SGEC 認証制度に関する Q and A

SGEC 認証制度に関する Q and A
この文書は、最近よく聞かれる SGEC 認証制度に関する質問への回答をまとめて解説した
ものです。関係者の皆様の森林認証や SGEC に関するご理解のために、
「PEFC 認証制度に関
する Q and A」と共にご活用いただきたいと存じます。(2016 年 11 月)
質問
1.SGEC は設立当初どのような目的で設立されたのですか?
2.SGEC 認証制度は設立後どのような経過を経て改正されて来ましたか?
3.SGEC はなぜ PEFC と相互承認をしたのですか?
4.SGEC はどのようにして持続可能な森林経営を実現しようとしていますか?
5.SGEC は認証制度をどのように管理・運営しておりますか?
6.地域住民やアイヌの人々を含む社会のすべての人々が参加できますか?
7.特に、SGEC は先住民(アイヌの人々)の諸権利を尊重しておりますか?
8.SGEC は環境問題や社会問題に取り組むグループの参画を求めておりますか?
9.SGEC は林業や木材産業に従事する者の労働安全を守っておりますか?
10.日本の政府は SGEC 商品を合法かつ持続可能性を有する商品として公共調達政策の中に
取り入れておりますか?
11.日本の認証森林や認証材の割合はどのくらいですか?
12.SGEC は認証材を含んでいる率をどのようにして表示しておりますか?
13.SGEC はどのようにして SGEC や PEFC 認証材のサプライチェーンを築こうとしております
か? 特に、国産認証材を利用したビジネスを展開しようとしている人もいると思いま
すが、この要望に応えることができますか?
14.SGEC は PEFC との相互承認の下で SGEC/PEFC のロゴマークはどのように付けられており
ますか?
15. SGEC-CoC認証企業はPEFCとの相互承認のもとで、SGEC認証材とPEFC認証材を扱うこと
が出来ますか?また、PEFC-CoC認証企業はどうですか?
16.SGEC の森林認証(FM)基準は詳細にわたる多くのチェック項目を持っておると聞いてお
りますがどうですか?
17.SGEC 認証を受けた森林や CoC(企業)は毎年定期審査を受けておりますか?
18.SGEC 認証機関はその資質と独立性について点検を受けておりますか?
19.SGEC の要求事項や文書はすべて SGEC-HP 上で公開されておりますか?
1
20.認証製品はどこに行けば購入することができますか?
21.認証製品が有効かどうかはどのようにして解りますか?
22.相互承認以降は、SGEC 認証材は、PEFC のロゴマークを使えますか?
また、輸入された PEFC 認証材には、SGEC ロゴマークが使用できないのですか?
23.「ISO/IEC17065」の規定によって、認証機関、認証機関が属する同じ法人及び認証機関
の組織統制の下にある法人のいかなる部門もコンサルティング業務を行ってはならない
と規定しておりますが、具体的にどのように規定されておりますか?
24.日本は森林法に基づく森林計画制度が整備されており、国の管理する森林は国が、都道
府県及び市町村が管理する森林は当該森林を管理する地方自冶体が、それぞれ管理・経
営をしており、また、私有林についても市町村長が認定する森林経営計画制度が整備さ
れており、同計画を樹立して管理・経営を行うことができる仕組みとなっております。
このように、国内森林は、森林計画制度の下で国の方針に基づき実態に即してそれぞれ
の計画を樹立し管理・経営がされているなかで、なぜ森林認証制度に基づく FM 認証を受
ける必要があるのですか?
25.森林経営計画を策定しておれば、SGEC FM 認証を取得する上有利になりますか?
26.日本が未批准の国際条約等を SGEC 文書 3 に「遵守・尊重するべき国際条約等」として
掲載した理由は何ですか?
27.SGEC 管理材とはどのように規定されておりますか?
28.SGEC 認証原材料として主張する場合、
PEFC 認証材はどのカテゴリーに分類されますか。
仮に、
「その他の原材料」に分類されるとすると、PEFC 認証材は SGEC 管理材の投入原材料
として使用することはできますか?
29. 合法木材制度のいわゆる団体認定によって証明された木材・木製品は、CoC 規格に基づ
くデューディリジェンス・システム(DDS)、即ち、リスク評価は不要ではないですか?
30.認定機関が「IAF MLA メンバー」とはどのような意味ですか?
31. 小規模な森林経営に適した認証の仕組みはありますか?
32.複数の事業拠点を有する CoC 組織、特に小規模な独立事業体のネットワークを作る CoC
組織の認証の仕組みはありますか?
33.フランチャイズを経営する組織とはどのような組織ですか?
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1.SGEC は設立当初どのような目的で設立されたのですか?
