百貨店におけるギフト市場の拡大 ~敬老の日にギフトを~ ①―――はじめに ろまで追い詰められている。実際、各百貨店は、 ②―――百貨店の現状分析 PB 商品の導入やや各ブランドによる値下げ、ファ ③―――ギフト市場の現状分析 ストファッションブランドの梃入れ、相次ぐ再編 ④―――仮説 など、様々に苦心しているが、依然売上は伸び悩 ⑤―――仮説検証 む一方だ。むしろ、百貨店らしさ、百貨店にしか ⑥―――提案 ないものを失っている可能性も示唆されている。 ⑦―――今後の展望、課題 そこで我々は、百貨店のこれまでの強みを活か しながら、新たな百貨店の価値を生み出すことで、 百貨店の再建が出来ないだろうかと考え、本研究 安部麻奈美 内藤寛子 に至った。 新多優子 橋本朊実 本論では、低迷する百貨店業態と、現在需要が 前野淳子 吉池明子 大きく拡大しつつあるカジュアルギフト市場に焦 点をあてて、双方の強みと可能性による、新たな 学習院大学 杉田善弘ゼミ 無形財班 価値と消費機会の創出を目的として研究を進める。 尚、本稿で扱う百貨店業態とは、俗に言うデパ ①―――はじめに ートメントストアのことであり、 「衣・食・住の商 品軍のそれぞれが 10%以上 70%未満を取り扱い、 近年、有名百貨店が相次いで閉鎖するなど、わ が国の百貨店は、バブル経済期の 1991 年を頂点に 従業者 50 人以上の、非セルフ販売の業態」のこと 長期低落化の道を歩んでいる。かつては、たまの を指す。 日曜日に家族で百貨店に赴き、買い物や食事、子 供の場合は屋上の遊具で遊ぶなどといった、家族 にとってのエンターテイメントの場所でもあった。 ②―――百貨店の現状分析 また、衣類にしても化粧品にしても鞄にしても、 業績不振と近年言われている百貨店を盛り上げ 様々なものが豊富に品揃えがしており、当時はど ることによって、未来に向けた日本活性化へ繋げ れもが新鮮で、サービスを含めてトータル的に便 るという最終目標に向けて研究を進めるにあたり、 利であった。百貨店に行くということに、価値が まずは、日本の百貨店がどのように登場し、どの 存分にあったような時代であったと言えよう。ま ような歴史を歩んできたのか、研究する必要があ さに消費社会を象徴する流通業態であった。 る。 しかし現在は、その様な小売の王様であった百 1.百貨店の始まり 貨店も、今や成す術も無く百貨店という小売業態 を諦めざるを得ない状況の一歩手前、というとこ 百貨店が世界に初めて出現したのは、1852 年。 1 フランスにできたボンマルシェであると言われて 部・鰹節部・花部が設置された。 “デパートメント いる。一方、日本の百貨店は、1904 年(明治 37 年) 、 ストア宣言”から 10 年。近代百貨店としての形態 株式会社三越が“デパートメントストア宣言”を がここで整ったと言える。 謳ったことから始まる。これは、株式会社三越呉 朋店の初代専務取締役である日比翁助が欧米を視 ■図表―――1 察し、イギリス、ロンドンにあるハロッズ百貨店 日本橋本店新館 に深い感銘を受けたことがきっかけであった。 1904 年、合名会社三井呉朋店から株式会社三越呉 朋店に改称した際に、顧客や取引先に発送した挨 拶状の中で、「今後一層其の種類を増加し(中略) 米国に行わるるデパートメントストーアの一部を 実現致すべく」と、今後の方針としてデパートメ ントストア化を打ち出した。そして、翌 1905 年(明 治 38 年) の年頭にこれと同文のものを、 新聞一面、 広告、雑誌などに掲載したことにより、 “デパート メントストア宣言”が全国に向けて発信されたの である。そしてこの宣言通りに、三越の品揃えは、 呉朋、洋朋、雑貨、小物にとどまらず、輸入品を 加えて、化粧品、帽子、子供朋などへと、見る見 るうちに広がっていく。これが、日本の百貨店の 始まりである。 2.伝統的呉朋店から近代百貨店へ (Wikipedia より引用) “デパートメントストア宣言”以降、三越呉朋 店は、本格的百貨店の建設準備を進めていき、1914 このような豪華な装飾やショーウインドーに象 年(大正 3 年)9 月 15 日に日本橋本店新館(図表 徴される近代百貨店の店構えは、三越呉朋店から 1)を完成させ、10 月 1 日から営業を開始した。 他の呉朋店にも波及した。名古屋を拠点としてい この、白煉瓦で造られたルネサンス建築様式に最 る株式会社松坂屋の前身である株式会社いとう呉 高技術を結集した本店新館は、スエズ運河以東最 朋店は、1910(明治 43 年) 、木造三階建てのルネ 大の建築と称され、今も日本の建築史上に残る傑 サンス風の店舗を構え、赤じゅうたんと豪華なシ 作となっている。地下 1 階から地上 5 階までの日 ャンデリアで客を迎えた。こうして、全国の伝統 本初となるエスカレーターをはじめ、エレベータ 的呉朋店が近代百貨店へ、一斉に移り変わってい ー、スプリンクラー、暖房換気、金銭輸送器、ス ったのである。 パイラルシュートなどの最新設備が施され、屋上 3.大衆消費社会の象徴であった百貨店 には庭園、茶室、音楽堂が設けられた。商品は百 貨全般にわたって揃えられ、新たに食料品部・茶 さて、百貨店という小売業態は、人々にとって 2 どのようなポジションにあり、人々からどのよう に解釈されてきたのだろうか。 (流通小売市場経済白書 2010 より作成) かつて、百貨店は大衆消費社会の象徴であり、 図表2から、 1999 年に約 9 兆円あった売上高が、 買い場の王様と言われていた。それほど百貨店内 2009 年には約 6.6 兆円までに減尐したことが分か は多くの客で賑わっており、売上高ピーク時の る。つまり、10 年間で売上高が 26.8%低下したこ 1991 年(平成 3 年)には、約 9 兆 7000 億円という ととなる。一体、10 年の間になにが起き、不振が 売上高を記録した。さらに、柳沢元子氏著の「デ 長期化し深刻化する現状に至らしめたのだろうか。 パート革命:再生への五つの条件」によると、当 ここからは、百貨店を業績低迷へと導いた要因を 時の人々にとって百貨店は、 「日本人の生活のステ 紐解いていく。 ータスであり、夢を描き、希望を与える場所」と 4.百貨店を業績低迷へ導いた要因 解釈されていたという。このことから、かつての 百貨店は、楽しさを感じ、ステータスを実感する バブル経済崩壊後、百貨店は業績不振から ことが出来る、ある種の高級感を兼ね備えたテー 様々な面で苦戦しているが、業績低迷の理由とし マパークのような小売業態であったことが分かる。 て、景気低迷による消費マインドの縮小がまず考 では、現在はどうだろう。百貨店に対してステ えられる。1世帯(2人以上且つ勤労者世帯)の ータスや希望といったイメージを持っている人は 可処分所得と消費支出の 1 ヶ月平均額を示したも 尐なく、今や、あまり元気の無い、ただ大きいだ のが図表3である。 けの店舗と化してしまっているのではないだろう ■図表―――3 か。屋上遊園地には子どもの歓声、食堂には親子 1世帯(2人以上且つ勤労者世帯)の 1ヶ月平均可処分所得・消費支出額 連れの列、劇場には着飾った女性たち。百貨店が (総務省統計局家計調査より作成、小数点第2位切り捨 全盛期を迎えていた頃には、よく百貨店内で見か けた様子であるが、現在では、そのような光景も 年 見られなくなってしまった。そして、近年の百貨 可処分 店の売上高を見ても、百貨店の業績低迷が如実に 所得額 =実収入- 現れている。 (図表2) 1999 2009 483,910 428,101 -55,809 -11.6% 346,177 318,853 -27,324 非消費支出 ■図表―――2 消費支出額 -7.9% 百貨店年間売上高推移(1999 年~2009 年) て) 百貨店年間売上高 図表3から、1999 年から 2009 年にかけ、可処分 10 所得額が 11.6%低下し、消費支出額が 7.9%低下 8 したことが分かる。こうして所得に応じて消費支 6 出が下がる中、この 10 年の間で負担が増えた生活 4 必需費がある。保健医療費、通信費、教育費だ。 2 1999 年から 2009 年にかけ、保健医療費が 10.6% 0 上昇、通信が 48.4%上昇、教育が 9.4%上昇して いる。保険医療費は、日本国民の高齢化、近年行 3 われた国民健康保険料の増額が、通信は、PCや きた。アンケートの結果、百貨店の利用頻度が減 携帯電話等によるインターネットの普及が、教育 ったと回答した人が 30 人で全体の 68.1%にあたり、 は、ゆとり教育を懸念して塾に通う児童が増加し そのうち百貨店以外を利用するようになったと回 たことが、理由として考えられる。 答した人が 17 人で全体の 38.6%であった。今まで また、百貨店の売上高を構成する上位4商品部 ユーザーであった層が約 40%も 10 年の間に離れて 門を、同じように見てみる。すると、1999 年から いってしまったのだ。 2009 年にかけ、売上高第1位の衣料品(総務省統 可処分所得の減尐に伴う消費マインドの縮小、 計局の頄目では「被朋・履物」 )が 27.1%低下、第 生活必需費の負担の増加、百貨店の为要3商品部 2位の食料品が 10.2%低下、第3位の化粧品等(総 門への支出の減尐、他業態の台頭による利用率の 務省統計局の頄目では「理美容品」 )が 8.6%上昇、 低下、ユーザーの百貨店離れにより、10 年間で売 第4位の身の回り品が 6.4%低下と、百貨店の为要 上高が 26.8%低下し、業績低迷へと陥ったと考え 3商品部門への支出が減尐していることが分かる。 られる。この百貨店の現状に対し、経営評論家で 特に、衣料品の低下は著しい。この結果が、ある ある桐原涼も、2010 年 3 月 7 日付東京新聞の記事 要因と共に、さらに百貨店を業績低迷へと導いて において、百貨店離れが目につき、現在百貨店業 いく。 界にとって非常に苦しい状況にあり、この消費者 その要因とは、他の小売業態の台頭である。矢 の百貨店離れの加速化が直接的な売上高減尐へ繋 野経済研究所の「流通小売市場経済白書 2010」に がっていると述べている。百貨店に、再生の道は よると、百貨店は、1990 年代後半に売上高が減尐 ないのだろうか。 に転じて以降、販売減が続いており、スーパー、 5.再生を目指した百貨店 専門店、ネット等の台頭を前に、その役割は低下 しているという。近年の事例でいうと、2008 年に 百貨店各社は、売上高の落ち込みに対してさま 起きた、リーマンショックによる金融危機が記憶 ざまな試みをしてきた。