イラク - 一般財団法人日本エネルギー経済研究所 中東研究センター

ISSN 1347-7676
国別定期報告
イラク
2014 年 1 – 3 月
政 治 .................................................................................................... 1
外 交 ..................................................................................................... 1
国 連 ........................................................................................................ 1
米 国 ........................................................................................................ 1
欧 州 ・ カ ナ ダ ........................................................................................... 3
ア ジ ア 諸 国 ............................................................................................... 4
ト ル コ ..................................................................................................... 4
イ ラ ン ..................................................................................................... 4
ア ラ ブ 諸 国 ............................................................................................... 5
シ リ ア 関 係 ............................................................................................... 6
内 政 ..................................................................................................... 6
選 挙 関 連 .................................................................................................. 6
政 府 ・ 議 会 関 連 ........................................................................................ 8
政 党 ・ 宗 教 界 関 連 ................................................................................... 10
ク ル デ ィ ス タ ン 情 勢 ................................................................................ 11
治 安 情 勢 ................................................................................................ 13
ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 の 治 安 事 件 ............................................................... 16
経 済 .................................................................................................. 17
経 済 一 般 ............................................................................................ 17
新 関 税 法 施 行 ......................................................................................... 17
サ ー マ ッ ラ に 博 物 館 建 設 ......................................................................... 17
兵 器 展 示 会 を 開 催 ................................................................................... 17
ア ン バ ー ル 県 の 騒 乱 が 経 済 に も 影 響 ......................................................... 17
失 業 率 は 11.3% ...................................................................................... 18
財 政 ・ 金 融 ......................................................................................... 18
2014 年 度 予 算 法 案 は 第 一 読 会 通 過 ........................................................... 18
中 銀 が 36 ト ン の 金 を 購 入 ....................................................................... 19
ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 の 流 動 性 危 機 ............................................................ 19
デ ノ ミ は 延 期 ......................................................................................... 19
吉岡 明子
一般財団法人 日本エネルギー経済研究所
中東研究センター
ISSN 1347-7676
電 力 ・ 水 ............................................................................................ 19
2 件 の IPP案 件 に 許 可 .............................................................................. 19
工 業 ・ イ ン フ ラ .................................................................................. 20
ス レ イ マ ニ ヤ ・ キ ル ク ー ク 間 鉄 道 計 画 ...................................................... 20
ク ウ ェ ー ト と の 定 期 便 が 就 航 ................................................................... 20
バ グ ダ ー ド ・ バ ス ラ 間 に 新 鉄 道 車 両 ......................................................... 20
石 油 ・ ガ ス ......................................................................................... 20
生 産 状 況 ................................................................................................ 20
IOCsの 動 向 ・ 開 発 状 況 ........................................................................... 23
エ ネ ル ギ ー 政 策 ...................................................................................... 23
ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 ................................................................................ 25
JIME 国別定期報告「イラク」2014 年 1-3 月
1.0 政 治
1.1. 外 交
1.1.1. 国 連
1.1.1.1.
バンキムン国連事務総長がイラク訪問
1 月 13 日 朝 、バ ン 国 連 事 務 総 長 が イ ラ ク に 到 着 し 、ジ バ リ 外 相 や ニ コ ラ イ・ ム ラ デ ノ フ
UNAMI 代 表 ら が 出 迎 え た 。
フ ザ ー イ 副 大 統 領 は バ ン 事 務 総 長 と 会 談 し 、政 治 情 勢 や 民 主 主 義 の 経 験 に つ い て 説 明 し 、
イラクのテロとの戦いを安保理が支持することを求めた。バン事務総長は、シリア難民に
対するイラクの人道支援政策を賞賛し、イラク政府をテロの根絶のため支援していく旨伝
えた。マーリキ首相とも会談した。
ヌジャイフィ国会議長と会談し、アンバール県の危機について協議した。事務総長はア
ンバール県の状況に対して重大な懸念を伝え、政治指導者が一丸となってテロを根絶し、
真のパートナーシップに至ることを求めた。ヌジャイフィ議長は、アンバール県の状況に
つ い て テ ロ も し く は ISIS(「 イ ラ ク と シ ャ ー ム の イ ス ラ ー ム 国 家 」) と い う 言 葉 で ひ と く く
りにはできず、デモによって過去 1 年間訴え続けられてきた市民の要求を無視してはなら
な い 旨 を 語 っ た 。 ISIS 掃 討 の た め に 皆 が 協 力 す る 必 要 を 訴 え 、 根 絶 は 愛 国 心 と パ ー ト ナ ー
シップによる真の和解によって実現できるものだと強調した。
バ ン 事 務 総 長 は 14 日 に エ ル ビ ル を 訪 問 し 、 空 港 に ネ チ ル ヴ ァ ン KRG 首 相 が 出 迎 え た 。
バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 と も 会 談 し 、エ ル ビ ル と バ グ ダ ー ド の 関 係 、ア ン バ ー ル 県 の 情 勢 、
シ リ ア 問 題 な ど を 協 議 し た 。そ の 後 UNHCR 高 等 弁 務 官 の Guterres 氏 と 共 に カ ウ ル グ ス ク・
シ リ ア 難 民 キ ャ ン プ を 視 察 し た 。 ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 に は 約 25 万 人 の シ リ ア 難 民 が い る 。
( NINA, 2014.01.13; Rudaw, 2014.01.14)
1.1.2. 米 国
1.1.2.1.
バイデン米副大統領がマーリキ首相と電話会談
バイデン米副大統領は 1 月 8 日、ファッルージャを掌握しようとしているマーリキ首相
への支援を表明するため、電話会談を行った。ホワイトハウスの発表によると、バイデン
副大統領はマーリキ首相に地元部族や国政レベルの指導者と対話を続けることを求め、選
挙を予定通り実施するという首相の発言を支持した。
前日の 7 日にはバイデン副大統領はジバリ外相と電話会談を行っており、地元部族を支
持してアル・カーイダを人々から孤立させることを促した。そして、米国は技術的な軍事
ア ド バ イ ス や 物 質 的 支 援 を 続 け る と 確 約 し た 。( AP, 2014.01.08)
1.1.2.2.
マクガーク米国務次官がイラク訪問
ジ バ リ 外 相 は 1 月 9 日 、イ ラ ク を 訪 問 し た ブ レ ッ ト・マ ク ガ ー ク 米 国 務 次 官 補 と 会 談 し 、
治安協力やテロ対策について話し合った。外相は米国政府によるイラク軍の能力向上への
支援に謝意を述べた。ヌジャイフィ国会議長とも会談し、議長は会談においてテロの根絶
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JIME 国別定期報告「イラク」2014 年 1-3 月
は真の国家パートナーシップにもとづいたイラク社会の協力によって可能であること、地
元 当 局 に 適 切 な 権 限 を 与 え 政 治 的 解 決 を 見 つ け る こ と が 必 要 で あ る こ と を 強 調 し た 。ま た 、
近々予定されているヌジャイフィ国会議長の米国訪問についても話し合われた。マクガー
ク 国 務 次 官 補 は ハ キ ー ム ISCI 代 表 と も 会 談 し 、二 国 間 関 係 や と り わ け ア ン バ ー ル 県 の 政 治
治安情勢を話し合った。
米国大使館の発表によると、マクガーク国務次官補はラマーディでイーサーウィ元財務
相 、ハ ラ フ・ア ン バ ー ル 県 知 事 、ア ブ ー・リ ー シ ャ 部 族 長 ら と 会 談 し た 。同 次 官 補 は 、ISIS
や他の武装勢力を孤立させファッルージャから追い出すことが必要であり、そのために戦
略 枠 組 み 合 意 に 沿 っ て 米 国 は イ ラ ク 政 府 を 支 援 す る 旨 語 っ た 。( NINA, 2014.01.09,
2014.01.11, 2014.01.12)
1.1.2.3.
ムトゥラク副首相が訪米
ム ト ゥ ラ ク 副 首 相 は 1 月 初 め に 訪 米 し 、オ バ マ 大 統 領 、マ ケ イ ン 上 院 議 員 ら と 会 談 し た 。
国 防 大 学 や USIP で 講 演 も 行 っ た 。 フ ァ ッ ル ー ジ ャ 出 身 の ム ト ゥ ラ ク 副 首 相 は 、 ア ル ・ カ
ーイダが同市を制圧しているという情報は正しくないと述べ、バアス党系武装勢力や平和
的 な デ モ 隊 と 共 に ア ル・カ ー イ ダ 関 連 の グ ル ー プ も 街 に 拠 点 を 持 っ て い る こ と は 認 め た が 、
危機は主として首相が国家のリーダたり得ていないことが原因だと語った。次期選挙が新
た な 挙 国 一 致 内 閣 を 形 成 す る チ ャ ン ス に な る と 述 べ 、米 国 や 国 連 、NGO な ど が 選 挙 監 視 団
を 派 遣 す る こ と を 求 め た 。( The Daily Beast, 2014.01.14)
1.1.2.4.
無人機による攻撃を実施
外 交 情 報 筋 に よ る と 、 米 国 政 府 は 1 月 中 旬 か ら ア ン バ ー ル 県 で イ ラ ク 軍 と 共 に 、 ISIS に
対 す る 無 人 機 攻 撃 を 行 っ て い る と い う 。( WorldTribune, 2014.01.19)
1.1.2.5.
ヌジャイフィ国会議長が米国訪問
ヌジャイフィ国会議長が 1 月後半に米国を訪問した。ケリー国務長官と会談し、二国間
関係を協議した。アンバール県情勢については、アル・カーイダとアンバール県の人々の
合法的な要求を区別することが必要だとして、両者は政治的解決策の重要性に合意した。
バイデン副大統領、オバマ大統領とも会談した。政治プロセスの問題点、キリスト教徒コ
ミュニティについての 2 通の書簡を大統領に手交した。オバマ大統領は、米国は対テロ戦
や 政 党 が 危 機 に 対 処 す る に あ た っ て 、米 国 は イ ラ ク に 支 援 を 拡 大 す る 用 意 が あ る 旨 語 っ た 。
( NINA, 2014.01.21; 2014.01.23)
1.1.2.6.
バーンズ米国務副長官がイラク訪問
バ ー ン ズ 米 国 務 副 長 官 が 1 月 28 日 に イ ラ ク を 訪 問 し 、マ ー リ キ 首 相 、ヌ ジ ャ イ フ ィ 国 会
議長、ジバリ外相、ファイヤード国家治安顧問と会談した。いずれに会談でも、副長官は
戦略枠組み協定に基づくイラクへの米国のコミットメントを強調した。治安問題について
は 、 ISIS を 孤 立 さ せ る 重 要 性 を 指 摘 し 、 地 元 部 族 が テ ロ リ ス ト を 町 か ら 追 い 出 す こ と に 成
功したラマーディのケースを賞賛し、イラク政府に対しては部族戦闘員を正式な政府組織
に 統 合 す る よ う 求 め た 。 ま た 、 4 月 30 日 の 選 挙 を 予 定 通 り 実 施 す る こ と が 重 要 だ と し て 、
ア ン バ ー ル 県 か ら の 避 難 民 が 投 票 で き る よ う に す る べ き と 語 っ た 。ま た 、KRG か ら の ト ル
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コ向け輸出に関して枠組み合意を急ぐようすべての関係者に促し、合意前に輸出が行われ
れ ば 長 期 安 定 が 損 な わ れ る 深 刻 な リ ス ク が あ る と 強 調 し た 。( 米 国 国 務 省 ウ ェ ブ サ イ ト ,
2014.01.29)
1.1.2.7.
イラクに兵器供与
治安協定および戦略枠組み合意に則って、イラク政府の要請に従い、米国政府はイラク
に 武 器 ・ 弾 薬 の 供 給 を 加 速 し て い る 。 3 月 は じ め に は 100 発 の ヘ ル フ ァ イ ヤ ・ ミ サ イ ル 、
数 十 万 発 の 弾 薬 と M4 ラ イ フ ル を 供 与 し た 。1 月 半 ば 以 降 、1100 万 発 の 弾 薬 、マ シ ン ガ ン 、
ス ナ イ パ ー ・ ラ イ フ ル 、 M16 及 び M4 ラ イ フ ル 数 千 丁 、 フ レ ア 及 び 手 榴 弾 数 千 個 な ど が 供
与 さ れ て お り 、 さ ら に 今 後 も 予 定 さ れ て い る 。( 在 イ ラ ク 米 国 大 使 館 ウ ェ ブ サ イ ト ,
2014.03.16)
1.1.3. 欧 州 ・ カ ナ ダ
1.1.3.1.
バ ル ザ ー ニ KRG大 統 領 が 欧 州 訪 問
バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 は 1 月 、 欧 州 歴 訪 に 出 発 し た 。 ハ ウ ラ ー ミ KRG 天 然 資 源 相 、 フ
ァラ・ムスタファ外務長官、フアード・フセイン大統領府長官などが随行している。1 月
18 日 に 訪 問 先 の オ ー ス ト リ ア で KRG か ら の 石 油 輸 出 問 題 に つ い て 、 い か な る 形 で あ れ 憲
法上の権利を決して取り下げることはできないと語った。フィッシャー・オーストリア大
統領と大統領宮殿で会談し、記者会見を開いた。両大統領は、ドイツとクルディスタン地
域の関係強化について話し合った。
そ の 後 、 Mark Robal オ ラ ン ダ 首 相 と 会 談 し 、 4 月 の 選 挙 、 ア ン バ ー ル 県 情 勢 、 昨 年 9 月
のオランダ外相によるエルビル訪問、シリア難民問題などを話し合った。
1 月末にはダボス会議に出席。会議の傍ら、オランダ首相、グルジア首相、仏外相、ト
ル コ 外 相 、 ス ウ ェ ー デ ン 外 相 、 マ ケ イ ン 米 上 院 議 員 、 ExxonMobil 社 長 な ど と 会 談 し た 。
そ の 後 、ロ シ ア 訪 問 は キ ャ ン セ ル さ れ て 2 月 半 ば に 帰 国 し た 。
( Aswat al-Iraq, 2014.01.19;
NINA, 2014.01.23, 2014.02.06; KRG ウ ェ ブ サ イ ト , 2014.01.26)
1.1.3.2.
ジバリ外相がブリュッセル訪問
ジ バ リ 外 相 が ブ リ ュ ッ セ ル を 訪 問 し 、Anders Fogh Rasmussen NATO 事 務 局 長 と 会 談 し た 。
シ リ ア 問 題 な ど を 話 し 合 っ た 。 イ ラ ク 外 務 省 の 声 明 に よ る と 、 NATO が イ ラ ク の 対 テ ロ 戦
争を支持すると同時に、テロに関する国際会議を開催するというイラク政府のイニシアテ
ィ ブ も 支 持 し た 。( NINA, 204.01.21)
1.1.3.3.
クロアチア国防相がイラク訪問
Anta Katromanoich ク ロ ア チ ア 国 防 相 が イ ラ ク を 訪 問 し 、マ ー リ キ 首 相 と 会 談 し た 。治 安 、
軍 事 、軽 座 、商 業 の 面 で 関 係 を 拡 大 し た い と い う ク ロ ア チ ア 政 府 の 提 案 を 首 相 は 歓 迎 し た 。
( NINA, 2014.01.22)
1.1.3.4.