SGEC認証制度の設立については平成14年に「SGECは森林認証制度検討委員会」において
検討され、その設立については次のような背景及び目的をもって進められました。
(1)1992年に、ブラジルのリオで開催された地球サミットが契機となって、森林問題がグロ
ーバル化する中で、森林認証は持続可能な森林管理の実現のために有効な手段であること
が一般的に認識され、国際的な森林認証制度の活動が活発化してきました。
(2)当時、国際的には種々の森林認証制度が存在しており、日本の林産物市場にそれらの認
証材が大量に流入する前に、日本においても、その自然的・社会的立地に即した森林認証
制度の整備を進めておく必要性が強く訴えられ、特に、日本の森林において森林認証が普
及・取得されていないが故に国産材が不利益を被る事態が生じることを危惧し、その防止
を図らなければならないことが強く意識されました。
(3)1990年代の世界の森林認証制度は、環境NPOによるFSC認証制度(FSC)が先行しました
が、森林認証制度に関心をもつ欧米各国を中心に、PEFC(ヨーロッパ)やそれぞれの国情
に沿って工夫した国家を基本的な単位とする森林認証制度が導入されてきておりました
が、当時、日本は先進国のなかで、その国固有の森林認証制度を擁していない数少ない国
の一つとなっておりました。
(4)日本は、海外には類をみない人工林の規模を有し、数世紀にわたる森林施業の歴史があ
り、他国に比べても優れた独自の「森林計画制度」や「保安林制度」が法制化され、これ
を基に森林を管理する仕組みが構築されておりました。こうした日本の実情を踏まえて、
森林認証制度の枠組みを考え、日本の森林は持続可能な森林経営に沿った管理が行われて
いることが内外に認知される仕組みを作る必要がありました。
(5)そのため、日本における森林認証制度は、幅広い国民の支持が得られるよう日本の自然
環境や生活環境、更には生物多様性の維持に配慮した森林を整備するという視点に立ち、
生態的特性などの自然的状況や社会的状況等を踏まえるとともに、森林の所有構造、人工
林率、林業経営の実情等の実態を考慮した、独自の日本型森林認証制度を確立する必要が
あると考えられました。
また、その認証制度は、世界に通用する国際性を有するとともに、森林計画制度や保安
林制度等の国の施策との整合性を確保し、森林管理の向上に寄与するものであるべきであ
ると考えられました。
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(6)このような考えの下で、2003年に緑の循環認証会議(SGEC)として日本型の我が国にふ
さわしい森林認証制度が設立されました。
(平成14年12月25日「我が国にふさわしい森林認証制度の創設に向けて(提言)」森林認
証制度検討委員会報告による。)
2.SGEC 認証制度は、設立後どのような経過を経て改正されて来ましたか?
SGEC認証制度の創設及びPEFCとの相互承認に至るまでの歩みは次の通りでありました。
(1)SGEC認証制度の創設(2003年)
緑の循環認証会議(SGEC)は、2003年に、森林・林業・木材産業界に関連する諸団体の
ほかNGOや市民団体など各界各層から創設発起人を募り、各界各層の賛同を得て参加団体
の総意の下に国内認証制度として創設されました。
また、SGEC認証制度の管理運営は、毎年開催するSGECフォーラムにより広くステークホ
ルダーの意見を聴くとともに、認証制度を運営する過程で提案される各界の意見を基に検
討し、関連文書を補正・改正しつつ実施しされてきました。
(2)
SGEC認証制度の見直し(2011年)
SGEC認証制度は、創設後8年が経過した時点で、約90万HAの認証森林とその認証森林
から生産された木材の加工・流通・販売を担う約400のCoC管理事業体のもとで運営され
ておりました。このような状況の中で、国産認証材の供給ネットワークを形成し、様々
な認証製品を提供しておりました。当時、認証森林及び認証材の加工・流通を担うCoC管
理事業体は、ほぼ全国に分布し、本制度を全国的に展開していく基礎的基盤は構築され
た状況にありました。
しかしながら、SGEC認証制度が本格的に全国展開を推進していくためには、より完成度
の高い制度に発展させ、国際認証制度との相互承認をも視野に入れる必要があり、 2011
年に次の視点に立って、組織の法人化及び認証制度の見直しが行われました。
但し、2011年の制度の見直しの時点では、国際認証制度としての諸条件を整備するこ
とができなく国内認証制度に止まりました。
① 組織の法人化
SGEC の組織について、従来の財団法人的組織機構を持つ任意団体から、一般社団法人
に改められました。
② 認証制度の見直し
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認証制度について、従来のSGECが自ら認証業務の全体を管理するシステムから、新制
度においては、SGECが公正・公平・公開の手続きのもとで認証スキームを策定し、認証
機関は独立の機関としてSGECが定めた認証スキームに基づき適合性評価に関する国際基
準に準じた認証業務手順のもとで公平・公正に認証を行う、システムに改められました。
但し、この時点では、日本の認定機関において、森林認証機関を認定する体制が整備
されていなく、認定機関から認定を受けた認証機関によるFMおよびCoCの認証体制を整備
することができませんでした。
③ 認証規格の見直し
SGEC FM規格(森林管理基準・指標・ガイドライン)及びCoC規格(CoCガイドライン)
について、認証実績、各ステークホルダーの意見を考慮しつつ、国際森林認証制度の認
証規格との比較・検証を行い、その見直しが行われました。
(3)国際森林認証制度との相互承認等の検討について
世界の森林認証が FSC と PEFC に二極化している中にあって、SGEC としては、今回の見
直しに基づき認証制度としての完成度を高めつつ、次の段階として、SGEC 認証制度のア
イデンティティー(日本国内森林・林業の振興による森林整備水準の向上に資する。)
の堅持を前提に、国際森林認証制度との相互承認について検討を進めることとなりまし
た。
3.SGEC はなぜ PEFC と相互承認をしたのですか?
