保育年数でお悩みの方へ

保育年数でお悩みの方へ
今市中央幼稚園
入園受付が始まるころになると、「3年保育にするか2年保育にするか……」
いろんな方から相談を受けます。悩むところです。そこで、3歳児をもつお父さ
ん・お母さんに4つの質問をし、そのお答えから考えてみたいと
思います。以下、4つの問いかけをします。
①
3歳前後になると心理学では「自我の目覚め」と呼ばれる
「3歳の反抗期」が出現します。それまでは、母親を中心とす
る養育者に、ある意味ではなされるがままの子どもが、突然、
大人側にとっては「反抗」しているように見える行動を取り出
します。たとえば、今までは親が用意した服を素直に着てくれたのに、これは嫌
だ、あれがいいと主張したり、急いでいるからと、玄関で急いで靴を履かせて、
さあ、出かけようと子どもの手を引いたとたん、その場で泣きわめきだし、靴を
放り投げて怒り出したり…、といった状況が一日の中に何度も出現してきます。
問1
あなたはこのような状況を受け入れ、子どもの姿に冷静に
対処できますか。
②
今市のような田舎でも、交通量の関係や、舗装道路がほとんどになってしま
い、子ども達の遊ぶ環境は大きく変化しました。治安や、安全の問題、少子化の
影響で子ども達が自由に隣近所と行き来し遊ぶことは出来にくくなってしまい
ました。また、家庭でも異年齢の子ども達がくんずほぐれつして遊ぶことが、と
ても難しくなりました。
問2
日中、あなたの家の周りには、異年齢の子どもが「群れて遊ぶ環境」が
ありますか。
③
今市は他の町に比べて、公園は数量的にはかなりある方だと思います。午前
中を中心に、就園前の子どもが遊んでいます。中でも砂場は人気のスペースのよ
うです。子ども達が遊んでいる周りで、保護者は雑談をしながら見守っている姿
をよく見かけます。子ども達はめいめいに砂場遊びの道具を持ってきているよう
ですが、他の子どもの持っている道具が目新しく、手が出てしまいがちです。子
どもが手を出して他の子どもの道具を奪いに行ったときに、けんかがよく起こり
ます。この事件は子ども達の成長にとって、自分の物と、他人のものを区別し、
又、自分と他の子どもを区別し認識する事へと発達していくかけがえのないチャ
ンスです。その延長線上に、隣人に対する思いやりの行動や、他の人の痛みを自
分のことのように感じる心の育ちがあります。
問3
砂場で、他の子どもと砂場道具の取り合いによってけんかを始めようと
するときに、少しの間、見守ることが出来ますか。
④
本当は子ども達だけで、大人の目のないところで群れて遊べる環境とその時
間がとても大切なのではないかと考えます。もちろん、その場合は、少し知恵の
ある年長の子どもも一緒にいることが必要です。その様な集団では、参加してい
る子どもみんなが楽しめるよう、小さい子どもを「あぶらむし」にする等のルー
ルが発案されたり、ぶつかり合いの調整が起こることでしょう。
問4
兄弟が多く、いつも異年齢の子どもが群れて遊べる環境がありますか。
上記の4つの問に、「はい」が過半数を上回っていれば、
3年保育に無理に入園させる必要は無いかも知れません。
年少組のお部屋では、入園当初、自我が目覚めた子ども達の
自己主張のぶつかり合いが見られます。その反面、社会性の芽
生えで友だちや先生と遊びたい気持ちも大きくなります。そん
なジレンマの中でこそ、ルールを守る大切さや相手を思いやる
気持ちが育って行くのだと思います。また、心がやわらかいこ
の時期だからこそ、トラブルに対して、失敗してもへこたれず、
また挑戦できるのだと思います。幼児教育のポイントは、適切
な時期に、適切な環境です。
乳児期、子ども達は親御さん達の愛情をいっぱい受けて育ちます。そのことで
心理学でいう「基本的信頼感の獲得」が出来ます。“自分は信頼できる人達に囲
まれている”という自信が、次のステップ、親以外の人と係わりたい・自分でな
んでもしたいという気持ちを生み、幼児期になって第 1 次反抗期として現れるの
だと思います。
幼児の発達は個人差が大きいものです。2歳半ばで第一次反抗期を迎える子も
いれば、4歳目前で迎える子もいます。「3歳児の反抗期」は、乳児から幼児へ
の変身のサインです。家庭から社会へのスタートラインです。
3歳の子ども達がきらきらと輝いている。そのことが私たちの3年保育の目的
です。
中央幼稚園の3年保育においで下さい。
(これは、2007 年 雑感日記 vol.3 を加筆、修正したものです。)