米国の経験から 何を学ぶか

経済広報センターポケット・エディション・シリーズ
No.79
経団連
会館
米国ビジネススクール教授・シンポジウム
千代田線
大手町駅
日経
新聞
NTT
半蔵門線
大手町駅
KDDI
逓信
博物館
産経新聞
読売新聞
●
三菱東京
UFJ銀行
米国の経験から
何を学ぶか
−グローバルな視点から見る企業経営への展望−
●
大手町ビル ★
● 丸の内線
大手町駅
●
● 都営三田線
大手町駅
東西線
大手町駅
丸の内線 ●
東京駅
●
JR
東京駅
「米国ビジネススクール教授招聘プログラム」を一九九四年度より実施している。
経済広報センターは、米国のビジネススクールの教授と日本の各界有識者が議論を交わす場として、
今回は、二〇〇七年六月四日から八日までの日程で、米国の有力ビジネススクールから五名の教授を
招聘し、日本の経済界、学界、政界のオピニオンリーダー諸氏と幅広く意見交換を行った。これを踏ま
え、最終日の六月八日に、「米国の経験から何を学ぶか ―
グローバルな視点から見る企業経営への展望」
と題し、早稲田大学の宮島英昭教授をモデレータに迎え、シンポジウムを開催した。
各教授からは、それぞれの専門分野を踏まえ、マクロ経済(米国経済が曲がり角を迎える中での日本
の取るべき対応)、金融面(サブプライムローン問題と銀行業への規制との関係)、内部統制(日本版S
OX 法の活用方法)、マーケティング(インターネット時代におけるマーケティングの新たな取組み)
、
人材育成策(ビジネススクールの果すべき役割)など様々な角度から、グローバル時代の経営に活かさ
れるべき多くの知見が示された。
)
Roberto Rigobon
ヴィクター・スタンゴ(
)
Victor Stango
マサチューセッツ工科大学スローン・ビジネススクー
ル 国際経済学
准教授
一九九七年マサチューセッツ工科大学(MIT )に
て 経 済 学 博 士 号 を 取 得。 九 七 年 か ら 二 〇 〇 〇 年 ま で
M I T ス ロ ー ン・ ビ ジ ネ ス ス ク ー ル 経 済 学 部 准 教 授、
二〇〇〇年から〇三年まで同スクールのキャリア開発
教授、〇四年より現職。九九年より全米経済研究所(N
B E R ) の 研 究 員 も 務 め る。 専 門 分 野 は 国 際 経 済 と マ
クロ経済。
ロベルト・リゴボン(
【スピーカー略歴】(敬称略、順不同)
本稿はそのシンポジウムの概要を紹介するものである。
米国ビジネススクール教授・シンポジウム
─グローバルな視点から見る企業経営への展望─
」
「米国の経験から何を学ぶか
日
時
二〇〇七年六月八日
場
所
経団連会館
講演者
下記参照
ダートマス大学タック・ビジネススクール
経営管理学 准教授
一九九六年カリフォルニア大学デービス校にて経済
学博士号を取得。
カリフォルニア大学バークレー校ハー
ス・ビジネススクール准教授、シカゴ大学ビジネスス
クール准教授、連邦準備理事会(FR B )シカゴのシ
ニ ア エ コ ノ ミ ス ト、 F R B ニ ュ ー ヨ ー ク の 客 員 シ ニ ア
エコノミストなどを経て、〇四年より現職。経営経済
米国ビジネススクール教授・シンポジウム「米国の経験から何を学ぶか−グローバルな視点から見る企業経営への展望−」
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学および競争・公共政策を教えている。専門分野はネッ
トワーク産業の競争。最近の研究は、
ATMネットワー
ク市場における互換性と非互換性間の競争優位、互換
性の標準化に関する政府の役割、
ライバル社同士のネッ
トワーク間の競争など。
二〇〇四年より現職。専門分野はマーケティングにお
ける統計解析、顧客満足度、サービス品質、ネットワー
クとダイアド。最近は、質的心理学やサービス・ブラ
ンドについて研究をしている。
アミール・ジフ( Amir Ziv
)
フレデリック・チョイ( Frederick D.S. Choi
) コロンビア大学ビジネススクール
副学部長・教授
ニューヨーク大学スターン・ビジネススクール
教授
一 九 九 〇 年 ス タ ン フ ォ ー ド 大 学 に て 博 士 号 を 取 得。
ニューヨーク大学スターン校にて二五年に渡り教鞭
イェール大学大学院教授、イスラエルの共同研究セン
を取っている。一九九五年から二〇〇四年まで同大学
ター教授などを経て現職。専門分野は、組織における
スターン校副学部長・学部長を経て現職。フランスの
会計情報の役割、財務開示、経済環境における会計制
欧州経営大学院(INSEAD )や、イギリスのクラ
度の影響など。最近の研究は、企業構造、市場占有率
ンフィールド・ビジネススクール、イタリアのボッコー
と品質の関係、良い監査に対する市場の反応など。
ニ大学などで教えた経験もある。専門分野は財務会計、
国際会計、金融分析。
ドーン・イアコブッチ( Dawn Iacobucci
)
ペンシルベニア大学ウォートン・ビジネススクール
マーケティング
教授
一九八七年イリノイ大学アーバナーシャンペーン校
にて博士号を取得。アリゾナ大学教授、ノースウェス
タン大学ケロッグ・ビジネススクール教授などを経て、
【モデ レ ー タ ー 略 歴 】
宮島
英昭 (みやじま・ひであき)
早稲田大学
商学部
教授、早稲田大学
ファイナ
ンス総合研究所
副所長
一九 八 九 年 〜 九 四年 早 稲 田 大学 商 学 部 助教 授 を 経 て
九五年より同学部教授。二〇〇三年一〇月早稲田大学
二一世紀COEプログラム 企業法制と法創造総合研究
所 副所長。〇四年四月より早稲田大学ファイナンス研
究 所 副 所 長。 九 二 年 〜 九 四 年 お よ び 〇 四 年 〜 〇 五 年
ハ ー バ ー ド 大 学 ラ イ シ ャ ワ ー 日 本 研 究 所 客 員 研 究 員。
現在、財務省財務総合研究所特別研究官、韓国中央大
学校客員教授、独立行政法人経済産業研究所ファカル
ティー・フェローなども務める。
著 書 に、
『産業政策と企業統治の経済史─日本経済
発展のミクロ分析』
(二〇〇四年)
、
『現代日本経済』
(一九九八年、共著)など。
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国経済は現在、調整局面に向かっています。こ
米国と日本の関係についてお話ししたい。米
【ロベルト・リゴボン准教授】
外市場に依存することも、以前のように簡単に
非常に難しかっただろうと思います。また、海
いデフレも発生しました。これを調整するのは
日本は長期にわたる景気後退に陥り、これに伴
功し た戦略 でし た。ところが、過去 一五年間、
れは避けることはできません。学界では、この
はいかなくなったと思います。
●教授によるプレゼンテーション
調整がどういう形で起こるか、ドルはどの位下
個人的には、米国経済の調整では相当程度、需
時、どのように起こるのかが議論の対象です。
ております。調整が起こるか否かではなく、何
度消費者は調整を迫られるか、などが議論され
が国民の厚生にもつながると思うのです。
を借りて成長を確かなものにすべきです。それ
と考えております。日本はもう少し内需の助け
想しておりますので、日本の海外依存は問題だ
私は相対的に大きな調整局面が米国に来ると予
