プロザック® 塩酸フルオキセチン 説明 プロザック・(塩酸フルオキセチン)は、経口用抗うつ剤です;三環系、四環系、あるいはそ れ以外の形で現存する抗うつ剤とは化学的な関連性はありません。 正式名は、(±)‑N‑メチル‑3‑ フェニル‑3‑[(α,α,α‑トリフルオロ‑p‑トリル)プロピラミン ハイドロクロライド、その実験式は C17H18F3NO・HCIとなっております。 分子質量は 345.79 で、構造式は以下の通りです: 塩酸フルオキセチンは白またはオフホワイトの結晶固体で、その溶解度は水で 14mg/mL です。 プルブール・にはそれぞれ、フルオキセチン 10mg(32.3μmol)、20mg(64.7μmol)、40mg(129.3 μmol)と同等量の塩酸フルオキセチンが含まれています。 プルブールには又、スターチ、ゼラチ ン、シリコン、二酸化チタン、酸化鉄、及びその他の非活性成分が含まれています。 10mg と 20mg のプルブールには FD&C の青色 1 号が、そして 40mg のプルブールには FD&C の青色 1 号と FD&C の 黄色 6 号が含まれています。 各錠には 10mg(32.3μmol)のフルオキセチンと同等量の塩酸フルオキセチンが含まれていま す。 他にも、微晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、クロスポビドン、ハイドロキシプロ ピル メチルセルロース、二酸化チタン、ポリエチレン グリコール、及び酸化黄鉄を含みます。 上 記の成分に加えて、 10mg 錠剤は FD&C 青色 1 号アルミニウムレーキ、 ポリソルベート 80 も含みます。 経口用溶液には 20mg/5mL(64.7μmol)のフルオキセチンと同等量塩酸フルオキセチンを含 んでおり、他にもアルコール 0.23%、ベンゾイック酸、香料、グリセリン、精製水、しょ糖などを 含みます。 臨床薬理学 薬効学: フルオキセチンの抗うつ、強迫観念抑制、過食抑制作用は、CNS 神経のセロトニン摂取を抑 制する作用と関連性があるとみられています。 臨床上適性な量を人間に投与した実験で、フルオ キセチンがセロトニンの血小板内摂取をブロックすることがわかりました。 また動物実験では、 フルオキセチンはノルアドレナリンよりもセロトニンの摂取抑制をより強力にすることがわかりま した。 ムスカリン、ヒスタミン、及びα1‑アドレナリン受容体の拮抗作用は従来の三環系抗うつ剤 の様々な作用(副交感神経抑制作用、鎮静作用、及び心臓血管におよぼす作用など)と関連性があ ると仮定されています。 フルオキセチンは三環系薬品に比べて、人体で上記及びその他の脳組織 の細胞膜受容体に結合する力が弱くなっています。 吸収、分配、退社、及び排泄: 生物学的有効システム ― 人間に 40mg を 1 回口より摂取させて 6 時間から 8 時間後のフル オキセチンの血漿濃度ピーク値は 15 から 55ng/mL でした。 フルオキセチンのプルブール錠及び経口摂取用溶液は、どちらも生物学上同等です。 食物 がフルオキセチンの吸収をわずかに遅らせることはあっても、フルオキセチンの生物学的有効シス テムに影響を与えることはありません。 よって、フルオキセチンは食事と共にもしくは単独で服 用することも可能です。 たんぱく結合 ― 200 から 1000ng/mL の範囲で濃縮されたフルオキセチンの約 94.5%が、 アルブミンとα1‑グリコプロテインを含む人間の血清たんぱくと試験管内で結合しました。 フル オキセチンと高くたんぱく結合した他薬との相互作用は完全な評価はなされていませんが、重要で あることは考えられます(参照:注意事項) 。 鏡像体 ― フルオキセチンはR‑フルオキセチン及びS‑フルオキセチン鏡像体のラセミ混 合物(50/50)です。 動物の場合、以上二つの鏡像体がセロトニン摂取を抑制する特定の物質とな っており、基本的な薬理活動は同等です。 S‑フルオキセチン鏡像体は除去により時間がかかり、 安定状態の血漿内では優勢鏡像体となっています。 代謝 ― フルオキセチンは肝臓でノルフルオキセチンと他多数の名称のない代謝物など、 多岐にわたって代謝されます。 唯一確認がとれている代謝物であるノルフルオキセチンは、フル オキセチンをメチル分離化して形成されます。 動物のケースによると、S‑ノルフルオキセチンは 1 セロトニン摂取の抑制に効果のある優れた物質であり、R‑又は、S‑フルオキセチンと基本的に同 様な作用をもちます。 R‑ノルフルオキセチンは、セロトニン摂取を抑制する親薬よりも明らかに 効果は薄いです。 肝代謝によって代謝された非活性代謝物が腎臓に排泄されることにより、排除 されます。 代謝/排泄関連の臨床例 ― フルオキセチン代謝の複合化にはフルオキセチンの医療使用 に影響を与える恐れのある作用が多数あります。 代謝の種類 ― 1 部のグループ(約 7%)には、薬物代謝酵素チトクローム P450IID6 の代 謝作用が低く見られます。 このような人は、デブリソキン、デクストロメトルファン、三環式抗 鬱剤などの薬物代謝が弱いと見なされています。 ラセミ酸塩として処理されている鏡像体の盲検 および非盲検での実験で、前者のような体質の人はS‑フルオキセチンの代謝をよりゆっくりと行う ため、高濃度のS‑フルオキセチンが検出されました。 従って、一定状態でのS‑フルオキセチン 濃縮度は少ないのです。 彼らのR‑フルオキセチン代謝は正常です。 正常な代謝活動を行う人と 比較すると、一定状態での活性鏡像体 4 種の血漿濃度合計は代謝率が悪い人達のものとさほど違い はありませんでした。 よって、総合した薬理活動は基本的に同じであることがわかります。 代 替として、不飽和性の経路(non‑IID6)もまたフルオキセチンの代謝をします。 この事実により、 我々のフルオキセチンがなぜ一定状態での濃縮度を上限なく高くなることなく同等に保てるのかが 分かります。 三環系やその他の選別されたセロトニン抗鬱剤などを含む他多数の物質のように、フルオキ セチンの代謝は P450IID6 システムに関係するため、(三環系抗鬱剤などの)同じ酵素システムによ り代謝される薬物に付随する療法がなんらかの薬物相乗作用を引起こす可能性もあります(注意事 項の薬物の相乗作用欄参照)。 蓄積及び遅排出 ― 比較的遅いフルオキセチンの排泄(排泄量が半減するのは急激な摂取 後 1 から 3 日、長期間の摂取後なら 4 から 6 日)とその活性代謝物であるノルフルオキセチン(排 泄量が半減するのは急激及び長期摂取後 4 から 16 日後)らは、長期使用では定量服用でも活性物質 の蓄積が多大に見られ、一定状態への到達速度を遅らせました。 1 日 40mgを 30 日間服用したら、 フルオキセチンの血漿濃度が 91 から 302ng/mL で、ノルフルオキセチンの血漿濃度は 72 から 258ng/mL 検出されました。 フルオキセチンの血漿濃度は、フルオキセチンの代謝は服用量に比例 しないため、単独服用実験で予測された値よりも高く検出されました。 しかしノルフルオキセチ ンは薬物動態線を保持しているようである。 単独服用後のその平均半減期は、8.6 日であり、複 数服用後では 9.3 日でした。 長期服用後の一定状態値は、4〜5 週間後の値に近いです。 投与を止めても続く長期に及ぶフルオキセチン及びノルフルオキセチンの半減排泄は、薬物 の活性成分が数週間も体内に残留することを指しています(この期間は患者の体質、以前の服用時 の養生度、及び投与停止時における前回の治療期間などにより異なります) 。 この事実は服用を中 止する必要がある時、もしくはプロザック処方が止められた後にフルオキセチンやノルフルオキセ チンの作用が妨げられる恐れのある薬を処方された時に大変重大になります。 肝臓病 ― 代謝の第一段階から予想できるように、肝臓障害はフルオキセチン排出に影響 を与えます。 