331号 - 結核予防会

海外事務所から
Happy New Year 2010!
世界では,途上国を中心に,年間920万以上の人々が新たに結核を発病しています。
結核予防会のフィリピン,カンボジア,ザンビアの海外事務所では,日本人と現地スタッフが協力して,
一人でも多くの人が結核の適正な診断と治療を受けられるよう,草の根レベルの活動に取り組んでいます。
私たちの活動は,複十字シール募金,日本NGO連携無償資金協力を通じて,日本の皆様に支えられてい
ます。スタッフ一同,感謝申し上げると共に,この一年の皆様のご健康とご多幸をお祈り致します。 結核予防会フィリピン・カンボジア・ザンビア事務所スタッフ一同
(タガログ語)
「心からの感謝を込めて,皆様のご健康とご活
躍をお祈り申し上げます。」
フィリピン事務所〔マニラ〕
左から,ジェニー,アウィー,オクノイ,ラーニ,鈴木,
外山
(クメール語)
「カンボジアでは,この10年で結核対策が強化
され,たくさんの人々が結核の適切な治療を受
けて仕事に復帰し,家族を支えられるようにな
りました。このすばらしい成果の多くが日本の
皆様の善意に支えられてきました。新年を迎え
るにあたって,心より感謝申し上げます。」
カンボジア事務所〔プノンペン〕
左から,ホアット,レミー,ダラ,ロアット,シッキム,
モニ 中央 トイ
(ニャンジャ語)
「プロジェクト開始,現地事務所立ち上げから1
年半が経過し,皆様のご支援のお陰で,ようや
く落ち着いて活動が進められるようになって
きました。2010年も,より充実した活動ができ
るよう事務所スタッフ一同頑張ります。引き続
きのご協力・ご支援よろしくお願い致します。」
ザンビア事務所〔ルサカ〕
後方左から,カエベタ(事務所長),デビッド,アイゼッ
ク,大室,テレザ,エラ 前方左から,ロバートソン,
ムレンガ,ジョゼフ
Message 年頭のごあいさつ
厚生労働省健康局長
上田 博三(うえだ ひろぞう)
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
昨年は,財団法人結核予防会をはじめとした関係
者の皆様には,結核対策の推進に御尽力いただき,
心より感謝申し上げます。
さて,我が国の結核を取り巻く状況をみますと,
昭和26年の結核予防法制定以来,官民一体となっ
た取組により,結核患者数が大幅に減少するなど,
飛躍的に改善してまいりました。
しかし,現在においてもなお,年間約2万5千人
の新規結核患者が発生するなど,結核は,依然とし
て我が国の主要な感染症であり,引き続き十分な対
策が求められています。特に近年では,多剤耐性結
核菌の発生,患者の高齢化,都市部における若者の
感染など,新たな課題もみられます。
また,結核患者の減少による病床利用率の低下等
に伴い,結核病棟を閉鎖する医療機関が相次ぐ等,
地域によっては,結核を診療できる医師や医療機関
の不足が懸念されており,結核医療提供体制の確保
が難しい状況となっています。このため,今後の結
核医療のあり方について,現在,厚生科学審議会感
染症分科会結核部会において,ご議論いただいてい
るところであり,今後,この議論の結果を踏まえ,
結核入院医療提供体制のあり方や地域連携の推進な
ど,結核医療体制を確保するための有効な方策につ
いて,検討してまいります。
厚生労働省としましては,結核を取り巻く状況の
変化や新たな課題に対処するため,結核対策を一層
推進してまいる所存ですが,そのためには,財団法
人結核予防会を始めとする関係者の皆様や地方公共
団体との連携が極めて重
要となりますので,引き
続き,皆様におかれまし
ては,格別の御支援,御協
力を賜りますよう,お願
い申し上げます。
終 わ り に,財 団 法 人 結
核予防会並びに関係者の
皆様方のますますの御活
躍と御発展を祈念いたし
まして,年頭のご挨拶と
させていただきます。
■年頭のごあいさつ 上田博三……1
■新春ご挨拶2010
長田 功・丸瀬和美・井勝道子……2
■お知らせ 第61回結核予防全国大会開催要領(案)
……3
■第68回日本公衆衛生学会総会」報告
○健康をまもる社会基盤の再構築 ―安全・公正・交流― 山田全啓……4
○結核集団発生の対策に関する自由集会に参加して
凪 初子……5
■ストップ結核パートナーシップ日本だより№9
○理事会・総会報告
内山雄太……6
○結核で私の生活はこう変わった―日本とフィリピン結核患者
達が語る!テレビ会議 報告
冨名腰あん……7
■シリーズ 新しくなった結核研究所(5)
優先的プロジェクト(3)
「結核分子疫学研究プロジェクト」
大角晃弘……8
■シリーズDOTS
広島県東部保健所におけるDOTSの取り組み 松岡明子……10
■ワクチンシリーズ
5)肺炎球菌ワクチン
内山美寧……12
■健康日本21全国大会に今年も出展 −「肺年齢」ブース− ……15
■国際結核肺疾患連合世界(略称The Union)カンファレンス報告
メキシコ・カンクン 2009.12.3-7
下内 昭……16
■健康日本21推進全国連絡協議会第4回たばこ分科会開かれる
たばこ規制枠組条約発効5年を迎えるにあたって
……18
■ずいひつ 「不機嫌な神様」
石井苗子……19
■続報 結核予防技術者地区別講習会開催(高知県・宮崎県)/
平成21年度 知事表敬訪問報告(広島県支部) ……20
■結核予防会支部紹介の頁 香川県支部
「県民から信頼され、県民の健康と福祉の向上に貢献できる健
診機関として」 末澤春一朗……21
■健診事業を行う法人の新公益法人への移行認定について
―(財)大分県地域成人病検診協会のケースに学ぶ―
竹下隆夫……22
▽予防会だより
○∼複十字シール運動活動報告∼『MDRT日本会』訪問
○複十字シール期間限定キャンペーン第4弾実施中!/ご利用
可能なクレジットカードが増えました
○たばこ値上げの要請
たばこ病COPD患者患者の声を民主党副幹事長の元へ
○複十字病院呼吸ケアリハビリセンターの紹介
○ベストドクターズに複十字病院白石先生が選出された
○島尾忠男先生,日本禁煙科学会学会賞を受賞される!
○ザンビア国 結核とエイズ早期診断センター開所のご報告
○「複十字」掲載主要論文・記事一覧
№325(1月号)∼№330(11月号)/2009年
●平成21年度結核予防会ブロック会議各地で開催
●平成21年度結核予防会胸部検診対策委員会精度管理部会胸
部画像精度管理研究会(フィルム評価会)開催
●第31回(平成21年度)結核予防会事務職員セミナー開催
●結核研究所国際セミナー予告 国際結核セミナー・全国結核
対策推進会議・世界結核デー記念フォーラム
●第17回日本CT検診学会学術集会̶CT検診の未来̶
○切手にみる結核 14.結核予防キャンペーンの切手たち Contents
〔表 紙〕田貫湖(静岡県富士宮市)側から富士山を望む
撮影者:堀川春男氏
〔カット〕佐藤奈津江
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1
新春ご挨拶 2010
71年目からの結核予防会
など,結核の病態の変化によって対策を複雑,困
難なものにしています。そのために結核の周囲疾
財団法人結核予防会
理事長 病とも云えるCOPDや肺癌・生活習慣病への対
策も軽視できません。また開発途上国における結
長田 功
核対策についても,予防会が培った実績を国際協
新年明けましておめでとうございます。
こうした情況下に予防会が何をなすべきかを
昨年12月1日付で結核予防会理事長に就任いたし
我々の任務として正面に受けとめて,堂々たる予
ました。予防会は昨年3月,創立70周年記念大会を
防会になりたいものです。結核医療の不採算性や
天皇皇后両陛下をお迎えして開催することができ
医療経済一般の厳しい条件下ではありますが,
ました。今年は古稀後一年と云うことになります。
我々は国内唯一の結核研究所や病院など医療施設
創立から70年。当初の結核制圧の目的は,ほぼ果
をもち,さらに支部組織,婦人会など多くの組織
すことができましたが,結核は依然として国内で
や人材を活用できる態勢があり,これらの総力を
も新規登録が年間25,000人を数える有数の感染症で
結集して,予防会の成果がそのまま国や民間の結
あります。さらにエイズは云うに及ばず糖尿病な
核医療への提言になるよう尽力していきたいと思
ど成人病の合併症や,さらに多剤耐性結核の増加
います。
ネットワークの活用を
を行うなど支部の健診・検査事業にも大きな影響
力の場でも強く求められています。
を与えることとなります。
経営環境は,非常に厳しい状況にありますが,
結核予防会全国支部事務局長会会長
(結核予防会鳥取県支部常務理事・事務局長) 結核予防会本部・支部のネットワークは,他団体
丸瀬 和美
のネットワークより豊富な医療スタッフ・検診
新年明けましておめでとうございます。
ワークであると確信しております。このネット
厚生労働省は,平成22年度に定期健康診断の結
ワークの活用方法を検討し,本部・各支部間での
核を40歳未満は省略する方向で検討しており,平
医療スタッフ・検診車等を効率良く運用すること
成20年度の特定健康診査・特定保健指導の開始に
により,質の高い医療サービスが提供でき,顧客
引き続いて多大な影響が懸念されます。
の信頼も得られ,経費縮減もできるのではないか
また,サブプライムローン問題から発生した不
と考えております。
況は一段落したかのようでありましたが,今また
最後に,皆様のご健勝を祈念いたしますととも
ドバイショックによる超円高の進行など世界の経
に,本年も変わらぬご指導をお願いいたしまして
済情勢はめまぐるしく変化しております。このよ
新年のご挨拶と致します。
車・医療施設を持っており,非常に強力なネット
うな状況の中,利益を減らした企業は,人員削減
全国大会を
開催するにあたって
病気と思われています。高齢になった方の体内に
眠っていた結核菌が活動を始めることなどを聞く
につけ,鳥取県健康を守る婦人の会は,研修会で
鳥取県健康を守る婦人の会会長 井勝 道子
結核についての正しい知識を身につけ,結核は治
療をすれば治るなどの普及啓発活動と複十字シー
ル募金活動に努めたいと考えております。
輝かしい新春を迎え,謹んでお祝い申し上げます。
3 月 1 8 日( 木 )・ 1 9 日( 金 ) の 2 日 間 に わ た り ,
第61回結核予防全国大会が鳥取県で開催されま
結核予防会総裁秋篠宮妃殿下をお迎えいたしまして
すことは,結核に対する認識を高める絶好の機会
開催します全国大会が実り多いものとなりますよう,
であろうと思われます。
皆さまのご来県を心よりお待ちしております。
鳥取県では結核罹患数が少なく,結核は過去の
2
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お知らせ
第61回 結核予防全国大会 開催要領(案)
と き 平成 22 年 3 月 18 日(木)・19 日(金)
ところ 鳥取県鳥取市
期 日 平成22年3月18日(木)・19日(金)
場 所 ホテルニューオータニ鳥取 (鳥取市今町 2 丁目 153)
とりぎん文化会館 (鳥取市尚徳町 101-5)
主 催 鳥取県,財団法人結核予防会
後 援 厚生労働省,外務省,社団法人日本医師会,
社団法人全国結核予防婦人団体連絡協議会,
財団法人健康・体力づくり事業財団,
特定
非営利活動法人ストップ結核パートナー
シップ日本,
ストップ結核パートナーシップ
推進議員連盟,鳥取県教育委員会,鳥取市,
鳥取県市長会,
鳥取県町村会,
社団法人鳥取
県医師会,
社団法人鳥取県歯科医師会,
社団
法人鳥取県薬剤師会,
日本赤十字社鳥取県
支部,
社団法人鳥取県看護協会,
社団法人鳥
取県放射線技師会,
社団法人鳥取県臨床検
査技師会,
鳥取県健康を守る婦人の会,
鳥取
市民健康づくり地区推進員連絡協議会,
社
団法人鳥取県栄養士会,
鳥取県食生活改善
推進員連絡協議会,
社会福祉法人鳥取県社
会福祉協議会,
鳥取県老人クラブ連合会,
鳥
取市教育委員会,
日本海新聞,
山陰中央新報,
朝日新聞,
読売新聞,
毎日新聞,
産経新聞,
日
本経済新聞,
NHK,
日本海テレビ,
山陰中
央テレビ,
山陰放送,
中国新聞,
時事通信,
共
同通信,
テレビ朝日,
日本海ケーブルネット
ワーク,
鳥取テレトピア,
鳥取中央有線放送,
中海テレビ,
伯耆町有線テレビジョン放送,
エフエム山陰,
FM鳥取
(以上予定)
【第1日】3月18日(木)
(1)結核予防会全国支部長会議
場 所:ホテルニューオータニ鳥取
(鶴の間・東)
10:00 ∼ 11:30
(2)全国結核予防婦人団体連絡協議会理事会
場 所:ホテルニューオータニ鳥取
(鶴の間・中)
10:00 ∼ 10:30
(3)全国結核予防婦人団体連絡協議会総会
場 所:ホテルニューオータニ鳥取
(鶴の間・西)
10:40 ∼ 11:40
(4)全国結核予防婦人団体連絡協議会昼食会
場 所:ホテルニューオータニ鳥取
(鶴の間・西)
12:00 ∼ 12:50
(5)全国支部長会議出席者昼食会
場 所:ホテルニューオータニ鳥取
(鶴の間・東)
11:40 ∼ 12:30
(6)研鑽集会
場 所:とりぎん文化会館(梨花ホール)
主 題:「調整中」
13:30 ∼ 15:30
(7)アトラクション
場 所:とりぎん文化会館(梨花ホール)
内 容:「調整中」
15:45 ∼ 16:20
(8)全国結核予防婦人団体連絡協議会懇談会
場 所:ホテルニューオータニ鳥取
(鳳凰)
16:50 ∼ 17:35
(9)大会決議・宣言起草委員会
場 所:とりぎん文化会館(第3会議室)
16:45 ∼ 17:45
(10)大会歓迎レセプション
場 所:ホテルニューオータニ鳥取
(鶴の間)
18:30 ∼ 20:00
【第2日】3月19日(金)
大会式典
場 所:とりぎん文化会館(梨花ホール)
10:00 ∼ 12:30
式次第
(1)開会のことば
財団法人結核予防会鳥取県支部長
(2)大会運営委員長あいさつ
鳥取県知事
(3)結核予防会総裁おことば
財団法人結核予防会総裁
(4)結核予防会会長あいさつ
財団法人結核予防会会長
秩父宮妃記念結核予防功労賞第 13 回受賞者表彰
(5)
(6)来賓祝辞
厚生労働大臣
社団法人日本医師会会長
鳥取県議会議長
鳥取市長
社団法人全国結核予防婦人団体連絡
協議会会長
(7)議 事
・議長および副議長選出
・全国支部長会議概要および研鑚集会報告
・決議および宣言
・次期開催地について
(8)特別講演 「 調 整 中 」
(11:40 ∼ 12:30 予定)
(9)閉 会
支部長午餐会
場 所:ホテルニューオータニ鳥取
(鶴の間・東)
13:15 ∼ 14:00
(今後,変更が生じる場合があります)
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3
第68回日本公衆衛生学会総会報告
健康をまもる社会基盤の再構築 ∼安全・公正・交流∼
奈良県郡山保健所
やまだ
まさひろ
山田 全啓
所 長 公衆衛生と奈良について歴史を紐解くと,律令国
家である奈良時代は,光明皇后の発案で,病人の救
