F R 編 O M E 集 D 後 I T O R 記 C O N T E T S クーロワール33・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 新人紹介 その1 : 本山敦久・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 新人紹介 その2 + 三ツ峠 : 市瀬江利子 何でわかんないのかなあ∼と思 ってたら、最初から何ーんにも言ってなかった わ。あはははは。...しかしさ山岳耐久はすごいレースだっ たわ。不甲斐ない結果になるのではと思ってだが、やっぱり 不甲斐なかった。あとさ、癒しってさーあの受け身の姿勢、 癒「されたい」つうのがすげえ嫌い。...でもさ弱気だとか怖さは どうやって克服すんの?強さはどこから生まれんの?こんなこと がどうして出来ないの?こんなこと。あんなこと∼∼∼。 あ∼ガンガンガンガンクライミングしてえー(ガリ) N 新人紹介 その3 : 大村 ・・・・・・・・・・・・・・・ 4 6 由紀・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 上州武尊こわ∼い山スキー : 水野奈保美・・・・・・・・・・ 9 雪の感触を思い出した山行 : 浅井邦夫・・・・・・・・・・・ 11 敗退∼2度目の奥穂東稜 :水野奈保美・・・・・・・・ 12 梅雨の合間に・・・ :本山敦久・・・・・・・・・ 13 聖沢 :本山敦久・・・・・・・・・・・・・・・ 17 谷川岳 :市瀬江利子・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 谷川また雨∼ : 水野奈保美・・・・・・・・・・・・・・・・・・ あると便利なものと、なくてはな らないものは違う。でも、便利なものを使ってしまうと、 その便利さ故に、なくてはならないものになってしまうだろう。 一ノ倉沢ぬれぬれぴょん: 本山敦久 ・・・・・・・・・・・・ 19 21 23 本山的山行の顛末 : 本山敦久・・・・・・・・・・・・・ 便利さだけを追求していくと、人は他人に対する優しさや、思いやりと かいうものを失っていってしまうのではないだろうか。便利なものを自 分で使いこなしていくためには、便利さ故に、自分の心を失わないだ けの他人に対する優しさや、思いやりが、不便なとき以上に必要な のだろう。 なくてはならないものが、多すぎる。そして、心が壊 れていく・・・。(H) - 44- 26 鶏冠沢の事故について :水野奈保美・・・・・・・・・・・ 28 前略 オツルミズ沢より : 本山敦久・・・・・・・・・ 33 やってみたかった沢での一泊 : 市瀬江利子・・・・・・・・・ 景色を見ながら! 30: 初鹿裕康(おまけ/水野奈保美)・・・・ 35 山行一覧 2000.2.19∼11.11・・・・・・・・・・・・・ 42 44 編集後記・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 新人紹介 その1 本山 00.5月入会 C L I M 山 No. B I N G T A B L E 行 一 覧 2000.2.19∼8.9 いつ どこ だれと 1240 2/19・20 谷川 雪上訓練 大坪・初鹿・他1 1241 2/26・27 救助隊搬出訓練 初鹿・水野 1242 3/4・5 北ア 乗鞍山 山スキー 初鹿・山里(途中まで) 1243 3/12夜∼13 谷川 天神平∼ホワイトバレー山スキー 初鹿・他1 1244 3/24夜∼25 谷川 一ノ倉沢出合まで 小堀 1245 3/24夜∼26 上越 稲包山(途中) 大坪・初鹿・水野 1246 3/30∼4/2 北ア 鹿島槍西俣出合BC 大坪・初鹿・他1 1247 4/8・9 上越 上州武尊 山スキー 初鹿・水野 1248 4.16 奥多摩 つづら岩RTC 初鹿・水野・他2 1249 4.23 谷川 マチガ沢雪上訓練 大坪・初鹿・水野・他1 1250 4/29・30 頚城 雨飾山 山スキー 初鹿・他2 1251 4/28∼5/1 北ア 北穂高 浅井・他6 1252 5/3∼5/5 北ア 涸沢BC 大坪・初鹿・水野・本山・他1 1253 5.4 北ア 奥穂東稜(敗退) 初鹿・水野 1254 5.14 奥多摩 小雲取沢 本山 1255 5.21 奥多摩 御岳ロックガーデン 初鹿・他1 1256 5.27 奥多摩 越沢バットレスRTC 小堀・水野・本山 1257 5/27・28 上信 南天山 初鹿・他1 1258 6.3 北ア 針ノ木岳 山スキー 本山 1259 6/3・4 奥多摩 今熊山 初鹿・他1 1260 6.17 奥多摩 小川谷割谷 初鹿・山里・水野・本山 1261 6.25 谷川 北カドナミ沢 本山 1262 7.2 奥多摩 ツヅラ岩RCT 初鹿・水野・本山・他2 1263 7.12 奥多摩 越沢バットレスRTC 小堀 1264 7.15 道志 赤倉ヶ岳 山里・他3 1264 7.16 足尾 松木沢ジャンタルムRTC 水野・本山 1265 7.16 奥武蔵 生川 大持沢 初鹿・他1 1266 7/19・20 奥多摩 石仁田沢 初鹿・他1 1267 7.20 奥多摩 鋸尾根 山里 1267 7/20∼23 上州 上州武尊 尾瀬ケ原 大坪・他 1267 7.23 足尾 松木沢ジャンタルムRTC 初鹿・水野・本山 1268 7/26∼29 谷川 蓬峠 大坪・初鹿・他6 1269 8/3∼9 越後三山 大坪・初鹿・他9 1270 末丈ヶ岳 大坪・初鹿・他9 - 42 - 新人と言うには、すれまくっていて、あまり 納得出来ないかとは思いますが… 本山でございます(モトピーと呼んでね)。 生年月日:昭和39年3月24日(牡羊座) 年齢:36歳 性別:男 血液型:O型 出身地:東京都大田区 大学を卒業するまでの大半を千葉県の柏市 で過ごしました。 大学では、ワンダーフォーゲル部に所属し、 なんちゃって沢屋さんとなりました。 卒業後、バクスター株式会社(医療機器メーカ ー)に入社し、すぐに大阪赴任となってしまい ました(因みに現在の会社は、デイドベーリン グです)。 大阪には縁も所縁も無く、山へ行く仲間も いなかった為、単独登山を始めることになっ たわけです。 それでも、当初は年に数回くらいは昔の仲 間と出かけていたのですが、年数を重ねるに 連れ、山へ行くメンツも減っていきました。 結局、25歳∼33歳まで、大阪で働いていまし た。 3年前、ようやく東京転勤となりましたが、 当時のメンバーでバリバリに山やっている連 中は、いなくなっていました。 それで、まあ単独を続けて来たのですが。 おおよそ、春から秋にかけては沢へ行って、11 月から1月はお休み、2月から5月連休くらいま で山スキーをやっています。 山岳会に入ろうと思った理由は、 1.今の会社が嫌いで、仕事を一所懸命やろ うという気が無い。 2.彼女と別れた。 3.バリエーションの幅を広げたい。 4. もっと困難な沢へ行きたい。 というところでしょうか。 敦久 プリムラを選んだ理由は、 1.例会が阿佐ヶ谷なので、 家から近くて便利。 2.ホームページが、他の山岳会のものと 比べて、ハイソ(死語)なイメージだった。 3.人数が少なそうなので、歓迎される 可能性が高い。 などですかねぇ。 初っ端の山行での印象は、 なんてお下品な人たちなのかしらん。 あたしごのみだわぁ。 因みにこの時のメンバーは、初鹿氏、水野女 史、コバです。 あちきの山の実力は、はっきり言ってよく わかりません。ずっと、独りでやってきたし、 他人と比較したことがなかったからです。 まあ、そこそこやれるとは思います。 今まで行ったところで「難しかったなあ」と いう山行は、 胎内川本流∼坂上沢(二人) 柳又谷本谷(二人) 北又谷本谷(二人) 黒部川上ノ廊下(単独) 大井川倉沢(単独) なんてところでしょうか。 沢の名前は、あまりご存じないでしょうねぇ。 今後、予定のないときは毎週のように山へ 行くつもりでいますので、メンバーが必要な 際はお声をお掛け下さい。 もちろん、単独行も従来通りやっていくつ もりです。 適当にお付き合い下さい。酒は結構飲む方 です。 宜しくお願いいたします。 ほな。 3 T R A I N I N G ら..コレ、効くらしい。が、時すでに遅く足の痛さは収まらない。両足腿&ふく らはぎがつるともうアウト。立ち止まるとしばらく動けないので無理矢理立ち 止まらずに我慢するのだが、これがつらい。 それからは、登りは50∼100歩早歩きして10歩休む式にした。足がつるまえに立 ち休する。日も落ち、ヘッデンタイムになると団子状態がだいぶばらける。暗 い山道を1人で行くのも気に入り、わざと団子をやり過ごしてマイペースを保つ。 2カ所ほどメインの登りがる。三頭山と大岳山の登りだ。三頭山の登りにさしか かる。足を止めて息をつく。と、すげー眠い。また歩く。まだ眠い。「10分だけ ー」とか言って道端で寝る。結局40分くらい寝てしまう。寒いが以外と夢なん かみて気持ちいいんだな、コレが。 大ダワ第二関門で水分を補給して、たっぷり食べ、そして最後の大岳山の登り。 エネルギーを回復させるため(言い訳)また居眠る。目が覚めると朝だった。 また40分くらい寝てしまった。まずい。回りもしょぼいのばっかになっている。 ワタシはたっぷり寝たので元気だ。疲れ切ってのろのろ歩いている人を着々と 追い抜く。やがて最後の第三関門。ああ、あとは下りだあー。前にいる人を全 員抜く。舗装路などは、なんと走ってしまった。ああ、なんでこんなに元気な んだろう。(なら最初からやれよ)ゴールした。順位が気になる∼。あーあ。き っとしょぼいに違いない。 普通に小走れれば10時間後半くらいで行けそうな気はする。 しかも完走後、人に言うと「すっげー」と言われる。そうかなあ。はあ∼ やっぱやめたほうがいいのかな山。(ウソ) しかし、ホンとキ○ガイ(ピー)レースであった。 結果 20:31:40 445位 / 725人 エントリー数1054名 完走者725名 ・総合 445位/ 725人 ・30代女子の部 10位 / 17人 ・女子総合 32位 / 57人 ・第一関門 5:05:23 447位 / 1047人(関門到達者数) ・第二関門 11:45:08 488位 / 871 人(関門到達者数) ・第三関門 18:16:18 477位 / 719人 (関門到達者数) (↑なんと、41人抜かれ、43人抜き?いやはや...居眠ロス) - 40- の会に入って岩登り始めたなんて・・・やっぱ り両親にはちょっと言えない。しばらくは黙 っとくしかないなと思う。 「もう1年前からやってるんだ」とでも言え ば諦めてもらえるかも。帰りには入会を決め ていた。それよりもすでに次の山行が気にな った。谷川はちょっとまだ無理なんだろうな ーと思っていたのに「谷川行く?」と聞かれ嬉 しく「行きます」とすぐに答える。帰りの電車 の中ではやはり今回初めて参加した大村さん がクライミングの本を貸してくれた。 夢中になっているうちに財布と定期を落と してしまう。無一文状態で駅員に謝りつつな んとか家まで帰る。財布を忘れた本山さんを 笑った罰があたったらしい。「人を笑うとやっ ぱり自分に返ってくるのね・・・」としみじみ思 う。財布と定期はなんと大村さんが拾ってい てくれた。免許証に3ヶ月分の定期。助かっ た・・・ 初めての山行にしてこの 豪華なメンバー! 懐かしいあの写真風にしてみました↓ 他の会をまったく知らないのも良かったん だろうなーと思いつつ、一回 で自分に合う会を見つけられ たのはほんとラッキーでし た。これからもっともっと上 達して、いろんな山に行きた いと思っています。ケガだけ は気をつけますので・・・宜し くお願いします! 写真提供:江利子ちゃん 5 上州武尊こわ∼い 山スキー? 水野 00.4月8日・9日 T R A I N I N G その場で記録証をもらう。ゴールに入ったのが制限時間40分前で、もう最後の方 かと思っていたが、223位だった(もう少しで半分以内だった)。RUNのタイムは5 時間をわずかにオーバーしていた。決して歩いていたわけではなく精一杯走って いたつもりなのに、4時間台で走れなかったのは、ショックだった(確かにハードな コースだったが)。 