研究課題: 「ホームヘルパーによる援助業務の有効性の検証に関する研究」 代表研究者 : 小松 啓(前 聖隷クリストファー大学社会福祉学部 教授) Ⅰ 研究の動機 ホームヘルパーの在宅高齢者、在宅障害者、生活後退者等の生活支援のための有効性については、各方面ではよ く知られていることであるにも拘わらず、それがなかなか一般社会に伝わらない、伝わらないままに状況はどんど ん厳しいものになっていくという現状がある。旧来ベテランホームヘルパーの名人芸や個人芸に帰するとされてき たホームヘルパーによる支援業務を可視化し、伝達可能なものとして、広く現場のヘルパーにも使える共通の概念 や方法を持ったものにしたいという積年の願望があった。 ホームヘルパーという援助職の危機的状況 厚生労働省の将来的な方針が介護保険では家事援助廃止、介護職の業務は身体介護のみ、家事援助等生活支援は 他の民間機関や有償ボランティア等へ移行という方向性がある。今回の介護保険法改正による、生活支援時間短縮 に見られるように、ホームヘルパーによる生活支援・家事援助の有効性の軽視は明らかである。 研究の経過 ホームヘルパー事例研究会(以下「本研究会」という)は、社会福祉事務所のケースワーカー・保健師・ホームヘルパ ー等によって 1990 年代に発足した東京都 S 区対人援助研究会を母体としている。その後 2001 年に設立されたホームヘ ルパー全国連絡会・1000 の事例研究会との提携のもとにホームヘルパー事例研究会の全国展開が行われ、2007~2009 年にかけて、大学内の共同研究費の助成を受け、2010 年 10 月~2012 年 9 月まで、ニッセイ財団の研究助成の採択を受 けて研究活動を行ってきた。 Ⅱ 研究の目的 ホームヘルパーによる支援業務を伝達可能なものにするための概念化と一般化・明示化。 Ⅲ 研究方法 1.質的研究-ホームヘルパーによる支援事例の研究 ホームヘルパーの支援事例を全国レベルで収集し、各地の事例研究会で検討した。事例収集は 15 年以上の研究 会活動のなかで行われ、その数は 200 以上にのぼるが、今回はニッセイ財団による助成を受けて行われた 2 年間 12 事例研究会において提示された 30 事例に絞り、研究会のテープ録音、テープ起こし、逐語記録の作成を経て、 逐語記録の切片化、分類化により、ホームヘルパーによる支援を表す適切なことばの抽出作業を行った。その適 切なことばの類似性や共通性に着目した上でさらに少数のカテゴリー・概念にまとめた。 2.量的研究-質問紙調査 1)上記質的研究の結果抽出されたホームヘルパーによる支援を表す適切な言葉についての、研究会以外のホーム ヘルパーによる妥当性の検証のための質問紙調査 2)質問紙調査は次のような構成で行われた。 (1)属性:性別、満年齢、介護サービスの種類、雇用形態、勤務形態、勤続年数、事業所の所在地、 (2)職場内外の事例研究会等への参加、ホームヘルパー全国連絡会についての知識の有無 (3)ホームヘルパーによる援助を表す45項目の適切なことばについての検証 質的研究で抽出されたホームヘルパーによる支援を表す45項目の適切なことばを、 便宜上ホームヘルパーによ る支援の5過程に分類し、納得のいくものには○、納得のいかないものには×、判らないものには△をつけて もらった。 (4)実際の現場の支援業務のなかで役にたった適切なことばを上記 45 項目の中から3項目あげてもらう (5)45項目の適切なことば ①援助の基本理念について(3項目) 利用者の権利を守ること 利用者の主体性を尊重すること 尊厳を守ること ②援助の開始時点における適切なことば(7 項目) 本人が望むところからの援助 心地よさの体験 援助のなかで関わりつつ観察する 利用者が大事にしていることを知る 利用者 のこだわりを知る 利用者の生活習慣を知る 利用者の心の世界を理解する ③働きかけの過程についての適切なことば(13 項目) 関係作りの過程 本人の気持ちを汲み取る 共感する 感情の共有 利用者の感情をぶつけてもらう 気持ちを沿わせる そばにいる 生活のなかに入りこんだ援助 家事を通した援助 意欲の引き出し 他人からの援助になれて もらう 利用者が自分の気持ちに折り合いをつけるための援助 利用者に地域とのつながりをすすめるための援助 ④援助の方法についての適切なことば(15 項目) 利用者の自宅での援助 利用者の使い慣れたものを使う援助 さりげない対応 臨機応変の判断 利用者ができないことを補う援 助 家族関係の緩和・調整家族の代替 家族の一員 家族の一員のような役割 家族のように接する援助 家族のようによりそう 援助 友達の替わり 友達のようによりそう援助 連携・チーム作り 社会資源の活用 情報の提供 ⑤援助のゴールについての適切なことば(7 項目) 生活のイメージを取り戻す 生きる意欲を取り戻す 日常生活の維持 生活習慣を大切にした生活、その人らしい生活 利用者の 新しい生活に携わる 地域で生活するようになる Ⅳ 研究結果 1.質的研究の結果 1)使用した事例数 30 事例 2)カテゴリーの抽出経過 (1)事例研究会の逐語記録から抽出された切片の数は534、それを基礎データ(下位コード)とし、意味内容の共 通性を捉えて分類すると45項目の上位コードが抽出された。その45項目を便宜上(質問紙調査の作成上)ホー ムヘルパーによる支援の援助過程と思われる次の5過程に分類した。①援助の基本理念に関わる項目(3項目) 、② 援助の開始時点に関わる項目(7項目) 、③働きかけの過程に関わる項目(13項目) 、④援助の方法に関わる項目 (15項目) 、⑤援助のゴールに関わる項目(7項目)となった。 (2)次に、またこの 45 項目の上位コードをばらばらにし、類似性や共通性を考慮して抽象度をあげてコード化する と次の7つのサブカテゴリー(中概念)に集約された。 (1)利用者の権利を護る援助(3 項目) (2)利用者主体の援助(9 項目)、 (3)さりげない援助(7 項目) (4)在宅・家事援助(4 項目) (5)よりそう援助(12 項目) (6)生きる意欲を引き出す援助(4 項目) (7)地域と結ぶ援助(6 項目) これを関係図にまとめると次のようになる。 2.量的研究・質問紙調査の結果 1)量的研究としての質問紙調査は、平成 24 年 4 月~6 月まで無記名の質問紙調査で、本研 究会共同研究者、研究協力者、研究会メンバー が関わる訪問介護事業所約 30 か所所属の訪問 介護者に対して行われた。 調査票の配布数 2000 に対し、回答数は 475 で、回収率は 23.75%で あった。 2)属性に関する集計結果は省略。 3) ホームヘルパーによる支援を表す適切なこ とば45項目の妥当性についての質問への回答 の集計 回答者475名の80%以上の支持を受けた 項目は、45 項目の内、13項目であった。その内訳は、 「その人らしい生活」 、 「利用者の主体性を尊重すること」 、 「尊厳を護ること」 、 「関わりつつ観察する」 、 「利用者 が大事にしていることを知る」 、 「利用者のこだわりを知る」 、 「生活習慣を知る」 、 「日常生活の維持」 、 「共感する」 、 「本人の気持ちを汲み取る」 、 「利用者ができないことを補う」 、 「臨機応変の判断」 、 「意欲の引き出し」 ,である。 これを先の質的研究で抽出された 7 つのサブカテゴリー(中概念)にあてはめてみると、 「権利を護る項目」が2項目 、 「利用者主体の援助」に含まれる項目が7項目、 「さりげない援助」が2項目 、 「寄 り添う援助」が1項目 、 「生きる意欲を引き出す援助」が1項目 、 「地域と結ぶ援助」 、 「家事援助」の項目に含ま れるものは0項目 であった。 