平成21年度肉用子牛資質向上緊急支援事業のポイント

畜 産 情 報
平成21年度肉用子牛資質向上緊急支援事業のポイント
交付対象や交付金単価の見直しが行われ、1年間延長されました
事業の目的
最近、配合飼料価格の高騰や子牛価格の低落等
む必要があります。
により肉用牛子牛生産者の経営意欲が低下してお
このため、地域において特に優良な種雄牛の精
り、経営縮小等により肉用牛増頭の要である繁殖
液による交配や優良な繁殖雌牛への更新による子
雌牛資源の急減が懸念される状況にあります。特
牛の資質向上、並びに意欲的な飼養管理の改善に
に子牛価格については、全体的に子牛取引価格が
よる繁殖性の向上に取組む繁殖経営に対する緊急
低落しております。今後、肥育農家の子牛の資質
的な支援に対して(独)農畜産業振興機構が補助
への選別がさらに厳しさを増すことが考えられ、
することにより、繁殖経営の安定と肉用牛繁殖基
血統間での子牛価格の二極化が進むものと見込ま
盤の維持を図ろうとするものです。
れています。このことから繁殖経営の収益性の改
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善を図る上で、早急に肉用子牛の資質向上に取組
以下に、制度改正の概略について記述します。
しかし、ここで注意しなければならないことは、
受付対象の見直し
種付・雌牛更新が適切に行われなかった場合には
交付金の返還をしなければならないことです。農
20年度事業の交付対象は、「母牛への種付等」
でしたが、21年度は「販売された子牛」が交付対
象とされました。この見直し後の取扱いは、21年
4月以降に販売された子牛が対象で、20年10月か
ら21年3月末までに販売された子牛は、経過措置
として、従前の取扱いとすることとされています。
従って、子牛の販売された時期によって事業の仕
組が異なりますので、生産者等への説明や事務取
扱いに際しては、子牛の販売時期に特にご留意く
ださい。なお、発動基準が販売翌月に公表される
ことから、21年度事業は22年2月までに販売され
た子牛が対象になります。
(図参照)
従前は、子牛が発動基準以下の価格で販売され
てから種付・雌牛更新の実施状況報告が提出され
てからでないと交付金は交付されませんでした
家等において、種付又は雌牛の更新が確実に実施
できるよう指導が必要です。種付・雌牛更新は実
施状況報告書(添付書類別表)の提出によりその
内容がチェックされます。確実な種付・雌牛更新
は交付金を受領する生産者の義務であることを生
産者・関係者によく認識していただくことが肝要
です。
また、種付され生産された子牛が雌牛の場合の
子牛生産者での32月齢までの保留は、地域内に保
留するものとして指定された場合と見直されてい
ます。
実施状況報告書の添付書類
確認事項
書類名
①子牛の取引価格
家畜市場の家畜販売書(家畜市場販売伝票)
②母子関係の特定
子牛登記書又はトレサ情報・母牛の登録証
が、21年4月以降に販売された子牛においては、
③人工授精
家畜改良増殖法に基づく授精証明書
販売された子牛が発動基準を下回った場合に、種
④雌牛の導入
購買に係る書類、子牛登記書
付・雌牛更新を行うことを条件に子牛販売報告書
を提出すれば交付金の交付ができるようになり、
生産者への交付金交付の早期化が可能になりまし
た。
⑤更新雌牛の廃用
済みのものに限る) 販売に係る書類
⑥繁殖性向上の取組
報告書及び取組を行うために支払った支払伝票等
⑦その他指定協会
が定める書類
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人工授精で単価4万円、5万円の設定
20年度事業の交付金単価は最大3万円でしたが、
21年度事業(21年4月以降に販売された子牛)で
は、最大5万円まで交付されます。
(表参照)
○人工授精の場合で子牛販売時の母牛年齢が12歳
未満(10歳・11歳では低能力牛を除く)
①発動基準を3万円以上下回った場合 4万円
3.
繁殖雌牛の更新で、高齢雌牛の更新を追加
地域の改良方針等に基づく高齢繁殖雌(12歳以
上)の更新 5万円
12歳以上の高齢雌牛の更新の場合には地域の育
種価の1/2以上を適用せずに、地域の改良方針等
に基づく雌牛の更新が可能となりました。
なお、従来どおり更新用に導入する繁殖雌牛の
②発動基準を4万円以上下回り、繁殖性向上の取
月齢は、満6月齢以上満12月齢未満であるものに
組を実施する場合 5万円
限るとされており、また、国及び機構の事業にお
・なお、子牛販売時の母牛年齢が12歳以上の場
いて、繁殖雌牛の導入に係る補助金の交付を受け
合や10歳・11歳でも低能力牛の場合には、最大
ていないものとされているので、関係機関にあっ
3万円の交付となります。
ては事業推進に当たってその調整・点検にご留意
・低能力牛とは、全項目の育種価が地域の育種
ください。
価の1/2未満のもの(育種価を有していないも
のを含む)をいいます。
また、繁殖性向上の取組とは、「その繁殖性
事務の流れ(指定協会事務を中心にして)
を良くするためのビタミン・ミネラルの給与、
交付金が機構から指定協会に直接交付される等
ホルモン剤の投与、その他繁殖改善剤の投与、
一部事務の見直しが行われましたので、、その概
発情発見器具の使用、獣医師による診断、その
略を図2のフローチャートを掲載しますので参考
他繁殖雌牛の繁殖性の向上に資する取組」と定
にしてください。
められていますので、取組内容の確認をしてく
ださい。
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