2017年の中国景気の見通し(2016年12月)

浜銀総研
News Release
2016年12月21日
2017年の中国景気の見通し(2016年12月改訂)
-党大会に向けた景気下支え策により、2017年の景気減速テンポは緩やかにとどまる-
---------------------------------- 要 旨 ---------------------------------○2016年7~9月期の中国の実質GDP(国内総生産)は前年比+6.7%と、2四半期連続
で横ばいとなり、一段の減速を回避した。これは、財政支出の拡大や金融緩和の継続に
加えて、ほぼ全国の都市で住宅購入支援策が実施されたことによる効果が大きい。足元
の月次指標をみると、11月の鉱工業の電力消費量が4か月ぶりの高い伸びとなり、個人
消費も自動車関連などで高い伸びを記録するなど、景気は一部で持ち直しの動きもみら
れる。ただ、当局が9月末から不動産取引の引き締め策の対象都市を広げたため、11月
の住宅販売額は2015年12月以来の低い伸びとなり、住宅開発投資も増勢が弱まっている。
○こうしたなかで、12月14~16日に開かれた「中央経済工作会議」では、2017年の習近平
体制の経済運営方針が示された。それによると、2017年秋に開催される中国共産党第19回
全国代表大会(党大会)に向けて、社会安定の維持という大前提の下、経済の安定成長
を重視する方針が打ち出された。すなわち、習近平体制は2017年を「供給側の構造改革
の深化の年」と位置づけながらも、「穏中求進(経済成長を合理的な範囲に維持しなが
ら、経済の質と効率を向上させる)」という基本方針を強調した。その上で、財政面で
は政府がインフラ投資プロジェクトの承認加速や減税措置の追加実施などによって、
「積
極的な財政政策」を継続し、また金融面では「穏健な(中立に近い)金融政策」の方針
の下で、預金準備率の引き下げなどを模索することが見込まれる。その他、実体経済の
振興に注力し、外資を積極的に導入することや、国有企業への民間資本の参加などによっ
て、国有企業の改革を一段と推進することなどが、今回の「中央経済工作会議」で決定
された。
○2017年の中国経済については、成長率が緩やかに鈍化する展開が見込まれる。すなわち、
不動産取引の引き締め策による影響が一部の都市で本格的に現れるとともに、前年の小
型車駆け込み需要の反動減も予想される。ただ、2017年秋には党大会が開催されること
から、習近平体制が求心力を維持するために、同大会に向けて安定成長を目的とする新
たな景気下支え策を打ち出す可能性が高いと考えられる。まず固定資産投資は不動産業
を中心に減速するものの、公共インフラ投資の拡大などに下支えされ、伸び率の鈍化が
小幅なものにとどまると予想される。次に個人消費についても財政出動の強化に伴う雇
用増加の効果により、底堅さが維持される見込みである。他方、輸出に関しても、先進
国の緩やかな経済成長などを映じて、緩やかな回復が予想される。これらの要因により、
2017年の中国経済は減速するものの、そのテンポは緩やかなものにとどまると考えられ
る。以上を踏まえて、中国の2017年の実質GDPは前年比+6.4%になると予測した
(2016年は同+6.7%と予測)。
-----------------------------------------------------------------------------【本件に関するお問い合わせ先】
㈱浜銀総合研究所 調査部 白 鳳翔(Haku Houshou)
TEL 045-225-2375 E-mail: [email protected]
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1.中国の景気の動向
(2016年7~9月期の経済成長は3四半期連続で同水準)
中国国家統計局の発表によると、2016年7~9月期の中国の実質GDP(国内総
生 産 ) は 前 年 比 +6.7% と 、 2 四 半 期 連 続 で 横 ば い と な り 、 一 段 の 減 速 を 回 避 し た 。
7 ~ 9 月 期 に は 、 個 人 消 費 の 動 向 を 表 す 小 売 売 上 高 ( 当 社 試 算 ) が 前 年 比 +10.6%
