9.97MB - 一般社団法人 日本脳ドック学会

巻頭言
2014 年度から第4代日本脳ドック学会理事長を拝命
しました。
この度、端和夫先生のご提案により、会員の皆様と問
題意識を共有し、相互に交流を深めるために脳ドック学
会の会報を出すことになりました。
巻 頭 言
日本脳ドック学会報第1巻創刊号
小 林 祥 泰
一般社団法人 日本脳ドック学会 理事長
発刊にあたって
1.脳ドック学会の歩みと
脳ドック開設の思い出
端先生(当時札幌医大脳神経外科教授)が日本初の脳
ドック研究会を 1992 年に札幌で立ち上げられてから早
23 年が経過しました。MRI が普及し始めて、ようやく
MRA で何とか動脈瘤が見えるようになった頃でした。
超満員の懇親会場での屋台の札幌ラーメンが美味しかっ
たのを覚えています。
第5回から日本脳ドック学会となり、初代理事長に端
先生が就任され、1997 年に脳ドックのレベル向上を目
指して初めての「脳ドックのガイドライン」を作成され
ました。その後、第2代の齋藤勇理事長は 2003 年に「脳
ドックのガイドライン」改訂第2版を出版されると共に、
粗製濫造を防ぐ意味で脳ドック施設認定制度を構築され
ました。第3代の渡邉一夫理事長は施設認定制度を始め
るに当たって法人化が必要であるとの判断で日本脳ドッ
ク学会を一般社団法人化されました。また「脳ドックの
ガイドライン」改訂を言われましたが、私の不手際で第
3版は第4代目になった 2014 年度になってしまいまし
た。
端先生は当初から脳ドックで未破裂脳動脈瘤のうちに
発見して予防手術でくも膜下出血死亡を減らしたいと将
来のシミュレーションまでしておられました。10 数年
前に釧路の病院ではくも膜下出血手術が減少傾向になっ
たと報告されましたが、最近、ついに端先生の願いが叶っ
て未破裂脳動脈瘤の予防手術が増加した結果、脳神経外
科学会の統計では破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血手術
が全国で年間 1000 件も減ったそうです。
私どもが 1999 年から厚労省科研費で構築し、脳卒中
協会の中で継続してきた日本脳卒中データバンクの 13
年間の変化をみてみると、図1に示すようにまさに端先
生の予想されたように出血性脳卒中の頻度分布では明ら
かにくも膜下出血が減少しています。脳ドック学会が先
頭を切ってエビデンスを出した未破裂脳動脈瘤の発見と
予防手術の効果が認められ普及した結果と思います。
一方、相対的な変化かもしれませんが図1のように脳
出血の頻度は増加傾向にあります。40 年前に比し栄養
日本脳ドック学会報 2015 創刊号
3
巻頭言
図1:日本脳卒中データバンクにおける出血性脳血管障害の経時的推移
くも膜下出血の占める割合がこの約 13 年間に 30%から 23%へ減少傾向を示している。
(脳卒中データバンクより)
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改善と高血圧の管理で激減した高血圧性脳出血でした
たがそのきっかけは中川先生と若干違うので少し述べた
が、最近は飽食の時代でアテローム硬化症が増加したこ
いと思います。
とから、高血圧で微小脳出血を伴う例にまで抗血小板薬
私は島根医科大学病院が開設されてすぐの 1980 年に
が使用されるようになったこと、加齢と共に直線的に増
第3内科の教授と同時期に北里大学(田崎内科)から赴
加する心房細動に対する抗凝固薬の増加、そして高齢者
任しましたが、先見の明があった初代深瀬学長がこれか
のアミロイドアンギオパチーによる脳出血が増えている
らは高齢社会になり脳の研究が大事だと言って当時最先
可能性が推測されます。
端の Xe133 吸入法による脳血流測定装置を 1982 年に島
日本初の脳ドックは 1988 年3月新さっぽろ脳神経外
根難病研究所に買ってくれました。脳循環の研究をして
科病院の IADSA による未破裂脳動脈瘤検出を主とした
いたのは私一人しかいなかったので生まれて初めて触る
ドックでした。中川俊男病院長の「脳ドックにおける無
ミニコンピューターを山口修平助手(現第3内科教授)
症候性未破裂脳動脈瘤の特徴と治療」
(脳神経外科ジャー
と四苦八苦して操作してすぐ検査を開始しました。患者
ナル 4 : 341, 1995)で報告された 600 例の受診者のうち
さんの臨床検査だけでなく、これを使って脳の老化と社
IADSA と MRA 含めて 36 例(6%)に未破裂脳動脈瘤
会活動の研究をしたいと考え、近隣の老人会にお願いに
が発見され、うち 26 例に根治手術を行い良好な成績で
行き公民館で趣旨を説明して社会的に活発な方々に参加
あったという結果は大きな反響を呼びました。またくも
して貰い、対照として軽費老人ホームにお願いに行き元
膜下出血の家族歴があると頻度が 15.5%と高くなること
気な高齢者に参加して貰いました。その結果社会的に活
も示し、未破裂脳動脈瘤発見を主目的とした脳ドック普
動的な高齢者は不活発な群に比して脳血流(特に前頭葉)
及のきっかけとなりました。
が有意に高く(特に女性)、認知機能も高いと言うこと
2001 年には中川俊男主任研究者の「科学的根拠にも
が分かり国際学会でも報告しました。そして5年後島根
とづく未破裂脳動脈瘤の治療ガイドライン策定に関する
難病研究所に山陰初の MRI を入れて貰い、早速この集
研究」も行われ、私も山陰地区で疫学調査に分担研究者
団の検査を行いました。驚いたことに見かけも神経学的
として参加し、15 施設で1年間に 332 例のくも膜下出
診察上も全く正常なのに小さなラクナ梗塞が 30%以上
血入院例(24 例/年 /10 万人)が登録されました。こ
に見つかったのです。私は神経内科医として診断能力に
れは Inagawa らの(Stroke 26 : 761-766, 1995)島根県
自信を失いかけましたが、これがまさに無症候性脳梗塞
における発症調査結果よりやや高い結果でした。
だったのです。そして 5 年前の脳血流をみると無症候性
同時に脳ドックの未破裂脳動脈瘤の頻度を調査した結
脳梗塞があった群ではなかった群に比して有意に脳血流
果、11 施設(山陰の脳ドック 12 施設)で1~2年の調
が低値だったのです。これでラクナ梗塞が起こるには相
査期間中に 4355 名の受診者があり、疑い例 169 名(3.8%)
当前から無症候性脳梗塞が出来て脳血流が低下していて
で、検査精度の問題もあり中川らの報告よりもやや低め
症候性ラクナ梗塞になるのだという事に気づきました。
でした。
それなら無症候性脳梗塞のうちに見つければ脳卒中の予
無症候性脳梗塞に関しては新さっぽろ脳神経外科病院
防が出来るのではと考えてその翌年に始めたのが MRI
と同じ年の 1988 年8月に MRI による日本初の脳ドック
による脳ドックだったという訳です。MRI 脳ドックは
を私どもが大学に隣接する島根難病研究所で開設しまし
日本初だったので NHK で放送されたりして最初は東北
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発刊にあたって
から九州まで多くの受診者が来られ 1/3 は県外からでし
(default mode network 活動の能動的認知処理過程への
た。10 年間東京から夜行「出雲号」で毎年通われた元
緩衝・侵入仮設)。感情障害や認知症においても default
気な老婦人一家を懐かしく思い出します。
mode network の異常が示されており、解析方法の統一
と日本におけるデータベースの蓄積により、今後は簡便
2.無症候性脳梗塞のエビデンス
かつ高精度の脳機能画像診断法になると思われます。島
1992 年から毎年の追跡調査を 20 年以上継続してきた
普及できるようなシステムを現在開発中です。
結果、無症候性脳梗塞や高度白質障害が脳卒中の高危
すごいことに端先生、齋藤先生、太田先生はすでにこ
険群であるというエビデンスに繋がり、脳ドックにお
の最新技術に目をつけられ脳ドックに入れるべきである
ける虚血性脳血管障害の予防的意義が確立されました
と考えられておられます。
根大学の山口修平教授が専門なので脳ドックにおいても
(Stroke 28 : 1933-1939, 1997)。同時に日本人ではラクナ
梗塞を主とする無症候性脳梗塞は高血圧性脳出血のリス
クでもあることが分かってきました。このため早期から
T2* 撮像法も取り入れていたので、微小脳出血が脳出血
はもちろん脳梗塞のより重要な危険因子であることを
世界で初めて 2012 名の健常例で示しました (Stroke 42
: 1867-1871, 2011)。微小脳出血が多発性ラクナ梗塞に高
4.脳ドックの科学的臨床研究推進
(ガイドライン作成に向けて共同研究)
1)脳ドックで実施可能な簡便でプライドを傷つけ
ない認知症検査
脳ドックでの認知症検査は例え長谷川式簡易知能評価
率に合併することはよく知られており、このような無症
スケール(HDS-R)であっても心理検査に馴れた看護師
候性脳梗塞に有効性の証明されていない抗血小板薬をむ
等が必要とされ脳ドック認定施設でも全例実施は 30%
やみに投与することは脳出血の危険性を増す可能性が
以下とまだ普及していません。しかし、これからは上
あることが分かりました。また、MRI 正常な脳ドック
記の安静時 fMRI による脳機能画像が装置の更新もなく
受診者の 10 年後の再検査で無症候性脳梗塞が出現した
5分で出来る時代になり、脳機能検査が重要な時代に
群では認知機能の低下がみられることも明らかになり
なります。島根大学第3内科で開発してきた iPAD を
ました。このように島根難病研究所(現 Health Science
用いた検査:Cognitive Assessment for Dementia, iPad
Center)脳ドックのデータは脳ドックのガイドライン作
version(CADi)(Clinical Interventions in Aging 8 :
成の際の日本人のエビデンス構築に貢献してきました。
353-360, 2013)
(図 2)はこの目的にまさにぴったりです。
ヘッドホンをつけてその指示に従って画面をタップする
3.脳ドックでも可能な
ルーチン MRI を用いた脳機能画像
だけで、約5分で検査が終了します。「100-7」に答えら
れない恥ずかしさを隣の人に知られなくてすみますので
現在はさらに進んで安静時機能的 MRI(fMRI)を取
り入れて脳ドックで脳機能画像の検査も試行中で実用段
階に来ています。PET のようにアイソトープも使わず、
課題負荷もしないでわずか 5 分の安静時 MRI 撮影で脳
機能が分かる画期的な検査です。
脳は安静時活動
(default
mode network)に 95%の血流を使っており、課題遂行
時に局所的に増加するのはわずか 5%であることが分
かってきました。
Default mode network は主に大脳内側誠中部に存在
する脳システムで常にスタンバイ状態、すなわち持続
的かつ自動的に広く外界を監視しており、また内的な
思考活動に際し活動が高まることが知られています。
課題遂行時には抑制されるので、抑制されない場合に
は ADHD のような注意の中断が起こるとされています
図2:簡易認知機能スクリーニング CADi
(iPAD とヘッドホンセット)
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巻頭言
何台でも並べて検査でき、神経心理検査専門家も要りま
手術を専門としない脳ドックの診断医にとって極めて有
せん。信頼性、再現性についてはすでに各年代の健常人
り難いものです。現在作成中でこのビデオを見る前と見
2000 名以上で確認、各種認知症などのデータも蓄積し
た後で理解度やストレスが変化するかも含めて 2016 年
てカットオフ値も明確です。
度までには脳ドック学会で報告される予定です。完成し
現在、2014 年に改訂された「脳ドックのガイドライ
たら脳ドック認定施設には配布予定です。
ン」第4版から必須となった認知機能検査を全認定施設
に取り入れて貰うべく、脳ドック学会研究事業として、
認知機能検査を行っているもしくは行う予定の 50 施設
3)脳ドック標準データベース
脳ドックの科学的臨床研究推進のためにも脳ドック標
に CADi セットを無料配布して実用試験を行っていま
準データベースを活用頂きたいと思っています。しかし、
す。まだ 10 セット程度余っているので是非この実験に
脳ドックではすでに受付からデータベースまで脳ドック
参加して頂き CADi を貴施設の認知機能スクリーニング
システムを使っておられるところが多いと思われなかな
検査として活用して頂きたいと思います。ご希望の方は
か普及していません。そこで「脳ドックのガイドライン」
脳ドック学会事務局までお申し込み下さい。
2014 の 95 ページ(ホームページから閲覧可能)に1)
脳ドック問診・検査ミニマム必須項目、2)画像診断:
2)未破裂脳動脈瘤が見つかった受診者への説明ビ
デオ作成
脳梗塞診断基準と大脳白質病変、血管周囲腔拡大、微小
脳出血の Grading 一覧、3)認知機能(CADi)、アパシー
もう一つの研究事業は森田先生から提案のあった未破
(やる気スコア)、うつ状態(SDS)をつけてありますの
裂脳動脈瘤が見つかった受診者への説明ビデオ作成で
で、是非データベースにこれらを追加して頂ければと思
す。脳ドックで見つかって最も説明する方もされる方も
います。標準的診断がなければどんなに膨大なデータも
ストレスがかかるのが未破裂脳動脈瘤です。破れれば他
学術的な意義を持ちません。脳ドックは日本しかない世
の脳卒中に比し死亡率が極めて高いですが、破裂リスク
界に誇る健診システムです。是非日本脳ドック学会から
の高いものでも上手く手術等で予防治療すれば予後が極
世界一のビッグデータを発信し、端先生の当初からの夢
めてよいので、未破裂脳動脈瘤がどのようなものか、も
を叶えたいと思います。よろしくお願いします。
し手術するとしたら具体的な方法はといったことを素人
に分かりやすく説明する標準的ビデオはとくに脳動脈瘤
くも膜下 しっかり防いだ 脳ドック
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Japan Brain Dock Society Report 2015 March
Topics 01
Topics 01
トピックス①
『物忘れチェック表』
〜認知症のスクリーナーとなり得るか
(一財)富士脳障害研究所付属病院理事長
齋藤 勇
表1:MCIの定義
筆者は 脳神経外科専門医であるが、もはや外科手術
は若い世代に譲り、外来での高血圧や脳卒中再発予防な
どが主たる仕事になっている。更に、地方における脳
神経外科医に求められているのは、general neurologist
として神経内科的疾患への対応も必要になる。当院(富
士脳障害研究所付属病院)では、『物忘れ外来』を標榜
していないが、最近特に『物忘れがひどくなった、認知
症が心配』と外来を訪れる受診者が急増している。2013
年、新聞紙上に『認知症患者462万人』と発表され、マ
スメディアがその急増ぶりを喧伝した影響、更に、2011
MCI(mild cognitive impairment)
軽度認知障害
定義…
①記憶障害の自覚的、他覚的訴えがある
②記憶障害が年齢に比し、客観的に示される
③全般的認知障害は見られない
④日常生活活動は正常である
⑤認知症でない
− Petersen ら 1999 −
年から、認知症治療薬が4種類使用可能になった点も関
係していると思われる。
このような状況の下、筆者は脳ドック学会顧問の端和
更に認知症の定義は、当院の認知症患者には血管性
夫先生の要請で、2012年3月北海道脳卒中勉強会で『認
(VaD)が殆どいないため、米国のNPS-IV(1998年)
知症を考える』と題する講演の機会を頂き、以来、当院
のアルツハイマー病の診断基準2)(表2)に従い「記憶
を訪れる認知症を心配される受診者を一手に引き受け、
障害と認知機能障害のため日常の自立生活が困難になっ
その対応に当たっている。現在までに200人を超える
た状態」とした。
方々を診療してきたが、この間に、自分なりに工夫した
『物忘れチェック表』を、2012年7月より受診者の初診
時にご家族にチェックして頂き、その後の診断の一助と
2.「物忘れチェック表」
筆者が認知症が疑われる受診者を診る内に、際立った
している。 ここでは、この『物忘れチェック表』が、
症状は下記のようなものである。
『認知症のスクリーナーとなり得るか』を検証した結果
1.日常生活に支障が出る
を提示し、皆さんのご批判を仰ぎたいと考えている。
a.着替え−パンツを頭からかぶったり…
b.トイレ−トイレを汚す、失禁する
1.認知症とMCI(軽度認知機能障害)
c.整容−だらしなくなる
MCIは、Petersenの定義 に従い、「記憶障害がある
d.外出−良く知ってるはずの道に迷う
が、まだ自立した日常生活が営める状態」とした(表
e.料理−メニューが単純になり、味付けが変わる
1)。
f.買い物−同じ物を何度も買う
1)
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Topics 01
表2:アルツハイマー病の診断基準-DSM-IV-
A:次の 2 項目による多発性の認知障害が進展する
表3:「物忘れチェック表」
次の項目について、
2点、
1点、
0の評価を記入して下さい。
2点:いつもある、 1点:時々ある、0:ない
1)記憶障害(新しい記憶、記憶していた情報の想起
の障害)
2)次の認知障害が1つ以上ある:
(1)[ ] 同じことを何度も聞く、何度も云う
(2)[ ] しまいわすれ、置忘れが増え、いつも探し物
をしている a.失語
b.失行(運動行為の障害)
(3)[ ] 今日の日にち、曜日、今の季節が分からない
c.失認(対象物の見分けが出来ない)
(4)[ ] 約束の日時や場所を間違える
d.統括・遂行能力の障害(立案、組織化、配列、
(5)[ ] 慣れた道でも迷うことがある
抽象など)
(6)[ ] 今受けた電話の相手や内容を忘れる
B:上記 1)
、2)のために、社会・職業的活動の障害
(7)[ ] 昨日、一昨日にいった所、会った人を忘れる
C:認識機能障害は止まることなく進行する
(8)[ ] 同じ物をいくつも買い込
D:記憶と認知障害が他の疾患によるものでない
(9)[ ] テレビの内容が理解できなくなった
例:脳血管障害、硬膜下血腫、水頭症、脳腫瘍、
(11)[ ] 何もしないでボンヤリしていることが多くなった
甲状腺機能低下症、B12 欠乏症、神経梅毒、
(12)[ ] 身だしなみをかまわなくなった
種々中毒
(13)[ ] ささいな事で怒りっぽくなった
(14)[ ] 気遣いがなくなり頑固になった
2.行動の異常
a.お金を冷蔵庫にしまったり…
b.「お金が盗まれた」と勘違いしたり…
c.いつもやってる作業などは分からなくなったり…
d.ぼんやりして自発性が無くなったり…
しかし、これらの症状を基に認知症を診断すれば、
MCIのレベルの受診者との鑑別は容易でない。そこで、
3)
次に、溝口ら により1990に発表された『痴呆行動障害
(15)[ ] 変なものや亡くなった人が見えると云う
(21)[ ] 着替えを一人で出来なくなった
(22)[ ] トイレが間に合わない、失禁する (31)[ ] 一人で買い物ができなくなった
(32)[ ] お金や通帳の管理が出来なくなった
(33)[ ] 薬の管理が出来なくなった
以下は女性の場合
(41)[ ] 料理が上手にできなくなった (42)[ ] 洗濯機が上手に使えなくなった
尺度』を利用して、受診者のご家族にチェックして頂い
た。しかし、この評価項目が28と多いこと、4段階の評
価である事、この二つの理由から、より簡便に評価でき
3.認知症の診断
筆者の認知症診断のステップを表4に示す
る新しいチェック表を工夫したのが、今回表題に掲げた
表4:認知症診断の手順
『物忘れチェック表』 である(表3)。
このチェック表は、
①「物忘れチェック表」
1)
項目
(1)
~
(9)
:記憶と見当識に関するもの
② 本人の訴えとご家族からの症状の聴取
2)
10の 位 の 項 目(10)~(15): い わ ゆ る 周 辺 症 状
③ HDS-MMSE hybrid scale
(BPSD)
④ MRI 検査(VS-RAD)
3)20の位の(21)
(22)
:日常生活の基本動作(基本的
ADL)
4)
(31)
(32)
(33)
と
(40)
(42)
:自立生活に必要な生活動
作