この意味するところを解釈してみると、やはり今回の回答者のホームヘルパーの関心は、あくまでも利用者主体 の支援に集中しており、それがホームヘルパーによる支援の中枢である「在宅・家事援助」の項目や、具体的な援 助方法を表す項目をうわまわって意識されていることが明らかとなった。 4)役に立った3つの項目について 業務を行っていく上で、特に有効と思われた項目を三つあげよという問いであるが、1 位から13位までの13 項目は、 「その人らしい生活」 、 「日常生活の維持」 、 「尊厳を護ること」 、 「生きる意欲を取り戻す」 、 「共感する」 、 「利 用者の主体性を尊重すること」 、 「意欲の引き出し」 、 「臨機応変の判断」 、 「本人の気持ちを汲み取る」 、 「利用者がで きないことを補う援助」 、 「連携・チーム作り」 、 「さりげない対応」 、 「気持ちを沿わせる」であった。 この13項目を先の7つのサブカテゴリー・中概念に当てはめてみると、 (1)利用者の権利を護る援助が 2 項目、 (2)利用者主体の援助が 3 項目 、 (3)さりげない援助が3項目、 (4)在宅・家事援助が0項目、 (5)よりそう援助が2項目、 (6)生きる意欲を引き出す援助が 2 項目 、 (7)地域と結ぶ援助が 1 項目 となっている。 上位コード45項目の妥当性を問う設問の場合と違い、特に(2)「利用者主体の援助」の項目に偏ることもなく、 援助者が利用者の主体性を尊重しながら、利用者のより具体的で前向きな姿勢に向けての支援の方向性を示す項目 が万遍無く選ばれている。 このことは、回答者たちが、あくまでも利用者の主体性を尊重する支援を続けながらも、尚、積極的に利用者と 関わり、生きる意欲の引き出しや利用者の今後の生活設計にも関わっていこうという、ホームヘルパーが単なる家 事代行者のような存在としてあるのではなく、利用者と共に歩むヘルパー支援の姿勢が受け継がれていることがさ らに検証されたと言ってよいであろう。 4)自由記述にみる回答者の傾向 (1)自由記述の記述者数は136名で、回答者全数475名の29.0%であった。 (2)その内容は、次の7つのグループに分けられた。①利用者主体の援助 77 件、②専門職として利用者とは一定の 距離をおいた援助 26 件、③介護保険は介護の現場と乖離している 28 件、④ホームヘルパーの社会的地位や給料の 低さの問題 28 件、⑤本研究の発展を祈る 3 件、⑥逆境のなかでもヘルパーとして頑張る 26 件、⑦キーワードなん か理解不能、給料に見合った介護をするのみ 9 件であった。詳細は省略するが、いずれも真摯に自らの支援を振り 返り、利用者主体の援助を貫こうという意見が多くあり、本研究の意義が裏付けられた思いがするものであった。 3.結論 1)平成22年10月本研究への研究助成開始以来の本研究の目的であるホームヘルパーによる支援の概念化につ いては、まず質的研究の中から抽出され、またホームヘルパーを対象とした質問紙調査からもその正当性がほぼ検 証された次の7つのサブカテゴリー(中概念)が該当する。 「利用者の権利を護る援助」 、 「利用者主体の援助」 、 「さ りげない援助」 、 「在宅・家事援助」 、 「よりそう援助」 、 「生きる意欲を引き出す援助」 、 「地域と結ぶ援助」の7サブ カテゴリー(中概念)である。しかしここで、本研究の目的をより明確にするために、この 7 概念をさらに 1 つの 基本概念・大概念に集約することができるのではないかと考えた。それは「よりそう援助」という概念である。 これは、本研究の質的研究・および質問紙調査の対象者であるホームヘルパーの圧倒的多数によって支持された 「利用者主体の支援」という概念の基本概念として極めて適切であると思われるが、他方、多くのヘルパーによっ て支持された「生きる意欲を引き出す援助」 、 「地域と結ぶ援助」のような利用者の前向きな生活の方向性を表す概 念とは直接的に結び付くものではないと思われるかもしれない。