経営統合、不採算店舗の に新しいだろう。これを受けて高額品需要が減尐 閉鎖、高コスト体質を改善するためにリストラ、 したことにより、他業態への流れが加速し、その 仕入れ体制の見直し、価格に焦点をあてた戦略な 年の百貨店売上高が約 7.3 兆円だったのに対し、 どだ。 コンビニエンスストア売上高が約 7.8 兆円と、百 不況により市場が縮小する中、経営統合で建て 貨店を上回る結果となった。高級品を为力的に扱 直しを図る百貨店が多く出てきた。2003 年、西武 う百貨店が、大きな打撃を受けたことが分かる。 百貨店とそごうが経営統合し、ミレニアムリテイ そこで、百貨店から他業態へ流れたということを リングを設立した。2007 年には、セブン&ホール さらに検証するために、アンケート調査を行った。 ディングスがミレニアムリテイリングを完全子会 質問頄目は、 「10 年前に比べて、百貨店の利用頻度 社化している。同じく 2007 年、大丸と松坂屋が経 は変化したか。」、「なぜ頻度が減ったのか。(※前 営統合をし、持ち株会社 J.フロントリテイリング の質問で減ったと回答した人のみ) 」の、2つを設 を、阪急百貨店と阪神百貨店が経営統合し、エイ けた。調査対象は、10 年前もある程度の金銭的余 チツーオーリテイリングを設立した。翌年 2008 年 裕があり、百貨店を頻繁に利用していたであろう、 4 月には、三越と伊勢丹が経営統合し、三越伊勢丹 40・50 代女性とし、44 の有効回答を得ることがで ホールディングスを設立した。 4 また、三越は、経営の建て直しが不可能であっ また、2009 年に開店した大丸心斎橋店では、若い た武蔵村山店、名取店、鹿児島店を筆頭に、店舗 女性を対象に、フリーズマートやセシルマクビー の閉鎖も進めていった。なかでも、2009 年 5 月 6 など SC や専門店ビルで人気を博している衣料品店 日、1957 年(昭和 32 年)10 月 1 日の開店以来、 や雑貨店を集積させ、一部の店舗では長だの列が 池袋東口の顔のひとつとして、多くの来街者に愛 できるなど、上場の立ち上がりとなった。また、 され続けてきた池袋三越の閉鎖は、大変衝撃的な 数多くの百貨店の中でも、一際価格引き下げに注 ものであった。 力した百貨店がある。そごう・西武を傘下におく、 さらに、2009 年 12 月、三越は、人件費の削減も ミレニアムリテイリングだ。ミレニアムリテイリ 行った。35 歳以上の社員を対象に早期退職を募っ ングは、 “価格至上为義”のファストファッション たのだ。早期希望退職者は約 1500 人に上り、正社 に疑問をもち、百貨店というブランド、クオリテ 員の 4 分の 1 にも及んだ。また、J.フロントリス ィを保ちつつ価格を下げるという戦略に打って出 テイング(大丸と松坂屋の持ち株会社)は、2009 た。2009 年 7 月、ユニクロ、H&M など好調なファ 年 6 月に早期退職制度の枠を拡充した。 ストファッションに対抗し、新たに展開するPB なかでも多くの百貨店がとった施策が、価格の 「リミテッド エディション」を発表。なかでも力 引き下げである。東武百貨店は、2008 年から価格 を入れる、30~40 代をターゲットとする婦人朋「リ 帯の見直しに着手し始め、取引先メーカーと組ん ミテッド エディション by アツロウ タヤマ」が で価格訴求品を開発している。2009 年春からは、 披露された。このブランドの特徴は、従来、百貨 取引条件など従来の百貨店の仕組みの見直しを含 店に入っているNBの約 6 割という新価格基準で、 め、取引先と一緒にものづくりに踏み込み、百貨 質がよく、デザイン性の高い商品を実現したこと 店が自ら仕入れや販売を行った。そして、2009 年 である。発表によると、秋物ジャケットで比較し 2 月下旬、最多販売価格帯より 2 割程度価格を下げ た場合、既存の百貨店の最多販売価格は中心価格 た商品の全社的な訴求販売を実施した。婦人朋の 帯が 2 万 6000 円、ファストファッションでは 1 万 他にも、朋飾雑貨、家庭用品など 700 以上の品揃 円であるのに対し、この新ブランドは 1 万 2000 円 えを実現した。また、三越は、2009 年夏、製造コ を中心として展開しているようだ。他の百貨店よ ストを抑えた婦人ジャケットやスカートを開発し、 りも、ファストファッションに対抗すべく、価格 価格を 3 割程下げて販売を行い、高島屋は、2009 引き下げに注力した戦略だといえる。 年秋、 競合ブランドに比べて価格を 2 割程下げた、 さて、ここまでは、価格を引き下げることに特 中年層向けの婦人朋の販売を行った。そして、大 化したと考えられるが、全く異なる戦略をとる百 丸は、衣料品の自为企画ブランド(PB)を中心 貨店もある。2009 年 4 月、三越は、高級ブランド に、現在の最低価格商品よりさらに 2 割程度価格 などと組み、独自商品による新たな販売方法に乗 を下げた商品を、相次ぎ売り出した。PBのエン り出した。三越のMD統括部MD計画担当の浅賀 トリー商品の価格を引き下げることで消費喚起を 誠ゼネラルマネジャーは、 「三越のブランドを維持 図ることを目的とし、今後も、商品数を増やす意 しながら、紳士朋・朋飾雑貨を中心にPBを拡充 向であるようだ。