がるか、不景気の程度はどのくらいか、どの程 この日本と米国の関係をどう見るかですが、
要が落ち込むと思います。
高度成長を続けてきましたが、これはとても成
います。日本は戦後、輸出をエンジンにずっと
【ヴィクター・スタンゴ准教授】
ます。今は、国内経済に軸足を置いて産業を後
はない、また消費税も上げる時ではないと思い
一方で日本経済は、現在良い状態にあると思 こうした理由から、今は金利を上げる時期で
押しし、国民を助けるべき時期です。また、為
替レートを過剰に円安に導く時でもないと思い 私は、銀行貸出しに対する政策はどうあるべ
しましたが、全て立派な企業ばかりでした。国
信しています。この五日間、色々な企業を訪問
日本は素晴らしい運命を持っている国だと確
の問題はどの国についても当てはまるところが
況に限ってお話をさせて頂きます。しかし、こ
私は日本専門家ではありませんので、米国の状
してお話しします。最初にお断りしたいのは、
きか、なかでもいわゆる消費者金融問題に限定
民のレベルは高く、日本は、成功する以外の可
あると思います。
ます。
能性を持たない国です。ですから当局は、もう
の危機に備えるのです。そうすることで米国の
ると思います。日本の消費者を重視して、将来
の方が、日本の国民にとってより良い生活があ
ます。住宅在庫は積み上がり、着工数は鈍化し
(図1)
。しかし、最近は値下がりに転じており
バブルの時と同じように大幅に上昇しました
二〇〇五年までの間、住宅相場は日本の不動産
少し国民を信頼し、国内を重視すべきです。そ 全体の状況ですが、米国では一九九五年から
調整から自らを守るのです。
ています。遊休資産が増え、不良債権が増加し、
リスクの高い借り手への融資は失敗に終わった
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場の値下がりによって、彼等は非常に苦しんで
おります。
現在の状況を巡る政策論争の中で、政府が是
正できる可能性がある二つの問題が指摘されて
います。一つは、いわゆる略奪的な融資が行わ
れているのでないかという問題です。
形になっています。今後、価格がさらに大きく
下落するのでないか、不景気に突入していくの
ではないかとの懸念が広がっております。実際
どうなるかは予想できません。
ここで考えたいことは、このように銀行も借
り手も問題を抱える中で、政府の適切な役割は
何かという命題です。
住宅市場のこれまでの活況は、金融部門にお
ける規制緩和によるものと言われております。
価格統制がなくなり、参入規制も緩和され、金
融面でのイノベーションが爆発的に広がりまし
た。優れたクレジット・スコアリング・システ
ムが導入され、リスクの高い消費者向け融資を
専門的に行うサブプライム・レンダーと呼ばれ
る銀行が登場しました。しかし、最近の住宅市
たらどうかという議論もあります。他には、苦
しんでいる消費者、または銀行をも支援する考
え方。情報開示の方法を改善することで、借り
手側により良い情報与えるべきだといった議論
も行われております。
政策立案者が目標とすべきことは、競争原理
融商品について十分に情報を得た上で最善の選
が市場で十分働くようにすること、消費者が金
われた結果、実際に返済出来なくなった借り手
択を行えるようにすること、そして最適な形で
の資金配分を実現すべく資金の自由な流れを確
保することです。
のリスクに見合ったものであれば、貸し手、借
高い借り手に融資するとしても、価格設定がそ
で大事な点が二つあります。一つは、リスクの
に取ったのではないかとも指摘されています。 私の意見としては、まず貸し手に関すること
ではないか、資本市場の参加者がリスクを過剰
もう一つは、全体としてこれは投機バブルなの
が多く発生したのではないかということです。
つまり、借り手の返済能力を超えて融資が行
図1 住宅価格の上昇図
そこで、幾つかの政策が議論されています。
一つは、金利を統制して消費者を保護する考え
方です。また、融資の条件について制限を設け
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り手双方にとって良いことだということです。
可能にしてしまうのです。
ります。また、融資を行う場合には、借り手の
確かに金融支援は短期的には有効ですが、これ
銀行に対する救済措置が議論されております。
米国の金融機関はリスク評価に非常に長けてお また、返済不能となった借り手や、破綻した
返済能力を無視してはいけないということで
では問題のある融資を行っても貸し手は保証さ
ようになります。行き過ぎてリスクを取ること
す。貸し手は借り手から返済を受けて収益を上
次に金利の規制の問題です。日本では上限金
を抑えようとしているのに、かえって状況を悪
れることを意味し、貸し手は益々リスクを取る
利が必要との考えが強まっているようですが、
化させてしまうでしょう。
げるのですから。
この方法ではリスクの高い消費者に貸していた
金融機関が貸し渋ることになってしまいます。 まとめますと、米国では金融サービスあるい
も同様です。例えば、
初期の返済額を少なくし、
融資する際の条件に制限を課すことについて
え、貸し手のリスク評価能力も向上した。その
が評価しております。提供される商品の数が増
にとって素晴らしいことであったと、多くの人
は米国経済全般にわたる規制緩和は、米国経済
後で多くするなどの方法を禁ずることは、貸し
結果、低所得者などが受けられる商品・サービ
つまり、信用供給が減少するわけです。
手と借り手の双方が最善の選択をすることを不
条文は経営陣に対して、財務報告作成のプロセ
います。
スに関する内部統制を評価するよう義務付けて
スの幅が飛躍的に広がりました。
つまり、状況が厳しくなって、金利規制を導
入するとか、貸し手・借り手の救済策を講ずる
に悪化させる結果になりかねないのです。情報
た不正会計の再発防止を目的に、二〇〇六年に
るため、また、ライブドア、カネボウ等で起こっ
ということは、当初の意図に反して事態をさら 日本でも国際的に金融市場の位置づけを高め
開示と消費者教育を適切に行うことこそ、とて
日本版SOX法、いわゆるJ─SOXが導入さ
す。
れました。施行は二〇〇八年の四月一日からで
も大事なのです。
【フレデリック・チョイ教授】
スレー法が出来ました。この法律の中で最も議
た。その結果、二〇〇二年にサーベンス・オク
ガバナンスを改革する機運が盛り上がりまし
ドコム等の企業不祥事が発生し、コーポレート
場企業に適用されるのですが、米国と大きく異
す。また、J─SOXは大小を問わず全ての上
外部の監査法人が検証することになっていま
部統制について評価を行い、その評価に対して
404条と同様、経営陣が財務報告に関する内
米国では、今世紀の初めにエンロン、ワール J ─ S O X に お い て も、 米 国 の S O X 法
論の対象となっているのは404条です。この
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なる点は、全ての企業が一定の期日まで遵守す
同法は、経営者に対して、自社の内部統制制度
施要領を十分に示していないことにあります。
ています。米国は訴訟社会であり、経営者も監
るよう求めていることです。米国では、中小企
米国の経験について話しますと、最大の問題
