SUPER GT - Michelin

[ミシュラン モータースポーツマガジン]
08
2016 VOL.
特集
MICHELIN
ミシュランのSUPER GTプログラム
SUPER GT
PROGRAM
Page 2
HISTORY
ミシュランSUPER GT参戦小史
PURPOSE &
IMPORTANCE
Page 4
参戦の目的と価値
Page 6
TIRE SERVICE
ミシュラン タイヤサービスのお仕事
EVENT REPORT
Page 8
SUPER GT
第 5 戦 富士/第 6 戦 鈴鹿
Page 12
WEC
Page 13
WRC
Page 15
第 4 戦 ニュルブルクリンク
第 8 戦 ラリー・フィンランド
第 9 戦 ラリー・ドイツ
Moto GP
第 9 戦 ドイツGP
第10 戦 オーストリアGP
第11戦 チェコGP
※ポインターをページ番号や見出しの文字に合わせていただくとそのページのトップにジャンプできます。
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MICHELIN SUPER GT PROGRAM
ミシュランの SUPER GT プログラム
カストロール・トムス・スープラ
1999
HISTORY
ミシュランの SUPER GT 参戦小史
関谷正徳/黒澤琢弥
(カストロール・トムス・スープラ)
1999
すが、本格的に参戦したのは 1999 年が最
シュランは SUPER GT で初めてのシリー
初でした。パートナーはTOYOTA TEAM
ズタイトルを獲得。 さらに、 2007 年には
TOM'S で、同チームから出場した3 台のト
TOY STORY apr MR-S (大嶋和也/
ヨタ・スープラ GT500 にタイヤを供給。
石浦宏明)、 2008 年には MOLA レオパレ
そのうちの 1 台をドライブした関谷正徳/
ス Z (星野一樹/安田裕信)によって立
黒澤琢弥のコンビによりミシュランはシリ
て続けにシリーズを制し、供給台数は少な
ーズ参戦初年度にして 2 勝をマークし、
ドラ
いにもかかわらずミシュランはその存在感
イバーズランキング2 位を手にしました。
を高める一方となっていきました。
自ずと参戦 2 年目以降はチャンピオン獲
得が目標となるところですが、 2000 年以
降のミシュランは思うような結果を残せな
過
去 5 シーズンのうち 4 シーズンにお
2005
RECKLESS MR-S
いレースを数多く経験することになりました。
いてミシュランタイヤ装着車がチャ
そ し て ミ シュラ ン は 2 0 0 3 年 を も っ て
ンピオンに輝いているSUPER GT 。この
GT500 クラスへの参戦を一端休止するこ
レースシリーズがスタートしたのは 1994
とを決断。 翌年からは GT300 クラスを戦
年のことで、同年から 2004 年までは全日
いながら改めてこのレースシリーズで勝つ
本 GT 選手権として、そして 2005 年以降は
ための技術や体制を磨いていきました。
SUPER GTとして開催されています。
その成果は早々に現れました。 2005 年
ミ シュラ ン は シリ ー ズ が 設 立 さ れ た
には佐々木孝太/山野哲也のコンビがドラ
1994 年の終盤 2 戦にスポット参戦していま
イブした RECKLESS MR-S によってミ
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MICHELIN SUPER GT PROGRAM
2009
HASEMI TOMICA EBBRO GT-R
GT500再参戦3年目
待望の初タイトルを手に
T300クラスに4シーズン参戦し3 度
年も続きました。 2 年目
シリーズ制覇を達成したミシュラン
のクインタレッリ/柳田
は、一端休止していた GT500 クラスへの
の コンビ が 駆った S
挑戦を2009 年から再開しました。そのとき
Road REITO MOLA
の パ ート ナ ー は H A S E M I M O T O R
GT-R は 5 戦連続で表彰
SPORT の HASEMI TOMICA EBBRO
台を獲得するという離れ業をやってのけ、
GT-R で、同車を走らせたロニー・クイン
最終戦を待たずに 2 年連続のタイトルを決
タレッリ/安田裕信のコンビはマレーシア
めてみせたのでした。
G
2011
S Road MOLA GT-R
を成し遂げたのでした。
●
現在の SUPER GT の GT500 クラスは、
のセパン・サーキットで行われた灼熱の一
2013 年は、ミシュランとしてはタイヤの
ブリヂストン、横浜ゴム、ダンロップ、そして
戦で快勝を収めましたが、シリーズランキ
パフォーマンスは示せたものの、どのパー
ミシュランと、世界的なタイヤメーカーが 4
ングは 7 位にとどまりました。 明くる 2010
トナーチームにもどこか歯車が噛み合わな
社も参入して激しい開発競争を繰り広げて
年は日産のワークスチームである NISMO
いところがあり、シーズンを通しての結果
いる世界的に希有なカテゴリーです。そして、
の MOTUL AUTECH GT-R (本山 哲/
は奮わないシーズンとなりました。
ミシュランにとっては世界のタイヤ市場で
ブノワ・トレルイエ)がミシュランタイヤを
そして 2014 年、 GT500 クラスの車両
覇を争うブリヂストンと戦える世界で唯一
採用。予選では繰り返し速さを見せたもの
規定が一新されました。 それに基づく新し
のモータースポーツシリーズであることから、
の決勝レースでの取りこぼしが多くランキ
い GT500 マシンは、エンジンの出力が上
とりわけ重要度の高いフィールドと位置づ
ング7 位という結果に終わりました。
がり、車重が軽くなり、フロントタイヤの幅
けて取り組んでいます。
2011 年、ミシュランは安定的に上位を走
が細くなりました。
るためにSUPER GTタイヤの大幅な見直
つまり、タイヤにとっては従来以上に技
しを図りました。そして、この年新たにミシ
術力が問われる状況となったわけですが、
ュランユーザーとなったMOLA の S Road
そ ん な 中 でミシュランタイヤを 使 用した
MOLA GT-R(クインタレッリ/柳田真孝)
NISMO の MOTUL AUTECH GT-R(松
がシリーズ全 8 戦のうち 5 戦で表彰台に上
田次生/ロニー・クインタレッリ)が 2 度
るという強さを発揮してチャンピオンに。ミ
もポール to フィニッシュを決めるという強
シュランは GT500 参戦通算 9 年目にして
さを見せてチャンピオンに。 松田/クイン
ついに同クラスのタイトルを手にしました。
