福助ミシン

Fukuske
SINCE1882~
日本人の洋装化が始まったのは
明治時代だと言われているが、
最初に洋服を着たのは
上流階級の人々が主であり、
一般庶民に洋装化が進むのは
大正時代になってからのこと。
明治期はまだまだ男性も女性も
和装というのが庶民の間では
一般的な装いだった。
和装に欠かせない足袋は、
草履や雪駄、
下駄などが
主流であった履物文化の中で
重要な役割を果たしていた。
防寒や足の保護だけではなく
建物内で履物を脱ぐという独特の、
清潔かつ合理的な日本文化の
象徴的な存在でもあったのである。
おそらく日本人の誰もが知っている
﹃福助﹄というブランドは
そんな文明開化の明治期に誕生した。
日本国内における木綿の生産は
古くから関西地方が盛んであり、
同社の前身もまた、
河内木綿を扱う
幕府御本丸御用の木綿商であった。
当時の着物を主流とした装いにおいて
帽子、
手袋、
下駄や草履などの中では、
足袋が一番消耗の早い小物であり、
その足袋を効率よく大量に生産する
ことを可能にしたのが同社なのである。
とくに時代の先鞭をつけた広告宣伝活動、
ミシンの動力化に代表される生産効率の
向上は、
世の注目を集める事業展開だった。
昔も今もモダンであり続ける﹃福助﹄
の
歴史を紐解いてみよう。
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一人の職人が一日数足を作っていた
これまでの家内制手工業から、
ミシンの開発・導入を決断した福助は
文字通りの産業革命によって、
飛躍的に売り上げを伸ばしていった、
明治28年に同社によって特許申請された
足袋縫いミシンの特許権は日本初だった。
VOL.35
mono
●
[福助]
Photo / Tomoaki Tsuruda
(WPP)
Fukuske
Text / Teruhiko Doi
(WPP)
「シェーパーズ・フォー・メン」
のゴルフタイプ・ソックス。
アーガイル柄、
ボーダ
ー柄、
ドット柄が揃う。
左右非対称の着圧設計で長時間のラウンドを快適にサポ
ート。
拇指球部のクッションは、
スウィング時の重心を安定感良く支えてくれる。
2005年に登場するや、
紳士靴下市場に革命を起こし
たといわれる
﹁シェーパーズ・
フォー・メン﹂のロングホー
ズ。女性用ストッキングとし
てはすでに市場導入され成功
を収めていた
〝段階着圧設計〟
を、
﹁締め付けを嫌う﹂という
タブーに支配されていたメン
ズソックスの分野に初めて導
入。この勇気ある決断が、メ
ンズファッションにおける大
きなトレンドを生み出す結果
となった。その影には周囲の
反対にも怯むことなく、この
企画を推し進めた男性社員の
熱意があったというが、創業
当時には、武士の鎧の仕立て
方にヒントを得た〝コハゼの
被せ縫い〟を独自開発したり、
商品パッケージや広告宣伝活
動に強いオリジナリティを持
っていたりと、進取の気性と
も言うべき同社の社風が現代
においても生きていたことの
証左であろう。ファッション
的には、たるんだソックスか
ら見えるスネ毛の見苦しさを
払拭し、靴下特有のずり落ち
やたるみを軽減させてくれる
機能性も備えていたことで、
一躍ビジネスソックスの主役
に躍り出たのである。201
2年の注目はこの﹁シェーパ
ーズ・フォー・メン﹂のゴル
フ対応ソックス。ソックスに
これだけの機能を持たせた製
品は、おそらくどこにもない
はずである。
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日本人なら誰でも知っている
『福助』
の
商標が誕生したのは明治33年
(1900年)
。
創業時の屋号
“丸福”
が商標登録争いで
使えなくなり、
失意のまま伊勢大神宮へ
参拝したときに見かけた福助人形に
目を奪われた二代目創業者が、
すぐに
商標登録したものだという。
mono
部位によって
「ナイロンサポート」
「
、アーチ
サポート」
「
、メッシュ」
「
、拇指球パイル」
、
「パイル編み」
など、
さまざまな編地を配し
て機能的な設計がなされている。
構造体と
しての機能が、
体型の違いを超えてサポー
トしてくれるはず。
シェーパーズ・フォーメン ゴルフタイプソ
ックス価格2415円
(各)
日本で最も有名な足袋およ
び靴下のブランドである﹃福
助﹄は1882年︵明治 年︶
、
問屋指定の原料で、指定され
た型の足袋を作って卸問屋に
﹁丸福﹂の屋号が始まりだった。
当時の足袋製造販売業には卸
辻本福松。その名にちなんだ
大阪・堺区に足袋装束の卸問
屋として創業した。創業者は
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納める営業形態と、主人も店
員も一緒になって足袋を手縫
いし、自分たちの手で売る営
業形態があり、丸福は後者の
商売を行っていた。大きな商
売はできないが、堅実で信頼