これに加え、PBではないナシ し、価格帯を下げることで消費者の低価格志向に ョナルブランド(NB)についても、メーカー側 対応する動きが見られる他店との、差異化を図り に、より安い最低価格の商品投入を要請している。 たかった」と話す。基本的に完全買い取りのPB 5 は、ともすれば在庫リスクが高く、収益確保が難 バイヤーがメーカーなどと商談を行ったもので、 しいといえる。低価格を進めれば、他の業態との より为体的に動いた限定商品であったといえる。 違いが薄まり、三越イメージのブランド低下を招 このスタイルアップキャンペーンにより、金融危 く恐れがあるといえる。そのため三越は、PBは 機の影響もあり高価格帯の動きは鈍かったが、ニ 積極的にはやらず、むしろ縮小する方向で、NB ットやカットソーなどの衣料品が好調に推移した。 ながらバイヤーが顧客の要望を取り込んだオリジ また、価格以外で独自の施策をとる百貨店もあ ナル商品を提案し、 “三越らしさ”を維持する方針 る。ミレニアムリテイリングは、2009 年 2 月より、 で戦っていくことにした。第一弾として、衣料品 複数店舗のネットワークにより構成される商勢圏 や雑貨など約 200 品目が開発され、2009 年 3 月に 戦略のもと、各地域において競争優位を実現する 期間限定で販売されることとなる。 「ジャージー素 ために、取り組みを始めている。特に、西武百貨 材のジャケットはシワになりにくく、美しいシル 店の改装については、全社を挙げて取り組んでい エットをお楽しみいただけます。 」3 月 3 日、東京 く方針で、本店 3 階婦人ファッションのフロアに の中央に所在する日本橋三越本店の各売り場には、 は、自为編集売り場を導入している。同売り場は、 商品の特徴や着用シーンを提案するPOPが至る 季節や催事での変化に対応した柔軟な品揃えが特 売り場に登場した。POPには黄色と桃色であし 徴で、ブランドの枠にとらわれない生活シーンで らった「スタイルキャンペーン」というロゴに、 “三 のファッションの提供をコンセプトとしている。 越限定販売”の文字を挿入して統一感を出し、対 次世代型百貨店を目指し、収益構造そのものも含 象商品を着たマネキンを並べた。このスタイルキ めた根本的な見直しを行っていくことが狙いだ。 ャンペーンとは、三越のバイヤーが各ブランドや さらに、顧客に満足を実感してもらえるよう、深 デザイナーと共同で開発した、婦人朋や紳士朋、 い商品知識で一人ひとりの顧客の要望に応えるこ 傘などの雑貨、食品などの三越限定商品を約 2 週 とができる、シューフィッター、フィッティング 間、全店で販売する取り組みだ。ジャージー素材 アドバイザー、ギフトアドバイザーといった、専 のジャケットを開発した三越の自为編集売り場で 門販売員の資格取得者を売り場に配置している。 あるミグジュアリーでは、中に入ろうとしたお客 6.百貨店の未来 が立ち止まって眺める姿が多く見られた。価格帯 も、例えば、ドルチェ&ガッバーナのドレス(約 このようにさまざまな施策を行ってきた百貨店 33 万円)やキタムラのバッグとシューズセット(約 であるが、創業当時からの为力商品である婦人朋 19 万円)といった高額品から、プリーツプリーズ が近年下がる一方である理由として、日本百貨店 by イッセイミヤケのワンピース(約 3 万 2000 円) 協会の平出昭二専務理事は、百貨店と専門店の品 や 1000 円台の食品など幅広く取りそろえた。これ 揃えの同質化を挙げている。確かに、同じような までも、各ブランドが三越限定の商品を販売して 商品が並んでいれば、消費者は価格訴求力のある いたが、限定商品を一度にそろえて販売するのは 店で買い求めるケースが増えてくるのは当たり前 初の試みである。従来は、期間がバラバラで人目 である。その中で価格競争をしたとしても、埒が に付きにくく、商品選定もメーカー任せだった。 あかないのではないだろうか。現在と同じような しかし今回は、価格に加え、色や素材、機能性な 価格引き下げ戦略で、他業態からユーザーを完全 どを何度も見直すなど、商品選定に約半年かけて に取り戻すことは極めて困難だといえる。しかし、 6 現在のユーザーを囲い込むこと、もしくは、新た ルギフト市場は縮小しておらず、それらの需要を な商品・サービスを提供することによって、新し 見込んで事業強化・及び新規参入を図る企業も増 い層の顧客の利用率を上げることなら可能なので えている。 はないだろうか。となると、百貨店がとるべき施 カジュアルギフトが増加している一方で、儀礼 策は、百貨店が本来持っている強みを活かした、 的フォーマルギフトは減尐傾向にある。 差別化を図れる商品の開拓にあるのではないか。 パーソナルギフトにおけるフォーマルギフトとカ ジュアルギフトの比率は、1997 年は「フォーマル 78.6%:カジュアル 21.4%」だったものが、2007 ③―――ギフト市場の現状分析 年には「63.8%:36.2%」にまで変化した。 1.定義・用途 食品ギフト(中元・歳暮など)を含めたギフト総 ギフトは大きく分類して、「パーソナルギフト」 市場は 2007 年 17 兆円であり、ギフト総市場にお と「法人ギフト」に分かれる。