Technical Report

1999.11
INAX CO.,LTD.
内装用防汚・
内装用防汚 ・ 防 カビ・
カビ ・ 抗菌目地材
イナカラーメジスーパークリーン
Technical Report
目地にカビが発生する原因は、目地に染み込んだ、水分や汚れによるものです。
イナカラーメジスーパークリーンは目地の素材そのものを疎水性のある粒子に改質−水分の
浸透を大幅に抑制しました。そのため汚れが付きにくく、カビが発生しにくくなりました。
目地粒子イメージ
水分浸透防止のメカニズム
■従来目地
水分の流れ
目地粒子
目地は多孔質であるため水分は染み
込みやすくなっています。また単に防水
剤を添加した目地では、防水剤のないと
ころを選択して水が染み込んでいき完
全に水の染み込みを防ぐことができま
せん。(左上図)
防水剤
■イナカラーメジスーパークリーン
全ての粒子を疎水性のある粒子に改質
イナカラーメジスーパークリーンは
目地粒子全てを均一に疎水性のある粒
子に改質しました。その結果水分の染み
込みを防ぐことができます。(左下図)
☆イナカラーメジスーパークリーンの
イナカラーメジスーパークリーンの特長
■水のしみ込みを大幅に抑えることにより汚れが付きにくくなります。
■カビの栄養になる汚れの付着を抑え、また目地を乾燥状態に保つことにより従来目地よりさ
らにカビの発生を抑制します。
■防カビ剤の余分な溶出を抑えられるので、防カビ剤の効果が長持ちします。
非防カビ目地
従来防カビ目地
イナカラーメジスーパークリーン
☆商品仕様・
商品仕様・施工方法
■ 適用・
適用 ・ 仕様
主
成
分:セメント、細骨材、保水剤、防カビ剤、抗菌剤、顔料
適 用 タイル:内装壁・床タイル(目地幅5mm以下)
適 用 場 所 :内装の壁および床
容
量:SS−11=8kg(防水紙袋) SS−22〜42=4kg(防水紙袋)
有効保存期間:約6ヶ月
標 準 使用量:0.3 〜0.4 kg/m2(100角、目地幅2.25mm)
0.2 〜0.3 kg/m2(150角、目地幅2.25mm)
0.15〜0.25kg/m2(200角、目地幅2.25mm)
標 準 水 量 :目地材1kgに対して水 280ml(ミキサーなど使用の場合は 240〜260ml)
‑1‑
■ 品番
INAXの内装タイルと調和する全8色があります。
◇ カラーバリエーション
色
調
品
番
ニュートラル系
カラーメジSS−11(ホワイト)
カラーメジSS−22(グレー)
カラーメジSS−23(ダークグレー)
カラーメジSS−32(ライトグレー)
ブラウン系
カラーメジSS−33(ベ−ジュ)
カラーメジSS−35(ブラウン)
ミスティ系
カラーメジSS−41(グレーピンク)
カラーメジSS−42(グレーグリーン)
■ イナカラーメジスーパークリーンの
イナカラーメジスーパークリーン の 施工手順
1.張付け材をよく乾燥させる。
タイル張り直後には目地詰めをしないでください。接着材・張付け材からの水分の影響で目地
が白色、黄色等に変色特に積み上げ張り(ダンゴ張り)は下地が乾燥しにくいため、変色や色ムラ
が起きることがあります
2.混練水の適量を守り、良く混練する。
水の入れすぎや混練不良は色ムラ・強度不足の原因になります。
(3.タイルの側面に水しめしをおこなう。)
陶器質タイルを有機質接着剤張りするキッチン壁面などでは目
地詰め前にタイルの側面にかるく水しめしをしてください(ド
ライアウトによる強度不足を防ぎます)。
3.タイル側面への水示し
4.目地詰めをおこなう。
ゴムゴテで奥までしっかり詰めてください。充填不足は乾きム
ラの原因になります。タイル表面の目地材は、塗り目地をして
いる時に、できるだけかき取ってください。
4.目地詰め
5.目地押さえをする。
塗り目地後、目地材が少ししまった状態で細目の目地ゴテか丸
ばし(丸い棒など)を用いて目地押さえをおこなってください。
目地押さえをしないと、強度不足や、止水性能が低くなる場合
があります。
5.目地押さえ
6.乾いたウエスで目地の拭き取りをおこなう。
目地押さえによってはみ出したイナカラーメジスーパーは、ミ
ゴぼうき、又はシュロぼうきで掃除し、タイル表面の目地材が
乾いたら、乾いたウエスで拭いて仕上げてください。
水を多量に含んだスポンジで拭き仕上げをおこなうと、供給水
