文部科学省後援 1級(洋楽系) 受 検 要 項 平成21年度版 はじめに 音楽文化創造が実施する「音検一級」は幅広い音楽知識・技能を基に、アマチュアから指 導者まで、深く音楽に関わっている方を対象に平成17年度から実施されています。 1 級の課題は、音楽文化創造が現在行っている音楽検定5級から2級の検定内容(音楽を 聴いてさまざまな設問に答えるAカテゴリー、音楽の構成要素や構造などを聞き取り、基礎的 な音楽理論と結びつけて答えるBカテゴリー、音楽の一般的な知識を問うCカテゴリー等)を 統合した「総合課題」と「編曲課題」で構成されます。 生涯学習社会の広がりとともに音楽を学ぶ人々のニーズも多様化し、クラシックからポップ ス・伝統音楽に至るまで、さまざまなジャンルの音楽を楽しみたい、またいろいろな演奏形態 で楽しみたい、との声が増えてきています。 そこでこれらの生涯学習サークルのリーダーや指導者には、初級から上級まで色々なレベ ルの人たちが、ともに楽しめる音楽活動の場を用意し、音楽の楽しみを多くの人たちに広げる ことが、望まれています。 「音検1級」ではこれらの生涯学習の場において、リーダーとして、指導者として必要となる 音楽知識や編曲の技能の指針を示し、音楽活動が豊かに広がることを願って実施するもの です。 □検定内容 《総合課題》 (問題数 50 問) <クラシック> ・ 楽曲を聴いてその「曲名」、「作曲者名」、「作品の時代・様式、作曲者のエピソー ド」、「楽器法、スコアの書法」、「スコア・リーディング」、「室内楽の書き取り聴 音」「アーティキュレーションの記入」等について答える。 <ポピュラー> ・ 楽曲を聴いてその「曲名」、「ジャンル」、「楽器編成」、「パーカッションのリズム 譜」、「聴音(メロディー・コード)」、「演奏法」、「楽曲の背景、エピソード」等につ いて答える。 <邦楽> ・ 楽曲を聴いて「箏曲の作曲年代」、「三味線音楽のジャンル」、「民謡に関係の深 い地域」等を答える。 ・ 「箏・三味線・尺八・笛」など日本音楽について答える。 <音楽全般の知識> ・ 音楽に関する一般知識、音楽史、著作権など、社会と音楽の関わりについて答 える。 《編曲課題》(1問) ・ 与えられたメロディー(既成の16~24小節程度の歌曲)をもとに適切なハーモ ニー付けをして、指定された楽器群の中から3種類以上の楽器を選び、4パート 以上の編成で編曲する。 1 □出題の要素と解説 ❊参考書「音検 過去問題1級(洋楽系)2006 年度実施問題と解説」もご活用ください。 購入方法は、音楽文化創造のホームページをご覧ください。 《総合課題》 <クラシック> 楽曲を聴いてその「曲名」「作曲者名」「作品の時代・様式、作曲者のエピソード」「楽 器法、スコアの記譜法」「スコア・リーディング」「室内楽の書き取り聴音」「アーティ キュレーションの記入」等について答える。 ・ 出題される楽曲は「音検 年度版過去問題2級(洋楽系)」の使用楽曲参考例に 準じます。 ・ 「楽器法」では楽曲の楽器編成、スコア記譜法、移調楽器などについて出題され ます。 ・ オーケストラで通常使われる移調楽器は、木管楽器ではクラリネット、イングリッ シュ・ホルン、金管楽器ではホルン、トランペット等があります。 A管、Bb管(クラリネット) クラリネット in A とその実音表記 モーツアルト作曲 「クラリネット協奏曲」より F管(ホルン) ホルン in F とその実音表記 〜 〜 ドヴォルジャーク作曲 「新世界」より 2 ・ その他Eb管のクラリネット(実音は短3度高くなる)、Bb管でオクターブ低いバス クラリネットやBb管・Eb管のサクソフォーンなども大編成のオーケストラでは使 われます。又、ヴァルブ装置が発明される前(19世紀の初め頃まで)の金管楽 器はC、D、Ebなど色々な調に対応した楽器を使用し、調号は用いずに記譜し ました。 ・ スコアの記譜法の課題に関しては「スコアの配列」、また「con sordino、pizz.」な ど奏法指示の用語についての設問があります。 ・ 聴音の課題は以下の2種類があります。 ① 記譜の間違い(音高、リズム、奏法指示標語、記譜される場所)を指摘 したり、指定された部分の和音が正しく表記されているか音源を聴きな がら読みとります。つまり音源とオーケストラ・スコアを様々な角度から 照合・検討して音楽を捉える力を検定することになります。 ② 木管五重奏、金管五重奏などの室内楽曲を聴いてスコアのブランク部 分の楽譜を書く問題です。ブランクの箇所は5カ所程度、計12小節程 度の書き取り聴音です。音楽にはクラリネットやホルンなどの移調楽器 が含まれます。