INFORM - ジュンク堂書店

世界の本屋さん
vol.42
北朝鮮
ピョンヤン・国営書店
袖看板があった。入口は九十センチメー
ないビルの一角に、国営書店を表示した
筆者は中区の施設を見た。何の変哲も
金日成写真、肖像画などである。
ノセ事務所
能勢
仁
ピョンヤン市は人口三一四万人で、国
はエリートばかりで飢餓に悩む人はいな
トルの狭いものであった。中に入ってみ
全体の十五%の人が住む。ここに住む人
い。老若男女、学生、公務員は満ち足り
の本、三分の一はピョンヤン市地図、ガ
ると二十坪の図書室があった。外から見
た生活をする人ばかりである。
イド他、
残りの三分の一は金日成肖像画、
たのでは全く書店であることはわからな
ピョンヤンには市内に十七の区があ
祭壇、お花である。書店というより朝鮮
北朝鮮に書店はあるのだろうか。答え
る。各区にひとつの本の施設がある。並
労働党の布教施設で、子どもの本、実用
い。薄暗い室内で、中年の女性が一人店
んでいる本は朝鮮労働党の機関紙、新聞、
書、小説、参考書、辞書などは皆無であ
はなしである。それらしきものとしては
宣伝雑誌、金日成全集、選集、金日成伝
る。国民は海外の情報など知る由もない
番をしていた。店内は三分の一は金日成
記、労働党史、党綱領、大同江文化、党
国だと思った。
国営書店︵朝鮮労働党刊行物販売店︶が
大会ビデオ、ピョンヤン市地図、ガイド
ある。
ブ ッ ク、 絵 葉 書、 国 旗、 帽 子、 バ ッ ジ、
(表紙題字・陳舜臣)
6月
毎 年 の こ と な が ら、 春 か ら 夏、
世界の本屋さん
﹁書標﹂歳時記
月
然
科
書
書
芸
術
学
学
1
南陀楼
綾繁
2
著書を語る
○ ﹁ 本のある場所を求めて次はどこの町へ﹂
自
書標・書評
﹃葬送の仕事師たち﹄ほか
特集 ふしぎな空間
地図 世界
私
今月のおすすめ
コ ン ピ ュ ー タ
インフォメーション
﹁好きな本﹂について話そう/対話する読書
学
書
医
社 会 科
人 文 科 学
文 学 ・ 文
文 庫 ・ 新 書
芸
用
書
地 図 ・ 旅 行
実
童
語 学 ・ 辞 典
児
読者から
25 24 22 20 17 15
秋と昔からいう年魚の季節となる。
私 の 舌 は、 鮎 を 世 間 で 騒 ぐ ほ ど
う ま い も の だ と は 思 っ て い な い が、
なんとなし高貴な魅力があってう
れしいものだ。
﹃春夏秋冬
料理王国﹄
北大路魯山人著︵中公文庫︶より
518
本屋うらばなし
﹁ただいまジュンク堂﹂
※表示価格はすべて本体価格です。
−1−
6 42
⇔
4
6
10
26 24 23 21 18 16
30 28 27
⇔
著書を語る
○
︱︱
南陀楼
綾繁
も年代も職業もバラバラで、本という共通項がなければ出会う
終わってからは反省会と称して喫茶店で雑談をしている。男女
顔見知りになり、連絡を取り合って前夜祭と称して酒を飲み、
り、電車や車で駆けつける人たちだ。
他の土地での開催を聞きつけて、いてもたってもいられなくな
東京などから参加。ひとたび一箱古本市の楽しさを味わうと、
まってくる。この日も盛岡のほか、一関、仙台、秋田、山形、
﹁ 本のある場所を求めて次はどこの町へ﹂
本 に は 世 代 や 立 場 を 超 え て、 さ ま ざ ま な 人 を つ な げ る 力 が
二〇〇五年に谷中・根津・千駄木で、仲間たちと﹁不忍ブッ
ある。
クストリートの一箱古本市﹂をはじめて以来、何度となくその
路上で販売するというイベントを通じて、じつに多くの人と出
ことを実感した。段ボール箱ひとつに自分の選んだ古本を詰め、
会った。最近では全国各地で開催されているので、出かけるた
効果に驚きもし、ぼくも仲間に入れてほしいとうらやましく感
るのを見て、一箱古本市を考えたときには思いもよらなかった
きっかけすらなかったであろう人たちが、にこやかに話してい
つい先日は、岩手県盛岡市で開催されている﹁モリブロ﹂に
じたりもした。
びにその数は増えていく。
参加した。盛岡の地域誌﹁てくり﹂の女性スタッフが中心となっ
メインの一箱古本市は、創業二百年という荒物屋の中庭など
いるというKくんは、福島弁訛りの﹁ホントですね∼﹂が口癖
た県庁を辞めて、車中泊をしながら、いろんな町を見て回って
とレンタサイクルで、盛岡の古い町並みをめぐった。十年勤め
古本を売る合間には、前の週に石巻で会った福島市のK青年
て、 東 日 本 大 震 災 後 の 二 〇 一 一 年 五 月 に 開 始 し た イ ベ ン ト で、
一 カ 月 間、 町 じ ゅ う あ ち こ ち で 本 に 関 す る 企 画 が 開 催 さ れ て
紺屋町の数か所で行なわれた。私も店主として箱を出したが、
の純朴な三十一歳で、いつかは地元でブックカフェを開きたい
いる。
途中で雨が降って中断させられたり、日差しの強さに往生した
と夢見ている。
を営む四十四歳の男が加わり、自転車で盛岡の町を半周し、材
そこに、モリブロの会場に出店している秋田でTシャツ工房
りしたものの、本を手に取ってくれる人が絶えず、にぎやかな
一 箱 古 本 市 の 店 主 さ ん は、 地 元 か ら だ け で な く 各 地 か ら 集
一日となった。
−2−
518
木町で毎週土曜の夕方に開かれている﹁よ市﹂に行って、地元
声をかけてもらうなら、時間と経済が許すかぎり、どこにでも
所を求めて歩いてみたい町は無数にある。もし、来てほしいと
北は盛岡から南は鹿児島まで、十四県・二十の町のことを書
きには映画館や銭湯にも入るので、なかなか忙しい。なんにも
えに、居酒屋や定食屋、喫茶店に入り、古い建物を眺めて、と
なっている。店主になったりトークイベントで喋ったりするう
仙台、新潟、山形県置賜地方での一箱古本市に参加することに
ブックイベントは、春と秋に集中しがちだ。ぼくも今月には
結びつくきっかけが生まれるのであれば嬉しいから。
行きます。僭越ながら、ぼくが訪れることで、地元の本好きが
で人気の︿べアレン醸造所﹀のビールを路上で飲んだ。
男三人のとても愉快な珍道中だった。
︱︱というふうな旅を数年間繰り返しているうちに、まとまっ
たのが、今度出した﹃ほんほん本の旅あるき﹄︵産業編集セン
いている。毎年訪れている仙台や新潟、震災後に通うようになっ
目的を持たず、のんびりと観光するだけという旅は、ぼくには
ター︶なのです。
た石巻もあれば、一度の訪問でつよい印象を残した鳥取の松崎
ぼくの﹁本の旅﹂は、まだしばらくは続くだろう。
もうできそうにない。
のような町もある。
学生時代から旅行先で古本屋をめぐるのが好きだったぼく
︵ライター・編集者
不忍ブックストリート代表︶
−3−
は、どこを訪ねても﹁本の匂い﹂を求めてしまう。本書でも、
本屋以外に図書館やブックカフェ、地元の雑誌など、その町の
地方の町の中心街が淋しくなり、廃業する新刊書店や古本屋
本に関する動きを拾っている。
が多くなっていることは事実だ。しかし、いまは本屋が存在し
ない町にも、かつては数軒があり、地元の出版社やタウン誌が
あった。そして、それらが無くなっても、本好きはたしかに、
一箱古本市をはじめとするブックイベントは、地元の本好き
どこかにいるのだ。
の存在を照らし出し、彼らが再びつながるきっかけをつくる場
になったと、
ぼくは考えている︵もちろん、﹁つながりたくない﹂
人の自由は保証されているし、本好きではない人まで集める必
要はない︶。
本書には、訪れていながらページの都合で書けなかった町が
いくつかある︵弘前、高松、日田など︶。そして、本のある場
『ほんほん本の旅あるき』
産業編集センター・1,600 円
井上理津子著
新潮社・一四〇〇円
﹃葬送の仕事師たち﹄
葬 送 の 儀 は、 誰 も が 必 ず 主 役 と な れ る、
に 語 り か け る。 故 人 の こ と を 必 死 で 考 え、
体ではない。だから、彼らもまた、﹁ご遺体﹂
ば、彼ら自身にとっても、それは単なる死
がモノではないことを知っている。しばし
た。それに加え、協調性も必要不可欠だ。
膨大な量の勉強と訓練の上に成り立ってい
な ト レ ー ニ ン グ を こ な す。 宇 宙 飛 行 士 は、
い、可能な限りの準備をする。毎日ハード
実際は違う。何度もシュミレーションを行
す最期の時間だということを知る仕事師た
流れている時間が、遺族が大切な人と過ご
その思いは、自ずと遺族にも向かう。今
宙飛行士として活躍するまでの物語であ
飛行士を志した時から、その夢を叶え、宇
有名になった。本書は、著者が九歳で宇宙
を撮影し、インターネットに投稿して一躍
での日常生活の様子やミュージックビデオ
著者のクリス・ハドフィールドは、宇宙
それぞれの故人に相応しい見送りを実現し
ちだからこそ、ある幅を持った喪の時間を、
り、また著者が学んだ、﹁地球での生き方﹂
ようとする。
心 を 籠 め て 支 え る こ と が 出 来 る の で あ る。
そして決してそのことから逃れられない儀
死は既に、主役を瞬時にこの世界から切り
そして言うのだ。
﹁僕ら葬儀屋は﹃傘﹄。深い悲しみに陥っ
のヒントが随所にちりばめられている。
遺族にとっては、そうではない。死の受
だ が、 主 役 そ の 人 は、 そ こ に は い な い。
式である。
離してしまっている。
容の時間を必要とする。喪の時を裏から支
た家族が一区切りついて日常に戻ると、要
準備をして望むこと﹂など、今までに何度
葉ではない。﹁謙虚でいること﹂﹁しっかり
と驚く成功法や、人生を輝かせる魔法の言
本書で著者が伝えようとするのは、あっ
えるのが、葬送の仕事師たちである。短時
らなくなる。電車の中に置き忘れられるく
︵フ︶
も耳にしてきたことばかりだ。宇宙飛行と
らいがちょうどいい﹂
間で客の意向を聞き取り、迅速に準備・演
出していく葬儀社の人々、故人への尊敬と
﹃ 宇宙飛行士が教える地球の歩き方﹄
うな言葉が出てくるのは意外かもしれな
遺族への心遣いを忘れず葬送の儀式を進行
クリス・ハドフィールド著
千葉敏生訳
早川書房・一七〇〇円
い。しかし、これこそが著者が宇宙飛行士
