インターンシップ(PDF:181KB)

特集
インターンシップ
近畿大学が取り組む
インターンシップ
参加者数全国7位を誇る多種多様なプログラム
職業体験で大きく成長、自分の適性を知る
大学と産業界の連携による学生のインターンシップが日本の大学に普及しはじめてから10年。
近畿大学では積極的な取り組みの結果、800人の学生が参加(平成19年度夏期)し、
全国の大学別ランキングでも7位(2008年版大学ランキング・朝日新聞社発行)を占める。
学生が企業を知り、就業体験で大きく成長する貴重な機会となり、将来の可能性を開くインターンシップ。
どういうプログラムがあるのか。また、その成果は?
参加学生の声、学生自らが企業、学生双方に有益なインターンシップを考える「経営学部インターンシップ研究会(KISS)」
の取り組みなどを紹介する。
将来を懸ける職業への
意識を高める
インターンシップ参加者の
ほぼ全員が就職決定
インタビュー
キャリアセンター長に聞く
キャリアセンター
北爪 佐知子
センター長・文芸学部教授
(きたづめ さちこ)
―近畿大学の学生が参加するインターンシップには、
どのよう
なものがありますか?
学部・学科にこだわらずキャリアセンターが広く参加者を募集
する「キャリアインターンシップ」や「国際インターンシップ」、
各
学部が学部教育のコンセプトに沿って受け入れ企業を開拓し、
実
施している「学部インターンシップ」、
高大連携室が主に教員志
望者向けに行う「スクールインターンシップ」など、
多種多様な就
業体験の機会を設けています。2007年夏期のインターンシッ
プ参加者は800人を数え、
全国の大学別の参加者数では7位に
ランクしています。
インターンシップには個人が自由にエントリーする「オープン
インターンシップ(自由応募型)」もありますが、
大学を通じてイ
ンターンシップに参加する場合は、
応募エントリーシート作成、
面
談、
選考、
事前研修、
就業体験レポートの提出、
評価、
事後研修、
報
03
インターンシップ
Internship
近畿大学のインターンシップの種類
近畿大学が取り扱うインターンシップには、次のようなものがあります。
※参加者数は2007年実績。
●キャリアインターンシップ キャリアセンターが窓口となり、
学生の募集、
選考を行うもので、
全学部・大学院
が対象。実習期間は夏期休暇中の2週間程度。実習にあたって事前・事後研修が充
実。296人参加。
●学部インターンシップ 各学部が主に授業の一環として実施し、
原則として単位認定を行う。実習期間は
夏期休暇中の2週間程度で、
学部・学科の専門分野と関係の深い企業がメイン。事
前・事後研修は各学部が担当。361人参加。
●国際インターンシップ キャリアセンターが主催。オーストラリア、
カナダ、
中国のいずれかで就業体験を
行いながら、
語学やその国の文化を学ぶ。実習期間は夏期休暇中で、
オーストラリ
アは2週間、
カナダ・中国は4週間(語学研修2週間を含む)。26人参加。
●パブリックインターンシップ 各都道府県の経営者協会、
商工会議所などの団体が主催し、
会員になっている企
業や団体で就業体験を行う。官公庁主催のものも含む。84人参加。
告会の流れで就業体験の意義を理解し、
ビジネスマナーや守秘
●スクールインターンシップ 高大連携室が受付担当。全学部・大学院を対象とし、
小・中・高等学校、
養護学校
義務の遵守などを学んだ上で、
学生たちはインターンシップに取
などで、
授業・課外活動・行事の補助、
事務などの実務を体験。33人参加。
り組みます。受け入れ企業先での意思のギャップやトラブルがで
●オープンインターンシップ(自由応募型) きるだけ起こらないよう、
実りあるインターンシップができるよう
指導しています。
受け入れ先の企業や団体が独自で実施。募集案内については本学サイト
「就職WEB」
で公開。
主なインターンシッププログラムの流れ
