平成23年度 事業報告 - 公益財団法人 国際医療技術財団

平成23年度 事業報告
平成23年4月1日~平成24年3月31日
公益財団法人 国際医療技術財団は、平成23年2月7日、旧法人の解散登記及び新
法人の設立登記を行い、新たな第一歩を踏み出しました。
平成23年度は、公益目的事業として、開発途上地域及び災害地域における医療技術
全般に関する技術協力の推進を目的に、研修員の受け入れ事業、セミナー開催事業、調
査研究事業、災害医療事業、広報事業を実施しました。
Ⅰ.研修員の受け入れ事業
本年度は、12カ国から24名の研修員を受け入れました。旧法人設立以来の修了
研修員の累計は99カ国、1,100名となりました。
個別研修については、医療関連職種21団体協議会の対象19分野のうち、理学療
法と視能訓練の2分野を対象に実施しました。理学療法分野については公益財団法人
国際開発救援財団との共催事業としました。
集団研修については、独立行政法人 国際協力機構の応募を経て3コースを受託し、
臨床検査、病院薬学、診療放射線及びリハビリテーション分野の研修を実施しました。
1.個別研修
(1)理学療法士コース
期
間:平成23年11月6日~11月25日
研 修 員:1名
参 加 国:ネパール
案件目標:同国トップの基幹医療機関・教育機関であるトリブバン大学教育病院にお
ける呼吸器リハビリテーションの向上
研修内容:慢性閉塞性肺疾患等に対する呼吸器リハビリテーション技術の習得
実習施設:独立行政法人 国立病院機構 災害医療センター、独立行政法人 国立精神・
神経医療研究センター病院、独立行政法人 国立病院機構 東京病院、御茶
ノ水呼吸ケアクリニック
(2)視能訓練士コース
期
間:平成23年11月6日~12月15日
研 修 員:1名
参 加 国:モンゴル
案件目標:研修員所属機関の医療技術及び医療サービスの向上
研修内容:①斜視・弱視の基礎的検査と管理方法②斜視・弱視訓練の方法と実際③他
覚的屈折検査④眼科一般検査法⑤神経眼科・小児眼科の管理⑥小児・成人
のロービジョンケア⑦小児の斜視・弱視
実習施設:大阪医科大学附属病院、川崎医療福祉大学、国立障害者リハビリテーショ
ンセンター病院、帝京大学医学部附属病院
2.集団研修
(1)JICA集団「臨床検査技術コース」
期
間:平成24年1月16日~3月15日
研 修 員:7名
参 加 国:ケニア(2名)、ホンジュラス(2名)、エチオピア、イラク(2名)
案件目標:参加国の基幹医療機関又は基幹検査機関における感染症の診断・治療・予
防の質が向上するよう、信頼性の高い検査技術が当該検査部門の臨床検査
技師により共有される。
研修内容:感染症の診断・治療に不可欠な起因菌の特定と適切な治療薬の選択、耐性
菌の判別に関する検査技術の研修を実施した。帰国後の普及伝達を念頭に、
本邦研修では研修員が検査の標準作業手順書(SOP)を作成し、それに
基づき検査が実施できるようになることに重点をおいた。
実習施設:独立行政法人 国立国際医療研究センター病院、順天堂大学医学部附属順
天堂医院、東京大学医学部附属病院、立正佼成会附属佼成病院
(2)JICA集団「病院薬学コース」
期
間:平成23年10月3日~11月2日
研 修 員:5名
参 加 国:イラク(2名)、ミャンマー、パプアニューギニア、ベトナム
案件目標:研修員の所属する国又は地域で中心的な役割を担う基幹病院において、チ
ーム医療に関する病院薬剤師による医薬品マネジメント(①病院薬剤部門
における医薬品の適切な調達、保管、管理、供給②医薬品の適正使用のた
めの調剤③適切な医薬品情報の収集・提供④病棟・外来における適切な薬
剤師業務)の改善に関するアクションプランが策定される。
研修内容:上記案件目標の達成が患者と所属病院の裨益へ繋がるよう研修カリキュラ
ムを構成し、より高い成果を得るよう実施した。
実習施設:恩賜財団済生会横浜市南部病院、東京逓信病院、横浜市立大学附属市民病
