Title Author(s) Journal URL 炭酸リチウムの脳波に及ぼす影響 高山, 美登利 東京女子医科大学雑誌, 49(6):545-553, 1979 http://hdl.handle.net/10470/3813 Twinkle:Tokyo Women's Medical University - Information & Knowledge Database. http://ir.twmu.ac.jp/dspace/ 39 (妻女麟53第鶴54饗言) 炭酸リチウムの脳波に及ぼす影響 東京女子医科大学神経精神科学教室(主任 柴田収一教授). 高 山 美登利 タカ ヤマ ミ ド リ (受付 昭和54年3月29日) hth萱um treatment and C1・anges of Electroencephalogram(E・E・G・) Midori TAKAYAMA, MD. Department of Neuro−Psychiatry(Director:Pro£Shu圭chi SHIBATA) Tokyo Wolnen,s Medicai College E.E.G.s of 157 patients, who were treated with Hthium carbonate廿om Jan.1975 till Apr.1977, were investigated. The results were as fbllows: 1) 101cases(64.3%)showed abnormal E.E.G.,68.2%of which were slo諏waves. 2) Side ef琵cts were最)und clin1cally on 47%of the pat量ellts, who showed abllormal waves. On the contrary, only 34%of those who showed normal E.E,G., showed side eHbcts. Neurological side e艶cts虚ere負)und血ore食equently in the負)rmer group. 3> Among the 76 patients, whose E.E.G.s were recorded both befbre and during the lithium treatmellt, the slowillg of E.E.G. was倉equently recognized. 55.3%of the 76 cases showed slow waves, which includedδwaves, and aISo abnormal waves. 4) There was no dif琵rence of the average dosage and of the Iithium−level in blood, between the group with abn6rmal E.E.G. and the one with normal E.E.G.. Whereas the maximum daily dosages were a little higher irl the fbrmer group than in the latter. 5) It took倉om one month til正1.5 year, that abnormal E.EG.s, which were recognized during lithium−treatment, became normal諭er the tre昂tment. 1・はじめに 対して予防効果工4)のあることなどの報告がある. 炭酸リチウム療法は,オーストラリアのJ・F・ また昭和52年には当教室の堀川ら15)が東京女子医 Cade1)によって1949年精神科領域に導入され, 科大学学会で「いわゆる精神分裂病」に対する治 ヨーロッパ諸国,次いでアメリカ2)において使用 療経験を報告している. 