クラスター分析の事例レポート 29頁

秀吉を利用した
クラスター分析の手法
2
クラスター分析とは
クラスター分析とは、「消費者の態度や意識」について、消費者を同じような傾向をもつ人々のグ
ループ、すなわちクラスターに分類したものです。
ブランディングを実践する場合、生活者の意識やそのブランドに対する思い込み、価値観がどの
ようにちがうのが分析する必要があります。
クラスター分析によってマーケティング・コミュニケーションのパターンについての理解を深め
ることができます。特定のブランドに関心の高いコミュニケーション・クラスターはマーケティン
グ戦略の方向性に示唆を与えます。さらに、ターゲットの因子得点(傾向の強弱)によって、その
ターゲットに効果的なマーケティング・コミュニケーション手段のヒントが得られます。
秀吉でクラスター分析を行う場合、クラスター分類となる因子を探し出さなければなりません。
因子を元にコミュニケーションクラスターを分類します。
因子分析とは、多くの観測データがあるときに、観測データの裏にひそんでそれらを支配している本質的な要
因を探り出す手法である。そして探り出した要因を分析者自身が解釈し、因子の意味づけを行います。 因子分析について詳しく知りたい方は
http://research.mki.co.jp/actualresult/review/review26/rv26_forewd.
受験生コミュニケーションクラスターの例
コミュニケーション・クラスターの例
3
4
受験生コミュニケーションクラスターの例
クラスターのポジション (第一志望した大学とその理由)
授業の質・評判
1.0
教授のレベルが高い
0.8
先輩の評判がよい
津田塾大学
0.6
まじめそうで安心に感じる
0.4
東京女子大学
学費が安い
日本女子大学
0.2
C4セルフィッシュ
C2コンサバティブ
授業内容が充実している
C5サイコロジー
校風が自分にあっている
立地条件がよい
大学のイメージ・雰囲気がよい
共立女子大学
自分の目的にあった学部・学科
専門能力が身につきそう
4大共学
入りやすさ
0.0
経済性
就職や資格取得に有利
少人数の教育体制で面倒見がよさそ
う
-0.2
C3チャレンジャー
東京家政大学
実践女子大学
先生の評判がよい
文京学院大学
C1オネスティー
大学説明会での印象がよい
大妻女子大学
昭和女子大学
カリキュラムの構成が社会のニーズ
-0.4
実習室などの教育設備が充実
受験者の個性・人物を重視してくれ
る
偏差値が自分に合う
入試の種類が豊富
-0.6
社会変化への対応
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
5
コミュニケーションクラスターの出し方の概要
アンケートによって測定する質問文を作ります。
5段階評価で下記のように5を一番高い階級値にする
選択項目
非
常
に
そ
う
思
う
アンケートの設問をつくり
アンケート実施する
①因子分析分析を行います
秀吉
②クラスター分析を行います
秀吉
ど
ち
ら
で
も
な
い
あ
ま
り
思
わ
な
い
思
わ
な
い
1. 生活に役立つ知識や情報を人に教えてあげることが多い
5
4
3
2
1
2. 友人から相談を受けたりアドバイスを求められることが多い
5
4
3
2
1
3. 本音と建前をうまく使い分けられるほうだ
5
4
3
2
1
4. リーダーシップをとる時が多い
5
4
3
2
1
5. 情報は自分から積極的にさがす
5
4
3
2
1
6. 世間の評価を気にするほうだ
5
4
3
2
1
7. 女性だけの友達といる方が気が楽だ
5
4
3
2
1
8. 周りの人の意見を聞き、知識や情報を取り入れるよう心がけている
5
4
3
2
1
9. いろいろな面で調整役にまわる時が多い
5
4
3
2
1
10. 他人が薦めないことは避け、慣例に従うことが多い
5
4
3
2
1
11. いろいろなことにチャレンジしてみたい
5
4
3
2
1
12. 将来はなるべく安定した生活をしたい
5
4
3
2
1