SGEC は、2011 年には PEFC との相互承認を目指して制度の見直しを行い、更に、2014 年
7 月には PEFC に加盟し、引き続き 2015 年 3 月には相互承認を申請し、この度、2016 年 6
月 3 日付で PEFC 総会において相互承認が認められ、国際認証制度として出発することとな
りました。
具体的な PEFC との相互承認を実現した背景と目的は次の通りです。
(1)
世界では、森林の役割がグローバル化する中で、森林の減少・劣化に起因する二酸化
炭素の排出削減や森林の保全、持続可能な森林経営への取組が強く叫ばれております。
一方、日本においては、森林資源は成熟期を迎えつつあり、今後、適切な森林の取り
扱いを行い持続可能な経営を実現していくことが強く求められております。
(2) また、市民・消費者の循環社会に対する意識や環境に配慮された製品やサービスを選
択的に購入するグリーンコンシューマーとしての意識は高まってきており、これを機に、
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環境に配慮した認証材を広く社会に普及・浸透されるように強く啓発し、市場主導型(消
費者主導型)のサプライチェーンのもとで、持続可能な森林経営の実現することが重要
となって来ております。
(3)特に、日本にあっては、森林資源の成熟期を迎える中、認証材市場の活性化を通じて木
材の需要拡大を図り、国内林業、木材産業の振興を図ることが期待されております。
また、併せて、人口減少が社会問題化するなかで、今後の木材需要について強く懸念
されており、国産材を国際商品としての価値を持つ認証木材・木製品として輸出するこ
とも視野に入れた活動の展開が求められております。
(4)一方、2020 年に開催が予定される東京オリンピック・パラリンピックの競技施設等の整
備について、認証材の使用を進め、 我が国の「木の文化」を継承しつつ、適正な森林の
利用・保全を啓発する象徴的な事業として開催されることが強く期待されております。
(5)内外ともに森林認証制度に対する期待が高まるなか、世界の森林認証制度の現状は、FSC
と PEFC とに二極化する中で、PEFC は各国の森林認証制度のアイデンティティーを認めつ
つ世界的な森林認証のネットワークの確立を目指した積極的な活動が展開しております。
(6)このような背景のもと、SGEC は、PEFC との相互承認を実現し、SGEC 森林認証制度の国
際化を図り、その社会的認知度を高め SGEC 認証制度の普及・拡大を図るための基盤を確
立するとともに、SGEC 認証製品が国際認証商品としての地位を確保することを目指すこ
ととしました。
(7)PEFC との相互承認の下での SGEC 国際認証制度認証制度の仕組は次のとおりです。
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4.SGEC はどのようにして持続可能な森林経営を実現しようとしていますか?
(1)
PEFC との相互承認の下での SGEC 国際認証制度 は、「SGECFM 認証規格 7 つの基準」
に基づく SGEC-FM 基準によって持続可能な森林経営を実現することとしております。
即ち、SGEC-FM 基準は、モントリオール・プロセスを基本に日本の森林の自然的・社会
的立地に即して持続可能な森林経営を実現するための国際性を持った基準で、森林管理
に関する環境、社会及び経済の分野を網羅した基準です。 (SGEC 文書 3)
基準1 認証対象森林の明示及びその管理方針の確定
基準2 生物多様性の保全
基準3 土壌及び水資源の保全と維持
基準4 森林生態系の生産力及び健全性の維持
基準5 持続的森林経営のための法的、制度的枠組
基準6 社会・経済的便益の維持・増進及び地球温暖化防止への寄与
基準7 モニタリングと情報公開
(2) なお、モントリーオール・プロセスは、地球サミット(1992 開催)において採択され
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た「アジェンダ21」を受けて、森林経営の持続可能性を客観的に把握し評価するため
の科学的に信頼できる「基準・指標」として、日本を含め、米国、カナダ、ロシア、中
国等の12ヵ国が参加し、作成された国際的な取組の一つです。
5.SGEC は認証制度をどのように管理・運営しておりますか?
SGEC 認証制度の管理・運用に当たっては、以下の 4 原則を尊重し、森林の生物多様性、
生産性、再生能力、活力及び生態学的、経済的、社会的な機能を現在及び将来にわたって
果たす潜在能力を維持できる持続可能な森林管理の実現を基本に、関係団体及び関心を有
するすべての団体の参加の下に、透明性が確保され、かつ十分な協議がなされなければな
らないとしております。
<管理・運営 4 原則>
○ 持続可能な森林経営を基本
○ 認証制度の信頼性の確保
○ 認証制度の説明責任の履行
○ 認証制度の適応性・多様性の確保
6.地域住民やアイヌの人々を含む社会のすべての人々が参加できますか?
(1) SGEC は、全国的の、又は関係する多数のステーククホルダーの参加に基づき認証規格
を制定しており、地域住民やアイヌの人々を含む多くのステークホルダー(利害関係者)
の意見を聴いて認証規格を策定する仕組みを採用しております。(SGEC 付属文書 2-12)
(2)また、森林認証に当たって、森林管理者は、関係地域のステークホルダーを特定し、森
林管理について意見を聴き、協議を行うこととしております。また、必要に応じて市町
村から当該市町村森林整備計画策定に当たっての有識者等による審議経過について聴取
することとしております。
なお、森林管理計画等の策定においては、地元の森林所有者や地域住民などの現地の
森林に関する経験や知識を最大限に活用しなければならないとしております。
(SGEC文書3 基準5)
以上の通り、SGEC認証制度の管理運営に当たっては地域住民やアイヌの人々を含む社会
のすべての人々が参加でできる仕組みを採用しております。
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7.特に、SGEC は先住民(アイヌの人々)の諸権利を尊重しておりますか?