経験が積まれ,本邦でも1968年頃から,躁状態に 炭酸リチウム投与に当っては,その血中濃度が 対する治療経験が報告されるようになった3)陶12) 効果発現の指標となるが,血中濃度が2mEq/1を 現在では,躁状態のみならず,うつ状態に対して 越えた際には急性中毒の危険16)があるとされてい も有効13)であることや,反復する慢性躁うつ病に る.副作用.としては嘔気,嘔吐,食欲不振,下 一545一 40 痢,やせなどの消化器症状,多尿,頻尿,尿失禁 で,従来使用していた向精神薬を減量して炭酸リチウ などの泌尿器症状功および手指,舌,眼験の振 ムを併用したため,単独療法は数例にすぎなかった.し 戦,腱反射充進,四肢の粗大振戦,頭痛,ねぼ かし他の向精神薬の投与量:は、大幅に減量できた例が多 け,傾眠,痙孕1B)19)20)などの神経症状があり,急 かった.併用薬剤はChlorpromazin, Levomepromazin, 性中毒の際には神経症状が特に目立つ.炭酸リチ Thioridazin, Perphenazin, Haloperidol, Im宝pramin, Clomipra甲in, Amitriptylin, Diazepam, Promethazin, ウム療法中の脳波については,これまでにも幾多 の異常所見の報告1)12)飼14)’8)卍24)カミあり,異常は必 NitrazePam, Estozolam,その他眠剤,抗パーキンソン剤 などである. ずしも急性中毒の場合25)”28)のみに限られていな 町・結 いが,異常が急性中毒の出現を告げる19)24)時もあ る.このため炭酸リチウム使用患者の脳波変化に・ ついて,以下検討することにした. 波描記中1度でも異常を示したものは異常に入れ 11・対象と方法 たが,これには炭酸リチウム投与前から異常のも 対象 のも含み,また他の向精神薬との併用が大多数な 昭和50年1月から昭和52年4月末までに,炭酸リチウ ので,一概に炭酸リチウムによるものとは言いき ム療法を行なった入院および外来患者490例のうち,1 れない.しかし,従来の報告でも40∼80%の異 回以上脳波検査を施行できた157例(男75例,女82例) 常12)18)19)が認められており,それとは一致する成 を対象とした.年齢は15歳から66歳,平均30.2歳であ る.情態像としては,表1のごとく,内因性精神病156 績であった.157例の脳波正常群,異常群の年齢分 例中躁病27例(うち真性てんかん合併2例),慢性躁病 表2 脳波正常群,異常男泣年令分布 33例,躁うつ両病相あるもののうち躁病相のみに使用し たもの46例,両病相に使用したもの47例,うつ病相3例 (老人性変化合併1例),症候性精神病(躁状態)1例 であった. 表1 疾病別炭酸リチウム使用数 病 単相型 両型型 症候性 ク神病 果 157例中速波を含めた脳波正常群は56例,異常 群101例で64.3%が異常であった.1回以上の脳 名 例日 躁 病 幻 慢性躁病 33 躁 病 相 46 躁うつ万病相 47 うつ病相 3 年齢 脳波正常群 i歳) 計 ユ5∼20 6(33.3%) 12(66.7%) 18 21∼30 22(28,2%) 56(71.8%) 78 31∼40 16(44.4%) 20(55.6%) 36 41∼50 10(55.6%) 8(44.4%) 18 51∼60 1(20,0%) 4(80.0%) 5 61∼66 0( 0%) 1(100.0%) 1 56_⊥ 1・1 計 157 表3 脳波異常群における異常波の種類 異常波の種類 徐波 躁状態 脳波異常群 i各年齢における割合) i各年齢における割合) 1 発そ ?