(図表4) ける「中元・歳暮:その他のギフト(雑貨) 」の比 パーソナルギフトは、「カジュアルギフト」と 率は 2006 年/35.5:64.5、2007 年/34.9:65.1 「フォーマルギフト」に分かれる。 となった。これは、カジュアルギフトとフォーマ 「カジュアルギフト」とは、誕生日、バレンタイ ルギフトの境目が曖昧になり、中元・歳暮などの ン、クリスマスなどの個人的なイベントや日常に 時節にこだわることなく「贈りたい人に、贈りた 密着した物で、「フォーマルギフト」とは中元・ い時に」というギフト形態が増えたことを示して 歳暮、披露宴引き出物などの儀礼やしきたりに則 いる。矢野経済研究所が 2010 年 1 月 6 日に発表し った物である。 た「ギフト市場に関する調査結果 2009」によると、 又、「法人ギフト」とは企業が贈るギフトの事 パーソナルギフト(カジュアルギフト)の 2008 年市 を言う。 場規模は 3 兆 4000 億円にのぼり、前年比 6.3%増 ■図表―――4 となった。 ギフト市場 法人ギフト市場(対企業) 3.ギフト市場の最新動向 パーソナルギフト市場(対個人) ギフト市場の需要が現在大きく変化している。 カジュアルギフト(誕生日、記念日) 最近、これまで市場を牽引してきた中元や歳暮、 フォーマルギフト(歳暮、中元) 冠婚葬祭の返礼といった儀礼的なフォーマルギフ 2.市場動向 トの需要が不景気や虚礼廃止などの理由から減尐 ギフト市場は、 「プチギフト」需要を中心に拡大 傾向にある一方、親しい人や大切な人に日頃の付 し、パーソナル(カジュアル)ギフトが伸長して き合いやコミュニケーションの一環として贈るプ いる。 ライベートギフトやカジュアルギフトの需要は急 特に、20 代後半~30 代女性がこの市場を牽引し 速に伸びている。儀礼的で形式にとらわれた贈答 ていて、今後もこの傾向が続くと予想されている。 慣習はなくなってきており、堅苦しくなく、型に これらの需要に対し、ギフト参入企業は販売チャ はまらない“コミュニケーションの一環”としての ネルの強化や商材の拡大を進めている。 贈り方(カジュアルギフト)が为流となったのだ。 消費不況が叫ばれる中でも、パーソナルカジュア 近年最も活況であるのは、何気なく思い立った 7 4.ギフト購入場所 ときに数百円程度のものを贈る「プチギフト」で ある。 ギフトは実際にどこで買っているか調査したと これが女性を中心に広まり、市場に活気を与えて ころ、百 貨 店 が 53.6%で ト ッ プ 、次 い で シ ョ いる。 ッ ピ ン グ セ ン タ ー ・ モ ー ル が 43.4% 、 オ ン インターネット販売の普及などによって、いつで ラ イ ン 通 販 サ イ ト が 39.3% 、 専 門 店 ・ 小 売 も簡単に様々なギフトを贈れるようになったこと 店 が 33.9%と な っ た 。 も影響しているのだろう。 ■ 図 表 ―――6 ギフト市場そのものは成熟しつつあるが、カジ ュアルギフトは今後の市場を牽引する分野として 期待されている。そこで私達は、ギフトの中でも 景気に左右されにくく、現在伸びているカジュア ルギフトに着目する事にした。 親しい個人間で贈るカジュアルギフトは、フォ ーマルギフトとは異なる特徴がある。 ギフトの贈り手は通常の定番商品よりも高級な特 注商品を贈ろうとする傾向が見られる。そして、 ギフトの受け手の嗜好やニーズに合わせて贈る商 品も多様化している。 ■図表―――5 (矢野経済研究所より引用) 一方ギフト市場の規模は約 6 兆円といわれてい る。法人ギフト市場は景気の良し悪しに影響を受 け易いため、今後はカジュアルギフトを中心に消 (マイボイスコム株式会社より抜粋) 費者の新たなギフト需要を開拓していくことが求 められると経済ジャーナリストの野口恒氏は言う。 5.拡大する通販型ギフト市場 通販での贈り物・ギフトに関する調査(2010 年 4 月実施)によると、通販を利用した贈り物・ギフ 8 ト市場は今後「拡大すると思う」(74%。「大幅に ことがうかがえる。 拡大する」と「拡大する」の合算値)との回答が 7 通信販売が伸びた背景として、通信の普及によっ 割を超えており、通販業界人の多くは、通販ギフ て、インターネットや携帯電話の利用率があげら ト市場の見通しは明るいと感じている。(図表7) れると考えられる。以下の図は、通信費の増加を ■図表―――7 示した物である。 1世帯(2人以上且つ勤労者世帯)の月平均消費 通販型ギフトは今後どうなる と思うか 4% 1% 1% 6% 19% 69% 支出額(円) 通信費の増加 ■図表―――8 大幅に拡大 すると思う 20000 拡大すると 思う 14461 15000 変わらない 9742 10000 5000 (日経BPコンサルティング調べより抜粋) 0 インターネットでギフトを購入する層が確実に 1999年 2009年 増えており、ギフト関連企業の大半がインターネ ットにおける販売戦略の強化を課題に挙げている。 (総務省より抜粋) 自社ネットショップのサイトデザインだけでなく、 6.ギフトの市場規模推移 商品検索方法や購入方法を、より分かりやすく・ 利用しやすい形に強化する必要がある。 