量のバラツキによって色ムラを生じる場合があります。
6.乾いたウエスで拭き取り
‑2‑
■ 取扱い
取扱い ( 施工)
施工) 上 のご注意
のご注意
● 積上げ
積上 げ 張 り ( ダンゴ張
ダンゴ 張 り ) の 場合
タイル張り直後に目地詰めしますと、白色、黄色または茶色に変色することがあります。
張付けモルタルが十分乾燥した後(通常3日以上)、目地詰めをおこなってください。
また骨材に混ざっている不純物が目地材の表面に染み出し、目地表面が黄色または茶色に
変色することがあります。骨材は珪砂などの一度洗いしたものをお勧めします。
色ムラを生じた場合は、特に目地をよく擦りながら強めの酸洗い ※をおこなってくださ
い。
※濃塩酸を約20倍に薄めた塩酸希釈液(HC l 約2%)と歯ブラシなどで、目地をよく擦りながら洗
うと有効です。塩酸が目や皮膚に触れないように保護具を装備してください。
また、水洗金具など酸の影響を受ける部材や周囲にはシート養生等をおこなってください。
あらかじめ目地部を水で濡らしてから酸洗いをおこない、その後は十分に水洗いします。
● キッチン壁面
キッチン 壁面の
壁面 の 場合
キッチン壁面に陶器質タイルを有機質接着剤張りする場合は、ドライアウト(セメントの
硬化水和反応に必要な水分が不足する)現象によって目地材の強度不足を生じることがあ
ります。
こば
接着剤が十分硬化した後、目地詰め前のタイルの小端に水湿し(水が浮いていない程度に
水湿し)してから目地詰めをおこなってください 。
● 乾拭き
乾拭 き 仕上げが
仕上 げが困難
げが 困難な
困難 な 場合(
場合 ( 特 に 床 タイルに
タイル に 施工する
施工 する場合
する 場合)
場合 )
床タイルやモザイクタイルに目地詰めする場合で、乾拭き仕上げが困難な場合、固くしぼ
ったスポンジで目地を拭き取った後、目地が少ししまった状態で必ず目地押さえを行って
ください。スポンジで拭き取るだけの仕上げ方法では色ムラが生じることがあります。
・セメント系材料のため天候(特に冬期)・混練水量およびその施工条件によって、濃淡を
生じることがあります。特に床タイルへの目地詰めは白っぽくなりやすいため、ご注意
ください。
・水の入れすぎや練り混ぜ不足は色ムラや硬化不良の原因になります。
特に吸水の少ないタイル(ステアタイト素地質、せっ器質、磁器質)では水をできるだ
け少なくして、かために練った目地材を詰めてください。
・接着剤、張付けモルタルをよく(通常1日以上、積上げ張りでは3日以上)乾燥させてか
ら目地詰めしてください。張付け材が水分を多く含んだ状態で目地詰めすると目地表面
が白っぽく、または極端な濃色になることがあります。
はし
・目地材が少ししまってから、丸い箸の先などで目地押さえして仕上げてください。水分を
多く含ん だスポンジで拭きとるだけの仕上げでは、色ムラを生じることがあります。
・水以外は混ぜないでください。(セメントや砂などを混ぜて使用しないでください。)
・セメント材料のため、環境や施工条件によって多少の濃淡を生じることがあります。
・ 冬季などで2℃以下の環境では施工しないでください。
・ 保管には水、湿気をさけてください。
! 注意
・セメント材料のため、皮膚に触れると肌荒れの原因となる場合があります。皮膚に触れた
場合は、すみやかに石けんなどを用いて洗い落として下さい。
・目に入った場合は、水でよく洗い流し、異常のあるときは医師の診断を受けてください。
‑3‑
☆イナカラーメジスーパークリーンの
イナカラーメジスーパークリーンの性能
■水分浸透性
試験方法 目地十字部にガラス管(φ=17mm)を立てシーリングをします。ガラス管に高さ 170mm
まで注水し、時間の経過による水位変化を測定します。
結果 従来目地が2時間ですべて水が染み込んでしまうのに対し、イナカラーメジは24時間
たってもほとんど水位は下がっていません。(下写真)
◇ 水浸透試験(わかりやすいように赤インク添加)
水浸透試験
従来目地
イナカラーメジスーパークリーン
■汚
汚 れ 付着性(
付着性 ( 蛋白質汚れ
蛋白質汚 れ )
試験方法 目地部に水に溶かした蛋白質を塗りつけ、水洗いしました。蛋白質汚れは目には見
えませんが、特殊な処理をした後、紫外線を当てると発光することを利用して写真を撮りまし
