富山市立図書館 1 2 毎年、たくさんの数の児童図書が出版されます。その中で、子どもたちが 実際に手にとる本はわずかです。子どもたちが楽しい本や、すぐれた本と 出会い、豊かな読書体験ができるようにと願うとき、たくさんの本の中から何 を選びどう手渡すかという判断は、容易なことではありません。 そこで富山市立図書館では、昨年 1 年間に発行された新刊図書の中か ら、すすめる本として、400 冊を選び展示会を開催し、あわせて本の内容を 紹介した展示目録を発行しています。この目録が、子どもたちの読書の手 がかりになれば幸いです。 なお、選定にあたっては、児童文学関係の書評誌や新聞の書評等も参 凡 例 １． この図書目録は、平成 24 年の１年間に発行された新刊図書のうち、当図書館で収集した児 童図書から 400 冊を収録しました。 ２． 図書は、ジャンル別に分けています。そのうち、絵本は書名の 50 音順、物語・文学・知識の 本は、分類番号順に並んでいます。 ３． 内訳は、絵本 131 冊、物語・文学 193 冊、知識の本 76 冊です。 ４． 絵本と知識の本の対象年齢区分は、次の 6 段階です。 赤ちゃん～、幼児～、小学校低学年（〔小低〕と表示）～、小学校中学年（〔小中〕と表示）～ 小学校高学年（〔小高〕と表示）～、中学生（〔中学〕と表示）～ 目 絵本 次 （131 冊） 1～18ｐ 物語 小学校低学年（34 冊） 18～22ｐ 小学校中学年（51 冊） 23～29ｐ 小学校高学年（62 冊） 30～37ｐ 中学生 38～43ｐ （42 冊） 文学（詩・ルポルタージュ）（4 冊） 3 44ｐ 絵 本 おきなポケット」（2000 年 4 月号）を再編集した もの。 あかいじどうしゃよんまるさん 堀川真／さく アナベルとふしぎなけいと 福音館書店 古い自動車「よんまるさん」は、持ち主が新し マック・バーネット／文 い自動車を買ったため、すっかり出番がなくなっ ／絵 た。そこへ「よんまるさん」を欲しいという人が なかがわちひろ／訳 ジョン・クラッセン あすなろ書房 色彩の乏しい暗い町。アナベルは、色とりどり 現れ、工場に連れて行く。月刊誌「こどものとも」 の毛糸が入った箱を拾う。町中の人や動物たちに （2007 年 6 月号）のハードカバー版。〔幼児～〕 セーターを編むが、毛糸はいくら使ってもなくな らない。やがて、不思議な毛糸の噂は海を越え、 赤ずきん グリムの昔話 グリム／〔原作〕 大塚勇三／訳 おしゃれな王子の耳に届く。[ボストングローブ・ フェリクス・ホフマン／画 ホーンブック賞（2012 年）]〔小低～〕 福音館書店 あのこはどーこ？ 赤ずきんは、母親からおばあさんの家に、お菓 子とぶどう酒を届けるよう頼まれた。ところが途 マルサビーナ・ルッソ／さく 中で、オオカミに誘われ道草をしてしまう。1973 ／やく 年に、ホフマンが孫スザンヌのために描いた手稿 ほしかわなつこ 童話館出版 小さな男の子が、「お母さん、ぼくを見つけて」 絵本を基に作成。力強い線の絵。〔幼児～〕 と部屋のあちこちに隠れる。そのたびに、お母さ んはアップルパイを作る手を止め、 「あのこはどー あかちゃんかたつむりのおうち いとうせつこ／ぶん こ？」と探しに行く。母と子の日常の遊びを温か 島津和子／え 福音館書 く描く。〔幼児～〕 店 アルフィーのいえで 赤ちゃんカタツムリは、おなかがぺっこぺこ。 ケネス・Ｍ．カドウ／文 葉っぱや花をたくさん食べて大きくなるが、テン ーヨ／絵 トウムシやチョウに「おうち（殻）に入れなくな 佐伯愛子／訳 ローレン・カスティ ほるぷ出版 るよ」と言われ、心配になる。月刊誌「ちいさな アルフィーは、お気に入りの靴をよそにあげる かがくのとも」（2006 年 7 月号）のハードカバー のが嫌で家出をした。ママに懐中電灯や食べ物を 版。〔幼児～〕 もらい、くまのぬいぐるみといっしょに裏庭の奥 へ。やがて寂しくなりはじめたとき、ママが迎え あなた 谷川俊太郎／文 に来てくれた。〔幼児～〕 長新太／絵 「わたしはわたし」 福音館書店 いいこでねんね 両親や、友だちのさっち ゃんも「あなた」の 1 人。 「でも、あなたからみる デヴィッド・エズラ・シュタイン／作 くにゆき／訳 と、わたしはあなた」……「たくさんのあなたに さかい ポプラ社 「わたし」か 寝る前にピーヨは、パパから大好きな絵本を読 ら見た、他者とそのつながりを描く。月刊誌「お んでもらう。そのたびにピーヨは、お話をさえぎ 出会ってわたしはわたしになる」 4 り結末を都合よく作り変える。読む絵本がなくな ンジーの群れと行動する。辛抱強く観察を続けた ったパパは、ピーヨにお話をしてもらうが……。 ジェーンは、誰も知らなかったチンパンジーの秘 ユーモラスな鮮やかな絵。[コルデコットオナー賞 密を解き明かしていく。〔小低～〕 （2011 年）]〔幼児～〕 岩をたたくウサギ サバンナのむかしがたり いいものみーつけた よねやまひろこ／再話 レオニード・ゴア／文・絵 藤原宏之／訳 新日本出版社 サバンナの動物たちは、 「ゴォーゴ」という悪口 新 を言ったら、その場で皮になろうと誓い合った。 日本出版社 森の中に、1 冊の赤い本が落ちている。子ウサギ ところが悪賢いウサギに、 「ゴォーゴ」と言うよう やクマ、ネズミの家族が次々にやってきて、家や に仕向けられる。ガーナ北部シリグ村に伝わる伝 帽子、テーブルにする。最後に男の子が通りかか 統的な手法で描かれた絵本。〔幼児～〕 り、動物たちに本を読んで聞かせる。ユーモラス うれしいさんかなしいさん な絵の絵本。〔幼児～〕 まつおかきょうこ／さく・え いちじくにんじん 館 大阪ＹＭＣＡ千里子ども図書室／案 なつこ／絵 ごんもり にっこり顔の「うれしいさん」は、頭をぶつけ 福音館書店 「いちじく 東京子ども図書 にんじん 「かなしいさん」に。一方、泣き顔の「かなしい さんしょに しいた さん」は、小包を受け取り「うれしいさん」に。 け」 １から 10 までの数え唄と、野菜が細密に描 嬉しいと悲しいを繰り返すふたりが、公園で出会 かれた絵本。月刊誌「こどものとも 0.1.2」（2007 う。表紙と裏表紙の両方から話が進み、真ん中で 年 10 月号）のハードカバー版。〔赤ちゃん～〕 終わる構成。単純な線で表情を豊かに表わす。 〔幼 児～〕 いっすんぼうし 椿原菜々子／文 日本のむかし話 太田大八／絵 うわさごと 童話館出版 「一寸法師」と名づけられた指よりも小さい男 梅田俊作／文・絵 汐文社 の子は、お椀の舟に乗って都へ行き、鬼を退治す 「広島からきた転校生ケンゴの家族は、原子爆 る。方言の語り口と、おおらかな日本画風の絵。 〔幼 弾で亡くなった。ケンゴは、 「ゲンシ病」がうつる 児～〕 と言われ避けられる。噂を信じた兄ちゃんは、両 親にこっぴどく怒られた。」噂話を信じて友だちと いつもみていた ゆめをかなえた女の子ジェー 喧嘩をした「わたし」に、じいちゃんが子どもの ン・グドール ころの体験を語るという形式。〔小高～〕 ジャネット・ウィンター／作 ／訳 まえざわあきえ エディのごちそうづくり 福音館書店 動物学者ジェーン・グドールの伝記絵本。ジェ サラ・ガーランド／さく ーンは、生き物を観察するのが大好きな少女。卒 まきふみえ／やく 福音館書店 業後、ジェーンはアフリカへ旅立ち、野生チンパ 今日は、おじいちゃんの誕生日。ママは、慌て 5 てごちそう作りにとりかかるが、次々と用事が入 日に、「ぼく」は父に来て欲しいと駄々をこねる。 る。忙しいママの代わりに、エディと妹のリリー すると母は、ミシンで作った背広を着て父親代わ が準備をすすめ、誕生会は大成功を収める。 『エデ りに登場する。ユーモラスな関西弁で、家族を温 ィのやさいづくり』の続編。〔幼児～〕 かく描く。〔小低～〕 絵で見る服とくらしの歴史 おでかけしようか 菊池ひと美／文・絵 講談社 大阪ＹＭＣＡ千里子ども図書室／ぶん 縄文時代から現代までの服と生活の変化を、時 ちお／え 大塚い 福音館書店 代ごとに俯瞰する。巻末には、被り物・履物の歴 靴を履き、帽子をかぶって、水筒、リュック、 史の年表を付す。淡い色彩の絵のため細かい所が くまで、シャベルを持って公園へ向かう。人物は 描かれず、調べ学習にはやや不向き。〔小中～〕 登場せず、物だけで幼児の 1 日を表した「ものの えほんいちにち」シリーズの１冊。シンプルな暖 おいっちにおいっちに トミー・デ・パオラ／作 かみのある絵。〔赤ちゃん～〕 みらいなな／訳 童 おなかいっぱい、しあわせいっぱい 話屋 「ぼく」とおじいちゃんは、一番の親友。よち レイチェル・イザドーラ／作・絵 よち歩きのときは、おじいちゃんが「おいっちに」 り／訳 小宮山みの 徳間書店 と歩き方を教えてくれた。ある日、おじいちゃん アメリカの少年ルーイは、毎週金曜日に祖父の が脳の病気になり、 「ぼく」のこともわからなくな 店へ中華料理を食べに行く。湯気が立ち込めるキ った。だが「ぼく」の手助けにより、少しずつ回 ッチンでは、コックさんが大忙しで働いている。 復していく。1988 年絵本の家刊の新訳再刊。 中国の食文化を、鮮やかな貼り絵を使って描く。 〔幼児～〕 おうさまのおひっこし 牡丹靖佳／作 おひさまみたいに 福音館書店 優しいけれども恥ずかしがりやの王様と、6 人の スーザン・マリー・スワンソン／文 慌てんぼうのお供たち。お供たちの早とちりから、 ット・カドス＝アーヴィン／絵 新しいお城に引っ越すことになった一同は、行列 訳 マーガレ ふしみみさを／ ほるぷ出版 をつくって出発した。旅の途中も、お供たちの勘 女の子がまいたヒマワリの種は、光を浴びてぐ 違いがとんでもない結果を引き起こしていく。 〔幼 んぐん大きくなり、おひさまみたいな花を咲かせ 児～〕 る。やがて涼しい風が吹くころ、ずっしりとした 種をつける。女の子がヒマワリに話しかける形で、 おかあちゃんがつくったる 長谷川義史／作 ヒマワリの一生を描く。鮮やかな版画の絵本。 〔幼 講談社 児～〕 父が亡くなり、 「ぼく」は母と姉と暮らしている。 ミシン仕事が得意な母は、鞄や体操服を作ってく れるが、いつもなんだかちょっと変。父親参観の 6 おべんとう 小西英子／さく 抜け出して、暦の謎について教えてくれた。暦の 歴史をたどる科学絵本。〔小中～〕 福音館書店 からっぽのお弁当箱。中に入れるのは、 「ふっく かえでの葉っぱ らほかほかたきたてごはん」 「あつあつミートボー ル」「ふんわりたまごやき」。デザートも入れて、 Ｄ・ムラースコヴァー／文 おいしそうなお弁当のできあがり。色鮮やかな絵 久根育／絵 関沢明子／訳 出 理論社 とリズミカルな言葉の絵本。月刊誌「こどものと 美しく色づいたかえでの葉っぱは、少年に「い も年少版」 （2009 年 4 月号）のハードカバー版。 〔幼 つか戻ってきて旅の話をする」と約束して、飛び 児～〕 立った。旅を続けるうちに色あせ姿が変わってい くが、経験を重ね心豊かになる。季節が巡り、再 おやすみ、はたらくくるまたち び少年の元へたどり着いた葉っぱは、命つきよう シェリー・ダスキー・リンカー／文 ヒテンヘルド／絵 福本友美子／訳 トム・リ とする直前に、今までの話を聞かせる。静かで幻 ひさかたチ 想的な絵。〔小中～〕 ャイルド 風をつかまえたウィリアム 朝から懸命に働いた工事現場の車たちは、日が 暮れて眠りにつく。クレーン車は、腕を縮めて静 ウィリアム・カムクワンバ／文 ブライアン・ かに目を閉じ、ダンプカーは荷台を下げ、エンジ ミーラー／文 エリザベス・ズーノン／絵 ンの音をいびきに変える。車を擬人化したユーモ まゆみこ／訳 さ・え・ら書房 ラスな親しみやすい絵。〔幼児～〕 さく 独学で再生可能エネルギーを作ったウィリア ム・カムクワンバの伝記絵本。マラウィでは干ば かあさんふくろう つが起こり、ウィリアムは学校へ通えなくなる。 イーディス・サッチャー・ハード／作 ント・ハード／絵 おびかゆうこ／訳 クレメ だがウィリアムは、図書館で科学の本に出会い、 偕成社 廃材から風車を作ることを思いつく。風車で発電 りんごの木に住むふくろうは、28 日間卵をあた し、そのエネルギーで地下水を汲み上げようとい ため、やがて 4 羽のひなをかえした。ひなが巣立 うのだ。コラージュを使った力強い絵。〔小中～〕 つまでの 1 年間を丁寧に描いた科学的な絵本だが、 文は簡潔で詩的。絵は、紺とこげ茶の落ち着いた 風の島へようこそ くりかえしつかえるエネル 色調の木版画。〔幼児～〕 ギー アラン・ドラモンド／さく カエサルくんとカレンダー ２月はどうしてみ やく じかいの？ いけがみしゅんいち／文 まつむらゆりこ／ 福音館書店 いつも強い風が吹いているデンマークのサムス せきぐちよしみ／絵 島。風のエネルギーを使い、島で使う電気を自給 福音館書店 しようという計画がもちあがる。なかなか理解は カレンダーを見ていたゆうかちゃんは、月によ 得られなかったが、停電をきっかけに人々が動き って日数が異なることを不思議に思う。すると、 始める。実話を基にした絵本。巻末に、エネルギ カレンダーの中から古代ローマの将軍カエサルが ー問題についての解説あり。〔小高～〕 7 がたんごとんがたんごとんざぶんざぶん 安西水丸／さく やすい明るい色彩の絵本。〔幼児～〕 福音館書店 からだのなかにはなにがある？ 「がたんごとんがたんごとんざぶんざぶん」と、 汽車が海辺を走っている。 「のせてくださーい」と、 キム アイスクリームやビーチボール、麦わらぼうしに ヨンミョン／文 やにじ／訳 キム ユデ／絵 かみ 岩波書店 シャベルなどが乗り込む。終点は、女の子が待つ 体の中に何が入っているか？という子どもの素 海水浴場。『がたんごとんがたんごとん』の続編。 朴な疑問を題材とした絵本。「体の中にはきっと、 月刊誌「こどものとも 0.1.2」 （2010 年 8 月号）の 食べ物や飲み物がつまっている。だって毎日たく ハードカバー版。〔赤ちゃん～〕 さん食べたり飲んだりするもの。」「それなら、う んちやおしっこも入っているんじゃない？」 男 神々の母に捧げる詩 続アメリカ・インディア の子と女の子は、体への興味をかきたてられてい ンの詩 く。絵は明るくユーモラス。〔幼児～〕 金関寿夫／訳 秋野亥左牟／絵 福音館書店 川のぼうけん アメリカ・インディアンの様々な部族の口承詩 を 17 編収める。自然や神、夢や恋などの素朴だが エリザベス・ローズ／文 力強い詩に、ダイナミックな絵がよく調和してい ／絵 る。 『おれは歌だおれはここを歩く』 （1992 年福音 ふしみみさを／訳 ジェラルド・ローズ 岩波書店 高い山に雨が降った。雨粒は、集まり小さな流 館書店刊）の続編。〔小中～〕 れになった。流れは小川に、小川は川になり、先々 でいろんな生き物たちに声をかけながら、海を目 かみさまはいるいない？ 谷川俊太郎／文 指す。川の視点から描かれた科学的な内容の絵本 清水あさみ／絵 クレヨンハ だが、物語絵本として楽しめる。〔幼児～〕 ウス 「かみさまがいる（らしい） きかんしゃがとおるよ どこにいるのか ゴールデン・マクドナルド／さく かみさまはみえない」……「かみさまにせかいを まかされて にんげんたちはこまっている」 ワイスガード／え 谷 ゅっしゅっ 刺繍で表現した絵本。〔小中～〕 っ」 カモさん、なんわ？ ゴ／絵 ／訳 アリアンヌ・デューイ／絵 長崎出版 「ぽーっ！」汽笛が鳴り、機関車が走り出す。 「し 川俊太郎の詩を糸やビーズ、羽などを縫いこんだ シャーロット・ポメランツ／文 こみやゆう／やく レナード・ ぽっぽっ しゅっしゅっ ぽっぽ 子猫や子犬、牛やウサギ、車や子どもたち が順に待つ前を、機関車がひた走り、やがて遠く ホセ・アルエ 小さくなる。著者のマクドナルドは、マーガレッ こみやゆう ト・ワイズ・ブラウンのペンネーム。1956 年米刊 の邦訳。〔幼児～〕 徳間書店 フクロウのふーちゃんは、池でカモの親子を数 きこえる？ える。 「カモさんがいーち、もういーち、もういー ち｣ おばあちゃんに数え方を教えてもらい、ふー はいじまのぶひこ／作 福音館書店 1 羽のウサギが「きこえる？」と問いかける。ペ ちゃんは数えることが楽しくなっていく。親しみ 8 ージを開くと、「はっぱのゆれるおと」「はなのひ クーのおるすばん らくおと」 「ほしのひかるおと」などが、淡い色彩 西内ミナミ／作 のシルエットで表現されている。シンプルな言葉 子犬のクーは、ひとりでお留守番。そこへ家族 と絵で、想像力がかきたてられる絵本。 和歌山静子／絵 鈴木出版 が帰ってきたが、家中荒れ放題。怒られると思っ てしょんぼりしていたクーだが、留守番ができた きゃっきゃキャベツ いわさゆうこ／さく 褒美をもらう。くっきりとした線の暖かみのある 童心社 絵。〔幼児～〕 「きゃっきゃキャベツまるごとひとつ」 キャ くまの皮をきた男 グリムの昔話 ベツの葉をむいていくと、だんだん色がうすくな グリム／〔著〕 フェリクス・ホフマン／〔絵〕 っていく。芽キャベツやプチベール、紫キャベツ 佐々梨代子・野村泫／訳 などのキャベツの種類や特徴、育ち方をリズミカ こぐま社 貧しい兵隊は、悪魔と取引をする。財産との交 ルな言葉とリアルな絵で紹介する。〔幼児～〕 換条件は、7 年間身体を洗わず、ひげや髪にもくし きょうのごはん 加藤休ミ／作 を入れず、爪も切らず、お祈りもしないこと。兵 隊は、 「くまっ皮」と名乗り放浪するが、最後に幸 偕成社 せを手に入れる。ホフマンが孫のために描いた手 ネコが、近所の食卓を覗く。 「きょうのごはんは なーに」 稿絵本を基に作成。 『くまおとこ』 （1984 年福武書 ページをめくると、サンマ、カレーラ 店刊）の新訳・改題。〔小低～〕 イス、オムライス、コロッケなど、画面いっぱい に本物そっくりの夕飯が広がる。クレヨンとクレ グランパグリーンの庭 パスのみで描いた迫力のある絵。〔幼児～〕 レイン・スミス／作 きょうはしましま 木野あきこ／作 青山南／訳 ＢＬ出版 庭師のグリーンおじいちゃんは、トピアリー（樹 こぐま社 木を刈り込んで形作ること）作りの名人。おじい しましまのシャツと靴下の子が、いろんなしま ちゃんは、生まれてからの出来事をトピアリーで しま模様を見つける。床屋さんの看板、横断歩道 表現した。年老いていろんなことを忘れたが、庭 にエアメールの封筒、街や家はしま模様があふれ がおじいちゃんの人生を物語る。〔小低～〕 ている。布のコラージュを使った親しみやすい絵。 クリスマスってなあに？ 〔幼児～〕 ジョーン・Ｇ．ロビンソン／文・絵 きょうはすてきなドーナツようび 竹下文子／文 山田詩子／絵 う／訳 アリス館 こみやゆ 岩波書店 イエス様の誕生、プレゼント選びや部屋の飾り ドーナツやのおじさんが怪我をして、店はしば 付け、特別なごちそうなど、クリスマスを迎える らく臨時休業。ドーナツたちは、店を抜け出し町 準備や風習などを描く。語りかけるような文章と 中へ飛び出した。リズミカルな歌と鮮やかな色の 黒・赤・水色の 3 色刷りの素朴な絵本。1946 年英 絵が楽しい絵本。〔幼児～〕 刊の邦訳。〔幼児～〕 9 こいぬをむかえに 筒井頼子／文 バのとしょかん」を待ち焦がれる。コロンビアに 渡辺洋二／絵 福音館書店 実在する移動図書館を基にした絵本。〔幼児～〕 子犬をもらうことになったそうちゃんは、大喜 こねこのハリー びで父と迎えに行く。子犬の感触や、渡す側の女 の子の気持ち、それを思いやるそうちゃんを生き メアリー・チャルマーズ／さく 生きと描く。月刊誌「おおきなポケット」（2000 ／やく 年 4 月号）を再編集したもの。〔小低～〕 おびかゆうこ 福音館書店 お母さんネコが立ち話をしている間に、ハリー は家の屋根に登ってしまう。だが、降り方がわか こおりのなみだ らず、消防士さんに助けてもらうはめになる。手 ジャッキー・モリス／さく 小林晶子／やく のひらサイズで、柔らかな線と抑えた色調の素朴 な絵本。