しかしヘルパーによる「よりそう援助」なしに、 利用者の前向きな姿勢が方向づけられることは考え難く、この「よりそう援助」はここでホームヘルパーによる支 援のすべてを表す基本概念・大概念として採用することが可能であると考える。 報告者がこの一つの基本概念・大概念に拘りたい理由はもう一つある。つまりこの概念、サービス利用の入り口 まで利用者と行動を共にするホームヘルパーの緻密で誠実な援助を表す「よりそう援助」という概念は、今日、大 きな社会問題となっている児童虐待や校内虐待、および社会的孤立等の接近困難事例へのアプローチとしてきわめ て有効であることが考えられるからである。 2)また「ホームヘルパーによる支援の有効性の検証」の真の検証は、利用者への満足度調査やインタビュー調査 等を通すことによって可能となる。今回それは叶わず、ヘルパー自身が有効と感じたという面からのみの検証とな った。したがって利用者側からの検証は次からの課題として残った。 さらに今回の検証は、身体介護を中心としたホームヘルパーの支援業務は一応枠外としたことをお断りしたい。 3)最後にホームヘルパーが置かれている今日の危機的状況への支援をお願いして、本報告を終了したい。先に も述べたように今日、介護保険法の改正により、要介護者に対するホームヘルパーによる生活支援の時間の削減 短縮により、支援現場でさまざまな混乱や困難が起こり、要介護者、要援助者の生活を脅かしている。この酷暑 のなか、高齢の利用者の熱中症を防ぐべく、水分補給のため、街中をペットボトルを抱えて走りまわっているホ ームヘルパーの支援業務をご理解いただき、あたたかいご支援をお願いする次第です。 4)ホームヘルパー事例研究会:共同研究者 小川栄二 野田由佳里、 研究協力者 森永伊紀 笹原祐美 山本満智子 櫻庭葉子 石浜恭子 大川敦子、 研究会メンバー 青柳育子 速水亜矢子 三輪道子 佐藤裕美子 椙目純子 下間はるみ 研究課題:「ホームヘルパーによる援助業務の有効性 の検証に関する研究 -ホームヘルパーによる援助の概念化の試みを通して- ホームヘルパー事例研究会 研究代表者 小松啓 共同研究者 小川栄二 野田由佳里 研究協力者 森永伊紀 笹原祐美 山本満智子 櫻庭葉子 石浜恭子 大川敦子 研究会メンバー 青柳育子 速水亜矢子 三輪道子 佐藤裕美子 椙目純子 下間はるみ Ⅰ 研究の動機 (1)ホームヘルパーの在宅高齢者、在宅障害者、 生活後退者等の生活支援のための有効性は、 各方面でよく知られている (2)それがなかなか一般社会に伝わらない、 (3) ホームヘルパーによる援助業務を可視化し、 伝達可能なものとして、現場のヘルパー全員が 使える共通の概念や方法を持ったものにしたい (4)ホームヘルパーという援助職の危機的状況 研究の経過 (1)1990年代の東京都S区対人援助研究会が 母体 (2)2001年に設立されたホームヘルパー全国 連絡会・1000の事例研究会との提携 (3) 2007~2009年にかけて、大学内の共同研 究費の研究助成に採択 (4)ホームヘルパー事例研究会として全国展開 (5)2010年10月~2012年9月まで、ニッセイ財 団の研究助成に採択 Ⅱ 研究の目的 (1)ホームヘルパーによる援助業務を伝達可能 なものにするための概念化と一般化・明示化 (2)概念化されたホームヘルパーによる援助業 務の有効性の検証を行う Ⅲ 研究方法① 1.