済施設である施薬院や,貧しい人や孤児を救ったと
いわれる悲田院がつくられた。また,続日本紀によ
ると,衛士府(えじふ)という現在の保健所に似た機
関も設置され,都の衛生管理や疫病対策にあたって
いたという。現在の高齢者・障害者福祉,生活保護
の原型ともいえる制度が既にあった。大宝元年(701
年)に定められた「大宝律令」の中に,
「医疾令」とい
う医師法に似た法令も存在し,医師の養成期間も現
在とほぼ同じ長さであったことは驚きである。我田
引水ではあるが,奈良は,正に我が国の公衆衛生の
発祥の地といって過言ではない。今回,奈良で日本
公衆衛生学会が開催されたことは,温故知新と1,300
年の公衆衛生の歴史を振り返るうえで意義深い。
さ て,平 成21年10月21日 か ら23日 ま で の3日 間,
奈良市において,奈良県立医科大学地域健康医学講
座車谷典男教授を学会長に,第68回日本公衆衛生学
会総会が開催された。総会のメインテーマは,
「健康
をまもる社会基盤の再構築 ―安全・公正・交流―」
である。奈良県で初めての学会で,あいにく新型イ
ンフルエンザに見舞われたが,幸い一般演題が1,594
題と過去最高の登録と,天候にも恵まれ3,400人を超
える会員参加をいただいたことは感謝に堪えない。
開会式で挨拶した学会長は,
「健康をまもり支え
てきた基盤が弱体化している昨今,安全を確保し,
公正を実現し,交流を促進するなど,社会基盤を再
構築する必要性に迫られている」と開催の趣旨を述
べた。記念講演,学会長講演,特別講演,メインシ
ンポジウムに引き続き,サテライトシンポジウム5
題,シンポジウム5題,教育講演4題,公衆衛生行
政研修フォーラム4題等の特別プログラムが開催
され,一般演題分科会も前回の18から20分科会に見
直され,口演も493題と増加した。学会長講演では,
「アスベスト問題から学ぶ公衆衛生」と題し,長年労
働衛生問題として取り扱われてきたアスベストが,
近年,地域住民の環境曝露という新たな様相を呈し
てきたこと。学会長自らが,現場で患者の声に耳を
傾ける日々のなかで,患者の身体的痛みとともに,
心理的痛み,社会的痛みを痛感し,そしてNGOから
情熱と原動力を得て,今日,国で補償制度が樹立さ
4
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平成21年10月21日,奈良で行われた,第66回全国保健所長会
総会懇親会で,天平衣装の筆者(左)by T.Akaho
れるまでの歩みを述べた。公衆衛生に携わるものの
行動原則に迫る講演として会員の共感を得た。
メインシンポジウムでは,
「健康をまもる社会基
盤の再構築―その糸口はどこか―」と題して,シン
ポジストの一人である近藤克則教授(日本福祉大学)
は,自らの大規模コホート研究からみた健康格差の
実態と,
「社会的排除」を生まないために,ミクロか
らマクロに及ぶ総合的な対策の必要性を述べた。圓
藤吟史教授(大阪市大)は,雇用実態からみた健康格
差では,悪循環(too poor to be sick)を生まないた
めのセーフティーネットの必要性を指摘し,本橋豊
教授(秋田大学)は,自殺対策では,地域の人と人と
の絆づくり,即ちソーシャル・キャピタルの強化こ
そが,地域における核心であるとした。今回のテー
マである健康格差の要因を多角的に分析した点で
参加者の高い評価を得た。
複十字への寄稿でありながら,結核の記載がない
のは叱責をいただきそうであるが,次の奈良市保健
所凪係長に譲りたい。ただ,結核も貧困や所得格差
と密接に関連する疾患と考えられ,感染対策に加え
て,社会的背景にも目を向けたアプローチが必要と
感じた。
以上,学会スタッフの一人として参加した雑感を
述べたが,皆様方のご協力により無事終了できたこ
とに改めて感謝し,来年の東京にバトンタッチした
い。
結核集団発生の対策に関する
自由集会に参加して
奈良市保健所保健予防課
なぎ
はつこ
凪 初子
保健予防係長 第68回日本公衆衛生学会総会にあわせて,10月
的に対策を行うことが重要であると感じました。
21日(水)結核予防会結核研究所の主催により「結核
続いて,東京都福祉保健局健康安全部感染症対策
集団発生の対策に関する自由集会」が奈良県新公会
課の中坪直樹先生から「広域対応を伴う芸能人結核
堂能楽ホールで開催されました。当日は,94名の関
事例への迅速な対応例」∼リスクコミュニケーショ
係者が集い,18時15分から20時15分の2時間,事例
ンの重要性∼について報告がありました。その中で
報告や基調講演をうけて,熱心な意見交換が行わ
は,都庁人事異動に伴い53%が新メンバーの中で起
れました。 きた芸能人の肺結核発生時の対応でしたが,芸能人
雇用会社,保健所,都庁の関係者が,結核発生届受
理日の金曜日,都庁へ参集し今後の対応について話
し合い(情報の共有),翌日の土日にも,報道発表後
のパニックに備えた,局内調整をおこない,保健所
の混乱を防ぐため相談窓口の設置,関係保健所合同
会議による統一した情報の共有化,積極的疫学調査
の方針,役割分担の明確化がスピーディになされた
模範ともいえる対応に感激しました。
結核研究所石川信克所長から,現在結核中蔓延
今回,会場となった奈良県新公会堂
国の日本では,今この時点でも,誰かが結核に感染
集団発生の事例報告
している,常時流行している病気であり,定期健診
はじめに,青森県弘前保健所の山中朋子先生から
後の要精密検査者追跡の徹底,有症時の早期医療
「公共機関で発生した結核集団感染について」事例
機関受診,早期診断について,あらゆる機会をとお
報告がありました。この報告は,市役所で結核患者
して関係者に根気強く正しい情報を伝えていく事
5名,感染者28名発生した事例でした。長期に咳嗽
が大切であることを強調され,結核に関する知識・
ある職員の健康管理,人事課職員の要精密検査の追
情報の丁寧な提供について保健所の役割を再認識
跡,患者発生時の対策委員会開催による情報共有・
させられました。
対策方針決定や潜在性結核治療等を行う医療機関
基調講演
への情報提供,結核診断精度管理,院内感染対策,
最後に,結核研究所名誉所長の森亨先生に演題
市民への啓発等を保健所が核となって関係機関へ
「接触者健診の新しい技術∼ QFT:ツベルクリン
の指導・調整を行う事が大事だと感じました。
反応検査は死んだか?」で診断基準の有用性につい
次に,茨城県水戸保健所の大和慎一先生から「繁
て,ツベルクリン反応検査,QFT第2世代,QFT第3
華街飲食店における集団発生2例∼接触者把握の困
世代の新しい情報をいただきました。QFT第2世代
難性∼」について報告がありました。飲食店,クラ
は,大変優れた検査ですが,QFT第3世代の普及に
ブなどの閉鎖空間で長時間を過ごし,不特定多数
より,採血時間の制約の撤廃,採血量の節約等が行
の人が出入りし,退職による勤務者交替の速い職
われる事を期待します。
場での疫学調査の困難さについて説明を聞きまし
一年ぶりにお会いした結核研究所の先生方や全
た。感染症法になり業態者健診は無くなりました
国でご活躍の先生方に元気をいただいた集会でし
が,市町村のハイリスク者健診として飲食店従業
た。今後とも,結核のない世界の実現をめざして,
員の健診を実施することが可能であること,重点
保健所の役割を果たしていきたいと思います。
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ストップ結核パートナーシップ日本
理事会・総会報告
ストップ結核パートナーシップ日本
内山 雄太
事務局次長 ストップ結核パートナーシップ日本(STBJ)は,
設立記念日の11月19日に,団体・個人会員,省庁関
係者,ストップ結核パートナーシップ推進議員連盟
(議連)関係者他,計54名出席のもと,第4回理事会
及び第2回年次総会を行いました。会合では,平成
21年度事業報告,平成22年度事業計画及び新役員
体制に関する説明を行いました。
承認された平成22年度事業計画ですが,まず,普
及啓発については,議連との連携による国,自治体
への結核対策推進に関する働きかけ,関連学会・会
合・イベント等における普及啓発活動・開催支援,
タイムリーなプレスリリースの実施,団体・個人会
員の獲得と適正な情報管理を引き続き行います。ま
た,STBJ活動内容の国内外関連誌への投稿,啓発
グッズ(ストップ結核バッジ,Tシャツ,帽子等)の
作成を行います。
国際的な活動としては,各国版ストップ結核パー
トナーシップの設立・運営に関する支援,日本と途
上国の結核患者の交流促進,国際機関の日本人職員
増員に関する働きかけ,海外関連学会・会合におけ
る関係者との情報共有,結核対策を通じて貧困削減
に寄与するための政策提言・アドボカシー支援活
動,日本の結核普及啓発成功モデルの提唱事業,途
上国の結核対策プロジェクトに従事する日本人医
療協力要員の養成支援を行います。また,シンクタ
ンクを設立して,途上国における日本の結核対策プ
ロジェクトの案件形成促進を支援します。
以上に加え,新年度は特にSTBJパートナー団体
とワークショップやシンポジウムを開催してコ
ミュニケーションを強化し,国内外の結核対策のよ
り効果的な推進を目指しています。
尚,役 員 人 事 に つ い て は,新 た に 下 内 昭 理 事
(結核研究所),榎本博光理事(栄研化学)が選任され
ました。また,鈴木幹久理事(元日本リザルツ),森
川惇二理事(栄研化学)の退任が了承されました。鈴
木,森川両理事におかれましては,STBJの運営に多
大なるご尽力をいただき,深く感謝申し上げます。
また,総会に続いて,STBJ理事の増田國次結核
予防会大阪府支部副支部長による特別講演,
“日本
6
1/2010 複十字 No.331
で開発された結核健診用レントゲン車による結核
集団健診の普及”が行われました。昭和15年に世界
で初めて開発されたレントゲン車の紹介とその後
の健診用機器類の性能向上,学校・事業所・一般住
民に対する集団健診強化の歴史,レントゲン車燃料
の環境への配慮の問題等,数々の大変興味深いお話
を伺うことができました。
レセプションでは,昨年11月3日に旭日大綬章を
受章された津島雄二前議連会長をお招きして,受
章のお祝いの記念品と花束を贈呈させていただく
と共に,議連設立とSTBJ事業への多大なご支援に
対して,改めてお礼を申し上げました。津島前会
長からは,STBJの今後の益々の発展への期待と励
ましのお言葉をいただきました。レセプションは
多くの出席者が遅くまで歓談され,大変盛会とな
りました。
津島雄二前議連会長より励ましのお言葉をいただきました。
STBJは設立から3年目に入りましたが,お蔭様で
組織の基盤も徐々にできて参りました。これも関係
の皆様のご支援の賜物と心より感謝しております。
これからも結核のない世界を目指して一層の努力
をしてまいる所存でございますので,今後ともご指
導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
最後に,会場をご提供いただいた結核予防会,
イベントの運営にご支援をいただいた結核予防会
事業部,日本リザルツ関係者の皆様にお礼申し上
げます。
ストップ結核パートナーシップ日本
冨名腰 あん
事務局 ストップ結核パートナーシップ日本(STBJ)は9月2
日世界銀行東京事務所(内幸町)とJICAフィリピン事
務所(マニラ)においてテレビ会議イベント「結核で私
の生活はこう変わった―日本とフィリピン結核患者達が
語る!」を開催しました。これは(財)KDDI財団(前
財団法人国際コミュニケ−ション基金)がスポンサーと
なり,世界銀行情報センター(PIC東京),JICAフィ
リピン事務所,(財)結核予防会,日本リザルツからの協力と支援で実現した日本初の
日本とフィリピン結核患者テレビ会議イベントでした。両国から計14名の結核患者が参
加し,結核患者以外に医師,STBJ団体パートナー,メディア関係者など様々な分野の
関係者や専門家が参加しました。
「仕事の疲れと睡眠不足によって結核になったのではないかと思う。」
「家族や友人に嫌われてしまい,皆が自分から離れていくのではないかと思ったので結核
にかかったことを打ち明けられなかった。」
−上記イベントのフィリピン参加結核患者の発言より
テレビ会議は参加者の結核罹患背景の紹介から始まりました。参加者には症状が現れ
たケース,健康診断で結核が発見されたケース(無症状),激しい咳,喀血,背部痛等
の症状が長期間続いたケースなど様々でした。結核罹患の時期もそれぞれの参加者に
よって異なり13年前に罹患したケースもあれば,最近治療が終了したばかりのケースも
ありました。この他に糖尿病合併者やカテゴリー2患者(再発例)が見られました。
タイトル:俳人尾崎放哉の「咳をしても一人(Coughing even; alone)」から。咳をしても1人じゃないぞ!
ストップ結核パートナーシップ日本だより
<結核にかかった原因,患者の心境について>
結核にかかった原因について話した際,フィリピン側参加者から仕事場の環境が原因
で結核にかかったのではないか,活動している施設に通う路上生活者や貧困生活者から
感染したのではないかと話しました。また,家族や友人に対して結核にかかったことを
どのように伝えたか・苦労についても話しました。日本側参加者からはほとんど抵抗が
なかったという発言がありましたが,それは,事務的に保健所が会社に連絡を行ってし
まったり,結核に関する情報を医師から提供されていたので周囲に伝えることについて
ほとんど苦労しなかったという理由からでした。一方,フィリピン側患者からは,恥ず
かしさからまたは周囲からの偏見や差別を受けると考えたため,結核にかかったことを
周囲に対し容易に伝えられなかったという発言がありました。
<結核の治療薬について>
結核治療薬の服用に関しては日本・フィリピン両国参加結核患者のほとんどが苦労を
経験しなかったということでした。しかし治療薬のアクセスに関しては経済的困難な理
由から結核治療を無料で受けられる施設を探していたと述べたフィリピンの結核患者も
いました。日本側からは結核治療費の支払いについて困難を経験しなかったとほとんど
の参加者が発言をしていました。
日本とフィリピン両国の結核患者が2時間以上に及び活発に意見を交わしたイベント
は日本とフィリピン結核患者の充実した国際コミュニケーション交流イベントとなった
ことに留まらず,患者の証言活動と患者のニーズを知る機会となりました。特にフィリ
ピンの結核患者から周囲に差別や偏見を持たれるという心配の声があったため,医療機
関からの情報・知識提供の重要性が指摘されました。世界銀行東京事務所広報担当官大
森 功一氏からは今後もこのような結核患者テレビ会議イベントを支援していきたいと
の発言もいただき,本イベントが今後も繰り返され,交流が積み重ねられる重要性を実
感しました。
Coughing even; not alone
結核で私の生活はこう変わった
―日本とフィリピン結核患者達が語る!―
テレビ会議 報告
No.
