世界の結核、日本の結核

疫学情報センター
2016.6.17
世界の結核、日本の結核
わが国の全結核届け出率は人口 10 万対 15.4 になりました(2015 年現在)が、年間 1 万 9
千人以上の人が結核を発症しており、登録患者数からすると、未だわが国最大の伝染病の一
つです。 先進工業諸国と比べるとその率はまだ高く、近年の年間結核登録患者数減少率のま
まだと、人口 10 万対 10 以下のレベルに達するのには、2020 年後半頃になると推定されま
す。わが国における結核登録患者は、高齢者層と都市部における社会的困難層の 2 つの人口
集団に偏在してきており、患者さんの必要に応じた、よりきめ細かなケアが必要となってい
ます。空気感染する慢性呼吸器疾患である結核の撲滅のためには、患者の必要に応じた結核
対策を忍耐強く継続して実施していく必要があります。今後結核対策の手がゆるめられ、結
核専門家も少なくなれば、米国が 1990 年代に経験したような、多発的な結核集団発生や、
結核患者数の増加が起こらないともかぎりません。
世界各国の全結核届け出率の年次推移
0
50
100
150
200
250
300
ボツワナ
350
400
338
ザンビア
280
フィリピン
234
タンザニア
130
マラウイ
109
インド
99
ペルー
98
タイ
95
韓国
84
中国
61
イエメン
42
シンガポール
40
ブラジル
38
日本
15.4
英国
12
フランス
7.3
スウェーデン
6.4
デンマーク
5.9
オーストラリア
5.4
オランダ
5.0
カナダ
4.7
アメリカ
2.8
日本:2015 結核発生動向調査年報 他:WHO’s global TB database 2013