質的研究-ホームヘルパーによる支援事例の研究・ 分析ー質的記述的方法を用いて概念(カテゴリー)の 抽出を行い、概念間の関係について考察する (1)これまで本研究会が15年以上にわたって行ってき た200以上の事例→今回はニッセイ財団による 助成 を受けて行われた2年間13事例研究会において提供 された31事例 (2)研究会のテープ録音、テープ起こし、逐語記録の作 成を経て、逐語記録の切片化、分類化により、ホーム ヘルパーによる支援を表す適切なことば(キーワード) を抽出し、それをもとに概念化の作業を行う ホームヘルパーによる事例研究の 必要性について (1)1989年ごろからの在宅ケア研究会、1997年からの 東京S区対人援助研究会、2001年からのホームヘ ルパー全国連絡会等によってその必要性が強調さ れ、各種事例研究会が開催される (2)忙しさもあり、従来から記録を不得手とするホーム ヘルパー (3)本研究会では、援助場面再現記録法等の工夫によ り、1事例につき、数回の2人1組の聞き取り作業等 を通して、事例研究会用の記録を作成していった (4)本研究用の事例31についてもそのような長期に渡 る事例記録作成のための作業が行われた Ⅲ 研究方法② 2.量的研究-質問紙調査 質的研究の結果抽出されたホームヘルパー による支援を表す適切な45の言葉(キーワー ド)の、研究会以外のホームヘルパーたちに よるその妥当性の検証のための質問紙調査 Ⅳ 研究結果 1.質的研究の結果(1) 1)2年間の事例研究会の開催場所数 全国7 箇所、13回 2)参加したホームヘルパーを中心とした社会 福祉事業従事者 のべ208名 3)提示された事例数 31事例 Ⅳ 研究結果 1.質的研究の結果(2) 2)カテゴリーの抽出経過 (1)事例研究会の逐語記録から抽出された切片534 を意味内容の類似性・共通性を捉えて分類し、 (2)45項目のホームヘルパーによる援助の適切性を 表すことば(キーワード)として抽出。それを質問紙 調査の回答用紙作成のために、 (3)5つの援助過程の枠組みに沿っておおまかに分類 質的研究で抽出されたホームヘルパーによる支援を表す45の 適切なことば(キーワード)(1) 1.援助の基本理念についての3つのキーワード 「利用者の権利を守ること」、「 利用者の主体性を尊重すること」 「尊厳を守ること」 2.援助の開始時点における7つのキーワード 「本人が望むところからの援助」、「心地よさの体験」、「援助のな かで関わりつつ観察する」、「利用者が大事にしていることを知る」 「利用者のこだわりを知る」、「利用者の生活習慣を知る」 「利用者の心の世界を理解する」 3.働きかけの過程についての13のキーワード 「関係作りの過程」、「本人の気持ちを汲み取る」、「共感する」 「感情の共有」、「利用者の感情をぶつけてもらう」 「気持ちを沿わせる」、「そばにいる」、「 生活のなかに入りこんだ 援助」、「家事を通した援助」、「意欲の引き出し」、「他人からの援 助になれてもらう」、「利用者が自分の気持ちに折り合いをつける 質的研究で抽出されたホームヘルパーによる支援を 表す45の適切なことば(キーワード)の項目ー(2) 4.援助の方法についての15のキーワード 「利用者の自宅での援助」、「利用者の使い慣れたものを使う援 助」、「さりげない対応」、「臨機応変の判断」、「利用者ができない ことを補う援助」、「家族関係の緩和・調整」、「家族の代替」、「家 族の一員」、「家族の一員のような役割」、「家族のように接する援 助」、「家族のようによりそう援助」、「友達の替わり」、「友達のよう によりそう援助」、「連携・チーム作り」、「社会資源の活用」、「情報 の提供」 5.援助のゴールについての7つのキーワード 「生活のイメージを取り戻す」、「生きる意欲を取り戻す」「日常生 活の維持」、「生活習慣を大切にした生活」、「その人らしい生活」、 「利用者の新しい生活に携わる」、「地域で生活するようになる」 7つのサブカテゴリーに集約 この45のキーワードを今一度ばらばらにして、上 位コードとし、そのなかで類似したキーワードを まとめると次の7つのサブカテゴリーに集約され た。 (1)利用者の権利を護る援助(3) (2)利用者主体の援助(9)、 (3)さりげない援助(7) (4)在宅・家事援助(4) (5)よりそう援助(12) (6)生きる意欲を引き出す援助(4) (7)地域と結ぶ援助(6) 45の上位コード(キーワード)→7つのサブカテゴリー →1つのカテゴリーへのコード表 カテゴリー よりそう援助 サブカテゴリー 1 ( 利 ) 用者の権利を護る援助 2 ( 利 ) 用者主体の援助 3 ( さ ) りげない援助 4 ( 在 ) 宅・家事援助 5 ( よ ) りそう援助 6 ( 生 ) きる意欲を引き出す援助 7 ( 地 ) 域と結ぶ援助 上位コード 利用者の権利を守ること 利用者の主体性を尊重すること 尊厳を守ること 援助のなかで関わりつつ観察する 利用者が大事にしていることを知る 利用者のこだわりを知る 利用者の生活習慣を知る 利用者の心の世界を理解する 本人の気持ちを汲み取る 日常生活の維持 生活習慣を大切にした生活 その人らしい生活 本人が望むところからの援助 心地よさの体験 他人からの援助になれてもらう 利用者が自分の気持ちに折り合いをつけるための援助 さりげない対応 臨機応変の判断 利用者ができないことを補う援助 利用者の生活のなかに入りこんだ援助 家事を通した援助 利用者の自宅での援助 利用者の使い慣れたものを使う援助 共感する 感情の共有 利用者の感情をぶつけてもらう 気持ちを沿わせる そばにいる 家族の代替 家族の一員 家族の一員のような役割 家族のように接する援助 家族のようによりそう援助 友達の替わり 友達のようによりそう援助 意欲の引き出し 生活のイメージを取り戻す 生きる意欲を取り戻す 利用者の新しい生活に携わる 利用者に地域とのつながりをすすめるための援助 連携・チーム作り 社会資源の活用 情報の提供 地域で生活するようになる 家族関係の緩和 Ⅳ 研究結果 2. 量的研究・質問紙調査の結果 量的研究としての質問紙調査 調査期間:平成24年4月~6月 調査対象者:本研究会共同研究者、研究協力者、 研究会メンバーが関わる訪問介護事業所約30 か所所属の訪問介護者 目的は抽出された45のキーワードの検証 無記名による質問紙調査 調査票の配布数2000 回答数は475 回収率は23.75% ホームヘルパーによる援助を表す45項目のキーワー ドの妥当性についての質問への回答の集計(1) 475回答の中で回答者の80%以上の支持(「納得で きる」という回答)を得た項目(キーワード)は、45項 目の内、以下の13項目 「その人らしい生活」 「利用者の主体性を尊重すること」 「尊厳を護ること」 「日常生活の維持」 「共感する」 「本人の気持ちを汲み取る」 「利用者ができないことを補う」 ホームヘルパーによる援助を表す45項目のキーワー ドの妥当性についての質問への回答の集計(2) 「臨機応変の判断」 「意欲の引き出し」 「関わりつつ観察する」 「利用者が大事にしていることを知る」 「利用者のこだわりを知る」 「生活習慣を知る」 このことの意味 本研究会で抽出したホームヘルパーによ る援助を表す適切な言葉45項目の内13 項目(キーワード)が、 回答者の80%以上の支持を得た その13項目を先の質的研究でまとめた7つの サブカテゴリーに当てはめる 「権利を護る」のサブカテゴリーに含まれるキーワードが 2 「利用者主体の援助」のサブカテゴリーに含まれるものが 7 「さりげない援助」のサブカテゴリーに含まれるキーワードが 2 「寄り添う援助」のサブカテゴリーに含まれるキーワードが 1 「生きる意欲を引き出す援助」のサブカテゴリーに含まれるキー ワードが 1 「地域と結ぶ援助」のサブカテゴリーに含まれるキーワードが0 「在宅・家事援助」のサブカテゴリーに含まれるキーワードが0 役に立った3つのキーワード 1位から13位まで、13項目(キーワード) 「その人らしい生活」 