東日本大震災における避難所活動の記録 平成24年2月 (財)ふくしま自治研修センター 目 目 次 次 ■ はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ■ 避難所の記録 避難所の概略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 避難所運営に携わって ~職員インタビューより~・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 施設利用の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3.11後のふくしま自治研修センター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 3 11 31 41 ■ ご支援ご協力いただいたみなさま ふくしま自治研修センターにご支援ご協力いただいたみなさま・・・・・・・・・ 「福大・医大ボランティア」のみなさん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 東京慈恵会医科大学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57 63 65 ■ おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 67 ■ 資料 (資料1)避難所職員の一日(平成 23 年 4 月上旬頃)・・・・・・・・・・・・・・・ (資料2)避難所の食事(平成 23 年 3 月 16 日~4 月 11 日)・・・・・・・・・・ (資料3)「がんばるふくしま」の事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (資料4)ふくしま自治研修センター避難所開設中の社会状況・・・・・・・・・ 70 71 74 78 「東日本大震災における避難所活動の記録」について ・当法人は、福島県内の自治体職員の研修のため、福島県と県内各市町村の出捐によって設立さ れた財団法人です。 ・この記録は、平成23年3月の東日本大震災に際して、ふくしま自治研修センターが開設した 一次避難所の運営記録です(開設期間:平成 23 年 3 月 16 日から同年 7 月 31 日まで)。 ・この記録では、職員の作成した文書や、新聞記事などから収集した情報に基づく記録に加え、 今後の福島県の方向性や職員インタビューを通して浮かび上がってくる避難所運営のあり方に ついても記載しています。 ・この記録は、ふくしま自治研修センターホームページにも掲載しています。 目 次 ■ はじめに ■ はじめに 早くも、東日本大震災が発生した平成23年3月11日から1年が経とうと しています。 当時、震災やその後の原発事故の影響により、被災地域から避難する人々は 日ごとに増えてゆき、当センターも、3月16日の日の夕方から避難者の方々 を受け入れることとしました。限られた時間の中での準備には大変なものがあ りました。実際に16日の夕方にはもう続々と避難者の方々が集まり始め、 18日には349名を数えました。そして、仮設住宅等が整った4か月半後の 平成23年7月末を以て避難所を閉鎖しました。 避難者の方々のお世話をするということは、職員にとって初めての経験であ り、しばらくの間は、悪戦苦闘の連続でした。その後、避難所運営は何とか軌 道に乗せることができましたが、これも避難者の方々の協力があってこそであ り、また、ボランティアや東京慈恵会医科大学の災害派遣チームの皆様、福島 県や他県からの応援職員の皆様、そして、ここではお一人お一人のお名前を挙 げることはできませんが、多くの皆様のおかげであったと、今も感謝の気持ち で一杯です。 今後、このような避難所を運営する機会が二度と訪れないことを祈っていま すが、災害は今後も日本のどこかで発生することは避けられないことと思いま す。一避難所の小さな記録でしかありませんが、東日本大震災に関する記録を 作成することは意味があるものと思い、避難所の記録を作成したところです。 最後になりましたが、東日本大震災により亡くなられた方々の御冥福を祈り、 また、今も避難されている方々が一日も早く故郷に戻ることができることを願 っています。 平成24年2月 財団法人ふくしま自治研修センター 所 1 長 木 戸 利 隆 ■ 2 はじめに ■ 避難所の概略 ■ 避難所の概略 ふくしま自治研修センターが運営した一次避難所に関するデータ、運営方針、避難 生活などの概要について記載しています。 掲載項目 ふくしま自治研修センター避難所のデータ 避難者数推移の概要 避難所の運営方針など 避難所生活の概要 避難所活動終了後のふくしま自治研修センターの事業実施状況 ■ ふくしま自治研修センター避難所のデータ ● 避難所開設期間 ・ 138 日間(平成 23 年 3 月 16 日~平成 23 年 7 月 31 日) ● 最大避難者数 ・ 349 名(平成 23 年 3 月 18 日) ● 最小避難者数 ・ 25 名(平成 23 年 7 月 31 日) ● 期間中の避難者数 1 日平均 ・ 126 名 ● 避難者一人あたりの平均滞在日数 ・ 29.4 日間 ● 開設期間中の入院、死亡、出生数 ・ 入院 11 名 ・死亡 0 名 ・出生 2 名(出産は外部の病院) ● 避難者の年齢構成 ・ 0 歳 ~19 歳 20% ・ 20 歳~64 歳 55% ・ 65 歳~ 25% ● 最長滞在者日数 ・ 136 日間 ● 避難者グループリーダー会議開催数 ・ 138 回 ● 避難者の出身市町村 ・ 南相馬市 323名(うち原町区 209名、小高区 75名、鹿島区 39名) ・ 飯舘村 151名 ・ 浪江町 54名 ・ 双葉町 26名 ・ 相馬市 9名 3 ■ 避難所の概略 ・ 大熊町 8名 ・ 富岡町 6名 ・ いわき市 3名 ・ 葛尾村 1名 ・ 福島市 1名 ・ 不明 1名 合計 583名 ● 運営に携わった職員など ・ ふくしま自治研修センター職員 所長以下 25 名(職員 23 名、舎監 2 名) ・ 災害支援でお手伝いいただいた自治体職員 延べ 149 名 (滋賀県 19 名、長崎市 3 名、群馬県 2 名、山口県 2 名、福島県 123 名) ・ 県事業(絆づくり応援事業)の活用による派遣社員雇用 3名 (平成 23 年 7 月 1 日~平成 23 年 7 月 31 日) ・ 警備、清掃、設備、給食の各業務の受託事業者 ・ ボランティアでご支援ご協力いただいたみなさま (支援内容等の詳細は「ご支援ご協力いただいたみなさま」の章をご覧ください) ■ 避難者数推移の概要 ふくしま自治研修センター 避難者数推移 (3月16日~7月31日) 人 400 300 200 100 0 03月16日 初動期 04月16日 05月16日 安定期 06月16日 07月16日 再避難期 ● 「初動期」 3 月 16 日~3 月下旬 ・ 原発事故が収束しない。 ・ 浜通り方面から避難者が一斉に移動してくる。 ・ この先どうなるのか見通しが立ちにくい。 ・ 当センターの避難者の出入りが激しい(滞在が短期)。 ・ 当センターの避難受入を「他の避難所で体調の悪くなった者」に限定 ● 「安定期」 3 月下旬~5 月中旬 ・ 二次避難所等への人々の移動が本格化し、センターの避難者が急激に減少 ・ 原子力発電所の事故そのものは落ち着ついてくる。 ・ 原子力発電所の事故そのものではなく、水、土壌、農産物などの放射能汚染が 4 ■ 避難所の概略 広範囲で問題となる。 ・ 警戒区域等の外側の地域でも高線量の場所があることが判明 ・ ある程度滞在が長期化してきて、当センターにいる避難者にも、職員にもやや落 ち着きがでてくる。 ● 「再避難期」5 月中旬~7 月末 ・ 二次避難所、仮設住宅、民間借り上げ住宅など次の避難先候補が充実 ・ 県内の一次避難所は順次閉鎖 ・ 新たに設定された計画的避難区域から 100 名以上の方々が当センターに避難 ■ 避難所の運営方針など ● 避難所運営の基本方針 ・ 避難者が二次避難所、仮設住宅など次のステップへ移るまで緊急避難的に滞 在する一次避難所 ● 避難所の立ち上げ ・初めの3日間でやったこと (3 月 17 日~3 月 19 日) ・生活環境の改善 男女別更衣室、子どもの遊び場、風呂の準備 など ・自治組織の立ち上げ ・次の3日間でやったこと (3 月 20 日~3 月 22 日) ・受入方針の変更 県全体での、自分達の施設の役割を考える。個 室のある当センターは、「誰でも受入」から「体調 を崩した者など体育館避難所では生活困難で保 健所から推薦のあった者のみ受入」へ方針変更 ・避難者の把握 避難理由、健康状態など職員による全戸聞きと り調査 ・避難所運営の安定化を目指す ● 避難者受入の基本方針 ・3 月 16 日~3 月 19 日 避難希望者は原則受入 ・3 月 20 日~5 月頃 原則受入終了。他の避難所で体調を崩すなど、 避難所を巡回している保健所より推薦のあった避 難者のみ受入 5 ■ 避難所の概略 ・5 月頃~7 月 31 日 飯舘村よりリストで提示のあった計画的避難による 避難者を受入 ● 避難者への部屋の割り当て方針 ・3 月 16 日~4 月 13 日 (宿泊室) 高齢者、小学校入学前の子ども、 体調の悪い方のいる世帯 (教室)(演習室) 上記以外の世帯 ・4 月 14 日~7 月 31 日 避難者数減少のため、教室・演習室の世帯を宿 泊室へ移動 ● 勤務態勢 ・3 月 16 日~5 月 31 日 (日勤)ふくしま自治研修センター職員 (以下センター職員) (夜勤)センター職員、応援の自治体職員 ・6 月 1 日~6 月 30 日 (日勤)センター職員、応援の自治体職員 (夜勤)ふくしま自治研修センター舎監 ・7 月 1 日~7 月 31 日 (日勤)センター職員、応援の自治体職員 派遣社員(県絆づくり応援事業活用) (夜勤)ふくしま自治研修センター舎監 ● センターから避難者へ求めたこと ・コミュニティの形成 入所している区画ごとにいくつかの避難者のグル ープをつくり、各グループごとにリーダーを互選。問 題や意見があれば、リーダーを通して、リーダー会 議で諮る。 ・グループリーダー 各グループリーダーは、毎朝 9:00~の「避難者グ ループリーダー会議」に出席し、避難所運営につ いて協議し、結果をメンバーに伝達 ・施設の共有部分 の掃除 グループの担当範囲と時刻を決めて廊下、脱衣 所、ホールなどの掃除を実施 ● 「計画的避難」による避難者の受入 ・飯舘村との打ち合わせ 6 月 7 日、飯舘村の避難者名簿で、避難者の介 護、疾病状況、就労状況、家族の状況などを確 認し、歩行に不安がある高齢者世帯をトイレの近く にするなど、部屋割に反映させた。 6 ■ 避難所の概略 ● 避難所閉所に向けた対応 ・入所期限説明会 5 月 17 日「入所期限についての説明会」を開催。 7 月 20 日が閉鎖予定日であることを連絡。二次 避難所移動や民間借り上げなど、避難者に今後 の生活再建のため、次の行動を促す。 ・意向調査 入所期限説明会を行うと同時に、二次避難先調 査を実施して、避難者の今後の予定(二次避難、 仮設住宅、借り上げ住宅等への移動予定)を確 認。避難者からの要望などについては、それぞれ の所属自治体へつなぐ。 ・退所期限延期措置 仮設住宅の準備が整わない等の理由で、自治体 より滞在延期の要請のあった避難者については、 退所期限を 7 月 31 日まで延期 ● 避難所閉鎖後の後始末 ・8 月 1 日~8 月 5 日 マットレス、カーテン、カーペット、椅子、寝具など 備品のクリーニング、交換 避難所活動による施設の毀損状況の確認、清 掃、不要物品の処分 ■ 避難所生活の概要 ● 食事 ・3 月 16 日~4 月 10 日 主に県災害対策本部から送られてくるパン、お にぎり、缶詰、ボランティアによる豚汁などの炊 き出しなど ・4 月 11 日~7 月 31 日 専門業者への委託による給食の実施 ● 風呂 ・3 月 11 日 地震のため機械室の配管破損、宿泊棟の浴場 使用不可 ・3 月 16 日 ボイラー室配管修繕工事実施で風呂が使用可 能に。 ・3 月 18 日 県北保健所と協議。長期間入浴していない人 が多いとのことから、感染症予防のため翌日か ら各階別に週 2~3 回入浴とする。 7 ■ 避難所の概略 ・3 月 19 日~4 月 24 日 風呂週 2 回 ・4 月 25 日~5 月 15 日 風呂週 3 回 ・5 月 16 日~7 月 31 日 毎日入浴可 ● 暖房等 ・3 月 18 日 暖房(暖房外気取り入れ方式)運転について は、放射能の不安から運転停止の申し入れが あった。 ・3 月 19 日~3 月 22 日 感染症予防のため、毎日 1 時間、換気扇のみ 運転 ・3 月 23 日 暖房試運転 ・3 月 24 日~ 暖房運転開始(朝 2 時間程度) ● 健康 ・東京慈恵会医科大学 ・3 月 22 日から 4 月 30 日まで医師・看護師が センター内に常駐滞在 ・期間中は、毎日午後 3 時から診察 ・福島県県北保健福祉事務 ・保健師巡回 所 3 月 20 日から 4 月 4 日まで 毎日 4 月 6 日から 7 月 29 日まで 概ね週 2 回 期間中の巡回 計 50 回 ・理学療法士巡回 4 月 4 日から 7 月 28 日まで 計 31 回 ・日本赤十字社、医師会、 ・当センター内で、臨時診察の実施 歯科医師会 ・大原綜合病院 ・当センターと大原綜合病院を往復するシャト ルバスを運行 ・健康調査 ・3 月下旬、慈恵医大作成の健康状況調査票 に基づき、職員が各避難世帯を訪問し、健康 調査を実施 ・慈恵医科大学の指導により、3 月 22 日以降 入所の避難者は、入所時に「健康状況調査 票」に自己の健康状態を記入 ・4 月 3 日、慈恵医大作成の「こころの健康調 査票」を配布。 8 ■ 避難所の概略 ● 情報提供 ・インフォメーション・コ 職員が常駐するインフォメーション・コーナーを設置 ーナー し、避難者からの各種問い合わせ等に対応 ・インターネット コミュニティホールにパソコン、プリンターを設置し、イ ンターネットを利用できる環境を整備 ・掲示板 コミュニティホールに掲示板を設置して、ポスター、パ ンフレット、チラシ、各自治体からのお知らせなどを掲 示 ● 教育 ・福大・医大ボランティア による勉強会 5 月~7 月まで、週 2 回、大学生ボランティアが 避難中の小中学生の勉強、遊び相手などに ・キッズコーナー 施設内の一角に、遊具、玩具を備えた「キッズコ ーナー」を設置 ・勉強部屋 当センター内の施設を利用して勉強部屋を設置 ● 安全 ・死角への配慮 避難者の人数が少なくなると、施設内に人の目の届かな い死角が増えるため、テレビ視聴室、キッズコーナー、談 話室などを状況に応じて移動または閉鎖 ・盗難防止 宿泊室は鍵つきだが、①一次避難所であること、②当セ ンターの教室(大部屋)で寝起きしている他の避難者との 公平性、③個室に籠りっきりにならないようする、との理由 から鍵は避難者に渡さなかった。 なお、インフォメーション・コーナーに各宿泊室のカギを常 備。希望者については外出時に職員が部屋を施錠 ・巡回 夜間の警備員の施設内巡回 2時間に1回 夜勤職員の巡回 一晩に2回 日中の警察官の巡回 ほぼ毎日 ■ 避難所活動終了後のふくしま自治研修センターの事業実施状況 ● 研修事業 ・平成 23 年 3 月 29 日付け 県内各自治体へ平成 23 年度研修の延期を 通知、同 4 月 21 日付け通知 通知 9 ■ 避難所の概略 ・平成 23 年 5 月 当センター内部で、7 月までの避難所の閉 鎖、9 月からの研修開始を決定。ただし、状況 に応じて柔軟な対応をすることも併せて決定 ・平成 23 年 5 月 20 日付け 通知 平成 23 年 9 月からの研修開始を県内各自 治体へ通知。なお、選択研修は原則中止と し、基本研修の約半分・指導者養成研修・行 政経営セミナーを実施 ● 調査研究支援事業 ・共同調査研究事業 ・アドバイザー事業 自治体より要請があったため実施 ・政策研究会事業 ・情報提供事業 平成 23 年度の実施を見送り 10 ■ 避難所運営に携わって ~職員インタビューより~ ■ 避難所運営に携わって ~職員インタビューより~ 避難所運営に携わったふくしま自治研修センター職員に対するインタビュー調査です。 実際に避難所業務に携わって、思ったこと、考えたことなどを職員の目線で記載してい ます。あわせて、各調査項目の最後には、今後の避難所運営のあるべき姿についても 提言しています。 調査項目 1 支援物資(食料)について 2 支援物資(食料以外)について 3 ボランティアにより行われたイベントなどについて 4 避難者の自治、コミュニティについて 5 避難者と避難所職員のコミュニケーションについて 6 原発事故の固有の対応について 7 避難者への情報提供について 8 避難所の仕事をしてみて最も不安だったことについて 9 自治体からの応援の職員について 10 避難所業務に携わってみての全体的な感想について 11 避難所としてのふくしま自治研修センターについて 12 自分たちの仕事ぶりをふり返ってみて 13 避難所業務のポイントについて 1 支援物資(食料)について ■ 同じような味のパンが大量に来た ● 同じような味のパンやおにぎりばかりだったので、数日経つと避難され てきた方々にも飽きがきていた。 ● 賞味期限が明後日とか、そういう菓子パンも届いた。自由にお取りいた だこうと、段ボールごと廊下に出したが、避難者の方でも同じ味に飽き ていてなかなか減らなかった。 ● 同じ味の菓子パン(ピーナッツクリームパン、ダブルメロンクリームパ ン、あんぱん(こしあん、つぶあん)など)が毎日大量に来た。レトル ト食品も含めて、なぜ同系統の食品しか来ないのか不思議だった。 ● 同じ味の菓子パンを連日食べるのは無理。かえって食パンの方が良かっ たかもしれない。 11 ■ 避難所運営に携わって ~職員インタビューより~ ● 開所当初の緊急時には仕方ないと思ったが、少し状況が落ち着いたら、 支援の食料にバリエーションをつけて欲しかった。とくに賞味期限が明 後日とかの菓子パンは、余っているので押しつけられたような感じがし た。 ● 3 月の避難所開設当初は連日菓子パン。違うメーカーならまだしも、同 じ菓子パンが毎日届いた。災害対策本部には違うメーカーのパン、ある いは甘くないパンを何度も要求したが、 「配送の関係で注文をだすのは難 しい」と言われた。 ■ 支援物資を融通できるようなネットワークがあれば・・・ ● 当センターに賞味期限ぎりぎりの菓子パンが処理しきれない程届いてい た頃、宮城県の避難所では食べるものがなくてビスケットを分け合って いたと聞く。そのあたり何とかならないものかと思った。 ● 菓子パンなど賞味期限が切れる前に、他で困っている所に回せなかった のか?そういうネットワークやシステムに工夫が必要であったのではな いか?特に個人で避難していて、支援物資の届いていないような人のと ころに回せるようにならないものか、と思った。 ● 災対本部などを通した避難所どうしの支援物資ネットワークとかは作れ なかったのであろうか? ■ 「栄養面の偏り」対策が必要 ● 災害備蓄用としてサプリメントを常備しておく必要があるのではないか。 このような状況では栄養が片寄ることは目に見えている。 ● 歯科医からは、 「菓子パンは甘いし柔らかいし、歯の健康に非常に悪い。 特に高齢者は何日もこういう食事をして、かつ歯もろくに磨けない状態 にあると、口の中で増えた菌がのどを通って肺に届き肺炎になる可能性 がある」と言われた。また、噛みごたえのあるものを噛まないのもスト レスのもとになる、とも・・・。カンパンでいいから送って欲しかった。余 っているのは菓子パンだけだったという事情は察しているけれど・・・。 ● 3 月の開所当初の寒かったころ、食堂でお湯を沸かしてカップラーメン のお湯として使ってもらった。残り汁を捨てるためにとバケツを用意し たのだが、残り汁を捨てていく人はほとんどいなかった。避難されてき た方は、みんな飲み干していた。塩味があって暖かいものに飢えていた んだと思った。みなさん唇が紫で顔色も悪かった。 ■ 同じペットボトルの水でも、サイズによっては配りにくい 12 ■ 避難所運営に携わって ~職員インタビューより~ ● 支援物資としてジュースや水の2リットルペットボトルが送られてき た。現場では2リットルのペットボトル1本より、200ml10本の方 が配りやすい。 今後の避難所運営のあるべき姿 避難所開設当初は、避難者には、連日にわたる同じ食料に対する不満があ った。災害対策本部や避難所どうしの需給情報の緊密なネットワーク化の 推進などが可能であればいいのだが、現実には、いつ、やってくるかわか らない災害のために、そこまで手をかけた準備は、費用対効果などの面か ら考えると、極めて困難であると思われる。 ただ、今回の津波及び原発事故に伴う避難は、とりあえず数日間飢えを凌 げれば、という避難ではなく、例えば当センターに滞在した避難者は、3 月 11 日の震災発生からから、翌 4 月 11 日に業者による給食が開始される までの約1か月間、主な食料がおにぎり、菓子パン、レトルト食品という 生活であったということを考えると、この食生活のために体調を崩す者が 出てきてもおかしくなかったと思われる。食事に野菜ジュースを入れるな どの工夫もみられたが、サプリメントの支給などにより栄養を補うなどの 対応もあればなおよかったのかもしれない。 2 支援物資(食料以外)について ■ コンタクトレンズの洗浄液はぜひ欲しい ● 避難所開設当初、送られてきた支援物資のなかで、ありそうでないもの の第一はコンタクトレンズの洗浄液だったと思う。当センター近隣の店 舗でも扱っていなくて、実際にこれがないために困っている人が結構い た。例え緊急時でも、これがないと正直厳しいと思う。 ■ 石けん、ティッシュ、ウェットティッシュなどは人気が高い ● 石けん、ウェットティッシュ、ティッシュは人気が高くて、自由に取っ ていってもらうと、あっと言う間になくなった。とくに石けんがなんで あんなに早くなくなったのかは謎。 ● 水、石けん、トイレットペーパーといった支援物資は減りが異様に早い。 石けんなんて朝 10 個ほどコーナーに出しても、夕方には1、2個にま で減っていた。あんなにたくさんの石鹸を一体どうしたのだろうか? ■ 必要なタイミングに遅れて届く支援物資はどうしても出てくる ● 暑くなってきたのに冬物のスリッパが大量に来たり、避難所運営が軌道 13 ■ 避難所運営に携わって ~職員インタビューより~ にのってから、処分に困るほどのカップ麺や布団が来た。 ● 支援物資は、災害対策本部に要求後たいていすぐ届いた。ただ、やむを えないことだとは思うが、モノによっては、例えば洗濯機みたいに、や たら時間がかるものもあった。 ■ 物資分配の公平性を保つためには手間がかかる ● 当初、需要の高かったときは、ティッシュボックスを1世帯1個に限定 して、リストでチェックしながら配ったが、これは膨大な手間がかかる。 後に手間を省いて、コーナーをつくって自由にもっていってもらったの だが、日中倉庫から小出しに出していたため、仕事や学校で昼間不在の 世帯は、タイミングによってはゲットできなかったかもしれない。 ■ 支援物資の少ない二次避難所から当センターに来所して、物資を大量に 持ち出す事例があった ● 二次避難先から車でウチにやって来て支援物資をごっそり持って行か れると、やはり当センターにいる避難者は不公平感を感じるとは思う。 ● 二次避難先に移動した人が来所して、ごっそり支援物資を持ち出すのは 公平でないという意見もあるが、もともと支援物資はこのセンターの所 有物ではないのだから、欲しい人は欲しいだけもっていってもよいので は? 今後の避難所運営のあるべき姿 ティッシュ、ウェットティッシュ、石けんなどの衛生関係物資は、避難者 の間で非常に人気の高い物資だった。これらは、専用コーナーをつくって 自由に取っていってもらうと、たちまちなくなった。災害時の支援物資と しては十分な量の確保が必要である。 ひとびとの生活様式の変化によって、意外なものが生活必需品となってい る場合がある。今回の調査では「コンタクトレンズの洗浄液」という意見 があったが、それ以外にも盲点になっているものがあるかもしれない。今 回の震災での経験を調査し、「盲点になっているが、緊急時にどうしても 必要な物資」のリストを作成することも必要なのではないか。 物資分配の公平性を保つためには職員の手間が必要となる。逆にコーナー をつくって、自由にもって行ってもらうと、手間はかからないが不公平感 が大きくなる。