た。
結果 以下の写真に結果を示します。従来目地では発光が大きく(左写真)、イナカラーメジス
ーパークリーンでは発光はほとんどありません(右写真)。イナカラーメジスーパークリーンは
水分が染み込みにくいので、蛋白質汚れが付着しにくくなっています。
目地のカビ発生の原因の1つとして、皮脂などの蛋白質汚れの目地への付着・染み込みがあげ
られます。そういった汚れの付きにくいイナカラーメジスーパークリーンはカビが発生しにく
い材質と言えます。
◇ 蛋白質付着性試験(紫外線をあて、付着した蛋白質を発光させました。
)
蛋白質付着性試験
従来目地
イナカラーメジスーパークリーン
■ 防 カビ性
カビ 性 ( カビ抵抗性試験
カビ 抵抗性試験)
抵抗性試験 )
試験方法 INAX法(JIS Z2911 変法、胞子懸濁液にカビの成長を促す栄養液を添加した非常
過酷な試験方法です)
試験菌 全国約30ヶ所の浴室で、カビの発生状況について細かに調査した結果、目地材に発
生している菌種は発生頻度の高い順に以下のようになり、さらにこの上位3属で全体の約6
0%を占めていました。また、その他に検出された菌についても、以下の5属と生態系がほぼ
一致するものでした。
・Cladosporium 属(クロカビ)
・Alternaria 属(ススカビ)
・Penicillium 属(アオカビ)
・Aureobasidium 属(黒色酵母)
・Aspergillus 属(コウジカビ)
よって、上記5属から試験用菌を選定しました。
‑4‑
結果
以下の表に示します。イナカラーメジスーパークリーンは余分な防カビ剤の溶出がない
ため、防カビ力持続性が増しています。
◇ カビ抵抗性試験結果
カビ 抵抗性試験結果 ※
劣化条件
イナカラーメジ
従来防カビ
薬剤未添加
スーパークリーン
目地剤
目地材
未処理
3 (○)
3 (○)
3 (×)
中性化
3 (○)
3 (○)
1 (×)
温水 1 ヶ月浸漬
3 (○)
3 (○)
1 (×)
温水2ヶ月浸漬
3 (○)
3 (○)
−
温水3ヶ月浸漬
3 (○)
3 (○)
−
温水4ヶ月浸漬
3 (○)
2 (×)
−
※表中の数値はJIS Z 2911の表記方法に基づいています。
1‥‥試料表面のカビの発育が1/3を超える
2‥‥試料表面のカビの発育が1/3を超えない
3‥‥試料表面にカビの発育が認められない
( )内は、『○:阻止帯がある、×:阻止帯がない』を示す。
処理条件は以下の様です。
未処理‥‥中性化なし+温水浸漬なし
中性化‥‥「未処理」を高湿度炭酸ガス雰囲気中で中性化
温水浸漬‥‥「未処理」を 40℃温水浸漬後、中性化
◇ カビ抵抗性試験結果写真
カビ 抵抗性試験結果写真(4ヶ月温水浸漬後)
抵抗性試験結果写真
わずかだがカビの発生あり
阻止帯なし
カビの発生なし
阻止帯(カビの生えていない部分)あり
阻止帯
試料
カビ
寒天培地
横から見た図
従来防カビ目地
イナカラーメジスーパークリーン
■抗菌性
試験方法 フィルム密着法(菌液栄養度 1/50NB、滴下菌液 0.1ml、35℃±1℃で 24 時間培養)
試験菌 ・大腸菌(Escherichia coli IFO 3972)
・黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus IFO 1273)
試験結果 下表に示します。目地が強アルカリ性から中性化した後も抗菌性を有しています。
目地材
A:抗菌剤未添加目地材
B:イナカラーメジスーパークリーン
劣化処理
中性化
中性化
◇ 抗菌試験結果
大腸菌
生菌数
増減値差※
1.7×106
−
10 以下
5.2 以上
黄色ブドウ球菌
生菌数
増減値差
1.2×106
−
10 以下
5.1 以上
※増減値差=log(A の生菌数/B の生菌数) 抗菌剤未添加品に対して生菌数が何桁減少したかを示す数値。
抗菌性能の基準は増減値差 2.0 以上
■ 安全性
イナカラーメジスーパークリーンにはタイルや衛生陶器の無機系(銀系)抗菌剤とは違う有機
系防カビ剤と無機系(銀系)抗菌剤を添加していますが、防カビ剤、抗菌剤共に、薬事法、毒
物・劇物取締法では普通物に区分されております。そのため特に安全上問題はありません。
(株)INAX 建材事業部 建材商品開発室
‑5‑