第6回語る会の記録(PDFファイル 367KB)

平成 22 年度 中学生、市長と語る会
日時:平成 22 年 10 月 25 日(月)午後 2 時から
場所:恵那北中学校
ランチルーム
出席者
恵那市長
可知義明、市議会議長
伊東靖英、教育長
西尾教行、恵那北中学校長(会
場校校長)田島英明、岐阜大学教授(総合計画推進市民委員会会長)有本信昭、司会(市
役所企画課長)西尾昌之
市内 8 中学校代表生徒
恵那西中学校
学校
各校 2 人
渡辺航平・樹神優華、恵那東中学校
池戸映介・池戸優茄、岩邑中学校
梨・佐々木美緒、明智中学校
茂、上矢作中学校
□テーマ
田口
堀
佐藤拓海・田中麻衣、恵那北中
岡田樹也・川端駿介、山岡中学校
若菜・橋本萌々江、串原中学校
彩・小木曽
遥
『さらに自慢できる恵那にするには』
1 自己紹介
2 中学生からの提案・懇談
①恵那西中学校
②恵那東中学校
③岩邑中学校
④山岡中学校
⑤明智中学校
⑥串原中学校
⑦上矢作中学校
⑧恵那北中学校
3 まとめ
1
農見友
安藤禎章・大島
■司会(企画課長・西尾昌之) 中学生の皆さんと市長の語る会、第 6 回を始めます。中
学生の皆さんには、参加していただきありがとうございます。私は進行を務めます市役所
企画課長西尾です。
この会は、平成 16 年 10 月に合併の翌年の 17 年から開催されていて、ことしで 6 回目で
す。中学生の皆さんからの意見をいただき、恵那市のまちづくりに生かしていきます。今
回は、皆さんの住んでいる地域の良いところや、好きなところを探し、
「さらに自慢できる
恵那市にするには」というテーマで、意見交換を進めます。本日は市長のほかに、市議会
の伊藤議長、恵那市総合計画審議会会長で岐阜大学教授の有本先生、西尾教育長、北中学
校の田島校長にも、出席していただいています。
それでは主催者の可知市長から、ごあいさつをいただきます。
■市長(可知義明) 皆さん、こんにちは。恵那市長の可知です。今日は中学生の皆さん
に参加いただき、ありがとうございます。ことしで 6 回目です。平成 17 年から、皆さんの
先輩と、恵那市をどう作っていくかについて、意見をいただいてきました。今日は、市議
会から伊東議長、教育長、総合計画審議会会長の有本先生、本校の田島校長にも出席いた
だいきました。開催に当たりこの間、各中学校長や担当の先生方には大変お世話になり、
ありがとうございます。
恵那市が合併して、6 年になります。そのとき、総合計画という恵那市のまちづくりの
柱をつくろうとしました。10 年計画でつくるので、そのときの中学生が社会人になること
もあって、中学生の皆さんからも恵那市のまちづくりについて、意見をいただこうと始ま
りました。いろいろな意見を、たくさんいただきました。初めは、中学生の皆さんに聞い
ても意見が出ないのではないかという話もありましたが、積極的な意見が出てびっくりし
ました。回を重ねて、皆さんの先輩方にも、しっかりした意見をいただきました。
提案にあった中で、国民保険の保険証が家庭に 1 枚しかなく不便なので、1 人 1 枚にし
てほしいという意見があり、それを早速取り入れ、県下でも数少ない保険証が複数ある市
になりました。あいさつ運動もそうです。職員には、まずあいさつが大事だということを
言って、市役所に来られる市民の皆さんに、まずあいさつしようと言っていますが、これ
も、中学生の皆さんがあいさつ運動をしようと言っていたことを、市の職員で実践したも
のです。ことしは、さらに自慢できる恵那市にするにはというテーマで、意見を伺いたい
と思います。
恵那市は、人口が減少しつつあります。多治見から中津川までの東濃 5 市で、人口減少
率は一番高いです。さらに高齢化率、65 歳以上の人がどんどん増えています。今、29%ぐ
らいです。数年先には、30%を超えます。3 人に 1 人が、65 歳以上になります。人口が減
ったり高齢化率が高くなったりすると、その町に元気がなくなります。外からでも多くの
人に来てもらうことによって、町の元気を興そうということで、交流人口の拡大をしよう
2
と、17 年に策定して 18 年から実施している総合計画の中で、交流人口を 400 万人にしよ
うと計画を立てました。当時の交流人口は 315 万ぐらいでしたので、85 万人ぐらい増やす
ことになります。ある観光協会の役員には、叱られました。400 万人というと、当時の高
山市の観光客と同じ数字でしたので、そんな高望みしても無理だと言われました。私は交
流人口を増やすことで、町の元気を取り戻そうと進めました。
ちょっと紹介しますが、岐阜県の観光レクリエーション動態調査というものがあります。
その 21 年度の調査では、恵那市に来た観光客は 364 万 5 千人です。400 万人まで、あと 35
万です。もう到達できるような気がします。20 年度が 331 万 1 千人でしたから、比較する
と 10%ほど伸びています。外から来る人が、たくさん来ると交流人口が増えていきます。
ぜひ、それを進めたい。宿泊するお客さんは、23 万人ですから大変少ない。ですが、昨年
と比較すると 39%伸びています。これはルートインというホテルができ、恵那峡国際ホテ
ルが湯快リゾートに衣替えしたことがあります。
それでは、どこにお客さんが来ているか。一番多いのは、道の駅のらっせぃみさと。2
番目がおばあちゃん市・山岡という道の駅、3 番目に恵那峡です。恵那峡は 51 万 1 千人が
来ています。恵那峡には、昭和 45 年から平成 2 年ぐらいまでは年間に 150 万ほど来ておら
れたので、今はその 3 分の 1 ぐらいになっています。今日は、皆さんに岩村や大正村の話
もしていただきますけども、岩村には年間 15 万人、大正村には 13 万 3 千人でした。まだ
まだ、恵那市に来ていただきたい。400 万人の達成に向けて、努力していきたいと思って
います。そのためには、皆さん方に、さらに自慢できる恵那市、さらに、どうしていった
ら交流人口を増やせるか意見をいただき、まちづくりのために生かしていきたいと思って
います。
ことしは、地域懇談会を 2 回行いました。全部で 13 の地域があります。その中で、私の
地域に何も自慢するようなものがないとか、何も産業がないとか、おいしい物がないとい
う話をされたところがありました。私は、恵那市、皆さんの住んでいる地域に、自慢する
ものがあると思います。それを誇りに持つことが、必要だという話をしました。今日そう
いう話もできればと思います。
お手元に「えな 100」という冊子を差し上げました。合併して職員が約千人、それぞれ
の地域から来ていて、恵那市全体のことが分からなかった。それで「恵那市を知ろまい会」
という会をつくり、職員が現地に行って勉強することをしてきました。合併 3 年後の平成
19 年に、職員の勉強が必要だということを思って「えな 100」という冊子を作ってもらい
ました。企画課の職員が一生懸命作りました。いい出来だと自慢しています。
職員の勉強用に作ったもので、歴史、食、花など 10 のジャンルがあります。この中には
日本一というものが、たくさんあります。例えば、日本一の農村風景が岩村の富田にあり
ますし、道の駅のおばあちゃん市の水車は、直径 24mもあり、これも日本一です。ものを
3
作るものでは、ダンボール原紙、中野方の恵那楽器のバイオリン生産量、金属バットはテ
イネン工業が日本一。山岡の細寒天も日本一。そういった素晴らしい日本一があります。
さらに百選というものがあります。坂折の棚田百選、岩村城は名城百選、恵那峡と阿木川
ダムはダム百選。岩村町の町並みは、美しい歴史的風土百選。いいものが、たくさんあり
ますけども、それが埋もれていたり、磨かれてなかったりして、光り輝いてないというこ
ともあります。そういうことについて、皆さんが気づいたこと、こうすると磨きがかかり、
よりきらきらと輝いて、自慢になるということも提言いただけると思います。
今日はそんな気持ちで、ぜひ皆さんの意見を聞きたい。今日は、担当の企画部職員も来
ているので、皆さんの話を聞いて、恵那市のまちづくりに生かしていきたいと思います。
■司会
最初に、資料の確認をします。次第、名簿、質問のまとめ、「えな 100」、それと
「つながる・つなげる・恵那のまち」という市政 5 周年記念の市勢要覧。持ち帰って見て
いただきたい。恵那北中学校の学校案内パンフレットもあります。
本日の会議の進行は、まず自己紹介をしていただき、次に、次第の順番に従って、順次
発表していただきます。最後にまとめとして、有本先生にお話を伺います。終了の予定は
4 時 20 分です。
それでは、自己紹介に入ります。まず、最初に私から紹介します。市役所の企画課の西
尾です。本日、進行をします。私は東野の出身です。子どもが 24 歳と 22 歳で、2 人とも
男の子です。東京と京都に行っていて、いつ帰ってくるか分かりません。昔はプールより
川が好きで、いつも川遊びに行っていました。食べ物は、五平餅や朴葉寿司が好きで、今
でも、朴葉寿司を作れば、宅急便で送ってやることもあります。恵那の自然の良さ、ふる
さとの味を残してあげたいと思いながら生活しています。
それでは、明智中学校の堀さんから、順番にお願いします。
■堀若菜(明智中学校)
明智中学校 3 年の堀若菜です。今日はよろしくお願いします。
■橋本萌々江(明智中学校) 明智中学校 3 年生の橋本萌々江です。今日はよろしくお願
いします。
■総合計画審議会会長(有本信昭)
岐阜大学地域科学部の有本と申します。市には、基
本的ないろいろな仕事をする機関がたくさんあります。選挙権のある大人は市長を選ぶこ
とができます。同時に、市会議員を選ぶこともできます。市長が一番偉いのですが、市長
が暴走しないように、地元の人たちの意見を反映する場として議員が選ばれ、議会が市長
と並び立つような形であります。市の基本的な仕事を、10 年ぐらいの期間で考えようと総
合計画をつくることになっています。これは法律で決まっています。そのための集まりが
別にあります。市長と議会とは別に、市のいろいろな団体や公募の委員の集まる会議があ
ります。私もその一員に選ばれ、会長という役をいただいています。
この審議会では、市のいろいろな人の意見を聞かなければいけませんが、会議には高校
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生、中学生、小学生を呼ぶことはできないので、審議会で、若い世代の声を直接聞きたい
と市長が音頭を取ってこういう集まりが始まりました。私も立場上、その審議会を代表し
てこの場に来ています。
今日は、皆さん方の積極的な意見を一生懸命お聞きして、次の審議会で皆さんに紹介し
たいと思っています。よろしくお願いします。
■安藤禎章(串原中学校)
■大島茂(串原中学校)
■教育長(西尾教行)
串原中学校 3 年生の安藤禎章です。よろしくお願いします。
串原中学校 3 年生の大島茂です。よろしくお願いします。
教育委員会の西尾教行と申します。たいていの学校には、なんら
かで伺っていますので、どこかでお会いした子ばかりだと思います。学校へ行っても直接