北海道内の森林管理者は、森林の認証にあたって次の手続きを行いアイヌの人々の諸権
利を尊重することとしております。(SGEC 文書 3 基準 5)
具体的に次のプロセスの下で森林認証審査を行うこととしております。
1
北海道内に所在する森林の管理者(以下「森林管理者」という。)は、森林認証を取
得するにあたって、当該地域に所在するアイヌの人々の地域の組織をステークホルダー
(利害関係者)として特定しなければならない。
この場合、森林管理者は、北海道内アイヌの人々の地域の組織について、必要に応じ
て関係市町村、北海道アイヌ協会等関係団体より情報を得た上で対応する。
2
森林管理者は、森林認証を取得に当たって、前「1」項で特定されたアイヌの人々の
地域の組織に対して、FPICに従い、説明会若しくは通信手段等を用いて当該森林の管理に
ついて意見を聴き、協議を行わなければならない。
3
森林管理者は、前「2」項の協議に当たっては、ILO169号及び「先住民族の権利に関
する国際連合宣言」に規定する先住民の権利等について十分に理解し、これを尊重しつ
つ、また、「人種差別撤廃条約」等を遵守しつつ、必要な対応を行い、公正な解決を図
るよう努めなければならない。
この場合、次の事項に十分配慮しなければならない。
▽アイヌの人々の伝統的、文化的、慣習に基づく諸権利の保護
▽アイヌの人々の歴史的、人類学的、文化的及び精神的に重要性を有する場所の保護
4
森林管理者は、前「1」項から同「3」項の規定に基づき、アイヌの人々の地域の組織
を特定し、その者から意見を聴き、協議を行った経過について、記録しておかなければな
らない。
以上の措置を行いアイヌの人々の諸権利を尊重することとしております。
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8.SGEC は環境問題や社会問題に取り組むグループの参画を求めておりますか?
SGEC は、決議機関として社員総会のほか「理事会」、理事会に対するアドバイス機関と
して「評議委員会」及び規格制定・改正にあたって最終原稿を策定する「専門部会」を設
置しており、正会員で構成される社員総会を除いて、それぞれの機関に環境問題や社会問
題に取り組む NPO 等の参画を求め、これら関係者の意見が十分反映されるような仕組みを
採用しております。(SGEC 附属文書 2-12)
(1)「理事会」は、学会、業界及びNPO・環境団体に所属する者がそれぞれほぼ三分の一
程度の人員が選任され、各般にわたって公平・公正な意見が反映される仕組みを持ってお
ります。
(2)「評議委員会」は、環境 NPO、社会 NPO が中心となる委員構成となっております。
(3)「専門部会」は、常設の環境 NPO,社会 NPO、経済・産業関係委員に加えて、公募による
委員就任を求めており、希望する環境や社会グループ等について SGEC 認証規格の検討・
策定に参画を求める仕組みを採用しております。
9.SGEC は林業や木材産業に従事する者の労働安全を守っておりますか?
林業・木材産業、特に林業は、事業地である森林の多くが山地に所在しており、労働環
境が区々であることや、林業事業体の大半が小規模・零細であり、他産業に比べ安全衛生
対策の実施能力が弱体である等の特殊性があります。このため、SGEC 認証制度においては、
労働安全に関する必要な訓練と指導を徹底し、安全作業の遵守による労働安全体制を確立
しなければならないとしております。
(SGEC 文書 3 基準 5)
10.日本の政府は SGEC 商品を合法かつ持続可能性を有する商品として公共調達政策の中に
取り入れておりますか?
日本国政府は、グリーン購入法により政府が調達する木材・木製品については、林野庁
が定めた「木材・木製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」に基づき森
林認証材等について、その対象としております。
11 日本の認証森林や認証材の割合はどのくらいですか?
SGEC 認証面積は 2016 年 6 月 30 日現在で約 150 万 HA、FSC 森林認証面積は 2016 年 5 月
6 日現在約 39 万 ha(林野庁ホームページ)で、認証森林面積は併せて約 189 万 HA とな
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っており、日本の森林面積の約 8 パーセントを占めております。
なお、日本の木材市場における認証材の流通量については現在把握しておりませんが、
今後の課題にしたいと思っております。
12.SGEC は認証材を含んでいる率をどのようにして表示しておりますか?
(1)
認 証製品に ついて、少 なくとも 70% 以上の認証 原材料を 含んでいるも ののみ が
PEFC/SGECのロゴマークを使用することが出来ます。
(2)
但し、SGEC認証製品について、 認証原材料認証率が70%未満10%以上の場合には、
「X%SGEC 認証」と表記して製品にSGEC ロゴマークを使用することができることとして
おります。
なお、認証材住宅の認証材の認証率については、構造材に占める認証材の認証率でも
可としております。(SGEC付属文書2-2)
13.SGEC はどのようにして SGEC や PEFC 認証材のサプライチェーンを築こうとしております
か?
特に、国産認証材を利用したビジネスを展開しようとしている人もいると思いま
すが、この要望に応えることができますか?