タレッリの MOTUL AUTECH GT-R は
日産 GT-R +ミシュランの強さは 2012
2015 年も 2 勝をマークしてシリーズ 2 連覇
2014
MOTUL AUTECH GT-R
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MICHELIN SUPER GT PROGRAM
小田島モータースポーツマネージャーが語る
PURPOSE & IMPORTANCE
SUPER GT 参戦の
目的と価値
世界各地で行われている様々なモータースポーツに取り組んでいるミシュランですが
とりわけSUPER GTについては最も重要度の高いシリーズと位置づけています。
そのコミットメントについて、SUPER GTにおけるミシュランの活動を取りまとめている
日本ミシュランタイヤの小田島広明モータースポーツマネージャーに語ってもらいました。
我々ミシュランがモータースポーツ
してふたつ目の柱の実践が SUPER GT 、
在これだけの高いレベルでタイヤ競争を行
活動を行う目的には 3 本の柱があり
特に GT500 クラスへの参加です。 我々の
っているカテゴリーは SUPER GT 以外に
ます。ひとつ目の柱はミシュランのブランド
市販レーシングタイヤが唯一の公式タイヤ
ありません。したがって、我々にとってこの
力向上に貢献すること、ふたつ目は我々が
として使用されているポルシェカレラカッ
レースの価値は以前にも増して高いものに
持つ技 術が競 争 相 手に対してどの 位 置に
プや、やはりタイヤがミシュランのワンメイ
なってきていると言うことができると思い
あるかを比較すること、そして 3 つ目はモー
クとなっている FIA フォーミュラ E 選手権
ます。特にブリヂストンと真っ向勝負できる
我
タースポーツで培った技術を製品にフィー
への参加は 3 つ目の柱の実践にあたります。
というところが大きいです。ブリヂストンは
ドバックし、一般のユーザーのみなさんに
ちなみに、市販タイヤの MICHELIN Pilot
我々にとって、モータースポーツのみならず、
適切に提供することです。
Sport 4 はこのフォーミュラ E で磨いた技
あらゆるジャンルの製品において一番の競
ひとつ 目 の 柱 を 実 践して い る の は 、
術を採用して開発した製品なのです。
争相手であるわけですから。
WEC( FIA 世界耐久選手権)、WRC( FIA
我々が SUPER GT の前身である全日
したがって、ミシュランはグループ全体と
して SUPER GT に大いに注目しています。
世界ラリー選手権)、 MotoGP( FIMロー
本 GT 選手権に参加を始めた当時はタイヤ
ドレース世界選手権 MotoGPクラス)とい
競争が行われているモータースポーツカテ
私が社主のジャン=ドミニク・スナールと会
ったトップカテゴリーにおける活動です。そ
ゴリーが他にもいろいろありましたが、現
うことがあれば、彼は『 GT500 の状況はど
約11万人の社員がいるミシュランですが
その社主が私に会うたびに
『GT500の状況はどうだ?』
と聞いてきます
昨年の最終戦で 2 年連続チャンピオンを決めたNISMO の鈴木 豊監督
を祝福しているのはパスカル・クワノン。ミシュランのモータースポー
ツ活動のすべてを統括する彼ですが、最重要シリーズであるSUPER
GT の最終戦には毎年足を運んでいます。
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MICHELIN SUPER GT PROGRAM
うだ?』と必ず聞いてきます。全部で 11 万
し かし 、 さら に 振 り 返 る と 、 我 々 は
2011 年の体制をそのまま持ち越して連覇
人くらい社員がいる企業のトップが私の顔
GT500 で一度挫折しています。 1999 年
できたわけですから、いかに強いパッケー
を見るたびに『 GT500 はどう?』と聞い
からこの クラ ス に 本 格 参 戦しました が 、
ジを我々が築くことができていたのかを証
てくるわけです。それだけ SUPER GT の
2003 年をもって一端休止せざるを得ない
明できました。
2 0 1 3 年 は 落 としてしま い ました が 、
存在が彼の頭にも大きく入っているという
状況になったことがあるわけです。
ことだと思いますし、ミシュラングループと
そのとき我々は、何が悪かったのかとい
2014 年にレギュレーションが変わって車両
しても SUPER GTにおける活動の価値を
うことを 改 め て 分 析しました 。 そして 、
が一新され、そこでまたタイトルを獲るこ
高く評価していることは間違いないところ
GT300 クラスへの参加を続けながら技術
とができました。さらに昨年も連覇した。こ
だと思います。
と体制を磨き、 2009 年から GT500 に再
のあたりは、 NISMO という強いパートナ
過去 5 シーズンのうち 4 シーズンにおい
参戦することを決めました。 それにあたっ
ーと組めるようになったということもあり
て GT500 クラスでは我々ミシュランのタ
ては、ミシュランという企業にとってどのよ
ますが、新しいレギュレーションへの我々の
イヤを使ったパートナーチームがチャンピ
うな活動を行うのが価値があることなのか
対応力がブリヂストンをはじめとする競争
オンを獲ってきました。
を明確にし、目標に対する適切なロードマ
相手を上回っていたからこそであり、その
ップを描いて臨みました。再参戦前の 2008
ことを結果で証明することができたと捉え
年はテストを行い、 1 年目の 2009 年は実
ています。
戦を通しての勉強の年とし、2 年目の 2010
ただし、現状での我々がライバルに対し
年には一回はどこか得意なところで勝ちた
てそれほど優位性を持っているとは考えて
い、そして 3 年目の 2011 年にはチャンピオ
いません。毎レース、できるかぎりのものを
ンを狙っていきたい、という考えでした。
用意して持ち込んで戦うだけです。 そうし
そして実際、 2011 年にきちんとチャン
てぎりぎりのところで凌ぎを削れる極めて
ピオンを獲ることができました。 それは大
レベルの高い技術的な競争があるからこそ、
きかったですね。続く2012 年も連覇できた。
我々ミシュランにとって SUPER GT への
いろいろラッキーな要素もありましたけど、
参戦は本当に価値の高い活動なのです」
極めてレベルの高い技術的な競争があるからこそ
ミシュランにとってSUPER GTへの参戦は
本当に価値の高い活動なのです
PURPOSE & IMPORTANCE
