システムバックアップソフトの比較と使用例 海洋宇宙システム工学 岡田 功 概要 Windows3.1 の時代から現在の Windows2000Pro まで、ずっと Windows を使い続けています。 Windows のよろしくない所は、使っている間に少しずつおかしくなって、ある日突然と、ブルー 画面になり Error を吐いて OS が立ち上がらなくなる事が在ったり、新しくインストールしたソ フトが既存のソフトに悪影響を与えたりすることです。Winodows98 使用時期から起動パーティ ションのイメージバックアップソフトを探し始めましたが、当時の市販のソフトは高価(1万円以 上)で使い勝手も良くありませんでした。現在はシェアウェアで [wash],[washp]というソフトを 使用しています。最近、外国のソフトで、「Partition Saving」というフリーソフトが出てきたの で使い勝手等を比較し、それらの使用例を紹介する。 1.はじめに 起動パーティションのイメージバックアップ(以降、起動イメージ)を何故とっておくか。そ れは、OS インストール後、様々な設定、常用するソフト(メール、Office 等)のインストール、 Windows Update の適用を経てやっと使えるようになります。その全く問題ない最良の状態で 一度、起動イメージを取っておくと、後々、少し動作がおかしくなった時に必要なデータを起 動パーティションから移動し、起動イメージをリストアすれば、最良の状態に戻すことが出来 ます。 2.使用環境 DOS/V 機(Windows98 と Turbo linux 10 D のデュアルブート) マシンA マシン B DOS/V 機(Windows98 と Windows2000Pro のデュアルブート) OS MS-DOS (Windows98 起動ディスク) SOFT [Wash],[Washp] 、「Partition Saving」(以降 PS と略) 3.動作条件 各ソフトで微妙な違いがあります。 O S セーブ元パーティシ セーブ先パーティ ネットワーク経 ョン形式 Wash 日本語 MS-DOS FAT32 まで Washp PS ション形式 由のセーブ FAT32 まで × 日本語 MS-DOS (注1 FAT32, NTFS FAT32 まで × 英語 MS-DOS FAT32, NTFS(注1 FAT32 まで 可能(注2 (注1 linux などの file system もセーブ出来る。 (注2 他のソフトを使いネットワークアクセスを可能にする。全てのマシンで使えるか は不明。 - 76 - 4.使用方法 先ず、右図の①は、C:パーティションを PC 内の別の HDD にある F:パーティションにセー ブすることを意味します。基 本的には、この方法を採った 方が安全です。しかし、省ス FAT32 6GB FAT32 6GB M B R ペース PC 等ではもう1台 の HDD を増設する事が出 C: D: FAT32 18GB E: A ② 来ない場合には、②の様に同 一 HDD 内の別パーティシ ① ョンにセーブします。増設ス F: 図1 ペースが有るにも拘わらず ②の方法を良く採ることが あります。OS が不安定になった時のバックアップのみを考え、HDD が物理的に壊れないと 仮定し、又最近の大容量の HDD を使うとすれば、多少 C:をセーブする容量が取られますが、 何か起こった場合直ちにレストア出来ることが一番の利点です。 5.起動ディスクの作成 (ア) Wash, Washp Windows98 の起動ディスクを作ればそれで完了です。しかし、起動ディスクは、2枚組 になってしまうので、wash を適当なホルダーにダウンロードし、解凍する。DOS 窓か ら該当ホルダーに移りそこの FDMAKE.BAT を走らせると、先ず問題なく一枚の起動デ ィスクが出来ますが、CD-ROM が使えませんので autoexec.bat と config.sys を編集し、 関係ファイルも新たに加える必要があります。下記に config.sys の例を出しておきます。 書き加えるのは下から5行目の devicehigh=Oakcdrom.sys /D:MSCD001 を書き加えます。 Oakcdrom.sysは、起動ディスクに入っていますのでそれをコピー。autoexec.batは下から3行目 のMSCDEX.EXE /D:MSCD001 /L:Qを書き加えます。MSCDEX.EXEも起動ディスクからコピー。 ・config.sys LIST files=20 buffers=20 dos=HIGH,UMB device=HIMEM.SYS device=EMM386.EXE RAM devicehigh=BILING.SYS devicehigh=JFONT.SYS /P=A:¥ /MSG=OFF devicehigh=JDISP.SYS /HS=LC devicehigh=JKEYB.SYS /106 JKEYBRD.SYS devicehigh=ANSI.SYS lastdrive=Z 書き加える devicehigh=Oakcdrom.sys /D:MSCD001 REM devicehigh=ATAPICD.SYS /D:MSCD001 ;CD-ROM ドライブ設定例 REM devicehigh=ASPI8DOS.SYS ;SCSI ドライバ設定例 devicehigh=MASPI.SYS /D:MSCD001 - 77 - REM devicehigh=ASPIDISK.SYS ;+ MO など外部ドライブ設定例 ・autoexec.bat LIST @echo off path=A:¥;C:¥;C:¥Windows;C:¥Windows¥Command 書き加える MSCDEX.EXE /D:MSCD001 /L:Q REM MSCDEX.EXE /D:MSCD001 /L:Q REM lh SMARTDRV.EXE ;CD-ROM ドライブ設定例 ;SMARTDRV 設定例 (イ) Partition Saving 英語版なので Windows98 のマイコンピュータからフロッピーディスクを起動専用でフ ォーマットすれば、起動ディスクが出来ます。それに Partition Saving を解凍し、 allocxms.com, drvpart.sys, savepart.exe の三つのファイルを起動ディスクにコピーす る。 6.バックアップ手順 1) wash 図1の①の様にストアするには A:¥>wash S C: F:¥wash-c.DSK 上記のコマンドの説明→C パーテションを F パーテションに wash-c.DSK というファイ ル名でストアする。 レストアするには、 A:¥>wash R C: F:¥wash-c.DSK F にストアしてあった wash-c.DSK を C にレストアする。 2) washp 上と同様にストアするには A:¥>washp 3) S #1 F:¥washp-c.PAR Partition Saving 起動ディスクで立ち上げ、A:¥>savepart と打ち込む と図のような画面が現れるので良く見て操作すれば、 簡単に操作が進められます。 先ず、バックアップは Save an element を選択。 次の画面でバックアップする HDD を選ぶ。 次の画面でバックアップ対象のパーティション C:を 選択する。 次にバックアップ先を選択する。F:を選択し、File: には、任意のファイル名を入力して OK を押す。 次にバックアップファイルの分割サイズを決定する。 最後の設定は、バックアップファイルの圧縮率を選び OK を押す。この機能は、Wash には無い 機能で0(無圧縮)から9(最高圧縮)まで選択できる。 - 78 - 下図にてバックアップ中の様子を示す。 7.バックアップファイルの保存先をネットワークドライブにする PS では、ネットワークを利用可能な起動フロッピーディスクから立ち上げ正しく設定すれば ネットワークドライブにパックアップ可能となる。それには「Bart’s Network Boot Disk」を 利用すると簡単に作成できる。公式サイトから「BFD full package」をダウンロードして圧縮 ファイルを展開する。空の FDD をドライブにセットし、コマンドプロンプトから展開フォ ルダーへ cd コマンドでカレントに変更してから「bfd msnet」と入力し「Enter」を押せば起動 ディスクの作成が出来る。(Windows98 の DOS 窓では作成されないので注意が必要) ここで問題なのは、使用しているイーサネットカードがデフォルトで対応していない場合は、 別途プラグインをダウンロード する必要がある。実際に使用マ FAT32 6GB FAT32 6GB シ ン AB 共 に 、 Realtek の M B R 「 RTL8139 」 を 使 っ て い た の で Web サ イ ト か ら プ ラ グ イ ン C: FAT32 18GB D: E: A Hub Cドライブのイメージをネットワーク経由で コンピュータ名:JACK, Jドライブの共有ホルダー Partsavに作る。 (rtsnd.cab)を Download して使 用しました。さらに使用しない cab ファイルは、削除して PS プ M B R ログラムを入れる容量を確保し た。もし、イーサネットカード のプラグインが無い場合は、残 FAT32 6GB FAT32 6GB C: D: OS:Windows2000 B FAT32 6GB E: FAT32 F: J:¥partsav 共有ホルダー J:¥partsav コンピュータ名:JACK 念ながらこの方法は使えません。 どうしても使いたい場合は、交換可能ならイーサネットカードを変えるという選択もありま す。右上図のようにAマシンのCドライブのイメージをネットワークを介してBマシン( OS windows2000, コンピュータ名:JACK)の J:¥partsav 共有ホルダーに Save する場合につ いて説明します。 - 79 - 1) ネットワーク利用可能フロッピーで起動 Aマシンで Bart’s Network Boot Disk で起動すれば、ほとんどデフォルトで進んでいけ ます。