( 前 期 は 同 +10.3% ) と 伸 び を や や 高 め た ( 図 表 1 ) 。 そ の 内 訳 を み る と 、 習 近 平
体制による小型車減税措置 ( 注 1 )(当初の実施予定期間:2015年10月~2016年12月)
の 効 果 な ど も あ り 、 自 動 車 関 連 ( 4 ~ 6 月 期 : 前 年 比 +7.7 % → 7 ~ 9 月 期 : 同
+11.8%)が10四半期ぶりの高い伸びとなった。
その一方で、7~9月期の通関輸出は前年比-6.7%(前期は同-6.0%)と、6四
半期連続で減少している(図表2)。通関輸出を主要仕向け地別にみると、ASE
AN向け(4~6月期:前年比+1.5%→7~9月期:同-6.5%)が前年割れに転じ、
ま た 米 国 向 け ( 4 ~ 6 月 期 : 同 -10.6% → 7 ~ 9 月 期 : 同 -3.7% ) や E U ( 欧 州 連
合)向け(4~6月期:同-1.0%→7~9月期:同-3.7%)も減少基調が続いてい
る。
また、当社の試算によると、7~9月期の固定資産投資は前年比+7.0%(前期は
同+8.2%)と2四半期連続で減速した。固定資産投資を業種別にみると、習近平 体
制が積極的な財政出動を継続していることを受けて、公共インフラ関連(4~6月
期:前年比+20.0%→7~9月期:同+16.5%)が高めの伸びを維持した。一方、過
剰生産能力の解消に伴う新規設備の抑制に加えて、投資資金の調達が困難になっ た
影 響 も あ り 、 民 間 企 業 を 中 心 に 製 造 業 ( 4 ~ 6 月 期 : 同 +1.8% → 7 ~ 9 月 期 : 同
+2.8%)が依然として低い伸びにとどまった。
( 注 1 )な お 、中 国 財 政 部( 日 本 の 財 務 省 に 相 当 )は 2016年 12月 15日 、2016年 末 で 期 限 を 迎 え る 小 型 車 販 売
の 減 税 措 置 を 2017年 末 に 1 年 延 長 す る と 発 表 し た 。 も っ と も 、 減 税 幅 ( 2015年 10年 ~ 2016年 12月 : 5 % →
2017年 1 ~ 12月 : 2.5% ) は 半 分 に 圧 縮 さ れ る 。
図表1 小売売上高の伸びがやや高まる
前年比、%
20
図表2 輸出と固定資産投資は弱含み
前年比、%
35
30
18
25
16
小売売上高
14
20
12
15
製造業の固定資産投資
公共インフラ関連の固定資産投資
固定資産投資
10
10
5
8
0
6
-5
4
2
-10
うち自動車関連
通関輸出
-15
0
2012
2013
2014
2015
2016
2011年
(注)小売売上高の四半期ベースの数値は中国国家統計局資料より当社が試算し
たもの。
(中国国家統計局)
2012
2013
2014
2015
2016
2011年
(注)四半期ベースの数値は中国国家統計局とCEIC資料より当社が試算したもの。
公共インフラ関連は交通運輸・倉庫・郵便業と水利・環境・公共施設管理業との合
計値。
(中国国家統計局、CEIC)
(足元では実体経済の一部に改善の動き)
こうしたなかで、直近の月次指標は、景気が一部で持ち直していることを示唆している。
まず、企業部門では、11月の鉱工業生産が前年比+6.2%(前月は同+6.1%)と、自動車製
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造(10月:前年比+17.9%→11月:同+19.5%)の増勢拡大もあり、伸びがやや高まった(図
表3)。また、同月の鉱工業の電力消費量は前年比+5.9%(前月は同+4.9%)と、全体の
83%(2015年平均)を占める重工業関連(10月:前年比+4.4%→11月:同+5.7%)の持ち
直しなどを映じて、伸びが4か月ぶりの高水準となった。さらに、11月の製造業PMI(購
買担当者景気指数、財新/マークイット発表)は50.9と、27か月ぶりの高水準だった前月
(51.2)を下回ったものの、3か月連続で中立水準の50を上回っており、足元の製造業の
景況感も緩やかに改善している。
図表3
電力消費量は改善の動き