フ波及辺び縁 投与方法は,大正製薬の炭酸リチウム錠(1錠中炭酸 リチウム塩200mg含有)を用い,初回1日投与量200mg θ波のみ 76 θ+δ波 14 棘波,棘徐波 7 6Hz phantom 6 6,14Hz陽性棘波 9 律動異常 ∼800mgから始め,血中濃度を測定しながら漸増し, idysrhythmia) 効果発現をみて減量した.1日投与量の最高(以下最高 平 量と称す)は600mgから2,400mg,1日維持量は400mg から1,2GOmgであった.炭酸リチウム単独療法が望ま しいのであるが,症状の急変を防ぐため,多くの症例 一546一 異常波数 坦 計 百分率 i%) 90 68.2 22 16.6 19 14.4 1 α8 132 100.0 (延べ箇数のため同一症例で2つ以上に入ってい るものがある) 41 布は表2に示すとおりである.異常群101例の異 常波の分類は表3に示すごとくで,細波を呈する ものは68.2%で従来の報告22)に一致し,発作波お よびその辺縁(棘波および不規則性急徐波結合, 6Hzphantom,6Hz・14Hz陽’性砕波)は16.6%, 律動異常(dysrhymia)14.4%,平坦0.8%となっ LT ている(図1∼7参照). 炭酸リチウム投与による副作用は157例中66例 (41.8%)に認められ,この副作用と脳波との関 係は表4,図8に示すとおりである.副作用あり が,脳波正常群の34%,異常群の47%に認めら い紬棚一 れ,異常群の方にやや多く出現している.この副 作用を前述のごとく,神経系,消化器系,泌尿器 系に分類すると表5のごとくで,脳波異常群で副 尺σ 作用がある47例中38例(81%)に神経系の副作用 が認められた.この神経系の副作用には,手指の 振戦,四肢の粗大振戦,傾眠,ふらつき,痙牽な 冗τ」嘲 一・‘・タ αヒ 腰叶 図2 K・F・34才男性慢性躁病 炭酸リチウム2000mg, PZC 64mg・ 80μV 10Hzα 波,しばしば7Hzθ波混じる.基礎波中に180μV い 認一一扁・一へ氏ゾψ一・ 一一一^一v∀・Aへ∼一一 3∼4Hzδ,θ波が突発性に出現する. 一∼.さ一一 ん一 口 R(〉 RT L町 蝋Rじ RO ヨおば _LL」」漏し」L」_」一」.山↓一 ユ。ユ73 Y.Y ね.9.!》 oし七r星就 図1 Y・Y・25才女性躁病 RO O 炭酸リチウム1200mg, Cp 200mg,■p 20mg, PZC 32田9. 50μV6∼7 Hzθ波8∼10Hzα波の ややおそい基礎波中に200μV3Hzδ波が前頭部 門984 K,M 鈎、‘.9 妨陀濾 図3 K・N・26才男性躁病 から側頭部にかけて突発的に出現する.. 注:Cp=Chlorpromazin,、Lp=1.evomepromazin PZC=Perphenaz三n Ha1=Haloperidol 炭酸リチウム600mg, Cp 100mg・ 80μV,10∼11 Hzα波と微細なβ波の基礎波に4∼6Hz棘徐波 結合が1秒位続く. Nit=Nitrazepam 一547一 42 礁一琳編心v硝刷一一 一レ・ごバー 一眼一矧一一艸八_ 一一∼〈_ 一____、 一 好P LT 一邸属 紀τ ぷ二一舶腋・〈齢一魎 り焦糟噺轡絢凶飾”岬ギ、遵叫卿帰幽w w賑・蜘》画》一認嚇晒一鞭帖晒w 即丁 一L一へ一 溜一一鯉ヤ^姻ゆ一 一翫噺画写〉厩一・一一蜘w 1,‘c 申→一r →〔レー〕一∼r凶r咽川r一ρ一 t『σ曾ユ ,丁 ずr’、6,ユ 剣L 物的 r∼ 一 一__._ 帖一“一一∼ 尺。 LrT .r{ @ 剛ノ獅.、団 即丁 .一 p脚}へぜへ岬ハ ∼一一}vM∼へ LO −− `∼4卿(㍉A∼ み0 碑μ{ _一」鉢r I∫《c _し_r一し_ノー_ノ{↓.一...脚_用__し.