アゼルバイジャン外相がイラク訪問
Elmar Mammadyarov ア ゼ ル バ イ ジ ャ ン 外 相 が イ ラ ク を 訪 問 し 、マ ー リ キ 首 相 と 会 談 し た 。
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首 相 は 、二 国 間 関 係 を 強 化 し 、石 油 や エ ネ ル ギ ー 分 野 で 協 力 を 促 進 す る こ と を 呼 び か け た 。
外相はアゼルバイジャン企業がイラクに投資しイラクで働くことを希望していると応じた。
ジ バ リ 外 相 は 10 日 、 Mammadyarov ア ゼ ル バ イ ジ ャ ン 外 相 と の 共 同 記 者 会 見 で 、 ア ゼ ル
バイジャンはイラクの石油製品・ガスにとって、重要な欧州への窓口となるだろうと述べ
た 。ま た 、Mammadyarov 外 相 は 、ア ゼ ル バ イ ジ ャ ン に 留 学 し て い る イ ラ ク 人 学 生 の 数 を 増
や し た い と し て 、 私 費 留 学 生 を 支 援 す る 希 望 を 述 べ た 。( NINA, 2014.02.10)
1.1.3.5.
アルメニア外相がイラク訪問
Edward Nalban Diane ア ル メ ニ ア 外 相 が 2 月 16 日 に イ ラ ク を 訪 問 し 、 マ ー リ キ 首 相 と 会
談 し た 。( NINA, 2014.02.17)
1.1.4. ア ジ ア 諸 国
1.1.4.1.
中国外相がイラク戦後初のイラク訪問
中 国 の 王 毅 外 相 が 2 月 23 日 に イ ラ ク を 訪 問 し た 。 2003 年 以 降 、 中 国 政 府 高 官 が イ ラ ク
を訪問するのは初めてである。マーリキ首相と会談し、二国間関係、域内情勢、特にシリ
ア問題を話し合ったヌジャイフィ国会議長とも会談し、イラクの政治情勢、選挙実施の重
要性、シリア問題の影響などを協議した。
ジバリ外相は、王・中国外相との共同記者会見で、外相の訪問は歴史的な出来事で、政
治・経済関係を深化させるものだと語った。イラン問題やシリア問題などを協議し、イラ
クのテロとの戦いを支持するためにイラクに武器を供与する可能性についても話し合われ
た と 述 べ た 。ま た 、石 油 、エ ネ ル ギ ー 、通 信 分 野 で 25 社 以 上 の 中 国 企 業 が イ ラ ク 復 興 に 参
加しており、イラクの最大の経済パートナーになっていることを踏まえ、経済関係の強化
についても話し合われた。
王外相は、マーリキ首相やジバリ外相と、治安の安定や復興、政治的安定の実現にむけ
て協力する用意があることを伝えたと語った。さらに、イラクのテロとの戦いを支持する
こ と 、 医 療 や 水 と 行 っ た 公 共 サ ー ビ ス の 復 旧 も 支 援 し た い 姿 勢 を 明 ら か に し た 。( NINA,
2014.02.23)
1.1.5. ト ル コ
1.1.5.1.
ネ チ ル ヴ ァ ン KRG首 相 が ト ル コ 訪 問
KRG の 石 油 輸 出 に つ い て 協 議 す る た め 、 ネ チ ル ヴ ァ ン KRG 首 相 が バ グ ダ ー ド と ト ル コ
を 足 繁 く 訪 れ て い る 。 2 月 14 日 に イ ス タ ン ブ ー ル に 到 着 し 、 エ ル ド ア ン 首 相 ユ ル ド ゥ ズ ・
エネルギー相と会談したが、成果はなく空手で帰国した模様である。その 2 日後にはバグ
ダ ー ド を 訪 れ た 。( al-Monitor, 2014.02.18; MEES, 2014.02.21)
1.1.6. イ ラ ン
1.1.6.1.
ジバリ外相はイランからの兵器購入を否定
Reuters が 2 月 24 日 、イ ラ ン が イ ラ ク に 2013 年 11 月 に 武 器 弾 薬 を 1.95 億 ド ル で 輸 出 す
る 8 つの契約を締結していたことをスクープした。書類は両国国防省のメンバーが署名し
ているが、引き渡しの日程は書かれておらず、すでに履行されたのかどうかは不明。イラ
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ンに対する武器禁輸措置を定めた国連決議違反となる。
情報筋によると、契約の背景にはマーリキ首相が米国からの武器の到着が遅いことにい
らだっていることがあるという。ムサウィ首相報道官は、否定も肯定もしなかったが、イ
ラ ク は テ ロ の 戦 い の 最 中 に あ り 、そ れ を 支 援 す る い か な る 国 か ら も 武 器 を 買 う 用 意 が あ る 、
と述べた。
イ ラ ン は 契 約 を 否 定 。 プ サ キ 米 国 防 省 報 道 官 は 、「 本 当 な ら 、 懸 念 が 生 じ さ せ る 出 来 事 」
と述べた。米国はイラクにヘルファイヤ・ミサイルなどを供与しているとして、米政府は
議会に対してアパッチ・ヘリをイラクに供給する計画も伝えてあるとしている。
こ の Reuters の 報 道 を 受 け て 、 ジ バ リ 外 相 は 2 月 26 日 、 ザ リ ー フ 外 相 と の 記 者 会 見 で 、
「 国 防 省 は 2 月 25 日 、イ ラ ン か ら 武 器 弾 薬 そ の 他 軍 事 機 器 の 購 入 契 約 を 結 ん だ と い う 報 道
を否定した」
「 イ ラ ク は 国 連 決 議 を 尊 重 し て お り 、イ ラ ン の 友 人 は イ ラ ク の 立 場 を 理 解 し て
いる」と述べて、イラン制裁違反疑惑を否定した。ダナイファル・駐イラク・イラン大使
も 同 様 に 否 定 し た 。( Reuters, 2014.02.24; The National, 2014.02.26)
1.1.7. ア ラ ブ 諸 国
1.1.7.1.
アルジェリア外相がイラク訪問
Ramtan Limaamrah ア ル ジ ェ リ ア 外 相 が 1 月 11 日 に イ ラ ク を 訪 問 し た 。
( NINA, 2014.01.11)
1.1.7.2.
ヌジャイフィ国会議長がクウェート訪問
1 月 18 日 、 第 20 回 ア ラ ブ 議 会 連 盟 会 議 な ど に 出 席 す る た め 、 ヌ ジ ャ イ フ ィ 国 会 議 長 が
議会代表団を率いてクウェートを訪問した。空港でマルズーク・ガーニム・クウェート国
会議長が出迎えた。また、心臓麻痺を煩った見舞いのためにナスラウィ・バスラ県知事の
ク ウ ェ ー ト の 自 宅 も 訪 問 し た 。( Aswat al-Iraq, NINA, 2014.01.18)
1.1.7.3.
マーリキ首相がサウジとカタルを非難
マ ー リ キ 首 相 は 3 月 8 日 の France24 の イ ン タ ビ ュ ー で 、イ ラ ク の 治 安 悪 化 の 要 因 に な っ
ているとして、サウジとカタルを名指しで批判した。両国がテロの指導者のために武器を
買 い 、政 治 面 、広 報 面 で 彼 ら を 支 援 し て い る と し て 、
「イラク政府に対して全面戦争への導
いている」と語った。ただし、地域の安定のため、サウジやカタルへの報復は考えていな
い と い う 。「 我 々 は 対 決 の 場 を 広 げ た く な い 」 と し な が ら も 、「 我 々 は 彼 ら に 対 し て 気 を つ
け る よ う に 言 っ て い る 。テ ロ 支 援 は 自 ら の 身 に 降 り か か っ て く る か ら だ 」と 述 べ た 。
( France
24, 2014.03.08)
1.1.7.4.
UAEが イ ラ ク 大 使 を 召 還
UAE は 3 月 9 日 、サ ウ ジ が テ ロ を 資 金 援 助 し て い る と の 非 難 に 抗 議 し て 、駐 イ ラ ク 大 使
を召還した。サウジはすでに、同国とカタルがアンバール県の武装勢力を支援していると
のマーリキ首相の主張に反論しており、バハレーンは、首相の発言は無責任だと述べてい
る 。ア ン ワ ル・ガ ル ガ シ ュ UAE 外 務 担 当 国 務 相 は 、マ ー リ キ 首 相 の コ メ ン ト は 事 実 無 根 で
正確な調査に基づいたものではないと述べた。そして、サウジは対テロのためにあらゆる
面で重要な役割を果たしているとしている。カタルは今のところ、マーリキ首相のコメン
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トに反応していない。
ジ バ リ 外 相 は 3 月 13 日 、 イ ラ ク を 訪 問 し た フ ァ レ ス ・ マ ズ ル ー イ UAE 副 外 務 相 と 会 談
し、大使召還について話し合った。ジバリ外相は会談で、イラクは同胞アラブ諸国が、国
境を越えて資金援助やリクルートがなされているテロリストとの戦いに理解を示すことを
求 め た 。( Reuters, NINA, Iraqi News, 2014.03.13)
1.1.7.5.
アラブ連盟サミットにフザーイ副大統領が出席
3 月 25-26 日 に ク ウ ェ ー ト で 開 催 さ れ た ア ラ ブ 連 盟 サ ミ ッ ト に 出 席 し た フ ザ ー イ 副 大 統
領は、アラブ諸国間関係の改善にサミットは正しい一歩だと語った。そのために、開放的
であることと和解を進めることの2つが重要だと強調した。サウジアラビアとの関係につ
い て は 、 ク ウ ェ ー ト が 二 国 間 の 見 解 を す り あ わ せ る べ く 努 力 し て い る と 述 べ た 。( NINA,
2014.03.26)
1.1.8. シ リ ア 関 係
1.1.8.1.
ジバリ外相がシリア人道支援会合に出席
クウェートで開催されたシリア人道支援会合に出席するため、ジバリ外相がクウェート
を訪問した。サバーハ・クウェート外相と会談した他、アラビ・アラブ連盟事務局長、ミ
カ テ ィ ・ レ バ ノ ン 首 相 、 エ ジ プ ト 外 相 、 ア ル ジ ェ リ ア 外 相 ら と も 会 談 し た 。( NINA,
2014.01.15)
1.1.8.2.
ジバリ外相がジュネーブ 2 会議に出席
ジ バ リ 外 相 が 1 月 、代 表 団 を 率 い て ジ ュ ネ ー ブ 2 会 議 に 参 加 し た 。2012 夏 の ジ ュ ネ ー ブ
1 会議にも出席している。イラク外務省の声明によると、イラク政府の立場は、国家間対
話 と 政 治 を 通 じ て シ リ ア 人 に 受 け 入 れ 可 能 な 政 治 的 解 決 策 を 探 す こ と で あ る 。( NINA,
2014.01.22)
1.1.8.3.
シリア・クルド難民状況
UNHCR に よ る と 1 月 の シ リ ア ・ ク ル ド 難 民 の 流 入 は 7000 人 。 国 境 は シ リ ア 側 が PYD、
イ ラ ク 側 は KDP が 管 理 し て お り 、難 民 は 紛 争 地 域 出 身 で あ る か 、人 道 的 理 由 が あ る 場 合 の
み、渡航できる。買い出しや親戚訪問なども多いため、7 日間までは手続きなく滞在可能
で 、 そ れ 以 上 の 滞 在 の 場 合 は 長 期 滞 在 を 申 請 す る 必 要 が あ る 。( Rudaw, 2014.01.31)
1.2. 内 政
1.2.1. 選 挙 関 連
1.2.1.1.
選管はアンバール県の候補者リスト提出期限を延長
1 月 9 日、選管はアンバール県の騒乱を考慮して、同県の 4 月の選挙の候補者リスト提
出 期 限 を 1 月 15 日 ま で 延 長 す る と 明 ら か に し た 。( al-Masala, 2014.01.09)
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JIME 国別定期報告「イラク」2014 年 1-3 月
1.2.1.2.
442 名 が 脱 バ ア ス 党 政 策 に よ り 立 候 補 禁 止
問 責 公 正 委 員 会 は 、 2 月 12 日 、 脱 バ ア ス 党 政 策 に 抵 触 し た 立 候 補 者 は 2010 年 の 650 名
か ら 442 名 に 減 少 し た と 発 表 し た 。( al-Mada, 2014.03.03)
1.2.1.3.
市民連合が候補者 2 名を除名
市 民 連 合 代 表 の バ ー キ ル ・ ス ベ イ デ ィ 議 員 が 、 同 連 合 の Fatima al- Zergawi 及 び Shatha
al-Obeidi を 、お 手 盛 り と 批 判 さ れ て い る 年 金 法 に 賛 成 し た こ と を 理 由 に 、次 回 選 挙 の 候 補
者 か ら 除 名 し た 旨 明 ら か に し た 。( NINA, 2014.02.16)
1.2.1.4.
ハイダル・ムッラの立候補失格取り消し
最 高 裁 判 所 付 属 の 選 挙 司 法 委 員 会 は 、ム ッ タ ヒ ド ゥ ー ン 所 属 の ハ イ ダ ル・ム ッ ラ 議 員( バ
グダード県)の立候補資格を取り消した。情報筋によると、選管のメンバーは投票を拒否
したが、アリー・アディーブ高等教育相は彼に 5 件の逮捕状が出ているとして最高司法会
議 に 要 求 を 提 出 し た 。う ち 一 つ は 高 等 教 育 相 へ の 喚 問 に 関 す る 不 正 で 、別 の も の は サ ア ド・
ラーミ裁判官への侮辱に関わるものである。3 人の裁判官は彼の行いを理由に立候補資格
を 取 り 消 し た と い う 。( Iraq Press, 2014.02.17)
1.2.1.5.
4 名の立候補資格排除の決定はキャンセル
選 管 は 2 月 24 日 に 、 サ ー ミ ・ ア ス カ リ 、 サ バ ー ハ ・ サ ー イ デ ィ 、 ウ マ ー ル ・ シ ャ バ リ 、
アーリヤ・ヌセイフの立候補資格を剥奪した。その後、3 月 2 日の夜遅くに選管のムフス
ィン・ジャッバーラ委員が、選管は、この 4 名を排除する法的根拠が存在しないとの司法
決 定 を 受 け 取 っ た と 明 ら か に し た 。( al-Mada, 2014.03.03)
1.2.1.6.
選 管 は 電 子 有 権 者 カ ー ド を 1240 万 枚 配 布
選 管 は 3 月 16 日 、 配 布 さ れ た 電 子 有 権 者 カ ー ド が 有 権 者 総 数 の 63%以 上 と な る 1245 万
469 枚 に 達 し た と 発 表 し た 。 バ グ ダ ー ド 県 で は 282 万 30 枚 で 全 体 の 58%を し め る 。
そ の 後 、 3 月 末 ま で に 1450 万 枚 の 電 子 投 票 カ ー ド が 配 布 さ れ た 。 電 子 カ ー ド の 交 付 は 4
月 20 日 ま で 。 有 権 者 数 は 2159 万 2882 名 。( al-Sumaria, 2014.03.16; al-Mada, 2014.03.31)
1.2.1.7.
