QON の利用説明書 残響時間設計 平成2014 年 8 月 著作権 高橋賢一/音楽進学教室 QON 目次 1 QON の機能概要 2 プログラム QON のインストール 3 画面構成 4 残響時間設計手順 4-1 部屋形状の入力 4-2 初期残響時間の入力 4-3 残響設計表の作成 4-4 残響計算の実行 4-4-1 使用する音響材料の指定 4-4-2 残響時間の計算 4-5 残響時間計算の条件設定 4-5-1 推奨残響特性の自動設定 4-5-2 推奨残響特性のマニュアル設定 4-5-3 表に関する機能 4-5-3-1 表の拡大表示 4-5-3-2 表の編集 4-5-3-3 線の色の選択 5 その他 5-1 残響設計データ—の保存と開く 5-2 吸音材料一覧表の保存と開く 5-3 報告書の印刷 1 QON 1 QON の機能概要 オーディオルームの設計において部屋の形状設計と並んで残響設計は境界面の材 料、構造を決める大事な作業になります。 本プログラム、QON は残響設計を支援するツールです。標準の吸音材データを内蔵 しており、使用する音響材料と使用する量を決めるだけで残響時間周波数特性をグラ フ表示します。 また、推奨残響時間、周波数特性のデータも内蔵しているので、部屋の容積、使用 音楽ジャンルから自動的に推奨する残響特性をグラフ表示します。 さらに、吸音材料の吸音率周波数特性や使用する量によって変る吸音力周波数特性 など残響設計のヒントとなる諸特性をグラフ表示します。 加えて、音響材料データ—の追加削除機能を備えていますのでツールのカスタマイ ズをご利用者ご自身で行うことができます。 2 QON 2 プログラム QON のインストール http://otokihon.ec-net.jp でインストーラをダウンロードして ください。 3 QON 3 画面構成 QON を起動すると下のような画面が現れます。この画面で設計のすべてをおこなう ことができます。 7 1 2 3 5 4 6 まず1から7まで番号のついた部分を説明します。 ① 吸音材料一覧表 ② 残響設計表(使用する吸音材料の一覧表) ③ 最適残響時間、最適周波数特性の選択フレーム ④ 部屋寸法入力表示フレーム ⑤ 残響計算実行ボタン ⑥ 残響時間、吸音力、吸音率表示グラフ 7 ツールバー 左から「残響設計表を開く」「残響設計表を保存」「残響計算実行」「報告書の 印刷」 残響設計は、おおむね上の番号の順で行われます。 4 QON 4 残響時間設計手順 残響時間は音が二つの壁の間を伝播する平均時間と壁の吸音力で決まり、一般には アイリング(Eyring)の残響式と呼ばれる次式で計算されます。 TR 60 = KV − S ⋅ ln(1 − α ) ここで K は定数(0.161)、V は部屋の体積(㎥)、S は表面積(㎡)、 α は平均吸音 率です。 QON はアイリングの残響式に基づいて残響時間を計算します。 4-1 部屋形状の入力 アイリングの残響式の体積、容積を入力する手続きは以下の通りです。なお、単位 はメートル系で入力します。 ・ 部屋が直方体のときは、下図に示した“部屋のサイズ”フレームの「長さ、幅、高 さ」を入力します(赤枠)。全表面積と部屋容積が計算され該テキストボックス (青枠)に表示されます。床面積も同時に計算、表示されます ・ 5 QON ・直接入力のチェックボックスをチェックすると全表面積と部屋容量をテキストボッ クスに入力できるようになります。部屋が不整形の場合は青枠で囲まれたテキストボ ックスに直接、別途計算された、全表面積と部屋容量を入力します。 !!注意!! チェックを外して直方体入力に戻ったときは、長さ、幅、高さテキ ストボックス(赤枠)の値と全表面積、部屋容積(青枠)は一致していません。長さ、 幅、高さテキストボックスのいずれかを再入力するかクリックすると再計算が行われ 正しい値を表示します。 !!注意!! 報告書印刷において直接入力の時は{緒次元}の欄には全表面積と 容積のみが印字されます。 直方体入力の場合 直接入力の場合 6 QON 4-2 初期残響時間の入力 吸音材料を設置する部屋の初期残響時間を設定します。 初期値は10秒になっていますが残響室に近い条件を設定しています。 残響時間がFTOKUなどを使って既知の場合はその値を入力します。 4-3 残響設計表の作成 音響材料の名称、周波数ごとの吸音率、利用する量(面積)を一覧にした表を「残 響設計表」と呼びます。この表から部屋の平均吸音率を計算することができ、残響時 間が求まります。下図の赤枠で囲んだ部分が残響設計表です。 残響設計表は次のようにして作ります。 まず、左の青枠で囲んだ部分、吸音材料一覧表から使用する材料の行を選びます。 次に、右の残響設計表の行を選んで中央の「→」ボタンをクリックして材料の内容 を残響設計表にコピーします。