査 人 も 賠 償 責 任 を 非 常 に 心 配 し て お り ま す が、
に欠点がないことを証明するよう求めています
はSOX法によるコストと便益とのバランスで
SOX 法のため、必要であろうがなかろうが、
業および外国企業については、ある程度遵守を
あったと思います。現在、関係者間では、同法
と に か く 全 て 統 制 し て お こ う と の 傾 向 に な り、
が、ないことをどう証明するのかが問題となっ
に適応するためのコストが過大だったというこ
その結果費用が高くついているのです。
遅らせることを許しております。
とで意見が一致しています。初年度に企業が負
考える外国の企業にとっても余計な負担となっ
ては大変な金額です。また、米国で資金調達を
これは相当の経費であり、特に中小企業にとっ
教授が最近の論文で、SOX法が出来た後、外
場で行うようになっております。シカゴ大学の
特に外国企業が、資金調達を規制の緩い他の市
場の競争力が下がってしまう問題があります。
担する金額は、平均で約四五〇万ドルですが、 次に機会コストについてです。米国の金融市
ています。
結果、公開市場で調達するよりコストがかかっ
べく、私募債の発行を選ぶところも出て、その
ことをご紹介したい。また、SOX法を回避す
は異論もありますが、そういう研究結果がある
新株発行額も急減しています。これらについて
ていると述べています。同様の調査によると、
合、その項目についてはあまり詳細に統制する
ンパクトが投資家から見て大きなものでない場
は欠点があったとしても、財務諸表に与えるイ
点が見つけ出される可能性が小さい場合、或い
クト」が鍵となる言葉です。つまり、重大な弱
る可能性」と「それが財務諸表に与えるインパ
て行う様にするのです。「重大な弱点を見つけ
国企業の米国市場での債券発行額がかなり減っ
てくるという問題もあります。さらに、SOX
必要はないということです。
この高コストの一因は、SECが具体的な実
法を遵守するために、高いリターンが期待でき
る活動から会計上の点検作業に労力が割かれる もう一つのコスト削減方法は、監査人や経営
することです。大小問わず企業にとっては、トッ
者こそがリスクの高い箇所を評価し、現実的な
他に米国が得た教訓は、実施コストはかなり
プがリスクを取って下した決定の方が受け入れ
ようになり、米国企業の競争力が落ちていると
節減可能だということです。
「重大な弱点」と
易く、その方が妥当なコストで仕事がなされる
統制の枠組みを構築していく上で肝心だと認識
いう言葉を再定義して、内部統制の見直しをリ
という点で意見が一致しています。
いう問題もあります。
スクの有無という観点から行い、弱点に集中し
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ことを承認しました。
相当の進展だと思います。
く分かるのですから。二週間前、SECはこの
す。どこに誤りがありそうかは経営者が一番良
がないかの確認にもっと注力することができま
ルに縛られなくなることで、財務諸表に誤記載
二つを別にして、経営者が監査人の定めるルー
なっていますが、労力が重複しています。この
価し、その評価内容を監査人が検査することに
法の一つです。現在は、経営者が内部統制を評
監査人の検査を中止することもコスト削減方
なくなります。これは過小評価すべきリスクで
の金融市場の評価を国際的に高めることが出来
OXの信頼性を損ない、本来の目的である日本
に欠けるものになると思います。それはJ─S
たとえ間に合ったにせよ、彼等の報告は信頼性
に間に合わない企業が多く出てくるでしょう。
策が中小企業に対して採られない場合、締切り
不平を言っているのです。実際に何らかの調整
それでも米国の監査法人は、人手が足らないと
思 います。一方、米国には三三 万人もいます。
す。日本の公認会計士は約一万七千人だったと
はないと考えます。
また、中小企業については、実施日を延期す
ることです。これにより中小企業は大手の経験
事務所のアーンスト&ヤングも、内部統制の実
注目するようになっています。米国の大手会計
す。この点は日本がよく考えるべきだと思いま
じことを最初から繰り返す必要がなくなりま
がります。
けが上がり、その企業の資本コスト低下につな
いうメッセージが出てくると、企業の投資格付
企業トップの多くが、今では会計問題に大いに
ことも学びました。金融情報誌によると、上場
から学ぶことができ、多額のコストをかけて同 一方で米国は、SOX法にはメリットもある
効性がかなり向上したという報告書を出し、ま
れることもメリットです。例えばジョブディス
た私と同じニューヨーク大学の同僚も、SOX また、重要な手続を定めた書類の改善が図ら
法以降、経営者による粉飾決算はかなり少なく
クリプションをアップデートし、人が辞めたと
の向上につながります。
きの停滞時間を最小限にすることができ、利益
なったと指摘しております。
最後に、J─SOXが潜在的に持っている一
番大きなメリットは、法の遵守に掛かるコスト
オペレーションや指示・命令・報告系統を見直
のの、SOX法をチャンスと捉え、自分たちの
は会社の経営方針についてのアドバイザーとい
締役は二つの役割を担うことになります。一つ
ということであります。J─SOXの下で、取
にばかり頭が囚われているような人達がいるも 三つ目のメリットは、取締役会が強化される
し、これを投資リターンの上昇につなげるよう
を守る、独立したお目付け役です。もし、経営
う伝統的なものですが、もう一つは株主の利益
例えば、
経営トップが言葉のみでなく行動で、
者が株主の利益にならないことをする場合、反
な発想をすることです。
正確かつ透明な財務報告をすることが大事だと
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ていますが、日本も近い将来必ず増えます。
ではまだ株主代表訴訟はあまり多くないと聞い
訴訟コストの低下につながると思います。日本
対する勇気を持たなければなりません。これは
スト削減を図ることができました。
作業を合わせることで、この企業では相当のコ
かったということがありました。これら二つの
うな作業を進めており、お互いがそれを知らな
トガバナンスに関して積極的に発言するように
きましたが、最近の外国の株主は、コーポレー
てよく知っている人達ばかりではありません。
意図は良かったのですが、政治家は会計につい
家が対応策として作ったものであります。その
日本企業の外国人株主比率は約三〇%だと聞 私の評価では、SOXとJ─SOXは、政治
なってきています。
取締役会を強化することで、
株価も良いパフォーマンスを示すようになると これまでの私の経験では、内部統制が不適切
出来上がっている法律ですが、これに上手く取
門のチームがISOの認証取得に向けて同じよ
のチームがSOXの対応を進める一方、別の部
くということです。実際にある大企業で、一つ
は重複しているものは統制の対象から外してい
もう一つは、あまり重要でないもの、あるい
使って顧客の購入パターンや類似性を見出そう
顧客と何十万もの商品のデータがあり、これを
ければならないテーマです。J─SOXは既に
ばならないかが、これから学者として研究しな
おいて、その所期の目的に照らして達成されね
ら、404条のうちのどの部分がJ─SOXに
