「泉大津フェニックス野外コンサート 2012」 の経済波及効果 平成 25 年 3 月 公益財団法人 堺都市政策研究所 「泉大津フェニックス野外コンサート 2012」の経済波及効果 [1]はじめ 泉大津フェニックスは大阪府泉大津市にあり、大阪湾を隔てた海の先に遠く兵庫県の六 甲山を望む広々とした埋立地である。この泉大津フェニックスに堺泉北港におけるにぎわ いづくりや、泉大津フェニックスの知名度向上を目的として、平成 17 年から野外コンサー トが誘致されている。泉大津フェニックス野外コンサートの来場者は毎年全国各地から集 まってきて、夏の風物詩として定着している。 8 年目となる 2012 年は、9 月 2 日(日)の「RUSH BALL 2012」 、9 月 8 日(土) ・9 日(日)の「OTODAMA’11-’12 音泉魂」と 3 回の野外コンサートが開催された。芝生が 敷きつめられた会場では、延べ 38,500 人の観客が集まり、熱い声援を送った。 本報告書は、2012 年 9 月に開催された「泉大津フェニックス野外コンサート 2012」が 泉州地域及び開催の地元である泉大津市でどれほどの経済波及効果があったかを推定した ものである。推定の結果、 「泉大津フェニックス野外コンサート 2012」は泉州地域では 5 億 8,800 万円、開催地元の泉大津市では 2 億 3,300 万円という大きな経済波及効果があっ たことが示された。 [2]直接効果の項目 1.コンサート来場者の消費支出 「泉大津フェニックスにぎわいづくり委員会」によると、 「泉大津フェニックス野外コン サート 2012」の来場者は3日間で延べ 38,500 人に上った。 表 1 コンサート来場者総数 単位:人 コンサート開催日 人数 9 月 2 日(日) 20,000 9 月 8 日(土) 10,000 9 月 9 日(日) 8,500 合計 38,500 データの出所: 「泉大津フェニックスにぎわいづくり委員会」 「泉大津フェニックス野外コンサート 2012 におけるアンケート調査結果」によると、コ ンサート来場者総数のうち宿泊したコンサート来場者の割合は 23%、日帰りのコンサート 来場者の割合は 77%であった。この割合に基づいて、宿泊したコンサート来場者数と日帰 りのコンサート来場者数を推定した。推定の結果は表 2 で示されている。宿泊したコンサ ート来場者は 8,855 人、日帰りの来場者は 29,645 人となった。 3 表2 宿泊コンサート来場者数及び日帰りコンサート来場者数 単位:人 項目 人数 宿泊来場者 8,855 日帰り来場者 29,645 合計 38,500 データの出所: 「泉大津フェニックス野外コンサート 2012 におけるアンケート調査結果」 コンサート来場者の 1 人当たり消費支出額は表 3 で示されている。コンサート入場料以 外の来場者 1 人当たり消費支出額は「泉大津フェニックス野外コンサート 2012 におけるア ンケート調査結果」によるものである。コンサート入場料のデータはインターネット調査 によるものである。 表3 コンサート来場者 1 人当たり消費支出額 単位:円 消費項目 宿泊来場者 日帰り来場者 宿泊費 5,810 0 コンサート入場料 6,300 6,300 交通費 5,328 1,427 飲食費 3,084 1,951 土産代 3,449 2,028 合計 23,970 11,705 データの出所:①コンサート入場料はインターネット調査によるものである。 ②その他の消費項目の消費金額は「泉大津フェニックス野外コンサート 2012 におけるアンケート調査結果」によるものである。 「泉大津フェニックス野外コンサート 2012」の来場者の消費支出の総額は、表 4 で表さ れている。計算の結果、コンサート来場者の消費支出が総額約 5 億 5,926 万円となった。 表4 コンサート来場者の消費支出額 単位:百万円 消費項目 宿泊コンサート来場者 日帰りコンサート来場者 合計 宿泊費 51.45 0.00 51.45 コンサート入場料 55.79 186.76 242.55 交通費 47.18 42.31 89.48 飲食費 27.31 57.83 85.14 土産代 30.54 60.11 90.64 合計 212.26 347.01 559.26 4 2.