タクティクス(HBA指導者育成専門委員会ブログ) 北海道バスケットボール

北海道バスケットボール協会
指導者育成専門委員会
2012/04/06(金)
タクティクス(HBA指導者育成専門委員会ブログ)
NO.
106
3月10日11日に愛知県で開催された全国バスケットボールコーチクリニックに北海
道から道外研修に応募して参加した成田、吉田両氏のレポートを掲載します。
第1日目
第一部講義
FIBA ASIA U-16男子選手権大会に参加して
講師
U16日本代表ヘッドコーチ
富樫
英樹
1.アジア諸国の現状(16歳以下)
(1)体格と身体能力について
・中国は2m越えが登録の半分はいる
・中近東は2m前後の選手で能力があるチームが上位にきている
・韓国は日本を一回り大きくしたチーム
・台湾は日本と身長は変わりないが、体格は一回り大きい
・フィリピンはそれほど大きくはない
・インドには14歳から参加している選手が2m15cmの130kg
(2)個人技術について
・東アジアとフィリピンはボールハンドリング技能が高い
・その他の国はスキル的にはそんなに高くない
(3)チームについて
・中国は年間合宿しているせいかチームとして完成されている
・韓国は個人技能で勝負のチーム
・フィリピンは簡単なナンバープレーからの1対1
・中近東は体格差を生かした1対1からのリバウンド
・インドは長身者のリバウンド、1対1
・台湾は日本と似ている
2.子どもたちの現状
・日本はとても恵まれた環境であり、他国の選手達は開会式でも並べない国がほとんどで、
生活態度も中国、日本、台湾などは整然としているが、韓国は少々乱れていた。
-1-
3.日本の中学生がアジア諸国の環境に適応できるか
・食事
・体育館環境
・強化体制
第1日目
→
→
なんでも食べられるタフさ
日本の体育館は良く整備されているが、実際に戦うアジアの体育館は
劣悪である
→ 大きい選手(190cm)をいかに育てていくのか
PG の育成
チームプレーが出来る選手を育てる
第2部クリニック
ユニバーシアード競技大会を終えて
講師
大学女子選手の課題
U24 日本代表ヘッドコーチ
佐藤
智信
1.大会に向けたチームテーマ
①
②
③
④
速いトランジッション 攻撃回数を100回へ
ハーフコートでの人数が少ないうちにリングヘアタックする(4対4まで)
数的優位性よりも空間的優位性を優先する
正確なプレー(精度の高いシュート) TO を10個以内に
激しく、強いプレー
積極的なコミュニケーション
チームテーマ
① 速いトランジッション
練習メニュー
縦1/2コート2ON2
② 正確なプレー
レイアップアラカルト
①スクープレイアップ
②ワンステップ
③レイバック
④ワンステップリーチバック
⑤切り返しレイバック
⑥スライドダブルクラッチ
⑦リバースレイバック
ローポストムーブドリル
①フリーフット
②スウィング
③スウィングフェイク
④ジャブステップ ジャンプシュート
⑤ジャブステップ ポンプフェイク
⑥スピン
3人の合わせ ボールサイドローポスト起点
①パス&ラン
ハンドオフ
フリーフットからのパスか1ON1
③ 激しく、強いプレー
④ 積極的なコミュニケーション
-2-
第1日目
第3部クリニック
育成時代フィジカルのコンディショニング
講師
なでしこジャパンフィジカルコーチ
広瀬
統一
育成年代のフィジカルコンディショニングのなりたち
①体を巧みにつかう能力 → ②基礎体力
①の土台の上に②・③がある。
→
③専門体力
コアトレーニングの重要性
正しい姿勢
耳たぶ・肩峰・大転子・膝関節前部・外果の前方を一直線にして行う。
*間違った姿勢は動きをロスする。また怪我にもつながる。
中臀筋は骨盤を外にながれないようにする。外に流れると捻挫の原因になる。
全ての動作は体幹筋からはじまる。速く正確な動作を行うためには、正しい姿勢で体幹筋
を鍛える必要がある。正しい姿勢を定着させるには普段の立ち姿勢から意識して行う必要
がある。
一般的に行われている体幹トレーニングも正しい姿勢で行わないと効果が薄い。
育成年代のうごきづくり