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MICHELIN SUPER GT PROGRAM
ミシュラン の S U P E R
GT 参戦の活動をサーキ
ットの現場で支えている
スタッフたち。前列左か
ら、小田島広明(モータ
ー ス ポ ー ツ マ ネ ー ジャ
ー)、小久保直之( 46 号
車担当テクニシャン)、鴨
下広之( 1 号車担当テク
ニシャン)、押田 仁(デ
ータアナライザー)、後
列左から、ロマン・ファ
ブロー(パフォーマンス
エンジニア)、岩渕哲也
(オペレーションチ ーム
統括)、江口 学(フィッ
ター)、畠山知信(リエ
ゾンオフィサー)、中鉢健
一(フィッター)、斎藤将
司(フィッター)、二塚利
裕(フィッター)
※ カッコ 内 の 職 名 は サ
ーキット現場における仕
事・役割を示しています。
MICHELIN SUPER GT TIRE SERVICE
ミシュランSUPER GTタイヤサービスのお仕事
テクニシャンとデータアナライザーによる二段構えの現場エンジニアリング
ミ
シュランタイヤを使用して SUPER
の要望を吸い上げつつ、ミシュランとして
ズンの SUPER GT を戦っているのは 2 台
GTを戦っている車両にミシュランは、
の技術的な改良・進化を図っていくことです。
で、ともに車両は日産 GT-R GT500 です
が、操るドライバーのスタイルも違えば、戦
その車両専任のタイヤエンジニア(ミシュ
ミシュランユーザー各車のデータを分析
ランでは「テクニシャン」と呼んでいます)
し、現状ではタイヤがどう機能しているか、
績に応じて搭載することになるハンデウェ
を 配 置して います 。 今シー ズンの 場 合 、
今 後 の 走 行ではどのような手を打つのが
イトの量も違っていきます。こうした不規則
な変数的要素を独自の係数を用いて消し
MOTUL AUTECH GT-R (松田次生/
適切と考えられるか、といったところを各テ
ロニー・クインタレッリ)は鴨下広之、 S
クニシャンにアドバイスするデータアナラ
去り、純粋なタイヤのパフォーマンスを導
Road CRAFTSPORTS GT-R (本山
イザーという職務のエンジニアもいます。
き出してそ れを客 観 的に評 価するのがデ
哲/千代勝正)は小久保直之が担当して
この仕事を現在担当しているのが押田 仁
ータアナライザーの最も重要な役割となり
います。彼らの最大の役割は、担当チーム
です。ミシュランタイヤを使用して今シー
ます。
また 、 テストやレー スにはフランス で
パートナーチームと円滑なコミュニケーションを築き
ながら、ミシュランの考えを実践し、技術を進化させて
いく道筋をつけることがテクニシャンには求められます。
SUPER GTタイヤの開発に携わっている
エンジニアが必ずやって来ます。タイヤの
実際の使用状況などを現場で直接観察・
検証することで、彼らの知識や理解を最新
のものとし、以後のタイヤ開発に役立てて
います。
路面温度は最も基礎的なデータであり、折に触れてその計
測を行っています。
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MICHELIN SUPER GT PROGRAM
ミシュランタイヤサービスのお仕事
タイヤフィッティング作業の流れ
ホイールへの
組み込み
組み込みタイヤの
照合
エアバルブの
組み込み&エア圧の調整
ドライエアの充填
ミシュランはすべての SUPER GT タイヤを個別に管
バランスの調整
丈なケージの中で行います。その後、新品のエアバルブを
理していますが、ホイールはチーム側がミシュランタイヤ
組み込み、エア圧の調整、タイヤ内の温度計測、エア漏れ
ガレージで距離管理を行っています。そこで、どのタイヤ
がないかのチェックを実施。そしてホイールバランサーに
をどのホイールに組み込むのかそれぞれ指定を受けた上
かけます。このとき、サイドウォールなどに歪みや振れが
でタイヤのフィッティング作業は行われます。
出ていないかの確認も目視で行っています。
タイヤのホイールへの組み込みは最も熟練した技術が
こうして完成状態となったタイヤ&ホイールのセットは、
必要になるところです。そして、組み込みが済んだタイヤ
エンジニアからの指示どおりのタイヤが組まれているか
にはそのビードがホイールリムにきちんと装着されるまで
再度チェックが行われ、そののちにチームへと引き渡され
ドライエアを充填します。安全確保のため、この作業は頑
ます。
「この週末は雨は降りそうにない」という予報であ
っても、一定数のウェット用タイヤのホイールへの組
み込みも必ず行って“有事”に備えています。
すべてのタイヤの一生を製造から廃棄まで個別に管理
ミ
シュランの SUPER GTタイヤの設
だけ適したタイヤを選択してレースウィー
ウェット用タイヤを使用できるのは、その走
計や製造は、ミシュランの本拠地で
クに持ち込めるようにするためです。
行セッションがウェットコンディションであ
あるフランスはクレルモン=フェランで行
タイヤとホイールはサーキットに別個に
ることを大会審査委員会が公式認定した場
われています。作られた SUPER GTタイ
運搬されます。ホイールはチームの所有物
合のみとなっています。
ヤはひとつひとつ検品され、そして日本へ
であり、その管理・運搬もチームが行うも
ミシュランの SUPER GT タイヤは、そ
と送り出されます(※日本国外で行われる
のだからです。したがって、レースウィーク
の一本一本に識別コードが与えられており、
レースやテストで用いられるタイヤは現地
のどこかのタイミングでタイヤをホイール
そのタイヤがどういう仕様で、いつ日本に
へ送られます)。
に組み込まなければならないわけですが、
入り、どのように使われて、どういう状態に
SUPER GT では1 台の車両が本番のレ
その作業は走行セッションのない金曜日の
なったか、そして最終的にはいつ廃棄したか、
ースウィーク中に使えるタイヤの本数が制
日中に行います。
といったところがすべて個別に管理されて
います。なお、使用後の状態の徹底的な検
限されており、通常の 300kmレースの場合、
ドライ用のタイヤは、ホイールに組み込
ドライコンディション用が 7 セット( 28 本)
まれた後は各チームのピットへと運ばれます。
査を行うためにフランスに送り返されるタ
まで、ウェットコンディション用が9セット( 36
そして、この金曜日の夕方までに大会の技
イヤもあります。
本 )までとされています( ※ 未 勝 利 のタ
術委員によってマーキングが施され、公式
イヤメーカーは出場 2レース目以降、
ドライ、
練習から決勝レースの第 1 スティントまで
ウェットともに 1 セットずつ多く用意するこ
