、家の価値を下げないようにしている。ただし、古い配管は交換している。
(2)課題
①規制緩和
・用途変更は、できる範囲で対応している。これまで取扱ってきた空き家は、10 坪、20 坪以下なので用
途変更は必要ない。
・
「あなごのねどこ」
(100 坪)は、カフェと宿泊施設に分けて利用し、用途変更で建物を壊さないように
している。
・
「みはらし亭」は、もともとの用途が旅館なので、用途変更は必要なく、耐震構造については、建築士
に調べてどうすればよいかを相談し、まず鉄骨を入れて耐震性をクリアーした。
・安全性は大切で、最低限の安全は守る必要がある。新築と同じ耐震基準は無理だが、耐震補強は必要
である。全体の姿は変えないで、石垣は直している。また、自動火災報知機は設置するが、300 ㎡以上
はないのでスプリンクラーの設置までは必要ない。
・都市部での簡易宿泊所の火災の影響を受けて、規制が厳しくなり、小規模の宿泊施設でも自動火災報
知機(100 万円)の設置が義務付けられるようになった。商売をギリギリでやっているところでは大変
-225-
である。都市部と同じ規制がかかってきて、自らを守るとか、自らが判断するのではなく、民間が自
立できないような方向を目指す管理社会となっているように感じる。
・特区の動きはあるが、特区指定で観光地になって、収益目的により質の悪いものが提供される可能性
がある。
・空き家再生は手弁当でやっているのに、基準に合わないと役所から一回でダメといわれる。
②資金確保と収益
・個人でプロジェクトを動かす場合、イニシャルコストが問題になり、「あなごのねどこ」は 20 万円の
尾道市の沿道修景補助金を活用しただけで、残りは自己資金で対応した。
・
「みはらし亭」は、年間 1,800 万円をかけて直している。日本政策金融公庫からの 500 万円の借り入れ
で対応している。審査が厳しく、3 年間の事業計画が必要になる。改修には助成金も活用し、さらには
クラウドファンディングも行っている。クラウドファンディングという手法は、根付いてきており、1
口 3 千円で、全国から資金が集まっている。
・NPOの活動は、ボランティアという意識が強く、特にアート系やまちづくり系NPOは業として成
り立っていないので、イニシャルコストだけでも借り入れができたらと考える。
・
「あなごのねどこ」は春休みや夏休みは稼働率 100%で、収益があがっている。本当の旅がわかってい
る人、一人旅の人に使っていただくことを目的にしている。
・アート系の人は、収益が上がると、アートの質が落ちるといわれ、パトロンがいないと難しい面があ
る。町の文化度を上げる活動と経済発展に向けた企業活動の両輪がないと、街全体の質を上げること
は難しい。
・尾道市には、文化財が数多くあり、民間の文化財は持ち主だけが守るのは大変である。
・登録文化財の利用を民間が行う場合、皆で文化財を利用しながら、そこで維持管理していける仕組み
を作る必要がある。
・行政と実験的に一緒にやってみようという取組を行っているが、尾道には職人さんがいないし、大手
業者は見積も作ってくれない。
(3)移住
・脱サラで移住してきた人は身分保証がないと、お金を借りることができない。志があって、尾道に住
もうという人は 20~30 代が多く、大工作業に入ってもらったりしている。最近、20~30 万円の補助が
出るようになって助かっている。
・古い家に住んで何かをしてもらうことは商店街も助かるし、イニシャルコストを出して、あとは自立
してもらうことが重要で、借金をかかえて働くことも必要なことだと考える。
・空き家は住んで活かしてくれるだけでもありがたい。田舎暮らしを希望する高齢者等から問合せがあ
った場合、
「尾道は他の地域と違って、坂道があり、車が入らないところに住むことになりますが、生
活できますか」という話をする。移住候補者のターゲットは 20~30 代で、移住してもらうためには、
ソフト面でカバーする必要があるし、定住していける環境づくりが求められている。
・移住者は、漫画家、職人、介護、アーティスト等、手に職を持っている人が多い。家賃の安いところ
に住んで、アルバイトをしながら、製作活動をしている人も多い。自給自足、自営業、家族経営によ
り、カフェや美容師等をやりたいと考えて来る人も多い。
-226-
・尾道には坂と路地があり、近くの山間部にも良さがあり、働く場所もある。その価値を見出して、オ