__」トー_一一_r_」L一_一」 1曾433 @ H』 A 『 . Orr. 9・ 2. α亡 慌詫 図6 H・A.29才男性酬うつ病(うっ病相) 図4 N・T・33才 女性 慢性躁病 炭酸リチウム1200mg, Cp 400mg, Lp 200mg, PZC 炭酸リチウム400mg,上P 200mg, PZC 16mg, Ami− 321ng, Promethazin 100皿9, triptylin 80mg. 40μV 10Hz中心のα波と中間 速波からなる基礎波に6Hz陽性棘波がみられる, 100μV IG∼12Hz α波と50μV13∼20β波の混じる不規則な基礎波 に3∼5Hz棘徐波結合が突発性に出現する, 一一へ__凶_/ ・蜘プー j・塊〕細!“錨 kFP 一洗へ一一 幽∫へこ〆一騙」.}・一 濯陸田_、__ 高・酒∼〉濠.一一一一 _. 崩τ 識演黙〉ヘー一 湛刃一楓一\∼ハ_ 」て RT ∼∼一一∼曜酬・「へく〃咋〆一「 L6 調扇一一消い{一一小 一煽ρ一一一一 Rpr 滑一一凸〆・一一瑠殉一佛や岬一一一’ .卿へ}__ 諏一___ 広卍儀淑}__一.__聖瀦跳._ 1ナ♪θ0 3,K 盲鋤.、’L ノ浄. 曲 一’晒婦一 ^一 kc! {”一耐一∼〔脚.嗣へ酵琳一 一r 卿一僧v一 LFτ ぼPT し0 ko 一∼一 一一一↓」『o’げ 」ト十Uトト」△」r〕lr》虐[r〕1μ幽ト4r−r ユoo曾3 1. K ・3ね、3,ユ 乱ぐ.rρ叶 図7 1・K.27才男性躁うっ病(躁病相) μ’亡rz討 図5 S.K.32才女性躁病 炭酸リチウム1200mg, Cp 100mg,■p 40mg, PZC 48mg, Hal 12mg. 50μV 6∼10Hzα波中心 炭酸リチウム800mg, Cp 800mg, Lp 100mg, PZC 32mg, Promethazin 100mg. 40μV 10∼12Hz の基礎波に側頭部から後頭部にかけて6Hz陽性棘 波,14Hz陽性棘波がやや右中心に出現する. α波の基礎波の中に6Hz phanto皿がみられる. 一548一 43 表4 脳波正常群,異常日別副作用出現率 脳波正常群 才6a 炭酸リチウム使用による脳波変化(1) 副作用あり 副作用なし 計 19(34%) 37(66%) 56 脳波異常群 47(47%) 計 66 54(53%) 91 34コ口 使用前 正常群 101 使用後 不 変 13 異常化 29 正常化 5 不変 11 悪 化 13 42 157 10 異常群 100% 34 1 その他 正常群 4 改 善 髪笏 76 計 異常群 計 76 ’ 表61⊃炭酸リチウム使用による脳波変化(1) 47% 勿副作用あり □副作用なし 変 化 図8 脳波正常群,異常当別副作用出現率 表5 脳波正常群,異常群別副作用の種類 .症例数 百分率(%) 異常化及び悪化 @(悪化群) 42 改善及び正常化 9 11.8 24 31.6 55.3 群馬副作用 異常群 正常群 計 不 神経系 38 9 47 その他 1 1.3 消化器系 15 6 21 計 76 100 3 12 5 14 泌尿器系 I g 変 (悪化群とは表6aの正常町中の異常化と異常群中の悪化とを合わせたものであり,改善及び正常化は,異常群の中で全く正常化したものと,多少正常に近づいたものとを合わせたものである.) (延べ上帝のため同一症例で2つ以上に入ってい るものがある) い値を示したと言える.改善および正常化は11.8 どが含まれる.痙李16)18)20)25)∼29)についてはいろ %で,従来使用の向精神薬を減量し得たこと,病 いろの報告があるが,今回の調査では3例大発作 状の改善などにも関係があるように思われるが, を起こしたものがあり,そのうち,2例は脳波異 てんかんに使用して脳波の改善をみたという報 常群に属するが,2例ともに発作波は出現してお 告鋤、もあり,即断できない. らず,工例は正常群のものであった. 投与:量との関係については,悪化群600mg∼ 次に157例中炭酸リチウム使用前と使用後を比 2000mg,改善および不変群400mg∼1800mgとい 較し得た76例についてその脳波変化をみると,表 く分悪化群の最高量が多いが,平均投与量は1000 6−a,6−bのようになり,使用前正常群42例中,使 mgで,寸時の間に差はみられなかった.