医用放射線科学概論 課題レポート

医用放射線科学概論
課題レポート
Quantitative assessment of left ventricular function with
dual-source CT in comparison to cardiac magnetic
resonance imaging : initial findings
(Topic 16)
大学院保健学研究科 1 年
B08R101E
dual-source CT と心臓 MRI を比較した左心室機能の定量的評価:初期の研究成果
<概略>
心臓 MRI と心エコー検査は現在、左心室の容量と駆出率の定量化のための標準的なモダ
リティとみなされている。最新の dual-source CT(DSCT)の導入で増加した 83ms の時
間軸分解度は、CT での心機能の評価の改善もしなければならない。この研究の目的は、参
考標準として心臓 MRI を用いた左心室の機能のパラメータの評価で DSCT の精度を評価す
ることだった。15 人の患者(2 人の女性と 13 人の男性;平均年齢 50.8±19.2 歳)は、DSCT
(Somatom Definition; Siemens Medical Solutions, Forchheim, Germany)と 3.0 テスラ
の MR スキャナ(Magnetom Trio; Simens Medical Solutions)のそれぞれで、CT 検査と
MRI 検査を行った。複数の横断 CT 画像は、2 つの独立したブラインドオブサーバーによ
る、半自動的領域発達アルゴリズムで分析された。MRI では、短軸スライスの直接的なシ
ネループ(あらかじめ記録した管腔(患者の生体管状構造を意味しており、動脈、静脈、
心臓血管、脳血管、泌尿生殖器系の一部、腎臓系、肝臓系、気管支樹など)の 2 次元連続
画像を意味するものであり、これらは患者の検査臓器をリアルタイムで臓器のタイミング
信号と同期して繰り返し再生することができる)は、2 つの読み手による独立した半自動式
輪郭検出ソフトウェア(ARGUS; Siemens Medical Solutions)で評価された。収縮内容量
(ESV)、拡張内容量(EDV)、駆出率(EF)、そして 1 回拍出量(SV)は、両方のモダリ
ティによって決定され、相関係数、系統誤差、合致の範囲、そしてオブサーバー間の変動
性が評価された。DSCT では EDV と ESV はそれぞれ 135.8±41.9ml、54.9±29.6ml で、
MRI では、EDV は 132.1±40.8ml、ESV は 57.6±27.3ml であった。このように、EDV
は 3.7ml(合致の範囲で-46.1/+53.6)の過大評価をされ、ESV は 2.6ml(合致の範囲で
-36.6/+31.4)の過小評価をされた。EF は、DSCT では 61.6±12.4%で MRI では 57.9±
9.0%で、-14.7/+22.2%の合致の範囲で 3.8%の EF の過大評価という結果だった。順位
相関の rho(ギリシャ語アルファベットの第 17 字)値は EDV で 0.81(P=0.0024)、ESV
で 0.79(P=0.0031)、EF で 0.64(P=0.0168)であった。オブサーバー間の変動性の Kappa
(ギリシャ語アルファベットの第 10 字)値は EDV、ESV、EF で 0.85 になった。DSCT
は十分な診断精度の冠状動脈 CT 造影撮影法データセットから左心室の機能を定量化する
という可能性を提供し、広範囲の心臓評価においてモダリティの評価を増している。異な
る後処理方法とベータ遮断薬なしでの造影剤注入による生理的反応の影響により、適度な
値の違いがあるかもしれない。
<はじめに>
ESV と EDV、特に EF と心筋の集団での広域な左室機能の評価は、複数の心臓病の診断
で重要である。これまで、心機能のパラメータは通常、優れた時間的で空間的な分解度を
用いた心エコー検査または MRI で評価された。MRI は、心筋の直接的な画像化と機能評価
の参考標準としてみなされる。しかし、CT も心臓画像、特に約 83ms の DSCT の改良され