シリーズの 1 冊。〔幼児～〕 岩崎書店 「時の流れが始まったころ」、ワタリガラスにさ こわがらなくていいんだよ らわれたクマの子は、狩人に拾われ人間の子とし て育てられる。7 年後母グマに遭遇した子どもは、 ゴールデン・マクドナルド／さく クマの記憶を取り戻した。子どもは、人間として ワイスガード／え こみやゆう／やく レナード・ 長崎出版 生きるか、クマとして生きるか選択を迫られる。 昔、ジャングルにたいへん怖がりなトラの子が 昔話の形式をとった力強い水彩画。[第 18 回いた いた。トラの子の両親は、子を真ん中にしてジャ ばし国際絵本翻訳大賞（英語部門）] ングルを歩き、どんな生き物にも怖いものがある ことを教える。トラの子の成長を、緑・黄・黒色 こころやさしいワニ の絵で描いた古典的な絵本。著者のマクドナルド ルチーア・パンツィエーリ／さく ジョナータ・フェッラーリ／え やく アントン・ は、マーガレット・ワイズ・ブラウンのペンネー さとうのりか／ ム。1953 年米刊の邦訳。〔幼児～〕 岩崎書店 さかさことばでうんどうかい 子どもが大好きで家事が万能のワニは、ペット になりたいと願う。だが、ワニを飼いたい家族は 西村敏雄／作 福音館書店 現れない。そこでワニは、絵本の中に住むことを 「ぞうくん 思いつく。動きのある線の迫力ある絵。[第 18 回 ふらとたった」 いたばし国際絵本翻訳大賞（イタリア語部門）] んでも下から読んでも同じ文で描いた言葉遊び絵 ぱん くうぞ」 「たったとら ふら 動物たちの運動会を、上から読 本。月刊誌「こどものとも」（2009 年 5 月号）の こないかな、ロバのとしょかん モニカ・ブラウン／文 藤規／訳 ジョン・パッラ／絵 ハードカバー版。〔幼児～〕 斉 さかさんぼの日 新日本出版社 ルース・クラウス／作 小さな村に住むアナは、本が大好きな女の子。 新しいことを学びたいが、アナには 1 冊しか本が 絵 三原泉／訳 マーク・シーモント／ 偕成社 なく村には教師もいない。そこへ、2 頭のロバに本 朝起きて、男の子はゆかいなことを思いつく。 を積み図書館員がやってくる。以来、アナは「ロ パジャマを脱ぐとコートを着、コートの上にズボ 10 ン、ズボンの上にパンツを履き、後ろ向きに階段 シャオユイ（小魚）は、屋根の影をつたって歩 を下りていった。食卓につく向きも挨拶もすべて いたり、拾ったビーだまを目にあてたり、ひとり さかさまの男の子を見て、パパ、ママ、妹も次々 遊びをしながらおつかいに行く。雑貨屋さんでは、 に「さかさんぼの日」に参加する。〔幼児～〕 ご主人と軽妙な会話を楽しみ、父さんが待つ家に 帰る。日常の 1 コマを抑えた色調で描いた台湾の さがしています 絵本。〔幼児～〕 アーサー・ビナード／作 岡倉禎志／写真 童 ジャックと豆の木 イギリスの昔話 心社 8 時 15 分を指し示した時計、焼け焦げたお弁当 ジョン・シェリー／再話・絵 箱、溶けたビーだま。広島平和記念資料館が収蔵 訳 おびかゆうこ／ 福音館書店 している 14 点の「もの」たちが、失ったものや原 貧しいジャックは、牝牛とひきかえに魔法の豆 爆投下時の体験を静かに語る写真絵本。広島から をもらう。翌朝、豆は天まで届く木になっていた。 切り出された「議院石」の上に置いて撮影されて ジャックは、豆の木をよじのぼり、人食い鬼の家 いる。〔小中～〕 にたどり着く。明るい色彩と迫力ある構図で描く 昔話絵本。〔幼児～〕 サッカーがだいすき！ マリベス・ボルツ／さく ロ／え ＭＯＮ／やく じゆうをめざして ローレン・カスティ 岩崎書店 シェーン・Ｗ．エヴァンズ／作 「あたし」は、おばと２人で暮らしている少女。 ／訳 サッカーをしているときがいちばん幸せだが、悲 さくまゆみこ ほるぷ出版 奴隷制があった時代のアメリカ。 「暗い夜、私た しいのもサッカーのこと。週末も働くおばが、一 ちは逃げ出す。そーっと静かに」 度も試合を見に来られないからだ。「あたし」は、 由を手に入れるために命がけで逃亡する姿を最小 勇気をふりしぼり監督に相談する。〔小中～〕 限の文と、迫力ある絵で表現した本。〔小高～〕 ジブリルのくるま 十二支のしんねんかい 市川里美／作 ＢＬ出版 みきつみき／文 柳原良平／画 黒人奴隷が自 こぐま社 ・ ジブリルは砂漠で動物たちの世話をしながら、 元旦に、十二支が勢ぞろいして新年会。 「ねずの 拾い集めたあきカンやペットボトルなどでおもち ばんして ゃの車を作るのが大好きだ。父さんはガラクタを 前を載せて、十二支を順に語呂よく紹介する。ユ 捨ててこいというが、ジブリルにとっては宝物。 ーモラスな切り絵と言葉のリズムが楽しい絵本。 ためしに、市場で車を売ってみると大評判に。子 〔幼児～〕 いえまもり」など、文の頭に干支の名 どもや動物たちを生き生きと描く。〔小低～〕 しょうがつがくると シャオユイのさんぽ チェン・ジーユエン／作 川崎洋／さく 中由美子／訳 沢田としき／え 「しょうがつがくると 光村 をあげていると 教育図書 11 鈴木出版 たこをあげる からすがさわぐ たこ からすがさ わぐと……」一つの行動が次の事柄を引き起こし、 好学社 最後には予想外の結果を生み出す。「しょうがつ スプロケットさんのコートには、ポケットがい がくるとうんどうかいがはじまる」と「風が吹く っぱい。雨が降るとたくさんの傘、かんかん照り と」の 2 編の詩を絵本化。月刊誌「こどものくに・ のときは水着にタオルが出てくる、便利なポケッ ひまわり版」 （2001 年 1 月号）のハードカバー版。 ト。ときにはワニやゾウ、ヤシの木まで奇想天外 〔幼児～〕 なものも飛び出して……。ユーモアあふれる線画。 〔幼児～〕 商人とオウム ペルシャのおはなし 〔ルーミー／原作〕 ／文 セミとわたしはおないどし ミーナ・ジャバアービン ブルース・ホワットリー／絵 青山南／訳 高岡昌江／文 光村教育図書 さげさかのりこ／絵 福音館書 店 小学校 1 年生のみーこは、セミの抜け殻を見つ 裕福な商人に飼われている賢いオウムは、仲間 の知恵のおかげで自由になる。意表をつく結末は、 けたことから、セミに興味を持つ。家族総出で抜 幼い子にはわかりづらいか。13 世紀ペルシアの詩 け殻を集め、生態を調べるうちに、羽化が 7 年目 人ルーミーの詩を基にした絵本。とぼけた味の鮮 と知る。親しみやすい絵のコマ割の科学絵本。セ やかな絵。〔小低～〕 ミの抜け殻、幼虫、羽化の様子など部分的に写真 で紹介する。月刊誌「おおきなポケット」（2000 年 4 月号）を再編集したもの。〔小低～〕 新世界へ あべ弘士／〔作〕 偕成社 ゾウの森とポテトチップス 北極圏で生まれ育ったカオジロガンの子どもた ちは、越冬地を求め両親とともに初めての渡りを 横塚眞己人／しゃしんとぶん そうえん社 する。昼も夜も、風を受け波を越え、「約束の地」 ボルネオ島では、野生ゾウの生息地である熱帯 を目指して飛び続ける。のびやかな線とダイナミ 雨林が減少している。パーム油を大量生産するた ックな構図の絵本。〔幼児～〕 め、アブラヤシのプランテーションが拡大したこ とが原因だ。パーム油は、世界中で、食料品、洗 しんせつなかかし ウェンディ・イートン／作 篠崎三朗／絵 剤、化粧品など様々な用途で使われている。著者 は私たちの生活が、日本から 4000 キロ離れたボル おびかゆうこ／訳 福音館書店 ネオ島のゾウの生態を脅かしていることに警鐘を お百姓さんは、かかしを作り麦畑に立てた。と 鳴らす。写真絵本。〔小低～〕 ころがかかしは、わらの髪や上着のボタンを鳥た 空とぶ鉢 国宝信貴山縁起絵巻より ちにあげてしまう。表題作及び「モリーさんの庭」 の 2 編収録。月刊誌「おおきなポケット」（2000 寮美千子／文 長崎出版 みょうれん 年 4 月号）を加筆・再編集したもの。〔小低～〕 信貴山の僧、 命 蓮さんは、托鉢の鉢を飛ばす不 思議な術の持ち主。村人は、鉢を見ると熱心にお スプロケットおばさんのポケット クエンティン・ブレイク／作 布施をする。ところが山崎長者が、鉢を倉に入れ 鍵をかけたからさあ大変。倉は鉢とともに、空に 谷川俊太郎／訳 12 あがっていき……。「信貴山縁起絵巻」（平安時代 さんは、船も船員も道具も獲った魚も大きくて、 後期）の中の「飛倉の巻（山崎長者の巻）」に文章 小さい漁師さんはみんな小さい。大きいと小さい をつけ絵本化したもの。〔小低～〕 を交互に対比させて描く。鮮やかな色彩の絵本。 〔幼児～〕 旅する蝶 文化学園文化出版局 小さなミンディの大かつやく オオカバマダラの壮大な渡りを描く。オオカバ エリック・Ａ．キメル／文 新宮晋／著 マダラは、カナダからメキシコまで 4000 キロを飛 ントック／絵 バーバラ・マクリ 福本友美子／訳 ほるぷ出版 び、3～4 世代をかけてカナダに戻る。詩的な短い ミンディは、シナゴーク（ユダヤ教の教会堂） 文と、鮮やかな色彩のダイナミックな絵の絵本。 の壁の中に住む小人の少女。猫に襲われてケガを 英文併記。〔小低～〕 した父に代わり、ハヌカ祭りに使うろうそくを、 取りに行こうと名乗りをあげる。紐をよじのぼり、 たまごってふしぎ やっとの思いでろうそくを見つけたとたんに、猫 アリス・プロベンセン／作 ベンセン／作 こみやゆう／訳 が現れた。緻密な絵で、小人たちの生活を生き生 マーティン・プロ きと描く。〔幼児～〕 講談社 ガチョウ、カエル、魚、スズメバチ、恐竜など ちがうねん いろいろな動物の卵を紹介する。たくさんの驚き がつまった卵の魅力を紹介した科学的な内容の絵 ジョン・クラッセン／作 本だが、絵は写実的ではなくおおらかな雰囲気で、 長谷川義史／訳 ク レヨンハウス 物語絵本として楽しめる。〔幼児～〕 小さな魚は、大きな魚が寝てる間に帽子を盗ん で、逃げていく。小さな魚は、海草のジャングル 小さいのが大きくて、大きいのが小さかった に逃げ込めば安全だと信じて泳ぐ。ところが気づ ら かぬうちに、大きな魚が徐々に後ろに迫ってきて エビ・ナウマン／文 ュラー／絵 ディーター・ヴィースミ 若松宣子／訳 ……。関西弁の文と緊迫感あふれる絵。〔小低～〕 岩波書店 ちっちゃなしろうさぎ ネコが怖いネズミは、生き物の大きさが逆転し た世界を想像する。大きなネズミと小さなネコ、 ケビン・ヘンクス／さく 大きなガチョウと小さなキツネ、大きなミミズと いしいむつみ／やく ＢＬ出版 小さなニワトリ……。捕食される側を誇張して描 子ウサギは、「じっとしてるってどんなふう？」 く。〔幼児～〕 「はばたくってこんなかな？」など、いろんなこ とを想像する。わからないことはたくさんあるけ 小さいりょうしさん マーガレット・ワイズ・ブラウン／文 フ・イプカー／絵 やましたはるお／訳 れど、母さんウサギが子ウサギを好きということ ダーロ は、ちゃんとわかってた。現実を枠で囲み、子ウ ＢＬ出 サギが想像する場面は、画面いっぱいにのびやか 版 に描く。〔幼児～〕 大きい漁師さんと小さい漁師さん。大きい漁師 13 チビウオのウソみたいなホントのはなし ジュリア・ドナルドソン／文 フラー／絵 ふしみみさを／訳 つぼつくりのデイヴ アクセル・シェ レイバン・キャリック・ヒル／文 徳間書店 コリアー／絵 さくまゆみこ／訳 ブライアン・ 光村教育図書 チビウオは、小さくて地味な魚だが、夢見る心 今から約 200 年前のアメリカ。奴隷の陶工デイ は人一倍。学校への遅刻の言い訳に、びっくりす ヴは、粘土で壷を造り暮らしていた。デイブは生 るような話をひねりだす。ある日、話を考えるの きた証を残すため、壷に短い詩を刻みつける。水 に夢中になったチビウオは、漁師に捕まってしま 彩とコラージュの力強い絵。実在した人物を基に う。くっきりした線の色鮮やかな絵。〔幼児～〕 した絵本。〔小中～〕 チャーリーのはじめてのよる ツリーハウス エイミー・ヘスト／ぶん リー／え ヘレン・オクセンバ さくまゆみこ／やく ロナルド・トルマン／作 岩崎書店 ／作 マライヤ・トルマン 西村書店 雪の日ヘンリーは、チャーリーと名付けた子犬 シロクマがクジラの背に乗って海を渡り、海上 を抱きかかえて帰る。ヘンリーは、チャーリーを に突き出た木の上の家に着く。茶色のクマも仲間 キッチンに寝かせるが、真夜中の鳴き声に飛び起 に加わり、2 頭で仲良く過ごす。そこへ、フラミン きる。男の子と子犬の心の交流を、暖かみのある ゴの大群、サイ、パンダ、クジャクなどが次々訪 柔らかな絵で描く。〔小低～〕 れ、ツリーハウスで遊ぶ。文字がなく、エッチン グとイラストだけで物語が進行し、想像力をかき ちょっとだけまいご クリス・ホートン／作 たてる。[ボローニャ国際児童図書賞、金の絵筆賞 木坂涼／訳 （2010 年）]〔小低～〕 ＢＬ出版 巣から落ちて迷子になったちびフクロウ。リス てくとこずんずん に、「耳がとんがってる」「目が大きい」など母親 マーガレット・ワイズ・ブラウン／詩 の特徴をジェスチャーで示すが、なかなか伝わら シャーリップ／絵 ない。ちびフクロウをコミカルに描く。[ビスト最 木坂涼／訳詩 レミー・ 集英社 登場するのは、 「まっくろくろのふわふわよんほ 優秀児童図書賞（2011 年）、エイリース・ディロン んあし」。この 4 本足が、地球をぐるっと「てくて 賞（2011 年）]〔幼児～〕 くとことこ」歩いていく。英文を右上に日本語訳 月へ アポロ１１号のはるかなる旅 ブライアン・フロッカ／作・絵 を左下に置いた白地の文章のページと、絵だけの 日暮雅通／訳 鮮やかなページを交互に構成。リズミカルな文と 偕成社 大胆な構図の絵。〔幼児～〕 1969 年 7 月 16 日、アポロ 11 号が月に向かって 発射された。初めて月に着陸した 3 人の宇宙飛行 とうさんとぼくと風のたび 士たちの、帰還の軌跡を描く科学絵本。見返しに、 小林豊／作・絵 アポロ 11 号の詳細な図や計画が掲載されている。 春、父さんと「ぼく」は、 「風の吹いてくるとこ 〔小中～〕 ポプラ社 ろ」へ向かって旅に出た。古い街道、峠、大きな 町、川を通って海に着く。道中に、時空や空間を 14 超えてさまざまな風と暮らす人間の生活を描き出 トチの木の 1 年と人間の関わりを写真で紹介した す。〔小中～〕 科学絵本。月刊誌「おおきなポケット」 （2000 年 4 月号）を加筆・再編集したもの。〔小低～〕 とくんとくん 片山令子／文 片山健／絵 ドングリさがして 福音館書店 かなこは、古い水族館で不思議な男の子に出会 ドン・フリーマン／作 う。かなこは、 「ひすい湖に帰りたい」という男の やましたはるお／訳 子を送ってあげるが……。大胆な油絵で、幻想的 ロイ・フリーマン／作 ＢＬ出版 冬が迫り、リスのアールは、おなかをすかせた な雰囲気を伝える。〔小低～〕 子リスたちのために、夏に埋めたドングリを探し て公園に行く。ワシントンを舞台に、父さんリス としょかんねこデューイ ヴィキー・マイロン／文 ／文 の奮闘を生き生きとしたタッチで描く。ドン・フ ブレット・ウイター スティーヴ・ジェイムズ／絵 リーマンの遺作スケッチを息子のロイが絵本化。 三木卓／訳 〔幼児～〕 文化学園文化出版局 ある晩、図書館の返却ポストに 1 匹の子猫が捨 トンネルをほる てられていた。図書館員に助けだされた子猫は、 ライアン・アン・ハンター／文 「としょかんねこ」として、玄関で出迎えたり、 ミラー／絵 青山南／訳 エドワード・ ほるぷ出版 悲しそうな人を慰めたりして、人々の気持ちを和 大昔、人間が最初に掘ったトンネルは水を汲む らげる。アメリカのスペンサー公立図書館での実 ため。囚人は逃げるため、泥棒は忍び込むために 話に基づくお話。〔小低～〕 トンネルを掘る。今は、海の底や山の中、町の下 などたくさんのトンネルが使われている。トンネ としょかんねずみ ルの歴史や役割、掘り方、未来までをわかりやす ダニエル・カーク／さく く わたなべてつた／や く描く。〔小低～〕 瑞雲舎 中をそうぞうしてみよ 図書館に住むねずみのサムは、読書するのが大 好き。ある晩サムは、読書することに飽きたらず 佐藤雅彦／作 自分で本を書きあげた。本を図書館の棚に並べる Ｘ線写真を使って、椅子や針山、貯金箱など身 と、たちまち大評判に。図書館員は作者を探そう 近な物の中を透視した写真絵本。月刊誌「かがく とするが……。鮮やかなはっきりとした絵。続編 のとも」 （2008 年 1 月号）のハードカバー版。 〔幼 あり。〔幼児～〕 児～〕 トチの木の１年 ナスレディンのはなし トルコの昔話 太田威／写真・文 ユーフラテス／作 八百板洋子／再話 福音館書店 福音館書店 佐々木マキ／絵 福音館書 店 大昔から人間は、トチの木の恵みをうけて暮ら トルコで広く伝えられている、ナスレディン・ してきた。花からは蜂蜜を、食べ物を腐りにくく ホジャが活躍するとんち話。機知で裁判官やお坊 する力がある葉は新巻作りに、実はおもちになど、 15 ニブルとたいせつなきのみ さんをやりこめる話など４話収録。ユーモラスな 話にとぼけた雰囲気の絵が合っている。月刊誌「お ジーン・ジオン／ぶん おきなポケット」 （2010 年 10 月号、2006 年 12 月 グレアム／え 号、2005 年 6 月号）を加筆・再編集したもの。 〔小 版 低～〕 マーガレット・ブロイ・ ひがしちから／やく ビリケン出 子リスのニブルは、感謝祭のごちそうの木の実 を、見知らぬリスに騙し取られる。ところが、レ なぜカツラは大きくなったのか？ 髪型の歴 ストランの厨房で悪いリスを見つける。ニブルは、 史えほん 木の実をとりかえそうと奮闘する。緑・茶・白だ キャスリーン・クルル／文 ン／絵 宮坂宏美／訳 ピーター・マロー けの柔らかい線の絵。1962 年米刊の邦訳。〔幼児 あすなろ書房 ～〕 アリストテレスが考案した最古のハゲ治療薬や、 18 世紀にフランスで流行した高さ 1 メートルの ネビルってよんでみた 「入れ毛」など、古今東西の髪型を描く。髪に関 ノートン・ジャスター／文 する記事の切り抜きを長年行い、 「世界の歴史は髪 カラス／絵 の歴史」と言う著者が、髪にまつわる不思議を軽 石津ちひろ／訳 Ｇ．ブライアン・ ＢＬ出版 引っ越したばかりで友だちがいない男の子は、 妙に紹介する。〔小中～〕 空に向かって「ネビル」と叫んだ。声を聞いた子 どもたちが集まり、いっしょに「ネビル」と呼び なみだでくずれた万里の長城 中国の民話 唐亜明／文 蔡皋／絵 始めた。みんな「ネビル」に関心を持ち、男の子 岩波書店 にいろいろな質問をする。ラストで、彼が「ネビ もうきょうじょ ル」であることが明かされる。友だちができるま 瓢箪から生まれた 孟 姜 女 は、万里の長城建設の 苦役から逃げてきた男と結婚する。ところがその でをユーモラスに描く。〔小中～〕 晩、夫は役人に連れ戻された。孟姜女は夫を探し ねむるまえにクマは に行くが、夫はすでに死に万里の長城の下に埋め られたことを知る。孟姜女の悲しみは、万里の長 フィリップ・Ｃ．ステッド／文 城を崩した。抑えた色調の水墨画風の絵。 〔小中～〕 ステッド／絵 青山南／訳 エリン・Ｅ． 光村教育図書 話を聞いて欲しいクマ。だが、ネズミやカモ、 ニニのゆめのたび アニタ・ローベル／さく く カエルたちは、冬支度に忙しい。クマは、みんな の手伝いをし、自らも眠りにつく。やがて春が来 まつかわまゆみ／や て、目を覚ました動物たちは、クマの周りに集ま 評論社 るが……。抑えた色調の柔らかな絵。〔幼児～〕 飼い猫のニニは、黒いカバンに詰められて都会 から田舎の家へお引越し。抗議して鳴くうちに、 パオアルのキツネたいじ うとうとしてしまう。夢の中でニニは、気球で空 蒲松齢／原作 を飛んだり、ゾウの背中に乗ったりと大冒険を繰 子／訳 り広げる。くっきりとした色調の絵本。〔幼児～〕 心怡／再話 蔡皋／絵 中由美 徳間書店 パオアルという男の子が、キツネに取りつかれ た母親を助けようと策をめぐらせる。中国の古典 16 こ じ 『聊斎志異』の「商人の子（原題：賈児）」を題材 に作られた絵本。