1 世界銀行の使命 長期的な結果を追求し、熱意とプロフェッショナリズムを持って貧困削減に取り組みます。 資源の提供、知識の共有、キャパシティ・ビルディング、公共・民間セクターにおけるパートナー 世 界 銀 行 年 次 報 告 2 0 0 4 シップの推進を通じて、人々の自助努力とその環境作りを支援します。 人を引きつけ、活力を与え、また耳を傾け、学ぶ姿勢を持った優れた職員を育てることがで きる援助機関を目指しています。 世界銀行(ワシントン本部) 1818 H Street, NW Washington, DC 20433 USA 電 話:202-473-1000 フ ァック ス:202-477-6391 ホームページ:www.worldbank.org E メ ー ル:[email protected] 世界銀行東京事務所 〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル10F 電 話:03-3597-6650(代) フ ァック ス:03-3597-6695 ホームページ:www.worldbank.or.jp 一 年 を 振 り 返 っ て 世 年 界 次 銀 報 2004 PIC東京(世界銀行情報センター) 世界銀行情報センター (Public Information Center, 通称PIC) は、世界銀行の業務や政策、開発問題に関する情報窓口です。 PIC東京では、世銀の出版物や資料に関する情報サービスを行うとともに、世界銀行の途上国支援の取り組みについて、皆 様にご理解いただくことを目的とし、どなたでも気軽にご参加頂ける様々なプログラム及びイベントを開催しています。 開館日:月曜日∼金曜日 午前10時−午後7時 休館日:土日、祝祭日、年末年始(臨時休館させていただく場合があります) 連絡先:〒100-0011 千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル1F 電 話:03-3597-6650 Eメール:[email protected] THE WORLD BANK Volume 1 一年を振り返って 行 告 編集長: Cathy L. Gagnet、世界銀行出版部 副編集長 Caroline L. Banton、世界銀行出版部 T. Scott Brown、世界銀行出版部 2004年度の活動概要 本年次報告は、2003年7月1 寄稿編集者 Barbara S. Karni IBRD (単位:100万ドル) 日から2004年6月30日までの 活動を対象に、国際復興開 2004年度 2003年度 2002年度 2001年度 2000年度 承認額 うち構造調整融資 11,045 4,453 11,231 4,187 11,452 7,384 10,487 3,937 10,919 4,426 プロジェクト数 うち構造調整融資 87 18 99 21 96 21 91 15 97 14 実行総額 うち構造調整融資 10,109 4,348 11,921 5,484 11,256 4,673 11,784 4,393 13,332 4,924 18,479 19,877 12,025 9,635 10,398 発銀行(IBRD)と国際開発 協会(IDA)の理事が、それ ぞれの機関の定款に従って 作成したものです。IBRDと IDAの総裁および理事会議 元本返済額 (前納分を含む) 長 を 兼 務 するジェームズ・ 実行純額 D・ウォルフェンソンは、本年 融資残高 次報告、運営予算、および 未実行額 監査済み財務諸表を総務会 配分可能な純益 に提出しました。 (8,370) (7,956) (769) 2,149 2,934 109,610 116,240 121,589 118,866 120,104 32,128 33,031 36,353 37,934 44,754 1,675 3,050 1,831 989 1,582 利用可能資本および準備金 31,332 30,027 26,901 24,909 25,067 資本/貸出比率 29.4% 26.6% 22.9% 21.5% 21.3% 国際金融公社(IFC)、多数 国間投資保証機関(MIGA)、 IDA (単位:100万ドル) 2004年度 2003年度 2002年度 2001年度 2000年度 および投資紛争解決国際セ ンター(ICSID)の年次報告 は別途刊行されます。 承認額 うち構造調整融資 9,035 1,698 7,282 1,831 8,068 2,443 6,764 1,826 4,358 682 プロジェクト数 うち構造調整融資 158 23 141 24 133 23 134 15 126 9 実行総額 うち構造調整融資 6,936 1,685 7,019 2,795 6,612 2,172 5,492 1,280 5,177 860 元本返済額 1,398 1,369 1,063 997 920 実行純額 5,538 5,651 5,549 4,495 4,257 115,743 106,877 96,372 86,572 86,643 融資残高 未実行額(融資) 23,998 22,429 22,510 20,442 20,833 未実行額(グラント) 2,358 1,316 148 — — 開発グラント供与額 1,697 1,016 154 — — 制作 Cindy A. Fisher、世界銀行出版部 Monika D. Lynde、世界銀行出版部 Melissa Edeburn、世界銀行出版部 プロジェクト・アシスタント Cesar A. Gordillo 編集コンサルタント Martha V. Gottron Grammarians, Inc. Mertes Editorial Services デザイン Patricia Hord.Graphik Design Interactive Composition Corporation 付録CD-ROMのご利用方法 CD-ROMの起動: 「世界銀行年報2004 日本語版」CD-ROMをCD-ROMドライブに挿入するとタイトル が自動的に起動します。起動しない場合は「マイコンピュータ」からCD-ROMアイ コン「About the World」を開き「WB Annual Report 2004.pdf」をダブルクリックして 起動してください。ご使用の環境にAdobe Readerがインストールされていない場合は、 アドビシステムズ社のサイト(http://www.adobe.co.jp/)よりAdobe Readerをダウン ロードし、インストールしてください。 表示エリアのサイズ変更: カーソルを 「しおり」タブの右側にある垂直方向のバーに合わせます。カーソルが矢印 マークに変わったら、マウスをクリックしたまま、希望の方向(右か左) に動かします。 表タイトルの全文表示: 「しおり」タブで当該タイトルの上にカーソルを合わせると、タイトルの全文がポップ アップ表示されます。 エクセルファイルの開き方: 「しおり」タブ上の青色のリンクをクリックします。あるいはPDFの画面上で表のタイ トルをクリックします。 エクセルファイルの閉じ方: 現在、開いている表を閉じる場合は、 「ファイル」メニューの「閉じる」を選択します。 エクセルを終了したい場合は、 「ファイル」メニューの「終了」を選択します。 印刷: 「ファイル」メニューの「印刷」を選択します。 CD-ROMの終了: 「ファイル」メニューの「終了」を選択します。 動作環境 本体:Intel Pentiumプロセッサの搭載されたコンピュータ メモリ:64MB以上 OS:Windows98またはそれ以降 ソフトウェア:Adobe Reader(Adobe Reader 6.0)、Excel(Excel 97またはそれ以降) • Adobe PDF、Adobe AcrobatおよびAdobe Readerは、Adobe Systems Incorporatedの商標または登録商標です。 • Microsoft、Windows、およびMicrosoft Excelは米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における商標 または登録商標です。 • その他、記載されているシステム名、製品名は、一般に各社の登録商標もしくは商標です。 世 界 銀 行 年 次 報 告 2004 Volume 1 一年を振り返って 写真(右上) ワシントンDCにある世界銀行本部のロビー に飾られているこのブロンズ像は、かつてはア フリカ大陸の随所で見られた光景をモチーフと しています。当時、アフリカ大陸では川辺で繁 殖するブユが媒介する寄生虫症「回旋糸状虫 症」 ( 河川盲目症ともいう) が猛威をふるい、多 くの成人が視力を失いました。 今でも、アフリカ大陸のセネガルからエチオ ピア、アンゴラからモザンビークにかけての一帯 では、数百万人がこの疾病に感染しています。 しかし、その数は1970年代初頭の半分にすぎ ません。これは「西アフリカ回旋糸状虫症撲滅 計画」や、 「回旋糸状虫症撲滅のためのアフリカ 計画」が密接に連携して抑制に取り組み、また 治療薬の登場によって、 感染者の症状を緩和し、 新たな感染を防ぐことが可能になったためです。 このブロンズ像は、盲目の大人を連れた子供 という、以前はどこにでも見られた光景を過去の ものとした取り組みを記念して制作されました。 表紙 途上国の水セクターへの投資は、年間約 600億ドルに上ると推定されます。このうちの 約90%は国内資金でまかなわれています。世 銀の融資は外部調達資金の約50%(年間30 億ドル)で、世銀の融資全体の約15%を占め ています。 安全な飲料水への安定したアクセスを持た ない人々の割合を2015年までに半減するとい うミレニアム開発目標を達成するためには、これ からも無数の課題を乗り越えていかなければな りません。2003年2月、世銀はこの目標に取り 組む途上国により効果的な支援を提供すること を目指して、新たな水資源戦略を採択しました。 (注) 本年次報告の内容はインターネットでも見ること ができます。www.worldbank.or.jp 本書中のドル表記はすべて、特に断りがない限 り、現在の米ドルを意味します。 目次 総裁兼理事会議長からのメッセージ 理事会 世界銀行グループ 2 5 8 第1章 開発アジェンダ 10 第2章 地域別展望 24 28 32 37 41 46 51 アフリカ地域 東アジア・大洋州地域 南アジア地域 ヨーロッパ・中央アジア地域 ラテンアメリカ・カリブ海地域 中東・北アフリカ地域 第3章 テーマ別展望 貧困削減と経済管理 人々への投資 持続可能な開発 インフラ支援 民間セクター開発支援 健全な金融システムの構築 法制度の整備 56 58 61 65 69 72 76 79 第4章 開発の有効性 82 第5章 2004年度の活動概要 96 第6章 世界銀行について 総務および総務代理 理事・理事代理および議決権 幹部職員 世銀職員について 現地事務所の所在地 パートI・パートII IDA加盟国リスト 表 開発委員会コミュニケ 2004年度 115 118 121 123 124 126 135 136 186 囲み、図および表のリスト 略語 索引 192 193 194 ウォルフェンソン世界銀行総裁兼理事会議長からの メッセージ 米国カリフォルニア州サノゼ高等学院の生徒と意見を交換するウォルフェンソン総裁。 この1年は希望と進展の兆しが見えた年であると同 時に、世界的な貧困との戦いの前途に暗影が投げか けられた年でもありました。 リカ・カリブ海地域、およびヨーロッパ・中央アジア地 域では貧困層の絶対数は上昇しています。 今年は世銀と国際通貨基金(IMF)の年次総会が、 2004年の最新のデータによると、貧困層の数は減 初めて中東地域で開催されました。紛争と人命喪失 少を続けています。これは喜ばしいことです。1日1ド が暗い影を落とす中、中東のドバイで開かれたこの ル未満で生活する人々の割合は、1981年は世界人口 総会で、私は現在の世界は均衡を失っていると申し の40%を占めていましたが、2001年は21%に下がりま 上げました。現在、世界では60億人の人々が生活し した。成長の基盤を整えた国では、開発関連の指標 ていますが、世界の国内総生産の80%は富裕国で暮 がはっきりと上向き始めています。たとえば、ヨーロッ らす10億人が生み出しており、残る50億人がその他 パではスロベニアが世銀の融資対象から卒業し、9つ 20%を生み出しているにすぎません。富裕国は年間 の世銀加盟国と共に欧州連合(EU) に加盟しました。 7000億ドルを国防に費やし、3250億ドルを国内農業 しかし、すべての地域が一様の進展を遂げている の保護に当てていますが、開発援助にはわずか680 わけではありません。成長著しい東アジア地域では、 億ドルを振り向けているにすぎません。 1981年から2001年の間に5億人が1日1ドル未満の生 こうした世界規模の不均衡は、各地で貧困層の日々 活から脱却しました。これほど劇的ではないものの、 の生活を脅かしています。現在、世界では20億人が 2 南アジア地域と中東・北アフリカ地域でも、貧困層の 清潔な水を利用できない状況にあり、1億1500万人の 数は減少しました。しかし、アフリカ地域、ラテンアメ 子供が一度も学校に行くことがなく、約3800万人の 世界銀行 年次報告 2004 パリで開催されたYDP2003(若者・開発・平和会議)の参加者とウォルフェンソン総裁。 HIV感染者(そのうちの95%以上は途上国の人々)が、 万人にすぎません。圧倒的多数が子供時代を貧困の 治療の機会をほとんど与えられていません。 中で過ごすことになるはずです。そうした人々は必然 今からわずか4年前の2000年、世界の指導者たち 的に、世界は不公平で不条理な場所だと考え、幻滅 はニューヨークで開催されたミレニアム・サミットに集 することになるでしょう。テロリズムは多くの場合、若 まり、2015年までに貧困を半減することを誓いました。 年人口の増加が著しく、かつ若者たちが希望を持つ そして、保健・医療、教育、女性、および環境に関す るミレニアム開発目標(MDGs)が採択されたのです。 ことのできない国で醸成されます。 若年層は今、無視することのできない力を持ち始 世銀は今年の春の総会で、第1回の「グローバル・モ めています。2004年度、私は北京の清華大学やマサ ニタリング・レポート」を発表し、これらの目標を達成 チューセッツ州のブランダイス大学などで、世界中の するために、すべての国が取るべき政策と行動を明 若者たちと意見を交わす機会を得ました。若者は未 らかにしました。世銀とIMFが共同で作成したこの報 来であると同時に、今を代表する存在でもあります。 告書は、このままではほとんどの途上国がMDGsの大 世界人口の約半数は24歳未満の若者ですが、その10 部分を達成できないとして、国際社会に警鐘を鳴らし 人に9人は途上国で暮らしています。このうちの10億 ています。 人は10年以内に職を求めるようになるでしょう。職を 今、世界は一つの大きな選択を迫られています。 求めて故郷を離れる若者の数は、今後さらに増えて もし、国際社会がMDGsの達成にさらなる熱意で取 り組むことがなければ、鳴り物入りで掲げられた目 標は達成されず、貧困層はこれまで以上に取り残さ れ、将来の世代に大きな課題を残すことになるで しょう。 いくはずです。 われわれはこうした現実を直視し、特に3つの問題 について、行動を起こす必要があります。 1つ目は、貿易交渉を進展させることです。貿易交 渉によって農業保護主義が緩和されれば、途上国の 世界人口は今後25年で約20億人増えるといわれて 貧困は削減されます。2015年までに3250億ドル近く いますが、富裕国に生を受けるのはこのうちの5000 が途上国にもたらされ、1億4000万人が貧困から抜け 世界銀行 年次報告 2004 3 出すことができるでしょう。 標 に 向 け て、大きく前 進しました 。現 在 、2 7 カ 国 2つ目は、先進国が約束した援助額を大幅に引き上 (HIPC適格国の3分の2)が債務救済の適用を受けて げ、より効果的に利用することです。ここ数年、援助 おり、すべての債権者による債務削減総額は520億ド 額は増加傾向にありますが、MDGsを達成するために ルを超えると予測されています。世銀はパートナーと は、現在の開発援助水準を約2倍に引き上げる必要 共に、債務救済から持続可能な債務への移行を進め があります。最貧国への援助で大きな成果を上げて ています。 きた国際開発協会(IDA)の増資に、すべてのドナー 国が参加することは不可欠です。 エイズに関しては、国連児童基金(UNICEF)、世界 エイズ・結核・マラリア対策基金(GFATM)、および 3つ目は、追加援助の大部分を融資ではなく、グラ クリントン財団と共に、途上国がジェネリック薬を通 ントとして提供し、最貧国の債務負担をさらに軽減す 常よりも大幅に安い価格で入手できるようにする計画 ることです。 に着手しました。また、パートナーと協力しながら、 こうした取り組みが功を奏するためには、2002年の モンテレー会議で富裕国と貧困国の間で交わされた 取り決めが、確実に実施される必要があります。すな HIV/エイズ感染リスクの高い国で予防プログラムの 構築に取り組んでいます。 2004年度の特記事項としては、上海にて中国政府 わち、途上国は経済改革と汚職の撲滅をさらに進め、 と共同で開催した国際貧困撲滅会議があります。9カ 先進国は援助資金を増額することによって、途上国の 月間の開発学習を経て開催されたこの会議は、途上 改革を支援しなければなりません。 国の指導者たちが開発プロジェクトの成功と失敗を 世銀は世界的な貧困との戦いにおいて中心的な役 共有する機会となりました。われわれは個々のプロ 割を果たしています―そして、それは世銀の務めでも ジェクトの成功に満足するのではなく、開発努力をさ あります。世銀の戦略は引き続き、貧困削減の2つの らに「拡大」 していかなければならないことを学びまし 柱である「人々のエンパワーメント」と「投資環境の改 た。われわれが建てようとしているのは10の学校では 善」に焦点を当てたものとなっています。この2つの柱 なく、1万の学校です。5つの橋ではなく、5000の橋で は世銀の国別援助戦略(CAS)の基盤となっているだ す。われわれが支援しようとしているのは何千ではな けでなく、貧困国の貧困削減戦略文書(PRSP)や、富 く、何十億の人々なのです。 裕国の開発戦略にも反映されています。世銀は2004 不利な立場に置かれている人々は慈善の対象では 年度も引き続き、途上国主導のアプローチを推進し、 なく、貧困との戦いにおける貴重な財産である―世 IDAの融資対象である低所得国においてはPRSPの作 界銀行ではそう認識しています。また、道徳、社会、 成を支援し、IBRD(国際復興開発銀行)の融資対象 経済、そして安全保障の面においても、貧困を克服 である中所得国においては、その国のニーズに合っ することは急務であると確信しています。われわれは た融資手段の提供に努めました。また、政策・制度環 今後もこの信念を力強く訴えていくと共に、ミレニアム 境が脆弱で、多くの場合は内紛を抱えている国々に 開発目標の達成に取り組んでいるすべての人々に、 おいても、LICUS(切迫した状況にある低所得国)イ 惜しみない支援を提供していく所存です。 ニシアティブを通して支援を継続しています。援助を 成功させるためには、ドナーとのパートナーシップも 不可欠です。 重債務貧困国(HIPC)イニシアティブは今年、貧困 国の債務を管理可能な水準まで引き下げるという目 4 世界銀行 年次報告 2004 ジェームズ・D・ウォルフェンソン 理事会 左から右へ: (起立)Per Kurowski, Terrence O’ Brien, Otaviano Canuto, Paolo Fernando Gomes, Nuno Mota Pinto, Pierre Duquesne, Thorsteinn Ingolfsson, Tanwir Ali Agha, Tom Scholar, Kurt Richard Bayer, Eckhard Karl Deutscher, Alexey G. Kvasov, 大矢俊雄, Louis A. Kasekende, Yahya A. Alyahya, Rapee Asumpinpong (着席)Guangyao Zhu, Pietro Veglio, Carole Brookins, Mahdy Ismail Aljazzaf, Gobind Ganga, Tamara Solyanyk, Alieto A. Guadagni 理事会は世銀業務全般の運営に責任を負ってお 性、効率性、および有効性について、理事会に独立 り、総務会から委任された権限に基づいてその任務 した助言を提供します。OEDは理事会に直接説明責 を遂行します。世銀協定の規定により、24名の理事の 任を負っている独立の評価部門であり、理事会が承 うち5名は5大出資国が任命し、残りの理事はその他 認した政策、戦略、および業務プログラムに沿って評 の加盟国から成る複数の理事選出母体(2年ごとに選 価を実施します。 出) により選任されます。 理事会はその職務を遂行するために、世銀本部で 理事会は総裁が提出するIBRDの融資・保証案件 定期的に会合を開いています。こうした会合には公式 や、IDAの融資・グラント・保証案件を検討・承認す の全体委員会と非公式のものがあります。各理事は5 るほか、世銀の業務全般に対する方針も決定します。 つの常任委員会―監査委員会、予算委員会、開発効 また、理事会は年次総会の場で総務会に会計監査報 果 委 員 会( C O D E )、統 治・理 事 行 政 管 理 委 員 会 告書、運営予算、世銀の活動や政策などをまとめた (COGAM)、および人事委員会―のうち、いずれか1 年次報告(本報告書)、および総務会への提出が義務 つ以上の委員も務めています。理事会は常任委員会 づけられている諸事項を提出する任を負っています。 の支援を得て、世銀の政策と慣行を詳細に検討し、 理事会は世銀の業務方針と方向性を定める上でも重 その監督責任を果たします。常任委員会が理事会に 要な役割を担っています。その際、世銀グループの 代わって意思決定を行うことはありません。 戦略や業務に対する加盟国の認識の変化も考慮され 2004年度、監査委員会はガバナンスと監督に関す ます。この過程で重要な役割を果たすのが業務評価 る最新のベストプラクティスや、多国籍機関という世 局(OED)です。OEDは世銀業務の妥当性、持続可能 銀グループの特殊性を考慮して、自らの委任事項を改 世界銀行 年次報告 2004 5 訂しました。現在進められている世銀グループのガバ 心としたものとなりました。世銀の執行部は2004–06 ナンスと管理フレームワークの改革は、改訂された委 年度の世銀グループの戦略的方向性をまとめた文書 任事項に基づいて実施されています。予算委員会は (中期戦略や財務文書を含む) を理事会に提出しまし 世銀の予算編成に理事会が早期から関与することを た。理事会はこれらの文書を検討し、MDGsの達成 求め、執行部の確約を得ました。今後は執行部と協 に向けて、引き続き実施状況と結果、融資対象の精 力して、複数年にわたる包括的なフレームワークの構 選、トレードオフ、再関与、および効率化に重点を置 築に取り組む予定です。CODEは世銀が進めている くという執行部の提案を強く支持しました。 手続きの簡素化・調和化努力の一環として、世銀融資 の支出基準を討議しました。COGAMでは理事の行 動規範が改訂されたほか、引き続き理事会の有効性 貧困削減における世銀の役割 2004年度の理事会においても、ミレニアム開発目標 とブレトンウッズ機関における途上国・移行経済国の (MDGs)に対する世銀の役割と取り組みが審議の中 発言権と参加の問題が議論されました。人事委員会 心となりました。理事会は第1回の「グローバル・モニ は労働力の柔軟な利用を目的とした新しい雇用方針 タリング・レポート」のほか、 「MDGs達成のための資 を提言し、理事会の承認を得ました。 金モダリティ進捗報告書」、 「健全な政策に対する十分 理事と理事代理は定期的に借入国を訪問し、援助 かつ適切な支援:国レベルでのモンテレー合意の実 の実施状況を視察しています。視察の際はプロジェ 施」といった文書を検討しました。また、貧困削減に クト・マネージャー、受益者、政府関係者のほか、シ 関する報告書「貧困削減戦略文書:実施状況と現状 ビルソサエティ組織や企業の代表者、 開発パートナー、 分析」 も検討されました。このほか、12件の貧困削減 金融機関、現地事務所の世銀職員など、さまざまな関 戦略文書(PRSP) と20件のPRSP進捗状況報告書が検 係者との会談が行われます。2004年度の視察先はボ 討されました。 スニア・ヘルツェゴビナ、セルビア・モンテネグロ、コ 重債務貧困国(HIPC)の債務削減問題については、 ソボ、ベトナム、ラオス人民民主共和国、およびサモ 拡充HIPCイニシアティブが審議の中心となりました。 アでした。 2004年度の理事会では6件のHIPC完了時点文書が検 理事会は半年ごとに開催される 「世銀・IMF合同開 討されました(完了時点とは、決定時点で合意された 発委員会」のアジェンダや課題文書の作成においても 債務救済額の未実行部分を、すべての債権者が無条 重要な役割を果たしています。開発委員会では、2004 件で実行した時点のこと。決定時点とは、国際社会 年度も引き続き貧困削減の進捗状況をモニタリング が当該国の債務救済額について合意し、債務救済が するための戦略や、国際社会が合意し、ミレニアム宣言 始まった時点のこと。完了時点に到達したと見なさ に盛り込まれた目標を達成するための戦略が議論され れるためには、PRSPに記載された主要な改革や政策 ました。その一環として、開発委員会はミレニアム開発 が 実 施 されて いる必 要 が ある)。また 、理 事 会 は 目標(MDGs) に関する第1回の進捗報告書「グローバ HIPCイニシアティブに関する多数の世銀・IMF合同文 ル・モニタリング・レポート」 を検討しました (第4章および 書も検討しました。ここには毎年発行されるHIPC進 第6章/添付CD-ROMの「開発委員会コミュニケ」参照) 。 捗状況報告書のほか、HIPCサンセット条項(まだ決定 時点に到達していないHIPCが、IDAやIMFの支援を 戦略的課題 2004年度に理事会が重点的に取り組んだ分野は次 の通りです。 得て、構造調整・改革プログラムを実施しなければ ならない期限)や、トッピングアップの枠組みに関する 文書も含まれています。トッピングアップとは、外部要 因によってHIPCの経済環境が大きく変化した場合に、 当該HIPCが完了時点に到達した際、例外的にさらな 戦略フレームワーク 2004年度の理事会の活動は、2002年度に再確認・ 改訂された戦略フレームワークの継続的な実施を中 6 世界銀行 年次報告 2004 る債務救済を適用することです。理事会はまた、低所 得国の長期的債務持続性について新たにIMFとの共 同取り組みを始めることを検討しました。 国別プログラム スの実施に関する情報提供、両機関が共同で取り組 2004年度においても、国別援助戦略(CAS) と、包 んでいる国別プログラムとコンディショナリティの強化 括的な開発フレームワークおよびPRSPの原則が世銀 などの分野でも協力が行われました。また、理事会は グループの国レベル業務の基軸となりました。理事会 グローバル・プログラムやパートナーシップの進捗状 は引き続き、CASとPRSPプロセスの連携を強化し、 況、および多国籍機関同士の協力をモニタリングする 現実的で測定可能、かつ結果重視の、モニタリング可 フレームワークの構築状況も検討しました。 能なフレームワークに基づいてCASを策定することを 訴えました。2004年度の理事会では、38件のCAS(う ち6件は結果重視型CAS) とCAS関連文書が検討され 監督責任と受託者責任 ました。理事会はパートナーシップを活用することに 理事会は世銀の株主に代わり、監督責任と受託者 より、CASをより焦点を絞った、精選したものとする 責任を果たしています。その一部は監査委員会を通 必要性を強調しました。また、実施状況、キャパシ じて遂行されています。監査委員会は管理環境全体 ティ・ビルディング、およびリスクにより留意する必要性 を強化し、世銀の財務方針や方向性に関する理事会 も強調されました。 の意思決定を支援するために、財務管理をはじめと する広範なガバナンス問題について理事会に助言を グローバル・プログラムとパートナーシップ 提供しています。 2004年度においても、世銀は国際社会の要請に応 えて、IMF、国際開発金融機関(MDBs)、国連機関、 二国間ドナー、およびシビルソサエティと共に、グ ローバル・パートナーシップを構築し、国際イニシア 運営予算 2004年度の運営予算総額は18億6520万ドルでした ティブを支援しました。世銀とIMFの執行部は「共同 (返済金額を除く)。ここには開発グラント・ファシリ 実施委員会」の役割を拡大し、低所得国と中所得国 ティに対する1億7820万ドルの予算も含まれています。 の両方に関係する問題を扱うこととしました。具体的 純運営予算は14億3830万ドルとなり、前年度予算か な協力分野としては、中所得国支援の拡大、低所得 らの実質増加率は2.5%、名目増加率は6%でした。 国の債務持続可能性の改善などがあります。このほ 2004年6月、理事会は2005年度の運営予算として20億 か、マネーロンダリング対策活動の支援、テロ資金供 30万ドル(返済金額を除く) を承認しました。 与の根絶、国際金融構造の強化、PRSP・HIPCプロセ 世界銀行 年次報告 2004 7 世界銀行グループ 世界銀行(世銀)グループ 国際復興開発銀行(IBRD) 国際開発協会(IDA) は、途上国の貧困を削減し、 1945年設立■184加盟国 累積融資額:3940億ドル 2004年度融資額:33カ国の87件の 新規プロジェクトに対して110億ドル 1960年設立■165加盟国 累積承認額:1510億ドル 2004年度承認額:62カ国の158件の 新規プロジェクトに対して90億ドル 2002年の総裁優秀賞は、東ティモールの復 興を支援する包括的なプログラムに贈られま した。 マダガスカルの高原で村人が稲を刈り取って います。大規模な森林伐採とそれに伴う土壌 浸食の結果、マダガスカルでは米不足が発生 し、不足分をアジア諸国からの輸入米でまか なっています。 IBRDは中所得国および信用力のあ る貧困国に融資、保証、および分 析・助言サービスなどの非融資業務 を提供し、持続可能な開発を推進す ることで、これらの国の貧困を削減 することを目指しています。過去の融 資から得られた利益は、開発活動の 原資になるだけでなく、IBRDの財務 の健全性を示す指標となり、IBRD が資本市場から低利で資金を調達 し、借入国に緩やかな条件で融資 を提供することを可能にしています。 IBRDの理事会は184の加盟国を代 表する24名の理事で構成されていま す。このうち5名は任命理事、19名は 選任理事です。 世銀はIDA加盟国の拠出金を原資と して、81の最貧国(総人口25億人) に 年間約60∼90億ドルの譲許的融資 を行っています。これらの国々は市 場の条件で借入を行うことはほとん ど、もしくはまったくできないため、 無利子で提供されるIDAの融資がき わめて大きな役割を果たしています。 多くの最貧国では住民のほとんどが 1日2ドル 未 満 で 生 活して います。 IDAの資金は借入国が推進する貧困 削減戦略の重要政策分野にあてられ ています(生産性の向上、責任ある ガバナンス、民間投資環境の整備、 教育と医療に対する貧困層のアクセ スの改善など)。 人々の生活水準を高めるこ とを使命とする国際開発機 関です。世銀グループは融 資、政策助言、技術支援、 および知識共有サービスを 提供しています。世銀を構 成する国際復興開発銀行 (IBRD) と国 際 開 発 協 会 (IDA) の株主は加盟国であ り、加盟国が最終的な意思 決定権を有しています。現 在、世銀グループは相互に 密接な関係にある5つの機 関で構成されています。 8 世界銀行 年次報告 2004 国際金融公社(IFC) 多数国間投資保証機関(MIGA) 投資紛争解決国際センター (ICSID) 1956年設立■176加盟国 承認済ポートフォリオ:235億ドル(協調 融資分の55億ドルを含む) 2004年度承認額:65カ国の217件の プロジェクトに対して48億ドル 1988年設立■164加盟国 累積保証額1:135億ドル 2004年度保証額:11億ドル 1966年設立■140加盟国 合計申し立て案件:159件 2004年度申し立て案件:30件 IFCはウズベキスタンのアサカ銀行に投資を 行いました。これにより、ウズベキスタンで はより多くの民間企業(中小企業を含む)が 中・長期金融を利用できるようになりました。 MIGAはウガンダのコーヒー加工工場のプロ ジェクトを保証しました。この工場は費用効 率の高い加工技術を導入しており、原料とな るコーヒーの大部分は小規模農家から買い 取っています。 現在、ICSIDに申し立てが行われている案件 の3分の1はエネルギー・プロジェクトに関す るものです。 IFCは民間セクターを通じて途上国 の経済発展を支援しています。IFC は政府保証を取りつけることなく、 民間パートナーと共に、途上国の持 続可能な民間企業に投資を行って います。これらの企業には投資、長 期融資、ストラクチャード・ファイナン スのほか、リスク管理サービスや助 言サービスが提供されます。IFCの 援助対象となるのは、資本の確保が 困難な地域・国の企業です。IFCは リスクが高いと民間投資家が考える ような市場に投資し、現地企業に コーポレート・ガバナンスや環境・社 会分野の専門知識を提供すること で、現地プロジェクトの投資価値を 高めています。 MIGAは投資家が途上国に投資を行 う際の非商業リスク (収用、通貨の 兌換停止・送金制限、戦争や内乱、 契約不履行など) を保証することで、 途上国に対する外国直接投資を促 進しています。MIGAの客観的仲介 機能と投資紛争解決に及ぼす影響 力は、こうしたリスクに対する投資家 の不安を減じ、投資プロジェクトに 対する信頼を高める一助となってい ます。また、MIGAは途上国が外国 投資を誘致・確保し、諸外国の企業 に投資情報を提供することができる ように、技術支援や各種の助言サー ビスも提供しています。 ICSIDは国際投資紛争の調停と仲裁 を行う場を提供することで、外国投 資の促進に貢献しています。ICSID の存在は、国家と外国投資家が信頼 関係を育む一助となっています。国 際投資協定の多くはICSIDを仲裁機 関に指定しています。ICSIDは紛争 解決や外国投資法に関する出版物 も発行しています。 1. 協調保険引受プログラムを通して保証し た金額を含む。 世界銀行 年次報告 2004 9 1946年9月27日、第1回のIBRD・IMF合同年次総会が開催 されました。右から3人目がユージン・マイヤー総裁。 初代の世銀総裁 ユージン・マイヤー。 1946年。 ジョン・J・マクロイ世銀総裁 (中央)。1947–1949年。 1940 29カ国の政府が ワシントンDCにて 世銀協定を批准。 1946 国連通貨金融会議が ブレトンウッズで開催され、 世銀協定が作成される。 会議参加国は44。 1945 1944 1942 年代 ユージン・マイヤー(1946) 3月、世銀と国際通貨基金 の総務会就任式が 開催される。 開発アジェンダ 戦後のフランスでは工業投資が盛んに行われました。 IBRD理事会でのジョン・J・マクロイ議長。1949年5月、 ワシントンDC。 世銀の融資はフランスの戦後 復興に貢献しました。 最初の開発融資が 行われる (チリ、1350万ドル) 。 1949 最初の融資が行われる (フランス、2億5000万ドル)。 ユージン・R・ブラック(1949 –1963) 1948 1947 ジョン・J・マクロイ(1947–1949) 世銀の技術支援 プログラムがスタート。 1 2004年度の概観 ■ 2004年5月に上海で開催された国際貧困撲滅会議に の価格で提供されることになります。この治療薬は世 は、世界中からさまざまな開発関係者が集まり、開発 界保健機関(WHO)の品質認定を受けたものです(第3 アジェンダの実施を加速するための具体的な行動を話 章参照)。 し合いました。参加者は約100件の事例研究をもとに、 貧困削減の成功モデルと、それを他国にも拡大する方 ■ 2004年3月17日、スロベニアが世銀の財政・技術支援 法について意見を交換しました(第1章囲み1.1および から「卒業」 し、第14次増資でIDAドナーとなる意向を表 第5章参照) 。 明しました。2004年4月には世銀報告書「スロベニア: ユーゴスラビアから欧州連合へ」が刊行されました。 ■ 2004年度、IBRDは33カ国の87件のプロジェクトに対 2004年5月、スロベニアは9つの世銀加盟国(キプロ し、110億ドルの融資を承認しました。IDAは62カ国 ス、チェコ共和国、エストニア、ハンガリー、ラトビア、 の158件のプロジェクトに対し、90億ドルの融資を承 リトアニア、マルタ、ポーランド、およびスロバキア共 認しました(第5章参照) 。 和国) と共に、欧州連合に加盟しました。世銀は1990 年以降、この10カ国に総額106億ドルの融資を行って ■ います(第2章参照) 。 2 0 0 4 年 5月、第 1 6 回 世 界 銀 行 開 発 経 済 年 次 会 議 (ABCDE)がワシントンDCとヨーロッパで開催されま した。ワシントン会議(5月3–4日)ではノーベル賞受 ■ 2004年6月、第1回の「グローバル・モニタリング・レ 賞者のヴァーノン・スミス氏と世銀のフランソワ・ブル ポート」が発表されました。これは世銀とIMFが他の ギニヨン上級副総裁兼チーフエコノミストが基調講演 パートナー機関と密接に連携しながら共同で作成した を行いました。この会議のテーマは「過去の経験から もので、ミレニアム開発目標を達成するために、途上 学ぶ」でした。2005年度には会議の模様をまとめた報 国、先進国、および開発機関が進めている政策と行動 告書が刊行される予定です。ヨーロッパ会議(5月 の進捗状況を評価しています(第4章参照) 。 10–11日)には約350人の政策決定者、学術関係者、 ジャーナリスト、およびユース団体とシビルソサエティ ■ 世銀は結果重視アプローチを強化するための行動計 組織の代表者が出席し、 「ドーハ、モンテレー、および 画の一環として、統計能力育成プログラムを策定し、 ヨハネスブルグ:その後の進捗状況」をテーマに意見 その実施に乗り出しました。この計画の目的は途上国 を交換しました。 の統計システム、制度能力、および計画立案能力を強 化することです。 ■ 2004年4月、世銀のジェームズ・D・ウォルフェンソン総 裁はニューヨークで開催された国連安全保障理事会に ■ 2004年度、世銀は従来の中所得国支援を見直し、中 出席し、エイズとの戦いを呼びかけました。総裁はエ 所得国に対するサービスを改善するための行動計画を イズが途上国、特にアフリカ諸国に与えている深刻な 承認しました。世界の貧困層の70%近くは中所得国で 打撃に言及し、エイズは開発の時計を逆戻りさせ、経 暮らしていることから、世銀がこの分野で大きな役割 済・社会発展に対する人々の希望を打ち砕こうとして を果たすことが求められています。この計画に基づい いると警告しました。アフリカではすでに1300万人が た具体的な活動は2004年度に始まりました(第1章参 エイズによって死亡し、その結果、1000万人の子供た 照)。 ちが孤児となっています。 ■ ■ 世銀は途上国が世銀の融資をスムーズに受けることが 2004年4月、世銀は世界エイズ・結核・マラリア対策 できるように、融資方針と手続きの簡素化・近代化に 基金(GFATM)、国連児童基金(UNICEF)、および 取り組みました。また、借入国の便宜をはかるために、 クリントン財団と共に、100カ国以上の貧困国にHIV/ 開発パートナーと共に手続きの調和化にも取り組みま エイズのジェネリック薬を提供する計画を発表しまし した(第4章参照) 。 た。この計画により、治療薬は市場最安値の約3分の1 から2分の1の価格で、診断検査は市場価格の5分の1 12 世界銀行 年次報告 2004 ■ 国連と協力して合同イラクニーズ・アセスメントを実 施し、イラクの復興開発ニーズを特定し、復興に必要 界65カ国183人の出場者が、開発課題を解決するため な資金を概算しました。世銀と国連はドナー資金の受 の革新的なソリューションを発表しました。入賞を果 け皿となる信託基金を設置し、ドナーの支援を調整し たすのは貧困削減の画期的なアイディアです。今年は ました(第5章参照) 。 保健・医療サービスと医薬品へのアクセスを拡大する プロジェクト(モザンビーク)、埋め立てによるごみ処 ■ 現在、世銀の紛争後基金は36カ国に提供されていま 理管理を改善するプロジェクトやヤシの殻を再利用し す。今年はイラクにおける人的開発、水、および電力 て絶滅危惧植物種を保全するプロジェクト (ブラジル) 分野の知識共有プロジェクトに3つのグラントが提供さ をはじめとする多彩なプロジェクトが入賞しました。 れました。その他の資金受入国としては、コートジボ 1998年以来、DMは約370件のプロジェクトに合計 ワール、ハイチ、リベリア、ソマリアなどがあります。 2 4 0 0 万ド ル 以 上 の グ ラ ントを 提 供 して い ま す 本基金は1998年から2005年の間に合計6100万ドルを (www.developmentmarketplace.org)。 超えるグラントを承認しました。最も多くの資金を得 ているのはアフリカ地域です(第3章参照) 。 ■ 2003年9月、世銀はカンクンでWTO閣僚会議が開催さ れる直前に、 「世界経済の展望2004:ドーハ開発ア ■ ■ 世銀はLICUS(切迫した状況にある低所得国)に焦 ジェンダの実現に向けて(仮訳)」を発表しました。本 点を絞った信託基金(2500万ドル) を新たに設置しまし 報告書には世界経済の現状に関する詳細な報告のほ た。本基金の支援対象となるのはガバナンス改革と か、世界貿易問題、特にドーハ開発アジェンダに関連 社会サービスです(第1章参照) 。 した問題についての分析が掲載されています。 2004年2月、ドナーおよび借入国の代表がパリに集ま ■ 2003年9月、ウォルフェンソン総裁とマンペーラ・ラン り、IDA第14次増資に関する初会合を開きました。 ペーレ専務理事は、パリで開催された「若者・開発・平 2015年のミレニアム開発目標達成を目指す途上国に 和会議」に出席し、世界のユース団体の代表者と意見 とって、IDA14は特に大きな意味を持つことになります を交換しました。参加者の多くは母国の開発プログラ (第5章参照) 。 ムに積極的に参加している若者です。総裁はこの会合 で、若者が世銀の活動に参加する機会を拡大すること ■ 2003年12月、ディベロップメント・マーケットプレー を確約しました。この会議は世銀、欧州ユースフォー ス(DM)の世界大会が開かれ、事前に選抜された世 ラム、および世界スカウト機構が共同で開催したもの です(第3章参照) 。 ■ 2003年9月、ウォルフェンソン総裁はドバイで開催され た年次総会でスピーチを行い、富裕層と貧困層の間に は不公平と不均衡が存在し、それはどちらも世界の安 定を損なうものであり、容認できないと述べました。総 裁は各国の政府や組織に対し、ミレニアム開発目標の 達成に向けて、さらなる努力するよう求めました。 ■ 2003年7月、世銀はインフラ行動計画に着手しました。 この計画の目的は、バランスの取れた官民アプローチ を取り入れ、複数の資金源を確保することによって、 インフラサービスを確実に提供するための素地を整え ることです(第3章参照) 。 2003年12月3–4日、ワシントンDCでディベロップメント・マーケッ トプレースの世界大会が開催されました。 第1章 開発アジェンダ 13 第1章 開発アジェンダ 世銀を構成する国際復興開発銀行(IBRD) と国際開発協会(IDA) は、世界の貧困と戦うことを使命とする国 際金融機関です。世銀は持てる資源を活用し、開発機関やシビルソサエティ組織などの関係諸機関と密接に 連携しながら、借入国の持続可能な開発を支援しています。 途上国はこの数十年間で大きな進歩を遂げました。 の基盤を整えた国では、社会開発指数が改善されつ 世界的に見ると、平均寿命は過去40年間で20年伸び、 つあります。ブラジル、タイ、およびウガンダでは大規 成人の非識字率は過去30年間で半分になりました。貧 模な保健・医療プログラムにより、HIV/エイズ (ヒト免疫 困率も下がり、世界人口に占める極貧層の割合は1981 不全ウィルス/後天性免疫不全症候群) の蔓延が抑制さ 年の40%弱から、2001年には21%になりました。成長 れています。タイでは年間の新規エイズ感染者数が、 1990年代初頭から2001年の間に14万人から3万人に 極度の貧困と飢餓の撲滅 激減しました。 こうした数々の成功事例は、良好な政策とパートナー の支援があれば進歩が可能であることを証明してい ます。しかし、進歩の速度は一様ではありません。多く の途上国では引き続き、低成長、不十分な教育、内紛、 および保健・医療環境の未整備が成長の阻害要因と なっています。2003年末のHIV/エイズ感染者数は世界 全体で約3800万人(子供を含む) でしたが、その95% 以上が途上国、70%がアフリカ諸国の人々でした。南 アジア地域と東アジア地域では約100万人が新たに HIV/エイズに感染し、現在の感染者数は合計700万人 を超えています。 開発アジェンダの実施を加速するために、国際社会 はミレニアム開発目標(MDGs) を採択しました。MDGs の8つの目標は、国際社会が共通で取り組むべき課題 であり、2015年までに貧困や飢餓などを削減し、持 続可能な開発を促進するための具体的なターゲットが 定められています。2000年9月、189カ国がミレニアム宣 言を採択しました。 開発アジェンダの達成はまだ遠く、課題は山積みで す。途上国では今も、人口の半数以上に相当する約28 億人が1日2ドル未満で生活しており、このうちの11億人 は1日1ドル未満の生活を余儀なくされています。世界人 14 世界銀行 年次報告 2004 初等教育の完全普及 ミレニアム開発目標(MDGs) 口が増え続けていることを考えると、こうした人々が貧 1 2 3 困から抜け出し、豊かな生活を送ることができるように 極度の貧困と飢餓の撲滅 2015年までに極度の貧困状態にある人々と飢餓に苦しむ 人々の数を半減させる。 初等教育の完全普及 2015年までにすべての子供が初等教育を修了できるように する。 ジェンダーの平等と女性のエンパワーメント 2005年までに初等・中等教育におけるジェンダー格差を解 消し、2015年までにすべての教育現場におけるジェンダー 格差を解消する。 するためには、今後も大変な努力が求められることにな ります (図1.1は1990年以降の地域別貧困率) 。 進歩のモニタリング ミレニアム開発目標(MDGs) に合意した国際社会は、 ドーハ、モンテレー、およびヨハネスブルグで開催され た貿易、開発資金、および持続可能な開発に関する会 議で共通の開発戦略を策定しました。モンテレー会議 では、各国の首脳が先進国と途上国の相互責任につ いて合意を形成しました。この合意は途上国には政策 とガバナンスの改善を、先進国には援助の増額、援助 の質的向上、およびさらなる市場開放によって、支援を 拡大することを呼びかけるものでした。 2004年6月に発表された第1回の「グローバル・モニタ リング・レポート」は、MDGsの達成状況、阻害要因、お よび約束された支援の実施状況を評価したものです。 4 5 6 7 8 子供の死亡率の削減 2015年までに5歳未満の子供の死亡率を3分の2削減する。 妊産婦の健康の改善 2015年までに妊産婦の死亡率を4分の3削減する HIV/エイズ、マラリアなどの疾病の蔓延防止 2015年までにHIV/エイズ、マラリアなどの深刻な疾病の拡 大を食い止め、減少に転じさせる。 持続可能な環境作り 2015年までに安全な飲料水への安定したアクセスを持た ない人々の割合を半減させる。 グローバルな開発パートナーシップの構築 ルールに基づいた、開放的で公正かつ予測可能な貿易・金 融制度を構築する。 この報告書は世銀と国際通貨基金(IMF) がパートナー 機関と密接に連携しながら共同で作成したもので、 MDGsとその関連成果を達成するための政策と行動が 分析されています。分析の結果、貧困を半減するという 第1の目標が達成される可能性は高いものの、このまま ではほとんどの途上国において、大部分のMDGsが達 成されないという厳しい結論が下されました。援助を大 幅かつ迅速に増額し、国際社会が一丸となってその 達成に取り組まない限り、最終的な結果はMDGsには 第1章 開発アジェンダ 15 るかに及ばないものとなるでしょう (第4章「MDGs進 あります。適切な政策を導入した国が、MDGsの達成 捗状況のグローバル・モニタリング」参照)。 に向けた歩みを加速できるようにするためには、開発援 貧困の削減とMDGsの達成にひたむきに取り組んで いる途上国が、資金不足によって目標を達成する機会 助の量と質を引き上げることが不可欠であり、また急務 となっています (図1.2参照) 。 を奪われることがあってはなりません。しかし、それが MDGsが依然として困難な目標であること、また国際 現在の状況です。ドナーが追加支援を約束したモンテ 社会が今後、その達成に向けて懸命な努力を強いられ レー会議以降、開発援助は増額されましたが、その増 ることに疑いの余地はありません。世銀はこれらの課題 加分は主に債務救済と技術協力グラントによるもので に挑み、新たな開発構造の中で自らに期待されている重 す。どの試算に照らしても、ドナーが約束している援助 要な役割を果たすために、全力を尽くしていく所存です。 額と、MDGsを達成するために必要な金額にはずれが 図1.1 1日1ドル未満、2ドル未満で生活する人々の割合(%) アフリカ地域 50 44.6 46.5 東アジア・大洋州地域 42.3 50 29.6 22.3 25 25 14.8 15.6 2.3 0 1990 2001 2015 0 1990 南アジア地域 2001 2015 ヨーロッパ・中央アジア地域 50 50 41.3 31.1 25 20.6 25 19.7 12.3 10.3 16.4 0.5 0 1990 2001 2015 0 1990 ラテンアメリカ・カリブ海地域 3.7 2001 1.3 0.3 2015 中東・北アフリカ地域 50 50 28.4 24.5 25 11.3 0 1990 20.5 9.5 7.6 2001 5.6 2015 25 21.4 23.2 10.2 0 2.3 2.4 1990 2001 1日1ドル未満で生活する人口の割合(実際値) 1日2ドル未満で生活する人口の割合(実際値) MDGsに定められた目標の達成に必要な推移 1.2 1.2 2015 予想推移(1日1ドル未満) 予想推移(1日2ドル未満) 注:アフリカ地域、東アジア・大洋州地域、および南アジア地域のグラフには「1日2ドル未満で生活する人口の割合(実際値) 」に関するデータは記載されていない。 出典:世銀、2004年、 「世界経済・社会統計2004」 、ワシントンDC。 16 世界銀行 年次報告 2004 囲み1.1 貧困削減 最も有効な開発戦略とは、 途上国が主体的に策定し、 開発経験の共有 2004年5月、上海で貧困削減をテーマにしたユニー リーダーシップを持って取り組むもの、経済成長を促す クな会議「国際貧困撲滅会議」が開催されました。この もの、貧困層が参加し、かつ受益者となるものです。貧 会議には世界中から1000人を超える参加者が集まり、 困削減の成否を決める要因にはさまざまなものがありま 本会議と事前に行われた9カ月間の学習活動を通して、 すが、特に重要なのは開発を促す環境を整えること、 開発プロジェクトの成否を決める要因を分析し、成功 そしてあらゆる利害関係者の参加を促すことです (囲み モデルをその他の地域・国にも拡大する方法を模索し 1.1参照) 。この2つの柱は世銀戦略の基盤を成すもの ました。 であり、2001年に発表された世銀の戦略フレームワーク 会議には途上国と先進国の双方から、国家元首、シ にも盛り込まれています。 ビルソサエティの代表者、民間セクターの代表者など、 さまざまな開発関係者が集まり、約100件の貧困削減プ 投資、雇用、持続可能な成長のための環境作り ロジェクトについて意見を交換しました。その結果、ミ 適切な環境がなければ、経済成長を促進する企業 レニアム開発目標(MDGs) を達成するために、途上国 家精神、投資、および民間セクターによる革新を育むこ が取り入れることのできる有効で持続性のある開発ソ とはできません。健全な経済環境は国内の経済活動を リューションが特定されました。本会議を通して、国際 刺激し、国内外の投資家を引きつけます。こうした環境 社会にはMDGsを達成するだけの知識と資金があるこ の特徴としては、健全なマクロ経済政策、開放的な貿 と、世界の貧困層の生活を改善するためには、現在よ 易、良好なガバナンスと制度、預金を生産的な活動に りもさらに努力を重ねる必要のあることが明らかにされ 振り向け、資金調達の機会を拡大する安定した金融市 ました。 場、重要な物的インフラ (運輸、電力、通信) の整備な ミレニアム・サミットの成果が問われる2005年が目前 どがあります。世銀は途上国の政策・制度環境をさま に迫った今、10年後の2015年までにMDGsを達成する ざまな視点から、1から6の評点で評価する国別政策・ ためには、上海で得られた教訓を行動につなげること 制度評価(CPIA) を実施しています。CPIAの結果、 が不可欠となっています(第5章「能力の拡大」参照)。 1999年以降、多くの途上国では民間ビジネスの環境が 改善されていることが分かりました (図1.3参照) 。このよ うに、ビジネス環境に関連した評価の平均値は上がっ 図1.3 図1.2 援助額は増加傾向にあるが、必要額にははるかに満 たない(単位:10億ドル) 途上国のビジネス環境は改善傾向 (1から6までの評点で評価) 3.7 120 3.5 110 100 3.3 追加資金500億ドル=2000年代後半のドナーの推定GNIの 0.35%(1990年代初頭とほぼ同額) 3.1 90 2.9 80 2003年9月の開発委員会文書 >300億ドル 70 2.7 60 186億ドル モンテレーで約束された 追加資金 50 40 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 注:GNI=国民総所得 出典:経済協力開発機構(OECD)、2004年、 「開発協力報告書2003」 、パリ。 開発委員会、2003年、 「Supporting Sound Policies with Adequate and Appropriate Financing」、DC2003–0016、ワシントンDC。 2.5 2.3 1999 2000 2001 競争環境(低所得国) 競争環境(途上国全体) 要素・生産物市場(低所得国) 2002 2003 要素・生産物市場(途上国全体) 所有権・ガバナンス(低所得国) 所有権・ガバナンス(途上国全体) 出典:世銀国別政策・制度評価(CPIA)の結果、2003年 第1章 開発アジェンダ 17 ていますが、相対的に低いことに変わりはなく、依然と 子供の死亡率の削減 して問題は残されています。世銀はCPIAのほかにも、 50以上の投資環境調査を実施しています (第3章「民間 セクター開発支援」参照) 。 貧しい人々への投資とエンパワーメントによる開発への 参加促進 貧しい人々が重要なサービスを利用し、地域社会に 参画できるようになれば、その能力は拡大されます。質 の高い教育や保健・医療が身近なものとなれば、貧困 層が自らの福祉を向上させる機会も増えます。社会的 保護を提供することも重要です―貧困層に重点を置い たセーフティネットは、弱い立場に置かれている貧しい 人々を、予期せぬ事象や改革に伴う混乱から守ること ができます。開発戦略が効果を上げるためには、貧し い人々が自らの生活に影響を与える意思決定に参画す る仕組みを整えることも不可欠です。ここで重要となる 国別優先項目に対する行動 のは、女性のエンパワーメントですが、これは、開発プ 国別援助戦略(CAS) は途上国支援の指針となる事 ロセスへの全面参加を阻む障壁を取り払わなければ 業計画です。世銀は各国の個別のニーズに合わせて 実現は望めません。世銀のデータによると、1993年以 戦略をカスタマイズしています。世銀はさまざまな手法を 降、市民が政策決定に影響を与え、指導者に説明責 用 いて、低 所 得 国 、切 迫した 状 況にある低 所 得 国 任を課す機会は拡大されています (図1.4参照) 。 (LICUS) 、および中所得国を支援しています。 国別援助戦略 CASは途上国が定めた開発ビジョンに沿って作成さ れます。CASには提案された政策に対する世銀の分析 ジェンダーの平等と女性のエンパワーメント 図1.4 途上国住民の参画機会は拡大傾向(%) 80 70 60 50 40 30 20 10 1993 1994 1995 中所得国 1996 1997 1998 1999 2000 切迫した状況にある低所得国 低所得国 注:値は複数政党制による選挙で75%未満の得票により選任された国家元首の割合。 出典:ベック他、2000年、 「New Tools and New Tests in Comparative Political Economy」 、政策研究報告書2283、世銀、ワシントンDC。 18 世界銀行 年次報告 2004 妊産婦の健康の改善 中または公開準備中です。 世銀はCASが結果重視のものとなるよう特に留意 しています。2003年度に作成されたスリランカのCASは、 結果重視型CASの初のパイロット・プロジェクトでした。 これに続いて、2004年度の理事会では6件のパイロット CASが議論されました (アルメニア、ブラジル、カメルーン、 モザンビーク、ウクライナ、およびザンビアのCAS) 。これ らのパイロット・プロジェクトはいずれも、スリランカCAS の結果を評価したCAS完了報告書を参考に作成され ました (完了報告書の分析は世銀の業務評価局が担当 しています。第4章参照) 。 低所得国 低所得国の場合、貧困の削減はきわめて困難です。 というのも、貧困の発生率が高く、制度面の制約も深 結果と、途上国のビジョンを支援するための世銀プログ 刻だからです。また、投資環境は持続可能な成長を促 ラムの概略が盛り込まれています。結果重視志向に基 すものとはいえず、資金へのアクセスも限られています。 づき、CASの内容は政府、開発パートナー、シビルソサ 低所得国支援の要となるのは、1999年末に導入され エティ組織、およびその他の関係者との協議を経て策 定されます。CASは世銀の執行部と理事会が国別プロ グラムを検討・指導する際の主要なツールであり、世銀 HIV/エイズ、マラリアなどの疾病の蔓延防止 プログラムの影響を測定する手段でもあります。 2004年度、世銀はIDA融資国のCASとCAS進捗報 告書を、各国が策定した貧困削減戦略に沿って作成 しました(アルメニア、ベナン、ボリビア、カメルーン、 チャド、ガーナ、ケニア、マダガスカル、マリ、モンゴ ル、モザンビーク、パキスタン、ベトナム、およびザン ビア)。また、複数のIBRD借入国、ブレンド借入国に 関するCASとCAS進捗報告書も作成されました(アル ゼンチン、ブラジル、コスタリカ、ドミニカ共和国、イ ンドネシア、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国、メキ シコ、ナイジェリア、パラグアイ、スロバキア共和国、 チュニジア、トルコ、およびウクライナ)。 2004年度の理事会では、紛争後地域(コンゴ民主共 和国、コンゴ共和国、コソボ、セルビア・モンテネグロ、 およびヨルダン川西岸・ガザ地区) に関する6件の移行 支援戦略(TSS) と、コモロに関するTSSの進捗状況が 議論されました。また、理事会はイラクに対する暫定戦 略ノートを作成しました。切迫した状況にある低所得国 (LICUS) については、世銀はリベリアとスーダンに関す る国別再関与ノートを作成しました。2004年度にIFCと 共同で作成されたCASとCAS進捗報告書は15件でし た。2004年度に作成された38件のCASはすべて公開 第1章 開発アジェンダ 19 持続可能な環境作り 銀は暫定PRSP(I-PRSP) を導入しました。これはPRSP のフォーマットを簡略化したもので、通常のPRSPよりも迅 速に作成することができます。 PRSPに基づいて低所得国に提供されるIDA援助の 1つに、貧困削減支援融資(PRSC)があります。PRSC は借入国自身が設定した貧困削減優先項目を支援する もので、政府のキャパシティ・ビルディングや制度環境の 整備(特に貧困層に影響を及ぼすもの) に重点が置か れています。2004年度の理事会では8カ国に対する9件 のPRSCが承認されました。 IDA第14次増資(IDA14、2006–08年度) では、PRSP と開発結果を関連づけた新しい結果評価システムの 導入が提案されています。このシステムは総合的な開 発結果と、それに対するIDAの貢献の双方から、開発 結果を評価することを目指したものです。このシステム の狙いは、途上国が作成した貧困削減戦略の優先事 項を開発計画に反映すること、開発計画をMDGsと結 びつけること、IDA借入国全体の開発結果を明らかに すること、そして開発結果に対するIDAの貢献を評価 することです。 IDA14は低所得国がMDGsを達成する上で重要な 手段となるでしょう。IDAの資金は通常、約8年間で消 化されるため、2015年までにMDGsを達成するために は、IDA14の資金が重要な役割を果たすことになりま た貧困削減戦略文書(PRSP) です。PRSPは国内外の す(第5章「IDAの原資」参照) 。 パートナーや関係者との広範な協議に基づいて、借入 国自身 が 作 成 する結 果 重 視 の 包 括 的な計 画 です。 切迫した状況にある低所得国(LICUS) PRSPは貧困を削減するための国内政策やセクター横断 切迫した状況にある低所得国(LICUS) は、世界で最 プログラムの枠組みとなるもので、IDA融資を含む開発 も不安定な国々であり、貧弱な政策、制度、およびガバ 援助の基礎を形成しています。借入国は自国に固有の 状況やニーズを分析した上で、PRSPを作成します。世 銀は借入国がこのプロセスにおいて利害関係者の役 割を強化するのを積極的に支援しています(第3章「貧 困削減と経済管理」参照) 。また、MDGsを達成するた めにはセクターを越えた取り組みが不可欠であるという 視点から、世銀は借入国がPRSPにMDGsを盛り込むこ とを奨励しています。 これはMDGsの達成に伴う痛みに、 国別戦略によって対応することを目指したものです。 PRSPの策定は複雑で、完成までにかなりの時間を 要する場合があります。これが原因で、低所得国がIDA の譲許的融資や重債務貧困国(HIPC) を対象とした債 務救済を受けるタイミングを逸することがないように、世 20 世界銀行 年次報告 2004 グローバルな開発パートナーシップの構築 え、融資返済が遅れているすべての国で、国内ミッショ ンが実施されました。また、世銀は低成長国のパフォー マンスをより正確に評価するために、国別政策・制度評 価(CPIA) と紛争後進展指標(PCPI) の改訂に取り組ん でいます。 2004年度はLICUSを担当する人員が増強されたほ か、2500万ドルの信託基金が設置されました。この基 金は通常のIDA融資を利用できない国々を対象に、初 期的な改革の実施を支援することになります。 LICUSプロジェクトを成功させるためには、 ドナーとの パートナーシップが不可欠です。世銀は紛争後地域の 平和構築と復興支援(経済、社会、および制度面) を包 括的に進めるためのツールとして、結果重視型の移行 フレームワークを開発しました。現在、世銀は国連およ び二国間ドナーと協力して、このアプローチを中央アフ リカ共和国、ハイチ、リベリア、および東ティモールに導 入するプロジェクトに取り組んでいます。 また、経済協力開発機構(OECD) の開発援助委員 会(DAC) には、世銀をはじめ各ドナーの支援によっ て、新たに学習・助言グループが設置されました。現 在、同グループはLICUSにおける援助の配分、提供方 法、およびドナー援助の調和化に関する強力な政策研 究プログラムに取り組んでいます。 ナンス、そして多くの場合は内紛という特徴を備えて います。その他の低所得国と比べると、子供の死亡 中所得国 中所得国には貧困層が数億人暮らしています。そこ 率は2倍、マラリアによる死亡率は3倍に達しています。 ではいくつもの進歩がみられたものの、貧困や社会的課 LICUSは約5億人の極貧層を抱えていますが、その多 くは貧困を削減するために融資を効果的に利用する 方法を持ちません。 LICUSイニシアティブは、こうした国々での取り組 みのための新しい手法であり、徹底的な政治経済分 析を通して、LICUSの国内需要を喚起し、改革能力 を高め、初期の改革を支援し、社会サービス提供の 構造を強化します。 イニシアティブの導入が始まった2002年以降、世銀 の理事会は7件のLICUS国別戦略を議論しました。ま た、13のチームがLICUSに照準を合わせた革新的な国 別アプローチの開発に着手しました。その例としては、 石油収入管理の透明化(アンゴラ)、基本公共財の提 供支援 (ソマリア) 、 リーダーシップ能力の構築 (スーダン) などがあります。LICUSを対象とした分析サービスも増 第1章 開発アジェンダ 21 題は今も残されています。中所得国は多数の開発課題 も、開発金融の面でも、世銀が中所得国の最良のパー に直面しています。高度成長を持続させ、生産的雇用 トナーであるという認識を改めて確立すること、そし を創出することもその一つです。不均衡を是正し、貧 て中所得国の開発と貧困削減を支援するために、積極 困を削減すること、民間金融市場アクセスのボラティリ 的に他のパートナーと連携していくことです。この計 ティを軽減すること、その衝撃を吸収するセーフティネット 画は2005年度も実施される予定です。 を構築すること、有効な市場経済を支える制度・ガバナ 具体的な活動としては、二国間ドナーとの連携を強 ンス構造を強化することも必要です。このような分野の 化すること、 世銀内のプロセスを簡素化することによって、 取り組みを支援することは、開発アジェンダ、特にMDGs 知識サービスと対応の質および即応性を高めること、国 の達成を大きく前進させるものとなります。 別援助戦略(CAS) の柔軟性を高め、融資機会に迅速 中所得国に対する世銀の支援は、知識、融資、およ に対応すること、新しい融資手段の開発と普及に努め び金融サービスを組み合わせたものとなっています。支 ること (現地通貨による融資など) 、IFCやMIGAと連携 援の内容は各国の個別のニーズと状況に合わせてカ し、相乗効果を引き出すこと (特に官民パートナーシッ スタマイズされます。世銀は各国の多様なニーズを国別 プによるインフラ投資等への支援) などがあります。 援助戦略(CAS) に反映し、融資プログラムの柔軟性を 高めることによって、サービスの価値向上に努めてい ます。中所得国の政策・制度改革に対する世銀の支援 は、民間セクター投資や開発パートナーの誘致における 触媒の役割も果たしています。 2004年度、世銀は中所得国の成長・貧困削減努力 他機関とのパートナーシップ 世銀はグローバル・プログラム、国別プログラムを問 わず、重大な開発課題には常にパートナーと連携して 取り組んでいます。世銀はIMF、国際開発金融機関 を支援する機会を大量に見逃している可能性があると (MDBs)、政府、国連とその関連機関、OECD開発援 いう認識に基づき、中所得国支援のレビューを実施しま 助委員会、二国間ドナー、世界貿易機関(WTO)、お した (第5章「融資の新しい形」参照)。世銀は中所得 よびシビルソサエティ組織とパートナーシップを結んで 国支援を強化するための行動計画を承認し、その実行 います。 に着手しました。この計画の目標は、開発知識の面で 22 世界銀行 年次報告 2004 世銀は国際開発機関として、さまざまな国の多様な 問題に対処しています。このため、規模と権限に限界 のある専門機関では果たすことのできない国際的かつ 戦略的な役割を担うことが少なくありません。他機関と のパートナーシップにおいて、世銀は必要に応じてさ まざまな役割を演じています (リーダー、メンバー、アドバ イザー、補佐役など) 。 複数の国が関与する開発イニシアティブでは、開発 パートナーと密接に連携し、お互いの貧困削減活動を 統合することによって、援助の調和化に取り組んでいま す(第4章「政策・手続きの簡略化と調和化」参照)。 国別プロジェクトの場合は、これまで以上に開発結 果を重視するようになっています。共に「開発におけ るパートナーシップ:貧困との戦いの進展2004」 と題さ れた最新の貧困報告書と冊子は、この点に焦点を当 てたものです。本報告書の目的は、途上国がMDGsと モンテレー合意に盛り込まれた貧困削減のビジョンを達 成するために、世銀がその他の機関とどう連携している のかを包括的に評価することです。本報告書は各国で に、世銀がどう対処しているのかを説明するものです。 の実際の事例を通して、成長を促進し、貧困を削減す ニジェールの事例は、パートナーとの連携を強化するこ るために、世銀が途上国で展開しているさまざまな活動 とで開発結果が高まったことを紹介しています。この を紹介しています。 冊子と報告書の内容は世銀のウェブサイトで公開されて たとえば、エジプト、エチオピア、およびシエラレオネ の事例は、幅広い関係者に支持される貧困削減戦略 います( 冊 子 www.worldbank.org/progress、報 告 書 www.worldbank.org/poverty)。 を作成するために、世銀が途上国にどのような支援を 提供しているのかを示しています。一方、ボリビア、コロ ンビア、インド、ラトビア、ウガンダ、およびベトナムの事例 は、機会、発言権、および治安に関する具体的な問題 情報の共有 世銀の情報公開センター (PIC) では、開発関連の情 報や世銀のプロジェクト・調査に関する文書が一般に公 開されています。PICの目的は対話を促進し、人々が自 らの生活に影響を及ぼす事柄について、十分な情報を もとに意思決定を下すことができるようにすること、そし て自国の開発への参加を奨励することです。PICは現 地語での文書の作成を推進しており、現地語による ウェブサイトを構築・管理しています。世銀と各国の パートナーは公開講座、セミナー、ワークショップ、および インターネットを通して、経済・社会開発に関する情報を 広く提供しています。PICは約70の都市に、サテライトセ ンターは世界約80カ国60カ所以上にあります。2005 年には世銀が活動しているすべての国にPICが設置さ れる予定です。 第1章 開発アジェンダ 23 ユージン・R・ブラック 世銀総裁(1949–1963) 。 1959年の年次総会。 写真左からユージン・R・ ブラック世銀総裁、ロバート・ L・ガーナーIFC総裁、 ドワイト・D・アイゼンハワー 米国大統領。 ユージン・R・ブラック 世銀総裁とエチオピアの ハイレ・セラシェ皇帝。 1952年、KLMロイヤル オランダ航空に航空機 購入費用の一部を融資。 1950 累計融資額が10億ドルに 到達。 最初の融資完済(フィン ランドとユーゴスラビ ア、500万ドル) 。 スウェーデンが世銀協定 を批准、50番目の世銀 加盟国となる。 1953 民間貸付機関との最初 の協調融資 (南アフリカ、 世銀が5000万ドル、 米国の8商業銀行が 3000万ドルを融資) 。 1952 国家開発銀行に対する 最初の融資が行われる (エチオピア開発銀行、 200万ドル) 。 1951 1950 年代 ユージン・R・ブラック(1949–1963) 最初の対日融資が 承認される (総額4020万ドル) 。 地域別展望 1958年のナイジェリア鉄道建設プロジェクトでは、 蒸気機関車の整備補修が行われました (写真はラゴスのエブテ・メッテ工場) 。 ユージン・R・ブラック世銀 総裁とインドのジャワハル ラール・ネール首相。 パキスタンのカラチに 最初の現地事務所を 開設。 世界銀行研究所の前身 となる経済開発研究所 がオープン。 1959 世銀の関連機関として 国際金融公社(IFC)が 設立される。設立時の 授権資本は1億ドル、 加盟国は31。 1957 累計融資額が 20億ドルに到達。 1955 1954 1957年のタイ水力発電プロジェクトでは、 ピン川にヤンヒーダムが建設されました。 1956 1957年、ペルーでは鉄道建設プロジェクト の一環として、アンデス山岳地方の町 タンボに鉄道の駅が建設されました。 2 世界銀行の地域区分、 現地事務所、および 融資適格国 現在、世界銀行は世界 100カ所以上に設置され た現地事務所を通して活 動しています。借入国に メキシコ 事務所を開設することで、 借入国に対する理解が深 ベリーズ ジャマイカ グアテマラ ホンジュラス エルサルバドル ニカラグア (東アジア・ 大洋州地域の一部) パナマ コスタリカ ラテンアメリカ・ カリブ海地域 まるだけでなく、借入国 キリバス との協力関係が密にな サモア り、これまで以上に迅速 ハイチ ベネズエラ・ボリバ ル共和国 ガイアナ スリナム コロンビア 2004年度 新規融資承認額 IBRD:49億8160万ドル IDA:3億3820万ドル プロジェクトのポートフォリオ: 193億ドル エクアドル ブラジル ペルー トンガ ボリビア フィジー にサービスを提供するこ パラグアイ ドミニカ 共和国 とができるようになって アンティグア・バーブーダ います。世銀の貸付残高 の4分の3はワシントンDC この地図は世銀の地図設計部門が作成 したものです。 この地図に示されている国境、色、名称 などの情報は、それぞれの地域の法的地 位に対する世銀グループの意見や、こう した国境に対する支持あるいは承認を示 すものではありません。 セントクリストファー・ ネーヴィス ドミニカ国 セントビンセントおよび グレナディーン諸島 セントルシア グレナダ の本部ではなく、現地の トリニダード・トバゴ ベネズエラ・ボリバル共和国 国別担当局長が管理して IBRD融資のみの適格国 います。現在は職員の IBRDとIDA融資の適格国(ブレンド国) IDA融資のみの適格国 30%以上が現地事務所 で活動しています。 融資が行われたことのないIDA融資適格国 世銀現地事務所 国別担当局長が駐在する現地事務所 ウルグアイ チリ アルゼンチン 中東・北アフリカ地域 ヨーロッパ・中央アジア地域 2004年度 新規融資承認額 IBRD:9億4600万ドル IDA:1億4500万ドル プロジェクトのポートフォリオ: 52億2000万ドル 2004年度 新規融資承認額 IBRD:30億1290万ドル IDA:5億4620万ドル プロジェクトのポートフォリオ: 146億ドル エストニア ラトビア リトアニア ロシア 連邦 ポーランド ロシア連邦 ベラルーシ ウクライナ カザフスタン モルドバ モンゴル ルーマニア ブルガリア グルジア アルメニア アゼルバイジャン ウズベキスタン シリア・アラブ 共和国 イラク ヨルダン レバノン チュニジア ヨルダン川西岸・ガザ地区 アルジェリア キルギス共和国 トルクメニスタン トルコ モロッコ IBRD 32613R 2004年8月 イラン・イスラム 共和国 タジキスタン パキスタン ネパール エジプト・ アラブ共和国 インド マリ セネガル ガンビア ギニアビサウ ギニア シエラレオネ リベリア ニジェール エリトリア チャド ブルキナ ファソ ベナン コート ガーナ ジボワール ナイジェリア トーゴ 赤道ギニア サントメ・プリンシペ タイ ジブチ カメルーン キリバス コモロ インドネシア マダガスカル モーリシャス スワジランド ウクライナ 南アフリカ レソト スロバキア共和国 ハンガリー スロベニア ルーマニア クロアチア ボスニア・ セルビア・ ヘルツェゴビナ モンテネグロ ブルガリア アルバニア マケドニア旧 ユーゴスラビ ア共和国 パプアニューギニア ソロモン諸島 東ティモール バヌアツ 南アジア地域 モザンビーク ボツワナ ポーランド チェコ共和国 パラオ モルディブ マラウイ ザンビア ジンバブエ ナミビア マーシャル諸島 セーシェル ブルンジ タンザニア アンゴラ ミクロネシア連邦 ケニア ルワンダ コンゴ民主共和国 フィリピン マレーシア ソマリア コンゴ ベトナム カンボジア スリランカ エチオピア 中央アフリカ 共和国 ウガンダ ガボン ラオス人 ミャンマー 民民主 共和国 イエメン共和国 スーダン 2004年度 新規融資承認額 IBRD:16億6550万ドル IDA:9億720万ドル プロジェクトのポートフォリオ: 212億ドル ブータン バングラデシュ モーリタニア カーボヴェルデ 東アジア・大洋州地域 大韓民国 中国 アフガニスタン フィジー 2004年度 新規融資承認額 IBRD:4億3950万ドル IDA:29億8210万ドル プロジェクトのポートフォリオ: 182億ドル アフリカ地域 2004年度 新規融資承認額 IBRD:0 IDA:41億1590万ドル プロジェクトのポートフォリオ: 166億ドル 世銀事務所および世銀融資適格国の一覧は第6章/添付CD-ROMに掲載されています。 第2章 地域別展望 27 世銀融資適格国 アンゴラ ウガンダ エチオピア エリトリア ガーナ カーボヴェルデ ガボン カメルーン ガンビア ギニア ギニアビサウ ケニア コートジボワール コモロ コンゴ共和国 コンゴ民主共和国 サントメ・ プリンシペ ザンビア シエラレオネ ジンバブエ スーダン スワジランド セーシェル 赤道ギニア セネガル ソマリア タンザニア チャド 中央アフリカ 共和国 トーゴ ナイジェリア ナミビア ニジェール ブルキナファソ ブルンジ ベナン ボツワナ マダガスカル マラウイ マリ 南アフリカ モーリシャス モーリタニア モザンビーク リベリア ルワンダ レソト アフリカ地域 フレームワーク」 と 「アフリカは21世紀に生き残れる ここ数年、アフリカ地域では複数の国が目覚ま か」の分析結果です。世銀は「アフリカのための戦 しい進歩を遂げました。しかし、ミレニアム開発目 略的パートナーシップ」の議長でもあります。2003 標(MDGs) を達成するためには、この地域は今後 年9月には他機関と共に、東京で「第3回アフリカ開 も無数の課題に取り組んでいかなければなりませ 発会議(TICAD III)」を開催しました。TICAD10周 ん。世界で最も貧しい48カ国のうち、32カ国はア 年の節目の年に開催されたこの画期的な会議は、 フリカにあり、総人口に占める貧困層の割合は増 アフリカ地域の開発がNEPADのアプローチと一致 え続けています。 さまざまな意味で、アフリカはグローバリゼー ションの流れの中で今も周縁に位置しています。 世界輸出に占めるアフリカの割合は1970年の3.5% 囲み2.1 HIV/エイズと戦うアフリカ 以上から、2002年末は約1.4%に収縮しました。こ れは毎年1600億ドルずつ所得が減少していること アフリカ地域は依然として、世界で最もHIV/エイズ を意味します。世界人口の11%を擁しているにも の影響を受けている地域です。2003年のHIV/エイズ 関わらず、アフリカ地域の国内総生産(GDP)は世 感染者数は推定2500万人、そのうちの300万人は新 界全体の約1%、外国直接投資の受入額は世界全 規感染者でした。2003年、アフリカ地域では約220 体の0.6%、インターネットの利用者数は世界全体の 万人がエイズによって死亡しました。 1%にすぎません。アフリカの人口が年平均3%で 2000年終盤以降、世銀は「アフリカのための多国 増えていることを考えると、貧困層が増加しないよ 間エイズ・プログラム (MAP) 」 を通して、28カ国と2つ うにするだけでも、 年5%のGDP成長率が必要です。 の準地域のプロジェクトに、合計10億ドルを超える支 しかし、HIV/エイズの蔓延をはじめとする数々の 援を提供しました。HIV/エイズ関連のグラントを受け 問題により、それだけの経済成長率を達成するこ 取ったシビルソサエティ組織と地域社会の準プロ とは困難となっています(囲み2.1参照)。 ジェクトの数は2万7000件に上ります。さまざまな 世銀はアフリカ地域に対する最大の開発援助機 キャパシティ・ビルディング活動に8000万ドル以上が 関であり、経済成長とMDGsの達成に寄与するよう 提供され、公衆衛生局には約1億5000万ドルの支援 なプロジェクトを支援しています。この地域におけ が約束されました。2004年6月、世銀は6000万ドル る世銀の戦略目標は、アフリカ諸国の政府が貧困 の「治療加速プログラム」を承認しました。2004年9 削減戦略文書(PRSP)の策定過程で明らかにした 月から始まる試行期間では、ブルキナファソ、ガーナ、 優先項目と一致しています。世銀はNEPAD(アフ およびモザンビークで政府、民間、およびシビルソサ リカ開発のための新パートナーシップ) に参加する エティが進めている革新的なエイズ治療パートナー アフリカ諸国の元首が掲げたビジョンをふまえて、 シップにグラントが提供される予定です。 各国と連携しながら活動を進めています。その基 28 盤となっているのは、 「アフリカ支援のための戦略 世界銀行 年次報告 2004 アフリカ地域の概要 総人口 7億人 人口増加率: 2.1% した形で進められているか、地域の優先項目が十分 平均寿命: 46歳 に反映されているかを再確認するものでした。 乳幼児死亡率(出生1000件当たり) : 2004年6月現在、世銀が融資を提供しているアフリ カ地域のプロジェクトは334件、融資承認額の純額は 166億ドルでした。これはIDAの融資承認総額の41% に相当します。世銀は中長期目標として、IDAの新規 融資承認額の50%をアフリカに向けることを決定して います。2004年度はIDAの新規融資承認額の45%が アフリカ地域に対するものでした。 投資環境の構築 アフリカ諸国が成長を維持し、規模の経済を達成 103件 若い女性の識字率: 77% 2003年の一人当たり国民総所得(GNI) :490ドル エイズ感染者数 2520万人 注:平均寿命と乳幼児死亡率(出生1000件当たり) は2002年、若い女性の非識字率は 2002年(最新)、その他の指標は2003年の「世界経済・社会統計」データベースの数字 です。現在は国民総生産(GNP)の代わりに国民総所得(GNI)が使用されています。 2004年度の 新規融資承認額 2004年度の 融資実行額 IBRD:0 IDA:41億1590万ドル IBRD:4280万ドル IDA:32億9250万ドル 2004年6月30日現在において実施中のプロジェクトのポート フォリオ:166億ドル するためには、域内市場と世界市場の双方に参入す る必要があります。しかし、OECD(経済協力開発機 構)諸国の貿易障壁と補助金がこの地域の成長を阻 んでいます。アフリカの最大の比較優位は農業分野 にありますが、OECD諸国が国内の農家に多額の補 助金を与えているために、アフリカ諸国の市場競争力 は弱められています。こうした補助金は年間3250億ド ル(アフリカ諸国のGDP合計に匹敵) に上り、西アフリ カの綿農家から年間約2億5000万ドルの所得機会を 奪っています。 世銀はアフリカ経済の成長と多様性を維持するた めに、さまざまなイニシアティブを推進しています。世 銀が支援しているのは、アフリカ地域の投資環境を改 善し、アフリカをビジネス活動に適した場にするため の政策・制度改革です。世銀は地域組織と協力して、 域内貿易の自由化、マクロ経済政策の調和化、地域 組織のキャパシティ・ビルディング、資本市場の拡大、 および地域規模のインフラ構築(輸送網など) を推進 するための地域統合戦略を策定しました。その結果、 アフリカ地域には莫大な需要が存在することが確認 1960年頃。ケニアは世銀の融資をもとに、近代的な土地所有制度を 導入しました。