泉大津市のスタッフの消費支出 「泉大津フェニックスにぎわいづくり委員会」によると、泉大津市のスタッフは 1 日平 均 79 人、3 日間合計で 237 人に上った。 表 5 泉大津市のスタッフ数 単位:人 コンサート開催日 人数 9 月 2 日(日) 79 9 月 8 日(土) 79 9 月 9 日(日) 79 合計 237 データの出所: 「泉大津フェニックスにぎわいづくり委員会」 スタッフ 1 人当たり消費支出額は人件費として飲食費、交通費、雑費込みで 10,000 円 と仮定した。計算の結果、泉大津市のスタッフの消費支出は総額約 237 万円となった。 表 6 スタッフ 1 人当たり消費支出額及び消費支出総額 単位:円 項目 消費金額 1 人当たり消費支出 10,000 消費支出総額 2,370,000 データの出所:1 人当たり消費支出額は著者の仮定によるものである。 3.出店運営による消費支出 「泉大津フェニックスにぎわいづくり委員会」によると、出店数は 3 日間合計で 138 店 であった。 表7 出店の店数 コンサート開催日 店数 9 月 2 日(日) 46 9 月 8 日(土) 46 9 月 9 日(日) 46 合計 138 データの出所: 「泉大津フェニックスにぎわいづくり委員会」 「泉大津フェニックス野外コンサート 2012 におけるアンケート調査」では、出店の平均 運営費の調査をしなかったため、 「第 38 回堺まつりにおけるアンケート調査結果」を参考 した。出店の平均運営費は表 8 で表されている。 5 表 8 出店の平均運営費 単位:円 消費項目 消費金額 運営施設費 22,100 施設設備費 7,966 展示費 64,333 広告宣伝費 4,800 警備・保安費 1,333 合計 100,532 データの出所: 「第 38 回堺まつりにおけるアンケート調査結果」 (公益財団法人堺都市政策研究所 2012 年) 「泉大津フェニックス野外コンサート 2012」の出店団体の消費支出の総額は、表 9 で表 されている。計算の結果、出店団体の消費支出は総額 1,387 万円となった。 表 9 出店の運営費総額 単位:百万円 消費項目 消費金額 運営施設費 3.05 施設設備費 1.10 展示費 8.88 広告宣伝費 0.66 警備・保安費 0.18 合計 13.87 4.出店スタッフの消費支出 「泉大津フェニックスにぎわいづくり委員会」の関係者ヒアリングによると、出店する 店のスタッフ数は平均で 5 人~6 人であった。このヒアリング結果を参考に、出店の平均ス タッフ数を 6 人と仮定した。計算の結果、出店スタッフ総人数は 828 人となった。 表 10 出店スタッフ人数 単位:人 項目 人数 店平均スタッフ人数 6 店数 138 6 828 店スタッフ総人数 データの出所:店平均スタッフ人数は「泉大津フェニックスにぎわいづくり委員会」の関 係者ヒアリングによるものである。 スタッフ 1 人当たり消費支出額は人件費として飲食費、交通費、雑費込みで 10,000 円 と仮定した。計算の結果、出店スタッフの消費支出は総額約 828 万円となった。 表 11 出店スタッフ 1 人当たり消費支出額及び消費支出総額 項目 消費金額 1 人当たり消費支出 10,000 消費支出総額 8,280,000 単位:円 データの出所:1 人当たりの消費支出額は著者の仮定によるものである。 5.メディア関係者の消費支出 「泉大津フェニックスにぎわいづくり委員会」の関係者のヒアリングによると、9 月 2 日 (日)に新聞記者は 5 人から 6 人が取材に来ていた。これを参考に、メディア関係者が 5 人と仮定した。さらに、メディア関係者 1 人当たり消費支出額は交通費 10,000 円、飲食費 5,000 円、合計 15,000 円と仮定する。 