た時間分解度が次第に重要性を得てきている。重要な冠状動脈疾患を除外する信頼性のあ
る非侵襲性の冠状動脈 CT 血管造影法の高い臨床的な可能性は別として、心内膜輪郭の技術
固有の鮮明な描写と新しいスキャナ世代の時間軸分解度の改良は、心室機能を定量化する
ことをも可能にし、広範囲の心臓評価においてモダリティの評価を増している。この研究
の目的は、MRI に関して DSCT で左室関数パラメータの評価を評価することだった。
<題材と方法>
15 人の患者(2 人の女性と 13 人の男性;平均年齢 50.8±19.2 歳)は、研究に将来を見
通して含まれた。倫理委員会の承認は患者の加入前に得られ、すべての患者は情報に基づ
いた書面による承諾を与えた。それぞれの患者の CT と MRI スキャンは 1 週間以内(4±3
日)で入手された。
冠状動脈 CTA スキャンは DSCT スキャナ(Somatom Definition; Siemens, Forchheim,
Germany)で行なわれた。平均心拍数は 80±14 回/min だった。ベータ遮断薬は、スキャ
ンに備えて管理されてなかった。視準は 64×0.6mm、回転時間 0.33s、管電圧 120kV、管
電流 580mAs だった。造影剤(Ultravist, 370mg/ml; Bayer Schering, Berlin, Germany)
は、1.25ml/kg の量で体重に適応した方式により静脈内に注射され、流入率を注射時間 20s
とした。100HU の閾値での上行大動脈のボーラストラッキングは、タイミングのために使
われていた。100ml の生理食塩水の水洗が、通常用いられた。心臓の全容量は、心電図検
査法での痕跡の同時記録で、1 回の息止めにおいて 8~9s 以内に得られた。中間の柔らかい
包旋状態の粒(B26f)が、1mm の増加による 1mm のスライス厚で画像再建のために使わ
れた。より狭いスライスは記憶規制のための多相再建では可能でなかった。多相のデータ
セットは、初期の心収縮(RR 間隔の 0%)から心周期の 20 段階の後期の拡張期(RR 間隔
の 95%)まで 5%のステップで再建された。
MRI は、12 個の素子の心臓配列コイルで、3T の MRI システム(Magnetom Trio; Simens
Medical Solutions)上で実行された。心拍数は 65±15min だった。より限局化した画像は、
左心室の長軸を確認するために、3 つの面で得られた。長軸や短軸の撮影の直接的なシネル
ープは、42ms(TR3.2ms、TE1.4ms、フリップ角度 54~60°)の時間軸分解度で、8mm
のスライス厚と 1.4×1.8mm の平面内の決定で定常状態の前進技術(SSFP)で得られた。
左心室は、2mm の隙間で起点から頂まで、短軸スライスで覆われていた。画像データは、
全体で 10~15s の呼吸停止時間以内に得られた。
DSCT と MRI のデータセットは、互いの結果を知らない経験豊かな放射線科医によって
評価された。半自動式ソフトウェアのツール(Syngo Circulation on a Multi Modality
Workplace; Siemens, Forchheim, Germany)は CT データセットの評価のために用いられ
た(Fig.1 参照)。ソフトウェアは、150~300HU の間の密度でボクセル量を定量化する領域
発達アルゴリズムを使用する。僧帽弁と前中隔の領域は、手動で指定されなければならな
かった。この手順は、収縮内や、RR 間隔の拡張内の形相のために、二回しなければならな
かった。ソフトウェアはそれから長軸の撮影で自動的に左心室壁を捜し出し、必要に応じ
て手動で輪郭を修正するために、選択で乳頭筋と海綿を除外した。駆出率(EF)
、収縮内容
量(ESV)、拡張内容量(EDV)、そして 1 回拍出量(SV)は自動的に計算された。MRI
の評価のため、標準的なソフトウェアのツール(ARGUS; Siemens Medical Solutions)は、