議員の立候補資格取り消し
司法機関が選挙法第 8 条第 3 項に基づいて下記 5 名の立候補資格を取り消した。選挙法
第 8 条 3 項は、
「 品 行 方 正 で 不 名 誉 な 罪 を 犯 し て い な い こ と 」と い う 曖 昧 な 文 言 で あ る 。立
候補を禁止された議員たちは、公に首相やその同盟者を批判したことによって、行いが悪
いとみなされたように多くの人が感じている。アルーシ議員は、首相の反対者を静かにさ
せようとする意図的な計画だと非難している。
1. Rafi al-Issawi
2. Abdul Dhiab al-Ojailim
3. Jawad al-Shahyla
4. Sabah al-Saadi
5. Mithal al-Alusi
( al-Monitor, 2014.03.19; Niqash, 2014.03.20)
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JIME 国別定期報告「イラク」2014 年 1-3 月
1.2.1.8.
選管メンバーが辞職を発表
3 月 25 日 、選 管 メ ン バ ー 9 名 は 、議 会 と 司 法 府 が 立 候 補 禁 止 措 置 を 巡 っ て 異 な る 決 定 を し
ていることに抗議し、辞表を提出した。司法機関が特定候補者の立候補を禁ずる一方、議
会 は 、 犯 罪 歴 が な い 限 り IHEC は 立 候 補 を 禁 止 す べ き で な い と 圧 力 を か け て い た 。 5 日 後
の 3 月 30 日 、 選 管 は 国 連 や EU の 説 得 を う け て 、 辞 表 を 撤 回 し た 。 30 日 に イ ラ ー キ ー ヤ
TV が 報 じ た 。 選 管 に よ る と 、 ヌ ジ ャ イ フ ィ 国 会 議 長 が 、 選 管 メ ン バ ー は 司 法 機 関 の 決 定
に 影 響 を 受 け な い と の 決 議 を 国 会 で 可 決 す る こ と を 約 束 し た と い う 。し か し 、31 日 の 議 会
は 定 数 不 足 で 流 会 し 、 そ う し た 決 議 は 可 決 さ れ て い な い 。( NINA, 2014.03.25, 2014.03.31;
AFP, 2014.03.26; Radio Sawa, 2014.03.31)
1.2.1.9.
候補者の暗殺
最 終 立 候 補 者 の 発 表 を 控 え て 、候 補 者 の 暗 殺 が 相 次 い で い る 。3 月 初 め に イ ラ ー キ ー ヤ 所
属のムハンマド・フセイン・ジャワーミドが暗殺され、モスルのムッタヒドゥーン所属の
2 名も殺害された。ムッタヒドゥーンのザーフィル・アーニ報道官は、テロ集団や政府に
つながっているライバルを非難した。政治アナリストのワースゥク・ハーシミは、そもそ
もスンナ派地域で治安が悪いことを指摘し、月末の候補者発表後はさらに増えるだろうと
予 測 し た 。( Idha’ al-Iraq al-Hurr, 2014.03.31)
1.2.1.10. 候 補 者 は 9040 名
選 管 は 3 月 30 日 、 9040 名 の 国 政 選 挙 立 候 補 者 を 承 認 し た 。 ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 の 県 議
会 選 挙 の 立 候 補 者 は 713 名 。
選管のサファ・ムサウィ報道官は同日、選管は司法機関の決定に則り、問責公正法や犯
罪に抵触する候補者を除外したと語った。議会は、選管が司法決定から免責されるという
決定を行うと約束していたが、昨日までに何の決定も受け取っておらず、選挙キャンペー
ン の 開 始 に あ た っ て 既 存 の 法 律 に 従 わ ざ る を 得 ず 、候 補 者 の 承 認 手 続 き を 行 っ た と 述 べ た 。
選 挙 キ ャ ン ペ ー ン は 4 月 1 日 か ら 始 ま る 。( al-Mada, 2014.03.31)
1.2.2. 政 府 ・ 議 会 関 連
1.2.2.1.
3 つの市を県に格上げすることを閣議承認
イラク政府は 1 月の閣議で、トゥズ、ファッルージャ、ニナワ平野の 3 地区を県に昇格
させることに原則合意した。地方担当相や司法相などが委員会を形成し、地区を県に変更
す る 条 件 等 を 協 議 す る 。同 じ 閣 議 で は 、タ ル ア フ ァ ル 県 設 立 の プ ロ ジ ェ ク ト に も 合 意 し た 。
タルアファルはモスルの西に位置し、シーア派トルコマン、スンナ派トルコマンが暮ら
しているが、圧倒的にスンナ派が多い地域において、貴重なシーア派集住エリアであるた
め、シーア派の様々なグループが影響力を競っている。
ニ ナ ワ 平 野 は 北 東 部 に 位 置 す る 。ト ゥ ズ や タ ル ア フ ァ ル と 異 な り 複 数 の 地 区( Tel Kayef,
Hamdaniyah, Shaikhan)を 含 む 。キ リ ス ト 教 徒 が 大 勢 だ が 、ヤ ズ ィ ー デ ィ や シ ャ バ ク も 含 ま
れる。キリスト教政党はこのエリアを県に昇格させて自由と権限を拡大させることを望ん
できた。
トゥズは、よりよい治安と復興のためにキルクークに編入することを希望していた経緯
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JIME 国別定期報告「イラク」2014 年 1-3 月
が あ る 。12 月 3 日 に ト ゥ ズ を キ ル ク ー ク 県 に 併 合 す る キ ル ク ー ク 県 議 会 の 投 票 で は 、ア ラ
ブ 、 ト ル コ マ ン の 議 員 が ボ イ コ ッ ト し た 。 1970 年 代 ま で キ ル ク ー ク 県 に 所 属 し て い た 。
ファッルージャのケースには、他の地域のような歴史的な背景はない。カルフート・ア
ン バ ー ル 県 議 会 議 長 は 1 月 22 日 、こ の 決 定 に 反 対 し て い る 。マ ー リ キ 首 相 は 選 挙 を 前 に ア
ンバール県のリーダたちを分裂させる、あるいは統合させることを狙っている可能性もあ
る。
ただし、いずれのケースも実行のための法的なメカニズムを欠いている。憲法にも県法
にも県創設の規定はない。反応としては、トルコメン、キリスト教徒からは概ね賛同を得
ている。ニナワ県とサラハディン県、クルド政党はかなり批判的で、シーア派は全体的に
好 意 的 に 見 て い る 。( Iraq Oil Report, 2014.01.23; Institute Study of War Iraq Update,
2014.01.25)
1.2.2.2.
ジャァファリ個人地位法が閣議承認
ジャァファリ個人地位法が閣議承認された。ファディーラ党のハサン・シャンマリ司法
相は同法を支持しているが、シーア派の宗教界を含め、他のシーア派政党は法案を支持し
て い な い 。現 在 の 1959 年 制 定 の 個 人 地 位 法 で は 法 的 結 婚 可 能 年 齢 は 男 女 と も に 18 歳 だ が 、
ジ ャ ァ フ ァ リ 法 で は 女 性 が 9 歳 、男 性 が 15 歳 と さ れ て い る 上 、保 護 者 や 父 親 の 許 可 が あ れ
ばそれ以下の年齢でも判事が法的に結婚させることが可能になる。それゆえ、児童人身売
買の温床になるとも懸念されている。また、妻は夫の意思に従うとされていることなどが
批判を呼んでいる。法案の名称は第 6 代イマームでジャァファリ派の創設者ジャァファ
ル・サーディクにちなんでいる。
ム ラ デ ノ フ UNAMI 代 表 は 、女 性 の 日 に 際 し た ス ピ ー チ で 、
「 国 連 は 、ジ ャ ァ フ ァ リ 法 が
閣議承認されたことに懸念を持っている」と述べた。法の適用は、国家アイデンティティ
を分断化することになるとも述べた。
閣議承認されたが、選挙が近づいており、予算法案審議もあることから、法案が成立す
る 可 能 性 は 低 い 。( al-Monitor, 2013.11.21, 2014.03.03; NINA, 2014.03.08)
1.2.2.3.
統合年金法を可決
2 月 3 日 に 議 会 は 政 府 立 法 で あ る 統 合 年 金 法 を 可 決 し た 。 2013 年 8 月 の デ モ を 受 け て 9
月 に は 、国 会 議 員 や 県 議 会 議 員 、裁 判 官 な ど へ の 潤 沢 な 年 金 を 撤 廃 す る こ と を 決 定 し た と 、
特別委員会委員長のシャハリスターニ副首相が述べていた。しかし、今回の統合年金法で
は大臣と国会議員を例外としており、市民の不評を買っている。
第 21 条 で は 、政 府 職 員 に つ い て は 勤 続 15 年 お よ び 50 歳 以 上 で 年 金 が 支 給 さ れ る と さ れ
て い る 。し か し 、第 37 条 は 大 統 領 、国 会 議 長 、首 相 、副 首 相 、議 員 、閣 僚 、過 去 の 暫 定 政
府 メ ン バ ー な ど を そ の 例 外 と し て い る 。年 金 額 は 最 後 の 給 与 の 80%か ら 25%に 減 額 さ れ た
が 、狭 義 の 給 与 だ け で な く 巨 額 の 手 当 な ど も 含 ま れ る 。さ ら に 、第 39 条 で は「 国 家 的 人 物 」
に は 公 務 員 で な く と も 本 人 も し く は 子 供 に 200 万 ID( 1772 ド ル ) の 年 金 を 支 給 す る と の
内容も含まれている。
市 民 の 最 低 年 金 額 は 40 万 ID( 350 ド ル ) に 引 き 上 げ ら れ た 。
2 月 7 日 の カ ル バ ラ の 金 曜 礼 拝 で 、シ ス タ ー ニ 師 の 代 理 人 で あ る ア ブ ド ゥ ル・マ フ デ ィ ・
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カ ル バ ラ ー イ 師 が 、統 合 年 金 法 に 関 し て 最 低 年 金 を 40 万 ID に 引 き 上 げ た こ と を 評 価 し つ
つ、一部の者への特権内容を含む点を批判し、イラクの人々に、そうした特権の廃止を約
束する者に投票するよう求めた。
1.2.2.4.
県法は依然施行されず
ペトロドラーの増額などを定めた県法は、マーリキ首相が裁判所に訴えており、未だ施
行 さ れ て い な い 。( MEES, 2014.01.31)
1.2.2.5.
アルワーニ議員の公判は延期
イラク犯罪法廷は 3 月 9 日、アルワーニ議員の公判を、異議申し立ての証言の聴取のた
め 3 月 31 日 に 延 期 す る と 発 表 し た 。( al-Hayat, 2014.03.09)
1.2.3. 政 党 ・ 宗 教 界 関 連
1.2.3.1.
ニナワ県知事が「地域」形成の意向
ヌ ジ ャ イ フ ィ・ニ ナ ワ 県 知 事 は 1 月 13 日 、タ ル ア フ ァ ル を 県 に 昇 格 す る 閣 議 承 認 が な さ
れた場合、ニナワ県は地域に昇格すると脅した。ムハンマド・タキ・マウリ・ハッジ評議
会議長を代表に最近形成されたトルコマン連合は同日、タルアファルとトゥズ・フルマト
を個別の県に昇格させることを呼びかけた。県知事は、県や県議会の承諾なく、ハッジ評
議会議長が内閣にタルアファル市を県に昇格させる提案を行う法的な正統性はないとして
い る 。( al-Sumaria, 2014.01.13)
1.2.3.2.
ムクタダ・サドル師が政界引退を発表
ム ク タ ダ ・ サ ド ル 師 が 2 月 15 日 に 手 書 き の 声 明 を 公 表 し 、「 政 治 に は 関 わ ら な い 。 自 分
や自分の立場を代表する政治団体は議会や政府にもはや存在しない」と述べ、政界引退の
意向を明らかにした。理由は述べていない。同師による慈善団体や教育団体は今後も活動
するとのこと。政界引退発表は過去にも行っている。サドル師の政界引退声明に伴って、
ア フ ラ ー ル ・ ブ ロ ッ ク の 議 員 18 名 が 議 員 辞 職 の 意 向 を 発 表 し た 。
サ ド ル 師 は 2 月 18 日 、す べ て の イ ラ ク 人 に 選 挙 に 参 加 す る よ う 呼 び か け た 。自 身 は 、選
挙においてすべての者から等しい距離に立ち、イラクに仕える者に投票するとしている。
そ の 後 ア フ ラ ー ル・ブ ロ ッ ク は 2 月 20 日 、バ ハ・ア ア ラ ジ 議 員 に か わ っ て ム シ ュ リ ク ・
ナ ジ 議 員 を 同 ブ ロ ッ ク の 代 表 に 指 名 し た こ と を 発 表 し た 。( DW, 2014.02.16; NINA,
2014.02.16, 2014.02.17, 2014.02.18, 2014.02.20)
1.2.3.3.
ディヤーラ県知事交代
ムッタヒドゥーン所属のフマイリ・ディヤーラ県知事はスンナ派、クルド、サドル派か
ら 18 票( 定 数 29)の 支 持 を 得 て 6 月 19 日 に 再 選 さ れ て い た が 、1 月 2 日 に 、15 名 が バ ド
ル・グループのムサンナ・タミーミを新議長に選出、続いてアミール・サルマーン・マジ
ュマイを新知事に選出した。マジュマイはムッタヒドゥーン所属。3 議席を持つクルド政
党はフマイリを支持していたが、うち 1 名と、スンナ派のイラーキーヤ・ディヤーラから
3 名 が 議 会 に 出 席 し た こ と で 、15 名 の 出 席 者 と な り 定 足 数 が 満 た さ れ 、賛 成 10 票 、反 対 5
票で可決された。
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12 月 20 日 に 同 県 の 裁 判 所 が 公 金 を 無 駄 し て い る と の 理 由 で フ マ イ リ に 逮 捕 状 を 発 出 し
て い た 。 フ マ イ リ は そ の 後 1 月 30 日 に 、 KRG 管 轄 下 に あ る ハ ナ キ ン で 、 16 名 の 議 員 に よ
って満場一致で再任されたと発表した。同じセッションで、サドル派のムハンマド・ハム
ダ ー ニ が 県 議 会 議 長 と し て 再 任 さ れ た と も 報 じ ら れ て い る 。タ ミ ー ミ 新 議 長 は 、KRG に フ
マ イ リ の 逮 捕 を 求 め て い る 。( Inside Iraq Politics, No.78, 2014.02.03)
1.2.3.4.
アーミリ運輸相の息子がスキャンダル
3 月 6 日、ベイルートを飛び立った中東航空の機長は同航空バグダード支店長から、ア
ーミリ運輸相の息子が搭乗していないため着陸を許可されないとして、ベイルートに戻っ
て 翌 日 息 子 を 乗 せ る よ う に 指 示 さ れ た と い う 。71 名 の 乗 客 を 乗 せ た 航 空 機 は ベ イ ル ー ト に
引 き 返 し た 。 航 空 機 は 6 日 深 夜 に 、 21 名 の 乗 客 を 乗 せ て 再 び バ グ ダ ー ド に 向 か っ た 。
この件に関してイラク政府はバグダード空港アシスタント・マネージャのサーミル・キ
ッバを逮捕し、アーミリ運輸相が 3 月 8 日に状況説明のためにベイルートに向かい、今回
の一件は深い両国の歴史的友好関係に何の影響も与えないと強調した。9 日に記者会見を
開いて、息子に責任があることがわかったなら、息子を当局に引き渡し、中東航空に必要
コストを弁償すると語った。
Ghazi Zeaiter レ バ ノ ン 運 輸 相 は 、 こ の 件 は バ グ ダ ー ド 航 空 の 一 人 の 職 員 に よ っ て 引 き 起
こされたものだとして、マーリキ首相の決定を賞賛した。バドル・ブロックのカリーム・
ア イ ウ ィ 議 員 は 、ア ー ミ リ 運 輸 相 の 辞 任 を 否 定 し た 。
( The Daily Star, 2014.03.08, 2014.03.10;
al-Hayat, NINA, 2014.03.08,)
1.2.4. ク ル デ ィ ス タ ン 情 勢
1.2.4.1.