肝硬変患者のフルオキセチン排出半減期間は長くなっています;肝臓に障害のない 人の場合 2〜3 日なのに比べて、肝硬変患者の半減期間の平均は 7.6 日; ノルフルオキセチンの排 出も正常な人の場合は 7〜9 日間であるのに比べ、肝硬変患者の場合は平均 12 日かかっています。 よって肝臓に障害のある患者へのフルオキセチン処方には注意が必要となります。 肝臓病の方に フルオキセチンを処方する場合は、投与量や服用回数を減らすなどの調整が必要です(注意事項と 服用と処方項参照) 。 腎臓病 ― 透析を行っているうつ気味の患者(12 名)にフルオキセチンを 20mg1 日 1 回 2 ヶ月間投与したところ、腎機能が正常な人に比べてフルオキセチン、ノルフルオキセチンの血漿 値が安定していることがわかりました。 重度の腎臓病患者の腎臓から排泄されたフルオキセチン の代謝物は体内蓄積される恐れがありますが、投与量や服用回数を減らすなどの調整は腎臓障害の ある患者に関しては常に必要とされるものでもありません(注意事項と服用と処方項の併発病患者 の使用参照) 。 年齢 ― 65 歳以上の健康な被験者にフルオキセチンを単一投与したところ、正常な若い被 験者と大きく異なる部分はみられませんでした。 しかし、長い半減期間や薬物素因が一次的なも のでないという事実を考慮すると、単一服用実験で高齢者における薬物動態の相違を決定してしま うのは適切ではありません; 特に組織系の病気患っていたり加齢による併発病の薬を処方されてい る場合。 年齢がフルオキセチン代謝に与える影響が、260 人の高齢者(60 歳以上で健康だけどう つ気味な患者) を対象に 6 週間にわたりフルオキセチンを毎日 20mg投与して調査されました。 フ ルオキセチンとノルフルオキセチンの混合血漿濃度は 6 週間後で 209.3±85.7ng/mL でした。 年齢 2 に関係した変わった副作用はとくにみられませんでした。 臨床実験: うつ ― うつ病患者(18 歳以上)を対象にしたプロザックの治療効果が 5 週間・6 週間の 偽薬併用実験で研究されました。 ハミルトン式うつ病測定法(HAM-D)で測定した結果、プロザ ックによる効果が偽薬のものよりもはるかに高かったことが明らかになりました。 また、消沈ム ード、睡眠妨害、及び不安要因などに関する HAM-D スコアの結果もプロザックのもののほうが良 くでていました。 6 週間にわたる 2 件の統制実験(ランダム選出した 671 人)でプロザック 20mg と偽薬との 比較を行ったところ、1 日 20mg のプロザック投与が高齢のうつ病患者(60 歳以上)の治療に効果 的であることがわかりました。 これらの実験では、プロザックが HAM-D スコアを半減させ HAM-D 最終総合スコアを 8 以下にするなどといった高い効果をあげました。 プロザックは耐性が強く、 副作用のために治療を中止した患者数はプロザック 12%、偽薬 9%と大差ありません。 毎日プロザック 20mg を投与する無期限治療で 12 週間目までに効果があらわれたうつ病の 外来患者を対象とした実験が行われました(オープンラベル治療最後の 3 週間の HAMD-17 スコア が 7 以下、DSM-III-R 基準による主要なうつ症状がみられないものに制限した)。 これらの患者 (298 人)からランダムに選出し、偽薬かプロザック 20mg/日のどちらかを投与する二重盲検を継続しま した。 38 週目(全部で 50 週間)に統計的に明らかな低いリパーゼ率(2 週間にわたり主要なう つ症状がみられるか、3 週間 HAMD-17 スコアが 14 以下である)が、プロザックを服用している患 者に偽薬患者より多くみられました。 強迫性障害 − 成人外来患者に偽薬か定量のプロザック 20、40、60mg/日を投与する(毎 日 1 回朝に投与)平行グループ実験(実験1と2)が 2 件複数の研究所で行われ、強迫性障害(OCD) の治療に関するプロザックの効果が試されました。 両実験患者らはみな中度から重度の OCD (DSM-III-R)患者であり、ベースライン時の平均点数がイエール‐ブラウン強迫性障害診断法 (YBOCS 総合点) で 22 から 26 点の方達です。 実験 1 では、 プロザックを服用した患者は YBOCS 総合点で平均して 4 から6点ほど下がりました。 比べて偽薬投与患者は、1 点下がっただけでし た。 実験2では、プロザック服用患者は YBOCS 総合点で平均して 4 から 9 点下がり、偽薬投与 患者は 1 点下がりました。 実験1では服用量と効果の関連性について特記していないため、実験 2でその関連性を研究しました。 実験2では 2 つの多量服用グループの効果がより高く多くみら れました。 次の表はクリニカルグローバルインプレッション(CGI)改善測定法で測定された、 実験1と2の被験者グループを効果ごとに分類したものです: 効果別 悪化 変化なし 少々回復した かなり回復した 大変回復した 2件のOCD実験終了時に CGI改善測定法で測定した効果別(%)表 プロザック 偽薬 20mg 40mg 8% 0% 0% 64% 41% 33% 17% 23% 28% 8% 28% 27% 3% 8% 12% 60mg 0% 29% 24% 28% 19% 効果に対する年齢や性別の影響を調査分析したところ、年齢や性別による効果の違いはない ことが分かりました。 神経性過食症 − プロザックの過食症治療効果が、DSM-III-R の過食症と診断された成人 外来患者を対象にした、複数センターによる 8 週間が 2 件と 16 週間が 1 件の合計3件の平行実験 で実験されました。 8 週間の実験では、患者は 1 日 20mg か 60mg のプロザック、もしくは偽薬 を朝に服用しました。 16 週間の実験では、患者は 1 日 60mg(1 日 1 回)のプロザックか偽薬を 服用しました。 これら 3 件の実験患者は中度から重度の過食症であり、どか食いと嘔吐の回数の 中等値がそれぞれ週 7〜10 回と週 5〜9 回の患者たちです。 これらの実験で、プロザック 60mg (20mg でなく)が偽薬に比べてどか食いや嘔吐の回数が減り、統計的により優れた効果をあげま した。 このプロザック 60mg と偽薬の効果の明らかな差は、実験開始から早くも 1 週間であらわ れ始め、各実験で見られました。 プロザックによる過食症状の減少は、ベースライン時のうつ病 (ハミルトン式うつ病測定法で診断)とは無関係であるようです。 各実験のプロザック 60mg と 偽薬の実験終了時の過食症状発症回数における中間減少の違いを比べたところ、どか食いで週 1〜2 3 回、嘔吐で週 2〜4 回という結果がでました。 効果の程度はベースライン時の発症頻度に関係し、 ベースライン時の回数が多い患者はより多くの回数減少が見られるといった具合になっています。 一部の患者は過食と嘔吐から開放されるといった効果を得ますが、大部分はそれぞれの回数が一部 減少するという効果で留まります。 用途と用法 うつ病 − プロザックはうつ病治療に指定されています。 プロザックの効用は、主要う つ障害のカテゴリー DSM-III(現在は DSM-IV)にほど近い症状の元気のない成人、及び老人病外来 患者(18 歳以上)を対象に 5 週間と 6 週間の実験で判明しました(臨床薬理学項の臨床実験参照) 。 主要うつ症状(DSM-IV)とは、顕著で比較的持続性のある(最低 2 週間ほぼ毎日あらわれ る)日常作業を妨げる落ち込みや不快な気分のことを指し、以下の9症状のうち最低5つを含むも のです: 落ち込み;通常の活動に対する興味の減少;体重及び/あるいは食欲の明らかな変化; 不眠や過眠症;精神運動の精神障害や遅延;疲労感の増加;罪悪感や無価値観にさいなまれる;思 考が遅いまたは集中力障害;自殺衝動や自殺想像。 プロザックの鬱状態の入院患者に対する抗うつ作用は、充分な研究はなされていません。 プロザックの抗うつ作用を 12 週間のオープンラベル治療後最高 38 週間(合計 50 週間)維 持する効果は、偽薬統制された実験で調査されました。 プロザック長期服用患者に対する薬の有 益性は定期的に再確認する必要があります(臨床薬理学項の臨床実験参照) 。 