感染症の危険もある。葬送の仕事師たちの
主を失った肉体は、腐敗する、蛆も湧く、
かけ離れた、遠い存在。︱︱これが、私の
を遂行する。一言でいうと天才。自分とは
経も抜群。命がけで宇宙に飛び立ち、任務
冒険好きで並外れた知性を持ち、運動神
に転がっているのかもしれない。
そんな一冊。幸せになるヒントは案外近く
ふ と 自 分 の 足 元 を 見 つ め な お し た く な る。
がっている。要は、それに気づくかどうか。
︵ノ︶
実は、普段の生活の中に小さい喜びは転
作業は、モノとしての死体を扱う、専門知
宇宙飛行士に対するイメージだった。だが、
いう壮大な冒険をしてきた著者からそのよ
エ ン バ ー マ ー。 そ し て、﹁ ご 遺 体 を き れ い
﹁ 宇 宙 飛 行 士 ﹂ と 聞 い て、 ど ん な イ メ ー
として学んだことなのだ。
していく湯灌師、納棺師。時に﹁神業﹂と
に焼く﹂ことをミッションとする、火葬場
ジを思い浮かべるだろうか。
識と技術に支えられた﹁職人仕事﹂である。
も 思 え る 技 で 遺 体 を 美 し く 整 え る 復 元 師、
の人たち⋮⋮。
し か し、 彼 ら は、 遺 族 に と っ て﹁ ご 遺 体 ﹂
−4−
﹁︵騎士道精神から生まれた婦人への心遣
ている。
交わされる会話の噛み合わなさ加減。イシ
代に生きる私たちをもうならせる。そして
と民族と愛と憎悪についての深い洞察は現
ウィスタンの複雑な人物造型もいい。戦争
人 生 最 後 の 旅 路 を 悠 々 と 進 ん で 行 く。 戦 士
き 散 ら し、 愛 馬 ホ レ ス を 唯 一 の 友 と し て、
リ ー ズ で は な い か と 懸 念 し て い た の だ が、
こ ど も に 向 け る に は、 い さ さ か 酷 な シ
である。
い高揚が、夏を前にしてまたやってきたの
と恐怖を共有したくなるあのよくわからな
ては﹁ねえねえ、ちょっとこれ読んでみて﹂
話題になった。そばにいる誰かをつかまえ
トは、店のバックヤードでもちょっとした
﹃忘れられた巨人﹄
いは︶愛ではなく、実際のところ、愛につ
グロほど婉曲に、丁寧に、慎み深く誠実に
東雅夫氏の﹁幼いころから怪談に親しむこ
モンテスキューは﹁法の精神﹂の中で言っ
早川書房・一九〇〇円
いての繊細で微妙な、そして永遠の虚構な
他人の言葉を全否定できる作家はほかにい
カズオ・イシグロ著
のである﹂と。
ない。
が旅の途中で出会う敵の兵士は、圧倒的に
﹁お姫様﹂﹁アクセル﹂と呼び交わし、彼ら
たアクセル︵と呼ばれる男︶が書いた、まっ
冒頭の言葉を思い浮かべるなら、妻を失っ
最後に残る謎がある。﹁語り手﹂は誰か。
腑に落ちた。
い﹂という帯コメントを読んで、ようやく
直面しても行動できるようになってほし
とによって、想像力を養い想定外の事態に
老夫婦アクセルとベアトリスはお互いを
不利な状況下でも敵前から逃亡するくらい
たくの作り話、という飛躍は許されるだろ
知らないなにかが入っている箱。
あかない箱。
いてほしい。
してしまう前に、そっとこのえほんをひら
れてしまうような類の﹁こわさ﹂に出くわ
態で、ただ静かに受け止めることを強いら
することがあるかもしれない。無防備な状
得体のしれない理不尽な﹁こわさ﹂に遭遇
生 き て ゆ け ば、 怪 談 的 で は な い に し ろ、
うか。
︵P︶
なら死んだ方がましだ、とばかりに戦いを
小野不由美作
na ka ban 絵
﹃はこ﹄
選ぶ。本編を貫いているのはそんな時代の
精神だ。
悪鬼や竜や妖精たちが日常的に人々の目
に見えていた時代。
かった。失われた記憶を追って、老夫婦は
いつの間にか、あいていた箱。
岩崎書店・一五〇〇円
息子の元へ旅立つ。章ごとに近い過去を回
クローゼットをノックすれば、ベチャベ
彼らの記憶は﹁霧﹂のせいで永続きしな
想しながら進む展開は彼らの歩みに似て遅
くしばらく上手に眠れなかったに違いない
幼かったあの頃に読んでいたら、おそら
く、とても危なっかしい。終に辿り着いた
合 わ せ で 生 き て い る の だ と い う こ と を、
が、あやういものといつだって本当は隣り
そっと教えてくれたことだろう。
チャと音が聞こえてくる。
ああ、これも箱。
地点で﹁霧﹂が晴れ、この世界の有り様が
そして大切な誰かを消してしまう、箱。
ある。
︵弥︶
こ わ い。 け れ ど 抗 い 難 き 魅 力 が こ こ に
明らかになった時はじめて私たちは気付
﹃いるの
いないの﹄︵京極夏彦作︶のラス
待 っ て い ま し た、 怪 談 え ほ ん シ リ ー ズ。
く、何も解決されはしなかったのだと。
騎士ガヴェインが好きだ。円卓の騎士の
生き残りでシェイクスピアばりの警句をま
−5−
市。廃墟。工場。下水道。暗渠。街のそ
もそこに身を置いてみたくなる空想の都
あまり普通でない住宅。ありえない、で
パ ー ク。 あ る い は、 ご く 普 通 の 人 々 の、
た と え ば、 奇 天 烈 な 博 物 館 や テ ー マ
日 本 紀 行 ﹄︵ ち く ま 文 庫 ︶ の、 貧 乏 臭 く
に戦慄する一冊。本書の日本版である﹃珍
ルギーに圧倒される。人間の底知れなさ
でもかとばかりに形象化し蒐集するエネ
ダーアート⋮⋮衝動、情念、妄想をこれ
本、キメラの剝製、蠟人形、アウトサイ
﹃ 賃 貸 宇 宙 ﹄ の ほ う は、 市 井 の 人 々 の
も愛嬌溢れる秘宝館との対比も一興だ。
こかしこにある凸凹。
これらの奇妙なスペクタクルは、常識
活空間のコレクション。廃墟を改造した
内的宇宙がそのまま投影されたような生
と遠近法と平衡感覚を狂わせ、日常生活
未 知 の 感 覚 を 味 わ い に、﹁ ふ し ぎ な 空
の場を異形の空間へと変貌させる。
部屋、服に埋もれた部屋、赤一色に染め
た部屋、異常に狭い部屋、土足でないと
危険な部屋など六〇〇物件。ところどこ
ろ住民がヌードで写っていて、取材を申
−6−
間﹂へ繰り出そう !
﹃珍世界紀行
ヨーロッパ編﹄
︵筑摩書房︵ちくま文庫︶・都築響一著・
し込む際に一応頼んでみるそうなのだ
が、﹁ 裸 は い い け ど、 部 屋 を 見 せ る の は
一八〇〇円︶
ちょっと⋮⋮﹂と躊躇する人がけっこう
いるというエピソードがおかしい。
﹃賃貸宇宙︵上・下︶﹄
上巻二二〇〇円、下巻一七〇〇円︶
︵筑摩書房︵ちくま文庫︶・都築響一著・
このテーマで集めようとすると、都築
響一の本はすべて入れたくなってしま
う。 悩 ん だ 末 に 二 点 だ け 選 ん だ。﹃ 珍 世
界紀行﹄はヨーロッパの博物館やテーマ
パーク、それも普通のガイドブックには
載っていない、紳士淑女が眉をひそめる
珍名所九十九箇所を踏破したフォトエッ
セイ。骸骨寺、監獄と拷問道具、人体標
『珍世界紀行
ヨーロッパ編』
ル の 上 を 走 る 機 関 車 の ベ ッ ド、 本 物 の
国籍不明の豪華絢爛なインテリア、レー
ラ ブ ホ テ ル も ま た 奇 想 の 空 間 で あ る。
︵アスペクト・村上賢司著・一六一九円︶
﹃ラブホテル・コレクション﹄
瞬 に、﹁ 廃 墟 は き わ め て 形 而 上 学 的 な 光
やがて朽ちて土に帰らんとする﹂その一
処となり、四季の移ろいを静観しながら
に晒され、草木に覆われ、動物たちの住
た が 今 は 亡 き 名 廃 墟 の 四 十 六 件。﹁ 風 雨
リゾートホテル、病院など、かつて賑わっ
﹃廃墟本rem ix ﹄は遊園地、炭鉱、
ても便利だ。建築の世界は︵とくに現代
わけでもない。けれど内容は素人にはと
とりたてておかしな建築が選ばれている
し ょ っ て 現 代 に 重 点 が 置 か れ て い る し、
史﹂というには近代以前はかなりは
める書。タイトルにやや偽りありで、﹁歴
巨大な賃貸マンションを自らの手で
一一〇〇円︶
きるわけで、すると別にタイトルに偽り
とする飛躍と変異の跡をなぞることもで
然。そこから既存の建築を乗り越えよう
真とフキダシ解説で意味や特徴が一目瞭
してしまうのだが、本書を繙けば実例写
たび﹁それ、どんなのだっけ?﹂と混乱
ひっきりなしに出てくるので、本を読む
は︶新しい様式やら概念やら運動やらが
一二五のキーワードで建築の歴史を眺
オ ー プ ン カ ー︵ な ぜ か 乗 り 物 が 多 い ︶、
景を我々に見せることになる。﹂
二二〇〇円︶
す べ り 台 に プ ー ル に 回 転 木 馬 にU F O
﹃驚 嘆! セ ル フ ビ ル ド 建 築 沢 田 マ ン
と、おもちゃ箱をひっくり返したような
バ カ バ カ し さ の 中 に 昭 和 の 哀 愁 が 漂 う。
本来の目的を逸脱しているのではと懸念
ションの冒険﹄
作ってしまった夫婦と、そのマンション
︵筑摩書房︵ちくま文庫︶
・加賀谷哲朗著・
の物語。五階まで行けるスロープ、塔の
通路では入居者たちの宴会が⋮⋮。﹁まっ
︵ エ ク ス ナ レ ッ ジ・ 五 十 嵐 太 郎 著・
﹃おかしな建築の歴史﹄
−7−
もされるが、じっさい映画のロケやコス
プレの撮影会によく使われるらしい。
ディー・ミャオ著・二二〇〇円︶
﹃美麗廃墟
美しく幻想的な廃墟たち﹄
︵エ ム デ ィ エ ヌ コ ー ポ レ ー シ ョ ン・ ジ ョ
こ と ア ナ ー キ ー な 建 物 ﹂︵ 奈 良 美 智 ︶ と
はないのかもしれない︵﹁おかしな﹂は﹁建
言うほかなく、建築基準法的にはちょっ
築﹂ではなく﹁建築の歴史﹂にかかる?︶。
廃 墟 本 は 数 多 い の で 初 心 者 向 き︵?︶
一三〇〇円︶
と ア レ な の か も し れ な い が、﹁ 見 る と 元
ようなエレベーター、四階に釣り堀、五
の二冊。
﹃美麗廃墟﹄はフランス人写真家
気になる﹂空間であることは間違いない。
階に水田、屋上に自家製クレーン。広い
による日本の廃墟写真集。軍艦島、摩耶
﹃総天然色
廃墟本rem ix ﹄
︵筑 摩 書 房︵ ち く ま 文 庫 ︶・ 中 田 薫 著・
観光ホテル、日窒鉱山などの有名廃墟と
収録されている。かなり凝ったライティ
