オペレーションマネジメント: L`Oréal の事例

ARC WHITE PAPER
By ARC Advisory Group
DECEMBER 2008
オペレーションマネジメント: L’Oréal の事例
概要 ........................................................................................ 3
オペレーション管理の導入成功の秘訣 ................................................. 4
導入の背景 .......................................................................... 4
アプローチ............................................................................ 5
ベンダー選定 ........................................................................ 5
プロジェクト: パイロットサイトとロールアウト ...................................... 6
ISIS 使用拠点でのワークプロセスの例 .......................................... 8
導入効果 ............................................................................. 9
まとめ ................................................................................. 10
THOUGHT LEADERS FOR MANUFACTURING & SUPPLY CHAIN
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SAP
Handling
TerminalTerminal
Portable PF Shipping
AC storage
FlexNet
Administrative
Receiving
Reception
FlexNet
Physical
Reception
Reception
MP storage
FlexNet
Processing Station
Weighing Station
Weighing
FlexNet
Processing FlexNet
Quality
Qualité
Lab Station
SAP
Quality
FlexNet
to block
specific HU
Line Station FlexNet
FlexNet
Line Station
Slide 2
detail of supply
Staff Station
Packaging FlexNet
Planning Station
Staff UP
Planning
FlexNet
& SAP
SAP
ISIS オペレーション管理ソリューションの概要
エンタープライズ / ビジネス
オペレーション
インバウンド
サプライチェーン
& 物流
生産/工場
設計
顧客との連携
オペレーション
Operations
管理
Manage
管理 ment
Systems
アウトバウンド
サプライチェーン
& 物流
工場/
生産
マニュファクチャリング
装置 &
Automation
エンジニアリング
オートメーション
Systems
製造における柔軟性の高いコラボラティブな生産システム
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概要
L’Oréal (化粧品業界における世界的リーダー企業) は、世界の全工場を統合するオ
ペレーション管理ソリューションの導入を進めています。L’Oréal は、この導入によって、
同社がテクノロジーとユーザーフレンドリーの両方の点から、先進的なグローバル IT
ユーザとして位置づけられるものと考えています。リスクとコストを抑え、すばやく効果
を得るため、拠点ごとに 一般的な「コア」モデルを採用して ERP (SAP) と OM (Apriso の FlexNet) を統合して導入しました。
「コア」モデルは、世界中の各工場でアプリケーションと
用語
ベストプラクティスの両方を導入して、物流管理を含むサ
MES とは (この呼び名は若干廃れた感もありますが)、
プライチェーンマネジメント、生産管理および品質管理を
ISA95 基準で定義された特定の機能のサブセットを
指しています。
L’Oréal では、製造および「業界」物流オペレーションが
完全なオペレーション管理ソリューションの中で
モデル化され自動化されています。
最適化します。ベストプラクティスは、拠点を監査し、必
要なプロセス変更を定義し導入する「ビジネスオーナー」
が管理します。各向上での管理と人員が新規プロセスの
導入を主導します。L’Oréal ではオペレーション責任
ビジネスオペレーションは ERP によってモデル化され
者がハイレベルでこの管理プログラムの正確な変更
自動連携されています。
を指揮し、ソリューションの受入を成功されること
L’Oréal では、製造と物流が
が企業の命題となっていました。各導入は業務担当
同じ「オペレーション」ユニットの
一部となっています。
者と IT 担当者で構成された混合チームが担当し、