―インターンシップ実施による成果はいかがですか。
インターンシップの参加者は、
その後、
ほぼ全員が就職を決め
ています。これは参加をきっかけに、
自分の将来の職業に対する
意識が高まり、
就職活動に向けて具体的に行動を起こすことにつ
ながっている、
ということだと思います。
国際インターンシップの場合は、
事前に語学力(TOEIC500
点程度で、
会話力を重視)のチェックがあり、
現地でインターンシ
ップを受けられる力を持っているかを面談し、
大学が費用の一部
(3分の1)を負担し、
派遣しています。海外では自己表現力が特
に重要視されます。日本では黙っていても仕事ができる部分も
ありますが、
自分の意見や考えを的確に分かりやすく伝えなけれ
ば、
海外では相手にされません。
参加する前は5分も話せなかった学生が、
事後の発表で、
資料
●キャリアインターンシップ 4月のガイダンスの後、
学生の募集、
選定を行う。事前研修は7月下旬から8月中
旬にかけて実施し、
内容は自己分析やマナー、
守秘義務など
(参加必須)。
参加者に対する評価は、
企業からの毎日のレポートと、
インターンシップ終了後に
届く企業からの報告書によって行われる。評価項目はマナー、
積極性、
協調性、
コミ
ュニケーション能力、
実務能力、
業務改善能力など。
事後研修はインターンシップ終了後の9月下旬に行い、
参加者全員がレポートを
提出。グループ別に実習の内容や成果を発表し、
体験の共有化を図る。11月中旬
に企業を招いてのインターンシップ報告会・ガイダンスを開催する。
●国際インターンシップ 5月に学生を選抜した後、
月1∼2回の事前研修、
さらに1週間の集中事前研修
を行う。内容は英語、
マナー、
危機管理、
渡航先の生活事情、
歴史などについて。
事後研修は参加者全員で発表会を実施。その後に学生代表による発表会を行う。
●学部インターンシップ 学生の募集、
選抜の時期、
事前・事後研修の内容などは各学部により異なる。
提示等も分かりやすく工夫し、
30分の報告ができるようになりま
す。学生は自分の意見を堂々と人前で話す力を身につけ、
たくま
DATA
しくなって帰ってきますよ。
●平成19年度の実績 インターンシップ参加者数:
―学生へのアドバイスを。
漠然としたイメージだけで就職してしまうと、
必ずそのギャップ
に悩むことになります。新入社員の3割が3年以内に会社を辞め
800人
平成19年度 夏期インターンシップ参加状況(スクールインターンシップ含む)
参加学生数
学部・研究科
派遣企業団体数
1・2年生
3年生
4年生
1
M1
合計
法学部
経済学部
49
63
2
74
83
経営学部
100
4
142
理工学部
96
5
134
ターンシップを経験し、
職業観や適性を理解した上で就職活動に
薬学部
25
取り組めば、
自分に合う就職先が選択できると思います。例えば
文芸学部
51
13
60
農学部
19
11
17
教員志望の学生が初めて学校で子どもと接するのは4年次の教
生物理工学部
34
育実習で、
そこで「教職に不向き」と気づく学生もいます。それ
工学部
25
4
27
までにスクールインターンシップを経験すれば、
他分野を検討す
産業理工学部
50
16
65
短期大学部
1
2
法学研究科
1
1
1
てしまうといったことが問題になっています。就職した学生にと
っても、
会社にとっても幸せなことではありません。在学中にイン
るチャンスも生まれます。
自分に合った職業というのは、
若い時はなかなか分からないも
のです。インターンシップやボランティア、
サークル活動などに参
加し、
自分の適性や興味を発見することは貴重です。大切な時間
74
86
146
3
142
1
83
5
84
78
28
43
43
1
32
81
2
商学研究科
1
1
1
総合理工学研究科
1
1
1
薬学研究科
1
1
1
5
800
合計
517