9
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7
シリーズ
新しくなった結核研究所 (5)
優先的プロジェクト(3):
「結核分子疫学研究プロジェクト」
臨床・疫学部 主任研究員
大角 晃弘
結核の分子疫学研究分野は,結核研究所が推進してきた得意分野の1つであるが,本年度から新しい研究
プロジェクトとして再編成されている。部や科を横断する研究体制の枠組みや方向性はまだ確立途上である
ため,これまでの成果や今後の課題を私見も入れて概観したい。
世界における結核分子疫学研究の現状と動き
州の“European
①結核菌DNA指紋型分析法の開発と標準化
Database”や“SpolDB”等が代表的なものであ
1990年代半ばまでにIS6110-RFLP分析法
る。日本においては,全国や各都道府県全体を対象
(Restriction Fragment Length Polymorphism,
とする広域の結核菌DNA指紋型データベースは未
以後RFLP分析法)が結核菌DNA指紋型分析標準法
構築であり,複数の地方自治体レベルでのデータ
として確立したが,検査実施のために必要な結核
ベース構築が進められている。
菌量が多いこと,検査にかなりの手間と時間を要
④結核患者登録時接触者健診への応用
すること,複数の検査室間で結果を比較検討する
結核菌DNA指紋型分析は,開発当初から,接触
ことが容易でないこと等の欠点を持っていた。ス
が疑われた結核患者同士の結核菌伝播状況を推定す
ポリゴタイピングやVNTR (Variable Numbers of
ることに用いられている。また分析結果を用いて,
Tandem Repeats)分析法は,RFLP分析法の欠点を
登録時疫学調査内容の評価を行うと共に,疫学調査
補う方法として1990年代終わりから普及してきて
によって得られた情報によって結核菌株クラスター
いる。ただし,東アジア諸国では北京株が高頻度
についての評価も行われている。
で検出されるため,これらの検査の推奨されてい
⑤再燃結核と再感染結核頻度,特定結核菌株の特性
る方法での菌株鑑別力は低い。慢性排菌結核患者
初回登録時と再登録時に得られた結核菌DNA指
から得られる結核菌を継続して収集してRFLP分析
紋型が異なる場合は別の菌株による再感染,それら
法を行い,RFLPバンド型が変化する経時的頻度に
が同じ場合は同じ菌株による再燃として,ある地域
ついて検討されているが,VNTR法における各座位
における再燃と再感染の頻度について検討されてい
の経時的安定性については,まだ十分に検討され
る。また,東アジア地域に広く伝播している北京株
ていない。
等について,その菌株の感染性,病原性,薬剤耐性
②特定人口集団内の結核菌DNA指紋型分布
化等についての関連について検討されている。
欧米等において,ある地域内または全国で分離
⑥細菌検査室内汚染の有無
培養される結核菌を収集し,そのDNA指紋型を分
結核菌培養検査結果や薬剤感受性試験結果と患者
析することにより,地域内における結核菌株の特
の臨床経過とが乖離している場合に,細菌検査室内
定やその伝播状況,結核菌株の多様性等を検討し
での汚染により,他検体の検査結果が報告された可
たり,結核菌株クラスター形成と関連するリスク
能性についてDNA指紋型分析により検討されてい
ファクターについて検討されている。さらに,結
る。
Genotype
/
Epidemiological
核菌の進化過程を推定するための結核菌系統樹分
8
析にも用いられている。
結核研究所が行ってきた結核分子疫学研究
③結核菌DNA指紋型データベースの構築
①結核菌DNA指紋型分析実施体制
ある国内(または地域)や複数の国々において
1990年代初めから,結核研究所内でRFLP分析法
収集された結核菌株を対象としてDNA型分析を行
が実施可能となり,その後スポリゴタイピングや
い,その分析結果情報と患者の疫学情報とをデー
VNTR分析法等が順次導入されてきた。同時に,地
タベースとして蓄積して,必要な情報の検索を行
方衛生研究所等の研究者を対象とする研修も実施さ
うことが可能となってきている。米国の“National
れ,国内各地で結核菌DNA指紋型分析が実施可能
TB Genotyping and Surveillance Network”,欧
となった。近年は,日本におけるVNTR分析の標準
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的方法や,培養された結核菌からVNTR分析結果が
首都圏における有力結核菌株のモニタリングも併
自動で得られるシステムの開発が検討されている。
せて実施検討する必要がある。
②沖縄県結核菌DNA分析による地域結核管理改善
③標準的VNTR分析法の開発と普及
プロジェクト
結核研究所により提唱されている12カ所または
1996年以降約10年間にわたり,沖縄県における結
15カ所の結核菌DNA上の座位を分析ターゲットと
核菌伝播状況を推定することと結核菌DNA指紋型
するVNTR分析法(JATA12または15)につい
分析を県内の結核患者管理に応用することの有用性
て,i)感染が疑われる事例から得られた結核菌,
が検討された。
ii)住民(病院)ベース結核分子疫学調査関連で得
③細菌検査室内汚染に関する検討
られた結核菌,iii)その他(結核菌系統樹による結
複十字病院で検査室内汚染が疑われた結核菌の
核菌進化検討等)の場合での評価を実施する必要
DNA指紋型分析結果と臨床情報との検討を行い,
がある。また,標準的VNTR分析法に関する精度
汚染が発生した事実の確認とその再発予防法につい
保証メカニズムを早急に確立すると共に,VNTR
て検討がなされた。
分析法についての研修を関係機関の協力を得て推
④日・中・韓結核研究フォーラム
進し,全国に普及すべきである。更に,より容易
日本,中国,韓国の3カ国における結核研究所の
で,精度が高く,安価で,全国の臨床検査室等で
研究フォーラムの一環として,VNTR分析法標準化
実施可能な次世代結核菌DNA型鑑別法が開発され
の試行と東アジア地域における結核菌系統樹の検討
ることが期待される。
が行われている。
④結核分子疫学分野における国内・外研究機関と
⑤首都圏における住民ベース結核分子疫学調査
の共同研究推進
2002年以降,都市部における結核菌伝播状況を記
国内・外研究機関との,結核分子疫学分野にお
述することと,登録時接触者健診等の結核患者管理
ける共同研究を更に推進し,フィリピンその他の
に利用するため,新宿区と川崎市とに登録された結
東アジア諸国の研究機関を視野に入れた枠組みを
核患者から分離培養される結核菌を収集し,RFLP
展開することも考慮すべきである。また,SpolTB
分析を実施している。
のような結核菌DNA指紋型情報バンク国際プロ
ジェクトに日本代表研究機関として参入し,関係
今後約3年間の研究の方向
研究機関との共同研究を推進していくことも積極
①結核分子疫学調査の拡大
的に検討すべきである。更に,複十字病院との共
結核患者数の減少に伴い,より効率的な結核対
同研究実施を積極的に検討すべきである。そのた
策に資するため,現在新宿区と川崎市を対象とし
めには,結核研究所と複十字病院とで共同研究実
て実施されている住民ベース結核分子疫学調査事
施のための枠組みを確立し,「複十字病院結核菌
業を拡大し,首都圏広域での結核菌DNA指紋型
株保存事業」を再開して,結核菌株の保存と患者
データベースを構築し,更に関西地区その他の地
情報の収集・管理を行う必要がある。
域における同データベースとの情報を共有する全
国結核菌DNA指紋型データベースの構築が目指さ
終わりに
れている。
上記の課題に対し研究内容をさらに検討して,
更に多くの保健所で結核菌DNA指紋型情報を活
今後の3年間の優先的,効果的課題を明確にして
用した結核対策を実施するためには,保健所等に
いく必要があり,そのためには適切な人員配置と
おける結核分子疫学情報を活用した結核対策事業
予算確保も必要である。本プロジェクトは,関連
ガイドラインの作成が必要である。
研究機関や保健医療機関との連携を強化しつつ,
②VNTR分析結果を結核対策に応用することの有
国内・外で結核分子疫学分野における研究推進の
用性についての検討
牽引役を担わねばならない。結核研究所では,本
現在RFLP分析結果を用いた結核分子疫学調査
プロジェクトにより結核分子疫学分野における知
事業において,VNTR分析結果を用いる方法に変
見が更に蓄積され,より効率的な結核対策実施の
更した場合の,結核対策改善のための有用性につ
ための貴重な情報が提供できるよう目指している
いて,その問題点を含めて検討する必要がある。
ところである。
また,VNTR分析によるM株の定義を明確化し,
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Use DOTS More Widely
広島県東部保健所における
DOTSの取り組み
広島県東部保健所
保健課保健対策係
保健師 松岡
明子
1.保健所の概要
いう治療形態をとる患者がほとんどです。また,頻回
広島県東部保健所は,県東部に位置し2市1町(三原
の服薬確認が必要なケースについては,主治医や訪問
市,尾道市,世羅町)を所轄し,管内人口は27万人で
看護師,ホームヘルパーなど多職種に協力を得ること
あり,地勢は瀬戸内海沿岸部,島しょ部及び世羅台地
が多くあります。
を含む山間部を管轄しています。
地域の医療機関での治療をスムーズに実施すること
尾道市にある当所から最も近い結核病床を有する医
と,多職種で服薬確認を確実にするために,平成20
療機関(東広島医療センター)までは,片道約60km
年からパスを導入しました。パスは,診療パス(医師
あります。
間連携)と地域連携パス(医師等と保健師間連携)の
結核の発生状況は,毎年60∼80人の新登録患者があ
2本立てとなっています。
り,その多くが高齢者です。
診療パスは,東広島医療センターの重藤えり子医師
罹患率は,最近5年間は20∼25/10万人の間で推移し
が中心に推進されており,患者の今後の治療計画(処
ており,毎年,県内では1∼2位という状況です。ま
方量,治療期間)や保健所への提出書類など医療上の
た,接触者健診のガイドライン変更後,院内感染や家
必要事項を記入し,退院時の診療情報提供書に添付さ
族内感染による潜在性結核感染症も10例以上登録され
れています。退院が近くなった時,当保健所から地域
ている状況にあります。(図)
の医療機関に関する情報提供を行うことにより,患者
の生活状況に応じた紹介先医療機関を選定します。治
療中断の可能性が高い患者については,紹介先医療機
図 2008年活動性年齢階級別新登録患者数(N=78)
才
関に保健師が前もって,診療パス等を持参し,治療と
70∼
療養支援について協力を依頼しています。診療パスの
60∼69
導入により,治療の見通しが付くことや,困った時に
塗抹陽性
50∼59
その他の菌陽性
40∼49
その他
30∼39
肺外結核
は専門医に相談すればよいという安心感から,地域の
医療機関への移行がスムーズに行われるようになりま
潜在性結核感染症
20∼29
した。
10∼19
地域連携パス(写真1)は,当保健所が内容を検
0∼9
0
5
10
15
20
25
30
35
討しました。パスを患者に渡し,患者自身が服薬状
況を記入し,受診時主治医に提出します。主治医は,
2.クリティカルパス(以下「パス」と記載)による地
域連携
当保健所は,地理的条件から,入院治療は東広島医
療センターで,退院後は地域の医療機関へ通院すると
10
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副作用の出現状況や菌検査結果等について記入しま
す。また,関係者が情報を共有するための連絡用と
しても活用しています。
3.当保健所の服薬支援の状況
医師や看護師から,服薬の必要性について十分な教
県では,平成18年度から,東広島医療センターを退
育を受けて退院した患者については,保健師も入院中
院した患者を対象に月1回のDOTSカンファレンスを
から何度か面接をしているため,退院後の地域DOTS
開催しています。また,退院日の決定はまず電話で連
への移行はスムーズに行われています。入院中から使
絡を受け,その後治療状況を含めたものを文書で受理
用していたDOTSノートを引き続き服薬確認や関係機
します。
関への連絡に利用しています。
当保健所では,全ての登録患者で治療中の者を地域
通院治療のみのケースについては,パスを利用して,
DOTSの対象者としています。
主治医に標準治療に従った治療や定期的な菌検査や副
限られたマンパワーで,確実に服薬を確認するため
作用のチェックなど必要な検査,保健所への提出書類
には,高齢者では,患者に係わる職種や家族,若い世
などを依頼します。患者に対しては,病気や服薬につ
代においては,勤務先の管理者の協力などが不可欠で
いての説明や服薬確認について説明をします。
す。保健師以外の患者を取り巻く人に服薬確認の協力
また,予防内服の公費負担対象者が改正されたこと
を得るとともに,定期的な訪問で残薬確認を行ったり,
により,潜在性結核感染症の治療をする人が増え,服
薬箱に服薬後の薬袋やPTPシートを残してもらうこと
薬期間を守ることや服薬確認の必要性から予防内服対
等により確認をしています。高齢者などで抗結核薬以
象者のパスも作成し,関係機関への連絡に利用してい
外の多種類の服薬をしているケースについては,空容
ます。
器を利用した薬箱(写真2)に,配薬をすることによ
4.まとめ
り服薬支援をしています。
パスの導入により関係機関との連携がよくなり,こ
写真1 地域連携パス
の有機的な支援が,患者の意欲の向上につながってい
ると思われます。
このように,主治医との連絡や関係者と会って患者
支援を依頼する時,パスがあることによりスムーズに
実施できていることを実感しています。また,東広島
医療センターの医療スタッフと患者の状況について情
報共有することで,退院後の支援について計画しやす
いと感じています。
写真2 空容器を利用した薬箱
今後も,よりよい患者支援を目指して,他機関と
の連携を大切に,DOTSを進めて行きたいと考えてい
ます。
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教育の頁
ワクチンシリーズ
肺炎球菌ワクチン
宮城県立循環器・呼吸器病センター
うちやま
びね
内山 美寧
呼吸器科 医療部長 1.はじめに
我が国において,肺炎は抗生物質の登場等によ
り戦後急速に減少してきました。しかし,高齢化
人口の増加や薬剤耐性菌の台頭といった問題もあ
り,1980年代以降は増加に転じております。我が
国における疾病による死亡では,第1位は悪性新
生物,第2位は心疾患,第3位が脳血管疾患であり,
第4位に肺炎が位置しています。しかし65歳あたり
を境にして肺炎による死亡率が上昇し,その一因
は,高齢者の肺炎による死亡率に因るものと考え
られています。この肺炎のなかで市中肺炎の起炎
菌としては肺炎球菌,インフルエンザ菌,マイコ
プラズマ等が主な原因菌ですが,中でも市中肺炎
の起炎菌の約1/4が肺炎球菌であり第1位を占めて
います。
2.肺炎球菌とは
この細菌はグラム陽性連鎖球菌で,多糖体で構
成される莢膜を持ち,これにより生体内では食細
胞からの貪食の攻撃から守られています。この多
糖体が現在90種類確認されていることから,肺炎
球菌は90種類認められており,宿主の免疫機能が
弱い乳幼児や高齢者に,この菌による肺炎が起こ
りやすい事が知られています。肺炎球菌の検出頻
度の高い疾患は,肺炎,気管支炎,副鼻腔炎,中
耳炎,髄膜炎などです。肺炎球菌性肺炎の特徴は,
1∼3日の潜伏期後,悪寒を伴う高熱,胸痛,湿性
咳嗽がみられ,粘膿性痰を伴います。またこの菌
の感染による肺炎は侵襲性が強く,予後が悪く,
敗血症や髄膜炎に移行するケースもある事が知ら
れています。
3.肺炎予防としての肺炎球菌ワクチンの有用性
肺炎球菌は抗生物質に対して感受性がよいとさ
れており,1984年の耐性率はわずか2.4%でした。
しかし,1990年代に入り,ペニシリン耐性の肺炎
球菌が急激に増加し,現在,ペニシリン中等度耐
性も含めると,臨床で分離される肺炎球菌の30∼
50%がペニシリン耐性となっていると言われていま
す。耐性肺炎球菌の台頭に伴い,肺炎球菌感染症
の治療に難渋するケースも報告されています
12
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((1983-1995年)池本秀雄ほか. Jpn J Antibiot.
1998; 51(7): 437-474,(1995-2004年)後藤元ほ
か. Jpn J Antibiot. 2006; 59(5): 323-354)。この
ことからも,肺炎球菌による肺炎罹患後に治療す
るよりも,感染症を起こさないように予防するこ
とが,特に肺炎球菌による感染症のリスクが高い
人では重要となってきています。これに対応しよ
うとしているのが肺炎球菌ワクチンです。
4.肺炎球菌ワクチン開発の大まかな歴史
1927年:米国で最初の肺炎球菌ワクチンが開発さ
れる。
1977年:14価ポリサッカライドワクチンが米国で
認可される。
1983年:現在の形の23価ポリサッカライドワクチ
ンが米国で認可される。
1988年:日本で肺炎球菌ワクチンの市販が認可さ
れる。
1997年:米国では2回目の接種が可能となる。
日本では1回しか接種できなく,2回接種
は禁止になっていました。
1999年:米国の接種率が50%を超える。
この頃,我が国の接種状況は全く進んで
おらず,接種率は2∼3%を推移していまし
た。多くの医師が肺炎球菌ワクチンの存
在自体をよく知りませんでした。
2000年:小児用の7価結合型肺炎球菌ワクチンが
米国で認可されました。しかし我が国で
はまだ認可されていません。
2009年10月:肺炎球菌ワクチンの2回接種が我が国
でもようやく認可されました。同じく10
月には小児用肺炎球菌ワクチンの製造承
認が我が国でようやく認められました。
5.肺炎球菌ワクチンの特徴とその効果
この23価肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌感染症を
予防するもので,個々の患者及び個人の条件に即
して使用する個別接種の考えに基づくワクチンで
あり,以下の特徴を持っています。
特徴1:肺炎球菌の防御免疫に関与する莢膜ポリ
サッカライドのみを抗原として含むコン
ポーネントワクチンである。
特徴2:肺炎球菌感染症の原因菌の約80%の莢膜型
をカバーしうるワクチンである。
特徴3:1回の接種により肺炎球菌に対する抗体
価が有意に上昇し,通常5年以上その抗体
価は持続する。
米国で実施された14年間にわたるサーベイラン
スにより,肺炎球菌ワクチンによる基礎疾患別の
肺炎球菌感染症の予防効果が報告されました。
表1 肺炎球菌ワクチン接種による
侵襲性肺炎球菌感染症のリスク減少効果
65歳 以 上 解剖学的 糖 尿 病 心血管系 うっ血性 C O P D
(免疫正常者)無 脾 症
疾
患 心 不 全 &喘 息
リスク
減少率
75%
77%
84%
73%
69%
65%
表 2 23 価肺炎球菌多糖体ワクチンの使用に関する勧告
[米国疾病管理センター(CDC)・予防接種諮問委員会(ACIP)]