表 12 メディア関係者 1 人当たり消費支出 単位:円 消費項目 消費金額 交通費 10,000 飲食費 5,000 合計 15,000 データの出所:著者の仮定による。 メディア関係者の消費支出の総額は表 13 で表されている。計算の結果、メディア関係 者の消費支出は総額約 7.5 万円となった。 表 13 メディア関係者の消費支出総額 単位:円 消費項目 消費金額 交通費 50,000 飲食費 25,000 合計 75,000 7 6.ボランティアの消費支出 「泉大津フェニックスにぎわいづくり委員会」の関係者のヒアリングによると、コンサ ート開催後のごみ分別のために、大勢のボランティア関係者が参加した。1 日平均 40 人 から 50 人のボランティア関係者が参加した。これを参考に、1 日のボランティア関係者 は 50 人と仮定した。推定の結果、ボランティア関係者は 3 日間合計で 150 人となった。 そして、聞き取り調査の結果、ボランティア 1 人当たりの消費額は、交通費 1,500 円、飲 食費 3,500 円であると仮定した。ボランティア関係者 1 人当たり消費支出額は表 14 で表 されている。 表 14 ボランティア関係者 1 人当たり消費支出 単位:円 消費項目 金額 交通費 1,500 飲食費 3,500 合計 5,000 データの出所:著者の仮定による。 ボランティア関係者の消費支出の総額は表 15 で表されている。計算の結果、ボランテ ィア関係者の消費支出総額は 75 万円となった。 表 15 ボランティア関係者の消費支出 単位:円 消費項目 金額 交通費 225,000 飲食費 525,000 合計 750,000 7.駐車場利用者の消費支出 9 月 2 日(日)に開催された「RUSH BALL 2012」の「公演実施概要」では、当 日車で来場する来場者は 4,000 人と予想していた。これを参考に、さらに来場者2人が 車 1 台で来場すると仮定して、駐車台数を推定した。推定の結果、駐車台数は 2,000 台 となった。 9 月 8 日(土) 、9 月 9 日(日)に開催された「OTODAMA’11-’12 音泉魂」の「公 演実施要綱」では、車で来場する来場者は各日 2,500 人と予想していた。これを参考に、 さらに来場者2人が車 1 台で来場すると仮定して、駐車台数を推定した。推定の結果、 駐車台数は各日 1,250 台となった。さらに、 「泉大津フェニックスにぎわいづくり委員 会」の関係者によると、9 月 9 日(日)の駐車台数は予想駐車台数の 9 割ぐらいであっ 8 た。これを参考に、9 月 9 日(日)の駐車台数は 1,250 台の 9 割と仮定して、駐車台数 を推定した。推定の結果、9 月 9 日(日)の駐車台数は 1,125 台となった。 表 16 車で来場する来場者数と駐車台数の推定 単位:人・台 コンサート 車で来場する来場者数 駐車台数 9 月 2 日(日) 4,000 2,000 9 月 8 日(土) 2,500 1,250 9 月 9 日(日) 2,500 1,125 合計 9,000 4,375 データの出所: ①9 月 2 日(日)の車で来場する来場者数は「RUSH BALL 2012」の「公演実施概要」 によるものである。 ②9 月 8 日(土) 、9 月 9 日(日)の車で来場する来場者数は「OTODAMA’11-’12 音泉 魂」の「公演実施要綱」によるものである。 「泉大津フェニックスにぎわいづくり委員会」から入手した資料によると、駐車料金は 1台 2,000 円である。これと表 16 の駐車台数を用いて、駐車場利用者の消費支出を推定 した。推定の結果、駐車場利用者の消費支出は 875 万円となった。 表 17 駐車場利用者の消費支出 単位:百万円 コンサート 駐車場利用者の消費支出 9 月 2 日(日) 4.00 9 月 8 日(土) 2.50 9 月 9 日(日) 2.25 合計 8.75 8.荷物預かり利用者の消費支出 荷物預かり利用者数は把握されていないため、コンサート来場者は大体2人でコンサ ートに来ると予想して、コンサートの来場者は 2 人で 1 件の荷物預かりをしていたと仮 定して、荷物預かり来場者数を推定した。