お話を伺うのは、校長先生や先生方なので、直接このように皆さんからお話を伺うことは
ありません。今日は楽しみにしています。よろしくお願いします。
■田口彩(上矢作中学校)
上矢作中学校 3 年生の田口彩です。よろしくお願いします。
■小木曽遥(上矢作中学校) 上矢作中学校 3 年生の小木曽遥です。よろしくお願いしま
す。
■恵那北中学校校長(田島英明) 皆さんこんにちは。この会場校の校長の田島英明と申
します。よろしくお願いいたします。この 4 月、大垣市の上石津町から赴任しました。西
の端が実家で、東の方へ来て分からないことばかりですが、逆にいろいろなことが分かっ
て、うれしい気持ちで今仕事しています。
恵那北中学校の紹介をさせていただきます。パンフレットを配ってあります。開校した
のは平成 9 年で、飯地中学校と中野方中学校、笠置中学校の 3 中学校を統合して、4 月に
出来上がりました。今、14 年を迎えますが、なんら変わらず美しい校舎のままです。子ど
もたちは 14 年の間に半分近くになり、今生徒は 104 人です。ひょっとすると、来年は 100
人を切ってしまうのではないかという今までにない減少になっています。なんとか今日の
ような話し合いが地域に広がり、地域が活性化されて恵那北中学校の地域も、もっと子ど
もたちが増えることを期待しています。本校の教育目標は「求学修練」、求めて学び鍛え合
うというたくましい教育目標です。その中で生徒たちは、黙々と学習に励み、部活動など
の運動にも励んで日々頑張っています。小さい学校ですが、優勝旗をことしの 3 年生は 2
本とってくれましたし、これからもますます活躍してくれる北中学校ですので、皆さんも
応援をお願いします。
■池戸優茄(恵那北中学校) 恵那北中学校 3 年の池戸優茄です。よろしくお願いします。
■池戸映介(恵那北中学校) 恵那北中学校 3 年生の池戸映介です。よろしくお願いしま
す。
■市長
市長の可知です。私は、大井第二小学校から徒歩で 5 分ぐらいのところに住んで
います。孫が 2 人いて同居しています。皆さんと同じ中学 1 年生と、小学校 4 年生です。
5
毎朝やかましく、がやがや言って食事をしながら「もう遅れてしまう」といって、あわて
て孫たちが出て行く。その後に、私が出て行きます。私は子どもが 3 人あります。一番下
の息子が四国の高松に行っています。そこで家を造って、孫が 2 人あります。そのお嫁は
高松の出身ですけども、食べ物として五平餅をうちの家内が伝授して、向こうで五平餅を
焼いて皆さんにふるまうと「大変おいしい」と「これが岐阜の味か」と言っていただいて
います。そういう伝承を続けています。今日はよろしくお願いします。
■渡辺航平(恵那西中学校)
恵那西中学校 3 年の渡辺航平です。今日はよろしくお願い
します。
■樹神優華(恵那西中学校) 恵那西中学校 3 年の樹神優華です。よろしくお願いします。
■佐藤拓海(恵那東中学校)
恵那東中学校 3 年の佐藤拓海です。今日はよろしくお願い
します。
■田中麻衣(恵那東中学校)
恵那東中学校 3 年の田中麻衣です。今日はよろしくお願い
します。
■市議会議長(伊東靖英)
皆さんこんにちは。恵那市議会議長の伊東です。私はこの恵
那北中校下の、飯地町の出身です。13 地域で、一番人口の少ないところから来ています。
昨年に引き続いての、この会議への参加をさせていただいていますが、皆さんの郷土を思
う心を聞いて、いつも感心しています。今日も、いろいろといい意見が聞けると期待して
います。今後も頑張ってまいりたいと思います。今日はよろしくお願いします。
■岡田樹也(岩邑中学校)
岩邑中学校 3 年の岡田樹也です。よろしくお願いします。
■川端駿介(岩邑中学校) 岩邑中学校 3 年川端駿介です。今日はよろしくお願いします。
■農見友梨(山岡中学校)
山岡中学校 3 年農見友梨です。よろしくお願いします。
■佐々木美緒(山岡中学校) 山岡中学校 3 年の佐々木美緒です。今日はよろしくお願い
します。
■司会
ありがとうございました。それでは各学校からの提案に移ります。最初に恵那西
中学校からお願いします。
■樹神優華(恵那西中学校) 私たちは、恵那市のいいところは何かという質問に対して、
日ごろあまり意識していないし、市内各所に出かけていないので大変難しかったです。
そこで、職員室にいらっしゃる先生方に伺ってみました。恵那市の人は、本当に親切だ
し、自然がいっぱいあるところや、おいしいものがたくさんあり、よその町からたくさん
道の駅に来ること、岩村はいろいろ昔のものがあって、ゆっくり見学できるところだとお
っしゃっていました。また、浜松市の親戚から聞いたことですが、らっせぃみさとを知っ
ているかとか、寿老の滝を知っているかと聞かれたそうです。よく聞いてみると、かなり
の人たちが、浜松から出かけてきているそうです。出かけてくる理由を聞いてみると、お
いしくて、安全な食べ物があるとか、地元の人といろいろな話ができることや、自然の中
6
で涼しさを満喫できることだそうです。
2 人で話し合う中で、恵那市のいいところは自然が豊富にあるところと、歴史的な面が
優れているところや、都会と違って人が優しいということに気づきました。自然でいえば
笠置山があり、とても美しいし、ロッククライミングができるところもできたそうです。
また、恵那峡はボート遊びもできるし、桜並木が美しいです。歴史でいえば中山道の宿場
の跡や、道が残っています。また、岩村城跡の山城があったところです。こうした自然や
歴史的なところを求めて、都会の人々が心を癒やしに来るところが、素晴らしいと思いま
す。美しい風景やおいしい食べ物、そして恵那市の人たちのぬくもりを求めて、やってく
るのだと思います。こうした恵那市の自然のすばらしさや、歴史的なところをさらに宣伝
していけば、もっと恵那市に人が来ると思います。
■渡辺航平(恵那西中学校) そして今の恵那市を、さらにいいところにしていくために、
次のように考えます。
まず第 1 に、私たちは恵那市全体の自然や歴史について、あまり知らない。地元に住ん
でいる私たち恵那市民が、ひょっとしたら恵那市の良さを知らないかもしれないと思いま
す。まず、自分たちで恵那市をもっと知ることが、必要だと思います。そのために、ウオ
ーキングなどの歩く行事やその他の行事、イベントを増やす必要があると思います。例え
ば、恵那市の 13 地域を見学したら賞状がもらえるなど。また、広報えなに名前を載せても
らうと、励ましになると思います。13 地域を完歩した人の感想を、載せてもいいかと思い
ます。また、13 地域の行事などでボランティアに参加し、全部回ったらこれも広報で紹介
するといいと思います。
第 2 に、歩いて見たことを基にして、恵那市のガイドブックを作ったり、マイカのよう
なタウン誌を発行したりして、まず恵那市民が興味を持つようにすることが大切だと思い
ます。マイカは毎月発行されていますが、手軽に読めます。マイカのようにより手軽に読
めるタウン誌を作り、宣伝していくといいと思います。具体的には、広報えなで各地の紹
介や各地で有名な人などを紹介すると、みんなが楽しめる広報になるといいと思います。
また、コメントを恵那市民が出してもいいと思います。
第 3 に、恵那市以外のところへの紹介です。ホームページやガイドブックなどを、配布
して宣伝するといいと思います。
これで終わります。
■司会
次に恵那東中学校お願いします。
■田中麻衣(恵那東中学校)
恵那東中学校では、地域にあるいいところ、好きなところ
について 3 つのことが出ました。
1 つ目は、地域の人々の触れ合いが多いということです。具体的には、みのじのみのり
祭りや夏祭り、さらには地域のお祭りがたくさんあって、地域の人々と触れ合う機会が多
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くあります。特に、みのじのみのり祭りでは、地域でおみこしを作って披露することに参
加する人や、ダンスの披露など、さまざまな形でお祭りを盛り上げ、地域の人々と一緒に
なって楽しむことができました。また、中学生ボランティアとして働いた人もいました。
「中学生なのによく頑張るね」という地域の方の言葉もあり、
「やってよかった」という声
もとても多かったです。また、お祭りだけではありません。地域の人々との仲が良く、あ
いさつが盛んに行われています。朝登校するときに、「おはよう」「行ってらっしゃい」な
ど、地域の人のあいさつがあると私たちもうれしいです。私は朝登校しているときに、
「朝
早いね」「一日頑張ってね」という言葉をかけてもらいました。最初はびっくりしましたが、
じわじわとうれしさがこみ上げてきて、また、一日頑張ろうという気持ちになりました。
私たちは、たくさんの優しさの中で、暮らしているなあと実感しています。
2 つ目は、歴史的な遺産、自然豊かな景勝地が多いということです。中山道大井宿や岩
村城、大正村、さらにはそこに広がる古い町並みなど、歴史を思い起こさせる場所が随所
にあります。中山道大井宿や岩村城、大正村などは全国的にも有名で、身近に歴史を感じ
られることは、とても貴重だという声も多かったです。さらに、中山道大井宿が通学路に
なっている人もいて、少し立ち止まって説明書きのしてある看板を見る人もいるようです。
都会では味わえない生活を、送れているなあと思いました。自然豊かな景勝地が多いとい
うことには、恵那峡や棚田、日本一の田園風景などが当てはまります。恵那峡では、傘岩
や獅子岩があるし、春になればとても美しい満開の桜を見ることもできます。秋になれば、
色鮮やかな紅葉も見られます。また、田んぼがとても多く、緑に囲まれての生活は落ち着
きます。田んぼだけではなく、周りの山々もそうです。冬になると西の笠置山、東の恵那
山などがいち早く雪をかぶるので、
「また寒い冬がやってくるな」と、毎年実感しています。
3 つ目は、恵那にはおいしい食べ物が多いということです。その中でも、五平餅、朴葉
寿司、栗きんとんなど、恵那を代表する食べ物があります。五平餅はお年寄りの方にも食
べやすいし、小さい子どもも好きだし、幅広い世代から人気です。街に行けば、五平餅を
作って販売するお店も多く、手軽に食べられます。朴葉寿司は、家庭によって入れる具が
違っていたりするそうです。恵那で有名な「へぼ」を入れる家庭もありました。栗きんと
んは、秋になると絶対食べるという人も多いです。また、テレビのコマーシャルで、恵那
川上屋の栗きんとんの紹介をしているため、とても有名です。自分の家の手作り栗きんと
んが、一番おいしいと思っている自信家の人もいて、やはり栗きんとんもとても人気でし
た。
さらに、ハヤシライスや寒天など、地域の特産物として売り出している食べ物が多くあ
ります。ハヤシライスの発祥の地が恵那だということにとても驚きましたが、近年のみの
じのみのり祭りで、
「ハヤシの恵ちゃん」としていろいろなハヤシライスを販売しているた
め、だんだんと身近になってきたようです。実際に食べた友だちがいて、
「恵那のハヤシラ
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イスが、ここまでおいしいと思わなかった」という感想でした。寒天では山岡が日本一の
