記憶媒体に関するノート

TN-00-001
記憶媒体に関するノート
April 1, 2000
本資料はクラス討議での利用を目的として、上智大学経済学部教授網倉久永および上智大学経済学部網倉ゼミナールの榎本悠介・
清水大輔が公表資料をベースに作成したものであり、経営上の適切・不適切な施策を例示するものではない。
© Hisanaga Amikura, 2000.
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はじめに ∼記憶媒体とは?∼
近年、記憶媒体の種類が増え続けています。新しい記憶媒体が次々と導入される一方で、従来からの伝統
的なメディアが主役の座を明け渡しつつある事例が増えてきました。たとえば、音楽の記録メディアでは、
カセットテープに代わってミニディスク(MD)が主流になってきました。映像の分野でも、ビデオもデジ
タル化していく一方でDVDプレーヤーが急速に普及しつつあります。コンピュータ関連では、フロッピー
ディスク=ドライブの搭載されていないモデルが出現する一方で、ノートパーソナル・コンピュータにも
CD-ROMが標準的に装備され、さらにはZip®、光磁気ディスク(MO)、DVD™といった大容量の外部記憶
装置に注目があつまっています。
ところで、皆さんは「記憶媒体」とは何かと改めて質問されたら、どう答えますか?「記録媒体」と呼ば
れる場合もありますが、記憶媒体とは文字通り「記憶」や「記録」のための「媒体」です。例えばフロッピ
ーディスクのように、情報を保持できる媒体(メディア)のことです。ここで言う「媒体」とは、次のよう
な意味で使われています。
皆さんがパーソナル・コンピュータとワープロソフトなどで文書を作ってほかの人に渡すとき、どうやっ
て渡しますか?文書のボリュームが少しだったら、紙を直接手渡せば良いですよね。しかし、文書のボリュ
ームが膨大だったら、とてもじゃないけど紙では渡せません。ここで、フロッピーディスクの登場となるわ
けです。当たり前ですが、フロッピーディスクは紙と違い、それ自体をいくら見つめても、中に記憶されて
いる情報を見ることはできません。文字データは電気的な信号に置き換えられてフロッピーディスクに記録
されています。つまり、文字による情報をフロッピーディスクが媒介しているわけです。何かを媒介するも
のは、「媒体」と言われます。つまり、記憶媒体とは、情報を「記録」・「記憶」し「媒介」するものなの
です。だからカセットテープや音楽CDやミニディスク(MD)も記憶媒体であるといえます。カセットや
CDは音声による情報を媒介しているのです。
情報の「記録」・「記憶」を媒介するメディアは、冒頭に記したように種々様々なものがあります。ここ
では紙幅の制約から、パーソナル・コンピュータの周辺機器などで使われる「取出可能な記憶媒体」にス
ポットライトを当てて、その種類と用途についてまとめてみることにします。
「取出可能」とは、たとえばフロッピーディスクのように、記憶媒体そのものをコンピュータ本体や読み
取り装置から取り出せることを意味します。このような媒体のことを「リムーバブル・メディア」ともいい
ます。それに対して、「ハードディスク」のように、メディアそれ自体をドライブから取り出すことができ
ない媒体もあります。
容量・互換性・ネットワーク外部性
ここで、記憶媒体について考えるうえで非常に大事なキーワードを3つ紹介します。それは、「容量」と
「互換性」と「ネットワーク外部性」です。
まず「容量」とは、ある媒体1枚に記録できるデータの量のことを指します。その単位は「キロバイト」
「メガバイト」「ギガバイト」等があります。それでは、具体的にはどのくらいの量なのでしょうか?例え
ば、容量1.4メガバイトのフロッピーディスクの場合、1枚のなかに日本語にして文庫本ほぼ2冊のデータが
記録できます。また、大容量のDVD-ROM™の場合、1枚の容量は片面4.7ギガバイト(1ギガバイトは1024
メガバイト)で、長さ2時間の映画のデータ全部(音声・映像・字幕等)が完全に入ってしまいます。文庫
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本に換算すると7000冊以上です。
次は「互換性」です。「互換」という言葉の本来の意味は「取り換えが可能なこと」ですが、記憶媒体に
ついてこの言葉を用いるときにはちょっと違った意味になります。記憶媒体について「互換性がある」と言
うときには、2つの場合があります。まず1つ目は「ある媒体をそのまま別の媒体用の読み取り装置で読み込
める」ということです。2つめは、「読み取りも書き込みもできる」という意味です。この2つを混同しない
ようにしましょう。
例えば、CD-ROMは、CD-ROM用の読み取り装置(CD-ROMドライブ)のほかにDVD-ROMドライブでも
読むことができます。このとき、「DVD-ROMドライブとCD-ROMは互換性がある」と言います。ただし、
ここで注意しなければならないのは、この逆は成り立たないということです。つまり、CD-ROMドライブで