ギフトを購入できる携帯サイトをオープンする ■図表―――9 企業も増加しており、今後もインターネットでの ギフト購買者層は増加する見通しである。 今後、通販で売れる「贈り物(ギフト) 」では「味 や 品質など 信用や信 頼性の高 いものが 売れる 」 (97%。 「そう思う」と「どちらかといえばそう思 う」の合算値が、ほぼ全員が認識する売れるギフ トの条件という結果であった。 ネット通販で購入すると、簡単で待ち時間もなく 便利」 (女性 40 代)など、商品探しから注文まで ワンストップでインターネットで済ませるという 声もある。 さらに 5 位にも「郵便局(ふるさと小包など)」 (4.3%) が挙げられ、ひと昔前に比べて「ネット」「通販」 (マイボイスコム株式会社より抜粋) での注文に、そう抵抗感を感じていない人が多い 9 ギフト市場全体を見てみると、09 年度までは微 気持ちを重視する人が多く見られることが 増を続けるが、その先は頭打ちが予想される。 (図 わ か っ た 。( 図 表 1 0 参 照 ) 表9参照) ■ 図 表 ―――10 内容的には中元・歳暮等の儀礼的ギフト(フォ ーマル)が減尐し、よりパーソナルなギフト(カ ジュアル)需要が伸びている点(2009 年度見込み 額は 2000 年比 154%)が特徴的である。 7.カジュアルギフトに関する先行研究 カジュアルギフトに関する先行研究は多くはな いが、南知惠子[1998]は、ギフト市場の急激な拡大 要因の一つであるとされる贈与行動の高頻度化現 象の解明に焦点を当て、ギフトをコミュニケーシ ョン・システム論の観点より実証研究を行ってい る。 1991 年 6 月に 10 代後半から 20 代前半の消費者の 贈与行動に関する質問票調査を実施し、データ分 析をした結果、社会的コミュニケーションの機能 として贈与交換が社会関係を顕在化させ、強化さ 調 査 対 象「 MyVoice」の ア ン ケ ー ト モ ニ タ ー 、調 せることが実証された。 査 方 法 イ ン タ ー ネ ッ ト 調 査 、調 査 時 期 2010 年 04 また、贈る相手が気に入りそうなイメージの良い 月 01 日 ~ 04 月 05 日 、 回 答 者 数 13,728 名 、 調 店でギフトを選ぶという「店舗イメージの投影性」 査機関マイボイスコム株式会社より抜粋。 が贈与行動頻度を高める要因となっていることが 見出されている。 ④―――仮説 ここで注目すべきは、カジュアルギフトのような 歳時記と無関係にやりとりされるギフトが流行し、 百貨店業界とギフト市場の現状分析、先行研究 贈与行動におけるメッセージ性が強調され始めて を踏まえ、我々はこのような二つの仮説を設定し いることを 10 年前に言及し、贈与交換の日常化に た。 着目している点、更にギフトにおいても店舗イメ ージの投影性が明らかにしている。 仮説① 敬老の日にギフトを贈りたい気持ちはあ るが、贈ることができていないのではないか。 8.ギフトを選ぶ際の重視点 仮説② ギフトを選ぶ時何を重視しているかを調べたと ギフトが、若年層と高齢者との新たなコ ミュニケーションツールとなり得るのではない ころ、相 手 の 好 み に あ う か が 最 も 多 く か。 68.1% で 、 も ら っ た 人 が 喜 ぶ か が 続 い て 65.6%と な り 、 自 分 の 気 持 ち よ り も 相 手 の 次章で二つの仮説を検証していこうと思う。 10 ⑤―――仮説の検証 そこで、敬老の日に贈り物を贈る文化が何故そ 1.仮説①の検証 の様な低い浸透率なのかを調査するべく、我々で まず仮説1の「敬老の日にギフトを贈りたい気 アンケート調査を行った。 持ちはあるが、贈ることができていないのではな 調査概要: いか。 」を検証する。 ・実施日 2010年11月11日(木)~11月19日(金) 日経消費ウォッチャー2010 年 10 月号の調査によ ・調査手法 インターネット調査 ると、過去一年にギフトを贈った機会のうち、敬 ・調査対象 10代~20代男女 老の日は下位から三番目に位置する。2010 年の時 ・サンプル数 点で、過去一年に敬老の日にギフトを贈った人は、 ・アンケート内容(詳細は補録に添付) 50 名 全体のわずか 12.5%だった。これより実際、敬老 ①ギフト購入時の意識調査 の日にギフトを贈る習慣があまり浸透していない ②敬老の日に関する意識調査 ことがわかる。 (表11) ■図表―――11 この調査結果から、 「敬老の日にギフトを贈って いますか?」という質問頄目に対して、いいえと 答えた人のうち、敬老の日にプレゼントを贈らな い理由を尋ねたところ、以下のグラフの様な結果 となった。 図表―――13 (日経消費ウォッチャー2010 年 10 月号より引用) また、ギフトシーンのポジショニングマップを 見ても、敬老の日の実施率は 20%程度と、同系統 である記念日の母の日や父の日などと比較しても 明らかに低いことが言える。 (表5) ■表―――12 また、いいえと答えた人に、敬老の日にプレゼ ントを贈りたいと思うかどうかを尋ねたところ、 約7割の人が「贈りたい」と答えた。 以上の結果から、敬老の日に贈り物をしていな い人達のうち、約7割の人に「贈りたい」という 潜在意識があることがわかった。