それ以前は、土地は部族の共有財産であり、農民のも のではありませんでした。 されました。インフラ分野だけでも、年間約180億ドル のニーズが存在すると推定されています。 アフリカ地域において、世銀は37件の教育プロ ジェクトに合計150万ドルの資金を提供しています。そ 開発への参加促進 の大半は2015年までに、男子だけでなく女子も対象 とした初等教育の完全普及を達成することを目指すも 貧困を削減するためには、人々への投資―つまり、 のですが、中等・高等教育の普及を念頭に置いたも 教育と保健・医療サービスを普及させ、社会的介入 のもあります。しかし、アフリカ地域の中等学校就学 によって、弱い立場に置かれた人々に便益を提供す 率(25%) を、途上国平均の約60%まで引き上げるた ることが不可欠です。 めには、今後もさらなる努力が必要です。 第2章 地域別展望 29 オムデュルマン(スーダン)のウン・ベッダ給水施設。 このほか、年金制度改革や就労年齢の男女に対す め、世銀は資源収入管理の強化にも取り組んでいま る技能研修など、人的資本の保護に対する支援も拡 す。このように、世銀は紛争後復興と平和の定着だけ 大されました。 でなく、紛争の予防にも努めています。 ガバナンスの強化と紛争の解決 債務削減と開発援助 内戦は一人当たりGDPを平均年2.2%減少させ、国 2004年度、世銀は債務救済を加速させました。重 防や安全保障の名目で、希少な開発資源を浪費して 債務貧困国(HIPC)の政府に対しては、救済され、利 います。従って、紛争を減らすことは成長を促進し、 用可能となった資金を貧困削減プログラム (HIV/エイ 貧困を緩和するという世銀の目標とも一致していま ズ対策を含む) に活用することを奨励しました。2004 す。2004年度、世銀は紛争からの脱却あるいは復興 年度においては、アフリカ地域では1カ国がHIPCイニ を目指すアフリカ諸国に対する支援を拡大しました。 シアティブの決定時点(債務削減額が決定され、救済 この中には、アフリカで最も貧しい10カ国のうちの8 プロセスが始まった時点) に到達し、3カ国が完了時 カ国が含まれています。 点(ドナーが決定時点で約束された債務救済をすべ 現在、世銀は7つの紛争後諸国の44件のプロジェク て実行した時点) に到達しました。HIPCイニシアティ トを支援しています。世銀の紛争後基金が、この7カ ブによって削減される債務の総額(正味現在価値)は 国に提供したグラントの総額は4億9000万ドルに上り 40億ドル近くに達する見込みです。その結果、これら ます。紛争後地域で世銀が支援しているのは、紛争 の国では債務返済額の対GDP比率が1998年の3.4% の引き金となる重大な政治・経済問題に対処するプ から2004年には1.7%に下がる予定です。 ロジェクトです。アフリカ地域では石油やダイヤモンド などの資源収入が紛争の資金源となることが多いた 30 世界銀行 年次報告 2004 表2.1 アフリカ地域に対するテーマ別、セクター別融資 1995–2004年度(単位:100万ドル) 1995–97 1998–99 年度 年度 (年平均) (年平均) 2000 テーマ 経済管理 環境・天然資源管理 金融・民間セクター開発 人的開発 公共セクター運営 法規 農村開発 社会開発・ジェンダー・参加 社会的保護・リスク管理 貿易・統合 都市開発 テーマ総額 うち、IBRD融資額 IDA融資額 2002 2003 2004 134.4 272.9 543.4 216.6 270.7 40.1 189.2 153.4 77.8 152.0 201.1 165.0 156.0 509.0 267.7 291.7 21.0 393.6 167.6 117.2 120.5 253.8 78.2 172.4 466.7 208.5 495.3 26.7 151.8 210.5 140.5 53.7 154.9 138.5 110.0 625.8 399.4 429.6 34.0 296.3 491.8 376.4 261.5 206.1 138.7 159.9 780.7 739.0 851.9 22.5 329.2 347.4 98.3 46.4 279.6 37.8 227.0 383.6 811.4 432.4 34.5 384.1 420.0 543.7 37.2 425.5 67.8 195.3 810.9 618.2 818.5 28.3 360.7 374.3 209.2 371.5 261.2 2,251.5 2,463.2 2,159.1 3,369.6 3,793.5 3,737.2 4,115.9 157.2 161.6 209.5 125.6 263.7 334.7 6.9 542.0 266.8 183.6 170.0 304.4 244.0 48.8 273.6 94.3 36.7 615.8 533.5 142.0 111.5 189.8 176.3 118.4 183.1 104.7 17.3 838.2 263.9 155.9 212.0 209.5 198.0 200.1 889.9 170.6 21.1 880.8 229.8 357.8 210.4 472.6 490.3 192.8 616.6 266.7 33.8 906.9 491.1 112.2 303.4 423.6 324.4 67.2 775.9 92.7 41.4 721.8 690.5 296.3 268.5 362.9 365.8 165.8 723.1 95.4 52.9 1,004.1 716.6 360.8 2,251.5 2,463.2 2,159.1 3,369.6 3,793.5 3,737.2 4,115.9 45.6 2,206.0 31.2 2,432.0 97.7 2,061.4 0.0 3,369.6 41.8 3,751.6 15.0 3,722.2 0.0 4,115.9 セクター 農業・漁業・林業 教育 エネルギー・鉱業 金融 保健・その他の社会サービス 産業・貿易 情報・通信 法律・司法・行政 運輸 給水・衛生・治水 セクター総額 2001 注:プロジェクトの分類が変更されたことに伴い、2003年度の年次報告に記載されたテーマ別融資の数字を一部変更した。具体的には、法律・司法・行政セクターの下 に公共医療金融サブセクターを新設し、一部のプロジェクトを遡及的にこのサブセクターに分類したことにより、法律・司法・行政セクターと金融セクターの数字に変更 が生じた。端数を四捨五入したため、合計額が合わないことがある。 図2.1 アフリカ地域:IBRDとIDAのテーマ別融資 2004年度 総融資額41億ドルに占める割合 都市開発 6% 貿易・統合 9% 社会的保護・ リスク管理 5% 社会開発・ ジェンダー・ 参加 9% 農村開発 9% 法規 1% 経済管理 2% 図2.2 アフリカ地域:IBRDとIDAのセクター別融資 2004年度 総融資額41億ドルに占める割合 給水・衛生・治水 9% 農業・漁業・林業 7% 環境・天然資源管理 5% 教育 9% 運輸 17% エネルギー・ 鉱業 9% 金融・民間 セクター開発 19% 人的開発 15% 公共セクター運営 20% 金融 4% 法律・司法・行政 24% 情報・通信 1% 保健・その他の 社会サービス 18% 産業・貿易 2% 第2章 地域別展望 31 世銀融資適格国 インドネシア カンボジア キリバス サモア ソロモン諸島 タイ 大韓民国 中国 トンガ バヌアツ パプアニューギニア パラオ 東ティモール フィジー フィリピン ベトナム マーシャル諸島 マレーシア ミクロネシア連邦 ミャンマー モンゴル ラオス人民民主 共和国 東アジア・大洋州地域 世銀の援助 統合の進む東アジア・大洋州地域では、地域経 東アジア・大洋州地域の多様性をふまえ、世銀 済は堅調に推移しており、19億人の地域住民はよ は各国の状況に合わせた援助アプローチを採用 りよい経済機会を手にするようになっています。 すると共に、5つの地域目標を掲げて、その達成に 輸出の拡大、低金利、および中国、タイ、ベトナ 取り組んでいます。 ムに対する投資の拡大により、東アジア地域では 2004年のGDP成長率が7%を超えると見込まれて ■ 高成長の達成 います。これは世界経済が失速を始めた2000年初 ■ 世界統合と域内統合の促進 頭以来、最も高い数字です。4900万人ともいわれ ■ 社会の安定化 るこの地域の貧困層にとって、こうした力強い回復 ■ 貧困の削減、健康の増進、および教育の普及 はよい兆しであり、貧困層の収入は1日2ドルの貧 ■ 汚職の削減とガバナンスの強化 困ラインを上回ると予測されています。 2003年は中国の輸出が40%拡大し、地域経済の 2004年度はこれらの目標に対して、合計25億 重要な牽引役となりました。2002年以降、東アジ 7000万ドルの融資が提供されました(IDA融資が9 ア地域では域内貿易が途上国の輸出成長の約 億700万ドル、IBRD融資が16億7000万ドル)。良好 70%を占めています。しかし、中国の急成長が鈍 なガバナンス(汚職の削減、財政管理の強化、実 化すれば、この傾向は緩和されるはずです。 効力のある法律・司法制度の確立、天然資源の不 東アジアの急成長は、それ以外の地域でも注目 適切な開発の阻止、企業統治の促進)は引き続き を集めるようになっています。東アジア地域に対 大きな課題となっており、世銀はプロジェクト、研 する外国直接投資は増え続けており、2003年は、 究活動、および助言サービスを通して、この課題に 危機を経験した5カ国(インドネシア、韓国、マレー 取り組んでいます。インドネシアとモンゴルに対し シア、フィリピン、タイ)への投資流入額の純額も約 ては、新しい国別援助戦略(CAS)が作成されまし 330億ドルに上ったと予測されています。現在、東 た。モンゴルのCASは同国が策定した貧困削減戦 アジアの途上国の純外貨準備高は1兆ドルを超え 略に沿ったものとなっています。ベトナムのCASも ています。 改訂されました。 この地域では急成長、構造変換、および人口構 造の変化により、天然資源の需要が高まっていま す。生活の質を高め、将来の世代が経済発展の利 益を享受できるようにするためには、資源を持続可 能な形で管理していく必要があります。 投資環境の構築 インドネシアの新しい国別援助戦略(CAS)は、 世銀が東アジア地域で投資環境の構築にどう取り 組んでいるか、開発の進展を妨げているガバナン スの問題にどう対処しているかをよく表していま 32 世界銀行 年次報告 2004 東アジア・大洋州地域の概要 総人口: 19億人 人口増加率: 0.8% す。世銀はインドネシアが経済を安定させ、金融・民 平均寿命: 69歳 間セクターを強化し、インフラを整備し、貧困世帯と 乳幼児死亡率(出生1000件当たり) : 32件 農民に所得創出の機会を提供できるよう支援していま 若い女性の識字率: 98% す。投資を促進し、サービスの質を高めるためには、 2003年の一人当たり国民総所得(GNI) :1080ドル エイズ感染者数 230万人 ガバナンスの改革が不可欠です。このため、インドネ シアに対する世銀のプログラムはいずれも、公的機 関の質、即応性、および説明責任の強化に重点を置 き、透明で効率的な慣行の導入に前向きに取り組ん でいる地方政府を優先するものとなっています。 東アジアの開発では、インフラが中心的な役割を 果たしてきました。日本、香港、韓国、シンガポール、 注:平均寿命と乳幼児死亡率(出生1000件当たり) は2002年、若い女性の非識字率は 2000年(最新)、その他の指標は2003年の「世界経済・社会統計」データベースの数字 です。現在は国民総生産(GNP)の代わりに国民総所得(GNI)が使用されています。 2004年度の 新規融資承認額 2004年度の 融資実行額 IBRD:16億6550万ドル IDA:9億720万ドル IBRD:17億2060万ドル IDA:8億5660万ドル 台湾、中国、そして最近では中国本土とベトナムがよ い例です。東アジア諸国の貧困削減に初期の成功を 2004年6月30日現在において実施中のプロジェクトのポート フォリオ:212億ドル もたらしたのは、健全な経済政策と、電力、運輸、給 水、通信、教育、および保健・医療サービスへの投資 でした。2004年度、世銀、アジア開発銀行(ADB)、 および国際協力銀行(JBIC)は、東アジア地域のイン フラニーズを分析し、インフラ投資環境を、特に民間 セクターを活用することで再構築する方法を探る研究 に着手しました。 企業セクターに関しては、 「ガバナンスに関するヒル ズ・プログラム」 と協力して、企業経営のベストプラク ティスの普及に取り組んでいます。同プログラムはマ ニラとソウルにヒルズ・センターを設立し、提言、研究、 およびトレーニングを通して、良好な企業ガバナンス の普及に取り組んでいます。都市の居住性を高める ことは投資と開発のどちらにとっても重要です。 サイクロン「ヘタ」により多大な被害を被ったサモア に対して、道路、橋、および海岸地帯を再建・強化し、 自然環境と建造物の台風対策を強化するための緊急 グラントが承認されました。 貧しい人々のエンパワーメント インドネシアのケカマタン開発プロジェクトでは、地 域社会に資金を直接提供することによって、道路、学 校、診療所、および飲料水設備がきわめて効果的に 建設されました。このプロジェクトの結果、2万8000の 村と約3500万人の貧しい農民に便益が提供されただ 1970年頃。シンガポール港で貨物船に積み込まれるゴム。シンガ ポールは1500万ドルの世銀融資をもとに新たな大水深バースを作 り、プラントヤード、工場、および貨物処理施設を建設しました。 けでなく、地域社会が自らのニーズを分析し、行動計 画を立て、技術支援を要求し、十分な情報に基づい た。2004年度に承認された第3次プロジェクトは、複 て貴重な資源の活用方法を決定できるようになりまし 数の地方政府にプログラム資金の獲得を競わせるこ 第2章 地域別展望 33 フィリピン・イノベーション・デーの会場。参加者がバリアフリー 推進プロジェクトのブースで説明を受けています。 とによって、地方政府のガバナンスを促進するものと なっています。フィリピンではこのモデルを採用した 囲み2.2 カントリー・イノベーション・デー KALAHIプロジェクト (1億ドル)が6つの地域社会で試 験的に実施されたのち、67市町村の1300以上の地域 2004年度、世銀のディベロップメント・マーケットプ 社会に拡大されました。こうしたプロジェクトは地域 レースはシビルソサエティ組織の地域社会活動を支援 社会の能力を拡大するだけでなく、地域社会の自信 するために、フィリピンとベトナムで「イノベーション・ を育み、住民が地方政府のガバナンスに影響を与え デー」を開催しました。フィリピンのイノベーション・ ることができるよう支援するものとなっています。カン マーケットプレース「新たなアプローチ」は、多くの人で ボジアでは「農村投資・地方政府ガバナンス・プロ にぎわうフィリピン最大のショッピングモールで開催さ ジェクト」が、セイラ・プログラムを通して、地域社会 れ、117の選抜チームが120万ドル以上の賞金獲得を目 のサービスとモニタリングを強化しています。 指して、貧困層に役立つサービスを実現するための革 世銀の低所得国戦略の1つの柱は、政府の貧困削 新的なアイディアを発表しました。このコンテストは10 減戦略の策定を支援することです。2004年度はラオ 以上のドナー組織と企業の支援を得て開催されたもの ス人民民主共和国とモンゴルがPRSPを完成させまし で、コラソン・C・アキノ元大統領が基調講演を行いま た。ベトナムに対しては、 「第3次貧困削減戦略融資」 した。入賞アイディアの一つ「戦争廃棄物の平和的な再 を通して政府の戦略を支援しています。 利用」は、使用済みの弾丸やミサイルのケーシングを再 開発を成功させるためには、人々の能力を高め発 利用して、平和を象徴する工芸品(鈴や鐘) を製作する 言権を拡大する必要があります。インドネシアでは「貧 というものでした。このプロジェクトは紛争廃棄物の処 困層のための正義イニシアティブ」が、住民の権利意 理に役立つだけでなく、学校に通っていない若者に雇 識の向上と、地域の紛争調停機能の強化に一役買っ 用を提供するものとなります。 ています。世銀は中国語、クメール語、およびベトナム 語のウェブサイトを立ち上げたほか、さまざまな文書 をバハサ語、ラオス語、モンゴル語、テトゥン語、タイ 語などに翻訳しました。中国では中国語のニューズレ ターを発行しています。カンボジアではクメール語で 34 世界銀行 年次報告 2004 書かれたニューズレターの記事が、しばしば現地のマ が発生した場合も、速やかに警告・対応できる体制 スコミで取り上げられています。現在、この地域では を整えることです。ベトナムに対しては、鳥インフルエ 11の現地事務所に情報公開センター (PIC)が設置され ンザ対策を強化するための緊急援助プログラムの設 ています。中国、インドネシア、フィリピン、およびベト 計に取り組んでいます。中国に対しては、英国国際開 ナムには16の地域情報センターが設置され、その数は 発省と共に「第2次結核抑制プロジェクト」のスポン 今後さらに増えていく予定です。現地のスタッフは世 サーを務めています。2004年7月にバンコクで開催さ 銀の業務や政策に関する研修を受けています。 れた第15回国際エイズ会議では、東アジア・大洋州 2004年度、世銀と日本政府は「東京開発ラーニング センター」を開設しました。日本政府の資金で運営さ 地域における世銀の新しいHIV/エイズ戦略が発表さ れました。 れている「日本/世銀ディスタンスラーニング・パート ナーシップ・プロジェクト (東京プロジェクト)」は、この 貿易の促進と地域統合 東京ラーニングセンターを東アジア・大洋州地域の 2004年度に発表された世銀の主要報告書「東アジ キャパシティ・ビルディングのリソース拠点とすること アの統合」は、貿易政策だけでなく、開発の成果や社 により、知的側面から、この地域の開発に大きく貢献 会の安定との関わりにも重点を置くよう政策立案者に することを目指しています。2004年度末には20の 呼びかけています。世銀とボアオ・アジア・フォーラ GDLN(グローバル・ディベロップメント・ラーニング・ ムは共同会合の場で、3カ年の経済研究プログラムに ネットワーク)センターが東アジア・大洋州地域に設置 着手し、アジアの経済協力・経済統合に関する専門 される予定です(主要援助国には1つ以上設置)。こ 家ネットワークを推進することを決定しました。 れらの センターは 地 域 の 統 合 を 推 進 すると共 に 、 世銀は中国と共に、世界貿易機関(WTO)への加 ASEAN(東南アジア諸国連合)やAPEC(アジア太平 盟と、それが金融セクターに与える影響を分析してい 洋経済協力会議) といった地域組織との知識共有を ます。カンボジアとラオス人民民主共和国では、貿易 促すものとなる予定です(囲み2.2参照)。 統合の影響を分析し、政府が成長と貧困削減を促進 する貿易政策を導入できるよう支援しています。ベト 国際優先項目への対応 世銀の東アジア・大洋州地域局は、下記の国際優 先項目に重点を置いています。 ナムに対しては、WTO加盟に関する助言を提供する と共に、加盟に必要な改革分野の特定に取り組んで います。同様の活動はラオス人民民主共和国に対し ても行われており、インドネシアでは貿易と統合に関 する研究が進んでいます。 伝染病対策 重症急性呼吸器症候群(SARS) と鳥インフルエン 環境の改善 ザが流行した際には、中国とベトナムに速やかに支援 アジアの都市は世界有数の大気汚染地域です。世 を提供しました。中国では「SARS・伝染病対策プロ 銀は市政府、企業、ドナー、およびシビルソサエティ グラム」を実施し、政府の取り組みを支援しました。 組織と共に、 「アジア都市のための大気汚染改善イニ このプログラムの目的は、中国の公衆衛生基盤を強 シアティブ」を通して、アジア都市の大気を浄化する 化し、伝染病を予防できるようにすること、緊急事態 ための革新的な活動に取り組んでいます。 第2章 地域別展望 35 表2.2 東アジア・大洋州地域に対するテーマ別、セクター別融資 1995–2004年度(単位:100万ドル) 1995–97 1998–99 年度 年度 (年平均) (年平均) 2000 2001 2002 2003 2004 テーマ 経済管理 環境・天然資源管理 金融・民間セクター開発 人的開発 公共セクター運営 法規 農村開発 社会開発・ジェンダー・参加 社会的保護・リスク管理 貿易・統合 都市開発 39.5 1,009.7 1,287.7 433.1 258.7 70.4 991.7 172.8 169.6 136.5 757.0 280.0 932.4 4,441.8 406.1 543.1 19.2 855.6 273.5 708.4 333.2 900.8 0.0 880.4 627.6 81.1 556.2 9.3 430.3 72.1 55.2 36.2 230.6 0.0 399.3 310.9 52.6 65.1 3.8 341.6 248.0 239.4 40.0 433.1 4.8 102.3 512.8 226.4 127.4 20.3 360.9 173.0 138.7 43.3 63.6 29.7 232.3 458.8 152.7 341.5 7.3 411.7 143.7 161.5 138.0 233.6 0.0 432.2 553.9 164.6 299.0 67.3 400.9 167.2 5.5 82.9 399.2 テーマ総額 5,326.6 9,694.2 2,979.1 2,133.8 1,773.6 2,310.8 2,572.7 セクター 農業・漁業・林業 教育 エネルギー・鉱業 金融 保健・その他の社会サービス 産業・貿易 情報・通信 法律・司法・行政 運輸 給水・衛生・治水 359.0 447.1 1,659.2 230.8 261.1 260.4 117.4 375.2 1,034.2 582.1 803.8 411.6 517.0 3,163.7 581.6 1,569.8 51.9 1,083.6 1,133.3 377.9 118.4 84.4 640.5 34.4 118.4 28.8 20.0 592.2 584.4 757.7 109.7 14.8 142.2 87.5 217.3 151.8 12.5 257.4 729.7 410.8 151.2 134.6 314.5 219.2 243.8 9.4 11.1 115.2 540.2 34.4 106.7 225.7 254.3 22.7 184.1 32.5 6.6 385.1 684.3 408.7 290.4 118.6 67.2 49.0 84.3 78.7 0.0 257.5 1,209.9 417.1 セクター総額 5,326.6 9,694.2 2,979.1 2,133.8 1,773.6 2,310.8 2,572.7 4,306.4 1,020.2 8,800.9 893.3 2,495.3 483.8 1,136.1 997.7 982.4 791.2 1,767.1 543.7 1,665.5 907.2 うち、IBRD融資額 IDA融資額 注:プロジェクトの分類が変更されたことに伴い、2003年度の年次報告に記載されたテーマ別融資の数字を一部変更した。具体的には、法律・司法・行政セクターの下 に公共医療金融サブセクターを新設し、一部のプロジェクトを遡及的にこのサブセクターに分類したことにより、法律・司法・行政セクターと金融セクターの数字に変更 が生じた。端数を四捨五入したため、合計額が合わないことがある。 図2.3 東アジア・大洋州地域:IBRDとIDAの テーマ別融資 2004年度 総融資額26億ドルに占める割合 都市開発 16% 図2.4 環境・天然資源管理 17% 東アジア・大洋州地域:IBRDとIDAの セクター別融資 2004年度 総融資額26億ドルに占める割合 給水・衛生・治水 16% 貿易・統合 3% 社会的保護・ リスク管理<1% 社会開発・ ジェンダー・ 参加 6% 農業・漁業・林業 11% 教育 5% エネルギー・鉱業 3% 金融 2% 金融・民間 セクター開発 21% 保健・その他の 社会サービス 3% 産業・貿易 3% 農村開発 16% 法規 3% 36 世界銀行 年次報告 2004 人的開発 6% 公共セクター運営 12% 運輸 47% 法律・司法・行政 10% 世銀融資適格国 南アジア地域 動的であり、ネパールでは不安定な治安・政治情 勢が開発の進展を阻んでいます。 南アジアの開発は今、重要な分岐点にさしか かっています。地域経済は比較的堅調なペースで 推移しているものの、人的開発の水準は国内にお いても、また国家間においてもばらつきがあります。 世銀の援助 アフガニスタン インド スリランカ ネパール パキスタン バングラデシュ ブータン モルディブ 2004年度、世銀は南アジア地域に合計34億ドル 非識字率は世界最高の45%に達し、世界の妊産婦 の融資を提供しました。この地域の投資環境を改 死亡件数の3分の1はこの地域でのものです。膨大 善するために、世銀はさまざまな分析サービス (研 な人口を抱える南アジア地域が貧困を削減してミ 究、ワークショップ、政策ノート、政策対話など) を レニアム開発目標(MDGs) を達成することが、世界 通して、各国の政策改革を支援しています。また、 全体のMDGs達成にとってきわめて重要となります。 インフラ投資と民間セクター投資を促進し、保健・ 東アジアと同様に、南アジアが世界の景気回復 医療、エネルギー、給水、および衛生関連サービ において果たす役割はますます大きくなってきて スの普及に努めることによって、各国がミレニアム います。2003年の国内総生産(GDP)成長率は6% 開発目標を達成できるよう支援しています。 を超えており、今後も継続的な成長が見込まれて います。この地域のGDPの77%を生み出している ネパールに関しては、新しい国別援助戦略 (CAS) が議論されました。新しいCASはネパールの国内 インドでは、2003年のGDP成長率が6.8%でした。 情勢が引き続き流動的であることを認めつつも、政 これは農産物の生産高が増えたこと、サービス産 府が改革プログラムを推進していることを評価し、 業によって生産性が高まったことによるものです。 改革の進捗に応じて援助を提供するとしています。 バングラデシュ、パキスタン、およびスリランカの また、貧困削減戦略の実施を支援するために、7000 GDP成長率は約5.5%でした。 万ドルの貧困削減支援融資(PRSC)が承認されまし 2004年1月に各国が自由貿易協定に調印したこ た。世銀の理事会では、パキスタンCASの進捗報 とにより、南アジア地域では新たな経済統合が進 告書が検討され、同国が最初のPRSPに記載された みつつあります。しかし、国内・国際インフラが整 財政再建を実現するために、積極的な努力を続け 備されておらず、規制やサービスの提供状況も流 ていることが確認されました(囲み2.3) 。 動的であるため、民間セクターは新しい貿易環境 を十分に活用できていません。 南アジア地域に対する世銀の援助戦略は、セク ター横断的な政策介入に重点を置いたものとなっ インドとパキスタンが歩み寄りを見せていること ています。パキスタンのパンジャブ州の教育関連 は、この地域に新しい希望をもたらしました。この プロジェクトに対する1億ドルの融資はその一例で 変化は経済にプラスの影響を与えるでしょう。しか す。世銀はパキスタン政府の行政能力強化プロ し、暴力行為によって開発の進展が妨げられる可 ジェクトにも5500万ドルを提供しています。このプ 能性は、域内の随所に色濃く残されています。た ロジェクトは同国が現在進めている経済改革を支 とえば、アフガニスタンの治安情勢は依然として流 援するものとなる予定です。 第2章 地域別展望 37 南アジア地域の概要 総人口: 14億人 人口増加率: 1.7% 平均寿命: 63歳 もう一つは関税・輸送規制を合理化することで、貿易 乳幼児死亡率(出生1000件当たり) : 68件 収入を増大させる3100万ドルの融資です。 若い女性の識字率: 62% 南アジア地域では、道路やその他の輸送インフラ 2003年の一人当たり国民総所得(GNI) :510ドル エイズ感染者数 520万人 を改善することが、世銀の活動の大きな柱となってい 注:平均寿命と乳幼児死亡率(出生1000件当たり) は2002年、若い女性の非識字率は 2000年(最新)、その他の指標は2003年の「世界経済・社会統計」データベースの数字 です。現在は国民総生産(GNP)の代わりに国民総所得(GNI)が使用されています。 2004年度の 新規融資承認額 2004年度の 融資実行額 IBRD:4億3950万ドル IDA:29億8210万ドル IBRD:8億9180万ドル IDA:18億3500万ドル ます。輸送コストを下げ、貧しい人々が市場、教育、 および保健・医療サービスを利用できるようにするこ とで、世銀は南アジア地域の貧困削減に大きく貢献 してきました。パキスタンに対しては、市場競争力を 強化するために、国道網の再建費用として2億ドルの 融資を承認しました。インドは2億4000万ドルの世銀 融資をもとにバイパスを建設し、交通のボトルネックと なっているウッタル・プラデシュ州の古都アラハバード 2004年6月30日現在において実施中のプロジェクトのポート フォリオ:182億ドル の混雑の解消に取り組む予定です。 ネ パ ール で は 、金 融 セクター 改 革 プ ロジェクト (7550万ドル)によって、脆弱な銀行制度が近代化さ れる予定です。インドに対しては、 「第2次アンドラ・プ ラデシュ州経済改革融資」 (2億2000万ドル)が承認さ れました。インド第5の州であるアンドラ・プラデシュ 州はこの融資をもとに、健全で持続可能な財政を構 築し、行政能力を強化し、サービスの提供範囲を拡 大し、民間セクター開発を促進し、改革の加速に必 要な基盤を整える予定です。 開発への参加促進 南アジア地域に対する世銀戦略の中核を成してい るのは、 「南アジア地域の最大の資産は人間である」 という認識です。世銀の融資では、社会全体の生活 1959年頃。インド鉄道は世界有数規模の鉄道近代化・拡大計画を実 施しました。世銀の融資は近代的な電気機関車の購入費用にあてられ ました。 水準を引き上げること、住民の開発参加や利益の公 平な配分を阻んでいる要因を排除することに重点が 置かれています。融資以外の分野では、たとえば福 投資環境の構築 調査の結果、バングラデシュ、ブータン、インド、パ 祉サービスの効果的な提供方法を関係者と十分に協 議するといった、画期的な取り組みも行われています。 2004年度は小口融資、農村部の水と衛生、灌漑、 キスタン、およびスリランカでは、インフラの未整備が 教育、および保健・医療分野に対する支援が拡大され 投資環境にマイナスの影響を与えていることが分かり ました。パキスタンに対しては、 「貧困緩和基金」 (パ ました。官僚主義、過度の規制、硬直した労働市場は キスタン政府が設立した独立組織)に2億3800万ドル もとより、民間セクターが長期資金を借り入れる機会 を融資し、同基金の初期の活動を支援しました。ネ を持たないことも投資のボトルネックとなっています。 パールでも同様のイニシアティブが進んでおり、貧し アフガニスタンでは、世銀は2件の融資を通して政 い農村部の住民にも融資を受ける機会が開かれる予 府のインフラ再建努力を支援しています。一つは電 定です。その他の承認済み融資としては、インドのマ 話事業と郵便事業の再建を目指す2200万ドルの融資、 ハラシュトラ州の貧困層に飲料水と衛生サービスを持 38 世界銀行 年次報告 2004 囲み2.3 PRSPプロセスの効果 南アジア地域では、貧困削減戦略文書(PRSP)の策 定が大きく進展し、PRSPが国家計画の策定や重要な意 思決定に役立つことが認識されるようになっています。 世銀と国際通貨基金はネパール、パキスタン、およびス リランカが作成した正式PRSPを議論しました。この3 カ国には貧困削減支援融資(PRSC) も提供されました。 PRSCを導入し、プログラム的アプローチを採用し たことにより、IDAをはじめとするドナーの援助を、各国 のPRSPに詳述されたセクター別優先項目と一致させ 多くの途上国では、住民の大半が依然として清潔な水を利用できない 状況にあります。スリランカの農村部では、水の安全性と衛生に関す る世銀プロジェクトを通して、地域住民が清潔で安全な水を利用でき るようになりました。 ることが容易になりました。PRSCによる援助では、結 果重視のアプローチが促進され、国家の投資計画全体 が恩恵を受けることになります(PRSCでは公共支出の 監視能力も強化されます)。PRSPプロセスはドナー融 資の調和化にも役立っています。 計と生活の質の向上に役立てられています。 インドに対しては、ラジャスタン州の保健制度プロ ジェクトに8900万ドルの融資が提供されました。スリ ランカ政府は6000億ドルの融資をもとに、保健・医療 セクター戦略に取り組む予定です。 続可能な形で提供するプロジェクト (1億8100万ドル)、 スリランカの北東地域に基本的な社会・経済インフラ サービスを提供するプロジェクト (6470万ドル)、安全 国際優先項目への対応 な水をアフガニスタンの農村部に提供するプロジェク 現在、南アジアでは500万人以上がHIV/エイズに ト (4000万ドル) 、およびネパール農村部の給水と衛生 感染しています。一般人口の間でのHIV/エイズ感染 を支援するプロジェクト (2530万ドル)があります。 率は全般に低いと考えられていますが、感染リスクの 教育分野では、インドが初等教育の完全普及(すべ 高い行動をとっている集団の間では、感染率ははる ての就学年齢児童の入学と修了) を達成できるよう、5 かに高くなっています。インドでは総人口に占める感 億ドルの融資を提供しました。世銀がインドでセク 染者の割合は低いものの、感染者の絶対数では世界 ターワイド・プログラムを実施するのはこれが初めて 有数のエイズ感染国となっています。世銀は高リスク です。また、世銀はバングラデシュの初等教育を支援 集団、若年層、および一般人口の間の感染拡大を防 するために、1億5000万ドルの融資を提供しました。 ぐ国家プログラムへの支援を拡大しました。また、国 この革新的なセクターワイド・プロジェクトには、ド 家間の対話を促進することによって、各国がエイズ対 ナーの支援を一元化するために、アジア開発銀行、 策の教訓や優れた介入手法を共有できるよう支援し 世銀、およびその他の8ドナーが共同で5億400万ドル ています。 を拠出しています。ブータンに対しては、初等・中等 社会的一体性と市民の参加がなければ、南アジア 教育へのアクセスを改善する費用として3100万ドルの の開発は達成されないという認識に基づき、世銀は 融資が承認されました。 アフガニスタン、ネパール、およびパキスタンでジェン アフガニスタンは9500万ドルの世銀融資をもとに、 ダー評価を実施しました。同様の評価はその他の国 「国家連帯プログラム (NSP)」を強化しています。NSP でも進行中です。評価の際は、ジェンダーの平等を促 は地方政府のガバナンスを強化し、地域社会に復 進する開発政策について、具体的な分析と話し合い 興・開発資金を提供するプログラムです。スリランカ が行われています。 には5100万ドルの融資が提供され、貧しい農民の生 第2章 地域別展望 39 表2.3 南アジア地域に対するテーマ別、セクター別融資 1995–2004年度(単位:100万ドル) 1995–97 1998–99 年度 年度 (年平均) (年平均) 2000 テーマ 経済管理 環境・天然資源管理 金融・民間セクター開発 人的開発 公共セクター運営 法規 農村開発 社会開発・ジェンダー・参加 社会的保護・リスク管理 貿易・統合 都市開発 テーマ総額 うち、IBRD融資額 IDA融資額 2002 2003 2004 2.5 454.6 614.7 316.4 29.7 33.7 395.1 407.7 119.8 0.0 275.7 85.3 266.8 639.2 627.5 254.9 89.1 377.0 328.9 162.8 84.5 297.1 35.2 80.8 265.4 276.2 212.7 56.5 426.1 261.5 168.0 29.4 300.7 47.4 587.8 865.9 124.8 261.0 36.1 379.5 240.5 118.4 398.3 186.8 232.5 295.2 381.6 30.2 678.0 59.3 417.2 414.2 164.0 70.0 766.2 123.5 94.2 689.1 546.9 467.3 12.5 403.7 197.3 184.4 197.3 2.6 7.7 94.8 689.9 760.6 669.8 2.9 314.1 642.8 98.6 52.7 87.8 2,649.9 3,213.2 2,112.4 3,246.6 3,508.4 2,918.7 3,421.6 318.4 279.3 411.8 314.0 447.7 10.0 7.9 277.7 227.9 355.4 534.4 385.1 545.9 168.2 589.3 68.3 35.3 436.3 354.1 96.4 65.0 171.4 277.8 46.0 393.3 85.3 54.6 407.0 590.6 21.4 116.1 206.4 746.2 209.7 188.1 34.0 17.7 377.4 1,294.3 56.8 328.1 95.9 504.8 310.0 278.7 443.1 12.4 632.5 758.1 144.9 212.6 364.6 150.6 185.8 369.0 144.9 11.5 372.3 1,067.6 40.0 251.9 665.8 130.8 331.4 334.6 46.1 16.9 925.5 444.8 273.7 2,649.9 3,213.2 2,112.4 3,246.6 3,508.4 2,918.7 3,421.6 1,124.3 1,525.6 1,034.0 2,179.2 934.3 1,178.1 2,035.0 1,211.6 893.0 2,615.4 836.0 2,082.7 439.5 2,982.1 セクター 農業・漁業・林業 教育 エネルギー・鉱業 金融 保健・その他の社会サービス 産業・貿易 情報・通信 法律・司法・行政 運輸 給水・衛生・治水 セクター総額 2001 注:プロジェクトの分類が変更されたことに伴い、2003年度の年次報告に記載されたテーマ別融資の数字を一部変更した。具体的には、法律・司法・行政セクターの下 に公共医療金融サブセクターを新設し、一部のプロジェクトを遡及的にこのサブセクターに分類したことにより、法律・司法・行政セクターと金融セクターの数字に変更 が生じた。端数を四捨五入したため、合計額が合わないことがある。 図2.5 南アジア地域:IBRDとIDAのテーマ別融資 2004年度 総融資額34億ドルに占める割合 都市開発 3% 貿易・統合 2% 社会的保護・ リスク管理 3% 社会開発・ ジェンダー・参加 19% 図2.6 経済管理<1% 南アジア地域:IBRDとIDAのセクター別融資 2004年度 総融資額34億ドルに占める割合 給水・衛生・治水 8% 運輸 13% 金融・民間 セクター開発 20% 法律・司法・ 行政 28% 40 世界銀行 年次報告 2004 教育 19% エネルギー・ 鉱業 4% 金融 10% 農村開発 9% 公共セクター運営 20% 農業・漁業・林業 7% 環境・ 天然資源管理 3% 保健・その他の 社会サービス 10% 人的開発 21% 情報・通信<1% 産業・貿易 1% 世銀融資適格国 ヨーロッパ・中央アジア 地域 ヨーロッパ・中央アジア地域には、貧困、人的開 発の水準、およびミレニアム開発目標(MDGs)の達 とロシア経済の動向が成長の重要な牽引役になる 可能性があります。 世銀の援助 成可能性の面で、依然として大きな格差が存在し ヨーロッパ・中央アジア地域に対する2004年度 ます。たとえば、域内の世銀加盟国のうち10カ国 の融資総額は36億ドルでした(IBRD融資が30億ド (チェコ共和国、キプロス、エストニア、ハンガリー、 ル、IDA融資が5億4600万ドル)。分析・助言サー ラトビア、リトアニア、マルタ、ポーランド、スロバキ ビスの分野では、186件の報告書が作成され、58 ア共和国、スロベニア)は、2004年5月1日に欧州連 件の技術支援活動が実施されました。この地域で 合(EU)への加盟を果たしました。そのうちの4カ は各国の改革をより効果的に支援するために、プ 国とトルコは経済協力開発機構(OECD)の加盟国 ログラム的、セクター横断的な手段が用いられるよ です。スロベニアは2004年3月17日に世銀の融資対 うになりました。IBRD諸国の場合はプログラム的 象国からドナー国になりました。 調整融資、IDA諸国の場合は貧困削減支援融資 一方、一部の独立国家共同体(CIS)諸国では人 (PRSC)がこれに当たります。 口の半数以上が貧困にあえいでいます。これは地 理的に隔絶されていること、世界経済と切り離さ れていることなどが原因です。 2003年、ヨーロッパ・中央アジア地域は力強く成 囲み2.4 非融資活動に対する世銀のプログラム アゼルバイジャン アルバニア アルメニア ウクライナ ウズベキスタン エストニア カザフスタン キルギス共和国 グルジア クロアチア スロバキア共和国 セルビア・ モンテネグロ タジキスタン チェコ共和国 トルクメニスタン トルコ ハンガリー ブルガリア ベラルーシ ボスニア・ ヘルツェゴビナ ポーランド マケドニア旧ユーゴ スラビア共和国 モルドバ ラトビア リトアニア ルーマニア ロシア連邦 的アプローチ 長し、GDP(国内総生産)成長率は平均6.5%に達 しました。EU加盟候補国は3.9%、南東ヨーロッパ ヨーロッパ・中央アジア地域では、世銀は融資以 は4.3%、CIS諸国は7.9%でした。5%以上の増加 外の活動にもプログラム的アプローチを導入するよ 率を記録した国は12カ国に上り、前年比マイナス うになっています。ロシア連邦では、政府高官と英 成長となった国はありませんでした。 国の国際開発省と共に、貧困に関する複数年プロ ヨーロッパの統合がさらに進めば、EU加盟候補 グラム(分析調査とキャパシティ・ビルディング)に取 国と南東ヨーロッパ諸国の改革に弾みのつく可能 り組んでいます。このプログラムは2段階で実施さ 性があります。南東ヨーロッパにはEU加盟交渉を れますが、成果物はロシア政府と世銀の要請に応じ 進めている国(ブルガリア、ルーマニア)、加盟候 て、随時提出されます。2003年12月に完了した第1 補国と加盟審査中の国(トルコ、クロアチア)、およ 段階では、調査と政策分析の能力が著しく向上しま び長期目標として加盟に取り組んでいる国(西バ した。世帯調査の結果と、結果を改善するための具 ルカン諸国)があります。CIS諸国は引き続き、市 体的な提言も公開されました。2004年には「貧困評 場経済のための制度構築と経済の多様化に取り 価報告書」が発表される予定です(www.worldbank. 組んでいます。CIS諸国の場合は、天然資源開発 org/eca/knowledgefair参照)。 第2章 地域別展望 スロベニアは2004 年度に世銀の融資 対象国を卒業した。 ※この項ではコソ ボ、セルビア・モン テネグロについても 報告する。 41 ヨーロッパ・中央アジア地域の概要 総人口: 5億人 人口増加率: 0.1% 平均寿命: 69歳 反映されています。貧しいCIS諸国の場合は、健全な 乳幼児死亡率(出生1000件当たり) : 31件 経済管理と民間セクター主導の成長、人的開発と公 若い女性の識字率: 99% 平性の推進、およびガバナンスの強化がCASの中心 2003年の一人当たり国民総所得(GNI) :2570ドル エイズ感染者数 130万人 となっています。EU加盟候補国のCASでは、加盟の 注:平均寿命と乳幼児死亡率(出生1000件当たり) は2002年、若い女性の非識字率は 2000年(最新)、その他の指標は2003年の「世界経済・社会統計」データベースの数字 です。現在は国民総生産(GNP)の代わりに国民総所得(GNI)が使用されています。 2004年度の 新規融資承認額 2004年度の 融資実行額 IBRD:30億1290万ドル IDA:5億4620万ドル IBRD:20億500万ドル IDA:4億4610万ドル 効果を高めるような投資と知識サービスに重点が置 かれています。南東ヨーロッパとCISの大規模国(カ ザフスタン、ロシア連邦、ウクライナ)のCASは、公平 な成長とガバナンスの強化を重視したものとなってい ます。これは部分的にEUのアジェンダとも一致してい ます。伝染病、水資源、貿易・投資制度、エネルギー 市場、規制フレームワークのように、影響が複数国に 及ぶ問題については、世銀は国家横断的なアプロー 2004年6月30日現在において実施中のプロジェクトのポート フォリオ:146億ドル チを採用しています。 投資環境の構築 近年の経済成長は、この地域のビジネス環境が改 善されたことを物語っています。これについては企業 調査の結果によっても裏付けられています。域内の数 カ国では1999年以降、汚職がビジネスの阻害要因に なっているという回答が大幅に減りました。しかし、 その他7カ国の投資家は依然として汚職を重要な問 題と認識しており、2カ国ではそうした認識が著しく高 まっています。 投資環境に対してどのような支援が提供されるか は、相手国のニーズによって異なります。たとえば、 2003年、ロマ族の統合をテーマとする会議が開催されました。この会 議には各国の政府高官だけでなく、ロマ族コミュニティの指導者も参加 しました。その結果、 「ロマ族統合のための10年:2005–2015年」 と「ロマ族教育基金」の2つのイニシアティブが誕生しました。 ウクライナに対する「第2次プログラム的調整融資」は、 規制改革に重点を置き、財産権の確立・保護と、公 共セクターの説明責任の強化を促進するものとなって います。一方、トルコに対する「第2次輸出金融仲介融 プログラム的アプローチは、融資以外の活動にも 資」は、輸出の拡大に必要な運転資本を提供しつつ、 導入されました(41頁の囲み2.4参照)。世銀はアルメ 民間金融機関の融資の質、安全性、および利用可能 ニア、リトアニア、マケドニア、スロバキア共和国、トル 性を改善するものとなっています。この融資に先行し コ、およびウクライナの国別援助戦略(CAS) を作成し た第1次融資では、銀行と輸出企業に中長期資金を ました。コソボとセルビア・モンテネグロについては、 提供することにより、プロジェクト期間中に輸出が年間 移行支援戦略(TSS)が作成されました。アルメニアと セルビア・モンテネグロの戦略は、各国の貧困削減 11∼40%増大しました。 世銀は融資以外の方法でも、投資環境の改善を支 戦略文書(PRSP)に沿って作成されています。また、 援しています。たとえば、キルギス共和国、モルドバ、 アルバニア、アゼルバイジャン、キルギス共和国、お ポーランド、ウズベキスタン、およびタジキスタンでは よびタジキスタンについてはPRSP進捗報告書が提出 投資環境評価を実施しました。アゼルバイジャン、マ されました。 ケドニア、およびルーマニアでは、国際通貨基金 (IMF) 各CASには、準地域レベルのさまざまなニーズが 42 世界銀行 年次報告 2004 と共同で実施している「金融セクター評価プログラム」 持費の急激な減少が食い止められ、 増加に転じました。 「キルギス村落改善プロジェクト」 と 「第2次コソボ地域 開発資金プロジェクト」は、地域社会を対象としたエン パワーメントによって、地域社会自身がサービスの提供 状況の改善を求め、変化の過程を支援できるようにす るものです。世銀はロマ族の貧困と人的開発に対する 意識の向上にも努めました。ロマ族は中央・東ヨーロッ パで最も弱い立場に置かれている、この地域最大の少 数民族です (www.worldbank.org/eca/ecshd参照) 。 国際優先項目への対応 ヨーロッパ・中央アジア地域においては、世銀は次 のような国際優先項目に重点を置いています。 万人のための教育(EFA) この地域でEFAファースト・トラック・イニシアティブ (FTI) の適格国となっているのはアルバニアのみです。 世銀はモルドバ、タジキスタンなどの数カ国について も、FTIの適格条件を満たせるよう支援してきました。 しかし、これらの国が資金を獲得できるかどうかは不 ヨーロッパ・中央アジア地域では、HIV/エイズが他の地域よりも急速 に拡大しています。2003年は約3万人がエイズによって死亡し、新 規感染者は推定23万人でした。この地域の現在のHIV/エイズ感染者 数は推定150万人です。 が継続されました。ラトビア、ポーランド、およびトル コでは知識経済に関する分析調査を実施しました。 明です。ヨーロッパ・中央アジア地域には、EFAを達 成するために支援を必要としている国が、アルバニア 以外にも8カ国あると見られています。 HIV/エイズ ヨーロッパ・中央アジア地域では、世銀はパート ナーと連携しながら、積極的にHIV/エイズに関する 開発への参加促進 ヨーロッパ・中央アジア地域では、人的開発に関す 意識の向上に努め、各国の対策を支援してきました。 ポーランドとバルト諸国、南東ヨーロッパ、および中央 アジアに対しては地域支援戦略と準地域調査を実施 る指標はおおむね高い水準を維持していますが、公 し、グルジアについては政策ノートを作成しました。 共サービスの質は悪化しています。このため、この地 国連合同エイズ計画(UNAIDS) と協力して「HIV/エイ 域(特に貧困国)ではミレニアム開発目標(MDGs)の ズプログラムのための技術・管理資源ディレクトリ」 多くが達成されない可能性があります。 この問題に対処するために、世銀は公共サービス (www.cee-trd.unaids.org) を構築し、この地域でHIV/ エイズ関連のプログラムに取り組んでいる人々が、プ の改善に焦点を当てたプロジェクトを実施しています。 ログラムの運営に関わる実際的な助言を得ることが アルバニアの「第2次貧困削減戦略融資」は、同国の教 できるようにしました。西バルト諸国ではHIV/エイズ 育と保健・医療サービスの適用範囲を拡大し、サービ 調査、中央アジアでは複数国が参加するHIV/エイズ スの質を改善することを目的としたものです。この融 対策プロジェクトが進行中です。モルドバ、ロシア連 資に先行した第1次融資では、教科書関連の政策が改 邦、およびウクライナでは、世銀が支援するプロジェ 善されたほか、設備劣化の一因となっていた運営・維 クトが実施段階に入りました。 第2章 地域別展望 43 1956年頃。南イタリアのカターニア平原では、南部開発公庫のプロジェクトにより、排水路を利用した給水量管理が可能になりました。 このプロジェクトでは排水路のほか、灌漑、道路、電力・産業、および住居が対象となりました。 給水と衛生 ヨーロッパ・中央アジア地域では、給水や衛生関連 2004年度、世銀はミレニアム開発目標(MDGs)の環 の設備は比較的普及しているものの、管理が十分で 境関連目標を定義・測定する分析活動に着手しまし はないために、サービスの質と信頼性が損なわれて た。また、クロアチア、モルドバ、およびセルビア・モ いる場合が少なくありません。このため、世銀は給 ンテネグロではエネルギー効率を高めるプロジェク 水・衛生設備の持続可能性を高めるようなプロジェク ト、トルコでは再生可能エネルギーの開発プロジェク トを実施しています。インフラサービスの提供に関す ト、ルーマニアでは灌漑設備の再建プロジェクトが始 る新しい戦略は、準地域の多様な政策課題に取り組 まりました。 むものとなっています。 44 環境保護 世界銀行 年次報告 2004 表2.4 ヨーロッパ・中央アジア地域に対するテーマ別、セクター別融資 1995–2004年度(単位:100万ドル) 1995–97 1998–99 年度 年度 (年平均) (年平均) 2000 2001 2002 2003 2004 テーマ 経済管理 環境・天然資源管理 金融・民間セクター開発 人的開発 公共セクター運営 法規 農村開発 社会開発・ジェンダー・参加 社会的保護・リスク管理 貿易・統合 都市開発 464.6 344.1 1,847.7 268.8 437.4 44.1 239.2 45.5 288.6 261.5 352.0 723.2 404.3 1,908.0 219.3 546.0 80.1 331.5 126.9 575.6 91.6 248.9 98.6 301.7 890.7 278.9 227.8 160.2 213.4 43.6 530.1 143.5 153.6 127.4 161.3 1,074.0 51.1 95.6 77.4 137.6 65.1 381.2 138.4 383.9 636.1 157.5 2,210.8 138.3 1,313.7 106.6 309.9 188.8 363.9 32.5 65.4 19.5 122.7 483.3 550.4 317.7 289.8 194.9 55.9 288.5 130.6 216.7 242.0 309.4 950.2 297.1 895.1 132.3 117.4 33.9 305.3 182.6 93.6 テーマ総額 4,593.5 5,255.1 3,042.2 2,693.1 5,523.6 2,670.0 3,559.1 205.9 92.8 915.6 552.8 390.6 775.7 1.6 948.5 576.0 134.0 114.5 299.2 849.2 468.2 359.3 817.4 4.5 1,584.7 533.1 225.0 317.8 22.7 398.6 175.8 277.8 604.7 151.9 797.2 207.1 88.5 139.0 62.5 336.6 802.3 281.9 296.5 8.7 446.4 118.3 200.7 470.4 83.2 218.0 1,284.9 524.7 552.1 9.6 2,181.9 67.1 131.7 335.4 395.0 262.9 195.8 415.3 269.0 1.0 698.9 30.6 66.3 168.6 164.0 352.2 836.9 244.3 126.3 7.0 1,176.8 321.2 162.0 4,593.5 5,255.1 3,042.2 2,693.1 5,523.6 2,670.0 3,559.1 4,088.4 505.1 4,406.3 848.8 2,733.1 309.1 2,154.0 539.0 4,894.7 628.9 2,089.2 580.8 3,012.9 546.2 セクター 農業・漁業・林業 教育 エネルギー・鉱業 金融 保健・その他の社会サービス 産業・貿易 情報・通信 法律・司法・行政 運輸 給水・衛生・治水 セクター総額 うち、IBRD融資額 IDA融資額 注:プロジェクトの分類が変更されたことに伴い、2003年度の年次報告に記載されたテーマ別融資の数字を一部変更した。具体的には、法律・司法・行政セクターの下 に公共医療金融サブセクターを新設し、一部のプロジェクトを遡及的にこのサブセクターに分類したことにより、法律・司法・行政セクターと金融セクターの数字に変更 が生じた。端数を四捨五入したため、合計額が合わないことがある。 図2.7 ヨーロッパ・中央アジア地域:IBRDとIDAの テーマ別融資 2004年度 総融資額36億ドルに占める割合 都市開発 3% 図2.8 ヨーロッパ・中央アジア地域:IBRDとIDAの セクター別融資 2004年度 総融資額36億ドルに占める割合 経済管理 7% 給水・衛生・治水 5% 環境・ 天然資源管理 9% 運輸 9% 農業・漁業・林業 5% 貿易・統合 5% 社会的保護・ リスク管理 9% 社会開発・ ジェンダー・ 参加 1% エネルギー・ 鉱業 10% 法律・司法・行政 32% 農村開発 3% 法規 4% 教育 5% 金融 23% 金融・民間 セクター開発 26% 情報・通信<1% 産業・貿易 4% 公共セクター運営 25% 保健・その他の 社会サービス 7% 人的開発 8% 第2章 地域別展望 45 世銀融資適格国 アルゼンチン アンティグア・ バーブーダ ウルグアイ エクアドル エルサルバドル ガイアナ グアテマラ グレナダ コスタリカ コロンビア ジャマイカ スリナム セントクリストファー・ ネーヴィス セントビンセント およびグレナ ディーン諸島 セントルシア チリ ドミニカ共和国 ドミニカ国 トリニダード・トバゴ ニカラグア ハイチ パナマ パラグアイ ブラジル ベネズエラ・ ボリバル共和国 ベリーズ ペルー ボリビア ホンジュラス メキシコ 46 ラテンアメリカ・カリブ海 地域 定360億ドルでした(ピーク時の1999年は880億ド 世銀はラテンアメリカ・カリブ海地域の30カ国に に下がりました。観光収入と海外労働者からの送 支援を提供しています。5億2500万人が暮らすこの 金も上昇し、商品市況はおおむね安定を維持しま 地域は驚くほどの多様性を持ち、スペイン語、ポ した。 ル)。この地域の輸出は9.2%伸び(2002年は2.2% 増)、経常赤字はGDPの4.5%(1998年)から0.5% ルトガル語、英語、フランス語をはじめ、約400種 このように成長と投資の面では改善が見られた 類もの言語が使われています。人口の4分の3は都 ものの、この地域には依然として貧困が蔓延して 市またはその周辺部で暮らしており、開発途上地 います。貧困率は地域全体では横ばいでしたが、 域の中では最も都市化の進んだ地域となっていま アルゼンチン、ウルグアイ、およびベネズエラ・ボリ す。しかし、地域経済を支えているのは天然資源 バル共和国では著しく上昇しました。2003年に発 と農業です。この地域は豊かな資源と活気ある社 表された世銀報告書「ラテンアメリカにおける貧富 会に恵まれているにも関わらず、深刻な貧困と大 の差(仮訳)」は、この地域には収入、財産、参加、 きな格差は今も解消されていません。 およびアクセス(基本的サービス、教育、機会)の 2003年、ラテンアメリカ・カリブ海地域の経済は 面で大きな格差があるため、経済成長が貧困削減 ささやかながらも上昇に転じ、GDP(国内総生産) に十分に生かされていないと指摘しています。 成長率は平均1.3%となりました(2002年の成長率 はマイナス0.8%)。アルゼンチンは2001年の深刻 な危機から急速に回復しています。ブラジル、メキ 世銀の援助 シコ、およびウルグアイも経済回復の一翼を担いま 世銀は最貧地域に焦点を絞り、疎外された集団 した。中央アメリカ諸国のGDP成長率は平均3.1% を対象としたエンパワーメントの施策を支援するこ でした。アンデス諸国も順調に成長し、チリ、コロ とによって、この地域の不均衡の是正に取り組ん ンビア、およびペルーは3%以上の成長率を達成し でいます。この地域ではさまざまな援助アプロー ました。しかし、その他の国の状況は芳しくないも チが用いられています。具体的には、チリの繰延 のでした。政情不安が続くベネズエラ・ボリバル 引出オプションや、メキシコの現地通貨建て融資 共和国では、2003年前半に経済状況がさらに悪化 といった革新的な融資方法などが挙げられます。 しました。カリブ諸国では財政難の継続と外部要 アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、コスタリカ、メ 因によって、成長率は地域平均を下回りました。 キシコ、およびパラグアイに対する新しい国別援助 2003年、ラテンアメリカ・カリブ海地域の外部環 戦略(CAS)は、この地域に対する世銀の支援が変 境は大幅に改善されました。投資家は自信を取り 化しつつあることを示しています。新しいCASでは 戻し、国内状況の好転を受けて、2003年の民間資 援助の内容と途上国のニーズや開発優先項目との 金流入額は前年比40%増となりました。しかし、外 連携が強化されているほか、融資手段が柔軟にな 国直接投資の純額は減り続けており、2003年は推 り、結果重視志向が強化されました。 世界銀行 年次報告 2004 ラテンアメリカ・カリブ海地域の概要 ラテンアメリカ・カリブ海地域に対する2004年度の 総人口: 5億人 人口増加率: 1.7% 平均寿命: 71歳 融資総額は53億ドルでした(IBRD融資が50億ドル、 乳幼児死亡率(出生1000件当たり) : 28件 IDA融資が3億3800万ドル)。融資プロジェクトの例と 若い女性の識字率: 95% しては、社会的保護と持続可能で公平な成長に焦点 2003年の一人当たり国民総所得(GNI) :3260ドル エイズ感染者数 210万人 を当てたブラジルのプロジェクト (10億ドル)、妊産婦 と子供の健康の増進を目指すアルゼンチンのプロ ジェクト (7億5000万ドル)、メキシコの包括的な灌漑近 代化プロジェクト (3億300万ドル) などがあります。 分析・助言サービスの分野では、貿易関連の調査 と革新的手法(知的資本の蓄積) に関する研究が一部 の国で実施されました。また、コロンビアの公務員を 注:平均寿命と乳幼児死亡率(出生1000件当たり) は2002年、若い女性の非識字率は 2000年(最新)、その他の指標は2003年の「世界経済・社会統計」データベースの数字 です。現在は国民総生産(GNP)の代わりに国民総所得(GNI)が使用されています。 2004年度の 新規融資承認額 2004年度の 融資実行額 IBRD:49億8160万ドル IDA:3億3820万ドル IBRD:49億520万ドル IDA:3億2300万ドル 対象とした都市管理研修など、さまざまな技術支援プ ロジェクトも実施されました。メキシコでは南部州に 2004年6月30日現在において実施中のプロジェクトのポート フォリオ:193億ドル 対する新しい開発戦略が提案されました。カリブ諸国 に対しては、若年層の人的開発に関する報告書が作 成されたほか、ジャマイカ政府には持続可能な成長 を実現するための政策助言が提供されました。また、 ラテンアメリカの諸都市を対象に、都市型の犯罪や暴 力行為の防止プログラムを導入するための指針がま とめられました。 2004年度はニカラグアとガイアナが拡充HIPC(重債 務貧困国)イニシアティブの完了時点(6頁参照)に到 達し、ニカラグアでは約33億ドル、ガイアナでは3億 3500万ドル(いずれも正味現在価値)の債務が削減さ れました。 投資環境の構築 ラテンアメリカ・カリブ海地域では、世銀は投資環 境を改善し、成長を促進し、競争力を強化するような 取り組みを支援しています。ブラジルでは5億500万ド ルのプログラム的融資を通して、新政府の経済改革 世銀と米州開発銀行が共同で実施した農村道路プロジェクトでは、約 400の小規模企業が設立されました。そのうちの一社は、貧しい農民 を雇用して、ペルー山岳地帯の農村道路を定期的に保守・整備してい ます。 を支援しています。この改革の目的は、輸送コストを 削減し、ビジネス環境を改善すること、また金融セク して、政府の貧困削減戦略を支援しています。この融 ターの効率化、アクセス、および健全性を高め、技術 資は人的資本の蓄積、公共機関の設立、成長の促進、 面での進歩と革新を促進することです。 および競争力の強化に用いられる予定です。 ペルーに対しては、政府の地方分権・競争力強化 このほか、ペルーとホンジュラスでは貿易の促進と プログラムに1億5000万ドルを融資しました。この融 生産性の向上を、パラグアイでは水へのアクセスの改 資をもとに、ペルーでは港湾や道路などのインフラが 善を、ブラジルでは運輸セクターの規制強化を支援し 近代化され、外国投資と経済成長が促進される予定 ています。ラテンアメリカ・カリブ海地域に対する世銀 です。 の融資の一覧は、第6章/添付CD-ROMの「表6.12 ニカラグアに対しては、7000万ドルのIDA融資を通 2004年度に承認された融資」に記載されています。 第2章 地域別展望 47 囲み2.5 ホンジュラスの小さな農村を支援する道路 プロジェクト 分析・調査活動の一環として、世銀は投資環境評 価を実施し、各国が優先的に取り組むべき改革分野 の特定を支援しています。すでにブラジル、チリ、エ ホンジュラスの道路プロジェクトは、小さな農村に生 クアドル、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、 産的雇用を生み出す助けとなっているだけでなく、国家 およびニカラグアでは評価が完了または完了間近と のインフラ保守にも貢献しています。このプロジェクト なっており、グレナダ、ジャマイカ、メキシコ、および は6650万ドルのIDA融資をもとに、50の小規模企業を パラグアイでは評価が開始されました。 設立し、従業員に道路の補修、崖崩れの後処理、そし て路肩、信号、橋梁を整備する方法を教えました。こ の50社が管理する道路の総距離は2300キロメートル で、ホンジュラスの舗装道路の80%に及んでいます。 開発への参加促進 ラテンアメリカ・カリブ海地域では、世銀は基本的 IDA融資が終了する2004年には、政府はこのプログラ サービスを貧困層に提供する取り組みや、疎外され ムを公共組織に転換し、対象をすべての道路に拡大す た集団の参加を促進する取り組みを支援しています。 る予定です。 パラグアイでは、教育改革プロジェクトに2400万ドル これらの小規模企業は約700人の小さな事業主に を融資し、農村部の貧困世帯の子供たちが中等学校 よって所有されており、約4160人の成人と子供に直接 に入学できるよう支援しています。ペルーのリマでは 便益を提供しています。従業員の82%は家を所有して 4500万ドルの融資を通して、公共輸送網の効率化と いるか建設中です。教育省との合意に基づいて、成人 信頼性の向上、および障害を持つ人々への対応を支 従業員の多くが子供と共に学校に通い、読み書きがで 援しています。ペルーとホンジュラスでは小規模な道 きるようになりました。 路整備会社の設立を支援しています(囲み2.5参照)。 アルゼンチンに対しては、経済復興と成長を促進 する活動に5億ドルを融資し、政府の金融・公益事業 改革、行政の透明化、および民間セクターの競争力強 化を支援しています。コロンビアに対しては、労働改 革と社会的開発に2億ドルを融資しました。ブラジル とチリでは政府の社会的保護プログラムを支援して います。その一環として、ブラジルでは最貧困世帯を 対象とする「家族基金」に、用途の限定されないプロ グラム融資(5億7200万ドル) を提供し、チリでは「チ リ連帯イニシアティブ」に2億ドルの繰延引出オプショ ン付き構造調整融資と、1100万ドルの付帯的な技術 支援融資を提供しました。 世銀は3000万人の域内先住民族(その約80%は貧 困層) を対象としたイニシアティブにも資金を提供して います。2004年度はホンジュラスに対し、2500万ドル の土地管理融資を提供しました。この融資は先住民 族とアフリカ系住民の便益をはかるために用いられ る予定です。メキシコでは、約200の先住民族コミュ ニティとエヒドス (共有農地) を対象とした、森林資源 の管理・保全強化プロジェクトに2130万ドルを提供し 1955年頃。メキシコの太平洋鉄道で、作業員が陸橋の修復、路線の 連結、枕木の交換、および補強作業に取り組んでいます。世銀は鉄道 株の購入資金も融資しました。 48 世界銀行 年次報告 2004 ました。 サルバドル・デ・バイア(ブラジル)にあるリベリア・アズールの川で遊ぶ3人の少年。 世銀は都市貧困層の生活環境を改善する取り組みを支援しています。 国際優先項目 海地域のHIV/エイズ予防・抑制プログラムに提供し ラテンアメリカ・カリブ海地域は、ミレニアム開発目 てきました。2004年度はエイズ・イニシアティブの一 標の多くを達成できる可能性があります。世銀はこの 環として、カリブ共同体とガイアナにグラントを承認し 地域がさらなる進歩を達成できるよう、ブラジル、グ たほか、セントルシアとセントビンセントおよびグレナ アテマラ、メキシコ、およびウルグアイでは基礎教育 ディーン諸島のプロジェクトの立案を支援しました。 に、アルゼンチン、ブラジル、およびパラグアイでは子 現在、世銀はラテンアメリカ・カリブ海地域で64件 供と妊産婦の健康に投資を行いました。2004年度は の環境保護プロジェクト (合計約34億ドル) を支援して 保険に加入していない貧しい母子の保健・医療ニー います。プロジェクトの例としては、ボリビアの「生物 ズを充足するために、アルゼンチンに1億3600万ドル 多様性保護プロジェクト」、 「ラテンアメリカ諸都市のた の融資を提供しました。 めの大気汚染改善イニシアティブ」、 「メソアメリカ生物 HIV/エイズはカリブ諸国に深刻な課題をつきつけ 回廊」、および「ブラジル熱帯雨林保護パイロット・プ ています。アフリカ地域を除くと、カリブ諸国は成人 ログラム」があります。また、2004年度はブラジルのト のHIV感染率が世界で最も高い地域です。世銀はこ カンティンス州の持続可能な地域開発を支援するため れまでに5億5000万ドル以上をラテンアメリカ・カリブ に、6000万ドルを融資しました。 第2章 地域別展望 49 表2.5 ラテンアメリカ・カリブ海地域に対するテーマ別、セクター別融資 1995–2004年度(単位:100万ドル) 1995–97 1998–99 年度 年度 (年平均) (年平均) 2000 2001 2002 2003 2004 テーマ 経済管理 環境・天然資源管理 金融・民間セクター開発 人的開発 公共セクター運営 法規 農村開発 社会開発・ジェンダー・参加 社会的保護・リスク管理 貿易・統合 都市開発 435.8 403.2 1,229.3 569.8 531.4 63.6 471.4 244.8 559.3 91.9 419.7 694.0 164.8 1,626.9 786.9 825.2 94.1 613.3 359.1 1,002.4 144.6 576.9 587.6 270.8 1,056.1 157.7 519.9 111.7 103.0 141.5 901.2 160.7 53.3 570.1 68.8 985.4 471.2 1,099.7 202.2 580.8 371.7 530.0 218.3 202.0 391.0 187.4 965.4 560.4 1,182.8 15.5 168.3 248.9 310.4 83.9 251.9 567.2 240.3 819.8 1,171.7 798.6 138.8 415.9 123.1 1,050.3 59.6 435.2 111.2 159.1 912.4 1,046.7 672.0 270.9 249.6 268.9 926.9 364.6 337.6 テーマ総額 5,020.2 6,888.3 4,063.5 5,300.1 4,365.8 5,820.5 5,319.8 セクター 農業・漁業・林業 教育 エネルギー・鉱業 金融 保健・その他の社会サービス 産業・貿易 情報・通信 法律・司法・行政 運輸 給水・衛生・治水 228.4 536.2 239.2 666.6 588.5 93.6 16.9 1,246.0 927.5 477.3 326.4 659.8 98.1 1,004.7 1,150.5 204.2 17.2 2,293.8 875.6 258.0 104.1 62.8 79.3 1,191.8 360.2 165.3 28.7 1,791.0 11.6 268.7 72.3 529.1 107.6 946.7 904.7 38.3 97.8 1,726.7 650.3 226.6 85.0 560.4 445.6 593.5 660.5 51.4 16.5 1,440.0 463.1 49.8 58.4 785.5 96.2 973.0 1,574.1 183.4 52.4 1,564.9 146.4 386.2 379.6 218.3 50.5 405.1 1,558.9 428.0 14.0 1,521.3 675.7 68.4 セクター総額 5,020.2 6,888.3 4,063.5 5,300.1 4,365.8 5,820.5 5,319.8 4,733.3 286.9 6,406.4 481.9 3,898.1 165.4 4,806.7 493.4 4,188.1 177.8 5,667.8 152.7 4,981.6 338.2 うち、IBRD融資額 IDA融資額 注:プロジェクトの分類が変更されたことに伴い、2003年度の年次報告に記載されたテーマ別融資の数字を一部変更した。具体的には、法律・司法・行政セクターの下 に公共医療金融サブセクターを新設し、一部のプロジェクトを遡及的にこのサブセクターに分類したことにより、法律・司法・行政セクターと金融セクターの数字に変更 が生じた。端数を四捨五入したため、合計額が合わないことがある。 図2.9 ラテンアメリカ・カリブ海地域:IBRDとIDAの テーマ別融資 2004年度 総融資額53億ドルに占める割合 都市開発 6% 貿易・統合 7% 社会的保護・ リスク管理 17% 社会開発・ ジェンダー・ 参加 5% 経済管理 2% 環境・天然資源 管理 3% 図2.10 ラテンアメリカ・カリブ海地域:IBRDとIDAの セクター別融資 2004年度 総融資額53億ドルに占める割合 給水・衛生・治水 1% 教育 4% 運輸 13% 金融・民間 セクター開発 17% 50 世界銀行 年次報告 2004 エネルギー・鉱業 1% 金融 8% 法律・司法・ 行政 29% 保健・その他の 社会サービス 29% 人的開発 20% 農村開発 5% 法規 5% 農業・漁業・林業 7% 公共セクター運営 13% 情報・通信<1% 産業・貿易 8% 世銀融資適格国 中東・北アフリカ地域 2004年度は8カ国の15件のプロジェクトに対し、 総額11億ドルの融資が行われました。これらのプ 中東・北アフリカ地域は経済的に多様な地域で ロジェクトは、弱い立場に置かれている人々に基本 あり、過去四半世紀のほとんどを通して、石油価 的な社会サービスを提供し、農業への投資、公共 格と国家の経済政策・経済構造にほんろうされて 事業の拡大、教育改革に取り組み、大規模インフ きました。一握りの輸出市場と輸出品に大きく依 ラの開発や天然資源の管理を促進するものでした。 存しているために、景気変動に対する脆弱性がき 変化と政策改革を促すために、世銀は融資だけ わめて高いのがこの地域の特徴です。この地域が でなく、幅広い知識サービスも提供しています。た 持続可能な高成長を維持するためには、現在の経 とえば、経済・セクター調査(ESW)報告書では、 済環境を抜本的に見直し、より開放的で、多様で、 水管理、教育、公共支出管理、年金、および貧困 民間セクターに活躍の場が与えられるような経済に に関する問題に焦点が当てられました。ジェンダー 移行する必要があります。 評価も数カ国で進行中です。また、同地域で知識 この地域の平均失業率は15%を超えており、特 ※この項ではヨル ダン川西岸・ガザ 地区についても報 告する。 移転に対するニーズが高まっていることを受けて、 に若年層、高学歴者、および女性の状況は深刻で 世銀はフランスのマルセイユに「知識ハブ」を設立 す。現在の失業者と新たな労働人口を吸収するた しました。この施設は地域内外との知識共有や学 めには、今後20年で1億近い雇用を創出しなけれ 習活動を促進するものとなる予定です。 ばなりません。これはこの地域に存在する雇用の アルジェリア イエメン共和国 イラク イラン・イスラム 共和国 エジプト・アラブ 共和国 シリア・アラブ 共和国 ジブチ チュニジア モロッコ ヨルダン レバノン 所得が基準値を超えているために世銀融資の適 数を、現在の2倍以上に増やすことを意味します。 格国と見なされていない湾岸諸国に対しては、約 30年にわたって技術支援プログラムを有償で提供 世銀の援助 この地域が抱えている深刻な雇用問題に対処 しています。サウジアラビアに対しては、公共セク ター改革、民営化、および中小企業開発に関する 政策助言を提供しています。クウェートに対しては、 するために、世銀は雇用創出を地域戦略の柱に据 教育改革、雇用創出、透明性の向上、および汚職 えました。2004年度はこの地域のガバナンス、貿 の撲滅に関する政策助言を提供しています。バー 易、ジェンダー、および雇用をテーマとする4つの レーンについてはプログラムの範囲が拡大され、 主要報告書が発表されました。これらの報告書は、 現在は2010年に予定されている湾岸諸国の通貨 経済の主体を公共セクターから民間セクターに移 統合に向けて、財政構造改革が進められています。 し、閉鎖的な経済から開放的な経済へ、石油に支 紛争の影響を受けている地域では、世銀は緊 配された不安定な市場から、多様で安定した経済 急ニーズに対応する一方で、長期的な開発に必要 へ移行することを呼びかけています。そのために な制度基盤の構築を支援しています。イラクでは は、ガバナンスを強化し(参加機会の拡大、説明責 国連と協力して合同ニーズアセスメントを実施し、 任の強化を含む)、公的機関における女性の役割 14のセクターで復興・開発ニーズを特定しました。 を拡大し、教育の質を高める必要があります。 また、両機関はドナー資金の受け皿となる「復興 第2章 地域別展望 51 中東・北アフリカ地域の概要 総人口: 3億人 人口増加率: 1.9% 平均寿命: 69歳 基金ファシリティ」を設置し、イラク復興に対するド 乳幼児死亡率(出生1000件当たり) : 44件 ナーの支援を調整しています。このファシリティは世 若い女性の識字率: 82% 銀と国連が管理する信託基金からなり、世銀管理分 2003年の一人当たり国民総所得(GNI) :2210ドル エイズ感染者数 10万人 の資金はイラクの行政能力の向上、教育、地域に密 注:平均寿命と乳幼児死亡率(出生1000件当たり) は2002年、若い女性の非識字率は 2001年(最新)、その他の指標は2003年の「世界経済・社会統計」データベースの数字 です。現在は国民総生産(GNP)の代わりに国民総所得(GNI)が使用されています。 2004年度の 新規融資承認額 2004年度の 融資実行額 IBRD:9億4600万ドル IDA:1億4500万ドル IBRD:5億4360万ドル IDA:1億8320万ドル 着した農村インフラ、およびインフラ再建に関するプ ロジェクトに提供されています。 ヨルダン川西岸・ガザ地区では、世銀は緊急活動 と中期開発プロジェクトの両方をバランスを取りなが ら進めています(囲み2.6参照)。パレスチナ自治政府 には2000年9月以降、合計約3億2900万ドルが提供さ れました。2004年度はパレスチナ自治政府を維持し、 この地域の経済・社会指標の悪化を食い止めるため 2004年6月30日現在において実施中のプロジェクトのポート フォリオ:52億2000万ドル に多額の資金が提供されました。現在、世銀はヨル ダン川西岸・ガザ地区で15件のプロジェクトを実施し ています(教育、保健・医療、および社会サービスを 維持するための緊急サービス支援プロジェクトなど)。 国際ドナーの要請で2004年に設立された一般予算支 援ファシリティ 「改革基金」にも2000万ドルを拠出しま した。 世銀は自然災害の被害を被った国々に対しても、 支援の手を差し伸べています。2003年12月のバム地 震では、イラン政府の要請に応じて調査チームを派遣 し、経済的被害の調査と復興計画の策定に取り組み ました。 投資環境の構築 世銀グループはクウェート、サウジアラビア、および アラブ首長国連邦で「ビジネス・ロードショー」を開催 し、域内投資を推進し、新しいビジネス活動を刺激 する方法について、民間セクターの代表者と意見を 交換しました。また、マルセイユでは「第2回開発知識 年次会議」を開催しました。この会議の目的は、各国 が知識集約型経済を構築することによって、競争力を 高め、貿易を促進できるよう支援することです。 エジプト・アラブ共和国に対しては、空港インフラ の構築費として3億3500万ドルを融資しました。これは この地域最大のプロジェクトの一つであり、観光産業 によって外貨収入が増大することが期待されていま す。また、民間セクターの競争力を強化するために、 教育は貧しい人々の機会を拡大します。 エジプトの労働者のスキルを高め、今日の市場に対応 できるようにするプロジェクトにも融資を提供しました。 52 世界銀行 年次報告 2004 中東・北アフリカ地域で、世銀は民間投資を拡大し、雇用を創出する 活動を支援しています。 囲み2.6 CSOと協力してヨルダン川西岸・ガザ地区 に雇用を創出する 公共セクターの効率化に関しては、地方政府の収 2000年12月、世銀はシビルソサエティ組織(CSO) を 入管理権限を拡大し、地方分権化を促進するイエメ 通してヨルダン川西岸・ガザ地区に雇用を創出する ン政府の野心的なプログラムを支援しています。この 「CSO雇用創出プログラム」に、 「緊急対応プロジェクト」 プロジェクトによって、イエメンの地方都市では生産 から2300万ドルを拠出しました。このプロジェクトに 的投資と経済成長が促進される予定です。 よって、2003年末までに16万2500の雇用機会が創出さ レバノンではグッドガバナンスを促進するために、 れました。西岸・ガザ地区では刺繍会社が設立され、 内戦で崩壊した土地登記制度の再建を目指すプロ 青少年センター、幼稚園、サッカー場、井戸、および貧 ジェクトを実施しています。 困世帯の住居が再建され、心理カウンセラーの雇用・ 訓練が行われました。2004年、福祉協会連合が管理す 開発への参加促進 この地域の社会経済的現実をふまえ、世銀は貧困 層の機会を拡大することを、地域戦略の重点分野とし る「パレスチナCSOプロジェクト」は、相当額の協調融 資をもとに、雇用創出プロジェクト (特に社会サービス 提供分野の雇用を創出するもの)に合計500万ドルを提 供しました。 ています。そのためには、貧しい人々が開発にとって 重要な分野―すなわち、よりよい教育、保健・医療 サービス、社会的保護、そしてインフラにアクセスで きるようにする必要があります。たとえば、教育強化 戦略の一環として、チュニジアで実施されている第2 次教育改善プロジェクトは、学校教育と雇用市場の ニーズを一致させることを目指すものです。人口の半 第2章 地域別展望 53 分が貧困ラインを下回る生活を送っているイエメン共 い水準を維持しています。しかし、世銀報告書「中 和国では、 「第3次開発社会基金プロジェクト」を通し 東・北アフリカにおけるHIV/エイズ:放置の代償(仮 て、女性や子供など、弱い立場に置かれている人口 訳)」は、現在の状況に対して何の手も打たなかった 集団に教育、水、保健・医療、社会的保護などの基 場合、この地域が2005年までに被る損失は、現在の 本的サービスを提供しています。 GDPの3分の1に匹敵する可能性があると指摘してい ヨルダン川西岸・ガザ地区では、世界銀行信託基 ます。この報告書は、感染率が低い今のうちに監視 金の資金を得た「緊急水プロジェクト」によって、西岸 を強化することを政策決定者に強く要請しています。 地区の給配水設備が再建され、清潔な水をいつでも この地域ではすでに数カ国が行動を起こしました。 低価格で利用できるようになる予定です。市町村を対 チュニジアは若年層に教育、カウンセリング、および 象にした調査の結果、地域社会では水とアクセスが エイズ検査の機会を提供する試験的なプロジェクトを 最大の優先項目となっていることが分かりました。モ 実施しました。イラン・イスラム共和国は針交換プロ ロッコで実施されている世銀の農村インフラプロジェ グラムを策定し、モロッコは性感染症の治療設備を近 クトは、この調査結果をふまえたものです。先行した 代化する大がかりな計画に着手しました。 プロジェクトでは、飲料水を確保できる農村人口が全 この地域では、25歳以下の若者が人口の半分以上 体の18%から40%に拡大されました。今回のプロ を占めています。紛争や不況、また都市移住者が増 ジェクトでは、僻地の村々がモロッコの農村道路網と えたことにより、この地域では児童や青年が学校を中 接続される予定です。 退し、麻薬に手を染める危険性が増しています。こう 中東・北アフリカ地域の最貧国の一つであるジブ した問題に対処するために、世銀はすべての世銀プ チでは、 シビルソサエティ組織と密接に協議しながら、 ロジェクトに児童と青年に対する配慮を盛り込んでい 政府が初の貧困削減戦略文書(PRSP) を策定できるよ ます。