台風も去り、めっきり秋らしくなりまし た。

台風も去り、めっきり秋らしくなりまし
た。皆様、いかがお過ごしでしょうか。
今月末にはHalloweenですね。日本でも
よく大きなオレンジ色のかぼちゃを街中
で見かけるようになりました。
Trick or Treat?!
さて今回は、10月上旬に米国ETSより来日したテスト開発部
門のEmilie Pooler氏による一連の次世代TOEFL(iBT)テス
ト関連イベントについて「iBT探検隊」でご報告していま
す。
「必見!耳より情報」では、日米教育委員会によるアメリカ
留学相談会のお知らせ、カナダ・アイルランド大使館が合同
で実施する留学フェアや、日本人初TOEFL理事会理事の廣田
和子氏の活動報告を掲載。人気の高い慶應義塾大学湘南藤沢
キャンパスの鈴木佑治教授による「日本から発信する英語」
は第9回目を迎え、ボノボというチンパンジーの一種のカン
ジ君の言語マスターにみる語学習得について、面白い内容の
コラムとなっています。また、「留学生インタビュー」は、
現在米国で幼稚園教諭として勤務されながら大学へ通う峰村
紀子さんにお話を伺いました。
今月のTOEFLメールマガジンもどうぞお楽しみください。
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TOEFLは、エデュケーショナル・テスティング・サービス(ETS)の登録商標です。
Helping Your Students Communicate with Confidence: The Next Generation
TOEFL Approach
内容:
Facilitator:
プレスミーティング
情報セミナー(×2セッション)
教育者ワークショップ(×2セッション)
Ms.Emilie Pooler
Test Developer, ETS
Dr.Megumi Kawate-Mierzejewska
Temple University
Japan
一連の流れ
10月8日
(金)
10月9日
(土)
10月10日
(日)
10月11日
(祝)
10月12日
(火)
プレスミーティング 東京
CIEE日本代表部 レセプションエリアにて
情報セミナー
東京
テンプル大学ジャパン 212にて(協力)
教育者ワークショッ
東京
プ
テンプル大学ジャパン 212にて(協力)
教育者ワークショッ
東京
プ
情報セミナー
大阪
こどもの城 902−903にて
阪急ターミナルビル 17F いちょうの間
にて
実施内容
2005年9月に導入予定の次世代TOEFLテスト(iBT, Internet Based Testing)の情報をお知らせするセッ
ションが様々な形式で全世界に先駆けて日本で実施されました。TOEFLテストを開発し実施・運営す
るETS(Educational Testing Service)よりテスト開発部門のEmilie Pooler氏が来日し、iBT情報をお
伝えするとともに、皆様の疑問にお答えする初めての試みでした。
プレスミーティング(8
日)
14:00∼15:00
CIEEレセプション ETSショーケースエリア
次世代TOEFLテストにご興味をお持ちの5社8名の皆様に、Face to faceでのプレスミーティング
となりました。 ETSのテスト開発スタッフ(Emilie Pooler氏)によるプレス プレゼンテーション
は日本初の実施であり、出版関係者の皆様からも次世代TOEFLテストに加わるIntegrated Skill
やSpeakingセクションについて、また現行のTOEFL-CBT、TOEFL-PBTとの関連性など様々なご
質問をいただきました。残念ながらテストセンターや受験料については、決定次第の情報ご提
供となりますが、テストの開発過程・大学での運用などについては十分ご理解いただけたので
はないかと思います。
*先日、米国ETSより今後のTOEFLテストセンターに関して、トムソン・プロメトリック社との
契約更新が締結されたニュースがリリースされました。 → こちらをご覧下さい。
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情報セミナー
(9
日)
(12
日)
14:00∼16:30
テンプル大学ジャパン(協力)
18:00∼20:30
阪急ターミナルビル 17F
大学の教職員の皆様をはじめ、高等学校や語学学
校など教育関連業務に携わる皆様に、「次世代
TOEFL(iBT)テストとは何か」をお知らせする情報
セミナーは、10月9日(土)に東京で、12日
(火)に大阪において実施されました。9日は史
上最強といわれた台風22号が関東地方を直撃した
日でもあり、朝から雨が降るあいにくの天候にも
かかわらず、50名を超える多くの熱心な教育関係
者の方々にご参加いただきました。
このセミナーでは、次世代TOEFLテスト自体につ
いての説明や、今後現行のTOEFLテストとの比較
が必要になることからも換算表が作成されている
点について説明がありました。ただ、次世代
TOEFL(iBT)は今までのテストとは異なるテストである点が強調されました。大学の国際交流
センターや留学を担当されている部署の職員の皆様、高等学校などの英語科の先生方が熱心に
Pooler 氏の説明に聞き入っていらっしゃいました。
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教育者ワークショッ (10
プ
日)
(11
日)
9:30∼17:00
テンプル大学ジャパン(協力)
9:30∼17:00
こどもの城
次世代TOEFL情報セミナーに引き続き、10日に南麻布のテン