バルハム・サーレフが幹部を辞任
PUK 政 治 局 は 1 月 31 日 、 副 議 長 の コ ス ラ ト ・ ラ ス ー ル 及 び バ ル バ ム ・ サ ー リ フ 、 そ し
て ヘ ロ ・ イ ブ ラ ー ヒ ー ム の 3 名 に 対 し て 、 PUK 内 の 意 思 決 定 の 権 限 、 及 び PUK 議 長 の 権
限を委譲することを決めた。
しかし、2 月 1 日にバルハム・サーレフは、タラバーニ議長後任の選出を急ぐようプレ
ッシャーをかけるべく、リーダーシップの地位を辞任すると発表した。第 4 期党大会が開
か れ る ま で 、 役 職 を 離 れ て PUK の 一 員 に と ど ま る 、と 述 べ た 。PUK は 1 月 31 日 に 党 大 会
を 無 期 限 延 期 し て い た 。( NINA, 2014.01.31; Kurdnet, 2014.02.02; Inside Iraq Politics, No.78,
2014.02.03)
1.2.4.2.
ネ チ ル ヴ ァ ン KRG首 相 が バ グ ダ ー ド 訪 問
予 算 問 題 な ど を 話 し 合 う た め ネ チ ル ヴ ァ ン KRG 首 相 率 い る 代 表 団 が 1 月 19 日 に バ グ ダ
ードを訪れた。マーリキ首相、シャハリスターニ副首相、ルアイビ副首相らと会談した。
KRG 代 表 団 の メ ン バ ー に は 、 シ ャ ー ウ ィ ー ス 副 首 相 、 ハ ウ ラ ー ミ KRG 天 然 資 源 相 が 含 ま
れ、イラク政府側は、石油相、財務相が出席した。
シ ャ ハ リ ス タ ー ニ 副 首 相 は 19 日 の 記 者 会 見 で 、 KRG と の 間 で 統 一 的 な メ カ ニ ズ ム に 基
づ い て 原 油 輸 出 を 行 う こ と で 枠 組 み 合 意 が で き た と 語 っ た 。KRG が 提 案 を 持 ち 帰 り 、数 日
以 内 に 彼 ら か ら の 返 答 が あ る と し て い る 。 最 終 合 意 に 達 す る 前 に KRG が 原 油 を 販 売 し な
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いとの保証を得たと強調した。
そ の 後 2 月 17 日 に も KRG 代 表 団 を 率 い て ネ チ ル ヴ ァ ン KRG 首 相 が バ グ ダ ー ド を 訪 問
し た 。 イ マ ー ド ・ ア フ マ ド KRG 副 大 統 領 、 フ ア ー ド ・ フ セ イ ン KRG 大 統 領 府 長 官 、 ハ ウ
ラ ー ミ KRG 天 然 資 源 相 、 シ ン デ ィ KRG 計 画 相 、 ラ シ ド ・ タ ヘ ル KRG 副 財 務 相 、 デ ィ ザ
イ KRG 政 府 報 道 官 な ど が 随 行 し た 。( Rudaw, al-Sumaria, KRG ウ ェ ブ サ イ ト , 2014.01.19;
NINA, 2014.02.17)
1.2.4.3.
イラク軍とペシュメルガの衝突
トゥズ・フルマトゥのペシュメルガ関係者によると、イラク空軍が 2 月半ば、ペシュメ
ルガが駐屯している山間部の上空を飛行して砲撃し、ペシュメルガが応戦した。ジャッバ
ール・ヤーウィル・ペシュメルガ省報道官は衝突の報道を否定したが、トゥズ・フルマト
ゥのファールーク・アフマド・アサイシュ長官は、イラク空軍とペシュメルガがハンジル
山付近で砲火を交えたと明らかにした。イラク軍機がハンジル山に駐屯するペシュメルガ
第 16 旅 団 に 向 け て 砲 撃 し た と の こ と で あ る 。た だ し 、負 傷 者 の 発 生 は な く 、公 式 声 明 も 出
て い な い 。昨 年 6 月 に イ ラ ク 軍 第 16 旅 団 が イ ラ ク 軍 か ら 離 脱 し 、ペ シ ュ メ ル ガ に 組 み 込 ま
れ て い る 。複 数 の ペ シ ュ メ ル ガ 関 係 者 も 事 件 の 発 生 を 確 認 し た 。
( Shafaq News, 2014.02.19;
Rudaw, 2014.02.20)
1.2.4.4.
イランとの新国境開設
バフルーズ・サーレフ・スレイマニヤ県知事は、イランとの間のバシュマフ国境検問所
開設にあたって、投資誘致のためにイランのビジネスマンに土地、水、電気などを無料で
供給したいと語った。スレイマニヤ県とイランのサナンダジ県との貿易拡大に関する合意
を イ ラ ン 政 府 と す で に 締 結 し て い る と の こ と で あ る 。( Bas News, 2014.02.20)
1.2.4.5.
連邦政府との交渉のための包括協議
イラク議会及びイラク政府におけるクルディスタンの代表者、クルディスタン議会及び
KRG に お け る 政 党 代 表 者 が 包 括 的 協 議 を 実 施 し 、イ ラ ク 政 府 に よ る 経 済 制 裁 へ の 共 通 の 立
場に合意した。満場一致で採択された声明は下記の 4 点。①イラク・クルディスタンはイ
ラ ク の 正 式 な 一 部 で あ り す べ て の 権 利 を 持 つ 。 そ れ に は 予 算 も 含 ま れ 、 中 央 政 府 は KRG
へ の レ バ レ ッ ジ の た め に 給 与 カ ッ ト を 行 う べ き で は な い 。② KRG は 他 の オ プ シ ョ ン も 有 し
ているが、連邦政府と交渉を続ける。③イラク首相が違法・違憲な決定を取り消すことを
よびかける。対話と交渉によって解決されるべき。④宗教主導者、国連、諸外国、アラブ
連 盟 な ど が 経 済 制 裁 を や め さ せ る よ う 、 そ の 責 任 を 果 た す こ と を よ び か け る 。( KRG ウ ェ
ブ サ イ ト , 2014.02.25)
1.2.4.6.
スウェーデンとクルディスタン地域のフライト差し止め
エ ル ビ ル 国 際 空 港 局 長 の タ ラ ー ル・フ ァ イ ヤ ー ク は 、イ ラ ク 運 輸 省 が 2 月 13 日 に ス ウ ェ
ー デ ン と ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 の フ ラ イ ト を 差 し 止 め た と 語 っ た 。 イ ラ ク 政 府 と KRG と の
問 題 に 根 ざ し た も の で は な く 、イ ラ ク と ス ウ ェ ー デ ン 間 の 貿 易 問 題 に よ る も の と し て い る 。
しかし、他にもドイツの航空会社のフライトが、イラク政府の圧力で差し止められたと報
じられている。
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JIME 国別定期報告「イラク」2014 年 1-3 月
エ ル ビ ル 空 港 は 航 空 面 で の 独 立 を 求 め る バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 の 方 針 を 支 持 し て お り 、
そ の 法 案 は 2008 年 に ク ル デ ィ ス タ ン 議 会 に 提 出 さ れ た が 、ま だ 可 決 さ れ て い な い と の こ と
で あ る 。( Bas News, 2014.02.27; UPI, 2014.02.28)
1.2.4.7.
ハラブジャを県に昇格
ネ チ ル ヴ ァ ン KRG 首 相 は 2 月 13 日 、ハ ラ ブ ジ ャ 地 区 を 県 に 昇 格 さ せ る 決 定 に 署 名 し た 。
会議に出席したハラブジャの代表団は、決定を歓迎した。クルディスタン地域で 4 つ目、
イ ラ ク で 19 県 目 と な る 。 バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 は 、 連 邦 政 府 の 決 定 を 待 た ず に ハ ラ ブ ジ
ャ を 県 に 変 え る た め に 必 要 な 行 政 手 続 き を 進 め る よ う に 求 め た 。 バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領
も 3 月 16 日 、 ハ ラ ブ ジ ャ を 県 に 昇 格 さ せ る 大 統 領 令 に 署 名 し た 。
1999 年 9 月 22 日 の ク ル デ ィ ス タ ン 議 会 の 法 律 第 11 号 に 基 づ き 、現 在 の ハ ラ ブ ジ ャ 行 政
区がクルディスタン地域で 4 つ目となるハラブジャ県となり、ハラブジャ市が県庁所在地
となる。なお、時間的な制約があり選管が対応できないため、ハラブジャにおける県議会
選 挙 は 実 施 さ れ な い 。( NINA, 2014.03.13; KRG ウ ェ ブ サ イ ト , 2014.03.14, 2014.03.16)
1.2.4.8.
KRGの 水 量 制 限 疑 惑
ト ゥ ル キ・ガ ニ ー マ ー ウ ィ・ワ ー ス ィ ト 県 議 会 議 長 は 3 月 7 日 、記 者 会 見 で 、
「クルディ
スタン地域がドゥカンとディルバンディハーンのダムの水の支配を続けるならば訴訟を起
こす」と語った。ダムはすべてのイラク人の資産であり、地域がこのように支配すること
はできない、としている。クルディスタン地域が行っていることは国民に対する戦争の宣
言 で あ り 、旧 政 権 時 代 の 政 治 の 延 長 だ と 非 難 し た 。3 月 29 日 に は キ ル ク ー ク 県 の ア ラ ブ 政
治 会 議 が 、 EU、 ア ラ ブ 連 盟 、 ト ル コ 政 府 に 、 KRG に 対 し て キ ル ク ー ク 県 や ト ゥ ズ 地 区 に
十分な水供給をするよう圧力をかけるように訴えた。
一 方 、レ ボ ワ ー ル・タ ラ バ ー ニ・キ ル ク ー ク 県 副 議 長 は 3 月 30 日 、ド ゥ カ ン ダ ム の 水 危
機問題の解決は、脅しではなく話し合いによって国内でなされるべきで、訴えは選挙キャ
ンペーン目的だと語った。なお、水資源省は 3 月 1 日、ディルバンディハーンとドゥカン
のダムの意図的な水量カットを否定し、降雨が少ないためにダムの貯水量が減っていると
し て い た 。( al-Sumaria News, 2014.03.31)
1.2.5. 治 安 情 勢
1.2.5.1.
国 連 が 2013 年 の 死 者 数 発 表
国 連 の 発 表 に よ る と 、2013 年 の 死 者 数 は 8868 名 、う ち 民 間 人( 警 察 官 含 む )は 7818 名
だ っ た 。こ れ は 過 去 5 年 間 で 最 悪 の 数 値 と な る 。12 月 だ け で 少 な く と も 759 名 の イ ラ ク 人
が 死 亡 し た 。 民 間 人 死 傷 者 数 の 県 別 統 計 は 、 バ グ ダ ー ド 県 ( 死 者 数 254 名 、 負 傷 者 数 555
名 )、ニ ナ ワ 県( 死 者 数 105 名 、負 傷 者 数 147 名 )、サ ラ ー ハ ッ デ ィ ー ン 県( 死 者 数 102 名 、
負 傷 者 数 555 名 )、デ ィ ヤ ー ラ 県( 死 者 数 99 名 、負 傷 者 数 161 名 )、ア ン バ ー ル 県( 死 者 数
62 名 、負 傷 者 数 79 名 )。な お 、12 月 後 半 か ら の 軍 事 作 戦 に 伴 う 死 傷 者 数 は 含 ま れ て い な い 。
( UNAMI, 2014.01.02; Reuters, 2014.01.04)
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JIME 国別定期報告「イラク」2014 年 1-3 月
Month
Civilian Casualties
Injured
December 2013
661
1201
November 2013
565
1186
October 2013
852
1793
September 2013
887
1957
August 2013
716
1936
July 2013
928
2109
June 2013
685
1610
May 2013
963
2191
April 2013
595
1481
March 2013
229
853
February 2013
418
704
January 2013
319
960
December 2012
230
655
November 2012
445
1306
( UNAMI, 2013.01.02)
1.2.5.2.
アンバール県軍事作戦
ア ン バ ー ル 県 で は 2013 年 末 か ら 断 続 的 に 政 府 に よ る 対 テ ロ 掃 討 作 戦 が 続 い て い る が 、フ
ァ ッ ル ー ジ ャ な ど 一 部 の 町 で は 政 府 の 治 安 部 隊 が 鎮 圧 で き ず 、ISIS な ど の 過 激 派 や 武 装 勢
力などの支配が広がっている。軍事作戦に関して、マーリキ首相は 1 月半ばのインタビュ
ー で 下 記 の よ う に 語 っ た 。( Washington Post, 2014.01.17)
 現 在 フ ァ ッ ル ー ジ ャ を 包 囲 し て い る 。フ ァ ッ ル ー ジ ャ に 突 入 で き る が 民 家 人 の 被 害
を 恐 れ て い る 。フ ァ ッ ル ー ジ ャ に は 、市 外 へ ア ル・カ ー イ ダ を 追 い 出 す 猶 予 を 与 え
ており、我々は市外で捕まえられる。人々を傷つけたくない。
 地 元 部 族 に は AK な ど 軽 火 器 を 供 与 し て い る 。 戦 車 な ど は 渡 し て い な い 。
 米 軍 か ら は ヘ ル フ ァ イ ヤ ・ ミ サ イ ル を 供 与 さ れ た 。 偵 察 無 人 機 は 1~ 2 回 使 っ た 。
ア ル・カ ー イ ダ の 通 話 や 彼 ら の キ ャ ン プ の 場 所 な ど 、諜 報 協 力 が あ り 、非 常 に 重 要 。
米国とは緊密に情報と交換している。米軍の復帰は必要ない。我々には軍がおり、
情報共有はすでに行われている。
 優 先 順 位 は ま ず 、ア ル・カ ー イ ダ 掃 討 し 、県 の 治 安 維 持 に サ フ ワ を 活 用 し 、そ の 後 、
公共サービスやインフラを供与する。
 ラ マ ー デ ィ は 地 方 行 政 府 の 管 理 下 に あ る 。フ ァ ッ ル ー ジ ャ に は ま だ テ ロ リ ス ト の 隠
れ家がある。
 殉 教 し た 兵 士 や 警 察 官 は 80 名 。 市 民 の 被 害 者 は そ れ 以 上 。
 軍を町から撤退させたいが、現状の問題は地元警察に(武装勢力が)浸透し、治安
維 持 を 担 う 準 備 が で き て い な い 点 。地 元 警 察 か ら プ ロ フ ェ ッ シ ョ ナ ル な 治 安 部 隊 を
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JIME 国別定期報告「イラク」2014 年 1-3 月
形成したい。アル・カーイダと戦う部族を引き込み、彼らを警察官に使いたい。
 米国人をイラクによんで、あるいはイラク人兵士をヨルダンに派遣して、対テロ能
力向上のために訓練を米国に頼むことには異存はない。
1.2.5.3.