強迫性障害 − プロザックは、カテゴリーDSM-III-R の強迫性障害(OCD)患者の治療に 指定されています;例、強迫観念は著しい苦痛を引起こしたり、時間をかけてあらわれたり、社会 的機能や業務機能の重大な妨げになったりします。 プロザックの効能は、カテゴリーDSM-III-R の強迫性障害に最も近いと診断された外来患者 を対象とした 13 週間の実験で確立されました(臨床薬理学項の臨床実験参照) 。 強迫性障害は、自己累緊張症的で/あるいは反復性のある意図的な行動(強制的欲求)など の回帰的および固定的観念、思想、衝動、想像(強迫観念)といった特徴があり、過剰な人とか不 合理な人といった印象を与えます。 プロザックの長期服用効果(13 週間以上)に関する偽薬統制実験での組織的な評価は未だな されていません。 よって、プロザックを長期にわたり投与することを決意した医師は、その有益 性や患者個人を定期的に評価しなければなりません(参照:服用と処方) 。 神経性過食症 − プロザックは、中度から重度の神経性過食症患者のどか食いと嘔吐とい う行為の治療に指定されています。 プロザックの効能は、中度から重度の神経性過食症である外来患者(最低で週に 3 回の過食 症症状が 6 ヶ月ある人)を対象に行った 8 週間から 16 週間の実験で確立されました(臨床薬理学項 の臨床実験参照)。 プロザックの長期服用効果(16 週間以上)に関する偽薬統制実験での組織的な評価は未だな されていません。 よって、プロザックを長期にわたり投与することを決意した医師は、その有益 性や患者個人を定期的に評価しなければなりません(参照:服用と処方) 。 禁忌 プロザックは、その成分に対して過剰反応を起こす患者の服用は禁じています。 モノアミン オキシダーゼ 抑制剤 − モノアミンオキシダーゼ抑制剤(MAO 抑制剤)と フルオキセチンを併用している患者、及び最近フルオキセチンの服用を中止して MAOI の服用を始 めた患者達から、深刻で、時には致命的な症状(高熱、硬直、間代筋痙攣、生命兆候[バイタル]の急 変も起こり得る自律神経不安定、極度な動揺から精神錯乱や昏睡を含む精神状態の変化など)が報 告されています。 いくつかのケースでは、悪性神経弛緩症候群に似た症状がみられました。 よ って、プロザックと MAOI(MAO 抑制剤)との併用や、MAO 抑制剤での治療を止めて 14 日以内の 方の使用は避けるべきです。 フルオキセチンとその主要代謝物は、たいへん長い半減排出期間が あるため、プロザック服用中止後に MAO 抑制剤を服用する際は最低 5 週間の(常習的に服用した り多量服用した場合はそれ以上の[臨床薬理学の蓄積及び遅排出項参照])休息期間を設けるべきで す。 警告 発疹やアレルギー反応の恐れ − アメリカ国内でのフルオキセチンに関する臨床実験で、 4 10,782 人の患者の 7%が様々な種類の発疹や/もしくはジンマシンなどを患いました。 販売前の 臨床実験で報告された、これら発疹やジンマシンを発症した患者らのほぼ 1/3 は、発疹あるいは発 疹に関連する機能的兆候や症状に悩まされ、治療を断念しました。 臨床状の所見によると、発疹 に関連する諸症状には以下のものが含まれます;発熱、白血球増多症、関節痛、浮腫、手根管症候 群、呼吸不全、リンパ腺症、たんぱく尿、アミノ基転移酵素の軽い上昇。 ほとんどの患者は、フ ルオキセチンの服用及び/もしくは抗ヒスタミン剤やステロイドを使用した補助的治療を中止する とすぐに治り、これらの症状を訴えた患者全員が完全に回復しました。 発売前の臨床実験で、患者の 2 人が深刻な皮膚組織の病気を発症したことが知られていま す。 どちらの患者も明確な診断がされていますが、うち 1 人は白血球破壊性脈管炎を、もう 1 人 は脈管炎や多形紅斑と判断される深刻な皮膚剥離症候群を発症していると見られています。 他の 患者らには、血漿病を示唆する組織的症候群がみられました。 プロザックの導入以来、おそらく脈管炎に関係する組織的症状が発疹患者に発症してい ます。 これらの症状例はまれですが、深刻なもので、肺や腎臓、または肝臓などに発症します。 これらの組織的症状に伴う死亡例も報告されています。 気管支痙攣、脈管浮腫、じんましんのどれか一つもしくはいくつかを含むアナフィラキシ ー性症状が報告されています。 組織変化及び/もしくは繊維症の炎症過程を含む肺疾患が、まれにであるが報告されてい ます。 これらの症状には先行症状として呼吸困難を伴います。 これらの組織的症状や発疹が一般的な潜在要因であるのか、あるいは異なる原因や病原体 のせいなのかは不明です。 これらの症状の免疫学的な特殊潜在要因もまた明らかになっていませ ん。 原因不明の発疹やその他のアレルギー症状が発症したら、プロザックの使用を中止してくだ さい。 注意事項 全般 不安症と不眠症 − うつ病を対象にしたアメリカ国内の偽薬統制臨床実験で、プロザック 投与患者の 12%から 16%と偽薬投与患者の 7%から 9%が不安症、神経症、または不眠症などの症 状を訴えました。 強迫性障害を対象にしたアメリカ国内の偽薬統制臨床実験では、プロザック投与患者の 28% と偽薬投与患者の 22%が不眠症になったとの報告を受けています。 不安症は 14%のプロザック 投与患者と 7%の偽薬投与患者にみられました。 神経性過食症を対象にしたアメリカ国内の偽薬統制臨床実験では、33%のプロザック投与患 者(60mg)と 13%の偽薬投与患者が不眠を訴えました。 プロザック投与患者(60mg)の 15% と偽薬投与患者の 9%が不眠症を、プロザック投与患者(60mg)の 11%と偽薬投与患者の 5%が神 経症を訴えました。 アメリカ国内で行われた偽薬統制したフルオキセチンの臨床実験で、服用停止に伴いあらわ れた一般的な副作用例(服用停止に関連した、最初に現れた副作例のみを集めた臨床実験で、偽薬 服用患者で最低 2 回、プロザック服用患者で少なくても 1%にみられた症状)は、不安症(強迫性 障害患者の 2%) 、不眠(複数疾患患者の 1%と過食症患者の 2%)、及び神経症(うつ病患者の 1%) でした(表 3 参照) 。 食欲と体重の変化 ― 著しい体重減少は、体重の軽いうつ病患者や過食症患者にとっては 特に喜ばしくないプロザックの副作用です。 うつ病患者を対象に行ったアメリカ国内の偽薬統制臨床実験で、プロザック使用者の 11%と 偽薬使用者の 2%が拒食症状(食欲減退)を訴えました。 プロザック使用者の 1.4%と偽薬使用者 の 0.5%に体重減少が見られましたが、拒食症や体重減少が原因でプロザック使用を止めた患者はご く僅かしかいませんでした。 強迫性障害患者を対象に行ったアメリカ国内の偽薬統制臨床実験で、プロザック使用者の 17%と偽薬使用者の 10%が拒食症状(食欲減退)を訴えました。 うち 1 人が、拒食症のためにプ ロザックの使用を止めました。 神経性過食症患者を対象に行ったアメリカ国内の偽薬統制臨床実験で、プロザック 60mg 使 用者の 8%と偽薬使用者の 4%が拒食症状(食欲減退)を訴えました。 プロザック 60mg 使用者は、 平均で 0.45kg 減量したのに対して、偽薬使用者は 0.16kg 減量しました(16 週間の二重盲検での結 果) 。 治療中は、体重の変化に注意するべきです。 躁/軽躁病の活性化 ― うつ病患者を対象に行ったアメリカ国内の偽薬統制臨床実験で、 5 プロザック使用者の 0.1%と偽薬使用者の 0.1%が躁/軽躁病を訴えました。 躁/軽躁病の活性化 は、市販されている他の抗うつ剤を使用している主な感情障害患者の少数にもみられました。 強迫性障害患者を対象に行ったアメリカ国内の偽薬統制臨床実験で、躁/軽躁病がプロザッ ク使用者の 0.8%にみられました(偽薬使用者は 0%) 。 過食症患者を対象に行った同様の実験で は、躁/軽躁病の症状は全くみられませんでした。 プロザックを使用したアメリカ国内全ての臨 床実験で、10、782 人中 0.7%に躁/軽躁病がみられました。 