がったことを示す例は殆どありません。ですか
だったために、特定の財務報告上の問題につな
り組むことで、経営者が利益を見出す余地があ
としています。
思います。
るのです。
【ドーン・イアコブッチ教授】
ニーズに応えて、それに専門特化したサービス
ります。企業が、それぞれの顧客のユニークな
また、「多様性と選択」というトレンドがあ
マーケティングの分野において見られる新し
や商品を提供するということです。かつてこの
懐疑的でした。しかし、カスタムメードは顧客
い現象、様々な動きについてお話ししたいと思
まず「カスタマー・リレーションシップ・マ
の満足度と忠誠心を上げることが出来るという
考え方は、コストが掛かるとして、多くの人が
ネジメント」についてです。ITによって我々
考えが出てきています。
います。
は 様 々 な デ ー タ の 取 得 が 可 能 と な り、 こ れ を
コムの推奨エージェントが挙げられます。これ
す。最も進んだ例として、アマゾン・ドット・
ぞ れ の ニ ー ズ を 加 え る こ と が で き る。 全 て の
うになっています。基本的な商品に、顧客それ
ンライン上で色々な選択をすることが出来るよ
マーケティングに活用する動きが始まっていま 例えば、自動車のデザインなどについて、オ
は大規模なクラスター分析であり、何百万もの
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色々な組み合わせを選べ、消費者は自分のため
商品が一つ一つ異なるとまではいきませんが、
乗ってくるようになったという様なことです。
そ れ が 確 立 さ れ て い き、 や が て 国 民 の 大 半 が
す。彼等は互いに情報交換し、クレームしてき
次に顧客の声が益々大きくなってきていま
がりは、双方向の場合もあれば非対称的な場合
の関係が矢印であらわされております。その繋
(図2)
。一つの結節、これは人です。一人一人
に特別に作られた商品という印象を持つのです。 ネ ッ ト ワ ー ク は こ う い う 形 を し て お り ま す
ます。マーケティングとしては彼等の商品への
と い う 関 係 も あ り ま す。 こ の 仕 組 み や 構 造 の、
もあります。また、強さも異なる。即ち親友同
それから「社会的ネットワーク」現象につい
どこが一番密度が濃いか、何が進行しているか、
評価や批評をよく聞いて、それを失敗や問題を
てですが、マーケティングの世界では、ネット
密度が薄い部分はどこか、ということを捉えよ
士の場合もあれば、少し知っているに過ぎない
ワークは目新しいことではなく、五〇年代から
うとしているのです。
未然に防ぐことにつなげていくことです。
イノベーション普及学ということが言われてお
ていないのですが、最近の若い世代は、お互い
りました。新しい商品または概念が導入される この現象は膨大です。実は私もよく理解でき
際の広がり方、例えばヨーロッパで起きた禁煙
にオンラインで接続し、Eメールや携帯のテキ
です。または何も話さなくても良い。制約は全
ことも、何でもサイトにフィードバックするの
などと評価を話し合った上で、良いことも悪い
新商品を試してみて、友人や家族、職場の同僚
的に新しい商品が無料で送られてきます。その
「 BzzAgent.com
」というサイトがあるのです
が、このサイトのエージェントになると、定期
で、これをどう使うかということです。
ネットワークに企業はアクセスが可能ですの
ワークの主流は口コミでしたが、今はこうした
るのかを考え始めています。五〇年代はネット
となっていますので、企業はこれをどう活用す
がっています。良し悪しは別にして、既に現実
のです。こういう現象が信じられないくらい広
ストメッセージ、ブログ等だけで繋がっている
運動のように、最初アイデアが徐々に広まり、
図2 ネットワークの概念図
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れますが、普通の人が様々な商品について、良
ブログだと会社の回し者だろうとの疑問を持た
頼性を持ち始めています。良いことばかり言う
果をどう測るかが大きな問題になっています。
ます。インターネット広告についても、その効
伝・広告が大きな問題を抱えるようになってい
す る な ど メ デ ィ ア が 細 分 化 さ れ、 伝 統 的 な 宣
くないのですが、このサイトが、最近非常に信 一方で、昨今多数のテレビチャンネルが出現
いことも悪いことも言っているので、より信憑
ネットで広告を見たからといって、その人がそ
の商品を買うわけではないと言う人もいるで
性が高まるのです。
この様な社会的ネットワークという仕組みが
し た。し かし、それ に晒され て いる だけでも、
しょう。確かにそのとおりです。テレビ広告に
次に「インターネット広告」現象についてで
頭の中にそのブランドのイメージが残り、やが
爆 発 的 に 増 え て い る の で、 こ れ を 利 用 す れ ば
す。マーケティングでは、昔からROI(投資
てはその商品をポジティブに見るようになって
ついても何十年前にも同じことが言われていま
利益率)などの費用対効果をどの様に測定する
くるのです。
様々なことが出来るはずです。
のか問題となります。クーポンを出して売り上
げがどう伸びたかは測定可能ですが、長期的な
プログラムを開設し、教授や学生を巡る競争が
いて、MBA教育は盛んになり、多くの大学が
る二つのことについてお話しします。日本にお
私は、一見すると辻褄が合わないように思え
【アミール・ジフ教授】
みたいと思います。
私はエコノミストとして、この矛盾を解決して
理 解 さ れ て い な い と い う こ と な の で し ょ う か。
ているのは企業の方で、MBAの価値が正しく
ず、方向性も誤っているのか。それとも、間違っ
が全くないのでしょうか。一時的な流行に過ぎ
イメージやブランド構築等もあるからです。
繰り広げられています。一方、
この一週間、
色々
な企業の役員と面談した際、MBAにそれ程の マネジメントとは何でしょうか。企業がグロ
ーバルに成功する上で鍵となるのがマネジメン
「 ロ ー マ 帝 国 の 終 わ り か ら 一 八 世 紀 の 末 ま で、
価値を認めてはいないこと、また昇進や昇給と
この矛盾は、市場の非合理性や非効率性によ
人間の生活水準は殆ど向上しなかった。また、
トです。コロンビア大学の同僚ブルース・グリー
るものだとも言えます。しかし、原因は何処に
国・地域間の差もあまりなかった。一八世紀の
関係させていないとも聞きました。これは矛盾
あるのでしょうか。ここで言うMBAとは、経
終わり頃から事業体というものが設立され、こ
ン ワ ル ド が 次 の 様 な こ と を 言 っ て お り ま す。
営 者 教 育 の こ と で あ り、 狭 い 意 味 の M B A に
れをサポートする財産権や法律等の整備が進ん
していると思います。
限ってはいないのですが、このMBAには価値
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米国ビジネススクール教授・シンポジウム「米国の経験から何を学ぶか−グローバルな視点から見る企業経営への展望−」