プル大学ジャパン、11日に渋谷のこどもの城で開催された教
育者ワークショップにも、多くの教員を含む教育関係者の皆
様にご出席いただきました。ワークショップは、次世代
TOEFLテストの概要をご理解いただくとともに、新しいテス
トへのアプローチとその教授法についてディスカッションを
しながら進めていくセッションとなりました。グループに分
かれ、実際の教室を想定したやり取りや、特に発言にはシャ
イな日本人生徒たちに、どのように積極的に発言をさせるよ
うな環境を作るかについて話し合われました。参加者が生徒
になったつもりで、カードを使ったアクティビティーも盛り
込まれており、打ち解けた雰囲気の中でワークショップが行
われました。
また、Speakingセクションの回答のスコアリングに関して、スコアごとのサンプル回答が音声
で流れると、参加者の方々は真剣に聞き入っていらっしゃいました。Pooler氏からいくつに採点
するかという問いかけに、会場からは参加者のみなさんの思い思いのスコアが飛び交いまし
た。その後、どのような基準に基づいて採点が行われるかについて説明があり、皆様も納得さ
れたご様子でした。
9時半から17時までという長丁場で盛りだくさんの内容でしたが、次世代TOEFLテストのすべて
をお伝えするにはまだまだ時間が足りませんでした。ワークショップにご参加いただいた方々
よりフィードバックシートをいただき、様々なコメントを頂戴しましたが、「参加してよかっ
た」というお声が多くあり、この度のセミナー、ワークショップはご満足いただけるもので
あったのではないかと思います。上記のセミナーおよびワークショップは、日本を皮切りに韓
国、中国、台湾、メキシコ、カナダなど世界の主要各国で開催されます。今後、新たな情報が
届き次第、皆様には当協議会のホームページをはじめ、このTOEFLメールマガジンでもお伝え
してまいります。
なお9日セミナー、10日ワークショップに関しましては、テンプル大学ジャパンの多大なご協力
をいただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
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TOEFLは、エデュケーショナル・テスティング・サービス(ETS)の登録商標です。
去る8月5日(木)、米国TOEFL理事会の理事を務める廣田和子氏が、飛騨アカデミー(名誉塾長:小
柴昌俊・東京大学名誉教授・ノーベル物理学賞受賞者)「夢のたまご塾」にて、全国から集まった高
校生43名を対象に講義を行ないました。この飛騨アカデミーは、古川町・神岡町・河合村・宮川村が合
併し、新しく誕生した飛騨市の市民団体が中心となり、飛騨市の協力を得て誕生した団体です。その
目的は、世界各地で活躍する教育者・著名人を自然豊かな飛騨に集め、全国各地から集まった青少年
と交流を通じて大きな夢を育んでもらう"というもの。セミナーは8月3日より始まり、講師として廣
田氏をはじめ、小柴昌俊氏と同じくノーベル物理学賞を受賞されたジェローム・フリードマン氏(マ
サチューセッツ工科大学教授)を含む総勢11名の教育者・研究者が集いました。
廣田氏は講義の中で、自身の体験を交えながら「単なる科目の一つとしての英語ではなく、"自分の
意見"を表現するのに適した言語的特徴を持つ英語を学ぶことの大切さ」、「柔軟な思考力、精神的な
タフさ、素早い行動力、打たれても出る杭になれる"人間力"の重要性」、そして「効果的な英語の勉強
方法」について熱いメッセージを送りました。具体的には、英語のリーディング、ライティング、リ
スニング、スピーキングのすべてにおいて、自分がどう考え、どう思うのかを論理的に表現する力が
求められている(クリティカルシンキング)点を強調。講義中にもそれを実践する形で、一人一人にマ
イクを向けて"将来学びたい分野"を聞いたり、"英語の勉強方法"の説明の部分では、実際に高校生に
質問を投げかけ、高校生が答えるインタラクティブな場面もありました。最初はなかなか意見を言え
なかった学生も、次第に打ち解け、意見の交換が活発になり、必死にメモを取る姿が見られました。
学生からは、「自分の意見をどんどん表現して良い事がわかり、嬉しかった」、「目から鱗が落ちる
思いだった、学校の授業でも自分の意見を求められる事がほとんどなく、廣田先生のおっしゃったよ
うに自分の意見をもっと求められれば英語が大好きになる」といった声がありました。
講義終了後のアンケートでも、「先生の話を聞いていると、英語に対する昔の意気込みがふつふつ
と蘇って頑張ろうと思いました。」、「今まで勉強に少し息づまっていたけど、イメージが180度変
わってこれからの希望がわきました。」、「自分は将来についてそこまで深く考えてはいなかったけ
ど、自分の夢についてもっと深く考えていこうと思いました。」、「先生の最後の言葉に本当に勇気付
けられた、本当にありがとうございました」 等、色々なコメントがありました。講義終了後も、多
くの学生が廣田先生に質問を投げかけ、自身の体験談や、留学についての相談、中には個人的にカウ
ンセリングの話を廣田氏と話したいと言ってくる学生もおり、夜遅くまで学生との交流が続き、無事
飛騨アカデミー「夢のたまご塾」が閉会いたしました。
©コミュニケーションハウス
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(主催:カナダ大使館・アイルランド大使館、後援:外務省)
来月、カナダ・アイルランドの大学、または語学留学希望者を対象とした留学フェアが開催されま
す。
両国の各大学・カレッジの学校代表者と直接話ができる機会です。通訳がつきますので、日本語での