(手段的ADL)で、(41)
(42)は女性の場合
物忘れを訴えて来院される方は必ずご家族と一緒に来
て頂く。一人で『最近物忘れがひどくなった』と来院さ
以上をチェック項目とした。そして、
「いつもある」
れる方には、認知症の方はほとんどおられないからであ
2点、
「時々ある」1点、「ない」0/ 空欄、として、ご
る。
家族に記入して頂いた。
1)ご家族にこの『物忘れチェック表』を記入頂く
2)これを基にご本人とご家族にチェックされた項目
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Japan Brain Dock Society Report 2015 March
物忘れチェック表
20%、項目(1)の『同じ事を何度も聞く、言う』16%、項
について内容を詳細に確認
4)
3)HDS-R・MMSE hybrd scale を、リハビリテー
目(14)の『頑固になった』が12%、項目(3)の『日、曜日、
季節が分からない』10%、などが10%を越える項目とし
ション科の担当スタッフに依頼
4)MRIのVSRADを検査、同時に脳萎縮、脳梗塞の
て、チェックされた。但し、いずれも『時々ある』程度
のレベルである。項目(15)の幻覚、基本的ADL, 手段的
有無、白質病変の有無と広がりを診断
以上のデータを総合して最終診断を行う。
ADLに関してはほとんどチェックされていない。
4.『 物忘れチェック表』の意義(有用性の検証)
② MCIと診断された受診者について
上記の診断ステップにより、2012年7月~2014年3月
MCIと診断されたグループでは、記憶、見当識に関す
に受診され、最終的にMCIと診断されたのは33人, 認知
る(1)~(7)の項目で高率にチェックされた。特に項目
症は59人である。更に、脳ドックの受診者について、こ
(2)は100%(時々ある70%、いつもある30%)、項目(1)
の2つのグループが高齢者が多いため65才以上の方50人
は75%(それぞれ27%、48%)であり、項目(4)の約束に
にこの表のチェックをして頂いた。この群は、MCIや認
関して50%を超えている。BPSDの項目は、脳ドックで
知症を含まないいわばコントロール群である。これらの
比較的に多かった項目(13)=(怒る)、(14)=(頑固)が共
データを後方視的に検討した。
に42%と高率で他のBPSDも30%を超えているが、いず
3グループの年齢分布と男女比は表5の通りである
れも『時々ある』が大半である。項目(21)、(22)の基本的
ADLが保たれている方が多いが、手段的ADLの薬、お
表5:3グループの年齢分布と男女比
〜69才
70〜79才
80才〜
脳ドック
(50) 23
(46%) 21
(42%)
男性/女性
6
(12%) 28
(56%)
/22
(44%)
MCI
(33)
3 (9%) 20
(61%) 10
(30%) 16
(48%)
/17
(52%)
認知症
(59)
7
(12%) 25
(42%) 27
(47%) 28
(56%)
/22
(44%)
この3グループについて、「物忘れチェック表」の項
目別にチェックされた割合を図1に示した。
但し、項目(6)の電話、項目(8)の買物に関しては、高
齢のため電話に出ない、買物に行かない、という方々が
多いために分析から除外した。
金の管理が困難(37%、24%)になり、女性では料理、洗
濯が時に困難が少数に(21%、10%)に見られた。
以上の結果は、MCIの定義にあるように、記憶、見当
識に困難とする人が多いが、ADLは基本的に独立して
いる事を示していると考えられる。
③ 認知症と診断されたグループ
記憶・見当識の項目はいずれも高率で、『いつもある』
が各項目で半数を超えている。BPSDの項目でも60%を
こえており、MCIではほとんど無かった項目(15)の幻覚
が37%見られたのは注目すべき点であろう。
基本的ADLでは、(21)着替えができない18%、(22)
トイレが間に合わない49%、更に、手段的ADLではい
① 脳ドック受診者について
項目
(2)
の
『しまい忘れ、置き忘れでいつも探し物をし
ている』46%、次いで項目(13)の『怒りっぽくなった』が
ずれも50%を超えているのが特徴と言える。
認知症では、「独立生活可能な手段的ADLから困難にな
る」と考えられている点に一致した結果である。
図1:3グループのチェックされた項目の割合
日本脳ドック学会報 2015 創刊号
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Topics 01
5.HDS-R・MMSE hybrid scale4)
6.MRIによるVSRAD
上記のMCIと認知症のグループは、「物忘れチェック
さらに、MRIによるVSRA5)を検査し診断の参考にし
表」を基に、hybrid scaleと次のVSRADの結果を踏まえ
ている。
て診断した結果である。
海馬とその近傍の萎縮度を測定するこの検査は、Z
HDS-R・MMSEのうち、 MMSEのMCIと認知症グ
Scoreの数値として表示されるが、考案者の松田博史教
ループの点数の分布を図2に示す。
授が『あくまで参考に』と言っている。
①仕事をしていない受診者では、日、曜日の認識があま
未発表データであるが、Z scoreとMMSA、HDS-Rの
り無い
②MMSEでは、計算の配点が5点と高く、最初の100か
ら7を引く段階でで終わるケースが多い
③MMSEの項目10から14までの「指示に従った復唱、
書字、作図」など、認知症では不正解が多い
関連は、
①Z scoreが高い程、即ち、萎縮が高度である程、
MMSEもHDS-Rも低下する傾向が見られる
②HDS-Rの方がその関連性は高く、その点数はMMSE
より3点程度低い
などを考慮し、両群のカットラインは明確には決めてい
という結果であった。VSRADが海馬とその近傍の萎縮
ないが、MMSEの内容も参考にして診断した結果であ
度をみる指標である点を考慮すれば、当然の結果と考え
る。MCI29例、認知症46例におけるMMSEの分布は図
られる。
2に示すように両群の差は明らかな結果となった。
MCIと認知症のZ scoreの分布は紙面の関係で提示し
ないが,「関心領域の委縮が強い」とされる3.0以上は、
MCI 25.9%, 認知症41.8%程度の差で、Z scoreで両者の
カットラインを設定するのは困難である。従って、海馬
およびその近傍の「萎縮が強い」、「あまり無い」の判
断にZ scoreを記載するに留めている。但し、Zscore 5.0
以上は認知症の症例にのみ5例(11.6%)に見られた。
7.『 物忘れチェック表』の総括
以上の3グループの特徴を総括すると下記のようにな
る。
①脳ドック受診者は、いわばコントロールグループであ
るが
1)置いた所を忘れて探し物をする
2)感情的になり怒りっぽくなり、頑固になる などの症状が多く見られたが、正常な老化現象としての
物忘れ、感情変化と考えて良いであろう。
典型的パターンは、項目番号を( )で示すと(○は時々
ある)、下記の様になる。
②MCIグループでは、脳ドックのグループよりも
1) 物忘れの評価項目の頻度が高くなり、項目(2)は
100%、同じ事を何遍も云う、日時・分からないや
約束を忘れる、最近会った人・行った所も忘れる、
など記憶・見当識障害が多項目に見られるようにな
図2:MMSEのMCIと認知症における分布
(24±3、19±3、p < 0.001:t 検定)
10
Japan Brain Dock Society Report 2015 March
る
2) さらに、怒る・頑固になる傾向はより頻度が高く
物忘れチェック表
なり、項目
(11)のボンヤリして、昼も寝てる傾向も
見られるようになる
3) しかし、着替え、トイレの基本的ADLが保たれて
いる方が多く、頻度は高くないが手段的ADLの薬、
お金の管理が困難になり、女性では料理、洗濯が時
に困難、などの傾向が見られるようになり、これら
は脳ドックグループにはなかった点である。しかし、
留守番が出来る、昼間一人でも問題なく自立してい
る状態である。
典型的パターンは下記の様になる(◉はいつもある)。
③認知症グループは、全ての項目でMCIグループよりも
頻度が高くなり、“いつもある” 割合が増加する。
1)MCIでは見られなかった項目(15)の幻覚が見ら
れる
2)基本的ADL、手段的ADLに多くのチェックが入っ
ている
などが特徴的で、独立生活が困難な状態である。
典型的パターンは下記の様になる。
以上、この
『物忘れチェック表』から、項目(1)~(9)の
記憶・見当識の障害に限定される受診者ではMCIレベル,
一方、項目(15)以下の幻覚やADL障害に多くチェック
されれば、認知症の可能性が高くなる、と言えそうであ
る。
更に、チェックされた項目数を3群で比較すると
①脳ドックでは、いずれも6項目以下で、チェック0が
42%
②MCIグループでは、7項目が一番多い(25%)が、
93%は9項目以下である
③認知症グループでは、73%が10項目以上
などの結果であった。
さらに、MCI、認知症に関して、チェックされた項目
を、「いつもある」2点、「時々ある」1点、「ない」
0として合計点の分布を図5に示す。
12点以下ではMCI、10点以上なら認知症の可能性があ
ると言えそうである。
図3:チェック項目の合計点
(8±4、18±8、p < 0.001:t 検定)
渉した」など、エピソード記憶の欠落のため、社会生活
に支障を来した例である。
終わりに
チェック表で記憶項目に限定され、その点数が3でも
2012年7月~2014年3月の連続症例について、後方視
認知症と診断されたケースがあるが、会社で「契約した
的に『物忘れチェック表』、MMSE, MRIのVSRADの
のを忘れた」、「価格が変更されたのに以前の値段で交
結果を集計して得た結論をまとめた。
日本脳ドック学会報 2015 創刊号
11
Topics 01
当院受診者は、認知症でも比較的初期の方が多く、
MCIとの鑑別が重要なポイントになっている。以上、
結 語
MCIは認知症の前段階で、年間10%程度は認知症に移
「物忘れチェック表」を提示し、その有用性を検討して
行すると考えられており、両者の鑑別は定義、診断方法
きたが
により異なるものである。
1)この表の(1)~(14)に、チェックが集中し、その
ここに提示した「物忘れチェック表」は、1)ご家族
数が7項目以下ならMCI
により、受診者の状態が重症と考えて、多くの項目を
2)9項目以上チェックされ、項目(15)~に複数
チェックする、また、逆のケースもある、2)高齢者の
チェックされ、「いつもみられる」が多ければ認知症が
ために「やらない」のか、「やれない」のか、ご家族に
疑われる。
良く確認する、などの注意が重要である。
という結果である。
その上で、チェックされた数、その内容から、①正
その後、脳ドックでこの表をチェックして頂いた方で
常の加齢による物忘れか、②MCIのレベルか、③認知症
認知症が疑われた例がある。
か、スクリーニング出来る可能性があると考える。
60才男性、新聞配達員、2、3年来糖尿病を指摘され
稿を終えるにあたり、図2、3の統計処理をして頂い
ている。脳ドック受診時、多くの項目にチェックが入っ
た帝京大学脳神経外科大脇和浩先生に感謝する。
ており、後日妻と一緒に来院して頂き、チェックされた
結果は下記のものである。
文 献
1)Petersen RC et al: Mild cognitive impairment:
clinical characterization and outcome. Arch Neurol 56:
303-308, 1999
妻は,「物忘れがひどい」、「トイレが間に合わな
2)高橋三郎ら(訳): DSM-IV-TR精神疾患の分類と診
い」、[実印のトラブルあった」などを話された。
断の手引き-改訂版 p76, 医学書院, 2003
VSRADの Zscore: 1.31、MMSE: 28、HDS: 26で、「こ
3)溝口環ら: DBDスケール(Dementia Behavior
れ以上進んでほしくない」という希望もあり、投薬を始
Disturbance Scale)による老年期痴呆患者の異常評価
めた。
に関する研究。30: 835-840, 1990
MCIと診断した方のご家族には、筆者が地域の新聞に
4)八尾博史: HDS-R・MMSE hybrid scale 脳ドックの
書いた「認知症の予防法」をお渡しし、食事、運動、コ
ガイドラインp30, 2008
ミュニケ―ションの重要性を説明、「動きなさい」「話
5)松田博史: VSRADホームページ、www.vsdad.info/
しなさい」と申し上げ、3~6か月後の来院をお願いし
ている。
脳ドック おかげで拾った この命
12
Japan Brain Dock Society Report 2015 March
Topics 02
Topics 02
トピックス②
頸動脈
プラーク
イメージング
東邦大学医療センター大橋病院 脳神経外科
岩渕 聡、林 盛人
はじめに
頸動脈プラークイメージングの臨床的意義は、頸動脈
狭窄率や狭窄部長の計測、プラーク潰瘍および可動性プ
ラークの有無、線維性被膜の菲薄化などの形状評価、さ
らにプラーク中の石灰化の評価および血液、脂質といっ
たプラーク構成成分の同定などの質的評価にある。特に
虚血性脳疾患と高い関連性のある不安定プラークの評価
はプラークイメージングにおいて最も重要といえる。現
在、頸動脈狭窄症に対する血行再建の手術適応および手
術方法の選択、無症候性頸動脈病変における将来の症候
予測などに様々な頸動脈プラークイメージングが用いら
れており、特に頸動脈ステント留置術(carotid artery
stenting : CAS)においては周術期遠位塞栓の発生予測、
ステント内血栓の有無の確認などに欠かせない検査とい
える。本稿では実臨床で使用されている各種頸動脈プ
ラークイメージングについて、それぞれの特徴と臨床的
意義について概説する。
1.頸部血管超音波検査(頸動脈エコー)
Fig. 1
A:hyperechoic plaque、B:isoechoic plaque
C:hypoechoic plaque
頸動脈エコーは、非侵襲的検査で簡便に施行できるこ
とから、プラークイメージングとしては最も普及してい
クと考えられ、低輝度プラークでは同側の脳卒中発生
る検査といえる。プラークの形状評価としてはプラーク
率が高いと報告されている 1)。一方、等から高輝度のプ
厚の計測、狭窄率の計測、さらに潰瘍の有無の評価が可
ラークは線維成分、石灰化成分に相当する安定プラーク
能である。さらに、リアルタイムで計測できることから
と考えられる。しかし、従来のプラーク輝度評価では
不安定プラークの要因の一つである可動性プラークや壁
結果の客観性に欠けるため、プラーク輝度を定量化す
在血栓の評価に優れている。プラークの質的評価につい
る方法として gray scale median(GSM)や integrated
ては、エコー輝度から低輝度、等輝度、高輝度に分類さ
backscatter(IB) 解 析 な ど が 報 告 さ れ て い る 2,3)。 最
れる(Fig. 1)
。一般的に低輝度を示すものはプラーク
近 で は 超 音 波 造 影 剤 を 用 い た 血 管 エ コ ー(contrast
内出血や脂質、炎症細胞の浸潤に富んだ不安定プラー
enhanced ultrasoundgraphy : CEUS)の報告も散見され
日本脳ドック学会報 2015 創刊号
13
Topics 02
る 4)。造影効果を認めたプラークでは、病理学的に新生
血管や炎症細胞の集簇、線維性被膜の菲薄化や破綻、プ
ラーク内出血認めるなど、不安定プラークを示唆する所
見が高率に認められたとの報告もあり 5)、今後不安定プ
ラークの同定に期待される。以上の様に頸動脈エコーは
頸動脈プラークの形状評価および質的評価において簡便
で有用な方法であるが、石灰化病変における音響陰影の
影響や検者の技量に結果が左右される客観性の問題があ
ることに留意する必要がある。
近年、動脈硬化のスクリーニングや脳ドックにおい
て、頸動脈エコーはルーチンに行われるようになった。
プラークスコアの高い例や収縮期最高流速(PSV)の上
Fig. 2
A:TR 500ms (120bpm)、B:TR 800 (75 bpm)
The plaque signal on T1 weighted image with 500ms of TR
(Repetition time) is higher than with 800ms of TR.
昇が見られる場合には、下記に示すような他のモダリ
ティーによるプラークの精査が望ましい。
画像の組み合わせでは、その客観性に問題があるとの指
2.MRI
摘もある。
的かつ再現性が高く、近年最も進歩、普及した検査であ
b.反転回復型高速グラディエントエコー法
る。他の検査法に比べプラークコントラストが高く、プ
(MPRAGE、IR-SPGER など)
ラークの質的評価方法としては最も有用性が高い。現在
高速グラディエントエコー(GRE)法の一種で、水
MR プラークイメージングは様々な撮像法が開発され、
励起による脂肪信号抑制と反転時間(TI)による血液
臨床現場で使用されているが、ここでは1)頸動脈を無
信号抑制を用いた撮像方法である 6)。代表的な撮像法と
信号に描出する Black blood 法、2)頸動脈を高信号に
して、MPRAGE が知られている。心電図同期 FSE 法
描出する 3D-Time of Flight(TOF)法に分けて、それ
に比べて T1 コントラストが高く、さらに 3D 撮像のた
ぞれの撮像法および特徴について述べる。
め短時間で広範囲の撮像が可能であり、スライス方向の
MRI による頸動脈プラークイメージングは、非侵襲
部分容積効果が少なく、頸動脈長軸方向など任意の断面
1)Black blood 法(BB 法)
での再構成も可能である。しかし、プラークの構成成分
a.心電図同期 fast spin echo(FSE)法
の評価においては、特にプラーク中の血液成分の検出能
高速スピンエコー(FSE)法の一種で、double IR パ
に優れている一方で、T1 値が血液成分に近い脂質成分
ルスを用いて血管内腔の信号を抑制している。また、心
の信号が抑制されるため、線維成分との鑑別には困難が
電図同期を用いることにより血管拍動によるアーチファ
伴う。
クトを抑制している。本法は MRI プラークイメージン
14
グとして最も普及している撮像法で、狭義の意味で BB
c.非心電図同期スピンエコー法
法と言えば、この撮像法を指すことが多い。しかし、こ
(RADAR、Propeller など)
の撮像法の問題として、T1 強調画像のコントラストに
スピンエコー法自体は通常の頭部の T1 強調画像と同
影響する繰り返し時間(TR)が心拍間隔に依存するため、
様の撮像方法で、これに血管拍動のアーチファクト抑制
TR が 800 ~ 1000ms 程度と T1 強調画像としては長く
のために非心電図同期であるラジアルスキャン法を用
なることでコントラストの低下を招くとともに、心拍周
い、さらに血液信号を抑制するためにプレサチュレー
期の差によりコントラストが変動する点が挙げられる
ションパルスを用いた撮像方法である。心電図同期を必
(Fig. 2)
。また 2D 撮像であるため、部分容積効果(partial
要としないため、被検者の心拍周期に依存せずに TR を
volume effect)の影響が大きく、頸動脈長軸方向の正確
設定することができ、安定した画像コントラストを得る
な評価が困難である。
ことができる。そのため、出血成分および脂質 / 壊死成
通常 T1 強調画像以外に T2 強調画像など複数の画像
分などの不安定プラーク成分と線維成分の識別感度、特
でプラーク構成成分を評価されることが多いが、複数の
異度が高いと報告されている 7)。また高いコントラスト
Japan Brain Dock Society Report 2015 March
頸動脈プラークイメージング
を利用して、専用のアプリケーションを用いることによ
3D 撮像であるため広範囲の撮像が可能であり、任意の
りプラークの組織別カラーマッピングも可能となってい
断面を再構成することができるため、頸動脈長軸方向の
る 8)
(Fig. 3)
。ただし、本法も 2D 撮像であるため、部
評価も可能である(Fig. 4)。今後プラークの質的評価
分容積効果の影響が大きく、頸動脈長軸方向の正確な評
のみならず、形状評価、定量的解析も期待される 9)(Fig.