参考:海外データ
ワクチン接種が推奨される集団
推奨度*
65歳以上の人
A
慢性心血管系疾患、慢性肺疾患、または糖尿病を有する人
免疫能
正常者 2∼64 機能的または解剖学的無脾症の人
歳の人 アルコール依存症、慢性肝疾患、または脳脊髄液漏を有する人
特殊な環境または社会状況で生活している人
図1 インフルエンザ流行時に発生する肺炎の
原因病原体には肺炎球菌が多い
その他の細菌14%
黄色ブドウ球菌7%
インフルエンザ菌
7%
肺炎球菌55%
肺炎クラミジア14%
(石田直、化学療法の領域20(S-1):129-135,2004)
A
A
B
C
免疫能 HIV感染、白血病、慢性腎不全など免疫能が低下した2歳以上の人
低下者
この表1が示している様に,侵襲性の肺炎球菌
感染症に対して,65 歳以上で 75% のリスク減少効
果を示し,その他の主な基礎疾患に対しても,大
きなリスク減少効果が示されています。
さらに高齢者慢性閉塞性肺疾患患者におけるワ
クチンの予防効果を示す例として,インフルエン
ザワクチン+肺炎球菌ワクチン接種による肺炎の
入院リスク及び死亡リスクの減少は,ワクチンを
全く接種しなかった群との比較で,肺炎による入
院を63%,死亡リスクを81%減少させたことが報告
されています(Nichol K L. Vaccine 1999; 17:
S91-S93. )。このことは,肺炎球菌ワクチンは,1
回の接種で抗体価が5年以上持続することから,ま
ずベースに接種しておき,その上に毎年インフル
エンザワクチンを接種することにより,この様な
リスク軽減効果が期待されます。
市中肺炎に占める肺炎球菌の割合は約25%ですが,
インフルエンザウィルス感染時に合併する肺炎の
原因病原体の半数以上が肺炎球菌です。(図1:石
田 直,化学療法の領域 20(S-1):129-135,2004))
A型インフルエンザ
ウイルス 3%
6.米国の肺炎球菌ワクチンに対する方向性
米 国 で は 表2の よ う に 米 国 疾 病 管 理 セ ン タ ー
ワ
(CDC:Centers for Disease Control and
Prevention)の諮問機関である予防接種諮問委員会
(ACIP:The Advisory Committee on
Immunization Practices)
では,以下の人に肺炎球菌
ワクチンの接種を推奨しています。
C
*A=ワクチン使用の推奨を裏付ける強力な疫学的知見と相当な臨床的利益がある
B=ワクチン使用の推奨を裏付けるある程度の知見がある
C=ワクチン接種の有効性は証明されていないが、疾患発症のリスクが高く、ワクチン接種により利
益が得られると考えられ、しかもワクチン接種が安全であることから、ワクチン接種の妥当性が
示される
(MMWR: Morbidity and mortality weekly report )
MMWR1997; 46(RR-08): 1-24. より作表
また米国では“Healthy People 2010”で,2000
年からの 10 年で国家が達成すべき健康目標を示し
ており,肺炎球菌ワクチンの接種もその健康目標
の中に含まれています(表 3)。インフルエンザワ
クチンと同様に 2010 年までに接種率を 90% にする
ように定められています。しかしながら 2007 年の
段階での接種率は約 65% であり,接種率を上げる
ために様々な方法が考えられています。
表 3 “Healthy People 2010”でのインフルエンザ
ワクチン,肺炎球菌ワクチンの接種率目標。
1998年当時(基準) 2010年の目標
インフルエンザワクチン
64%
90%
肺炎球菌ワクチン
46%
90%
またCDCでは,インフルエンザワクチン,肺炎
球菌ワクチン共通の接種勧告対象者を,
(1)65以上の高齢者,(2)慢性肺疾患患者,
(3)心疾患患者,(4)糖尿病等の慢性代謝性
疾患患者,(5)腎疾患患者,(6)老人ホーム
居住者,と設定しています。
7.肺炎球菌ワクチン接種に対する公費補助
現在,私たちは自治体からの公費助成を伴った
肺炎球菌ワクチン接種促進に対し活動してきまし
た。私が2008年までいた宮城県白石市では,65歳
以上の高齢者に対して,2003年より,市単位では
全国初めての公費補助を開始し,1年をとおして通
年での肺炎球菌ワクチン接種を始めました。現在
65歳以上の高齢者の約40%弱の方が接種しています。
日本の高齢者の接種率は約5%であり,先進国の中
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13
図3
では非常に低い接種率です。2008 年の段階での都
道 府 県 別 接 種 率 で は 宮 城 県 は 6.88% と,東 京 都
米国疾病管理センター(CDC)の諮問機関であ
る予防接種諮問委員会(ACIP)では,前掲の表 2
(8.17%)に次いで第 2 に位置しております(平成
(MMWR 1997; 46(RR-08): 1-24. よ り 作 表)に 示
20 年 10 月 1 日現在推計人口:総務省統計局,萬有
したような分類で肺炎球菌ワクチンの接種を推奨
製薬資料)
。最近宮城県では肺炎球菌ワクチン接種
しています。我が国の多くの自治体で導入されて
に対して公費補助を導入する自治体が多くなり,65
いる公費補助対象者はこの分類に沿ったものでは
累積使用量 なく,様々な制約の下での公費補助接種が行われ
歳以上の高齢者への接種率では,近い将来東京都を
追い抜くのではないかと密かに期待しています。
ているのが現状です。65 歳以上の希望者ならば誰
図2(製薬会社資料)は,1988年,日本で肺炎球
でも,1年中いつでも公的補助のもとでの接種が
菌ワクチンが発売されてからの単年毎の使用量の
できることが理想と考えます。
推移を示したものです。発売当時は,脾摘患者な
8.最近のニュース(2009年10月21日
どハイリスクの人に対しての限定された使用でし
ホームページより)
たが,2002年頃からテレビ等に紹介されることも
2009年10月に小児用肺炎球菌ワクチン(7価肺炎球
多くなり,使用量が伸びてきました。近年では,
菌結合型ワクチン)の製造承認がおりました。2010年
一般的な高齢者に広く接種されるようになってい
の春までには接種が開始できると考えます。大人対象
ます。また最近ではインフルエンザウィルス感染
の23種類の血清型莢膜多糖体を含む“23価肺炎球菌コ
による肺炎球菌肺炎の合併予防に関連してか需要
ンポーネントワクチン”は体内のB細胞に働きかけて
が非常に多くなっています。
抗体産生をして肺炎球菌からの感染を防ぐのに対して,
図2 肺炎球菌ワクチン使用量の年次推移
(1988 ∼ 2008 年)
7価の肺炎球菌ワクチンは小児対象であり,7価の血
清型莢膜にキャリア蛋白(無毒化したジフテリアトキ
(バイアル)
300000
ソイド)を付加した結合型ワクチンです。その機序は
累積使用量
250000
(1988∼2008年)
高齢者人口
200000
Wyeth
(2008年10月1日現在推計人口)
2歳未満の小児にはB細胞系の免疫機能が発達してい
1,408,947 バイアル
なく,十分な抗体価が得られないためT細胞依存性の
28,216,000 人
免疫反応を惹起する様に作られています。この7価の
肺炎球菌ワクチンの小児の侵襲性肺炎球菌感染症のカ
150000
バー率は約70∼90%であり,急性中耳炎は約60%と言
累積使用量 / 高齢者人口
4.99 %
100000
われています。このワクチンは小児に対して,通常4
回の接種が必要であり,このワクチン接種を多くの小
50000
0
児に行うには公費補助が是非とも必要と考えます。
9.おわりに・・・・高齢化社会にむけて
'88 '89 '90 '91 '92 '93 '94 '95 '96 '97 '98 '99 '00 '01 '02 '03 '04 '05 '06 '07 '08
06-11 PMV-09-J-A32-SS
万有製薬 資料
肺炎球菌ワクチンに対して,米国,カナダ,オー
ストラリア,イギリスなど多くの諸外国では公費
補助のもと接種が行われています。我が国でもイ
ンフルエンザワクチン接種に対しては公費補助が
行われていますが,肺炎球菌ワクチンは,多くの
自治体住民にとってはまだ全額自費負担で接種さ
れています。しかしこのワクチンの接種率を高め
るには公費補助が欠かせません。我が国でも各自
治体で公費補助での接種条件にそれぞれ違いはあ
るものの,2009 年 11 月 4 日現在では 178 市町村で
公費補助が行われているか導入予定となっていま
す。この数は今後ますます増加すると思います。
14
1/2010 複十字 No.331
我が国の急速な高齢化社会の進行において予防医療
は高齢者の健康管理の面から重要と考えます。予防は
治療に勝る疾病対策であり,感染症ばかりでなく生活
習慣病全般にも当てはまります。予防医療が広く行わ
れれば,病人が減少し,これからの高齢化社会におけ
る医療費削減にも貢献すると考えます。そのためには
行政側から住民意識に働きかける工夫が必要であり,
そして多くの住民参加と行政との連携が必要であると
考えます。
健康日本21全国大会に今年も出展
−「肺年齢」ブース−
(文責:編集部)
11月11日水曜日の12時50分から5時に,富山県民
結果データを手にして車座になって肺年齢談義に
会館(富山市)において第10回健康日本21全国大会が
花を咲かせている光景などを見ました。このような
開催されました。
様子から,肺年齢は一般の人々に確実に興味を持っ
全国大会開始30分前の12時20分から午後5時ま
ていただくことができると再確認し,これを入り口
で,社団法人全国結核予防婦人団体連絡協議会と財
として「肺の健康」増進に寄与することが有効であ
団法人結核予防会の共催により「肺年齢」ブースを
るという確信がさらに強くなりました。
出展し,主にCOPDとタバコの害について普及啓
発を実施しました。健やか生活習慣国民運動のス
ローガン「1に運動 2に食事 しっかり禁煙」の
中の禁煙に関する普及啓発のために,呼吸器疾患専
門団体としての参加です。
ストップ結核大使のビートたけしさんが「他人ご
ととは思えないね。結核は,現代の病気だ。」と訴え
るACジャパン・結核予防会ポスター,COPD大
使の桂歌丸さんが「その息切れ,甘く見ちゃ行けま
せん。」と警告するCOPDポスター,肺年齢の普及
啓発ポスターや,パンダが向き合った今年の禁煙ポ
スターを貼るなど,来場者の目にとまるよう準備を
整えてスタートしました。
開始後,またたく間に・・・
会場の富山県民会館では,当日の午前中から翌日
いっぱいまで関連イベントの「いきいきとやま・第
22回健康と長寿の祭典 ∼あなたのゲンキはと
やまの元気!∼」が開催されており活気に満ちてい
ました。多くの健康増進に役立つ魅力的なブースが
出展され,スタッフが時々交替で持ち場を離れて体
験し,見識を深めました。
「肺年齢」の概念が昨年誕生してから1年半で,ス
パイロメーター (肺機能検査)による「肺年齢」体験イ
ベントを何回も実施してきたので,だいぶ知名度が
上がってきたかなと思ってきいてみると,
「初めて
準 備 完 了 !!
170名の方々に,2台のスパイロメーターによって
知った」,
「知らなかった」との答えも多く,今後も地
道に活動を続けていく必要を感じました。
スパイロ検査は地元結核予防会富山県支部の検
肺年齢を体験していただき,COPD普及啓発パン
査技師2名(村中様,藤城様)に実施していただき,
フレットと肺年齢チラシを配布しました。中でも若
肺年齢ソフト付スパイロ検査機器をフクダ電子株
い女性の集団には「肺年齢? 面白そう!」と大い
式会社のご厚意によりお借りして実施することが
に興味を持っていただけたようで,よい数値を出そ
できました。COPD共同研究事業の共同研究者で
うと強く足踏みしながら懸命に息を吐く人,結果説
ある日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社の
明で自身の肺年齢を聞くなり,説明の途中にもかか
加藤様と宗様が東京から駆けつけ結果説明を担当
わらず10メートルくらい離れた場所にいる友人の
いただくなど,たいへんお世話になりました。結核
ところに走って行って報告して盛り上がって,また
予防会本部からは,事業部長と普及課2名の計3名
戻って結果説明の続きを聞く人など元気な人たち
が参加しました。実施に際しまして多くの方々のご
が目立ちました。その後もそれぞれ自身のスパイロ
協力を賜り,誠にありがとうございました。
1/2010 複十字 No.331
15
国際結核肺疾患連合世界(略称The Union)
カンファレンス報告
メキシコ・カンクン 2009.12.3∼7
下内 昭
結核研究所副所長 はじめに
が国際協力資金の6割を占めるようになり,重要性
今年のテーマは「貧困と肺の健康」であり,結核関
を増している。
連以外に喫煙対策が大きく取り上げられた。世界
120 ヵ国から約2,000名の結核対策に関わる担当者や
貧困について
研究者が,メキシコ,ユカタン半島の最先端にある
総括的報告として,貧しい人々の方が感染症も非
カンクンに集い開催された。カンクンは,政府が40
感染症もともに罹患率が高いことが明らかである
年前から開発を始めたリゾート地である。近くにマ
ため,各地域で貧しい層に対する特別対策を講ずる
ヤ文化が6∼7世紀と14∼15世紀に栄えた遺跡があ
べきであるという提言がなされた。方法としては,
り,現在はマヤ族とスペイン人の混血(メスティー
まず(1)何が問題であるかを把握する。(2)どのよう
ソ)が100万人居住している。地域が観光収入により
なグループがどの場所に存在するかを特定する。(3)
経済的に豊かになり,住居が改善され,学校も増
問題の大きさを評価する。そして(4)必要性に応じて
え,開発が貧困対策となった好事例と言える。本会
優先課題を確立すること。が具体的に勧められた。
議は,学会形式であり,基調講演,特別講演,教育
続いて個別事例として,アフリカでは保健施設が住
講演,ワークショップ,シンポジウム,ポスター発
居から6∼15kmも離れている地域が多く,喀痰塗抹
表があった。また平行して種々のワーキンググルー
検査を受けにいく回数を少なくすべきだという提
プや打ち合わせ会議が開催された。その中で,重要
案があった。次に,中国では貧しい人々に交通費を
と思われる内容に絞って報告する。
支給するというモデルが成果を上げているという
報告があった。また,特殊な例では,インドの活動
家が,Dalit(不可触賎民)が1500年前から存在して,
貧しい人の90%以上を占めており,調査によると,
約3割のヘルスワーカーが治療を拒否するという驚
くべき報告をし,これは誰も問題にしない「見えな
い問題」であり,活動家があえて取り上げる必要が
あると強調した。
移民問題
西ヨーロッパ諸国では結核患者の大半が移民で
あるが,特に不法滞在者について国外追放などの処
筆者(左) 石川所長とともに
「ストップ結核」目標の達成状況
置をとろうとするとかえって患者が地下にもぐっ
てしまって治療中断,再発,感染の増加という悪循
ストップ結核パートナーシップとして,世界の結
環になる。そのため,違法滞在を取り締まる前に治
核対策の進捗状況が報告された。現在,DOTSの拡
療を優先させるべきであるという提言がWHO総会
大により治療成功率85%以上に保ちながら,患者発
ですでに可決され,各国が従う方向性が出ている。
見 率 は 目 標 の70%に 近 づ き つ つ あ る。そ の 結 果,
今後は,その提言を実際にどのように実施できるか
2007年時点ですでに世界の結核死亡率と有病率は
について議論がなされた。
下がっており,罹患率も増加から減少に転じた。
従って,2015年までに死亡率と有病率を半減させる
16
結核の疫学解析と対策の評価
という目標はほぼ達成できると思われる。また,結
現在,WHOが各国に提供している推計患者数は
核,マラリア,エイズのために設置された世界基金
必ずしも科学的データに基づいて行われたもので
1/2010 複十字 No.331
はないため,今後は種々のデータの質,統一性,論
あげられる。感染防御策は,管理面(早期診断),空
理的傾向などを通して,より実際の状況に近いデー
調などの構造改善面,そしてマスク着用などの個人
タを確立するという報告があった。例えば,ペルー
防御などからなるが,対策改善のための予算が効果
は長年,DOTSを強化し,患者発見の努力を拡大し
的な優先順位をつけた方法ではなかったことなど
た結果,10年ほど前から罹患率が増加から減少に転
が上げられた。
じた。タンザニアも以前から質の高いDOTSを実施
してきたが,数年前から,増加から減少に転じた。
これはHIV罹患率の変化と同じ動きであった。フィ
喫煙対策
COPDの原因として,喫煙が最も重要であるが,
リピンでは有病率調査が1980年,1990年,2000年と
インドと中国で世界の半数の喫煙者がいる。しか
実施され,毎回,有病率が減少しており,対策の効
も,途上国で喫煙者が増える傾向がある。また,貧
果が明らかになった。有病率調査についての詳しい
しい人ほど,喫煙率が高いという統計があり,喫煙
発表がWHO本部に勤務されている小野崎氏によっ
が家計を圧迫している。このような状況から,WHO
てなされた。有病率調査に関わる専門機関として,
が中心になって禁煙対策を推進している。宣伝の禁
WHO以外には米国のCDC,オランダ結核予防会,
止,健康に害があることを箱に明記する。公共の場
そして日本の結核予防会結核研究所が活躍してい
での禁煙,個別にクリニックでの禁煙指導などが行
る。有病率調査では,胸部X線検査を調査対象者全
われているが,途上国ではまだ,たばこ産業による
員に実施した場合,全く症状がなくても塗抹陽性あ
経済効果があると考えるグループが禁煙対策に反対
るいは塗抹陰性培養陽性患者が何割か発見される
する動きもあり,まだまだ困難も予想される。
ため,胸部X線検査によるスクリーニングも状況に
よっては有意義であることがわかった。
最後に「2010年は肺の年」であるという宣言をし
た。種々の広報活動がなされることが期待される。
カンボジアの結核予防会スタッフ
サン・サリ医師のポスター発表
感染防御対策(infection control)
「2010年は肺の年」宣言セレモニー
感 想
世界的に医療従事者の年間罹患率は人口10万対
有病率調査のメリットが報告されたが,有病率が
25∼3761と大きく幅があるが,一般住民より高いこ
例えば1%を超えるようなハイリスクグループに対
とが大きな問題として,ここ数年急速に注目を浴び
しては,胸部X線検査による健診が効率的患者発見
つつある。特に多剤耐性菌あるいは超多剤耐性菌に
方法として再評価される可能性が高いと考えさせら
よる事例は深刻である。例えばロシアのオブラスト
れた。この分野で経験豊かな日本の貢献が期待され
では,多剤耐性率が高いだけでなく,院内感染も問
る。また,本学会には途上国だけでなく欧米の若い
題であり,医療従事者の罹患率は人口10万対1000で
参加者も多かったが,日本からの参加は地理的に遠
一般の10倍であった。その原因として考察されたの
かったことも影響し,結核研究所関係者が最も多
は,長期間の入院による治療,寒い気候のうえ,換
く,次にJICA関係者などであるが,その他の臨床医
気などによる隔離が不十分,医療従事者はN95マス