質問も大丈夫です。アイルランドの学校代表者の初の来日となるこの機会を是非ご活用ください。
** こちらのフェアはすでに終了いたしました **
日時:
会場:
アクセス:
2004年11月3日(祝) 10:00∼17:00
カナダ大使館4階および地下2階シアター
都営地下鉄 大江戸線/東京メトロ 銀座線・半蔵門線「青山
一丁目」駅
A4番出口より徒歩5分
【プログラム内容】
10:00∼
11:00∼12:00
12:00∼12:30
13:00∼14:00
15:00∼16:00
オープニング
カナダ留学セミナー(高等教育)
カナダビザ説明会
アイルランド留学セミナー(高等教育)
各国留学体験談
【参加予定校】
カナダ-------------------アケーディア大学 (Acadia University---Wolfville, Nova Scotia)
トロント大学 (University of Toronto---Toronto, Ontario)
マニトバ大学 (University of Manitoba---Winnipeg, Manitoba)
トレント大学 (Trent University---Peterborough, Ontario)
アルゴマ・ユニバーシティカレッジ (Algoma University College---Sault Ste
Marie, Ontario)
ウィニペグ大学 (University of Winnipeg---Winnipeg, Manitoba)
レッドディアーカレッジ (Red Deer College---Red Deer, Alberta)
ランガラ・カレッジ (Langara College---Vancouver, British Columbia)
ブリティッシュコロンビア大学 (University of British Columbia---Vancouver,
British Columbia)
クワントレン・ユニバーシティカレッジ (Kwantlen University College--Surrey, British Columbia)
ノバスコシア農業カレッジ (Nova Scotia Agricultural College---Truro, Nova
Scotia)
アルバータ大学 (University of Alberta---Edmonton, Alberta)
サイモン・フレーザ大学 (Simon Fraser University---Burnaby, British
Columbia)
マギル大学 (McGill university---Montreal, Quebec)
サスカッチュワン大学 (University of Saskatchewan---Saskatoon,
Saskatchewan)
アイルランド-------------------ダブリン大学トリニティ・カレッジ (University of Dublin,Trinity College--Dublin, Ireland)
ダブリン・シティ・ユニバーシティ (Dublin City University---Dublin, Ireland)
リムリック大学 (University of Limerick---Limerick, Ireland)
【詳細・お問い合わせ先】
カナダ大使館(広報部)
http://www.canadanet.or.jp
〒107-8503 東京都港区赤坂7-3-38
FAX:03-5412-6249
Email:[email protected]
**********
アイルランド大使館
http://www.embassy-avenue.jp/ireland/study/index.
html
〒102-0083 東京都千代田区麹町2-10-7 アイルラ
ンドハウス5F
Fax:03-3265-2275
Email:[email protected]
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(米国大使館商務部・日米教育委員会他 共催)
この度、東京10/24(日)、名古屋10/26(火)、神戸10/27(水)において「第13回アメリカ大学
留学フェア」が開催されます。
各大学がブースを設け、資料配布や個別相談などを実施します。
アメリカ国内への留学をご希望の皆様は、どうぞ参考になさって下さい。
** こちらのフェアはすでに終了いたしました **
CIEE TOEFL事業部もTOEFLコーナーを設け、TOEFLテストに関しての質問などにお答えします。
【お問い合わせ先】
登録先:アメリカ大使館商務部
TEL:03-3224-5843
アメリカ留学に関する一般的なご相談:日米教育委員会
TEL:03-3580-3231
WEB:http://www.fulbright.jp
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(主催:日米教育委員会)
毎年秋に全国各地で 実施されているアメリカ留学相談会が、本年も10月よりスタートしました。
この相談会では、教育機関で留学関連をご担当されている皆様を対象とした説明会とアメリカ留学希
望者を対象とした大学・大学院留学説明会・個人相談が行われます。このなかで当協議会もTOEFLテ
ストに関する説明会をあわせて実施します。
** こちらの相談会はすでに終了いたしました **
1.教育機関で留学関連をご担当されている皆様を対象とした説明会
プログラム内容
アメリカ留学最新事情、アメリカ留学に関する情報提供の方法と相談の
1.