価は困難である。
5)。
本法は近年、最も注目されている撮像法であるが、装
置メーカーにより再収束フリップ角の印加方法、画像の
コントラストが異なるため、プラークの性状の定量評価
には今後さらなる検討が必要であろう。
2)3D-TOF 法原画像
いわゆる MRA の原画像であり、汎用性の高い撮像
方法である。良好なコントラストを有し、体動アーチ
Fig. 3
A:Signal intensity ratio (SIR) color map
Red color indicates plaque consisting mainly of hemorrhagic
component.
Yellow color indicates plaque consisting mainly of lipid/
necrotic component.
Green color indicates plaque consisting mainly fibrous
component.
B:Excised specimen of carotid plaque
C:Mallory-Azan stain
ファクトも少ないだけでなく、3D 撮像の利点も有する。
MRA 画像であるため血管内部が高信号に描出され、線
維性被膜が血液信号と不安定プラークの間の低信号とし
て描出されるため、線維性被膜の菲薄や断裂の評価には
有用である 10)。しかし、血管内部が高信号に描出され
d.可変フリップ角高速スピンエコー法
(Cube、VISTA、SPACE、iso-FSE など)
3D-FSE 法の一種で、通常は 180°である FSE 法の再
収束フリップ角を連続的に可変することで良好なコント
ラストを得ることができる撮像方法である。再収束フ
リップ角を変化させることで目的のコントラストを得る
ことができ、
血管内の血流信号を抑制することもできる。
Fig. 4
Multiplanar reconstruction (MPR) allows images of vulnerable
plaque to be created from the original axial plane of iso-FSE in
either the coronal (A), or sagittal (B) plane.
Fig. 5
Volume analysis from signal intensity ratio
(SIR) color map in sagittal images of MRI;
red color (hemorrhagic component), yellow
color (lipid/necrotic component), green color
(fibrous component)..
日本脳ドック学会報 2015 創刊号
15
Topics 02
るため、高信号で描出されるプラークとの境界が不明瞭
管電圧の CT 画像を同時に撮影し、異なる X 線エネル
となり、プラークの分布の評価が困難な症例もある。
ギー帯域に対する線減弱係数の違いから物質を同定する
このように MRI による頸動脈プラークイメージング
ことができる。本撮像法を用いて物質別画像を作成する
は様々な方法が臨床の場で用いられており、今後さらな
ことにより、石灰化成分の除去が可能となる。また、将
る発展が期待される。しかし、その一方で撮像方法や評
来的には Dual Energy image を利用して不安定プラー
価方法が施設間で統一されておらず、特定の MRI 装置
クの同定も期待される。
でしか撮像できない方法もある。今後、臨床現場におけ
る有用性を高めるためにも、撮像条件の標準化が望まれ
る。
4.血管内超音波断層法
(Intravascular ultrasonography : IVUS) IVUS は、カテーテル先端の超音波探触子から送受信
3.CT angiography(CTA)
される超音波信号に基づく血管内プラークイメージング
現在広く普及している多検出器 CT(multi-detector
で、リアルタイムに血管内腔およびプラークを評価する
CT : MDCT)は multi slice CT とも呼ばれ、短時間で
方法である。画像は血管断面像イメージであるが、長
広範囲の撮影が可能であり、3 次元的画像構築が可能で
軸像の再構成も可能である。プラーク形状評価として
ある(Fig. 6)
。造影剤を用いた CT angiography(CTA)
は狭窄部を含む血管径の計測、CAS 術中におけるステ
は、狭窄率の計測、プラーク全長の評価、潰瘍形成の有
ント内への粥腫の突出の有無やステントの血管壁への圧
無などの形状評価が可能で、質的評価としては、CTA
着評価に有用である。また、プラークの質的評価とし
の原画像からプラークの Hounsfield unit(HU)を計測し、
ては、頸動脈エコーと同様のグレースケールによる評
11)
。し
価の他に、IVUS から得られた信号強度、パターンの周
かし、組識特異度が低いため、成分評価の鑑別が困難な
波数解析からプラークの構成成分をカラーマッピングす
ことも少なくない。また、CT は MRI と違い石灰化病
る integrated backscatter
(IB)
-IVUS や virtual histology
変の検出に優れているものの石灰化が強い病変では、血
(VH)-IVUS が行われている。IVUS 法は、超音波が目
管内腔の評価及びプラークの組織診断が困難となる問題
的とする構造物に反射する後方散乱波のエネルギーを
点がある。この点を克服するべく最近では Dual Energy
求める手法であるが、IB-IVUS では、プラークからの
12)
radiofrequency(RF)信号を高速フーリエ変換して求め
その値からプラークの組織診断が行われている
imaging が注目されている
。この方法は高管電圧と低
Fig. 6
A:Volume rendering (VR) image
B:Curved multiplanar reconstruction
(curved MPR, CPR) image
16
Japan Brain Dock Society Report 2015 March
頸動脈プラークイメージング
られた IB 値から fibrous(黄緑)、dense fibrous(黄)、
lipid pool(青)
、calcification(赤)の 4 色に分類表示す
る(Fig. 7)
。一方、VH-IVUS 法では、自己回帰法とい
6.18F-fluorodeoxyglucose
(FDG)
positron emission tomography
(PET)
炎症細胞はブドウ糖代謝が亢進しており、活動性のあ
う数学的手法を用いて周波数スペクトラムを解析する。
る炎症病変に FDG が集積することが知られている。そ
IB 値を含む複数のパラメーターから、classification tree
のため、この特性を利用して、近年 18F 標識 FDG をト
とよばれるアルゴリズムを用いて fibrous(緑)
、fibro-
レーサーとした PET を用いて、頸動脈における炎症細
lipidic(黄緑)
、necrotic core(赤)、dense calcium(白)
胞を豊富に有する不安定プラークを描出する報告がなさ
の 4 色 で 表 示 す る。IB-IVUS、VH-IVUS 共 に 冠 動 脈
れている 17)。PET は解剖学的情報を持ち合わせていな
においては病理組織との高い相関が報告されているが
いため、MRI や MD-CT とフュージョンさせて画像化
13,14)
する必要がある。一方、FDG の集積は狭窄部のみならず、
い病変では音響陰影をしばしば経験する。頸動脈領域で
総頸動脈や対側頸動脈にも見られることもあり、臨床的
は CEA 摘出病変と VH-IVUS を比較して necrotic core
意義についてはさらなる検討が必要である。
、血液成分の同定、分類は困難であり、石灰化の強
が過小評価されていたとの報告もあり 15)、今後頸動脈
病変に適したカテーテルや血管内超音波プラーク評価法
の開発が望まれる。 おわりに
現在、頸動脈プラークイメージングには様々なモダリ
ティーが用いられている。しかし、現状では唯一無二の
検査法はなく、それぞれの検査の特徴を十分理解したう
えで、複数の検査法からプラークの性状評価を行う必要
がある。正確なプラークイメージを把握することは、虚
血性脳卒中の予防や CEA, CAS の安全な施行につなが
る。今後のさらなる発展が期待される。
文 献
Fig. 7
A:Gray-scale IVUS
B:IB-IVUS; red color (calcification), yellow color (dense fibrous),
green color (fibrous), blue color (lipid pool).
1. P o l a k J F , S h e m a n s k i L , O ' L e a r y D H , e t a l :
Hypoechoic plaque at US of the carotid artery: an
independent risk factor for incident stroke in adults
aged 65 years or older: Cardiovascular Health Study.
Radiology 208: 649-654, 1998
5.光干渉断層法
(optical coherence tomography : OCT)
2. Biasi GM, Froio A, Diethrich EB, et al: Carotid
plaque echolucency increases the risk of stroke in
OCT は近赤外線を用いた断層法で、IVUS 同様カテー
carotid stenting: The imaging in carotid angioplasty
テルベースの検査である。解像度が 10 〜 15 μ m と IVUS
and risk of stroke (ICAROS) study. Circulation 110:
に比べ約 10 倍の空間分解能を持ち、IVUS では同定困
756-762, 2004
難な線維性被膜の評価や石灰化、脂質の同定にも優れて
3. K a w a s a k i M , T a k a t s u H , N o d a T , e t a l :
いる。従来の OCT は検査中に血球成分の除去が必要で
Noninvasive quantitative tissue characterization
あるため、近位部をバルーンで閉塞した後に低分子デキ
and two-dimensional color-coded map of human
ストランや乳酸化リンゲルのフラッシュを必要とした
atherosclerotic lesions using ultrasound integrated
が、最近では血管閉塞を必要としないタイプも使用され
backscatter: Comparison between histology and
ている。
integrated backscatter images. J Am Coll Cardiol 38:
OCT の問題点としては、シグナルの深部到達度に限
486-492, 2001
界(1.5㎜〜 2.0㎜ ) があるため、プラーク深部の評価が
4. Faggioli GL, Pini R, Mauro R, et al: Identification
困難である。CAS 時におけるプラーク性状、ステント
of carotid 'vulnerable plaque' by contrast-enhanced
内へ粥腫の突出の有無、およびステント留置後の新生内
ultrasonography: Correlation with plaque histology,
膜や再狭窄の評価に有用と考えられる
16)
。
symptoms and cerebral computed tomography. Eur
日本脳ドック学会報 2015 創刊号
17
Topics 02
J Vasc Endovasc Surg 41: 238-248, 2011
5. Hoogi A, Adam D, Hoffman A, et al: Carotid plaque
vulnerability: quantification of neovascularization on
contrast-enhanced ultrasound with histopathological
correlation. Am J Roentgenol 196: 431-436, 2011
computed tomography and histopathological
correlation. Arterioscler Thromb Vasc Biol 26: 23662372, 2006
12.Korn A, Bender B, Brodoefel H, et al: Grading of
carotid artery stenosis in the presence of extensive
6. Moody AR: Characterization of complicated carotid
calcifications: Dual-energy CT angiography
plaque with magnetic resonance direct thrombus
in comparison with contrast-enhanced MR
imaging in patients with cerebral ischemia 107:
angiography. Clin Neuroradiol Epub ahead of print,
3047-3052, 2003
2013
7. Saito A, Sasaki M, Ogasawara K, et al: Carotid
13.Ohota M, Kawasaki M, Ismail TF, et al: A
plaque signal differences among four kinds of T1-
histological and clinical comparison of new and
weighted magnetic resonance imaging techniques:
conventional integrated backscatter intravascular
A histopathological correlation study. Neuroradilogy
ultrasound (IB-IVUS). Circ J 76: 1678-1686, 2012
54: 1187-1194, 2012
14.Nasu K, Tsuchikane E, Katoh O, et al: Accuracy of
8. Narumi S, Sasaki M, Ohba H, et al: Predicting
in vivo coronary plaque morphology assessment:
carotid plaque characteristics using quantitative
A validation study of in vivo virtual histology
color-coded T1-weighted MR plaque imaging:
compared with in vitro histopathology. J Am Coll
Correlation with carotid endarterectomy specimens.
Cardiol 47: 2405-2412, 2006
Am J Neuroradiol 35: 766-771, 2013
15.Hishikawa T, Iihara K, Ishibashi, et al: Virtual
9. 岩 渕 聡、 林 盛 人、 佐 藤 健 一 郎、 他: 頸 動 脈
histology-intravascular ultrasound in assessment of
plaque imaging:1.5T MRI を用いた質的評価と定量
carotid plaques: Ex vivo study. Neurosurgery 65:
化の試み.INNERVISION 29(5):37-39,2014
146-52, 2009
10.Yoshimura S, Yamada K, Kawasaki M, et al: High-
16.Yoshimura S, Kawasaki M, Yamada K, et al: OCT of
intensity signal on time-of-flight magnetic resonance
human carotid arterial plaques. J Am Coll Cardiol 4:
angiography indicates carotid plaques at high risk
432-436, 2011
for cerebral embolism during stenting. Stroke 42:
3132-3137, 2011
17.Tawakol A, Migrino RQ, Bashian GG, et al: In
vivo 18F-fluorodeoxyglucose positron emission
11.De Weert TT, Ouhlous M, Meijering E, et al: In vivo
tomography imaging provides a noninvasive
characterization and quantification of atherosclerotic
measure of carotid plaque inflammation in patients.
carotid plaque components with multidetector
J Am Coll Cardiol 48: 1818-1824, 2006
この脳で よくぞ今日まで 無事で来た
18
Japan Brain Dock Society Report 2015 March
次回総会のご案内
次回総会のご案内
第24回日本脳ドック学会総会
【会期】2015年6月6日(土)・7日
(日)
【会場】パシフィコ横浜 アネックスホール
(横浜市)
【テーマ】予防と早期発見をめざして ~脳を守る最前線~
第24回日本脳ドック学会会長
秦野赤十字病院 病院長
高 木 繁 治
このたび、第24回日本脳ドック学会総会を平成27年6月6日㈯、7日㈰の両日にわたり、横浜市のパ
シフィコ横浜アネックスホールで開催させていただくことになりました。身にあまる光栄に存じますと
ともに、責任の重さをひしひしと感じております。
1992年の第1回総会以来、日本脳ドック学会は常に脳疾患の予防と早期発見を目指して活動してきた
歴史があります。この間、検査法は画期的な進歩を遂げましたが、未破裂脳動脈瘤と無症候性脳梗塞は
常に脳ドックの主要なターゲットであり続けました。それに加えて、いまや我が国の大きな社会問題と
もなっている認知症への対応が、脳ドック学会にあらたな重要課題を課していると言っても過言ではあ
りません。「創造性のある仕事や趣味を持つ」、「人と交わる」など認知症の予防に役立つとされ、医
療の現場でしばしば指導されてきた方法がありました。しかしこれらの方法は、理論的に考えられた
り、少数の医師や患者における経験から導かれた方法であることが多く、必ずしもエビデンスが明らか
ではありませんでした。認知症の発症機序や病態生理があきらかとなりつつある現在は、エビデンスに
基づく認知症の予防法を議論する時期、いわば認知症予防の黎明期と言えるのではないでしょうか。
24回総会では、メインテーマを「予防と早期発見をめざして ~脳を守る最前線~」といたしまし
た。特別講演とシンポジウムでは認知症をとりあげ、認知症予防のために脳ドックは何をなすべきか、
を議論する場としたいと思います。昨年(平成26年)はAlois Alzheimer(1864~1915)の生誕150周年
にあたり、24回総会の年はAlois Alzheimer没後100年を迎えます。このような記念すべき年に認知症予
防のエビデンスを議論する機会を持てることに、感慨を感じます。
やはり脳ドックの最重要課題である未破裂脳動脈瘤への対応について、また無症候性の脳血管疾患に
ついてもシンポジウムで取り上げたいと考えております。また、情報社会における脳ドックの社会的な
役割や情報管理も重要な論点と考えます。実りある学会となるよう、できるだけ多くの方々に参加して
いただきたく、心よりお願い申し上げます。横浜の地でお目にかかれることを楽しみにしております。
日本脳ドック学会報 2015 創刊号
19
前回総会の総括
第23回日本脳ドック学会総会報告
山口大学脳神経外科
鈴 木 倫 保
2014年6月6〜7日の二日間、下関において第23回日本脳ドック学会総会を主催させて頂きました。会員、役員の
皆様からのご指導とご協力のお陰で有意義な会になりましたことを、心より感謝申し上げます。
脳ドックはご存知の通り、日本で生まれた日本独自の診療形態であり、世界の予防医学をリードして多くの先進国
でも普及して行くものと考えられます。従って、本学会の役割は、この領域でより良い診断方法を確立し、不幸にも
疾患riskが発見された場合には、治療医へ上手にバトンタッチして脳を守ることにあります。一方、脳疾患には生活
習慣や薬剤による修正が不可能な病態があるため、我々の思いに反して、異常を指摘された受診者に治療のあり方
を巡って新たな苦悩が発生することも目にして参りました。本学会では、この部分に焦点を当て、主題を“診断から
治療への架け橋”
とさせて頂きました。脳ドック学会の大きな関心領域である未破裂脳動脈瘤、無症候性脳血管障害、
認知症の3領域でシンポジウムを企画し、診断医と治療医だけでなく、心療内科医、法律家も含め、それぞれの立場
で問題点を議論し、受診者主体の脳ドックのあり方について討論して頂きました。
シンポジウム未破裂脳動脈瘤では、疫学を森田明夫先生(日本医科大学教授)、疫学統計を好本裕平先生(群馬大学
教授)
、開頭術者として中山若樹先生(北海道大学)、治療後のQOLを西徹先生(済生会熊本病院)、脳血管内治療医と
して石橋敏寛先生
(東京慈恵医科大学)それぞれのお立場からのご意見を頂戴しました。
シンポジウム無症候性脳血管障害では、無症候性白質病変を冨本秀和先生(三重大学教授)、リスクファクターを卜
蔵浩和先生
(島根県立中央病院)、microbleedsを今泉俊雄先生(市立釧路総合病院)、心原性脳塞栓症を木村和美先生(日
本医科大学教授)
に最新の知見をご講演頂きました。
シンポジウム認知症では、認知症予防の考え方と方法を端和夫先生(日本脳ドック学会顧問)から基調講演を賜り、早
期診断を東海林幹夫先生(弘前大学教授)と予防的介入を大河内正康先生(大阪大学)をご講演頂きました。認知症は
脳ドックの大きなテーマになっていますが、予防的介入にはかなりのパラダイムシフトが必要であることを示唆するものでした。
人気の高い米国女優の乳癌予防手術をめぐるマスコミ報道からも、世界的に予防的手術への関心が高まっています。
これは本学会発足の主旨に通じるものであると思います。本学会では本邦で乳癌の予防的手術を行っている国際聖路
加病院乳腺外科の山内英子先生をお招きし、遺伝子診断に基づく乳がん発症予防としての手術の考え方をご講演頂き
ました。また、予防的治療にまつわる医療訴訟について棚瀬慎治弁護士にご解説頂き、医師の説明義務について理解
が深まったと思います。 2014年3月に、脳ドックのガイドラインが改訂されましたので、ワークショップとしてガイドライン改訂に携わっ
た先生方から、各領域の新ガイドライン解説としてご講義をして頂きました。小林祥泰改訂委員長(島根大学学長)を
はじめとする10名の講師に、多くの本邦と世界の最新データからの解説はとても解りやすく説得力がありました。こ
のガイドラインは脳ドックのみならず、我々の日常診療に大きく貢献
しているものと思います。
本学会では総演題数64題, 参加者約500人と非常に多くの方々に参
加して頂きました。高齢化が比類無いスピードで進み、人口が減少し
て行く本邦では、脳ドックの役割はさらに拡大して行くことは間違い
なく本学会の役割は更に重要になるものと思います。診断、治療が進
化した未来においても、本学会のテーマであった受診者、患者の苦悩
と喜びはこの学問の大切な核心です。これについて多くの先生方から
多くを学びディスカッションできたことに喜びを感じています。
20
Japan Brain Dock Society Report 2015 March
寄稿
脳 ド ック
〜 それ は 日 本 文 化固 有の
脳 検診 シス テム
(公財)唐澤記念会 大阪脳神経外科病院
名誉院長・脳ドックセンター長
太 田 富 雄
はじめに
第1回脳ドック研究会(1992年)が、札幌全日空ホテ
脳ドック外来を担当して15年になるが、端・斎藤前理
ルで開催された。当時の脳神経外科医は未破裂動脈瘤を
事長と脳ドックの立ち上げを論じていた頃を思うと、最
発見し、「転ばぬ先の杖・予防こそ最良の治療」と意気
近ではいささか様変わりしてきた。当時は、「無痛・無
込んでいたので、会場は超満員の盛況であった。事実、
害な」最新の画像検査で、たとえば無症候性脳疾患や未
小さい動脈瘤も、初期には治療の対象とすることもあ
破裂脳動脈瘤が見つかり、予防的処置をすることが魅力
り、全く正常であった患者さんにとって、時に軽い合併
的に聞こえた。しかし、最近では、ボケを心配して外来
症など発生すると、ことは深刻であった。
受診される方が大多数を占めるようになり、加齢による
この問題は、その後に発行された『脳ドックのガイド
脳や脳血管の変化を説明することが多くなってきた。
ライン』(日本脳ドック学会、2008)で、手術適応が明
確化され、一件落着した。そして脳ドック研究会から
脳ドック‐その初期の頃
脳ドックの総論・各論は拙編著『脳神経外科学』(第
11版、南江堂、2012)に、端・初代脳ドック学会理事長
が執筆しているのでそちらを見てもらうことにし、ここ
では脳ドック検診の文化的特殊性について触れてみた
い。なお、「脳ドックBrain Dock」は和製英語である
が、「柔道Judo」同様わが国文化の国際用語として使
用している。
CTやMRI・MRAなどの神経画像診断装置が、日本の
津々浦々に普及したころ、脳卒中の外科も我が国で最盛
期を迎え、破裂脳動脈瘤の手術も各病院で行われるよう
になった。そのような状況下で、まさに人生の最盛期に
くも膜下出血で倒れ、治療を受けることなく死亡すると
いう、凄惨な症例が稀ならず報道されてくる。たとえ
ば、巨人軍のコーチで、37歳の木村卓也氏が、広島松田
球場で、ノック中、突然前のめりに倒れ込み、昏睡状態
で広島大学病院に救急搬送されたが、5日後に息を引き
取った。ちょうどテレビ中継中で、私にとってもくも膜
「日本脳ドック学会」に名称変更されたころから学会も
「会員のひろば」
は
会員の方々の寄稿を掲載する欄です
第1回のみは太田富雄先生に執筆を依頼しました
が、次回(本年9月に発行予定)からは寄稿いただい
たものを掲載する予定ですので、どしどしご投稿を
お願いします。執筆要領は以下の通りです。
■内容は自由で、意見、活動報告、学術論文、宣伝、
随筆、詩歌、川柳、絵画、写真など、なんでも結
構ですが、一応、脳ドック学会報であることを意
識して下さい。
■文章の場合、字数は2千字内外、図表1、2枚程
度です。
■2015年7月末までに、Eメールで日本脳ドック学
会事務局会報係(Eメールアドレス:report@jbds.
