ウガンダにおける教育 [参考資料]

ウガンダにおける教育
[参考資料]
2006 年 12 月 21 日
元 JOCV 椎谷健一
1.
教育の歴史と制度
ウガンダは、英国の保護領から 1962 年に独立した。ウガンダ独立時点での教育制度は、
1922 年に建築学の最初の講義を開始したマケレレ大学を頂点とし、5 千以上の小学校、260
の中学校、20 の高等学校、その他アジア系、ヨーロッパ系の学校も擁し、アフリカ諸国の
中で最も進んだものであった。しかし、アミン大統領時代の混乱や経済困難により教育が
荒廃し、小学校数は公立私立併せて 1 万校(95 年度統計)に上るが、就学率が 7 割程度に低
迷していた。さらに Primary School(小学校)における落第率の高さ、女子の就学率の低さ、
教員のレベルの低下などが問題になっていた。
現ムセベニ大統領の政府の考えは、
「国造りの基本は教育にある」として、1997 年より初
等教育無料化政策 UPE(Universal Primary Education)を実施中である。この政策は、一家
族に付き 4 人目までは児童の教育費を無料化し、保護者の負担を軽減することにより就学
率を高めようとしている。児童数は 96 年に 270 万人であったが、97 年には 530 万人にな
り、現在では全国民の三分の一である約 800 万人の児童が Primary School に通っている。
80 年の就学率は 50%であったのに対し、この政策により 141%にまで達している。これら
は、落第率の高さや後述する PLE(Primary Leaving Examination、小学校卒業資格取得試
験)不合格者、就学年齢以前に入学することなども原因として考えられる。ある Primary
School の P1 クラスで実際に調査したところ、5 歳から 11 歳までの児童が一つのクラスに
在籍していた。また、教師数は 4 万 4 千人(1996 年)から 11 万人(2000 年)に増加し、公立小
学校数も約 8500 校(1996 年)から約 12500 校(2000 年)に増加している。その後、2006 年ま
で、比例するようにその数は増加の一途を辿っている。
この UPE によって、初等教育の普及については急激に促進はされてきている。しかし、
その教育の質は数々の問題が残っている。児童数の増加により、教師一人あたりの児童の
数が増加し、全国平均では 60 人であるという。しかし、実際に School Practice(教育実習)
で実習監督をした Primary School では 110 名を超えるクラスを担任する教師もいた。少な
いクラスで 20 人など、その数は学校や学年により区々である。
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また、教育制度については 1992 年「ウガンダ教育白書」に大幅な改革を発表し、7.4.2.3
制から 8.3.2.3 制への移行を提唱したが、未だ進捗はみられない。現在のところ、一般的に
6 歳入学で 7 年間の初等教育(P1∼P7、Primary School)を受け、初等教育卒業資格認定の
国家試験 PLE(Primary Leaving Examination)を受ける。毎年 11 月上旬に行なわれるこの
試験をパスするには、4 科目(算数・英語・社会・理科)の全科目において合格する必要があ
る。2000 年の合格率は、全国の平均が 80%弱であった。それらに合格した者が 4 年間の前
期中等教育(S1∼S4、Secondary School Ordinary Level)に進み、前期終了を認定する国家
試験 UCE(Uganda Certificate of Education)に合格すると、2 年間の後期中等教育(S5∼S6、
Secondary School Advanced Level)に進むことができる。さらに後期終了を認定する国家試
験 UACE(Uganda Advanced Certificate of Education)に合格すると大学(University)に進
学することができる。ちなみに、ウガンダ国家試験委員会 UNEB(Uganda National
Examinations Board)という機関が、これらの国家試験を作成している。
また、前期中等教育に並行して 3 年間の技術訓練学校(Practical Course)、後期中等教育
に並行して 2 年間の技術専門学校(Technical School)や小学校教員養成学校(Primary
Teachers' College)、看護学校(Nursing School)、家政学校(Home Management School)、
職業訓練学校(Vocational Training Institute)、商業学校(Business School)などが存在する。
同様に、大学と並行して、各種単科大学(技術大学 Uganda Technical College、商業大学
Uganda Commercial College など)、中等教育教員養成学校(National Teachers' College)、
医療学校(Medical School)、ポリテクニックなどの高等教育機関に進学できる。今後、これ
まで労働省の管轄で教育制度から独立していた職業訓練校が 98 年の行政機構全体の再編に
より教育省の管轄に代わったため、職業教育体系も改革される可能性もある。
これら学校の種類によって、年度の始まりは異なる。小学校・前期後期中等教育は 2 月
から 4 月が 1 学期、5 月から 8 月が 2 学期、9 月から 12 月が 3 学期である。PTC の年度は、
6 月に始まって 4 月に終わる。大学や各種単科大学は、10 月に始まり 9 月に年度が終わる。
その他にも、公立学校か私立学校によって、教科書の有無、一クラスにおける生徒数など、
その教育環境は大きく異なる。
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2.
