公募型ESCO事業に関する提案と要望

公募型ESCO事業に関する提案と要望
平成15年9月
ESCO推進協議会
企画委員会
標準公募条件提案WG
目次
目的 ..................................................................................................................................... 1
第1章 募集条件に関する提案................................................................................ 2
1.1 「その他役割」企業の参加 .......................................................................... 2
1.2 情報の不足 ......................................................................................................... 2
1.3 提案書作成に係る時間の不足 ...................................................................... 3
1.4 サービス料金の上限設定による制約 ......................................................... 5
1.5 保険種目の特定 ................................................................................................ 6
1.6 行政財産の使用料 ............................................................................................ 6
1.7 固定資産税の免除 ............................................................................................ 6
1.8 想定外の諸税負担 ............................................................................................ 7
1.9 工事仕様の準拠 ................................................................................................ 7
1.10 データ不備等のリスク ................................................................................. 8
1.11 開始前メリットの適正評価 ........................................................................ 8
1.12 ESCO 事業終了時の設備の扱いに関する取り決め ........................... 8
1.13 ESCO 事業者ノウハウ流出の防止 .......................................................... 9
1.14 提案審査結果の内示 ..................................................................................... 9
1.15 次順位以下に対する応募コストの一部負担 ......................................... 9
1.16 現場事務所用用地等の確保 ...................................................................... 10
第2章 応募手続きに関する問題点と対応策 ................................................... 11
2.1 ESCO 実績(契約書)の提出 ................................................................... 11
2.2 電子媒体での資料配付 ................................................................................. 11
2.3 工事費積算の必要性について .................................................................... 11
2.4 事業資金計画書の改訂 ................................................................................. 12
第3章 契約条件に関する問題点と対応策........................................................ 16
3.1 ボーナスの付与 .............................................................................................. 16
3.2 総期間での保証値クリア ............................................................................. 16
3.3 複数社による連名契約 ................................................................................. 17
3.4 事業役割会社の SPC への履行保証免除 ................................................ 19
3.5 債権の取り扱いについて ............................................................................. 22
3.6 事業者倒産時の設備の取り扱いについて .............................................. 22
3.7 不可抗力被害の負担割合 ............................................................................. 23
3.8 金利の見直し ................................................................................................... 23
3.9 第三者賠償時の負担割合 ............................................................................. 25
3.10 サービス料金の分割支払 .......................................................................... 25
3.11 エネルギー価格変動の問題 ...................................................................... 26
3.12 事業中止時の費用負担 ............................................................................... 26
3.13 契約解除時の違約金 ................................................................................... 26
3.14 事業者の責によらない維持管理費負担増 ........................................... 27
3.15 ESCO 設備の損傷 ....................................................................................... 27
第4章 事業者選定方法に関する問題点と対応 ............................................... 28
4.1 非競争的提案→随意契約方式の提案 ....................................................... 28
4.2 公的第三者機関によるチェック................................................................ 28
平成 14 年度
平成 15 年度
調査・企画委員会 標準契約書ガイドライン作成WG委員名簿
企画委員会 標準公募条件提案WG委員名簿
目的
自治体での ESCO 事業導入は年々増加する傾向にあり、今後も普及拡大するこ
とが期待されています。
ESCO 事業の特徴は、実施した省エネルギー改修工事の省エネ効果を保証する
ところにありますが、これを実現する為には、ESCO 事業者の提案による工事仕
様により、設計・施工を同一事業者に発注することが必要になります。
これまで一般的に行われてきた公共調達では、設計の発注に基づき仕様が決
まり、施工については価格を重視した入札方法が採用されてきました。この入
札方法には運営面への批判もありますが、基本的には公正で、合理的な枠組み
として評価されてきました。しかし、既存の入札方法では ESCO 事業の効果を最
大限に引き出すことができないばかりか、省エネ保証を実現することができま
せん。ESCO 事業を導入するために、現行制度下で合理的な事業調達を行う新た
な手法を開発する必要性が生じた訳です。
自治体への ESCO 事業導入は、三重県庁、三鷹市役所に始まり、現在の ESCO
事業調達形態の原型となっていますが、2001 年に行なわれた大阪府立母子保健
総合医療センター省エネルギー事業では、民間資金活用型の本格的な ESCO 事業