寒天の生産量を誇るということで、すごいと思っている人が多かったです。寒天を使った
料理はあまり家庭で食べることはないですが、恵那市の寒天は日本一と認識している人ば
かりでした。寒天をもっと身近に感じられるような料理を作ると、もっと有名になるので
はという意見も多かったです。
以上が、恵那東中学校で出た、地域にあるいいところ、好きなところです。
■佐藤拓海(恵那東中学校)
恵那東中学校では、今お話しした地域にあるいいところ、
好きなところを、さらに磨きをかける方法として、大きく 3 つのことを考えました。
1 つ目の、地域の人々の触れ合いが多いということについては、ボランティアに参加し
たり、町ぐるみのあいさつ運動を展開したりするということです。これは、地域の人々と
の触れ合う機会を多くするもので、主にボランティアの機会を多くして、小さい子どもか
ら大人まで、幅広い年代の人が参加できるようなボランティアを行うというものです。例
えば、○○づくりのボランティアというものがよいと思います。小さい子はものづくりが
好きだと思うし、子どもについてきて親さんも参加することができると思うからです。次
に、町ぐるみのあいさつ運動では、毎月何日かあいさつの日というものを設定して、地域
ごとに 1 カ所に立っていただき、あいさつ運動をしてもらうというものです。朝は多くの
学生が登校している時間です。その時間に行うことで、地域での触れ合う時間ができると
思います。少しの時間だと思いますが、人との触れ合いは大切なことだと考えています。
2 つ目の歴史的な遺産、自然豊かな景勝地が多いということについては、観光地として
今以上にPRして、たくさんの人に来てもらうということです。さきほどの話にもありま
したように、歴史を思い起こさせる場所、全国的にも有名な場所があります。せっかくそ
のような場所があるのに、見に来てもらえないなんて、もったいないと思います。そこで、
恵那東中学校では、恵那市の広告を作るという意見が出ました。これは幅広い年代の人で
も、見て分かるようなものを作るといいと思います。例えば、恵那市のことをテレビのコ
マーシャルで放送するとか、新聞の折り込みチラシとして見てもらうなどです。また、恵
那市のマスコットキャラクターを考え、それを使って宣伝するのも、よいことだと思いま
す。そこに恵那市のよい場所をPRして、たくさんの人に知ってもらうとよいと思います。
また、自然豊かな景勝地が多いということも、説明してくれたと思います。季節ごとに見
られる景色が違い、一年を通して楽しむことができます。そのことも広告にして、幅広い
年代の人に知ってもらい、恵那市に興味を持ってもらえるといいと思います。
3 つ目の、おいしい食べ物が多い、については、B級グルメに出品して全国に知っても
らうということです。恵那市には五平餅、朴葉寿司、栗きんとんなど、恵那市を代表する
食べ物があります。また、ハヤシライスや寒天などの、地域の特産物として売り出してい
るものもあります。そこで恵那東中学校では、次の意見が出ました。それは、市内でB級
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グルメ大会を開くということです。全国に知ってもらうならまず、自分たちからという意
見が出ていました。そしてその市内でのB級グルメ大会で、最優秀のものを全国のグルメ
大会に出品して、全国の人に知ってもらいたいと考えています。僕は、五平餅がいいと思
いました。なぜかというと、お年寄りも食べられるし、小さい子どもも好きだし、幅広い
年代の人から人気だからです。また、街に行くことで五平餅が売っている店が多いので、
手軽に食べることができるからです。このように恵那市のB級グルメを全国に知ってもら
うという活動案が出ました。
今お話しした 3 つが、恵那東中学校で出た地域にあるいいところ、好きなところをさら
に磨きをかける方法です。
■司会
次に岩邑中学校お願いします。
■岡田樹也(岩邑中学校)
僕たちの住む岩村町は、歴史の息づく町です。町のシンボル
にもなっている岩村城や、毎年の伝統行事の秋祭りなどは、その歴史の一つです。秋祭り
では、打ちはやしや、雅楽の行列が笛を鳴らしながら、岩村の町並みを練り歩きます。そ
の行列の中には、ボランティアとして僕たち中学生も参加しています。僕はその行列で、
雅楽隊に参加しました。雅楽で吹いた曲の一部分を聴いてください。
また、岩村の歴史の中には、岩村にかかわって生きていた偉人の話もあります。中でも
有名なのが、佐藤一斎です。城跡には、佐藤一斎像があります。そして、岩村の町中には、
佐藤一斎の言志四録が書かれた札や石碑がいくつもあります。岩村町民なら、佐藤一斎の
ことを知らない人はいないと思います。そういったことも、この町のいいところの一つだ
と思います。
このような歴史的な話のほかにも、岩村の好きなところはたくさんあります。例えば、
自然を大切にするための取り組みでは、ホタル祭りがあります。たくさんのホタルが飛ぶ
景色も好きなところの一つですが、岩村の環境を守るためにも、ホタルの鑑賞をすること
で自然の大切さを学ぶことができます。こういったことから、岩村には、豊かな自然と文
化が育まれていることが分かります。
そんな岩村の文化や自然を、僕たちはもっと大切に、もっと学んでいくために、総合的
な学習の時間の温故知新で学習しています。岩村の歴史や自然はもちろん、雅楽や弓道、
和歌や華道の文化も学習してきました。温故知新では、その学習してきたことを発表する
発表会があるのですが、それは校内だけで行われるので、あまり町内の人には知られませ
ん。そこで考えたのが、この温故知新の時間で学んだことを、もっと広く知ってもらうこ
とです。そうすれば岩村だけでなく、恵那市やもっと広い地域にも、岩村のいいところを
知ってもらうことができます。
そして先ほどの話にもあった秋祭りにも、より多くの人が積極的に参加して、たくさん
の人が知るようになれば、より多くの人が岩村を見に来て、より活気づく町になると思い
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ます。また、祭りや行事は岩村地区だけでなく、飯羽間地区や富田地区でも行われます。
その行事を僕たちが、温故知新で学習したことやポスターやビラを作るなどしてもっと広
めて、伝統や文化がシンボルの一つになるような町にしたいと思います。
■川端駿介(岩邑中学校) また、僕は岩村のいいところは地域の大きな力だと思います。
岩村には、岩村城跡という立派な城跡が残っています。そこには、多くの観光客が訪れて
くださっていて、岩村のシンボルとなっています。しかし、もちろん雑草が生えたりごみ
も落ちたりしています。そこで、数年前から清掃活動を始めました。この清掃活動には、
何百人も参加してくださっています。実際に僕もことし参加してみましたが、非常にやり
がいのあるものでした。参加して気づいたことは、年配の方から若い人まで、幅広い世代
でその活動をしていたことで、20 代から 30 代の方が特に多かったように思いました。こ
うした岩村の環境のため、そして観光の発展のために、特に若い人が中心となってボラン
ティア活動をすることは、とても素晴らしいことだと思います。ぜひ一度、市長さんもこ
の活動を見ていただきたいです。
岩村では、城山の清掃以外にも活動をしています。例えば、小学校では地域のごみ拾い
として、ごみごみ大作戦といわれる活動をして、通学路にあるごみを拾っています。中学
校でもペットボトルキャップ集めや、紙ごみのリサイクルボックスの設置などを、生徒会
が中心となって行っています。大人から子どもまで、幅広い世代が活動に取り組んでいる
姿があります。特に若い人が中心となってやっている姿は、岩村の自慢すべき姿だと思い
ます。
それでは、どうやったら磨きをかけて、もっと多くの人、観光客の方に訪れてもらえる
のか。第一に思ったことは、さらに、活動を積極的に取り組むことです。城山清掃でいえ
ば、参加者のほとんどが岩村の方です。もっと町外からも参加していただければ、いいと
思います。毎年行われる子どもフェスタのボランティアのように、お互いにほかの地域で
ボランティア活動に参加することによって、その地域の特色などを知り学習できます。こ
ういったまちの枠を超えて、行事に参加して行くことで、恵那市中協力していけると思い
ます。また、岩村町の小学校や特別支援学校と協力して、子どもの人数を増やしていきた
いです。清掃活動以外にも、あいさつ運動といったほかの活動も展開していきたいと考え
ています。
さらに、岩村の素晴らしさを知ってもらうために、こんな案を考えてみました。それは、
岩村検定を作ってみるということです。岩村の歴史や偉人、町並みをテーマとした問題を、
人が訪れる場所に設置します。このようなものを解いて行ってもらいます。多く正解した
方には、認定証を渡し、サービスを提供したいと思います。例えば、明知鉄道の料金や、
お土産を割引にするとかです。ちなみに、この問題の正解は 3 です。こういったアイデア
で取り組めば、岩村の素晴らしさを知ることができます。同時に、清掃活動でまちが美し
11
く、あいさつ運動で心の温まるまちと思っていただきます。そして、何度でも訪れたいと
思っていただけるかもしれません。こういうことで磨きがかかっていくと思います。
これで、岩邑中学校の提案を終わります。
■司会
3 校の提案が終了しました。各学校から、人との触れ合い、自然、食べ物、歴史
的遺産、お祭りなど、各地域で自慢できるものを探していただきました。さらに自慢でき
るものにするためにはということでは、市民が実際に見て歩いて、恵那市の良さを自分た
ちが知ること、地域を知るため積極的にボランティア活動へ参加するなど、いろいろな意
見が出されました。ここで、今日出席の皆さんに意見をいただきます。最初に、西尾教育
長からお願いします。
■教育長 みんなが、それぞれの地域のいいところを、しっかり見ていてくれるのは有り
難いと思いました。さっきここへ来る前に、昼御飯を食べに寄った。そうしたら、テレビ
で軽井沢のことをやっていた。観光客がいっぱい来ると言って取材していた。こんな店が
あるとか、こんなことをやっているとか。私は「そういえば軽井沢も山の中だ。どうして
そんなに人が来るのか。そういえば私も学校の先生の旅行で軽井沢に行った。なんで行っ
たのだろう」と思ったが、分からなかった。
今、皆さんのお話を伺っていて、どうしていくのがいいのかと思った。西中の生徒が、
恵那にはおいしいものがあるし、しかも安全だし、人とのぬくもりがあり優しいし、心を
癒やすために来る、心のぬくもりを求めて来ると言った。なるほど、軽井沢もひょっとす
るとそうかもしれないと思った。
恵那市をほかに紹介していく方法があった。恵那市の中でも、お互いに知らないことが
たくさんあると思う。だから、ガイドブックもあるだろうし、市の広報もあるし、いろい
ろな方法で市の中のお互いの地域を、お互いが知るということが必要になると思う。今、
この「えな 100」の中にも、目次を見ると、2 つ目に恵那人という項目がある。私たちが考