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変化は、一八世紀以降今日まで国や地域に生じ
革命が起こった。しかし、このテクノロジーの
だ。これと併せてテクノロジーが変化し、産業
撃、批判の対象になっています。
きます。米国では、最近ビジネススクールが攻
ネス教育とはどういうものかという問題が出て
に絶え間なく注意を払っているかどうかで差が
理することだ。また、経営陣が日々の企業活動
となるのは、より良く組織を運営し、生産を管
が出ている」
。グリーンワルドはこの理由を
「鍵
功した国と、そうでない国との間に大きな開き
技術を持っていたにもかかわらず、経済的に成
どのように教えられるのか」と批判しています。
家精神を突き動かすのは執念だが、この執念は
れるとの主張には納得できない。例えば、起業
シ ャ ル タ イ ム ズ の 中 で Body Shop
の創始者の
アニタ・ロディ ックが、「起業家精神は 教えら
るのだという考えです。例えば、最近フィナン
もので、この世の中には教えられないものがあ
た違いを説明できない。どの国もほぼ同じ様な 批判は主に二種類あります。一つは概念的な
出てくるのである」とし、さらに「ビジネスこ
そが社会を変える源である。それ故に優れたビ ビジネス教育は、その実用性についても批判
す。
「
『二〇ページの宿題を下さい。一晩考えれ
この彼の議論を容れるとすると、優れたビジ
に据えられていました。しかし、技術的なスキ
す。企業の不祥事等では、この問題解決が中心
ススタディメソッドについて、こう述べていま
されています。マギル大学のヘンリー・ミンツ
ば、翌朝には決断を下すことができます』とい
ルがあったとしても、それ以上のものがなけれ
ジネス教育が行われている経済や社会が成功す
う程度の発想なのです。ケースメソッドは、問
ば意味はない。技術スキルは、必要条件ではあ
バーグ教授は、多くの学校で行われているケー
題に対する解決策を繰り返し考え、データを整
るが、十分条件ではないのです。
ることになる」と述べております。
理し、それに基づいて決定を下すよう訓練する
か。第二のレベルは意思決定力です。情報を咀
が、これはマネジャーを自分が管理している人 そ れ で は 十 分 条 件 は ど う い う も の で し ょ う
間から遊離させることになる」
。
第一レベルは、技術的なスキル。ある問題を
ない。
このスキルには三つのレベルがあります。
リアを通して役に立つことを教えなければいけ
現在あるいは将来のマネジャーに、彼等のキャ
育は、生涯教育であるべきだと考えています。
くいっているように見えても、実はそれ程良い
析して問題解決に導くというものですが、上手
とデータが含まれており、それを少しばかり分
ソッドというのは、二〇枚の資料に全ての情報
ら ミ ン ツ バ ー グ 教 授 の 言 う よ う に、 ケ ー ス メ
えようとしています。しかし、難しい。何故な
嚼して決定を下す。この能力を我々は学生に教
解決する能力を育てることです。実際、全ての
方法ではないのです。そのため、我々は、これ
私はこの両方の意見に反対です。ビジネス教
ビジネス教育はこの分野において優れていま
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米国ビジネススクール教授・シンポジウム「米国の経験から何を学ぶか−グローバルな視点から見る企業経営への展望−」
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しい種類のケースを導入するようにしています。
います。ケースライティングセンターを設立し、新
とは別のやり方で意思決定に至るように教えて
ます。
せるような能力、つまりリーダーシップを教え
いていく能力、マネジャーの決定に付いて来さ
を集めさせた上で意思決定させるのです。役員
の外からデータを探して来させ、全てのデータ
また正しくない情報を与えます。そしてケース
ローさせます。その際、
学生には部分的な情報、
いう例を与えて、そのうちの一人を学生にフォ
点が強くどの点が弱かったのか理解させ、強み
けるところもあります。自己評価を行い、どの
ろもあるし、上級生またはプロからコーチを受
積ませるのです。同級生にコーチを受けるとこ
ームで生徒自身にチームをリードさせ、経験を
プログラムを立ち上げました。クラスの学習チ
例えば、二人の役員がEメールを交換したと 我々は、ソーシャルインテリジェンスという
の日常の働き方を経験させるような教育をして
を強化し、弱みは補うようにさせます。コミュ
ニケーションスキルや説得のスキルも教えます。
おります。
しかし、意思決定能力だけではまだ十分では
解決させるのです。その企業の社員の他、教授
を確実にする必要があります。そこで、人を率
今度は周りの人たちがそれに同意し、従うこと
を教えることは出来ると思います。ある学生が
しよう、何かを変えようとする際の物の考え方
学生を企業に派遣し、そこで現実にある問題を
教育です。教室にいるだけでは不十分であり、
ありません。
ベストな意思決定が出来たとして、 我々が行いたいことは、実践的な経験を積む
とビジネスリーダーも一緒になって行います。
と、実世界で行われていることがつながるよう
ジネススクールで確立された理論およびスキル
管理出来るように手伝うのです。こうして、ビ
校長先生が学校をビジネスと同じように上手く
ことができるからである」と言っております。
それまで誰も見たことがないようなものを作る
のを見た際、技術的なスキルでこれをつなげて、
達はオープンな心の持ち主で、異なる別々のも
るのに最も適した者だ。何故なら、こういう人
例えば、
学生をニューヨークの高校に送り込み、 「起業家精神を持つ者こそ、MB A 教育を受け
にしているのです。
は頷けるところもありますが、人の心の中に起
られない」と言うアニタ・ロディックの意見に
か説明してみたいと思います。日本企業は、テ
スが増えている。何故この矛盾が存在し得るの
BAの価値が限定的である一方で、MBAコー
「起業家精神に必要な執念は、学校では教え 冒頭の点に戻りたいと思います。日本ではM
業家精神を植えつけることは出来ると思うので
伝統的なMBAをイメージしているのだと思い
クニカルスキルしか教えなかった時代の、古い
自分のビジネスを始めようとする際、または
ます。基本的にはそのようなスキルは、ビジネ
す。チャンスを見極め、
それを捉える能力です。
現在勤めている会社でこれまでと違ったことを
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学位取得後の五年間で一二〜二〇%程度だと言
になるでしょう。米国ではMB A のR OI は、
ようにMBAは価値あるものと見なされるよう
ができると思います。そうなれば、米国と同じ
リーダーシップを教えることができれば差別化
人々により高いレベルのスキル、意思決定力と
しかし、日本の大学が起業家精神を持って、
か ら 二 〇 年 も 経 て ば、 教 育 の 内 容 は ま た 全 く
しよう、変化しようとしているのですから、今
います。ビジネス教育の現場は、これだけ適応
ジネス教育を見ると、今のそれとは全然違って
リキュラムも見直しております。二〇年前のビ
