監修コメント 本試験は、親水性コーティングカテーテルであれば種類を問わず、 非コーティングカテーテルよりも抜去時の摩擦力が小さく、その 結果として尿道合併症の発生リスクが低くなるという仮説を検証 するために実施されたが、その仮説は否定され、同じ親水性コー ティングカテーテルであっても種類によって抜去時の摩擦力には 大きな違いがあり、場合によっては非コーティングカテーテルより も大きいことが明らかになった。 SpeediCath ® は摩擦力が最も小さかったが、その理由として、 前処置なしにすぐに使用できる ready to use の構造が親水性の 高さや安定性に寄与している可能性が示唆された。カテーテルの 挿入・抜去を繰り返す間欠自己導尿患者では、抜去時の摩擦力が 小さいという特性は、尿道合併症のリスクを軽減し、患者の使用 感を向上させる上で大きな意味を持つ。同じ親水性コーティング カテーテルに分類される自己導尿用カテーテルであっても、その 特性には違いがあることを理解し、患者にとって最適な自己導尿 用カテーテルを選択することが重要である。 スピーディカテを用いた間欠自己導尿で 尿道微小外傷の軽減が示唆されました 製品ラインナップ スピーディカテ CH (シャリエール)はFr(フレンチ)と同規格です。 製品番号 製品名 28506 28508 28510 28512 28514 28608 28610 28612 28408 28410 28412 28414 28490 28492 外径(CH /Fr) 6 8 10 12 14 8 10 12 8 10 12 14 10 12 スピーディカテ 女性用 ネラトン スピーディカテ 30 ネラトン スピーディカテ 男性用 ネラトン スピーディカテ 男性用 チーマン 全長 包装単位 本体価格(税抜) 20 cm 20 cm 20 cm 20 cm 20 cm 30 cm 30 cm 30 cm 39 cm 39 cm 39 cm 39 cm 39 cm 39 cm 30 本 / 箱 30 本 / 箱 30 本 / 箱 30 本 / 箱 30 本 / 箱 30 本 / 箱 30 本 / 箱 30 本 / 箱 30 本 / 箱 30 本 / 箱 30 本 / 箱 30 本 / 箱 30 本 / 箱 30 本 / 箱 ¥6,600(¥220/ 本) ¥6,600(¥220/ 本) ¥6,600(¥220/ 本) ¥6,600(¥220/ 本) ¥6,600(¥220/ 本) ¥6,600(¥220/ 本) ¥6,600(¥220/ 本) ¥6,600(¥220/ 本) ¥6,600(¥220/ 本) ¥6,600(¥220/ 本) ¥6,600(¥220/ 本) ¥6,600(¥220/ 本) ¥6,600(¥220/ 本) ¥6,600(¥220/ 本) サイズ別 カラーコード ( CH / Fr ) 一般的名称 : 間欠泌尿器用カテーテル | JMDNコード : 36125000 | クラス分類 : 管理医療機器(Ⅱ) | 医療機器認証番号 : 219ACBZX00025000 スピーディカテ コンパクト CH (シャリエール)はFr(フレンチ)と同規格です。 カテーテル 使用時 外径 (CH /Fr) 有効長 の全長 製品番号 製品名 28578 28580 28582 28584 スピーディカテ コンパクト 8 10 12 14 7 cm 7 cm 7 cm 7 cm 14 cm 14 cm 14 cm 14 cm 包装単位 本体価格(税抜) 30 本 / 箱 30 本 / 箱 30 本 / 箱 30 本 / 箱 ¥9,000(¥300/ 本) ¥9,000(¥300/ 本) ¥9,000(¥300/ 本) ¥9,000(¥300/ 本) サイズ別 カラーコード ● : ポリウレタン ● ポリビニルピロリドン等張液入りパッケージ 先端 : ソフトでスムーズな 2 孔式側孔 ● 滅菌方法 : 電子線滅菌 ● 手技料 : 在宅自己導尿指導管理料 1,800 点 / 月 : 間歇導尿用ディスポーザブルカテーテル加算 600 点 / 月 ©2012 ELMCOM/Elsevier Japan K.K. All rights reserved. No part of this publication may be reproduced, transmitted