黒と赤を基調とし、場面によっ ピアノはっぴょうかい てパオアルの目の色を変える独特の絵。第 14 回 みやこしあきこ／作 BIB金のりんご賞受賞作の新装版を邦訳。 〔小低～〕 ももちゃんの初めてのピアノ発表会の日、もも ブロンズ新社 ちゃんが緊張しながら出番を待っていると、足元 博物館の一日 に子ネズミが現れた。子ネズミは、ももちゃんを いわた慎二郎／作・絵 講談社 ネズミたちの発表会に誘う。歌も踊りもそろわな 男の子とその父親が、国立科学博物館を探検す いが楽しそうなネズミたちを見て、ももちゃんの る様子を時系列で紹介する。恐竜化石の発掘、復 緊張はほぐれていく。〔幼児～〕 元骨格の組み立てや骨格標本の作り方などを中心 ひみつのたからチョコラーテ に、レストランや売店を含め博物館で働く人々の 仕事を細密に紹介する。〔小低～〕 平山暉彦／作 福音館書店 しょうたは、発明家のおじさんと 400 年前のア はなびドーン ステカ王国（現在のメキシコ）のカカオ農園にタ カズコ・Ｇ．ストーン／さく 「くらいよぞらにシューッ ージをめくるたびに「パンッ イムスリップする。2 人は、カカオを原料とした飲 童心社 ペ み物「チョコラーテ」の秘密を盗むスパイと間違 パパパー われ、捕らえられる。チョコレートの歴史を紹介 なーにかな」 ドーン ン」と、色鮮やかな花火が浮かび上がる。花火は、 するコマ割の絵本。月刊誌「おおきなポケット」 次第に大きく華やかになっていく。さまざまな形 （2000 年 4 月号）を再編集したもの。〔小低～〕 や色の花火と擬音語が楽しい絵本。〔幼児～〕 １０５にんのすてきなしごと パンがいっぱい 大村次郷／写真・文 カーラ・カスキン／文 福音館書店 絵 パンは、西アジアで 8000 年前には生まれ、世界 なかがわちひろ／訳 マーク・シーモント／ あすなろ書房 金曜日の夕方、105 人の音楽家が仕事に出かける に広がった。日本では見かけない珍しいパンを中 用意を始めた。入浴や身支度の仕方、歳や家族構 心に、人々の暮らしを写真で紹介した絵本。月刊 成は 105 とおりだが、心を一つにして美しい音楽 誌「おおきなポケット」 （2008 年 12 月号）を再編 を奏でる。仕事に行くまでの準備をユーモラスに 集したもの。〔小中～〕 描き分ける。 『オーケストラの 105 人』(1985 年ジ ー・シー刊、1995 年すえもりブックス刊)を、訳者 はんなちゃんがめをさましたら 酒井駒子／ぶん・え を変えて復刊。〔幼児～〕 偕成社 ふくしまからきた子 家族が寝静まった夜、はんなちゃんは目を覚ま す。はんなちゃんは、内緒でサクランボを食べた 松本猛／作 り姉の道具で遊んだりして、ひとり楽しむうちに、 松本春野／作 松本春野／絵 岩 崎書店 眠ってしまう。幼い女の子のしぐさや表情を丁寧 広島に住むだいじゅの隣家に、少女が原発事故 に描く。〔幼児～〕 の影響で福島から引っ越してきた。心を閉ざして 17 いた少女だが、大好きなサッカーを通じてだいじ ブルムカの日記 コルチャック先生と１２人の ゅと親しくなっていく。柔らかい水彩画で、福島 子どもたち の今や原発について伝える。巻末に著者の解説あ イヴォナ・フミェレフスカ／作 り。〔小中～〕 松方路子／訳 田村和子／訳 石風社 少女ブルムカの目を通して、絶滅収容所に送ら 富士山うたごよみ れる前の孤児院の日常を描く。縫物が上手な少年 俵万智／短歌・文 Ｕ．Ｇ．サトー／絵 や耳の中でえんどう豆を育てた少女、子どもたち 福音 を愛したコルチャック先生などの姿が生き生きと 館書店 伝わる。コラージュを使った絵本。[ホワイト・レ 立春から大寒までの二十四節気に合わせた俵万 イブンス賞]（小中～） 智の短歌と、富士山をモチーフにしたＵ・Ｇ・サ トーのイラストを見開きページで紹介。著者が子 プレゼント ども向けに自らの短歌を選び、文を書き下ろした 絵本。初めて短歌に出会う子どもたちに手渡した ボブ・ギル／作 い。〔小高～〕 アーサー・ビナード／訳 ほ るぷ出版 もうすぐ誕生日を迎えるアーサーは、父親のク ふたごのもうふ ローゼットにプレゼントの箱を見つけわくわくす ヘウォン・ユン／さく せなあいこ／やく る。 「おもちゃかな？チョコレートかな？」と、毎 ト 日中身を想像し、誕生日を楽しみに待つ。ところ ランスビュー が、いよいよ明日が誕生日という日、寄付集めの 「あたしたち」は、5 歳の双子。これまでなんで 人が訪れて……。しゃれたデザインの絵。 〔小低～〕 もわけっこしてきたけど、大きくなって同じ毛布 では寝られなくなった。だが赤ちゃんのときから 北京 中軸線上につくられたまち 使ってきた毛布を手放すのが嫌で、取り合いにな ってしまう。お母さんは、古い毛布を半分に切り、 于大武／作 文妹／訳 ポプラ社 新しい毛布に縫い付けてくれた。双子の成長を鮮 清（1636～1912 年）時代、著者の子ども時代 （1950 年代）、現代の 3 つの時代の北京を描く。 やかな色で描く韓国の絵本。〔幼児～〕 町の南北をつらぬく中軸線には、重要な建物が配 ふるさと６０年 戦後の日本とわたしたちの歩 置されている。その中軸線を南から北へ鳥瞰する。 み 巻末には、建造物の詳細な解説を付す。建物や人々 道浦母都子／文 金斗鉉／絵 福音館書店 の暮らしを中国画で精緻に描く。〔小高～〕 姉弟が祖父母から、家族やふるさとの歴史を聞 ぼくのこえがきこえますか く。1946 年から未来まで、ある町の移り変わりを 定点から描いた絵本。子どもたちの遊びや流行し 田島征三／作 たものなども詳細に紹介する。〔小中～〕 「ぼく」は、戦地で砲弾に吹き飛ばされた。魂 童心社 は空にただよい、母親の悲しみや弟の怒りを感じ 取る。平易な言葉と奔放な力強い絵で平和を訴え た本。〔小低～〕 18 ぼくのママはうんてんし おおともやすお／さく ミアはおおきなものがすき！ 福音館書店 カトリーン・シェーラー／作 ママの誕生日に、のぞむはママが運転する電車 関口裕昭／訳 光村教育図書 に向かって、跨線橋からパパといっしょに旗を振 子ネズミのミアは、図鑑を読んで植物が大きく ろうと思いつく。ところが、大雨やパパに仕事が なる仕組みを知る。おもちゃの車やヨット、人形 入るなど、次々にトラブルが起きてしまう。柔ら の家や洋服を、土に埋め水をやるが大きくならな かい線の親しみやすい絵。〔幼児～〕 い。けれどもミアはあきらめず、自分で大きなも のを作り上げる。〔幼児～〕 ぽぽんぴぽんぽん 松竹いね子／文 ささめやゆき／絵 ミシュカ 福音館書 店 マリー・コルモン／文 たろうくん、おさるさん、くまさん、かばさん コフスキー／絵 に「おへそはどこ」と尋ねると、 「ここ」と自分の フョードル・ロジャン みつじまちこ／訳 新教出版社 クリスマス・イブ、クマのぬいぐるみのミシュ おなかを指差す。最後には、 「おへそがぎょうれつ」 カは、わがままな女の子の元から逃げ出した。雪 しておふろへ行く。 「ぽぽんぴぽんぽん」という言 の森で、ガンが「今夜はみんな何か一つよいこと 葉の繰り返しが楽しい絵本。月刊誌「こどものと をしなくちゃいけない」と言うのを聞いて、ミシ も 0.1.2」 （2007 年 8 月号）のハードカバー版。 〔赤 ュカはある決心をする。 1941 年刊のフランスの「ペ ちゃん～〕 ール・カストール文庫」の 1 冊。〔幼児～〕 まきばののうふ アメリカ民謡 水は、 イルセ・プルーム／え わたなべてつた／やく 山下大明／写真・文 福音館書店 福音館書店 「水は、雨となって森にふる。……水は、森か 日本では「たんぼの中の一軒家」 （高田三九三訳） らわきだし流れだす。」 詩のような簡潔な文と壮 として知られるアメリカ民謡を、絵本化したもの。 大な写真の絵本。月刊誌「おおきなポケット」 （2002 巻末に、遊び方や楽譜が付いていて、歌いながら 年 8 月号）を再編集したもの。〔小低～〕 遊ぶこともできる。色鉛筆で描かれた明るい色彩 みっつのねがい エストニアの昔話 の絵。〔幼児～〕 ピレット・ラウド／再話・絵 まほうのコップ 藤田千枝／原案 ／文 ／訳 川島敏生／写真 長谷川摂子 まえざわあきえ 福音館書店 貧乏で怠け者の夫婦の元に、不思議な男が現れ 福音館書店 「願いを３つ叶えてやる」と言う。考えに考えた コップに水を入れ、後ろにイチゴや急須などの が、お腹をすかせた妻がついソーセージを願って 身近なものを置くと、光の屈折によって不思議な しまう。怒った夫が妻の鼻にソーセージがくっつ 見え方をする。科学遊びにも使用できる写真絵本。 くようにと言い……。グリム童話等にも類話があ 月刊誌「ちいさなかがくのとも」 （2008 年 7 月号） るが、よりユーモラス。現代的な絵の絵本。 〔小低 のハードカバー版。〔幼児～〕 ～〕 19 みて、ほんだよ！ 中～〕 リビー・グリーソン／文 ッド／絵 谷川俊太郎／訳 フレヤ・ブラックウ りゅうのぼうや 光村教育図書 荒れた街で、女の子と男の子が落ちている本を 富安陽子／文 早川純子／絵 佼成出版社 見つけ読み始める。本は、２人をたちまち空想の 眠れなくなった竜の赤ちゃんは、母竜のとぐろ 世界に運んでいく。文章がほとんどなく、淡い色 から抜け出して、町の明かりを目指して飛び立っ 調の絵で物語が進んでいく。〔小低～〕 た。赤ちゃんは、町の喧騒が恐ろしくなるが、母 竜のいる空がはるか遠いことに気づく。母竜の姿 もっかい ！ を温かく描く。〔幼児～〕 エミリー・グラヴェット／さく やく 福本友美子／ リンゴのたび 父さんとわたしたちがオレゴン フレーベル館 にはこんだリンゴのはなし おやすみ前にドラゴンの子セドリックは、お気 デボラ・ホプキンソン／作 に入りの本をママに読んでもらう。読み終わるた ンター／絵 びに、セドリックは「もっかい！」と催促するが、 藤本朝巳／訳 ナンシー・カーペ 小峰書店 だんだんママのお話はいい加減になっていく。と デリシャスの一家は、アイオワからアメリカを うとうママは寝てしまい、セドリックは怒って火 横断してオレゴンへ引っ越すことになった。父さ を噴き本に穴をあける。裏表紙はこげた穴の装丁 んは大切なリンゴの木を置き去りにできず、馬車 のしかけ絵本。〔幼児～〕 に苗木を積み込み出発する。川や砂漠を越え、嵐 にも遭遇するが、家族で苗木を守る。ゴールドラ ゆきのよあけ いまむらあしこ／文 ッシュの時代に、3000 キロメートル以上も苗木を あべ弘士／絵 運んだ家族が基となっている。[ゴールデン・カイ 童心社 ト賞（2004 年）]〔小中～〕 夏、野うさぎの子は、母親とはぐれるがひとり で生きのびる。季節は巡り、夜の雪の森、野うさ りんご畑の１２か月 ぎの子はキツネやフクロウに追われ、死にものぐ るいで雪を蹴る。静かな森に繰り広げられるいの 松本猛／文 中武ひでみつ／絵 講談社 ちをめぐる争いと生の喜びを、力強い文とのびや 安曇野のリンゴ農家の「やすおじさん」が、畑 や仕事の様子を、甥へ手紙で伝える形式。雪の中 かな絵で描く。〔幼児～〕 での剪定や真夏の草刈り、真っ赤な実の収穫など、 よしこがもえた たかとう匡子／作 リンゴ農家で働く画家が生き生きと描く。〔幼児 たじまゆきひこ／作 ～〕 新日 本出版社 わたしが山おくにすんでいたころ 母さんが赤ちゃんを産んだ夜、空襲警報が鳴り シンシア・ライラント／文 響いた。 「わたし」は、妹のよしこの手をにぎって ／絵 駆け出した。第２次世界大戦の姫路空襲で妹を亡 もりうちすみこ／訳 ダイアン・グッド ゴブリン書房 著者の自伝的絵本。「わたし」は子どものころ、 くした体験を綴った詩集「ヨシコが燃えた」 （1987 いとこたちと野山をかけまわり、祖母に慈しまれ 年編集工房ノア刊、2007 年澪標刊）の絵本化。 〔小 20 物語 質素だが満ち足りた生活を送る。半世紀ほど前の １・２年生 アメリカ、小さな炭鉱の町の暮らしを温かく描く。 [コルデコット賞オナー（1983 年）]〔小低～〕 K913 ｲｼ なみだひっこんでろ 岩瀬成子／作 わたしはガリレオ ボニー・クリステンセン／作 上路ナオ子／絵 岩崎書店 お姉さんは、学校から帰るといつも近所の犬や 渋谷弘子／訳 猫を見にでかける。ある日、近所の飼い犬のゴロ さ・え・ら書房 ーがボールを飲み込んだことを知ったお姉さんは、 新しい考え方を持つ父に影響を受けた子ども時 ゴローが心配のあまり、真夜中に家を飛び出した。 代から、 「太陽中心説」を唱え宗教裁判にかけられ K913 ｲﾉ た晩年まで、ガリレオの生涯を描く。自宅に軟禁 あまやどり されたガリレオが、生涯を回想する形式の伝記絵 市川宣子／作 本。重厚な美しい絵。巻末に年表や、発明品等に お姉ちゃんと公園へ行ったようくんは、雨が降 ついての解説あり。〔小高～〕 陣崎草子／絵 文研出版 ってきても帰ろうとしない。どしゃぶりの中、し ゃがみこんだようくんの手の中にはすずめの赤ち ゃんが。2 人はすずめが教えてくれるまま、急いで あまやどりをした。そこにはたくさんの虫やとか げもいて……。 K913 ｲﾐ おねえちゃんって、もうたいへん！ いとうみく／作 つじむらあゆこ／絵 岩崎書 店 ココのママが再婚してできた新しい妹のナッチ ャン。ナッチャンはいつもママをひとり占め。お まけに妹なのに、1 年生のココよりも体が大きくっ て、まるで怪獣のようだとココは思う。 K913 ｶｻ おつかいまなんかじゃありません 柏葉幸子／作 つちだのぶこ／絵 ポプラ社 まゆのところに、不思議な女の人が声をかけて きた。売店に行って「マギリカディはこられませ ん」と言ってほしいというのだ。そう言ったとた ん、まゆは高い崖のうえに立っていた。 「おつかい ま」だと思われたまゆは、魔女の代わりにおつか いをすることになってしまう。 21 K913 ｶｻ ともだちはなきむしなこいぬ 上條さなえ／作 いとうみき／絵 K913 ｿｺ お父さんのＶサイン 金の星社 そうまこうへい／作 福田岩緒／絵 小峰書店 なごみちゃんの家にもらわれてきたのは、チワ あいのお父さんは、参観日に「得意なのは徒競 ワの子犬レオン。なごみちゃんはレオンの顔にあ 走です」と言ってしまう。でも、これは昔の話で、 る２本の線を見て「なきむしにほんせん」といい、 太ってしまった今は、本当は苦手なのだ。ところ 仲良くしてくれない。レオンもなごみちゃんが嫌 が運動会のお父さんリレーの選手に選ばれてしま いだったが、ある夜、眠りながら泣いているなご ったため、お父さんは特訓することに決めた。 みちゃんを見て……。少しずつ心を開いていく素 K913 ﾀﾌ ちいさなおはなしやさんのおはな 直になれない女の子と、泣き虫子犬の物語。 し K913 ｸﾀ ふしぎなイヌとぼくのひみつ くさのたき／作 竹下文子／作 つじむらあゆこ／絵 金の星 こがしわかおり／絵 小峰書店 おはなしやさんは、 「おはなしの木の実」からお 社 はなしを作るのが仕事。砂糖をいれて、お鍋で煮 ひろきの弟のまさるは、自分のほうが大きくて 込んで……。村の人たちも、おはなしを楽しみに 力も強いのでいばってばかり。思わず、ひろきは していた。ところがある年の秋、大雨のせいでお 「弟なんていらない」とつぶやいてしまう。する はなしの木が根元から折れてしまう。 と、その声を聞いたイヌが「まさるのことやっつ K913 ﾀﾓ イチゴがいっぱい けてあげようか」と話しかけてきて……。 竹内もと代／作 K913 ｺﾙ くろくまレストランのひみつ 小手鞠るい／作 土田義晴／絵 小泉るみ子／絵 文研出版 さつきは、おばちゃんの家でイチゴを育ててい 金の星社 る。雪が降ってきた日、あわててイチゴに雪よけ 森の図書館にやってきたのは、ずっとひとりで をしようと外に出ると、いつもいじわるをいう将 暮らしてきたくろくま。レストランを開いたのに、 太が手伝ってくれる。 誰も来てくれないというのだ。困っているくろく まに、図書館長のしろやぎは 1 冊の本を貸してく K913 ﾄﾖ かいじゅうのさがしもの れる。 富安陽子／作 あおきひろえ／絵 ひさかたチ ャイルド K913 ｺﾙ やくそくだよ、ミュウ 小手鞠るい／作 たかすかずみ／絵 持ち主が大人になり、押入れにしまいこまれた 岩崎書店 怪獣のぬいぐるみ。「何かをさがしに行かなくち ぼくが生まれる前から、パパとママの家族だっ ゃ」そう思った怪獣は押入れから出て、腹ごしら た犬のミュウ。太陽みたいに明るくて、みんなの えをし、家を抜け出す。外に出た怪獣が探してい 人気者だ。ぼくにとっては、自慢のお姉ちゃんだ。 るものはいったい「何」か？ しかし、ミュウはだんだん年を取り、とうとうお K913 ﾅｶ 別れのときがやってきた。 ふしぎなやまびこしゃしんかん 中島和子／作 秋里信子／絵 金の星社 町外れの小さな写真館。元気のないおじいちゃ 22 んのために、ゆいはポスターを描くことにした。 こうたろうさんが大事にしているライ麦を食べ おじいちゃんが留守のある日、ポスターを見てお たろばのロバート。おこられたロバートは、農場 客さんがやってきた。おじいちゃんの代わりにゆ の仲間たちのようには役に立たないと思い、別れ いが写真を撮ることにしたが、なんだか不思議な を告げて出て行くことにした。その夜、疲れてし お客さんで……。さまざまな出会いを描く温かな げみで休んでいたロバートは、キツネたちがこう 物語。 たろうさんのニワトリ小屋を襲うことを聞き、農 場に知らせるために駆け出した。 K913 ﾅｹ 空のしっぽ 名木田恵子／さく こみねゆら／え K913 ﾊﾊ ちょっとだけタイムスリップ 佼成出版 社 花田鳩子／作 寂しいキリンくん、ケンカ中のさるのきょうだ 福田岩緒／絵 ＰＨＰ研究所 ゆうたは夏休みにハワイに行ったと嘘をついた。 い、まいごで泣いているうさぎの子……。そこへ その嘘がどんどん広まり、ゆうたは困ってしまう。 空からさがってきたのは、「空のしっぽ」。このし 嘘を取り消すために、ゆうたはちょっとだけタイ っぽのおかげで、みんなに笑顔が戻り、その笑い ムスリップができるように願う。 声がまたべつの誰かを幸せな気持ちにしてくれる。 K913 ﾊﾕ K913 ﾅﾏ トムくんはめいたんてい １ 飯野由希代／作 １ね んせいはめいたんてい 那須正幹／作 はやくはやく 藤田ひおこ／絵 文研出版 家でも学校でも、 「はやくはやく」と言われるひ ホッチカズヒロ／絵 そうえん かり。うんざりしたひかりは工作の時間に「はや 社 く」を食べる“ゆっくりザウルス”をつくること いろんな事件を解決してきた 1 年生のトムくん にした。 は、小さなころから推理が得意。今日も、お母さ K913 ﾌﾅ かえりみちはひみつのにおい んのなくしたお財布を見つけ出したり、迷子の家 ふじたなほみ／作 を探したりと大活躍。 はせがわかこ／絵 国土社 はるやは、ポケットに小さいころから大事にし K913 ﾊｷ ねえ、おはなしきかせて 原京子／作 ている古いタオルを入れている。それははるやの 「ゆうきのもと」なのだが、しげちゃんに「ぼろ 高橋和枝／絵 ポプラ社 お母さんが忙しいので、ゆかは森へ行って１人 きれ」とからかわれてしまう。帰り道、しげちゃ で本を読むことに。気がつくと、森の動物たちが んの秘密をさぐろうと後をつけると、しげちゃん 周りで聞いていた。 「ねえ、ぼくたちがでてくるお は通学路から外れて病院へ入っていった。 はなしはないの」と言われたゆかは、いいことを K913 ﾎｼ 思いつく。 おばあちゃんとひみつのともだち ほりうちしのぶ／作 K913 ﾊﾀ ライ麦をたべたろばのロバート 林原玉枝／作 さとうあや／絵 たかばやしまり／絵 偕 成社 冨山房インタ エリカは森で暮らすおばあちゃんのところへと ーナショナル きどき遊びに行く。おばあちゃんの家では、いつ 23 K913 ﾓｸ おひさまやのおへんじシール も不思議なことがおきる。空色のスカーフの下で は小鳥の声が聞こえたり、クッキーを食べると小 茂市久美子／作 よしざわけいこ／絵 講談社 さくなったり……。 