前年比、%
16
図表4
中立水準=50、季調済
58
12
鉱工業生産
(左目盛)
10
56
54
6
53
4
52
2
51
0
50
-2
49
-4
48
-10
-12
鉱工業の電力消費量
(左目盛)
製造業PMI
(財新/マークイット発表、右目盛)
1,200
55
8
-8
「独身者の日」のアリババ集団の総取引額
57
14
-6
億元
1,400
ネット販売が盛り上がる
47
1,000
800
600
400
46
45
200
44
2014
2015
2016
2013年
(注)鉱工業生産と鉱工業の電力消費量の各年2月は1~2月の累計値、データの
ない月は線形補間した。PMIは購買担当者景気指数。
(中国国家統計局、中国国家エネルギー局、Bloomberg)
0
2011
2010年
(各種資料より当社作成)
2012
2013
2014
2015
2016
次に家計部門をみると、個人消費の動向を表す11月の小売売上高は前年比+10.8%(前月
は同+10.0%)と2015年12月以来の高い伸びを記録した。足元の個人消費の伸びを押し上げ
た要因は大きく2つあると考えられる。1つは、自動車販売の好調である。すなわち、11月
の自動車関連消費は前年比+13.1%(前月は同+8.7%)と高い伸びとなった。この背景には、
小型車の減税措置が2016年末に終了することを見越した駆け込み需要が強く現れたことが
ある。もう1つは、インターネット通販の盛り上がりである。11月のネット販売(当社試
算)は前年比+30.1%(前月は同+23.4%)と2016年に入って最高の伸びを記録した。これ
は「光棍節(こうこんせつ、=独身者の日)」の押し上げ効果が大きい。すなわち、中国
で「光棍節」と呼ばれる11月11日のインターネット通販セールで、ネット通販最大手のア
リババ集団の24時間の総取引額は1,207億元(約2兆円)と前年の実績を32%上回った(図
表4)。一方、11月の消費者信頼感指数は108.6(前月は107.2)と、6か月連続で中立水
準(100)を上回り、18か月ぶりの高水準となった。失業率の低下や個人所得の堅調な増加
などを受けて、消費者心理は足元で改善している。
た だ そ の 一 方 で 、 当 社 の 試 算 に よ る と 、 11月 の 住 宅 販 売 額 は 前 年 比+16.2% (前
月 は 同 +38.4% ) と 、 2015年 12月 以 来 の 低 い 伸 び と な っ た ( 図 表 5 ) 。 ま た 、 同 月
の住宅開発投資も同+6.9%と前月の伸び(同+12.6%)を大きく下回った。これは 、
中国当局が不動産取引の引き締め策の対象都市を広げたことによる影響が大きい
と考えられる。すなわち、多くの都市で住宅価格が過度に上昇したため、政府は2016年
9月末から「第一線都市」と呼ばれる大都市のほか、地方中核都市など20余りの都市にお
いても、住宅販売規制や住宅ローン規制など不動産取引の引き締め策を打ち出した。なお、
東北地方や中小都市の政府は、過剰な住宅在庫を減らす目的で住宅購入支援策を 引
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き続き推進している。
他方、11月の消費者物価指数(CPI)は前年比+2.3%と伸びが前月(同+2.1%)
を上回った(図表6)。消費者物価指数の内訳をみると、食品価格が同+4.0%(前
月は同+3.7%)と伸びが高まり、非食品価格も同+1.8%と前月の伸び(同+1.7%)
をやや上回った。一方、11月の生産者物価指数(PPI)は前年比+3.3%(前月 は
同 +1.2% ) と 、 約 5 年 ぶ り の 高 い 伸 び を 記 録 し た 。 住 宅 投 資 の 増 加 な ど を 背 景 に 、
鉄鋼など建設資材への需要拡大に伴う関連製品価格の大幅な上昇が生産者物価全
体を押し上げた。中国の生産者物価は、長期(2012年3月~2016年8月)にわたっ
て下落した反動もあり、今後もしばらくプラスの水準で推移しよう。
図表5
住宅販売は増勢鈍化
80
60
図表6
前年比、%
50
前年比、%
100
住宅開発投資
(右目盛)
住宅販売額
(左目盛)