or stored in any form or by any means, mechanical or electronic, including photocopying, recording, or through an information storage and retrieval system, without prior permission from the publisher. This publication has been made possible through a grant from Coloplast Co., Ltd. Please refer to the original conflicts of interest statement in the original article. ELMCOM TM is a registered trademark of Elsevier Properties S.A., used under licence. www.coloplast.co.jp 〒102-0074 東京都千代田区九段南2-1-30 イタリア文化会館ビル11F 0120-66-4469 ©2014-08 無断複写・転載を禁じます。 Stensballe J, Looms D, Nielsen PN, Tvede M. European Urology. 2005; 48: 978-983 康介 先生 ( CH / Fr ) 関連する手技料 ● カテーテル材質 Hydrophilic-coated catheters for intermittent catheterisation reduce urethral micro trauma: a prospective, randomised, participant-blinded, crossover study of three different types of catheters. 監修 独立行政法人労働者健康福祉機構 総合せき損センター 泌尿器科部長 木元 一般的名称 : 間欠泌尿器用カテーテル | JMDNコード : 36125000 | クラス分類 : 管理医療機器(Ⅱ) | 医療機器認証番号 : 220ACBZX00051000 製品概要 親水性コーティングカテーテルは間欠自己導尿カテーテル挿入時の尿道微小外傷を 軽減する:3 種類のカテーテルを比較する前向き無作為化単盲検クロスオーバー試験 99018N 要旨 本 試 験 の 目 的 は 、親 水 性 コ ー ティン グ カ テ ー テルで あ る ® と非コーティング SpeediCath ® および LoFric(日本未発売) で挿入時に潤滑ゼリーを使用するタイプのカテーテル (以下、非 コーティングカテーテルと略す)である InCare ® AdvancePlus (日本未発売)の抜去時の摩擦力と尿道微小外傷について比較 検討することである。 本試験は、前向き無作為化単盲検クロスオーバー試験として実施 され、健常男性志願者 49 名が参加した。評価項目はカテーテル 抜去時の摩擦力の比較および尿検査による血尿、亜硝酸塩、白 血球の出現率とし、尿培養による細菌検査、被験者の主観的評価 についても検討した。解析対象は、試験を完了した40 例とした。 最初に、SpeediCath ® 、LoFric ® 、InCare ® Advance Plus それ ぞれのカテーテル抜去時の平均摩擦力について比較したところ、 SpeediCath ® は InCare ® Advance Plus に比べて有意に小さ かったが、LoFric ® は他の 2 つのカテーテルに比べて有意に大き かった。また、親水性コーティングカテーテルは、非コーティング カテーテルに比べて、使用時に顕微鏡的血尿、痛みが少なかっ た。さらに被験者の 93% が親水性コーティングカテーテルの方 が好ましいと回答した。以上の検討から、親水性コーティングカ テーテルは非コーティングカテーテルに比べて、血尿の頻度が低 く、好ましいと感じる被験者が多かった。また、SpeediCath ® は InCare ® Advance Plus に比べて抜去時の摩擦力が小さかった が、LoFric® は摩擦力が大きかった。 背景および目的 間欠自己導尿では、カテーテルの表面性状が尿道合併症、尿路感 染症、患者満足度に影響を及ぼすと考えられる。