水技術

水技術
生活にもいかなる経済発展にも欠かせ
ない水は、21世紀の世界の多くの国で、
重要で戦略的意味を持つ問題となってい
ます。環境や健康は水に左右されること
は確かで、水の処理や飲用水の提供を行
うには進んだ技術が必要です。
フランス全体では、総延長856,000㎞の
水道管を用いて2300万世帯に飲料水が
供給されており、62億㎥が課金されてい
ます。実に様々な形を持つ水環境（地下
水、河川、淡水の湖沼、湿地帯、沿岸、海
洋環境など）を理解することが、適切な水
管理の基礎となります。
水を扱う主要な業界は、資源、農業、水生
生態系の多様性、保健、都市、湾、河口、沿
岸地帯と関係を持っています。このような
業務や水を扱う技術を学習するコースは、
今日では水の管理だけでなく、汚泥やゴミ
の管理、土壌の汚染除去、環境（大気、水、
土壌）の質の測定、水処理施設の最適利
用など、環境保護を重視して進められてい
ます。海洋・沿岸科学に目を向けると、海洋
生物科学の分野では海洋資源や沿岸環境
の保全に重点が置かれています。
再生可能なエネルギーの一つとして水を
活用することで地球内部の熱を利用する
地熱資源の開発を進め、蒸気や熱水の形
でエネルギーを生産することができます。
このエネルギーは生産後回収され、供給
されて暖房設備を動かすために用いられ
るため、建物や住宅の建設に応用するこ
とができます。
サブカテゴリ : 水工学、水の地政学、地球科学、土質
工学、地熱、水力学、水力発電、水理地質学、水路測量
学、水文学、水圏、水系
職業分野、職種 : 環境の監視・保守管理、資源管理、
飲用水供給、下水処理など、具体的に水分野に関係す
る仕事に13万人が携わっています。職種は化学者、水
道業者、水理学者、水処理業者など多岐にわたってお
り、必要な資格の水準も様々です。
関連分野
- 農業（農業資源、散水、灌漑など）
- 水産養殖、水族館学
- 化学（分析、測定、薬学、処理）
- 海洋生化学
- 生物学（農業生物学、微生物学、水生環境）
- 気候学（気象学）
- 生態学（森林、海洋）
- 建設（ダム、下水処理施設、
プール、水道管など）
- 温泉（源泉、温泉地、温泉療法）
2010年3月
カリキュラムの編成
250以上のコースが用意されており、飲料水および工業用水の処理・供給は、
下水の回収、浄化、処理に関わる職種をターゲットとするコースの柱として扱
われています。
Brevet de Technicien Supérieur
(Bac+2)
80近くに達するBTS課程のうち3分の2は農業分野に設置されており、上下水
道の運営、農業用水の管理、都市・農業用水利の整備などの専攻が設けられ
ています。農業高校でも水産養殖を専門に取り扱う10程度のBTS課程が用意
されています。
Diplôme d’Études Universitaires Scientifiques et Techniques
(Bac+2)
現在でも地球科学、海洋と関連する職業教育（港湾業務、沿岸・海洋整備、水
産物活用）を専門とする6つのコースが大学に設けられています。
Licence (Bac+3)
科学、工学、医療関連分野に設置されている約50のLicence professionnelle
(職業学士課程)のうち、半分以上は環境保護に関わるものです。
‐水と関連する身体・スポーツ活動
‐工場や水道網への活用、農村・都市部における利用、測定、品質管理など、
水道の利用および社会基盤整備
‐水、汚泥、廃棄物の管理および処理
‐水を用いた健康回復・向上を目的とする施設の運営
‐健康増進のための水の製造技術・管理
農学、水産養殖、水族館学の分野では、持続可能な農業における水の使用に
ついても専門的に学習します。
Master (Bac+5)
地球科学、環境科学、法学の総合学士号を取得している学生は、科学、工学、
医療関連分野に設けられた100程度の修士課程に登録することができます。
Les Masters professionnels
- 生態系の生物学、微生物学、医薬品、保健専攻。
- 法学、経済学、経営学では、公法・私法、ビジネス法、
リスク管理を専門に学ぶ
ことができます。
- 地球科学・環境科学：地下水、化学的・物理的水理地質学、水系・流域工学。
- 人文・社会科学では、歴史学、国土・社会を研究対象とする地理学（整備・開
発、地質工学、土木工学）。
Les Masters recherche
- 科学、工学、医療関連分野では、地球・環境科学、生態学、水文学分野に属す
る課程が30以上設けられています。
- 農学（農業資源）、生物学（森林生態学、水生微生物学）、化学（医薬、物理化
学、工業化学）分野に10以上の課程が設置されています。
- 海洋・沿岸科学分野で物理学、地球科学、沿岸環境の評価および管理につい
て専門的に学ぶ課程が10ほど存在します。
Les diplômes d’ingénieur et Mastères Spécialisés (MS)
工学学校では、CTI（工学資格委員会）の認定する免状、ならびに二重の資格
取得を目的とするコースにおいてはグランゼコール会議の認定する特別修士
号を授与しています。
• L’ENGEES (École nationale du génie de l’eau et de l’environnement de
Strasbourg) : http://www-engees.u-strasbg.fr/site/index.php?id=921
• L’ENGREF (École nationale du génie rural des eaux et des forêts) de l’Institut
des sciences et industries du vivant et de l’environnement AgroParisTech
(Clermont-Ferrand, Montpellier, Nancy, Paris) : www.agroparistech.fr
• L’Ense3 (École nationale supérieure de l’énergie, l’eau et l’environnement)
à Grenoble : http://ense3.grenoble-inp.fr
• L’ENSI (École nationale supérieure d’ingénieurs de Limoges), spécialité Eau
et environnement : www.ensil.unilim.fr