発作 ― うつ病患者を対象に行ったアメリカ国内の偽薬統制臨床実験で、ひきつけ(もし くは発作にみまわれる症状)が、プロザック使用者の 0.1%と偽薬使用者の 0.2%にみられました。 強迫性障害患者と過食症患者には発作症状はみられませんでした。 プロザックを使用したアメリ カ国内全ての臨床実験で、10,728 人中 0.2%に発作症状がみられました。 このパーセンテージは、 市販されている他の抗うつ剤使用時にみられるものに類似しています。 発作の経験がある患者に プロザックを処方する場合は、注意が必要です。 自殺 ― うつ病には自殺未遂の危険性があり、症状が軽くなるまでは自殺未遂願望に襲わ れることがあるでしょう。 危険性の高い患者には、治療開始時に慎重な監視が必要です。 過剰 摂取の危険性を減らすために、プロザックの処方箋には最低限の処方量と良質の患者管理を追記し てください。 強迫性障害とうつ病、及び過食症とうつ病の共生疾病率が確証されているため、うつ病治療 時と同様に、強迫性障害もしくは過食症治療の際にも同様の注意事項を守る必要があります。 フルオキセチンとその代謝物の長期半減排出期間 ― 母体薬剤とその主要活性代謝物の 半減排出期間が長いため、服用量を変えても数週間は、最終服用量の滴定と治療停止の計画に関連 した血漿値の完全な変化はみられません(臨床薬理学及び服用と処方参照) 。 併発病患者の使用 ― 組織系の併発病を患っている患者のプロザック使用臨床例は、限ら れています。 代謝や血液動態反応に影響する病気や症状を併発している患者のプロザック使用に は、注意をはらってください。 心筋梗塞や不安定な心臓病を最近患った患者対象の、フルオキセチン投与もしくは評価は 詳しく行われていません。 そのように診断された患者は、発売前の製品テスト臨床実験グループ から事務的に除外されていました。 しかし、二重盲検でプロザックを投与された 312 人の患者の 心電図を評価しなおしてみたところ;心臓を塞ぐ栓があると見られる伝導異常は見られませんでし た。 平均心拍数は 1 分につき約 3 拍下がりました。 肝硬変患者の場合、フルオキセチンとその活性代謝物、ノルフルオキセチン、の除去率が下 がり、半減排出期間が延長されました。 肝硬変患者のプロザック使用には、服用量もしくは回数 を減らしてください。 透析をしているうつ病患者を対象にした研究では、血漿内のフルオキセチンやノルフルオキ セチンの過剰蓄積が明らかになりませんでした(臨床薬理学 項の腎臓病 参照) 。 腎臓に障害のあ る患者に、常に量や回数を減らして処方する必要は特にありません(服用と処方参照) 。 糖尿病患者の場合、プロザックが血糖統制に影響を与えるおそれがあります。 プロザック 服用中に低血糖がみられ、服用を止めた後に高血糖になりました。 糖尿患者が併用する他の多く の薬同様、プロザック服用開始及び終了時には、インシュリンと/もしくは経口低血糖剤の使用量 を調整する必要があります。 認識力及び運転の妨げ ― 精神活性薬は判断力、思考能力、運転技術などに支障をきたす おそれがあるので、薬がこれらの能力に悪影響を及ぼさなくなったと確信できるまでは、車を含む 危険な機械類の操作・運転には充分注意する必要があります。 患者への注意 ― 医師はプロザックを処方する際、以下の事柄について患者と話し合うよ う指導されています。 プロザックは判断力、思考能力、または運転能力を妨げる恐れがあるので、薬の影響が ないことをはっきり認識できるまでは、車の運転や危険を伴う機械類の操作は控え てください。 現在処方薬を服用中の方、これから処方される方、またはアルコールを飲んでいる方は、 その旨を担当医にお伝えください。 治療中に妊娠した場合、または治療中に妊娠の予定がある方は、その旨を担当医にお知 らせください。 現在授乳中の方は、その旨を担当医にお告げください。 服用中に発疹やジンマシンが発生した場合は、担当医にお知らせください。 検体検査 ― 推奨する検体検査は特にありません。 6 薬物相互作用 − 全ての薬物同様、薬物の多用な構造(薬理学、薬物の抑制及び増強作用の 薬物動態など)による相互作用が発生する可能性はあります(臨床薬理学 項の蓄 積及び遅排出参照)。 P450IID6 で代謝する薬物 ― 人口の 7%近くの人達は、チトクローム P450 イソエンザイム P450IID6 の活動値を下げてしまう異常が遺伝的にあります。 このような人達は、 代謝不良体質 (Poor Metabolizers) と呼ばれ、主にデブリソキン、デキストロメトルファン、及び 3 環式抗うつ 剤などの薬物代謝に影響を与えます。 大部分の抗うつ剤などの、フルオキセチンやその他のセロ トニンの選択摂取抑制剤といったものを含む多くの薬物は、このイソエンザイムで代謝されます; 従って代謝物の動態能力と関連構成が、代謝不良体質者の体内では変化します。 しかし、フルオ キセチンとその代謝物にとっての活性鏡像体4つの血漿濃度合計は、代謝不良体質者と広範囲代謝 。 体質者の間では同等です(臨床薬理学 項の代謝の種類参照) P450IID6 で代謝する物質のように、フルオキセチンはこのイソエンザイムの活動を抑制す 作用があるため、正常代謝体質者も 不良代謝体質 のような反応を起こすことがあります。 フ ルオキセチンを投与している患者、もしくは過去 5 週間以内にフルオキセチンを投与していた患者 が、P450IID6 が優勢的に代謝して治療指数が比較的低い薬物(下記のリスト参照)を使用した治療 を行う場合は、低量投与から始めてください。 従って、これらの患者の投与量は、 不良代謝体質 の人の投与量に近いものとなります。 既に P450IID6 で代謝する薬物を服用している患者の治療法 にフルオキセチンを加えると、以前より服用している薬物の投与量を減らす必要がないか再確認し てください。 治療指数の低い薬物は、最も注意を要します(例;フレカイニド、ビンブラスティ ン、及び三環系抗うつ剤) 。 チトクローム P450IIIA4 で代謝する薬物 − フルオキセチンとテルフェナディン(チトクロ ーム P450IIIA4 基質)を併用した、生体相互作用実験で、テルフェナディン血漿濃度がフルオキセ チンの併用によって増加することはありませんでした。 更に試験管実験では、P450IIIA4 の働きを 抑制するケトコナゾール(アステミゾール、キサプライド、ミダゾラムを含む)が、この酵素 (P450IIIA4)(基質の代謝を抑制する作用のあるフルオキセチンやノルフルオキセチンより最低 100 倍も強力であることが判明しました。 これらのデータを合わせて見ると、フルオキセチンの 広範囲なチトクローム P450IIIA4 抑制作用は、臨床的に有意なものではないと見られます。 CNS 活性薬物 − プロザックと CNS 活性薬物を併用することによる危険性は組織的に評価 されていません。 しかし、このような薬物をプロザックの併用が必要な場合は、注意がはらわれ ています。 個々のケースで評価する場合、初回は併用する薬物投与量を低めに設定し、滴定測定 期間を多めにとりながら臨床状態を観察する配慮が必要です(臨床薬理学 項の蓄積及び遅排出参 照) 。 抗痙攣薬−フェニトインとカルバマゼピンを一定量投与している患者がフルオキセチン 治療の併用を始めたところ、血漿中の抗痙攣薬濃度と臨床的な抗痙攣薬の毒性が増加し ました。 抗精神薬−いくつかの臨床データより、特定セロトニン摂取抑制剤(SSRIs)と抗精神 薬との薬物力及び/あるいは薬物動態相互作用が起きる恐れがあることが示されていま す。 フルオキセチンと併用している患者に、ハロペリドールとクロザピンの血中値上 昇が見られました。 1 件の報告は、ピモジドとフルオキセチンが徐脈を引起こすとい う付加作用の恐れを疑わせています。 ベンゾジアゼピン−ジアゼパムを併用した患者の半減期が延びることがあります(臨床 薬理学 項の蓄積及び遅排出参照)。 アルプラゾラムとフルオキセチンを併用すると、 アルパゾラム値が高くなるため、アルプラゾラムの血漿濃度の上昇と精神運動能力の更 なる減退を招きます。 