たとえば、イエメン共和国の「第2次基礎教育プ う支援しました。 ロジェクト」 は、就労児童が所得機会を逸することなく、 学習に参加できる機会を提供しています。エジプトに 国際優先項目への対応 2004年度は、2つの国際優先項目 (HIV/エイズと子 供・若年層) に重点が置かれました。 この地域のHIV感染率は0.3%であり、引き続き低 54 世界銀行 年次報告 2004 対する「児童労働防止グラント」は、貧困世帯を支援 し、危機的状況に置かれた子供たちが学校に通える ようにすることで、児童労働の防止に貢献するものと なる予定です。 表2.6 中東・北アフリカ海地域に対するテーマ別、セクター別融資 1995–2004年度(単位:100万ドル) 1995–97 1998–99 年度 年度 (年平均) (年平均) 2000 テーマ 経済管理 環境・天然資源管理 金融・民間セクター開発 人的開発 公共セクター運営 法規 農村開発 社会開発・ジェンダー・参加 社会的保護・リスク管理 貿易・統合 都市開発 テーマ総額 セクター 農業・漁業・林業 教育 エネルギー・鉱業 金融 保健・その他の社会サービス 産業・貿易 情報・通信 法律・司法・行政 運輸 給水・衛生・治水 セクター総額 うち、IBRD融資額 IDA融資額 2001 2002 2003 2004 52.4 131.9 354.1 83.9 118.1 22.6 131.8 78.6 73.8 33.0 84.9 5.2 94.2 361.1 179.0 89.8 59.5 175.3 64.5 87.4 38.8 125.9 0.0 123.3 61.8 187.9 130.6 9.3 89.2 71.6 100.0 3.0 143.5 11.9 27.5 78.8 35.7 102.6 56.5 86.4 52.5 5.6 3.4 46.7 5.0 21.7 204.1 61.9 93.3 49.1 14.5 13.4 11.0 24.8 55.8 0.0 186.0 48.3 140.9 106.6 48.0 100.6 63.1 96.1 3.6 262.7 0.0 113.8 259.3 192.1 19.6 1.7 65.1 70.7 31.6 158.3 178.7 1,165.1 1,280.8 920.0 507.5 554.5 1,056.0 1,091.0 126.0 116.2 24.6 179.7 101.6 187.0 1.3 153.9 153.7 121.2 147.9 94.2 56.8 176.4 159.8 168.6 33.8 250.5 81.7 110.9 120.6 197.1 0.0 5.3 158.9 47.9 1.3 108.9 59.6 220.5 46.5 72.3 0.0 0.0 39.3 27.0 59.2 161.5 82.8 19.0 2.9 38.0 1.3 110.5 41.7 71.7 69.9 74.7 70.9 73.1 196.7 154.3 0.0 1.9 124.2 74.3 2.3 213.6 107.9 180.9 27.2 154.9 0.0 20.8 52.0 23.4 0.0 93.6 409.6 309.5 1,165.1 1,280.8 920.0 507.5 554.5 1,056.0 1,091.0 990.6 174.5 955.5 325.3 855.6 200.4 946.0 145.0 760.2 159.8 355.2 152.3 451.8 102.7 注:プロジェクトの分類が変更されたことに伴い、2003年度の年次報告に記載されたテーマ別融資の数字を一部変更した。具体的には、法律・司法・行政セクターの下 に公共医療金融サブセクターを新設し、一部のプロジェクトを遡及的にこのサブセクターに分類したことにより、法律・司法・行政セクターと金融セクターの数字に変更 が生じた。端数を四捨五入したため、合計額が合わないことがある。 図2.11 中東・北アフリカ地域:IBRDとIDAの テーマ別融資 2004年度 総融資額11億ドルに占める割合 都市開発 16% 図2.12 中東・北アフリカ地域:IBRDとIDAの セクター別融資 2004年度 総融資額11億ドルに占める割合 環境・天然資源 管理 10% 給水・衛生・治水 28% 農業・漁業・林業 2% 教育 14% 金融 2% 貿易・統合 15% 保健・その他の 社会サービス 5% 産業・貿易 2% 金融・民間 セクター開発 24% 社会的保護・ リスク管理 3% 社会開発・ジェンダー・ 参加 6% 法律・司法・ 行政 9% 運輸 38% 人的開発 18% 農村開発 6% 法規<1% 公共セクター運営 2% 第2章 地域別展望 55 世銀のユージン・R・ブラック総裁と ジョージ・D・ウッズ総裁。頭上の肖像画 は世銀のユージン・マイヤー総裁と ジョン・J・マクロイ総裁。 1961年、IDAは最初の 開発融資として、ホンジュ ラスの高速道路建設プロ ジェクトに900万ドルを 融資しました。 1962年、IDAは教育分野 に対する最初の融資とし て、チュニジアの学校建 設プロジェクトに500万 ドルを融資しました。 1961年、世銀は 日本の「新幹線」 プロジェクトに 8000万ドルを 融資しました。 パキスタン、インド、 および世銀がインダ ス水利条約を締結。 中国に対する最初の 融資が行われる (港湾浚渫プロジェ クト) 。 教育分野に 対する最初の 融資が行わ れる (チュニ ジア)。 人材養成プログラム 「ジュニア・プロフェッ ショナル」 (現在のヤング・プロ フェッショナル・プログ ラム)がスタート。 ギニアがIBRD協定に 署名。100番目の世銀 加盟国となる。 1964 最初のIDA融資が行 われる (ホンジュラス の高速道路建設) 。 1962 1961 1960 年代 1960 世銀の関連機関とし て国際開発協会 (IDA)が設立される。 設立時の授権資本は 13億9000万ドル。 1963 ジョージ・D・ウッズ(1963–1968) ユージン・R・ブラック(1949–1963) 最初のIDA増資 が行われる。 拠出総額は9億 7600万ドル。 テーマ別展望 1968年の通信プロジェクトでは、パプアニューギニアの ラエに近いチンガル山(標高9000フィート)の頂上に、 マイクロ波中継局が建設されました。 1963年秋の年次総会 で講演を行う米国の ジョン・F・ケネディ 大統領。 1967年のシンガポー ル通信プロジェクトで 建設された自動構内交 換機を操作する電話 交換手たち。 1969 フランス、ドイツ、日本、 英国、および米国の 5カ国が、財務大臣・ 中央銀行総裁会議を 開催するG5を形成。 1976年にイタリア、 カナダが加入しG7に なる。その後、ロシア 連邦が加入し、 現在はG8。 1968 投資紛争解決国際 センター (ICSID) を設立。 1967 世銀の融資承認額が 初めて10億ドルを 超える。 1966 1965 ロバート・S・マクナマラ(1968–1981) IDA第2次増資が 行われる。 拠出総額は 14億ドル。 3 貧困削減と経済管理 世銀の「貧困削減・経済管理ネットワーク」は、貧困 層に恩恵をもたらすような経済成長を実現するために、 さまざまな知識サービスを通して、途上国の政策形成 を支援し、良好な国際環境の構築に努めています。 貧困削減戦略文書(PRSP)と関連活動 現在、世界では総人口の5分の1に当たる約11億 人が1日1ドル未満で生活しています。低所得国にお ける世銀の貧困削減戦略の基盤となっているのは、 貧困削減戦略文書(PRSP)アプローチです(www. worldbank.org/prsp参照)。このアプローチは貧困削 減アジェンダに対する途上国の主体性を高め、関係者 の参加を促進しました。2004年度の世銀理事会では、 借入国が主体的に作成した12件の正式PRSPと2件の 暫定PRSP(I-PRSP)が検討されました。これにより、 1966年頃。以前は乾燥地だった土地で、農民が現代的な刈取機を使っ てサトウモロコシを刈り取っています。世銀の灌漑プロジェクトにより、 イランでは1万2000人の農民が原始的な生活から解放されました。 PRSPの総数は42件となりました。このほか、14カ国が I-PRSPの作成を完了しており、23カ国は少なくとも1件 困層や弱い立場に置かれた人々の福祉に与える影響 の進捗報告書を作成しています(www.povertynet.org を分析し、40件以上の「貧困・社会影響分析(PSIA)」 参照)。 を実施しました。世銀の職員や借入国を対象とした PRSPプロセスは対話を促進し、貧困削減活動の透 研修プログラムも増強され、PSIAを実施するための 明性を高めました。貧困層の利益に配慮した支出も 新しいガイドラインが作成されました。また、PSIAを 増加傾向にあります。しかし、参加型プロセスの確立、 円滑に実施するために、その他のドナーとの連携を 的を絞った戦略の構築と優先順位の明確化、ドナー 強化したほか、PSIAのウェブサイトも拡充しました 支援と借入国の優先項目の整合性など、いくつかの (www.worldbank.org/poverty/psia参照)。 分野ではまだ課題が残されています。 世銀の貧困削減活動の基軸となっているのは、貧 困層に恩恵をもたらす経済成長、貧困・社会影響分 析、およびエンパワーメントです。2004年度はこの3つ のすべてにおいて大きな進展が見られました。 2004年度、世銀は貧困削減の要となるガバナンス、 公共セクター改革、および法規の分野で、合計39億ド 貧困削減に成長は不可欠ですが、長期にわたって ルの融資を承認しました。ガバナンス関連の学習・支 貧困削減を成功させるためには、貧困層が成長に参 援プログラムも拡充され、地方の社会セクターのガバ 加し、その利益を享受できるようにする必要がありま ナンスと説明責任、政府の再構築、価値観と倫理、司 す。2004年度はそのためにさまざまな取り組みが行 法改革などをテーマとするセミナーと研修が約50回に われました(www.worldbank.org/poverty/inequal参 わたって開催されました。 照)。世銀は貧困層に配慮した成長を定義・測定し、 世銀と国際通貨基金(IMF)は支出追跡イニシア 貧困削減政策と成長政策のトレードオフを分析するフ ティブを通して、HIPC(重債務貧困国)の公共支出に レームワーク文書を作成しました。 目を光らせています。世銀とIMFは途上国と密接に 2004年度、世銀は50カ国において、政策改革が貧 58 ガバナンスと公共セクター改革 世界銀行 年次報告 2004 連携しながら、政府の財政制度を見直し、行動計画 の進捗状況を調べ、新しい行動計画を策定していま す。また、世銀は財政の管理に関する分析・助言活 動を拡大し、パートナーと協力して、途上国の財政制 度を分析する評価フレームワークと、政府主導のキャ パシティ・ビルディング活動を支援する分析アプロー チを開発しました。 2004年度、世銀は 「開発合意融資」 の導入を支援し、 国内資源を動員する重要性を強調すると共に、税制 改革に関する国際機関と途上国政府の関係強化に努 めました。世銀、IMF、OECD(経済協力開発機構)は 国際租税対話の開始に向けた合意文書を交わしまし た(www.worldbank.org/publicsector参照)。 ジェンダーと開発 現在、ジェンダーの平等はほとんどの国別援助戦略 (CAS) に組み込まれています。途上国が作成する貧 困削減戦略文書(PRSP)でも、ジェンダーに対する配 慮は強化されています。ジェンダー問題は世銀の融資 プロジェクト、特に教育、保健・医療、および社会的 保護に関するプロジェクトでも重視されています。 ジェンダーの平等は、世銀が支援する多数のプロ ジェクトで推進されており、チャド、エリトリア、ケニア、 およびシエラレオネの教育関連プロジェクト、ブラジ ドーハ開発ラウンドの結果は、世界の貧困層に大きな影響を及ぼしま す。特に農業分野の貿易障壁が削減されれば、各国で貿易が促進され、 所得水準が高まり、長期的には世界の貧困が大幅に削減されることに なるでしょう。 ルの「幼児育成プロジェクト」、ジブチの「HIV/エイズ、 マラリア、および結核抑制プロジェクト」、インドの「農 関するワークショップを開催し、どの目標を達成する 村女性開発・エンパワーメントプロジェクト」、および ためにもジェンダーの平等は不可欠であることを訴え、 ラオス人民民主共和国の「土地所有プロジェクト」は ジェンダーに配慮した行動を促すための戦略を明ら その一例です。 かにしました(www.worldbank.org/gender参照)。 オランダ政府とノルウェー政府の資金をもとに設置 された世銀の「ジェンダー主流化信託基金」は、ホン ジュラスの女性先住民族のキャパシティ・ビルディン 貿易 グ、タジキスタンの女性企業家の機会拡大、およびア 貿易が生産性を高め、生産性の向上が成長を促進 フリカにおけるジェンダーとHIV/エイズ関連の活動を することは、研究の結果からも明らかです。世銀は経 支援しています。経済政策イニシアティブでは、貿易、 済発展を促進し、途上国にグローバルな機会をもたら (囲み3.1参照) 。 競争力、 公共セクターの縮小といったテーマについて、 す貿易体制の構築に取り組んでいます 多数の分析活動が進められています。 約2年前に設置された世銀の国際貿易グループは、 世銀は地方自治体、地域、および国レベルで、ジェ ドーハ開発ラウンドの成功を支援すると共に、国際機 ンダーの平等と女性のエンパワーメントを促進する 関とのパートナーシップを強化して、貿易改革に対す パートナーシップに参加しています。2003年11月、世 るドナー支援の調整と整合性の向上に努めています。 銀は国連機関、国際開発金融機関、および二国間ド 2004年度、世銀の研究部門は貿易の自由化が貧困 ナーと共に、ジェンダーの平等とミレニアム開発目標に に与える影響、開発を促進する多国間・地域貿易協 第3章 テーマ別展望 59 囲み3.1 貿易:国レベルの成果 ていることは、世銀の融資プロジェクトにも反映され ています。たとえば、世銀は「貿易促進イニシアティ 地域レベルの貿易促進活動を補完しているのが、世 ブ」を通して、60カ国以上の130件を超える貿易関連 銀の国別援助活動です。国レベルの活動では、後発開 プロジェクトに参加しています。2003年9月、世銀はメ 発途上国が世界経済に参加する機会を拡大する「統合 キシコのカンクンで開催されたWTO閣僚会議で、新 フレームワーク(IF)イニシアティブ」が重要な役割を しいプログラムを発表しました。これは貿易交渉がも 担っています。ブルンジ、カンボジア、ジブチ、エチオ たらす新しい機会を途上国が確実に捉えることがで ピア、ギニア、レソト、マダガスカル、マラウイ、マリ、 きるように、途上国の貿易関連制度を改革し、貿易障 モーリタニア、ネパール、セネガル、およびイエメン共 壁となっている港湾、道路、税関手続きを改善するこ 和国では、貿易セクターの現状分析が実施されました とを目指したものです。 (マリは完了間近)。また、国内各地でIFワークショップ また、世銀は貿易ロジスティクスの改革と貿易円滑 も開催されました。モーリタニアでは2002年11月、セ 化に向けた機運を高めるために、150以上の国際 ネガルでは2003年6月、ネパールでは2003年11月、マ パートナーと共に、 「輸送と貿易のためのグローバル ダガスカルでは2004年1月にドナー会合が開催されまし 貿 易 円 滑 化 パ ートナ ーシップ 」に 参 加して います た。ロシアのWTO(世界貿易機関)加盟の影響を分析 (www.worldbank.org/research/trade参照)。 するいくつかの大規模な研究も最近完了しました。 世銀は独立国家共同体の最貧国を対象に、CIS-7貿 易イニシアティブを実施しています。このイニシアティ ブは貿易、統合、および競争力に重点を置き、輸出と 経済政策 2004年度の世銀の経済政策活動の中心となったの 投資を促進するための技術支援を提供するものです。 は、いずれも成長に関するテーマでした―具体的に 重要な分析活動は中央アメリカ (中央アメリカ自由貿易 いえば、経済成長と雇用戦略、経済成長を促進する 協定の参加国)、カリブ諸国、ドミニカ共和国、ケニア、 技術革新、財政改革が成長と雇用に与える影響、成 ナイジェリア、パキスタン、タジキスタン、およびウクラ 長の持続可能性と債務・ボラティリティ問題、地方自 イナでも進められており、その他の国でも間もなく開始 治体の財政と成長と雇用、そして統合政策分析とマ される予定です。 クロ経済分析ツールです。 世銀の経済政策グループは、財政の持続可能性、 租税支出、ボラティリティと危機の管理、および地方自 定、国際規格が貿易の量とパターンに与える影響、 治体の財政改革に関するハンドブックを作成したほか、 およびインフラサービス (通信、港湾施設、国際輸送 官民交流と技術革新、賃金と雇用と成長、貿易特区 など)の自由化とその影響を分析しました。貿易関連 と成長、競争力と成長、および財政改革と成長に関す の報告書も作成されました。 「農業とWTO」、 「貧困層 る報告書を発表しました(www.worldbank.org/poverty の知識:途上国の知的財産の促進」はその一例であ 参照) 。 り、このほかにも地域レベル、または地域横断的な貿 易問題に関する報告書が作成されました。 モランダム」といった現状分析報告書も、引き続き途 世界銀行研究所はキャパシティ・ビルディング活動 上国の開発努力を支援しています。こうした報告書に の一環として、規格、貿易円滑化、およびサービスに は各国の開発優先項目や、セクターと貧困削減の関連 関するコースを新設しました。世銀はベトナムのWTO 性が包括的にまとめられています。2004年度はカーボ (世界貿易機関)加盟、ドーハ交渉、およびアフリカ諸 ヴェルデ、エクアドル、インドネシア、マレーシア、ネ 国の貿易政策の立案を支援したほか、アフリカ地域 パール、フィリピン、セーシェル、スリランカ、チュニジ に対するプログラムを継続し、この地域の研究者を支 ア、およびウガンダで「開発政策レビュー」が実施され 援しました。 ました。 途上国の開発アジェンダで貿易の重要性が高まっ 60 「開発政策レビュー」や「カントリー・エコノミック・メ 世界銀行 年次報告 2004 人々への投資 インドネシアの農村部では、教育プロジェクトの結果、貧困世帯の子供たちが学校に通うことができるようになりました。 世界では今、サービスに投資をし、貧困層が「貧困の させるという目標に向けて、各国の取り組みに弾みをつ サイクル」 を抜け出す機会を提供することが、かつてない けるために設置されたのが「EFA(万人のための教育) ほど重要となっています。世銀は保健・医療や教育をはじ ファースト・トラック・イニシアティブ(FTI) 」です。スター めとする主要サービスに投資をした途上国が、高い投資 トから20カ月で、FTIは政策改革を加速させ、ドナーの 効果を手に入れられるよう、最大限の支援を提供してい 協調を促進し、追加資金を動員して、最初の7対象国に ます。また、児童と青年、障害者、危機的状況にある 対する援助資金を倍増させました。しかし、最も重要 人々など、弱い立場に置かれた人々を保護するサービス なのは、EFAの過程で発生する問題を解決するための の強化にも努めています。ミレニアム開発目標(MDGs) の グローバルなフレームワークが構築されたことです。 達成を加速する国際パートナーシップから、地域社会と家 2003年11月にはオスロでFTI会合が開催され、世銀、ド 庭に恩恵をもたらす国別プログラムまで、世銀はどの活動 ナー、および借入国の代表者が集まり、FTIの対象を条 においても人間を第一義に考えています。 件を満たすすべての低所得国に拡大すること、 「触媒基 金」を設置し、世銀の管理下に置くことで合意しました。 教育 途上国が教育制度を確立し、貧困を削減し、21世紀 この基金(当初の資金は2億5000万ドル)は十分なド ナー支援を得ることのできない途上国に、適切な政策 を導入するための初期資金を提供する予定です。 の知識経済に対応できるよう支援することは、世銀の基本 世銀は初等教育の完全普及の達成を加速させるだけ 的目標の一つです。2015年までに初等教育を完全普及 でなく (ここにはHIV/エイズが途上国の教育制度に与えて 第3章 テーマ別展望 61 HIV/エイズ対策 兼スポンサーとして、その他の国連機関と密接に連携しながら、 国、地域、および世界レベルのHIV/エイズ活動の強化に取り HIV/エイズの流行が始まって以来、世界では6000万人以上 組んでいます。国レベルでは政策対話に積極的に参加すると がHIVに感染し、2000万人以上がエイズによって死亡しました。 共に、各国が債務削減によってHIV/エイズ対策の資金を確保 2003年の新規感染者数は世界全体で500万人に上ると見ら できるよう、PRSP (貧困削減戦略文書) プロセスとHIPC (重債 れ、現在の感染者数 (成人と子供の合計) は3800万人に達して 務貧困国) イニシアティブへの参加を促進しています。 います。感染者の95%以上は途上国の人々であり、子供を除く と新規感染者の約半数は15歳から24歳の若者です。 一方、世銀の「グローバルHIV/エイズプログラム」 は、世銀の HIV/エイズ対策をセクター横断的な立場から支援すると共に、 を通して、UNAIDSパートナーのモ エイズは幸福な暮らし、社会経済の進歩、社会の一体性を 「グローバル・サポートチーム」 損なうだけでなく、国家の安全保障をも脅かしています。多くの ニタリング・評価活動をリードしています。このチームは途上国や 途上国では、エイズの流行によって過去数十年の開発成果が さまざまなドナーと協力しながら、各国のモニタリング・評価能 水泡に帰し、数百万人の子供たちが孤児となりました。世銀は 力の向上に努め、同一国内に複数の報告システムが乱立する ドナー間の調整をはかっています。 HIVの蔓延が開発に深刻な影響を与えていることをふまえ、 ことがないよう、 HIV/エイズを開発アジェンダの中心に据えました。 世銀はHIV/エイズの予防、ケア、治療、および蔓延抑制活 世銀は主立った関係者と協力して、抗レトロウィルス療法の 普及にも取り組んでいます。その一環としてこのほどテクニカル 動に対する世界最大の資金供給団体の一つであり、国、地域、 ガイド「HIV/エイズとの戦い:意思決定者のための医薬品と補 を完成させ、国連諸機関の承認を得ました。 および準地域レベルでさまざまなプログラムを実施しています。 給品の調達ガイド」 1990年以来、世銀はHIV/エイズと戦うために、世界中のエイズ また、 「治療加速プロジェクト」に6000万ドルのグラントを提供し 関連プログラムに合計24億ドル以上のグラントと融資を承認し ました。このグラントをもとに、ブルキナファソ、ガーナ、およびモ ました。最貧国にはIDAグラントを提供し、政府がHIV/エイズプ ザンビークでは包括的なエイズ治療を普及させるための、画期 ロジェクトの費用を借入資金ではなく、グラントでまかなうことが 的な官・民・シビルソサエティパートナーシップが試行される予 できるよう配慮しています。2004年度は9つの国、1つの地域、 定です。 および2つの準地域に対して、合計12件のHIV/エイズプロジェ 世銀は途上国が質の高いエイズ治療薬を低価格で購入でき クトが承認されました (HIV/エイズ関連のコンポーネントを持つプ るように、国連児童基金 (UNICEF) 、世界エイズ・結核・マラリ ロジェクトを含む) 。承認総額は3億8100万ドルでした。なお、こ ア対策基金、およびクリントン財団とパートナーシップを結びま のうちの12件はIDAグラントでした。アフリカ地域とカリブ海地 した。この医薬品協定により、患者一人につき年間150ドルか 域は2001年以来、国または準地域レベルのHIV/エイズ活動の ら400ドルを節約でき、より多くの患者に治療の機会が開かれ 実施費用として、 「多国間エイズ・プログラム (MAP) 」から約12 る予定です。また、診断検査についても、協定に基づいて最大 億ドルを受け取っています。アフリカ地域では現在、MAPの基 80%の値引きが可能になる予定です。 準を満たしているすべての国がMAPの支援を受けているか、支 世銀のHIV/エイズ活動は、これまでにないほど目覚ましい成 援を申請中です。カリブ海地域では2004年度末時点で7カ国と 果を上げ始めています。HIV/エイズはすでに世銀の開発アジェ 1地域のプログラムがMAPの支援を受けています。 ンダの一部となっており、エイズ関連の活動は保健・医療以外 世銀は資金面だけでなく、プロジェクトの実施面でも主要な のセクタープロジェクト (教育、インフラ、輸送、水と衛生など) に 援助提供団体となっており、途上国に専門知識 (特に受託者責 も組み込まれるようになっています。国際社会では、世銀はHIV/ 任に関するもの) を提供したり、グッドプラクティスと教訓の共有 エイズ分野の代表的な援助団体として、またエイズ対策の新し を促進したり、国レベルの学習活動に資金を提供したりしてい い潮流を生み出す存在として、重要な役割を果たしています 。 ます。世銀は国連合同エイズ計画(UNAIDS) の共同設立機関 (www.worldbank.org/aids参照) 62 いる打撃に対応することも含まれます) 、途上国が国際競 世銀の援助は分析・助言活動、または融資という形で 争力を高めることができるよう、高度なスキルの習得も支 提供されています。2004年度は分析・助言活動が前年比 援しています。 20%で増加し、融資総額は16億8000万ドルに達しました。 世界銀行 年次報告 2004 1974年頃。マリのキタ地区に近い村では、 「総合農村開発プロジェクト」の一環として、読み書きを教える野外学級が開催されました。 このうちの5億1500万ドルは50件の非教育プロジェクトの 心的なテーマとなりました。この分野の新規プロジェクトに 教育関連コンポーネントに対して提供されたものです。こ 対する融資総額は5億4600万ドルでした。子供の保健・ の種の統合型プロジェクトが着々と増えていることは、途 医療、栄養、および人口と、性と生殖に関する健康につい 上国の貧困削減プログラムや、脆弱性、保健・医療、民 てのプログラムには6億3000万ドル以上の支援が提供さ 間セクター開発、および公共セクターガバナンスに関するプ れ、HIV/エイズなどの伝染病対策には3億7900万ドルが ロジェクトに、教育の視点が確実に組み込まれていること 提供されました。世銀は傷害や非伝染性の疾病が保健 を示しています。 と経済に与える影響も重視しており、この分野に対する新 世銀は改革意識の高い政府を積極的に支援していま 規融資総額は3億1500万ドルに上りました。 す。たとえば、 「インド初等教育プロジェクト」では5億ドル 2004年1月、 ドナーと借入国はジュネーブで開催された のIDA融資がわずか9カ月間で消化され、セクターワイドア 世銀と世界保健機関 (WHO) のハイレベルフォーラムに参 プローチを導入したことにより、蓄積したドナー資金を共 加し、保健・医療関連のMDGsの達成を加速する方法 同で管理したり、報告・モニタリングの方法をドナー間で (MDGsと貧困削減戦略文書の連携強化など) について 共通化したりすることが可能となりました (www.worldbank. 意見を交換しました。たとえば、 「第2次タンザニア保健・ org/education参照) 。 医療セクタープロジェクト」では、国レベルのプログラムと セクターレベルのプログラムで、同じ保健・医療指標が用 保健・医療、栄養、および人口 保健・医療、栄養、および人口分野の活動の中心と なっているのは、疾病、栄養不良、および多産による貧困 の拡大を阻止することです。グッドプラクティスを導入し、 いられています。また、このプロジェクトはその他の重要な 阻害要因―たとえば、HIV/エイズと移住による人材の喪 失と流出、未開発地域に保健・医療従事者を派遣する問 題などにも取り組んでいます。 世銀は保健・医療サービスを貧困層に確実に提供する 効果的な保健・医療サービスを提供することは、途上国 ために、アフリカ、東ヨーロッパ、およびラテンアメリカで実 が貧困の悪循環から抜け出すための条件であると同時 施された数十件の介入事例を検証し、ベストプラクティス に、一部のMDGsにとっては、その核心を成すものです。 を探りました。その結果、貧困層を対象としたイニシア また、健康の増進と栄養状態の改善は、生産性の向上、 ティブ (一次医療の改善、医療従事者の立ち会いのもとで 所得の増加、そして経済成長につながります。 保健制度の有効性は、2004年度においても世銀の中 の出産など) の多くは目的を達成できていないものの、そ の他のイニシアティブは良好な成果を上げていることが分 第3章 テーマ別展望 63 囲み3.2 根本的問題としての障害 保護政策は、投資環境を改善し、経済成長、所得、およ び貧困にプラスの影響をもたらします。ソーシャル・セーフ 現在、途上国では約4億人の障害者が生活しています。 ティネットは貧困を緩和し、 保健・医療と教育を促進します。 障害者の数がこれほど多い理由としては、栄養不良、危険 世銀が支援する社会基金と公共事業プログラムは、途上 な労働・生活環境、適切な医療を受ける機会の不足、不 国の道路、学校、および保健・医療施設の改善に貢献し 衛生、障害の原因に関する情報の不足、戦争、紛争、自 ました。高齢者、障害者、孤児、過酷な労働を強いられ 然災害などが考えられます。障害は教育や公共サービスの ている児童など、弱い立場に置かれている集団を保護す 利用を妨げ、所得を得る機会を奪うことで貧困を悪化させ るための介入も行われました (囲み3.2参照) 。2004年度は ます。こうした悪循環は障害者本人のみならず、その家族や 社会的保護分野のプロジェクトに対し、16億ドルの新規融 地域社会全体にも影響を及ぼすことが少なくありません。 資が承認されました。そのうちの77%はリスクの予防と緩 世銀は障害者に開発関連のトレーニングを提供し、彼ら 和を目的とするもの (年金、失業保険、社会基金) 、残りの が他の障害者や家族のエンパワーメントに貢献できるように 23%は貧困世帯の危機対応能力を高めるもの (ソーシャ するインドのプロジェクトを支援しています。このプロジェクト ル・セーフティネットの運営) でした。 の目的は、障害者が利用できるサービスを拡大し、障害予 2004年度も複数の国で、リスク、脆弱性、およびソー 防活動を促進する制度を構築することで、障害者に対する シャル・セーフティネットに関する評価が実施され、貧困評 偏見を減らし、障害者の社会的、経済的地位を高めること 価に脆弱性に関する視点が盛り込まれるようになりました。 です。世銀はすべての融資プロジェクトにおいて、調達やプ こうした分析活動では途上国が直面している主要なリス ロジェクトの設計段階から、障害者のニーズに配慮すること クと、そうしたリスクを管理するために政府が導入している を決定しています (www.worldbank.org/disability参照) 。 政策手段を比較することによって、起こり得る危機を予 防・緩和できない、またはそうした点に十分配慮していな かりました。たとえば、ガーナとザンビアでははしかの予防 いプログラムが特定されました。こうした情報は政府介入 接種キャンペーンが高い効果を上げ、カンボジアの農村 の有効性を高めるために利用されています。たとえば、エ 部では政府が保健・医療制度の運営をシビルソサエティ チオピア政府は国内の脆弱性を削減するために、世銀 組織に委託した結果、貧困層が利用しやすい医療サー をはじめ開発パートナーの援助を得ながら、緊急人道 ビスが提供されるようになりました。 援助に全面的に依存した体制から、生産的で保護的な アルゼンチンは「妊産婦と子供のための健康保険プロ グラム」 を通して、貧しい母子の緊急ニーズに対応してい セーフティネットへの移行を進めています (www.worldbank. org/sp参照) 。 ます。この融資は革新的なマッチングメカニズムを用いて、 9つの最貧困州の先住民族に連邦予算からグラントを提 供するものです。また、財団や二国間ドナーと協力して、ナ 児童と若者に対する取り組み イジェリアとパキスタンにはポリオの予防費用を、中国には 2004年度の世銀の優先項目の一つは、児童と若者が 結核の予防・治療費用を低金利で融資する革新的なプロ 国際開発課題に関する政策対話に参加し、国家や地域 ジェクトも実施されました(www.worldbank.org/hnp参照) 。 社会の意思決定に参画する機会を提供することでした。 国別援助戦略(CAS) 、貧困削減戦略文書 (PRSP) 、およ 弱い立場にある人々の保護 64 びその他のプロジェクトに関する話し合いの場で、若者が 意見を述べることができるよう、世銀は開発活動に若者を 自然災害、人為災害を問わず、危機は貧しい人々から 直接参加させる 「新しい声イニシアティブ」 を立ち上げまし 安全、財産、および収入を奪い、貧困世帯に破壊的な影 た。2003年9月にパリで開催された「若者・開発・平和 響を及ぼします。貧困世帯の脆弱性を緩和するために 会議」 には、世銀とユース団体の代表者が集まり、若者の は、個人、家族、および地域社会のリスク管理能力を高 参画を拡大するための5つの重要分野として、教育、雇用、 め、慢性的な貧困に陥っている人々に社会的保護施策を 高リスク行動とHIV/エイズ、紛争と平和、そして参加とエ 提供することが不可欠です。持続可能で的を射た社会的 ンパワーメントを選択しました。 世界銀行 年次報告 2004 持続可能な開発 持続可能な開発は貧困削減の中核を成すもので す。世銀の政策は環境的、社会的に統合されたアプ 農業と農村開発 ローチに基づいて策定されており、農業セクターと貧 2004年度の農村開発融資の約45%は南アジアとア 困層の70%が暮らす農村部は、重点分野の一つと フリカ地域に対するものでした。南アジア地域には約 なっています。 4億9000万人の貧しい人々が暮らしています。2004年 世銀報告書「新世紀に向けた責任ある成長:社会、 度は農業関連の融資が増えました。今後2年間は農 生態系、および経済の統合」には、技術革新、天然資 業、森林、および農村給水に対する融資が大幅に増 源管理、社会的均衡といった将来の課題に対する世 加する見込みです。 銀の長期戦略がまとめられています。この戦略を推進 農村開発戦略文書「農村部の貧困層への対応」は、 するために、世銀は途上国が地球規模の問題に適切 農村部における世銀の活動に大きな影響を与えまし な方法で対処できるよう、水不足、気候変動、農村成 た。この戦略は農村開発をセクター横断的な活動と位 長、社会開発といった課題に関して、各国の状況に合 置づけており、世銀職員は部門の枠を超えて、途上国 わせたアプローチを導入しています(www.worldbank. の農村開発に取り組んでいます(www.worldbank. org/sustainabledevelopment参照)。 org/ruralstrategy参照)。 途上国では、農村部の貧困層が国家の農村開発戦 略の策定に参画するようになっています。これまでに 11カ国が参加型プロセスを用いて人間本位の国家農 スリランカの村で、太陽光発電によって店に明かりがともりました。 第3章 テーマ別展望 65 環境 今年、世銀の環境戦略は3年目を迎えました。世銀 は生活の質の向上、成長の質の改善、地域および世 界の共有物の保護という重要目標に向けて、着々と 歩みを進めています。世銀はミレニアム開発目標の環 境 関 連目標 の 達 成 にも献 身 的 に 取り組 んで おり、 2002年の「持続可能な開発に関する世界サミット (WSSD)」で確認された国際合意を遵守しています (www.worldbank.org/environmentstrategy参照)。 貧困と環境 世銀は貧困削減と環境の関係に取り組んだ政策・ 制度改革を支援しています。 こうしたプロジェクトには、 長期的な改革計画を支援するために開発された、新 しいプログラム的融資手段が活用されています。た とえば、ウガンダでは「第3次貧困削減支援プロジェク ト」を通して、水と衛生サービスの質が高まり、多くの 貧困層がこうしたサービスを利用できるようになりまし た。環境目標は貧困削減戦略文書(PRSP) と国別援 助戦略(CAS)にも盛り込まれています。これは開発 1965年頃。ラガティ (ケニア)の農園で農民が茶葉を摘んでいます。 ケニアでは2件の世銀融資と3件のIDA融資により、茶葉栽培地域の農 業開発と道路整備が進みました。 村開発戦略を完成させました。現在は世銀の支援を 得ながら、約10カ国(バングラデシュ、エチオピア、 インド、ケニア、フィリピンなど)が水資源援助戦略の 策定に取り組んでいます。 世銀の農村融資の3分の1を占めているのは農村イ ンフラに対する融資です。インフラは農業セクター活 援助や途上国の行動が環境に影響を及ぼしているこ とをふまえ、そのプラスの影響を拡大することを目指 したものです。 分析活動とセクター横断的な活動 途上国政府との環境対話を促進するために、世銀 はさまざまな分析活動を行っています。2004年度は 「国別環境分析」 (例:バングラデシュ、コロンビア、エ チオピア)、 「戦略的環境評価」 (例:マリの「マクロ経 済に対する気候の影響の分析」)、 「環境モニター」 性化の要となるものであり、農業の生産性を高めるこ (例:カンボジア、タイ)、および「エネルギー環境レ とは、農村部の経済成長を促す条件でもあります。世 ビュー」 (例:ルワンダ、トルコ) を実施しました。途上 銀は国際農業研究協議グループ(CGIAR) との協調 国の政府はセクター横断的な活動に主体的に取り組 関係を強化し、最新の適応技術を取り入れて、農業 むようになっており、水と衛生、運輸、都市、エネル 生産性の向上に努めています(www.cgiar.org参照)。 ギー、農村開発といったセクターでは、セクター間の 先進工業国と途上国の政府に対しては、より開放的 関連性が強まっています。 な農業貿易体制を構築し、貿易歪曲的な農業補助金 を削減するよう、引き続き働きかけています(www. worldbank.org/rural参照)。 環境融資 2004年度は新たに67件の環境関連プロジェクトが 承認されました。融資総額は新規融資全体の約6.5% に相当する13億ドルでした(2002年は4.7%、2003年 66 世界銀行 年次報告 2004 は6%)。環境関連融資の例としては、ブラジルの「第 囲み3.3 開発におけるカーボン・ファイナンスの有 1次プログラム的環境保護改革融資」とイランの「給 効性 水・衛生プロジェクト」があります。 気候変動を緩和するクリーン技術投資の分野では、 環境効果 カーボン・ファイナンスの有効性に注目が集まっていま 世銀の国別プロジェクトとグローバル・プロジェクト す。途上国は質の高い炭素排出削減と引き換えに、開 は、環境分野で相乗効果を発揮しつつあります。世 発資金、技術ノウハウ、および持続可能な開発を実現 銀は地球環境ファシリティ (www.gefweb.org) 、モントリ するためのクリーン技術を手に入れることができます。 オール議定書、および世銀のカーボン・ファイナンス事 世銀は「実地学習」と的を絞った技術支援を通して、途 業(囲み3.3参照) を通して、地球規模の環境問題に貢 上国が排出権取引という新しい市場に参加できるよう 献しています。世銀はGEFの実施機関であり、土壌劣 支援しています(www.carbonfinance.org参照)。 化と残留性有機汚染物質という2つの新分野でプロ カーボン・ファイナンス事業には多数の民間企業も ジェクトの立案に取り組んでいます。また、世銀は生 参入しています。民間企業の参加は再生可能エネル 物多様性プロジェクトに対する最大の資金提供機関の ギー投資を促進するだけでなく、世銀の融資がおおむ 一つでもあり、2003年9には「世界公園会議」 に参加し、 ね終了した後に、途上国が収益源を確保し、活動を長 他の参加機関と共に、保護地域の管理に現地住民を 期にわたって維持する助けとなります。 統合し、 「生物多様性条約」を遵守することの重要性を カーボン・ファイナンス関連の基金としては、政府と 訴えました(www.worldbank.org/montrealprotocol 民間の資金をもとに設置された「プロトタイプ炭素基金 参照) 。 (PCF)」、規模の小さい貧困国を対象とした「コミュニ ティ開発炭素基金」、植林や土壌に関するプロジェクト 世銀内部の環境対策 世銀は「環境・社会・持続可能性イニシアティブ」 に適用される「バイオ炭素基金」、および民間セクター からも出資を募って、オランダやイタリアなどの先進工 を通して、社会的責任の遂行に取り組んでいます。こ 業国が提供している基金があります。これらの基金が管 のイニシアティブの目的は、世銀の施設や管理・業務 理している資金の総額は4億2000万ドルに上り、承認 部門の調達活動が環境に与える影響を改善すること 済みまたは準備中のプロジェクトに提供されている資 で す( www.worldbank.org/ess; www.worldbank.org/ 金は約3億5000万ドルに達しています。 environment参照)。 社会開発 の内容に関する協議が世界規模で進められています。 2004年度は地域社会主導型開発の拡大に重点が置 社会開発はミレニアム開発目標を達成するための基 かれました。国別プログラムには地域社会主導型開 本条件です。世銀報告書「世銀プロジェクトにおける 発のアプローチが統合されるようになり、プログラム 社会開発:OED(業務評価局) レビュー」は、社会的側 の設計と影響に関する分析調査がすべての地域で実 面に配慮したプロジェクトは、そうでないプロジェクト 施されました。現在は地方のガバナンス、特に地方 よりも開発効果が高く、持続可能性に優れ、効果的な 政府と地域社会組織の連携の強化に重点が置かれて 制度を構築できる可能性が高いと述べています。世 います。 銀はこの報告書の提言をもとに、戦略文書「世界銀行 世銀は「紛争分析フレームワーク」を開発し、世銀 の業務における社会開発:成果と今後」の草案を作 が融資するプロジェクトの紛争対応能力を高めていま 成し、今後の優先項目を明らかにしました。この文書 す。世銀は紛争の影響を受けた地域のシビルソサエ は世銀が融資するプロジェクトやプログラムに社会的 ティと協力する方法も開発しています。また、紛争と 持続可能性の原則(統合力、結合力、説明責任) をよ 天然資源管理の関連性を分析し、紛争地域に地域社 りよく取り入れる方法を提案しています。現在は草案 会主導型開発のアプローチを取り入れ、紛争後ニー 第3章 テーマ別展望 67 ズを分析するためのガイドラインを作成しています。 セーフガードに関するレビューとクリアランスのプロセ 紛争の影響を受けた国に対しては、貧困削減を効果 スを世銀の業務に取り入れるために、環境や社会に 的に進めるために、貧困削減戦略の策定過程で紛争 与える影響とリスクが中程度、または低いプロジェク 分析を実施しています (www.worldbank.org/caf参照)。 トの地域レビュー手順を変更しました。また、セーフ 2004年度、世銀の「紛争後基金」は紛争の影響を受 ガードに関する大規模なキャパシティ・ビルディング活 けた国々を支援するために、850万ドル以上のグラン 動を世銀職員と借入国を対象に実施したほか、開発 トを承認しました(www.worldbank.org/conflict参照)。 パートナーとの調和をさらに進めました。 世銀はパートナーと連携しながら、 「貧困・社会影 2004年度は「世界先住民族基金」が承認されました 響分析 (PSIA)」 の実施面と資金面をサポートしました。 (www.worldbank.org/indigenous参照)。この基金は 現在はオンライン・データベースを通して、各国の社 先住民族組織の開発関連活動に少額のグラントを直 会指標を確認できるようになっています。国レベルの 接提供するグラントファシリティを支援するものとなり 社会分析フレームワークは試験段階にあります。 ます。また、アンデス地域の先住民族の指導者を対 2004年度には 「社会的説明責任の実践コミュニティ」 象としたキャパシティ・ビルディングプログラムを実施 が誕生し、知識の共有、ネットワーキング、および世銀 したほか、 「国連先住民族問題常設会議」の強化に取 プロジェクトにおける社会的説明責任の主流化をテー り組みました(www.worldbank.org/socialdevelopment マとしたワークショップと講座が開催されました。 参照)。 世銀の「質保証・コンプライアンス・ユニット」は、 68 世界銀行 年次報告 2004 インフラ支援 途上国が貧困を削減し、成長を促進し、ミレニアム 開発目標(MDGs) を達成するためには、インフラの整 備が不可欠です。しかし、途上国のインフラは貧弱で あることが多く、利用できる人も限られています。イ ンフラを整備するための資金も十分ではありません。 世銀は運輸、給水と衛生、都市サービス、通信、お よびエネルギーの分野でさまざまなインフラサービス を支援しています(第4章「外部評価」参照)。エネル ギーには電力だけでなく、石油、ガス、鉱業、その他 の採掘産業も含まれます。世銀は政策対話と設備投 資を通して、途上国におけるインフラサービスの提供、 改革、および制度構築を支援しています。世銀は技術 支援を補完するものとして、途上国が開発パートナー や民間セクターから資金やその他の援助を得ることが できるよう触媒の役割も果たしています。2004年度に は「インフラ行動計画」がスタートし、インフラ分野に おける世銀の活動はさらに強固なものとなりました。 貧困の緩和、MDGs、および成長 1990年代末にはインフラ投資により、低所得国では 実に2.1%、中所得国でも1.4%貧困が削減されたと推 定されています。給水や衛生などのインフラサービス を改善することは、ミレニアム開発目標(MDGs)に明 記されたターゲットです。また、住宅や情報通信技術 などのサービスを改善することも、明文化はされてい ないものの、潜在的なターゲットの一つです。インフ ラサービスは保健・医療、教育、およびジェンダー関 スリランカの村では、太陽光発電によって店に明かりがともりました。 連のMDGsにも影響を与えています。たとえば、途上 国では清潔な水へのアクセスが改善されたことによ り、子供の死亡率が全体で55%削減されました。道 約1%高まっていたとする研究もあります。ラテンアメ 路の舗装は女児の就学率を大幅に向上させ、2倍に リカに関する最近の研究は、1990年代にインフラ投資 なった国もあります。 が不足していたために、ラテンアメリカ諸国の長期成 インフラは経済成長とも密接に関連しています。開 長率は1∼3%鈍化したと試算しています。プロジェク 発の初期段階、つまりインフラがまだ希少で、基本的 トレベルでみても、世銀のインフラプロジェクトの経済 なネットワークが整っていない時期には、インフラ投 収益率は平均2%でしたが、近年は平均3%になって 資がその国の成長に大きな影響を及ぼします。1980 います。民間セクターが一貫してインフラの欠如を投 年代と1990年代のアフリカに東アジアと同等の通 資の重要な阻害要因に挙げていることを考えると、イ 信・発電インフラがあれば、アフリカの年間成長率は ンフラは投資環境を改善する上でも重要です。 第3章 テーマ別展望 69 アクセス、質、および資金ニーズ 途上国には依然として、インフラサービスへのアク セス、サービス品質、および資金の面で大きな需給 ギャップが存在します。低所得国の農村部では、住 民のわずか2%しか電気の供給を受けておらず、電話 線を引いているのは2%未満です。ほとんどの中所得 国と都市部にも、相当規模のインフラニーズが存在し ます。 アクセスの問題を悪化させているのが、サービス 品質の問題です。ベストプラクティスが導入されてい るOECD(経済協力開発機構)諸国と比べると、低所 得国のエネルギー損失は2倍、水の損失は4倍、電話 回線の不具合は10倍に達しています。OECD諸国で は道路の80%が舗装されていますが、低所得国では 29%にすぎません。ラテンアメリカの7カ国で実施さ れた最近の研究は、公共インフラの質が低いために、 1955年頃。急成長中の都市カリのライフラインを支えているのは、 803万ドルの世銀融資をもとに建設されたアニカヤダムと発電所です。 この7カ国ではインフラの効率が先進工業国の約74% にとどまっていると指摘しています。この結果、長期 運用コストは実質一人当たり国民所得の約40%に達 することになります。 3.4参照)。 世銀は 「インフラ行動計画」 の提言を着実に実行し、 インフラ開発分野での活動を強化しています。たとえ インフラサービスの質とアクセスを改善するために ば、世銀は以前よりも柔軟なやり方でインフラサービ は、相当額の投資を中期にわたって行う必要があり スの提供を支援し、官民セクターの役割に関する指 ます。現在、途上国には国内総生産(GDP)の約7% 針を提供しています。世銀はこうした指針をインフラ に相当する資金ニーズがあると推定されています(新 サービスごとに作成しており、電力供給に関する指針 規インフラの建設費と、既存インフラの運用保守費の ノートには、電力セクターの改革、効率化、および成 両方を含む)。低所得国の場合、資金ニーズはGDP 長を進める上で、途上国と世銀職員が直面する可能 の9%にまで及ぶ可能性があります。現在、途上国は 性のある問題が、公共セクターに関するものから、民 GDPの平均約3.5%をインフラ投資と運用保守に振り 間セクターに関するものまで網羅してまとめられてい 向けていますが、この試算が正しければ、今後はこ ます(www.worldbank.org/infrastructure参照)。 の割合を2倍に引き上げる必要があります。 2004年度のインフラ分野では、融資と政策助言が 増え、ドナーとの調整も強化されました。また、途上 インフラ行動計画 70 国に関する知識基盤を最新のものにするために、新 しいインフラ研究「インフラ分野の経済開発に関する 2003年7月、世銀は「インフラ行動計画」に着手しま 最新調査」が実施されました。世銀は改革の成果を した。この計画の目的は、バランスのとれた官民アプ 正確に測定・モニタリングするために、インフラセク ローチを採用し、複数の資金源から資金を調達する ターのパフォーマンス分析を強化しました。さらに、 ことで、インフラサービスを効果的に提供するための その他の国際開発金融機関や二国間組織と協力し 素地を整えることです。この計画をもとに、世銀は途 て、共通の分析・政策プラットフォームを構築しました。 上国におけるインフラ需要の高まりに応え、既存イン 新たにセクター横断的な「インフラ経済・金融局」が フラの有効性と今後のニーズを分析し、世銀の支援 設置され、インフラ支援の手段とアプローチが強化さ 手段とアプローチを強化していくことになります(囲み れました。インフラ経済・金融局はインフラ金融の中 世界銀行 年次報告 2004 囲み3.4 インフラサービス提供の革新的なアプローチ カンボジアの「地方・都市周辺地区水・衛生プロジェクト」 は、貧困世帯に水を供給するために、結果ベースの援助ア 2004年度には、革新的なアプローチでインフラサービス プローチを採用しています。このプロジェクトでは、貧困ライン を提供するプロジェクトが誕生しました。たとえば、 「南アフ を下回っていると認定された世帯に民間事業者が給水設備 リカ地域ガスプロジェクト (SASOL)」は、民間セクターから を提供すると、政府が(IDAグラントをもとに)一定額の補助金 調達した資金をもとに天然ガスを開発し、それをモザン を支払います。補助金は給水設備が実際に提供され、水が ビークから南アフリカに輸出することで、利益を生み出そう 安定して供給されることが確認された後に支払われます。 とするものです。SASOLは世銀グループのプロジェクトで 「南東ヨーロッパ貿易・運輸促進プログラム」は、域内8 あり、IBRDの部分的リスク保証、MIGAの保証、およびIFC カ国の貿易と統合を促進する地域イニシアティブです。そ の投資を得ています。MIGAの保証により、民間スポン のための施策として、このプログラムは貿易と運輸の非関 サーは妥当な条件で商業機関から資金を借り入れることが 税コストを削減し、国境検問所での密輸と汚職を削減し、 できます。IBRDにとって、SASOLは初めてのエンクレーブ 税関やその他の国境管理機関の強化・近代化に取り組んで 保証(IBRDの資金をIDA融資のみ適格の国で用いること) います。 であり、初めての現地通貨(ランド)建て保証でもあります。 心拠点として、リスク緩和手段を強化すると共に、国、 性化するだけでなく、社会・環境セーフガードを取り 州、および市レベルでインフラ開発を支援する方法を 入れ、インフラプロジェクトの質を維持しています。 模索しています。世銀はインフラ分野での活動を活 第3章 テーマ別展望 71 民間セクター開発支援 世銀の「民間セクター開発ネットワーク」の役割は、 活気ある投資環境の構築に必要な規制改革、政策、 および制度能力を明らかにすることです。貧しい人々 が暮らす地域の成長を促進するためには、活気ある 投資環境を構築することが不可欠です。また、研究結 果と経験のどちらに照らしても、成長が貧困削減の鍵 となることは間違いありません。 途上国は1980年代と1990年代に数々の重要な改革 を成し遂げました。しかし、ほとんどの国は成長を根 付かせることができませんでした。当時の改革の中心 となったのはマクロ経済の安定であり、企業の設立 や運営に関する規制の合理化といった、重要なミクロ 経済改革はなおざりにされていました。しかし、法規 制、公的機関、地域の慣行といったミクロ経済要因が、 起業や資金調達、雇用を難しくし、経済成長の可能 性を制限していることを考えると、ミクロ経済改革の 実行は不可欠です。 世銀はミクロ経済条件を改善し、民間セクターの投 資と成長を促すような第2世代の改革を起こすことを 目指しています。 「民間セクター開発ネットワーク」は、 最新の調査手法を使って質の高いデータを提供する ことで、このプロセスを支援しています。健全な投資 環境の要件を分析し、その結果を世銀の融資・助言 サービスに反映することができれば、途上国の改革を より効果的に支援することができます。その他の戦略 目標としては、責任ある商慣行と企業ガバナンスの促 進、中小・零細企業の支援、民営化の推進、企業が 商品やサービスを販売して利益をあげることのできる 競争市場の創出などがあります。 民間セクター開発は世銀のさまざまな部門にまたが る、セクター横断的なテーマです。民間セクター開発 モザンビークのシャイシャイ市場では、さまざまな農作物が売られて います。 は融資プロジェクトでも、経済・セクター調査でも重視 されており、国際金融公社(IFC) と密接に連携しな 改革に関する政府と民間セクターの対話も促進してい がら、世銀グループ全体の民間セクタープログラムを ます。 調整しています。 「民間セクター開発ネットワーク」は最 新の調査手法を使って事業環境の制約要因を分析 し、その知識を途上国の政策・制度改革を支援する 72 研究と分析 国別プログラムに反映することで、世銀グループの民 世銀とIMFの共同報告書「事業環境分析プロジェ 間セクター戦略を推進しています。このネットワークは クト2004:規制の理解」は、5つの重要な指標(事業の 世界銀行 年次報告 2004 開始、雇用と解雇、契約の履行、融資の獲得、破産) 囲み3.5 事業環境分析プロジェクト2004 をもとに、133カ国のミクロ経済を分析しています(囲 み3.5参照)。この報告書は世界中で広く報道され、多 「事業環境分析プロジェクト2004:規制の理解」は、世 くの国で改革の機運を高めました。この研究によって、 銀とIFCが実施した画期的な共同研究の成果であり、複雑 規制の数と生産性の間には関連性があることが明ら な問題が一般の人々にも理解しやすいようにまとめられて かになりました(図3.1参照)。 います。この報告書には133カ国の事業環境に関する こうした事業環境分析は国レベルで行われている データが盛り込まれており、途上国の企業活動に影響を 投資環境調査を補完するものです。投資環境調査は 及ぼしている政府の官僚主義に対し、いくつかの重要な 過去3年間に52カ国で実施されており、2005年度には 疑問を投げかけています。たとえば、事業開始までの日数 さらに20件の調査が行われる予定です。事業環境分 を国家間で比較すると、オーストラリアは2日、プエルトリ 析は民間投資を阻害している政策、規制、および制 コは4日、シンガポールは8日ですが、ブラジルは152日、イ 度を特定し、それを企業の業績と関連づけることで、 ンドネシアは168日、アンゴラは210日です。一方、事業開 改革の優先分野を割り出します。調査結果はその他 始までのコストを比較すると、カナダでは一人当たり国民 のデータと共に、 「投資環境調査」の基礎となります。 所得の1%にも満たないのに対し、カンボジアでは一人当 投資環境調査は事業環境に関する世銀の代表的な国 たり国民所得の5倍に及んでいます。 「事業環境分析プロ 別報告書です。2004年度は約26件の投資環境調査が ジェクト2004」は、貧困国は悪い結果(政府の非効率化、 実施されました。調査結果は11カ国の国別援助戦略 汚職の増加、失業率の上昇、投資の減退) に結びつくよう (CAS)に影響を与え、アフリカ、東アジア・大洋州、 な規制を企業に課していると結論しています。さらに、この ラテンアメリカ・カリブ海、および南アジア地域では約 報告書は、ベストプラクティスは国境を越える―つまり、先 30件の新規融資プロジェクトの立案に貢献しました。 進工業国で成功した試みは、途上国でも成功する可能性 投資環境調査の結果と事業環境分析の指標は、貧困 があり、途上国で生まれた革新は、その他の地域でも活 削減戦略文書(PRSP) にも取り入れられています。 用することができると主張しています。 いくつかの貧困国では事業環境分析と投資環境調 「事業環境分析プロジェクト」は毎年発行されており、 査を機に、政府の合理化が進みました。オランダの経 2005年版では3つ (土地所有、企業ガバナンス、営業許可) 、 済開発局、米国政府のミレニアム挑戦会計、米州サ 2006年版ではさらに3つ(税金、貿易、法と秩序)の指標 ミット、欧州復興開発銀行など、多くの国家機関およ が分析対象に加わる予定です(http://rru.worldbank. び国際機関が事業環境分析の指標を用いて、援助の org/doingbusiness参照) 。 配分を決定したり、途上国の進捗状況をモニタリング したりしています。IDAは事業環境分析の指標に基づ 図3.1 いて、政策改革のターゲットを定め、これまでに10カ 国以上の途上国が有望な改革を成し遂げました。 「世 規制と労働生産性の相関関係 (1000ドル/労働者一人当たり) 40 界開発報告2005:よりよい投資環境の構築(仮題)」で は、規制改革にさらなる重点が置かれています。 30 「外国投資助言サービス (FIAS)」は世銀とIFCの共 同事業であり、外国直接投資を拡大するための分析 20 サービスと提言を途上国の政府に提供しています(図 3.2は途上国への資金流入額を示したもの)。2004年 10 度は、政策改革やキャパシティ・ビルディングの分野で 約60件の助言プロジェクトが実行されました。途上国 はFIASの政策提言の約70%を3年以内に導入、また は部分的に導入しています。たとえば、アルバニアは 政府の合理化と汚職の撲滅に関するFIAS提言を導入 0 1 (少) 2 3 4 (多) 手続きの数 事業開始までの手続きの数で比較 出典:世界銀行事業環境分析データベース、ワシントンDC、世界銀行、2003。 「世界経済 ・ 社会統計2003」 、ワシントンDC。 第3章 テーマ別展望 73 1961年頃。世銀はさまざまな民間産業の発展に寄与してきました。 写真はペルーのパカスマヨにあるセメント工場の様子です。 し、税関手続きの効率化などを進めています(www. 行われ、数々の途上国で政策対話、司法改革、およ fias.net参照)。 びキャパシティ・ビルディング活動の基盤となっていま 2004年度、世銀の「企業ガバナンスユニット」は10 す。エジプト・アラブ共和国はその一例であり、企業 カ国の証券法、企業法、および商慣行がOECD(経済 ガバナンスに関する提言を取り入れて、上場規則を 協力開発機構)の企業ガバナンス原則に準拠している 制定し、企業役員のための教育機関を設立しました。 かどうかを分析しました。この調査はこれまでに28件 融資、技術支援、および助言サービス 図3.2 途上国への長期資金流入額(純額) 1993–2003年 (単位:10億ドル) 200 2004年度、民間セクター開発分野では95件の新規 プロジェクトに支援が承認されました。承認総額は40 億ドルを超えています。こうした数字には、世銀が革 新的な融資を通して、投資環境の改革に積極的に取 150 り組んでいることを示しています。現在、世銀が支援 100 する民間セクター開発関連プロジェクトは488件、融資 総額は160億ドルを超えています。 50 IDAとIFCは複数のアフリカ諸国で先駆的なパイ ロットプロジェクト (2億2500万ドル) を開始し、中小企 0 業の成長を阻んでいる主要な問題に取り組んでいま 250 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 政府開発援助 外国からの直接投資 資本市場 a. 推定値。長期資金流入額(純額)は1年を超える債務の純発生額、あるいは債務の 当初の満期が1年を超えるものと定義されている。 出典:世銀、2004年、 「世界開発金融2004」 、ワシントンDC。 74 世界銀行 年次報告 2004 a す。世銀は投資環境調査の結果などをもとに、ブラジ ルに5億500万ドルの構造調整融資を提供しました。 このプロジェクトは通関や輸送のボトルネックを排除 することで、輸送コストを引き下げ、国内企業の競争 力を強化することを目指しています。なお、進捗状況 の評価には事業環境分析の指標が用いられる予定で す。ナイジェリアでは中小企業育成プロジェクトの設 民間セクター対話 計を支援しています。プロジェクトの成果は事業環境 投資環境改革が成功したケースでは、企業と政府 分析の指標と投資環境調査をもとにモニタリングされ の対話が重要な役割を果たしました。世銀はこうした る予定です。 対話を世界各地で積極的に推進しており、企業と政 民間セクターに関する研究は、助言サービスと技術 府が複雑な問題について率直に意見を交すことので 支援にも影響を与えています。世銀の「民間セクター きる開放的な環境作りに取り組んでいます。こうした 開発ネットワーク」は、IFCがドナーの支援を得ながら 場 で はし ばし ば 、事 業 環 境 分 析 、投 資 環 境 調 査 、 運営している「プロジェクト開発ファシリティ」 とも密接 FIAS報告書、および企業ガバナンス報告書が配布さ に連携しています。現在は世界各地に10のファシリ れています。ブラジルでは事業環境分析会議をきっ ティが存在し、厳しい事業環境に置かれている小規 かけに、政府に改革を提案する民間セクター団体が 模企業やビジネス関連団体に、状況を好転させるた 誕生しました。新しいジェンダーイニシアティブのもと めの技術支援を提供しています。中国の成都では、 で開催された会議では、13カ国の女性ビジネス団体 世銀の事業環境分析チームが信用調査の国際的なベ の代表者が、規制が女性に与える影響について意見 ストプラクティスを市政府に提供し、この都市の小規 を交換しました。ナイジェリアでは投資環境調査を基 模企業がより多くの融資機会を得ることができるよう 礎に「ビジネス改善イニシアティブ」が始まり、重要な 支援しました。 「外国投資助言サービス (FIAS)」は事 投資環境政策に関する官民の議論に弾みがつきまし 業環境分析チームとプロジェクト開発ファシリティの支 た。インドでは政策改革の進捗をモニタリングするた 援を得ながら、中国人民銀行と協力して、担保法を めに、民間セクター主導で投資環境の追跡調査アン 改革し、債権者の権利保護を強化するための提言を ケートが実施されました。ガーナ、セネガル、タンザ 作成しています。 ニア、およびウガンダでは、政府と企業の代表者で構 世銀の「民間セクター・ラピッド・レスポンス・ユニッ 成された投資家協議会が活動を開始しました。2004 ト」は、評価の高い知識管理ウェブサイトのリニューア 年にはFIASの援助をもとに、トルコに投資家協議会が ルを行いました。このウェブサイトは世銀の職員、政策 設立されました。OECD(経済協力開発機構) と世銀 立案者、および改革担当者に政策議論の場と、最新の が設立した複数ドナー信託基金「企業ガバナンスに 研究、データベース、および民営化ツールキットを提供 関する国際会議」は、政策に関する官民の議論を促 しています。このウェブサイトの年間ヒット数はおよそ 進することで、緊急に改善が必要とされている分野の 100万に上っています(http://rru.worldbank.org参照) 。 特定に貢献しています。 第3章 テーマ別展望 75 健全な金融システムの構築 世銀は長年にわたり、国家が貧困削減と経済成長 することができます(www.worldbank.org/finance)。 を達成するためには、有効で健全な金融システムが 2004年度、世銀はリスクを削減し、健全な金融市場 不可欠だと考えてきました。確固とした開発計画を持 を構築するための重要テーマ(金融セクターガバナン たず、透明性に欠け、適切な規制の存在しない金融 ス、リスク管理、企業の再構築、電子金融とセキュリ システムは、金融危機の影響を強く受ける傾向があり ティなど) について、さまざまな分析調査を実施しまし ます。広範な調査の結果、こうした衝撃や危機の影響 た(囲み3.6参照)。 は貧困層に集中することが分かりました。また、途上 途上国では住民のほとんどが金融サービスを利用 国では金融システムが脆弱であるため、経済成長や できません。世銀は金融サービスの提供状況や、アク エンパワーメントの担い手となる個人や中小企業が金 セスの拡大を阻害している要因を分析するフレーム 融サービスを十分に利用できず、貧困をさらに悪化さ ワークを開発しました。ラテンアメリカ地域ではブラジ せる一因となっています。世銀は金融セクターの強化 ル、コロンビア、メキシコなどの国々を対象に、金融 に3つの方法(知識の形成と普及、国別分析サービス サービスが個人にも提供されているか、各種の金融 の提供、および融資と技術支援)で取り組んでいます。 機関(商業銀行、公庫、小口金融機関、非公式の金融 組織)がアクセスを拡大するためにどんな役割を果た 知識の形成と普及 し、 また果たすべきかを分析する調査を実施しました。 国レベルの調査結果はすでに公開されており、現在 世銀は外部の組織と協力して、金融セクターに関す は国家間の比較分析が進められています。調査は現 る最先端の研究を行い、現場の開発実践者や政府の 在、インドや南アフリカでも実施中です。こうした取り 政策決定者を支援しています。研究成果(報告書と 組みは政策決定者が金融サービスのアクセス阻害要 データ)の大半は世銀のウェブサイトからダウンロード 因を理解する一助となるはずです。 「金融セクター学習プログラム」は、途上国で進め られているさまざまな研究活動を補完するものです。 このプログラムは金融セクターの政策決定者、規制当 局、民間セクターの開発実践者、世銀職員、および学 術関係者に革新的な政策助言と、専門分野を越えた 意見交換の場を提供しています。今年はリスクウォー ターズとの提携をはじめ、数多くのプログラムが実施 されました。リスクウォーターズは金融サービス (リス ク管理を含む)分野の情報を専門的に提供している 民間企業です。また、世銀は新しいバーゼル合意に 対応した強固なフレームワークの構築にも取り組みま した。新しい合意ではリスク管理の向上、監督機関 の強化、および情報の開示と銀行制度の透明化に重 点が置かれています。 世銀は危機的状況に置かれた国々への支援も拡大 しました。構造的財政問題に関する会議では、政策 1976年頃。バンガロールの時計工場で、熟練工が近代的な機械を整 備しています。この機械はインド工業開発銀行が世銀とIDAの融資を もとに提供した外貨で購入されました。 76 世界銀行 年次報告 2004 決定者と学術関係者が過去の教訓を参考にしなが ら、当局のためのハンドブックを作成しました。世銀 はマレーシア、南アフリカ、チュニジアなどで開催さ れた金融機関の債務超過に関する地域セミナーでも、 囲み3.6 電子金融のリスク 先導的な役割を果たしました。このセミナーはスイス のバーゼルで開催された「金融安定化の規制側面に 電子金融は金融取引や商取引のコストを削減する効 関するグローバルセミナー」の成果をふまえたもので、 果的な手段ですが、そこには新たなセキュリティリスク 参加者は中央銀行の法務部門の高官でした。2004年 も潜んでいます。世銀の金融セクター報告書「電子金融 度、世銀は「企業改革イニシアティブ」を立ち上げ、企 の安全性と健全性:新時代の金融セキュリティ」には、 業改革のベストプラクティスを討議するグローバルセ リスクを削減し、新興経済国がこうした新技術の恩恵に ミナーを開催しました。1990年代末の金融危機以来、 浴するための実用的な情報が掲載されています。世銀 企業改革と銀行改革にはつながりがあることが広く はこの報告書をさまざまな場で配布しました。2004年5 認識されるようになっています。 「金融セクター学習プ 月17–18日にシンガポールで開催された「電子金融サー ログラム」の 詳 細と今 後 の 活 動 予 定 に つ いては 、 ビスの安全性と健全性に関するアジア太平洋地域会 www.financelearning.orgをご覧ください。 議」はその一つです。この会議は規制当局や政策立案者 2004年度は国際送金の役割にさらなる注目が集ま が電子セキュリティのリスクを削減することができるよ りました。途上国では国外からの送金が重要な資金 う、安全で強固な電子金融プラットフォームを構築し、 源となっています。しかし、国内の金融インフラが脆 他国との連携を強化するための助言を政策立案者に提 弱で、国境を越えた金融取引が容易でないため、正 供しました。 式のチャネルは十分に活用されていません。母国に 送金を行う人の多くは、高い手数料を払って正式の チャネルを利用するか、非公式のチャネルを利用して おり、取引コストは毎年数十億ドルに上っています。 競争を促進し、正式な金融システムへのアクセスを拡 大し、決済インフラを整備することができれば、総コ ストは大幅に削減されます。適切な規制が適用され ている公式チャネルを通して資金が流れるようになれ ば、コストの削減になるだけでなく、透明性も高まり ます。また、こうした措置は途上国の金融セクターを 育み、金融サービスへのアクセスを改善し、国際問題 となっているマネーロンダリングとテロ資金供与に対 する世銀の取り組みを強化することにもつながります。 自然災害が途上国に与える影響は先進国よりも大 きく、また破壊的です。これは途上国のインフラの方 が脆弱で、建築基準が甘く、危機に対処するための ソマリアの両替市場の様子(2002年) 。 資金や仕組みが十分でないことなどによるものです。 途上国では保険市場が発達していないため、リスクを 国際再保険市場に移転することができません。その 力を強化する一助となっています。世銀はその他の 結果、自然災害リスクの大部分を国内で抱えることに 途上国でも同様のスキームの構築を進め、自然災害 なっています。世銀はこうした問題に対処するために、 管理能力の強化を促進しています。インドでは災害リ トルコ政府と同国の保険業者、および国際再保険業 スク管理に関する包括的な報告書を作成し、インド政 者と協力して、 「トルコ災害保険プール」を構築し、義 府に提供しました。この報告書は過去20年間に大災 務化しました。これはリスクファイナンスの資金源をあ 害にみまわれた経験のある4州で、地震、洪水、およ らかじめ確保することで、災害発生時に資金や流動 び台風が発生した場合の損失を試算することを主眼 資産にアクセスできるようにするもので、リスク管理能 としています。この報告書はインド政府に対し、災害 第3章 テーマ別展望 77 リスク管理センターを構築し、国・州レベルの災害対 のプロジェクトに対し、合計1500万ドルを提供してい 応・緩和能力を強化すること、このイニシアティブを ます。 機に、公式の臨時金融支援制度(偶発債務や近代的 世銀は安全な投資環境の構築を支援するために、 なリスク移転の技術導入など) を整備することなどを 国家や地域組織のマネーロンダリング防止・テロ資金 提言しました。インド政府は先日、自治省にリスク管 対策(AML/CFT)活動への技術支援を強化しました。 理を担当する部門を正式に設置し、現在は政府高官 こうした支援は世銀とIMFが国際的なAML/CFT基準 が世銀の報告書をもとに、国内の議論を喚起してい の導入状況を審査するために33カ国で実施したパイ ます。 ロットプログラムの結果をもとに実施されたものです。 支援内容としては、法律や規制の内容に関する助言、 国別分析活動 金融システムのセキュリティ強化、評価担当者のト レーニングなどがありました。AML/CFTに関するウェ 世銀は国際コミュニティの一員として、国際金融構 ブサイトも開設されました。このウェブサイトには世銀 造を強化するための、さまざまなイニシアティブに参 のウェブサイト (www.worldbank.org)からアクセスする 加しています。国際金融構造とは、危機の管理・予防 ことができます。 を促進するフレームワークと制度環境の両方を指しま す。たとえば、1999年に世銀とIMFが共同で設置した 「金融セクター評価プログラム (FSAP)」は、金融シス 融資、政策助言、および技術支援 テムの強みと脆弱性を明らかにし、危機が発生する 世銀は金融セクターの改革あるいは再構築に関心 可能性を低減することを目指すものです。2004年6月 を持っている途上国に、融資、助言、および技術支援 現在、86カ国が一次審査を受け、そのうちの66件が を提供しています。2004年度の金融セクター改革に 完了しました。現在は20カ国が一次審査の適用を正 対する融資総額は13億ドルでした。融資の対象は決 式に申請しています。 済システムから資本市場、金融セクターの再構築まで、 構造上重要な国、すなわち国内の金融危機が他国 多岐にわたりました。たとえば、西アフリカ地域では に波及する可能性のある国では、ほぼFSAPが完了し 地域金融市場の制度能力を高めるプロジェクトに融資 ています。ここにはG-20(途上国グループ)の半数以 が提供されました。世銀の技術支援とIDA融資をもと 上が含まれます。現在、FSAP対象国の中心となって に、このプロジェクトは規制フレームワークと地域組織 いるのは途上国の中でも特に貧しい小国と移行経済 の資本市場運営能力を強化しました。西アフリカ経 国です。一次審査は約17カ国で予定されていますが、 済通貨同盟諸国の統合を促進するプロジェクトにも中 今後は再審査とデータの改訂が中心となる予定です。 長期資金が提供されました。また、政治リスクを削減 また、世銀は複数のドナーと共に、FSAPやその他の する手法を開発し、西アフリカ諸国の中小規模のイン プログラムに技術支援のフォローアップを提供する フラプロジェクトが、商業銀行から長期融資を獲得す 「金融セクター改革強化イニシアティブ」を設置しまし た。このイニシアティブはこれまでに世界各地の89件 78 世界銀行 年次報告 2004 ることができるよう支援しました。 法制度の整備 貧困を緩和するためには、有効な法的フレーム の支援を拡大する一助となりました。また、世銀は ワークと法制度を整備することが不可欠です。この認 IMFおよび国連国際商取引法委員会と共に、債務超 識に基づき、世銀、借入国、国際金融機関、二国間ド 過と債権者の権利に関する統一基準の普及にも取り ナー、およびシビルソサエティ組織は法治の強化に高 組んでいます(www.worldbank.org/gild参照) 。 い優先順位をつけています。 世銀は2004年度も投資環境の改善と法治の強化に 世銀の法務担当副総裁室は、他の部局と密接に連 取り組み、さまざまな国の法律・司法セクター改革を 携しながら、法制度の近代化を目指す途上国への支 評価し、関連プロジェクトを実施しました(囲み3.7参 援を拡大しています。こうした取り組みを強化するた 照)。こうした評価は問題点を明らかにするだけでな めに、世銀は複数のドナーが参加するグラントファシ く、借入国との対話や、この分野におけるドナー支援 リティ 「法律改革信託基金」の設置を検討しています。 の調和化を促進するものとなっています。通常、世銀 この信託基金は知識の共有と蓄積、研究、キャパシ とドナーは評価結果をもとに、健全な投資環境を構築 ティ・ビルディング、法律教育、および法律の近代化に するための法律・司法改革に支援を提供しています。 取り組んでいるシビルソサエティの活動を促進するも モロッコでは世銀が支援した法律・司法開発プロジェ のとなる予定です。法治を促進する法律・司法改革 クトによって、商業裁判所と登記所が強化され、多く は、 「制度構築基金」グラントの優先支援分野でもあり の近隣諸国の注目を集めました(www.worldbank. ます。 org/ljr参照) 。 こうした取り組みの一環として、世銀は過去の教訓 を取り入れながら、法律セクターの近代化戦略を慎 重に策定しています。この戦略の目的は、法制度を整 備することにより、途上国の開発を測定可能な形で進 展させることです。 貧困の緩和と法律 世銀は司法セクターが貧困層に配慮しているかど うかにも重点を置いています。インドネシアでは世銀 が支援した「貧困層のための正義プログラム」によっ 法の強化による投資環境の改善 て、地域社会主導の法改革戦略が作成されました。 投資環境を改善するために、世銀は国際金融構造 の強化を支援しています。世銀は「債務超過と債権者 の権利に関する効果的なシステム構築のための原則」 を作成し、 この原則に沿って約25カ国を評価しました。 この評価は世銀とIMFが共同で実施したもので、結果 は「国際基準の遵守状況に関する報告書(ROSC)」に まとめられています。世銀はこれらの評価をもとに、8 カ国に技術支援を提供しました。また、75カ国以上を 網羅したオンライン・データベース「債務超過に関する 世界の法律のデータベース」を構築し、知識分野の支 援を拡大しました。OECDをはじめとするパートナー と共同で開催した「債務超過に関するラテンアメリカ 会議」 、韓国で開催した「第3回債務超過改革に関する アジア会議」 といった地域レベルの会議も、知識分野 モーリタニア東部の村アイウン・エル・アトラスの女性たちが、イン ターネットを見ながら、首都ヌアクショットの伐採業者から先住民族の 森林資産を守る権利について学んでいます。 第3章 テーマ別展望 79 囲み3.7 イラクの法環境の改善 この戦略のもとになったのは多数の事例研究です。こ うした事例研究は多くの人が差し迫った紛争を迅速 軍事紛争のさなかにある国や紛争後諸国では、良好 に、安価に、かつ円滑に解決するためには、正規の な投資・財政環境を構築することがきわめて困難です。 裁判所よりも非公式の村裁判所の方が有効だと考え 2004年度、世銀はさまざまな紛争後地域の業務、国際 ていることを示しています。多くの紛争には汚職が関 法、 および制度に関する問題に法的支援を提供しました。 わっています。村裁判所は少数の例外を除くと、ほと また、国際通貨基金(IMF)や国連と連携し、国連安全 んどの紛争を解決することができていません。これは 保障理事会、現行のイラク法、および連合国暫定当局 汚職に関与している人々が、住民よりもはるかに大き (CPA)の施策の枠内で、世銀がイラクの復興開発に果 な力を持っているためです。村裁判所が紛争を解決 たし得る役割を模索しました。その一環として、世銀は することができたのは、地域社会の指導者が住民の イラクの官民セクターのキャパシティ・ビルディングに取 声に耳を傾け、シビルソサエティと連携し、外部機関 り組んでおり、イラクの法律家に建設、ビジネス、およ から強力な支援を得ることができた場合だけでした。 び金融関連の契約書を作成・交渉する方法を教えてい こうした教訓は他国の司法セクターに対する援助戦略 ます。 にも活かされています。 たとえば、カンボジアの「第2次土地管理・運営プ ロジェクト」は、土地紛争で不利な立場に置かれてい る人々に法的援助を提供し、土地登記が明確なルー ルに基づいて行われるよう支援しています。世銀は ドイツ技術協力公社と共に本プロジェクトを支援して います。このプロジェクトは国土省が管轄する土地調 停委員会の調停システムを強化するもので、カンボジ アではこのシステムを通して、国家委員会が対立す る主張に最終決定を下しています。村裁判所に比べ ると、紛争当事者にとっても利用しやすい仕組みと なっています。 農村部の貧困層の多くは、自らの生活に関係する法 律文書を、理解できる形で入手することができません。 モーリタニアのあるパイロットプロジェクトは、 「制度構 築基金」のグラントをもとに、この問題の解決に取り組 んでいます。このプロジェクトは法律の正文をアラビ ア語とフランス語に翻訳し、インターネット上に掲載し ています。最近では、放牧地や樹木などの天然資源 の所有権を、僻地の住民に返還することを定めた新 しい牧畜法の内容が掲載されました。インターネット にアクセスできる人々は、掲載された法律の要点を、 文字を読むことのできない住民に詩や絵文字を使っ て伝えています。こうした革新的なプロジェクトは、地 域住民が自分の生活に関係のある法律にアクセスで きるようにすることで、人々のエンパワーメントに貢献 しています。 ウルンジ(南アフリカ)近郊の部族法廷には、食糧不足の問題も持ち込 まれます。 80 世界銀行 年次報告 2004 ジェンダーの平等への対応 よう、女性を対象とした法律関連の知識教育とトレー ニングを実施しました。 2004年度、世銀はジェンダーの平等と公正に関する 助言・技術支援プログラムを立ち上げました。グアテ マラ、ホンジュラス、ペルー、およびベネズエラ・ボリ 不正と汚職の根絶 バル共和国では、ジェンダーの平等に関する国際標準 世銀は汚職の根絶に取り組む途上国を支援するか (国際条約に基づいて設定されたもの)への準拠状況 たわら、世銀業務(国別分析および融資決定)の健全 を審査しました。コスタリカ、グアテマラ、ホンジュラ 性を審査し、汚職を根絶するための国際的な取り組 ス、メキシコ、およびベネズエラ・ボリバル共和国で みに貢献しています。世銀の組織風紀局は、世銀グ はテレビ会議を実施し、女性に男性と同等の司法 ループの業務に関して不正や汚職の申し立てがあっ サービスを提供するための戦略を提案しました。この た場合に、その調査を担当する部門です。世銀の制 戦略はジェンダーに基づく暴力に重点を置いています 裁委員会はこの調査をもとに、関係者が不正や汚職に が、これは各国の優先項目とも一致しています。女性 関与したことを裏付ける十分な証拠があるかどうかを の人権の分野では、他の国際機関(国連人権高等弁 精査し、そうした事実がある場合は、しかるべき制裁 務官事務所、国連女性開発基金、国際労働機関、米 を下します(一定期間の世銀プロジェクトへの関与禁 州機構、ラテンアメリカ・カリブ海経済委員会、および 止など) 。現在、世銀は世銀が支援するプロジェクトの 汎アメリカ保健機構) との連携を強化し、ジェンダー関 不正や汚職に関して、関係者の情報提供を求めるプ 連条約の実施とモニタリングを改善するための準地域 ログラムの導入を検討しています(www.worldbank. イニシアティブを策定しました。さらに、 「制度構築基 org/integrity参照) 。これが実現すれば、国際機関とし 金」グラントをチリ、ガーナ、ケニア、ナイジェリアと ては初の試みとなります。 いった国々に提供し、女性が自らの権利を行使できる 第3章 テーマ別展望 81 ザンビアを訪問中の ロバート・S・マクナマラ 世銀総裁。1972年 11月15–18日。 キングストン(ジャマイカ)のビクトリア・ ジュビリー病院で、出産を終え、 退院を控えた母親たちが家族 計画の講義を受けています。 