野原のほとりの「おひさまや」は、不思議なも のをいろいろ売っている。おばあさんが買ったの K913 ﾏﾐ おかあさんの手 まはら三桃／作 は、たんぽぽみたいな「おへんじシール」。これを 長谷川義史／絵 講談社 貼ったものは名前を呼ばれると返事をしてくれる みなみのお母さんは、助産師をしている。何人 のだ。 もの赤ちゃんを取り上げているお母さんの手は、 K913 ﾓﾐ ありがとうっていいもんだ ちょっとカサカサしているけれど、お母さんが作 ってくれたおだんごよりもやわらかくって、みな 森山京／作 ささめやゆき／絵 文渓堂 みは大好きだ。 キツネのこに「ありがとね」と言われたブタの こ。まねしてブタの子も「ありがとね」と言って K913 ﾑｼ ともだちはわに 村上しいこ／作 田中大六／絵 みたくなり、いろいろやってみるが、反対に友だ ちを怒らせてしまう。幼い子どもの気持ちが伝わ ＷＡＶＥ出版 る温かな物語。 しのぶの友だちのきよしくんは、本物のわに。 力が強くてちょっと乱暴なところもあるけれど、 K913 ﾓﾐ だれかさんのかばん 実は心の優しいわにのきよしくんと、気の弱いし のぶくんの物語。 森山京／作 高橋和枝／絵 ポプラ社 子どもたちが帰ったあと、シカのおじいさんが K913 ﾑﾂ かえるのそらとぶけんきゅうじょ 村上勉／作 拾った小さなかばん。一体、誰のかばんなのだろ 偕成社 う。そっと木の枝にぶらさげておくと……。小さ な子に寄り添う日常の喜びを感じる 5 つのお話。 かえるの住むどんぐりの木に、はっぱを食べる 毛虫が住みつく。葉っぱをたくさん食べる毛虫に K913 ﾓﾐ 一さつのおくりもの 困ってしまうかえるたち。しかし、その毛虫が美 しい蝶になったのを知ったかえるは自分も空を飛 森山京／作 鴨下潤／絵 講談社 びたいと願い、さまざまな研究を始める。 クマタは『かいがらのおくりもの』という本が 大のおきにいり。もう文章も絵もおぼえてしまっ K913 ﾓｲ ともだちのはじまり 最上一平／作 みやこしあきこ／絵 ていても、毎日読んでいる。ある日、山のむこう の村が大雨でたいへんなことに。そこでクマタは ポプラ社 さとの隣の席のじゅじゅは、いつも元気いっぱ 大事な『かいがらのおくりもの』をおくることに い。おとなしいさととは、あまり話をしたことが した。するとクマタの元にすてきな手紙が届く。 なかった。じゅじゅに消しゴムを貸してあげた日、 K913 ﾔﾐ めそめそけいくん、のち、青空 さとはじゅじゅから誰にもないしょの話を教えて もらう。正反対の性格の 2 人が、少しずつ仲良く 矢部美智代／作 なっていく様子をやさしく描く。 けいくんは思っていることをうまく言葉にでき 長田恵子／絵 学研教育出版 なくて、 「めそめそけいくん」とからかわれている。 24 けれども、誕生日にもらった子犬の「クマ」にだ K973 ﾛｼ ルンピ・ルンピ けは上手に話せるのだ。ある日クマを散歩させて ドラゴン たいせつなカーペットさがしの巻 いると、知らない女の子から話しかけられる。 １ ぼくのともだち シルヴィア・ロンカーリア／文 チアーニ／絵 K933 ﾎﾘ ねずみのオスカーとはるのおくり 佐藤まどか／訳 ロベルト・ル 集英社 ジャンピが家のカーペットを汚し、落ち込んで もの いるところへ現れたのは、青いドラゴン！ リリアン・ホーバン／作 みはらいずみ／訳 ジャ ンピがいつも空想していたドラゴンだ。ルンピ・ のら書店 ルンピと名付けたドラゴンとジャンピは、新しい ねずみのオスカーとお父さんは、春に生まれて カーペットを探しに砂漠の国へ出かけたが、途中 くるあかちゃんとお母さんのために食べものを集 でらくだに乗った男たちに追われる羽目に。ジャ めに出かけ、毎日大忙し。そんな冬のある日、お ンピと青いドラゴンが、いろいろな童話の世界を 父さんが帰ってこないので、オスカーひとりでで 冒険する物語の 1 作目。 かけることに。家族を思いやる優しさと春を待ち わびる気持ちを、温かいタッチで描く。 K943 ﾊﾍ ウサギのトトのたからもの ヘルメ・ハイネ／作・絵 はたさわゆうこ／訳 徳間書店 学校を卒業したトトは〈たからもの〉をみつけ に旅にでる。工場で働いたり、手品師の手伝いを したり……。最後にトトがみつけた〈たからもの〉 とはいったいなにか。 K949 ﾗﾛ あたしって、しあわせ！ ローセ・ラーゲルクランツ／作 クソン／絵 菱木晃子／訳 エヴァ・エリ 岩波書店 1 年生になったドゥンネは、エッラ・フリーダと 友だちになった。仲良しの 2 人は、何をするのも 一緒。とても幸せだったドゥンネだが、突然、エ ッラ・フリーダが遠くの町へ引っ越すことに。そ れから泣いてばかりだったドゥンネが、少しずつ 元気を取り戻し、大きな幸せを語ってくれる。 25 物語 ３・４年生 K913 ｵｼ 願いのかなうまがり角 岡田淳／作 K913 ｱｶ 天までひびけ！ドンドコ太鼓 麻生かづこ／作 山本省三／絵 田中六大／絵 偕成社 ぼくのおじいちゃんはすごい。バレンタインの 国土社 チョコは世界中から届くし、かみなりの娘さんと マイ、ほのか、アミはいっしょに太鼓の練習に 結婚したし、体育館くらいのサカナを釣ったとい 通っている仲良し 3 人組だ。だが、マイは 2 人が う。祖父のスケールの大きな話を聞く孫の視点か あまり熱心じゃないように思えて、ちょっとイラ ら描かれるユーモアあふれる物語。 イラしてしまう。そんなとき、マイはアミとほの K913 ｵﾋ あけちゃダメ！ かが２人で買い物をしているのを見てしまう。 小川英子／作 K913 ｱﾋ ふたりだけの運動会 あいはらひろゆき／作 奈知未佐子／絵 新日本出版社 冷蔵庫をあけたら、牛がいた。 「牛乳を飲みたい」 佐藤真紀子／絵 佼成 と言ったら、冷蔵庫の中を通って牧場に連れて行 出版社 かれた。とってもおいしい牛乳を飲んで帰ろうと 孝太は、入院中の母を元気付けるためにリレー すると、現れたのはやまんば。ぼくと牛は、家に の選手になれるよう頑張ったのだが、母親の具合 帰るために、やまんばとババ抜きで勝負すること が悪く、運動会を見てもらえずに落ち込む。そん になる。 なとき、親友の亮介が幸太の母のために 2 人だけ K913 ｵﾐ じったんのオムライス で運動会をしようと言い出した。 大久保美行／作 K913 ｵｷ 魔法のハサミがやってきた！ くもん出版 隼人は母親の誕生日にオムライスを作るため、 バー バー・ルーナのお客さま１ 岡田貴久子／作 大野八生／画 祖父（じったん）に料理を習おうと考える。いつ ふじしまえみこ／絵 偕成社 もは優しいじったんだが、料理のことになると厳 ユカの部屋の窓からおじさんが飛び込んできた。 しい。しかし、オムライスを作りながら母との思 魔法のハサミを持つおじさんは、長く休んでいた い出や隼人の兄が料理を始めたきっかけなどを話 床屋さんバーバー・ルーナで働くことに。ユカが してくれた。 お店をのぞいてみると、そこにはかわいい女の子 K913 ｶﾘ 転校生は忍びのつかい がいた。実はその子は魔法のハサミで髪を切った 80 才のお店のご主人だった。 可部鈴子／作 平澤朋子／絵 岩崎書店 １学期の終わりに浩太のクラスに宗助が転校し K913 ｵｹ お父ちゃんの音や！ 大野圭子／作 古味正康／絵 てきた。浩太は、なんだか不思議な雰囲気の宗助 文研出版 と親しくなる。宗助が行なっている「修行」をい 淳のクラスに明石から引っ越してきた耕太は っしょにやるうちに、浩太は宗助の持つ秘密を知 「玉子焼き」の店を探していると言う。仲良くな ってしまう。実は宗助は、ある任務のために転校 った 2 人は、夏休みに明石まで「玉子焼き」を食 してきた忍者だというのだ。 べに行くことにする。実は、明石には耕太のお父 さんが住んでいるのだ。 26 K913 ｺﾅ みさき食堂へようこそ 香坂直／作 K913 ｻﾏ ジョイ子とサスケ 初めてのともだ ち 北沢平祐／絵 講談社 岬の先にある「みさき食堂」。そこには、ときど さとうまきこ／作 牧野千穂／絵 ポプラ社 き不思議なお客さんがやってくる。その人たちが ジョイ子はとっても内気なゴールデン・レトリ 食べるのは、幼いころに食べ損ねたお母さんのお バーの女の子。サスケはやんちゃで元気いっぱい にぎり、友だちと仲違いしたときのクッキー……。 のミックス（雑種）の男の子。同じ誕生日の子犬 食べたくて、でも食べられないものが出てくるの は、偶然、初めてのお散歩の日に出会い、友だち がみさき食堂なのだ。心が温かくなる物語。 になる。性格の違う 2 匹の子犬が、成長していく 物語。 K913 ｺﾏ じいちゃんの森 森おやじは生きて K913 ｻﾖ ゆうれい回転ずし本日オープン！ いる 小原麻由美／作 黒井健／絵 ＰＨＰ研究所 佐川芳枝／作 やぎたみこ／絵 講談社 たいちは、ぜんそくのため田舎の祖父のもとへ 一平はすし職人になる寸前に死んでしまった幽 引っ越した。祖父は、たいちを「森おやじ」と呼 霊。下界ですし屋を開けることになるが、生きて んでいる大きなクヌギの木の元に連れて行く。祖 いる人の役に立つという使命も持っている。従業 父とともに森を歩きながら、さまざまなことを学 員は幽霊のお菊さんに、河童に手長小僧。あの世 ぶたいち。ところがある日、1 人で森の見回りにい で出会った魚屋の孫を救おうというのだが……。 った祖父が倒れて亡くなってしまう。 K913 ｼｷ はなこ野の花野のきつね K913 ｺﾐ おばっちのブイサイン 後藤みわこ／作 しんきみこ／作 よこやまようへい／絵 くも なかいともこ／絵 福音館書 店 ん出版 きつねのはなこは母きつねに「術」を習い始め メイは“おばっち”と呼んでいるおばさんが入 たある日、人間の子どもに出会う。美しい里山を 院している病院に通っている。本当は、不安やつ 舞台に、さちという女の子と次第に心を通わせる らさを抱えていると思うのだが、おばっちはいつ 様子を描く。 も笑顔と元気をくれるのだ。 K913 ｽｱ タネオがきた K913 ｻﾋ ドラゴンのなみだ 佐々木ひとみ／作 吉田尚令／絵 すとうあさえ／作 学研教育出 福田岩緒／絵 文研出版 熊本から東京へ越してきたタミオ。大好きなひ 版 いじいちゃんが倒れ、心配でたまらないタミオは、 祖父の村の鳥追い祭を手伝うことになった歩。 ひいじいちゃんが大切にしているクヌギの実を植 そこで出会ったのは、気が荒くすぐにどなる女の えることにした。芽が出たら、ひいじいちゃんも 子だった。「まるでドラゴンみたいだ。」でも怒っ 元気になるに違いないとタミオは願う。 てばかりのドラゴンの心には悲しみが隠されてい て……。 27 K913 ｽﾋ 雪ぼんぼりのかくれ道 巣山ひろみ／作 狩野富貴子／絵 K913 ﾊｷ くりぃむパン 国土社 濱野京子／作 黒須高嶺／絵 くもん出版 祖母の暮らす温泉宿に 1 人でやってきた果奈。 香里の家は、昔ながらの下宿屋を営んでいる大 果奈は祖母を喜ばせようと、雪ぼんぼりを作りろ 家族だ。そこへ遠い親戚で同い年の未果がいっし うそくを灯す。そこに出てきたうさぎを追った果 ょにすむことに。最初は美人で頭のいい未果を自 奈は、神様の通り道の「かくれ道」に迷い込んで 慢にしていたが、なんだか未果ばかり可愛がられ しまう。 ているようで香里は面白くなくて……。 K913 ﾀｻ ゆびわがくれたプレゼント K913 ﾊｽ お父さん、牛になる 田沢五月／作 吉田尚令／絵 ポプラ社 晴居彗星／作 ささめやゆき／画 福音館書店 弟の体調が悪く、1 人で祖父母の住む海辺に行く ある日目が覚めると、お父さんが牛になってい ことになった香奈。香奈は海で出会った不思議な た。家族は驚愕しながらも、こっそり家の中で餌 少女と自分の指輪を交換する。次の日、自分の指 をやり、フンの始末をして普段の生活を続けよう 輪が汚れているのを見た香奈は、女の子の指輪を とするのだが……。 返さなかった。その日、海が荒れ、漁に出た祖父 K913 ﾊﾐ キリンちゃん が戻れなくなり……。東北の海辺を舞台にした不 思議な物語。 花形みつる／作 久本直子／絵 学研教育出版 祖父の古い本の上に現れた黄色いふわふわの生 K913 ﾅｻ オバケの長七郎 ななもりさちこ／作 き物。祖父は中国の伝説の生き物“麒麟”だとい きむらなおよ／絵 福音 うがケンは信じられない。 “キリン”と名づけた生 館書店 き物を飼うことになったケンだが、ある日、学校 古道具屋の源ジイがゴミ捨て場で拾ったのは、 にキリンを連れて行く羽目になる。 オバケの長七郎。長七郎は化けることも飛ぶこと K913 ﾌｱ ちっこばぁばの泣いた夜 もできない子どものオバケだった。りっぱなオバ ケになろうとするが失敗ばかりの長七郎は、源ジ 福明子／作 ふりやかよこ／絵 新日本出版社 イといっしょに暮らすことになる。 シュウがちっこばぁばに出会ったのは、母親が 働く病院でだ。いじめにあい学校に行けなかった K913 ﾅﾓ おいらはケネルキャットサスケ 中村文人／作 むかいながまさ／絵 シュウは、ちっこばぁばの病室に通うようになる。 いつも笑顔のちっこばぁばだったが、病状が悪く 佼成出版 なった夜、一度だけ涙を見せる。 社 盲導犬の訓練のために、センターにやってきた K913 ﾏｻ アルルおばさんのすきなこと 子猫のサスケ。サスケはそこで多くの訓練犬と友 だちになるが、ある日、盲導犬だったのにセンタ 松本聰美／作 見杉宗則／絵 国土社 ーに戻ってきたクイールと知り合う。沈み込むク アルルおばさんが好きなのは、クッキーを焼く イールを慰め、2 匹は深い友情で結ばれるが……。 こと。ところが、クッキーの作りすぎで体を痛め 実話を基にした物語。 てしまう。そこでおばさんは、ちょっとずつ体を 28 鍛えることにする。卵を持ち上げ、次にはにんじ 奥からぞっとする顔つきのよそものがやってきて ん。その次はたまねぎ、そしてイス！どんどん重 ……。 いものを持ち上げることができるようになり、し K933 ｱﾃ アンナのうちはいつもにぎやか まいには……。 ア ンナ・ハイビスカスのお話 K913 ﾏﾑ ローゼンヒルのばら姫 アティヌーケ／作 見習いプリ ンセスポーリーン 円山夢久／作 瀬比奈／訳 ひだかあみ／絵 ローレン・トビア／絵 永 徳間書店 アンナはアフリカに住む女の子。大きな家に両 国土社 ポーリーンは、お姫様より騎士にあこがれる女 親と弟、それに祖父母やおじさん、おばさんとた の子。行儀見習いのためにやってきたお城で出会 くさんのいとこたちと暮らしている。小さな女の ったローザが本当は魔物に狙われている姫だと知 子とその成長を見守る大勢の家族を通じてアフリ り……。元気いっぱいのポーリーンが仲間たちと カに住む人々の温かい日常を描く。[ボストングロ ともに活躍する物語。 ーブ・ホーンブック賞オナーブック（2011 年）] K913 ﾔﾔ ぼくとおじちゃんとハルの森 K933 ｳｻ パイとねこと秘密のレシピ 山末やすえ／作 大野八生／画 くもん出版 サラ・ウィークス／著 腕のいい大工のおじちゃんが、仕事をやめて山 ／絵 海後礼子／訳 成瀬瞳 岩崎書店 小屋に引っ越すといいだした。いっしょに山につ アリスの大好きなおばさん、ポリーはアメリカ いていった輝矢は裏庭でやせた犬を見つけた。そ 一のパイ作りの名人。おばさんが亡くなると、遺 の犬は前の山小屋の持ち主が飼っていた犬だとい 言には「秘密のパイのレシピを飼い猫のラードに うことがわかる。 譲り、ラードはアリスに譲る」と書かれていた。 そのラードがアリスの家から誘拐されてしまう。 K913 ﾚﾋ わたしはみんなに好かれてる 令丈ヒロ子／作 カタノトモコ／絵 K933 ｴｼ ふしぎな八つのおとぎばなし ポプラ社 女優志望の紀沙はクラスの人気者。それは、か ジョーン・エイキン／文 わいくてみんなに好かれるために努力しているか イク／絵 ら。ある日、突然現れたウサギがくれた「本物の」 クェンティン・ブレ こだまともこ／訳 冨山房 お后の呪いにかかって日曜日にピンクの蛇に変 人気者になれるアメをなめた紀沙だったが……。 身する少女、火星人が捨てた怪獣を消す方法、海 の王と結婚した船乗りの娘の話……。現代と昔話 K933 ｱｱ おめでたこぶた その１ が入り混じるユーモアあふれる短編集。 四ひきの こぶたとアナグマのお話 アリソン・アトリー／作 訳 やまわきゆりこ／画 K933 ｶｻ 世界一力もちの女の子のはなし すがはらひろくに／ サリー・ガードナー／作 福音館書店 三辺律子／訳 小峰 書店 かやぶきの家で、親がわりのかしこいアナグマ 金曜日の午前 10 時半までは、ジョシーはごく普 と一緒に暮らしている 4 匹のこぶたのきょうだい。 通の８歳の女の子だった。ところが突然、腕に力 ある晴れた日、ブロックさんがいない間に、森の 29 がみなぎってくるのを感じる。その時から、ジョ 編・訳 たかおゆうこ／絵 福音館書店 シーは世界一力持ちの女の子になり、注目を集め 町で 1 番の腕を持つ時計屋のおじいさんが贈っ る。そして、とうとうジョニーは両親から引き離 たりんご、貧しくても親切なくつ屋を訪れた小人、 されて、ハリウッドへ行くことに。 動物園で開かれたパーティー……。心が温かくな るクリスマスの物語集。 K933 ｷﾙ マドレーヌは小さな名コック ルパート・キングフィッシャー／作 訳 つつみあれい／絵 K933 ﾊｱ こぶたのレーズン 三原泉／ 徳間書店 バーリント・アーグネシュ／さく マドレーヌは、夏休みの間パリのおじさんに預 ィ・ベラ／え うちかわかずみ／訳 ブローデ 偕成社 けられている、料理が好きな女の子。おじさんは かぼちゃの家に住む小人マノーのところにやっ 自分のレストランが有名になることばかり考えて てきたのは緑色のこぶた。レーズンと名づけられ いる。ある日、マドレーヌが迷い込んだ店で買っ たこぶたとマノーはいっしょに暮らすことにした。 たビンづめのペーストがお店で評判に。おじさん マノーとやんちゃで元気なレーズンとの暮らしは は、そのペーストの作り方を盗んでくるようマド 愉快なことでいっぱい。 レーヌに言いつける。 K933 ﾊﾄ 消えた少年のひみつ K933 ｼﾀ アーヤと魔女 ィ ダイアナ・ウィン・ジョーンズ／作 ／訳 佐竹美保／絵 名探偵犬バデ ドリー・ヒルスタッド・バトラー／作 田中薫子 ちすみこ／訳 徳間書店 うしろだなぎさ／絵 もりう 国土社 身寄りのない子どもたちが暮らす家から、魔女 ゴールデンレトリバーのキングは、飼い主のケ に引き取られたアーヤ。魔女にこき使われること ーラと一緒にたくさんの事件を解決してきた。と になったアーヤは、黒猫トーマスとともに魔女か ころが、ケーラはキングを残していなくなってし ら身を守る呪文をつくることにした。 まう。キングはケーラの行方を捜そうとするが、 別の男の子の誘拐事件が起きて……。シリーズ 1 K933 ｽﾙ ピーターサンドさんのねこ ルイス・ストロボキン／作 作目。[アメリカ探偵作家協会賞児童図書賞受賞、 エドガー・アランポー賞児童図書賞受賞（2011 年 清水真砂子／訳 度）] あすなろ書房 夏を過ごしに島へやってきた人たちの「ねこが K933 ﾌﾊ ダメ犬ジャックは今日もごきげん いたらいいのにな」という願いをかなえてくれる パトリシア・フィニー／作 のが、ピーターサンドさんとねこたちだ。ところ ／絵 が、ある夏、ピーターサンドさんが怪我をして島 相良倫子／訳 ピータ・ベイリー 徳間書店 ジャックは大型犬のラブラドール・レトリバー を離れることに……。 だ。飼い主からはよく「あんぽんたん！」と言わ K933 ｿﾙ クリスマスのりんご れるけれども、楽しく暮らしている。ある日、隣 クリスマスを めぐる九つのお話 ルース・ソーヤー〔ほか〕／文 の家にかわいいメス犬が越してきた。仲良くなり 上條由美子／ たいジャックは、なんとかして会おうとする。ダ 30 メ犬ジャックが、ガールフレンドと飼い主のため ／訳 に活躍する犬の目線で描かれた愉快な物語。 