ともに、所在地を秘した学校や寺なども
ングで、色彩豊かで幻想的な仕上がりだ。
『おかしな建築の歴史』
文豪ユルスナールも偏愛した版画家ピラ
はどんどん出してほしい。白眉はやはり、
価格もリーズナブルだし、こういう企画
美 術 展 用 に 作 成 さ れ た 図 録 の 市 販 版。
術館編・二八〇〇円︶
な味わいの物語も魅力的だが、さまざま
摩訶不思議な事件の数々。カフカのよう
斜めに傾いた少女⋮⋮謎の都市で起こる
殖する立方体、全貌の見えない巨大な塔、
スのコンビによるシリーズの第一弾。増
うなハードな評伝もこなす才人ペーター
イテンと、﹃デリダ伝﹄︵白水社刊︶のよ
ドデシネ︵フランスの漫画︶の巨匠スク
はまったく異なる姿の東京が立ち現れて
渠の体系から捉え直すと、眼前の風景と
間を道路や鉄道ではなく、川・川跡・暗
町の趣きに明確な違いを与えた。都市空
断された七つの丘が連ね、その凹と凸は
河川が武蔵野台地に谷を刻み、浸食で分
︵洋泉社・皆川典久著・二二〇〇円︶
﹃凹 凸 を 楽 し む
東 京﹁ ス リ バ チ ﹂ 地 形
散歩﹄
物や、中世から現代にまで面々と連なる
力を駆使して描いた古代エジプトの建造
世紀末の絵師たちが考古学的調査と想像
重量感に圧倒される。他の作品も、十八
設された未来都市の造形が面白い。作者
な い ︶、 と に か く 巨 大 宇 宙 船 の 内 部 に 建
﹃BLAME ! ﹄のほうがいいかもしれ
なのだが︵それが苦手な人は同じ作者の
ロ ボ ッ ト あ り ラ ブ コ メ あ り の 王 道S F
アの騎士﹄はアニメにもなったし、話は
日 本 漫 画 も 負 け て は い な い。﹃ シ ド ニ
複雑なフィヨルド状の地形をしていたと
ずっと内陸に入り込んでいて、都心部は
たのが本書。縄文時代、東京湾は今より
︵講談社・中沢新一著・一八〇〇円︶
﹃アースダイバー﹄
を探る醍醐味を覚えたら、散歩の回数は
﹁ バ ベ ル の 塔 ﹂︵ 空 想 建 築 の 代 表 格 ! ︶
もそこには力を注いでいるらしく、各話
いう。その岬の突端に、今は神社や寺が
漫 画 か ら 二 作 品。﹃ 闇 の 国 々﹄ は バ ン
ネージだろう。霊廟やオベリスク、彫像
な手法を使い分ける精緻な絵は、平衡感
﹃空想の建築﹄
が所狭しと立ち並ぶ古代ローマの復元に
く る。 覆 い 隠 さ れ て い た﹁ 土 地 の 記 憶 ﹂
の モ チ ー フ な ど、﹁ そ こ に 身 を 置 い て み
の扉には﹁シドニア百景﹂という都市の
多く鎮座する。岬は古くから死者の埋葬
︵エ ク ス ナ レ ッ ジ・ 町 田 市 立 国 際 版 画 美
も、空中通路と梯子と鎖が縦横に走る巨
覚が狂うような眩暈を味わえる。
たい﹂と思わせるような世界ばかりだ。
スナップが描かれている。一言で言うと
東京は坂の町、谷の町である。六筋の
大な牢獄の内部にも、そのスケール感と
﹃闇の国々﹄
﹁高所恐怖症には住めない都市﹂なのだ
四〇〇〇円︶
も、あるいは宮崎駿にも共通するかもし
が、それはスクイテンにもピラネージに
国に向かって突き出されたアンテナとし
裏 に 立 つ 東 京 タ ワ ー も ま た、﹁ 死 霊 の 王
にかかわる重要な聖地だった。芝増上寺
その﹁土地の記憶﹂に深く潜っていっ
どんどん増えていくことだろう。
イテン著・小学館集英社プロダクション・
︵ブノワ・ペータース、フランソワ・スク
﹃シドニアの騎士﹄︵十四巻まで既刊︶
ての橋なのである。﹂
れない。
各五七一∼六〇〇円︶
︵講談社︵アフタヌーンKC︶
・弐瓶勉著・
−8−
︵白水社・今和泉隆行著・二〇〇〇円︶
﹃みんなの空想地図﹄
空壕、郵便網、地下鉄などに姿を変えな
ンブ、下水道、革命家たちの抜け道、防
のスーテラン︵地下︶は、やがてカタコ
的だ。
しか上を見上げない﹂という言葉が印象
では子供を除けば、ごくわずかな人びと
ロゴマークまで。細部が精密に描き込ま
道路、鉄道、公園、川、さらには看板や
の全貌を知る者はいないのである。
して人々の想像力を刺激し、今もなおそ
がらも、魔が棲み怪人が跋扈する秘境と
か ら 取 り 組 ん で く れ た の は あ り が た い。
て知られるベンヤミンに、碩学が真正面
︵青土社・鹿島茂著・二四〇〇円︶
﹃﹁パサージュ論﹂熟読玩味﹄
一都市の地図がある。商業施設、住宅、
れ、地図好きなら住民の日常まで思い浮
﹃﹁立入禁止﹂をゆく 都市の足下・頭上
に広がる未開地﹄
なことを?﹂と思うだろうが、地図と地
都市に注ぎ込む情熱に、人は﹁なぜそん
域社会や街づくりの構想のすべてを架空
立入禁止区域が彼らのフィールドだ。も
道、超高層ビルのてっぺん。文字通りの
墟、建設現場、閉鎖された地下鉄や下水
都市探検家と呼ばれる人々がいる。廃
ト著・四二〇〇円︶
便な図式化ではない。けれど、ベンヤミ
こすこと。本書は﹃パサージュ論﹄の簡
還すること、アクチュアリティを呼び起
おいて発現する。そこに歴史の根源を奪
モードや建築、パサージュなどの形象に
資 本 主 義 と い う 近 代 の﹁ 集 団 の 夢 ﹂ は、
刊︶でめでたく復活した本。難解をもっ
図作りの詳細を堪能しているうちにそれ
ちろん違法行為である。身体を鍛え、入
地球上のどこにも存在しない、著者が幼
今 年 の﹁ 書 物 復 権 ﹂︵ 十 出 版 社 共 同 復
少期から作り上げてきた架空の都市なの
︵青 土 社・ ブ ラ ッ ド リ ー・L・ ギ ャ レ ッ
かぶだろう。ところがこの﹁中村市﹂は
である。徹底した都市観察に基づく、地
はどうでもよくなってくるはず。
地下採石場から切り出されたものだっ
パリの造成に使われた石材は、市街の
三八〇〇円︶
め ざ し て。 パ リ 五 月 革 命 を 牽 引 し た シ
ボールの言う﹁スペクタクル﹂の解体を
イ ベ ン ト の よ う な 環 境 ││ ギ ー・ ド ゥ
らである。管理され消費されるスポーツ
にこそ未知の感覚を開く冒険があるか
前 と 福 岡 店 三 階、 丸 善 名 古 屋 本 店 に て、 六
紹 介 し た 書 籍 は、 池 袋 本 店 一 階 エ レ ベ ー タ
*愛 書 家 の 楽 園・ 特 集﹁ ふ し ぎ な 空 間 ﹂ で ご
出帆 ! ﹂
風をいっぱいに受けて、
﹃ベンヤミン号﹄
結 ば れ る。﹁ 歴 史 か ら 吹 き よ せ る 形 象 の
つくはずだ。だから末尾は高らかにこう
た。十二世紀の本格的な開発以来、都市
チュアシオニストの思想はこんなとこ
月十日∼七月九日までフェア展開中です。
ンの思考法そのものがなにがしか身に
の増殖に応じて広がっていった地下の穴
ろに受け継がれていた。都市探検の重要
念に準備し、警察沙汰も覚悟の上で無謀
はやがて﹁シロアリの巣﹂と化し、陥没
な 戦 略 は﹁ 垂 直 の 世 界 ﹂ で あ る。﹁ 都 市
な 危 険 行 為 に 及 ぶ。 何 の た め に? そ こ
事故もたびたび起きている。ヴィクトル・
﹃パリ
地下都市の歴史﹄
︵東 洋 書 林・ ギ ュ ン タ ー・ リ ア ー 他 著・
ユゴーが﹁パリのはらわた﹂と呼んだこ
−9−
あるところを左に曲がると、すぐに当店
左手に大きな赤い色の看板の△△さんが
の で 中 に 入 っ て い た だ き、 三 つ 目 の 角、
×商店街というアーケードがございます
ます。そのロータリーの左手奥の方に×
と、目の前にバスのロータリーがござい
﹁○○駅の東口から出ていただきます
機器が私たちを目的地への最短ルートへと
転するときも同様で、カーナビなど最新の
こには大きな目印までついている。車を運
縮小できる詳細なネット地図が広がり、そ
にホームページを見てみると、自在に拡大・
あっという間にわかってしまうのだ。さら
その場所までのルート、かかる時間などが
ために、ただこれだけで自分の現在地から
はお電話なので、顔の見えない受 話 器 越
ので、その一部をご紹介しよう。
図から、地図に関するフェアを企画した
歩についていけるのだろうか。そんな意
はたして私のご案内は、この地図の進
導いてくれる。
が見えて参ります。﹂
店 舗 への道 順 は、よくお客様からお問
しでもわかりやすく、イメージしやすい道
− 10 −
い合わせいただく内容の一つである。大抵
順をお伝えするのはとても大事なのだ。
るまでを書いた書籍を三冊。
進化する地図
こうやってお伝えしている時、私の頭
けど、
アーケードしっかり見えるよな﹂﹁あ
﹃ゼンリン
住宅地図と最新ネット地
図の秘密﹄︵実業之日本社・内田宗治著・
まず、今私たちの目にする地図ができ
の角の目印としては前からある□□さん
一六〇〇円︶
の中ではその言葉にしている順路を一緒
よ り、 △ △ さ ん の 方 が わ か り や す い な ﹂
に辿っている。
﹁今ロータリー工事してる
等々。どんな地図を見るよりわかりやす
しかし﹁地図よりも﹂とは言っても、そ
く説明できるよういつも心掛けている。
の地図もより手軽に、より身近にとどんど
ん進化しているので負けてはいられない。
スマホからアプリを開いてピッ、ピッ、ピッ
と操作する。私たちがある目的地まで行く
『ゼンリン 住宅地図と
最新ネット地図の秘密』
﹃オン・ザ・マップ﹄︵太田出版・サイモ
生きる範 囲 を拡大していく時、それは空
ンという経歴を持つ著者がレクチャーし
間 の認 識 をも広げ、新しい地 図 との出会
地図の発展に大きく関わる会社の一つ
市街地図は﹁地形図﹂という地形を正
いとなる。地図の歴史とは、ヨーロッパか
図の歴 史 の決 定 版 だ。人類が自分たちの
確に写した地図を基にするが、その基の
ら見た世界の果てはただの崖っぷちとか、
ン・ガーフィールド著・二三〇〇円︶は地
さらに基礎の話から始まる。地形を測る
アメリカ大陸の﹁発見﹂で世界は大きく広
てくれる、地図を作っていく過程のなん
街地図﹂と違い、一軒一軒の個人宅の名
ためには何が必要なのか。緯度経度とは、
﹁ゼンリン﹂。この会社名には馴染みがあ
前まで載っている。ゼンリンはその住宅
測量の意味とは何か。本物の地図を作る
と頭を使うものか !