1970年、世銀は家族計画 プロジェクトに対する最初の融資 を行いました。 ロバート・S・マクナマラ 世銀総裁。 1968–1981年。 チュニジアを訪問中の ロバート・S・マクナマラ 世銀総裁。1973年。 1970 国際農業研究協議 グループ(CGIAR)が 設立される。 IDA第3次増資が行われ る。拠出総額は29億ドル。 世銀の融資承認総額が 初めて30億ドルを超える。 世銀職員組合が 設立される。 1973 日本が世銀の5大出資 国の1国となる。 1972 世銀グループの融 資承認額が初めて 20億ドルを超える。 1971 1970 年代 ロバート・S・マクナマラ(1968–1981) ロバート・S・マクナ マラ総裁がナイロビ で開催された年次総 会で演説し、貧困の 緩和が初めて世銀ア ジェンダの筆頭に位 置付けられる。 開発の有効性 運河の拡幅・増深を行うために、 土手から土砂を運び出す人々。 1974年「スエズ運河改修 プロジェクト」 。 イエメンの「サナア上 下水道プロジェクト」 (1977年) では、井戸と 給水所が建設されたほ か、揚水器とパイプラ インが整備されました。 パキスタンの「タルベラダ ム・プロジェクト」 (1974年) は、カナダ、フランス、イ タリア、パキスタン、英国、 米国、および世銀が共同 で拠出した5億ドルの資金 によって実現しました。 最初の環境融資が行わ れる (フィンランドの水質 汚染抑制プロジェクト)。 IDA第4次増資が行われ る。拠出総額は45億ドル。 最初の「世界開発 報告」が発行され る (「世界開発報 告:1950–75年の 総括」)。 1979 IDA第5次増資が 行われる。拠出総 額は77億ドル。 1978 栄養プロジェクトに対す る最初の融資が行われ る (ブラジル、1900万ド ル)。 1977 IBRDとIDAの農村開発 プロジェクトに対する 単一年度の融資承認総額 が10億ドルに迫る。 1976 1975 カルカッタで子供の診察をする医師。 1973年「カルカッタ都市開発プロジェクト」。 世銀の融資承認総額が 初めて100億ドルを 超える。 保健・医療プロジェクト に対する融資を開始。 4 第4章 開発の有効性 世界が安定と繁栄を達成するためには、開発関係者 に次の3つの分野における行動が重視されています。 が測定可能な結果を達成することが不可欠です。それ はより多くの人々を貧困から救うことであり、高等教育 ■ 途上国―結果が達成される場所。結果重視マネ へのアクセスを改善することであり、乳幼児死亡率を引 ジメントを実現するための計画、統計、モニタリング、 き下げることです。よりよい政策決定を下し、効果的な および評価能力を高める。開発結果の説明責任 開発戦略を策定するためには、こうした望ましい結果の に対する国民の意識を喚起する。 達成に焦点を当てる必要があります。開発のための新 ■ 世銀―戦略、手段、インセンティブ、および報告シス たなパートナーシップは、ミレニアム開発目標(MDGs) の テムの結果重視志向を強め、適切で効果的な 達成に向けた進捗状況を測定することを各国に提唱し パートナーとなる。 ています。2004年度、世銀は「結果アジェンダ」に着手 ■ すべての開発機関―アプローチの共通化を進め、 しました。これは開発機関としての世銀の有効性を高 途上国のキャパシティ・ビルディングを協調的に支援 めることを目的とした行動計画です。また、開発パート することによって、結果重視マネジメントのグローバ ナーと共に、第1回の「グローバル・モニタリング・レポー ル・パートナーシップを構築する。 ト」 を作成し、MDGsを達成するために各国が進めてい る政策と行動の進捗状況を評価しました。 2004年度は3つの分野のすべてで進展が見られま した。 結果重視マネジメント 結果重視マネジメント (適切なデータをもとに、途上国 結果重視マネジメントを実現するために、途上国には がよりよい意思決定を下し、明確に定義された目標に向 意欲と能力が求められます。結果に関する情報を要求 かって開発を進めることができるようにすること) は、国 する政治的意思と、そうした情報を生成し、政策・経営 際的な開発アジェンダの中心を占めるものであり、世銀 判断に活用するための制度と専門知識がなければ、前 の戦略目標の中核を成すものでもあります。世銀は融資 に進むことは不可能です。しかし、多くの途上国には開 と非融資活動の質を改善し、援助の効果を高めること 発結果に関する基本的なデータも、モニタリング・評価 によって、結果重視マネジメントに貢献しています。2003 システムも、結果に関する情報を経営者や政策決定者 年度は結果重視マネジメントの概念フレームワークと世 に提供する制度構造もありません。 銀としての行動計画が策定され、この計画に基づく行 動は2004年度から始まりました。 このフレームワークはプロジェクトのあらゆる段階で結 84 途上国のキャパシティ・ビルディング こうした課題に取り組む途上国を支援するために、 世銀は政府の貧困削減戦略の結果重視志向の強化を 支援し、国内の制度が結果重視マネジメントに対応した 果に重点を置くことを提唱しています―つまり、初期(戦 ものとなっているかどうかを評価し、的確な分析活動、 略的な計画立案とプログラム設計)、実施中 (日々のプ 公共セクター改革、および財政管理の強化を通して、政 ロジェクト管理と設計の修正) 、および完了後(プロジェ 府機関が結果重視アプローチを導入できるよう支援して クトの評価と今後に向けた提言) です。この計画では特 います。2004年度の特記事項の一つは、途上国の統 世界銀行 年次報告 2004 計システム、制度能力、および計画立案を強化するため 囲み4.1 結果重視型CAS の包括的な融資プログラム「統計能力育成プログラム」 が構築され、適用が始まったことです。世銀は各国で 結果重視型CAS(国別援助戦略) は、世銀職員が最も の開発経験からベストプラクティスを抽出し、その普及 適切で効果的な援助プログラムを組み合わせて、途上国 に取り組んでいますが、こうした知識共有活動も途上国 を支援できるようにしたものです。結果重視型CASには次 の開発結果を高める一助となっています(第5章「知識 のような特徴があります。 共有と分析・助言サービス」参照) 。 ■ 開発結果への貢献 高い開発結果を達成することは世銀の普遍的な目標 援との関連性が明確に定義されている。 ■ です。しかし、成功を測る指標は時と共に変化してきま した。たとえば、かつては援助の「量」が重要な指標と 世銀と対象国を合意された結果に導くことのできる、 強固なモニタリング・評価システムが導入されている。 ■ され、その後は個々の融資プロジェクトの「質」が問わ れていました。しかし、ここ数年は開発結果をより広範 支援対象となる活動が目指す結果、および世銀支 対象国の結果重視マネジメント能力の強化に重点 が置かれている。 ■ 経験から学ぶ仕組みがある。次のCASと世銀の活 な視点から捉えることが求められるようになっています。 動の参考とするために、終了したCASは体系的に評 これは世銀の報告書とサービス (分析活動、キャパシ 価される。 ティ・ビルディング、グローバル・プログラムなど) が多様化 し、個々のプロジェクトの結果から、国レベルの結果に 焦点が移されるようになったためです。 2003年度と2004年度は6件の結果重視型CASパイ ロットプロジェクトが承認されました。初期のフィードバック 世銀は国別援助戦略とセクター戦略、融資手段、報 により、こうしたプロジェクトはセクター横断的な議論を喚 告システム、および世銀職員のインセンティブを、測定可 起し、適切な援助プログラムの選択に寄与していることが 能な結果を重視したものに作り替えることで、この新し 分かりました。途上国と世銀の対話も強化されています。 い指標に対応しようとしています。2004年度は世銀の報 パイロットプロジェクトに対する正式な評価は2005年度に 告書とサービスを国レベルの結果とよりよく結びつける 実施される予定です。今後は結果重視型CASが広範に ために、結果重視型CASのパイロットプログラムを導入 採用されていく予定です。 第4章 開発の有効性 85 開発機関との連携 開発結果を高めるためには、 途上国と開発機関の連携を強 化するだけでなく、開発機関同 士の連携も強化する必要があ ります。開発機関が援助対象 国に課している結果報告義務 は、対象国のモニタリング・評 価システムと一致したものでなけ ればなりません。また、途上国 の結果重視マネジメント能力を 強化するためには、各国の取り 組みに対して、開発機関が調和 の取れた支援を提供する必要 があります。 こうした問題に対処するため に、世銀は2004年度、結果重 しました(85頁の囲み4.1参照)。世銀のセクター委員 視マネジメントに焦点を当てた2つの公式パートナーシッ 会では、セクター/テーマ戦略の結果フレームワークと結 プの構築を支援し、積極的に参加しました。その一つ 果モニタリングが強化されました。結果志向を明確にし、 は多国間開発機関のパートナーシップ、もう一つは多国 世銀業務のモニタリングと評価を強化するという観点か 間開発機関と二国間開発機関のパートナーシップです。 ら、基本的な文書と手続きにも変更が加えられました。 世銀は他の機関と共に、結果重視マネジメントに関す また、結果重視アプローチの導入によってスキルの需要 る国際会議も開催しました。2004年2月にモロッコで開 が高まっていることを受けて、世銀職員と執行部がこう 催された「第2回結果重視マネジメントのための国際円 した需要に応えることができるよう、長期的な学習戦略 卓会議」はその一つです。こうしたパートナーシップや会 の策定も進んでいます。結果重視アプローチの重要性 議は、開発機関と途上国が結果重視マネジメントを促 はますます高まっており、世銀文化の一部と見なされる 進し、グッドプラクティスを共有し、お互いから学ぶ機会 ようになっています。 となっています。 世銀はIDA第14次増資(IDA14、対象期間2006–08 「第2回円卓会議」の主催者たちは、結果重視マネジ 年) に備えて、高度な結果測定システムを構築しました。 メントの中核原則、共同合意文書、および行動計画を このシステムは貧困削減戦略の優先項目との整合性 採択し、結果重視マネジメントの定義とそれを実現する や、ミレニアム開発目標との関連性に基づいて、プロ ためのアプローチについて、 広範な合意を形成しました。 ジェクトの成果を測定するものとなる予定です。このシス この円卓会議では各国の統計機関も、国際統計システ テムは開発結果の達成状況と、それに対するIDAの貢 ム (国際的な協力を含む) を強化するための中期的な 献に関する情報を総合的に提供するものとなります。 行動計画について合意しました。こうしたイニシアティブ 世銀全体を網羅した包括的な結果報告システムを構 を通して、世銀とその他の開発機関は調和の取れた結 築し、国、セクター、およびグローバルレベルの結果情報 果重視のアプローチと報告を実現するための基盤を を集めることは、結果アジェンダの重要な目標の一つで 整えつつあります。 す。しかし、このシステムは結果重視型CASや、結果志 向のプロジェクト/プログラムから得られる情報を必要と するため、結果重視アプローチが世銀の業務全体に拡 大されるまでは、その効果は限られたものとなります。 86 世界銀行 年次報告 2004 政策・手続きの簡略化と調和化 途上国への援助を近代化・簡略化するために、世銀 は投資政策と構造調整融資政策の合理化と改訂を進 めています。その一環として、世銀は投資融資における 融資対象項目の拡大、支出・財政管理・調達メカニズ ムの近代化、受託者手続きとプロジェクトのセーフガード 評価の合理化、およびその他の開発機関との政策の 調和化を進めています。 開発資金と引き換えにドナーが課しているさまざまな 義務が、途上国の「取引費用」 を高めていることは、国 際社会でも広く認知されるようになっています。この問題 に対処するために、多国間・二国間開発機関は政策、 手続き、および慣行の調和化を進めています。ドナー組 織は開発効果を高めるために、重複したプログラムや 援助の条件を撤廃し、各自が優位性を持つ分野で援 助を提供するようになっています。 世銀は経済協力開発機構(OECD) と共に、財政管 理、調達、環境・社会セーフガード、分析活動といった 分野で調和化ツールキットの開発を進めています。世銀 は開発実践者が調和化関連の情報を入手するための 達成しました。しかし、アフリカは大幅に遅れを取って ウェブサイトや、過去の経験やベストプラクティスを共有 おり、この目標を達成する見込みがあるのは域内の8カ するための国レベルの追跡ツールの開発にも取り組ん 国(アフリカ人口の約15%) にすぎません。また、第1目 でいます。 標を達成できると見込まれている地域でも、一部の国々 世銀は各国の法律が世銀のセーフガード・ポリシーと は目標を達成できない可能性があります。中でも、切迫 一致したものとなっているかどうかを確認するために、メ した状況にある低所得国(LICUS) は目標に遠く及ばな キシコ、ポーランド、スリランカ等で法律評価を実施し、 い可能性があります。LICUSの約半数はアフリカの 政府が適切な環境・社会管理フレームワークを設計で きるよう支援しています。 国々です。 人的開発分野の目標、特に教育と保健・医療に関す る目標の進捗状況は、実行された介入の規模と有効性 MDGs進捗状況のグローバル・モニタリング によってばらつきがあります。また、この分野の目標の達 成にはセクター横断的な複数の要因が関わっています。 2004年4月に発表された第1回の「グローバル・モニタ 教育関連の目標は、保健・医療関連の目標よりも達成さ リング・レポート」は、MDGsの達成可能性を世界規模 れる可能性が高いと見られています。現在の傾向が続 で概観するものとなっています。この報告書は楽観要因 くならば、複数の地域が初等教育の完全普及を達成す と共に、重大な懸念の存在を指摘しています。世界全 るか、達成に近づくことができるでしょう。しかし、ア 体で見ると、政策の改善とそれに伴う力強い経済成長 フリカはこの目標を達成できない可能性が高く、南アジ に助けられて、 「1990年から2015年の間に所得貧困を アと中東・北アフリカ地域でも状況は芳しくありません。 半減する」 というMDGsの第1目標は達成される可能性 この3地域はジェンダー格差が最も深刻な地域でもあり が高いと見られています。東アジアはすでにこの目標を ます。初等・中等教育におけるジェンダーの平等は、 2004年の開発委員会春期会合では、第1回の「グローバル・モニタリング・レポート」がアジェンダの中心を占めました。この会合は開発問題 に関する合意を形成するために、世銀と国際通貨基金(IMF)が合同で開催しているものです。この報告書は世銀とIMFの職員が、パート ナー機関(国際開発金融機関、OECD、国連、世界貿易機関) と密接に連携しながら作成しました。この報告書は開発委員会がミレニアム開 発目標とその関連目標を達成するために定期的に実施している政策アジェンダの進捗モニタリングを補強し、主要な関係者(先進国、途上 国、多国間開発機関)の説明責任を強化するものとなる予定です。 第4章 開発の有効性 87 約半分にすぎず、ほとんどの地 域はこの目標を大幅に下回る と見られています。目標を達成 できるのは全体の約20%、低 所得国の場合は10カ国に1カ 国と見られています。 世界や地域レベルの数字か らは見えないものの、地域内、 時には国内にも深刻な格差が 存在します。東アジアはその典 型です。この地域の中所得国は MDGsのいくつかをすでに達成 しているか、達成間近となってい ますが、低所得国はアフリカの 多くの貧困国と同様に、こうした 目標を達成できる見込みはほと んどありません。こうしたばらつ 2005年が達成期限となっていますが、世界全体として きは国内にも見られ、特に広大な国土を持つ国では深 見ると、途上国の約3分の1は2015年になってもこの目標 刻です。 を達成できないと考えられています。 低所得国に比べると、中所得国の見通しは明るく、 保健・医療分野では、MDGsの達成が非常に危ぶま その多くはすでに目標を達成しているか、達成に向けて れています。子供と妊産婦の死亡率の削減という目標 確実に歩を進めています。しかし、こうした国にも数億 に着実に近づいているのは途上国のわずか15∼20% 人に上る貧困層が存在します。 にすぎません。現在の状況が改善されないならば、ほ とんどの地域はどちらの目標も達成することはできない 緊急の行動が求められている分野 でしょう。HIV/エイズ、マラリア、および結核の罹病率は こうした数字が意味しているところは明らかです― 上昇しており、感染の拡大を食い止め、減少方向に転 MDGsを達成するためには、途上国は大幅に、かつ迅 じさせるという目標を達成することは難しいと見られてい 速に開発の速度を加速させなければなりません。すべ ます。こうした疾病の蔓延は、子供と妊産婦の死亡率 ての開発関係者(途上国、先進国、多国間開発機関) を上昇させる一因となっており、途上国の経済と社会に は、2002年3月にモンテレーで合意された原則とパート 与える影響は甚大です。HIV/エイズの感染拡大を食 ナーシップに従って、努力を拡大する必要があります。 い止めるという目標が達成されない可能性はアフリカ地 MDGsを達成するためには、次の3つのポイントを政策 域で特に高く、それ以外の地域でも多くの国が相当の アジェンダに組み込む必要があります。 リスクを抱えています。 安全な飲料水と基本的衛生設備へのアクセスは大 ■ 改革を加速し、深めることで、より力強い経済成長 きく遅れており、これが保健・医療分野のMDGsの達 を達成する。経済成長は所得貧困の削減に直結 成をさらに難しいものとしています。最も深刻なのは、 するだけでなく、それ以外の目標に向けて資金を 飲料水がアフリカ、衛生設備は南アジアです。2015 増大させる。 年までに安全な飲料水と衛生設備を利用できない人 88 ■ 貧しい人々のエンパワーメントと便益に投資する。 口を半減するためには、さらに15億人に安全な飲料水 人的開発と関連主要サービスの提供状況を改善す を、20億人に衛生設備を提供しなければなりません。 る。教育と保健・医療サービス、および関連インフ しかし、現在の進捗速度は必要とされている速度の ラサービス (水と衛生、農村道路など) を強化する。 世界銀行 年次報告 2004 ■ モンテレー・パートナー シップに基づいた行動を 加速し、改革を加速させ た 途 上 国に 対 する先 進 国と国際機関の支援を 拡大する。途上国が輸出 を拡大し、成長を加速さ せるためには、先進国市 場へのアクセスを拡大す る必要がある。途上国は 開発プログラムを実施す るために、さらなる援助を 必要としている。 「グローバル・モニタリング・ レポート」は す べ ての 開 発 パートナーの政策と行動を総 合的に評価しています。この報告書は説明責任のフ で、先進国が支援を拡大することを定めています。先進 レームワークであり、各関係者がモンテレー会議で掲げ 国の政策は地球環境の保全といった、地球規模の行 た公約の実施状況をモニタリングすると共に、優先的な 動の結果にも大きな影響を与えています。このフレーム 行動が求められている分野に国際社会の注目を集める ワークは4つの分野(マクロ金融政策、貿易政策、援 ものとなっています。 助、および地球公共財) に重点を置いて、先進国の政 このフレームワークは途上国の政策アジェンダを4つ 策をモニタリングしています(図4.2参照)。 の分野に分類してモニタリングしています:経済・財政 途上国がMDGsを達成するためには、国際金融機 政策、公共セクター運営、人的開発、および環境管理 関が重要な役割を果たします。このフレームワークは 国際金融機関の貢献を4つの側面(国別プログラム、 (図4.1参照) 。 モンテレー合意は、途上国の開発結果に直接的な グローバル・プログラム、パートナーシップ、および結 影響を及ぼす2つの重要分野、つまり 「貿易」 と 「援助」 果)から評価しています(図4.3参照)。 図4.1 モニタリング:途上国の政策 図4.2 モニタリング:先進国の政策 経済・財政政策 • マクロ • 民間セクター • 金融セクター 関連の規制と • インフラ • 貿易 制度環境 公共セクター運営 • 公共支出と収入管理 • 行政 • 透明性、説明責任、 汚職管理 人的開発 • 教育と保健・医療 • 社会的保護 • 発言/参加 • ジェンダー 環境管理 • 政策と制度 出典:世界銀行、2004年、 “グローバル・モニタリング・レポート 2004” 、ワシントンDC マクロ金融政策 • 経済成長と安定した資本移動を 促進する政策 貿易政策 • 農業と製造 • サービス(労働者の 一時的移動を含む) • 貿易関連の援助 援助 • 援助の量と質 • 債務救済 地球公共財 • 環境 • その他 出典:世界銀行、2004年、 “グローバル・モニタリング・レポート 2004” 、ワシントンDC 第4章 開発の有効性 89 表4.1 MDGs関連の世銀融資 2004年度 プロジェクトの件数 プロジェクト全体 MDGs関連のプロジェクト 初等教育の完全普及 ジェンダーの平等と女性のエンパワーメント 子供の死亡率の削減 妊産婦の健康の改善 HIV/エイズ、マラリアなどの疾病の蔓延防止 持続可能な環境作り グローバルな開発パートナーシップの構築 融資承認額(単位:100万ドル) IBRD IDA IBRD/IDA IBRD IDA IBRD/IDA 87.0 19.5 3.0 0.3 0.8 0.5 0.3 9.1 5.6 158.0 39.7 6.9 3.3 0.5 2.2 8.7 12.7 5.4 245.0 59.2 9.8 3.6 1.3 2.7 9.0 21.8 11.0 11,045.4 2,406.6 204.8 24.4 274.5 212.6 25.0 788.4 876.9 9,034.6 2,356.9 578.8 343.8 63.3 79.7 354.2 516.2 420.9 20,080.1 4,763.5 783.6 368.2 337.7 292.3 379.2 1,304.6 1,297.8 注:第1目標「極度の貧困と飢餓の撲滅」に関するデータが掲載されていないのは、貧困の削減は世銀の活動を貫く使命であり、世銀の融資はすべてこの目標と関連し ているからである。プロジェクトの件数が一部、整数でないのは集計システムによるもの。このシステムは複数の目標に関連するプロジェクトを特定し、二重計算や 成果物の過大報告を防ぐように設計されている。数字は四捨五入されている。 MDGsを達成するための費用 を超えるでしょう。これはほとんどの試算において、 先進国と金融機関には援助の量と質を高めることが 求められています。その一方で、途上国はこうした援助 MDGsを達成するために途上国が必要とすると見なされ ている金額です。 を有効に活用できないのではないかという懸念もありま MDGs達成のための費用を予測することは容易では す。しかし、モンテレー会議以降に約束された追加援 ありません。一つには、MDGs達成の「値段」をはじき 助は、それが実際に提供されたとしても、途上国の国 だすためには、平均費用と限界費用を区別しなければ 民総所得(GNI) に占める割合で見れば、1990年代初 ならないからです。教育を例にとると、子供を就学さ 頭の水準を下回っています。最近の世銀の研究により、 せるための限界費用は、平均費用よりも高くなる可能性 健全な政策と制度を持つ途上国は多額の追加資金を があります。これは学校に通っていない子供を学校に MDGs達成のために効果的に利用できることが分かり 通うよう説得するのは難しく、また家と学校が地理的に ました。こうした途上国が吸収できる援助資金は、控え 離れているケースも考えられるためです。もう一つの理 めに見積もっても年間300億ドル以上に達しています。 由は、ある目標の進捗が別の目標の進捗につながる 多くの途上国が政策とガバナンスを強化するようになれ からです。たとえば、安全な飲料水と衛生設備が提 ば、有効利用が期待できる援助資金は年間500億ドル 供されるようになれば、 地域住民の健康も増進されます。 図4.3 どの目標にも複数の決定要因があり、そうした要因の及 モニタリング:開発機関の支援 ぼす影響は複数のセクターにまたがっています。各目標 国別プログラム • 戦略的整合性(貧困削減などMDGsを達成するために 途上国が定めた優先項目との整合性) • プログラム設計の適切性と選択性 は相互依存関係にあるため、目標を達成するための費 用を別々に見積もると、二重計算の恐れがあります。ま た、追加資金の効果はその国がしかるべき政策・制度 改革を実施したかどうかによっても変わってきます。 グローバル・プログラム • PRG/GPG関連の 国別キャパシティ・ビル ディング支援 • 主要PRG/GPG関連の 国際組織での活動 (中心的な役割) パートナーシップ • 政策と慣行の 調和化 • 援助プログラムの 調整 MDGs関連の世銀融資 2004年度、世銀は承認された新規融資をMDGsごと に分析しました。表4.1は第2∼8目標に対する融資の内 訳を示したものです。 結果 • 質と結果の重視 • モニタリング、報告、 および評価のシステム 注:GPG=地球公共財、RPG=地域公共財 出典:世界銀行、2004年、 “グローバル・モニタリング・レポート 2004”、ワシントンDC 90 世界銀行 年次報告 2004 活動の質的評価 世銀の質保証グループ(QAG) の任務は、世銀のプ ロジェクトと分析業務の質をモニタリングすることです。 図4.4 実施中のプロジェクト(地域別) 2004年6月30日現在 融資承認総額951億ドルに占める割合 QAGは世銀上層部の直轄部署ですが、評価結果をま とめた報告書は理事会にも提出されます (これらの報告 南アジア 19% アフリカ 17% 中東・北アフリカ 5% 東アジア・ 大洋州 23% 書はwww.worldbank.orgで公開されています) 。評価 には専門家パネルも参加しており、 このパネルには毎年、 数百人に上る世銀上級職員に加えて、他の開発機関、 シンクタンク、大学、およびシビルソサエティ組織の経験 豊富な専門家が参加しています。専門家パネルを設置 することにより、評価の信頼性が確保されるだけでなく、 現場でプロジェクトを進めている職員に専門家の意見 を迅速に伝えることができます。 ヨーロッパ・ 中央アジア 15% ラテンアメリカ・ カリブ海 21% QAGは新規プロジェクトの質を「リアルタイム」に評価 し、フィードバックをプロジェクトが承認された時点(承認 時の質) と実施中(監督の質) に担当チームとそのマ ネージャーに即時に提供します。QAGは経済・セクター 図4.5 調査(ESW) と呼ばれる世銀の分析・助言サービスの評 実施中のプロジェクト(テーマ別) 2004年6月30日現在 融資承認総額951億ドルに占める割合 価も行っています。ESWの評価は、サービスが借入国 に提供された直後に行われます。2004年度は国別担 都市開発 12% 経済管理 1% 当局長の要請に応じて、国別融資ポートフォリオを評価 貿易・統合 4% 環境・天然 資源管理13% するパイロットプロジェクトが始まりました。QAGの主要 報告書である 「ポートフォリオの成果に関する年次報告」 は、実施中のプロジェクトの規模、構造、成果、および 質を分析したものです。このほか、QAGは世銀が直面 社会的保護・ リスク管理 7% 金融・民間 セクター開発 17% 社会開発・ ジェンダー・参加 9% 人的開発 13% している主要な業務課題を一つないし二つ選び、分 析報告書を作成しています。 QAGの評価結果は、この数年で広範な改善が見ら 農村開発 14% 法規 2% 公共セクター運営 8% れたことを示していますが、 「承認時の質」はおよそ2年 にわたって停滞しています。 「承認時の質」 において満足 できるレベルにあると評価された世銀プロジェクトは、 2000–02年度は平均90%に上ったのに対し、2003年 度は85%でした。 「監督の質」 においては、2002年度は 世銀業務の90%が満足できるレベルにあると評価され 図4.6 実施中のプロジェクト(セクター別) 2004年6月30日現在 融資承認総額951億ドルに占める割合 ました。ESWについては、92%が満足できるレベルに あると評価されました。2003年度の「ポートフォリオの成 給水・衛生・治水 10% 農業・漁業・林業 10% 果に関する年次報告」は、業務評価局(OED) が実施し 教育 9% ているプロジェクト終了時の評価で、満足できる開発結 果を達成したと評価されたプロジェクトの割合が下がっ 運輸 20% エネルギー・ 鉱業 9% たことに言及しています。これはプロジェクトの「監督の 質」評価が、開発結果の下降を食い止めるための警告 手段とならなかったことを意味しています。こうした結果 法律・司法・ 行政 16% をふまえ、世銀執行部は開発結果を高め、プロジェクト の成果のモニタリングと報告の信頼性を強化するため 金融 6% 保健・その他の 社会サービス 15% 情報・通信 1% 産業・貿易 4% 第4章 開発の有効性 91 を通して構築していることを明らかにしました。本報告 書は持続可能な貧困削減を促進するような政策の導入 を世銀が効果的に支援できたかどうかを分析し、3つ の重要なポイントを指摘しました。 ■ この4年間で、途上国の3分の2は経済・社会政策 を改善しました。こうした国の成長率はそうでない 国の2倍に達しています。世銀のプログラム (構造 調整融資だけでなく、あらゆる形態の支援を含む) は多くのケースで政策の改善に寄与しました。 ■ OED評価では、評価対象となった国別プログラム の70%が満足できる結果を達成したと評価されま した。それ以外のプログラムが十分な結果を出す ことができなかった理由としては、対象国に関する 知識の不足、支援プログラムと対象国の政策決定 スタイルの不一致、債務の持続可能性に対する過 度の楽観、対象国の状況を無視した政策・制度の 転用などがあります。 ■ 2002年度はプロジェクトの79%が満足できる結果 を達成したと評価されました。これは戦略的に 重要として設定された75%という目標値を上回る ものでした。2003年度のプロジェクトに関しては、 の包括的なプログラムに着手しました。図4.4、4.5、お 約84%に対して評価が完了し、このうちの74%が よび4.6は世銀の実施中のプロジェクトを地域別、テー 満足できる結果を達成したと評価されました(図 マ別、およびセクター別に分類したものです。 4.7参照)。 独立評価 世銀組織の評価 世銀組織の評価は理事会の要請を受けて、あるい 業務評価局(OED) は世銀理事会直属の独立評価部 門です。OED評価の目的は、世銀業務の結果を判断 図4.7 する客観的なデータを提供すること、世銀の目標達成状 況について、世銀が十分に説明責任を果たせるように プロジェクト結果の満足度 1974–2004年度 (満足できる成果をあげたプロジェクトの割合) 100 すること、そして世銀職員が過去の経験から学べるよう にすることです。OEDは過去のプロジェクトから教訓を 引き出し、評価結果に基づいた提言を行うことによって、 80 世銀業務の改善に貢献しています。 OEDの主要報告書である 「開発効果に関する年次レ 60 ビュー」の最大の目標は、世銀の開発効果を理事会に 通知することです。2003年度の「開発効果に関する年 次レビュー:政策改革における世銀援助の有効性」は、 世銀が貧困層に配慮した成長と広範で持続可能な貧 困削減を促進するための環境を、政策改革と制度構築 92 世界銀行 年次報告 2004 40 74 78 82 86 90 94 注:2003年度については、一部期間の案件しか含まれていない。 出典:世界銀行、業務評価局(OED)による計算。 98 02 年度 は特定の懸念に対処するために実施されるものです。 同評価では、現在進められている世銀業務の総合的な 有効性、効率、および定められた目標との整合性が分 析されます。2004年度は 「包括的な開発フレームワーク」 、 「知識の共有:イノベーションと未解決の課題」等の評 価が実施されました。 「包括的開発フレームワーク」評価は、包括的開発フ レームワークが威力を発揮するためには、途上国が規 律ある予算プロセスを導入すること、 ドナーが予算プロ セスの強化に取り組む途上国を支援し、その国の開発 戦略に沿った援助を提供すること、そしてすべてのド ナー、特に世銀がセクター横断的なプログラムの設計・ 実施メカニズムの開発に率先して取り組むことが必要 も得られないことを考えると、世銀と中国は政策と手続 だと結論しています。 きを見直すことによって、世銀援助を最大限に活用して 「知識共有:イノベーションと未解決の課題」は、世 いかなければなりません。 銀の知識プロセスにはさらなる戦略的方向性と監督が クロアチアに対しては、新興企業が活動しやすい事 必要であり、ネットワークと地域局は知識共有活動を世 業環境を整備するなどして、民間セクター開発を推進し、 銀のコア業務と密接に関連づける必要があると指摘し 成長の促進、失業問題への対処、および債務の持続 ました。本報告書は世銀の包括的な知識イニシアティ 可能性の改善に重点を置く必要があります。ルワンダの ブは時宜を得た適切なものであり、世銀の知識はより IDA援助に対しては、ミレニアム開発目標の枠組みに 迅速かつ容易に提供されるようになっていると評価しつ 従って、貧困と不均衡の緩和に焦点を当てることが提 つも、監督、モニタリング、およびインセンティブをさらに 言されました。ルワンダの開発を成功させるためには、 強化していく必要があると述べています。 分析・助言活動とルワンダの状況に合わせたプロジェク トが不可欠です。イスラム開発銀行と共同で実施され 国別プログラムの評価結果 たチュニジアの評価では、政府が進めている民間投資 OEDの国別援助評価は、特定の途上国での世銀の 環境の改善、社会支出の効率化と質の向上、および 援助プログラムの有効性を、通常は過去4、5年の結果 農村セクターの制度とセーフティネットの強化を支援する に照らして評価します。国別援助評価は、開発の成果 ことが奨励されました。 と世銀の国別援助戦略の関連性を分析し、世銀戦略 の有効性を総合的に判断します。たとえば、2004年度 セクター、テーマ別プログラムの評価結果 に実施されたアルメニアの援助評価は、民間セクター開 OEDのセクター別、テーマ別評価は、融資セクターま 発のための環境を整備し、公共セクター改革の促進に たはセクター横断的なテーマにおける世銀の成果と経 重点を置くことを世銀に提言するものでした。この2つの 験を5年から10年単位で分析し、それが世銀の政策や 分野の進展は、成長を維持するために必要な雇用の グッドプラクティスとどれだけ一致しているか、世銀の目 創出と輸出の拡大につながります。ボスニア・ヘルツェ 標がどの程度達成されているかを概観するものです。 ゴビナの援助評価は、国際通貨基金や欧州連合との 「世銀業務における社会開発レビュー」は、社会開発分 連携を密にし、重要な改革に共通のアプローチで取り 野における世銀の活動と、開発効果に対する重要性を 組む必要性を明らかにしました。 分析し、開発効果をさらに高めるための助言を提供し 1990年以来、世銀は政策助言と制度構築を通して、 ました。OEDは世銀に対し、開発結果の改善につなが 中国の急成長を力強く支えてきました。2004年度の るような社会的テーマを見つけ出し、その分野の活動 OED評価は、世銀が中国での活動を継続することを提 を強化することを提言しました。また、戦略的計画は現 言しています。しかし、融資プログラムが減り、IDA融資 在のスキル、モニタリング、および評価に対応したもので 第4章 開発の有効性 93 なければならないと指摘しました。OED報告書「ガーナ 高めることを提言しました。 における基礎教育の改善」は、ガーナの基礎教育制度 に対するハード面での支援は、同国の就学率の向上と CAS完了報告書のOEDレビュー 学習結果の改善に大きな影響を与えたものの、今後は 2004年度の特記事項の一つは、CAS完了報告書の 不利な状況に置かれた学校への配慮をさらに強化して OEDレビューが始まったことです。CAS完了報告書は いく必要があると指摘しました。 世 銀 の 新しい 重 要な自己 評 価 手 段 であり、O E Dレ 「採掘産業と持続可能な開発」評価は、ガバナンスの ビューの任務はその妥当性を審査することです。こうし 問題に正面から取り組むこと、プロジェクトの実施を強 たOEDレビューは2005年度には主流となり、将来的に 化すること、そして世銀の統合力を活かして関係者に 年間20∼25件のレビューが行われる予定です。2004年 精力的に関与することを強調しています。また、持続可 度はブラジル、カメルーン、モザンビーク、ウクライナ、お 能な開発に対する採掘産業の貢献度をさらに高めるた よびザンビアのCAS完了報告書についてOEDレビュー めには、世銀グループはセクターおよび国レベルで、統 が行われました。 合戦略を策定し、実施する必要があると指摘しました。 「移行経済国」評価は、東ヨーロッパとソ連の旧社会主 義国が経験した大規模な移行プロセスを世銀がどう支 査閲パネル 援したかを明らかにするものでした。本報告書はガバナ 世銀理事会は1993年に独立調査機関である査察パ ンス、貧困の悪化、および民営化プロセスにもっと早い ネルを設置しました。査閲パネルの任務は、世銀プロ 段階から注目していれば、移行経済国をより効果的に支 ジェクトによって影響を受ける人々の懸念によりきめ細か 援することができたと指摘しています。OEDは世銀の援 く対応し、プロジェクトの計画、準備、および実施段階で 助はおおむね成功を収めていると結論づけつつも、 世銀の業務方針と手続きが遵守されているかどうかを 94 利害関係者の参加を促すプログラムをさらに拡大する 確認することです。世銀が支援するプロジェクトによって こと、国別援助戦略を利用して、途上国の改革能力を 悪影響をこうむる可能性があると考える人は、2人以上 世界銀行 年次報告 2004 集まれば査閲パネルに申し立てを起こし、業務方針と 手続きの遵守状況を調査するよう求めることができます。 外部評価 理事会はパネルの提言をもとに、調査を開始するか 2000年、世銀グループは「採掘産業レビュー」 に着手 どうかを決定します。査閲パネルは一般市民、特に貧 しました。このレビューの目的は、石油、ガス、および鉱 しい人々が世銀の最高機関である理事会に直接アク 業に対する世銀の支援が持続可能な開発の進展にど セスする手段を提供しています。この仕組みは世銀が んな効果を与えたかを分析すること、そしてこうした支援 支援するプロジェクトによって悪影響を受けた可能性の が今後果たすべき役割を明確にすることです。採掘産 ある人々に対するエンパワーメントとなり、発言の場を提 業に対する投資は、世銀の年間融資承認総額の約2% 供するものとなっています。 を占めています。多くの途上国は、高い開発結果を達 査閲パネルは遵守の問題に取り組む世銀メカニズム 成するためには世銀グループの資金援助が不可欠だと の一つであり、査閲パネルが設置されたことによって、 考えています。また、世銀グループの資金を得たプロ 世銀は外部の申し立てに耳を傾け、それに対するパネ ジェクトは、環境、社会、およびガバナンスのセーフガー ルの評価結果を検討し、貧困削減という使命に向けて、 ドの面で産業界のモデルとなることが少なくありません。 よりよい政策と業務方針を導入することができるようにな りました。 「採掘産業レビュー」は世銀グループの執行部とは別 の独立したグループが実施した2つの評価で構成されて 2004年度は6件の調査請求が査閲パネルに提出され います。一つは世銀グループの業務評価ユニットとIFC・ ました。調査請求の対象となったのは、フィリピンの「第 MIGAの準拠アドバイザー・オンブズマン (前述) によるも 2次マニラ下水道プロジェクト」 、カメルーンの「石油開発 の、 もう一つは利害関係者との協議に基づいたものです。 パイプラインプロジェクト」、メキシコの「先住民族・地 このレビューにより、採掘プロジェクトに対する世銀グ 域社会生物多様性プロジェクト」 、コロンビアの「カルタ ループの関与は持続可能な開発にプラスの影響を与え ヘナ上下水道・環境管理プロジェクト」 、およびインドの ているものの、その程度にはばらつきがあることが分か 「ムンバイ都市輸送プロジェクト」 (2件) です。また、査閲 りました。特に利害関係者による報告書は、再生可能 パネルは第2回報告書「世銀における説明責任:査閲 エネルギー源、収入報告の透明化、地域社会の利害関 パネルの10年」 を発表し、査閲パネルのこれまでの軌跡 係者との協議の拡大、 プロジェクト情報の完全開示など、 を振り返り、過去の経験を総括しました。この報告書で 数多くの分野で改革の必要性を指摘しました。 は適格性の問題と、世銀の慣行と政策に査閲パネル 2004年6月18日、世銀グループ執行部は採掘産業に が与えた影響が検討されました。本報告書はフランス 対する支援活動の改革案を発表しました。この提案は 語、スペイン語、およびポルトガル語にも翻訳されました。 理事会の要請に基づいて公開され、30日にわたって一 査閲パネルの設置からこれまでの間に提出された調 般からのコメントを募集しました。これは理事会が世銀 査請求は33件に上ります。このうち10件はアフリカ地 としての公式の返答を承認する前に、幅広い関係者の 域、11件はラテンアメリカ・カリブ海地域、9件は南アジ 意見に耳を傾けることを目的としたものです。レビューに ア地域、3件は東アジア・大洋州地域から提出されたも 対する世銀内外からの反応への対応を反映した提案 のです。これら33件の調査請求はいずれも正式に受理 は、全 文 が 世 銀 のウェブサイトで 公 開されています 。採掘産業関連のその他の され、査閲パネルはそのうち14件について調査の実施 (www.worldbank.org/ogmc) を提言しました。このうちの6件はパネルの活動方針に レビューはwww.ifc.org/oegおよびwww.caoombudsman. 修正条項が加えられた1999年4月より前に承認されたも org/ev.phpにも掲載されています。 の、8件はそれ以降に承認されたものです。 世銀が採掘産業を支援することについては、株主国 調査請求、パネルの提言、パネルの調査報告書、お からは引き続き、広範な支持が得られています。世銀は よび今年度に調査されたプロジェクトに対する執行部の 業界基準の強化と普及に取り組んでいるほか、公共セ 提 言は 世 銀 のウェブサイト ( w w w. w o r l d b a n k . o r g / クター改革を支援し、技術的な助言とトレーニングを提 inspectionpanel) で公開されています。 供し、環境保護と代替エネルギーに関する専門知識と 革新的な融資を提供しています。 第4章 開発の有効性 95 メキシコを訪問中のA・W・クローセン世銀総裁。 バーバー・B・コナブル 世銀総裁 1986–1991年 オールデン・W・クローセン 世銀総裁 1981–1986年 1980年、経済復興と 構造調整の実行資金として、 トルコに2億ドルの 融資を承認。 1980 ティモシー・タハネが アフリカ出身者として 初めて、世銀の副総裁に 任命される。 IDA第6次増資により、 120億ドルを調達。 アン・クルーガーが 世銀初の女性副総裁に 任命される (経済・調査担当) 。 1983 中華人民共和国を中国を 代表する政府と認定。 以降、同国は世銀最大の 借入国の一つとなる。 1982 初の構造調整融資を承認 (トルコへ2億ドル) 。 A・W・クローセン(1981–1986) 1981 1980 年代 ロバート・S・マクナマラ(1968–1981) 小規模なグラントプログラム を設置し、NGO、政府、学術 関係者、およびマスコミの 連携を促進。 2004年度の活動概要 1984年、産業融資プロジェクトを実施し、中国の 軽工業を振興(写真は金属工場の様子)。 1985年、ボゴタの給水設備を拡大する費用として、 コロンビアに1億2900万ドルを融資。写真は契約書に 署名するベリサリオ・ベタンクール大統領(中央) と、 世銀のA・W・クローセン総裁(右端)。 トルコ南部の都市 メルシンの市場。 この市場は1981年に 青果プロジェクトの 一環として建設された もの。 多数国間投資保証機関 (MIGA) を設立。 MIGAは最も新しい 世銀グループ機関。 設立当時の加盟国数は29。 1989 大規模な機構改革を実行。 国別の部局が設置された ほか、初の環境局が誕生。 1988 1987 シビルソサエティと 開発問題についての グローバルな対話を 目指して、NGOワーキング グループを設立。 1986 1984 バーバー・B・コナブル(1986–1991) 世銀理事会が 情報公開政策を 承認。 5 第5章 2004年度の活動概要 途上国全体としてみると、2003年の成長率は先進 国をはるかに上回るものでしたが、国によって状況は 上昇したことが、地域全体の成長率を押し上げる結 果となりました。 大きく異なりました。2003年の一人当たり国内総生産 ラテンアメリカ・カリブ海地域では、国によって成長 (GDP)の伸びは、高所得国の平均が1.6%だったのに 率にばらつきが見られたこともあって、回復は小幅な 対し、低・中所得国はその2倍以上に当たる3.5%とな ものにとどまりました。2002年のGDP成長率は0.6% りました。これは諸外国から途上国への投資が回復 のマイナス成長となりましたが、2003年は1.3%に上昇 し、設備投資が前年比2倍以上に当たる10.8%で増加 し、2004年は3.8%に達する見込みです(図5.1は したためです。 1993–2003年の一人当たりGDPの推移を地域別に示 2003年のヨーロッパ・中央アジア地域は、前年の したものです)。 4.6%を上回る5.5%の経済成長を達成しました。同地 途上国全体のGDP成長率は、2004年に過去20年間 域は2004年以降も大幅な成長を維持する見込みで で最も高い5.4%に達し、2005–2006年はやや下がっ す。南アジア地域では国内需要が成長のはずみとな て、5%程度に落ち着くと見られています。以上をふ り、2003年のGDP成長率は前年の4.3%を上回る まえ、世銀は引き続き、各国の個別のニーズに合わ 6.5%となりました。同地域のGDP成長率は2004年に せた融資・助言サービスを提供しています。 7.2%に達した後やや減速し、中程度の成長率を維持 すると予測されています。世界的な投資回復の中で も、好転の度合いが最も顕著だったのは東アジア・ 知識共有と分析・助言サービス 大洋州地域の途上国です。急成長を続ける中国に牽 世銀が蓄積している豊富な開発関連知識は、世銀 引されて、この地域の2004年のGDP成長率は7.4%に の援助活動において、常に重要な役割を果たしてき 達すると見込まれています。 ました。経済・セクター調査、技術援助、リサーチ・ このように、多くの開発途上地域が加速度的な成長 サービスなどの分析・助言サービス、借入国の情報 を遂げているのに対し、アフリカ地域のGDP成長率 アクセスを強化する能力拡大プロジェクトなどはその は2002年の3.3%から、2003年には2.4%に減速しまし 一例です。 た。向こう2年間の成長率は4%前後まで伸びるとみ られていますが、そのためには良好な気候、政情の 98 研究 安定、そして抜本的な構造改革が不可欠です。この 国別研究は世銀の知識基盤の中核を成すもので 地域では引き続き、疾病とインフラの未整備が大きな す。研究の成果は政策研究報告書、開発データ、開 課題となっています。 発見通し分析など、さまざまな開発関連文書にまとめ 中東・北アフリカ地域では、主にイラク紛争に起因 られています。中でも 「世界開発報告」は世銀が毎年 する深刻な混乱にもかかわらず、2003年のGDP成長 発表している主要報告書の1つであり、世銀の研究を 率は2002年の3.3%を大幅に上回る5.1%となりまし 総括するものです。研究の成果は世銀の活動の基盤 た。これは1991年以来最も高い数字です。域内の石 となると同時に、さらなる研究を促すものとなってい 油輸出国のGDP成長率が前年の3.6%から5.7%に急 ます。 世界銀行 年次報告 2004 ニカラグアのサン・ファン・デル・スル 図5.1 一人当たり国内総生産(GDP)指標 1993–2003年度 アフリカ地域 東アジア・大洋州地域 200 200 150 150 100 50 100 1993 108 174 2003 100 50 ヨーロッパ・中央アジア地域 100 100 1993 2003 1993 中東・北アフリカ地域 150 100 100 2003 50 2003 200 150 122 1993 50 ラテンアメリカ・カリブ海地域 200 150 50 145 150 100 200 100 南アジア地域 200 100 107 1993 2003 100 50 122 100 1993 2003 出典:世銀「世界経済・社会統計データベース」 第5章 2004年度の活動概要 99 他国の参考にもなるものでした。 世銀の研究部門は2004年度に複数のインパクト評 価を実施しました。評価の対象となったのは、特定の 人口集団を対象とするプログレサ型の所得移転プロ グラム (アルゼンチン、ブラジル、エクアドル、中国)、 地域社会主導の参加型開発(グルジア、インドネシア、 パキスタン、フィリピン)、農村道路投資(ベトナム)、 衛生プログラム (バングラデシュ、インド)、教師・保 健業務従事者へのインセンティブ(アフリカ、アジア地 域の国々)、および新聞等を利用した広報活動(ウガ ンダ)です。 「世界開発報告2005:よりよい投資環境の構築(仮 題)」は、世銀戦略のもう1つの柱である「投資環境の 構築」 に焦点を当てたもので、投資環境は国によって、 また同じ国でも地域によって大きく異なるとしていま す。この報告書では、膨大なデータと各国の事例研 究をもとに、成長と貧困削減を促進する投資環境を 構築・運用するための施策が提案されています。本 報告書は政府が企業の意思決定に影響を与える4つ の分野として、事業コスト、機会の追求に伴うリスク、 機会の獲得を阻む直接的な障壁、および競争圧力を 挙げ、この4つは相関関係にあると指摘しています。 輸出用の食物とトルコの農民。 「世界開発報告2006:社会的平等と開発(仮題)」で は、途上国で生じている不均衡の実態と、それが経 「世界開発報告2004:貧困層向けにサービスを機能 済発展と貧困削減に与える影響が分析される予定で させる」は、世銀の開発戦略の1つの柱である「貧しい す。深刻な不均衡は貧困削減をさまざまな側面から 人々への投資とエンパワーメント」に焦点を当てたも 妨害し、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成をさらに ので、複数のインパクト評価の結果をもとに、保健・ 困難なものとします。本報告書では国内および国家間 医療、教育、およびインフラサービスを効果的に提供 の不均衡の現状と最新の動向を明らかにすると共に、 するための方法を考察しています。こうした体系的な こうした不均衡がもたらす影響の範囲と、不均衡を是 評価は、途上国の政策決定者がプログラムや政策の 正し、成長と経済効率を促進するための施策を考察 継続、変更、あるいは廃止を的確に判断し、希少な する予定です。 資源を有効に配分するための一助となっています。 「世界開発報告2004」にはメキシコのプログレサ・ プログラムの評価結果も掲載されました。プログレサ 経済・セクター調査 世銀の融資活動を補完し、開発の有効性を高める は子供の就学や保健プログラムへの参加を条件に、 一助となっているのが、世銀の経済・セクター調査 貧困世帯に毎月現金を支給するプログラムです。メキ (ESW)です。ESWの報告書としては、国別援助戦略 シコ政府は世銀による厳正な独立評価の結果に基づ (CAS)や政策対話全般の基礎となる主要現状分析報 いて、プログレサの拡大を決定しました。現在はメキ 告書、特定のテーマに焦点を当てた国別・地域別助 シコ国民の20%がこのプログラムの恩恵に浴してい 言報告書などがあります。報告書以外の成果物とし ます。このインパクト評価によって得られた知識は、 ては、政策ノート、ワークショップ、および会議があり メキシコはもとより、同様のプログラムを実施している 100 世界銀行 年次報告 2004 ます。近年のESWでは、借入国の主体性、参加プロ セス、パートナーシップ、およびキャパシティ・ビル ディングに重点が置かれるようになっています。 2004年度は金融・民間セクター開発と公共セク ター・ガバナンスに関するESW報告書が最も多く作成 されました。人的開発、社会的保護、および農村開発 の分野でもさまざまな調査が実施され、プロジェクト 設計や国別計画策定の一助となりました。たとえば、 世銀がポーランドで実施した「投資環境調査」は、生 産性(特に貧困層の生産性) に最も影響を与える投資 環境の特徴を分析し、改革の優先分野を明らかにす るものでした。インドに対する政策ノートは、同国の 財政スタンスを改善するための緊急措置を当局に提 言するものでした。ジブチ、ウガンダといった国々で は、 「国別財務管理評価」を実施し、公共セクターの財 務管理制度の長短を分析することによって、財務管理 能力を強化するための施策を提案しました。また、国 別報告書を補完するものとして、貿易、保健・医療、 所得分配などに焦点を当てた地域別報告書が作成さ れました。 世銀の環境ネットワークは、開発を促進し、貧困を削減するための 行動が、環境破壊につながることのないよう万全を期しています 2004年度は借入国全体で 734件のESW成果物が作 成されました(表5.1参照)。このうち122件は主要現状 分析報告書でした。これらの報告書は国別援助戦略、 貧困削減支援融資、およびその他の構造調整融資の 表5.1 経済・セクター調査(ESW)の成果物 2003–2004年度 基礎となるだけでなく、借入国との政策対話にも役立 成果物の数 てられました。ESWの成果は報告書以外の形でも提 供されました。これは、世銀がキャパシティ・ビルディ ングを重視するようになったこと、借入国が短期間で 開発成果を出せるよう、分析データを「ジャスト・イ ン・タイム」で提供するようになったことの表れです。 2004年度に作成されたESW成果物を地域別に見 報告書のタイプ 2003 2004 報告書 主要現状分析報告書 報告書以外の成果物 443 119 283 487 122 247 ESW成果物の合計 726 734 ると、アフリカ地域に関するものが約30%、ヨーロッ パ・中央アジア地域に関するものが21%でした。東ア 注:地域局、ネットワークが作成したものをすべて含む。 ジア・大洋州地域と中東・北アフリカ地域では、プロ グラム的ESWの利用がさらに進みました。中東・北ア のニーズに合わせたプログラムに重点を置くようにな フリカ地域では引き続き、償還可能な技術協力プロ りました。また、昨年度に引き続き、遠隔学習システ グラムに重点が置かれました(世銀と二国間・多国間 ムを利用したグローバル学習や、各国の意思決定者 ドナーの連携についてはwww.countryanalyticwork. が共通の開発課題について話し合う非公式コミュニ net参照)。 ティの構築も推進されました。こうした「実践コミュニ ティ」は関係者の学習の場となるだけでなく、開発効 能力の拡大 2004年度より、世界銀行研究所(WBI)は新たな方 針として、長期的な制度能力構築と、途上国の個別 果を高める一助となっています。また、実践コミュニ ティはメンバーが日々の業務で直面する問題や疑問を 解決する上でも役立っています。 第5章 2004年度の活動概要 101 囲み5.1 国別ニーズへの対応 世界銀行研究所(WBI)の「開発のための知識プログ ラム」は、中国の生涯学習プロジェクトの一環として、 同国のさまざまな省庁の高官による視察研修を実施し ました。視察団はメキシコと米国の主立った教育機関 や民間企業を訪れ、品質管理・認定システム、遠隔教 育、および大規模な再教育の現場を視察しました。 マダガスカルでは同国大統領の要請を受けて、新政 府の上級政治・行政官僚を対象とした研修を準備・実 施し、国家開発戦略の策定に貢献しました。また、各国 ワシントンDCの世銀本部にあるGDLNのスタジオ。アフガニスタン 女性とテレビ会議が行われている様子。 の指導者と政策担当者からなる緊密な南南コミュニ ティを組織し、開発関係者が国境を越えて、投資環境や グローバル・ディベロップメント・ラーニング・ネット ガバナンスの改善について意見を交換できるようにし ワーク (GDLN)の北京、コロンボ、デリー、ハノイ、お ました。 よびパリの拠点を結んで開催されたテレビ会議はそ ナイジェリアでは「能力拡大ニーズ評価」を実施しま の1つです。この会議では、貧困削減プロジェクトの した。主要な利害関係者と密接に連携し、それぞれの 拡大に地域社会主導の開発を利用する方法が、約3 能力拡大ニーズを分析したほか、キャパシティ・ビルディ 時間にわたって議論されました。 ングの内容や手法について意見を求めました。また、す WBIは世銀の国別チームと緊密に連携することで、 べての利害集団がナイジェリアの将来と行動計画に対 能力拡大プロジェクトがすべての国別援助戦略に盛 して共通のビジョンを持つことができるよう支援しまし り込まれるよう配慮しています。これまでに、WBIは た。WBIの能力拡大ニーズ評価では、講座やセミナーと ブラジル、インド、ケニアなど19カ国の国別援助戦略 いった伝統的な手段と並んで、インターネット、実践コ に貢献しました。また、WBIは世銀の結果アジェンダ ミュニティ、利害関係者との対話、相互学習、マスコミ を尊重し、プロジェクトの途中経過に重点を置いたモ なども知識共有の有効な手段と見なされています。 ニタリング・評価を実施しています。2004年度には12 件の結果・インパクト評価が実施され、現在13件が進 行中です。 WBIは講座やセミナーを実施する傍ら、インター 2004年5月に上海で開催された国際貧困撲滅会議 ネット、実践コミュニティ、利害関係者との対話、相互 では、WBIの協力により、事前に約半年間にわたって、 学習、マスコミといった新しい知識共有手段も活用し 102 各国の開発関係者が共に学習し、知識を共有する機 ています。また、途上国が自国のガバナンス体制やグ 会が設けられました。上海会議には1200人を超える ローバル知識経済への対応状況を測定するための診 人々が出席し、約100件の事例研究をもとに、成功し 断・分析ツールも開発しました。 たプログラム、政策、およびプロジェクトの規模を拡 WBIは新しい国別アプローチの一環として、地域 大する方法を話し合い、貧困削減の成功モデルを模 の固有の知識を利用し、現地のドナーや学習組織と 索しました。会議には多数の途上国・先進国から主 の連携を強化するために、プログラムの分権化を進 要な意思決定者が出席し、経済・社会・組織体制の めています。最近では、中東・北アフリカ地域と共同 違いを越えて、成功例、失敗例、およびその理由につ でフランスのマルセイユに中東・北アフリカ地域のた いて意見を交換しました。 めの知識センターを開設しました。これは小規模の事 事例研究の発表者が発表内容に対するフィードバッ 務所ですが、域内外の専門家の交流を促し、都市開 クを事前に得ることができるように、WBIは会期前に 発、ガバナンス、教育等に関するプログラムの設計を 約20回の国際テレビ会議を催しました。2004年2月に 支援する場となる予定です。WBIの事務所はアルマ 世界銀行 年次報告 2004 トゥイ、北京、カイロ、モスクワ、パリ、および東京に 図5.2 も設置されています(囲み5.1参照)。 2004年度、WBIは各国の研修施設と協力したり、 IBRDとIDAの地域別融資 2004年度 合計201億ドルに占める割合 南アジア 17% アフリカ 20% グローバル・ディベロップメント・ラーニング・ネット ワーク (GDLN)の遠隔学習システムを利用したりする ことによって、約124カ国で7万8500人を対象に、 中東・ 北アフリカ 5% 東アジア・ 大洋州 13% 1016件のトレーニングを実施しました(第1章の囲み 1.1参照)。 ラテンアメリカ・ カリブ海 27% ヨーロッパ・ 中央アジア 18% 2004年度における世銀の融資 世銀は国際資本市場から資金を調達するIBRDと、 富裕な加盟国から直接拠出金を得るIDAで構成され ています。世銀はIBRDとIDAの資金を借入国の貧し い人々のために役立てています。 世銀の国別融資には、ミレニアム開発目標(MDGs) の達成という世銀の目標が反映されています。融資 図5.3 IBRDとIDAのテーマ別融資 2004年度 合計201億ドルに占める割合 都市開発 7% 経済管理 2% は借入国の個別のニーズに基づいて行われ、その手 段はますます柔軟なものとなっています。 一般に、IBRDの融資対象となるのは中所得国です が、IDAの原資には制約があるため、比較的規模が 大きく、信用力がある国については、低所得国であっ てもIBRDの融資適格国と見なされます。IBRDの融 資は償還期間が長めで、融資条件も市場の条件に比 貿易・統合 6% 環境・ 天然資源管理 6% 社会的保護・ リスク管理 8% 金融・ 民間セクター開発 20% 社会開発・ ジェンダー・ 参加 8% 人的開発 15% 農村開発 8% べるとやや有利となっています。2004年度は33カ国 の87件のプロジェクトに対し、110億ドルの融資が行 公共セクター運営 17% 法規 3% われました。 一方、IDAの融資対象となるのは特に貧しい国々 です。こうした国々は通常、市場ベースの条件では資 金を調達することができません。IDAはこうした国々 に対し、10年間の据置期間を設け、35年から40年と いう長い償還期間で無利子の譲許的融資を提供して います(「開発融資」 と呼ばれます)。2004年度は62の 低所得国の158件のプロジェクトに対し、90億ドルの 図5.4 IBRDとIDAのセクター別融資 2004年度 合計201億ドルに占める割合 給水・衛生・治水 8% 農業・漁業・林業 7% 融資が行われました。 IBRDとIDAはどちらも貧困削減を最重要目標に掲 教育 8% エネルギー・ 鉱業 5% 運輸 19% げ、成長を促進し、基本的な公共サービスを改善す 金融 9% るプロジェクトに融資を行っています。世銀は他機関 とのパートナーシップを通して資金を提供することも あります。図5.2、5.3、および5.4はIBRDとIDAの2004 法律・司法・ 行政 25% 保健・その他の 社会サービス 15% 年度の融資を地域、テーマ、およびセクター別で分類 したものです。また、表5.2はテーマ別、セクター別融 産業・貿易 4% 情報・通信 <1% 第5章 2004年度の活動概要 103 表5.2 世界銀行によるテーマ別、セクター別の融資 1995–2004年度(単位:100万ドル) 1995–97 1998–99 年度 年度 (年平均) (年平均) テーマ 経済管理 環境・天然資源管理 金融・民間セクター開発 人的開発 公共セクター運営 法規 農村開発 社会開発・ジェンダー・参加 社会的保護・リスク管理 貿易・統合 都市開発 テーマ総額 セクター 農業・漁業・林業 教育 エネルギー・鉱業 金融 保健・その他の社会サービス 産業・貿易 情報・通信 法律・司法・行政 運輸 給水・衛生・治水 セクター総額 うち、IBRD融資額 IDA融資額 2000 2001 2002 2003 2004 1,129.2 2,616.5 5,876.9 1,888.7 1,646.0 274.4 2,418.4 1,102.7 1,288.9 674.7 2,090.4 1,952.7 2,018.6 9,486.0 2,486.5 2,550.7 362.9 2,746.4 1,320.5 2,653.9 813.2 2,403.3 799.6 1,829.4 3,368.4 1,190.3 2,142.5 373.6 1,413.7 800.8 1,895.0 426.4 1,036.6 895.3 1,354.6 3,940.9 1,134.7 2,053.7 410.0 1,822.3 1,469.7 1,651.0 1,059.9 1,458.6 1,408.0 924.0 5,055.4 1,756.1 4,247.2 273.2 1,600.0 1,385.7 1,086.4 300.9 1,482.4 777.7 1,102.6 2,882.9 3,374.0 2,464.1 530.9 1,910.9 1,003.1 2,324.5 566.3 1,576.3 428.6 1,304.6 4,176.6 3,079.5 3,374.0 503.4 1,507.8 1,557.8 1,577.0 1,212.7 1,358.1 21,006.8 28,794.8 15,276.2 17,250.6 19,519.4 18,513.2 20,080.1 1,395.0 1,633.2 3,459.9 2,069.6 2,053.2 1,661.3 152.0 3,543.2 3,186.0 1,853.5 2,097.1 2,154.3 2,311.0 5,029.9 3,114.1 2,922.7 179.4 6,264.7 3,511.3 1,210.2 837.5 728.1 1,572.4 1,571.6 1,491.7 1,036.7 273.8 4,534.6 1,717.2 1,512.6 695.5 1,094.7 1,530.7 2,246.3 2,521.2 718.3 216.9 3,850.2 3,105.2 1,271.7 1,247.9 1,384.6 1,974.6 2,710.8 2,366.1 1,394.5 153.2 5,351.2 2,390.5 546.0 1,213.2 2,348.7 1,088.4 1,446.3 3,442.6 796.7 115.3 3,956.5 2,727.3 1,378.3 1,386.1 1,684.5 966.5 1,808.9 2,997.1 797.9 90.9 4,978.7 3,777.8 1,591.6 21,006.8 28,794.8 15,276.2 17,250.6 19,519.4 18,513.2 20,080.1 15,288.5 5,718.3 21,634.3 7,160.5 10,918.6 4,357.6 10,487.0 6,763.6 11,451.8 8,067.6 11,230.7 7,282.5 11,045.4 9,034.6 注:プロジェクトの分類が変更されたことに伴い、2003年度の年次報告に記載されたテーマ別融資の数字を一部変更した。具体的には、法律・司法・行政セクターの下 に公共医療金融サブセクターを新設し、一部のプロジェクトを遡及的にこのサブセクターに分類したことにより、法律・司法・行政セクターと金融セクターの数字に変更 が生じた。端数を四捨五入したため、合計が合わないことがある。 資の一覧です。世銀融資に関する詳細は本報告書の 格があっても、信用力が低い場合はIBRDから融資を 第2巻に記載されています。 受けることはできません。また、信用力に関わらず、 一国に対するIBRDの融資残高が135億ドルを超える IBRDの役割 2004年度は、一人当たり国民所得が5115ドルに満 ことは認められていません。 1日1ドル未満で生活している人々の75%は、IBRD たない国々のうち、国際開発協会(IDA)からのみ融 の融資を受けている国で暮らしています。一般に、 資を受けている国を除いた国々がIBRDの融資適格 IBRD借入国は多少なりとも民間資本市場にアクセス 国でした。国民一人当たり所得が上記の金額を超え することのできる中所得国です。一人当たり国民所得 ている場合も、特定の条件下で、あるいは「卒業」戦 が低いためにIDA融資適格国となっている国でも、あ 略の一環としてIBRDの融資を受けることができます。 る程度の信用力があれば、IBRDからの融資が限定 104 ただし、IBRDが融資を行う金額は各国の信用力に 的に認められる場合があります。これらの国は「ブレ よって異なることに留意する必要があります。借入資 ンド借入国」と呼ばれています。ブレンド借入国に対 世界銀行 年次報告 2004 する融資を除いても、1日1ドル未満で生活している 図5.5 人々のうち25%が、IBRDの融資を受けている国で暮 IBRDの地域別融資 2004年度 合計110億ドルに占める割合 らしています。IBRDは、市場の平均よりも償還期間が 南アジア 4% 長く、緩やかな条件かつ持続可能な形で多額の融資 中東・ 北アフリカ 9% 東アジア・大洋州 15% を行うことにより、世界の貧困削減に大きく貢献して います。 IBRDはトリプルA(AAA)の格付けを得ている国際 金融機関であり、他の金融機関にはないいくつかの 特徴を備えています。たとえば、IBRDの株主は各国 ヨーロッパ・ 中央アジア 27% ラテンアメリカ・ カリブ海 45% 政府です。IBRDの加盟国(借入国)は、IBRDの方針 に対する発言権を有しています。IBRD融資(および IDA融資)では通常、融資と平行して、融資の効果を 高めるための助言サービスが提供されます。また商 業銀行と異なり、IBRDの目的は利益の最大化ではな く、開発効果の最大化に置かれています。 IBRDの融資 図5.6 IBRDのテーマ別融資 2004年度 合計110億ドルに占める割合 都市開発 8% 経済管理 3% 2004年度のIBRDの新規融資承認額は、前年度の 水準に迫る110億ドルとなりました。融資全体に占め る構造調整融資の割合は、前年度よりもやや高くなり ました。 融資承認額が最も多かったのはラテンアメリカ・カ リブ海地域で、全体の45%に相当する50億ドルの融 資が行われました。次いで、ヨーロッパ・中央アジア 環境・天然資源管理 7% 貿易・統合 7% 社会的保護・ リスク管理 10% 金融・ 民間セクター開発 22% 社会開発・ ジェンダー・ 参加 4% 人的開発 14% 農村開発 6% 地域が30億ドル、東アジア・大洋州地域が17億ドルで した。2003年度に比べると、融資の対象国はやや絞 法規 4% 公共セクター運営 15% られました。2003年度は5カ国で融資承認総額の約 49%を占めていたのに対し、2004年度はアルゼンチ ン、トルコ、ブラジル、および中国の4カ国だけで51% を占めました。 2003年度のIBRD融資をセクター別にみると、融資 承認額が最も多かったのは法律・司法・行政(27億ド ル)、次いで運輸(25億ドル)、保健・社会サービス 図5.7 IBRDのセクター別融資 2004年度 合計110億ドルに占める割合 給水・衛生・治水 6% 農業・漁業・林業 6% (18億ドル)でした。 教育 5% テーマ別にみると、融資承認額が最も多かったの エネルギー・ 鉱業 3% は金融・民間セクター開発で、第2位が公共セクター 運営、第3位が人的開発でした。図5.5、5.6、および 運輸 23% 金融 11% 5.7はIBRDの融資を地域、テーマ、およびセクター別 で分類したものです。表5.3は2001–2004年度の世銀 の構造調整融資承認額の一覧です。 法律・司法・ 行政 24% 保健・その他の 社会サービス 16% 情報・通信 <1% 産業・貿易 6% 第5章 2004年度の活動概要 105 表5.3 世界銀行による構造調整融資承認額 2001–2004年度 2001年度 2002年度 2003年度 2004年度 (百万ドル) (%) (百万ドル) (%) (百万ドル) (%) (百万ドル) (%) 地域別構造調整融資承認額 アフリカ 東アジア・大洋州 ヨーロッパ・中央アジア ラテンアメリカ・カリブ海 中東・北アフリカ 南アジア 908 250 1,132 2,788 185 500 16 4 20 48 3 9 1,437 17 4,743 2,517 263 850 15 0 48 26 3 9 789 100 710 3,639 165 615 13 2 12 60 3 10 925 104 1,620 3,022 0 480 15 2 26 49 0 8 IBRDとIDAの構造調整融資 承認額 IBRD IDA 構造調整融資合計 3,937 1,826 5,763 68 32 100 7,383 2,443 9,826 75 25 100 4,187 1,831 6,018 70 30 100 4,453 1,698 6,151 72 28 100 世銀の融資承認総額 IBRD IDA IBRDとIDAの合計 融資総額に占める 構造調整融資の割合 10,487 6,764 17,251 11,452 8,068 19,519 11,231 7,283 18,513 33 11,045 9,035 20,080 50 33 31 注:端数を四捨五入したため、合計が合わないことがある。 IBRDの原資 ドル、重債務貧困国(HIPC)信託基金に2億4000万ド 2004年度、IBRDは通常の資金調達の一環として、 ル、IDAからのみ融資を受けている国の債務削減 国際資本市場から130億ドルの中長期資金を調達し ファシリティに5000万ドルが移転されました。IBRDは ました。この額は2003年度の190億ドルを下回るもの 2004年度も流動性を適切な水準に保ち、その業務を でした。また、2004年度には多様な償還期間とストラ 遂行しました。2004年6月30日現在の流動資産は約 クチャーを持つ世銀債が10種類の通貨で発行されま 310億ドルとなっています。 した。世銀債の商品性が多様化したことにより、投資 家基盤が拡大し、途上国に融資を行う際の金利を引 き下げることが可能となりました。IBRDの健全な財 務体質は、株主国の支援と、国際金融市場で高い信 図5.8 資産利益率(ROA)推移(%) 2.5 2.06 用力を維持するためにIBRDが採用している財務方針 とその運用によって支えられています。 1.34 1.29 健全な財務体質 1.18 0.78 2004年度のIBRDの営業利益は16億9600万ドル、純 利益は16億7500万ドルでした(純利益の一部は準備 金や開発活動に配分されます)。健全な財務体質を 長期にわたって維持し、その他の開発ニーズにも対 応するという方針に従い、IBRDは純利益のうち6億 8000万ドルを別途積立金に、4億500万ドルを余剰金 勘定に繰り入れました。また、2004年度はIDAに3億 106 世界銀行 年次報告 2004 0 00年度 01年度 a 02年度 a 03年度 a 04年度 a. IBRDは2001年度に米国財務会計基準書No.133および国際会計基準書No.39を 使用した。その結果、デリバティブを時価で計上する必要性が生じた。2001∼04年の各 年度の資産利益率は過年度の数値と比較できるように、これらの基準書を使用しない場 合の数値で示されている。これらの基準書を使用した場合、2001年度は0.87、2002年 度は1.87、2003年度は3.64、2004年度は–1.67となる。 図5.9 資本/貸出比率 2004年6月30日現在(%) 30 は、世銀の財務・リスク見通しに基づいて厳格に管理 26.6 21.3 力の基本指標となる総資本に対する貸付残高の比率 29.4 22.9 21.5 されています。図5.9は2004年6月30日現在の資本/貸 出比率を示したものです。 優れた金融仲介能力 IBRDは、株主である各国政府から資金拠出を受 けていること、また借入国から優先債権者と見なされ ていることなどから、資本市場できわめて高い評価を 0 00年度 01年度 02年度 03年度 04年度 得ています。IBRDはトリプルA(AAA) という高い格 付けを得ているため、長期資金を有利な条件で調達 することができます。このため、新規借入コストは相 健全な財務体質の維持 対的に低く、多額の資金を低コストで調達することが IBRDは協同組織として、利益の最大化ではなく、 可能です。2004年度の借入コストはロンドン銀行間取 健全な財務体質を維持し、開発活動を継続するだけ 引金利(LIBOR) を平均で約38ベーシス・ポイント (1 の資産利益率(ROA) を確保することを重視していま ベーシス・ポイント=0.01%)下回るものでした。 す。IBRDは毎年、約1%の資産利益率を達成してい 2004年度の資本市場からの借入金残高(スワップ ます。2003年度は貸倒引当金が減少した結果、資産 後)は1030億ドルを超え、融資実行額と未実行残高の 利益率が2%を上回りましたが、2004年度は再び1% 合計は約1100億ドルとなりました。この借入額は世銀 となりました。図5.8は2000年度から2004年度にかけ の自己資本の約3倍にあたります。図5.10は2004年6 ての資産利益率の推移を示したものです。 月30日現在の世銀の借入と投資の状況を示したもの リスク管理 開発機関であるIBRDにとって、最大のリスクは途 表5.4 IBRDの財務データの概要(単位:100万ドル) 上国に融資や保証を提供することによるカントリーリス クです。金利や為替レートの変動リスクは最小限に抑 2004 年度 2003 年度 4,403 304 (2,789) (934) 712 5,742 418 (3,594) (882) 1,337 1,696 1,675 3,021 3,050 11,045 10,109 11,231 11,921 31,126 109,610 103,295 35,463 26,620 116,240 103,017 37,918 えられています。世銀は途上国のニーズに合った融 資を、できる限り有利な条件で行うために、国際金融 市場で活発に活動しています。世銀のリスク負担能 図5.10 借入金および投資額 2004年6月30日現在 (単位:10億ドル) 114.0 24.3 00年度 111.5 24.4 01年度 111.2 25.1 02年度 103.0 26.6 03年度 現金および流動性投資 スワップ後借入金残高 103.3 31.1 04年度 会計年度a 融資収益 投資収益 借入費用 管理費 その他 営業利益b 配分可能な純利益 融資承認額 融資実行額 年度末a 現金および流動性投資 融資金残高 借入金残高c 自己資本 a. 本年次報告の第2巻に示されている監査済み財務諸表からの抜粋 b. 米国財務会計基準書No.133の調整を除く c. スワップ後の借入金残高 第5章 2004年度の活動概要 107 図5.11 2004年度の純営業利益16億7500万ドルの配分案 (単位:100万ドル) 手数料を減免したり、一部の適格国については融資 別途積立金 680 も利益の一部を定期的に還元しています。 重債務貧困国 240 の約定利子を免除したりすることによって、借入国に 健 全 な 財 務 基 盤と市 場 からの 高 い 信 用 により、 IBRDは世界の債券市場で自己資本の4倍の起債を行 IDA 300 うことが可能となっています。開発プロジェクトに対 するIBRDの融資能力は、こうした高い資金調達能力 IDAからのみ 融資を受けている 国の債務削減 50 によって支えられています。図5.11は世銀が理事会に 提出した純営業利益の配分案です。 剰余金 405 注:理事会に対する提案 IDAの役割 IDAは最貧国に譲許的融資を行う世界最大の機関 です。表5.4は2003年度と2004年度におけるIBRDの です。IDAは経済・人的開発分野の基礎的なプロ 財務データの概要です。 ジェクトに投資を行っています。 IDA融資の適格国となるためには、相対的に貧困 IBRD純利益の獲得と配分 融資を得るだけの信用力を持たないことの2つの基 もの)、投資収益、および払込資本から収入を得てい 準を満たす必要があります。IDA融資適格国の基準 ます。予期せぬ信用危機が発生しない限り、ここから となる一人当たり国民所得の上限は、2004年度は865 貸倒準備金と一般管理費(職員退職金への引当金な ドルでした(ただし、IDAは経済規模の小さい諸島国 ど) を差し引いたものが純利益となります。 のように、IDA融資適格国の基準となる一人当たり国 IBRDの純利益は世銀業務に関わるさまざまな目的 民所得の上限は越えているが、IBRDから融資を受け に利用されています。純利益の一部は財務の健全性 るだけの信用力を持たない国についても例外的に融 を維持するために毎年留保されます。こうした留保利 資を行っています)。融資額は借入国の成長促進政 益により、IBRDは緩やかな条件で途上国に融資を行 策や貧困削減政策の質をもとに決定されます。評価 うことに伴う信用リスクを管理することができ、借入 は毎年実施されます。 国もその恩恵を享受することができます。また、留保 IDAから融資を受けている国々はMDGsの達成に 利益は融資の質が低下したり、資金需要が増加した 取り組んでいますが、その前には多くの複雑な問題 りした場合に、財務の健全性を維持する上でも役 が立ちはだかっています。政策面の優先課題として 立っています。 は、HIV/エイズやその他の伝染病の蔓延防止策の強 IDAへの支援は常に優先的に行われています。過 化、民間セクター投資の条件となる健全な投資環境 去5年間で、IBRDの純利益の約17%に当たる15億 の整備、ジェンダーの平等の促進、基礎教育の質の改 2200万ドルがIDAに移転されました。 善、貧しい人々が教育を受ける機会の拡大などがあ IBRDは重債務貧困国(HIPC) イニシアティブの支援 ります。 にも力を入れています。過去5年間でHIPC信託基金 IDAはこれまで、きわめて譲許的な融資を通して途 に移転された資金の総額は約10億7000万ドルに上り 上国を支援してきました。2003年度からはグラントの ます。この額はIBRDの年間純利益の約12%に相当し 適用範囲が拡大され、IDA国の中でも特に債務額の ます。 大きい最貧国の状況を緩和するためにグラント資金 IBRDの純利益は、その他の開発ニーズに対応する が提供されるようになりました。現在、IDAのグラント ためにも適宜利用されています。予期せぬ人道危機 はHIV/エイズ対策、自然災害復興、および紛争後復 に対応したり、有意義な目的に対してグラントやその 興の3分野を対象に提供されています。 他の支援を提供したりすることはその一つです。また、 108 であること (一人当たり所得で比較)、さらにIBRDの IBRDは融資収益(利息収入から借入費用を引いた 世界銀行 年次報告 2004 IDAの活動資金は自己資金とドナー国からの拠出 金でまかなわれています。IDAドナーは3年ごとに会 議を開き、今後の融資プログラムへの新規拠出額を 決定すると共に、融資方針と優先分野を議論します。 図5.12 IDAの地域別融資承認額 2004年度 合計90億ドルに占める割合 アフリカ 45% 南アジア 33% 2001年からは借入国の高官もこうした増資協議に参 加するようになりました。 IDAドナーの拠出額は通常、各国の相対的経済力 や貧困国に対する支援方針に基づいて決定されま す。従って、最大の拠出国は主要先進国となっていま すが、アルゼンチン、ブラジル、ハンガリー、韓国、ロ シア連邦、トルコといった途上国および移行経済国も ドナー国に名を連ねています。この中には現在も 中東・ 北アフリカ 2% ラテンアメリカ・ カリブ海 4% ヨーロッパ・中央アジア 6% 東アジア・ 大洋州 10% IBRDから融資を受けている国や、IDAから融資を受 けた経験を持つ国も含まれています。IDAはドナー からの強力で安定した支援と過去の融資に対する返 済金によって健全な財務水準を維持しています(IDA に関する詳細はwww.worldbank.org参照)。 IDAの融資 2004年度、IDAは158件のプロジェクトに対し、総 額90億ドルの支援を承認しました。このうち73億ドル は融資、17億ドルはグラントです。IDAはさらに7000 万ドルの保証も提供しました。2004年度のIDA融資承 認額は過去最高額となりました。 図5.13 IDAのテーマ別融資承認額 2004年度 合計90億ドルに占める割合 都市開発 5% 経済管理 1% 貿易・統合 5% 環境・天然資源管理 6% 社会的保護・ リスク管理 5% 金融・ 民間セクター開発 18% 社会開発・ ジェンダー・ 参加 13% 融資承認額が最も多かったのはアフリカ地域で、 IDA融資承認総額の45%に相当する41億ドルの融資 人的開発 17% 農村開発10% が行われました。