どちらの手法が良いかは一概には言えないが、その物資の 重要性や必需性と、配分に係る手間などを比較しながら検討すべきと思わ れる。例えば、当センターでは、酷暑期の水のペットボトルは熱中症予防 14 ■ 避難所運営に携わって ~職員インタビューより~ のためリストで確認しながら全戸に配布したが、お菓子、缶ジュースのよ うな嗜好品は自由に取って行ってもらった。 二次避難所(旅館など)に移動後、当センターに戻ってきて、支援物資を 大量に持ち出す事例が散見された。ただ、当センターでは、二次避難所に は余り支援物資が行き届いていない実態などを考慮して、常識の範囲内で の持ち出しを認めた。 3 ボランティアで行われたイベントなどについて ■ (著名人が主体である場合を除き)音楽系イベントは、体験型イベント や食べ物系イベント、実生活で役立つイベントと比較すると、全体的に参 加者が少なくなる傾向がある。 ● 平原綾香さんのコンサート以外の音楽系のイベントは、全体的にやや参 加者が少なかったように思える。 ● 理髪や歯科診療、法律相談等、実用的で有益なボランティア活動が多か ったと思うが、ショーやコンサートなどの娯楽系のイベントでは、その 内容が、避難者が本当に興味を持つものなのかどうか疑問なものもあっ たのではないか。 ● みんなで参加できるような体験型イベント、あるいは食べ物があるイベ ントだと参加者が増えるようだ。 ● 3月に当センターが主催でやった「卒業を祝う会」はよかった(被災地 域の学校では卒業式ができなかった)。父兄からもかなり感謝された。 ■ 土、日曜日にイベントを開催しても、避難者は家族で外出しているので、 そもそも参加者が集まらない ● 平日は子ども達は学校に行っているし、土日は家族で外出している。結 局イベントをやっても、あまり参加者は伸びない。 ● 土曜日、日曜日は、センター内に人がいそうだが、実際のところはみん な外出していて、イベント、催しがあっても人が集まらない。 ■ 施設外で行われるイベントへの配慮も必要 ● ある団体が主催する自然散策イベントにウチの避難者が参加したので、 心配になって見に行った。案の定、足の悪い高齢者が参加していたので、 安全のため一緒につきあった。こういうイベントの場合、主催者がどこ まで安全に責任を持ってくれるか疑問。 今後の避難所運営のあるべき姿 15 ■ 避難所運営に携わって ~職員インタビューより~ 全体としては、絵を描いたり、何かをつくったり、あるいはマッサージや 試食などの、避難者が実際に何か体験できるイベントは参加者が多くなる 傾向がある。 一方で、著名人によるコンサートなどを除き、総じて音楽系のイベントは 参加者が少なめであったと思える。ただじっと聴くだけ、見るだけのイベ ントではややインパクトが弱い。避難者も気軽に参加できる何かひと工夫 があると良かったのかも知れない。 4月以降、スーパーやガソリンスタンドのモノ不足が徐々に解消され、福 島市内の市民生活が平常に戻りはじめると、避難者は土・日曜日は家族で 外出することが多くなった。このため、週末の日中の当センター内は静ま りかえった。センター内でのいろいろなイベントについては、主催者の善 意はもちろん高く評価されるべきだが、実は、避難者にとっては、家族水 入らずでの外出こそが、最も効果的な気晴らしだったのかもしれない。 4 避難者の自治、コミュニティについて ■ 避難者は自主的に行動していたし偉かった ● 最初の避難者はリーダー達がしっかりしていて、エレベーターホール前 に自分のグループのメンバーを集めて連絡事項等の話をしていた。 ● 4 月上旬に給湯室の流しに三角コーナーがないことが、避難者グループ リーダー会議で話題になったが、各リーダーから、何から何までお世話 になるわけにはいかない、自分達で何とかすると申し出があり、それぞ れのグループが自主的に設置した。 ● 3 月に、2 階の大部屋(教室)のあるリーダーが、マイクロバスを手配 して、大部屋の人たちを引き連れて、近所の土湯温泉にみんなで入浴し に行っていた。あのリーダーシップは素晴らしかった。 ● 避難者から中学生の勉強の講師ができると申し入れがあった。 ● 避難者のリーダー会議では、トイレットペーパーなどの消耗品は避難者 からお金を集めて自主的に買おう、という意見もあった。 ● リーダー会議では、近所のセブンイレブンのゴミ箱の乱れは明らかに自 分達避難者のやったことで、子どもたちも見ているのだから、もっと生 活態度に気をつけよう、という意見が出ていた。 ● 4 月の新学期開始に伴い、避難所となっている県立高校が閉鎖となり、 当センターへ新たな避難者が移ってくることになった。グループリーダ ー会議では、従来からいる避難者を3階、4階の宿泊室に優先的に移し て、新しく入る人を1階、2 階の大部屋(教室)に入れる方針でどうだ ろうか、とセンター側から提案したのだが、大部屋(教室)で暮らして 16 ■ 避難所運営に携わって ~職員インタビューより~ いるリーダーからは、自分達はそのままでいいから、高齢者や小さい子 どもなどのいる世帯を優先的に3、4階の宿泊室に入れて欲しい、との 申し出があった。公平性の観点から見て、当センターとしても、本来そ うあるべきと思う提案を、避難者から自主的にしていただき、とてもあ りがたく信頼が持てた。なお、実際は高校閉鎖に伴う受入はなかった。 ■ もう少し自主的な行動が欲しかった ● 時間的にも精神的にも余裕がなかったとは思うが、やはり避難者のコミ ュニティとして、何か自主的な行動をもっと起こして欲しかった。 ● 3月開所当初の小学生の勉強会は、最初の話では保護者がやるはずであ ったが、いつの間にか職員が主役に・・・。もうすこし保護者のフォロ ーが欲しかった。 ● 最初の頃は、避難者がセンター職員の仕事をあれこれと手伝ってくれた が、いつの間にかいなくなってしまった。 ● 食事の準備などで、最初のころは避難者側から手伝いの申し出があった が、いつの間にか申し出がなくなってしまった。もう少し仕事をやって もらってもよかったかもしれない。 ● 避難者のために何かできないかと考えると、仕事は探せばキリがないく らいあった。避難されてきたみなさんの世話をするのは嫌いではないが、 ただ、どこまで我々が手をだすのか、その線引きは気になった。 ● ある避難者から、 「イベントは楽しかったけど、見学して、ちょっと体 験してみてでは満足できない」、と言われた。出来不出来は別として、 避難している人自身にそういう企画を立てさせてもよかったのかもし れない。 ■ 避難所開設が長期に及ぶ場合、当初からいる避難者と、後から入って来 た避難者のコミュニケーションの場が必要 ● 前からここに避難していた人と、新しく避難してきた人とのコミュニ ケーションの場は必要。前からいる避難者は、後から来た避難者の一 つひとつの些細な行動をよく見ている。 (掃除に顔をださない、来客用 の駐車場に車を止めている、駐車するときサイドミラーをたたまない、 など) 今後の避難所運営のあるべき姿 避難当初は自主的に避難所運営業務を手伝ってくれた避難者も、状況が落 ち着いてくると運営業務から遠ざかるようになった。避難者の自主的な申 17 ■ 避難所運営に携わって ~職員インタビューより~ し出を待つのではなく、人手が足りないときは、職員の側で積極的なリー ダーシップを発揮して、手伝いをお願いすることも必要であると思われる。 開所当初の3月から避難していた方々と、5月以降の計画的避難で新たに 避難されてきた方々との間で、生活ルールに対する認識のずれから感情的 な軋轢が生まれた。当センターでは、6月に避難者を集めて話し合いの場 を持ったが、このようなコミュニケーションをはかる場をつくることも、 非常に大切なことである。 5 避難者と避難所職員のコミュニケーションについて ■ 避難者と職員のコミュニケーションが必要 ● 避難者とは馴れすぎないよう注意していたので、余りフランクに接し てこなかった。今にして思えば、あれこれ話しかけた方が、運営の業 務上プラスになったのではなかったか、と思う。 ● 避難者とセンター職員の関わりが少ないと思う。 ■ コミュニケーションにはけじめが必要 ● 避難者とのコミュニケーションについては、ある程度けじめをつけない と。特に特定の個人に頼りにされると、他の避難者から不信感を持って 見られる。 ● あいさつ以外で言葉を交わした避難者はほんの数人。あまり関わりをも たなかった。 ● 時折、避難者が職員と長時間にわたって雑談をすることがあったが、も し万が一、そのような避難者が生活ルールに従わなかったり、立ち入り 禁止の場所に入ったりすると、別の避難者からは、それらがセンター公 認でやっていると見られる可能性がある。 ■ 避難者と施設職員の空間をきちんと分けることが大事 ● 施設側の事務室と被災者の生活空間はきっちり分けることが肝心。避難 者グループリーダー会議は事務室近くの会議室でやったのだが、事務室 の方には微妙な情報も掲示してあるわけだし、避難者に余りにも事務室 の近くまで入ってこられると、だんだん馴れはじめて事務室に出入りす る人が出てくる。 今後の避難所運営のあるべき姿 避難者と職員の関係については、運営業務上必要となる情報を集めるため には、職員と避難者とのコミュニケーションは必須であると思われる。た 18 ■ 避難所運営に携わって ~職員インタビューより~ だし、職員と特定の避難者との親しすぎる関係は、馴れや他の避難者の不 信を生む可能性がある、ということには配慮する必要がある。 6 原発事故固有の対応について ■ スクリーニング ● スクリーニングは原発事故特有の対応だと思った。夜中にここに避難し てきても、スクリーニングを受けていないと、少し離れた所に専用部屋 を設けて、隔離して収容せざるを得なかった。 ● 3月の避難所開設当初、命からがら逃げてきた人に、 「あづま総合運動 公園(スクリーニング会場)まで行って、スクリーニング受けてきてか ら再度来てください」と言うのは抵抗があったし、「スクリーニングを 受けていない人専用部屋」についてもやはり抵抗はあった。ただ、20 0人~300人の避難者がいたわけだから、万が一に備えてやむをえな いとは思った。 今後の避難所運営のあるべき姿 結果として、3月に行われた県民のスクリーニング検査についは、被爆し たかどうかそのものよりも、情報の混乱に振り回された面が強かったよう に思われる。 3月の被災当初の混乱期に、目前の対応で手いっぱいの現場にとって、ど の情報が正しいのか、妥当なのか、十分な検討をしたうえで判断するのは 不可能である。それ故に、国、県及びその関係機関、報道機関、研究機関 においては、原発事故等の関連情報については、真実を、隠すことなく、 科学的根拠に基づいた冷静な形で提供していただきたかった。ある程度の 精度をもった貴重な予測データが隠蔽される一方で、憶測や流言飛語が多 くの人々の行動に悪影響を与えたことは、災害時のわが国の情報提供のあ り方について考える契機となるのではなかろうか。 7 被災者への情報提供について ■ 避難所でもIT機器を利用できる環境整備が必要 ● 民間企業のコンソーシアムが今回の災害を IT 面で支援してくれること になって、県の災害対策本部経由で PC とプリンターが届いた。これで インターネットが自由に閲覧できるようになって、避難者にはすごく役 にたった。 ● NTT 東日本から無料で貸与されてコミュニティホールに設置したタブレ ット型端末が若い避難者の間で大人気だった。これからは「情報とはネ 19 ■ 避難所運営に携わって ~職員インタビューより~ ット経由で自分で集めるのが当たり前」と考える世代が多くなる。今後 の災害では、こういう形での情報提供支援というのが必要不可欠になっ ていくはずだ。 ■ 公的な場所での掲示物は線引きが難しい ● 被災者向けに送られてくるチラシ、パンフ、ポスターの掲示については、 基本的には営利は不可としていたはずだが、営利・非営利の線引きが難 しい。料金とるのは営利目的だからチラシを貼っちゃ駄目、タダなのは 営利目的でないから OK というのはどうか?無料サービスだって営利事 業の PR の一環としてやっているはずなのでは? ■ 掲示物の更新がなかなかうまくいかなかった ● コミュニティホールに掲示物の「新着情報」のコーナーをつくった。 「新 着情報」コーナーには、掲示した日付を記載し、2日経過したら別の場 所に移すように決めたのだが、そういうシステムであることを周知徹底 できなかった。日付も記載してないし、古い掲示物がいつまでも貼った ままになっていることもあった。 ● 市町村別の情報コーナーはもっと早くからつくるべきであった。ただ漫 然と役場から送られてくるお知らせを掲示していた傾向があった。 今後の避難所運営のあるべき姿 停電の場合などを除いて、避難所においても情報を効率的に集めるために は、インターネットにアクセスできる環境が整備されることは必須と思わ れる。 ただ、インターネットを使いこなせない高齢者などのために、紙ベースに よる従来の情報提供も大事な手法である。 営利・非営利の線引きは確かに難しいが、「無料」が宣伝目的なのか、善 意によるものなのか、ということまで検討材料にすると膨大な手間がかか る。外見で割り切ってどこかで線引きしていくのは、避難所運営上やむを 得ないことと思われる。 8 避難所の仕事をしてみて最も不安だったことについて ■ 避難者の健康面が不安だった ● 避難者の健康が不安だった。避難者受入当初は医師も看護師もいなかっ たので、夜間、具合が悪い人が出ると救急車を呼ばざるを得なかった。 ● 避難生活によるストレスが心配だった。とくに高齢者の具合が悪くなっ 20 ■ 避難所運営に携わって ~職員インタビューより~ て救急車をよく呼んだ。 ● 避難者の健康面。最初の頃(慈恵医大常駐前)は、夜間に救急車を何回 か呼んだが、そのうち数回は特に問題がなかった。無駄な救急車だった かもしれないが、ただ呼ばなくて何かあったら、と考えると、家族から 救急車の要請があったら呼ばざるを得ない。 ● 慈恵医大の常駐はありがたかった。夜間安心できた。 ● 風呂。寒さに凍えている避難者には風呂は必須だと思った。風呂につい ては、地震直後に機械室の配管が破損して水漏れし、使用不可能であっ が、修繕して使えるようにした。 ■ 何か問題が起きた場合の責任が不安だった ● 自分が夜勤当番の時、もし何か大きな事故があった時、どういう責任を 問われるのか、すごい不安だった。 ● 深夜に大規模な余震が発生したとすると、センター職員の夜勤は 2 名体 制で、時間的に片方は仮眠中、応援で来た職員は2、3 名いるが、いず れも指示待ち。となると、実質一人で咄嗟に動かなくてはならない点が 不安ではあった。 ● 夜勤については、強い余震があった場合などを考えると、人員があと 2 名ぐらいは必要だったのかも知れない。 ■ 避難者の食品の衛生面が不安だった ● 開所当初は食べ物、食中毒を一番不安に思っていた。 ● 寒い時期であったので、インフルエンザなどの病気の危険性はあったが、 逆に食料が傷みにくかったのは良かったのかもしれない。 ● 衛生、栄養面が不安だった。 ● 別の避難所で、支援物資のおにぎりが傷んでいたらしく糸を引いていた、 ということで、県災対本部から念のため当日配送分のおにぎりは避難者 に配らないよう連絡が来た。もちろん該当分のおにぎりは配らなかった が、ただ 3 月の寒い時期のことだったので、本当に傷んでいたというよ りは何かが混じったのかもしれない。 ■ 防犯が不安だった ● 正面玄関の鍵が 24 時間開けっ放しだったので、不審者が紛れ込んでこ ないかそこが不安だった。 今後の避難所運営のあるべき姿 21 ■ 避難所運営に携わって ~職員インタビューより~ 突然の避難生活によるストレス、加えて3月の寒い時期でもあったので、 避難者の健康を不安視する意見が最も強かった。とくに自分が夜間勤務中 に具合が悪くなる人がでたら・・・、という意見が多い。そのあたりを考 慮すると、当センターにおける慈恵医大による医師、看護師の常駐は職員 にしてみれば、たいへん心強いものがあった。避難が長期間に及ぶ場合は、 ある程度の規模の避難所には、医療関係者の常駐又は頻繁な巡回は、必要 不可欠である。 大規模余震が発生した場合の避難誘導についても、不安の声もあったが、 当センターでは毎夕方、夜勤職員が勤務に就く前に、大規模余震時発生時 の対応マニュアルの確認をしたり、あるいは足腰の不自由な避難者リスト の確認とその救助担当を決めたり、避難誘導時の役割分担を確認したりと、 非常時に向けた対応は実施していた。 9 自治体からの応援の職員について ■ センター側で、応援に来た自治体職員にあまり活躍してもらえない事例 が散見された。 ● せっかくここに応援で来ていただいたのに、あまり仕事がなくてぼうっ としているのは気の毒だった。もう少しこちらでも何か工夫すればよか った。 ● 自分としても、応援の職員の方にもう少し何か仕事をお願いすればよか ったなと思う。やはり外部から来た方、ということで気を遣ってしまい なかなかお願いできなかった。 ● 当初来た滋賀県職員は、物資搬入等よく手伝ってくれたと思う。その後 に来た応援職員は、3 月下旬のピークを過ぎると残念なことに1か所に かたまって指示待ちになっていた。 ● 3月下旬の本当に人手の足りなかった時には、応援の職員はありがたか った。食事提供に人数が要るし、インフォメーションを空けられないし で、人手が必要だった。その後はややセンター職員の指示待ち状態。も う少し自主的に動いてもらってもいいのでは、と思った。 ● 開所当初の忙しかった時期の配膳の手伝いとかは、非常にありがたかっ た。 ● 当初応援できた滋賀県の職員には夜勤に物資搬入にと一生懸命やって もらった。 ● 夜勤で一緒だった滋賀県職員は率先して仕事をしていた。とても頼もし く、感心した。 22 ■ 避難所運営に携わって ~職員インタビューより~ ■ 応援の職員が頻繁に入れ替わる場合は、業務マニュアルの整備が必須 ● 応援で来られた方は、指示がないとなかなか自分から動けない、という 印象が強い。かといって頻繁に交代する応援職員にすべての仕事を細々 と説明するのはかなり手間がかかる。そこで、当避難所の業務マニュア ル作成し、これを読んでもらって仕事の内容を覚えていただいた。 ■ 可能であれば、避難所に缶詰になっている応援職員の気晴らしの機会が あるとよい ● 山口県庁の応援職員2名は、1 週間近くずっとこのセンターに缶詰にな っていたので、休み時間や食事の時間などを利用して近くの郷土料理屋 とか直売所に案内した。 今後の避難所運営のあるべき姿 当センターには福島県及び県外の自治体職員に避難所運営業務の応援に 来ていただいた。3月、4 月上旬は業務量がかなり多く、いろいろとお手 伝いいただいた。 応援で派遣されてきた各自治体職員は、自分たちで避難所業務の引継書を 必ず整理してから、後任の者とバトンタッチしていた点は高く評価できる。 応援の自治体職員については、いろいろな職員を次々に交代で派遣するよ りも、数名の特定の職員を繰り返し何度も派遣してもらった方が、施設側 職員と派遣職員との意思疎通や、業務への習熟などの観点から極めて有益 と思われる。 10 避難所業務に携わってみての全体的な感想について ■ 3月、4月は忙しかったが充実感、やりがいがあった。 ● 開所当初の 3 月のころは、何かと忙しくて充実感があった。 ● 避難してきた子ども達と一緒にやったオリエンテーリングが福島民友 新聞に掲載されたり、学習会で使うためのドリルを某村の教育委員会か ら全学年分取り寄せたりと、いろいろとやりがいがあった仕事だったと 思う。 ● (4 月 11 日以降の業者による)給食開始後とそれ以前では忙しさが全 然違う。とくに給食開始前の 3 月の在庫管理、食材一覧表の作成は、毎 日大仕事だった。 ● 給食業務をしてくれる業者が4月から入ってかなり避難所の仕事が楽 になった。 ● 最初のころを除いて、忙しかったというイメージはない。3 月の 300 人 23 ■ 避難所運営に携わって ~職員インタビューより~ いた頃は夜も忙しかったが、それ以降は忙しいという実感はなく、むし ろ夜勤による疲労感の方が強い。 ● 食事提供をセンター職員の「直営」でやっていたころは、かなり疲労度 レベルがあがった。 ■ 体力的にきつかった、夜勤がつらかった、夜勤時が寒かった・・・など ● 夜勤が体力的にきつかった。あと 3 月は物資が大量にきたので、数え たり補充したりするのも大変だった。 ● 物資が入ってくるときの搬入がすごく大変だった。量が膨大だし・・・。 ● 3 月は夜勤で仮眠するとき、寒さで足が痺れて眠れなかった。それに配 送されてくる物資は重いし、多いし・・・。3 月、4 月は朝食の準備等 で仮眠時間も短かった。慣れない仕事による疲労で体力的にもきつか った。 ● 家族と一緒に過ごす時間が、自分の生き甲斐のひとつだったのだが、 その時間がだいぶ短くなった。夜勤に慣れないうちは、疲れているの に寝つけない事が多かったのはそのせいかもしれない。 ■ 夜勤(午前 8:30~翌朝 9:30 までの勤務シフト。仮眠 4~5 時間)があけて も残って仕事する職員も多かった。 ● 夜勤明けの午前 9 時 30 分には、すぐに帰りたかったが、みんな夜勤明 けでも自主的に残っていた。 ● 3月の開所当初は、ちょうど泊まりがけの勤務が終了する時間帯に物 資の搬入、布団、古着の整理等いろいろ仕事が入って、ずるずると帰 れなかった。 ● 3月のインフォメーション(受付)担当職員は、夜勤明けであっても、 引き継ぎを受けてくれる職員がいないと帰れなかった。引き継ぎ相手 を探したりしていると 9 時 30 分にはなかなか帰れなかった。 ■ 家族に迷惑をかけた ● 泊まりの仕事で勤務時間が不規則になり、日常生活で夫に負担をかける ことになり、妻としては非常に心苦しいものがあった。また、子どもに 不安な思いをさせた。 今後の避難所運営のあるべき姿 夜勤や長期間にわたる不規則な勤務態勢というのはほぼ全ての職員にと って初めての経験であったことから、やや愚痴めいた感想が多くなるのは 24 ■ 避難所運営に携わって ~職員インタビューより~ やむを得ない。実際には、避難所業務中の負傷、疾病による休業は、避難 所の開設当初に、過呼吸による通院1名と、靴擦れの傷口から細菌が入っ て脚が腫れ上がったための通院1名の合計2名に過ぎなかったことを考 えると、低気温、市街地方面の長期断水、物資・ガソリン不足といった劣 悪な状況下の25時間勤務(うち仮眠4時間)などは確かに過酷であった が、一方で3連休とか5連休といった、代休をまとめて消化することによ り、最終的には全職員ができるだけ4週8休分の休暇が確保できるよう勤 務体制のつじつまをあわせてきたことが、実は当センターが数か月間にわ たって事故もトラブルもなく円滑な避難所運営が可能であった最大の理 由ではなかろうか。 11 避難所としてのふくしま自治研修センターについて ■ 風呂、トイレ、宿泊室などがあり、体育館の避難所と比較して施設が格段 に充実していた ● 施設がきれいで風呂もあった。避難者の間に口コミで広がって、ウチに 避難してくる人が急増、となった。 ● 「個室」と「風呂」 。この二つだけでも他の一次避難所と格段に違う。 ● ここが避難所としてうまくいったのは、施設が充実していたことも大き な要因。 ■ 毎朝のミーティングなどで職員間の情報の共有に努めた ● 朝 8 時 30 分から毎朝やっていた職員ミーティングは本当の最小限の情 報の伝達。休日後にでてくると、大きく状況が変わっていることがある が、そういう戸惑い、困惑がミーティングが始まってから解消された。 ● 事務室内に、今後の予定や連絡事項などを細かく記載したホワイトボー ド(約 120cm×90cm、脚つき)が5、6個ほどあった。職員がそこに新し い情報をどんどん書き込んで情報共有した。あれは良かったと思う。 ■ 避難者の受入、部屋割り、支援物資の配分などの方針が常に明快であっ た ● 当初の部屋割り方針である「原則は大部屋(教室) 、幼児・病人・高齢 者のいる世帯は宿泊室」、という方針は大正解であったと思う。とくに 避難者から、表立っての不満はほとんどなかった点は非常に評価できる。 あと、大部屋(教室)の場合、机をパーテーション代わりにして、スペ ースを区切った点も良かったと思う。 ● 施設的に受入人数が限界になり、無制限に受け入れるという方針から、 25 ■ 避難所運営に携わって ~職員インタビューより~ 高齢者や病人などに絞るという方針に変更した。おかげで、職員側にも ずいぶん余裕ができた。ありがたかった。人の入りが減って、避難者も だいぶ落ち着いたと思う。 ● 正しいか妥当かの判断は置いておくとして、ここでは、運営方針が変わ ると、事務室内のホワイトボードにはっきり大きく書いたり、朝のミー ティングで繰り返し徹底したりと、方針が明快でブレがなかった点が評 価できると思う。 ■ 避難所の運営・管理が緻密でしっかりしていた。 ● 3 月 20 日ごろだった思うが、誰がどこに入所しているか把握できなく なって、職員全員で全部屋を回って避難者の名前を確認した。いろいろ 意見のあるところではあるが、このようにセンター側で厳重に管理して きたからこそ、最後まで滞りなく避難所業務を完了できたと思う。 ● 3 月にひと部屋ごとに健康状態の聞き取り調査をやったと記憶している。 そのあたりは丁寧な対応だったと思う。 ● 避難者任せの面が少なかったのですんなり終わったのだと思う。 ■ 避難者は基本的にいい人たちが多かった ● 3 月の最初に受け入れた避難者のみなさんは基本的に感じのいい人が多 かった。 ● 3 月に来て7月に出て行かれた方で、去る間際にお礼にと当センターの 庭木の手入れをしてくれた方がいた。その他、自主的に草むしりなどの 作業をしてくれた避難者も多かった。退去した後、お礼にとお菓子や栄 養ドリンクの差し入れもあった。 ■ 業者との連携がやや甘かった ● 当センターの業務を受託している設備、警備、給食の各業者と話してい ると「それは聞いていません」という回答をされたことが、たまにあっ た。 今後の避難所運営のあるべき姿 阪神淡路大震災のころとは違い、携帯電話が当たり前に普及している現在 では、どこの避難所の設備が充実しているか、被災者の間の口コミであっ と言う間に広まる。 避難者の自治も大事だが、自らの施設内の状況をきちんと管理することは それ以上に大事である。おそらく避難者任せにしておけば自然と良い結果 26 ■ 避難所運営に携わって ~職員インタビューより~ が出るというものではないであろう。自らの施設内での出来事については、 運営者側で責任を持って管理するという意識は、円滑な避難所運営のうえ で必要不可欠である。 県内には、その施設に入所している避難者の把握が困難であった避難所も あると聞く。避難所としては、最低でも、現在施設内に滞在している人が 誰で、いつ出て行くのか、あるいはいつ入所してくるのか、それに、各避 難者の連絡先、職場、学校、健康状態、二次避難先や転居先など、そうい った個人情報は、避難所を円滑にきちんと管理していくための必要最低限 の情報として把握しておきたい。 12 自分たちの仕事ぶりをふり返ってみて ■ みんな一生懸命やったし充実感もあった。避難者とのよい協力関係も築け た。避難者の評価も良かったようだ ● 避難者のグループリーダー会議などを通して、一人ひとりの避難者では なく「避難所としてのみなんさんの要請」にこたえるようにしていたた め、避難者のみなさんからそれなりに信頼されていたと思う。いい感じ での協力関係が築けた。 ● 振り返れば 3 月の食事の準備とかは、忙しいけど楽しかった。朝食の準 備をしてすぐ昼食の準備、夕食の準備と一日中食事の準備であったが、 充実感があった。 ● スタッフは一生懸命働いたと思う。これまで研修所として研修生を受け 入れてきた経験が役にたった。 ● 全体を取り仕切ったリーダー役の職員の適切な判断と指示がすばらし かった。 ● 職員はよく頑張ったと思う。とくに 3 月の暖房もろくになくて寒かった 時期に、お湯を沸かして暖かいレトルトを出したり、ネギ持参でみそ汁 などの炊き出しをしたりした。具が少ないと入所者から文句を言われて、 自腹で豆腐を買ってきた人もいた。そういう職員の自主的ながんばりと、 日頃の研修所運営で培ったリスク管理とホスピタリティ精神のおかげ で、大きな事故もトラブルもなく終わったのだと思う。 ● 食事提供は職員一丸となって、知恵と工夫をこらして、迅速に温かいも のを提供させていただいた。 ● 二次避難で南会津へ移っていった方が、後日センターに遊びに来たとき、 「ここが最高だった」といっていた。 ■ 業務分担がやや不明確であった 27 ■ 避難所運営に携わって ~職員インタビューより~ ● 給食業者が入る前は、食事の準備にやたら大勢の職員が携わっていた。 寒いインフォメーションに座って、避難者のいろいろな質問に答えてい るよりは、そちらの方が楽だったからだ。でも、こういう避難所業務と いうのは、受付に座って、避難者の質問に答えたり、手助けしたり、と いうのが最も大事な仕事ではないのか。厨房での食事の準備については、 夕食の準備を昼ごろからしていたし、あまりにも人数と時間をかけ過ぎ のような気がした。 ● 職員の役割分担がやや不明確であったことが残念。仕事は自主的に自分 で探すという雰囲気が強かったので、職員が集中する場所とそうでない 場所ができたような気がする。 ■ 意外なところで制約を受ける場合もある ● 当センターは宿泊室の数からいうと約 200 人収容でき、浄化槽は 350 人 槽である。しかし実際には築 20 年が経過しており、経年劣化で浄化槽 の実質的な処理能力は 150 人分程度しかなかった。3 月に一時的に避難 者を 300 人以上受け入れたが、これだけ避難者がいると浄化槽の処理能 力を大きく超えることになり、受入を制限する理由の一つになった。 ■ 現場の要請に対応しようとすると、県庁からの指示でも従えない場合も ある ● 県担当課や県災害対策本部からの指示が現場の要請とマッチしないこ とがある。もちろん原則は県の指示に従うことだし、当然そうすべきな のだが、避難者の生活を預かる者は、避難者の立場に配慮したうえで、 どうすれば自分の責務を果たせるか、よく考えなくてはならない。そう 考えると、場合によっては県の指示とは異なる結論を出さざるを得ない 場合もある。 ■ 過去の自分達の経験を十分に活かせた ● センターに異動になる前は、生活保護行政の経験があったので、避難者 の方と直接触れあうのは苦にならなかった。原発や東電への怒りや、家 が流されたとか、いろいろな話を聞いたが、そうやって面倒くさがらな いで避難者の話をひとつひとつ丁寧に受け止めたことが、避難者のみな さんから信頼を得るきっかけになったと思う。このため二次避難先への 移動などいろいろな悩みも話してくれて、おかげでそれなりのアドバイ スもできたと思う。 ● 介護保険業務に携わった経験から、自分の経験を避難所活動に活かせな 28 ■ 避難所運営に携わって ~職員インタビューより~ いかと思った。当センターは、高齢者を抱える世帯が数多く避難してき ていたので、介護が必要と思われる避難者の状況はなるべく保健師や自 治体につなぎ、避難者が必要なサービスを受けられるよう配慮した。な お、計画的避難区域からは、国や役場から避難を強く勧められて避難し てきた高齢者が多かった。避難しないと賠償金がもらえないとか言われ て、無理に当センターに避難してきて、かえって病状が悪化したり、入 院したりする避難者がいた。 ■ 避難者との接し方が難しかった ● 家族を亡くした方、家族が行方不明の方などとの接し方がよくわからな かった時期があった。そのあたりはストレスになった。また家庭内の喧 嘩で、極度に気持の高ぶった人をなだめるため、1 時間以上話し相手に なったこともある。こういった対応には本当に苦慮した。 今後の避難所運営のあるべき姿 過去の業務について知識やネットワークが豊富な職員は、その知識やネッ トワークを的確に避難所業務に活かしていたようだ。上にあったコメント 以外にも、衛生業務の経験者はインフルエンザ、ノロウィルス用の隔離部 屋を用意したし、入浴に際してのレジオネラ菌対策をとることもできた。 精神保健業務経験者は、精神疾患をもつ避難者に対し適切な対応を行うな ど、職員の過去の経験を活用できる組織のあり方が、避難所運営には必要 となってくる。 当センターのように職員の自主性、自立性を重んじると、どうしても職員 の数が集中してしまうところと、あまり職員が集まらず手薄になるところ が出てくるが、そういうロスがあるとはいえ、それでもなお、さまざまな 業務や問題解決は、その場にいる職員それぞれの自主性、創意工夫に任せ た方が全体としては効率的である。とくに避難所業務は、集中管理するに はあまりにもその内容が複雑、多様である。 13 ■ 避難所業務のポイントについて 状況に応じた判断と行動ができること ● 当センターの研修の基本理念は「自ら考え行動し目標を達成する職員の 育成」で、それは研修だけでなく当センター職員自身も、そういう考え 方を重んじている。たぶん、それが今回の避難所運営で役に立ったのだ と思う。大きな方針が示されれば、その後はいちいち上に尋ねたりしな いで、自分の判断でどんどん仕事を進めていた。 29 ■ 避難所運営に携わって ~職員インタビューより~ ■ 現場ではぶあついマニュアルは役に立たない ● 3月16日は避難者受入要請が午前11時ころで、実際に受入を開始し たのが夕方。この間数時間しかないのに、送られてきた避難所のマニュ アルは200頁もあった。結局マニュアルは読まず、阪神淡路大震災の 教訓を勉強した経験を活かして動いた。 ■ 避難所は小さな村 ● いろいろな人が集まってくる避難所では、発生する問題、課題も多彩。 衣食住の問題から、避難者の健康や介護、生活再建、教育、コミュニテ ィの対立など、ほとんど小さな村を運営していくのと同じ。 ● 行政運営が自治体単独ではできないのと同じように、避難所の多彩な問 題の解決には、外部の団体や役場との連携、協働が必ず必要になってく る。そういう面から見ても、避難所は小さな村みたいなものである。 今後の避難所運営のあるべき姿 当センターでは、過去に男女共同参画を担当していた職員がいたり、比較 的女性職員の割合が高かったりしたため、避難所開設と同時に男女別の更 衣室を設けたり、下着や生理用品の配布についても、女性が利用しやすい ように脱衣所、トイレなど女性限定スペースに置くようにしたりした。避 難者の立場に立った配慮というのは当然のような気もするが、多忙な現場 では、同じ女性の目線からでないとなかなかこのようなことには気づかな い。運営業務に携わる職員の中には、老齢の親の介護をしている者、小さ な子どもの子育てをしている者、あるいはそういった業務に携わった経験 のある者、とさまざまな弱者の視点を持つ者がいるはずなので、それら弱 者目線からの意見や工夫が、その運営業務に具体的に反映されるよう配慮 する必要がある。 「避難所=小さな自治体」である以上、避難所で発生する可能性のある問 題は、すでに自治体として取り組んでいる課題である場合が多い。これか らその避難所で何が問題になりそうか、何が必要かを考えたとき、「自分 の自治体で何が問題・課題になっているか」という視点で避難所を眺めれ ば、とくに自治体職員には、そこで発生しうる問題が何であるのか、何が 必要なのか、自ずと見えてくるのではないか。 30 ■ 施設利用の状況 ■ 施設利用の状況 避難所運営時のふくしま自治研修センター内の各施設の利用状況です。 ■ 施設利用の概略 本来の用途 ●101教室 ●103 教室 ●コミュニティ ホール ふくしま自治研修センター 福島市荒井地蔵原乙 15-1 竣工 平成 3 年 12 月 4 日 鉄筋コンクリート4階建 避難所での用途 ● 3 月 16 日から 4 月 14 日まで避難者居室 写真 1 その後、子どもたちの「勉強部屋」 ● 3 月 16 日から 4 月 14 日まで避難者居室 その後閉鎖。時々「イベント会場」として利用 ●インフォメーション(受付)コーナー ●イベント会場 写真2 ●テレビ2台 写真3 ●ソファー多数 ●掲示板及び掲示物多数 ●大型携帯充電器(18 口) 1 台 ●パソコン2台 ●プリンター1台 ●地図 ●ブックコーナー(小説、漫画、雑誌など) ●公衆電話(備え付け) 1F ●1階自販機 ●支援物資置き場 コーナー (「自由にお取りください」コーナー) ●事務室 ●講堂 ●千羽鶴 ●事務室(毎朝 8:30 から職員ミーティング) 写真4 写真5 (3 月 16 日から 6 月上旬まで職員が 24 時間待機) ●入所者説明会 ●卒業を祝う会 写真6 ●各種コンサート、寄席などの会場 ●食堂 ●食堂 ●厨房 ●厨房(4 月 11 日~ 業者による給食) ●図書館 ●支援物資仮置き場(水、パン、缶詰など) ●会議室 ●支援物資仮置き場(日用品) ●第1講師控室 ●職員仮眠室(男) 31 写真 7 ■ 施設利用の状況 本来の用途 1F 避難所での用途 ●第2講師控室 ●職員仮眠室(女) ●第3講師控室 ●診察室(慈恵医科大、日赤など) ●団体講師控室 ●避難者グループリーダー会議会場(毎朝 9:00~) ●コインロッカー ●コインロッカー ●上天の間 ●支援物資仮置き場(寝具) ●舎監室 ●舎監詰所(6月1日~) ●ラウンジ ●キッズコーナー 写真8 ●寄付のあった衣料品置き場(「自由にお取りください ●玄関 コーナー」) 写真9 ●小中学生の通学バスの発着場 ●201教室 2F 3F 4F ●3 月 16 日から 4 中旬まで 避難者居室 その後閉鎖 ●202教室 〃 ●203教室 〃 ●213演習室 ●テレビ視聴室(3月) ~218演習室 ●理髪、歯科診療などの会場●更衣室(男) ●大講義室 ●更衣室(女) ●宿泊室 ●避難者居室 ●談話室 ●支援物資(寝具類)仮置き場 ●大浴室 ●浴室(女) ●中浴室 ●浴室(男) 32 ●勉強部屋(3 月) ■ 施設利用の状況 本来の用途 そ の 他 避難所での用途 ●体育館 ● モノ干し場 写真 10 ●駐車場 ●駐車場 ●ペット待機所 ●イベント広場 ●夏祭り会場 ●喫煙所 ●カモシカ出没 ■ 写真 1(101 教室(勉強部屋)) 101 教室(勉強部屋)入り口 勉強部屋のなか 段ボールハウスのなか 部屋の奥にある段ボールハウス 粘土作品 教材 ■ 写真2(コミュニティホール) インフォメーションコーナー 33 ■ 施設利用の状況 千羽鶴 ブックコーナー キッズコーナー 退所時にお渡しした「退所セット」の見本。 毛布、水、カイロ、ガムテープ、マスク、 歯磨きセットなど日用品一式 警察官が巡回、避難者と相談中 歌手平原綾香さんの色紙 「To ふくしま自治研修センターのみなさん 顔晴って(がんばって)ください」 窓ガラスにはった掲示物、 「ハローワークからの お知らせ」 「郵便関係」など ←7 月の七夕の飾りつけ。 子どもたちの短冊が ありました。 →短冊の例。ちなみにこれは 当センターの部長 34 ■ 施設利用の状況 ■ 写真3(応援メッセージ) ↑↓コミュニティホールに掲示した全国のみなさんからの応援メッセージ 35 ■ 施設利用の状況 ■ 写真3(応援メッセージ)(つづき) ■ 写真4(1 階自販機コーナー) ↑↓「自由にお取りくださいコーナー」 在庫があまりないため、当センターの 避難者限定にさせていただいた菓子 支援物資としていただいた「俺の ポテト 抹茶小倉味」同じく「モ カ・ココア味」。福島では見かけ ない珍しいお菓子 ■ 写真5(事務室) 事務室内のホワイトボード。こういうのが室内に 6~7枚あり、毎朝これらを見ながら職員ミーティン グをやっていました。 36 ■ 施設利用の状況 ■ 写真6(講堂) 講堂。コンサートなどのイベントや新しく避難されてきた方の説明会の会場に使いました。 ■ 写真7(会議室) 会議室は支援物資保管所。黒板に記載しているのは在庫一覧 ■ 写真8(上天の間) 布団置き場。通称「布団部屋」。余った寝具は退所する避難者の皆さんに持って行っていただきました。 37 ■ 施設利用の状況 ■ 写真9(玄関) 正面玄関の寄付でいただいた衣服のコーナー。自由にお取りいただきました。なお、下着は各風呂場の脱衣所に 置きました。 ■ 写真 10(体育館) 手前がロープとビニールシートでつくった洗濯物の 避難所開設後、なぜか出入り口の傘立てに住み着 モノ干し、奥が県災対本部物資置き場。床がへこみ いたノラネコ ました 38 ■ 施設利用の状況 ■ ふくしま自治研修センター平面図 (平成 23 年 3 月下旬) 1F 2F 39 ■ 施設利用の状況 ■ ふくしま自治研修センター平面図 (平成 23 年 3 月下旬) 3F 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 350 351 小浴場 大浴場 脱衣室 325 エレベーター 脱衣室 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 (各風呂の脱衣所に支援物資の下着置き場を設置) 4F 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 エレベーター 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 40 ■ 3.11後のふくしま自治研修センター ■ 3.11後のふくしま自治研修センター 平成 23 年 3 月 11 日の災害発生から、同年 7 月 31 日に「避難所」ふくしま自治研修センター が閉鎖するまでの時系列の記録です。「センターの出来事」、「災害の状況」、「社会の動き」の3つ を並列して記載しています。 ■3月 11 日(金) 災害の状況 社会の動き ガソリン、物資の不足 地震発生 県内ガソリンスタンドに長蛇の列。1 台あ 14:46 M9.0 の地震発生、津波により福 たりの給油制限も実施 島第一原発、第二原発が外部電源を喪 また、県内スーパーで食料品などを買い 失 求める行列ができる。 避難指示 福島市内の断水 原子力緊急事態宣言、福島第一原発 福島市内では、ほぼ全域が断水。市内 半径3㎞圏内に避難指示、半径10㎞圏 14 か所に給水所が設置され午前 5 時か 内に屋内退避指示 ら給水が開始された。また、市内のデパ 通行止め・断水・停電 ート、ホテルなど 6 施設のトイレが一般開 福島県内の鉄道運転見合わせ、高速道 放された。10 日後の 3 月 22 日にほぼ1 路通行止め、県内通行止め61か所 00%復旧 福島市、郡山市、いわき市などで断水 ■3月 14日(月) 災害の状況 12日 0:00 現在、県内の24万戸が停電 地震により、ボイラー配管破損、壁のひ 原発事故 び割れなどの被害が発生 11:01 福島第一原発3号機で水素爆 公共交通機関麻痺のため東京、仙台に 発 自宅のある職員が帰宅できず、避難所 社会の動き 新聞記事 やホテルへ 新聞に「被ばくをさける注意点」という記 ■3月 12日(土) 災害の状況 事が掲載される。 また「東日本大震災生活情報」という記 原発事故 事が掲載。避難所、交通機関、スーパー 15:36 福島第一原発 1 号機で水素爆 の営業予定、医療機関の診察状況、ゴミ 発 収集から郵便、金融機関などの生活情 避難指示 報が掲載された。 避難指示区域が第一原発半径20㎞に 41 ■ 3.11後のふくしま自治研修センター ふくしま自治研修センターは福島市市街 午前 福島県より避難者受入の要請 地から 10km 以上離れており、ガソリンの 午後 避難者受入の準備 枯渇により、職員の通勤が困難に。バスも 夕方 避難者の受入を開始 運行していないため、職員勤務を輪番制 にする。 ふくしま自治研修センター ■3月 15日(火) 災害の状況 原発事故 6:10 ごろ 2 号機原子炉格納容器圧力 ■3月 17日(木) 社会の動き 抑制プール付近で爆発音 ヘリコプターからの放水 6:15 ごろ 第一原発 4 号機で爆発音、 福島第一原発 3 号機にヘリコプターから 火災発生 の放水を開始 18:20 飯舘村で 44.7 マイクロシーベルト、福 物資不足 島市で 23.8 マイクロシーベルトを計測 地震発生から一週間。県内は依然として 避難指示 ガソリン、灯油、食料品など生活物資の 福島第一原発から 20 ㎞~30 ㎞圏内の 不足が続く。(福島民報 2011.3.17) 住民に屋内退避指示 寒さ 社会の動き 17 日、県内各地で真冬なみの寒さにな スクリーニング検査 り、灯油不足で凍える被災者が目立つ。 県による県民のスクリーニング検査が始 食事や毛布の配給も十分とはいえない。 まる。 (福島民報 2011.3.17) ■3月 16日(水) 社会の動き 放射線の影響により、当センターの外気取 避難者急増 きなかった。なお、この時期、福島市の最 福島県浜通り地方から中通り、会津方 低気温は氷点下となる日が多かった。 り入れ方式の暖房は 3 月 23 日まで運転で 面への避難者が急増し、県内の避難所 ■3月 18日(金) 社会の動き はほぼ満杯となった。また、県外避難者 も 3 万人を超えた。 風評被害 福島県知事コメント 原発事故のため風評被害が発生し、県 記者会見で、「福島県は 40年間電力を 内の物流に支障が出はじめた。県知事が 首都圏に送り日本経済を支えてきた。日 首相に正確な情報発信を緊急要望 本中が真摯に(福島の災害に)向き合っ 42 ■ 3.11後のふくしま自治研修センター て欲しい」(福島民報 2011.3.20) センター体育館を物干し場として開放(利 用時間 6:00~20:00) 受入避難者数が 349 名となる 避難各世帯を職員が訪問して、健康状態 (避難所開設期間中最多) の聴き取り調査を実施 この頃、駐車場に駐車してあった避難者の 県北保健福祉事務所による保健師巡回 車から、夜間、ガソリンが抜き取られる事 (以降閉所まで、計 50 回保健師が来所) 件が発生 避難者に対する「入所者説明会」を実施 ・各グループリーダーの選任 ・健康状態聞きとり調査を実施予定 体育館 外観 ・防犯の呼びかけ など 体育館内部 ロープなどを組み 合わせてつくった物干し場 ■3月 19日(土) 災害の状況 ■3月21日(月) 災害の状況 放射線 放射性ヨウ素 福島県産牛乳と茨城県産ホウレン草から、 飯舘村の水道水から国基準の 3 倍を超 基準を超える放射線量を検出 える放射性ヨウ素を検出 社会の動き 社会の動き 健康調査 出荷停止 福島県は、県内500か所の避難者の健 政府原子力災害対策本部、ほうれん草 康調査を開始 とカキナについて、福島県を含む4県で 出荷停止を指示。福島県は原乳の出荷 グループリーダー会議 停止も。 避難者とセンター職員が協議する「避難 風評被害 者グループリーダー会議」の第 1 回目を開 県外で福島県からの原発被災者の宿泊 催。以後避難所を閉鎖する 7 月 31 日ま が断られる事例が発生。旅館業法に違 で毎日開催 反しているとして厚生労働省が各自治体 豚汁炊き出し(福島青年会議所) に指導を要請 ■3月20日(日) 慈恵医大 東京慈恵会医科大学の医師・看護師が 避難者の受入方針の変更 交代で常駐開始。第 3 講師控室を「診療 「来る者はすべて受入」から「体育館の避 室」にして、毎日午後 3 時から診察。 難所等で体調の悪くなった者など、避難所 また、当センターを拠点にして、県北地方 を巡回している保健師から推薦のあった者 の避難所の巡回を開始 を受け入れる」に変更 日本赤十字社、福島医師会による避難者 43 ■ 3.11後のふくしま自治研修センター の診察 「勉強部屋」設置 214 演習室に机と椅 炊き出し 子配置して避難者に開放 お好み焼きの無料提供(~23 日まで) 「テレビ部屋」設置 (お好み焼き「かっちゃん」(福島市)) 216 演習室にテレビ を設置して避難者に開放 避難者の食事は、おにぎり、菓子パン、レト ルト食品など ■3月23日(水) 災害の状況 原発事故 福島第一原発 1~6 号機すべてに外部 電源接続完了。原子力発電所の状態が 落ち着いてくる。 原子炉の状況が一応安定してくると ともに、懸案は県内の水、土壌、農畜 厨房の大鍋で湯気をあげる 支援物資のおにぎり。 レトルトのおでん 南会津町から 産物の汚染へ 社会の動き 摂取制限 首相、原子力災害特別措置法に基づき、 支援物資「黒豚角煮」。 福島県産葉物野菜に対して初めての 脂で排水口が詰まった。 摂取制限を福島県知事に指示 風邪・インフルエンザ 避難所生活が長期化する中、放射性物 支援物資、沖縄産食材を 質を恐れて十分に換気をしない避難 使用したビーフシチュ 所もあり、風邪などがまん延する心配 ー。少し変わった味 も、インフルエンザが一部避難所で発 症との報道が(福島民報 2011.3.23) ■3月22日(火) 社会の動き 慈恵医科大学作成の健康状態調査票を 飯舘村長コメント 配り、避難者の健康状態の把握 飯舘村菅野村長「私たちは原発の危険 当センターの避難者であることの確認の と背中合わせに生活し、首都圏に電気 ため、各階ごとに色分けした「入居者カー を供給していた。この機会に効率一辺 ド」を作成して配る。 倒の考えを見直して欲しい。