平成 20 年度 海外動向調査報告書 平成 21 年 3 月 財団法人 日本自動車研究所 . − 目 次 − 「北米地域」調査 調査項目一覧 ................................................................................................................. 1 1.カナダにおける水素・燃料電池の実証プロジェクト.......................................... 3 2.CARB における ZEV 規制の改定 ....................................................................... 7 3.DOE Learning Demonstration Project ........................................................... 15 「国際会議」調査 調査先一覧................................................................................................................... 39 1. WHEC 2008(17th World Hydrogen Energy Conference) ........................ 41 2. 10th_IPHE_ILC(10th Implementation-Liaison Committee Meeting).... 49 「2008 DOE Hydrogen Program Annual Merit Review & Peer Evaluation」調査 調査項目 ...................................................................................................................... 53 −i− −ii− 「北米地域」調査 . 調査項目一覧 下記の通り,北米地域における会議資料などを入手し,FCV の開発や実証試験にかか わる内容をまとめた。 調査項目 入手資料 1 カナダにおける水素・燃料電池 H2FCC のカナダ大使館でのプレゼンテーション の実証プロジェクトの現状 資料 (2008 年 2 月 26 日) 2 ZEV 規制の見直し状況 CARB 発行の 1st 15-Days Notice(2008 年 7 月 25 日)及び 2nd 15-Days Notice(2008 年 10 月 3 日)の一部 3 DOE の Annual Merit Review 2008 DOE AMR でのプレゼンテーション資料 Meeting(AMR)における (2008 年 6 月 10 日) DOE Learning Demonstration の状況 −1− . −2− 1.カナダにおける水素・燃料電池の実証プロジェクト 主な調査項目 入手資料 カナダにおける水素・燃料電池の実証プロジェクトの現状 H2FCC のカナダ大使館でのプレゼンテーション資料 (2008 年 2 月 26 日) 1−1 H2FCC の概要 H2FCC(Hydrogen & Fuel Cells Canada)注)は,カナダの水素や燃料電池関連産業 を促進するため,2000 年 10 月に設立された業界組織である。当初は FCC(Fuel Cells Canada)という名称であったが,2006 年に H2FCC に変更している。本部はバンクー バーにある。H2FCC は,カナダにおける水素関係プロジェクトのうち,VFCFP (Vancouver Fuel Cell Vehicle Program),BC Hydrogen Highway,Hydrogen Village (トロント)を統括している。 H2FCC の後援団体を図 1-1 に示す。会員メンバーは図 1-2 に示すとおりであり,70 以上の企業が参加している。 図 1-1 H2FCC の後援団体 注) 2009 年 1 月,Canadian Hydrogen & Fuel Cell Association(CHFCA)に改組された。 −3− 図 1-2 H2FCC の参加企業 1−2 H2FCC が統括するプロジェクト 1−2−1 Vancouver Fuel Cell Vehicle Program VFCVP (Vancouver Fuel Cell Vehicle Program)は,BC 州政府,NRC-IFCI,NRCan, Ford との間でのパートナーシップのもとで推進されている。5 台のフォード Focus FCV を 5 年間実証走行し,評価を行う。2005 年 3 月から実際に車両が走行を始めた。場所 はバンクーバー周辺地域(Lower Mainland)である。水素タンクは Dynetek,FC シス テムは Ballard が提供している。 独自の水素製造システムの実証試験を行い,評価する好機でもある。 1−2−2 Hydrogen Highway BC Hydrogen Highway はブリティッシュコロンビア(BC)州において,水素や燃料 電池技術をより多くの人に体験してもらおうという活動である。したがって,水素ステー ションの整備だけを指すのではなく,モバイル用や定置用,マイクロ FC アプリケーショ ンなどへの取り組みも含まれている。活動例としては,以下のようなものがある。 9 バンクーバーおよびビクトリアには 35MPa 対応の,サリーには 70MPa 対応の 水素ステーションを整備 9 廃水素利用プロジェクトと合計して 180 万ドルを投資 水素および HCNG(水素と CNG をブレンドしたもの)が充填できるステー ションを整備 4 台の HCNG バスの導入 −4− 8 台の水素内燃機関ピックアップトラックの導入 燃料電池で動く洗車機 9 水素技術環境室の設置 9 バンクーバー国際空港の荷物運搬車を燃料電池駆動車両にする 9 子供病院,バンクーバー国際空港,大学,バンクーバーのレスキュー隊(USAR), ロイヤルブリティッシュコロンビア博物館にマイクロ燃料電池を配備 9 NRC-IFCI において,光電子パネル,電解,水素貯蔵の研究を実施 9 VFCVP と協調して活動を行った 1−2−3 Hydrogen Village 2003 年 12 月,FCC(現在は H2FCC)は Hydrogen Village Partnership を発表した。 Hydrogen Village は,大トロント・エリアにおける FC と水素に関するプロジェクトで ある。この先進的な産業と政府,学界とのコラボレーションは,カナダにおける水素と 燃料電池技術を促進すること,またこの進化する燃料電池産業分野におけるカナダの リーダーとしての地位を固めることを目指している。活動例としては,以下のようなも のがある。 9 FC の UPS/BPS(常時運転用パワーサプライ/バックアップ用パワーシステム) システムの開発 9 GM の工場内で,FC フォークリフトが 19 台稼働中 9 水素内燃機関シャトルバスの運行 9 CNE 注1)にて,水電解水素製造装置と風力タービンを設置 9 水素ステーションを 4 カ所設置 9 John Deere 注2)の FC 多用途車両として,CNE で運転 9 Purolator 社に FC 駆動の配送車両を導入 9 Enbridge 社の MCFC ハイブリッドパワープラントプロジェクト 9 SOFC 住居用コジェネ(4×5kW) 9 SOFC 産業用コジェネ(50kW) 9 コンドミニアムの展示のために FC による電力を使用 注1) 注2) Canadian National Exhibition:毎年恒例の移動遊園地で,夏の終わりにトロントで開催される。 ジョンディア。農機や建機の大手メーカー(米)。日本ではヤンマーが製品を取り扱っている。 −5− 1−3 その他 1−3−1 BC Transit Bus Project BC Transit は,BC 州,バンクーバーの郊外地域における州営の交通事業者である。 BC 州および BC Transit により,2010 年の冬季オリンピックおよびパラリンピックの 期間中に,Victoria と Whistler での路線バス用に,FC バスを運行するという計画が立 てられている。 2009 年までに最大で 20 台のハイブリッド FC バスを通常の路線バス業務に導入する。バ スは第 6 世代のものとなる予定である。水素の生産量は 1 日 500∼1,000kg,バスの購入 費用,水素インフラ,訓練,メンテナンスなどを含んだ予算は 8,900 万ドルである。 1−3−2 カナダの FC 技術進捗 現在のカナダの FC 技術は商用段階にあると考えられる。 9 この 5 年間で 1 億ドルを研究開発に投資した 9 Ballard は Plug Power のスタックをフォークリフト用アプリケーションとして ウォルマートに,また日本では荏原を通して家庭用に供給している 9 ハイドロジェニックスは遠距離通信用バックアップ用電源システムと水電解水 素製造装置を APC(American Power Conversion)注1)から受注した 9 Hyteon は PEM CHP 注2)を使った住宅システムを日本(三井)で販売している 9 QuestAir 注3)は水素 PSA 装置を世界的に販売している 9 Dynetek は水素貯蔵タンクを世界的に販売している 注1) 無停電電源装置の製造企業 Combined Heat and Power:高温燃料電池の高温排熱を利用してターボ冷凍機を駆動するコージェ ネレーションシステム 注3) QuestAir Technologies Inc.:日本では三菱化工機が QAR 社製 PSA 装置の販売を行っている。 注2) −6− 2.CARB(カリフォルニア州大気資源局)による ZEV 規制の改定 主な調査項目 入手資料 ZEV 規制の見直し状況 CARB 発行の 1st 15-Days Notice(2008 年 7 月 25 日)及び 2nd 15-Days Notice(2008 年 10 月 3 日)の一部 2−1 ZEV 規制とは 1990 年に CARB(California Air Resources Board;カリフォルニア州大気資源局) は,大気清浄化の手段として,ZEV 法を制定した。これは,カリフォルニア州での販売 台数が一定数以上を超える大手自動車メーカに対して,ZEV(Zero Emission Vehicle =無排出ガス車)の販売台数を義務づけるというものである。当時,ZEV とは電気自動 車のことを指していた。 ZEV 規制は, 1996 年,1998 年,2001 年,2003 年に,その時期の技術の現状を勘 案した見直しが行われている。2007 年に入り,新たな見直し案が作成されている。 2−2 ZEV 規制の見直しの経緯 (1) 当初(1990 年)の規定 カリフォルニア州での販売台数が 3.5 万台以上の自動車メーカ(当時は GM,Ford, DaimlerChrysler,トヨタ,日産,ホンダ,マツダが対象であった)に対して,自動車 販売量のうち,1998 型式年(MY)には 2%,2001MY には 5%,2003MY には 10%を ZEV にすることが定められた。 (2) 1996 年の見直し ZEV 規制の実施を 2003 MY からに延期することになった。ただし,2003MY の導入 義務 10%に対する変更は無かった。 (3) 1998 年の見直し 2003 MY からの ZEV 導入義務割合 10%は維持しつつ,新たに PZEV(Partial ZEV) という考えを取り入れた。導入義務の 10%のうち,6%までは PZEV で充当可能である とした。 (4) 2001 年の見直し 新たに AT PZEV(Advanced Technology PZEV)を設定し,導入義務の 10%のうち, 6%までは PZEV で,2%までは AT PZEV で充当可能であるとした。ただし,最低 2% は ZEV である必要があった。 −7− なお,PZEV を「Bronze」,AT PZEV を「Silver」,ZEV を「Gold」と呼ぶ。水素 内燃機関自動車は AT PZEV に,一定の要件を満たしたプラグイン・ハイブリッド車は AT PZEV に認められる。 また,2003 MY 以降の ZEV 導入義務台数を徐々に増加させ,2018 MY では,16%ま で引き上げることになった。その代わり各種のクレジットを導入し,実際の ZEV 導入 台数を緩和することが提案された。また,燃費によるクレジットや早期導入クレジット なども定義された。 (5) 2003 年の見直し 2001 年改正では ZEV 導入規制を 2003 MY から開始する予定であったが,2002 年 に 2001 年改正の一部を違法とする訴訟を GM や DaimlerChrysler などが起こし,連 邦裁判所が ZEV 規制の実施に対する差止命令を出した。2003 年改正はこの裁判結果を 反映し,ZEV 規制開始年を 2005 MY に変更し,燃費によるクレジットの廃止を行った。 また,新たに ZEV(Gold)を,BEV と FCV の車両特性に合わせて 5 つに分類した(表 2-1)。 表 2-1 ZEV(Gold)区分 区分 車種 ZEV 走行レンジ(UDDS) NEV Type 0 Type I Type II Type III ネイバーフッド EV(NEV) ユーティリティ EV(Utility EV) シティ EV(City EV) フル機能 EV(Full Function EV) 燃料電池車(Fuel Cell Vehicle) 設定せず 50 マイル未満 50 マイル以上,100 マイル未満 100 マイル以上 100 マイル以上 また,一定割合の FCV をオプション導入した自動車メーカは,ZEV 導入義務 10%を PZEV 6%と AT PZEV 4%で賄うことができるという,「代替パス」を設定した。 −8− 2−3 2004 年 3 月施行の ZEV 規制 2004 年 3 月 25 日からカリフォルニア州 ZEV 規制は発効している。以下に 2005MY から施行されている ZEV 規制の概要と特徴を整理する。 ① ZEV 法の施行は,05 MY からで,ZEV 要求割合は 10%からスタートし,年々増加さ せて 18 MY 以降は,16%とする(図 2-1)。 18 14 ZEV割合[%] 16% ZEV AT-PZEV PZEV 16 14% 12% 12 10 11% 10% 8 6 4 2 0 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 [MY] 図 2-1 ZEVの規制案 ② ZEV 要求台数は,ZEV,AT PZEV,PZEV(表 2-2)で構成され,各々ZEV に換算 した台数(表 2-3 のクレジットで換算する)で満たすこととしている。 表 2-2 ZEV(Gold)/ AT PZEV(Silver)/ PZEV(Bronze)カテゴリ カテゴリ ZEV 種別 Gold ZEV Silver AT PZEV Bronze PZEV 主たる該当車両 Pure-ZEV(BEV),FCV EV モードで 20 mile 以上走行可能なハイブリッド車 plug-in HEV,パワーアシスト型ハイブリッド車, 従来型ハイブリッド車,CNG 車,水素 ICE 自動車 SULEV 適合ガソリン車 表 2-3 クレジット MY FCV(H2) BEV HEV PZEV ③ 05 06 07 08 09 40 12 0.931 0.266 10 11 4 10 12 3 3 0.7 0.65 0.2 対象車両は LDV(Light Duty Vehicle)および LDT1(Light Duty Truck,LVW=0 ∼3,750lbs)とし,2007 MY から段階的に LDT2(LVW≧3,751lbs,GVW≦8,500lbs) −9− を加える。 ④ ZEV 法の対象となる自動車メーカは,カリフォルニア州における上記 LDV,LDT の 総販売台数によって区分され,3 年間にわたり年間 6 万台以上販売している自動車 メーカが対象。(注:2009 年 1 月現在,GM,フォード,Chrysler,トヨタ,ホンダ, 日産の 6 社) ⑤ PZEV クレジットフレキシビリティーとして,2003∼2004 MY に得た 6%を超える PZEV クレジットは,2005∼2006MY の AT PZEV クレジットとして使用可能。 ⑥ 一定割合の FCV(Type III ZEV)をオプション導入した自動車メーカは,ZEV 導入 義務 10%を PZEV 6%と AT PZEV 4%で賄うことができるという「代替パス」を設 定。 ⑦ 「代替パス」における FCV 導入オプション台数は,2009 MY 以降増大する。すべて の ZEV 規制対象自動車メーカが「代替パス」を採用した場合の FCV 導入オプション 台数は表 2-4 のようになる。 表 2-4 「代替パス」における FCV 導入オプション台数 ⑧ 期間(MY) 2005∼2008 2009∼2011 2012∼2014 2015∼2017 FCV リクワイヤメント 250 台 2,500 台 25,000 台 50,000 台 この FCV 導入オプション台数のうち 50%までは,バッテリ EV で充当することも可 能であるが,FCV 1 台に相当するバッテリ EV は,表 2-5 のように決まっている。 表 2-5 代替パスにおける BEV 充当割合の上限と FCV1 台との比率 TypeⅢ(FCV)との比率 区分 充当可能 割合上限 2005-2011 2012-2017 Type I:City EV Type II:Full Function EV 50% 50% 20:1 10:1 10:1 5:1 ⑨ 代替パスは,2017MY で終了する。 ⑩ 米国 Clean Air Act 第 177 項に準じて,カリフォルニア州と同様の厳しい自動車排出 ガス基準を採用しているニューヨーク州,マサチューセッツ州,バーモント州,メー ン州に導入された FCV も,カリフォルニア州に導入されたものとしてカウントする ことができるが,2012MY 以降は,他州に導入された FCV が得る ZEV クレジットを 減少させていく予定である。 −10− 2−4 見直し(改訂)の状況 2−4−1 見直し(改訂)の状況 2004 年 3 月に発効した ZEV 規制では,2009MY 以降のクレジットについては,専門 家パネルを設置して再検討を行うことが定められている。 これに対応して,2007 年 5 月に,専門家パネルから技術進捗や今後の見通しなどにつ いての検討結果が報告され,同年 7 月の CARB ワークショップでは,2009 年以降の ZEV 見直し案が提案された。2007 年 12 月初旬に CARB Board Meeting が開催される予定 であったが,大幅に遅れ,実際に開催されたのは 2008 年 3 月下旬となった。 この Meeting が開かれる直前の 2008 年 2 月に見直し案が公開され,その資料をもと に 3 月下旬にプレゼン発表が行われる予定であったが,この見直し案が紛糾し,3 月に 発表されたプレゼン資料には更に修正が入っている。 2008 年 3 月 27 日の CARB Board Meeting で,大筋の改訂内容は承認を得たが,そ の後の 7 月の第 1 回 15-Days Notice,10 月の第 2 回 15-Days Notice で修正箇所がほぼ 確定し,2009 年 2 月,OAL(Office of Administrative Law)に最終改訂案が提出され た。2009 年 3 月には決定される見込みである。 2−4−2 2008 年 7 月(第 1 回 15-Days Notice)見直し案の概要 2008 年 7 月に発行された 15-Days Notice によれば,その見直し案の概要は以下のと おりである。 ① 代替パスにおける,FCV 導入オプション台数(表 2-4 参照)の変更は行わない。 ② 現在の ZEV(Gold)区分(表 2-1 参照)を表 2-6 のように変更する。 BEV をその走行レンジで 4 つの区分に分ける(タイプ I.5 の新設)。また,FCV も航続距離によって 2 区分に分け,航続距離の長い FCV を対象として,タイプ IV を新設する。 表 2-6 ZEV(Gold)の区分(2009-2017)案 区分 車種 ZEV 走行レンジ(UDDS) NEV NEV 設定せず Type I BEV50 50 マイル以上,75 マイル未満 2 Type I.5 BEV75 75 マイル以上,100 マイル未満 2.5 Type II BEV100 100 マイル以上 BEV200 200 マイル以上 FCV100 100 マイル以上,200 マイル未満 FCV200 200 マイル以上 TypeIII TypeIV クレジット 0.3 3 4 5 ③ Type III や Type IV については,高速燃料補給能力基準(10 分以内に容量の 95% −11− が車両燃料システムに供給できること)を満たすことが必要となる。ただし,Type III の BEV はこれの対象とならない。 ④ 自動車メーカが BEV と FCV どちらの技術開発を進めていくのか選択の自由度を 高めるため,表 2-7 のように FCV 導入オプション台数での BEV での充当上限 (Cap)を撤廃し,また,FCV に対する BEV の比率を高める。(現在の Cap と 比率については表 2-5 参照)。 表 2-7 代替パスにおける BEV の Cap とタイプⅣ(FCV)との比率案 区分 Type I:BEV50 Type I.5:BEV75 Type II:BEV100 充当可能割合 上限(Cap) Type IV(FCV200) との比率 2009-2017 0% 0% 0% 2.5:1 2:1 5:3 ⑤ 09MY 以降の NEV のクレジットを 0.15 から 0.3 に引き上げる。 ⑥ ZEV 燃料を使用する,AT PZEV より極めてクリーンな車両について,新たなカ テゴリ Enhanced AT PZEV を設定する。EV レンジ 22mile 以上の PHEV や水素 ICE などが対象となる。またこのカテゴリの車両は「Silver Plus」と呼ばれ, 2012MY からの FCV オプションの一部として代替可能となる。 ⑦ 2012MY から基本経路を 1 本に統合しようという,新しいパスの提案がなされて いる(表 2-8)。 表 2-8 提案された新しいパス(12MY∼) 2012-2014 (ZEV 要求割合:12%) 新案 現行案 ZEV Enhanced AT PZEV AT PZEV PZEV 0.3∼3% 0∼2.7% 3% 6% 3% − 3% 6% 2015-2017 (ZEV 要求割合:14%) 新案 現行案 3∼6% 0∼3% 2% 6% 4% − 4% 6% Silver Plus を用いて,この新しいパスを満足させるのに必要な車両台数を表 2-9 に示す。 表 2-9 新しいパスの条件を満たすために必要な車両の台数(12MY∼14MY) ZEV Enhanced AT PZEV (Silver Plus) AT PZEV (Silver) PZEV (Bronze) 58,333 75,000 1,260,000 7,500(Type III) or 5,357(Type IV) or 12,500(Type II) −12− ⑧ 米国 Clean Air Act 第 177 項を適用している他州に導入された ZEV クレジットは, Type I,TypeI.5,Type II については 2014MY まで,Type III,Type IV につい ては 2017MY まで延長して認める。 ⑨ 繰り越し・繰り戻しを認める。 繰り越しについては,表 2-10 の例だと,2009MY に生産している場合は,2011MY までクレジットを制限無しに使用できる。2012 MY からは,Silver Plus・Silver・ Bronze 要件を満たすために用いることができる。 繰り戻しについては,2014MY に車両を生産していれば,2014MY の義務を完全 に果たした後で,2012MY と 2013MY の要件を満たすためにクレジットを使用で きるものとする。 表 2-10 繰り越し・繰り戻しの例 2009 繰り越し Carry Forward 繰り戻し Carry Back 2010 Gold ZEV クレジッ ト獲得 2011 2012 2013 2014 Silver Plus, Silver, Bronze フルクレジットの保持 として使用できる Gold ZEV 生産 ⑩ 各社は 2009MY から ZEV 生産データを公開し,2010MY から ZEV クレジット残 高の情報を公開することとする。 