導入が行われ、また、2003 年に実施された、埼玉県総合リハビリテーションセ
ンターESCO 事業では本格的な PFI 事業として導入され、現在の ESCO 事業調達方
法が形成されるに至っています。ここに至る過程では、制度面の検討はもちろ
ん企画、財務、営繕、契約、議会、事業主体といった様々な担当者との意見調
整、中央官庁との折衝、補助金制度との摺り合わせなど多岐にわたる検討が加
えられてきました。
現在行われている ESCO 事業調達では、ESCO 事業を合理的に調達し、自治体及
び事業者双方が公正に強調する枠組みが実現しつつあります。しかし、これま
での公共調達の枠組みが残るために、合理的な ESCO 事業調達が実現していない
部分も残されています。また、自治体により公募条件が異なり、一部には ESCO
事業の特徴をうまく活用することが難しいと思われる事業もみられます。
ESCO 事業は、温暖化対策を推進する切り札として普及拡大することが期待さ
れている事業であり、ESCO 事業者は、事業を通じて自治体のパートナーとして
温暖化対策に貢献することが可能になると考えています。
この冊子は、自治体が ESCO 事業者の能力を最大限活用しつつ、ESCO 事業者が
本当の意味で、自治体のパートナーとして事業に参画することが可能な調達方
法を実現するための提案と要望をとりまとめたものです。
1
以下では、ESCO 事業調達の手順に従い、第 1 章 募集条件に関する提案、第
2 章 応募手続きに関する提案、第 3 章 契約に関する提案、第 4 章 事業者選
定に関する提案の構成になっています。
また、冊子の最後に契約条件の基礎となる「予想されるリスクと責任分担表」
を掲載しています。
第1章 募集条件に関する提案
募集条件は、事業の基本的枠組みを定めるもので、設定された条件により事
業の効果が大きく左右されることがあります。募集条件には最終段階での ESCO
事業者との直接交渉に係わる条件以外の調達条件のほとんどが含まれるからで
す。
第 1 章では、応募に際し、ESCO 事業者が提案書を作成し、審査を経て最優秀
事業者が決定するまでの過程における問題点を中心に取り上げます。ただし、
応募手続きについては、ESCO 事業者側の作業となることから第 2 章で、また契
約条件については、契約書の作成に直接関わることから第 3 章で取り上げてい
ます。
1.1 「その他役割」企業の参加
ESCO 事業公募の際には、応募者の役割として「事業役割」「設計役割」
「建設役割」の 3 種類の役割が用意されているのが一般的です。
これは、
ESCO 事業が、従来の公共工事とは異なり、建設工事とサービス提供が一
体となったものであること、これら 3 者の役割を大手企業 1 社で調達す
ることが必ずしも得策ではなく、中小の企業がノウハウを結集する方が
かえってより良い提案をすることがあることに配慮したものです。しか
し、この 3 者の役割の中には例えば「メンテナンス」「燃料供給」「金融」
といったサービスを提供する事業者の参加が想定されていません。事業
内容によっては、これらのサービスを同時に提供し、よりメリットの大
きい提案が可能になることも考えられます。従って、
「事業役割」「設計
役割」「建設役割」の他に「その他役割」を設け、多様な事業者のノウ
ハウが活かされるよう配慮することが得策と考えます。
1.2
情報の不足
ESCO 事業公募の際の現地説明会、及び現地調査は一日で実施されるケ
ースがほとんどです。参加する企業が多い場合には現地調査に十分な時
間をかけることができず、調査が不十分のまま、提案内容を検討せざる
を得ない場合も生じます。現地調査なども十分な時間を用意する方が、
2
ESCO 事業者の物件への理解を深めることに役立ちます。もっとも、対象
施設が運転中の既存ビルであり、現地調査に多くの時間を用意できない
のも現実です。
一般に公募対象となる物件については、公募前に自治体が事前の省エ
ネルギー診断を行い、ESCO 事業の事業化可能性を検討していることがほ
とんどと考えられますが、この際の省エネ診断結果を公募時の参考資料
として公表することは、事業者にとっては、短い時間制約(1.3 を参照
して下さい。)の中で、より良い提案を行うためには有効と考えます。
また、公募前の省エネルギー診断等、事前の作業にかかわった事業者
は公募の際に有利な立場に立つ訳ですが、PFI 事業では、公平性を保つ
目的で、事前作業に関与した事業者が公募に参加することを認めていま
せん。ESCO 事業については、この取り扱いは自治体によって異なります。
事前の作業に関与した事業者が存在した場合は特に、事前の省エネル
ギー診断などの検討結果を公表することは、公平性を高めるためにも有
効な手段になるものと考えます。
1.3 提案書作成に係る時間の不足
現状における ESCO 事業提案公募では、以下に示すようなスケジュー
ルで行われることが非常に多くなっています。
公募開始
1月
債務負担行為設定(議会承認)2月
提案
3月
事業者選定
3月末
補助金申請
翌年度5月
補助金交付決定
翌年度8月
次年度予算化作業
翌年度8月∼
ESCO 契約締結
翌年度9月
工事期間
翌年度9月∼3月
ESCO サービス開始
翌々年度4月∼
このような日程になるのは、多くの自治体の予算要求が 10 月に開始
し、内定が年末になるために、予算の内定が確認できる年末から年始に
かけて公募が行われ、翌年 4 月に行われる補助金申請のタイミングに合
わせるようにスケジュールを組むためです。結果的に多くの ESCO 事業
公募の提案締め切りが年度末に集中することになります。この結果が招
3
く弊害には以下をあげることができます。
(1)自治体における公募が集中するため、事業者が提案書の作成に対
応しきれない。
(2)民間企業においても繁忙期にあたる年度末に ESCO 事業提案募集
が重なる。
(3)事業者の決定から補助金申請までの準備期間が短い。
このようなスケジュールを回避するには以下に示す 3 つの方法が考え
られ、実際に採用されている自治体もあります。
(1)補助金の申請が春秋の 2 回に分けられていることから、秋の補助
金申請を前提にスケジュールを組む。
(2)初年度は公募用の事務費のみを予算化し、10 月までに公募を行い、
最優秀事業者を決定し、この提案内容をもって事業費の予算獲得
を行うスケジュール。この方法は、2003 年 7 月に公募が実施され
た「大阪府羽曳野病院 ESCO 事業」で採用されました。ただし、
夏期に公募が集中すると同じような問題が起こりかねませんか
ら、なるべく早い時期に公募を開始する方が得策と考えます。
(3)公募用の事務費のみを 6 月の補正予算で確保し、7 月以降に公募
を開始、10 月までに最優秀事業者を選定し、予算獲得を行うスケ
ジュール。この方法は 2003 年 9 月に公募が実施された「三鷹市
公共施設に係わる省エネルギー対策事業(ESCO 事業)」で採用さ
れました。
【大阪府羽曳野病院 ESCO 事業スケジュール】
公募開始
7月
提案
9月
選定
9月末
債務負担行為設定(議会承認)
3月末
補助金申請
翌年度5月
補助金交付決定
翌年度8月
次年度予算化作業
翌年度8月∼
ESCO 契約締結
翌年度9月
工事期間
翌年度9月∼3月
ESCO サービス開始
翌々年度4月∼
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【三鷹市公共施設 ESCO 事業スケジュール】
提案公募予算化作業
6月補正予算
公募開始
9月
提案
11月
選定
11月末
(※以降、大阪府羽曳野病院 ESCO 事業と同様)
債務負担行為設定(議会承認)
補助金申請
補助金交付決定
次年度予算化作業
ESCO 契約締結
工事期間
ESCO サービス開始
3月末
翌年度5月
翌年度8月
翌年度8月∼
翌年度9月
翌年度9月∼3月
翌々年度4月∼
1.4 サービス料金の上限設定による制約
ESCO 事業を計画する際にも、他の公共工事同様、予算規模を定めて公
募することが一般的です。一般の公共工事と ESCO 事業が異なるのは、
ESCO 事業の場合は事業者の提案内容によって、省エネルギー効果も工事
金額も異なる点です。工事金額が大きくなっても省エネルギー効果が高
ければ費用対効果が高くなることがしばしば起こります。
ESCO 事業公募の際の予算は、予定価格ではなく、上限価格で確保する
のが一般的ですが、上限価格が決まっている場合は、これ以上のサービ
ス料金の提案は、たとえ費用対効果が高い提案であっても、受け付ける
ことができなくなります。このことは、事業者の創意工夫や技術検討の
制約条件になります。また、自治体の担当者にとっても懸念材料になる
ことから、公募前の事前の省エネルギー診断は慎重に行うことが重要に
なってきます。しかし、どんなに慎重に省エネルギー診断を行っても、
これを超える提案が事業者から行われる可能性が無くなる訳ではあり
ません。
このような弊害を克服する策として、上限価格を設ける必要の無い
ESCO 事業公募を行っている事例もあります。「大阪府羽曳野病院 ESCO 事
業」や「三鷹市公共施設 ESCO 事業」の場合は、初年度予算では ESCO 事
業の公募費用のみを予算化するため、事業費(債務負担限度額)の予算
は事業者からの提案内容に従って獲得しています。特に、計画段階で事
業内容を特定しにくい場合には、このような方策を採用することが有効
と考えます。
5
1.5 保険種目の特定
ESCO 事業は長期に及ぶ事業であるため、予見可能なもの、予見不可能
なものを含め様々なリスクが生じます。このようなリスクは、提案内容
により異なると同時に事業の採算性にも影響することから、事業者は自
らのリスク回避のために各種保険を付保することで保全を図っていま
す。もちろん、リスク回避と事業採算性のバランスを考慮して加入すべ
き保険が選択されています。従って、一律的な保険への加入を前提とし
た公募を行うことは、提案内容によってはリスク回避に支障をきたす、
あるいは事業採算性に影響を与えることが考えられます。
そのため、提案公募段階では、適切な保険に入ることを募集要項内に
明示し、原則として事業者の提案を重視することが有効と考えられます。
この場合は、最優秀提案者を特定した以降の詳細協議の段階で適切な保
険種目等を決定し、契約書に明記することになります。
1.6 行政財産の使用料
シェアード・セイビングス契約型(以下「民間資金活用型」という。
)
の ESCO 事業においては、設置した ESCO 設備は民間事業者の所有となる
ため、設置箇所の行政財産使用料の支払いを求められることがあります。