ウガンダにおける教育の問題点
①
教育に関する悪循環
発展途上国における教育の問題点は、基本的に予算の少なさや整備されていない教育シ
ステムのために、教職員の待遇の悪化、給料支給の遅滞や未払いを招いている。そこから
生じてしまう教職員の仕事に対する意欲の低下、教育の質の低下が問題となる。また、教
職員という職業への敬遠による教師数の絶対的不足をも引き起こす。その悪循環が、マク
ロの面で非常に大きな障壁となっている。教員養成校への入学希望も第一志望でない場合
がほとんどで、Ordinary レベルの試験 UCE の結果によって仕方なく入学し、教員の卵に
なる学生は多い。
もう少しミクロな側面から具体例を挙げてみる。ウガンダの Primary School の教師の給
料は月に 10 万 Ush ウガンダシリング(2004)、およそ 6000 円である。確かに日本と比して
物価は安いが、生活をするためにこの給料では非常に少ない。お金が足りず生活に困って
いる教師は、副業として別の職をもって働くことが多い。日本の公務員法では禁止されて
いるが、ウガンダにはそのような法律は存在しない。特に、オウィノマーケットというウ
ガンダで最も大きなマーケットがカンパラ中心部にあるのだが、ここにいる商売人のほと
んどは本職が教師だという。オウィノと言えば、非常に危険で治安が悪いマーケットとし
て有名で、盗難などは日常茶飯事のようである。それだけ、教師を含めて貧しい人々が多
いということである。
このように、教師という職業に就きながらも教育への重きはさておき、自らの生活のた
めに副業で忙しく、その教師の質及び教育の質は徐々に低下していく。その後、14 万ウガ
ンダシリング(2005)、20 万ウガンダシリング(2006)と一律の給料ではあるが改革が進めら
れてきた。しかしながら、昇給制度や努力が反映されるようなシステム作りが必要になっ
てくるだろう。
②
ウガンダの教育を考える
途上国での教育を捉える際に、教育の問題点に着目しなければならない。
まずは、あくまで主観で、思いつくままに問題点を挙げていく。「1 クラスに生徒が多す
ぎる」「棒で叩くなど横行する体罰」
「色濃く残る教師生徒間の上下関係」「教科書や教材の
不足」「理科教育における実験器具の不足」「知識を教えるだけで実験をしない」「本や器具
が援助されてもダンボール箱に入れられたまま利用されていない」
「教師が本を読んで生徒
がそれをノートに筆記する授業スタイル」「答えだけを教えて考えることに重点を置かな
い」「生徒はすぐに電卓を使う」「足りないコンピュータ」「使い方や修理の仕方が分からな
い」「効率が悪い仕事」「面白くない勉強」「テストのための詰め込み」「理数科目の暗記化」
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「資格をとる目的のためだけの学校」「保護者が詰め込みを望んでいる」「小さい子どもに
は遊びながら学ぶことが必要なのに詰め込みによって自ら発見するチャンスを奪ってい
る」「合格率が低いと生徒を転校させる」「保護者が授業料を支払えず生徒が学校から追放
される」「経済的な事情から小学校に行けない子どもがいる」「特に地方では初等教育時の
識字教育の大切さを知らない」「試験での不正行為が多い」「教師まで試験問題を売って不
正を助けている」「試験中の文房具の貸し借り」「植民地時代の古いシラバスに未だ倣って
いる」「本当に教科の内容を理解している教師が少ない」「教師が子どもの頃に習ったのと
同じやり方で今も教えている」「理解ができなくても覚えさせる」「数学が苦手な教師が数
学嫌いの生徒を作りそれが次の教師となる」「教育活動が疎かな教師」
「試験の採点が遅い」
「守られない時間割」「タイムマネジメントができていない」「教師が自分の生活のために
副業をしている」「子どものための教育よりも仕事やお金のための教育」「怠慢で学校に来
ない教師がいる」「言い訳する」など。その他にも「図書館の整備や補充が必要」「教育制
度の見直しが必要」
「高等な学校を出てもなかなか仕事に就けない」
「毎日同じポショと豆(ウ
ガンダの給食)」
「(良い意味でも悪い意味でも)これらの問題を問題と思っていない」など。
これら挙げられた数々の問題は、教育の問題というより、その根底にある現地社会の抱
える問題かもしれない。つまり、教育制度などのような表面的な問題ではなく、現地の人々
の行動様式や考え方が教育上の問題を引き起こしているのである。
解決のキーワードは、
「意識改革」。現地の人たちがタイムマネジメントできない原因は、
子どものときの育てられ方が原因となり得る。子どもを殴って言うことを聞かせる親や教