57
728
10
を自分へ投資し、
実りある学生生活を送ってください。
インターンシップ
04
参加者が語る
“これが私のインターンシップ”
キャリアインターンシップ、国際インターンシップ、スクールインターンシップ、オープンインターンシップに
参加した学生に、それぞれ体験した内容や成果について語ってもらいます。
イ
ン
タ
ー
ン
シ
ッ
プ
先
が
就
職
先
に
”
最
初
に
人
あ
り
き
の
業
界
に
魅
力
を
感
じ
る
case
1 キャリアインターンシップ 読売新聞大阪本社
経済学部 総合経済政策学科 4年
横山 創一
さん
(よこやま そういち)
営業に同行した際、
ある映画会社の方から効果的な
パブリシティー広告についてのプレゼンを求められ、
夕
刊のTV欄を使ってパラパラマンガのような「パラパラ
広告」を提案しました。枚数が必要なので社内では厳
しい意見もあったのですが、
発想のユニークさは買っ
ていただけたようです。その他の案件についても、
社
員の方から意見を求められる機会があり、
こちらもフ
ランクに業界事情を聞けました。
「人脈をいかに築けるかが、
仕事の大きさや質を決
める」ということを感じました。
「何々会社の誰々さん」
というのではなく、
「誰々さんがいる何々会社」と、
“最
初に人ありき”、
個人のパワーを発揮できる業界だと
思います。また、
営業のやり方について、
「1人で20社
を担当するなら、
1対20の営業ではだめ。1対1が20
ある営業をやりなさい」という社員の方の言葉が強く
印象に残りました。
インターンシップが終了してから採用試験を受け、
晴れて読売新聞大阪本社から内定をいただくことが
できました。消費活動に対して自分が何か仕掛けてい
くことを目指し、
頑張りたいと思います。
05
インターンシップ
異
国
で
子
ど
も
の
興
味
引
き
出
す
授
業
を
担
当
一
つ
の
こ
と
を
や
り
抜
く
経
験
が
自
信
に
case
2 国際インターンシップ(オーストラリア) Spotswood Primary School
文芸学部 文学科 3年
森本 佳代子
さん
(もりもと かよこ)
インターンシップに参加したのは、今しかできないこと、や
ったことのないことにチャレンジしてみたかったからです。
英語専攻で教職課程を選択しており、オーストラリアのプラ
イマリースクール(小学校)での授業補佐を選びました。
実習では、いくつか印象深い授業を担当させていただき
ました。一つは「総合」の授業で、
日本に関する子どもたちか
らの質問に答えるというものです。つたない英語でも話すと、
どの子も聞き入ってくれて、次々に質問の手が挙がります。
幼い子が日本を知ろうとしてくれることに感動した一方で、
自国のことをあまり知らない自分にふがいなさを感じ、
「勉
強しなくては」と思いました。
もう一つは折り紙のかぶとを皆で作ったことです。2週目
に入り中だるみ状態になったので、目的を自問自答し、形に
残ることをしようと思ったのです。子どもたちが楽しめて、
日
本文化を伝えられるものを考え、かぶとの折り方を教えまし
た。
完成したかぶとに片仮名で全員の名前を書いてあげたの
ですが、
うれしそうにかぶり続けてくれる姿に、心が通い合え
た、
日本を少し好きになってくれたと喜びがわき上がりました。
改めて自分は子どもが好きだと自覚し、将来を決めるための
ヒントになったと思います。
一つのことをやり抜いたという自信を胸に、他にも興味あ
ることにチャレンジして、次のステップにつなげたいです。
Internship
特集 インターンシップ
■受け入れ企業はこう考える
データ管理など小売業の一通りを覚えてもらいました。配属先は紳
イトーヨーカドー 八尾店総務担当マネジャー 士衣料、
婦人、
服飾、
スポーツ売り場で、
朝9時30分から18時30分
土屋 隆さん(つちや たかし)
までの社員と同じシフト。参加者は皆、