jp)までお送り下さい。
■掲載の採否、順番などは編集人にご一任ください。
下出血発作を目前にした最初の例であった。
日本脳ドック学会報 2015 創刊号
21
寄稿
第二期に入った。
は、脳の後ろの部分(頭頂葉)から前(前頭葉)にか
け、脳の奥の中心部(視床)をも含め、張り巡らされた
脳ドック受診者への所見説明・カウンセリング総論
神経線維を介して刺激が激しくやり取りされている。ま
最近では、リュックを肩に、山歩き姿の初老の男女
た、歩くことは、我々にとって容易なことであるが、人
を、市中でしばしば見かける。子供たちも家を離れ、二
間にしかできない高等技術である。最新のロボットの歩
人暮らしとなると、気分的にも人生の終末期に入った雰
き方をみても、そこら辺の状況が把握できるだろう。全
囲気が漂ってくる。健康で長寿を全うしたい、子供や親
身の各関節のバランスを取りながら大脳・小脳を機能さ
戚の者たちに迷惑かけたくないなど、日本人の「老いの
せながら歩いているのである。脳ドック受診者には、こ
美学」が浮上してくる。各国の文化は、経済問題のよう
の三つの人間の条件を守って、ボケないようにしましょ
には決してグローバル化はしないだろう、いや、しては
うと、元気づけることにしている。もちろん、治療可能
ならないことである。
なデメンシアすなわち特発性正常圧水頭症が疑われると
健康で長寿と言えば、やはり「ボケ問題」が頭をよぎ
か、配偶者が同行し、こんなおかしなことをする、家で
る。定年前後で頭も体も従来のように使うことがなくな
はこんな風ではないという場合には、脳神経外科ないし
ると、物の名前も「あれあれ」という具合に、特に人の
神経・心療内科外来に紹介することは言うまでもない。
名前が出てこない。これがボケの兆候かと心配して「脳
一方、好ましくないカウンセリングとしては、正常と
ドック」外来を訪れる。
思われる加齢現象を、「無症候性脳梗塞がある、脳出血
このような受信者に対し、検査結果の説明および生活
の跡があるとか、海馬の萎縮が少しありますとか、大脳
についてカウンセリングする場合には、ただ医学的に正
白質が少し傷んでいますね」とか事細かに説明すること
しい説明をすればいいわけではない。日本古来の情動的
である。正常な日常生活をしている当人にとっては青天
概念を下敷きに、もののあわれ、惻隠の情(情け)など
の霹靂で、ショックのためうつ状態になり、老化を促進
をもってカウンセリングすることは必須だろう。正常範
することになりかねない。とくに初診の場合には画像所
囲の加齢変化を縷々説明したことにより、その時点では
見だけからの説明は要注意である。加齢現象が中等度ぐ
健康な人を、脳ドックを受けたことで、病人にしないこ
らいなら、日常の具合を聞き、注意点があればアドバイ
とである。多くの場合、「歳相応の変化」であろうか
スし、元気づけることが大切だと思っている。まず、脳
ら、ほとんどが杞憂であると彼らの心配事を払拭して、
ドック受診者は、普通の生活をしている人がほとんどで
喜んで帰ってもらえる配慮が必須で、むしろ、脳ドック
あるから、そこら辺を勘案して、カウンセリングするの
外来はまた来たくなる隠れ家的な存在でなければならな
が妥当だろう。
い。
脳ドックカウンセリング各論-私案
物忘れをする、気力も落ちる、根気のなくなるのも自
私の場合、認知テストなどで、正常範囲内の点数を示
然の成り行きである。健康年齢を長期間保持しようとい
す訪問者の場合、「あなたの脳・脳血管は傷みがありま
う覚悟なら、そのようなことが気になるもっと若い時か
すが歳相応なので、心配ありません」と、まず不安を取
ら、真剣に準備に入る必要があると考える。ボケは広義
り除く。そして、傷みが普通よりも少し強いと判断すれ
の生活習慣病由来の後遺症といって過言ではないのだろ
ば、「脳も体も意識して使うようにして、字を読んで考
うから。しかし、人間としての三条件、字を読むこと・
えたり、ウオーキングなど運動をしてください。」と勧
会話すること散歩することを厳守すれば、原疾患がない
めたり「年齢的に老化は急に進行しますから、喫煙はぜ
限りまずボケることはないだろう。お年寄りというの
ひ禁煙、最低限でも減煙の努力をしてください」とか説
は、毎日薄氷を踏む思いで生きている。後期高齢者に脳
明し、「その努力結果がどう出てくるか、一年後にまた
の老化度とか脳血管の傷み具合を知らせるのは最低限に
見てみましょう。」と言って再検することにしている。
すべきで、何か病名をつけ病人にし、機械的に服薬を勧
最近、“脳活ブーム”で、手先を動かすことや、ゲー
め、心配事を付加するのなど意味がない、いや老化を加
ムをするなどが流行っているが、その他に大事なこと
速させるものと思っている。今年84歳になる私からも、
は、人間しかできない字を読むこと・会話することと歩
“高齢者への応援歌”、よろしくお願いしておきたい。
くことである。文字を読み物ごとを考える場合などに
22
終わりに
Japan Brain Dock Society Report 2015 March
医 療 法 人 寿会 富 永 病 院
理事長 富 永 紳 介
脳ドック担当 小 橋 二 郎
こだわり・特徴
例中、1~2㎜前後が39例、3㎜を超える症例は10例あり、
当院は医療で社会に貢献することをモットーに、地域
内2例(Acom 10㎜とMCA 6㎜)にクリッピングを施行
の人々の健康増進や、予防医学に力を注いでいる。きた
した。1例は5㎜大で、本人の希望にて経過観察となった。
る超高齢化社会に向け、脳血管障害や認知症等の早期発
他は経過観察とした。
見に努めている。
脳卒中を含めた全身の動脈硬化とその危険因子をスク
昭和45年に脳神経外科専門病院として開設した当院
リーニングするために、頸部血管超音波検査を標準検査
は、
豊富な症例数と治療経験がある。平成5年から脳ドッ
として行っている。頭部MRIでは血管の軽度狭窄や加齢
クを開設し、以来年間1,000例余の検診数を続けている。
白質病変など動脈硬化性変化が主で、ほとんどは無症状
平成23年に脳ドック学会の施設認定を受けた。日本脳
であり、脳卒中発症への懸念を払拭すべく、進行予防を
ドック学会のガイドラインに沿って、月曜日から土曜日
重点的に説明している。脳卒中危険因子を伴うと口頭だ
まで脳の検診を行っている。3テスラMRIで詳細に検査
けでなく、報告書でも入念に繰り返し説明している。
を行い、検査結果は脳ドック検診者に不安を与えないよ
認知症やパーキンソン氏病など神経内科的疾患を疑う
う、できるだけ懇切丁寧な説明を心がけている。
場合も、富永病院 神経内科の認知症専門医への外来紹
ドック専有のゆったり寛げるスペースに、プライバ
介としている。
シーを配慮した環境を整え、専任のスタッフが検診者に
脳ドックは病院の一部門として脳神経外科・神経内科
付き添い、円滑な検査の誘導を行っている。
と相互にカルテや検査内容を共有し、冒頭に述べたモッ
トーの実現に向けた最善を常に模索、盡力している。
検査の流れ、結果報告
当日、検査の施行から面談にて全検査の説明終了まで
1時間半を目標にし、現在ほぼ達成している。一週間以
内にkeyフィルムとコピーを作成し、今後の日常生活や
医療を受けるための指針の面談、報告書を郵送する。
脳ドックのコース
①一般脳ドックコース(税込み67,000円、3回目から
62,000円))
脳疾患の早期発見と発病予防
脳動脈瘤や脳血管奇形、脳血管の狭窄、脳腫瘍など積
極的加療が適応となった症例は、原則として富永病院
脳神経外科に紹介して再検査や精密検査を行う。
脳動脈瘤に関しては平成26年、脳ドック受診総数1,178
頭部MRI(T1WI・T2WI・FLAIR・T2*)、頭部
MRA、頸部MRA
頸動脈エコー、眼底検査、身体測定、心電図(12誘
導)、血圧測定、血液尿検査
②団体契約のコース(個別交渉にて値段設定)
日本脳ドック学会報 2015 創刊号
23
一般コースに準じて、各団体の希望にて部分的内容の
変更
脳疾患関係の主な設備
3T MRI 1台、1.5T MRI 3台、320列CT 1台、4列CT
1台、手術室4室
予約・検査日
電話、インターネットなどを通じて予約
血管撮影装置2台、ガンマナイフ、手術用顕微鏡OPMI
Pentero、手術支援ナビゲーションシステム4台 など
月曜日から土曜日まで毎日
検査機器 平成26年 1年間の主な脳外科疾患の治療実績
破裂脳動脈瘤 クリッピング術30例 血管内手術3例
MR:フィリップス Achieva 3T
未破裂脳動脈瘤 クリッピング術242例 血管内手術28例
東芝など 1.5T 3台
脳動静脈奇形 摘出術45例 血管内手術14例
CT:東芝 Aquilion One 320列
ガンマナイフ12例
脳 腫 瘍 摘出術 198例 ガンマナイフ 330例
脳の影 わが人生の 刀傷
24
Japan Brain Dock Society Report 2015 March
くろき脳神経クリニック( 山 形 県 酒 田 市 )
黒 木 亮
2008年3月に山形県酒田市に無床診療所を開設し(文
でも4番目の認定施設となった。個人事業主として安定
献1)、準備が整った同年7月末から脳ドックをスター
した経営あってこその診療、脳ドックであるため、MRI
トした。開業前から考えていたことは、無床診療所でも
機種選定には様々な要素を熟慮の上、日立メディコ社製
専門性の高い診療を実施するためにMRIを装備し、自分
0.4テスラ永久磁石式常伝導型MRIを導入した。 画像診
の能力の及ぶ範囲で可能な限りきちんとした脳ドックを
断と解析をよりスムーズに綺麗に行うため、PACSとし
やる、ということであった。
てMac上で動くOsiriXを導入し(図1)、2次元および3
脳ドックの開始に際して検査項目・内容や料金は「脳
次元画像解析、特に volume renderingを施した3d-MRA
ドックガイドライン2003」に準拠して決めた。最も検
を 全 例 で 作 成 し て、 ① 元 画 像、 ②MIP像、 ③3d-VR
査項目の多いAコース(問診、診察以外に脳MRI、脳
MRAの3つをすべてチェックして診断するようにした
MRA、頸椎MRI、頸部MRA、頸動脈超音波、脈波図、
(文献2)
。検査結果は、受診当日説明できるもの(画像
頭部・頸椎・胸部X線撮影、心電図、血液検査、認知精
中心)は必ず直接面談し説明を行っている。その後、す
神機能検査)は税別で68,000円、以下Bコース43,000円、
べての検査結果をプリントし、受診者が二次利用可能な
Cコース36,000円、Dコース28,000円として始めた(コー
ように頸動脈超音波なども含めた画像データはDICOM
スと検査内容はクリニックのHP参照 http://kuroki-nc.