推定の結果、荷物預かり来場者は 3 日間合計 で 19,250 人となった。 表 18 荷物預かり利用者数の推定 単位:人 コンサート 来場者数 荷物預かり来場者数 9 月 2 日(日) 20,000 10,000 9 月 8 日(土) 10,000 5,000 9 9 月 9 日(日) 8,500 4,250 合計 38,500 19,250 「泉大津フェニックスにぎわいづくり委員会」から入手した資料によると、荷物預か り料金は 1 件が 500 円である。これと表 18 で推定した荷物預かり利用者数を用いて、 荷物預かり利用者の消費支出を推定した。推定の結果、荷物預かり利用者の消費支出は 963 万円となった。 表 19 荷物預かり利用者の消費支出 単位:百万円 コンサート 荷物預かり利用者の消費支出 9 月 2 日(日) 5.00 9 月 8 日(土) 2.50 9 月 9 日(日) 2.13 合計 9.63 9.バス利用者の消費支出 「RUSH BALL 2012」の「公演実施概要」によると、コンサート終了後の退場時 のシャトルバス利用者数と市内行きバス利用者数はそれぞれ 11,000 人、2,000 人と予想 されていた。予想総来場者数 17,900 人に占める割合はそれぞれ約 61%、約 11%であっ た。この割合を用いて、コンサート当日退場時のシャトルバス、市内行きバスの利用者 数を推定した。推定の結果、退場時シャトルバス利用者は 12,291 人、市内行きバスの 利用者は 2,235 人となった。 表 20 9 月 2 日のバスの利用者数の推定 単位:人 退場方法 予想利用者数 予想割合 推定利用者数 シャトルバス 11,000 0.61 12,291 市内行きバス 2,000 0.11 2,235 総来場者数 17,900 1.00 20,000 データの出所:退場時予想人数のデータは「RUSH BALL 2012」の「公演実施概要」 によるものである。 「OTODAMA’11-’12 音泉魂」の「公演実施要綱」によると、コンサート終了後の退場 時のシャトルバス利用者数と市内行きバス利用者数はそれぞれ 6,000 人、1,200 人と予想さ れていた。予想総来場者数 10,000 人に占める割合はそれぞれ 60%、12%であった。この割 合を用いて、コンサート当日退場時のシャトルバス、市内行きバスの利用者数を推定した。 10 推定の結果、退場時シャトルバス利用者は 11,100 人、市内行きバスの利用者は 2,220 人と なった。 表 21 9 月 8 日・9 日のバスの利用者数の推定 単位:人 退場方法 予想利用者数 予想割合 推定利用者数 シャトルバス 6,000 0.60 11,100 市内行きバス 1,200 0.12 2,220 総来場者数 10,000 1.00 18,500 データの出所:退場時予想人数のデータは「OTODAMA’11-’12 音泉魂」の「公演実施要 綱」によるものである。 市内行きバス利用者における難波直行バス利用者数と梅田直行バス利用者数を推定す る。 「泉大津フェニックスにぎわいづくり委員会」の関係者のヒアリングの結果を参考に、 難波直行バス利用者は市内行きバス利用者の 3 分の 1、梅田直行バス利用者は市内行きバ ス利用者の 3 分の 2 と仮定した。推定の結果は表 22 で表されている。 表 22 各種バス利用者数の推定 単位:人 コース 9月2日 9 月 8 日・9 日 シャトルバス 12,291 11,100 難波直行バス 745 740 梅田直行バス 1,490 1,480 合計 14,525 13,320 バスの利用料金は表 23 で表されている。この利用料金のデータはコンサートホームペ ージによるものである。 表 23 バスの利用料金 単位:円 コース 9月2日 9 月 8 日・9 日 シャトルバス 500 500 難波直行バス 1,500 1,700 梅田直行バス 2,000 2,000 データの出所:各コンサートのホームページ バス利用者の消費支出額は表 24 で示されている。