トライアスロンの大会は結構完走率が良いが、この大会は去年より30分制限時間 が短縮されたせいか、BIKEとRUNで95人も足切りされていた。完走率77%、4分の 1弱足切りされてしまった計算だ。 練習不足は否めないが、後半の失速はトレーニング方法を考えなければと思っ た。 レース中はもう嫌だと思っていた。ウエットスーツを着るときに、ちょっと焦っ て、ふくらはぎのところを破いてしまったし、トライアスロンはもうお終いと考 えていた。でも今は、次のレースのことを考えている。もっと速く泳いで、もっと 速くこいで、もっと速く走りたいと思っている。なんだか山登りに似ている。 日時 '00.8.27 参加者420名 SWIM 2.0km 37´41 217位 BIKE 200.9km 7゜13´05 293位 RUN 41.8km 5゜00´03 171位 総合 243.8km 13゜19´33 223位 子供の頃にはきっとみんな夢があった。大人になるにつれて、自分で勝手に出来 無いと決めつけて、夢を失っていってしまう。努力をしようともせずに・・・。大人 になると自分に対する言い訳が上手くなるものだ。でも、自分で限界を決めてし まったら、そこで終わりだ。夢は持てない。 トレーニングすれば、努力すれば、出来るかもしれないのに・・・。努力するのを止 めた時、その人の夢はそこで終わってしまう。夢のない人生なんて楽しいですか? 限界なんて自分で決めるもんじゃない。だから、今日も走ろう。 出発上野駅、ワタシが発車時刻をうろ覚え であったのが原因で珍しく大分早い時間に上 野に到着していたのにもかかわらず、構内を うろうろしていたところ一本乗り遅れた。途 中で(前橋とかだったか?)でようやく初鹿 氏と合流。だいたい、上野発の電車は谷川へ 行く新特急(だったか?)くらいで、あっち 行きの電車というのが良く分からないのだ。 これが水野は山を知らないだとか、電車に乗 れないだとか言われてしまう理由なのであ る。 ラを戻した。その時にへんなヘッドランプを 見つける。「なにこのしょぼいヘッデン(大 笑)なめてんでしょ」いつものリチウムので はなく、キャンパーが好きそうな小さいおも ちゃみたいなヘッドランプが雨蓋入り口近く にあって邪魔だった。いつものリチウムヘッ デンは修理中で代車(?)ヘッデンだったそ うだ。代車ヘッデンを一旦出し、カメラをし まった。 頂上直下稜線に出るあたりを大きくトラバ ースし、一つ先のコルへ出ようとしたところ 意外と斜度があり、その上アイスバーンにな っている。斜度はともかくアイスバーンはワ タシの「テレマーク」板では非常におっかな いのである。少しづつルートを見ながら進む がやはり恐い。初鹿氏もしばしば「ガリガリ、 ガ、ガリ∼」などと恐い音をたてていて、少 し恐そうにしている。2時間ばかりだろうか (もっと少ないかも知れない)行ったり来た り健闘したが諦めて少し下り、平らな雪原に テントをはる。 今回は山スキーだ。数年前に一度行ってか ら「スキーはしない」と公言していたワタシ はツボ足で行くつもりだった。しかしメンバ ーがワタシと初鹿氏だけになり、それだと悔 しい思いをするに決まっている。しかたなく エッジがすっかり錆びて赤くなった「テレマ ーク」スキー板を引っぱり出す。登れても滑 れないのだが、まあなんとかなるだろう。 上州武尊高原スキー場リフト最終点からな だらかな登り。先行の人たち3.4人がシール をつけて用意をしているのを見て、ワタシも シールを付ける。だがワタシのスキー板は 「ウロコ」が付いているのでかなり急斜面で ない限りシールはいらないのだ。気持ちが大 事ということで少し念を入れてみる。結局は シールが無いほうが楽だったのだが。 としたところ、ないのである。初鹿氏のし ょぼい代車ヘッデンが見つからないのだ。確 かに、雨蓋が最初からパンパンだったのは覚 えているが、ヘッデンをしまわずに閉めるわ けがない。その上ザックの肩とかに置いたま まだったとしても落ちたら気がつくはずで、 「ワタシは絶対に入れた」と言い張る。しか しどこを探してもなかった。 稜線をまたぎながら良さそうなところを登 って行く。先行パーティーを抜いたり、抜か れたりする。先行さん(御老人)御一行は山 頂まで行く気ではなく、リーダらしき1人を のぞいて初心者のようだった。ちょっと安心 する。 翌朝他のパーティーの足音がする。相変わ らず寝起きが悪い。また先をこされてしまっ た、とテントを置き、スキーも途中で置いて 山頂を目指す。昨日のトラバースはスキーを はいていなくても結構恐かった。テレマーク の革靴で当然アイゼンもなく、しかもストッ 途中写真を撮ったので初鹿氏の雨蓋にカメ - 38- 奈保美 7 雪の感触を 思い出した山行 00.4月28日∼5月1日 T R A I N I N G 十何年振りとなる雪のある山行で、嬉しく 浅井 邦夫 食を腹に入れ早々に就寝。 てたまらなかった。本来であれば会のみんな へ出発。日本海沿いを BIKEでひたすら北上す る。稚内まで○○kmの看板 と、BIKEゴールまでの距 離がほぼ同じ。折り返さず 真っ直ぐ行くと稚内まで行 ってしまうのだ。 BIKEは去年自転車通勤し たのと、6万円かけてメンテ ナンスし、ほとんど新品同 様となったので、前に比べ て多少自信はある(ショー トの大会で40kmを平均時 速33kmで走れたし)。が、や はり200.9kmは長い。パン クしないことを祈る。日本 海からの風が強くエアロバ ーが欲しい。ドロップハン ドルだけの選手なんて、ほとんどいない。さすがに後半では、腰が痛くなって、 BIKE上でストレッチをしながら進んだ。RUNなら歩くこともできるが、BIKEで は足を休めることもできない。こぐしかないのだ。足も攣りそうになるが、止まら なければ攣つらないことは、経験上から知っている。そのまま足を動かす。もう最 後の20kmはRUNと交換してもいいというくらいBIKEが辛くなってしまった。年 を取ったのかな∼、とちょっと弱気になる。BIKEゴールの足切り時間が早く14:10 までなので、結構焦る。折り返しの幌延で踏切を渡るところが2カ所あり、BIKEを 降りて渡らなければならないのだが、足の筋肉が固まってしまったかのような感 じで、ギクシャクしながら自転車を押した。 いつまでたっても、風が強く、時速25kmを切りそうになってしまうので、平地でも 立ちこぎをしてスピードアップしたところで、そのスピードを維持することにす る。足切り25分くらい前に、何とか遠別のBIKEゴールへたどり着いた(平均時速 27.0km)。更衣室に行くと中は人で一杯だった。バイクウェアとランウェアを併用 - 36 - と山行を共にしなければならないのだが、日 29日、早朝起床するが空模様は今ひとつ。涸 程の調整がつかず、杉並区役所山岳部の穂高 沢を目指し出発するが膝までのラッセルとな 岳山行に頼み込んで同行させてもらった。以 る。驚いたことに、何年にも来ていないので本 前会員であった落ちゃん(木島さん)がリーダ 谷橋が立派なものに変わっていた。涸沢へは3 ーで、メンバーは私を入れて7名である。 時間半ほどかかってしまった。この頃には、空 も快晴となり日差しが肌に痛いくらい強い。 4月28日早朝、JR阿佐ヶ谷駅前に集合して乗 用車で沢渡まで入る。昔は松本まで電車で行 本来の予定であれば、前穂高の北尾根を攀 き、タクシーで上高地まで行くのが常であっ じるはずであった。しかし、涸沢から見る北尾 た。乗せてもらうので大変楽である。 根をはじめとした全ての登攀対象で雪が多 く、どのルートも大変困難であると判断する。 沢渡に着く頃から空模様が怪しくなり、沢 そのため、午後、ザイテングラード右端の尾根 渡からタクシーで釜トンネルを抜ける頃から ずたいに奥穂高山荘経由で奥穂高岳を目指し 雨になる。上高地に着くと、雨が霙に変わり出 た。ところが、直ぐにある梯子部分とその直ぐ 発する頃には雪となる。 上の雪壁は、皆で安全に登下降するには状態 が良くない。特に、雪壁部分の雪の状態は、表 河童橋にはじまり、見る景色一つひとつが、 面がクラストしその下がサラサラな雪になっ はるか昔に行った屏風、奥又白、涸沢、滝谷な ており、俗に言うモナカ雪で7人がアンザイレ どの行き返りに見たもので、大きな変化もな ンして通過するのでは時間がかかるため登頂 く、つい最近の様な気持ちになってしまう。そ は断念する。一人で頂上を目指そうとも考え のためか、自分の歳をとってしまったことを たが、はたと、つれて来てもらった身の上を思 つい忘れてしまう。全盛期の私とは、体力・気 い出し皆と一緒に下山することにした。 力とも雲泥の差があるはずだが・・・・。 30日、予定では北穂高岳東稜であったが、雪 雪が降る中、明神、徳沢と順調に歩を進める が多いので中止として皆で北穂沢経由で北穂 が、徳沢から横尾へはトレールも無く所によ 高岳の往復となる。上部は、それなりに斜度が って膝下までのラッセルを強いられる。横尾 ある。松濤岩より北穂の頂上への部分は、雪面 に着く頃には雪も止み高曇りの状態となる。 がクラストしており登下降が危なそうな人に しかし、涸沢へは時間的に着けそうもなく、幕 待っていることを提案してしまう。身分をわ 営代をケチル意味もあったか?横尾の岩小屋 きまえない発言に反省する。結局、ザイルを出 の少し上の河原まで行き幕営する。 して全員頂上に立つ。アイゼンを利かせて、シ ャカシャカと登る感触を思い出しながら楽し 春としては雪が多い。雪の上での幕営、楽し む。北穂沢の下りは、アイゼンの底に付く雪に い、辛い思い出が蘇えってくる。酒と美味い夕 悩まされながらタカタカと涸沢ヒュッテを目 9 敗退∼2度目の 奥穂東稜 00.5月3日∼5月5日 で、ここにツェルトを張る。たき火を炊き、も つ入りキムチ鍋を作る。美味しかった!(あんに ん豆腐もヒットでした!)今日無事に着けた事 をほっとする。こんな所で寝るのは初めてだ。 辺りは暗くて木々の隙間からたくさんの星が 見える。ずっと見ていると少しづつ動いてい るのがわかった。この日本当にぐっすり寝た。 ー!無事帰ってきたー!と気を抜いた為、膝下の 所を渡る時に滑って転び最後の最後で全身ず ぶぬれになってしまった。1時間の長い林道は 安心したせいもありなんか楽しく 、どこでも 見れると言われたけど念願の鹿も見る事が出 来た。 やっぱり沢は楽しいと思う。変化に富んでい るし水辺にいるととても落ち着く。今回、何か あったら行った私の責任だけではきっとすま されないのに、自分の無茶を押し通してしま って・・・重々承知の上で行ってしまいました。 行きたい気持ちが数倍勝ってました。 10月22日(日) くもり時々小雨 朝、雨がぱらついていた。1504mのピークに向 かって踏み後を登るが、途中予定より手前を 登っている事に気付く。とりあえず上まで登 る。トラバースをして目的地に行く事にする。 すごい薮こぎで、足を取られたり挟まったり しながら進む。でも、結構楽しい。笑っちゃう くらい前に進めない。暫くすると明るくて 広々とした楽園のような所に出た。草が一面 に生えていて木には山ぶどうがなっていた。 鹿が食べている形跡があり、所々に落ちてい る。拾って食べてみるとすっぱくて美味しい。 それと・・・本山さん、ありがとうございまし た!感謝してます。なかなか面と向かっては言 いにくいので 。 参加者: 本山 敦久 市瀬 江利子 ピーク脇まで出るとまるで登山道の様な道が 沢の近くまで続いていた。歩き易く時間が稼 げた。今度は 沢を降りる。沢を下るのは初め てで、しょっちゅう滑る。何個か滝を捲いて最 後の滝。高捲くがかなり急な斜面だったので、 懸垂下降で降りる。例によってまた足元を注 意していなかった為に振られてしまい道を外 れ滑ってしまった。元に戻ろうにも急すぎて 両手を使わなければとても登れない。途方に 暮れて 「これ両手離したらまづいですよね?」とばか な事を聞くと、 「こないだ練習しただろうっ!」と言われる。 そうだった!谷川で習ったんだ!と思いザイル を引っ掛け結んで固定する。這い登ってやっ と到着。懸垂下降をもっともっと練習しない とと痛感。泙川に着いた。やったー!良かった 奈保美 5月連休は涸沢ベースだった。初鹿氏と2人 「あれはルートが違う。チョンボルートです。」 