はDVD-ROMのメディアに記録された信号を読み取ることはできません(互換性がない)。そこでより正確
には、「DVD-ROMドライブはCD-ROMに対して互換性があるが、CD-ROMドライブはDVD-ROM互換では
ない」といいます。
また、読み込みはできるけれども書き込みはできないという場合もあります。例えば、容量640メガバイ
トの光磁気ディスク(MO)のドライブは128メガバイトのMOディスクの読み込みはできますが、書き込み
はできません。
記憶媒体を考えるときには、この互換性が非常に大事です。というのも、ある媒体がどの記憶装置で読み
書きできるかが装置の普及に大きく影響するからです。ユーザー(利用者)の立場からすると、装置が変わ
るたびに媒体も変えなければならないのはとても不便です。たとえば、アメリカからZipでデータが送られ
てきたけれど、読み取り装置(ドライブ)を持っていないので困ったという経験談を耳にしたことはないで
しょうか。外部記憶装置を購入する場合に、日頃からデータのやりとりをする人々の間でどの装置・メディ
アが主流になっているかは、購入意思決定の大きな要因となります。最近、CD-Rの普及がめざましいの
も、ほとんどのパーソナル・コンピュータにCD-ROMが搭載されていることが背景にあります。
また、記憶装置を買い換える際にも、今まで使っていたメディアをそのまま使い続けられるかどうかとい
うことが、非常に重要な選択基準になります。例えば、DVDドライブは音楽CDを読み取ることができるの
で、音楽CDソフトを多数もつ人も安心してDVDドライブを導入できます。このように互換性が保証されて
いるメディアなら、導入時の「スイッチング・コスト」が低くてすみます。
消費者としては、どのメディアの「利用ネットワークに属する」かの選択が、大きな意味をもつことにな
りますので、なるべくなら「勝ち馬に乗る」、すなわち多数派に属することを選択しようとするはずです。
あるメディアの普及度が高いほど、そのメディアを使っている人が多く、データの受け渡しの利便性が向上
します。また普及度が高いほどメディアほど、研究開発の努力が優先的に投入されるため技術進歩が急速
で、なおかつ規模の経済や経験効果によってドライブ・メディアともにコスト・価格が低下していくことが
しばしば観察されます。
このように、ある製品の価値が、それ自体の特性だけでなく、その製品を使用している人の数の多さ
(ネットワークの大きさ)によって決まる現象を「ネットワーク外部性」と呼びます。ネットワーク外部性
によって、記憶媒体市場は二極分化していく傾向が強くみられます。「勝ち馬」となった特定のメディアだ
けが価格・機能比を急速に向上させる一方で、多数派になれなかったメディアは次第に忘れ去られ、いつし
か市場から姿を消していったという例は枚挙の暇がないほどです。
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記憶方式による分類
ここでは、記憶媒体を仕組み別に見ていくことにします。記録媒体の記録のしかたは、大きくわけて4つ
あります。それは、半導体を用いたフラッシュメモリー方式、磁気記録方式、光磁気記録方式、そして相変
化方式です。何だか漢字ばかりで難しそうですね。ここではそれぞれの方式の簡単な仕組みと目立った特徴
を挙げていくことにします。
1.半導体を用いたフラッシュメモリー方式
まず、半導体を用いたフラッシュメモリー方式を用いたメディアには、小型・軽量で製品数が多いという
特徴があります。この方式を採用した製品は、みな切手を少し大きくしたような形をしています。この方式
は、主にデジタルカメラの画像などの小容量データの受け渡しを目的とした媒体に採用されています。さら
に、アクセス・スピードが速いのも特徴です。「アクセス・スピード」とは、コンピュータがその媒体にデ
ータを要求してから、媒体がその要求に応えるまでのスピードのことです。もっと直感的に言うと、私たち
が媒体の中にあるデータを使うために待たされる時間です。ということは、もちろん速いほうが良いので
す。しかし、一方では記憶容量あたりの値段が高いという特徴もあります。ちなみに「記憶容量あたりの値
段」は、次のように計算します。たとえば現在、容量が4メガバイトのメモリースティックが2880円で売ら
れているとします。このとき、1メガバイトあたりの値段は2880/4=720円となります。
2.磁気記録方式
磁気記録方式は、磁性体を塗布した基板に磁気によって情報を記録する仕組みです。この方式の特徴は、
何と言っても大容量化が容易なこと、そして記憶容量あたりの値段が安いことです。この方式を採用してい
る代表的な記憶媒体は、フロッピーディスクとハードディスクです。この方式は歴史が長く、さまざまな容
量・用途の媒体に採用されています。
1) 光磁気方式
光磁気方式は、磁気膜にレーザー光を照射して記録し、読み取りはレーザー光の反射を判別して行なうと