直接的な短軸シネループから機能的なパラメータを定量するために使用された。ソフトウ
ェアは、少なくとも 1 枚のスライスの心内膜と心外膜の輪郭の最初の定義と収縮内と拡張
内のフレームの割当てを必要とする。ソフトウェアはそれから他のスライスに半自動的な
輪郭普及を提供するが、これらの輪郭の広範囲な手動修正は通常、実際の左心室壁と線を
合わせるために必要である。その輪郭データから、ソフトウェアは、同様に EF、ESV、EDV、
SV を定量化する。それゆえに、乳頭筋はこの評価において左心室の血液プールに含まれた。
MRI に関する DSCT の結果は、平均差と合致の範囲を含む線形回帰分析と Bland-Altman
計画で評価された。Bland-Altman 計画は、EDV、ESV、SV、EF,のために別々に発生し
た。それぞれの DSCT と MRI の評価の間の絶対差は詳細に記録されて、対サンプルに対す
る Wilcoxon 検査で、重要性を見つけるため検査された。オブサーバー間の変動性は、Cohen
の Kappa の計算で定量化された。値は、以下の通りに判断された。
Kappa
0.20
:乏しい合致
0.21~0.40:相当な合致
0.41~0.60:適度な合致
0.61~0.80:良い合致
0.81~1.00:非常に良い合致
<結果>
全 15 人の患者において、左心室輪郭検出は MRI と CT の両方で可能だった。DSCT を
使った平均 EDV は 135.8±41.9ml で、それに対し MRI での EDV は 132.1±40.8ml であ
った。平均 ESV は DSCT では 54.9±29.6ml、MRI では 57.6±27.3ml で、平均 SV は、
DSCT では 80.9±20.9ml、MRI では 74.5±18.1ml だった(Table1 参照)。左心室駆出率は
DSCT では 61.6±12.4%、MRI では 57.9±9.0%に達する。Bland-Altman 計画(Fig.2 参照)
は、-14.7~22.2%の合致の範囲で、3.8% の DSCT で EF の過大評価を示す。EDV と SV
もまた、それぞれ 3.7ml(-46.1/53.6)と 6.4ml(-30.8/43.5)の評価で、DSCT で最小
限に過大評価された。ESV は、2.6ml (-36.6/31.4)で、DSCT で過小評価された。槍兵
順 位 相 関 は 、 DSCT と MRI 間 の 有 意 な 相 関 関 係 (EF ( rho0.64,P=0.0168 )、
EDV(rho0.81,P=0.0024 )、 ESV ( rho0.79,P=0.0031 ) ) と 有 意 で は な い 相 関 関 係 ( SV
(rho0.36,P=0.1763))を示した(fig.3 参照)。EDV、ESV、SV、EF それぞれの P 値 0.68、
0.11、0.22、0.14 で、観察された違いのどれも、Wilcoxon テストで統計学的に有意ではな
かった。オブサーバー間の両方の画像化のモダリティのための EF、EDV、ESV の測定の
変動性は 0.85 の Kappa を示し、非常に良い合致を示した。
<検討>
機能的な心臓パラメータは、鬱血性心不全の治療計画と、例えばバイパス手術の前の冠
状動脈性心臓病を患っている患者の意思決定にとって重要である。この機能的な情報は通
常、MRI と比較してそれらの限られた正確さと精度にも関わらず、CT より別の診断法(す
なわち心エコー検査法または X 線脳室撮影法)から得られる。83ms の改良した時間軸分解
度のために、DSCT は非侵襲的で添加的な造影剤の必要や放射線被曝がない冠状動脈 CT 血
管造影法データセットから決定された補完的な情報として機能的な左心室パラメータを得
る有望な方法と考えられていることができる。必須の後処理は、より簡単でより時間がか
からないようになって、すぐに日常的な臨床ケアで実行されることができる。以前の CT ス
キャナ世代では、特定の心拍数制限を確実に診断画像を得るために観察していなければな
らなく、薬理学的な調整は多くの患者で必要だった。この研究の診断的な試験は、患者の