コアトレーニング → アジリティ → 専門的フットワーク
出来ない動作がある場合は一つ前に戻り、問題を解消していく。
第2日目
第1講義
ジュニアの育成事情
講師
東海・愛知の育成事情
若水中学校女子バスケットボール部コーチ
1.学校体育から社会体育へ
① 愛知県におけるジュニアチーム(クラブチーム)数の変遷
年度
H18
H19
H20
H21
男子
53
55
60
66
女子
46
52
58
63
② 登録選手数
年度
H18
H19
H20
H21
男子
895
834
855
968
女子
706
794
805
908
-3-
杉浦
祐司
H22
64
60
H23
62
65
H22
908
870
H23
1000
977
愛知県では校区の学校にバスケットボール部がない場合や、中体連を終えたあとの中学3
年生のバスケットボールをする環境を整えるために、ジュニアクラブチームの活動が盛ん
に行われている。
2.中学校指導現場の問題
①
部活動の限界
1.場所がない
2.時間がない
3.指導者がいない
4.部活動がない
② 愛知県にはジュニア連盟があるが東海他県にはジュニア連盟がない
3
これから
・学校からスポーツが離れた時代が来なければならない
①愛知県でのジュニア活動
1.ジュニア連盟として年間を通じて活動場所を確保
2.火曜・水曜の週2回、18:00~20:45まで
3.男子、女子ともに
4.会場費 = 会費
5.強化に結びつけたい
第2日目
パネルディスカッション
ミニバス・ジュニア世代の指導について
~
日本バスケットボールの輝く未来にむけて
パネリスト 杉浦
ファシリテーター
祐司
倉石
富樫
英樹
佐藤
智信
広瀬
~
統一
森山
平
1.ミニバス・ジュニア世代の選手をバスケットボールにひきつける
実態
1)バスケット競技人口の減少
『スラムダンク』人気の時期をピークに年々減少している。
体が大きく、運動能力が高い選手が他競技に流れている。
2)長身者の減少
ウィンターカップにおける長身者比較(男子)
180~184㎝
185~189㎝
190~194㎝
195~199㎝
200㎝~
2001年(48校)
174
97
43
11
4
-4-
2011年(50校)
176
77
35
7
6
恭行
2001年は195㎝以上15名のうち外国籍は2名だったが2011年の195㎝以
上13名のうち6名が外国籍の選手だった。このことからもわかるように世界で戦えるサ
イズの日本人選手が減少傾向にあることがわかる。
課題
ミニバス・ジュニア世代のバスケット人口の増加
方策
以下のような観点からの検討が考えられる。
①指導のフィロソフィーをどう考えるか
②指導者の子どもたちへの接し方をどう考えるか
③ミニバス・ジュニア世代のこどもたちをどう捉えるか
④指導内容をどう考えるか
⑤ゲームをどう考えるか
ルールに踏み込むという観点
例)ミニバスにおけるゾーンプレス・ゾーンの禁止
ジュニアにおけるショートクロック30秒
選手の発達段階に応じたローカルルールの導入があってはいいのではないか。
「平成23年度全国バスケットボールコーチクリニック(東海会場)
」
吉田博行
主催:財団法人 日本バスケットボール協会
主管:東海バスケットボール協会、愛知バスケットボール協会
開催日:平成24年3月10日(土)~3月11日(日)
会場:1日目(3月10日)千種スポーツセンター
2日目(3月11日)ウィルあいち
日程・内容:
【第1日目】
第1部講義 「FIBA ASIA U-16 男子選手権大会を終えて~U-16 世代のアジアの現状、
日本の現状~」
講師:富樫英樹氏
(平成23年度男子 U-16 日本代表チームヘッドコーチ、新発田市立本丸中学校)
上記大会が昨年 10 月にベトナムにて行われ、14 カ国中、中国、韓国に次いで 3 位とな
った。中国は完成されたチームで力としては突出しているものの韓国、日本、フィリピン
は肉薄しており、韓国は確かに強いが背中は見えているとの事。何か工夫次第では勝てる
要素はあると富樫監督。日本の将来は明るいのかもしれない。
世界的にて見ても日本のバスケットボールは決して非力ではないことがわかった。では