いうしくみです。この方式の特徴は、大容量なこと、そしてデータの読み込みは速いが書き込みが遅いこと
です。この方式を用いた媒体としては、光磁気ディスク(MO)があります。MOは、その特性を活かすこ
とのできる印刷業界などで普及しています。
2) 相変化方式
相変化方式は、レーザー光を記録層に照射し、結晶状態と非結晶状態(アモルファス)を作り出すことに
より記録をします。この方式の特徴は、何と言っても現在ナンバーワンの記憶容量を持つDVD-RAM™に代
表される大容量性です。CDを始めとした「光る円盤」は、この方式を採用した媒体だと思っていただいて
よいと思います。しかし先程触れたMOも、一見すると「光る円盤」なので注意が必要です。
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記憶容量と用途による分類
ところで、記憶媒体を容量で分類すると、1メガバイト程度のものから数ギガバイトに及ぶものまであり
ます。ですから容量によっておのずと用途も決まってきます。例えば先に取出不可能なメディアの例として
取り上げたハードディスクのバックアップをとる(クラッシュやハングアップなどと呼ばれる、コンピュー
タの急な故障に備えてデータの複製をつくって保存しておくこと)のであれば大容量のメディアが必要です
が、反対にワードプロッセサで作成した文書の受け渡しに使うのであれば、フロッピーディスクで十分で
す。図1は、主要な記憶媒体を容量と用途で分類したものです。
ここまでの説明で、記憶媒体の容量はその記憶方式によってある程度決定されることがおわかりいただけ
たと思います。つまり、フラッシュメモリー系のメディアにはそれほど大きくないデータの受け渡しを主目
的とした、容量100メガバイト以下のものが多く、磁気記録系のものは小容量から大容量に至るまであらゆ
る種類のものが存在することがわかります。また、光磁気方式と相変化方式の2つについては、双方とも
バックアップ用の大容量メディアを守備範囲としているのが判ります。
図1 用途と容量による分類
用途
DVD ファミリー
フルバックアップ
GIGAM O
データの部分的バックアップ
中容量データの受け渡し
CD ファミリー
Zip
フロッピーディスク
文字・画像の受け渡し
フラッシュメモリ
~100メガバイト ~1ギガバイト 1ギガバイト以上 容量
以下では、メディアの容量を小容量(100メガバイト以下)、中容量(1ギガバイト以下)、大容量(1ギ
ガバイト以上)の3種類にわけて、具体的に紹介していきたいと思います。
1.小容量メディア
このクラスのメディアは、大きく2種類に分けられます。一つは磁気記録方式のメディアで、もうひとつ
はフラッシュメモリー方式のメディアです。前者のなかで最も有名なのはフロッピーディスク(FD)で
す。容量は1.44メガバイトで、サイズは約9cm四方です。このメディアの特徴は、何と言ってもメディア単
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価が安いので手軽に使えること、そしてフロッピーディスク・ドライブが今やどのパーソナル・コンピュー
タにもついているので小容量のデータの受け渡しに最適ということです。しかしながら昨今のインターネッ
トやデジタルカメラの普及により、よりサイズの大きい画像データや音声データを扱う機会が増え、現在で
は少々役不足の感があります。
このほかの磁気記録方式を用いた小容量メディアとして、Clik!™があります。これは米国iomega社の製品
で、容量は40メガバイトです。メディアの大きさはフロッピーよりも小さい名刺サイズです。しかしながら
このメディアを読めるのはiomega社製の専用ドライブのみで他のメディアと一切互換性がなく、40メガバイ
トという容量が、デジタルカメラの高精度化により急速にサイズが拡大してきた画像データを扱うためには
決して十分とはいえないことなどから、あまり普及してはいません。
一方、フラッシュメモリー系のメディアは種類が多く、デジタルカメラやMP3プレーヤー等とパーソナ
ル・コンピュータの連携に多用されています。MP3は音楽CDと同じ長さの音楽を約10分の1の容量で保存す
ることが出来るデータ圧縮の方式で、インターネット時代の新しい音楽の形として注目されています。
さて、フラッシュメモリー系のメディアの代表的なものが、コンパクトフラッシュ™、MMC™(マルチ
メディアカード™)、メモリースティック™、スマートメディア™です。いずれも最大容量は32~128メガバ
イトで、大きさは切手2~3枚分です。今挙げた媒体は、互いに互換性がありません。このクラスでは、現在
フラッシュメモリー方式のものが大勢を占めており、ネットワーク外部性の効果により急速に性能を向上さ
せると同時に価格が低下しています。
2.中容量メディア
このクラスのメディアには、相変化方式を用いたものと磁気方式を用いたものがあります。前者の代表的
なものに、CD-ROMとCD-R、CD-RWがあります。この3種類は、いわば兄弟のようなものです。まずはじ