地図作成の最大手だが、この会社のもう
がったとか、よく知られるそのような話
﹁ 住 宅 地 図 ﹂ と い う 地 図 は 一 般 の﹁ 市
一つの顔がネット地図へのデータ提供で
には、道案内でささっと書くものとは比
だけでできあがっているわけではない。
る人も多いのではないだろうか。
ある。インターネット上の地図をよく見
べられない知識が必要であった。
のか。そこにあるのは私たちがピッピッ
いかにして詳細な地図を作り出していく
住 宅 地 図 か ら ネ ッ ト 地 図 に 至 る ま で、
を受け永く使われたとしても情報内容の
入れなかった地図は、美しいという評価
する作業だった。曰く﹁現地調査に力を
るのではなく、実際に現地に行って調査
が、計算や空中写真だけで地形を判断す
ものから、今ここで過ごす自分たちの記
いき、未知の世界を知るために描かれる
求める意味は時代を追うごとに変わって
結果、拡大を防ぐのに成功した話。地図に
話、感染病の記録を地図に落とし込んだ
買った正確な市街地図が作られるまでの
大火災後の街の人々が飛びつくように
てみると小さくゼンリン提供と書いて
と操作する手軽さではなく、とてつもな
録のため。権力や影響力の象徴から、より
こちらにも重要な点として書かれるの
くアナログな作業、つまり一軒一軒歩い
おせっかいのないことに気づかれて見放
− 11 −
あったりする。
て回った成果であった。本書にはその調
される﹂と。なるほど。
生活の身近なものへとなっていったのだ。
査におけるこぼれ話から、カーナビなど
地 図 の デ ジ タ ル 化 を 手 掛 け て い く 過 程、
『オン・ザ・マップ』
さらにこれからの地図ビジネスの広がり
﹃地図はどのように作られるのか﹄︵ベ
まで記されている。
私は地図を眺めるのは好きだが、それ
レ出版・山岡光治著・一七〇〇円︶
がどうやって作られるのかまで考えてみ
はしなかった。国土地理院技官∼ゼンリ
『地図はどのように
作られるのか』
このようにして地図は今、私たちの手
地図を読むとは
門﹂とされたタイトルからは、進歩して
掌の上の小さな地図が対応するのか。﹁入
ろか。﹁地図﹂は地形をそのまま写し取っ
﹁地図はしばしば嘘をつく﹂というとこ
同じように見えるが、こちらのテーマは
らかの事情で隠されてしまう。例えば戦
たものとはいえ、その情報はしばしば何
争中、今だってテロを警戒してという理
いく地図に人間側が取り残されないため
私が冒頭で書いたご案内の話につい
由から、軍事上の重要地点の記載はされ
元で手軽に開けるようになった。しかし、
て は、 主 に﹁ 市 街 地 図 ﹂ や﹁ 道 路 地 図 ﹂
なくなる。貯水池が林になったり、その
に考えようという思いが伝わる。
次は今尾恵介の著作から三冊。
を念頭に置いていた。目的地までの道順
名前から推測されないように地名も変え
使う側の私たちはその便利さを受け入れ
﹃ 地 図 入 門 ﹄︵ 講 談 社 選 書 メ チ エ・
を調べるのに、私たちはこれらを見て向
てしまったりするのだ。
るだけでよいのだろうか。
一六〇〇円︶
かう場所の町名や番地、建物の名称を探
しかし、地図から読み取れる情報は道
きたが、
このフェアのメインは﹃地図中心﹄
ここまで地図に関する書籍を紹介して
地図の楽しさ
し出す。こういった情報が載った地図無
しでは目的地に辿り着くことは困難で
順だけではない。逆に、道案内において
円︶のバックナンバーフェアであった。
︵日本地図センター・毎月十日刊・四五四
らどのように向かうのか。地図が現在の
体の番地に規則性があるのか。公園やバ
道を探し当て歩いてみる。その他各自治
七四〇円︶地図を見ながら廃線跡や旧街
文庫・七五〇円︶内容としては地図から
り地図専門の月刊雑誌︵そんなものもあ
﹃ 地 図 中 心 ﹄ と い う の は、 そ の 名 の 通
− 12 −
ある。
は番地だけを口頭で話しても、それは何
様に進歩していく過程は、不十分な地図
ス停に使われる名前はどこから取られて
﹃ 地 図 を 探 偵 す る ﹄︵ ち く ま 文 庫・
も伝えていないのと同じだろう。
を片手に四苦八苦してきた歴史でもあ
いるか。こういった事柄を読み取ってい
目的地に行くため地図を広げ、どこか
る。しかし、地図からポンと道順が出て
くさまはまさに地図の﹁探偵﹂だ。
﹁ 正 解 ﹂ へ と 導 い て く れ る だ け で は、 地
図に含まれる情報を読み解く力が衰えて
﹁ 何 か ﹂ 読 み 取 る も の と、 前 出 の も の と
﹃ 地 図 が 隠 し た﹁ 暗 号 ﹂
﹄︵ 講 談 社 +α
地図に書かれている文字や記号は何な
いく危うさがあるのだ。
のか、なぜ自分が今歩いているこの道と
『地図中心』
『地図入門』
る の だ ! ︶ だ。 現 在 通 巻 五 一 三 号 と、
ス タ ー ト か ら ゴ ー ル ま で、 示 さ れ る
全く同じ場所が無いように、これらのど
ると思うが、まさに全国どこを取っても
一〇〇〇円︶と、よくこれだけネタがあ
だ。全国に﹁町・町・村・村﹂と名のつ
ルートをただ追っていくだけでは見えな
がらでも目に見えるものを気にしてみ
の全国分布にははっきりとした傾向があ
く と こ ろ は 数 多 い が﹁∼ 町 ﹂ と﹁∼ 町 ﹂
歴史の長さが地図についての語りつくせ
今回のフェアでは過去十年分を展開し
る。地形だけでなく、公園の名前や曲が
るなど︵﹃日本全国地図の謎﹄より︶。読
れを手に取っても勉強になることばかり
て い る。 こ れ だ け 揃 え て し ま っ た の も、
り道の数でもいい。そうすると自身の頭
いものを、地図は教えてくれている。こ
毎号の特集一覧を眺めているだけで、気
の中には、実際に歩いてみるための地図
のように地図を見ながら、また、歩きな
になるものがあまりにも多すぎてしまっ
ぬ奥深さを感じさせる。
たからだ。
んでいると興味は尽きない。
また違ったものではないか。時代ごとの
私たちが目にしている山城も本来の形は
どのように整備されていったのか。現在
わたる。今なお自然が多く残る多摩川は
摩川﹂﹁古代山城
新しい視点から探る﹂
﹁ 鳥 瞰 図 絵 師 ﹂ な ど、 そ の 内 容 は 多 岐 に
てしまいはしないだろう。
地形が持つ由来を探っていくものも廃れ
前にブームになっていたが、地理・地名・
として、いわゆる﹁あるある﹂本が少し
味が向く書籍を何点か。地域別の雑学本
そこで地形の﹁なぜ、どうして﹂に興
今 年 の 四 月 号 の 特 集 は、 こ こ 静 岡 で 今、
地域別にも出版されており、もちろん静
井建爾著・八〇〇円︶これはシリーズで
を使って封筒を作るという、海外の郵便
介著・六八〇円︶にいらなくなった地図
視点から挙げていく。
地図を遊ぶ
が形作られていくのだ。
地図の移り変わりや、地形を詳しく見て
﹃地理・地図・地名からよくわかるニッ
県を挙げて力を入れている﹁徳川家康没
岡版も揃えておく、
﹃静岡
地理・地名・
地図の謎﹄
︵じっぴコンパクト新書・小和
局の話があるが、日本でも地図販売の大
− 13 −
少し挙げていくと﹁都会のオアシス多
いくとわかるものがあるのだ。
後四〇〇年﹂に絡め、家康の移り住んで
田哲夫監修・八〇〇円︶
。同じ様なものに
最後は地図と触れ合うため少し違った
いった城︵新静岡店のすぐ側には現駿府
は﹃日本全国地図の謎﹄
︵東京書籍・浅井
元である日本地図センターに地図を加
︵じっぴコンパクト新書・浅
ポンの謎 ﹄
城公園となっている城跡がある︶が地理
工 し た 商 品 が あ る。﹃ マ ッ プm e m o ﹄
静 岡 も た び た び 取 り 上 げ ら れ て い て、
的にどのような場所に建てられたのかと
建爾著・一四〇〇円︶
﹃世界で一番おもし
﹃地図の遊び方﹄︵ちくま文庫・今尾恵
いうものだった。
『日本全国地図の謎』
ろい
地図の読み方大事典﹄︵青春出版社・
87
が、こうやって形になってしまうとつい
図を再利用したもの⋮⋮要は裏紙なのだ
︵ 日 本 地 図 セ ン タ ー・ 一 〇 〇 円 ︶ は 地 形
らできあがった大作である。
観察するフィールドワークの積み重ねか
なく、シミュレーションと街をくまなく
別物だ。それが単純なものというのでは
S﹄を開いてみると﹁キリマンジャロ山﹂
知 ら な い と 思 っ て い た の だ が、﹃M AP
めてある。私はタンザニアについて何も
はり同様に各国がわかりやすい絵でまと
豆﹂もあるよな。と思ったら、やはりす
がパッと見える。そうすると﹁コーヒー
つい手に取ってしまう。私も自宅・仕事
に見ることができるが、高いところから
ぐその下に描かれていた。こうなると全
上空から地上を見た景色は今では簡単
﹃みんなの空想地図﹄︵白水社・今和泉
見るすべのない大昔からそのような視点
わいてしまい世界各国各地飽きることな
く興味もなかった国名にもがぜん興味が
それぞれ切らすことなく使っている。
隆行著・二〇〇〇円︶
で描かれた地図があった。地図が持つ情
イトルからわかるように﹁中村市﹂とは
にはどこか休める公園はあったかな。タ
へは歩いて行ける距離だったか。その間
含 ま れ、 見 た も の が そ の ま ま よ り も イ
を持って飛んでいる絵などデフォルメも
められている。富士の図絵に鷹がなすび
大まかな道とその地域の特記事項がまと
私は何をすればいいのか。まずは自分の
紹介してきたが、完璧な道案内に向けて
さて、このように地図に関する書籍を
く眺めに入ってしまうのである。
報性と空想とをうまく融合させたものに
﹁鳥瞰図﹂がある。﹃地図中心﹄でも気に
なる特集だったが、その中から村松昭の
空想の都市である。しかし、人口一〇〇
メージしやすくなっている。
︵MARUZEN&ジュンク堂書店
新静岡店
土屋︶
− 14 −
散策絵図のシリーズを、フェアでは﹃富
士山散策絵図﹄︵アトリエ ・一二〇〇円︶
人規模のこの都市を回遊できるという綿
こちらは児童向けの世界地図帳で、や
中に地図をつくるべく、越してきて半年
密な地図を見せられれば、何も知らない
のこの街の、通り一つ一つを歩きつくす
人はそれが実在しないものとは思わない
先に地図の作り方についての書籍は紹
だろう。
介したが、ここで作られる地図は全くの
三二〇〇円︶
ところから始めようと思う。
『MAPS
新・世界図絵』
﹃MAPS
新 ・ 世 界 図 絵 ﹄︵ 徳 間 書
店 ・ ア レ ク サ ン ド ラ・ ミ ジ ュ リ ン ス カ
そ の 地 域 を 一 枚 の 絵 図 で ま と め 上 げ、
ものを選んでみた。
このほか浜名湖、天竜川など静岡に近い
77
& ダ ニ エ ル・ ミ ジ ェ リ ン ス キ 作 / 絵・
﹁中村市﹂の﹁出ノ町駅﹂から﹁平川駅﹂
『みんなの空想地図』
コンピュータ
ゲーマーはもっと経営者を目指すべき !
編集部、川上量生著
4Gamer.net
ドワンゴ代表取締役会長川上量生氏と、
プログラマーからプロ棋士まで、各界か
実践入門
SQL
高速でわかりやすいクエリの書き方
ミック著
に掲
雑誌 WEB+DB PRESS
載された記事から一テーマを抽出、大幅
深層学習
岡谷貴之著
全二十九巻の刊行が予定
されている﹁機械学習プロフェッショナ
ルシリーズ﹂より、第一期として四点が
発 売 さ れ た。 本 書 は そ の う ち の 一 冊 で、
いま一番ホットな技術﹁ディープラーニ
体は以前からあったものだが、これを多
に 加 筆 し て 書 籍 化 す る 人 気 の WEB+DB
シ リ ー ズ、 今 回 の テ ー マ は
PRESS plus
層に用いることで精度を上げようという
ルネットワークと呼ばれる、脳機能の一
ング﹂について書かれている。ニューラ
昨今、効率的な SQL
が書けるかどうかで、
そのパフォーマンスには決定的な違いが
新しい試みが、ディープラーニングだ。
データベース言語の SQL
。データベース
の扱うデータ量が年々膨大になっている
出るという。データベースに関わるエン
部を模した人工知能技術。この方法論自
ジニアなら、ぜひ手元に置いておきたい
本書以外で今回刊行されたのは﹃オン
ラ イ ン 機 械 学 習 ﹄︵ 海 野 裕 也 他 著・ 二 八
二五八○円
一冊だ。
技術評論社
○○円︶、﹃機械学習のための確率と統計﹄
さらに今年八月に第二期、十二月に第三
デル﹄
︵岩田具治著・二八○○円︶の三点。
︵ 杉 山 将 著・ 二 四 ○ ○ 円 ︶、﹃ ト ピ ッ ク モ
ユーザーインタフェースデザインの世
増補・改訂版
誰のためのデザイン?
D.
A.
ノーマン著 岡本 明、安村通晃他著
界的バイブルが、二十五年の時を経て改
期の刊行が予定されている。
人のことを考えたデザインこそが優れた
どに、技術者からだけでなく世間一般か
しかしもはや一大ブームといっていいほ
シリーズは、コンピュータ書では珍しい。
一つのテーマでこれだけの点数が出る
訂。四半世紀の間に私たちを取り巻くプ
デザインである、という原則は変わらな
らも注目を集める機械学習。それだけに、
ロダクトは大きく変化を遂げたが、使う
い。エッセンスはそのままに、現代の状
二八○○円
況 に 即 し た 形 で 改 訂 さ れ た 本 書 自 体 が、
講談社
今後のシリーズ動向から目を離せない。
三三○○円
良いデザインの見本といえるだろう。
新曜社
− 15 −
ら招いたゲストとの対談が一冊の本にま
とめられた。ゲーム情報サイト﹁ 4Gamer.
﹂での三年にわたる連載中、名前が挙
net
がったゲームは百タイトル以上。
﹁一番面
白いゲームは現実﹂と語る川上氏が、こ
れまでプレイしたゲームの数々から何を
一九○○円
学び取り、現実というゲームへどのよう
に活かしてきたかが伺える。
ブックウォーカー
コンピュータ
自 然 科 学
学校でのガイダンスの時間が退屈だな
一九〇〇円
る、色鮮やかな空の風景をご覧下さい
河出書房新社
教えてくれたのは、植物でした
高校時代、野球少年だった西畠さんは
ちょっとした﹁座右の銘﹂マニアだった
西畠清順著
そうで、気に入った銘を帽子やノートな
一八〇〇円
と感じた学生にぜひ読んで欲しい一冊だ。
学芸出版社
ケ月のお天気図鑑
武田康男・菊池真以著
気象予報士で
あり、空の写真家である武田康男さんと
どあちこちに書いて気合を入れていたそ
ようこそドボク学科へ !