受け方
2. TOEFL受験の準備と方法(国際教育交換協議会 TOEFL事業部 協力)
CIEE TOEFL事業部もTOEFLコーナーを設け、TOEFLテストに関しての質問な
どにお答えします。TOEFLに関してご質問のある方は、ぜひこの機会をご利
用下さい。
地域
福岡
那覇
開催日
11月5日
(金)
11月19日
(金)
開催時間
会場
15:00∼17:00 福岡県国際交流センター こくさい
ひろば
15:00∼17:00 沖縄県国際交流・人材育成財団
2.アメリカ留学希望者を対象とした大学・大学院留学説明会・個人相談
プログラム内容
1. アメリカ大学・大学院留学説明会
2. 個人相談会
3. TOEFL説明会(国際教育交換協議会 TOEFL事業部 協力)
CIEE TOEFL事業部もTOEFLコーナーを設け、TOEFLテストに関しての質問な
どにお答えします。TOEFLに関してご質問のある方は、ぜひこの機会をご利
用下さい。
地域
福岡
那覇
開催日
11月6日
(土)
11月19日
(金)
11月20日
(土)
開催時間
会場
10:30∼17:00 福岡県国際交流センター こくさい
ひろば
16:30∼20:00 沖縄県国際交流・人材育成財団
10:00∼14:00 琉球大学
【上記に関するお問い合わせ先】
日米教育委員会
http://www.fulbright.jp/j4/sodan.html
〒100-0014 東京都千代田区永田町2-14-2 山王グランドビル207号
TEL:03-3580-3231
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TOEFLは、エデュケーショナル・テスティング・サービス(ETS)の登録商標です。
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの鈴木佑治先生による、「ことば」に焦点をあてたコラムです。
9回目は「ボノボのカンジ君の素晴らしき英語能力」についてお話いただきました。
* SFCにおける鈴木研究室の取り組みは、こちらからご覧いただけます。
第9回目:
ボノボのカンジ君の素晴らしき英語能力
鈴木佑治 教授
1944年3月2日生まれ。
1966年、慶應義塾大学文学部英文科卒業。
1978年、ジョージタウン大学大学院博士課
程修了。
Ph.D(言語学博士)。
専門分野は、言語学(意味論、語用論)、英
語学。
目次
・ジョージア大学のスー=サベージ・ランボー
博士とボノボのカンジとパンバニーシャ
・1000の言語と約700の文のうち70%が理解で
きるカンジ
・誰かが言った言葉を理解perceptionだけでな
く、発信productionもできる
・コミュニケーションにおける言語、ピクニッ
クしながら
・カンジとパンバニーシャの理解力、推論する
力
・カンジ達が教えてくれるもの
ジョージア大学のスー=サベージ・ランボー博士とボノボのカンジとパンバニーシャ
ジョージア大学言語研究所のスー・サベージ-ランボーSusan Savage-Rambaugh博士(以降、
「スー博士」)は、霊長類のボノボBonoboがどれほど言語を覚えるのかを研究しています。ボノ
ボはチンパンジーの一種でピグミー・チンパンジー(pigmy chimpanzee)とも呼ばれ、知的能力
が高く2足歩行をするなど霊長類の中ではヒトに最も近いと言われています。 言語はヒトのみが
もつ能力なのか、ヒト以外の動物もその能力をもつのか、言語を考える上では大切な問題です
が、スー博士と一緒に暮らすボノボ達が獲得した言語能力は後者を肯定するにあまりあるもので
す。
さらに、もう一つ大切なことは、この言語能力は、研究対象として訓練をされた結果ではなく、
家族の一員として博士と生活を共にする過程で生まれた結実であるということです。日常生活を
共にする為には、コミュニケーションをとらなければなりません。その為に必要不可欠な言語が
たまたま英語であったというだけのことです。英語、英語と騒ぐ割にはあまり効果が上がってい
ない日本の英語教育に色々な意味で示唆を与えてくれる研究です。カンジとはスワヒリ語で「埋
もれた宝」という意味で、博士と生活を共にするうちに隠されていたボノボの能力が突如開花し
たことを表す素晴らしい名前です。筆者は、何年か前に放映されたNHKの特別番組「天才ザルカ
ンジ君、驚異の類人猿の智恵」でこれらのボノボに触れ、効果的な言語学習とは何か深く考えさ
せられました。
スー博士はもともとアフリカから連れてきたマタータ
というメスの成人ボノボに言語を覚えさせようとしま
した。カンジは生まれたばかりで、自分の母親よりマ
タータになつき、そのうちにマタータが母親代わりに
育てるようになりました。愛情で結ばれた集団生活を
営むボノボの世界ではこのようなことがよくあるそう
です。スー博士はマタータに一生懸命言語を教えよう
としましたがなかなかうまく行きません。マタータが
訓練を受けている間に生まれたばかりのカンジはいつ
もマタータの側で訓練の様子をみていました。スー博
士は、カンジはまだ小さくてことばは覚えられないと
思っていましたので教えることはせずにほっておきま
した。カンジはスー博士とマタータの側でいたずらをして遊んでいましたが、2歳半くらいにな
ると、突如、リンゴをとり上げて、写真のキーボードのところに行って沢山のキーの中からリン
ゴの絵が書いてあるキーを押したのです。キーボードは「apple」という音声を出しました。
【写真:特殊キーボードLexi-gramを使いスー博士と話すカンジ: [Susan Savage-Rambaugh著
The Ape at the Brink of the Human Mind. 1997, Brockman]より】
カンジは訓練されたのではなく、スー博士とマタータの側で見ているだけで自然に学習していた
のです。カンジは人間の子どもが母語を覚えるのと同じように日常生活の遊びなどを通して自然
に言語を覚えてしまったのです。
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1000の単語と約700の文のうち70%が理解できるカンジ