めにCD-ROMが登場し、続いてCD-RとCD-RWが出てきました。容量は全部640メガバイトです。
CD-ROMは、書き換えのできないメディアです。データの変更や書き込み等はまったくできません。この性
質から、市販のソフトウエアの配布等に使われています。現在、CD-ROMドライブは、ほぼすべてのパーソ
ナル・コンピュータに標準搭載されいます。
CD-RとCD-RWはCD-ROMと互換性のある記録メディアで、どちらもCD-ROMドライブで読むことができ
ます。CD-Rは1回だけ記録ができ、メディア単価が非常に安いという特徴があります。また、記録の改ざん
ができないという性質を利用して、医療現場でのカルテの記録などに使用されています。一方のCD-RWで
は、複数回の記録と消去が可能になります。
CD-Rは中容量の記録媒体のなかで最も注目されています。ほぼすべてのパーソナル・コンピュータに
CD-ROMドライブが搭載されているため、データの受け渡しに際して相手の利用しているメディアを確認し
たり、メディアを変換するなどの手間が省けるメリットが高く評価されています。また、ドライブの普及率
が高まるにつれ、メディア・ドライブともに価格が急速に低下しており、中容量のデータの受け渡しには不
可欠な存在となりつつあります。
一方、磁気記録方式を利用したメディアとしては、マイクロドライブ、Zip、スーパーディスクドライブ
そして、HiFD™があります。
マイクロドライブは、容量が340メガバイトのメディアです。長所はコンパクトなことと、大容量なこと
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です。しかし、他のリムーバブルメディアと違い、ドライブも内蔵した、いわば非常に小型のハードディス
クであるため、機構が複雑になり、コスト低減が困難にならざるをえないという短所があります。
Zipは、米iomega社から発売されているメディアで、容量は100メガバイトと250メガバイトの2種類があり
ます。250メガバイトのドライブで100メガバイトのメディアの読み取り・書き込みができる「下位互換性」
は確保されていますが、他のメディアとの互換性はありません。アメリカでは、同社がドライブ価格を意欲
的に設定したこともあり、パーソナル・コンピュータの外部記憶装置として広く普及しています。しかし、
日本国内での普及率はMOに及ばず、またメディアの供給元が少数に限定されていることもあり、メディア
価格が相対的に高くなってしまい、現時点では苦戦を強いられています。
スーパードライブは容量120メガバイトのメディアです。Imation社のSuperDisk™等を指すスーパーディ
スクドライブはフロッピーディスクに対して下位互換性があります。つまり、スーパーディスクドライブを
持っていれば、今持っているフロッピーディスクの情報が有効利用できるというわけです。スーパードライ
ブも、120メガバイトという容量がバックアップには小さすぎ、なおかつ普及率が低いのでメディアの価格
が相対的に高価であるためデータの受け渡しには向かず、やはり苦戦しています。
最近商品化されたHiFD(ハイエフディ)™も通常のフロッピーディスクに対し下位互換性を有してお
り、容量はフロッピーディスクの140倍の200メガバイトです。ソニーと富士写真フィルムが共同開発し
た、この大容量フロッピーディスクはデータの高速転送(フロッピーの60倍、MOの1.5∼2倍)も実現して
おり、ビジネス等の用途が拡大していくことが期待されています。
3.大容量メディア
このクラスのメディアには、磁気記録方式のものと光磁気方式のものと相変化方式のものがあります。磁
気記録方式の代表例としては、米iomega社のJaz®(容量2ギガバイト)があります。
光磁気方式のものとしては、GIGAMOがあります。GIGAMOとは、富士通とソニーが共同開発した1.3ギ
ガバイトの光磁気ディスク(MO)の規格です。MOには、従来から容量が128メガバイトから640メガバイ
トまでの製品があり、これらのディスクはすべてGIGAMOのドライブで読むことができます。この互換性
が、GIGAMOの強みです。しかしながら、まだドライブが高価で、メディア単価が高いという欠点もあり
ます。
相変化方式を採用しているのは、DVDファミリーです。このファミリーには、DVD-ROM、DVD-R™、
DVD-RW™、DVD-RAMがあります。これとは別に、ソニーが独自に推し進めるDVD+RW™という規格も
あります。DVD-RAMとDVD+RWの間には互換性がありません。
まずはじめに、DVD-ROMはCD-ROMのように書き換えのできないメディアです。容量は片面4.7ギガバイ
トで、現在のところ映画の配給等に使われていて、パーソナル・コンピュータ向けにはあまり使われていま
せん。
つぎに、DVD-Rは、1回だけ記録のできるDVDメディアで、容量は3.95ギガバイトです。CDファミリーで
言うところの、CD-Rにあたります。
