フィリピンの発行体格付BBB[安定的]、短期債務a-2を維持

NEWS RELEASE
2016年11月11日
【格付維持】
フィリピン共和国
外貨建発行体格付: BBB [格付の方向性:安定的]
外貨建短期債務: а-2
格付投資情報センター(R&I)は上記の格付を公表しました。
【格付理由】
経済は好調を維持している。国際収支面、財政面のリスクは乏しく、金融システムの安定性も保たれ
ている。所得水準の改善傾向にも変化はない。これらの点を踏まえ、外貨建発行体格付を維持し、方向
性は引き続き安定的とした。R&Iでは、新政権の下で経済政策運営に大きな変更が起こるとはみていな
い。ただ、国際関係における不確実性の高まりには一定の注意が必要だ。経済への影響を中心に、今後
の動向に注目していく。
民間消費と投資がバランス良く拡大し、経済成長は高い伸びが続く。2016年は、第2四半期までの実質
国内総生産(GDP)成長率が平均6.9%と好調だ。政府によるGDP成長率見通しは2016年6-7%、2017年
6.5-7.5%となっている。前政権下で拡大してきた経済成長を持続させるには、近隣主要国と比べて依
然として低い投資の増加が不可欠だ。投資受け入れのための事業環境整備の加速、ひいては国全体での
競争力の底上げに向けて、現政権の手腕が問われよう。
経常黒字が続いているが、資本財輸入の増加が目立っており、今後、黒字幅の縮小が見込まれる。
もっとも、こうした輸入は将来的な経済成長の布石になり得るため、直ちにネガティブに捉える必要は
ないだろう。外貨準備は対外債務を上回っており、国際収支面の不安定化に対する懸念は小さい。
財政は良好な状態が維持されている。政府はインフラなどへの支出拡大を計画しており、2017年の中
央政府財政赤字はGDP比3.0%に拡大する見通しだ。一連の税制改革による歳入基盤の拡大が企図されて
おり、2016年9月には、一つ目の施策として付加価値税(VAT)免除対象者の制限や個人所得税減税を含
む法案が議会に提出された。支出をただ拡大させるのではなく、歳入面にも配慮がなされている点は評
価できる。政府によれば、中央政府債務残高は減少傾向をたどる見通しだ。
2016年6月に発足したドゥテルテ政権は、前政権の経済政策を引き継ぐとしている。現在の好調なマク
ロ経済環境に鑑みれば、この点はポジティブに評価できる。一方、政権に対する信頼が国際的に低下す
れば、潜在的に投資の阻害要因となりうる。そのため、政府の違法薬物対策や米国・アジア諸国との外
交関係の変化の兆しには注意が必要だ。
【格付対象】
発行者:フィリピン共和国
名称
格付
格付の方向性
外貨建発行体格付
BBB(維持)
安定的
名称
格付
外貨建短期債務
a-2(維持)
■お問合せ先 :インベスターズ・サービス管理部 TEL.03-3276-3511 E-mail [email protected]
■報道関係のお問合せ先 :経営企画室(広報担当) TEL.03-3276-3438
株式
会社
格付投資情報センター
〒103-0027東京都中央区日本橋1-4-1 日本橋一丁目三井ビルディング http://www.r-i.co.jp
信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありませ
ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に
際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ
き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。
ⓒRating and Investment Information, Inc.
NEWS RELEASE
信用格付に関わる事項
信用格付業者
登録番号
株式会社格付投資情報センター
金融庁長官(格付)第6号
直近一年以内に講じられた監督上の措置は、ありません。
主任格付アナリスト
小長井 将也
信用格付の付与について
代表して責任を有する者
細田 弘
信用格付を付与した日
2016年11月04日
主要な格付方法
ソブリンの格付の考え方 [2012.03.16]
上記格付方法は、格付を行うにあたり考慮した他の格付方法とともに以下のウェブサイトに掲載して
います。
http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/methodology/index.html
評価の前提は、以下のウェブサイトの格付付与方針に掲載しています。
http://www.r-i.co.jp/jpn/ratingpolicy/index.html
格付符号とその定義は、以下のウェブサイトに掲載しています。
http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/definition/index.html
格付関係者
フィリピン共和国
注 格付関係者は、金融商品取引業等に関する内閣府令第三百七条に基づいて、R&Iが判断したものです。
利用した主要な情報 政府を含む公的機関が作成した財政・経済資料
品質確保のための措置 政府を含む公的機関が作成した、またはそれに準じた信頼性が確保さ
れている資料であること。
情報提供者 -
信用格付の前提、意義及び限界
R&Iの信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定
通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見です。R&Iは信用格付によって、個々の債務等
の流動性リスク、市場価値リスク、価格変動リスク等、信用リスク以外のリスクについて、何ら意見
を表明するものではありません。信用格付は、いかなる意味においても、現在・過去・将来の事実の
表明ではありません。また、R&Iは、明示・黙示を問わず、提供する信用格付、又はその他の意見に
ついての正確性、適時性、完全性、商品性、及び特定目的への適合性その他一切の事項について、い
かなる保証もしていません。
R&Iは、信用格付を行うに際して用いた情報に対し、品質確保の措置を講じていますが、これらの
情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。R&Iは、必要と判断した場合に
は、信用格付を変更することがあります。また、資料・情報の不足や、その他の状況により、信用格
付を保留したり、取り下げたりすることがあります。
利息・配当の繰り延べ、元本の返済猶予、債務免除等の条項がある債務等の格付は、その蓋然性が
高まったとR&Iが判断した場合、発行体格付又は保険金支払能力とのノッチ差を拡大することがあり
ます。
信用格付に関わる留意事項
当該信用格付は、格付関係者からの依頼によるものではありません。
格付関係者から信用評価に重要な影響を及ぼす非公開情報は入手していません。
■お問合せ先 :インベスターズ・サービス管理部 TEL.03-3276-3511 E-mail [email protected]
■報道関係のお問合せ先 :経営企画室(広報担当) TEL.03-3276-3438
株式
会社
格付投資情報センター
〒103-0027東京都中央区日本橋1-4-1 日本橋一丁目三井ビルディング http://www.r-i.co.jp
信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありませ
ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に
際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ
き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。
ⓒRating and Investment Information, Inc.