分からないことは質問してス
企業として若者教育の場が与えられ、
今後の人材育成の参考になりました
した。周りの社員にとっても、
いい刺激になったと思います。
キルを上げようと前向きに取り組んでくれたので、
好印象を持ちま
受け入れたことでプラスになったのは、
企業として若者に教育す
イトーヨーカ堂としては、
数年前からインターンシップを受け入れ
る機会が与えられ、
今後の人材教育の方針を決める参考になったこ
ていますが、
2006年オープンしたアリオ八尾にある私どもの店舗
とです。昨今の学生が仕事についてどういう考え方で臨もうとして
では、
今回が初めての受け入れでした。近畿大学とアリオ八尾はオ
いるのか、
理解することもできました。
ープン以来、
協定を締結し、
互いのブランド価値・イメージ向上のた
め、
様々な活動をしています。
学生の皆さんもインターンシップを体験して、
小売業の魅力を知
ってもらい、
企業活動への理解、
また弊社に興味を持っていただけ
実習内容は、8月に実働10日間、4人の学生を受け入れ、接客、 るようになったことが、
よかったと思います。
叱
る
べ
き
と
き
に
は
、
叱
る
大
切
さ
心
を
開
い
て
く
れ
た
こ
と
に
感
動
case
3 スクールインターンシップ あかだみなみ
東大阪市立英田南小学校
文芸学部 文化学科 3年
久保 里紗
さん
(さきくぼ りさ)
教職を志望し、心理・社会コースの性格心理のゼミで勉強
中です。夏にビジネスマナーを含む事前研修を受け、9月
10日から10月23日まで、小学校の養護学級で授業補助を
体験しました。
養護学級の子どもは特性も一人ずつ違います。初めて教室
に入る時はすごく緊張しましたが、即座に男の子が近寄って話
しかけてくれました。担任の先生としか話さなかった児童が、
3回目に行った時に手を握ってくれました。ストレートな触れ
合いの中で、学校へ行くのが楽しい、充実した毎日でした。
反省点は子どもの叱り方です。先生に注意されたことを
やめない子がいたのですが、
わがままを許してしまいました。
その子の成長のためには、叱るべき時には叱ることも大切
です。また、勉強が嫌いな子どもたちと、すごろくをしながら
足し算をするなど、遊びながら勉強する工夫がなされている
のに感心しました。
スクールインターンシップに参加してみて、教育現場の大
変さも見えましたが、子どもと接するのがとにかく楽しくて、
改めて教師になりたいという気持ちが強くなりました。これ
までも東大阪市の教育委員会が実施する「スクールメイト」
の一員として、中学校でいじめに遭っている子の相談相手に
なり、一緒に勉強する活動にも取り組んできました。子ども
と良き友達のような親しい信頼関係を築ける教師になりた
いです。
派
遣
業
界
で
の
ボ
ー
ナ
ス
制
度
と
メ
リ
ッ
ト
を
プ
レ
ゼ
ン
就
業
体
験
通
じ
、
キ
ャ
リ
ア
ア
ッ
プ
図
る
case
4 オープンインターンシップ(自由応募型) 株式会社パソナ
経営学部 商学科 3年生
莊 智強
さん
(そう ちきょう)
台湾人留学生の私は、日本の企業組織の在り方や成り立ちに
ついて知りたいと思い、
インターンシップに参加しました。計10
日間のプログラムは主に3点。1点目はパソナグループ上層部
との座談会。2点目は5日間の営業部での仕事。3点目が企画
提案型プレゼンテーション、テーマ別グループワークです。
1点目ではパソナグループの南部靖之代表から起業・創業時
の思いや経営者としての考え方などを伺い、刺激をいただきま
した。2点目では営業の業務である「受注ヒアリング、打ち合わ
せ、スタッフのアフターフォロー」を学びました。派遣先企業で
業務内容や勤務条件など詳細にヒアリングし、派遣予定のスタ
ッフ、就業先企業と共に業務内容や職場環境などを確認する「打
ち合わせ」、そしてスタッフの仕事ぶりなどについて定期的に確