で奥穂東稜の予定。気持ちは「リードすっか」 前回芦田氏と2人で行ったことを考えれば、 人が多いので急いでも渋滞しているに違いな ワタシにもできそうだったからだ。 い。のんびりコルへの急斜面へ向かう。 メンバは大坪先生、大坪先生のお客さん (杉浦さん)初鹿、本山、水野。数年前の岳 沢ベースのときに杉浦さんとは会っていて、 (山ちゃんじゃないが)杉浦さんが参加する と聞き少し安心していた。というのは甘かっ た。やはりいつもと同じ結果であった。ワタ シのあまりのへばりようを見かねて本山がザ ックを交換して背負ってくれた。 ところが、コルに出ると目を疑ってしまっ た。先行10数名はまだ抜けていないらしく3 パーティーがまだコルにたまって順番を待っ ている。「げげー」まあ、しばらくすれば順 番がくるだろうと思いのんびり眺めを楽しん でいた。風が強く雲が飛ばされ槍ヶ岳までが 良く見えた。 しばらくすると先行が動き始め、腰をあげ る。しかし先に進んでもその先でまた順番待 ちが待っていた。またしばらく待ってはみた が、さらに風当たりが強く寒い。都合3時間 ほど待っていたのだがさすがにそれ以上はな んとも我慢ができず、降りてしまった。 前回は雪が少なく、稜線づたいにゴジラの背 も岩稜を登ったのだが、今年は雪がべったり ついているらしく、岩稜直前で一旦懸垂下降 して登りかえしているようで、それが必要以 上に時間のかかる原因だったようだ。 今年は雪が多い。連休の涸沢は人も多い。 涸沢直下は行列ができている。やけに元気な 本山が待切れず天場を確保しに先に小屋まで の最後の登り坂を登って行く。その間20歩づ つ数えながらへろへろと登り、キャンプ受付 に寄り受付をする。今年は雪崩が多いのでキ ャンプ者から天場代をとらずに事故などが起 こったときは各自責任をとるようにというこ とで代表者と人数を紙に書くだけだった。 朝、起きてみるとすでに東稜方面に向かう 人達を見てしまった初鹿氏の志気は少々下が っていたように見えた。あるいは前日のワタ シの様子を見てすでに行きたくなかったのか もしれない。バリに行くにしては随分遅い時 間に出る。雪が多いのとワタシがルートをう ろ覚えなので結局は初鹿氏に先導してもら い、北穂へ向かう大坪・杉浦・本山パーティ ーを見ながら、コルへ向かう。東稜はと見上 げるとすでに10人ほどの人が群れているのが 見え、またかなり下の方から取り付いている パーティーも見える。ワタシ達がとった道は 芦田氏と行った時と同じなのだが、大坪先生 が言うには 34 水野 いったいなんで懸垂なんかしているんだ? ガイドか?(なんでもガイドのせいにしてみ る)業を煮やして帰って来てしまったが、も う少し待てば行けたか?いろいろ騒ぎながら も涸沢小屋に行き、お約束のソフトクリーム を食べながら、「大坪先生、まだかな」と登 山道を眺めるがまだ時間は早く、仕方なく帰 幕する。 00年5月連休 メンバー 大坪先生+杉浦さん(ゲスト) 初鹿裕康 水野奈保美 本山敦久 11 聖沢 本山 00.8月13日∼16日 これでは、眠れない。 面倒くさいが、ゼルバンを装着し、ハーケンからビレイを取る。 股間に負荷が、かかって寝苦しいが、落ちるよりはましである。 今夜も眠れそうにない。 今回は、山里大先輩による「南アルプス南部 ピークハントしたい」を発端に、じゃあ沢を絡 めて3000M峰に突き上げようということにな り、人跡稀な聖沢を遡行することとなった。 を言っているのやら、さっぱりわからない。落 口にいる山里大先輩に、指示を出してもらう が、水野デザインは一向に現れず。 全身ずぶ濡れなので、確保しているだけで は、寒くてしかたがない。早くしてくれぇと考 えていると、水野デザインが意気消沈した様 子で這い上がってきた。おつかれさまぁ。しん がりの初鹿先輩が上がってきたところで、さ て、問題の取水ダムだが、どうやら左から巻け そうだ。壊れかけの鉄梯子を強引に登ると、取 水ダム手前のコンクリート側壁の裏側に出る ことが出来た。なかなかお目にかかれないシ チュエーションだ。この後、意外とあっさり取 水ダムの上に出る。 8月12日(晴れ) 東京発―椹島ヒュッテ泊 7:30 サナギ滝上 11:00 80M大滝下 13:45 80M大滝上 17:30 1460M付近 10月9日(月)曇り時々雨 <<< 1460M付近-駒ノ小屋-越後駒ケ岳-グシガハナ-十二平-駐車場 >>> 日の出前に起きた。 空は、曇っていて、いつ雨が降ってきてもおかしくない。 出発間際に雨が降り出した。 既に雨具を着込んでいるので、気にもしない。 水量は減ったが、相変わらず溪相。 しかし、この天気では、心から滝を楽しめない。 が、徐々に沢筋は、穏やかになり、両岸とも草原状になる。 右手に駒ケ岳が見え、ひたすら登っていくと、駒ノ小屋から水場へ到る道に出合った。 やっと、駒ノ小屋へ到着。 オツルミズ沢遡行の終了である。 晴れ渡った空の下ではないのが残念だが、稜線の紅葉は真っ盛り。 今年は、当たりかもしれない。 30分程小屋で休み、管理人さんと雑談をした。 話によると、先行パーティは、やはり一泊で抜けたようだ。 いかん他人と比較するのは止めよう。 何はともあれ、久しぶりにヘビーな沢登りをしたので、大満足だ。 サナギ滝も秋晴れの下、完登できたしね。 さて、来年の課題は、どこにしますかね。 おっと、その前にヘビーな下り1500Mをやっつけなくちゃ。 ほなまた。 (^o^)v 6:20 1460M付近 7:30 駒ノ小屋 11:00 十二平 11:45 駐車場 32 敦久 帰省客がごったがえす東京駅より新幹線で 一路静岡へ。静岡駅より静岡バスで畑薙第一 ダムへ入り、更に東海フォレストのマイクロ バスに乗り換えて、椹島ヒュッテに到着。朝六 時半に家を出て、目的地へ着いた頃には午後 三時を回っていた。やれやれ。けれど、生ビー ルと風呂があるので、それもちゃらなり。 取水ダムは、第一の核心部であるはずの「大 垂40m」の下段に作られており、遡行図とは、 かなり異なる様相と思われる。それでも、「大 垂40m」は、すごい迫力で水を落としている。 こいつを左岸の枝沢から巻きに入る。ルート ファインディングに気をつけながら、なるべ く小さく巻くように心がけ、最後は、15mほど の懸垂下降で沢床へ戻る。高巻中に濡れてい た衣服も乾いてしまった。 8月13日(晴れのち雷雨) 椹島ヒュッテー聖岳登山口―吊橋―(聖沢遡 行)-沢中泊(巨岩帯上流) 昨日夜、雨が降っていたので天候が心配だ ったが、朝食を取ってヒュッテを出る頃には 晴れ間が覗き始め、やる気がもりもり出てき た。計画では、聖沢橋より遡行の予定だった が、前半は河原で単調なので、登山道を使って 吊橋までショートカットすることにした。吊 橋から入溪、しばらくは小滝を越しつつ順調 に進でいると、前方に予想をしていた取水ダ ム(遡行図には載っていない)が壁となって、 立ちはだかった。 この後、巨岩を累々と重ねた沢床が続き、高 度を稼ぎつつも、意外と体力を消耗する。疲れ 果てた頃、ようやく巨岩帯を抜け、河原状とな る。この辺りに良いテン場があると、遡行図に は書いてあるが、なぜか見当たらない。にゃい にゃいと、ぶーたれていると、いい加減歩いた 頃、右岸にぼちぼちの平地を発見し、そこを今 日の宿泊地とする。 取水ダムの手前には、巨岩の間に5m程の滝 が落ちており、これは水線沿いに登らないと 越せそうもない。本山トップで爆水を浴びつ つ這い上がる。ロープを出して2番目以降を確 保するが、3番目の水野デザインが、なかなか 上がってこない。なにやら叫び声が聞こえる が、確保点からは姿も見えないし、爆水音で何 「初鹿先輩がゲットした岩魚3匹」と焚火を 肴にビールを飲む。沢中第一日目が暮れて行 く。夕飯を食い終わった頃に雨が降り出し、今 日の宴会はお開きとなった。 13 口に出ることが出来た。 太陽は、既に沈んでおり、夕闇が迫っている。 ぐずぐずしている場合でない。 急いで、丈夫そうな偃松にザイルをフィックスし、スリル万点の懸垂下降。 ザックからヘッドランプを出して、すぐに取り付く。 夕闇の中、ヘッドランプを照らしながら、登っていると、一端のクライマーになったような錯覚 を覚える。 かといって、クライミングが上手くなったわけではない。 重いザックを背負っている上にスタンスが見えない。 一瞬落ちかけるが、なんとか踏ん張る。 空身で登ったときの記憶を必死で呼び戻す。 登れた。 落口のテラスに立って、振り返る。 街の明かりが、ささやかな夜景をプレゼントしてくれた。 辺りは、闇に包まれ、ヘッドランプを頼りに一つ先の滝まで行ってみる。 そいつは大きな釜を抱えており、へつるにしても、この暗さでは無理だ。 落口のテラスでビバークすることにしよう。 最高のビバークポイントだが、夜風は冷たい。 ハーケンを叩き込んで、ツエルトを張る。 夕飯を作り終える頃には、空は満点の星となった。 正面には、八海山がシルエットを映し、その右に名も知れぬ街の夜景が瞬いている。 孤独だが、他では得られない至福の時を過ごす。 なかなか寝付けず、ツエルトから顔を出すと、ハーフムーンが煌煌と輝いていた。 7:00 駐車場 7:20 オツルミズ沢出合 14:00 サナギ滝下 18:15 サナギ滝上 10月8日(日)うす曇 <<< サナギ滝上-1460M付近BP >>> 明るくなったので、ツエルトから顔を覗かせる。 一生のうちで、滝の落口で目覚めるなんて、そうそうないだろう。 昨日のような快晴ではないが、まずまずの天気だ。 サナギ滝上流は、釜を抱えた小滝群のオンパレードだった。 通常、この辺りは、雪渓に覆われていることが多いらしが、今は全くない。 折角なので、なるべく沢身を行こうと思い、高巻いては懸垂を繰り返した。 結局、高巻3回と懸垂下降3回で本日のハイライト80M大滝の手前に降り立った。 30 最後のゴルジュは、右岸をひたすら登 る。この頃になると、空はガスってきた。 急登に息を切らせていると、いきなり登 山道に出た。眼下に聖沢が見える。整備さ れた道を今日のテン場予定地である二俣 へ向かう。右俣へ少し入ったところに快 適そうな河原を見つけ、そこをテン場と する。 今日も初鹿先輩が、上流で岩魚を釣り 上げてきた。山里大先輩は、ゴーヤチャン プルを炒めてくれた。今宵も、焚火とビー ルで沢の夕暮れを楽しむ。が、至福の時を 妨げたのは、またしても雨。シュラフに潜 り込んでも、雨が気になる。雨は、激しさ を増し、一向に止む気配がない。 と、突然、裕康さんが、「やばいよ!」と叫 んで、真っ先にテントから飛び出してい った。残りの三人は、今ひとつ状況がピンと来 ないため、動きが遅い。「何やってんだ、早く!」 という裕康さんの声に、慌てて雨具を着込み、 表へ出る。 8月15日(曇り一時雨) BP-聖平―吊橋付近台地 てんやわんやの一夜が明けた。雨は、まだ止 んでいない。この状況では、聖岳へ向かう気に もなれず、テントの中で天気の回復を待つ。こ の間に聖岳行きは諦めて、このまま下ること に方針を決定した。 表へ出てびっくり。すでに水流はテントの 周りを勢いよく流れている。外に放置してあ った色々なものを草の生えた台地の上に放り 投げ、テントを担いで、ブッシュの生い茂る台 地へ上がる。5mほど上がったところに空地が あり、そこを第二のテン場とする。裕康さん は、雨具を着ていなかったため、ずぶ濡れ。気 の毒なことに着替えも兼ねて、全裸でテント 内を整備してくれた。もちろん、その間、他の 三人は外で待っていた。この頃になると、冗談 を言う余裕が出てきた。なんとかセッティン グが終わり、不快指数の高いテント内でシュ ラフに入る。以後も雨は降り続き、まんじりと しない夜は更けていった。 ゴロゴロしていると、ようやく雨が上がっ たので、テントから這い出し、荷物の整理を始 める。全てのものが、ぐっしょり濡れていて情 けなくなる。本山は、おニューの渓流タビの片 方を流され、奈保美さんは、携帯電話を水に濡 らし、使用不能となった。雨は、人を不幸にす るらしい。 15 前略 オツルミズ沢より 本山 00.10月7日∼9日 敦久 沢登りを始めた頃からの憧れだった。 どんどん歳を食っていく中で、今年中に絶対行かなければならないと心に決めていた。 秋晴れの中、サナギ滝を登れたら、きっと最高の気分に違いない。 