多様な業務に対応しました。IT はソリューションの
システムデザイン、導入、管理、サポートを行うに
あたって重要な役割を果たします。
導入の結果、システムを導入した拠点では品質とトレーサビリティを最適化する生産
工程を実現すると同時に、人員とクライアントのセキュリティを保証することができるよう
になりました。トレーサビリティとサプライチェーン情報の把握がリアルタイムで実現で
きるため、ビジネス環境の変化に迅速に対応するシステムが構築されました。
Apriso の FlexNet オペレーション管理ソリューションは、カスタマイズ不要ですぐに使
える、リアルタイムな倉庫管理、物流管理、生産管理、品質管理を実現します。
L’Oréal が必要としていた、コアモデルアプローチに対応した柔軟な製造管理プラ
ットフォームを提供しています。
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オペレーション管理の導入成功の秘訣
L’Oréal の製品を使用したことのない、あるいは社名を聞いたことのない人はいないで
しょう。L’Oréal の経営理念はその社名や製品ほど有名ではありませんが、同社の成
功を支え、また、統合オペレーション管理の導入の成功をも支えています。L’Oréal は、
すべての人が美を熱望すると信じ、世界中の男女の個々の希望の実現を支援するこ
とが自社の使命だとしています。さらに、その信念を顧客だけでなく、社員、社会、環
境に適用します。L’Oréal のオペレーション CIO の Jacques Playe 氏は「健康や幸福
を売るなら、自身が地球上の健康や幸福の一部でなくてはならない」と言います。
L’Oréal のすべての活動は、この哲学に基づいて行われます。
L’Oréal の理連
L’Oréal は、顧客はもちろん、従業員、
社会および環境に至るまで、
自社の理念を一貫してします。
「安全(well-being)を売るものこそが、
地球の安全(well-bing)の一部を
成しているといえるのです」
L’Oréal 社 CIO for Operations
Jacques Playe 氏
•
人々の安全と環境の保護
•
製品品質を完全保証
•
プロセスとパッケージにおけるイノベーション
•
行き届いた最高級のサービスと製品市場到達の最短化
•
生産、物流コストと投資の最小化
導入の背景
L’Oréal は、単純なオペレーション管理システムを導入するのではな
く、オペレーションの必要条件を満たす統括的な展望に基づいたソリ
ューションを導入したいと考えました。グローバルにおける多様な既
存プロセスとの持続性を保持すると同時に優位性を高めるためには、どのように統合
ERP 運用管理ソリューションを設計し導入すればよいかなどの課題も含まれており、
以下が必要条件となっていました。
•
オペレーションモデルのグローバルな一貫性を保証するプラット
プロセスの最適化を最優先
フォームを形成する統合ソリューションとなる IT インフラを整備するこ
多くの場合、非能率的なプロセスが
と
そのまま自動化されています。
•
製造を管理するため、オペレーション全般にわたるリアルタイム
しかし、L’Oréal では、まずオペレーション
の見える化とトレーサビリティを実現すること
プロセスが最適化され、次に、そのプロセ
•
スが統合ソリューションの中で果たすべき
役割が決定されました。
品質や、ISO14001 などへの準拠を保証する生産および物流管
理を実現すること
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L’Oréal はこのソリューションを、エジプトの女神の名前にかけて、また、「Integrated
Solutions Industrial System 」の頭文字をとって「ISIS (イシス)」と名づけました。完全
性と完成性、分散された情報を収集し首尾一貫したシステムへと統合するソリューショ
ン の 位 置 づ け を 強 調 す る た め に 、 専 用 の ロ ゴ も 作 成 さ れ ま し た 。 ま た 、 ISIS は
「Innovation (革新)」「Simplicity (シンプル)」「Integration (統合)」「Support (支援)」
をも表しています。
アプローチ
個々の主要ビジネスプロセスについては、「ビジネス
オ ー ナ ー (BO) 」 が 要 件 を 定 義 し ま し た 。 BO は
L’Oréal のオペレーション管理チームで構成されます。
各エリアにおける「オペレーション BO (OBO)」が BO をサポートします。BO または
OBO がパイロットサイトを監査し、各拠点の従業員や管理部門と一緒に、相互にやり
取りしながら導入の際に必要となるアクションアイテムの一覧を作成します。複数のプ
ロセスが導入される場合は、BO が定める要件に関連するすべてのプロセスを結成す
るにあたって、議論を繰り返す必要があります。拠点の管理者はプロセスの変更を適
用する際の責任者となります。ISIS 導入プログラムマネージャーの Stéphane de Peyrelongue 氏と Playe 氏は、このプロジェクトが業務工程と従業員の習慣の両方に変
化を与えた点に言及し、大きな「改革」であったと語ります。
オペレーション管理ソリューションの仕様は、プロセス設計の特定の要件によって決定
されました。
導入期間中は、各拠点の管理者とローカルキーユーザー (LKU: local key users) は、