2−4−3 最終的な見直し案の概要 最終的に 2009 年 2 月に OAL に提出されたのは,以下の案であり,これを受けて OAL は 3 月 18 日までに決定を下すことになっている。OAL で承認されてはじめて,ZEV 法 の改訂が実効に移されることになる。 ① ZEV のカテゴリに Enhanced AT PZEV を追加する。EV レンジ 10mile 以上の PHEV や水素 ICEV,NGV が対象となる。このカテゴリの車両は「Silver Plus」 と呼ばれる。 ② ZEV 導入要求割合を表 2-11 のように変更する。新カテゴリである Enhanced AT PZEV は ZEV への置換が可能となる。 表 2-11 提案された新しいパス(12MY∼) 2012-2014 (ZEV 要求割合:12%) 新案 現行案 ZEV Enhanced AT PZEV AT PZEV PZEV 0.79%以上 2.21% 3% 6% 3% − 3% 6% −13− 2015-2017 (ZEV 要求割合:14%) 新案 現行案 3%以上 3% 2% 6% 4% − 4% 6% ③ 代替パスにおける,FCV 導入オプション台数(表 2-4 参照)は,2011MY までは 現行どおりとする。また,2012MY 以降については,現行の代替パスの考え方 (PZEV/AT-PZEV/ZEV)が見直しされる見込みである。 ④ 現在の ZEV(Gold)区分(表 2-1 参照)を表 2-12 のように変更する。 BEV をその走行レンジで 4 つの区分に分ける(タイプ I.5 の新設)。また,FCV も航続距離によって 2 区分に分け,航続距離の長い FCV を対象として,タイプ IV,タイプ V を新設する。 表 2-12 ZEV(Gold)の区分(2009-2017)案 95% 充填時間 ZEV 走行レンジ(UDDS) 区分 クレジット 2009MY∼ 2018MY∼ 2017MY Type0 NEV 設定せず − 0.3 0.3 Type I BEV 50 マイル以上,75 マイル未満 − 2 1 Type I.5 BEV 75 マイル以上,100 マイル未満 − 2.5 2 Type II BEV 100 マイル以上 − 3 2.5 4 3 FCV 200 マイル以上 BEV 100 マイル以上,200 マイル未満 − TypeIV FCV 200 マイル以上,300 マイル未満 15 分以内 5 3 TypeV FCV 300 マイル以上 15 分以内 7 3 TypeIII ⑤ 10 分以内 FCV 導入オプション台数での BEV での充当上限(Cap)を撤廃する。 ⑥ 米国 Clean Air Act 第 177 項を適用している他州に導入された ZEV クレジットは, Type I,TypeI.5,Type II については 2014MY まで,Type III,Type IV,Type V については 2017MY まで延長して認める。 ⑦ 各社は 2009MY から ZEV 生産データを公開し,2010MY から ZEV クレジット残 高の情報を公開することとする。 −14− 3.DOE Learning Demonstration Project 主な調査項目 入手資料 DOE の AMR における DOE Learning Demonstration の状況 2008 DOE Annual Merit Review(AMR)での NREL のプレゼンテー ション資料(2008 年 6 月 10 日) 3−1 プロジェクトの概要 (1) 燃料電池車ラーニング実証プロジェクトの目的と目標 プロジェクトの目的・目標は以下のとおりである。 ¾ 水素燃料電池車とインフラ設備の有効性実証を並行的に実施 ¾ 現状の技術水準と技術革新状況の把握 ・ 技術的達成度の評価 ・ 水素 R&D に対するフィードバック 具体的な目標値については表 3-1 のとおりである。 表 3-1 プロジェクトの具体的目標値 2009 年 パフォーマンス FC スタック耐久性 航続距離 2015 年 2,000 時間 5,000 時間 250 マイル以上 300 マイル以上 3 ドル/gge 2∼3 ドル/gge ステーションの水素コスト (2) プロジェクトの概要 プロジェクトの概要は以下のとおりである。 ¾ スケジュール ・ プロジェクト開始:2003 会計年度 ・ プロジェクト終了:2009 会計年度(2009/9 末) ・ 現在タスクⅢの 70%が終了 ¾ 予算 ・ DOE のプロジェクト全体予算:5 年間で最大 1 億 7 千万ドル程度‐DOE,産 業界が同額の出資 ・ 2006 会計年度以前の NREL の予算額は 219.2 万ドル ・ NREL の 2007 会計年度の予算額は 85.0 万ドル ・ NREL の 2008 会計年度の予算額は 85.0 万ドル −15− ¾ 技術検証の課題 A.車両‐車両と燃料電池システムについて,管理された路上試験データの不足 B.水素貯蔵‐まだ 300 マイル超の航続距離をもたらす技術がない C.水素充填インフラ‐コストと実現可能性 D.メンテナンスとトレーニングのための施設‐施設と教育受講経験者の不足 E.規格・標準化‐採用とその有効性検証の不足 H.再生可能エネルギーからの水素製造‐車両用としてのコスト,耐久性,効率に 関するデータが必要 I.水素と電力の同時製造‐コストと耐久性 (3) スケジュールの概要 スケジュールの概要を図 3-1,表 3-2 に示す。 図 3-1 プロジェクトのスケジュール 表 3-2 スケジュールの概要 TaskⅠ ‐プロジェクトの準備 (100%終了) TaskⅡ ‐プロジェクトの立ち 上げ (100%終了) ○TaskⅢ ‐データ分析および R&D 活 動 に 対 す る フィードバック (70%終了) 1.見積請求書の作成支援,プロジェクトの目的の発信 2.見積請求の公表‐デトロイトにおける入札者会議の開催 3.分析計画の策定と民間企業との議論のためのプレゼンテーションを実施 4.落札入札者の公表 5.検討会の立ち上げ,共同実施のための合意金額の決定 6.予備データ収集,分析,初四半期の調査報告書の作成 7.ガソリンより 50%燃費がよい燃料電池車の実証走行 8.「CDPs」の初版の公表 9.1,000 時間の目標に関連した 10%電圧低下までの燃料電池スタック時間 の評価 10.パフォーマンス,耐久性,コストに基づく追加車両購入に関する意思決 定 11.現実世界における燃料電池の劣化に影響する最優先要因の予備評価 12.車両向け第 2 世代燃料電池システムの導入 13.車室・荷室スペースを犠牲にせずに燃料電池車の 250 マイル航続距離 の実証 14.燃料電池車の 2,000 時間耐久性と水素価格 3 ドル/gge の可能性評価(大 量生産を前提) −16− (4) パートナー 産業界のパートナーは,自動車メーカとエネルギー供給会社のペアで編成される 4 チームである(図 3-2)。2008 年には第 2 世代の FC が導入され始めている。 図 3-2 参加チームの実証走行車両 (5) DOE ラーニングプロジェクトにおける走行距離・走行時間の達成状況 全車両で 5 万時間の走行時間と 110 万マイルの走行距離を達成している。現在は第 2 世代車両の導入により,一時的に走行時間,走行距離の少ない車両が増えている。(図 3-3) 図 3-3 DOE ラーニングプロジェクトにおける走行距離・走行時間の達成状況 −17− (6) 水素充填インフラについて プロジェクトで設置予定の水素充填インフラの大部分はすでに設置されている。最新 の SMUD(BP),White Plains,NY(Shell)を含めた現在 15 箇所のステーションが 配備されており,のべ 40,000kg の水素が製造,充填された(図 3-4)。 図 3-4 水素ステーションの例 様々な気候条件下における水素充填ステーションの配置は図 3-5 のとおりである。 ラーニング実証試験における水素ステーション数は,アメリカ全体の約 1/3 を占めてい る。 図 3-5 水素ステーションの配置 −18− (7) プロジェクトにおける取り組み方針 本プロジェクトの取り組み方針の概要は以下のとおりである。 ○民間企業の機密データを分析するため,施設とスタッフを提供(NREL の水素デー タ管理センタ:HSDC) ○HSDC の詳細データを使った分析とシミュレーションの実施 ・目標に対する達成状況の評価 ・現在の技術課題を DOE 水素 R&D プログラムの内容にフィードバック ・独自のデータを提出した企業へ分析結果を提供(詳細データの作成) ・産業界パートナーと共同で新規でかつ詳細な分析を実施 ○関係者を含む一般へのプロジェクトの進捗状況のレポートを出版/公開(「コンポ ジットデータプロダクツ(以下,CDPs)」) 3−2 データ分析について 3−2−1 データ分析概要 (1) データ分析・結果に関するアプローチ 一般向け・個別企業向けのデータ分析・結果提供方法は図 3-6 のとおりである。 ・NREL 内に立地し,厳密に 管理されている ・事前に合意したレベル に集約したデータ ・非機密データ ・詳細分析,データプロダク ツ,内部報告書の作成 ・データ提供した企業に 対する報告 図 3-6 データ分析・結果の提供方法 −19− (2) データ分析・結果 以下に各種成果を示す。 1) 第 11 四半期の分析データの報告状況 第 11 四半期までの NREL・HSDC へのデータ報告状況を図 3-7 に示す。 図 3-7 HSDC へのデータ報告状況 2) GUI(Graphical User Interface)‐Fleet Analysis Toolkit(FAT) NREL 開発の GUI である FAT によりすべての結果を出力している。この画面の例 を図 3-8 に示す。 図 3-8 NREL が開発した FAT の例 −20− 3) CDPs の公開 2007 年秋,2008 年春に協議会(US-FCC)を通じて,進捗レポートを定期刊行物 として CDPs フォームで公表した(図 3-9)。 図 3-9 CDPs 公表例 4) CDPs の WEB サイトでの公表 NREL の WEB サイトでは,47 項目の CDPs,レポート,プレゼン資料にアクセス 可能である(図 3-10)。 図 3-10 CDPs の WEB サイトでの公表例 −21− さらに CDPs の WEB サイトを再更新し,最も多くアクセスされる技術成果を閲覧 可能にした(図 3-11)。 図 3-11 CDPs に関する WEB サイトの更新 (3) 試験・分析結果 1) 第 1 世代ラーニング実証プロジェクト車両のダイナモメータ試験および実走行結果 第 1 世代ラーニングプロジェクト車両のダイナモメータ試験および実走行結果は図 3-12 のとおりである。高い FC 効率は高い燃料経済性に繋がることが示された。 図 3-12 第 1 世代ラーニングプロジェクト車両のダイナモメータ試験および実走行結果 −22− 2) 第 1 世代車両の航続距離 第 1 世代車両についてダイナモメータ試験,および車載水素タンクに基づいた実走 行の航続距離を図 3-13 に示す。なお,第 1 世代車両は未だに利用可能な水素貯蔵技術 が限定されている。 Window-Sticker Range: 車の窓に貼られるステッカー値 図 3-13 第 1 世代車両の航続距離 3) 航続距離と充填の関係 多くの車両(75%)は,ダイナモメータ試験による航続距離の 50%未満の走行で実 際に充填を行っているという結果が出ている。この原因は「燃料切れを懸念」「水素 充填インフラの少なさ」「実走行での低い燃費」と考えられる。(図 3-14) 図 3-14 ダイナモメータ試験における航続距離と充填の関係 −23− 4) 燃料補給時の車載タンク内の水素残存率 燃料補給時の車載タンク内の水素残存率はピークは満タンの 1/4,中間値は満タン時 の 3/8 と大きく散らばっている(図 3-15)。 図 3-15 燃料補給時の車載タンク内の水素残存率 5) 350 気圧と 700 気圧の水素貯蔵量の比較 第 2 世代車両の水素貯蔵データが収集され,350bar と 700bar の比較が可能となっ た。700bar の車載水素貯蔵システムは,350bar よりも良い性能(多くの水素を貯蔵) を有することを実証した。(図 3-16) 図 3-16 350 気圧と 700 気圧の水素貯蔵量の比較 −24− データ報告がより細かくなったことにより,図 3-17 のような水素,圧縮容器,周辺 機器(BOP)のそれぞれの質量と体積の比較が可能になった。700bar システムでは 圧縮容器と BOP の体積割合が大きくなったが,よりコンパクトなパッケージングや 航続距離の伸長が可能となった。 図 3-17 水素の質量・体積の比較 3−2−2 データ分析詳細項目 (1) FC スタックについて 1) 電圧低下について FC スタックの最大出力の電圧低下 10%までの累積稼働時間は,FC スタック劣化の R&D 指標の 1 つである。しかし,これは必ずしも寿命を指し示すわけではなく,OEM メーカは他の値,もしくは指標を使用するかもしれない。 2008 年秋の複数スタックにおける膨大な累積稼働時間データの分析に向けて,累積 稼働時間と電圧低下の関係を示す非線形モデルの検討を行う予定である。 −25− 図 3-18 FC スタックの電圧低下 2) 耐久性について さらなる第 1 世代車両データが蓄積されることによって,いくつかのチームは長期 の FC スタック耐久性を実証する。現在,複数のスタックで 1,000 時間以上の稼働が 実証されている(図 3-19)。 図 3-19 FC スタックの耐久性 −26− (2) FC 劣化の要因分析 1) 多変量解析 FC 劣化の要因を特定するために図 3-20 のような多変量解析を用いる。 図 3-20 多変量解析を用いた FC 劣化の要因分析 2) ラーニング実証プロジェクト車両の FC 劣化に影響を与える主な要因 ラーニング実証プロジェクト車両の FC 劣化要因については,FC の多様性(チー ム間)のために,明確な結論を出し難い(図 3-21)。 チーム間の違いのために,FC 劣化に影響を与える主な要因の抽出は困難で,そ れぞれのチームによって異なり,反対の影響を示す場合もある(図 3-22)。 図 3-21 ラーニング実証プロジェクト車両の FC 劣化要因 −27− 図 3-22 個別チーム(車両)に対する FC 劣化要因の分析 (3) トリップ特性 1) 日単位走行距離 多数の短距離トリップによって,日平均走行距離は全国統計よりも低くなっている (図 3-23)。 図 3-23 日単位走行距離 −28− 2) トリップ間の時間間隔 走行トリップ間の時間間隔調査結果を図 3-24 に示す。多数のホットスタートが発生 していることを示している。60%の走行トリップが前回のトリップ終了時から 1 時間 以内に発生し,1/3 強の走行トリップが前回のトリップ終了時から 10 分以内に発生し ている。 図 3-24 トリップ間の時間間隔 (4) FC の出力 1) 出力と時間の関係 5%未満の出力となっている時間が 50%強を占め,FC の稼働時間の多くがアイドリ ングで使用されているが,エネルギー消費の大半は最大出力の 20∼50%の範囲で使用 されている。 図 3-25 FC の出力と時間の関係 −29− 2) FC の出力と効率 第 1 世代車両のシャーシダイナモ試験によると,1/4 の出力時に高効率であること を実証した(図 3-26)。 第 2 世代車両については 2008 年内に実施する予定である。 図 3-26 FC の出力と効率 3) 必要出力 ラーニング実証プロジェクトの走行トリップの約 40%は,0.5kWh 未満の燃料電池 の出力エネルギーを必要としたにすぎない(図 3-27)。 図 3-27 FC の必要出力 −30− (5) 安全について 1) 車両の安全について 車両の安全に関わる問題報告はごくわずかであり,優秀な安全性を実証し続けてい る。 なお,NREL では,水素に関するレポートのいくつかについて,関係会社の許可を 得た上で H2incidnets.org に記録し始めている。(図 3-28) 図 3-28 車両の安全に関する問題報告件数 2) インフラの安全について インフラの安全管理に関する報告件数は図 3-29 に示すとおりで,問題の発生はあま り見られない。そして,問題の多くは警報が鳴ったのみという状況である。 図 3-29 インフラの安全に関する問題報告件数 −31− インフラの安全報告全体に対する問題の発生数は,新たに稼働ステーションが増加 したことによる(図 3-30)。 図 3-30 インフラの安全に関する問題報告件数とステーション稼働数の関係 (6) 水素不純物 現在までに,すべての水素ステーションにおいて,水素中に不純物が検出されている。 その結果を図 3-31 に示す。不活性ガスと硫黄分については,検出限界以下のため,当図 においてデータのレンジが大きくなってしまっているが,それだけ大きな濃度が実際に 計測されたわけではない。2008 年秋からの新しい CDPs では,製造方法と製造時間別 の不純物の項目が含まれる予定である。 図 3-31 水素混入物抽出結果 −32− (7) 充填実績 1) 充填時間・充填量 水素ステーション,もしくは車両で観測した 8,700 回の実際の車両への充填時間と 充填量については図 3-32 に示すとおりである。平均時間 3.43 分,燃料充填の 87%が 5 分未満で実施されている。また 1 回当りの平均充填量は 2.25kg である。 図 3-32 実車両による充填時間・充填量の累計 2) 充填速度 8,700 回の実際の車両燃料補給の充填速度についても,ステーションまたは車両で 計測されている。平均充填速度は 0.79kg/min であり,また,燃料充填の 24%が 1kg/min を上回る速度で充填されている(図 3-33)。 図 3-33 実車両による充填速度 −33− 3) 通信型水素充填 通信型水素充填は,非通信型よりも高い充填速度を達成している(図 3-34)。 図 3-34 通信/非通信別充填速度 4) 充填速度の年別推移 充填速度の年別推移をみると,0.2kg/min の燃料補給の割合が徐々に減少している (図 3-35)。 図 3-35 充填速度の年別推移 −34− 5) 充填時間帯 充填時間帯別構成は図 3-36 のとおりである。午前 8 時から午後 4 時までは充填イン フラに対する需要がほぼ一様である。 図 3-36 充填時間帯別構成 (8) トリップ生成について 1) 時間帯別トリップ生成量 走行トリップの開始時間については,午後 5 時から 6 時を除き,国家統計と概ね合っ ている(図 3-37)。 図 3-37 トリップ生成時間 −35− 2) 曜日別トリップ生成量 ラーニング実証プロジェクトの FCV の走行は,主として平日の運転となっており, NHTS(National House hold Travel Survey)とは異なる(図 3-38)。 図 3-38 曜日別トリップ生成量 3−3 その他の活動 3−3−1 過年度における相互連携やコラボレーションについて 過年度における相互連携やコラボレーションについては以下のとおりである。 ¾ 自動車とエネルギー業界とのパートナーシップ y 詳細結果と NREL の方法論について議論するために,合同で現場視察を行った。 y スタック劣化の多変量解析作業の共有に焦点を当てた。 y より簡単に自社内レポートを作成できるように,詳細データ結果と複合データ (CDPs)の作成方法を同時に改善した。 y ¾ NREL の実走行スタック劣化分析の技術と結果を OEM メーカ 2 社と評価した。 フリーダムカーと燃料技術チーム y 水素貯蔵と水素配給の技術チームとの情報交換 y DOE の車両技術プログラムと HFCIT(Hydrogen, Fuel Cells & Infrastructure Technologies)プログラムメンバーとの情報交換 ¾ 米国燃料電池協議会(USFCC:US Fuel Cell Council)の専門ワーキンググルー −36− プ y Transportation Working Group との連携 y Joint Hydrogen Quality Task Force との連携 ¾ y CaFCP,CARB CaFCP(California Fuel Cell Partnership):NREL は今後の CDPs に水素不 純物試験の結果を含める予定である。 y CARB(California Air Resources Board) :分析結果に含めるために新しいステー ションから NREL に送られているデータについて検討している。 3−3−2 今後の活動 今後の予定については以下とおりである。 ¾ 2008 年会計年度残り y FC 劣化に影響を与える現実世界の要因の相互関係に関する調査を継続する。 y 2008 年 6 月までのデータに基づいて,新規 CDPs を作成する。 9 y 2008 年の燃料電池セミナーでの公表のための結果を準備する。 第二世代車両のために,FC 耐久性,航続距離,燃費,安全性の改善に関する評 価を開始する。 y 第二世代車両の 250 マイルの航続距離を実証するために,2008 年 9 月の DOE の 複数年プログラム計画(MYPP: Multi-Year Program Plan)と Joule マイルストー ンを調整する。 y 近い将来のインフラ計画を調整する際に,OEM メーカ,エネルギー会社,カリ フォルニア州の CaFCP,CARB を支援する。 ¾ y 2009 年会計年度残り 年二回(春・秋),プログラムの目的・目標と技術の進捗状況を比較し,結果を 公表する。 9 製造コスト,製造効率,燃料電池の低温起動と耐凍性,第二世代 FC スタッ クの耐久性 y 「ラーニング実証」としてプロジェクトを維持するために,プロジェクトの研究 成果を HFCIT(Hydrogen, Fuel Cells & Infrastructure Technologies)プログラム と産業界の R&D(研究・開発)に還元する機会を確認する。 y DOE プロジェクトのフェーズ 2 計画の準備を支援する。 −37− 3−4 要約 要約を以下に示す。 ¾ プロジェクトの半分以上が完了した。 y 92 台の車両と 15 箇所のステーションが配備された。 y 累積で 110 万マイルを走行し,4 万 kg の水素が製造,供給された。 y 211,000 回の走行トリップが分析された。 y プロジェクトは 2010 年 9 月までの延長を検討中。 ¾ y 燃料電池の劣化要因の調査を続行する。 NREL は結果を理解し,入力データと分析手法を改めるために,それぞれのチー ムと共同で取り組んでいる。 y 走行トリップ間の停止時間,走行距離,燃料電池の電力レベルといった,車両・ FC スタックの負荷サイクルに関するより綿密な分析を開始した。 ¾ y これまでに,全部で 47 項目の複合データ(CDPs)が公開された。 このプレゼンテーションでは,新しい,更新された結果の一部を取り扱っている のみである。 y ¾ ウェブサイトでは,全ての CDPs に直接アクセスできる。 第二世代の FCV が製造(Roll-out)され始めている。 y 残りの車両の多くは,今年配備される予定である。 y 追加の 700bar ステーションへの改修がまもなく実施される。 −38− 「国際会議」調査 . 調査先一覧 調査対象 調査先および日時 WHEC 2008: 第 17 回世界水素エネルギー会議 1 (17th World Hydrogen Energy Conference 2008) ブリスベン(豪州), 2008 年 6 月 16 日∼6 月 19 日 10th_IPHE_ILC 2 (10th IPHE Implementation and Liaison Committee Meeting) ブリスベン(豪州), 2008 年 6 月 19 日∼6 月 21 日 調査(会議)参加者 氏 名 会社・団体名 岩瀬 孝邦 (財)日本自動車研究所 −39− 所属/役職 FC・EV センター 主管 . −40− 1.WHEC 2008(世界水素エネルギー会議) 調査先 調査日時 主な調査項目 Brisbane Convention and Exhibition Centre 2008 年 6 月 16 日∼19 日 ・WHEC 2008 での各国の取り組み内容の調査を行う ・WHEC 2008 で JHFC の広報・教育活動の紹介発表を行う 1−1 概要 第 17 回世界水素エネルギー会議(17th World Hydrogen Energy Conference 2008; WHEC2008)は,2008 年 6 月 15 日から 19 日にかけて,オーストラリア連邦クイーン ズランド州ブリスベンで開催された。 