10月7日(土)快晴 <<< 駐車場-出合-サナギ滝上BP >>> きれいに舗装された駐車場を後にして、出合まで林道を歩く。 カーブを一つ越すと、カグラ滝が見え、更に進むと、遥か上方にサナギ滝の最上段も見える。 20分ほどで出合に達する。 沢へ降りようとすると、開封していな缶コーヒーが足元にあった。 「誰だこんなとろにデポするやつは。」と一瞬思ったが、すぐ横に花が添えてあった。 「・・・」 気を取り直して沢へ降りる。 いきなり10Mのナメ滝で左を登るのだが、ぬめっていて思いのほか手間取る。 大きな釜を持ったチョックストーン滝の前で、しばらく悩んでいると、二人組パーティがやって きた。 彼らは、迷わず左岸を高巻いていった。 すぐに後を追うのも悔しかったので、こちらは直登にチャレンジする。 左壁をへつって行くと、残置シュリンゲがある。 それに掴まり、滝身へ降りようとしたとき、足元が滑り、そのまま釜へ落ちてしまった。 仕方ないので、そのまま泳いで這い上がろうとしたが、荷物が重くて上がれない。 諦めて引き返す。 初っ端から全身ずぶ濡れになってしまった。やれやれ。 二人組パーティと同様に左岸を高巻くと、カグラ滝下に出た。 2段80Mの巨大なナメ滝である。 なんと、二人組パーティは既にカグラ滝上にいるではないか。速いなぁ。 一段目は、左から簡単に登り、水流を右へ渡る。 二段目は、傾斜がきつくなるので、練習も兼ねてザイルを出す。 久しぶりの単独登攀なので、勝手がいまひとつである。 また、上部はブッシュの中を登るので、ザイル操作がしにくい。 たった2ピッチの登りに1時間以上かかてしまった。 おそらく先行パーティは、フリーで登っていったのだろう。 更にへつったり、高巻いたりを繰り返して先を急ぐ。 しばらく行くと、巨大な鎌のような形をした雪渓が、前方に聳えていた。 鎌の下を通過すると、沢は左へ曲がる。 沢は直登不能の連瀑となり、サナギ滝へと繋がっている。 右岸の岩場から草つきを登り、更にブッシュ帯へ突入する。 大高巻になりそうである。確認のために遡行図を出そうと胸ポケットを見ると・・・ 28 谷川岳 市瀬 江利子 00.9月23日∼24日 谷川岳 マチガ沢出合-シンセン 左俣-東尾根-谷川岳-西黒尾根B.Cの予定がシンセン左俣(多 分)取り付き前で雨の為戻る ていく。ほとんど無我の状態 で自分の前の岩だけを見て登 っていた。(もっと周りを見な いと駄目ですね) 9月23日(日) 朝のうちくもり 昼前に雨 雨は降りそうで降らない。 というか降りだしては止むの 繰り返しで、中断するにも雨 足がちょっと足りない感じだ った。「取り付きまでもっちゃ うのかなー」と休憩の度に初 鹿さん、大坪先生は話してい る。(初鹿さんは帰りたそうだ ったが、大坪先生は楽しそう だった) みんな先に出た浅井班はどうしているのか が気になるみたいで、「取り付きの時間くらい まではもっていたから、多分登っているんじ ゃないか」と大坪先生。 朝から今にも雨が降りそう な暗い雲の中、浅井さん、水野 さん、本山さんチームはかなり 前にテントを出発しており、初 鹿さん、大坪先生と私はシンセ ン左俣の登り口に向かった。 登山道をひたすら登る。沢への降り口が見 つからない。40分くらい登った所に降り口が あった。かなり急な斜面で、大坪先生がまず降 りる。 覗き込むようにして見るとかなり降りづら そう。暫くして大丈夫そうなので、私と初鹿さ んが続く。広めの河原から、大滝を捲いて草付 を登って暫く行くとシンセンと赤ペンキで書 いた大きな岩があった。 そこのルートが正しいかどうかを二人がも めているようだったが、結局そのルートを登 って行くことになった。ここからは石がごろ ごろした枯れた沢のような道をひたすら登っ 雨が本降りっぽかったが、もう少し行こう と言う事で靴はそのままでザイルを使い、初 鹿さんトップで登りはじめる。登り切ったと ころで更に雨足が強くなり、足元を雨が流れ 始めたので諦めて降りる事にした。 稜線がすぐ上に見え、大坪先生もあと3ピッ チくらいだというので、「ここまで来たのなら あの稜線まで行きたいなー」とすごく残念に 思った。 懸垂下降で降り始める。傾斜はこないだの 三つ峠と違いあまりない様子なので怖くない かなーと思いきや、足元はすごく滑るし、ザイ ルは雨で濡れて思うように流れてくれない。 かっくん、かっくんとおかしな動きでなんと か降りる。この時は気づかなかったけれども、 初めて確保なしでの懸垂下降だった。 17 鶏冠沢の事故について 水野 00.9月30日∼10月1日 今年の冬は八ヶ岳の登攀をしたいと思い、 奈保美 た後、西沢渓谷入口付近道の駅駐車場へ移動 しテント泊。 秋のうちに土・日を使って本山と小同心クラ ックを登っておこうと思った。 10月1日(日)くもり 本山が沢登りに行きたそうだったのと、土 笛吹川東沢鶏冠沢 曜日のみ市瀬が参加するという事で、土曜日 水野・本山・市瀬で小同心クラック登攀後、 西沢渓谷鶏冠沢遡行開始。ナメ沢を順調に越 車で市瀬を最寄り駅へ送り、日曜日水野・本 え、逆九の字滝上部を4本の残置シュリンゲ 山で前回敗退した西沢渓谷の東のナメ沢遡行 に頼りながら本山・市瀬・水野の順で登る。 をしようという計画を考えていた。 谷川また雨∼ 水野 00.9月23日∼24日 1日目:2ルンゼ、2日目:中央稜の予定で 参加するメンバー、ルートが決まったのは谷 川に行く週の水曜日のリーダー会だった。新 人女性市瀬・大村も加わって、なんと言って も浅井さんも大坪先生も参加する、なんとも ウレシイ山行なんである。8月終わりくらい からこのハナシは出てたんで、今回に向けて 三ツ峠行ったりインドア行ったり、目標が決 まれば気持ちも盛り上がるというモノだった んである。というワケでワタシとしては珍し く気合い入っていたのだ。 囲気が漂っていて恐ー。寒気がした(実際少 し寒かったのかもしれないが)ゾゾゾゾ。最 初に登ろうと思った人はすごいなあ、と歩き ながら素直に感動というか驚きつつ眺め入 る。 中央綾の取付では先程の6人パーティが登 攀の準備にかかっている。先に取付いていれ ばなあ…ため息。やり過ごして、浅井さんに 烏帽子奥壁の各ルートの取付きを教えてもら いながら、トラバースして南稜テラスへ。他 におじさん2人パーティがいたが、彼らは中 央カンテか変チらしく南稜テラスまでは来な かった。テラスからは奥壁も、滝沢もよく見 えた。左手に、2ルンゼが見える。浅井さ ん:「このトラバースが悪いんだよ∼。」見 ると南稜テラスから延びる斜度の強い草付き は見るからに恐い。寒気倍増である。 登ると言うよりトラバースに近い。本山が落 その後市瀬が日曜日も都合をつけたので、 ち口付近を越え、市瀬も登りはじめる。最後 2日とも八ツ岳にしようかとも考えたのだが は4本目のシュリンゲから手をはなしフリー 結局は東のナメ沢を鶏冠沢に変更しただけ で落ち口を乗越さなければならない。 で、最初の予定通り水野・本山・市瀬で出発 した。 市瀬はしばらく最後のシュリンゲをつかみ バランスをとっていたが、足が滑り、つかん 9月29日(金) 夜、本山の車で美濃戸口駐車場へ。テント泊。 でいたシュリンゲから手が離れ滑落。最初の シュリンゲをつかんで待機していた水野の左 9月30日(土)晴れ→雨 足に引っかかるようにして停止。 八ツ岳小同心クラック このとき市瀬の左指の爪を引っかけたようで 出血があった。水野は市瀬をその場に残して 美濃戸口から行者小屋を経て赤岳鉱泉。天気 落ち口まであがり、本山が市瀬をザイル確保 は良い。休憩をとり小同心クラック取付10時 して引きあげる。 30分。3ピッチ本山・市瀬・水野の順で11時 指の傷をテーピングし、遡行を続ける。二 登攀開始。雨になる。雨は次第にあられ混じ 俣から右俣へはいり、途中で右岸の樹林帯に りになり、風が強く、寒い。市瀬のすぐ後ろ 初鹿・水野・本山で2.3時間先行出発。一 ノ倉出合で2張りテントを張る。浅井・大 坪・市瀬パーティー到着次第2ルンゼ組浅 井・水野・本山/シンセン組大坪・初鹿・市 瀬に分かれて寝る。 夜が明けてみるとやっぱり天気が悪い。ど うせ降る見込みで2ルンゼを中央稜に変更。 朝5時30分くらいに出発。ヒョングリの滝の 懸垂地点で先行パーティに追い付く。最近め っきり多くなったウットーしい 「ガイド山行」の6人パーティ (ガイド2、客4)だ。中央綾へ 行くらしい。浅井さん:「こん なに先行がいたんじゃしょうが ねえな、南稜にしよう」(うう、 また雨の南稜か…) 逃げ、登山道を経て下山。 につき、フォローしながら登る。グレード自 体は難しくなく、脆そうに見えたが岩もしっ 10月2日(月) かりしている。これなら冬でも大丈夫だろう 東京にて受診、左手中指/薬指骨折、全治3週 と思う。 間と診断。 登攀終了14時24分横岳山頂。大同心沢を下り 15時大同心基部。 15時30分赤岳鉱泉、16時30分美濃戸口。美濃 戸口で風呂にはいり、途中塩山で食事をとっ 26 今日の空はどんより曇ってい たが、ガスが高い(というの か?)山容は良く見えた。来る 度天気悪くてわからなかった一 ノ倉沢の全容を間近で見た。灰 色でどんよりした空の下で見る 岩肌、陰鬱で越沢と似たドヨー ンとした重くて暗ーい霊気的雰 奈保美 「水野トップ行け」「え?今日はちょっと…ご にょごにょ」弱気∼。こんな雨降りそうな、 しかも3人だからトップを替わってもらえな いし(わけでもないのだが) 自信ない…などともたもたし ていたので業をにやした浅井 さんがトップにたつ。いつも のことだが、トップで行って もらうのを見るとやっぱり自 分が行けば良かったと後悔す る。でも恐いんだもん。次か らは先に言おう。 南稜テラス なんか妙な写真だー 19 風が強くなりはじめ小ぶり な雨も降り出して、なんとか 午前中もってくれ∼と祈る。 1ピッチ切ったところで後か ら取り付いて来たパーティー も登ってくる。浅井さんが2 一ノ倉沢 ぬれぬれぴょん 00.9月23日∼24日 点は、大同心の終了点へ行けば、赤ペンキの目 印を見つけることができる。 ングを掴みながら、慎重に上がってくる。4本 目のスリングを掴んでからが、なかなか前に 進めない。「少し右により過ぎだな」と思って いると、不意に足を滑らせた。そのまま、スリ ングから手が離れてしまい、水野の立ってい る中間点へ滑落。一瞬「二人とも落ちる!」と思 ったが、市瀬は水野の足に引っ掛かり事無き を得た。とりあえず、水野が先に上がり、市瀬 はザイルで確保する。 雨に濡れながら、美濃戸山荘まで一気に下 る。美濃戸口で、風呂に入り、冷え切った体を 温める。後は、中央道を勝沼まで飛ばし、塩山 の焼肉屋で晩御飯を食べた。 10月1日 西澤渓谷入口-笛吹川鶏冠谷出合-(右俣遡行)近丸新道-西澤渓谷入口-帰京 上がって来た市瀬は、左手の指から若干血 を流している。この時は、ちょっと切った程度 だなと思っていが、まさか指を二本骨折して いるとは、全く考えなかった。 とりあえず、テーピングだけして先に進む。 この後、市瀬は、やはりショックが大きかった らしく、足取りがぎこちなくなってしまった。 安全を期して、その後2回をほどザイルを使用 する。 昨晩は、西澤渓谷の「道の駅」にテントを張っ た。一晩中、雨は降り続き、シュラフは、ぐっし ょりと湿ってしまった。 が、朝になると、雨は上がっていて、薄日も差 している。西澤渓谷入口駐車場に車を廻し、濡 れたテントとシュラフなどを乾して、そのま ま出発する。 鶏冠谷出合までは30分ほどである。ご丁寧 に「鶏冠谷」という標識が、かかっている。 鶏冠谷は、全体的にナメ滝が多く、快適に登る ことが出来る。 大滝までの渓相は、ほとんどがナメ床で非 常に快適である。晴れていれば、とてもきれい であろう。残念ながら、今は曇り空である。 大滝を左岸から巻くと、ほどなく二俣に出合 い、右俣へ入る。右へ入ると、沢全体がナメ滝 状で傾斜も強くなる。沢通しは困難と判断し、 右岸の樹林に踏み後を求める。そのまま、急斜 面の樹林帯をトラバース気味に登っていく と、30分ほどで登山道に出た。 ナメ滝を順調に越えて行くと、この沢の核 心である「逆くの字滝」が姿を現わす。とりあ えず、本山が最初に取り付いてみる。中間の屈 曲点までは、なんなく登れた。が、そこから先 は、良いスタンスが得られず、残置スリングに 頼ることになる。