教え方を求めて今苦闘しているところです。カ
スキルや意思決定力、リーダーシップの正しい
まったばかりです。全てのビジネススクールが、
化しつつあり、我々ビジネス教育に携わる人間
われております。勿論、大学で勉強したからと
違ったものになると思います。問題はその変化
ススクールなどではなく、企業でも教えること
言 っ て そ の 人 が 成 功 す る か ど う か は、 実 際 に
がどういうものなのかが正確には見えないとい
もこれに適応してきております。これはまだ始
やってみなければ分からないということはある
うことだけです。
ができます。
でしょう。
まとめますと、ビジネス教育は変わってきて
い る と 思 っ て お り ま す。 ビ ジ ネ ス の 世 界 が 変
るいは国内を見ていかなければいけない、そこ
ロに見た場合、輸出志向ではなく内需拡大、あ
日のお話のポイントの一つは、日本経済をマク
たリゴボン教授にお伺いしたいと思います。本
【宮島英昭教授】最初にマクロの問題を扱われ
を話すでしょう。どの国も米国の景気後退から
なく、もっと内需を重視するようにということ
して行うにしても全く同じ内容、つまり外需で
た。私は、このプレゼンテーションを中国に対
破綻したことで、他の全ての国に影響が出まし
の三割を占めておりましたが、この米国経済が
大切です。世界恐慌当時、米国は世界のGDP
から政策の方向性が出てくるとの主旨であった
安全である国はないと考えるからです。
●パネルディスカッション
と思います。しかし、別の見方をしますと、米
内を見ていかなければいけないという根拠は何
昇しているのですが、こうした状況であえて国
ンジンに使わず、三〇%に依存するのか疑問で
ております。何故日本はこの七〇%を成長のエ
で生産されたものが日本人に消費されて生まれ
国向けの輸出が低下する一方、中国の比率が上 また、日本のGDPの六割から七割は、日本
でしょうか。
【リゴボン】ある国で発生した危機がどのよう
思うのです。それに中国もまた、米国の景気後
が、しかし経済全体から見れば小さな部分だと
す。中国も輸出相手国として大きな国でしょう
に他国に伝播していくのかを深く考えることが
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ております。欧州は一貫して相当程度米国に依
ちなみに最も苦しむのは欧州だろうと言われ
リーバランスの赤字は二年だけです。増税すべ
常 に 問 題 が あ り ま し た が、 そ れ で も プ ラ イ マ
は、日本以外にはないでしょう。ブラジルも非
ライマリーバランスの赤字を八年間も続けた国
存しているからです。私は、欧州についても同
きかどうかは別にして、改善を図らなければな
退により苦しむことになるからです。
じアドバイスをしたいと思います。
だと思いますが、政策はどうあるべきでしょう
【宮島】内需を重視するというのは一つの立場
も危険だと思います。金利も同様です。今はま
回復が始まったばかりの時期に行うことはとて
行うかが決定的に重要なのです。ちょうど景気
らないことは明らかです。しかし、それをいつ
か。財政との関係で、消費税を上げるべきとい
だ上げるべきではありません。今は肥料をやって、
【宮島】米国の住宅価格の高騰は、我々が一五
う の が 大 方 の 見 方 で す が、 こ の 点 は い か が で
【リゴボン】財政状況の改善は、日本の将来に
年ぐらい前に経験したことにかなり近いとの印
もっと需要を拡大させるべき時期です。特に米
と っ て 非 常 に 重 要 で す。 こ れ だ け の 規 模 の プ
られなかったようなリスクの高い消費者も容易
しょうか。また、日本銀行の金利引き上げもマ
象をお持ちになった方も多いと思います。住宅
に借り入れが出来るようになりました。持家志
国の調整局面というリスクがあるのですから。
価格の上昇をバブルと見るかどうかは、また問
向が強まり、住宅供給が希少となって価格が上
クロで見ていかがでしょうか。
題だと思いますが、これと銀行部門の規制緩和
がったのです。こうして、以前なら考えられな
のです。
いような家計部門の富の増大につながっていた
との関係をどう考えたら良いのでしょうか。
【 ス タ ン ゴ 】規 制 緩 和 は 銀 行 に 投 資 イ ン セ ン
た。住宅市場でも消費者金融市場でも、様々な
ネットバンキングも開始されるようになりまし
レ ジ ッ ト ス コ ア リ ン グ が 導 入 さ れ、 イ ン タ ー
費者が悪い状況に陥らないようする最善の手段
まだ分かりません。しかし、考えるべきは、消
てプラスかマイナスかということです。これは
注目されているのは、最終的に出発時点と比べ
ティブを与えました。その結果、より優れたク この家計部門の富が今減少しつつあります。
金融サービスが提供されるようになり、爆発的
は何か、全体として消費者の手に残る富が以前
かということです。
より増している状況にするにはどうしたら良い
に増大しました。
その結果、多くの人に信用が行き渡る様にな
りました。信用へのアクセスが広がり、当然な
がらコストが下がりました。以前は融資を受け
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りますが、これをどうお考えになりますか。
本でも上限金利の問題について激しい議論があ
もう一つは消費者金融ローン問題でしょう。日
会的な問題を生み出します。一つは住宅問題、
がお金を借りるようになると、それが様々な社
【宮島】技術革新が進み、リスクの高い借り手
悪循環に陥ってしまい、借金を借金で返済して
費者は借金ができなくなる。また、過剰債務の
影響を受けないでしょうが、別のグループの消
ということです。リスクの低い借り手はあまり
大事なことは、上限を設定する効果は何なのか
れては融資は出来ないということになります。
した。この動きについて銀行の経営幹部に意見
律を制定し、短期の貸出し金利に上限を設けま
りました。米国でも多くの州が色々な規制・法
【スタンゴ】実は米国でも似たような議論があ
のです。
よりも悪い状況に置かれることになりかねない
なるのです。結果として、こうした人達は以前
ことが出来なくなると、ヤミ金融に走ることに
が導入され、正当な金融業者から融資を受ける
いる人達もいるのです。この人達は、上限金利
を訊きますと、
「この州ではもうビジネスをや
に見合う保証が必要です。それに制約をかけら
ですが、リスクの高い借り手に対しては、それ
と思います。
ピックであり、また踏み込んだ説明をして頂き
【 宮 島 】 S O X 法 に つ い て は、 タ イ ム リ ー な ト
らない」と言うのです。彼等は融資をしたいの
ましたので、私も非常にたくさんのことを学び
にしていこうと強調されましたが、このJ─S
本コストを下げて、企業価値を上げていく機会
チョイ先生は、J─SOX導入を、企業の資
よりはるかに大きいメリットが出てきます。業
めのインセンティブとして活用すると、コスト
スに転換する。何かの活動を長期的に続けるた
えることです。この新しい規制を本当のチャン
しかし、ここで大事なことは、物の見方を変
OX導入のベネフィットをもう一度ご説明頂け
務手順を定めた文書を改善する、という一例し
ました。
ればと思いますが、いかがでしょうか。
