国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 1.1 雇用労働関係法令一覧 マレーシアの雇用及び労働に関する主要な法律の概要は、以下のとおり。 (1) 1955 年雇用法(The Employment Act 1955:EA) 本法は、マレーシアにおける雇用を規定する主たる法律である。本法には、雇 用者、及び被雇用者双方の権利と責任に関する規定及び民間部門における雇用 契約に係わる最低基準が含まれる。本法は、マレーシア半島及び連邦領ラブア ンの、月次給与が 1,500 マレーシア・リンギット以下及び給与水準に関わら ず単純労働に従事するすべての被雇用者に適用される。 (2) 1952 年労働者災害補償法(Workmen’s Compensation Act 1952) 本法のもとに発令された、2005 年外国人労働者災害補償制度(保険)規則で は、外国人労働者を雇用するすべての雇用者は、責任保険への加入が義務付け られ、外国人労働者が、業務時間中及び業務時間の事故により負傷した場合の 補償の支払い義務を規定している。 (3) 1947 年賃金評議会法(The Wages Council Act 1947) 本法は、特定の産業における特定の労働者カテゴリーの賃金が、過度に低水準 か否かを決定する、調査委員会の設置手続きを規定している。現在、小売業、 食品及びホテル従業員、映画館従業員及びペナン港における港湾作業員の最低 賃金に関する規定がある。 (4) 1950 年週休法(Weekly Holidays Act 1950) 本法は、商店、レストランおよび劇場従業員の週休を規定している。 (5) 1990 年 住 居 設 備 に 関 す る 労 働 者 の 最 低 基 準 法 ( Workers’ Minimum Standards of Housing Amenities Act 1990) 本法は、雇用者が、農園及び鉱業部門の労働者への十分な施設を提供すること を保証するため、労働局に対しその監督権限を付与することを定めている。施 設には、住居及び水道と電気の供給、保育施設及びコミュニティー・ホールな ど、基本的な設備が含まれる。 (6) 1966 年未成年者雇用法(The Children & Young Persons (Employment) Act 1966) 本法は、児童又は少年の雇用が可能な仕事の種類、期間及び産業を規制してい る。ここで児童とは、14 歳未満、少年は 14 歳から 16 歳の間の者と定義され ている。 (7) 1981 年民間職業紹介業法(Private Employment Agencies Act 1981) 1981 年 2 月 19 日に制定された 1981 年民間職業紹介業法(法令 246 号)の 規定により、2004 年 4 月より労働局が本法に関する権限を付与された。本法 のもとでは、すべての民間職業紹介業を営む者は、人的資源省労働局による免 許を取得する必要がある。民間職業紹介業法の目的は、本法の規定に従って、 民間職業紹介業者の登録と免許の交付が実施されることを確保することにあ る。 (8) 1953 年雇用情報法(Employment Information Act 1953) 本法は、民間部門のすべての産業から雇用、サービスの条件及び雇用条件に関 1 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 する情報及びデータの収集と取得のための権限を、労働局に付与することを規 定する。 *出典:the Department of Labour, Ministry of Human Resources,.http://jtksm. mohr.gov.my/, Accessed on 24 June 2008 (9) 1965 年労働法令(Labour Ordinance (Sabah Cap 67) 1965) 1955 年雇用法はマレーシア半島及び連邦領ラブアンのみに適用される。サバ の東部州ではサバ州法令が適用される。 (10) サラワク労働法令(Labour Ordinance Sarawak) サバ州の労働法令と同様の役割を果たすものとして、サラワク労働法令はサラ ワク州における労働関係諸法令の管理を規定する。 (11) 1999 年職場のセクシャルハラスメントの防止と取り扱いに関する行為準則 (Code of Practice for the Prevention and Handling of Sexual Harassment at the Workplace 1999) 本準則は、雇用者が自主的に行動規範を採用・導入し、かつセクシャルハラス メントの無い職場環境を創出する積極的な方策を講ずるための、政府による活 動を代表するものである。本準則は非強制的な一連のガイドラインからなる。 (12) 1980 年年金法(The Pensions Act 1980) 本法は、公共部門の役員及びその扶養家族のための、年金・賜金及びその他の 給付金の管理を目的として制定された。公共部門の被雇用者は年金制度のかわ りに従業員共済年金基金(Employees Provident Fund :EFP)を選択しない 限り、国家年金制度の受給資格を有する。 (13) 1991 年従業員積立基金(The Employees Provident Fund Act 1991 :EPF) この法令は、被雇用者の強制積立制度をとおして、制度の加入者に対し、特に 退職後の経済的な保障を提供するものである。本法のもとで、マレーシアにお けるすべての雇用者と被雇用者(外国人労働者を除く)は、雇用者は、被雇用 者の月次給与の最低 12%、被雇用者は月次給与の 11%を従業員退職積立基金 (EFP)に拠出しなければならない。 (14) 1969 年労働者社会保障法(The Employees’ Social Security Act 1969) 本法は、被雇用者及びその扶養家族の福祉の保護を目的とする、二つの社会保 障制度を規定している。その制度とは、雇用傷害保険(The Employment Injury Insurance Scheme)と就労不能年金(The Invalidity Pension Scheme)である。 この制度により、被雇用者は業務中に事故に巻き込まれるか、又は業務に関係 する病気にかかった場合、補償及び経済的援助が受けられる。 (15) 1994 年労働安全衛生法(Occupational Safety and Health Act 1994) 本法は、各産業部門の業務活動に起因する危険からの、労働に従事する者とそ の他の者の安全、健康及び福祉の保護確保を目的とする。 (16) 1967 年工場法(Factories and Machinery Act 1967) 本法は、工場労働者の安全、衛生と福祉及び機械の登録及び点検に係わる事項 についての工場管理を規定している。 (17) 1959 年労働組合法(Trade Unions Act 1959) 2 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 本法は、行政官庁が、マレーシアにおける労働組合に係わるすべての事項の一 般的な監督、指導及び管理を可能とするため制定されたものである。本法の目 的は、健全、民主的かつ責任ある労働組合の成長を促進することにある。 (18) 1967 年労使関係法(The Industrial Relations Act 1967) 本法は、雇用者、被雇用者及び労働組合間の関係を規定しており、これには労 働争議の防止と調停が含まれる。 (19) 1959 年移民法(Immigration Act 1959) 本法は、マレーシアへの出入国許可、入国許可証、マレーシア到着時の手続き を規定している。 *出典:Malaysian Industrial Development Authority, http://www.mida.gov.my/b eta/view.php?cat=3&scat=29&pg=155, Accessed on 24 June, 2008 1.2 労働基準関係法令 1.2.1 労働契約 1955 年雇用法(The Employment Act 1955)は、労働基準に関する規定をほぼ 全面的にカバーする主たる法令から構成されており、マレーシアの雇用に係わ る最低労働基準を規定している。本法は、すべての雇用者に対し、雇用条件に 関する一連の要素を規定しており、又、差別的及びその他の違法な雇用行為に ついても規定している。被雇用者に有利となる場合を除いて、雇用者と被雇用 者間のいかなる契約も、雇用法の規定する条件以下(被雇用者によって不利益 になる条件)で契約することはできない。本法はマレーシア半島及び連邦領ラ ブアンのみで適用される。サバとサラワクの東部マレーシア諸州では、独自の 労働法令により規制されている。 1955 年雇用法(EA)のもとでの雇用者の主たる義務は以下のとおり: ・すべての被雇用者に対して、雇用に関する契約条件は書面で提供する。この 契約条件には、契約終了に関する条項が含まれる。 ・被雇用者の個人明細情報、賃金の支払い及び賃金からの控除に関する労働者 登録名簿の保管。 ・夜間勤務及び出産手当に関する女性従業員の保護を目的とする特別条項。 ・労働時間に係わる、通常労働時間及びその他の条項。 ・年次有給休暇、病気休暇及び祝祭日の権利。 ・時間外及び超過勤務の賃金割増率。 *参考:Malaysian Industrial Development Authority, http://www.mida.gov.my/beta/view.php?cat=3&scat=29&pg=155 Accessed on 25 June 2008 公共部門では、雇用、労働条件は賃金委員会で決められ、連邦政府の公共サー ビス部が管理を行う。