13. 重要なことを決めるときは最終的には自分の判断で決める
5
4
3
2
1
14. 親の言うことには、なるべくそのとおりにする
5
4
3
2
1
15. 目標に向かって努力するほうだ
5
4
3
2
1
16. 将来自分がなりたいと思う明確な目標をもっている
5
4
3
2
1
17. 海外のことについて感心がある
5
4
3
2
1
③クラスター別にクロス集計、コレスポンス分析(ポジショニング分析)を行います。
クラスターの年代等の属性、カテゴリーに対してクロス集計をおこない。
クラスターの内容を把握します。
ま
あ
思
う
6
具体的な分析ステップ
STEP1 設問を作る
STEP1 設問を作る STEP2 因子分析を行う 分析手法
STEP2 因子分析後のデータ チェック
SETP3 因子の命名
STEP4 クラスター分析 k−mean法(非階層式クラスター分析)
STEP5 マーケティングへの応用 ターゲットのセグメンテーション分析例
7
STEP1 設問を作る
クラスター分析の元となる、因子を抽出する為に因子分析を実施します。因子分析とは複数の項目(設問の変数)を
少数の側面(因子)にわけて捕らえる技法です。
因子分析がうまくいくか、いかないかは設問の設計内容に左右されます。設問をいかにバランスよく作るかがカギとな
ります。
設問に偏りがあると、後で説明する固有値と因子の累積寄与率(因子で母集団を説明できる割合)が低くなります。
設問をバランスよくつくる
選択項目
設問をうまくつくるポイント
非
常
に
そ
う
思
う
ま
あ
思
う
ど
ち
ら
で
も
な
い
あ
ま
り
思
わ
な
い
思
わ
な
い
1. 生活に役立つ知識や情報を人に教えてあげることが多い
5
4
3
2
1
2. 友人から相談を受けたりアドバイスを求められることが多い
5
4
3
2
1
①既存の文献の記述を参考に網羅なく収集する。
②充分な量の自由記述調査や観察を行う
③ファセットを組んで、側面の落ちをチェックする
*ファセット→次頁参照
3. 本音と建前をうまく使い分けられるほうだ
5
4
3
2
1
4. リーダーシップをとる時が多い
5
4
3
2
1
5. 情報は自分から積極的にさがす
5
4
3
2
1
6. 世間の評価を気にするほうだ
5
4
3
2
1
7. 女性だけの友達といる方が気が楽だ
5
4
3
2
1
8. 周りの人の意見を聞き、知識や情報を取り入れるよう心がけている
5
4
3
2
1
9. いろいろな面で調整役にまわる時が多い
5
4
3
2
1
10. 他人が薦めないことは避け、慣例に従うことが多い
5
4
3
2
1
11. いろいろなことにチャレンジしてみたい
5
4
3
2
1
12. 将来はなるべく安定した生活をしたい
5
4
3
2
1
13. 重要なことを決めるときは最終的には自分の判断で決める
5
4
3
2
1
14. 親の言うことには、なるべくそのとおりにする
5
4
3
2
1
15. 目標に向かって努力するほうだ
5
4
3
2
1
16. 将来自分がなりたいと思う明確な目標をもっている
5
4
3
2
1
17. 海外のことについて感心がある
5
4
3
2
1
STEP1 設問を作る *ファセットについて
日ごろの購買行動に対する価値観に対する設問を作りたい時、以下のようなファセットを組めば
バランスよく質問が作れます。
友人
金額
Q1
労力
Q4
情報
Q7
家族
Q2
顧客
Q3
Q5
Q6
Q8
Q9
例えば Q7自分がいいと思う商品については友人・知人に教えてあげたい ファセット理論 http://koko15.hus.osaka-u.ac.jp/ kano/hobby/essay/HD_kimura.html
8
9
STEP2 因子分析を行う 分析手法
①のアイコンをチェックし因子分析を選択します。
項目のブロックに因子分析をする設問を設定し②∼⑥をチェックし OKを選択。
①因子分析 チェック
クラスター分析(クラスター分析をする時に使います)
④バリマックス回転をかける。(次ページ参照)
②因子分析を
おこなう設問