性の高い商売を続けていたの
である。同社に
とって幸いだ
ったのは、足袋
作りにおける
クオリティ・コ
ントロールが
自分たちの手
に委ねられていたこと。明治
年代になると、ひも付きが
主流だった足袋のコハゼが真
鍮製に代わり始め、同社は独
自のアイデアで〝コハゼの被
せ縫い〟を開発。当時はまだ
発明を保護する特許法がなか
ったために他社からも大いに
模倣されたが、同社の創意工
夫は足袋の業界に大きな足跡
を残した。また、福助は小さ
な産業革命ともいえる足袋縫
いミシンの開発でも有名で、
明治 年には特許を取得して
いる。同時に独創的な宣伝・
広告展開にも積極的だった。
明治 年には、丸福の商標権
争いで敗訴して新たに
﹃福助﹄
の商標を取得。福助人形のキ
日本独自の
履物文化を彩った
愛すべき存在
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ャラクターで一躍全国区のブ
ランドへと伸張した。大正∼
昭和∼平成と歴史を重ねた同
社は、グローバルな衣料品ブ
ランドとして今年130周年
を迎えた。
常に品質の向上を目指し続けた同社の
靴下製造から78年、
高度な製造技術には
ますます磨きがかかっているようだ。
「インナー 5 本指ソックス」
などという
アイデアとクオリティの高さを実感できる
ソックスも福助らしい製品だ。
●インナー 5 本指ソックス
価格1575円
(各)
ての知名度を誇る福助。その
言葉から伝わってくるイメー
ジはやはり福助人形のユーモ
明治時代に創業して、いま
も変わらぬ業界第一人者とし
創業130年を迎えても変わらぬ
福助の知名度の高さには脱帽である
大正元年
(1912年)
に
製作された
北野恒富の筆による
大ポスター。
モダンな図柄だ。
ラスな佇まいであり、高品質に
対する安心感であろう。
創業1
30年を迎える老舗のブラン
ド力に揺るぎはない。圧倒的
な高さを誇る製品のクオリテ
ィがそれを証明しているし、
日本人の〝足もと〟を知り尽
くした安心感がある。
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福助ミシンの広告。
同社のミシンは
昭和33年にミシン業界では初のGマーク受賞。
現在のインシューズにも通じる
夏用の足袋
「アンダー足袋」
の古い広告。
明治28年の国産第一号足袋爪先縫い
ミシンから福助は専用ミシンを
続々と開発。
ただ、
基本は輸入品の
ミシンを改良したものであり、
部品からの
純粋な国産品は昭和10年から発売。
EMPIREミシンというブランド名だったが、
昭和16年に福助ミシンと改称している。
ミシンを使った足袋製造の産業革命。
割烹着姿の縫い子さんたちが産業を支えた。
流通がまだ人力に頼っていた時代の
福助のロゴ入り大八車。
おそらくノベルティの団扇だろうが、
同社は
早くから有名画家や作家を広告に起用していた。
mono
福助製品に関する
お問い合わせは
福助株式会社
☎03-6418-1411
http://www.fukuske.com
左の絵は明治15年創業当時の店構えを描いたもの。
右は創業者の辻本福松。
Fukuske for men BOLD
Fukuske for men BOLD
リブストライプ・ソックス
カジュアルなスタイルに欠かせないカラーリン
グが魅力。
価格1050円
(各色)
シューズイン・ソックス
こうしたソックスの欠点であった
“ずり落ち”
を
防ぐために、
内側に滑り止めのテープが。
素晴ら
しい機能である。
価格1050円
(各色)
Fukuske for men BOLD
ドット・ソックス
お洒落なドット柄は定番の安心感。
価格1050円
(各色)
Fukuske for men BOLD
ボーダー 5 本指ソックス
アウトドアなスタイリングにきっと似合うはず。
履き心地も最高。
価格1365円
(各色)
Fukuske for men BOLD
足袋型インシューズ
夏のソックスの定番として根強い人気のインシュ
ーズ・ソックスだが、
親指を離すことで得られる足
袋型の快適さはまた格別。
価格1050円
(各色)
Shapers for men
着圧ロングホーズ
吸水・速乾の性能に長けたタイプのロングホーズ
は価格2520円。
リブタイプは価格2310円、
マイク
ロクッションソールのタイプは価格2520円
Fukuske for men BOLD
メランジ・ソックスや、
フェアアイル
など、
豊富なバリエーションが揃っている人気
のシリーズである。
価格1050円
(各)
→着用する前のフォルムは、
足首の部分をぐっと
絞り込んだスタイリング。
“シェーパーズ”
という
ブランド名が表すスタイルと機能は、
ビジネス・ソ
ックスの分野に革命を起こした存在である。
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