計算の結果、バス利用者の消費支出の 総額は 2,001 万円となった。 11 表 24 バス利用者の消費支出 単位:百万円 コース 9月2日 9 月 8 日・9 日 合計 シャトルバス 6.15 5.55 11.70 難波直行バス 1.12 1.26 2.38 梅田直行バス 2.98 2.96 5.94 合計 10.24 9.77 20.01 10.関連グッズの売上 「泉大津フェニックスにぎわいづくり委員会」の関係者のヒアリングによると、来場者 はコンサートの関連グッズをかなり買っていた。さらに、野球試合の場合、試合の観戦者 の関連グッズ平均購入金額は 1,000 円から 1,500 円ぐらいと言われている。これらの情報 を参考に、コンサート来場者 1 人当たりのグッズ購入金額を 2,000 円と仮定する。推定の 結果、コンサート来場者の関連グッズの購入金額は 7,700 万円となった。 表 25 コンサート来場者 1 人当たりのグッズ購入額及び総購入額 項目 金額 来場者数 38,500 1 人当たりのグッズ購入額 2,000 総購入額 77,000,000 単位:人・円 11.委員会及び主催側の消費支出 「泉大津フェニックスにぎわいづくり委員会」から頂いた資料によると、委員会は芝生 広場の管理及び広場 PR のために運営費用を投じた。それは「泉大津フェニックス野外コ ンサート 2012」に限ったものではなく、コンサート以外の用途で芝生広場を利用する方 も含めた全利用者のために投じたものである。その運営費用の金額は 783,727 円であっ た。 9 月 2 日に開催された「RUSH BALL 2012」の主催会社 GREENS の支出、9 月 8 日・9 日に開催された「OTODAMO’11-’12 音泉魂」の主催会社清水音泉の支出はコンサ ート来場者の入場料収入から支払うので、コンサート来場者の消費支出の計算と重複とな る。音楽会社による消費支出額は推定しない。 [3]参加者の消費支出と運営費の合計の直接効果 以上の分析より、 「泉大津フェニックス野外コンサート 2012」の参加者の総消費支出と 大会運営費の直接効果の各項目の金額と総額は表 26 のようになる。泉大津フェニックス 12 野外コンサート 2012 の直接効果の総計は 7 億 78 万円となった。 表 26 泉大津フェニックス野外コンサート 2012 の直接効果 単位:百万円 消費項目 消費金額 委員会の支出 0.78 宿泊費 51.45 コンサートの入場料 242.55 交通費 89.76 飲食費 85.69 土産代 90.64 運営施設費 3.05 施設設備費 1.10 展示費 8.88 広告宣伝費 0.66 警備・保安費 0.18 駐車場利用料金 8.75 荷物預かり料金 9.63 バスの利用料金 20.01 グッズの売上 77.00 人件費 10.65 合計 700.78 [4]経済波及効果 これまで計算した直接効果 7 億 78 万円を、平成 17 年泉州地域産業連関表に按分して、経 済波及効果を計算する。産業連関表への按分は表 27 で示される。 表 27 産業連関表への按分 消費項目 産業連関表への按分 委員会の支出 対事業サービス 宿泊費 対個人サービス コンサートの入場料 対事業サービス 交通費 運輸 飲食費 対個人サービス 13 土産代 対個人サービス 運営施設費 対事業サービス 施設設備費 対事業サービス 展示費 対事業サービス 広告宣伝費 対事業サービス 警備・保安費 対事業サービス 駐車場利用料金 対個人サービス 荷物預かり料金 対個人サービス バスの利用料金 運輸 グッズの売上 対事業サービス 人件費 対個人サービス 平成 17 年泉州地域産業連関表を用いて、 「泉大津フェニックス野外コンサート 2012」の経 済波及効果を計算すると、約 5 億 8,800 万円となった。さらに、粗付加価値は約 2 億 7,200 万に上った。なお、直接効果が約 7 億 78 万円であるのに、経済波及効果が約 5 億 8,800 万 円にとどまったのは、泉州地域の自給率が低いためである。 