残置スリングは、右壁に等間 隔に4本下がっている。スリングが無ければ、 水線沿いにルートを取ることになるだろう。 その後、東京へ戻った際に市瀬の指を見ると、 かなり腫れ上がっており、内出血も起してい た。本人も、かなり痛がっており、明日にでも 病院へ行くよう勧めた。翌日、診断結果を聞く と、中指及び薬指を骨折しており、全治3週間 とのことであった。 4本目の落ち口付近が特に悪く、完全にスリ ングに頼る形になる。慎重に足場を選んで滝 上に立つ。2番目に市瀬、すぐ後ろを水野が屈 曲点まで上がってくる。そこから、市瀬がスリ 24 天気予報によれば、まず間違いなく雨は降 るに違いないのです。しかぁし、一縷の望みを 託して、深夜の関越自動車道を走りますぅ。一 ノ倉沢出合には、既に酔狂なパーティがテン トを張っておりやした。 本山 敦久 浅井さんが、2ピッチ目を登り始めると、早 くも後続パーティのトップがビレイポイント へ到着です。と、雨が降ってきました。濡れる には十分な降りです。すると、突然、浅井さん が鳩時計の時報のように「降りよう!」と・・・水 野・本山は、一瞬きょとんとしましたが、まあ それほど驚きませんでした。ところが、後続の トップにいたおやじぃは「え!もうおりちゃう んですか??!」と結構衝撃を受けたようです。 彼の気持ちを察するに・・・「ここまで来てそん なあっさり」という気持ちと、トップのパーテ ィとなってしまう不安があったのでしょう。 まあね、気持ちはわかるけどさ。人それぞれだ からぁ。我々は、早速1ピッチ目を懸垂下降で 下ります。浅井さんの知り合いの人は、このま ま登るようです。お気をつけてぇ。 翌日、目を覚ますと、曇り空ながら雨は降っ ていないようです。降らないかもぉの幻想を 抱いて、踏み後を辿って行きます。初めての一 ノ倉沢です。幸い、視界は良好で、一ノ倉沢全 体を見渡すことが出来ます。ちょいと、他の山 域ではお目にかかれない光景に感動を覚えま す。取り付きまでの道のりも、十分バリエーシ ョンルートです。白い岩肌にフリクションを 利かせ、ぐんぐん高度を稼ぎますぅ。 先行6人パーティは、どうやら中央稜のよう です。これを見て、わがパーティは、南稜への 変更を決定です。中央稜をパスして南稜へト ラバースします。南稜テラスは、広くて快適で す。だからと言って、きじ場があるわけではあ りません。はずんできた大きじをなんとかし なければ・・・仕方ないので、南稜テラス目の前 の笹薮に腰を下ろしてOKとします。におった ら、あぁらごめんなさい。 南稜テラスからは、クライムダウンをまじ えた急下降です。登りと違って、慣れないラバ ーソールは、神経を使います。浅井さんは、と っとと下って行ってしまいます。水野・本山 は、どんくさい動きで、とろとろ降りていきま す。浅井さんが、煙草を吸って待っています。 渓流タビならなぁ・・・負けへんのやけど。下っ ている途中、雨が上がったりして、「失敗だっ たかな」などと余計な事を考えます。水野は、 「もっと降れぇ、けけけ・・」と魔女のように呟 いています。性格の悪さが滲み出ています。 準備をしていると、後続パーティが到着し ました。更にもう1パーティ。その中に浅井さ んの知り合いの人がいました。黄色の雨具の 人です。浅井さんトップで1ピッチ目に取り付 きます。セカンド本山、サード水野です。浅井 さんが登っているとき、後続パーティの女性 が、ななななんと、私の清く正しい排泄物の方 へ下っていくではありませんか。一瞬、「そっ ちへは行かない方が、いいですよぉぉぉ ぉ・・・」と声に出しそうになりましたが、止め ました。まあ、そこしかないしね。だってぇし ょうがなぁいじゃない。 テン場に着く頃、雨がそこそこ降り始めて 来ました。3人ともなぜかとても嬉しそうで す。人間とはエゴイストなのでございます。し ばらく、一ノ倉沢を眺めていましたが、雨が本 降りになってきたので、テントへ入ります。 あめはっつぅめったぁいぃけど、ぬぅれって ぇいったぁいの by CHISATO MORITAKA。 21 P R I M U L A E S S A Y C ク ー ロ ワ ー ル L I 33 ------------プリムラホームページ伝言板から--------------http://member.nifty.ne.jp/nahomi/pm/ プリムラの皆さんへ お元気ですか? スイスの上甲です!!こちらは、すっかり秋の紅葉真っ盛りです。今年のスイスは、 全般的に非常に天気が悪くクライマー達の欲求不満がたまる(?!)夏でした。トホ ホ しかしながら、晴れている合間をぬって今年もまあまあ登ったかな・・・・と思 います。 今年の私の一番の思い出は、スイスから南フランスにいく途中にあるGAPという 街の近くにある、Ceuse(セウーズ)という結構世界的に有名な大きな岩場があっ て、そこのキャンピング場に泊まってクライミングを楽しんだこと。 なんと、そ こに髪の茶色い日本人のクライマーが数人来てました!ハハハ おそらく日本の 雑誌で紹介されたことがあるのでしょうね・・・。ここは、すごーく難しいルート (5,5+,6a,6b,6c,7a,7c+と続きます。)が多いので、私なんか、簡単なのを選んで登っ てましたけど・・・・・ヘヘヘ。相変わらず、岩はへたくそです。 頂上から見る、プロバンスの景色はスイスとは違った美しさがあります。 高山では、バリスにある、Mont blanc de cheilon (モンブラン・デウ・シャイヨン)と い非常に美しいピラミッド型のやまがあるのですが、そこのミックスのバリエー ションルートは最高によかったな・・・。 岩だけより、やっぱり私はアルピニズムタイプす・・・。 "気の合う"スイスアルパインクラブのクライマー達だけと登ってます。 (スイス 人は、アジア人を差別する人も少なくないので、日本ではっちゃん達といつも笑 いが耐えなかった山行が懐かしいです。) M B I N 山 No. G 行 いつ T A 一 B L E 覧 どこ だれと 1271 8.12 月山 浅井 1272 8/13∼16 南ア 聖沢 初鹿・山里・水野・本山 1273 8.27 奥多摩 奥丹波川本流 本山・水野 1274 9.3 大菩薩 大鹿沢ズミガ沢 初鹿・水野・他1 1275 9/9・10 三ツ峠RCT 初鹿・水野・本山・市瀬・大村 9.10 浅井・大坪・山里 1276 9.15 ツヅラ岩RCT 大坪・初鹿・水野・本山・他1 1277 9.20 奥多摩 越沢バットレスRTC 小堀 9/23・24 谷川一ノ倉BC 1278 9.23 マチガ沢シンセン左俣 大坪・初鹿・市瀬 1279 9.24 南稜1P 浅井・水野・本山 1280 9.30 八ヶ岳 小同心クラック 水野・本山・市瀬 1281 10.1 奥秩父 笛吹川鶏冠沢右俣 本山・水野・市瀬 1282 10.4 奥多摩 越沢バットレスRTC 小堀 1282 10/7・8 奥多摩 山岳耐久レース 初鹿・水野 1283 10/7∼9 越後 水無川オツルミズ沢 本山 1284 10/14・15 南ア 甲斐駒・仙丈 本山・市瀬 1285 10.15 奥秩父 小川山RTC 水野・他4 1286 10.18 奥多摩 越沢バットレスRTC 小堀 1286 10/21・22 足尾 泙川 小田倉沢 本山・市瀬 1287 10.23 伊豆 天城八丁池 初鹿・水野・他2 1288 10.28 丹沢 広沢寺RTC 水野・本山 1289 10/4・5 奥秩父 小川山RTC 初鹿・水野・本山・市瀬 1290 11.4 奥多摩 越沢バットレスRTC 小堀 1291 11.11 奥多摩 氷川屏風岩RTC 初鹿・水野・本山・市瀬 ヨーロッパの岩場は、大体どこでもハーケンが1メートル間隔でべた打ちしてあ るのでたくさんの山屋ではないような人たち(たとえば、3歳くらいのベイビーク ライマーを連れた家族とか・・・)が、ひとつのアウトドアー・スポーツとして安全に クライミングを楽しんでいるのをよく見かけます。 あーんな小さい頃から、岩に親しんでいたら将来はスーパークライマーになっち ゃうな・・・・・と思いますよ。 それでは、今日はこの辺で。 ヨーロッパで是非一緒にザイルを組める日を楽しみにしています。 10/26.Thu17:13 ゆきより - 2 - 43 - 新人紹介 その2 + 三ツ峠 市瀬 江利子 00.9月入会 T 9月に入ってすぐに暇な 週末が出きた。これまでは スキーのメンバーで週末 には山に行ったりキャン プに行ったりといろいろ 計画をたてていたが、年を 重ねるごとにそれぞれが 忙しくなり、毎週暇な私に 付き合ってくれる人がいなくなってきた。山 に行きたいのに一緒に行ってくれる人がいな い!もっと勉強していろんな山に登りたい!何 より、山が好きな仲間が欲しい!と思った。 三ツ峠では初めての岩登り。みんな強烈な キャラだなーと思いつつ、ここ私に合ってる かもと思う。 水野さん、初鹿さん、本山さんはものすごい パワーで最後までしゃべり続け、かなり驚い た。(しかし、最近は慣れてしまいそれほどに も感じなくなっってしまった・・・) 初日、岩壁を見ながら取り付きまで降りる。 あまりの高さとすごさに実感がわかない。 「ここほんと登るの?最初から登れるのかな? でも登ったらすいごいだろうな。」 と思いながら下る。 最初に装備の付け方、ザイルの結び方など を教わる。 「このロープがこうなって・・・自分を確保する にはこれを使って・・・」とわかったと思っても 次にはすぐに混乱する。 「トップの人は確保してもあんなに落ちるの かー」と思って下から見上げ、 「確保されてても落ちたら頭とか打つんだろ うなー」と落ちた時ばかりが気になる。 しかし登りはじめると、そんなことを考えて いる余裕はなかった。とにかく足場を見つけ ては手で支えて「って掴む場所ないじゃん!」 とか 「えっと3点支持だから・・・ここ で両方放しちゃやばいよねー」 などと自分と会話しながら 登る。 インターネットで東京都の山岳会を見てみ ると、みんな似たような名前で特徴が掴みづ らい。その中で目に止まったのがカタカナの プリムラの文字。開けてみるとHPが奇麗で内 容が分かりやすい。 ただ写真がないので年齢層がわからない。 ちょっと不安を感じる。人数は10人とかなり 少ないが、あまり大勢いると顔見知りになる までが大変そうなので、ここいいなと思う。 しかし・・・岩登りや雪山もあるし本当に入 れるのか?例会はいつだろう?と思って見ると 明後日になっている。 「もしこの例会に参加すればもしかして今週 末から山に行けるかも!」 という安易な発想ですぐに メールを入れてみる。すると 「例会に来てみませんか」とい うありがたいメールが帰って きた。おまけに「良かったら週 末の岩登りに参加しません か」と言う。 「やったー!これで山に行け る!」とすぐに飛びついた。 (すみません、こんな安易だったんです・・・) R A I N N G おまけのおまけ 1 ワタシがゴールするころはすっかり会場片づけモード。初ちゃんの姿もない。 さみしいモンだ。まあ、初ちゃんのタイムは14時間半くらいだったんで、しか たないけど。初ちゃん家に電話してみたら居んでやんの。 ミズノ「なんだ帰ってたのかよ」 はつ 「あれミズノ出たんだ」 ミズノ「む。出たわ」 はつ 「棄権?」 ミズノ「む、ムか。完走したわ」 おまけのおまけ 2 電話を終えて用もないので帰ることにした。駅に向かう人は耐久レース帰りな のが一目瞭然だ。足をつっぱらかしてぎくしゃくしているからだ。駅の階段に いたっては「う、ううう...」うめきながら登り降りをしている。つらそうやなー。 まだまだ元気だと思っていたワタシも同じだった。つ、つかれたあ∼。 岩のぼりをやるなんてちょ っと前までは考えてもいなか った。両親には「岩登りだけは やめてくれよ」と冗談で言われ ていたのに。しかし登ってみて本当に楽しく 夢中で登ってたように思う。ただこの年で山 4 I - 41 - 新人紹介 その3 大村 00.9月入会 由紀 T ♪色が黒くて無精ヒゲ ニヤリと笑えばやにっ歯真っ黒 何の因果かあんな奴に どなられどやされただ続く あァ それでも幕張って飯食って一服 R A I N I N なんちゃって景色を見ながら 00.10.8,9 第8回山岳耐久レース(おまけ) 水野 この酒まわせば 何であいつにゃ人が寄る 何であいつはよくもてるよくもてる 初めて、おそるおそる叩いた山岳部の ドア。