BO と OBO を支援します。この連携によって、改革の管理、継続的な改善、情報交換
が促進され、拠点に企業全般のプロセスが根付くとともに、拠点固有に最適化された
プロセスも企業標準プロセスの中に組み込まれます。LKU の意見や懸念も吸い上げ
られます。
ベンダー選定
L’Oréal は、需給計画、人事および経理を含む企業内プロセス管理のシステムとして
以前から SAP を採用しており、オペレーション管理についても、既存の ERP システム
の機能を効率的に活用でき、かつオペレーションが容易なシステムを求めていました。
そのため、主に生産管理機能を備えた MES システムプロバイダとして知られるベンダ
ーが選定の対象となりました。L’Oréal は、最大の効果を得るため、拠点毎に導入で
き、かつ企業全体を統合する ERP-OM ソリューションを導入することを決定していまし
た。
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L’Oréal はまず、ERP に属する倉庫管理 (WM: warehouse management) 機能を検
討しましたが、集中サーバーでは 24 時間 365 日の稼働を保証できないこと、また、
L’Oréal が構築しようとしていたダイナミックなサプライチェーンでは、原材料の動きに
対する見える化と完全性が必要なことから、倉庫管理とその他のオペレーション管理と
の常時完全連携の機能が必要だったため、WM では十分な機能が実現できないこと
がわかりました。
WM では、ERP システムとの親和性以上に、ミスを削減し、指
ダイナミックな
グローバルサプライチェーン
L’Oréal のダイナミックなグローバル
サプライチェーンでは、
倉庫管理は生産管理と
リアルタイムに連携し、
同等の価値を持っています。
示の矛盾によるサプライチェーンの停止の発生を防ぐ機能を
提供できる機能が重要です。そのためには、各拠点のプロセス
に対応し、24 時間 365 時間稼働するリアルタイムのオペレーシ
ョン管理システムとの連携が必須です。この機能をカスタム開
発できることを前提として、ベンダー選定の作業が見直されまし
た。その時点で、多様な機能を備えたリアルタイムプラットフォ
ームを提供するベンダーとして Apriso が選出されました。
Apriso はこれらの機能を集中管理し、定義されたベストプラク
ティスをロールアウトします。今日、L’Oréal は、Apriso の FlexNet を採用し、オンサ
イトの生産管理、品質管理、トレーサビリティ、原材料の動き、倉庫管理などを行って
います。
プロジェクト: パイロットサイトとロールアウト
オペレーション管理においては、1 台のサーバーが開発の目的で、もう 1 台が生産管
理に使用され、ソースの完全性を保証しています。グローバルの ERP 開発とロールア
ウトにひとつの原則が用いられています。
パイロットサイトでは、ビジネスプロセスの分析と最適化が行われ、その後プロセスが
個々のタスクに分割され、システム設定が行われました。パイロットシステムの大部分
は現場で、IT のプログラムマネージャーの指揮の下、オペレーションと IT の担当者で
構成されるクロスファンクションチームによって開発されました。L’Oréal では、IT とオ
ペレーションの担当者が同じ場所にいることで、問題解決や質問への回答に要する
時間が最短に短縮されたといいます。それによって、パイロット開発のオペレーション
が短縮化され、わずか 9 カ月の期間で終了することができたということです。この期間
にはベンダー変更のプロセスも含まれます。
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平均して、プロジェクトは 70 の人員 (うち 30 人が FlexNet 専任) で実現されました。こ
れにはオペレーション、アプリケーション開発、ドキュメント作成、トレーニングが含まれ
ます。2 週間ごとのプロジェクトミーティングで、アプリケーション自体とプロセスの連携
がレビューされました。L’Oréal はプロジェクトを従来からのスタイルで管理し、2 週間
ごとのマイルストーンを設定して成果物を評価しました。プロジェクトの品質は各成果
物の詳細レビューと、BO および OBO による二次評価によって管理されました。拠点
向けのベータリリースのテスト運用で現場スタッフが新規に導入されたプロセスに慣れ
た後、正式版がリリースされました。BO と OBO は二次監査をリリースの 3 カ月前に行
い、最終監査をリリース直後に行いました。ERP の開発およびロールアウトと同様、
FlexNet アプリケーションが「コア」アプリケーションとなり、他の拠点に適用されるよう
になりました。
L’Oréal は、ロールアウトの工程で同様のプロセスを使用しました。プロセス分析と改
善はアプリケーション設定の 3 カ月前に行われます。すべての拠点には異なる状況が
あり、各拠点に適用するためにプロセスの変更が必要となるので、
オンサイトでの開発
同じロケーションで IT とオペレーション管理
のスタッフが連携することによって、パイロット
必ずそのようにしなければなりません。コアアプリケーションをベー
スとして拠点特有の設定を行うことによって開発期間が平均 7 か
月にまで短縮されます。
開発における課題と質問に関する議論にもタ
イムラグが発生せず、迅速に解決されます。
オンスケジュールの開発
異なるサイトに導入のコアモデルを
適用することによって、ソリューションの
導入が効率的に行われます。