菊池真以さんによる十二ヶ月の空模様を
佐々木葉監修
真田純子・中村晋一郎ほか著
肉体と重機を駆使して汗かく様子であ
いつくのは、土やコンクリートを相手に
おなじみの春一番や梅雨、近頃耳にす
で、空模様の名前がくるくると変わる。
色。そのわずかな光り方や雲の量の違い
追いかけていた彼にとって、まさにピッ
﹁念ずれば花ひらく﹂それは夢を必死に
うだ。そんな時に出会ったある一つの銘、
まとめた写真集である。
る。もちろん、それが﹁土木﹂のすべて
ようになってからある衝撃的な事実に気
専門家でない者からすると、すぐに思
で は な い と 感 じ て は い る が、﹁ 建 築 ﹂ と
る 黄 砂 や P.M2.5
も 掲 載 さ れ て い る。 そ
のほかにも、たまに耳にする環水平アー
との心に植物を植えようと様々なプロ
植物の卸問屋としてだけではなく、ひ
ところが、成長し植物の仕事に携わる
タリなものだった。
いう言葉と比べてもピンとくるイメージ
づいたのである。
なぜこの空模様になるのか?
ジェクトを行っている西畠さん。彼がこ
れまで見てきた植物と同じように、沢山
生活にちょっとした変化を加えてみては
ヒント﹂のように、植物を通して普段の
サブタイトルに﹁人生を花やかにする
の発見があったそうだ。
﹁今日の天気の名前は何だろう?﹂
一四〇〇円
えられた説明文が効いている。
徳間書店
いかがだろうか。
う。四季が豊かな日本だからこそ見られ
日常の楽しみが一つ、増える本だと思
のような魅力的な写真たちと、そこに添
まるで目の前でその景色を見ているか
たちはどうしたらいいのか⋮⋮?
この空模様になるとどうなるのか、私
前を教えてくれる本書。
クや、聞いたこともないような天気の名
私たちが何気なく眺めている空や景
﹁土木﹂と聞いて何を想像するだろう。
12
が少ない。
そんな﹁土木ってなに?﹂という学生
を、﹁ 土 木 ﹂ を 超 え た﹁ ド ボ ク ﹂ の 世 界
へガイドするのが本書である。学科紹介
から始まり、学校生活の有意義な過ごし
方や気になる卒業後の進路まで、その道
の先輩たちのことばがありがたい。
また、他の章では、日常生活における
ドボク的視点の養い方や海外でのドボク
体験などを紹介し、学校の外にも学びの
種はあると教えてくれる。
− 16 −
自然科学
医
学
外科学の原典への招待
する抵抗力がつくだけでなく母子の絆を
て最も好ましい栄養源であり、病気に対
金原出版
もしろい。
る。最後にある著者五人による対談もお
五五〇〇円
深める大切なコミュニケーションの一つ
子宮頸がんワクチン事件
可能性があるとして、日本では約二年前
接種後に副作用とみられる症状に陥る
斎藤貴男著
と個々の薬についての十分な情報をもと
か ら 積 極 的 な 勧 奨 が 中 断 さ れ たH PV
書
になる。本書は、慢性疾患を持っていた
り、急な病気の際に薬を使いながらでも
母乳育児を続けていけるのかを、疾患・
本書は二〇一一年一月から二〇一五年
に丁寧に説明することが必要であり、母
いわゆる子宮頸がんワクチン。何故、多
︵ヒトパピローマウィルス︶ワクチン︱︱
薬剤別に解説する。服薬には正確な知識
三月まで臨床雑誌﹃外科﹄で掲載された
子の心に寄り添い最善の方法を伝えた
國土典宏編集主幹
﹁外科学の古典を読む﹂を書籍化したも
い。疾患ごとの相談例︵Q &A︶も役に
状況になったのか、いったいこのワクチ
くの少女たちが苦しまなければならない
立つのでぜひ読んでほしい。
三二〇〇円
の。高名な外科医の業績に基づいた手術
診断と治療社
医師、被害者、政治家、ワクチンを製
ンは何なのか。
べ て が 副 作 用 な の か、 な お 判 然 と せ ず、
− 17 −
法などの論文や、外科に多大な影響を与
えた内科・病理学の論文などが年代別に
まとめられている。論文ごとに要旨のま
ナリストである著者が徹底取材。冷静か
専門家の間でも苛烈な論争が繰り広げら
造販売している製薬会社などから、ジャー
つ 様 々 な 視 点 か ら 事 態 の 全 体 像 を 追 う。
Fever
発熱について我々が語るべき
幾つかの事柄
未だ少女たちが悩まされている症状のす
とめ、主要な図の引用、著者の人物紹介
惜しみなく書かれており、医学的価値を
大曲貴夫・狩野俊和・忽那賢志・
不明熱についての書籍は今までにいく
れており、補償、救済、解決の糸口をやっ
やエピソードなどを収録。豊富な知識が
正しく理解したり歴史的背景なども知る
國松淳和・佐田竜一著
つか出版されているが、この本は各専門
と探り始めたこの問題を含め、将来の予
五〇〇〇円
ことができる一冊となっている。
分野の医師である著者たちが診療の現場
防接種のあり方が問われている。
南江堂
お母さんに伝えたい
で発熱をどのように考え、どう診察する
集英社インターナショナル
一四〇〇円
べきか、の指針となるよう発熱の本質・
心理面などをテーマに書かれたものであ
臨床推論・各領域の視点・診療・鑑別・
授乳とくすりガイドブック
お母さんは多い。母乳は赤ちゃんにとっ
関 和男著
わが子を母乳で育てたいと思っている
医学書
社 会 科 学
ソードをもとにした逸話などもある。東
いニュース解説もあれば、大学でのエピ
たもの。著者の十八番であるわかりやす
圧巻は綺羅星のごとく大学者が多数登
ともに学説の変遷が中心となっていく。
問の道へと進む。その後は著者の半生と
恵まれた家庭環境ではないところから学
羅している。学者になるためには決して
場すること。インタビューによる会話文
京工業大学という理系学部が中心の大学
在に起こっている問題につながっている
のため、経済学の講義を受けているかの
での講義であるからか、歴史に絡め、現
ことを様々なニュースを題材にしながら
ように思えてくる。
困難な選択
上・下
ヒラリー・ロダム・クリントン著
伝えようとしている。そこには﹁学ぶと
二八〇〇円
本書は、ヒラリー・クリントンがオバ
はどういうことか﹂という問題意識があ
日本経済新聞出版社
マ大統領から国務長官を依頼される場面
福井モデル
世界各国の関わりと、国が下した様々な
冊。幸福度ランキングや小中学生の学力
はそのなかでも福井県に焦点をあてた一
の今年は北陸三県の注目度が高く、本書
金沢以遠は未開通だが、新幹線イヤー
藤吉雅春著
困難な選択が述べられる。彼女の目線か
テスト、社長の数で一位、その他の部門
一二〇〇円
るという。
日本経済新聞出版社
から始まる。彼女はかつての選挙でライ
バルとして戦った大統領の頼みを、国の
ために引き受ける。
ら語られる話は、新聞に載っていない裏
でも上位に来るケースが多く、福井県の
二冊にわたる膨大な頁は、アメリカと
話も多く興味深い。目指すはアメリカ初
ケースになっていることがわかる。地方
体 と な っ た 取 り 組 み で、 独 自 の モ デ ル
地元企業、そして住民︵家族︶の三位一
の女性大統領の座。彼女の勇気ある選択
各二〇〇〇円
凄さを様々な角度から分析する。行政と
日本経済新聞出版社
は、今後も続いていく。
経済学の宇宙
岩井克人著
一三〇〇円
再生は今の日本の重要課題であり、未来
文藝春秋
﹁人間発見﹂という日本経済新聞夕刊
けにして、さらなる取材と加筆したのが
いま、
君たちに一番伝えたいこと
本書。生い立ちの境遇から現在までを網
に希望を感じさせてくれる内容だ。
池上
彰著
日本経済新聞に連載されていた﹁池上
のコラムのためのインタビューをきっか
彰の大岡山通信﹂を加筆し、再編集され
− 18 −
社会科学
日本的雇用慣行を打ち破れ
も異なるが、皆高いスキルをもったプロ
やわらかい頭の作り方
てきた面もあるにも拘らず、誰もが人の
従来の価値観に固執し、アイディアを生
立 に つ い て 論 じ ら れ る こ と が 多 か っ た。
どう扱われ、どういう人の手に委ねられ
世 話 に な る。 死 後 自 分 が、 身 近 な 人 が、
人は必ず死に、死ねば誰しもが彼らの
する。
かくするための実践的なアドバイスを
頭力を鍛える﹄の細谷功が、頭をやわら
頭がかたいと言う表現がある。それは
最期を預かる仕事として誇りをもってい
細谷
功著
著者は経済学の学者で、日本の雇用問
みにくいタイプを意味する。本書は﹃地
フェッショナルである。そして忌避され
題の核心に切り込んだ良書である。従来
ることに胸打たれる。
八代尚宏著
このテーマの通説は、企業と労働者の対
しかし著者は、現在最も深刻なのは正規
かしいと思うなら、あえて﹁おかしいの
重要になる。たとえば、相手の意見がお
の発想を逆転させる、二つのステップが
まずは、自分の考え方の癖を知り、そ
と非正規という、労働者同士の利害関係
一四〇〇円
るのか。読んでおきたい一冊である。
黒子の流儀
新潮社
の対立にあると断言。経済のグローバル
化と国内の少子高齢化により、かつての
終身雇用された男性正社員が中心という
から見直すことが方法の一つに挙げられ
− 19 −
形は崩れた。結果、非常に不公平な環境
る。本書を読み、あなたも柔軟な思考力
は自分ではないか?﹂と疑い、問題を逆
春田
真著
本書はモバゲーやベイスターズなどで
を身につけてはいかがだろう。
が生まれたと指摘する。今の状況が続け
ば年々増加する非正規の労働者は疲弊す
知られるネット企業De NAについて書
一四〇〇円
かれた本。創業者南場智子氏が表舞台の
的に濃い箇所が、球界参入時の舞台裏だ。
筑摩書房
る一方で、早急な改革が必要だと訴えて
主役なら、陰でいつも彼女を支えていた
のが現会長の春田真氏だ。彼の、前職住
プロ野球チームを持つことは企業経営に
二〇〇〇円
いる。
日本経済新聞出版社
井上理津子著
﹃さいごの色街
飛田﹄
が評判となった著者が今回迫るのは、葬
どのような影響をもたらすのか。広告的
友銀行時代から現在に至るまでの足跡
送業。葬儀屋、火葬場職員、納棺士⋮⋮
効果も含め、それが詳しく書かれていて、
が、本書にまとめられている。特に内容
死の現場で働く彼らはあまり多くを語ら
葬送の仕事師たち
れることはないが、身近な人の死に際し
一五〇〇円
読みごたえがある。
KADOKAWA
てその仕事ぶりに感じ入ったことのある
人もいるだろう。仕事内容も経歴も人柄
社会科学
紀元前二万年からはじまる人類史
氷河期以後
上・下
生き方・手帳術・片づけ
日常に侵入する自己啓発
す め ⋮⋮ 近 年 活 況 を 呈 す る 自 己 啓 発 書
になる方法、手帳のつけ方、断捨離のす
は一貫して﹁文字文化以前の人類の歴史﹂
学とバラバラである。しかし著者の興味
とができず、心理学、進化生物学、考古
はこの著者をひとところに留めておくこ
既存の学問分野に縛られる書店の棚で
スティーヴン・ミズン著
は、私たちの最大公約数的な価値観・願
である。誰も記述していない頃、人類が
人 文 科 学
牧野智和著
あなたは、なぜ、
つながれないのか
望・不安を取り扱うメディアである。自
どのように﹁自然環境﹂を﹁概念化され
二十代にしておくべきこと、女が幸せ
ラポールと身体知
己啓発書の分析を通じて、私たちが生き
がごとくに解き明かす。
各四五〇〇円
た世界﹂へ作り変えたか、まるで群像劇
る今日の社会の姿が浮かび上がる。
自らの対人関係への苦手意識を克服す
高石宏輔著
いあなたに。
青土社
まれた、死者という不在の存在。言葉に
磯前順一著
被災地信仰論
井藤
元編
本書は教育学のテキストだが、若手研
ならない﹁死者のざわめき﹂は、生き残っ
二九〇〇円
自己啓発書だけでは頭がすっきりしな
を経たのち今はカウンセラーとして活躍
勁草書房
るために、ナンパやスカウトなどの経験
する著者。いま一度、人と接している自
分をよく見直し、一つ一つ解きほぐして
究者が結集し、各章、書込み式のワーク
た者を圧迫してしまう。途切れたままの
死者のざわめき
を織り交ぜ、時に漫画や映画など身近な
思いを抱えた死者、死者の思いに囲まれ
ワークで学ぶ教育学
メディアを取り上げ、教育家の思想も押
た生者︱︱両者を救うために橋渡しをす
いく方法が丹念に綴られている。人と接
することの心地良さをもう一度思い出し
さえつつ、いわば﹁教育学﹂講義の実況
春秋社
河出書房新社
二五〇〇円
に鎮魂の歌声に耳を傾ける。
被災地巡礼の終りに、著者は人々と共
東日本大震災を生き残った者の心に刻
一六〇〇円
中継といえる内容で、読む者を退屈にさ
るのが宗教者と表現者の役割である。
たい人にぜひ。
せない。教職を志す学生はもとより、現
場の先生方や、教育に関心のある一般読
二六〇〇円
者にもお勧め。さて、良い先生とは?