行政財産使用料は結局、事業者の事業費に反映されることから結果的に
は自治体の負担となり、事業上のメリットは無くなってしまいます。PFI
事業の場合には、ガイドラインで行政財産使用料の減免または免除が奨
励されていますし、これまでの ESCO 事業でも行政財産使用料の免除措
置が取られるケースは多くみうけられます。
行政財産使用料に関する規定は自治体により異なるものと考えます
が、ESCO 事業においても出来る限り免除されるよう配慮いただくよう望
みます。
1.7 固定資産税の免除
民間資金活用型の ESCO 事業では、固定資産税を徴収されることがあ
ります。固定資産税も結局は事業費に反映されることから、事業の採算
性に影響を与えることとなり、これを免除した方が、自治体にとっても
メリットが広がります。
市町村の場合は独自の判断で可能ですが、都道府県の場合には、所管
する自治体の長の承認を得る必要があることから、固定資産税が免除さ
れないことがあります。
6
固定資産税についても、ESCO 事業のような性質の事業に対しては、出
来る限り免除の方向で検討いただきたい。
1.8 想定外の諸税負担
新税や税率の変更は、事業の採算性に影響を与えることから、契約時
にどちらが負担するかを合意しておく必要があります。
新たに設けられる税金、税率の変更による税金等の負担増リスクは、
原則として自治体にあると考えられます。ただし、法人税等の収益目的
税に関する負担増リスクは事業者が負担すべき性質のものと考えます。
1.9 工事仕様の準拠
公募型プロポーザル方式では、事業者からの提案内容の良否が審査の
重要な要素になっています。一般の公共工事と異なる点は、事業者が保
証する条件は、自らが提案した仕様を条件とする点であり、工事仕様が
異なれば、全体の計画や保証条件も異なることになります。また、事業
者が保証する範囲は、光熱水費を主体とする経費削減分で賄うことが可
能な工事であり、妥当な回収期間を無視した工事は保証の範囲ではあり
ません。
しかし、提案公募により選定された事業者が、実際の工事に際して、
自治体から提案内容とは異なる工事仕様を求められる場合や、公募条件
の中で妥当な回収期間を無視した提案が要求される場合も見られます。
事業者が保証する範囲は、工事仕様によって大きく影響を受けることに
なりますから、工事仕様の設定には十分な配慮が必要です。
ESCO 事業の保証は、事業者の提案の範囲内で事業が行われることが前
提になります。提案内容以外の工事を事業者に発注する場合には、事業
者が保証する提案部分と、追加工事等により仕様が異なる部分を明確に
分離し、計画内容、契約条件に充分反映させるようお願いします。
また、事業計画段階から特定の工事を要求する場合、あるいは仕様変
更を想定している場合には、その旨を公募説明資料に明記し、応募者間
に不公平が生じないよう配慮すると共に、契約条件に反映いただきたい。
さらに、契約交渉過程において仕様変更が発生した場合にも同様の対応
を望みます。
ただし、PFI 法に拠らない民間資金活用型の ESCO 事業においては、自
治体の要求による追加工事が省エネルギー効果による採算性に乗らな
い部分については、合法的な判断が未だされていない点について留意す
る必要があります。
7
1.10 データ不備等のリスク
事業者選定の根拠となる ESCO 提案は、公募段階で自治体から提示さ
れる資料やデータを基に作成されます。公募審査の結果、選定された最
優秀提案者は、ESCO 契約締結を前提に、詳細設計等を含む詳細診断を実
施しますが、公募時に自治体から提示されたデータ等に不備があり、当
該施設の現状と著しい乖離がある場合には、当初見込まれていた省エネ
ルギー効果や事業採算性の見直しを迫られることが考えられます。
一方で、自治体で用意するエネルギー消費等のデータは元々、ESCO 事
業公募用に整備されたものではなく、データロガーの老朽化等、ある程
度の誤差が含まれます。
これらの条件を考慮し、詳細診断の段階で事業者は充分な注意を払っ
た上で詳細設計を行う配慮が必要になるとともに、データ不備による計
画変更等の必要が生じた場合には、自治体と事業者が充分協議し、柔軟
に対応することが望まれます。
1.11 開始前メリットの適正評価
ESCO サービスは工事の完了後に開始することが一般的です。しかし、
ESCO サービス開始予定日よりも早期に工事が完了する部分については、
部分的ではありますが、光熱水費も削減されています。この効果がきち
んと確認できる場合はこのメリットを ESCO 事業による成果として適正
に評価することを望みます。
契約方法によっては、具体的な事業者への支払いとしての還元が難し
い場合も考えられ、そのような場合には、事業開始前に発生したメリッ
トを仮想の貯金という形式で担保し、契約期間中の効果検証の際に流用
できるものとする方法が考えられます。
さらに、機器の更新を含む事業の場合は、市民や外部に対しての説明
用として、機器の償却費やメンテ費が浮いた分を当該ESCO事業実施によ
る自治体のメリットとして評価していただきたい。
1.12 ESCO 事業終了時の設備の扱いに関する取り決め
シェアード・セイビングス契約を BOT(Build→Operate→Transfer)
方式で結ぶ場合、事業終了時に ESCO 設備の所有権を自治体に引き渡し
ます。この際、譲渡価格の決め方、あるいは撤去費用の負担者を自治体
と事業者のどちらにするかの判断により、事業終了時に要する経費には
大幅な差が生じ、サービス料金の設定にも影響します。このため、提案
8
公募時点では、全ての応募事業者の提案書作成に係る計算条件を同一に
するため、事業終了時の設備の扱いに関する前提条件を明確に示してい
ただきたい。ただし、事前にその判断をすることが難しい場合は、「ESCO
事業終了時の設備の扱いについては、簿価並びに撤去費用を考慮しない
方法で計算すること」とし、所有権については、自治体と事業者で協議
が出来るものとしておくことが望ましいと考えます。
1.13 ESCO 事業者ノウハウ流出の防止
提案公募により提出される ESCO 提案書の内容は、各応募事業者のノ
ウハウとして充分に保護される必要があります。このため、募集要項で、
選定された事業者の提案以外に、他の事業者からの省エネルギー提案を
当該事業には使用しない旨を明示しておくことが望まれます。このよう
な措置をとることにより、事業者が安心して自らの持つ経験や技術力を
充分発揮することができることから、結果としてより優れた提案を事業
者から受けることが可能になると考えます。
1.14 提案審査結果の内示
提案審査基準は予め公表されますが、審査結果についての公表内容は
各自治体によって異なっています。
提案内容の詳細については提案者のプライバシー保護の観点から公
表の対象になるものではありませんが、審査における採点結果について
は、事業提案に参加した事業者からの要請に従い、個別に応じることは
これまでも採用されており、このような対応が一般化することが望まれ
ます。
また、採点結果の公表範囲については、総合得点と共に各審査項目毎
の得点を対象とすることは、審査の公明性をより明確化させる側面を持
つと同時に、落選した応募事業者にとっては、自らの提案の自己採点を
可能にする側面を持つものと考えます。
1.15 次順位以下に対する応募コストの一部負担
提案公募に応募する際の提案書作成経費は、現状では応募者負担とな
っています。しかし、最適な省エネルギー提案を行うためには、既存施
設におけるエネルギー消費動向を探り、簡易省エネルギー診断や工事費
の積算といった膨大な作業が必要となります。対象施設の規模にもより
ますが、この費用は 1 施設あたり数百万から 1 千万円程度かかることが
あります。
9
現状おこなわれている公募型プロポーザル方式では、各応募者に生じ
るこれら費用の全てを自治体に求めるのは無理があると考えますが、民
間からのより良いアイデアの提供を継続的に受けるためにも、最優秀提
案者との契約決定後、次順位以下の事業者に対する褒賞金として、提案
書作成経費の一部負担やそのための公募予算を確保いただくよう望み
ます。
1.16 現場事務所用用地等の確保
現状の公募では、計画・設計段階と建設段階で、「資材置き場の確保」
を自治体がおこなうことになっているる場合があり、条件を明示して頂
くことは提案を行う上で参考になっています。「現場事務所及び詰所用
用地についても、通常の公共工事同様、敷地内に余裕のある場合につい
ては自治体で用意することを公募条件で明示して頂けるよう、配慮をお
願いします。
10
第2章 応募手続きに関する問題点と対応策
2.1 ESCO 実績(契約書)の提出
現状の募集要項では、
「省エネルギー保証を伴う ESCO 事業の実績を有
すること」が応募者の資格要件になっており、応募にあたっての資格確
認書類としては、ESCO 事業実績一覧表に加え、その「ESCO 契約書の写
しを提出する」よう求められる場合があります。
しかし、ESCO 契約書は、当該顧客及び事業者の機密に相当し、守秘義
務条項がその契約書内に記されているのが一般的です。従って、契約書
の写しを提出しようとすると、当該顧客の了解を取りつける等の手続き
に手間がかかる、または了解を得られない可能性もあります。また、契
約書は事業者固有のノウハウを含むことや、さらにグループで応募する
場合においてはグループ内の企業間における情報の流出につながるこ
と等からも、契約書の写しの提出を義務付けることは現実的ではありま
せん。
ESCO 事業実績の確認については、ESCO 契約書の写しの提出を絶対条
件とせず、甲乙の押印部分等の契約事実が最低限確認できる箇所の写し
に限定した提示を求める程度に留めるよう望みます。
2.2
電子媒体での資料配付
対象施設に係るエネルギーデータや建物図面等の資料の配布方法に
ついては、紙ベースの資料を応募事業者から実費を徴収して配付するケ
ースも見られますが、応募事業者の時間的、経済的負担を出来る限り軽
減するよう配慮し、少しでも多く電子媒体による配布とするよう望みま
す。特に建物図面等に関しては、紙ベースの資料と比較して、デジタル
ベースのデータは、コピー等に係る相当な時間や多額のコスト削減が可
能となり、資料の整理や扱いも簡便になります。
2.3 工事費積算の必要性について
事業者の選定が終わると詳細設計に入ります。この際、工事内訳書を
提出しますが、国土交通省の積算基準により工事内訳書を提出すること
が求められる場合があります。これは、VFM の確認や、補助金の申請に
係る会計検査等に対応することを目的とするもので、自治体の規模や担
当部署等によって対応が異なるものと考えられますが、以下に示すよう