そこにはギター片手にこんな泥臭 い部歌を、肩を組んで歌っている先輩達 がいた。 こわくて一カ所にじっとたたずんだま ま、目前に拡がるパノラマに言葉を失っ た。はるか遠くまで続く山並みや雲の影、 富士山の雄姿。豆だらけだったけど、す れ違う登山者の「こんにちはー!」とい う明るい笑顔や、汗だくの塩っぽい額に 心地よくふきつける小川の冷たい空気が、 私を励ましてくれた。 高校、短大と女の子ばかりで過ごして きた私は、煙草のけむりでもうろうとし た部屋に、足をふみいれたしまった途端、 ものすごいカルチャーショックを受けた のだった。ベンチの上で「ジャンプ」か なにかを寝ころんで読んでる男の子。い かにもきたなそうなパーカーとジーンズ の、ヒゲヅラの男の人が「おゥ、いらっ しゃィ。」と壊れかけの椅子をすすめてく れる。 夕刻、テントからでてみると、みんな 小屋の前に集まって夕焼けを見ていたの で、一緒になって空を見ていると何とも いえず気持ちが高揚してしょうがなかっ た。自然も人々も不思議な一体感で結ば れていた。 だけど、彼らの後ろの方には、棚の上 にロープやらヘルメットやら、テントや ザックや山靴なんかが無造作に置いてあ って、なにやら無知なものへのときめき で、私の胸はドキドキしていた。 そして、山が好きになった。 30Kgの荷物をしょって、5分おきに息が 切れて、半ベソかきながら歩いた北岳へ の道が、私の山デビューだった。草スベ リでは本当に滑り、肩の小屋の鐘を頭に のっけて記念の一枚をとる。頂上からの 眺め。 G 奈保美 2度目のエントリーなのに出場は初めて。以前のエントリー(はしたがサボった) の時ほど興味本位ではなくて、ここ数年の体力的敗退ぶりに自分で嫌気がさし ていて、本気で山を続けるかやめるか考え始めていたので、自分に挑戦してみ っかなと思ったもんで、出場してみた。ホントに本気。完走できなかったら山 やめっかと少し思った。 スタートは13:00、受付は10:00∼12:00。なんとなく早起きしちゃったので10:00 過ぎには着いた。受付して、武蔵五日市駅前の手作りソバ屋で朝御飯を食べて ゆっくりしてもまだ時間はある。ま、はっちゃんは積極的に探さなくてもどう せすぐにわかるだろうしな。スタート時間ぎりぎりまで女子控え室で寝袋を出 して寝る。30分前くらいにスタート地点になってる中学校の校庭に出てはっち ゃんを探す。あれれ??おっかしいな∼あんなに目立つはずのはっちゃんがど ーしても見つからない。そうこうするうちにスタート。まあ、いいかーーー。 ま、とにかく目標は完走。無理して走ったりしてバテないようにマイペースで 歩くことに決めれば気は楽。比較的リラックスした気分で出発。 自己申告で10時間から20時間台までの数グループに分かれて出発するのだが、 初出場なので謙虚に19∼20時間グループのところにつけていた。そしたら、登 山道に入るまで、みんな走っている。つられて走ってなんとなく遅い人をぬか しつつ前のグループのほうへ割り込んでしまった。「ま、ウオーミングアップっ てことで。。。」登山口あたりで走るのをやめる。さあて、これから山登りだ。ま わりのペースはそこそこ早い。下りはともかく登りもつられてひょいひょい小 走る。ランナー系と山屋系が半々くらい。ランナー系は下りで無茶な追い越し とかするんでちょっとカチンとくる。なので、最初はそいういうランナー系を 登りで抜きながら、「けっ、悔しかったら登りで抜いてみ∼」などと小さい声で 言いながら(へえ∼オレも歩けるようになったじゃん。ちっとは運動したから なーフッフッフッフ。)とかまだ余裕こいていた。...しかし。 4.5時間も経ち第一関門を越えたあたりから次第にふくらはぎ∼腿がぼちぼちつ り始める。腿はよくつるが、ふくらはぎはやばいと思って顔の塩分を舐めなが 6 - 39 - T クだけだ。ムキになって蹴込む。テレマーク 靴のつま先の皮がはがれるかと思うほど。ほ んの数センチも蹴込めないところもあった。 稜線に出て一安心し、頂上まで歩く。頂上か ら本当は行く(滑り降りる)はずだったルー トを見ると、初鹿氏の判断どおりやはりワタ シの「滑り」ではとうてい無理そうだった。 R A I N I N G していたので、シューズとパンツを替えるだけだったが、焦ってパンツを着替え る前に靴を履き替えてしまい、やり直し。落ち着いて、着替え直し、サロメチール を塗って、RUNスタート。RUNのコースはBIKEコースの一番きついとこに設定 してあるのでアップダウンが激しい。勾配がきついのだ。最初のうちは何人か抜 いたが、後は抜きも抜かれもせずと言う感じで、走る。最初のエイドにコーラがお いてあって飲みたかったが、ガス抜きでなさそうだったので、手をつけないでい た。が、途中のエイドで、高校生らしきボランティアが、一生懸命ペットボトルを 振って、ガスを抜いていたので、コーラを取る。やはりコーラの栄養価は高いの か、多少元気になった。 さっきのトラバースを降りる。恐さ倍増で あった。すこしでもなだらかな歩き易いとこ ろを選ぶ。苦労をしてトラバース開始地点ま で戻ってみるといつの間にか山頂から中高年 と見られる10数名のパーティーが下降してい る。それも直登ルートをあぶなっかしげに数 珠つなぎに降りてくるのだ。しばらく見てい たが「ああいう人たちが事故とか起こすんだ よなあ」と思う。 気がつくと、夕日が日本海に沈んでいく。綺麗だ。沈み行く夕日を見ながら、ただ ひたすら走る。途中のエイドで、「次のエイドの足切り時間は17:20。あと30分で 1.5km走らないと足切りだよ」と言われる。RUNでの足切りなんて全然考えてい なかったので、結構ショックだった。何とかクリアして、更に走り続ける(後で調べ たら足切りは17:50だった)。闇が降りてくる。RUNの距離は40.5kmだったからと 思い、だいたい自分で距離を測りながら残り9kmくらいかなと考えていたら、突 然、ゴールまで10kmの看板。気が抜けそうになった(ちなみにRUNは41.8kmだっ た)。20:30が最終ゴールなので、1km10分で走っても、何とかなるが、少しでも速く 走ろう。最後の方はエイドで止まると、走り出すときに、油が切れたみたいに左膝 の外側が痛くなった。なるべくなら止まりたくなかったが、ランニング大会のよ うに走りながらコップを取るのが(エイドに選手が群がっているので)難しい。な んとか、止まらないようにして水分補給をし、ひたすらゴールを目指す。当初の計 算では、SWIM(トランジット含んで)1時間、BIKE(時速30kmで)7時間、RUN4時間 で、ゴールに18:30の予定だったのだが・・・。 スキーを履きなおしテントを撤収して下 山。例の代車ヘッデンはとうとう見つからな かった。いったいどうしてしまったんだろ う?謎のヘッデン紛失山行だった。人になに か壊されたり、失くされたりするのも山行回 数の多い初鹿氏ならではのことだろう(なん ちゃって)あははは∼∼∼ 北海道は広い。残り3kmになっても羽幌の街の灯りが見えないのだから。ゴールの 明かり見えたのは、残り500m位からか。突然街にやってきた感じだった。羽幌の人 たちの応援に励まされ、前の選手を追う。頑張れば、ちゃんと走れるんだ。自分に 甘えていただけか、自分にもっと厳しくならなくてはと、いつも思う(思うだけで はだめなのだが)。 ゴール手前から応援のコバを引き連れて一緒にゴールテープを切った。 ごめんねっ 8 写真提供:はつ - 37 - 指す。ヒュッテでは、美味しい800円のジョッ にこころよく(?)同行させていただいたこと キ入り生ビールで乾杯。この後の失態が予想 に感謝するとともに、冬の谷川、冬の利尻岳を されていたのに私も飲んでしまう。帰幕後、天 目指すこととしたい。乞うご期待あれ! 候悪化が予想されるので、昼食を取って横尾 まで下ることとなる。その日に限ったことで はないが、食事を作っている間にウトウトし ■4/28 阿佐ヶ谷駅 6:20発 10:15 沢渡第二駐車場 10:30 発 10:55 上高地(6度、小雨)11:20 12:05 明神 12:25 13:05 徳沢 13:25(小雨) 14:30 横尾 14:46(雨あがる) 15:24 横尾岩小屋付近幕営 てしまう。起きてからは、体の具合が今ひと つ、横尾までが辛いの何の反省するばかりで あった。プリムラでは、飲むなと言うはずなの に・・・・。 横尾にやっと着き、一息入れる頃にようや っと体調も優れてくる。早々テントを張り、外 ■4/29 2:50 5:55 6:45 8:45 起床 4:55出発(晴天) 本谷橋 本谷出合 涸沢ヒュッテ幕営地 テント設営 10:05発 13:40 ザイテンクラード∼奥穂高山荘 14:00 発 14:15 鉄ハシゴ上部 14:25 奥穂高山荘発 15:40∼16:20 涸沢ヒュッテ幕営地着 でお好み焼きなど、時間に余裕がある時の 様々な料理を作ってもらい腹に入れる。酒も 沢山あり酔うこと酔うこと・・・・。辺りが暗く なったので寝袋へ入りいつのまにか夢見る人 となる。 5月1日、起きると外は小雨。ゆっくりと食事を して来た道を上高地へ下山の途につく。 ■4/30 3:00 起床(晴天) 5:40 北穂沢∼ 9:15∼9:45 北穂高山頂 10:06 11:36 涸沢小屋 12:15 幕営地 テント撤収 13:42 下山開始 14:35 本谷出合 14:40 本谷橋 15:10 28日幕営地 15:25 15:50 国設横尾キャンプ場 (21:30頃より雨) 今回の山行は、他の会山行に同行させても らったが、今までくすぶっていた山への火種 (山へ行くぞ!)が燃え上がってくる機会となっ た。何年も目標が無く漠然とした山への思い が心の中にあるだけであったが、確実に、この 先の展望が開けた山行であったと言える。 会発足以前より、山登りの目標を持たずに 漠然と山行をしているのは空しいぞ!と、言っ ■5/1 ていたことを実践していた私。しかし、50歳を 前に、また、プリムラの人と一緒に雪の谷川を はじめとした山域に足を踏み入れられそうな 自分を確認できた。杉並区役所山岳部の方々 10 4:30 6:35 7:30 8:25 9:20 起床(曇ときどき小雨) 横尾発 徳沢 7:48 明神 上高地 T R A I N I 景 色 を 見 な が ら ! N G 30 第1 4回日本海オロロンライントライアスロン 初鹿 裕康 景色を見ながら -第14回日本海オロロンライントライアスロン国際大会初鹿 裕康 オロロンの大会は第8回(SWIM2km、BIKE110.5km、RUN40.5km)に出た以来だっ た。そんなに昔じゃないと思っていたが、気がついたらもう6年も経っていた。今 回は日本最長と言うだけあってSWIM2km、BIKE200.9km、RUN41.8kmとなって いた。 前回と同じプールが近くにある小平の街に泊まったが、泳ぎに行こうとしたらプ ールはとっくの昔になくなってしまったらしく、温泉センターになってた。仕方 がないので、プールの代わりに温泉に入る(トレーニングにはならない)。レース当 日は朝早いので、早く寝ようと思っていたが、温泉センターで盛大な花火大会が あり、花火の音と振動でうるさくて眠れないので、思わず見に行ってしまった。花 火が海の上にあがって、綺麗だった。 そして当日、朝3時起きで朝食を食べ、専用バスで増毛港迄移動。6時30分スター トである。ロングの大会は佐渡以来久しぶり。今までロングの大会は、'93皆生 (SWIM中止)249/434、'94オロロン233/353、'95皆生361/581、'96佐渡617/820とあまり 成績はよくない。上位とは言わないがせめて、半分より上でゴールしたいと思う。 スタートでバトルにあいたくないので、コースロープから一番離れたところから スタート。SWIMは2kmなのでそう苦にはならないが、バトルは避けたい。地元の 選手についていくのが一番と思い、うまく泳いでいる灰色のウエットスーツのお っさん(?)について泳ぐ、ゴール間際にバトルにあって、足を蹴られたりしたが、何 とか予定通りにSWIMアップした。