ナカニシヤ出版
− 20 −
人文科学
文学・文芸
タツオ。彼が図書館で見つけたあらゆる
務める﹁日本初の学者芸人﹂サンキュー
そ れ を 書 い た 人 の 魅 力 ま で 感 じ さ せ る、
と 著 者 は い う。 論 文 の 内 容 だ け で な く、
一二〇〇円
味わい深い一冊。
なぜそんなことを?という疑問がふつふ
とブラのずれ﹂⋮⋮章タイトルだけでも
を持ち、阿佐田哲也など多くの筆名で作
九つの短篇
KADOKAWA
学問の﹁ヘンな論文﹂を紹介したのが本
書だ。
﹁公園の斜面に座る﹁カップルの観察﹂
﹂
﹁星新一の孫弟子﹂と呼ばれるにふさ
田丸雅智著
つと湧いてくる。読めば、至極真面目にこ
執筆中に古い友人の死を知らされる表
品を書き分けていた色川武大の短編集。
友は野末に
わしい作品の数々が、本書には詰まって
つこつ調査・考察しているから余計にお
題作や、三十年ぶりに会う親戚の奇妙な
﹁
﹁猫の癒し﹂効果﹂
﹁
﹁おっぱいの揺れ﹂
いる。新世代というよりは、本家ショー
と茶化しツッコミながら、彼ら独自の知
かしい。著者は﹁ほとんど趣味でしょ ! ﹂
家族スクランブル
トショートを忠実に再現したかのような
没後二十六年。ナルコレプシーの奇病
ぽを収集、幅広い学問知識や工業デザイ
伊藤紀之先生。日本中・世界中の湯たん
している小学生の私は、口から飛び出し
に馴染めず、その疎外感から一人で行動
烈な記憶を読者に残す。巻末には、名著
て消える様は、一瞬の事でありながら鮮
特筆すべきは﹁蛇﹂という短編。周囲
新しい道を切り開く開拓者そのもの。読
夫人のインタビューとあとがきが載って
﹁ 宿 六・ 色 川 武 大 ﹂ を 彷 彿 と さ せ る 孝 子
むうちに感動すら覚えてしまう。
ネットで検索すれば、誰かが用意した
新潮社
二〇〇〇円
おり、こちらも見逃せない。
︽ 正 解 ︾ に 簡 単 に た ど り 着 け る 現 代。 し
かし、本来の学問の面白さとは﹁わから
ないこと﹂にどう立ち向かうか、である
− 21 −
色川武大著
心温まるストーリーである。
癖を描いた﹁卵の実﹂など、全九編に虚
広がるのだろう。どの物語も家族をテー
ナーとしての経験を総動員し、湯たんぽ
た一匹の小さな蛇の事を誰にも話すまい
と実の間で生きた作家ならではの死生観
マ に ほ の ぼ の し た も の やS F 的 な も の、
の 歴 史 を 追 う﹁ 湯 た ん ぽ 博 士 ﹂ で あ る。
と思う。蛇が二つ三つと、とぐろを巻い
特 に﹁﹁ 湯 た ん ぽ ﹂ 異 聞 ﹂ で 登 場 す る
的好奇心に敬意をもって紹介する。
現実の世界とは違ったものをひとつ組
思わずゾッとしてしまうようなホラーテ
家 族 に も 学 生 に も 大 学 に も 理 解 さ れ ず、
み込んだだけで、なんて不思議な世界が
イストのものなど様々な形をとりなが
そ れ で も こ つ こ つ と 研 究 す る そ の 姿 は、
が見え隠れし、胸を突く。
げていく手腕に感嘆する。
一三〇〇円
ら、限られたページ数で見事にまとめあ
小学館
ヘンな論文
人として活躍、一橋大学非常勤講師まで
早稲田大学で日本語学を学んだ後、芸
サンキュータツオ著
文学 ・ 文芸
文庫・新書
とする人々の心意気を感じることがで
きる。
十年目に突入した番組での外国人への
国の人には日本の何が﹁クール﹂なのか。
し て い る も の が、﹁ ク ー ル ﹂ と い わ れ る
インタビューでは、アイスコーヒーだっ
また、街中にあるものが多く、戦争や
のである。ランキング形式で掲載されて
たり、ママチャリだったり、百円ショッ
天災をくぐりぬけてそこに建っている様
いるので見ていただきたい。
彼らのエピソードも多く掲載されてお
子は感動的でもある。実際に行って、見
の人の目には﹁クール﹂と映っているの
プだったり、日本人が日常のなかで享受
てほしいという思いから、あえて写真は
り、いかめしいだけの建物が血の通った、
群馬県の富岡製糸場の世界遺産登録な
大きくしていない。予備知識なしでも十
いきいきとしたものに思えてくる。
ど、近代化遺産、近代建築と呼ばれる建
である。またその逆もあり、日本ではよ
ぼくらの近代建築デラックス !
造物が近年改めて評価されるようになっ
分に楽しめる。建築散歩にぶらりと出か
くあることが外国では異常なことであっ
た り す る。 そ れ を﹁ 日 本 す ご い ! ﹂ と
万城目学・門井慶喜著
た。ここでいう近代建築とは、明治から
けてみてはいかがだろうか。
番組の始まった二〇〇六年と現在で
しく、豊かにすると著者は考える。
かを知り、違いを楽しむことが人生を楽
く、違いを知り、そして自分たちは何者
か﹁日本はダメだ﹂とかいうだけではな
えっこんなものが、というものが外国
第二次世界大戦前までに建てられた西洋
演劇人であり、NHK︱BSの人気番
鴻上尚史著
外国人が見たニッポン
クール・ジャパン
文春文庫
七九〇円
風の建築物を指す。近代建築ってどんな
もの?と興味を持った方には最適な入門
近代建築の好きな方にはより幅広い楽し
書︵ 文 庫 に な っ て 持 ち 歩 き や す い ! ︶、
大阪・京都・神戸、そして東京、横浜
み方を教えてくれる一冊。
は、日本と世界を取り巻く状況はあらゆ
とうに世界に紹介するにはどうするべき
人 と し て、﹁ ク ー ル・ ジ ャ パ ン ﹂ を ほ ん
文化、芸術の点も例外ではなく、演劇
る面で変わってきている。
人とは何か﹂ということについて考える。
か、という提言の示されたエピローグも
組﹁ cool japan
﹂の司会を務める著者が、
自身の経験を通じて、外国人から見たリ
昨今、マンガやアニメなどのコンテン
際し、東京散歩スペシャルと台湾編がプ
建物だけではなく、灯台やSLの車庫、
ツを﹁クール・ジャパン﹂として世界に
アルなクール・ジャパン、そして﹁日本
ガード下や公園なども加えて、建築を通
興味深い。
ラスされた。
して日本の近代を知ることができる。
広めようという動きがある。確かにそれ
七六〇円
日本が西洋に追いつき、追い越すこと
講談社現代新書
らも﹁クール﹂だけど、実際のところ外
を著者たち二人が巡った記録。文庫化に
!?
を目指していた時代の、建築家をはじめ
− 22 −
文庫・新書
芸
青柳いづみこの
MERDE ! 日記
青柳いづみこ著
術
MERDE︵メルド︶とはフランス語
ロックンロールが降ってきた日
3
秋元美乃・森内
淳編
年齢もキャリアもさまざまなミュージ
シャンたちが、自らを音楽の道へ導いた
転機の曲について語る人気シリーズ。音
楽ライターの秋元美乃、森内淳の手によ
外な共通項を知ることができるのも魅力
である。
スペースシャワーネットワーク
二三〇〇円
上田義彦写真集
一九八二年のデビュー以来、日本の第
A Life with Camera
一線で活躍する写真家として数々の作
るこのシリーズは、ユーチューブの登場
により﹁音楽を使い捨てする﹂子どもた
品を発表してきた上田義彦が、二十四歳
のデビューから現在までの作品の中か
ちの存在に二人がショックを受けたこと
ら厳選した三〇〇点以上を収めた集大
に端を発する。
幼い頃聴いて心に残っていた曲の名を
− 23 −
でなんと﹁くそったれ﹂という意味だそ
知って、数年後にCDを買う喜び。ふと
北野武など著名人のポートレイトや、話
うだ。また、怒りの表現だけでなく幸運
す衝撃。そういう音楽の力を確信してい
題の広告写真、家族の団欒や自然の風景
を祈る時に相手に投げかける言葉でもあ
る 人 間 が、﹁ こ れ を 読 ん だ ら、 五 回 聴 い
上田の写真はアンディ・ウォーホルや
ピアニストであり、文筆家でもある著
て削除するなんてことできないような本
など、撮影時期もモチーフもさまざまだ
成である。
者の日常は多忙を極め、いくつもの締切
が、驚くべきは、この作品集に収められ
聴いた一曲が人の固定概念をひっくり返
り、公演に追われる日々を過ごしている。
を作ってやる﹂と思いながら作られてい
るとは面白い。
そんな彼女の二○○一年から二○○九年
た作品たちは上田が﹁今見てもドキドキ
真にはどの時期のものにも﹁恭しさ﹂が
る の で、 隅 々 ま で 丁 寧 で、﹁ よ く 知 ら な
感じられるが、それは上田がデビュー時
の日記を書籍化した本書。
デビュー時期順に十五のエピソードが
からの﹁写真を撮る喜び﹂を心に留めて
する写真﹂であるということ。上田の写
掲載されているが、若手ミュージシャン
きた証に他ならない。高価だが、一度開
い人に読んでもらいたい﹂という思いが
たちはこぞって峯田和伸の登場の衝撃を
一八〇〇〇円
語り、峯田はユニコーンへの憧れを語り、
羽鳥書店
けば価格以上の価値が確信できる一冊。
いう、別の音楽をやっている人たちの意
奥田民生はビートルズへの敬愛を語ると
ひしと伝わってくる。
あの名演、名著執筆の裏側ではこんな
MERDEな日常が繰り広げられていた
のかと思うと興味深い。
超絶多忙な日々を送りながらもユーモ
二五○○円
アを忘れない彼女の姿に励まされる。
東京創元社
芸術
実
用
書
地図・旅行書
ねこバカ
いぬバカ
ペットの長生き、医療、看取り対談
人間も犬猫も、寿命を伸ばすために頑
たりしていないという。
張り過ぎなくてもいいんだ、と思うと気
本食﹂はどのように映るのか、違う視点
二二〇〇円
を知ることができるのも面白い。
エクスナレッジ
ジョコビッチの
生まれ変わる食事
フェデラーとナダルの二強時代に第二
ノバク・ジョコビッチ著
かげだった。小麦と乳製品に不耐症があ
後の壁を突破できたのは新しい食事のお
集団で苦しんでいたジョコビッチが、最
楽しい旅の思い出に、美味しい食事の
るとわかり、パン中心の食生活に別れを
一一〇〇円
持ちがラクになる一冊。思い出話もほほ
笑ましい。
小学館
食べる世界地図
記憶は欠かせない。ましてやそれが異国
ミーナ・ホランド著
での出来事ならば、馴染みのない料理は
養老孟司・近藤
誠著
いまや日本では、ペットの数は十五才
大事に育てられたペットの寿命は人間同
未満の子どもの数を上回っている。その
様、昔に比べ格段に伸びている。
へ想像を巡らせる為にも役立つ。各国料
む為にも、もしくは未だ見ぬ他国の土地
本書はそういった過去の旅行を懐かし
た見知らぬ医師からの連絡だった。キャ
たのが、偶然テレビで彼の試合を見てい
考である。食事を変えるきっかけになっ
求めるオープンマインド︱︱開かれた思
驚くべきは、著者の常に新しい手段を
告げランキング一位まで登りつめたのだ。
人間の医療に携わる養老、近藤、両先
理の特色がエッセイ風に纏められている
リアを積んだプロアスリートが食を根本
れぬものとなるだろう。
鮮烈な印象を舌へと残し、決して忘れら
わが家も十九才を筆頭に、四匹の猫と
暮らしているので、介護や治療について
生が自分自身のペットとの暮らしぶりや
的に変えるのは難しい決断だ。しかもジョ
じっくり考えてみなくては !
