Press Release(H26/8/2 2 ) 〒 501-1193 岐 阜 市 柳 戸 1 - 1 岐阜大学総合企画部総務課 Tel 293-2009 Fax 293-2021 E-mail [email protected] URL: http://www.gifu-u.ac.jp/ ローヤルゼリーのコレステロール代謝改善作用を 発揮する物質を特定 -株式会社秋田屋本店(岐阜市)との共同研究成果- 【本研究成果のポイント】 ○ J S T( 科 学 技 術 振 興 機 構 )研 究 成 果 最 適 展 開 支 援 事 業 の 支 援 を 受 け ,岐 阜 大 学が株式会社秋田屋本店(養蜂・健康食品等製造販売)との共同研究を実 施 ○ そ の 結 果 , ロ ー ヤ ル ゼ リ ー に 含 ま れ る タ ン パ ク 質 M R J P 1 ( Ma j o r R o ya l J e l ly P r o te in 1 ) が , コ レ ス テ ロ ー ル 代 謝 改 善 作 用 を 発 揮 す る こ と を 発 見 【研究成果】 このたび、本学応用生物科学部の長岡利教授のグループの研究成果が国際学 術 雑 誌 P L OS O N E に 8 月 2 1 日 付 で 掲 載 さ れ ま し た 。 ローヤルゼリーは多様な薬理作用が認められているものの,ミツバチが作り 出す様々な栄養素を含む自然界の物質であるため,個々の薬理作用を発揮する 物質を特定することは困難でした。本研究成果は,長岡教授の研究グループが 蓄積したタンパク質の成分を同定する評価手法により,ローヤルゼリーに含ま れ る 特 異 タ ン パ ク 質 M R J P 1 が ,食 物 脂 肪 を 吸 収 し や す く す る 胆 汁 酸 と 結 合 し , ミセル溶解性阻害作用(コレステロールのミセル化を防ぎ,小腸でのコレステ ロール吸収を阻害する)や肝臓でのコレステロール分解促進作用を持つことを 見出したものです。 この成果は,大学や公的研究機関等の優れた研究成果の実用化を通じ,イノ ベ ー シ ョ ン の 効 率 的 ・ 効 果 的 創 出 を 目 的 と し た J ST・ 研 究 成 果 最 適 展 開 支 援 事 業 F S ス テ ー ジ ( シ ー ズ 顕 在 化 タ イ プ , 20 0 9 年 度 ), 本 格 研 究 開 発 ス テ ー ジ ( ハ イ リ ス ク 挑 戦 タ イ プ , 2 0 1 1 ~ 2 0 1 3 年 度 )の 支 援 に よ る ,秋 田 屋 本 店 と の 共同研究成果の一つです。本研究は,将来,安全な新しい高コレステロール血 症予防・改善のための食品や医薬品開発へと繋がる可能性がある研究であるこ とが評価され,支援を受けたものです。 【研究の特徴】 岐阜県は,近代養蜂発祥の地と呼ばれており,養蜂業や蜂蜜・ローヤルゼリ ーを素材とした健康食品開発が行われている地でもあります。今回の成果は, 秋田屋本店との共同研究成果です。 広く知られているように,ローヤルゼリーには,疲労回復作用,抗アレルギ ー作用,免疫増強作用など,多くの薬理作用があることが報告されています。 動脈硬化の重要な危険因子である高コレステロール血症の改善効果もその一つ です。 ローヤルゼリーと同等の薬理効果を持つ食品や医薬品開発実現のためには, その薬理効果を発揮する物質を特定することが鍵となります。しかし,ローヤ ルゼリーはミツバチが花粉や蜂蜜を体内で分解合成し分泌する自然界の物質で あ り ,タ ン パ ク 質 や ブ ド ウ 糖 ,ビ タ ミ ン ,ミ ネ ラ ル な ど を 多 種 多 様 に 含 む た め , さまざまな薬理作用を発揮する物質を特定することは困難を極めます。 長岡教授の研究グループでは今回,まずローヤルゼリーに含まれる植物のス テ ロ イ ド , 10-ヒ ド ロ キ シ 2-デ セ ン 酸 な ど の 影 響 を 取 り 除 き , コ レ ス テ ロ ー ル代謝改善作用を持つ可能性のあるタンパク質(胆汁酸結合能を持つタンパク 質)のみを取り出し,精製することに成功しました。