(5段階評価の
質問項目)を選
択
⑤SMCをチェック
⑥因子の数を決める。
③反復あり
はじめに6.7つでやって
みる。
STEP2 因子分析を行う *③バリマックス回転
③バリマックス回転かける(チェックする)
*因子を軸上に載せわかり易くするために直
行回転を行うやり方のひとつでバリマックス回
転がある。他にもいろいろ手法があるが、一
番良く利用するのがバリマックス回転法。
⑤SMCとは
因子の負荷量を算出する為の手法で
重心法、主因子法等があります。現在良く使
われるのが主因子法です。
ガットマンと言う人が提唱した手法です。
詳しくは専門書を見てください。
シュミレーション時は保存しない。
因子の数がきまったら因子得点を保存する。
10
因子分析後のデータ チェック1
①固有値のチェックをおこなう (回転後)
負荷量の二乗和のことを固有値という。固有値1以上の因子を採用する。
下記のデータの場合第6因子まで採用できる
②寄与率チェック 寄与率の低い因子は採用しない。因子の数再度検討。
因子寄与率はできれば60%あるのが望ましいが、50%でも分析者が判断して利用する。
固有値1以上
11
STEP2 因子分析後のデータ チェック2
標準値 標準偏差
1−5段階のばらつき具合を見る
12
STEP2 因子分析後のデータ チェック3
設問と設問の相関比を見る。
項目間の相関を見る。 判定マーク*
項目間の相関がある(1に近い)ということは、同じ内容の設問である傾向が高い。
因子分析をやり直し、設問を削る場合相関の高い設問から削っていく
13
14
STEP3 因子分析後のデータ
因子の中で、負荷量が0.4以上の因子に注目する。
さらに負荷量が0.4を超える因子が1∼2項目であれば因子とみなさない。
以下の因子分析の場合、第4、第5因子は負荷量が0.4を超える設問が1つと少ない為
因子とは見なせません。よって失敗です。
このような場合、因子数を3つに設定して再度因子分析するか、質問数を減らして再度因子分析します。
因子負荷量は0.4以上に注目
変数名
5.Q7.5.情報は自分から積極的にさがす
7.Q7.7.生活を豊かにしてくれるものにはお金をかける
14.Q7.14.重要なことを決めるときは最終的には自分の判断で決める
8.Q7.8.周りの人の意見を聞き、知識や情報を取り入れるよう心がけている
4.Q7.4.友人や知人といる時には、率先して事をすすめるほうだ
3.Q7.3.自分がよいと思った製品を誰かに伝えたいと思う
2.Q7.2.友人から相談を受けたりアドバイスを求められることが多い
9.Q7.9.TVや新聞等の情報は製品の購入に影響を与えていると思う
6.Q7.6.世間の評価を気にするほうだ
13.Q7.13.友人や知人との会話は、批判的な話が多い
12.Q7.12.友人や知人からのクチコミがきっかけで、製品購入する
第1因子
0.671
0.527
0.426
0.406
0.394
0.172
0.151
0.084
0.065
0.028
第 2因子
0.011
0.007
-0.064
0.165
0.119
0.192
0.171
0.211
0.172
0.107
第 3因子 第4因子
第5因子
0.189
-0.088
-0.031
-0.003
-0.056
0.054
0.128
0.130
-0.046
0.188
-0.150
0.293
0.544
-0.036
-0.002
0.284
-0.061
0.176
0.645
0.061
0.183
0.028
-0.065
0.028
-0.028
-0.683
0.131
0.008
-0.147
-0.020
0
15
STEP3 成功した因子分析の例
下記の25の設問は、個人と会社とのかかわり方に対する質問について聞いたものです。
質問がバランスよく設計されている為、4つの因子がきれいに抽出されています。
1∼4の因子について名前を付けます。
因子1
因子2
因子3
因子4
因子1∼4とも負荷量が超
える変数(設問)が3つ以上
あります。
更に固有値が1∼4因子と
もどれも1を越えています。