「日常生活の維持」 「尊厳を護ること」 「共感する」 「利用者の主体性を尊重すること」 「意欲の引き出し」、 役に立った3つのキーワード(2) 「臨機応変の判断」 「本人の気持ちを汲み取る」 「利用者ができないことを補う援助」 「連携・チーム作り」 「さりげない対応」 「気持ちを沿わせる」 「生きる意欲を取り戻す」 この13項目を先の7つの サブカテゴリーに当てはめる 利用者の権利を護る援助が2項目 利用者主体の援助が3項目 さりげない援助が3項目 在宅家事援助が0項目 よりそう援助が2項目 生きる意欲を引き出す援助が2項目 地域と結ぶ援助が1項目 カテゴリーの偏りが無い 上記2つを表にする 回答者80%の支持を得た項目 役に立った3つのキーワード 権利を護る援助 2 2 利用者主体の援助 7 3 さりげない援助 2 3 在宅・家事援助 0 よりそう援助 1 0 生きる意欲を引き出す援 助 2 2 この表の意味するところ (1)今回の回答者のホームヘルパーが「納得するキーワード」は、 「利用者主体の援助」に集中していて、これはホームヘル パーによる支援の中枢である「在宅・家事援助」の項目や、 具体的な援助方法を表す項目をうわまわって意識されてい る (2)他方「役に立った項目」としてあげられているキーワードは 「利用者主体の援助」に偏ることはなく、「生きる意欲の引き 出し」等の利用者の今後の生活設計に係る、より具体的で前 向きな姿勢を問う援助を表すキーワードも満遍なく選ばれて いる Ⅴ.結論(1) 質的研究から抽出されたホームヘルパーによる援助 を表す45のキーワードの内、13のキーワードが 80%以上の本研究の量的調査の回答者から支持を 得た。 Ⅴ.結論(2) 7つのサブカテゴリーの抽出が行われた 「利用者の権利を護る援助」、 「利用者主体の援助」、 「さりげない援助」 「在宅・家事援助」 「よりそう援助」 「生きる意欲を引き出す援助」 「地域と結ぶ援助」 生きる意欲を引き出す援助 利用者の権利を護る援助 よりそう援助 利用者主体の援助 気持ちをそわせる 家事を通した援助 地域とつながる援助 関係図および質問紙調査結果 からの結論的説明 本研究の質問紙調査に表れたその援助の実態は、あくまでも (1)利用者の主体性を尊重する援助でありながらも、尚、積極的 に利用者と関わり、 (2)生きる意欲の引き出しや利用者の今後の生活設計にも関 わっていこうとするものであり、ホームヘルパーが単なる家 事代行者のような存在としてあるのではなく、 (3)利用者と共に歩むヘルパー援助の姿勢が確実に根付いて いることがさらに検証されたと言ってよい 7つのサブカテゴリーから1つのカテゴリー(大概念)に 集約-その意味するもの (1)「よりそう援助」 =「利用者主体の支援」+前向きな生活生きる意欲 の引き出しや利用者の今後の生活設計の方向性 (2)「よりそう援助」は、 児童虐待 校内いじめ 社会的孤立等の問題への アプローチとして有効 「ホームヘルパーによる援助の 有効性の検証」 (1)真の検証は、利用者への満足度調査やイン タビュー調査等を通すことによって可能となる (2)今回はそれは叶わず、ヘルパー自身が有効 と感じたキーワードを選ぶという面からのみ の検証 (3)利用者側からの検証は次からの課題 研究会メンバーにとっての事例研究会の 意味と効用 (1)ホームヘルパーの働きの意味の新しい発見 (2)ディスカッションによる学びあいの発見と効 用ー相互発達 (3)事例研究の意味の発見 (4)明日への活力になる ホームヘルパーが置かれている今日 の危機的状況 (1)介護保険法の改正により、要介護者に対す るホームヘルパーによる生活支援の時間の 削減短縮 (2)要介護者、要援助者の生活を脅かし、さらに 困難にする ご静聴ありがとうございました
© Copyright 2026 Paperzz