WHEC では国の取り組みを中心に聴講したが,国のエネルギー状況などにより,発表 内容に勢いの差が感じられた。自動車会社を持たず,自然エネルギーも多くないような 国は,水素関連のプログラムを進めることの難しさを感じた。 WHEC 2008 において,JHFC における広報・教育活動の紹介をした。教育のセッショ ンでは,子供に対する教育や,一般人向けの教育,大学での教育などの発表があり,テー マがやや散漫という印象を受けた。 プログラムは,大会場で行われるプレナリーセッション,およびプレナリーセッショ ン後の個別のセッション(5 セッションが同時開催)により構成されていた。個別セッ ション一覧を表 1-1 に示す。 表 1-1 個別セッション一覧 International and National Programs Hydrogen From Fossil Fuels Reforming Solar Hydrogen From Water Hydrogen Infrastructure and Refuelling Hydrogen Distribution and Storage Hydrogen Production by Electrolysis of Water Infrastructure, Refuelling and Safety Fuel Cell Technology Demonstration Production of Hydrogen From Biomass Production of Hydrogen From Water Hydrogen Infrastructure and Refuelling Vision Environmental Issues Fuel Cells 1 (PEM and DMFC) Hydrogen Islands Stationary Power Commercialisation and Investment Nuclear Hydrogen Education and Training Hydrogen-Fuelled Transportation Transportation Government Policy and Support WHEC のキャッチフレーズが「Supply Energy to a Changing World」ということか ら,水素の製造や,インフラに関わる内容が多く,自動車に関係する発表は少なかった。 −41− ブラジルの発表でも,国の全体的な取り組みは紹介されたが,昨年度からスタートして いるはずのバスプロジェクトがどのような状況なのかを説明するような発表は見受けら れなかった。 1−2 セッション「International and National Programs」の発表概要 ブラジルや,ノルウェーのような水力発電が豊富な国は,報告内容に勢いが感じられ たが,自動車産業を持たず,エネルギー上も大きな特徴を持たない国は,水素関連のプ ログラムを進めるのに苦労している印象を受けた。 (1) RENEWABLE HYDROGEN PRODUCTION AND FUEL CELLS PROGRAMS IN BRAZIL: AN OVERVIEW ブラジル:Dachamir Hotza 他(Federal University of Santa Catarina) 豊富な自然エネルギー,バイオマスを背景に,ブラジルでは以下の 3 つのパスが注目 されている。 9 水力,太陽光,風力発電の電力による水電解の水素製造 9 バイオ資源からの水素製造 9 ダイレクトエタノール FC これを背景とし,ブラジルでの水素・FC 関係の研究は,FCV よりも SOFC や PEM の FC,FC 用燃料,触媒に注力している。また将来的には,水素の製造コストは石油や エタノールに対抗しうるとも考えている。 昨年始まったはずの燃料電池バスプロジェクトに関しては,全く触れられておらず, 実際に始まったかどうかは不明。 (2) HYNOR AND SHHP A SCANDINAVIAN APPROACH FOR A MULTINATIONAL HYDROGEN HIGHWAY ノルウェー:Ulf Hafseld (StatoilHydro ASA) ノルウェーでは Scandinavian Hydrogen Highway Partnership(SHHP)のプログ ラムを進めている。SHHP のビジョンは,ヨーロッパでいち早く水素を商用で入手・使 用できるようにすること。SHHP には HYFUTURE(スウェーデン),HYDROGENLINK (デンマーク),HYNOR(ノルウェー)の国家プログラムがリンクしている。 スカンジナビアでは 2007 年までに 3 ヶ所のステーションが開所した。2008 年に 1 ヶ 所,2009 年に 7 ヵ所が計画中で,さらに 11 ヶ所を検討中である。 −42− 自動車に関しては,世界的に見て水素を燃料とする自動車台数が少ないことから, HyNOR では Think EL/Hydrogen および Quantum が改造したプリウスハイドロジェ ンが使用されている。プリウスは,すでにノルウェーの認可を得て走っている。Think は 2008 年に 5 台走行する予定。さらに,水素ロータリーエンジン車のマツダ RX8 hydrogen を 30 台ほど走らせる予定で,最初の車は 2008 年に導入される。 図 1-1 HyNOR の水素ステーション (3) SCENARIOS FOR THE FUTURE OF HYDROGEN IN PORTUGAL ‒ THE RESULTS OF THE PROJECT HI-PO ポルトガル:R. Pimenta 他 (Departamento de Engenharia) HIPO は水素をエネルギーキャリアとして開発するための戦略を構築するポルトガル のプロジェクトである。シナリオ(将来予測シナリオではなく,可能性をスタディした もの)の作成と評価を通じ,戦略を検討した。シナリオは,①再生可能エネルギー中心 のもの,②再生可能エネルギーを使用しないオフサイト水素製造,③グリッド電力を利 用したオンサイト水素製造,④天然ガスを利用したオンサイト水素製造,⑤水素を多く 含む液体燃料の利用と少々の水素利用の 5 つが想定された。 評価の結果としては,どのシナリオも明確な優位性は見られなかった。 水素社会を構築する上での大きな課題はコストと技術開発である。ただしコストは化 石燃料費の高騰や,環境問題の重要性などのタイムスケールを考慮して考えないといけ −43− ないという意見もある。 (4) THE CLEAN ENERGY PARTNERSHIP (CEP): A PUBLIC PRIVATE PARTNERSHIP PREPARING FOR COMMERCIALIZATION ドイツ:Dr. Vera Ingunn Moe 他(StatoilHydro ASA) CEP は水素と運輸部門の実証試験として 2002 年に計画され,2004 年に最初の水素ス テーション(ベルリン)が稼動した。3 種類の水素製造パスの水素(ガス,液体)を, 水素内燃機関車や FCV に供給した。自動車会社 5 社を含む 12 社が参加している(図 1-2)。 第 1 フェーズ(4 年間)では平均 17 台の車両の参加であったが,第 2 フェーズでは 2010 年までに 40 台に増やす予定。70MPa ステーションの導入も現在進めている。2011 ∼2016 年の第 3 フェーズでは,さらに台数を増やす予定。ハンブルグで 30 台,ベルリ ンで 50 台の水素バスを 2016 年までに導入する予定である。 図 1-2 CEP のパートナーとその担当分野 −44− (5) STATE OF THE ART AND PROSPECT OF HYDROGEN AND FUEL CELLS IN SPAIN スペイン:Maria del Pilar Argumosa(INTA) スペインはエネルギーの輸入率が EU で最も高く,82%を輸入が占めている。1 次エ ネルギー比率は,再生可能エネルギー5.95%,石油 49.3%(全輸入),天然ガス 20%, 石炭 14.6%,原子力 10.3%である。将来的には化石燃料を 40%(ただし IGCC での CO2 フリー発電を目指す),40%を再生可能エネルギー,20%を先進原子力発電でカバーす る。スペインにおける水素と燃料電池の位置づけは,再生可能エネルギーとの組み合わ せで,外国からのエネルギー依存度の低減である。 スペインにおける見通しは以下のとおり。2010 年までは,水素需要は少なく,ポータ ブル,定置 FC 実証試験,フリート車両程度。2020∼2030 年ごろは,水素需要は高ま り,水蒸気改質水素製造は,石炭ガス化における水素抽出に置き換わる。運輸部門では, 天然ガスと水素の混合ガスが使用される。2030 年以降では,運輸部門の燃料は水素とな り,水素の 40%は再生可能エネルギーから製造される。 (6) BENCHMARKING OF EUROPEAN AND U.S. HYDROGEN ROADMAPPING EFFORTS (HYWAYS IPHE): HYDROGEN PATHWAY ANALYSIS ドイツ・アメリカ・中国:Christoph Stiller 他(Ludwig-Bölkow-Systemtechnik) HyWays-IPHE プロジェクトの研究結果について報告があった。米国と EC での水素 製造パスによるコストと CO2 排出の推算値について分析した。水素製造方法として,天 然ガスの水蒸気改質,石炭ガス化,バイオマスガス化,電気分解,それらのオンサイト, オフサイト製造,水素輸送としてはパイプラインと液化水素のトラック輸送に関して分 析が行われた。 米国と EC との前提の違いとして,経済性計算の視点の違いや,パイプラインの仕様 (高圧か中圧か)の違いなどがあることが分かった。 米国と EC とでは,全般的には似たコスト結果となった。違いが出たのは,パイプラ イン輸送コストと,エネルギー料金であった。CO2 排出に関しては,地域の電力 MIX の違いによる影響が大きかった。 −45− (7) INTEGRATED MODELLING OF THE IMPACT OF FOUR ALTERNATIVE FLEET TECHNOLOGIES ON GREENHOUSE GAS PROFILES IN NEW ZEALAND ニュージーランド:Kenneth Gillingham 他(Stanford University) いくつかの水素 FCV と BEV の普及シナリオを元に,ニュージーランドにおける GHG 排出量見通しを,内燃機関の延長(対炭素政策あり)の場合と比較した。結果は,単に 水素 FCV,BEV が増えるだけでは,水素や電気を作るのに使用する化石燃料が増える ため,必ずしも CO2 の削減にはならないというものであった。ただし,FCV も BEV も 技術が向上してきており,顧客に対して所有時のコスト改善などが期待できる。 (8) CASE STUDY: HYDROGEN SWEDEN – A PUBLIC PRIVATE PARTNERSHIP FACILITATING EARLY MARKETS スウェーデン:Sven Wolf 他(Hydrogen Sweden) スウェーデンにおける官民協調組織である Hydrogen Sweden におけるこれまで活動 した 1 年間の結果が報告された。基本的な活動は情報交換であり,そのためにニュース レターの配信や,セミナーやワークショップのセット,ロビー活動などである。 (図 1-3) 図 1-3 Hydrogen Sweden のメンバー −46− (9) BENCHMARKING OF EUROPEAN AND U.S. HYDROGEN ROADMAPPING EFFORTS (HYWAYS-IPHE): SOCIOECONOMIC MODELLING AND STAKEHOLDER INVOLVEMENT アメリカ:Mark F. Ruth 他(NREL) 世界各国で水素のロードマップを作成しているが,欧米のロードマップを比較し,各 国(特にアジア)におけるロードマップの作成のサポートを目指す。エネルギーシステ ム解析モデルは欧米で同じものを使用したが,化石燃料の価格の見込みが米国と欧州と で異なるため,将来予想される水素製造方法の見通しが大きく異なる(欧州が高く見込 んでいる)。また,水素製造のエネルギー源も,米国は 2 種類程度で考えているのに対 し,欧州は多種多様である。 車のコストに関しては,車格等が異なることから以下のコンポーネントでの比較をし た。FC システム,水素タンク,電動駆動部品,バッテリー,車両部品。前提とする条 件は米欧で異なり,欧州は世界での流通,米国は国内流通分で計算したりしている。結 果としては,欧州・米国の予測値は,比較的近い値となった。 (10) H2MOVES.EU – DEMO PROJECTS ON HYDROGEN TRANSPORT IN EUROPE ベルギー:Volker Blandow 他(Ludwig-Bölkow-Systemtechnik GmbH) 欧州の実証プログラムについて紹介された。EC が予算をつけているプログラムは, HyFLEET: CUTE,ZeroRegio,HyChain である。HyFLEET: CUTE は 10 地域で,47 台の水素バス,FC バスを運用している。ZeroRegio は 2 つの地域で,8 台の FCV を運 用している。HyChain は,150 台の小型車両(スクーター,車椅子,ミニバス等)を 4 地域(フランス,ドイツ,イタリア,スペイン)で運用する予定である。一方,ドイツ 政府が一部費用を負担しているのが CEP である。 また,スカンジナビアでの SHHP は,費用のほとんどを個別企業が負担している。 SHHP は,ノルウェーからスウェーデン,デンマークを結ぶ水素ステーションを建設す るというものである。ロンドン市,ハンブルグ市も実証試験の計画を持っている。 H2moves.eu は HyLights プロジェクトの一部である。H2moves.eu はより大きな実 証プログラムにおける密接なコミュニケーションツールを提供することを目指している。 −47− 1−3 JARI 発表 WHEC の Education and Training のセッションで,JHFC での広報・教育の取り組 みについて発表した。基本的な内容は,2008 年 3 月 13 日に行った JHFC セミナーの広 報・教育活動の内容を英語化したものである。 発表に対する質問,意見は以下のとおりである。 質問:教育活動は,教師対象の教育と,子供対象の教育とどちらを重要と考えている か。 回答:将来のユーザーである子供の教育を重要と考えているが,同時に子供に影響の ある教師への理解活動も重要と考えている。どちらかを選ぶということではな い。 コメント:日本(JHFC)の教育活動で使用している素材を,他の国でも使用できる ようにしたら良い。 −48− 2.10th_IPHE_ILC 調査先 調査日時 主な調査目的 Education WG:Brisbane Convention and Exhibition Centre ILC :Couran Cove Island Education WG:2008 年 6 月 18 日 ILC :2008 年 6 月 19∼20 日 IPHE-ILC への出席(JARI は教育 WG の担当) 2−1 概要 10th IPHE Implementation and Liaison Committee Meeting は,2008 年 6 月 19 日 から 21 日にかけて,オーストラリア連邦クイーンズランド州ブリスベンで開催された。 参加したのは,豪州,ブラジル,カナダ(事務局),中国,ドイツ,フランス,アイ スランド,日本,韓国,ニュージーランド,ノルウェー,ロシア,英国,米国で,欧州 委員会,イタリア,インドは不参加だった。 また,IPHE の Education WG および ILC(実行連絡委員会)に出席した。 2−2 Education WG (1) 各国の教育活動について 各国の水素教育の状況についての報告がなされた。概略は以下のとおりである。 アイスランド:2008 年 9 月にマスタークラスを開催予定(生徒数 31)。 ドイツ :2008 年 11 月にマスタークラスを開催予定。IPHE メンバー国につ いては,生徒 1 名分の旅費を支払う。 EU :水素教育プログラム「HYFED6」を実施。ニューズレターを配布。2008 年秋号では IPHE について取り上げる用意あり。 イタリア :水素教育を開始。 米国 :新規の教育プログラム(大学,政府・自治体,エンドユーザー)に関 するプロジェクト募集を秋に開始。またフロリダ州でバスケットボー ルのラジオ中継中に水素ステーションに関する CM を企画。 JHFC ではステークホルダーに対する教育(理解活動)を進めつつあるが,IPHE で も,ステークホルダーへの理解活動がプライオリティの高い項目として論議された。 (2) 水素コンペティションについて 高校・大学生レベルを対象とした水素コンペティションを各国で実施し,2010 年の −49− WHEC (Essen)で表彰する企画が論議された。 これはドイツが主導して提案しているものだが,各国内で同年代の生徒たちによる FC・水素に関する競争を行い(モデル製作,レースなど),ベストチームはインターナ ショナルコンペティションに参加するというもので,その勝者を 2010 年に Essen で行 われる WHEC で表彰するというものである。 その案に対し,WG では,国により FC・水素 Education に対するアプローチが違う ことや,モデル製作をすることに対する疑問も投げかけられ,最終的には,各国内での コンペティショントップの生徒を,2010 年の WHEC で表彰するという方向でまとまっ た。 JARI は Education WG の委員であるが,学校を巻き込んだ上記のような企画を遂行 するのに適した団体かどうかが不明のため,同席された METI 山本課長補佐に本件扱い を METI 内で検討いただくこととなった。 2−3 ILC(実行連絡委員会) ILC では,各 WG 活動内容のアップデート,IPHE における戦略プライオリティに関 して主に論議された。戦略プライオリティは,以下の 4 つが規定されている。 SP1:水素・燃料電池技術および支援インフラの市場導入と初期市場開拓の加速 SP2:広範囲な導入展開を支援するための政策と規制 SP3:政策立案者,一般における認識の向上∼教育活動とアウトリーチ活動 SP4:水素・燃料電池およびその補完的技術の開発に関するモニタリング (1) SP1 カ ナ ダ よ り , 同 国 が 提 案 し て い る グ ロ ー バ ル IPHE プ ロ ジ ェ ク ト 「 IPHE International Hydrogen HighwayNetwork」について説明があった。これは,世界で行 われている燃料電池バスプロジェクトの情報を,まとめて一元的に提供するものである。 また,米国より,同国が提案しているグローバル IPHE プロジェクト「Renewable Hydrogen Production」について説明があった。これは,再生可能エネルギーによる水 素生産デモンストレーション・技術に関して,レポート/冊子を作成する。レポート/冊 子のイメージは,今後提案するというものである。 (2) SP2 Andreas Ziolek(ドイツ)より,欧州プロジェクトである「HyRaMP」について説明 があった。HyRaMP は,欧州の 22 地域が参加している,水素・燃料電池政策の情報 交換ネットワークである。正式設立は 2008 年 6 月。2008 年 9 月には,HyFleet:CUTE との共同ワークショップを開催する。 −50− (3) SP3 SC 共同議長 Filbee(カナダ)より,「IPHE 施政方針(State of the Nation)」の 作成について説明があった。ILC の支援のもとで「IPHE 施政方針」を作成する。これ は,幅広いコミュニティ(一般市民)に対して,IPHE と水素燃料電池技術を知らしめ ることを目的とするものである。次回 SC に事務局草案を提案したいとのことであった。 これは,現在,JHFC で実施しつつあるステークホルダー向け理解活動と通じるもの がある。JHFC で作成しているステークホルダー向け資料を,要請があれば提供するこ とが可能である。 また,ドイツより,2008 年 11 月 17 日∼21 日に開催される「IPHE 水素マスター クラス」に関して説明があった。 ノルウェーからは,エッセン ILC(2008 年 2 月)で同国が提案した「水素燃料電池成 功事例」について説明があった。ノルウェー政策立案者向けに,「水素燃料電池成功事例」 に関する文書を作成するというもの。内容は,商品例,新規産業の創出例,初期市場の 構築,市場構築のためのデモンストレーションなどである。今後,カナダと協力して, 情報テンプレートを提案したいとのことである。 (4) SP4 事務局より,2008 年度 IPHE コラボレーションプロジェクトの提案状況と評価状況 について説明があった。 HyWays-IPHE プロジェクトでは,欧州と DOE の水素製造パスや水素コスト,自動 車コストの分析結果の比較を行っており,良質なデータを提供している印象を受けた。 −51− −52− 「2008 DOE Hydrogen Program Annual Merit Review & Peer Evaluation」 調査 . 調査項目 調査項目 入手資料 DOE の Annual Merit Review Meeting に 2008 DOE AMR でのプレゼンテーショ おける DOE Learning Demonstration の ン資料 (2008 年 6 月 9 日∼6 月 13 日) 状況 −53− . −54− 2008 DOE Hydrogen Program Annual Merit Review & Peer Evaluation 会場 開催期間 Marriott Crystal Gateway Hotel in Crystal City,VA 2008 年 6 月 9 日∼13 日 DOE が主催する水素・燃料電池プロジェクトのレビュー会議である 主な調査項目 「2008 Annual Merit Review Meeting」におけるプロジェクトの現状 を把握する。 1. 概要 「2008 DOE Hydrogen Program Annual Merit Review & Peer Evaluation」は, DOE が主催する水素・燃料電池プログラムをレビューする会議である。今年も例年と同 じく米国バージニア州アーリントンで,6 月 9 日から 13 日まで 5 日間にわたって開催さ れた。出席者は事前登録によると約 1,000 名で,そのうち日本からの参加は 40 名程度 であった。 全体会議(Plenary Session)で DOE の担当者からプログラム全体の進捗報告が行わ れ,その後分科会に分かれて各プロジェクトの報告(約 300 件;ポスターセッションを 含む)が行われた。表 1-1 にプレナリーセッションの詳細プログラムを,図 1-1 に全体 プログラムを示す。 表 1-1 Plenary Session の詳細プログラム 講演タイトル(講演者) Hydrogen Program Overview(JoAnn Milliken) 1. Office of Science Basic Energy Sciences(Harriet Kung) 2. Hydrogen Production and Delivery(Rick Farmer) 3. Producing Hydrogen from Nuclear Energy(Thomas O'Conner) 4. Hydrogen from Coal(Mark Ackiewicz) 5. Hydrogen Storage Sub–Program Overview(Sunita Satyapal) 6. Fuel Cells(Nancy Garland) 7. Technology Validation(John Garbak) 8. Manufacturing R&D and Market Transformation(Pete Devlin) 9. Education(Christy Cooper) 10. Safety, Codes and Standards(Antonio Ruiz) 11. Systems Analysis(Fred Josek) 12. Analysis of the Transition to Hydrogen Fuel Cell Vehicles & the Potential Fuel Cell Vehicles & the Potential Hydrogen Infrastructure Requirements(David Greene) −55− 図 1-1 全体プログラム −56− 2. 