雇用法でカバーされる従業員は以下のとおり。 ・月収 RM1,500 以下のものすべて *RM=マレーシアリンギ(リンギット) 3 RM1.00 は約 33 円(2008 年 8 月時点) 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 ・肉体労働者すべて ・肉体労働監督者すべて ・乗客、物品輸送用乗物の運転、整備を行うために雇用された者すべて ・家庭内使用人すべて。雇用法の一部は、(メイド、執事、子守、料理人など) 家庭で雇用されている使用人に対して適用され、使用人は退職する 14 日前ま でに、退職通知を出さなければならないとしている。 月収 RM1,500〜RM5,000 の範囲のものは、雇用契約に規定された賃金及び現金 によるその他の報酬に関し、労働局に救済を求めることができる。 雇用契約の条件は、業務内容、産業により多岐にわたるが、通常、下記事項を 含む。 ・職務 ・賃金及び手当、ボーナスなどその他の金銭的な報酬の明細 ・通常労働時間、従業員に対する超過勤務要求 ・休日、休暇の権利 ・その他の特典 ・(該当する場合は)試用期間 ・契約の終了通告(雇用者、従業員双方からの) ・(該当する場合には)定年 ・会社の規則、要望に合致した守秘義務 ・転籍、転勤 ・違反行為に課される罰則 期限を定めた契約の期間は、特定の終了日、特定作業の完成、特定イベントの 発生などの目的条件により定める。 商業、貿易、専門的職業、事業を行うサービス産業において従業員を雇用する 場合、業務開始の 90 日以前に、最寄りの労働局に文書で通知をしなければなら い。外国人従業員を雇用する場合には、14 日以内に労働局に通知しなければな らない。 (1) 試用期間 試用期間は通常、契約書に記載される。試用期間中、雇用者は作業者の実 績をモニターし、正規採用を認める場合に雇用者は作業者に文書で新たな 賃金や条件を通知しなければならない。試用期間中の作業者は、フルタイ ムの正規従業員と同等の権利を持ち、正当な理由なしに解雇されない。試 用期間中、雇用者は成果が不十分である、または違反行為があったなどの 理由で雇用関係を終結できる。試用期間中の作業者を解雇しようとする雇 用者は、成果が不満足であることを伝えたうえで、その作業者が成果を上 げるに足る十分な時間を与えなければならない。雇用者によるこのような 事前の行為があり、作業者側の改善がみられない場合のみ、試用期間終了 時に契約を解除できる。試用期間は雇用者が必要と考えれば、延長できる が、最長 6 カ月を限度とする。 (2) 雇用契約の終了 4 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 雇用契約の当事者たる雇用者、被雇用者のいずれも、いつでも雇用契約の 終了を相手に通告できる。通告期間は雇用契約に従い、労使共通でなけれ ばならない。通告期間が示されていない場合には、雇用法が次のように適 用される。 表 1‑1 雇用法による雇用契約解除通告期間 雇用期間 1.2.2 必要な通告期間 2 年未満 最低 4 週間 2 年以上 5 年未満 最低 6 週間 5 年以上 最低 8 週間 解雇規則 1955 年雇用法によると、欠勤許可を取らずに 2 連続日以上出勤しない被雇用者、 正当な理由なしに雇用者に欠勤の連絡を取る努力を怠った被雇用者は、雇用契 約違反とみなされ、雇用を終了される責を負う。 被雇用者側の違反行為を雇用者が見つけた場合、雇用者はまず被雇用者に対し て、違反行為に関わる問責理由を説明し、業務を停止させてその理由を述べた 申立書を発行する。被雇用者が説明する理由に納得できない場合、雇用者は公 正な結論を得るように社内調査を実施し、被雇用者問責に対して行う弁明を十 分に聞く機会を与えるようにする。社内調査実施後、被雇用者に非があると判 断された場合、雇用者は当該被雇用者の解雇、降格あるいは他の罰則を課す権 利を得る。社内調査に先立ち、雇用者は調査を行う目的あるいは他の理由で、2 週間を限度として当該被雇用者の勤務を停止できる。停止期間中、被雇用者は 賃金の半額を受け取れるが、非がないと判断された場合、雇用者は残りの半額 をすべて支払わなければならない。 労使間の釣合いを図るという原則に従い、解雇する場合には違反行為発生後 2 週間以内に、解雇に先立って警告を発しなければならない。 被雇用者が自主的に退職する場合や、雇用契約に規定された定年退職年齢に達 した場合、あるいは適切な内部調査で被雇用者の違反行為が判明した場合、雇 用者は退職金を払わずに退職させることができる。 *参考:LawNet, http://www.lawnet.com.my/lawnetPublic/, and Departmen t of Labour Sabah, “Labour Ordinance Sabah”, http://jtksbh.mohr.gov.my/ ordinance2.html, and Laweyermen.com, “Workmen’s Compensation”, http: //www.lawyerment.com.my/library/doc/empl/fr/1000000-2.shtml, Accessed o n 30 June 2008 (1) 退職手当 人員削減実施の際には、同一職種グループ内での後入先出の原則(新人を 先に解雇する)に従わなければならない。過剰人員対策では、雇用者は人 員削減及び関連事項実施のガイドラインを遵守するよう奨励されている。 5 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 とりわけ、ガイドラインは、雇用者が人員削減を実施するのは、経営の産 業調和規定に略述されているあらゆる手段を講じた後の最終手段とするよ うに求めている。人員削減に訴える代替手段としては賃金カット、一時的 なレイオフ、自主退職案がある。 月収 RM1,500 以下の従業員には、1980 年雇用(解雇及びレイオフ手当) 規則で、同一会社に連続して一定期間役務を提供した後、解雇された従業 員は一定の解雇、レイオフ手当を受給する権利があることを定めている。 一定の状況下で解雇された従業員は、雇用期間に応じて雇用者から退職手 当を受ける権利を有する。雇用者は従業員に退職後 7 日以内に、退職手当 を支払う。退職手当が払われずに解雇された従業員は、労働事務所に不服 を申し出ることができる。以下の退職手当を受け取る権利を有するのは最 低 12 カ月以上勤務した従業員のみである。 ・勤続 2 年未満 :1 年当たり 10 日分 ・勤続 2 年〜5 年 :1 年当たり 15 日分 ・勤続 5 年以上 :1 年当たり 20 日分 更に、下記の通告期間分の支払いを受けられる。 1.2.3 ・勤続 2 年未満 :4 週間分 ・勤続 2 年〜5 年 :6 週間分 ・勤続 5 年以上 :8 週間分 賃金、労働時間、休憩、休日、年次有給休暇、時間外及び休日労働、時間外の 割増賃金 (1) 賃金 最低 1 カ月に 1 回、雇用者は被雇用者に賃金を支払わなければならない。 雇用者が賃金算定日を決定した場合は、算定期間の最後の日から 7 日以内 に賃金を払わなければならない。雇用者が賃金を支払わなかった場合、契 約違反とされ、被雇用者は予告なしに離職できる。 雇用法では、賃金の前払いが認められているが、被雇用者からの要求や労 使関係に配慮した雇用者の判断で実施されており、被雇用者に対する貸付 という形式になっている。 賃金控除は、その目的が次のような場合のみ認められる。 (a) 賃金を控除する月の直近 3 カ月内に超過払いした賃金を取り戻す場合 (b) 従業員積立基金(Employees Provident Fund:EPF)、社会保障機関 (Social Security Organization:SOCSO)、所得税 (c) (会社などの)ローン 法の下で保護されている被雇用者は、雇用契約に定められた基本賃金及び その他の支払いを受けられるが、賞与、超過勤務手当、歩合、出張手当、 旅行手当は除外される。 政府は 2005 年に最低賃金審議会を設置し、マレーシアにおける警備員、 6 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 半島マレーシア、サバ州の診療所アシスタント、サバ州、サラワク州の臨 時農園労働者の賃金を監視している。 (2) 労働時間 雇用契約において下記労働を要求することは認められない。 ・最低 30 分の休憩なしに、連続 5 時間以上の労働 ・1 日 8 時間以上の労働 ・1 日当たり、延べ 10 時間以上の労働 ・条件付きで、週 48 時間以上の労働 被雇用者は休憩、昼食時間を除き、最高 8 時間働くことが要求される。週 休 2 日の場合は、1 日の勤務時間は 9 時間に増やすことができる。 文書による請求で労働長官の許可を得れば、雇用者は最大 1 日 12 時間、 週 72 時間の労働契約を結べる。法は、雇用者が週 48 時間以上、1 日 8 時 間以上最大 12 時間までの労働契約を被雇用者と結ぶことを許容している。 シフト作業の被雇用者は 1 日 8 時間以上、週 48 時間以上の勤務を雇用者 から求められることがあるが、3 週間にわたる、あるいは越えるいかなる 期間でも、週平均の労働時間は 48 時間を越えてはならない。 (3) 休日 従業員はすべて毎週 1 日の休養日を得る権利を有する。休養日は固定的で ある必要はない。シフト労働者に対しては、30 時間以上連続して労働する 場合は、一日分の休日が与えられなければならない。 (4) 祝祭日 1955 年雇用法は、公示されている年間最低 10 日の祝祭日を従業員に賦与 している。労働記念日、独立記念日、国王誕生日、州統治者誕生日(クア ラルンプ−ル、ラブアンの場合には連邦記念日)は固定祝日である。 (5) 年次有給休暇 勤続 1 年以上の被雇用者は、すべて年次有給休暇を取る権利を有する。被 雇用者が取得できる休暇日数は勤続年数により異なる。法律では勤続 2 年 未満の被雇用者には最低 8 日、勤続 2 以上 5 年未満は 12 日、勤続 5 年以 上は 16 日と明示している。 (6) 病気休暇 有給の病気休暇(歯科治療を含む)は勤続期間に基づく。勤続 2 年未満の 被雇用者は年間 14 日、勤続 2 年以上 5 年未満の場合は 18 日、勤続 5 年以 上であれば年間 22 日の病気休暇を取得できる。入院が必要な場合には、 60 日まで認められる。しかし、被雇用者が病気休暇を取った場合は、その 日数が入院日数から差し引かれることになる。 (7) 出産・育児休暇 母性保護については、1955 年雇用法で定められている。出産手当を受ける 資格を有する限り、女性従業員が結婚しているか否かは問われない。 (女性) 従業員がそれ以前の 4 カ月間に 1 度でも雇用されたことがあり、出産前 9 カ月間で最低 90 日間雇用されていれば、出産手当受給の権利を有する。 7 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 出産休暇中の被雇用者は、いかなる理由でも解雇されることはない。5 人 目の子どもまでは、出産の都度 60 日(休日、祭日を含む)の出産休暇が 取得できる。公共部門の女性従業員は、雇用中、5 回まで賃金満額払い休 暇を取得可能。2007 年には、子育てのために 5 年間の無休休暇が取得で きるようになった。 男性従業員の場合は、公共部門、私企業を問わず、子供が生まれる度に、 最大 7 日の父親休暇が取得できる。 (8) 時間外労働 法律は、雇用者が被雇用者に時間外労働をするよう求めることを認めてい る。時間外労働に同意した場合、被雇用者には時間外割増手当が支払われ なければならない。雇用契約で時間外労働に同意する署名をしていない場 合、被雇用者は時間外労働の要求を拒否する権利を有する。最大年間時間 外労働は 104 時間まで、割増率は月給制の被雇用者の 1 時間当たりの賃金 の 1.5 倍である。104 時間を越える場合の許可は、労働局長から取得でき る。 (9) 休日労働 雇用者は、被雇用者に休日に働くことを要求できる。被雇用者は、この場 合、労働時間が通常労働時間より短くても、2 日分の賃金を得る権利があ る。(1 日の賃金は月給を 26 日で割って算出)休日の時間外労働に対して は、1 時間当たりの賃金の最低 3 倍を得ることができる。 シフト労働者でない限り、被雇用者は休日に働くことを強いられない。休 日に働く場合、次の手当が支給される。日雇いあるいは時間雇い労働者が 休日に働く場合、半日未満の労働には 10 割増、半日を超える分には 20 割 増。月給の被雇用者の場合には、半日未満が 5 割増、半日以上には 10 割 増。出来高払いの被雇用者の休日労働に対しては、単位当り 2 倍の賃金が 支払われる。 被雇用者が祝祭日労働を行う場合の割増賃金は、時間雇い、日雇い、月給 労働者のいずれも、休日手当に加えて 2 倍の手当、更に時間外労働をする 場合には、時間当たりの賃金の 3 倍が支給される。出来高払い労働者の場 合には、単位当り 3 倍の賃金となる。 1.2.4 年少者、女性、労働安全衛生 (1) 最低年齢及び年少労働者の保護 1966 年未成年者雇用法(Children & Young Persons(Employment)Act: CYPE 法)は、年少労働者雇用を認める規定及び条件を定めている。この 場合、児童は 14 歳以下、少年は 16 歳以下を指す。この法律では 14 歳以 下の児童の雇用を禁じているが、例外もある。ただし、仕事が児童に相応 しいものでなければならない。児童の雇用は州の産業検査官の監督を受け る。CYPE 法は、児童が機械を操作したり、機械に近付いたりすることを 禁じている。また、地下作業は厳禁とされている。 8 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 1967 年工場法(法令 139)は、年少者が機械の操作、整備、近接する作業 を行ってはならないと規定している。政府の技術学校や教育機関で一連の 教育を受ける 14 歳以下ではない年少者、公認の実習を受けている 15 歳以 下ではない年少年には適用されない。18 歳未満の労働者は実習、訓練を受 けることができる。 14 歳以下の児童は 1 日 6 時間以上、16 歳以下の少年は 7 時間以上働くこ とはできないが、実習生の場合は 8 時間までとする。また、雇用法が定め る児童、少年の雇用は下記の条件を堅持しなければならない。 ・家庭内事業で能力に見合う軽作業、または学校、訓練組織での学業に関 係する公共的催し物や活動であること。 ・公共的な催し物で働く場合を除き、児童が午後 8 時から午前 7 時までの 時間帯に働くことは認められず、3 時間の連続作業ごとに、30 分の休憩 を取る権利がある。 ・少年の場合、午後 8 時から午前 6 時までの時間帯に働くことは認められ ず、4 時間ごとに 30 分の休憩を取る権利がある。公共的な催し物や農業 分野で働く場合には、夜間作業の制約は適用されない。 ・公認された活動分野で年少者が働く場合、両親が雇用に同意することが 必要である。 雇用者は更に、同法に規定されている特別保護規定を遵守しなければなら ない。作業中には、適当な時間の休憩が確保され、日曜日だけでなく土曜 日も、一部例外を除き、休日とされる。 *参考:Department of Occupational Safety and Health Malaysia, “ACT 139, FACTORIES AND MACHINERY ACT 1967 (REVISED - 1974), PART III - PERSON IN CHARGE AND CERTIFICATES OF COMPETENCY, Section 28. Young persons”, http://dosh.mohr.g ov.my/koperat/LAW/Factories%20and%20Machinery%20Act%201967% 20(Act%20139)/a0139s0028.pdf, Accessed on 30 June 2008 (2) 女性 マレーシア連邦憲法 8(2)項は、2001 年に男女差について配慮するよう に改正された。雇用法(EA)は、午後 10 時から午前 5 時までは女性が製 造や農業分野で働く必要はないと規定している。雇用者が女性従業員に悪 影響がないこと、通勤手段とシフト手当を与えることを証明できれば、労 働局長は制限時間内での労働を認めることがある。また、雇用法では女性 が地下労働をすることを禁止している。 (3) 労働安全衛生 1967 年工場法は、工場労働者の労働安全衛生を保証するために制定された。 安全、衛生、従業員の福祉、機械、設備の点検及び関連する事項について 規定している。この法律の下、企業はすべて作業時間中、従業員 20 名に 対し最低 1 名の緊急救護員が用意できるようにする必要がある。この法律 の監督官庁は労働安全衛生局(Department of Occupational Safety and 9 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 Health:DOSH)である。 1994 年労働安全衛生法(Occupational Safety and Health Act:OSHA) は、安全、衛生、従業員の福祉を確保し、作業中の従業員を危険から保護 するための更なる規定を定めるため導入された。同法は、空軍及び商船法 下の労働者を除くすべての産業分野に適用される。労働安全衛生局が OSHA の監督官庁である。雇用者には、職場において従業員の安全、衛生 面で危険が及ばないようにする責任があり、次のような義務を負う。 ・プラント、物品の操作、取扱い、保管、輸送面で適切な手配を行うこと ・従業員の安全を保証する情報、訓練、監督を与えること ・職場、出入口を整備すること ・労働者に適切な福利厚生施設を用意すること 安全衛生を保証する雇用者の責任は、構内で働く下請け業者及びその従業 員にも適用され、更に構内への訪問者にも適用される。訪問者は必要に応 じて、安全装備の着用を求められる。従業員には、下記のような重要分野 での安全訓練を実施する。 ・火災予防、避難訓練 ・CPR(心肺蘇生術)を含む応急手当 ・漏電、電気的危険 ・狭い場所、閉所での作業による危険 ・フォークリフトの安全使用 従業員には、安全のために雇用者が用意する保護装備を常時着用し、安全 に関わる指示に従う義務がある。雇用者は訓練を実施し、法で定めた指示 に従わない従業員に措置を取る権限を有する。 (化学品の製造や製品の製造 のために化学品を使用する)高リスク産業の従業員は、定期的な健康診断 を受けることが要求される。 5 人以上の従業員を持つ雇用者は、職場の安全衛生を記した文書を用意し、 従業員に方針を周知させなければならない。同法は、従業員 40 人以上を 有する雇用者に対し、職場に安全衛生委員会を組織することを要求してい る。高リスク産業の安全衛生管理者は、次の作業、企業に従事した場合、 労働衛生局長に、登録しなければならない。 ・契約額 RM2 千万以上の建設、エンジニアリング業 ・100 人以上の労働者のいる造船業、自動車石油業、化学品及びその関連 業、金属産業、木工業、セメント業、製造業 雇用者は、労働者に影響を及ぼすか、苦痛を与える事故や労働疾病が生じ た場合、労働安全衛生局に通知し、事故、疾病記録を保管し、年間記録の 概要を提出しなければならない。 労働安全衛生国家評議会が定期的に開催され、安全衛生法規の修正の討議、 関連する統計記録の管理及び実施策の設定を行い、労働安全衛生の管理、 実行を改善するアイデアや意見を提出する。 国立労働安全衛生研究所(National Institute Of Occupational Safety and 10 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 Health:NIOSH)は、安全衛生管理者資格証明を必要とする応募者、従 業員に短期講習や証明プログラムを提供する。 1984 年石油法(安全対策)は、特に石油の輸送、保管、利用時の安全に関 連している。 *参考:National Institute of Occupational Safety and Health, http: //www.niosh.com.my/, Accessed on 30 June 2008 1.2.5 就業規則、労働協約 就業規則と労働協約は、労働組合と経営者団体間の交渉経過を基にした問題で ある。 1.2.6 その他 (1) 職場での性的嫌がらせ(セクシャルハラスメント) 1999 年の「職場のセクシャルハラスメントの防止と取り扱いに関する行為 準則」は、性的嫌がらせ(セクハラ)を言葉によるか、よらないかを問わ ず、視覚的、心理的、肉体的に嫌がらせをする性的な、相手が望まない行 為と定義している。性的嫌がらせを根絶するか、少なくとも減少させる主 な方法は、従業員教育を行い、そういった嫌がらせが発生しないように職 場環境を整えるなど防止策を取ることである。 (a) セクハラ対策とアプローチ ・ 加害者とされる人間に対して措置を取る前に、雇用者がまずセク ハラとは何であるかを理解していなければならない。 ・ セクハラは犯罪であり、違法行為であることを従業員に周知させ なければならない。 ・ セクハラ問題に対処する苦情処理手続を説明するには、雇用者は 従業員にセクハラとされる行為をすべて認識させるよう教育しな ければならない。 ・ 従業員がセクハラを受けたと申し立てた場合、雇用者は、問題調 査手続を直ちに取らなければならない。 ・ 雇用者は、セクハラ問題についてカウンセリングや面接をする知 識や技能を持つ人で構成される特別調査委員会を設置するように 勧告されている。 ・ 苦情内容の調査は、内密な方法で行うと同時に、セクハラが実際 に生じたかの証拠を集めなければならない。 *参考:Ministry of Human resources, http://www.mohr.gov.my/, Accesse d on 30 June 2008 その他の重要な法令: 1967 年工場法のもとで、労働安全衛生局(DOSH)は以下の 17 の規則につい て監督している。 (1) 1970 年 資格能力検査証 11 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 1.3 (2) 1970 年 電動式、乗客及び貨物用エレベーター規則 (3) 1970 年 機械の安全柵及び安全規則 (4) 1970 年 告知、適正証明及び検査に関する規則 (5) 1970 年 担当者に係わる規則 (6) 1970 年 安全衛生福祉規則 (7) 1970 年 蒸気及び非加熱圧力容器規則 (8) 1970 年 資格試験証明規則 (9) 1970 年 管理運営規則 (10) 1978 年 違反に関する示談規定 (11) 1978 年 示談可能な違反に関する規則 (12) 1984 年 鉛に関する規則 (13) 1986 年 アスベストの処理に関する規則 (14) 1986 年 建設工事及びエンジニアリング構築作業に関する(安全)規則 (15) 1989 年 鉱物粉塵規則 (16) 1989 年 騒音暴露規則 (17) 2004 年 告知、適正証明及び検査に関する規則 労使関係法令 1.3.1 労働組合 労働組合員の義務と権利は、それぞれの組合規約に記載される。規約は組合ご とに異なっても、伝統的に似通った必須な義務、権利を定めている。組合員は 各人の賃金レベルに従った組合費を払う義務があるが、同時に労働争議の際に は法的助言や助力を得られる。組合員資格は、企業からの自主退職、離職ある いは組合規約に則った組合からの除籍の判断により終了する。 マレーシア労働組合会議(Malaysian Trades Union Congress:MTUC)が最 も代表的な私企業部門の従業員組織であり、官公労連会議(Congress of Unions of Employees in the Public and Civil Services:CUEPACS)は、130 の公共部 門 の 従 業 員 労 働 組 合 の 連 合 体 で あ る 。 マ レ ー シ ア 経 営 者 連 盟 ( Malaysian Employers Federation:MEF)は、私企業部門の経営者の中央組織である。 労働組合の関係法令として、以下の 1959 年労働組合法及び、1967 年労使関係 法が重要な法令である。 (1) 1959 年労働組合法 1959 年労働組合法は、組合と組合連合を規定し、組合の権利、構成、組織、 幹部の選出、財政を統制し、労働組合局に組合の登録することを要請して いる。本法で、組合とは、特定の、あるいは似通った企業、職業、産業内 の従業員の団体あるいは集団と定義されており、その組合員は共通の利害 を有している。 労働者の観点からすると 1959 年労働組合法は制限的とみなされているが、 そ の 理 由 は 、 労 働 組 合 局 長 ( The Director General of Trade 12 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 Unions :DGTU)に大幅な権限が付与されているためである。特に、1980 年の法改正以降はその傾向が強い。本法では、組合員がすべての分類の労 働者から構成される一般労働組合を設立することは許可されていない。現 在、マレーシア人労働者は、特定の業種、職種あるいは産業の内部でのみ 組合を設立することが許される。労働組合局長(DGTU)は、条項 12(3) のとおり、以下の見解を持つ場合、労働組合の登録を拒否する権限が与え られている。 ・組合が非合法的な目的に利用される可能性がある場合、又は ・労働組合の目的のいずれかが非合法である場合、又は ・組合の規約が本法の条項と相反する場合。 当局長は、類似する労働者に対して既に他の組合が存在する場合、労働組 合の登録を拒否することも可能である。 (2) 1967 年労使関係法 1967 年労使関係法は、雇用者と組合の関係、労働争議の防止・解決につい て規定している。本法は、産業裁判所に労働組合としての認知の要求、団体 交渉等の提出手続等についての事項について明記している。 (a) 団体交渉及び契約 労働組合には、法的手段を取ることや団体交渉資格が認められてい る。雇用者が組合を労働者の過半数あるいはいずれかの階層を代表 していると認定すれば、労使関係法により、組合は雇用条件や労働 者の作業などについて雇用者と団体交渉を行える。交渉が成立すれ ば、労使は団体協約を締結する。裁判所は、協約が法に合致しない 場合、修正を行う。裁判所が結論を下し、承認した場合、団体協約 は労使双方を拘束し、3 年間有効となる。団体協約は公共部門には適 用されない。同法は、先駆的産業に対して操業開始後最低 5 年間の 保護を与えている。雇用法に規定されている条件より、団体協約の 条件の方が労働者に有利な場合には、大臣の承認をとることが要求 される。 労使関係法では、下記の事項は経営の専権事項と認め、雇用者が拒 否した場合には、交渉を制約している。 ・昇進 ・異動(雇用条件に関し、労働者に損害をもたらさなければ) ・企業内に空席がある場合の雇用者による採用行為 ・人員整理、組織再編による契約解除 ・従業員の解雇、復職 ・雇用条件に合致する職務割当 労使関係法は、1980 年に労働組合法とともに改正されている。この改正は、 労使関係に関係する法令に相当な変化をもたらした。この労使関係法のも とで、産業界の調和を維持するため、雇用者・被雇用者双方の保護者とし て労使関係局(The Department of Industrial Relations )が設立されてい 13 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 る。本法は、雇用者と労働者の双方、及び労働組合の正当な権利を保護す ることを目指している。 1967 年労使関係法のもとで、労働組合は雇用及び就業条件に関して雇用者 と団体交渉の実施につき法的な権利が与えられている。実際、マレーシア においては団体交渉及び合意は一般的に行なわれている。最近の事例では、 全国銀行従業員組合とマレーシア商業銀行協会との間での団体交渉による 合意があげられる。この合意に至るまでは何年もの交渉、こう着状態及び 銀行でのピケット(スト破り)があった(2008 年 6 月 22 日付 The Star 紙にて報道)。 1.3.2 労働争議解決システムに関する法令 1967 年労使関係法は、マレーシア全国を通じて適用され、雇用者と従業員ある いは被雇用者と労働組合の関係及び労働争議の防止と調停に関する規則を規定 している。本法は、労使間紛争の解決及び集団的関係の規制及びあらゆる紛争の 解決のため、政府の介入を最小限に抑制した形で、労使独自の努力と相互で合意 した手続きにそって、雇用者と従業員あるいは被雇用者と労働組合間の直接的な 交渉に重点をおいている。