師が、多く子どもの自主性を奪っている。それ以前に、「子どもの権利条約」でも禁止され
ていることである。このような暴力は、子どもを動物のように扱っていることと同じで(実
際に教師は生徒に対して「Animal」と呼ぶケースもある)
、言葉で伝えたり自分で考えたり
する機会がなくなっている。本能的な行動、つまり強いものには服従、弱いものには強く
出るようになり、道理や倫理に従った行動ができなくなる。そして、自らの良心に従うこ
とができず、外からの強制がなければ行動が取れなくなる。そのため、いつまでも待たせ
ることが常習化し、偉い人ほど人を待たせ、偉くない人は文句を言わないでそれに従うと
いう構造ができあがっていったのかもしれない。
人々が潜在的に能力を持ちながらそれを発揮できていないことは、社会にとっても大き
な損失である。特にウガンダでは、家族や地域の人間関係が濃いので問題が表面化してい
ないが、今後、経済的に発展していく中で子どもの数が減り、個人個人の生き方が問われ
るようになると、自己管理能力を奪う子どもへの暴力はウガンダでも大きな問題になって
くるだろう。日本と同様に、社会が変化する中で、それまでの押さえつける教育ではうま
くいかなくなり、様々な問題が表面化してくるかもしれない。日本も多くの教育問題を抱
えているが、目の前の現実に真摯な態度で立ち向かっていかなくてはならない。
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3. PTC(小学校教員養成学校)全般に関わる概論
ここでは「PTC とは何か」、PTC 全般に関わる概論について述べていく。
まず、PTC とは Primary Teachers’ College の略称で、小学校教員養成学校と和
訳される。TTC (Teachers’ Training College)と呼ぶ現地の人もいる。PTC はその
名の通り、主として Primary School (小学校)の教員を目指す生徒たちのための教育
活動が行なわれていて、これを Pre-service という。PTC はウガンダ全国に 47 校
あり、その内 45 校が Government 系 Public PTC、内 23 校が Core PTC、残り 22
校が Non-Core PTC である。Core PTC とは、地域の現職小学校教員の再教育と資
格取得を Pre-service と並行して行っている PTC のことで、これを Pre-service に
対して、In-service という。
生徒は、Secondary School (中学校)の 4 年生を卒業した Ordinary レベル資格取
得の学生(17 歳以上)が入学できる。しかし、小学校の早期入学、転職や小中学校で
の落第などによって実際の生徒の年齢層は様々で、教職員より年上の生徒も少なく
ない。また一方で、Secondary 4 年生の進路希望調査によれば、小学校教員の給料
が安いために PTC に対する人気は低く、教員になりたいと思っている学生は少な
いようだ(下図参照)。国家試験である前期中等学校卒業資格試験 UCE (Uganda
Certificate of Education)、それをパスした学生の進路希望は、University (大学)
進学を見越した Advanced レベルの Secondary 5∼6 年生(高校から大学初歩レベル
に相当)が最も多く、技術学校や職業訓練校など各種学校と並んで PTC が第一志望
となることはほとんどない。したがって、UCE の試験結果の良し悪しに左右され
て入学する校種がほぼ決定されてしまうため、PTC の生徒たちは必ずしも小学校教
員になることを全面的に希望しているわけでもないのである。これが、学習に対す
るモチベーションはもちろんのこと、PTC における落第率や国家試験の合格率、小
学校教員や初等教育の質にも大きく影響している。
希望は
University
Secondary5&6
Secondary 4 [UCE 受験]
得点如何によっては
PTC
小学校教員
国家試験
PTC は 2 年制で、学期のサイクルは毎年 6 月上旬に年度が始まり、翌年 4 月下
旬に終わる 3 学期制。年度によってその日程は区々だが、学期は順に 6 月上旬から
8 月下旬、9 月中旬から 12 月中旬、2 月上旬から 4 月下旬となっている。年度末で
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ある 4 月中∼下旬には、1 年生のための Promotional Examination (進級試験)と 2