大庭賢哉／絵 徳間書店 ウィリアムと妹のエリナ、ママを残してパパが でていった。怒ったママは、犬を飼うことに決め K933 ﾍﾘ コヨーテのおはなし リー・ペック／作 トン／絵 る。４匹の犬と、１匹の猫を飼い始めたある日、 ヴァージニア・リー・バー あんどうのりこ／訳 ウィリアムに犬たちの言葉が聞こえてきて……。 長崎出版 壊れかけた家族が絆を取り戻していく様子を温か アメリカ南西部のネイティブ・アメリカンやメ く描く。 キシコの人びとは、コヨーテをかしこい動物だと 考え、多くのおはなしを伝えてきた。ヴァージニ K933 ﾏﾖ うちはお人形の修理屋さん ア・リー・バートンが描く生き生きとした挿絵と ヨナ・ゼルディス・マクノドー／作 ともに 10 話が収められている。 うこ／訳 杉浦さやか／絵 おびかゆ 徳間書店 アナの父は腕のいい人形の修理屋。アナとその K933 ﾍﾙ バティストさんとハンガーブルク= 姉妹は人形で遊ぶのが大好き。預かっている人形 ハンガーブルグ伯爵のおはなし に名前をつけて大事にしている。そんなある日、 ルドウィッヒ・ベーメル＝マンス／作 織／訳 ヨーロッパで戦争が起こり、人形の材料が手に入 江國香 らなくなってしまう。家族の力になりたいと思っ ＢＬ出版 たアナは、素敵なことを思いつく。[ニューヨーク 善良で誠実なバティストさんが、ハンガーブル 公共図書館「2009 年の児童書 100」に選定] グ＝ハンガーブルグ伯爵のもとで働くことになっ た。世の中のものの名前が間違っていると心を痛 めていた伯爵は、犬に“互いに互いの友達”、ベッ K933 ﾑﾍ 名犬ボニーはマルチーズ ドに“夢の箱”、火には“楽しい”というようにも ーがうちにやってきた のの名前を付けかえることにした。忠実なバティ ベル・ムーニー／作 ストさんはその名前をちゃんと覚えるのだが……。 カナヨ／絵 ユーモアたっぷりの楽しいお話。 宮坂宏美／訳 １ ボニ スギヤマ 徳間書店 ハリーはずっと大きな犬を飼いたいと思ってい た。けれども、お母さんが連れてきたのはボニー K933 ﾎｸ ハンナの学校 グロリア・ウィーラン／作 スギヤマカナヨ／絵 という名前のちっちゃなマルチーズ。がっかりし 中家多惠子／訳 たハリーだが、ボニーのおかげで新しい友だちと 文研出版 出会い……。ハリーとボニーが活躍するシリーズ 第 1 巻。 目の見えないハンナはいつも家で母親と過ごし ていた。そんなハンナの家に、ロビン先生が下宿 K933 ﾛｼ テディ・ロビンソンのたんじょう日 することになる。ロビン先生のすすめで学校に行 ジョーン・Ｇ・ロビンソン／作・絵 くことになったハンナはわくわくして学校に行く 訳 のだが……。 小宮由／ 岩波書店 テディ・ロビンソンは抱き心地のいい茶色のく K933 ﾏﾊ 犬のことばが聞こえたら パトリシア・マクラクラン／作 まのぬいぐるみ。デボラという小さな女の子のも こだまともこ のだ。歌を歌うのが得意なテディ・ロビンソンは、 31 自分の誕生日にすてきな歌を作る。楽しいお話が 6 K989 ｴｶ 話。 集 金色の髪のお姫さま チェコの昔話 カレル・ヤロミール・エルベン／文 K943 ﾚﾙ どこに行ったの？子ネコのミニ ルザレカ・レー／作 美／絵 斎藤尚美／訳 シ・シャイネル／絵 杉田比呂 ル・エルベンが収集した昔話から 13 話を収録。繊 おばさんと 2 人暮らしのグエンは「ミニ」と名 細に描かれた挿絵ともにチェコ民族の伝統や文化 づけた子猫を飼い、楽しい日々を送っていた。た を伝えている。 だ、学校では転校生の男の子ボレクが意地悪なこ とばかりしてくる。そんなとき、ミニがいなくな ってしまう。 「ボレクがミニをさらったのかも」と 考えたグエンは、ボレクの家を訪ねることにした。 K943 ﾛﾌ ライオンがいないどうぶつ園 フレート・ロドリアン／作 ヴェルナー・クレ たかはしふみこ／訳 徳間書店 町に動物園をつくることにした町長さん。とこ ろが、出来上がったのはライオンがいない動物園 だった。がっかりした子どもたちはライオンを呼 ぼうと思い立つ。 K949 ﾃﾐ ロージーとムサ ミヒャエル・デコック／著 ニステンダール／絵 岩波書店 チェコのグリムと評されるカレル・ヤロミー 徳間書店 ムケ／絵 木村有子／訳 アルトゥ ユーディット・バ 久保谷洋／訳 朝日学生新 聞社 母親と 2 人で、町の反対側のマンションに引っ 越してきた少女ロージー。ある日、犬のことを〈ネ コ〉と呼ぶ少年ムサに出会う。立ち入り禁止の屋 上にいた二人は、締め出されてしまい……。[ベル ギー最優秀児童文学賞銀賞（2011 年）] 32 物語 父と猪突猛進の母と障害をもつ姉が働いている。 ５・６年生 ある日、 「知的障害者の家族の会」から帰ってきた K913 ｱﾋ 世界一かわいげのない孫だけど… 荒井寛子／作 勝田文／絵 母が、高校を卒業する男の子を店に入れられない ポプラ社 かと言い出した。前作『だんご鳥』から数年たっ 東京から祖母のいる町へと越してきた美波。嫌 ても、変わらずにぎやかな一家の日常を弟の目線 味な祖母も、学校も、狭い町もなにもかもが気に で描く。 入らない。おせっかいな同級生にすすめられ、演 K913 ｲﾋ 世界の果ての魔女学校 劇部に入った美波は、なぜか祖母をモデルに落語 をつくることになり……。 石崎洋司／作 平澤朋子／絵 講談社 世界の果てにある魔女学校。そこにたどりつい K913 ｲｶ 山の子みや子 石井和代／著 稲田善樹／絵 たのは、何をやってもうまくいかないアンだった。 てらいんく 恋人の過去が見えて苦しむ少女、村になじめない 岩手の村で山地酪農を行なっているみや子の家 女の子など、魔女学校に魅入られた少女たちの物 族。５年生のみや子も大事な働き手として家族を 語。 支えている。厳しい暮らしの中でともに生きる家 K913 ｲﾐ 糸子の体重計 族の姿を描く。 いとうみく／作 K913 ｲｷ ぼくのプールサイド 今井恭子／作 佐藤真紀子／絵 童心社 小松良佳／絵 食べることが大好きな女の子、細川糸子がクラ 学研教育出版 スメイトとの言い争いからダイエットをすること 健は水が苦手でプールは見学ばかり、お風呂も 1 に。早朝ランニングを始めた糸子の前を颯爽と通 人で入れない。なぜそんなに水が怖いのか、それ り過ぎたのは、クラス一の美少女町田良子だった。 は健自身も忘れていた過去の事故のせいだった。 同じクラスの 5 人、それぞれの暮らしの中には喜 姉から言われた言葉で少しずつ過去を思い出した びも悩みもある。そこに描かれる糸子のまっすぐ 健は……。 さが心地よい作品。 K913 ｲｻ よるの美容院 K913 ｵｼ 夜の小学校で 市川朔久子／作 講談社 岡田淳／作 幼なじみの交通事故を目撃し、声が出なくなっ 偕成社 小学校で夜警の仕事をすることになった“ぼく”。 たまゆ子。まゆ子は、おばのナオコ先生がやって 夜の小学校でぼくは、校舎にもたれかかり月を見 いる美容院に預けられる。美容院の手伝いをしな 上げる大男や、教室でころころ笑う 3 人の子ども がら、まゆ子は少しずつ心がほぐれていくのを感 たちなど、いろいろ不思議なことを目撃すること じる。 になる。 K913 ｲﾄ おまけ鳥 K913 ｵｼ 黒ねこガジロウの優雅な日々 飯田朋子／作 長野ともこ／絵 新日本出版社 丘修三／作 翔の家は商店街にあるラーメン屋。優柔不断な 国井節／絵 文渓堂 毎日、近所の見回りを欠かさない黒猫のガジロ 33 ウ。近所の諍い、よい子でいようとする子どもの シンイチの父が突然倒れた。父は、思うように 寂しさなど、ガジロウの目から見た、人間たちの 動かなくなった体にいらだつ。シンイチは自分が 日常を描く物語。 できることを懸命にすることで、不安を押し返し、 父親の回復を願う。作者自身の実体験に基づき書 K913 ｵﾉ ラビントットと空の魚 [第１話] かれた作品。 鰹のたんぽぽ釣り 越智典子／作 にしざかひろみ／画 K913 ｸｼ 八月の光 福音館書 店 朽木祥／作 偕成社 魚が空を飛び、鳥が地中を泳ぐ不思議な世界。 1945 年ヒロシマに原爆が落とされた。そこで生 高いところが怖い漁師の少年ラビントットは、低 き残った 3 人の少年少女。この物語は、確かにそ いところを飛ぶ小さな魚を捕まえて暮らしている。 こに生きていた、そして生き残った人々の姿を描 ある日、 「大きな魚」の注文をうけることに。しか く。 し、大きな魚は高い空を飛ぶため、ラビントット はなんとか捕まえようと工夫を重ねるのだが……。 K913 ｺｶ いつか蝶になる日まで 小森香折／作 K913 ｶｻ バク夢姫のご学友 柏葉幸子／作 柴田純与／画 偕成社 クラスメイトとの行き違いから、クラスから浮 児島なおみ／絵 偕成社 いてしまった美可。祖父の形見の狛犬を部屋に置 間違い電話のせいで、五月が出会ったのはイノ いてから、何故か何度もその日を繰り返すように シシの変種みたいなバクという動物。エサをやろ なってしまう。普通の中学生の周りにおきる不思 うとした瞬間、バクといっしょに不思議な世界に 議な出来事を通して、日常を描く。 迷い込んでしまう。その世界で、突然話し始めた K913 ｺﾐ １００回目のお引っ越し バクとたどりついたのはミステリアスなお屋敷。 後藤みわこ／著 そこはキラという化け物がすむ館だった。 講談社 樹は名古屋に住む小学 6 年生。引っ越し屋を営 K913 ｶﾋ １２月の夏休み むおじさんに頼まれて、 「引っ越し計画書」を届け ケンタとミノリの 冒険日記 に行くと突然、おばあさんに怒鳴られた。いった 川端裕人／作 杉田比呂美／絵 偕成社 いどうして？おばあさんの家をのぞくと、そこに 日本とは正反対の季節のニュージーランドに住 は足の踏み場もないほどに家具が詰め込まれてお むケンタとミノリ。夏休みが始まった 12 月、写真 り、男の子の写真が飾ってあった。 家の父親に忘れ物を届けるため、2 人だけで旅立つ K913 ｻｶ 初恋日和 ことになった。世界でも特異なニュージーランド の自然のなか、冒険を続ける兄妹の物語。 佐藤佳代／作 中井絵津子／絵 岩崎書店 6 年生の 2 学期、美咲は席替えで隣の席になった K913 ｸｼ ライジング父さん くすのきしげのり／作 松成真理子／絵 伊藤君と初めて言葉をかわす。親友と仲違いした フレ 美咲に「頑張れ」と言ってくれた彼。その言葉に ーベル館 勇気をもらった美咲は、それから少しずつ伊藤君 34 K913 ｼｴ ヘンダワネのタネの物語 のことが気になり始める。 新藤悦子／作 K913 ｻｺ 月の少年 沢木耕太郎／作 丹地陽子／絵 ポプラ社 直は絵が描くのが好きな女の子だが、教室でヘ 浅野隆広／絵 講談社 ンな子と言われている。アリは、サッカーが得意 山にかこまれた湖のほとりに冬馬は祖父と２人 なイラン人でクラスの人気者だ。母親に対するア で暮らしている。ある満月の夜、湖の真ん中で笛 リの言葉をきいた直は、アリが隠しているイラン を吹く少年の姿をみた冬馬。次の満月の夜、再び に対する深い想いに気がつく。 現れた少年に冬馬は笛を作ってもらう。 K913 ﾀｼ みつよのいた教室 K913 ｻﾋ Ｋ町の奇妙なおとなたち 斉藤洋／作 森田みちよ／絵 たからしげる／作 偕成社 東逸子／絵 小峰書店 淳たち６年生が卒業すると、廃校になることが 戦後、東京のはずれの小さな町に暮らす人々の 決まっている桃岡小学校。学校の怪談の１つに６ 様子を１人の少年の目を通して語る。風変わりで 年生の教室に住み続ける「みつよ伝説」があった。 ありながら、懐古的な短編連作集。 廃校になるとみつよはどこへ行くのかと話題にな ったある日、黒板に「たすけて K913 ｻﾋ ルドルフとスノーホワイト 斉藤洋／作 みつよ」という 文字が浮かび上がった。 杉浦範茂／絵 講談社 K913 ﾀﾘ 岐阜県からトラックに乗って東京にやってきた 夜の学校 黒ねこルドルフ。そのルドルフの仲間の子どもが 田村理恵／作 文研出版 １匹、行方不明に。ルドルフに憧れて、トラック ある日、蘭が塾をさぼり公園へ行くと、そこに に乗ってしまったらしい。そこで、ルドルフと隣 は見覚えのない灯台が建っていた。灯台守のおじ の隣の地区のボスねこスノーホワイトが横浜まで いさんの点した明かりに目がくらんだ蘭は、世界 探しに行くことになった。 『ルドルフとイッパイア が変わったように感じる。やけに優しい両親に、 ッテナ』から 25 年を経て出版されたシリーズ第４ 夜に通う学校、おとなしいはずのクラスメイトが 巻。 意地悪に……。別世界に来てしまった蘭は、自分 の立場が変わったことで、周りの人たちの気持ち K913 ｻﾏ ボニンアイランドの夏 を初めて理解することになる。 ふたつの国 の間でゆれた小笠原 佐藤真澄／著 K913 ﾄﾖ かなと花ちゃん 汐文社 夏休みの間、おばと一緒に小笠原諸島の父島に 富安陽子／作 平澤朋子／絵 アリス館 行った啓太。そこで啓太は小笠原がかつて欧米人 原っぱに忘れられた人形の花ちゃん。花ちゃん によって開拓された島だということを知る。戦争 の声を聞いて、見つけてくれたのは加奈だった。 や差別といった苦難の歴史を乗り越え、自然豊か いっしょに暮らすことにした 2 人の前に、時々訪 な小笠原で明るくのびやかに生きる島の魅力を伝 れる不思議なお人形たちの物語。 える。 35 つ く も K913 ﾌﾀ グッバイマイフレンド K913 ﾄﾖ 妖怪一家九十九さん 富安陽子／作 山村浩二／絵 理論社 福田隆浩／著 化野原団地の地下 12 階に住む九十九さん一家は、 講談社 ある日突然、事故でクラスからいなくなってし もともとこの地に住む妖怪だ。お父さんはヌラリ まったタクヤ。彼をめぐる同級生と担任の心を描 ヒョン、アマノジャクと一つ目小僧、サトリが子 くオムニバス作品集。 どもたち、やまんばがおばあちゃん……。人間に 混じって団地生活を始めた妖怪たちの活躍を描く。 K913 ﾌﾀ 公平、いっぱつ逆転！ 福田隆浩／作 K913 ﾅﾅ 有松の庄九郎 中川なをみ／作 小松良佳／絵 偕成社 公平は転校先の学校で、なぜか乱暴で空手の達 こしだミカ／絵 新日本出版 人というウワサになっていた。そのせいで、学校 社 のボスと対決することになってしまう。 江戸時代の初め、尾張の国阿久比の庄。貧しい K913 ﾎｱ 願いがかなうふしぎな日記 農民の庄九郎たちは、自分の土地を持つため、移 住を決意する。ところが、開墾した土地は貧しく 本田有明／著 作物が育たない。そこで出合ったのが、藍の絞り 夏休みのある日、部屋の掃除をしていた光平は 染めだ。庄九郎は、試行錯誤をくり返し、有松絞 「えにっき」を見つけた。亡くなった祖母がくれ りと名付けた藍染を追求する。現代に引き継がれ たものだ。 「このノートに書いた望みはかなう」と る有松絞りの物語。 いう言葉を思い出した光平は、２つの望みを書い ＰＨＰ研究所 た。１つはけんか別れをした幼なじみの女の子に K913 ﾆｺ オムレツ屋へようこそ！ 西村友里／作 鈴木びんこ／絵 会いたいということだ。もう１つは……。 国土社 K913 ﾏｱ 夢見の猫風の犬宮 尚子は母の都合で「オムレツ屋」で暮らすこと になった。そこは伯父が営む洋食屋だ。初めて味 牧野礼／著 中川学／絵 くもん出版 わう大家族での生活。尚子はそれぞれ葛藤を抱き 平安時代が終わるころのこと。猫と人間の血を ながらも、みんなで暮らす生活に理想の家族をみ 受け継ぐ物たちが住む知足の里の少女「夜斗」が る。ある日、母からの電話に向かって尚子はある 捕らえられてしまう。呪いの毒をつくるためだ。 宣言をする。 犬神として封じられていた「大句」、体に毒をため られている「三津丸」とともに閉じ込められてし K913 ﾋﾚ 魂を追う者たち 廣嶋玲子／作 まい……。 里見有／画 講談社 K913 ﾐｶ 夜明けの落語 「牙の民」の少女ディンカは、双子の妹セゼナ の無事を祈っていた。しかし呪術の儀式は失敗し、 みうらかれん／作 大島妙子／絵 講談社 あかね セゼナは魂をなくしてしまう。ディンカは、妹を 人前で話すのが苦手な 暁音 。日直のスピーチに 救うために言い伝えを頼りに精霊を探す旅にでる。 困っていると、隣の席の三島くんが落語をして助 けてくれる。落語に興味をもった暁音は、三島く んに「寿限無」という落語を教わる。 36 K913 ﾑﾘ チャーシューの月 村中李衣／作 佐藤真紀子／絵 K933 ｲｴ リックとさまよえる幽霊たち 小峰書店 エヴァ・イボットソン／著 児童養護施設「あけぼの園」に６歳の明希がや 三辺律子／訳 偕 成社 ってきたのは、2 月の夜のことだった。春から中学 「おそろしのハンフリー」は、自分がちっとも 生になる美香は、明希のことがなんだか気にかか 恐ろしくないことに悩む幽霊の男の子。ある日、 り……。美香の目を通して、児童擁護施設での子 ハンフリー一家が住むお城がリゾート施設になる どもたちや周りの大人たちの姿を描く。 ことが決まり、新しい住まいを探すことになる。 そこで、幽霊に協力してくれる少年リックととも K913 ﾔｽ 空へのぼる 八束澄子／作 にロンドンへ向かうのだが……。 講談社 K933 ｳｼ 名前をうばわれた少女 乙葉は、姉の桐子とおばあちゃんとの３人暮ら し。乙葉は「いのちの授業」に感動するが、親に わたしはエ ファじゃない 捨てられた自分の存在に心がゆれる。庭師をして ジョアン・Ｍ．ウルフ／作 いる桐子は思わぬ妊娠に戸惑うが、おばあちゃん 倉めぐみ／絵 日当陽子／訳 朝 フレーベル館 チェコスロバキアに住む 11 才の少女ミラダ。あ や乙葉の言葉に心を決める。 る日、突然ナチスにより家族や友人から引き離さ K913 ﾖﾏ 劇団６年２組 吉野万里子／作 宮尾和孝／絵 れる。連れて行かれた施設で「エファ」という名 前を与えられ、アーリア人として生活が始まる。 学研教育出版 ミラダは祖母の言葉を胸に、自分が誰なのかを忘 卒業前のお別れ会で劇をすることにした６年２ れないように心に誓う。 組。学校の観劇会で観たお芝居が忘れられなくて 立樹が提案したのだ。台本を決めて練習に入るが、 K933 ｳﾃ ドレスを着た男子 役の気持ちがわからなくて、なかなかうまくいか デイヴィッド・ウォリアムズ／作 ない。そんなとき、乗り気でなかった慶司が元子 ン・ブレイク／画 役スターだということがわかり……。 鹿田昌美／訳 クェンティ 福音館書店 サッカー少年のデニスは、ある日、家出した母 K913 ﾜﾕ 希望への扉リロダ 渡辺有理子／作 小渕もも／絵 の服に似ているドレスが表紙のファッション雑誌 を買ってしまう。中に載っているドレスの美しさ アリス館 に魅了されたデニス。そんなとき、学校一おしゃ ミャンマーの少数民族の少女マナポは、タイの 難民キャンプで暮らしている。そこへＮＧＯによ れなリサと知り合ったデニスは、彼女に勧められ、 るリロダ（図書館）ができるということを知り、 ドレスに手を通してみた。 マナポはそこで働くことに。リロダを通して、大 K933 ｸｱ きな希望を抱く多くの人々の様子を実際の体験を はるかなるアフガニスタン アンドリュー・クレメンツ／著 基に描いた物語。 訳 田中奈津子／ 講談社 学校の課題で外国の生徒と文通をすることにな ったアメリカにすむ少女アビー。地球儀から適当 37 ２人で旅をした日々や愛する祖父へ想いを馳せる。 に選んだアフガニスタンの生徒にむけて手紙を書 く。手紙を受け取ったアフガニスタンの村では、 ある少年が妹を手伝って返事を書くことになって K933 ﾌﾄ 魔法がくれた時間 いた。距離や文化の違いを越え、ほんの数回の手 トビー・フォワード／作 紙のやり取りで心を通わす少年少女の姿を描く。 浜田かつこ／訳 金 の星社 最期のときを迎えようとしていた祖父のため、 K933 ﾄﾄ ホラー横丁１３番地 １ 孫娘のファニーは魔法の薬を手に入れる。 