Alpe d`Huez

Wednesday 17th July 2013
a weekly double-shot of road racing
ロードレー スを 濃 縮し た 、ダブル・ショットを
rapha.cc
issue 16
13 14 15 16 17 18 19 20 21
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the view from gap
Testing, Testing, Ventoux
rest day chat
コンタドールのアタックへの執念
彼が決して縮こまることはない。アルベルト・
プロトンはモンヴァントゥーを離れてアルプスを目指す。ヴァ
コンタドールは現在の総合成績を失うリス
ントゥーの陰に隠れたベゾン・ラ・ロメーヌから、アルプス
クを背負ってまで、アルプスで栄光を掴む
山脈の入り口ギャップに向かう。フランスが誇る世界的レー
スの主戦場が迫って来た。モビスターのルイ・コスタは、急
勾配のコル・ド・マンスで逃げグループから飛び出し、その
ままフィニッシュまで独走した。後方では、アルベルト・コ
ンタドールがクリス・フルームに対して執拗にアタックを繰
り出した。ホセバ・ベロキが落車し、ランス・アームストロ
ングが草むらを突っ切って難を逃れた有名なコーナーでもド
ラマは生まれなかったが、最終週に入ってなおコンタドール
の闘志が消えていないことは明らかだった。ヴァントゥーを見
事な走りで制したフルームは、まだまだ油断禁物だというこ
とを知っている。フルームも、チームスカイも、パリまでに
多くの峠を越えなければならないことを知っている。
今大会最も標高がある峠はピレネーのポルト・ド・パイエー
ルだが、ツール 100 回大会を祝福するための困難な 3 週目の
つもりでいる。スーパードメスティックのロ
マン・クロイツィゲルも総合トップ 5 にいる。
サクソ・ティンコフが繰り出す大胆な作戦
を利用して、他のチームがずる賢く総合ジャ
ンプアップを狙っている。モビスターやベ
ルキン、アスタナに注意したい。
ラルプ・デュエズに
Rapha のポップアップストア登場
現在アルプスは雨雲に覆われており、木曜
日は降雨の予報が出ている。寒さに震え
る観客のために、ラルプ・デュエズにある
Raphaのポップアップストアではレインジャ
ケットを用意。選手たちは当然そんな悪天
候の中を歯を食いしばって走らないといけ
闘いはまだ残っている。ラルプ・デュエズのダブル登坂に注
ない。ライバルの苦しみを逆手にとる選手
目が集まりがちだが、それはアルプスの 3 連続山岳ステージ
も出てくるはずだ。
の一つに過ぎない。パリでマイヨジョーヌを本当に着るべき
者を、アルプスは導き出す。
明るいユーロップカーの未来
総合 3 位・4 分 25 秒差につけるサクソ・ティンコフのアル
シリル・ゴティエとピエール・ロランが逃
ベルト・コンタドールこそが、英国人にとっての最大のチャ
レンジャーだ。ピレネーやヴァントゥーでは精彩を欠いたよう
に思われたが、サンタマン・モンロンにゴールする第 13 ステー
ジではチームメイトを率いて平坦路で攻撃を仕掛け、フルー
ムから 1 分を奪った。ヴァントゥーでフルームがコンタドール
の動きを封じ込め、衝撃的な加速でライバルを置き去りにし、
平坦路で失ったタイムをいとも簡単に奪い返したが…。フルー
げグループに入り、山岳でアタックを繰り
返しているその頃、大手レンタカー会社のユー
ロップカーがヴァンデに拠点を置くチームと
のスポンサー契約を延長した。ツールで最
も美しい口ひげを蓄えた「二輪に乗るマグ
ナム」ジェローム・クザンの所属チームが将
来を確約させた。
ムのチームスカイはヴァシル・キリエンカとエドヴァルド・ボアッ
ソンハーゲンをすでに失っているものの、ライバルに対抗す
る戦力は残している。マイヨジョーヌ争い以外のところでは、
ペーター・サガンがマイヨヴェール争いで抜きん出ている。
すでに大きなリードを得ているので、パリで 2 着目のマイヨ
ヴェールを受け取ったところで誰も驚かない。ではマイヨア
ポワはどうか? ヴァントゥーでの勝利後、フルームはステー
ジ優勝を積極的に狙わないという発言をしている。これはピ
エール・ロランやナイロ・クインターナにとってはチャンスだ。
仮にコロンビアンクライマーがステージ優勝することがあれば、
新人賞のマイヨブランに赤玉ジャージを加えることになる。
wheelie-ing up mont ventoux is #prostyle
ldn cycle club news
7 月 20 日のアヌシー∼セムノスのレース
中、Rapha Cycle Club London に来店
したエタップ完
走者にはビール
を進呈。レース
ナンバーを持参
のこと。
Wednesday 17th July 2013
a weekly double-shot of road racing
anatomy of a stage
team sky
mobile
supporters
club
Stage 18, 172.5km
Gap – Alpe d’Huez
GAP
871m
今週はブルターニュまで北上して、また南に戻って来た。イギ
マーティンとモトメカニックの働きに喜びを覚える 1 週間だった。
“ モンヴァントゥー ” という名前にはどこか可愛らしい響きが
あるが、実際は暑くて荒々しい山だった。飲んだくれは当然いっ
ぱいいたけど、想像していたよりも観客の数は少なかった。俺
Col d’Omon
1371m
Col de Manse
1268m
頼む、休みをくれ!