日本の中学生は何か優れているのか。しきりに富樫監督が言っていたのが 2 番、3 番、4 番
の個の能力はかなりあるし、そういったプレイヤーを生かしたオールコートのプレスディ
フェンスはかなり効果があったと言うことである。ショット技術や走力を生かした組織力
は優れている。反面、弱点はサイズにある。走力があってボールハンドリングの卓越した
ビックマンが日本にはいない。
(中体連全国大会でも 190cm 越えの選手はほとんどいない。
強豪チームで経験を積んだビックマンがいない。)これは日本のジュニアバスケットボール
のスタイルがビックマンを生かすよりも外のショット力やトランジションを生かした守備
や攻撃を長所とした方が勝ち進みやすいと言うことの表れなのかもしれないと感じた。か
わすのではなく、ぶつかりながらプレイのできるビッグマンが世界標準である。
さらに、シュート力やサイズを重視して招集されたチームだけにポイントガードに苦慮。
それぞれ自チームでは強豪チームのシューターである選手ばかりなのでパッサーとしてや
や劣る面があるとの事。つまり、1 番・5 番の育成が急務であると言うことである。
-5-
第2部クリニック 「ユニバーシアード競技大会を終えて~大学女子選手の課題~」
講師:佐藤智信氏
(平成23年度女子 U-24 ユニバーシアード日本代表チームヘッドコーチ、
白鴎大学女子バスケットボール部監督)
このクリニックは地元の大学生を使って行われた。この地元の大学生にとっては初めて
取り組むメニューであったが佐藤監督の指導の下、みるみるうちに吸収していく様子が印
象的であった。大学生も優秀であったがやはり佐藤監督の的確でわかりやすい指示や論理
的な説明がすばらしいと感じた。
特に着目すべきはサイズが劣勢であることを前提としたメニューが組まれていることで
ある。レイアップドリルに関してはスクープショット、ワンステップ、切り返しレイバッ
ク、ランニングフックなど長身プレイヤーに対してタイミングをずらすためのドリルが多
くあった。
さらに、特筆すべきはリング下、バックボード裏のスペースを利用するというものであ
った。リングに向かうドライブやカット、ペイント内はなかなかプレイをさせてもらえな
いが前述のエリアは意外にもぽっかりとスペースが発生し、得点チャンスにつながること
が多いと言うことである。実践でもそういったシチュエーションが多く見られ、成功した。
確かにリングの真下というのは表と裏のショットはあるし、外枠へのあわせのパスも出し
やすい。
(それをレシーブした外のプレイヤーもショットに行きやすい)さらに、そのエリ
アへパスを入れる際もかなりディフェンスの不意を突く事になる。カッティングドリルで
もゴールの真下を目標に走り込むものであったし、2on2、3on3のあわせでもこの
エリアで面を取ることやそのプレイヤーへのパスをかなり意識させていた。見ていてもこ
れらのプレイが良く絡み合うのが実に見事であった。
第3部クリニック 「育成年代フィジカルのコンディショニング」
講師:広瀬統一氏
(ナショナルコーチングスタッフ(なでしこジャパンフィジカルコーチ)、
日本サッカー協会フィジカルフィットネスプロジェクトメンバー、
早稲田大学スポーツ科学学術院准教授)
このクリニックでも男女ジュニアオールスターの子どもたちがモデルとなって行われ
た。ここで教わった事はスポーツ全般に言えることであるし、子どもたちを指導する我々
にとって非常に重要なことであると思った。
まず、育成年代のフィジカルコンディショニングには成り立ちがあり、家に例えられて
いる。安定した家を大きく建てるためにはまず土台が必要である。この土台とは「体を巧
みに使う能力」であると広瀬先生は言っている。動きの多様性が土地の広さとなりバラン
ス感覚が土地の安定性である。このような神経系の動きが良くなければ基礎体力もつかな
いし、専門体力も非力なものになってしまうというものである。広瀬先生は子どもたちに
先生の動きをその場でまねするように示した。一部の体の小さな子たちは一発でやっての