スー博士は、沢山の写真が載っているカードをカンジの前におき、自分の顔をお面で隠して、カ
ンジには声だけが聞こえるようにして次のように指示します。
Sue: See if you can find some mushrooms. (マッシュルーム
を探してごらん)
するとカンジは手前に並べられている、写真のついたカードの中からmushroomsが写っている
カードを選びます。このようにして、green beans, orange, melon, juice, kiwi…などをはじめとす
る物体を示す単語1000語を間違いなく選ぶことができます。
また、単語を選べるだけではなく、かなり込み入った抽象的な概念を表す文も理解できるので
す。スー博士が次のような依頼をします。
Sue: Give Doggie a shot. (ワンちゃんに注射してごらん。)
すると、カンジは側にある犬の人形を左手に取り、右手におもちゃの注射を取り上げて犬の人形
に注射をするまねをします。また、
Sue: Put the key in the refrigerator. (鍵を冷蔵庫に入れて)
と言うと、鍵を取り上げて冷蔵庫を開けて中に置き冷蔵庫を閉めま
す。
カンジは自分の周りにある物事の名前を覚え、普段する動作を示す単
語を覚え、いわゆる文型などの基本的な構文が理解できます。上の2
文を見ただけでも日本の中学校で習うS+V+O、S+V+IO+DOを機能的
に理解できなければ、これらの文が何を意味するのか分かりません。
2番目の文では、putという動詞は場所を示す副詞句locative(この文
ではin the refrigerator)を必要としますが、そこに託された大切な
情報をしっかりと理解して文が指示する行動をするのです。
スー博士達は文を言ってその文の示す行動をするように何度も訓練し
て条件付けたのではありません。これらの文はその場で作られたまっ
たく新しい文ですから、これらの行動も初めて行うもので訓練されて
覚えたものではありません。また、顔や表情や視線をヒントに理解したものではないことを示す
為に、顔を隠したり、カンジが見えないように別室からマイクを使って言ったりしていますか
ら、言語だけで理解していることは明らかです。こうした文が70パーセントぐらい理解出来るよ
うです。日本の中学校では3年間に教える英単語は1000語くらいですが、それでも英語の運用力
をつけることが出来ずに英語が苦手な生徒が沢山いると聞いています。カンジと仲間のパンバ
ニーシャは、日本の平均的な中学生以上の英語力を持っているかもしれません。生徒が悪いので
はなく教え方に問題があると言えるのではないでしょうか。
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誰かが言ったことばを理解perceptionだけではなく、発信productionもできる
カンジは相手の言ったことを理解できるだけではなく、自分の意思を言語で発信することができ
ます。ボノボも含めて、ヒト以外の霊長類はどれほど知能が高くても、言語を発声する器官が
整っていません。ヒトのそれは恐ろしく発達しています。脳神経を勉強してみれば分かります
が、ヒトの運動器官の神経が集まる大脳皮質のブロードマンBroadmannの第4野における、5本
の指と、特にことばを発声する為の口、唇、舌を司る神経の占める割合は他の体の部位と比べる
ととてつもなく大きく、ヒトの口、舌、唇は食べることだけではなくことばを話す為にそのよう
な状態になったことが良く分かります。ボノボの口、舌、唇は言語を発声するようには備わって
いないのです。
そこで、スー博士達は、上の写真に示されているキーボードを用意しました。アイコンのある
キーを押すとおよそ1000個のよく使う名詞、動詞、形容詞、副詞などの単語を発音してくれると
いうものです。カンジ達はそのキーボードのキーを押すことによってこちらの意思を伝えること
が出来ます。カンジ達がスー博士たちの文を正しく理解できるということは、ネイティブ・ス
ピーカーの英語の構文を理解できるということです。しかし、理解する能力と発する能力とは必
ずしも一致しません。私達が読める漢字を全部書けるかというとそうはいかないのと同じです。
理解モデルと生成(発信)モデルは違うのです。では、カンジはどのような文を発するのでしょ
うか、筆者はNHKの特別番組におけるスー博士とカンジとパンバニーシャのやり取りを全て書き
出して分析してみました。その一部を紹介してみましょう。
カンジはマタータ達が別室にいるのを知り、そこに通じるドアを開けてくれるようにスー博士に
頼んでいるシーンです。
Sue: Kanzi, do you want something?
Kanzi: (バーンとドアを蹴る。)
Sue: I don't like that.
Kanzi: KEYS,KEYS. (KEYSと記してあるキーボードのキーを2回押し、
音を出す。)
Sue: You need keys. You need keys, ha? I have some
keys right here.
Kanzi: GROUP ROOM KEYS. KEYS MATATA. GOOD. (キーボード
のキーを押す。)
Sue: Oh, you want a key to see Matata. You're gonna be
good. Good. I like that. I like to hear that. (Sue博士は
マタータ達のいる部屋のドアをあけてやる。)
Kanzi: (マタータの部屋に入る)
パンバニーシャはとてもおてんばのメスのボノボです。番組の収録の為に単語テストを受けても
らいたいと思っているスー博士のアシスタントの依頼に耳を傾けずに、好きな追いかけっこをし
たがってごねています。
Punbanisha: CHASE. (CHASEという動詞が書いてあるキーを押す。)
Assistant: Can you take the test? Then you chase her (a
dog).
Punbanisha: YES. NO. CHASE.(それぞれのキーを押す。)
Assistant: Then I chase you.