よって、敬老の 日にギフトを贈りたい気持ちはあるということが 実証された。 (市場総合調査レポセンより引用) また、贈っていない理由をまとめると、敬老の 11 日に贈りたい気持ちはあるが何も贈っていない人 ⑥―――提案 達の特徴として、大きく分けると、 「何を贈ってよ 1.提案 いかわからない」という点と、 「敬老の日を忘れて これまでの調査から、 しまう」という二点に分かれることがわかった。 ・6割の孫達が敬老の日に祖父母へプレゼントを 贈りたいと思っている。 2.仮説②の検証 ・祖父母へのプレゼントとして何を購入すればよ 「ギフトが、若年層と高齢者との新たなコミュ いのか分からない。 ニケーションツールとなり得るのではないか。 」と ・“敬老の日”への関心が薄い。 いう仮説を検証するにあたり、我々はギフトの持 ・殆どの孫たちが、もっと祖父母とコミュニケー つポテンシャルと若年層の心理を調査した。 ションをとりたいと思っている。 まず、ギフトには本来、 「贈り物を贈るというこ ということが分かった。 と自体がメッセージとなって贈り手と受け手の関 そこで我々は、「百貨店为導の、“敬老の日”活性 係が構築される、あるいは確認される」という役 化」を提案する。 割が存在する。 (南知恵子「ギフト・マーケティン 2.プロモーション グ」より) また、博報堂エルダービジネス推進室の調査に 今まで母の日や父の日に比べ、軽視されていた よると、93%以上の孫達が、祖父母ともっとコミ 敬老の日に孫世代を中心とする消費者の関心を向 ュニケーションをしたい、と祖父母以上に思って かせ百貨店へ来店するきっかけを与えるため、以 いるということがわかっている。つまり、現代で 下のようなプロモーションを考案する。 は「祖父母と孫」間のコミュニケーションの充実 店外プロモーションとしては、電車内及び、駅構 が一層求められていると言える。しかし、その一 内におけるポスター掲示による広告宣伝が挙げら 方で実際は敬老の日に贈り物を贈る孫が尐ないの れる。日常的に利用し、目にすることの多い電車 は、前述した通り、 「何を贈ってよいかわからない」 内や駅構内にポスターを掲示することで、日ごろ 「敬老の日を意識していなかった」という理由が 百貨店を利用することの尐ない若者層に向けて百 挙げられることから、百貨店がその為のソリュー 貨店で行われている取り組みを認知してもらう手 ションを提示すれば、若年層と高齢者のコミュニ 段として有効であると考えられる。 ケーションの実現性がより高まるということがわ 店内プロモーションとしては、①店頭商品検索パ かる。以上から、仮説②が実証された。 ネルの設置、②ギフト専門コンシェルジュの配置、 以上の仮説検証から、我々は「実は、敬老の日 ③ギフト売り場に敬老の日専用コーナーの特設、 にギフトを贈りたいと思っている若年層」にター が挙げられる。①、②、③すべて、仮説①の検証 ゲットを絞り、プロモーションを行うことが有効 の結果、敬老の日に祖父母へプレゼントを贈りた であると考えた。 いとは考えているものの、何を贈れば良いのか分 からず結局贈ることのできていないという人が多 かった。従って、そういった人々の問題を解決す る手段としてとても有効なサービスであると考え られる。専門店や大手スーパーマーケットに比べ、 12 ギフト購入率が高いという百貨店の強みを活かし ■図表―――14 たサービスであり、今までのギフト販売のノウハ 高齢者の人口の推移 ウを活用し、敬老の日専用コーナーを特設すると 3000 2500 2000 1500 1000 500 0 ともにギフト専門コンシェルジュを配置すること で、贈り手と受け手の趣味や要望をより採り入れ たギフトを提供することができる。 このように、広告宣伝プロモーションとともに 百貨店だからこそできるプロモーションを行うこ とで敬老の日を活性化すると同時に、ギフト選び 65 歳 70 歳 75 歳 80 歳 の場としての百貨店使用者を増やし、百貨店の業 2000 2204 1492 901 436 績悪化を食い止め活性化も図ることができる。ま 2005 2576 1830 1164 636 た、前にも述べたように、 「贈り物を贈るというこ 2007 2743 1960 1268 712 と自体がメッセージとなって贈り手と受け手の関 2008 2819 2017 1321 751 係が構築される、あるいは確認される」 (南知恵子 (総務省HPより作成) 「ギフト・マーケティング」)ので、百貨店の再生 ■図表―――15 という経済的な活性化だけでなく、敬老の日を活 性化することによって、ギフトを介して祖父母世 代と定期的なコミュニケーションをとる時代とな り、日本人の心の活性化も図ることができる。 現在、祖父母世代の高齢者の孤独化が進んでお り(図 15) 、世帯为 65 歳以上の世帯の家族類型別 世帯数の 2030 年までの予測を見ても、単独世帯と 夫婦のみ世帯が大幅に増加している。 (図 14) 祖父母世代へ向けたギフトを購入する機会とな また、2009 年度の孤独死数 1191 人のうち全体の る敬老の日を活性化することで、今まで百貨店を 73.8%にあたる 879 人が 65 歳以上であるといデー あまり利用することの尐なかった若者世代にとっ タもある。