しかし 用後異常化29例,使用前異常群34例中悪化13例で 各症例についてみると,経過を観察できた数台で ある (ここで悪化とは徐白化の程度が強まった は明らかに投与量が増えると徐波などの脳波異 り,発作波の出現または増加などを示す).異常 常も増えている.但し他の向精神薬の増減との関 化および悪化を合わせる(以下これを悪化群と称 係,個体の炭酸リチウムへの慣れなどもあるため す)と55.3%,改善および正常化11.8%,不変 一概には言えない. 31.・β%で・悪化群炉目立?て.駐る.悪化群55β% 次に1血中濃度との関係は,高振幅徐波の出現し というのは当教室の坪内ら30)が従来の向精神薬に た症例中,急性中毒症状を来たした1例では血中 よる内因性精神病患者の脳波の悪化群率は30.8弩 濃度の上昇をみたが,他の症例では上昇を認めな と報告しているが,この値に比べると明らかに高 .かった.しかし,これは脳波描記と採血日が一致 一549一 44 数日から1年前後8)28)と同様の結果である. 表7 脳波悪化群の異常の種類 種 類 最後に,経過を比較的よく観察できた1例を症 異常波数 百分率(%) θ波出現 21 37.5 θ波増加 4 7.1 δ波出現 13 23.2 棘波,棘川波結合 2 3.6 6Hz phantQm 3 5.4 6,14Hz陽性棘波 3 5.4 例としてあげる. 徐波化 発そ ?フ波及辺び縁 律動異常 症例:Y.K.24歳,未婚の女性. 平坦化 12歳うつ病初発.以後7年間は毎年6∼8月に かけてうつ状態.19歳で初めて躁病相を呈し,昭 和46年11月1日(20歳)当科初診,慢性躁うつ病 14.4 1 のうつ状態と診断された.21歳から躁病相の症状 が激しくなる.昭和47年3月27日∼48年3月22日 9 idysrhythmia) 67.8 16.0 1 第1回入院.退院後うつ状態だつたが,48年4月 1.8 末から再び躁転.48年5年3日再入院.この第2 (延べ素数のため同一症例で2つ以上に入っている 回入院中の50年1月中旬からの早期覚醒,多弁, ものがある) 鳴動などの病像に対して,1月24日から炭酸リチ ウム投与を開始.経過は表8に示す. しないことにも起因すると思われる. 脳波所見:(図9−a)当科初診時,正常.投与 次に悪化群42例の異常波の種類を分類すると表 7のごとく年波化が多く (67.8%),これは表3 25日目の2月17日の脳波は図9−bのごとく1.5∼ に示した全症例の異常波の種類に照応する.徐波 3Hzδ波,4∼7Hzθ波が全般性に出現,患者は 線としては,突発性または全般性のθ波・δ波の この時,身体がだるいとか頭がぼんやりするなど 出現,基礎波へのθ・δ波の散在などがみられる 訴えている.翌18日は中毒の危険があるため投与 が,特にδ波出現が23。2%もあったことが特徴と 中止.しかし病状がおさまらないため20日に半里 ニ 次に悪化群42例のうち,炭酸リチウム使用中止 の400mgから投与再開,21日(再開2日目)の 脳波は図9−cのごとく2∼3Hzδ波が全般性に出 後の変化を観察できたもの10例についてみると, 現,前回とほぼ同様の脳波所見を示すため再び中 8例が1ヵ月半から1年半の間に正常化し,残り の2例は中止後それぞれ10ヵ月および1年でまだ 止.2月28日(中止4日目)の脳波は図9−dの ごとく全般性早耳は全く消失,α波に5∼7Hzθ 正常化していない.従来の報告でも回復の時期は 波を時に混じえる程度に回復している.3月20日 ト 百え,る. 