の参加は少なかった。途上国の結核問題に取り組む
クでなく,外科用マスクを着用していたことなどが
必要性と魅力を日本の若い世代にどのようにアピー
ルできるかが今後の大きな課題である。
1/2010 複十字 No.331
17
健康日本21推進全国連絡協議会第4回たばこ分科会開かれる
たばこ規制枠組条約発効5年を
迎えるにあたって
平成21年11月5日(木)
,午後2時より法曹会館高
康日本21における数値目標の設定,たばこ価格・税
砂の間(東京都千代田区)において,23団体45名の参
の引き上げ,受動喫煙防止のための公共の場での禁
加を得て標記会議が開催されました。平成17(2005)
煙推進の通知,禁煙治療の普及,FCTC情報の提供
年2月にたばこ規制枠組条約
(FCTC)
に批准し,ちょ
など,さらに推進すべき課題を挙げていただきまし
うど5年を迎える節目になることから,国の対策や
た。また,たばこ事業法の廃止や受動喫煙防止法の
たばこ規制の現状,また今後行うべき日本の課題,
制定など強化すべき法的整備を提案していただきま
さらには世界の動きについて,講演がありました。
した。
我が国におけるたばこ対策について
作田先生からは,平成22年度の税制改正要望にヒ
厚生労働省生活習慣病対策室たばこ対策専門官の
アリングに参加されたときのご報告や,禁煙治療の
森淳一郎様より,日本の状況についてご講演があり
保険適用に関する要件緩和と歯周疾患対応の保険を
ました。喫煙率はたばこ対策の状況を示す指標であ
新設する要望を厚生労働大臣と中央社会保険医療協
り,国民健康・栄養調査で報告されている喫煙率は,
議会へ要請する取り組みなどを紹介されました。
明らかに減少傾向があり,未成年者にもその傾向が
最後に渡辺先生から,日本と交流の深いたばこ規
みられることをデータで示されました。今までのた
制先進国の紹介が行われ,法的整備が進められてい
ばこ対策の成果として評価できる一方,女性の喫煙
るドイツ,アメリカ,イタリアなどの状況や国の保
率は横ばいであり,今後新しいかたちのアプローチ
健省レベルでの積極的な関わりなど13もの国と地域
が求められることも指摘しました。現在,政権交代
にわたって報告していただきました。
によって新たなたばこ対策が動きだそうとしてお
り,その一つにたばこ税の問題がクローズアップさ
れているが,健康目的として増税をとらえる考えも
財務省から出ていることが紹介されました。
熱心に発表を聴講する参加者
講演と発表の後,様々な意見交換がされました
講演される森淳一郎たばこ対策専門官
「FCTC」
などの情報をもっと発信すべきではないか
たばこ規制の課題とこれから
という意見もありました。また,たばこ対策が健康
続いて日本医師歯科医師連盟会長大島明先生,日
問題の1つの枠としてクローズアップされるような
本禁煙学会理事長作田学先生,たばこ問題情報セン
工夫,受け入れやすいアプローチがさらに求められ
ター代表渡辺文学先生からの発表がありました。大
るという幅広い意見が活発に飛び交いました。
島先生からはFCTC締約後5年の今,実施すべき健
18
が,た ば こ 対 策 を 知 ら な い 一 般 市 民 に 対 し て,
1/2010 複十字 No.331
(文責:編集部)
ずいひつ
「不機嫌な神様」
女優・保健学博士
石井 苗子(いしい みつこ)
私は18歳の時からしばらくの間,アメリカの教会
の牧師宅に預けられていたことがありました。毎日
神と向かい合うキリスト教の精神が未熟な私には息
苦しくて堪らず,日本の「八百万(やおよろず)の
神」のゆるやかな愛を思い出すことが何度もありま
した。幼いころに父から,日本の神様は自分を喜ば
す物が大好きで,上機嫌にさせてもらいたいという
欲望が強く,人間が働いて得た収穫の一部をささげ
て感謝をすると,ますます商売繁盛にしてくれるの
だと教わり・・・ちょっと勝手がよすぎやしないか
と思ったものですが,それでも,人の気持ちがひと
つになっている賑やかな場所,笑い絶えない処を好
んで降りて来られるという性格は,懺悔や告白など
といった自我を厳しくいさめられる神とは大きく異
なるように思え,日本人の神の存在に対するおおら
かさを懐かしく思い出したものです。
平成22年のお正月,私はいつものように初詣に参
りました。「家内安全,無病息災,商売繁盛・・」
鈴を鳴らし神様を呼び,多くの人々がこうした言葉
に込められた念力を信じて祈り,人知を超えた高い
ところに神は必ずいるのだと納得して帰って行く。
ところが今年は奇妙な雰囲気を感じました。なぜか
神様が不在のような気がしたのです。グローバライ
ゼーション・・,農耕民族としての長い歴史ではぐ
くまれた集団の力より個人に集約された能力を尊ぶ
ライフスタイル。神社を訪れる人々の表情には,個
人と労働との関係がすっかり変わってしまった世の
中が透視できるような雰囲気がありました。私が18
歳の時にはなかった日本人の姿かもしれません。当
時の私には日本人が心のどこかで集団で営む農耕民
族の閉鎖的な社会から抜け出したいという,「個人
の自由」に対する羨望心が潜在していたと,知らな
かったのかもしれません。現代の日本人は個人の幸
福のためには神すらも使いこなせると勘違いするよ
うな感情が生まれているのではないか。御利益も自
分の利益だけにつなげたいのではないか。万札を賽
銭箱に投げる人は「来年はもっと持ってきますか
ら,もっと儲けさせてください」と祈ってはいない
か・・・そんな不安が横切りました。残念なこと
に,日本の神様は個人の献身を喜ばないのです。
「私はあなただけのものではないのです」と不機嫌
になってしまわれる。自分の幸せばかりを祈るよう
になっていくにつれて,「あなたがたはいつから私
利私欲だけを好むようになった」とソッポを向いて
しまわれ,地上に降り立ってくれない。もしかした
ら,富を公に還元することを忘れたバブル経済の時
からずっと,日本の神様は気持ちをひとつにしてい
る集団が見えなくなった日本人に対して不機嫌極ま
りなく,お隠れになっているのではないか。不況は
天罰か・・。初詣の賑わいの中で焦りにも似た感情
が走りました。
私は話術の才能がない自分にしばしば苛立ちを感
じて生きている人間なのですが,前記の不機嫌な神
様の存在についても,上手く表現することができま
せん。例えば,バレなければ犯罪もよしとする感覚
は間違っていますとか,介護問題や多発する自殺の
原点はどこにあるかを直視しなければなりませんと
か,雇用促進の焦点をどこに当てるか真剣に考えよ
うとしない政治や,イジメなどの異常な感情の突出
と人権とは関連性があるのですなどのテーマで話を
する機会にも不機嫌な神の存在を言いたいのです
が,いきなり「気持ちがバラバラな処に神は降りて
はこられません」などと言って,誰が理解してくだ
さるでしょう。なので言葉を変えてあれこれ申し上
げておりますが,むなしく空気に消えていくよう
で,むしろ黙って祈っていたいと思うことすらあり
ます。でもどうにかして伝えたい。
これからの日本人には,新しい集団力の結束が必
要だということです。閉鎖的で圧迫感の強い集団で
はなく,自分が属する新しい集団力に気付いてくだ
さるかどうか。大不況と言われて幕を開けた2010
年。集団をいちから考え直す。集団の気持ちをひと
つにするところから始める。個人が裕福になりさえ
すれば,それに従って他の人も裕福になっていくは
ずであったなら,二極化した社会の不幸は訪れな
かったはずです。誰に期待するかではなくて,どこ
から集団力のやり直し始めるかを考える。今年はそ
の年だと思います。やっと日本人が不機嫌な神の存
在に気付き始めるかもしれない。私は笑いながら日
本の神様が今年こそは降り立ってくることを期待し
ています。
1/2010 複十字 No.331
19
※前回№330でご紹介できなかった、結核予防技術者地区別講習会開催記事続報(高知県・宮崎県)です。
中国・四国地区(高知県)
高知県健康政策部健康づくり課
感染症担当 浜口
佐知
平成21年度中国四国地区結核予防技術者地区別講
習会は,高知県が担当県となり,9月3日,4日の2
日間にわたり,高知県教育会館高知城ホールで開催
しました。新型インフルエンザの感染拡大が心配さ
れる中,保健所をはじめ関係機関から約180名の方々
にご参加いただきました。特に医療機関からは多く
の方にご参加いただき,関心の高さを感じました。
合同講義や三科別講義では,本年2月に改正され
た医療の基準や結核対策の状況など,それぞれ専門
の見地から講義がありました。法改正から2年が経
過し,その定着を進めている中,結核対策について
認識を新たにするとともに理解を深めることができ
ましたし,三科別講義では,「専門的な立場で関わ
るという意識の必要性」を感じました。 九州地区(宮崎県)
宮崎県福祉保健部課
感染症対策担当
主査 山田 亨
平成21年度九州地区結核予防技術者地区別講習会
は,宮崎県が担当県となり,8月3日,4日の2日
間,宮崎市のウェルシティー宮崎を会場に開催しま
した。今年は新型インフルエンザの流行に伴い各自
治体・医療機関等では,その対策等で非常に多忙な
時期にもかかわらず約230名の参加を頂いたこと
に,この地区別講習会への関心と期待の高さを感じ
ました。
合同講義では,結核対策の現状と今後の展開,結
核対策の動向など,結核についての最新の情報を分
かりやすく講義をしていただきました。
また,各職種別の講義では,それぞれの専門的な
立場から,トピック的な内容を含めた非常に興味深
い講義をしていただくとともに,活発な意見交換も
行われ有意義なものでありました。
複十字シール運動知事表敬訪問(続報)
広島県支部
7月31日 藤田知事を広島県女性団体連絡協議
会 瀬野会長他4名と当県支部伊藤常務理事他で訪
問しました。瀬野会長が全国と広島県の結核の現状
等を説明し,結核予防対策のための複十字シール運
動への協力をお願いしました。藤田知事からは,温
かい激励の言葉を頂戴しました。
20
1/2010 複十字 No.331
結核対策特別促進事業の報告では,①地域連携の
取り組み(広島県)②コホート検討会(岡山市)③
集団感染への対応(高知県)について,各自治体担当
者から貴重な発表がありました。講師の方からも今
後の参考となる助言や講評をいただくことができ,
今後に生かしていける内容であったと思います。
また,行政担当者会議は,昨年度は二部構成で開
催されましたが,本年度は議題の内容から,一昨年
と同じく一部構成としました。時代の流れが象徴さ
れる「診査会に提出する胸部エックス線フィルムの
取扱い」に関する議題については,各自治体の対応
状況が報告され,講師の方からは,画像度の問題や
セキュリティの問題が指摘されました。
今回の講義では,結核を取り巻く状況の変化の
中,新たな課題や今後の対策などについて,知識を
深めることができました。
最後に,ご講義いただきました先生方をはじめ,
結核対策特別促進事業のご報告をいただいた方々,
各自治体のご担当の皆様,そしてご参加いただきま
した皆様にこの場をお借りしまして深く感謝申し上
げます。
2日目に行われました特別対策事業の報告では,
①「佐世保市におけるDOTS事業の取り組み」
(佐世保市),②「地域DOTS事業への取り組み
について」(宮崎県)の報告が行われました。①の
佐世保市の発表では,DOTS事業における現状と
今後の問題点について,②については,宮崎県の高
千穂保健所におけるコホート検討会の具体的事例に
ついて報告が行われました。各報告については,講
師の先生方から御助言・御指導をいただきまして,
今後の各自治体の取り組みについて大変参考となる
ものでした。
また,講習会終了後に開催した各自治体の担当者
会議では,結核対策における様々な疑問点等を中心
に,各自治体から寄せられた議題について意見交換
を行いました。新型インフルエンザの関係で,準備
等が不十分だったにもかかわらず,議題も多く限ら
れた時間で活発な意見交換ができ,各県の状況を把
握することができ大変有意義でありました。
最後になりましたが,講師の先生方をはじめ九州
の関係自治体の方々,特対事業の発表者の方々,そ
して参加された皆様にこの場をお借りして深く感謝
申し上げます。
結核予防会支部紹介のページ
香 川 県 支 部
県民から信頼され 県民の健康と福祉の向上に
貢献できる健診機関として
財団法人香川県総合健診協会
(財団法人結核予防会香川県支部)
末澤 春一朗
専務理事 はじめに(沿革)
香川県支部は,昭和15年5月に設立され,昭和
34年から主として検診車による巡回健診を実施し
てきました。その後,平成5年3月に(財)香川県ガ
ン予防協会と統合して(財)香川県総合健診協会を
設立し,これを機に,肺がん検診を開始するなど
事業を拡大・充実させ,県民の健康と福祉の向上
に努めています。
今年度導入された,胃・胸部デジタル併用検診車
普及啓発事業
香川県総合健診協会
健診事業
当協会の健診事業の特徴は,他の支部のような
健診施設は設置せず,検診車による巡回健診を中
心に事業を行っている点です。現在,12台の検診
車とポータブル搭載車により,県内の自治体,事
業所,社会福祉施設等を精力的に巡回しています
が,老朽化しつつある検診車の更新,繁閑な健診
日程の平準化,入札制度への対応など改善しなけ
ればならない課題も多く抱えています。
このような中,平成16年度にはデジタルマンモ
グラフィ検診車を導入,平成19年度には社会福祉
施設用のポータブル撮影装置を導入,さらに平成
21年度には本部の助成により胃・胸部デジタル併
用車を導入するなど,徐々にではありますが健診
機器の整備を進めているところです。
また,当協会では,受診率向上対策の一環とし
て,平成17年度に保健活動支援事業を創設し,健
診対象者への受診希望調査・受診案内,未受診者
への再勧奨,健診会場での受付・集金業務を自治
体から受託して,実施しています。
結核予防に関する主な普及啓発事業としては,
毎年,結核予防週間中に県内の大型ショッピング
センターにおいて複十字シール募金キャンペーン
を開催するほか,COPD,禁煙ウォーク,禁煙
講演会等の開催,自治体の開催する健康まつりへ
の参加など積極的に取り組んでいます。前掲「健
診事業」で紹介の社会福祉施設用ポータブル撮影
装置は,複十字シール募金の益金で整備しました。
終わりに
当協会では,より以上に信用・信頼される健診機
関となるため,現在,プライバシーマークの認証取得
に取り組んでいます。事業の見直し,リスクの洗い出
し,職員の教育,規程の整備など,検診の合間を縫っ
てのハードな作業ですが,協会をあげて取り組んで
いるこの過程が大事であると認識しており,平成21年
度中の取得を目指しています。
終わりに,各支部共通のテーマである公益法人制
度改革にふれておきますと,当協会では,平成21年3
月の理事会において,平成23年度中に公益財団法人
へ移行したい旨を報告し,承認を得ました。今後,各
支部や県等関係機関との情報交換を図りながら,所
期の目的を達成し,県民から信頼され,県民の健康
と福祉の向上に貢献できる健診機関として再生した
いと願っています。
1/2010 複十字 No.331
21
健診事業を行う法人の新公益法人への
移行認定について
―(財)大分県地域成人病検診協会のケースに学ぶ―
結核予防会 総務部長 竹下
隆夫
公益法人制度改革三法が施行されてから1年が
96.5%,職員数100名余,人件費は約7.4億円,収
経過した。しかし,平成21年10月末現在ではある
支は約1千万円の黒字(以上,平成18年度)で
が公益移行認定を受けた法人は,内閣府の22件を
あったが,現状の経営状況は少し苦しいという。
含めても全国でまだ56件にすぎない。改革三法の
この法人の公益財団法人への移行申請(電子申
施行前には,全ての旧財団・社団法人は全国で約
請)は早く,平成20年12月25日である。12月1日
2万5千を数えていたから,多くの法人がまだまだ
の法律施行とともに,最初の評議員選任方法につ
移行手続きに入っていないのが現状である。
いて県に認可申請書を提出し,その後直ちに第1
結核予防会の支部にとって大きな関心事の一つ
は,どのような申請内容に整理すれば円滑に,こ
回の評議員選定委員会を開催,委員全員出席のも
とに最初の評議員29名を選任している。
れまで公益として行ってきた結核予防や生活習慣
法律施行後いち早く申請した第一の理由は,平
病予防,がん検診等の健診・保健事業を新たな公
成21年3月末に役員の任期が満了し改選時期を迎
益認定基準に適合させることができるのかにある
えるため,21年度のできるだけ早い時期に新公益
と思われる。そこで,今回,九州・沖縄のブロッ
法人に移行したいということであった。そして,
ク会議に出席した機会を利用して,健診事業で最
収益構造が健診事業に偏っている法人がもし公益
初に公益認定を受けた大分県の法人の担当者(健
認定されなければ一般の営利的な健診機関と何ら
診部健診事業課長。申請当時は管理部総務課長)
変わらなくなるため,健診事業の厳しい生存競争
をはじめ,各関係者にお会いしてお話を伺ってき
の中で生き残っていくためには社会的信用力を失
たので,報告する。
墜させない公益認定が必要不可欠と判断し,むし
ろ他の都道府県での判定が出る前に結論を求めた
既にご承知のことと思われるが,この法人は財
団法人大分県地域成人病検診協会で,大分県公益
また,所管である県の福祉保健部医務課からも
認定等審査会は平成21年4月13日付けで公益認定
健診事業それ自体が公益ではないという判断はま
基準に適合する旨の答申を県知事に提出した。
だなく,実施主体の公益性が判断対象になるとい
この法人は,行政(大分市),市医師会,地域
うような指摘を受け,煩雑な財務書類の作成とと
住民の三者によって発足した「大分市地域保健委
もに健診事業を公益目的事業とする理論構築のた
員会」の総意により設立されたといわれ,昭和53
めにコンサルタントのサポートを受けている。
年9月に業務を開始している。施設は大分市医師会
この法人の申請内容には収益事業区分はなく,
立病院に隣接しており,実質的にはこの病院の付
全ての事業を公益目的事業に一本化して「健診」
属保健事業施設として建設され,財団法人はその
「健康増進」「健康教育」を三位一体で運営して
運営のために設立されたと思われる。こうした経
いることを訴え,事業名を「主に大分県民の生活
緯から敷地は市からの借地であるが,体力測定や
習慣病予防を中心とした健診,健康指導及び健康
トレーニング施設も備えた5階建ての立派な総合的
教育等を行い,県下の健康福祉の先駆的な役割を
施設で,検診車も備えて出張健診も行っている。
果たすとともに,県民の地域健康度の向上に寄与
因みに,この法人の人間ドックを含む健診受診
22
かったという。
する事業」としている。
者は年間延べ18万人(平成20年度)といい,年間
移行申請を決議した理事会・評議員会は平成20
収入規模は約11.5億円,健診事業の収益は全体の
年11月に開催され,公益財団法人を目指して翌12
1/2010 複十字 No.331
月に移行申請を行うことと,定款の変更案,最初
「この法人は,地域住民の健康の向上に寄与する
の評議員の選任方法,移行後初の役員候補者等に
ことを目的として,生活習慣病の予防及び早期発
ついて承認を取り付けている。申請後は書類の内
見には健診が不可欠であるため,健診,健康指導
容をめぐって,公益認定審査会事務局である県の
及び健康教育の3つの事業を一体として実施して
総務部法務室から3∼4回にわたるヒアリングが
おり,さらにここで得られた健診の結果を統計的