生産者物価は高い伸びに
前年比、%
5
消費者物価指数の政府目標
(2016年:3.0%前後)
4
40
3
2
30
40
20
20
10
1
消費者物価指数(CPI)
0
-1
-2
-3
0
0
-4
-5
-20
-10
2014
2015
2016
2013年
(注)月ベースの数値は中国国家統計局資料より当社が試算したもの。各年2月は1~
2月の累計値、データのない月は線形補間した。
(中国国家統計局)
-6
生産者物価指数(PPI)
-7
2014
2013年
(中国国家統計局、Bloomberg)
2015
2016
2.2017年も総需要の適度な拡大策が継続
このように、2016年春から景気鈍化にいったん歯止めがかかった背景には、習近平体制
による景気下支え策の強化があると考えられる。習近平体制は同年3月開催の第12期全国
人民代表大会(全人代、日本の国会に相当)第4回会議で、「経済成長の合理的な範囲へ
の維持」を打ち出し、景気の腰折れ回避という姿勢を強めた。これにより財政支出の拡大
や金融緩和の継続などが行われ、また不動産取引に関してもほぼ全国の都市で住宅購入支
援策が実施された。ただ前述したように、政府は秋口から不動産取引の引き締め策の対象
都市を広げている。この影響が徐々に現れることにより、先行き該当地域の住宅市場が冷
え込む可能性が高いと考えられる。
他方、12月14~16日に開かれた「中央経済工作会議」では、2017年の習近平体制の経済
運営方針が示された。それによると、2017年秋に開催される中国共産党第19回全国代表大
会(党大会)に向けて、社会安定の維持という大前提の下、経済の安定成長を重視する方
針が打ち出された。すなわち、習近平体制は2017年を「供給側の構造改革(注2)の深化の年」
と位置づけながらも、「穏中求進(経済成長を合理的な範囲に維持しながら、経済の質と
効率を向上させる)」という基本方針を強調した(図表7)。その上で、財政面では政府
がインフラ投資プロジェクトの承認加速や減税措置の追加実施などによって、「積極的な
財政政策」を継続し、また金融面では「穏健な(中立に近い)金融政策」の方針の下で、
預金準備率の引き下げなどを模索することが見込まれる(図表8)。その他、実体経済の
振興に注力し、外資を積極的に導入することや、国有企業への民間資本の参加などによっ
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て、国有企業の改革を一段と推進することなどが、今回の「中央経済工作会議」で決定さ
れた。もっとも、景気下支え策の継続によって、雇用情勢の安定などが期待できる半面で、
このことは、習近平体制が目標として掲げている「供給側の構造改革」の進展を遅らせる
と考えられる。
(注2)習近平体制が2015年11月に掲げたサプライサイドの構造改革のこと。中国の「供給側の構造改革」は①過剰生産
能力の解消、②不動産在庫の解消、③金融リスクの防止、④企業コストの削減、⑤効果的供給の拡大という5つの対策で
構成される。
図表7 「中央経済工作会議」の主要決定事項
穏健な金融政策が継続
年利、%
12
◎ 2017年を「供給側の構造改革の深化の年」と位置づける
◎
図表8
「穏中求進(経済成長を合理的な範囲に維持しながら、経済の質と効率を
向上させる)」という経済運営の基本方針を強調
◎ 「マクロ経済政策の安定性」と「総需要の適度な拡大」を堅持
%
22
大手金融機関の預金準備率
(右目盛)
11
21
10
20
9
19
8
18
◎ 「積極的な財政政策」と「穏健な(中立に近い)金融政策」を継続
◎
為替相場の柔軟性を高めると同時に、人民元レートを合理的な均衡水準
で安定させる
1年物貸出基準金利(左目盛)
7
17
「三去一降一補(=供給側の構造改革、すなわち①過剰生産能力の解
◎ 消、②不動産在庫の解消、③金融リスクの防止、④企業コストの削減、
⑤効果的供給の拡大)」を一段と推進
6
16
5
15
◎ 実体経済の振興に注力し、外資を積極的に導入
4
◎
不動産市場の安定かつ健全な発展を促進し、「住宅が投機の対象ではな
い」という位置づけを堅持
混合所有制度(国有企業への民間資本などの参加)の改革を突破口とし
◎
て、国有企業の改革を一段と推進