都会の人 炊き出し たちが福島にどういう気持ちを抱く 野菜汁 300 名分(福島県北農民連) のか、どんな行動をおこすのか見届け イベント (福島民報 2011.3.22) たい」 ボランティアによるフォークソング 演奏 44 ■ 3.11後のふくしま自治研修センター 避難者数が 300 名を下回る ■3月26日(土) 社会の動き 南相馬市の状況 野菜汁の炊き出し 一部地域が屋内退避圏となっている南相 馬市。26 日、自主避難していた市民が戻 ボランティアによる り始め、営業を再開する店も少しずつ増え フォークソング演奏 てきた(福島民報 2011.3.27)。 あまりにも空気が澱んできたので、換気の 「卒業お祝い式」 ため暖房を試運転 小学校や幼稚園(保育園)卒業者を対 ■3月25日(金) 社会の動き 象に「卒業お祝い式」を開催 歯科診察 石油列車の運行開始 福島県歯科医会(~3 月 27 日まで) JR 貨物が石油列車の運行を開始。東 北本線不通のため横浜市根岸駅から 新潟経由で福島県郡山駅へ 「県内のスーパーやコンビニ 食品 センター所長による祝辞 三 二 一 卒業祝福状授与 開式のことば 卒業生卒園生入場 記念品授与 ふくしま自治研修センター 保護者代表あいさつ 四 五 卒業生・卒園生からひと言 所長祝辞 六 い。 ・・・物流の鍵を握るガソリン不 (全員) 間運送業者がほとんど入ってこな 上を向いて歩こう(歌) 「危険地域」との風評が流れ、今も民 七 市は極めて深刻な状態だ。放射線の 閉式のことば 避難・屋内避難区域に含まれる南相馬 八 どが少しずつ増え始めた。 ・・・一方 卒業生・卒園生退場 のスーパーなどでは棚に並ぶ商品な 九 東日本大震災から 2 週間となり、県内 「卒業祝福状」授与 足は依然解消されていない(福島民報 2011.3.25) 。 ■3月28日(月) センター~病院間のシャトルバス運 診療、散髪サービスなど 行(大原病院(福島市) ) 「小学生勉強会」を開催 ・眼科診察(福島県医師会) ハガキ、封筒の無料提供(福島市佐倉 ・センター~病院間のシャトルバス運 行(大原病院(福島市)) 郵便局) 45 卒業お祝い式次第 など増えはじめる」 ■ 3.11後のふくしま自治研修センター ・散髪サービス(理容組合) 2011.4.2) 。 歯科診療(福島県歯科医師会) 散髪サービス。 (~3 日まで) 会場は演習室。 ■4月3日(日) 災害の状況 ■3月30日(木) 社会の動き 放射性物質 県産野菜の放射能測定結果 県内の原木シイタケより暫定基準値を超 福島県は県産野菜の放射能測定結果を える放射性物質が検出 公表。県内 42 市町村、43 品目を調査し、 社会の動き 放射性ヨウ素が食品衛生法の暫定基準 情報提供紙発行 値を超えたのは、17 品目、同じく放射性セ 福島県災害対策本部は、 「避難所の皆様 シウムは 25 品目が上回った。調査した野 へ」と題した情報提供紙を発行した。 菜のほとんどはすでに出荷制限されており、 今後は週 2 回程度、被災した県民が生 暫定基準値を超えた野菜は出荷されてい 活する県内外の避難所に張り出す予定 ない。 「もちつき大会」(福島青年会議所) ■4月1日(金) 社会の動き 「心の相談」調査票配布(慈恵医大) 無料ジェラート券の提供 「東日本大震災」 (ご近所の「ハニービー」様より) 政府は持ち回りの閣議で今回の地震の災 害を「東日本大震災」と命名することに決 ■4月4日(月) めた。地震名としては、気象庁の定めた 「平成 23 年(2011)東北地方太平洋沖地 慈恵医科大学医師と避難者の懇談会 (~5 日まで) 震」がある。 昔話(福島民話茶話の会) 法律相談会(弁護法人ブレインハート法 律事務所) センター~病院間のシャトルバス運行 (大原病院(福島市)) ■4月2日(土) 社会の動き ■4月5日(火) 社会の動き YouTube に南相馬市長 二次避難所へ 南相馬市桜井市長が YouTube を通して 福島県内各地の一次避難所に避難した 国際社会に、人手、情報、物資の不足 後、集団で別の場所に移る二次避難が始 を英文の字幕つきで訴える ( 福 島 民 報 まっている。今後、福島市内の飯坂温泉、 46 ■ 3.11後のふくしま自治研修センター 高湯温泉、いわき市湯本、猪苗代町など に移動する見通し ジーンズの配布会 陸上自衛隊福島駐屯地の演奏会(講堂) 新学期より小中学校に通う保護者との連 絡相談会(通学路、朝食の時間など)(保 曲目は「アンパンマンのマーチ」「松田聖子メドレー」 「高原列車は行く」など 護者、警察、センター) センターに避難している避難者数が ■4月10日(日) 200 名を下回る おにぎり、ジンギスカン無料引換券の提供 ■4月7日(水) (アサヒビール園四季の里) 豚汁、お総菜の提供 フルート演奏会 (野田町カトリック教会) マッサージボランティア(高橋 様) 歯みがき教室 (福島県歯科衛生士会福島支部) フルート演奏会。「崖の上のポニョ」「トイレの神様」など 無料入浴券の提供(飯坂温泉) 余震対応 7 日深夜の余震(震度5強)でエレベータ ーが自動停止。建物のその他の部分には ■4月11日(月) 社会の動き 異常なし。不安を感じた避難者が起きだし 計画的避難区域 てくるが、館内放送で、冷静な待機を呼び 福島第一原発から半径 20 ㎞の外側で、 かけた。 放射性物質の累積が高い地域を計画的 避難区域にすると官房長官発表 ■4月8日(金) 県知事は面会拒否 東京電力社長が謝罪のため福島県庁を NTT 基本料金免除手続き相談会 訪問、知事は面会拒否 郵便局より、お金が下ろせなくて困ってい る避難者のもとへ出向く旨の連絡があっ 給食開始 た。 当センター食堂で業者による給食が始ま る。 ■4月9日(土) 労災保険相談会(福島県社会保険労務 士会) 歯科診察(~4月 10 日まで)(福島歯科 車検相談会(東北運輸局) 医師会) 免許更新等移動交番 演奏会(陸上自衛隊福島駐屯地音楽隊) 病院までのシャトルバス運行(大原病院) 47 ■ 3.11後のふくしま自治研修センター ■4月12日(火) 災害の状況 ■4月15日(金) 大規模余震 小児科検診(福島市医師会) いわき市では 11 日、12 日と連日震度 社会保険労務士相談会 (福島県社会保険労務士会) 6 弱の大規模な余震が発生 メガネ、コンタクト、補聴器の無償提 供(メガネのパリミキ) ■4月16日(土) 災害の状況 ボールハウスの無償提供(マインドシ 放射線量調査 ェアイシイ) 県内 2727 地点を対象にした県の緊急 放射線量調査が終了。県放射線健康リ スク管理アドバイザーが目安としていた 1 「ボールハウス」 時間あたり 10 マイクロシーベルトを超えたの 中にカラーボールの は最終的に 18 地点 入っている遊び場 社会の動き 県外避難者数 ■4月13日(水) 社会の動き 県災対本部調べ、福島県の県外避難者 は 39 都道府県で計 2 万 7422 人に 国の復興構想会議初会合 風評被害 「よりよい社会を生み出すきっかけに 原発事故を理由に、千葉県で本県からの なる案を」 避難者がいじめられたとされる問題を受 出荷停止指示 け、県教委は、県内の全公立校に児童・ 政府は福島県東部の露地シイタケの出 生徒への適切な指導や放射線の正しい 荷停止を指示 知識の普及を求めた 仮設住宅 アントニオ古賀、阿倍里葎子コンサート 国見町に県内で最も早く仮設住宅が完 「まぐろづけ丼」と「寿司」の提供 成 (東京築地「すしざんまい」) 避難者数が 100 名を下回る 「移動こども映画会」 人数が少なくなったので、大部屋(教室)に (福島県文化センター) 入っていた避難者は、宿泊室へ移動(14 避難所視察(厚生労働省老健局長) 日) ヨガ体操教室 気功教室(NPO 法人日本法輪大法学会) 歯科診察(~17 日まで) (福島県歯科医師会) コンサート お寿司の準備中 48 ■ 3.11後のふくしま自治研修センター ■4月17日(日) ■4月20日(水) 社会の動き 電子絵本上映会 警戒区域 ラーメン・寿司の炊き出し 福島第一原発半径 20 ㎞圏内の避難指 (福島青年会議所) 示区域が「警戒区域」に指定される見通 しに。警戒区域指定後の立入には罰則 ■4月18日(月) 社会の動き 規定も 避難者数 18 日時点で、避難者は、県内避難所に ■4月21日(木) 社会の動き 2 万 6237 人、県外避難者も合わせると 飯舘村 5 万 6106 人に 高い放射線量を避けて、飯舘村の幼稚 園児・小中高生 467 名が川俣町の川俣 子どもたちの勉強会 中などへ通学を開始 (福大・医大学生ボランティア) センター~病院間のシャトルバス運行 放射線量 文部科学省、福島第一原発 20 ㎞圏内 (大原病院) の大気中の線量を初めて公表。最高で 毎時 110 マイクロシーベルト ■4月19日(火) 社会の動き エコノミー症候群検査(福島県立医大) 校庭、園庭での活動自粛指示 南相馬市義援金説明会(南相馬市役所) 文部科学省は、校庭・園庭での放射線 量が毎時 3.8 マイクロシーベルトを上回った福 島、郡山、伊達の 3 市の小中学校と保育 ■4月22日(金) 社会の動き 所・幼稚園あわせて 13 校に屋外活動を 計画的避難区域 控えるよう県に通知 政府は、22 日午前 0 時、半径 20 ㎞の 外側で放射性物質の累積量の高い地域 子どもたちの勉強会 を「計画的避難区域」、半径 20~30 ㎞ (福大・医大学生ボランティア) 健康ダンス教室 圏内で計画的避難区域に入らない地域 の大部分を「緊急時避難準備区域」に指 (八木田ダンス教室(福島市)) 定 「映画ドラえもん」招待 (ワーナー・マイカル・シネマズ) センター以外の避難所から来所されて、 健康ダンス教室 支援物資を大量に持ち出される避難者 49 ■ 3.11後のふくしま自治研修センター が問題に。「入所者以外の方で食料や物 花見山(福島市)バスツアー 資をお持ちになりたい方への大事なお知 (NPO 法人いいざかサポーターズクラブ主 らせ」を掲示 催) ■4月27日(水) 南会津地方 PR 福島県南会津地方振興局が来所。浜通 『入所者以外の方で食料や物品をお持ちに り地方の避難者に二次避難所としての南 なりたい方への大事なお知らせ』 会津地方を PR ■4月24日(日) ■4月28日(木) 歯科診察(福島県歯科医師会) 郵政サービス相談会 気功教室(第 2 弾) 激励のため南相馬市長が来所 (NPO 法人日本法輪大法学会) わくわくお手入れ教室 困りごと相談(福島警察署) (サンダースペリー化粧品) 警察による困りごと相談 ■4月25日(月) 社会の動き ■4月30日(土) 市独自の除染 郡山市は、原発事故による県の放射線 慈恵医科大学医療チーム撤収 量調査で数値の高かった市内の小中学 3 月中旬に 300 名以上いた避難者は、 校、保育所校庭・園庭について、5 センチ 二次避難所への移動などで 4 月 30 日時 程度の表土を除去する独自の対策を県 点で 67 名に減少。人の目が少なくなった 内で初めて実施 ことにより、避難者の安全確保のため、死 東北新幹線復旧 角になりやすいテレビ視聴室を閉鎖 東北新幹線 仙台~東京間が運転を再 子どもたちの勉強会 (福大・医大学生ボランティア) 開。45 日ぶり ■4月26日(火) ■5月1日(日) 「神戸クロスロード研究会」のみなさんから ご提供のあった「焼き菓子」を避難者の エレクトーン演奏会 (会津若松市 佐藤さん) 方に配る。 50 ■ 3.11後のふくしま自治研修センター る。 SPEEDI 県は非常時の放射性物質の広がりを予 測する国のシステム、SPEEDI のデータを エレクトーン演奏会 3 月 13 日に確認したが公表していなか ご高齢の方は正座で拝聴 った。6 日の自民党県議会議員政調会 ■5月2日(月) で明らかに 気功教室(第3弾) 荒川上流自然観察会(ふるさとの川・荒川 (NPO 法人日本法輪大法学会) づくり協議会主催) 子供たちの勉強会 陸上自衛隊福島駐屯地音楽隊による演 (福大・医大学生ボランティア) 奏会(第2弾) (5 月は 2 日、4 日、14 日、16 日、19 日、 ■5月10日(火) 社会の動き 22 日、30 日に開催) ■5月4日(水) 一時帰宅 川内村で一時帰宅が実施。警戒区域内 中野不動尊茶屋震災復興サービス券配 の市町村としては初 布 マッサージボランティア カットサービス(横浜市の美容師さん) ■5月14日(土) 社会の動き ■5月6日(金) 計画的避難開始 巡回診療(日本赤十字社医療チーム) 飯舘村、川俣町などで「計画的避難」が (5 月 6 日、13 日、20 日) 始まる ■5月16日(月) 入浴を週 3 日から毎日に ■5月7日(土) 社会の動き ■5月17日(火) 県八重洲観光交流館 当センターの避難者に対する「入所期限 東京にある県八重洲観光交流館の4月 についての説明会」を開催。入所期限が 7 の売上高が前年同月の約10倍に。福 月 20 日であることを連絡するとともに、二 島県を応援する輪が首都圏にも広が 次避難先等への移動を促す。 51 ■ 3.11後のふくしま自治研修センター 大盛況 ■5月25日(水) 日中ほとんど避難者を見かけなくなった「コミュニテ フェイシャルエステのボランティア ィホール」。右下は山口県からの応援の方 ■5月26日(木) 社会の動き 屋外活動の放射線量基準の見直し 文部科学省は「年間 20 ミリシーベルト」として いる小中学校の屋外活動制限の放射線 量の暫定基準を当面維持しながらも、 「年間 1 ミリシーベルト以下」を最終目標とし てあらたに掲げる方針を明らかにした。 一時帰宅 双葉、浪江両町で初の一時帰宅。浪江 ■5月18日(水) 町沿岸部では追悼式も行われた。 避難者数が開所以来最低の 59 名に タオルケット、シーツを配る 化粧品配布(資生堂から寄付) 宿泊棟に洗濯機を設置 仮設住宅説明会(南相馬市) ■5月22日(日) 「計画的避難区域」(飯舘村)から初めて の避難者(1 家族 4 名)が入所 ■5月24日(火) 温家宝首相来県時のお土産のお裾分けのパンダぬ いぐるみ。避難者のみなさんに配布。 ナポレオンズパルト小石さんのマジックショ ■5月29日(日) ーと缶詰博士黒川さんの料理ショー 飯舘村(計画的避難区域)より 61 名入所、 5 月 29 日時点でセンターの避難者数が マジックショー 料理ショー 52 ■ 3.11後のふくしま自治研修センター 121 名に増加。当センターへは、子どもの ■6月7日(火) いる家庭、高齢者のいる家庭が優先的に 入所。 飯舘村にて、役場職員とセンター職員が 飯舘村から子どものいる家族が数多く入所 計画的避難による避難者の受入について したため「保護者会」を開催 打ち合わせ センター近くの国道にクマが出没との報道。 ■6月2日(木) 6 月 10 日には、センター敷地内でカモシカ が目撃される。 「入所者全体会」開催 労働・年金の相談(福島県社会保険労務 以前から入所している避難者と、新しく避 士会) 難してきた避難者の間の、生活のルール の認識の違いを解消するため「入所者全 体会」(生活ルールの確認)を開催。セン ■6月11日(土) 社会の動き 避難者数 ター主催 地震発生から3か月が経過。避難生活を ■6月2日(木) 送っているのは県内外で約5万9000 人 子供たちの勉強会 ビーズスクール(しょうじデザイン事務所) ハンドマッサージ (福大・医大学生ボランティア) (6 月は 2 日、4 日、9 日(NHK の取材あり)、11 日) ■6月5日(日) 社会の動き 県外避難者が 3 万 5557 名に。先月 5 ビーズスクール 日より 1500 人増 紙芝居(絵本作家あきばたまみ さん) ハンドマッサージ ■6月6日(月) ■6月12日(日) 生活のルールに関する話し合い 集団生活、避難生活に馴染めないでいる 飯舘村から新たに 34 名が入所。避難者 飯舘村の小中学生と、センター職員との 数が 160 名に増加 『生活ルール』に関する話し合い 53 ■ 3.11後のふくしま自治研修センター ■6月17日(金) ■6月23日(木) 2階、1 階ラウンジのコミュニティホールの 散髪サービス(ル・シャルダン八王子店) 一部を畳敷きに ■6月25日(土) 寄席 ユニクロ提供の衣料品を希望者に配る 司法書士による無料法律相談 ■6月26日(日) ■6月18日(土) 勉強会の福大・医大学生ボランティア主 室内運動ボランティア(ゼビオ) 催によるバーベキュー大会(水林公園) 夏祭り(センター内) ■6月19日(日) (福島法人会女性部会) ■6月27日(月) 社会の動き お絵かき教室 脱原発表明 福島県知事が 6 月定例県議会本会議で 福島県の脱原発を表明 ■6月21日(火) ボランティアによる指編み教室 ■6月29日(水) 災害の状況 バルーンアート教室 ■6月22日(水) 放射性物質測定結果 県は農用地土壌の放射性物質の検査結 平原綾香さんコンサート 果を発表。県内 49 市町村の 121 か所が 調査対象で、うち 3 か所で、乾土 1 キロか ら 5000 ベクレル以上の放射性セシウムが 検出された。 コンサート終了後 バルーンアート教室 54 ■ 3.11後のふくしま自治研修センター ■6月30日(木) 社会の動き ■7月7日(木) 災害の状況 特定避難勧奨地点 放射性物質測定結果 伊達市 4 地区の住居 104 地点を局地的 県は県内 21 か所の牧草の放射性物質 に放射線量の高い「ホットスポット」にあた 検査結果を発表、7 か所で暫定基準値 るとして、政府原子力災害対策本部は、 (300 ベクレル)を超過した 住民避難を促す特定避難勧奨地点に指 定した。 避難所閉鎖方針 避難者の二次避難所等への円滑な移 県は 1 次、2次避難所を原則として8 行を促すための「二次避難先調査用紙」 月末で閉鎖する方針を固めた。被災者 の提出期限 へは仮設住宅への入居などを促す。 ■7月8日(金) ■7月2日(金) 飯舘村議来所。避難者と意見交換 夏祭り(第2弾) ■7月9日(土) (ポップコーン、綿菓子無料提供) 子どもたちの勉強会 木管五重奏コンサート(東京管弦楽団) (福大・医大学生ボランティア) (7 月、週 2 回のペースで実施、最終 7 月 18 日) ■7月3日(土) 桑江知子、笹子重治ミニライブ(飯舘村 主催) ミネラルウォーター配布(熱中症予防) ■7月14日(木) 災害の状況 放射性物質測定結果 県は野菜と果実の放射性物質測定結 果を発表。野菜は 27 市町村の 16 品 目 51 点、果実は 7 市町の 4 品目 9 点 を調べて、全て食品衛生法の暫定基準 値を下回った。 段ボール箱入りミネラルウォーター。2 名に一 ■7月15日(金) 社会の動き 箱の割合で配布 福島県復興ビジョン 55 ■ 3.11後のふくしま自治研修センター 今後 10 年にわたる県の復興の指針と ■7月31日(日) 社会の動き なる「復興ビジョン」の素案をまとめ 県民健康管理調査 る。 (8 月から)福島県の「県民健康管理調査」 福島県は脱原発を基本理念に据えた が本格実施。事故当時県内に居住して いた 202 万人全員が対象 仮設住宅などへの移動により、センタ ーの避難者が 100 名を下回る。 平成 23 年 3 月 16 日の避難所開所から 避難所閉鎖に向けて中古寝具を希望者 138 日目、最終日の避難者数は 25 名 に配布 最後の避難者グループリーダー会議を 開催 ■7月19日(火) 社会の動き 全員の退所を確認した後、避難所を閉 鎖 出荷停止指示 政府、福島県産の牛肉の出荷停止を指 示 ■7月22日(水) 社会の動き 避難所閉鎖 県は避難者の自立に向けた 10 月末ま での工程表をまとめた。仮設住宅など 約 2 万戸が用意できる 7 月末までを 「ステップ1」とし、県内 39 か所の 一次避難所のうち、JICA 二本松など 6 か所を閉鎖。10 月末には全面閉鎖の 予定 ■7月25日(木) 仮設住宅に関する説明会(飯舘村) センターに滞在する避難者が 50 名に 減少 56 ■ ふくしま自治研修センターにご支援、ご協力いただいたみなさま ■ ふくしま自治研修センターにご支援、ご協力いただいた みなさま 当ふくしま自治研修センターの避難所運営にご協力、ご支援いただいたみなさまです。この度の 震災に際して、非常に多くの方々からのご支援に心より感謝申し上げます。 なお、多大なご支援をいただきました「東京慈恵会医科大学」、「福大・医大ボランティア」につき ましては、感謝状を贈呈するとともに、次節以降でその活動内容や、感謝状贈呈式の様子をご紹 介します。 掲載内容 ■ 医療・保健に関する支援 ■ 物資提供による支援(5月) ■ 相談会やイベント開催による支援 ■ 〃 (6月) ■ 物資提供による支援(3月) ■ 〃 (7月) ■ ■自治体職員の派遣による支援 〃 (4月) (注) ・ 順不同で掲載しています(概ね支援内容、支援日の順です)。 ・ 法人・団体の場合は敬称を省略しております。 ・ 継続的なご支援を頂いている場合は、一回にまとめて掲載しています。 ・ できる限り掲載するようにしておりますが、漏れ等ございましたらご容赦ください。なお、大変申し 訳ございませんが、記録の不備などのため、お名前、団体名が不明のご支援につきましては、 名称の欄を空欄とさせていただきました。また、正式な団体名が不明の場合も、判明している 範囲で掲載させていただきました。 ■ 医療・保健に関する支援 ● 東京慈恵会医科大学 ● 福島県歯科衛生士会福島支部 ・診察(医療チーム常駐) ・歯みがき教室 ● 日本赤十字社 ● 福島県立医科大学 ・巡回診察 ・エコノミー症候群検査 ● 福島県医師会 ● 大原綜合病院 ・診察 ・病院直行シャトルバス運行 ● 福島市医師会 ● おおつきスリープクリニック ・小児科検診 ・診察 ● 福島県県北保健福祉事務所 ■ 相談会やイベント開催による支援 ● 福島青年会議所 ・保健師、理学療法士巡回 ● 福島県歯科医師会 ・歯科診察 ・豚汁、餅つき大会 57 ■ ふくしま自治研修センターにご支援、ご協力いただいたみなさま ● 福島県北農民連 ● 佐倉郵便局 (福島市) ・野菜汁炊き出し ・郵政相談会 ● 理容組合 ● 福島県弁護士会 ・散髪サービス ・法律相談 ● ブレインハート法律事務所 ● ワーナー・マイカル・シネマズ ・法律相談 ・映画ドラえもん招待 ● 福島民話茶屋の会 ● 福島警察署 ・昔話 ・困りごと相談 ● 小野 様 (福島市) ● 福島市災害対策本部 ・フルート演奏会 ・花見山バスツアー ● 陸上自衛隊福島駐屯地 ● 佐藤 様 (会津若松市) ・演奏会 ・エレクトーン演奏会 ● (株)NTT 東日本福島支店 NTT ラーニング(株) ● NPO 法人いいざかサポーターズク ラブ (福島市) ・電子絵本上映会 ・花見山バスツアー ● 福島県社会保険労務士会 ● サンダースペリー化粧品 ・労災保険相談 ・わくわくお手入れ教室 ● 東北運輸局 ● 柔道整復師ボランティアのみなさ ん ・車検相談会 ● アントニオ古賀 様 阿部里葎子 様 ・マッサージボランティア ● ふるさとの川・あらかわづくり協議 会 (福島市) ・コンサート ● すしざんまい (東京都) ・まぐろづけ丼、寿司の炊き出し ● (財)福島県文化振興事業団 ・自然観察会 ● 声のボランティア「むすぶ」 ・声のボランティア ・移動映画会 ● ナポレオンズ パルト小石 様 缶詰博士 黒川 様 ・ヨガ体操教室 ・マジックショー・料理ショー ● ● 橋本 様 ● ・気功教室 ・フェイシャルエステ ● NPO 法人日本法輪大法学会 ● あきばたまみ 様 ・気功教室 ・紙芝居 ● 福大・医大ボランティア ● しょうじデザイン事務所 ・子どもたちの勉強会 ・ビーズスクール ● 八木田ダンス教室 (福島市) ・健康ダンス教室 ● (株)ゼビオ (郡山市) ・室内運動ボランティア 58 ■ ふくしま自治研修センターにご支援、ご協力いただいたみなさま ● NPO 法人美と健康生活を考える 会 ・ハンドマッサージ ● ・お絵かき教室 ● 安田 様 (福島市) ・乳児用カゴ、風呂、衣服、ポット ● ユニバーサル機構 ・衛生用品 ● 風船工房 MORITTO (福島市) ● 福島青年会議所 ・バルーンアート教室 ・子供用図書・ミルク・トレーナー・子供 ● 平原綾香 様 用上着・下着・コート ほか ● 福島県北農民連 ・コンサート ● (株)影向社 (神奈川県) ・毛布・下着・靴下 ほか ● (株)NTT ドコモ福島支店 ・寄席 ● 司法書士のボランティアのみなさ ん ・携帯電話充電器(18 口充電装置 1 台、アダプター60 台) ● 亀岡 様 ・司法書士による法律相談 ● 福島法人会女性部会 ・マスク ● 生活協同組合 ・夏祭り ● 湯野澤 様 (福島市) ・水(ペットボトル) ● 福島県県北保健福祉事務所 ・指編み教室 ● 川崎文化会 (神奈川県) ・ほ乳瓶・お尻ふき・粉ミルク・ベビーフー ・バラエティーショー ト・、乾電池 ほか ● ソ・スヨン 様 ● 日本光電東北(株)南東北支社 ・コンサート ・マスク ● 桑江知子 様 笹子重治 様 ● 東京慈恵会医科大学 ・ほ乳瓶・ベビーフード・子ども用パジャマ・ ・ミニライブ 乳児下着・紙おむつ・お尻ふき・レトルト ● 東京室内管弦楽団 おかゆ ほか ● 大川 様 ・木管五重奏コンサート ● 美容室ル・シャルダン八王子店 ・生理用品 ● (株)ヨークベニマル (郡山市) ・カットサービス ● 横浜市の美容師の皆さま ・煮込みラーメン・野菜ジュース・レトルトおで ・カットサービス ん・レトルトカレー ほか ● 滋賀県職員 様 ■ 物資提供による支援(3月) ● デイリーはやしや (長野県) ・胃腸薬など薬 24 種 ● 近藤 様 (静岡県) ・おにぎり 2 個入りパック(1400 食) ・折り紙、折り紙の本 ● 福島県立医科大学 ・粉ミルク・紙おむつ 59 ■ ふくしま自治研修センターにご支援、ご協力いただいたみなさま ● (株)柏屋 (郡山市) ● 山林堂 様 (二本松市) ・桜餅 ・豚汁用豚肉・野菜・大根・みそ汁・大 ● 芳賀赤十字病院 有志 様 根・油揚げ ● 磯目小児科 (福島市) (栃木県) ・イチゴ・トマト ・おもちゃ ● 大津消防本部 (滋賀県) ● 錦堂(株) ・サトウのごはん (群馬県) ・バスタオル・卓上醤油・洗濯用洗剤 ● 佐倉郵便局 (福島市) ● 福島友の会 ・ハガキ・封筒 ・タオル・トレーナー・婦人ジャケット・下着・ク ● ハニービー (福島市) ッキー ほか ● 福島大学 ・ジェラート無料券 ・子供用下着・下着・トレーナー ■ 物資提供による支援(4月) ● 蛭田 様 ● 大波 様 (福島市) ・豚肉 ● 明治安田生命保険相互会社 ・ミルク・おむつ・幼児服 ● ラジオ視聴者 様 ・お菓子 ● 和菓子の「もぐらや」 (大阪府) ・缶切り ● 福島シニアライオンズクラブ ・究極のどら焼き「もの字焼き」 ・梅干し(樽入り)・お菓子・魚肉ソーセ ージ・シーチキン缶・バナナ・イチゴ・み ● ロータリクラブ ・文房具セット ● NPO 法人ハートネットふくしま かん ● 東京慈恵会医科大学 ・鶏肉・ルームウェア・箸 ほか ・消毒液・パン・カステラ・和三盆・おか ゆレトルトパック・黒酵母パン・化粧用コ ● NPO 法人日本法輪大法学会 ・マスク・ガーゼ ● 渡邊 様 (福島市) ットン ほか ● 藤野 様 ・スラムダンク全巻・シティハンター全巻・三国 ・水・カップラーメン・おむつ・衣類、ほか 志・世界文学全集 ほか ● 福島青年会議所 ● 秋田 様 (歯科医) ・スープおかず・カレー・お茶、・ウェットティ ・ミラノール(虫歯予防フッ素剤)の顆 ッシュ・缶詰・瓶詰め・うどん・やきそば・ 粒と専用ボトル ● 神戸クロスロード研究会 カップ麺、ほか ● 福島ボランティアセンター ・焼き菓子・ティッシュペーパー(箱) ● 公益社団法人 施設協議会 ・老眼鏡 ● 星 様 ・老眼鏡 全国老人福祉 ・水無しで使える泡の消毒液 60 ■ ふくしま自治研修センターにご支援、ご協力いただいたみなさま ● (有)伊藤茶園 (大阪府) ● トムス(株) ・お茶・上新粉・くき茶・急須 ・T シャツ ● 荒川づくり協議会(福島市) (福島県総務部経由) ● (株)ヨークベニマル福島西店 ・お菓子・栄養ドリンク ● 多田 様 ・飲むフルーチェ・ハウスとんがりコーン ● 荒川づくり協議会(福島市) ・ハンドソープ、お茶、急須 ● 山口 様 (横浜市) ・お菓子・栄養ドリンク ● アサヒビール園四季の里 ・本 ● 菅野 様 (福島市) (福島市) ・おにぎり・ジンギスカン無料引換券 ・鳩サブレ ● 野田町カトリック教会(福島市) ● (株)資生堂 ・豚汁・お総菜 ● 飯坂温泉 (東京都) ・化粧セット ● 高宮 様 (二本松市) (福島市) ・無料入浴券 ・ミネラルウォーター・各種缶詰多数 ● メガネのパリミキ ● 飯舘村役場 ・メガネ、コンタクト、補聴器 ・トイレットペーパー ● マインドシェアイシイ ● 福島ヤクルト販売 ・ボールハウス ・ヤクルト ● 大越 様 ■ 物資提供による支援(5月) ● 練馬区 村上 様 ・トマト ● (株)洋菓子舗ウエスト (東京都) ・虎屋の一口羊羹・フェイスタオル・バ スタオル・お菓子・粉ミルク・ベビーシャ ・リーフパイ ● 中野不動尊茶屋 (福島市) ・無料サービス券 ンプー ほか ● マツダ紙工業(株) (大阪府) ● 中華人民共和国 温家宝首相 ・リンゴ ・パンダのぬいぐるみ ● SSOJ ボランティアグループ (あづま総合運動公園経由) ● 桜田 様 ・色鉛筆、落書き帳、古本、マンガ ● 福島青年会議所 ・お菓子 ・粉ミルク・紙おむつ ● 原発被害者の会 ■ 物資提供による支援(6月) ● 福島ヤクルト販売 ・白菜・キャベツ・キュウリ ● わたり病院 (福島市) ・ヤクルト ● たまちゃん一家のタマゴ園 ・アテントはくパンツ ● 産業能率大学 ・生卵 ・充実野菜 61 ■ ふくしま自治研修センターにご支援、ご協力いただいたみなさま ● あきばたまみ 様、白河未来 様 ● 福島県社会福祉協議会 ・絵本・口紅 ・冷凍イカ ● (株)洋菓子舗ウエスト (東京都) ● 尾﨑 様 ・リーフパイ ・シャンプー・リンス・洗濯洗剤・お菓子ほ ● 尾崎 様 か ● (株)ヨークベニマル ・お菓子 ● J-WAVE ・ペットボトルお茶・野菜ジュース ● トーニチ(株) ・マンガ ● 横田 様 (石川県) ・七夕ゼリー(もも味、ソーダ味) ● 髙橋 様 (飯舘村) ・(絵手紙うちわ) ● 清野 様 ・味噌・漬け物・のり佃煮 ほか ● 新和刃物 (岐阜県) ・雑誌 ● 大上 様 ・爪切り ● 神戸女子大学 文学部 吉行ゼミのみなさま ・下着・T シャツ・薬・空気清浄機 ● NPO 法人ハートネットふくしま ・キャベツ・大根・カボチャ・にんじん・ミ ・うちわ多数 ● 徳島聖書キリスト集会 (徳島県) ニトマト・ニラ・豚コマ・鶏モモ ほか ● (株)ゼビオ ・本 ● 福島県北部郵便局会 ・ウォーターボトル・アイスタオル ● (株)ユニクロ ・暑中見舞いハガキ ● 福島市音楽堂 ・ポロシャツ・トランクス・タンクトップほか ● UKあすなろ支援の会(神奈川県) ・コンサートチケット ・ポロシャツ・Tシャツ・下着・靴下 ほか ■ 自治体職員の派遣による支援 ● 滋賀県 ■ 物資提供による支援(7月) ● 福島ヤクルト販売 ・3 月 25 日~4 月 18 日 19 名 ・ヤクルト ● 長崎市 ● NPO 法人おむすびママの会(東京都) ・子ども用 T シャツ・カットソー・サッカーウ ェア・パジャマ・ズボン・タンクトップ ほか ● UKあすなろ支援の会(神奈川県) ・4 月 17 日~4 月 20 日 3 名 ● 群馬県 ・4 月 20 日~4 月 23 日 2 名 ● 山口県 ・グリム童話セット ・5 月 17 日~5 月 24 日 2 名 ● 日本歯科医師会 ● 福島県 歯みがき・コップ・その他ケア用品セット ・3 月 19 日~7 月 30 日 延べ 123 名 ● 好麒麟本舗 (大阪府) ・スッキリンボディクリーム 62 ■ 「福大・医大ボランティア」のみなさん ■ 「福大・医大ボランティア」のみなさん 福大・医大ボランティアは、当センターに避難している小学生・中学生の勉強のお世 話をしてくれた福大生、県立医大生のボランティア団体です。5 月から 7 月の 3 か月間 に週2回の勉強会、加えてバーベキュー大会などを開催して、子どもたちを励まし、元気 づけてくれました。 平成 23 年 12 月 15 日、当センターでは福大・医大学生ボランティアに感謝状を贈る とともに学生の皆さんにインタビューをしました。 ←福大・医大ボランティア の皆さん。 左から 本名さ ん、山田さん、山内さん、 清水さん(リーダー)、坂 牧さん (センター) 「福大・医大ボランティア」のみなさんはいつ頃から活動を開始したのです か? (清水) 3月11日の地震発生後からです。被災された皆さんのために何かできないか と、僕が知り合いに呼びかけました。 (センター) メンバーは何名ぐらいいますか? (清水) 核となるメンバーは10名前後。ちょくちょく顔を出す人も含めると20名ぐらいで す。 (センター) これまでどういった活動をしてきたのですか? (清水) 地震直後は県内の避難所10か所で炊き出しと か、情報提供のお手伝いで、そのあと、子どもたち の学習支援はできないかということで、某大手避難 所へ行ったのですが、ここはすでに別の団体が入っ ていました。 自治研修センターは炊き出しが入っておらず、ボ ランティアも少ないような気がしたので支援を申し出ました。 63 ■ 「福大・医大ボランティア」のみなさん (センター) 活動資金はどうしたのですか? (清水) 医学系のメーリングリストを活用して、医師とか薬品会社関係者、経営コンサル タントといった方々に資金を援助してもらいまし た。あと友人などからのカンパもありました。 (センター) 勉強会で楽しかったことや、勉強会に来 た子どもたちへのメッセージ、あるいは今後 の抱負などを一人ひと言ずつお願いします。 (清水) 今でも勉強会でいっしょだった子ども達としょっ ちゅう遊んでいます。家庭教師として時々勉強を見ている子どももいます。避難 所を出たから終わりじゃなくて、みんな集めてまた何かやってみたいと思っていま す。 (本名) 子どもたちと野球をやったことが思い出深かったです。大学の野球仲間を呼ん で中学生と試合しましたが、レベルの高さにビックリしました。 (山内) いっしょにはしゃぐと、本当に喜んでくれたことがいい思い出です。只見町に就 職予定なので、冬には雪祭りに来てください。 (坂牧) 「たのしんご」のモノマネがうけたこと。みんないつでもウチのアパートに遊びにき てね。 (山田) 今でもみんなつながっていることを忘れないで欲しい。ここでの経験を思い出で 終わらせることなく、今後もつながりが持てたらいいと思う。坂牧(新潟県山古志 村出身)みたいに、支援された側から、次はぜひ支援する側へ回って欲しいと思 います。 64 ■ 東京慈恵会医科大学 ■ 東京慈恵会医科大学 東京慈恵会医科大学の災害派遣医療チームは、震災後の平成 23 年 3 月 21 日か ら 4 月 30 日までの 41 日間、当センターを拠点にして県北地方の避難所の巡回、避難 者の診療にあたられました。 また当センターにおいても避難者の診療や、衛生面における指導助言はもちろん、心 の健康調査の実施や避難者との懇親会をおこなうなど、さまざまなご支援をいただきま した。 平成 23 年 9 月 2 日、当センターでは、東京慈恵会医科大学を訪問し、栗原敏学長、 森山寛病院長に対し、今回の震災における同大学のご支援ご協力に心より御礼を申し 上げるとともに、感謝状を贈呈いたしました。 (右から、東京慈恵会医科大学森山寛附属病院長、同栗原敏学長、ふくしま自治研修センター所長木戸利隆) 65 ■ 東京慈恵会医科大学 66 ■ おわりに ■ おわりに ●未曾有の大震災 平成 23 年 3 月 11 日の地震や津波により、福島県は浜通り地域を中心に大きな被 害を受けました。加えて、東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染 により、福島県では 15万人を超える避難者が生じ、そのうち 6 万人以上が今もなお県外 への避難を余儀なくされています。 残念なことに、従来の防災対策、安全対策では、連鎖反応的に被害が進展する原子 力発電所の事故に対してはなすすべがなく、また今後の地域の除染や原子炉の廃炉に も長い期間を要することが予想されています。 ●原子力とどうつきあっていくのか これまで電力会社は、原子力発電所の絶対的な安全性を強調して説明してきました。 しかし、想定外の地震と津波により原子炉の冷却設備の電源が失われ、その説明が実 はただの神話に過ぎないことが明らかになりました。広域にわたり放射性物質をまき散ら す事故が発生し、不幸にもこの福島県において、原子力発電所が制御不能にもなりえる 危険性が現実に証明されたのです。 これまで、世界では、大きく広島・長崎・チェルノブイリ・スリーマイル島で被爆という歴 史がありますが、わが国においては、福島県はすでに第三の被爆地です。もはや原子力 発電所を稼働させるわけにはいきません。「脱原発」を志向するのは当然のことです。 ●大きな転換が必要 「脱原発」を進める以上、これに代わる代替エネルギーを開発しなければなりません。 それは、そもそも有限である埋蔵量や環境を考えると、石油・石炭など化石燃料ではなく 水力、風力、太陽光といった再生可能なエネルギーを中心視座に置く必要があります。 また、今回の原発災害は、中央の資本と技術を注ぎ込むだけの地域開発やその道の 専門家への盲従が、地方にとっていかにリスクの大きいものとなるか、貴重な教訓となっ たはずです。 震災後、県内のとある自治体の首長が講演で次のように語っていました。 「快適さを求め続けてきた足し算の考えに決別し、引き算の中に本当の幸せや豊かさ を真剣に考える機会を天は与えたと思う」、と。 東日本大震災をただの悲劇で済ませることはできません。それは、我々一人ひとりに 今後の社会のあり方を問うているのではないでしょうか。 67 ■ おわりに ●土地を追われた人々、故郷を失った人々 住むことができる土地がない、住宅がない、学校がない、商店街がない、役場・庁舎 がない、そして放射能による汚染のため、双葉地域の復旧はようやく始まったばかりです。 このような状況下で、避難生活を送っている双葉地域のみなさんが、故郷なしで長期間 の避難生活を続けるのか、第二のあらたな故郷を考える必要があるのか、それぞれが、 遅かれ早かれ選択を迫られことになります。避難生活が長引けばひとり、またひとりと、 故郷への帰還をあきらめることとなるでしょう。 素早い復旧・復興を進めるために、まずは放射性物質の除染を進めて、人が住める、 活動できる地域にしなければなりません。そして瓦礫の除去や土地の再生、道路・鉄 道・水道・電気などインフラの整備や人々の生活と就業の場を確保しなければなりませ ん。 また、衣食住が足りれば、事足りるというわけではないはずです。避難生活による家族 の分断、避難先での孤立など、人間関係の問題に対しては、地域が育んできた絆をつ なぎ直す必要があります。加えて、今回の災害の特徴である放射線に対する住民の健 康管理対策の徹底など、なによりも被災者に寄り添った復興が求められています。そし て、そのような復興とするためには、現場の意見に耳を傾け、地域や生活の再建計画を つくることが結局は近道になるはずです。今回の震災で、生活の知恵として見なおしされ た「津波てんでんこ」や避難三原則と呼ばれるような現場重視の思想、人間重視の思想 こそが、今後の地域社会に必要になってくるのでしょう。 ●生きていくために 原発事故により、数十年間にわたり首都圏に電力を供給してきた福島県に残された のは、これからの困難な道のりです。しかし、一方で、原発事故からまだ1年も経過して いないにもかかわらず、県外の人々の間では原発事故に関する意識が急速に風化しつ つあります。今回の事故は我々福島県民のせいなのでしょうか?原発事故のため苦しい 避難生活を送っている双葉地域の住民は、そうなって当然のことを何かしたのでしょう か?そのようなことを考えると、福島県の復旧・復興に際しては、もちろん、福島県民が みずから積極的に考え、行動すべきですが、国を挙げた特段の配慮が必要であり、再興 に向けて考えられる限りのあらゆる施策が実施されるべきです。 放射線で汚染された土をよみがえらせる必要があります。くらしの再建を進める必要 があります。原子力発電所に代わる雇用の場も必要です。もしかしたら地元自治体のガ バナンスの再構築も必要になってくるでしょう。また、国・県・市町村間の協力・連携が必 要です。総力を合わせて前に進むには国から現場を担当する自治体へ、防災に関する 権限や財源の委譲も進めるべきでしょう。これらの実現に向けて、被災に直面している 自治体はさらに大きな声をあげるべきです。また、福島県に対する誤解やセンセーショ 68 ■ おわりに ナルな報道に基づく風評被害、差別、過剰反応を防止するために、除染や農産物の線 量測定はもちろん、放射線対策、健康診断・健康管理体制などの情報や、中通り地方、 会津地方ではほぼ事故前の生活に戻っていることについても、国内外に対して広く強く 発信していく必要があります。 ●今後に向けて 今回のふくしま自治研修センターの避難所の記録には、これまで述べてきたような趣 旨の職員一人ひとりの震災に対するいろいろな思い入れや問題意識が見え隠れしてい ます。そして、このような記録を残すことが、千年に一度の災害に立ち会ったこの時代の 人間の務めであると考えています。 何十年かかるかわかりませんが、これから福島県民は、世界のどの国も取り組んだこ とのない災害からの復興に向けて歩みを進めることになります。たぶん我々は百年先、 千年先にまで語り継がれる世界史的な災害と、そこからの復興のまさに当事者となった のだと思います。だからこそどんな小さなことであれ、世界と歴史に向けて、我々が為し たこと、考えたこと、感じたことを記録して残していくのは、とても大切なことなのではない でしょうか。 <終> 当センターに避難していた子ども たちが書き残していった色紙 69 ■ (資料 1)避難所職員の一日(平成 23 年 4 月上旬頃) ■ (資料1)避難所職員の一日(平成 23 年 4 月上旬頃) 日 勤 夜勤 A 夜勤 B 時 間 8:00 8:30 当日の当番が出勤 9:00 10:00 11:00 業 務 8:30 職員ミーティング インフォメーション・コ ーナー業務開始 9:00 避難者グループリーダー 会議 12:00 12:00 昼食の配食 13:00 15:00 夕食準備開始 14:00 インフォメーション・コーナー 15:00 8:30~19:00(年中無休) 16:00 17:00 支援物資搬入 (ほぼ毎日、時間不定) 18:00 19:00 19:15 退勤 救援物資整理、布団整理 掲示物整理、相談業務など 20:00 (日中に随時実施) 21:00 18:30 夕食の配食 22:00 仮 23:00 眠 0:00 1:00 2:00 19:00 インフォメーション撤収 19:30 夜勤当番ミーティング 20:00 カイロ置き場のカイロ 補充 23:00 勉強部屋施錠 館内見回り 仮 3:00 3:00 館内見回り 4:00 眠 5:00 6:00 7:00 5:30 朝食準備 6:30 朝食の配食 勉強部屋解錠 8:30 翌日の当番が出勤 8:00 9:00 9:30 次の夜勤当番に引継後、退勤 70 8:15 インフォメーション コーナー準備 8:30 職員ミーティング ■ (資料2)避難所の食事(平成 23 年 4 月上旬) ■ (資料2)避難所の食事(平成 23 年 3 月 16 日~4 月 11 日) (注 1) ふくしま自治研修センターが避難所を開設したときの食事記録です。記録が残存している分 のみ掲載しております。 (注2) 平成 23 年 4 月 11 日以降は、当センター食堂にて業者による給食となっています。 (注3) パンは特に記載がないかぎり、全て菓子パンです。 (注4) 食料は、基本的には支援物資ですが、豚汁、野菜汁、お総菜セット、ジンギスカン、餅、イチ ゴなどは有志の皆様のご厚意です。また、味噌汁は当センター職員による炊き出しです。 (注 5) おでん、カレー、ビーフハヤシはレトルトです。温めて提供しました。 朝 昼 夕 平成 23 年 3 月 16 日 パン、水 3 月 17 日 パン、水 パン、水 3 月 18 日 おにぎり 食パン、ジャム、ツナ缶、 カップめん おにぎり やきとり缶 3 月 19 日 パン パン、水 豚汁、おにぎり 3 月 20 日 パン、水 カップめん、おにぎり、水 パン、水 3 月 21 日 パン、水 カップめん、おにぎり おにぎり 3 月 22 日 パン、バナナ おにぎり、魚缶詰 わかめ味噌汁、おにぎり、 たくあん 3 月 23 日 おにぎり、バナナ おにぎり おにぎり、豆腐味噌汁、み かん、ゼリー(子ども) おにぎり、野菜汁、くんせい 3 月 24 日 パン、水 卵 71 おにぎり ■ (資料2)避難所の食事(平成 23 年 4 月上旬) 朝 昼 夕 3 月 25 日 パン、野菜ジュース おにぎり おにぎり、おでん 3 月 26 日 パン、野菜ジュース おにぎり おにぎり、カレー、ゼリー 3 月 27 日 パン、野菜ジュース おにぎり、サバみそ缶、さ おでん、おにぎり、いよかん んま缶、水 缶詰、野菜ジュース おにぎり、カップめん おにぎり、ビーフハヤシ、い 3 月 28 日 パン、野菜ジュース よかん缶詰 3 月 29 日 3 月 30 日 パン、野菜ジュース、いよ おにぎり、さんま蒲焼(缶 かん 詰?) 野菜ジュース、パン、いよ おにぎり、カップめん かん 3 月 31 日 4月1日 おでん、おにぎり、桜餅 おにぎり、カレー、いよかん 缶詰 ? ? ? パン2個、野菜ジュース、 おにぎり1個、カップ麺(そ おにぎり2個、おでん(レト りんご、ウィダーインゼリー ば) ルト)、トマト、バームクーヘ ン 4月2日 パン2個、野菜ジュース おにぎり2個、カップ麺(そ おにぎり2個、ビーフハヤシ ば)、さんま缶詰、野菜ジ (レトルト)、野菜ジュース、 ュース ミカン缶詰 パン2個、野菜ジュース、 4月3日 4月4日 おにぎり2個、おでん、みか ウィダーインゼリー 餅(餅つき大会)、おにぎり ん缶詰、バームクーヘン パン2個、野菜ジュース、 おにぎり2個、コーンポター おにぎり2個、黒豚角煮(レ ビスケット、アミノバイタル ジュ缶詰、サンマ缶詰 トルト)、みそ汁、はっさく缶 詰 4月5日 パン2個、コーンポタージュ おにぎり2個、ビーフシチュ おにぎり2個、黒豚角煮(レ (缶詰)、マンダリン、みそ ー、いちご、りんご トルト)、豚汁、ミカン缶詰、 汁 お菓子 72 ■ (資料2)避難所の食事(平成 23 年 4 月上旬) 4月6日 4月7日 4月8日 朝 昼 夕 パン2個、マンゴー乳酸飲 おにぎり2個、ビーフハヤ おにぎり2個、おでん(レト 料、アミノバイタル シ、はっさく缶詰 ルト)、リンゴジュース パン2個、シリアルビスケッ おにぎり2個、カップ麺、コ おにぎり2個、黒豚角煮(レ ト、ウィダーインゼリー、野 ーンポタージュ(缶詰)、ポ トルト)、さんま・さば缶詰、 菜ジュース テトチップ お菓子 パン(好きなだけ)、ウィダ おにぎり、カップ麺、ポテト おにぎり2個、おでん(レト ーインゼリー、野菜ジュー チップ ルト)、大根のみそ汁 パン、アミノバイタル、野菜 おにぎり2個、ビーフシチュ ごはん(レトルト)、カレー(レ ジュース、コーンポタージ ー(レトルト) トルト)、果物缶詰、肉じゃ ス 4月9日 ュ(缶詰) 4 月 10 日 が パン、アミノバイタル、各種 おにぎり、肉じゃが、ジンギ ごは ん(レ トルト ) 、お にぎ ジュース、コーンポタージ スカン り、お総菜セット(寄付)、 ュ 豚汁(寄付)、りんご ほか パン、コーンポタージュ(缶 4 月 11日 詰)、野菜ジュース、果物 (業者による給食開始) 缶詰 73 ■ (資料3)がんばるふくしまの事例 ■ (資料3)がんばるふくしまの事例 「がんばるふくしま」の事例集(平成 23 年 7 月~12 月上旬)です。震災に負けない福島県民の足跡を、ごく一 部ですがご紹介します。 ● 相馬市原釜「とんかつ一助」 ● いわき市「いわき遊木民」 津波被害を乗り越え 6 月 24 日、現地で営業再開 7 月 22 日、仮設住宅で暮らす人向けにちゃぶ台 (福島民報 2011.7.2) ● 浪江町「請戸田植踊り」 1000 台贈る。 (福島民報 2011.7.22) ● 南相馬市小高区「SD トラベルズ」 7 月 3 日、二本松市男女共生センターで震災後初の 練習 7 月 23 日、南相馬市から東京へ向かう高速バスを再開 (福島民報 2011.7.23) (福島民報 2011.7.4) ● 大熊町 ● 相馬三社野馬追 大熊町から避難してきた左官の方が、喜多方市の蔵 7 月 23 日、相馬、南相馬両市で「相馬三社野馬追」 の再生に取り組む。 が開幕 (福島民友 2011.7.10) (福島民報 2011.7.24) ● 浪江町「鈴木酒造店」 ● 南相馬市「よろずや」 南会津町で仕込んだ酒が完成。