発表内容 以下に主要なプレゼンテーションの内容についてとりまとめる。 2−1 Plenary Session 2−1−1 Fuel Cells Nancy Garland (DOE) (1) 目的 目標は,輸送用,定置用,可搬型電力アプリケーション向けの燃料電池を開発し,実 証試験を行うこと。分野別の目標は以下のとおりである。 ◆ 輸送用としては,2010 年までに最高効率が 60%かつ耐久性 5,000 時間,コスト $45/kW の直接水素 FC システムを開発する。2015 年までにはコストを$30/kW と する。 ◆ 2011 年までに,天然ガスまたは LPG を燃料とする発電効率 40%,耐久性 4 万時 間,コスト$750/kW の分散電源用 PEFC システムを開発する。 ◆ 2010 年までに,エネルギー密度 1,000Wh/L,出力 50W 未満の家庭用電化製品向 けの FC システムを開発する。 ◆ 2010 年までに,出力密度が 100W/kg かつ 100W/L の,出力 3-30kW の補助電源 ユニット用 FC システムを開発する。 (2) 予算 図 2-1 にあるように,FY2009 の要求額は$79.3M である。 FY2008 予算トピックス($M) 輸送システム エネルギーの Distribute スタック コンポーネント 燃料プロセッサ 合計 MY2008 予算 $ 7.9M MY2009 要求 $ 6.6M $ 7.6M $10.0M $43.6M $62.7M $ 3.0M $62.1M $ 0.0M $79.3M 図 2-1 Fuel Cell の予算内訳 −57− (3) 戦略 1) 電解質膜の研究開発 燃料電池スタックの性能と耐久性は,電解質膜の特性に依存する。とくに膜の限界 性能は,システムの簡素化とコストダウンに多大な影響をあたえる。 高温膜研究のために,以下の 3 つの戦略がある。 ◆ ポリマーと膜における相の分離制御:同じポリマー分子の中に,疎水性と親水性の 機能をもつ別々のブロックを含ませることや,機械的な強度とプロトン伝導性を受 け持つ 2 つのポリマーの複合膜の開発 ◆ 非含水性陽子伝導体:プロトン伝導性のために,水を用いるのではなくむしろ無機 酸化物,ヘテロポリ酸,イオン液体を用いた電解質膜を開発 ◆ 親水性添加物:高温で含水量と伝導率を高く維持するための添加物を加えた電解質 膜の開発 2) 触媒および触媒担体 2007 年の DTI による分析結果では,年間 50 万ユニットが生産された場合のスタッ クコストは$51/kW で,このうち約 55%を触媒コストが占めるとされた。目標達成の ためには,触媒の耐久性の向上が必須である。 触媒と触媒担体の R&D のためには,以下の 4 つの戦略がある。 ◆ 白金系材料の低減:白金触媒の活用と耐久性向上の研究を含む ◆ 白金合金:Pt と比べて性能的に遜色なく,さらに安価な Pt ベースの合金の開発 ◆ 非白金触媒:Pt と比較して性能と耐久性が遜色ない非貴金属触媒の開発 ◆ 新規触媒担体:非カーボン担体および新たな構造を有するカーボン担体の開発 3) 水輸送 フラッディング,膜のドライアウトを防ぐため,水輸送の現象解明が必要である。 そのための戦略として以下が挙げられる。 ◆ GDL 構造にある細孔や,氷や水滴の形成,燃料電池内の水運動に関する先端画像 技術の開発 ◆ CDF(計算流体力学)モデリング ◆ ガス拡散層特性の実験測定 (4) 成果 1) MEA 3M 製の MEA は,一定の加湿状態と発電サイクルのもとで,7,300 時間以上の耐久 性を達成した。DOE の目標は 5,000 時間である。 −58− 図 2-2 MEA の耐久性 2) ナノ細孔膜 開発中のナノ細孔膜(Nano-Capillary Membrane)は,プロトン伝導性の中間目標 である室温,担体湿度 80%で 70mS/cm を達成した。 3) 三元触媒 ブルックヘブン製の PtAuNi5 触媒は,従来触媒バルク活性を上回っている。 図 2-3 触媒性能の達成状況 4) 自動車用 FC システム 図 2-4 に示すように,自動車用 FC システムコストを$94/kW まで下げることができ た。これは,年間 50 万ユニットを作るとした場合の試算値である。 −59− 図 2-4 80kW の直接水素形自動車用 PEM FC システムのコスト −60− 2−1−2 Hydrogen Storage Sunita Satyapal (DOE) (1) 目標 このプログラムの目標は,様々な種類の車両に対して使えるような,300 マイル以上 走行可能な車載用水素貯蔵システムを開発することである。 この目標達成のため,以下の開発項目がある。 ◆ 容量 ◆ 動作温度(-40℃∼85℃) ◆ 水素供給速度(0.02g-H2/秒/kW),充填速度(5kg の水素充填が 3 分以内) ◆ システムコスト ◆ 燃料コスト ◆ 安全性,C&S,信頼性,サイクル寿命,効率,他 (2) 課題 現在実証走行中の FCV は,300 マイルは走れるように設計されているが,性能や搭載 スペース,コストはまだ市場に出回るには難しいものがある。 また,より低圧での貯蔵可能性の検討も課題である。 (3) 水素貯蔵関連予算 FY2008 予算と,FY2009 の要求額を表 2-1 に示す。 表 2-1 HydrogenStorage の予算内訳 MY2008 予算 MY2009 要求 金属水素化物 ケミカルハイドライド 吸着剤 タンク 他の材料やコンセプト テスト/分析/サポート エンジニアリング CoE $10.4M $ 9.4 M $ 8.2 M $ 0.9 M $ 5.2 M $ 8.4 M $ 1.0 M $10.5 M $10.5 M $11.0 M $ 2.5 M $ 9.9 M $ 8.8 M $ 6.0 M 合計 $43.5 M $59.2M ※CoE:Center of Excellence (4) 進捗状況 1) 新たな貯蔵材料の研究開発 水素吸蔵合金,ケミカルハイドライド,アンモニアボラン,水素吸着材,低温圧縮 など,さまざまな技術の検討を行ったが,図 2-5 に示すように,体積容量も重量容量 も,現状はどの技術においても DOE の 2010 年ターゲットに届いていない。 −61− 図 2-5 水素貯蔵研究の現状 2) 水素貯蔵システムの目標達成状況 現在,フルスケールのプロトタイプ低温圧縮水素タンクの開発が進められているが, 2010 年目標に届いていない(図 2-6)。 図 2-6 水素貯蔵システムの目標達成状況 3) 圧縮水素タンク 圧縮水素タンクについては,Technology Validation に参加中の第 1 世代の車両 92 台によって,航続距離が 103∼190 マイルであったことが実証された。また,TIAX に よるコスト分析では,大量生産時には,∼$27/kWh(700bar)になると試算された。 図 2-7 に現状のタンクのシステム容量と,生産量 50 万ユニット/年のときの 700bar タンクのコスト分析結果を示す。 −62− システム容量 Wt.% g/L 350bar 2.8-3.8wt.% 17-18g/L 700bar 2.5-4.4wt.% 18-25g/L 図 2-7 現状のタンクのシステム容量と大量生産時のコスト分析結果 −63− 2−1−3 Production & Delivery Rick Farmer (DOE) (1) 目標 石炭,原子力,再生可能エネルギーといった様々な米国内の資源から,低コスト,ク リーン,高効率な水素製造技術の研究開発を行うことを目標としている。 具体的なコスト目標は,水素の生産コストを$2∼$3/gge(課税なし,配給端)に,輸 送コストを$1/gge 未満とすることである。 (2) EERE の水素生産・輸送プログラム予算 FY2008 の予算を図 2-8 に示す。製造に関する予算が$28.9M で,輸送に関する予算が $10.7M である。 水素の輸送に 関する予算 $10.7M (FY2008) 水素の生産に 関する予算 $28.9M (FY2008) 図 2-8 水素生産・輸送プログラム予算の内訳 (3) 進捗状況・成果 ◆ 電気分解装置性能の大幅な改善が示された ◆ バイオ由来液体燃料からの水素製造:コスト 1/10(2005 年比),触媒寿命は 1 年 を超えた ◆ 落下片レシーバー(falling particle receiver)と熱交換システムの実証を行った ◆ はじめて,光電気化学(PEC)材料(WO3)の電子表層構造の実験的な測定を行っ た ◆ 環境 DNA サンプルを用いて新規ヒドロゲナーゼ(水素酸化還元触媒酵素)のクロー ンをつくり,生物体内で機能的なヒドロゲナーゼを発現させた ◆ 電気化学的水素圧縮機を開発し,最高 4000psi,1500 時間の連続運転を達成した ◆ APCI 法(大気圧化学イオン化法)により,液体ハイドロカーボンを有望なキャリ アとして確認した ◆ 低コストかつ低透過性の繊維強化ポリマー(1psi/day もしくは<<0.1%水素/day) −64− を発見した 現時点での水素コストにかかる目標達成状況を図 2-9 に示す。 中期:分散生産(水素輸送コストを 抑えるために,ステーションで生産) 天然ガス改質 水電解 再生可能液体燃料からの改質 長期:集中生産(水素輸送インフラ のために大規模な投資が必要) バイオマスガス化 CO2 隔離を用いた石炭 らの生産 太陽光の高温熱化学水 解 風力発電水電解 原子力発電関係 図 2-9 水素の製造・輸送に関する目標達成状況 −65− 2−1−4 Technology Validation John Garbak (DOE) (1) 目標 技術実証の目標は,輸送やインフラ,発電に関する水素と燃料電池のシステムを実証 することである。このために,水素インフラと直接水素形 FCV の実証を並行して行う。 また,現状の技術進歩の評価をして,この結果を水素の研究開発へフィードバックして いく。 主要な数値目標を表 2-2 に示す。 表 2-2 数値目標 FC スタック耐久性 航続距離 ステーションでの水素コスト 2009 年 2015 年 2000 時間 250 マイル以上 $3/gge 5000 時間 300 マイル以上 $2-3/gge (2) 予算 表 2-3 にあるように,FY2009 の要求額は$14.8M で,FY2008 の予算($29.7M)の 約半分となっている。 表 2-3 Technology Validation の予算内訳 MY2008 予算 MY2009 要求 車両 インフラ エネルギーステーション&パワーパーク 分析とサポート $19.6M $ 3.6M $ 2.1M $ 4.4M $ 9.1M $ 3.6M 0 $ 2.1M 合計 $29.7M $14.8M (3) 挑戦すべき課題 以下のような問題点と課題に対して取り組んでいる。 ◆ FCV の性能と耐久性のデータが不足している ◆ 燃料インフラの性能と利用可能性のデータが不足している ◆ 3 つの異なった気候条件下での,FC の起動および運転に対する評価が必要である ◆ 寒冷な気候条件下での,FC の起動可能性の評価が必要である ◆ 70MPa での充填での評価を行う ◆ FCV とインフラのインターフェースに関する課題を解決する必要がある (4) 2008 年の進捗状況 現在,FCV92 台と水素ステーション 15 箇所が稼働中である。その中には第 2 世代の 車両も含まれている。 −66− 今までに,のべ 130 台の車両がこのプロジェクトに参加した。FC の耐久性は,実証 1,200 時間(3 万 6 千マイル)が実証され,推定では 1,900 時間(5 万 7 千マイル)が可 能と見積もられる。総走行距離は 110 万マイルに達し,総稼働時間は 5,200 時間以上と なった。FC 効率は 53-58%である。 44,000kg 以上の水素が製造・充填された。また,2 カ所の水素ステーションは 70MPa に対応している。 (5) 今後の計画 今後,以下のような技術実証を行っていく予定である。 ◆ 第 1 世代,第 2 世代 FCV の実証および運用を続ける。 ◆ FC 耐久性 2,000 時間の確認や,水素コスト$3/gge が成り立つかどうかの確認も行 う。 ◆ ハワイにパワーパークを建設して運営を行う。 ◆ ラーニングデモンストレーションの第 2 フェーズの計画を発展させる。 −67− 2−1−5 Analysis of the Transition to Hydrogen Fuel Cell Vehicles & the Potential Hydrogen Infrastructure Requirements David L. Greene (DOE) 2008 年にとりまとめられた,水素・燃料電池自動車への移行の要件を解析したレポー ト注)に関するプレゼンテーションが行われた。自動車会社やエネルギメーカなど 60 以 上の団体が関わって,以下の 3 つの普及シナリオを元に考察が行われた。(図 2-10) z シナリオ 1:FCV は,2012 年までに年間数百台が,2018 年までに年間数千台が 生産される。2025 年には市場における FCV は 200 万台となる。 z シナリオ 2:FCV は,2012 年までに年間数千台が,2015 年までには年間数万台 が,2018 年までには年間数十万台が生産される。2025 年には,市場 における FCV は 500 万台となる。 z シナリオ 3:FCV は,2012 年までに年間数千台が,2021 年までに年間数百万台 が生産される。2025 年までに市場に 1 千万台となる。 図 2-10 FCV 普及シナリオ 3 つのシナリオでの分析全てにおいて,2025 年以後においては,政策による後押しが なくても,持続可能で競争力のある水素自動車が市場にもたらされる可能性があるとし た(図 2-11)。これは,初期(2012~2025)には政策支援が行われており,水素や燃料 電池の開発プログラムが成功しており,EIA の原油価格シナリオがハイケースとなった 場合であることが前提である。 注) レポート URL<http://cta.ornl.gov/cta/Publications/Reports/ORNL_TM_2008_30.pdf> また「NEDO 海外レポート NO.1029」には,このレポートの詳細なとりまとめ(日本語)がある。 −68− 図 2-11 技術車両のシェア(シナリオ 1 とシナリオ 3) 政策支援がない場合と,政策支援がある場合の,水素燃料電池車の販売によるキャッ シュフローのシミュレーションを図 2-12 に示す。政策支援がない場合には,移行期間に おける投資を,2045 年以降まで自動車産業が持ち出しで続ける必要が生じるが,政策支 援がある場合では,最も良い普及シナリオでの場合だが,2025 年には初期投資を回収で きるという分析が得られている。 政策支援ありケース 政策支援なしケース 図 2-12 キャッシュフローのシミュレーション(左:政策支援なし,右:政策支援あり) −69− 2−2 Storage 2−2−1 ST28: National Testing Laboratory for Solid-State Hydrogen Storage Technologies Michael A. Miller (Southwest Research Institute®) (1) プロジェクトの概要 SwRI が参画する水素貯蔵材料に関するプロジェクトの概要を表 2-4 に示す。 表 2-4 SwRI が参画する水素貯蔵材料に関する研究開発プロジェクトの概要 予定 予算 取組むべき 障壁 パートナー フェーズ 1 プロジェクト期間:2002/3∼2006/9(100%完了) フェーズ 2 プロジェクト期間:2006/10∼2011/9(33%完了) フェーズ 1 DOE の負担 $2.475M,SwRI の負担 $0.62M フェーズ 2 フェーズ 2 の DOE の負担 $2.0M DOE からの受取 FY07 が$405K,FY08 が$375K 手法の標準化 最適な測定方法 材料性能の実証 ・物理吸着と化学吸着のプロセスの理解 ・性能再現性 システム性能の実証 ・性能再現性 ・システムのライフサイクルアセスメント Ovonic Hydrogen Systems(フルスケール貯蔵システム) INER(台湾) NESSHY(EC-JRC) ミシガン大学 テキサス大学サンアントニオ校 (2) 目的 本プロジェクトの目的は以下のとおりである。 ◆ 全体 ・新規の固体水素貯蔵材料とフルスケールのシステムの性能を評価・実証することを 目的とする。また,独立した国家レベルの研究室を運営することで,DOE の水素貯 蔵プログラムを支援する。 ・水素貯蔵容量,動力学,熱力学,サイクル寿命といった性能評価指標を導き出すた めに達成された測定手順に従い測定を実施する。 −70− ・水素貯蔵に関連ある固体物質の性能を評価・実証するために,ヨーロッパや日本を はじめとする国際的コミュニティ内で同時に進めている活動を支援する。 ◆ 現状 ・Pt/AC-bridged IRMOF-8 と AX-21 compounds における水素の放出についての綿密 な評価と実証を提供 ・触媒ドープ炭素材料における水素の吸着・放出現象を評価する。 ・触媒ドープ有機金属構造体(MOFs)における水素放出を熱力学的に評価する。 ・EU の水素貯蔵プログラム(NESSHY 注))と協同で,ラウンドロビン試験を継続す る。 (3) アプローチ 本研究プロジェクトの実施内容は以下のとおりである。 ◆ DOE が最優先する metal-doped SWNTs,MOF-177,Pt/AC-briged ITMOF-8, Pt/AX-21 を検討対象に含める。 ◆ 研究室の実績/能力は,アメリカおよび国際的協力者(EU の NESSHY プログラム) とのラウンドロビン試験を通じて評価される。 ◆ DOE の指示に対する分析結果は,材料センターと DOE に報告される。 ◆ 商用/独立の研究室に対する分析結果は,クライアントのみに報告される。 ◆ サンプルの備蓄,スケジュール,実験手順,DOE の指示に対する結果には,Quick Place ウェブサイトを通じてアクセスできる。 (4) 結果の要約 本プロジェクトによる成果をまとめると,以下のとおりである。 ◆ DOE から公式に本プログラムを 2010 年まで継続する決定を受けることができた ◆ 77K における MOF-177 の水素の吸蔵量を評価し(7.5wt%),このような材料に おける水素吸蔵評価のためのベンチマークを確立した ◆ 触媒をドープした MOF 材料の水素放出現象を評価することができ,75bar,298K で 2.5wt%を実証した ◆ NESSHY プログラムに参画する Demokritos 社と共同で,合金をドープした炭素 吸蔵材料といった新しい構造体に対する水素吸蔵性能を評価した。その結果,室温, 80bar において 8wt%の水素の放出を実証した。 注) NESSHY:Novel efficient solid storage for hydrogen −71− (5) 今後に向けての提言 以下を提言する。 ◆ 求められる目標を達成するため,水素の放出現象の解明に焦点を当てた研究グルー プを設立すべき。 ◆ その研究グル―プは,理論や測定方法,分析に熟達したメンバーで構成する。 ◆ 現象解および新たな合成化学的アプローチに役立つような研究プロジェクトの立 ち上げを提案する ◆ 直接的に水素放出を研究するプロジェクトに予算を配分すべき ◆ 研究進捗を確認し合うための特別な会議を企画すべき −72− 2−3 Fuel Cells 2−3−1 FC1: Advanced Cathode Catalysts and Supports for PEM Fuel Cells Mark K. Debe (3M) (1) プロジェクトの概要 3M が参画する研究開発プロジェクトと概要を表 2-5 に示す。 表 2-5 3M が参画する先進カソード触媒に関するプロジェクトの概要 予定 予算 パートナー 取組むべき 障壁 DOE 技術目標 その他の 協力 プロジェクト期間:2007/4/1∼2011/3/30(30%完了) プロジェクト全体:$10.43M DOE および FFRDC の負担 $8.34M,3M の負担 $2.09M FY07 の DOE からの受取 $0.565M FY08 の DOE の資金拠出 $0.711M(2008 年 3 月 8 日まで) ダルハウジー(Dalhousie)大学(J. Dahn 氏) JPL:ジェット推進研究所(S. R. Narayanan 氏) ANL:アルゴンヌ国立研究所(N. Markovic 氏) プロジェクト管理―3M 電極および MEA(膜/電極接合体)の耐久性 スタックの構成材料と製造コスト 電極および MEA の性能 電極触媒/MEA 80℃以上の運転での寿命(時間) 質量当たりの活性度(A/mg) 白金族金属の使用量(g/kW 定格) 性能(W/cm2) |定格 |0.8V 2010 2,000 0.44 0.3 1 0.25 2015 5,000 0.44 0.2 1 0.25 LANL:ロスアラモス国立研究所(NIST) ORNL:オークリッジ国立研究所(TEF) ANL:アルゴンヌ国立研究所(モデリング) BASF(白金リサイクル) 各メーカー(ガス拡散層/固体高分子膜) システム統合者 (2) プロジェクトの目的 1) プロジェクト全体の目標 耐久性があり,低コストで高性能なカソード(触媒と触媒担体)の開発が目標であ る。これには,ガス拡散層を伴う燃料電池の MEA(膜/電極接合体)に組み込まれて 量産可能な工程で製造され, DOE の 2015 年目標を達成し得ることが条件となる。 −73− 2) 過年度の目的 過年度のプロジェクト目的は,以下のとおりである。 ◆ NSTF 触媒を評価するために DOE が指定する加速耐久性試験を実施 ◆ MEA に対して 0.25mg-Pt/cm2 以下となる触媒使用で,触媒表面積,活性,耐久性 を向上するために多様な方策を定め,実行 ◆ 耐久性と活性を得るため,高い処理能力を持つキャラクタリゼーション法を用いて 新規電極触媒を製造,選別するために協力者と密接に協力して作業を実施 ◆ 酸素還元反応(ORR)のための NSTF 触媒の活性に関する基礎的研究を実施 ◆ MEA の水管理を最適化する多様な方策を定め,実行 ◆ NSTF 触媒と膜を接合するための大量生産技術を進展 (3) プロジェクトのスケジュール 本プロジェクトのスケジュールとマイルストーンを図 2-13 に示す。 図 2-13 プロジェクトのスケジュール −74− (4) 具体的な実施内容・タスク 先進のカソード触媒と触媒担体の開発は,3M の NSTF 触媒の技術プラットフォーム に基づく。 本プロジェクトのタスクを以下に整理する。 ◆ タスク 1.0 触媒活性および利用効率の改善 1.1 NSTF 触媒の表面積増加と触媒担体の最適化 1.2 NSTF 触媒活性の原理 1.3 活性を向上させるための新しい多元素触媒 ◆ タスク 2.0 触媒耐久性の改善 2.1 溶解に対する NSTF 触媒の安定化 2.2 NSTF 触媒の粒径の安定化 ◆ タスク 3.0 フルサイズ(250cm2 以上)の単セルの性能・耐久性試験 ◆ タスク 4.0 先進の触媒担体構造の耐久性についての特性分析 ◆ タスク 5.0 スタック試験と最適な NSTF 触媒使用の MEA ロールの製造 5.1 NSTF 触媒/低 EW 膜インターフェースの最適化 5.2 アノードとカソードのガス拡散層の最適化 5.3 ショートスタックでの試験(10 セル以上,312cm2) (5) 技術的成果 技術的成果としては,多くの耐久性や性能に関する評価項目において DOE の目標を 達成,超過することができた。現状で,目標とのかい離が大きい評価項目は,触媒の白 金質量当たりの活性と,高電圧領域サイクル試験における電気化学的触媒比表面積 (ECSA)である。 以下に主要な成果を示す。 ◆ 白金量 0.25mg-Pt/cm2 の NSTF-PtCoMn 触媒を用いた MEA の改良 ・1.5A/ cm2 で 0.61V,圧力 150kPa の H2/空気で 0.27g/kW を達成 ◆ 3M 独自のプロトコルによる化学的耐久性試験において,7300 時間を超える運転を 達成(図 2-14) ◆ 酸素還元活性については,NSTF-PurePt,NSTF-PtCoMn に比べて,NSTF-PtNiFe 触媒が高い活性を示した。 −75− 図 2-14 MEA の耐久性試験結果 表 2-6 に技術的成果と目標の達成状況を整理する。 表 2-6 技術的成果と目標の達成状況 −76− (6) 今後の方針 MEA における白金使用量を 0.25mg/cm2 以下にするという前提の下で,以下の取り組 みを行う。 ◆ 触媒質量当たり活性の向上 ・耐久性を維持しつつ,質量当たり触媒活性を NSTF ベースラインの 2 倍の向上を目 指し,引き続き,新たな触媒構成の検討を行う。また,50cm2 電極に用いる候補を 選定する ・耐久性や質量当たり活性を維持しつつ,触媒表面積を NSTF ベースラインの 2 倍以 上の向上を図る ◆ 耐久性の向上 ・現状の耐久性試験において,触媒活性比表面や質量のロスを少なくとも半分以上低 減させる ◆ 水管理の改善 ・高温・無加湿状態での性能を落とさずに,低温度領域における水移動を効率化する ために GDL の材料と状態を最適化する ・両極における異なる最適化条件をクリアできるような GDL を開発する ・高温運転時における無加湿や加湿条件における性能向上に向け,改良した電解質膜 を用いた NSTF 触媒を評価する −77− 2−3−2 FC5: Highly Dispersed Alloy Cathode Catalyst for Durability Sathya Motupally (UTC Power) (1) プロジェクトの概要 UTC Power が参画する高分散白金カソード触媒の研究開発プロジェクトの概要を表 2-7 に示す。 表 2-7 UTC Power が参画するカソード触媒に関するプロジェクトの概要 予定 予算 取組むべき 障壁 パートナー プロジェクト期間:2007/5/1∼2010/4/30 プロジェクトの 33%が完了している プロジェクト全体:DOE の負担 $6.278M,UTC の負担 FY07 の DOE からの受取 $200K FY08 の DOE の資金拠出 $1,600K 性能―触媒活性の向上 コスト―白金使用量の削減 耐久性―サイクル耐性の向上 Johnson Matthey Fuel Cells テキサス A&M 大学 ブルックヘブン国立研究所 $2.860M (2) 目的 プロジェクトの目的は,DOE の 2010 年性能・耐久性目標を達成させるような構造的, 複合的に先進的なカソード触媒を開発することである(表 2-8)。 表 2-8 プロジェクトにおける目標 −78− (3) マイルストーン プロジェクトにおけるマイルストーンは表 2-9 のとおりである。 表 2-9 プロジェクトにおけるマイルストーン 年月 マイルストーン/実行/中止の決定 2008 年 8 月 マイルストーン:小規模分散合金触媒の製法確立 2008 年 9 月 実行/中止の決定:絞り込み選定した分散合金触媒の実証 2008 年 10 月 マイルストーン:小規模コアシェル触媒の製法確立 2008 年 11 月 実行/中止の決定:絞り込み選定したコアシェル触媒の実証 (4) アプローチ プロジェクトにおける具体的な実施内容は以下のとおりである。 ① コアシェル触媒 ・Pd/Pt ・Ir/Pt ・Co/Pd/Pt ・IrCo/Pt ・PdxCoy/Pt ・Pt/Au ② 合金触媒 ・Ir コーティング 3 元触媒 ・新規担体 ・合金基礎原則 ・合成の最適化 ③ モデリング ・コアシェル構造の安定性 ・コアシェルの耐久性 ・シェルの厚みの影響 ・内層組成の影響 −79− (5) 戦略 目的に達する戦略を図 2-15 に示す。 図 2-15 プロジェクトにおける戦略 (6) 成果の概要と今後の方針 成果の概要と今後の方針は以下のとおりである。 ◆ モデリング ・様々なコアシェルシステムのための白金溶解と構造的安定性に関する酸素の影響を 定式化 ◆ コアシェル触媒 ・多くの元素あるいは合金のコアを評価し,Pd3Co や Ir のコアが酸素還元反応の最も 高い改善となることを明らかにした ◆ 合金触媒 ・様々な PtIrX 合金が合成し,活性と耐久性のトレードオフを理解するために試験を 実施した −80− ◆ 今後の方針(2008) ・Pd3Co/Pt,Ir/Pt コアシェルの耐久性向上やスケールアップにおける最適化 ・IrxCoy 合金コアの検討 ・コアシェルの安定性と耐久性についてのモデリングの結果を実証 ◆ 今後の方針(2009) ・分散もしくはコアシェル触媒から最適な触媒を絞り込む ・実スケールの単セルの燃料電池の実証運転 −81− 2−3−3 FC7: Mass Production Cost Estimation for Direct H2 PEM Fuel Cell System for Automotive Application Brian D. James (DTI) (1) プロジェクトの概要 自動車用 FC システムの大量生産時のコストを推計する DOE のプログラムの概要を 表 2-10 に示す。 表 2-10 DTI における自動車用 FC システムコスト推計プログラムの概要 予定 予算 取組むべき 障壁 DOE コスト目標 協力 プロジェクト期間(基本):2006/2/17∼2008/2/16(100%完了) 3 年間のオプション期間の 1 年目:2008 /2/16∼(25%完了) プロジェクト全体 基本の 2 年間 $325K,オプション期間の 1 年目 $182K DTI の負担 なし FY07 は$175K,FY08 は$182K 製造コスト 材料費(特に貴金属触媒) スタックコスト システムコスト 単位 $/kWe(net) $/kWe(net) 2007 ― ― 2010 $25 $45 2015 $15 $30 コスト分析への入力データとしての設計・製造指標を集めるために, 広範囲に及ぶ産業界/研究者との交流 (2) プロジェクトのスケジュール プロジェクトのスケジュールは図 2-16 のとおりである。前年の年次報告会(AMR: Annual Merit Review)以来,分析内容文書化や分析方法の改良に焦点を当ててきた。 また,バイポーラプレートの窒化物コーティング,およびガスケットの代替方法につい ての事前分析を実施した。 −82− 図 2-16 プロジェクトのスケジュール表 (3) 目的 プロジェクトの目標・目的を以下に示す。 ① 以下の 3 段階の技術レベルに基づいて,80kW 出力の自動車用の直接水素 PEMFC システムのための最小コストのシステム設計と製造方法を確認 ・2007 年の現状の技術 ・2010 年段階で予測される技術 ・2015 年段階で予測される技術 ② 以下の 5 段階の年間生産量において,上記 3 段階の技術レベルのシステムでコスト を確定 ・1,000 台/年 ・30,000 台/年 ・80,000 台/年 ・130,000 台/年 ・500,000 台/年 ③ コストに対するシステム性能の影響を分析,数量化,文書化 ・今後の構成部品開発の方向性を導くためにコスト分析結果の利用を想定 プロジェクトは完全な燃料電池システムを取り上げる(図 2-17)(バッテリーシステ ム,トラクションモーター/インバーター,燃料貯蔵システムを除く)。 −83− 図 2-17 完全な燃料電池システムへ向けた取り組みのフロー (4) 基本的な前提条件 コスト分析にあたっての基本的な前提条件は以下のとおりである。 ◆ ネットで 80kW 出力(2007 年のシステムでは,グロス出力 91kW に相当) ◆ 年間 1000 台∼50 万台の生産量 ◆ アメリカ合衆国の賃金率:$60/時間(すべて負担) ◆ 10%の資本コストにおいて臨時出費は含まれない(10% capital cost contingency is NOT included) ◆ 白金コストは$1,100/troy oz. (現在,$2,000/troy oz.) ◆ いくつかのコストは含まれない ・保証コスト ・建物コスト(設備コストは含まれるが,設備が収容される建物はコストに含まれな い) ・売上税 ・繰り返し生じることのない工学的技術コスト (5) DTI 社の DFMAⓇ様式のコスト計算手法 コスト計算手法には DFMAⓇを使用する。概要は以下のとおりである(図 2-18)。 ◆ Boothroyd-Dewhurst 社の登録商標である DFMAⓇ(Design for Manufacturing and Assembly) ・全世界の数百社で用いられている ・過去 20 数年間にわたり Ford の設計/コスト計算手法の基準 −84− ◆ DTI 社の実務を構成する要素 ・DFMAⓇのテキストブック,産業界の標準・慣行,DFMAⓇソフトウェア,技術革新と 実用性 ◆ 推定費用 = ( 材料費 + 加工費 +組立費 ) × 利幅係数 図 2-18 DFMAⓇによるコスト計算 (6) 重要な技術目標 システム定義を決定する重要な技術目標は以下のとおりである(表 2-11)。 表 2-11 システム定義に向けて重要な技術目標 −85− (7) 年次別システムの定義 表 2-12 に年次別のシステムの違いを整理する。 表 2-12 システムの詳細比較 各年次におけるシステムの違いの概要は以下のとおりである。 ◆ 2007 年から 2010 年への変化 ・より高温下での運転,より小型のラジエーターの使用 ・膜加湿器の使用(水噴霧装置の代用として) ・より低圧下での運転 ・遠心圧縮機/膨張機(ツインローブ型圧縮機の代用として) ◆ 2010 年から 2015 年への変化 ・より高温下での運転,より小型のラジエーターの使用 ・無加湿 ・より低圧下での運転 ・より小型の圧縮機 ・膨張機なし −86− (8) 評価の前提となるコンポーネントの定義 1) PEFC スタック PEFC スタックは MEA を 2 枚のセパレータではさみ,隣り合うセパレータ(バイ ポーラプレート)の間には冷却用のガスケットを配す。使用するガスケットは MEA と同数となる。 2) バイポーラプレート 型打ちによって作成するステンレス鋼製バイポーラプレートを想定する。具体的に は以下のとおりである。 ◆ 4 段階で作業が進行する型打ち装置を使用 ◆ 機械設備への多額の投資は,個々の型打ち装置に要する労働力とエネルギーのコス ト削減により十分に埋め合わせが可能 ◆ 高速のプレート製造(最大で 80 枚/分) オークリッジ国立研(Mike Brady)によって,低い表面抵抗でかつ腐食耐性のある バイポーラプレートのための窒化物コーティングが調査されている(図 2-19)。ここ では,バイポーラプレートにこの窒化物コーティングを施すことを想定する。 図 2-19 バイポーラプレートへの窒化物コーティング (9) スタックシステムコストの推計結果 最新のスタックシステムコストの推計結果を表 2-13 に示す。前年における推計結果と 変更点を示している。スタックシステムコストは年間 50 万ユニットを生産した場合で 1 システム$94 と推計され,前年の$110 から$16 削減されている。 −87− 表 2-13 過年度における顕著な変化 年産 1000 システムと 50 万システムの場合のコンポーネント別コストの構成比を図 2-20 に示す。生産量が少ないときは電解質膜の構成比が 5 割近くを占めるが,生産量が 大きくなると触媒のコストの割合が増大する。 図 2-20 スタックコンポーネントへの予算配分 −88− (10) Balance of Plant(周辺機器)のコスト推計結果 周辺機器に関するコストの推計結果を図 2-21 に示す。 図 2-21 スタックコンポーネントへの予算配分 ◆ 製造工程の自動化は非常に大きなコスト削減につながる。 ◆ エアーコンプレッサとセンサーは,生産量が増大することによる BOP コスト低下 の 70%を示す。 ◆ 技術変化は BOP の節約をもたらし,機材の削減に繋がる ◆ 技術改善によるコンプレッサ,加湿器,冷却器の簡略化が重要である。 コストに関する感度分析の結果から以下のことがわかる。 ◆ 出力密度,白金使用量,白金コストがコスト不確実性の三大要素である ◆ 2015 年のシステムでは,高い出力密度によって白金が大きな影響を持たなくなる ◆ スタック調整とバイポーラプレート型打ちのコストにかかる不確実性は,システム 全体のコストに対して僅かな影響しか与えない (11) コスト削減に向けた所見 コスト削減に向けた知見を以下に整理する。 ◆ 出力密度はスタックコストを左右する最も重要な要因である ◆ 白金使用量は大量生産時においては主要な高コスト要因となる ・非白金触媒の開発がブレークスルーとなる ・白金使用量の削減は必須だが,出力密度と耐久性を犠牲にしてはならない −89− ◆ 電解質膜は少量生産時における主要なコスト要因 ・ナフィオンのようなイオノマーの大量生産が低コスト化を導く ・低い生産量で低コストの膜を製造するパスが必要 ◆ BOP コストの削減も重要 ・大規模な自動生産化が必要 ・BOP の単純化が必要 −単純化と性能のトレードオフに関する正しい理解が重要 (12) 今後の活動 今後の活動については以下のとおりである。 ◆ 3 年目(オプション期間の 1 年目) 2009 年 2 月まで ・年次更新 −感度分析の拡張 −BOP のコスト推定の改良(今年の焦点) z 現在の BOP のコストは,スタックコストの 45∼57%に相当する z 感度分析で対象とされる構成部品のコスト削減可能性の分析 −2008 年の進展を反映させるための技術・コストの再評価 −白金合金および代替触媒に関する調査をする −ガスケットの代替方法を調査する ・最適化分析 −コスト最小化のために出力密度と触媒使用量のトレードオフを分析 ◆ 4 年目(オプション期間の 2 年目) 2010 年 2 月まで ・年次更新 ◆ 5 年目(オプション期間の 3 年目) 2011 年 2 月まで ・年次更新 −90− 2−3−4 FC8: A Direct Hydrogen PEMFC Manufacturing Cost Estimation for Automotive Applications Jayanti Sinha (TIAX) (1) プロジェクトの概要 TIAX は,DOE の支援を受けて数年にわたって PEFC のコスト評価を実施してきた。 現在のプロジェクトは 2006 年にスタートしている。(表 2-14) 表 2-14 TIAX が参画するプロジェクトの概要 予定 予算 取組むべき 障壁 パートナー プロジェクト期間(基本):2006/2∼2008/5(100%完了) オプションとして 2011/5 までの延長 プロジェクト全体: $415K(基本のプロジェクト期間) FY07 は$214K の資金拠出,FY08 は金額未定 コスト目標 FC システム FC スタック 2005 110 70 コスト目標($/kW) 2010 2015 45 30 25 15 *年間 50 万台の製造の場合 TIAX(プロジェクトの統率) アルゴンヌ国立研究所(ANL)(システム構成・モデリング) 燃料電池の技術チーム,開発者,販売者(フィードバック) (2) 目的 プロジェクトの目的は以下のとおりである。 ◆ 全体 ・自動車用途の 80kW 直接水素 PEFC システムに関するボトムアップ型の製造コスト 評価 ◆ 2007 年 ・ナノ構造薄膜触媒(NSTFC)を用いた MEA と 3M 社製のような 30μm の電解質膜 を前提とした,アルゴンヌ国立研究所の 2007 年のシステム構成に対する大量生産 時(年間 50 万台)のコスト見積もり ・BOP 構成部品に関するボトムアップ型の製造コスト分析 (ボトムアップ型のスタックコスト分析は 2007 年度に完了) ・スタックとシステムのパラメータに関する感度分析 ・2007 年の BOP のコストに関する量産効果の影響分析 (2005 年のスタックの量産効果分析は 2006 年度に完了) −91− ◆ 2008−2011 年 ・大量生産時のコスト見積もりの年次更新 ・オプション:以下項目のコスト影響を含めた特定の分析テーマ − 常圧運転と加圧運転の比較 − 高温・低湿度での運転 − より低温で,低湿度の炭化水素膜 − セル/スタック構造と BOP 構成部品を含めた PEFC に関する代替アプローチ − 必要性に応じて他のテーマが考えられる (3) 包括的なコスト評価 製造コスト見積もりにおいては,技術評価,コストモデリング,産業界のデータが必 要である。製造コスト評価は,技術評価,コストモデルの構築と見積もり,全体モデル の改善という手順で行う(表 2-15)。 表 2-15 製造コスト評価の手順 技術評価 コストモデルと見積もり 全体モデルの改善 ・文献調査を実施する ・前提をまとめる ・システム要求と構成部品の 仕様を作成する ・開発者からの情報を取得す る ・量産でのコスト推定を行う ・部品表を作成する ・製造工程と製造装置を指定 する ・材料費と加工費を決定する ・開発者と産業界からの フィードバックを取得す る ・前提とモデルの入力データ を見直す ・感度分析を実施する (4) 進捗・技術評価 2007 年のシステム構成,性能,構成部品の仕様を定めるために,アルゴンヌ国立研究 所(ANL)と協業した。図 2-22 は,評価を行った固体高分子形燃料電池システムであ る。図内の灰色部分については,燃料電池システムのコスト評価には含まれない。 −92− 図 2-22 固体高分子形燃料電池システムの構成 (5) 開発企業からの情報 設計,性能,コスト推定に関するフィードバックを取得するために,スタックと BOP の主要構成部品の開発企業(図 2-23)とコンタクトを取った。 図 2-23 TIAX がコンタクトを取った企業 −93− (6) 進捗:ボトムアップ型コスト計算ツール BOP 構成部品に関するコスト分析を実施するために,2 つの異なるボトムアップ型コ スト計算ツールを使用した(表 2-16)。 表 2-16 TIAX のボトムアップ型コスト計算ツール TIAX の技術をベースとするコストモデル DFMA の並列コスト計算ソフトウェア ・ラジエーター ・圧縮・膨脹モジュール(CEM) ・エンタルピーホイール加湿器 ・水素ブロワー ・膜加湿器 ・鋳造,機械加工,射出成形などの従来の ・生産量に従って工程シナリオを定義 ・連続処理およびバッチ処理を定義 バッチ処理のための広範囲にわたる組込 ・コストを材料,労力,電気・ガス・水道, の製造データベースを保有 資本金などの様々なカテゴリーに分類 ・当初は,自動車産業のために開発 (PEFC スタックの製造に用いられる ・専用加工ラインを前提 処理にはあまり適していない) ―少量生産時は高めのコストとなる ・専用加工ラインを前提としない ―少量生産時に低めのコストとなる (7) 進捗:BOP の量産効果 量産効果(EOS)分析のために,パイロット・プラント(試験的生産を行う),準本 格的,本格的の 3 つの製造シナリオを作成した。コンセプトの証明から成熟した製造工 程までの段階的な進行を表すためである(表 2-17)。 表 2-17 量産効果分析のための製造シナリオ パイロット 少量生産 ・プラント 製造工程のコンセプトの証明 目的:製造工程を大量生産に適合させる 準本格的 少量∼中量生産 適合した製造工程 目的:大量生産の製造工程を実証する 本格的 大量生産 成熟した製造工程 目的:低コストで,処理量が多く,信頼性の高い製造工程を維持する なお,材料価格,工程のタイプ,処理パラメータ,設備選択と自動化レベル(すなわ −94− ち設備資本のコスト)は,3 つのシナリオにわたって異なった。 (8) 結果:BOP コスト BOP 構成部品の大量生産時の製造コストは,$1,350 であると予測される(表 2-18)。 表 2-18 BOP構成部品の大量生産時の製造コスト (9) 結果:CEM コスト CEM の製造コスト(販売会社のマークアップなし)は$535 で,BOP 全体のコストに 最も大きく影響を与えている(図 2-24)。 −95− 図 2-24 圧縮・膨脹モジュール(CEM)コストの内訳 (10) 結果:BOP の材料費 材料費とともに加工費も重要になりうる。例えば,膜加湿器の材料費は,膜加湿器全 体のコストの半分未満となっている(図 2-25)。 図 2-25 膜加湿器の材料費 −96− (11) 結果:システムのコストの内訳 システムコストの内訳は図 2-26 のとおりである。スタックと BOP 構成部品の両方の コストは,2005 年のコスト評価に比べて大幅に減少した。 図 2-26 システムコストの内訳 PEFC システム全体に対する BOP 構成部品のコストの割合は,2005 年の約 38%に比 べて 2007 年には約 46%となっている。 (12) 結果:感度分析 感度分析結果を以下に整理する。 ◆ 白金使用量,出力密度,白金コストが,PEFC システムのコストへの影響要因のトッ プ 3 である ◆ BOP の構成部品の中では,CEM が PEFC システムのコストに最も大きな影響を 与える (13) 結果:BOP の量産効果 少量生産(年間 100 台)では,試験工場のシナリオが$340/kW で最も安い BOP コス トをもたらし,大量生産(年間 8 万台以上)では,「本格的」シナリオが$26/kW で最 も安い BOP コストをもたらす(図 2-27)。 −97− 図 2-27 BOP の量産効果 (14) 目標との比較 目標と推計コストの比較は表 2-19 のとおりである。2007 年の PEFC スタックとシス テムのコストは,DOE の 2010 年の目標コストより約 25∼30%高い。 表 2-19 目標と推計コストの比較 −98− (15) 今後の活動 データの前提とコスト結果についての産業界からのフィードバックを取得し,2007 年 の PEFC のコスト分析に関する,包括的で業界関係者が論評できる報告書を作成する予 定である。 具体的には以下のとおりである。 ◆ 性能・コストの想定と全体結果についてのフィードバックを得るために,開発者と関 係者にインタビューを行う。 ・2007 年のシステムの大量生産時のコスト ・2006 年のスタックの規模の経済性 ・2007 年の BOP の規模の経済性 ◆ フィードバック結果をスタック・BOP のボトムアップ型コストモデルに組み込む。 ◆ 2007 年の PEFC のコスト分析(大量生産,スタックと BOP のボトムアップ型コス ト)についての包括的な報告書を準備する。 2−3−5 触媒に関する発表のまとめ Fuel Cells および Analysis セッションでの触媒に関連する発表を表 2-20 に整理する。 −99− 表 2-20 触媒に関連する発表 Project ID 発表者 −100− FC4 3M Atanasoski FC1 3M Debe FC2 ANL Myers FC3 LANL Zelenay 企業 Partner プロジェクト名 概要 BNL 等大学,研 非貴金属触媒開発の新し Nanotechnology と Vacuum Process による非貴金属触媒で 1,000 究所 いアプローチ 時間の耐久性達成。TiSi,TiC 及び 3M 独自の担体に Fe を真空蒸 着した触媒。07 年 8 月末で終了。 Jet Propulsion PEFC 用先進カソード触 昨年再スタートの NSTF 触媒(Nanostructured thin film – DOE で Labo,ANL, 媒と担体 の開発で 10 年が経過)の開発状況報告。4 年間で 10.5 百万ドルの Dalhousie Univ プロジェクト。PtNiFe 触媒が最も活性が良かった。現状 DOE の ターゲットにおいて Pt の含有量や 5000 時間の一般耐久等はクリ アできる目処がついているが,触媒活性や最も厳しい加速試験プロ トコルについて改善が必要。水管理の面で GDL を中心とした改善 が必要。 Caltech 非 Pt-2 元合金系カソー 昨年度スタート。貴金属-非金属の組み合わせで,コアを非貴金属 (California ド電極触媒 とするコアシェル触媒。Pd 合金システム(Pd/Cu 等)を中心に触媒 Institute of を各種の方法で合成し,酸素還元活性と安定性を市販触媒と比較評 Technology)等 価した。今のところ Pd/Cu(25:75)が Pt20%カーボン担持触媒の 大学,研究所 75%の活性が得られている。更に解析評価を継続し,最も活性の出 た Pd/Cu については MEA 評価をやる予定。 Cabot,BNL 等 先進カソード触媒 昨年度スタート。超低 Pt 担持触媒,カルコゲン及び非貴金属/へテ ロ原子触媒を米国内の複数の著名な研究所が共同して開発。量産評 価は Cabot。予算は 4 年間で 10 百万ドル。特に BNL が担当する 超低 Pt 触媒において,PtAuNi5,PtPd3Fe 等は Pt の単位重量あ たりの活性度は数倍良い結果が出ている(E-Tek の Pt20%触媒と比 較して)。 Project ID 発表者 −101− FC4 Pacific Northwest National Laboratory Viswanatha n FC5 UTC-Power Motupally FC6 ANL Ahluwalia FC7 DTI (Directed Technologie s Inc) James 企業 Partner プロジェクト名 概要 PEFC 用代替,高耐久高 昨年度スタート。