第2位は南アジア(30億ドル)、第3 位は東アジア・大洋州(9億ドル)でした。国単位では 法規 1% 公共セクター運営 19% バングラデシュ、コンゴ民主共和国、インド、パキスタ ン、およびベトナムがIDA融資の主要借入国となりま した。 2004年度は、IDA融資の約19%がグラントとして提 供されました。グラントの内訳は、最貧国に対するも のが2億6400万ドル、重債務国に対するものが5億 2900万ドル、紛争後諸国に対するものが5億3600万ド 図5.14 IDAのセクター別融資承認額 2004年度 合計90億ドルに占める割合 給水・衛生・治水 10% 農業・漁業・林業 9% ル、HIV/エイズおよびその関連プロジェクトに対する ものが3億8100万ドル、自然災害復興プロジェクトに対 運輸 14% 教育 13% するものが200万ドルでした。 セクター別にみると、融資承認額が最も多かったの は法律・司法・行政で、IDA融資全体の24%に相当 エネルギー・ 鉱業 7% 法律・司法・ 行政 24% 金融 6% する23億ドルの融資が行われました。また、保健・社 保健・その他の 社会サービス 14% 会サービスと運輸セクターでも、全体の14%に相当す る12億ドルの融資がそれぞれ行われました。 産業・貿易 2% 情報・通信 1% 第5章 2004年度の活動概要 109 図5.15 IDAの資金源(単位:10億ドル) 12.7 (SDR)が供与されます。IDA 13の内訳は、ドナーか らの新たな拠出金100億SDR(約130億ドル)、IDAの 12.7 11.7 自己資金73億SDR(約90億ドル) (過去の融資に対す 9.2 8.4 る元本返済金や投資収益など)、IBRD純利益から移 7.9 転される7億SDR(約9億ドル)、および過去の増資か らの少額の残余資金です。図5.15は過去3回のIDA増 1.2 0.9 0.9 11次増資 97–99年度 12次増資 00–02年度 13次増資 03–05年度 資の内訳を示したものです。 IDA13のもとで、IDAは結果重視アプローチを強化 する大規模なイニシアティブに着手しました。その一 a IDAの自己資金 IBRDの純利益からの拠出 ドナー拠出金 環として、IDA援助の結果を測定・モニタリングし、 IDAプログラムが借入国の開発結果に及ぼした影響 を分析するシステムが開発されました。図5.16はIDA a. IDAの自己資金には元本返済金、手数料から一般経費を引いたもの、 および投資利益が含まれている。 が社会セクターへの支援を強化していることを示して います。 図5.16 社会セクターに対するIDA援助の増大 実施中のプロジェクト:290件(10年前は212件) 2004年2月、ドナーおよび借入国の代表がパリに集 まり、IDA第14次増資に関する初会合を開きました。 実施中の プロジェクトの件数 会合では債務の持続可能性、融資と開発結果の関連 300 付け、グラント部分の資金調達、借入国主導の開発に 55 59 した。 200 49 122 149 融資の新しい形 81 100 0 関する最新のIDA独立評価の結果などが議論されま 世銀の融資プロジェクトでは、開発効果を高めるた 82 93 81 1994年度 1999年度 2004年度 教育 めの施策として、セクターワイドアプローチ(SWAps) が採用されるようになっています。こうしたプロジェク トのほとんどは特定のセクター (例:教育)、または大 保健・栄養・人口 きなサブセクター (例:初等教育) を対象としたもので 給水・衛生・治水 す。SWApsは1990年代半ばから、アフリカ地域の低 注:IDA融資のみ適格国とブレンド国の両方のプロジェクトを含む。実施中の社会セク ター・プロジェクトに対するIDA融資承認額は1994年度が117億ドル、1999年度が144 億ドル、2004年度が154億ドル。端数を四捨五入したため、合計が合わないことがある。 所得国を中心に、プロジェクトを単体ではなく、包括 的な計画の一部として、借入国主導で進めるための 手段として採用されるようになりました。 テーマ別にみると、融資承認額が最も多かったのは この10年で、SWApsを採用した世銀プロジェクトは 公共セクター運営と金融・民間セクター開発で、それ 30件を超えました。その大半はアフリカ地域と南アジ ぞれ約19%でした。次いで人的開発が17%、社会開 ア地域の社会セクターを対象としたプロジェクトです。 発・ジェンダーが13%、農村開発が10%でした。図5.12、 世銀は他の開発パートナーと共に、共通の政策フ 5.13、および5.14 は2004年度におけるIDAの融資を地 レームワークと包括的なセクター計画(または投資計 域、テーマ、およびセクター別で分類したものです。 画) に沿って融資を提供する方法を模索してきました。 そうした活動の中心となったのが、開発機関の計画、 IDAの原資 110 モニタリング・評価、報告、監査、融資、および調達 IDA第13次増資(IDA 13)は、2003年度から2005年 システムの調和化です。政府と開発機関の資金を一 度に承認される融資の原資となるもので、IDA融資適 元管理するプロジェクトも増えました。低所得国は 格国に合計180億SDR(約230億ドル)の特別引出権 SWApsを採用することによって、ドナーの援助資金を 世界銀行 年次報告 2004 効率的に利用できるようになっています。中所得国で は、世銀の援助を自国の戦略や制度と一致した形で 受け入れ、プロジェクトを単独で実施した場合に発生 する取引コストを低減する手段として、SWApsが注目 されるようになっています。 この数年で、世銀は積極的にSWApsを採用するよ うになりました。これは開発援助において、借入国の 主体性、調和化、開発結果、そして途上国の制度や 手続との整合性が重んじられるようになったためで す。世銀の政策と手続きの簡素化・近代化がさらに 進めば、開発パートナーとより柔軟に連携できるように なり、SWApsをさらに効果的に導入できるようになり ます。現在、世銀が進めている監査方針、融資対象、 および調達ガイドラインの変更と、結果ベースの合理 的な融資への移行は、いずれも開発効果の向上と SWApsの促進を目的としたものです。 債務の救済と持続可能性 2004年度においても、世銀は重債務貧困国の債務 救済に取り組みました。また、低所得国がミレニアム 開発目標を達成できるように、債務の持続可能性の改 インドにおける幼児治療の現場。 善(長期的な債務管理) に努めました。 重債務貧困国(HIPC)イニシアティブは、包括的な http://www.worldbank.org/hipc参照)。現在、27カ国 開発戦略の一環として行われているもので、HIPCの (HIPC適格国の3分の2)が債務救済の適用を受けて 対外債務を管理可能な水準まで引き下げることによ おり、債権国による債務救済総額は520億ドルを超え り、HIPCに開発のスタートラインに立つ機会を与える ると予測されています。このうちの14カ国がすでに完 ことを目的 として いま す( H I P C に 関 する 詳 細 は 了時点(債権国が決定時点で約束した債務救済がす 図5.17 重債務貧困国(HIPC)に対する債務救済: 債務額の削減と債務返済比率の改善 図5.18 重債務貧困国イニシアティブの実施前と実施後の 貧困削減支出の推移 (10億ドル) (%) 30 60 15 支援前 (1999年) 30 14.6% 9.8% 21.8% $28 14.5% (%) 10,000 $9,104 輸出に占める 債務返済の割合 (左軸) $69 0 (100万ドル) 90 支援後 (2003年) 歳入に占める 債務返済の割合 (左軸) $6,067 注:2004年4月末時点で決定時点に達していた27カ国の加重平均。 出典:重債務貧困国(HIPC)イニシアティブの実施状況(世界銀行、ワシントンDC、 2002年9月) ;重債務貧困国(HIPC)イニシアティブ最新統計値(世界銀行、ワシントン DC、2004年4月) 9 貧困削減支出額 (左軸) 8 貧困削減支出の 対GDP比率 8% 5,000 決定時点での 債務額 (右軸) 0 10 7 6.4% (右軸) 6 0 5 支援前 (1999年) 支援後 (2003年) 注:2004年4月末時点で決定時点に達していた27カ国の加重平均。 出典:世界銀行、2004年4月、重債務貧困国(HIPC)イニシアティブ最新統計値 (世界銀行、ワシントンDC、2004年4月) 第5章 2004年度の活動概要 111 HIPCイニシアティブの結果、対象国の債務残高は 大幅に減少し(図5.17参照)、政府の社会支出が増加 しました(図5.18参照)。 世銀は貧困国の債務削減を進めるために、HIPCイ ニシアティブにとどまらず、債務の持続可能性という、 より長期的な課題にも取り組んでいます。低所得国に とって、債務を返済可能な範囲に収めつつ、ミレニア ム開発目標の達成に必要な資金を確保することは至 難の業です。 現在、世銀と国際通貨基金(IMF)は、HIPCイニシ アティブの適用を受けていない低所得国が返済を続 けることのできる債務額について、その算出方法を開 発しているところです。この方法を利用すれば、債務 国の個別の状況や、資金需要と債務返済能力のバラ ンスをふまえた上で、適切な融資判断を下すことがで きます。この方法には各国の政府高官、多国間・二国 間ドナー、学術関係者、およびシビルソサエティ組織 との広範な協議の結果が反映されています。 綿を紡ぐバングラデシュの女性。 信託基金 信託基金とは、世銀が外部ドナーと締結する財 べて完了した段階) に到達しています。2004年度に完 務・管理面での協定です。信託基金はプロジェクト 了時点に到達したのはエチオピア、ガーナ、ガイアナ、 の立案、技術支援、助言サービス、債務救済、紛争 ニカラグア、ニジェール、およびセネガルでした。そ 後復興、協調融資といった幅広い開発ニーズに対し の他の8カ国(ベナン、ボリビア、ブルキナファソ、マ てグラントを供与します。信託基金は革新的なプロ リ、モーリタニア、モザンビーク、タンザニア、ウガンダ) ジェクト・アプローチを推進したり、開発協力の範囲 は2004年度以前に完了時点に到達しています。現在、 を拡大したりすることによって、世銀の使命である貧 13カ国が決定時点に到達し、債務救済の適用を受け 困の削減に貢献しています。信託基金には多数の先 ています。 進国、一部の大きな途上国、民間セクター、および財 しかし、HIPCイニシアティブは依然として深刻な課 団が参加しており、複数ドナーによる援助プログラム 題を抱えています。主な課題としては、イニシアティ に利用されています。こうしたプログラムは世銀の ブの適用を受けていない重債務国(その多くは紛争 パートナーシップの中心となるものです。また、単独 の影響を受けている国) に、適用期限となる2004年末 のドナーが提供するプログラム的な信託基金(日本の までに「決定時点(国際社会がHIPCの債務を管理可 「開発政策・人材育成基金」など) も引き続き、開発 能な水準まで引き下げるための債務削減額に合意 活動を支える重要な存在となっています(詳細は し、救済プロセスが始まる時点)」に到達するよう奨 www.worldbank.org参照)。 励すること、決定時点に到達した国に、完了時点到達 に必要な条件を早期に満たすよう促すこと、非パリク 112 拠出金 ラブ債権国、民間債権者、および小規模国際機関の 2004年度、世銀の信託基金プログラムはさらに拡 参加を促すこと、HIPC諸国が貧困層に配慮した成長 大しました。ドナー拠出金は2003年度よりも10%(4億 戦略を遂行できるよう支援することなどがあります。 6000万ドル)増加し、49億ドルとなりました。信託基金 世界銀行 年次報告 2004 の総資産は68億9000万ドルから25%増え、86億ドル 表5.5 となりました。ここには重債務貧困国(HIPC)、地球環 信託基金ドナーの上位10カ国・機関 (単位:100万ドル) 境ファシリティ (GEF)、および世界エイズ・結核・マラ 03年度 04年度 欧州共同体(EC) 米国 英国 日本 世銀グループ オランダ ドイツ カナダ イタリア ノルウェー その他のドナー 241 1,085 252 500 329 269 194 151 132 142 1,148 880 594 585 508 466 400 226 198 187 174 686 拠出金総額 4,443 4,904 リア対策基金(GFATM) を除くすべての信託基金に 現金で払い込まれた金額が反映されています。上記 の3基金については、拠出金は発生ベースで計上され ます。表5.5に記載された2004年度の上位10ドナーで 拠出総額の86%を占めました。 実行状況 2004年の融資実行額は、2003年度よりも28%(7億 2000万ドル)増加し、32億8000万ドルとなりました。融 資実行額が最も多かったプログラムは、上位からHIPC (9億4100万ドル)、GFATM(4億2900万ドル)、GEF(3 億9800万ドル) 、アフガニスタン復興信託基金(2億1800 注:2004年度の各ドナー拠出額に基づいたランキング。 万ドル) 、およびヨルダン川西岸・ガザ地区信託基金(1 億7000万ドル)でした。この5つで融資実行総額の66% (21億6000万ドル) を占めました。信託基金の融資実行 額はいずれも現金ベースのものです。図5.19は信託基 金への拠出額とその実行額を示したものです。 図5.19 信託基金に対する拠出額と融資実行額 2000–04年度(単位:100万ドル) 5,000 4,904 4,443 4,500 4,000 収支と投資 総資産額は着実に増え続け、2004年度は86億ドル に達しました。これは2000年度の倍以上にあたります。 資産総額が増えた大きな理由としては、複数のドナー が参加する大規模でプログラム的な信託基金がいくつ か創設されたことが挙げられます。 主な新規プログラム 3,500 3,000 2,719 2,613 2,500 2,000 1,769 1,500 1,000 500 0 2000 2001 2002 2003 2004 世銀グループによる拠出 新たな開発課題に対処するために、ドナー・コミュ その他のドナーによる拠出 ニティは2004年度に複数の大規模な信託基金および 融資実行額 プログラムを創設し、世銀に管理を委託しました。主 な新規プログラムとしては、複数のドナーが参加する イラク復興信託基金(復興資金としてドナーが約4億ド ルの拠出を承認)、 「万人のための教育」ファースト・ト ラック・イニシアティブ信託基金(2004–2007年度の間 信託基金に関する最新情報 下記は2004年度に世銀が管理を担当した信託基金 の一例です。 に2億5000万ドルを調達予定)、 「ヨルダン川西岸・ガ ザ地区財政改革信託基金」 (世銀が運営するパレスチ ポリオ撲滅のための投資パートナーシップ ナ自治政府のための構造調整プログラムの協調融資 この信託基金は2003年度に世銀、ゲイツ財団、国 支援窓口:複数のドナーが最高1億8500万ドルの拠出 際ロータリー、および国連財団が設立したもので、世 を承認) などがあります。 銀が管理を担当しています。本信託基金の目的は、 2005年までにポリオを撲滅することです。この目的を 第5章 2004年度の活動概要 113 達成するために、本信託基金は目標の達成度に応じ 基金ファシリティ」の設立を批准しました。この基金は てインセンティブを供与するという斬新な資金調達メ 世銀と国連開発グループが管理する2つの信託基金 カニズムを採用しました。IDAの資金を使ってポリオ からなり、両基金は緊密な連携のもとで運営されてい の撲滅に取り組み、既定の目標が達成された場合は、 ます。2004年1月、世銀理事会は世銀がITFの管理機 IDA融資を信託基金で償却する―つまり、目標が達成 関となることを承認しました。2004年度末現在、世銀 された場合はIDA融資がグラントに転換されることに 信託基金への拠出金額は約4億ドルに上っています。 なります。2004年度末現在、この信託基金に対するド 当面は組織能力の構築と復興および経済移行の緊急 ナーの出資額は合計3900万ドルに上っています。本 ニーズへの対応が最優先課題となる予定です。ITFが プロジェクトは2003年12月に、他の2つのプロジェクト 支援したプロジェクトとしては、14のセクターを対象と と共に世銀総裁賞を受賞しました。 したプロジェクト管理訓練(360万ドル)があります。 緊急教科書配布プロジェクト (4000万ドル)は、2004年 気候変動のための後発開発途上国(LDC)基金 度にイラク国内の小中学校に教科書を配布することを この信託基金は固有の経済的・物理的特徴により、 目指すもので、この他に学校再建プロジェクト、民間 地球温暖化や気候変動の影響を受けやすい後発開発 セクター開発、インフラ整備、公衆衛生サービスの充 途上国(LDC)のニーズに対応することを目的に2002 実があります。 年9月に設置されました。当面は、国家適応行動計画 の策定支援が最優先課題となる予定です。基金の管 協調融資 理は地球環境ファシリティが担当し、世銀は受託機関 協調融資とは、世銀が支援する特定のプロジェクト となっています。2004年度末時点で、12のドナー国が に対して、二国間・多国間パートナー、輸出信用機関、 合計3300万ドルの拠出を約束しており、既に1700万 および民間投資家が共同で行う追加的な融資のこと ドルが支払われました。すでに43件の国別プロジェ です。協調融資を活用することにより、世銀は借入国 クトと2件の国際支援プロジェクトに対し、約900万ド にさらなる融資を、多くの場合緩やかな条件で提供 ルが拠出されており、その大半が実施段階に入って することができます。2004年度の主なパートナーは米 います。 州開発銀行 (37億ドル)、欧州委員会 (6億4000万ドル) 、 および英国国際開発省(6億1200万ドル)でした。協調 イラク信託基金(ITF) 2003年10月にマドリッドで開催されたドナー会議に おいて、国際ドナー・コミュニティは「イラク復興信託 114 世界銀行 年次報告 2004 融資の対象地域は上位からラテンアメリカ・カリブ海 地域(40億ドル)、アフリカ地域(30ドル)、南アジア地 域(13ドル)でした。 「バングラデシュ人口プロジェクト」の一環として、 ダッカの患者を回る家族計画病院の職員。1991年頃。 乳児の体重と 栄養状況を チェックする医師。 1991年頃、 ウガンダの診療所 にて。 ルイス・T・プレストン 世銀総裁。1991–1995年。 農村部の風景。1992年頃、ブータン。 トルコでは「セイハン川灌漑プロジェクト」 が実施されました。写真は水を流すための 畝を整備している様子です。1991年頃。 1990 プレストン総裁がリオデ ジャネイロで開催された 「地球サミット」に出席。 開発の促進と環境保護 は補完関係にあることを 確認。 「世界開発報告」のテー マに環境が選ばれる。 「査閲パネル」 を設置。査閲 パネルは外部 の要請に基づ いて、世銀が支 援するプロジェ クトの悪影響を 調査する独立の 調査機関。 1994 ロシア連邦および旧ソ 連の12の共和国が IBRDとIDAに加盟。 1993 メキシコの債務救済 プロジェクトに対し、 13億ドルのIBRD融 資を承認(現在に至 るまで、IBRD融資の 最高額) 。 インドに代わり、 中国が最大の IDA借入国とな る。中国は 1999/2000年に IDAから 「卒業」 。 1992 地球環境ファシリ ティが設立される。 ルイス・T・プレストン(1991–1995) 1991 1990 年代 バーバー・B・コナブル(1986–1991) 最初の情報公 開センターが オープン (ワシ ントンDC) 。 世銀の設立50 周年。 太陽光発電がもたらした明かりで 勉強するスリランカの子供。 ウォルフェンソン総裁とユース団体の代表者たち。 2003年、パリ。 ジェームズ・D・ウォルフェンソン 世銀総裁。1995–現在。 ディベロップメント・マーケット プレースの会場。2003年12月。 最初のディベロップメント・マーケットプレースが ワシントンDCで開催されました。1998年。 ボスニア・ヘルツェゴビ ナのための信託基金を 設置。 途上国の債務負担を軽 減するために、IMFおよ びドナーと共に「重債務 貧困国(HIPC) イニシア ティブ」 を設置。 ジェシカ・アインホーン が世銀初の女性専務理 事に任命される。 ロンドンで「信頼と 開発に関する世界 会議」 が開催される。 新しい開発アイディ アを求めて、 「第1回 ディベロップメント・ マーケットプレース」 を開催。 「包括的な開発 フレームワーク」 を 策定。 世界の第一 線で活躍し得 る優秀な障害 者の採用と維 持を本格化。 2000 「コソボ特別基金」 を 承認。 1999 韓国をはじめ、金 融危機の影響を 受けた国々を対象 に、投資家の信 頼を回復し、危機 の社会的損害を 最小化するための 融資を承認。 1998 「質保証グループ (QAG) 」 を設置し、世銀 業務の質に関する情報 提供を開始。 1997 1996 現在 1990 年代− ジェームズ・D・ウォルフェンソン(1995–) 各国首脳が国際機関と 共に「ミレニアム開発目 標」 を採択。 「貧しい人々の声」が発 行される。 「世界開発報 告」のテーマは「貧困との 闘い」 。 パートナーと共に、開発 に関するポータルサイト 「ディベロップメント・ゲー トウェイ」 を設置。 世界銀行について 2000年、世銀はHIV/エイズとの 戦いに5億ドルを追加拠出する ことを決定しました。 非公式の初等教育施設で 石板に文字を書く少女。 1995年、バングラデシュ。 ジェームズ・D・ウォルフェンソン世銀総裁。 ドバイで開催された世銀年次総会にて (2003年9月) 。 世界で最も優れた知識管理を 実践している5つの機関に世銀 が選ばれる。 満足の行く形で完了したプロ ジェクトの割合が約20年ぶり に75%に達する (1996年は 60%)。 マンペーラ・ランペーレがアフ リカ出身者として初めて、世銀 の専務理事に任命される。 8月、南アフリカのヨハネスブ ルグで「持続可能な開発に 関する世界サミット」が開催 され、10年前にリオデジャネ イロで開催された「地球サ ミット」の成果が議論される。 ジェームズ・D・ウォルフェンソン 総裁がドバイで開催された世銀 年次総会で、新たな世界的均 衡と国家間のパートナーシップ を呼びかける。 世銀とパートナー組織により、 2005年までにポリオを撲滅する ことを目指す革新的な融資プロ グラム「ポリオ撲滅のための 投資パートナーシップ」が設立 される。 「若者・開発・平和会議」が開催 され、開発に関する対話に若者 が参加するようになる。 2004 3月、 「開発資金国際会議」が メキシコのモンテレーで開催 される。開発のための新たな グローバル・パートナーシップ を構築することで合意。 2003 HIPCイニシアティブの対象国が 決定。22カ国において、340億 ドル以上の債務が削減されると 発表。 2002 性産業に従事しているカンボジアの女性たちが、 HIV/エイズに関する説明を受けています。 100以上の貧困国にHIV/エイズの ジェネリック薬を提供することを目 的としたパートナーシップに参加。 若者が開発関連のアイディアを交 換する場として、インターネット上に 「Youthink」 を開設。 中国の上海で「国際貧困撲滅会 議」が開催され、世界中の開発関 係者が開発アジェンダの実施を加 速させるための行動を話し合う。 6 総務および総務代理 2004年6月30日 加盟国 アイスランド アイルランド アゼルバイジャン アフガニスタン アラブ首長国連邦 アルジェリア アルゼンチン アルバニア アルメニア アンゴラ アンティグア・バーブーダ+ イエメン共和国 イスラエル イタリア イラク イラン・イスラム共和国 インド インドネシア ウガンダ ウクライナ ウズベキスタン ウルグアイ+ 英国 エクアドル エジプト・アラブ共和国 エストニア+ エチオピア エリトリア エルサルバドル オーストラリア オーストリア オマーン オランダ ガーナ カーボヴェルデ ガイアナ カザフスタン カタール+ カナダ ガボン カメルーン ガンビア カンボジア ギニア ギニアビサウ キプロス ギリシャ キリバス キルギス共和国 グアテマラ クウェート グルジア グレナダ クロアチア ケニア コートジボワール コスタリカ コモロ コロンビア コンゴ共和国 . 118 世界銀行 年次報告 2004 総務 Halldor Asgrimsson Charlie McCreevy Elman S. Rustamov Ashraf Ghani Hamdan bin Rashid Al-Maktoum Abdellatif Benachenhou Roberto Lavagna Arben Malaj Vahram Nercissiantz Ana Dias Lourenco Errol Cort Ahmed Mohammed Sofan David Klein Antonio Fazio (空席) Safdar Hosseini P. Chidambaram Boediono Gerald M. Ssendaula Mykola Azarov Rustam S. Azimov Isaac Alfie Hilary Benn Mauricio Yepez Najas Medhat Hassanein Taavi Veskimagi Ahmed Sufian Berhane Abrehe Eduardo Zablah-Touche Peter Costello Karl-Heinz Grasser Ahmed Bin Abdulnabi Macki Gerrit Zalm Yaw Osafo-Maafo Joao Pinto Serra Bharrat Jagdeo Grigoriy Aleksandrovich Marchenko Yousef Hussain Kamal Ralph Goodale Casimir Oye-Mba Martin Okouda Mousa G. Bala Gaye Keat Chhon Madikaba Camara Joao Aladje Mamadu Fadia Makis Keravnos George Alogoskoufis Nabuti Mwemwenikarawa Bolot E. Abildaev Maria Antonieta de Bonilla Mahmoud Al-Nouri Zurab Nogaideli Anthony Boatswain Ivan Suker David Mwiraria Bohoun Bouabre Alberto Dent Zeledon Younoussa Imani Alberto Carrasquilla Rigobert Roger Andely 総務代理 Geir Hilmar Haarde Tom Considine Farhad Aliyev Anwar Ul-Haq Ahady Mohammed Khalfan Bin Khirbash Abdelhak Bedjaoui Alfonso de Prat-Gay Fatos Ibrahimi Karen Chshmarityan Job Graca Asot A.Michael Mohammed Al-Sabbry Yossi Bachar Lorenzo Bini Smaghi (空席) Mohammad Khazaee Torshizi D. C. Gupta Hartadi A. Sarwono C. M. Kassami Mykola Derkatch (空席) Ariel Davrieux Gordon Brown Ramiro Galarza Fayza Abulnaga Renaldo Mandmets Mekonnen Manyazewal Martha Woldegiorghis Guillermo Lopez-Suarez Chris Gallus Thomas Wieser Mohammed bin Nasser Al-Khasibi Agnes van Ardenne Anthony Akoto Osei Victor A.G. Fidalgo Saisnarine Kowlessar Kayrat Nematovich Kelimbetov Abdullah Bin Khalid Al-Attiyah Paul Thibault Christian Bongo Daniel Njankouo Lamere Karamo K. Bojang Ouk Rabun Eugene Camara Francisco Correia, Jr. Christos Patsalides Plutarchos Sakellaris Tebwe Ietaake Kubat A. Kanimetov Lizardo Sosa Lopez Bader Meshari Al-Humaidhi Irakli Rekhviashvili Timothy Antoine Martina Dalic Joseph Mbui Magari Boniface Britto Francisco de Paula Gutierrez Moindjie Saadi Santiago Montenegro Trujillo Pierre Moussa 加盟国 総務 総務代理 コンゴ民主共和国 サウジアラビア サモア サントメ・プリンシペ ザンビア サンマリノ+ シエラレオネ ジブチ ジャマイカ+ シリア・アラブ共和国 シンガポール ジンバブエ スイス スウェーデン スーダン スペイン スリナム+ スリランカ スロバキア共和国 スロベニア スワジランド セーシェル+ 赤道ギニア セネガル セルビア・モンテネグロ セントクリストファー・ネーヴィス セントビンセントおよび グレナディーン諸島 セントルシア ソマリア ソロモン諸島 タイ 大韓民国 タジキスタン タンザニア チェコ共和国 チャド 中央アフリカ共和国 中国 チュニジア チリ デンマーク ドイツ トーゴ ドミニカ共和国 ドミニカ国 トリニダード・トバゴ トルクメニスタン+ トルコ トンガ ナイジェリア ナミビア+ ニカラグア ニジェール 日本 ニュージーランド ネパール ノルウェー バーレーン+ ハイチ パキスタン Andre-Philippe Futa Ibrahim A. Al-Assaf Misa Telefoni Retzlaff Eugenio Lourenco Soares Ng’andu Peter Magande Claudio Felici Joseph Bandabla Dauda Yacin Elmi Bouh Omar Lloyd Davies Ghassan El-Rifai Lim Hng Kiang Christopher T. Kuruneri Joseph Deiss Gunnar Lund El Zubair Ahmed El Hassan Pedro Solbes Mira Humphrey S. Hildenberg Sarath Leelananda Bandara Amunugama Ivan Miklos Dusan Mramor Guduza Dlamini Jeremie Bonnelame Antonio Nve Nseng Abdoulaye Diop Igor Luksic Denzil Douglas Jean-Claude Masangu Mulongo Hamad Al-Sayari Hinauri Petana Genoveva Jose Da Costa Situmbeko Musokotwane Loris Francini Samura Kamara Simon Mibrathu Wesley George Hughes Mohammad Hamandosh Lim Siong Guan Gideon Gono Micheline Calmy-Rey Carin Jamtin Abda Y. El Mahdi David Vegara Figueras Stanley B. Ramsaran P. B. Jayasundera Elena Kohutikova Irena Sodin Musa D. Fakudze Sylvestre Radegonde Miguel Edjang Angue Cheikh Hadjibou Soumare Mladjan Dinkic Wendell E. Lawrence Ralph E. Gonsalves Kenny D. Anthony (空席) Francis John Zama Somkid Jatusripitak Hun-Jai Lee Safarali Najmudinov Abdallah Omar Kigoda Bohuslav Sobotka Mahamat Ali Hassan Daniel Nditifei-Boysembe Jin Renqing Mohamed Nouri Jouini Nicolas Eyzaguirre Per Stig Moller Heidemarie Wieczorek-Zeul M’Ba Legzim Jose Lois Malkun Swinburne Lestrade Conrad Enill Shekersoltan Muhammedova Ibrahim H. Canakci Siosiua T.T. ‘Utoikamanu Ngozi N. Okonjo-Iweala Immanuel Ngatjizeko Luis Eduardo Montiel Ali M. Lamine Zene 谷垣 禎一 Michael Cullen Prakash Chandra Lohani Hilde Frafjord Johnson Abdulla Hassan Saif Henri Bazin Shaukat Aziz Laura Anthony-Browne Trevor Brathwaite (空席) Shadrach Fanega Somchainuk Engtrakul Seung Park Abdulaziz Sharipov Gray S. Mgonja Oldrich Dedek Mahamat Bahradine Oumar Sonny Mpokomandji Li Yong Abdelhamid Triki Mario Marcel Carsten Staur Caio K. Koch-Weser Mewunesso Baliki Pini Carlos Despradel Ambrose M.J. Sylvester Alison Lewis (空席) Aydin Karaoz Meleseini Lomu Haruna Usman Sanusi Carl-Hermann G. Schlettwein Mario Alonso Icabalceta Adamou Namata 福井 俊彦 John Whitehead Bhanu Prasad Acharya Olav Kjorven Zakaria Ahmed Hejres Raymond Magloire Waqar Masood Khan 第6章 世界銀行について 119 加盟国 総務 パナマ バヌアツ バハマ+ パプアニューギニア パラオ パラグアイ バルバドス ハンガリー バングラデシュ 東ティモール フィジー フィリピン フィンランド ブータン ブラジル フランス ブルガリア+ ブルキナファソ ブルネイ・ダルサラーム+ ブルンジ 米国 ベトナム ベナン ベネズエラ・ボリバル共和国+ ベラルーシ+ ベリーズ ペルー ベルギー ポーランド ボスニア・ヘルツェゴビナ ボツワナ ボリビア ポルトガル ホンジュラス マーシャル諸島 マケドニア旧ユーゴスラビア共和国 マダガスカル マラウイ マリ マルタ+ マレーシア ミクロネシア連邦 南アフリカ ミャンマー メキシコ モーリシャス モーリタニア モザンビーク モルディブ モルドバ モロッコ モンゴル ヨルダン ラオス人民民主共和国 ラトビア リトアニア+ リビア リベリア ルーマニア+ ルクセンブルク ルワンダ レソト レバノン ロシア連邦 Norberto Delgado Duran Jimmy Nicklam James H. Smith Bart Philemon Casmir Remengesau Dionisio Borda Owen S. Arthur Tibor Draskovics M. Saifur Rahman Maria Madalena Brites Boavida Jone Yavala Kubuabola Juanita D. Amatong Antti Kalliomaki Lyonpo Wangdi Norbu Antonio Palocci Filho Nicolas Sarkozy Milen Veltchev Jean Baptiste Compaore Haji Hassanal Bolkiah Athanase Gahungu John W. Snow Le Duc Thuy Bruno Amoussou Jorge Giordani Andrei V. Kobyakov Said W.Musa Pedro Pablo Kuczynski Didier Reynders Leszek Balcerowicz Adnan Terzic Baledzi Gaolathe Horst Grebe Lopez Manuela Ferreira Leite Arturo Alvarado Brenson S.Wase Nikola Popovski Zaza Manitranja Ramandimbiarison Goodall E. Gondwe Abou-Bakar Traore Tonio Fenech Abdullah Ahmad Badawi Nick L. Andon Trevor Andrew Manuel Hla Tun Francisco Gil Diaz Pravind Kumar Jugnauth Abdallah Ould Cheikh-Sidia Adriano Afonso Maleiane Fathulla Jameel Zinaida Grecianii Fathallah Oualalou Chultem Ulaan Bassem I. Awadallah Chansy Phosikham Oskars Spurdzins Algirdas Butkevicius Mohamed Ali Elhuwej Christian D. Herbert Mihai Nicolae Tanasescu Luc Frieden Donald Kaberuka M.C. Mphutlane Fuad A.B. Siniora Aleksei Kudrin (+印) IDA非加盟国 120 世界銀行 年次報告 2004 総務代理 Domingo Latorraca Simeon Athy Ruth R.Millar Koiari Tarata Lawrence Alan Goddard Jose Ernesto Buttner Limprich Grantley W. Smith Elemer Tertak Mirza Tasadduq Hussain Beg Aicha Bassarewan Tevita Banuve Rafael B. Buenaventura Paula Lehtomaki (空席) Henrique de Campos Meirelles Jean-Pierre Jouyet Bojidar Lubenov Kabaktchiev Lene Sobgo Yakub Abu Bakar Leon Nimbona Alan P. Larson Phung Khac Ke Fatiou Akplogan Tobias Nobrega Suarez Anatoly I. Sverzh Hugh McSweaney Javier Silva Ruete Guy Quaden Jerzy Pruski Dragan Doko Serwalo S.G. Tumelo Javier Cuevas Argote Francisco Esteves de Carvalho Maria Elena Mondragon de Villar Smith Michael Dimko Kokaroski Davida Rajaon David Faiti Marimantia Diarra Paul Zahra Samsudin Hitam Lorin Robert Mandisi Bongani Mpahlwa Myo Nwe Alonso Pascual Garcia Tames Krishnanand Guptar Mohamed Ould El Abed Manuel Chang Adam Maniku Dumitru Ursu Abderazzak El Mossadeq Ochirbat Chuluunbat Tayseer Al-Smadi Phouphet Khamphounvong Juris Lujans Arvydas Kregzde Ali Ramadan Shnebsh Harry A. Greaves, Jr. Emil Iota Ghizari Jean Guill Celestin Kabanda Moliehi Matabane Marwan Hemadeh German O. Gref 理事・理事代理および議決権 2004年6月30日 IBRD 理事 理事代理 国名 IDA 議決 権数 全体に 占める 割合(%) 議決 権数 全体に 占める 割合(%) 265,219 127,250 72,649 69,647 69,647 16.39 7.87 4.49 4.30 4.30 2,019,309 1,541,960 989,929 715,264 611,024 14.28 10.90 7.00 5.06 4.32 任命理事 Carole Brookins (空席)a Eckhard Deutscher Tom Scholar Pierre Duquesne Robert B. Holland, III 大矢 俊雄 Walter Hermann (空席)b Anthony Requin 米国 日本 ドイツ 英国 フランス Gino Alzetta (ベルギー) オーストリア、ベラルーシc、ベルギー、 チェコ共和国、ハンガリー、 カザフスタン、ルクセンブルク、スロバ キア共和国、スロベニア、 トルコ 77,669 4.80 643,927 4.55 Per Kurowski Maria Jesus Fernandez (ベネズエラ・ボリバル共和国) (スペイン) コスタリカ、エルサルバドル、 グアテマラ、ホンジュラス、メキシコ、 ニカラグア、スペイン、ベネズエラ・ ボリバル共和国c 72,786 4.50 310,523 2.20 Ad Melkert (オランダ) Tamara Solyanyk (ウクライナ) アルメニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、 ブルガリアc、クロアチア、キプロス、 グルジア、イスラエル、マケドニア 旧ユーゴスラビア共和国、モルドバ、 オランダ、ルーマニアc、ウクライナ 72,208 4.46 513,805 3.63 Marcel Masse (カナダ) Gobind Ganga (ガイアナ) アンティグア・バーブーダc、バハマc、 バルバドス、ベリーズ、カナダ、 ドミニカ国、グレナダ、ガイアナ、 アイルランド、ジャマイカc、セント クリストファー・ネーヴィス、セントルシア、 セントビンセントおよびグレナディーン諸島 62,217 3.85 592,142 4.19 Otaviano Canuto (ブラジル) Gil S. Beltran (フィリピン) ブラジル、コロンビア、 ドミニカ共和国、 エクアドル、ハイチ、パナマ、 フィリピン、スリナムc、 トリニダード・トバゴ 58,124 3.59 422,537 2.99 Biagio Bossone (イタリア) Nuno Mota Pinto (ポルトガル) アルバニア、ギリシャ、イタリア、マルタc、 ポルトガル、サンマリノc、東ティモール 56,705 3.50 503,819 3.56 John Austin (ニュージーランド) Terry O’Brien (オーストラリア) オーストラリア、カンボジア、キリバス、 大韓民国、マーシャル諸島、 ミクロネシア連邦、モンゴル、 ニュージーランド、パラオ、 パプアニューギニア、サモア、 ソロモン諸島、バヌアツ 55,800 3.45 428,234 3.03 Louis K. Kasekende (ウガンダ) J. Mills Jones (リベリア) アンゴラ、ボツワナ、ブルンジ、 エリトリア、エチオピア、ガンビア、 ケニア、レソト、リベリア、マラウイ、 モザンビーク、ナミビアc、ナイジェリア、 セーシェルc、シエラレオネ、南アフリカ、 スーダン、スワジランド、タンザニア、 ウガンダ、ザンビア、ジンバブエ 55,190 3.41 557,120 3.94 バングラデシュ、ブータン、インド、 スリランカ 54,945 3.40 596,440 4.22 選任理事 Kurt Bayer (オーストリア) Chander Mohan Vasudev Akbar Ali Khan (インド) (バングラデシュ) 第6章 世界銀行について 121 IBRD 理事 理事代理 議決 権数 国名 IDA 全体に 占める 割合(%) 全体に 占める 割合(%) Tanwir Ali Agha (パキスタン) Sid Ahmed Dib (アルジェリア) アフガニスタン、アルジェリア、ガーナ、 イラン・イスラム共和国、イラク、 モロッコ、パキスタン、チュニジア 54,602 3.37 282,926 2.00 Thorsteinn Ingolfsson (アイスランド) Inkeri Hirvensalo (フィンランド) デンマーク、エストニアc、フィンランド、 アイスランド、ラトビア、リトアニアc、 ノルウェー、スウェーデン 54,039 3.34 698,470 4.94 Pietro Veglio (スイス) Jakub Karnowski (ポーランド) アゼルバイジャン、キルギス共和国、 ポーランド、セルビア・モンテネグロ、 スイス、タジキスタン、 トルクメニスタンc、 ウズベキスタン 49,192 3.04 534,032 3.78 Zhu Guangyao (中国) Wu Jinkang (中国) 中国 45,049 2.78 273,252 1.93 Yahya Abdulla M. Alyahya (サウジアラビア) Abdulrahman M. Almofadhi (サウジアラビア) サウジアラビア 45,045 2.78 502,122 3.55 Alexey G. Kvasov (ロシア連邦) Eugene Miagkov (ロシア連邦) ロシア連邦 45,045 2.78 39,573 .28 Mahdy Ismail Aljazzaf (クウェート) Mohamed Kamel Amr バーレーンc、エジプト・アラブ共和国、 (エジプト・アラブ共和国)ヨルダン、クウェート、レバノン、 リビア、モルディブ、オマーン、 カタールc、シリア・アラブ共和国、 アラブ首長国連邦、イエメン共和国 43,984 2.72 296,897 2.10 Rapee Asumpinpong (タイ) Hadiyanto (インドネシア) ブルネイ・ダルサラームc、フィジー、 インドネシア、ラオス人民民主 共和国、マレーシア、ミャンマー、 ネパール、シンガポール、タイ、 トンガ、ベトナム 41,096 2.54 389,830 2.76 アルゼンチン、ボリビア、チリ、 パラグアイ、ペルー、ウルグアイc 37,499 2.32 247,319 1.75 ベナン、ブルキナファソ、カメルーン、 カーボヴェルデ、中央アフリカ共和国、 チャド、コモロ、コンゴ民主共和国、 コンゴ共和国、コートジボワール、 ジブチ、赤道ギニア、ガボン、ギニア、 ギニアビサウ、マダガスカル、マリ、 モーリタニア、モーリシャス、 ニジェール、ルワンダ、サントメ・ プリンシペ、セネガル、 トーゴ 32,252 1.99 432,337 3.06 Alieto Guadagni (アルゼンチン) C. Veronica Querejazu Vidovic(ボリビア) Paulo F. Gomes (ギニアビサウ) Louis Philippe Ong Seng (モーリシャス) 上記の理事および理事代理に加えて、下記の人物も2003年6月30日以降に理事または理事代理を務めた。 理事 Amaury Bier(ブラジル) 原田 有造(日本) Neil F. Hyden(オーストラリア) Finn Jønck(デンマーク) Franco Passacancando(イタリア) 任期終了日 2004年1月9日 2004年6月15日 2003年8月14日 2003年10月7日 2003年9月25日 理事 Eckhardt Biskup(ドイツ) Dong-Soo Chin(大韓民国) Helena Cordeiro(ポルトガル) Emmanuel Moulin(フランス) Alfonso C. Revollo(ボリビア) Rosemary B. Stevenson(英国) Sharon Weber(ジャマイカ) 吉田 正紀(日本) 注:ソマリア(IBRD−802票、IDA−10,506票)は2002年の定期理事選挙に参加しなかった。 a. 2004年7月6日より、大久保良夫(日本)が着任。 b. 2004年7月29日より、Caroline Sergeant(英国)が着任。 c. IBRDのみに加盟。 122 議決 権数 世界銀行 年次報告 2004 任期終了日 2003年8月31日 2003年7月22日 2003年9月11日 2003年7月22日 2004年5月14日 2004年5月14日 2003年11月14日 2003年7月11日 幹部職員 2004年6月30日 総裁 James D.Wolfensohn 専務理事 専務理事 兼 最高財務責任者 専務理事 専務理事 Shengman Zhang Jeffrey A. Goldstein Mamphela Ramphele Peter Woicke 上級副総裁 開発経済担当 兼チーフ・エコノミスト 上級副総裁 兼最高法律顧問 上級副総裁 兼ネットワーク統括責任者(人的開発) 副総裁 兼ネットワーク統括責任者(業務ポリシー・対借入国サービス) 副総裁 兼ネットワーク統括責任者(金融セクター) 副総裁 兼経理担当 副総裁 ラテンアメリカ・カリブ海地域 副総裁 対外関係、コミュニケーション、および国連担当 副総裁 兼ネットワーク統括責任者 (環境・社会・持続可能な開発) 副総裁 東アジア・大洋州地域 副総裁 ヨーロッパ・中央アジア地域 副総裁 兼ネットワーク統括責任者(民間セクター開発) 副総裁 譲許的融資・グローバル・パートナーシップ 副総裁 世界銀行研究所 副総裁 アフリカ地域 副総裁 兼主席情報担当官 副総裁 兼ネットワーク統括責任者(貧困削減・経済管理) 副総裁 兼コーポレート・セクレタリー 副総裁 南アジア地域 副総裁 中東・北アフリカ地域 副総裁 対外関係(ヨーロッパ地域担当) 副総裁 兼ネットワーク統括責任者(インフラ) 副総裁 人事 副総裁 兼トレジャラー 副総裁 戦略・金融・リスク管理 副総裁 兼駐日特別代表 総局長 業務評価 François Bourguignon Roberto Dañino Jean-Louis Sarbib James W. Adams Cesare Calari Fayezul H. Choudhury David de Ferranti Ian A. Goldin Ian Johnson Jemal-ud-din Kassum 勝 茂夫 Michael U. Klein Geoffrey B. Lamb Frannie Leautier Callisto Madavo Mohamed Muhsin Gobind Nankani W. Paatii Ofosu-Amaah Praful Patel Christiaan Poortman Jean-François Rischard Nemat Shafik Katherine Sierra Graeme Wheeler John Wilton 吉村 幸雄 Gregory Ingram 注:世銀の組織に関するさらに詳しい情報については、世銀ウェブサイト(www.worldbank.org)の「About Us」セクションをご覧ください。 第6章 世界銀行について 123 世銀職員について 世銀の重要な使命の一つは、 「人を引きつけ、活力 を与え、また耳を傾け、学ぶ姿勢を持った、多様で 世銀職員の勤務地 献身的かつ優れた職員を育てることのできる援助機 関を目指す」ことです。IBRDとIDAの業務は、ワシン ■ 働いています。 トンDC本部と世界各地の100を超える現地事務所で 働く約8800人の職員によって支えられています(囲み ■ ■ ■ 専門職の25%、サハラ以南のアフリカとカリブ海諸国 の出身者は全体の16%、管理職・上級専門職の7% 職員の75%以上は少なくとも1つの専門ネットワー クに所属しています。 の出身者は全体の60%、管理職・上級専門職の37% を占めています。女性は全体の51%、管理職・上級 職員の30%は財務、管理、およびコーポレート・ ユニットで働いています。 職員の多様性は世銀が誇る大きな財産のひとつで す。職員の国籍は164カ国以上に及び、パートII諸国 職員の15%は専門ネットワークやその他の業務ユ ニットの「アンカー・ユニット」で働いています。 参照)。現在では多くの世銀業務が、こうした現地事 務所で行われています。 職員の55%は世界の6地域(世銀の定義による)で ■ 国別担当局長の64%と職員の32%は現地事務所 で働いており、職員の28%は現地事務所が採用し た人々です。 を占めています。31人の世銀幹部のうち、10人は パートII諸国の出身者、4人は女性、6 人はサハラ以 南のアフリカ諸国の出身者です(パートI・II加盟国と には、執行部のさらなる努力が必要であることも明ら 幹部職員のリストは第6章/添付CD-ROM参照)。 かになりました。 世銀はさまざまな形で職員の功績に報いています。 たとえば、世銀のチームが借入国に提供したサービ スの中でも、特に傑出したものには「世銀総裁賞」が 贈られます。優れたリーダーシップと管理能力を発揮 地域社会への貢献 世銀はワシントンDCとその近郊で暮らす人々の生 「コミュニティ・アウトリーチ・プ した職員には、 「職員組合が選ぶ優秀マネージャー賞」 活を改善するために、 が贈られます。2004年3月には、 「違い」を尊重し、そ ログラム」を実施しています。また、職員のボランティ の価値を称える行動を取った個人とチームに「第1回 多様性・参加リーダーシップ賞」が贈られました。こう した賞の受賞者は職員の推薦に基づいて決定されて います。 職員の意見は、世銀執行部にとっても重要な情報 源となっています。今年の「職員アンケート」 (職員の 83%が回答)は好意的な結果となり、2002年と比較す ると、多くの分野で進捗が見られました(2002年の結 果も、世銀が1999年以降、長足の進歩を遂げたこと を示すものでした)。たとえば、 「総合的な満足度」は 85%に上昇し、職員の92%は世銀で働くことを誇りに 思うと回答しました。多くの職員が自分は評価されて いると感じ、勤労意欲は高く、世銀の方向性をよく理 解していると答えました。しかし、借入国と交流する 時間を増やし、出張時の安全性を高め、プログラムア シスタントがチーム会議に参加できるようにするため 124 世界銀行 年次報告 2004 2004年3月、世銀グループは「第1回多様性・参加リーダーシップ賞」 の授賞式を開催しました。写真は障害・開発アドバイザーのジュディ・ ヒューマンとコンサルタントのピーター・アルトシュルです。 ア活動を奨励し、毎年グラント・プログラムを開催して 共に、革新的なプログラムを開始しました。これ いるほか、地域組織と協力して、地域社会の強化に取 は2つの高校の生徒が作成したビジネスプランに り組んでいます。最近の主な活動は次の通りです。 基づいて、世銀のオフィスにある余剰消耗品を近 隣の非営利組織にきわめて安い価格で販売する ■ 2003年、世銀と職員は「地域社会コネクション・ というものです(消耗品は世銀から寄付されま キャンペーン」を通して、200を超える非営利組織 す)。売却益は課外活動の資金として各校が留保 に65万ドル以上を寄付しました。 します。世銀はこうした環境保護活動を通して、 ■ 世銀職員は引き続き、 「公教育パートナーシップ 社会的責任を遂行しています。 基金」に資金と人的支援を提供しました。この基 ■ 世銀職員は今年も、世界各地の被災地域に緊急 金はワシントンDCの公立学校の戦略的改革を支 支援金を提供しました。2003年、世銀職員と関 援するために、世銀が企業や地域組織と協力し 連基金はアルジェリア地震の被災者およびSARS て設立した非営利組織です。このプログラムは (重症急性呼吸器症候群)の影響を受けた中国の 高校生や恵まれない人々の雇用を促進する代表 人々に6万ドル以上の人道支援を提供しました。 的な取り組みとなっています(IFCの「雇用機会プ ログラム」を活用)。 雇用規模からいうと、世銀グループ(IBRD、IDA、 ■ 2003年、世銀は「コミュニティ・アウトリーチ・グラ IFC、MIGA、ICSID)はワシントンDC地区で3番目に大 ント」と「実践者支援プログラム」を通して、地域 きい組織です。職員の家族や退職者を含めると、ワ の85以上の非営利組織に資金を提供しました。 シントンDC首都圏には2万5000人以上の世銀関係者 援助の効果を高めるために、可能な場合は国際 が暮らしています。 通貨基金(IMF)や米州開発銀行とも連携してい 世銀職員は100を超える地域組織でボランティア活 ます。2003年はグラント・プログラムをさらに強化 動に取り組んでおり、こうした活動に費やされる時間 するために、地域の専門家の協力を得て、不況 は毎年何万時間にも上っています。世銀は「ボラン による影響の最も大きな地域に集中的にグラント ティア・デー」プログラムを実施し、職員が毎年1日の を提供しました。 休みを取って、地域のボランティア活動に参加するこ ■ 世銀は2つの学校(カルドーゾ高校とベル多文化 とを奨励しています。世銀は組織としても、さまざまな 高校) と協力して、若者と共に汚職の撲滅につい 貢献活動に取り組んでいます。 『ワシントン・ビジネス て考える革新的なグローバル遠隔学習プログラ ジャーナル』が実施した調査では、ワシントンDC地区 ムを構築・実施しました。両校の生徒はテレビ会 で最もフィランソロピー (社会貢献活動) に力を入れて 議を利用して、世界8カ国の高校生と意見を交換 いる組織の上位25位に、ふたたび世銀がランクインし しました。 ました。世銀は米国の首都の企業市民であることを ■ 余剰消耗品、家具、および設備を寄付する従来 のプログラムとは別に、ワシントンDCの公立高校 誇りとし、地域社会のよき隣人であるよう努力してい ます。 および全米企業家精神教育支援財団(NFTE) と 第6章 世界銀行について 125 現地事務所の所在地 2004年6月30日 本部 1818 H Street N.W. Washington, D.C. 20433, U.S.A. Tel: (202) 473-1000 Fax: (202) 477-6391 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org ニューヨーク事務所 Mr. Eduardo A. Doryan The World Bank, Office of the Special Representative to the U.N. 1 Dag Hammarskjold Plaza 885 2nd Avenue, 26th Floor New York, N.Y. 10017, U.S.A. Tel: (212) 355-5112 Fax: (212) 355-4523 E-mail: [email protected] ヨーロッパ Mr. Jean-François Rischard Vice President Banque Mondiale 66 avenue d’Iéna 75116 Paris, France Tel: (33-1) 40 69 30 00 Fax: (33-1) 40 69 30 64 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/europe ブリュッセル Ms. Haleh Bridi Special Representative to the European Union Institutions Banque Mondiale Rue Montoyer 10, bte 16 B-1000 Brussels, Belgium Tel: (32-2) 552 00 52 Fax: (32-2) 552 00 25 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/eu フランクフルト Mr. Oltmann G. Siemens The World Bank Bockenheimer Landstrasse 109 60325 Frankfurt am Main, Germany Tel: (49-69) 743-48230 Fax: (49-69) 743-48239 ジュネーブ Mr. Joseph K. Ingram The World Bank 3, chemin Louis-Dunant Case Postale 66 1211 Geneva 20, Switzerland Tel: (41-22) 748 1000 Fax: (41-22) 748 1030 E-mail: [email protected] ロンドン The World Bank 15th Floor, New Zealand House Haymarket London SW1Y 4TE, England Tel: (44-20) 7930-8511 Fax: (44-20) 7930-8515 Web: http://www.worldbank.org/europe ローマ The World Bank Via Labicana 110 00184 Rome, Italy Tel: (39-06) 77 7101 Fax: (39-06) 70 96 046 Web: http://www.worldbank.org/europe 東京 吉村 幸雄 副総裁兼駐日特別代表 〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル10階 世界銀行東京事務所 Tel: (81-3) 3597-6650 Fax: (81-3) 3597-6695 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.or.jp/ アゼルバイジャン Mr. Ahmed Jehani The World Bank 91-95 Mirza Mansur Street Icheri Sheher Baku, 370004, Azerbaijan Tel: (994-12) 922586 Fax: (994-12) 921479 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/eca (*印)国別担当局長が配置されている現地事務所。 126 世界銀行 年次報告 2004 アフガニスタン Mr. Jean Mazurelle The World Bank Street No. 15, House No. 19 opposite Palace #8 Wazir Akbar Khan Kabul, Afghanistan Tel: (Cell) (93-70) 279234 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/sar アルジェリア Mr. Djamal Mostefai Banque Mondiale 19, rue Emile Marquis—Djennane El Malik—Hydra 16035 Algiers, Algeria Tel: (213-21) 54.66.66 Fax: (213-21) 54.93.52 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/dz *アルゼンチン Mr. Axel van Trotsenburg Banco Mundial Edificio Bouchard Bouchard 547, 27th & 28th Floors C1106ABG Buenos Aires, Argentina Tel: (54-11) 4316-9700 Fax: (54-11) 4313-1233 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/lac アルバニア Mr. Nadir Mohammed The World Bank Deshmoret e 4 Shkurtit, No. 34 Tirana, Albania Tel: (355-4) 230 017, 240 587 Fax: (355-4) 240 590 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/eca アルメニア Mr. Roger Robinson The World Bank Republic Square 9 V. Sargsyan Street Yerevan 375010, Armenia Tel: (374-1) 527888 Fax: (374-1) 521787 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/eca アンゴラ Mr. Laurence C. Clarke Banco Mundial Largo Albano Machado N°23-25 Caixa Postal 1331 Luanda, Republica de Angola Tel: (244-2) 394-877 Fax: (244-2) 394-784 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr イエメン共和国 Mr. Robert E. Hindle The World Bank Hadda Street No. 40 off Damascus Road Sana’a, Republic of Yemen (postal address: P.O. Box 18152) Tel: (967-1) 413 708 Fax: (967-1) 413 709 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/ye イラク Mr. Faris Hadad-Zervos 世界銀行イラク暫定事務所(在アンマン) World Bank Interim Iraq Office in Amman T16 Ahmed Orabi Street Shimeisani-Amman, Jordan (Postal Address: P.O. Box 930375 Amman, Jordan 11193) Tel: (962-6) 568-5060 Fax: (962-6) 568-5067 E-mail: [email protected] *インド Mr. Michael F. Carter The World Bank 70 Lodi Estate New Delhi 110 003, India (postal address: P.O. Box 416, New Delhi 110 001) Tel: (91-11) 2461 7241 Fax: (91-11) 2461 9393 E-mail:[email protected] Web: http://www.worldbank.org.in/ *インドネシア Mr. Andrew Steer The World Bank Jakarta Stock Exchange Building Tower 2, 12th Floor Sudirman Central Business District (SCBD) Jl. Jendral Sudirman Kav. 52-53 Jakarta 12190, Indonesia (postal address: P.O. Box 324/JKT) Tel: (62-21) 5299-3000 Fax: (62-21) 5299-3111 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.or.id ウガンダ Ms. Grace M. Yabrudy The World Bank 1 Lumumba Avenue Rwenzori House, 4th Floor Kampala, Uganda (postal address: P.O. Box 4463) Tel: (256-41) 230-094 Fax: (256-41) 230-092 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr ウクライナ Mr. Dusan Vujovic The World Bank 2 Lysenko Street Kyiv 01034, Ukraine Tel: (380-44) 490 6671 Fax: (380-44) 490 6670 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org.ua/ ウズベキスタン Mr. Martin Raiser The World Bank International Business Center, 15th floor 107 B, Amir Timur str. Tashkent, Uzbekistan 700084 Tel: (998-71) 138 59 50 Fax: (998-71) 138 59 51, 138 59 52 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org.uz エクアドル Mr. McDonald P. Benjamin Banco Mundial Calle 12 de Octubre 1830 y Cordero World Trade Center Torre B, Piso 13 Quito, Ecuador Tel: (593-2) 222 0204 Fax: (593-2) 222 0205 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/lac *エジプト・アラブ共和国 Mr. Mahmood A. Ayub The World Bank World Trade Center 1191 Corniche El-Nil, 15th Floor Boulaq Cairo, Arab Republic of Egypt, 11221 Tel: (20-2) 574-1670 Fax: (20-2) 574-1676 E-mail:[email protected] Web: http://www.worldbank.org/mena *エチオピア Mr. Ishac Diwan The World Bank Africa Avenue Bole Road Addis Ababa, Ethiopia (postal address: P.O. Box 5515) Tel: (251-1) 62 77 00 Fax: (251-1) 62 77 17 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr エリトリア Mr. Florian Fichtl The World Bank 15/17, 173-2-173 Street Zone 03, Subzone 01 Asmara, Eritrea Tel: (291-1) 12 43 02 Fax: (291-1) 12 43 09 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr/er (*印)国別担当局長が配置されている現地事務所。 第6章 世界銀行について 127 *オーストラリア Mr. Xian Zhu The World Bank Level 19, 14 Martin Place CML Building Sydney NSW 2000, Australia Tel: (61-2) 9235-6522 Fax: (61-2) 9223-9903 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/eap ガボン Ms. Mehrnaz Teymourian Banque Mondiale Quartier Palais de Justice Section RG—Parcelle No. 222 P.O. Box 4027 Libreville, Gabon Tel: (241) 73 81 71 Fax: (241) 73 81 69 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr *ガーナ Mr. Mats Karlsson The World Bank 69 Dr. Isert Road North Ridge Residential Area Accra, Ghana (postal address: P.O. Box M. 27) Tel: (233-21) 229681 Fax: (233-21) 227887 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr カメルーン Mr. Madani M. Tall Banque Mondiale rue 1. 792, No. 186 Yaoundé, Cameroon (postal address: B.P. 1128) Tel: (237) 220 38 15 Fax: (237) 221 07 22 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr ガイアナ Ms. Lucia Hanmer The World Bank Liaison Office UNDP Building 42 Brickdam and UN Place Stabroek Georgetown, Guyana Tel: (592) 223 5036 Fax: (592) 225 1384 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/lac ガンビア Mr. Nyada Y. Baldeh The World Bank Liaison Office c/o UN House, UNDP 5 Koffi Annan Street, Cape Point P.O. Box 553 Banjul, The Gambia Tel: (220) 4-49-79-36 Fax: (220) 4-49-47-58, 4-49-79-36 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr *カザフスタン Mr. Dennis N. de Tray The World Bank Central Asia Regional Office 41/A Kazybek bi Street, 4th Floor 480100 Almaty, Republic of Kazakhstan Tel: (7-3272) 980-580 Fax: (7-3272) 980-581 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org.kz/ カンボジア Ms. Nisha Agrawal The World Bank 113 Norodom Boulevard Phnom Penh, Cambodia Tel: (855-23) 213538, 213639 Fax: (855-23) 210504, 210373 E-mail: [email protected] Web: http//www.worldbank.org/kh カザフスタン、アスタナ Mr. Loup Brefort The World Bank Astana Office Samal Microdistrict, 14th Floor Astana Towers 473000 Astana, Republic of Kazakhstan Tel: (7-3272) 980-580 Fax: (7-3272) 980-581 E-mail: [email protected] ギニア Mr. Ide Gnandou Banque Mondiale Immeuble de l’Archevêcé Face Baie des Anges Conakry, Guinée (postal address: B.P. 1420) Tel: (224) 412-770 Fax: (224) 415-094 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr (*印)国別担当局長が配置されている現地事務所。 128 世界銀行 年次報告 2004 ギニアビサウ Ms. Carmen Maria Pereira The World Bank Liaison Office Prédio das Nações Unidas Rua Rui Djassi, C.P. 179 Bissau Codex 1011 Bissau, Guiné-Bissau Tel: (245) 20-5904/9 Fax: (245) 20-5909 UNDP Fax: (245) 20-1753 UNDP Satellite Fax: (1-212) 963-9828 E-mail: [email protected] キルギス共和国 Mr. James Christopher Lovelace The World Bank 214 Moskovskaya Str. Bishkek 720010, Kyrgyz Republic Tel: (996-312) 61 06 50 Fax: (996-312) 61 03 56 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org.kg グアテマラ Mr. Eduardo Somensatto Banco Mundial 13 Calle 3-40 Zona 10, Edificio Atlantis, Piso 14 Guatemala City, Guatemala Tel: (502) 366-2044 Fax: (502) 366-1936 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/lac グルジア Mr.Van Roy Southworth The World Bank 5A, 1st Drive, Chavchavadze Avenue Tbilisi, 380079 Georgia Tel: (995-32) 91 30 96 Fax: (995-32) 91 34 78 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/eca *クロアチア Mr. Anand K. Seth, Country Director Ms. Indira Konjhodzic Country Manager The World Bank Trg J.F. Kennedya 6b/lll HR-10000 Zagreb, Croatia Tel: (385-1) 2357-222 Fax: (385-1) 2357-200 E-mail: [email protected] E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.hr/ *ケニア Mr. Makhtar Diop The World Bank Hill Park Building Upper Hill Nairobi, Kenya (postal address: P.O. Box 30577) Tel: (254-20) 322 6000 Fax: (254-20) 322 6382 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr コンゴ共和国 Mr. Alassane Diawara The World Bank Immeuble BDEAC, 2è étage Boulevard de la Révolution P.O. Box 14536 Brazzaville, Republic of Congo Tel: (242) 81 33 30 Fax: (242) 81 53 16 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr ジャマイカ Mr. Errol G. Graham The World Bank Liaison Office Island Life Center 6 St. Lucia Avenue Third Floor Kingston 5, Jamaica Tel: (876) 960-0459 Fax: (876) 960-0463 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/lac *コートジボワール Mr. Mamadou Dia Banque Mondiale Corner of Booker Washington and Jacques Aka Street Cocody, Abidjan 01, Côte d’Ivoire (postal address: B.P. 1850) Tel: (225) 22 40 04 00 Fax: (225) 22 40 04 61 E-mail:[email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr コンゴ民主共和国 Mr. Onno Ruhl The World Bank avenue Wagenia, no. 4847 Kinshasa-Gombe Democratic Republic of the Congo Tel: (243) 994 90 08 Fax: (243) 880 78 17 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr シンガポール Mr. Peter L. Stephens The World Bank Liaison Office 10 Shenton Way MAS Building #15-08 Singapore, 079117 Tel: (65) 6324-4612 Fax: (65) 6324-4615 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/sg サウジアラビア The World Bank UNDP Building, Diplomatic Quarter (beside American Embassy) Riyadh, Saudi Arabia (postal address: P.O. Box 5900, Riyadh 11432, Saudi Arabia) Tel: (966-1) 483-4956 Fax: (966-1) 488-5311 Web: http://www.worldbank.org/mena ジンバブエ Mr. Ohene Owusu Nyanin The World Bank Old Lonrho Building 88 Nelson Mandela Avenue Harare, Zimbabwe (postal address: P.O. Box 2960) Tel: (263-4) 729-611 Fax: (263-4) 708-659 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org.zw/ コソボ Mr. Kanthan Shankar The World Bank Liaison Office Rruga Tirana No. 35 Pristina, Kosovo Serbia and Montenegro Tel: (381-38) 249 459 Fax: (381-38) 249 780 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/eca コロンビア Mr. Alberto Chueca Mora Banco Mundial Carrera 7 No. 71-21 Torre A, piso 16 Apartado 10229 Bogota, Colombia Tel: (57-1) 326-3600 Fax: (57-1) 326-3480 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/lac ザンビア Mr. Ohene Owusu Nyanin The World Bank Anglo American Building 74 Independence Avenue, 3rd Floor Lusaka, Zambia 10101 (postal address: P.O. Box 35410) Tel: (260-1) 252-811 Fax: (260-1) 254-283 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr シエラレオネ Mr. James Sackey The World Bank Africanus House 13A Howe Street Freetown, Sierra Leone Tel: (232-22) 227555 Fax: (232-22) 228555 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr *スリランカ Mr. Peter C. Harrold The World Bank 1st Floor, DFCC Building 73/5, Galle Road Colombo 3, Sri Lanka (postal address: P.O. Box 1761) Tel: (94-11) 2448070/1 Fax: (94-11) 2440357 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/sar スロバキア共和国 Ms. Ingrid Brockova The World Bank Europeum Business Center Suche myto 1 811 03 Bratislava Slovak Republic Tel: (421-2) 57 52 6720 Fax: (421-2) 57 52 6701 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/eca/ (*印)国別担当局長が配置されている現地事務所。 