DHCP にも対応してます。ログオン名とパスワード、ワークグループは、B マシ ンの物を入力する。その後プロンプトが表示されますので、「msnet」と入力、現れた画 面から[MAP]を選択すると、右 図のような画面が出ますので Drive : に J を Path : に ¥¥JACK¥partsav と 入 力 す る。 これで A マシンから B マシン の J ドライブにある¥partsav ホルダーにアクセスすることが可能となります。B マシンにウイルス対策ソフトを導入 されている場合は、ファイアーウォールが邪魔をする場合があるので設定に気を付ける 必要があります。 2) Partition Saving での使用方法 引き続きプロンプトから 「savepart」と入力し PS を起動、右図の設定時に Drives:で J:を選択す ればセーブファイルを B マシンの J ドライブにあ る¥partsav ホルダーに セーブファイルを作るよ うになります。 8.比較 実際に使用してみての比較で す。Wash 等は、以前から使 用していましたので、動作的 には、問題が無く信頼があります。しかし、「Partition Saving」は、初めて使う物でこのソフ トがストアとレストアを完璧に出来るかどうかは、確信がありませんでした。そこで試験す るために次の事を行いました。テスト用パーテションを、先ず Wash でストアして確保して おき。次に同じパーテションを PS でストアします。その後、PS でリストアして、再起動し ストア前と変わりがないかチェックしました。チェックは良好で「Partition Saving」は、間違 いなくストアとリストア出来ることを確認しました。 3つのソフトは、セーブ先のファイル形式は、FAT32 でなければならない。という条件さえ 押さえておけば、失敗はあまり無いでしょう。次にセーブ時間とファイル容量、レストア時 間。また「Partition Saving」では、deflate(圧縮)の違いも含めて表にして示します。 - 80 - セーブ時間とファイル容量、レストア時間 (セーブ元 Cパーティション 全容量 1.02GB 中データは 797MB) セーブ時間 ファイル容量 レストア時間 wash 12分00秒 803MB 11分30秒 washp 23分30秒 509MB 7分30秒 0 8分16秒 827MB 7分27秒 1 11分44秒 488MB 6分01秒 Partition 2 11分57秒 484MB 6分00秒 Saving 3 12分30秒 481MB 5分57秒 5 13分32秒 468MB 5分51秒 9 32分06秒 466MB 5分51秒 deflate 比較結果 wash は、セーブ時間12分でレストア時間も11分30秒とセーブもレストアもほぼ同じで す。Washp は、ある程度圧縮できますが、セーブ時間が他のソフトに比べて掛かりすぎです。 Partition Saving は、無圧縮(deflate 0)の時、セーブとレストアの時間差が少ない。deflate 5と9では、セーブ時間が二倍以上掛かるのにファイル容量が2MBしか違わない。圧縮す る場合は、deflate 1が一番効率が良さそうである。又、圧縮した方が、レストア時間が延び るのではないかと予想していたが、逆の結果となりました。Wash 等は、今まで便利に使っ ておりましたが、これからは Partition Saving に切り替えて問題ないという結果を得た。 9.使用例 データは、windows98 を主に使用しているときは、HDD も容量が少なく HDD も高価でし たのでストアしたファイルをそのままにして置くことが勿体なかったのでファイルを 640MB で分割し、それを CD-R に焼いて保存していました。現在 windows2000 時代は、そ のまま HDD に置いておくことが多いです。新しいソフトをインストールする前とか OS の サービスパックを導入する前にストアをしておけば、何か不都合が起きても一発でインスト ール前に戻せるところが一番の利点です。又、少し前に世間を騒がせた blaster ワームなど のウイルスに感染しても感染以前に戻すことが出来ます。普段は3ヶ月に一回程度のセーブ を定期的にする。 ネットワーク対応起動ディスクのイメージを取り出して、 起動 CD-R(CD-RW)を作れば、FDD が無いマシンでも使える可能性があり、また、セーブする FAT32 領域がないマシンでもネッ トワークを利用してストアできる可能性があります。 10. おわりに 最近のメーカー製パソコンは、OS が WindowsXP で HDD のパーティションが分割されずに 120GB すべてを ntfs フォーマットで C パーティションのみの構成になっている物がありま す。更に HDD も増設できないく、network 使用も不可の場合、FAT32 の領域を確保するた めに市販のソフトを使わなければならない状況になってしまうのが残念なところです。 - 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