の各走行セッションにおいてその車両が使
とができます)。
一方、そのレースウィークに向けてクレ
用するタイヤとしての認定を受けるのです
(※決勝レースの第 2 スティント以降はレー
ルモン=フェランから日本へ送られるタイ
スウィークの上限本数以内であればマーキ
ヤの数はレースウィーク中の上限本数を上
ングのないタイヤも使用可能です)。
回っています。これは、レースウィークの気
なお、ウェット用タイヤに関しては、マー
象条件などに関してできるだけ最新の情報
キングは行われず、予選で使ったタイヤで
を得ながらチーム側とミシュラン側の間で
決勝レースをスタートしなければならない
ぎりぎりのところまで検討を重ね、できる
という制約も設けられていません。ただし、
大会技術委員によってタイヤマーキングが行われていると
ころ。ドライ用タイヤすべてのサイドウォールに、そのタイ
ヤを使用する車両のゼッケン番号と当該レース開催サーキ
ットの略称のスタンプが手押しされます。
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EVENTREPORT
最も重 いウェイトを搭 載しながら 3 番 手グリッドについた
MOTUL AUTECH GT-R とミシュランタイヤのパッケー
ジは注目の的でした。
SUPER GT
AUTOBACS SUPER GT SERIES
2016 Round 5
FUJI
●予選:8月6日/決勝:8月7日 ●開催地:富士スピードウェイ
●レース距離:300㎞
ハンデウェイト84㎏でも表彰台に肉迫
MOTUL AUTECH GT-Rが値千金の4位に
の 週 末を通して夏 空が広がった富
達成しました。
士スピードウェイ。予選第 1 セッショ
また、もう一台のミシュランタイヤ装着
CRAFTSPORTS GT-R のステアリング
ン( Q1 )は路面温度が 52 ℃に達した中で
車でポイントランキングトップを走る No.1
を握った本山 哲がセカンドベストとなるラ
こ
たが 、この セッションで No.46 S Road
迎えましたが、ここで最速タイムをマーク
MOTUL AUTECH GT-R は、今大会には
ップタイムをマークしてフロントロウを獲得。
したのは、ミシュランタイヤを履き、 30 ㎏
84 ㎏のハンデウェイトを積んでの出場でし
さらに、今大会の出場車両の中では突出し
た 重 さ の ハンデウェイトを 搭 載して いる
のハンデウェイトを搭載して今大会に臨ん
たが、松田次生が 8 番手タイムを刻んで見
だ No.46 S Road CRAFTSPORTS
事 Q1 突破を果たしました。
No.1 MOTUL AUTECH GT-Rがロニー
GT-R でした。
続く予選第 2 セッション( Q2 )でもミシ
・クインタレッリの素晴らしいアタックによ
り 3 番手のタイムを叩き出し、その驚異的
この Q1を担当したのはGT500クラス参
ュラン勢 の 速さが目 立 ちました。 ポー ル
戦 1 年目の千代勝正で、これで彼は今季 4
ポ ジ シ ョ ン は ウ ェ イト ハ ン デ の 軽 い
なパフォーマンスにサーキット中がどよめ
戦目にして 3 度目の Q1トップタイム通過を
No.12 日産 GT-R GT500 が 奪 いまし
きに包まれました。
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EVENTREPORT
SUPER GT
2016 Round 5
FUJI
「あと 1 周あれば前を抜いて 3 位に上がること
もできたと思う」とはレース後の松田のコメン
ト。 ゼッケン 1 をつけた MOTUL AUTECH
GT-R が王者にふさわしい力を見せつけました。
5
月にこのサーキットで行われたシリ
には何らかの車両トラブルが発生。 十分に
んだ松田が果敢なドライビングを披露。 ハ
ンデウェイトが最も重いにもかかわらず先
ーズ第 2 戦はレース距離 500km と
減速できないままコースから飛び出し、ラ
いう長丁場の一戦でしたが、今回のレース
ンオフエリアの端のタイヤバリアに激突し
行車両を上回るペースで走り続け、最終ラ
は 300km という標準的な距離での戦い。
て停車するというアクシデントが発生しま
ップには 3 位を走る No.100 ホンダ NSX-
前日に続いて晴天に恵まれ、 路面温度も
した。ドライバーの千代は自らマシンを降
CONCEPT GT の真後ろに迫りました。
50 ℃近くというコンディションのもとでレ
りて大事には至っていないことをアピール
搭載するハンデウェイトがたったの 4kg
ースはスタートしました。
しましたが、いずれにせよNo.46 GT-R は
であった No.100 NSX をかわすことはさ
ミシュランタイヤを使用する 2 台の日産
勝機があったレースで痛恨のリタイアに追
すがに難しいものがありましたが、 No.1
GT-R GT500 はともにミディアムコンパ
い込まれました。
GT-R は堂々の 4 位でフィニッシュ。トップ 6
ウンドのスリックタイヤを装着して出走。ポ
一方、クインタレッリがスタートを担当し
の 他 の す べ て の 車 両 のウェイトハンデ が
ールシッターの No.12 日産 GT-R がスタ
た No.1 MOTUL AUTECH GT-R は、
22kg 以下であった中で、 84kg を積んだ
ートからトップを走りましたが、本山が前半
84kg のハンデウェイトを抱えながらウェイ
N o . 1 G T- R が 表 彰 台 目 前 に 迫り、
スティントを 担 当した N o . 4 6 S R o a d
トの軽いライバルたちのチャージを制し続け、
NISMO +日産 GT-R +ミシュランタイヤ
CRAFTSPORTS GT-R は常に 2 ∼ 3 秒
スタート位置からポジションを落とすこと
のパッケージの強さを改めて示したレース
程度の差で追走し続けました。
なく3 位で前半スティントを走り抜きました。
となりました。
そして No.46 GT-R は 66 周のレースの
そして No.1 GT-R は 33 周目
約半分の 32 周をこなしたところでピットイン。
を終えたところでピットへ。この
本山から千代に交替し、引き続きミディア
間にプッシュして速い周回を重
ムコンパウンドのフレッシュタイヤに履き
ねたライバル 2 台の先行を許し
1
替えて戦列に復帰しました。
ましたが、前半スティントと同じ
2
ところがその 2 周後、つまり35 周目に入
くミディアムコンパウンドを履い
3
った直後の第 1コーナーで、No.46 GT-R
た No.1 GT-R に新たに乗り込
FINAL RESULT - TOP 6 & MICHELIN CARS
POS.