院総合医療センター、横浜市立みなと赤十字病院
(3)JICA集団「医療技術スタッフ練成コース」
【診療放射線グル-プ】
期
間:平成24年1月11日~3月9日
研 修 員:5名
参 加 国:カンボジア、モンゴル(2名)、ソロモン諸島、ウルグアイ
案件目標:研修参加者の所属医療機関における最新医療に不可欠な画像検査システム
(①デジタル画像の理解と構築②デジタル画像撮影機器の操作・管理③被
ばく管理)を改善するアクションプランが策定される。
研修内容:放射線画像検査の領域におけるアナログ画像から世界的動向であるデジタ
ル画像への急速な移行に対応可能な人材を育成するために上記案件目標に
あるデジタル画像検査システムについて研修を実施した。
実習施設: 医療法人 育和会 育和会記念病院、医療法人 医真会 医真会八尾総合病院、
岸和田市民病院、医療法人 仙養会 北摂総合病院
【リハビリテーショングループ(ミャンマー1ヵ国限定)】
期
間:平成24年1月25日~2月17日
研 修 員:5名
案件目標:研修員の所属先で評価に基づく理学療法が行われる。
研修内容:臨床経験を有する理学療法士を対象に「治療の前にまず評価」の大前提を
啓発し、①評価に基づく理学療法の技術と知識②問題志向型診療記録法③
臨床思考過程④エビデンスに基づく理学療法治療法について研修を実施し
た。
実習施設:信原病院、社会福祉法人 兵庫県社会福祉事業団 兵庫県リハビリテーショ
ンセンター
<修了研修員職種別受け入れ実績(昭和62年10月31から平成24年3月31日)>
職
種
人数
職
種
人数
臨床検査技師
401
診療放射線技師
301
薬剤師
262
理学療法士
67
栄養士
11
作業療法士
20
歯科技工士
9
視能訓練士
9
医療機器保守管理担当者
8
臨床工学技士
5
柔道整復師
4
歯科衛生士
1
医薬品品質管理担当者
1
介護福祉士
1
合
計
1,100名 (99ヵ国)
Ⅱ.セミナーの開催事業
1.第3回カンボジア国際セミナーの開催
公益社団法人 日本柔道整復師会、公益財団法人 国際開発救援財団との共催で、カ
ンボジアの伝統医療の向上に寄与することを目的として、同国の伝統医療関係者を対
象に、日本の伝統医療である柔道整復術による外傷治療(骨折、脱臼、捻挫、打撲、
挫傷に対する伝統的非観血療法)を紹介しました。カンボジア政府保健省をカウンタ
ーパートに副大臣はじめ幹部職員、伝統医療担当及び地方の担当職員、国立伝統医療
学校の教員及び学生、伝統医療師(クルクメール)、日本の柔道整復師の参加を得ま
した。
成果として、①カンボジアの伝統医療関係者が柔道整復術の有効性を理解し、同国
から継続的な技術指導についての要望を得ました。②同国の伝統医療の技術振興に柔
道整復術が貢献可能であることを確認しました。③本事業を通じ我が国とカンボジア
との相互理解と友好促進に貢献しました。
開催日:平成24年3月7日
会 場:カンボジア・プノンペンホテル
参加者:200名
後 援:外務省
2.国際医療技術学生交流セミナーの開催
公益財団法人 国際開発救援財団と一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会との共催
で、保健医療の国際協力に関心のある日本人学生と外国人留学生を対象に、将来の国
際協力への参加意識の醸成、さらには担い手となる有為な人材の育成を目的に本セミ
ナーを開催しました。
東日本大震災を経験し目的意識を強く持った学生の参加が多く、「国際協力と災害
医療」という共通の関心事をテーマに据えた講演と、その内容を踏まえてグループ討
議を行い、二日間を通して、国籍や年齢を超えた活発な議論が行われました。
開催日:平成23年12月17日~18日
会 場:川崎グランドホテル(神奈川県)
テーマ:国際協力と災害医療
参加者:28名
・日本人学生
・留 学 生
18名
10名
3.国際医療協力のためのファシリテーター養成講座の開催