ウエットスーツの下にシャツは着ていたの で、ウエットスーツを脱ぎ、スイムパンツをバイクパンツに履き替えて、いざ長旅 - 35 - やってみたかった沢での一泊 /足 尾山塊 泙川 小田倉沢 ・ 津室沢 梅雨の合間に ・ ・ ・ 本山 00.6月25日 敦久 梅雨がないと困るけど、梅雨は嫌い。 週末になると、天気予報をぎりぎりまでチェ ックせなあかん。降水確率の低い所を探す必 要あり。日曜日は、湯沢あたりが曇りの予報じ ゃ。そこで、荒沢山へ突き上げる魚野川北カド ナミ沢へ。とってもマイナーだわぁ。 ブッシュは、石楠花も加わり、本格的な藪漕 ぎとなる。しかし、不思議とめげない。久々の 晴天の下の沢だということもあるかな。尾根 上に上がって、景色を見渡す。頂上は、まだま だ先のようだ。やっぱ、ちゃんと沢詰めればよ かったかも。 仮眠から目を覚まし、早速沢へ突入。 上空は、うす曇でまずまず。最初は、藪の被っ た鬱陶しい沢筋だったが、徐々に開けてくる。 10m前後の滝を適当にこなして行くと、雪の 残骸を見るようになる。うん上越って感じぃ。 更に進むと、なんと雪渓がびっしり。仕方ない ので、雪渓上に出る。上空は、青空が広がり始 めた。なんか嬉しい(^^)v雪渓を100mほど進 むと、20m4段滝が正面に見える。右岸には、ル ンゼが切れ込んでいて、二又状だ。雪渓は、滝 の手前で切れている。シュルントと滝の間は、 距離があり、取り付けそうもない。沢床に下り ることも出来ない。やれやれ。 藪漕ぎをしていて、いつも思うことがある。 俺って、本当に楽しいと思って沢登りしてい るのかなぁ?短パンTシャツで、傷だらけにな るし、きついし、汚いし、危険だし。冷静に考え ると、なんの得もないはずなんだなぁ、これ が。でも、なんか幸せなんだなぁ。毎日、退屈だ けど、この時だけは充実するのじゃ。 頂上に着くまで、お茶は飲まないぞぉ、と制 約を決めて気合を入れる。藪漕ぎを始めて、一 時間強、ようやく荒沢山の頂上へ這い上がっ た。 嬉しかったので、セルフタイマーで記念撮 影。ほぼ360度の展望。上空は夏の青空。平標も 谷川も雲を被っている。遠くには西ゼンが、そ れひとつが滝のように水流を落としている。 足拍子川は、びっしりと雪渓に覆われており、 まだ沢登りが出来る状態ではない。30分程、夏 の日差しと展望を楽しんだ。なんかざまあみ ろって感じぃ。後は、カドナミ尾根を転がるよ うに下るだけじゃぁ。まったく梅雨明けが、待 ち遠しいぜ。 暫し考察後、少し手前の右岸の草つきから ブッシュ帯に上がり、滝の中間当たりにトラ バースすることにした。うんぴーが、はずんで いたので、雪渓上で済ませる。 アイスハンマーを草つきに叩き込みなが ら、ブッシュへ上がる。そのまま、ブッシュ沿 いに右岸ルンゼまでトラバース。ルンゼから 滝を見ると、全体的に外傾していて悪そうだ。 かといって草つきを高巻くのは、もっといや じゃ。 出合6:30-荒沢山10:05-登山道入口11:35 そこで、右岸ルンゼをもう少し上がること にする。このルンゼは、岩が硬く、ホールド・ス タンスとも豊富で快適。日も差してきて、爽快 な気分やわぁ。このまま、ルンゼを詰めちゃお っと。傾斜はきついが、フリクションの効く花 崗岩なので、がんがん登っていく。が、いつし か、ルンゼはブッシュの中へ消える。あとは、 岩混じりのブッシュ帯を強引に登っていく。 市瀬 00.10月21日∼22日 10月20日(金) 東京21:00発-(マイカー)-奈良集落 10月21日(土) 奈良集落-小田倉沢遡行-稜線津室沢下降-二俣付近BP 10月22日(日) BP-津室沢下降-林道-奈良集 落-帰京 理しないで、もっとわがままいいましょう」と 言われていた。でもこれはどう考えても私の わがままだ。どうしても来たかったのは私だ し、沢で一泊してみたいと言ったのも私だ。だ から絶対に怪我は出来ないと思った。別にあ せる必要はないけど、時期的にも今回を逃し たらきっと今年はもう行けないだろうなと思 った。 10月21日 晴れ時々くもり 沼田ICから120号を進み吹割の滝の少し先を 右手に入る。不動滝までは比較的良い道で、そ れ以降がたがたの道になる。落石も所々にあ り真っ暗なので結構怖い。道が二股に分かれ 奈良(なろう)に到着。民家らしきものは何も なかった。その二股にちょうどあった空き地 に車を停めた。 朝、 沢登りだというのに私は防水をするのを すっかり忘れていた 全てビニールに入れ直 す。もたもたしていて8時頃出発。林道沿いに 歩いて行き、暫くして右に入る。焼け落ちた民 家の横を通って踏み後をたどり泙川に到着。 そこは広々とした綺麗な明るい河原で、空気 がすごく澄んでいて、気持ちがいい。こんなに いい場所なのに人が誰もいないなんて。ゴミ だって落ちてない。道があったらバーベキュ ーやらキャンプやらできっと汚れてしまうだ ろう。 泙川を少し下り小田倉沢に入る。小さい滝を 何個か超えた後、大きな滝に出た。本山さんに 待つように言われ上からのザイルを待つ。見 上げると両側が切り立った崖でその空間を葉 がゆっくり落ちてくる。すごく綺麗だ。一人で 待っていると姿が見えなくなってからだいぶ たったような感じがして、少し不安になる。呼 んでみても滝の音がすごくて声が届いている のかわからない。どうしよう?後10分待って来 なかったら・・・立ち尽くしているとひょっこ り出てきて安心する。この滝は掴むところも あって比較的簡単に登れた。 何回目かの高捲き。どんどん上に上がってか なり急になったので、そこから沢まで懸垂下 降をする事になった。懸垂下降はどうしても まだ怖い。岩がもろいので足元に注意して降 りるように言われるが、手の方に神経が行っ てしまう。下から、「ほら、足元に気をつけて っ!」「自分で落とした石で怪我するからっ!」と 怒られる。暫く行くと途中からトラロープが 下がっている大きな滝に出る。確保されてい ても本当に怖い。ずっとここにいるわけにも いかないんだから!と自分に言い聞かせ、トラ ロープに掴まってなんとか上に出る。 ここで本山さん恒例のトイレタイム。満面の 笑顔でもどってくる。 「大丈夫ですか?」と本山さん 「えっ、何が?」と私。 「全て」 「うん、(たぶん)大丈夫」と応える。 3週間前に折った指はお医者さんにはもう動 かしてもいいと言われていた。ただそれは日 常生活での事だろうと思いつつ、あえて山に 行ってもいいかとは聞かなかった。今回の沢 はみんなが心配していたし、初鹿さんにも「無 12 江利子 午後2時過ぎ小さな沢が横から入り込んだひ らけた場所に出る。木々が所々に生えていて 草の間を小川が流れている感じの可愛いい所 33 8月14日(晴れのち雷雨) BP-二俣-右俣泊 ったことを後悔したが、後の祭り。仕方ないの で、ハーケンを一枚叩き込んで、そこにザック を固定し、空身で再トライ。ドキドキしつつ も、一段目の落口に立つ。2段目は、もっといや らしかった。水線のすぐ左を登るのだが、スタ ンス・ホールドとも細かく、なかなか思い切れ ない。振り返ると、3人が心配そうな顔で、こち らを見ている。笑顔で応えてみる。やっとの思 いで、滝上に立つ。後続はザイルで確保。壁の 途中に吊り下げてきたザックも荷揚げする。 この時にカラビナとシュリンゲとデイジイチ ェーンの入った袋を落としてしまったよう だ。ショックが大きく、この上なく、不幸な気 分になる。やれやれ。 夜は、雨が降り続いていたが、朝にはすっか り晴れ上がり、絶好の沢日和。テン場を出て、 しばらく行くと、正面に8mほどの滝が現れ、 左岸からは枝沢が滝となって落ちている。側 壁も立ってきて、いよいよゴルジュ帯突入だ。 入口の8m滝は、登れそうもなく、少し戻って 右岸から高巻きを開始する。 遡行図のアドバイスを信じつつ、ルートを 探るが、どこをとってもブッシュ混じりの壁 に阻まれてしまう。きょろきょろしていると、 比較的新しい赤テープを発見。望みを託して、 方向を変える。赤テープに導かれ るルートは、思い切って大高巻き しているようだ。最後は小尾根に 上がり切り、反対側へ一気に下 る。沢へ戻ると、真夏の太陽がじ りじりと照りつけ、気が遠くなり そうだ。この高巻きで予想以上に 時間を食ったので、先を急ぐ。沢 全体が滝のような奥聖ノ滝沢を 左岸から合わせると、間もなく2 段8m滝が行く手を阻む。取り付 いてみると、遠目ほど難しくはな く、順調にザイルを伸ばし、1ピッ チで落ち口に抜ける。 次の10m滝は、左岸の樹林を高 巻き、最後は15mの斜め懸垂とな る。つづく10mナメ状滝は、遡行 図の快適と言う言葉を信じて、左 壁からフリーで取り付く。水線へ トラバース気味に登るが、1段目 の落口への一歩が滑りそうで踏 み出せない。確保してもらわなか 14 大滝の手前には、スノーブリッジが架かっており、その下を潜っていく。 大滝は、大まかに二段になっている。 一段目は、右側のバンド状を容易に斜上し、二段目に到る。 水流を左に渡ったところで、小休止を兼ねてラバーソールに履き替える。 左壁を登るが、しばらくは、傾斜も緩くフリーでぐんぐん登っていく。 傾斜がきつくなって来たところで、空身で取り付く。 ルートは、いろいろ考えられるので、お好み次第だが、本山の場合はのっぺりしたスラブを抜け て、チムニー状を乗っ越すルートを選んだ。 途中、のっぺりしたスラブでスタンスが細かくなる部分があり、ハーケンを叩き込んで、スタン ス代わりにする。 チムニー状の乗っ越しも緊張したので、ハーケンを使用。 あとは、傾斜も緩くなり、ブッシュ帯まで上がる。 ブッシュでザイルをフィックスし、懸垂下降でザックまで戻る。 ザックを背負っていても、確保されている安心感があると、いとも簡単に登れてしまう。 これなら、ハーケンを打ち込まなくても問題なかったなぁ、などと考える。 2ピッチ目は、落口までトラバースするが、ここは特に問題もなく、本日のハイライトを終了す る。 しかし、この先も滝は終わらない。 次から次へと釜と草つきを抱えて滝が現れる。 もはや、どの滝がどうだとかああだとか覚えていられない。 やっつけ仕事のように超えて行くと、雪渓が沢を埋めていた。 数百メートルほど雪の上を歩いていく。 楽に距離を稼げるので少し嬉しい。 沢が右へ直角に折れたところで、雪渓は、突然終わった。 折れた先には、取り付けない滝が懸かっている。 やれやれ、雪渓から左岸の泥壁にアイスハンマーを叩き込んで、なんとか高巻く。 もう、いい加減疲れた。 時間も午後5時近くなってきたので、ビバーク適地を探しながら進む。 天気予報によると、明日はぐずつくらしいし、既に空はどんよりと曇っている。 夜、雨に降られても安全な場所を探さなければ。 が、滝と釜の続く狭い沢筋に安全な場所が、おいそれとあるわけがない。 午後5時半になって、左岸から3:1の割合で枝沢が入る場所に到った。 又の部分に比較的平らな岩場があり、沢床からも十分な高さがある。 今日は、ここに泊まることに決める。 ただし、ツエルトを張ることは出来ない。 片側だけハーケンで留めて、頭から被るだけである。 そそくさと夕飯を済ませ、酒を煽って寝る準備に取りかかる。 シュラフに入り、横になってみると、傾斜のせいでどんどん下に滑ってしまう。 31 とりあえず、濡れているものを河原に広げ て、少しでも乾かそうと悪あがきをしてみる。 遅い朝飯を作っていると、だんだん元気が出 てきた。四人とも、いつもの明るさを取り戻 し、お下劣な会話に花が咲く。 替えると、もはや街の人である。再度、ビール で乾杯。 あっというまの四日間だった。山を後にす るのは、名残り惜しい。せめてバスが来るまで の短い時間、真夏の空と木々のさざめきを感 じていよう。 そう あとは、長い帰路が待つ だけなのだから。 が、のんびりしていると、またも小雨が降り 始めた。ぐずぐずしていても、仕方がないの で、聖平小屋へビールを買い出しに行く。聖平 付近は、完全にガスっていて、登山客に笑顔は ない。こんな暗いところに長居は無用なので、 ビールを買って早々に下山を開始する。 懐かしい吊橋に着いた。日は差していない が、すっかり雨は止んでいる。吊橋から少し下 ったところに、今度は安全な台地を見つけ、そ こをテン場とした。 沢中、三日目の夜も、当たり前のように雨に 降られた。ラジオからのニュースによると、静 岡県内の大雨によりキャンパー達が、中洲に 取り残される事故が相次いだらしい。