4
5
6
R
CAR (DRIVERS)
No.12 カルソニック IMPUL GT-R
(安田裕信/J-P.デ・オリベイラ)
No.17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT
(塚越広大/小暮卓史)
No.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT
(山本尚貴/伊沢拓也)
No.1 MOTUL AUTECH GT-R
(松田次生/ロニー・クインタレッリ)
TIRE
ブリヂストン
ブリヂストン
ブリヂストン
ミシュラン
No.36 au TOM'S RC F
ブリヂストン
No.8 ARTA NSX CONCEPT-GT
ブリヂストン
(伊藤大輔/ニック・キャシディ)
(松浦孝亮/野尻智紀)
No.46 S Road CRAFTSPORTS GT-R
(本山 哲/千代勝正)
ミシュラン
レース後の精密検査で軽度ながらも胸椎の損傷が見つかった千代。 彼の
もとには多くの励ましの声が寄せられました。
2 位以上は確実と思えるパフォーマンスを見せていたS Road CRAFTSPORTS GT-R でしたが、思わぬアク
シデントに見舞われることに。
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EVENTREPORT
SUPER GT
AUTOBACS SUPER GT SERIES
2016 Round 6
SUZUKA
●予選:8月27日/決勝:8月28日 ●開催地:鈴鹿サーキット
●レース距離:1000㎞
S Road CRAFTSPORTS GT-Rが3 位表彰台
ハンデ100㎏のMOTUL AUTECH GT-Rも6位に
UPER GT のシリーズ戦の中で突
これを受けて予選第 2 セッション( Q2 )
限界ぎりぎりの走りを見せましたが、それ
出して長い 1000 ㎞のレース距離で
で No.46 GT-Rをドライブした本山は他車
でも 12 位が精一杯。ただし、タイムそのも
争われる第 6 戦鈴鹿。この一戦にNo.46 S
に先駆けてアタックを行い、 Q1 の最速タ
のは悪くなく、あと0.2 秒速ければ Q2に進
S
Road CRAFTSPORTS GT-R はイレギ
イムを上回る素晴らしいラップタイムを叩
出できたというパフォーマンスであり、翌
ュラーな体制で出場することになりました。
き出してきました。セッション終盤にウェイ
日の決勝に期待が高まりました。
先の第 5 戦富士において車両トラブルが原
ト ハ ン デ の 軽 い N o . 1 5 ホン ダ N S X -
因のクラッシュを喫した千代勝正が胸椎に
CONCEPT GT がわずかながらも上回る
軽 度 の 損 傷を負っていたことがそ の 後 の
トップタイムを出してきましたが、 No.46
検査で発見され、この鈴鹿ラウンドを欠場
GT-R は 2 戦連続・今季 3 回目となる予選 2
せざるを得なくなったからでした。
位を得ました。
これを受けて MOLA チームは、昨年の
一方、ポイントランキングトップの No.1
GT300 クラスのランキング 4 位で今年は
MOTUL AUTECH GT-R は 100kg もの
ヨー ロッパ で 開 催 さ れ て いるブランパン
ハンデウェイトを搭載して今大会に挑みま
GT シリーズに参戦中の高星明誠をスポッ
したが、タイムアタックとなるとさすがに厳
トで起用し、レギュラーの本山 哲とのコン
しいものがありました。 Q1 で松田次生が
ウェイト100 ㎏の MOTUL AUTECH GT-R はさすがに予
選では下位に。しかし決勝ではかなり戦えそうな手応えを
得ていました。
ぶっつけ本番で GT500 初レースに挑んだ高星でしたが、予
選、決勝ともに期待に違わぬ見事な仕事をやってのけました。
雨は止んだものの、長丁場の決勝レース中の鈴鹿サーキッ
トの空はどんよりとした雲に埋め尽くされ続けました。
ビで戦うこととしました。
高星が GT500 マシンとミシュランタイ
ヤを初めて走らせたのはレースウィーク最
初の走行セッションである土曜午前の公式
練習でした。 そして同日の午後の予選第 1
セッション( Q1 )には早速タイムアタッカ
ーとして臨まなければなりませんでした。
それでも高星は堂々 7 番手のタイムをマー
ク。 ぶっつけ本番と言える状況で見事 Q1
突破を果たしました。
MICHELIN MOTORSPORT MAGAZINE 2016 VOL.07
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EVENTREPORT
SUPER GT
2016 Round 6
予
SUZUKA
選はドライコンディションのもとで
処 理 の ためにセ ーフティカー が
行われましたが、決勝日の朝は雨天
導 入されたことで先 行 車 両との
でした。しかし、 20 分間のウォームアップ
ギャップを詰めることができました。
走行の前に雨は止み、路面も乾いていった
そしてレ ー ス 再 開 後 、 N o . 4 6
ため、レースには全車がスリックタイヤを
GT-R をこのときドライブしてい
装着して出走しました。
た高星が GT500 初レースである
GT500 クラスを戦う大半のエントラント
ことを言い訳にしない見事なドラ
はレース距離 1000km の今大会を6 つのス
イビングを見せ、 No.6 レクサス
ティントに分けてこなしました。ミシュラン
RC Fを高速コーナーの 130R で
ユーザーの 2 台に関しては、No.1 MOTUL
アウトからかわすという大技で 3
今季 2 度目の 3 位でフィニッシュした S Road CRAFTSPORTS GT-R 。
MOLAチームは、今大会ではアドバイザー役に回らざるを得なかった千代
も表彰台に上げて、チームとしての成功を祝いました。
AUTECH GT-R はクインタレッリ→松田、
位に再浮上。 No.46 GT-R はこ
No.46 S Road CRAFTSPORTS
の ポジションを キ ー プして 残る
GT-R は本山→高星のローテーションで走
70 周以上の周回を走り切り、開
1
幕戦以来となる今シーズン2 度目
2
の 3 位表彰台を獲得しました。
3
行。 各スティントにおけるタイヤ選択は次
のとおりでした。
■ No.1 GT-R
ミディアム→ハード→ハード→ハード→
ハード→ハード
■ No.46 GT-R
ミディアム→ハード→ハード→ハード→
ハード→ミディアム
No.1 MOTUL AUTECH
GT-Rも力走を見せました。レー
ス序盤は 100kg のハンデウェイ
FINAL RESULT - TOP 6 & MICHELIN CARS
POS.