表8 炭酸リチウム使用経過と脳波変化 年 月 日 脳波所見 2 1 脳波回数 46,11.1 i初診時) 50,2.17 i25日目) ほぼ正常 異 常 @(おそい) iはやい) 3 50.221 i再開2日目) 異 常 @(おそい)2∼3Hzδ波4∼7Hzθ波 血中濃度 imEq/1) Cp 12,5mg 併 用 薬 800 400 0.6 0.3 異 常 @(おそい) 6 50.11.4 i再々開54日目) 異 常 正 常 0 400 @(おそい)6∼7Hzθ波 0 0.3 Cp 200mg kp 200 mg 1 mit 10㎎ 昭和50.1.24炭酸リチウム開始 @ i中止4日目) 5 50,3.20 i中止24日目) T∼7Hzθ波 P.5∼3Hzδ波4∼7Hzθ波 リチウム量 4 50,2.28 50,2.18中止 50,2.20再開 50,2.25中止 50.9.12再々開始 一550一 ↑ 45 m∬「㎜mπlmllm11“1▼rlllr1TIT一了m1了冨酬τ1闘川1π1,1111mm「lllT冨冒丁丁L冨Tm川1川1” 圷P}・.ギ{へ醐・が一ρ『〉一 脾_嗣断∼讐__.,納ハ∼♂ 誇、∼.4一岬脳 .一誇㌧・一一〔工匠 LAτ、試¥へ.砂’凶一い・細・輝∼漕\・帆∼・’縛,智ハ噛備紳荊冠㌧ 酬Tへぐ_一へ,賊、N_〆h州・_跡へw・戸一一一∼一・一_、バーへ弾吋・ LT _一脳・幣鴇、・∼_−r一舶いへ鯉^等が{へ叫一{.町謬一 良T 幅{_,,卿{・.一一_航_ 一4 しじ一・脚黙鴨外似燃ハv帰w}ソ・}・へ、A蹄坤{剛{’㌦蝋・}{、い RC−w榊」∼岬’例桝M雷 Lpr R町ψ脚)漕一.}蹄吋一’・ LO一幅、琳渦榊、蜘一 RO___婦耀押脚∼幽帖幅_}怖殉∼幅圃甑 ___」弊り ユシ 一軍L」〆〕〆〕〆〕.ノ〕詞・へ一)〆一杭バー」}r _1幽_,Y・K .、._、.埜」・1 ¢璽_ 評1鱒ノ凶〆駄酬ト甑傷酬L 聴鰍聯慧蜘 1織織1羅 醜へ演“魂癖卿蝋11醐瞭八 戸庶:隠隠☆薦灘 R・τ《四三の鯉“》・んへ鯉かハ鯉晒〉西野州 ・0遡侃嚇へ画恥轟へ酔!ノ・1∼感疏 噛野晒ん晒弼ズ躯メ ト+一馳・を嚇∼÷認r一・磁一を・幸一ビ尋一一f…r∼」・へ→ 17胡6 Y、k ド如・ユユi 砿肉詫 図9a Y・K・初診時Cp12.5mg・ 50μVg∼11Hzα波にβ波を混じえる. ㎜¶11rm亀胃一削肺「T「’“hlτπ71m∬m剛lm1πηTm1帥τ▼,了π「’πm哩1㎜1㎜㎜㎜呵 凶副汽幣γ蜘(〆、脚へ岬礁M 榔卿)蜘馬継騙酬吋舗」い 蜘瀞ハ櫛∼^紬∼岬へ騨∼へ蛸 荊い凶く嚇門門“vwψ軸∼め1∼・∼ 瞭〆却帰噛三脚県呼物姻 図9c 炭酸リチウム再開2日目400mg・ 150∼250μV以上の2∼3Hz高振幅舟酔出現. ノnい㌦㌧ぜ 二P瑠ド械紗、_許砕弊w・噛一一一/}〉〆」壕ゾ酬 μ.㌔・・.A.τ・ FP〆㌦乱w∫∼一、..」・恒ハ∼ゾーノ「函㌧、〆㌔卍詳ノ ∼T!㌦♂ハ〆艦沸∼嚇ヘノ∼♂∼♂∼晒瀦獄 釘∼鵜{へ_〉ヘヘン鰍湖_評“パ∼’ 4{∼搾一・一へ一目ハへ{ツwム(ノ〆{一 《ノ鰍副\(二二∼∼鰯黙胸“姻μ 町{一田富岬四一脚下 幽噌 晒かMv蹄罪Ψ幽γ輔N獅Wv 艮細桝梱個脚曜・嚇訊嘱》曜一 “紳 州撚麟灘燗瀦 冴槻一帰ん㍉M{へ・〈旧師{へ 鯉肌ノ轡鳥脇(紺く∼Ww《減甲轡 LO}帽一事植曲痴卿η鯉紳へ直一触 齢三門卿蛾細野 腔、{_一一一・一へ諾/〉 臨{Ψ∼紳}一側一梱 2。_酬ハ語口μ引綱{ ∫嚇∼八∼脳脳掘仙《へ桝禰vV _∼刷紳。刺蜘 __戯_.yン匹__ __.Σ一 _4r一ト←〃一一苧一・、一婦押凶 牌603 ¥,K $b.藷.冴 嫉凶就 図gd中止4日目. 図9b炭酸リチウム投与25日目800mg, Cp 200 高振幅徐波は全く消失し,60μV8∼10Hzα波 に6∼7Hzθ波を混じえる. mg,工P 200mg, Nit 10mg・ 200μV1.5∼3Hz全般性高振幅徐波出現. 一551一 46 ・Aへ♂_一ノ鴎㌻・ハノ▽。廓 紳、ンーぜ汐獅子炉騨 (中止24日目)の脳波は図9−eのごとくα波に わずかに6∼7Hzθ波を混じえ,ほぼ正常に近い 脳波所見である.11月4日の脳波は図9−fのごと し噴ノ㌦・一一一一へ謂㌻{》∼へ・’▽㍗! く9月12日に再開して,開始54日目であるが正常 mT一、_酬レー脚..