政府の介入が必要な場合、その介入は、主として関係 者の要望がある場合、参照可能な法律的な枠組みを提供することに限定される。 公共部門の産業関係システムには、賃金委員会、公共サービス局、国家合同協議 会、部門間合同協議会、公共サービス裁判所がある。 ストライキやロックアウトは法的に認められた産業行為であり、従業員、雇用 者のいずれもが取ることができる。ストライキはもっぱら労働組合が行うが、 合意に達するための仲裁など他の手段が尽きたときの最後の手段として使われ る。ストライキを行うには、組合員の 3 分の 2 以上の賛成が必要で、労働組合 問題局長にストライキの申請を出す。届出後 7 日間は、ストライキが決行でき ない。ほとんどの場合、対抗策を取る前に、組合と経営者連盟は仲介手続に入 ることに同意してきている。仲介には、論点となっている要求内容の調整を図 る責任ある第三者が任命される。 労使関係法は、労働争議が産業裁判所に持込まれた場合などには、ストライキ やロックアウトを禁じており、基幹事業では制限を加えている。非合法なスト ライキやロックアウトに参加、教唆、支持することは犯罪としている。 産業裁判所は、労使関係法により設置され、1948 年に設置された産業調停裁判 所、調停裁判所を引き継いた。産業裁判所は、労働争議のみを取り扱う。本法 は裁判所の権限を述べている。裁判所の主目的は、労使間の紛争を、平和的で 公正な解決手段により、調停を行うことである。 労働者は、不法解雇、推定解雇、人員削減、異動、昇格、雇用条件の一方的な変 更、組合活動に関した処分など、労働紛争、不当な労働慣行、組合活動などを労 使関係局に申し立てる。調停の過程では、話し合いが何度も行われるが、雇用者、 従業員又は被雇用者と労働組合の間で直接交渉が決裂した場合、本法は調停ある いは仲裁による迅速かつ公正な労働争議の裁定を規定している。本法は、人的資 14 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 源省に対し、いかなる段階においても労働争議への介入と産業裁判所への付託を 行なう権限を与えている。 不当に解雇された労働者に対しては賃金が過去に遡って与えられるが、首尾一 貫した判断を産業裁判所ができるようにするため 2007 年に修正がなされ、現在 は最大 24 カ月分に制限されている。 産業裁判所の決定、指示、裁定額は最終的なものであり、争うことはできない。 ただし、誤審、司法の越権などの理由に基づく移送令状により、産業裁判所が 下した決定、裁定額を高等裁判所、控訴裁判所で争える。 *出典:lawyerment, http://www.lawyerment.com.my/library/doc/empl/dspt/, Accessed on 25 June 2008 1.4 労働保険関係法令 マレーシアは完全な先進国ではなく、労働者の保護に関しては多大な改善の余地が存 在するが、すべてのマレーシア人労働者に対する、労働災害時の金銭的規定と補償及 び老齢退職給付については、すでに包括的な法律的枠組みが整備されている。これら を規定する法令は以下のとおり: ・1951 年従業員積立基金(The Employees Provident Fund :EPF) ・1969 年労働者社会保障法(The Employees Social Security Act :SOCSO) ・1980 年年金法(The Pension Act) 1.4.1 労働者災害補償保険 1969 年労働者社会保障法(Employees Social Security Act)は、仕事中に事故 に巻き込まれるか、業務に関係する病気にかかった時に補償や経済援助を受け ようとする労働者のための保険制度で、雇用者と被雇用者が強制的に拠出する 資金で賄われる社会保障機関(SOCSO)が管轄している。マレーシア全土で、 マレーシア人及び永住者を対象としている。公共事業従業員は、医療給付が得 られる 1980 年年金法でカバーされており、SOCSO のメンバーになることを免 除されている。外国人労働者は、1952 年労働者災害補償法でカバーされている。 1 名以上の労働者がいる組織ではすべて、SOCSO のふたつの枠組みのいずれか を付保しなければならない。拠出金は、保険者の賃金及び事故の危険度による。 税込月収 RM3,000 以上の者、使用人、服役者、矯正学校、稲作労働者には、同 法の規定は適用されない。従業員が SOCSO のメンバーに一旦なると、月収が 規定額を超過しても、拠出金を支払い、保険が継続される。賃金が規定より多 い被雇用者の場合、雇用者が代わりに拠出金支払いに同意すれば、SOCSO のメ ンバーになる選択ができる。 SOCSO には、「雇用障害保険」と「就労不能年金」のふたつの枠組みがある。 (1) 雇用傷害保険により、労働者は SOCSO 保険医あるいは公立病院の診療所で の治療を受けられる。4 日以上仕事ができないと証明された場合には、治療 休暇の間、一時的な作業不能手当が受けられる。永久的に身体障害者にな 15 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 ったと証明された場合は、一時金か毎月の年金を受け取れる。業務に関連 した事故で死亡した場合、扶養家族は、葬儀代と毎月の手当を一定期間受 け取れる。拠出金は、被雇用者の賃金の約 1.25%であるが、すべて雇用者 が負担する。 (2) 就労不能年金により、SOCSO に最低期間拠出金を払っていた労働者は、医 療上の理由の如何にかかわらず、就業不能と証明されれば、55 歳まで年金、 補助金あるいはその他の手当を受け取れる。被雇用者は、継続的な付添人 手当、リハビリ手当、遺族手当、葬儀代を受け取れる。拠出金は、賃金の 約 1%で、労使が折半する。 1952 年労働者災害補償法は、雇用者が自身及び外国人労働者の補償保険を掛け ることを要求している。保険は政府が指定する保険会社の、外国人労働者補償 スキームを付保できる。本法は、私企業の雇用者が、責任保険に加入すること を要求している。また、外国人労働者が業務中、事故に会ったり、雇用に関連 する病気に罹ったりした場合の補償も規定している。更に、重大事故の際の、 外国人労働者の扶養家族に対する補償も規定している。外国人労働者の雇用者 は、労働者一人当たり年間 RM86(リンギット・マレーシア)に 5%のサービス 料を加算した保険料を払う責務がある。事故が発生した場合、雇用者は 10 日以 内に、労働局に通知しなければならない。 *参考:Social Security Ornagisation(SOCSO), ”Contribution”, http://www.perkeso.gov.my/, Accessed on 30 June 2008 1.4.2 雇用保険 マレーシアには失業手当や失業者に対する社会的援助に関する法規はないが、 政府は、失業者研修制度(SLPD)や新卒者訓練制度(SLG)を通じて、雇用機 会を増やすと共に、労働市場に良質な労働力を供給するための、一時的な行政 措置を取った。 (1) 失業者研修制度(SLPD) 失業者研修制度の目的は失業者の技能を高め、労働市場での就労機会を増 やすことで、1998 年に初めて導入された。特定産業から解雇された労働者 は参加資格があり、訓練費用及び手当は全額を人材開発基金(Human Resource Development Fund:HRDF)が負担する。訓練コース費用は、 全額、人材開発公社(Pembangunan Sumber Manusia Berhad:PSMB) が負担する。更に、失業以前の賃金の半額を基本に、月 RM200〜500 の手 当が参加者に支払われる。 (2) 新卒者訓練制度(SLG) 新卒者訓練制度は 2001 年に導入され、職のない新卒者を政府が援助する ものである。2003 年以後の学位取得者で、最低 6 カ月の学業を修了し、 修了後に就労しなかった者が有資格者である。情報通信技術、英語、経営 者開発、マーケティング、企業会計、財務計画、福祉管理、旅行ガイド、 イベント管理、事業家訓練コースなどが、全日 6 カ月以上行われる。訓練 16 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 コース費用は全額人材開発公社が負担する。更に、参加者には、月 RM500 が 6 カ月間支給される。 *参考:Ministry of Human resources, “Labour Market Report 2001”, Pembangunan Sumber Manusia Berhad (PSMB) “Graduate Training Scheme/05”, http://www.hrdnet.com.my/slg3/pl_05/panduanBI.html, Accessed on 30 June 2008 1.4.3 健康保険 健康保険に関して、政府はこれまで言及はしているものの、現在のところマレー シアは包括的な国民健康保険制度を有していない。ほとんどの企業は労働者のた めに何らかの健康保険を導入しているが、補償の限度と包括性については企業に より大きく異なっている。同時に、個人で私的な健康保険に加入するものが増加 している。 他方で、外国人労働者は、1952 年労働者災害補償法のもとで公布された 2005 年外国人労働者補償制度(保険)規則により保障されている。本法により、すべ ての雇用者は、雇用する外国人労働者に保険を掛け、かつ労働時間内及び労働時 間外の事故による負傷に対して補償の支払いを要求されている。 