その後,次のような評価 実験などを展開しました。 ( 1) ロ ー ヤ ル ゼ リ ー に 含 ま れ る 胆 汁 酸 結 合 能 を 持 つ 3 種 類 の タ ン パ ク 質 の ア ミノ酸配列を初めて同定。 ( 2) 試 験 管 内 実 験 ( in vi t r o 実 験 ) に よ る コ レ ス テ ロ ー ル ミ セ ル 溶 解 性 試 験 で M R J P1 が コ レ ス テ ロ ー ル ミ セ ル 溶 解 性 阻 害 作 用 を 有 す る こ と を 発 見 。 ( 3) MR J P1 や M R J P 1 由 来 ペ プ チ ド が ラ ッ ト や ヒ ト 肝 臓 培 養 細 胞 で コ レ ス テ ロ ー ル の 分 解 を 促 進 す る と と も に 、MR J P 1 が ラ ッ ト に よ る 動 物 実 験 や ヒト腸培養細胞でコレステロール吸収を抑制することを発見。 ( 4) ラ ッ ト に よ る 動 物 実 験 ( in v i v o 実 験 ) に よ り , M R J P 1 は , 特 定 保 健 用 食品許可成分である大豆タンパク質や植物ステロールよりも,効果的に 血清コレステロールを低下させることを発見。 試験管から培養細胞、動物実験に至る一連の多様な研究手法を駆使すること により、薬理効果を発揮する物質を特定するとともに,その効能メカニズムを 解明する今回の成果へとつながりました。 【発表論文】 著 者 : 加 島 優 里 *1、兼 松 智 *1、浅 井 さ お り *1、草 田 未 央 *2、渡 邊 鈴 代 *1、川 島 拓 司 * 1 、 中 村 正 * 1 、 島 田 昌 也 * 2 、 後 藤 剛 * 2 、 長 岡 利 * 2 ( 研 究 責 任 者 )。 * 1 :( 株 ) 秋 田 屋 本 店 *2:岐阜大学 論 文 タ イ ト ル : I de n t if ic at i on of A No ve l H y poc h o le s te r ol e m ic Pr ote in , Maj or R o ya l J e ll y Pr ot e in 1, D e r i ve d f r om R o ya l J e l l y 掲 載 誌 : P L O S ON E ( 1 0 .1 3 7 1 /j ou r n al . po n e .0 1 0 5 0 7 3 ) 掲 載 UR L : h tt p : // w ww . pl o s o n e . or g / ar ti c le / in fo % 3 A do i% 2F 1 0 . 1 3 7 1% 2F j ou r n al . pon e . 0 1 0 5 0 7 3 【 参 考 URL】 ・ P LO S ON E h tt p : // w ww . pl o s o n e . or g / ・岐阜大学応用生物科学部・食品分子機能学研究室 h tt p : // w ww 1 .g i fu -u .ac . j p / ~ sk in ou / ・株式会社秋田屋本店 h tt p : // w ww . ak i ta y ah on te n .c o .j p / ・岐阜県庁:近代養蜂発祥の地「岐阜県」 h tt p : // w ww . pr e f .g i fu .lg . j p / sa n g y o -k oy o/ n og yo /c h i ku s an sh i n k o/ y oh o / 【本件に関する問い合わせ先】 岐阜大学応用生物科学部 応用生命科学課程・食品生命科学コース 教授 長岡 利(ながおか さとし) Tel:058-293-2931 E-mail: [email protected]
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