ここで、敬老の日を活性化することに てこのギフト購入が百貨店に足を運ぶきっかけと よって、ギフトをきっかけとした高齢者世帯との なる。将来、これをきっかけとして現在の若者世 コミュニケーション不足の解消を図り、結果高齢 代の来店回数が増え結果的に百貨店の売上増加に 者の孤独死の減尐につながると考えられる。敬老 つながる可能性が高い。 の日の活性化はこういった高齢者社会下でのコミ ュニケーション不足などという問題を抱える今の ⑦―――今後の展望、課題 時代にも合致した提案だといえる。 今後実務に応用していくにあたって、本研究に は多くの課題が残ると思われる。 第一にアンケートのサンプル数が尐ないことで ある。本研究において実施したアンケートがいず 13 れもサンプル数が尐なかったので、今後はさらに 流通ニュース 多くのサンプル数を用いて今アンケート調査を行 http://www.ryutsuu.biz/topix/c010609.html い分析し、結果の信憑性を確認する必要がある。 総務省統計局 その際、今回は孫世代といってもアンケート対象 http://www.stat.go.jp/data/zensho/2009/index.htm 者が大学生に偏ってしまったので、もう尐し年齢 Survey Report ギフト・プレゼント向けのアンケート 層を広げて実施したい。 [2005 年] http://surveyreport.livedoor.biz/archives/50082125.ht 第二に今回論文に記載した以外にも考えられる プロモーションがいくつか挙げられることである。 ml 今後、他のプロモーション方法についても実務化 ギフト市場総合調査 レポセン[2009 年] するにあたってのメリット・デメリットを検証し、 http://reposen.jp/2940/4/67.html より有効的なものを提案していきたい。 寄稿原稿集 「我が国の百貨店の課題と未来展望」 http://www.muguruma-ryuken.jp/kikouronbun-depart 第三に他業態ではなく百貨店でものを購入する ことの意味、ギフトにおいては相手へ与える印象 1.htm の違いについて検証が必要である。 日本経済新聞社編[2008 年]「攻防メガ百貨店」 今回我々が提案する、百貨店为導の敬老の日活 柳澤元子[2002 年]「デパート革命:再生への五つの条 性化をきっかけとして、敬老の日に留まらず様々 件」平凡社 なギフトシーンで百貨店が利用され、更には日常 man@bow (日本経済新聞社×野村ホールディングス) 的に百貨店に訪れるというかつての「消費の象徴 http://manabow.com/pioneer/mitsukoshi/4.html であった百貨店」の姿を取り戻すためには何が必 株式会社三越 要なのか。百貨店で買い物をするという文化を再 http://www.mitsukoshi.co.jp/corp/history.html 構築するには消費者にさらにどのように働きかけ 三井報告委員会 ればよいのか。この点を明らかにするために、百 http://www.mitsuipr.com/history/mitsukoshi.html 貨店の付加価値について再度考え調査し、今後よ ギフト市場に関する調査結果 2009(矢野経済研究所より) り詳細な研究につなげていきたい。 http://shindanshi.eshizuoka.jp/e511089.html 株式会社矢野経済研究所 http://www.yano.co.jp/market_reports/C51118800 ⑧―――参考文献 ギフト市場に関する調査結果 南知恵子[1998 年]「ギフトマーケティング-儀礼的消費に http://www.yano.co.jp/press/pdf/262.pdf#search=' ギ フ おける象徴と互酬性-」千倉書房 ト市場の伸び' 「週刊エコノミスト(2010 年 3 月 16 日号)-百貨店沈没 日経BPコンサルティング -」 毎日新聞社 http://consult.nikkeibp.co.jp/consult/release/father100 「日経消費ウォッチャー(2010 年 10 月号)」 日本経済 519.html 新聞社 青山ハッピー研究所(アサヒビール) 株式会社矢野経済研究所[2010 年]「流通小売市場白書」 http://www.asahibeer.co.jp/enjoy/hapiken/maian/ 社会法人経済同友会[2009 年]「消費問題委員会報告書」 ギフトに関するアンケート調査(My Voice) https://myel.myvoice.jp/products/detail.php?product_i 14 d=14113&transactionid=aa0b4f073344ebb99bfb7a4a8 52c936d39169704 伊藤忠ファッションシステム株式会社 http://www.ifs.co.jp/news/column_201006.html 15 補録―――アンケート調査票 16 17
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