リスの英雄に敬意を表したデーヴィッド・ミラーに感激し、ダン・
ALPE-D’HUEZ
1850m
Alpe-d’Huez
1765m
motoman
は一日中ずっとトム・シンプソンの追悼碑の前で過ごし、
亡くなっ
た英雄にリスペクトを払う観客たちを写真に収めた。プロの中
Rampe du Motty
982m
KM DRIVEN ON TOUR
でリスペクトを示したのはデーヴィッド・ミラーだけだったよう
に思う。止まりはしなかったが、わざわざキャップを脱いで観客
に手渡していた。きっと今ごろ eBay でそのキャップが出回って
いるんじゃないかと思う。もっとイギリス人の観客が多いと思っ
たが、そうではなかった。
モンヴァントゥーを登る際には、モトのホーンを鳴らしながら
13km
34km
95km
122.5km
観客をかき分けた。モトに手こずったのはその時だけではない。
172.5km
ラルプ・デュエズを登る以外に、世界最大の自転車レースの
モンサンミッシェルにゴールするタイムトライアルで撮影場所に
NIGHTS ON A MOUNTAIN
急いでいる時、アップダウンのある農道を走っていると事件が
100 周年を祝う方法が見当たらない。せっかくだから 2 回登っ
起こった。前輪の油圧ブレーキホースを切ってしまい、液体を垂
てみるのはどうだろう。
れ流してしまった。だからトゥールまでリアブレーキだけで走っ
アルプの 21 のヘアピンコーナーは、ロードレースにおける伝
たんだ。パリに住むメカニックに頼んでパーツを取り寄せてもらっ
説的な存在だが、意外にもその歴史は浅い。地元のホテル事業
て難を逃れた。彼とは会話が弾んで、ブレーキ以外のパーツも修
者がチーフコミッセールのエリー・ワームリンガーに持ちかけ、ブー
理してくれた。おかげで現在バイクは快適に走っている。
ルドワザンの街を見下ろす売り出し中のリゾート地でレースを開
平坦ステージの醍醐味はブルターニュ地方にあった。アルゴス・
催したのは 1952 年のこと。その年、ファウスト・コッピが初登
シマノとスカイがリードアウトトレインを組んで競り合い、そ
場のラルプ・デュエズで優勝した。それは史上初の山頂フィニッ
こにダン・マーティンを引き連れたデーヴィッド・ミラーがパワ
シュであり、史上初めてテレビ放映が行なわれたレースでもある。
フルは走りで割って入る。2 つのトレインが分裂すると今度はイ
そこからラルプ・デュエズの歴史が始まった。
アン・スタナードが先頭に出る。そんな狭い道で繰り広げられ
コッピやイノー、エレーラ、パンターニ、アームストロングら、
る攻防が好きだ。
偉大な選手の名前を冠したスイッチバックを一つ一つこなし、標
わざわざブルターニュ地方まで北上したのに、すぐにまたフ
高 1850m の頂上まで登ったサイクリストは、登り始めの勾配が
厳しかったことを思い出すだろう。ただでさえ何十万人というファ
COKES TO THE GRUPETTO
ランス南部に戻って来た。長い長い移動が続く。そろそろこの
タトゥー入りのベルギー人で溢れたキャンプサイトを離れて、ア
ンが詰めかけるこの登りを、今年は 2 回登る。いつも以上に巨
ルプスに向かうことにする。来週は主にチームの監督に密着して、
大な観客の渦が登りを覆うに違いない。オランダ人たちを中心に、
夜はアルプスで飲んだくれることになると思う。
観客たちは数日間パーティーを開きながら選手の到着を待ってい
次に筆をとる頃、ツールは山の向こ
る。
う側を走っている。
一般的に知られているのはブールドワザンから直登する南側
のルートだが、実は他にも 2 つ進入路がある。山に沿ってコル・
ド・グランドンに繋がる細くて景色の良い西側ルートと、コル・
ド・サレンヌに繋がる東側のルートだ。今年まで舗装されてい
なかったコル・ド・サレンヌは、ラルプ・デュエズの街からさら
に数キロ登った先にある。標高2001mのサレンヌ頂上を越えると、
谷底まで一気にダウンヒル。このサレンヌを初めてプロのプロ
トンが通過したのは 2013 年 6 月のクリテリウム・ドゥ・ドーフィ
ネで、舗装状態のよくない路面とあまりにも危険でテクニカル
な下りに、選手たちから批判的な声が相次いだ。
COFFEES DRUNK BY DRIVER
この危険な下りでコンタドールが攻撃を仕掛け、レースに火が
FIND US AT:
Alpe d’Huez, S19
beneath turn 6
Paris, S21
location TBC
つくかも知れない。もしそうでなければ、パリまで登りが残さ
れているとは言え、フルームとその補佐官たちの栄光はグッと近
くなる。
wheelie-ing up mont ventoux is #prostyle