CAR (DRIVERS)
ブリヂストン
No.36 au TOM'S RC F
ブリヂストン
(立川祐路/石浦宏明)
(伊藤大輔/ニック・キャシディ)
No.46 S Road CRAFTSPORTS GT-R
(本山 哲/高星明誠)
No.6 WAKO'S 4CR RC F
4
(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ)
5
(関口雄飛/国本雄資)
6
TIRE
No.38 ZENT CERUMO RC F
No.19 WedsSport ADVAN RC F
No.1 MOTUL AUTECH GT-R
(松田次生/ロニー・クインタレッリ)
ミシュラン
ブリヂストン
ヨコハマ
ミシュラン
トの重さに苦労させられてポジシ
ョンをやや落としましたが、タイヤをハード
2 番目にハンデが重い車両より 40kg も
コンパウンドに変えた第 2 スティントからペ
さらに重いウェイトを積んで今大会に挑ん
ースアップ。着実に順位を上げていき、
レー
だ No.1 GT-R が表彰台まであと一歩とい
フロントロウからスタ ートした N o . 4 6
ス半ばに導入されたセーフティカーランが
う驚くべき結果でゴールするのはほぼ確実
GT-R は、レース前半は3 位を走行。スター
解除されたときには6 位を走行していました。
と思われましたが、同車は最終ラップでガ
トからやがて 2 時間というところで前戦優
その後、 No.1 GT-R の追撃を受けた
ス欠症状に見舞われてストップするという
勝の No.12 日産 GT-R が車両火災に見舞
No.19 レクサス RC F がオーバーランを
痛恨の事態となりました。それでも、トップ
われてリタイアしたことから 2 位にポジショ
喫したことで 5 位に浮上。そして残り周回数
と同一周回で走り切った車両は 5 台にとど
ンを上げました。その後、 No.46 GT-R は
もわずかとなったところで、搭載するハン
まったことから、 No.1 GT-R は走行周回
黄旗区間での追い越しによる 10 秒ストップ
デウェイトが半分の No.6 レクサス RC F
数が 1 周少ないながらも 6 位という結果を
のペナルティを受けてややポジションを下
を松田がシケインのブレーキング競争でか
手に。松田とクインタレッリのコンビはポイ
げましたが、 GT300 車両のクラッシュの
わして 4 位に上がりました。
ントランキングトップを堅守しました。
ハードコンパウンドのミシュラン レーシングスリックを履い
てからの MOTUL AUTECH GT-R はウェイトの軽いライ
バルたちと互角以上のペースで走行しました。
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EVENTREPORT
WEC
FIA WORLD ENDURANCE
CHAMPIONSHIP
2016 Round 4
NURBURGRING
予選ではトップ 2を占めたアウディ勢。 決勝レースも力強く
戦い、ル・マン24 時間での惨敗から大きく巻き返しました。
●決勝:7月24日 ●開催地:ニュルブルクリンク
(ドイツ)
●レース時間:6時間
アウディ勢との熱戦を制し
No.1 ポルシェが今季初優勝を飾る
L
MP1 クラスに参戦する自動車メー
が入り、ル・マンではまったく奮わなかった
カー 3 社のうちポルシェとアウディ
ところから一気に競争力を上げてきた底力
にとってはまさに母国での一戦。また、トヨ
の高さを印象づけました。一方、ル・マンで
タもチームの拠点はドイツにあることから、
はレース終了間際までトップを走ったトヨ
今大会は全社にとってひときわ負けたくな
タは、テクニカルコースのニュルブルクリ
いレースでした。
ンクではポルシェとアウディの両陣営にま
いざ迎えた 6 時間の決勝はポルシェ勢と
ったくかなわず、シーズン後半戦に課題を
アウディ勢のマッチレースとなりました。そ
残す結果となりました。
の 中でレース中 盤までトップを走っ
たのは前戦ル・マン 24 時間のウィナ
ーであるNo.2 ポルシェでしたが、フ
LMP1 CLASS FINAL RESULT - TOP 6
POS.
DRIVERS
MAKE
1
No.1 T.ベルンハルト/M.ウェバー/B.ハートレー
ポルシェ
2
No.8 L.ディ・グラッシ/L.デュバル/O.ジャービス
アウディ
3
No.7 M.ファスラー/A.ロッテラー
アウディ
それに対するドライブスルーペナル
4
No.2 R.デュマ/N.ジャニ/M.リーブ
ポルシェ
ティを課せられて後退しました。
5
No.5 A.デビッドソン/S.ブエミ/中嶋一貴
トヨタ
6
No.6 S.サラザン/M.コンウェイ/小林可夢偉
トヨタ
ィニッシュまで 1 時間半となったとこ
ろで周回遅れの車両との接触があり、
代わってトップに立ったのが No.1
ポルシェで、元 F1ドライバーのマーク
・ウェバーをはじめとする昨年のチャ
ンピオントリオが今 季 初 優 勝を飾り
ました。
2 位には 53 秒差で No.7 アウディ
LMGTE PRO CLASS FINAL RESULT - TOP 3
POS.