えているのも、ここに出ているような恵那出身の方や、恵那出身ばかりではないが、恵那
市に関係がある方、ここで生まれた方、あるいは何かをしたという方、それぞれの地域に
そういう人がいるのではないか。笠置は笠置に、中野方は中野方に、大井、岩村、山岡、
それぞれの地域にいる。そういう人を、一度紹介しようということを今考えている。そう
いったものができたら、みんなにも、各家庭に配ることになると思う。見ていただきたい。
そして、マスコットキャラクター。国体が 24 年にある。せっかく弓道やスケートが恵那
で行われるので、これを機会に恵那市で何かスポーツを位置付けられないかと、スポーツ
キャラクターを募集しましたが、覚えていますか。小学生、中学生からたくさん応募があ
りました。いくつかを選び、10 か 20 ぐらいのうちから、今度はみんなに選んでもらおう
と、小学校の高学年から中学生に選んでもらう用紙が行くだろうと思うので、参加してほ
しい。
12
みんながそこに参加してやっていくということが、大事だと 3 つの学校が話してくれた
と思う。中学生が子どもフェスタのボランティアだけでなく、いろいろなボランティアに
参加していてくれることが、またみんなが大きくなったら、そういう芽がうんと育つだろ
うと思う。あいさつのことも出ていた。何年か前にこの会で、やはりみんなあいさつした
らどうかという話があった。そうやって思うなら、恵那市中でやってみたらどうか、中学
校が中心にやってみよう、とみんなの先輩がやったことがある。どこかの生徒会で考えて
くれたのを、どこの中学校にも連絡して、それぞれの中学校でいつごろならできるといっ
て、やったこともある。そういうことも、これから考えていけるといい。
■司会
市長、お願いします。
■市長
皆さんにお聞きしたい。恵那はこういうまちだと、胸を張って外の人に紹介でき
ることは何か。その地域ごとに違うと思う。市民に、恵那市を知ってもらうということを
言われた。まさに、そういうところが欠けていると思う。合併してもう 6 年。恵那市には、
こういうものがある。こういう人物がいる。というのを共有のものとしたい。そのために、
市民が恵那市全体を知ることが大事だ。
「えな 100」を市の職員に作ってもらったのも、そ
れが発端だ。5 万 5 千人の市民が、外に向かってPRすれば力強い。恵那市の職員が、今
800 人いる。私 1 人ではなく、800 人でやりたい。恵那市に誇りを持つことが、一番大事だ
と思う。
全国のいろいろな大会に、私は出掛ける。岐阜県東部の恵那ですと言っても、なかなか
分かってもらえない。どういうイメージで描かれるかと、すぐに私は昭和 30 年代にできた
映画「青い山脈」の話をする。私ぐらいの年代から、40 代、50 代の人はよく分かる。その
ロケ地が恵那だと話す。分かってもらえる。そこで、恵那の話をさせてもらう。恵那のま
ちがどういうまちか、知ってもらいたい。そのためには、PRが大事だができていない。
市民が恵那市を、実際に見て知ってもらうことが一番大事だと思う。
先ほども話がありましたが、キャラクター。多治見市には「うながっぱ」というキャラ
クターがある。初め何かと思った。これを市長以下が一生懸命PRしている。夏になると
全国で一番暑いまち。「うながっぱ」で頑張りますとやっている。面白いキャラクターだ。
そういうことを考える必要がある。提言ありがとうございます。
物も大切だが人の心も大事だ。もてなしの心。あいさつするということは、気遣いだ。
もてなしの心があると、食べ物と同時にいいことになる。串原の温泉ささゆりの湯に、多
くのお客さんが外から来る。お客さんに聞いてみると「ここに来るとほっとできる。安ら
ぎを感じる」と。本当にもてなしの心で接してくれるのが、楽しみで来ると言ってもらう
こともある。恵那市の人は穏やかな人が多い。そういう意味では、もてなしの心が大事だ
と思う。
それから、岩邑中学校の生徒から検定の話があった。ぜひやってみたい。ほかでも提言
13
を受けている。岩村だけでなく、恵那市全体の検定をしたらどうかと思う。それで市民が、
より恵那市を知ることにもつながる。
まちの枠を超えて参加。まさに市民が実際行って見聞きすることと、知ろうとする力だ
と思う。私たち大人はどうしても、あれは岩村、笠置、飯地だと思ってしまう。恵那市の
ものだと思えば、もっと広がる。私が佐藤一斎の話をすると、また、市長が佐藤一斎の話
をしている。あれは岩村の関連じゃないかと、すぐ思われる。それではなくて、恵那市が
生んだ偉人だと思ってもらいたい。それが大事だ。
私も岩村城の清掃に、参加させてもらおうと思う。
■司会
発表を続けます。山岡中学校からお願いします。
■農見友梨(山岡中学校)
これから山岡中学校の発表を始めます。私たちが暮らす山岡
町は、多くの緑に囲まれ、穏やかでとても住みやすい町です。それに加え、道の駅おばあ
ちゃん市・山岡に代表されるように、お年寄りを中心に町おこしに努め、活気があるまち
です。私たち山岡中学校の生徒のほとんどは、この山岡町のことが好きで、いいまちだと
思っています。私たちは、そんな山岡町の魅力について調べ、考えてみました。
■佐々木美緒(山岡中学校)
まず、豊かな自然を生かした町おこしについて話します。
山岡町は豊かな自然に囲まれているので、農業が盛んに行われ、新鮮で品質のいい農作物
が作られています。そして、山岡で作られた野菜は、山岡で多く消費されます。この資料
を見てください。山岡町で農業をしている人の割合は、年々増加しています。お年寄りの
数が増えているということも考えられますが、お年寄りの方を中心に、元気に農業に取り
組んでいるということが分かります。一方、日本の農業に携わる人の割合は、年々減少し
ています。これは、農業に携わる若い世代の人が減少している影響だと考えられます。
次に、山岡の学校給食で山岡の野菜がどのように使われているかを調べました。給食で
使われている山岡の野菜の割合は、年間およそ 3 割で、全部で 7 軒の農家の野菜を使って
います。この表を見てください。これは、給食で使われている野菜を、日ごとにまとめた
ものです。春と冬はあまり山岡の野菜は使っていませんが、夏から秋にかけて、かなり多
くの野菜を使っていることが分かります。例えば、10 月 4 日のメニューはカレーライスで
した。このカレーには、山岡産のジャガイモやタマネギが使われています。このジャガイ
モは、小・中学校と特別支援学校すべてで 230 個も使われています。この 230 個すべてが
山岡産で、2 軒の農家のものを使っています。このように地元で作った野菜を、地元で多
く消費することを地産地消といいます。
この地産地消には、3 つのよさがあります。1 つ目は、鮮度がいいということです。鮮度
のいい野菜は、栄養価が高くおいしく食べられます。2 つ目は、運送費が安く済むという
ことです。品質のいい野菜を、消費者が安く手に入れることができます。そして 3 つ目は、
農家の方々の生活が、豊かになるということです。心を込めて作った野菜が、多く消費さ
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れることで収入源が増えるからです。山岡町で作った野菜は、道の駅おばあちゃん市など
でも販売されています。山岡町の野菜は新鮮でおいしく、手軽な値段で買えるので、その
野菜を求めて県外からも多くの人が訪れています。土日ともなると、販売されている野菜
は、午前中には売り切れてしまうほどの人気です。
では、このような農業を、今後さらに発展させていくためには、どのような努力が必要
か考えてみました。まず、現在農業に携わる人が、お年寄り中心だということが課題とし
て挙げられます。だから、お年寄りだけでなく若い人も積極的に農業に携わり、農業につ
いて考えていく機会を作っていくことが、必要であると考えます。具体的な方法としては、
若い人を対象にした農業の教室を開いたり、ほかの地域の人に山岡で農業をしてもらう環
境を整えたりするといいと思います。また、地域で暮らす若い世代にも、山岡町の学校給
食のことや、地産地消のよさをどんどん知ってもらい、農業に関心を持ってもらうことが
必要であると考えます。
■農見友梨(山岡中学校)
次に、地域に残る伝統文化について話します。山岡には、各
地域に残るお祭りがたくさんあります。一つ一つのお祭りで、時期や特徴が違うので、そ
のいくつかを紹介します。
まず、山岡町下手向地区で行われているお祭りは、毎年 10 月に白山神社で行われます。
このお祭りは、平成 2 年 1 月に文化財に指定されました。祭りは五穀豊穣、無病息災、家
族円満を祈って、2 日間の日程で行われます。1 日目は楽しみながら神様を迎え、2 日目は
神様を送るために行列になり、白山神社に向かいます。その道中、獅子舞が悪魔ばらいを
行います。このお祭りは下手向地区の伝統として、大切に受け継がれてきました。行列で
は私たち中学生も衣装を着て、小学生や幼稚園の子どもたちと、笛を吹き鳴らしながらみ
こしを担いで町中を練り歩きます。山岡町釜屋地区では、夏にお祭りが行われます。この
お祭りでは、提灯舟が使われます。提灯舟というのは、このようにトラックにたくさんの
提灯を付けたものです。それを小学校低学年の子どもたちが引っ張って、町内を一周しま
す。高学年の子どもたちは、トラックの荷台に乗って笛を吹き鳴らします。笛の曲は 4 曲
あり、代々受け継がれています。
ほかにも、田代地区で行われる夏祭り、山田地区で行われている春日神社祭り、上手向
地区で行われているあんどん祭り、久保原地区の爪切り地蔵尊花火大会などがあります。
これらは、それぞれに違った特色があります。しかし、共通していえることは、その地域
の人々が年齢に関係なく参加し、祭りを楽しみながら盛大に盛り上げているということで
す。また、山岡町に残る伝統文化の一つとして、地歌舞伎があります。これは小学校低学
年の生徒からお年寄りまで、各世代の人が一緒になって参加し、毎年 12 月に公演が行われ
ます。衣装からせりふまで本格的な内容で、歌舞伎に参加する生徒は、本番までに何度も
練習を繰り返します。
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私たちはこれらを、受け継ぎ守っていくことで、さらに山岡町が良くなっていくと思い
ます。だから私たちは、積極的に地域の行事や祭りに参加していくことが大切だと思って
います。また、それぞれの文化に興味を持ち、自分たちの次の世代に伝えていくことが重
要だと思っています。
これで山岡中学校の発表を終わります。
■司会
続いて明智中学校からお願いします。
■堀若菜(明智中学校)
私たちが住んでいる明智町には、たくさんの自慢できるいいと
ころがあります。その中でも私が紹介したいのは、歴史的文化財がたくさんあるところで
す。
1 つ目に私が紹介したいのは、団子杉です。先ほど気づきましたが、こちらの「えな 100」
の 34 ページにも載っています。この団子杉は樹齢千年を超えている杉の木で、杉なのにま
っすぐ伸びず、円形なので、専門家の間では珍しい部類の木として有名でもあります。2