III準拠とjpeg画像で一枚ずつCD-Rに保存し、結果の説
jp/index.html)
。 2009年から始まった日本脳ドック学会
明や今後のアドバイスとともに一つのファイルにして受
の施設認定制度に申請し、山形県内で第1号、東北管内
診者に送付している(図2)。
図 1: 脳ドック 検 査 項 目 の 例。 脳 MRI は、T2-WI、T1-WI、
FLAIR、T2*WI、DWI、STIR-Cor(海馬条件)の6つ、脳 MRA
は TOF による 2d-MIP と 3d-VR MRA。この他、頸椎頸髄 MRI、
頸部 MRA、頸動脈超音波検査などを施行している。
図2:脳ドックレポート、プリントと CD-R をファイル化
日本脳ドック学会報 2015 創刊号
25
庄内地方という同じ診療圏内には、専門医もおらず画
像診断のエキスパートも居ないものの「MRIがあるので
脳ドックをやっている」という施設がいくつか存在する。
それらの施設で脳ドックを受けた方が、
「わずかな異常
を認めるが心配ありません」という文書を見て心配がつ
のったり、
「脳血管にわずかな膨らみを疑います。精密
検査をお勧めします。」という結果をもらって不安感いっ
ぱいで当院を受診されるというケースは珍しくない。脳
ドックは自由診療であり、すでに大口の団体と契約して
いるこれらの
「非認定」脳ドック施設と良い意味で競いな
がら、現時点では庄内地方で唯一の「認定施設」としての
信頼性を徐々に浸透 していくしかないと考えている。
これまでに未破裂脳動脈瘤、無症候性脳梗塞、無症候
性脳動脈高度狭窄、髄膜腫、ラトケ嚢胞、頸動脈プラー
クなどの有所見者を発見し、治療またはフォローアップ
を行っている。我が国における脳ドック発祥のきっかけ
図 3:インターネット病病・病診連携システム「ちょうかいネッ
ト」。GDC による未破裂脳動脈瘤治療を施行し、一旦消失した瘤
が後にわずかに描出されるよう になってきたため、当院 MRI だ
けでなく治療実施病院での造影 3dCTA や MRA を閲覧して情報
を共有しフォローアップを行っている。
とも言える
「脳動脈瘤」の診断および治療には、悲惨な破
裂脳動脈瘤によるクモ膜下出血症例を経験し、破裂例、
であるため、最新のMRIの描出能力には当てはまらな
未破裂例ともに根治手術を多く経験した脳神経外科専
い。脳ドックで発見される最も大事な疾患と言える未破
門医としての強い思いと責任感を持って対応している。
裂脳動脈瘤は、治療対象となりうるのは径4㎜以上のも
UCAS Japanなどのデータから、すぐには治療の適応な
のである。当院の0.4T機でも最新のアプリケーションと
しと判断した未破裂脳動脈瘤は、保険診療で適切なフォ
MRA検査の条件設定によって、2㎜以下の小さな脳動
ローアップMRI、MRA検査を行っている。治療対象と
脈瘤も十分に描出出来、OsiriXで作成する3d-VR MRA
判断した症例は、地域中核病院や大学病院の脳神経外科
の活用によって診断能力は十分なものと考えている。
と緊密な連携を取り、開頭手術、血管内治療、経過観
今後は、個人の脳ドック受診だけではなく、無理のな
察の中から最善と考えられる対応を取っている(図3)。
い程度に団体の脳ドック検査の契約を結び、信頼に足る
酒田地区で始まり庄内地方に拡大している「ちょうか
水準の保たれた脳ドックを当地方に浸透すべく微力なが
いネット」というセキュリティ面の確保されたインター
ら努力を続けていきたいと考えている。
ネット患者情報連携サービスを利用し、紹介した手術施
行病院で受けた造影3dCTAやMRI、MRA検査を、自院
参考文献
のパソコン上で閲覧して、有所見者、要治療患者のフォ
1:黒木 亮
開業医奮闘記「私が開業医になったわけ
ローアップを行っている(図3)。
〜大学勤務医から開業へ〜」その①、その②、その③、
「脳ドックのガイドライン2008年」や2011年刊行の日
脳神経外科速報 Vol.19(6); 708-711, (7); 828-831, (8); 950-
本医師会雑誌特別号「画像診断update」には、MRAを作
955, 2009
成する上においてMRIの静磁場強度は1.0T以上が必要と
2: 黒 木 亮「 永 久 磁 石 型0.4Tオ ー プ ンMRI装 置
か、1.5T以上を推奨するという文言が見られる。しかし、
APERTO Inspireを用いた脳ドックの経験」、MEDIX
元となった論文は2000〜2003年頃のもので、1990年代の
Vol.55; 14-18, 2011
MRI装置によって得られたデータの解析から論じたもの
だいじょうぶ ボケではなくて 年のせい
26
Japan Brain Dock Society Report 2015 March
「ボケ防止」の宝箱
=
“脳は性なり”
“性は脳なり”
熊本悦明 著
≪男は何故女より短命か―実業之日本社:2013 年≫より
―“認知症・うつ”の予防を巡って―
日本メンズ・ヘルス医学会理事長・札幌医大名誉教授(泌尿器科学)
熊 本 悦 明
男性ホルモン学からのご挨拶
ち、ここでは、主として男性ホルモンとの関連で、話を
脳
実はこの論文、親しくさせていただいている、脳ドッ
外科の先生方に“性”を語るのは大変恐縮ですが、
実は 45 年前、小生が札幌医大泌尿器科教授に赴
進めさせていただきます。
ク学会の端和夫先生にお会いしたおり、先生から、今や
任して間もなく、教室員の学位論文テーマに、
“性は脳
長寿化時代、我々を含めて、健康長寿になっても認知症
なり”のアイディアで、脳の研究をせよと指示した所、
になるのは困る、それを予防することが今後の脳医学の
何故、泌尿器科医が、脳を研究するのですか?と皆から
大きなテーマでではないかというご意見が出たので、小
かなり反発された思い出があります。今回は、脳研究の
生が、我が専門の分野では、認知症やうつの予防治療に
専門家方に、その反対の“脳は性なり”と題して話をさ
男性ホルモンが有効という研究がありますよと申し上げ
せていただきますが、この様なやや思いもかけない発想
た所、ぜひそれを書くようにとのお話しをいただきまし
を思い巡らして行くと、興味ある思考の転換や新しい医
た。それでこの論文のペンをとることになった次第です。
学の扉が開けるのではないかとの思いがしておりますの
ぜひ、最後まで読んでいただけると幸甚です。
で、あえてこのようなタイトルにいたしました。
ただ、一つだけ付け加えさせていただきますと、“性”
と云えば、世の週刊誌ボケの市民の方々は、すぐいわゆ
る、Sex を思い浮かべられると思いますが、医学的には
“性”とは、もっと広い意味があります。性とは、性ホ
男性ホルモン(性)は脳のコントロール下にある
説
明するまでもなく、性腺から分泌される男性ホル
モン(テストステロン)は脳の間脳―脳下垂体か
ルモンが創り出す“男女の性のすべて”を指していると
ら分泌されている性腺刺激ホルモンでコントロールされ
理解していただきたい。
ており、また副腎からの弱男性ホルモン(DHEA)の分
ただ小生は男性医学を専門にし、日本メンズヘルス医
泌も同様に下垂体支配下にあります。しかも女性ホルモ
学会の理事長もしておりますので、男女性ホルモンのう
ンさえも、男性ホルモンから創られるので、男の性のす
日本脳ドック学会報 2015 創刊号
27
「ボケ防止」の宝箱
べては、脳あってこそ存在し動いているといえるわけで
の基本的なエンジンオイルであることは今や医学的に認
す。
知されてきているといえましょう。
脳は性のシンボルである性ホルモンを創り、また逆に
では、その男性ホルモンは、男性の形成・機能、さら
性ホルモンに支配されているのです。正に脳は性そのも
には男の性に何をしているのか?という事になります。
のであり、また性は脳なりといえるのです。脳の性差は、
男性ホルモンは、胎児期に、まず女の形態から男の形態
人間日常生活上の大きな問題点であるばかりでなく、各
を創り出し、さらに男としての筋・骨格の発達、次に男
種の生理作用における男女差として医学的な問題を孕ん
の脳の生理の形成など、男の全てにかかわるすべての形
でいるといって過言ではありません。しかもその性差を
成発達に関与しているわけです。さらに生まれてからも、
創る基本の性ホルモンが加齢で減退して行くことにより
詳しく説明する余裕はありませんが、男性ホルモンは男
生理的変化や健康障害を生じているのですが、そこにも
としての日常生活の行動活性の源でもあり、男そのもの
性差があるわけで、長寿化時代の医学的問題点になって
総ての根源ともいえます。
来ているのです。そして性ホルモン低下は身体だけでな
そこで例えば、テレビなどで人気の草食系男子達が、
く脳の機能にもかなり影響を与えています。
血中テストステロン値がかなり低いことが明らかになっ
ていますし、また加齢長寿の男性が、次第に優しくなっ
男性には女性と違って閉経というエピソードはありま
てくるのは、年を取り経験豊かになり角が取れてくるの
せんが、男性においても、男性ホルモンが低下してくる
ではなく、正に男性ホルモン低下が裏にあることも証明
と、健康医学上の問題をかなり惹き起こしていることが、
されております。然もありなんというところです。
最近の長寿化時代に対応した男性医学で臨床的に明らか
一方女性でも、
卵巣で男性ホルモンが先ず出来てから、
になってきています。しかもこのストレス過剰時代、ス
女性ホルモンに転換されるので、女性でも男性ホルモン
トレスが多い生活環境にある男性はそれによる男性ホル
を男性の 10 分の 1 ほどは持っており、それが女性の活
モン低下促進が加わり、しかも男性は女性よりストレス
性力の源となっているのです。若い女性で気が強く日常
に対して感受性が高いため、かなり辛い思いをしている
積極的な方は、胎生期に母親から受ける男性ホルモンの
のです。
量がすこし多いので、脳がやや男性的になっているので
ストレスと加齢現象が重なることは、男性の男性ホル
す(その為、人差し指/薬指比が小さくなっている)。
モン低下現象をより顕著にし、臨床症状も目立つように
また生後男性ホルモンが多めの女性は、やはり気が強く、
なるわけで、それが最近男が弱くなっているという風評
行動力があり生活活性度も高いことも明らかになってい
が一般化して社会的問題になっている理由ではないで
ます。
しょうか?加齢男性にとって、これには医学的にしっか
そして興味深い事は、女性が閉経後女性ホルモンが急
りした対応が必要ではないかと感じています。
低下しても、卵巣や副腎からの男性ホルモンはあまり低
男性ホルモン低下問題も色々ありますが、最近特に注
下しないので、体内での男性ホルモンの割合が高くなる
目されているのは、血管系や代謝系への男性ホルモンの
ため、鼻下に薄いながら髭が生えてきたり、性格的にか
影響でしょう。ところがその事実が単に仕事疲れからと
なり気が強くなってくるはご存じのはずです。年配の夫
受け取られ勝ちで、社会的には勿論、医学界からでさえ
婦では、夫は男性ホルモン低下で気が弱くなり、妻が気
も、重要な内分泌学的問題という視点から注目がされて
が強くなるので、高齢夫妻の力関係が若い時と逆転する
おりません。それが男性医学者として不思議でならない
というのは、日常的ではありませんか?
ところです。
このように男女とも、気質・性格と男性ホルモンとの
関係は、話せば尽きないほどのエピソードがあり、改め
てここに説明することもないほど多種多様であるのは御
存じのはず。また、女性ホルモンはオキシトシンという
愛情ホルモンと関係していることも最近明らかになりつ
28
血管系障害の問題点
性
ホルモンには注目すべき生理作用として強力な血
管保護作用がありますが、女性ホルモンであるエ
つあります。
ストロゲンに著明で、テストステロンはその作用が多少
このように男女を通じて、人間の日常生活活性の源と
劣ることが知られています。このことから、女性では動
云える男性ホルモンは、思春期で上昇し、成人期の生活
脈硬化が少なく、たとえ閉経後エストロゲンが急減して
Japan Brain Dock Society Report 2015 March
「ボケ防止」の宝箱
も、かなり保護作用が長く維持されています。一方、男
テストステロンの血管保護作用が低い事から、各種血
性では相対的に動脈硬化が強くなっているため、テスト
管障害が女性より男性に高率に発生し、心筋梗塞や脳梗
ステロンが下がり始めてその血管保護作用が低下する
塞が男性に多くなっているのです。また、脳梗塞後の寝
と、ますます動脈硬化が進行してくるのです。
たきりの介護老人が女性は 2 割なのに男性が 4 割強なの
そのため、平均高血圧発症率は男性が女性より 10 年
は、そこに原因があるのをご存知でしょうか?
も早いことが証明されており、男性は 50 ~ 80 歳の間で
早朝勃起減退と脳血管障害との関連性を、この論文の
の心筋梗塞・脳梗塞発症が、女性よりかなり高頻度にな
タイトル“脳は性なり”と共に思い起こしていただけた
り、平均寿命も女性より数年も短くなるという、大きな
ら、論文を書いたものとして望外の幸せです。
性差が生じているのです。
テストステロンが血管壁平滑筋を弛緩させる nitric
さらにいうならば、そのような動脈硬化は“うつや認
oxide(NO)を産生させているのですが、ストレスや加
知症の発症”も繋がるのです。勿論これには脳の血行障
齢でテストステロン低下が起きると、その NO 産生能が
害のみでなく、ここで詳しく解説は出来ませんが、テス
落ち、動脈硬化を来すことになるのです。その上、テス
トステロンにより脳で産生されるセロトニンやドーパミ
トステロン低下で脂肪代謝障害も進みますので、脂肪沈
ン、さらにはアセチルコリンなどの産生低下も加わり、
着も加味されさらに動脈硬化が進行することになる。要
それらが加味されて、うつや認知症が生じる背景がうま
するにテストステロン低下がかなり動脈硬化を進行させ
れることになると考えられております。今やアルツハイ
ていることが明らかになっています。
マー病さえもが、テストステロン低下が影響ありとされ
る糖尿病の進んだ形、 第三糖尿病といわれる時代となり
動脈硬化は細い血管から進行します。注目すべきは動
つつあり、男性ホルモン減退の及ぼす健康問題がいかに
脈径は陰茎が 1 ~ 2㎜、心臓 3 ~ 4㎜、脳 5 ~ 6㎜、大
広範な病理学的意義があるかを理解していただきたいと
動脈 7㎜以上なので、動脈硬化が一番細い陰茎血管から
願っております。
始まり、初期症状として勃起障害が始まることです。
勃起というと、ほとんどの方は性交時の勃起障害しか
思い起こさないのですが、医学的には勃起障害は“男の
生理”である“夜間レム睡眠時勃起やその最後の覚醒時
の早朝勃起”の無意識勃起の障害から始まります。男性
代謝系の問題点
男
性では加齢により過剰カロリーが内臓脂肪蓄積を
おこし、いわゆるメタボリック症候群、肥満、高
学の立場からいえば、いわゆる ED と云われる性交渉時
血圧、糖尿病、さらにうつ、認知症、アルツハイマー症
の勃起障害などは心理的な影響もあって不確実なもの
などが進行することが今や問題視されるようになってき
であり、男の生理としての勃起が非常に重要なのです。
ています。これらも前述の血管系障害を増悪させている
これを中心に男の生理を考えねばなりません。それで、
問題点といえます。
小生は、男性ホルモンで支えられている“NO, nitric
これらの予防のためといって、近年、栄養管理学に社
oxide(NO)なくして、YES(男の生理としての勃起・
会的関心が高まり、啓蒙活動が展開されていますね。し
早朝勃起)なし”と主張しています。
かし、女性の更年期後の女性ホルモン低下が代謝障害に
強く影響があることは注目されていますが、男性にも男
男の生理の減退が進むと、さらに心筋梗塞・脳梗塞へ
性ホルモン低下現象が存在し、その影響で発症が促進さ
と進んでいくのです。脳ドックで脳の血管障害を見つけ
れていることは、医学的に無視されているのは不可思議
てそれを問題にされる脳外科の先生方も、特別の例外を
といえます。代謝学者の男性ホルモンの知識が乏しいの
除いて、そのような男性症例で、早朝勃起・夜間レム睡
ではないかとさえ思っております。
眠時勃起障害があることはチェックされておられないと
思います。さらに、その前提として、血中テストステロ
ここまで取り急ぎ“脳は性なり”の解説ですが、最近、
ン低下が背景にあることを理解して、遊離テストステロ
“うつや認知症”が男性ホルモン低下と関連深いことが
ン測定をされておられるでしょうか? それがこの論文
知られてきており、その点を少し詳しく解説しておきた
のタイトルの“脳は性なり”と申し上げている1つの理
いと思います。
由なのです。
日本脳ドック学会報 2015 創刊号
29
「ボケ防止」の宝箱
うつ・認知症の問題
気・元気さ”が出て来て 日々の生活に活性力が復活し
40
~ 50 才代でストレスや加齢でテストステロン低
下が起きると、男性更年期障害が発症し、かなり
脳の活性度と男性ホルモンとの関連性の高いことは、注
の頻度でうつ症状が合併してきます。そのような症例を
中高年男性における男性ホルモン補充の意義が高いこ
一般臨床で内科・心療内科や、さらには精神科で“うつ
とは、かなり証明されてきていると言っても過言ではな
病”
と診断し、
精神安定剤や抗うつ剤を投与されてかえっ
いと感じております。まだ現時点では生物学的指標を用
て症状を悪化させることが少なくないのです。ことにテ
いて証明されてはいませんが、男性ホルモンが成年期の
ストステロンの低下が非常に小さくてもうつ症状がでる
心身の活力を保持し、車のエンジンオイル的役割をして
ことがあるのも明らかになってきているので、男性学的
いることを示唆していると感じています。 たことを語ることです。体力や体調改善ばかりでなく、
目すべきことと感じています。
には大きな問題点です。
これは、テストステロンにより脳で産生されるセロト
ニンやドーパミン、さらにはアセチルコリンなどの産生
低下が背景にあると考えられており、事実それらの症例
にテストステロン補充を行うと、ほとんどの症例で快癒
男性ホルモン低下のチェックを如何にするか?
で
は最後に、男性自身が気付き難い体内の男性ホル
モン低下を、いかにして自己チェックし予防治療
することは、小生の臨床経験からも確信が持てる事実で
に結びつけうるかを考えてみたいと思います。
す。
やはり“脳は性なり”というように、生き物の根源で
ある“脳“はもう 1 つの生き物としての基本生理である
更年期年代での“うつ”ばかりでなく、熟年期障害や
“性”に、自らの端的な表現をしています。つまり女の
より高齢の更年期障害での“うつ”も、後述する認知症
生理として“月経”
、男の生理として“夜間レム睡眠時
との関連もあるのですが、テストステロン補充で、かな
無自覚勃起・早朝勃起”として、男女ともに、
“脳―成人・
り改善出来ることも事実なのです。
生き物を支える性ホルモンの連携の生物学的表現”であ
高齢者のうつには男性ホルモン低下のみでなく、代謝
る“性の生理”に端的にその状況を自己表現しているの
障害や遺伝子の障害も加味されることはあるにせよ、テ
です。その機能の乱れは、月経不全、早朝勃起減退という、
ストステロン低下との関連分析は現代の医学では未開拓
極めて単純ながら、解り易い自己表現により、主人にサ
の分野であり、これからの内分泌学と脳機能障害進行と
インを示し警告を出しているといえます。残念ながら、
の医学的研究が強く望まれるところではないでしょう
女性医学に後れを取っている男性医学は、その重要なサ
か。
インの意義をしっかり認知できていなかったわけで、医
学生理学の教科書にも未だ記載が無いのが残念でなりま
次に、認知症とテストステロンとの関連性ですが、テ
せん。
ストステロン低下で、海馬や側坐核の扁桃体でのスパイ
そこで細かいことは省略して、中高年男性が、その重
ンの数が減少し、その大きさが縮小することが明らかに
要な自己サインである早朝勃起減退に気付いたら、まず
なってきています。認知症と低テストステロンとの関連
夜間レム睡眠時勃起状態のチェックと、男子医学の基本
性が高いこと、さらにその認知症に男性ホルモン投与す
である男の生理の裏にある血中テストステロン、具体的
ると有意に改善するという臨床報告が、東大老年科グ
には生物学的に有効な遊離テストステロン測定を医師と
ループから報告されています。その理由はテストステロ
しては勧めねばならないといえます。
ンが NO 産生を増進し血流を良くしたことに、脳のドー
具体的には、極めて簡単に、誰でも家庭で出来るエレ
パミン、セロトニン、アセチルコリンなどの産生増進が
クトメーターを用いての睡眠時での勃起度チェックと血
加わったことであると考えられています。
液採取によるホルモン測定をしていただければ、一応の
医学生理学的に必要な所見が出るわけで、中高年男性を
30
継続的な数ヶ月にわたるテストステロン補充が、うつ
診療される、内科・外科を問わずすべての医師方が、日
や認知症の改善につながることは、臨床的に意義深い事
常臨床で実施可能な検査なので、是非試みていただきた
ですが、日常のメンズ・ヘルス外来で経験している一番
い検査と強調しておきます。
興味深いことは、治療を受けている熟年男性方が“やる
現在、医師であれば、女性を診察する際月経について
Japan Brain Dock Society Report 2015 March
「ボケ防止」の宝箱
質問するのが常識であるように、男性を診察するときは
験しておくべきものと確信しております。それよりなり
早朝勃起の質問をするのが当然の常識でないのが不思議
より、かならずご自身の健康医学のためにもなりますの
でなりません。それをいうとほとんどの医師が笑って、
で、お勧めいたします!
そんなこと、と反応するのが現在の男性医学啓蒙・普及
の遅れの結果なのかも知れませんね。
ぜひ男性の健康管理の立場から この常識を少なくと
も医学界に一般化したいものと願っております。
テストステロン低下で早朝勃起が気付かれなくなって
いた中高年男性方が、毎日、若い時のようにしっかり早
まとめ
“脳
は性なり”とは、脳の生物学的な基本的機能が
性と直結しており、お互いに支配し支配されて
いる関係にあるということを男性学の立場から話を進め
朝勃起を気付くようになった時の喜び方、いうならば男
てまいりましたが、男の“うつや認知症”の裏に男性ホ
としての“rivitalization の自覚”は、医師でも若い方に
ルモンが深く関与しており、また脳の血管障害の裏にも
は恐らく理解できないこと。それで支えられていた男の
男性ホルモン低下が強く関与している事をご理解戴けた
深層心理での生物学的な自信につながる、心理学的表現
ら幸甚です。女性問題でもほとんど同じような事象があ
で言えば、正に自己実現:self-actualization といえるほ
るのですがそれは省きました事を御了承ください。
どのエピソードといえるのです。これは具体的な性生活
尚、この問題に、もしも少し調べて見たいというご関
とは別のレベルの、男の基本的な心理といって過言では
心を持っていただけたら、勝手ですが、小著≪男は何故
ありません。もしすでに早朝勃起を気付かなくなってお
女より短命か―実業之日本社:2013 年≫を参考にして
られる先生方がおられたら、ぜひこの復活を経験されて
いただけたら幸甚です。
得られるこの心理を、患者の為にも、医師として是非体
いままでの 暮らしを悔やむ 脳の影
日本脳ドック学会報 2015 創刊号
31
森田明夫、UCASⅡ研究者グループ:
未破裂脳動脈瘤
UCASⅡにおける未破裂脳動脈瘤治療成績:中間報告 日本における未破裂脳動脈瘤治療の現況とスタンダード
の追求
杏林大学脳神経外科
脳卒中センター
塩川 芳昭
脳外誌 20: 484-490, 2011
日本における未破裂脳動脈瘤治療の現状を把握するた
めに2006年から31施設で開始された前向き研究(UCAS
Ⅱ)の中間報告で、治療は558例(開頭術81%、血管内
治療19%)に施行され、重篤な合併症(modified Rankin
脳ドックに関わる人が読んでおいたほうがよいと思わ
scale 2以上の低下)が25 例(4.5%)
、MMSE の24点以下
れる未破裂脳動脈瘤に関する論文として、日本人の未破
への低下を含めると5.3%であった。治療予後はサイズ、
裂脳動脈瘤に関連する以下の三論文をとりあげた。
部位、クモ膜下出血既往により有意に影響されたが、
SF-8、SF-36、EQ5D で測定された生活の質は術前後に
Sonobe M, et al:
大きな変化は認められなかった。
Small unruptured intracranial aneurysm verification
study: SUAVe Study, Japan.