認をする「スタッフフォロー」を行いました。3点目のプレゼン
テーションでは、現状では派遣スタッフに支給されていない「ボ
ーナス制度の導入」を提案。目的や導入メリットなど、着眼点の
面白さに興味を持ってもらえました。
インターンシップで学んだことは、
「質問力」の大切さです。
「質
問力」とは、相手が伝えたいと思っている趣旨や意図を正しく
理解した上で、言葉の奥にある真意を察知するためのコミュニ
ケーション力を指します。今回の体験を生かして、将来は中小
企業診断士の資格を取り、相手に合わせて一緒に考え、提案し、
導いていくコーディネーター、アドバイザーの役割を担う仕事を
目指したいです。
インターンシップ
06
経営学部「インターンシップ研究会(KISS)」
Kinki University Internship Study Group for Students
インターンシップの「新しいカタチ」を創る
学生主体の「提案型インターンシップ」を目指して
経営学部経営学科 4年
寺本 大修
さん
(てらもと だいすけ)
6回の報告会を実施
経営学部経営学科 4年
武部 翔子
さん
報告会の開催はこれまでに6回。第1回から第3回までは、
(たけべ しょうこ)
インターンシップ体験談を発表するプレゼン形式だったが、
第
経営学部経営学科 3年
森 健志郎
4回は趣向を変え、
他大学で組織される若者の社会活動支援
さん
(もり けんしろう)
NPOや行政の就職支援活動組織から情報を収集し、
共有した。
第5回はアンケートから抽出した意見を加味し、
ブース型相
経営学部の学生が主体となって活動する「インターンシップ研
談会を実施。インターンシップ参加者が体験談を発表して質
究会(KISS)」は、学生自身のキャリア意識の高揚と、学生・企業
疑応答を受け付け、
インターンシップに関心を抱く学生の不
双方にとって、本当に有益なインターンシップの実現を目指して
安や疑問を取り除く、
フェーストゥーフェースの対話形式とな
いる。経営学部のゼミで、
「インターンシップで得た成果を共有し
った。
たい」という意見が出たことをきっかけに、2005年に発足。現在
第6回は2007年11月に、
「“学生の視点”からインターン
3・4年生30人ほどのメンバーで構成され、定例の活動は毎週水
シップを考える」と題してパネルディスカッションを開催。企
曜の全体ミーティング。発足以来、意欲的にアンケート調査や他
業の人事担当者、
キャリアセンター職員、
就職内定者のKISS
大学、団体へのヒアリングを行うなど、インターンシップの現状と
のメンバーがパネリストとして参加し、
インターンシップがど
問題点を分析し、報告会やパネルディスカッションを開催。インタ
のように役立つか、
就職活動の実態、
企業が求める人物像を
ーンシップ経験者が在学生の悩みや疑問に応じる相談会も開く
テーマに議論を展開した。
など、
“学生の視点”に立った情報提供やアドバイスが好評を得
企業とのコラボで影響力発揮
ている。
企業側で準備されたプログラムをこなしていく「企業主導型の
インターンシップ」から、企業側へのメリットも提示し、学生側か
「アンケートで『学生だけでなくキャリアセンターや企業の
らもアプローチする「提案型インターンシップ」の実現にも取り組
話も聞きたい』という声があったことを反映させて、
第6回は
んでいる。
パネルディスカッションにしました。第5回から3年生主体で
学生の潜在能力を伸ばしたい
キャリア・マネジメント学科長
大窪 久代
教授
(おおくぼ ひさよ)
学生たちは、
自分たちの経験を通じて、
どうすれば効果的なインターンシップを実現
できるか、
また大学全体、
学部・学科の枠組みの中でKISSをどう位置づけ、
連携させる
かといったことを念頭に活動しています。企画の内容について確認し、
配慮の足りない
部分や方向性の違いを軌道修正するのが私たち教員の務めです。
KISSの面白いところは、