ンリーワンを目指し、地域の人が再発見し、情報発信をしていくことが必要である。
・移住者や他人の目を入れて、地元の人が連携して、地域に誇りを持つようにならないといけない。出
て行った人が帰りたいと思うようにしていく必要がある。
(4)尾道での空き家再生について
・尾道はチャレンジできる場所で、多様な文化を受け入れる風土があり、手助けする人がいる。尾道で
は、空き家を手放したがる人が多い。
・地方創生では、
「1 次産業」と「小商い」が成り立つような街にすることが必要で、尾道には若い人を
応援しようという気質があって、
「小商い」ができるところであり、商店街にチェーン店がないのは素
晴らしいことだと考える。
事務所(旧洋品店)
・尾道には、働きたい人がいて、空き家がころがっている。それを、特
技があって活かせていない人とマッチングすればよいものになると考
えている。大型の物件をどんどんやる気はない。東尾道のように開発
され過ぎたところでは何をどうしたらいいかわからない。
・本プロジェクトは、地域を磨いていく作業だと考える。ボロボロの空
き家を買って、普通なら壊すのだが、活用したいという、もの好きな
人がいて、空き家再生を始めて 8 年が経ち、その取組がやっと市民権
を得てきたと考える。空き家に対する周りの人の意識が変化しており、
自分の家が日本遺産の一部という意識を持ってもらえたらよいと考え
る。
-227-
4.5.山口県
4.5.1.株式会社まちあい徳山
(所在地:山口県周南市銀南街 17 銀南街ビル 2 階
訪問日:平成 27 年 7 月 21 日)
(1)当社の概要
・当社は平成 22 年設立、資本金は 130 万円で、周南市が 10 万円、商工会議所が 60 万円、商店街等が 60
万円を出資している。
・従業員は 5 名(うち 2 名は子育支援施設)で、その人件費は、自社の収益事業の他、国の補助金で賄
っている。
・河村社長は、当地周辺で飲食店事業を展開する㈱オーパスの 4 代目で、本業と(ボランティアで引き
受けている)まちあい徳山の事業を半々で、こなしており、まちゼミの実行委員長等も務めている。
(2)中心市街地活性化
・平成 25 年 3 月に中心市街地活性化基本計画の認定を受け、JR 徳山駅前商店街の整備が進められ、大型
商業施設が撤退後、減少傾向が続いていた出店数や歩行者通行量も横ばいに転じている。
・平成 30 年 3 月に駅ビルが供用開始され、平成 28 年 1 月には近鉄松下百貨店の跡地に市の仮庁舎が入
居する予定である。
・駅前空きビルのリノベーション整備事業により、空きビルを活用して、不足している市民交流拠点、
小規模商業・サービス業複合施設として整備し、平成 27 年 8 月に開業予定である。
・中心市街地活性化基本計画では、通行量、新規出店数を評価指標としている。
・月一回の割合で、タウンマネジメント会議ワーキング会議を開催し、空き店舗の活用を優先的に考え
ていくための会議も週一回開催している。
・この地域はかつて 30 万人の商圏と言われていた。広島や福岡にないようなコンテンツで、飲食や製造
小売りで、他の地域で売っていないものを出していくことが必要で、商業ソフトを充実させることが
根幹だと考えている。
・駅ビルに 100 台程度の無料駐車場が計画されているがそれでも不足だと考えている。ただし、近隣に
有料駐車場が 1000 台分はある。
その連携が必要だが、まとまっていくだけの種がないのが実情である。
例えばイオンモールの駐車場はテナントが負担しているわけで、仮に商店街に無料の駐車場があった
としても、
「お客が買物に来るか」
、
「今の商店街に魅力がある商品があるのか」と考えてみると、そう
ではないので、単に駐車場がネックになっているわけではないと考える。
(3)中心商店街テナントミックス推進事業
・平成 10 年度から、テナントミックス事業として、徳山商工会議所経由で空き店舗を活用した出店者へ
の補助事業を行ってきたが、利活用が十分でないということで、平成 23 年度から、周南市中心商店街
テナントミックス推進事業ということで、当社がハードルの低い出店支援を行う出店サポートセンタ
ーを立ち上げて、フロントエンド(前処理)をやることになった。
・周南市中心商店街テナントミックス推進事業は、駅前の 9 万㎡(300m×300m)の店舗改装費のうち
上限 100 万円(対象経費の半分)を補助するもので、これまで飲食店の活用が 8 割を占めており、こ