第6章 世界銀行について 129 *セネガル Mr. John McIntire Banque Mondiale 3, place de l’indépendance Immeuble SDIH 5ème étage Dakar, Sénégal (postal address: B. P. 3296) Tel: (221) 849-50-00 Fax: (221) 849-50-27 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr セルビア・モンテネグロ Ms. Carolyn I. Jungr The World Bank Bulevar Kralja Aleksandra 86-90 Belgrade, Serbia and Montenegro Tel: (381-11) 3023-700 Fax: (381-11) 3023-732 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/eca *タイ Mr. Ian C. Porter The World Bank 14th Floor, Diethelm Tower A 93/1 Wireless Road Bangkok 10330, Thailand Tel: (66-2) 256-7792 Fax: (66-2) 256-7794/5 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.or.th タジキスタン Mr. Cevdet A. Denizer The World Bank Shevchenko Str. 91-10 Dushanbe, Tajikistan, 734025 Tel: (992-372) 21-07-56 Fax: (992-372) 51-00-42 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/eca *タンザニア Ms. Judy M. O’Connor The World Bank 50 Mirambo Street Dar-es-Salaam, Tanzania (postal address: P.O. Box 2054) Tel: (255-22) 2114575 Fax: (255-22) 2113039 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr チャド Mr. Gregor Binkert Banque Mondiale Avenue Charles de Gaulle et Avenue du Commandant Lamy Quartier Bololo N’Djamena, Chad (postal address: B.P. 146) Tel: (235-52) 3247, 3360 Fax: (235-52) 4484 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr 中央アフリカ共和国 Mr. Madani M. Tall Banque Mondiale rue des Missions Bangui, République Centrafricaine (postal address: B.P. 819) Tel: (236) 616138 Fax: (236) 616087 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr *中国 Mr. David R. Dollar The World Bank Level 16, China World Tower 2 China World Trade Center No. 1 Jian Guo Men Wai Avenue Beijing 100004 People’s Republic of China (postal address: P.O. Box 100600-9086) Tel: (86-10) 5861-7600 Fax: (86-10) 5861-7800 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org.cn/ チュニジア Bureau de liaison Banque mondiale Banque africaine de développement Bureau 618 13, Avenue du Ghana BP 323 1002 Tunis Belvédère, Tunisia Tel: (216) 71 10 35 78 Fax: (216) 71 33 29 92 E-mail: [email protected] (*印)国別担当局長が配置されている現地事務所。 130 世界銀行 年次報告 2004 トーゴ Mr. Jean-Michel Happi Banque Mondiale 169 Boulevard du 13 Janvier Immeuble BTCI, 8ème étage Lomé, Togo (postal address: Boite Postale 3915) Tel: (228) 221 57 77 Fax: (228) 221 78 56 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr ドミニカ共和国 Ms. Christina Malmberg Calvo Banco Mundial Calle Virgilio Díaz Ordoñz #36 esq. Gustavo Mejía Ricart Edificio Mezzo Tempo, Suite 401 4ta. Planta, Santo Domingo, R.D. Tel: (809) 566-6815 Fax: (809) 566-7746, 566-7189 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/lac トルクメニスタン Mr. Serdar Jepbarov The World Bank Liaison Office United Nations Building Galkynysh Street, 40 Ashgabat 744000 Turkmenistan Tel: (993-12) 350477 Fax: (993-12) 351693 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/eca *トルコ Mr. Andrew Vorkink, Country Director Ms. Marie-H. P. Bricknell, Country Manager The World Bank Ugur Mumcu Caddesi No.88 Kat: 2, 06700 Gaziosmanpasa Ankara, Turkey Tel: (90-312) 459 83 00 Fax: (90-312) 446 24 42 E-mail: [email protected] E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org.tr/ *ナイジェリア Mr. Mark D. Tomlinson The World Bank Plot 433 Yakubu Gowon Crescent Opposite ECOWAS Secretariat Asokoro District Abuja, Nigeria (postal address: P.O. Box 2826, Garki) Tel: (234-9) 314-5269 Fax: (234-9) 314-5267 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr ニカラグア Ms. Amparo Ballivian Banco Mundial De la Rotonda de la Centroamerica, 400 mts. abajo Segundo Piso Edificio SYSCOM Managua, Nicaragua Tel: (505) 270-0000 Fax: (505) 270-0077 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/lac ニジェール Mr.Vincent Turbat Banque Mondiale 187 rue des Dallols B. P. 12402 Niamey, Niger Tel: (227) 72 21 88 Fax: (227) 73 55 06 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr *ネパール Mr. Kenichi Ohashi The World Bank Yak & Yeti Hotel Complex Durbar Marg Kathmandu, Nepal (postal address: P.O. Box 798) Tel: (977-1) 4226792 Fax: (977-1) 4225112 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/sar ハイチ Ms. Christina Malmberg Calvo Banque Mondiale c/o IDB, 389 Route de Bourdon Port-au-Prince, Haïti Tel: (509) 510-3797/(809) 566-6815 Fax: (509) 512-5895/(809) 566-7746 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/lac *パキスタン Mr. John W. Wall The World Bank 20 A Shahrah-e-Jamhuriyat, Ramna 5, G-5/1, Islamabad, Pakistan (postal address: P.O. Box 1025) Tel: (92-51) 2279641 Fax: (92-51) 2279648 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/sar パプアニューギニア Mr. Mahesh Sharma The World Bank 13th Floor, Deloitte Towers P.O. Box 1877 Port Moresby Papua New Guinea Tel: (675) 321-7111 Fax: (675) 321-7730 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/eap パラグアイ Mr. Peter M. Hansen Banco Mundial Edificio Naciones Unidas Av. Mariscal Lopez y Saravi Asunción, Paraguay Tel: (595-21) 664-000 Fax: (595-21) 664-002 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/lac *バングラデシュ Ms. Christine Wallich The World Bank 3A, Paribagh Dhaka 1000, Bangladesh (postal address: G.P.O. Box 97) Tel: (880-2) 861-1056 Fax: (880-2) 861-3220 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/sar 東ティモール Ms. Elisabeth Huybens The World Bank Rua Dos Direitos Humanos Dili, Timor-Leste (postal address: World Bank Mission, Timor-Leste, GPO Box 3548, Darwin NT 0801, Australia) Tel: (670) 332-4649, 332-4648 Fax: (670) 332-1178 (オーストラリアからのみ接続可能) E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/eap *フィリピン Mr. Joachim von Amsberg The World Bank 23/F, The Taipan Place Building Emerald Avenue, Ortigas Center Pasig City, Metro Manila, Philippines Tel: (63-2) 637-5855 Fax: (63-2) 637-5870 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org.ph *ブラジル Mr.Vinod Thomas Banco Mundial Setor Comercial Norte Quadra 02 Lote A—Edificio Corporate Financial Center Conjuntos 204/303/304, 603 70712-900 Brasilia/DF, Brazil Tel: (55-61) 329-1000 Fax: (55-61) 329-1010 E-mail: [email protected] Web: http://www.bancomundial.org.br ブラジル、レシフェ Mr. Luis Coirolo Banco Mundial Praça João Gonçalves de Souza, s/n° Edificio SUDENE, Sala 13S-021 Cidade Universitaria 50670-900 Recife, PE, Brazil Tel: (55-81) 3453-1644 Fax: (55-81) 3453-4624 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/lac (*印)国別担当局長が配置されている現地事務所。 第6章 世界銀行について 131 ブルガリア Mr. Oscar de Bruyn Kops The World Bank World Trade Center—Interpred 36 Dragan Tsankov Blvd. 1057 Sofia, Bulgaria Tel: (359-2) 96 97 229 Fax: (359-2) 971 20 45 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.bg/ ベナン Ms. Diarietou Gaye Banque Mondiale Zone Résidentielle de la Radio Cotonou, Bénin (postal address: B.P. 03-2112) Tel: (229) 312124 Fax: (229) 312751, 315839 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr ブルキナファソ Mrs. Ellen A. Goldstein Banque Mondiale 179, Avenue du Président Saye Zerbo Zone de Ambassades, Koulouba Ouagadougou 01, Burkina Faso (postal address: 01 BP 622) Tel: (226) 50 30 62 37 Fax: (226) 50 30 86 49 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr ベネズエラ・ボリバル共和国 Mr. David F. Varela Banco Mundial Av. Francisco de Miranda con Av. del Parque Torre Edicampo, Piso 9, Campo Alegre Caracas, República Bolivariana de Venezuela Tel: (58-212) 267-9943 Fax: (58-212) 267-9828 E-mail: [email protected] Web: http://www.bancomundial.org.ve ブルンジ Mr. Alassane Sow Banque Mondiale avenue du 18 septembre Bujumbura, Burundi (postal address: B.P. 2637) Tel: (257-2) 22443, 23269 Fax: (257-2) 26005 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr *ベトナム Mr. Klaus Rohland The World Bank 63 Ly Thai To Street, 8th Floor Hanoi,Vietnam Tel: (84-4) 934-6600 Fax: (84-4) 934-6597 対外関係部門連絡先電子メール E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/vn ベラルーシ Mr.Vadim P.Voronin The World Bank 2A Gertsen Street, 2nd Floor Minsk, 220030 Republic of Belarus Tel: (375-17) 226-5284 Fax: (375-17) 211-0314 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/eca ペルー Mr. John Newman Banco Mundial Avenida Alvarez Calderón 185 Piso 7, San Isidro Lima, Peru Tel: (51-1) 615-0660 Fax: (51-1) 421-7241 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/lac (*印)国別担当局長が配置されている現地事務所。 132 世界銀行 年次報告 2004 ベルギー Mr. Franz H. Kaps European Commission/World Bank Special Office for South East Europe Rue du Trone 4 3rd Floor 1000, Brussels, Belgium Tel: (32-2) 504 0990 Fax: (32-2) 504 0999 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/eca The World Bank EXTEU office Rue Montoyer 10, bte 16 B-1000 Brussels, Belgium Tel: (32-2) 552 00 52 Fax: (32-2) 552 00 25 Web: http://www.worldbank.org/eu *ポーランド Mr. Roger W. Grawe The World Bank 53, Emilii Plater St. Warsaw Financial Center, 9th Floor 00-113 Warsaw, Poland Tel: (48-22) 520 8000 Fax: (48-22) 520 8001 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org.pl/ ボスニア・ヘルツェゴビナ Mr. Dirk Reinermann The World Bank UNITIC Tower B Fra Andjela Zvizdovica 1 71000 Sarajevo Bosnia and Herzegovina Tel: (387-33) 251 500 Fax: (387-33) 440 108 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org.ba/ ボリビア Ms. Connie Luff Banco Mundial Edificio Victor, piso 9 Calle Fernando Guachalla #342— Sopocachi La Paz, Bolivia (postal address: Casilla 8692) Tel: (591-2) 215-0685 Fax: (591-2) 215-3305 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/lac ホンジュラス Mr. Joseph Owen Banco Mundial Centro Financiero BANEXPO, 4to Piso Boulevard San Juan Bosco Colonia Payaquí Apartado Postal 3591 Tegucigalpa, Honduras Tel: (504) 239-4551 Fax: (504) 239-4555 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/lac マリ Ms. Judith Press Banque Mondiale Immeuble SOGEFIH, Centre Commercial Rue 32 Quartier du Fleuve Bamako, Mali (postal address: B. P. 1864) Tel: (223) 222 22 83 Fax: (223) 222 66 82 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr マケドニア旧ユーゴスラビア共和国 Ms. Sandra Bloemenkamp The World Bank 34 Leninova Street 1000 Skopje, Republic of Macedonia Tel: (389-2) 3117-159 Fax: (389-2) 3117-627 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org.mk/ *南アフリカ The World Bank First Floor, Pro Equity Court 1250 Pretorius Street Hatfield, Pretoria 0083 Republic of South Africa (postal address: P.O. Box 12629, Hatfield 0028, Pretoria) Tel: (27-12) 431-3100 Fax: (27-12) 431-3134 Web: http://www.worldbank.org/afr *マダガスカル Mr. Hafez Ghanem Banque Mondiale Rue Andriamifidy L. Razafimanantsoa, Anosy (près du Ministère des Affaires Etrangères) Antananarivo 101, Madagascar (postal address: B. P. 4140) Tel: (261-20) 2256000 Fax: (261-20) 2233338 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr マラウイ Mr. Dunstan M.Wai The World Bank Development House Capital City Lilongwe 3, Malawi (postal address: P.O. Box 30557) Tel: (265-1) 770 611 Fax: (265-1) 771 158/773 908 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr *メキシコ Ms. Isabel M. Guerrero Banco Mundial Insurgentes Sur 1605, Piso 24 San Jose Insurgentes 03900 Mexico, D. F., Mexico Tel: (52-5) 5480-4200 Fax: (52-5) 5480-4222 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/lac モーリタニア Mr. Yves Duvivier Banque Mondiale Villa No. 30, Lot A Quartier Socogim Nouakchott,Mauritanie (postal address: B. P. 667) Tel: (222) 525 10 17 Fax: (222) 525 13 34 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr *モザンビーク Mr. Michael Baxter The World Bank Avenue Kenneth Kaunda, 1224 Maputo, Mozambique (postal address: Caixa Postal 4053) Tel: (258-1) 49 28 41 Fax: (258-1) 49 28 93 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr モルドバ Mr. Edward K. Brown The World Bank Sciusev str., 76/6, MD 2012 Chisinau, Republic of Moldova Tel: (373-22) 23 27 37 or 23 35 65 Fax: (373-22) 23 70 53 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/eca モロッコ Mr. Ferid Belhaj The World Bank 7, rue Larbi Ben Abdellah Rabat-Souissi, Morocco Tel: (212-37) 63.60.50 Fax: (212-37) 63.60.51 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/ma モンゴル Mr. Saha Dhevan Meyanathan The World Bank 11-A Peace Avenue Ulaanbaatar 210648,Mongolia Tel: (976-11) 312-647 Fax: (976-11) 312-645 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org.mn *ヨルダン川西岸・ガザ地区 Mr. Nigel Roberts The World Bank P.O. Box 54842 Jerusalem Al-Ram Tel: (972-2) 2366500 Al-Ram Fax: (972-2) 2366543 Gaza Tel: (972-8) 2823422 Gaza Fax: (972-8) 2824296 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/ps (*印)国別担当局長が配置されている現地事務所。 第6章 世界銀行について 133 ラオス人民民主共和国 Mr. Enrique O. Crousillat The World Bank Pathou Xay—Nehru Road (P.O. Box 345 code 01004) Vientiane, Lao PDR Tel: (856-21) 414-209, 450-010 Fax: (856-21) 414-210 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/eap リベリア Mr. Luigi Giovine The World Bank Liaison Office c/o UN House, UNDP Mamba Point Monrovia, Liberia Direct Cell No.: (377) 47 574 420 Tel: (231) 6 574 420 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr ラトビア Ms. Dina Grube The World Bank Smilsu Street 8, 5th Floor Riga, LV 1162, Latvia Tel: (371-7) 220-744 Fax: (371-7) 814-245 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org.lv/ ルーマニア Mr. Owaise Saadat The World Bank Boulevard Dacia 83, Sector 2, Bucharest, Romania Tel: (40-21) 210-1804 Fax: (40-21) 210-2021 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org.ro/ リトアニア Mr.Mantas Nocius The World Bank Jogailos Str. 4, 5th Floor 2001 Vilnius, Lithuania Tel: (370-5) 210 7680 Fax: (370-5) 210 7681 E-mail:[email protected] Web: http://www.worldbank.lt/ ルワンダ Mr.Mohamed Alhousseyni Toure The World Bank Blvd. de la Révolution SORAS Building Kigali, Rwanda (postal address: P.O. Box 609) Tel: (250) 573135 Fax: (250) 576385 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/afr (*印)国別担当局長が配置されている現地事務所。 134 世界銀行 年次報告 2004 レソト The World Bank Liaison Office UN House United Nations Road Maseru, Lesotho Tel: (266) 22-321-480 Fax: (266) 22-310-619 Web: http://www.worldbank.org/afr レバノン Mr. Omar Razzaz The World Bank UN-House 6th Floor Riad El Solh Beirut 1107 2270, Lebanon (postal address: P.O. Box 11-8577) Tel: (961-1) 987 800 Fax: (961-1) 986 800 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org/lb *ロシア連邦 Ms. Kristalina I. Georgieva The World Bank Bolshaya Molchanovka 36/1 Moscow 121069, Russian Federation Tel: (7-095) 745-7000 Fax: (7-095) 745-7002 E-mail: [email protected] Web: http://www.worldbank.org.ru/eng/ パートI・パートII IDA加盟国リスト パートI IDA加盟国 パートII アイスランド アイルランド アラブ首長国連邦 イタリア 英国 オーストラリア オーストリア オランダ カナダ ギリシャ クウェート スイス スウェーデン スペイン デンマーク ドイツ 日本 ニュージーランド ノルウェー フィンランド フランス 米国 ベルギー ポルトガル 南アフリカ ルクセンブルグ ロシア連邦 アゼルバイジャン アフガニスタン アルジェリア アルゼンチン アルバニア アルメニア アンゴラ イエメン共和国 イスラエル イラク イラン・イスラム共和国 インド インドネシア ウガンダ ウクライナ ウズベキスタン エクアドル エジプト・アラブ共和国 エチオピア エリトリア エルサルバドル オマーン ガーナ カーボヴェルデ ガイアナ カザフスタン ガボン カメルーン ガンビア カンボジア ギニア ギニアビサウ キプロス キリバス キルギス共和国 グアテマラ グルジア グレナダ クロアチア ケニア コートジボワール コスタリカ コモロ コロンビア コンゴ共和国 コンゴ民主共和国 サウジアラビア IDA加盟国 サモア サントメ・プリンシペ ザンビア シエラレオネ ジブチ シリア・アラブ共和国 シンガポール ジンバブエ スーダン スリランカ スロバキア共和国 スロベニア スワジランド 赤道ギニア セネガル セルビア・モンテネグロ セントクリストファー・ ネーヴィス セントビンセントおよびグレ ナディーン諸島 セントルシア ソマリア ソロモン諸島 タイ 大韓民国 タジキスタン タンザニア チェコ共和国 チャド 中央アフリカ共和国 中国 チュニジア チリ トーゴ ドミニカ共和国 ドミニカ国 トリニダード・トバゴ トルコ トンガ ナイジェリア ニカラグア ニジェール ネパール ハイチ パキスタン パナマ バヌアツ パプアニューギニア パラオ共和国 パラグアイ バルバドス ハンガリー バングラデシュ 東ティモール フィジー フィリピン ブータン ブラジル ブルキナファソ ブルンジ ベトナム ベナン ベリーズ ペルー ポーランド ボスニア・ヘルツェゴビナ ボツワナ ボリビア ホンジュラス マーシャル諸島 マケドニア旧ユーゴスラビア 共和国 マダガスカル マラウイ マリ マレーシア ミクロネシア連邦 ミャンマー メキシコ モーリシャス モーリタニア モザンビーク モルディブ モルドバ モロッコ モンゴル ヨルダン ラオス人民民主共和国 ラトビア リビア リベリア ルワンダ レソト レバノン 注:パートI・パートIIのどちらに属するかは、主に経済状況に基づいて判断される。パートI加盟国のほとんどはIDAドナーであり、拠出金は兌換 性のある通貨で払い込まれる。パートII加盟国(一部はIDAドナー)は拠出金のほとんどを現地通貨で支払っている。 「IDA加盟国の議決権および出 資・拠出状況」およびその他の情報については、本年次報告の第2巻「財務諸表」を参照。 第6章 世界銀行について 135 表6.1 世銀融資適格国 2004年7月1日現在 所得分類および 2003年の一人 所得分類および 2003年の一人 国名 当たりGNI a 国名 当たりGNI a IBRD融資のみの適格国 一人当たりGNIが5,295ドル超 大韓民国 アンティグア・バーブーダ パラオ セーシェルb トリニダード・トバゴ セントクリストファー・ネーヴィス チェコ共和国 ハンガリー メキシコ クロアチア 12,020 9,160 7,500 7,480 7,260 6,880 6,740 6,330 6,230 5,350 一人当たりGNIが3,036∼5,295ドル ポーランド エストニア スロバキア共和国 リトアニア チリ コスタリカ パナマ モーリシャス ラトビア レバノン ウルグアイ マレーシア アルゼンチン ガボン ベネズエラ・ボリバル共和国 ボツワナ 5,270 4,960 4,920 4,490 4,390 4,280 4,250 4,090 4,070 4,040 3,790 3,780 3,650 3,580 3,490 3,430 一人当たりGNIが1,466∼3,035ドル トルコ 南アフリカ ジャマイカ ブラジル マーシャル諸島 2,790 2,780 2,760 2,710 2,710 ロシア連邦 フィジー ルーマニア チュニジア エルサルバドル タイ ペルー ブルガリア ミクロネシア連邦 ドミニカ共和国 イラン・イスラム共和国 マケドニア旧ユーゴスラビア共和国 グアテマラ アルジェリア ナミビア ヨルダン コロンビア エクアドル カザフスタン ベラルーシ ベリーズ スリナム 2,610 2,360 2,310 2,240 2,200 2,190 2,150 2,130 2,090 2,070 2,000 1,980 1,910 1,890 1,870 1,850 1,810 1,790 1,780 1,590 NA NA 一人当たりGNIが766∼1,465ドル エジプト・アラブ共和国 スワジランド モロッコ シリア・アラブ共和国 トルクメニスタン 中国 パラグアイ フィリピン ウクライナ イラクb 1,390 1,350 1,320 1,160 1,120 1,100 1,100 1,080 970 NA 一人当たりGNIが765ドル以下 赤道ギニア NA IBRD融資およびIDA融資のブレンド適格国c 4,050 3,790 3,360 3,300 一人当たりGNIが1,466∼3,035ドル セルビア・モンテネグロb ボスニア・ヘルツェゴビナ 1,910 1,540 一人当たりGNIが766∼1,465ドル ボリビア アゼルバイジャン インドネシア 136 一人当たりGNIが765ドル以下 一人当たりGNIが3,036∼5,295ドル セントルシアd グレナダd ドミニカ国d セントビンセントおよびグレナディーン諸島d 世界銀行 年次報告 2004 890 810 810 インド パプアニューギニア パキスタン ウズベキスタン ナイジェリア ジンバブエb 530 510 470 420 320 NA 所得分類および 2003年の一人 所得分類および 2003年の一人 国名 当たりGNI a 国名 当たりGNI a IDA融資のみの適格国c 一人当たりGNIが1,466∼3,035ドル モルディブd アルバニア サモアd カーボヴェルデd トンガd 2,300 1,740 1,600 1,490 1,490 一人当たりGNIが766∼1,465ドル バヌアツd ホンジュラス アルメニア スリランカ ジブチ ガイアナ キリバス グルジア 1,180 970 950 930 910 900 880 830 一人当たりGNIが765ドル以下 アンゴラ ニカラグア ブータン コートジボワール カメルーン コンゴ共和国 ソロモン諸島 レソト モルドバ セネガル イエメン共和国 モンゴル ベトナム スーダンb コモロ ベナン ギニア 740 730 660 660 640 640 600 590 590 550 520 480 480 460 450 440 430 モーリタニア 東ティモール バングラデシュ ケニア ハイチb ザンビア キルギス共和国 ガーナ ラオス人民民主共和国 サントメ・プリンシペ カンボジア ガンビア トーゴb ブルキナファソ マダガスカル マリ タンザニア 中央アフリカ共和国b チャド ネパール ウガンダ ルワンダ モザンビーク ニジェール エリトリア タジキスタン マラウイ シエラレオネ ギニアビサウ リベリアb ブルンジ コンゴ民主共和国 エチオピア アフガニスタン ミャンマーb ソマリアb 430 430 400 390 380 380 330 320 320 320 310 310 310 300 290 290 290 260 250 240 240 220 210 200 190 190 170 150 140 130 100 100 90 NA NA NA NA 正確な数値が不明。 a.「世界銀行アトラス」方式:一人当たりGNI(国民総所得。従来のGNP)の数値は2003年の米ドル建て。 b. 2004年6月30日現在、利息が支払われていない融資。融資利息が支払われていない国に関する一般的な情報は、融資信用リスク局 (SFRCR)から発表されている。 c. IDA融資の適格性は(a)相対的貧困度、および(b)信用力不足の2点から判断される。2005年度のIDA融資条件は、2003年の一人当たり GNI(世界銀行アトラス方式)が895ドル以下であること。IDA融資を受けるためには、さらにパフォーマンス・テストに合格する必要がある。た だし、GNIが上限を超えており、大規模な構造調整努力も行われているが、IBRD融資に必要な信用力を備えていない国に対しては、暫定的に IDA融資の適格性が認められている。経済規模の小さい諸島国については、例外的にIDA融資が認められている(脚注d参照) 。 d. 信用力がないために世銀グループの援助をほとんど、あるいはまったく受けることのできない経済規模の小さい諸島国は、IDA融資のための 一人当たりGNI基準(2005年度は895ドル以下)の適用から除外された。こうした国々に対しては、信用力を高めるためのプロジェクトおよび 構造調整プログラムにIDA融資を行うかどうかがケース・バイ・ケースで検討される。 第6章 世界銀行について 137 表6.2 アフリカ地域に対する世銀の融資承認額、融資実行額、および純移転額 1999–2004年度 (単位:100万ドル) コンゴ民主共和国 項目 2004 1999–2004 IBRDとIDAの承認額 未実行残高 実行総額 返済額 純実行額 金利・諸掛り 純移転額 914 1,243 217 25 192 14 177 1,868 1,243 759 253 505 158 348 エチオピア 2004 320 976 422 38 385 25 360 1999–2004 1,702 976 1,745 149 1,596 97 1,498 タンザニア 2004 451 944 337 60 277 27 250 1999–2004 1,550 944 1,206 255 951 128 823 地域合計 2004 1999–2004 4,116 11,565 3,335 928 2,407 425 1,982 19,442 11,565 16,093 6,498 9,595 2,761 6,834 注:本表は過去2年度(2003、2004)において、本地域で融資承認額の最も多かった3カ国を示すものである。数字は四捨五入されている。 HIPC融資を含む。 表6.3 東アジア・大洋州地域に対する世銀の融資承認額、融資実行額、および純移 転額 1999–2004年度 (単位:100万ドル) 中国 ベトナム インドネシア 項目 2004 1999–2004 2004 1999–2004 2004 1999–2004 IBRDとIDAの承認額 未実行残高 実行総額 返済額 純実行額 金利・諸掛り 純移転額 1,218 5,409 1,310 1,577 (268) 360 (628) 7,483 5,409 10,780 7,769 3,011 3,903 (892) 706 2,483 427 5 422 22 400 2,815 2,483 1,739 13 1,725 64 1,661 322 1,595 423 1,346 (923) 665 (1,588) 4,417 1,595 5,102 5,853 (751) 5,068 (5,820) 地域合計 2004 1999–2004 2,573 10,677 2,577 6,628 (4,051) 1,616 (5,667) 21,373 10,677 24,171 24,325 (155) 14,147 (14,302) 注:本表は過去2年度(2003、2004)において、本地域で融資承認額の最も多かった3カ国を示すものである。数字は四捨五入されている。 138 世界銀行 年次報告 2004 表6.4 南アジア地域に対する世銀の融資承認額、融資実行額、および純移転額 1999–2004年度 (単位:100万ドル) インド バングラデシュ パキスタン 項目 2004 1999–2004 2004 1999–2004 2004 1999–2004 IBRDとIDAの承認額 未実行残高 実行総額 返済額 純実行額 金利・諸掛り 純移転額 1,423 7,669 1,873 2,295 (422) 322 (744) 10,545 7,669 10,206 10,725 (518) 3,153 (3,672) 527 1,748 228 137 91 64 27 2,875 1,748 2,230 611 1,619 310 1,309 781 1,000 304 385 (81) 143 (224) 2,693 1,000 3,165 1,870 1,295 1,113 182 地域合計 2004 1999–2004 3,422 11,517 2,727 2,885 (158) 556 (714) 17,770 11,517 16,659 13,522 3,136 4,721 (1,585) 注:本表は過去2年度(2003、2004)において、本地域で融資承認額の最も多かった3カ国を示すものである。数字は四捨五入されている。 表6.5 ヨーロッパ・中央アジア地域に対する世銀の融資承認額、融資実行額、およ び純移転額 1999–2004年度 (単位:100万ドル) トルコ 項目 2004 1999–2004 IBRDとIDAの承認額 未実行残高 実行総額 返済額 純実行額 金利・諸掛り 純移転額 1,586 3,108 855 499 356 206 150 8,761 3,108 5,349 3,075 2,274 1,500 774 ルーマニア 2004 230 887 105 152 (47) 69 (116) ロシア連邦 1999–2004 2004 1999–2004 1,358 887 1,422 653 768 517 251 100 1,761 220 787 (566) 152 (719) 3,450 1,761 2,523 2,445 78 1,832 (1,754) 地域合計 2004 1999–2004 3,559 9,968 2,451 2,495 (44) 933 (977) 22,691 9,968 18,057 10,489 7,568 7,084 484 注:本表は過去2年度(2003、2004)において、本地域で融資承認額の最も多かった3カ国を示すものである。数字は四捨五入されている。 第6章 世界銀行について 139 表6.6 ラテンアメリカ・カリブ海地域に対する世銀の融資承認額、融資実行額、 および純移転額 1999–2004年度 (単位:100万ドル) アルゼンチン ブラジル 項目 2004 1999–2004 2004 IBRDとIDAの承認額 未実行残高 実行総額 返済額 純実行額 金利・諸掛り 純移転額 1,586 2,037 1,178 1,549 (371) 295 (667) 7,385 2,037 8,480 6,593 1,887 3,185 (1,298) 1,267 2,948 1,398 1,863 (465) 334 (799) 1999–2004 8,604 2,948 8,943 6,769 2,175 2,633 (458) メキシコ 2004 1999–2004 666 2,357 865 1,366 (501) 568 (1,068) 6,599 2,357 7,024 7,947 (923) 4,620 (5,543) 地域合計 2004 1999–2004 5,320 10,984 5,228 6,191 (963) 1,718 (2,681) 32,679 10,984 34,489 28,418 6,071 14,393 (8,322) 注:本表は過去2年度(2003、2004)において、本地域で融資承認額の最も多かった3カ国を示すものである。数字は四捨五入されている。 HIPC融資を含む。 表6.7 中東・北アフリカ地域に対する世銀の融資承認額、融資実行額、 および純移転額 1999–2004年度 (単位:100万ドル) イラン・イスラム 共和国 項目 IBRDとIDAの承認額 未実行残高 実行総額 返済額 純実行額 金利・諸掛り 純移転額 2004 359 732 21 63 (42) 25 (67) 1999–2004 791 732 308 406 (98) 208 (306) エジプト・アラブ 共和国 2004 341 747 98 116 (18) 33 (51) 1999–2004 1,003 747 423 676 (253) 274 (527) イエメン共和国 2004 145 610 93 25 68 13 56 1999–2004 869 610 572 104 468 57 411 地域合計 2004 1999–2004 1,091 3,773 727 1,086 (359) 385 (744) 5,722 3,773 4,650 5,750 (1,101) 3,296 (4,397) 注:本表は過去2年度(2003、2004)において、本地域で融資承認額の最も多かった3カ国を示すものである。数字は四捨五入されている。 140 世界銀行 年次報告 2004 表6.8 2004年度に承認された融資 アフリカ地域 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 承認日 返済期間 HDN 6/17/04 n.a. 41.4 59.8 ✧ IDA−「アフリカ西部資本市場開発融資」 アフリカ西部の資本市場を開発し、地域インフラへの官民投資 を促進するもの。 総コスト:4億870万ドル FSE 2/26/04 2014/2043 67.0 96.4 ✧ IDA−「アビジャン−ラゴス輸送回廊のためのHIV/エイズ 特別投資グラント」 HIV/エイズの拡大を抑制すると共に、HIV/エイズの蔓延が輸送 回廊周辺の社会と経済に与えている悪影響を緩和するもの。 総コスト: 1790万ドル HDN 11/13/03 n.a. 12.2 16.6 IDA−「アフリカ南部電力市場対応プログラム融資」 安価で環境に配慮した電力を安定的に供給することにより、ア フリカ南部の経済成長を促進するもの。 総コスト:2億10万ドル INF 11/11/03 2013/2043 130.0 178.6 HDN 7/29/03 2013/2043 40.5 55.0 INF 12/9/03 2013/2043 17.7 25.0 IDA−「第2次経済・財政管理補完融資」 公共支出管理の有効性を高めるもの。 総コスト:1720万ドル PREM 11/4/03 2014/2043 10.5 14.6 ✧ IDA−「第3次貧困削減支援グラント」 貧困撲滅行動計画の実施を支援するもの。このグラントでは 特にサービスの提供範囲の拡大と農村開発に重点が置かれる 予定。 総コスト:1億5000万ドル PREM 9/9/03 n.a. 106.0 150.0 INF 5/11/04 2014/2044 n.a. 51.1 17.0 国名/プロジェクト名 アフリカ ✧ IDA−「地域HIV/エイズ治療促進グラント」 官民セクターとCSOのパートナーシップを通して、パイロット国 (ブルキナファソ、ガーナ、モザンビーク)における包括的な治 療プログラムを拡大するもの。 総コストc:6150万ドル アンゴラ ✧ IDA−「第3次社会行動基金特別投資融資」 より多くの国民が基本的な社会・経済サービスを持続可能な形 で利用できるよう支援すると共に、地方政府や地域社会が開発 結果に責任を負うシステムを支援するもの。 総コスト:1億2000万ドル ウガンダ ✧ IDA−「鉱物資源の持続可能な管理のための特別投資融資」 鉱業セクターの改革を強化し、民間セクターの役割を拡大し、 鉱業地区の開発を促進するもの。 総コスト:2500万ドル エチオピア IDA−「給水・衛生特別投資融資/グラント」 農村・都市部の住民が給水・衛生サービスを持続可能な形で利 用できるよう支援するもの。 総コスト:1億1600万ドル 第6章 75.0c 25.0g 世界銀行について 141 承認日 返済期間 IDA−「公共セクター・キャパシティ・ビルディング・プログラ ム支援特別投資融資」 中央・地方政府が提供している公共サービスの規模、効率、お よび即応性をあらゆるレベルで改善し、健全なガバナンスと説 明責任を強化するもの。 総コスト:3億9780万ドル PREM 5/11/04 2014/2044 66.9 100.0 ✧ IDA−「第1次貧困削減支援グラント」 政府の計画・予算策定プロセスを強化し、投資環境の改善を 支援するもの。 総コスト:1億2000万ドル PSD 2/17/04 n.a. 83.4 120.0 INF 4/29/04 2014/2044 41.6 62.0 ✧ IDA−「教育セクター特別投資融資」 初等・中等教育における質の高さと公平なアクセス、サービス の効率的な提供を促すと共に、就学率の改善を目指すもの(特 に女児の就学率)。 総コスト:8800万ドル HDN 3/9/04 2014/2044 52.7 78.0 ✧ IDA−「土地管理特別投資融資」 分権的で公平かつ効率的な土地管理制度の構築を支援するも の。この制度により、借地制度の信頼性が高まり、土地の保有 が簡略化され、賢明な土地管理が促進される。 総コスト:5510万ドル ESSD 7/31/03 2013/2043 15.1 20.5 HDN 12/16/03 2014/2043 2.9 4.0 ESSD 3/18/04 2014/2044 13.6 20.0 HDN 6/2/04 n.a. 4.7 7.0 INF 6/17/04 2014/2044 138.4 207.0 ガーナ ✧ IDA−「第2次都市環境衛生特別投資融資」 都市住民の生活環境(環境、衛生、下水、ゴミ処理、公共交通 機関)の改善を支援するもの。 総コスト:8090万ドル カーボヴェルデ ✧ IDA−「社会セクター開発補完特別投資融資」 貧困ラインを下回る生活を送っている人々(全人口の30%)の 貧困削減を支援すると共に、中央政府の能力を強化し、全国規 模の貧困緩和計画を遂行できるようにするもの。 総コスト:440万ドル カメルーン ✧ IDA−「地域社会開発プログラム対応プログラム融資」 農村部の共同体に資金が提供されるようなシステムの構築を支 援するもの。こうした資金により、地域社会自身が必要なイン フラ、サービス、および資金を特定・管理できるようになり、健 全なガバナンスが促進される。 総コスト:8280万ドル ギニアビサウ ✧ IDA−「HIV/エイズ包括的緩和支援対応プログラム・グラ ント」 セクター横断的で包括的なHIV/エイズ対策の導入を支援するも の(感染の予防、治療の拡大、エイズの蔓延が社会と経済に与 える影響の緩和など) 。 総コスト:700万ドル ケニア IDA−「北方回廊運輸改善特別投資融資」 ケニア北部の道路網の改善に重点を置くもの。また、国内の2 つの国際空港を改修し、すべての国際空港への乗り入れを目 指す。 総コスト:2億7500万ドル 142 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 国名/プロジェクト名 世界銀行 年次報告 2004 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 承認日 返済期間 ✧ IDA−「ナイロビ市上下水道制度改革特別投資グラント」 市民が上下水道サービスを効率的かつ継続的に利用できるよ う支援するもの。 総コスト:1680万ドル INF 6/17/04 n.a. 10.2 15.0 ✧ IDA−「農業生産性対応プログラム融資/グラント」 農業セクターの活性化と農民の生計の向上を目指すもの。そ の施策として、農業技術指導制度を拡大・改革し、すべての農 民がコスト効率の高い農業技術を導入できるようにする。 総コスト:6000万ドル ESSD 6/17/04 2014/2044 n.a. 18.0 8.7 27.0c 13.0g IDA−「ディベロップメント・ラーニング・センター研修・革 新グラント」 国民に安価な研修機会を提供し、地方組織の能力を強化し、 地域・国際レベルの政策・戦略対話を促進するもの。 総コスト:380万ドル HDN 10/17/03 n.a. 2.0 2.7 HDN 3/11/04 2014/2044 9.0 13.3 HDN 4/20/04 n.a. 12.8 19.0 HDN 5/25/04 n.a. 68.1 100.0 ✧ IDA−「マルチセクターHIV/エイズ対応プログラム・グラ ント」 HIVの感染予防活動を拡大し、感染者の生活の質を向上させ、 HIV/エイズが地域社会に与えている影響を緩和するもの。 総コスト:1億200万ドル ESSD 3/26/04 n.a. 68.4 102.0 IDA−「再統一後経済復興融資」 債務の返済と、公益サービス提供業者への支払いにあてる資 金を提供することにより、政府が現在の債務状況に対応できる よう支援するもの。 総コスト:2億ドル PREM 2/26/04 2014/2043 135.2 200.0 ✧ IDA−「緊急経済・社会再統一支援融資/グラント」 政府が経済と社会の再統一を推進し、当面の社会・人道危機 に対処できるよう支援するもの。 総コスト:2億1400万ドル PREM 9/11/03 2014/2043 n.a. 35.7 117.0 50.0c 164.0g ✧ IDA−「民間セクター開発・競争力特別投資融資」 特定セクター (鉱業、運輸、エネルギー、通信、金融)の主要企 業の競争力を強化し、こうしたセクターの透明性とガバナンス の健全性を強化するもの。 総コスト:1億2380万ドル PSD 7/29/03 2013/2043 87.1 120.0 国名/プロジェクト名 コモロ ✧ IDA−「サービス支援融資」 国民の福祉に直結するような、緊急の貧困緩和活動を支援する と共に、地方政府と地域社会の能力を強化するもの。 総コスト:2200万ドル コンゴ共和国 ✧ IDA−「HIV/エイズおよび保健・医療グラント」 政府のHIV/エイズ感染抑制活動を支援し、感染者とHIV/エイズ の影響を受けている人々に対する支援とケアを強化するもの。 総コスト:2140万ドル コンゴ民主共和国 IDA−「緊急動員解除・社会復帰グラント」 元兵士(推定15万人)の社会復帰を支援し、平和の確立と経済 の安定化を促すもの。 総コスト:1億ドル 第6章 世界銀行について 143 承認日 返済期間 HDN 5/18/04 2014/2044 n.a. 3.4 1.1 INF 3/9/04 2014/2043 33.5 50.0 PREM 5/11/04 n.a. 16.8 25.1 PSD 3/18/04 2014/2043 30.2 45.0 PSD 6/29/04 2013/2043 0.1 0.2 IDA−「緊急電力供給融資」 深刻な電力供給制限を回避するための緊急措置の導入を支援 するもの。長時間にわたる厳しい供給制限は経済活動や社会 サービスの提供を阻害する可能性がある。 総コスト:1億1080万ドル INF 6/8/04 2014/2044 30.2 43.8 IDA−「第2次教育開発セクター調整融資/グラント」 3つの主要課題(アクセス、質、管理)の解決に取り組み、中等 教育の改革を支援するもの。 総コスト:2億5000万ドル HDN 6/8/04 2014/2044 n.a. 82.7 17.7 123.6c 26.4g ✧ IDA−「中央輸送回廊特別投資融資」 特に道路・鉄道輸送の効率化に重点が置かれる予定。 総コスト:1億7810万ドル INF 4/29/04 2014/2043 81.6 122.0 ✧ IDA−「第2次保健・医療セクター開発対応プログラム融 資/グラント」 質の高い保健・医療サービスの提供を促進し、改革を支援し、 関連資源の管理を強化するもの。 総コスト:9億6300万ドル HDN 12/16/03 2014/2043 n.a. 27.9 17.4 40.0c 25.0g ✧ IDA−「マルチセクター・エイズ・グラント」 HIV/エイズが一般市民に拡大することを防ぐと共に、HIV/エイ ズの蔓延に対する政府の対応能力を強化するもの。 総コスト:8200万ドル HDN 7/7/03 n.a. 54.1 70.0 サントメ・プリンシペ ✧ IDA−「社会セクター支援特別投資融資/グラント」 基本的な保健・医療と教育サービスの提供を強化するもの。 総コスト:710万ドル ザンビア ✧ IDA−「道路再建・維持融資」 公道インフラとその安全性を効率よく、公正に、かつ財政的に 持続可能な方法で管理・維持できるよう支援するもの。 総コスト:3億8090万ドル シエラレオネ IDA−「制度改革・キャパシティ・ビルディング技術支援グラ ント」 包括性、透明性、および説明責任を強化することにより、紛争 後であるこの国の政府が有効な地方ガバナンス制度を構築で きるよう支援するもの。 総コスト:2890万ドル セネガル IDA−「民間セクター調整融資」 社会・貧困緩和プログラムが間断なく実行されるよう、政府予 算に資金を提供するもの。この資金は償還金を原資とする基 金によってまかなわれる。 総コスト:4500万ドル タンザニア IDA−「貧困削減支援融資」 IDA融資の継続分。 144 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 国名/プロジェクト名 世界銀行 年次報告 2004 5.0c 1.5g 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 承認日 返済期間 ESSD 12/11/03 2014/2043 14.2 20.0 INF 6/15/04 2014/2039 81.7 120.0 ✧ IDA−「第2次国家ファダマ開発特別投資融資」 地域社会が自らの開発アジェンダを特定・管理できるようにす るもの。それと同時に、内紛の終結を支援する。 総コスト:1億2540万ドル ESSD 12/16/03 2014/2038 69.6 100.0 ✧ IDA−「零細・中小企業特別投資融資」 小規模企業に支援を提供している地方の金融・非金融機関を 強化するもの。 総コスト:6000万ドル PSD 12/16/03 2014/2038 22.3 32.0 ✧ IDA− 「地域社会エンパワーメント・環境管理特別投資融資」 地方政府の管理能力を強化し、環境と社会に配慮した、セク ター横断的な小規模プロジェクトの実施を支援するもの。 総コスト:9100万ドル ESSD 7/31/03 2014/2038 52.8 70.0 FSE 2/19/04 2014/2044 10.9 14.8 ✧ IDA−「第2次公共支出調整融資」 政府が改革プログラムを継続できるよう支援するもの。この融 資では特に予算管理、社会セクター、および民間セクター環境 の改革に重点が置かれる予定。 総コスト:6500万ドル PREM 10/23/03 2013/2043 47.4 65.0 ✧ IDA−「基礎教育プログラム特別投資融資/グラント」 基礎教育プログラムの就学率と修了率を改善し、教育省の資 源管理能力を強化するもの。 総コスト:3億50万ドル HDN 7/17/03 2013/2043 n.a. 4.1 17.7 5.6c 24.4g PREM 5/11/04 2014/2044 40.9 60.0 IDA−「国家統計システム構築特別投資融資」 効率的な統計の基盤となる法的・制度フレームワークを構築 し、統計担当者・利用者双方の統計能力を強化するもの。 総コスト:1310万ドル PREM 3/25/04 2014/2043 6.7 10.0 ✧ IDA−「第3次貧困削減支援グラント」 政府の貧困削減プログラムと社会・経済改革プログラムの実施 を支援するもの。 総コスト:5000万ドル PREM 7/15/03 n.a. 35.4 50.0 国名/プロジェクト名 チャド ✧ IDA−「農業サービス・生産者組織特別投資融資」 生産性の向上を目的としたイニシアティブに資金を提供すると 共に、生産者組織、公的機関、および民間支援サービスの制 度・専門能力を強化する。 総コスト:2460万ドル ナイジェリア IDA−「国家水・都市セクター改革特別投資融資」 全国36州のうち3州において、水関連の公益サービスとネット ワークの信頼性と財政面での活力を高めるもの。 総コスト:1億4000万ドル ニジェール IDA−「金融セクター技術支援融資」 金融環境を強化し、金融システムを効率化するもの。 総コスト:2540万ドル ブルキナファソ ✧ IDA−「第4次貧困削減支援融資」 成長の加速、所得の創出、社会サービスの提供、予算管理とガ バナンスの強化を目的とした政策を支援するもの。 総コスト:6000万ドル 第6章 世界銀行について 145 承認日 返済期間 INF 3/18/04 2014/2044 34.3 51.4 IDA−「緊急動員解除・再統合・社会復帰グラント」 兵士の動員解除を支援するもの。このグラントでは特に社会復 帰の促進に重点が置かれる予定。 総コスト:7880万ドル ESSD 3/18/04 n.a. 22.2 33.0 ✧ IDA−「経済管理特別投資融資」 政府の経済、財政、および行政運営を効率化すると共に、幅広 い関係者が参加する、包括的な公共政策管理を促進するもの。 総コスト:2750万ドル PREM 1/29/04 2014/2044 18.1 26.0 PREM 3/18/04 2014/2043 13.4 20.0 ESSD 5/11/04 n.a. 26.8 40.0 ✧ IDA−「輸送インフラ投資対応プログラム融資」 主要輸送インフラの再建、輸送コストの削減、および貿易の円 滑化を支援するもの。 総コスト:8億4250万ドル INF 12/8/03 2014/2043 104.4 150.0 ✧ IDA−「ガバナンス・制度構築技術支援融資」 政府が国際基準に準拠した調達システムを構築できるよう支援 するもの。それと同時に、内部と外部による監督体制を強化し、 説明責任を確立する。 総コスト:5800万ドル PREM 11/18/03 2014/2043 21.9 30.0 IDA−「第2次地域社会栄養特別投資融資」 3歳未満の子供の慢性的な栄養不良を削減し、学齢児童と妊産 婦および授乳中の母親の栄養状態を改善する政府の取り組み を支援するもの。 総コスト:1100万ドル HDN 10/28/03 2014/2043 7.3 10.0 PREM 4/13/04 2014/2044 33.8 50.0 ESSD 4/13/04 n.a. 18.1 27.0 ブルンジ ✧ IDA−「道路セクター投資・維持開発融資」 優先道路網の一部を修復し、農村・都市部の貧困層に雇用を 提供すると共に、運輸セクターの制度能力を強化するもの。 総コスト:5130万ドル ベナン ✧ IDA−「第1次貧困削減支援融資」 改革アジェンダの実施を支援すると同時に、貧困層に質の高い 基本的サービスを提供するための政府計画に資金を提供する もの。 総コスト: 2000万ドル マダガスカル ✧ IDA−「第3次環境プログラム支援特別投資グラント」 同国の制度能力を評価し、森林生態系と保護地域を効果的に 管理するためのフレームワークを構築するもの。 総コスト:1億4890万ドル マラウイ ✧ IDA−「財政管理・成長加速融資」 政府の構造改革を支援することにより、農業の生産性が向上し、 HIV/エイズの影響が緩和されるほか、政府の財政管理能力を強 化することにより、成長が促進される。 総コスト:5000万ドル ✧ IDA−「地域社会密着型農地開発特別投資グラント」 全国各地で地域社会主導の自発的な土地改革を実施すること により、農村部の約1万5000の貧困家庭の所得を向上させる もの。 総コスト:2980万ドル 146 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 国名/プロジェクト名 世界銀行 年次報告 2004 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 承認日 返済期間 ✧ IDA−「ディベロップメント・ラーニング・センター研修・ 革新融資」 官民セクターとシビルソサエティの意思決定者の能力を強化す ることにより、社会・経済関連の政策とプログラムの構築を支 援するもの。 総コスト:530万ドル PREM 3/11/04 2014/2044 2.7 4.0 ✧ IDA−「マルチセクター・エイズ・プロジェクト特別投資グ ラント」 HIVの感染を抑制し、感染者の生活の質を向上させ、社会の全 域におよんでいるHIV/エイズの影響を緩和するもの。 総コスト:2億7470万ドル HDN 7/29/03 n.a. 25.4 35.0 PSD 6/17/04 n.a. 17.6 25.5 IDA−「ディベロップメント・ラーニング・センター研修・革 新グラント」 官民セクターとシビルソサエティの能力を強化し、社会・経済 開発プログラムを管理できるようにするもの。これにより、知 識共有ネットワークの一部としての、ディベロップメント・ラーニ ング・センターの有効性と持続可能性が証明される。 総コスト:350万ドル HDN 5/21/04 n.a. 1.7 2.5 ✧ IDA−「輸送回廊改善特別投資融資/グラント」 道路インフラの再建を支援し、近隣諸国が年間を通してこれら のインフラを利用できるようにするもの。 総コスト:1億3150万ドル INF 3/11/04 2014/2044 n.a. 22.2 10.8 32.8c 15.9g IDA−「第3次構造調整融資補完グラント」 財政赤字を補填し、同国が改革プログラムを遂行できるよう支 援するもの。 総コスト:1500万ドル PREM 12/11/03 n.a. 10.5 15.0 ✧ IDA−「家庭用エネルギー普及特別投資融資」 遠隔地の貧しい住民が基本的なエネルギーサービスを利用で きるよう支援すると共に、エネルギーセクターの改革を強化す るもの。 総コスト:5340万ドル INF 11/4/03 2014/2043 25.2 35.7 ESSD 4/20/04 2014/2044 30.1 45.0 INF 7/8/03 2013/2043 13.1 18.0 国名/プロジェクト名 マリ ✧ IDA−「マルチセクターHIV/エイズ特別投資グラント」 政府のHIV/エイズ戦略の実施を支援するもの。このグラントで は特に予防、検査、カウンセリング、治療、およびケアに重点 が置かれる予定。 総コスト:2800万ドル モーリタニア ✧ IDA−「地域社会密着型農村開発融資」 農民の所得と基本的サービスへのアクセスを大幅に改善する ことで、村落の生活環境を向上させるもの。 総コスト:5800万ドル ✧ IDA−「第2次鉱業セクター・キャパシティ・ビルディング 技術支援融資」 政府が長期にわたって鉱物資源を管理し、鉱業セクターへの民 間投資を促進できるよう、必要な制度・技術能力を構築・強化 するもの。 総コスト:2620万ドル 第6章 世界銀行について 147 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 承認日 返済期間 HDN 7/7/03 n.a. 15.3 21.0 INF 2/26/04 2014/2043 10.2 15.0 ✧ IDA−「分権的計画・資金調達特別投資グラント」 地方行政機関の能力を強化し、地域のニーズに合った小規模 なインフラ投資を計画・管理できるようにするもの。 総コスト:4630万ドル PREM 11/20/03 n.a. 29.9 42.0 ✧ IDA−「エネルギー改革・アクセス対応プログラム融資」 電力の利用を促進し、経済成長と社会サービスに貢献すると 共に、現代的な再生可能エネルギーへのアクセスを改善する ための能力を強化するもの。 総コスト:8150万ドル INF 8/19/03 2014/2043 29.7 40.3 HDN 6/15/04 n.a. 13.7 20.0 HDN 7/17/03 2013/2043 15.3 21.0 2,859.0 4,116.0 国名/プロジェクト名 ✧ IDA−「マルチセクターHIV/エイズ抑制特別投資グラント」 政府のHIV/エイズ対策に地域社会密着型のイニシアティブを導 入し、あらゆる政府機関の活動計画にHIV/エイズが盛り込まれ るよう支援するもの。 総コスト:2340万ドル モザンビーク IDA−「第2次全国水開発補完融資」 主要都市の水関連サービスの質、信頼性、および持続可能性 を改善するもの。 総コスト:1650万ドル ルワンダ ✧ IDA−「分権化・地域社会開発特別投資グラント」 地域社会の発展を促すもの。その施策として、地方分権を進め、 地域社会主導のイニシアティブを通して、農村部の貧困を緩和 する。 総コスト:2000万ドル レソト ✧ IDA−「第2次教育セクター開発対応プログラム融資」 初等・中等教育のアクセス、公平性、および質を改善し、教育 省の能力を強化するもの。 総コスト:2720万ドル 合計 n.a. 該当なし。 ✧ シビルソサエティ組織が特定、準備、および評価に参加しており、実行、モニタリング、および評価にシビルソサエティの参加が意図され ているプロジェクト。 注:端数は四捨五入されているため、合計が合わないことがある。c=IDA融資、g=IDAグラント。 a. ESSD=環境・社会・持続可能な開発、FSE=金融セクター、HDN=人的開発、INF=インフラ、PREM=貧困削減・経済管理、PSD= 民間セクター開発 b. IDA融資はSDR(特別引出権)建てで表記されている。SDRの価値は「通貨バスケット」を使って算出される。米ドルに対するSDRの価 値はその融資またはグラントの交渉が行われた時点の交換レートを反映したもの。 c. 記載金額は当該案件全体の総額であり、IBRD/IDAのシェアはその一部の場合もある。 148 世界銀行 年次報告 2004 表6.9 2004年度に承認された融資 東アジア・大洋州地域 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 承認日 返済期間 INF 6/22/04 2009/2024 n.a. 200.0 ✧ IBRD/IDA−「珊瑚礁再建・管理対応プログラム融資」d 政府の珊瑚礁管理システムの構築を支援するもの。その施策 として、組織の即応性を高めると共に、沿岸の地域社会へのエ ンパワーメントを進め、珊瑚礁を共同管理できるようにする。ま た、生態系の保全に対する社会の意識を喚起する。 総コスト:7460万ドル ESSD 5/25/04 2010/2024 2014/2039 n.a. 15.7 33.2 23.0 ✧ IBRD/IDA−「土地管理・政策策定特別投資融資」d 政府が貧困を削減し、経済成長を達成し、土地資源を長期に わたって最大限に活用できるよう支援するもの。 総コスト:8760万ドル ESSD 4/29/04 2009/2024 2014/2039 n.a. 21.9 32.8 32.8 INF 12/16/03 2014/2043 27.9 40.0 INF 9/11/03 2014/2043 14.2 20.0 INF 4/29/04 2014/2044 n.a. 1.4 1.6 INF 12/29/03 2014/2043 9.0 12.8 INF 12/9/03 2009/2021 n.a. 84.3 INF 6/24/04 2010/2024 n.a. 200.0 国名/プロジェクト名 インドネシア ✧ IBRD−「第2次インドネシア東部輸送特別投資融資」 戦略的道路網の強化、道路の計画・管理責任の分権化、公共 事業の効率、質、および透明性の改善を支援するもの。 総コストc:2億9620万ドル カンボジア ✧ IDA−「農村電化・送電特別投資融資」 電力セクターの効率と信頼性を高め、電力料金を引き下げ、農 村地域への送電量を増やし、電力関連機関を強化するもの。 総コスト:1億5010万ドル ✧ IDA−「地方・農村インフラ特別投資融資」 市場と重要サービスへの持続可能なアクセスを提供するもの。 その施策として、道路を再建・整備し、キャパシティ・ビルディ ングを実施し、適切な政策を導入する。 総コスト:2330万ドル サモア ✧ IDA−「サイクロン緊急復興融資/グラント」 政府がサイクロン「ヘタ」の被害に対処し、今後の自然災害か らインフラを保護することができるよう支援するもの。 総コスト:600万ドル ✧ IDA−「第2次インフラ資産管理対応プログラム融資」 運輸と沿岸インフラ資産の経済的、環境的、社会的持続可能 性を高めるもの。民間セクターと連携することにより、天然資 源と災害リスクを効果的に管理する。 総コスト:2260万ドル タイ ✧ IBRD−「高速道路管理特別投資融資」 道路網を効率化し、管理を強化するもの。この融資により、国 道での交通事故と交通事故死亡者が削減され、定期保守が地 区単位で行われるようになる。 総コスト:1億4640万ドル 中国 ✧ IBRD−「第2次国有鉄道特別投資融資」 中国鉄道の主要路線の整備を強化し、政府のサービス強化を 支援するもの。 総コスト:18億ドル 第6章 2.1c 2.4g 世界銀行について 149 承認日 返済期間 ✧ IBRD−「湖北十漫高速道路特別投資融資」 他省、特に中国西部へのアクセスを改善し、地方住民の移動性 を高め、省の道路セクターのガバナンスを強化することにより、 社会経済の発展を促進するもの。 総コスト:5億2900万ドル INF 6/24/04 2010/2024 n.a. 200.0 ✧ IBRD−「広東省珠江デルタ都市環境特別投資融資」 地域が策定した計画に従って、環境サービスの提供を改善・合 理化することにより、珠江デルタの環境問題に対処するもの。 総コスト:4億2240万ドル INF 6/8/04 2010/2024 n.a. 128.0 ✧ IBRD−「第4次内陸水路特別投資融資」 珠江デルタ地域に注ぎ込む水路へのアクセスを改善すると共 に、水流をクリーンエネルギーの生成に利用するもの。 総コスト:2億6040万ドル INF 3/25/04 2009/2024 n.a. 91.0 ✧ IBRD−「武漢都市交通特別投資融資」 統合的で、効率的で、持続可能な交通網の構築を支援すること により、投資を促進し、交通戦略を策定し、バス運行システム を改革するもの。 総コスト:5億9820万ドル INF 3/9/04 2009/2024 n.a. 200.0 ✧ IBRD−「浙江省都市環境特別投資融資」 廃棄物管理を効率化し、内陸の歴史都市を開発することにより、 文化遺産保全のモデル都市となることを目指すもの。 総コスト:3億3430万ドル INF 1/29/04 2009/2024 n.a. 133.0 ✧ IBRD−「江西省統合農業近代化特別投資融資」 包括的で、経済・環境的に持続可能で、市場主導の農業生産シ ステムを構築するもの。 総コスト:1億5400万ドル HDN 11/20/03 2009/2024 n.a. 100.0 ✧ IBRD−「甘粛・新疆牧畜開発特別投資融資」 家畜の生産・流通システムを改善することにより、牧畜・農業 従事者の所得を向上させるもの。 総コスト:1億1160万ドル ESSD 9/9/03 2009/2023 n.a. 66.3 ✧ IBRD−「中国西部基礎教育特別投資融資」 安価で質の高い基礎教育へのアクセスを改善し、四川省、甘粛 省、雲南省、および寧夏回族、広西壮族自治区の貧困家庭の 子供たちが学校教育を修了できるよう支援するもの。 総コスト:1億4730万ドル HDN 9/9/03 2011/2023 n.a. 100.0 HDN 7/24/03 2014/2043 8.0 10.9 トンガ ✧ IDA−「保健・医療セクター支援特別投資融資」 保健・医療セクターに適切な融資政策と情報システムを導入 し、保健施設の運営、機能、および技術力を強化する改革を支 援するもの。 総コスト:1240万ドル 150 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 国名/プロジェクト名 世界銀行 年次報告 2004 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 承認日 返済期間 PREM 7/22/03 n.a. 2.9 4.0 ESSD 6/22/04 2012/2024 n.a. 60.0 ✧ IBRD−「農村電力対応プログラム融資」 民間セクターと協力して、適切で、安価で、安定したエネル ギーサービスの提供を支援し、農村部の生活の質を改善する もの。 