必要なだけ繰返します。 7 QON 4-4 残響計算の実行 4-4-1 使用する音響材料の指定 残響設計表の「U」欄をクリックして“*”を付し、使用する材料を複数選択します。 すると、右下の吸音率グラフに選択された吸音特性が表示されます。 次に「量」の欄に各材料の面積もしくは数を入力して残響設計表が完成します。 8 QON 4-4-2 残響時間の計算 「残響計算実行」ボタン(下図赤枠)あるいは「ツールバー」-「残響時間の計算」 ボタンをクリックすると計算が実行され、残響時間、吸音力の周波数特性のグラフが 描かれます(下図青枠)。 残響時間のグラフには推奨する残響時間特性の上限と下限が表示されています。ま た、吸音力のグラフには目標の吸音力と現在の吸音力が表示されます。また、使用し た材料各々の吸音力も表示されます。 これらの情報を元に、材料の追加削除、使用量の増減を図りながら満足行く結果に なるまで繰返します。 9 QON 4-5 残響時間計算の条件設定 残響時間計算を補助する機能について以下に説明します。 4-41 推奨残響特性の自動設定 画面中段に推奨残響時間の設定フレームが2つあります(下図赤枠)。1つはどの 音楽カテゴリーの最適残響時間を選ぶかを設定します。2つ目は各種音響研究機関が 推奨する残響時間の周波数特性の設定フレームです。 左にある目標残響時間フレーム(下図青枠)には設定された部屋容積面積に対する 残響時間が表示され、残響時間計算実行で描かれる残響特性グラフに反映されます。 4-5-2 推奨残響特性のマニュアル設定 「メニュー」-「ツール」で「自由に推奨残響時間を設定する」を選択すると目標残 響時間フレーム(下図赤枠)のテキストボックスに数値を入力できるようになります。 ユーザーご自身で推奨残響時間を設定することが出来ます。 自動設定に戻すためには「固定された推奨残響時間を選ぶ」を選択してください。 10 QON 4-5-3 表に関する機能 4-5-3-1 表の拡大表示 吸音材料一覧表、残響設計表の左上の欄(下図赤枠)をクリックすると表の大小が 変ります。表編集時には大きくした方が作業性が良くなります。 4-5-3-2 表の編集 吸音材料一覧表、残響設計表ともに行編集機能を持ちます。この機能を使って吸音 材料一覧表に材料の追加・削除することが出来ます。 まず行編集する行の行番号をクリックして行を選択します。該表の上にマウスカー ソルを置きマウスの右ボタンをクリックするとフローティングメニューが現れます。 挿入(上方に挿入)、コピー、貼付け、削除ができます。 11 QON 4-5-3-3 線の色の選択 グラフを描画する線の色を選択できます。既定色は黒です。 “C”欄をクリックすると色パレットが現れます。色を選んで「OK」をクリックする と新しい色が設定され”C”欄はその色で塗られます。 12 QON 5 その他 5-1 残響設計データ—の保存と開く 「メニュー」-「ファイル」-「残響表を保存」をクリックします。あるいは「ツー ルバー」の「残響設計表を開く」(下右図赤枠左ボタン)をクリックします。 QON の画面を構成するすべてのデータ—が保存されます。 保存ダイアログが開きますのでファイル名欄(下図黒枠)に保存名を入力して「保 存」ボタンをクリックします。 「メニュー」-「ファイル」-「残響表を開く」をクリックします。あるいは「ツー ルバー」の「残響設計表を保存」(上右図赤枠右ボタン)をクリックします。 ファイルを開くダイアログが開きますのでデータ—名を選択して「開く」ボタンを クリックします。 QON の画面を構成するすべてのデータ—が読込まれ保存時の画面が設定されます。 13 QON 5-2 吸音材料一覧表の保存と開く 「メニュー」-「ファイル」-「吸音材料一覧表を保存する」をクリックすると吸音 材料一覧表の内容が QON の管理するデータ—領域に書き込まれます。 一覧表を編集して材料を追加、削除して一覧表を変更する場合に使います。 !!注意!! 一旦表を変更して保存すると元の表データ—は失われます。 「メニュー」-「ファイル」-「吸音材料一覧表を開く」をクリックすると QON の 管理するデータ—領域から吸音材料一覧表が読込まれます。 吸音材料一覧表の編集を破棄して QON 起動時の吸音材料一覧表に戻すことが出来 ます。 14 QON 5-3 報告書の印刷 「メニュー」-「ファイル」-「報告書の印刷」をクリックします。 あるいは、ツールバーの印刷ボタン(下右図赤枠)をクリックします。 設計結果が印刷されます。 印刷例を下に示します。 15 QON 著作権 高橋賢一/音楽進学教室 16
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