7 月 13 日には店頭に 7 月 30 日、南相馬市原町区の呉服屋「よろずや」が郡 (福島民報 2011.7.10) 山市に支店を開業 (福島民報 2011.7.30) ● いわき市「オフィス・ポート」 ● いわき市「古藤工業」 7 月 15 日から、サイト「頑張る社長駅伝」を開始 いわき市に工場を置く古藤工業(本社横浜市)が、8 (福島民報 2011.7.8) 月 1 日「がんばろう福島」などのメッセージを印刷したメ ● いわき市「アクアマリンふくしま」 ッセージテープを発売 いわき市小名浜のアクアマリンふくしまが 7 月 15 日に ● 全農県本部 再開 7 月 31 日、川崎市中原区モトスミ・ブレーメン通りで福 (福島民報 2011.7.16) (福島民友 2011.7.30) ● 飯舘村「えびす庵」 島県産農産物を PR うどん店「えびす庵」が 7 月 16 日、避難先の福島市荒 ● 南相馬市小高区 井で再オープン 南相馬市から南会津町へ避難してきた男性が、緊急 (福島民友 2011.7.16) (福島民友 2011.8.2) ● 相馬市「丸仁水産」 雇用創出基金事業で雇用され、避難者世帯の巡回、 作業員 20 人が復帰、作業場を別に移して操業を再 自治体との連絡調整を行っている。 開した。 (福島民友 2011.8.4) (福島民報 2011.7.17) ● 楢葉町「ならは天神太鼓うしお会」 ● いわき市「いわき観光共同キャンペーン実行委員 楢葉町の小中高生でつくる和太鼓グループが 7 月 18 会」 日、東京都千代田区の東京 FM ホールでコンサート 8 月 1 日、関東東北の各県で「きてくんちぇ!いわき・ (福島民報 2011.7.20) 福島全国キャラバン」がスタート (福島民報 2011.8.2) ● 富岡町富岡高校 ● 楢葉町の障害者相談支援事業所 富岡高校の生徒が 19 日、磐梯町で開かれた「富岡高 8 月 1 日、楢葉町「ふたばの里りんべるハウス」と「結い 校の集い」で震災後初めて再会 の里」が避難先のいわき市で再開 (福島民報 2011.8.4) (福島民報 2011.7.20) 74 ■ (資料3)がんばるふくしまの事例 ● 相馬市「マルマ商会」 ● 楢葉町「LOVE&PEACE」 縫製業マルマ商会が、市内の同業者の施設を活用し 楢葉町のアマチュアバンド「LOVE&PEACE」は、避難で て再スタート バラバラになったが、いわき市内で復活 (福島民報 2011.8.11) ● 楢葉町「J・HAIR」 (福島民友 2011.9.2) 楢葉町の美容室が、避難先のいわき市で再オープン ● いわき市久之浜の商店街 (福島民報 2011.8.2) 9 月 3 日、津波被害を受けた商店街が、プレハブの仮 ● 「ざくろ坂プロジェクト」 設店舗で営業する「浜風商店街」として久ノ浜一小校 8 月 5 日より、グランドプリンス新高輪の一角に福島県 庭にオープン 産販売スペースが確保された。 ● 浪江町の「wonder なみえ」 (福島民友 2011.8.1) (福島民報 2011.9.4) ● 楢葉町「ナラハ仕出しセンターだるま」 9 月 4 日、二本松市東和地域で開かれた東和ふるさと 避難先の小野町で「お食事処だるま」としてオープン 祭りで、「wonder なみえ」の子どもたちがよさこいを踊 (福島民報 2011.8.6) る。 (福島民報 2011.9.6) ● 広野町の診療所 ● 日本生命 ライフプラザ品川 緊急避難準備区域となっている広野町の診療所で 9 月 8 日から東京、ニッセイ・ライフプラザ品川で「福島 は、院長が住民の避難先を巡回し、また町で診察を続 フェア」始まる。 けている。 ● 「本宮市 FM モットコム」 (福島民友 2011.8.11) (福島民報 2011.9.9) ● 浪江町「NYTS」 本宮市のコミュニティーFM「Mot・Com」は、震災後浪 8 月 16 日、ご当地アイドルユニット NYTS が、本宮市で 江町民向けの番組を企画し、平日17時 30 分より放 震災後初ライブ 送中 (福島民友 2011.8.16) (福島民報 2011.9.8) ● 猪苗代町スキー場 ● 楢葉町「がんばっぺ!ならは祭り」 風評被害払しょくのため猪苗代町内 6 スキー場が連 9 月 10 日、会津美里町の仮設住宅で「がんばっぺ! 携して、10 月から「ゲレンデ逆走マラソン」を開催する。 ならは祭り」が開催 (福島民友 2011.8.19) (福島民報 2011.9.9) ● 飯舘村「いいたて渓泉荘」 ● いわき市平「豊間地区連絡所」 9 月 12 日、飯舘村民の交流を図る「いいたて渓泉荘」 いわき市平の豊間地区では、震災直後から地元有志 が福島市飯坂にオープン が「豊間地区連絡所」を設けて行方不明者の捜索など ● 南相馬市小高区「おだか会」 を行っている。 福島市内で避難生活を続ける小高の住民が、互いに (福島民報 2011.8.22) ● 浪江町工房「ふく福」 (福島民報 2011.9.14) 支え合える環境をつくるために会を設立 浪江町で手作りの装飾品や小物衣服を扱う「工房ふく (福島民報 2011.9.16) 福」が福島市で再開の予定。 (福島民友 2011.8.30) ● 浪江町なみえ焼きそば ● 南相馬市原町区「お食事処彩庵」 秋田県由利本荘市に避難した浪江町の男性が、由利 9 月 1 日、JA そうま女性部の部員を中心にした「チー 本荘市の B 級グルメとのコラボ商品「ハムロールなみ ム F」が運営している食堂が再オープン。 え」を完成させた。 (福島民友 2011.9.3) (福島民友 2011.9.15) ● 富岡町「町被災者連絡支援協議会」 ● いわき市湯本温泉 県、町などにより、避難している高齢者、障害者の生活 9 月 2 日、湯本で「元気だっぺゆもと復興ふぇすてぃば 状況を把握し、生活支援と避難どうしの交流を目的と る」が始まる。 する「町被災者連絡支援協議会」が 9 月 15 日設立さ (福島民友 2011.9.2) れた。 75 (福島民友 2011.9.16) ■ (資料3)がんばるふくしまの事例 ● 浪江町「国保津島診療所」 ● いわき市「ドンワッセうえだ食の遊園地&駅前店」 仮設住宅 240 戸が立ち並ぶ二本松市油井の安達運 借り上げ住宅などで生活する避難者を対象に、移動販 動場に仮設診療所を構え、15 日から診療を開始 売を開始 (福島民友 2011.9.16) (福島民報 2011.9.21) ● 双葉町「ふたば茶亭」 ● 飯舘村「山津見神社、綿津見神社」 9 月 22 日、双葉町の洋菓子店がいわき市にオープン 飯舘村のふたつの神社が、住民避難後もずっと拝殿 した。オープン初日は避難者が多数訪れた。 を開け、日常の回復を祈っている。 (福島民報 2011.9.24) (河北新報 2011.9.16) ● 県酒造共同組合 ● 飯舘村「連絡協議会」 9 月 24 日、会津若松で風評被害の払しょくのための全 飯舘村では、避難先ごとに設置した自治会の連絡協 国大会を開催 議会を発足させた。 ● 原町観光協会 (福島民友 2011.9.17) ● 相馬市「刈薮田応急仮設住宅」 東京大井競馬場で相馬野馬追 PR イベントを実施 一人暮らしの高齢者などが集まる昼食会が行われて いる。 (福島民報 2011.9.24) (福島民友 2011.9.16) (福島民報 2011.9.26) ● 白河市「表郷祭り」 ● 南相馬市「移動販売車がんばっぺ」 9 月 25 日の「表郷祭り」に千葉県船橋市の買い物客 9 月 18 日、地元商工会などが、仮設住宅内の交通弱 530 人が参加。JA 東西しらかわが橋渡しをした。 者のための販売車の運行を開始した。 (福島民報 2011.9.26) (福島民友 2011.9.18) ● 「フラガール」 ● いわき市「磐城高箸」 10 月 3 日、東日本大震災からの観光復興に向けて活 割り箸製造・販売の「磐城高箸」が被災3県産の杉を 動しているいわき市の「フラガール」が、今年度の観光 使用した割り箸「三県復興希望のかけ箸」を、「間伐・ 庁長官賞を受賞 間伐材利用コンクール」に出展、間伐推進中央協議 ● 飯舘村の食堂経営者 会長賞を受賞した。 9 月 29 日、避難先の伊達市保原で「ラーメン居酒屋 (福島民報 2011.9.19) (福島民報 2011.9.27) ● 浪江町「なみえ焼きそば」 味処エンドー」を開店 9 月 19 日、浪江町の飲食業者が、町民らが避難して ● 「相馬・福島復興応援ツアー」 いる桑折駅前仮設住宅を訪れ、焼きそばをふるまっ 9 月 20 日~21 日、福島・相馬・二本松・伊達の4市の た。 観光関係者でつくる観光圏協議会がバスツアーを実 (福島民報 2011.9.21) (福島民報 2011.9.29) ● 飯舘村復興イベント 施 福島市の仮設住宅で村民の絆を深める復興イベントを ● 浪江町「宝来軒」「とんかつ しが」 開催 10 月 1 日、郡山市冨田町の空き店舗「ふる里食堂」 (福島民報 2011.9.21) (福島民友 2011.9.14) ● 双葉町「ネットアンドプリント」 で営業再開 双葉町の印刷会社「ネットアンドプリント」が、避難先の ● 広野町「ひろの絆づくり支援センター」 郡山市中央工業団地で操業再開 10 月 3 日、いわき市中央台仮設住宅集会所に「ひろ (河北新報 2011.9.20) (福島民報 2011.10.2) の絆づくり支援センター」が発足 ● 浪江町「浪江スターダンス教室」 (福島民報 2011.10.5) 浪江町の「浪江スターダンス教室」が、避難先でスタジ ● 大熊町「レインボー」 オを開設 10 月 5 日、大熊町の喫茶店レインボーが避難先の会 (福島民友 2011.9.20) 津若松市に再オープン 76 (福島民報 2011.10.17) ■ (資料3)がんばるふくしまの事例 ● 富岡町「喫茶つつじ」 (福島民報 2011.11.8) 10 月 10 日、避難先の郡山市の富岡町仮設住宅集 ● 浪江町「なみえ美容」 会所に「喫茶つつじ」が再オープン 11 月 3 日、避難先の福島市の仮設住宅に「なみえ美 (福島民報 2011.10.16) 容」がオープン。 (福島民報 2011.11.9) ● 大熊町商工会 ● 葛尾村の事業者 10 月 17 日、避難先の会津若松市にある仮設住宅敷 11 月 3 日、避難先の三春町の仮設住宅に仮設店舗 地内に日用品店「おみせ屋さん」を開店 「さくら湖・葛尾村のお店やさん」をオープン。食堂、理 (福島民報 2011.10.19) 容室など 7 店舗が入る。 (福島民報 2011.11.4) ● 南相馬市「やっぺ南相馬」 ● いわき市「夜明け市場」 10 月 18 日、南相馬市鹿島区の仮設住宅集会所にコ 11 月 4 日、いわき市平の白銀小路に「夜明け市場」を ミュニティ和みサロン「眞こころ」を開店 オープン。ご当地ハイボール「夜明けハイボール」も登 (福島民報 2011.10.18) 場 (福島民報 2011.11.5) ● 南相馬市小高区 ● 浪江町「こんどこそ」 「リレー震災回想日記・小高区」が避難先を回ってい 11 月 10 日、避難先の二本松市で浪江町の居酒屋 る。現在 6 冊が県内外で書き込まれている。 「こんどこそ」が再オープン (福島民報 2011.10.21) (福島民報 2011.11.10) ● 第 4 位「なみえ焼きそば」 ● 南相馬市「西町仮設店舗」 11 月 13 日、「B-1 グランプリ in 姫路」でなみえ焼きそ 10 月 23 日、南相馬市鹿島区に避難者用の「西町仮 ばが第 4 位に 設店舗」が開店。食堂、居酒屋、花屋など 11 店が入 ● 浪江町の大堀相馬焼窯元 居した。 11 月 14 日、大堀相馬焼の窯元が避難先の郡山市で (福島民報 2011.10.24) ● 楢葉町「くんちぇ広場」 陶芸を再開、初の窯出し 10 月 23 日、楢葉町の鮮魚店経営者が避難先のいわ ● 富岡町「和伊(わい)んや」 き市でミニスーパー「くんちぇ広場」を開店 11 月 17 日、富岡町の日本料理屋「和伊(わい)んや」 (福島民報 2011.10.22) (福島民報 2011.11.15) が避難先の郡山市安積町で分店を開店 ● 浪江町の理髪店 (福島民報 2011.11.27) 10 月 28 日、避難先の二本松市の仮設住宅で「床屋 ● 大熊町のセブンイレブン経営者 なみえ二本松店」を開始 11 月 18 日、大熊町のセブンイレブン経営者が、郡山 (福島民報 2011.10.29) ● 浪江町「大堀相馬焼」 市で「セブンイレブン ビッグパレットふくしま前仮設店 10 月 28 日、全国伝統工芸品フェスタ in 会津で大堀 舗店」をオープン 相馬焼の伝統工芸士会長が大堀相馬焼の歴史と魅 ● 須賀川市「米屋企業」 力を語る。 須賀川市の米屋企業は、同市岩淵に保有する土地を (福島民報 2011.10.29) ● 富岡町「五泉屋菓子店」 (福島民報 2011.11.19) 対象に、地域復興モデルとなる事業計画を公募する 震災で避難中の明治元年創業「五泉屋菓子店」が、 (福島民報 2011.12.6) ● いわき市「道のえき よつくら港」 三春町秋まつり会場で「五泉屋まんじゅう」を販売。 (福島民報 2011.11.8) 12 月 9 日、震災で津波被害を受けたいわき市「道の ● 浪江町「なみえ焼きそば」 駅 よつくら港」の建て替えが決定、来夏リニューアル 栃木県那須町で開催中の第 24 回スポーツレクリエー オープン。 ション祭会場で「なみえ焼きそば」を販売 77 (福島民報 2011.12.9) ■ (資料4) ふくしま自治研修センター避難所開設中の社会状況 ■ (資料4) ふくしま自治研修センター避難所開設中の社会状況 ふくしま自治研修センター避難所開設期間中(3 月~7 月)の社会の主な動きです。 ●国及び社会動向一般 ●県・市町村の動向 ●避難関係の動向 ●14 時 46 分、東北・三陸沖を震源と ●福島県災害対策本部(本部長・佐藤 ●地震の発生を受けて、福島、郡山、 する M9.0(当初は 8.8 と発表、のちに修 雄平知事)を自治会館に設置。佐藤知 伊達各市は避難所を設置した。 正)の地震発生。東京電力福島第一、 事は自衛隊に対して災害派遣を要請 第二原子力発電所が緊急停止 ●政府が「原子力緊急事態宣言」を発 ●福島市は市長を本部長とする災害対 ●津波で10人の死者が出た南相馬 令。半径 3 キロ以内の住民に避難指 策本部を設置。白河市も災害対策本 市原町区の介護老人保健施設から 平成 23 年 示、3~10 キロ圏内の住人に屋内退避 部を設置、被害状況と行方不明者の安 は、30人以上が市立総合病院に搬 3 月 11 日 を指示 否確認を急いでいる。 送されたほか、近くにある県立テクノア カデミー浜にも避難した。 ●午後8時現在、福島県の約27万戸 ●福島地方水道用水供給企業団は摺 ●相 馬 市 によると、午後10時半現 を含め東北電力管内で約450万戸が 上川ダムの送水を停止した。福島市な 在、道路が寸断されるなどで避難所3 停電しているとみられる。ライフライン寸 ど県北地方の2市3町のほとんどの地域 カ所が孤立した。磯部小、磯部中、蒲 断 で断水。郡山市でも市豊田浄水場が停 庭公会堂に合わせて672人がいると 電し給水がストップした。 のこと。 ●福島第一原発の 1 号機建屋が水素 ●福島県の要請を受け、陸上自衛隊は ●富岡町ではチャーターした大型バス 爆発。官邸の指示で福島第1原発の避 10キロ圏内にある双葉町の老人ホーム などで約1万6千人が避難。大熊町か 難指示の範囲を半径 20 キロ以内に拡 と病院から、計195人をヘリコプター10 ら田村市に逃げたばかりの約800人 大 機で20キロ圏外の川俣町へ移送 は、市内の別の場所に再び移動 ●東日本大震災は被害が増え続け、各 ●岩手、宮城、福島など5県で計約21 ●広野町の住民約100人が避難して 警察本部のまとめで死者は計635人、 万人が既に避難をしていたが、さらに福 いた同町児童館でも、夜になって移動 行方不明者は645人に上った。福島県 島第一、第二原発の周辺住民が避難 の準備を開始 の者数は157人 を始めた。 ●東京電力は福島第一原発3号機で、 ●福島県は、福島第一原発の3キロ圏 ●福島第一原発の半径20キロ圏内 原子炉の冷却機能が失われたとして、 内から避難してきた19人が被ばくしてい と、第2原発の半径10キロ圏内住民 原子力災害対策特別措置法の「緊急 たと発表 の避難が本格化。対象者は双葉町や 3 月 12 日 事態」の通報を国などに行った。 3 月 13 日 大熊町など2市6町2村の約8万人 ●日本大震災の余震などとみられる地 ●東北電力によると、県内の停電は午 ●避難所となっているいわき市内郷 震が相次いだ。午後9時までに県内で 後7時現在、7万6626戸まで減った。 地区に、石川町のボランティア有志が 震度1以上を19回観測した。 同社は津波被害を受けた地域などは早 訪れ、おにぎりなどを振る舞った。町が 急な復旧は困難としている。 町民に呼び掛けて募った毛布約500 枚も届けた。 78 ■ (資料4) ふくしま自治研修センター避難所開設中の社会状況 3 月 14 日 ●国及び社会動向一般 ●県・市町村の動向 ●避難関係の動向 ●福島第一原発3号機で水素爆発。原 ●県災害対策本部は、福島第一原発 ●葛尾村は村民に福島市への避難を 子力安全・保安院は半径20キロの住 の半径20キロ圏内にある病院や特別 防災無線で呼び掛け。15日未明にか 民、約600人に屋内退避を呼び掛け。 養護老人ホームに取り残されていた患 け、多くの村民が村営バスや車で福島 また、同2号機の冷却機能が喪失 者や入所者の搬送を始めた。 市に入った。 ●計画停電始まる。ガソリンなど物資の ●県は、市町村の避難所運営支援の ●須賀川市の須賀川アリーナは13日 不足が深刻化 ため職員を派遣する。100人以上を受 夜から原発立地町 の住民を 受け入 け入れている避難所のうち、市町村の れ、14日午後5時現在まで約120人 要望が強い45カ所を派遣先に選んだ。 が利用している。 ●福島第一原発の 2 号機で爆発音、4 ●県は1万4000戸の仮設住宅を建設 ●二本松市は、浪江町津島地区周辺 号機建屋が水素爆発 する。須賀川や相馬、新地などの市町 にいる避難者ら約8000人の受け入 村から要請があり決めた。さらに県営や れを決め、市内の旧小学校や体育施 市町村営の公営住宅のうち、空き家約 設など計25カ所で受け入れを開始し 2300戸を開放 た。 ●全国で、死者、行方不明者が 1 万人 ●県は屋内退避の注意点として1.外出 ●相馬市は15日までに被災者の安 を超す。福島第一原発の放射能漏れ を控える、2.窓を全て閉め、エアコンなど 否情報を提供する専用の電話窓口を 拡大を受け、菅首相が半径 20~30 キ は止める、3.外出はマスク着用、帰宅後 設けた。避難所や親類の家などに逃 ロの住民に屋内退避を指示 は顔や手を洗い服を着替える、4.テレビ げた被災者の名前や住所などをデー などで情報収集、の4項目を掲げた。 タ化し、職員が問い合わせに応じる。 ●枝野官房長官が国民に燃料の買い ●県が福島市の水道から放射性物質 ●浜通りの被災者の大移動が加速し だめを控えるように呼びかけ を検出したと発表 た。中通りや会津に設けられた避難所 3 月 15 日 は一部を除いてほぼ満杯の状態に。 富岡町と川内村 は住民 の安 全のた め、「強制避難」を決断。約 5 千人の 町村民が郡山市のビッグパレットふくし まなどに移動 3 月 16 日 ●関西広域連合は、京都府と滋賀県が ●原子力発電所の事故続発に伴い風 ●約2500人が避難している福島市 本県の避難者を受け 入れると 発表し 評被害が発生し、県内で燃料などの物 のあづま総合体育館は満杯状態が続 た。避難先の確保の他、移動手段や生 流に支障が出ている。県知事が国に正 く 活物資、子弟の教育環境、医療などの 確な情報発信を緊急要望 確保に努める。 ●政府や東京電力は、使用済み燃料 ●いわき市の小名浜港は、船舶に対す ●埼玉県はさいたまスーパーアリーナ プールなどを冷却するための放水を検 る入出港自粛勧告の一部を解除し、供 ( さ い たま 市 ) を一 時 避 難 場所 に 指 討。しかし現場は放射線量が高すぎて 用を一部再開した。 定。県民約 100 人が入った。 近づけず、地上からの放水準備は難航 ●夕刻から当ふくしま自治研修センターが避難所活動を開始 79 ■ (資料4) ふくしま自治研修センター避難所開設中の社会状況 ●国及び社会動向一般 ●県・市町村の動向 ●避難関係の動向 ●福島第一原発3号機に陸上自衛隊 ●避難所運営が長期化する中で、被災 ●郡山市のビッグパレットふくしまに避 のヘリコプターが水の投下を開始 者を受け入れている市町村の態勢見直 難していた富岡町と川内村の被災者 しが喫緊の課題に のうち約 250 人は、富岡町の友好都 市、埼玉県杉戸町に移動 3 月 17 日 ●震災発生から1週間を迎える。県内 ●県警は17日までに、福島第一原発 ●双葉町を中心に約3千人を受け入 は依然として生活物資の不足が続いて から半径20キロの住民や浜通りなどで れている川俣町の幹部職員は「自治 いる。ガソリン、灯油、食料品などが不 被災した住民、入院患者らが移動する 会などボランティアの人たちの疲れもピ 足している。 場合の高速道路の通行を許可した。 ーク」と話す。 ●福島第一原発から放出されたとみら ●県災害対策本部は避難した人の健 れる放射性物質が各地で検出された。 康状態を確認する医療チームを保健福 50キロ以上離れた中通り地方で高い値 祉事務所ごとにつくり、避難所を巡回す を示していることが分かった。 る方針を固めた。 ●東京電力は栃木、群馬、埼玉、千 ●県と県教委は、被災した県民の心の ●東日本大震災の被災者を支援しよ 葉、神奈川、静岡6県の一部約 250 万 ケアをするため、避難所や学校などにカ うと、県内でボランティア活動の輪が 世帯で計画停電を開始した。 ウンセリングや精神疾患の治療を行うチ 広がっている。南会津町のめん類等 ームを派遣する方針を固めた。 製造会社は、二本松市の避難所三カ 所を訪れ、うどん千食を振る舞った。 3 月 18 日 ●いわき市の小名浜港に毛布、飲料 ●いわき市は原発事故に伴う万一の事 ●南相馬市は県外への全市民退避を 水、おむつが到着。海上自衛隊の輸送 態に備え、40歳未満の市民に「ヨウ素 始めた。同市の一部は避難・屋内退 艦により、震災後初めて海路で救援物 剤」の配布を始めた。甲状腺がんへの 避圏内となり支援物資が届かないな 資が到着した。 影響を和らげるとされる。 ど、市民の生活維持が困難と判断し た。初日は住民約2100人が新潟県 が準備した避難所に向かった。 ●県内の医療機関でスタッフや医薬品 ●福島県議会佐藤議長と岩手、宮城 不足が深刻化している。いわき市立総 両県の県議会議長は連名で、政府に被 合磐城共立病院では、多くの職員が被 災者の救援体制の強化を要請した。生 災し日勤職員が半減。100 ㎞以上離れ 活必需品と医療提供体制、ライフライン た会津地方の病院でも、患者数が急増 の確保、原発災害対策を求めている。 しパンク状態 ●枝野幸男官房長官は福島県の牛乳 ●県災害対策本部は、放射線の健康 ●川俣町に臨時対策本部を置いてい と茨城県のホウレンソウから基準値を超 被害に関する世界的権威二人を県放 た双葉町は、さいたま市のさいたまス える放射線量を検出と発表 射線健康リスク管理アドバイザーに委嘱 ーパーアリーナに役場機能を移した。 した。放射線と健康に関する正しい知識 双葉町民約2千人の大部分も、大型 を県民に提供する。 バスで同アリーナに「移住」した。 ●19日も東日本大震災の余震などと ●屋内退避指示区域の 20〜30 キロ圏 ●飯舘村は栃木県鹿沼市の避難所 みられる地震が続いた。福島地方気象 内にある南相馬市と広野町の三病院の に村民ら 313 人を避難させた。 台の速報値によると、同日午後10時ま 入院患者 155 人を 30 キロ圏外に搬送 3 月 19 日 でに県内で震度1以上を 9 回観測した。 80 ■ (資料4) ふくしま自治研修センター避難所開設中の社会状況 3 月 20 日 ●国及び社会動向一般 ●県・市町村の動向 ●避難関係の動向 ●国の原子力災害現地対策本部は福 ●県が県内全酪農農家に原乳の出荷 ●県内被災者の県外への避難が加 島第一原発の半径20キロ圏内から避 自粛を要請。生産農家や団体などから 速し、避難者は2万人を超えた(県外 難する人にヨウ素剤を投与するよう、県 は怒りと戸惑いが上がった。暫定基準 の避難所数の内訳は山形56カ所、新 を通して地元市町村に指示文書を出し 値以上の放射性物質が検出されたの 潟74カ所、群馬31カ所、栃木54カ ていたことが明らかになった。 は一部市町村であり、「県の判断は行き 所、茨城39カ所、埼玉15カ所など)。 過ぎ」との批判も出ている。 ●東日本大震災発生以降課題となっ ●いわき市の平体育館で、放射線リス ●南相馬市では、市民ら合わせて約 ているガソリンの供給について県は国と クを正しく理解するための講演会が開か 500 人が、新潟、群馬両県へ避難 の協議がまとまり、県外から持ち込む態 れた。