われわ れは、今夜は安心して眠れそうだ。 8月16日(曇り時々晴れ) BP-椹島ヒュッテー東京 今日は、あっという間に下れてしまうので、 なんの心配もない。椹島ヒュッテでは風呂と ビールが待っている。一時間もかからずに林 道出る。林道から覗き込んだ赤石沢は、恐ろし いほど増水していた。水は、茶色く濁り、正に 激流だった。やはり、そうとう雨が降ったらし い。 椹島ヒュッテに着いて、早速、生ビールで乾 杯。一様、聖沢遡行は果たしたので、敗退では ないということで。シャワーを浴びて、服を着 (まんが:水野) 16 「ない!」 どうやら岩場辺りで落としたらしい。ついでにカメラ(使い捨て)も落としてしまった。 拾いに戻ろうか一瞬迷ったが、時間も押しているし、所詮大して役に立たないので、「まいっか ぁ」ということにした。 高巻の方は、早くトラバースしたいところだが、どんどん上に追い上げられてしまう。 ブッシュをかなり登ったところで、ようやくトラバースを開始。 高巻の途中で、サナギ滝の最上段に取り付く準備をする二人組みが見えた。 こちらは、懸垂一回をまじえて、やっと沢床へ戻る。 ここから先のスラブ滝は、左を容易に登ることができた。 三つほど滝を越すと、いよいよサナギ滝である。 5段200M。 落口の向こうに見える青空が眩しい。 最下段は、ドーム状にえぐれていて直接は取り付けないので、左のブッシュから回り込む。 さすがに踏跡が明瞭で、迷うことなく、ドーム上部に達する。 ここで、フエルト底からラバーソールへ履き替える。 岩登りのグレードとしては3級くらいなのだが、荷物が重い上に高度感があるので、安全を期し てザイルを使用する。 まず、ビレイなしの空身でザイルを引っ張っていき、ビレイポイントに達したところでザイルを フィックス。 懸垂下降でザックのところへ降り、今度はアッセンダーで確保しながら、ザックを背負って登 る。 水流の左をほぼまっすぐ登っていく。 秋晴れの中、サナギ滝を登る幸せを噛み締めるが、必要以上に暑い。 途中、ザイルを落としてしまい、なんとも恐ろしいクライムダウンをする羽目になったりもした が、比較的スムースに登る事ができた。。 3ピッチ登ると、そこは広めの土のテラスになっている。ビバークも十分可能である。 しかし、空き缶やらゴミが、目に付く。 沢をやる人間が必ずしもモラルがあるとは、限らないらしい。 4ピッチ目は、最上段左の凹角までのトラバース。 この頃になると、高さを楽しむ余裕も出てきた。 が、4ピッチを終わったところで、午後5時を回ってしまった。 太陽は、山の向こうへ沈む寸前である。滝の飛沫も冷たく感じる。 しかも、最終ピッチは、垂壁だ。4+くらいだろうか。 さすがに空身だとしてもフリーでは登りたくない。 ビレイをセットして空身で取り付く。 意外とスタンスが見つからず、緊張する。 情けないが、ランニングビレイを必要以上に取ってしまう。 凹角から左へ抜けるところが、めっちゃ怖かったが、そこを越すと、あとは傾斜も緩く、容易に落 29 その後は滑る岩と草付を何度も滑りそうに なりながら降りる。 今回本山と2人で計画を立てて、小同心は しかし、大坪先生が先に行ってくれている ので安心して降りれた。登山道に出てからは 下りの苦手な私は大坪先生に置いていかれ、 初鹿さんに後押しされるように降りる。 途中、「こんなに水が流れて、川みたいにな ってますよ!」と叫びながら進もうとすると初 鹿さんに道はこっちだよと指摘された。本当 に小川だった・・・。こんなただの登山道で間違 えて川に入って行くなんて、注意が足りない と反省する。 新人を山に連れていく立場での最初の山行 ワタシがリードして、沢は本山に任せるつも で市瀬に怪我をさせてしまった事に、落胆と りだった。計画自体自己中心的で、市瀬の負 ともに深く反省します。ご迷惑とご心配をか 担を考えていなかった。市瀬にとっては登攀 け、すみませんでした。人を連れて山に行く 後に移動して沢を遡行するのは強行軍だった という事がどんなに大変なことか、よくわか と思う。リーダー会などでは本山の責任がい りました。 ろいろ言われていたが、ワタシがいちばん反 省と後悔をしているのは、2日目も八ツ岳に いる計画を押し切れなかった事だ。今回の事 故は、市瀬が初心者だという認識ができてい なかたことと、沢に関して本山に頼り切って いたことにあると思う。 BCに戻ると遠くで水野さん本山さんがこ ちらに向かって手を振ってくれていたのが妙 に嬉しかった。 メンバー:大坪 邦久、初鹿 裕康、市瀬 江利子 核心の逆九の字滝上部 現場の状況 道端で食べる人たち 笛吹川東沢鶏冠沢右俣 遡行図概要 写真提供:江利子ちゃん&浅井さん 18 27 ピッチ目を登りはじめた時には、 どうせすぐに大坪パーティーは帰 同じ支点に3人がたかっているか ってくるだろうと思っていた。とこ っこうになった。すぐに雨が大粒 ろが午後遅くになって大分強くなっ に降り始めた。と上から「だめだ てきた雨の中、びしょぬれになって なこりゃ、やめよう。」水野・本 帰って来た。市瀬しょげてるかな、 山・ビレーしてたおじさん一同 と思ったが意外と元気だった。岡さ 「え?」「降りよっ」2ピッチ目の んを交えてひとしきりビールを飲ん チムニーに差し掛かっていた浅井 だ後、いつもの諏訪温泉+買い出 さんがクライムダウンしてくる。 し&避難小屋で鉄板焼肉大会とな おじさん:「早いですねえー。い る。雨は夜になってだいぶ強くなっ や∼私達もなんとか草付きまでは たようだ。避難小屋の天井を打つ激 相変わらず 行こうと思ってるんですけどねえ しい雨音を聞きながら何もしてない 下手な懸垂 ー」などと言っている。ワタシが のに意外と疲れたなーと思いつつ寝 最後に懸垂に入るころ、おじさんがビレーし 袋にはいる。 ていたおばさんも、次に登って来たおばさん も到着、支点には5人もたまっていた。さっ 翌日は雨は止んでいた。大村も来れば良か さと降りて正解だなーと思う。 ったのになあ。マムシ岩で浅井さんのレスキ ュー訓練講習を受ける。懸垂&自己脱出。ハ 出合に着くまで雨はそれ以上の降りにはな ングをトップロープで遊んだり川縁というか らず、たまに雨も切れたりしていた。とはい 道端で昨晩の食べ残した焼そばとかを鉄板焼 え地面は湿りはじめていたし、クライミング していると、再び雨が降り出したので帰京の シューズのままだし、思ったより急でちょっ 支度をはじめる。 とスリルがあった。さすがのスピードで下り 以上で今回の谷川山行メニューはすべて終 ていく浅井さんを待たせながらの下り。特に 了。一度すっきり晴れた谷川を登ってみたい テールリッジを終了してからヒョングリの滝 モンだ。 の落ち口までは意外と悪くて、これ以上雨降 ったらかなり恐いはず。今回は登れなかった メンバー けど概要と下り方がわかったのは収穫。 南稜(敗退) 浅井邦夫 出合に戻るとまだ昼前。雨がだんだん本降 水野奈保美 りになってきた。大坪初鹿市瀬組はまだ戻っ 本山敦久 ていない。いつ頃帰ってくるかななどと言い シンセン左俣 合っていると、岡さんが私達のテントを見つ 大坪先生 けて声をかけてくれた。あいにくガスやお茶 初鹿裕康 がなく(荷物は車の中だった)、岡さんにコ 市瀬江利子 ーヒー&紅茶、ガスや煮物などわけていただ き、大坪パーティーが戻って来るまで、雨で 岡孝雄 だんだん濡れてくるテントで談笑する。 20 写真提供:浅井さん <<< 今回の事故について >>> 今回の事故は、100%自分自身の認識の甘さにあったと考える。初心者である市瀬をザイル で確保することを怠ったことは、言い訳の余地はない。指の骨折だけで、済んだことは不幸 中の幸いとも言える。市瀬に対しては、怪我をしたことは、もちろん申し訳なく感じてお り、それ以上に山へ行けなくなってしまった期間を作ってしまったことをお詫びします。 会の方々には、要らぬご心配をお掛けしたことをおわび致します。 今まで単独行が、ほとんどであり、初心者と同行することは皆無に近かった。しかし、今後、 このような機会が増えていくことを考えると、山行に対する考え方を改めなければならな いと感じた。ただ、石橋を叩きすぎて、どこへも行けなくなる状況だけは、避けたいと考え る。市瀬も私自身も、もっと山へ行きたいという気持ちから、入会した。これは、紛れも無い 事実である。入会する前より山へ行けなくなってしまうのでは、入会した意味が全くなく なってしまう。ゆえに情熱と安全のバランスを加味しながら、山行計画を立てて行きたい。 25 本山的山行の顛末 本山 00.9月30日∼10月1日 メンバ水野奈保美・市瀬江利子・本山敦久 テントの中で退屈していると、岡さんがひょ こり現れました。「あれぇいらしてたんですか ぁ?」と水野。話を伺うと、木曜日からいらして いたとかで。全然気づきませんでした。ごめん なさい。12時を回っても、大坪先生パーティ は、戻ってきません。雨は、激しく降っていま す。既に一ノ倉沢は、一筋の巨大な滝と化して います。 あぁめ、あぁめ、ふぅれ、ふぅれ、もぉっとふれ ぇ、by AKI YASHIRO 機雲をひきながら上空を横切っていく。天気 は下り坂のようだ。赤岳鉱泉で登山届を出し、 大同心への急登を1時間強でつめあがる。 9月29日 西荻窪駅-(車で移動)-美濃戸口 大同心基部に立つと、溶岩質の岩壁が威圧 的だ。脆そうな岩肌に少々不安を覚える。大同 心から踏み後を辿って、小同心へトラバース する。眼下には赤岳鉱泉が見下ろせる。小同心 基部で準備を始めるころになると、空は急速 に雲で覆われ始めた。残置ピトンは、心細いや つが1本しか見つからず、転がっている岩塊を 支点にする。 結局、東京を出発したのは、10時を回ってから だった。 道中、市瀬は後部座席で爆睡。水野とくだらな いやり取りを続けるが、それにも疲れ果てた ころ、諏訪南インターチェンジへ到着。八ヶ岳 山麓を右往左往して、美濃渡口の駐車場に着 いたのは、午前1時過ぎだった。 てな感じで、初めての一ノ倉沢は、敗退したの でした。でも、概念は把握できたので、計画を 立てる勇気が出てきました。 めでたしめでたしのこころだぁ。by SHOICHI OZAWA 本山トップで取り付く。岩は見た目よりも しっかりしており、フリクションもきくので 快適に登ることが出来る。1ピッチ目を登り切 ったところで、雨が降り始める。気温が低いの で非常に寒い。セカンドの市ノ瀬、ラストの水 野が到着すると、雨は霰に変った。2ピッチ目 も快適なのだが、とにかく寒い。既に赤岳鉱泉 が見えなくなるくらいガスってきている。小 同心の肩に上がり、ビレイポイントを探すが ろくな物がない。頼りないピトンと岩角を支 点にして、セカンド以降に声をかける。 9月30日 美濃戸口-赤岳鉱泉-小同心基部-(小同心クラ ック登攀)-横岳-赤岳鉱泉-美濃戸口-(車で移 動)-西澤渓谷入口 昨日の夜(正確には今日の夜)は、ほとんど 眠れなかった。テントから身を出すと、目の覚 めるような青空が広がっているが、9月下旬と は思えないほど寒い。零度近いのではないだ ろうか。 身支度をして車を美濃戸山荘の駐車場(一 日1000円)まで上げる。駐車場から5分ほど歩 くと、登山道の分岐があり、何の疑いもなく、 そちらへ入る。30分ほど登って、1/2.5万地形図 「八ヶ岳西部」を広げてみる。 やれやれ…どうやら道を間違えたようだ。赤 岳鉱泉へ向かう登山道ではなく、行者小屋へ 向かう道を登っている。仕方ないので、このま ま行者小屋経由で赤岳鉱泉に向かうことにす る。 道端で食べる人たちその2 写真提供:浅井さん 22 敦久 小同心の肩は、風も強く、むちゃくちゃ寒 く、もはや、体は冷え切って歯の根が合わな い。陰鬱な雰囲気が漂い、心がめげそうであ る。ところが、市瀬は、なかなか上がってこな い。「はやくあがってこ∼い」と思わず叫んで しまうが、風雨は容赦ない。横岳への登山道 を、雨具を着込んだ登山者が、足早に過ぎてい く。ようやく市瀬が上がってくる。続いて水 野。ご苦労様。 3ピッチ目が終わり、横岳へ最後の岩場をフ リーで登る。横岳山頂に着いて、3人で握手。休 むまもなく、下りにかかる。大同心沢への下降 行者小屋へ着くと、北アルプスが見渡せる ほどの快晴の空なのだが、ジェット機が飛行 23
© Copyright 2024 Paperzz