ロールアウト過程の最初の 1 年間は、ヨーロッパとアメリカの 2 つ
のチームが別々の拠点で同様の導入作業を行っていました。現
在は、ISIS を使ったシステムの展開スケジュールも順調に進んで
おり、11 の拠点で稼動しています。2009 年中ごろまでには 60%
のグループで運用が開始されている予定です。L’Oréal によると、
拠点が稼動すると、プロセスが理論上完璧に設計されていても、
実際の業務プロセスの中での問題が明らかになるということです。
この問題は直ちに修正され改善されます。たとえば、非破壊検査
終了後の QC サンプルは完成品在庫として扱われます。もしシス
テムにこの情報が反映されていなければ完成品に関する情報が正確でなくなり、在庫
の実数とシステム上の数値に矛盾が生じることとなります。
最初のベータ版導入が終了すると、L’Oréal は早いペースで 2 件目から 5 件目まで
の導入を完了させました。L’Oréal はコアアプリケーションとかけ離れていくことを懸念
していましたが、ユーザのコメントや懸念が集められ、評価された結果、現在のコアシ
ステムにはそれらが反映され、最適化が行われています。この「バージョニング」修正
は、リソース状況に対応し BO の確認を得て導入されています。このプロセスよって、
ユーザによるソリューションの受け入れやソリューションの強化が効果的に行われてい
ます。
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ISIS 使用拠点でのワークプロセスの例
ISIS では生産計画は詳細生産スケジューラによって複数の拠点の情報が統合され、
SAP-APO モジュール内で構築されます。リアルタイムの情報に基づき、また、プロセ
スの迅速な処理が可能なため、生産スケジュールは 3 日前に変更することができます。
問題があった場合にも拠点のオペレーションを阻害しない柔軟性を実現することが目
的です。
現場オペレータの声
原材料が拠点に納入される際には識別されラベル付けされます。
あるオペレータは、自分の工程が正しい手順で
ラベルには原材料構成、履歴、ロット番号、供給者の ID が入力
処理されていることに自信を持てるため、
されます。テスト用のサンプルで検査が行われ、原材料の品質
安全に業務を遂行できると語っています。
別のスタッフは、オペレーションが以前よりシンプルに
が要件を満たしているかが確認されます。このロットの受入が決
なり、処理が早くなったと言い、仕事に自信を持ち
定すると、その結果がロット ID に追加され、生産のどのレベル
安心して働けるようになったといいます。
においても、このラベルをスキャンすればこれらの情報が確認で
きるようになります。このシステムは資材を蓄積するロケーション
で採用され、フォークトラックのドライバーに提示され、原材料在
庫が管理されます。
生産工程では、オペレータは生産指示書を開いて指示書を表示し、それに従って生
産を行います。システムは、生産開始に先立ってロットの原材料在庫をチェックし、オ
ペレータに対して個々の生産過程で必要となるガイドを提示します。オペレータが材
料を確認する際、システムは正しい材料であるか、また、品質基準を満たしているかを
確認します。このガイダンスによって、オペレータのミスに対する不安が解消され生産
プロセスが正確に実施することが可能です。生産プロセスの正確性を保証できること
で、生産性を大幅に効率化できます。特に各拠点で数百から数千に上る多様な指示
書が提示されている場合にはその効果は絶大です。
ISIS は、オペレータが指示書を確認する際、ビジュアルで確認できる機能を提供しま
す。材料の実消費量が自動的に記録され、在庫情報が更新されます。ID ラベルが印
刷され、製品に貼付されます。この ID はシステム内で原材料情報、その構成、量、そ
のロットの棚の位置などにリンクされています。
梱包工程に先立って、システムは設備と梱包資材の有効性と特性を確認します。シス
テムはフォークトラックドライバーにどの材料と製品を梱包ステーションに運搬すべきか
の情報を提供します。ステーションにこれらが到着すると、梱包のオペレータは材料を
スキャンし、指示書の手順を確認します。また、システムは ISO 基準への準拠を確認
する QC サンプルを既定し、品質チェックの数量を最適化します。この工程により、オ
ペレータは処理が正しく行われていることを確認できます。梱包ラインのオペレータに
対して行われたインタビューでは、システムがシンプルで使いやすく、情報検索にか
かる時間や、検索の必要性自体を削減し、結果として業務遂行におけるストレスが軽
減されたとのコメントが得られています。その他、システムは、リアルタイムの材料の動
向を含む製品出荷管理、受注管理、在庫管理の機能を提供します。
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導入効果
L’Oréal が報告している ISIS の導入効果は、同社の目的を確実に現実化しています。
特に、顧客と従業員のセキュリティが向上されたこと、生産および品質工程の厳格性
が高まりリアルタイムのオンライントレーサビリティが実現されたこと、業務環境の快適
さと安全性が向上されたこと、品質の高い製品を安定して消費者に提供できるように
なったことなどが報告されています。
ソリューション導入の効果
- 顧客と従業員のセキュリティを向上
- 生産管理、品質管理のプロセスの精度を向上
- リアルタイムのオンライントレーサビリティを実現
Playe 氏は、Apriso の FlexNet は、多くのプロ