SETP3 因子の命名
1∼4の因子に名前を付けてください。注意点は①∼④です。答えは最終ページ
①因子の中で負荷量の絶対値の大きい順に重
要な変数と見なして名前をつける。
因子1
因子2
因子3
因子4
②プラスとマイナスの負荷量の変数がある場合
正負の方向を考慮した名前をつける。
③一部だけに偏らず負荷の高い項目全体を表
現できる因子名をつける。
④因子間の関係がわかるように名前をつける
例
第1 束縛感因子 第2限界感因子
第3 対人葛藤因子 第4経済的負担因子
16
STEP3 因子名を秀吉に反映
秀吉 ホーム画面に戻る
因子に名前をつけ、名前を変更する
17
STEP4 クラスター分析 k−mean法(非階層式クラスター分析)
クラスター分析は階層型クラスター分析と非階層型クラスター分析があります。
ここでは非階層型クラスター分析のひとつであるk−meam法を利用します。
分析する因子を説明変数のボックスに
設定します。
クラスター数 とりあえず5つ
(経験則で自分がどのくらいのクラスターに
わけたいか)決める
反復は多くすれば、より正確になりま
す。
ただし時間がかかるので20回くらい
に設定します。
18
STEP4 クラスター分析
以下が因子によってクラスター分析したクラスター分析のグラフです。
各クラスターによって、どの因子得点が高いかを見ながらクラスターの名前を付けていきます
19
因子によって5つのクラスターに分類
した例
STEP4 クラスター分析
単純集計でクラスターの割合をみる
20
STEP4 クラスター分析
クラスター数が多い時、構成比が少ないクラスターは使えない。再度クラスターの数をやりなおし、ちょう
どいい割合がでたらクラスター決定する。
あまり細かクラスターを分けすぎると、ターゲット設定、ポジショニングで使いづらくなります。
よく使うクラスターの数は5∼6です。
21
STEP4 クラスター分析
クロス集計でクラスターの属性をみる
各クラスターによってどんな属性の違いがあるか見ていきます。
22
STEP4 クラスター分析 クラスター属性表 例
クラスターの内容をまとめる
受験生の例
23
24
STEP5 マーケティングへの応用 ターゲットのセグメンテーション分析例
クラスターと自分が知りたい設問のクロス表を作り、コレスポンデンス分析をすることにより以下のようなポジ
ション図が作れます。ターゲットを分類し、自社に最も効果的なターゲットを設定したい、または各層への個
別戦略を実施したい時に利用できます。各ターゲットに対する具体的な特徴、ターゲットに訴求しやすい広告
戦略等明らかにできます。
授業の質・評判
1.0
ポジション図例 教授のレベルが高い
0.8
先輩の評判がよい
津田塾大学
0.6
まじめそうで安心に感じる
0.4
東京女子大学
学費が安い
日本女子大学
0.2
C4セルフィッシュ
C2コンサバティブ
授業内容が充実している
C5サイコロジー
校風が自分にあっている
立地条件がよい
大学のイメージ・雰囲気がよい
共立女子大学
自分の目的にあった学部・学科
専門能力が身につきそう
4大共学
0.0
入りやす
さ
経済性
就職や資格取得に有利
少人数の教育体制で面倒見がよさそ
う
-0.2
C3チャレンジャー
東京家政大学
実践女子大学
先生の評判がよい
C1オネスティー
大学説明会での印象がよい
大妻女子大学
昭和女子大学
文京学院大学
カリキュラムの構成が社会のニーズ
-0.4
実習室などの教育設備が充実
受験者の個性・人物を重視してくれ
る
偏差値が自分に合う
入試の種類が豊富
-0.6
社会変化への対応
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
25
因子の命名 答え
1∼4の因子の名前の例です。回答はこれ1つとは限りません。マーケッターの発想によって名前を
付けていきます。重要なのは因子間の関係を考慮して名前を付けることです。
第1因子 会社残留意向
第3因子 価値共感因子
第2因子 労働意欲因子
第4因子 功利的帰属因子
因子1
因子2
因子3
因子4