に、事業者にとっては相当な作業負担になることがあります。
(1)改修工事であることから、既存設備の充分な設計図書が整備さ
11
れていない場合、国土交通省の積算基準に従って工事費の積算
を行うことは、相当に手間のかかる作業になる。
(2)積算基準による金額と実勢工事費が必ずしも一致するとは限
らず、積算基準と整合を取ろうとしても無理がある。
(3)事業者を選定する際には、事業者が提案するサービス料を含め
て適正な競争が行われた結果、選定事業者が決定することから、
この事業者が見積もった工事金額まで遡ってサービス料の裏
づけを取る必要は必ずしも無いと考えられる。
従って、各自治体の制度や担当部署の事情等により、どこまで詳細の
積算項目が必要とされるのか等を充分に吟味した上で、募集要項で予め
留意点として必要な積算項目を明記いただくよう望みます。
2.4
事業資金計画書の改訂
通常、提案公募の際に求められる提出書類に、ESCO 事業の長期収支を
みるための「長期収支計画表」がありますが、「契約期間内の毎年の事
業者の利益を一定にすること」が資料作成の条件となっている場合があ
ります。しかしこの方法は、実態とは乖離したシミュレーションになっ
ています。実態と異なることになる原因は以下に示すとおりです。
(1) 減価償却費:
一般的な企業では定率法に基づく減価償却を実施しており、毎
期の償却費は逓減する。
(2) 固定資産税、保険料:
減価償却費と同様に、固定資産税も残存簿価に対してかかるた
め毎期逓減する。保険を残存簿価に対して付保する場合も同様。
(3) 維持管理費等変動要素:
ESCO 事業の内容にもよるが、設備等のオーバーホール費用は
稼働時間により一時期に拠出されるものであり、その他これ以
外の変動費用も考えられる。
「長期収支計画表」は、事業者の利潤が適正であるか、特別目的会社
(以下「SPC」という。)が資金ショートしないか等を検討するためのも
ので、重要な資料になりますが、事業者の利益を一定とする計算方法は
実態に即していないため、資料作成そのものが事業者の負担になるだけ
でなく、事業者の混乱を招くことになります。従って、以下の表に示す
12
ような、実態に即した長期収支計画書を求めるよう望みます。
13
表.1
ESCO 事業を活用した場合の自治体の収支計画表
【前提条件】
平成(年度)
光熱水費削減額
光熱水費
ESCOサービス料(メンテ代含む)
公共の利益
公共の利益(累計)
補助金:
なし
ESCO 期間:
15 年
事業者金利:
2.50%
改修費用:
100,000 円
(単位:千円)
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
合計
初年度 2年度 3年度 4年度 5年度 6年度 7年度 8年度 9年度 10年度 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度
20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 20,000 300,000
100,000 100,000 80,000 80,000 80,000 80,000 80,000 80,000 80,000 80,000 80,000 80,000 80,000 80,000 80,000 80,000 80,000 1,200,000
12,000 12,000 12,000 12,000 12,000 12,000 12,000 12,000 12,000 12,000 12,000 12,000 12,000 12,000 12,000 180,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000
8,000 120,000
8,000 16,000 24,000 32,000 40,000 48,000 56,000 64,000 72,000 80,000 88,000 96,000 104,000 112,000 120,000 120,000
14
15
14
表.2
ESCO 事業者長期収支計画表
【前提条件】
補助金: なし / 事業者金利: 2.50%
(単位:千円)
平成(年度)
科目
収
支
計
画
15
資
金
計
画
収入計
ESCOサービス料収入
支出計
維持管理費
計測・検証費
運転管理費
保険料
減価償却費
金利
固定資産税
その他
税引前当期損益
法人税等
税引後当期損益
資金需要
税引後当期損失
建設工事費等
借入金返済
その他
資金調達
税引後当期利益
借入金
資本金
減価償却費
当期資金過不足
資金過不足累計
借入残高
15
0
100,000
16
1
12,000
12,000
15,150
1,000
200
500
300
10,650
2,500
0
0
-3,150
0
-3,150
8,727
3,150
17
2
12,000
12,000
17,017
1,000
200
500
268
12,688
2,361
0
0
-5,017
0
-5,017
10,733
5,017
18
3
12,000
12,000
15,034
1,000
200
500
230
10,886
2,218
0
0
-3,034
0
-3,034
8,893
3,034
19
4
12,000
12,000
13,308
1,000
200
500
197
9,340
2,071
0
0
-1,308
0
-1,308
7,313
1,308
20
5
12,000
12,000
11,804
1,000
200
500
169
8,014
1,921
0
0
196
78
118
6,156
0
21
6
12,000
12,000
10,488
1,000
200
500
145
6,876
1,767
0
0
1,512
605
907
6,309
0
22
7
12,000
12,000
9,334
1,000
200
500
125
5,900
1,609
0
0
2,666
1,066
1,600
6,467
0
23
8
12,000
12,000
8,317
1,000
200
500
107
5,062
1,448
0
0
3,683
1,473
2,210
6,629
0
24
9
12,000
12,000
7,417
1,000
200
500
92
4,343
1,282
0
0
4,583
1,833
2,750
6,795
0
25
10
12,000
12,000
6,617
1,000
200
500
79
3,726
1,112
0
0
5,383
2,153
3,230
6,964
0
26
11
12,000
12,000
5,903
1,000
200
500
68
3,197
938
0
0
6,097
2,439
3,658
7,139
0
27
12
12,000
12,000
5,261
1,000
200
500
58
2,743
760
0
0
6,739
2,696
4,043
7,317
0
28
13
12,000
12,000
4,681
1,000
200
500
50
2,354
577
0
0
7,319
2,928
4,391
7,500
0
29
14
12,000
12,000
4,151
1,000
200
500
43
2,019
389
0
0
7,849
3,140
4,709
7,687
0
30
15
12,000
12,000
14,136
1,000
200
500
37
12,202
197
0
0
-2,136
-854
-1,282
9,162
1,282
5,577
0
10,650
0
5,716
0
12,688
0
5,859
0
10,886
0
6,005
0
9,340
0
6,156
0
8,132
118
6,309
0
7,783
907
6,467
0
7,500
1,600
6,629
0
7,272
2,210
6,795
0
7,093
2,750
6,964
0
6,956
3,230
7,139
0
6,855
3,658
7,317
0
6,786
4,043
7,500
0
6,745
4,391
7,687
0
6,728
4,709
7,880
0
12,202
0
10,650
1,923
4,923
94,423
12,688
1,955
6,878
88,707
10,886
1,993
8,871
82,848
9,340
2,027
10,898
76,843
8,014
1,976
12,874
70,687
6,876
1,474
14,348
64,378
5,900
1,033
15,380
57,911
5,062
643
16,023
51,282
4,343
298
16,321
44,487
3,726
-8
16,313
37,523
3,197
-284
16,029
30,384
2,743
-531
15,498
23,067
2,354
-755
14,744
15,567
2,019
-959
13,785
7,880
12,202
3,040
16,826
0
100,000
103,000
100,000
3,000
3,000
3,000
100,000
合計
180,000
180,000
148,618
15,000
3,000
7,500
1,968
100,000
21,150
0
0
31,382
17,556
13,826
213,791
13,791
100,000
100,000
0
230,616
27,616
100,000
3,000
100,000
16,826
16,826
0
注 1)本収支計画表は事業期間中の ESCO 事業者の採算性を簡略にみるためのものであり、事業規模が大きい場合はより精緻なシミュレーションが必要である。なお、イニシャ
ルコストには事業者の利益は含まれていないものと想定する。
注 2)金利は、8年後に見直すことを前提に設定。この場合、金利動向によって ESCO サービス料あるいはベースラインの見直しが必要となる。
注 3)固定資産税は減免措置が受けられるものとした。
第3章 契約条件に関する問題点と対応策
3.1 ボーナスの付与
省エネルギーは一過性の対応では無く、日々の努力の積上げで達成さ
れるものです。設備機器は、運転管理方法によっては初期の性能が保た
れるとは限らず、また経年劣化も起こります。省エネルギー効果を長期
にわたり最大限引き出すためには、適切な運用や保守を継続的に行うこ
とが必要になります。
ESCO 事業におけるボーナス条項は、契約締結時に事業者が保証した省
エネルギー達成への努力に追加して、これ以上の省エネルギー効果を継