親水性コーティン グカテーテルは、その表面をポリマー層でコーティングしており、 水分を吸収すると肥厚し、滑らかで滑りやすくなる。そのため、 カテーテル挿入および抜去時の摩擦力が小さくなり、尿道損傷の リスクは低下すると考えられる。 これまでの研究では、脊髄損傷患者に間欠自己導尿で親水性コー ティングカテーテルを用いると尿道炎症が抑制されること、ウサギ による試験では、 親水性コーティングカテーテルを用いると抜去時 の摩擦力が低下し上皮細胞傷害が軽減されること、さらに 2 種の 親水性コーティングカテーテルを比較した臨床試験では抜去時の 摩擦力はカテーテル外層の浸透圧と関連することなどが報告され ている。しかし、親水性コーティングカテーテルと非コーティング カテーテルの抜去時の摩擦力を比較検討した報告はなかった。 そこで、われわれは親水性コーティングカテーテルが非コーティン グカテーテルに比べて抜去時の摩擦力が小さく、尿道微小外傷が 少ないという仮説を立て、その検証を試みた。 本試験の目的は、2 種類の親水性コーティングカテーテルと1種類 の非コーティングカテーテルの抜去時の摩擦力と尿道微小外傷を 比較検討することである。 対象および方法 図 自己導尿用カテーテル抜去時の摩擦力の測定法 被験者は 18 歳以上の健常男性志願者とし、初回受診時に尿検査 SpeediCath® InCare® Advance Plus LoFric® 測定数 摩擦力の平均値(N:ニュートン) 平均値 標準偏差 80 80 80 0.142 0.204 0.284 0.029 0.055 0.129 *1 平均仕事量:カテーテル抜去時に必要な力 (J で表わす) *2 J (Joule) :エネルギー、仕事、熱量、電力量の単位。 1N の力で1m 動かす力 12 5° 赤血球数 / μL 陰性 10/+/25/1+ 80/2+ 200/3+ InCare® Advance Plus 検出数 % 13 33 7 17 4 10 8 20 8 20 SpeediCath® 検出数 17 9 3 8 3 % 42 22 8 20 8 LoFric® 検出数 % 60 15 5 15 5 24 6 2 6 6 結果 2:挿入時の痛みについても優れた評価 カテーテル挿入時の被験者の主観的評価を表 3に示す。Wilcoxon 検定によるカテーテルの比較では、被験者の SpeediCath ® に対 する主観的評価は InCare ® Advance Plus (p<0.0001)および (p=0.049)。また、LoFric ® に対 LoFric ® よりも有意に優れていた する被験者の主観的評価は InCare® Advance Plus に比べて優 れていた (p=0.0059)。 同様に、 カテーテル抜去時の感覚について もカテーテル間に違いが認められ、SpeediCath® に対する被験者 の主観的評価は InCare ® Advance Plus に比べて有意に優れて いた (p=0.0012)。さらに患者の 93%が親水性カテーテルの方が 好ましいと回答した。 有害事象は 2例で3 件が発現した。1例は陰茎の湿疹と尿路感染症 が発現し、もう1例では尿路感染症が発現した。いずれの事象もカ テーテル使用との関連性は否定できなかった。しかし、重篤な有害 事象の発現は認められなかった。 ° 表 3 カテーテル挿入時の被験者の主観的評価 何も感じなかった SpeediCath® % 0 0 挿入されているのを感じたが痛くはなかった 26 65 10 挿入されているのを感じ、少し痛かった 14 35 21 カテーテル挿入時にどのように感じましたか? 被験者は椅子に125 °の角度で座り、カテーテル挿入と抜去のプロセスが見え ないようにカーテンで遮蔽した。カテーテル挿入は特別な研修を受け導尿に熟 練した看護師 2 名が行った。カテーテルは最深部まで挿入し、尿を採取した後、 カテーテルを紐に結び、45 °の角度で牽引して抜去し、摩擦力を測定した。 結果 1:カテーテル抜去時の摩擦力はスピーディカテが有意に小さく、血尿発生率は スピーディカテを含む親水性コーティングカテーテルが有意に低い 本研究に参加したのは 49 名で、そのうち 9 名が試験を完了せずに 中止したため、解析対象は40 名となった。 