Punbanisha: DOG. CHASE. CARRY.(DOG, CHASE, CARRYのキーを押
す。)
キーボ―ドを使ってこれらのボノボの発する英語の文法は、彼等が
スー博士等の会話からインプットする文の文法の完成度はありません
が、調べてみるとそれなりのパターンがあります。GROUP ROOM
KEYS.KEYS MATATA.GOODは、「グループルームの鍵でドアを開け
てよ、マタータの部屋に行くドアの鍵をね。(さっきはドアを蹴って
ごめんね)GOODいい子になるからさ」ということを伝えています。
彼等はパートナーであるスー博士達と同じ環境と状況を共有していま
すから、鍵(KEYS)と言ってここではドアを蹴ってみましたが、非
言語でどこのドアかを示せば、状況認知と言語で一つの意味と意図が
通じることを知っているのです。
パンバニーシャとアシスタントの会話も、まず、アシスタントはパン
バニーシャが単語テストを受けるのが嫌いであることを知っていま
す。また、パンバニーシャもアシスタントが自分の好みを知っていることを知っています。そし
て、パンバニーシャはスー博士が飼っているメスの愛犬やスー博士達を追いかけるのが好きで
す。アシスタントはそのことを知っており、パンバニーシャもアシスタントがそのことを知って
いることを知っています。すぐ甘えてスー博士たちにおんぶされるのが好きだと言うことについ
ても同様です。
そういう状況を踏まえてパンバニーシャは、YES.NO.CHASE 「テストか、いいよ、やっぱりやだ
よ、おいかけっこしよう」、DOG.CHASE.CARRY. 「犬はどこ、犬を追いかけたい、おんぶして」
と言っています。相手もこの表現だけで誰が誰に何をするかの関係を理解してくれることが分
かっているのです。何回か前に述べましたが、コミュニケーションは状況と作用してメッセージ
を作りそれを表現化しているという原点がここに見えます。コミュニケーションの表現として立
派に機能していますし、前回のテーマとの関連では、人間社会の言語状況に当てはめてみると、
ボノボの発する表現はピジンに近い高コンテクスト型の言語表現ではないかと考えられます。
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コミュニケーションにおける言語、ピクニックしながら
要は、ボノボとスー博士達は、お互いの間でコミュニケーションにおける言語を発展させて来た
と言えるでしょう。コミュニケーションは話し合いだけではありません。コミュニケーションは
メッセージを作りそれを表現するものであればことばのやり取りだけではなく行為のやり取りも
あります。言語には発話行為speech actsというのがあります。言語を発することそのものがある
行為を構成する場合です。結婚式での新郎新婦の誓約は単なるお話ではなく結婚という行為その
ものなのです。それがなければ結婚は成立しません。
この発話行為の根底には、言語は行為としてのコミュニケーションの一部であるという前提があ
ります。発話行為performativesという概念を最初に問題にしたのはオースティンという学者です
が言語はただ話すだけのものではないという多くの示唆を与えてくれました。発話行為を受けた
側からすると、その内容にそったある行為をすることを求められます。命令するというのも発話
行為ですが、それに対してはその命令された行為を行う義務が生じます。スー博士とカンジたち
のコミュニケーションは、依頼という発話行為に対して言語か非言語で行動を起こすという一連
のコミュニケーション行為から成ります。
カンジの好きな森の中のピクニックでのやりとりを見てみましょう。スー博士とカンジは森の中
を歩きいつものピクニックのスポットに到着しました。これから火をたいてハンバーガーを焼い
てランチを食べることになります。
Sue: Help me get some sticks.
Kanzi: (周りに散らばっている木の枝を集めて石で囲ったかまどにおく。)
Sue: Good, good. I need more sticks.
Kanzi: (更にあるいて木の枝を集めてくる。)
Sue: I have a lighter in my pocket, if you need one. You
can get it out.
Kanzi: (スー博士のズボンのポケットに手を入れてライターを出す。)
Sue: You can use the lighter to start fire.
Kanzi: (木の枝に火をつける。)
Sue: I need you to break the stick for Sue, please.(スー博士
の力では折れない太い枝々をさして。)
Kanzi: (カンジはその大きな木の枝を難なく折って火にくべる。)
Sue: Thank you. Blow, blow harder.
Kanzi: (口をとがらせて息を吹き込み火の勢いを強くする。)
Sue: Your job is to place the bread on the plate. On the
plate. That's right. More bread.
Kanzi: (皿を2枚用意してその上にハンバーガーのバンを置く。)
Sue: Kanzi, this is your plate. You are very happy about
this park.
Kanzi: (スー博士をみて楽しそうにハンバーガーを食べる。)
Sue: You got to put the water on the fire. You see the
water?