フ ァ ッ ル ー ジ ャ 、 ラ マ ー デ ィ か ら の 避 難 民 は 14 万 人
ラ マ ー デ ィ と フ ァ ッ ル ー ジ ャ か ら の 避 難 民 は 1 月 末 時 点 で 14 万 人 。ア ン バ ー ル 県 内 、バ
グダード、カルバラ、サラーハッディーン、ニナワ、クルディスタンなどに逃れている。
う ち 1.4 万 人 が ク ル デ ィ ス タ ン に 来 て お り 、多 く が モ ー テ ル や 別 荘 な ど に 滞 在 し て い る 。
ネ ウ ロ ー ズ を 控 え て 観 光 客 が 来 る と 予 想 さ れ る こ と か ら 、KRG は UNHCR に IDP 用 キ ャ ン
プの準備を依頼している。生活コストが高いことから、キルクークなどに向けてすでにク
ル デ ィ ス タ ン を 去 っ た 家 族 も い る 。( Rudaw, 2014.01.31)
1.2.5.4.
バグダードでクルド兵に撃たれてジャーナリストが死亡
3 月 22 日 、 Radio Free Iraq の ム ハ ン マ ド ・ バ ダ イ ウ ィ ・ バ グ ダ ー ド 支 局 長 が 出 勤 途 中 に
バグダードの大統領府近くで検問所を通過しようとしてクルド人兵士と口論になり、撃た
れて死亡した。ムスタンスィリーヤ大学の准教授でもあり、ハサン・ラーシドの名でもイ
ラ ク 自 由 放 送 の リ ス ナ ー に 知 ら れ て い た 。 享 年 は 46 歳 。
治安部隊が兵士を逮捕しようとしたがクルド軍が引き渡しを拒否したことから数十名の
イラク人ジャーナリストが殺害に抗議して集まった。マーリキ首相が現場に赴き、犯罪者
は司法の前に引き出されなければならないと述べ、
「 血 に は 血 を 」と 述 べ 、犯 人 逮 捕 を 誓 っ
た。
情報筋によると、兵士は殺害後、4 名の仲間と共に大統領宮殿の建物に入った。そこに
は、フアード・マァスームやラティーフ・ジャマール・ラシード大統領顧問など、クルド
のリーダがおり、彼らがヘロ大統領夫人にコンタクトして対応を協議した。ヘロ夫人がア
ブドゥルマフディ前副大統領にコンタクトした模様で、前副大統領は、事態がコントロー
ル不能になる前にすぐに引き渡すことをアドバイスしたと言われている。最終的に、ヘロ
夫 人 と マ ー リ キ 首 相 が 電 話 で 15 分 ほ ど 話 を し て 、犯 人 引 き 渡 し と 小 規 模 部 隊 の 突 入 が 決 ま
っ た 。( Shafaq News, Idha’ al-Iraq al-Hurr, 2014.03.22; Reuters, al-Qurtas News, 2014.03.23;
Radio Free Europe, 2014.03.24
1.2.5.5.
国会議員 3 名に暗殺未遂
3 月 25 日 、デ ィ ヤ ー ラ 県 ガ ー リ ビ ー ヤ 地 区 で ラ ア ド・ダ フ ラ キ 議 員( ム ッ タ ヒ ド ゥ ー ン
所 属 )、ム ハ ン マ ド・ハ ー リ デ ィ 議 員 、ガ イ ダ・カ ン バ シ ュ 議 員 の 国 会 議 員 3 名 が 暗 殺 未 遂
に 遭 っ た 。議 員 の 自 動 車 を 狙 っ た 爆 弾 で 、警 護 員 に 死 傷 者 が 発 生 し た 。
( NINA, 2014.03.25)
1.2.5.6.
カ ラ ・ タ パ 周 辺 の 12 の 村 は 治 安 機 関 が コ ン ト ロ ー ル で き ず
ペシュメルガが 3 月末に明らかにしたところによると、ディヤーラ県北部にあるカラ・
タ パ の 南 部 、 西 部 、 東 部 の 12 の 村 は 治 安 機 関 が コ ン ト ロ ー ル で き て お ら ず 、 ISIS の 脅 威
に さ ら さ れ て い る 。ペ シ ュ メ ル ガ が 展 開 し て い る カ ラ・タ パ 北 部 に は ISIS な ど は い な い と
の こ と 。12 の 村 は ア ラ ブ 人 の 村 で 、ISIS が 村 を 町 と つ な い で い る 橋 を 爆 破 し 、治 安 部 隊 は
兵 舎 に 撤 退 し た た め 、 一 帯 の 治 安 維 持 が な さ れ て い な い 。 こ の 町 の 村 は 先 週 、 ISIS に 攻 撃
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JIME 国別定期報告「イラク」2014 年 1-3 月
をうけ、治安部隊と武装勢力の交戦の末、武装勢力が治安部隊の応援を阻止するため、カ
ラ ・ タ パ と 他 の 村 を 結 ん で い る 3 本 の 橋 を 爆 破 し て い た 。( al-Hayat, 2014.03.31)
1.2.6. ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 の 治 安 事 件
1.2.6.1.
スレイマニヤで粘着爆弾が爆発
3 月 12 日 、ア サ イ シ ュ 所 属 の バ フ テ ィ ヤ ル・フ ァ イ フ 大 将 を 狙 っ た 爆 弾 テ ロ が ス レ イ マ
ニヤ市東部で発生した。自宅の外で粘着爆弾が取り付けられた自動車が爆発し被害が出た
が 、 負 傷 者 は な か っ た 。 フ ァ イ フ 自 身 が 、 テ ロ 事 件 だ と 明 ら か に し た 。( AFP, 2014.01.12)
1.2.6.2.
イ ラ ク 政 府 が ISISの メ ン バ ー 2 名 を 逮 捕
イ ラ ク 政 府 の 諜 報 機 関 が 最 近 、 ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 に 逃 れ よ う と し た ISIS の メ ン バ ー 2
名 を 逮 捕 し た と 明 ら か に し た 。( Bas News, 2014.01.18)
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JIME 国別定期報告「イラク」2014 年 1-3 月
2.0 経 済
2.1. 経 済 一 般
2.1.1. 新 関 税 法 施 行
イラク戦争後、安価な商品が流れ込んだことが地元の農業や工業に多大なダメージを与
えた。国産品保護のため、3 年前に関税法が準備された。しかし、必要なメカニズムが欠
け て い た こ と で 、 関 税 法 の 適 用 は 2014 年 初 ま で 延 期 さ れ て い た 。 Idha al-Iraq al-Hurr( イ
ラク自由放送)がインタビューしたアブドゥルザハラ・ヒンダーウィ計画省報道官による
と 、第 一 段 階 と し て 、た ば こ や ア ル コ ー ル 、そ の 他 、消 費 者 に と っ て の 非 必 需 品 と な る 106
品 目 を 対 象 に 2014 年 1 月 2 日 か ら 新 法 が 施 行 さ れ る こ と に な っ た 。
ヒ ン ダ ー ウ ィ は 、イ ラ ク 市 場 に 入 っ て く る す べ て の 商 品 を 含 む 関 税 法 施 行 の 第 二 段 階 は 、
現段階では開始の時期が定まっていないことを明らかにした。ムスタンスィリーヤ大学経
済学部教授のアブドゥルラフマーン・マシュハダーニは、現行の形では関税法が重要な収
入として国庫に貢献することや農業や工業を支援することはないだろうとしている。適用
さ れ る 関 税 の 平 均 は 15%で 、 税 収 入 の 増 加 分 は 年 間 100 万 ~ 300 万 ド ル に 過 ぎ ず 、 こ れ は
1300 億 ド ル 規 模 の 財 政 を も つ イ ラ ク の よ う な 国 に と っ て 重 要 な 数 字 で は な い こ と と 語 っ
た。
関税法の適用から 3 ヶ月以内に財務省が、関税法適用への問題解決のための進展や問題
を 明 ら か に す る 詳 細 な レ ポ ー ト を 、閣 議 に 提 出 す る こ と に な っ て い る 。
( Idha al-Iraq al-Hurr,
2014.01.01)
2.1.2. サ ー マ ッ ラ に 博 物 館 建 設
2 月 25 日 、 住 宅 建 設 省 は サ ー マ ッ ラ に 面 積 2.7 万 m2 の 博 物 館 の 建 設 を 開 始 し た と 発 表
し た 。 総 工 費 は 1460 万 ド ル で 、 建 設 期 間 は 18 ヶ 月 。 博 物 館 の 建 物 3 つ 他 、 噴 水 や レ ス ト
ラ ン 、 図 書 館 、 映 画 館 な ど も 建 設 さ れ る 。( Iraq Directory, 2014.02.28)
2.1.3. 兵 器 展 示 会 を 開 催
3 月 1 日にイラク政府は 3 年連続となる国際兵器展示会を開催した。米国、イギリス、
フ ラ ン ス 、中 国 、韓 国 な ど 9 ヶ 国 か ら 50 の 企 業 が 参 加 し 、航 空 機 や ミ サ イ ル 、通 信 機 器 な
ど が 展 示 さ れ た 。( AFP, 2014.03.01)
2.1.4. ア ン バ ー ル 県 の 騒 乱 が 経 済 に も 影 響
アンバール県で続いている治安上の問題のため、トラック輸送が滞るなどの経済的問題
が出ている。ヨルダンとのトレビル検問所、シリアとのワリード検問所を通って物資が国
外からイラク国内各地に輸送されることになっているが、国境封鎖や戦闘の発生などでそ
れが難しくなり、とりわけ食料価格が高騰する要因になっている。運送業者や一般市民だ
けでなく、関税収入の低下という点で国も影響を受けており、商工会議所連盟によるとそ
の 額 は 月 額 1.55 億 ド ル に 達 す る と い う 。ア フ マ ド・ア ン バ ー ル 県 知 事 に よ る と 、治 安 上 の
理 由 の た め 国 境 が 開 い て い る の は 1 日 6~ 8 時 間 程 度 で 、ト ラ ッ ク 物 流 を 妨 げ て い る 。ま た 、
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税 関 職 員 が 県 外 に 避 難 す る ケ ー ス も あ り 、税 関 が 滞 る 一 因 に な っ て い る と い う 。
( al-Monitor,
2014.03.12)
2.1.5. 失 業 率 は 11.3%
国 連 が 発 表 し た イ ラ ク の 失 業 率 の 統 計 に よ る と 、 全 国 平 均 は 11.3%。 各 県 の 失 業 率 は 、
キ ル ク ー ク 2.5%、 エ ル ビ ル 7.3%、 ニ ナ ワ 7.3%、 ド ホ ー ク 8.8%、 カ ル バ ラ 9.6%、 バ グ ダ
ー ド 9.7%、 ワ ー シ ト 9.7%、 バ ス ラ 10.3%、 ナ ジ ャ フ 10.4%、 サ ラ ー ハ ッ デ ィ ー ン 13.5%、
カ ー デ ィ シ ー ヤ 13.7%、ム サ ン ナ 14.5%、デ ィ ヤ ー ラ 15.0%、ス レ イ マ ニ ヤ 15.0%、マ イ サ
ー ン 15.4%、 ア ン バ ー ル 18.1%、 デ ィ ー カ ー ル 19.4%。
女性の失業率の方が全体的に高い傾向にあり、女性失業率が全国平均を下回っている県
は キ ル ク ー ク ( 3.4%)、 サ ラ ー ハ ッ デ ィ ー ン ( 7.4%)、 ワ ー ス ィ ト ( 9.9%) の み で あ る 。 他
は 二 桁 の 失 業 率 で 、デ ィ ヤ ー ラ 、カ ル バ ラ 、ス レ イ マ ニ ヤ で は 30%を 超 え て い る 。
( Musing
on Iraq, 2014.03.24)
2.2. 財 政 ・ 金 融
2.2.1. 2014 年 度 予 算 法 案 は 第 一 読 会 通 過
2014 年 度 予 算 案 は 未 だ 議 会 で 可 決 さ れ て い な い 。 問 題 は KRG の 独 自 石 油 輸 出 問 題 で あ
る 。2014 年 度 予 算 法 案 で は 、KRG は SOMO を 通 じ て 40 万 b/d を 輸 出 し な け れ ば 今 年 の 予
算 で は 17%が 得 ら れ な い こ と に な っ て い る 。 17%の 予 算 分 か ら 、 40 万 b/d×95 ド ル 分 が 差
し 引 か れ 、継 続 し て SOMO に 原 油 を 販 売 し な け れ ば 送 金 さ れ な い と い う 内 容 に な っ て い る 。
40 万 b/d の 輸 出 量 は 、い く つ か の 生 産 油 田 で 開 発 が 大 き く 進 ま な い と 不 可 能 な レ ベ ル で あ
り 、 非 現 実 的 と み ら れ て い る 。 1 月 か ら KRG が ト ル コ 向 け に 独 自 輸 出 を 開 始 し た こ と で 、
交 渉 の 雰 囲 気 は 悪 化 し た 。 1 月 14 日 に KRG が マ ー リ キ 首 相 に 、 ま ず は IOCs へ の 支 払 い 、
旧 政 権 の 被 害 額 3840 億 ド ル が 差 し 引 か れ て か ら 、輸 出 流 入 を す べ て バ グ ダ ー ド に 渡 す と い
う提案をしたが、拒否され、翌日に閣議で予算法案が強行採決された。
1 月 15 日 、 ク ル ド 政 党 の 大 臣 が ボ イ コ ッ ト す る 中 、 2014 年 度 予 算 を 閣 議 承 認 し 、 翌 16
日 に 議 会 に 回 付 さ れ た 。輸 出 量 の 想 定 は 340 万 b/d、う ち 40 万 b/d が KRG か ら の 輸 出 、想
定 油 価 は 95 ド ル 。 閣 議 承 認 案 に お け る 歳 出 は 1492 億 ド ル 、 最 終 は 1130 億 ド ル 、 赤 字 額
302 億 ド ル 。
な お 、こ の 時 点 で は 予 算 案 で は ペ ト ロ ド ラ ー が 1 ド ル と な っ て い た が 、1 月 25 日 に 、石
油産出県 7 県(マイサーン、ディーカール、ワースィト、バグダード、サラーハッディー
ン、キルクーク、バスラ)の代表及びエネルギー委員会、地方委員会の議員らと会議を開
催 し 、 1 月 28 日 に は 、 政 府 は 5 ド ル に 増 額 す る こ と に 合 意 し た 。
そ の 後 、3 月 16 日 に 議 会 は 予 算 法 案 の 第 一 読 会 を 終 了 し た 。ク ル デ ィ ス タ ン 同 盟 と ム ッ
タ ヒ ド ゥ ー ン の 議 員 は 欠 席 し 、 シ ー ア 派 の 国 民 連 合 は 欠 席 者 を 20 名 以 下 に お さ え て 164
名 の 定 数 確 保 に 成 功 し た 。3 月 18 日 か ら は 、ハ イ ダ ル ・ ア バ ー デ ィ 財 務 委 員 会 委 員 長 、ア
ドナーン・ジャンナービエネルギー委員会委員長、クルディスタン同盟のフアード・マァ
ス ー ム 議 員 に よ る 三 者 委 員 会 が 開 催 さ れ た が 、そ の 後 も 3 月 末 ま で に 合 意 に 至 ら な か っ た 。
( Rudaw, Iraq Oil Report, NINA, 2014.01.16; MEES, 2014.01.24; Inside Iraq Politics, No.78,
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JIME 国別定期報告「イラク」2014 年 1-3 月
2014.02.03, al-Sumaria, 2014.03.16; Idha’ al-Iraq al-Hurr, 2014.03.17)