(1)
SGEC 認証制度は、PEFC との相互承認を行うに当たって、国産認証材利用の要請に対
しても応えられるように、SGEC 認証材(SGEC 認証主張、SGEC ロゴマークによる管理)
と PEFC 認証材(PEFC 認証主張、PEFC ロゴによる管理)の両方のプライチェーンの構
築を可能とする仕組みを採用しております。
(2) 具体的には、SGEC認証材(SGEC認証制度の基づき認証された木材)は、SGEC国産認証
材のサプライチェーン内で流通する場合にはSGEC認証材としての主張(SGECロゴマー
クの下での管理)を行い、SGEC国産認証材のサプライチェーンからPEFC国際認証材の
サプライチェーンに参入し流通する場合にはPEFC認証材としての主張(PEFCロゴの下
での管理)を行うシステムを採用しております。
(3) したがって、CoC認証企業は、その希望によって、SGEC国産認証材として使用したい
場合はSGEC認証材のサプライチェーンに参画でき、また、PEFC国際認証として使用し
たい場合にはPEFCのサプライチェーンに参画できます。
但し、この場合、一度PEFC認証材のサプライチェーンに入ったSGEC認証材は、PEFC
認証材として一括管理されるため、再びSGEC認証材として主張しSGECロゴマークを貼
布することはできません。
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(4) なお、SGEC-CoC認証企業は、SGEC及びPEFCの両方の認証材を扱うことができ、それぞ
れのロゴマークを表示することはできますが、PEFC-CoC認証企業はSGECロゴマークの表
示できなくSGEC認証材を扱うことができません。即ち、PEFC-CoC認証企業はPEFC認証規
格に基づき認証材を管理しますので、SGEC認証規格に基づく認証材の管理を行うことは
できません。ちなみに、SGEC-CoC認証企業は、SGEC認証規格にはPEFC認証規格を含めて
設計しておりますので、SGEC/PEFC両方の認証材の管理を行うことができます。
PEFC国際認証材市場とSGEC国産材認証市場
海外認証森林生産材
PEFC認証材の主張
PEFCロゴ
PEFC規格の
認定範囲内で
認定を受けた
認証機関にる
認証
日本国内認証森林生産材
PEFC認証材の主張
SGEC認証材の主張
PEFC規格
認証CoC
による管理
SGEC
ロゴマーク
SGEC規格
認証CoC
による管理
PEFCロゴ
PEFCロゴ
PEFC認証材
国際認証材市場
SGEC
ロゴマーク
SGEC規格の
認定範囲内で
認定を受けた
認証機関よる
認証、但し
SGEC規格に
PEFC規格を
含む。
SGEC認証材
国産認証材市場
注: 本図は日本国内における管理を表示
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14.SGEC は PEFC との相互承認の下で SGEC/PEFC のロゴマークはどのように付けられており
ますか?
(1)
SGEC は、SGEC-FM及び同CoC 認証を取得している企業等でSGECロゴマークの使用を希
望する企業等に対して、SGEC ロゴマークライセンスの発行について契約することがで
きます。この場合、SGECが発行するSGECロゴマークライセンス番号を表示したロゴマ
ークを使用していただくこととなります。
具体的には、SGEC ロゴマークの使用を希望する方は、SGEC ロゴマーク使用許可申請
を行って頂き、 SGEC ロゴマークの使用契約をSGEC と締結していただきます。この契
約によって、SGEC 及び当該SGECロゴマーク使用者は、それぞれの責務の適正な履行を
約定することとしております。(SGEC 附属文書2-2-1-1)
(2) また、SGECは、日本のPEFC認証管理団体(National Governing Body:NGB)としてPEFC
評議会との間でPEFC認証制度の管理に関する契約を締結しており、PEFCの委任を受け
てPEFCロゴの使用を希望する方とPEFCロゴライセンスの発行について契約を行うこと
ができます。
従って、PEFC ロゴライセンスの発行を希望される方は、SGECにPEFCロゴ使用許可申
請を行って頂き、 PEFCロゴの使用契約をSGECと締結して、PEFCロゴライセンス番号を
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表示したPEFCロゴを使用していただくこととなります。
(SGEC 附属文書2-2-1-2 、PEFC GD 1004「2009PEFC認証制度の管理運営」)
SGEC認証、 SGEC/PEFCロゴマークライセンス
取得手順 及びSGEC認定認証機関の公示
森林・CoC
認証申請者
認証申請
SGEC公示 認定認証機関
認証
SGEC認証機関
公示申請
SGEC認証機関
公示
認証報告
SGEC/PEFCロゴマーク使
用許可申請
SGEC/PEFCロゴマーク使
用許可契約
SGEC
PEFC認証管理団体(NGB)
認証公示
・SGEC認証取得
・SGEC/PEFCロゴマーク使用ラ
イセンス取得
SGEC登録システム
(認証取得事業体等登録・公表)
15. SGEC-CoC認証企業はPEFCとの相互承認のもとで、SGEC認証材とPEFC認証材を扱うこと
が出来ますか?
また、PEFC-CoC認証企業はどうですか?
SGEC-認証CoC企業は、認定機関より PEFC認証規格を含むSGEC認証規格に基づき(SGEC
認定範囲で)認定を受けた認証機関によって認証を受けていることから、SGEC認証材及
びPEFC認証材の両方を扱うことができます。また、PEFC-CoC認証企業は、PEFC認証規格
に基づき(PEFCの認定範囲で)認定を受けた認証機関によって認証を受けていることから、
PEFC認証材のみしか扱うことができませんのでご留意していただく必要があります。
16.SGEC の森林認証(FM)基準は詳細にわたる多くのチェック項目を持っておると聞いてお
りますがどうですか?