つ目は千畳敷です。有名な明知城が建てられた際、西側にある台形を戦略の重要な拠点と
して使用されていた高い山です。かつて「のろし台」があったので、明智町を見渡せるほ
どの高い山でもあります。3 つ目は、町民同士の仲がいいところです。特にあいさつは、
町内を歩いていると、たくさんの人があいさつを返してくれます。登校中は、
「行ってらっ
しゃい」「お帰りなさい」などがあり、町民一人一人が家族のような暖かさを持っています。
さらに、この明智町の磨きをかけるために私が提案するのは、行きやすい地図、看板を
作ることです。明智町には、たくさんの観光の人用に看板が役所の駐車場にありますが、
せっかく重い歴史を持っているのに、分かりづらい場所にある団子杉などの場所が分かり
ません。これは、私が土曜日に体験したことでもありますが、街中で私は 1 人の観光の人
に声をかけられました。浪漫館に行きたいのに道が分からないと言われたので、そのとこ
ろまで案内している際にその人が言っていたことでは、もっと街なかに分かり易い看板が
あるといいねということです。この意見の中からでも、明智町にはお年寄りには見にくい
看板がいくつかあります。それを見やすくすることによって、たくさんの人が見やすく、
文化財に触れ合うことができ、たくさんの人が見に来てくれると思います。
以上が、私の紹介する明智の自慢です。
■橋本萌々江(明智中学校)
私が紹介する地域にあるいいところ、好きなところは歌舞
伎です。岐阜県には 27 団体もの保存会があり、恵那市はその中の 8 団体があります。その
ため恵まれた環境にあり、歌舞伎にかかわるチャンスがとてもあります。私は、小学校 1
年生から中学校 1 年生まで、歌舞伎の活動をしていました。娘役や子ども役、小姓役など
さまざまな役をやらせてもらいました。公演に向けて練習を、午後 6 時から 8 時頃まで 2
時間ぐらい行いました。振り付けは松本団升先生や、松本団女先生に教えていただきまし
た。
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そんな明智にあるいいところに、さらに磨きをかける方法は、私もかつてそうでしたが、
中学生になると部活で忙しくなり、なかなか歌舞伎に参加することができなくなってしま
いました。そこで、参加者の減少を止めるために、私は中学校の授業で選択というものが
あります。選択は家庭科や音楽などがありますが、伝統文化はありません。なので私は、
歌舞伎を選択の授業に入れてみてはどうかと思っています。
もう一つは、費用がたくさん必要なので、保存会を続けるにはなかなか難しい状況とな
っています。そこで、もっとホームページを作るなどして、ピーアールをたくさんして多
くの人に歌舞伎を知ってもらい、見てもらうことが大切だと思っています。これができれ
ば、地域にあるいいところ、好きなところはもっと磨きがかかると思います。
これで明智中学校の提案を終わります。御清聴ありがとうございました。
■司会 串原中学校からお願いします。
■安藤禎章(串原中学校) これから串原中学校の提案を行います。私たちが住む串原は、
山林が 86%を占める自然豊かで、のどかな地域です。今回、この会に参加するに当たって、
串原にある良いところ好きなところを考える機会ができました。串原の良さとして、中山
太鼓と自然の美しさ、この 2 つについて、今日皆さんに知っていただけるといいです。
■大島茂(串原中学校)
まず一つ目の中山太鼓は、436 年という歴史を持つ串原の伝統
文化です。これは、今月 17 日に行われた中山祭りの写真です。毎年 10 月の第 3 日曜日に
中山祭りがあり、各地域に伝わる太鼓を中山神社で打ちます。小学生から大人まで参加し、
みんなが大きな輪になって、地域に関係なくみんなが楽しむ、打っているだけで楽しくな
るような太鼓です。特に、しんばしというもり打ちは最高に盛り上がる瞬間です。これは
その盛り上がっているときの写真です。僕はこの中山太鼓が大好きです。
しかし、この中山太鼓も今心配なことがあります。それは、年を追うごとに参加する人
が少なくなってきていることです。つまり、打ち手の確保が問題となってきます。これは、
串原が直面している問題でもあります。それは過疎化です。恵那市の中でも過疎化の進み
は大きく、2004 年 10 月では 954 人だった人口が、2010 年 9 月現在では 858 人と、6 年間
で約 100 人も減少し、世帯数も減少しています。この過疎化を止めることが、中山太鼓の
存続にもつながってきます。串原では過疎化解決のために、昨年度からNPO法人奥矢作
森林塾の方々が、古民家をリフォームする会を発足させたり、市が農業を勉強する方に住
居を提供したりすることで、他地域から串原に移り住むきっかけを作ってくださっている
と聞きました。こういった努力を続けていただき、なんとか過疎化を止めていただきたい
です。
もう一つ、中山太鼓活性化のためには、多くの人にこの中山太鼓を知ってもらうことが
必要だと思います。まずは、祭りを見に来ていただくことが一番だと思います。今現在、
豊田市の方や県外から参加がありますが、ほかの地域からの参加で大変盛り上がります。
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なんとか中山太鼓を知ってもらう機会が作れたらなと考えています。そのためには、串原
のアクセスの悪さが問題となってきます。土日のバスの本数の改善や、大型バスがすれ違
えない道路を拡張工事してくださると、串原に来やすくなり、多くの人に知っていただけ
ると考えています。中山太鼓が活性化することは、串原の活性にもつながります。よろし
くお願いします。
■安藤禎章(串原中学校)
2 つ目の良いところ、自然の美しさ。串原は自然が豊かで美
しく誇れる自然がいくつもあります。緑が豊富なことはもちろん、水が美しくないと住め
ないホタルが多くあります。また春には、奥矢作湖沿いに咲く千本の桜は見事です。
私が卒業した串原小学校では、ホタルのすむことができる美しい川にしようという学習
を、3・4 年生が行っています。これがホタルを育てている写真です。6 月に行われるホタ
ル祭りに向けて、ホタルを育てたり、そのホタルを放す河川掃除をしたりなどの活動をし
ていますが、多くの人に知っていただき、活動を広げて続けることで、これからもホタル
がすむことのできる環境を維持できると思います。
皆さんは奥矢作湖を御存知ですか。奥矢作湖は豊田市との境に位置したダム湖のことで
す。これは奥矢作ダムです。30 数年前、ダム建設のためにここに串原の一部が沈んだこと
を聞いています。その建設のときに植えられた千本の桜が、春になると美しく咲き誇りま
す。これが千本の桜の一部です。しかし、その存在はあまり知られていません。豊田市と
共同でアピール活動をし、多くの人に知っていただけるといいと思います。そのためには、
恵那市側だけでなく、豊田市側からの交通手段も改善していくことが必要だと思います。
莫大な工事費がかかり大変なことだと思いますが、串原活性化にはどうしても欠かせない
ことだと思うので、ぜひ考えていただけるとうれしいです。
ところで最近、毎日のようにクマが里に下りてきて、住民が怪我をしたなどというニュ
ースを多く聞きますが、その原因として、高齢化により里山の維持管理ができていないこ
とが挙げられています。串原でもなかなか間伐ができずに、里山が荒れているということ
も聞きます。森林組合の皆さんが、個人持ちの山も計画的に手を入れてくださっているそ
うですが、自治体でも考えていかなければならない課題だと思います。よろしくお願いし
ます。
■安藤禎章(串原中学校)
皆さんもこれを機会に一度串原を訪れ、中山太鼓を打つ、四
季を楽しんでください。これで串原中学校の提案を終わります。ありがとうございました。
■司会
今の 3 校についても、地域で自慢できるものをいくつも探してもらいました。さ
らに自慢できるものにするためにはということでは、農業の活性化、見やすい看板、地図
の設置をしたらどうかという意見が出されていました。串原からは、過疎化で中山太鼓の
打ち手の確保が難しくなっているという問題が指摘された。ここで田島北中学校校長から
意見をいただきます。外から見た恵那市のいいところも含め、意見をいただきたいです。
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■恵那北中学校長 大垣市から来たので、恵那といえば今が旬の栗、恵那峡、歴史的に岩
村や明智の大正村ということは聞いていた。ただ、それ以外の「えな 100」に出てくるよ
うな偉人については、ほとんど知らない状態で来た。いろいろな機会に、こんな立派な人
がいるのだということを、この半年で多く学ぶことができた。
ただ、やはり栗きんとん、五平餅にしても、若い人も食べますが、イメージ的にはお年
寄り向けかなと。歴史や文化を探訪するという町めぐりも、高齢者に受けがいいけど、若
い人の飛びつくイメージが恵那の中にない。どうしたら恵那をもっとアピールできるか考
えながら、皆さんの提案を聞いて、また、事前に教えていただいたことから私自身が考え
たことは、先ほど市長がおっしゃってしまったが、私も「えな 100」を利用して、勝手に
ネーミングしてみましたが、恵那博士を目指して、恵那(Ena)と書いて「いいな検定」
なんていうふうにしてみたらいいなと。今、御当地検定というのがブームなので、来年、
大正百年のイベントもあるので、大正百年と「えな 100」をうまくドッキングさせ、こう
いうところから問題を作り、恵那全体に広めてみたらどうかと思う。それによって、恵那
市内の人はもちろん、こういうものに挑戦しようという人たちが、いろいろな地域にいる。
名古屋、豊田、隣の県の人でも、興味のある人はたくさんいる。検定を受ける前には現地
に行こうと、どんどん人が集まる。こうしたことを、目指してみたらどうですか。
それから、最近B級グルメで世の中が話題になる。恵那のB級グルメ大会、これはほん
とにいいと思う。さっきの検定のために勉強しに来た人が、一番飛びつきやすいのが、大
正百年ハヤシライスの年、ハヤシの恵ちゃんということがもっと大々的に、小さい子から
お年寄りまで味わえる。ハヤシライスの恵ちゃんというホームページを開いてみたら、何
軒もあるんですね。これ 2 ページにわたってある。何軒、食べたことがあります。私は、
浪漫亭のハヤシライスしかない。これを機会に全部食べてみようと思っている。恵那市の
人も、ハヤシの恵ちゃんなんて聞いたことがないとあっさりと言うが、みのじのみのり祭
りにもコーナーがあった。こういうことを起爆剤にして、市長も検定の話には飛びつかれ
たし、大正百年、この「百」というところにアピールして、地域全部が、先ほどPRの看板
も十分でないというので、市民全員挙げて手作りの看板でもいい、小学生から高校生まで
で作ったり、ボランティアで参加して子どもたちが案内したりするとか、こういうものが
あるということを、どの場面でも言えるようにすることで、恵那がもっと紹介されていく
と思う。
生徒たちの提案一つ一つが、ものすごく意味のある、価値のあるものだと思う。各地域