Stroke 41,1969-1977, 2010.
小型未破裂脳動脈瘤は本当に破裂しにくいのかを作業
仮説として全国の国立病院等で2000年9月から開始され
cerebral small vessel
disease
た5㎜未満の未破裂脳動脈瘤の前向き観察研究で、調査
三重大学神経内科
された448動脈瘤
(374症例)のうち観察期間内に7名でク
富本 秀和
モ膜下出血が発生し、全体の年間平均出血率は0.54%(単
発瘤症例で0.34%、多発瘤症例で0.95%)であった。観察
期間が長くなると動脈瘤の年間の破裂率は低下するこ
と、破裂にかかわる独立危険因子は年齢50歳未満、動脈
Wardlaw JM, Smith EE, Biessels GJ et al,
瘤径4㎜以上、高血圧、動脈瘤の多発性であること、ま
Neuroimaging standards for research into small
た動脈瘤の増大にかかわる独立危険因は女性、動脈瘤径
vessel disease and its contribution to ageing and
4㎜以上、動脈瘤の多発性、現在の喫煙であることなど
neurodegeneration.
を明らかとした。
Lancet Neurol. 2013 Aug; 12(8): 822-38
白質病変や血管周囲腔の拡大は脳ドックでは高率に
The UCAS Japan Investigators:
みられ、ラクナ梗塞など他の脳小血管病との鑑別は最
The natural course of unruptured cerebral aneurysms
も頭を悩ますものの一つである。本総説は脳小血管病
in a Japanese cohort.
に関するSTandards for ReportIng Vascular changes on
N Engl J Med 366: 2474-82, 2012
nEuroimaging(STRIVE)の記載を基に、脳小血管病の
日本脳神経外科学会が2001年から行った未破裂脳動
所見相互の鑑別のポイントや病態を神経画像の立場から
脈瘤の自然経過を調べる全国規模の前向き観察研究
詳細に述べている。特にmicrobleeds、脳萎縮などの用
(UCAS Japan)の報告で、調査された成人5720名(6697
語を厳密に定義しており、是非一度目を通していただき
動脈瘤)
において、観察期間内に111名でクモ膜下出血が
たい。
発生し、全体の年間平均出血率は0.95%、出血のリスク
は瘤の大きさ、場所
(前交通動脈、後交通動脈)
、形状(不
Pantoni L,
整形)に影響されることを示したものである。日本人の
Cerebral small vessel disease: from pathogenesis and
未破裂脳動脈瘤の自然経過に関するマイルストーンとな
clinical characteristics to therapeutic challenges.
る論文といえる。
Lancet Neurol. 2010 Jul; 9(7): 689-701.
本来、脳小血管病は脳小血管のそのものの病的変化を
32
Japan Brain Dock Society Report 2015 March
意味し、その代表的は高血性脳小血管病とアミロイド血
焦点を当て、最新の研究報告からのエビデンスを紹介し
管症である。しかし、これらの病理学的変化は神経画像
ている。
で直接捉えることは現在でも困難であり、通常は病理変
化の結果生じる実質の変化を脳小血管病と呼称すること
Park JH, et al.
が多い。Pantoniは脳小血管病を6つに分類し、その結
Pathogenesis of cerebral microbleeds: In vivo imaging
果生じる神経画像や臨床症状の特徴について概説してい
of amyloid and subcortical ischemic small vessel
る。これらの知見は将来の臨床治験において重要なサロ
disease in 226 individuals with cognitive impairment.
ゲートマーカーとなることが期待される.
Ann Neurol. 73: 584-593, 2013
MRI上の脳小血管病病変とアミロイドPETで判定し
Klarenbeek P, van Oostenbrugge RJ, Rouhl RP et al.
たアミロイド沈着の観点から、脳微小出血(MBs)の成
Ambulatory blood pressure in patients with lacunar
因について認知障害患者において検討した研究である。
stroke: association with total MRI burden of cerebral
深部型MBsは脳小血管病と関連しており、白質高信号
small vessel disease.
域の拡がりおよびアミロイド血管症は脳葉型MBsと関
Stroke 2013 Nov; 44(11): 2995-9
連していた。さらに脳葉型MBsの増加にはアミロイド
脳小血管病の管理においては高血圧が最も重要なリス
病理と小血管病の両者が関与していた。
ク因子である。脳ドックで脳小血管病を高度に認めた場
合には血圧管理の指導が極めて重要であるが、本研究は
Oishi K & Lyketsos CG.
その指導に関して貴重な情報を提供している。無症候性
Alzheimer's disease and the fornix.
脳梗塞、白質病変、Microbleeds、血管周囲腔の拡大の
Front Aging Neurosci. 6: 241, 2014.
総負荷を示す脳小血管病負荷スコアと24時間血圧の間に
アルツハイマー病(AD)の画像診断には大脳皮質病変
は関連があり、リスク管理において24時間血圧や家庭血
が重視されていたが、最近白質病変にも注目が集まって
圧に注意する必要が改めて示されている。
いる。脳弓は辺縁系回路の一部を形成する神経繊維束で
ADの早期において変化が認められることから、早期診
断での有用性が指摘されている。軽度認知障害から将来
MRI画像と
脳卒中・認知症
島根大学第3内科(神経内科)
山口 修平
のADへの移行を予知することも期待される。拡散テン
ソル画像での拡散異方性の変化やT1強調画像での容積
変化が指標となり、脳ドックでも応用が期待される。
Toussaint PJ, et al.
Characteristics of the default mode functional
connectivity in normal ageing and Alzheimer's disease
using resting state fMRI with a combined approach of
Fanning JP, et al.
entropy-based and graph theoretical measurements.
Emerging spectra of silent brain infarction.
Neuroimage 101: 778-786, 2014
Stroke 45: 3461-3471, 2014
近年、安静時機能的MRIによる脳内機能的結合の評価
無症候性脳梗塞に関する知見の集積が進み、将来の脳
が新たな認知機能の指標として注目されている。本論文
卒中の発症だけでなく、神経心理学的、機能的、歩行や
はデフォルトモードネットワークをターゲットとして、
ADLに対して重要な意義を有することが認識されてき
独立成分分析とグラフ解析を組み合わせた評価すること
た。本総説では、1)無症候性の定義に関する問題、2)
により、加齢性変化およびアルツハイマー型認知症にお
無症候性脳梗塞の危険因子と頻度や有病率、3)無症候
ける認知機能障害と脳内結合性の変化について、定量的
性脳梗塞の病因、4)無症候性病変の臨床的意義などに
な解釈が可能であることを示している。
日本脳ドック学会報 2015 創刊号
33
ラークの体積が増加することが、狭窄の進行の予測因子
頸動脈病変と
脳卒中・認知症
日本医科大学神経内科
木村 和美
であった。130例(59例は脳卒中)に虚血性イベントが起
こった。40例は狭窄度は変化なく、進行していたのは19
例で、改善は0例であった。年発症率は、狭窄度の変化
なし1.1%、進行あり2.0%、改善は0%であった。結論は、
無症候性内頸動脈狭窄患者において、進行する狭窄は2
倍の脳卒中のリスクである。 Kitagawa K, Miwa K, Yagita Y, Okazaki S, Sakaguchi
Silvestrini M, Altamura C, Cerqua R, Pasqualetti P,
M, Mochizuki H.
Viticchi G, Provinciali L, Paulon L, Vernieri F.
Association between carotid stenosis or lacunar
Ultrasonographic markers of vascular risk in patients
infarction and incident dementia in patients with
with asymptomatic carotid stenosis. vascular risk factors. J Cereb Blood Flow Metab. 2013; 33: 619-24.
Eur J Neurol. 2015; 22: 187-92.
621例の無症候性内頸動脈狭窄患者を、前向きに中央
Osaka Follow-up Study for Carotid Atherosclerosis
値27か月追跡した。99例(15.9%)に虚血性イベントが起
の1106例の患者のうち、600例が認知症はなくMRIの検
こった。その内の39例(6.3%)は狭窄側に起こった。狭
査も施行を受けており、この患者を対象とした。261例
窄側の虚血イベントの独立した予測因子は、狭窄の程度、
(44%)はラクナ梗塞があり、94例(16%)に頸動脈狭窄が
進行する狭窄、総頸動脈のIMTであった。60% -70%狭
見られた。中央値8年経過で、57例が認知症となった。
窄を照合とすると71% -90%狭窄は2.45倍のリスクであ
ラクナ梗塞と頸動脈狭窄が見られた者に多く認知症が発
り、91% -99%狭窄は3.26倍のリスクであった。IMTは
症していた。リスク因子で補正すると、ラクナ梗塞は認
0.1mm厚くなると25%のリスクが上がった。結論は、無
知症と関連があったが、頸動脈狭窄には関連はみられな
症候性内頸動脈狭窄患者において、症候性の虚血イベン
かった。結論は、認知症は小動脈病変と関係がみられた
トの予測因子は、IMT、進行する狭窄、狭窄度であった。 が、大動脈病変とは関連がみられなかった。
34
Kakkos SK, Nicolaides AN, Charalambous I, Thomas
Wendell CR, Waldstein SR, Ferrucci L, O'Brien RJ,
D, Giannopoulos A, Naylor AR, Geroulakos G,
Strait JB, Zonderman AB.
Abbott AL; Asymptomatic Carotid Stenosis and Risk
Carotid atherosclerosis and prospective risk of
of Stroke (ACSRS) Study Group.
dementia. Predictors and clinical significance of progression or
Stroke 2012; 43: 3319-24.
regression of asymptomatic carotid stenosis. 364例(60-95歳、中央値73歳、60%が男性、82%が白人)
J Vasc Surg. 2014; 59: 956-967.
の患者が登録され14年間追跡した。経過中、60例が認知
1121例の無症候性内頸動脈狭窄(50% -99%)患者を、
症となった。53例はアルツハイマー病である。IMTを
6ヶ月ごとに評価し8年間追跡した。狭窄の改善が43例
4分位に分けて検討すると、高IMTの者と両側プラー
(3.8%)に、変化なし856例(76.4%)、進行が222(19.8%)
クを有する者は、低IMTとプラークを有さない者と比
にみられた。若年、高度狭窄、プラーク内に石灰化でな
べ認知症のリスクは約2倍であった。結論は、高IMT
い高輝度が存在すること、脂質改善薬を内服しているこ
と両側プラークを有する者は、認知症の予測因子となる
とが、狭窄の改善の予測因子であった。高クレアチニン
可能性がある。動脈硬化の早期治療が認知症の発症を予
値、男性、非脂質改善薬内服者、狭窄が高度でない、プ
防もしくは発症を遅らせるかもしれない。
Japan Brain Dock Society Report 2015 March
2D-FLAIRと同等かそれ以上であることを示すと共に、
画像検査法と診断
岩手医科大学放射線医学
佐々木真理
Maniega SM, Valdes Hernandez MC, Clayden JD,
3D-FLAIRには複数のピットフォールが存在することを
指摘している。
認知症予防
新さっぽろ脳神経外科病院
端 和夫
Royle NA, Murray C, Morris Z, Aribisala BS, Gow
AJ, Starr JM, Bastin ME, Deary IJ, Wardlaw JM.
White matter hyperintensities and normal-appearing
white matter integrity in the aging brain.
Barnard ND, Bush AI, Ceccarelli A, et al.
Neurobiol Aging 2014 (epub ahead print)
Dietary and lifestyle guidelines for the prevention of
高齢者における無症候性大脳白質病変(WMH)および
Alzheimer's disease.
正常にみえる白質(NAWM)の構造変化を鋭敏に反映す
Neurobiol Aging 2014; 35 Suppl 2: S74-8
るMRI指標は確立していない。本研究では、多数例を対
アルツハイマー病予防のための実際的な指針として、
象に4種類の画像指標(fractional anisotropy [FA], mean
2013年に開催された「栄養と脳」の国際会議の参加者が仮
diffusivity [MD]、magnetization transfer rate [MTR]、
のガイドラインを作成した。あまり馴染みのない栄養学
T1緩和時間)について検討し、MDがWMHとNAWMを
の立場から見たもので興味深い。1)飽和とトランス脂
最も高い精度で識別できるとともに、NAWMの変化も
肪を避ける、2)肉、乳製品の代わりに野菜、豆、果物、
検出可能であることを明らかにしている。
穀物を、3)食物からのビタミンEを、4)適切な方法で
ビタミンB12を、5)多種ビタミン剤をとるなら鉄、銅
を含まないもの、6)アルミニウムを避けたい人は食器、
Suh SH, Cloft HJ, Huston J, 3rd, Han KH, Kallmes
制酸剤、ふくらし粉などに注意する、7)生活習慣に週
DF.
3回、40分の早足歩行に匹敵する運動をとり入れる、な
Interobserver variability of aneurysm morphology:
どがエビデンスとなる情報と共に書かれている。
Discrimination of the daughter sac.
J Neurointerv Surg. 2014 (epub ahead print)
Elwood P, Galante J, Pickering J, et al.
未破裂動脈瘤の破裂リスク予測にdaughter sacの有無
Healthy lifestyles reduce the incidence of chronic
の判定は重要であるが、その信頼性は明らかとなって
diseases and dementia: evidence from the Caerphilly
いない。本研究では、多数例の画像を複数の判定者が
cohort study.
UCAS-JapanおよびISUIAの基準を用いて視覚的に判定
PLoS One 2013; 8: e81877.
し、画像の種類にかかわらずUCAS-Japan基準の判定者
英国のCaerphillyという町の45−59歳の男子2235人を
間一致率が高いことを明らかにしている。
30年間経過観察し、ライフスタイルによる成人病と認知
障害発生の差を検討した。健康的ライフスタイルとして
Kakeda S, Korogi Y, Hiai Y, Ohnari N, Sato T, Hirai T.
は、1)非喫煙(禁煙者も含む)
、2)BMIが18-25、3)一
Pitfalls of 3D FLAIR brain imaging: A prospective
日に3皿以上の野菜と果物を摂り脂肪からのカロリーは
comparison with 2D FLAIR.
30%以下、4)毎日2マイル以上歩くか10マイル以上自
Acad Radiol. 2012; 19: 1225-1232
転車に乗る、あるいは激しい運動習慣がある、5)一日
近年3D-FLAIRが広く用いられつつあるが、従来の
3杯以下の飲酒(非飲酒は含まない)とした。
2D-FLAIRに対する優劣を検証した研究はほとんどな
その結果、健康的項目を4ないし5個持つ人では、糖
い。本論文は、3D-FLAIRでは多くの脳病変の描出能が
尿病、血管障害発生のodds ratio(OR)は0.5、死亡は0.4、
日本脳ドック学会報 2015 創刊号
35
認知障害、痴呆は0.36であった。癌は非喫煙者のみ0.65
であった。多数例の長期観察の貴重な報告である。
は平均年齢約58歳、男2227人、女2806人、喫煙者は男女
とも平均30%、糖尿病は2%、収縮期血圧142-3㎜ Hg、
BMI26程度で、アルコールを飲まないのは男11%、女
Erickson KI, Voss MW, Prakash RS, et al.
23%、女の多くは2週間に1杯、男は2週間に3杯程度
Exercise training increases size of hippocampus and
の飲酒量であった。認知機能テストの成績との関連では、
improves memory.
すべてテストで男女とも中程度のワイン飲みが良い成績
Proc Natl Acad Sci U S A. 2011, 15; 108: 3017-22
であった。ビールとスピリッツでは無関係、女では飲ま
運動習慣のある人やフィットネスレベルの高い人では
ない人の成績が悪かった。ワイン愛好者には嬉しい論文
海馬、側頭葉内側の容積が大きい。どの程度の運動でそ
である。
の様な変化が起こるのか、このピッツバーグ大学心理学
部からの論文では、60歳代後半の120人を対象に、週3
Jaeggi SM, Buschkuehl M, Jonides J, et al.
回、40分間の早歩きの運動群とストレッチ教室群に分け
Improving fluid intelligence with training on working
て1年間訓練して検討した。 6か月後と1年後のMRI
memory.
による脳容積の変化を評価した結果、運動群で優位な海
Proc Natl Acad Sci U S A. 2008, 13; 105: 6829-33
馬容積の増加
(2%、年齢による減少1-2年分にあたる)
若者に19日間dual n-backという、何回か前に現れた
が見られ、また海馬容積の増加は血中BDNFレベルの上
図形と音の組み合わせを当てさせるワーキング・メモ
昇、記憶力テストの改善とも関係していた。老人に希望
リーのトレーニングをやらせると、そのゲームが上手に
を持たせる結果である。
なるばかりでなく流動性知性(知識に関係なく新しい状
況での問題を理論的に解決できる能力)をも向上させる
Arntzen KA, Schirmer H, Wilsgaard T, et al.
ことが出来たという報告で、今まで考えられてきた、こ
Moderate wine consumption is associated with better
の種のトレーニングは練習した課題だけが向上するのみ
cognitive test results: a 7 year follow up of 5033
であって、別の課題への移行効果はほとんどない、とい
subjects in the Tromsø Study.