リチウム−リチウムとフルオキセチンを併用したところ、リチウム値の昇降がみられま した。 リチウム毒性とセロトニン効果の上昇というケースが複数報告されています。 これらの薬を併用するときは、リチウム値を観察する必要があります。 トリプトファン−フルオキセチンとトリプトファンを併用した患者 5 人に、興奮や情動 不安、胃腸痛などの副作用がみられました。 モノアミンオキシダーゼ抑制剤−禁忌項参照 その他の抗うつ剤−2 件の実験で、治療前は安定していたイミプラミンとデジプラミンの 血漿値が、フルオキセチンを併用したところ 2 倍から 10 倍以上に上昇しました。 この 症状は、フルオキセチンの投与を中止してから 3 週間かそれ以上続きます。 従って、 フルオキセチンを併用する患者、あるいはフルオキセチンの投与を中止したばかりの患 者には、三環系抗うつ剤(TCA)の投与量を減らして TCA 血漿濃度を一時的に監視する 7 必要があります(臨床薬理学 項の蓄積及び遅排出、および注意事項 項の薬物相互作用 欄 P450IID6 で代謝する薬物参照) 。 血漿蛋白結合が強力な薬物併用時の潜在的影響 − フルオキセチンは血漿蛋白との結合が 強力なため、蛋白結合が強力な他の薬(例、クマジン、ジギトキシン)を服用している患者にフル オキセチンを処方すると、血漿濃度に変化をきたし、副作用を引き起こす恐れがあります。 言い かえると、他の強力結合薬がフルオキセチンに結合した蛋白質を変化させるため副作用が起きるの 。 です(臨床薬理学 項の蓄積及び遅排出参照) ワルファリン − フルオキセチンとワルファリンを併用したところ、出血増加といった血液 凝固剤の効果に変化があらわれました。 ワルファリン治療を行っている患者には、フルオキセチ ン投与開始時および終了時に凝血状態を注意深く監視する必要があります。 電気療法 − フルオキセチンと電気療法の併用による効果を研究した臨床例はありません。 電気療法とフルオキセチン投与を併用している患者の発作が長引いたという例が、まれに報告され ています。 発癌性、突然変異、生殖機能障害 − プロザックの使用による発癌、突然変異、生殖機能障 害などといった事実はありません。 発癌性 − ラットに 1 日体重 1kg あたり最高で 10mg、マウスに 1 日体重 1kg あたり最高で 12mg のフルオキセチンを食事から摂取させたところ、どちらにも(人体に薦められる最大投与量 [MRHD]80mg/㎡のそれぞれ[ラットは]約 1.2 倍、[マウスは]約 0.7 倍)発癌の形跡は全く ありませんでした。 突然変異 − フルオキセチンとノルフルオキセチンには、以下の分析に沿った遺伝的毒性は 全くみられませんでした;細菌変異分析、ラットの培養肝細胞内の DNA 修復分析、マウスのリンパ 腫分析、チャイニーズハムスターの骨髄細胞の姉妹染色分体交換生体分析。 生殖機能障害 −1 日体重 1kg あたり最高で 7.5mg を投与したラットと、同じく最高で 12.5mg を投与したラット(それぞれ、mg/㎡単位での MRHD[人体に薦められる最大投与量] の 0.9 倍、1.5 倍)を対象にして生殖機能を調べた 2 件の実験では、フルオキセチンの生殖機能に対す る副作用は全くみられませんでした。 妊娠 − 妊娠カテゴリー C:ラットとうさぎの胎児の発育を研究したところ、ラットに最高 12.5mg/kg/日、うさぎに最高 15mg/kg/日を投与しても奇形の発生はみられませんでした(人体に薦 められる最大投与量[MRHD]80mg/㎡のそれぞれ[ラット]1.5 倍、 [ウサギ]3.6 倍) 。 しか しラットの繁殖実験では、妊娠中の母体にフルオキセチン 12mg/kg/日(MRHDmg/㎡の 1.5 倍)を 投与もしくは妊娠・授乳中の母体に 7.5mg/kg/日(MRHDmg/㎡の 0.9 倍)を投与したところ、死産 の増加、新生時の体重減少、生後 7 日間以内の死亡率の上昇がみられました。 妊娠中に 12mg/kg/ 日投与されたラットの生存子孫に神経毒性の形跡は、全くみられませんでした。 ラットの子供の 生命に影響を与えない投与量は、5mg/kg/日でした(MRHD mg/㎡の 0.6 倍) 。 妊娠中は、プロザ ックの効果が胎児に与えるリスクを正当化できる場合に限って服用してください。 分娩・出産−人間の分娩・出産におけるプロザックの影響は未知です。 しかし、フルオキ セチンは胎盤を通り新生児になんらかの副作用を及ぼす恐れがあるため、分娩・出産時はフルオキ セチンの効果が胎児与えるリスクを正当化できる場合に限って服用してください。 授乳中の女性−プロザックは母乳に排出されるため、プロザック服用中の授乳はお勧めしま せん。 ある母乳サンプルでは、フルオキセチンとノルフルオキセチンの濃度は 70.4ng/mL、母体 の血漿濃度は 295.0ng/mL でした。 乳児への副作用は報告されていません。 別のケースでは、 プロザックを服用している母親の乳児(母乳で保育)に号泣、睡眠妨害、嘔吐、水っぽい便などが みられました。 授乳 2 日目の乳児の血漿内薬物値は、フルオキセチンで 340ng/mL、ノルフルオ キセチンで 208ng/mL でした。 小児の使用−小児患者に対する安全性と効果は確立されていません。 老齢者の使用−U.S.フルオキセチン臨床実験(10,782 人対象)には 65 歳以上の患者 687 人 と 75 歳以上の患者 93 人が含まれていました。 老齢患者に対する効能は確立されています(臨床 薬理学項の臨床実験参照) 。 老齢患者の薬物動態に関する情報は、臨床薬理学項の年齢欄を参照し てください。 老齢患者と青年患者間における効果及び安全性の全般的な相違は全くなく、臨床実 験結果報告でも年齢による差も見られませんでしたが、一部の年配患者に強度の過敏性がみられま した。 他の特定セロトニン摂取抑制剤(SSRIs)同様、フルオキセチンは年配患者に顕著な低ナ 。 トリウム血症の臨床例に連携します(注意事項の低ナトリウム血症欄参照) 低ナトリウム血症−低ナトリウム血症(血清ナトリウムが 110 mmol/L 以下の例もある)の 発症が報告されています。 プロザックの投与を停止すると、低ナトリウム血症は逆行するようで す。 これらの例は様々な病因が重なったものであるが、不適切抗利尿ホルモン分泌症候群(SIADH) 8 を発症する可能性も一部の患者にありました。 この症状を発症した患者の大部分が、年配患者と 利尿剤を使用しないとほとんど排尿できない患者でした。 60 歳以上の患者を対象にした 2 件の 6 週間統制実験では、フルオキセチン投与患者 323 人中 10 人と偽薬使用患者 327 人中 6 人が、血清 ナトリウム基準値を下回りました;この結果は統計的に有意ではありません。 ここで確認された 最低濃度は 129mmol/L でしたが、この結果は臨床的に有意ではありません。 血小板機能−フルオキセチンを服用した患者の実験で、血小板機能に変化を与えて/または異常 をきたす検査結果はごく僅かです。 フルオキセチン服用患者の中の数名に異常出血が見られたケース はありましたが、原因がフルオキセチンであるか明らかではありません。 副作用 プロザックの投与量を様々に設定して、診断内容が多種多用な患者 10、782 人に投与する臨 床実験が 1995 年 5 月 8 日にアメリカ国内で行われました。 副作用は、臨床実験士がそれぞれ選 択した用語で記録されました。 従って、似た症例別に患者達をグループ化しない限り、副作用が みられた患者数の比率を有意に予測することは不可能です。 下記の表では、報告された副作用を分類する際、COSTART 辞典用語が使用されています。 記載された数字は、(リスト中の)治療新興の副作用を少なくとも 1 度は発症した患者の数です。 ここではベースライン時の評価を元に、治療を受けて初めて発症もしくは治療中に症状が重くなっ たという症例は、治療新興の副作用とみなしました。 ただ、治療中に報告された症状が必ずしも、 治療が原因で発症したものではないということを強調しておかねばなりません。 