Kanzi: (水が入ったかなり重い容器を持ってきて火に水をかけて消す。)
このように、スー博士が依頼という発話行為をすると、それに対してカンジが依頼されたことを
遂行するという、人間社会における仲のよいパートナー同士のコミュニケーションとそっくりの
コミュニケーションが展開されているのです。勿論、既述したように、行動をするだけではなく
彼等らも鍵を依頼する発話行為をしたり、パンバニーシャのようにテストを受けるように依頼す
る発話行為に対し、キーボードを使って追いかけっこをしようという誘いの発話行為を返すこと
もあるのです。
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カンジとパンバニーシャの理解力、推論する力
カンジとパンバニーシャのコミュニケーション能力は調べれば調べるほど素晴らしいことが分か
ります。筆者は彼等が高次の推論する能力をもっていることに気付きました。発話行為には直接
的なものと間接的なものがあります。直接的な発話行為は、文の中に依頼とか命令を示す動詞が
あるから分かります。例えば、I order you to come right away. とかCome right awayとかの文で
は、order という動詞または命令形が使われているので、この文は命令行為の発話行為であると
分かります。
間接的な発話行為は、状況、すなわち、周りのコンテクストからどんな行為の発話行為か推論し
なければなりません。とても熱い部屋で先生が窓側にいる学生に向かって、It's hot in here.(この
部屋熱いね)と言ったとしましょう。それを聞いた窓がわに座っている生徒は、先生の発言は単に
部屋が熱いと描写しようとしたのではなく、窓を開けるように依頼したのであることを推論して
窓を開けて風を入れるでしょう。これが間接的な発話行為です。「そうですね、熱いですね」と
答えるだけでは常識を疑われます。すなわち、常識を基に発言内容の意図を推論して私たちはコ
ミュニケーションをしているのです。
スー博士は気がついているかどうか分かりませんが、カンジのことばの理解力は間接的な発話行
為をも難なくこなしています。先ほどのピクニックの例で、映像を良く見ると、スー博士がI
have a lighter in my pocket .と言っただけで、カンジは既に「私のポケットからライターを取り
出して薪に火をつけて」という依頼を汲み取りその動作にとりかかっているのです。確かに、博
士はYou can get it out. You can use the lighter to start fire.と続けていますが、カンジはこれらの
文が言われる前の、I have a lighter in my pocket.という文を聞いた段階で既に間接的な意味を推
論しその行動に移っているのです。
他にもあります。カンジはマタータの部屋のドアの鍵が欲しくて、ドア
を蹴ります。それに対して、スー博士はI don't like that.とだけ言います。
するとカンジはドアを蹴るのを止めています。そしてあとでKEYS. KEYS.
KEYS MATATA. GOODとキーボードを使って発しています。カンジはI
don't like that. が、Stop that, because that is bad.という命令行為であるこ
とを推論したから、ドアを蹴るのを止めたのです。そればかりではな
く、GOODにするからマタータの部屋の鍵を開けてくれるよう依頼しているのです。
こうした間接的な発話行為を適正に理解する為には、その言語文化の状況を良く知り、それを基
に推論する能力が必要です。日本の中学校の英語の授業では実はここまでは教えていません。む
しろ教えられないのかもしれません。というのは皮肉もジョークも間接的発話の延長であり、そ
の言語でコミュニケーションをする場を踏まなければなりません。
筆者自身アメリカに初めて行った時にこんなエピソードがありました。あるとき筆者はある女性
を食事に誘いました。とても感じの良い素晴らしい女性でした。快く承諾してくれたのですが、
しばらくするともう一度電話が掛かってきて、Can Emiko come with us?(恵美子さんも一緒に
誘っていいですか?)と聞いてきました。これが当時のアメリカ社会ではI like you just as a
friend.(単なるお友達でいましょうね)という意味であることをルームメイトに解説されて初めて
分かったものです。
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カンジ達が教えてくれるもの
カンジ達は何を教えてくれるのでしょうか。それはまず訓練したりガチガチ勉強するだけでは言
語は習得できないと言うことです。スー博士は研究所と自宅の壁を取り払い、ボノボと一緒に寝
食を共にしており、彼等に好きで得意なことを自由にさせています。ただし、共同生活をおくる
上でのしつけは厳しく、GOODとかBADということばがよく出てきます。悪いことをすると容赦
はありません。その中でコミュニケーションが保たれて、生活していく上での言語がうまく機能
しています。覚えた1000語は生活の上で必要な語彙で自然に習得されたものです。
2年ほど前にその後のカンジ達のニュースに接しました。カンジが幼いボノボに自分の知ってい
る言語を教えて彼等がそれを習得したと言うのです。先ほど、カンジ達の言語はピジンに近いと
言いましたが、母語化したピジンをクレオールCreoleと呼びます。カンジ達の英語は母語化して
クレオールとなったのではないでしょうか。ピジンからクレオールへの違いは表現力の増加で見
てとることが出来ます。
人間とボノボのような動物がこのように生活を共にするようになったのは、ここ100年の間に人
間が自然を破壊して彼等が人間に保護されざるを得なくなってきたからでしょう。その結果、人
間と暮らす為に動物も言語を習う機会が多くなってきたのです。犬やネコ等のペットも従来のた
だ可愛いだけの存在から家族の一員になり話し掛けられることが多くなってきました。最近、あ
ちこちでことばを理解する動物が増えてきました。カリフォルニア大学のバークレイ校のイレ―