移調楽器はその楽器用の記譜で書いてください(実音 表記は不可)。 <ポピュラー> 楽曲を聴いてその「曲名」「ジャンル」「楽器編成」「パーカッションのリズム譜」「聴 音(メロディー・コード)」「演奏法」「楽曲の背景、エピソード」等について答える。 ・ 20世紀は、ポピュラー音楽が多くの人々の支持を受けて様々な音楽シーンを 形成してきました。レコード・CDなどの録音物、ラジオ・テレビなどマスコミュニケ ーションの発達が、広い地域の人々に愛好される音楽を誕生させ、まさに国境 を越えて普及する時代となりました。 ・ 20世紀初頭にアメリカで誕生したジャズ、そして同じ頃、カリブ諸島にもフランス にもイタリア・スペインにも、またアジア諸国にも、民衆の音楽としてポピュラーソ ングが作られ、それが生まれた地域のみならず世界中の人々に愛好されてきま した。 ・ 数々の楽曲の中からよく知られた楽曲を取り上げ、その音楽内容、代表的なア ーティスト・作曲家に関するエピソード、リズムや特徴的な形式など様々な角度 から出題されます。取り上げられる楽曲は特に限定しません。 ・ ジャンルはジャズ、ポップス、ロック、R&B、ラテン(ルンバ、サンバ、マンボ、チ ャチャチャ、ボサノバ、レゲエ、サルサ、タンゴ)、シャンソン、カンツォーネなど幅 広く出題されます。 ・ 音楽を聴いて楽曲の背景、作曲者のエピソード、楽器の編成、パーカッションの リズム譜、メロディーやコード、奏法などについて、3つまたは4つの選択肢から 解答用紙に記入します。 <邦楽> 楽曲を聴いて「箏曲の作曲年代」「三味線音楽のジャンル」「民謡に関係の深い地域」等 について、また「箏・三味線・尺八・笛」など日本音楽に関する設問等について答えます。 「箏曲」 ・ 箏曲に関してはその楽曲の作曲された時代を問います。時代区分は江戸時代、 明治時代、大正・昭和前期、昭和後期・現代の4区分です。それぞれの時代の 3 音楽的な特徴を代表的な楽曲を聴いて把握しておいてください。 (江戸時代) 八橋検校(1614−1685)が近世箏曲を大成させ、今日の基礎を築いた(六段 の調、乱、など)。18世紀後半には山田流箏曲がおこり、歌を重要視し、爪や楽 器の改良などを行いました(江ノ島の曲、熊野、など)。江戸期の箏曲には、器 楽で演奏される部分に重点を置いた「京風手事物」、(菊岡検校「夕顔」「茶音 頭」、石川勾当「八重衣」など)や幕末期の箏曲、(吉沢検校の「千鳥の曲」など) があります。 (明治時代) 西洋諸国からもたらされた様々な文化の影響を受けたこの時代、箏曲の世界も また調絃法や演奏法など新しい試みがなされました。菊塚与市「明治松竹梅」 菊末勾当「嵯峨の秋」などがあります。 (大正~昭和前期) ここでは大正時代から第二次世界大戦終了までの時代を指します。箏曲界が 生んだ天才作曲家・演奏家 宮城道雄(1894-1956)が活躍したこの時代は、日 本音楽の伝統に西洋音楽の要素を盛り込もうとした音楽運動が広がった時代で、 新しい感覚の箏曲が作曲されました。宮城道雄「春の海」「水の変態」「さくら変 奏曲」、久本玄智「春の恵み」、中能島欣一「赤壁の賦」など。 (昭和後期~現代) 第二次世界大戦後、西洋音楽界では新しい技法による音楽作品が次々に生み 出されました。邦楽界もこれらの新しい音楽の影響を受けた現代邦楽作品が作 られると共に、新しい表現様式を求めて合奏集団や、演奏グループが誕生し、 それらの団体に向けた作品が邦楽界の作曲家のみならず西洋音楽の世界で活 躍する作曲家からも多くの作品が寄せられました。唯是震一「神仙調舞曲」、山 本邦山「壱越」、沢井忠夫「螺鈿」「三つのパラフレーズ」などがあります。 ・ この上記4つの時代区分の中から一つを選ぶ形で答えます。 「三味線音楽」 三味線音楽を聴いてどのジャンルに当てはまるかをこたえます。 扱われるジャンルは「義太夫」 「長唄」 「地歌」 「新内」 「小唄」 「端唄」 「清元」 「常磐津」です。4択の中から答えます。 「民謡」 民謡を聴いて関係の深い都道府県名を4択の中からこたえます。 「日本音楽」 指定された箏の調絃を、指示された音から五線譜に書きます。同じく三味線の 調子を指示された音から五線譜に書きます。三味線の調子は「本調子」「二上 り」「三下り」「六下がり」が出題。また尺八、笛(神楽笛、竜笛、高麗笛、能管、篠 笛、篳篥、笙)について、楽器、奏法、曲名などが出題されます。 4 <音楽一般知識> 音楽に関する一般知識、音楽史、著作権等、社会と音楽の関わりについて出題されます。 ・ 「音楽に関する一般知識」として、ホールや録音・音響(PA含む)に関する知識、 音楽会場、舞台などの構造や名称、楽器の構造に関する基本的な知識などが 出題されます。 ・ 「音楽史」では作曲者や著名な演奏家に関する簡略な年譜やエピソード、各時 代の代表的な音楽作品や時代・様式の特徴など。 ・ 「社会と音楽の関わり」については、著作権に関する基礎知識、コンピューターと 音楽、インターネット、音楽の流通に関する現在の状況など、新聞等で話題にな っている事柄が出題されます。 《編曲課題》 与えられたメロディー(既成の16~24小節程度の歌曲)をもとに適切なハーモニー付 けをして、指定された楽器群の中から3種類以上の楽器を選び、4パート以上の編成で編 曲する。 ・ この「編曲」では与えられた楽曲に対して適切な和声付けを行い、用いる楽器の 特性を踏まえた編曲を行います。前奏、間奏、後奏など必要に応じて付け加え る事も可能です。長さは 1 コーラス以上とし、制限時間は2時間です。 ○編曲にあたって ・ 使用できる楽器群 フルート、オーボエ、クラリネット(Bb 管、A 管)、ファゴット、ホルン(F 管)、サクソ フォーン(ソプラノ(Bb 管)・アルト(Eb 管)・テナー(Bb 管)・バリトン(Eb 管))トラン ペット(Bb 管、C 管)、トロンボーン、テューバ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、 コントラバス、ピアノ * サクソフォーンは、ソプラノ・アルト・テナー・バリトン各々1種類 と数えます。その他の楽器の移調楽器については、同一種類とします。 ・ 編曲にあたっての注意 ① 移調楽器については、何調の管を使用するかを明示し、記譜について は、各々の楽器用の記譜を用いて編曲する(実音表記は不可)。 ② 調、拍子の変更は自由。 ③ Tempo は必ず標記すること。 ③ ダイナミックス、アーティキュレーションは編曲意図にそって表記するこ と。 5 《編曲課題 範例》 それぞれの楽器の特性や編成の特長を生かしたさまざまなアレンジが考えられます。 一例として下記の譜例をご参照ください。 <課題曲> a b の c 峠の我が家(アメリカ民謡) a 1段目 弦楽四重奏による Gdur(原調) ~ 6 b 3段目 木管五重奏による Fdur ~ c 4段目 金管五重奏による Cdur 7 □受検資格、出題方法、テストの流れ ≪受検資格≫ ・年齢、資格は問いません。 ≪出題方法≫ ・ 出題の方法は、「総合課題(50 問)」では、CD 音源による課題の提示問題と音 源を使用しない問題があり、解答は選択肢から選ぶ問題と、音符などを記入す る筆記試験とがあります。 ・ 「編曲課題(1題)」では、検定用の指定された五線紙に記入します。 ≪テストの流れ≫ ・ 「総合課題」が 90 分、約 20 分休憩の後「編曲課題」120 分で実施致します。 ・ 「総合課題」では、問題用紙、問題用楽譜、解答用紙、メモ用五線紙、 「編曲課題」では、課題メロディー、提出用五線紙、メモ用五線紙をお渡し致しま す。 ・ ご用意いただく物:筆記用具、定規、消しゴム、時計(携帯電話は不可)。 ≪合格基準≫ ・ 総合課題・編曲課題の各々正答率が 70%以上を合格とします。 ・ どちらかの課題(総合課題又は編曲課題)が 70%に満たない場合、その課題の み次回に追試受検することが出来ます。 ・ 追試受検の有効期間は 2010 年度から 2012 年度受検まで。 ≪検定料≫ ・ 15,750 円(検定料 15,000 円+税 750 円) ・ 追試:10.500 円(検定料 10,000 円+税 500 円) ≪検定日時≫ ・ 平成22年2月14日(日) 13:00~17:00 (オリエンテーション 10 分、休憩 20 分含む) *当日事情により、終了時間が少し延びる場合があります。 時間には余裕を持ってお越しください。 ≪検定会場≫ 全国主要都市5ヶ所(東京・大阪・名古屋・福岡・札幌)で実施予定。 会場は決定しだいホームページにてお知らせいたします。 8 ≪申込方法≫ ・ 別紙「受検願書」を(財)音楽文化創造へ郵送して下さい。 ・ 願書には必ず写真を貼付して下さい。(サイズ縦 3cm 横 2.4cm、カラー、最近半 年以内撮影。尚、写真は合格証に使用いたします) ・ 検定料金は、願書受付後事務局より音検出願郵便振替用紙をお送りしますの で、郵便局にて払込をお願い致します。 ・ 検定料払込後、受検票や会場地図、受検の注意事項等の書類を、検定日の 10 日前までに受検者様宛にお送り致します。 ≪申込締切≫ ・ 平成22年1月15日(金)郵便消印まで有効 9
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