患者の体質やその他の条件が被験者と異なる通常の医療現場での副作用を予測するために、 表内の数字は使用できないことを、処方する医師は認識していなければなりません。 同様に、表 内の発症件数を、異なる治療法や使用法を採用した又は異なる実験者による臨床実験結果と比較す ることもできません。 しかしこの数字は、処方医師が実験での副作用発症率を参考にして、実際 の副作用が薬によるものかあるいはそれ以外のものであるかを判断する材料にはなり得ます。 アメリカ国内偽薬統制臨床実験での症例(実験延長時のデータは除く)―表1では U.S.統 制実験でうつ病、強迫性障害および過食症などの治療に使用したプロザックに関連した治療新興の 副作用で件数が多かったものを表示しています。 表 1 よくみられる治療新興の副作用: うつ病、強迫性障害、過食症患者を 対象に行った偽薬併用 U.S.統制臨床実験結果 体内組織/ 副作用例 体全体 衰弱 風邪の症状 心臓血管 血管拡張 消化器系 吐き気 食欲不振 口内の渇き 消化不良 神経系 不眠症 不安症 神経症 傾眠 震え 性欲減退 発症者の割合(%) 強迫性障害 プロザック 偽薬 (266 人) (89 人) うつ病 プロザック 偽薬 (1728 人) (975 人) 過食症 プロザック 偽薬 (450 人) (267 人) 9 3 5 4 15 10 11 7 21 8 9 3 3 2 5 -- 2 1 21 11 10 7 9 2 7 5 26 17 12 10 13 10 3 4 29 8 9 10 11 4 6 6 16 12 14 13 10 3 9 7 9 6 3 -- 28 14 14 17 9 11 22 7 15 7 1 2 33 15 11 13 13 5 13 9 5 5 1 1 9 異常夢見 1 1 5 2 5 3 呼吸器系 咽頭炎 3 3 11 9 10 5 副鼻腔炎 1 4 5 2 6 4 あくび --7 -11 -肌とその他 発汗 8 3 7 -8 3 発疹 4 3 6 3 4 4 泌尿器系 インポテンス† 2 ---7 -射精異常† --7 -7 -†男性のみを対象(うつ病;プロザク 690 人、偽薬 410 人。 強迫性障害;プロザック 116 人、偽薬 43 人。 過食症;プロザック 14 人、偽薬 1 人) -- 1%以下の発症 表 2 治療新興の副作用: うつ病、強迫性障害、過食症患者を対象に 行った偽薬併用 U.S.統制臨床実験結果 体内組織/ 副作用* 体全体 頭痛 衰弱 風邪の症状 発熱 心臓血管系 血管拡張 動悸 消化器系 吐き気 下痢 食欲不振 口内の渇き 消化不良 膨満感 嘔吐 代謝及び栄養障害 3 体重減少 神経系 不眠症 不安症 神経症 傾眠 めまい 震え 性欲減退 呼吸器系 咽頭炎 あくび 発症者の割合(%) うつ病、強迫性障害および過食症の患者ら全て プロザック 偽薬 (2444 人) (1331 人) 21 12 5 2 20 6 4 1 3 2 1 1 23 12 11 10 8 3 3 10 8 3 7 5 2 2 2 1 20 13 13 13 10 10 4 11 8 9 6 7 3 -- 5 3 4 -- 10 肌とその他 発汗 8 3 発疹 4 3 痒み 3 2 特殊感覚 視力異常 3 1 *プロザック使用者(うつ病、強迫性障害、過食症患者の全てを含む)の 2%以上に見られ、かつ偽薬使 用者よりも発症割合が多い症状。 以下の症状は除外する: 腹痛、異常夢見、事故による外傷、背中の 痛み、胸痛、便秘、咳の増加、うつ病(自殺願望を含む)、月経困難、胃腸障害、感染症、筋肉痛、痛み、 感覚異常、鼻炎、思考障害。 -- 1%以下の発症 偽薬併用 U.S.統制臨床実験にて投薬中止に伴ったデータ(実験延長時のデータは除く)−表3は、 うつ病、強迫性障害、過食症患者へのプロザック投与の中止に伴う副作用(発症数は最低1%で偽薬患 者の最低2倍以上であり、投与中止に伴いみられる主要症例のみを収集)を表示しています。 表 3 うつ病、強迫性障害、および過食症患者を対象とした偽薬併用 U.S.統制臨床実験で 投薬中止に伴って多くみられた副作用 うつ病、強迫性障害、 過食症の全患者 (1108 人) -不眠症(1%) --- うつ病患者 (392 人) 強迫性障害 (266 人) 過食症 (450 人) --神経症(1%) -- 不安症(2%) --発疹(1%) -不眠症(2%) --- U.S.全臨床実験でみられたその他の症例−以下の症例は、U.S.臨床実験(10、782 人対象)でフ ルオキセチンを使用した患者より報告された、治療によって発症した(治療新興)全ての副作用です。 ただし下記の場合を除く: (1)上記表1と2内および表外に記載された症例、もしくは別に記載された 症例;(2)COSTART 用語では表現できない、もしくは誤解を招くおそれのある症例;(3)プロザッ クとの関連性が薄い症例;(4)1 人のプロザック患者にしか発症せず、実質的に生命を脅かす類のもの ではない症例。 副作用例は下記の定義に沿い体内組織ごとに分類されています: 常連副作用(頻繁に発症する 副作用)とは 1 つもしくはそれ以上の状況で、患者 100 人中最低 1 人に発症する副作用のことを指す; 稀少副作用とは 100 人から 1000 人の患者の 1 人に発症する副作用のことを指す;希薄副作用とは 1000 人に 1 人以下(訳注;0.1%以下)に発症する副作用のことを指す。 体全体 − 常連:悪寒; 稀少:悪寒と発熱、顔面浮腫、意図的過量摂取、倦怠感、骨盤痛、自 殺未遂; 希薄:急性腹症、低体温、意図的傷害、悪性神経弛緩症候群、光過敏反応。 心臓血管系 − 常連:出血、高血圧; 稀少:狭心症、不整脈、うっ血性心不全、低血圧、偏頭 痛、心筋梗塞、起立性低血圧、失神、頻脈、血管性頭痛; 希薄:心房細動、徐脈、脳塞栓症、脳虚血、 脳血管発作、期外収縮、心停止、心臓ブロック、蒼白、末梢血管障害、静脈炎、虚脱、血栓静脈炎、血 栓症、血管痙攣、血管性不整脈、心室期外収縮、心室性細動。 消化器系 − 常連:食欲増進、吐き気および嘔吐; 稀少:アフタ性口内炎、胆石症、失語症、 おくび、食道炎、胃炎、胃腸炎、舌炎、歯肉出血、胃酸過多、唾液分泌過多、肝機能テスト異常、下血、 口潰瘍、吐き気/嘔吐/下痢、胃潰瘍、口内炎、口渇感; 希薄:胆管痛、血性下痢、胆嚢炎、十二指腸潰 瘍、腸炎、食道潰瘍、大便失禁、胃腸出血、吐血、結腸出血、肝炎、腸閉塞、肝臓脂肪貯蔵、膵臓炎、 消化性潰瘍、直腸出血、唾液腺肥大、胃潰瘍出血、舌浮腫。 内分泌系 − 稀少:甲状腺機能低下症; 希薄:糖尿病性酸毒症、糖尿病。 血液およびリンパ管系 −稀少:貧血症、出血斑; 希薄:血液疾患、抵色性貧血、白血球減少、 リンパ浮腫、リンパ球増加、点状出血、紫斑、血小板血症、血小板減少。 代謝および栄養 − 常連:体重増加; 稀少:脱水症状、全身浮腫、通風、高コレステロール血 症、高脂血症、低カリウム血症、末梢性浮腫; 希薄:アルコール不耐、アルカリ性リン酸分解酵素増加、 血中尿素窒素増加、クレアチンリン酸酵素増加、高カリウム血症、高尿酸血症、低カルシウム血症、鉄 11 欠乏性貧血、血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(血清 GOT)増加。 筋骨系 −稀少:関節炎、骨痛、滑液包炎、脚痙攣、腱鞘炎; 希薄:関節症、軟骨異常栄養症、 筋無力症、筋障害、筋炎、骨髄炎、骨粗しょう症、リューマチ性関節炎。 神経系 − 常連:興奮、健忘症、混乱、情動不安定、睡眠障害; 稀少:歩行異常、急性脳症候 群、静座不能、無感情、失調症、頬舌症候群、中枢神経系うつ病、中枢神経刺激、離人症、多幸感、幻 覚、敵対作用、運動亢進症、高血圧症、知覚減退、協調運動不能、性欲増進、筋クローヌス、神経痛、 神経疾患、神経症、妄想反応、人格障害†、精神病、めまい; 希薄:脳波異常、反社会的反応、口腔周 囲感覚異常、昏睡、妄想、構音障害、失調症、錐体外路症候群、下垂足、感覚過敏、神経炎、完全麻痺、 生体反射減少、生体反射増加、混迷。 