小一丞ド如覗’、{、{¢一_評く唾w である.これは個体が炭酸リチウムに慣れたため であろうか,または単独療法のためであろうか決 LT一ボ帰一∼榊ぬ㎡ハ’紺榊岬へ噛㍉市!叫幅}o ^ めがたい. 9τ一w{伸r 蝋酬肺咽{)継∼へ W・ まとめ しじ㌔、幅仙謝罪・・一抑粥’一醐黙い凶絶戸舛琳い岬へ“〉’{M 炭酸リチウム療法を行い,脳波検査を施行し 只じ{桝晒伽評脚脚四燭M{一・諏“一間曜郷ご’岬汐》砂(油物κ 得た157例について検討し,次のような結果を得 む町脳㌧一軸一一塩押・㍉嚇へw酬州一蝋’ た.157例中101例(64.3%)に脳波異常を認め 賄一回一鞠副”一柳佛袖一一姻晦…’一魂ψ一 た.異常波の種類としては徐波が多く68.2%にみ LO唖細榊・・幅聯’副汽塀岬㍉副用∵獄脳灌¢M{w鴇神1摺幽短 られた.副作用と脳波変化との関係では,副作用 ありが,脳波異常群の47%に,正常群の34%にみ RO・一ψ《脇∼酬》認・2∼’僻^・・’へ副鞭醐Vr酬へ」酬帽督w岬 られ,異常群にやや多く出現した.また,この副 一阿」》 竃」陣’Y一一」〆一一し∼一トー斗一一一・編…r一一÷^一一昏“へ一」〆∼一‘ 17673 Y,K 丼切、3.20 はrρ虻 作用のうち,特に神経系の副作用が異常群に多く みられた.炭酸リチウム投与前後で比較し得た76 図9e中止24日目. 80μV6∼!0Hzα波にわずかに6∼7Hzθ波を 例について,その脳波変化は悪化群55.3%であ 混じえる. り,これは従来の向精神薬による変化より高値を 示した。この悪化群の異常波の分類は,徐波化が 多く67.8%であり,特にδ波出現にまで到る野営 化であった.悪化群と改善および不変群との間の 投与量の関係は,悪化群でやや最高量が高いが, 乙FPΨ∼一鴻{ 肝F{一岬岬咄底 断 醐丁一》一 平均投与量は両群に差はなかった.しかし,各症 例についてみると,投与量と脳波異常は多少関係 があるようであった.血中濃度との関係は,急性 中毒を呈した1例には陣中濃度上昇を認めたが, 他の症例ではみられなかった.悪化した脳波の回 レT’ 復には,1ヵ月から1年半を要している. LC隔耐四一州一 巨し細紬曲醐幽幅卵∼一 波野にもかかわらず,可逆的であること,他向精 以上のように,δ波にまで到るような程度の徐 神薬に比して脳波変化の割合いに臨床的副作用が 乏しいことが特徴であるという従来の報告を確認 群 したことになった. ρPτ 今後とも炭酸リチウム使用は増加する傾向にあ 乙。へ り,炭酸リチウムの脳波におよぼす影響の経過観 察は,増々重要であると思われる.継続観察例に 受。 一」鎌酬 }恥 一斗ヘー→一一レ∼→一一一四叫ヘー一 P4田 Y・K 勘、lI,1耳 猷rρ銃 興味ある症例も多くみられるので,追って発表し たいと思う. 図9f再々開始54日目400mg・ 70μVg∼11Hzα波にβ波を混じえる. ’ 一552一 47 稿を終るにあたり,ご指導:,ご校閲を賜った柴田収一 (1977) 16)枝松一安・他:リチウム中毒の臨床脳波.臨 教授,赤田豊治教授,田村郭子助教授および田中朱美講 床脳波17(6)374(1975) 師,並びに神経精神科教室員各位のご協力に感謝の意を 17)中村清史:炭酸リチウム服用者の腎機能にっ いて.精神医学16716(/974) 18)岸本 朗・他二炭酸リチウム使用に関連して 全般性けいれん発作を起こした1躁うっ症例. 精神医学1457(1972) 19)大熊輝雄・他:炭酸リチウムの躁うっ病者脳 波に及ぼす影響.精神医学16397(1974) 20)小峰和茂・他:高リチウム血症の脳波.臨床 捧げる. (本稿の要旨は,東京女子医科大学学会第44回総会に おいて発表した). 