年生のための GradeⅢ Teacher’s Certificate Examination (最終試験)があり、最終
的にこれらの国家試験に合格することが生徒たちの最大の目標になっている。
ところで、Public PTC の維持運営に係る経費は、全てウガンダ政府から、つま
り税金から捻出されている。それらは、生徒数及び日毎の計算により、各学校に
UPE Fund (Capitation Grant)として支払われている。よって、生徒は授業料を納
入する義務がない。また PTC は全寮制であるため、その寄宿料支払いや公共料金、
ポショ豆やチャイなどの食事代も無料となる。ただし、勉学の際の教材購入費など
は自己負担、また Repeater (再履修者)の授業料は有料となる。
しかし裏を返せば、教育スポーツ省の財政状況に学校の運営が依存しているわけ
だ。慢性的な貧困問題が存在するウガンダでは、国の財政難により教育の機会にま
で影響が及んでしまうこともある。事実、これまでに政府は Pre-service 機能の停
止や学期サイクル改定に伴う休止という形で、厳しい財政運営に対する措置を講じ
てきた。それに対して、2005 年 4 月、ムセベニ大統領と教育スポーツ省ルバンガ
事務局長の 12 億 Ush(約 7200 万円)の補正追加予算を執る緊急的な対応によって、
一日一生徒あたりの UPE Fund が 1050Ush(約 63 円)から 1500Ush(約 90 円)に引
き上げられた。その代わりに、PTC における施設の私的運用による収入の公表や国
家試験の不合格率を現在の 40%から 10%に引き下げることが条件として出される
こととなった。PTC の生徒が受験する国家試験の合格率が低ければ低いほど、それ
だけウガンダの国税が無駄になっているとも言うことができる。
さて、学校教育活動に目を向けてみたい。PTC では、言うまでもなく教員教育、
中でも Pre-service が主たるものだが、その内容には Secondary School で学習する
ようなアカデミックなものから、教育概論や Workshop、さらに教育実習のような
実践的なものまで様々である。
特に、これらはウガンダ教育の総統 Kyambogo University の作成した教育課程
に沿って編成されていて、オンラインカリキュラムとして Web 上で公開されてい
る(Connect-ED)。そこには、教科別さらに単元別に詳細な情報が盛り込まれている。
この Connect-ED のホームページから全教科に関するシラバスや例題が提供されて
いて、PTC で取り組むべき事柄、その詳細な解説などを検索できる。それらを参考
にして、PTC の教員は必要に応じて、トピックをピックアップしながら授業準備や
教材研究に取り組んでいる。このシステムは、インターネット回線がある PTC の
全教員が同じカリキュラムに則って教育活動にあたることができる非常に画期的
なものとなっている。また、PTC として統一的で最低限の教育水準を形成するため
にも役立っている。
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しかし、その問題点はネットワーク環境にあるコンピュータ室を備える PTC の
数が限られていることだ。45 校ある Public PTC の内、インターネット回線の設備
が整っている PTC はわずか 8 校しかない。米国の援助機関 USAID は現在、その他
の PTC についても早急な情報処理施設の完備に向けて取り組んでいる。
その教育課程を元に、一例として数学について挙げてみよう。筆者は、数学が専
門ということでご了承願いたい。
その水準として、アカデミックな分野 (GradeⅢ教員資格取得試験の Section A
に相当)に関しては日本の高校基礎レベルとほぼ同様である。単元は、代数・幾何・
解析・集合・確率統計など幅広いが、その実際は小学校中学年レベルの基礎的な演
算から、高校から大学初歩レベルの行列や高次方程式、代数公理やローマ数字、n
進法などが突如現れることもある。また Pre-service には、三角比や微分積分、文
字の扱いのある数列、複素数などの分野が含まれていない。関数について言えば、
一次関数や逆関数、合成関数などは含まれているが、その他の各種関数、例えば二
次以上の関数や三角関数、指数対数関数や特殊な関数などは含まれていない。
それに対して、教授法や指導案に関する分野 (GradeⅢ教員資格取得試験の
Section B に相当)では、Primary School における児童へのより適切な教授法、指導
案を用いて論述するものが中心となる。そこでは、正確な知識と工夫を盛り込んだ