2.2.2. 中 銀 が 36 ト ン の 金 を 購 入
イ ラ ク 中 央 銀 行 は 3 月 、 15.2 億 ド ル 相 当 の 金 36 ト ン を 購 入 し た と 発 表 し た 。 通 貨 デ ィ ナ
ー ル の 安 定 化 の た め と の こ と で 、 こ れ に よ り 、 イ ラ ク の 保 有 す る 金 は 27 ト ン か ら 63 ト ン
に 大 幅 に 増 加 す る 。他 方 、イ ラ ク・デ ィ ナ ー ル は 過 去 2 年 3 ヶ 月 間 ほ ど 1 ド ル = 1165ID で
ほぼ安定しており、喫緊に通貨の安定が不可欠という状況にはない。おそらく、今後マネ
ー・サプライを増加させて経済を刺激しつつ、インフレに伴うディナール安に陥るのを防
ぐ こ と が 今 回 の 金 購 入 の 目 的 と 見 ら れ る 。( Wealth Daily, 2014.03.26)
2.2.3. ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 の 流 動 性 危 機
イ ラ ク 政 府 は KRG の 独 自 原 油 輸 出 へ の 制 裁 と し て 、2014 年 初 か ら KRG へ の 予 算 送 金 を
差 し 止 め て い る 。 米 国 政 府 か ら の 強 い 圧 力 を 受 け て 1 月 に 5880 億 ID( 4.9 億 ド ル )、 2 月
に 5480 億 ID( 4.57 億 ド ル ) の 送 金 を 行 っ た も の の 、 昨 年 の 送 金 額 の 半 分 で 、 こ れ 以 上 の
送金はないとしている。
こ の 影 響 で 、 KRG に よ る 公 務 員 の 給 与 支 払 い に 影 響 が 出 て い る 。 500 万 人 の ク ル デ ィ ス
タ ン 地 域 の 人 口 の 5 人 に 1 人 以 上 は 公 務 員 で 、給 与 支 払 額 は 月 に 7.22 億 ド ル( 8400 億 ID)
に 上 っ て い る 。シ ン デ ィ KRG 計 画 相 は 、KRG が 生 み 出 せ る 収 入 で は 、必 要 経 費 や 2900 の
投資プロジェクトはもちろん、政府職員の給与もカバーできないと語った。借り入れや官
民 パ ー ト ナ ー シ ッ プ な ど も 検 討 し て い る と の こ と で あ る 。KRG は 民 間 企 業 に も 圧 力 を か け
ており、国際石油会社も石油製品石油警察に対する多額の支払いを求められるようになっ
て い る 。 流 動 性 危 機 を 緩 和 す る た め 、 Asiacell の オ ー ナ が ス レ イ マ ニ ヤ の 銀 行 に 150 億 ID
を貸し付けた。
バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 は 2 月 25 日 、 送 金 停 止 と い う 連 邦 政 府 の 決 定 は 「 ク ル デ ィ ス タ
ン の 人 々 へ の 宣 戦 布 告 だ 」 と 語 っ た 。 ネ チ ル ヴ ァ ン KRG 首 相 は 3 月 4 日 、「 我 々 は 、 一 人
の個人がクルディスタン地域の人々の給与を止めることができるという状況にある」
「これ
は 我 々 が 常 に 恐 れ て い た こ と で 、 今 、 そ れ が 現 実 に 起 こ っ て い る 」 と 語 っ た 。( Rudaw,
2014.02.26; Reuters, 2014.03.17; Iraq Oil Report, 2014.03.20)
2.2.4. デ ノ ミ は 延 期
経済員会所属のクサイ・アバーディ議員は、通貨ディナールのゼロを 3 つ削減するデノ
ミについて、法的な障害はないものの、政府は実施に伴うマネー・ロンドリングなどを警
戒 し て お り 、 実 施 は 延 期 さ れ て い る と 語 っ た 。( Iraq Directory, 2014.02.23)
2.3. 電 力 ・ 水
2.3.1. 2 件 の IPP案 件 に 許 可
イ ラ ク 政 府 は 2 月 25 日 、2 件 の IPP に 対 し て 投 資 許 可 を 与 え た 。い ず れ も 地 元 企 業 で あ
る 。Shamara グ ル ー プ が ル メ イ ラ に 3000MW の 発 電 所 、Mass Global が バ グ ダ ー ド 南 部 の ベ
ス マ ヤ に 1500MW の 発 電 所 を 、 そ れ ぞ れ 15 年 間 の BOO ベ ー ス で 運 営 す る 今 回 の 案 件 は
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JIME 国別定期報告「イラク」2014 年 1-3 月
2006 年 の 投 資 法 に よ っ て 規 定 さ れ る 。燃 料 は ガ ス を 想 定 し て い る た め 、当 面 は イ ラ ン か ら
の輸入に頼ることになる。
な お 、 ガ ド バ ン 首 相 顧 問 が MEED 会 議 で 述 べ た と こ ろ に よ る と 、 KAR Group に よ る
1500MW の 3 件 目 の ラ イ セ ン ス を 国 家 投 資 委 員 会 が 提 案 し て い た が 、 石 油 省 と 同 社 の 間 の
問題によって拒否されたとのことである。
イ ラ ク の IPP 案 件 は 2009 年 に 棚 上 げ さ れ た 経 緯 が あ り 、今 回 か ら 改 め て 再 開 し た 。な お 、
ガ ド バ ン 首 相 顧 問 に よ る と 、 ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 の IPP と 似 た モ デ ル と の こ と で あ る 。 同
地 域 で は Mass Global と KAR Group が 発 電 所 を 操 業 し て い る が 、 1MW あ た り 32 ド ル と い
う 高 額 な 収 入 を 得 て い る 。( Iraq Oil Report, 2014.02.26)
2.4. 工 業 ・ イ ン フ ラ
2.4.1. ス レ イ マ ニ ヤ ・ キ ル ク ー ク 間 鉄 道 計 画
ス レ イ マ ニ ヤ の 企 業 Faruk Holding が キ ル ク ー ク・ス レ イ マ ニ ヤ 間 の 旅 客・貨 物 鉄 道 を 検
討 し て い る 。こ れ に よ り 道 路 へ の 負 荷 を 減 ら せ る と し て い る 。KRG は 事 業 を 承 認 し て お り 、
今 年 着 工 す る 。第 一 フ ェ ー ズ の コ ス ト は 20 億 ド ル で 110km。ハ ン ガ リ ー 企 業 が 設 計 を 担 当
し た 。第 二 フ ェ ー ズ と し て 60 億 ド ル か け て ペ ン ジ ュ イ ン ま で 延 伸 す る 。イ ラ ク 政 府 や 土 地
収 用 の た め の 地 主 と の 交 渉 な ど は こ れ か ら だ と し て い る 。( Rudaw, 2014.01.23)
2.4.2. ク ウ ェ ー ト と の 定 期 便 が 就 航
イ ラ ク 航 空 は 2 月 後 半 、20 年 以 上 ぶ り に ク ウ ェ ー ト と の 間 で 週 2 便 の 定 期 便 の 就 航 を 開
始した。1 年ほど前から民間航空会社がクウェート便を就航していた。イラク航空は、巡
礼客の増加などを見込んで増便することも検討されている。イラク航空はスウェーデン、
イ ギ リ ス 、 マ レ ー シ ア 、 デ ン マ ー ク な ど に も 就 航 し て い る 。( Iraq Directory, 2014.03.17)
2.4.3. バ グ ダ ー ド ・ バ ス ラ 間 に 新 鉄 道 車 両
バ グ ダ ー ド・バ ス ラ 間 に 10 台 の 新 車 両 が 走 行 を 開 始 す る 。こ れ ま で 2 つ し か 旅 客 車 両 が
な く 、400 マ イ ル の 距 離 を 時 速 40 マ イ ル で 走 っ て い た 。新 車 両 は 中 国 製 で 2 月 に 納 入 さ れ
た 。イ ラ ク の 砂 漠 気 候 や 砂 塵 に も 対 応 し て お り 、両 都 市 間 の 移 動 時 間 は 半 分 に 短 縮 さ れ る 。
2 両 が 機 関 車 部 分 で 8 両 が 旅 客 部 分 と な り 、 343 名 の 乗 客 収 容 能 力 を 持 つ 。( Wired,
2014.03.24)
2.5. 石 油 ・ ガ ス
2.5.1. 生 産 状 況
2.5.1.1.
2013 年 平 均 輸 出 量 は 239.1 万 b/d
2013 年 の 平 均 原 油 輸 出 量 は 239.1 万 b/d だ っ た 。う ち 南 部 輸 出 が 212.7 万 b/d、北 部 輸 出
が 25.3 万 b/d、ヨ ル ダ ン 向 け が 1 万 b/d。収 入 は 891.45 億 ド ル 。予 算 上 は 290 万 b/d が 想 定
さ れ て い た 。 KRG か ら の 供 給 予 定 量 の 25 万 b/d を 引 く と 、 予 算 想 定 に 満 た な か っ た イ ラ
ク 石 油 省 の 輸 出 量 は 25.9 万 b/d と な る 。南 部 の 悪 天 候 や イ ン フ ラ 建 設 、北 部 の パ イ プ ラ イ
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JIME 国別定期報告「イラク」2014 年 1-3 月
ン 攻 撃 な ど が 影 響 し た 。想 定 油 価 は 90 ド ル だ っ た が 、実 際 に は 102.35 ド ル だ っ た 。
( Iraq Oil
Report, 2014.01.04)
2.5.1.2.
12 月 の 輸 出 量
12 月 の 輸 出 量 は 234.1 万 b/d で 、 11 月 よ り 4 万 b/d 減 少 し た 。 う ち 南 部 輸 出 が 208.1 万
b/d で 、 11 月 の 207.2 万 b/d よ り わ ず か に 増 加 。 北 部 輸 出 が 26 万 b/d で 11 月 の 30.9 万 b/d
か ら 大 幅 減 と な っ た 。 生 産 量 は 300.2 万 b/d だ っ た 。
南 部 の 輸 出 タ ー ミ ナ ル の メ ン テ ナ ン ス が 9 月 か ら 12 月 ま で 続 い て い た が 、SPM2 機 及 び
ホ ー ル ・ ア マ ー ヤ の 桟 橋 2 本 は 12 月 末 ま で に 通 常 操 業 に 戻 っ た 模 様 。 こ れ に よ り 2012 年
4 月 の 設 置 か ら 初 め て 、 SPM2 機 が 同 時 に 利 用 可 能 と な る 。 1980 年 の イ ラ ン ・ イ ラ ク 戦 争
開始以降初めて、ファオ港の陸上ターミナルからの積み出しが始まった。南部の輸出能力
は 300 万 b/d と な り 、2014 年 の 生 産・ 輸 出 増 加 に 対 応 で き る 。た だ し 、12 月 の 悪 天 候 や メ
ン テ ナ ン ス で 1 月 の 船 積 み に も 遅 れ が 出 て い る 。( Platts Oilgram News, 2014.01.03; Iraq Oil
Report, MEES, 2014.01.04, 石 油 省 ウ ェ ブ サ イ ト )
2.5.1.3.
1 月の輸出量
1 月 の 輸 出 量 は 前 月 比 11.3 万 b/d 減 の 222.8 万 b/d だ っ た 。1 月 は ア ン バ ー ル 県 の 騒 乱 を
う け て 、 ヨ ル ダ ン 向 け ト ラ ッ ク 輸 出 が 停 止 し た 。 南 部 輸 出 が 4.5 万 b/d 減 少 し た 理 由 は 、
メンテナンスの継続と悪天候によって 8 日間にわたって輸出が停止したことによる。北部
輸 出 も 6.8 万 b/d 減 少 し て 19.2 万 b/d と な り 、3 ヶ 月 ぶ り に 20 万 b/d を 切 っ た 。
( Platts Oilgam
News, 2014.02.05, 石 油 省 ウ ェ ブ サ イ ト )
2.5.1.4.
2 月の輸出量
2 月 の 輸 出 量 は 前 月 比 57.1 万 b/d 増 加 し て 277.9 万 b/d と な っ た 。 生 産 量 は 341 万 b/d。
い ず れ も 、 1979 年 以 来 で 最 高 レ ベ ル と な っ た 。
南 部 生 産 が 279.1 万 b/d で 前 月 よ り 57.7 万 b/d 増 加 し た 。 ハ ル フ ァ ヤ 油 田 を 含 む マ イ サ
ー ン 油 田 群 か ら の 生 産 が 1 月 の 18.2 万 b/d か ら 23.9 万 b/d に 増 え た 他 、10 月 か ら ガ ッ ラ ー
フ 油 田 、 マ ジ ュ ヌ ー ン 油 田 が 生 産 を 開 始 ( 生 産 量 は そ れ ぞ れ 3.5 万 b/d、 17.5 万 b/d) し た
こ と も 影 響 し て い る 。こ う し た 生 産 拡 大 は 輸 出 設 備 の 拡 張 で 可 能 に な っ た 。南 部 の バ ス ラ・
オ イ ル・タ ー ミ ナ ル の オ フ シ ョ ア 設 備 が 完 成 し 、2 機 の SPM と バ ス ラ 港 の 5 つ の 積 み 込 み
場所が同時に稼働できるようになり、メータリング・ステーションも取り付けられた。3
機 目 の SPM は 今 年 半 ば に 接 続 予 定 。た だ し 、フ ァ オ の タ ン ク と ポ ン ピ ン グ・ス テ ー シ ョ ン
の建設は遅れている。ファオの貯蔵施設不足がボトルネックになっていることはシャハリ
ス タ ー ニ 副 首 相 も 認 め て い る 。SCOP は 5750 万 bbl の タ ン ク を EPC 契 約 で 建 設 す る と い う
野 心 的 だ が 曖 昧 な 提 案 を 行 っ て い る 。 バ ス ラ か ら ハ デ ィ ー サ ま で の 225 万 b/d の 戦 略 パ イ
プ ラ イ ン の 完 成 も 2018 年 半 ば で あ る 。
北 部 生 産 は 61.9 万 b/d で 、1 月 よ り 1.5 万 b/d 減 少 。キ ル ク ー ク 油 田 を 含 む NOC の 生 産
量 が 48.7 万 b/d、 東 バ グ ダ ー ド 油 田 や ア フ ダ ブ 油 田 な ど を 管 轄 す る Midland Oil Company
の 生 産 が 13.2 万 b/d。 ア フ ダ ブ 油 田 の 生 産 量 は 北 部 と し て 計 上 さ れ る が 、 輸 出 は 南 部 に 含
ま れ て い る 。北 部 輸 出 は 29.3 万 b/d で 1 月 よ り 10.1 万 b/d 増 加 。地 元 で は 必 要 と さ れ な い
燃 料 油 、NGL も 輸 出 に 含 ま れ て い る 。1 月 、2 月 は ヨ ル ダ ン へ の ト ラ ッ ク 輸 出 は な か っ た 。
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JIME 国別定期報告「イラク」2014 年 1-3 月
( MEES, 2014.03.07; PIW, 2014.03.10; MEES, 2014.03.21; Platts Oilgram News, 2014.03.26)
2.5.1.5.