SGEC-FM認証規格は、モントロールプロセスを基本とし、「持続可能な森林管理のための
汎欧州施業ガイドライン(PEOLG)
」及び「PEFC ST 1003:2010持続可能な森林管理- 要求
事項」に適合させて策定されたSGEC-FM認証規格(緑の循環認証規格7つの基準」)を策定
しており、そのチェック項目については、SGEC附属文書2-10-4「SGEC森林管理基準適合性
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確認事項」において詳細に定め、これに基づき確実に認証審査のためのチェックを実施す
ることとしております。
このことにより、地域の自然的・社会的立地に即した持続可能な森林経営の実現を目指
すこととしております。
17.SGEC 認証を受けた森林や CoC(企業)は毎年定期審査を受けておりますか?
PEFC 認証書の保有者は、独立した認定認証機関から毎年定期審査を受け、また、5 年
毎には認証の更新審査を受けます。
(SGEC 文書 2 第 7 条及び第 14 条)
18.SGEC 認証機関はその資質と独立性について点検を受けておりますか?
SGEC 認証機関は、認定機関から認定を受けなければなりません。認定機関は、SGEC 認
証機関について ISO 国際規格(ISO/IEC17065)に基づき SGEC が認定する範囲内で認証審
査を遂行する資質・資格があるかどうかを検証します。また、認定機関は、平等かつ高
度な要求事項を保証する世界基準の枠組みである国際認定フォーラム(IAF)の加盟メン
バーでなければならないこととなっております。(SGEC 文書 2 第 19 条)
19.SGEC の要求事項や文書はすべて SGEC-HP 上で公開されておりますか?
SGEC の森林認証制度に関する要求事項及び文書は、すべて SGEC のウェブサイトで入手
可能です。(http://sgec-eco.org)
20.認証製品はどこに行けば購入することができますか?
消費者や顧客がSGEC認証商品を検索できるSGECのウェブサイトがあります。
(http://sgec-eco.org)
なお、現在このサイトは作成中です。近日中に公表できる予定になっております。
21.認証製品が有効かどうかはどのようにして解りますか?
SGEC が認める有効な森林管理認証書や CoC 認証書は、SGEC のウェブサイトにその番号
が記載されています。このデータには認証企業の詳細や認証書の保有者の名称、連絡先、
認証機関名、ロゴマークライセンス番号などが含まれます。
なお、詳細なデーターにいては現在作成中です。
15
22.相互承認以降は、SGEC 認証材は、PEFC のロゴマークを使えますか?また、輸入された
PEFC 認証材には、SGEC ロゴマークが使用できないのですか?
(1)相互承認以降、SGEC 認証規格に基づき認証された CoC 認証企業は、PEFC とロゴ使用
契約を締結することにより PEFC ロゴが使用できます。
(2)なお、CoC 認証企業が、PEFC とロゴライセンス契約を締結する場合は、SGEC が「日
本の PEFC 認証制度管理団体(NGB)」としてその手続きを代行することができます。
(3)外国産 PEFC 認証材については、SGEC-FM 認証規格(日本の森林に適用)に基づき認
証されていないことから、SGEC ロゴマークを使用することはできません。
23.「ISO/IEC17065」の規定によって、認証機関、認証機関が属する同じ法人及び認証機関
の組織統制の下にある法人のいかなる部門もコンサルティング業務を行ってはならないと
規定しておりますが、具体的にどのように規定されておりますか?
① ISO/IEC17065 の「4.2.6」で、「認証機関,並びに認証機関が属する同じ法人及び認証
機関の組織統制の下にある法人のいかなる部門も,依頼者へのコンサルティング(下記定
義参照)の申出又は提供を行ってはならない。」旨規定しております。
② 従って、認証機関等は,認証規格等を認証取得希望者・事業体に対して理解を得るため
十分に説明する義務は有しておりますが、下記に示す通り、個別の認証申請の FM 若しく
は CoC に直接関与し、その設計、実施等を行う行為はコンサルティング業務とみなされ、
これを行うことはできないこととなっております。
○「ISO/IEC17065」の「3.2 」のコンサルティング(consultancy)定義
次のいずれかに関与すること。
a)認証された又は申請された製品の,設計,製造,据付け,保守又は流通。
b)認証された又は申請されたプロセスの,設計,実施,運用又は維持。
c)認証された又は申請されたサービスの,設計,実施,提供又は維持。
注記 この規格では,“コンサルティング”という用語は,認証機関,認証機関の要
員,認証機関に関連する組織,及び認証機関にリンクされた組織の活動に関連して用
いられる。
24.日本は森林法に基づく森林計画制度が整備されており、国の管理する森林は国が、都道
府県及び市町村が管理する森林は当該森林を管理する地方自冶体が、それぞれ管理・経営
をしており、また、私有林についても市町村長が認定する森林経営計画制度が整備されて
おり、同計画を樹立して管理・経営を行うことができる仕組みとなっております。このよ
うに、国内森林は、森林計画制度の下で国の方針に基づき実態に即してそれぞれの計画を
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樹立し管理・経営がされているなかで、なぜ森林認証制度に基づく FM 認証を受ける必要が
あるのですか?