ペットと人の医療、そして老病死につい
他、台所必需品リストや食材の買い置き
コビッチはピザ屋の息子だったのだ。
リスト、簡単なレシピまでもが付属する。
個性の強い二人だが、ペット医療につ
国の独自料理が再現出来るよう配慮され
食 べ た い ! と 思 っ た 時 に、 す ぐ に そ の
て多方面から語っている。
いては方針が一致している。それは、自
新しい情報に対して安易に踊らされて
然治癒力にできるだけまかせて、治療を
しまうわけでもなく、必要以上に猜疑心
一四〇〇円
に駆られることもない彼の姿勢はとても
三五館
軽やかである。
ているあたり、グルマン世界料理本大賞
著 者 に 選 ば れ た 三 十 九 ヶ 国 の 中 に は、
グランプリの名は伊達ではない。
先生は、犬も﹁がん放置療法﹂で、四十
日本も含まれている。外国人から見た﹁日
四匹の犬を四十年近く飼ってきた近藤
無理強いしない事。
年近く獣医さんに行ったり、薬を飲ませ
− 24 −
実用書/地図・旅行書
語学・辞典
話すための表現英文法トレーニング
英文法は一通り勉強したけれど、なか
田中茂範監修・著
な か 定 着 し な い と 悩 む 人 は 多 い だ ろ う。
英文法問題集は文法項目を定着させるた
めにある。だから知識の定着に悩む人に
最後の総合問題で何が問題になっている
かが分かるようになれば、表現力が知識
くろしお出版
﹁日本の衣食住﹂まるごと事典
一三〇〇円
﹃表現英文法[増補改訂版]﹄の問題編に
とよざきようこ、
日韓対訳ライブラリー
あたる。これは英文法項目を網羅した辞
ステュウット・ヴァーナム︲アットキン共著
に追いついたと言えるだろう。この本は
書のようなものなので、何か疑問点があ
国。似ている習慣や風習が多く、その違
れて感じる違いのように、韓国の人たち
れない。しかし、我々が韓国の文化に触
いについて深く考えることがないかもし
地理的にも文化的にも近い日本と韓
一六〇〇円
ればこちらをお勧めする。
コスモピア
やっぱり英語はおもしろい
もまた日本文化に違いを感じている。
題を主としている。定着ということを第
問題形式は手軽にできるような二択問
のために作られた問題集だ。
その点からいうと、この本は英文法定着
ま っ て い る の が 現 状 で は な い だ ろ う か。
験で点を取るための知識﹂となってし
なく、そういった問題集は﹁英文法は試
は大学試験や検定問題以外の問題集が少
た母語である日本語を見直して自分自身
らスタートすれば、学習効果も増し、ま
﹁英語って割と面白い ! ﹂という心持か
こういった〝くつろぎ英語論〟を通して
いてなど話題の幅は広い。著者としては、
らがなの訳し方、有名人のスピーチにつ
語の違いなどから始まり、カタカナやひ
英語の歴史やイギリス英語とアメリカ英
の 奥 深 さ に つ い て 語 っ て い る 本 で あ る。
ながる話を通して、英語の面白さや言語
自身の言葉で積極的に日本文化を紹介で
る。 日 本 に 興 味 が あ る 韓 国 の 人 た ち に、
本文化について客観的に知ることができ
問も収録されており、外国人目線での日
時のアドバイスや外国人が抱きやすい疑
ることがたくさんある。また、日本滞在
いて新しく知ること、読んでいて納得す
ものなどが多数あり、日本人でも読んで
はあまりないもの、ほとんど目にしない
る。現代では日本に住んでいても身近に
瓦や畳や掛け軸などについて紹介してい
英語と日本語を比較したり、英語につ
宗宮喜代子著
一に考えれば、なるべく簡単な問題の方
のものの見方に気付ける場になることを
− 25 −
は問題集をオススメしたいのだが、実際
がいい。しかもメール作成など、とにか
期待しているようだ。面白そうなトピッ
第一章の﹁日本の伝統家屋﹂の項では、
題を複数収録している。また、同じ問題
二四〇〇円
く﹁表現すること﹂に重点が置かれた問
図書出版ハンウル
きるようになれるだろう。
頭に入ってきそうである。
クが多いので、文法が苦手な人も気軽に
に つ い て の 理 解 が 深 ま る と い う わ け だ。
形式ではないので、幅広い視点から文法
語学・辞典
児
得力のある絵が、この絵本を特別なもの
ような流れや動きがあります。美しく説
代の体験など、著者の内面の一端に触れ
生み出されていったのか、また子ども時
回想録です。本書ではどのように作品が
ジョーン・G・トーマス絵
小宮
由訳
もうすぐ六歳になる少女ベッツィ・メ
イーニッド・ブライトン作
た。数々の物語を生み出したダイアナ・
る部分もあり、とても惹きつけられまし
造詣の深さに圧倒されながらも共感でき
についての評論は著者の知るトールキン
書
る事ができます。中でも学生時代に作家
トールキン本人の講義を受けていたとい
イ。両親と乳母のナニーさんと一緒に暮
ウィン・ジョーンズの世界をより深める
童
二二〇〇円
にしていると感じました。
ブロンズ新社
つののりものに乗るようなのですが、何
らしています。初めて一人で手紙を出し
う エ ピ ソ ー ド や、 そ の 作 品﹃ 指 輪 物 語 ﹄
に乗るかはまだ秘密です。主人公のぼく
たり、動物が大好きでついに念願のこい
ことのできる一冊です。
ベッツィ・メイとこいぬ
と 一 緒 に 読 者 も﹁ つ ぎ に 何 に 乗 る の か
ぬを手に入れたり、彼女の日々の出来事
のっていこう
な?﹂とワクワク感が高まる構成になっ
が九話収録されています。背伸びして大
三五〇〇円
大人たちも丁寧に描かれており、物語を
田原総一朗作
下平けーすけ絵
ジャーナリストの著者・田原総一郎氏
引き立てています。
は、小学校五年生の時に終戦をむかえま
おじいちゃんが孫に語る戦争
徳間書店
の人柄や書き手として自身との比較など
ています。版画風なタッチの絵は、微妙
人のようにふるまうおませさんな一面も
木内達朗さく
なかすれ色も重なりが独特の質感を生み
可愛らしく、それを温かく見守る周囲の
今日はお父さんと一緒におでかけ。三
八〇〇円
出し、この絵本の魅力となっています。
福音館書店
リンドバーグ
空飛ぶネズミの大冒険
した。あれから七十年。著者は今年小学
一二〇〇円
校五年生になる双子の孫に戦争のことを
岩波書店
話しておきたいと思いました。その話は、
とてもわかり易く語られています。平和
ダイアナ・ウィン・ジョーンズの回想
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著
ファンタジーを書く
け入れてくれるという自由の国を目指そ
冊です。
トーベン・クールマン作
金原瑞人訳
ある日、町から仲間たちの姿が消えて
うとする小ネズミは、飛行機を作って海
市田
泉・田中薫子・野口絵美訳
イ ギ リ ス の 作 家 ダ イ ア ナ・ ウ ィ ン・
いた。忍びよる危険を前に、何者でも受
を渡ることを思いつきます。茶色の濃淡
ジョーンズの評論やエッセイをまとめた
講談社
一三〇〇円
を望んで語られたことが伝わってくる一
で描かれた場面には映像を見ているかの
− 26 −
児童書
﹃知って役立つ民俗学
︱現代社会への
民俗学といえば、農山漁村や伝統的な民俗事象を研究
す る イ メ ー ジ が あ る が、 本 書 は 現 代 日 本 で 生 起 し て い
の扉︱﹄
関
博之
伝説などに登場する不思議な事柄ばかりがイメージさ
れてしまうが、それだけでなく日常生活全体が民俗﹂な
の だ と い う。 私 は む か し 柳 田 国 男 の 著 作 が 好 き で、 一
般向きな本はすべて読んできたが、この本で﹁沼のカッ
パ﹂ばかりが民俗学の主人公ではないことがよく分かっ
た。 介 護 さ れ る 年 代 に 入 っ た 私 も、 学 校 で い じ め で 苦
労している生徒も、みんな民俗学の主人公なのである。
四十一人の執筆者で分担執筆されているが、表現は統
一 さ れ て、 ま た 写 真 や 図 版 が 多 く、 読 み や す く 理 解 し
︵七十九歳・無職︶
やすかった。すばらしい民俗学の教科書だ。
− 27 −
る 出 来 事 を 取 り 上 げ、 学 問 的 に か つ 分 か り や す く 解 説
した本である。
Q &A形式で、お花見はいつから始まったのか、なぜ
日 本 人 は ラ ー メ ン が 好 き な の か、 な ど 四 十 の 質 問 に 答
え て く れ る。 日 頃、 だ れ も が 疑 問 や 不 思 議 に 思 っ て い
る 事 柄 に 納 得 の い く 説 明 を し て く れ る の で、 実 に 面 白
かった。
高齢者の私は、﹁墓と葬儀﹂の章を特に興味深く読んだ。
お 墓 に は ど ん な 意 味 が あ る の か、 昔 は 土 葬 が 普 通 だ っ
*﹃知って役立つ民俗学
︱現代社会への の扉︱﹄
︵ミネルヴァ書房・福田アジオ責任編集・二八〇〇円︶
40
た と い う の は 本 当 か、 お く り び と は 昔 か ら い た の か、
ど う し て 香 典 を 持 っ て 行 く の か、 な ど の 疑 問 が 氷 解 す
責任編集者の福田アジオ氏は﹁民俗学というと、昔話、
る思いがした。
40
ち、自分の深層に触れるような印象的な部
いください。
たいと思う。よろしければどうぞお付き合
き な い 感 覚 的 な﹁ 好 き ﹂ に た ど り 着 く と、
﹁良い﹂﹁面白い﹂を超えて、上手く説明で
思議な感覚に捕らわれる。どこか客観的な
顔を見て︿対話﹀しているかのような、不
漁るようになった学生は私だけではあるま
典がよくわかる﹄などをキッカケに、読み
尻語訳枕草子﹄﹃窯変源氏物語﹄﹃これで古
ど、様々な分野で活躍する作家・橋本治。
﹃桃
訳・戯曲・イラストレーター・美術評論な
七五〇円︶小説・エッセイ・古典の現代語
橋 本 治﹃ 恋 愛 論 ﹄︵ 文 庫 ぎ ん が 堂・
分に遭遇する。その時、本と私の距離はぐっ
書店員として働きながら、少し困ってい
本が単なる物質ではなく意志を持つ︿存在﹀
と縮まり、まるで実際に出会い、目の前で
ることがある。﹁良い本﹂﹁面白い本﹂を紹
になったように思えてくる。
﹁好きな本﹂
について
話 そ う /対話する読書
介することは問題なくできるのに、自分の
いじゃない。周囲にそう諭されても、好き
だ。何が難しいの、素直に自由に言えばい
れるとどうしてか躊躇・動揺してしまうの
る。しかし、何度も目で心で読み返し、自
︿対話﹀は成り立っていないような気がす
勝 手 に こ ち ら が 読 ん で 想 像 し て い る だ け。
し な い。 パ タ パ タ 動 き だ し た り も し な い。
もちろん、現実に本はしゃべりだしたり
体験を赤裸々に語った講演会を元にしてい
中でもこの﹃恋愛論﹄は、橋本自身の恋愛
期 に 感 化 さ れ 影 響 さ れ た 著 書 は 数 知 れ ず。
ラボーイ
シ ン デ レ ラ ガ ー ル ﹄﹃ 人 は な ぜ
﹁ 美 し い ﹂ が わ か る の か ﹄ な ど な ど、 思 春
い︵ 多 分 ︶。﹃ 青 空 人 生 相 談 所 ﹄﹃ シ ン デ レ
﹁ 好 き な 本 ﹂ を 紹 介 し て く だ さ い、 と 言 わ
な作品ほど簡単に紹介する気持ちになれな
る。世間一般の恋愛観、男女観、結婚観に
ら の 一 部 に な っ た か の よ う な 本 の︿ 存 在 ﹀
