平成23年度離島漁業再生支援交付金による取組概要 1. 集落協定の

平成23年度離島漁業再生支援交付金による取組概要
1. 集落協定の概要
都
町
道
府
村
県 : 沖縄県
名 : 渡名喜村
協 定 締 結 集 落 名 : 渡名喜集落
交
付
金 : 35,360千円(内平成21年度交付金額7,072千円)
協 定 参 加 世 帯 数 : 52世帯(内漁業世帯52世帯)
2. 協定締結の経緯
自然海岸や珊瑚礁地帯が広がる渡名喜村の海域は、良好な自然環境を有してお
り、渡名喜村の漁業者にとって貴重な漁場であり、渡名喜村の漁業者がこれらの海
域環境を適切に管理し、これを保全するとともに周辺水域の有効性を図ってきた。
しかしながら漁業が基幹産業である渡名喜村においても漁業者の減少や高齢化が進
んでおり、このまま放置すれば漁業は一層衰退し、水産業・漁村における多面的機
能も失われていく懸念がある。このため漁業の基盤となる漁場の保全や利用に関す
る話合いを通じて、海岸清掃、漁場監視、サメ駆除やオニヒトデ駆除、新規養殖業
への着業、高付加価値化、体験漁業、パヤオ設置の取組等の創意工夫をいかした新
たな取組、その取組の継続を下支えするために離島漁業再生支援交付金事業を実施
するものとした。
3. 取組の内容
① 漁場の生産力の向上に関する取組状況
・海岸清掃
東浜・アンジェーラ浜を中心に南海岸、西海岸の4箇所で海岸清掃を行い、平
成23年12月から平成24年3月までに6日間実施し、延べ57人で7トン
の漂着ゴミを回収した。
・漁場監視
渡名喜島周辺の漁場監視においては、小型漁船等(0t~2t未満)で密漁漁
船の監視等を行い、又、中層パヤオ及び沈設魚礁においては、大型漁船等を利
用し、パヤオ付近で操業している不審船の監視等を平成24年2月から平成2
4年3月までに16回実施した。
・サメ駆除
要漁業である一本釣及び、ひき縄漁業の操業中に漁具に被害を与え、釣り揚げ
てくる漁獲物もサメの食害となり、漁業者の操業に支障をきたしているため
に、平成23年10月から平成24年3月までにサメ駆除を4回実施し、サメ
27匹駆除した。
・オニヒトデ駆除
渡名喜島周辺(イノー内)でオニヒトデが毎年多発生している。そのために稚
魚の育成場及び水産動物の産卵場である珊瑚が大きな被害を被つている。漁場
として低下している水域の資源回復を図るために平成23年10月から11月
までに3回実施し、オニヒトデを74匹駆除した。
②
集落の創意工夫を活かした新たな取組状況
・新規養殖業への取組
漁業経営の安定化を図るために、平成18年度から県のご指導の元、試験的に
シャコガイ養殖業に取り組んでいる。現在は順調に稚貝が成長しており、今年
度は地元の祭や本島で毎年開催されている離島フェアーにもシャコガイの塩辛
を加工して展示即売し、お客様からかなりの評価を戴いた。今年度も、さらに
養殖カゴを6期設置し、ヒレナシジャコ稚貝を600個購入し養殖した。
・新規養殖業への取組
漁業者の冬場の漁家経営の安定化を図る上からも、今年度もヒトエグサの養
殖に取組、網を300枚と鉄筋を600本購入し養殖に着手した。
・高付加価値化
魚価の価格が安くセリ市場等で出荷の難しい雑魚を地元漁業者から比較的安
価で買取、既存加工施設を利用して特産品を加工し、付加価値をつけ、となき
祭や本島の離島フェアー等へ参加し展示即売会を行った。
・体験漁業への取組
子供達に体験漁業を通し漁業の楽しさ、厳しさ、自然を理解してもらい知識
向上を図るため平成23年度は地元小学校5年から中学校3年の生徒を対象に
一本釣で釣れる魚(底物)等やパヤオ等で釣れる魚(回遊魚)等の製造から調
理までの体験を実施した。
4. 取組の成果
・海岸清掃
となき周辺海岸の清掃を実施したことにより、多少であるがハイボールや漂
着物が無く、海浜が浄化され海藻等が増殖し養殖成果を上げている。
・漁場監視
渡名喜村設置のパヤオ付近で操業している漁船等や渡名喜周辺海域で操業し
ている漁船等の密漁防止対策を昼、夜、監視した結果、密漁防止効果と漁業権
に対する啓発が図られている。
・その他(サメ駆除)
平成18年度から実施しているサメ駆除は、特にひき縄漁業等で漁具等に被害
を与えることが少なくなり、年々サメの駆除数も減少しているために漁獲量も
徐々に増す傾向にある。
・その他(オニヒトデ駆除)
渡名喜島周辺(イノー内)でオニヒトデが多発生し、そのために稚魚の育成
場や水産動物の産卵場であるサンゴに被害を与えた。このために平成18年度か
らの駆除を自視したところ以前よりはオニヒトデの駆除数も減少し、サンゴの
保全を図る事が出来た。
・新規養殖業への着業
平成23年度はヒレナシジャコ養殖カゴを5基設置し、ヒレナシジャコ(60
0個)を追加養殖を実施した。以前養殖したヒレナシジャコは、収穫できるく
らいのサイズになったために収穫し水産加工品として加工し、地元のイベント
(となき祭)や本島で開催されている離島フェアーに出展販売したところ、た
いへん好評を得た。
・高付加価値化
漁業者が出荷できない魚を一部買い取り、くん製・干物等を製造し、地元の
祭及び離島フェアー等にて販路拡大を図った結果、村外より商品の問い合わせ
が来るようになった。しかしながら、原料の供給が安定しないため今後の課題
である。
・体験学習
漁業の重要性を理解してもらい、将来の後継者育成を図るため、地元中学生
を対象に体験漁業を実施した結果、漁業への関心が高まった。指導した漁業者
も子供たちの表情・感動を直に感じ就労意欲の高揚と観光漁業への可能性を感
じることができた。