心拍数を下げることなく、DSCT で得られることができた。
かくして、ベータ遮断薬が DSCT
の前に全 15 人の患者で使われなかった。
他の研究と同様に、我々は、ESV と EDV の非常に小さな非有意的な組織の違いと、高
い相関係数(特に EDV と EF)だけを観察し、我々は両方の容積測定画像化技術の間の線
形関係を確かめることができた。我々が僅かな過大評価を観察した間、Sugeng らは CT の
間違った低い EF 値を議論した。Sugeng らは大量のヨウ素造影剤の注入がプレロードの変
化を引き起こし、否定的な変カ性の影響の原因となるという可能性を議論したが、Frank
Starling のメカニズムは我々の逆の意見も引き起こすかもしれない。
更なる研究において、
CT 検査で EF 値の減少の原因になったと仮定されたベータ遮断薬は心拍数を下げるのに用
いられた。我々は CT 検査のためにベータ遮断薬で心拍数を調整せず、心房性伸展受容体に
よって引き起こされる Bainbridge 反射は、MRI で比較した CT 試験で我々の研究会で観察
された高い心拍数でも支えられた前向きな変時性影響でさらなる交感的な入力を引き起こ
すかもしれない。CT でのより高い注射率に向かう傾向はそれからより強い変カ性で変時性
影響を引き起こすかもしれなく、MRI で得られた値と比較された CT 研究の EF と SV の高
い値を証明するかもしれない。
観察されたモダリティ間の違いのもう一つの証明は、心内膜境界の視覚化と排除、また
は左心室血液プールへの小柱の包含である。我々は評価のために 2 つの異なる半自動ソフ
トウェアツールを使用した。CT で容積測定領域発達アルゴリズムに基づいたツールと、ス
ライス距離で手で描かれた輪郭の領域を増やすことによって短軸スライスから容積を計算
する MRI のツールソフトウェアツールである。他の研究では観察されなかったが、領域発
達アルゴリズムが CT で血液プールとして海綿の間で有望なピクセルを数える間、それらが
心内膜輪郭の直径を減らすように、海綿が MRI で心拡張終期の容積の実際の過小評価を引
き起こすことがあるので、心拡張の過大評価がある間、心収縮の容積の過小評価があると
説明するかもしれない。心収縮において、非常に少ない容積だけが海綿の間にあるように、
海綿が互いにぴったりと接近してあるので、影響はより小さくなければならない。もちろ
ん、海綿の抽出は心室血液プールの高いコントラスト不透明に依存する。乳頭筋は CT で密
度ベースの領域発達アルゴリズムによって心室血液プールから除外されて、MRI で血液プ
ール輪郭に含まれた。これが有意差を引き起こすことが示されたが、この定誤差は心収縮
と心拡張において等しくなければならない。DSCT と MRI の多くの獲得した状態は、我々
の患者の心拍数の範囲と等しかったので、心収縮終期と心拡張終期の状態の識別の違いを
引き起こす影響があってはいけない。DSCT が明確な輪郭で左心室壁を確実に示して、時
間軸分解度をステップなしで確認する我々の観察は、機能的な評価に十分である。心収縮
終期の不正確な定義が間違った高い収縮終期の容積に結果を示し、このように放出を減少
させるので、CT の時間軸分解度はここの重要な要因であるようには思えず、我々の結果は
小さな反対の定誤差を示す。これは、DSCT の増加した時間軸分解度が、不十分な時間軸
文分解度と、間違った高い容積と間違った低い駆出率測定を引き起こした心収縮終期の不
正確な調和を課した以前の CT スキャナ世代の問題を解決するという指示と考えられてい
たかもしれない。
CT と MRI で得られた機能的なパラメータの間で観察された重要でない違いは、CT での
急速な造影剤注入とベータ遮断薬の欠如のために、生理的影響によって引き起こされたか
もしれない。要約すると、左心室機能と壁運動の十分な評価は、冠状動脈の検査のために
得られた CT 血管造影法データセットで可能で、このように CT の静的で形態的な評価と、
いくつかの表示のために MRI に類似したワンステップ作業のモダリティの可能な限りの表
現に、包括的で機能的な面を加えている。