ル・マンから一変して競争力を示せなかったトヨタ陣営で
すが、彼らが選んでいたタイヤはより高い路面温度に最適
化したもので、実際の条件に合わず苦戦を招くことに。
DRIVERS
MAKE
1
No.51 G.ブルーニ/J.カラード
2
No.71 D.リゴン/S.バード
3
No.95 N.ティーム/M.ソレンセン
フェラーリ
LMGTE Pro クラスは No.51 フェラーリ 488 GTE が今
季初優勝。 2 位にも僚友車が入って AF コルセが 1-2 フィニ
ッシュを飾りました。
フェラーリ
アストンマーチン
ポルシェ陣営としては今季 3 勝目。ドライバーズランキング
では今大会では4 位に終わった No.2 ポルシェの 3 人が大き
なリードを築いてトップを走る結果に。
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EVENTREPORT
WRC
FIA WORLD RALLY
CHAMPIONSHIP
2016 Round 8
FINLAND
●7月28日∼31日 ●開催国:フィンランド ●ステージ路面:グラベル
スポット参戦のミークが圧勝
イギリス人初のフィンランド制覇を達成
ィンランド GP 」とも称される高速
してミークはその利点を存分に生かしなが
グラベルイベントのラリー・フィン
ら 1 本目の林道ステージでトップタイムを
ランド。この一戦を制したのはシトロエンの
叩き出して首位に立つと、その後もハイペ
サテライトチームである PH スポールから
ースで走り続け、一度もポジションを落と
参戦したクリス・ミークでした。
すことなくフィニッシュ。圧倒的な内容でイ
フ
今シーズンの WRC にはスポットでの出
ギリス人初のラリー・フィンランド制覇を成
場となっているミークのデイ 1&デイ 2 にお
し遂げました。なお、ミークがすべてのスペ
ける出走順は7 番手。おかげで彼は、前走
シャルステージを駆け抜けた平 均 速 度 は
車によって浮き砂利が蹴り飛ばされたクリ
126.6km/h で、 WRC 史上最速の新記録
ーンな路面を走ることができました。 果た
となりました。
同胞の先輩であるコリン・マクレーやリチャード・バーンズ
が果たせなかったフィンランドでの優勝をミークが成し遂
げました。
過 去 2 年 連 続 で 母 国イ
ベントを制してきたヤリ
‐マティ・ラトバラは今
回 もさす が の 速さを見
せましたが、どこか攻め
切れず 2 位に。
ミークと同じ PH スポールからスポット参戦したクレイグ・
ブリーン。値千金の 3 位入賞を果たして WRC 初表彰台を獲
得し、歓喜の涙を浮かべていました。
FINAL RESULT - TOP 6
POS.
1
DRIVER/CO-DRIVER
MAKE
クリス・ミーク/ポール・ナグル
シトロエン
2
ヤリ‐マティ・ラトバラ/ミッカ・アンティッラ
3
クレイグ・ブリーン/スコット・マーティン
シトロエン
4
ティエリー・ヌービル/ニコラ・ジルソール
ヒュンダイ
5
ヘイデン・パッドン/ジョン・ケンナード
ヒュンダイ
6
マッズ・オストベルグ/オラ・フローネ
フォルクスワーゲン
MICHELIN MOTORSPORT MAGAZINE 2016 VOL.07
フォード
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EVENTREPORT
WRC
FIA WORLD RALLY
CHAMPIONSHIP
2016 Round 9
GERMANY
●8月19日∼21日 ●開催国:
ドイツ ●ステージ路面:アスファルト
今
シーズンの WRC で初めての全面
ジの 中でも霧や雨によって路 面 の 状 態が
舗装路イベントとなったラリー・ド
変化する難しいコンディションのラリーで
イツ。ポイントリーダーであるフォルクスワ
したが、オジェは揺るぎない走りを貫いて 6
ーゲンのセバスチャン・オジェは、前戦まで
戦ぶりの勝利を飾りました。
のグラベルラリー 6 連戦では 1 番手走者と
なお、次戦として予定されていたラリー
してひたすら路面の掃除役を強いられて勝
・チャイナ(中国)は、 7 月に開催地域を
機を得られずに来ていましたが、出走順が
襲った集中豪雨によってダメージを受けた
走りに影響しにくい舗装路イベントを迎え
コースの修復が難しいことからキャンセル
てこれまでの鬱憤を晴らすスピードを披露。
となりました。
概して夏季にしては低温で、一本のステー
ミシュランは今回、ヘビーウェット専用の新型タイヤ「ミシ
ュラン パイロットスポーツ FW2 」を初投入しました。ただし、
ラリー中はこのタイヤが必要になるコンディションにはなら
ず、本番での出番はありませんでした。
路面掃除の役から解放され快走
王者オジェが6戦ぶりの勝利
2 位はヒュンダイ勢によって激しく争われ、ソルドがヌービ
ルをわずか 0.1 秒差ながらも下して意地を見せました。
FINAL RESULT - TOP 6
POS.