あり,それらの説明とともにそれぞれについて補
に集計して行政や関係機関に提供するなどして地
正・修正の指導を受け,紙ベースでの確認作業を
域医療のレベルの向上に役立てていることが,全
繰り返したという。
体として公衆衛生の向上を目的とする事業に該当
補正・修正指導の内容は,やはり財務関係書類
すると判断された」と。(「公益法人」2009.9)
よりも「公益目的事業の概要」,別表に基づく
「事業の公益性」,「チェックポイント事業区分
最後に,関係者から聞いた話を総合的に判断す
説明」の書き方が中心になっているという。重要
ると,認定のポイントは次のようになるものと推
なことは,フォーマット上ではとても書ききれな
測される。
い事業内容の説明を事務局から詳しく問われ,そ
1.3つの事業の一体化:公益理念に基づく「健
れを別紙に詳しく書くことを指導された結果,そ
康増進事業」「健康教育事業」を実施する上で必
の別紙は10ページに及ぶ詳しい参考資料となった
要な健康情報データの測定であり,かつ生活習慣
ことで,フォーマット上の「公益目的事業の概
病の予防や早期発見に不可欠な「健診」事業を一
要」等は,その要約というよりは各部門における
体のものとして論理的に整理できているかどうか
主な事業を箇条書きにしている。
判断される。
こうした事務局とのレスポンスを経て,3月初
2.誰に対して何のために行い,それがどう生か
旬に事務局が指定した日時に修正版の電子再申請
されるか:健診事業自体は民間のさまざまな機関
が行われた。法人側は,審査会で具体的な審査が
で誰でもができる事業であるが,だからといって
何回行われたかは掌握していないが,5月15日に
健診事業自体に公益性がないわけではなく,要は
公益認定証を受領し,6月1日に登記を済ませ,6
誰に対して何のために行い,それがどう生かされ
月15日に公益認定公示がなされたという。
るかという理念や使命が明確であり,かつ現実の
ただ,さまざまな資料を付き合わせると,この
ものになっているかどうか判断される。
法人の申請が審査会に上げられたのは平成21年1
3.認定の対象はこれからの公益事業展開:注意
月26日に開かれた審査会で,事前に配布していた
が必要なことは,公益認定審査会はこれまでの事
申請書類について事務局が審査,補正の指導等の
業を評価しての認定ではなく,これからの公益事
手続中であることを説明しているようであり,申
業展開について移行認定基準に適合しているかど
請の補正を終えて事務局から改めて説明が行われ
うかが判断されること。
たのは,公益認定基準に適合する旨の答申を出し
4.健診の結果データの活用:健診の結果データ
た4月13日のことであるように思われるため,実
を活用して行政や関係機関に提供しさまざまな改
際の審議はこの2回ではないかと推測する。
善に役立てるという研究や施策の見直し等に寄与
いずれにしても,この法人は認定の準備にほぼ
しうるデータの解析との一体型であるという点は
1年を費やし,公益認定を受けるまでに約半年を
重要な評価の対象となる。
要したことになる。実に大変な作業であったと
5.認定取消もありうる:今後,認定時の内容が
言っており,また,認定が年度途中となったため,
生かされず不十分と判定されれば認定取消になる
平成21年度の4月と5月の2か月間は旧法人の会計
ことが前提とされているので,実施できないこと
年度で,6月以降は新法人の会計年度ということ
を申請内容にしてはいけない。
になったという。
ところで,この認定に当たって県の事務局は次
のように記している。
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23
∼複十字シール運動活動報告∼『MDRT日本会』訪問
10月2日(金),千代田区有
今回,私共が訪問するにあたり,事前に本会の事
楽町の蚕糸会館にて,「MDRT
業について詳しくお調べいただいており,お仕事
日本会」の山元会長,森本事務局
柄,病気・命に関しては,当会の活動内容と重な
長とお会いし,結核予防会の事業
るところがあり,とてもご熱心にお話を聞いてい
概要,シール募金について説明
ただけましたことを感謝いたします。
させていただくことができまし
た。山元会長は,卓越した生命
MDRT日本会
山元政博会長
今後も,世界から結核をなくすために普及啓発
に努めてまいりますので,一人
保険と金融サービスの専門家に
でも多くの方にお話を聞いてい
よる国際的かつ独立した組織のMDRTの一員で,
ただく場をご提供いただけます
「MDRT日本会」の2009年度会長を精力的に努め
ことを当会職員一同願っており
ており,早速STBJ(ストップ結核パートナー
ます。
シップ日本)の団体会員へご加入いただきました。
複十字シール期間限定キャンペーン第4弾実施中!(1/1∼ 3/31受付分まで)
ご利用可能なクレジットカードが増えました
複十字シール募金につきましては,日頃よりご協
力いただき,誠にありがとうございます。
本部では,期間限定キャンペーンを実施中です。
春にふさわしい絵柄の小型シール(10枚セット)と
ともに,先着30名様に『オリジナルボールペン』を
プレゼントいたします。詳細は本会ホームページ
(http://www.jatahq.org/)をご覧下さい。
複十字シールのお申込・募金についてのお問い
合わせは…
事業部資金課
メール: [email protected]
電 話: 0120-416864(フリーダイヤル) 03-3292-9287(直通)
ご利用可能なクレジットカード
カードでの募金をご希望の際は,恐れ入りますが,フリーダイヤル(携帯からも可)へご連絡下さい。
たばこ値上げの要請
たばこ病COPD患者 患者の声を民主党副幹事長の元へ
平成21年12月8日(火),10:35∼11:00に国会議事
協議会の山下武子事務局長,そして結核予防会事
堂内第15控室にて,一川保夫衆議院議員に要請を
業部普及課成瀬匡則さんがそれぞれ,思いのたけ
行いました。たばこの値上げに関する要望ととも
を届けました。さらに,駒木会長を取材中の読売
にぜひたばこ病COPD(慢性閉塞性肺疾患)と結核
新聞東京本社生活情報部の赤池泰斗記者も同席し,
の患者さんの声を聞いていただきたいとお願いし
総勢7名で要請を行いました。
て,今回,実現しました。当日は,足立サンソ友
最初に驚いたのは,控室前のロビーには灰皿が
の会の駒木光雄会長,日本呼吸器障害者情報セン
並べられていることでした。あわててシャッター
ターの遠山和子理事長,たばこと健康問題NGO協
を押したので,写真をご覧下さい。
議会の島尾忠男会長,全国結核予防婦人団体連絡
24
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最後に島尾先生から,民主党が政権を取って,
たばこを健康の問題として取り上げてくださった
ことに感謝しているとお礼を述べられ,今こそ,
たばこ値上げを英断していただきたいと強く要望
し,短い時間でしたが,私たちの思いを届けまし
た。
山下事務局長から,入口の煙で少し息が荒く
なってしまった駒木会長に代わり,今回のたばこ
値上げの必要性,来年に先送りする危険性,母子
手当をたばこ代に充てない努力を民主党の力で進
めてほしいとお話されました。
さらに,駒木会長からは,自分の子ども(40代
前後)にいくら言っても手遅れなので,若い世代,
要望書を手渡すCOPD患者駒木会長と受け取る一川議員
中学生から高校生に向けて,酸素を吸っている自
分の姿を見せながら,禁煙教育を続けることの意
味を理解していただき,たばこがお小遣いで手が
届かない値段まで引き上げていただけるようにお
願いされました。
続いて,遠山会長から,昨年COPDで旦那様を亡
くされたことをお話になり,最後の療養生活が,
本人にもまた見まもる家族にも非常に残酷で,そ
の苦しみを他の方に味あわせたくないと切々と訴
えられました。
また,結核患者,若い元喫煙者を代表して成瀬
COPD患者の声を聞いてくださる一川議員
さんが,やめたいと思っている人に契機になるは
一川議員も,本来農林水産省担当であるが,た
ずで,たばこは覚醒剤やMDMAなどの麻薬と同じ
ばこの問題は十分理解しているつもりですし,こ
であるというスタンスで,たばこのパッケージ改
のことは幹部にも挙げ,前進させていただきます
善,学校での保健教育などに力を入れてほしいと
とお話してくださいました。
(文責:編集部)
話しました。
複十字病院呼吸ケアリハビリセンターの紹介
複十字病院は,長年にわたり多くの慢性呼吸不
平成21年6月1日,エビデンスに基づいた呼吸リ
全患者に対して在宅酸素療法や訪問看護を中心と
ハビリテーションを行うことを目的として,呼吸
した在宅呼吸ケアを行ってきた。一方,息切れは
ケアリハビリセンターが複十字病院に開設された。
あるが呼吸不全に至っていないCOPDなどの慢性呼
当センターは,リハビリテーション科・訪問看護
吸器疾患患者に対しては,今まで薬物療法以外の
科・呼吸ケア診療科の3つの部署からなるが,リハ
対策を積極的にとってこなかったというのが実状
ビリテーション科が中心となって呼吸リハビリ
である。近年増加傾向にあるCOPDでは,呼吸リハ
テーションを実施している。息切れのため日常生
ビリテーションという「運動療法と患者教育」を
活に支障がある慢性呼吸器疾患患者を対象に,呼
柱とした包括的なプログラムが,患者と病院両者
吸リハビリテーション(3ヵ月のプログラム)を平
に有用とされている。
成21年7月から開始した。徐々にではあるが,その
1/2010 複十字 No.331
25
成果が出てきている。
慢性呼吸器疾患患者の自己管理能力と健康関連
QOLの向上,そして病院経営への貢献を目標とし
て,センタースタッフとともに慢性期呼吸ケアに
取り組んでいく所存である。
(複十字病院呼吸ケアリハビリセンター長 吉田直之)
ベストドクターズTMに複十字病院白石先生が選出された
複十字病院呼吸器センター長の白石裕治先生は,
昨年2008∼2009の選出に引き続き,米国Best
Doctors社の「ベストドクターズTM」*"The Best
Doctors in JapanTM 2010∼2011"に選出されました。
ご家族が,あなたの専門分野の病気にかかった場
合,どの医師に治療をお願いしますか」とアン
ケートします。その中で治療能力,研究成果,最
新医療情報への精通度などを考慮した上で,ある
一定以上の評価を得た医師(それぞれの国での医
師全体の上位1∼5%程度)を名医と認定します。
現在までで全世界で延べ100万人におよぶ医師に
この質問を繰り返し,40以上の専門分野,400以上
の副専門分野から,米国で約30,000名をはじめとし
て世界中で50,000名以上を名医と認定,日本でも約
2,400名を名医と認定しています。常に医療の最前
線で活躍している,経験豊富な医師のみが登録さ
れるという非常に名誉なことです。
* ベストドクターズ,Best Doctors in Japanは米国および他国に
おけるベストドクターズ社の商標または登録商標です。
ベストドクターズ社の名医選出には,まず,膨
大な数の医師に対して,「もしあなたやあなたの
(文責:編集部)
島尾忠男先生,日本禁煙科学会学会賞を受賞される!
結核予防会顧問島尾忠男先生が,日本禁煙科学
会学会賞を受賞されました。石川県金沢市で 10 月
24 日(土)に開催された学術会議での受賞セレモ
ニーへご都合で参加されなかったため,日本禁煙
科学会副理事長の高橋裕子先生と,理事の三浦秀
史様が結核予防会を訪問されました。島尾先生に
表彰状が手渡されました。 (文責:編集部)
島尾先生(中央)を囲んで
高橋先生(右)と三浦様(左)
ザンビア国 結核とエイズ早期診断センター開所のご報告
結核予防会は平成21年2月にルサカ郡バウレニ
行われました。式には,主賓のPeter Daka氏(ザン
地区に「結核とエイズ早期診断センター(ACFMセ
ビア国保健大臣代理),三田村秀人大使(在ザンビア
ン タ ー):Active Case Finding Management
国 日 本 国 大 使 館 特 命 全 権 大 使),Guy Scott氏
Centre」を開設しました。これは本会の「住民主導
(Lusaka Central地区選出議員)
,Chibesa Wamulume
による結核/ HIVコミュニティー DOTS対策プロ
氏(ルサカ群保健局局長),その他関係者100名が出
ジェクト」の活動の一環です。同センターは,迅速
席しました。
な 結 核 患 者 の 発 見 と 治 療 開 始 を 目 指 し て,プ ロ
主催者側の謝辞として,結核研究所石川所長か
ジェクトの中核である喀痰採取とレントゲン検査
ら,これまでの事業への協力に感謝を述べられると
サービスを地域住民に提供します。
ともに,さらなる事業展開への協力が求められまし
開所を記念し,9月30日同センターにて開所式が
26
1/2010 複十字 No.331
た。
この活動の一部はシール募金が活用されていま
げます。 (文責:本部国際部 石黒洋平)
す。募金してくださった方々に心より感謝申し上
ACFMセンター開所式:聴衆約100名,路上設置の会場にて
(左部:ACFMセンター)
センターの鍵をDaka保健大臣代理より,Scott議員へ贈呈
(写真中央:三田村大使)
「複十字」掲載主要論文・記事一覧
№325(1月号)∼№330(11月号)/2009年
◆国内結核事情及び対策の動き
平成21年度厚生労働省予算案(結核感染症課・生活習慣病対策室・がん対策推進室) №326 3月 P30
平成20年度全国結核対策推進会議に参加して
山中 徹
№327 5月 P14
東京都世界結核デー記念講演会を実施して
浦川美奈子
№327 5月 P15
結核予防週間特集・・結核予防週間に寄せて2009 結核は流行している 石川信克
№329 9月 P2
平成21年度結核予防週間実施要領
№329 9月 P3
結核の統計2009を読む̶わが国の結核の現状と課題̶
大森正子
№329 9月 P4
平成21年度結核予防週間実施予定行事
№329 9月 P8
結核予防週間 支部・本部活動報告
№330 11月 P2
◆DOTS
福岡県久留米保健福祉環境事務所におけるDOTS事業の取り組みについて 大村 美穂
№325 1月 P10
荒川区保健所における服薬支援
(DOTS)
事業の取り組み
堀 裕美子
№326 3月 P10
調剤薬局におけるDOTSの取り組みについて
濱 日登美
№327 5月 P20
盛岡病院におけるDOTSの取り組み
室岡 惠子
№328 7月 P6
東徳島病院におけるDOTSの取り組み
大久保和代
№329 9月 P16
中野区における薬局DOTS事業の取り組みについて̶すべての結核患者に対する服薬支援をめざして̶
山川博之・○辻内衣子・渡部葉子・村上 薫・金井俊雄
№330 11月 P8
◆健診関係
健康ネットワーク通信 №22
菊地健司
№326 3月 P28
兵庫県支部における特定健診の事例報告
足立博文
№327 5月 P25
健康ネットワーク通信 №23・・平成21年度第1回健康ネットワーク事業推進委員会
保健サービス部会報告
松永香里
№329 9月 P33
◆結核予防会関連行事・事業
お知らせ 第60回結核予防全国大会開催要領
(案)
№325 1月 P3
第67回日本公衆衛生学会報告○少子高齢化社会における公衆衛生活動∼その理念と実際∼
岩本治也
№325 1月 P4
第67回日本公衆衛生学会報告○結核集団発生の対策は今
桑野隆史
№325 1月 P5
お知らせ 平成21年3月5日・6日 国際結核セミナー・世界結核デー記念セミナー・全国結
核対策推進会議
№325 1月 P9
結核予防全国大会第60回結核予防全国大会支部長会議
№326 3月 P2
研鑽集会セッションⅠ:結核のない世界−罹患率100万対1をめざして 小林典子
№326 3月 P4
研鑽集会セッションⅡ:パートナーシップ !!
永田容子
№326 3月 P4
秩父宮妃記念結核予防功労賞第12回受賞者
№326 3月 P5
平成21年度マンモグラフィ講習会の開催案内
星野 豊
№326 3月 P13
平成20年度フィルム評価会に参加して
秋山洋一
№326 3月 P14
第30回(平成20年度)事務職員セミナー報告 結核予防会職員としての誇りを胸に 中村友紀
№326 3月 P15
第60回結核予防全国大会を顧みて
石館敬三
№327 5月 P2
結核予防全国大会セッションⅠ
「人形劇」
№327 5月 P4
結核予防全国大会セッションⅡ
「パートナーシップ!!」
田辺 功
№327 5月 P5
第14回国際結核セミナーに参加して
糸数 公
№327 5月 P12
エイズ合併結核患者の全体像とは
糸数 公
№327 5月 P13
平成20年度診療放射線技師研修会開催
赤松 曉
№327 5月 P26
アフリカン・フェスタ2009報告
「横浜に吹いたアフリカの風」
村上邦仁子・大室直子
№328 7月 P3
呼吸の日記念フォーラム2009「いつまでも楽に息をしたい̶健康寿命は肺から̶
№328 7月 P4
第2回ラングウォークジャパン開催
№328 7月 P5
世界の多剤耐性結核対策への政治的取り組み強化を呼びかける
「多剤耐性・超多剤耐性結
核高まん延国大臣会議
(北京)
」
開催
石川信克
№328 7月 P16
第84回日本結核病学会総会 研究発表
№328 7月 P25
平成21年度資金寄付者感謝状贈呈式並びに永年勤続職員表彰式
№328 7月 P27
平成21年度都道府県知事表敬訪問報告
№329 9月 P12
第84回日本結核病学会(札幌)
印象記̶ビートたけしとPICANTE̶ 武内健一
№329 9月 P18
2008年度フィルム評価会報告と評価会の改編について
尾形英雄
№329 9月 P22
「健やか生活習慣フェスタ2009in新橋」̶しっかり禁煙・テントで肺年齢体験̶
№329 9月 P39
グローバルフェスタJAPAN2009に出展
№330 11月 P30
◆世界の結核事業と結核対策の動き
IUATLD報告○第39回国際結核肺疾患連合会議
西山裕之・山田紀男/下谷典代・大室直子・安藤宣孝
№325 1月 P16
ノルウェースタディツアー報告
鎌田有珠
№325 1月 P18
カンボジアスタディツアー団長報告
須田勝吉
№325 1月 P20
世界結核デーのテーマ解説 I am Stopping TB
№326 3月 P12
女性が結核対策にどう貢献できる?タイ国チェンライ地方ワークショップに参加して
堀井直子
№326 3月 P16
Stop TB partnership調整理事会
加藤誠也
№326 3月 P17
ザンビアJAZ‐ACTIVEプロジェクトの紹介
カエベタ亜矢
№326 3月 P18
第3回ストップ結核パートナーズフォーラム開催
加藤誠也
№327 5月 P19
海外事業報告会開催された
№327 5月 P27
ネパール 海外事務所の活動̶事務所設立から1年半を迎えて̶ 下谷典代
№329 9月 P26
結核予防会のTBキャップ
(CAP)
を通じた世界の結核問題への貢献と今後の展望
下内 昭・石黒洋平
№330 11月 P16
第2回国際結核肺疾患連合
(The Union)
のアジア太平洋地域学会
(Asian Pacific Regional meeting)
に参加して
下内 昭・吉山 崇
№330 11月 P18
◆ストップ結核パートナーシップ日本関連
ストップ結核パートナーシップ日本だより№4 シンプルisベスト?大胆不敵の10%宣言!!