「コップ 吸血鬼の に 1 杯だけ」の薬を飲んで、すっかり元気になっ 牙 トミー・ドンババンド／作 ーゴノスケ／絵 伏見操／訳 ヒョ たおじいちゃんを喜ぶファニー。ところが、おじ 偕成社 いちゃんは魔法の薬を飲み続け、どんどん若返っ 10 歳の誕生日にオオカミ男になってしまったル てしまう。 ーク。ある日突然、やってきた顔なし男たちに無 理やり引越しさせられてしまう。着いたところは、 K933 ﾍｲ モンスターが暮らす「ホラー横丁」。隣の家に暮ら １ 盗まれたおとぎ話 イアン・ベック／作・絵 すのは吸血鬼の家族だった。ルークが吸血鬼の少 少年冒険家トム 松岡ハリス佑子／訳 静山社 年リイサス、ミイラの少女クレオとともに活躍す るホラーコメディの第１巻。 トゥルーハート一家が住んでいるのはおとぎ話 の国。一家の仕事は、おとぎ話にふさわしい冒険 K933 ﾆﾘ 緑の精にまた会う日 リンダ・ニューベリー／作 澤朋子／絵 野の水生／訳 にでかけることだ。ある冬のこと、冒険にでかけ 平 た６人の兄さんたちが誰も帰ってこないので、と 徳間書店 うとう末っ子のトムがはじめての冒険にでること ロンドンに住むルーシーは、田舎の祖父が聞か に。 『シンデレラ』 『ジャックとマメの木』 『白雪姫』 など 6 つのおとぎ話を舞台にする冒険物語。 せてくれる「ロブ」の話が大好きだ。ロブとは庭 仕事を手伝ってくれる緑の精のことで、ほとんど の人は見ることができない。祖父が亡くなり、ル K933 ﾍｼ ヘリオット先生と動物たちの８つ ーシーはロブにロンドンに来てくれるように願う。 の物語 春、目覚めたロブは何かに導かれるように歩き出 ジェイムズ・ヘリオット／作 す。 村上由見子／訳 杉田比呂美／絵 集英社 イギリスの獣医ヘリオット先生が、田舎の農家 K933 ﾌｻ そして、ぼくの旅は続く サイモン・フレンチ／作 万希子／画 野の水生／訳 を訪れて出会った多くの人々と動物たちの温かい 小林 交流と暮らしを描く。 福音館書店 K933 ﾏｱ アナベル・ドールとちっちゃなティ ドイツ人のアリは、ヴァイオリンの才能豊かな リー 少年だ。再婚した母とともにオーストラリアで新 しい生活を送ることになった。アリは誰にも聞か アン・Ｍ．マーティン／作 せることのないヴァイオリンを弾きながら、母と ン／作 38 ローラ・ゴドウィ ブライアン・セルズニック／絵 三原泉 ／訳 なく、走ることで自由に向けて闘った若き黒人選 偕成社 手の物語。 人間が見ていないところでは自由に動ける人形 たち。パーマー家に住むアナベル・ドールは、ア K933 ﾛｴ だれも知らない犬たちのおはなし ンティークの人形だ。アナベルがパーマーさんに 届いた小包を開けてみると、中から 100 年前に作 エミリー・ロッダ／作 られたアナベルの妹人形がでてきて……。アナベ 西ゲンイチ／絵 ル・ドールシリーズ 3 作目。 さくまゆみこ／訳 山 あすなろ書房 ドラン通りに住む 6 匹の仲間たち。5 匹の犬と 1 匹のやぎは飼い主たちが出かけると 1 軒の家に集 K933 ﾓﾏ 発電所のねむるまち まって過ごしている。おしゃべりをし、テレビを マイケル・モーパーゴ／作 見て……。けれどもときどき、おかしな事件がお ー／絵 杉田七重／訳 ピーター・ベイリ あかね書房 こることがあるのだ。 マイケルが久しぶりに足を向けた海辺の故郷。 K943 ｻｱ そこには美しい思い出とともに悲しい思い出があ 愛の一家 あるドイツの冬物語 アグネス・ザッパー／作 る土地だった。50 年前、ある事件からマイケルが タ・ヴェルシュ／画 知り合った不思議な女性、ペティグルーさん。彼 女が住んでいた美しい湿原に原子力発電所が建設 遠山明子／訳 マル 福音館書店 ぺフリング一家は、音楽教師のお父さんと優し いお母さん、それに 7 人の子どもたちの大家族。 されることになったのだ。 貧しいながらも、にぎやかに暮らしている一家の K933 ﾗｱ ドの冒険 見習い幻獣学者ナサニエル・フラッ １ とも。お互いに思いやりながら、明るく暮らして フェニックスのたまご Ｒ．Ｌ．ラフィーバース／作 ィー／絵 日常には、ときどきちょっとした事件が起きるこ 千葉茂樹／訳 ケリー・マーフ いる家族の様子を丁寧に描いた作品。20 世紀初頭 あすなろ書房 のドイツの様子を生き生きと描いた挿絵と共に、 両親が行方不明になったナサニエルは、おばさ 完訳で紹介。1907 年独刊の完訳。 んに引き取られた。そこで初めてナサニエルは、 K943 ﾂｼ フラッド家は代々、伝説や神話にでてくる不思議 な生き物について研究し、保護する幻獣学者だと ぼくとヨシュと水色の空 ジーグリット・ツェーフェルト／作 聞かされる。さっそくナサニエルは、おばさんと ゆうこ／訳 一緒に、フェニックスの誕生を見守るために砂漠 はたさわ 徳間書店 親友のヤンとヨシュはいつもいっしょに過ごし へと旅立った。 ている。生まれつき心臓の弱いヤンが手術をうけ る数日前、ヨシュがよそのおばあさんをナイフで K933 ﾘｼ 大地のランナー 傷つけたと疑われる。それは、いじめっ子に取ら 自由へのマラソン ジェイムズ・リオーダン／作 原田勝／訳 鈴 れたナイフだった。行方をくらましたヨシュを心 木出版 配するなか、ヤンの手術が始まった。それぞれ悩 1970 年代、南アフリカに生まれたサムは、家族 みを抱えながらも、親友を思いやる 2 人の少年と を平和運動デモ中に亡くす。その後、サムは叔父 周りを取り巻く人々を描く。 のもとで長距離走の才能を開花させる。武力では 39 K943 ﾌｵ かかしのトーマス るのは近くに住む老人と牛だけで、敵も新たな命 オフリート・プロイスラー／作 ホルツィング／絵 吉田孝夫／訳 ヘルベルト・ 令も来ないが、カスパールはりっぱな兵士であり さ・え・ら書 続けようとする。 房 K973 ﾛｼ 兵士のハーモニカ ドイツの村で、子どもたちがキャベツ畑にかか ジャンニ・ロダーリ／作 しを立てる。名前はトリビックリ・トーマス。人 野果地／さし絵 間や動物の言葉を聞き、月と語り合ったトーマス ロダーリ童話集 関口英子／訳 伊津 岩波書店 兵士が不思議な老人にもらったハーモニカ。そ は、キャベツ畑から旅立つことを夢見るようにな の音色を聞いた人は争いを止め、心穏やかになる る。 力を持っていた。それを知った兵士が、テレビで K949 ﾋﾊ ネジマキ草と銅の城 パウル・ビーヘル／作 ／画 ハーモニカを吹く機会を得るのだが……。イタリ 野坂悦子／訳 アを代表する児童文学作家ロダーリが民話をヒン 村上勉 トに描いた現代版おとぎばなし集。 福音館書店 銅に囲まれた山々にある銅の城、その城の王が 亡くなろうとしている。王のため薬草を取りに行 K983 ｼﾌ 北のジャングルで く間に、次々と動物がやってきて物語を語る。そ ールの動物たち の一つひとつの物語が、やがて大きな物語へとつ 極東ロシア・アム フセーヴォロドＰ．シソーエフ／著 ながっていく。 ／訳 森田あずみ／絵 岡田和也 未知谷 アムールトラ、ホッキョクギツネ、ジャコウジ K953 ｵﾗ ジャコのお菓子な学校 ラッシェル・オスファテール／作 藤みのり／訳 カ、タイリクモモンガ、ヒグマ……。ロシアの森 ダニエル遠 に生きる動物たちを生き生きと描き、豊かな自然 の大きさが感じられる 1 冊。 風川恭子／絵 文研出版 ジャコは勉強嫌いで、食べることが大好き。あ K9933 ﾊﾃ る日、図書館で見つけたクッキーの作り方をがん 月までサイクリング ティモ・パルヴェラ／作 ばって書き写す。お菓子を自分で作る喜びを知っ 眞澄／絵 たジャコは、友だちとお菓子屋さんを始めるが、 末延弘子／訳 矢島 文研出版 猫のマウは気まぐれでマイペースな性格。犬の 乱暴な中学生にお菓子を奪われてしまう。 バウは真面目な働き者。性格の全然違うふたりは、 K973 ｽｸ りっぱな兵士になりたかった男の ときにケンカしながらも、楽しく暮らしている。 話 ある日、マウが池に映る月を見て、月までサイク グイード・スガルドリ／著 ゲタサヤカ／絵 杉本あり／訳 リングに行きたいと言い出した。 シ 講談社 カスパールはりっぱな兵士になるために「りっ ぱな兵士であるための九か条」を守っている。戦 争が始まると、大佐からの命令で山の風車小屋を 見張る任務につくことになった。小屋にやってく 40 物語 中学生 K913 ｷｶ ラビットヒーロー 如月かずさ／著 K913 ｱｻ 一年四組の窓から あさのあつこ／著 講談社 引っ込み思案で地味な宇佐清春。同級生の佐倉 光文社 さんに特撮オタクとばれ、ローカルヒーローショ 私立中学から転校してきた杏里は、ふと入った ーにでることになった。自分には向いていないの 空き教室の一年四組で市居一真に出会う。初恋の ではと悩みながらも、先輩の祖父が残したマスク 相手の面影を持つ一真に杏里は驚く。杏里と一真 を身に着け、あこがれのヒーロー「キリバロンＧ」 を中心に、中学生が抱く友人や家族との関係、将 になる。 来への不安と期待を描く。 K913 ｸﾀ 空中トライアングル K913 ｲｹ 夕焼けカプセル 泉啓子／作 草野たき／著 丹地陽子／絵 童心社 講談社 律子は、幼なじみの琢己と付き合っている。琢 物静かな沙良が、友人に恋愛話をされてとまど 己はだれもがうらやむような完璧な彼氏だ。ある っていると、同じクラスの男の子に「いやなら断 日、琢己から昔引っ越していったもう 1 人の幼な れよ」と言われる。彼は、自分の気持ちがうまく じみ「圭ちゃん」の話を聞く。また昔のように 3 伝えられない沙良に、昔の自分の姿を重ねてみて 人で仲良くしたいと思う律子だったが……。恋愛 いたのだ。揺れ動く女子中学生の気持ちを繊細に や友情、家族など自分を取り巻く環境を繊細な心 描いた作品集。 で受け止めようとする物語。 K913 ｲﾋ お面屋たまよし K913 ｺﾙ お菓子の本の旅 石川宏千花／〔著〕 平沢下戸／画 講談社 小手鞠るい／著 講談社 「お面屋たまよし」には２種類のお面がある。 遥がアメリカでのホームステイ中に見つけた 1 １つは普通の面で、もう１つは妖面と呼ばれるも 冊のお菓子のレシピ本。その本がきっかけで、遥 のだ。それはなりたい姿に変わることができるが、 が勇気を出すことができた大事な本だったが、日 面を外せなくなれば人でなくなるという。その面 本で失くしてしまう。実は、ある少年が間違えて たいら かん ら を売り歩いているのが、太良と甘楽という 2 人の 持っていってしまったのだ。1 冊のお菓子の本と出 少年だった。 合ったことで、自分で人生を切り開いていく勇気 を持つことができた 2 人の少年少女の人生が繋が K913 ｶｱ ぼくたちの骨 樫崎茜／著 っていく。 講談社 K913 ｻﾋ コリドラス・テイルズ 陸上部の千里は、足の不調で部活を休んでいる。 新聞部所属の幼なじみ、春人に誘われていった閉 斉藤洋／作 園間近の動物園。そこで見つけた本来の姿とは似 作家の「私」が飼っているナマズの「コリドラ つかぬ姿のチーターの剥製に心惹かれる千里。剥 ス」。コリドラスが私に語る身の上話と、私が連載 製修復の現場を訪れた千里は、生命について考え するショートショートが交錯する不思議な作品集。 ることになる。 41 ヨシタケシンスケ／画 偕成社 K913 ｼｶ カミサマ 篠原勝之／著 K913 ﾅﾕ ハンナの記憶 講談社 長江優子／著 Ｉ mayforgiveyou 講談社 津波で両親を亡くし、愛犬のパンと残されてし “Ｉmayforgiveyou（許してあげてもいい）”と まった拓海は、遠い親戚のオバアに引き取られる 書かれたクリスマスカードがイギリスから祖母の ことになる。オバアが和紙でつくっている「白い 元へ届いた。差出人は知らないという祖母だが、 ヒラヒラ」は拓海が幼いころから何度も夢に見て 波菜子は大震災があった日、祖母の荷物から秘密 いるものだった。傷ついた少年が、オバアの愛情 の交換日記を見つける。それは祖母とイギリス人 と山の自然に心を癒されていく物語。 クオーターのハンナが敵国人として抑留されてい る間に、人目を忍んで交わしていた日記だった。 K913 ﾂﾐ サクラ咲く 辻村深月／著 K913 ﾊｷ レガッタ！ 光文社 マチは中学に入学したのを機に、言いたいこと 濱野京子／〔著〕 水をつかむ 一ノ瀬ルカ／画 講談社 をうまく言えない自分の性格を直したいと思って 県下でも有数の進学校に入学した有里。未経験 いた。ある日、図書室で借りた本の中から「サク 者ばかりのボート部ならスタートラインは同じだ ラチル」と書かれた 1 枚の紙が。そこから名も知 と考え、有里はトップになろうと入部を決める。 らぬ相手との秘密のやり取りが始まる。表題作の しかし、数日早く入部していた新部員との間に距 ほか、中高生の学校生活での揺れる思いを描いた 離を感じ、有里は孤立する。 作品が２作。 K913 ﾎｼ K913 ﾄﾖ ふたつの月の物語 富安陽子／著 酒井駒子／装画 花実の咲くまで 堀口順子／作 講談社 みずうちさとみ／絵 小峰書店 新太郎の元に落語家だった祖父の幽霊が現れた。 み つき 祖父に弟子入りできなかったことに絶望していた 養護施設で育った 美 月 と育ての親を亡くした あかり 月明。ある日、身寄りのない 2 人の少女を養子に 新太郎は、祖父が帰ってきたことを喜ぶ。祖父や したいという婦人が現れる。ダムに沈んだ村のほ 幼なじみ、まわりの人々との関わりの中から、新 とりの別荘に誘われた 2 人は、自分たちの出生の 太郎は自分の進む道を自分で見つけていく。 謎と村で行なわれていた神事の秘密を知る。 K913 ﾏｼ シャインロード K913 ﾅｱ きみスキ 升井純子／著 高校生たちのショートスト 遠藤三冬は就活中の高校 3 年生。内定が取れず、 ーリーズ 梨屋アリエ／著 講談社 ポプラ社 自分のなにがダメなのかと不安を抱いている。あ かわいいというキャラを手に入れたい夏海、中 る日、小さな印刷屋で校正のアルバイトをするこ 学生のころから片思い中の恵、女の子にもてたい とに。そこで出会ったさまざまな町の人と触れ合 お調子者の近藤……。高校生になったばかりの同 いながら、三冬は「働く」ということに向き合っ 級生 7 人それぞれの日常を切り取った掌編小説。 ていく。 42 K913 ﾏﾐ 鷹のように帆をあげて まはら三桃／作 K933 ｱｷ ぼくの見つけた絶対値 講談社 キャスリン・アースキン／著 理央はペットショップでヒナのころから見てき 代田亜香子／訳 作品社 た鷹を飼う。その鷹は、亡くなった親友と最後に 数学嫌いのマイクの父は数学者で、なにもかも 一緒に見た鷹だ。理央は「その鷹がどこまでも高 を数字でしか考えられず、日常生活も覚束ない。 く高く飛べば、空にいる親友にも見えるだろうか」 そんな父から離れて一夏を過ごすことになったマ と思い、飛ぶことの苦手な鷹の訓練を始める。 イクは、さまざまな人と出会う。椅子から動こう としない老人、健康食好きのホームレス、男運の K913 ﾔｽ オレたちの明日に向かって 悪い美少女……。そこでマイクは、ルーマニアの Life is Beautiful 八束澄子／〔著〕 孤児を養子に迎えるプロジェクトのリーダーとな ポプラ社 っていく。 勉強もスポーツもパッとしない花岡勇気。彼が K933 ｸｷ ロス、きみを送る旅 ジョブトレーニング（職業体験）として選んだの は、保険代理店。代理店の今井さんのもとでさま キース・グレイ／作 ざまな人と出会い、勇気は少しずつ変わっていく。 野沢佳織／訳 徳間書 店 ブレイク、シム、ケニーは親友のロスが亡くな K913 ﾖﾏ １００％ガールズ 吉野万理子／作 ったことを受け入れられないでいた。3 人はロスが 1st season 結布／画 講談社 行きたがっていた「ロス」という町に行って本当 真純はとてもボーイッシュな女の子。同級生に の葬式を行なおうと思いつく。遺骨を盗み、さま スカート姿を見られるのが嫌で、家から遠く離れ ざまなトラブルを乗り越えながらロスを目指す。 た横浜みなと女学園の中等部に通うことに。サッ しかし、彼らにはそれぞれ抱えた秘密があり……。 カー部に入った真純が出会ったのは、かっこいい 少年たちの熱く傷つきやすい心と友情を描く。 先輩や仲間たちだ。女子校を舞台にした青春スト K933 ｸﾓ フェリックスとゼルダ ーリー。 モーリス・グライツマン／著 K933 ｱｴ 天才ジョニーの秘密 エレナー・アップデール／作 訳 評論社 原田勝／訳 あ すなろ書房 こだまともこ／ 第二次世界大戦中のポーランド。孤児院に暮ら すフェリックスは、3 年 8 ヶ月の間、両親を待ち続 、 第一次世界大戦後のイギリスでジョニー母子は けていた。両親を探そうと院を抜け出したフェリ 貧しい暮らしをしていた。ある時、ジョニーは天 ックスは、親を殺された少女ゼルダを助けた。ユ 才的なアイデアを思いつき、母に内緒でお金を稼 ダヤ人医師のバーニーと出会った 2 人は、ほかの ぎ始める。ところがその時についた嘘が原因で、 子どもたちとともにゲットーで暮らすことになる。 母親が殺人犯と疑われることになってしまう。 [オーストラリア児童図書賞オナー作品（2006 年）] 43 K933 ｾﾏ シーグと拳銃と黄金の謎 マーカス・セジウィック／著 て聞こえる世界、ニューワールド。最後の子ども トッド・ヒューイットは、沼地で「ノイズ」を持 小田原智美／訳 たない少女と出会う。そのときからトッドは町じ 作品社 シーグの父が凍った湖に落ちて亡くなったその ゅうの男たちから追われ、少女とともに外の世界 日、父を探して拳銃を持った男が訪ねてきた。ゴ へと逃げることになる。３部作の第１作目。[ガー ールドラッシュに沸くアラスカから始まった 10 年 ディアン賞、ジェイムズ・ティブトリー・ジュニ に渡る謎。銃による恐怖に立ち向かう少年の姿と ア賞、ブックトラスト・ティーンエイジ賞（2008 父親が抱える謎を描く。 年）] K933 ｾﾙ 灰色の地平線のかなたに K933 ﾊｷ パンとバラ ルータ・セペティス／作 野沢佳織／訳 岩波 ローザとジェイクの物語 キャサリン・パターソン／作 書店 岡本浜江／訳 偕成社 第二次世界大戦中のリトアニア。リナは突然ソ 1912 年、アメリカ東部の町で移民労働者たちに 連の秘密警察に捕まり、母と弟とともにシベリア よるストライキが始まった。イタリア移民の娘ロ の強制労働収容所へ送られる。離れ離れになった ーザは、母と姉がストライキに参加することに恐 父親へ届くことを祈りながら、リナは絵を描き続 怖を抱く。そんなとき、ローザは貧しいアメリカ ける。過酷な労働と飢えのなか、愛と希望を胸に 人の少年ジェイクと出会う。歴史的事実に基づい 懸命に生き抜こうとする少女の物語。[ゴールデン て描かれた物語。 カイト賞（2012 年）] K933 ﾊｼ K933 ﾀｼ サラスの旅 ザ・ワースト中学生 人生で最悪の 日々 シヴォーン・ダウド／著 尾高薫／訳 ゴブリ ジェームズ・パターソン／作 ン書房 ツ／作 ロンドンの児童養護施設で育った少女ホリー。 ローラ・パーク／絵 クリス・テベッ たからしげる／訳 ポプラ社 里親にも学校にもなじめず、故郷のアイルランド 中学へ入学したレイフ・キャチャドリアンは、 に戻り、母親と再会することを願っている。ある 変化と刺激にとんだ毎日を送るためにある作戦を 日、ブロンドのウィッグをつけたホリーは、クー たてる。それは校則を破るごとにポイントを獲得 ルでゴージャスな女の子に変身する。サラスと名 するというものだ。いつもいっしょの「だんまり を変えたホリーは、家を飛び出し、アイルランド レオ」とともに作戦を遂行するのだが、レイフは に向けてヒッチハイクの旅に出る。 窮地に追い込まれ……。シリーズ 1 作目。 K933 ﾈﾊ 心のナイフ K933 ﾊｿ 真夜中の動物園 の叫び 混沌（カオス） １ パトリック・ネス／著 人／訳 上・下 ソーニャ・ハートネット／著 金原瑞人／訳 樋渡正 野沢佳織／訳 主婦の友社 東京創元社 爆撃で廃墟となった村をさまようロマのきょう 女が死に絶え、男たちの考えが「ノイズ」とし だい。