決まった役割分担がなく、
企画ごとに各自が自分への役割
や期待を考え実践していく点です。これからのビジネスには、
主体的に行動し、
クリエイ
ティブなネットワーク的思考を持つ人材が求められます。さらに物事を達成するには、
気力・能力・体力・情報を共有化する時間が必要。今後も学生の潜在能力を伸ばせる、
良きアドバイザーでありたいですね。
07
インターンシップ
Internship
特集 インターンシップ
失敗を糧にした
成功体験が原点
寺本 大修さん 経営学部経営学科 4年
オーストラリアの物流会社でインターン
シップを体験した際、
任された業務をこな
せず、
担当者を怒らせてしまいました。事
企画を進めたのですが、
経験の少ない私たちが企業との交渉
前に、
高い語学力があると誤解されてしま
などをこなしたことで、
成長できた部分は大きいです」と森さ
ったからです。しかし、担当者に毎日手紙
ん。
を書いて熱意を伝えたところ、
新たに貿易会社を紹介してもらえました。
寺本さんも「多くの参加があり、
驚きました。学生、
大学と
企業のコラボが生む力の大きさを実感しました」と語る。
くじけずに問題解決を訴えたから成功を呼んだのだと思います。こうした
成長のきっかけをみんなと共有したいという思いが、
KISSにおける私の
活動の原点です。
KISS自体がインターンシップの場
発足当初は内々で企画を練り、
「自分たちが何をやりたいか」にとらわ
れていたのが、
企業を巻き込むまでに幅が広がり、
「相手が何を求めてい
KISSの目標は、
「あるべきインターンシップ」の形を模索し、
るか」を主眼に置いた活動に変化してきました。卒業後は私の職場を
独自開発のプログラムを学生・企業・社会に提案していくこと
KISSの後輩が訪れ、
職場もネットワークの一員に加えられる日が来るこ
だ。ビジネスプランやアイデアを実現できる形態、
本学での研
とを心待ちにしています。
究成果を企業に持ち込み、
実践に移す形態など。仕事はもら
形に残る活動に
自信が持てます
うものではなく、
自分で取りにいくものであり、
「これだけの力
があるから、
この仕事を任せてほしい」と積極的なアピールが
大切だ。
武部 翔子さん 経営学部経営学科 4年
「KISS自体がインターンシップ。学生が主体となり、
指導し
てくださる先生方の思いも吸収しながら、
どう物事を実現して
インターンシップには参加していません
いくかを考えます。先生方の思いと少し違うことをやろうと思
でしたが、
KISSでの経験や学んだ内容を
えば、
まず先生方を説得できるだけの力を持たなくてはいけ
就職活動で生かすことができました。アル
ません」と寺本さん。次回はグループディスカッションを企画し、
バイトとゼミ活動とともにでキャンパスラ
インターンシップの普及と学生の就業意識向上を図る予定だ。
イフに形として残せたものが、
KISSの活
動です。表に立つよりも裏方として働くことが多く、
どんな動きをすれば
よいのか、
人としての常識を学びました。
「自分にはこれができる」と自信
を持って言える素材が増えたことが、
何よりもうれしいです。
調整役として
「報・連・相」を徹底
森 健志郎さん 経営学部経営学科 3年
ひ と つ の ゼ ミ 生 を 中 心 に 始 まっ た
K I S Sでしたが、今は複 数 のゼミにメン
バーがまたがっています。他のゼミに入
っているメン バ ーとの 調 整 役を 務 めて
きて、自分が一回り成長したという手応
えがあります。共通認識を持てるようにするには、
「報・連・相」の徹底
・・・
が欠かせませんでした。さらに「組織」を作り上げるという醍醐味を実
感しました。後輩たちにも、
タテヨコのコミュニケーションを深めて絆
を強くすることで、KISS全体が開花するようにアドバイスしていきた
いです。
「インターンシップはどのように役立つか」を訴えた第6回報告会
インターンシップ
08