続的に得るため、最大限のノウハウの発揮、新たな知見の創出、及び追
加努力をさせるための動機付けの性格を持っています。
このようなボーナス条項は、事業者への支払額が変動することを意味
することから、現状の自治体の予算制度には必ずしも適合しない側面を
持つと考えられ、これまでは採用されてきませんでした。しかし、支払
額が変動することへの対応は、自治体によって異なることから、明確な
根拠があれば、自治体の ESCO 事業においてもボーナス条項を設定する
ことは可能ではないかと考えます。
ボーナス条項は、事業者に適切なインセンティブを与えることにより、
結果として最大の省エネルギー効果を得ることが可能になるという双
方の利益確保のためにも積極的な採用を望みます。
また、ボーナス条項が採用できない自治体にあっては、3.2 に示す保
証値を総期間でクリアする方式の導入を検討いただきたい。
3.2 総期間での保証値クリア
現在の省エネルギー保証の考え方は、ベースラインに対して毎年保証
値をクリアすることを前提としています。一方、設備機器は、経年劣化
による効率低下が発生することから、定期点検整備や消耗品交換費用と
は別に、性能劣化に対する復元のための改修を要することもあります。
そこで、ベースラインに対する単年度の余剰利益や損失を契約期間内
にわたり、プールできるような仕組みを提案します。具体的には、パフ
ォーマンスの良い年の効果を仮想貯金し、経年劣化等で機器の性能が落
ちた場合等においては、その仮想貯金を取り崩すという、「仮想貯金制
度」です。この方法では、事業全体の効果は担保しつつ、事業者は設備
の特性に適した改修計画を作成することが可能となり、自治体は従来通
りの定額支払いが可能となり、手続きも簡便になるメリットがあります。
その他、複数施設を一括で発注するような ESCO 事業の場合には、一
16
部の施設で充分なパフォーマンスが得られない場合でも、事業全体とし
て保証値を達成できていれば良いという評価方法も考えられます。
3.3
複数社による連名契約
ESCO 事業は、長期の保証契約を伴うことから、一般の建設工事に比べ
事業の内容やリスクが多岐にわたります。単一事業者でこれを全て賄う
ことも可能ですが、複数の事業者がノウハウを結集してより良い事業を
提供することも現実的です。複数の事業者が参画することを可能にする
ため、「事業役割」「設計役割」
「建設役割」「その他役割」といった役割
分担を想定しています。
現状の ESCO 契約では、
「事業役割」を担う代表1社が全責任を担う形
態をとっている事例がありますが、各々の役割を担う事業者の全社が連
名で契約を行う、あるいは複数の「事業役割」を担う事業者と連名契約
を締結する方が長期間にわたる事業運営上有利になると考えられます。
この場合、各々の事業者の役割やリスク分担を明確に規定することにな
り、また、いずれかが倒産等の事態に陥った場合に、残る事業者が責務
を引き継ぐこととすれば、長期にわたるサービス提供の保全にもなると
考えられるからです。また、事業者にとっては自治体との契約を獲得し
たことが実績として評価されるメリットも生じ、より積極的な参加と自
由な提案が期待できると考えられます。
図.1にこれらの契約と事業者の関係を示します。
ただし、NEDO の補助金申請については、ESCO 設備の所有権の所在を
明確化させるために所有者1社を契約書上で明記する必要があります。
17
現状
○事業役割を担うのが1社の場合
事業役割
公共
契約
設計役割
設計
A社
建設役割
B社
建設
A社に全責任が集中
C社
○事業役割を担うのが複数社の場合
事業役割
設計役割
代表
契約
公共
設計
A社
連帯責任
建設役割
B社
建設
D社
C社
D社は責任は負うが、契約当事者となれない
提案
希望により連名契約も可能とする
また、その他役割を果たす企業の参加も可能にする
事業役割
設計役割
建設役割
共同事業
代表
A社
公共
設計
B社
契約
建設
D社
C社
連帯責任
契約上、A・D両社の役割と責務を明確にする
両社の連帯責任は変わらない
D社は契約当事者になれる
図.1 契約による自治体と事業者の関係(SPC を設立しない場合)
18
3.4 事業役割会社の SPC への履行保証免除
民間資金活用型の ESCO 事業は、省エネルギー改修工事が、民間事業
者による資金調達を元に、省エネルギー効果で得られた経費削減分によ
り実現できるという利点があるが、事業者にとっては、以下のような経
理上の問題点が生じます。
① 資金負担:
設備等の初期投資金がすぐに回収されないため、長期の資金負
担が必要となり、借入金圧縮方針の企業には障害となる。
② 資産計上:
事業者が設備投資をするために資産計上をする必要が生じる。
これにより総資産利益率(ROA)1等の経営指標が悪化するため、
資産圧縮方針の企業には障害となる。
このため、ESCO 事業以外の一般的な PFI 事業の入札においては、SPC
を設立するケースが多くみられますがこの際の事業者からみた、経理面
とそれ以外の面を含めた SPC 設立の目的としては、以下の点が挙げられ
ます。
①
参加企業間の役割とリスク分担が明確になる。
②
SPC が資産を所有し、金融機関からのプロジェクト・ファイナン
ス等によって SPC が借入れをするため、事業者本体の決算への
影響が軽微である(借入金も資産も増えない)。
③
工事代金が引渡し時に SPC から一括して支払われるため、売上
計上ができる。
④
プロジェクトの成否が明確になる。
同時に、自治体にとっては、各事業者(SPC の株主)が倒産しても、
別事業体である SPC が直ちに破綻することはないため、各事業者の倒産
リスクを分離することができます。また、プロジェクト・ファイナンス
を取り組む金融機関による「事業継続」にむけての手続き(SPC の取替
え等)が行われることも、SPC 設立によるメリットと考えます。
このように、双方にメリットがある SPC の設立は、ESCO 事業の公募に
おいても認められていますが、募集要項や契約書(案)の条項で事業役
割を担う事業者が自治体に履行保証を行うことを求めている場合があ
1総資産利益率(Return
on Asset: ROA):利益を総資本(総資産)で除した、総合的な
収益性の財務指標
19
ります。この場合、実質的に事業役割を担う事業者が全リスクを負うた
め、当該企業にとって保証債務となり、決算書にも影響を与え資金調達
(プロジェクト・ファイナンスへの取組)を行う上での障害になってい
ることから、履行保証を免除することを望みます。
図.2は、SPC を活用した ESCO 事業の取組みスキームを示しています。
「現状」では実質的に事業役割を担うA社に全責任が集中しますが、
「提案」では各社に分散し、最終的な事業リスクをA社が負担すること
になります。各社の倒産リスクについては、B、C社の倒産時にはA社
が代わりの事業者を探すか、建設にかかわる保険で対応することができ、
A社倒産時には運営を第三者に委ねることが考えられます。また、代替
企業の選定はプロジェクト・ファイナンスを取り組む金融機関によって
行われる場合もあり、これら総括的な評価は、融資等をする金融機関が
行います。
ただし、図.2に示すスキームは、一般的な PFI 事業において活用さ
れている基本形を示したものであり、SPC を設立する場合の履行保証に
ついては、これを構成する企業の特性を考慮した柔軟な対応を望みます。
20
現状
事業役割(実質)
設計役割
A社
B社
履行保証
設計
事業役割
契約
公共
建設役割
SPC
C社
建設
融資等
保険付保
金融機関
保険会社
A社に全責任が集中
提案
事業役割(実質)
設計役割
A社
B社
運営委託
設計委託
事業役割
公共
契約
関心表明(参加表明時)
建設役割
SPC
建設委託
融資等
C社
保険付保
金融機関
保険会社
責任は各社に分散される
図.2
契約による自治体と事業者の関係(SPC を設立する場合)
21
3.5 債権の取り扱いについて
民間資金活用型の ESCO 事業では、
事業者が事業資金を調達しますが、
特に SPC が資金調達を行う場合、通常、募集要項あるいは契約書(案)
で謳われる以下の条件が障害となり、金融機関等からの調達に窮する場
合があります。
(1)
債権の譲渡の禁止:
事業者が自治体に対して有する支払請求権(債権)を第三者
に譲渡してはならない。
(2) 債権への質権設定及び債権の担保提供の禁止:
事業者が自治体に対して有する債権に対して質権を設定、あ
るいはこれを担保提供してはならない。
自治体の立場からは、事業者倒産時のトラブル回避を前提とした保全
措置と位置付けられているが、双方の利益を考慮した上で、以下のよう
に改訂するよう望みます。
(1)
債権の譲渡:
事業者が自治体に対して有する支払請求権(債権)を第三者
に譲渡する場合には、事前に自治体の承諾を得ることとする。
(2) 債権への質権設定及び債権の担保提供:
事業者が自治体に対して有する債権に対して質権を設定、あ
るいはこれを担保提供する場合、事前に自治体の承諾を得るこ
ととする。
自治体が承諾に応じるか否かは、SPC あるいは事業者の事業遂行能力
のみならず、譲渡先を見極めた上で決定することができ、事業者として
は自治体が応じやすいような事業スキームを構築する必要性が生まれ
ます。なお、一般的な PFI 事業においては、譲渡先が金融機関であれば、
基本的に承諾されています。
3.6 事業者倒産時の設備の取り扱いについて
民間資金活用型の ESCO 事業においては、契約期間中は事業者が ESCO
設備を所有する場合が多くみられます。この際、事業者の契約違反等に
より、自治体が契約を中途解除する場合、設備の所有権を無償で自治体
に譲渡する条項や、扱いが不明瞭な条項が見受けられますが、この条件
22
は、事業者の自由な資金調達手段を阻害する要因になっています。
ESCO サービス料の内、相当の部分は初期に要した経費及び設備投資費
で、これを長期間で回収します。事業者に責があることを理由に自治体
が契約を中途解除し、無償譲渡を受けることを条件とする場合、融資等
による資金供与を予定する企業が安心して参加することが阻まれる恐
れがあります。
もちろん、自治体としては、必要なサービスの提供が中断されること
になるため、サービス料全額の支払を継続することは認められません。
そこで、事業者の責による契約の中途解除時には、最低限以下の選択肢
を設けるよう提案します。
(1)
自治体の承諾を得た上で、ESCO サービスの全てを履行するこ
とが充分可能な事業者に業務を引き継ぐ。
(2) ESCO サービス全ての履行が困難な場合、双方合意に基づく金