• L’ESIP (École supérieure d’ingénieurs de Poitiers), spécialité Eau et génie
civil : http://esip.univ-poitiers.fr
• Polytech’Lille (École polytechnique universitaire de Lille 1), spécialité Génie
de l’eau : www.polytech-lille.fr
• Polytech’Nice (École polytechnique universitaire de Nice Sophia Antipolis),
spécialité Génie de l’eau - Hydroinformatique et Gestion des services publics
: www.polytechnice.fr
• Polytech’Montpellier (École polytechnique universitaire de Mont-pellier),
spécialité Sciences et technologies de l’eau :
www.polytech.univ-montp2.fr
Ecole doctorale
環境科学分野では、水に特化した研究を実施するécole doctoraleが存在し、様
々な方面で活用されています。
• Laboratoire de Chimie et Microbiologie de l’Eau (LCME) de l’école doctorale
Gay Lussac du PRES Limousin-Poitou-Charente : http://lcme.labo.univ-poitiers.
frにて水の化学・微生物学が研究されています。
• 流域および地下水脈については、Laboratoire d’HYdrologie et de GEochimie
de Strasbourg (LHYGES) : http://lhyges.u-strasbg.frで研究が行われています。
• L’école doctorale SIBAGHE (Systèmes intégrés en biologie, agronomie,
géosciences, hydrosciences, environnement) à l’université Montpellier 2 :
www.sibaghe.univ-montp2.fr では、大陸水や社会についての研究を行ってい
ます。
•   環境科学分野を研究対象とする講師兼研究者 2 5 名および博士課程の
学生20名が在籍するリモージュのGroupement de Recherche Eau, Sol,
Environnement (GRESE) では、水理地質学および汚染水・土壌の処理に関する
研究が行われています。www.filiere-eau.fr/site/
• 水文学の研究機関は以下の通りです。Laboratoire d’étude des transferts
en hydrologie et environnement de l’école doctorale Terre - Univers Environnement de Grenoble :
www.lthe.hmg.inpg.fr/LTHE/spip.php?article184
l’école doctorale des Sciences de la Terre, de l’Univers et de l’Environnement
de Strasbourg, Laboratoire d’Hydrologie et de Géochimie : www.unistra.fr/
index.php?id=1854
• 水質、水の社会・技術的管理、量的水文学については、以下の研究機関で
学ぶことができます。Centre d’enseignement et de recherche Eau, ville,
environnement – Laboratoire génie urbain, environnement, habitat
(CEREVE-LGUEH) à l’université Paris 12 : www.enpc.fr/cereve
主な研究テーマ
飲用水や工業用水の物理化学的・生物学的な処理方法については現在研究途
上で、都市から排出される下水の処理技術、下水処理水の管理を向上させるこ
とが研究目標となっています。水文学や水の循環に関する研究は、実験室で営
まれる研究の中核を常に担っています。
• CEDRE (Centre de documentation, de recherche et d’expérimen-tations
sur les pollutions accidentelles des eaux) : 実用的指針（水の偶発的汚染に対
する生態学的追跡、分散凝固剤を用いた海洋の石油層の処理など）や化学処
理に関する指針の策定、
『海洋と沿岸（Mer et littoral）』
『内水(Eaux intérieures)
』
という題の技術情報誌の発行を行っています。2008年には、数名の博士課程
学生を含む179名の外国人実習生が研修を受講しましたwww.le-cedre.fr
• Cemagref科学・水・国土研究院は、環境を専門とする科学技術の研究機関で
す。Cemagrefの科学系専攻課程である
「水資源・利用とリスク」および「水生環
境・品質・廃棄物」の外国人受け入れ指針は、以下のサイトの「科学技術：高水
準の研究者の受け入れ（Sciences et technologie : accueil de chercheurs de
haut niveau）
という欄から読むことができます。www.cemagref.fr
• CIRCLEは気候変動の影響に関する研究計画を実施する機関が加入する、欧
州規模のネットワークです。www.circle-era.net
• L’IFREMER (Institut Français de Recherche pour l’Exploitation de la Mer):水
産養殖に関する研究機関で、水生資源の監視や最適利用、沿岸地帯における
水資源管理なども研究対象としています。
- 水と関連する550本の博士論文が以下のサイトで公開されています。www.