の良さを紹介してもらったが、恵那のいいところということで、自信をもって、山岡だけ
の話ではなく、明智だけでもなく、恵那の北中学校校区だけの話じゃないという意識で、
ほかの地域のことも紹介できるようになれば、どんどん活性化できると思う。
■司会 市長からも意見をお願いします。
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■市長
山岡のおばあちゃん市は、年間訪れる人が 59 万 9 千人、恵那市で 2 番目にたくさ
んの人が来る。私も出かけるが、ほとんど外の人だ。一番人気があるのは農産物。あっと
いう間に売れる。そして、おばあちゃんたちが作る昼食が好評だ。山岡のおばあちゃん市
は、道の駅の成功例だと思う。地域の特産を活用して、にぎわいを作っている。ただ、そ
こへ来た 60 万人が、そこで留まってしまっている。これを山岡の中心地や明智、岩村に誘
導すべきだ。道の駅は、山岡町が地域を挙げてやった効果だ。
お祭りもたくさんある。私も行く。それに伴う伝統芸能、獅子舞など、これは素晴らし
い。それに中学生も参加して残してくれている。素晴らしい。特に山岡の歌舞伎は、大人
と子どもが一緒に演技をする。毎年楽しみにして、見せていただいている。地味かもしれ
ないが、地域が誇る伝統芸能なので、これを子どものときから培って保存していくのは、
すごいことだ。私の地域にも七福万歳という伝統芸能があったが、残念ながら継ぐ人がい
よいよなくなった。私の子どももやっていたが、長続きしない。これが、串原の中山太鼓
の話もあったが、子どもが参加し、大人になっても続けていくということが大切だ。
山岡の寒天は、全国で有名だ。意外とこの地域の人は、あまり知らない。恵那市には雪
が降るかという話を外で聞かれる。「雪は少ないが、冬は冷える。氷が張る。マイナス 12
度ぐらいになるところもある」と話す。そのときの例え話で「寒天ができますから」と話
す。山岡の寒天を作る冬の風物詩は素晴らしい絵になる。それが山岡町の誇りでもある。
これから山岡の寒天を使った食を、どう考えていくか。カレーに入れたりハヤシライスに
入れたりすることもできるかと思う。そういうことを工夫しないといけない。
明智中学校から話のあった看板のことは、ぜひ、きちんとしないといけない。ここに住
んでいると、幹線道路を走ってしまって、そこに町並みがあることや大正村の施設などが
分からなかったということがある。先日、私は岩村城跡で上がって歩いて下りてきたが、
そのときに看板が古ぼけて読めなかったり朽ちかけていたりするのが多かった。それでは
観光地にはならない。看板、地図などをしっかり作り、それをどういうところで配布する
か考えていかないといけない。私がやかましく言っても、市の財政などを見るとできない
ようだが、これからはしっかり看板をつけて、皆さんが来たとき道に迷うことがないよう
にしていきたい。私は山登りに行くが、ここが何合目、あと頂上まで何mという看板があ
ると、力の加わり方が違う。それと、迷うことが一番心配なので、道標は一番頼りになる。
観光地も同じだ。どういう形でお客さんを誘導するかは看板だ。看板は提案いただいたよ
うに、しっかり整備したい。
地歌舞伎の話。いい話をしてくれた。お金がたくさんかかる。でも、ぜひ恵那市の誇れ
る伝統芸能として残したい。そのために保存会の皆さんとも、力を出し合っていきたい。
串原の安藤君や大島君から提言のあった道路の話。恵那市を 30 分で行き来できるようにし
たいという構想を持っている。残念ながら串原、上矢作からは、どうしても恵那市の中心
20
まで 30 分を超えてしまう。それが人口減少の大きな原因の一つだ。全市を挙げて国や県に
要望している。串原に住んで、豊田、瑞浪に通勤ができるようにしたい。ぜひ、卒業して
もここに残ってほしい。そして串原から通って勤めてほしい。
中山太鼓は、参加してはじめて分かる楽しい太鼓だ。私も何度も行った。あの串原にな
ぜこれだけ若い人が集まるかと思う。外へ出た人が帰ってきて太鼓をたたく。串原だけで
はなく、恵那市の太鼓としてみんなが楽しめれば大成功だ。桜も高齢化してきて病気が出
てきているので、手入れしないといけない。恵那市では一番早く咲く桜できれいだ。多く
の人に見て分かってもらいたい。
■司会
6 校の発表が済んだので、ここで休憩とします。
〔
■司会
休
憩
〕
それでは、発表を続けたいと思います。最後の 2 校の発表が終わりましたら、後
で質問の時間も設けます。続いて上矢作中学校の発表をお願いします。
■田口彩(上矢作中学校)
それぞれの町にはいろいろな宝物があることが、今までの発
表で分かりましたが、我が町の宝物を広げていくことが、恵那市の宝物を作る一歩になる
のだと思います。そしてその宝物を増やしていくことが、自慢できるまちづくりにつなが
り、安心して住み続けられるまちづくりにもなっていくのだと思います。
私の住んでいる町、上矢作には、自慢できる宝物がたくさんあります。今日はその中か
ら大きく 2 つの宝物を紹介します。
■小木曽遥(上矢作中学校) 1 つ目は、地域の人々との絆が深いことです。皆さんは、
お月見どろぼうを知っていますか。お月見どろぼうとは、毎年、十五夜の夜に子どもたち
が近所を歩き回り、玄関や縁側に置いてあるお菓子や果物、さつまいもなどをもらう、上
矢作独特の行事です。地域の絆が深い上矢作では、普段からあいさつをしたり声をかけて
くださったりするだけではなく、何かあったときに助けてくれる人情があります。例えば
今からちょうど 10 年前、私が 5 歳のとき、恵南豪雨で上矢作は大きな被害を受けました。
町内で 2,943 人が避難し、11 軒の家が壊れてしまいました。こんな大きな被害があったの
に、死者が 1 名だけであったのは奇跡だといわれています。先日、その 10 周年フォーラム
がありました。当時の話をお聞きすると、隣の人と声を掛け合って避難所に避難したり、
近所の人と助け合って片付けをしたりしたそうです。近くに住んでいる人で知らない人は
いないほど、みんながみんなのことを知っているからこそ、何かのときには助け合えるの
だと思います。
しかし、上矢作町は人口減少率が激しく、今、上矢作中学校は全校で 44 人、小学校も
100 人しかいないため、ことしからは運動会を小中合同で行いました。昨年までよりも多
21
くの町民が来てくださり、とても盛り上がりました。中でも大きな拍手をもらったのは、
全校で心を合わせてたたいた、上矢作中太鼓です。上矢作中学校では、1 年生が総合学習
で、上矢作について学ぶため、地域の方を講師に招いて、昔から上矢作に伝わる太鼓を学
んでいます。太鼓の学習を通して、上矢作の町の歴史や太鼓を教えてくださる人たちの思
いを知り、上矢作の伝統を引き継ぎながら、良さを再認識しています。上矢作の太鼓は上
矢作の誇りの一つです。だからこそ私たちが太鼓をたたくと、地域の方は喜んでくださり、
応援してくださるのだと思います。
さらに、ことしの 1 年生は、地域で活躍している人の行き方を学ぼうと、現在取り組ん
で学んだことは、毎年愛知県の吉良中学校で発表しています。10 人ちょっとの私たちが、
吉良中学校を訪れ、我が町上矢作を紹介し、太鼓を披露します。また、モンゴルとも交流
があり、10 月 13 日にはモンゴルの学生 8 人が中学校を訪問してくださいました。お互い
に日本やモンゴルの文化を交流し、日本や上矢作の良さを改めて知る機会にもなりました。
今後は、地域の人たちとの絆をさらに深めながら、学んだことを発表したり交流したりす
る機会を増やすとともに、地域のお祭りやイベントに積極的に参加し、上矢作独特の文化
や風習を継承し、広めていきたいと思います。
■田口彩(上矢作中学校)
2 つ目は、上矢作は自然が豊かであることです。この花は福
寿草で、天然記念物でもあり、別名、元日草とも呼ばれ、福を招く縁起のいい花として喜
ばれています。上矢作にはその自生地があり、3 月から 4 月にかけては、福寿草を見るた
めに観光客が訪れます。夏になると清流矢作川に「やな」ができ、おいしいアユを食べた
りキャンプをしたりして水遊びをすることができます。昨年、私たちは着衣水泳を行いま
した。
今からの時期は、達原の渓谷に行くときれいな紅葉を見ることができます。中学校では
1 年生が 4 月に遠足を行い、標高 1,159mの大船山の中腹にある大船神社を目指します。神
社まで 4km の参道には、約 180 年前の江戸時代に植えたといわれる 350 本の松並木があり、
そこを抜けたところにある大船神社には、樹齢 2,500 年といわれる弁慶杉があります。木
の周りが 10.6m、高さが 40mもあり、旅の無事を祈願して弁慶が植えたという説などいろ
いろあります。ぜひ行って、自分の目で見ていただきたいところの一つです。そこをもう
少し登った奥には、10ha の原生林を整備したアライダシ自然観察教育林があり、そこで私
たちは、毎年木に名札を付けたり、木をスケッチしたりする山林学習を行っています。こ
こでは、ヒノキ、サワラ、モミの木など大きな木だけでなく、倒木の上で成長し、倒木が
朽ちてなくなっても大地にたくましく根を張っている根上がりの木があったり、2 つの木
が一緒になっている共生木などがあったり、なかなか見られないものもあります。
このように、上矢作には素晴らしい自然があります。この良さをもっとPRし、多くの
人に知ってもらいたいです。そのためには、道が整備できるといいと思います。例えば、
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アライダシまで行く道は、車 1 台が通るのにやっとです。もっと行きやすい道が整備され
れば、多くの人が来てくださるのではないでしょうか。また、福寿草や紅葉などは気候に
よって見頃が変わるので、花がきれいに咲く頃になったら各振興事務所から流れる放送な
どで、恵那市全体にPRすることができたらいいと思います。恵那市にもいろいろな観光
マップがありますが、小さな子が遊ぶのにいいところ、大人の人たちがゆっくり景色を見
るのにいいところなど、世代別の観光マップを作ったら、それぞれの立場で楽しむことが
見つけられるのではないでしょうか。
■小木曽遥(上矢作中学校) 自分の町のよさを知り、自分の町に誇りを持つことができ
たら、みんなは恵那市に安心して住み続けることができると思います。私は、自然が豊か
で温かい雰囲気のある上矢作が大好きです。
以上で、上矢作中学校の発表を終わります。ありがとうございました。
■司会
最後に恵那北中学校からお願いします。
■池戸映介(恵那北中学校)
これから北中の発表を始めます。それでは、地域にあるい
いところ、好きなところについて、大きく 3 つに分けて話します。1 つ目と 2 つ目を僕が、
3 つ目を優茄さんが話します。今回準備した資料についてですが、1 年生がふるさと触れ合
い交流会ということで、来月山岡中学校との交流に使う資料を借りてきました。
それでは、地域にあるいいところ、好きなところの 1 つ目ですが、観光スポットや豊か