効果的な説明が求められる。その内容は、例えば、分数の割り算や正負の計算など
の手順を追った適切な教え方、グループワークやロールプレイなどの教授法をどの
ように取り入れるか、Teaching/Learning Aids または Visual Aids と呼ばれる視覚
教材の活用方法、記号と文字の役割や数学の有用性など初等教育における理論的な
事柄まで様々である。創造力や想像力が発揮される分野で、一人の人間が一つの意
見を持ち得るので、その解答は考え方次第で無限なものになる。そのあたりがなか
なか面白いと感じる分野だ。しかしながら、ウガンダに限らず途上国では一般的に、
数学という教科は暗記要素の強い傾向にあるのだが・・・。
理数科教師が協力隊として派遣されている PTC、その生徒たちにとって数学と理
科、この 2 つは非常に困難で悩みの尽きない教科である。難しいと自らを洗脳して
しまい、拒絶反応さえ見せる者もいる。理数科の苦手な小学校教員が、理数科の苦
手な児童を生み出し、その子どもたちが教員になる。そのような悪循環や苦手意識
を取り除くために、Practical な理数科の重要性を優先的に教授する必要があるので
はないだろうか。もちろん、これは PTC における理数科教育に限ることではない。
ある時期のあるクラスの時間割を掲載しておく。
7
730_830
830_930
930_1030
月
数学
理科
英語
火
数学
水
1200_100
200_300
300_400
400_500
B
宗教
音楽
L
体育
音楽
英語
R
ガンダ語
社会
U
教育論
経済
社会
数学
E
社会
英語
N
総合生産技術 IPS
理科
1100_1200
木
理科
IPS
英語
A
経済
教育論
C
金
数学
社会
教育論
K
IPS
お祈り
H
Family Life Education, Debate
体育
英語
Public Lecture, Demonstration
これら通常の授業の他にも、年に 2 回(PTC によって時期は異なる場合がある)の
School Practice (教育実習)では、4 週間にわたって地域の小学校の現場に実習生と
して赴き、児童に対する授業を中心とした活動を行なう。また、PTC によっては、
学校内の行事として、スポーツ大会や遠足、音楽とダンスや演劇の発表会、各種パ
ーティなどが開催される。
最後に、ウガンダの小学校教員の資格と Core PTC における In-service について
記したい。PTC を卒業し、教員資格取得試験に合格すると、GradeⅢという資格が
得られる。その後、PTC 卒業生は小学校で働くために自ら小学校の求人を探してま
わる(Advanced レベル Secondary 5 年生に進み、大学進学を目指す者も多い)。地
方の小学校における求人が多い一方で、学生たちは故郷や地方ではなく首都カンパ
ラにある小学校で働きたいという希望が多い傾向にあるようだ。
そして、通常 2 年間の勤務の後、長期休業を利用して In-service の現職教員研修
ために PTC(母校の PTC ではない場合もある)に来なければならない。その
In-service で教員としての再訓練を受けて資格試験をパスすれば、GradeⅤの資格
を得ることができる。この資格は、Diploma といって短大卒と同等のレベル。さら
に、通常では 3 年後、再度 In-service でスキルアップをして試験に合格するとよう
やく大学卒業レベルである Degree の資格が得られる。この場合、Kyambogo や
Makerere などの University に所属し、In-service を経て資格を取得する方が主流
のようだ。
このように PTC、特に In-service の機能を持つ Core PTC では、日本と比してみ
れば、小学校教員に対して将来を見据えた教育システムが整っているようにも思え
る。しかし、それらがしっかりと機能しているかは別問題。他にも、草の根の活動
を行なう協力隊自身が感じるより身近な問題や長期的な視野で取り組まなければ
ならない大きな課題も PTC には非常に多く存在しているように思う。
このような中、UPE(Universal Primary Education)の実施に伴い、国家が力を
入れる初等教育への予算分配や教育政策を下に、PTC の「教員の教育、初等教育の
教育」がより充実したものになるように、今日もウガンダの PTC 配属である協力
隊員は教育活動を展開している。
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宗教