1.5 職業能力開発法令 1.5.1 職業能力開発制度 1989 年人的資源省の下に国家職業訓練協議会(National Vocational Training Council:NVTC)が設立され、技術、経済発展のニーズに対応する技能訓練戦 略及び計画を促進し、技能証明と共に、全公共訓練所の職業、産業訓練活動な ど、広範囲に制度を発展させる調整を行っている。更に、既存技術、将来的技 術に対する需要評価を行うと共に、将来の職業、産業ニーズ及び国家職業技能 基準(National Occupational Skill Standards:NOSS)を認定している。2006 年、NVTC は技能開発局(Department of Skills Development:DSD)と名称 が変更された。 雇用前の技能訓練実施を管轄する機関は、人的資源省労働局、高等教育省、教 育省技術教育局、青少年スポーツ省、企業家育成省傘下の原住民信託評議会 (Majlis Amanah Rakyat:MARA)、クアラルンプール大学などである。 ・ 人的資源省は、現在 21 の産業訓練協会(Industrial Training Institutes:ITIs) を運営している。ITI は、機械、電気、建設、印刷分野の研修生制度を含め た、基礎、中級、高級レベルでの雇用前技能訓練プログラムを実行し、認定 書 を 発 行 し て い る 。 同 省 は 更 に 、 高 級 技 術 訓 練 セ ン タ ー ( Center for Instructors and Advanced Skills training:CIAST)を運営し、有能な技能 指 導 者 育 成 の た め の 国 立 指 導 者 訓 練 プ ロ グ ラ ム ( National Instructor Training Programme:NITP)を実施している。日本−マレーシア技術協会 は、学士、修士(Diploma, Advanced Diploma)レベルを対象にした高級技 17 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 術センターを、ジョホール、ケダ、マラッカ、セランゴールの 4 州で展開し ている。 ・ 高等教育省は、産業界に技能を有した人材を供給するため、高等技術学校 20 校、地域大学 34 校を監督している。中等教育以後のレベルで、自動車、フ ァッション、アパレル、ホテル、仕出し業など、エンジニアリング、商業及 びサービス部門での準専門職レベルの技能を与えることを目指している。 ・ 教育省は、職業技術校 90 校を運営し、産業界に技能を有する人材を送り出 している。 ・ 青少年スポーツ省は、7 カ所の青少年技術訓練センター、青少年上級技術訓 練センターで、基礎、中級、上級レベルの技能訓練を実施している。 ・ 原住民信託評議会(MARA)はマレーシア各地で 12 カ所の技能訓練協会を 運営し、マレー人(Bumiputra:ブミプトラ)を対象に、基礎、中級、上級 レベルのプログラム提供している。 ・ クアラルンプール大学は、ドイツ-マレーシア協会(GMI)、英国-マレーシア 協会(BMI)、マレーシア-フランス協会(MFI)など上級技能訓練協会の運 営の調整を行っている。 企業が自分達に必要な訓練に関しもっと大きな役割を果せるよう、政府は、2 つ もプログラムを導入した。育訓練促進控除倍額(Double Deduction Incentive for Training:DDIT)政策と人的資源開発基金(Human Resource Development Fund:HRDF)である。 1957 年の独立以降、マレーシアは多大な資源を、恒常的に教育及び訓練分野に 投入してきた。 人的資源省、高等教育省、教育省、青少年スポーツ省及び原住民信託評議会(The Council of Trust for the Indigenous People : MARA)といった様々な官公所管 の元での訓練施設の設立と実施の法的手続きの他に、マレーシア政府は、民間部 門において企業及び諸機関がマレーシアの職業能力開発への寄与を奨励するた めに種々の財務的規則と指示を策定している。 この点において主要な法規は、税制上の優遇措置及び強制的課税の形式をとって いる。これらを列挙すると、投資課税控除、輸入税・売上税・物品税の課税免除 及び種々の形態をとる同額又は倍額の課税控除である。マレーシアにおける職業 能力開発の振興を目的として導入された主要な課税優遇措置は、以下のとおり: (1) 投資課税控除 技能訓練あるいは職業訓練施設を設立する企業は、10 年間にわたり 100%の 投資課税控除が可能となる。この課税控除は、各年度の課税対象所得の 70% に対して相殺することができる。未使用の控除分は、控除分のすべてが適用 されるまで次年度以降に繰越が可能である。技能訓練あるいは職業訓練を提 供している既存の企業に関しても、訓練用設備あるいは訓練施設の収容能力 を改善するために新規投資を行なう場合、この優遇措置を受ける資格がある。 2005 年 10 月 1 日より、優遇措置の適用対象が以下のとおり拡大されている: 18 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 ・ 科 学 分 野 に お け る 民 間 高 等 教 育 機 関 ( Private Higher Education Institutions :PHEIs) ・訓練用設備あるいは訓練施設の収容能力を改善するために新規投資を行な う、科学分野における民間高等教育機関(PHEIs) (2) 産業用建物特別控除 認可された産業、技術及び職業訓練に使用される建物への支出が発生した企 業は、適格となる建物の建設あるいは購入のための資本的支出に関して、10 年間にわたり 10%の特別年次産業用建物控除を請求することができる。 (3) 教育用器具に係わる課税免除 認可済みの訓練施設、企業内訓練プロジェクト及びすべての民間高等教育機 関は、訓練場、スタジオ施設及び語学実習教室のための実習器具を含むすべ ての教育器具に対する輸入税、売上税及び物品税の免税措置が受けられる。 (4) 特許権使用料に係わる税額控除 教育省により認可された、フランチャイズ形式の教育プログラムに関して、 教育機関から非居住者(フランチャイズ本部)に対して支払われた特許権使 用料は、課税控除の対象となる。 (5) 認可済み訓練に係わる倍額控除 人材開発基金(The Human Resource Development Fund :HRDF)に寄付 を実施していない製造業及び非製造業の企業は、認可済みの訓練により発生 した費用に関して倍額控除の資格がある。製造業部門における訓練は、企業 内あるいは認可済み訓練施設で実施が可能である。しかし非製造業部門にお いては、訓練は認可済み訓練施設のみで実施されなければならない。当該訓 練が認可済み施設で実施された場合、この措置への承認は自動的なものとな る。 ホテル及び旅行業に関して、観光業界における技能及び専門的能力水準の向 上を目的とした訓練プログラムは、企業内あるいは認可済み訓練施設で実施 されるものも観光省による認可を受けなければならない。 (6) 未就業の新卒者に対する訓練制度に係わる優遇措置 新卒者の雇用適性向上への民間部門の支援を奨励するため、上場企業及び未 上場企業の双方は証券委員会の監督の下、証券委員会により支援された未就 業の新卒者訓練プログラム参加者に対して支払われた手当てに関して、倍額 の課税控除の資格が与えられる。この制度には、企業の社内研修プログラム も含まれる。 この優遇措置は、2006 年 9 月 2 日から 2008 年 12 月 31 日まで効力を持ち、 課税控除は 3 年の期間中与えられる。 (7) 雇用の事前訓練に係わる税額控除 被雇用者の業務開始前に発生した訓練費用に関しては、同額の課税控除の資 格が与えられる。ただし、企業は訓練生を雇用することを証明しなければな らない。 (8) 被雇用者以外の訓練に係わる税額控除 19 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 企業の被雇用者ではない住民に対して実施された実務的な訓練において発 生した費用は、同額の課税控除対象とみなされる。 (9) 寄付金に係わる税額控除 主として、非営利目的で国家機関により設立、維持されている技能訓練ある いは職業訓練施設に対する寄付金は、同額の課税控除対象となる。 *出典:Malaysian Industrial Development Authority, http://www.mida.gov.my/b eta/view.php?cat=3&scat=6&pg=124, Accessed on 25 June 2008 職業能力開発促進のために導入された最も重要な徴収措置は、人材開発基金 (HRDF)である。当基金は、1992 年人材開発法のもとで設立された。当 基 金 は 、 人 的 資 源 開 発 協 議 会 ( The Human Resources Development Council :HRDC)により管理運営されているが、同協議会は、2001 年人材 開 発 公 社 法 以 降 、 人 材 開 発 公 社 ( Pembangunan Sumber Manusia Berhad :PSMB)として知られている。製造業及びサービス部門の大多数の 企業(零細企業を除く)は、被雇用者の月次賃金の1%を人材開発(HRD) 課徴金として納付しなければならない。 (10) 人的資源開発基金(Human Resource Development Fund:HRDF) 人的資源開発協議会(Human Resource Development Council:HRDC)に より設立、監督され、私企業の経営者の業務上の必要性と、国の工業化戦略 に応えるために、従業員の技能向上を奨励している。