セスをシンプル化することで L’Oréal に貢献して
いるといいます。グローバルな視点から見て、業
- オペレータの満足度を向上
務体系の多様性が大幅に解消され、グローバル
- 製品品質を向上
に点在する複数の製造拠点において企業全体
のベストプラクティスに沿った運用が実現され、
グローバルにおけるオペレーションエクセレンスを実現するという L’Oréal の目的に合
致しています。オペレーションの個々の業務は拠点ごとにシンプル化され、効率化さ
れます。たとえば生産ラインにおける製造指示書の処理の自動化や、その他生産管
理、品質管理、倉庫管理におけるタスクの自動化などが行われます。
シンプルなプロセスを構築することで、ERP-OM アプリケーションとの連携が促進され、
生産における直接的な効果だけでなく、OM の活用によって ERP をより効果的に利
用できるようになるという相乗効果も得られます。たとえば、実績と計画の不一致の削
減、原材料消費の低減、仕掛品の削減と完成品在庫の削減、生産工程全般における
無駄なプロセスの削減などが実現されます。
インテグレーションの効果
ERP-OM を並行してインプリメントすることで、2
- ERP の利用を促進、活性
ステップでの導入に比べて早期に効果を得る
- ERP と OM を統合したロールアウトにより、順次導入した場合
ことができました。さらに、L’Oréal は、ERP と
に比較して早期の成果達成、導入期間やコストおよびリスクの
OM ソリューションを別々に導入することにはコ
低減を実現
ストとリスクの増大を招く可能性があると強調し
ます。今回のケースでは、ERP と OM の同時
導入によって、L’Oréal の期待以上の効果が得られたといいます。
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まとめ
•
企業において大規模な IT 展開などの大きな改革を成功させるためには、実際に
改革を必要としている当事者に移行プロジェクトの指揮権を与えなければなりま
せん。拠点の管理者やスタッフなどがこの当事者にあたります。指揮権は、プロジ
ェクトのスポンサーがその役割を果たしている場合にのみ移管することができます。
このとき、IT は、サービスプロバイダーとして重要な役割を果たします。
•
「コア」モデルアプローチは、大規模なオペレーション管理の導入にあたって最も
有効なアプローチです。Apriso FlexNet はプロセスおよびベストプラクティスを的
確な把握とグローバルな展開を実現します。
•
ERP と OM ソリューションを並行して導入することにより、個別に導入した場合に
比べて大きな効果を得ることができます。
•
グローバル規模で、リアルタイムのオペレーションと倉庫管理、物流管理を実現す
る統合サプライチェーンを管理するためには、リアルタイムのアプリケーションと 24
時間 365 日の稼働性が要求されます。あるいは、少なくとも、OM ソリューションの
製造関連機能と同等のスペックが必要となります。このような OM アプリケーショ
ンは、ERP や PLM などの業務システムと密接に連携できなくてはなりません。
アナリスト: Valentijn de Leeuw
編集:
Greg Gorbach and Paul Miller
略語
その他詳細はこちらのサイトをご参照ください。
www.arcweb.com/Community/terms/terms.htm
BO
Business Owner (ビジネスオーナー)
CIO
Chief Information Officer (最高情報
責任者)
ERP
IT
ー)
(製造実行管理システム)
OBO Operational Business Owner (オペレ
International Standards Organization (国際標準化機構)
ーションビジネスオーナー)
OM
Information Technology (情報テクノ
ロジー)
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Local Key User (ローカルキーユーザ
MES Manufacturing Execution System
Enterprise Resource Planning (統合
業務パッケージ)
ISO
LKU
Operations Management (オペレーシ
ョン管理)
QC
Quality Control (品質管理)
WM
Warehouse Management (倉庫管理)
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RC Advisory Group (1986 年設立) は製造およびサプライチェーンソリューションにおけるリ
ーディングカンパニーです。豊富な業界知識と経験により、最も複雑な課題をもつ企業に対して
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ROA、パフォーマンス、TCO、タイムマネジメント、株式価値を向上させます。
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ーチは[Client]のスポンサーによって行われています。しかしながら、この文書に記載されたす
べての意見は、ARC のアナリストにより独自に作成されたものです。
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