県放射線健康リスク管理アドバイ 勢が整ったことを明らかにした。 ザーの山下俊一氏らは「県民の健康に 全く影響はない」と明言した。 3 月 21 日 ●震災から12日目、県内では各企業・ ●福島県災害対策本部は、7月末まで ●避難所生活が長期化する中、放射 事業所が少しずつだが動きだした。いわ に約2万戸の住宅供給を進める方針を 性物質を恐れて十分に換気をしない き市では、金融機関が軒並み業務を再 示す。場所は中通りを中心に 会津地 避難所もあり、風邪などがまん延する 開した。 方、浜通り北部、いわき市を予定 心配も。インフルエンザが一部で発症 しており、関係者は注意を呼び掛けて いる。 ●福島市の県立福島医科大学付属病 ●県災害対策本部は仮設住宅の建設 ●南相馬市や相馬市、いわき市など 院は、循環器内科、血液内科などの一 地として中通りの公有地を中心に選定 から44世帯、184人が避難している 部診療科の外来診療を予約患者限定 作業に入った。国有地や県有地、市町 会津若松市会津学鳳中・高体育館で で再開した。 村有地などを中心に建設地を探してい は避難者全員で"自治会"をつくり、当 る。同本部は仮設住宅を1万4千戸建 番を決めて避難所内の掃除やごみ出 設する計画 し、食事の配膳などを自主的に行って 3 月 22 日 いる。 ●通行止めとなっていた東北自動車道 ●東京電力清水正孝社長の福島第一 ●避難所の臨床心理士らによる巡回 の一関−宇都宮IC、磐越自動車道のい 原発事故謝罪申し入れに対し、佐藤知 を検討していた県教委は、各地区の わきJCT−津川IC(新潟県)などは、緊 事は面会を断ったことを明らかに 学校避難所への派遣を始めた。当面 急車両に加えて大型車も通行できるよ は子どもたちのメンタルケアに当たる。 うになった。 81 ■ (資料4) ふくしま自治研修センター避難所開設中の社会状況 ●国及び社会動向一般 ●県・市町村の動向 ●避難関係の動向 ●大震災発生以降、目立った治安の悪 ●福島市は被災者向けの仮設住宅建 ●相馬市で被災者用住宅への入居が 化は確認されていないが、県警は浜通り 設地として、県災害対策本部に市内4 始まった。初日は 4 世帯が雇用促進住 などパトロール強化に乗り出す。大阪、愛 カ所、計670戸分の用地を提供するこ 宅に移り、新生活をスタートさせた。 知、静岡の三府県警から派遣部隊とパト とを決めた。 カーが本県入りし活動を開始する。 ●本県産の葉物野菜に初の摂取制限 ●県教委は、県内外に避難、転居して ●東京電力の皷紀男副社長は、郡山 が出される。 いる小・中・高校、特別支援学校の児 市のビッグパレットふくしまを訪れ、富岡 童・生徒の転入学の基本方針をまとめ 町や川内村などの住民に謝罪した。同 た。小学生と中学生は避難、転居して 施設では、両町村の住民を中心に約2 いる地域にある学校へ入学、転校がで 千人が避難生活を送っている。 3 月 23 日 きる。 ●全国知事会は、国に対して東日本大 ●県は国見町をトップに被災者向けの ●大震災を受け、県立医大は23日まで 震災の被災者支援を円滑に進めるため 仮設住宅の建設をスタートさせた。一 に、県内の避難所や高齢者施設に医療 の特別措置法制定を緊急要請した。 カ月後には入居できる見込み チームを派遣する方針を固めた。 ●東北自動車道と磐越自動車道の全 ●いわき市水道局は震災で断水状態 ●県は、仮設住宅が設置されるまでの 線、あぶくま高原道路(矢吹−小野 IC)で が続いている市内の給水復旧計画を 避難者の居住対策として、被災者を県 13日ぶりに一般車両の通行が可能にな 作成し、公表した。全体の復旧見通し 内の旅館・ホテルで一時的に受け入れ った。 を示したのは初めて る準備に入った。 ●国土地理院は津波で浸水した地域を ●県は、影響が出ている農林水産物、 まとめた。南相馬市の太田川河口以北 加工食品などへの風評被害について で67平方キロが浸水し、海岸から最遠 拡大防止や補償などを政府に緊急要 で約4キロ地点まで水が達した。 望した。 ●震災で県外の避難所に避難している ●東京都は、3月末で営業を終了する ●南相馬市は、希望した166人の市民 県民はこれまでに2万4415人となった。 東京・紀尾井町のグランドプリンスホテ を群馬県草津町に避難させる。市は18 新潟県が最も多く7519人が避難してい ル赤坂を、福島第一原発の事故で避 日から3日間、市民約3400人を新潟、 る。新潟県以外では、山形県3568人、 難している県民に避難所として提供す 群馬両県に避難させている。 埼玉県3414人など ることを決めた。 ●「避難すべきか」「残るべきか」。政府 ●県は、仮設住宅が設置されるまでの ●震災から二週間がたち、避難所生活 が東京電力福島第一原子力発電所の 避難者の居住対策として、被災者を県 にさまざまな変化が生じている。被災者 半径20~30キロ圏内に事実上、避難 内の旅館・ホテルで一時的に受け入 が自らまとめ役として活躍したり、子ども を促した25日、エリア内の住民は戸惑い れる準備に入った。月内に開始する予 用の遊び部屋を設けたりと、苦難の中に の声を上げた。 定。県が宿泊費用を負担する。 も小さなコミュニティーが生まれている。 3 月 24 日 3 月 25 日 ●相馬市の相馬港に、国交省九州地方 ●大熊町は会津若松市に対し、役場機 整備局の支援物資が到着した。相馬港 能の移転や住民の受け入れなどを要請 に物資が搬入されたのは震災後初 した。 82 ■ (資料4) ふくしま自治研修センター避難所開設中の社会状況 3 月 26 日 ●国及び社会動向一般 ●県・市町村の動向 ●避難関係の動向 ●県は、いわき市や民間事業者と連携 ●県は、原発の半径20~30キロ圏内 ●福島県は相馬市と新地町で、浜通り していわき市の給油所にガソリン250キ から自主避難を希望する住民に対し、 で初めてとなる被災者向けの仮設住宅 ロリットルを供給した。 移送の手配などの支援を強化する。圏 の建設を開始 内に残る場合には生活物資の供給を 行う。国が自主避難の方針を打ち出し たことへの対応 ●東京電力の皷紀男副社長は、南相馬 ●南相馬市で、避難した市民がまちに ●会津美里町に災害対策本部を移した 市役所に桜井市長を訪問し、早急な人 戻り始めたことで商店街の店舗やコンビ 楢葉町は、いわき市の避難所に残って 的・金銭的支援を約束した。市は東電に ニエンスストアなどの一部が営業を再 いる町民に対し、会津美里町内に避難 避難者への支援内容や必要な経費負 開、市街地を走る車の台数も増えてき するよう促す。いわき市の避難所には約 担などのリストを送付する方針 た。 200人がいる。 ●県警は、避難指示や屋内退避指示 ●いわき市は東日本大震災で罹災した が続く福島第一原発から半径10〜30 住民らが入居する住宅を2300戸確保 キロ圏内にパトロール隊を投入し、被災 し、29日から4月8日まで申し込みを受 地の治安維持活動を強化した。 け付ける。早ければ4月中旬にも入居で 3 月 29 日 きる。 ●いわき市の小名浜港大剣埠頭に、ガ ●双葉地方町村会は原発機能の早 ●相馬市は被災者が仮設住宅の完成 ソリンを積んだ石油タンカーが入港した。 期回復など六項目を県に要望した。 まで住む賃貸アパートなどの家賃につい 震災後、県内に石油タンカーが入港する て2万9千円を上限に助成する。仮設住 のは初めて 宅の入居が条件で助成以上の家賃は 自己負担となる。 3 月 30 日 ●環境省の清水大臣官房審議官は、東 ●県は、福島第一原発の事故を受け ●浪江町は、町民の二次避難先として、 日本大震災によって生じた災害廃棄物 て役場機能を移した双葉郡8町村へ 二本松、福島両市や猪苗代町の旅館 の処理について県や国、各自治体などで の支援を強化する。仮役場に派遣して などに受け入れてもらうことを決めた。 構成する対策協議会で対策を検討して いる県職員を最低一人ずつ増員する。 いくことを伝えた。 3 月 31 日 ●県災害対策本部は、いわき市の水道 ●佐藤知事は、福島第一原発5、6号 ●さいたまスーパーアリーナ(さいたま 水が津波被災地を除いて4月22日まで 機と福島第二原発1〜4号機につい 市)に集団避難していた福島県双葉町 に復旧する見込みであることを発表し て、国がエネルギー政策の徹底した検 民の第1陣が、埼玉県加須市に向けて た。市内では現在約4万3千戸が断水し 証を進めない限り運転再開を容認しな バスで出発 ている。 い考えを示唆した。 ●東京電力福島事務所は同事務所を ●会津若松市への全町移転を決めた 拡充し、避難者の生活支援に当たる「福 大熊町は、役場機能などを田村市から 島地域支援室」を設けた。将来的には、 移す作業を本格的に始めた。「大熊町 原子力損害賠償法に基づく被害申請受 役場会津若松出張所」となる。 け付けの窓口にすることを想定している。 83 ■ (資料4) ふくしま自治研修センター避難所開設中の社会状況 4月1日 ●国及び社会動向一般 ●県・市町村の動向 ●避難関係の動向 ●震災直後に利用者が殺到した福島空 ●県は東日本大震災からの復興に向 ●県内のホテル・旅館に、東日本大震 港は落ち着きを取り戻し、平常な状態と け「がんばろう ふくしま!」をキャッチフ 災の被災者を受け入れる「二次避難」が なっている。定期便は伊丹4往復、札幌 レーズとした取り組みを展開する。第一 1日から始まった。郡山市のビッグパレッ 2往復の計12便で臨時便は伊丹、羽 弾として1日から3日まで県産農産物 トふくしまに避難している富岡町と川内村 田、中部各1往復の計6便 のプロモーションを県内11店舗で行 の住民も市内の旅館やホテルに移動を う。 始めた。 ●三週間が経過し、県内の被害は死者 ●がれき撤去に当たる市町が、がれき ●東日本大震災の被災者を受け入れ が1089人、行方不明者が4666人とな を処分するまでの仮置き場の確保や ている北海道上士幌町は町営住宅の入 った。住宅の被害は2万953棟。水道は 撤去費用の助成範囲が分からず、対 居者を募集している。30日に南相馬市 いわき市などの3万3415戸で断水し、 応に苦慮していることが分かった。 の男性一人を受け入れた。また、岡山 電気は浜通りを中心に6358戸、都市ガ 県津山市の美作(みまさか)高は31日、 スは5536戸で供給が止まっている。 被災した本県などの生徒の入学を無償 で受け入れることを決めた。寮も完備し ている。 4月2日 ●常磐自動車道いわき中央−いわき四 ●県が半径30キロ圏外で行ったハウ ●コープふくしまは、原発事故で屋内退 倉インターチェンジ(IC)間が復旧し通行 ス栽培野菜の放射能測定で、43市町 避圏となり買い物が困難になっている南 可能に。なお、いわき四倉以北、常磐富 村の全18品目49点について食品衛 相馬市に出張出店した。会場の道の駅 岡ICまでは避難指示区域も含まれ、作 生法の暫定基準値(一キロ当たり放射 「南相馬」は開店の1時間半前から行列 業に着手できない状態が続く。 性ヨウ素2000ベクレル、放射性セシウ ができた。 ム500ベクレル)をいずれも下回ったと 発表した。 4月3日 ●大熊町は5日に役場機能を田村市か ●県は3日、キノコ類の放射能測定 ●広野町は、町民が集団で避難してい ら会津若松市役所追手町第二庁舎に で、いわき市の原木シイタケ(露地)か る県内5カ所の避難所で、ホテルや旅館 移す。中旬には市内の旧河東三小を町 ら食品衛生法の暫定基準値を超える への二次避難に向けた住民説明会を開 小中学校会津若松分校として開設す 放射性物質が検出されたと発表した。 いた。町民の二次避難先となるのは、い る。 わき市湯本地区などのホテルや旅館合 計27軒。8、9の両日に移動する。 4月4日 ●東日本大震災からの早期復興とさま ●被災した建築物を調べる応急危険 ●双葉町の町民のうち、県内で生活す ざまな風評被害の払拭を図ろうと、いわ 度判定で、県は4日までに調査予定の る住民の二次避難が始まった。同町は き市のスパリゾートハワイアンズのフラガ 95%に当たる1万1403件の判定を 埼玉県加須市に集団避難しているが、 ールが全国キャラバンを計画している。 終え、「危険」と「要注意」を合わせた 現在740人ほどが県内約70カ所の避 件数は6381件で、判定した件数の5 難所で生活を続けており、県内在住者を 6%に上った。 できるだけ集約する。 84 ■ (資料4) ふくしま自治研修センター避難所開設中の社会状況 ●国及び社会動向一般 ●県・市町村の動向 ●避難関係の動向 ●JR東北線の本宮−福島駅間は、運転 ●会津若松市への全町移転を決めた ●県内各地に避難した後、集団で別の を再開し、郡山・安積永盛−福島駅間が 大熊町は、町役場会津若松出張所を 場所に移る二次避難が始まっている。南 つながった。 開設 相馬市民は福島市の飯坂温泉や高湯 4月5日 温泉方面に約4500人、広野町民はい わき市湯本方面などに約1200人、浪 江町民は猪苗代町方面に約5200人が 移動する見通し 4 月 11 日 ●福島第一原発から 20 キロの外側で放 ●東京電力の清水正孝社長は、事故 ●東日本大震災の発生から1カ月がた 射性物質の累積が高い地域を「計画的 発生後、初めて福島県庁を訪れた。 った 11 日、埼玉県加須市に集団避難し 避難区域」にすると枝野幸男官房長官。 佐藤知事に面会したいとの意向を伝え ている福島県双葉町の住民も、地震発 「経済被害対応本部」の設置も発表 たが、知事は面会を拒否 生時刻に合わせて黙とうをささげた。共 同生活しているのは約1400人 4 月 12 日 ●東京商工リサーチは福島第一原発半 ●福島第一原発事故が国際評価尺 径30キロ圏内の企業数などをまとめた。 度で最悪の「レベル7」となったとの連 同圏内の企業数は2207社で、売上額 絡は、原子力安全・保安院の発表前 の合計は5512億7700万円に上ること に県知事に伝えられなかった。知事は が分かった。 県災害対策本部会議で不快感を示し た。 4 月 14 日 ●国の復興構想会議初会合。「より良い ●県被災者情報集約・双葉郡支援セ ●11、12 日と連日、震度6弱の地震に 社会を生み出す大きなきっかけになる案 ンターは、双葉郡八町村と南相馬市か 見舞われたいわき市は、14 日も広い範 を」 ら避難した住民のうち、合わせて558 囲で断水が続く。連日の余震によって、 人の所在を確認した。避難者登録は 10 日には2500人だった市内の避難者 累計で2493人となった。センターは引 は、13 日に3400人に増えた。 き続き所在確認を進めている。 ●東京電力の清水正孝社長が会見。賠 ●県は双葉郡 8 町村の住民の所在確 ●仮設住宅194戸を用意する須賀川 償金の仮払いは1世帯 100 万円、単身 認状況を発表した。(3月11日現在の 市で入居受け付けが始まった。市体育 世帯 75 万円で、対象は約5万世帯と発 人口)7万3986人に対し、14日現在 館には地震で自宅が壊れるなどの被害 表 で所在が確認できたのは71%の5万2 を受けた市民が列をつくった。 273人となった。確認率は県の前回発 表時(9日)より10ポイント上昇した。 4 月 15 日 ●福島行政評価事務所は「被災者支援 ●東京電力の原発事故の補償実施に ●南相馬市は避難指示の影響のため、 なんでも行政相談所」を福島市、会津若 向け、県は農業、漁業、経済など各団 鹿島区内に建設中の仮設住宅や市営 松市で開設する。 体の被害の実態把握に乗り出す。国や 住宅など 508 戸への入居希望を受け付 東京電力に十分な補償となるよう求め け。入居期間は来年 3 月 31 日まで ていく。 85 ■ (資料4) ふくしま自治研修センター避難所開設中の社会状況 4 月 15 日 4 月 16 日 4 月 18 日 4 月 19 日 ●国及び社会動向一般 ●県・市町村の動向 ●避難関係の動向 ●運転を見合わせていたJR磐越東線 ●役場機能移転を進めている双葉郡 ●県は仮設住宅のほか1万戸の民間住 いわき−小野新町駅間が運行を再開し、 8 町村は広野町がいわき市内に仮役 宅を借り上げるが、県内では貸し出し可 いわき−郡山駅の全区間がつながった。 場を開設することで、全町村の仮役場 能な民間物件が少なくなっている。7月 JR常磐線いわきー四ツ倉駅間の普通 設置が終了 末までに5千戸の借り上げを目指し、現 列車は17日に再開予定で、四ツ倉−上 在までに2500戸を提供した。県は公営 野駅が通じる。 住宅の空き屋千戸を提供する。 ●県内2727地点を対象にした県の緊 ●原発事故を理由に千葉県で本県か ●県が国見町の町有地などに建設した 急放射線量調査が終了した。県放射線 ら避難した小学生がいじめられたとさ 被災者用の仮設住宅43戸が、県内トッ 健康リスク管理アドバイザーが無用な外 れる問題などを受け、県教委は県内の プを切って完成 出を避けるなどの目安としている1時間 全公立校に児童・生徒への適切な指 当たり10マイクロシーベルトを超えたのは 導や放射線の正しい知識の普及を求 最終的に18地点だった。 める。 ●大津波で新地町のJR常磐線新地駅 ●地震や津波、原発事故などを受け、 ●いわき市は大震災の罹災者に対する で脱線、転覆した列車の解体作業が始 全国の自治体が受け入れた本県の避 一時提供住宅の入居者決定を16日に まり、JR東日本は、作業を公開した。 難者は39都道府県で計2万7422人 開始する。申請は2681件で、基本的に に上ることが県災害対策本部の調べで 申請した全員を今月中に入居決定する 分かった。 見通し ●県内で東日本大震災被災者の精神 ●東京電力が原発事故の収束までの ●いわき市小名浜の介護老人保健施 的なケアを行う15の医療チームが活動 見通しを示したことを受け、県は双葉 設小名浜ときわ苑に、このほど、避難し している。19日以降、新たに山口県や 郡の町村から支援に関する要望聴取 ていた入所者が帰参した。同苑では断 熊本県などの医療関係者が相馬やいわ を開始した。収束の見通しが出たことで 水、建物の一部損壊、風評被害による きで活動を始める。 各町村の取り組みに変更が生じる可能 物資の停滞などの影響で、介護体制の 性があるため 充実を図るため集団避難を実施した。 ●衆院災害対策特別委員会が本県入り ●県は中小企業向け融資に関して、 ●福島県内の避難所や旅館などで暮ら し、福島市で県知事や自治体代表らと 福島第一原発の事故で避難指示を受 している人は、18日時点で2万6273 会談した。吉田治委員長は知事らが求 けた半径20キロ圏内や屋内退避とさ 人。避難者は県内外で計5万6106人 めた原子力災害の復興支援、損害賠償 れた20〜30キロ圏内を、原子力災害 に上る。 のための特別措置法について議員立法 として災害関係補償対象とすることを で成立を目指す考えを明らかにした。 国に要望する。 ●文部科学省は校庭・園庭での放射線 ●県は福島第一原発事故に関する国 ●避難している福島県民の就職を支援 量が毎時3・8マイクロシーベルトを上回 の原子力災害賠償紛争審査会に対 する「ふるさとふくしま巡回就職相談会」 った福島、郡山、伊達3市の小中学校と し、風評被害も賠償の対象に盛り込む が、会津若松市のふれあい体育館で始 保育所・幼稚園合わせて13校・園の屋 ことや支払い時期を明確化させるよう まった。28日まで県内6カ所の避難所で 外活動を控えるよう県教委に通知した。 要望する。週内にも要望する方針 開かれる。 86 ■ (資料4) ふくしま自治研修センター避難所開設中の社会状況 4 月 19 日 ●国及び社会動向一般 ●県・市町村の動向 ●避難関係の動向 ●避難指示・屋内退避区域にある県立 ●双葉町の議会全員協議会は、加須 ●猪苗代町商工会は大震災で町内に 高校8校の授業を代わりに行う「サテライ 市内の騎西コミュニティセンターで開か 避難している被災者を支援する「ガンバ ト校」の設置地区が、決まった。24校に れ、早期に役場機能を福島県内に移 ッペふくしま応援カード」事業に取り組ん 設置され、8校の全生徒3246人のうち すよう町に求めた。同席した井戸川克 でいる。町商工会が発行した応援カード 希望者は56・6%の1836人となった。 隆町長は前向きに考えたいとした。 を避難者が町内の協賛店で提示する と、割引サービスなどが受けられる。 4 月 20 日 ●東京電力は、半径30キロ圏内で避難 ●余震の影響で水道の断水が続いて ●福島大学の避難所は3月16日に開 や屋内退避を強いられている住民に対 いたいわき市は、復旧率が98・6%に 設され、現在は45人ほどが暮らし、最も する賠償金の仮払請求書の配布を開始 達し、家屋に甚大な被害が出た沿岸 多いときは約150人が生活した。福島大 した。 部の1・4%約1600世帯を残しほぼ復 と桜の聖母短大の学生約70人がボラン 旧を終えた。 ティアとして活動する。 ●文部科学省は児童や生徒の1日の生 ●県警は20キロ圏内の避難指示区域 ●半径20キロの避難指示区域が警戒 活パターンを屋外8時間、屋内16時間 が警戒区域に設定された際、20キロ 区域に指定される見通しとなり、避難者 と想定し、学校生活で注意すべき屋外の 地点の道路に部隊を配置し、立ち入り にやり切れない思いが広がった。指定後 放射線量の暫定基準値を毎時3・8マイ 禁止規制を行う方向で準備を始めた。 の立ち入りに罰則が設けられることへの クロシーベルト以上とした。 割り切れなさの一方、一時帰宅への期 待も 4 月 21 日 4 月 22 日 ●菅首相はビッグパレットふくしまで遠藤 ●避難区域から外れる広野町の山田 ●飯舘村の幼稚園児、小・中学生467 勝也富岡町長、遠藤雄幸川内村長らと 町長は「ようやく町が一つになっていけ 人は、川俣町の川俣中などに通学を開 懇談した。首相は警戒区域設定や一時 る」と歓迎。これまで避難指示区域と 始した。中学生は今後の生活に関する 帰宅措置に理解を求めた上で、「国が最 屋内退避区域とに二分された形だっ 学級活動、小学生は交通安全教室など 後まで責任を負う」と約束したという。 た。 を行った。 ●福島県教委と文部科学省は、放射線 ●佐藤知事が南相馬市を震災後初め ●県が建設を進めている応急仮設住宅 量の暫定基準値(毎時3・8マイクロシー て訪問。桜井市長は「賠償金仮払いを のうち桑折町の72戸が完成し、県内トッ ベルト)を上回り屋外活動を制限している 指定された圏域で区別する考えには プを切って被災者が入居した。 13校・園の保護者らに説明会をスタート 同意できない。30キロ圏外の鹿島区も した。初日は福島テルサで開かれ、保護 含めた市一体の賠償が必要だ」と訴 者から不安の声が相次いだ。 え、支援を要請した。 ●枝野幸男官房長官が福島第一原発 ●各自治体によると、計画的避難区 ●東京電力の清水正孝社長は、富岡 から半径 20 キロの警戒区域外側で、放 域について飯舘村は全域が対象で、 町、川内村の住民ら約1500人が避難 射性物質の累積量が高い地域を「計画 全人口約6千人のうち約5千人が残っ 生活を送る郡山市のビッグパレットふくし 的避難区域」、半径 20~30 キロ圏内で ている。川俣町は山木屋地区が対象 まを訪れ、約2時間にわたり住民の前で 計画的避難区域に入らない地域の大部 で、人口は1248人。浪江町は警戒区 ひざまずき謝罪を繰り返した。 分を「緊急時避難準備区域」に指定 域を除く全域で、震災前は1434人が 住んでいたが、現在は178人が残る。 87 ■ (資料4) ふくしま自治研修センター避難所開設中の社会状況 4 月 23 日 ●国及び社会動向一般 ●県・市町村の動向 ●避難関係の動向 ●東日本大震災の影響で運転を見合わ ●福島県教委は、2012年度は公立 ●埼玉県加須市に役場機能ごと集団移 せていたJR常磐線の特急列車上野−い 小中学校の教員を採用しないことを決 転した福島県双葉町が苦悩している。約 わき駅間は28日にも一部列車で運転を めた。原発事故により、多くの子どもが 6900人いた町民の半数近くが加須市 再開する。 県外に避難したことが理由 など関東圏に避難する一方で、猪苗代 町など福島県内にも2割以上の町民が 残っている。 4 月 25 日 ●東北新幹線の運休区間のうち仙台― ●郡山市は、原発事故による県の放 ●ヨルダンの医療チームが福島県内で 福島間で運転を再開、45 日ぶりに仙台 射線量調査で数値が高かった市内の 医療支援活動を始めた。約3週間、福 ―東京間が直通運転 小中学校、保育所の校庭・園庭につい 島医大のチームと共に避難所を巡回し て、5センチ程度の表土を除去する独 て「エコノミークラス症候群」の検査など 自の対策を県内で初めて実施する。 に当たる。