のまま飲食店だけの支援を続けると回遊性が出てこない可能性があるため、平成 27 年度には、物販店
に対して上限 200 万円(対象経費の半分)の補助を予定している。
-228-
・本事業で、平成 23 年度から現在までに 40 店舗の出店があり、40 店舗のうち、30 店舗が当該事業を活
用し、その平均事業費は 100 万円/件で、自己負担を含めて、全体では(店舗内外装で)250~300 万円/
件の投資が行われている。
・当社では、出店者の味方ということで、敷居が高いといわれる商工会議所より、地主との情報交換、
市場ニーズのバックデータ等の提供を通じて、軟らかい事業計画に対応している。
・出店店舗としては飲食店が多く、圧倒的に県内事業者が多い。Uターンの事例もある。若宮町の空き
店舗を活用して、飲食店「漁師めし酒場 灘や」をオープンした鬼武氏(漁師)が地域活性化の牽引役
となっている。
・こうした成功要因は、鬼武氏のような「良いタレント」に出会ったことと、駅前の中心市街地活性化
に向けた動きが始まったことがあげられる。
・出店者には、下松のお肉屋、元のサンフレッチェ広島のストヤノフ(北欧のプレヤー)のブルガリア
料理店、衣料店ロータス、当社の子会社のカフェ minna 等があり、東京からのIターン者もいる。
・改修は、お金をかけずに 15 万円/坪程度、自分たちだけでやれば 10 万円/坪程度かかる。お金をかけ
ると 30 万円/坪かかるが、その場合、賃料が高いと失敗する。自分たちだけがやると安くなるが、む
しろ、自分たちで改修にかける労力を営業等に振り分ける方法も有効と考える。出店者と一緒に物件
から探しながら、売上見込みが立つようにアドバイスをしながら、事業の方向性を探っていくように
している。
(4)今後の方向性等
・河村社長の本業の会社はここで 140 年の歴史があるが、住んでいる街が自慢できる街になってほしい
と考えている。新規出店者には余裕がないが、7~8 年後に、出店者のうち何人かが街づくりを支える
ようになって欲しいし、そこまでが自分の大きな仕事で、時代に合うようにやっていければいいと考
えている。
・当地域には、かつて映画館が2つあったが、平成 27 年 11 月には、そのうち一つがライブハウスにな
る予定である。
・元の衣料品販売店を借り上げて、1~2 階をサブリースし、3~4 階をコアキングオフィスとする計画
(和光リノベーション)で、山口銀行等から構成されるクラウドファンディング運営会社が支援して
いる。
・こういう取組が他の地域で再現性があるかどうかというと、そうではないだろうが、ここでは色々な
環境が整ってきた。
・一足飛びにはいかないが、あの店はここにしかないというものを作っていく必要があり、5 年間の取組
の中で、イメージが出来てきている。
・銀南街ビルは上層部が住居で、120 戸が入居した住居兼店舗となっているが、その他のビルでは住宅兼
店舗は少ない。
・北九州のリノベーションスクールにはスタッフが参加する。
-229-
4.5.2.一般社団法人おんなたちの古民家
(所在地:山口県山口市泉都 10 番 4
訪問日:平成 27 年 7 月 21 日)
(1)事業概要
・山口市を中心とする中山間地域の古民家再生に取り組み、代表は山口市の定住サポーターにも任命さ
れている。
・おんなたちの古民家は、平成 23 年 3 月に設立され、理事 2 名、従業員 2 名で、イベント女子部・職人
のサークル等の 50 名に支えられて活動している。これまで、10 軒の古民家を再生し、利用者に提供し
た。地域別では、山口市が 6 軒で、宇部市、岩国市、広島県廿日市市等がある。当法人が古民家再生
をプロデュースし、デザインや建築士、耐震構造の専門家等に補修等の施工をしてもらっている。
・まず、最初に、移住希望者の拠点や古民家再生のモデルハウスとして、山口市阿東町の築 200 年以上
の古民家を再生した。この古民家は旧阿東町の町長の所有で、空き家バンクに登録されており、それ
を改修して古民家再生のモデルにしようと考えた。
・この古民家の改修には約 2000 万円かかり、阿東町が米どころで、田園風景が広がっていることから、
「田楽庵」という名前をつけて、宿泊施設や拠点施設として平成 25 年の秋にオープンした。
「田楽庵」
での宿泊は、一日 1 組限定で、利用は夏休みが多い。その他、地元の法事等の調理も行っている。