触媒の担体として,グラファイト化カーボンを基 性能なカソード触媒担体 材として,WC(タングステンカーバイド),導電性金属酸化物(ITO), の開発 SnO2 や TiO2 で表面を保護したものを開発する。今のところ,WC が Pt 存在下で安定性を高めることが示された。また,TiO2 でカー ボン(XC-72)を覆ったものは E-Tek より安定性が向上する結果が 示された(電気化学的表面積の減少が E-Tek の 70%以下)。 JM, 高耐久性高分散カソード 昨年度スタート。BNL のコアシェル触媒の評価に重点が移ってき Texas A&M 合金触媒 ている。酸素が Pt の溶出やいろいろなコアシェル構造の安定性に Univ, 与える影響が定量評価され,酸素がない状況では Pt 表面で遷移金 BNL 属は分離することが示唆された。コアが Ir の場合と Pd3Co の場合 が最も酸素還元活性が上がることが確認された。今後は耐久試験を 実施するとともに 09 年には最適な触媒を選定する。 FreedumCAR FC システム解析 自動車用 FC システムの実証モデル開発とシステム評価での使用。 Fuel Cell また,それによる DOE の技術目標と部品開発指揮へのサポート。 Technical 更に水素中の不純物の影響についても評価した。特にシステム解析 Team,3M 等 においては 3M の NSTF 触媒を使用したスタックの性能も解析(Pt 量は 15%低減可能?としている)。不純物については,文献で見ら れる閉鎖的環境でのアノードガス循環中の CO 及び CO2 の蓄積を 気にしている。 自 動 車 用 直 接 水 素 2008.2.16 で終了。80kW の FCV の最小コストを狙ったシステムデ PEMFC システムの量産 ザインと製造方法を明らかにすることが目標。技術的には 07,10 コスト試算 及び 15 年の技術レベル予測に生産台数(1,000∼500,000 台/年)をか けて検討。コストのトップ 3 は膜,触媒インク及び GDL(セパレー タは安価な金属プレス品-貴金属表面処理なしで試算)。生産量が少 ない間は膜,多くなると触媒の影響大。また,スタックのエネルギー 密度がコストに与える重要因子であり,これを高めることが重要。 AFCC, ORNL, University of Delaware Project FC9 FC15 −102− FC16 FC20 ID 発表者 ORNL More 企業 Partner プロジェクト名 概要 PEFC の MEA のマイク 2000 年よりスタートし,既に 190 万ドルが使われた。各種電顕に ロ 構 造 キ ャ ラ ク タ ラ イ より,結晶面の観察まで含めた MEA のマイクロ構造の変化の解析 ゼーション 並びに電気化学的活性表面積の評価を MEA の寿命試験の分析に 適用する。今回は 3 次元 TEM での解析技術の向上で,実際に触媒 が凝集する様子や BNL のコアシェル触媒の写真が紹介された。今 後の寿命解析への応用が期待できる。 U of Central BekkTech, DOE の高温,低加湿膜プ 2006 年にスタート。パーフルオロカーボンスルフォン酸(PFSA) Florida Scribner ログラムの先導 R&D とリン-タングステン酸(PTA)の複合膜を中心に高温/低加湿膜を開 Fenton Associates 発。Nafion(NRE212)の特性に勝る(性能,耐久性ともに)ものがで き,今期の DOE 目標(0.07mS/cm at 80%RH and 30℃)をクリアし た。今後は来年の目標(>0.1mS/cm at 50%RH and 120℃=Go/No Go)をめざす。 Virginia LANL,Giner, プロトン交換膜向け先進 吸水性の非常に高い BPSH-100(ビフェニルサルフォンモノマー) Tech Nissan, 材料 とポリイミドや炭化水素で部分的にフッ素化された撥水性のブ McGrath Arkema 等 ロックを持ったものとの共重合体を評価。機械的強度や組織的な均 一性に優れていることが示された。また,プロトン伝導性において は,100℃,40%RH において Nafion212 に匹敵する性能が得られ た。FC の耐久性を上げるため,膨潤性の影響を確かめていく予定。 Case − 高温水素/空気 FC 向けナ プロトン伝導性を持ったナノファイバーを不活性のポリマーのマ Western ノキャピラリープロトン トリックス中に入れることにより共重合体とは違い,人工的に造っ Pintauro 伝導膜 たナノ組織を評価。ファイバーは電子スピン(?)の技術でつくる。 今期の DOE の>0.07mS/cm at 80%RH and 30℃は達成。機械的 特性が良く酸素の透過性も低いことが示された。機械的特性を損な うことなく高温,低加湿において膜の伝導性を上げるのが課題。 P.Power, Honda Research Institute 等 Project FC23 FC24 FC39 −103− FC40 FC42 FC44 ID 発表者 FuelCell Energy Lipp 企業 Partner Polymer Partner, UConn プロジェクト名 概要 加湿に依存しないクラス 2006 年にスタート。5 年で 2.1 百万ドルのプロジェクト。ポリマー ター構造を持った高温膜 共重合体に支持体ポリマーで補強し,水保持の添加剤,プロトン伝 導性増強剤を加えるというマルチコンポーネントシステムがコン セプト。2007 年より伝導性が改善され,Nafion112 より 3 倍高い 値が得られた。低加湿における伝導性はセル試験の結果が著しく良 くなった。添加剤の分散性や添加量の影響等を今後確認していく。 Giner General Motors 寸法安定高温膜 マイクロの空孔を持ったフィルム支持体に,プロトン伝導のイオノ Mittelsteadt 等 マーを含浸させた膜を評価中。高温/低加湿膜として寸法安定性が 良いのが特徴。また,触媒もダイレクトに膜上に適用できる。イオ ノマーも通常のものを使っており,性能も期待できるが,生産コス トが高い(レーザーで穴あけ)ので,モールド法を開発したところ。 Intelligent Univ of South 新世代の 1-10kW 定置用 昨年スタートの 4.4 百万ドル(3年間)のプロジェクト。燃料はエタ Energy Carolina , SNL PEMFC 電源システムの ノールで 40%の発電効率,70%の熱電総合効率及び 40,000 時間の Swamy 等 開発と実証 耐久性及び$450/kW の可能性を確認する。また,IPHE の中で実 証を行う。SNL での初期評価では発電効率 35%を確認。 Plug Power BASF Fuel 国際的定置用 FC 実証 昨年スタートの 7.1 百万ドル(2 年間,DOE と P-Power 折半)のプ Vogel Cells ロジェクト。US/UE のコンソーシアムを通じて実施し,高温(PBI ベース・・・BASF/旧 PEMEAS の膜)の家庭用燃料電池・熱機器の開 発が目標。目標としては,システムコスト<$750/kW,発電効率 35%(40%を見据えて),総合効率 85%,耐久性 40,000 時間。 UTC Power Houston 定置用 PEMFC パワープ 2004 年スタートの約 22 百万ドル(5 年間)のプロジェクト。150kW Strayer Advanced ラントの実証 の天然ガス改質 PEMFC の評価で FC からの廃熱利用の市場調査 Research も行う。更に,低コスト部品の耐久性,信頼性評価や先進的 5kW Center の設計評価を行いこれを継続していく。 等 Delphi 途中 2 年ほど中断するも 2004 年から続いているプロジェクト。ア Volvo,Paccar 大型トラック Blake (heavy duty Vehicle)の ンチアイドリングや排ガス規制,トラック機器の電気電子化,燃料 補助電源用 SOFC の開発 コストが SOFC 補助電源の追い風となっている。改質器は既にあ る天然ガス向けのものをディーゼル向けに改良している。 Project ID 発表者 企業 Partner −104− FC47 University P-Power 等 of South Carolina Van Zee FCP2 BASF Catalysts Shore AN12 TIAX Kromer プロジェクト名 概要 サウスカロライナ大学に 4 つのプロジェクト(非カーボン担体触媒,水素の品質,PEMFC おける燃料電池研究 用のガスケット及び PBI タイプ高温膜のリン酸ロス)を行ってい る。非カーボン担体としては TiO2 の電導性を上げるために Nb を ドープしたものを評価。熱処理と合わせて高電導性が得られる条件 を評価している。また,Pt を担持して電気化学的な触媒表面積と しては,Pt/Co に匹敵するものが得られ,良好な触媒性能が示され た。 白金族リサイクル技術開 2003 年からのプロジェクトでもう一年延長。予算約 5 百万ドル。凍 Ceralink,Gore, 結粉砕の技術をもって MEA からの Pt リサイクルプロセスを開発 3M,ホソカワミ 発 中。粉砕した MEA を酸処理により Pt を溶出。回収率は 98%以上 クロン等 とのこと。本プロセスは商用化に耐え人工を抑えることができ,廃 棄物も少ない。なお,粉砕した MEA スラリーからの迅速で正確な 分析技術も開発した。 − Pt 調達に関する最新情 昨年からの 1 年間の調査研究。将来的な Pt 供給において,2020 報と FCV における Pt 年から新車の 50%が FCV(80kW,Pt16g/台)となっても最初の 2-30 リースの考え方 年は逼迫するが,その後リサイクル Pt により緩和されることに よって資源は充分としている。価格については楽観的で,現状の価 格が続けば,長期的観点で代替をおそれる生産者が需要に見合うだ けのキャパを上げるため価格は歴史的平均の$750/トロイ oz(現在 $2,000)に近いところに落ち着くとみている。リースについては,政 府からの資金コストを低くすることと借りる側の割引率による。た だ,リース側のリスクを考えると低率のローンでも良いのではとい う意見がある。いずれにせよ消費者への利益はそれほどでなく,第 一優先は Pt 量削減とまとめ。 2−4 Technology Validation 2−4−1 TV1: HYDROGEN TO THE HIGHWAYS Ronald Grasman (Chrysler) (1) プログラムの概要 Chrysler が参画する DOE の実証プロジェクトの概要は表 2-21 のとおりである。 表 2-21 DOE の FCV とインフラストラクチャ実証プロジェクト概要 スケジュール 予算 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ パートナ 課題 プロジェクト期間:2004/1/7∼2009/9/30 プロジェクトの 85%が完了 プロジェクト全体:$88.8M(DOE と企業側で折半) FY05 では$5.1M,FY06 は$6.3M,FY07 は$7.6M の資金 拠出 Chrysler −BP America Daimler − DTE Energy MBUSA(Mercedes-Benz USA)− NextEnergy 車両 水素貯蔵 水素供給インフラ メンテナンスおよびトレーニング施設 基準・標準化 (2) プロジェクトの目標 本プロジェクトでは,FCV(OEM)メーカ,および水素インフラ(エネルギー供給会 社・組織)のデータ収集と技術評価を主な目標としている。具体的な目標値は表 2-22 のとおりである。 表 2-22 プロジェクトの目標 項目 2009 年目標 2015 年目標 FC スタック耐久性 2,000 時間 5,000 時間 航続距離 250 マイル 300 マイル $3/gge $2∼$3/gge 水素製造コスト (オン・オフサイト) −105− (3) マイルストーン プロジェクトにおけるマイルストーンを表 2-23 に示す。 表 2-23 プロジェクトのマイルストーン 対象 水素ス テーショ ン FCV 年月 2007 年 2月 2008 年 11 月 2008 年 9月 2008 年 12 月 2009 年 12 月 検討中 マイルストーン(進捗) ミシガン州 Detroit の NextEnergy 内で,35MPa の燃料供給シス テムを使用した水素供給ステーションを完全稼働 カリフォルニア州 Burbank で改質装置および 35MPa,70MPa の 燃料供給システム付きの水素供給ステーションを完全稼働 3 種類の異なる自然環境(気候,地形)において,一般利用者へのリー ス等による第 1 世代車両(A-Class and Sprinter Vans)を運用 第 2 世代 FC スタックシステムの 2000 時間のライフサイクルをシ ミュレートするための加速耐久性試験を実施 累積で約 4 万 km を走行するために,最低 3 種類の地理的区域にお いて第 2 世代車両 3 台を運用 一般利用者による第 2 世代 FCV の走行を延長するために,プロジェ クト期間を 2010 年 9 月まで延長することを検討中 (4) アプローチ プロジェクトの実施内容は以下のとおりである。 ◆ 第 1 世代車両 30 台で実走行運転を実施して性能目標の達成度を計測 ・FC スタックとシステムの耐久性 ・圧縮水素による航続距離 ・様々な製造方法による水素のコスト ・ダイナモ試験と走行実験を通じての性能劣化状況 ◆ 無線情報通信による車両データを収集するためのデータ収集システムの構築 ・進捗管理のために収集したデータを NREL に提出 ・DOE の技術評価のマイルストーンに則って評価 ◆ 実証プロジェクトの進展化(例:カリフォルニア州 Burbank) ・水素充填技術の実証 ・Chrysler チームの FCV に水素供給 ◆ 第 1 世代車両と同一条件下における第 2 世代車両データ収集 ・プログラム期間中,技術の成熟度を比較 ◆ Chrysler チームの活動内容を DOE の教育目標に適合化 ・水素に関する技術の一般認識を高めること −106− ・安全プロセス(水素供給ステーションにおける HAZOP/HAZID 注)の実施 ・危機管理計画の作成 (5) 成果と進捗状況 1) 第 1 世代の運転 第1世代 FCV の運転実績,および今後の展望は以下のとおりである。 ◆ 地形,交通,気候状況下におけるあらゆる状況下において,走行距離を蓄積した。 ◆ ダイナモメータ,加速,登坂能力,40℃(高温状況下)といった状況下での車両試 験を完了させた。 ◆ 運転者が運転と水素充填に関する経験を得ると同時に,累積走行距離を 2006 年の倍 にすることができた(2007 年実績)。 ◆ 重大な安全性の問題は発生しなかった。 ◆ 69 枚もの DVD に及ぶ原データを NREL に提出した。 ◆ 30 台の第 1 世代 FCV の走行という 2 年間の責務を無事に果たした。 ◆ 第 1 世代車両の運転は,DOE プロジェクトの終わりまで継続する予定である。 ・DOE プロジェクトでの第 1 世代車両の更なる運転のために,約 20 件の FCV 利用 者との契約が延長される予定である。 ・1 台は,NREL の施設内で約 6 か月間運転される予定である。 ・残りの車両は,DOE プロジェクトから外れて運転される予定である。 ◆ Chrysler チームは,プロジェクトの終わりまで NREL に全ての A-Class FCV のデー タを提供し続ける予定である。 2) 第 1 世代技術成果 第 1 世代の技術成果について以下に示す。 ◆ 車両の航続距離を 60%向上させるため,燃料タンクシステムの圧力を 35MPa から 70MPa に改良 ◆ 燃費の 10%改善を目指し,ソフトウェアのアルゴリズムを最適化 3) 第 2 世代技術成果 第 2 世代の技術成果について以下に示す。また,第 2 世代車両は,メルセデスベン ツの B クラス(ハッチバック型)をベースとして開発されたものである(表 2-24)。 注) HAZOP:Hazard and Operability Study,HAZID:Hazard Identification −107− ◆ 寒冷気候環境で第 2 世代車両をプロジェクトチームで運転 ◆ 第 2 世代 FC スタックシステムの耐久性試験の第一段階を完了 ◆ 第 2 世代車両からのデータを収集,加工するためにフリートデータ取得(FDA: Fleet Data Acquisition)インフラの改修を実施 表 2-24 第 2 世代車両−B-Class Fuel Cell の主な諸元 性能項目 車種 ボディタイプ シート エンジン 正味最大出力 正味最大トルク トランスミッション 燃料電池システム 安定制御装置 燃料 B-Class Fuel Cell の諸元 Mercedes Benz B-Class(T245) 4 ドアスポーツツーリング 4 シート 電気モーター 136 馬力 215lb-ft 変速機なし 固体高分子形 108 馬力 ESP(横滑り防止装置) 圧縮水素(70MPa) 4) 基準・標準化 基準・標準化に関しては,以下に示すような大きな成果があった。 ◆ 水素の安全取り扱いに関するベスト実践マニュアルの公表 ◆ 水素燃料の品質 ・FCV 用の水素品質ガイドライン,SAE TIR J2719-V2 を公表 ・カリフォルニア州の SB-76 水素品質要求事項を SAE(Society of Automotive Engineers)に準拠 ◆ CSA America ・水素供給装置,機器のための HGV 4.X standards の草稿作成中 ・HPRD1(水素圧力除去装置の標準規格)の草案が完成,パブリックコメント(意見 公募手続)終了,ワークグループがそれらの意見に対応 ◆ 米国材料試験協会(ASTM:American Society of Testing and Materials) ・70MPa の水素供給装置の試験を予定通りの 2008 年第 2 四半期に完了 ◆ ICC(International Code Council) ・現在,International Fire Code は,車両のアースを不要とする充填エリアパッド (fueling pad)の要求を採択している ◆ ミシガン州の水素貯蔵と供給に関する規定 ・パブリックコメントが問題なく終了,2008 年第 4 四半期に公布される予定 −108− 5) 安全 安全に関する主な成果を以下に示す。 ◆ 2007 年第 1 四半期,DOE フリートプロジェクトの危機管理計画を更新,それを危機 管理チームのリーダーや司令官に配布 ◆ 2007 年第 2 四半期に,更新された DOE の危機管理計画を用い,ミシガン州やカリ フォルニア州のステーションからの参加者を加えた共同の机上教育を実施 ◆ 2007 年第 2 四半期の間,NextEnergy にてウェイン州立大学警備局,デトロイトの 警察および消防隊員の出席による緊急対応訓練を実施 ◆ 2007 年第 3 四半期に,カリフォルニア州 Burbank の 700bar の水素供給ステーショ ンのためのリスク評価と HAZOP の活動開始,現在進行中 ◆ 車両の水素貯蔵タンクの点検については,ドイツの第三者認証機関であるテュフ (TUV:Technischer Uberwachungs-Verein)の要求をクリア ◆ 2007 年第 1 四半期の間に,NextEnergy の施設権限を受託 6) 支援活動・メディアイベント 支援活動とメディアイベントについての成果は図 2-28 のとおりである。 展示会や協議会:5 一般向け支援活動イベント:22 利用者とのイベント:4 件 利用者によるイベント:60 件 メディアでの支援活動イベント:10 図 2-28 支援活動とイベントの模様 −109− 7) 支援活動・広報 DOE のプロジェクトにおいて,支援活動イベントにおける広報資料,FCV 利用状 況に関する展示物,Daimler および Chrysler の DOE における役割等を示した広報資 料等を作成し,配布している(図 2-29)。 図 2-29 広報資料・展示物の例 8) インフラ インフラに関する整備・稼働状況を以下に示す(表 2-25)。 表 2-25 インフラ整備・稼働状況 北 カリフォルニア 南カリフォルニア PG&E Mobile Burbank 稼働中 オフサイト 水蒸気メタノー ル改質 150kg 10-15kg/日 開発中 オンサイト 水蒸気メタ ノール改質 240kg 108kg/日 ミシガン州 LAX (non-DOE) DTE NextEnergy 稼働中 稼働中 オンサイト 水電解 水電解 − 約 25 kg/日 140kg 15kg/日 稼働中 オフサイト 水蒸気メタ ノール改質 50kg 10-15kg/日 写真 状況 水素 製造方式 貯蔵容量 水素供給量 以下に,各インフラの概要を示す。 −110− a)PG&E Mobile PG&E が Chrysler チームとの合意に達してから 2 ヵ月以内に,ステーションを 理想的な中心市街地に設置し,稼働させた。全ての法的契約は予定通りに完了した。 b)Burbank 350bar と 700bar の圧縮水素を供給する。施設は全ての自動車メーカが利用可能 である。また,Burbank では,1 日に 8∼10kg の水素を使用する燃料電池バスの購 入計画がある。 現在は,施設工事中であるが,具体的には以下のような進捗状況である。 ◆ 用地の選定は完了 ◆ 納期までの時間がかかる装置は注文済み ◆ 資産調査とステーションのレイアウトの認可を受領済み ◆ HAZOP,HAZID がプロジェクトの安全性レビューを開始。 ◆ CEQA ( California Environmental Quality Act ) , NEPA ( National Environmental Policy Act)がプロセスを開始 ◆ 地域の許可を得るための要件の解決に取り組んでいる最中 ◆ Burbank との法的契約を完了 ◆ 2008 年 11 月 1 日に開設予定 c)LAX(non-DOE) 2006 年初期から稼働して,多くの Daimler,Chrysler の FCV に定期的に水素を 供給するとともに,他の OEM メーカ(Ford,トヨタ,ホンダなど)の車両にも水 素を提供している。 d)DTE 2004 年から稼働している。寒冷気候地域にある数少ないステーションのうちの 1 つである。 e)NextEnergy すべての安全評価プロセスを DCC 注) や支援組織と協働で,NEC(National Electrical Code)に適合させた。 注) DCC:ミシガン州公共機関ダウンリバー・ コミュニティ・カンファレンス −111− (6) 2009 年の活動計画 2009 年の活動計画は以下のとおりである。 1) 第 1 世代および第 2 世代の FCV ◆ 進行中のサービス,メンテナンス,運転者支援をもって FCV の円滑な運転を維持 ◆ 第 1 世代 F-Cell フリートの更なる運転,およびプログラム終了までの走行距離の蓄 積 ◆ 実環境再現に向けた,試験場における第 2 世代 FC システムの耐久試験の実施 ◆ プロジェクトチーム内部による様々な気候条件下における第 2 世代車両の運転の実 施 2) 水素供給インフラ ◆ 契約終了時まで NextEnergy,LAX,PG&E Mobile の水素ステーションの稼働を継 続 ◆ Burbank の水素供給ステーションの開発を予定通り 2008 年第 4 四半期に完了 3) 安全とデータ報告 ◆ これまでに継続してきたチーム内のコミュニケーション,車両とインフラに関するト レーニング,従業員と利用者の教育,机上の緊急対応訓練を通じ,プロジェクトの 安全を維持 ◆ Burbank の 70MPa の新しい水素供給ステーションの建設に伴う安全・リスク評価 の活動に参画 ◆ NREL/DOE に提出する車両・インフラ技術データの高い品質の維持 4) 支援活動とメディアイベント ◆ 水素に関する技術と実証プロジェクトに対する一般認識を高めるために,支援活動や メディアイベントに向けた新たなアプローチの推進 −112− (7) 結論 本講演の結論を以下に示す。 ◆ プロジェクトチーム外の運転者による F-Cell(A-Class & Sprinter Vans)の運転お よび燃料充填により,様々な地形・交通・気候状況下における長距離運転パターンに よる走行距離を蓄積 ◆ ダイナモ,加速,登坂能力,高温状況下等あらゆる性能に関わる車両試験を完了 ◆ ソフトウェアのアルゴリズムの革新化により第 1 世代車両を最適化,燃費の 10%の 改善を達成 ◆ 車両の燃料タンクシステムの圧力を 70MPa に改良し,航続距離が 60%向上 ◆ 第 2 世代車両の寒冷気候環境下における運転に成功 ◆ 2008 年 11 月に Burbank の水素供給ステーションを稼働させる予定 ◆ 水素技術と実証プロジェクトに対する一般理解を高めるために,100 件以上のメディ アイベント・支援活動イベントを指揮 ◆ SAE,CSA,ASTM によって作成され続けている標準規格の進展 ◆ 燃料充填エリアパッドに関する要求が採択され ICC の International Fire Code が改 正 ◆ 水素最適実践マニュアルの出版 −113− 2−4−2 TV2: Hydrogen Fuel Cell Vehicle & Infrastructure Demonstration Program Review Greg Frenette (Ford) (1) プロジェクトの概要 表 2-26 に Ford チームのプロジェクトの概要を示す。 表 2-26 Ford が参画する実証プロジェクトの概要 スケジュール 予算 プロジェクト期間:2004/11/17∼2010/6(当初予定より延長) プロジェクトの 50%が完了 プロジェクト全体:$88M(DOE と Ford が折半) FY07 では$8.0M,FY08 は$5.8M の資金拠出 車両 水素貯蔵 課題 水素インフラ メンテナンスおよびトレーニング施設 基準・標準化 BP America Ballard / AFCC パートナー カリフォルニア州,フロリダ州 ミシガン州 City of Taylor SMUD(Sacramento Municipal Utility District), Progress Energy & NextEnergy (2) プログラムの延長 2007 年 11 月に,36 か月のプログラムの計画を延長して,車両走行を継続するかどう かを検討した。その結果,DOE は以下の目的に対して車両走行の延長に同意した。 ◆ 走行データ量の増加 ◆ 燃料電池の寿命に影響を与える要因への更なる理解 ◆ 寿命判定基準に関する更なる理解 ◆ 従来とは異なる地理的区域から運転データを得る機会 ◆ 次世代燃料電池推進システムへの更なる理解 現在は,2009 年 12 月までの車両走行に向けて,水素供給者,参画者とともに計画を −114− まとめている。 (3) 車両実証プロジェクトの目的 将来の設計の方向性を見定めるため,異なる気候環境での FCV の運転データを取得す ることを目的としている。 前回の Merit Review 以降の活動内容は以下のとおりである。 ◆ 第一世代車両の運転の継続 ◆ 運転データの報告 ◆ 車両の整備 ◆ 利用者調査 ◆ 最新コンセプトの車両と実証方法を調査 (4) インフラ実証プロジェクトの目的 水素のインフラ実証プロジェクトの目的は以下のとおりである。 ◆ 安全で,信頼性が高く,利用者が使いやすい水素供給施設を提供すること ◆ コスト目標を達成するための技術を導入すること ◆ 様々な水素供給方法の試験を実施すること (5) 車両実証プロジェクトのアプローチ 車両実証プロジェクトの実施内容は以下のとおりである。 ◆ 2 つの実証フェーズ ・フェーズ 1:実環境での使用に向けて,現行車両に導入する技術を開発 ・フェーズ 2:航続距離,耐久性,水素圧力,作動温度の拡張に関する実証試験 ◆ 地理,気候が異なる地域での車両運転 ⇒ 4 つ目の地理的区域を追加 ◆ 効率的なデータ分析のためにデータ収集方法を自動化 1) フェーズ 1(2008 年)における車両の配置 車両配置は図 2-30 のとおりである。 −115− 図 2-30 フェーズ 1 における車両の配置図 2) 技術成果・進捗状況のまとめ フェーズ 1 のフリートにおける成果の総括は以下のとおりである。 ◆ 車両の走行可能時間の目標を達成 ◆ 走行距離の蓄積に関しては,目標には達していないが改善中 ◆ 安全性に関する問題はない 3) 具体的な技術成果 Ford の第二世代の制御工学による試作車両についての技術成果は以下のとおりで ある。 ◆ HyWay の第 2/3 世代燃料電池技術の実証が継続中 ◆ 700bar の水素貯蔵システムを実証中 −116− 図 2-31 制御工学を用いた車両プロトタイプ設計 a)HyWay の第 2/3 世代燃料電池技術の実証 HyWay の第 2,第 3 世代燃料電池技術については,進行中のフェーズ 2 技術実 証プログラムの一部として,以下の技術成果が達成されている。 ◆ スタック試験期間中,スタックモジュールの耐久性に関する Ford 内部実証が成 功 ◆ スタック寿命試験を問題なく実施 ◆ 氷点下における燃料電池システムの起動能力の実証に成功 ◆ 燃料電池の初期寿命における連続的な出力の実証に成功 ◆ 燃料電池の最大出力発生能力の実証に成功 b)700bar の水素貯蔵の改良 第一世代車両の 700bar の燃料システム(図 2-32)における技術成果は以下のと おりである。 ◆ ダイナモメータ性能比較試験の完了 ◆ 短縮された悪路耐久性サイクル試験の実施 ◆ 700bar 車両の実走行距離を大きく蓄積 ◆ 利用者が利用するステーションにて,多くの 700bar の燃料補給イベントを実施 ◆ 水素漏れや路上走行に関連するトラブルなし −117− 図 2-32 水素燃料タンク 4) Flexible Series Hybrid 燃料電池 APU(Auxiliary Power Unit,補助電源装置)を備えたハイシリーズ・ド ライブ(Ford のハイブリッドシステムの名称)のパワートレインの稼働を継続し,燃 料電池 APU の活用によって更なる経験と見識が得られた。 図 2-33 燃料電池 APU の試験 5) 次世代車両とパワートレインの再検討 以下の車両について,近い将来の市場導入に向けた活動を実施している。 ◆ Curbside delivery(路上販売用車両) ◆ タクシー ◆ People mover(バン,ミニバス型の車両) 具体的な目標,および進捗については以下のとおりである。 ◆ HyWay の第二,第三世代技術は機能性と耐久性の向上を目的とし,HyWay の第 −118− 四世代技術は大幅なコストの削減を目的としている。 ◆ パワートレインと車両の構造再設計は進行中である。 6) 車両実証プロジェクトにおける結論 車両実証プロジェクトのまとめは以下のようである。 ◆ 水素貯蔵パッケージに対する挑戦を継続する意向 ◆ ハイブリッドパワートレインにおいて,スタック寿命は期待されていた性能を凌駕 ◆ 車両走行に伴う運転者の満足と運転のし易さは十分な状況 ・現在の車両ユーザは,その車両を使い続けることを希望 ◆ 経済的な実行可能性は不確定のまま (6) BP インフラ実証プロジェクトのアプローチ BP インフラ実証プロジェクトの実施内容の概要は表 2-27 のとおりである。 表 2-27 BP フェーズ別のアプローチ ◆フェーズ 1 ・Mobile Refuelers(燃料積載車をステーションと して利用)を導入(左図) ・外部から水素が輸送されるタイプの水素供給ス テーション 【Mobile Refuelers】 ◆フェーズ 2 ・オンサイト型ステーションを導入(左図) ・700bar を導入 【オンサイト型(ソーラー発電)ステーション】 なお水素ステーションの配置場所は以下のとおりである。 ◆ フロリダ州 Orland ◆ カリフォルニア州 Sacramento −119− ◆ ミシガン州 Taylor ◆ ミシガン州 Dearborn 1) ステーションの設置スケジュール 水素ステーションの設置スケジュールを以下に示す(表 2-28)。 表 2-28 水素ステーションの設置スケジュール 注)Open:開設,Decommission:閉鎖 2) 技術成果 水素ステーションに関する成果概要を表 2-29 に整理する。このうち 2008 年 3 月に 開設された SMUD ステーションは再生可能エネルギー(太陽光)発電方式のステー ションである。 −120− 表 2-29 ステーションの成果 ミシガン州 Taylor フロリダ州 Jamestown カリフォルニア州 SMUD 写真 開設 水素技術 供給圧力 総容量 燃料補給 タイプ 安全訓練 データ収集 2006 年 10 月 外部から輸送される液体水 素 6600psig(ゲージ圧) 2149kg ・ワイヤレス RF ・有線通信 ・通信なし 40 人の緊急時対応要員 25 人の車両運転者 車両から燃料補給データを 取得 2007 年 4 月 電解 2008 年 3 月 電解 6600psig 24kg/日 ・ワイヤレス RF ・有線通信 ・通信なし 90 人の緊急時対応要員 25 人の車両運転者 施設での電子データ収集 6600psig 24kg/日 ・ワイヤレス RF ・有線通信 ・通信なし 200 人の緊急時対応要員/車 両運転者 施設での電子データ収集 3) BP インフラの安全対策 インフラ施設の安全対策に関する取り組みは変更なしで継続中であり,水素輸送に よる事故,人体への害,環境への悪影響が発生しないように,尽力し続けている。な お,安全にかかわる重大な事故は発生していない。 具体的には表 2-30 のとおりである。 −121− 表 2-30 インフラの安全対策の概要 ○プロジェクト管理 ・管理者の施設利用承認 ・体制移行の管理 ・利用者やステーション運営者のためのインフラ建設前の安全研修(負傷・事故を防ぐ ための訓練) ・進化型安全監査 ・完全管理規格 ○関連する安全規定の遵守 ○安全性の評価,見直し,計画の統合システム ・ 危 険 要 因 特 定 ( HAZID : Hazard Identification ) / 定 量 的 リ ス ク 評 価 ( QRA : Quantitative Risk Assessment) ・HAZOP(Hazard and Operability Study) ・プロジェクトの HSSE(Health,Safety,Security,Environment )の見直しによ るアプローチ ・利用者やステーション運営者のための BP の国際的協力による安全訓練 ・緊急対応計画 ○水素取扱の安全訓練 対象:(FCV)契約者,FCV の運転者,ステーション運営者,緊急時対応要員 4) インフラ実証試験から得られた知見 具体的な知見は以下のとおりである。 ◆ ステーション貯蔵量 ・数百万ドルもかかるステーションを正当化することは難しい。貯蔵量が少なすぎる。 ・DOE と企業は十分なステーションの貯蔵量を保証するために連携すべきである。 ◆ ステーション数の不足 ・高コストの設備が最大の原因 ・小規模のステーション運営者は複雑さと著しいコストに悩まされる可能性 ◆ 許認可 ・分散型製造ステーションは,多くの都市部の小売施設にとっては大きすぎ ・小売ステーションでの水素取り扱いの許認可が非常に困難 −122− ◆ 基準・標準化の進展 ・新規の安全基準は費用と時間が必要 ・新しい ASTM(American Society for Testing and Materials:米国材料試験協会) の試験方法が必要 5) インフラに関する重要課題 インフラに関する重要課題は以下のとおりである。 ◆ 設備のコスト ◆ ステーションの貯蔵量 ◆ ステーション運営者 ◆ 700bar での燃料補給の安全性評価 (7) 今後の活動 2008 年の活動計画は以下のとおりである。 【車両(Ford)】 ◆ 第一世代車両の稼働を継続 ・2009 年の終わりまで車両を稼働し続けるために全ての必要条件を達成 ◆ 700bar 車両の性能を評価 ◆ フェーズ 2 仕様の第二世代コンセプト車両の完成 ・第二世代車両の構造を再設計 【インフラ】 ◆ Orland,Taylor,SMUD のステーションの稼働 ◆ Dearborn の 700bar ステーションを 2008 年 6 月に完成 −123− (8) 要約 要約は以下のとおりである。 【車両】 ◆ プログラムは順調,フェーズ 1 車両は十分機能。車両走行は 2009 年まで延長 ◆ フェーズ 2:現行の車両は非常によく機能,コンセプトの実現可能性を提供 ◆ 今後製造される第二世代車両は再設計が必要 【インフラ】 ◆ 2006 年に液体水素ステーションの評価を開始 ◆ 2007 年に電気分解による分散型ステーションの稼働開始 ◆ 2008 年に再生可能エネルギーを用いたステーションを設置,稼働 ◆ 2008 年内に 700bar ステーションが完成予定 −124− 2−4−3 TV3: Controlled Hydrogen Fleet and Infrastructure Demonstration and Validation Project Dan Casey (Chevron) (1) プロジェクトの概要 Chevron,Hyundai-Kia,UTC Power チームのプロジェクトの概要を表 2-31 に示す。 表 2-31 Chevron,Hyundai-Kia,UTC Power が参画する実証プロジェクトの概要 スケジュール 予算 プロジェクト期間:2004/1/15∼2009/9/30 プロジェクトの 65%が完了 プロジェクト全体:$94.5M(DOE が$38.1M,企業側が$56.4M) FY07 までは$22.6M,FY08 は$5.8M の資金拠出 FCV 車両 課題 水素供給インフラ 水素と電気の同時生産 Hyundai-Kia Motor Companies UTC Power Hyundai Kia America Technical Center(HATCHI) パートナー Alameda Contra Costa Transit Southern California Edison Tank Automotive Research, Development and Engineering Center (DOD) (TARDEC) Gas Technology Institute(GTI) (2) 目的 プロジェクトにおける目的は以下のとおりである。 ◆ 実環境における,総合的な水素燃料電池技術によって完成された交通と水素供給イン フラ関連システムの実証 ◆ DOE の 2009 年性能目標を実証 ・航続距離:250 マイル ・燃料電池耐久性:2,000 時間 ・水素製造コスト:$3.00/gge ・ドライバーにとって安全で便利な燃料補給 −125− (3) アプローチ 具体的な取り組み内容は以下のとおりである。 ◆ 官民のパートナーシップ ◆ フリート管理 ◆ アクセス制限 ◆ 第三者が燃料充填可能 ◆ 業務時間中に公開 ◆ 静粛かつ無臭 (4) 進捗:インフラの配置 水素インフラの配置は図 2-34 のとおりである。 図 2-34 インフラの配置場所 (5) 進捗:車両の配置 2008 年 3 月末までに 25 台の車両が配備された。さらに 2008 年内に 7 台の車両が配 備されている。(表 2-32,図 2-35) −126− 表 2-32 車両配備の状況 *CARB:California Air Resources Board(カリフォルニア大気資源委員会) 図 2-35 車両の配備地域 (6) 進捗:データ転送システムの改良 改良したデータ転送システムの概略図を図 2-36 に示す。 図 2-36 データ転送システムの概略 −127− (7) 進捗:インフラでの水素の施設内生成量/使用量 各ステーションの水素製造量/使用量は図 2-37 のとおりである。 図 2-37 各ステーションでの水素生成量/使用量 (8) 進捗:様々な運転パターン 保安巡察,消防署長,郵便配達,道路管理,通勤など様々な主体・目的における運転・ 水素充填が行われている(図 2-38)。 図 2-38 様々な主体・目的による FCV の運転および水素充填 −128− (9) 技術成果 1) 寒冷地でのフリート実証 図 2-39 に 示 す TARDEC ( Tank Automotive Research Development and Engineering Center)や HATCI Ann Arbor などの寒冷地において,低温での起動試 験が行われた。この試験では,車両を 48 時間以上氷点下にさらしてから起動させるも のである。 図 2-39 寒冷地での FCV の実証試験 2) 第 2 世代車両の機能 第 2 世代車両に関する技術的な成果は以下のとおりである。 ◆ 700bar の水素タンク:航続距離が 33%強増加(図 2-40 左) ◆ スーパーキャパシタ:車両性能が向上(図 2-40 右) ◆ ソフトウェア論理と制御装置の改良 ◆ BOP(Balance Of Plant:周辺機器)の構成部品の改良 ◆ 第二世代機能(2007 年モデル)を有する新規スタック 図 2-40 700bar 水素タンク(左)とスーパキャパシタ(右) −129− 3) 新たな燃費試験装置の導入 新たな燃費試験装置が導入された(図 2-41)。その内容は以下のとおりである。 ◆ 目的:ダイナモ燃費試験 ◆ 新たな手法:SAE J2572 に基づいた水素重量測定装置の使用 ◆ 試験とレビューが完了 ◆ チーノー研究所(Chino Lab)における機器テストの実施 図 2-41 新たな燃費試験装置 4) 燃料充填温度上昇計算結果 ディスペンサの信号に基づき,車載水素貯蔵タンクの温度を計算する推計式を開発 中である。計算温度は測定温度と高い相関を示している(図 2-42)。なお,この計算 式において通信ケーブルは不要である。 図 2-42 充填時間と温度上昇についての実測値と計算値の比較 計算値と測定値の相関図を図 2-43 に示す。相関係数は 0.945 となっている。 −130− 図 2-43 計算温度と測定温度の相関 (10) 進捗:GTI 社の部分酸化ガスタービン(POGT) GTI 社の POGT を用いた水素と電気の同時生産についての取り組みを行っている。そ の内容は以下のとおりである。 ◆ 部分酸化ガスタービン(POGT)と部分酸化反応器(POR)の統合が完了(図 2-44 左) ◆ 7∼95 分の安定運転を行いつつ,POGT の起動停止を 9 回成功することができた ◆ 重要なプロセス変数は制御されて,データが収集され,分析されている ◆ 水性ガスシフト反応器(WGS,図 2-44 右),圧縮機,PSA,周辺機器の統合化を 図っている 図 2-44 部分酸化ガスタービンと反応装置(左),スリップストリーム水性ガスシフト反応器(右) −131− (11) 知見:車両事故と安全について 車両事故と安全に関する知見は以下のとおりである。 ◆ 全ての安全装置は設計通りに作動した(ESD:静電気放電保護) ◆ ケーススタディを実施 ⇒ 最初の FCV の事故が発生(図 2-45) ・車両:AC Transit に配備された車両 ・位置:カリフォルニア州 Oakland 図 2-45 FCV の最初の事故 (12) 結果:緊急時対応スタッフの再教育セッション 緊急対応時の教育においては,緊急時対応スタッフは地方のステーションを持ち回り 制で担当することが可能であるという知見が得られた。教育の概要は以下のとおりであ る。(図 2-46) ◆ 最初の訓練はステーション建設の完成時期に完了 ◆ 全てのステーションにおいて毎年実施する再訓練プログラムを追加 図 2-46 緊急時対応スタッフ教育の風景 (13) 知見:ステーション開設認可 ステーション開設認可に要する期間は表の 2-33 のとおりである。 −132− 表 2-33 ステーション開設の許可取得に要する期間 なお,認可制度には以下のような違いがある。 1) 火災警報制御パネル(FACP:Fire Alarm Control Panel)の設計 火気・ガス検知システムの設計に関する認可については,以下のようなパターンが ある。 ◆ 安全計装システム(SIS:Safety Instrumented System)の一部として火気・ガス センサーを実装 ◆ FACP の一部として火気センサーを実装,SIS の一部としてガスセンサーを実装 ◆ 火気センサー,ガスセンサーを別のシステムで実装 2) 消火システム Chino,Orland,Oakland の各都市では不要であるが,Los Angeles 郡と SANGB では必要である。 (14) 結果:貯蔵タンクの水素残存率注)と車載タンクへの充填率の関係 水素の充填速度,および車載タンクへの最大充填率は,貯蔵タンクの水素残存率に依 存する。水素の圧力差によって水素を貯蔵タンクから車両へ送るためである。 図 2-47 は,ステーションの貯蔵タンクの残存率と水素充填速度の関係であるが,85% 未満の残存率においては,充填速度が 1kg/min 以下になっていることがわかる。 注) 残存率(%):貯蔵タンク内の水素残存量(kg)/貯蔵タンクの最大貯蔵量(kg) −133− 図 2-47 水素貯蔵タンク内の水素残存率と水素充填速度の関係 また,図 2-48 は,ステーションの貯蔵タンクの残存率と車載タンクへの充填率を示し たものであるが,例えば,15℃における貯蔵タンク内の水素密度が 28.4kg/m3,350bar の車載タンク内の水素密度が 24.1kg/m3 の場合,貯蔵タンク内の水素は,1m3 当り 4.3kg が利用可能で,残り 24.1kg は利用不可能となる。 また,同図から 75%未満の残存率では,利用者がフル充填できないことが示されてい る。 図 2-48 水素貯蔵タンク内の水素残存率と充填率の割合 −134− (15) 今後の活動 今後の活動予定は以下のとおりである。 ◆ カリフォルニア州の Chino,Oakland,Rosemead,ミシガン州の Selfridge,フロ リダ州の Orlando で稼働している様々な稼働能力を持つ水素製造機から稼働データ を収集 ◆ 32 台の車両を本プログラムに配備 ◆ POGT の試験を継続し,2008 年第 2 四半期の終わりまでに BOP を統合 (16) 要約 本プログラムの要約は以下のとおりである。 ◆ 妥当性の検証 ・FCV の実世界での稼働データ ・オンサイト型水素製造の実証試験 ◆ アプローチ ・32 台の FCV によるフリート試験 ・6 箇所のオンサイト型水素製造装置の稼働 ◆ 技術移転 ・得られた知見は DOE の Merit Review に記載 ◆ 技術成果と進捗 ・航続距離と耐久性について NREL に報告 ・5 箇所のステーションについて NREL に報告 ・オンサイト型水素製造を用いて,標準的なガソリンスタンドにおける日常の燃料補 給の必要条件のうち 7∼10%を満足させるような技術力 ◆ 今後の活動 ・車両・インフラに係る実証データを継続的に NREL に提供 −135− 2−4−4 TV4: Hydrogen Vehicle and Infrastructure Demonstration and Validation Rosalind B. Sell (GM) (1) プロジェクトの概要 GM のプロジェクトの概要を表 2-34 に整理する。 表 2-34 GM が参画する実証プロジェクトの概要 スケジュール 予算 プロジェクト期間:2004/10/1∼2009/9/30 プロジェクトの 75%が完了 プロジェクト全体:$88.0M(DOE と GM が折半) FY07 までは$20.7M の資金拠出,FY08 は DOE から$6.0M の支援 車両:航続距離と燃料電池の耐久性 課題 水素供給インフラ:$H2 /gge メンテナンスおよびトレーニング施設 Shell Hydrogen, LLC − 水素供給 米国陸軍 Fort Belvoir 基地(バージニア州)− メンテナンス施設 Quantum Technologies, Inc. − メンテナンス施設 Viewpoint Systems − データ収集 NextEnergy − 基準・標準化 パートナー 【フェーズ 2 の車両運転者】 Project Driveway の顧客,ドライバー 【フェーズ 1 の車両運転者】 米国環境保護庁(EPA) バージニア州環境局 米国郵政公社 ワシントン D.C. 交通局(DDOT) (2) 目的 1) プログラムの目的 GM とそのエネルギーパートナである Shell Hydrogen は,実環境での運用を目指し て,水素供給インフラと一体となった FCV のシステムを開発する。 具体的な内容は以下のとおりである。 ◆ 次世代燃料電池システム技術の実証 ◆ 水素製造と車両への供給方法に関する多様なアプローチの実証 −136− ◆ 運用データの収集と報告 2) 過年度における目的 過年度のラーニング実証フェーズ 2 の始動時における目的は以下のとおりであった。 ◆ 車両運転者の獲得 ◆ 車両と燃料供給施設からのデータの収集,分析,報告 ◆ ニューヨーク市大都市圏域と南カリフォルニアに水素供給ステーションを建設 ◆ カリフォルニア州 Burbank とニューヨーク市大都市圏域にメンテナンスおよび トレーニングの施設を開設 ◆ 認可取得に関するデータベースの開発 ◆ 本プロジェクトにおける全ての提供物の入手 (3) アプローチ 具体的な実施内容は以下のとおりである。 ◆ FCV の実証 ・様々な地形・走行条件・気候(寒冷地を含む)の地域に全 40 台の FCV を配備 ◆ 民間向けの水素ステーション(小売)の開設 ・東海岸および西海岸に全 5 箇所の小売の燃料補給ステーションを設置 ・水素の製造・供給に関する様々な方法(水電解など)を調査 ◆ FCV を支援するメンテナンスとサービスの開始 ・メンテナンス,充填,技術サポート,安全に関する人員の教育 ◆ 本プロジェクトで要求されるデータの作成および報告 ・車両の実走行とシャーシダイナモ試験のデータを収集 ・水素インフラにおける水素の製造と供給に関するデータを収集 ◆ 基準・標準化に関する知見の文書化 ・NextEnergy が基準・標準化を担当(認可手続きの雛型,認可事例のデータベース 作成) ◆ 最初の重要で大規模な FCV の市場テスト ・100 台以上の Chevrolet Equinox FCV を導入 ・2007 年後半にプロジェクト始動,2010 年まで実施 ・以下の地域における様々な気候や状況を備えた市場に着目 −カリフォルニア州(Los Angeles, Sacramento) −ワシントン D.C. −ニューヨーク市大都市圏域 −137− ◆ FCV およびインフラ整備の将来に向けた,運転者の経験および車両性能の総合的な フィードバックを実施 ◆ ドライバーは以下のとおり ・企業,行政 ・一般人(現在,立候補者を Chevrolet.com の Website で募集:図 2-49) ・著名人,政策立案者,メディア 図 2-49 Chevrolet.com の Website でのドライバー募集 −138− (4) Chevrolet Equinox FCV Chevrolet Equinox FCV の諸元は表 2-35 のとおりである。 表 2-35 Chevrolet Equinox の性能・装備 性能 主要装備 150 マイル強の航続距離 (2008 年の EPA 基準に対応) ―700bar で 4.2kg の燃料容量 停止状態から 12 秒で時速 60 マイルまで加 速 最高速度:時速 100 マイル 搭載する装備・機能は FMVSS 注)を 全て満たす見込み 車両寿命まで維持する凍結耐久性 特徴的なスタイル,グラフィクス 17 インチアルミホイール フロントシート(バケット・暖房付)×2, リアシート×2 OnStar(テレマティックサービス) 燃料電池エネルギー表示を備えた ナビゲーションシステム ドライバー,同乗者用ルーフレールエアバッ グシステム ABS,トラクションコントロール, スタビリティコントロール クルーズコントロール 前輪駆動 回生ブレーキ 無段変速電気モータートラクションシステ ム 注)FMVSS:Federal Motor Vehicle safety standards;米国連邦自動車安全基準 (5) 走行試験におけるドライバーの管理 走行試験におけるドライバーの管理について以下に示す。 ◆ ドライバー管理者(Driver Relationship Manager:DRMs) ・毎日 24 時間対応の唯一の連絡窓口 ・ドライバー教育・訓練の提供 ・ドライバーに随時,プログラムや車両の変更について知らせる ◆ 全車両に OnStar(テレマティックサービス)を装備 ・ドライバーに安全とセキュリティを提供 ・総括的なサービス:進路変更ごとのナビゲーション,ハンズフリー電話,XM ラジ オ(移動体向けの衛星デジタル音声放送),燃料補給ステーションの位置情報の発 信 −139− (6) 東海岸地域における技術成果 東海岸地域における技術成果を表 2-36,図 2-50 に示す。 表 2-36 東海岸地域における技術成果 ◆ GM の第四世代の燃料電池技術を実証する 11 台の Chevrolet Equinox FCV が ワシントン D.C.エリアとニューヨーク市大都市圏域に配備されている。 ◆ 従来のワシントン D.C.に加えて,ニューヨーク市大都市圏域が新たな車両配 車両 備先として追加されている。 (フェーズ 2 開始) ・ニューヨークにて寒冷気候試験 ◆ NREL のデータ報告テンプレートに従って実走行データを収集し,Shell Hydrogen および GM の施設で燃料補給する。 ◆ ニューヨーク市大都市圏域での地域展開を支援するために, ニューヨーク州の メンテナンスと Ardsley に新しい施設が開設した。 トレーニングの ◆ Fort Belvoir 基地の施設でメンテナンスおよびトレーニングの活動が進行中で ある。 施設 水素充填 ◆ ワシントン D.C. ・Benning Road ステーション・ビジターセンター - 2008 年 5 月に 700bar への改修の見込み - 気体・液体水素の燃料補給は全てのメーカの車両に対応 ・ステーションでは,もはや液体水素による燃料補給を扱わない - 3 年間で 93%の運営率 - 合計で 700 回以上の水素充填 - 400 人以上の緊急時対応要員を教育 ◆ ニューヨーク州 City of White Plains インフラ ・公共事業部(Department of Public Works:DPW) - 2007 年 9 月に稼働開始 2008 年 2 月に 700bar に改良 電解水素による燃料充填 ◆ ニューヨーク市大都市圏域 - 2 箇所が設計され,認可の審議段階にはまだ入っていない - チューブトレーラが供給され,350/700bar で供給 - 商用施設ではなく私有施設 - 2008 年内か 2009 年初期には導入を完了する見込み −140− 図 2-50 City of White Plains における水素充填インフラ (7) 西海岸地域における技術成果 西海岸地域における成果を表 2-37 に示す。 表 2-37 西海岸地域における技術成果 ◆ GM の第四世代の燃料電池技術を実証する 11 台の Chevrolet Equinox FCV が 本地域に配備されている。 車両 ◆ NREL のデータ報告テンプレートに従って実走行データを収集し,カリフォル (フェーズ 2 開始) ニア大学アーバイン校の 700bar 水素供給ステーション,GM の施設,その他 利用可能な施設で燃料補給する。 メンテナンス・ トレーニング 施設 ◆ 地域展開を支援するために,カリフォルニア州 Burbank に新しい施設が開設 した。 ◆ カリフォルニア州 Lake Forest にある Quantum 社の施設でメンテナンスおよ びトレーニングの活動が進行中である。 ◆ ロサンゼルス都市圏 ・Santa Monica 大通り,小売ステーション・ビジターセンター −プロジェクトは 2008 年 4 月末に最後の監査を受ける −電解による屋根(キャノピー)付きの水素ステーション(350bar のみ) −2008 年 5 月に稼働開始 水素供給 インフラ −141− (8) データ収集と車両試験に関する技術成果 データ収集および車両試験に関する主な成果は以下のとおりである。 ◆ 実走行データの収集 ・データ収集システムのフェーズ 1 からフェーズ 2 へのスムーズな移行 ・車両から選択した場所で稼働中のデータサーバへの自動無線データ送信 ◆ シャーシダイナモ試験 ・フェーズ 2 車両の初期車両寿命ダイナモ試験を完了 (9) 基準・標準化に関する NextEnergy の成果 基準・標準化に関する NextEnergy の成果は以下のとおりである。 ◆ データベース ・水素認可当局(Hydrogen Permitting Officials)のデータベースを NextEnergy の Main Web Site に掲載(2008 年 5 月 30 日からアクセス可能) ◆ 年次会議の開催(2007 年 11 月 28 日) ・基準・標準化の進展に対する現在の産業界の活動に焦点 ・基準・標準化の組織,市・州の各当局からの有識者が中心 (10) 今後の活動予定 今後の活動予定を以下に示す。 ◆ 車両 ・フェーズ 2 車両の配備を継続 ◆ 水素供給インフラ ・残りの水素供給インフラを開設 −ロサンゼルス(2008 年 5 月) −ニューヨーク市大都市圏域の 2 箇所に 350/700bar の新しいステーション(2008 年末か 2009 年初期) ◆ メンテナンスおよびトレーニングの施設 ・Chevrolet の Equinox FCV,水素の安全,水素充填についての新しいドライバー教 育の実施を継続 ◆ NextEnergy の基準・標準化 ・2008 年の秋に予定されている 2008 年度会議:出席者が認可プロセスをじかに経験 するように計画 −142− (11) 今後のインフラに関する重要なステップ インフラに関する重要な今後の活動内容は以下のとおりである。 ◆ 魅力的で商用的な燃料充填ステーション ・自動車メーカが車両の配備を望む地域をターゲット ・700bar の圧力で,短時間で実施できる燃料補給 ・魅力的なステーションの設計(利用者と技術的展望) ・十分な水素貯蔵容量と処理量(拡張を考慮した設計) ・車両配備と共に(もしくは車両配備の前に)稼働開始 ◆ すべてのステーションの供用 ・全ての自動車メーカとその顧客が利用可能 ・起こり得る障害に対する法的責任の問題を解決 −一貫性のある原則を備えたシンプルなステーション利用承諾 −もしくはステーション利用承諾の完全撤廃 ◆ 適切なステーションの承認と認可プロセス ・州全体での一貫性と地域別の対応 ・地域支援 ◆ 事業者への資金調達支援とインセンティブ ・ステーション,ステーションの技術や能力の改善,運営費 ・賠償責任補償/解決策(共同資金負担,責任限度) ・ステーションが予定通りに運営されることを(供給ベースで)保証 (12) プロジェクトの要約 プロジェクトの要約を表 2-38 に整理する。 表 2-38 プロジェクトの要約 焦点となる分野 ニューヨーク市大都市圏域への 2 つの 新しいステーションの開設に向けての 継続的な努力 利用者のトレーニングと車両サービス のための施設を活用 運転と燃料補給の経験のあらゆる観点 からの利用者の意見を収集 継続的なデータの収集,分析,報告 −143− 取組むべき課題/目標 水素供給インフラ メンテナンスおよびトレーニン グの施設 車両 ・航続距離 ・耐久性 ・水素ガソリン等価価格 2−4−5 TV6: Validation of an Integrated Hydrogen Energy Station Edward C. Heydorn (Air Products and Chemicals) (1) Air Products(APCI)における水素エネルギーステーションのビジョン APCI の高効率および再生可能水素ステーションのビジョンは図 2-51 のとおりである。 消化ガスや埋立地からのガス,農業廃棄物,化学的熱分解ガス,バイオや石炭からの合 成ガス,植物油やその他の油,その他のメタンガスなどを原料として水素や電力,熱を 生産するコンセプトである。 図 2-51 APCI 水素ステーションのビジョン (2) MCFC(溶融炭酸塩型燃料電池)を用いた水素・エネルギーの同時生産 MCFC を用いた水素・エネルギーの同時生産システムの概略を図 2-52 に示す。メタ ンを原料として MCFC により発電するとともに,排ガスを精製して水素を得るもので ある。 ・熱回収 ・水性ガスシフト ・冷却と水回収 ・圧縮 ・水素回収 ・排ガスの統合 図 2-52 水素・エネルギー同時生産システム概略 −144− (3) 総合水素エネルギーステーションの概要 当社が参画する DOE の水素・燃料電池・インフラ技術(HFCIT)プロジェクトにお ける総合水素エネルギーステーションの実証プロジェクトの概要を表 2-39 に示す。 表 2-39 DOE の総合水素エネルギーステーションプロジェクトの概要 予定 予算 取組むべき 障壁 目標 パートナー プロジェクト期間:2001/9/30∼2009/3/31 予算額の 20%を消化した プロジェクトの 75%が完了している プロジェクト全体:$5.0M(DOE 負担),$5.4M (企業側負担) FY07 の支出 $1.3M FY08 の DOE の資金拠出 $1.264M 水素供給インフラ 水素・電力同時生産 水素コスト:$3.00/kg 発電効率:40%を超える FuelCell Energy ―MCFC(溶融炭酸塩形燃料電池),燃料準備,WGS(水性ガス シフト反応器) 米国国防総省―米国陸軍工兵隊 (4) プロジェクトの目的 プロジェクトのフェーズ別の目的は以下のとおりである。 ◆ プロジェクト全体 ・電力と水素の同時生産を可能とする水素エネルギーステーションの採算性,技術 的実現性の判定 ◆ フェーズ 1―実現可能性:PEM と高温形 FC の評価(FY04 に完了) ◆ フェーズ 2―準備システム設計(FY06 に完了) ◆ フェーズ 3―詳細設計(2008 年 3 月に完了)と建設(進行中) ◆ フェーズ 4―稼働,試験,データ収集(2009 年の予定) (5) フェーズ 3‐詳細設計と建設について 1) 詳細設計 詳細設計については以下のとおりほぼ終了している。 ◆ 水素の利用可能な DFC 注) ;完了 ◆ アノードガスの調整 注) ;完了 Direct Fuel Cell:FuelCellEnergy 社の商品 −145− ◆ 水素精製 ;完了 ◆ 統合 ;完了 2) 建設/製造 建設もしくは製造に関しては現在進行中である。 ◆ 水素の利用可能な DFC ;進行中 ◆ アノードガス調整 ;進行中 ◆ 水素精製 ;進行中 (6) 水素エネルギーステーション 分散型発電と水素の総合ステーションのシステム概要を図 2-53 に,建設がほぼ完了し たプロトタイプの概観を図 2-54 に示す。 図 2-53 総合水素エネルギーステーションのシステム概要 図 2-54 総合水素エネルギーステーションプロトタイプの概観 −146− (7) HFCIT(Hydrogen,Fuel Cells & Infrastructure Technologies)プロジェクトの効率目標 HFCIT の発電効率についてはネットで 50% ((正味電力)/(総燃料−水素燃料))となり, 目標であった 40%超を達成した。 (8) HFCIT のフェーズ別効率実績 フェーズ別の達成効率は表 2-40 のとおりである。 表 2-40 フェーズ別達成効率値 (9) HFCIT 目標に対する達成状況 HFCIT 目標に対する詳細設計段階における達成状況は以下のとおりである注)。 ◆ 水素コストの目標;$3.00/kg ・天然ガスを含めたプロセスの結果 −短期 :$6.00/kg −短期(SGIP※を含める) :$2.50/kg −長期 :$2.25/kg ※Self-Generation Incentive Program:カリフォルニア州の自家発電優遇制度 条件は以下のとおり: O(オペレーティング)ROI=10%,電力=0.10/kWhr,利用効率=93%,天然ガ ス=$7.00/百万 btu,長期を想定した資本コストの減少率=50% 注) −147− (10) 水素エネルギーステーションの経済性 水素エネルギーステーションの天然ガス価格‐水素コストの関係は図 2-55 のとおり である。 図 2-55 水素ステーションの天然ガス価格‐水素コストの関係 (11) 排出物質 1) 関連事項 排出物質に関して有利な点とは以下のとおりである。 ◆ クリーンな燃料電池である DFC ・基本の DFC 装置は,2007 年に CARB から認定を受けている ・水素の副産物を伴う排出ガスも CARB から認定される見込み ◆ 分散型水素製造はトラック輸送が不要 ・トラックからの CO2 排出を削減 ・トラックからの硫黄酸化物,窒素酸化物の排出を削減 −148− 2) プロジェクトにおける達成値 達成値は表 2-41 に示すとおりで,従来の技術と比較すると NOx と SOx はごく僅か である。 表 2-41 排出物質に関する達成値 (12) 同時生産における負荷追従方式 水素エネルギーステーション(HES)の同時生産は負荷追従方式(需要に合わせた発 電)を採っており,柔軟な運転方式であるといえる(図 2-56)。 図 2-56 同時生産における負荷追従方式 −149− (13) 水素ステーションの統合 水素ステーションの統合に関する問題は解決した(図 2-57)。 図 2-57 水素ステーションの統合 (14) 今後の活動 今後の活動予定は以下のとおりである。 ◆ フェーズ 3 を完了させる(FY08) ・Skids(スキッド:装置移動用の荷台)を製造する ・FCE 社にて完全なシステムを組み立て,試験する ・経済性を改善する ◆ フェーズ 4(FY08-09) ・ステーションの稼働,試験,データ収集 −150− 2−4−6 TV7: California Hydrogen Infrastructure Project Edward C. Heydorn (Air Products) (1) プロジェクト概要 Air Products(APCI)チームのカリフォルニア水素インフラプロジェクトの概要を表 2-42 に示す。 表 2-42 カリフォルニア水素インフラプロジェクトの概要 予定 予算 プロジェクト期間:2005/8∼2008/9 プロジェクトの 85%が完了 プロジェクト全体:$5.5M(DOE 負担),$5.4M (企業側負担) FY07 までの DOE からの受取 $4.4M FY08 の資金拠出 $0.7M(2008 年 2 月 29 日時点) 取組むべき 障壁 供給までに要する水素コスト パートナー ・種々の協力者と資金調達グループを含む ・SCAQMD(South Coast Air Quality Management District) ・OEM メーカ ・カリフォルニア大学アーバイン校(UC Irvine / UCI) ・エネルギー供給会社 (2) 目的 プロジェクトの主な目的は以下のとおりである。 ◆ 今後予定されるインフラの全国的な展開のために,カリフォルニア州において費用 対効果の高いインフラモデルを実証 ・7 箇所の水素供給ステーションの設計,建設,運営 ・インフラデータを収集し,報告する ・許認可の要求事項,および許認可取得の経験の文書化 ・予想されるパフォーマンス,コスト,信頼性,メンテナンス,環境への影響の実 証 ◆ 供給までに要する水素コストを下げるための様々な新技術の適用 ・New Delivery Concept(NDC):新しい水素配送コンセプト ・Hydrogen Based Unit(HBU):水素ベースユニット −151− (3) アプローチ プロジェクトの具体的な実施内容は以下のとおりである。 ◆ 車両の利用ニーズと一般的なステーション設備の必要条件を明確にするために, OEM メーカ各社と連携する ◆ 水素充填ステーションを配備するのに望ましい位置,地域を選定するために,OEM メーカ各社や関連団体と連携する ◆ ステーション運営者を選定し,適切な敷地を探し出す ◆ 必要な許認可の手続きを行い,法的責任や建造物などの現場での具体的な問題を究 明し,解決に当たる ◆ ステーションの詳細設計,許可取得,設置,運営,メンテナンスを完了させる ◆ ステーションの稼働により,インフラデータを収集し,DOE に報告する ◆ ステーション利用者の燃料補給の経験を向上させるために,取り入れられる意見/ 反応(フィードバック)を観察し,収集する (4) プロジェクトタスク プロジェクトにおけるタスクは以下のとおりである。 ◆ 以下のステーションの設置 ・カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の水素供給ステーション ・Torrance(カリフォルニア州トーランス)のパイプラインを用いた水素供給ステー ション ・Hydrogen Fuelers(HF-150) ・New Delivery Concept(NDC) ・Hydrogen Based Unit(HBU) ◆ 新規水素圧縮機の開発 ◆ 水素インフラに関する研究(UCI) ◆ インフラデータの収集,分析と配信 −152− (5) 稼働中のステーション 現在稼働中のステーションは以下のとおりである(表 2-43)。 表 2-43 稼働中の水素ステーション 【UCI の 350/700bar のステーション】 ・優れた業績を誇り,ステーションの利 用者は増加傾向 ・液体水素ステーションのプロジェクト は中止 【ロングビーチの Mobile Fueler】 ・2007 年 6 月に導入 ・ステーション利用の承諾を得るための 交渉を継続中 −153− (6) 新しい水素デリバリコンセプト(New Delivery Concept:NDC) 液体および低,中,高圧力の気体水素をデリバリするために,液体水素トレーラが改 良された。大型水素ステーションへの液体水素での配給の効率が向上した(図 2-58)。 図 2-58 NDC トレーラによる水素の配給 (7) 他のステーションの開発活動の進捗状況 その他のステーションの進捗状況は以下のとおりである。 ◆ Torrance のパイプラインを用いた水素供給ステーション ・元々の水素供給ステーション用の敷地の所有者との合意に達しなかった。 ・Air Products の水素パイプラインに沿った新しい用地については,ステーション 運営者が賃貸の交渉を行っている。 ・設備のリースとステーションの資金調達に関しては合意に至っている。 ◆ カリフォルニア州 South Lake Tahoe の Mobile Fueler ・ステーション設置への市議会の合意による条件付き認可 ・ステーション利用,およびステーションの資金調達の承諾を得るために,交渉継 続中 −154− (8) 新規圧縮機システム 1 段で 100psi から 14,000psi に水素を圧縮できる新規圧縮機を設計する。詳細は以下 のとおりである(表 2-44)。 表 2-44 新規圧縮機システム ・14,000psi に至るまで水素漏れをチェック ・4,000psi まで圧縮する機能テストを実施 ・機能テストは主要構成部品について完了 ・次の段階の運転に向けて,システムの準備が完了 (9) 南カリフォルニアにおける水素インフラ配備の影響評価 水素インフラの配備に関して様々なシナリオを考案,モデル化をすることで,南カリ フォルニアにおける水素インフラの配備に関連する影響を評価することを最終目標とす る。具体的には以下のとおりである。 ◆ 環境基準に基づく汚染物質,温室効果ガス,エネルギー消費,水消費に関連する水 素インフラ技術を総合的に分析するための方法論を開発する。 ◆ 詳細な地理的条件設定を行った水素インフラ建設シナリオを作成し,大気環境への 影響をシミュレートするためにカリフォルニア大学アーバイン校の計算環境科学研 究室の能力を活用する。 −155− シミュレーション結果の一例として,南カリフォルニアにおける水素インフラの導入 に伴う温室効果ガス(GHG: Green House Gas)の排出量推計結果を示すと,図 2-59 のと おりである。 図 2-59 南カリフォルニアにおける水素インフラの導入に伴う温室効果ガスの排出量推計結果 (10) 今後の活動 今後の活動予定は以下のとおりである。 ◆ UCI の水素供給ステーション‐液体水素タンクからの水素デリバリシステムの構築 ◆ Torrance のパイプラインを用いた水素供給ステーション‐ステーション運営者と の合意,350 および 700bar システムの導入・稼働 ◆ Hydrogen Fuelers(HF-150) ‐ロングビーチでの稼働開始,他の配置場所やステー ション運営者の特定 ◆ New Delivery Concept(NDC)‐NDC 第 1 号の製造と配備は完了,今度,NDC 第 2 号の製造と配備 ◆ Hydrogen Based Unit(HBU)‐HBU 第 2 号を製造し,配置場所やステーション 運営者を特定する ◆ インフラデータの収集,分析と配信‐DOE にデータ報告 ◆ 新規圧縮機の開発‐運転プログラムを完了 ◆ UCI による水素インフラの研究‐業務範囲の責務を遂行 −156− (11) 要約 本編の要約は以下のとおりである。 ◆ 水素インフラの配備において,低コスト水素供給方法の種々の選択肢について実証 ・当プロジェクトの最初の常設ステーション(350 ,700bar のガス状水素)を UCI に 開設済み ・当プロジェクトの最初の可動式ステーション(HF-150)をロングビーチに開設 ・新しい水素圧縮システムの試運転 ・それぞれのステーションでインフラデータを報告 ◆ 近い将来の活動 ・パイプラインを備えた最初の水素ステーションは,許可段階にある。 ・装置製造は,大抵のケースで完了する。 ◆ 他のステーションの配置場所と運営者の開拓を継続 ・UCI で水素インフラの研究に着手中 −157− 禁無断転載 平成20年度海外動向調査報告書 平成21年3月 財団法人 日本自動車研究所 東京都港区芝大門一丁目1番30号 TEL03−5733−7927
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