外国の医療チームの支援活 動は県内で初めて 4 月 29 日 ●東日本大震災の県内の死者は29日 ●県は福島第一原発事故の被害に対 ●双葉町の井戸川克隆町長は、集団 現在1486人となり、行方不明者は118 する損害賠償の電話相談窓口を開設 避難先の埼玉県加須市で講演し、白河 3人で3人減少した。 した。原子力損害賠償制度の概要や 市に仮設住宅を確保し、猪苗代町のホ 原子力損害賠償紛争審査会が定める テルに避難中の町民を移転させる方針 指針、請求手続きなどを助言してい を明らかにした。 る。 5月1日 5月7日 ●半径20キロ圏内の「警戒区域」への ●政府に5月末までの避難を求められ ●栃木県鹿沼市に避難していた飯舘村 一時帰宅に向け、政府の原子力災害現 ている川俣町山木屋地区で1日から、 の住民らが、地元に戻ることになり、避難 地対策本部は、一時帰宅の人数を原則 町の一時避難などに関する行政区ごと 先の鹿沼総合体育館で 4 月 30 日、退 1世帯1人としながらも、首長の判断で2 の住民説明会が始まった。 所式が行われた。帰郷するとはいえ村 人まで認めることを関係9市町村に示し 民は5月下旬をめどに再避難を迫られ た。 る。 ●福島県を応援する輪が首都圏でも広 ●県は非常時の放射性物質の広がり ●桑折町の仮設住宅に、浪江町からの がっている。東京・八重洲の県八重洲観 や濃度を予測する国のシステム(SPE 避難者26世帯、76人が入居した。浪 光交流館の4月の売上高は約4千万円 EDI)のデータを3月13日に確認した 江町民の入居は初めて と、前年同期と比べて約10倍に増えた。 が、公表していなかった。6日の自民 党県議会議員会政調会で県が明らか にした。 5月9日 ●放射性物質で汚染された可能性のあ ●県が大震災を受け新設した中小企 ●飯舘村は全村民約6500人の避難 る災害廃棄物について、原子力安全・保 業向けの「震災対策特別資金」の利用 計画を県に提出した。住民の意向調査 安院と環境省は、福島県浜通りと中通り 実績は、3月25日から4月28日までに を踏まえ、村があっせんする避難先とし の仮置き場で放射性物質濃度と空間線 430件、70億7760万円に上った。 て県北地方を中心とする7市町村に、1 量の調査を始めた。 中通りで利用が多く、浜通りの利用は 次、2次避難合わせて1014戸を確保し 低調 た。 88 ■ (資料4) ふくしま自治研修センター避難所開設中の社会状況 5 月 10 日 ●国および社会動向一般 ●県・市町村の動向 ●避難関係の動向 ●福山官房副長官は内堀副知事と会 ●川俣町は、政府の計画的避難区域 ●警戒区域にある川内村の住民54世 談し、県内の小中学校などの校庭から除 に指定された山木屋地区で住民説明 帯92人が10日、一時帰宅した。同区 去された放射性物質を含む表土につい 会を開き、住民の一次避難先と今後 域の9市町村で初めて。約2時間の滞在 て、11日に処分方法を提示すると伝え の避難日程を示した。自ら避難場所を 時間で、貴重品、衣類などを持ち出し た。表土と下層の土を入れ替える工法が 決めた住民を除く165世帯386人(約 た。 有力案の一つになっている。 31%)に対して、町が斡旋する避難場 所を提示した。 ●県は12日までに、東日本大震災の ●警戒区域にある葛尾村と川内村の一 津波で被害を受けた海岸と河川の堤 時帰宅が行われ、葛尾村は初めてで17 防合わせて19カ所の応急工事を開始 世帯27人、2回目の川内村は28世帯4 したと発表した。 3人が参加した。 ●政府は東京電力と東北電力の今夏の ●県の復興指針となる復興ビジョンは ●避難所で全国で初めて設置される郡 電力不足解消に向け、全閣僚で構成す 7月末に決定する。今月中にも「県復 山署の臨時派出所は12日、郡山市のビ る「電力需給緊急対策本部」の会合を開 旧・復興本部(仮称)」を設ける。県復 ッグパレットふくしまで開所した。警察官 き、政府は節電の目標値を企業、家庭と 興ビジョン検討委員会は初会合を開 が常駐して被災者らの悩み相談や啓発 も一律15%と決定 き、ビジョンの理念や主要な施策に意 活動を展開する。 5 月 12 日 5 月 13 日 見を交わした。 ●計画的避難区域での避難始まる。 5 月 15 日 ●佐藤知事が浪江町請戸地区などで ●福島第一原発事故で全域や一部が 行方不明者の捜索を続ける自衛隊、 計画的避難区域に指定された県内5市 警察関係者を激励。知事が半径20キ 町村の住民避難は、飯舘村と川俣町を ロ圏内で捜索状況を視察したのは初め トップに始まった。唯一全域が指定され て た飯舘村は6月中旬ごろ、山木屋地区 が指定された川俣町は今月中の完了を 目指す。 5 月 16 日 ●震災の影響で一部不通となっていた ●いわき市漁協は、いわき沖で底引き ●半径20キロ圏内の警戒区域にある田 阿武隈急行は、約2カ月ぶりに全線復旧 網によるサンプル調査を始めた。今月 村市都路町古道地区への一時帰宅は2 した。一時は全線で運転を見合わせてい 末まで毎週月曜日、計3回行い魚介 2日に行われる。市によると、対象となる たが、全社態勢で復旧に取り組み、先月 類の安全状況を確認する。 121世帯計381人のうち76世帯の計1 6日から運転再開区間を順次延長して 35人が参加する。 きた。 5 月 19 日 ●文部科学省は、来週中に、放射線の ●浜通りの復興で、県といわき、相馬、 ●避難生活が長期化する中、県内最大 積算線量計を福島県内全ての保育施 新地の3市町は、津波の危険がある沿 規模の避難所で約1500人が生活して 設から高校までの教育・保育施設約15 岸部を住宅建築が許可されない建築 いる郡山市のビッグパレットふくしまに住 00カ所に配布する。 基準法の「災害危険区域」に指定する 民自治組織が誕生し、避難所を自らの 方向で協議に入った。 手で維持・管理する取り組みが始まっ た。 89 ■ (資料4) ふくしま自治研修センター避難所開設中の社会状況 5 月 22 日 ●国及び社会動向一般 ●県・市町村の動向 ●避難関係の動向 ●県内の11市町村は20日までに、公 ●原発事故などを受け、県内の別の ●原発事故に伴う政府の計画的避難区 立小中学校で屋外プールを使った授業 小・中・高校に転入学した児童、生徒 域の指定から1カ月を迎え、指定された を行わないことを決めた。校庭の放射線 は少なくとも約4900人に上ることが県 川俣町山木屋地区の住民96人が福島 量が一時、屋外活動制限の基準を上回 教委の調査で分かった。今後も仮設住 市の2つの温泉旅館に一次避難した。1 り、保護者らの不安が広がっていることに 宅の完成に伴い、再度転校する児童、 5日から避難が始まったが、大規模な集 配慮した。 生徒が増えるとみられ、受け入れ態勢 団移動は初めて を強化する。 5 月 23 日 ●大震災や原発事故を受けた県外へ ●広野町の住民は、いわき市のスパリゾ の避難者数は23日現在で3万5670 ートハワイアンズへの二次避難を始め 人に上っていることが福島県の調べで た。初日に移ったのは埼玉県三郷市に 分かった。7876人の新潟、3080人 避難していた百数十人を含む約230人 の埼玉など、避難先は本県を除く全4 6都道府県にわたっている。 5 月 24 日 5 月 25 日 ●東京電力は福島第一原発事故の発 ●警戒区域からの車両の持ち出しのた 生当初のデータから、1号機と同様、2、 めの住民の一時帰宅が6月から各自 3 号機でもメルトダウン(炉心溶融)が起 治体で始まる。車は楢葉町の「道の駅 きているとみられるとの解析結果を公表 ならは」でスクリーニングを行い、必要 した。 に応じてJヴィレッジで除染する。 ●経産省が電力使用制限を 7 月 1 日か ●沿岸部の富岡町と南相馬市の住民を ら始めると発表 対象に警戒区域内への一時帰宅が実 施され、合わせて80世帯125人が約2 カ月半ぶりに自宅に戻った。 5 月 26 日 ●文科省は「年間20ミリシーベルト」とし ●来年のコメ作りのために放射能の影 ●警戒区域への一時帰宅が、双葉、浪 ている小中学校などの屋外活動制限の 響の有無を自ら確かめようと、南相馬 江両町の住民を対象に行われた。両町 放射線量の暫定基準を当面、維持しな 市鹿島区の農家が、所有する水田の への一時帰宅は初めて。浪江町の沿岸 がらも、「年間1ミリシーベルト以下」を最 一部を試験田にして田植えを行った。 部で行われた追悼式出席者も含め計9 終目標として新たに掲げる方針を固め 5世帯、17~87歳の男女171人が参 た。年間1ミリシーベルトは、一般公衆が 加した。 浴びる上限値として経済産業省が告示 している。 5 月 27 日 ●文部科学省は、毎時1マイクロシーベ ●原発事故を受けた福島県の県民健 ●警戒区域で、南相馬市と浪江、双葉 ルト以上の放射線量が測定された施設 康管理調査は、県外への避難者を含 両町の住民を対象にした2度目の一時 で除去を実施する場合、公立はほぼ全 め約202万人の全県民を対象に実施 帰宅があった。参加者は計160世帯、1 額を国が負担すると発表した。 する。福島市で開いた調査検討委員 6~86歳の262人に上った。 会の初会合で決めた。 90 ■ (資料4) ふくしま自治研修センター避難所開設中の社会状況 5 月 31 日 ●国および社会動向一般 ●県・市町村の動向 ●避難関係の動向 ●原子力損害賠償紛争審査会の第2次 ●福島労働局は31日、最近の雇用 ●計画的避難区域に指定された福島 指針で、県内では農水産物と観光の風 失業情勢を発表した。4月に新たに受 県飯舘村は31日までに4750人が村外 評被害や避難者の精神的苦痛が認めら け付けた新規求職者数は1万9683 避難の手続きをしたと発表した。村の人 れた。一方で、観光業では土産物店など 人で、前月と比べ83・9%増え、統計 口は6177人(昨年12月1日時点)で、 については触れられず、農業は食用の農 開始以来、最多となった。 75%以上の人の避難手続きが完了した ことになる。 作物だけに範囲が限られた。 6月3日 6月6日 ●文部科学省が発表した原発事故によ ●県のふるさと納税「ふるさとふくしま ●半径20キロ圏内の警戒区域への住 る県内の放射線量定点調査で、伊達市 応援寄付金」の金額が東日本大震災 民の一時帰宅は4、5の両日は、大熊町 霊山町2地点と南相馬市、飯舘村の1 が発生した3月11日から5月31日ま と浪江町で実施される。同原発が立地 地点で、年間積算線量推計値が20ミリ での2カ月半の間、1億1560万円に する大熊町の一時帰宅は初めて シーベルトを新たに上回った。 上った。 ●文部科学省は、福島県の土壌の放射 ●県によると、県外への避難者は、3 ●半径30キロ圏内への一時帰宅は、第 性物質の蓄積状況を示す地図作製に向 万5557人で、約1カ月前の先月5日 一、第二両原発がある大熊、双葉、楢 け、県内の土壌調査を開始した。 現在と比べ、1500人増加している。 葉、富岡の各町で行われた。これまでで 最多の248世帯416人が参加した。 6月8日 6 月 11 日 6 月 15 日 ●県は津波で甚大な被害を受けた漁業 ●葛尾村は、役場機能を移す三春町 ●避難所となっている福島市のあづま 者支援として漁場に堆積したがれきの撤 での一部業務を14日に開始予定。葛 総合体育館のある、あづま総合運動公 去費用を全額補助し、漁師が共同利用 尾村は三春町内の8カ所に418戸の 園内に6日、ペットの避難所が開設され する漁船建造費の一部を補助する。 仮設住宅を建設中 た。 ●県内の死者・行方不明者が約2千人 ●県は7月から原発事故の影響で警 ●双葉町の住民が、一時帰宅を実施。 に上る東日本大震災は発生から3カ月を 戒区域となっている市町村の農地の 集合場所となった田村市の体 育館で 迎えた。福島第一原発事故は収束せ 土壌調査を始める。警戒区域内の農 は、震災発生時刻の午後2時46分、町 ず、県内外で約5万9千人が避難生活 地で土壌調査をするのは初めて 民らが一斉に黙とうした。 ●「県復興ビジョン検討委員会」は、 ●県内避難所で、炊き出しを食べた住 「脱原発」の姿勢を鮮明にした基本理 民ら69人が下痢などの食中毒症状を訴 念の修正案をまとめた。原子力に依存 えていたことが15日までに分かった。 せず、再生可能エネルギーや省エネ、 リサイクルを強力に推進する社会づくり を目指すとしている。 91 ■ (資料4) ふくしま自治研修センター避難所開設中の社会状況 6 月 19 日 ●国及び社会動向一般 ●県・市町村の動向 ●避難関係の動向 ●原発事故を受けた「すべての原発をと ●計画的避難区域外で年間の放射線 ●半径20キロ圏内の警戒区域への一 めよう! 6・19怒りのフクシマ大行動」 積算量が20ミリシーベルトを超えると 時帰宅が、南相馬、楢葉、富岡の3市 は19日、福島市で繰り広げられ、参加 予想された伊達市霊山町石田地区 町で行われた。3市町で合わせて258 者はデモ行進などで原発反対を訴えた。 で、自主的な一時避難は20日から本 世帯の449人 格化する。 6 月 20 日 ●東日本大震災や原発事故の被災 ●伊達市霊山町石田の宝司沢地区か 者に市町村が発行する罹災証明書や ら自主的に一時避難する家族の市営住 被災証明書の申請が県内で急増して 宅への引っ越しが始まった。同地区は計 いる。 画的避難区域外だが、放射線の年間積 算量推定値が20ミリシーベルトを超える とされている。 6 月 22 日 ●政府は21日までに、本県など東日本 ●原発事故の影響で計画的避難区域 大震災と原発事故の被災地を対象にし に設定され、全村避難を進めている飯 た「復興交付金(仮称)」を創設する方針 舘村は、福島市飯野町の市役所飯野 を固めた。7 月中旬の第 2 次補正予算で 支所に「飯舘村役場飯野出張所」を開 総額1千億円以上を計上する方向で調 設した。 整している。 6 月 26 日 ●「ホットスポット」の住民避難で、政府と ●半径20キロ圏内の警戒区域への一 ●原発事故に伴い、計画的避難区域に 伊達市は市内4地区の住居約90軒を 時帰宅は26日、大熊、双葉、浪江各 指定された川俣町山木屋地区の住民の 特定避難勧奨地点に指定する方向で最 町で行われた。3町合わせてこれまで 仮設住 宅 への 入居 が始まった 。初日 終調整に入った。 で最多の440世帯752人が参加し、 は、160戸の仮設住宅が建設された町 自宅から貴重品などを持ち帰った。 内東福沢の農村広場で入所式が行わ れた。 6 月 27 日 ●原子力発電所事故に伴い警戒、計画 ●佐藤知事は、6月定例県議会本会 的避難、緊急時避難準備の各区域内で 議で「県として原子力に依存しない社 業務 に影響を受けた事業 所と従業 員 会を目指すべきとの思いを強く持つに は、4,366事業所、5万4566人に上 至った」と述べ、「脱原発」を表明した。 ることが、福島労働局のまとめで分かっ た。 6 月 29 日 ●細野原発事故担当相は、原発事故で ●県は農用地土壌の放射性物質の検 ●双葉町は福島、いわきなど県内5市に 設定された「緊急時避難準備区域」につ 査結果を発表した。県内49市町村の 仮設住宅745戸を建設する予定だが、 いて、原子炉の安定的な冷却を目指す 畑地など121カ所が対象。このうち3カ 29日現在で37戸しか完成していない。 「ステップ1」が終わる予定の7月17日を 所で放射性セシウムが乾土1キロ当た めどに、解除を検討する考えを示した。 り 5000 ベクレルを上回った。 92 ■ (資料4) ふくしま自治研修センター避難所開設中の社会状況 6 月 30 日 ●国および社会動向一般 ●県・市町村の動向 ●避難関係の動向 ●政府の原子力災害現地対策本部は、 ●県は県有施設などで開設している1 ●いわき市は、一部で比較的高い放射 伊達市4地区の住居104地点(計106 次避難所、旅館やホテルの2次避難 線量が測定されている同市川前町下桶 戸、113世帯)を局地的に放射線量が 所を原則として8月末で閉鎖する方針 売の荻、志田名の両地区について、避 高い「ホットスポット」に当たるとして、住 を固めた。被災者の応急仮設住宅へ 難を希望する住民に対して避難先をあ 民避難を促す特定避難勧奨地点に指 の入居を促す。 っせんすることを決めた。 定した。 7月3日 7月5日 ●細野原発事故担当相は1キログラム ●放射線の低減策に取り組んでいる伊 当たり 10 万ベクレルを超える放射性セシ 達市で、除染アドバイザーによる除染 ウムが検出された福島市の堀河町終末 プロジェクトが始まった。初日は市内保 処理場の汚泥処分について「国に責任 原町の富成小でコンクリートやプールの がある」として、国が担う考えを示した。 水の除染試験などが行われた。 ●東京電力は、原発事故の避難住民ら ●県森林組合連合会は、東京電力に ●川俣町東福沢の仮設住宅で生活す に対する2回目の損害賠償仮払金につ 4月末までの損害賠償、5,627万円 る計画的避難区域の山木屋地区住民 いて、1人当たり30万円を基準に支払う の賠償の仮払いを請求した。また県内 を対象とした農村広場仮設住宅山木屋 と発表した。 水面漁協連合会に所属する13漁協 自治会の設立総会が、同仮設住宅内の は、損害として計約7,550万円の仮 集会所で開かれた。町によると、県内で 払金支払いを求める通知を出した。 仮設住宅内に自治会が設置されるのは 初めて 7月7日 ●福島民報社は県内全市町村長にアン ●県は県内21地点の牧草の放射性 ●半径20キロ圏内の警戒区域への一 ケートを行い、今後の原子力政策の在り 物質検査結果を発表した。伊達市で 時帰宅は、南相馬市小高区、楢葉、富 方などについて考えを聞いた。原発事故 は三地点で調査され、このうち一地点 岡両町で行われた。南相馬市は166世 の被害が甚大であることなどを理由に、 で、一キロ当たりから放射性セシウムが 帯290人、楢葉町は123世帯206人、 全体の約9割に当たる53人が知事の判 1930ベクレル検出されるなど、七地 富岡町は233世帯403人が参加 断を「評価する」と回答した。 点で暫定許容値(300ベクレル)を超 えた。 7 月 14 日 ●原発事故で南相馬市など5市町村に ●県は野菜と果実の放射性物質の検 ●浪江町は、東日本大震災に伴う避難 設定されている緊急時避難準備区域に 査結果を発表した。野菜は27市町村 者の支援に関する協定を福島市と締結 ついて、政府が8月中の解除を検討して の16品目51点、果実は7市町の4品 し、8月1日をめどに福島市役所内に出 いることが判明 目9点を調べ、全て食品衛生法の暫 張所を開設することを確認した。 定基準値(放射性ヨウ素2000ベクレ ル、放射性セシウム500ベクレル)を 下回った。 7 月 15 日 ●東日本大震災、東京電力福島第一 ●県は「脱原発」を基本理念に据えた ●いわき市は、一部で高い放射線量が 原発事故で県外へ避難した県民は少な 今後10年にわたる県の復興の指針と 測定されている市内川前町下桶売の くとも4万5242人に上ることが、県と内 なる「復興ビジョン」の素案をまとめた。 荻、志田名両地区の住民から避難希望 閣府の調査で分かった。 を受け付け、14日までに11世帯が申し 込んだ。 93 ■ (資料4) ふくしま自治研修センター避難所開設中の社会状況 ●国および社会動向一般 ●県・市町村の動向 ●避難関係の動向 ●政府が福島県産牛の出荷制限を指 ●県は、平成24年度の国の予算編成 ●仮設住宅をリヤカーを引いて回り、食 示 に向けた提案・要望内容を発表した。 材や生活品を販売しながら身体障害 復旧・復興関係では、県内に発電可能 者、高齢者らの「買い物弱者」を支援す 量計100万キロワット分の大規模太陽 るユニークな取り組みが、相馬市でスタ 光発電施設の立地を目指す再生可能 ートした。県の「絆づくり応援事業」を活用 エネルギー施設の集積など。 した市のアイデア事業 ●政府の原子力災害現地対策本部は、 ●相馬市議会は臨時会で、東日本大 ●辻元清美首相補佐官は、南相馬市 南相馬市の 4 地区の住居 57 地点(59 震災による津波で被害を受けた同市 役所を訪れ、桜井市長と会談した。県内 世帯)を住民に自主的な避難を促す特 沿岸部の一部地区で住居建築を制限 のNPOを支援することで、仮設住宅の 定避難勧奨地点に指定 する条例制定案を可決した。 入居者へのボランティアとともに被災者 7 月 19 日 7 月 21 日 の心のケアに力を入れるべきとの考えを 示した。 7 月 22 日 ●東北経済産業局は震災からの東北経 ●県は避難者の自立に向けた10月末 済の再生を目指す「産業復興アクション までの工程表をまとめた。7月末までを プラン東北」の素案をまとめた。自動車 「ステップ1」とし、県内39カ所の1次避 産業をはじめとする製造業の活性化支 難所のうちJICA二本松(福島県二本 援などを柱に据えた。 松市)など6カ所を閉鎖する。10月末 には全面閉鎖する方針 7 月 24 日 ●家庭や地域での放射性物質除去作 ●福島県民健康管理調査検討委員 ●今月末までに全員が県内の仮設住宅 業に活用してもらおうと、県は「除染マニ 会は、原発事故を受け、県が行う詳細 などへ移ることが決まった二本松市のJI ュアル」を作成した。除染の手順や注意 調査の概要を決めた。事故発生の際、 CA二本松訓練所の避難者は、お世話 点、除去したごみの処分方法などを説明 18歳以下だった子ども36万人に対 になったJICA職員や県職員らへ感謝の している。 し、10月から平成26年3月まで2年半 気持ちを込め、お別れ会を開いた。 をかけて甲状腺検査を行う。 7 月 25 日 ●政府は、原発事故に伴い設定された ●遠藤富岡町長は、町役場仮庁舎を 緊急時避難準備区域の解除に向けた作 郡山市大槻町の市有地に建設すると 業計画を発表。月内に区域内5市町村 発表した。10月中に完成させ、同市の の公共施設、宅地などの放射線量調査 ビッグパレットふくしまに置く役場機能を を完了し、線量が低い地域は8月中の解 移す。 除を目指す。 7 月 29 日 ●県の「県民健康管理調査」が、8月か ●放射性セシウムを含む稲わらが肉 ●福島第一原発から半径 20 キロ圏内 ら本格実施される。事故当時に県内に 牛に与えられていた問題で、政府から の警戒区域への住民の一時帰宅が 8 月 居住していた約202万人全員が対象 出荷停止指示を受けた県は、28日、 中旬で、ほぼ終了する見通しとなった。 出荷適期を過ぎた全頭の買い上げを 決めた。 7 月 31 日 ●ふくしま自治研修センター避難所活動終了 94 ■ (資料4) ふくしま自治研修センター避難所開設中の社会状況 ●ふくしま自治研修センター避難所閉鎖後の主な動向 平成 23 年 8月3日 原発賠償支援法が成立 8 月 13 日 県内の一次避難所の避難者は964人。二次避難所は12日現在、424カ所で、避難者数は7798人 8 月 30 日 野田佳彦内閣、誕生 8 月 31 日 県の7月1日現在の住民基本台帳に基づく推計人口は199万7400人で、33年ぶりに200万人を割った。 9 月 23 日 9 月 30 日 11 月 7 日 あづま総合体育館に設置されていた県内最大規模の一次避難所では、最後まで残っていた3世帯10人が退去し、閉鎖さ れた。3月13日に開設され、最大約2500人が避難した。 政府は東京電力福島第一原発から半径20キロ~30キロ圏内の5市町村(広野、楢葉、川内、南相馬、田村)に設定した緊 急時避難準備区域を一斉に解除した。 県内の大学、自治体関係者らを中心とするベラルーシ・ウクライナ福島調査団は、チェルノブイリ原発やその周辺地域を訪問 し、7日に帰国した。 12 月 16 日 福島第一原子力発電所 1 号機~3 号機が冷温停止。行程表のステップ2終了が発表された。 12 月 29 日 県内に設けられた一次避難所は、残っていた南相馬市、会津若松市でも退去し、12 月 28 日、全て閉鎖された。 平成 24 年 県によると、1 月 5 日現在の福島県の震災、原発事故による避難者数 15 万 7000 人余り。うち福島県内で避難生活を送る 1 月 10 日 者が 9 万 6176 人、全国 46 都道府県で避難生活を送る者は 6 万 1659 人 1 月 31 日 3 月までの帰還を目指している川内村は 1 月 31 日、双葉郡内の町村としては初の「帰村宣言」を行った。宣言にあわせて、 「戻れる人は戻る。心配な人はもう少し様子を見てから戻る」との考え方も示された。 参考資料:47NEWS 47 トピックス【東日本大震災/福島原発事故】ドキュメント(一覧)、「福島民報」東日本大震災ニューアーカイブなどより作 成 95 ふくしま自治研修センター 避難所の記録 発行:平成 24 年 2 月 編集:〒960-2156 福島県福島市荒井字地蔵原乙15番地 (財)ふくしま自治研修センター TEL 024-563-7283 FAX 024-593-5714
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