国際医療協力をテーマに「焦点会話手法」、「合意形成ワークショップ手法」、「行
動計画手法」を紹介し、グループを結論に導くスキルを習得することを目的に本講座
を開催しました。
開催日:平成23年9月18日、9月25日
会 場:独立行政法人 国際協力機構 広尾センター 地球ひろば
参加者:14名 職種別:臨床工学技士(4名)、理学療法士(3名)、医師(1名)、
保健師(1名)、助産師(1名)、鍼灸師(1名)、言語聴覚士(1名)、その
他(2名)
Ⅲ.調査・研究事業
日本とタイの医療技術研修プログラムに関する調査を行い、マヒドン大学ラマティ
ボディー病院医学部と相互に技術協力事業を立ち上げるための事前協議を行い、次年
度早々に覚書(MOU)を締結することとなりました。
Ⅳ.災害医療事業
災害医療の専門的な技術・知識を有する医療技術者の育成を図ることを目的に、独
立行政法人 国立病院機構 災害医療センターの協力を得て「第1回JIMTEF災害
医療研修コース」を実施しました。
本財団が有する医療技術分野のネットワークを通じて全国27都道府県から12職
種の医療技術者が参加し、災害医療の専門家を講師に、災害医療の概論、トリアージ、
組織論、災害派遣医療チームの活動及び東日本大震災の経験等について学んだ他、“各
職種として何ができるか”について熱心な議論が展開されました。
開催日:平成23年11月19日
会 場:独立行政法人 国立病院機構 災害医療センター
参加者:56名 職種別:柔道整復師(16名)、理学療法士(9名)、医療ソーシャ
ルワーカー(5名)、言語聴覚士(5名)、栄養士(4名)、鍼灸師・あん摩
マッサージ指圧師(6名)、作業療法士(3名)、歯科技工士(3名)、診療
放射線技師(2名)、臨床工学技士(2名)、歯科衛生士(1名)
Ⅴ.広報事業
JIMTEFレポートの発行やホームページを通じて本財団事業を各方面へ紹介し、
本財団の果たしている役割と成果について各界各層の理解促進を図り、社会の信頼と
共感を得られるよう努めました。
(1)JIMTEFレポートの刊行
(2)ホームページの更新と関連情報サービスの実施
(3)学会でのJIMTEF広報活動
Ⅵ.法人会計によるその他の事業
1.医療関連職種21団体協議会の開催
医療関連職種団体の代表者が参加し、医療及び関連領域における国際協力を推進す
るための体制整備の検討や情報・意見の交換を行い、本財団の医療協力事業の強化を
図りました。
開催日:平成23年6月21日
会場:KKRホテル東京
構成メンバー:
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
一般社団法人 日本病院薬剤師会
公益社団法人 日本理学療法士協会
社団法人 日本栄養士会
一般社団法人 日本作業療法士協会
公益社団法人 日本視能訓練士協会
公益社団法人 日本歯科技工士会
公益社団法人 日本柔道整復師会
公益社団法人 日本歯科衛生士会
公益社団法人 日本臨床工学技士会
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会
社団法人 日本あん摩マッサージ指圧師会
公益社団法人 日本鍼灸師会
日本製薬工業協会
日本医療機器産業連合会
日本義肢装具士協会
特定非営利活動法人 診療放射線技師国際協力協会 一般社団法人 日本言語聴覚士協会
社団法人 日本介護福祉士会
公益社団法人 日本医療社会事業協会
一般社団法人 日本臨床心理士会
(加盟順)
2.第1回 JIMTEF友の会開催
今後の国際医療協力事業の持続的な展開とより一層の成果を上げるために、賛助会
員、医療関係団体・企業の皆様とより緊密なパートナーシップを図って行くことを目
的に「JIMTEF友の会」を開催しました。
開 催 日
:平成23年6月21日
会
場:KKRホテル東京
特別講演:「グローバルヘルスへの日本の貢献」
麦谷眞里(厚生労働省大臣官房審議官)
参 加 者
:65名