う常識を覆すものとして注目を集めた。この論文には批
Acta Neurol Scand Suppl. 2010; 190: 23-9
判もあり、ワーキング・メモリーの脳トレーニングが本
ノルウェーのTromsøの住民の1994年と7年後の調
当に実生活上の能力向上に役立つのか、という観点で現
査。アルコール消費量と数字符号テスト、言語記憶テス
在でも論議が続いている。
ト、タッピングテストの成績との関連を検討した。対象
今からで、まだまだ間に合う、ボケ防止
36
Japan Brain Dock Society Report 2015 March
事務局からのお知らせ
事務局からのお知らせ
■入会・会員情報の変更
日本脳ドック学会への入会・退会・住所や連絡先等会員情報の変更は、所定の手続きが必要です(ホームページか
らフォームの入力・送信)。入会の場合は、フォーム送信後会費を指定の口座にお振込みください。入金確認次第入
会完了となります。なお、会費お振込みの際のご依頼人は必ず入会者名をご記入願います。
ホームページ「会員登録」http://jbds.jp/touroku.html
■会費の払い込みについて
会費(年会費:正会員3,000円、評議員5,000円、理事・監事7,000円)は、毎年当年度(4月~3月まで)分をその
年度末(3月末)までに指定の口座にお振込みください。また、日本脳ドック学会総会中に、新入会・年会費受付に
おいてお支払いが可能です。なお、お振込みの場合は必ず会員名をご記入ください。法人名・施設名で送金される事
がありますが、会員名をお知らせいただけませんと入金確認ができません。ご協力のほどお願い申し上げます。
【口座案内】
金融機関名:ゆうちょ銀行(金融機関コード9900)
店 名:二七九(ニナナキュウ)店(店番279)
預 金 種 目:当座 口 座 番 号:0029889
受 取 人 名:一般社団法人日本脳ドック学会
カ ナ 氏 名:シャ)ニホンノウドツクガツカイ
■全国の脳ドック実施施設の検索や自施設の登録
施設認定の有無にかかわらず、脳ドック施設情報を日本脳ドック学会ホームページで公開することができます。施
設情報の登録・変更・中止については所定のフォーム(用紙はホームページからダウンロード)を記入しお申し込み
ください。
ホームページ「脳ドック実施施設登録について」
http://jbds.jp/jissi_touroku.html
■日本脳ドック学会会員情報(2014年10月31日現在)
1)入会年度別会員数
入会年度
1992
会 員 数
245
入会年度
2002
会 員 数
41
入会年度
2012
会 員 数
97
1993
62
2003
74
2013
79
1994
85
2004
97
2014
52
1995
65
2005
79
1996
66
2006
74
1997
43
2007
70
1998
47
2008
68
1999
47
2009
132
2000
52
2010
91
2001
60
2011
94
総 会 員 数
1820
2)職種・専門分野別会員数
職種・専門分野
脳神経外科医師
会 員 数
職種・専門分野
1276
診療放射線技師
会 員 数
40
日本脳ドック学会報 2015 創刊号
37
事務局からのお知らせ・会員報告
神経内科医師
214
保健師・看護師
12
放射線科医師
81
臨床検査技師
9
内科系医師
80
その他医療従事者
9
外科系医師
21
事務職
9
その他医師
62
その他
7
総 会 員 数
1820
3)勤務先開設者別会員数
職種・専門分野
会 員 数
大学、大学病院
247
公的医療機関(国公立、日本赤十字、労災等)
478
私的医療機関(医療法人、個人等)
1079
その他
16
総 会 員 数
1820
一般社団法人日本脳ドック学会事業報告(2013年4月1日~2014年3月31日)
2014年7月 一般社団法人日本脳ドック学会会員報告より
事業・業務内容
理 事 会
社員総会
脳ドック施設認定
実施時期等
理事会(第1回:仙台)
2013年6月20日
理事会(第2回:書面決議)
2013年11月8日
定時社員総会(仙台)
2013年6月20日
第4回(2012 − 2013)認定証発行
2013年4月1日
施設認定委員会報告(仙台)
2013年6月21日
認定施設の定期報告
2013年9月~12月
第5回(2013 − 2014)予備審査
2013年11月~2月
第5回( 〃 )施設認定審査会(東京) 2014年3月1日
脳ドック画像読影講習会
脳ドックのガイドライン改定委員会
脳ドックのあり方委員会
脳ドックデータバンク委員会
広 報
第5回( 〃 )審査結果通知等
2014年3月7日
日本脳ドック学会総会で開催(仙台)
2013年6月21日
日本脳卒中学会合同講習会(大阪)
2014年3月15日
脳ドックのガイドライン改定委員会(仙台) 2013年6月21日
脳ドックのガイドライン 2014 作成
脳ドックのあり方に関する検討会
(仙台)
(2014/4/20発行)
2013年6月20日
脳ドック標準データベースの作成 ・ 運用
管理
会員報告(仙台)
2013年6月21日
会員報告要旨を全会員に送付
2013年7月19日
ホームページ更新
経 理
会計、会費請求等に関する業務
情報管理
会員名簿、認定施設等の登録データ管理
脳卒中対策基本法立法化推進協議会加盟 2013年7月11日
そ の 他
38
Japan Brain Dock Society Report 2015 March
役員変更にともなう登記手続き
2013年8月15日
脳ドック実施機関アンケート調査協力
2013年8月19日
会員報告
脳ドックのガイドライン 2008 からの転
載 ・ 利用許可に関する事項
そ の 他
会員および外部からの問合せ対応など
その他事務処理
第 22 回 日本脳ドック学会総会
冨永 悌二 会長
2013 年 6 月 21 ~ 22 日
江陽グランドホテル(仙台)
一般社団法人日本脳ドック学会収支報告(2013年4月1日~2014年3月31日)
収入の部
区 分
金 額
備 考
①会費収入
4,855,315
②施設認定収入
2,405,336 第 4 回認定料、第 5 回審査料 ・ 認定料等
③雑収入
500
①~③の計 (A)
7,261,151
前期から繰越
23,898,049
合 計
31,159,200
支出の部
区 分
金 額
①会議費
備 考
1,967,987 施設認定審査会、脳卒中学会合同講習会等
②旅費交通費
611,020 総会 ・ 各会議の出張旅費等
③通信運搬費
687,507 郵便代、標準データベースサーバ管理料等
④消耗什器備品費
31,896 事務消耗品
⑤印刷製本費
1,160,552 会員報告印刷、施設認定証作製、コピー代等
⑥租税公課
70,000 法人道市民税
⑦広報費
542,400 認定施設一覧パネル製作、ホームページ更新料等
⑧総会費
1,000,000 第 23 回総会準備金
⑨雑費
351,307 税理士費用、司法書士費用等
⑩その他
180,830 会費返金、雑給料、謝礼等
①~⑩の計 (B)
6,603,499
次期へ繰越
24,555,701
合 計
31,159,200
収支差額 (A)-(B)= 657,652
一般社団法人日本脳ドック学会事業計画(2014年4月1日~2015年3月31日)
事業・業務内容
理 事 会
社員総会
実施時期等
理事会(第 1 回:下関)
2014年6月5日
理事会(第 2 回:書面決議)
2014年12月
定時社員総会(下関)
2014年6月5日
日本脳ドック学会報 2015 創刊号
39
会員報告
第 5 回(2013 − 2014)認定証発行
2014年4月1日
施設認定委員会報告(下関)
2014年6月6日
認定施設の定期報告
2014年9月〜12月
第 6 回(2014 − 2015)予備審査
2014年11月〜2月
〃 施設認定審査会(東京)
2015年2月
〃 審査結果通知等
2015年3月
第 1 回(2010 年)認定施設更新審査
2014年11月〜3月
〃 審査結果通知等
2015年3月
脳ドック画像読影講習会
日本脳卒中学会合同講習会(広島)
2015年3月
脳ドックのガイドライン改定委員会
脳ドックのガイドライン 2014 発行
2014年4月20日
脳ドックのあり方委員会
脳ドックのあり方に関する検討会
2014年
脳ドックデータバンク委員会
脳ドック標準データベースの作成 ・ 運用
管理
脳ドック施設認定
広 報
会員報告(下関)
2014年6月6日
会員報告要旨を全会員に送付
2014年7月
ホームページ更新
経 理
会計、会費請求等に関する業務
情報管理
会員名簿、認定施設等の登録データ管理
役員変更にともなう登記手続き
そ の 他
2014年8月
会員および外部からの問合せ対応など
その他学会運営に関する事項
第 23 回 日本脳ドック学会総会
鈴木 倫保 会長
2014 年 6 月 6 日~ 7 日
海峡メッセ下関
【2014年度追加事業計画】
■脳ドックのガイドライン2014検証研究
・脳ドックにおける認知機能検査実施向上のための検証研究
・未破裂脳動脈瘤新規検出患者に対するビデオを活用したリスクコミュニケーションの有用性の検証
■日本脳ドック学会会報の発行
一般社団法人日本脳ドック学会収支計画(2014年4月1日~2015年3月31日)
収入の部
区 分
金 額
備 考
①会費収入
4,490,000
②施設認定収入
5,700,000 第 6 回審査料 ・ 認定料、第 1 回認定施設更新料
①~②の計
10,190,000
前期から繰越
24,555,701
合 計
34,745,701
支出の部
区 分
①会議費
②旅費交通費
40
Japan Brain Dock Society Report 2015 March
金 額
備 考
1,600,000 施設認定審査会、脳卒中学会合同講習会等
650,000 総会および各会議の出張旅費等
会員報告
③通信運搬費
④消耗什器備品費
⑤印刷製本費
⑥租税公課
⑦広報費
⑧総会費
700,000 郵便代、標準データベースサーバ管理料等
30,000 事務消耗品
4,500,000 脳ドックのガイドライン 2014 印刷、施設認定証等
70,000 法人道市民税
550,000 認定施設一覧パネル製作費、ホームページ更新料等
1,000,000 第 24 回総会準備金
⑨雑費
400,000 税理士費用、司法書士費用等
⑩その他
200,000 雑給料、謝礼等
①~⑩の計
9,700,000
次期へ繰越
25,045,701
合 計
34,745,701
【2014年度追加支出計画】
■脳ドックのガイドライン2014検証研究 3,000,000円
・脳ドックにおける認知機能検査実施向上のための検証研究
・未破裂脳動脈瘤新規検出患者に対するビデオを活用したリスクコミュニケーションの有用性の検証
■日本脳ドック学会会報の発行 1,000,000円
新役員について
1.新 理 事
鈴 木 倫 保(山口大学医学部脳神経外科)
2.新 評 議 員
周 郷 延 雄(東邦大学医学部医学科脳神経外科)
西 野 繁 樹(広島市立広島市民病院脳神経外科)
藤 重 正 人(新さっぽろ脳神経外科病院)
3.次 次 期 会 長(第26回総会:2017年)
岡 田 靖(国立病院機構九州医療センター臨床研究センター)
施設認定委員会からのお知らせ
■施設認定申請
日本脳ドック学会による施設認定を希望される施設は、施設認定要綱に従って、施設認定申請書(用紙はホーム
ページからダウンロード)、施設責任者の略歴、脳ドックで発見された異常所見のMR画像とその例の脳ドック結果
報告書を作成・提出し、施設認定委員会の認定審査を受けてください。
ホームページ「施設認定の申請について」http://jbds.jp/sinsei.html
※第6回(2014-2015版)施設認定申請の応募は締め切りました。
第7回(2015-2016版)施設認定申請は、2015年8月募集開始予定です。
■認定施設更新申請
施設認定後5年目の施設で、認定を継続される施設は、認定施設更新要綱に従い、認定施設更新申請書(用紙は
日本脳ドック学会報 2015 創刊号
41
会員報告
ホームページからダウンロード)を作成・提出し、施設認定委員会の更新審査を受けてください。
ホームページ「施設認定の申請について」http://jbds.jp/sinsei.html
※第1回認定施設(2010年認定)の更新申請は締め切りました。
第2回認定施設(2011年認定)の更新申請は2015年8月開始予定です。
■認定施設定期報告
認定施設は毎年所定の定期報告書をご提出いただきます(ホームページの定期報告書PDFフォームから入力・送
信が可能です)。
ホームページ「施設認定の申請について」http://jbds.jp/sinsei.html
■日本脳ドック学会施設認定申請における各検査の実施率
申請施設数
認定施設数
問診
診察
血液検査
生化学検査
尿検査
心電図検査
頭部 MRI 検査
T1
T2
FLAIR
T2*
頭部 MRA 検査
頸部 MRA 検査
頸部血管超音波検査
認知機能検査
第1回
2010年
204
134
99.0
93.1
81.9
81.4
70.6
77.5
100.0
94.1
100.0
96.6
50.0
100.0
60.3
62.3
31.4
第2回
2011年
54
47
100.0
98.1
100.0
100.0
83.3
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
72.2
100.0
61.1
79.6
42.6
第3回
2012年
45
37
100.0
100.0
100.0
100.0
95.6
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
66.7
100.0
62.2
75.6
35.6
第4回
2013年
19
17
100.0
100.0
100.0
100.0
73.7
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
57.9
100.0
57.9
63.2
21.1
第5回
2014年
13
11
100.0
100.0
100.0
100.0
92.3
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
69.2
100.0
61.5
61.5
23.1
第6回
2015年
17
−
100.0
100.0
100.0
100.0
88.2
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
64.7
100.0
100.0
全
352
246
99.4
95.7
89.5
89.2
77.6
86.9
100.0
96.6
100.0
98
59.1
100.0
60.8
68.5
36.1
2015年1月1日現在
■日本脳ドック学会施設認定申請における脳ドック料金(施設数)
申請施設数
認定施設数
~ 19,999 円
20,000 円~
30,000 円~
40,000 円~
50,000 円~
60,000 円~
70,000 円~
100,000 円~
200,000 円~
Min.
Max.
Ave.
第1回
2010年
204
134
3
17
59
48
45
14
16
1
1
17,000
210,000
47,099
第2回
2011年
54
47
0
1
14
14
14
6
3
2
0
22,000
157,500
50,882
第3回
2012年
45
37
0
3
13
14
11
3
1
0
0
24,000
73,500
44,132
第4回
2013年
19
17
0
1
7
4
6
1
0
0
0
25,000
60,000
42,879
第5回
2014年
13
11
0
1
5
3
1
3
0
0
0
21,000
67,000
44,946
第6回
2015年
17
−
0
1
5
8
1
2
0
0
0
27,000
64,800
43,677
全
352
246
3
24
103
91
78
29
20
3
1
17,000
210,000
46,828
※複数コースがある場合は主なコース1つを集計
2015年1月1日現在
42
Japan Brain Dock Society Report 2015 March
日本脳ドック学会認定施設一覧
日本脳ドック学会認定施設一覧
(2014年12月現在)
北
青
岩
宮
山
福
茨
栃
群
埼
所 在 地
海 道
札 幌 市
札 幌 市
札 幌 市
札 幌 市
札 幌 市
札 幌 市
札 幌 市
札 幌 市
釧 路 市
江 別 市
室 蘭 市
帯 広 市
函 館 市
北 見 市
北 見 市
森 県
十和田市
手 県
盛 岡 市
盛 岡 市
盛 岡 市
城 県
仙 台 市
仙 台 市
仙 台 市
仙 台 市
仙 台 市
仙 台 市
岩 沼 市
大 崎 市
秋 田 市
大 館 市
形 県
山 形 市
山 形 市
山 形 市
酒 田 市
島 県
福 島 市
いわき市
郡 山 市
南相馬市
城 県
水 戸 市
水 戸 市
つくば市
つくば市
古 河 市
鹿 嶋 市
常陸太田市
日 立 市
日 立 市
木 県
宇都宮市
宇都宮市
宇都宮市
佐 野 市
小 山 市
真 岡 市
那須塩原市
馬 県
前 橋 市
高 崎 市
高 崎 市
藤 岡 市
玉 県
さいたま市
認定№
10019
10088
11164
10094
13229
13224
10117
10016
10133
12197
10093
10022
12194
10029
10116
12191
10102
11163
10009
12200
10044
12205
11159
11141
10051
11181
10004
10059
10086
11146
12202
11170
10037
14246
12201
10131
13227
11145
10103
10109
10066
10076
12182
10005
11152
11149
10132
10007
10060
13225
12186
10061
10043
11154
10026
10006
10105
10098
施 設 名
医療法人 新さっぽろ脳神経外科病院
医療法人 秀友会 札幌秀友会病院
医療法人 明日佳 札幌宮の沢脳神経外科病院
社会医療法人 医仁会 中村記念病院
医療法人 新産健会 LSI札幌クリニック
医療法人 札幌麻生脳神経外科病院
社会医療法人 禎心会病院
社会医療法人 医仁会 中村記念南病院
社会医療法人 孝仁会 釧路孝仁会記念病院
医療法人 渓和会 江別病院
市立室蘭総合病院
社会医療法人 北斗 北斗病院
脳神経セントラルクリニック
社会医療法人 明生会 道東脳神経外科病院
北見赤十字病院
十和田市立中央病院
盛岡ながの脳神経・歯科クリニック
岩手医科大学附属病院
たぐち脳神経外科クリニック
医療法人社団 脳健会 仙台東脳神経外科病院
社会医療法人 康陽会 中嶋病院
東北薬科大学病院
医療法人 星陵会 仙台星陵クリニック
財団法人 宮城厚生協会 泉病院
財団法人 広南会 広南病院
社会医療法人 将道会 総合南東北病院
一般財団法人 片倉病院
秋田県立脳血管研究センター
石田脳神経外科クリニック
社会福祉法人恩賜財団 済生会 山形済生病院
医療法人 篠田好生会 篠田総合病院
山形市立病院済生館
くろき脳神経クリニック
一般財団法人 脳神経疾患研究所附属 南東北福島病院
石井脳神経外科・眼科病院
一般財団法人 脳神経疾患研究所附属 総合南東北病院
南相馬市立総合病院
医療法人 桜丘会 水戸ブレインハートセンター
医療法人 MIRYU 山田醫院
公益財団法人 筑波メディカルセンター つくば総合健診センター
医療法人社団 筑波記念会筑波記念病院 つくばトータルヘルスプラザ
友愛記念病院 総合健診センター
医療法人社団 善仁会 小山記念病院
脳神経外科 ブレインピア南太田
医療法人 聖麗会 聖麗メモリアル高鈴
医療法人 聖麗会 聖麗メモリアル病院
医療法人 中山会 宇都宮記念病院 総合健診センター
星脳神経外科
医療法人 卓和会 藤井脳神経外科病院
佐野厚生農業協同組合連合会 佐野厚生総合病院
医療法人 健寿会 小山整形外科内科 脳ドックセンター
医療法人 真岡脳神経クリニック
医療法人社団 萌彰会 那須脳神経外科病院
公益財団法人 老年病研究所附属病院
医療法人 中央群馬脳神経外科病院
医療法人社団 美心会 黒沢病院附属ヘルスパーククリニック高崎健康管理センター
公立藤岡総合病院附属外来センター
自治医科大学附属さいたま医療センター
電話番号
011-891-2500
011-685-3333
011-664-7111
011-231-8555
011-711-1331
011-731-2321
011-712-1131
011-573-8555
015-439-1222
011-382-1111
014-325-3111
015-547-7777
013-835-3355
015-769-0300
015-724-3115
017-623-5121
019-639-0123
019-651-5111
019-621-1234
022-255-7117
022-291-5191
022-259-1221
022-273-3533
022-378-5361
022-248-2131
022-323-3151
022-922-0016
018-833-0115
018-644-6600
023-682-1111
023-623-1711
023-625-5555
023-431-7151
024-593-5100
024-658-3121
024-934-5322
024-422-3181
029-222-7007
029-297-3101
029-856-3500
029-864-3588
028-097-3400
029-985-1139
029-470-1711
029-423-6060
029-452-8531
028-625-7831
028-600-4410
028-673-6211
028-322-5222
028-531-3366
028-581-0070
028-762-5500
027-253-3311
027-363-6161
027-353-2277
027-422-3311
048-648-5155
日本脳ドック学会報 2015 創刊号
43
日本脳ドック学会認定施設一覧
埼
千
東
神
山
長
新
富
44
所 在 地
玉 県
さいたま市
さいたま市
久 喜 市
久 喜 市
狭 山 市
深 谷 市
川 越 市
東松山市
葉 県
千 葉 市
千 葉 市
京 都
港
区
港
区
港
区
新 宿 区
新 宿 区
杉 並 区
杉 並 区
世田谷区
世田谷区
千代田区
千代田区
大 田 区
大 田 区
中 央 区
中 央 区
板 橋 区
目 黒 区
狛 江 市
三 鷹 市
小 平 市
小 平 市
町 田 市
八王子市
立 川 市
立 川 市
奈川県
横 浜 市
横 浜 市
横 浜 市