(1)日本においては、森林計画制度が整備され、各森林管理者が国の示した基本的な方針
に基づき、地域の実態に即して策定した計画に基づいて森林の経営・管理を行う仕組
みが整っており、森林の適正な管理を行う上で大きく寄与していることは論をまたな
いと思います。
(2)しかし、一方、森林認証制度は、国際的に合意された持続可能な森林経営に関する基
準(SGEC の場合はモントリオール・プロセス)を基本とした森林管理認証基準に基づ
き施業が実施されているか否かについて、ISO 国際規格(
「ISO/IEC 17065」
)に基づき
認定された認証機関による第三者審査を行うこととしております。
(3)更に、森林認証制度のシステムとしては、認証森林から生産される認証材について認
証森林情報をロゴマークの表示により市場や市民・消費者に提供し、認証材が国際森
林認証規格に準拠した環境に配慮されて生産された材であることを啓発する仕組みを
有しております。
(4) 以上にように、認証木材・木製品については、その生産・加工・流通段階において
第三者機関によって認証審査された森林情報及び CoC 管理情報が、市民・消費者に確
実に伝達されます。
このようなことにより、様々な由来や供給連鎖を持つ木材が混在している流通・市
場のなかで、国際森林認証規格に基づく、いわゆる環境に配慮した認証材のサプライ
チェーンを差別化することによって市場(消費者)主導型の国内若しくは国際的な認
証材供給ネットワークの構築することが可能となります。
また、このことを通じて、環境に配慮した認証材の需要拡大に繋がる供給ルートの
普及を促進し、国際森林認証規格に基づく持続可能な森林管理の実現する上で重要な
仕組を提供することができると考えております。
25.森林経営計画を策定しておれば、SGEC FM 認証を取得する上有利になりますか?
森林経営計画を策定している場合にあっても、そのこと自体によって認証取得に有利
となることはありませんが、森林経営計画を策定している場合には認証審査に必要な多
くの資料が整備されており、一般的に認証審査を効率的に実施することができます。
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26.日本が未批准の国際条約等を SGEC 文書 3 に「尊重するべき国際条約等」として掲載し
た理由は何ですか?
日本が未批准の国際条約等に関しては、日本が未批准であっても加盟国家間等で合意さ
れたグローバルスタンダードとなっており、SGEC としては、認証業務を進めるに当たっ
てこれを尊重して進めることしております。
27.SGEC 管理材とはどのように規定されておりますか?
SGEC 管理材の制度は、CoC 認証企業の CoC からの認証原材料・製品以外の全てについて
デューディリジェンス・システム(DDS:リスク管理システム)を実施していることを証
明する制度です。
従って、SGEC 管理材としての主張は、CoC 認証企業の CoC からの原材料・製品のうち、
SGEC 認証原材料・製品以外の全ての原材料・製品について使うことができます。
この場合、当然 CoC 認証企業は調達する全ての原材料・製品についてリスク管理システ
ム(DDS)を実施していなければならないこととなっております。
具体的なリスク管理システム(DDS)と SGEC 管理材の主張について次の図1及び図2に
示します。
図1
DDS と SGEC 管理材の主張(物理的分離方式)
入荷
X%SGEC
認証
SGEC
管理材
選択肢
主張なし
由来と樹種の情報へのアクセス
SGEC
DDS
根拠に基づくコメントまたは苦情の確認
リスク評価
なし
苦情あれば
リスク評価
なし
苦情あれば
リスク評価
認証原材料
小さいリスク
重大なリスク
リスク軽減:
小さいリスク
問題あり
認証原材料
加工
認証
原材料
その他の
原材料
販売
X%SGEC
認証
SGEC
管理材
凡例: 小さいリスク:無視できるほど小さいリスク
重大なリスク:注目すべき重大なリスク
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CoC に投入
しない
図2
DDS と SGEC 管理材の主張(パーセンテージ方式)
入荷
X%SGEC
認証
SGEC
管理材
主張なし
由来と樹種の情報へのアクセス
SGEC
DDS
根拠に基づくコメントまたは苦情の確認
リスク評価
なし
苦情あれば
リスク評価
なし
苦情あれば
リスク評価
認証原材料
小さいリスク
重大なリスク
リスク軽減:
小さいリスク
問題あり
認証原材料
加工
認証
原材料
販売
X%SGEC
認証
CoC に投入
しない
その他の
原材料
又は
クレジット方式
X%SGEC
認証
SGEC
管理材
凡例: 小さいリスク:無視できるほど小さいリスク
重大なリスク:注目すべき重大なリスク
28.SGEC 認証原材料として主張する場合、
PEFC 認証材はどのカテゴリーに分類されますか。
仮に、
「その他の原材料」に分類されるとすると、PEFC 認証材は SGEC 管理材の投入原材料
として使用することはできますか?
(1)SGEC 認証原材料として主張する場合、PEFC 認証材については SGEC の「投入される原
材料のカテゴリー」に関する要求事項を規定する「その他原材料」」に分類されます。ま
た、この場合、PEFC 認証材については、PEFC 認証材は「SGEC 管理材の投入原材料」に関
する要求事項を規定する「その他原材料」」に SGEC 管理材として分類されることが可能
となります。(SGEC 付属文書 4-1)
(2)なお、SGEC 認証材について、PEFC 認証の主張を持つ原材料とすることを希望する場合
には、PEFC で規定する「認証原材料」として分類されることが可能(注)です。
(SGEC 附属文書 4-1、PEFC ST 2002:2013 の付属文書1「PEFC 主張の仕様書」)
(注) SGEC が PEFC と相互承認することによって、SGEC 認証材の主張を持つ原材料について
は、PEFC 認証材の主張を持つ原材料とすることができます。但し、外国産 PEFC 認証材につ
いては、SGEC-FM 認証規格(日本の森林に適用)に基づき認証されていないことから、SGEC
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認証材の主張を持つ原材料とすることはできません。
29. 合法木材制度のいわゆる団体認定によって証明された木材・木製品は、CoC 規格に基づ
くデューディリジェンス・システム(DDS)即ちリスク評価は不要ではないですか?