額にて、ESCO 設備等に係る所有権を自治体へ譲渡する。
(3) 自治体の判断により、ESCO 設備等を撤去し、履行場所を改修
工事前の現状に回復する。ただし、自治体が事業者に代わって
これを行った時は、これに要した経費を事業者が負担する。
3.7 不可抗力被害の負担割合
ESCO 事業は長期間にわたる事業であるため、契約期間中に予想される
様々なリスクを検討する必要があります。その中には、保険等でリスク
回避を図ることができるものとそうでないものが存在します。例えば、
戦争、風水災、地震等、第三者の行為、その他自然的または人為的な現
象の内、通常の予見可能な範囲を超えるものについては、リスク回避の
手段がないことから、損害が生じた場合の負担割合を明確にすることが
望まれます。この際、一般的な PFI 事業等においては、損失額の負担割
合が、事業者が 1%に対し、自治体が 99%に相当する金額を負担するこ
とが慣例になっています。
3.8
金利の見直し
民間資金活用型の ESCO 事業においては、事業者が事業資金の調達を
行いますが、10 年を越す超長期の調達については、金融機関が長期の金
利変動リスクを負わないため、実質的な金利の固定化は不可能、または
可能であっても事業経費を圧迫する高金利になります。しかし、落札に
向けて少しでも事業経費を縮小したいと考える事業者においては、以下
23
のような方法で事業採算性を計算するため、実際の落札時には、大きな
リスクを抱えることがあります。
【計算方法①】
提案作成時に金融機関から調達可能な短期金利(1年以内)
、また
は比較的長期(5年以内)の変動あるいは固定金利を基に総期間の
事業採算性を計算する方法。
→事業期間中に金利が上昇した場合、事業者の事業採算は一気
に悪化するというリスクが考えられます。
【計算方法②】
自己資金を用いることを前提に、長期固定かつ低金利(場合によ
っては無金利)として計算する方法。
→見かけ上の採算性向上に過ぎず、一般的な企業において無借
金の企業は極めて稀であり、純然たる自己資金を活用すること
は困難です。そのため、実際には計算方法①と同じリスクが生
じることになります。一方、純然たる自己資金を活用できる企
業においても、通常の資金運用、あるいは設備投資による投資
効果と比較すれば、長期固定低金利の ESCO 事業は投資効果が
低いため、金利が上昇した場合には、逸失利益の問題が生じ、
いずれも事業者にとっての負担になります。
一般的な PFI 事業では、既に事業期間内の金利の見直しが公募条件に
含まれています。ESCO 事業においても途中段階での金利の見直しが適用
されるよう望みます。この場合、以下のような自治体及び事業者、双方
のメリットを期待することができます。
【自治体】
(1) 成約時の金利情勢が高低いずれの場合であっても、通期で
金利負担をさせるよりも事業者のコストを引き下げることが
可能であり、結果、自治体のメリットも大きくなる。
(2) 高金利時期に成約した ESCO 事業においては、途中で事業者
のコストが下がり、自治体のメリットが大きくなる。
【事業者】
(1) 変動リスクを回避でき、事業採算が安定化する。
24
ただし、金利の見直しにより支払額が増加した場合は、そのための議
会承認が必要となるため、実務上の対応への課題が残されています、従
って金利の見直しにより事業が赤字になることのないよう上限を決め
た上で、採用することが現実的と考えます。
【例:20年契約の PFI 事業の場合】
《公募時》
① 基準金利:10 年物の金利スワップレートを基準金利とし、基準日は提案書提出
前の特定日とする
② スプレッド:事業者が任意に決定(注:各事業者ごとのスプレッドの差が、提
案の差になる)
《開始時》
① 基準金利:10 年物の金利スワップレートを基準金利とし、基準日は運営開始
日の 2 営業日前
② スプレッド:提案時のスプレッドを使用
《10年経過時》
① 基準金利:10 年物の金利スワップレートを基準金利とし、基準日は運営開始
日から 10 年後の応答日の 2 営業日前
② スプレッド:提案時のスプレッドを使用
3.9 第三者賠償時の負担割合
ESCO 事業の内容によっては、第三者に対する損害が予見されるものも
あり、契約締結時に自治体と事業者で、その賠償の負担割合等について
明確化しておく必要があります。第三者に損害を与えた場合の負担は、
自治体と事業者が各々の責によって負担する旨を明文化することを望
みます。
3.10 サービス料金の分割支払
民間資金活用型の ESCO 事業は、事業者が事業資金を調達するため、
自治体からの ESCO サービス料の回収スケジュールが事業の採算性に与
える影響が極めて大きくなります。これは、金融機関からの「借入れ」
等による調達の場合に限らず、直接金融で得た資金や自己資金を活用す
る場合においても、「運用」という視点から同様のことが言えます。
ESCO サービス料の支払いを年末の一括払いとする契約が行われるこ
とがありますが、金利負担を削減することは事業者にとっても自治体に
とってもメリットは大きいと考えられ、ESCO サービス料の支払い回数や
25
方法に関する充分な配慮と対応を望みます。
ただし、月払いに関しては事務負担が大きい上、各支払い期間内の省
エネルギー効果の検証も難しいと考えられることから、3ヶ月毎程度の
検証及び支払いであれば、現実的に対応可能と考えます。その他の手法
として、当該年度分の ESCO サービス料を年度当初に支払い、年度末に
省エネルギー効果の検証及び精算を行う等、様々な方法が考えられます。
3.11 エネルギー価格変動の問題
ESCO 事業は、基本的にエネルギー削減量を保証する事業です。対象と
するエネルギーは、電気、ガス、油、水であり、共通の単位がないこと
や採算性の評価の尺度として便宜上金額に換算していますが、あくまで
も本質はエネルギー量の削減保証にあります。
また、ESCO 事業は、一定期間中に初期投資が回収できることを前提と
して採算性を評価しているため、契約期間中のエネルギー価格の変化を
そのまま評価に組み込むことは、事業採算性の前提条件を変動させるこ
とになります。
エネルギー価格の変動は元々施設の管理者である自治体が負担して
いるリスクですから、契約期間中のエネルギー単価の変動リスクについ
ては自治体の負担とすべきです。一般には計画段階のエネルギー価格で
削減保証が達成されたかどうかを評価しますが、削減保証を削減金額で
契約する場合は、便宜的に現状の価格でベースラインを調整し、削減保
証額が達成されたかどうかを判断することも現実的です。
3.12 事業中止時の費用負担
最優秀提案者決定後、ESCO 契約締結までの期間に、事業者の責により、
事業が中止または延期等になり、それにより損害が発生した場合、その
費用を事業者が負担することは当然です。
これに対し、自治体が事業を中止する場合としては、議会承認が得ら
れなかった場合、予定した補助金が得られなかった場合等が考えられま
すが、これらを公募段階において、事業中止の条件とする場合がありま
す。
補助金については、補助金が無い場合を前提に事業化を検討すべきで
すが、やむを得ず事業を中止する場合には、それまでに ESCO 事業者が
負担した詳細設計に係る費用等を自治体が負担することが合理的です。
3.13 契約解除時の違約金
ひとたび ESCO 契約を締結した後に、自治体の何らかの理由により、
26
その契約を解除しようとする場合には、事業者に非がない限り、自治体
による事業全体の買い取り等の措置がとられる必要があります。ただし、
契約解除の可能性は双方にありますから、一方が契約解除した場合の費
用の負担方法を、契約書内に明記する必要があります。上記のケースで
は、ESCO 設備等の買い取り額として、
「ESCO 設備の残存簿価に妥当な係
数を乗じた額」とする等、契約書内で明確化しておくことが望まれます。
3.14 事業者の責によらない維持管理費負担増
募集要項等に記載される「予想されるリスクと責任分担表」の中には、
『自治体の責による事業内容の変更以外の要因による維持管理費の増
大は、ESCO 事業者が負担する』と記載されている場合が見られますが、
逆に、事業者の責による事業内容の変更以外の要因により維持管理費が
増大した場合に、自治体がそれを負担する旨が明記されていない場合が
あります。一般的な PFI 事業においても、物価変動リスクのように事業
者の責によらない要因については、自治体がリスクを負担することにな
っており、ESCO 事業においても同様の解釈を望みます。
3.15 ESCO 設備の損傷
募集要項等に記載される「予想されるリスクと責任分担表」の中には、
維持管理段階の設備損傷に関して、自治体の過失または自治体の設備に
起因する ESCO 設備への損傷についての記載がない場合が見られます。
当該リスクは自治体が負担する旨を明記することを望みます。
27
第4章 事業者選定方法に関する問題点と対応
4.1 非競争的提案→随意契約方式の提案
現在、自治体における ESCO 事業者の選定方式の多くは、公募型プロ
ポーザル(コンペ)の後、随意契約を締結するという方式が取られてい
ます。しかし、公募に係る各参加事業者の作業負担が大きい上、1物件
につき結果的に採用される提案は1社のみとなるなど、事業者への経費
負担が大きいことから、現在の方法を継続していくといずれ公募に応じ
る事業者が激減する可能性が危惧されます。また、行政内部の手続きの
煩雑さも指摘されており、現状のままでは、公共部門における ESCO 事
業導入のより一層の普及拡大に支障をきたす可能性が高いと考えられ
ます。
元来 ESCO 事業は、光熱水費の削減分により事業費が賄われ、この省
エネルギー効果を ESCO 事業者が保証するため、発注者側に新たな財政
負担が発生するものではありません。特に、民間資金活用型の ESCO 事
業の場合には、事業実施に伴う自治体の新たな財政リスクはほとんど無
ありません。このような性質の事業においては、事業者が自ら発掘した
物件について充分な時間をかけ、優れたノウハウを活かした分析、検討
を行い、自らの責任において省エネルギー保証する提案に基づく、随意
契約(negotiation)という方式を取ることにより、最適な事業実施の
信憑性を担保しつつ、官民の両者にとっての大幅な手続きの簡素化や経
費削減を実現することが可能になると考えられます。
事実、米国連邦政府における ESCO 事業調達においては、個別の ESCO
事業者が各施設に対して持ちこんだ ESCO 提案について、事業者と連邦
施設担当者でメリット等の技術的な仕様をチェックし、共同で発注仕様
書を作成した後、当該 ESCO 事業者が受注する形態を取っています。