文 献 1)Cade, J.F・J・=Lithiu・n Salts in the treatment of Psychotic exciternent. Med J Aust 36349 H肖波 14 614 (1972) (1949) 21)Corcoran, A・C・et a1・言 Lithium polsoning 2)Scho皿, M.=Lithium in Psychiatric Therapy, 貨om the usc of salts substitutes. JAMA 139 Psychopharmachologia 165(1959) 685 (1949) 3)佐久間もと:躁状態に行なった炭酸リチウム の治療経験.精神医学10317(1968) 22)Schou, M. e重aL 3 Lithiuln poisoning. Amer 4)伊藤耕三・他:躁うっ病に対する炭酸リチウム の使用経験(第1報).精神医学11275(1969) 5)野間拓治・他:躁状態,うっ状態に対する炭酸 23)Platman, S.R et a且.=The e既ct of Lithium JPsychiat 125112(1968) Carbonate on the electroencephalogram of patients with ef琵ctive disorders. Brit J psy リチウムの効果.精神医学1265(1970) 6)渡辺冒祐・他:炭酸リチウムによる躁うっ病 chiat 1151185(1969) 24)越野好文・他:向精神薬療法中の脳波変化と その日時的観察.精神医学15387(1974) 25)越野好文・他:炭酸リチウム服用中に痙李発 作を生じた非定型精神病の1例.臨床精神医 学3621(1974) 26)渡辺冒祐・他:リチウム中毒の3例.臨床精 神医学2871(1973) 27)石田元男・他=リチウム中毒の1剖検例.精神 治療.精神経誌75299G971) 7)渡辺臨画・他:躁うっ病のリウチム療法日本 医事新報2526号14(1942) 8)渡辺冒祐・他=炭酸リチウムによる躁状態の 治療.新薬と臨床221017(1973) 9)渡辺冒祐・他:感情障害とリチウムイナン.精 神医学161028(1974) 10)伊藤耕三・他:躁うっ病に対する炭酸リチウ ムの臨床効果について.新薬と臨床22正001 経誌 73418 (1971) 28)江原 嵩・他:脳波異常と共同運動障害の遷 延を伴った急性リチウム中毒の一症例.精神経 (1973) 11)大熊輝雄・他=炭酸リチウムによる躁病相の 治療経験.新薬と臨床22983(1973) 誌 79 (2) !04 (1977) 29)Helm恥en, H. et a1.3 Ergebnisse elcctroen− 12)江原嵩・他:炭酸リチウム投与の臨床脳波 cepha重ographischer Untersuchungen zur Lith− に及ぼす影響.臨床脳波15169(1973) 13)渡辺冒祐・他:炭酸リチウムの抗うっ作用と hthium血清濃度.精神医学16887(1974) ium wirkungen. Int Pharmacopsychiat 5149 (1970) 30)坪内直子・他:内因性精神病と脳波異常,第6 回日本脳波筋電図学会予稿集74(1976) 14)May恥ld, D. et a1.;The clinical laboratory and electroencephalographic e既cts ofLithium. 31)Erwin, C・W・et aL=Anticonvalsant pro− JPsychiat Res 4207(1966) pertives of Lithium量on. EIectroenceph Clini 15)堀川直史・他=いわゆる精神分裂病に対する 炭酸リチウム使用経験.東女医大誌91127 Neurophisiol 32587(1972) 一553一
© Copyright 2024 Paperzz