総コスト:2670万ドル INF 12/4/03 2012/2023 n.a. 10.0 ✧ IBRD−「ラグナ湖制度強化・地域社会参加特別投資融資」 ラグナ湖および同じ水系の地区の環境を改善するために、ラグ ナ湖開発局、地域政府の担当部門、およびその他の関係者の 活動を支援するもの。 総コスト:1250万ドル ESSD 12/4/03 2012/2023 n.a. 5.0 ✧ IBRD−「司法改革支援特別投資融資」 裁判を効率化し、司法制度を整備し、制度能力を強化し、司法 改革に対する関係者の広範な支持を集めるもの。 総コスト:2440万ドル PREM 8/19/03 2011/2023 n.a. 21.9 PREM 6/22/04 2014/2044 69.0 100.0 ✧ IDA−「都市改善プロジェクト特別投資融資」 政府が都市貧困層の生活・環境条件を改善できるよう支援する もの。その施策として、さまざまな利害関係者が計画の立案に 参加できるようにする。 総コスト:4億1750万ドル INF 4/29/04 2014/2044 148.8 222.5 ✧ IDA−「ベトナム水資源支援融資」 灌漑システムを近代化することにより、農業の多様化を推進す るもの。効果的なダム安全管理システムを構築し、環境的に持 続可能な水資源開発を促進する。 総コスト:1億7620万ドル ESSD 3/30/04 2014/2044 105.7 157.8 国名/プロジェクト名 東ティモール IDA−「第2次移行支援構造調整グラント」 グッドガバナンスを促進するような制度フレームワークを確立 し、司法制度、教育、保健・医療、および農業セクターの効率 化と民間セクター開発を促進するもの。 総コスト:1140万ドル フィリピン ✧ IBRD−「農業所得多様化・市場開発セクター投資・維持融資」 農業局が市場志向のサービスを提供できるよう支援するもの。 この融資により、農業の競争力が高まり、農民の所得が向上 する。 総コスト:6970万ドル ベトナム ✧ IDA−「第3次貧困削減支援融資」 政府の競争促進活動を支援すると共に、国有企業と国有商業 銀行の売却を加速させるもの。国家財政の透明性と説明責任 を強化し、教育を通して人的開発を促進する。 総コスト:1億ドル 第6章 世界銀行について 151 国名/プロジェクト名 ✧ IDA−「道路網改善特別投資融資」 国道網の質を高めるもの。その施策として、道路の予防整備と 改修にあてる予算を増やし、政府の計画・予算編成能力を強化 する。 総コスト:3億500万ドル モンゴル ✧ IDA− 「第2次ウランバートル市サービス改善特別投資融資」 都市貧困層に対する給水の改善を支援するもの。その施策とし て、主要地区の中核ネットワークシステムを強化し、節水・漏水 管理を促進し、流水量と水質のモニタリングを拡大する。 総コスト:2300万ドル ラオス人民民主共和国 ✧ IDA−「道路整備対応プログラム融資」 持続可能な道路整備を実現するための融資と管理システムを、 全国18の州・地区に拡大するもの。 総コスト:7000万ドル ✧ IDA−「第2次教育開発特別投資融資/グラント」 6つの最貧困州のうち、19の最貧困地区の初等学校就学率と修 了率を引き上げるもの。 総コスト:1350万ドル 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 承認日 返済期間 INF 12/18/03 2014/2043 156.7 225.3 INF 4/29/04 2014/2044 12.1 18.0 INF 6/30/04 2014/2044 15.5 22.7 HDN 4/29/04 2014/2043 n.a. 3.9 5.6 合計 5.3c 7.7g 615.4 2,572.8 n.a. 3.0 特別融資e 東ティモール 「第3次農業再建特別投資融資」 農林水産省と開発パートナーの能力を強化し、農業生産高と 農民の所得を持続可能な方法で増大させるもの。 総コスト:1140万ドル ESSD 12/29/03 n.a n.a. 該当なし。 ✧ シビルソサエティ組織が特定、準備、および評価に参加しており、実行、モニタリング、および評価にシビルソサエティの参加が意図されてい るプロジェクト。 注:端数は四捨五入されているため、合計が合わないことがある。c=IDA融資、g=IDAグラント。 a. ESSD=環境・社会・持続可能な開発、FSE=金融セクター、HDN=人的開発、INF=インフラ、PREM=貧困削減・経済管理、PSD=民間 セクター開発 b. IDA融資はSDR(特別引出権)建てで表記されている。SDRの価値は「通貨バスケット」を使って算出される。米ドルに対するSDRの価値は その融資またはグラントの交渉が行われた時点の交換レートを反映したもの。 c. 記載金額は当該案件全体の総額であり、IBRD/IDAのシェアはその一部の場合もある。 d. 「ブレンド(IBRDとIDA) 」融資。 e. 世銀が管理する信託基金による融資。 152 世界銀行 年次報告 2004 表6.10 2004年度に承認された融資 南アジア地域 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 承認日 返済期間 INF 6/22/04 2014/2044 72.4 105.0 ✧ IDA−「緊急灌漑再建セクター投資融資」 灌漑用水の安定的な供給、水資源管理の強化、農業生産高の 増大、および雇用機会の拡大により、農村住民の生計を向上さ せるもの。 総コスト:4000万ドル ESSD 12/23/03 2014/2043 27.9 40.0 IDA−「緊急税関近代化・貿易円滑化緊急復興融資」 貿易収入の拡大、汚職の削減、および国境地帯での密輸の予 防を目指すもの。その施策として、効率的な税関制度を構築す るための緊急支援を提供する。 総コスト:3100万ドル INF 12/23/03 2014/2043 21.6 31.0 ✧ IDA−「緊急国家連帯特別投資グラント」 地域社会が計画・管理する復興・開発活動にグラントを提供 し、農村の再建を支援するもの。 総コスト:2億4500万ドル ESSD 12/23/03 n.a. 66.1 95.0 IDA−「緊急通信緊急復興融資」 国内の通信網と通信サービスの近代化と急速な発展を目指す もの。 総コスト:2200万ドル INF 10/7/03 2013/2043 15.7 22.0 ESSD 5/20/04 2014/2039 47.4 69.6 ✧ IDA−「初等教育特別投資融資」 インド政府と各州、欧州委員会、および英国の資金を共同で管 理し、初等教育の完全普及を実現するための国家計画を支援 するもの。 総コスト:35億ドル HDN 4/20/04 2014/2039 334.9 500.0 ✧ IBRD−「カルナタカ州都市水セクター改善特別投資融資」 給水と下水設備の効率、管理、および提供を改善することによ り、カルナタカ州の都市住民に便益を提供するもの。 総コスト:5150万ドル INF 4/8/04 2009/2024 n.a. 39.5 ✧ IDA−「ラジャスタン州保健・医療システム特別投資融資」 州の保健・医療セクターの改善を支援するもの。その施策とし て、保健・医療サービスを貧困層にも拡大し、ケアの効果と質 を改善する。 総コスト:1億600万ドル HDN 3/11/04 2014/2039 61.0 89.0 IBRD/IDA−「第2次アンドラ・プラデシュ州経済改革融資」d 州政府が社会経済を強化し、貧困を削減し、経済改革プログ ラムを推進できるよう支援するもの。 総コスト:2億2000万ドル PREM 2/10/04 2009/2024 2014/2028 n.a. 76.4 110.0 110.0 国名/プロジェクト名 アフガニスタン IDA−「緊急電力再建融資」 都市(カブール市を含む)における電力供給の質と信頼性を改 善するもの。 総コストc:2億2000万ドル インド ✧ IDA−「ウッタランチャル州分水界開発投資融資」 天然資源を最大限に活用し、主要分水界の住民の所得を向上 させるもの。このプロジェクトにより、9200の村に便益が提供 される。 総コスト:8940万ドル 第6章 世界銀行について 153 承認日 返済期間 IDA−「予防接種強化補完融資」 現行の「予防接種強化プロジェクト」に追加資金を提供し、ポリ オの撲滅に寄与するもの。 総コスト:8340万ドル HDN 12/16/03 2010/2035 59.5 83.4 ✧ IBRD−「アラハバード市バイパス特別投資融資」 道路計画、資産、およびサービスを管理するための制度能力を 強 化 すると 共 に 、国 道 2 号 線 に ア ラハ バ ード 市 を 迂 回 する 84.7kmのバイバスを建設するもの。 総コスト:3億2020万ドル INF 10/14/03 2009/2023 n.a. 240.0 ✧ IDA−「マハラシュトラ州農村給水・衛生〈Jalswarajya〉 特別投資融資」 安全な飲料水と質の高い衛生サービスを農村部に拡大すると 共に、サービスの分散的な提供を制度化するもの。 総コスト:2億6860万ドル INF 8/26/03 2014/2038 128.8 181.0 ESSD 6/22/04 2014/2044 44.6 64.7 ✧ IDA−「保健・医療セクター開発特別投資グラント」 地区、州、および国家レベルの保健・医療システムの効率と質 を改善するもの。その施策として、保健・医療サービスへのア クセスを改善する。 総コスト:7260万ドル HDN 6/15/04 n.a. 40.2 60.0 ✧ IDA−「地域社会開発・生計向上〈Gemi Diriya〉対応プロ グラム・グラント」 意思決定権を地域社会に委譲することにより、村落を強化しエ ンパワーメントを進める地域社会主導のプロジェクト。 総コスト:6980万ドル ESSD 3/30/04 n.a. 34.2 51.0 ESSD 6/1/04 n.a. 10.1 15.0 ✧ IDA−「第2次農村給水・衛生特別投資融資」 給水・衛生サービスを拡大し、80万人以上の農村部住民に便 益を提供するもの。 総コスト:4150万ドル INF 6/1/04 2014/2044 17.0 25.3 ✧ IDA−「金融セクター再建特別投資融資/グラント」 主要な経済構造改革の一環として進められている金融セクター の強化を支援するもの。 総コスト:8680万ドル FSE 3/9/04 2014/2044 47.6 4.9 68.5c 7.0g ✧ IDA−「第1次貧困削減支援構造調整融資」 同国が策定した貧困削減戦略文書に従って、経済成長、サービ スの提供、社会的一体性、およびガバナンスの改善を促進す るもの。 総コスト:7000万ドル PREM 11/18/03 2014/2043 51.0 70.0 スリランカ ✧ IDA−「第2次北東部灌漑農業特別投資融資」 農業生産高を回復させ、農民に所得創出機会を提供することに より、紛争の影響を受けた北東部の地域社会を再建・開発する もの。 総コスト:8110万ドル ネパール ✧ IDA−「貧困緩和基金特別投資グラント」 農村部の貧しい村落に所得創出の機会と基本的サービス/イ ンフラを提供するパイロット・イニシアティブ。 総コスト:1660万ドル 154 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 国名/プロジェクト名 世界銀行 年次報告 2004 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 承認日 返済期間 ESSD 6/22/04 2014/2039 25.3 37.1 ✧ IDA−「シンド州農場水源管理特別投資融資」 水資源と灌漑の管理を強化することにより、貧しい農民が農業 の生産性を改善できるよう支援するもの。 総コスト:8480万ドル ESSD 5/20/04 2014/2039 41.0 61.1 ✧ IDA−「公共セクター・キャパシティ・ビルディング融資」 政府の改革実施能力を強化することにより、現行の経済改革プ ログラムを支援するもの。 総コスト:6100万ドル PREM 5/20/04 2014/2039 36.9 55.0 ✧ IDA−「第2次北西辺境州構造調整融資」 州政府の中期的な経済・構造改革計画の次段階を支援するも の。 総コスト:9000万ドル ESSD 5/20/04 2014/2039 62.1 90.0 ✧ IDA−「パンジャブ州教育セクター調整融資」 児童(特に貧困家庭の児童と少女)の就学率を高め、教育の質 を改善するもの。 総コスト:7億2000万ドル HDN 2/10/04 2014/2038 69.5 100.0 ✧ IBRD/IDA−「高速道路再建プロジェクト特別投資融資」d 生産的で効率的な国道網を持続可能な形で提供することによ り、輸送コストの削減に寄与するもの。 総コスト:2億6140万ドル INF 12/23/03 2009/2024 2014/2038 n.a. 105.9 50.0 150.0 ✧ IDA−「第2次貧困緩和金融仲介融資」 小口融資、研修、グラント、および社会セクター介入により、低 所得層(特に女性)に資金とサービスを提供するもの。 総コスト:3億6800万ドル FSE 12/4/03 2014/2038 168.1 238.0 PREM 6/22/04 n.a. 13.8 20.0 ✧ IDA−「給水プログラム特別投資グラント」 水道管の利用を促進することにより、農村部の住民が安全な飲 料水を利用できるようにするもの。 総コスト:5510万ドル INF 6/17/04 n.a. 27.6 40.0 ✧ IDA−「未就学児童支援特別投資グラント」 初等教育の完全普及を支援するもの。その施策として、不利な 状況に置かれた数千人の児童に学校教育に参加する機会を提 供すると共に、非公式教育の質と効率を高める。 総コスト:6280万ドル HDN 6/17/04 n.a. 35.2 51.0 国名/プロジェクト名 パキスタン ✧ IDA−「第2次北西辺境州地域社会インフラ特別投資融資」 農村部と都市の低所得層が基本的インフラとサービスを利用で きるようにするもの。 総コスト:5330万ドル バングラデシュ IDA−「経済管理技術支援グラント」 制度、経済、および公務の管理能力を強化し、公共セクターと 企業セクターの効率を改善するもの。 総コスト:2500万ドル 第6章 世界銀行について 155 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 承認日 返済期間 ✧ IDA−「企業成長・銀行近代化特別投資融資」 産業・金融セクターへの政府の関与を取り除くことにより、民 間セクターの投資環境を改善し、民間企業の発展を促し、競争 力のある民間銀行制度を構築するもの。 総コスト:3億8840万ドル PSD 6/8/04 2014/2044 127.3 IDA−「電力セクター開発技術支援融資/グラント」 電力分野の政策・規制能力を強化すると共に、2件の電力プロ ジェクトに資金を提供するもの。 総コスト:2050万ドル INF 6/3/04 2014/2044 n.a. 4.9 5.8 ✧ IDA−「初等教育開発特別投資融資」 学校教育への公平なアクセスを実現し、教育の質と修了率の 向上を目指すもの。この融資はアジア開発銀行が中心となっ て進めている開発パートナーの協調努力の一環として行われ ている。 総コスト:18億1500万ドル HDN 2/24/04 2014/2044 104.2 150.0 HDN 6/17/04 n.a. 4.0 5.8 HDN 8/21/03 2013/2043 22.0 31.0 2,014.9 3,421.5 国名/プロジェクト名 ブータン ✧ IDA−「HIV/エイズ・性感染症予防・抑制特別投資グラント」 HIV/エイズに関して現在の低い感染率を維持することを目指す もの。その施策として、安全な性行動(例:コンドームの利用) を普及させ、性感染症の管理と治療を強化する。 総コスト:590万ドル ✧ IDA−「教育開発特別投資融資」 初等・中等教育へのアクセスを改善し、あらゆるレベルの教育 の質を引き上げるもの。 総コスト:3900万ドル 合計 250.0 7.1c 8.4g n.a. 該当なし。 ✧ シビルソサエティ組織が特定、準備、および評価に参加しており、実行、モニタリング、および評価にシビルソサエティの参加が意図されてい るプロジェクト。 注:端数は四捨五入されているため、合計が合わないことがある。c=IDA融資、g=IDAグラント。 a. ESSD=環境・社会・持続可能な開発、FSE=金融セクター、HDN=人的開発、INF=インフラ、PREM=貧困削減・経済管理、PSD=民間 セクター開発 b. IDA融資はSDR(特別引出権)建てで表記されている。SDRの価値は「通貨バスケット」を使って算出される。米ドルに対するSDRの価値は その融資またはグラントの交渉が行われた時点の交換レートを反映したもの。 c. 記載金額は当該案件全体の総額であり、IBRD/IDAのシェアはその一部の場合もある。 d. 「ブレンド(IBRDとIDA) 」融資。 156 世界銀行 年次報告 2004 表6.11 2004年度に承認された融資 ヨーロッパ・中央アジア地域 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 承認日 返済期間 HDN 6/10/04 2014/2039 6.8 10.0 ESSD 6/3/04 2014/2039 10.2 15.0 ESSD 6/3/04 2014/2024 10.2 15.0 ✧ IDA−「電力セクター・発電・再建特別投資融資」 送電・配電システムを再建・強化するもの。 総コスト:1億1270万ドル INF 3/16/04 2014/2024 16.9 25.0 ✧ IDA−「第2次貧困削減支援融資」 政府の経済・社会開発戦略に従って、財政的に持続可能な政策 の実施を支援するもの。 総コスト:1800万ドル HDN 7/10/03 2013/2023 13.1 18.0 ESSD 6/10/04 2014/2044 4.7 6.8 IDA−「社会的保護管理融資」 公的雇用、年金、および貧困層や弱い立場に置かれた人々に 対する社会福祉サービスの効率、有効性、および質を改善する もの。 総コスト:570万ドル HDN 6/10/04 2014/2044 3.6 5.2 ✧ IDA−「保健・医療システム近代化融資」 政府の保健・医療セクター開発プログラムを支援するもの。 総コスト:2560万ドル ESSD 6/10/04 2014/2044 13.0 19.0 IDA−「公共セクター近代化特別投資融資」 革新を促進し、透明性と説明責任を強化することにより、公共 セクター改革プログラムを支援するもの。 総コスト:1130万ドル PREM 5/4/04 2014/2044 6.8 10.2 IDA−「地方自治体水・排水融資」 水・排水サービスを改善するもの。この融資では特に貧困層を 受益者とするサービスに重点が置かれる予定。 総コスト:2560万ドル INF 5/4/04 2014/2044 15.4 23.0 IDA−「農業改革支援補完融資」 2002年12月の壊滅的な霜被害から小規模農家が回復できるよ う支援するもの。 総コスト:190万ドル ESSD 5/4/04 2008/2032 1.2 1.8 国名/プロジェクト名 アゼルバイジャン IDA−「年金・社会福祉特別投資融資」 社会保険と社会福祉プログラムの運営を改善するもの。 総コストc:1300万ドル ✧ IDA−「農村投資融資」 基本的な自治体サービスを、村落や地方自治体が自らの優先順 位に基づいて提供・管理できるようにするもの。 総コスト:2110万ドル アルバニア ✧ IDA−「水資源管理融資」 灌漑などの水資源をよりよく管理することにより、水資源が持 続可能な経済成長に与える影響を強化するもの。 総コスト:4000万ドル アルメニア IDA−「第2次灌漑ダム安全性融資」 現行の「ダム安全性プロジェクト」の受益地域を拡大するもの。 総コスト:750万ドル 第6章 世界銀行について 157 承認日 返済期間 HDN 1/20/04 2014/2043 13.2 19.0 PREM 3/25/04 2009/2024 n.a. 32.0 PREM 12/9/03 2009/2023 n.a. 250.0 ESSD 6/15/04 n.a. 4.7 6.9 IDA−「決済・銀行システム近代化融資」 商業銀行が利用することのできる近代的で包括的な国家決済 システムの導入を支援するもの。 総コスト:1050万ドル FSE 3/16/04 2014/2044 6.1 9.0 ✧ IDA−「村落特別投資グラント」 重要なインフラ・サービスへのアクセスを改善し、小規模民営 企業の発展を支援することにより、農村の貧困緩和を促進する もの。 総コスト:1940万ドル ESSD 12/16/03 n.a. 10.5 15.1 PREM 6/24/04 2014/2044 16.6 24.0 INF 6/24/04 2014/2044 13.8 20.0 INF 6/24/04 2014/2044 2.5 3.6 ✧ IDA−「教育品質・妥当性対応プログラム融資」 同国の教育システムを変革し、知識経済の課題に対応できるよ うにするもの。 総コスト:2170万ドル ウクライナ IBRD−「社会・経済的変化のモニタリングのための州統計シ ステム構築特別投資融資」 統計インフラを整備し、データの収集方法を変更し、データの 処理と提供を改善するために、現在の統計システムを再構築 するもの。 総コスト:3790万ドル ✧ IBRD−「第2次プログラム的調整融資」 第1次融資と同様に、財政と金融の規律、規制改革、財産権の 確立と保護、公共セクターの説明責任、および社会・環境リス クの管理を強化するもの。 総コスト:2億5000万ドル キルギス共和国 IDA−「災害危険緩和特別投資グラント」 老朽化した鉱屑・ゴミ捨て場を修復し、災害管理・対応の有効 性を強化することにより、災害が発生した場合の死亡者数を減 少させるもの。 総コスト:1180万ドル グルジア ✧ IDA−「改革支援融資」 財政バランスを回復し、重要な経済・ガバナンス改革を遂行す るための緊急支援を提供するもの。 総コスト:2400万ドル ✧ IDA−「2次道路・地方道路特別投資融資」 2次道路・地方道路を再建することにより、市場の統合を促し、 地方の貧困層がさまざまなサービスにアクセスできるようにす るもの。 総コスト:2740万ドル IDA−「エネルギー補完融資」 「電力市場支援プロジェクト」を支援するもの。卸電力のメー ターリングや関連システムのアップグレードに必要な資金を提 供する。 総コスト:910万ドル 158 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 国名/プロジェクト名 世界銀行 年次報告 2004 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 承認日 返済期間 INF 6/1/04 2009/2021 n.a. 47.5 ✧ IBRD−「エネルギー効率特別投資融資」 エネルギー供給事業への民間参入を促進し、エネルギー効率の 高いプロジェクトやサービスへの需要と供給を増大させるもの。 総コスト:3980万ドル INF 10/7/03 2008/2019 n.a. 5.0 IBRD−「リエカ・ゲートウェイ特別投資融資」 港湾と主要道路の連絡を民営化・近代化することにより、リエ カ・ゲートウェイを経由した国際輸送チェーンが強化され、国家 の貿易競争力が強化される。 総コスト:2億6610万ドル INF 7/8/03 2008/2018 n.a. 156.5 HDN 12/2/03 n.a. 2.9 4.0 HDN 9/11/03 2003/2009 n.a. 12.4 HDN 9/11/03 2003/2009 n.a. 62.9 HDN 6/8/04 2014/2024 4.9 7.0 IDA−「モンテネグロ共和国年金制度管理特別投資融資」 年金資金と社会負担金の徴収を改善し、主要年金機関の能力 と運営を強化するもの。 総コスト:650万ドル HDN 6/8/04 2014/2024 3.5 5.0 ✧ IDA−「輸送再建特別投資融資」 主要道路区間の定期保守と再建を促進し、輸送機関を強化し、 法規制フレームワークを改善し、道路建設・整備産業を発展さ せるもの。 総コスト:6130万ドル INF 5/25/04 2014/2024 37.5 55.0 国名/プロジェクト名 クロアチア ✧ IBRD−「沿岸都市汚染抑制融資」 財政的・運用的に持続可能なやり方で、アドリア海沿岸の水質 浄化に取り組むもの。 総コスト:9510万ドル コソボ IDA−「第2次地域社会開発基金特別投資グラント」 貧困地域や紛争の影響を受けた地域の住民が地域インフラや サービスを利用できるようにするもの。地域社会および地方自 治体レベルでの制度能力構築を促進する。 総コスト:440万ドル スロバキア共和国 ✧ IBRD−「保健・医療セクター近代化支援技術支援融資」 保健・医療システムを改善・効率化するもの。この融資により、 より多くの人々、特に弱い立場に置かれた人々が保健・医療 サービスを利用できるようになる。 総コスト:1580万ドル ✧ IBRD−「保健・医療セクター近代化支援セクター調整融資」 保健・医療セクター改革を支援するもの。この改革により、財 政の持続可能性が強化され、質の高い保健・医療サービスと財 政保護が国民に提供される。 総コスト:6290万ドル セルビア・モンテネグロ ✧ IDA−「保健・医療システム改善特別投資融資」 モンテネグロ共和国の保健・医療システムを改革し、保健・医 療サービスの提供を拡大するもの。 総コスト:990万ドル 第6章 世界銀行について 159 承認日 返済期間 ✧ IDA−「セルビア共和国のための土地台帳・不動産登記特別 投資融資」 効率的な不動産市場の構築を促進するもの。 総コスト:3950万ドル ESSD 5/25/04 2014/2024 20.1 30.0 ✧ IDA−「エネルギー効率特別投資融資」 暖房に用いられるクリーンエネルギーの料金を引き下げるも の。これにより、持続可能な開発が国家政策に組み込まれ、環 境資源の損失が食い止められる。 総コスト:2500万ドル INF 3/16/04 2014/2024 14.1 21.0 ✧ IDA− 「モンテネグロ共和国景観保護セクター投資・維持融資」 環境的、商業的に持続可能なゴミ回収・処理サービスを導入す ることにより、沿岸地域の衛生と景観を保護するもの。 総コスト:950万ドル INF 9/11/03 2014/2023 5.0 7.0 ESSD 6/15/04 2014/2044 n.a. 3.4 3.9 5.0c 5.8g PREM 6/17/04 2008/2021 n.a. 1,000.0 ✧ IBRD−「アナトリア分水界再生融資」 アナトリアと黒海沿岸の劣化した分水界において、持続可能な 天然資源管理と貧困削減を支援するもの。 総コスト:3810万ドル ESSD 6/1/04 2008/2021 n.a. 20.0 IBRD−「保健・医療変革対応プログラム融資」 保健・医療サービスの質と利用状況を改善するもの。この融資 では特に貧困層と農村部・都市周辺部の住民に重点が置かれ る予定。 総コスト:7520万ドル HDN 5/20/04 2008/2021 n.a. 60.6 ✧ IBRD−「再生可能エネルギー特別投資融資」 再生可能資源を利用した発電の民営化(所有と運営) を促進す るもの。 総コスト:5億200万ドル INF 3/25/04 2007/2022 n.a. 202.0 IBRD−「第2次輸出金融仲介融資」 民間の輸出企業に中長期的な運転資本と投資を提供するもの。 その施策として、民間金融セクターに金融仲介機関を設置する。 総コスト:3億310万ドル FSE 1/13/04 2010/2020 n.a. 303.1 タジキスタン ✧ IDA−「地域社会農業・分水界管理融資/グラント」 生産的資産を開発することにより、村落が持続可能な形で生産 性を向上させ、脆弱な土地と生態系の劣化を抑制できるように なる。 総コスト:1680万ドル トルコ IBRD−「第3次プログラム的金融・公共セクター調整融資」 金融・公共セクターを支援すると共に、社会プログラムに十分 な資金が提供されているか、プログラムが的を絞ったものに なっているかどうかを確認する。 総コスト:10億ドル 160 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 国名/プロジェクト名 世界銀行 年次報告 2004 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 承認日 返済期間 PREM 6/10/04 2009/2021 n.a. 150.0 INF 3/30/04 2014/2014 n.a. 200.0 INF 3/30/04 2014/2014 n.a. 126.0 HDN 6/15/04 2014/2024 34.7 51.0 ✧ IDA−「経済管理構造調整融資」 政府の財政改革計画を支援し、紛争後援助に依存した経済か ら、自律的な成長への移行を支援するもの。 総コスト:3400万ドル PREM 6/15/04 2014/2024 23.2 34.0 IDA−「第2次雇用支援融資」 雇用サービスを提供すると共に、雇用サービスに対する労働者 と企業の行動変化を促すもの。 総コスト:1400万ドル HDN 6/15/04 2014/2024 8.2 12.0 HDN 5/13/04 2009/2021 n.a. 9.8 IBRD−「公共セクター管理調整融資」 保健・医療セクターと社会福祉セクターの改革を支援するも の。それと平行して、中央政府の予算策定・実行プロセスの改 革を支援する。 総コスト:3000万ドル PREM 5/13/04 2009/2021 n.a. 30.0 ✧ IBRD−「保健・医療セクター管理特別投資融資」 「保健・医療セクター移行プロジェクト」の後継融資。保健・医 療システムのコスト効率と財政的な持続可能性を改善し、患者 の選択肢を拡大するもの。 総コスト:1130万ドル HDN 5/13/04 2009/2021 n.a. 10.0 IBRD−「教育近代化特別投資融資」 学習計画と学校運営を強化し、分権化された学校制度の公平 性と効率を改善するもの。 総コスト:1950万ドル HDN 12/16/03 2009/2020 n.a. 5.0 国名/プロジェクト名 ブルガリア ✧ IBRD−「第2次プログラム的調整融資」 経済成長と貧困削減を目的とした、政府の広範なガバナンス・ アジェンダを支援するもの。 総コスト:1億5000万ドル ポーランド ✧ IBRD−「無煙炭社会緩和特別投資融資」 無煙炭セクターの収益性と流動性を高めるもの。この融資によ り、手数料と債務の支払いが促進され、業界再編が社会に与 える影響が緩和される。 総コスト:3億ドル ✧ IBRD−「道路整備・復旧特別投資融資」 国道の復旧・整備システムの有効性を改善するもの。 総コスト:1億7500万ドル ボスニア・ヘルツェゴビナ ✧ IDA−「第2次社会セクター調整融資」 退役軍人手当、ソーシャル・セーフティネット、失業対策、およ び障害者対応の分野で、政策改革を促進するもの。 総コスト:5100万ドル マケドニア旧ユーゴスラビア共和国 ✧ IBRD−「社会的保護実施特別投資融資」 資源の配分と社会的保護サービスの提供を改善するもの。 総コスト:1120万ドル 第6章 世界銀行について 161 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 承認日 返済期間 HDN 6/17/04 2014/2044 13.8 20.0 IDA−「農村投資・サービス補完融資」 農民や農村企業が金融サービスを利用できるようにするもの。 総コスト:500万ドル ESSD 4/29/04 2014/2043 3.4 5.0 ✧ IDA−「若者の統合のための研修・革新融資」 農村部や都市部の貧困家庭の子供たちに、若者向けのサービ スと機会を提供することにより、こうした措置が良好な社会行 動の習得や、高リスク行動の削減につながるかどうかを分析す るもの。 総コスト:640万ドル ESSD 12/29/03 2014/2043 2.1 3.0 ✧ IDA−「第2次エネルギー特別投資融資」 送電システムと卸電力供給の安全性と信頼性を高め、電力シ ステムの民営化を促進するもの。 総コスト:4410万ドル INF 11/25/03 2014/2043 25.7 35.0 ESSD 5/20/04 2009/2021 n.a. 150.0 ESSD 7/31/03 2009/2020 n.a. 80.0 HDN 3/2/04 2009/2021 n.a. 100.0 375.7 3,559.2 国名/プロジェクト名 モルドバ ✧ IDA−「第2次社会投資基金特別投資融資」 貧困層や弱い立場に置かれた人々に対するエンパワーメント として、優先度の高い開発ニーズを自ら管理できるようにする もの。 総コスト:2920万ドル ルーマニア ✧ IBRD−「災害リスク低減・緊急対策特別投資融資」 自然災害や汚染物質の漏出事故に対する、環境、社会、および 経済の脆弱性を低減するもの。 総コスト:2億370万ドル ✧ IBRD−「灌漑再建・改革特別投資融資」 灌漑の経済的な利用を促進し、農業の生産性を向上させるも の。その施策として、農民と土地造成局の行動変化を促す。 総コスト:1億300万ドル ロシア連邦 ✧ IBRD−「Eラーニング支援対応プログラム融資」 一般・初歩レベルの職業教育に対するアクセスを改善すると共 に、教育の質と効率を高めるもの。 総コスト:1億4540万ドル 合計 n.a. 該当なし。 ✧ シビルソサエティ組織が特定、準備、および評価に参加しており、実行、モニタリング、および評価にシビルソサエティの参加が意図されてい るプロジェクト。 注:端数は四捨五入されているため、合計が合わないことがある。c=IDA融資、g=IDAグラント。 a. ESSD=環境・社会・持続可能な開発、FSE=金融セクター、HDN=人的開発、INF=インフラ、PREM=貧困削減・経済管理、PSD=民間 セクター開発 b. IDA融資はSDR(特別引出権)建てで表記されている。SDRの価値は「通貨バスケット」を使って算出される。米ドルに対するSDRの価値は その融資またはグラントの交渉が行われた時点の交換レートを反映したもの。 c. 記載金額は当該案件全体の総額であり、IBRD/IDAのシェアはその一部の場合もある。 162 世界銀行 年次報告 2004 表6.12 2004年度に承認された融資 ラテンアメリカ・カリブ海地域 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 承認日 返済期間 FSE 6/29/04 2007/2019 n.a. 500.0 IBRD−「国道資産管理対応プログラム融資」 経済復興、生産性、競争力、および地域の成長統合を促進する ために、政府が推進しているインフラ投資促進計画を支援する もの。 総コスト:3億810万ドル INF 6/29/04 2010/2018 n.a. 200.0 ✧ IBRD−「妊産婦と子供のための地方保健・医療対応プログ ラム融資」 「母子保険プログラム」の導入を支援するもの。この融資では 特に貧しい母子の保健・医療ニーズに緊急に対応することに重 点が置かれている。 総コスト:2億8990万ドル HDN 4/15/04 n.a. n.a. 135.8 ✧ IBRD−「妊産婦と子供のための保健・医療セクター調整融 資」 保健・医療システムの包括的な再構築を支援するもの。この融 資では特に貧しい母子の保健・医療ニーズに緊急に対応するこ とに重点が置かれている。 総コスト:4億ドル HDN 10/28/03 2007/2018 n.a. 750.0 PREM 6/22/04 2008/2011 n.a. 20.0 ESSD 6/17/04 n.a. n.a. 34.0 HDN 3/30/04 n.a. 6.7 10.0 HDN 3/25/04 n.a. 6.1 9.0 国名/プロジェクト名 アルゼンチン ✧ IBRD−「経済復興支援構造調整融資」 経済復興の継続を支援すると共に、中期的成長、雇用機会、お よび社会的公正の基盤を整えるもの。 総コストc:5億ドル エクアドル ✧ IBRD−「制度改革特別投資融資」 税関管理、政府調達、行政事務、および主要公共機関の効率と 説明責任を強化するための改革を推進するもの。 総コスト:2400万ドル ✧ IBRD−「第2次先住民族・アフリカ系住民開発特別投資融 資」 先住民族とアフリカ系住民の居住区の開発を促進し、政府が 社会的阻害の問題に対応できるよう支援するもの。 総コスト:4500万ドル ガイアナ IDA−「HIV/エイズ予防・抑制対応プログラム・グラント」 HIV/エイズの予防活動を支援し、感染者に治療とケアを提供 するもの。 総コスト:1000万ドル カリブ諸国 ✧ IDA−「HIV/エイズ予防・抑制特別投資グラント」 カリブ共同体が域内のHIV/エイズ・プログラムを調和させ、プ ログラムの効果を強化することができるよう支援するもの。 総コスト:940万ドル 第6章 世界銀行について 163 承認日 返済期間 ESSD 6/10/04 2015/2015 n.a. 30.0 ✧ IBRD−「統合大量輸送システム特別投資融資」 中・大規模都市を対象に、バスを利用した高速交通網を拡大・ 整備し、住民の生活水準を向上させるもの。 総コスト:4億6400万ドル INF 6/10/04 2012/2017 n.a. 250.0 ✧ IBRD−「第2次プログラム的財政・制度構造調整融資」 第1次融資(4カ年)の継続版。税制・予算制度を強化すること により、公共セクターの財政と財政管理を改革するもの。 総コスト:1億5000万ドル PREM 11/20/03 2009/2019 n.a. 150.0 ✧ IBRD−「第1次プログラム的労働改革・社会セクター調整 融資」 労働市場の改革を継続すると共に、社会開発プロジェクトをさ らに進展させるもの。 総コスト:2億ドル HDN 9/9/03 2009/2019 n.a. 200.0 ✧ IBRD−「クンディナマルカ州教育品質特別投資融資」 州政府の活動を支援し、労働市場に参入する若者の生産性、 競争力、および市民性を強化するもの。 総コスト:2140万ドル HDN 8/19/03 2009/2020 n.a. 15.0 HDN 6/29/04 2009/2021 2014/2039 n.a. 2.2 3.1 3.1 INF 6/22/04 2009/2019 2014/2039 n.a. 2.6 3.7 3.8 HDN 12/18/03 2010/2011 n.a. 10.7 HDN 11/25/03 n.a./2008 n.a. 200.0 コロンビア ✧ IBRD−「第1次平和・開発対応プログラム融資」 武力紛争の影響を受けた5つの地域の低所得者と避難民の脆 弱性を低減するもの。 総コスト:3000万ドル セントビンセントおよびグレナディーン諸島 ✧ IBRD/IDA−「OECS教育開発対応プログラム融資」d あらゆるレベルの教育に対するアクセス、教育内容の妥当性、 質、および効率を改善するもの。 総コスト:950万ドル セントルシア ✧ IBRD/IDA−「第2次セントルシア災害管理特別投資融資」d 自然災害に対する脆弱性を低減するもの。その施策として、災 害対策を強化し、被害を最小化するための計画を支援する。 総コスト:890万ドル チリ ✧ IBRD−「社会的保護技術支援融資」 政府が「チリ連帯イニシアティブ」を効果的に実施、モニタリン グ、評価できるよう支援するもの。 総コスト:1500万ドル ✧ IBRD−「社会的保護セクター調整融資」 政府の貧困撲滅プログラム「チリ連帯イニシアティブ」の一環 として、国内の最貧困層に社会サービスを提供するもの。 総コスト:2億ドル 164 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 国名/プロジェクト名 世界銀行 年次報告 2004 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 承認日 返済期間 FSE 2/12/04 2009/2020 n.a. 12.5 IBRD−「電力セクター技術支援融資」 規制と消費者保護の強化、政策策定とポートフォリオ管理の改 善、貧困層に提供される電力の質の向上を支援するもの。 総コスト:1100万ドル INF 2/12/04 2009/2020 n.a. 7.3 IBRD−「社会危機対応調整融資」 電力セクターと社会セクターにおいて、経済・社会危機が社会 に与える影響を軽減するもの。 総コスト:1億ドル HDN 2/12/04 2009/2020 n.a. 100.0 PREM 1/29/04 2014/2038 2.1 3.0 PSD 5/18/04 2014/2044 4.8 7.0 ✧ IDA−「公共セクター技術支援融資」 公共セクターの効率、生産性、および透明性を改善するもの。 総コスト:2950万ドル PREM 3/25/04 2014/2044 15.8 23.5 IDA−「貧困削減支援融資」 政府が貧困削減イニシアティブや受託者責任の改革を推進で きるよう支援するもの。 総コスト:7000万ドル PREM 1/22/04 2014/2043 49.0 70.0 PREM 12/16/03 2009/2026 n.a. 30.0 HDN 7/31/03 2008/2026 n.a. 24.0 国名/プロジェクト名 ドミニカ共和国 IBRD−「金融セクター技術支援融資」 金融セクターの規制と主要官庁の監督能力の強化を支援する もの。 総コスト:1450万ドル ドミニカ国 ✧ IBRD/IDA−「経済復興支援プロジェクト融資」 経済成長の回復と財政バランスの立て直しを支援するもの。 総コスト:300万ドル ニカラグア IDA−「金融サービス普及技術支援融資」 金融システムの融資能力を強化し、労働者や零細・小規模企業 が融資を受ける機会を拡大するもの。 総コスト:750万ドル パラグアイ ✧ IBRD−「経済復興構造調整融資」 国別援助戦略(2004–2007年)に従って、公共セクター管理と 財政の持続可能性の改善を支援するもの。 総コスト:3000万ドル ✧ IBRD−「教育改革対応プログラム融資」 教育制度の管理を強化すると共に、中等教育の成果と公平な 機会を拡大するもの。 総コスト:2650万ドル 第6章 世界銀行について 165 承認日 返済期間 HDN 6/17/04 2009/2021 n.a. 572.2 ✧ IBRD−「第2次疾病監視・抑制対応プログラム融資」 保健・医療管理の地方分権化を支援すると共に、弱い立場に 置かれた農村部住民(先住民族やアフリカ系住民)に対する保 健・医療サービスを改善するもの。 総コスト:2億ドル HDN 5/18/04 2009/2020 n.a. 100.0 ✧ IBRD−「マラニョン州統合貧困削減特別投資融資」 州政府が人的開発指標と農村部の貧困削減を大幅に進展させ ることができるよう支援するもの。 総コスト:4000万ドル ESSD 5/18/04 2009/2021 n.a. 30.0 ✧ IBRD− 「持続可能で公正な成長のためのプログラム的融資」 持続可能で包括的な成長を促進し、雇用を創出し、貧困を削 減するためのミクロ経済施策と制度改革を強化するもの。 総コスト:5億510万ドル PSD 2/19/04 2004/2017 n.a. 505.1 ✧ IBRD−「トカンティンス州持続可能な地域開発セクター投 資・維持融資」 州政府、利害関係者、および受益者の対話を促進し、政府の農 村開発計画を補完・拡大する方法を模索するもの。 総コスト:1億ドル INF 12/9/03 2010/2018 n.a. 60.0 PREM 3/4/04 2012/2018 n.a. 12.0 ✧ IBRD−「リマ都市交通融資」 貧しいリマ市民の移動性を向上させるもの。その施策として、 公共交通機関の効率、信頼性、衛生状態、および安全性を改 善する。 総コスト:1億4230万ドル INF 12/9/03 2009/2023 n.a. 45.0 ✧ IBRD−「プログラム的分権化・競争力構造調整融資」 政府の野心的で革新的な分権化プログラムを支援し、政府が 市民のニーズにより迅速に対応できるよう支援するもの。 総コスト:1億5000万ドル HDN 12/2/03 2012/2017 n.a. 150.0 ✧ IBRD−「第3次プログラム的社会改革構造調整融資」 人口の大半を占める貧困層に焦点を当てた、さまざまな教育、 保健・医療、および地域社会支援プログラムを強化し、こうした サービスへのアクセスを改善するもの。 総コスト:1億5000万ドル HDN 11/11/03 2012/2017 n.a. 150.0 ブラジル ✧ IBRD−「家族基金第1次対応プログラム融資」 政府の「家族基金 (Bolsa Familia)」 を支援するもの。 「家族基金」 は貧困世帯に条件付きで資金を提供するグラント・プログラム。 総コスト:62億ドル ペルー ✧ IBRD−「司法サービス改善技術支援融資」 司法サービスの提供を改善し、関連機関を強化し、司法制度 に対する国民の信頼を高めるもの。 総コスト:1500万ドル 166 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 国名/プロジェクト名 世界銀行 年次報告 2004 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 承認日 返済期間 HDN 6/29/04 2014/2024 17.2 25.0 IBRD/IDA−「銀行・企業セクター再建プログラムのための第 1次プログラム的調整融資」d 金融セクターと企業セクターを強化すると共に、システミック・ リスクと危機が発生する可能性を最小限に抑え、経済成長を 促進するもの。 総コスト:3000万ドル FSE 2/10/04 2009/2026 2014/2023 n.a. 10.5 15.0 15.0 IDA−「緊急経済復興融資」 経済復興を支援するための緊急資金を提供すると共に、社会 経済的危機の影響を緩和するもの。 総コスト:1400万ドル PREM 12/16/03 2014/2023 9.8 14.0 PREM 6/24/04 2014/2044 40.5 58.8 ✧ IDA−「貧困削減支援技術支援融資」 政府の能力を強化し、貧困削減戦略を効果的に策定、管理、 モニタリング、および評価できるようにするもの。 総コスト:1290万ドル PREM 6/24/04 2014/2044 5.6 8.0 ✧ IDA−「森林・農村生産性特別投資融資」 農村部の所得機会を拡大し、貧困を削減すると共に、天然資 源の持続可能な管理を促進するもの。 総コスト:3270万ドル ESSD 6/24/04 2014/2044 13.4 20.0 ✧ IDA−「Nuestras Raicesプログラム特別投資融資」 先住民族とアフリカ系住民に便益をもたらすような地域社会開 発プロジェクトを支援するもの。 総コスト:1670万ドル HDN 5/4/04 2014/2043 10.1 15.0 ✧ IDA−「土地管理対応プログラム融資」 政府の土地管理サービスに対するアクセスを改善し、包括的で 地方分権的な土地管理制度を確立するもの。 総コスト:3890万ドル ESSD 2/26/04 2014/2043 16.9 25.0 IDA−「貿易円滑化・生産性改善特別投資融資」 同国の投資環境を改善し、企業の生産性と輸出能力を高める もの。この融資により、経済成長と貧困削減が促進され、不公 正が緩和される。 総コスト:3380万ドル PSD 10/21/03 2014/2043 20.5 28.1 国名/プロジェクト名 ボリビア ✧ IDA−「プログラム的社会セクター構造調整融資」 社会セクター改革の継続を支援すると共に、貧困層が基本的 サービスと社会的保護を利用できるよう支援するもの。 総コスト:3450万ドル ホンジュラス IDA−「貧困削減支援融資」 貧困層に配慮した成長、人的開発、社会的保護プログラム、お よび公共セクター管理と環境保護を支援するもの。 総コスト:5880万ドル 第6章 世界銀行について 167 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 承認日 返済期間 ESSD 6/29/04 2009/2019 n.a. 75.5 ✧ IBRD−「分権的インフラ改革・開発融資」 道路、水、および衛生サービスを改善するための資金を提供し、 グアナフアト州の低所得者に住宅を提供するもの。 総コスト:2億9080万ドル INF 6/8/04 2006/2024 n.a. 108.0 IBRD−「低価格住宅・都市貧困セクター調整融資」 低・中所得世帯の生活環境を改善し、低価格住宅を供給する 政府の取り組みを支援するもの。 総コスト:1億ドル INF 6/8/04 2009/2019 n.a. 100.0 ✧ IBRD−「第2次地域社会森林特別投資融資」 先住民族の居住地とエヒドス(共有大農地)における森林資源 の管理と保全を強化するもの。 総コスト:2890万ドル ESSD 12/9/03 2009/2018 n.a. 21.3 ✧ IBRD−「統合灌漑近代化特別投資融資」 灌漑農業の競争力を高め、灌漑用水の利用を効率化する。 総コスト:5億2800万ドル ESSD 12/9/03 2009/2018 n.a. 303.0 PSD 7/31/03 2008/2018 n.a. 58.4 233.8 5,319.9 国名/プロジェクト名 メキシコ ✧ IBRD−「貯蓄・地方金融(BANSEFI)第2フェーズ特別投 資融資」 国内(辺境地を含む)の貯蓄・金融機関を強化し、より多くの貧 困層が金融サービスを利用できるようにするもの。 総コスト:1億6010万ドル ✧ IBRD−「Eビジネスによる小規模企業開発・セクター投 資・維持融資」 電子商取引の利用を促進することにより、都市の低所得地区の 零細・小規模企業の競争力と成長力を強化するもの。 総コスト:1億80万ドル 合計 n.a. 該当なし。 ✧ シビルソサエティ組織が特定、準備、および評価に参加しており、実行、モニタリング、および評価にシビルソサエティの参加が意図されてい るプロジェクト。 注:端数は四捨五入されているため、合計が合わないことがある。c=IDA融資、g=IDAグラント。 a. ESSD=環境・社会・持続可能な開発、FSE=金融セクター、HDN=人的開発、INF=インフラ、PREM=貧困削減・経済管理、PSD=民間 セクター開発 b. IDA融資はSDR(特別引出権)建てで表記されている。SDRの価値は「通貨バスケット」を使って算出される。米ドルに対するSDRの価値は その融資またはグラントの交渉が行われた時点の交換レートを反映したもの。 c. 記載金額は当該案件全体の総額であり、IBRD/IDAのシェアはその一部の場合もある。 d.「ブレンド(IBRDとIDA) 」融資。 168 世界銀行 年次報告 2004 表6.13 2004年度に承認された融資 中東・北アフリカ地域 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 承認日 返済期間 ESSD 2/26/04 2014/2043 27.1 40.0 ✧ IDA−「第3次開発社会基金特別投資融資」 特定分野(教育、インフラ、保健・医療、小口金融、制度構築) のプロジェクトに資金を提供するもの。 総コスト:4億ドル HDN 2/26/04 2014/2043 41.7 60.0 ✧ IDA−「第3次公共事業特別投資融資」 基本的なインフラサービス (保健・医療、教育、水、道路、灌漑 など)、技術支援、および短期の雇用機会を提供するもの。 総コスト:5200万ドル INF 2/26/04 2014/2043 31.3 45.0 INF 5/25/04 2010/2021 n.a. 279.0 INF 5/25/04 2010/2021 n.a. 80.0 INF 3/30/04 2009/2021 n.a. 335.0 HDN 7/31/03 2008/2020 n.a. 5.5 PSD 6/29/04 2009/2020 n.a. 36.0 国名/プロジェクト名 イエメン共和国 ✧ IDA−「地下水・土壌保全特別投資融資」 灌漑の改善、分水界の再生、地下水管理の強化などを通して、 地下水問題の解決を試みるもの。 総コストc:5330万ドル イラン・イスラム共和国 ✧ IBRD−「アフワーズ市/シーラーズ市給水・衛生特別投資 融資」 両都市(特に貧困地域)における水と衛生設備へのアクセスを 改善し、水関連企業の能力を強化するもの。 総コスト:4億6980万ドル ✧ IBRD−「都市改善・住居改革対応プログラム融資」 システム、能力、および規制基盤を強化することにより、都市 住民の生活環境を改善し、市場主導の住居セクター開発を促 進するもの。 総コスト:1億ドル エジプト・アラブ共和国 IBRD−「空港開発特別投資融資」 航空機運航のボトルネックを排除し、サービスの質を高め、空 港運営への民間参入を促進するもの。 総コスト:5億7400万ドル ✧ IBRD−「エジプト能力開発特別投資融資」 従業員教育に対する民間の需要を喚起するパイロット・プログ ラム。このプログラムにより、企業の競争力と労働者の生産性 が高まることが期待されている。 総コスト:1250万ドル チュニジア IBRD−「チュニジア第2次輸出開発特別投資融資」 第1次融資の継続版。輸出を促進する環境を構築し、通関手続 きを効率化する。 総コスト:5550万ドル 第6章 世界銀行について 169 国名/プロジェクト名 ✧ IBRD−「チュニジア教育品質向上対応プログラム融資」 基礎教育修了のほぼ完全な達成を目指すもの。この融資によ り、中等学校に進学する児童が増え、教育セクターの近代化が 促進される。 総コスト:2億9090万ドル モロッコ IBRD−「モロッコ農村道路プロジェクト融資」 農村部の住民が道路を利用できるようにするもの。その施策と して、約625kmの農村道路を再建し、制度能力を強化する。 総コスト:4370万ドル ヨルダン ✧ IBRD−「ヨルダン・アンマン開発回廊特別投資融資」 運輸・ロジスティクスサービスの効率化を支援するもの。その 施策として、インフラ輸送の主要ボトルネックを排除し、低価格 の土地を投資や都市開発に利用できるようにする。 総コスト:1億6100万ドル レバノン IBRD−「レバノン共和国所得向上・財政管理技術支援補完融 資」 土地台帳・土地登記制度を再建・近代化するもの。この融資に より、民間投資が促進され、固定資産税の徴収が改善される。 総コスト:570万ドル 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 承認日 返済期間 HDN 3/8/04 2008/2021 n.a. 130.3 INF 6/29/04 2010/2024 n.a. 36.9 INF 6/3/04 n.a. n.a. 38.0 PREM 8/26/03 2009/2018 n.a. 5.3 100.1 1,091.0 合計 特別融資e イラク 「特別融資:緊急教科書提供プロジェクト・グラント」 初等・中等学校に緊急に教科書を提供することにより、基本的 な学習教材の慢性的な不足を改善するもの。 総コスト:5500万ドル ヨルダン川西岸・ガザ地区 「特別融資:ヨルダン川西岸・ガザ地区ソーシャル・セーフ ティネット改革特別投資グラント」 社会・経済危機が貧困層に与えている影響を緩和すると共に、 保健・医療、栄養、および教育を通して、将来の人的資源を確 保するもの。 総コスト:8250万ドル 170 世界銀行 年次報告 2004 HDN 5/14/04 n.a. n.a. 40.0 HDN 6/3/04 n.a. n.a. 10.0 元本金額(100万ドル) SDRb US$ ネットワークa 承認日 返済期間 「特別融資:ヨルダン川西岸・ガザ地区財政管理改革構造調整 業務グラント」 パレスチナ当局が当面の経済・財政危機に対処できるよう、必 要な予算支援を提供し、ヨルダン川西岸・ガザ地区の経済復興 を支援するもの。 総コスト:2000万ドル PREM 6/3/04 n.a. n.a. 20.0 「特別融資:ヨルダン川西岸・ガザ地区第2次緊急サービス支 援プロジェクト補完グラント」 日用品や基本的サービスの提供を維持する資金を提供するこ とにより、経済危機に起因する教育、保健・医療、および社会 福祉サービスの劣化を抑制するもの。 総コスト:1500万ドル HDN 12/2/03 n.a. n.a. 15.0 ✧ 「特別融資:ヨルダン川西岸・ガザ地区緊急水グラント」 安全な水の慢性的な不足に対処すると共に、漏水を防ぎ、水の 価格を引き下げ、衛生面のリスクを削減するもの。 総コスト:1340万ドル INF 7/29/03 n.a. n.a. 12.5 国名/プロジェクト名 n.a. 該当なし。 ✧ シビルソサエティ組織が特定、準備、および評価に参加しており、実行、モニタリング、および評価にシビルソサエティの参加が意図されてい るプロジェクト。 注:端数は四捨五入されているため、合計が合わないことがある。c=IDA融資、g=IDAグラント。 a. ESSD=環境・社会・持続可能な開発、FSE=金融セクター、HDN=人的開発、INF=インフラ、PREM=貧困削減・経済管理、PSD=民間 セクター開発 b. IDA融資はSDR(特別引出権)建てで表記されている。SDRの価値は「通貨バスケット」を使って算出される。米ドルに対するSDRの価値は その融資またはグラントの交渉が行われた時点の交換レートを反映したもの。 c. 記載金額は当該案件全体の総額であり、IBRD/IDAのシェアはその一部の場合もある。 d.「ブレンド(IBRDとIDA) 」融資。 e. 世銀が管理する信託基金による融資。 第6章 世界銀行について 171 表6.14 2004年度に承認されたIBRD・IDA融資(地域別) 2003年7月1日–2004年6月30日 (単位:100万ドル) IBRD融資 国名 件数 IDA融資 金額 アフリカ地域 アフリカ アンゴラ ウガンダ エチオピア ガーナ カーボヴェルデ カメルーン ギニアビサウ ケニア コモロ コンゴ共和国 コンゴ民主共和国 サントメ・プリンシペ ザンビア シエラレオネ セネガル タンザニア チャド ナイジェリア ニジェール ブルキナファソ ブルンジ ベナン マダガスカル マラウイ マリ モーリタニア モザンビーク ルワンダ レソト 4.0 1.0 2.0 3.0 3.0 合計 東アジア・大洋州地域 インドネシア カンボジア サモア タイ 中国 トンガ 東ティモール フィリピン ベトナム モンゴル ラオス人民民主共和国 合計 172 世界銀行 年次報告 2004 件数 3.0 1.0 9.0 4.0 17.0 合計 金額 金額 4.0 1.0 2.0 3.0 3.0 1.0 1.0 4.0 1.0 1.0 5.0 1.0 1.0 1.0 1.0 5.0 1.0 4.0 3.0 3.0 3.0 1.0 3.0 4.0 4.0 3.0 2.0 1.0 1.0 351.4 55.0 189.6 320.0 160.5 4.0 20.0 7.0 264.7 13.3 19.0 736.0 6.5 50.0 25.1 45.0 451.0 20.0 322.0 109.8 120.0 110.4 20.0 230.0 116.0 127.4 84.0 97.3 20.0 21.0 1.0 1.0 4.0 1.0 1.0 5.0 1.0 1.0 1.0 1.0 5.0 1.0 4.0 3.0 3.0 3.0 1.0 3.0 4.0 4.0 3.0 2.0 1.0 1.0 351.4 55.0 189.6 320.0 160.5 4.0 20.0 7.0 264.7 13.3 19.0 736.0 6.5 50.0 25.1 45.0 451.0 20.0 322.0 109.8 120.0 110.4 20.0 230.0 116.0 127.4 84.0 97.3 20.0 21.0 68.0 4,115.9 68.0 4,115.9 2.0 2.0 55.8 60.0 17.3 1.0 1.0 10.9 4.0 4.0 1.0 2.0 705.5 18.0 35.7 3.0 2.0 2.0 1.0 9.0 1.0 1.0 4.0 4.0 1.0 2.0 321.8 60.0 17.3 84.3 1,218.3 10.9 4.0 96.9 705.5 18.0 35.7 13.0 907.2 30.0 2,572.7 266.0 84.3 1,218.3 96.9 1,665.5 件数 IBRD融資 国名 ヨーロッパ・中央アジア地域 アゼルバイジャン アルバニア アルメニア ウクライナ キルギス共和国 グルジア クロアチア コソボ スロバキア共和国 セルビア・モンテネグロ タジキスタン トルコ ブルガリア ポーランド ボスニア・ヘルツェゴビナ マケドニア旧ユーゴスラビア共和国 モルドバ ルーマニア ロシア連邦 合計 ラテンアメリカ・カリブ海地域 アルゼンチン エクアドル ガイアナ カリブ諸国 コロンビア セントビンセントおよび グレナディーン諸島 セントルシア チリ ドミニカ共和国 ドミニカ国 ニカラグア パラグアイ ブラジル ペルー ボリビア ホンジュラス メキシコ 合計 件数 2.0 IDA融資 金額 件数 合計 金額 2.0 3.0 6.0 25.0 58.0 84.8 3.0 2.0 31.0 47.6 1.0 4.0 6.0 1.0 125.0 10.8 3.0 97.0 3.0 63.0 30.0 546.2 282.0 3.0 209.0 2.0 75.3 5.0 1.0 2.0 1,585.7 150.0 326.0 4.0 54.8 2.0 1.0 230.0 100.0 22.0 3,012.9 4.0 2.0 1,585.8 54.0 1.0 1.0 5.0 645.0 1.0 1.0 2.0 3.0 3.1 3.7 210.7 119.8 2.0 5.0 4.0 1.0 54.0 1,267.3 357.0 15.0 6.0 666.2 36.0 4,981.6 10.0 9.0 3.1 3.8 1.0 3.0 3.0 100.5 2.0 6.0 54.0 154.9 14.0 338.2 件数 金額 2.0 3.0 6.0 2.0 3.0 2.0 3.0 1.0 2.0 6.0 1.0 5.0 1.0 2.0 3.0 4.0 3.0 2.0 1.0 25.0 58.0 84.8 282.0 31.0 47.6 209.0 4.0 75.3 125.0 10.8 1,585.7 150.0 326.0 97.0 54.8 63.0 230.0 100.0 52.0 3,559.1 4.0 2.0 1.0 1.0 5.0 1,585.8 54.0 10.0 9.0 645.0 1.0 1.0 2.0 3.0 1.0 3.0 2.0 5.0 4.0 3.0 6.0 6.0 6.2 7.5 210.7 119.8 3.0 100.5 54.0 1,267.3 357.0 69.0 154.9 666.2 50.0 5,319.8 第6章 世界銀行について 173 IBRD融資 国名 中東・北アフリカ地域 イエメン共和国 イラン・イスラム共和国 エジプト・アラブ共和国 チュニジア モロッコ ヨルダン レバノン 合計 南アジア地域 アフガニスタン インド スリランカ ネパール パキスタン バングラデシュ ブータン 合計 総合計 IDA融資 件数 金額 2.0 2.0 2.0 1.0 1.0 359.0 340.5 166.3 36.9 38.0 5.3 8.0 946.0 3.0 389.5 1.0 50.0 4.0 87.0 件数 合計 金額 件数 金額 3.0 145.0 3.0 2.0 2.0 2.0 1.0 1.0 145.0 359.0 340.5 166.3 36.9 38.0 5.3 3.0 145.0 11.0 1,091.0 5.0 4.0 3.0 4.0 6.0 6.0 2.0 293.0 1,033.0 175.7 185.8 731.2 526.5 36.8 5.0 7.0 3.0 4.0 7.0 6.0 2.0 293.0 1,422.5 175.7 185.8 781.2 526.5 36.8 439.5 30.0 2,982.1 34.0 3,421.6 11,045.4 158.0 9,034.6 245.0 20,080.1 注:補完融資は独立した融資として計上するのではなく、もとの融資の金額を増額した。IBRDとIDAが共同で提供した融資は、IBRD融資として 計算し、IDA融資には含めていない。端数は四捨五入されているため、合計が合わないことがある。 174 世界銀行 年次報告 2004 表6.15 2004年度に承認されたIBRD・IDA融資(ネットワーク別) 2003年7月1日–2004年6月30日 (単位:100万ドル) ネットワーク/国名 IBRD IDA 環境・社会・持続可能な開発 アゼルバイジャン アフガニスタン アルバニア アルメニア イエメン共和国 インド インドネシア エクアドル ガーナ カメルーン キルギス共和国 ケニア コロンビア コンゴ民主共和国 スリランカ セルビア・モンテネグロ タジキスタン チャド 中国 トルコ ナイジェリア ネパール パキスタン フィリピン ブラジル ブルンジ ベトナム ホンジュラス マダガスカル マラウイ メキシコ モーリタニア モルドバ ルーマニア 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 66.0 34.0 0.0 0.0 0.0 0.0 30.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 166.3 20.0 0.0 0.0 0.0 65.0 30.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 399.8 0.0 0.0 230.0 15.0 135.0 15.0 8.5 40.0 69.6 55.8 0.0 20.5 20.0 22.0 40.0 0.0 102.0 115.7 30.0 10.8 20.0 0.0 0.0 170.0 15.0 98.2 0.0 0.0 33.0 157.8 45.0 40.0 27.0 0.0 45.0 8.0 0.0 15 135 15 9 40 70 122 34 21 20 22 40 30 102 116 30 11 20 166 20 170 15 98 65 30 33 158 45 40 27 400 45 8 230 1,041.1 1,359.0 2,400 金融セクター アフリカ アルゼンチン キルギス共和国 ドミニカ共和国 トルコ ニジェール ネパール パキスタン ボリビア 0.0 500.0 0.0 12.5 303.1 0.0 0.0 0.0 15.0 96.4 0.0 9.0 0.0 0.0 14.8 75.5 238.0 15.0 96 500 9 13 303 15 76 238 30 合計 830.6 448.7 1,279 合計 合計 第6章 世界銀行について 175 ネットワーク/国名 人的開発 アゼルバイジャン アフリカ アルゼンチン アルバニア アルメニア アンゴラ イエメン共和国 インド エジプト・アラブ共和国 ガーナ カーボヴェルデ ガイアナ カリブ諸国 ギニアビサウ ケニア コソボ コモロ コロンビア コンゴ共和国 コンゴ民主共和国 サントメ・プリンシペ スリランカ スロバキア共和国 セルビア・モンテネグロ セントビンセントおよびグレナディーン諸島 タンザニア 中国 チュニジア チリ ドミニカ共和国 トルコ トンガ ニジェール パキスタン パラグアイ バングラデシュ ブータン ブラジル ペルー ボスニア・ヘルツェゴビナ ボリビア ホンジュラス マケドニア旧ユーゴスラビア共和国 マダガスカル マラウイ マリ モーリタニア モルドバ ラオス人民民主共和国 ルワンダ レソト ロシア連邦 合計 176 世界銀行 年次報告 2004 IBRD IDA 合計 0.0 0.0 885.8 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 5.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 215.0 0.0 0.0 0.0 0.0 75.3 0.0 3.1 0.0 100.0 130.3 210.7 100.0 60.6 0.0 0.0 0.0 24.0 0.0 0.0 672.2 150.0 0.0 0.0 0.0 24.8 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 100.0 10.0 76.4 0.0 18.0 43.2 55.0 60.0 672.4 0.0 78.0 4.0 10.0 9.0 7.0 2.7 4.0 13.3 0.0 19.0 100.0 6.5 60.0 0.0 12.0 3.1 285.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 10.9 30.0 100.0 0.0 201.0 36.8 0.0 0.0 63.0 25.0 15.0 0.0 10.0 35.0 2.5 21.0 20.0 13.0 20.0 21.0 0.0 10 76 886 18 43 55 60 672 6 78 4 10 9 7 3 4 13 215 19 100 7 60 75 12 6 285 100 130 211 100 61 11 30 100 24 201 37 672 150 63 25 15 25 10 35 3 21 20 13 20 21 100 2,757.4 2,172.8 4,930 ネットワーク/国名 インフラ アフガニスタン アフリカ アルゼンチン アルバニア アルメニア イエメン共和国 イラン・イスラム共和国 インド インドネシア ウガンダ エジプト・アラブ共和国 エチオピア ガーナ カンボジア グルジア クロアチア ケニア コロンビア サモア ザンビア セルビア・モンテネグロ セントルシア タイ タンザニア 中国 ドミニカ共和国 トルコ ナイジェリア ネパール パキスタン バングラデシュ フィリピン ブラジル ブルンジ ベトナム ペルー ポーランド マダガスカル マリ メキシコ モーリタニア モザンビーク モルドバ モロッコ モンゴル ヨルダン ラオス人民民主共和国 合計 貧困削減・経済管理 アルメニア インド ウガンダ ウクライナ エクアドル エチオピア グルジア コロンビア コンゴ民主共和国 IBRD IDA 合計 0.0 0.0 200.0 0.0 0.0 0.0 359.0 279.5 200.0 0.0 335.0 0.0 0.0 0.0 0.0 209.0 0.0 250.0 0.0 0.0 0.0 3.7 84.3 0.0 952.0 7.3 202.0 0.0 0.0 50.0 0.0 10.0 60.0 0.0 0.0 45.0 326.0 0.0 0.0 208.0 0.0 0.0 0.0 36.9 0.0 38.0 0.0 158.0 178.6 0.0 25.0 23.0 45.0 0.0 181.0 0.0 25.0 0.0 100.0 62.0 60.0 23.6 0.0 222.0 0.0 17.3 50.0 83.0 3.8 0.0 165.8 0.0 0.0 0.0 120.0 25.3 150.0 55.5 0.0 0.0 51.4 447.7 0.0 0.0 150.0 84.4 0.0 18.0 55.3 35.0 0.0 18.0 0.0 22.7 158 179 200 25 23 45 359 461 200 25 335 100 62 60 24 209 222 250 17 50 83 7 84 166 952 7 202 120 25 200 56 10 60 51 448 45 326 150 84 208 18 55 35 37 18 38 23 3,855.7 2,656.3 6,512 0.0 110.0 0.0 282.0 20.0 0.0 0.0 150.0 0.0 10.2 110.0 164.6 0.0 0.0 100.0 24.0 0.0 414.0 10 220 165 282 20 100 24 150 414 第6章 世界銀行について 177 ネットワーク/国名 IBRD IDA 合計 シエラレオネ ドミニカ国 トルコ ニカラグア ニジェール ネパール パキスタン パラグアイ バングラデシュ 東ティモール フィリピン ブルガリア ブルキナファソ ブルンジ ベトナム ベナン ペルー ボスニア・ヘルツェゴビナ ボリビア ホンジュラス マケドニア旧ユーゴスラビア共和国 マダガスカル マラウイ マリ モザンビーク レバノン 0.0 0.0 1,000.0 0.0 0.0 0.0 0.0 30.0 0.0 0.0 21.9 150.0 0.0 0.0 0.0 0.0 162.0 0.0 0.0 0.0 30.0 0.0 0.0 0.0 0.0 5.3 25.1 3.0 0.0 93.5 65.0 70.0 145.0 0.0 20.0 4.0 0.0 0.0 120.0 26.0 100.0 20.0 0.0 34.0 14.0 66.8 0.0 30.0 54.0 15.0 42.0 0.0 25 3 1,000 94 65 70 145 30 20 4 22 150 120 26 100 20 162 34 14 67 30 30 54 15 42 5 合計 1,961.2 1,770.2 3,731 民間セクター開発 エチオピア コンゴ民主共和国 セネガル タンザニア チュニジア ナイジェリア ニカラグア バングラデシュ ブラジル ホンジュラス マリ メキシコ 0.0 0.0 0.0 0.0 36.0 0.0 0.0 0.0 505.1 0.0 0.0 58.4 120.0 120.0 45.0 0.2 0.0 32.0 7.0 250.0 0.0 28.1 25.5 0.0 120 120 45 + 36 32 7 250 505 28 26 58 合計 599.5 627.8 1,227 11,045.4 9,034.6 20,080 総合計 + 50万ドル未満の融資。 注:補完融資は独立した融資として計上するのではなく、もとの融資の金額を増額した。IBRDとIDAが共同で提供した融資は、IBRD融資として 計算し、IDA融資には含めていない。端数は四捨五入されているため、合計が合わないことがある。 178 世界銀行 年次報告 2004 表6.16 1990年度以降に承認されたIBRD・IDA融資の累計 (セクター・テーマおよび地域別) 2004年6月30日 (単位:100万ドル) IBRD融資(地域別)a 目的 環境・天然資源管理 金融・民間セクター開発 経済管理 公共セクター運営 社会開発・ジェンダー・参加 社会的保護・リスク管理 人的開発 都市開発 農村開発 貿易・統合 法規 テーマ合計 運輸 エネルギー・鉱業 給水・衛生・治水 教育 金融 産業・貿易 情報・通信 農業・漁業・林業 法律・司法・行政 保健・その他の社会サービス セクター合計 東アジア・ アフリカ 大洋州 ヨーロッパ ・中央 アジア ラテン アメリカ カリブ海 中東・ 北アフリカ 南アジア 合計 499.86 464.87 212.30 452.90 74.86 56.85 230.09 459.29 351.33 250.35 23.87 10,257.13 20,831.92 711.40 4,114.96 1,487.54 2,088.80 3,019.81 6,675.59 6,649.32 2,208.90 475.28 3,827.64 19,236.87 5,104.04 5,719.29 557.91 3,843.87 2,583.71 2,911.60 3,453.60 3,092.86 1,062.46 5,450.97 17,597.63 7,737.72 10,165.44 3,051.97 7,861.73 8,651.46 6,000.39 6,454.40 2,519.87 1,400.03 1,807.16 4,281.91 644.21 1,139.17 443.12 749.75 1,554.90 1,747.77 1,860.95 890.29 370.74 2,298.53 7,008.42 322.85 832.34 348.26 260.02 409.41 2,550.05 1,454.44 995.66 331.30 24,141.29 69,421.60 14,732.52 22,424.10 5,963.65 14,861.02 16,449.38 20,344.69 20,224.02 9,957.92 3,663.68 3,076.56 58,520.63 51,393.85 76,891.60 15,489.97 16,811.27 222,183.87 185.33 597.23 550.82 143.83 104.15 356.42 221.57 276.88 479.79 160.55 12,167.42 11,636.90 5,342.05 3,496.93 7,619.16 5,422.42 1,631.61 3,772.67 5,316.87 2,114.59 4,599.02 8,851.30 1,655.14 1,741.20 6,672.41 8,933.13 716.66 2,632.77 11,829.78 3,762.45 9,930.96 3,683.67 5,019.13 6,998.71 10,847.56 3,354.99 478.22 4,221.53 22,226.39 10,130.44 1,681.42 1,094.35 1,728.72 1,219.27 1,997.45 2,513.67 251.61 1,986.37 1,943.98 1,073.14 4,457.83 6,583.29 822.30 104.68 1,358.30 1,261.99 72.23 581.51 1,300.76 268.40 33,021.99 32,446.73 15,118.16 13,704.61 28,599.02 21,842.61 3,371.88 13,471.74 43,097.56 17,509.57 58,520.63 51,393.85 76,891.60 15,489.97 IDA loans to borrowers, by regiona 16,811.27 222,183.87 3,076.56 第6章 世界銀行について 179 IDA融資(地域別)a ヨーロッパ ・中央 アジア ラテン アメリカ カリブ海 中東・ 北アフリカ 南アジア 合計 目的 東アジア・ アフリカ 大洋州 環境・天然資源管理 金融・民間セクター開発 経済管理 公共セクター運営 社会開発・ジェンダー・参加 社会的保護・リスク管理 人的開発 都市開発 農村開発 貿易・統合 法規 2,558.86 8,770.12 2,439.67 6,575.09 3,334.06 2,171.93 5,463.81 4,040.80 4,659.95 2,175.50 504.49 2,112.21 1,754.55 248.72 662.05 934.60 960.99 1,636.74 1,393.69 3,827.41 260.04 159.05 361.67 1,944.02 402.21 702.79 349.60 525.05 423.87 482.56 558.65 158.81 246.46 264.80 900.22 408.90 570.46 341.41 434.01 411.12 297.51 629.28 199.43 136.18 341.05 412.19 32.20 151.06 436.83 214.26 322.42 230.54 471.69 11.62 6.52 2,724.00 3,516.81 912.46 2,500.63 4,485.34 1,878.92 5,706.97 1,344.11 4,836.94 578.97 181.67 8,362.56 17,297.90 4,444.09 11,162.08 9,881.84 6,185.16 13,964.93 7,789.18 14,983.88 3,384.35 1,234.36 42,694.27 13,950.05 6,155.68 4,593.33 2,630.37 28,666.83 98,690.52 運輸 6,396.45 エネルギー・鉱業 3,748.83 給水・衛生・治水 2,781.74 教育 4,096.35 金融 2,443.28 産業・貿易 3,765.30 情報・通信 386.75 農業・漁業・林業 3,015.65 法律・司法・行政 10,535.75 保健・その他の社会サービス 5,524.17 1,664.81 1,316.98 1,463.98 1,364.21 900.89 1,014.35 59.48 3,184.42 1,517.78 1,463.14 469.56 681.47 382.10 221.01 657.99 970.22 25.01 523.14 1,582.53 642.64 722.32 175.95 245.25 484.80 266.74 312.77 40.38 363.26 1,345.22 636.64 199.38 66.62 328.16 413.57 193.41 194.11 3.64 385.27 367.72 478.49 2,528.84 1,820.99 1,938.05 4,537.35 1,533.92 1,768.99 241.24 4,236.87 4,202.50 5,858.08 11,981.36 7,810.85 7,139.26 11,117.30 5,996.20 8,025.73 756.49 11,708.57 19,551.38 14,603.17 13,950.05 6,155.68 4,593.33 2,630.37 28,666.83 98,690.52 テーマ合計 セクター合計 42,694.27 注:表内の数字は新しいセクター・テーマ分類システムが適用された1990年度からの累計。端数は四捨五入されているため、合計が合わないこ とがある。 a. 承認後の契約解除は考慮されていない。IFCに対するIBRD融資は含まれていない。 