2014 年 生 産 量 見 通 し
第 一 四 半 期 に 原 油 生 産 量 は 26 万 b/d の 増 加 見 通 し で あ る 。石 油 省 見 通 し で は 年 間 の 生 産
増 加 予 定 量 は 50 万 b/d と な っ て い る 。ル ア イ ビ 石 油 相 は 12 月 23 日 に 生 産 量 が 341.6 万 b/d
に達したと発表したが、専門家は、継続可能な生産量という意味では貯油庫の関係でもっ
と 少 な い と み て い る 。 南 部 の 貯 油 庫 の キ ャ パ シ テ ィ は 700 万 bbl。
な お 、 石 油 省 発 表 の 11 月 の 生 産 量 は 277 万 b/d だ が 、 MEES は KRG 分 を 含 め る と 310
万 b/d、 同 10 月 が 303 万 b/d と み て い る 。( MEES, 2014.01.04)
2.5.1.6.
日本の対イラク原油輸入
2013 年 11 月 の 日 本 の イ ラ ク か ら の 原 油 輸 入 量 は 6.6 万 b/d で 、 サ ウ ジ 、 UAE、 カ タ ル 、
ロ シ ア 、 ク ウ ェ ー ト 、 イ ン ド ネ シ ア 、 イ ラ ン 、 オ マ ー ン 、 中 立 地 帯 に 次 ぐ 第 10 位 だ っ た 。
同 月 の 日 本 の 原 油 輸 入 総 量 は 372.2 万 b/d だ っ た 。( PIW, 2014.01.06)
2.5.1.7.
ヘムリン油田が生産開始
NOC は 2 月 半 ば 、 4500b/d で ヘ ム リ ン 油 田 の 生 産 を 開 始 し た 。 第 一 フ ェ ー ズ と し て 6 万
b/d の 生 産 を 見 込 ん で い る 。 し か し 、 同 油 田 は キ ル ク ー ク 県 と サ ラ ー ハ ッ デ ィ ー ン 県 の 境
に あ り 、 治 安 の 悪 い 地 域 で も あ り 、 職 員 が 脅 迫 を 受 け る な ど し て い る 。( Iraq Oil Report,
2014.02.19)
2.5.1.8.
パイプライン爆破攻撃が頻発
 1 月 2 日、サラーハッディーン県ベイジ近くで爆弾 2 発によってイラク・トルコ・パイ
プ ラ イ ン が 攻 撃 さ れ た 。NOC の 平 均 生 産 量 は 49 万 b/d で う ち 輸 出 量 は 24 万 b/d。爆 破
事 件 後 も 生 産 量 は か わ ら ず 、 K1 ス ト レ ー ジ タ ン ク に 向 け ら れ て い る と の こ と で あ る 。
NOC に よ る と 2013 年 の 同 パ イ プ ラ イ ン の 攻 撃 回 数 は 54 回 だ っ た 。 主 た る 攻 撃 者 は 、
サ ラ ー ハ ッ デ ィ ー ン 県 や ニ ナ ワ 県 の 密 輸 マ フ ィ ア 、な い し は ISIS と 見 ら れ て い る 。
( Iraq
Oil Report, 2014.01.04)
 1 月 13 日 、ア ブ ダ ッ ラ ・ハ イ ヤ ー デ ィ・デ ィ ヤ ー ラ 県 バ ァ ク ー バ 市 長 は 同 日 朝 に バ ァ ク
ー バ 南 35km の ハ ズ ア リ ー ヤ で 、石 油 パ イ プ ラ イ ン 警 護 部 隊 の 検 問 所 が 武 装 集 団 に 襲 撃
さ れ て 、1 名 が 死 亡 、3 名 が 負 傷 し た と 明 ら か に し た 。ま た 、石 油 パ イ プ ラ イ ン の プ ロ
ジ ェ ク ト に 従 事 し て い る イ ラ ン 企 業 の 機 材 に も 火 を 放 っ た 。( al-Sumaria, 2014.01.13)
 2 月 17 日 、イ ラ ク ・ ト ル コ ・ パ イ プ ラ イ ン が 、ベ イ ジ の 北 で 起 こ っ た 爆 発 後 に 稼 働 を 停
止 し た 。数 日 で 復 旧 の 見 通 し 。爆 発 前 の 生 産 状 況 は 48 万 b/d で 、 う ち 32 万 b/d が ITP
へ 、 16 万 b/d が ベ イ ジ な ど の 製 油 所 に 供 給 さ れ て い た 。( Iraq Oil Report, 2014.02.19)
 イラク・トルコ・パイプラインは武装勢力の攻撃によって、3 月 8 日以降、送油が停止
し て い る 。 8 日 は ニ ナ ワ 県 の カ イ ヤ ー ラ 付 近 で 攻 撃 さ れ た 。 2013 年 は 週 に 1 度 の ペ ー
スで攻撃されていたので、技術者は応急措置には慣れているが、今回はイラク軍に警
護された技術者チームが銃撃され、修理を行えないでいる。そのため、キルクーク油
田 の タ ン ク は 満 杯 で 、 生 産 量 を 20 万 b/d 強 に と ど め 、 ベ イ ジ や キ ル ク ー ク の 製 油 所 に
送 っ て い る 。 ボ ト ル ネ ッ ク を 解 消 し て キ ル ク ー ク 油 田 を 南 に 流 す た め に 、 NOC は キ ル
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JIME 国別定期報告「イラク」2014 年 1-3 月
ク ー ク 油 田 と ハ デ ィ ー サ の 貯 蔵 施 設 の 間 に 180km の パ イ プ ラ イ ン 建 設 を 予 定 し て い る 。
( Iraq Oil Report, MEES, 2014.03.14)
2.5.2. IOCsの 動 向 ・ 開 発 状 況
2.5.2.1.
KOGASが ア ッ カ ー ス ・ ガ ス 田 の 権 益 一 部 譲 渡 を 検 討
KOGAS は 現 在 単 独 で 開 発 す る ア ッ カ ー ス ・ ガ ス 田 に 関 し て 、 2015 年 9 月 に 商 業 生 産 を
開始した後、一部の権益を手放すことを検討している。具体的なパーセンテージは韓国政
府 が 決 め る こ と に な る 。 KOGAS は 韓 国 政 府 か ら 、 海 外 事 業 に 伴 う 負 債 の 削 減 の 圧 力 を 受
け て い る 。 KOGAS の 権 益 は 韓 国 財 務 省 が 26.86%、 国 営 の Korea Electric Power Corp が
24.46%、 国 家 年 金 サ ー ビ ス が 6.56%を 保 有 し て お り 、 残 り は 個 人 投 資 家 が 持 っ て い る 。 オ
ペ レ ー タ は 維 持 す る 予 定 で あ る 。( Platts Oilgram News, 2014.02.10; Petroleum Argus,
2014.02.14)
2.5.2.2.
Sonangolが 撤 退
2 月 26 日 、Sonangol 幹 部 は 、カ イ ヤ ー ラ 油 田 と ナ ジ ュ マ 油 田 の 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト か ら 撤
退する意向を明らかにした。大きな投資が必要とされているが、リスクが大きいとしてい
る。昨年半ば頃から真剣に撤退を検討し始めていた。開発に遅れが生じており、石油省は
開 発 期 限 の 延 長 に 応 じ て き た 。 今 月 に も 、 油 田 へ の 攻 撃 が あ っ た と い う 。( Iraq Oil Report,
2014.02.26)
2.5.2.3.
Eniが 不 満 を 表 明
Eni の ス カ ロ ー ニ CEO が 、官 僚 主 義 が 改 善 し な い な ら ば 同 社 は ズ ベ イ ル 油 田 か ら 撤 退 す
る か も し れ な い と 脅 し た こ と で 、イ ラ ク 政 府 は 2 月 末 、総 額 10 億 ド ル の 脱 ガ ス 装 置 2 基 の
契 約 許 可 を 出 し た 。IOCs の ほ と ん ど が 官 僚 手 続 き に よ る 遅 れ に 懸 念 を 述 べ て い る 。BP も 、
過 去 数 週 間 、 石 油 省 が 契 約 を 許 可 し な か っ た こ と で 100 名 の 労 働 者 一 時 解 雇 す る 事 態 に な
っ た 。ル ア イ ビ 石 油 相 は 2 月 24 日 に IOCs に 対 し て 、同 省 が 障 害 を 取 り 除 く べ く 努 力 し て
い く と 確 認 し た 。( Petroleum Argus Weekly, 2014.02.28)
2.5.2.4.
Lukoilは 西 ク ル ナ 油 田 2 の 生 産 を 3 月 に 開 始
Lukoil は 西 ク ル ナ 油 田 2 の 生 産 を 3 月 後 半 に 開 始 予 定 。年 末 ま で に 40 万 b/d を 生 産 予 定
で あ る 。( Platts Oilgram News, 2014.03.07)
2.5.3. エ ネ ル ギ ー 政 策
2.5.3.1.
ナースィリーヤ製油所プロジェクトを延期
石 油 省 は ナ ー ス ィ リ ー ヤ 製 油 所 プ ロ ジ ェ ク ト の 入 札 を 2014 年 6 月 19 日 に 5 ヶ 月 間 延 期
す る こ と を 発 表 し た 。入 札 保 証 金 の 締 め 切 り が 1 月 13 日 だ っ た が 、そ の 結 果 入 札 企 業 が 十
分 で な い と 判 断 し た 模 様 で あ る 。当 初 は 12 月 19 日 の 予 定 だ っ た が 、11 月 に 1 月 へ 延 期 さ
れていた。
このプロジェクトは、契約形態の変更や製油所能力の拡張という点で、大きな注目を集
めている。国際石油会社の関係者によると、生産分与契約に近いものになるという。
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JIME 国別定期報告「イラク」2014 年 1-3 月
事 前 審 査 通 過 企 業 は 、上 流・下 流 両 方 が Reliance( イ ン ド )、日 揮・東 燃 ゼ ネ ラ ル( 日 本 )、
Rosneft( ロ シ ア )、Zarubezheft( ロ シ ア )、上 流 部 門 の み が Maurel Et Prom( 仏 )、下 流 部 門
の み Lukoil( ロ シ ア )、 Total( 仏 )、 CNPC( 中 国 )、 Brown Energy( 米 国 )、 Essar UAE( イ
ン ド )、GS Enginering( 韓 国 )、ONGC( イ ン ド )。
( Iraq Oil Report, 2014.01.14; MEES, 2014.01.17,
2014.02.28)
2.5.3.2.
カ ル バ ラ の 製 油 所 建 設 EPCを ヒ ュ ン ダ イ が 受 注
イ ラ ク 政 府 は 2 月 7 日 、 カ ル バ ラ の 製 油 所 建 設 案 件 を 承 認 し た 。 EPC 契 約 で 工 期 54 ヶ
月 、 コ ス ト 60.4 億 ド ル 、 能 力 14 万 b/d。 石 油 省 は 2007 年 以 降 、 低 価 格 で の 原 油 供 給 や 無
税期間などを定めた法律を作成して製油所案件への外資の誘致を図ってきた。しかし、国
際市場は規模の経済を重視し、石油化学との統合を重視する傾向にある中、イラクの製油
所は総じて小規模で、誘致に難航してきた。そのため、建設契約に切り替え、石油省が運
営する形とした。
受 注 し た の は 韓 国 4 社 コ ン ソ ー シ ア ム で 、 コ ン ソ ー シ ア ム の 構 成 は Hyundai Engineering
and Construction と Hyundai Engeering が 各 37.5%、GS Engineering and Construction が 37.5%、
SK Engineering and Construction が 25%。FEED は 仏 Technip が 2010 年 に 完 了 し 、同 社 は 2013
年 に こ の EPC プ ロ ジ ェ ク ト の プ ロ ジ ェ ク ト・マ ネ ー ジ メ ン ト の コ ン サ ル 契 約 を 締 結 し て い
る。
そ の 後 、 SCOP が 2 月 に EPC 契 約 を 締 結 し た 。( Iraq Oil Report, 2014.01.08; MEES,
2014.01.10, 2014.02.21)
2.5.3.3.
Karグ ル ー プ が ニ ナ ワ 県 に 製 油 所 建 設
ニ ナ ワ 県 は 、 Kar グ ル ー プ が ニ ナ ワ 県 に 9 万 b/d の 製 油 所 を 建 設 す る こ と が 決 ま っ た と
発 表 し た 。 Kar グ ル ー プ と ト ル コ の Calik Energy が 製 油 所 及 び 関 連 発 電 所 の プ ロ ポ ー ザ ル
を 出 し て い た 。第 一 フ ェ ー ズ で 6 万 b/d、第 二 フ ェ ー ズ で 9 万 b/d が 予 定 さ れ て い る 。ニ ナ
ワ県議会が 2 月半ばに認可した。ヌジャイフィ知事によると、モスル北東のハムダーニー
ヤ の 町 の Khazar エ リ ア に 建 設 さ れ る 。 正 式 契 約 に は ま だ 至 っ て い な い 。 300MW の 発 電 所
も 建 設 さ れ る 予 定 だ が 、 Kar グ ル ー プ が 手 が け る の か ど う か は 明 ら か で は な い 。
し か し 、イ ラ ク 政 府 は ニ ナ ワ 県 に は 許 可 な く そ う し た 契 約 を 結 ぶ 権 利 は な い と し て い る 。
Kar グ ル ー プ は 民 間 企 業 と 名 乗 っ て い る が 、産 業 筋 に よ る と KRG が 管 理 し て い る 。ジ ハ ー
ド石油省報道官は、ニナワ県の製油所計画について、調査を終了したものの、治安悪化を
受けて計画は棚上げされており、イラク政府が計画を進めるのは治安が改善してからであ
り 、 独 自 に 建 設 さ れ た 製 油 所 に は 原 油 は 供 給 し な い と し て い る 。( MEES, Petroleum Argus
Weekly, 2014.02.21, Emirates 24/7)
2.5.3.4.
国営石油会社 2 社の立ち上げを検討
イ ラ ク 石 油 省 は 1 月 22 日 、デ ィ ー カ ー ル 、ワ ー ス ィ ト の 国 営 石 油 会 社 立 ち 上 げ の 最 終 技
術 承 認 を 与 え た 。2008 年 の マ イ サ ー ン 石 油 会 社 立 ち 上 げ に 見 ら れ る よ う に 、10 万 b/d 以 上
を生産する県は地元の石油会社を立ち上げることができる。マイサーン同様、ディーカー
ル も SOC か ら の 分 社 と な る 予 定 。
デ ィ ー カ ー ル 県 の 最 大 の 油 田 は 4 万 b/d を 生 産 す る ナ ー ス ィ リ ー ヤ 油 田 と 7 万 b/d を 生
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JIME 国別定期報告「イラク」2014 年 1-3 月
産 す る ガ ッ ラ ー フ 油 田 で 、前 者 は 入 札 後 30 万 b/d の 生 産 を 想 定 、後 者 は 4 年 間 で 23 万 b/d
に達する予定である。
ワ ー ス ィ ト 県 の 場 合 は ア フ ダ ブ 油 田 が 13 万 b/d を 生 産 、 来 年 に は 20 万 b/d を 予 定 。 バ
ド ラ 油 田 は 1 月 9 日 に 7000b/d で 生 産 を 開 始 し 、 4 年 で 17 万 b/d に 達 す る 予 定 。 同 県 は 現
在 、 Midland 石 油 会 社 の 管 轄 に あ る 。
Midland 石 油 会 社 が バ グ ダ ー ド 、 デ ィ ヤ ー ラ 、 サ ラ ー ハ ッ デ ィ ー ン 、 ア ン バ ー ル 、 バ ー
ビ ル の 各 県 を 管 轄 し て お り 、NOC が キ ル ク ー ク 県 と ニ ナ ワ 県 を 管 轄 、SOC は 、デ ィ ー カ ー
ル 石 油 会 社 が 立 ち 上 げ ら れ た 後 は 、 バ ス ラ 県 だ け を 管 轄 す る こ と に な る 。( Iraq Oil Report,
2014.01.23)
2.5.3.5.