HRDC は現在、人材開 発公社(Pembangunan Sumber Manusia Berhad:PSMB)として知られて いる。 以下の特定サービス産業の企業で従業員数が 10 人以上の場合には、従業員 の月収の 1%を人的資源開発基金(HRDF)に拠出しなければならない。 (特定サービス産業) ホテル、国内旅行会社、海運、空輸、電気通信、コンピュータサービス、広 告、郵便・宅配・運送業、私立の上級教育、訓練・エネルギー部門、直販、 港湾サービス、エンジニアリング・補修サービス、研究開発、倉庫業、警備 サービス、私立病院、ハイパーマーケット、スーパーマーケット、百貨店 同様に 50 人以上のマレーシア人従業員のいる製造業の企業、従業員数 50 人 以下 10 人以上で払込資本金 RM250 万以上の企業の場合も従業員月収の 1% を拠出しなくてはならない。 人的資源開発基金(HRDF)は、徴収と支給を基本に運営されており、拠出 金を最低 6 カ月払った雇用者は、マレーシア人従業員の訓練で生じた費用の 一部を基金から受給する資格がある。払戻し金額は、訓練の種類と会社規模 により異なる。支給対象となる技能訓練の種類は、専門的技能、工芸技能、 品質・生産性関連技能、コンピュータ関連技能、その他海外研修などで再訓 練し技能の向上を図ること、訓練器具の購入、訓練質の設置、コンピュータ ソフトの購入、研修制度、私立高等教育機関(Institusi Pendidikan Tinggi Swasta:IPTS)講師によるエンジニアリング、コンピュータ、医療、技術 分野訓練。 20 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 特定の産業での訓練を受けた技能労働者の不足問題を解決するために、1966 年、人的資源開発協議会(HRDC)が研修生制度を発案、実施した。研修生 基金は、人的資源開発協議会が始めた研修生制度の授業料に使われる。すで に実施されたものには、メカトロニクス、ホテル、産業機械、プラスチック 注入成型、工業用ミシン、IT、工具・型メーカー、家具、多様な輸送機器の オペレータ研修などがある。 1.5.2 職業能力評価制度 国家技能資格制度は 1993 年にマレーシアで導入された。5 段階の認定レベルが あり、国家職業訓練協議会(NVTC)が維持管理する。協議会は、国家職業技能 基準(NOSS)を発展させ、実際の現場での需要に確実に対応できるよう求めて いる。 国家職業技能基準(NOSS)による条件のもとで技能を身に付けたという証明が できる技能労働者は、マレーシア技術標準資格(Sijil Kemahiran Malaysia: SKM)を申請することができる。 認定センターによる資格の保証に関連して、国家職業訓練協議会(NVTC)は、 評価者、内部確認者、外部確認者という 3 つの段階に分けた資格評価及び保証 を行っている。 2002 年には、技能労働者不足解消を目的として、外国人労働者の雇用政策が改 定された。マレーシアにおいて 5 年の労働経験のある外国人労働者は、NVTC 及び外国人労働者技能認定(Perakuan Kemahiran Pekerja Asing:PKPA)を 基にした建設産業開発局(Construction Industry Development Board:CIDB) による技能労働者認定を受ける資格が得られる。この認定を得ることで、5 年の 雇用延長が可能となり、最大 10 年まで延長することが可能。 *参考:Economic Planning Unit(EPU), “Chapter 4, Population, Employment and Human Resource Development”, http://www.epu.jpm.my/New%20Folder/development%20plan/mtr/mtr%20rm 8/chapter4.pdf, Accessed on 30 June 2008 国家認定審議会のマレーシア資格庁への改組にともない、五段階の技能証明制度 はマレーシア資格体制のもとで現在、より広範な学術資格制度との統合がなされ ている。 1.6 その他の雇用労働関係法令 1.6.1 職業紹介制度 マレーシア政府は、全国各地で運営されている労働局の事務所を主体とする職業 紹介制度を有している。各労働事務所は、人的資源省労働局の各事務所の一階に 設置されている。求職と求人の双方は、労働局の事務所で登録が可能である。 1.6.2 外国投資法により進出した企業で、海外から招聘され就労する者の労働許可条件 21 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 マレーシア半島では、内務省が技能、準技能及び非技能の分類により外国人労働 者の雇用に関する許可権限を持っている。サバ、サラワク及び連邦領ラブアンで は、外国人労働者雇用の免許及び許可割当は、それぞれ労働局及び外国人労働者 委員会から取得する必要がある。外国から招聘された者の雇用に関する許可を得 るため民間職業紹介所のサービスを希望する企業は、これらの紹介所が 1981 年 民間職業紹介業法のもとで規制されており、労働局からの免許取得の必要がある ことに注意を要する。 マレーシアへの移民を律する主な法律は、1959 年/1963 年移民法で、マレーシア への出入国許可、到着、出国時の手続、法律違反及びサバ、サラワク州に対する 特別措置を規定している。 外国企業は、職務に適したマレーシア人が不足している場合にのみ、必要な人 員を連れて来ることができる。しかし、マレーシア人を訓練する努力も行わな くてはならない。雇用許可証申請を審査する際、移民局及びその他の認可機関 は、下記項目を基準にする。 (1) 駐在員ポストの正当性 (2) 会社の払込資本金 (3) 会社の株式構成 重要ポストに駐在員を連れてくる際の、遵守すべきガイドラインは、以下のと おり。 (1) 払込資本金が 2 百万米ドル以上の会社は、重要ポストを含めた 5 名の駐在 員枠が自動的に与えられる。必要であれば駐在員追加ポストも申請できる。 (2) 払込資本金が 2 百万米ドル未満の会社は下記を基準に駐在員ポストが考慮 される。 (a) 外国払込資本が RM50 万の場合。 (b) 専門資格や経験が必要な幹部ポストに、10 年間を限度に駐在員の雇用 が認められる。ただし、最終的にマレーシア人が同ポストに就けるよ う、訓練を行うこと。 (c) 技能や経験が必要な非幹部ポストには、5 年を限度に駐在員の雇用が 認められるが、最終的にマレーシア人が同ポストに就けるよう訓練を 行うこと。 労働許可証を申請するためには、雇用者は、労働許可証の申請を扱うマレ ーシア移民局と連絡を取る必要がある。労働許可証には 2 種類あり、2 年 間有効の雇用パスと 1 年間有効の訪問パスの 2 種類がある。 *参考:Lawyerment.com, “Immigration Law”, http://www.lawyermen t.com.my/library/doc/imgr/, Accessed on 30 June 2008 1.6.3 海外から招聘され就労する者の加入義務のある制度 半熟練、未熟練労働者の雇用を希望する外国企業は、業務の性質が限定された 分野である場合のみ雇用が許可される。当該分野での就業を許可される個人労 働者は、特定の国の出身に限られる。 22 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 半島マレーシアでは、内務省が熟練、半熟練、未熟練の外国人労働者の雇用を 承認する官庁であるが、サバ、サラワク、ラブアン連邦領の場合には、労働局 及び外国人労働者委員会のそれぞれから、外国人労働者を雇用するライセンス 及び承認割当を取得する。 外国人労働者を雇用できる条件は時により変更され、承認が得られるかどうか は、それぞれのケースにより異なる。資格を持つ現地民、永住者を雇用する努 力が実らなかった場合のみ、外国人労働者の雇用申請が考慮される。 承認取得後、雇用者は移民局に訪問パス(一時雇用)申請手続きを行う。申請 が受理された場合、移民局は労働者の母国の大使館に通知し、大使館はそれに 基づき参照ビザ(Referred Visa VDR)を、外国人労働者に発行する。マレーシ アに入国後、1〜2 カ月以内に移民局が発行する書式を使用し、年次強制的健康 診断プログラムで、外国人労働者の健康診断を行うことを政府が認めた施設で 健康診断を受けなければならない。その後、移民局は訪問ビザ(一時雇用)を 雇用者に発行する。 真に必要な場合以外の外国人労働者の雇用を防ぐため、農業労働者及び使用人 の場合は年間 RM540、他の分野では更に高額な賦課金が課される。 【参考文献】 (a) 文書(印刷物)となっている参考文献: 1. International Law Book Services. Children & Young Persons (Employment) Act 1966 (as at 1.6.2002.) 2. International Law Book Services. Employees Provident Fund Act 1991 & Regulations and Rules (as at 5.1.2008). 3. International Law Book Services. Employees' Social Security Act 1969 & Regulations and Rules (as at 20.7.2006). 4. International Law Book Services. Employment Act 1955 & Regulations and Order (as at 5.7.2007). 