180 世界銀行 年次報告 2004 表6.17 IBRD・IDA融資の累計(国別) 2004年6月30日 (単位:100万ドル) IBRD融資 国名 OECS(東カリブ海諸国機構) 加盟国 アイスランド アイルランド アゼルバイジャン アフガニスタン アフリカ アフリカ西部 アフリカ東部 アルジェリア アルゼンチン アルバニア アルメニア アンゴラ イエメン共和国 イスラエル イタリア イラク イラン・イスラム共和国 インド インドネシア ウガンダ ウクライナ ウズベキスタン ウルグアイ エクアドル エジプト・アラブ共和国 エストニア エチオピア エリトリア エルサルバドル オーストラリア オーストリア オマーン オランダ ガーナ カーボヴェルデ ガイアナ カザフスタン ガボン カメルーン カリブ諸国 ガンビア カンボジア ギニア ギニアビサウ キプロス 旧ユーゴスラビア ギリシャ キルギス共和国 グアテマラ グルジア グレナダ クロアチア ケニア コートジボワール コスタリカ コソボ コモロ IDA融資 件数 金額 2 10.4 10 8 47.1 152.5 11 1 259.8 6.1 72 120 5,911.8 21,633.2 1 12.0 11 8 6 45 192 256 1 28 13 53 76 67 8 12 284.5 399.6 156.2 2,849.1 30,915.9 28,276.8 9.1 3,804.9 554.1 2,370.7 2,877.2 4,900.4 150.7 108.6 34 7 9 11 8 9 981.4 417.7 106.4 157.1 244.0 207.0 12 23 14 45 4 80.0 1,924.0 227.0 1,347.8 83.0 3 75.2 30 89 17 418.8 6,090.7 490.8 40 1,404.8 5 23 45 62 40 17.0 1,245.7 1,200.7 2,887.9 938.5 件数 合計 金額 7.1 22 33 8 3 1 622.0 838.3 425.8 52.5 45.0 52 34 14 131 757.9 808.7 415.4 2,318.3 256 49 88 30,564.3 1,668.9 3,997.5 45.0 5 41 36.9 1,984.0 78 12 2 4,503.5 445.4 25.6 107 18 20 4,396.5 197.9 334.4 30 3 28 24 58 24 1,227.0 52.0 259.2 607.2 1,318.5 292.9 30 680.2 34 1 772.8 23.5 86 25 3,612.7 2,042.5 5.5 15.0 132.4 4 19 件数 金額 2 18 10 8 22 33 19 4 1 72 120 52 35 14 131 11 8 6 45 448 305 89 28 13 53 81 108 8 90 12 36 7 9 11 8 116 18 32 23 14 75 7 28 24 61 24 30 89 17 30 40 34 6 23 131 87 40 4 19 47 153 622 838 686 59 45 5,912 21,633 758 821 415 2,318 285 400 156 2,849 61,480 29,946 4,007 3,805 599 2,371 2,914 6,884 151 4,612 445 1,007 418 106 157 244 4,603 198 414 1,924 227 2,575 135 259 607 1,394 293 419 6,091 491 680 1,405 773 41 1,246 4,813 4,930 944 15 132 第6章 世界銀行について 181 IBRD融資 182 IDA融資 国名 件数 金額 コロンビア コンゴ共和国 コンゴ民主共和国 サモア サントメ・プリンシペ ザンビア シエラレオネ ジブチ ジャマイカ シリア・アラブ共和国 シンガポール ジンバブエ スーダン スペイン スリランカ スロバキア共和国 スロベニア スワジランド セーシェル 赤道ギニア セネガル セルビア・モンテネグロ セントクリストファー・ネーヴィス セントビンセントおよび グレナディーン諸島 セントルシア ソマリア ソロモン諸島 タイ 大韓民国 台湾 タジキスタン タンザニア チェコ共和国 チャド 中央アフリカ共和国 中国 チュニジア チリ デンマーク トーゴ ドミニカ共和国 ドミニカ国 トリニダード・トバゴ トルクメニスタン トルコ トンガ ナイジェリア ニカラグア ニジェール 日本 ニュージーランド ネパール ノルウェー ハイチ パキスタン パナマ バヌアツ バハマ パプアニューギニア パラグアイ 175 10 7 12,049.1 216.7 330.0 27 4 679.1 18.7 69 17 14 24 8 12 12 7 5 12 2 1,660.8 613.2 181.3 983.2 166.0 478.7 210.7 416.6 177.7 104.8 10.7 19 164.9 5 4 29.0 8.5 8 22.9 世界銀行 年次報告 2004 119 114 14 8,063.4 15,647.0 329.4 17 3 1 318.9 776.0 39.5 183 119 66 3 1 36 2 22 3 141 28,492.5 5,232.9 3,920.9 85.0 20.0 1,088.5 4.0 333.6 89.5 22,003.7 84 27 6,248.2 233.6 31 6 862.9 126.8 6 1 85 45 145.0 2.6 6,664.2 1,273.2 5 35 39 42.8 786.6 870.9 件数 合計 金額 16 67 13 11 55 31 16 19.5 333.3 2,841.5 87.8 75.4 2,691.8 667.4 148.6 3 47.3 12 47 662.0 1,352.9 85 2,837.1 2 7.8 9 83 18 1 45.0 2,253.9 522.0 7.0 14.7 39 8 6 6 4 19 111 28.2 492.1 49.9 125.1 110.8 15.3 332.9 4,612.0 45 27 71 5 993.6 448.5 9,946.7 74.6 19.0 41 3 4 733.5 22.0 19.3 10 4 30 36 55 178.5 21.8 2,136.2 1,217.7 1,200.7 79 1,916.9 36 125 626.5 7,670.9 5 18.9 9 6 113.2 45.5 件数 金額 175 26 74 13 11 82 35 16 69 20 14 36 55 12 97 7 5 14 2 9 102 18 5 5 12,069 550 3,172 88 75 3,371 686 149 1,661 661 181 1,645 1,519 479 3,048 417 178 113 11 45 2,419 522 36 23 8 39 8 125 120 18 19 128 3 46 27 254 124 66 3 42 39 6 22 3 151 4 114 63 55 31 6 79 6 37 210 45 5 5 44 45 51 492 50 8,188 15,758 345 333 4,931 776 1,033 449 38,439 5,307 3,940 85 754 1,111 23 334 90 22,182 22 8,384 1,451 1,201 863 127 1,917 145 629 14,335 1,273 19 43 900 916 IBRD融資 国名 バルバドス ハンガリー バングラデシュ 東ティモール フィジー フィリピン フィンランド ブータン ブラジル フランス ブルガリア ブルキナファソ ブルンジ ベトナム ベナン ベネズエラ・ボリバル共和国 ベラルーシ ベリーズ ペルー ベルギー ポーランド ボスニア・ヘルツェゴビナ ボツワナ ボリビア ポルトガル ホンジュラス マケドニア旧ユーゴスラビア共和国 マダガスカル マラウイ マリ マルタ マレーシア 南アフリカ ミャンマー メキシコ モーリシャス モーリタニア モザンビーク モルディブ モルドバ モロッコ モンゴル ヨルダン ラオス人民民主共和国 ラトビア リトアニア リベリア ルーマニア ルクセンブルク ルワンダ レソト レバノン ロシア連邦 総合計 IDA融資 件数 金額 12 40 1 118.4 4,333.6 46.1 1 152.9 11,419.2 316.8 12 164 18 291 1 31 1 34,450.1 250.0 1,951.5 1.9 4.8 40 4 9 96 4 39 3,328.4 192.8 86.2 5,897.7 76.0 5,710.8 19 15 32 33 15 5 9 1 88 13 3 192 33 3 280.7 314.3 1,338.8 717.3 330.8 32.9 124.1 1.9 7.5 4,150.6 302.8 33.4 35,659.0 459.7 146.0 9 132 302.8 8,658.1 56 2,319.7 19 17 19 73 1 416.0 490.9 156.0 6,214.0 12.0 2 21 57 155.0 1,085.4 13,241.1 4,810 393,748.0 件数 合計 金額 184 4.0 10,994.6 5 294.2 11 101.1 63 55 43 54 1,465.6 1,012.6 4,861.1 814.5 45 6 70 931.3 15.8 1,886.2 38 15 87 77 69 1,435.3 378.7 2,556.5 2,209.5 1,692.7 30 804.0 4 52 47 7 15 3 19 15 36 20.2 820.7 2,560.0 64.9 289.2 50.8 325.9 85.3 722.9 14 114.5 57 30 1,208.5 352.8 3,745 151,390.6 件数 金額 12 40 185 1 12 169 18 11 291 1 31 63 56 43 54 40 4 9 96 4 39 45 25 85 32 71 30 92 86 69 1 88 13 33 192 37 55 47 7 24 135 19 71 36 19 17 33 73 1 57 32 21 57 118 4,334 11,041 4 153 11,713 317 101 34,450 250 1,951 1,468 1,017 4,861 815 3,328 193 86 5,898 76 5,711 931 297 2,200 1,339 2,153 709 2,589 2,334 1,695 8 4,151 303 837 35,659 480 967 2,560 65 592 8,709 326 2,405 723 416 491 271 6,214 12 1,209 508 1,085 13,241 8,555 545,139 注:IBRDとIDAが共同で提供した融資は、IBRD融資として計算されている。単一のプロジェクトに複数の融資が行われた場合は、融資件数は1 件と計算されている。端数は四捨五入されているため、合計が合わないことがある。 第6章 世界銀行について 183 表6.18 構造調整融資 2004年度 国名 プロジェクト 貧困削減支援融資 アルバニア ウガンダ エチオピア タンザニア ニカラグア ネパール ブルキナファソ ブルキナファソ ベトナム ベナン ホンジュラス P077739 P074081 P074014 P074072 P082885 P074685 P076908 P078994 P082759 P072003 P074758 プログラム的構造調整融資 ウクライナ P074972 コロンビア P079060 コロンビア P083905 トルコ P082996 ブラジル P080827 第2次貧困削減支援融資 第3次貧困削減支援融資 貧困削減支援融資 貧困削減支援融資(IDA融資の継続分) 貧困削減支援融資 貧困削減支援融資 第3次貧困削減支援プロジェクト (3) 第4次貧困削減支援融資 第3次貧困削減支援融資 貧困削減支援融資 貧困削減支援融資 ブルガリア ペルー ペルー ボリビア P081637 P078951 P082871 P087841 セクター調整融資 アルゼンチン アルゼンチン スロバキア共和国 セネガル タンザニア チリ パキスタン ボスニア・ヘルツェゴビナ ボスニア・ヘルツェゴビナ ボリビア メキシコ P072637 P083982 P065954 P080013 P083080 P078088 P083228 P070992 P071039 P082781 P070371 妊産婦と子供のための地方保健・医療セクター調整融資 経済復興支援構造調整融資 保健・医療セクター近代化支援セクター調整融資 民間セクター調整融資 中等教育開発プログラム調整融資 社会的保護セクター調整融資 教育セクター調整融資 第2次社会セクター調整融資 経済管理構造調整融資 銀行・企業再建プログラムのためのプログラム的調整融資 住宅・都市貧困に関するプログラム的セクター調整融資 750 500 63 P075191 P057814 P082443 P085433 P078841 P069570 P079635 P086543 P082190 P074893 第2次アンドラ・プラデシュ州経済改革融資 改革支援融資 第2次統一後経済復興融資 社会危機対応調整融資 経済復興支援調整融資 第2次公共支出調整融資 第2次北西辺境州構造調整融資 経済復興構造調整融資 第2次移行支援プログラム・グラント 第2次公共セクター管理調整融資 110 P072395 P085634 財政管理・成長加速プログラム融資 第3次構造調整融資(補完グラント) 合計 + 50万ドル未満の調整融資。 世界銀行 年次報告 2004 IDA 18 150 120 + 70 70 50 60 100 20 59 第2次プログラム的調整融資プロジェクト プログラム的労働改革・社会構造調整融資 第2次プログラム的財政・制度構造調整融資 第3次プログラム的金融・公共セクター調整融資 ブラジル持続可能で公正な成長のための 第1次プログラム的融資 第2次プログラム的調整融資 第3次プログラム的社会改革構造調整融資 プログラム的分権化・競争力構造調整融資 プログラム的社会セクター構造調整融資 構造調整融資 インド グルジア コンゴ民主共和国 ドミニカ共和国 ドミニカ国 ニジェール パキスタン パラグアイ 東ティモール マケドニア旧ユーゴ スラビア共和国 マラウイ マリ 184 IBRD 合計 18 150 120 + 70 70 50 60 100 20 59 250 200 150 1,000 505 250 200 150 1,000 505 150 150 150 150 150 150 25 25 45 150 200 15 100 100 51 34 15 110 24 200 100 3 65 90 30 4 30 50 15 750 500 63 45 150 200 100 51 34 30 100 220 24 200 100 3 65 90 30 4 30 50 15 4,453 1,698 6,151 表6.19 プログラム別支出 2000–2004年度 (単位:100万ドル) 実績経費 プログラム 地域 ネットワーク その他の融資プログラム 開発経済・世界銀行研究所 財務 管理 組織運営・サービス 諸経費・各種手当・臨時費 2000年度 2001年度 2002年度a 2003年度a 2004年度a 778.7 124.1 18.5 87.4 76.0 147.3 109.5 31.1 707.8 119.3 23.2 93.2 84.4 155.1 118.6 28.7 774.6 146.8 22.7 97.4 85.9 163.2 128.7 (12.1) 815.6 159.3 28.3 109.5 92.9 181.8 139.2 (15.6) 895.0 175.8 30.6 120.0 101.8 198.7 156.3 (51.1) 1,372.6 1,330.2 1,407.0 1,510.9 1,627.1 (117.8) (136.0) (154.8) (177.5) (195.2) 1,254.7 1,194.3 1,252.2 1,333.3 1,431.8 8.2 126.1 61.8 18.5 13.8 147.4 64.9 19.2 20.7 176.1 63.2 19.8 63.1 156.2 72.8 20.3 150.6 179.2 78.7 21.6 (以下を除く) 返済金・手数料収入 (1.5) (9.9) (0.1) (0.9) (0.7) 一般管理費支出合計 1,467.9 1,429.5 1,531.8 1,644.8 1,861.1 一般管理費支出 (以下を除く) 返済金・手数料収入 一般管理費支出(純額) 職員退職金口座b 開発グラントファシリティ 事務局 業務評価 注:端数は四捨五入しているため、合計が合わないことがある。 a. 2002年予算改革を反映。 b. 職員退職金制度(SRP)、補完SRP、および退職者向け福利厚生負担金を含む。 第6章 世界銀行について 185 開発委員会コミュニケ 2004年度 2003年9月 1. ては、IMFと協調して、さまざまな政策オプション(国 際的な融資ファシリティなど)の利点を分析し、途上 前回の開発委員会会合は、2000年9月8日の国 国が開発結果を達成し、MDGsに向けた進捗を加速 連総会で国家元首および加盟国代表が採択した国連 するための追加的な中期資金を動員することを求め ミレニアム宣言で打ち出されたミレニアム開発目標 ます。途上国や新興市場諸国と緊密な協議を行うこ (MDGs)の達成、特に貧困を削減するため世界規 とも不可欠です。われわれは2004年春期会合で、こ 模で努力していくことへのわれわれの決意を強く再 の問題に関する報告を行うよう世銀に要請しました。 確認するものでした。本日、決意を新たにしたわれ われは、ドーハ、モンテレー、およびヨハネスブル 4. グで合意された戦略、パートナーシップ、および行 ハイレベルフォーラムの内容をふまえて変更する必要 援助の提供方法も、ローマで開催された調和化 動を実現するための方策を引き続き検討しました。 があります。手続きを合理化し、取引コストを削減す るだけでなく、途上国のニーズ、優先項目、およびプ 2. 「途上国の健全な政策を十分かつ適切な資金で ロセスとの整合性を高めることも必要です。援助は測 支援すること」をテーマとする報告書と、その国別ア 定可能な結果を達成することのできる途上国に、その プローチを歓迎しました。また、MDGsを達成するた 能力を強化するような形で提供されなければなりませ めには現在の取り組みを強化することが急務である ん。また、援助は予測可能な形で、長期にわたって こと、そのためには途上国、先進国、および国際機 行われるべきであり、MDGsを達成するための資金 関が協調的な行動を拡大する必要があることに合意 ニーズを充足するものであるべきです。長期の債務 しました。途上国は政策とガバナンスの強化を継続 持続可能性などの観点から見て適切と思われる場合 すると共に、国内資源、民間資金、および援助を成 はグラントの比率を高め、一定の条件下では、経常 長の加速、サービス提供の改善、および貧困削減に 費用の支払いにも充当できるようにするべきです。 効果的に活用していく必要があります。一方、先進国 は援助の量と質を高め、途上国の債務を救済し、市 5. 場アクセスを改善することによって、途上国の努力を よびMDGsに向けた歩みを前進させるためには、ドー より精力的に支援していく必要があります。 ハ開発アジェンダの成功が不可欠だと考えています。 われわれはこれまで通り、成長、貧困削減、お 従って、第5回WTO閣僚会議の多国間貿易交渉が不 3. こうしたパートナーシップを実現し、MDGsを達 首尾に終わったことは遺憾であり、すべての参加者 成するためには、計画的な行動を通して、貧困削減 に対し、これまでの進捗を有効に活用して、可能な 戦略とMDGsの長期目標を密接に関連づけ、MDGs 限り早期にプロセスを軌道に戻すことを強く要請し の達成を促すような行動を特定・導入し、合意され ます。われわれは世銀とIMFが先日、貿易体制の自 た戦略を実施するための資金量と援助の形態を明確 由化を進め、途上国にさらなる便益をもたらす意思 にする必要があります。本会合では、MDGsの達成 を明らかにしたことを歓迎します。また、世銀が途上 に必要な行動の良循環を作り上げるためには、十分 国の貿易イニシアティブを支援するような形で融資を かつ時宜を得た、予測可能な資金を確保すること、 提供し、分析・診断結果を効果的なプロジェクトの開 政策・制度改革を通して、途上国の援助吸収能力を 発につなげる努力を継続することを強く要請します。 高めることの双方が必要であることが合意されまし 186 た。われわれは2006年までに追加資金を提供すると 6. いう公約を実現するために、各国が速やかに具体的 われわれは引き続き、世銀とIMFの活動と意思決定 な措置を取ることを強く要請します。また世銀に対し に対する途上国と移行経済国の発言権と参加機会を 世界銀行 年次報告 2004 モンテレー国連開発資金会議の要請に応えて、 拡大するための、革新的で現実的な方法を検討しま および実施を確実に行うという決意を再確認しまし した。これは一足飛びに達成されるものではなく、長 た。また、完了時点に到達した途上国の債務をさら 期にわたって、広範な問題に取り組んでいく必要が に削減することは、現在の指針のもとでもケースバイ あります。貧困削減戦略アプローチの導入は、ブレト ケースで可能であるという認識を確認しました。また、 ンウッズ機関の援助を途上国が主体的に策定した戦 トッピングアップ手法をめぐる継続中の議論に留意 略と優先項目に沿って提供するための一歩となるも し、この問題についてさらなる検討を行うことを要請 のでした。この観点から、われわれは世銀とIMFが しました。一部のHIPCはまだ決定時点に到達してい あらゆる分野で開放性、透明性、分権化、および職 ないことをふまえ、この分野で進められている努力を 員の多様化を進めていることを歓迎し、こうした努力 奨励しました。 「切迫した状況にある低所得国に関す をさらに強化することを両機関に強く要請します。 る世銀タスクフォース報告書」で提唱されたアプロー チの導入は、そうした努力の一例です。われわれは 7. われわれは途上国と移行経済国の理事室の能 すべての債権者がHIPCイニシアティブに参加するこ 力と資金力を強化するために、理事会が必要な施策 との重要性を再確認し、まだイニシアティブに参加し の検討を行ったことを歓迎しました。また、サハラ以 ていないすべての公的・民間債権者に対して、改め 南のアフリカ諸国の理事が開発問題に関する独立調 てイニシアティブへの参加を要請しました。また、非 査・分析を行うための資金源として、 「分析信頼基金」 パリ・クラブ債権者(インドとリビア)がイニシアティブ を設置するという提案も歓迎しました。人材の派遣 への参加を決定したことを歓迎しました。われわれ など、途上国の理事室の能力を強化するための方策 は次回会合で、世銀とIMFが作成を進めている低所 についても、さらなる検討を行うよう要請しました。 得国の債務持続可能性に関する新しいフレームワー 春期会合までに具体的な措置が取られることを期待 クを検討できることを期待しています。また、商品市 しています。 場や気候変動といった外因性の衝撃に対するHIPC の脆弱性を軽減する方法について、世銀とIMFがさ 8. IDA13の中間評価とIDA14交渉は、IDA増資プ らなる検討を行うことを奨励しました。 ロセスと理事会の意思決定に対する借入国の参加を 拡大するための時宜を得た機会となっています。わ 11. PRSPアプローチは勇気づけられる進捗を達成 れわれはIDA増資に参加することによって、途上国は しつつあります。われわれは、すべての利害関係者 議決権の合計数を大幅に引き上げることができるこ との政策対話がより開放的なものになっていること、 とを指摘し、途上国がこの点で必要な行動を取るこ 成長要因、投資環境、および貧困削減とMDGsの達 とを奨励しました。これらの問題に関しては、さらに 成を目的とした政策に重点が置かれるようになってい 検討を重ね前進するよう強く要請しました。 ること、現実性と優先順位付けが強化されているこ と、貧困層に配慮した公共支出が増大していること、 9. 議決構造と理事会構成は容易に変更できるもの 公共支出管理が強化され、開発戦略の内容が各国の ではなく、政治的合意が形成されるまでには多くの 予算に統合されつつあることを歓迎します。その一 時間と労力が必要です。しかし、われわれはそのた 方で、PRSPには複数の、時には矛盾する目的がある めの努力を継続していかなければなりません。われ ことも確認しました。今後の課題はドナー援助を調 われは2004年の年次総会で発言権問題に関する包 和させ、途上国の国家戦略との整合性を高めること 括的な報告を行うことを理事会に求めました。来春 によって、PRSPを確実に実施していくことです。また、 の開発委員会会合では、今後の手順と次の措置が検 貧困・社会影響分析(PSIA) を実施し、必要に応じて 討される予定です。 開発計画を見直している途上国に、世銀とIMFが必 要な援助を速やかに提供することを求めました。 10. われわれはHIPCイニシアティブの状況を検討 し、本イニシアティブの目的を達成し、資金の確保、 第6章 世界銀行について 187 12. 本会合では、サービス関連のMDGsの進捗と開 政策アジェンダの主要課題と優先項目の進捗状況を 発結果を改善する必要性も強調されました。その施 戦略的に俯瞰することを可能にするものであり、説明 策の一つが、 「万人のための教育ファースト・トラッ 責任を強化するものです。われわれは次回会合で第 ク・イニシアティブ(FTI)」です。われわれは世銀に対 1回の完全な報告書が提出されることを期待してい し、次回会合でFTIの資金状況と、これまでの活動の ます。 教訓を報告するよう求めました。 15. 最後に、われわれは本会合の開催地域が直面し 13. われわれは世銀グループがインフラに再び焦点 ている困難に留意しました。われわれはヨルダン川 を当てるようになったことを支持しました。これはイ 西岸・ガザ地区において、世銀がパレスチナ人の緊 ンフラが低・中所得国の投資環境を改善し、開発の 急の経済・社会的ニーズを満たすために積極的な役 条件を整え、持続可能な経済成長とMDGsの達成に 割を果たしていることを歓迎しました。また、世銀が 大きく貢献していることをふまえたものです。われわ この地域の経済・インフラ協力の促進に貢献してい れはインフラ行動計画に関する報告書と、 「水施設へ ることも歓迎しました。われわれはブレトンウッズ機 の資金調達に関する世界パネル」の提言のフォロー 関がその他の国際機関と共に、イラク人と密接に連 アップを歓迎すると共に、世銀グループが加盟国と 携しながら、イラク人主導の経済発展に向けて、同 連携して、各国の開発戦略にインフラ行動計画を速 国の復興と開発に建設的な役割を果たしていること やかに統合することを求めました。特に、われわれは に留意しました。われわれは来るイラク・ドナー会議 包括的な開発アプローチに従って投資を拡大するこ に期待しています。この会議はイラクの経済復興を との重要性と、この分野で国際金融機関が果たし得 軌道に乗せるための資金の動員に、きわめて重要な る触媒の役割について留意しました。持続可能なイ 役割を果たすものとなる予定です。この地域と世界 ンフラ投資を実現するためには、健全な政策環境、 が安定と発展を確保するためには、ヨルダン川西 制度能力、および整備能力が不可欠であることも強 岸・ガザ地区とイラクでの取り組みを成功させること 調しました。われわれは世銀グループが国別分析の が、困難な課題ではあるものの、不可欠の条件と 結果に基づいてインフラ・プロジェクトを支援し、そ なっています。 の国際的優位性、専門能力、および確立された政策 を活用する努力を強化したことに満足しています。ま 16. アラブ首長国連邦の当局と国民のすばらしいホ た、われわれは貿易アジェンダとの関連性から、世銀 スピタリティと施設に感謝を申し上げます。 グループが複数の国にまたがる投資に関与すること を強く要請しました。世銀、IFC、およびMIGAに対 17. 南アフリカのトレヴァー・マニュエル財務大臣の しては、共通の援助手段の利用を円滑化・促進する 議長再任が承認されたことを歓迎します。 イニシアティブの推進を継続すること、その施策とし て地方自治体レベルの活動・保証を行うことを奨励 18. 次回の開発委員会会合は2004年4月25日にワシ しました。最後に、次回会合までに実施状況に関す ントンDCで開催される予定です。 る最新データが世銀理事会に提供され、今後の会合 で改めて検討が行われることに留意しました。 2004年4月 14. MDGsおよび関連する開発目標を達成するため 1. には、本会合で議論されなかったものも含めて、あ 意された戦略と決定事項は、貧困と闘い、国際的に ドーハ、モンテレー、およびヨハネスブルグで合 らゆる分野で進捗が達成されることが不可欠です。 合意されたミレニアム宣言の目標を達成するためのフ 188 この観点から、われわれはMDGsを達成するための レームワークを提供するものでした。このフレーム 政策と行動に関するグローバル・モニタリングの実施 ワークは途上国が健全な政策とガバナンスを推進す 報告を歓迎しました。こうした情報は開発委員会が ること、先進国が協調と支援を強化することを前提と 世界銀行 年次報告 2004 しています。本日、われわれは第1回の「グローバ 世銀が途上国の投資環境の改善に取り組んでいるこ ル・モニタリング・レポート」に基づいて、各国の進捗 とを歓迎しました。次回会合では、民間セクターのビ 状況を評価しました。われわれは年1回の進捗評価 ジネス環境の改善状況が議論される予定です。前述 の優れた基盤となる本報告書の完成を歓迎しまし の通り、健全な政策環境のもとで実施されるインフラ た。今後は説明責任を強化し、開発パートナー間の 投資は、経済成長とMDGsの達成を根本から支援す 協力を拡大するために、優先分野の行動のモニタリ るものとなります。理事会ではインフラ行動計画の導 ングに焦点が当てられる予定です。 入状況が検討されました。次回の開発委員会会合で は、本計画の進捗状況に関する議論が行われること 2. 途上国では重要な改革が実施され、所得貧困が を期待しています。 大幅に削減されるなど、多くの分野で進捗が見られ ました。しかし、現在の状況が変わらないならば、ほ 5. とんどの途上国、特にサハラ以南のアフリカの国々 速されるよう貢献しなければなりません。グローバル は、ほとんどのミレニアム開発目標(MDGs)1 を達成 経済を安定させ、公平で力強い経済成長を維持する できない可能性があることをわれわれは大いに憂慮 ことは前提条件です。世界的な成長を実現し、途上 しています。すべての関係者(途上国、先進国、国際 国の経済展望を好転させるためには、ドーハ開発ア 先進国は公約を果たすことによって、進捗が加 機関)は協調して努力を緊急に拡大し、MDGsに向け ジェンダを成功に導き、開発を促進する、時宜を得 た進捗を加速させなければなりません。 た結果を達成することが不可欠です。われわれは多 国間貿易交渉を前進させるための、建設的で確固と 3. 多くの途上国は、持続可能で包括的な成長を加 した努力に対するコミットメントを強調しました。また、 速する必要に迫られています。そのための施策とし 先進国が市場を自由化し、途上国にとって特に重要 ては、民間セクターのビジネス環境の改善、公的機 な農業、繊維、衣料品といった市場で、貿易歪曲的 関における改革、能力、および結果重視志向の強化、 な補助金を排除する努力を強化することの重要性を ガバナンスの質の向上、効果的なインフラ投資の拡 改めて強調しました。一方、途上国が貿易を円滑 大、保健・医療や教育をはじめとする基本的社会 化・自由化することの重要性も強調しました。われわ サービスへのアクセスの確保、HIV/エイズの蔓延防 れは世銀が引き続き貿易円滑化と統合フレームワー 止などがあります1。 クの促進に努めていることを歓迎すると共に、IMFが 「貿易統合メカニズム」を導入したことを歓迎しました。 4. 開発の優先順位は途上国が主体的に作成した、 このメカニズムは世界貿易体制への統合を進めてい モニタリング可能な開発戦略に基づいて、国ごとに る途上国にさらなる支援と安心を提供するものとな 決定されなければなりません。こうした戦略は低所得 る 予 定 で す。また 、わ れ わ れ は 世 銀 が 引き続き、 国の場合は「貧困削減戦略文書(PRSP)」に、中所得 キャパシティ・ビルディングや途上国の貿易イニシア 国(MIC)の場合は国家の戦略フレームワークに組み ティブを支援する形で融資を提供することを強く要請 込まれています。世銀はMIC支援を拡大しており、 しました。われわれは移住とそれに伴う労働者送金 開発委員会会合でも、いずれこの分野の進捗を検討 の重要性が高まっていることに留意し、さらなる活動 できることを期待しています。MDGsに向けた進捗を を通して、決定要因の分析と、開発効果を拡大する 加速するためには、経済成長のスピードと公平性を ような環境の整備を進めることを求めました。 改善することが重要です。このことから、われわれは 6. 1 ミレニアム開発目標(MDGs) :極度の貧困と飢餓の撲滅、初 等教育の完全普及、ジェンダーの平等と女性のエンパワーメン ト、子供の死亡率の削減、妊産婦の健康の改善、HIV/エイズ、 マラリアなどの疾病の蔓延防止、持続可能な環境作り、グロー バルな開発パートナーシップの構築。 援助を増額することも必要です。援助は予測可 能で、時宜を得た、長期にわたる、より効果的なもの であるべきです。われわれはODA拠出目標(GNPの 0.7%) を達成していない先進国に対し、目標の達成 に向けた具体的な努力を行うよう強く要請しました。 第6章 世界銀行について 189 IDA第14次増資を実質的で時宜を得た合意に導くこ MDGアジェンダを拡大すること、特に適切な政策と とは、最貧国におけるパートナー機関の力強い、結 プログラムに信頼性の高い、効果的で、予測可能な 果志向の行動を支援するために、われわれが必要な 資金を提供することの可能性と課題が浮き彫りにな 資金の動員に全力で取り組んでいることを示す重要 りました。これまでの経験から、FTIが効果を発揮す な機会となります。 るためには、FTIを各国の貧困削減戦略に沿ったも のにする必要があることが分かっています。われわ 7. われわれは融資モダリティの進捗報告に留意し れは先進国と途上国の双方が、FTIを成功させるた ました。次回会合では援助の有効性、途上国の資金 めにさらなる努力を重ねるよう強く要請すると共に、 活用能力、結果重視の測定メカニズム、政策オプショ FTIの進捗状況を引き続きモニタリングするよう世銀 ン、および追加資金の動員メカニズム (国際的な融資 理事会に求めました。 ファシリティ、国際税など) に関する報告が行われるこ とを期待しています。追加援助を確保するためには、 10. われわれはHIPCイニシアティブの実施状況を検 援助がプラスの結果をもたらしていることを証明しな 討し、本イニシアティブ成功のためには、すべての債 ければなりません。そのためにはローマで開催され 権者の参加が必要であることを再確認しました。これ た調和化ハイレベルフォーラムとマラケシュ合意の基 までに13カ国が完了時点に到達しているほか、14カ 本原則(途上国の結果重視マネジメント能力の強化な 国が決定時点に到達し、完了時点に向かっています。 ど)の実施努力を強化する必要があります。われわれ しかし、決定時点に到達していない、あるいはIMF は国際社会が合意した政策と、業務手続きや国レベ のプログラムのもとでトラック・レコード(実績記録)の ルの慣行の細部との乖離という問題に対処するため 積み上げを開始していない国も11カ国存在します。 に、OECD開発援助委員会(OECD/DAC)が他の開発 ここには紛争の影響を受けている国、長期にわたっ パートナーと共同で進めている活動を支持します。 て延滞債務を抱えている国も含まれます。われわれ は世銀とIMFに対し、こうした国々が現在の問題を解 8. 国際金融機関(IFIs)はモンテレー合意の実施に 決した暁には、債務救済を速やかに受けることがで 貢献する責任を負っているという認識も、本会合で きるよう支援することを強く要請しました。また、われ 再確認されました。IFIsに求められている主な活動 われは2004年末を期限とするHIPCサンセット条項の 分野としては、調和化、結果重視マネジメント、きめ オプションについても、慎重な検討がなされるよう強 細かな借入国対応などがあります。われわれは途上 く要請しました。 国のニーズを明らかにし、それに応えるべくさらに努 力を重ねるようIFIsに強く要請しました。途上国が置 11. 低所得国の債務持続可能性のフレームワーク案 かれている厳しい財政状況を勘案し、われわれは世 については、基本原則をおおむね支持すると共に、 銀が受託者責任とセーフガード基準を尊重しつつも、 その形式や実施による影響を明確化する必要性を指 事業コストを削減するために、新たな融資手段を検 摘しました。われわれは低所得国に対する資金が適 討し、組織を効率化し、融資手続きを簡略化するこ 切な条件(譲許性の程度、グラントの比率など)で提 とを奨励しました。 供されるようにするためには、借入国、債権者、およ びドナーが一貫性のある協調的なアプローチを採用 9. 2002年4月の開発委員会会合では、2015年まで する必要があることを強調しました。そのためには に初等教育を完全普及させ、2005年までに初等・中 HIPCイニシアティブを完全な形で実施することが不 等学校におけるジェンダーの平等を達成するために、 可欠です。また、われわれは低所得国が外因性の衝 「ファースト・トラック・イニシアティブ(FTI)」の導入が 撃に対処できるようにするための施策と手段をIMFと 承認されました。FTIの目的は、 「万人のための教育」 世銀が検討していることを歓迎し、両機関が密接に の達成を阻んでいるデータ、政策、能力、および資金 連携しながら、理事会において早期に議論するよう のギャップに対処することです。FTIの導入によって、 強く要請しました。 190 世界銀行 年次報告 2004 12. ブレトンウッズ機関の活動と意思決定に対する途 す。われわれはこの問題のあらゆる側面について世 上国と移行経済国の発言権と参加機会を拡大するこ 銀とIMFの理事会が報告を行い、2004年の年次総会 とは、引き続き大きな課題となっています。われわれ でさらなる議論を行うことを期待しています。 は前回の会合以降、特にキャパシティ・ビルディングの 分野で進捗があったことを歓迎しました。具体的には、 13. 次回の開発委員会会合は2004年10月3日にワシ アフリカ諸国の議長を支援するための「分析信託基 ントンDCで開催される予定です。 金」や、世銀の人材派遣プログラムなどが挙げられま 第6章 世界銀行について 191 囲み、図および表のリスト 図2.12 囲み 囲み1.1 囲み2.1 囲み2.2 囲み2.3 囲み2.4 囲み2.5 囲み2.6 囲み3.1 囲み3.2 囲み3.3 囲み3.4 囲み3.5 囲み3.6 囲み3.7 囲み4.1 囲み5.1 開発経験の共有 17 HIV/エイズと戦うアフリカ 28 カントリー・イノベーション・デー 34 PRSPプロセスの効果 39 非融資活動に対する世銀のプログラム的アプ ローチ 41 ホンジュラスの小さな農村を支援する道路プロ ジェクト 48 CSOと協力してヨルダン川西岸・ガザ地区に雇 用を創出する 53 貿易:国レベルの成果 60 根本的問題としての障害 64 開発におけるカーボン・ファイナンスの有効性 67 インフラサービス提供の革新的なアプローチ 71 事業環境分析プロジェクト2004 73 電子金融のリスク 77 イラクの法環境の改善 80 結果重視型CAS 85 国別ニーズへの対応 102 図 図1.1 図1.2 図1.3 図1.4 図2.1 図2.2 図2.3 図2.4 図2.5 図2.6 図2.7 図2.8 図2.9 図2.10 図2.11 192 1日1ドル未満、2ドル未満で生活する人々の割合 16 援助額は増加傾向にあるが、必要額にははるか に満たない 17 途上国のビジネス環境は改善傾向 17 途上国住民の参画機会は拡大傾向 18 アフリカ地域:IBRDとIDAのテーマ別融資 2004年度 31 アフリカ地域:IBRDとIDAのセクター別融資 2004年度 31 東アジア・大洋州地域:IBRDとIDAのテーマ別 融資 2004年度 36 東アジア・大洋州地域:IBRDとIDAのセクター 別融資 2004年度 36 南アジア地域:IBRDとIDAのテーマ別融資 2004年度 40 南アジア地域:IBRDとIDAのセクター別融資 2004年度 40 ヨーロッパ・中央アジア地域:IBRDとIDAのテー マ別融資 2004年度 45 ヨーロッパ・中央アジア地域:IBRDとIDAのセク ター別融資 2004年度 45 ラテンアメリカ・カリブ海地域:IBRDとIDAの テーマ別融資 2004年度 50 ラテンアメリカ・カリブ海地域:IBRDとIDAのセ クター別融資 2004年度 50 中東・北アフリカ地域:IBRDとIDAのテーマ別 融資 2004年度 55 世界銀行 年次報告 2004 図3.1 図3.2 図4.1 図4.2 図4.3 図4.4 図4.5 図4.6 図4.7 図5.1 図5.2 図5.3 図5.4 図5.5 図5.6 図5.7 図5.8 図5.9 図5.10 図5.11 図5.12 図5.13 図5.14 図5.15 図5.16 図5.17 図5.18 図5.19 中東・北アフリカ地域:IBRDとIDAのセクター別 融資 2004年度 55 規制と労働生産性の相関関係 73 途上国への長期資金流入額(純額) 1993–2003年 74 モニタリング:途上国の政策 89 モニタリング:先進国の政策 89 モニタリング:開発機関の支援 90 実施中のプロジェクト (地域別) 2004年6月30 日現在 91 実施中のプロジェクト (テーマ別) 2004年6月 30日現在 91 実施中のプロジェクト (セクター別) 2004年6月 30日現在 91 プロジェクト結果の満足度 1974–2004年度 92 一人当たり国内総生産(GDP)指標 1993–2003年度 99 IBRDとIDAの地域別融資 2004年度 103 IBRDとIDAのテーマ別融資 2004年度 103 IBRDとIDAのセクター別融資 2004年度 103 IBRDの地域別融資 2004年度 105 IBRDのテーマ別融資 2004年度 105 IBRDのセクター別融資 2004年度 105 資産利益率(ROA)推移 106 資本/貸出比率 2004年6月30日現在 107 借入金および投資額 2004年6月30日現在 107 2004年度の純営業利益16億7500万ドルの配分 案 108 IDAの地域別融資承認額 2004年度 109 IDAのテーマ別融資承認額 2004年度 109 IDAのセクター別融資承認額 2004年度 109 IDAの資金源 110 社会セクターに対するIDA援助の増大 110 重債務貧困国(HIPC)に対する債務救済:債務 額の削減と債務返済比率の改善 111 重債務貧困国イニシアティブの実施前と実施後 の貧困削減支出の推移 111 信託基金に対する拠出額と融資実行額 2000–04年度 113 表 表2.1 表2.2 表2.3 表2.4 表2.5 アフリカ地域に対するテーマ別、セクター別融資 1995–2004年度 31 東アジア・大洋州地域に対するテーマ別、セク ター別融資 1995–2004年度 36 南アジア地域に対するテーマ別、セクター別融 資 1995–2004年度 40 ヨーロッパ・中央アジア地域に対するテーマ別、 セクター別融資 1995–2004年度 45 ラテンアメリカ・カリブ海地域に対するテーマ別、 略語 表2.6 表4.1 表5.1 表5.2 表5.3 表5.4 表5.5 表6.1 表6.2 表6.3 表6.4 表6.5 表6.6 表6.7 表6.8 表6.9 表6.10 表6.11 表6.12 表6.13 表6.14 表6.15 表6.16 表6.17 表6.18 表6.19 セクター別融資 1995–2004年度 50 中東・北アフリカ地域に対するテーマ別、セク ター別融資 1995–2004年度 55 MDGs関連の世銀融資 2004年度 90 経済・セクター調査(ESW)の成果物 2003–2004年度 101 世界銀行によるテーマ別、セクター別の融資 1995-2004年度 104 世界銀行による構造調整融資承認額 2001–2004年度 106 IBRDの財務データの概要 107 信託基金ドナーの上位10カ国・機関 113 世銀融資適格国 136 アフリカ地域に対する世銀の融資承認額、融資 実行額、および純移転額 1999–2004年度 138 東アジア・大洋州地域に対する世銀の融資承認 額、融資実行額、および純移転額 1999–2004 年度 138 南アジア地域に対する世銀の融資承認額、融資 実行額、および純移転額 1999–2004年度 139 ヨーロッパ・中央アジア地域に対する世銀の融 資承認額、融資実行額、および純移転額 1999–2004年度 139 ラテンアメリカ・カリブ海地域に対する世銀の融 資承認額、融資実行額、および純移転額 1999–2004年度 140 中東・北アフリカ地域に対する世銀の融資承認 額、融資実行額、および純移転額 1999–2004 年度 140 2004年度に承認された融資 アフリカ地域 141 2004年度に承認された融資 東アジア・大洋州 地域 149 2004年度に承認された融資 南アジア地域 153 2004年度に承認された融資 ヨーロッパ・中央 アジア地域 157 2004年度に承認された融資 ラテンアメリカ・ カリブ海地域 163 2004年度に承認された融資 中東・北アフリカ 地域 169 2004年度に承認されたIBRD・IDA融資(地域別) 172 2004年度に承認されたIBRD・IDA融資(ネット ワーク別) 175 1990年度以降に承認されたIBRD・IDA融資の累 計(セクター・テーマおよび地域別) 2004年6月 30日 179 IBRD・IDA融資の累計(国別) 2004年6月30日 181 構造調整融資 2004年度 184 プログラム別支出 2000–2004年度 185 AML/CFT CAS CIS CODE COGAM CSO ESW FIAS GDP GEF GFATM GNI HIPC HIV/AIDS IBRD ICSID IDA IDA14 IFC IMF I-PRSP ITF LDC LICUS MAP MDGs MIGA NEPAD OECD OED PRSP PSIA SARS SDRs SWAps TSS UNAIDS WBI WTO マネーロンダリング防止・テロ資金対策 国別援助戦略 独立国家共同体 開発効果委員会 統治・理事行政管理委員会 シビルソサエティ組織 経済・セクター調査 外国投資助言サービス 国内総生産 地球環境ファシリティ 世界エイズ・結核・マラリア対策基金 国民総所得 重債務貧困国 ヒト免疫不全ウィルス/後天性免疫不全症 候群 国際復興開発銀行 投資紛争解決国際センター 国際開発協会 IDA第14次増資 国際金融公社 国際通貨基金 暫定貧困削減戦略文書 イラク信託基金 後発開発途上国 切迫した状況にある低所得国 多国間エイズ・プログラム ミレニアム開発目標 多数国間投資保証機関 アフリカ開発のための新パートナーシップ 経済協力開発機構 業務評価局 貧困削減戦略文書 貧困・社会影響分析 重症急性呼吸器症候群 特別引出権 セクターワイドアプローチ 移行支援戦略 国連合同エイズ計画 世界銀行研究所 世界貿易機関 世界銀行 年次報告 2004 193 索引 A-Z CODE(開発効果委員会), 5, 6 COGAM(統治・理事行政管理委員会), 5, 6 G-20(途上国グループ), 78 GDLN(グローバル・ディベロップメント・ラーニング・ネットワーク)セ ンター, 35, 102 HIV/エイズ, 4, 12, 14, 62, 63 IDAの役割, 108–109 教育問題, 61 ジェンダー問題, 59 地域別報告, 28, 30, 35, 39, 43, 49, 54 若者と開発, 64 SARS(重症急性呼吸器症候群), 35 あ アジア開発銀行, 33, 39 アジア太平洋経済協力会議, 35 アゼルバイジャン, 42 アフガニスタン, 37–39, 102, 113 アフリカ, 16, 27, 28, 31, 62, 63, 65, 73, 74, 87, 95, 98, 101, 110, 112, 114 アフリカ開発会議(東京), 28 アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD), 28 アフリカのための戦略的パートナーシップ, 28 アラブ首長国連邦, 52 アルゼンチン, 19, 46, 47, 48, 64, 100 アルバニア, 42, 43, 73 アルメニア, 19, 42, 93 アンゴラ, 21, 73 い 委員会, 5 イエメン共和国, 54, 60, 83 イスラム開発銀行, 93 イタリア, 44, 67 イノベーション・デー, 34 イラク, 12–13, 19, 51–52, 80, 114 イラン・イスラム共和国, 52, 54, 58, 67 インド, 23, 25, 37, 38, 39, 56, 59, 63, 64, 66, 76, 78, 95, 100, 101, 109 インドネシア, 32, 35, 60, 73, 100 インフラ, 69–71,(「水と衛生」の項も参照) インフラ行動計画, 13, 69, 70 地域別報告, 29, 33, 37, 38, 44, 48, 52, 54 農村開発, 65–66 弱い立場にある人々の保護, 64 う ウガンダ, 14, 23, 60, 66, 75, 101, 112 ウクライナ, 19, 42, 43, 60, 94 ウズベキスタン, 42 ウルグアイ, 46 運輸(「インフラ」の項を参照) え 英国, 35, 41, 57, 114 エイズ(「HIV/エイズ」の項を参照) 栄養, 63 エクアドル, 48, 60, 100 エジプト・アラブ共和国, 23, 52, 83 エストニア, 12, 41 エチオピア, 23, 24, 60, 64, 66, 112 エネルギー (「環境問題」 「インフラ」の項を参照) エリトリア, 59 エルサルバドル, 48 お 欧州委員会, 114 欧州復興開発銀行, 73 欧州ユースフォーラム, 13 194 世界銀行 年次報告 2004 欧州連合(EU), 12, 41, 42, 93 オーストラリア, 73 汚職問題, 81 オランダ, 24, 59, 67, 73 か ガーナ, 19, 28, 62, 64, 75, 81, 94, 112 カーボヴェルデ, 60 カーボン・ファイナンス事業, 67 ガイアナ, 47, 112 外国投資助言サービス (FIAS), 73, 75 開発アジェンダ, 14–23 PRSP, 20 国別援助戦略(CAS), 18, 19 グローバル・パートナーシップとグローバル・プログラム, 22–23 情報の共有と普及, 23 進捗のモニタリング, 15–16 切迫した状況にある低所得国(LICUS) イニシアティブ, 20–21 中所得国, 21–22 低所得国, 19–21 貧困削減, 17–18 ミレニアム開発目標(MDGs), 14–16 開発委員会, 6, 186–191 開発グラント・ファシリティ, ii, 7 開発合意融資, 59 開発の有効性, 84–95 CODE(開発効果委員会), 5, 6 結果重視マネジメント, 84–86 政策・手続きの簡略化と調和化, 86–87 ミレニアム開発目標(MDGs), 84, 87–90 開発への参加, 18, 29, 33–34, 38–39, 43, 48, 53–54 カザフスタン, 42 河川盲目症(回旋糸状虫症), 1 カナダ, 73 ガバナンス (「政治、ガバナンス、および戦争」の項を参照) ガバナンスに関するヒルズ・プログラム, 33 カメルーン, 19, 94 カリブ諸国(「ラテンアメリカ・カリブ海地域」の項を参照) 環境問題 GEF(地球環境ファシリティ), 113 環境ネットワーク, 101 気候変動のための後発開発途上国(LDC)基金, 114 持続可能な開発, 65–68 地域別報告, 35, 44, 49 水と衛生, 38, 39, 44, 47, 53, 54, 66, 88 韓国, 33 監査委員会, 5–6, 7 カンボジア, 34, 35, 60, 64, 66, 71, 73, 80 き 企業ガバナンスに関する国際会議, 75 気候変動のための後発開発途上国(LDC)基金, 114 技術支援プログラム, 47, 51, 74–75, 78 規制の負担, 73 北アフリカ (「中東・北アフリカ地域」の項を参照) ギニア, 56, 60 キプロス, 12, 41 教育問題, 61–63 HIV/エイズ, 61 MDGs, 87, 90 WBIの活動, 102 地域別報告, 29, 34–35, 37–39, 43, 48, 51–54 万人のための教育(EFA) ファースト・トラック・イニシアティブ, 43, 61, 113 協調融資, 114 業務評価局(OED), 5, 19, 91–94 キルギス共和国, 42, 43 金融(「経済・ビジネス環境」の項を参照) 金融セクター学習プログラム, 76, 77 く グアテマラ, 48, 49, 81 クウェート, 51, 52 国別援助戦略(CAS), 4, 7, 18, 19, 22; 結果重視マネジメント, 85 ジェンダー問題, 59 地域別報告, 32, 37, 42, 46 評価, 93 国別政策・制度評価, 21 クリントン財団, 4, 12, 62 グルジア, 43, 100 グレナダ, 48 クロアチア, 41, 44, 93 グローバル・モニタリング・レポート, 3, 6, 12, 15, 84, 87–90 け 経済協力開発機構(OECD), 21, 22, 29, 41 インフラ, 70 簡略化と調和化の努力, 87 政治とガバナンス, 59 民間セクター開発, 75 経済・セクター調査(ESW), 51, 72, 91, 98, 100–101 経済・ビジネス環境, 17–18, 22, 60 インフラ, 69–70 財政改革, 58–59 地域別報告, 29, 32, 35, 37, 38, 41–43, 46, 47, 51–53 途上国の金融システムの構築, 76–78 ミクロ経済要因, 38, 47, 72 民間セクター開発, 17–18, 22, 72–75 結核, 4, 12, 35, 59, 62 結果重視型の移行フレームワーク, 21 結果、測定、およびモニタリング MDGsに向けた進捗, 87, 90 OED(業務評価局), 5, 19, 91–93 外部評価, 95 結果重視マネジメント, 84–85 査閲パネル, 94 世銀内部の質保証プロセス, 90–94 ケニア, 19, 29, 59, 60, 66, 81, 82 研究活動, 72–74, 98–100 こ 合同イラクニーズ・アセスメント, 12, 51 合同プロジェクト, 7, 22–23, 86, 114 高齢者(弱い立場にある人々), 64 コートジボワール, 13 国際開発協会(IDA), ii, 8, 103, 108–10 PRSPに沿った援助, 19, 20 援助額の引き上げ, 4 譲許的融資, 20 第14次増資, 13, 20, 86 地域別の融資承認額, 29, 31, 33, 36, 38, 40, 42, 45, 47, 50, 52, 55, 109 貧困削減戦略文書, 4 民間開発プログラム, 74 理事会の責任, 5 国際協力銀行, 33 国際金融公社(IFC), ii, 9, 22, 74, 75, 95 国際送金, 77 国際通貨基金(IMF) アプローチの共通化, 93 グローバル・モニタリング・レポート, 3, 6, 12, 15 国家金融システム開発, 78 財政の管理, 59 低所得国における長期的債務持続性, 7 年次総会, 2 パートナーシップ, 22 法律制度の近代化, 79–80 ヨーロッパ・中央アジア地域における金融セクター評価 プログラム, 42 国際貧困撲滅会議(上海), 4, 12, 17, 102 国際復興開発銀行(IBRD), ii, 8, 103–108 開発委員会, 6 グローバル・プログラムとグローバル・パートナーシップ, 7 地域別の融資承認額, 29, 31, 33, 36, 38, 40, 42, 45, 47, 50, 52, 55 理事会の責任, 5 国際労働機関(ILO), 81 国内総生産(GDP), 28, 30, 37, 46, 70, 98, 99 国連 安全保障理事会でのジェームズ・D・ウォルフェンソン総裁の 演説, 12 結果重視型の移行フレームワークとドナー・パートナーシップ, 21 合同イラクニーズ・アセスメント, 12, 51 国連合同エイズ計画(UNAIDS), 43, 62 国連児童基金(UNICEF), 4, 12, 62 ジェンダー問題, 59, 81 先住民族, 68 パートナーシップ, 22 ポリオ撲滅プログラム, 113 コスタリカ, 19, 46, 81 コソボ, 6, 19, 42, 43 コロンビア, 23, 46, 47, 48, 66, 76, 95, 97 コンゴ共和国, 19 コンゴ民主共和国, 19, 109 さ 採掘産業レビュー, 95 債務救済, 4, 6(「重債務貧困国(HIPC) イニシアティブ」の項も 参照) 債務の持続可能性, 110–112 サウジアラビア, 51, 52 査閲パネル, 94 サモア, 6, 33 ザンビア, 19, 64, 82, 94 し ジェームズ・D・ウォルフェンソン, ii, 2–4, 12, 13 シエラレオネ, 23, 59 ジェンダー問題, 39, 51, 59, 81, 87 事業環境分析プロジェクト2004, 72, 75 資金流入額, 3, 16, 17 自然災害後の救援, 33, 52, 77 持続可能な開発, 65–68 質保証グループ, 90–91 児童と若者, 2, 3, 13, 47, 54, 64 シビルソサエティ組織(CSO), 6, 14, 22; ABCDEヨーロッパ会議, 12 CAS(国別援助戦略), 19 地域別報告, 28, 34, 35, 53, 54 ジブチ, 54, 59, 60, 101 司法制度の近代化, 79–81, 87 社会開発, 67–68 ジャマイカ, 47, 82 重債務貧困国(HIPC) イニシアティブ, 4, 6, 20, 111–112 HIV/エイズ, 62 IBRDの支援, 108 地域別報告, 30, 47 準拠アドバイザー・オンブズマン, 95 障害, 64 譲許的融資, 20 情報公開センター, 23, 35 情報の共有と普及, 23 助言サービス, 74–75, 78, 98, 102 女性, 51, 59, 81, 87 処方薬に対するグローバルなアクセス, 4, 12 シンガポール, 33, 57, 73 人口問題, 3, 63 人事委員会, 5, 6 信託基金, 112–114 世界銀行 年次報告 2004 195 す スウェーデン, 24 スーダン, 19, 21 スリランカ, 19, 37, 38, 39, 60, 87 スロバキア共和国, 12, 19, 41, 42 スロベニア, 2, 12, 41 せ 政治、ガバナンス、および戦争, 58–59 汚職問題, 81 規制の負担, 73 社会開発, 67 地域別報告, 30, 37, 41, 42, 51, 53 法律・司法制度の近代化, 79–80, 87 セイラ・プログラム, 34 セーシェル, 60 世界エイズ・結核・マラリア対策基金(GFATM), 4, 12, 62, 113 「世界開発報告」, 98, 100 世界銀行開発経済年次会議(ABCDE), 12 世界銀行グループの組織・機関, 8–9 世界銀行研究所(WBI), 101–102 世界銀行の歴史 2004年度の概観, 12–13 年表(1940–現在), 10–11, 24–25, 56–57, 82–83, 96–97, 115–117 世界スカウト機構, 13 世界貿易機関(WTO), 22, 35, 60 世界保健機関(WHO), 12 世銀協定, 5 世銀組織の評価, 92 世銀融資適格国(地域別), 28, 32, 37, 41, 46, 51 セクターワイドアプローチ(SWAps)の採用, 110 切迫した状況にある低所得国(LICUS), 4, 13, 18, 19, 20, 21 セネガル, 60, 75, 112 セルビア・モンテネグロ, 6, 19, 42, 44 先住民族, 48, 68 先進国と途上国の責任, 4 戦争(「政治、ガバナンス、および戦争」の項を参照) セントビンセントおよびグレナディーン諸島, 49 セントルシア, 49 戦略フレームワーク, 6 そ 総務会, 5, 118–120 ソマリア, 13, 21 た タイ, 14, 25, 66 大洋州(「東アジア・大洋州地域」の項を参照) 台湾, 33 多国間エイズ・プログラム (MAP), 28, 62 タジキスタン, 42, 43, 59, 60 多数国間投資保証機関(MIGA), ii, 9, 22, 71, 95 タンザニア, 63, 75, 112 ち チェコ共和国, 12, 41 地球環境ファシリティ (GEF), 113 知識サービス, 22, 42, 51, 52, 76–78, 98–103 チャド, 19, 59 中央アフリカ共和国, 21 中央アメリカ自由貿易協定, 60 中国, 32–35, 56, 64, 75, 93, 96, 97, 98, 100, 102 中所得国, 12, 21, 88 中東・北アフリカ地域, 16, 27, 51–55, 87, 98, 101, 102 中東・北アフリカ地域の失業問題, 51, 53 チュニジア, 19, 53, 56, 60, 76, 82, 93 チリ, 11, 46, 48, 81 196 世界銀行 年次報告 2004 て 低所得国, 19–21, 88 ディベロップメント・マーケットプレース, 13 テロ, 78 電子金融, 77 と ドイツ, 57, 80 東京プロジェクト, 35 統計能力育成プログラム, 12 統合フレームワーク (IF) イニシアティブ, 60 投資紛争解決国際センター (ICSID), ii, 9 東南アジア諸国連合(ASEAN), 35 ドーハ開発アジェンダ, 13, 15, 59 独立国家共同体(CIS), 41, 42 ドミニカ共和国, 19, 60 トルコ, 19, 41, 42, 43, 44, 66, 75, 77, 96, 97 な ナイジェリア, 25, 60, 64, 75, 81, 102 に ニカラグア, 47, 99, 112 西アフリカ経済通貨同盟, 78 ニジェール, 112 日本, 24, 33, 35, 56, 57, 82, 112 ね ネパール, 37–39, 60 年次総会(ドバイ), 2, 13 年次報告の作成, ii, 5 の 農業, 65–67 農村開発, 65–67, 70 ノルウェー, 59 は バーゼル合意, 76, 77 パートナーシップ, 7, 22–23, 86, 114 バーレーン, 51 ハイチ, 13, 21 パキスタン, 19, 25, 37, 38, 39, 56, 60, 64, 83, 100, 109 はしか, 64 パプアニューギニア, 57 パラグアイ, 19, 46, 48 パレスチナ, 19, 52, 53, 113 汎アメリカ保健機構, 81 ハンガリー, 12, 41 バングラデシュ, 37, 38, 39, 66, 109 ひ 東アジア・大洋州地域, 16, 27, 32–36, 73, 87, 88, 95, 98, 101, 109 東ティモール, 21 ビジネス (「経済・ビジネス環境」の項を参照) 貧困削減支援融資, 20, 37, 39, 41, 43, 47 貧困削減戦略文書(PRSP), 4, 6, 7, 20, 58 HIV/エイズ, 62 MDGs, 63 ジェンダー問題, 59 地域別報告, 28, 39, 42, 54 貧困・社会影響分析(PSIA), 58 貧困と貧困削減, 2–4, 6–7, 14, 17–18 ふ フィリピン, 34, 35, 60, 66, 95, 100 フィンランド, 24, 83 ブータン, 38, 39 プエルトリコ, 73 ブラジル, 13, 14, 19, 46–49, 59, 67, 73, 74, 75, 76, 83, 94, 100 フランス, 11, 57 ブルガリア, 41 ブルキナファソ, 28, 62, 112 ブルンジ, 60 紛争後基金, 13, 30, 68 紛争後進展指標, 21 紛争後地域のための移行支援戦略, 19 紛争の削減(「政治、ガバナンス、および戦争」 「紛争後∼」の項を参 照) へ 米国, 57, 73 米州開発銀行, 47, 114 米州機構(OAS), 81 米州サミット, 73 ベトナム, 6, 19, 23, 32, 34, 35, 109 ベナン, 19, 112 ベネズエラ・ボリバル共和国, 46, 81 ペルー, 25, 46, 47, 48, 74, 81 ほ ボアオ・アジア・フォーラム, 35 貿易交渉, 3, 13, 59–60 貿易促進イニシアティブ, 60 法制度の整備, 79–81, 87 ポーランド, 12, 41, 42, 43, 87, 101 保健・医療問題, 63–64(「HIV/エイズ」の項も参照) MDGs, 87–88 世界保健機関(WHO), 12 地域別報告, 35, 38, 49, 54 ボスニア・ヘルツェゴビナ, 6, 93 ポリオ撲滅プログラム, 113 ボリビア, 19, 23, 46, 49, 112 香港, 33 ホンジュラス, 47, 48, 56, 59, 81 ま マケドニア旧ユーゴスラビア共和国, 19, 42 マダガスカル, 19, 60, 102 マネーロンダリング防止・テロ資金対策(AML/CFT), 78 マラウイ, 60 マラリア, 4, 12, 59, 62 マリ, 19, 60, 63, 66, 112 マルタ, 12, 41 マレーシア, 32, 60, 76 み ミクロ経済要因, 38, 47, 72 水と衛生, 38, 39, 44, 47, 53, 54, 66, 88 南アジア地域, 16, 27, 37–40, 65, 73, 87, 95, 98, 109, 110, 114 南アフリカ, 24, 71, 76 南アメリカ (「ラテンアメリカ・カリブ海地域」の項を参照) ミレニアム開発目標(MDGs), 3–4, 12, 15–16, 61; IDAの役割, 108 MDGsを達成する費用, 90 PRSP, 20, 63 インフラ, 69 「開発におけるパートナーシップ」, 23 核心を成す保健・医療サービス, 63 グローバル・モニタリング・レポート, 6, 87, 90 結果重視マネジメント, 84 債務救済, 111–112 社会開発, 67–68 地域別報告, 28, 37, 41, 43, 44, 49 中所得国に対する支援, 21–22 リスト, 15 ミレニアム・サミット (ニューヨーク、2000年), 3 ミレニアム・サミットのレビュー、2005年, 17 民間セクター開発, 17–18, 22, 72–75 め メキシコ, 19, 46, 47, 48, 76, 81, 87, 95, 100 も モーリタニア, 60, 79, 80, 112 モザンビーク, 13, 19, 28, 62, 94, 112 モルドバ, 42, 43, 44 モロッコ, 54, 79, 86 モンゴル, 19, 32, 34 モンテレー合意, 4, 15, 16, 23, 88, 89 ゆ ユーゴスラビア, 24 融資(「債務救済」の項も参照) 2004年度における活動, 103 2004年度の新たな試み, 110 MDG関連, 90 環境, 66 譲許的融資, 20 地域別報告, 31, 32, 36, 37, 40–41, 45, 46, 50, 51, 55 テーマ・セクター別融資(1995–2004年), 31, 36, 40, 45, 50, 55, 104 途上国の金融システムの構築, 78 民間セクター開発, 74–75 融資政策の簡素化と近代化, 12 輸送と貿易のための貿易円滑化パートナーシップ, 60 よ ヨーロッパ・中央アジア地域, 16, 27, 41–45, 63, 71, 98, 101 予算, ii, 7 予算委員会, 5, 6 ヨハネスブルグ会議, 12, 15 ヨルダン川西岸・ガザ地区, 19, 52, 53, 113 弱い立場にある人々の保護, 64 ら ラオス人民民主共和国, 6, 34, 35, 59 ラテンアメリカ・カリブ海地域, 16, 26, 46–50, 60, 62, 63, 73, 76, 81, 95, 98, 114 ラトビア, 12, 23, 43 り 理事会, ii, 5–7, 121–122 理事会の受託者責任, 7 リトアニア, 12, 41, 42 リベリア, 13, 19, 21 る ルーマニア, 41, 42, 44 ルワンダ, 66, 93 れ レソト, 60 レバノン, 53 ろ ロシア連邦, 41, 42, 43, 60, 94 ロマ族, 42, 43 わ 若者と開発に関する問題, 3, 13, 47, 54, 64 世界銀行 年次報告 2004 197 世界銀行の「インフォショップ」は、開発経済関連の文献 を幅広く揃えたブックストアであると同時に、世銀のプロ ジェクトに関する情報センターでもあります。インフォショッ プには世界銀行、国際機関、NGOなど、さまざまな組織が 発行する出版物(6000種類以上)のほか、世銀の情報公開 政策に基づいて公開されている文書、およびビデオ、CDROM、ギフトなども揃っています。また、インフォショップで は定期的に出版物関連のイベント、展示会、セミナー、およ びレセプションを開催しています。インフォショップに設置 されたコンピュータ「インフォステーション」を使って、世界 銀行のウェブサイトにアクセスすることも可能です。身体障 害者の方にもご利用いただけるよう、インフォステーション には各種の支援ソフトウェアがインストールされています。 情報の一部は世界各地の現地事務所に設置された情報公 開センター (PIC)および図書館からも入手することができま す。ウェブサイトでは常時、出版物の検索や注文が可能です。 インターネット:www.worldbank.org/infoshop 電子書店(e-bookstore) :www.worldbankinfoshop.org 住 所: 701 18th St., NW Washington, D.C. 20433 (18th St.とPennsylvania Ave.の角、 月∼金の午前9時∼午後5時) Eメール: [email protected](ご注文)、 [email protected](お問い合わせ) 電 話: 202-458-4500(午前9時30分∼午後3時30分) ファックス:202-522-1500 PICヨーロッパ 66 Avenue d’lena 75116 Paris, France 電 話:40.69.30.26 ファックス:40.69.30.69 E メール:[email protected] PIC東京 〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル1階 電 話: 03-3597-6650 ファックス: 03-3597-6695 E メール: [email protected] © 2004年 The International Bank for Reconstruction and Development / THE WORLD BANK 1818 H Street, NW Washington, D.C. 20433 USA すべての権利は留保されています。 本書中の地図に示されている国境、色、名称などの情報は、 それぞれの地域の法的地位に対する世銀グループの意見 や、こうした国境に対する支持あるいは承認を示すものでは ありません。 権利、ライセンス、および認可に関するお問い合わせは下 記へお送りください。 World Bank Office of the Publisher 1818 H Street NW Washington, D.C. 20433 Fax: 202-522-2422 E メール: [email protected] 写真提供者 表紙−Giacomo Pirozzi, Panos 1頁−Patricia Hord, Patricia Hord Graphik Design 2頁−世界銀行/Damian Sean Milverton 3頁−Jean-Yves Zana, Studio de Chaillot, Paris 5頁−世界銀行/Frank Vincent 8頁−Alex Baluyut 8頁−Ed Kashi, A Day in the Life of Africa 9頁−Anvar Ilyasov, Panos 9頁−世界銀行/Judith Pearce 9頁−世界銀行フォトライブラリ 10頁−(すべて)世界銀行グループアーカイブ 11頁−(すべて)世界銀行グループアーカイブ 13頁−世界銀行/Mittpheap You 14頁−世界銀行フォトライブラリ 15頁−世界銀行フォトライブラリ 18頁−世界銀行フォトライブラリ 18頁−世界銀行フォトライブラリ 19頁−世界銀行フォトライブラリ 19頁−世界銀行フォトライブラリ 20頁−世界銀行フォトライブラリ 20頁−世界銀行フォトライブラリ 21頁−世界銀行フォトライブラリ 21頁−世界銀行フォトライブラリ 22頁−世界銀行フォトライブラリ 23頁−世界銀行フォトライブラリ 23頁−世界銀行フォトライブラリ 24頁−(すべて)世界銀行グループアーカイブ 25頁−(すべて)世界銀行グループアーカイブ 29頁−世界銀行グループアーカイブ 30頁−世界銀行/Arne Hoel 33頁−世界銀行グループアーカイブ 34頁−世界銀行(マニラ) 38頁−世界銀行グループアーカイブ 39頁−世界銀行フォトライブラリ 42頁−Jaroslav Cucak 43頁−Stan Constantio 44頁−世界銀行グループアーカイブ 47頁−Programa de Caminos Rurales, Peru 48頁−世界銀行グループアーカイブ 49頁−Scott B. Wallace 52頁−Curt Carnemark 53頁−Tomas Sennett 56頁−(すべて)世界銀行グループアーカイブ 57頁−(すべて)世界銀行グループアーカイブ 58頁−世界銀行グループアーカイブ 59頁−世界銀行フォトライブラリ 61頁−世界銀行フォトライブラリ 63頁−世界銀行グループアーカイブ 65頁−世界銀行フォトライブラリ 66頁−世界銀行グループアーカイブ 69頁−世界銀行フォトライブラリ 70頁−世界銀行グループアーカイブ 72頁−世界銀行フォトライブラリ 74頁−世界銀行グループアーカイブ 76頁−世界銀行グループアーカイブ 77頁−Ed Kashi, A Day in the Life of Africa 79頁−Monika Pottgiesser 80頁−世界銀行フォトライブラリ 82頁−(すべて)世界銀行グループアーカイブ 83頁−(すべて)世界銀行グループアーカイブ 85頁−世界銀行フォトライブラリ 86頁−世界銀行フォトライブラリ 87頁−Curt Carnemark 88頁−世界銀行フォトライブラリ 89頁−世界銀行フォトライブラリ 92頁−世界銀行フォトライブラリ 93頁−Quintalhano dos Santos, A Day in the Life of Africa 94頁−Ed Kashi, A Day in the Life of Africa 96頁−(すべて)世界銀行グループアーカイブ 97頁−(すべて)世界銀行グループアーカイブ 99頁−世界銀行/Aquiles Almansi 100頁−世界銀行フォトライブラリ 101頁−世界銀行フォトライブラリ 102頁−世界銀行/Michael Foley 111頁−Shehzad Noorani 112頁−世界銀行フォトライブラリ 115頁−(ブータン部分)世界銀行フォトライブラリ 115頁−(その他)世界銀行グループアーカイブ 116頁−(左上から時計回り)世界銀行グループアーカイブ、Jean-Yves Zana, Studio de Chaillot, Paris、世界銀行フォトライブラリ、世 界銀行フォトライブラリ、Simone D. McCourtie 117頁−(左上から時計回り)世界銀行フォトライブラリ、世界銀行フォ トライブラリ、Michele Iannacci、Michele Iannacci、世界銀行 フォトライブラリ 編集長: Cathy L. Gagnet、世界銀行出版部 副編集長 Caroline L. Banton、世界銀行出版部 T. Scott Brown、世界銀行出版部 2004年度の活動概要 本年次報告は、2003年7月1 寄稿編集者 Barbara S. Karni IBRD (単位:100万ドル) 日から2004年6月30日までの 活動を対象に、国際復興開 2004年度 2003年度 2002年度 2001年度 2000年度 承認額 うち構造調整融資 11,045 4,453 11,231 4,187 11,452 7,384 10,487 3,937 10,919 4,426 プロジェクト数 うち構造調整融資 87 18 99 21 96 21 91 15 97 14 実行総額 うち構造調整融資 10,109 4,348 11,921 5,484 11,256 4,673 11,784 4,393 13,332 4,924 18,479 19,877 12,025 9,635 10,398 発銀行(IBRD)と国際開発 協会(IDA)の理事が、それ ぞれの機関の定款に従って 作成したものです。IBRDと IDAの総裁および理事会議 元本返済額 (前納分を含む) 長 を 兼 務 するジェームズ・ 実行純額 D・ウォルフェンソンは、本年 融資残高 次報告、運営予算、および 未実行額 監査済み財務諸表を総務会 配分可能な純益 に提出しました。 (8,370) (7,956) (769) 2,149 2,934 109,610 116,240 121,589 118,866 120,104 32,128 33,031 36,353 37,934 44,754 1,675 3,050 1,831 989 1,582 利用可能資本および準備金 31,332 30,027 26,901 24,909 25,067 資本/貸出比率 29.4% 26.6% 22.9% 21.5% 21.3% 国際金融公社(IFC)、多数 国間投資保証機関(MIGA)、 IDA (単位:100万ドル) 2004年度 2003年度 2002年度 2001年度 2000年度 および投資紛争解決国際セ ンター(ICSID)の年次報告 は別途刊行されます。 承認額 うち構造調整融資 9,035 1,698 7,282 1,831 8,068 2,443 6,764 1,826 4,358 682 プロジェクト数 うち構造調整融資 158 23 141 24 133 23 134 15 126 9 実行総額 うち構造調整融資 6,936 1,685 7,019 2,795 6,612 2,172 5,492 1,280 5,177 860 元本返済額 1,398 1,369 1,063 997 920 実行純額 5,538 5,651 5,549 4,495 4,257 115,743 106,877 96,372 86,572 86,643 融資残高 未実行額(融資) 23,998 22,429 22,510 20,442 20,833 未実行額(グラント) 2,358 1,316 148 — — 開発グラント供与額 1,697 1,016 154 — — 制作 Cindy A. Fisher、世界銀行出版部 Monika D. Lynde、世界銀行出版部 Melissa Edeburn、世界銀行出版部 プロジェクト・アシスタント Cesar A. Gordillo 編集コンサルタント Martha V. Gottron Grammarians, Inc. Mertes Editorial Services デザイン Patricia Hord.Graphik Design Interactive Composition Corporation 付録CD-ROMのご利用方法 CD-ROMの起動: 「世界銀行年報2004 日本語版」CD-ROMをCD-ROMドライブに挿入するとタイトル が自動的に起動します。起動しない場合は「マイコンピュータ」からCD-ROMアイ コン「About the World」を開き「WB Annual Report 2004.pdf」をダブルクリックして 起動してください。ご使用の環境にAdobe Readerがインストールされていない場合は、 アドビシステムズ社のサイト(http://www.adobe.co.jp/)よりAdobe Readerをダウン ロードし、インストールしてください。 表示エリアのサイズ変更: カーソルを 「しおり」タブの右側にある垂直方向のバーに合わせます。カーソルが矢印 マークに変わったら、マウスをクリックしたまま、希望の方向(右か左) に動かします。 表タイトルの全文表示: 「しおり」タブで当該タイトルの上にカーソルを合わせると、タイトルの全文がポップ アップ表示されます。 エクセルファイルの開き方: 「しおり」タブ上の青色のリンクをクリックします。あるいはPDFの画面上で表のタイ トルをクリックします。 エクセルファイルの閉じ方: 現在、開いている表を閉じる場合は、 「ファイル」メニューの「閉じる」を選択します。 エクセルを終了したい場合は、 「ファイル」メニューの「終了」を選択します。 印刷: 「ファイル」メニューの「印刷」を選択します。 CD-ROMの終了: 「ファイル」メニューの「終了」を選択します。 動作環境 本体:Intel Pentiumプロセッサの搭載されたコンピュータ メモリ:64MB以上 OS:Windows98またはそれ以降 ソフトウェア:Adobe Reader(Adobe Reader 6.0)、Excel(Excel 97またはそれ以降) • Adobe PDF、Adobe AcrobatおよびAdobe Readerは、Adobe Systems Incorporatedの商標または登録商標です。 • Microsoft、Windows、およびMicrosoft Excelは米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における商標 または登録商標です。 • その他、記載されているシステム名、製品名は、一般に各社の登録商標もしくは商標です。 1 世界銀行の使命 長期的な結果を追求し、熱意とプロフェッショナリズムを持って貧困削減に取り組みます。 資源の提供、知識の共有、キャパシティ・ビルディング、公共・民間セクターにおけるパートナー 世 界 銀 行 年 次 報 告 2 0 0 4 シップの推進を通じて、人々の自助努力とその環境作りを支援します。 人を引きつけ、活力を与え、また耳を傾け、学ぶ姿勢を持った優れた職員を育てることがで きる援助機関を目指しています。 世界銀行(ワシントン本部) 1818 H Street, NW Washington, DC 20433 USA 電 話:202-473-1000 フ ァック ス:202-477-6391 ホームページ:www.worldbank.org E メ ー ル:[email protected] 世界銀行東京事務所 〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル10F 電 話:03-3597-6650(代) フ ァック ス:03-3597-6695 ホームページ:www.worldbank.or.jp 一 年 を 振 り 返 っ て 世 年 界 次 銀 報 2004 PIC東京(世界銀行情報センター) 世界銀行情報センター (Public Information Center, 通称PIC) は、世界銀行の業務や政策、開発問題に関する情報窓口です。 PIC東京では、世銀の出版物や資料に関する情報サービスを行うとともに、世界銀行の途上国支援の取り組みについて、皆 様にご理解いただくことを目的とし、どなたでも気軽にご参加頂ける様々なプログラム及びイベントを開催しています。 開館日:月曜日∼金曜日 午前10時−午後7時 休館日:土日、祝祭日、年末年始(臨時休館させていただく場合があります) 連絡先:〒100-0011 千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル1F 電 話:03-3597-6650 Eメール:[email protected] THE WORLD BANK Volume 1 一年を振り返って 行 告
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