モーゼルワイン用のブドウ畑の農耕路ステ
ージを行くオジェ。所属するフォルクスワー
ゲンの母国イベントを2 年連続で制しました。
DRIVER/CO-DRIVER
1
セバスチャン・オジェ/ジュリアン・イングラシア
2
ダニエル・ソルド/マルク・マルティ
3
ティエリー・ヌービル/ニコラ・ジルソール
4
アンドレアス・ミケルセン/アンデルス・ヤーゲル
5
ヘイデン・パッドン/ジョン・ケンナード
6
マッズ・オストベルグ/オラ・フローネ
MAKE
フォルクスワーゲン
ヒュンダイ
ヒュンダイ
フォルクスワーゲン
MICHELIN MOTORSPORT MAGAZINE 2016 VOL.07
ヒュンダイ
フォード
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EVENTREPORT
MotoGP
FIM ROAD RACING WORLD
CHAMPIONSHIP
2016 Round 9
GERMANY
●決勝:7月17日 ●開催地:ザクセンリンク
(ドイツ)
マシン&タイヤ変更の戦略が的中
マルケスが今季3勝目をマーク
ド
イツ GP はウェットコンディションで
ーたちよりかなり早い段階でマシン&タイ
スタートしたものの、ほどなく雨が
ヤの変更に踏み切りました。しかも、その後
止んで路面が急速に乾いていき、各ライダ
にマシンの乗り換えを行った他のライダー
ーはレースの途中でドライに対応したタイ
たちの多くが前後ともにインターミディエ
ヤを履いた別のマシンに乗り換えることに
イトタイヤを装着した中、マルケスは前後
なるトリッキーなレースとなりました。
にスリックをチョイス。タイヤ一本分の幅な
その 中で戦 略をずばり的中させたのが
がらも全周にわたって出来上がってきた乾
ホンダのマルク・マルケスでした。彼はウェ
いたラインを外すことなく巧みに走り、ラ
ットのレース前半はペースを上げられず、
イバルたちを圧 倒するペ ースで周 回して
コースアウトも喫して 9 位に低迷していま
今季 3 勝目を挙げ、ポイントのリードを大き
した。そこでマルケスは、他のトップライダ
く広げることに成功しました。
レース序盤は濡れた路面がどんどん乾いていく難しいコン
ディションでした。
マルケスと同じく、レース後半は前後に
スリックを履いたクラッチローが 2 位に。
ロッシがスイッチしたタイヤは前後ともにインターミディエ
イト。レース後半の乾いていくばかりの路面にはマッチせず、
8 位フィニッシュにとどまりました。
FINAL RESULT - TOP 6
POS.
RIDER
MAKE
1
マルク・マルケス
ホンダ
2
カル・クラッチロー
3
アンドレア・ドビツィオーゾ
4
スコット・レディング
ドゥカティ
5
アンドレア・イアンノーネ
ドゥカティ
6
ダニ・ペドロサ
MICHELIN MOTORSPORT MAGAZINE 2016 VOL.07
ホンダ
ドゥカティ
ホンダ
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EVENTREPORT
MotoGP
FIM ROAD RACING WORLD
CHAMPIONSHIP
2016 Round 10
AUSTRIA
●決勝:8月14日 ●開催地:レッドブルリンク
(オーストリア)
イアンノーネがMotoGP初優勝
ドゥカティが6年ぶりの勝利を手に
世
界グランプリがオーストリアで開催
これにバレンティーノ・ロッシとホルヘ・ロ
されるのは実に19 年ぶり。舞台のレ
レンソのヤマハ勢が挑んでいきましたが、
ッドブルリンク(かつてはエステルライヒ
やがて彼らをかわしてきたアンドレア・ドビ
リンク、その後は A1 リンクという名称でし
ツィオーゾが迫り、ドゥカティのチームメイ
た)ではドゥカティワークスが全セッション
ト同士による熾烈なトップ争いが演じられ
でトップタイムをマークする速さを披露し
ました。そして最終的にはイアンノーネがド
ました。そしてポールポジションはアンドレ
ビツィオーゾを振り切ってフィニッシュし、
ア・イアンノーネが奪い、彼は決勝でも快走。
待望の MotoGP 初優勝を飾りました。
MotoGP 参戦 63 戦目にし
て初 優 勝を飾ったイアンノ
ーネ。ドゥカティにとっては、
ケ ーシー・ストー ナ ーによ
り優勝した 2010 年オースト
ラリアGP 以来の勝利でした。
FINAL RESULT - TOP 6
POS.
1
RIDER
MAKE
アンドレア・イアンノーネ
ドゥカティ
2
アンドレア・ドビツィオーゾ
ドゥカティ
3
ホルヘ・ロレンソ
ヤマハ
4
バレンティーノ・ロッシ
ヤマハ
5
マルク・マルケス
ホンダ
6
マーベリック・ビニャーレス
スズキ
ホールショットを奪ったイアンノーネを
先頭に、ロッシ、
ドビツィオーゾ、ロレンソ、
マルケスと続いたオープニングラップ。
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MotoGP
EVENTREPORT
FIM ROAD RACING WORLD
CHAMPIONSHIP
2016 Round 11
CZECH
●決勝:8月21日 ●開催地:ブルノ・サーキット
(チェコ)
今度はクラッチローがMotoGP初優勝
バリー・シーン以来のイギリス人ウィナーに
チ
ェコ GP は先のドイツ GP に続いて
大半のライダーが前後ともにソフトコンパ
ウェットからドライに転じていく難し
ウンドのレインタイヤを履いた中、クラッチ
いコンディションでのレースとなりました。
ローは前後ともハードコンパウンドをチョ
好調のドゥカティ勢が序盤はトップ 3 を占め
イス。これが当たり、バレンティーノ・ロッ
続けましたが、アンドレア・ドビツィオーゾ
シが 2 位に上がってきても彼の接近を許す
はマシントラブルに見舞われ、アンドレア・
ことなくフィニッシュし、 MotoGP 参戦 6
イアンノーネは他のライダーより早くタイ
年目にして初の優勝を飾りました。なお、イ
ヤを消耗させてペースダウンを余儀なくさ
ギリス人ライダーの最高峰クラスでの優勝
れました。
は、バリー・シーンが 1981 年スウェーデン
そのイアンノーネをかわしてトップに立
GP で勝利して以来、実に 35 年ぶりのこと
ったのがホンダのサテライトチームである
でした。
LCR・ホンダのカル・クラッチローでした。
MotoGP ライダーの中では珍しい妻子持ちの
クラッチローが念願の初優勝を達成。あくまで
プライベートチームである LCR・ホンダとし
ても初めてつかんだ MotoGP での勝利でした。
FINAL RESULT - TOP 6
POS.
ロッシは僅差ながらマルケスを押さえ込んで2 位に入り、 4 位のバズを筆頭に 7 位までドゥカティのサテライトチーム勢が入賞。
ポイントランキング2 位に再浮上。
荒れたレースぶりを象徴するリザルトになりました。
RIDER
MAKE
1
カル・クラッチロー
ホンダ
2
バレンティーノ・ロッシ
ヤマハ
3
マルク・マルケス
4
ロリス・バズ
ドゥカティ
5
エクトル・バルベラ
ドゥカティ
6
ユージェン・ラバティ
ドゥカティ
MICHELIN MOTORSPORT MAGAZINE 2016 VOL.07
ホンダ
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