けた。さすが選抜されるだけの選手である。しかしながら、長身の子たちはなかなか手こ
ずっているようだった。また、男子よりも女子の方が適応能力はあるようだ。このような
動きを何回でできるようになるかを我々は観察しなければならない。これが「体を巧みに
使う能力」である。
そして、起立したときの姿勢も重要である。耳垂や肩峰など体の 5 カ所が横から見て一
直線にならなければ正しい姿勢とはいえない。正しい姿勢が作れない子は正しいシュート
フォームや正しいディフェンスのフォームを身につける事はできないという考え方であ
る。次に体幹トレーニングであるがいわゆる腹筋ではなく腹式呼吸の際に使われるおへそ
の周囲の筋肉(復横筋)を意識させる事で体幹が鍛えられ、トレーニングも安定して行な
う事ができる。ボールをキャッチするときやダッシュをするときなどは体の中で最も始め
-6-
に反応するのが腹横筋である。さらに、ランジの形でも特に強調されていたのが膝と踵の
位置である。常に膝と踵は一直線になるよう先生は指示していた。バスケットボールで最
も多い怪我の一つである前十字靭帯の損傷の予防に大きな効果を発する。
多くのコアトレーニング、バランストレーニングを紹介してもらったがそれぞれ最も重
要なのは復横筋や膝・踵の位置やその姿勢、意識付けである。したがって選手の筋力にあ
わない場合はその強度を下げてでも正しいフォーム、正しい意識付けにおいてトレーニン
グをさせなければ効果は半減するし、また、逆に危険な癖にもなりかねないという事であ
る。
【第2日目】
第1部講義 「ジュニア世代の育成事情~愛知県・東海地区の事例~」
講師:杉浦裕司氏
(名古屋市立若水中学校女子バスケットボール部コーチ)
クリニック2日目は会場を別にし、講義という形だった。階段式の観客席はほぼいっぱ
いの中、始められた。この講義では杉浦先生の悪戦苦闘の歴史がひしひしと伝わってくる
ものであった。愛知県ではジュニア連盟を発足して19年目になる。試行錯誤の連続の中、
中学生がクラブチームとして活動できる場を広げつつある。チーム数や選手登録数は年々
増え続け、現在ではほぼ満足する数字まで到達しているとの事。
なぜこのような経緯に至ったかというとやはりバスケットボールを指導する上で「中等
教育という範囲内では活動に限界がある」事から端を発している。学校教育内の部活動で
は「体育館の確保。時間の確保。指導者の確保。部活動そのものがない。」など問題があり、
限界がある。杉浦先生も遠征や転勤などさまざまな障壁にぶつかった経験を話されていた。
より高みを目指してバスケットボール活動を行うためには「指導者が選手を選ぶ」
「選手が
指導者を選ぶ」場があっても良いのではないかという考え方である。これについてはかな
り根が深いし、賛否両論ありそうであるが杉浦先生がそれだけの熱意を持って活動されて
きた事がうかがえる。
クラブチームのメリットとしては「遠征や合宿などの活動場所を選ばない。部活動がな
い中学生にも活動場所を提供できる。中学校の枠を超えより高い意識、より高い技術で取
り組ませる事ができる。部活動引退後も高校でも続けたい 3 年生選手の活動場所とする事
ができる。」杉浦先生は「強豪チームとの試合経験に価値がある。」とも仰っていた。
愛知県ではジュニア連盟と中体連の二重登録を承認しており、大会も極力かぶらいよう
日程を調整している。また、指導者のためのコーチクリニックを週2回(18:00〜20:45)
実施している。
今後は「学校からスポーツが離れた時代が来なければならない。ジュニアのクラブ全国
大会ができないか。」と杉浦先生は熱く語っていた。
第2部講義 「ジュニア世代指導について~サッカーの事例~」
講師:広瀬統一氏
フィジカルトレーニングについては 1 日目のクリニックでも紹介された通り、特にジュ
ニア期のスポーツトレーニングにおいて重要な意味を持つ。本講義ではそれらについてビ
デオ等を参照しながらの受講となった。日本サッカー協会では「フィジカルフィットネス
プロジェクト」といってかなり統計的、科学的にトレーニングが行なわれている。
特に着目すべきは