てずっと改善された内容になっていることを申
【チョイ】初めにJ ─SOX は、米国版に比べ
と思います。
会社も多いと思いますが、この点を強調したい
ことが出来ると思います。既にそうされている
か挙げませんでしたが、実際には本当に様々な
し上げたい。米国の法律を見て、その結果、起
んなにかかるのか、どうすればこれを削減でき
らです。それでも一般的には、何故コストがこ
印象を持ちましたが、これはとても良い事だと
本企業を訪問し、社外重役が増えているという
化することは大事です。この一週間、色々な日
きたことも十分考慮に入れて作られたものだか また、繰り返しになりますが、取締役会を強
るか、という点ばかりに目が奪われているもの
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思います。外部から本当に独立性を持った人が 米国で幾つもの事例があるのですが、仲良し
仕事を一緒にしたことがある人を連れてきた場
懇意である人、例えば大学の同級生や、以前に
す。社外から人を引っ張ってきても、その人が
ここで大事なのは真の独立性ということで
とっては、相当な変化を迫られることでしょう。
会を強化することが大事なのです。日本企業に
あれば、真に独立した社外重役を入れて取締役
この法律の意図を本当に体現しようというので
し、 そ の 対 価 は 非 常 に 大 き い の で す。 従 っ て、
の関係では結局、経営陣のチェックにはならな
合、その人が真に独立した助言をするのは難し
しかし、真にグローバルなプレーヤーになりた
役員会に加わりますと、チェックアンドバラン
いだろうと思います。しかし、少なくとも一人
いと望み、外国人に株を買ってもらうことを望
いのです。暴走しても止める人がいない。しか
か二人本当に全く関係のないところから迎え
むのであれば、この変化は必要です。
スになります。
る。面識は全くないが資格は立派である人、率
言ってくれることが期待できるでしょう。
ば学者などは非常にシャープかつ高潔な意見を
ういう人を連れてくるべきだと思います。例え
いうことです。
というオプションもありまして、今、生産現場
を強調されましたが、独立性の高い外部監査役
【宮島】チョイ教授は独立性の高い社外取締役
直に物を言ってくれる人、高潔な人格の人、そ
に基礎を置くような日本企業にとって、どうい
う仕組みが整合的な形で組み立てられるのかと 例えば、ある企業に対してその顧客が何かで
が、ネットワーク化がこれ程まで進展したこと
次にイアコブッチ教授にお聞きしたいのです
も、我々は自由な社会に生きている以上、もう
ます。この企業が、このサイトを嫌だと言って
よ」といった悪口ドットコムを立ち上げたとし
大きな不満を覚え、「あの企業はとてもひどい
で、企業のマーケティングはどんなインパクト
仕方がないのです。ではどうすれば良いでしょ
考えているところだと思います。
を受けたのでしょうか。
うか。
一部になりつつあるこの現象を、我々のブラン
るのかフォローする必要があります。暮らしの
境を見守り、どういう行動を消費者が取ってい
しかし、マーケターとしては、常に怠りなく環
たばかりの現象で、
はっきりしていないのです。
等をどうすれば顧客に転換できるかを考えてい
を探し出して分析します。不満を言っている彼
集め、質を分析し、苦情や不満を言っている人々
とは、ブログやテキストの分析です。データを
レーで生まれました。この会社が行っているこ
を 目 的 と す る 小 さ な 企 業 が、 最 近 シ リ コ ン バ
【イアコブッチ】正直に言いますと、
まだ始まっ こうしたネガティブな口コミを断ち切ること
ド、マーケティングにどう取り入れていくかと
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るのです。時には秘密サイトや、匿名、偽名を
ればよろしいでしょうか」と尋ねるわけです。
空に対して怒っていらっしゃいますが、どうす
例えば「申し訳ございません。アメリカン航
れたのですが、その場合のエッセンスはいかが
ことがMBA教育の一つの課題であると強調さ
お話ではリーダーシップや起業家精神を教える
【 宮 島 】 ジ フ 教 授 に 伺 い た い の で す が、 先 程 の
どう活用するかを考えるべきだと思います。
そして、そこで聞いたことをアメリカン航空へ
でしょうか。
使っている相手にもコンタクトを試みます。
伝える。二・三日後、このブログを書いた人に
た方は驚き、またやはり喜んで、印象が変わり
うか」
。こう言われたらどうでしょう。言われ
されたそうですね。どうすればよろしいでしょ
「 申 し 訳 ご ざ い ま せ ん。 何 か 不 愉 快 な ご 経 験 を
れは実地でなされなければなりません。従って
理論として教えることはできないものです。こ
ろです。しかし、結局のところマネジメントは
のビジネススクールが試行錯誤をしているとこ
【ジフ】それは非常に難しい質問であり、全て
アメリカン航空の代表者から連絡が入ります。
ますよね。
かは分かりませんが、
既に現実のものですので、
や組織というものは、どういう動きをするもの
させることは、とても重要なことです。現実の
現実の企業で現実のプロジェクトに携わり作業
人に会い、本当の問題解決に当たり、助言を受
かを教えます。その経験を持った上で、大学で
社会的ネットワークが今後どうなっていくの
ける。そこに教育の本質があると思うのです。
【宮島】MB A 教育の在り方を考える際、逆に
大学でも学べることはあると思います。
ルは、企業でオンザジョブでも教えられるし、
学ぶべきだと思います。基礎スキルと技術スキ
企業でしか教えられないもの、あるいは企業で
ないかと思います。そうしたこととMBAで教
は、企業ではリーダーシップを全く知らない人
験可能です。しかし、リーダーシップに関して
必ず教育しなければならないものもあるのでは 次にチーム作業については、これも企業で経
えられることの線引きはいかがでしょうか。
は意味がないと思います。
会社は社員に対して、
実際に働いた経験のない人を大学で教えること
ません。お互いに補完し合うものです。私は、
らか一方でやれば良いというものでは勿論あり
【ジフ】管理職教育は、企業または大学のどち
ることができるのです。
いのです。実験室で仕事ができ、スキルを育て
うわけでも、多額のお金を失うことにもならな
違っても学校の成績が悪くなるだけで、職を失
学 は ロ ー リ ス ク で こ れ が 出 来 ま す。 た と え 間
う。ここに大学の役割があると思うのです。大
をそのポジションに就けることはないでしょ
まずビジネスライフとはいかなるものか、企業
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ポケット・エディション・シリーズ
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ポケット・エディション・シリーズ
トワーク構築です。企業で働いている時は、同
最後に、大学で教育を受けるメリットはネッ
になっていると思います。
戻った時には、以前より良い仕事が出来るよう
相当豊かにすると思います。彼等が元の企業に
No・
「アジアにおける日韓の役割」
(韓国ジャーナリスト・シンポジウムより)
(文責