鈴木幹久
№325 1月 P6
ストップ結核パートナーシップ日本総会 講演 「結核対策とのかかわり−これまでとこれから−
№325 1月 P8
ストップ結核パートナーシップ日本だより№5ストップ結核パートナーシップ日本と結核予防会の役割
金子 洋
№326 3月 P9
ストップ結核パートナーシップ推進議員連盟の総会が開催された
№326 3月 P35
ストップ結核パートナーシップ日本だより№6 途上国結核対策の薬剤管理に目を向けよう
内山雄太
№327 5月 P10
ストップ結核パートナーシップ日本だより№7 アフリカンフェスタ2009に参加して考えたこと
冨名腰あん
№328 7月 P16
ストップ結核パートナーシップ日本だより№8
̶新薬の早期開発促進をめざして フロンティア基金設立̶
森 亨
№329 9月 P11
◆結核予防会本部・事業所から
呼吸リハビリテーションの軌跡と課題
工藤翔二
№326 3月 P23
シリーズ 新しくなった結核研究所
(2)
研究プロジェクトの課題̶
「低まん延化の促進」
と
「世界の結核制圧の基地」
を目指して
石川信克
№328 7月 P3
複十字病院 みどり保育園・職員寮 内覧会が行われた
№328 7月 P26
ストップ結核アクション研修̶東北・関西方面研修旅行報告̶
杉山達朗・太田正樹
№329 9月 P24
シリーズ 新しくなった結核研究所
(3)
優先的プロジェクト
(1)
「感染診断技術プロジェクト」
の課題
原田登之
№329 9月 P35
シリーズ 新しくなった結核研究所
(4)
優先的プロジェクト
(2)
「新抗結核薬・化学療法プロジェクト」
̶新抗結核薬開発と抗酸菌化学療法をめぐる世界の動向̶
土井教生
№330 11月 P6
平成21年度結核予防技術者地区別講習会実施報告
№330 11月 P20
◆支部紹介の頁
島根県支部
田代 收
№325 1月 P27
広島県支部
伊藤隆雄
№326 3月 P29
大阪府支部
吉田忠春
№327 5月 P24
山口県支部
重冨昭治
№328 7月 P22
富山県支部
大江 浩
№329 9月 P32
徳島県支部
瀬尾裕信
№330 11月 P5
◆複十字シール運動
平成21年度結核予防会広報・シール担当者会議
「まずは、はじめの一歩から」
松枝尋子
№328 7月 P10
平成20年度複十字シール募金結果報告
№328 7月 P23
平成21年度複十字シール運動資材について
№328 7月 P23
期間限定キャンペーン 第2弾
№328 7月 P23
平成20年度高額寄付を頂いた方々からのメッセージ
№329 9月 P34
トータル・ライフ・コンサルタント会様 訪問
№329 9月 P38
平成20年度日本財団補助検診車「日本財団号」
が完成
(身障者用胸部検診車)
№329 9月 P38
∼普及啓発活動∼複十字シール運動活動報告 生命保険修士会事務局訪問・講演
№330 11月 P30
◆エイズ・感染症
新型インフルエンザ対策シンポジウム報告 日本におけるパンデミックインフルエンザ対策
世界保健機関
(WHO)
の提案
№325 1月 P26
1/2010 複十字 No.331
27
抗HIV療法の進歩と課題
木村 哲
№326 3月 P19
新型インフルエンザ対策の現状について
梅田珠実
№327 5月 P22
HIV検査普及週間
(6月1日∼7日)
の取り組み∼HIV検査を身近に感じてもらうために∼
柏崎正雄
№329 9月 P31
2009年世界エイズデー実施に際して̶12月1日を中心に全国各地で様々な
「世界エイズ
デー」
イベントを実施̶
沢崎 康
№330 11月 P26
◆教育の頁
創立70周年を迎えるにあたって
(5)
最終回 結核予防会各施設のこれからの役割
青木正和
№325 1月 P12
次世代のQFT概要
原田登之
№328 7月 P8
世界的感染拡大傾向が危惧される結核菌北京型株
岩本朋忠
№329 9月 P20
ワクチンシリーズ1)
子宮頸がんの発症機序と予防ワクチン導入の意義
鈴木光明
№329 9月 P28
ワクチンシリーズ2)
新型インフルエンザ
岡部信彦
№329 9月 P30
デジタル画像のモニタ診断における課題̶感染症診査協議会での画像診断について̶
星野 豊
№330 11月 P10
ワクチンシリーズ3)
麻疹
中山哲夫
№330 11月 P12
ワクチンシリーズ4)
季節性インフルエンザ
岡部信彦
№330 11月 P14
◆たばこ
健康日本21全国大会に初出展 −
「肺年齢体験ブース」
−
№325 1月 P14
「元気!2008」
にNPO J-BREATHと共同出展 −肺年齢体験ブース−
№325 1月 P15
たばこ 女性の喫煙が胎児に及ぼす影響について
(後編) 望月博之
№325 1月 P22
喫煙と結核
島尾忠男
№325 1月 P21
日本医師会
「禁煙に関する声明文」
について
内田健夫
№325 1月 P24
禁煙外来は何をするのか?
内山隆司
№326 3月 P26
健康日本21推進全国連絡協議会・・第1回たばこ分科会が開かれた№327 5月 P23
2009年世界禁煙デー記念シンポジウム・・
「煙のない健康的な社会づくり」
高柳喜代子
№328 7月 P11
2009年世界禁煙デー記念講演会 ローター・ビンディング氏講演会開催された №328 7月 P19
足立サンソ友の会様、都立足立新田高校喫煙防止教室レポート
№329 9月 P37
第10回アジア・太平洋タバコ対策会議に備えて
宮 恭一
№330 11月 P22
「医師たちとみんなで歩こう! in 新宿」−ウォーキングイベントのゴール地点で肺年齢チェック−
№330 11月 P31
◆思い出の人を偲んで
小島貞夫さん
小林義雄
№325 1月 P28
山田三枝子先生
松本美智子・中川千代子・成瀬和美
№328 7月 P14
三澤博人先生
青木正和
№330 11月 P24
◆巻頭メッセージ
年頭のごあいさつ
上田博三
№325 1月 P1
新春ご挨拶2009
蒔本 恭・丸瀬和美・川島霞子
№325 1月 P2
第六十回結核予防全国大会を迎えて
石原慎太郎
№326 3月 P1
創立70周年記念第60回結核予防全国大会に向けて
青木正和
№326 3月 P2
結核予防会と古稀
長田 功
№327 5月 P1
財団法人結核予防会顧問を拝命して
尾身 茂
№328 7月 P1
結核予防週間に当たって
福島靖正
№329 9月 P1
結核対策における日本の国際協力∼世界基金を通じた貢献∼ 長岡寛介
№330 11月 P1
◆ずいひつ
国際選挙に思う
西山正徳
№325 1月 P25
グローバル・ヘルスと外交政策
武見敬三
№326 3月 P22
複十字病院の思い出
尾形正方
№328 7月 P18
森鷗外と私
谷口 隆
№329 9月 P27
結核予防法改正の思い出
唐澤 剛
№330 11月 P15
◆アーカイブス
TBアーカイブス推進・運営委員会が始動
竹下隆夫
№327 5月 P30
結核の社会文化史的資料ご提供のお願い
№328 7月 P24
結核の社会文化史1:
「畜牛結核予防法」
について
島尾忠男
№329 9月 P36
結核の社会文化史的資料ご提供のお願い
№329 9月 P36
「連載企画」
∼結核に縁
(ゆかり)
の地歴訪∼ 第1回
「清瀬」̶結核関係者の聖地̶
島尾忠男
№330 11月 P27
◆その他
第7回人間開発グローバル会議開催
№325 1月 P9
切手にみる結核 8.結核に悩んだ文学者たち
(日本・中国編 Ⅱ)
№325 1月 表3
ミャンマーにおけるサイクロン被害と義援金
岡田耕輔
№326 3月 P19
切手にみる結核 9.結核に悩んだ音楽家
(ショパン)
№326 3月 P36
切手にみる結核 10.結核に悩んだ音楽家
№327 5月 表3
ハリセンボン様 事務所 訪問
№328 7月 P26
切手にみる結核 11.結核に悩んだ医師たち
№328 7月 表3
切手にみる結核 12.結核の保養地
№329 9月 表3
元結核予防会兵庫県支部 赤松 曉 氏 平成21年春の叙勲で
「瑞寶單光章」
を授与されました
№329 9月 P39
結核研究所森亨名誉所長,カレッド・レシャード医師 第61回保健文化賞を受賞 №330 11月 P31
切手にみる結核 13.複十字マークが入った切手たち
№330 11月 表3
●平成21年度結核予防会ブロック会議各地で開催
本年度も,全都道府県支部が6ブロックに分か
れ,各地で会議が開催された。各ブロックの内容
は,下記の通り。
・非常勤嘱託職員の源泉及び年末調整処理の有
無について(福島)
・定期健康診断時の胸部X線検査40歳未満省略
に向けた対応(福島)
・職員のやる気(モチベーション)がアップす
る取り組みについて(福島)
【北海道・東北地区】
日 程 11月26日(木)
場 所 宮城県(江陽グランドホテル)
出席者 32名(7道県,本部)
(討議事項)
・人件費を含む経費節減策(北海道)
・X線画像のデジタル処理化に伴う検診料金に
ついて(青森)
・胸部検診料金について(青森)
・特定保健指導における健診実施機関と医療保
険者との連携について(青森)
・腹囲測定誤差について(岩手)
・健診会場でのプライバシー保護のための仕切
りについて(岩手)
・早朝・夜間検診従事者への時間外手当の支給
について(宮城)
・全国健康保険協会(協会けんぽ)からの事業
主健診結果データ提供への対応について(秋
田)
・退職金積立の現状と問題点について(山形)
・2年目を迎えた特定保健指導に関する変更点や
問題点について(山形)
・人間ドックの内容について(山形)
・賃金の内訳(福島)
・扶養手当認定対象者の雇用形態(福島)
・「雇用・賃金等支給証明書(仮称)」の発行
について(福島)
・委嘱(雇用)時の契約形態と通知手段につい
て(福島)
28
1/2010 複十字 No.331
【関東・甲信越地区】
日 程 11月13日(金)
場 所 埼玉県(大宮ソニックシティ)
出席者 34名(9県,本部)※山梨県支部欠席
(討議事項)
・公益活動として行う健診受診率向上の啓発活
動について(栃木)
・今後の人材確保及び育成の考え方について
(東京)
・特定保健指導の受託機関としての組織体制と
昨年度の実績について(千葉)
・各支部における特定保健指導の実施状況と問
題について(神奈川)
・特定健診受診者減少対策と特定保健指導の状
況について(長野)
・全国健康保険協会(協会けんぽ)における事
業所健診特定健診データ提供に関する対応と
今後の対策について(長野)
・胸部デジタル画像の読影について(茨城)
・肺がん検診の間接フィルムの写し込みについ
て(新潟)
・複十字シール運動における依頼先の新規開拓
について(茨城)
・医薬材料及び各種委託にかかる入札について
(長野)
【東海・北陸地区】
日 程 12月3日(木)
場 所 愛知県(ホテルルブラ王山)
出席者 21名(7県,本部)
(討議事項)
・健診機関として個人情報管理に関する認証の
取得について(富山)
・要精密検査の紹介文書について(富山)
・デジタル検診車の保守点検代が高額であるこ
とについて(静岡)
・特定保健指導の受託人数と保健指導に係る保
健師他の人数について(石川)
・健診結果の提出期限について(石川)
・結核検診・肺がん検診の今後のあり方につい
て(三重)
・健診見積書提出時の決裁基準について(三
重)
・胸部読影医の確保及びデジタル化の体制につ
いて(三重)
・冬場の検診閑散期の対策について(愛知)
・医療従事者の確保について(愛知)
・事業所検診の血液検査結果の判定基準につい
て(愛知)
・複十字シール募金活動における新たなPR等に
ついて(富山)
・本部が制定する各種表彰制度の推薦について
(福井)
・公益法人制度移行事務の進捗状況について
(三重)
【近畿地区】
日 程 10月8日(木)
場 所 京都府 (ホテルセントノーム京都)
出席者 23名(5府県,本部)※奈良県支部欠席
(討議事項)
・特定保健指導の実施状況について(滋賀,大
阪,和歌山)
・健診受診者増を目指す新しい取り組みについ
て(大阪)
・結核検診車,肺がん検診車の更新について
(滋賀)
・胸部検診のデジタル化への対応状況について
(京都)
・複十字シール運動の組織募金及び郵送募金に
ついて(兵庫,京都)
・複十字シールの在庫活用について(兵庫)
・公益法人制度改革への対応について(兵庫)
【中国・四国地区】
日 程 11月20日(金)
場 所 山口県(山口グランドホテル)
出席者 39名(9県,本部)
(討議事項)
・胸部デジタル検診車の整備について(山口)
・公益財団法人へ移行するメリット(山口)
・定款の変更・申請書の作成にかかる人員配置
(山口)
・検討委員会等の有無,メンバー構成(山口)
・特定費用準備金(山口)
・移行の申請時期・申請に至るまでの計画書
(山口)
・胃がん検診1台の撮影数(広島)
・マンモグラフィ検診1日の撮影数(広島)
・特定健診診査料金(広島)
・がん検診デジタル撮影料金(広島)
・乳腺超音波検査(広島)
・特定保健指導実施状況(広島)
・特定健診関係(市町村)(広島)
・女性特有のがん検診推進事業(島根)
・適格退職年金制度からの移行(鳥取)
・公益認定についての方針・進捗状況(鳥取)
・「子宮頚部細胞診報告書」新様式への対応
(岡山)
・ネットワーク事業の充実(岡山)
・各種健康診断の閑散期対策(岡山)
・胃部レントゲンの午後実施(岡山)
・1年単位の変形労働時間制(岡山)
・「協会けんぽ」からの事業主健診結果データ
の提供依頼について(岡山)
・公益法人制度の移行認定の際の事業区分(岡
山)
・時間外労働の縮減(岡山)
・日帰り人間ドック健診のオプション検査の充
実(高知)
・子宮がんの集団検診・クラスⅢ以上の要精検
者の追跡方法(高知)
・特定健康診査の料金設定(徳島)
・医療機器導入時における,総合評価方式を導
入した入札制度(徳島)
・コンピューターシステムの更新(徳島)
・検診に係る重大事故,トラブル等の主な事例
と対応(香川)
・女性特有のがん検診推進事業の市町村の枠を
超えた広域実施(香川)
【九州・沖縄地区】
日 程 12月3日(木)
場 所 大分県(大分センチュリーホテル)
出席者 31名(7県,本部)※沖縄県支部欠席
(討議事項)
・事業の見直しについて(福岡)
・メンタルヘルス事業について(福岡)
・新型インフルエンザへの対応について(佐
賀)
・平成22年度特定健診等の介護生活機能評価に
ついて(熊本)
・CKD(慢性腎臓病)対策としてのeGFRの導入
について(照会)(熊本)
・喀痰培養検査において非結核性抗酸菌を検出
した場合について(鹿児島)
・結核菌感染診断検査:クォンティフェロン
(QFT−2G)検査導入について(沖縄)
・病気休暇及び休職の取扱いについて(大分)
1/2010 複十字 No.331
29
・全衛連の加入について(照会)(大分)
・直接撮影からDR撮影の代用について(大分)
評価会」から「胸部画像精度管理研究会」と改め
て評価会が開催された。
●平成21年度結核予防会胸部検診対策委員会精度
管理部会胸部画像精度管理研究会(フィルム評価
会)開催
12月10日(木)・11日(金)の2日間に
わたり,結核予防会本支部より67名の参加の下,
結核研究所において,今回より名称を「フイルム
●第31回(平成21年度)結核予防会事務職員セミ
ナー開催
12月14日(月)から16日(水)の3日間
にわたり,18名の参加を得て,結核研究所にお
いて標記セミナーが開催された。
結核研究所
国際セミナー予告
国際結核セミナー・全国結核対策推進会議