「業界団体認定」(注)による証明は、業界の自主的行動規範の基づき実施されており、 第
三者認証に基づく森林認証制度とは、基本的にその性格を異にします。従って、「業界団体認
定」の証明をCoC認証規格に基づくリスク評価の資料としてとして活用するためには、当該証
明に係る資料として検証可能な書類が添付され、これに基づき第三者機関による検証(評価)
を行うことが必要です。
(注)「業界団体認定」は、林野庁「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のための
ガイドライン」の「2 の(2)」に基づく認定であります。
30.認定機関が「IAF MLA メンバー」とはどのような意味ですか?
認定機関は、国際認定フォーラム(International Accreditation Forum:IAF)加盟の認
定機関から派遣される相互評価員の評価を受 け、ISO/IEC 17011 に適合していることが確
認され、IAF の相互承認協定(Multilateral Recognition Agreement: MLA)にサインを行っ
た機関であるとしております。
31. 小規模な森林経営に適した認証のシステムはありますか?
(1)日本の森林の経営形態は、多数の小規模経営によって構成されているという特徴を持
っております。小規模森林経営の限られた収入、森林管理行為と収入の周期性、情報や
知識の限られた入手手段、持続可能な森林管理に関する基準の一部についてその遵守に
限界があることなどは、小規模森林経営について森林認証を進めるに当たって大きな阻
害要因を持っております。
(2)このような中で、グループ森林管理認証は、小規模森林所有者が森林認証を個々に取
得することに対する代替アプローチの手段として、森林所有者が森林認証に係る経費の
負担軽減や持続可能な森林管理に関する基準の順守など森林管理に関する共通の責任を
共有することを可能にする「単一の認証書」の下で認証取得を行うシステムで、小規模
森林経営の認証取得を支援します。また、このシステムは、個別の森林所有者相互にお
ける情報の交換・浸透や協力・連携を目指すシステムでもあります。
(SGEC付属文書2-4)
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32.複数の事業拠点を有する CoC 組織の認証ステムはありますか?
特に、小規模な独立事業体のネットワークを組織する CoC 組織の認証のシステムはあり
ますか?
(1) 複数の事業拠点を有するCoC組織の認証としては、統合CoC管理事業の認証システムが
あります。このシステムは、事業拠点のネットワークを有する組織によるCoC認証を実施
のための指針を設定し、このことにより、一方ではCoC認証について効率的・効果的かつ
実務的に実行可能であることを確実し、他方ではCoC認証の適合性に関わる信頼性を確保
することにあります。
特に、この認証システムは、小規模な独立事業体のグループにおけるCoC認証の実施を
可能にします。
(2)具体的なシステムとしては、複数のCoC管理事業体(事業拠点)により形成される組織が、
協業組織若しくはその他の契約関係で結ばれ、一つのCoC管理事業体として管理する中央組
織のサーベイランス(調査・監視)の対象となる共通のCoC管理を行うことを条件として、
一つの統合CoC管理事業体のCoCとしてその認証及び公示を行うことができることとなって
おります。
(3)この場合、事業拠点は、統合CoC 管理事業体の本部と法的関係又は契約関係で結ばれ、
本部による継続的な監査を受ける共通のCoC の対象でなければならないとしております。
本部は必要に応じて事業拠点において是正措置を実行する権利を有し、このことについて
は本部と事業拠点の間で約定しておかなければならないとしております。
具体的な統合CoC 管理事業体の形態としては次のものがあります。
① フランチャイズを経営する組織
② 所有者、経営者又は組織上の連結を通して連結された多数の支店を有する組織
③ 生産者グループは、CoC 認証を目的として設立され、機能する法的に独立した企業で
構成されたグループで、一つのCoC管理事業体として当該CoC管理を行う事業体
(SGEC付属文書2-8)
33.統合 CoC 事業体の一形態である「フランチャイズを経営する組織」とはどのような組織
ですか?
統合CoC管理事業体の一形態である「フランチャイズを経営する組織」は次のような組織
とします。
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(1)
フランチャイズとは、事業者(フランチャイザー)が、他の事業者(フランチャ
イジー)との間で契約を結び、自己の商標、サービスマーク、トレードマーク、トレ
ード・ネームその他の営業の象徴となる標識、及び経営のノウハウを用いて、同一の
イメージのもとで商品の販売その他の事業を行う権利を与える、一方、フランチャイ
ジーは、その見返りとして一定の対価を払い、事業に必要な資金を投下してフランチ
ャイザーの指導及び援助のもとに事業を行う継続的な関係をいう。
(
(一社)日本フランチャイズチェーン協会の定義)
(2)フランチャイズビジネスでは、フランチャイザーがフランチャイジーにフランチャ
イズパッケイジとして次の特権が与えられます。
即ち
・フランチャイザーの商標(マーク)
・フランチャイザーが開発した生産・加工・販売その他経営上の技術(ノウハウ)
・フランチャイザーのイメージを維持し、高めるための指導・援助
(SGEC 付属文書 2-8)
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