ifremer.fr/docelec
- 有期契約で外国人研究者を雇用しているほか、博士課程・ポスドク向け奨学
金を支給しています。www.ifremer.fr
世界におけるフランス
スエズ・インターナショナル、
ヴィヴェンディ・ウォーター、
さらにはグループ内の
ジェネラル・デ・ゾー社がフランスの水事業を担うヴェオリア・アンヴィロヌマン
社などは、環境分野（水、衛生、エネルギー、交通）に関わる業務で世界を主導し
ており、東欧やアジア
（中国、韓国、マレーシア、
フィリピン、台湾、
タイ）
で急成長
を遂げています。
フランスはまた源泉を多く有しており、70種類のブランドの水が商品化されて
います。
ダノン（バドワ、エヴィアン）、ネスレ（コントレックス、ペリエ、ケザック、
ヴィッテル）、キャステル（ヴィシーセレスタン、サンティヨール）など、大規模な
食品企業グループが全世界で販売展開しているものもあります。
• Agences de l’Eau : 国際的な協力活動を進めており、当機関が地域で独自に
進める協力活動に関する情報がサイトに掲載されています。www.aquacoope.
org/ACODIA/
• Le Conseil mondial de l’eau (英語名：The World Water Council) - マルセイ
ユに本部を置き、世界における水問題解決に向けNGOや政府、国際機関の国
際的協力を推進しています。50か国の300以上の機関が加盟しています。www.
worldwatercouncil.org
• L’IME (Institut Méditerranéen de l’Eau) : 地方自治体と水、下水処理、灌漑の
専門家（職員、技術者など）
との地中海規模での協力を進展させるため、1982
年にラバトで設立された機関です。www.ime-eau.org
• Le Programme Solidarité Eau (PSEau) : 水、下水処理、協力事業の分野で活躍
するフランスおよび外国の機関のネットワークです。www.pseau.org
役に立つリンク
• Agences de l’eau : www.lesagencesdeleau.fr
• Association Scientifique et Technique pour l’Eau et l’Environnement
(ASTEE) : www.astee.org
• Comité National de l’Eau (CNE) : www.comitenationaldeleau.fr
• Eau dans la ville : www.eaudanslaville.fr
• Eau douce : www.cnrs.fr/cw/dossiers/doseau
• Eau et santé : www.invs.sante.fr/surveillance/eau_sante/
• Eau France : www.eaufrance.fr
• Gest’eau Outils de gestion intégré de l’eau : www.gesteau.eaufrance.fr
• Office International de l’eau : www.oieau.org
• Office National de l’Eau et des Métiers Aquatiques (ONEMA) : www.onema.
fr
• Ministère de l’écologie, de l’énergie, du développement durable et de la
mer : www.developpement-durable.gouv.fr/+-Eau,22-+.html
• Observation et statistiques de l’environnement - Eau : www.ifen.fr/accesthematique/eau.html
• Partenariat français pour l’eau (PFE) : www.partenariat-francais-eau.fr
• Service Hydrographique et Océanographique de la Marine (SHOM) :
www.shom.fr
• Voies Navigables de France : www.vnf.fr
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