両親を目の前で殺された彼らは、真夜中の 44 動物園に迷い込む。そこにいたのは、檻に入れら るがす事件に立ち向かう少年たちの姿を描く。 れたままの動物たち。彼らは人の言葉で子どもた K933 ﾌｼ シフト ちに語り掛ける。行き場のない人間の子どもと動 物たちが戦争の中で見たものとは…。[オーストラ ジェニファー・ブラッドベリ／著 リア児童図書賞受賞（2011 年）] 小梨直／訳 福音館書店 大学に入る前の夏休み。クリスとウィンはアメ K933 ﾋﾒ ジェンナ リカ横断の自転車旅行に出かける。だが、ゴール 奇跡を生きる少女 メアリ・Ｅ・ピアソン／著 三辺律子／訳 小 直前に行方をくらましたウィンは、大学が始まっ 学館 ても戻ってこなかった。ウィンが残した言葉を胸 1 年半前に事故にあったジェンナ。2 週間前に目 に、クリスは 2 人で旅した道を、再び 1 人で旅す 覚めた彼女は、記憶をなくしていた。家族と話す る。 ことで埋められていく記憶と、広がっていく違和 感。自分になにが起きたのだろうか。ある日、ジ K933 ﾌﾏ ジョン万次郎 ェンナは自分の体に隠された秘密を知る。[ゴール 魂 デン・カイト賞（2009 年）] マーギー・プロイス／著 海を渡ったサムライ 金原瑞人／訳 集英 社 K933 ﾌｸ ホートン・ミア館の怖い話 クリス・プリーストリー／著 土佐の貧しい漁師の息子だった万次郎は、14 歳 西田佳子／訳 のときに遭難し、無人島にたどり着く。その後、 理論社 アメリカの捕鯨船に救出され、船長の養子となり 母親を亡くし、天涯孤独になったマイケルはス アメリカで暮らすことになる。資料を基に、万次 ティーブン卿に引き取られることになる。クリス 郎の心と境遇を丁寧に、興味深く描く伝記小説。 マスを過ごすためにホートン・ミア館へ行く途中、 万次郎が描いた図画も紹介。[ニューベリー賞オナ ずぶ濡れのスリップ１枚で何かを叫んでいる女を ー作品（2011 年）] 見かける。不安に思いながらも館に着くと、そこ K933 ﾍｿ リアル・ファッション にはスティーブン卿とその美しい妹がマイケルを 待っていた。19 世紀のイギリスを舞台にしたゴシ ソフィア・ベネット／著 ックホラー。 西本かおる／訳 小 学館 ファッションに夢中のノニーの親友は、優等生 K933 ﾌｼ アラルエン戦記 ジョン・フラナガン／作 １ のエディとハリウッドデビューしたジェニー。博 弟子 入江真佐子／訳 岩 物館で見かけた奇抜なファッションの少女クロウ。 彼女がアフリカの難民だと知った 3 人は、クロウ 崎書店 自分の将来の進路が決まる「選択の日」。行き場 の服飾の才能を生かしデザイナーとしてデビュー がなかった孤児の少年ウィルを引き受けたのは させようとする。 「レンジャー」だった。謎と神秘につつまれたレ ンジャーの弟子になったウィル。修行の日々と、 15 年前に王国でおこった謀反から始まった国を揺 45 K933 ﾏｴ サースキの笛がきこえる エロイーズ・マッグロウ／作 丹地陽子／絵 そこには機関銃や戦車などが騎兵隊を待ち構えて 斎藤倫子／訳 いた。 偕成社 K949 ｺﾌ いつもいつまでもいっしょに！ ポ サースキは妖精の世界から追放され、人の世界 で生きることになった「とりかえ子」だ。妖精と レケのしゃかりき思春期 しての記憶を消され、人の子として育つサースキ フース・コイヤー／作 だったが、村の生活になじめずにいた。徐々に妖 野坂悦子／訳 福音館 書店 精であったことを思い出し始めたサースキは、育 オランダに住む 11 才の少女ポレケ。母親は担任 ての親のために、本当の子どもを取り返そうとす 教師と恋に落ちるし、離婚した父はお金がなくて る。 [ニューベリー賞オナー作品（1997 年）] ふらふらしているし、モロッコ系の彼との交際は 反対されるし……。ややこしい問題を抱えながら K933 ﾏｼ ペッパー・ルーと死の天使 も、詩人の心を持つポレケはまっすぐに問題にぶ ジェラルディン・マコックラン／作 つかっていく。[金の石筆賞（2000 年）、ドイツ児 ／訳 佐竹美保／絵 金原瑞人 偕成社 童文学賞（2002 年）] 「14 歳の誕生日に死ぬ」というお告げを信じて K953 ﾑｼ 生きてきたペッパー。とうとうその日がきたが、 ペッパーは船長である父親のふりをして海に旅立 抵抗のディーバ ジャン＝クロード・ムルルヴァ／著 った。それからペッパーは死から逃れるため、さ ／訳 まざまな職を渡り歩く。 横川晶子 岩崎書店 恐怖政治が敷かれている独裁政権下で、孤児院 に暮らす２人の少女がいた。類稀なる歌声を持つ K933 ﾒｹ 木の葉のホームワーク ケイト・メスナー／著 中井はるの／訳 ミレナと親友のヘレン。ある日、2 人は同じく孤児 講談 の少年と出会う。自分たちの境遇に隠された秘密 を知った 4 人は、ミレナの歌声を武器に、圧政か 社 ジーナはクロスカントリーの選手だが、 「木の葉 らの解放を求め始める。 を集める宿題を提出しないと大会に出場できな い」と言い渡された。友人や家族の協力でジーナ は木の葉集めを始めるのだが、ライバルの妨害に あう。そんなとき、祖母の物忘れが多くなってき たことで、家族間がぎくしゃくして……。 K933 ﾓﾏ 戦火の馬 マイケル・モーパーゴ／著 佐藤見果夢／訳 評論社 第一次世界大戦前夜。農耕馬として買われたジ ョーイは、農場の息子アルバートと心を通わす。 しかし軍馬として売られ、フランスに渡ることに。 46 文学（詩・ルポルタージュ） K911 ｸﾅ うになるまでを語るノンフィクション。〔中学～〕 地球パラダイス 工藤直子／詩 石井聖岳／絵 偕成社 太陽や風、菜の花や麦畑、カタツムリやアリな どの身近な自然の視点に立って、生への喜びを伸 びやかにうたいあげる。9 編の詩のページと、その 情景を描いた見開きの絵が交互にくる構成。 〔小中 ～〕 K911 ﾔﾄ たべちゃうぞ 山中利子／詩 早川純子／絵 リーブル 15 の詩に、迫力ある版画の絵をつけた本。生命 力にあふれた詩、食べる楽しみをうたった詩、父 と子の会話の愛らしい詩など、いろいろな視点か ら「たべる」ことを大らかにうたう。〔小低～〕 K916 ｲﾏ もっと生きたい！ 臓器移植でよみ がえった命 池田まき子／著 岩崎書店 小矢部市の片岡亜美さんと、熊本市の田中美紗 都さん。著者は、臓器移植の現状を伝えるため、2 人の少女の闘病を取材する。 「命のおくりもの」に 感謝し元気に生きる 2 人を描きつつ、生と死につ いて考える。〔小中～〕 K936 ｶﾏ 両手を奪われても シエラレオネの 少女マリアトゥ マリアトゥ・カマラ／共著 ーランド／共著 村上利佳／訳 スーザン・マクリ 汐文社 マリアトゥは、貧しいが大家族の愛情に包まれ 成長した。だが 12 歳のある日、反乱軍に捕らえら れ、子ども兵士によって両手を切り落とされる。 レイプによる出産、難民キャンプでの生活など壮 絶な経験後、カナダで難民として受け入れられる。 自己を肯定し、世界に自分の経験を伝えられるよ 47 知識の本 T493 ﾊｾ 死の川とたたかう る。〔小高～〕 イタイイタイ K215 ﾀﾕ 病を追って グローバリゼーションの中の江戸 八田清信／著 田中優子／著 偕成社 岩波書店 「鎖国」していたはずの江戸時代は、地球規模 1955 年、婦中町(現富山市）の医師萩野昇がイタ の動きの中で、異国文化と技術の影響を受けなが イイタイ病を発見する。住民や科学者たちと協力 ら独自の発展をとげた。江戸時代を基に、現代日 し、公害に認定されるまでの 17 年間にわたる戦い 本のグローバリゼーションの負の面を考える。新 を富山新聞社の記者が描く。医師の苦悩、患者や たな視点から歴史を捉えた本。〔中学～〕 家族の苦しみが胸を打つ。1973 年刊、1983 年文 K289 ｱﾒ 庫化の新版。解説に福島原発事故問題等を新たに 加える。〔小高～〕 海辺の宝もの ヘレン・ブッシュ／著 鳥見真生／訳 あすな ろ書房 K010 ｱｷ 19 世紀初頭、恐竜の存在が知られていない時代 図書館のすべてがわかる本 1～4 秋田喜代美／監修 こどもくらぶ／編 岩崎書 のイギリス。12 歳の少女メアリーは、家計を支え 店 るために売っていた「変わり石」のとりこになっ 図書館の歴史や役割、仕組みや工夫、活用する ていく。重要な化石を次々と発掘し、古生物学や ための方法等を、豊富な写真とともに多面的に紹 地質学の発展に貢献したメアリー・アニングの子 介する。全 4 巻。〔小中～〕 ども時代の話。 『海辺のたから』 （1977 年ぬぷん児 童出版刊）の新訳。〔小高～〕 K020 ｲﾙ 青い鳥文庫ができるまで 岩貞るみこ／作 K289 ｲｸ 講談社 1 冊の本が書店に並ぶまでを、物語の形式で紹介 闇を照らす六つの星 日本点字の父 石川倉次 する。編集者が、読者の熱い思いに支えられ、出 小倉明／著 汐文社 版を期日に間に合わせようと奮闘する様子を軽快 フランスで考案された点字を基に、日本語に合 に描く。作家、イラストレーター、編集部、校閲、 った点字を創造した石川倉治（1859～1944）の伝 販売、印刷所、取次、書店など本に関わる大勢の 記。点字の研究に没頭し、盲学校の生徒たちや同 人々の仕事と熱意が見えてくる。〔小高～〕 僚などの情熱にも支えられついに完成に至った軌 跡を描く。また、現在の点字を取り巻く環境につ K213 ﾀｼ まぼろしの上総国府を探して いても触れる。〔小高～〕 解けるか？１３００年の古代ミステリー たからしげる／著 K289 ｶﾐ くもん出版 神谷美恵子 ハンセン病と歩んだ命の みちのり かつて、千葉県の中央部にあった上総国。その 道程 都「上総国府」はどこにあったのか、当時新聞記 大谷美和子／著 者だった著者が取材した過程を紹介する。調べる 当時差別されていたハンセン病患者に寄り添い 方法やコツを交えながら、謎に迫る醍醐味を伝え 生きた、神谷美恵子の伝記。愛する人を亡くし自 48 くもん出版 らも結核に侵された苦悩の日々や、愛生園で医者 K327 ｵｱ 介助犬を育てる少女たち 荒れた心 として勤務する傍ら「人間とはなにか、生きると の扉を開くドッグ・プログラム はなにか」を考え執筆に打ち込むまでの、神谷の 大塚敦子／著 辿った精神の軌跡を描く。巻末に年譜を付す。 〔小 カルフォルニア州にある少女更生施設「シエ 高～〕 講談社 ラ・ユース・センター」では、介助犬を訓練する 「ドッグ・プログラム」が行われている。さまざ K289 ｼｽ スティーブ・ジョブズの生き方 カレン・ブルーメンタール／著 まな問題を抱える少女たちが、迷い悩みながら介 助犬とともに成長していく姿を追う。〔小高～〕 渡邉了介／訳 あすなろ書房 Apple の創始者スティーブ・ジョブズの伝記。彼 K366 ｸｽ イクバルと仲間たち 児童労働にた ちむかった人々 は、敏感に人々が欲するものを嗅ぎ分け、時代に スーザン・クークリン／著 変革をもたらした。成功者としての一面だけでは きょう子／訳 なく、妥協を許さず激しい気性から起こる様々な 長野徹／訳 赤塚 小峰書店 軋轢、挫折などの影の部分にも踏み込む。Apple イクバルは、パキスタンの絨毯工場で、4 歳のこ の広告「Thinkdifferent」そのままの強烈な生き方 ろから奴隷のように働かされていた。10 歳で「債 を客観的に描く。巻末に年表、用語解説、索引を 務労働解放戦線（BLLF）」という組織に助けられ 付す。〔中学～〕 自由になったイクバルは、奴隷労働を強いられて いる子どもたちを救うために奔走する。児童労働 K289 ﾔｶ まぼろしのノーベル賞 を生み出す社会的背景や、撲滅のための運動につ 山極勝三郎 いても触れる。〔小高～〕 の生涯 神田愛子／著 国土社 大正 4 年（1915）、山極勝三郎は、世界で初めて K366 ｽﾉ しごとば 東京スカイツリー 人工的にガンを発生させることに成功する。彼は、 鈴木のりたけ／作 ブロンズ新社 この実験により、ノーベル賞最終選考にも残った。 東京スカイツリーに関わる多くの仕事や人々を、 今から約 150 年前、信念を貫き、日本の病理学界 緻密なイラストで紹介する。設計士、鉄工員、現 を牽引した山極勝三郎の伝記。〔小高～〕 場監督と職人、クレーンオペレーター、照明コン サルタント、エレベーター工、地元の人びと、広 K319 ﾆﾌ 戦火の子どもたちに学んだこと 報担当を掲載。大勢の人々の力が結集してできた ことがよくわかる。シリーズ第 4 弾。〔小中～〕 アフガン、イラクから福島までの取材ノート 西谷文和／著 かもがわ出版 K368 ｲﾀ 公務員からジャーナリストに転身した著者は、約 10 年に及び紛争地を取材する。その過程で、爆撃 おっちゃん、なんで外で寝なあかん の？ 子ども夜回りと「ホームレス」の人たち で左手を奪われた少女や、劣化ウラン弾で被爆し 生田武志／著 た少年など必死に生きる子どもたちに出会う。紛 著者は、26 年間子どもたちと野宿者を支援する 争地の現状を紹介するとともに、戦争や原発など 「子ども夜回り」を続けている。活動の紹介や、 が進められた社会構造の問題を訴える。〔中学～〕 野宿者たちのインタビューをとおして、差別や偏 49 下平けーすけ／絵 あかね書房 見をなくす方法を考える。若者による襲撃問題や 学校と鵜住居小学校のほとんどの児童・生徒が無 その背景にある「子どもたちの生きづらさ」につ 事だった。その背景には、徹底した防災教育があ いても触れる。〔小高～〕 った。 「釜石の奇跡」と呼ばれた子どもたちの行動 と、震災後も前向きに生きる姿を追う。〔小高～〕 K369 ｲｺ 災害救助犬レイラ 井上こみち／著 K382 ｾﾖ 講談社 東日本大震災発生後、災害救助犬レイラと訓練 インカの村に生きる 地球ものがた り 士の村田忍さんは、すぐに被災地に入り行方不明 関野吉晴／著 ほるぷ出版 者の捜索に力をつくした。壮絶な捜索活動の様子 南米ペルーの小さな村ケロでは、インカ帝国時 を中心に、村田さんが訓練士となりレイラと出会 代からの自給自足の暮らしを続けている。自然と うまでの生い立ちや日々の訓練を紹介する。 〔小高 ともに生き、人々が助け合うケロでの生活を体験 ～〕 した著者が、現代の文明が地球を壊す社会を批判 し、警鐘を鳴らす。人々の暮らしに密着した写真 K369 ﾅﾐ ７２時間生きぬくための１０１の が魅力。〔小中～〕 方法 子どものための防災ＢＯＯＫ 夏緑／著 たかおかゆみこ／絵 K388 ｺﾏ 童心社 災害が起こって助けがくるまでは、長くても３ 議！ 江戸の怪談絵事典 こわい！不思 お化け・妖怪から怪奇現象まで 日間。地震、雷、火事、事故などの災害について、 近藤雅樹／監修 ＰＨＰ研究所 3 日間でなすべきことを、発生直後の 10 秒、1 分、 江戸時代の怪談を「お化け」「妖怪」「不思議な 1 時間……3 日目と時系列に紹介する。また、災害 場所」 「化け物屋敷」の４つの章に分け、29 編を掲 が起こる前の心構えについても記載する。〔小高 載。各編は、迫力ある浮世絵に平易な解説を付け、 ～〕 見開きで紹介する。江戸時代の人々の暮らしも説 明されている。〔小中～〕 K374 ﾀｶ 弁当づくりで身につく力 竹下和男／著 K425 ﾀﾐ 講談社 香川県滝宮小学校の校長が、 「弁当の日」を提唱 絵図解輝くなぞ 田中幸／文 し実践した記録。弁当の日とは、子どもたちが自 光のふしぎ 結城千代子／文 野村まり子／絵 絵本塾出版 分で作った弁当を持って登校する日のこと。子ど 太陽の光を中心に、光にまつわる現象や、実験、 もたちは弁当作りを通して、家族の愛情や食の向 クイズなどを絵や写真で紹介する。自然科学的な こうにある社会などに気づき成長していく。子ど ことだけではなく、 「影の文化」や歴史などさまざ も対象というよりは、やや大人に向けて書かれて まな視点から光を捉える。〔小高～〕 いる。〔小高～〕 K444 ｴﾐ K374 ﾀﾕ ぼくらの津波てんでんこ 谷本雄治／著 太陽のかがく えびなみつる／絵と文 フレーベル館 昭雄／写真 東日本大震災の大津波の中、岩手県の釜石東中 渡部潤一／監修 中西 旬報社 太陽がどうやってできたか、熱や光はどのよう 50 にして生み出されているか、金環日食と皆既日食 へと発展させる。月刊誌「たくさんのふしぎ」 （2008 の違いなどを豊富なカラー写真とともに紹介する。 年 8 月号）のハードカバー版。〔小中～〕 〔小中～〕 K453 ｼﾏ K446 ｵｼ 月の満ちかけ絵本 大枝史郎／文 佐藤みき／絵 巨大地震をほり起こす 大地の警告 を読みとくぼくたちの研究 穴倉正展／著 あすなろ書房 少年写真新聞社 見開きで、新月、十三夜、立待月など、29 日間 過去の地震や津波の痕跡から、現代の地震を予 の月の満ち欠けの様子をイラストで紹介。科学的 測する「古地震学」研究者の著者が、調査の現場 な内容とともに、月にまつわる風俗や習慣も解説 を魅力的に紹介する。また、世界の地震の 10 分の する。巻末に、 「月の満ちかけ表」 （2012 年～2019 1 が起こるという日本で暮らすための心構えにつ 年）を付す。〔小中～〕 いても説く。〔小高～〕 K448 ｲｼ 発見・体験！地球儀の魅力 稲葉茂勝／著 ／編 佐藤正志／監修 1～3 K457 ｶｻ ならべてくらべる動物進化図鑑 川崎悟司／著 こどもくらぶ ブックマン社 現在、地球上で暮らす動物たちが、どのような 少年写真新聞社 1 巻は、地球儀の歴史、「月球儀」や太陽と月を 進化をたどって現在の姿になったのか、特徴的な 組み合わせた「二球儀」、外国の地球儀の紹介など 動物の「古代種」と「現生種」を比較しイラスト 地球儀の概略について解説。2 巻は、地球儀の各部 とともに解説する。〔小高～〕 の名前や活用術など、実際に使って発見できるこ とについて記載。3 巻は、地球儀の作り方などを展 K457 ｺ アンモナイトと三葉虫 大むかしのヘ 開図を使って解説する。〔小高～〕 ンな生き物のヒミツ 子供の科学編集部／編 K451 ｶﾀ 誠文堂新光社 「アンモナイト」と「三葉虫」の 2 つのグルー おかしなゆきふしぎなこおり ポプラ社 プに分けて、アンモナイトは形別に、三葉虫は時 小屋の屋根に帽子のように積もった雪、怪獣の 代順に豊富な写真で紹介する。また、体の仕組み ような形の雪、しぶきが作った氷のシャンデリア。 や暮らし方、誕生の背景等を解説する。実寸大の 雪や氷が見せるユニークな表情を捉えた写真絵本。 写真も掲載。〔小中～〕 片平孝／写真・文 巻末では、高学年以上を対象とした不思議な形が K459 ｲｺ 出来る理由が説明されている。〔幼児～〕 ずかん宝石 飯田孝一／監修 K451 ﾏﾉ こおり 前野紀一／文 斉藤俊行／絵 川嶋隆義／写真 技術評論社 宝石として扱われている鉱物や、生き物が作り 福音館書店 出した宝石、観賞用に使われている岩石などを約 40 種選び紹介する。個々の宝石ができる条件、歴 初めに、水が凍る仕組みをイラストで説明する。 次に、透明な氷の作り方や、色のついた氷は作れ 史的な事項、産業への応用などをイラストと写真 るか実験をし、 「水だけで固まろうとする」氷の性 で説明した図鑑。コラムには、世界の宝石産出国 質を導き出す。そこから、海流が生まれる仕組み の一覧や、宝石鑑別の現場、 「ヒスイ海岸」でのヒ 51 「陸」「空」「水」の生活環境に分け紹介する。豊 スイ探しなどを掲載する。〔小高～〕 富なカラー写真やイラストとともに、特異な姿に K465 ｲｼ カビのふしぎ 実験しよう 伊沢尚子／著 細矢剛／監修・写真 進化した理由を説明する。〔小中～〕 汐文社 K480 ﾌﾌ カビを「つかまえる」 「野外で探す」 「店で買う」 「植える」の 4 つの方法で入手し、カビの成長の サンシャイン水族館リニューアル 大作戦 仕方を観察する。