世界結核デー記念フォーラム
会 場:ヤクルトホール
(東京都港区東新橋1-1-19 JR新橋駅より徒歩5分)
主 催:財団法人結核予防会結核研究所 ●第15回 国際結核セミナー “結核対策の技術革新”
日 時: 平成22年3月4日
(木)
13:00 ∼ 17:30
●世界結核デー記念フォーラム “結核のない世界∼結核対策は公衆衛生政策の原点”
日 時: 平成22年3月4日
(木)
17:45 ∼ 19:30
*国際結核セミナーに引き続き行います
●平成21年度全国結核対策推進会議 “結核医療と地域連携の未来像”
日 時: 平成22年3月5日
(金)
9:30 ∼ 15:30
※ポスターによる活動発表を募集いたします
〔10題,
締切:2月10日
(水)
〕
※申込要項等
(ポスターの展示申込を含む)
,詳細につ
きましては近日中に掲載予定です。
(参加お申込み方法につきましては結核研究所ホーム
ページ上に掲載いたします。
)
第 17 回日本CT検診学会学術集会̶CT検診の未来̶
学術集会ホームページ http://www.jscts.org
30
会 期:平成22年2月12日
(金)
・ 13日
(土)
会 場:長崎ブリックホール
会 長:芦澤和人
(長崎大学病院 がん診療センター長)
テーマ:CT検診の未来
参加費:学術集会: 6,000円
懇親会
(2月12日
(金)
夕方)
: 4,000円
(当日登録のみ)
会 場:江山楼
*事前参加登録はございません。
*本学術集会は,呼吸器学会専門医更新単位の2単位,
放射線科専門医更新単位の3単位となります。
2.肺がん以外のCT検診:COPD,内臓脂肪など
3.コンピュータ支援診断とCT検診
※肺がんのみならず,COPDやメタボ検診を含めて,
多数の演題を募集しています。
■肺がんCT検診認定医講習会
大会2日目
(2月13日)
午後に,肺がんCT検診認定
機構との共催で,
「肺がんCT検診認定医講習会」
を
開催いたします。
(参加費:1,000円)
詳細は大会ホームページをご確認ください。
■特別企画
特別講演:
「コンピュータ支援診断と検診」
(仮題)
教育講演:
「肺がんの画像診断:CT診断とマネー
ジメント」
(仮題)
■一般演題募集期間:平成21年10月1日
(木)
∼
12月11日(金)
(受付は終了しました)
要望課題
(下 記 の中からシンポジウムやワーク
ショップを予定しています)
1. 肺がん検診:有効性評価,成績,精度管理,従来
型検診との比較,読影や経過観察の基準,人材
育成に関する教育・認定,精密検査や鑑別診断,
アスベスト関連など
〔事務局〕
第17回日本CT検診学会学術集会 事務局
長崎大学病院がん検診センター
〒852-8501 長崎市坂本1-7-1
TEL / 095-819-7779 FAX / 095-819-7776
E-mail:[email protected]
1/2010 複十字 No.331
〔運営に関するお問い合わせ先〕
第17回日本CT検診学会学術集会 運営事務局
株式会社コンベンションリンケージ内
(担当:中松・茶川)
〒812-0016 福岡市博多区博多駅南1-3-6 第三博多偕成ビル
TEL / 092-437-4188 FAX / 092-437-4182
E-mail / [email protected]
多額のご寄付をくださった方々
加貫ローラ製作所,森田恵,石切
劒箭神社,阪口恵藏,西脇洋平,
<指定寄付者>(敬称略)
柳澤弘仁(保生の森),上田喜一朗 原一仁,阪村機械製作所,笠井昭
道,森内茂治,林利治,岩本圭司,
商店上田裕子(本部)
<複十字シール募金>(敬称略) 井塚鞠子,樋野征治,松田忠良,
大阪府―崔達俊,藤野正勝,下田 山口幸男,前田元,光陽保育園,
芳博,鈴木豊栄,深津利子,友国 瀧定大阪支店,井村勲,辻本富三
泰治,芝原英司,林俊男,川下機 郎,三協国際特許事務所,小泉葉
工,田崎廣子,佐野萬瑳壽,西野 里子,宮原鈴子,硎家貫立,平野
正夫,松下朱美,堀内顕,富永泰 照實,井上恵,堀井博,大阪治金
司,木村昭,庄司修三郎,明石恵 興業,前田商店,タイユ,古田裕
実,河合憲一,柳瀬日出夫,藤田 三,相原宏司,吹角隆之,五十鈴
修一,大京システム開発,成本勝 苑,門林小児クリニック
彦,江田直介,高田善治,金星鋲 京都府―鞍馬寺信樂香仁,京都府
螺,西部配送,青木和人,廣岡政 歯科医師会, 王寺,岡村得子,
明,清水美代子,大野悠紀子,竹 奥本惠治,伊豆田貢久
見富夫,浅野英雄,河合礼子,伊 新潟県―シーメンス旭メディテッ
泊大造,楠宗一,老寿サナトリウ ク,JA東日本くみあい飼料,山
ム,土井順子,加藤伸一,西川原 本克巳,協和製作所,住吉屋,新
覚市 , 岡野 幸義 ,加納 敏子 ,ク 潟ファーネス工業,小幡光一,関
リーンケミカル,オークボ,中村 口次郎,長谷川進,村田紳悦,西
諭,後藤和彦,西川一雄,紀伊産 川内科医院,庭野医院,涌井医院,
業,笠松澄子,伊藤京子,田村浩 かわさきこどもクリニック,ファ
三,福田茂樹,ビクトリー保育園, ミリー歯科診療所,石本酒造,コ
花岡秀敏,中川歯科,谷口祐晟, ニカミノルタNC,伊藤壽介,近
辻賢太郎,ふれあい共生会,江川 藤堯,堀医院,むとう医院,山田
雄一,水谷隆広,菅野忠彰,仁木 医院,ゆきよしクリニック,江部
在久,岸田豊子,古堅ヒデ,鶴満 医院,ひろさわ内科医院,弁天町
寺,森本淳祐,公益法人協会,藤 共同ビル,堀田利雄,浦川原診療
井正光,佐々木康之,片本皖也, 所,大熊内科医院,刈羽診療所,
藤井末子,大豊化学,瀬戸千代子, たけだ眼科医院,創価学会新潟池
田中稔,藤原良江,大阪商工信用 田文化会館,小宮山会計事務所,
金庫,寺澤恒子,小橋裕司,久保 渡邊喜彦,小飯塚医院,小出耳鼻
田佳伸,鬼頭有代,羽田洋子,東 咽喉科,万代内科クリニック,メ
洋医療専門学校,山戸康司,吹田 ディス,たかき医院,富樫医院,
病院,森井塗装店,東昭和,坂口 樋口医院,新潟県労働金庫,大沼
泰敏,甲田博和,日之出工業,西 恵美子,法音寺,田沢内科医院,
村忠,あずさ監査法人,伊東電気 松井俊正,新潟臨港病院,Pro
設備,小林公平,室井建設,佐野 ntoNet,ラック,新潟県栄
榮宏,吉田哲郎,小林修爾,鷲山 養士会,早津内科医院,新潟県看
一郎,加藤久男,光テルホニイ, 護協会,野村裕子,まなべ整形外
井上トキ子,徳永三郎,北修爾, 科クリニック,上越地域総合健康
三島厨器産業,中谷晴彦,桜井忠 管理センター,ナルサワコンサル
雄,住吉大社,尾崎医院,浅井健 タント,三栄製作所,渡辺医院,
太,アルファライフアミーユ大東 とみやま医院,税理士法人小川会
深野,都築電産大阪支店,佐藤健 計,森下組,竹内クリニック,杉
治,坂東秀憲,三角利雄,伏見誓 田医院,THK新潟,くろきクリ
寛,高折忠太,南忠佳,村瀬昭夫, ニック,佐藤医院,登坂尚志,石
金森隆子,八田光子,岡田兼次, 栗吉枝,波多俊二,安田診療所,
中村孝義,矢澤瑞枝,増田幸宏, ふかまち歯科矯正,新潟興産,森
下新一郎,脳神経センター阿賀野
病院,たかぎクリニック,山田栄
二,喜多町診療所,依田医院,お
おたけ小児科
愛媛県―田中則子,松末典子,木
村五郎,田中進,木元裕子,松浦
米雄,眞田明志,矢野智澄世,村
上昭子法律事務所,眞理神経クリ
ニック,浦岡胃腸クリニック,セ
ラテック,セトデン,岩城診療所,
溜尾整形外科,シンワ,村上耳鼻
咽喉科,カネシログループ,善復
寺, 吉 田眼 科, 大久 保内 科クリ
ニック,森熊,伯方造船,愛媛メ
ディカル,西部包装,ロッキー産
業,片山医院,クロスタニン四国
販売,松崎クリニック,関西建物,
宮原医院,日本食研,城東開発解
体,武智ひ尿器科内科,秋川会計
事務所,兵頭クリニック,南予生
コン,山下医院,佐藤内科医院,
四国電力原子力本部伊方発電所,
潮冷熱,愛媛交安,太陽印刷,イ
サムモーター,伊予銀行総務部,
はと観光,愛媛県看護協会,高圧
ガス工業,四国ガス松山本社,キ
タムラメディカル
本部―即得寺,佐武宣明,金地院,
西光寺,円明寺,松林院,長専院,
水天宮,東京多摩キリスト教会,
天王寺,聞明寺,大森歯科医院,
北村歯科クリニック,並川歯科医
院,小野歯科医院,小澤歯科,原
歯科クリニック,汚れなきマリア
修道会調布修道院,大盛寺,梅井
秀明,東禅寺,蓮花寺,桂福寺,
鎌倉順子,梅村典裕,植松和夫,
永田容子,小山泉,岩谷アリス,
山王夏美,愛恵会乳児院,御手洗
聡,武田あやの,髙木タカ子,松
岡秀枝,毛利ゆき子,ミヤナガヨ
シエ,桜井美国,高木勇,今泉義
行,オガワラヒロシ,加藤久幸,
フクダキヨコ,イシガキヒサシ,
寺岡静治,ナカヤマカツタロウ,
五十嵐公昭,丸山輝久,栗林秀造,
久保田光昭,古屋文男,フクダタ
マコ,浦野祐一,笠井俊彦,植ビ
ルクリニック,黒須医院,篠原医
院,はんだこどもクリニック,工
1/2010 複十字 No.331
31
藤翔二,金子リエ,竹下隆夫,三 ター,ダイレイ,千葉金属工業, コプラント,三雅商事,サンコス
田守久,田川美登子,阿部知子, 中央工設,電子機械サービス,特 モ,シーフロンティア,シールド
大橋京子,林あき子,丸山紀久子, 金工業,トライターム,長崎管財, エージェンシー,ジンカンパニー,
オリエンタルバザー,国際共立学 日昭電器,日清化工,日野,ピー スウィングマン,スターフィール
園,ジョイフル社,アーネスト, アン ド シー, フ ェニッ ク スイン ド,千徳,全国亜鉛めっき鋼より
ア イワ ホー ム ,厚 木 玄林 堂, ア ターナショナル,フォーデイズ, 線販売協同組合,大洋産業,竹屋
ド・エンジニアーズ・オブ・トー 深田キディ,中島達晃,槙コンサ 塗料,チネン電機工業,テクノコ
キョー,石井電工,岩佐機械工業, ルタントオフィス,マルミ光機, ミュニケーションズ,藤榮工業,
永明,エス・ケイインターナショ 三元建設,ミヤコ化学,明文図書, 東京通信機材,東京ハガネ,東和
ナル,大倉冷機,お世話や,カネ 森村設計,ユーリーム,ユニバー テクノス,トキワ精機,徳力建設
モク工業,カワノ・トラスト,學 サルウィング,高瀬淳,須田勝吉, 工業,童夢,野村事務所,ベルソ
風会,共伸毛織,ケーシー工業, 成沢芳,小林賢治,中山照子,高 ン,ペエックス,松田設備,マム
計算力学研究センター,コートー, 橋真千子,伊藤公子,佐藤美千恵, ハウスマーケティング,村上アル
コマツ,魚家,サクセス,サンエ 田中慶司,有山猛生,千疋屋ギャ ミ工業,メディック投資顧問,裕
ス 建設 ,サ ン トレ ィ ド, サン メ ラリー,竹内章子,木戸晃,坂本 和産 業 ,渡辺 , イース タ ンエア
ディカルサービス,三陽電設,昭 医院,宮村正廣,澁谷利雄,旭日 ポートモータース,岡部バルブ工
和商事,新宿西口会館,新和設備, 興産,エコープラン,オークエン 業,開真産業,川昌,極東製薬工
ジェイティービーモチベーション ジニアリング,オン・タイム,金 業,ケーエムエフ,コーエイシス
ズ,タカムラ,高柳造園土木,立 井猛,金子運送,神田製作所,銀 テム,三幸エステート
石フィルター,大信梱包システム, 座凮月堂, ク レ コ オ , 桑 原 商 会 ,
ダイヤモンド・ピーアール・セン コートクレア,広栄運輸機工,コ
結核予防会役員人事<敬称略>
《本部》
発
令
日
氏 名
発
令
内
平成21年 11月 6 日 橋
本
壽 評議員の委嘱を解く
平成21年 11月 6 日 高
瀬
昭 評議員を委嘱する
平成21年 11月 30 日 仲
村
英
一 理事長の委嘱を解く
容
平成21年 11月 30 日 金 子 洋 専務理事の委嘱を解く
平成21年 11月 30 日 玉 木 武 監事の委嘱を解く
平成21年 12月 1 日 長
田
功 理事長を委嘱する
平成21年 12月 1 日 橋
本
壽 専務理事を委嘱する
平成21年 12月 1 日 渡
辺
俊
介 監事を委嘱する
平成21年 12月 1 日 尾
形
正
方 理事を委嘱する
平成21年 12月 1 日 仲
村
英
一 顧問を委嘱する
平成22年1月15日 発行
複十字 2010年331号
編集兼発行人 藤木 武義
発行所 財団法人結核予防会
〒101- 0061 東京都千代田区三崎町1-3-12
電話 03(3292)9211(代)
印刷所 日本印刷株式会社
東京都千代田区外神田6-3-3
電話 03(3833)6971
結核予防会ホームページ
URL http://www.jatahq.org
本誌は皆様からお寄せいただいた複十字シール募金の益金により作られています。
複十字シール運動
みんなの力で目指す,結核・肺がんのない社会
平成21年度複十字シール
複十字シール運動は,結核や肺がんなど,胸の病
気をなくすため100年近く続いている世界共通の
募金活動です。複十字シールを通じて集められた
益金は,研究,健診,普及活動,国際協力事業な
どの推進に大きく役立っています。皆様のあたた
かいご協力を,心よりお願いいたします。
運動の輪を広げてください。シールは,はがきや,手紙や包装の封印,何にでも使えます。
問合せ:資金課 TEL03-3292-9287(直)
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● 切手にみる結核 14.結核予防キャンペーンの切手たち
岡西雅子様から貴重な切手のご紹介は14回目となり,今回は結核予防のキャンペーンのロゴが入っ
ているものや楽しい消印の入ったものを集めてみました。
①アメリカ・1954年
②ソマリア・1957年
⑤イエメン・1965年
③クウェート・1963年
⑥フランス領ソマリア・1966年
④イエメン・1965年
⑦パキスタン・1967年
⑧アルジェリア・年代不詳
*切手の下には,発行地域と発行年を記載しています
切手解説
今回は,結核予防キャンペーンのロゴが入ったものを紹介します。
①のニューヨークの消印には,かわいいクリスマスのイラストに「結核と闘おう!」の文字が印字されていま
す。子どもたちがクリスマスツリーを囲んで手をつないでいる図柄です。
②のソマリアの切手は,イタリアの植民地時代に発行されたもので,元気な赤ちゃんと看護師さんの写真に,大
きく「結核予防キャンペーン」と書かれています。この切手には,切手料金に募金額が加算されています。
③のクウェートの切手は,WHOのマークと肺のイラスト,クウェートの国旗と鳥が合体したようなマークの3つ
が並んでいます。1961年にイギリスから独立したばかりの頃です。「結核対策1963」の文字も見えます。
④と⑤のイエメンの切手は,もともと「ハンガーフリー(飢餓からの解放)キャンペーン」の文字にF.A.O.(国
際連合食糧農業機関)のマークを入れて1963年に発行されています。同じ切手に,黒い文字で「結核キャンペーン
1965」の文字を英語とアラビア語で上から印刷して結核キャンペーンに使っています。
⑥は、現在のジプチ共和国がフランス領ソマリア時代に発行された切手です。赤ちゃんと人の肺の部分と骸骨の
イラストが描かれています。一番下にはフランス語で「結核と戦おう」の文字が入っています。
⑦のパキスタンの切手は,中央に赤新月のマークが描かれています。「結核の制圧」と白抜きの文字が大きく目
立つ切手です。イスラム圏では赤新月を赤十字,複十字の代わりに用いています。
⑧のアルジェリアの切手は,顕微鏡とその顕微鏡をのぞいたときの赤く染まった結核菌のイラストとともに,子
どもから大人,そしていろいろな世代の横顔が描かれています。左下の文字はフランス語で「結核はすべての人に
危険」と書いてあります。