は、他の人にとって大したことがなくても、
りつくし、思いあまって泣き出してしまう
﹁なんで?﹂﹁だって俺はこうだもん﹂と語
い。この心理は一体どこから来るのだろう。
自分のことながら、長い間疑問だった。小
自分が生きていく上では、貴重で大切なも
レ ー ズ 満 載 の 一 冊 だ。﹁ 男 っ て、 恋 を す る
心者な性格ゆえか、一人占めしたいという
と天使になっちゃうんだよね﹂という一文
場 面 も。 橋 本 治 の 創 作 の 原 点 を 読 み 解 く
にとって大切な︿存在﹀を知りたいとも思
を読んだ時、目から鱗がポロポロこぼれ落
のに違いない。それを紹介するのは、自身
う。理論立ってなくとも、感覚的でも、役
ちた。常識や世間に流されず、自分自身の
子どもっぽい独占欲なのか、突き詰めれば
に立たなくてもいい。書店員や出版関係で
感 じ た こ と を こ つ こ つ と 考 え 抜 く 姿 勢 は、
キーワードが散りばめられた、印象的なフ
そんなある日︵本当にここ一週間ほどの
なくとも、いろんな人が好きな本について
実は誰にでも通じる大切な思考法なのだと
をさらけ出すようなものだ。恥ずかしくな
こと︶。本を読んでいて、はっと気づいた、
自 由 に 語 っ て い い は ず だ。 人 に 聞 く 前 に、
思う。その姿と言葉に、いつの間にか気づ
いはずがない。それでも、自分以外の誰か
ひ ら め い た。 私 は、﹁ 好 き な 本 ﹂ と 無 意 識
まずは自分自身から恥ずかしさを捨てて
のか。考えてもいまいちわからなかった。
のうちに︿対話﹀しているのだ。
﹁好きな本﹂について思うままに語ってみ
﹁ 好 き な 本 ﹂ と﹁ 面 白 い 本 ﹂ の 違 い は 何 な
ことばを読み、絵や写真を見つめる。著者
手に取り、装丁を眺め、ページをめくり、
や登場人物や、描かれている世界を見るう
− 28 −
球王国時代、日本統治下の台湾、戦後日本
世﹂の著者。家族のルーツを追い求め、琉
ら、自身は東京で生まれ育った﹁沖縄人二
九五〇円︶両親ともに沖縄出身でありなが
与 那 原 恵﹃ 美 麗 島 ま で ﹄︵ ち く ま 文 庫・
多くの方に手に取っていただきたい。
二度目の復刊を果たした。この機会にぜひ
ハードルが高い本だと思っていたが、昨年
話﹀しているのだ。著者のファン以外には
と振り返り、本を通じて著者と世間と︿対
している。そして読者は自分自身はどうか
あくまで自分の距離から世間と読者に発信
本 治 は 決 し て 安 易 に 肯 定 も 否 定 も し な い、
かされたり勇気づけられたりしている。橋
クガイドとしてもオススメできる一冊。
くの作品も引用、紹介されているので、ブッ
研究・翻訳の軌跡を知ることができる。多
感がこもっている。日本における児童文学
なものか、訴えかけることばには、深い実
実と向き合う子どもにとってどれだけ大切
ハッピエーエンドという約束が、つらい現
る﹁しあわせな大詰め﹂=児童文学の持つ
の交流を語る。タイトルにも引用されてい
学との出会い、サトクリフやトールキンと
歌人であった母との確執、それを救った文
収まらず、自身の恵まれなかった子供時代、
の模様がまとめられている。単なる授業に
者。大学を退官する際に行われた最終授業
もないだろう。でも、探し出して見つけた
は、一概には言えない。人それぞれ、答え
声を感じられる本だ。それがどんなものか
シ ョ ン で も、 自 分 の 心 に 訴 え か け て く る、
フィクションに限らず、小説などのフィク
い、という欲求が増している。それはノン
手・書き手の︿存在﹀を感じる本を読みた
え語ってみると、本と触れ合うほど、作り
こうして自分の﹁好きな本﹂について考
もぜひ。
出版社の第一弾﹃馬語手帖﹄︵一二〇〇円︶
体温まで感じる味わいある一冊。同著者・
らこその個性と、手にするだけで作り手の
ツ に 対 す る 思 い へ と 重 な っ て い く。 読 ん だ
感覚になり、最終的に読者自身の家族、ルー
うち、共に時代や場所を超え、旅している
せる。丹念な歴史・人物描写を読んでゆく
が、ファミリーヒストリーを浮かび上がら
された家族の姿をすくい出す。著者の一念
ながら、かつての母の言葉を頼りに、翻弄
活動も与那国島で行っており、手作りの箱
トを通じて、すっと沁み込んでくる。出版
いて。シンプルなことばと手描きのイラス
る、人にも通じるコミュニケーションにつ
す﹂ということ。馬と話すことで見えてく
中で馬を﹁飼う﹂のではなく、共に﹁暮ら
島で馬と暮らす日々をつづった本。自然の
那 国 島 へ 移 住 し た 著 者 が、﹁ は し っ こ ﹂ の
袋 店 取 扱 い 有 ︶ 東 京 か ら 日 本 の 最 西 端・ 与
ブックス・一七〇〇円・ジュンク堂書店池
もが持つ楽しみ方なのだ。
だ。それは書店員だけの特権ではない、誰
とはまた違った味わいを教えてくれるはず
いる誰かに伝えてみてほしい。一人の読書
に出会ったら、深く味わった後、ぜひ側に
ル に も な っ て い く。 あ な た の﹁ 好 き な 本 ﹂
達する。そうすることで、本は発信するツー
出 会 い、︿ 対 話 ﹀ し、 そ の 思 い を 誰 か に 伝
自 分 に と っ て の︿ 存 在 ﹀ と 出 会 い に 行 く。
書 店 に、 図 書 館 に、 様 々 な 場 所 に 出 か け、
い、と思わずにはいられない。だからこそ、
後、家族と話したくなる本。
入り︵水平線を望む丘の上で馬が草を食べ
河田桟﹃はしっこに、馬といる﹄︵カディ
猪熊葉子﹃児童文学最終講義
しあわせ
な 大 詰 め を 求 め て ﹄︵ す え も り ブ ッ ク ス・
ている写真︶がかわいらしい。小出版だか
に復帰した沖縄、歴史的事実を丁寧に調べ
二五〇〇円︶著者は、ローズマリ・サトク
て語りかけている。
︵那覇店・渡慶次︶
本はいつでもあなたを待っている。そし
リフなどの翻訳でも知られる児童文学研究
− 29 −
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− 30 −
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− 31 −
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│
五九五六 六一〇〇
丸善ジュンク堂書店特急便係
東京都豊島区南池袋二 一五 五
〇三
五九五六 六一二〇
〇三
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い つ も﹁ 書 標 ﹂ を ご 愛 読 い た だ き ま し て
以下の通りです。
ありがとうございます。本誌定期購読料は
本にまつわるエッセイ、など本に関するもの。最近読んでおも
☆読者の皆様の投稿を募集しています。最近読まれた本の感想文、
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四〇〇字∼六〇〇字程度で、おすすめの本のタイトル、出版社、
掲載分には二千円の図書カードを差し上げます。なお、原稿はお
〒
1710022
住所、氏名、年齢、職業を明記の上、お送り下さい。
六一一一
│
編集後記
│
返しいたしませんのでご了承下さい。
東京都豊島区南池袋二 一五 五
五九五六
FAX TEL
☆尚、本誌掲載と同時に、ホームページにも掲載させていただきます。
〒
〇三
丸善ジュンク堂書店﹁書標﹂編集室係
│
TEL
│
│
わが家はこれから運動会シー
ズンだ。二週間の間に三回運
動会があり、家の中は普段に
もまして砂だらけ。風呂場に
は汚れものが山になってい
る。応援歌や入場の曲を競っ
︵緒︶
て 歌 い、 に ぎ や か で た ま ら
ない。
− 32 −
│
│
│
新 学 期 が 始 ま っ て 二 か 月。
PC ・スマートフォンから
ᛩ
Ⓜ
൐
㓸
1710022
ついてくれていたが、彼女には特に大きな
育児休暇が明け、仕事に復帰してから一ヶ
細さ。十八年前の自分なら逃げ出していた
ず、業務もままならないままで残される心
担当ジャンルの仕事も覚える間を与えられ
安 し か 感 じ な か っ た の で は な い だ ろ う か。
の人間ばかりのフロアの管理は、恐怖と不
薄れている︵元々執着があったとは思えな
れは仕事への執着がかなり、いやほとんど
て、顔と心のにやにやが止まらなかった。
の八ヶ月の間に入社したメンバーの顔を見
と言われながら出社。いつものメンバーとこ
居の姑に﹁こんな楽しそうな顔久々に見た﹂
そしてやってきた復帰の日。家で旦那と同
なってきた。
月。年のせいか未だに勘が取り戻せていな
かもしれない。いろいろなことが伝えきれ
いのだが︶こと。自分がいないと仕事が回
負担がかかった。年齢もキャリアも断然上
い。元々苦手だったPC系の扱い方をすっ
ず休みに入ることに大きな不安を感じなが
﹁ただいまジュンク堂﹂
かり忘れ、変更のあった業務手順に慣れず、
らついに休職。
ぐに覚えていってくれたが、新刊注文数や
輩たちに伝えていった。業務的なことはす
代わりを頼むべく同僚やフロアの仲間、後
に入るとわかったときから、自分の仕事の
入社十八年目にして初の長期休職。休み
風に毎日を過ごしているのだろう。
堂始まって以来 ! ︶のだが、みんなどんな
明けた同僚が六人もいるらしい︵ジュンク
号ですら忘れていた。この春に育児休暇が
いよう準備を進めていった。そうするうち
を取り合い、復帰しても浦島太郎にならな
絆 を 取 り 戻 す べ く、 同 僚 や 後 輩 た ち と 連 絡
の世界に引き戻される。少しずつ社会との
四月に仕事復帰するんやったんや、と現実
ふと我に返ったのは年明け。ああ、この
していたことすら思い出さなくなっていた。
後は育児に狂奔。気がつけば自分が仕事を
くなった。つかの間の自由時間を満喫し、産
になっていた仕事のことを全く思い出さな
ところが、休みに入った途端あんなに気
はこうやって誕生するのだ。
ちを目指す。大阪の世話好きなおばちゃん
ことに力を入れようと思う。縁の下の力持
が変わった。
方をしよう、と仕事に対する姿勢や考え方
きたす。ならば私は今までと違う仕事の仕
いた仕事を取り上げてしまうほうが支障を
ている。私が復帰することで今まで頼んで
がいなくても日々の業務は回り、本は売れ
そんな思いもあったのだろう。しかし自分
ないつもりだったのだが、それでも少しは
らない、という妄想は元来持ち合わせてい
復帰後の心の変化で一番感じたこと。そ
新刊の書名が頭に入らない。自分の社員番
商品の展開の仕方、出版社の人とのコミュ
に育児に窮していた毎日に逃げ場所を見つ
653- 1600013 0008
︵Y子︶
これからは家でも会社でも、人を育てる
ニケーションのとり方など、微妙なニュア
け た よ う な 気 持 ち に な り、 心 が 少 し 楽 に
ちょうど配属されてきた新入社員が下に
ンスのものは当然時間がかかる。
二〇一五年六月五日発行
﹁書 標
第 号
ほんのしるべ﹂
頒価五十円︵本体四十六円︶
編集・発行人
工
藤
恭
孝
発 行 所
㈱丸善ジュンク堂書店 〒 東京都新宿区三栄町二十九 ニューフィールドビルディング
印 刷 所
㈱七
旺
社
〒 神戸市長田区一番町二丁目一
439