・枠組みは残し、瓦の色を変えた。風呂はなかったので、露天風呂を作り、農家民宿として、宿泊や飲
食ができるようにした。
・安倍昭恵(首相の奥さん)さんとは、以前からタウン誌の取材等で面識があったので、当法人の名誉
会長に就任してもらっている。おしゃれな農作業着「モンペッコ」は、山口県立大学の水谷教授や安
倍昭恵さんが共同研究しており、その「モンペッコ」を着て、平成 26 年 5 月に「田植えフェスティバ
ル」を開催した。
・阿東町の減農薬の米は 1 等級で、平成 27 年 2 月から日本橋高島屋で販売してもらうなど、ブランド化
にも力を入れてきた。
・米粉とパイ生地で米粉スイーツ「もちぺっこ」を作り、また、米粉に焼酎を加えて「和酒彩菓田楽庵」
というお菓子を作り、ともに 6 次産業の事業認定を受けた。このお菓子はドイツのG7サミットで、各
国首脳に配られた。
・地元の人は、最初、挨拶もしてくれないような状態であったが、そのうち「なかなか、やるな」とい
う見方をしてくれるようになった。
・二年前の豪雨災害で、夏祭りが中止になる中、花火大会をしようという話を持ち出し、資金集めで、
住民や地元の土木業者(市の入札業者)等を回り、103 万円の寄付を確保し、35 年ぶりに花火大会を
開催した。
・さらに、地元の 4 農家にも参加してもらい、企業組合「アグリアートジャパン」を平成 27 年 5 月に設
立し、田楽米の生産・加工・販売に加え、定住促進(空き家管理等)を行っている。東京や気仙沼か
ら移住してきた 1 名を雇用し、定住コンシェルジュもいる。
「アグリアートジャパン」の事務局は、
「田
楽庵」にあるが、スタッフは常駐しておらず、来客がある時だけ対応する。
(2)古民家の再生
・空き家は、そのままでは住めないところが多く、再生が必要である。ただし、伝統工法で建築されて
おり、石の上に柱をおき、木組みで作られており、一旦、壊すと、現在の建築基準法では建替えるこ
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とはできない。今の大工が直すのは難しく、昔ながらの職人が必要で、その技術を残す必要があると
考えている。
・移住に関心のある人は、誰に古民家の改修を頼んでいいのか、わからないので、建物の状態等を踏ま
えて、この棟梁がいいとか、このチームがいいとかを紹介する。大手業者の改修費は高いが、地元業
者は安いし、良い仕事をしてくれる。
・古民家が楽しい、面白いということで、4 年前に当法人を立ち上げた。しかし、憧れだけではダメで、
現代の生活やライフスタイルに合わせた再生が必要だが、実際に直すとなると、大変である。
・先祖が残した建物なので、直したいという人もいるし、古民家にも、庄屋・武家屋敷・町家等、色々
な種類があり、壊した方がいいものもある。
おんなたちの古民家の本社
・本社の建物(300 坪)は、山口県でも有名な表
千家の先生(東京在住)が所有しており、7
年間、空き家であった。十分な管理がされて
おり、当法人に借りてほしいという話があっ
て、気に入ったので、本社として使わせても
らっている。
(3)空き家関連事業
・古民家には、室内にゴミ等が残っており、そのゴミ処分をしたら、成約しやすい。アグリアートジャ
パンでは、サブリースという形で、都会に住む持ち主から「1 万円で管理してください」等と頼まれて、
風を通すなどの空き家の管理をしている。
・山口市には空き家バンクがあるが、市内には不動産業者もあり、不動産業者が取り扱わない旧阿東町
や旧徳地町を中心に活動している。賃貸の場合、瑕疵管理責任があり、いろいろな取り決めが必要に
なる。火災保険や雨漏り等の対応も必要になり、維持するのにお金がかかる。もらってくれという話
もある。
・山口市には、空き家バンク改修補助金がある。特に、水回りの補修が必要で、山口市には、空き家バ
ンクに登録された物件であれば、水回りの修理に 30~50 万円出すという補助制度があり、その補修は
当法人に委託してもらうようにしている。
(4)その他
・
「人間会議」2015 年夏号~女性が描く理想の社会~(出版:宣伝会議)、月刊「事業構想」2015 年 5 月
号(発行:事業構想大学院大学出版部)に、これまでの取組が掲載されている。
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