ヌ・ペッパーバーグ博士が一緒に暮らすオウム達は、怒ると覚えた言語で激しく口論して意思を
伝達します。単なるオウム返しではなく言語の意味を理解し意思の伝達をするようです。
これらの動物達が教えてくれるものは、コミュニケーションをする過程で言語を自然に習得する
ことの大切さです。日本の英語教育も今こそ原点に戻るべきではないでしょうか。
更に詳しいことを知りたい方は、The Ape at the Brink of the Human Mind.(1997.Susan SavageRambaugh. Brockman)と拙著The Semantics of the English Modals (2002.N. Yuji Suzuki. Liber
Press)のPart llの2章"Modality in Communication with Non-human Primates: Bonobo Kanzi"を参
照してください。
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TOEFLは、エデュケーショナル・テスティング・サービス(ETS)の登録商標です。
City University of New York(CUNY) Hunter
College
今回インタビューを受けていただいたのは、幼稚
園教諭としてニューヨークに渡り、現在はキャリ
アアップ・生涯学習を目的に働きながらパートタ
イム・スチューデントとしてHunter Collegeに通
う峰村 紀子(みねむら のりこ)さんです。
Psychology(パートタイム)
1998年9仕事のため、NY州ウェストチェス
月
ターMamaroneckへ渡る
1999年? ニューヨーク市(NYC)のテストセ
月
ンターにてTOEFL-CBT受験(スコア
213くらい)
2000年1Mercy College, Dobbs Ferry校入学
月
(パートタイム)
2002年 NYC マンハッタンの幼稚園へ転職
夏
2002年9Hunter Collegeへトランスファー
月
(パートタイム)
*パートタイムの為、卒業年月日は
未定
現在までの経緯を教えてください。
私は日本で幼稚園教諭の免許を取り、日本の幼稚園で働いていましたが、26歳
の時にNew York州Mamaroneckにある日本人学校の幼稚園での採用が決まった
ため、労働ビザで渡航しました。
渡米後は、キャリアアップと生涯学習の為に心理学の知識が必要だと考え、働
きながら学校に行くことにしました。出願先のMercy CollegeからTOEFLスコア
500点を要求されたため、問題集を使って約半年間みっちりテスト対策をした
結果、TOEFLスコア550ほどを取り入学しました。その後、Mercy College在籍
中にグリーンカードを取得し、パーマネント・レジデントとなりました。
Mercy Collegeでは一般教養を取っていましたが、専攻は心理学と決めていたので、心理学に強い
Hunter Collegeにトランスファーし、現在はそこでパートタイム・スチューデントとして
Psychologyを学んでいます。トランスファーの際、私はパーマネント・レジデントのためプレイ
スメントテストは要求されませんでしたが、TOEFLスコア500を要求されました。
入学に必要とされたTOEFLスコア:
Mercy College:500(CBT173)
Hunter College:500(CBT173)
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どのような学校生活を送っていますか?
私が今通っているHunter Collegeは、ニューヨーク市立大学(The City University of New York)の
一つで1870年に設立されたアメリカでも最も古い大学の一つです。マンハッタンのアッパーイー
ストサイドにあり、80以上の国から学生が集まり40もの言語が話されています。
普段は、月曜日から土曜日の朝9時から午後5時まで日本人学校で幼稚園教諭として働き、週3∼4
日間、大学で夜のクラスを取っています。殆どの学生が働いているので落ちついた雰囲気があり
ます。前のセメスターでは月曜から木曜の夜の8時25分から9時35分まで授業があったので、ほ
ぼ毎日10時過ぎに帰宅していました。それから宿題をするので、寝るのが深夜2時や3時になるの
はあたりまえで、しかも朝の8時には出勤しなくてはいけないので大変でした。
休日は基本的に日曜日のみで、普段できない掃除や洗濯をします。セメスター中は授業があるの
で勉強もしなければなりません。ネイティブスピーカーと比べると、宿題にかかる時間は倍以上
なので仕事と勉強の両立はかなり大変ですが、老若男女がクラスメートである事がとても新鮮
で、またいろいろな話を聞けて面白いです。
今後についてはどう考えていますか?
現在の課程を修了するとBachelor of Arts in Psychology (心理学学士)を取得することになりま
す。学士取得後は、ニューヨーク州のスクールサイコロジストかスペシャルエデュケーターの資
格取得を目指していますので、そのために必要な教育学の修士号をHunter Collegeで取りたいと
考えています。そして日本とニューヨークでの幼稚園教諭としての11年間の経験と、新たに得た
資格を生かして仕事をしていきたいと思っています。
アメリカへの留学、就職されたご経験からの感想をお願いします。
アメリカで働くというと、アメリカの大学を卒業した後インターンを経験し
て仕事を得るというパターンが多いと思います。しかし、私の場合は日本で
資格を取り、地味に幼稚園教諭をやっていました。海外生活に憧れはあった
ものの、自分とは関係のない別世界だと思っていました。その平凡な幼稚園
教諭から海外生活を26歳で手に入れ、運良くグリーンカードも手に入れ、
「人それぞれの順序があるのだなあ」と思いました。留学のチャンスがな
かったり、現在の仕事では海外生活に縁のない方でも、平凡な積み重ねが実を結ぶことがあるこ
とを覚えておいて欲しいと思います。
(インタビュー:2004年8月 TOEFL事業部 山口)
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