⾚⼗字救急法基礎講習 ⾚⼗字と聞いて 何を思い浮かべますか? ⽇本⾚⼗字社の使命 わたしたちは、 苦しんでいる⼈を救いたいという思いを結集し、 いかなる状況でも、 ⼈間のいのちと健康、尊厳を守ります。 ⽇本⾚⼗字社の事業 ⽇本⾚⼗字社を⽀える柱 ●⾚⼗字の活動資⾦〔社資〕は、皆様の善意で賄われています。 社資 国内災害救護 国際活動 医療事業 ⾎液事業 社費 社員が毎年500円以上 を納めるもの 看護師等の養成 ボランティア 社会福祉 ⻘少年⾚⼗字 すべての事業は⽇本⾚⼗字社の使命を達成するために⾏われている 寄付⾦ 広く⼀般から寄せられるもの ※社員とは、⾚⼗字事業の趣旨を理解していただいたうえで、毎年 ⼀定額以上の「社費(年額500円以上)」を⽇本⾚⼗字社に拠出 して、事業を⽀えていただいている⽅のことをいいます。 【社員証】 「苦しんでいる人を助けたい!!」 という想いは、誰もが持っている優しい心です。 しかし、実際に行動に移すことは難しい… “優しさ”を行動に移す 自信と勇気を持っていただくための講習会。 目の前にいる人を救うことができるのは 一番近くにいるあなたです。 ⾚⼗字救急法とは?? 第1章 ⾚⼗字救急法について 病気やけがや災害から自分自身を守り、 けが人や急病人を正しく救助し、 医師または救急隊などに引き継ぐまでの 救命手当及び応急手当を赤十字救急法といいます。 ※けが人や急病人(以下、傷病者) ○救命手当 ⇒救命のための手当(一次救命処置) 心肺蘇生・AED・気道異物除去など 市民が行う一次救命処置 救助者の⼼構え(守るべきこと) ●自分自身の安全を確保します。周囲の状況を観察、 二次事故(災害)の防止に努めます。 ●原則として医薬品は使用しません。 ●あくまでも医師または救急隊に引き継ぐまでの 救命手当・応急手当にとどめます。 ●必ず医師の診療を受けることをすすめます。 ○応急手当 ⇒一次救命処置以外の処置 急病・きず・骨折・搬送 一次救命処置以外の処置 救助者の⼼構え(救助者の⾃覚) ●救助者は医師または救急隊などに引き継ぐまで、 現場において中心的立場で活動することがある。 ⇒時には二次事故(災害)を回避するため、 救助の中断を判断しなければならない場合も… 「傷病者を救う」、「二次事故(災害)を起こさない」 ●死亡の診断を行なってはいけません ※死亡の診断は医師がその資格において行うものです。 双方の決意が周囲の人の正しく理解されるよう注意する。 救助者の⼼構え(救命の連鎖) 救命の可能性と時間経過 救急蘇⽣法の指針2010 市⺠⽤・解説編より引⽤ ●救命の連鎖 ⇒傷病者を救命し、社会復帰させるために必要となる一連の行い。 ⇒輪が途切れることなく繋がると救命効果が高まる。 ●救急隊を待つ間に居合わせた市民が救命処置を行う と救命の可能性が約2倍に保たれる。 電気ショックを救急隊が⾏った場合と 市⺠が⾏った場合の1か⽉後社会復帰率 救急蘇⽣法の指針2010 市⺠⽤・解説編より引⽤ 第2章 ⼿当の基本 ●救急隊を待つ間に居合わせた市民がAEDによる電気 ショックを行うと1か月後社会復帰率が約2倍。 観察の基本(周囲の状況) 倒れている人を見つけたら… ●傷病者発生時の状況 ●事故の場所 ●傷病の原因 ●証拠物 ●二次事故(災害)の危険性の確認 二次災害の危険があるときは、 危険を排除してから、手当を開始します。 観察の基本(傷病者の観察) 傷病者(けが人や急病人)の全身を観察 意識 障害 気道 閉塞 ⼤出⾎ 呼吸 停⽌ ひどい 熱傷 ⼼停⽌ 中 毒 ⽣命の徴候の観察 ●意識があり呼吸がある場合でも、生命の危機が迫っ ている場合がある。 ●また、傷病によっては、時間的に余裕があっても、 救急車以外での搬送は状態を悪化させる危険性が高 い場合がある。⇒生命の徴候を観察する 生命の徴候 傷病者の「意識」、「呼吸」、「脈拍」、「顔色・皮膚」の状態 傷病者が「手足を動かせるか」 ⽣命の徴候の観察(意識の状態) ●傷病者の耳元で声をかける ●軽く肩を叩く(乳児の場合は足の裏を叩く) ⇒何らかの反応があっても、応答ができないときは、意 識障害があると判断する。 ⇒心停止直後には死戦期呼吸やけいれんなどの動きが認 められることがあるが、刺激に対する目的のある応答 ではないので、意識があるとみなさない。 ⽣命の徴候の観察(⽬の状態) ●瞳孔や眼球が下図のようであったり、目が見えない、目 の動きに異常があるときは、生命の危機が迫っている、 脳の中に異常がある、薬物の影響を受けているなどが考 えられる。 散 ⼤ 不 同 縮 ⼩ 共同偏視 ⽣命の徴候の観察(呼吸の状態) ⽣命の徴候の観察(脈拍の状態) ●傷病者の口・鼻に救助者の耳・頬を近づけ、視線を傷病 ●手首、股の付け根、首を人さし指となか指の先のふくら 者の胸の方に向けて、呼吸の状態を観察する。 みで軽く押さえて観察する。 ●胸の動きをみる ●呼吸の音を聴く ●吐く息を頬で感じる 呼吸数の 目安 区分 呼吸数/分 乳児(1歳未満) 30~40回 小児(1歳以上~6歳未満) 20~30回 小児(6歳以上)・成人 14~20回 区分 脈拍数の 目安 乳児(1歳未満) 脈拍数/分 80~140回 小児(1歳以上~6歳未満) 70~120回 小児(6歳以上)・成人 660~80回 ⽣命の徴候の観察 (顔⾊・⽪膚の状態の観察) ⽣命の徴候の観察 (⼿⾜を動かせるかの観察) ●顔色や手足の色などを見ながら、皮膚に触れて温度や乾 湿の状態を調べます。 ●救助者の指を握らせてみたり、上肢・下肢を動かさせて みて傷病者が自分で手足を動かせるか調べます。 顔色や皮膚の状態 考えられる原因 チアノーゼ 顔色、手足の色、特に唇、爪 の色が青黒くなった状態 血液中の酸素が不足 ・呼吸ができない ・心臓に異常がある ・薬品などによる中毒 蒼白 顔色、皮膚の色が白く、皮膚 に触れてみると冷たく湿った 状態 血液の循環が悪い(ショック) ・大出血で血圧が下がっている ・心臓発作などで心臓のポンプ 機能が低下している 顔色、皮膚の色が赤味を帯び た状態 ・血圧が高い ・一酸化炭素中毒 ・熱中症 赤味を帯びた色 手足の状態 考えられる損傷 片方の手または足を動かせない 末梢神経や骨、腱、筋肉を損傷している 片側の手と足を動かせない 脳を損傷している 両手・両足を動かせない 頸髄を損傷してている 両足を動かせない 胸髄や腰髄を損傷している ショックとは 体位(姿勢)の基本 ●何らかの原因で血圧が下がり、全身の血液の巡りが急に 悪くなり、酸素や老廃物が円滑に運搬されなくなった結 果引き起こされるさまざまな全身症状のこと ●基本的な体位(意識がある場合) ⇒原則として水平に寝かせ、傷病者の意識がある時には、 傷病者が最も楽な体位をとらせる。 《ショックの徴候》 《ショックの徴候》 ・顔色が蒼白 ・皮膚が冷たく、湿った感じ ・呼吸が浅く、速い ・虚脱、ぐったりしている ●症状に応じた体位 ・脈が弱く、速い ショックの予防対策 ●原因の除去(迅速で適切な手当) ●安静(適切な体位、保温、力づけ) 傷病者への接し⽅(安静) 傷病を悪化させないため安静が大切。 ●乱暴な搬送 ●不安を与える言動 ●劣悪な環境 身体的にも精神的にも安静にすることが重要!! 声かけや力づけは誰にでもできる手当です。 傷病者への接し⽅(飲⾷物) ●原則として“与えない” ※絶対に飲食物を与えてはいけない傷病者 ・意識のないもの ・吐き気のあるもの etc… ●熱中症、ひどい下痢などによる脱水、ひどい熱 傷の場合には水分を取らせる必要がある。 ※一度に多量の水は飲ませず、少しずつ与える 現場での留意点 ●協力者を求める(手当、搬送、連絡通報など) ・多くの人に協力を仰ぐ ●連絡・通報 ・通報の際には正確な状態を伝える 第3章 ⼀次救命処置(BLS) (落ち着いて指令員の質問に答える) ・通信指令員の指示を仰ぎ、手当する いつ、どこで、だれが、どうした ⼀次救命処置とは?? ⼼肺蘇⽣とは?? 心肺蘇生やAEDを用いた除細動など、心 臓や呼吸が停止した傷病者を救命するため に行う緊急処置 胸骨圧迫と人工呼吸を行い、 循環と呼吸の機能を代行して救命する手当 ⇒できるだけ絶え間なく実施する!! 気道に物が詰まり呼吸ができなくなった場 合、それを取り除くこと(気道異物除去) ≪救急自動車の現況≫ ●通報から現場到着まで8.1分 ●通報から医療機関収容まで37.4分 一次救命処置(BLS) (デモ)⼼肺蘇⽣とAED 呼吸をみる ①胸部と腹部の動きに注目 ②10秒以上時間をかけない 胸⾻圧迫 ①少なくとも5cmの深さで ②少なくとも 1分間に100回のテンポで ③続けて30回圧迫!! 強く!! 気道確保 ①頭側にある手は額 足側にある手はあご先 早く!! 絶え間なく ⼈⼯呼吸 ①気道確保のまま ②額に置いた手で鼻をつまむ ②両方の手で頭部を後方に傾ける ③目線は胸部 AEDの⽬的 胸⾻圧迫と⼈⼯呼吸の組み合わせ 突然死の原因となる心室細動を起こした 心臓に電気ショックを与えて、心臓の動 きを正常に戻す機器。 電気ショック 30:2 ※1分から2分を目安に交代。 ※交代するときは胸骨圧迫から。中断時間は最小限に!! ⼼室細動 AEDの特徴 ○内蔵されたコンピューターが自動的に心電図を解 析し、ショックが必要かどうかを判断。 ○音声で指示するので、簡単で確実に操作できる。 ○消耗品の期限が切れてないか、しっかり管理する。 正常な⼼臓リズム 最後に… 救急法の目的は ①事故を防止する意識をもってもらうため ②事故の時に正しい手当をしてもらうため 日ごろから 事故を起こさないという決意と 緊急時に手当できる備え をしておくことが命を守る。 本⽇はご参加いただきありがとうございました。
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