① 身長にあったフィジカルトレーニング
② 練習を通じたフィジカルの向上(継続性)
③ U-12 の重要性
である。U-12 はよくゴールデンエイジと呼ばれる。この時期にどのようにスポーツと向き
-7-
合い、トレーニングするかはその後の成長に大きな影響を及ぼす。よって、過度なものや
興味のわかないものは継続困難であり逆効果となる。ボールを使って持久的なトレーニン
グ強度をアジャストする事も工夫次第である。たとえばフルコートの5on5では67%の
負荷に対して3on3では74%、2on2では79%の負荷をかける事ができる。同じ練習
でもその時間や条件によってトレーニング強度が変化する。ボールを使うと MAX スピード
が出にくいのでそこを補うようなトレーニングを工夫すれば良いという事である。
第3部パネルディスカッション 「ミニバス・ジュニア世代の指導について」
パネリスト:杉浦裕司氏、富樫英樹氏、佐藤智信氏、広瀬統一氏、
森山恭行氏(JBA 指導者育成委員、松江工業高等専門学校)
ファシリテーター:倉石平氏
(JBA 指導者育成委員長、コーチ委員会副委員長、
早稲田大学バスケットボール部総監督)
二日目第3部は森山先生より問題提起され、倉石氏を司会としてパネルディスカッショ
ンという形で行なわれた。
「若年層の人口減少以上にバスケットボールの競技人口に減少が
見られる。
(野球やサッカーには見られないものであるが)魅力あるバスケットボールをど
う指導するか」という提言からスタートした。
ミニバスは世界大会がないので各国でルールが異なる。例えば、南米ではフルコートや
ゾーンによるディフェンスを禁止している。日本では主になる戦術の一つである。キープ
力や経験のないミニのプレイヤーにはフルコートプレスなどがチームの勝敗のためには効
果的である事は言うまでもない。しかし、果たしてそこにバスケットボールの魅力がある
のかという事である。ミスばかりがクローズアップされ、子供たちは失敗経験として捉え
がちになるだろう。一方でアメリカではショットクロックの制限がない。キープ力や1対
1の能力が重要となる。技術面、精神面からルールを考えるべきであると森山先生は言う。
森山先生が一般の生徒に「5対5、4対4ではどちらのバスケットボールが楽しいか。」と
どちらも経験させてからアンケートをとったところ圧倒的に4対4の方であったという。
バスケットボールの魅力がショットやオフェンスであるならば当然の結果である。また、
ヨーロッパのジュニア期サッカーでは8人制としている。11人と8人とでは格段にボー
ルに触る回数が異なるという。8人制は20〜25秒に1回はボールに触れるという事が
統計的にわかっている。
ミニの時期はもっともっと柔軟性があっても良い。極端なことを言えば各都道府県でル
ールが違っても良いのではないかと佐藤先生。杉浦先生は自チームで練習をさせるときに
はラインをほとんど使わないという。ラインから出たボールも最後まで追う意識を植え付
けたいという意図がある。競技の目的は同じであるがプロセスは様々、いろいろな形があ
ってよい。また、選抜選手の中にはスキップや側転といった基本動作ができない子もたく
さんいると言う。広瀬先生のいうところの「体を巧みに使う能力」が劣っている。これは
幼少期より専門性に特化した練習をしているせいである。バスケットボールを始める時期
が年々早まっている。小学5、6年生が「今から初めても追いつけない」と門戸を叩けな
いで諦めてしまっている。その連鎖は中学、高校へも続く事を考えるとバスケットボール
プレイヤーは小学の低学年からバスケットボールのみに打ち込み、逆に言うとバスケット
ボールしか知らない、できないと言う事になる。
ルールや環境を工夫する事で子供たちにバスケットボールの魅力を伝える事はできない
ものか。また、世界に羽ばたくプレイヤーを育てるためにはどのような環境が必要なのか。
と言った内容でディスカッションが行なわれた。
HBA(北海道バスケットボール協会)指導者育成専門委員会
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