国際広報部主任研究員
小林克範)
じような経験の人に囲まれています。それは、
実際の問題について仲間と相談するのですから
良いことですが、常に同じような仲間とだけ付
き合っている状態です。
しかし、
ビジネススクー
ルには様々な人が集まっています。バックグラ
ウンドも所属する企業も違う、過去同じような
問題に直面し、それに自分とは別のやり方で対
応した人もいるかもしれません。
今回の日本企業訪問でも、
同じ質問をしても、
全く違う答えが返ってきたりしました。こうし
た組み合わせの妙、
様々な異なる人が集まって、
自分の考え方が試される。
互いの経験を披露し、
お互いにそれを分析することは、その人たちを
経済広報センター
ポケット・エディション・シリーズ
※当センターホームページでバックナンバー全文を
ご覽いただけます。
( http://www.kkc.or.jp
)
◆二〇〇六年発行
No・
「企業価値を高める企業経営とイノベーション」
(米国ビジネススクール教授招聘シンポジウムより)
◆二〇〇七年発行
No・
「中国経済の現状と展望について」
中国社会科学院世界経済政治研究所所長
(前中国人民銀行通貨政策委員会委員)
余
永定
No・
「中国
〝経済大国〟
へのシナリオ
〜第一一次五ヶ年規画の目指すもの〜」
清華大学公共管理学院教授
同大学国情研究センター主任
胡
鞍鋼
No・
「
『京都議定書』目標達成に向けて
─みんなで止めよう温暖化─」
No・
「グローバリゼーションをどう生きるか
─英国ジャーナリストの見た日本と英国─」
(英国ジャーナリスト・シンポジウムより)
No・
「東アジアの経済統合と日米に与える影響」①
(ブルッキングス研究所との共催シンポジウムより)
No・
「東アジアの経済統合と日米に与える影響」②
〜パネルディスカッション
(ブルッキングス研究所との共催シンポジウムより)
No・
「米国の経験から何を学ぶか
─グローバルな視点から見る企業経営への展望─」
(米国ビジネススクール教授・シンポジウムより)
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米国ビジネススクール教授・シンポジウム「米国の経験から何を学ぶか−グローバルな視点から見る企業経営への展望−」
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経済広報センター
ポケット・エディション・シリーズ
経済広報センター
ポケット・エディション・シリーズ
(財)経済広報センター
ポケット・エディション・シリーズの発刊に際して
経済広報センターは、土光敏夫氏(第四代経済団体連合会会長)のイニシャティブによって一九七八年に設立
された財団法人です。当時国内では、企業の存在意義、あり方が厳しく問われ、また海外では、台頭してきたア
ジアの経済パワー、すなわち日本の動向に注目が集まっておりました。そこで、日本企業の考え方、行動、社会
における存在意義などを広く内外にお伝えし、相互理解のチャネルとなるという志の下に、政府から独立した民
間非営利組織として当センターが設立されました。
現在当センターは、経済界の政策提言や意見を社会にお伝えすることに力を入れております。そのような活動
を支える基礎として、国内ではビジネスパーソン、消費者、ジャーナリスト、教育者、有識者との対話の機会を
数多く設け、また、海外からは、多くのジャーナリスト、研究者、経済人、教育者を日本に招き、あるいは海外
諸都市において日本の経済人、研究者による講演会やシンポジウムを開催するなどして、日本に関する理解の深
化に努めております。
幸い、これら対話・講演・シンポジウムは、知識、情報、知見という観点からして深い内容となっており、会
員各位から、当センター関係者のみが知るにとどめず、広く公共の財産として共有するに値するものであるとの
ご指摘をいただきました。
そこでこれからは、内外における対話や講演会やシンポジウムの記録をまとめ、
「経済広報センター・ポケッ
ト・エディション・シリーズ」として、逐次刊行することといたしました。会員の皆様のみならず、各界の方々
に広くご愛読いただければ幸いでございます。
このポケット・エディション・シリーズをより良いものとしていくために、各位のご教示を賜われば、幸甚に
存じます。
一九九九年一二月 財団法人 経済広報センター
発 行 2007 年 11 月 2 日
発 行 所 財団法人 経済広報センター
東京都千代田区大手町1−6−1 大手町ビル
TEL:03(3201)1411 FAX:03(3201)5590
編集・発行人 田中 秀明
印 刷 株式会社 大巧
財団法人 経済広報センター
経済広報センター ポケット・エディション・シリーズ No.79
経済広報センターは、財団法人として三八業界団体、一五
六企業の賛助を得て、経済界の広報活動を展開しておりま
す。
会長は御手洗冨士夫氏(日本経団連会長)
、副会長は、立石
信雄氏(オムロン相談役)
、
櫻井孝頴氏(第一生命保険相談役)
、
張富士夫氏(トヨタ自動車会長)
、
勝俣恒久氏(東京電力社長)
、
古川一夫氏(日立製作所社長)がつとめております。
活動は次の四つの柱で展開しております。第一に、経済界
の情報や提言を広く国の内外へ発信し、政策形成プロセスに
ッセージを多角的に受信し、経済界の活動にフィードバック
おける議論を活性化するための広報活動、第二に、社会のメ
する広聴活動、第三に、豊かな知識社会を創造するための教
育界との対話、第四に、会員企業・団体の広報活動の支援な
ど、各種サービスの提供です。
これからも皆様方のご意見を伺いながら、各界の方々にご
参加いただく活動を幅広く展開していきたいと考えておりま
す。
(本シリーズの緑色は国内広報活動、青色は
)
海外広報活動に関するものです
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米国ビジネススクール教授・シンポジウム「米国の経験から何を学ぶか−グローバルな視点から見る企業経営への展望−」
米国ビジネススクール教授・シンポジウム「米国の経験から何を学ぶか−グローバルな視点から見る企業経営への展望−」
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経済広報センター
ポケット・エディション・シリーズ
経済広報センター
ポケット・エディション・シリーズ
経済広報センターポケット・エディション・シリーズ
No.79
経団連
会館
米国ビジネススクール教授・シンポジウム
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日経
新聞
NTT
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KDDI
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博物館
産経新聞
読売新聞
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三菱東京
UFJ銀行
米国の経験から
何を学ぶか
−グローバルな視点から見る企業経営への展望−
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