呼吸器系 −稀少:喘息、鼻血、しゃっくり、過呼吸; 希薄:無呼吸、肺拡張不全、咳の減少、 肺気腫、喀血、呼吸低下、低酸素、喉頭浮腫、肺浮腫、気胸症、喘音。 肌および付属器 −稀少:ニキビ、脱毛症、接触性皮膚炎、湿疹、斑点状丘疹、肌の脱色、皮膚 潰瘍、水疱性発疹; 希薄:せつ腫症、帯状疱疹、多毛症、点状出血性発疹、乾癬、紫斑発疹、膿疱疹、 脂漏症。 特殊感覚器 − 常連:耳痛、味覚倒錯、耳鳴り; 稀少:結膜炎、ドライアイ、瞳孔散大、光恐 怖症; 希薄:眼瞼炎、難聴、二重視、眼球突出症、眼内出血、緑内障、聴覚過敏、虹彩炎、異嗅症、強 膜炎、斜視、味覚低下、視野欠損。 泌尿性器系 − 常連:頻尿; 稀少:流産*、蛋白尿、無月経*、無オルがズム症、乳房肥大、胸痛、 膀胱炎、排尿困難、雌性泌乳*、繊維嚢胞性乳腺*、血尿症、白色帯下*、月経過多*、夜間頻尿症、多尿症、 尿失禁、残尿感、尿切迫、膣出血*; 希薄:胸部うっ血、糖尿、過小月経*、腎痛、尿量減少、有痛性持 続勃起症*、子宮内出血*、子宮類繊維腫肥大*。 †人格障害とは、非攻撃的な不快行動の COSTART 用語です。 *性別による 導入後の報告 − 市場導入後に投与されたプロザックに関連する一時的な副作用例が自発的に 報告されていますが、薬物と関連しないものも含まれている可能性があります:再生不良性貧血、心房 性細動、脳血管発作、胆汁うっ滞性黄疸、混乱、運動障害(77 歳の女性がフルオキセチン治療を 5 週間 続けた結果、舌突出性そしゃく筋症候群になったが治療を停止して 2、3 ヶ月で完治した例を含む)、PIE 症候群、表皮壊死症、結節性紅斑、剥脱性皮膚炎、女性化乳房症、心停止、肝機能不全/肝臓壊死、高 プロラクチン血症、免疫関連溶血性貧血、腎不全、誤用/乱用、運動障害(このような作用が関係する 薬物を含むリスク要因があり、既存の運動障害が悪化するような患者に見られる)、悪性神経弛緩症候群 のような症例、膵臓炎、汎血球減少、有痛性持続勃起症、肺動脈塞栓、QT 間隔延長、スティーブン‐ジ ョンソン症候群、突然死、自殺観念、血小板減少、血小板減少性紫斑病、服用停止後の膣出血、及び強 暴症。 薬物乱用および依存症 規制物質階級 − プロザックは規制物質ではありません。 身体的および精神的依存 − プロザックは、乱用、耐性または身体的依存度に関する、動物や人 間を対象にした組織的な実験はされていません。 プロザック市場開放前の臨床実験では、服用停止症 候群や求薬行動などの傾向はみられませんでしたが、これらの所見は組織的なものではないため、この 限られた実例のみを基にして、発売後に中枢神経活性薬(CNS 薬)を誤用、流用、及び/もしくは乱用し た場合の程度を予測することはできません。 結果、医師は患者の薬物乱用歴を注意深く調べ、追って プロザック誤用もしくは乱用の兆候を観察するようにしてください(例、耐性発達、服用量増加、求薬 行動)。 過剰摂取 人体への影響 −1987 年 12 月、フルオキセチンの急性過剰摂取に関する約 38 件の報告のうち 2 件が死亡のケースでした。 どちらもフルオキセチン単体使用か、もしくは他の薬物および/又はアル コールの併用によるものです。 うち 1 件の死亡例は、約 1800mg のフルオキセチンと不明量のマプロチ リンの併用によって引き起こされました。 フルオキセチンとマプロチリンの血漿濃度はそれぞれ、 4.57mg/L と 4.18mg/L です。 2 件目の死亡例には 3 種類の薬物が関連しており、それらの血漿濃度は以 下の通りでした:フルオキセチン 1.93mg/L;ノルフルオキセチン 1.10mg/L;コデイン 1.80mg/L;テマゼ パン 3.80mg/L。 12 フルオキセチンを 3000mg 服用していた別の患者は、2 度もの大発作にみまわれましたが、特別な 抗痙攣剤による治療を受けることなく自然に治まりました(過剰摂取時の管理参照)。 嘔吐などを伴っ ているので、実際体内に吸収された薬物の正確な量は、3000mg よりも少ないはずです。 吐き気や嘔吐は、フルオキセチンの服用量が高くなるほど顕著になります。 過剰摂取によるそ の他の顕著な症状には、扇動、情動不安、軽躁病、およびその他の CNS(中枢神経系)興奮作用の兆候 などがあります。 前述の 2 件の死亡例を除く全ての過剰摂取に関する報告患者は、残存性もなく回復 しました。 市場導入以来、フルオキセチン単品の過剰摂取による死亡例の発生は極めて稀です。 動物実験 − 動物実験では、人体への過剰投与に関する有力かつ詳しいデータを得ることはでき ません。 しかし、できる限りの治療法を見つけるのに有力な見識を得ることはできます。 ラットとマウスの経口服用量の中央値はそれぞれ、452mg/kg と 248mg/kg でした。 急激な過 剰摂取(経口)は、数匹の動物に過剰興奮性と痙攣を引き起こしました。 経口で過量のフルオキセチンを 6 匹に服用させたところ、5 匹が大発作を起こしました。 この 発作は、ジアゼパムを標準量静脈注入したところすぐに止まりました。 短期間の実験によると、発作 が起きた時の最低血漿濃度は、人間が慢性的に 1 日 80mg 服用した場合の最高血漿濃度のわずか 2 倍で した。 別の単回投与実験で、多量投与された犬の心電図は PR、QRS、QT 間隔の延長を証明すること はできませんでした。 しかし、頻脈と血圧上昇はみられました。 よって、心電図より心臓への悪影 響を予測することの有用性は未知です。 それでもなお、人体に過剰投与してしまった場合は心電図を 調べる必要があります(過剰摂取時の管理参照)。 過剰摂取時の管理 − 治療には、他のいかなる抗うつ剤過剰摂取時の一般処置法が適用されます。 気道の確保、適度な酸素と呼吸の確保。 心拍数と生命兆候(バイタル)を観察。 一般的な支 持的療法および症候基準なども実践すべきです。 嘔吐を促すことは勧めません。 摂取直後もしくは 症候がみられる患者の場合、必要ならば、気道を適切に保護し太い管を口から挿入して胃を洗浄するこ ともある。 活性炭を与えること。 本薬の分量が多量なため、共生的な利尿剤や人工透析、血液かん流と交 換輸血などは効果的ではないとみられます。 フルオキセチンの特別な解毒剤は知られていません。 特定警告は、フルオキセチンを服用中もしくは最近服用していて三環系抗うつ剤を過量摂取して しまった患者を対象としています。 このような場合、母体となる三環系及び/もしくは活性代謝物の 蓄積が、重大な後遺症の危険性を増加させ、医師の観察を必要とする期間が長引きます(注意事項項の その他の抗うつ剤参照)。 動物実験のデータによると、(人体に適応しないかもしれません)フルオキセチンが誘発する発 作で自然に治まらないものは、ジアゼパムで治まります。 過剰摂取時の管理では、まず数種の薬物投与の可能性を疑ってください。 医師は毒物中毒管理 センターに連絡をとり、過剰摂取時の治療情報を得るようにしてください。 服用と処方 うつ病− 初期治療 − フルオキセチンの効能を支持する統制実験で、患者は毎朝 20〜80mg(1 日量)の フルオキセチンを投与されました。 フルオキセチン 20、40、60mg/日と偽薬とを比較したところ、 殆どのケースで 20mg が最も効果的な抗うつ作用を上げることができました。 従って、最初は 1 日 20mg のフルオキセチンを朝投与することをお奨めします。 投与量の増量は、数週間の投与期間に臨床的な効果が見られなかった場合のみに考慮されます。 1 日 20mg 以上の投与は、1 日 1 回(朝)もしくは 1 日 2 回(例、朝と昼)とし、最高でも 1 日 80mg を超えることがないようにします。 他の抗うつ剤同様、肝臓に障害のある患者には低量もしくは回数を減らして投与してください。 又、高齢者(注意事項項の老齢者の使用参照)及び併発症を患っていたり複数の薬物を併用している患 者も、低量投与もしくは投与回数を減らすようにしてください。 腎障害患者への投与量の調整は、通 常必要としません(臨床薬理学項の肝臓病、腎臓病参照:注意事項項の併発病患者の使用参照)。 