表 28 泉州地域における経済波及効果 単位:億円、人 項目 生産創出 雇用総創出 粗付加価値創出 直接効果と一次波及効果 5.06 52 2.34 二次波及効果 0.82 6 0.38 合計 5.88 58 2.72 次に、泉大津市における「泉大津フェニックス野外コンサート 2012」の経済波及効果を 求める。泉大津市には産業連関表がないので、平成 17 年泉州地域産業連関表を用いて計算 した泉州地域における経済波及効果をもとに泉大津市における経済波及効果を推計する。 つまり、表 28 で計算した泉州地域における経済波及効果を泉大津市の経済規模に応じて配 分することにより泉大津市における経済波及効果を求めた。 泉大津市と泉州地域全体の製造業出荷額、第 1 産業・第 2 産業・第 3 産業の総就業者数、 商業年間商品販売額を比較すると、表 29 のようになる。これらのデータから、泉大津市の経 済規模は泉州地域全体の約 5%であると言える。 表 29 泉州地域と泉大津市の経済規模の比較 単位:億円、人 項目 製造業出荷額 就業者総数 商業年間商品販売額 泉大津市 147,816 33,809 2,462 14 泉州地域 5,215,953 750,824 32,349 割合 3% 5% 8% データの出所: ①製造業出荷額のデータは「大阪の工業確報(平成 22 年調査) 」による。 ②就業者総数のデータは「平成 17 年国勢調査」 (総務省)による。 ③商業年間商品販売額のデータは「大阪府商業統計調査確報」(平成 19 年)による。 泉大津市における経済波及効果を計算する時に次の仮定をおく。 ①食事費、土産代、駐車場利用料金、荷物預かり利用料金、そしてバス利用料金は、泉大津 市で全額消費されると仮定する。 ②その他の消費支出項目の直接経済効果及び一次・二次経済波及効果は経済規模の比率 5% をもとにして泉大津市に按分する。 ③雇用総創出及び粗付加価値創出は、生産創出をもとにして、泉大津市に按分する。 その結果、泉大津市における「泉大津フェニックス野外コンサート 2012」の経済波及効果 は約 2 億 3,300 万円となった。さらに、粗付加価値は約 1 億 800 万円に上った。 表 30 泉大津市における経済波及効果 単位:億円、人 項目 生産創出 雇用総創出 粗付加価値創出 直接効果と一次波及効果 2.29 24 1.06 二次波及効果 0.04 0 0.02 合計 2.33 24 1.08 [5]結論 「泉大津フェニックス野外コンサート 2012」の経済波及効果は泉州地域で約 5 億 8,800 万円、そして粗付加価値創出は約 2 億 7,200 万円となった。 そして、コンサートが開催された地元である泉大津市における経済波及効果は約 2 億 3,300 万円、粗付加価値は約 1 億 800 万円となった。 また、 「泉大津フェニックス野外コンサート 2012」の来場者がコンサートの前日やそのあ とで、泉州の観光地を訪れる可能性もあると考えられる。算出した経済波及効果の中には、 このような消費の効果は含まれていない。したがって、それらの消費効果を考えれば、「泉 大津フェニックス野外コンサート 2012」の地元地域に与える経済波及効果はさらに大きく なるものと考えられる。 15 このように、 「泉大津フェニックス野外コンサート 2012」は、泉州地域に約 6 億円、泉 大津市に約 2 億という大きな経済波及効果をもたらしたと推定されたが、単に経済波及効 果だけではなく、マスコミによる宣伝広告効果、泉州地域・泉大津市の知名度の上昇など を考えれば、素晴らしいイベントであったと言える。 ※本報告書の結果を無断で論文、報告書などに使用されることはお断りします。 ※なお、本報告では、計算の都合上四捨五入しているので、合計額の最後の一桁が合わな い場合があることをご承知ください。 ※本報告書作成あたり関係各位から多くの参考資料をいただいた。ここに感謝する次第で す。 16
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