横 浜 市
横 浜 市
横 浜 市
横 浜 市
川 崎 市
川 崎 市
川 崎 市
川 崎 市
相模原市
横須賀市
梨 県
甲 府 市
甲 府 市
南都留郡
野 県
長 野 市
長 野 市
岡 谷 市
佐 久 市
松 本 市
上 田 市
中 野 市
飯 田 市
飯 田 市
潟 県
新 潟 市
新 潟 市
上 越 市
山 県
富 山 市
認定№
11156
14244
12198
12217
14236
11136
10031
13220
10070
10100
11151
11167
10128
14243
10091
13222
11162
11169
10123
10064
12199
10033
10087
10126
11139
10118
10032
10097
12193
10080
10078
10082
14242
13230
14239
13234
11144
11153
11166
10040
11175
10119
10046
10077
11165
10125
10015
10115
11178
11147
10018
12206
13233
10024
11157
10099
10096
12207
11160
10014
10134
12190
14245
10113
施 設 名
医療法人社団 田澤クリニック 新都心たざわクリニック
独立行政法人 地域医療機能推進機構 さいたま北部医療センター
JA埼玉県厚生農業協同組合連合会久喜総合病院
医療法人 堀中脳神経外科クリニック
医療法人 尚寿会 大生病院
医療法人社団 磯部クリニック
医療法人 千清會 鈴木脳神経外科
むさし松山脳神経外科クリニック
千葉脳神経外科病院
医療法人社団 創進会 みつわ台総合病院
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部 東京都済生会 東京都済生会中央病院総合健診センター
医療法人社団 赤坂パークビル脳神経外科
学校法人 東京女子医科大学附属 青山病院
慶應義塾大学病院 予防医療センター
医療法人社団 成山会 楠樹記念クリニック
医療法人社団 靖和会 林脳神経外科メディカルクリニック
社会福祉法人 浴風会 浴風会病院
公立学校共済組合 関東中央病院
社会福祉法人 康和会 久我山病院
一般財団法人 健康医学協会 東都クリニック
医療法人財団健貢会 東京クリニック
東邦大学医療センター大森病院
社会医療法人財団 仁医会 牧田総合病院人間ドック健診センター
医療法人社団 高恵会 築地神経科クリニック 築地脳ドックセンター
学校法人 聖路加国際大学 聖路加国際病院
一般財団法人 精神医学研究所附属 東京武蔵野病院
国家公務員共済組合連合会 東京共済病院
東京慈恵会医科大学附属 第三病院
医療法人財団 慈生会 野村病院予防医学センター
医療法人社団 拓明会 エム・クリニック
ながしま脳神経・頭痛クリニック
医療法人社団 幸隆会 多摩丘陵病院
医療法人社団 ニューロアソシエイツ長池脳神経内科 国家公務員共済組合連合会 立川病院 健康医学センター
医療法人財団 立川中央病院附属健康クリニック
医療法人社団恵生会 上白根病院
横浜市立脳血管医療センター
独立行政法人 労働者健康福祉機構 横浜労災病院
医療法人社団 明芳会 横浜新都市脳神経外科病院
独立行政法人 地域医療機能推進機構 横浜中央病院
横浜市立みなと赤十字病院
医療法人社団 明芳会 イムス横浜狩場脳神経外科病院
さぎぬま脳神経クリニック
医療法人社団 亮正会 高津中央クリニック
医療法人 明徳会 総合新川橋病院
独立行政法人 労働者健康福祉機構 関東労災病院
医療法人社団 相和会 相模原総合健診センター
医療法人社団 北久里浜脳神経外科
医療法人社団 篠原会 甲府脳神経外科病院
医療法人 慈光会 甲府城南病院
医療法人社団 山中湖クリニック
JA 長野厚生連 篠ノ井総合病院 健康管理センター
長野県厚生農業協同組合連合会 長野松代総合病院
諏訪湖畔病院 健診センター
長野県厚生農業協同組合連合会 佐久総合病院
医療法人 青樹会 一之瀬脳神経外科病院 PET/CT 健診センター
医療法人 健和会 小林脳神経外科・神経内科病院
長野県厚生農業協同組合連合会 北信総合病院
医療法人 円会 瀬口脳神経外科病院
社会医療法人 健和会 健和会病院
医療法人社団 こんの脳神経クリニック
医療法人社団 友愛会 ペイシアガーデンクリニック
医療法人社団 かなざわ内科クリニック
医療法人社団 桜仁会 さくら内科・神経内科クリニック
Japan Brain Dock Society Report 2015 March
電話番号
048-854-0202
048-663-1671
048-044-8413
048-059-6661
042-957-1141
048-575-1131
049-233-7701
0493-22-0071
043-250-1228
043-251-3030
033-451-8211
035-573-8822
035-411-8111
036-910-3533
033-344-6666
035-305-8831
033-332-6511
033-429-1171
033-309-8131
033-239-0301
033-516-7151
033-762-4151
033-751-3580
036-226-3546
033-541-5151
035-986-3197
033-712-3151
033-480-1151
042-247-8811
042-451-6626
042-332-0232
042-797-1512
042-678-7360
042-523-3147
042-526-3222
045-951-3221
045-753-2500
045-474-8111
045-910-1550
045-641-1921
045-628-6385
045-721-3131
044-860-5131
044-822-1278
044-222-1237
044-434-6333
042-753-3301
046-838-4771
055-235-0995
055-241-6550
055-565-9135
026-292-2261
026-278-3500
026-627-5500
026-782-2688
026-348-6600
026-822-6885
026-922-2151
026-524-6655
026-523-3115
025-383-1355
025-240-0420
025-521-0808
076-432-0039
日本脳ドック学会認定施設一覧
富
石
福
岐
静
愛
三
京
大
所 在 地
山 県
富 山 市
川 県
金 沢 市
金 沢 市
加 賀 市
七 尾 市
井 県
福 井 市
小 浜 市
阜 県
岐 阜 市
高 山 市
多治見市
中津川市
揖 斐 郡
岡 県
静 岡 市
静 岡 市
静 岡 市
浜 松 市
伊豆の国市
掛 川 市
島 田 市
藤 枝 市
熱 海 市
磐 田 市
磐 田 市
富士宮市
富士宮市
富 士 市
富 士 市
知 県
名古屋市
名古屋市
名古屋市
名古屋市
名古屋市
名古屋市
一 宮 市
蒲 郡 市
瀬 戸 市
知 多 市
長久手市
豊 田 市
丹 羽 郡
重 県
桑 名 市
桑 名 市
四日市市
松 阪 市
鈴 鹿 市
鈴 鹿 市
都 府
京 都 市
京 都 市
京 都 市
宇 治 市
京田辺市
阪 府
大 阪 市
大 阪 市
大 阪 市
大 阪 市
大 阪 市
大 阪 市
大 阪 市
大 阪 市
堺
市
河内長野市
泉佐野市
豊 中 市
豊 中 市
認定№
10089
10084
10023
10079
10090
10071
10124
10013
10081
12187
12192
13221
12213
10106
12208
11140
10027
10008
13223
10130
10049
10030
11177
10120
10121
11171
13226
11158
10122
12195
11137
10065
12215
12196
10129
11142
12212
10057
10039
13235
10041
10054
10108
12185
10050
10021
12211
11148
10011
12210
11168
12216
11174
10036
10017
10083
12188
10075
11176
10058
11135
12218
10002
10074
施 設 名
社団法人 富山市医師会 健康管理センター
金沢西病院
医療法人社団 博洋会 藤井脳神経外科病院
加賀市民病院
社会医療法人財団 董仙会 恵寿健康管理センター
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部 福井県済生会病院 健診センター
杉田玄白記念 公立小浜病院
朝日大学歯学部附属村上記念病院 総合健診センター
岐阜県厚生農業協同組合連合会 久美愛厚生病院
岐阜県立多治見病院
総合病院中津川市民病院
岐阜県厚生農業協同組合連合会 揖斐厚生病院
社会福祉法人 聖隷福祉事業団聖隷健康サポートセンター Shizuoka
静岡済生会総合病院
水谷脳神経外科クリニック
社会福祉法人 聖隷福祉事業団 聖隷健康診断センター
順天堂大学医学部附属 静岡病院
中東遠総合医療センター
医療法人社団 生駒会 生駒脳神経クリニック 医療法人社団 平成会 藤枝平成記念病院 脳ドックセンター
学校法人 国際医療福祉大学 熱海病院
磐田市立総合病院 健診センター
医療法人 弘遠会 すずかけヘルスケアホスピタル
一般財団法人 富士脳障害研究所附属病院
さとうクリニック
医療法人社団 紫苑会 富士いきいき病院
ふじの町クリニック・健診センター
独立行政法人 労働者健康福祉機構 中部労災病院 健康診断部
医療法人 充生会 野々村クリニック
名古屋鉄道健康保険組合 名鉄病院
中日新聞社健康保険組合 中日病院
名古屋第一赤十字病院
医療法人 コジマ会 ジャパン藤脳クリニック
社会医療法人 杏嶺会 一宮西病院
蒲郡市民病院
公立陶生病院
西知多医療厚生組合 知多市民病院
医療法人 名古屋脳神経外科クリニック・名古屋脳ドック
公益財団法人 豊田地域医療センター
医療法人全医会 伊藤整形・内科 あいち腰痛オペクリニック
地方独立行政法人 桑名市総合医療センター 桑名西医療センター
ヨナハ総合病院
市立四日市病院
済生会 松阪総合病院 健診センターあさひ
三重県厚生農業協同組合連合会 鈴鹿中央総合病院 健診センター オリーブ
医療法人 誠仁会 塩川病院
医療法人社団 洛和会 洛和会音羽病院 健診センター
一般財団法人 京都工場保健会 総合健診センター
医療法人社団 蘇生会 蘇生会総合病院
社会医療法人 岡本病院(財団)第二岡本総合病院
医療法人社団 石鎚会 田辺中央病院
社会医療法人 きつこう会多根クリニック
医療法人 讃和会 友愛会病院
医療法人 穂翔会 村田病院
社会医療法人 寿楽会 大野記念病院
医療法人 脳神経外科日本橋病院
医療法人 弘善会 矢木脳神経外科病院
医療法人 医誠会 医誠会病院 人間ドック SOPHIA
医療法人 寿会 富永病院
ヒキタ鳳健診クリニック 鳳総合健診センター
医療法人 生登会 寺元記念病院 総合健診センター
地方独立行政法人 りんくう総合医療センター
公益財団法人 唐澤記念会 大阪脳神経外科病院
一般財団法人 関西労働保健協会附属 千里LC健診センター
電話番号
076-422-4811
076-233-1811
076-240-3555
076-172-2100
076-752-6027
077-628-8513
077-052-0990
058-251-8001
057-732-3378
057-222-5311
057-366-1251
058-521-1111
054-280-6211
054-280-5031
054-202-7778
053-473-5506
055-948-3111
053-721-5555
054-737-3155
054-643-1230
055-781-9176
053-838-5031
053-821-3511
054-423-5155
054-428-1188
054-573-1919
054-532-7711
052-652-5511
052-831-6611
052-551-2800
052-961-2491
052-481-5111
052-875-2235
058-648-0077
053-366-2200
056-182-5101
056-255-1155
056-162-0505
056-534-3002
058-792-3388
059-422-7111
059-423-2415
059-354-1111
059-851-2626
059-384-1017
059-378-1417
075-593-7774
075-823-0525
075-621-3101
077-444-4511
077-463-1116
066-577-1881
066-672-3121
066-757-0011
066-531-1815
066-643-2022
066-978-2307
066-379-6701
066-568-1601
072-260-5555
072-150-1111
072-469-3111
066-333-0080
066-873-2210
日本脳ドック学会報 2015 創刊号
45
日本脳ドック学会認定施設一覧
兵
鳥
岡
広
山
徳
香
愛
高
福
佐
長
熊
大
宮
鹿
沖
46
所 在 地
庫 県
神 戸
神 戸
高 砂
洲 本
赤 穂
姫 路
明 石
養 父
加 古
取 県
倉 吉
倉 吉
出 雲
山 県
岡 山
岡 山
倉 敷
島 県
広 島
広 島
広 島
広 島
中
呉
呉
福 山
福 山
福 山
口 県
山 口
宇 部
周 南
島 県
阿 南
川 県
高 松
高 松
高 松
綾 歌
媛 県
今 治
西 条
知 県
高 知
高 知
岡 県
福 岡
福 岡
久留米
春 日
福 津
賀 県
唐 津
崎 県
佐世保
佐世保
本 県
熊 本
熊 本
熊 本
熊 本
水 俣
八 代
分 県
大 分
別 府
崎 県
都 城
児 湯
児島県
鹿児島
鹿児島
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出 水
縄 県
島 尻
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認定№
11179
13231
12189
10110
14241
10048
13228
12184
10072
10085
11138
10035
10028
10068
10073
10062
10025
12203
11161
14237
10045
11173
14240
10053
11143
11150
13232
14238
12183
13219
10003
10127
10101
10056
12209
10112
11180
10111
11155
12214
10107
10092
10020
10034
10104
10069
10012
10038
10052
10047
10010
10055
10095
10067
10042
12204
10114
11172
10063
10001
施 設 名
医療法人社団 王子会 王子会神戸循環器クリニック
医療法人社団 公佑会 北村クリニック
医療法人社団 祥正会 森脇神経内科
医療法人 いちえ会 洲本伊月病院
医療法人 伯鳳会 赤穂中央病院
医療法人 松藤会 入江病院
医療法人社団 英明会 大西脳神経外科病院
公立八鹿病院
医療法人社団 奉志会 コスモクリニック脳神経外科
社会医療法人 仁厚会 藤井政雄記念病院 ヘルスケアセンター
医療法人 十字会 野島病院
公益財団法人 ヘルスサイエンスセンター島根
一般財団法人 操風会 岡山旭東病院
総合病院岡山赤十字病院
医療法人 全仁会 倉敷平成病院 平成脳ドックセンター
医療法人 信愛会 日比野病院
医療法人社団 清風会 五日市記念病院
医療法人 光臨会 荒木脳神経外科病院
医療法人 翠清会 翠清会梶川病院
医療法人社団 朋仁会 広島中央健診所
医療法人社団 薫風会 横山病院
国家公務員共済組合連合会 呉共済病院
社会医療法人 祥和会 脳神経センター大田記念病院
公立学校共済組合 中国中央病院
さとう脳外科クリニック
医療法人 協愛会 阿知須共立病院
医療法人社団 宇部興産中央病院 健診センター
独立行政法人 地域医療機能推進機構 徳山中央病院
徳島県厚生農業協同組合連合会 阿南共栄病院
こくぶ脳外科 内科クリニック
医療法人社団 新進会 おさか脳神経外科病院
香川県立中央病院
香川県厚生農業協同組合連合会 滝宮総合病院
社会福祉法人 恩賜財団 済生会今治病院
社会医療法人 社団更生会 村上記念病院
医療法人 健会 高知検診クリニック 脳ドックセンター
医療法人 治久会 もみのき病院
医療法人社団 高邦会 福岡山王病院
医療法人財団 池友会 福岡和白総合健診クリニック
社会医療法人 天神会 新古賀クリニック 脳ドック施設
医療法人 陣の内脳神経外科クリニック
医療法人社団 水光会 宗像水光会総合病院
医療法人 松籟会 河畔病院
医療法人社団 石坂脳神経外科
独立行政法人 労働者健康福祉機構 長崎労災病院
医療法人 堀尾会 熊本託麻台リハビリテーション病院
医療法人 熊愛会 熊本脳神経外科病院
日本赤十字社熊本健康管理センター
社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院 予防医療センター
国保水俣市立総合医療センター
独立行政法人 労働者健康福祉機構 熊本労災病院
医療法人 健裕会 永冨脳神経外科病院
大分県厚生連 健康管理センター
一般社団法人 藤元メディカルシステム 藤元総合病院
医療法人 宏仁会 海老原総合病院
医療法人 慈風会 厚地脳神経外科病院 脳ドック室
鹿児島赤十字病院
医療法人 秋津会 徳田脳神経外科病院
出水総合医療センター
一般財団法人 沖縄県健康づくり財団
Japan Brain Dock Society Report 2015 March
電話番号
078-367-7222
078-261-3533
079-448-4800
079-926-0771
079-145-1111
079-230-6818
078-938-1238
079-662-5555
079-496-5577
085-826-2111
085-822-6231
085-320-0649
086-276-3231
086-222-8811
086-427-1115
082-848-2357
082-924-2211
082-272-1114
082-249-6411
082-228-1177
082-374-1122
082-322-1111
084-931-8650
084-970-2121
084-940-5855
083-665-2711
083-651-9222
083-428-4411
088-444-3131
087-875-2255
087-886-3300
087-811-3333
087-876-1145
089-847-2500
089-756-2300
088-883-9711
088-840-2222
092-832-1100
092-608-0138
094-235-2485
092-582-3232
094-034-3111
095-577-2611
095-634-0606
095-649-2191
096-381-5111
096-372-3911
096-387-8270
096-351-1011
096-663-2101
096-533-4151
097-545-1717
097-723-7112
098-622-7017
098-323-1111
099-226-1231
099-261-2111
099-444-1119
099-667-1611
098-889-6474
編集後記
創刊号の編集に当たって、将来、この学会報はどのように発展するのかを考えました。つまり「日本脳ドック学会
雑誌」
のような学術雑誌になるのか、それとも、会員の情報伝達手段としての自由な出版物か、ということです。脳ドッ
クに関する学術論文が近い将来、急増するとはとても思えませんので学術雑誌は当面、非現実的で、結論は後者とな
ります。また、せっかく出版しても会員が読まないようでは無意味ですので、役に立つ、興味ある記事が掲載されて
いなければなりません。もう少し欲張って、会員以外の人が、たとえば医局や病院の待合室などで目にして、脳ドッ
クへの認識を深めてもらう事になれば、さらに良いのではないかとも考えました。創刊号はこの基本線で編集しまし
た。
「巻頭言」は小林祥泰理事長にお願いしましたが、期待に違わず圧巻でこれ以上はないという脳ドックの紹介にも
なっています。巻頭言の図を表紙に使わせていただきました。
「トピック」の項は斎藤 勇先生と岩渕 聡先生にお願いしました。認知症のスクリーニングと頸動脈プラーク・イ
メージングという、実際的でまた学術的でもある重要問題について、ためになる論文を書いてくださり、本会報の学
術的価値が上がりました。
「会員のひろば」
は会員の投稿を掲載する欄ですが、創刊号は大長老の太田富雄先生に執筆をお願いしました。先生
の持論が展開された気持ちのこもった文章を書いてくださいました。
認知症予防は多くの人が関心を持ち、また最近の脳ドックの重要な対象であるとの認識から、本号では「ボケ防止
の宝箱」という欄を作りました。たまたま知人である札幌医大泌尿器科の熊本悦明名誉教授から興味深い話を聞く機
会があり、執筆をお願いしたところ快く引き受けて下さり、目からウロコの文章を書いてくださいました。
「私の施設の脳ドック」は現実の脳ドックの紹介です。今回は、今までにおこなった日本脳ドック学会施設認定の申
請資料から、もっとも詳細な結果報告書が交付されている施設を選び紹介していただきました。
「文献情報」
は知識のアップデートに欠かすことができません。本号では6項目に分けてそれぞれの専門家の方々か
ら、比較的新しい重要な文献を紹介していただきました。きっと勉強になると思います。
前回の総会と次回の総会の紹介記事をそれぞれの会長の先生にお願いしました。
その他、事務局からの一連の報告、お知らせ、認定施設一覧などを掲載しました。レイアウトやデザイン、編集作業
のもろもろに関して、響文社の高橋哲雄、アドック社の橋本純二の両社長さんが素晴らしいアイディアとよい仕事を
してくださいました。感謝いたします。
端 和夫
日本脳ドック
学会報
創刊号
2015年3月15日
発行:日本脳ドック学会
編集人:端 和夫
〒004−0031 札幌市厚別区上野幌1条2丁目1番10号 医療法人 新さっぽろ脳神経外科病院内
●TEL: 011−891−2500(内線255)
●FAX: 011−891−5100●E-mail : [email protected]
定価300円 ISSN 2189−3128
日本脳ドック学会報 2015 創刊号
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