治療維持/継続/延長 − うつ病の急性症状には一般的に数ヶ月、もしくはそれ以上かけて薬理 治療を施すべきであると認識されています。 うつ症状を軽減させるために必要な抗うつ剤の投与量が、 正常な精神状態を維持するために必要な投与量と一致するかはわかりません。 プロザックの体系評価で、1 日 20mg を投与する非盲検の緊急治療を 12 週間続けた後の抗うつ 効果が最高で 38 週間維持(治療の総合期間は 50 週間)されたことが明らかになりました(臨床薬理学 13 項の臨床実験参照)。 強迫性障害− 初期治療 − 強迫性障害の治療効果を支持するためのフルオキセチン統制臨床実験で、患者は 1 日 20、40、60mg 定量のフルオキセチンもしくは偽薬を投与されました(臨床薬理学項の臨床実験参照)。 うち 1 つの実験で、投与量と効果の関連性が全く見られないものがありました。 従って、最初は 1 日 20mg を朝投与することをお奨めします。 2 つ目の実験では投与量と効果の関連性を示唆するデータが 見られているので、数週間経っても臨床的効果が不充分な場合は投与量を増やすことも検討してよいと 思われます。 治療開始から 5 週間以上経たないと、完全な治療有効性を見ることはできないでしょう。 1 日 20mg 以上を投与は、1 日 1 回(例、毎朝)もしくは 1 日 2 回(例、朝と昼)とします。 1 日の推奨服用量は 20〜60mg の範囲内となっていますが、強迫性障害の公開実験では 1 日 80mg までに 充分な耐性が見られました。 よって、フルオキセチンの投与量は 1 日 80mg を超えることのないよう にしてください。 うつ病のプロザック使用と同様、肝臓に障害のある患者には定量、もしくは回数を減らして投与 してください。 又、高齢者(注意事項項の老齢者の使用参照)及び併発症を患っていたり複数の薬物 を併用している患者も、低量投与もしくは投与回数を減らすようにしてください。 腎障害患者への投 与量の調整は、通常必要としません(臨床薬理学項の肝臓病、腎臓病参照:注意事項項の併発病患者の 使用参照)。 管理及び継続治療 − プロザックの投与期間を設定するための組織的な実験はなされていませ んが、強迫性障害は慢性的な症状であるため、薬物による効果が見られている患者には投与を継続する のが適当ではないかと思われます。 プロザックを 13 週間以上投与した場合の効果は統制実験では立証 されていませんが、二重盲検による治療を効果が低下することなく最高で 6 ヶ月延長した患者もいます。 しかし投与量の調整は、患者にとって効果的な最低投与量に設定、維持するべきであり、治療の必要性 を見極めるため定期的な観察が必要となります。 神経性過食症− 初期治療 − 神経性過食症の治療効果を支持するためのフルオキセチン統制臨床実験で、患者は 1 日 20 又は 60mg 定量のフルオキセチンもしくは偽薬を投与されました(臨床薬理学項の臨床実験参照) 。 結果、統計的にみて 60mg のみが明らかに偽薬に勝っており、実際にどか食いと嘔吐の回数が減少しま した。 従って、推奨投与量は 1 日 60mg で、朝服用するのが好ましいです。 一部の患者には、この 量(60mg/日)にもっていくまでに数日かけて滴定する必要があることも付け加えておきます。 1 日 60mg 以上のフルオキセチンを投与する統計的な実験は、過食症患者を対象には行っていません。 うつ病および強迫性障害患者のプロザック投与同様、肝臓に障害のある患者には定量、もしくは 回数を減らして投与してください。 又、高齢者(注意事項項の老齢者の使用参照)及び併発症を患っ ていたり複数の薬物を併用している患者も、低量投与もしくは投与回数を減らすようにしてください。 腎障害患者への投与量の調整は、通常必要としません(臨床薬理学項の肝臓病、腎臓病参照:注意事項 項の併発病患者の使用参照)。 管理及び継続治療 − プロザックの投与期間を設定するための組織的な実験はなされていませ んが、過食症は慢性的な症状であるため、薬物による効果が見られている患者には投与を継続するのが 適当ではないかと思われます。 プロザックを 16 週間以上投与した場合の効果は統制実験では立証され ていませんが、二重盲検による治療を効果が低下することなく最高で 6 ヶ月延長した患者もいます。 し かし投与量の調整は、患者にとって効果的な最低投与量に設定、維持するべきであり、治療の必要性を 見極めるため定期的な観察が必要となります。 三環系抗うつ剤(TCA)に切り換える患者: TCA(三環系抗うつ剤)の投与量を減らす必要があり、フルオキセチンと併用もしくは最近服用 を中止した場合は、TCA の血漿濃度を一時的に検査する必要もあります(薬物相互作用欄のその他の抗 うつ剤参照)。 モノアミンオキシダーゼ(MAO)抑制剤から、もしくは MAO 抑制剤に切り換える患者: MAO 抑制剤の服用停止からプロザック服用開始の間は、最低 14 日あけるようにしてください。 また、プロザック服用停止から MAO 抑制剤の服用開始の間は、最低 5 週間、もしくはそれ以上の期間 をあけるようにしてください(注意事項項の禁忌参照)。 供給法 以下の製品は、Eli Lilly アンド カンパニーがディスタ プロダクツ カンパニーのために製造しています。 米国特許、プロザック®プルブールス®は以下のタイプで入手できます: プルブール 10mg*は、不透明な緑色で、キャップに DISTA 3101 と、本体に Prozac 10mg と記さ 14 れています: NDC 0777-3104-02 (PU3104) - 100 瓶 NDC 0777-3104-07 (PU3104) - 2000 瓶 NDC 0777-3104-82 (PU3104) - 20 個入りフレックスパック™ § 31 シート プルブール 20mg*は、不透明な緑色のキャップとオフホワイトの本体で、キャップに DISTA 3105 と、本体に Prozac 20mg と記されています: NDC 0777-3105-30 (PU3105) - 30 瓶 NDC 0777-3105-02 (PU3105) - 100 瓶 NDC 0777-3105-07 (PU3105) - 2000 瓶 NDC 0777-3105-33 (PU3105) - (ID†100) ブリスターパック(個別パック) NDC 0777-3105-82 (PU3105) - 20 個入りフレックスパック™ § 31 シート プルブール 40mg*は、不透明な緑色のキャップに不透明なオレンジ色の本体で、キャップに DISTA 3107 と、本体に Prozac 40mg と記されています: NDC 0777-3107-30 (PU3105) - 30 瓶 液体、内服液は以下のタイプで入手できます: 5ml 中 20mg*のミント味: NDC 0777-5120-58 (MS-5120‡) -120mL 瓶 以下の製品は Eli Lilly アンド カンパニーが製造・販売しています。 プロザック®錠は以下のタイプで入手できます: 10mg*錠は緑色で、楕円形の分割錠で、数字の裏側に PROZAC 10 と刻印されています。 NDC 0002-4006-30 (TA4006) - 30 瓶 NDC 0002-4006-02 (TA4006) - 100 瓶 *フルオキセチンの主成分量は同程度 †アイデンティ投与量®(投与量単位、Lilly) ‡遮光ボトルに入っています §フレックスパック™(弾力性のブリスターシート、Lilly) 15℃から 30℃の室温で保存 動物への毒性 フルオキセチンを長期間投与したマウス、ラット及び犬の一部の組織に、リン脂質の増加がみら れました。 フルオキセチン治療の中止後、この影響は退行しました。 動物のリン脂質蓄積は、フェ ンフルラ眠、イミプラミン、ラニチディンを含む陽イオン両親媒性薬物の多くにみられます。 人体へ の影響は未知です。 Rx only 15
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