ファオ港にタンク増設
フ ァ オ 港 に 、4 つ の 原 油 タ ン ク が 完 成 し た 。さ ら に 12 の タ ン ク が 建 設 中 で 、そ の う ち い
く つ か は 2014 年 中 に 完 成 予 定 で 、完 成 す れ ば 悪 天 候 で も 生 産 を 停 止 す る 必 要 は な く な る だ
ろ う と シ ャ ハ リ ス タ ー ニ 副 首 相 が 明 ら か に し た 。( MEES, 2014.01.31)
2.5.3.6.
ヨルダン向けパイプライン計画
石油省関係者は先週、入札参加資格を得たコントラクタと会合を行った。コントラクタ
には、パイプライン、ポンピング・ステーション、貯油庫の他に、カルバラの石油貯蔵施
設、アカバの製油所や発電所も含まれる可能性があることが言及された。技術提案は 6 月
3 日 、商 業 提 案 は 7 月 20 日 が 締 め 切 り で あ る 。SCOP と コ ン サ ル タ ン ト の SNC が 8 月 3 日
までにそれらを精査して、6 ヶ月間の期間で、好ましい入札者と交渉を行う。送油開始は
2017 年 始 め な い し 2018 年 初 め を 見 込 ん で い る 。( MEES, 2014.02.28)
2.5.4. ク ル デ ィ ス タ ン 地 域
2.5.4.1.
イラン向け輸出
ド バ イ の 貿 易 筋 に よ る と 、 イ ラ ン 向 け の KRG に よ る ト ラ ッ ク 輸 出 は 、 UAE の フ ジ ャ イ
ラ の 貯 油 庫 に 向 け ら れ て い る 模 様 で あ る 。 以 前 は イ ラ ン に よ っ て 原 油 か ら 燃 料 油 (fuel oil)
に 転 換 し て フ ジ ャ イ ラ に 送 ら れ て い た 。 輸 出 量 は 3 ~ 4 万 b/d と み ら れ る 。( MEES,
2014.01.04)
2.5.4.2.
埋 蔵 量 を 600 億 bblに 引 き 上 げ
KRG は 外 資 に よ る 探 鉱 活 動 の 結 果 と し て 、 従 来 の 450 億 bbl の 埋 蔵 量 推 定 を 600 億 bbl
に引き上げた。数値は推測を含んでおり、客観的に検証はされていない。現在の生産能力
は 40 万 b/d、 う ち 域 内 消 費 量 が 10 万 b/d と し て い る 。
2.5.4.3.
トルコ向けトラック輸出
ト ル コ 向 け の ト ラ ッ ク 輸 出 は KRG に よ る 独 自 パ イ プ ラ イ ン 輸 出 が 始 ま っ た 後 も 続 い て
い る 。市 場 筋 に よ る と 、購 入 者 は オ ー ス ト リ ア の OMV、貿 易 業 者 の Crown Hill Investment、
さ ら に 他 に 1 社 。 MEES の 推 定 で は ト ラ ッ ク 輸 出 量 は 6.5~ 7 万 b/d イ ラ ク 政 府 は メ ル シ ン
な い し は Doryol か ら 輸 出 さ れ る ト ラ ッ ク 輸 送 分 に つ い て は 特 段 の 措 置 を 講 じ て い な い 。
( MEES, 2014.01.14; Plats Oilgram News, 2014.02.04)
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JIME 国別定期報告「イラク」2014 年 1-3 月
2.5.4.4.
トルコ向けパイプライン原油輸出を開始、ジェイハン港に貯蔵
KRG 天 然 資 源 省 は 、 1 月 8 日 、 1 月 初 旬 か ら 新 パ イ プ ラ イ ン を 使 っ て ト ル コ 向 け 原 油 の
送 油 を 開 始 し た と 発 表 し た 。KRG の 石 油 販 売 会 社 で あ る KOMO が 1 月 末 ま で に 200 万 bbl
の 原 油 を 販 売 す る 意 向 と し て い る 。2 月 末 ま で に 400 万 bbl、3 月 末 ま で に 600 万 bbl、2014
年 末 ま で に 1000~ 1200 万 bbl に な る と 発 表 し た 。原 油 は 国 際 価 格 で 販 売 さ れ 、SOMO を「 オ
ブザーバとして」入札プロセスに歓迎するとしている。
1 月 12 日 、 シ ャ ハ リ ス タ ー ニ 副 首 相 は ト ル コ の Efe Ceylan 臨 時 代 理 大 使 を 呼 び 出 し て 、
クルディスタン地域からの中央政府の許可のない輸出を非難した。シャハリスターニ副首
相によると、トルコ政府関係者はイラク石油省関係者がクルディスタン地域から輸出され
る 原 油 の 監 督 す る こ と を 拒 否 し た と い う 。 一 方 、 マ ー リ キ 首 相 は 1 月 12 日 、 KRG が パ イ
プ ラ イ ン 輸 出 を 進 め る な ら ば KRG の 予 算 配 分 を 削 減 す る と 語 っ た 。 ロ イ タ ー と の イ ン タ
ビューで首相は、
「 憲 法 違 反 で あ り 、地 域 に 対 し て も ト ル コ に 対 し て も 決 し て 許 さ な い 」と
述 べ た 。ま た 、イ ラ ク 政 府 は 、KRG に よ る 輸 出 を 密 輸 と 見 な し て 関 係 者 を 訴 追 す る 考 え を
明らかにしている。ジハード石油省報道官は、このプロセスに関与するいかなる個人、企
業に対しても司法手続きがとられることになると語った。
ユ ル ド ゥ ズ ・ ト ル コ ・ エ ネ ル ギ ー 相 は 1 月 14 日 の 記 者 会 見 で 、「 透 明 性 の あ る 状 態 で 」
クルディスタン地域からの原油が現在もトルコに流れていると明らかにした。原油は国際
価 格 で 国 際 市 場 へ 販 売 さ れ る と し て 、デ ー タ を SOMO と 共 有 す る 準 備 が あ る と 語 っ た 。石
油収入はイラク全土のものになる、と述べ、トルコは通行料をとるだけでイラクの利益に
な る 旨 を 強 調 し た 。 一 方 、 キ ル ク ー ク ・ ジ ェ イ ハ ン P/L に つ い て 、 昨 年 7 月 1 日 以 来 、 イ
ラ ク 国 内 の 事 件 に よ る 供 給 途 絶 は 13 回 に 上 っ た と 苦 言 を 呈 し た 。
し か し 、原 油 は 輸 出 さ れ る こ と な く 、ジ ェ イ ハ ン 港 で 足 止 め さ れ て い る 。KRG と イ ラ ク
政府の間で交渉がまとまるまで、クルディスタン原油はジェイハンから輸出されない、と
ユルドゥズ・トルコ・エネルギー相が明らかにした。エネルギー省関係者によると、ジェ
イ ハ ン の 貯 油 庫 の キ ャ パ は 950~ 1000bbl で 、契 約 上 キ ル ク ー ク 原 油 に 優 先 権 が あ る 。し か
も 、2 本 の パ イ プ ラ イ ン か ら 原 油 を 混 ぜ る こ と な く 別 の 貯 油 庫 へ 移 す こ と は で き な い た め 、
キルクーク原油が流れている時はそちらが優先される。石油会社によると、輸送量は 5 万
b/d を 超 え た こ と は な く 、1 月 19 日 の シ ャ ハ リ ス タ ー ニ 副 首 相 と ネ チ ル ヴ ァ ン KRG 首 相 及
び ハ ウ ラ ー ミ KRG 天 然 資 源 相 と の 話 し 合 い の 後 、 低 下 し 始 め た 模 様 で あ る 。
シ ャ ハ リ ス タ ー ニ 副 首 相 は 2 月 19 日 、KRG と の 話 し 合 い を 経 て 、KRG は SOMO が 一 括
し て 原 油 輸 出 を 行 う こ と に 同 意 し た と 述 べ た 。依 然 と し て 未 解 決 な 点 は 、KRG が 石 油 輸 出
収 入 を DFI の 中 の プ ラ イ ベ ー ト・ア カ ウ ン ト に デ ポ ジ ッ ト さ れ る こ と を 求 め て い る こ と だ
とことで、依然として解決には至っていない。
な お 、ユ ル ド ゥ ズ・ト ル コ・エ ネ ル ギ ー 相 は 3 月 25 日 、ジ ェ イ ハ ン の 貯 蔵 タ ン ク が い っ
ぱいになったら、トルコはイラク・クルディスタンの原油をイラクにかわって国際市場に
販 売 し た い と テ レ ビ の イ ン タ ビ ュ ー で 語 っ た 。 KRG に 割 り 当 て ら れ て い る タ ン ク 容 量 は
250 万 bbl、現 在 ま で に 135 万 bbl が 貯 蔵 さ れ て い る( Iraq Oil Report, 2014.01.09, 2013.01.13,
2014.01.30; AP, 2014.01.09; Hurriet Daily News, 2014.01.12; MEES, 2014.01.24; Platts Oilgram
News, 2014.01.15, 2014.01.23, 2014.02.04; Reuters, 2014.02.19; Gulf Times, 2014.03.26)
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JIME 国別定期報告「イラク」2014 年 1-3 月
2.5.4.5.
イラク政府が法律事務所と契約
イ ラ ク 政 府 は 、 国 際 法 律 事 務 所 Vinson & Elkins ロ ン ド ン 事 務 所 に 対 し て 、 KRG が 独 自
の石油輸出を開始した際の代理人となることを求めた。同社は過去にもイラク政府の代理
人を務めたことがある。クルディスタンからの原油を購入した企業を訴える構えで、イラ
ク 政 府 関 係 者 は 、 パ イ プ ラ イ ン に よ る 輸 出 は 6 万 bbl を ト ラ ッ ク で 運 ぶ の は 次 元 が 異 な る
としている。弁護士によると、訴訟ではイラク政府側に困難も予想されるが、むしろ脅し
によって企業に原油を購入させないことを狙っている。メジャー企業も、イラク政府との
契 約 を 失 う こ と を 恐 れ て KRG 原 油 に は 触 ら な い と い う 。( Reuters, 2014.01.30; MEES,
2014.02.07)
2.5.4.6.
バジアン製油所拡張計画
ス レ イ マ ニ ヤ の バ ジ ア ン 製 油 所 を 運 営 す る カ イ ワ ン 社 は 、 精 製 能 力 を 現 行 の 3.4 万 b/d
か ら 8.4 万 b/d に 拡 張 す る た め に EPC 契 約 を 締 結 す べ く 、 企 業 に 入 札 へ の 参 加 を 求 め た 。
FEED は 仏 Technip が 終 え て い る 。 2018 年 か ら 拡 張 部 分 の 商 業 生 産 を 開 始 す る 予 定 。 あ わ
せ て 、タ ク タ ク 油 田 と ビ ナ バ ウ ィ 油 田 か ら 原 油 を 得 る た め 120km、18 イ ン チ の パ イ プ ラ イ
ン の 建 設 を 予 定 し て い る 。 ま た 、 バ ジ ア ン 製 油 所 近 郊 に 750MW の 発 電 所 を 建 設 す る 契 約
も KRG 電 力 省 と 締 結 し て い る 。( MEES, 2014.03.07)
2.5.4.7.
KRGは オ ペ レ ー タ の 企 業 数 削 減 を 検 討
クルディスタン地域で操業している独立系企業のいくつかは、探鉱段階から開発段階に
入 っ た 時 点 で フ ァ ー ム ア ウ ト す る と 見 ら れ て い る 。 KRG は 2014 年 に 、 オ ペ レ ー タ の 数 を
絞 っ て 生 産 を 増 加 さ せ よ う と 検 討 し て い る 。( MEES, 2014.03.14)
2.5.4.8.
KRGが SOMO経 由 で 10 万 b/dの 輸 出 を 提 示
3 月 20 日 、 KRG は 善 意 の 意 思 表 明 と し て 、 4 月 1 日 か ら 前 提 条 件 な し で 10 万 b/d の 原
油輸出を再開すると発表した。石油輸出及び予算法案の交渉がポジティブな方向で進む限
り 継 続 す る と し て い る 。 ネ チ ル ヴ ァ ン KRG 首 相 は 3 月 16 日 に ア ン カ ラ を 訪 れ た が 、 ト ル
コがバグダードの許可なく石油を輸出しないという姿勢を崩していない。それも、今回の
輸 出 再 開 の 理 由 だ と イ ス タ ン ブ ー ル の シ ン ク タ ン ク BILGESAM の ア リ・セ ミ ン 氏 は 指 摘 す
る。
輸 出 再 開 は 米 国 の 強 い プ レ ッ シ ャ ー に よ る も の で あ る 。3 月 20 日 に バ イ デ ン 副 大 統 領 が
マ ー リ キ 首 相 と バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 に 電 話 を し て お り 、 そ れ に 先 立 つ 1 週 間 に は マ ク
グーク国務次官補が少なくともバグダードとエルビルを 2 回往復するなど、仲介を続けて
い た 。 米 国 は 、 ま ず KRG パ イ プ ラ イ ン 輸 出 を 最 初 に 解 決 し て 、 そ れ か ら 予 算 に 取 り 組 む
よう求めている。
今 回 、 輸 出 収 入 は 米 国 の FRB に 入 り 、 自 動 的 に KRG の 収 入 シ ェ ア は サ ブ 口 座 に 入 る 模
様 。 し か し 、 首 相 は 財 務 省 に 対 し て 、 DFI の ク ル ド ・ ア カ ウ ン ト を 承 認 す る 命 令 を 出 し て
いないとも報じられている。
KRG は 、 10 万 b/d 輸 出 発 表 以 降 、 連 邦 石 油 省 、 NOC と 協 力 し て き た が 、 キ ル ク ー ク ・
ジ ェ イ ハ ン P/L が 修 理 中 の た め 、KRG か ら の 原 油 を 受 け 取 る 用 意 が で き て い な い と の 連 絡
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JIME 国別定期報告「イラク」2014 年 1-3 月
を 石 油 省 及 び NOC か ら 受 け 取 っ た と 発 表 し た 。補 修 が 終 わ り 次 第 KRG が 輸 出 を 実 施 す る
こ と に 合 意 し て い る と の こ と で あ る 。( KRG ウ ェ ブ サ イ ト , 2014.03.20, 2014.03.31; Iraq Oil
Report, 2014.03.21; TurkishPress.com, 2014.03.23)
図 表 1: イ ラ ク の 精 製 能 力
出 所 : MEES, 2014.01.04
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国 別 定 期 報 告 「 イ ラ ク 」 2014 年 1–3 2014 年 4 月 22 日 発 行
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