DVD-RWは、パイオニアが提唱した規格で、約1000回の書き換えができます。これは主にオーディオ・
ヴィジュアル用に開発された規格で、パーソナル・コンピュータにはあまり縁がありません。
DVD-RAMは、現在のところ次世代大容量メディアの最有力候補と目されています。容量は片面2.6ギガバ
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イト、両面5.2ギガバイトです。このメディアは、書き換えと消去が何回でも可能です。長所としては、こ
の追記可能性と、他のメディアを凌駕する圧倒的な大容量が挙げられます。反対に短所は、まだ製品が少な
いこと、そして業界内で完全には規格が統一されていないことがあげられます。
この規格の不統一の原因が、DVD+RWといわれるソニーとヒューレット・パッカードによって独自に推
進されている書き換え可能なDVDの規格です。容量は片面3.0ギガバイト、両面6.0ギガバイトで、DVDRAMより少し大きいのが特徴です。この規格は、松下・日立・東芝などが推進している先程のDVD-RAMと
激しい主導権争いを繰り広げました。結局歩み寄ることはできず、独自規格の発足となりました。現在、
DVD-RAM陣営も対抗して片面4.7ギガバイトの次期ヴァージョンを発表しています。
現時点では、DVD-ROMは本格的な普及が始まりつつありますが、DVD-RAMに関しては上で述べた規格
統一の問題もあり、本格的な普及のためには解決しなければならない課題が山積している状態です。しか
し、DVDが大容量記憶を可能にすることで、パーソナル・コンピュータとオーディオ・ビジュアル機器、
さらには家庭用電化製品との融合を促進し、従来には存在しなかったまったく新しい機器・サービスが開発
されていくことが予想されています。
MDおよびMiniDiskはソニー株式会社が商標権を有しています。
Zip®、Jaz®、Clik!™ は米iomega社の商標です。
DVD™はタイムウォーナーエンターテイメントカンパニーエルピー社が商標権を有しています。
DVD™、DVD-R™、DVD-ROM™、DVD-RAM™、DVD-RW™、DVD-VIDEO™は商標です。
コンパクトフラッシュ™、COMPACTFLASH™は米サンディスク社の登録商標です。
MMC, MultiMediaCard™は独Infineon Techologies AG社の商標です。
メモリースティック™、MEMORY STICK™はソニー株式会社の商標です。
スマートメディア™、SmartMedia™は東芝株式会社の登録商標です。
SuperDisk™はImationの商標です。
HiFDはソニー株式会社の商標です。
GIGAMOは商標です。
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<参考文献>
朝日新聞社『ASAHIパソコン』1999年11月1日号; 26-39頁.
麻倉怜士(1999)『DVD-RAM革命』オーム社.
『日経産業新聞』「小型大容量の記録媒体(上)「名刺」に新聞20年分」1999年5月26日.
『日経産業新聞』「小型大容量の記録媒体(下)「500円玉」に画像1000枚」1999年5月27日.
<各製品紹介のホームページ>
各記録媒体のより詳しい特徴は、以下のホームページを参照してください。
<iomega社の製品>
http://www.iomega.co.jp/zip/index.html
http://www.iomega.co.jp/clik/index.html
http://www.iomega.co.jp/jaz/index.html
<メモリスティック>
http://www.sony.co.jp/soj/memorystick/product/lineup.html
<スマートメディア>
http://www.ssfdc.or.jp/japanese/spec/index.htm
<コンパクトフラッシュ>
http://www.fujifilm.co.jp/ffm/rd3202.html
<DVD-RAMについての技術的な情報>
http://www.hitachi.co.jp/dvd-ram/top/home.htm
<MOについての総合的な情報>
http://www.fujitsu.co.jp/hypertext/aboutmo/
<SuperDisk>
http://www.maxell.co.jp/noflash/consumer/cp_med/sp_disk.html
<FD>
http://www.maxell.co.jp/noflash/consumer/cp_med/floppy.html
<HiFD>
http://www.sony.co.jp/sd/CorporateCruise/Press/200001/00-0120C/index.html
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