現行制度下においては、国においては会計法と予算決算及び会計令等、
自治体においては地方自治法のしばりがあるため、現状では例外を除き
採用することができませんが、
PFI 事業に対する PFI 法に準ずるような、
ESCO 事業に対する新たな制度(パフォーマンス契約導入促進法)を作る
あるいは、現行の少額随契で認められている限度額を ESCO 事業に限っ
ては事業規模に応じて超えることも可能とする等、より簡易な事業者選
定方式の検討が今後望まれます。
4.2 公的第三者機関によるチェック
前記「非競争的提案→随意契約方式」を導入する際には、発注者側に
も ESCO 事業者の提案を評価するノウハウが求められると共に、発注業
28
務に係わる公平性と透明性を確保する必要があります。そのため、ESCO
事業を導入しようとする施設の担当者、特に中小規模の自治体に対して
は、提案内容を評価し、発注仕様書を作成するための技術サポートを行
う公的第三者機関へのニーズが考えられます。また、公的第三者機関が
発注仕様書作成に関与することにより、ESCO 事業の発注に係る透明性、
公平性を確保することにもなることから、発注業務に係るサポートとチ
ェックを行う公的第三者機関の整備が望まれます。
29
表.3
予想されるリスクと責任分担表
負担者
リスクの種類
リスクの内容
共通
募集要項の誤り 募集要項の記載事項に重大な誤
りのあるもの
効果保証の未達 ESCO提案の低減が達成できない
場合
予定以上の削減分の分配
安全性の確保
環境の保全
制度の変更
公共側
○
○
−
設計・建設・維持管理における安
全性の確保
設計・建設・維持管理における環
境の保全
法令・許認可・税制の変更
事業の中止・延期 施設建設に必要な許可等のうち、
事業者が取得すべきものの取得
遅延によるもの
公共側の不注意等による建設許
可等の遅延によるもの
ESCO
−
○
○
○
○
○
○
事業者の事業放棄、破綻によるも
の(ギャランティード・セイビン
グス契約の場合)
○
事業者の事業放棄、破綻によるも
の(シェアード・セイビングス契
約の場合)
○
公共側の事業放棄によるもの、及
び公共側の責によるもの。
○
書類等
対応方法
募集要 契約書
項
募集要項に重大な誤りがあった場合は公共
○
側が責任を持って対応する。
光熱水費削減保証額とその検証方法を計画書
○
○
に示し、これが得られない場合はESCO事業者
が補填する。補填を行う範囲、条件、支払額
の計算方法、支払い方法については契約書、
計画書に明記する。
ボーナスの有無、分配方法を定めておく必要
○
○
がある。
事業者の責任において安全性を確保するこ
○
○
とを明記する。
事業内容によって保全すべき環境の内容を
○
○
特定する必要がある。騒音・振動・大気汚染。
水質汚濁・光・臭気に関するものがあげられ
る。ただし、これらは第三者賠償の対象項目
と重複することがあることに留意する。
制度の変更により稼働状況、収益性等が変化
○
○
した場合は、ベースラインの見直しを行う。
ベースラインの見直しにより生じる損失に
ついては、当該公共側が行う制度変更の場合
及び事業実施そのものに関する制度変更に
ついては公共側が負担し、これ以外の一般的
な制度変更の場合はESCO事業者が負担する。
制度変更の内容を細分化する必要がある。
<公共側がリスクを分担すべき項目>
法人税等の収益関係以外の税の税率変更
新規に導入される税
<事業者がリスクを負うべき項目>
法人税等の収益関係税の税率変更
社会福祉の事業所負担の変更
事業遂行に必要な有資格者の変更
サービスの開始、終了時期を変更し、この間
○
○
に発生する公共側の損失については事業者
が負担する。
サービスの開始、終了時期を変更する。
○
○
サービスが継続されるためには、事業権の移
転をする必要がある。事業権の移転について
は、公共側が主体となって選定するが、事業
者が責任を持って引き継ぐ事業者を紹介す
る。この際、サービスの引き継ぎに係る費用
については事業者の負担とする。
サービスの継続と、事業資産の保全の必要が
ある。サービスが継続されるためには、事業
権の移転をする必要がある。事業権の移転に
ついては、公共側が主体となって選定する
が、事業者が責任を持って引き継ぐ事業者を
紹介する。この際、サービスの引き継ぎに係
る費用については事業者の負担とする。
事業資産の保全のためには、契約時に保全し
ておく必要がある。
建設期限の延長、サービスの一時停止に係る
経費及び損失、あるいは事業中止により発生
する全ての経費を公共側が負担する。
30
○
○
○
○
○
○
その他
計画書
金融機関
からの関
心表明書
等(SPC
との契約
の場合)
負担者
リスクの種類
計画・設計段階
リスクの内容
公共側
ESCO
不可抗力
天災等による設計変更・中止・延
期
○
▲
物価の変動
急激なインフレ・デフレ(設計費
に対して影響のあるもののみを
対象とする)
○
○
設計変更
公共側の提示条件、指示の不備に
よるもの
○
ESCO事業者の指示・判断の不備に
よるもの
○
応募コスト
応募コストの負担
▲
資金調達
必要な資金の確保に関すること
(ギャランティード・セイビング
ス契約の場合)
○
必要な資金の確保に関すること
(シェアード・セイビングス契約
の場合)
予定した補助金等が獲得できな
い
建設段階
第三者賠償
不可抗力
調査・建設における第三者への損
害賠償義務
天災等による設計変更・中止・延
期
○
○
○
○
○
▲
○
物価の変動
急激なインフレ・デフレ(建設費
に対して影響のあるもののみを
対象とする)
○
用地の確保
設置場所の確保
○
立ち入り許可
必要な施設への立ち入り許可。
○
書類等
対応方法
募集要 契約書
項
一定額あるいは一定割合(1/100)を事業者
○
○
が負担し、これ以外を公共側が負担する。あ
るいは協議事項とする。
不可抗力終結迄の間、権利・義務を留保する。
計画の変更を行う場合、事業が継続可能であ
○
○
れば計画・設計に要する増分経費は双方で負
担し、事業を中止する場合は、それまでかか
った経費を双方話し合いの上負担する。
設計変更に関わる経費を公共側が負担する。
○
また設計変更に伴う、施工費、運転管理内容
及びその経費、省エネ保証を変更する部分に
ついては、事業者が提案内容の修正を行い、
この結果を公共側と協議し、施工、運転管理、
省エネ保証に関する契約内容の変更を可能
とする。
設計変更に関わる経費を事業者が負担する。
○
設計変更に伴う施工内容及びその経費、運転
管理内容及びその経費、省エネ保証の変更に
ついては、公共側が認める範囲での変更を行
うことができるが、これ以外についての変更
は認められない。ただし、契約内容の合意が
できない場合は、公共側は契約交渉を終了す
ることができ、設計に要した経費を事業者が
負担する。
次点以下の優秀提案の応募コストの一部(定
○
額)を公共側が支給する
資金調達は計画書に基づき公共側の責任で
○
確保する。
その他
計画書
資金調達は計画書に基づき事業者の責任で
確保する。
○
計画書
補助金の確保ができない場合に契約交渉を
終了あるいは、工事内容を変更する場合は、
これに要する経費を公共側が負担する。ま
た、施工内容及びその経費、運転管理内容及
びその経費の変更が必要な場合は計画書を
修正する。
事業者の責任により、交渉、賠償の責務を負
う。
一定額あるいは一定割合(1/100)を事業者
が負担し、これ以外を公共側が負担する。
不可抗力終結迄の間、権利・義務を留保する。
一定期間経過後に終結しない場合は契約解
除とし、双方は互いに義務を負わない。
建設の変更を行う場合、事業が継続可能であ
れば変更にともなう増分経費は双方で負担
し、事業を中止する場合は、それまでに要し
た費用を双方話し合いの上負担する。
設置場所については公共側の責任で確保し、
行政財産の使用許可に関する手続きを行う。
現場への立ち入り許可。ただし、立ち入り範
囲、届け出などの条件をつける。
○
計画書
31
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
負担者
リスクの種類
建設段階
設計変更
リスクの内容
公共側
公共側の提示条件、指示の不備に
よるもの
○
ESCO事業者の指示・判断の不備に
よるもの
工事遅延・未完工 公共側の責による工事遅延・未完
工による引き渡しの延期
○
○
ESCO 事 業 者 の 責 に よ る 工 事 遅
延・未完工による引き渡しの遅延
工事費増大
性能
一時的損害
支払関連
金利の変動
公共側の指示・承諾による工事費
の増大
ESCO
○
○
ESCO事業者の判断の不備による
もの
○
要求仕様不適合(施工不良を含
む)
引き渡し前に工事目的物に関し
て生じた損害
○
引き渡し前に工事に起因し施設
に生じた損害
金利の変動(ギャランティード・
セイビングス契約の場合)
○
○
○
対応方法
書類等
募集要 契約書
項
設計変更に関わる経費を公共側が負担する。
○
○
また設計変更の伴い、施工費、運転管理内容
及びその経費、省エネ保証を変更する部分に
ついては、事業者が提案内容の修正を行い、
この結果を公共側と協議し、施工、運転管理、
省エネ保証に関する契約内容の変更を可能
とする。ただし、変更内容の合意ができない
場合は、事業者は契約を終了することがで
き、設計・施工に要した経費及び契約終了に
伴う経費を公共側が負担する。
設計変更に関わる経費を事業者が負担する。
○
○
設計変更に伴う施工内容及びその経費、運転
管理内容及びその経費、省エネ保証の変更に
ついては、公共側が認める範囲での変更を行
うことができるが、これ以外についての変更
は認められない。ただし、変更内容の合意が
できない場合は、公共側は契約を終了するこ
とができ、設計・施工に要した経費及び契約
終了に伴う経費を事業者が負担する。
公共側の責により、工事遅延及び未完工によ
○
○
り引き渡しが延期される場合は、サービス開
始・終了時期の延期を行う。遅延に伴い経済
的な損失が生じた場合は公共側が負担する。
ESCO事業者の責による、工事遅延及び未完工
○
○
による引き渡しの遅延に要する工事費は事
業者が負担する。遅延に伴い公共側が被る損
失については事業者は誠意をもってその対
応を行うとともに、経済的な損失が生じた場
合は事業者が負担する。
工事費の増加分は公共側が負担する。この
○
○
際、シェアード・セイビングス契約にあって
は、事業者が受け取るサービス料金の見直し
を行い、これを公共側が負担する。ただし、
省エネ保証などに関わる計画書の大幅な変
更が必要な場合は、双方誠意をもって協議す
る。