カテーテル抜去時の平均摩擦力は、SpeediCath ® が 0.142 N と最も小さく、次いで InCare ® Advance Plus が 0.204 N 、最 も大きかったのが LoFric ® の 0. 284 N であり (表 1)、3 種類の カテーテルの平均摩擦力には有意差が認められた ( p<0.0001, A N O VA 解 析)。また、カテーテル の 抜 去に要した平均 仕事 量 * 1 は、S p e e d i Cath ® が 0. 0 37 J * 2 と最も小さく、次いで InCare®Advance Plus が 0.061 J、最も大きかったのが LoFric® の 0.076 J であり、3 種類のカテーテルの抜去に要した平均仕事量 には有意差が認められた (p<0.0001, ANOVA 解析)。これらの カテーテルの種類 表 2 2 回のカテーテル挿入・抜去後の正常尿意時に採取した 尿中の赤血球数 45 (血尿、白血球、亜硝酸塩)陰性で、試験の目的について口頭で説明 を受け、書面による同意が得られた者とした。 試験に使用したカテーテルは、親水性コーティングカテーテルで、 ® 開封後すぐに使用できるタイプの SpeediCath(コロプラスト 社) 、非コーティングカテーテルである InCare ® Advance Plus (Hollister Inc.)、親水性コーティングカテーテルで、使用前に 30 ® 秒間水に浸すタイプの LoFric( AstraTech)の 3 種類とした。 初回受診時に、被験者がどの順番でどのカテーテルを使用するの かをランダムに割り付けた。受診回数は 3 回とし、1回の受診時には 同一のカテーテルを用いて2回ずつ挿入を行い、次回受診まで少な くとも2日以上の間隔をおいた。解析には、3 つすべてのカテーテル を2回ずつ挿入を行った被験者を含めた。 主要評価項目はカテーテル抜去時の摩擦力とし、LRX 張力評価装 置を用いて、10mm/ 秒の抜去速度下で測定した (図)。副次評価 項目は、①尿試験紙で評価した赤血球、白血球、亜硝酸塩、②尿細 菌培養感受性試験で評価した細菌尿の発生率、③カテーテルに対 する被験者の主観的評価とした。 表 1 カテーテル抜去時の平均摩擦力 結果から、SpeediCath ® は LoFric ®、InCare ® Advance Plus と 比較して摩擦力、平均仕事量ともに有意に優れていた。 カテーテル 挿入後の血 尿の発 生率は、親 水性コーティングカ テーテルでは非コーティングカテーテルに比べて有意に低かった (p=0.0006, Friedman 検定) (表 2)。なお、カテーテル挿入前に 採取した尿では赤血球は陰性で、カテーテル挿入前および抜去後 に採取した尿では亜硝酸塩や白血球は陰性であった。 尿培養感受性検査では 6 例が細菌尿と判定されたが、そのうち細 菌数が10 3 CFU/mL 以上の顕著な細菌尿が認められたのは 3 例 のみで、うち 2 例が症候性で抗生剤治療を受けた。また、細菌尿の 発生率にカテーテルの種類による違いはなかった。 挿入されているのを感じ、痛かった 合 計 評価数 InCare® Advance Plus 評価数 % 0 0 LoFric® 評価数 0 % 0 25 17 43 53 23 57 0 0 9 22 0 0 40 100 40 100 40 100 結論 今回の検討から、間欠自己導尿時には親水性コーティングカテー テルを使用することで、血尿の程度によって評価した尿道微小外 傷が軽減できることが示唆された。さらに、多くの被験者は親水 性コーティングカテーテルを好ましいと評価した。しかし、親水性 コーティングカテーテルは総じて非コーティングカテーテルより もカテーテル抜去時の摩擦力が小さいという仮説は否定され、 親水性コーティングカテーテルの中でも SpeediCath ® の抜去時 の平均摩擦力は InCare ® Advance Plus および LoFric ® よりも 小さかったが、もう一方の親水性コーティングカテーテルである LoFric ® の抜去時の摩擦力は非コーティングカテーテルよりも 大きいことが明らかになった。
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