実験方法を、胞子の拡大写真と 深光富士男／文 ともに詳しく紹介する。巻末には、ルーペや顕微 1978 年に開館した地上約 40ｍにあるサンシャ 鏡の使い方が記載されている。 『カビのふしぎ 佼成出版社 イン水族館は、2010 年に全館リニューアルをする。 調 べよう』との全 2 冊。〔小中～〕 客の視点に立って、徹底的に見せ方を追求したス タッフの奮闘を描く。〔小高～〕 K471 ﾕﾋ 世界の葉と根の不思議 環境に適し K486 ｲﾐ た進化のかたち 湯浅浩史／著 誠文堂新光社 世界のふしぎな虫おもしろい虫 今森光彦／著 塚田悦造／監修 アリス館 長い年月に進化をとげた、珍しい葉や根を持つ 写真家の著者が、世界各国の珍奇な昆虫を集め 植物を 6 章に分け、70 種を写真で紹介する。巨大 た図鑑。 「美術館」編と「宝箱」編の 2 編で構成さ な葉、奇妙な形の葉、動く植物、食虫植物など、 れている。「美術館編」は、写真に、「鎧をまとっ 世界中の珍しい植物や身近なオオバやイチョウな た戦士」 「ジャングルの宝石」など昆虫の特徴を表 どの不思議に迫る。〔小高～〕 した題と解説、原産地の地図を付す。 「宝箱」編は、 種目ごとに原寸大の写真を掲載。中には、まだ和 K478 ｾｱ イチョウの大冒険 名がついていない昆虫もある。〔小高～〕 世界でいちばん 古い木 アラン・セール／作 ザウ／絵 K486 ｼﾀ 松島京子／訳 冨山房インターナショナル じゅえきレストラン 新開孝／写真・文 ポプラ社 生命力の強いイチョウは、恐竜が絶滅した大異 クヌギ、ヤナギ、ハルニレ、クリなどの樹液が 変や、広島の原爆投下時にも生き延びた。江戸時 染み出している木は、昆虫たちにとって格好のレ 代には、日本からヨーロッパに伝わっていった。 ストランだ。木は、捕食や交尾の相手を探す場に 現在までのイチョウの歴史や伝説、文化などを、 もなる。その「じゅえきレストラン」を、生き物 水墨画風の伸びやかな絵で綴る。巻末に解説あり。 の命を支える場として、クローズアップした迫力 物語絵本としても楽しめる。〔小高～〕 ある写真とともに描く。〔小低～〕 K480 ｲﾀ ずかんヘンテコ姿の生き物 K486 ﾀﾏ 見 な … がら学習調べてなっとく 今森忠明／監修 著 ずら～りイモムシならべてみると ネイチャー・プロ編集室／編 高岡昌江／ぶん 安田守／しゃしん アリス館 18 種類の「イモムシ」を写真で紹介する。幼虫 技術評論社 姿形の変わった「ヘンテコリン」な生き物を、 の他に、さなぎ、成虫、卵も掲載。写真を並べる 52 わりにも触れる。〔小高～〕 ことによって、種の違いを際立たせている。巻末 に、特徴の一覧を掲載。〔小低～〕 K487 ﾋﾂ K486 ﾂﾏ セミたちの夏 筒井学／写真と文 トカゲ・ヘビ・カメ大図鑑 日本のはちゅう類、大集合！ 小学館 ふしぎな姿とくら しにせまる 身近なアブラゼミの一生を描く。メスが木に卵 疋田努／文 関慎太郎／写真 ＰＨＰ研究所 を産みつけ、ふ化した幼虫は地面に落ち土にもぐ 日本に生息する爬虫類は、トカゲ類 44、ヘビ類 る。産卵から 6 年後、幼虫は木に登り羽化する。 47、カメ類 16 種。それを 3 章に分け、分布や生態 著者が 6 年かけて撮りためた、交尾、ふ化、羽化 と特徴等をイラストや写真で紹介する。 「トカゲの などの瞬間を写真で紹介する。〔小低～〕 自切」、「赤外線を感知するマムシ」、「ふ化の温度 でオスとメスがきまるカメ」など、興味深いコラ K486 ﾅﾚ アゲハ 中山れいこ／著 勝也／監修 ムも収録。〔小中～〕 アトリエモレリ／制作 矢後 K488 ｱﾕ 少年写真新聞社 産卵、ふ化、脱皮、羽化など、緻密なイラスト ペンギン、長崎の海を飛ぶ！ あんずゆき／文 でアゲハの一生を紹介する。 「アゲハは、赤い花が フレーベル館 長崎水族館でペンギンの飼育員をしていた楠田 好き」などの豆知識や飼育の仕方なども掲載する。 さんは、南米チリで海を泳ぐペンギンの姿に魅せ 1 ページの分量が多くて、やや見づらい箇所がある。 られる。長崎水族館の閉館決定や閉館反対の運動 「いのちのかんさつ」シリーズ第 1 巻。〔小中～〕 など、困難を乗り越え夢を実現させた飼育員たち の奮闘を描く。〔小中～〕 K486 ﾓｹ ものまね名人ツノゼミ 森島啓司／文・写真 K488 ｷﾌ 福音館書店 きみの町にコウノトリがやってく る ツノゼミは、敵の目を欺くために植物や昆虫、 糞や昆虫の抜け殻そっくりな姿に擬態する。南米 キム・ファン／著 くもん出版 のボリビアでツノゼミに魅せられた著者が、その 日本にあたりまえのように見られたコウノトリ 多様な生態や特徴を写真で紹介する。月刊誌「た は、乱獲や農薬などの影響で絶滅する。その後、 くさんのふしぎ」（2005 年 1 月号）のハードカバ 大陸から飛来した１羽の人工飼育を経て、40 年を ー版。〔小中～〕 かけて放鳥に成功するまでを描く。コウノトリを 野生復帰させたいと願う人々の失敗や努力、やが K487 ｺﾐ 身近な魚のものがたり イワシ・サン てその情熱が周囲を動かし、国境を越え広がって マ・アジ・サバのふしぎ 小泉光久／文 高山ケンタ／絵 いく様子を丹念に追う。〔小高～〕 河野博／監修 K488 ﾀﾐ くもん出版 家庭の食卓で食べられる魚の、不思議な生態を オジロワシ 竹田津実／文・写真 アリス館 紹介する。また、日本の食文化の歴史や魚ごとに 獣医師で写真家の著者が、北海道の知床半島で 異なる漁法、水産業についてなど、人間と魚の関 観察したオジロワシの記録を綴った写真絵本。オ 53 ジロワシに憧れた著者は、情熱を持って生態を記 るためにアフリカのジャングルでゴリラとともに 録する。その過程で、北海道の雄大な自然と人間 暮らす。ゴリラ流挨拶やゴリラ語を学び、ゴリラ との関わりが見えてくる。〔小中～〕 に受け入れられる過程で、自身の生き方や人間社 会について広い見方をするようになった体験を語 K489 ｵﾕ 身近で観察するコウモリの世界 る。〔中学～〕 町を飛ぶ不思議な野生動物 大沢夕志／著 大沢啓子／著 K490 ｸﾔ 誠文堂新光社 日本で 35 種類、世界に 1200 種以上いるコウモ いのちつぐ「みとりびと」 國森康弘／写真・文 1～4 農山漁村文化協会 リの生態を、豊富な写真で紹介する。逆さになっ 看取られる老人、息をひきとる瞬間に立ち会う て眠るわけや、遺伝子的には馬に近いという説、 家族、在宅医療を支える医者など、それぞれの立 体長が 2ｍになる種や果物や花の蜜を食べる種な 場で死に向き合う姿を捉える写真絵本。全 4 巻。 〔小 どコウモリの知られざる姿を多角的に描く。 〔小中 高～〕 ～〕 K501 ｺﾋ K489 ｶｼ はじめましてモグラくん ればいいの？ なぞに つつまれた小さなほ乳類 川田伸一郎／著 日本のエネルギー、これからどうす 小出裕章／著 少年写真新聞社 平凡社 原子核物理学者の著者が、質問に答える形で原 第 1 章ではモグラの生態や特徴、第 2 章では日 発やエネルギー問題について解説する。 「死の灰を 本と世界のモグラについて紹介する。第 3 章では、 生み出す」「発電コストが高い」「核兵器開発の隠 研究の具体的な手順と新種のモグラを見つけ発表 れ蓑になる」など、「いいところがひとつもない」 するまでなど、研究者の仕事について触れる。 〔小 原発を論理的に断罪する。また単に、再生可能エ 高～〕 ネルギーに変えていくのではなく、エネルギー浪 費型社会からの脱却やエネルギーの公平な分配の K489 ﾐﾋ クジラ・イルカのなぞ９９ 世界の 必要性に触れ、生き方や価値観の変革を訴える。 海をめぐる写真家が答えるクジラの仲間のふしぎ 〔中学～〕 水口博也／文・写真 偕成社 クジラとイルカについての 99 の質問に、写真家 K501 ﾏﾀ でジャーナリストの著者が丁寧に答える。種類や 知ろう！再生可能エネルギー 馬上丈司／著 特徴、生態、進化の過程などを、豊富な写真とと 倉阪秀史／監修 少年写真新聞 社 もに解説する。 「クジラやイルカになにが起きてい エネルギーとは何かをわかりやすく解説する。 るの？」という最終章では、現在の問題について また、各種の発電の仕組みや利用法をイラストで も触れる。〔小高～〕 紹介する。現在の日本や世界のエネルギー事情を 図や数値で解説し、これからのエネルギーについ K489 ﾔｼ ゴリラは語る 山極寿一／著 て問題を提起する。〔小高～〕 講談社 人類学、霊長類学者の著者は、ゴリラを研究す 54 K519 ｲﾉ 永遠に捨てない服が着たい 太陽の K558 ﾔｼ 写真家と子どもたちのエコ革命 今関信子／著 すごいぞ！「しんかい６５００」 地球の中の宇宙、深海を探る 汐文社 山本省三／著 友永たろ／絵 くもん出版 半年間、京都の小学校で環境学習の先生となっ 潜水調査船の歴史や世界最深の有人調査船「し たカメラマンの岡部達平さんの活動と、生徒の取 んかい６５００」の誕生と、調査によって解き明 り組みを紹介する。岡部さんは、子どもたちの「永 かされた地球の謎について紹介する。また富山湾 遠に捨てない服を着たい」という願いを聞き、体 沖でのアクシデントや、富山商船高等専門学校（現 操服をリサイクルする活動を思いつく。〔小高～〕 富山高等専門学校）に入学し、夢を実現させた操 縦士の談話も織り込む。〔小高～〕 K519 ﾔﾐ タマゾン川 多摩川でいのちを考える 山崎充哲／著 K610 ﾉ 旬報社 自然環境調査コンサルタントの著者は、熱帯魚 農家になろう １～5 農文協／編 農山漁村文化協会 が次々発見されたことから、多摩川を「タマゾン 酪農家、養蜂家、水田農家、野菜農家、果樹農 川」と名づける。捨てられた外来魚が増え生態系 家の各分野から１人を取り上げ、 「生命の育みを間 を脅かすことを危惧し「おさかなポスト」を設置 近かにする」農家の暮らしと魅力を紹介した写真 した活動や、半世紀前には「死の川」だった多摩 絵本。一年を通して各人に密着して取材し、仕事 川が下水処理場の普及によってよみがえったこと、 への情熱や考え方も伝える。各巻末には、解説と 生活排水が川の温暖化を招いている現状などを、 写真家の目から見たコメントを付す。全 5 巻。 〔小 わかりやすく説く。〔小高～〕 中～〕 K526 ﾓﾖ K626 ﾓﾐ 図解絵本東京スカイツリー 東京ス カイツリー公認 見てびっくり野菜の植物学 ゲッチ ョ先生の野菜コレクション モリナガ・ヨウ／作・絵 ポプラ社 盛口満／文・絵 少年写真新聞社 建設前の更地の状態から完成までの工事の過程、 様々な野菜の花や種子、いろんな国の品種を比 働く人々や機材などを緻密なイラストで紹介する。 較するなど、美しいイラストとわかりやすい文章 作業員や取材した作者のコメントが随所に吹き出 で身近な野菜を植物学的観点から紹介する。見返 しで描かれ、親しみやすい。〔小中～〕 しには世界地図で原産地や「野菜伝来年表」の一 覧が、巻末には索引が掲載されていて調べ学習に K538 ｶｼ 小惑星探査機「はやぶさ」大図鑑 川口淳一郎／監修 ーション も使いやすい。〔小上～〕 池下章裕／ＣＧイラストレ K627 ｻﾄ 偕成社 2003 年 5 月 9 日の打ち上げから、2010 年 6 月 桜守のはなし 佐野藤右衛門／作 18 日カプセルが日本に到着するまでの出来事を、 講談社 著者は、京都で 16 代続く造園業の当主。家族を 時系列で描く。 「はやぶさ」を中心に、小惑星イト 見るのと同様に、桜を見守る「桜守」の仕事を、 カワの詳細やプロジェクトに携わった人々も紹介 季節ごとに写真で紹介する。 「この仕事は何よりも する。〔小高～〕 桜への愛情が必要」という著者が、京都弁で語り 55 がブレッドとともに、人間とクマが共存できる環 かける。〔小中～〕 境を作るため奔走する姿を描く。〔小高～〕 K645 ｲﾉ 命がこぼれおちる前に 収容された K659 ﾀｼ 犬猫の命をつなぐ人びと 今西乃子／文 浜田一男／写真 佼成出版社 山に肉をとりに行く 田口茂男／写真・文 岩崎書店 千葉市動物保護センターに収容された犬猫の命 郡上八幡の山里で暮らす猟師の一年を追った写 を救うため、獣医師と数名のボランティアが協力 真絵本。秋冬の狩猟を中心に、山仕事や、農作業 し日々奮闘する姿を描く。ボランティアの活動に など自然と密接に関わる生活を紹介する。イノシ より、殺処分は劇的に減ったが、獣医師は「殺処 シの解体など生々しい写真もあるが、自然に感謝 分ゼロではなく、捨てられる命がゼロになること しながら生きる猟師の姿が伝わる。著者は、自然 が一番大切」と説く。〔小高～〕 写真家。〔小中～〕 K645 ｵｱ K723 ｾｱ いつか帰りたいぼくのふるさと ピカソ、故国への愛 アラン・セール／文・図版構成 福島第一原発２０キロ圏内から来たねこ 大塚敦子／写真・文 ゲルニカ 松島京子／訳 冨山房インターナショナル 小学館 ピカソの生涯を、代表作「ゲルニカ」を中心に 原発事故後、ネコのキティはボランティアに助 けられ東京へ引き取られた。故郷に帰れない家族、 描く。市民を無差別に殺戮した空爆に衝撃を受け 荒れていく家や畑、野生化した家畜など、キティ たピカソは、人々の苦しみを白と黒の色彩で表現 の視点から震災後の福島を描いた写真絵本。 〔小中 した。1 ヶ月以上かかった製作過程や、 「ゲルニカ」 ～〕 以外の絵も豊富に紹介した大型本。〔小高～〕 K653 ﾖﾏ 熱帯雨林のコレクション 横塚眞己人／写真・文 K726 ﾅｹ フレーベル館 はだしのゲン わたしの遺書 中沢啓治／著 朝日学生新聞社 地球上に住む生き物の半分以上が暮らすという 著者は、原爆後遺症に悩まされた母の死を契機 熱帯雨林。写真家の著者が、珍しい植物、昆虫、 に、怒りを抱えながら戦争や原爆の責任と向き合 動物など熱帯雨林の魅力について紹介する。また、 う漫画「はだしのゲン」を生み出す。 「はだしのゲ 人間も含め生命が複雑に絡み合う様子や、私たち ン」は遺書であると語る著者が、自身の壮絶な人 と熱帯雨林の「負のつながり」にも触れる。様々 生を振り返り、戦争の愚かさや人間の逞しさを渾 な視点で撮られた写真が魅力。〔小中～〕 身の言葉で語る。3.11 以降の原発事故にも触れる。 漫画を抜粋して見開きで挿入し、読者の理解を助 K654 ｱｼ クマを追え！ブレッド 軽井沢クマ ける。巻末に、年表と作品リストを付す。2012 年 12 月に逝去した著者最後の書。〔小高～〕 対策犬ものがたり 田中純平／協力 人／絵 あかいわしゅうご／文 北村 K754 ｴﾄ 学研パブリッシング ブレッドは、人里へ下りてきたクマを森へ追い 木でつくろう手でつくろう 遠藤敏明／著 返す訓練を受けたベアドッグ（クマ対策犬）。著者 小峰書店 著者は、スウェーデンで「スロイド」 （木工）を 56 学ぶ過程で、自然に親しむ風土とものづくりを大 学生のころは遊びで映画を作っていたが、どんど 切にする教育に感銘を受ける。木の性質について んのめりこんでいく。中１の冬「ドラマの企画を の話や、実際の木工の作り方のイラストを織り交 募集」という案内に応募したことから、映画監督 ぜながら、ものづくりの楽しさを伝える。 〔小高～〕 への道が開ける。颯悟さんの視点から、映画作り にかける情熱と成長していく姿を等身大で描く。 K763 ﾅﾑ いのちのヴァイオリン 森からの贈 〔小高～〕 り物 中澤宗幸／著 K782 ｻﾏ ポプラ社 著者が、自然の中で育った子ども時代や、ロン とぶ！夢に向かって ロンドンパラ リンピック陸上日本代表・佐藤真海物語 ドンで修行し「ヴァイオリンドクター」となるま 佐藤真海／文 学研教育出版 での生い立ちを語る。その中で 「森のいのち」 著者は、アテネ・北京・ロンドン三大会のパラ から作られるヴァイオリンの魅力と、自然とのか リンピック走り幅跳び選手。子ども時代は水泳や かわりについて触れる。エピローグでは、流木と 陸上に夢中だった著者は、大学で憧れのチアリー なった家屋の木材から「震災ヴァイオリン」を作 ダーズに入部する。ところが、骨肉腫で右足下を った思いについても触れる。〔小高～〕 切断。希望を失うが、スポーツを契機に、再び持 ち前のチャレンジ精神に火がつく。〔小高～〕 K764 ﾜﾐ はばたけ、ルイ！ 少年ルイ・アーム K789 ｸﾋ ストロングとコルネットの真実の物語 ミュリエル・ハリス・ワインスティーン／作 ランク・モリソン／絵 若林千鶴／訳 フ 忍者の大研究 秘密をさぐろう！ 武 器・道具からおどろきの知恵まで リーブル 黒井宏光／監修 ＰＨＰ研究所 20 世紀始めのアメリカ、ニューオリンズ。極貧 「忍者の仕事と歴史」「技と道具」「忍者の知恵 の中、ルイは音楽を心の支えとする。ジャズ・ミ と生活」の 3 章に分け、写真や図で分かりやすく ュージシャン、ルイ・アームストロングの少年時 紹介。「聖徳太子が「志能便」（しのび）を使って 代から、デビューまでを愛用のコルネット（金管 いた」「忍者は手裏剣をあまり持ち歩かなかった」 楽器）の視点から語る。〔小中～〕 などの事実を興味深く解説する。〔小中～〕 K777 ｺｹ 影絵 後藤圭／文 劇団かかし座／監修 文渓堂 西洋のアンティーク、東南アジアの影絵劇、江 戸時代の影絵遊びなど、世界の影絵の歴史、技法 を写真で紹介する。影絵人形の作り方や影絵クイ ズも掲載。〔小中～〕 K778 ｸﾖ 映画カントクは中学生！ 艸場よしみ／著 汐文社 りゅう ご 日本史上最年少の映画監督、仲村 颯 悟さん。小 57 選定基準 ①子どものために出版されたものであること。 ②子どもの知的、情緒的経験を広げることができること。 ③子どもの発達段階に応じた、理解しやすい内容であること。 ④絵本の場合は、絵と文の調和がとれていること。 ⑤ノンフィクションの場合は、知識が正確で時代の進歩に応じていること。 編集後記 今年も昨年に引き続き、震災関連の本が多く出版されました。特に、福島原発事故の影 響を受け、 『日本のエネルギー、これからどうすればいいの？』 （平凡社）や、 『タマゾン川』 （旬報社）など、再生可能エネルギーや環境問題に関する力作が目立ちました。 この他にも、イタイイタイ病事件の記録集『死の川とたたかう』（偕成社 1983 年の新 版）や、広島平和記念資料館収蔵の「もの」たちが静かに語りかける写真絵本『さがして います』 （童心社）、昨年逝去した中沢啓治氏の最後の著作『はだしのゲン わたしの遺書』 （朝日学生新聞社）など、 「子どもたちに伝え残さなければならない」という著者や出版社 の気概を感じた作品が多くありました。 一方、手渡したい作品であっても、難解な主題や地味な装丁だと子どもたちが自発的に 手を伸ばすことは少なく、改めて本と子どもたちを結ぶ難しさと重要性を感じた一年でし た。 （児童奉仕係：牧田） ＊選定、執筆は、物語（小学校低・中・高学年、中学生）は山崎（智）が、絵本、知識の本、 文学・ルポルタージュは牧田が担当しました。 58 表紙掲載作品 『としょかんねずみ』 『おべんとう』 ダニエル・カーク／さく 小西英子／さく 『緑の精にまた会う日』 わたなべてつた／やく 瑞雲舎 福音館書店 リンダ・ニューベリー／作 野の水生／訳 平澤朋子／絵 ボニー・クリステンセン／作 渋谷弘子／訳 さ・え・ら書房 『スプロケットおばさんのポケット』 クエンティン・ブレイク／作 谷川俊太郎／訳 『わたしはガリレオ』 『テディ・ロビンソンのたんじょう日』 『商人とオウム ペルシャのおはなし』 ブルース・ホワットリー／絵 ジョーン・Ｇ・ロビンソン／作・絵 〔ルーミー／原作〕 青山南／訳 光村教育図書 59 徳間書店 好学社 小宮由／訳 岩波書店 ミーナ・ジャバアービン／文 平成 25 年 4 月 23 日発行 富山市立図書館 〒930-0085 富山市丸の内１丁目４－50 TEL（076）432－7273 60
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