工事費の増加分は事業者が負担する。この
○
○
際、シェアード・セイビングス契約にあって
は、事業者が受け取るサービス料金の見直し
を行い、これを事業者が負担する。ただし、
省エネ保証などに関わる計画書の大幅な変
更が必要な場合は、双方誠意をもって協議す
る。
事業者は要求仕様を満たす工事変更を行い、
○
○
これに要する経費を負担する。
事業者は工事目的物を計画仕様に適合する
○
○
よう補修あるいは取り替えを行い、これに要
する経費を負担する。
事業者は公共側資産の現状復帰を行い、これ
○
○
に要する経費を負担する。
建設期間中のの金利変動リスクは公共側が
○
○
負う。
32
その他
計画書
(M&V)
負担者
リスクの種類
リスクの内容
公共側
支払関連
金利の変動(シェアード・セイビ
ングス契約の場合)
支払遅延・不能 公共側の責による、支払の遅延・
不能によるもの。
維持管理関連
計画変更
○
○
計測・検証報告の遅延により支払
いを留保する場合
○
省エネ保証に係る省エネ保証行
為の不履行
○
用途の変更等、公共側の責による
事業内容の変更
○
ESCO事業者が必要と考える計画
変更
○
合理的な事由に因らない場合で
あって、必要な施設への立ち入り
許可がおりない場合の事業未遂
行
○
維持管理費の上 ESCO事業者の責による維持管理
昇
費用の増大
○
第三者賠償
維持管理における第三者への損
害賠償義務
○
ESCO設備の損傷 公共側の過失または公共側施設
に起因するESCO設備の損傷
○
立ち入り許可
ESCO
○
ESCO事業者の故意・過失に起因す
るESCO設備の損傷
○
公共施設の損傷 ESCO事業者の故意・過失または、
ESCO 設 備 に 起 因 す る 公 共 側 施
設・設備の損傷
不可抗力以外のその他の原因に
よる公共側施設・設備の損傷
○
○
書類等
対応方法
募集要 契約書
項
建設・運営期間中の金利変動リスクは事業者
○
○
が負う。金利変動が事業採算性に影響する場
合にあっても、公共側が支払うサービス料金
の計算は計画時の金利を適用する。ただし、
公共側は、適正な時点での金利見直し制度を
設けるなど、事業者に配慮する。
支払いが遅延する場合は当該未支払い金額
につき、年Xパーセントの割合で計算して得
た額の遅延利息を公共側が支払う。また。こ
の間の省エネ保証は免責されるものとする。
事業者の責務において計測・検証報告が遅延
する場合は、公共側は事業者へのサービス料
金の支払いを留保することができる。この
際、サービス料金の支払いの留保に伴う事業
者の損失は事業者が負担する。
事業者から公共側への省エネ保証未達成に
係る支払いが遅延した場合には当該未支払
い金額につき、年Xパーセントの割合で計算
して得た額の遅延利息を事業者が支払う。
当該施設の用途変更などにより、計画した経
費削減が実現しない場合はベースラインの
見直しを行うことができる。この際、ベース
ラインを見直した結果、計画した事業採算性
が失われる場合であっても、事業者が受け取
るサービス料金の変更は行わない。
ESCO事業者は、省エネ保証を達成する為に再
改修工事が必要と認められる場合は、ESCO事
業者の負担により、再改修工事を行うことが
できる。この際の設計・施工及び管理に係る
契約条件は当初契約内容と同等とする。
必要な立ち入り許可がおりないことにより
事業が停止した場合の公共側及び事業者が
被る損害は公共側の責務とし、公共側は事業
者にサービス料金を定められた期日に支払
う。
事業者の責により維持管理費用が増大した
場合、事業者は増加分を公共側に請求するこ
とができない。ただし、急激なインフレ等特
別な事情がある場合はこの限りではない。
公共側の責による場合と、事業者の責による
場合に分類し、各々責を負う主体の責任にお
いて交渉、賠償の義務を負う。
公共側の責によるESCO設備の損傷は事業者
が責任をもってこれを修復し、これに要する
経費は公共側が負担する。
事業者の責によるESCO設備の損傷は事業者
が責任をもってこれを修復し、これに要する
経費は事業者が負担する。
事業者の責に帰する公共側施設・設備の損傷
は、事業者が責任をもってこれを修復し、こ
れに要する経費は事業者が負担する。
公共側の責に帰する公共側施設・設備の損
傷・傷害は、公共側が責任をもってこれを修
復し、これに要する経費は公共側が負担す
る。
33
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
その他
計画書
(M&V)
計画書
(M&V)
負担者
リスクの種類
リスクの内容
公共側
維持管理関連
瑕疵担保
ESCO設備に関する隠れた瑕疵の
担保責任
不可抗力
火災・天災・戦争などの不可抗力
による公共施設の損傷
○
火災・天災・戦争などの不可抗力
によるESCO設備等の損傷
○
ESCO
○
▲
計測・検証
設備の不良
ESCO設備が所定の性能を達成し
ない場合
○
計測・検証
計測・検証報告への疑義
○
計測・検証に必要な公共側からの
情報提供の遅延・不能
○
光熱水費単価の 光熱水費単価の変動
変動
○
ベースラインの 機器の使用状況、稼働率の顕著な
調整
変動や運転管理方法の顕著な変
更
気候の大幅な変動
○
上記以外の変動要因の場合
○
○
○
保証関連
住民サービス提 要求仕様不適合(施工不良を含
供
む)による施設・設備への損害
○
仕様不適合による、公共側施設運
営・業務への障害
○
(参考資料:ESCO 推進協議会
対応方法
書類等
募集要 契約書
項
隠れた瑕疵が確認された場合、事業者は計画
○
○
書の仕様に従ってESCOサービス設備等の補
修・改修を行う。その際、当該設備等の補修・
改修に要する経費は事業者が負担する。
火災・天災・戦争などの不可抗力により公共
○
○
施設が損傷し、事業の継続が不可能な場合は
双方話し合いの上、契約を解除することがで
きる。この際、契約終了時の事業者の残債は
公共側が負担する。
一定額あるいは一定割合(1/100)を事業者
○
○
が負担し、これ以外を公共側が負担する。あ
るいは協議事項とする。
不可抗力終結迄の間、権利・義務を留保する。
ESCO設備が計画書に示された性能を達成し
○
○
ない場合は事業者の責任でこれを補修し、こ
れに要する経費は事業者が負担する
計測・検証報告に疑義が認められる場合は、
○
○
双方協議した上で、公共側は第三者に計測・
検証業務を業務委託することができる。
計測・検証に必要な公共側からの情報提供が
○
○
遅延あるいは不可能な場合、公共側は定めら
れたサービス料金を事業者に支払う。
光熱水単価が変動した場合は、計画書で定め
○
○
た条件で事業者に支払うサービス料金を算
定する。
機器の使用状況及び稼働率あるいは運転管
○
○
理方法の顕著な変更・変動が認められた際は
ベースラインを変更することができる。
気候が大幅に変動した場合は双方話し合い
○
○
の上ベースラインを変更することができる。
上記以外の事由により計画書に示す経費削
○
○
減の大幅な変化が認められた場合は、双方誠
意をもって対応方法を協議する。
要求仕様が適合しないために公共側施設・設
○
○
備及びESCO設備等が損害を被る場合、事業者
が責任をもってこれを補修あるいは改修し、
これに要する経費は事業者が負担する。
要求仕様が適合しないために住民サービス
○
○
等公共側の業務に支障を及ぼす場合、その原
因となる公共側施設・設備及びESCO設備等を
事業者は責任をもって補修あるいは改修し、
これに要する経費は事業者が負担する。ただ
し、これによって生じた二次的損害について
は免責とする。
標準契約WG(2003 年 3 月)を同協議会
その他
計画書
(M&V)
計画書
計画書
計画書
標準公募条件提案WG(2003 年 9 月)が修正したも
のに、(財)省エネルギーセンターに設置された「自治体 ESCO 導入ガイドライン委員会」(2004 年)で再度修正を加えたもの)
34
35
平成 14 年度
調査・企画委員会
標準契約書ガイドライン作成WG委員名簿
WG委員名簿
委員長
副委員長
委員
氏名
山本
村越
浜川
一柳
高島
山本
卯辰
小野
所属・役職
第一総合法律事務所 弁護士
㈱住環境計画研究所 研究室長
(株)トーエネック 企画室 E&F グループ グループ長
(株)関西テック 営業本部 システムエンジニアリング部 部長
電源開発(株) 新事業部 ファシリティマネージメントグループ 課長
関電ガスアンドコージェネレーション (株) 契約部長
安田火災海上保険(株) 企業商品業務部 調査役
パシフィックコンサルタンツ(株)プロジェクト本部 エネルギーグループ
卓也
千春
恵吾
芳満
潔
浩司
昇
弘臣
オブザーバ
氏名
宮本 章
永野 敏隆
調査・企画委員長
調査・企画副委員長
平成 15 年度
企画委員会
(株)日立製作所 エネルギーソリューションサービス推進本部 部長
セントラルリース(株) ESCO 推進室 調査役
標準公募条件提案WG委員名簿
WG 委員名簿
委員長
副委員長
委員
氏名
永野 敏隆
権田 和裕
酒井 清
高島 潔
山本 浩司
滝口 忠保
中込 英男
前島 慎次
加藤 忠昭
福田 英治
中村 修
堀江 整
工藤 信介
佐々木 啓裕
卯辰 昇
小野 弘臣
所属・役職
セントラルリース(株) ESCO 推進室 調査役
(株)日立製作所 エネルギーソリューションサービス推進本部 エンジニアリングシステム部 部長
(株)東芝 電力・社会システム社 事業開発推進室
電源開発(株) 新事業部 ファシリティマネージメントグループ 課長
関電ガスアンドコージェネレーション (株) 契約部長 ESCO 事業部長
(株)大林組 東京建築事業部 ビルケアセンターマーケティング部 部長
日本工営(株) 電力事業カンパニー プラント事業部エネルギーソリューション部 部長
(株)明電舎 エンジニアリング事業本部 技術統括部 新規事業推進部 主任
三機工業(株) 空調衛生事業部 エネルギーシステム部 技術課 主任
富士電機システムズ(株)エネルギーソリューション本部 エネルギーソリューション統括部 部長
(株)大気社 社長室 新事業開発担当部長
(株)エネルギーアドバンス 経営企画部 副部長
(株)朝日工業社 営業本部 リニューアル推進部 部長
新菱冷熱工業(株) ESCO 事業推進プロジェクト
(株)損害保険ジャパン 企業商品業務部 法務調査役
パシフィックコンサルタンツ(株) 施設部 技術部長
氏名
谷津
割方
横尾
所属・役職
新菱冷熱工業(株) ESCO 事業推進プロジェクト 部長
日本工営(株) 電力事業カンパニー プラント事業部エネルギーソリューション部
㈱住環境計画研究所 研究員
オブザーバ
和久
裕壮
美雪