(注)一部抜粋。(新華社報道の『北京にて中央経済工作会議開催~習近平と
李克強が重要な講話を発表』より当社作成)
1年物預金基準金利(左目盛)
14
3
13
2
1
12
(週次)
2009年 2010
(Bloomberg)
11
2011
2012
2013
2014
2015
2016
なお、対外面に目を向けると、足元で人民元相場(対米ドル)は下落基調が続いている
(図表9)。これは、中国景気の減速懸念に伴う元売り圧力の強まりに加えて、トランプ
次期米大統領の当選を受けて米長期金利の大幅な上昇による米ドル独歩高も影響したとみ
られる。また、人民元のSDR(国際通貨基金の準備資産である特別引き出し権)構成通
貨への正式な組み入れ(2016年10月)も人民元安につながったとみられる。すなわち、中
国政府は人民元の国際的な認知度の向上を目指しており、市場の実態を反映した健全な人
民元相場の形成が不可欠と認識し、過度な人民元買い・米ドル売り介入を控えているとみ
られる。2017年に入っても、習近平体制が人民元の為替相場の柔軟性を高めると見込まれ、
米連邦準備理事会(FRB)も利上げのペースを加速させると予想されるため、人民元安・
米ドル高圧力が一段と強まる展開になろう。
3.2017年の実質GDP成長率を+6.4%と予測
以 上 の よ う な 動 き を 踏 ま え て、 中 国 経 済 の 先 行 き を 展 望 す る と 、2017年の中国経
済については、成長率が緩やかに鈍化する展開が見込まれる(図表10)。すなわち、不動
産取引の引き締め策による影響が一部の都市で本格的に現れるとともに、前年の小型車駆
け込み需要の反動減も予想される。ただ、2017年秋には党大会が開催されることから、習
近平体制が求心力を維持するために、同大会に向けて安定成長を目的とする新たな景気下
支え策を打ち出す可能性が高いと考えられる。この状況下、まず固定資産投資は不動産業
を中心に減速するものの、公共インフラ投資の拡大などに下支えされ、伸び率の鈍化が小
幅なものにとどまると予想される。次に個人消費についても財政出動の強化に伴う雇用増
加の効果により、底堅さが維持される見込みである。
他方、輸出は緩やかな回復が予想される。トランプ次期米大統領の就任によって、選挙
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時の過激な公約(中国を為替操作国に指定し、中国製品に45%の制裁関税をかける)は避
けられたとしても、米中間の貿易摩擦が一部でやや激化することが想定される。しかし、
2017年は先進国の緩やかな経済成長に加えて、人民元安・米ドル高基調の継続などによる
効果も輸出の小幅な増加につながると見込まれる。これらの要因により、2017年の中国経
済は減速するものの、そのテンポは緩やかなものにとどまると考えられる。
以上より中国の2017年の実質GDPは前年比+6.4%になると予測した(2016年は同+6.7%
と予測)。
図表9
人民元相場は下落基調
図表10 成長率は緩やかに鈍化
前年比、%
9
人民元/米ドル
8.5
オンショア人民元の対米ドルスポットレート
8.28
8
8.0
7
7.5
7.9
7.6
実質GDP成長率
7.9
7.7
7.4 7.5
予測
7.1 7.2 7.0 7.0
6.9 6.8
6.7 6.7 6.7 6.7
6.5 6.4 6.4
6.3
6
元
安 6.95
7.0
5
4
6.5
3
6.0
5.5
6.04
元
高
2
1
(日次、期間:2005年1月1日~2016年12月20日)
0
2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
年
(Bloomberg)
2014
2015
2013年
(中国国家統計局資料などより当社作成)
2016
2017
本レポートの目的は情報の提供であり、売買の勧誘ではありません。本レポートに記載されている情報は、浜銀総合研
究所・調査部が信頼できると考える情報源に基づいたものですが、その正確性、完全性を保証するものではありません。
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