5. International Law Book Services. Factories and Machinery Act 1967 & Regulations and Rules (as at 10.11.2006). 6. International Law Book Services. Immigration Act 1959/63 (Act 155)/Passports Act 1966 (Act 150) (as at 25th March 2003) 7. International Law Book Services. Industrial Relations Act 1967 & Rules and Regulations (as at 15.1.2007). 8. International Law Book Services. Occupational Safety and Health Act 1994 and Regulations and Orders (as at 5.4.2007). 9. International Law Book Services. Pembangunan Sumber Manusia Berhad Act 2001 and Regulations (as at 25.7.2001) 10. International Law Book Services. Private Agencies Act 1971 and Rules 1970 and Private Employment Agencies Act 1981 & 23 Regulations 1981(as at 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 10.11.2003). 11. International Law Book Services. Trade Unions Act 1959 & Regulations (as at 20.3.2006). 12. International Law Book Services. Weekly Holidays Act 1950 & Holidays Act 1951 (as at 5.1.2004). 13. International Law Book Services. Workers' Minimum Standards of Housing and Amenities Act 1990 (Act 446) (as at 10.10.2003). 14. International Law Book Services. Workmen's Compensation Act 1952 (Act 273) & Regulations and Orders (as a 20.3.2007). (b) 関連機関の公式ホームページ: 1. Attorney General s Chambers, http://www.agc.gov.my, Accessed on 30 Jun e 2008 2. Department of Labour, Ministry of Human Resources Malaysia, http://jtks m.mohr.gov.my/, Accessed on 30 June 2008 3. Department of Statistics Malaysia, http://www.statistics.gov.my/, Accessed on 30 June 2008 4. Employees Provident Fund, http://www.kwsp.gov.my, Accessed on 30 June 2008 5. Human Resources Development Berhad (PSMB), http://www.hrdnet.com.m y/eng.html, Accessed on 30 June 2008 6. Immigration Department of Malaysia, http://www.imi.gov.my, Accessed on 30 June 2008 7. Industrial Court, Ministry of Human Resources, http://www.mp.gov.my/ind ex.php, Accessed on 30 June 2008 8. Inland Revenue Board, http://www.hasil.org.my, Accessed on 30 June 200 8 9. Malaysian Employers Federation, http://www.mef.org.my, Accessed on 30 June 2008 10. Malaysian Industrial Development Authority, http://www.mida.gov.my, Acc essed on 30 June 2008 11. Malaysian Trade Union Congress, http://www.mtuc.org.my, Accessed on 30 June 2008 12. Ministry of Education, http://www.moe.gov.my, Accessed on 30 June 2008 13. Ministry of Higher Education, http://www.mohe.gov.my, Accessed on 30 Ju ne 2008 14. Ministry of International Trade and Industry, http://www.miti.gov.my, Acc essed on 30 June 2008 15. Ministry of Youth and Sports, http://www.kbs.gov.my, Accessed on 30 Jun e 2008 16. National Institute of Occupational Safety and Health, http://www.niosh.co 24 国名:マレーシア (調査大項目 1:雇用労働関係法令) 作成年月日:2008 年 6 月 30 日 m.my/, Accessed on 30 June 2008 17. Public Service Department, http://www.jpa.gov.my, Accessed on 30 June 2 008 18. Social Security Organisation, http://www.perkeso.gov.my/, Accessed on 30 June 2008 (c) その他のインターネット上の情報源: 1. Department of Labour Sabah, "Labour Ordinance Sabah", http://jtksbh.mo hr.gov.my/ordinance2.html, Accessed on 30 June 2008 2. Department of Occupational Safety and Health Malaysia, “ACT 139, FAC TORIES AND MACHINERY ACT 1967 (REVISED - 1974), PART III - P ERSON IN CHARGE AND CERTIFICATES OF COMPETENCY, Section 28. Young persons”, http://dosh.mohr.gov.my/koperat/LAW/Factories%20an d%20Machinery%20Act%201967%20(Act%20139)/a0139s0028.pdf, Accessed on 30 June 2008 3. Economic Planning Unit(EPU), "Chapter 4, Population, Employment an d Human Resource Development", http://www.epu.jpm.my/New%20Folder/d evelopment%20plan/mtr/mtr%20rm8/chapter4.pdf, Accessed on 30 June 20 08 4. Laweyermen.com, "Workmen's Compensation", http://www.lawyerment.com. my/library/doc/empl/fr/1000000-2.shtml, Accessed on 30 June 2008 5. lawyerment.com, "WHAT DOES THE INDUSTRIAL RELATIONS ACT 19 67 PROVIDES ?","Employment law, Dispute", http://www.lawyerment.com. my/library/doc/empl/dspt/, Accessed on 25 June 2008 6. Lawyerment.com, "Immigration Law", http://www.lawyerment.com.my/libra ry/doc/imgr/, Accessed on 30 June 2008 7. LawNet, http://www.lawnet.com.my/lawnetPublic/, Accessed on 30 June 20 08 25
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