な自然がたくさんあるところがいいと思っています。例えば坂折の棚田です。春夏秋冬、
四季折々の風景を見ることができます。また、日本棚田百選にも選ばれています。次に笠
置山です。笠置山には、天然記念物のヒカリゴケや物見岩などが見られます。これが物見
岩で、恵那市を一望することができます。下が天然記念物のヒカリゴケです。この三角形
の岩はピラミッドストーンといって、古代人が造りました。まだよく意味は分かっていま
せん。2 つ目に、地元の食べ物がおいしいところがいいと思います。道の駅として地域の
方が無農薬野菜を販売し、地域の味が楽しめます。季節によっては、朴葉寿司や栗御飯な
ども楽しめます。郷土の味として、五平餅、栗きんとん、ユズが有名です。給食での地産
地消で北中では、恵那市内で一番残量が少ないのが北中の誇りです。
■池戸優茄(恵那北中学校) 地域にあるいいところ、好きなところの 3 つ目を話します。
3 つ目は、高齢者が暮らしやすいところがいいと思っています。デイサービスセンターめ
ぐみなどの、介護施設が充実しています。病院、診療所が利用し易い場所にあります。中
野方町内で、町内の移送を車で行う「おきもり」というサービスが去年できました。無料
で高齢者の足の確保ができ、行きたい場所に気軽に行けるようになりました。
■池戸映介(恵那北中学校)
それでは最後に、地域にあるいいところ好きなところに、
さらに磨きをかける方法について話します。観光スポットや豊かな自然がたくさんあると
ころや、地元の食べ物がおいしいところを、もっと周りにアピールすることが大切だと思
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います。例えば坂折の棚田では、棚田がカレンダーとして発売されているので、その他の
地域のよいスポットや豊かな自然を、情報誌などに載せて広めたりするといいと思います。
食べ物や郷土のフェスタなどのイベントを開催し、恵那の味をアピールしてもっと観光客
を増やすといいと思います。
■池戸優茄(恵那北中学校)
私から、高齢者が暮らしやすいところについて、さらに磨
きをかける方法を話します。私が考えるのは、高齢者だけでなく、出産、子育てもしやす
い地域にすることです。産婦人科がないと、安心して出産ができません。過疎化にもつな
がっていくと思います。だから、出産、育児施設の充実が必要だと思います。
■池戸映介(恵那北中学校) これで北中の発表を終わります。
■司会
最後の 2 校も、地域の人との絆の深さ、自然、食べ物など地域で自慢できるもの
をいくつも探していただいた。さらにそれに磨きをかけるにはということでは、世代別の
観光マップの作成だとか、恵那の味をもっとアピールして、観光客を増やしたらどうかと
いう意見が出されています。市議会の伊東議長から意見をいただきたいと思います。
■市議会議長
全体的に恵那市の良さ、地域のいいところを的確に把握し意見をいただき
ありがとうございました。
上矢作については、豪雨災害に遭ったことで、災害については厳しい目で見ている。恵
那市が総合計画で目指しているのも、安心安全で住みたいまち、住んでよかったまちとい
うのを最前提にしている。安心安全なまちという点で、十分考えていかないといけない。
上矢作病院が老朽化し、恵那病院と 2 つの病院があるが、施設の改修が必要なので、総
合計画の後期計画でこれを建て替える計画がされている。今、上矢作病院も医師不足で大
変だが、そういうものに対応する病院にしようと考えられている。恵那市では過疎といっ
ても、過疎地域ということで過疎法が適用されるのが、上矢作と串原だ。後期計画で過疎
のところは、国から特別補助金がもらえる。上矢作には 10 億円以上のお金が入る予定だ。
これからの上矢作町の維持について、中学校の生徒の視点からいろいろ考えていただき、
町や市に提案してほしい。上矢作病院も充実しようと思うが、看護師を募集してもなかな
か集まらない。市長はじめ病院関係の人が努力して、一生懸命、病院の維持に努めている。
地域の人々の絆が深いということは、恵那市全体で一番大切なこと。今、高齢化が進み
独居老人が多くなっている。人口が恵那市では減っているが、世帯数は減っていない。独
居が増えている。近所隣の絆の温かい生活が、田舎では必要だ。上矢作の田口さんから言
われたようなことは、田舎にとっては有り難いことだ。小中学校の運動会で、町民が全員
参加して、今までにない盛り上がりだったということだ。少ない人数だが、地域で盛り上
げることが活性化になる。
上矢作は水がきれいなところですので、市長はじめ、なんとかきれいな水を売り出そう
という案がある。水に関して、魚の養殖などができないかということも考えられている。
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そういう雇用もできたらいいと思う。大船山を中心とし、風力発電もある。その辺も、今
後の観光地として売り出せる。道路も、上矢作町は前から周辺の平谷村、天龍村とも付き
合いがあり、上矢作病院にそこから来る人もいる。先日も道路の関係の総会があった。平
谷村、天龍村の村長も参加した 418 号の総会。長野県の総会があるときは市長が行く。道
路の整備が必要だ。厳しい財政ですぐには進まないが、少しずつ進んでいる。418 号は飯
地から上矢作に続いているので、全体的な整備を今頑張っている。
恵那北中学校では、主に、中野方のことが多かった。新東雲橋の整備が進んでいる。毛
呂窪へ大井から新しい橋がかかる。そうなると笠置町はかなり変わる。飯地のほうは新丸
山ダムができる予定だ。その関連で 418 号が八百津町から武並町藤までが未整備なので、
このために市長ともども、お願いしているところだ。地域の食べ物、おいしいもの、皆さ
んがたくさん言われた。笠周地域では、らっせぃみさとに野菜を出している。お不動様の
道の駅にも多少は出ているが、そこでははけきらないということだ。高齢化の中で皆さん
頑張っている。
最後に池戸さんが言われた、産婦人科のこと。恵那病院の中で市長も苦労している。ぜ
ひ産婦人科を作ろうと頑張っているが、医師不足でなかなか来てもらえない。これは財政
の問題ではないので理解してほしい。今後も確保できるように役所も頑張る。中野方、飯
地では、笠周分署といって消防署の分署を作る話があった。救急患者の数や経費を見ると
年間 1 億円かかるし、消防士も 10 人以上確保しないといけないので、厳しく、ドクターカ
ーというのを今考えている。笠置は橋が架かれば市街地に近くなるが、そういうことで救
急体制を何とか取れるようにしたい。一生懸命、今頑張っている。
過疎化が進む中で、地域は地域で少ないなりに頑張ってほしい。全体的に、中学生の皆
さんはぜひ郷土を愛し、地域のいいところを、皆さんが大きくなっても郷土を愛する心を
持って、恵那市に残ってほしい。大学に行っても恵那市に働く場所を作るように努力して
いる。工業団地にいい企業を誘致しようとしている。ぜひ恵那市を守っていくように頑張
ってほしい。
■司会
市長からご意見をお願いします。
■市長
恵南豪雨は平成 12 年ですから、災害から 10 年経った。この間シンポジウムをや
っていただいた。大変な災害だったがしっかり立ち直っていただいた。上矢作で一番感じ
るのは、アライダシの自然林。初めて行ったとき、深い山ならいざ知らず車でわずか 30
分のところに、こんな素晴らしいところがあるとは思ってもいなかった。行く道が分から
ないとか、道路が狭く看板の整備がないということもあって、教育林となっているが、少
なくとも子どもたちには、しっかり見てもらいたい。同時に、自然を壊さないように見て
もらいたい。ごみや、たばこの吸殻を捨てないように、自然を壊さないように、ぜひ見て
いただきたい。また大船神社の弁慶杉は、全国で 7 位の巨木で、素晴らしいものだ。
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そういうものを、いかにPRしていくかだ。世代別の観光マップを作れと提言してくれ
た。いいことだと、初めて気がついた。恵那市にもパンフレットがあり、外国語の版はあ
るが、世代別というのは考えたことはなかった。子どもは子ども、高齢者は高齢者で見る
ところやアピールする点も違う。いい提言だ。考えたい。お月見どろぼうも、面白い習慣
だ。それはやはり、地域の交流がしっかりしているからできる。
恵那北中学校の提言ありがとうございました。飯地に「芋ごねかい餅」というものがあ
る。みのじのみのり祭りで一番好評な食べ物だ。私も、いの一番に飯地のところに行く。
大変おいしい。これも、五平餅や栗きんとんと匹敵するような素晴らしい郷土料理だ。ユ
ズもこれから地元の特産にしたい。皆さんにもユズのことも知ってほしい。
恵那病院の再整備をしたい。そのときには必ず産婦人科を作ると約束してきた。少し時
間がかかるが、それまでには医師確保して、恵那病院には産婦人科を設置する。皆さんが
子どもを持つときには、実現するようにする。子育ての場所。中野方保育園が古くなった
ので、来年度以降で改築する。少しでも子育てができる環境を作る。おきもりという、地
域の高齢者、交通弱者を守る制度を作られた。素晴らしいことだ。
今日は、皆さんからいろいろな提言をいただきありがとうございました。できるものか
ら、ぜひ少しずつやっていきたい。
■司会
これで 8 校の提案と、市長の意見も伺いましたので、せっかくの機会なので、中
学生の皆さんから市長に聞きたいことがありましたら質問していただきたい。
ないようなので、最後に本日のまとめとして、恵那市総合計画審議会会長の岐阜大学教
授有本先生に話していただきたいと思います。
■総合計画審議会会長
この場の議論全体をまとめる能力はない。私の感想を 3 つ話す。
まず、ふるさとを思う心。自分が生まれ育った、もしくはこちらに引っ越してきた人が、
恵那のこの地域をどう思っているのか、ということを感じた。中学生には地域にあるいい
ところ、好きなところという投げかけをされて、そのことを一生懸命考えたのだと思う。
恵那市民すべて、男女、お年寄り、引っ越してきた人が、自分のふるさとをどう思ってい
るか。いいところだと本当に思っている人が圧倒的に多いと思うが、確信を持っていない
人もいるかもしれない。よそから来た人は、自分の生まれ育ったところのほうが、いいと
思っているかもしれない。たくさんの人が住んでいるから、皆さんの世代でもふるさとを
思う心に強弱、いろいろな違いがあると思う。40 人いればみんな違う。家族や周りの人も
違う。その人たちからどう教わっているかによっても違う。
前にテレビを見ていたら、フランス人のフランソワーズ・モレシャンという女の人がこ
う言っていた。
「日本人って変な人たちですね、自分の生まれ育ったふるさとを自慢しない。
フランス人は、名の知られていない田舎でも大自慢する。パリの真ん中でも、みんな生ま
れ育った町を自慢する。東京の人は、東京で生まれ育った人だけが自慢する。地方から来
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た人は、自分の生まれ育った町を自慢しない」と。すごく印象に残っている話だった。そ
のとき私が思ったのは、経済力の違い、中央ということ、いろいろなイベント、建物があ
るところは、そこの人はふるさとを自慢して、自分の地元にいいところがあるのに知らな
い人、特に大学生として東京に出て行った人は、ふるさとの自慢をしない。日本社会のふ
るさとを自慢する伝統が、どこかで途切れているのか、どこかで弱っているのか、もとも
とそういう文化があまりなかったのか。そういうことを感じた。
その影響が、今でも続いている。皆さんが大学に行ったとき、東京や大阪に行ったとき、
恵那の自慢をするか。してほしいと思うが、そういう人ばかりではないと思う。昔ですが、
関が原の町長が「関が原は有利だ。なぜなら、関が原出身というとみんな分かる。1600 年
に関が原の戦いがあったから。自慢するもしないもなく、みんな分かってくれる」と言わ
れた。これは、1 つの例ですけども。
つまり、本当はそこに生まれ育った人たちに、自分の生まれ育ったところの自慢をして
ほしいが、そうしない人が多いと思う。どうしたら自分が生まれ育った、豊かな自然、歴
史文化、産業、産物のあるこの地域のことを自慢してもらえるか、市長、議長、教育長、
各学校の校長先生に、教育の内容からしっかりプログラムを組んでいただき、誰もが地元
のことを自慢できるようになってもらうこと。これがふるさとを思う心。まだ恵那市民全
体に、その心が、高いレベルで浸透していないというのが、現状ではないかと思う。
ふるさとにいろいろな思いを持っていて、それをどのようにレベルアップしていけばい
いのか。
「えな 100」の後ろに、佐藤一斎の言葉で「博聞強記は聡明の横なり。精義入神は
聡明の竪なり」とある。いろいろな人が、いろいろな思いを持っているということを、し
っかり頭の中に収めていただき、そういう違いが出てくるのはなぜかということを、しっ
かり突き詰めて議論して、つかんでもらうと、皆さんは賢い人になって、どんなことがあ
ってもその危機を切り抜けて、周りの人と仲良く幸せな生活を送っていくことができるの
ではないか。一斎先生が言いたかったのは、そういうことではないか。
2 つ目は、日本社会にふるさとを自慢する伝統が途切れたのか、なかったのか良く分か
らない。しかし、これを今、一生懸命作らないといけないと思っている。今日で終わった
かもしれませんが、COP10 という会議がありまして、世界中から自然保護、環境問題の専
門家が集まり議論をしていた。里山ネットワーク。この近くにある山を保全して、その山
の恵みを受ける、そういう人々の行いが、これからの人類にとって非常に大事だと。1 年
間に 4 万種という動植物が絶滅している。それで人間が知っている種の数が、3 千万から 4
千万種ある。今の速度で生物が絶滅していくと、900 年経つか経たないかで、ゼロになっ
てしまう。人間も滅びてしまう。テレビでよくやっているが、木のくずを、いろいろな動
物の名前を入れたゲームがあり、抜いていって、倒れるかどうかゲームする。品種をどん
どん抜いていく。最後は、食物連鎖のてっぺんにある人間も崩れてしまう。百年ぐらいの
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期間で見ると、人間が自然と共存できるかどうか、人と自然との新しい共存関係を作るこ
とが、この人類で最大にして唯一最高の課題という言い方をしている。つまり自然豊かで、
その自然といかにうまく付き合っていけるかということが、世界中で課題になっている。
ここの地域でいうと、むしろ野生の生物のほうが強くて、クマ、イノシシ、サルが出た
と。クマやイノシシやサルがもっと奥に引っ込んでくれるには、どう山林の整備をすれば
いいのか、人間がこの山林からいかに木を切り出して燃やして、また木を植え直して、そ
ういう自然と人間との関係づくりが、今世紀の課題と言われている。そういう時代。東京
にも三宅島があるし山間部には豊かな自然があるので全部ではないが、都心の人たちは、
他人に自慢する自然が豊かであるわけではない。自然が豊かな地域の人たちこそが、自分
が生まれ育った地域のことを誇りに思う。仕事でたまたま都会にいるかもしれないが、い
い年になって定年退職したら家に帰って、自然と人間との共生関係の構築に役立ちたい、
という人たちがどんどん出てくる。そういうことが、地元にいる人はもちろん、自然と人
間との関係をうまく構築していけるかどうかとなり、人類の将来を決定するといわれてい
る。そういうことで、今住んでいる地域のことをしっかり見つめて、いろいろな考え方の
人がいるがその考え方をどう高めあっていけばいいのか、そのことを一生懸命考える。こ
れが佐藤一斎先生の教えだと思う。そういう意味で、人間と自然との新しい関係を作るた
めに、都会の人とも農村の人とも地域の人ともいろいろな話し合いをし、いろいろな知恵
を出し合い、人々が地方都市、中山間地、過疎地域など、いろいろな表現はありますが、
それぞれの地域で頑張って暮らしていけるような社会環境を作っていくために、国、県、
市町村を含め、行政と市民との関係をしっかり作っていくことが我々の課題になっている。
これはもっぱら市長、議長の課題だ。よろしくお願いします。
最後に、PR、ホームページ、ゆるキャラ、看板、イベント、B級グルメ、アクセス。
いろんなアプローチの話があった。私は、人のふるさとへの思い、こういった手段はすべ
てしっかりやってもらいたいと思うが、その軸になっている佐藤一斎の、物事の根本にあ
るのは、そこに住んでいる住んでいた人の心だと思う。PRの前提になるのは、そのPR
で地元のことを宣伝したい、地元のことを自慢したい、人に来てもらって豊かな環境をつ
くりたい、そこにいる人の心が、一番根本にあると思う。恵那市民が、年に数回は恵那市
外に出かけると思う。親戚に行く、旅行もする。そのとき、誰かに恵那市とはどういうと
ころかと聞かれたら、そこで一言自慢してもらうだけで、人口分だけのPRができる。皆
さんの学校でもコンピュータールームでホームページが開けると思うが、何か一つ入れて
ヒットする数は 20 万とか、30 万はざらで、50 万件ぐらいなら抽象的な言語を入れたらヒ
ットする。いくらホームページを作っても、見てもらえなければ意味がない。そういうの
は、ないよりあったほうがいい。あったら徹底してあるほうがいい。でも一番ローコスト
で、一番効果的に人に訴えるPRは、やはり人間の口コミだと思う。恵那市民がみんな大
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なり小なり地元を大事に思って、どこかで誰かと話したときに、地元の自慢をすることが
前提だと思う。
それを組織化したのが、ゆるキャラやイベント、看板だ。それは後からついてくるもの
で、根本は市民の恵那を自慢したい、恵那を紹介したい、恵那に来てもらいたいという思
いだ。それを、ここにいる皆さんは今日帰ったら、クラスメイトや父母、近所の人、こう
いう具合に広げていってもらうといい。ホームページにも看板にもお金が掛かるが、口コ
ミには、あまりお金が掛からない。そして一番効果的だ。それを一番基本において、それ
を組織的にするには、いろいろなものがある。
そのためには、周りの人がふるさとをどう思っているか、その違いを、皆さんにしっか
りつかんでもらいたい。クラスメイト 40 人なら、40 人にいろいろな温度差がある。低い
人には話をして、一緒にやろうという気になってもらう。そうしてクラスから学校のレベ
ルに上がってきたら、地域のレベルが上がり、市の全体のレベルが上がってきて、皆さん
が年に 1 回行っても市民の数だけ宣伝をするということだと思う。
皆さんが言われたことは、すべてその通りで素晴らしい考え方だ。それを組織的にロー
コストでやるのは、皆さんが頭の中でそういう状況をしっかり見定め、一人一人に対応し
たふるさとを思う心の輪を強くすることを、今日からでも明日からでも卒業後も、よその
地域の大学に行っても、一生やり続けてくれるといいと思う。
■司会
ありがとうございました。最後に、市長からお礼のあいさつをお願いします。
■市長
有本先生から百パーセントお話しいただいた。この機会に皆さんが、恵那市をど
う思ってくれたかが収穫だと思う。生徒の皆さんに、どう思うか話をしてから代表として
来た人もあると思う。そういう機会をつくってくれたことが有り難い。その輪を広げてほ
しい。恵那市を誇りに持つことが大事だ。誇りを持たなければ外で言えない。皆さんが発
表してくれたこと、さらに磨きをかけようとして思ってくれたことは、自分たちの地域の
あるいは恵那市の宝を自慢できる、誇りができるということだと思う。そのためには、よ
り良く知ってもらうということだと思うし、知った上でどうしてもらうかということを考
えてもらうことだと思う。
COP10 の話が出た。10 月 18 日に、私も、水で守る命というテーマで参加した。木曽川流
域の 29 の団体が集まって話をした。私どもは中流域で、上流域から豊かな水を受け継ぎ、
それをさらに豊かにして、下流域に流すという務めをしなければならないということを申
し上げながら、阿木川ダム湖に数年前アオコが発生してかび臭くなったのを解決する方法
として、恵那農業高等学校が中心になって、空芯菜を栽培して実験をしたことを発表した。
恵那農業高等学校からも先生と生徒が出掛けて、名古屋の堀川でもその実証実験をやって
効果を上げた。その発表会では、一番いい発表だったと思った。そういう恵那農業高等学
校の先輩の、素晴らしい働きがあることも知ってほしい。
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もう一つ、リニア新幹線。10 月 21 日の新聞がここにある。大阪・東京間を、67 分で行
けるようになる。名古屋・東京間は 40 分。この新幹線は、リニアモーターで動き時速 500km
で走れる。夢の超特急と、私は思っていますが。それがいよいよこの地域を通ることにな
る。岐阜県のうち、東濃地域に敷設される。多治見、土岐、瑞浪、恵那、中津川の、5 つ
のうちのどこかに駅ができる。それを 2014 年には着工しようとしているのが、新聞で発表
があった。もし恵那に駅ができると、東京まで 35 分で行ける。まさに首都圏になる。名古
屋・東京間の完成予定は 2027 年。皆さん方が 30 歳代の一番働き盛りになるころ。首都圏
に、日帰りができる。それと同時に、恵那市にはいいところがある。東京の奥座敷にもな
りうる。学術、文化の研究する施設を持ってきたらどうか。そういう夢がある。夢と誇り
を持って恵那のまちづくりをしていければと思う。リニアの報道があったらしっかり見て
ほしい。岐阜県に 1 駅。どこにできるかは分からないが、できたら恵那にできるといいと
思うが、そうでなくても東京までは 1 時間以内で行けるようになる。そうするとここも首
都圏になるということだ。
皆さんの貴重な意見をいただき、今日は、ありがとうございました。
■司会
長時間お疲れ様でした。これで終了します。本日、提案のありました意見は、今
後のまちづくりに生かしていきたいと考えています。
〔
閉
30
会
〕